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2012年3月2日 第7回肝炎対策推進協議会
○議事
第7回肝炎対策推進協議会
日時 平成24年3月2日(金)10:00~
場所 中央合同庁舎第5号館12階専用第15・16会議室
○神ノ田肝炎対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回肝炎対策推進協議会を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、委員20名中、現時点で16名の委員の皆様方に御参加をいただいておりまして、会議の定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
なお、相澤委員、鳥越委員、平井委員におかれましては、御欠席の連絡をいただいております。宮下委員におかれましては電車が遅れているということで、遅れて到着される予定です。
また、篠原委員におれかましては、人事異動の関係で委員の辞任届が提出されております。後任には、連合の生活福祉局部長の遠藤孝一様にお願いする予定でございますけれども、委員発令の省内手続が本日現在完了しておりませんことから、本日は代理として御出席いただいております。
それでは、会議の開催に当たりまして、外山健康局長からごあいさつを申し上げます。
○外山健康局長 おはようございます。本日は、お忙しいところ第7回肝炎対策推進協議会に御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。
肝炎対策基本法の施行から2年が経ちまして、昨年は皆様に御尽力いただいた結果、肝炎対策基本指針も策定されまして、これに基づき各種の取組みも進めているところでございます。特に、医療費助成につきましては、前回の協議会からこれまでの間B型肝炎、C型肝炎の治療法として新たに薬事承認や保険適用されたものがございます。早期に新たな治療を受けたいという患者さんの声に応えるべく、年度途中ではありますが、医療費助成の対象にこれらの治療法も加えるよう制度改正するなど、柔軟かつ迅速な対応に努めているところでございます。
更に、今年1月には、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法が施行されまして、肝炎を取り巻く環境にも変化がございました。これらの変化もとらまえた上で、より一層、肝炎ウイルス検査の推進や普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
肝炎対策基本指針におきましては、取組の状況を定期的に肝炎対策推進協議会に報告することとされておりますことから、昨年8月開催の前回第6回の協議会におきましては、指針に基づく各方面での取組を網羅的に御紹介させていただきました。本日の協議会では、前回から進捗のあった取組につきまして、林会長や熊田委員、正木参考人からの御発表も交えながら重点的に御説明させていただくとともに、平成24年度予算案等、来年度の取組みについても御説明させていただく予定でございます。
本協議会におきましては、皆様方にすべての肝炎患者を対象とした恒久対策について御議論いただくことを旨としておりますが、本日も今後の施策の検討のため、皆様方から忌憚のない御意見をちょうだいしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○神ノ田肝炎対策推進室長 それでは、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、座席表、委員名簿の下に、資料を一括でとじたものと参考資料を一括でとじたものを御用意させていただいております。
資料1 各自治体における肝炎対策の取組状況について
資料2 肝炎情報センターおよび肝疾患診療連携拠点病院の取り組み、正木参考人からプレゼンテーションしていただくための資料でございます。
資料3 肝炎治療特別促進事業の拡充
資料4 肝炎研究10カ年戦略の概要
資料5-1、資料5-2 林会長と熊田委員からのプレゼンテーション資料となっております。
資料6 平成24年度政府予算案(肝炎対策関連)
資料7 肝炎対策に関する普及啓発の取組
資料8 肝炎検査受検状況実態把握事業の概要
資料9 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の概要
続きまして参考資料でございます。
参考資料1 肝炎対策基本法
参考資料2 肝炎対策の推進に関する基本的な指針
参考資料3 医療費助成制度の改正に関する通知等
参考資料4 肝炎研究10カ年戦略
参考資料5 平成24年度政府予算要求に係る肝炎対策推進協議会意見書、こちらは昨年9月に協議会から提出していただいた意見書です。
参考資料6 平成22年度特定感染症検査等事業における肝炎ウイルス検査の実績
参考資料7 平成23年度肝炎等克服緊急対策研究事業採択課題一覧
参考資料8 平成24年度肝炎対策普及啓発事業(公示)
参考資料9 第177回国会で採択された請願(肝炎関係)
参考資料10-1、参考資料10-2 前回の肝炎対策推進協議会の資料を用意させていただいております。
また、阿部委員からの提出資料といたしまして「肝炎ウイルス検査の現状について」を用意させていただいております。後ほど議事のその他の中で御紹介いただくことになるかと思います。
資料の不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いします。
これよりの進行につきましては、林会長にお願いいたします。
○林会長 それでは本日の議事を進めさせていただきたいと思います。
本日は、第6回の肝炎対策推進協議会以降の取組についてというのが最初の議題でございます。2つ目が、平成24年度肝炎対策予算案等についてということで、2つの議題が用意されております。
まず、議題1についてでございますが、昨年8月に開催された前回の協議会においては、基本指針作成以降の国・地方自治体の取組について御議論をいただきましたが、本日はその後の取組みの進捗状況を中心に御議論をいただきたいと思います。
まず、事務局から説明資料に加え、資料2について正木参考人から、資料5については私と熊田委員からプレゼンを行うことにさせていただきます。
本日の進行に際しまして、正木参考人が御都合により途中退席されると伺っておりますので、資料2まで御説明いただいたところで意見交換を行い、その後資料5を進めて、残りの意見交換を行いたいと思います。
それでは、まず、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○神ノ田肝炎対策推進室長 それでは、御説明申し上げます。資料1を御用意いただきたいと思います。
1ページ目に、各自治体における肝炎対策の取組状況についてまとめてございます。肝炎ウイルス検査・検診の推移ということで、そのうち特定感染症検査等事業、保健所または委託医療機関で実施している検査事業でございますけれども、その実績を用意させていただいております。B・Cともに平成22年度は28万人余りの方に受検していただいております。前年度と比べますと約7万人減となっております。
また、今回から感染者数、感染率につきましても報告を求めておりまして、B型につきましては1.0%、C型は0.8%という状況になっております。
2ページは、市町村実施の検査事業の実績でございます。B・Cともに平成22年度の受検者数は約53万人となっておりまして、前年度と比べて約11万人減となっております。感染率はBが0.9%、Cが0.7%というような状況でございます。
3ページは、今年度から取組が始まっております特別枠事業の実施状況についてまとめてございます。肝炎患者支援手帳の作成・配布につきましては、特別枠事業を実施している自治体数は47都道府県中14自治体という状況でございます。また、独自で実施しているという都道府県が2自治体ということで、両者合わせますと16都道府県、実施率にしまして34%という状況でございます。
次の地域肝炎治療コーディネーターの養成につきましては、特別枠事業の実施が17自治体、独自実施が4自治体ということで、合わせて21都道府県となっております。45%の実施率です。
次の出張型検診の実施につきましては、都道府県、保健所設置市、特別区が138自治体ございますけれども、その中で特別枠事業に取り組んでいるところが9自治体にとどまっておりまして、独自実施と合わせましても10自治体ということで、7%にとどまっております。
個別勧奨メニューの実施につきましては1,742市町村中848市町村となっておりまして、独自実施と合わせまして953市町村、55%の実施率という状況でございます。
初年度ということでございまして、実施状況は低調ということになるかと思いますけれども、来年度に向けまして更に国といたしましても働きかけをしてまいりたいと考えております。
4ページをお開きいただきたいと思います。こちらに肝炎対策に係る計画の策定状況をまとめております。法律で義務づけられた計画ということではございませんけれども、基本指針におきまして都道府県計画を策定することが望ましいとされておりまして、厚生労働省といたしましても各都道府県に策定を働きかけてきたところでございます。
