ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働政策審議会)> 第30回労働政策審議会議事録




2012年2月28日 第30回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成24年2月28日(火)
13時30分~15時00分


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

相澤委員、今野委員、大橋委員、小杉委員、諏訪会長、清家委員、林委員

【労働者代表委員】

落合委員、加藤委員、神津委員、斉藤委員、高橋委員、南雲委員、眞中委員

【使用者代表委員】

岡田委員、川本委員、吉川委員、坂戸委員、篠田委員、土谷委員

【事務局】

太田厚生労働審議官、岡崎大臣官房長、金子労働基準局長、森山職業安定局長、
小野職業能力開発局長、高井雇用均等・児童家庭局長、中野政策統括官(労働担当)、
生田職業安定局派遣・有期労働対策部長、棚橋政策評価審議官、酒光労働政策担当参事官

○議題

(1)平成24年度厚生労働省予算案について
(2)分科会及び部会等における審議状況について
(3)法案の国会審議状況について
(4)その他

○議事

○諏訪会長 みなさん、こんにちは。お揃いのようですので、ただ今から「第30回労働政策審議会」を開催させていただきます。議事に入ります前に、昨年12月1日付けで、労働者代表委員の交代がございました。お手元に、資料1、「委員名簿」を配付しておりますので、新たに委員に就任された方をご紹介させていただきます。日本労働組合総連合会副事務局長の高橋委員です。JAM会長の眞中委員です。本日はご欠席ですが、三井住友海上労働組合書記長の塩谷委員が新たに就任されています。
 では、議事に移ります。本日の議題は4つあります。第1に「平成24年度厚生労働省予算案について」。第2に「分科会及び部会等における審議状況について」。第3に「法案の国会審議状況について」。第4に「その他」となっています。早速、議題1平成24年度厚生労働省予算案について、事務局から説明をお願いします。

○酒光労働政策担当参事官 資料2に基づきまして、私から説明を申し上げます。1頁は、厚生労働省の一般会計予算の社会保障関係費の部分です。いちばん下に雇用がありまして、平成24年度予算は2,200億円ほどになっています。前年比で、340億円ほど減っていますが、これは雇用保険の失業給付の減に伴う国庫負担の減によるものです。
 2頁は、特別会計です。このうち、労働保険特別会計が真ん中にありますが、平成24年度は3兆9,000億円ほどになります。これも、前年に比べまして、3,700億円ほど減っていますが、雇用保険の失業保険の給付が減る、あるいは雇用調整助成金が減るといったことによるものです。
 続いて、各事業の概要について説明いたします。少し飛ばして、14頁をご覧ください。<就労促進、ディーセント・ワークの実現>とあります。以下、主要事業の概要が載っていますので、これに基づいて申し上げます。柱としては、全員参加型社会の実現、ディーセント・ワーク、セーフティネットの3つに分けています。まず、全員参加型社会の実現です。「大学生現役就職促進プロジェクト」の推進等による新規学卒者の就職支援です。これは、大学生の在学中からの就職支援を強化していこうということで、ジョブサポーターを大学に恒常的に出張相談させたり、あるいは未内定者をハローワークに全員登録・集中支援したりすることにより、就職支援を図ろうというものです。予算としては、112億円を計上しています。なお、112億円のあとに(106億円)とありますが、これは前年度の予算になります。また、最初の表題のところに重点化あるいは復旧・復興と書いてありますが、重点化は日本再生重点化枠で取ったものです。また、復旧・復興は、復興特別会計ということで、被災地あるいは被災者の復旧・復興に関わる経費で、手厚くしている部分を計上しています。2番目は、「若者ステップアッププログラム」によるフリーター等の就職支援です。個別支援、あるいはトライアル雇用、職業訓練の活用等により、就職支援を図ろうというもので、65億円ほど計上しています。大都市部には、支援拠点も設置しようということです。続いて、「ジョブ・カード」については、対象となる訓練を公的訓練全般に拡大するなどにより、普及を図っていこうというものです。予算としては、105億円を計上しています。続いて、女性の就業機会の拡大です。これは、機会均等対策、あるいは両立支援対策を推進するマザーズハローワーク事業を拡充するなどで、120億円を計上してあります。
 15頁です。最初は、高齢者の雇用対策です。雇用と年金を確実に接続させるための法整備。これは、後ほど説明を申し上げますが、審議会で議論いただき、答申をいただいたところです。それと併せまして、定年を迎える高齢者の方のうち、ほかの企業で雇用を希望する方のあっせんをしやすくするための助成の新設、拡充等を行うということで、44億円を計上してあります。続いては、障害者雇用対策です。雇用率達成指導の強化、地域就労支援力の更なる強化ということで、「障害者就業・生活支援センター」の拡充等を図るということで、82億円を計上しています。次は、障害特性・就労形態に応じたきめ細かな支援策の充実・強化です。精神障害者、発達障害者、在宅就業障害者の支援の充実を図るということで、29億円を計上しています。次は、成長分野の人材育成の推進です。能力開発対策ですが、成長分野について、民間を活用した公共職業訓練、あるいは求職者支援訓練を推進する。あるいは、その訓練修了者の方の就職支援を強化していくといったようなことが書かれています。併せて、成長分野人材育成プログラムとして、事業主に委託しまして、職場での実践的な訓練を行ったり、あるいは事業主団体、大学等と連携したカリキュラム開発等を行ったりするということで、これらの経費として2,050億円ほど計上しています。前年に比べて、かなり増えていますが、求職者支援訓練の平準化などによるものです。次は、新事業展開地域人材育成支援事業です。地域の業界団体が、教育訓練機関と連携しまして、新事業展開を行おうとする企業に対して、訓練カリキュラムの開発や、訓練の充実等の支援を行っていこうというもので、これは新たに行おうという事業です。また、重点化枠になっていまして、1億円を計上しています。
 16頁は、ディーセント・ワークの実現です。はじめは、有期労働契約に関する新たなルールの整備で、これも後ほど簡単にご説明申し上げることになると思います。有期労働契約に関する法制度の整備について、今審議をいただいているところです。その法案ができたときの周知費用などを、5,300万円ほど計上しています。次は、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保と正社員転換の推進です。指導、相談・援助、あるいは職務分析・職務評価の導入支援等の経費を確保しています。また、公正な待遇確保のための法制度の整備について、今審議をいただいているところです。予算としては、5億円を計上しています。次は、過重労働解消のための働き方・休み方の見直しです。労働局にコンサルタントを配置しまして、恒常的に長時間残業がみられる業種や職種を重点に、過重労働の解消を図る、あるいは計画年休の導入促進等を図っていくもので、11億円を計上しています。次は、職場でのメンタルヘルス対策の推進です。これも、安全衛生法等、法令の整備について法案を提出していまして、継続審議をいただいているところです。併せて、事業場でのメンタルヘルス対策を含めた産業保健活動の支援を行うということで、36億円を計上しています。次の職場での受動喫煙防止対策の推進についても、法令等の整備に盛り込まれていますが、併せて相談対応等の支援、あるいは喫煙室設置の支援などを行っていまして、これについての経費7.4億円を計上しています。16頁の最後は、最低賃金の引上げに関して最も影響を受ける中小企業への支援を行うということで、41億円を計上しています。
 17頁は、重層的なセーフティネットの構築です。最初は、雇用調整助成金で、これについては2,100億円ほど計上しています。次は、雇用保険制度によるセーフティネットの確保ですが、これも後ほど法案や審議状況と併せて説明申し上げます。リーマン・ショック後の暫定措置の更なる延長について、法整備を行うということです。この経費としては、国庫負担分1,714億円を計上しています。その他、失業等給付費全体としては、1兆8,000億円ほどを計上しています。また、雇用保険料率については、4月から1.0%に引き下げる予定です。求職者支援制度については、先ほどの訓練の成長分野での人材育成のところで申し上げたものの、求職者支援部分のみです。17頁の最後は、「福祉から就労」支援事業です。自治体とハローワークの協定等に基づいて、生活保護受給者等の就労支援を図っていくということで、40億円ほど計上しています。これも、一部被災地への充実を図っているということで、復旧・復興予算を一部使っています。17頁までが、雇用、労働関係の主な施策です。
 18頁は東日本大震災復興特別会計の主な施策です。求職者支援、あるいは学卒者就職支援、福祉から就労支援事業、その他被災地における就職支援等の経費について、被災地の復旧・復興に資する経費だということで、復興特別会計として計上しています。先ほど申し上げた予算の中には、それぞれ内数として入っているものです。
 19頁以降は、さらにそれを詳細に書いたものですが、時間の関係もありますので説明は省略させていただきます。以上です。

