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2011年11月17日 第8回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 議事録

年金局年金課

○日時

平成23年11月17日(木)
10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省
 17階 専用第18・19・20会議室


○議題

議事次第

1.開会

2.議事
 短時間労働者への社会保険適用を巡る現状及び論点
 その他

3.閉会

○議事

○遠藤部会長 皆様、おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまより第8回「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」開催したいと思います。
 本日は藤田政務官に御出席をいただく予定でございましたけれども、政務のため、やむを得ず欠席されるという連絡を受けております。
 次に本日の委員の出欠状況でございますが、岡崎委員、小島委員、加藤委員、瀬戸委員、坪田委員、福田委員からは御欠席の連絡を受けております。
 なお、坪田委員の代理として、佐藤参考人。福田委員の代理として浜野参考人の御出席につきまして、御了承いただければと思います。
 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 それでは、配付資料につきまして、事務局から連絡お願いします。
○藤原年金局総務課長 おはようございます。配付資料について、御案内をさせていただきます。
 議事次第、座席図、議員名簿に続きまして、資料1でございます。
これは事務局で作成いたしました「事業主団体・労働組合等からのヒアリングにおける各団体の見解」と題しました、御意見をまとめた資料でございます。
 資料2は、事務局の方で作成いたしました「週所定労働時間が20~30時間である労働者の実態に関する資料」でございます。
 資料3は、第1回、第2回の特別部会で使用しました、想定される主な論点に関する資料でございます。
 資料4は平田委員から御提出いただきました、全体会議でのプレゼンテーションに関する補足説明のための資料でございます。
 資料5は日本フードサービス協会から御提出いただきました資料でございます。
 これは前回の第7回短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会で、部会長からいただきました御指示により、事務局から同協会が実施されたアンケート調査における、主婦である回答者の被保険者種別の内訳を明らかにするようにお願いいたしましたところ、同協会から御提出をいただいたものでございます。
 以上が本日の配付資料でございます。よろしくお願いをいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に移らせていただきたいと思いますけれども、カメラの頭撮りはこの辺りでお願いしたいと思います。
(冒頭カメラ撮り終了)
○遠藤部会長 それではまず、最初に平田委員から、前回の主婦のパートタイム労働者の実態に関するプレゼンテーションにつきまして御質問が委員の皆さんからございまして、それに対する補足の御説明の御用意いただいておりますので、まずはその補足説明をしていただきまして、その後、質疑に移りたいと思います。
 その次が、これまで4回にわたりましてヒアリングを行いましたので、それに伴う資料、あるいはそれ以外の資料等々が出されておりますので、今後、特別部会としまして取りまとめの方向に移りたいと思いますので、その議論を早速始めたいと思います。
 本日はそのような形で進めていきたいと思います。
 それでは、平田委員の補足説明をよろしくお願いいたします。
○平田委員 では前回、主婦パートとはどういった方々かということで御説明させていただきましたが、御質問もいただきましたので、それにお答えすることを主に補足をしたいと思います。
 まず、御質問の1つに、主婦パートの方々に正社員経験がどの程度いるのかという御質問をいただきました。
 1ページ目、主婦パートの9割以上に正社員経験がありということが結果として出ています。
 前回はどのぐらいの年数の経験があるのかということをお答えできなかったのですが、5年刻みで聞いておりまして、具体的には主婦パート全体では5年未満の人が40.8%、5年以上10年未満の人が35.9%、10年以上の人が14.9%という結果でした。
 ただ、これを年代別に見てみますと結構、差が出ておりまして、やはり20代の方は年齢も若いということもあり、またこれは就職氷河期というようなこともあるのかもしれないのですが、正社員で働いた経験はないという方が28.7%、5年未満の方が54.5%、5年以上10年未満の方が16.8%という結果です。
 それ以上の年代の方になりますと、正社員経験がないという方が非常に減って参りまして、30代の方ですと5年未満の方が43.5%、5年以上10年未満が36.2%、10年以上の方が11.5%となっております。年齢が上がってくるほどに、正社員経験が長い方がパートタイマーをやっているという結果となっています。
そして、サンプル数は少ないですが、60代以上になりますと5年未満の方は64.7%となっております。
正社員経験に関しましては、以上です。
続きまして、もう一つ御質問をいただいた中に、主婦パートが収入を制限する必要がなくなったら、どのように働きたいかという回答結果をこの前御提示いたしました。
その結果としましては、パート・アルバイトのままで労働時間を増やす方が4割ぐらい。特に働き方を変えないが3割ぐらい。パート・アルバイトではなくて正社員で働くという人が1割ぐらいという結果だったのですが、それぞれに回答している方々はどんな属性にある方かを御質問いただきまして、幾つかクロス集計をかけてみたところです。
2ページ目以降の横長の表がそれに関するクロス集計になります。
結果といたしまして、何か申し上げる程の印象はなかったところではありますが、例えば2ページ目では、自分がどのような目的で働いているかということと、今後、収入制限がなくなったときの働き方でクロスしたものです。
生活維持のため、つまり最低限の生活費を稼いだり、ローン返済などを行うために働いている方の33.6%がパート・アルバイトのままで労働時間を増やすとなっております。この表は、上段が実数で下段がパーセンテージになります。
一方、先程と同じ目的で働いている人の45.6%が正社員として働くと答えており、やはり生活逼迫度が高い人ほど、働き方を変えようという意向が強くでているという結果になっております。
概ね、このような形で、やはり生活の状況と収入の必要性ということで、収入が必要な人ほど労働時間を増やす、または正社員として働くというような意向が出ているというところですが、これに関しましては、全部説明するには時間が限られますので、割愛をしたいと思います。
続きまして、8ページ「厚生年金保険への加入に対する考え」です。前回の御説明のときに、加入に関する考えについて自由意見を提示させていただきましたが、今回は自由意見ということではなく、データで示したものになります。
厚生年金の加入に対する考えですけれども、加入したいという方が半分ぐらいで、加入したくない方が半分ぐらいです。また、主婦の方と学生と一般とで分けておりますが、主婦の方では若干「加入したい」が減りますが、余り大きな差異は見受けられませんでした。
9ページ目は、厚生年金保険の適用拡大がもし実施されるとしたら、今後、自分の働き方をどのように変えていきますかと聞いた結果です。
これは平成19年版のパートタイマー白書で紹介している分ですが、9ページ目の下のグラフですが、全体としましては、働く時間を大きく減らすという方が15.7%、手取り収入を確保する程度に働く時間を増やすという方が22.5%、大幅に働く時間を増やすという方が5.8%、現在と変えない方が36%、正社員など違う就業形態で働く方が7%という結果でした。
これを主婦に限って見ますと、働く時間を減らすという方が20.2%と全体に比べ増えはしますけれども、一方で、手取り収入を確保する程度に働く時間を増やすという方が24.4%、大幅に増やすという方が8.4%、現在と変えないという方が28.2%という結果になりました。
10ページ目のグラフは、週20時間以上働いている第3号被保険者の方のみの回答結果をまとめたものです。
これも先程申し上げました主婦の方と、傾向としては余り変わらない結果となりました。具体的には、働く時間を減らすという方が22.2%、手取り収入を確保する程度に働く時間を増やすという方が24.2%、大幅に働く時間を増やすという方が9.8%、現在と働く時間は変えないという方が26.8%という結果です。
11ページ目から先は自由回答を載せております。具体的には、11ページでは適用拡大になったらどのように働くかということを聞いています。前回も御提示しましたが、今回は平成16年度版パートタイマー白書の自由回答をまとめたものでございます。
12ページ以降は、社会保険に関するもののみならず、パート・アルバイトの仕事、待遇に対する自由意見のうち、主婦パートの方々に聞いたもののみを抜粋しております。