策定状況につきましては、重複しているところもございますけれども表のとおりでございまして、肝炎対策に特化した計画を策定済みのところが4自治体、保健医療計画の中に肝炎対策についても盛り込んでいるところが13自治体、がん対策推進計画の中に盛り込んでいるものが18自治体、その他が2となっておりまして、25都道府県におきましては今後、策定する予定と聞いております。
5~6ページに各都道府県の策定状況を表でまとめておりますので、御確認いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○林会長 ありがとうございました。
それでは、正木参考人、よろしくお願いします。
○正木参考人 よろしくお願いいたします。今日は、肝炎情報センター及び肝疾患診療連携拠点病院の取組ということでお話をさせていただきたいと思います。
(PP)
そもそもこういう仕組みがどうして必要になるかという一つの背景をお話ししたいと思います。それが、ここにございますように肝疾患の診療レベル、状況は必ずしも全国で均一ではないということでございます。
(PP)
一例を述べさせていただきますと、例えば、日本肝臓学会が認定しておられます専門医というのは約5,000名近くに達しているわけですが、その専門医の分布を自治体ごとに見たのが一番上のグラフでございます。東京では700名以上ございますけれども、10名前後の自治体もあるということで、かなりのばらつきがございます。ただ、そこに住んでいらっしゃる住民あるいは患者の数で補正しないと公平な判断になりませんので、1つの例といたしまして、平成20年度からインターフェロン医療費助成を開始するに当たって、厚生労働省が見込まれた患者の全国分布という統計がございます。例えば、年間10万人治療をすると考えますと、そのうちどれだけの数が自治体に分布しているかという図になるわけでございますが、ご覧いただきますように、大阪が1万人ということで全国の10分の1に達しておりまして、かなり多い自治体もあれば少ない自治体もある。専門医1名当たり何名の患者さんのインターフェロン治療をすればよいかを単純に計算いたしますと、先ほどの肝臓専門医数で割りますと20名ちょっと治療すればいいということになるわけですが、この線よりも上に来るところが32府県あるということで、専門医がかなり大変な自治体と、専門医の多い自治体はそれが少なくなるというばらつきがあるということが一つございます。
(PP)
東京は700名いるということを申し上げましたけれども、これも東京の中で23区に85%が集中しているということで、23区外は少なくなっているということがございますので、東京とはいえ、必ずしも恵まれているわけではない地域もあるということがおわかりいただけるかと思います。
(PP)
こういう背景をもちまして、5年前に厚労省からこういうガイドラインが出まして、それに基づいて自治体に拠点病院あるいは専門医療機関を設置して、最小のユニットであります患者さんとかかりつけ医をサポートする、それを行政がさらにサポートするというネットワーク構築がこの5年間進んできたわけでございます。
(PP)
ようやく昨年4月に大阪のように患者数の多いところは複数指定されておりますので、全国47自治体で70病院という数の拠点病院が設置され、4年間かかって認定が終わったということになります。そのほとんどが大学病院、国立病院機構ということになるわけで、その他の市立・県立というのは10病院ということになりますが、「国立」がつきますと、後で述べますけれども、拠点病院事業費の算出方法が異なってくるようです。「国立」とついておりますと国から経費が100%出ますけれども、公立・私立大学あるいは県立・市立の病院ですと、地方自治体の事業であるという建前でございますので、自治体が出す事業費に応じて国が出すということで、少しばらつきが生じているということを聞いております。
(PP)
先ほどお話ししましたように、今、全国ではこういうネットワークの構築がほぼ完了したということで、我々の肝炎情報センターが、このシステムを下からサポートするという概念で平成20年11月に設置されたわけでございます。
(PP)
3つのミッションをやっておりまして、1つ目は情報提供ということで、ホームページを立ち上げておりまして公知に努めているところでございます。
2つ目は、拠点病院間の情報共有をするということで、年2回の連絡協議会でいろいろな問題点を話し合うということもやっております。
3つ目が、一番力を入れております研修でございまして、肝疾患の診療連携拠点病院におられる医療従事者向けの研修を平成20年度からずっとやっておりまして、医師向け、看護師向け、あるいは相談員、臨床検査技師等に拡充してきているところでございます。
(PP)
これは昨年12月に市川で行いました看護師さんの研修会ですが、各自治体の拠点病院から1名ずつお呼びしておりますので、この1名1名が各自治体の代表ということになります。その研修会で学ばれたことを各自治体に戻られて、そこの地域の研修会で生かしていただくということで全体のボトムアップを図ることを進めているわけでございます。
(PP)
連絡協議会でございますが、今年1月に開催しておりまして、特に一番のトピックとしてはB型肝炎訴訟のことや、拠点病院事業も4~5年経ちますといろいろな問題点が生じてくるということで、ここにございますような課題について拠点病院の代表の方々との話し合いを持ったわけでございます。特に、拠点病院と自治体とのかかわりについていろいろ問題があるということが指摘されております。
(PP)
いろいろなアンケート調査をいたしましたので、全部を今日はお話しできませんけれども、フリーに書いていただいた「地方自治体への役割に関しての要望」ということで、お手元の資料にもお示ししておりますけれども、一生懸命やっていらっしゃる自治体もありますが、拠点病院の先生方は非常に一生懸命やろうという意欲はあるけれども、自治体の取組には温度差がある、という御指摘が目立つかなと思っております。
(PP)
その他、「厚生労働省に対する要望」ということでいろいろ書いていただいていますけれども、ざっと拝見いたしますと、やはり国の強いリーダーシップをもっと期待しているというのが拠点病院の先生方、事務方の御意見かなと考えております。
(PP)
また、この協議会の意見を踏まえまして昨年5月に基本的指針がまとめられており、その中に拠点病院あるいは我々の肝炎情報センターの役割も強調していただいているところでございます。
(PP)
今日は、この拠点病院がどのくらい活動しているかにつきまして、我々が平成21年度分、平成22年度分に関して行いました現状調査についての成績の一部をお示しいたします。
(PP)
これはこの2年度分を並べて書いております。拠点病院の役割として非常に重要なのが相談支援センターということになりますけれども、その設置は非常に進んでいると評価しております。専任相談員を配置していらっしゃるところもございまして、複数名置いてちゃんと体制を組んでいらっしゃる、専門医あるいは看護師、メディカルソーシャルワーカーというように人員は一応整っていると評価されるかと思います。
(PP)
相談方式も面談、電話に加えまして、Eメール、FAXを取り上げて積極的にやっていらっしゃるということでございますが、その対応の中で、やはり均質な回答でないと困りますのでQ&Aの作成をお願いしておりますが、まだその作成は4分の1にとどまっているということが一つの問題点。
これだけ人員がそろってきた割には、月平均の相談件数が10件、20件以下が多うございまして、ここが一つ問題点かなと考えております。すなわち、認知度を深めていただく必要があるということで、このことは拠点病院のみならず、各自治体の御努力も期待したいと考えているところでございます。
(PP)
相談支援センターにはいろいろな質問が寄せられておりまして、いろいろ変わってくる医療費助成制度に関する質問を筆頭にいたしまして、病気のことや検診のこともございますけれども、最近は、やはり肝炎訴訟に関するお問い合わせが増えているということで、相談員の方はいろいろなことに対応していただかないといけない状況が生まれております。
(PP)
拠点病院が行っていらっしゃる研修会もかなり一生懸命やっていらっしゃいますし、各地域での必要な協議会も複数回開催されているところもございます。連携パスは、半分ぐらいの拠点病院が作成していることがわかっております。作っていないところも、これから作ろうと努力されているところでございます。
(PP)
また、情報提供のホームページの拡充も図られておりますし、各地域での市民公開講座あるいは、その病院を中心とした肝臓病教室の開催もかなり積極的にやっていらっしゃる施設が多いように見受けられるところでございます。
(PP)
先ほど相談員向けの研修会も、かなり一生懸命やらなければいけないというバックグラウンドをお話ししましたが、今月17日、18日に予定しておりますプログラムをお示ししますが、やはりこれらの方々に最新の医療費助成やB型肝炎訴訟のこと、B型・C型肝炎の最新の治療という講義と、いろいろなコミュニケーションスキルアップのためのグループワークを充実しようということで、今年度は2日間に分けて開催する予定にしております。
(PP)
まとめですが、今後の改善に向けた提言をしてほしいと依頼されましたのでお示しいたします。地方自治体に関しましては、もっと積極的な参画をいろいろな面でしていただきたいという要望が出ております。