○諏訪会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、ご質問、ご意見がありましたら、ご発言ください。

○加藤委員 ただいまのご説明のありました予算の関係で、就労促進と、ディーセント・ワークについて、1つだけ要請したいと思います。結論から言いますと、若者の雇用戦略、若者の安定雇用の確保の視点です。ご案内のとおり、今就労人口も減って、2050年には半減するという予測もされています。グローバル化社会または極めて早いスピードでの技術革新等を考えますと、今の若者をどうやって質のいい人材に、または仕事を含めてどう対応するかが、国家的な課題だと思っています。これは、企業にとってもそうですし、社会にとってもそうですし、全体の構成にしても、極めて重要な課題であるわけです。
 人材については当然ですが、現実はどうかといえば、残念ながらほとんどの教育現場と労働現場においてミスマッチが生じています。1つには非正規といわれるような不安定雇用の要因もあります。これは世界的な傾向として、若者の雇用が悪化している統計も出ています。もう1つ重要なのは、やはり教育現場と労働現場の乖離は何かということです。やはり教育の中身も含めて、極めて重要だと思っています。そして、その教育の中に、働くということ、生きるということ、生活するということ、その概念を含めたものが不足しているのだろうと思うわけです。その後、大学を出て、就職する場合のサゼッションなど、さまざまな課題がありますが、実際には、大学を卒業してから専門学校へ行く方々が1割を超えるという実態です。要するに、教育制度にも問題があるだろうということです。
 もう1つは、行った先で新たな訓練をしていかなければいけない。不安定雇用から正規雇用へ移行するための新しい技術を習得する支援は、確かに施策の中にも入っています。私が言いたいのは、この日本の国を活力ある国にするには、付加価値創造の主体である人材をどう活用するかですから、これはもう人材に投資することが極めて重要なわけです。そういうところを考えますと、現実的には、政府、行政、企業、学校、そして地域社会、全体が連動しないと無理なわけです。OJTもoff-JTも大事ですし、企業の職業参加の機会を捉えるのも大事でしょう。厚労省がやっている支援プログラムも大事でしょう。そういったものの一体性が大事ですから、関係省庁、経済産業省、産業関係は是非ともやっていただきたいと思います。これは、要するに各省庁横断性が強いわけです。
 ここで雇用のことを言っていますが、実際に働くことを組み立てるには、文科省、経産省全体がどうやってやるかという、極めて重要なところをもう少しきちんとしていただきたいということです。いずれにしても、働くことと不安定雇用は、社会構造的にも待ったなしの課題になっているわけです。先般12月24日に、閣議決定された「日本再生の基本戦略」の中において、「若者雇用戦略(仮称)」の策定を打ち出しているわけです。この内実を、きちんと深めていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

○諏訪会長 少しほかのご意見も承ったあとで、まとめて事務局にはコメント等お願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○落合委員 東日本大震災からの復旧・復興に向けた雇用対策について、1、2点意見を申し上げたいと思います。この東日本大震災からの復興再生は、日本全体の再生の面からも、最重要課題であります。そういった意味で、2011年度には震災からの復旧・復興に向けての四次にわたる補正予算が編成されました。そして、遅まきながら、復興庁設置法、復興特区法が成立したわけです。これを、今年度から本格的に動かしていかなければならないとするならば、2012年度の予算案、そして予算関連法案を早く成立させなければなりません。また、復興庁に期待するところは非常に大きいわけで、復興庁の中にはとりわけ特区に対する期待も大きいわけです。その場合に、復興庁と雇用対策の面において、復興庁と厚生労働省とが二元的な行政にならないように、是非努めていただきたいと思います。
 震災から1年が過ぎようとしていますが、依然として被災地の雇用情勢は厳しいものがあります。求人は徐々に増えてきていますが、求職がいまいちというようなミスマッチが、依然としてあります。この中身を若干見てみますと、求人と求職の関係で、建設関係を中心とした派遣雇用がかなり多くあります。そこにも、まだ被災3県を含めて、ミスマッチの問題はあるのではないかと思います。しかし、これは復興が進むにつれて、建設などは少しずつ求人が減ってくる傾向にあるとするならば、復興の進展に向けて、特に特区を中心にしながら、新成長戦略等を踏まえた新しい産業なり町づくりの青写真が描かれていかなければなりません。その過程において、現在働いている人が安定的な職種なり仕事に移動、移行する入口と出口の戦略のようなものも、ぜひ留意していただきたいと思っています。そのためには、被災地の雇用復興総合プログラムなどと産業政策と、先ほど申し上げました新成長戦略に基づく特区構想を具体化していくような視点で、ぜひやっていただきたいと思います。以上です。

○坂戸委員 私からは、17頁にあります雇用調整助成金に関して、意見を述べさせていただきたいと思います。リーマン・ショック、そして東日本大震災といろいろ続きまして、雇用保険二事業の中の、特に雇用調整助成金の使い勝手がよくなったといいましょうか、大変に支出が増えているところです。現状では、平成22年度から失業等給付の積立金から大金を借り入れてやっていると聞いています。要するに、この二事業分が大赤字になっていると理解しています。
 確かに、この助成金は、短期的な経済変動に対して雇用を守るという意味で、非常に有効な手段であるわけで、これは我々も理解します。このような有効な手段だからこそ、やはり健全財政を維持することは、大変に重要なことなのだろうと思います。少し、ここにきて支出削減といいますか、もう少し支出を見直していただいて、この二事業が健全財政に向かっていけるように検討をお願いしたいと思います。

○川本委員 先ほど、若者の雇用問題に際してのミスマッチ、あるいは教育の問題の指摘がありましたので、私からも2点ほど申し上げたいと思います。1点目は、雇用の確保、あるいは雇用を増加させるためには、何よりも経済成長と企業活動の成長が必要であることを、まず申し上げたいと思います。そのためにも、やはり企業の事業環境をいかに改善していくかが重要であります。例えば、今は少し戻してきていますが、歴史的な円高状況であったり、デフレ状態が続いていたり、需給ギャップの問題があったり等々ですが、このようなものの事業環境をいかに改善していくかが、まず最大の前提であるということを申し上げたいと思います。
 2つ目は、若者の問題です。例えば大学を見ますと、私は50歳半ばになりましたが、当時の大学の数、あるいは大学生の数と今の状態を比べますと、両方とも1.5倍の数になっています。あるいは、大学進学率ですと、25%ぐらいであったものが、今は50%程度まで上がっている状況があります。一方で、大学に入っていくときの状況を見ますと、かつては一般受験が大勢を占めていたと思いますが、現在では推薦あるいはAO入試等も増えて、本当の受験をくぐる方たちの数は減ってきている、というようにいろいろな問題を抱えていることが、若者雇用の背景にもあるという認識はしておく必要はあるかなと思っています。特に意見というわけではありませんが、付け足しで申し上げた次第です。以上です。