これは社会保険ということでなく、主婦パートの方々はどのような方であるかということを御提示する目的として発表の場をいただきましたが、自由意見のところで結構赤裸々な意見が出ておりますので、ご覧いただくとなるほどと思える意見もあるかと思い参考資料としてお付けしました。
自由意見として、敢えて書いていらっしゃる方ですので、いろいろ考えていらっしゃったり、強く何かを思っていらっしゃる方が多いかと思います。ご意見は本当に様々ではございますが、非常に読み応えがあると思いますので、後ほどご覧いただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 短い期間ではありましたけれども、追加のクロス集計までやっていただきまして、どうもありがとうございます。
 それでは、ただいまの御報告につきまして何か御意見、御質問ございますか。
 前回、御質問をされた委員の方で何か御意見ございますか。思ったとおりの結果だなということでございましょうか。
 では、岩村委員どうぞ。
○岩村委員 追加的なクロス集計は結構なのですが、例えば9、10ページのところは、前の調査のときも御紹介をいただいています。
 厚生年金保険に加入しないですむように働く時間を減らすと回答した人について、例えば、その時の週の勤務時間はどのぐらいなのかということを知ってみたいという気はします。
 要するに30時間の上限の近くで働いていく人がそのような回答をするのか、それとも20時間より少し多い時間のところの人がそのような回答をするのかということに興味があります。
○平田委員 ありがとうございます。
 クロス集計等ができるようでしたら試してみたいと思います。
○遠藤部会長 そうですか。それでは、よろしくお願いいたします。
 できるかどうかということは、まだよくわからないということですね。ありがとうございます。
 他にございますか。よろしゅうございますか。
 先週に引き続きまして、平田委員から主婦パートの実態であるとか意向についての御説明がありました。主婦パートの実態がかなりよくわかるようになりましたので、我々としては、大変参考になったと思います。どうもありがとうございます。
 それでは続きまして、ヒアリングの総括、それからとりまとめについての議論に移りたいと思います。
 今回からとりまとめに向けた議論を始めたいと考えますが、その前に4回に渡りまして各団体からヒアリングを行いましたので、それについて整理をしておく必要があると思いましたので、事務局に整理をしてもらうようにお願いしまして、本日、資料として出ております。それについてこれから議論をしていきたいと思います。
 まずは、資料1をご覧になっていただきたいと思います。
 資料1は、基本的に論点というのが1~4までに分かれておりますので、それぞれにつきまして皆様から御議論いただいて、最後にもう少し、これにとらわれない総括的な御意見をいただくという形で本日は進めさせていただこうかと考えております。
 それでは、事務局から提出している資料について、まずは御説明を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
○梶尾年金課長 それでは資料1と資料2までにつきまして、冒頭、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1は第4回~第7回まで4回にわたりまして、事業主の団体あるいは労働組合等からのヒアリングを行っていただいたわけですが、そのときにどういった御意見があったかということを大きな項目毎に、団体別に提出資料あるいは発言をもとに整理したものでございます。
 まず、大きな論点の1つ目が、適用拡大に関する基本的な考え方についてということであります。
1ページ目から簡単に読み上げさせていただきます。
適用拡大に対する基本的な考え方について、事業主団体からは制度の抜本改革なくして適用拡大の議論はできないのではないかという話であったり、適用拡大というのは企業負担が非常に大き過ぎるという話です。
1ページ目の下の方にありますが、零細企業への重い保険料負担が課されることや就業調整で超短時間労働者が生まれること、あるいは技能の蓄積やサービスの質への影響が懸念されるというようなことの御指摘がありました。
2ページ目では、非正規労働者の保障が拡充されることは賛成だが、このタイミングは疑問があるということですとか、国民年金制度との関係の論点があるのではないかという御意見や公平性のみならず経済への影響も踏まえた検討がいるであるとか、あるいは、過半のパート労働者は適用を望んでいないであるとか、また、特に年金を受給しながら働いている60歳以上の人は望んでいないのではないかという御意見がありました。
また、適用拡大は業界の生死にかかわり、実施に当たっては企業のセーフティーネットや経過措置が必要。ただし、労働者のモチベーションを高めるという適用拡大の意義は理解するという御意見もありました。
在宅介護の観点からは、ほとんどは第3号被保険者あるいは被扶養者なので、セーフティーネットは既にあるのではないかというような御意見がありました。
一方で、労働組合の関係は3ページ目以降になります。
労働組合の関係者からは、同一労働同一賃金の考え方に基づいて、労働時間による差別は是正すべきであって、適用拡大の重要な課題であるとか、パート労働者自身が希望していないのではないかということについては、制度が十分に理解されていないのではないかという御指摘で、企業側への必要な支援策を講じながら適用拡大を進めていくことが必要なのではないかという御意見がありました。
下の方に参りまして、すべての労働者にセーフティーネットの整備を行うことが必要であって、原則は全ての労働者が社会保険適用を受けるべきなので、時間や収入要件が設定されるにしても、プロセスの話としてであれば是認されるのではないかという御意見がありました。
4ページ目では、年金だけではなく、医療保険についても出産手当金、傷病手当金等の保障があることで、離職を防ぐ環境を整える必要があるのではないかということでした。
また、社会全体でのリスク分散という社会保険の理念に基づけば、なるべく多くの者に保険料を負担してもらうことが適当なのではないかという御意見や事業主側にも適正な負担を求めたいという御意見があったかと思います。
その他の2つの団体からは、基本的に適用拡大に賛成という御意見をいただいたところです。
5ページ目に進みまして、国民健康保険中央会からは、地域保険と被用者保険との2本立ての現在の状況下では、被用者を被用者保険に入れることには異論はないけれども、ただ、今回の適用拡大の対象者という方々を考えますと、市町村国保への財政影響は慎重に見極める必要があるという御意見がありました。
次にパート労働者の就労実態について事業主団体等から各業界の実情等をお伺いしました。
5ページの下の方で、日本フードサービス協会さんからは外食産業は454万人の労働者がいて、その88%はパート労働者である。昭和40年代からは、このような方々に多様な働き方を提供してきたという経過があり、外食産業のパート労働者の48.6%は主婦であり、週20時間以上30時間未満の者が30.9%であるということです。
社会保険の適用を望む者は適用を受けられるようにして、社会保険料も負担してきているという御説明をいただいております。
6ページに進みまして、就業調整に関する見解ですとか、能力開発等々についての見解もいただいたところでございます。
6ページは次にチェーンストア協会等、3団体からです。
この団体からも、本人たちが適用拡大を望んでいるかどうかは不明である。企業側の事情と主婦の事情双方の考えが一致して、現在のスーパーマーケット業界のビジネスモデルが出来上がっている。パート労働者は有期雇用であって、正規労働者とは同様に扱えないのではないか。また、人数等々のデータの状況をお示しいただいているところであります。
下の方は生活衛生同業組合中央会からです。
7ページに進みまして、学生、主婦、高齢者がパート労働者として多く、事業所と労働者双方の都合で時間が選択されているということで、シフト制を組むことがほとんどであって、社会保険の適用は難しいのではないかというような御意見をいただいたところです。
8ページはビルメンテナンス協会と在宅介護協会で、ビルメンテナンス協会からは65歳以上も多いといったことの報告をいただいたところです。
8ページの下の方からは、労働組合サイドからのパート労働者の就業実態について記載しています。
9ページ中ほどですと、週4日以下の労働者も基幹的な役割を果たしており、必要な保障がいる等の御意見をいただいております。
9ページの下の方からは、しんぐるまざあず・ふぉーらむと母子寡婦福祉団体協議会からパート労働者の就労実態に関してお話をいただいた内容です。
10ページの下、(3)適用拡大ということが、パート労働者の働き方に対してどのような影響を生じると考えるかということについての部分をまとめたものであります。
 まず、事業主団体からは適用拡大を行うことにより就業機会を損ない、地域経済に影響を与えるということや、パート労働者の多くは社会保険適用を望んでいないということで、反対理由の例示が示されています。
 11ページでは、適用拡大によって発生する社会保険料負担は家計を圧迫し、事業主負担も急増して、就業時間や従業員の採用を調整せざるを得なくなるということや、新たな就業調整が発生するなど悪影響ばかり大きくなるのではないか。あるいは就業時間の選択が二極化することが想定されるので配慮措置が要るのではないかということでした。