厚生労働省に対しましては、これはオールジャパンの取組が必要な課題でございますので、一層のリーダーシップを発揮していただきたい。国民への啓発活動も、うまくマスコミを使っていただくことも要望が出ております。
それから、本協議会に対しまして私からお願いしたいのは、肝炎の模範になる取組が「がん」でかなり先行して行われております。がんの協議会でもディスカッションされる内容とかなり類似しているところがあるかなと思います。もちろん「がん」は感染症ではないという大きな違いはありますが、例えば、相談員の育て方やコミュニケーションスキルをアップするところなどは、非常に共通していると思いますので、その辺の情報収集もしていただいて、我々へのより多くの予算配分の働きかけを是非お願いしたいと思っております。
以上でございます。
○林会長 ありがとうございました。
それでは、御質問ございますか。阿部委員どうぞ。
○阿部委員 大変よい御報告だと思いますが、専門医の数が全国バラバラということで、私の県も少ない方ですが、去年隣の県に行きましたけれども20人以下の専門医しかおりません。専門医療機関にも常駐の専門医はいらっしゃらない、半分以上の専門医療機関がそういうところがあります。うちの県もそうでございまして、2次医療圏に全然専門医がいないという地域もかなりございます。岩手の場合はそれに対しての取組は行っていますが、残念ながら、ほかの県では変更できていないところもあります。東北などはほとんど同じような条件になっています。だから、何か代替えのものが必要ではないかと思います。他県ですが、私たちの患者の会に属している人がいまして、どこの先生に行ったらいいかが全然わからないという状態になっています。ですから、そこを今後どのようにしたらいいのか。県の方とお話しするのですが、診療体制については行政の方も口出しができにくいというようなことで、ちょっと話が進みませんでした。何かそういう情報があればお知らせいただければなと思います。
○正木参考人 むしろ肝臓学会の重鎮の先生方からお話しいただいた方がいいかと思うのですが、専門医の数というのは少しずつは増えていると思うのですけれども、やはり大都市、大病院志向というのが専門医の方はどうしてもあると思いますので、少ないところが増えるというのは遅々としているというのはわかります。今回、テラプレビルに関しまして肝臓専門医が関わることがリクワイアメント(必須条件)に入ってしまいましたので、そこのところは厳しいんですが、消化器病の専門医の先生方にもこういう情報を共有していただいて、治療に積極的に入っていただく働きかけをすれば、多少は増えるかと思います。
あと、相談員の話でございますけれども、拠点病院というのは県に1つ、あるいは多くても5つということになります。今、国では相談員という名前ではなかったかもしれませんが、そういうものに答えられる方をスタッフ、保健師さん等の中から育てるという試みを拠点病院を通してお願いされていると聞いておりますし、ある自治体ではそれがうまくいって、そういう認定証を発行して、かなり肝炎に特化して対応できる相談員の方も着実に増えていると聞いておりますので、一つずつ積み上げていく努力をしていくしかないように思います。今すぐにこうなればという回答はちょっと難しいです。
どうでしょうか、肝臓学会の方で何かそういう試みは。
○林会長 かなり難しい問題で、肝臓学会の会員数と専門医の受験者数は確実に増えていっています。先週見ましたが、肝臓学会の会員数は年間100名ぐらい増えています。ただ、肝臓だけの専門医ではなかなか全国をカバーできませんので、消化器病の専門医にも十分肝臓の知識を持っていただくということでしか、なかなか対応はとれないのではないかという気はします。肝臓だけをやる専門医を増やすことは、なかなか困難だと思います。
ほかに御意見ございますか。
○溝上委員 今、専門医の先生がどこにおられて、どこに受診すればいいのかわからないという趣旨の御意見がございましたけれども、それに関しましては、肝臓学会及び情報センターのホームページから専門医の先生がどちらに見えるかわかるようになっていますので、そういうものを活用していただければと思います。よろしくお願いします。
○武田委員 各自治体における特別枠事業の実施状況を見たときに、肝炎患者支援手帳の作成とか少ないですよね。今後は多くなるのでしょうけれども、予算案には手帳をつくるための予算が入っていたと思うのですが、自治体によっては手帳をつくらない県もあるようですけれども、その手帳の予算を肝炎の違う予算に入れ込んで使うことはできるのでしょうか。
○林会長 事務局からお答えいただけますか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 こちらに挙げております事業につきましては、法律で義務づけられているような性格の事業ではなくて、予算事業として行っております。国としては、各自治体で予算を用意して取り組んでもらっているところに半分助成とかそういう形で進めている事業でございますので、まずは各自治体で予算を確保していただくということが前提になってまいりますので、ここは国としてもいろいろなブロック会議とか今年度もやっていきますけれども、そういった中で、こういった事業の必要性をしっかりと説明して理解を得ながらやっていきたいと思います。これは初年度ということですので、来年度はしっかりと増やしていけるのではないかと思っておりますけれども。
○武田委員 その各県では、それをしなかった場合に手帳分の予算は、肝炎対策のための違う予算に使うということはできないのですね。手帳の予算は手帳をつくったところに対して助成が出るということですか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 各自治体ごとに国からの補助金について枠を決めているわけではないです。各自治体から申請を上げていただいて、我々の県ではこういう事業をやります、幾らの規模でやりますと。ついては、国の助成はその半分というような手続を踏んでやりますので。
○武田委員 わかりました。
○林会長 ほかにどうぞ。
○松岡委員 質問ですが、訴訟に対する問い合わせが多いということを言われましたけれども、それは15ページの表の件数の内訳のどれに入っているのか、それとも除外したところなのか教えていただければと思います。
○正木参考人 お答えしますが、その他の中に入っていると思います。複数の質問をされてきますので、この中で全部書き切れなかったところがございますので、訴訟の項目は「その他」の項目の中に増えているとしてカウントさせていただいております。
○松岡委員 そう言われると10~20件というのは少ないですね。やはりもっと宣伝というか、私たちもしなければいけないなと思いました。
○林会長 ほかに何か御質問ございますか。
○南部委員 専門相談員の相談件数がもう少し伸びてきたらなというお話だったんですが、これから体制も整備されていくと思いますが、そういう中で医療費の助成制度の申請は保健所で受け付けておりますので、相談制度についてPRできるようなものを、申請されたときに説明できるように何か考えていただければ、もっと相談が充実してくるのではないかと思います。
○林会長 どうもありがとうございました。
ほかに御質問ございますか。
○武田委員 相談の内容は各県で公表しているのでしょうか。
○正木参考人 各拠点病院の相談支援センターにどういう相談が寄せられたかというデータベースは拠点病院ごとに持っていらっしゃると思いますけれども、それを施設のホームページにアップされているところは少ないかなと思います。
○武田委員 ほかの方が見ても、どのような相談があるか参考にはできないわけですね。
○正木参考人 とりまとめたような形で、こういうものを我々が1年ごとにやっておりまして、このデータにつきましては既に我々の肝炎情報センターのホームページに、すべてではありませんが、アップさせていただいております。大まかにこういう感じで区切った形で公表はしております。
○林会長 ほかによろしいでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。では、次に進ませていただきます。
事務局から資料3、資料4の御説明をよろしくお願いします。
○神ノ田肝炎対策推進室長 それでは、御説明いたします。資料の19ページをお開きいただきたいと思います。こちらに、肝炎治療特別促進事業の拡充ということで、平成23年度に助成対象医療の拡大を図ったものを整理しております。今年度は新たに承認された薬剤や効能追加された薬剤がございました。薬事承認、保険適用後、速やかに医療費助成の対象医療にも追加してきたところでございます。
1つ目が、C型代償性肝硬変に対するペガシス・コペガス併用療法。こちらは7月1日に効能追加されまして、即日で保険適用もされておりますけれども、同日付で助成対象に追加する旨の事務連絡を発出しております。
2番目が、B型慢性活動性肝炎に対するペガシス単剤療法についてでございます。こちらにつきましても、9月26日に効能追加・保険適用となりまして、同日付で助成対象に追加しております。
C型代償性肝硬変に対するペグイントロン・レベトール併用療法につきましても、12月22日に効能追加・保険適用を受けまして、同日付で助成対象に追加いたしております。
最後が、C型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む3剤併用療法についてでございます。9月26日に薬事承認されまして、11月25日に薬価収載・保険適用となっております。こちらにつきましては、12月26日付の通知で助成対象に追加しておりますけれども、保険適用された11月25日にさかのぼって助成対象とするという取扱いとしております。