○神津委員 今川本委員からも若干言及がありましたが、私は円高の問題に絞って一言意見を申し上げたいと思います。足下で少し動きもあるのですが、ただ一言で言えば、歴史的な円高水準であり、これがまだ続いていることは言わざるを得ないと思っています。生産拠点の海外移転が加速しているということで、私どものいろいろな組織の中にも、実際に工場を畳まなければいけないというような事例も、かなりそこここに出始めているのが実状で、とりわけ国内の製造業の雇用が大変な危機に晒されていると認識しています。
 この間、政府からもさまざまな対策が出されています。また、日銀と連携をされて、2月14日に中長期的な物価安定の目途や、金融緩和についてさらにそれを強化していくといったことも打ち出されました。その効果があって、足下で若干の改善の兆候がみられますから、そのこと自体については評価を申し上げたいと思います。ただ、いかんせん1ドル75~76円のところが1ドル80円台、昨日、今日は少し模様眺めのような形になっています。リーマン・ショックの直前が、1ドル105円程度であったことを考えますと、このギャップは、まだ極めて大きいと言わざるを得ないと思います。また、5円という若干の円安傾向の中においても、ただ株価は本当に素直に反応していることをもってしても、やはりこれは日本の経済において、為替水準の動向は極めて大きな要素をもっていることが見て取れるのではないかと思います。
 ぜひ、政府全体がこの状況について危機感を改めて強く持っていただいて、引き続き円高を阻止するという確固たる姿勢を維持していただくことが不可欠であると思います。そういった意味で、適切な経済財政政策をお願いしたいと思います。
 また、厚生労働省におかれましては、産業・地域などさまざまな角度から、円高・空洞化の実態を把握していただいて、雇用調整助成金など必要な対策を機動的に講じられるようにお願いをしたいと思います。特に、円高により影響を強く受ける中小企業の雇用に関する支援、就職あっせんについては、最大限の努力を要請したいと思います。また、中小企業の点について強く申し上げましたが、いわゆる大手企業においても、地域ごとに100人、200人規模の工場を全国展開している所もかなりあります。そういう意味では、東京にいてはなかなかわからないような地域経済に及ぼす影響についても、特にその実状について、政府の中でもぜひアピールしていただきたいと思います。以上です。

○斉藤委員 私からは、21頁にあります女性の就業の拡大、就業率のM字カーブの解消について、発言させていただきたいと思います。女性の就業希望の実現の予算などを確保していただいたことは大変心強いのですが、昨年比で予算が減額されている所もありますので、来年度については、限られた予算の中で現場のニーズに合った質の高い支援をぜひお願いしたいと思います。また、女性の就業継続を可能にするためには、職業紹介だけではなくて、子育て支援が非常に必要だと感じています。子育て支援については、事業主の支援に加えて、保育所の整備も必要だと思っています。現在、待機児童が非常に多いという実態もあります。この点は、社会保障と連携して取り組んでいると認識していますが、ぜひ早期に実効ある対策を実施していただきたいと考えています。
 また、成長分野の人材育成の推進の観点については、介護・福祉、医療、子育ての分野は、確かに成長産業ということで、女性の労働者が活躍できる産業でもあると考えています。しかしながら、これらの産業は職業訓練を受けて資格を取っても、現在、なかなか処遇改善が図られていないようなところで、人材が定着しないという課題があるのではないかと考えています。ぜひ、これらの分野の処遇改善の試みについても、女性の就業拡大の観点からも、職業訓練、就職支援と併せて検討いただきたいと思います。以上です。

○諏訪会長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。それでは、いくつかご意見、ご質問等が出ていますので、関係の事務局で、お答えなりコメントをいただけますか。

○中野政策統括官(労働担当) 加藤委員、川本委員から発言がありました若者の雇用問題の件です。ご指摘のとおり、背景要因としては雇用問題だけではなく、教育の問題や産業政策、事業関係の問題等いろいろな問題があることは、私どもも当然のことと思っています。加藤委員の発言の中にもありましたように、昨年の12月に閣議決定されました「日本再生の基本戦略」においては、政労使の協議の中で、学校から職場への円滑な移行について、各省庁の垣根を越えた一体的な若者雇用戦略を、2012年度までに取りまとめ実行するとされていますので、今それに向けて協議の場の準備を進めているところです。本日いただきましたご意見も踏まえて、この戦略の策定に取り組んでまいりたいと思っています。

○森山職業安定局長 落合委員から、震災の復旧・復興の発言がありました。現状としては、大変厳しい状況です。特に、岩手、宮城、福島の3県でいきますと、求人は確かに増えてきていますが、依然として有効求職者数は14万6,000人ぐらいであるということで、大変厳しい状況です。落合委員がおっしゃいましたように、仕事の求人と求職のミスマッチの問題もあります。そういう中で、今度はいよいよ復興ということで、つなぎの雇用から安定した雇用をつくっていくことは、非常に重要であると私どもは考えています。
 そういう中で、第三次補正で成立しましたが、「日本はひとつ」しごとプロジェクト・フェーズ3ということで、今進めています。いろいろありますが、特に基金を用意しまして、被災地の強みである農林水産業、あるいは水産加工、医療福祉という産業支援策と一体となって、安定した雇用をつくっていく。それから、女性の活用などの雇用モデルの創造のための事業などつくって、実施に移しているところです。それから、復興庁と連携をして、雇用を創造し、また一人ひとりに対してこういう施策が結びつくように、これからもしっかりやっていきたいと考えているところです。
 坂戸委員から、雇調金、特に雇用保険二事業の問題がありました。雇調金は、いろいろご利用いただきました。支出の増加によりまして、雇用保険二事業は大変厳しい状況になっています。ご案内のように、平成24年度予算では、雇用安定資金の残高が466億円ということで、大変厳しい状況です。これについては、昨年の12月20日に雇用保険部会の報告の中で、このような状況を踏まえて、今後更なる効率化、重点化により、不要不急な事業の廃止を行うなど、これまで以上に厳しい見直しを徹底する必要があるということです。これを踏まえて、私どもはこれまでも見直しをしてきたつもりですが、さらにPDCAサイクルによる目標管理を徹底していく、それから評価結果を的確に予算へ反映していくということで、事業の見直しをさらに進めてまいりたいと考えています。今後とも、またご指導のほどよろしくお願いします。
 それから、神津委員から円高の問題がありました。私どもも、大変厳しい状況であることを踏まえているところです。政府全体として、もちろんこの円高の問題にはしっかりと対応しているところですが、厚生労働省の中でも雇用対策として、既に今申し上げました雇調金の要件の見直し等も進めています。これは、ご案内のように、例えば雇調金も要件の3カ月を1カ月にする、あるいは見込みでもいいというものを、昨年の10月7日からやっています。これを利用されている事業所が増えてきています。私どもは、これをしっかりと活用いただいて、この円高等の対策をやっていくように、引き続き事業主の方々に対する周知等をやっていきたいと思います。
 それ以外に、雇用創出基金も増額していますし、また延長もしています。それから、職業訓練等も円高等の対応したものについてやっているところで、こういうものに対して引き続きしっかり対応していきたいと考えているところです。
 斉藤委員から、介護、福祉の関係のお話がありました。これについても、介護の定着率が低い問題があります。その背景には、賃金の問題や身体的負担、労働条件等の問題があると、私どもも分析しているところです。このため、雇用管理の改善に取り組む事業主の方々に対して、例えば作業負担の軽減に資する介護福祉機器を導入された場合などの助成、それから介護労働安定センターによるいろいろな賃金制度を含んだ雇用管理改善のための相談援助を進めているところです。引き続き、雇用対策、雇用管理の改善に努めてまいりたいと考えているところです。

○高井雇用均等・児童家庭局長 斉藤委員からの子育て支援、特に保育所整備の関係のご指摘をいただきました。一昨年、政府で子ども・子育てビジョンをつくっていまして、毎年保育所の定員5万人増ということで進めています。これに沿って、来年度においても、受入れ児童数5万人増に伴う運営費の確保、さらに平成23年度第4次補正予算で安心こども基金に1,270億円積み増して、保育所の整備をさらに進めていきます。さらに、待機児童の「先取り」プロジェクトといっていますが、補助率の嵩上げをするようなことも、補正予算で組んで進めていこうと考えています。
 さらに、子ども・子育て新システムにおいて、保育の質プラス保育の量を拡充するということで今検討しているところです。以上です。