 また、社会保険の脱退と加入の繰り返しが起きるようだと事業主と労働者の双方にとって問題があるのではないかという御意見や、タクシー業界のパート労働者には年金受給者が多く、在職老齢年金との関係が生じるのではないかという御意見がありました。
 労働組合からは、再掲になりますけれども、パート労働者がさらなる就業調整行うのではという点については、被用者全員に被用者保険を適用していく過程での基準ということであれば是認されるのではないかということでした。
 あと、細部に課題も多く、事業主が指摘する企業経営の課題は労働者にも影響するので、税、医療、年金を全体でどう負担するかという議論を深めるべきという御意見があったところです。
 12ページの下の方からは、適用拡大が企業経営にどのような影響があるのかということについてです。
 12ページの下半分につきましては、企業経営に関して適用拡大は企業を赤字・倒産に追い込みかねない。あるいはビジネスモデルが崩壊してしまう。また、特に外食産業に関していうと、適用拡大というのが日本の農業あるいは関連産業にも影響を与えるということが必至であるということでした。
 13ページでありますが、現状、外食産業の健保組合には約16万人が加入しており、更に十数万人が新たに加入するということになると、その健保組合に多大な影響があるという御指摘等をいただいております。
 日本チェーンストア協会からは、高齢者雇用を多く受け入れているが、そのシステムの見直しが必要になってくるのではないかということ。全国生活衛生同業組合中央会からは、社会保険廃業の懸念があるのではないかという御意見でした。
 介護の関係では、介護報酬という公定価格制度をとっている以上、価格転嫁が難しいため、企業負担への配慮が要るのではないか等の御意見でした。
 14ページに進みまして、先ほどもありましたが、週20時間以上30時間未満労働者には離職者が多く、加入・脱退が多いと事務負担も大きいのではないかとの御意見がありました。
 労働組合からは、現在の経済状況では、商品価格に転嫁することは難しいので、企業負担の増大や賃金への転嫁になるのではないかという懸念であったり、医療保険については、高齢者医療に関する財政調整があり、各保検者が被保険者数に応じた負担を行う構造となっているため、業種によっては過大な負担が懸念されるという御意見をいただいたところであります。
 15ページの下の方で、全国母子寡婦福祉団体協議会からは、雇用調整を招く恐れがあるので、雇用政策も合わせて行ってほしいという御意見がありました。
 16ページは「その他」ということで整理しておりますが、未適用事業所への対策もしっかりやる必要があるのではないかという御意見ですとか、事務負担も考慮して、できるだけシンプルな基準にしてほしいといった御意見がありました。
 17ページに進みますと、企業負担についてはできるだけ広く負担を吸収するような形で労働者への不利益が及ばないようにする必要があるのではないかと言った御意見がありました。また、激変緩和措置として、例えば5年程度の保険料減免措置のようなことも考えられるのではないか、あるいは雇用管理のコンピュータのコストなどを補助して、労働者への負担がかからないような配慮も考えられるのではないかという提案もいただいたところであります。
 最後、18ページでは、情報産業労働組合連合会より、適用基準を設けるのがそもそもいいのかどうかという話ですとか、中小企業だけではなく、パートが多い大企業にも何らかの配慮が要るのではないかという御意見がありました。
最後、国民健康保険中央会からは、できるだけ簡単なものにすべきだという御意見です。
被扶養者配偶者認定基準については、これまで引き上げてきた過程とは別の考え方で変更するのであれば、丁寧な説明が要るのではないかという御意見があったということです。
過去4回で、各団体のこんな御意見があったということで、本日以降の審議の便宜のために整理をさせていただきました。
次の資料2です。
これは、ヒアリングの前の段階、第1回、第2回のときに雇用保険並びであれば24時間ということがあるわけですけれども、こういった方々はどういう労働時間あるいはライフステージがどういうところであるとか、年齢とか、どういう方々かわかるような資料はないのかというお求めが複数の委員からございました。
第3回の会議の際に、JILPTの浅尾様から、いろいろな統計調査をもとに発表していただいたり、前回、そして本日と平田委員から、それに関連する資料をご提供いただいたのですけれども、それを整理いたしまして、20時間~30時未満のパート労働者がどのぐらいの規模でどういう方々になるのかを、できるだけイメージしやすいようなものをということで作成したものでございます。
まず1ページ目は、以前、試算で約400万人程度ということを申し上げましたけれども、それが年齢分布であるとか、男女別でどうなっているのかでありますが、第3回のときに浅尾様から提出いただいた資料の冒頭にありました。
そのときの会議の資料で、平成22年3月に実施された20歳以上65歳未満の8,000人の方を対象した調査で、約5,092人から回答があったという調査結果がございました。その中の約5%が20時間~30時間の労働時間の人だという統計があったわけです。
平成22年3月時点の20歳~65歳未満の方は7,520万人という総務省の統計がございますので、それに年齢階層別分布割合も会議資料に出ておりますから、その割合を当てはめて7,520万人に戻して年齢別に当てはめると、このような分布になるという形でございます。
その結果で申しますと、20時間~30時間という方は男性が約57万人、女性が約320万人で、合計約380万人です。これは20~65歳未満ですから、20歳未満と65歳以上も若干おられるということだと思います。
この統計をベースにするとこのような人数になり、約400万人程度になると思います。大体、どういう分布になっているのかというのを数字つきでイメージいただけるようにしたということです。
これを見ていただきますと、男性ですと56.9万人の内の半分以上が60~65歳のところに大きな山があるということですし、女性については大体30代後半~60代まで、おおよそ同じぐらい40~50万人ぐらいおられるという形になっているということが見てとれるかと思います。
ちなみに、ここで言う週所定労働時間というのは、1週間に何時間仕事をしているのかという質問の回答から、残業時間はどれだけですかという質問の回答を差し引いて、週所定労働時間を算出したということが、第3回の会議ときに浅尾様から御説明があったところです。年齢分布はそういうことです。
次に、2ページ目は、その方々がライフステージでどういうところにあるかということです。
日本人の就業実態に関する調査での分布になりますが、20代で在学をしている方から非該当までの選択肢で、未婚か既婚が子どもありかなしかで区分されております。
60歳未満、既婚の子どもありの女性が207.4万人ということで、半数以上がここにあったということになります。ライフステージ別で見ると、こういう方々だということでございます。
3ページ目は、この層の方々の配偶者の有無はどうなのかということです。
配偶者のいる男性が36.5万人、配偶者のいる女性が257.9万人で、先程、女性は約320万と申しましたけれども、8割強が配偶者がいる女性だということです。男性の方は配偶者がいるのが6割程度、配偶者がいない方が4割程度ということであります。
4ページ目は、この中で子どもがいると回答された方は、下の注釈の1行目にありますが、男性が7.3万人、女性が226.6万人です。
この子どものいる方の末子年齢のどうかということですが、特に女性を見ていただきますと、一番下の子が小学生の年齢で50.3万人です。そこが1つの山となっており、あとは既に大人になっている年齢のところが多くなっており思います。
5ページ目は、どういう産業で働いておられるかということです。人数が伸びておりますのは卸売業、小売業のグループと、対個人サービス系のところと、医療・福祉のところが高くなっています。これは以前、別の統計でも出ているような話でありますけれども、産業別ではこういったところに多いということであります。
6ページ目は企業規模別です。企業規模別に見ますとこのような分布になっておりまして、30人未満のところに男女とも大体2割程度がおり、100人未満で見ますと3分の1程度となり、300人未満で見ますと半分弱ぐらいがおられるということです。
ただ、「わからない」と回答している者が男女ともに2割程度おられるので、その人数を差し引いたら数字が変わりますけれども、そのような分布になっているというところです。
7ページ目は、20時間~30時間というのを2時間刻みで集計したものです。これも第3回の会議のときにも出ている資料でございます。
20~22時間未満と24~26時間未満のところが3分の1程度で、他は少ないというような分布の形になっているということでご覧いただければと思います。
8ページ目は、1週間の出勤日数別分布です。男性は主に60歳代の人数が多かったわけですが、週3日というのが一番多く、一方、女性の方は週5日のところが一番多いということでございます。
9ページ目は、年収別人数分布です。これはここまで使っておりました日本人の就業実態に関する総合調査ではなく、短時間労働者実態調査での週所定労働時間別の年収の比率を使いまして、人数は先程の57万人と320万人を使って掛け合わせております。その結果、最も多いのが90万~110万円のところとなっております。
10ページ目は以前、400万人の根拠のときの御説明に使った資料です。