続きまして、21ページでございます。肝炎研究10カ年戦略の概要ということでまとめております。平成20年に策定されました7カ年戦略に基づきまして、これまで肝炎研究に取り組んでまいりました。こちらの戦略期間は平成20~26年度となっておりますが、4年目に中間見直しを行うことになっておりまして、今年度そのための検討を行いました。その際に挙げられた現状と主な課題を右側に整理しておりますけれども、臨床研究分野におきましては、C型肝炎につきましては難治症例を除いて併用療法の著効率が約80%となっている、かなり改善しているといった現状があるということです。
それに対しましてB型肝炎につきましては、インターフェロンによる治療成績が約20~30%にとどまっているということで、このインターフェロンによる治療効果が期待しにくい症例では、逆転写酵素阻害剤を継続投与するということになりますけれども、その長期投与によるウイルスの薬剤耐性化が問題となっているということでございます。
また、基礎研究分野ですが、C型肝炎につきましては、培養細胞によるウイルス増殖系が確立されまして、臨床応用に向けた基礎研究が着実に実施される環境にあるということに対しまして、B型肝炎につきましては、培養細胞系や感染複製機構が確立されていない中で、基礎研究を行うのに十分な環境が整っていないという状況がわかってまいりました。
こういったことを踏まえまして、中間見直しの検討の結果、来年度を初年度といたします10カ年戦略として再編することになっております。戦略期間につきましては、平成24~33年度の10カ年ということで、新たに取り組む事業といたしまして、B型肝炎の創薬実用化を目指した研究に力を入れていくということで、研究課題に追加されてございます。
戦略目標、数値目標を掲げておりますけれども、この中で上方修正したものがC型肝炎の治療成績で、7カ年戦略におきましては70%を目指すということでしたけれども、10カ年戦略におきましては80%まで改善ということで上方修正をいたしております。
事務局からは以上でございます。
○林会長 では、先に資料3と資料4の御質問を受けさせていただきましょうか。それから少し内容が変わりますので、御質問がございましたらどうぞ。よろしいでしょうか。
では、私と熊田先生のプレゼンの後で、また御質問を受けさせていただきたいと思います。
風邪を引いて少しお聞き苦しいと思いますけれども、よろしくお願いします。
B型肝炎の現状をお話しするようにということでございますので、B型肝炎の治療の現状を少しお話ししたいと思います。
(PP)
B型肝炎のキャリアは御存じのように、垂直感染に伴うキャリア状態で慢性肝炎、肝硬変から肝がんが発症するということです。基本的には、肝がんの発症をどうコントロールするかというのが圧倒的に重要な課題になります。
(PP)
本邦のB型肝炎の治療は現在、核酸アナログ製剤とインターフェロン製剤が使われています。核酸アナログ製剤は2000年にラミブジンが認可され、それから、アデホビル、エンテカビル、アデホビルのナイーブ症例の認可がされています。インターフェロンは1988年に従来型のインターフェロンの28日投与が認可されましたが、昨年にペグインターフェロンの48週治療が認可されております。
現在テノホビルについては臨床試験中だということになります。
(PP)
現在、日本で認可されているラミブジン、アデホビル、エンテカビルのE抗原陽性例とE抗原陰性例の48週投与におけるDNA低下の平均値を見ています。現在ほとんどの方がエンテカビルをファースト中心に使っておりますけれども、他の2剤に比べて抗ウイルス効果はかなり強いですし、実際にウイルスのミューテーションレートもかなり低いということになります。E抗原陰性例でも、やはりエンテカビルの抗ウイルス効果は高いということになります。
(PP)
ラミブジンが導入された患者さんにおいて、どういう因子が肝発がんに関与しているかを調べたものです。年齢は50歳を超えると3.2倍になります。それから、慢性肝炎に比べて肝硬変は4.6倍、血小板が14万以下になりますと4.7倍。
それから、MVRと書いていますのは6か月ごとのウイルスのDNAの中央値が4.0LCに維持できるかどうかということで見ますと、それが維持できれば肝がんになる確率は0.3倍ということで、確率は低くなるということで、現在ウイルスのDNAをできるだけ低い値に維持しようとしております。
(PP)
現在はほとんどエンテカビルが使われておりますけれども、エンテカビルと同じような解析をしてみますと、ウイルスのDNAが2.6LC未満になった割合ですが、治療開始6か月で73%、2年で94%、4年で96%の患者さんは、LCがかなり低いウイルスレベルにできています。
こちらはE抗原陽性の患者さんですが、こちらはE抗原が陰性化した患者さんの割合。2年で10.3%、こちらはE抗原がセロコンバージョンしたレートですが、2年で8.8%になります。
この中で6例にHBs抗原の消失を認めております。
(PP)
エンテカビル死亡例の肝発がんに関与する因子ですが、やはり年齢、肝臓の線維化、ウイルスのDNAにどのくらい差があるかということですが、4.0で切りますと4.0LC以上と4.0LC以下ではかなり大きな差が出てきています。
(PP)
これは台湾のデータですけれども、現在、国際的にウイルスのDNAを10の4乗以下に維持できると、肝硬変への進行、肝がんへの進行を抑制できるということで、慢性肝炎の方については基本的にウイルスのDNA量を10の4乗以下に維持するように治療しているということになります。
ただ最近、DNA以外にHBs抗原量というのが大きな意味を持つという成績が欧米でかなり検討されています。DNAが10の4乗以下でもS抗原量が1,000単位以下に維持できれば、更にがんになる確率が低くなるということで、今後S抗原量を下げるという治療が大きな意味を持ってくるだろうと言われています。
(PP)
一方、ペグインターフェロンの臨床成績ですけれども、日本ではペガシス180μと90μを24週投与と48週投与の4群と、コントロールのHLBI600単位週3回24週の比較試験になっています。
(PP)
これは、複合評価で評価しておりますけれども、E抗原がセロコンバージョンし、かつウイルスのDNAが5.0Logコピー以下になり、ALTが40以下になったものを有効としています。4群の複合評価の有効率が書いてありますが、コントロール7.0に対して、90μと180μを使って48週間治療すれば、17%と15%の患者さんで有効であったということです。
(PP)
投与前のウイルスのDNA別、年齢別で見たものですが、ウイルスの量が7.0Logコピー以上あっても48週間治療を行いますと、19%と14%の確率で有効データということになります。
それから、年齢が高くなると有効率が下がってまいりますが、35歳以上でも180μ48週投与では15%の方に有効であったということでございます。
(PP)
先ほどHBs抗原の陰性化が国際的に注目をされていると申し上げましたが、この臨床試験でも2例の方でHBs抗原のセロコンバージョンが起こっておりました。
(PP)
これは昨年のアメリカの肝臓病学会で出たデータですけれども、ペグインターフェロンの1年投与とエンテカビルを継続的に投与したときの比較をしたものです。E抗原陽性の患者さんでエンテカビルは0.5mg/day投与されています。
(PP)
こちらが累積のE抗原のセロコンバージョン率、こちらが累積のHBs抗原のセロコンバージョン率ですが、インターフェロン投与患者さんでS抗原のセロコンバージョン率が少し高くなっているという成績です。やはりS抗原を下げていこうというと、核酸アナログ製剤では少し弱くて、インターフェロンを使うというのは少し有効な手段かもわかりません。
(PP)
それから、E抗原陰性例とありますが、これはE抗原陰性例を対象に、180μと90μを48週投与しています。
(PP)
こちらがウイルスのDNAの陰性化率ですが、両投与量で大体37%程度です。
こちらはALTの正常化率ですが、大体60%台のALTの正常化率になっています。
(PP)
最後のまとめですが、B型肝炎の治療は核酸アナログ製剤というのは優れた抗ウイルス効果を示します。更に最近エンテカビルを使いますと、ウイルスのミューテーションレートも非常に低くなっていますが、一番大きな問題は長期の投与が必要であるということで、今後、投与期間をどのようにしていくかというのが長期的な治療の評価としては非常に重要であろうと思います。
現在、テノホビルが臨床治験中ですが、これが認可されますと、本邦でも欧米と同等の核酸アナログ製剤の治療選択が可能になります。
それから、ペグインターフェロン認可により今、1年間という投与期間を限定した治療も可能になっているというのが現在のB型肝炎治療のまとめではないかと思っています。
先ほども申し上げましたが、従来のようにウイルスのDNA量だけで評価するのではなくて、今後はHBs抗原の抗原量も加えた評価が重要になるのではないかと思っております。
以上でございます。
先に御質問がございましたら、受けさせていただきます。松岡委員どうぞ。
○松岡委員 27ページのHLBIというのは何か教えていただけますか。