○諏訪会長 議題の1については、よろしいでしょうか。それでは、議題2及び議題3をまとめて議論いただきたいと思います。議題2は、分科会及び部会等における審議状況、議題3は法案の国会審議状況ですが、まとめて事務局から説明をお願いします。

○金子労働基準局長 資料3-1をご覧ください。労働基準局所管の分科会の、昨年9月28日以降の報告です。まず労働条件分科会ですが、予て報告していますように、有期労働契約の在り方について審議を重ねてまいりました。12月26日に報告をまとめ、厚生労働大臣あてに建議が行われたところです。
 5頁をご覧ください。有期労働法制の見直しについて、平成23年12月26日におまとめいただいたものの概要です。ここにありますように、5点について建議をいただきました。この中で、(2)の有期契約を長期にわたり反復・継続した場合に、5年を超えて反復更新された場合に、労働者の申出により、無期契約に転換させる仕組みを導入すること。(3)「雇止め法理」の法定化ということで、現在の判例法理を制定法化していくこと。(4)期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消と、こういった点について、建議をいただいたところです。現在、労働契約法を改正すべく、所要の準備を進めているところです。
 1頁に戻ります。労働条件分科会労災保険部会では、平成24年度以降の労災保険料率の見直し等について審議をいただきました。
 その下は、安全衛生分科会の関係です。次の頁にわたりますので、大変多くの項目について何回も審議をいただいているわけですが、2頁のいちばん上にあります労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱を検討いただき、答申をいただいたところです。これは、資料の12頁をご覧ください。一昨年の12月に建議をいただいた内容について、大変遅くなったわけですが、昨年の10月に法律案を諮問させていただき、答申をいただいたところです。内容としては、3点あります。1つは、メンタルヘルスの関係です。現在、健診が事業者の義務とされていますが、それに合わせるような形で、メンタルチェックを義務化するという内容のものです。
 2点目は、石綿などの作業の際に、電動ファン付き呼吸用保護具を装着することが義務付けられているわけですが、これの性能担保の規定がないということで、震災の関係もありますので、急いで措置させていただきたいと。3点目は、たばこの関係で、職場における受動喫煙を防止するために、原則全面禁煙にしていただくか、空間分煙を義務化するという内容のものです。こちらについては、この前の臨時国会において法案を提出させていただいて、現在継続審議の扱いとなっているところです。
 2頁に戻ります。あとは、少し項目だけになりますが、お許しいただきたいと思います。1つは、平成23年12月12日の欄にありますが、東日本大震災で放射性物質により汚染された地域の除染をするために、作業員の方が放射線障害を被る危険があるということで、現在の法体系では対応できないものですから、除染のための電離放射線障害防止規則を新たに制定するということで、審議会で審議、答申をいただき、既に改正、主要の規則を整備しまして、施行させていただいているところです。
 そのほか、じん肺部会、勤労者生活分科会において、これら定例のもの等について審議をいただいたところです。以上です。

○森山職業安定局長 続きまして、資料3-2です。安定局の関係です。1つは、高年齢者雇用対策の関係です。これにつきましては、雇用対策基本問題部会におきまして大変熱心なご議論をいただきました。
 (別紙1)をご覧いただきますが、これは本年1月6日に建議がなされたものです。その内容のポイントが書いてございます。年金の支給開始年齢は65歳まで引き上げられることを踏まえて、無年金・無収入となる者が生じる可能性があるために、雇用と年金が確実に接続するよう、65歳までは希望者全員が働くことができるようにするための措置が求められているということで、4つございます。
 1つ目、法定定年の年齢につきましては、これは現状維持ということです。2つ目が、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止。3つ目は、継続雇用をする場合に、企業のご負担を考えて、雇用確保先の対象拡大が必要である。また、いろいろな形の高年齢者の円滑な労働移動への支援を強化する必要がある。また、特に経営環境の厳しい中小企業をはじめ、政府としても積極的に支援することが必要である。4つ目ですが、義務違反の企業に対する公表の規定の導入が適当である。こういうことが建議でなされたわけです。
 1頁に戻っていただきまして、この建議に基づきまして、2月16日に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」を諮問いたしました。これにつきまして、そこに書いてございますように、2月16日、同日ですが、「おおむね妥当」という報告がなされたところです。
 なお、使用者側委員から、現行の継続雇用制度の定義について、定年後も引き続いて雇用することを原則とし、例外を認める制度であることを法律上明確化すべきであるという意見が付されているところです。これにつきましては、2月23日の職業安定分科会において同部会報告が了承され、答申がされているところです。
 次に、雇用保険制度です。雇用保険制度につきましても、4頁をご覧いただきたいと思います。雇用保険部会の報告という形で、個別延長給付の暫定措置、これを2年間延長していくということ。2つ目は、雇用保険二事業の安定的な運営ということで、先ほども議論はございましたが、失業等給付の積立金から雇調金への借入れを可能とする措置を2年間延長していく。3つ目に、失業等給付における雇用保険料率ということで、弾力条項による下限の「1.0%」に引き下げる。これは告示事項ですが、この3つについて報告がなされました。1頁に戻っていただきまして、それが昨年12月20日でして、それを本年1月6日の安定分科会で了承されました。
 これを受けまして、「現下の厳しい雇用情勢に対応して労働者の生活及び雇用の安定を図るための雇用保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案要綱」及び「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料率を変更する告示案要綱」、これにつきまして1月16日に諮問をいたしまして、1月20日に安定分科会において、それぞれ「おおむね妥当」「妥当」という結論をいただいて、答申がされております。これに基づきまして法律案につきましては、この国会に提出をしているところです。また、告示案要綱に基づきまして、1月25日に雇用保険料率の告示はされているところです。

○小野職業能力開発局長 次に、職業能力開発分科会の審議状況、資料3-3をご覧いただきたいと思います。大きく3つあります。1つは、政省令の改正関係。2つ目が職業能力開発分科会の下に置かれました中央職業能力開発協会の在り方に関する専門委員会の取りまとめ報告。3つ目が、昨年策定されました第9次勤労青少年福祉対策基本方針の進捗状況につきまして、若年労働者部会でそのフォローアップ等々の意見交換を行いました。
 具体的な政省令関係の内容ですが、2頁をお開きいただきたいと思います。これは政令関係で、技能検定職種、136職種ございますが、随時、時代の状況に合わせてスクラップ・アンド・ビルドで見直しをしております。今回の政令では、いちばん下にありますように、受験者数が非常に少ない職種につきまして、合計7職種の廃止・統合を内容とするものです。
 省令関係は、4頁をご覧いただきたいと思います。これは、求職者支援訓練の認定基準等に関する被災3県の特別対策ということです。2つありまして、1つ目は、震災地で特に求人等のニーズがあります建設機械の重機の運転関係の訓練を特別コースとして、当初平成23年度末までということでやっておりましたが、これを1年延長して平成24年度末まで延長するということです。2つ目は、求職者支援訓練の認定基準について、そこにありますように、認定の際に就職率等一定の水準を上回ることが就職率についての条件として課されていますが、被災3県につきましてはこの要件を緩和するという内容です。
 もう1つの省令、これは6頁をご覧いただきたいと思います。これは雇用保険法の施行規則の一部改正ということです。これは非正規の方を正社員にできるだけ移行していただくということで、現在は2つの制度があります。1つは有期実習型訓練。これは3~6カ月の間で有期雇用契約を結んでいただいて、この期間に訓練をしていただいて正規雇用に持っていくと。その実習、訓練をやっている間につきましては、賃金、訓練費用の一定割合を助成すると。キャリア形成促進助成金で助成するという制度です。もう一方ではトライアル雇用制度です。これは原則3カ月の有期雇用契約で、定額の奨励金も出るという制度です。より正規雇用化を進めるということで、この両者の制度を一体的に運用するということで、先ほどのキャリア形成促進助成金、トライアル雇用の奨励金の併給ができるように改めるという改正案の内容です。