これは何で再掲しているのかと申しますと、週所定労働時間20時間~30時間である方が、現在は第1号被保険者であるのか、第3号被保険者であるのか、非加入であるのかという御質問があったということで改めて掲載しております。
この400万人の内訳については、400万人のうち、現在第1号被保険者が140万人、第3号被保険者が180万人であり、被扶養の方が180万人、被扶養でない方が140万人ということです。また、20歳未満60歳以上が70万人ということを以前お示ししたところです。
11ページ目は、本日、平田委員よりご提出いただきました資料4の8、9ページにあるものと同じですので、先程、平田委員からもご説明があったので、詳しい説明は省略いたしますけれども、週所定労働時間が20時間以上である方が厚生年金の加入についてどのようなお考えをお持ちなのかということでございます。この週所定労働時間20時間以上である方の加入に関する考え方としては、働く時間を減らすという方もおられますが、働く時間増やす、あるいは変えないという方もいらっしゃるということです。
最後の12ページ目からは、ヒアリングの時に日本フードサービス協会からご提出いただいた調査結果です。ご覧いただくと、パート労働者のうち、週所定労働時間が20時間~30時間という方が約31%おられるということです。そして、社会保険加入について、は賛成が21.8%、反対が77.3%ということで、それを更に区分をしたものが13ページです。
この表の中で身分のところを見ますと30%近い賛成のところもあれば10%台のところもある。これは参考になるだろうと思っています。
その中で下から5番目の主婦のところでは、18.9%が賛成、80.4%が反対ということですが、これにつきまして、同じ調査の中で、主婦の方が第1号被保険者であるのか、第3号被保険者であるかは把握できているはずなので、その数字とのクロス集計をしてもらえませんかということを、前回、佐藤部会長代理からお話しがありましたので、先方にお伝えしましたが、資料5でお配りしましたように、記載されている理由により把握できないという回答をいただきましたので、御報告させていただきたいと思います。
 資料の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 議論に入る前に、ただいま、新しい資料が出ましたので、資料について何か御質問があれば、まずそれをお受けしたいと思いますけれども、何かございますか。
 よろしいですか。それでは議論に移りたいと思います。
議論の進め方ですが、先程、少し申し上げましたけれども、各団体様にヒアリングをするときに大きく5つのカテゴリーに分けて聞いているということがあります。
このカテゴリーは、1番目は適用拡大に関する基本的な考え方等々です。
これは資料3についております、想定される主な論点と基本的には対応するような形になっておりまして、当部会としてまとめていく上では資料3「想定される主な論点」のところを議論していかなければいけないだろうと思うのですが、本日は、ヒアリングの5つのカテゴリーに分かれて御説明を受けましたので、この5つのカテゴリー毎に御意見をいただければと思います。
最後にその他というのがありますから、要するに何でもOKということになるわけです。
それでは、時間も迫っておりますので、最初の「適用拡大に対する基本的な考え方」について、御意見ございますか。
既にいろいろと御意見を頂いているわけでありますけれども、新たなヒアリングやデータが出てきたという中でまた、お考えも変わっておられる方もいらっしゃるかもしれません。
はい、杉山委員どうぞ。
○杉山委員 意見というか、感想になります。
 この間、ヒアリングの結果を見ますと、多くの事業主団体の方から適用拡大について反対といった強い意見なども挙げられたのかなと思っております。
 こうした声を踏まえて改めて認識をしているのですけれども、最終的に目指すべき新しい年金制度をどう描いていくか。すなわち、就業の形態にかかわらず、すべての人が同じ年金制度に加入するといった国民皆年金をいかに実現させていくのかを議論していくことが改めて必要だと思いました。
 その過程の中で、それぞれ非正規で働く若年層の将来設計をどうしていくのか。また、平田委員からの報告書にありましたとおり、やはり就労抑制に何らかつながっているといった現行の社会保障制度の在り方をどうしていくのか。改めて将来の絵姿を見据えて、個々の課題に対してどう対応していくのかといったことの議論を一つひとつ積み上げていかなければいけないのではないか感じました。
 一方で、適用拡大を行うにあたっては、企業の支援策といったこともきちんと議論していくことも必要だと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他にございますか。久保田委員、どうぞ。
○久保田委員 一連のヒアリングで改めて感じましたのは、事業者団体がかなり強く反対しているなということと、原則賛成としている組合も激変緩和措置が必要だという話もありました。
 アンケートの取り方など、いろいろと話もあったようですけれども、パート等で働いている人自身が本当に望んでいるのかどうかという議論もありました。
 理論的には多様な働き方とか、流動性の高い労働市場ときちんとしたセーフティーネットを張っていくというのが最終的な理想の姿だと我々は思っていますけれども、前回、これが議論された2006年、2007年のときよりも、更に経済状況が非常に厳しいという中で、やはりパート労働者を多く雇用している産業、企業、非常に保険料負担増加ということで、経営の問題、雇用の影響ということもあるのだなということで、とりわけ慎重にこの辺りは議論していかないと、以前に申し上げましたけれども、政策目的と実際に導入した後の効果が違う方向に行ってしまうのではないかという懸念を改めて強くしている次第でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 他にございますか。はい、白波瀬委員どうぞ。
○白波瀬委員 ありがとうございます。
 ずっとお話を聞いていると、適用拡大のみで議論することがいかに難しいか。いかに様々な制度とのかかわりを考えなくてはいけないかということが、改めて確認することができたと思います。
 ただ、制度導入にあたってタイミングが悪いであるとか、どうして今なのかという話しは、どのような状況においても常に出てくる意見ですので、適用拡大をすべきという点について大方の合意を得ることできたのであれば、多少無理があっても制度導入に向けて進むべきと考えます。当然、適用拡大が全ての者に利益をもたらすというわけではないので、新制度導入にあたっての配慮は必要であろうと思います。従いまして正規労働者とのかかわりも含めまして、この適用拡大について少し理論武装をする必要があるのではないかと感じました。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 他にございますか。岩村委員どうぞ。
○岩村委員 事業主のアンケートの中にも、あるべき将来の年金の姿を議論した上で適用拡大の議論をすべきであって、それをせずに適用拡大の議論はおかしいという御主張があったのですが、少なくとも、例えば民主党が挙げているような最低保障年金と一元化した所得比例年金という構想自体の実現可能性というのは、近い将来、多分ないだろうということになりつつあるのではないかと思います。
 そういう議論をしないとこの議論ができないというのでは、前にも申し上げましたように、現在、生じている問題に対する対応ということはしないという決断をすることであって、それは許容されないのではないかと思っております。
 それから、事業主団体とのヒアリングのときに申し上げたのですが、結局、使用者集団の中で見たときに、今のパート労働者に対する適用の在り方というのが何を発生させているかというと、正社員を多く使って、あるいはフルタイムの非正規労働者を多く使っている業種が、実は多大な事業主負担をしており、それに、正社員の数が非常に少なく、パート労働者を主たる労働力としている事業の業種が実際にはフリーライドしているということになっている。
それはやはりよく考えると、企業の中においても現実には負担の不平等ということが起きているのであって、そこが私は不思議なのですが、他の業種の、特に正社員、あるいはフルタイムの非正規労働者を使用している業種の企業の方が、それはおかしいということをなぜ言わないのか、まず非常に不思議な気がいたします。
 もう一つは、多くのパート労働者の方々が適用拡大を望んでいないということでアンケート結果等も示されました。
 確かに手取りが減るということでそういう選択をされる。また、医療保険については被扶養者、年金については第3号被保険者という形で、そういう意味は、医療保険及び年金の両面での保障がなされているというところから、ある意味では目先の手取りの収入の方に関心が高いというのは、自然なことかなと思います。
 ただ、社会保険の基本的な考え方というのは、非常にパターナリスティックな考え方なので、例えば年金について言えば、どうしても人間は短期的なところで物事を考えてしまうので、それでは老後の生活保障というのがうまくいきませんねというところから、ご本人たちが嫌だと言っても保険料とって老後の生活をこうしましょうという考え方だと思います。
 そうしますと、例えば医療保険について言えば、医療の提供は被扶養者という形ではなされるが、プラスアルファとして、例えば傷病手当金といったものもあるし、年金については、被用者保険に加入することとなりますので、基礎年金プラス報酬比例分があります。
