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2012年2月29日 第19回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会 議事概要
医政局研究開発振興課
○日時
平成24年2月29日(水)15:30~18:00
○場所
厚生労働省 20階 医政局第2会議室
○出席者
(委員)
永井委員長 | 青木委員 | 位田委員 | 島崎委員 | 高橋委員 |
戸口田委員 | 中畑委員 | 前川委員 | 松山委員 | 水澤委員 |
湊口委員 | 山口委員 |
(事務局)
厚生労働省医政局研究開発振興課 |
○議事
議事概要
すでに厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた金沢大学医薬保健研究域からの2件、新潟大学医歯学総合病院からの2件の申請、新たに付議された大阪市立大学大学院医学研究科、山口大学医学部附属病院、東京大学大学院医学系研究科からの申請、あわせて7件について審議された。
その結果、継続審議の新潟大学医歯学総合病院からの2件の申請は持ち回り審議となった。その他の申請については、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。
(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1~7参照。)
(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 自己脂肪組織由来間質細胞を用いた再生医療に関する臨床研究-虚血性心不全に対して- |
申請年月日 | 平成23年2月17日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:金沢大学医薬保健研究域 金子 周一 |
対象疾患 | 虚血性心不全 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒト自己皮下脂肪組織由来間質細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 承認日から3年間、6症例 |
治療研究の概要 | 急性または陳旧性心筋梗塞による低左心機能患者に対して、自己脂肪組織由来間質細胞を経冠動脈的に投与し、その安全性、ならびに有効性についての検討を行う。 全身麻酔下に、腹部、臀部、または大腿部の皮下脂肪から脂肪組織を吸引し、脂肪細胞分離装置を用いて脂肪組織由来間質細胞を採取する。2x107個の細胞を冠動脈造影施行後に、3分間かけて動脈注入する。主要評価項目は安全性で有害事象の評価、その他心筋シンチ、MRIで心筋の活動性を確認する 。 |
その他(外国での状況等) | 本研究で用いる脂肪組織分離装置はヨーロッパではCE markを取得しており、急性心筋梗塞に対するAPOLLO試験および、冠血行再建施行慢性虚血性心不全を対象としてPRECISE試験が実施され、安全性を評価したところ。有効性確認試験を予定している。 |
新規性について | ヨーロッパでは急性心筋梗塞を対象とした検討がなされている。自己脂肪組織由来間質細胞群を用いた虚血性心不全に対する冠動脈内投与による再生療法の検討は我が国では新規。 |
(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 肝硬変に対する自己脂肪組織由来間質細胞の経肝動脈投与による肝再生療法の臨床研究 |
申請年月日 | 平成23年2月17日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:金沢大学医薬保健研究域 研究責任者:金子 周一 |
対象疾患 | 肝硬変 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒト自己皮下脂肪組織由来間質細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 承認後3年間、4症例 |
治療研究の概要 | 本臨床研究では、肝硬変患者を対象として、自分の脂肪組織より分離された間質細胞を、肝動脈より投与して直接肝臓へ運搬し肝機能を改善させる肝再生療法を行う。自己脂肪組織由来間質細胞の分離には、脂肪組織分離装置を用いて、完全自動無菌密閉式の自己脂肪組織由来間質細胞を分離、脂肪組織分離装置を用いて分離された細胞を、カテーテルを総肝動脈まで挿入し30分かけて投与する。 |
その他(外国での状況等) | 脂肪組織由来間質細胞を用いる試験として、ヨーロッパでは、急性心筋梗塞、虚血性心不全を対象に、本邦では九州大学において、乳がん術後の組織欠損患者に対する乳房再建の臨床研究が実施されている。 |
新規性について | 肝硬変を対象としては、骨髄由来間葉系幹細胞の経静脈投与による臨床研究が本邦を中心に報告されているが、脂肪由来間葉系細胞を用いる臨床研究は本邦では新規。 |
(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 自己培養骨膜シートを用いた歯槽骨再生研究 第?相臨床試験 |
申請年月日 | 平成23年9月16日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:新潟大学医歯学総合病院 吉江 弘正 |
対象疾患 | 従来の治療法では十分な歯槽骨欠損の回復が見込めない慢性歯周炎 |
ヒト幹細胞の種類 | 顎骨骨膜細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 平成28年3月31日まで、30症例 |
治療研究の概要 | 自己口腔内粘膜下から骨膜小片を採取し、Cell Processing Centerで6週間培養し、シート状に成形する。骨欠損部に骨系細胞供給源として骨膜シートを、足場としてハイドロキシアパタイトおよび自家骨を、増殖因子として多血小板血漿を併用して移植する。 |
その他(外国での状況等) | 研究責任者らは、犬の骨欠損モデルを作製し、3者併用療法の歯周組織再生効果を確認している。 歯周組織を再生させる細胞療法として日本では、それぞれ歯根膜幹細胞を、脂肪組織由来幹細胞を、骨髄幹細胞を用いる方法が報告されている。 |
新規性について | 自己顎骨骨膜細胞を用いた歯周組織再生療法の報告はなく、用いる幹細胞に新規性が高い。 |
(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 自己培養骨膜シートを用いた歯槽・顎骨再生研究 第?相臨床試験 |
申請年月日 | 平成23年9月16日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:新潟大学医歯学総合病院 高木 律男 |
対象疾患 | 従来法では回復することが期待できない重度の歯槽骨・顎骨欠損 |
ヒト幹細胞の種類 | 顎骨骨膜細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 平成28年3月31日、30症例 |
治療研究の概要 | 自己口腔内粘膜下から骨膜小片を採取し、Cell Processing Centerで6週間培養し、シート状に成形する。骨欠損部に骨系細胞供給源として骨膜シートを、足場としてハイドロキシアパタイトおよび自家骨を、増殖因子として多血小板血漿を併用して移植する。 |