○高井雇用均等・児童家庭局長 続きまして、資料3-4です。雇用均等分科会の審議状況ですが、パートタイム労働対策についての議論と女性労働基準規則の改正の諮問です。3頁をお開きいただきたいと思います。パートタイム労働対策ですが、昨年9月にパートタイム労働対策の見直しについて検討を開始していただいております。そこにありますように、これまで9回にわたりまして、総論としてパート労働法の効果と課題、各論といたしまして差別的取扱いの禁止、賃金に関する均衡等についてご審議いただいてきております。今後は、議論の状況を踏まえ、取りまとめの方向でご審議いただく予定にいたしております。
 もう1つが、4、5頁です。本年1月13日、女性労働基準規則の一部を改正する省令案要綱について、厚生労働大臣から諮問が行われております。重量物を取り扱う業務と有害物を発散する場所における業務については、平成17年の労働政策審議会において、新たな知見を踏まえた規制の在り方を引き続き検討すべきと建議がなされております。これを受けまして、そこにございますように、「母性保護に係る専門家会合」に検討をお願いいたしておりましたところ、昨年12月に取りまとめられましたので、その報告書を基に省令案要綱を作成し、諮問を行ったところです。今後は、この雇用均等分科会にパブリックコメントや公聴会の意見を報告して、ご審議をいただく予定です。

○酒光労働政策担当参事官 最後、資料3-5ですが、点検評価部会の審議状況について簡単にご説明申し上げます。本年2月3日に第4回会合が開かれまして、2011年度、今年度の中間評価を行った。それから、前年度分について、昨年の点検評価部会に間に合わなかった指標についての追加報告を行ったということです。内容的には、ここのポツにありますように、おおむね過半数の指標で、達成に向けて順調に推移している等々の報告がなされたということです。今後、中間評価につきましては、国民の皆様のご意見を伺うという機会を設けたうえで確定したいと考えてございます。

○諏訪会長 では、ただ今の説明につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、ご発言をお願いいたします。

○篠田委員 私からは、高齢者雇用につきまして発言をいたします。先ほど審議会建議の取りまとめと法律案要綱の諮問に対しまして、「おおむね妥当」との答申があった旨ご説明がありました。いずれも先ほど触れられましたが、使用者側意見を付記させていただきましたので、その考え方について述べさせていただきます。
 我々といたしましても、意欲と能力のある高齢者に積極的に活躍していただくことは大変重要であると考えており、その必要性も高まると思っております。ただし、そのためには法律等で一律に縛るのではなく、企業労使の自主的な取組みを後押しするような施策展開が求められると思います。公的年金と雇用の接続という、本来、社会全体で対応すべき課題について、企業のみに負担を負わせる今回の見直しの方向性は、極めて遺憾であります。とりわけ対象者基準の廃止につきましては、納得できないということを申し上げておきたいと思います。
 グローバル経済の進展の中で、組織の秩序維持や活力向上、これは一層重要となり、希望だけで定年後の継続雇用が図られる仕組みは現実的ではありません。やはり就労の可否を問うなど、一定のルールが必要だと考えます。高齢期を迎えれば、健康をはじめ体力や職務遂行能力につきましては個人差が大きくなる中で、継続雇用の希望をかなえようとしても必ずしもかなわない実態があると思います。人事・労務管理の側面からも、事業主に対する健康や安全への配慮義務など、多くの課題があります。また、そもそも現行の対象者基準は、企業現場で必要な場合に限り労使協定が締結されて設けられているものであり、労使自治の観点からも妥当な枠組であると考えております。
 それにもかかわらず対象者基準を廃止するならば、組織上の必要性を超えて高齢者の雇用確保が求められるということになりますので、要員管理の観点から新卒採用の抑制など、若年者雇用の影響も大いに危惧されるところです。建議では、継続雇用の対象外として、就業規則における解雇事由および退職事由に該当する場合を認めています。しかし、企業現場からは法律で明確に規定されているわけではございませんので、就業規則に基づく一律的な対応ではトラブルが生じかねないという懸念を訴える声が、多く我々の所に寄せられております。
 対象者基準を維持すべきという考え方に変わりはありません。しかし、今回の見直しに伴って、対象者基準を廃止するのであるならば、現行の継続雇用制度の定義を改め、希望者全員の雇用ではなく、職務遂行が不可能な場合など一部の例外については、法律上、対象外とすることを認める制度とするべきであります。このことは、法律案要綱の諮問答申に対し、使用者側意見として付記させていただいたとおりであります。これは個別の企業や個々の業界の問題ではなく、多くの企業の声を踏まえての使用者側の意見であることを、是非ともこの場でご理解いただきたいと存じます。

○諏訪会長 今質疑応答に少し入りましたが、私の手落ちで資料4の法案の審議状況について、ご説明を求めるのを失念してしまいました。申し訳ございませんが、それを間に入れさせていただきます。

○酒光労働政策担当参事官 すみません。私の説明が悪くて申し訳ございませんでした。資料4です。議題3の法案の審議状況になります。3法案ありますが、労働者派遣法ですが、平成22年に通常国会に提出されました。その後継続審議が続いておりましたが、平成23年12月7日に衆議院の厚生労働委員会で修正がなされたうえで質疑・採決が行われたわけですが、最終的に時間が間に合わずに継続審議ということになって、今国会においても継続審議中ということになっております。労働安全衛生法につきましても前国会に提出をさせていただきましたが、継続審議ということで今国会においてまた審議がされることになっております。最後ですが、雇用保険法につきましては、先ほど職業安定局長からご説明申し上げたように、1月27日に通常国会に提出しております。

○諏訪会長 大変失礼いたしました。それでは、今の資料4のご説明も含めてさらに質疑応答を進めたいと思いますが、ただ今篠田委員から高齢者関係でご意見がありましたので、これに関して労使各側でご意見、あるいは公益の側でご意見がありましたら。まず、高齢関係のことでご意見なり、あるいはご質問をお願いしたいと思います。

○南雲委員 先週2月23日に、改正法案要綱の厚生労働大臣への答申が行われました、高年齢者雇用安定法の改正について、申し述べたいと思います。超高齢社会となり、労働力人口の減少も進む我が国においては、高齢者が社会の担い手となることが求められており、そのためには、雇用と年金の接続を確保する観点から、希望者全員が65歳まで働き続けられることが必要であると考えております。
 審議会での議論において、労働者代表委員は、(1)65歳までの雇用確保措置として定年年齢の引上げ、定年の定めの廃止、継続雇用制度の導入という3つの選択肢の存続、(2)継続雇用制度の対象となる基準を労使協定で設定できる制度の廃止などを求めてまいりました。改正法案要綱は、私たちの主張をおおむね反映したものであり、高く評価をいたしております。特に、2つ目の継続雇用制度の対象となる基準を労使協定で設定できる制度の廃止は、雇用と年金の確実な接続に向け、希望者全員の65歳までの雇用確保が実現するものであり、改正法案要綱に盛り込まれた意義は大変大きいものがあります。
 今通常国会において多くの重要法案がある中で、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢引上げが来年4月からと目前に控えており、現行法のもとでは、60歳で定年退職した後に無年金・無収入者が急増する懸念を解消するためにも、今回の一連の高年齢者雇用対策は待ったなしの状況、かつ、社会的要請であります。
 厚生労働省には、公労使三者構成の労働政策審議会で、「おおむね妥当」と認める旨答申した法案要綱を忠実に法案化して、速やかに閣議決定のうえ国会に提出していただきたいと思います。併せて、改正法の周知と労使による改正法への対応には、十分な長さの期間が必要であることから、高年齢者雇用安定法改正法案については、今通常国会での早期成立に向け努力すべきであります。