 確かに標準報酬が低いので、どれだけ手厚くなるかという問題はありますけれども、将来の所得保障が幾ばくかでも厚くなるということなのです。
 そうだとすると、御本人たちが望んでいないというのをどこまで重視すべきか。社会保険の政策というのは、実はそうではないのではないか。社会保険というのは、御本人たちが望んでいないから適用しないという世界の話ではないと私自身は思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 社会保険は、消費者主権の失敗が前提にあるという話ですから、そういうところなのかもしれません。
 他にございますか。非常に重要なところで。中島委員、どうぞ。
○中島委員 私も先程のフリーライド論ではないのですけれども、社会的な公正・公平という観点から負担の公平性を考えると、業界団体の方の主張は納得がいきません。
 もう一つ、最近の数字では、女性の雇用の中で非正規が54.6%まで達しているとの報告もあります。こうした状況をこのまま放置しますと、将来的に低年金・無年金者を大量に生み出すことになります。格差是正や二極化防止を本格的に考えていかないといけないと思います。
 また、OECDの今年の対日審査報告書の中の概観のところでも二極化防止と、特に社会保険などが適用されていない方たち、非正規労働者への社会保険適用は明確に指摘をしておりまして、そういう意味でも社会的にもう少し本来あるべきところに戻す必要があると思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他によろしゅうございますか。そうしたら、霜鳥委員どうぞ。
○霜鳥委員 年金の議論が多いのですが、医療保険の関係者からすると、社会保険については国民健康保険も社会保険なので、社会保険の適用拡大と言われるとちょっと戸惑うところがあります。どこかの医療保険者で保障を受けられるというのが医療保険でございますので、1つそれは感想です。
 それから、菅元総理の方針演説でも、政策パッケージとして出すという感じでした。それは是非、政府の方でそういう形のものを考えていただかないと、適用拡大はなかなか難しいという感じを持ちました。
 それから、我々の場合には高齢者医療制度という別の問題がありまして、これに伴う負担が適用拡大には付きまとって参りますので、全体のパッケージがどうなるかというのは非常に関心あります。
 最初に申し上げましたが、それによる財政影響については、事務局の方も出すとは言っておられるのですが、なかなか出てこないので我々もちょっと困っているところがございまして、それはどこかの時点で是非出していただきたいとだけ申し上げたい。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 議論の中では、どうしてもこれまでの経緯があるものですから、年金の話が今まで十分されてきておりますが、医療保険は医療保険でまた固有の課題を持っておりますので、本来きちんと議論しなければいけませんから、それはまた時間を追ってやりたいと思います。
 本日、その他のところと、もし医療保険のところで御意見があればいただきたいと思います。
 平田委員、どうぞ。
○平田委員 パートタイマーの働き方が随分変化していることを考慮した方がいいのではないかと思っております。
 具体的には、被用者には社会保険を適用すべきということであって、その被用者をどう見るかということなのですが、今、通常の労働者の4分の3以上働く人を被用者と見て、つまり、時間で貢献度を見ていると思うのですけれども、この間、こういう制度ができてから、例えばこの10年間にしても、いわゆるパートタイマーの働き方は随分変わっております。
 正社員から非正規への代替が進んでいるということは、御承知のとおりかと思うのですが、正社員が少なくなれば、より難易度の高い仕事を非正規の人がやっている。そうなってくると被用者を単に時間で見ていいのか、もっと質のところを見ないといけないのかというところが出てくるのではないかと思っています。
 ただ、これを突き詰めますと非常に複雑なことになりますので、時間で区切ることが結論になるのかもしれないのですが、やはり企業への貢献度に関しまして、非正規の方々の貢献度が高まっているということがあるのではないかと思っております。
 正社員の働き方との同異性を質問に加えてくださいと、ヒアリングの項目を固めるときに私から意見を申し上げまして、加えていただいたわけなのですが、ヒアリングの中でもそういう形で非正規の方に頑張っていただいていますということも出ていたと思いますので、そのような感想を持ちました。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 他にございますか。では、白波瀬委員どうぞ。
○白波瀬委員 幾つか意見があります。負担の公平性の話ですが、誰が負担に関して不条理である状況を問題とするかという点については、私は企業間の負担問題についてはあまり強調することはないと考えます。
つまり、基本的に企業は利潤追求が存在理由の基本にあるわけですから、企業間の負担の問題を企業に直接投げかけるよりも、適用拡大を必要とする最も重要な問題は、あくまで労働者としての保障充実であり、また近未来的に参画型の社会を構築するためにも、国の財源にひとりでも多くの方々に貢献していただくということにあります。日本では正規と非正規間の格差が大きいことが問題としてあげられております。その意味で、正規・非正規という身分の違いを温存することなく、就労したことに伴う身分保障、あるいは労働者としての見返りを社会保障という観点からも確保することを強調した方がよいではないでしょうか。例えばパート労働者と言われても、基幹的な正規労働者と同じぐらい貢献されている方もいます。
 繰り返しになりますが、この度の適用拡大においては、強調した方がよいと思う点は、労働を通して企業、ひいては社会に貢献した者に対しては、たとえ就労時間が少しくらい短くとも、できるだけ労働者としての保障を提供することが望ましい、ということです。
 ですので、確かに政治的な長期的ビジョンと完全に連動させながら足元にある問題を解決していくことは、短期的利害関係が必ずしも長期的利害と連動しないために難しいとは思います。ただ、手っ取り早いところからやっていくというやり方は望ましくないので、常に長期的に立った理由付けは必要だと思います。
 これだけ、パートタイムなり非正規が多くなってきており、実際に日本の経済を支えているわけですから、そこの部分を無視できなくなったところは事実です。この現実を前面に出した形での展開が私はいいのではないかと思いました。
 あと、意識調査についての岩村委員の御意見は私も同様で、ご本人たちが嫌だから適用拡大はやめましょうという話は、ここでは適当ではありません。 以上です
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 今のお話について、具体的にはどういうイメージを持ったらよろしいですか。
○白波瀬委員 具体的にはと申しますと。
○遠藤部会長 労働時間で分けるのがおかしいということを言われているかどうか。
○白波瀬委員 適用拡大をするといった場合に、その反対意見も当然あるわけなのですが、正規社員をたくさん雇っているところが負担を多く払っているかどうかという企業のレベルではなく、適用拡大にあたっては労働を通じた貢献に対する対価としての意味付けを前面に出し、そこでは時間が1つの判断基準になってくるとは思いますが、労働者である限り当然である保障を適用拡大して提供するという枠組みが必要なのではないかと考えます。事務的には確かに時間で切るところで20時間以上というラインが出てくるのかもしれないのですが、少なくとも適用拡大をするにあたってのベースとなる根拠は、たとえパートタイマーを含む非正規での就労形態であっても、労働者であることの権利を保証するというところにあるのではないでしょうか。この点を強調し、前面に出したらよいのではないかと思います。
○遠藤部会長 わかりました、ありがとうございました。
 そういうことで適用拡大することに対する賛成の背景というか、理由をおっしゃっていただいたということですね。
 他によろしゅうございますか。
既に話に入ってしまっているわけですが、なかなかこういうのは分けて議論するというのは難しいわけですけれども、2番目のパート労働者の就労実態です。
就労実態の話と適用拡大に伴うパート労働者の働き方に対する影響は、一体の議論だと思いますので、既に若干、その辺りに踏み込んだ議論に入っておりますけれども、何か御意見ございますか。
○岩村委員 よろしいでしょうか。
○遠藤部会長 失礼いたしました。岩村委員どうぞ。
○岩村委員 そういうものがあるかどうかわからないのですが、健康保険とか厚生年金についても、最初から今の適用範囲ではなかったはずです。
 例えば最近で言うと、法人の事業所については、もともと5人未満は不適用だったのが徐々に適用拡大をしていったという経緯があったりします。
 あと、前にヒアリングの際にも議論が出ましたけれども、雇用保険の場合、パート労働者について22時間で最初適用を始めて、その後20時間と適用を拡大しています。雇用保険の最近の改正は余りにも直近過ぎるので、データの入手が難しいのでしょうが、更に今度は雇用見込み期間についても法律を改正して適用の拡大をしているであるとか、現実に適用拡大をしてきているところはあるので、それが雇用に何らか影響したであるとか、データであるとか実証研究があるのかどうかです。