○林会長 HLBIは従来のインターフェロンです。週3回投与するペグインターフェロンの前のインターフェロンで、B型には認められていましたのでコントロールに置いています。
ほかにございますか。よろしいでしょうか。
それでは、次に、熊田先生からC型肝炎の説明をお願いいたします。
○熊田委員 それでは、続きまして、C型肝炎の治療に関してお話をいたします。
(PP)
1992年にインターフェロンが保険承認されましたが、C型肝炎全体の治癒した率は30%ということがわかっております。その後、1型高ウイルスの難治例をどうするかということですが、まず先に、インターフェロン単独療法のペグ化したインターフェロンが承認されまして、2004年に難治例1型高ウイルスにペグインターフェロンとリビバリンの48週が承認されました。1年後には、難治例以外にもペグインターフェロンとリバビリンの24週が承認されました。
2009年から72週の医療費助成が認められまして、2009年にはβインターフェロンとリバビリンが1型・2型が承認されました。それから、2010年に72週の2回目の医療費助成が可となりまして、昨年11月に難治例に対するテラプレビルを含む3剤併用療法が承認されまして、同時に医療費助成が可となったと。今までの流れが1992年から約20年かけて治療法の進歩とともに治療効果が上がって、医療費助成も行われたという現状があります。
(PP)
実際の治療効果を見てみますと、白がインターフェロン単独です。黄色がリバビリン併用療法です。リバビリン併用療法は2005年に承認されましたが、2型の方は88%の治癒率が実際に得られています。それに対して1型高ウイルス量が治験データで43%ということなんですが、実臨床でも43%ぐらいであるということで、ここが一番治療効果を上げなければならないところです。
(PP)
プロテアーゼ阻害剤、テラプレビルの治験が行われまして、日本で行われた第3相試験ですが、これまではペグとリバビリンの48週投与が標準投与でしたが、それを治療期間のトータルを半分にして6か月、24週にして、テラプレビルは12週間上乗せするという形で、投与期間が短くて従来の治療よりも治療効果が上回るかということが1型高ウイルス量で試験が行われました。
(PP)
これは虎の門病院で実際に行われた初回治療例の比較試験ですが、赤が従来のペグとリバビリン。青がテラプレビルを含めた3剤ですが、ウイルス量が6とか7ある方が、従来のペグ・リバはゆっくりゆっくり下がりまして、12週ぐらいで約半分の方のウイルスが陰性化しましたが、今回のテラプレビルは4週で82%、6週では全例でウイルスが消えてしまいます。ただ、ウイルスが消えても治ったわけではありませんので、最終的にはテラプレビルを含めたプロテアーゼ阻害剤では半年の治療で76%、従来のペグとリバビリンの併用48週間では43%ということで、プロテアーゼを含めた3剤併用療法は治療期間も短く、効果も高かったということです。
(PP)
実際に全国治験の成績ですが、全く同じです。初回治療例では全部で126例で半年間の治療が行われましたが、73%の治療効果。一方、初回治療例は63例、2対1の割付でしたので半分ですが49.2%ということで、その差は有意であったと。投与期間も短く、効果も高かったということです。
(PP)
これは前治療でして、既に1回治療をやってウイルスが一旦消えたのですが、また出てしまった、いわゆる再燃例と言われている方ですが、109例の治験が行われまして、こちらは非常に高くて88%という治療効果が得られました。
しかし、一方、前治療でペグとリバビリンでウイルスが全く消えなかった方、いわゆる反応がなかった方に関しては治療効果が34.4%。ここを今後どのくらい上げられるかというのが課題ということになります。
(PP)
今回のテラプレビルもそうですが、ペグインターフェロンとリバビリンは大体半分治って、半分治らないと。何が違うのだろうかという研究が行われました。人間の遺伝子がこれほど注目を浴びたことはありませんが、これは中村先生の図をお借りしたんですが、人間の遺伝子の中でたった1か所違うだけで、例えば、背が高い、背が低い、やせている、太っている。あるいは病気で言うと、インフルエンザにかかると熱が出やすい方もいれば、かかっても熱が出にくい方もいる。あるいは薬に対しても、薬がよく効く方と効かない方、あるいは副作用が強く出る方というように、同じ病気なのに人によってそれぞれ反応が全然違うということで、遺伝子を解析したらどうなのかということです。
(PP)
これに関しては、今日おられる溝上先生や田中先生方が日本で発見して、世界から同時に3つの論文が出ました。今回のテラプレビルを含めた3剤併用療法ではどうかということを見てみますと、このIL28という遺伝子が治りやすい遺伝子を持っているTTの方ですと、実に今回の治療ではほとんどの方が治ってしまう。全体で言うと94%の人が治癒しました。
一方、人間の遺伝子がインターフェロンで治りにくいTGかGGという遺伝子を持っている方ですと、治りやすいウイルス因子の中で70番というところを調べて、そこが変わっていないと64%、変わっていると21%。このように人間の遺伝子とウイルスの遺伝子を調べると、今回の効果をある程度予測することが可能になりました。
(PP)
このテラプレビルという薬剤は治療期間も短く、効果は高いですが、一方で副作用が多く出ます。これは国内第3相試験、最後の試験で初回治療を行った126例で見ますと、何らかの理由で治療が途中で中断しております。その中で一番多かったのは貧血、次に、皮膚症状が起こると。こういう症状で治療を中断しなければいけないということが実際に治験で起こりました。
(PP)
皮膚症状に関しては、虎の門病院で第3相試験を終えた方61例のまとめですが、皮膚症状が全く出ないという方は61名中10名しかいない。8割ぐらいの方に皮膚症状が出るということがわかりました。ただ、出ても何もしなくてもいいという方が5名、合わせて15名ですから、61名中15名は何もしなくてもよかったのですが、35%の方、21名は皮疹が出るから塗り薬を塗らなければならなかったと。それから、かゆいということでかゆみ止めのアレルギー剤も飲まなければいけなかった方が12名。更に、内服ステロイドを飲まなければいけなかった方が13名という結果でした。ただ、当院の61例では皮膚科の症状は、早く手を打ったということもありますが、1例も中止例はありませんでした。
(PP)
もう一つ問題になるのは貧血が来るということです。今回はヘモグロビン値で12以上という人しか治験は行われていません。日本人の女性では11台という方も結構おります。この12以上という条件で行った治験の中で、赤が従来のペグとリバビリン、青が3剤併用、青の方が下に線がいきます。大体ヘモグロビン値は平均で1ぐらいヘモグロビンが下がるということで、貧血の人は今回の治療はなかなかやりづらいということがわかっております。
(PP)
厚労省の研究班で今回、日本人に合わせたテラプレビルとリバビリンの開始量にある程度の目安をつくろうということで、第3相試験の治験データから量を少し減らし気味にした方がいいのではないかと。例えば、治験でヘモグロビンが13~14以上の方にやると、実は女性のみが貧血で中止になっているということがわかっております。12~13だと男性も結構中止例が多いということがわかっていますので、ヘモグロビンが14以上のある元気な方、血も多いという方は通常量でよいのですが、少ない方に関してはリバビリンもテラプレビルも減量した方がいいのではないかと考えて、ガイドラインとして出そうということになっております。
(PP)
それから、もう一つは尿ですね。いわゆる尿酸とかクレアチニンという腎臓の機能にも影響するということが、治験のときはそんなにクローズアップされていませんでしたが、当院で行った61例の治験で見ると、クレアチニンというのは通常0.9~1.0ぐらいですが、1.5とか高い方は2まで上がった。こういう方たちにこのまま使っていくと、どんどん上がってしまうので、いわゆる抗尿酸剤を使いますと下がると。腎臓のことも考えなければいけないということもわかっております。
(PP)
そういうことから、今回、厚生労働省から、この治療は肝臓専門医に限ってしてくださいということと、もう一つは、貧血はペグとリバビリンでなれているのでいいだろうということですが、皮膚症状で中止することがあるので、皮膚科の専門医と連携できる病院という認可条件がつきました。3剤併用療法は、治療期間も短くて効果も高いですが副作用も多いということで、専門医が治療すべき薬剤であると。
現在、発売してから3か月経っておりまして、約1,400例が全国で既に使われ始めたというのが現状です。
以上です。
○林会長 御質問がございましたらどうぞ。
○天野委員 このテラプレビル3剤併用療法は大変効果が高いということですけれども、副作用も強いということで、受けようかどうかと悩まれる患者さんが結構いらっしゃると思われます。それでIL28Bですとか、コア70番のアミノ酸の変異を調べると、かなり効く方がはっきりしますので、この検査というのを医療費助成に含めていただいて治療していただくと、かなりいいのではないかと思いますが、医療費助成にはならないのでしょうか。
○熊田委員 おっしゃるとおりだと思います。ただ、IL28に関しては高度先進医療で既に行われています。ですから、国としては高度先進医療の結論を待って保険適用する前段階になります。ですから、IL28に関しては高度先進のデータが出て終わって、PMDAの方で承認すべきだという判断をすればいいですが、溝上先生、そのことについて何かコメントありますか。