○加藤委員 今の南雲委員の発言と関連しまして1つだけ、有期契約労働者の雇用と年金の接続について意見を申し述べます。現行の高年齢者雇用安定法では、正社員の定年到達者のみを想定していると思います。総務省は、2011年平均の雇用労働者数を2月20日に発表しましたが、非正規労働者は1,733万人、前年度と比べて48万人増加しており、率にして35.2%となっております。
 非正規労働者のほとんどは、有期契約労働者と考えられます。そうしますと、有期契約労働者として60歳を迎える人は今後さらに増えていく傾向になっているわけです。現役の有期契約労働者が60歳を迎える前に、適切な処置を講じなければならないと思っております。今回の有期契約労働者についても、きちんと年金と雇用の接続を担保することが、社会的にも極めて重要な課題だと思っておりますので、その解決策について今後も国を挙げて考えていただきたいと思います。

○神津委員 私も高齢者雇用の問題に関しまして、重ねての発言をさせていただきたいと思います。先ほど若年者雇用に悪影響があるといったご指摘も篠田委員からあったのですが、その点に関しての私どもの考え方は、一言で言うと、やはりこれは両方とも必要な雇用だと考えます。ある意味では当たり前のことなのですが、企業で長く職業経験を積んだ高齢者、一方で新規学卒者を中心とする若年者、この両者では熟練度のほかに携わっている仕事の種類や分野、求められる雇用の質が異なるのだろうと思います。したがって、そういった中で、当然のことながら頭数の問題だけで考える話ではないのだろうと思います。若年者については、今後数十年間、企業を支えていく人材ですし、高齢者については、すでに高いスキルを持った人材でありますから、そこのところをどう引き継いでいくのかということも含めて貴重な人材だと思います。
 足下では、韓国や中国に対して、製造業の競争力が本当のところどうなのだということが問われかねない状況もあります。これまでの高齢者の方々のスキル、技能を含めて、その方々が持っている力が流出していったことが背景にはあるのだろうと思います。そういうことも含めて、今危機的な状況にある我が国において、その力を発揮できる人、働ける人が老若男女問わずしっかりと働いて、その力を引き継いでいくことが極めて重要だと思います。
 また、これは国の財政問題も含めて、そうやって働ける人がしっかりと稼いでいって、個人としても、企業としても、その税の力で納税していくということが求められているのだろうと思います。ある意味、みんなで支える社会にしないとこの日本は持たないという状況にあるという認識を全体で共有すべきだろうと思います。いみじくも野田総理が、「分厚い中間層を復活させるのだ」ということをおっしゃったわけでして、高齢者雇用と若年者雇用は共に重要であり、両方を促進することが必要なのだということを申し述べさせていただきます。

○諏訪会長 高年齢者関係でほかにご質問、ご意見はありますか。

○川本委員 一言だけ申し上げたいと思います。今高齢者雇用あるいは若年者雇用の重要性が指摘されましたが、一方で企業が雇用するということになれば、そこには企業経営というものがあるわけであって、そこには人件費管理という問題があります。その中でどう考えていくかということで、私ども経営側としては意見をいろいろ申し上げているということです。経済の大きな枠組で言えば、今の名目GDPは20年前と同じであります。そういう状況の中で、どう考えていくかということも大事な視点なのではないかと思います。

○諏訪会長 それでは、ここまでのところを事務局の側から。

○森山職業安定局長 この問題につきましては、雇用対策基本問題部会の大橋部会長のもとで、今の問題も含めまして大変熱心なご議論をいただきました。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、日本全体の少子・高齢化が進んでいるという中で、全員参加型の社会を構築していく必要がある。特に高齢者につきましては、先ほど来出ていますように、厚生年金の支給開始年齢の引上げに伴って、まさに雇用と年金をどういうふうに確実に接続させるかというような非常に大きな課題がある中で、熱心なご議論をいただきました。
 その中でも、先ほど言いましたが、企業のみに負担をお願いするのではなくて、働く側、これも基本的には能力を高めていく必要がある、また国も知恵を出していくべきだということで、労使、国共にこの問題に対していろいろと真剣に対応していかなくてはいけないという議論がございました。それで企業の負担軽減といいますか、そういうものも含めて、非常に長い経過措置を設けていく、その間に丁寧に対応していくということ、また継続雇用先の範囲を拡大していく、いろいろな労働移動の支援策を講じる、こういうことなども皆様のご意見を踏まえて建議に盛り込まれました。そういう基準制度の廃止に伴う負担を軽減する対策を、パッケージで議論がなされたことを、是非ご理解いただきたいと思っているところです。
 若年者雇用の影響につきましても、大変ご議論はございました。これにつきましては、平成22年から平成32年までに、400万人の働く人が減っていくわけです。60歳から64歳までの方は150万人、20歳から34歳までの方は250万人減少していくという中で、マクロ的に見れば、若年者雇用の影響につきましては直ちに影響があるとは言えないということが、部会でもご議論されました。ただ、個別の企業で見れば、先ほど来お話がございますように、若年者雇用の影響が生じる可能性もあるわけです。そのために私どもは、若年者の対策を進めるということで、新規学卒者あるいはフリーター等の就職支援の対策も強化しているところです。
 最初申し上げましたように全員参加型、いわゆる高齢者、女性、障害者、若者、こういう方々に働いていただいて、そういう環境をつくることによって全員参加型の社会を構築していくことに、今後とも努力をしていきたいと思っております。ご理解のほどよろしくお願いしたいと思っています。

○諏訪会長 高年齢者関係はよろしいですか。それでは、それ以外の論点でご発言をお願いいたします。

○土谷委員 パートタイム労働法の見直し審議に関連して申し上げます。「法の附則に現行法の施行状況を踏まえて検討し、必要な措置を講ずる」という規定があることは承知しておりますので、分科会において審議することについて異論はございませんが、議論の進め方や結論については拙速を避けるべきと考えております。そもそもパートタイム労働者の多くが有期労働契約であることを考えれば、先に検討を始めた有期労働契約の在り方について全体像が整理されて、はじめてパートタイム労働法の見直し議論に移ることができるものと考えます。このことは、昨年9月のこの労政審の場で岡田委員からも申し上げたことです。
 また、現行のパートタイム労働法は、大改正を行ってからたった3年しか経過しておらず、企業の現場では、その趣旨を踏まえた社内体制の整備や運用がなされてきました。厚労省が行った調査や都道府県の労働局の指導状況からは、現行法は遵守されており、更なる改正を必要とする問題点は明らかになっていません。法律の附則において見直し議論を行うことが規定されているものの、それは現場の実態とは違う形で法律を見直すことを求めたものではないと思っております。
 したがって、現行法の枠組のもとで、周知や啓発の活動を通じて適切な運用を推進していくということも、検討の結論としてはあるものと考えます。複数の部門をまたがる内容も含んでいるとは思いますが、スケジュールや一定の結論が前提となった議論とならないよう、厚労省事務局には慎重に分科会の運営をしていただくことを求めます。