私はそういう分野の専門ではないのでよくわからないのですが、もし何かあるのであれば、それは1つ議論の参考にはなるのではないかという気はいたします。
 事務局で探せるかどうか、あるかどうかもわかりませんけれども、もし可能でしたら、少し探していただければなという気はいたします。
○遠藤部会長 非常に重要な御指示だと思います。
エビデンスベースで審議を進めるという意味で、過去の事例の分析があるかどうかということですが、これは事務局でちょっと探してみていただけますか。
○梶尾年金課長 探索をしてみたいと思います。
○遠藤部会長 お願いします。
 あるいは、労働組合やその他の研究機関で、委員が所属されているところで、もし類似のものがあるようであれば、是非、御提出いただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
他にございますか。佐藤参考人、お願いします。
○佐藤参考人 坪田委員の代理の佐藤です。
 パート労働者の方の就労実態に関連して1点、申し上げたいと思います。
 今日の資料2で言うと、10ページのところに先程も御説明がございましたけれども、適用拡大を仮に雇用保険並びにしたら400万人程度の方がいらっしゃって、現状で第1号被保険者の方、第3号被保険者の方、非加入の方の内訳という人数が出ております。
 申し上げたかったことは、ここの400万人程度という方がどういう方なのか。第1号被保険者であれば自営の方もいらっしゃれば、配偶者ではあるけれども一定以上の年収の方もいらっしゃれば、学生もいらっしゃるし、母子家庭のお母さんもいらっしゃるし、いろいろな方がいらっしゃるわけです。
 第3号被保険者については、今日の資料あるいは御説明の中でも関連するお話はございましたが、今後、その議論をまとめに入っていくということでございましたけれども、例えば第1号被保険者の方は属性で見るとどういう方が140万人の中にどのぐらいいらっしゃって、その方たちの所得はどのぐらいあってといったような実態を踏まえた上で議論をしていきたいなと思っておりますので、事務局にはそういうデータを是非、提供していただきたいと思います。
 その上で、もし適用拡大した場合の労働者の方への影響、企業への影響、保険財政への影響、今日、お話に出た、将来の無年金・低年金対策をどうするかということを考える上でも、可能性のある400万人の方は一体どういう方なのかを改めて踏まえた上で、慎重に議論をできればと思っておりますし、そういうデータがあって必要であれば、更に調査や検討が必要かもしれないということは申し上げたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 これから調査をというのは、なかなか時間との関係で難しいとは思いますが、この400万人を算出するときに使った諸データでどこまで追えるかということになるかと思いますが、事務局、何かコメントございますか。はい、お願いします。
○西辻保険課長 今、第1号被保険者の方の属性というお問い合わせだったのですけれども、実は第2回のときに市町村国保の世帯別の職業分布、あるいは所得の状況を提出させていただいております。
 お手元のファイルの第2回の資料2の2ページ、3ページ、4ページといった辺りでございます。
 第1号被保険者とかなりの部分で重なっているのではないかと思いますが、既存のものとしてはこういった資料もご用意させていただいているところでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ここに書かれているぐらいのものについては、ある程度、わかっているということですね。
 これについては、少し調べていただいて、また佐藤参考人から何かあれば御発言いただきたいと思います。
 他にございますか。白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 データのところですけれども、確かに20時間~30時間のところが新たな対象となる可能性がある人々ですので、その中味の実態というのは確かに検討すべき重要な点なのですが、できれば20時間未満のところでもその中味について提示していただけるとよいと思います。つまり、比較対象で、当事者、つまり今回の適用拡大の対象となるであろう者とそれ以外の者との違いを見ることが、当事者の特徴を掴むことになります。ここの対象となる人たちがいかなる特徴を持っているのかというのは、比較対象がないとわかりません。
 ですから、できれば20~30時間だけというピンポイントではなくて比較対象という形で別カテゴリーを追加して提示していただければよいと思いました。作業的にはそんなに煩雑な追加ではないと思いますので、本件、対応していただければ適用拡大の予定対象者の特徴がわかると思います。
○遠藤部会長 ここでは20時間~30時間までという形の分類になっていますが、少し短いということですかね。これは可能ですね。
○梶尾年金課長 第3回の浅尾さんの資料は20時間未満の案もありますので、並べるのは可能です。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。ありがとうございました。
 他にございますか。では、次は適用拡大が企業に及ぼす影響ということで御発言いただきたいと思います。
 これはヒアリングの過程で改めて感じられたという。久保田委員どうぞ。
○久保田委員 先程の岩村先生からの非正規をいっぱい抱えている産業と正規の産業間の不公平に対し、なぜ文句を言わないかという話はなかなか興味深い御指摘だと私は思います。
 ただそれは、要するに景気であるとか経済に対して、非常に景気変動に左右されやすい産業であるとか、競争力が強いのか弱いのかによってできてきている。
 つまり、ある制度の下で企業は行動しますから、その中でいかに利益を上げていくかという中で、一般的にはサービス産業はどちらかというと生産性も諸外国と比べて低いとか、競争力がないということで非正規といいますか、パート労働者の方を雇用しているということです。
 ですから、制度と対応して、企業行動と経済というものが動いているというところが問題なのだろうと思います。
 ですから、経団連では、むしろ企業が日本でいかに活動しやすくなるかという制度変更でやっているわけですけれども、それがうまくいかなければ、最終的には国外に出て行くという空洞化の話につながっていく。
 だから、制度とそれに対応して企業行動あるいは経済、それから生産性ということなのではないかと私は思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 佐藤部会長代理、何かありますか。
○佐藤部会長代理 事業主の方へのヒアリングの際に、経営が非常にきついときにコスト増になるというお話があったのですけれども、実は今もコストは、つまりパートタイマーの方の就業調整のところで、コストがかかっているというところが計算されていないのです。
 どういうことかというと、各事業所団体の皆さんが、パート労働者の方を積極的に活用したいというのは、多分、共通しているのだと思います。 ですから、それぞれ事業主はパートタイマーの方も能力開発し、より責任ある仕事をし、当然、貢献によって収入が上がっていくと思うのですけれども、その結果、就業調整によって労働時間の方が短くなるという選択が現状はされているわけです。
 そうすると、企業としては能力開発が全然活用できないような仕組みになっているというところのコストが計算されていないですし、その結果、就労調整によって労働時間が短くなることによって、例えば年末などに正社員が残業したりカバーしたりするわけで、そういうコストは表に出てきていないのです。
 実は人件費とか労務費だけしか見えていなくて、現状、すごく見えないコストあるいは無駄が生じているところをきちんと議論した方がいいかなと思います。
 実際、企業が考えていることが実現できないような仕組みがこの中に起きているということを、きちんとやっていくことがすごく大事かなと思いました。それが1つです。
 もう一つ、先程岩村委員が言われたように、雇用保険の適用拡大が31日20時間となっているので、少しお話を伺いましたけれども、事実上、そこは適用拡大しているわけです。
 それで、よく事務手続が大変だという話がありますけれども、少なくとも雇用保険ではそれを把握できているというのは間違いないわけです。今、年金よりは雇用期間を短くしていますから、多分、事務手続きとしては雇用保険の方が現状で言えば大きい。ですから、把握は十分できていて、手続もしているということです。
 勿論、労働保険と社会保険の手続を一元化するという意見はずっとあったわけです。ここのところはいろいろとあるかと思いますけれども、やはりそこは基準をどうするかは別として、雇用保険のところでは、私は実際十分やれているのではないかと思います。
 そこのコストについては、あとは労働保険と社会保険の事務ができるだけ連携して、一括してやるようにすることがすごく大事だと思いますが、そこは社会保険でも事務手続について私は十分やれるのではないかなと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他にございますか。霜鳥委員どうぞ。