○溝上委員 高度先進医療で今、8施設で始まっております。一応、肝臓学会には保険申請しましたが、学会としては認められませんでした。その後、厚労省から高度先進医療に申請するようにという指示があって申請しました。現在、8施設が高度先進医療で施行中です。
あと、コア70についても今のところは。それは高度先進医療に入っていますか。
○熊田委員 いえ、入っていません。肝臓学会としての要望は出ております。
○林会長 ほかに御質問ございますか。
○阿部委員 今回はコア70番のご説明がありましたが、ある方の検査では、NS5Nの方に変異が非常に多い方で、コア70が変異しているという方がおります。前はNS5Aだけの時代がありましたけれども、そのときは変異が多ければほとんど治るということでしたが、そことの関連というのはどうなのでしょうか。
○熊田委員 ISDRというかNS5Aの変異は、あくまでもインターフェロン単独療法とペグとリバビリンの2剤併用療法の話です。IL28は全部に関係してきますけれども、ISDRに関しては変異が多いと治る。実際にはこういう人は既にほとんど治ってしまっています。現実に今残っている人というのは、ISDRが1か0で難治例の方ばかりが実は残っているという現状があります。ですから、ISDRが4以上ということでミュータントであれば、当然ながら3剤併用療法はよく治ると思います。
○林会長 ほかはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは、次でございますけれども、事務局から平成24年度の肝炎対策予算案等について御説明をよろしくお願いいたします。
○神ノ田肝炎対策推進室長 それでは、御説明いたします。資料の42ページをお開きください。
平成24年度の政府予算案でございますけれども、肝炎関係の予算といたしまして、239億円ということで、財政が非常に厳しい中ではありましたけれども、対前年度2億円増を確保してございます。
5本柱で進めておりますが、1本目の柱が43ページになります。肝炎治療促進のための環境整備ということで137億円となっております。こちらは医療費助成が15億円減となっておりますけれども、対象医療につきましては先ほど来御説明しておりますように、拡充が図られておりまして、こういった医療の推進には十分な予算を確保しているところでございます。
44ページでございます。検査の関係でございます。こちらも14億円減となってございますけれども、今年度から取り組んでおります出張型検診ですとか、また、個別勧奨といったような特別事業につきましても、しっかりと推進していく上で必要な予算は確保できているところでございます。
45ページは診療体制の関係でございまして、3億円の増となっております。下線部分が新規事業になります。これまで各都道府県、原則1か所の拠点病院に相談センターを設置いたしまして、相談体制の構築を図ってきたところでございますけれども、患者さん、または感染者の方々が相談しようとした場合に、各都道府県1か所ということがかなり利便性の面で問題があるのではないかという話もございましたので、今回の予算案では専門医療機関にも相談体制を整備していくようなことを考えてございます。今年度から養成を始めておりますコーディネーターを専門医療機関に配置いたしまして、相談体制の整備を図っていきたいと考えております。それによりまして、利便性の向上も図っていきたいということでございます。
46ページにまいりまして、普及啓発関係でございます。予算額は同額となっておりますけれども、平成23年度の単年度事業ということで行っております肝炎検査受検状況実態把握事業については平成24年度で終了するということで、それに代わる事業といたしまして、国が実施主体となる普及啓発事業ということで、多角的普及啓発事業を新規で計上いたしております。平成24年7月28日が第1回目の日本肝炎デーとなりますので、そのイベント等も含めまして、肝炎に関する正しい知識の普及あるいは差別・偏見の解消などに取り組んでいきたいと考えてございます。
自治体等が行います普及啓発につきましては、従来どおり肝炎患者等支援対策事業の中で9,000万円ほど確保いたしているところでございます。
47ページにまいりまして、研究関係の予算でございます。ご覧のとおり、大幅な増額となっておりますけれども、B型肝炎の画期的な新薬の開発を目指した事業といたしまして、B型肝炎創薬実用化等研究事業28億円を新規事業として計上いたしております。これにつきましては、先ほど御説明いたしました10カ年戦略に基づきまして、画期的な新薬の開発を目指すということで取り組んでまいりたいと考えております。
49ページにまいりまして資料7、普及啓発関係の取組をまとめてございます。肝炎対策基本指針におきましては、肝炎ウイルスの新たな感染の予防、また、検査受検の勧奨、治療の促進、または不当な差別を受けることのない環境づくりといったことにすべて普及啓発の中で取り組んでいくこととなってございます。こういったことから、基本指針におきましても、WHO総会において世界肝炎デーの実施が決議されたことを踏まえて、日本肝炎デーを設定する、あるいはウイルス肝炎研究財団が従来から実施してきた肝臓週間と連携するといったようなことも今後の取組として示されたところでございます。
これを踏まえまして、平成24年度の取組といたしましては、7月28日を日本肝炎デーといたしまして、この日に合わせて大規模なイベント等も検討してまいりたいと考えております。
また、肝臓週間につきましては、ウイルス肝炎研究財団の方で従来5月の第4週としていたものを、日本肝炎デーを含む1週間ということで変更していただいておりますので、この財団が行う肝臓週間ともしっかり連携を図った取組を進めていけたらと考えております。
先ほども御説明しましたけれども、地方自治体に対する普及啓発活動に対する補助金、また、国が直轄で行う事業につきましても1億円ということで計上しておりますので、しっかりこういった予算を活用して全国的な普及啓発活動を展開してまいりたいと考えております。
51ページの資料8は御報告でございますけれども、今年度の単年度事業でございます実態把握事業の進捗状況です。これまでの取組としてスケジュールに書いておりますが、7月に実施法人を決定いたしまして、その後、総務省等の事前協議等も行ってまいりました。12月から自治体調査、保険者調査を開始しておりまして、回収率は自治体調査につきましては73.6%、保険者調査につきましては66.7%となっております。
年が明けまして1月になってから国民調査を開始しておりまして、7万4,000の調査票を配布いたしまして、回収率は32.1%となっております。現在、その集計分析等を進めているところでございまして、次回の協議会におきましては、その結果等につきましても御報告できるものと考えております。
2番に主な調査項目をまとめております。国民調査におきましては、肝炎に対する認識がどれくらいあるか、検査の受検の有無、また、受検場所、受検のきっかけ、また、医療機関の受診状況、つまり検査の結果、陽性となった場合にしっかりと受診しているかどうかといったことも確認していますし、また、検査を受検していない方に対しては、その理由や今後受検する意思があるかどうか。そのようなこともこの調査の中で把握したいと考えております。
保険者調査、自治体調査につきましては、こちらの項目について調査いたしております。
事務局からは以上でございます。
○林会長 それでは、この平成24年度の予算案に御質問がございましたらどうぞ。
○天野委員 質問というのではないのですけれども、実は資料がなかなか来なかったものですから、厚労省のホームページで平成24年度の予算案の概要を見てみました。そうしますと、4番の国民に対する正しい知識の普及と理解というところに、こちらに書いてあるよりもうちょっと詳しく書いてありまして、新規事業として多角的な情報発信による周知ということで、新聞、テレビ、公共交通機関等の多様な媒体を活用した広報などで周知・啓発事業を実施すると書いてありました。やはりマスメディアを活用して広報を行うということは、より多くの国民に対して非常に効果的に広報できると思いますので、是非これはやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○林会長 御意見でございますね。
○篠原委員(代理:遠藤氏) 連合の遠藤です。連合は、働く労働者の立場でこの会議に参画させていただいております。今の新規事業の関係ですけれども、肝炎患者が安心して治療しながら働ける職場環境を推進していきたいと思っておりますが、それに当たっては、事業者と私たち労働者の偏見などをなくしていく、それが非常に重要になってきます。したがって、今回正しい知識の普及啓発ということでこの新規事業がありますので、第1回の肝炎デーということもありますので、効果的な事業になるように是非、御検討いただければと思います。
以上です。
○林会長 ほかに御意見・御質問ございますか。
○阿部委員 肝炎対策の予算というのが対前年で増えているということで、いい傾向ではありますが、内容的に言いますと、例えば、肝炎治療促進のための環境整備が152億円に対して137億円。ウイルス検査の促進が55億円に対して41億円ということで、本当にここが進まないとだめだなというところが下がっているのですが、これは今年度の実績か何かの見合いで来年度を下げているということですか。