○諏訪会長 今パート関連のご意見が出ましたので、パート関係で。

○高橋委員 パート関連ということで、先ほどご説明いただきましたように、雇用均等分科会において、この間パートタイム労働対策について審議が行われているということですが、先日、総務省統計局の労働力調査が出たと思います。これは平成23年平均の調査結果が出ておりましたが、その中で非正規雇用率が昨年より0.8ポイント上昇してということで、平均では35%を上回ったという結果になっております。なお、女性は、その5割以上が非正規労働者ということになっておりまして、その最大多数であるパートタイム労働者数は835万人、そのうちの女性が9割を占めているといった実態がございます。ですから、今審議が行われているパートタイム労働者の問題は、女性の問題と言っても過言ではないかと私としては受け止めております。
 また、パートタイム労働者の働く状況も、従来の正規雇用の業務を担うパートタイム労働者が非常に増えておりまして、質・量ともに基幹化が進展しているという状況です。また、働く理由も、家計補助的ということよりも、生活を維持するためということが大幅に増加しております。厚労省の調査によりますと、「生活維持のため」が前の調査よりも非常に上昇して、「家計補助のため」が相対的に減少していることが、数としても挙がっています。その理由としては、単身者が非常に増えていることと、あるいは夫がいても夫の雇用が非常に不安定になってきているなどの状況が、背景にあるものだと思っております。
 しかしながら、パートタイム労働者のほとんどの方が、年齢や勤続年数を重ねても賃金がさほど変わらないといった実態が挙がっております。こうした現状は、不十分な教育訓練とも相まって、正規労働者とパートタイム労働者の二極化と格差の固定化がもたらしているだろうと思います。ひいては、我が国の社会経済や社会保障制度をも揺るがす重要な問題になるだろうと思っております。
 先ほど審議の中で、さまざまな観点から議論が行われているということをお聞きしておりますが、とりわけパートタイム労働法第8条の3要件に該当する者ということで言いますと、平成23年に行われた厚生労働省のパートタイム労働者総合実態調査の結果でも、パートタイム労働者に占める割合としては1.3%しかいないということになっております。そういった問題でもパートタイム労働者対策は、同一価値労働同一賃金の観点から公正な処遇実現への取組みを進めるべきであり、この審議会でも前向きな議論をぜひしていただきたいと思っております。

○吉川委員 パートタイマーとして福祉施設で働く方は、比較的女性の方が多いと思います。先ほど斉藤委員からもご意見が出たと思いますが、大変待遇が悪いというか低いということ、結構重労働であること、それから、最近、法が改正されてから施行するまで非常に短い期間でころころ変わっているケースが多くございまして、すでに福祉施設そのものの運営を危うくされている状況の所も出てきております。ですから、パートタイマーの女性の待遇改善とともに、もう少し法改正から実施までの間の周知徹底といいますか、そのあたりをご検討いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○諏訪会長 この点ほかにご意見はよろしゅうございますか。では、事務局から。

○高井雇用均等・児童家庭局長 土谷委員からご指摘いただきました有期労働契約との関係は、分科会においてもご意見をいただいているところです。ご案内のとおり、パートタイム労働者の多くは有期労働契約者であることや、パートタイム労働法第8条の差別禁止規定について3要件がありますが、その1つが無期労働契約を結んでいることであることから、有期労働契約法制との関係、整合性について、パートタイム労働対策を検討するうえで重要な論点であると考えております。
 また、高橋委員からご指摘いただきましたように、平成20年に改正法が施行されておりますが、働き方が正社員と同じパートタイム労働者について差別的取り扱いの禁止が規定されている、あるいは、すべてのパートタイム労働者については、均衡の取れた処遇の確保に努めることが規定されており、均等・均衡対遇の推進をしている状況です。また、吉川委員からは、施行についてご指摘いただきました。
今後、雇用均等分科会では、パートタイム労働者の公正な待遇をどうするかという点は、公・労・使の各委員にご議論いただいて進めたいと考えているところです。

○諏訪会長 今パートと少し有期契約労働者にも触れましたが、この関係で何かご質問なりご意見はありますか。よろしゅうございますか。それでは、これ以外の論点でお願いいたします。

○神津委員 有期労働契約について申し述べたいと思います。先ほどのご説明のとおり、昨年末に建議が取りまとめられたということがありました。有期労働契約にかかわる問題につきましては、非正規労働問題の中心的な課題であったと認識しておりますが、一方でこれまで法整備につきましては、必ずしも十分に取り組まれてこなかったとも認識しております。
 今回、雇用の不安定と処遇格差など有期労働契約の持つ課題の改善に向けまして、一定の法整備が図られることの意義は非常に大きいものがあると考えます。また、これらの法整備が労働者の権利保護に資する民事効を持つ規定として、労働契約法により措置されることについても、重要な意義があると考えます。現在、法案作成に向けた作業を進められているという段階にあると承知をしておりますが、これらの意義も鑑みながら、ぜひ、今国会での法案の早期成立に向けてご尽力いただきたいということも、併せて申し上げておきたいと思います。
 法改正の内容につきましては、特に期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みにつきましては、基本的には雇用の安定の効果が期待されることだと思っております。一方で、我が国において、はじめてこのような仕組みを導入するということになりますので、上限期間前の雇止めなどの副作用であるとか、無期の労働契約への転換を巡ってトラブルが発生する懸念も否定はできないと思っております。制度の周知とともに、法施行後の検証をしっかりと行っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

○岡田委員 今のご意見に関連して、こちらからも一言申し上げたいと思います。今回の建議を受けて、今後、労働契約法が改正されるということになると思うのですが、その場合、企業の人事・労務担当者といたしましては、改正法への対応のために実務的な準備が非常に大変になってくると考えております。具体的には社内の雇用管理の状況を改めて確認し、労働契約とか労働協約、あるいは無期転換する契約社員が出た場合の就業規則の改正であるとか、もちろん労使協定を行う所もあると思うのです。企業によっては、また新たな人事制度を制定したりとか、雇用管理システムの改正・改訂・入れ替えなども必要になってくるかと思います。
 このように改正法が企業実務に及ぼす影響は非常に大きく、時間とコストを要するものになると思います。ですので、先ほど吉川委員からもパートタイム労働法のほうで十分な周知をというお話がありましたが、同じように企業実務の観点に立って、丁寧な取組みを行っていただきたい。周知に関しては行っていただきたいと考えております。

○諏訪会長 それでは、有期労働契約関係では、ほかによろしゅうございますか。この点、事務局から何か追加でありますか。お願いします。

○金子労働基準局長 今神津委員から、上限手前での雇止めの問題、それから、このルールが施行された場合の状況をきちっとフォローアップする必要があるのではないかというお話でした。審議会でもまさにそういう議論でした。雇止めの件につきましては、今回、雇止め法理の制定法化も併せて実施をいたしますし、そういったことで一定の効果はあるだろうと思いますが、やはり施行に向けてよく準備をして、また状況のフォローアップを適切にやっていく必要があるだろうと考えます。法律の中では、5年後に無期転換が実際に行われるときにどういうことが起きたのかということで、それを検証するための規定も法律案の中に盛り込むということにしておりまして、今そういった方向で調整させていただいているところです。
 岡田委員からお話がございましたように、企業実務への影響が非常に大きいと。これは、まさにおっしゃるとおりだろうと思います。そういうことで、施行時期をどうするかが1つのポイントだと思います。明日、労働条件分科会に法律案要綱を諮問することにしておりますので、今日いただきましたご意見、さらには分科会で十分ご議論していただいて、その辺、企業実務に問題が生じない形で対応させていただけたらと思っております。また、施行時期に加えて、その間のいろいろな制度の周知も大事だろうと思います。平成24年度の予算案の中に所要の経費も計上させていただいておりますので、その辺も適切に対応できるよう配備していきたいと思っております。

○諏訪会長 それでは、これまでに出た論点以外の点をまとめて、皆様からご意見いただければと思っています。

○斉藤委員 点検評価部会の2011年度中間評価の中で、女性の就業率の向上の中に男性の育児休業取得率という項目が入っているということなのですが、ちょっと違和感があるかと思っています。もちろん全く関係ないということではないと思うのですが、全体の枠組の中で両立支援、あるいは、ディーセント・ワークの中にワーク・ライフ・バランスとか両立支援みたいなものも入れていただいて、括っていただくことも必要ではないかと思いますので、今後の検討ということで、2020年までの達成に向けたところでの整理ということでご意見させていただきます。