その他(外国での状況等) | 研究責任者らは、犬の骨欠損モデルを作製し、3者併用療法の歯周組織再生効果を確認している。 歯周組織を再生させる細胞療法として日本では、それぞれ歯根膜幹細胞を、脂肪組織由来幹細胞を、骨髄幹細胞を用いる方法が報告されている。 |
新規性について | 自己顎骨骨膜細胞を用いた歯槽骨・顎骨再生療法の報告はなく、用いる幹細胞に新規性が高い。 |
(別紙5)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 関節鏡視下自己骨髄間葉系細胞移植による関節軟骨欠損修復 |
申請年月日 | 平成24年1月26日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:大阪市立大学大学院医学研究科 石川 修 |
対象疾患 | 外傷性あるいは離断性骨軟骨炎による膝関節軟骨損傷 |
ヒト幹細胞の種類 | 自己骨髄間葉系細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 病院長の実施許可通知から3年間を被験者登録期間とし、5年間を研究実施期間とする。対象症例数は細胞移植群40例、対照群40例。 |
治療研究の概要 | 有効性の評価を行う。腸骨より骨髄液を採取し、大阪大学CPCにて骨髄間葉系細胞を培養する。必要細胞数まで増やしたら、細胞浮遊液としてヒアルロン酸を加えて、関節内に移植する。 |
その他(外国での状況等) | 米国Genzyme Biosurgery 社は、1997 年、自家軟骨細胞培養・移植法を開発し、FDA の認可を受け商品化した(Carticel®)が、従来の治療法を超える有用性は示せていない。我が国では広島大学がアテロコラーゲンゲルの中で自家軟骨細胞を三次元培養し、軟骨様組織を得て優れた成績を残している。信州大学、東海大学、大阪大学からの臨床研究に大臣意見が発出されている。 |
新規性について | 関節鏡視下に投与するところに新規性がある。 |
(別紙6)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 低酸素プレコンディショニングによる単核球の機能増強と血管再生療法への応用に関する臨床研究(第?相試験) |
申請年月日 | 平成24年1月26日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:山口大学医学部附属病院 岡 正朗 |
対象疾患 | 末梢動脈閉塞性疾患 |
ヒト幹細胞の種類 | 機能増強された自己末梢血単核球 |
実施期間及び 対象症例数 | 登録期間:許可を得てから平成26年3月31日 観察期間:平成27年3月31日まで、 7症例 |
治療研究の概要 | 6ヶ月間の観察期間で治療の安全性を評価することが目的。血液成分分離装置を用いて被験者の末梢血単核球を採取する。採取した末梢血単核球に低酸素プレコンディショニング(2% O2、24 時間)を行い、取り出した細胞を血流の悪い下肢へ筋肉内注射にて移植します。 |
その他(外国での状況等) | 幹細胞移植による虚血下肢血管再生療法の有用性は、無作為ランダム化臨床比較試験(2002年、Lancet)等において既にある程度、認められている。低酸素プレコンディショニング後の幹細胞は様々な細胞機能が増強されていることが示されており、マウスやラットでは下肢虚血改善効果を挙げているが、まだ臨床応用を行った報告はない。 |
新規性について | 用いる細胞に新規性あり。 |
(別紙7)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成24年2月29日審議分
研究課題名 | 角膜上皮幹細胞疲弊症に対する自己培養口腔粘膜上皮細胞シート移植の臨床試験 |
申請年月日 | 平成24年2月7日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:東京大学大学院医学系研究科 宮園 浩平 |
対象疾患 | 角膜上皮幹細胞疲弊症 |
ヒト幹細胞の種類 | 口腔粘膜上皮細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 登録期間:平成23年10月から4年間
観察期間:術後1年間、 10症例 |
治療研究の概要 | 培養口腔粘膜上皮細胞シート移植の有効性と安全性を検討する。患者の口腔粘膜を採取して、大阪大学未来医療センターへ空輸し、ディスパーゼ・トリプシン処理の後にCPCにて上皮細胞を培養する。フィーダー細胞3T3-J2を用いて培養口腔粘膜上皮細胞シートを作製後、東京大学へ空輸し移植する。一年後に角膜上皮欠損のない面積を測定し有効性を評価する。 |
その他(外国での状況等) | 大阪大学・東北大学は、自施設で温度応答性培養皿を用い口腔粘膜上皮細胞シートを培養し、移植するプロトコールで平成23年1月に大臣意見を受けている。株式会社セルシードは同様に作成した上皮シートに関する治験をフランスで実施し、平成23年6月に欧州医薬品庁に販売承認申請を提出した。他にも羊膜を使用して作成した口腔粘膜上皮細胞シートを用いる臨床研究は、京都府立医科大学・先端医療センターが平成24年2月に大臣意見を発出されている。 |
新規性について | 培養口腔粘膜上皮細胞シートを空輸して移植する。 |
厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿
氏 名 所 属 ・ 役 職
青木 清 上智大学名誉教授
阿部 信二 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師
位田 隆一 京都大学大学院法学研究科教授
春日井 昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
貴志 和生 慶應義塾大学医学部形成外科教授
木下 茂 京都府立医科大学眼科学教室教授
小島 至 群馬大学生体調節研究所所長
島崎 修次 杏林大学救急医学教室教授
高橋 政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
戸口田 淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
○ 永井 良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
中畑 龍俊 京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野教授
中村 耕三 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局長
前川 平 京都大学医学部付属病院輸血部教授
松山 晃文 先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループグループリーダー
水澤 英洋 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
湊口 信也 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
山口 照英 独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査第一部
(敬称略)
○:委員長
<照会先>
医政局研究開発振興課
電話:03-5253-1111(内線)2587
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