○林会長 これは事務局からお答えいただけますか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 御指摘のとおりでございまして、実績を踏まえて、減額にはなっていますけれども、予算が足りないから事業が実施できないとか、そのようなことはないような十分な額は計上しているところでございます。
先ほど、普及啓発について御意見がございました。参考資料の75ページをお開きいただきたいと思います。先ほど御説明した、来年度国が直轄で行う普及啓発事業につきまして、現在、企画競争ということで啓発関係の会社に企画を提案してもらおうということで募集しているところでございます。4番にありますけれども、ちょうど本日3月2日が期限となっておりますが、上がってきた提案の中で効果が上がるものを採択して、先ほどお話があったようなマスコミ等とも連携を図って、また、新聞メディア等も活用したような普及啓発活動を展開していきたいと考えております。また、差別・偏見についても、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○林会長 今日が締め切りだそうでございます。
○保坂委員 今のお話だと、大変患者団体の皆様が期待されるのではないかと思うのですが、今募集していらっしゃるのは1億円ですよね。それから、もう一つが0.9億円で、これは自治体の普及啓発活動の補助ということですが、この額は少な過ぎて、結果的には皆さんが考えているような普及啓発活動はできないだろうと。例えば、新聞を使ってというときに、新聞が普通の記事で取り上げてくださるということならいいのですけれども、いわゆる広告スペースでやるには余りにも、もし、全国的に全面的な展開をしたいのであれば2けた違うと思います。2けたとは言わないまでも、1けた違えばかなりのことができると思いますが、苦しいところでこれだけの予算なのでしょうけれども、ですから、その中で最大限できることということで企画競争されているとは思いますが、今皆様方がすごく期待を膨らませたような感じがしたものですから、一言申し上げました。
○林会長 ごもっともな御意見でございます。ただ、この領域は単に広告を載せるだけではなくて学術的なことでないと報道で取り上げますので、そういうのは十分利用していただかないと、なかなか普及はできないのではないかという気はいたします。
ほかに御意見・御要望ございますか。
○阿部委員 資料8の肝炎検査受検状況実態把握事業の概要ということで中間報告でございますが、基本指針のなかに行政研究というのが7項目ございますけれども、その中に肝炎ウイルス検査の実態把握と今後の在り方研究というのがあるのですが、これは今回の事業で終わったということでよろしいのでしょうか。私も、後で私たちの現場から見たウイルス検診の状況をお話ししたいと思って今日持ってきたのですが、これでどんなことを今後やっていこうとなさっているのか。例えば、受診率なども勿論毎年見ていかなければわからないわけですよね。だけれども、これは単年度の事業で、今後の方向にどのように結びつけていこうとなさっているのかがちょっと見えないので、わかればその辺をお願いしたいと思います。
○神ノ田肝炎対策推進室長 この事業につきましては、単年度事業ということでやっていますので、今月末をもって一応の終了ということになりますけれども、その中で、まずは検査の実態が全然わからないじゃないかと。いろいろな検査を受ける機会があるのですが、全体として何割くらいの方が受けているとか、その辺がまだわかっていないと。また、受けていない方については、どういうことをすれば受けてもらえるような環境を整えることができるかとか、その辺もこの調査の中で把握できるかと思いますので、その結果を踏まえて施策にしっかりと反映させていきたいと思っております。
事業自体は今年度で終わりますけれども、データ自体は国が行った事業ですので、それについては活用していくことはできると思います。例えば、研究班がございますので、そちらで更に詳細な分析をしてもらうとか、そういったことはできるかと思っております。
あと、1回限りかということについてですけれども、それは将来考えることになるかと思いますが、例えば、基本指針をまた見直すとか、そういうタイミングで、もし、もう一度調査が必要だということであれば、そういったことも含めて検討していくことになるかなと考えております。
○林会長 田中先生、御意見ございますか。
○田中委員 今おっしゃったように、日本国全体としてどのくらい受けているのかをとりあえず把握して、受けていない方はなぜ受けていないのか、どうやったら検査を受けにいくかという取っかかりのために行われています。詳細なデータを解析することによって、いろいろな施策の提示を行い、それを厚生労働省の方で評価していただいて、施策に反映するということになるかと思いますので、今おっしゃったとおりだと思います。
○林会長 ありがとうございました。
それ以外にございますか。
○木村委員 今の件に関してですが、調査の内容的なものをいただくことは可能なのでしょうか。
それと、国民調査ですけれども、公表に向けた準備を4月にという予定ですが、公表はいつ時期にという日程が今現在あるのか、ないのか、その2点お聞きしたいと思います。
○神ノ田肝炎対策推進室長 今日も参考資料につけておけばよかったのですけれども、調査票自体はホームページに既に公開しております。
2点目が、いつごろかということでございますけれども、なるべく早くやりたいと思っております。少なくとも次回の協議会では、しっかとりわかりやすい形で加工して、どういった形で施策に反映させていったらいいかということも含めて御紹介できるように準備を進めていきたいと思っております。
○木村委員 その内容をホームページでとおっしゃっていましたけれども、それはそのものではないですよね。集計したものではなしに、アンケートの調査内容ですね。
○神ノ田肝炎対策推進室長 調査票をオープンにしておりますので。
○木村委員 わかりました、ありがとうございます。
○林会長 ほかによろしいでしょうか。
○瀬戸委員 中小企業団体中央会でございます。この普及啓発につきましては、私ども中小企業団体の組織でありますので、先ほど連合様が言われましたように、職場において差別のないようにしていきたいということでの普及啓発には御協力を惜しまないものでございますので、よろしくお願いしたいと存じます。
○林会長 よろしくお願いいたします。
それ以外に御意見・御質問はよろしゅうございますか。
○阿部委員 実態把握事業の報告をして、次の年度の予算あるいは施策に結びつけていくということだと思いますけれども、そういう意味では我々も予算要望の関係もあって、できれば早い時期にというか、6月ごろとかそういうときにできれば協議会で議論して、具体的な施策を打っていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 先ほどもお答えしましたけれども、なるべく早く、今年度事業ですので、整理した後速やかに公開したいと思います。ただ、わかりやすく加工するのにちょっと時間をいただけたらなと思っておりますけれども。
○林会長 ほかによろしいでしょうか。
局長どうぞ。
○外山健康局長 予算ではないのですけれども一言だけ。4月1日から肝炎対策推進室が訓令室から省令室に変わりまして格が上がるということで、見かけは変わらないのですけれども、役所の中での格が上になるということで一つ御報告でございます。
○林会長 わかりました。かなり権限が出てくるということですね。
○外山健康局長 役所にとっては大事なことでございまして、健康局に新たに「がん・健康対策課(仮称)」というのも4月1日からできるのですけれども、よく比較されるのは、がんの対策と肝炎の対策ということで皆さんの心の中にあると思いますので、肝炎の方もきちんと省令室に一段上がるということを強調していきたいと思っております。
○林会長 ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
○阿部委員 何度もすみません。十分な予算があるということなのですが、肝炎患者支援手帳なども今年度の実績というのは初年度ですので、このぐらいかなという部分もありますが、去年ある会員の方が肝がんで亡くなりました。ところが、その方は私たちの会に入る前は、かかりつけ医に9年間ずっとかかっておられて、主治医から大丈夫、問題ありませんと言われて9年間治療して来たそうです。ところが、9年目にがんが出て、それから1年しないうちに亡くなったわけです。やはり私たちも随分いろいろな取組みを、もう10年ぐらい地元でやっているわけですけれども、かかりつけ医が専門医に、あるいは専門医療機関になかなか紹介しないという事例が去年は2件あって、2人の方が亡くなっています。ですから、県の協議会でも何とか手帳をつくって、そういうことはなくすようにしようということでやっています。コーディネーターもそうなのですが、この二つの施策は非常に重要な役割を果たしていると思っておりますので、是非、来年度は少なくとも8~9割は実行してほしいと思います。予算はあっても実行しなければ意味がないわけです。例えば、手帳などもそうですが、東北では岩手しか今年度はやらないという状況で、ほかの5県は全然予定にもないということもございますので、是非、先ほどの報告にもありましたように、厚労省さんがもっとイニシアチブをとってやっていただきたいなと思います。
○林会長 ほかにございますか。