○霜鳥委員 今の事務手続の話ですけれども、雇用保険なり厚生年金は保険者が1本だからいいのですが、医療保険は健保組合が1,400、市町村国保もあります。ですから、医療保険の場合は非常に事務負担がかかるということだけ、申し上げておきます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 医療保険の問題、またいずれきっちりやらせていただきます。
 他にございますか。ヒアリングの中で出てきた意見の中に、規模というようなもので多少差をつける必要があるのかどうかということもあるわけですが、その辺りについては何かお考えございますか。
 佐藤参考人どうぞ。
○佐藤参考人 今の規模のお話も含めて1点、申し上げたいと思います。
 ここは短時間労働者の方の適用拡大の特別部会ではありますけれども、もともと社会保障・税一体改革からということですので、そもそも論だけ最初に申し上げたいと思います。、今回の社会保障・税一体改革は2010年代半ばまでに、社会保障改革をどういう姿にし、併せて消費税の引き上げもセットで御議論されてきているわけです。
 私どもとしては、2010年代半ばまでも勿論ですが、それ以降も含めて税と保険料を合わせて国民負担率がどれぐらいになるのかを明らかにした上で、今後議論をしていきたいと思っています。
 その中で、まずは2010年代半ばの話に限って言いましても、企業負担の話ですが、消費税の引き上げが1つあります。
 それから、以前この特別部会の議論でも出てきたことがありますけれども、適用拡大したときに、これは厚生年金の話ですが、今の制度のままですと厚生年金の適用拡大だけではなくて、現在の子ども・子育ての財源の一部も厚生年金に自動的に上乗せして、事業主に負担がのしかかってきます。
 このような制度は、やめていただきたいというのが私どもの立場ですけれども、今の制度だとそういうこともあります。
 あるいは中小企業ということで言えば、医療保険の方は協会けんぽに入っているわけですけれども、協会けんぽの保険料率も最近どんどん上がっていますし、平成24年度も10%を超えることが見込まれているということで非常に高い保険料率です。
 そもそも今、そういう話を離れても、中小企業の労働分配率は8割超える高い比率で推移していることもありまして、短時間労働者の方の適用拡大の問題で、企業への影響ということでありますが、全体で見たときに、同時にどういう負担がかかっているかということも考え合わせていただいて、今後、また議論を進めていただければと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他にございますか。よろしいでしょうか。岩村委員どうぞ。
○岩村委員 やはり、他方で事業主のサイドからのヒアリングでも確かに事業主負担がかかってくるということがあるので、そうしますと、1つは施行の時期の決め方と、それから、余り急激に経営環境が変わるというのは、当然、企業の経営にとっては非常に大きな影響を及ぼすので、そういう意味での激変緩和はやはり考えていかなければいけないだろうと思っております。
 ただ、企業の事業所規模で適用拡大をやるかどうかということになると、ちょっとこれは微妙で、労働法令関係なんかも中小企業については、例えば施行の猶予であるということはやっているのですが、私の意見はやらない方がいいのではないかと考えます。企業規模にかかわらず一律の形で、激変緩和で実施する方が適切ではないか思っております。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 他に何かございますか。それでは「その他」に移りたいと思います。
 「その他」では先程、医療保険の話が出ましたから、医療保険についてのお考えでも結構でございますし、あるいは全体を通しての考えでも結構でございます。
 本日、医療保険の保険者の委員の方がお2人方いらっしゃるのですが。貝谷委員どうぞ。
○貝谷委員 ありがとうございます。
 先程、霜鳥委員の方からお話が出ておりますけれども、医療保険の場合は、各保険者いずれも大変な財政難の状況になっております。
 その中でも、この議論に参加しながら、どういうことになるのか、十分、我々も見極めないといけないと思っています。先程もございましたけれども適用関係ですが、本当に新たに適用拡大をすることによって、どの被用者保険からどういう方々が、例えば我々協会けんぽでもいいのですが、どの程度いらっしゃるのかということです。
 何となく、イメージではわかるのですが、その辺りについての正確なところは難しいと思いますので、一定の前提を置いていただいて、そこを共通的な事実関係として一応置いた上で、どういう意見になるかということをしないと、医療保険の場合には、理念だけではなかなか難しいところがございますので、理念としては十分理解できながら、財政的な制約も非常に強いところがございますので、是非、実質的な議論に入るのであれば、適用関係はどうなるのかということを出していただきたいと思います。
 勿論、財政影響ということもありますが、前提条件をきちんと置いた上で、是非、具体的な議論を詰めていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 重要な御指摘ですね。保険者が複数あるわけでありますので、どういう人たちがどの保険に、どう移動していくのかがある程度わかることが重要だということです。
これは事務局にお尋ねしますが、ある程度は、データ的に推計できるでしょうか。ちょっと今は難しいですか、要検討ですか。それでは、保険課長どうぞ。
○西辻保険課長 試算の話とも多分、絡んでくるのだと思いますけれども、先程から400万人という数字が出ておりますが、実際には医療保険の中で、おそらく国保に加入しておられる方が被用者保険に加入される。それから現在、被扶養者の方が被用者保険の被保険者本人として適用される。大きくはこの2つだと思います。
 大きく分けて被用者保険には協会けんぽと健康保険組合があるわけです。あと、共済組合などもありますけれども、大体、どれぐらいの方が移られてくるかという、制度ごとの大枠みたいなものは、試算を行うに当たり、一定の前提を置いて作業しておりますので、また年金の方と併せて、議論に供するために提出させていただきたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 いずれ試算をするということですので、試算の前提などもできるだけ明らかにしていただきたいと思っております。
 ありがとうございます。他にございますか。はい、齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 今の話に関連してですが、国保への出入りの際、離職票なりを発行するのでしょうが、実際は本人から届出してこないとわからないのです。
 そうなると、大体、想像がつくのですけれども、国保に入ってくる時は、病気になっていまい、どうにもならなくなり加入してくるケースが非常に目立っています。
 それから、国保には保険者の裁量で減免許可があります。例えば災害の場合や、あるいは病気になってしまい所得が極端に落ちた場合です。この減免許可のために、本来、他の被用者保険に加入するべき被扶養者が、敢えて国保に加入し、そして減免申請をし、不承認になると異議申立てをするというケースがあります。
 異議申立ての裁定の委員もやっておりますが、あなたは被扶養者ですから、そちらの被用者保険を受ける方がいいではないですか、その方が有利ではないですかと言うと、国保には減免許可がある、だから減免して欲しいということです。
 そのような実態がありまして、簡単に保険者間の移動をきちんと整理するのは、現場ではなかなか難しいと思います。
 ただ、基本的に年金をきちんと保障する、あるいは医療保険をきちんと受けられるということは、どういう働き方であれ大事な話でありますので、余り差別しない方がいいと考えます。
 一方で、その影響を一番受けるのは国保です。しかも、現在でも無職の割合が4割を占めておりますし、所得も低いため他の被用者保険に比べて、非常に加入している被保険者の負担が高いのです。
 保険の在り方によっては、本当にこのまま継続できるのかという危機的な状況にあるという認識だけは、皆さんも是非、持っておいていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 医療保険以外のことでも結構でございます。
 では、霜鳥委員どうぞ。
○霜鳥委員 第2回の特別部会の時に、私どもの調査研究で意見を申し上げましたので、繰り返し申し上げませんが、ただ、先程もありましたけれども、今、労働集約的な産業に非常に影響が大きいということで、私どもの方もそれぞれの該当する健保組合の方で個別に試算をされておられて、かなり厳しい状況であるということは認知されつつあり、ともすると健保組合を解散して協会けんぽに行くということも想定されるような状況になってきています。 せっかく、菅元首相が政策パッケージでやると言っているのですから、それだけではなく、政府として具体的な対策を出していかないと、なかなか厳しい方向に行っているような感覚がありますので、そこは是非、政府にお願いしたいということはお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他に全体を通してでも結構ですけれども、ございますか。白波瀬委員どうぞ。
○白波瀬委員 実態のデータのところでもやはりよく出てきたのが、扶養されているかどうかという点だと思うのです。