○川本委員 私からは、労働安全衛生法案の関係につきまして意見を申し上げたいと思います。柱の1つには職場におけるメンタルヘルス対策がございますが、企業は今のところ、その重要性を認識して改正法施行を待たず対策に取り組んでいるところです。したがいまして、改正法成立後の省令、指針の策定にあたりましては、これらの企業の取組みの支障とならないよう、実務に携わる事業者の意見を考慮しながら進めていただけるようにお願いをしたいと思っております。
 もう1つですが、職場における受動喫煙防止対策についてです。これは労働者の健康管理の面からは大変重要なことは理解しておりますが、事業者に大きな負担を強いるものでもありますことから、労使が知恵を出し合って、着実に一つひとつ対応していくことが必要であると思っているところです。したがいまして、行政には時間をかけて十分な周知活動を実施していただきたいと思っているところです。
 最後に、雇用保険二事業について申し上げたいと思います。皆さんご承知のとおり、雇用保険二事業は事業主のみの負担となっているものです。雇用調整助成金によって失業を出さないための処置、あるいは、教育訓練によって能力を付けて就業に結びついていくといった取組みが柱になっているところです。最近、雇用調整助成金はいろいろ柔軟な対応をしていただいて、大変充実をしてきていると思っておりますが、一方で、能力開発につきましては、例えば能開機構が高障機構と一緒になるとか、かなり予算が一律に減るとか、あるいは民間でやっております、例えば産業雇用安定センターという所が失業なき労働移動をやっておりますが、そういう所も一律に予算が減っているということで、能力開発や失業なき労働移動について、きちっとした対応をしていただきたいと思っています。
 何を言いたいかといいますと、二事業の予算配分につきましては、きっちり、いちばん大事な部分については充実させていただいて、一方で直接かかわりのない項目も多々ありますので、この辺は効率化に努めていただきたいと思っているところです。

○諏訪会長 ほかにご意見、その他の点で、よろしゅうございますか。それでは、今出ました点についてお願いします。

○高井雇用均等・児童家庭局長 斉藤委員からご指摘いただきました男性の育児休業取得率の関係です。点検評価部会でもご意見をいただいております。雇用均等分科会で場を設けましてご議論をいただきたいと考えております。

○金子労働基準局長 労働安全衛生法の改正の関係が川本委員からございました。これから改正法が成立した場合には、さまざまな細目、省令、その他で規定していくことになりますので、事業者、労使をはじめ関係者の皆さんからよくお話を伺いながら、労務管理の実態を踏まえた対応をしていきたいと思っております。
 受動喫煙対策につきましては、これも広報周知が大変大事なことになってくるのは仰せのとおりだろうと思いますので、しっかり対応していきたいと思います。

○諏訪会長 議題2、3関連では、ほかにご質問なりご意見はございますか。

○眞中委員 私からは、法案の国会審議状況について1つお願い申し上げたいと思います。法案の国会の審議状況につきましては、先ほど報告がありましたように、資料4に記載のとおり、労働者派遣法改正案、労働安全衛生法改正案が継続審議となっております。労働者派遣法改正案については、派遣労働に関する労働者保護を進めるうえで大変重要な位置づけでありながら、2年近くもの間継続審議扱いとなっております。また、労働安全衛生法改正案は、喫緊の課題であります職場におけるメンタルヘルスへの取組み、あるいは受動喫煙防止法対策を一層進めるためにも、大変重要な法案であると思っております。今通常国会においては、これら2つの継続法案に加えまして、先ほど意見交換のありました労働契約法改正案、高年齢者雇用安定法改正案などもあります。労働者保護の観点から重要な法案が目白押しになっていると思います。厚生労働省の皆さんには、これらの重要法案の今国会での速やかな成立に向けた格段の努力をお願いしたいと思います。

○諏訪会長 それでは、ご意見を伺いました。大変申し訳ないのですが、予定の時刻に近づいてまいりましたが、もう1点議題4がまだ残っておりますので、資料5に基づいてご説明を事務局からお願いします。

○生田職業安定局派遣・有期労働対策部長 資料5に基づきましてご説明いたします。出先機関改革(ハローワーク)の関係です。資料の2頁をご覧ください。アクション・プランが一昨年の年末に閣議決定されたのですが、それに基づきまして(3)のハローワークのところに書いてございますように、国が職業紹介などをやり、地方が能力開発とか福祉等に関する相談業務を一体的にやる、という取組みを進めるということが決まってございます。
 それを受けまして、4頁にございますように、今年2月20日現在で、(2)の提案の状況に特にございますように、一体的提案につきましては、都道府県で26道府県、市区町村で46市区町から提案がございました。その下に※印がございますが、すでに4道県15市区では事業を実施しておりまして、11府県23市区町では事業の実施に向けて準備を進めている状況です。取組みが早かったものにつきましては、5頁以下に志木市と新宿区の取組みを掲載してございますが、いずれも非常に実績をあげている状況です。
 今後の動きといたしましては、12頁に、昨年末に「出先機関の原則廃止に向けた今後の取組方針」が報告・了承されまして、その中でハローワークにつきましては、その表の中の下から2番目のところにございますようなことがまとめられてございます。知事会の協力も得て、国・地方の一体的取組を全国的に進めること。同時に、特区制度を活用して、試行的に、東西1カ所ずつハローワークが移管されているのと実質的に同じ状況を作り、移管可能性の検証を行う。これを「ハローワーク特区」と呼ぶということにしまして、具体的な内容は国と地方が協議して決定するということが了承されてございます。
 恐縮ですが1頁に戻っていただきまして、今後の私どもの対応方針をご説明いたします。ハローワーク特区につきましては、現在、地域主権戦略会議のもとに、アクション・プラン推進委員会がございまして、その下にハローワークチームがございます。そのハローワークチームで今協議をしているところです。
 具体的には、埼玉と佐賀のハローワークにつきまして議論の対象になっているということです。私どもの考え方といたしましては、あくまでハローワーク特区につきましては、アクション・プランに基づく一体的実施の提案に基づくものを特区と考えてございまして、地方移管の特区提案は対応できないと考えてございます。今まで2回にわたりまして労政審でいただきましたご意見を踏まえまして、適切に対応していきたいと考えてございます。

○酒光労働政策担当参事官 併せて、参考資料をざっとご報告申し上げます。参考1ですが、現在の雇用情勢ということで、グラフを見ていただきますと、失業率は傾向的には下がっていて、求人倍率は上がっているということで、持ち直しの動きが見られるわけですが、依然として厳しい状況にあると認識しております。
 参考2ですが、昨年末に閣議決定しましたように、「日本再生の基本戦略」ですが、その中で総理がおっしゃいます「分厚い中間層の復活」というのが盛り込まれておりまして、その中で雇用・労働体制が位置づけられております。具体的には、2頁に<当面、重点的に取り組む主な施策>というのがありますが、先ほどご意見の中にもありましたが、「若者雇用戦略(仮称)」の策定・実行とか、その他、高齢者対策、非正規労働者のルールづくり等々が掲げられているところです。
 それから資料だけの説明で恐縮ですが、参考3です。「社会保障・税一体改革の大綱」が2月に閣議決定をされております。ここでは、もちろん社会保障とか税についての議論がされているわけですが、その中で「分厚い中間層」ということ、あるいは全世代型社会保障の構築ということで雇用対策も位置づけられております。具体的には、2頁に「就労促進、ディーセント・ワークの実現」というところで掲げられております。施策の方向といたしましては、今までご説明したような施策の方向性を基本的に踏襲するものです。
 参考4は、労働政策審議会の各分科会等での諮問答申等の一覧です。説明は省略させていただきます。

○諏訪会長 ただいまの説明につきまして、ご質問なりご意見はございますか。よろしゅうございますか。それでは、これ以外で何かご質問なりご意見はございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、今日も大変活発にご意見をいただきまして、時間が少し延長してしまいましたことをお詫び申し上げます。これらの意見を踏まえて、労働行政においては然るべく、よろしくお願いをしたいと思います。
 以上で閉会ですが、本日の会議に関する議事録につきましては、本審議会の運営規定第6条によりまして、会長のほか2人の委員に署名いただくことになっております。つきましては、労働者代表委員の眞中委員および使用者代表委員の岡田委員に署名人になっていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。では、本日の会議は以上で終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

<照会先>
政策統括官付労働政策担当参事官室
総務係(内線:7717)

代表: 03(5253)1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働政策審議会)> 第30回労働政策審議会議事録

ページの先頭へ戻る