 ですから、この適用拡大の話を展開するときは、第3号被保険者についての位置付けも考慮に入れて議論をしなければならないのではないかと思いました。
 あと、もう一つは繰り返しですけれども、やはりパート労働者というか、正規か非正規かの垣根の問題なのですが、非正規にもかかわらず働く者としてという立場を強調するのであれば、やはり昇進の話も含めてキャリア形成をいかにパート労働者でもできるように設定するかという雇用均等の話についても、同時に検討すべき重要なポイントだと考えます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 この問題だけではなくて、その背景とか、関連しあうような諸制度との問題と議論をするべきだということだと思います。
 他にございますか。それでは、佐藤参考人どうぞ。
○佐藤参考人 1点申し上げます。
 今の白波瀬委員のお話にも少し関連するのですが、適用拡大の議論をしていく上で、例えば年金部会で挙がっている検討項目などとの関係についても議論が必要な部分があるのではないかと思っています。
 あるいは適用拡大を実施したら、他の制度にどういう影響を与えるかという点が重要なのではないかと思っています。
 2つありまして、1つは今、お話に出た第3号被保険者の問題は避けられないと思うのですけれども、もう一つ、被用者年金の一元化の関係で少し気になるところがありましたので、質問になるのかもしれませんが、1点、申し上げたいと思います。
 仮に適用拡大の対象に、現在の第3号被保険者になっておられる方までを拡大するということになった場合に、現状では厚生年金の加入者の配偶者と共済年金の配偶者の方が多くいらっしゃると思います。
 その方が適用拡大の対象となったときに、多くは厚生年金に入るということになるのではないかと思うのです。共済年金の方に入る方もいらっしゃるかもしれませんけれども、人数の上では厚生年金に入る方が多くなるのではないかと思います。
 そのときにどういうことが起きるかと言うと、今まで第3号被保険者の方の分の基礎年金の拠出金というのは、厚生年金あるいは共済年金それぞれから出ているわけですが、今まで共済年金の方から拠出金が出ていた方の分が、多くは厚生年金の方から拠出金が出ることになると思います。
 そうだとすると、相対的には厚生年金に入っている方よりも所得の少ない方が移動する、つまり共済年金の方から厚生年金の方に移動する格好になって、結果として厚生年金の方の財政が厳しくなる要因になってしまうのではないかということを懸念しています。
 被用者年金の一元化が同時にできていれば問題はないわけですけれども、もし、被用者年金の方は一元化されないで適用拡大だけは進むということになったときに、そういった問題があるのではないでしょうかということを申し上げたいと思います。
○遠藤部会長 これは事務局にコメントをお求めになられるという理解でよろしいですか。
○佐藤参考人 もし、コメントをいただければ。
○遠藤部会長 それでは、お願いします。
○梶尾年金課長 ありがとうございました。
 一体改革の中では、短時間労働者への適用拡大の他に被用者年金の一元化というのが項目として挙がっておりまして、それは2012年以降、速やかに国会提出していくグループに入っているということでございます。
 そして、まさに平成19年の法案のときには、この被用者年金の一元化ということと短時間労働者への適用拡大というのは一体的な法案となっていたということですので、今回、どういう法案形式にするのかはともかくとして、短時間労働者への適用拡大は、この特別部会で重点的にご議論いただいておりますが、被用者年金の一元化についても、それに向けて現在、作業を進めているところです。
 今、御指摘のありましたように、適用拡大の定性的な効果とかは、厚生年金の中を考えますと厚生年金の第3号被保険者だった方が適用になる分について言えば、もともと基礎年金拠出金は負担していたので、保険料収入が増える分だけ厚生年金の中ではいいのですけれども、それが共済組合の被扶養だった方が厚生年金に入ってくれば、基礎年金拠出金は厚生年金が過大になる分、多くなりますので、そこの財源の移動は生じるということは、今の仕組み上そういうことになろうかと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 他によろしゅうございますか。はい、平田委員どうぞ。
○平田委員 求人広告会社という立場におりまして、パート・アルバイトを活用されている企業さんには零細のところも非常に多くございます。
 一方で、今日御提出した資料にあるように、最後の自由意見のところを見ていただきますと、パート・アルバイトさんという方が、非常に弱い立場であることが透けて見えるかと思います。
 つまり、そういう雇用の本当に現場のところにおりますと、非常に弱い立場の労働者を使って、苦しい経営をしながら、という企業さんは非常に多いなと思います。
 だから、適用拡大をどうするかということではないのですが、適用拡大をすることにより、そういう本当に経営が苦しい企業さんが負担をしていくとなると、当然、淘汰というものが進んで行って、同じ業界での競争になってくると思いますので、例えば食品スーパーがすべてなくなるわけでは当然なく、やはり企業体力がないところから淘汰されていくのはないかと思います。
 そういった中で、日本の法人の99%を中小企業が占めるとなっていますけれども、そこに大きな構造変化みたいなものが生じるということが予想され、それが日本にとっていいことなのかどうかということは、私にはわからないのですが、ずいぶん大きな変化が出るだろうということを感じております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他にございますか。中島委員どうぞ。
○中島委員 適用拡大を検討するにあたっては、今、若年層で非正規労働者が増えている状況を押さえておくべきです。非正規労働者は男性も含めて増えておりますので、長期的に見て放置することはできないと思います。
 もう一つ、健康保険に対する影響をいろいろ考えると、確かに協会けんぽなどは負担が増えるということはわかります。一方、市町村国保への財政影響も慎重に見極める必要があるというお話でしたが、国保には国保組合という、非常に優良な被保険者さんの集団が幾つもありますので、全体を見直すということになれば、国保組合のあり方も見直していく必要があると思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 国保組合についてはまた別の審議会で議論をすることになるかと思いますので、重要な課題だと思っております。
他に何かございますか。久保田委員どうぞ。
○久保田委員 皆さん、感想的な話なので、私も感想的な話です。
 若年労働者の雇用の問題は社会問題にも発展するし、やはり非常に問題だと思います。
 他方、年金であるとか社会保障の充実の中で、これは財源の関係なのでしょうが、年金の支給開始年齢を引き上げるであるとかいろいろやっていくという話は、結局は先程の話もそうなのですけれども、制度に合わせて企業が行動していきますので、それは逆に若年の雇用を減らすという方向に企業としては行動して行かざるを得ないという、非常にジレンマみたいなところがある。
 これは私の全く個人的な感想なのですが、日本も今、ヨーロッパ型、ドイツ、イギリスぐらい、フランス、北欧みたいには行かないと思いますけれども、中福祉・中負担的な姿に行くのではないかと思います。
 やはりヨーロッパで起きていることは、まさに失業率が高く、若年の雇用が非常に制限されて若い人の失業率が非常に高い。
 今の方向で行くと、どうもそちらの方向に行ってしまうような懸念が非常にある。ですから、そうはならずに、しかも企業が活力を持ちながら、かつ若い人も雇用されていく制度設計が非常に重要で、そういう意味ではトータルでやっていく必要がある。
 西洋型のそういう欠点を補って実施できるような仕組みができるのかどうかです。その辺りはむしろ学者の先生方がいっぱいいらっしゃるので、いろいろ教えていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他にございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。本日は、取りまとめについての第一歩ということで、皆様からフリーディスカッションの形で御意見を賜りました。次回以降も、もう少しこれを進めていきたいと思います。
 そのうち、また事務局からシミュレーション等々のものが出てくると思いますので、それも含めながら議論を進めていきたいと思います。
 予定していた時間よりも大分早いのですけれども、これにて本日の議論、終了させていただきたいと思います。
 次回の日程につきまして事務局から連絡ありますか。お願いします。
○梶尾年金課長 ありがとうございました。
 次回、第9回の開催日時につきましては、11月30日水曜日を予定してございます。詳細につきましては、また追って御連絡申し上げます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
 それでは、これにて本日の審議、終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局年金課
企画法令第2係

電話番号: 03-5253-1111(内線3336)

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