○武田委員 私は、初めから治療と職業の両立というのを言っているのですけれども、ハローワーク等にもそういうことを提示するみたいなことをしていただいて、もっともっと普及して、本当は助成金が欲しいぐらいなのですけれども、もっと理解を示していただけたらと思います。治療と職場での支援です。
○林会長 それをハローワークにやっていただくということですか。
○武田委員 ハローワークとかそういうようなところにも。
○林会長 ハローワークは専門外ですが、ハローワークでそういうことはできますか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 趣旨はよく理解できました。昨年、基本指針を策定していただきまして、基本指針の中にもそういった職域での環境整備は非常に重要だと書かれておりますので、まとめられた趣旨については経済団体といったところにも配布させていただいて、御協力いただくような働きかけをしておりますので、また今後も引き続きそういった取組みをしっかり進めていきたいと思っております。
○松岡総務課長 治療と職業の両立については、労働部局の方で新しく検討会を立ち上げまして、先般第1回が開かれたところですけれども、そういった中で御議論が進んでいくと思います。我々健康局も参加させていただいていますので、労働部局とよく連携をとってやっていきたいと思っております。
○林会長 局長どうぞ。
○外山健康局長 同じことを言おうと思いまして。がんもそうですけれども、肝炎も重要なテーマとして今、労働部局と一緒になって検討会をスタートしたところでございます。
○林会長 ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、その他に進ませていただきますが、事務局から何かございますか。
○巽健康対策調整官 53ページの資料9をお開きください。このたびB型肝炎の特別措置法が成立いたしまして、B型肝炎訴訟につきまして昨年6月28日に国と原告との間で基本合意書が締結されまして、現在、訴訟提起している人だけではなくて、今後提訴される方への対応も含めた全体的な解決をするということで、政府が先の秋の臨時国会に提出いたしまして、12月9日に成立いたしました。本年1月13日から施行されているところでございます。
1に対象者が書かれておりますけれども、これにつきましては、基本合意書に記載してあるものと同様の内容となっております。
(2)につきましては、C型肝炎の特措法と同様、対象認定につきましては裁判上の和解手続等で行うということで、いわゆる司法認定ということになっております。
2の給付金支給につきましては、給付金の金額等につきましても同様に、原告との基本合意書に記載してあるものと同様の内容となっているところでございます。
以下、訴訟手当金、追加給付金、定期検査費等につきましても、基本合意書に記載してあるものと同様の内容となっております。
2の(5)でございますけれども、給付金の請求につきましては、5年間の請求期限を設けられております。ただ、この請求期限につきましては、請求を打ち切るという趣旨ではございませんで、早期の申請を促すということでC型肝炎の特措法と同様の規定を設けているところでございます。
一番最後の見直し規定にもありますように、施行後5年をめどに給付金の請求の状況を勘案して、請求期限につきまして必要な措置を講ずることになっておりますので、その請求状況も見て対応するということでございます。
ほかに給付金の支給事務につきましては、社会保険診療報酬支払基金で行うことになっております。
B型肝炎訴訟につきましては、特に先ほどから一般施策の周知・広報が言われておりますけれども、訴訟手続につきましても、救済手続につきましても、同様に周知・広報が重要だと考えているところでございます。厚生労働省ではホームページへの手続の掲載、和解要件、手続等を具体的に示しましたB型肝炎訴訟の手引きを作成しまして、都道府県あるいは保健所設置市等に送付しているところでございます。
また、政府広報等を活用しまして、昨年12月初旬に4大紙の新聞等に厚生労働省の相談窓口の政府広報をしたところでございます。今後は、資料として54~55ページにありますけれども、これは裏表の関係になるわけですが、こういうリーフレットを作成して、これから都道府県や保健所あるいは関係団体、医療機関等に配布することになっております。
ほかにも、今後ポスターや、またB型肝炎特措法につきまして、引き続き新聞等の政府広報をすることによって、B型肝炎の特措法ができて救済手続があるということを国民に周知することが重要だと考えておりますので、引き続き周知・広報に努めていくということであります。
簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。
○林会長 ありがとうございました。
御質問・御意見ございますか。
○木村委員 まず、特別措置法が施行されまして、55ページにウイルス検査についてという項目がございます。それと、原告団との和解の中でも実態調査の項目があるかと思うのですけれども、これらをこれまで言われています検査の受検者の実態の把握や検査の推進に絡めていくような対応をしていく予定はあるのでしょうか。
○巽健康対策調整官 今示しましたリーフレットでも、やはり弁護団、原告団の方からB型肝炎のウイルス検査というのは、基本的にそこから始まるということは言われております。肝炎の専門医との協議会等での研修の発表とか、あるいはこういうリーフレットに掲載することによって、肝炎ウイルス検査の重要性についても同様に周知・広報していきたいと思っているところでございます。
○木村委員 ありがとうございました。
あと、特別措置法についてですけれども、実際に検査の項目について動き出しているものはあるのでしょうか。あるのであれば、具体的な動き、何をやっているかということがあれば教えていただきたいと思います。
○巽健康対策調整官 基本的に先ほども言いましたように、これは裁判所の和解調書を基に給付金あるいは無症候性キャリアの方等につきましては、血液検査あるいはワクチンの投与等を受けることができることになっております。
3月2日現在で179名の方が和解になっているところでございます。現在、全国25地裁、約3,000名ぐらいの原告が提訴中ということでございますので、いずれにしても個別和解が成立していって、この基本合意書に基づいた給付をやっていくということになっております。
○木村委員 ということは、これからということでよろしいのでしょうか。
○巽健康対策調整官 肝炎ウイルス検査は既存の一般施策でやっております。保健所の設置市でやっている施策は施策としてありますし、訴訟で和解された方については、当然、特措法に基づき給付をやっていくということになっております。
○林会長 ほかは御意見等はよろしゅうございますか。
○阿部委員 その他なので何でもいいでしょうか。
○林会長 今の件については、よろしゅうございますか。
○外山健康局長 お知らせですけれども、先ほどの神ノ田室長の肝炎対策推進室とはまた別に、今もB型肝炎の対策室があるのですが、それをきちんとした訓令室にして体制を整備して、今、巽調整官が申し上げたことについても、きちんと体制を整備して行うというお知らせでございます。4月1日からです。
○林会長 わかりました。
それでは、全般について御質問・御意見等ございましたら。
○阿部委員 参考資料7に、肝炎等克服緊急対策研究事業の一覧がございます。先ほどもお話ししましたが、基本的に行政研究ということで7項目挙げているわけですが、この一覧に全部行政研究が項目としては含まれていると、平成23年度全部行政研究として走り始めたということでよろしいわけですね。
ここの研究課題名がいろいろあって、どれがどれかというのがよくわからないですけれども、いずれも走り始めたということでよろしいわけですよね。
○神ノ田肝炎対策推進室長 今年度からスタートしております。基本指針に行政研究の課題が幾つか掲げられていたかと思いますけれども、それはカバーできるような形で研究班を組織しています。まだ初年度ですので、また成果が上がってきたら適宜御報告等もできるかと思っております。
○阿部委員 資料にも載っているのですが、日本肝臓病患者団体協議会から提出した肝硬変・肝がんの患者の支援を求めた国会請願を採択いただいたわけですけれども、その関係で肝硬変、肝がんの病態別の実態把握の研究というのがあるわけですけれども、3年の研究期間という期間をお聞きしているのですが、肝硬変・肝がんで亡くなっている人が年間5万人近くもいらっしゃるということで、できれば単年度でも中間報告をしていただいて、できるものから進めていただくようお願いしたと思います。
○林会長 単年度ごとに一応報告書は出てまいりますので、当然のことではないかと思います。
○天野委員 今の行政研究についてお聞きしたかったのですが、参考資料7の73ページ、平成23年度難病・がん等の疾病分野の研究事業。2段目に八橋弘先生の研究事業について書いてあるのですけれども、この研究事業の位置づけについて伺いたいと思います。参考資料9で、日本肝臓病患者団体協議会(日肝協)が提出した肝硬変・肝がん患者等の療養支援などに関する請願が昨年8月31日の衆参両院本会議で議決されました。数多くの請願が出された中で、日肝協から出されたものが衆参両院で、ただ1つだけ議決されたということです。
請願の要旨は参考資料9に書いてありますけれども、第2の国民病と言われるウイルス性肝炎患者・感染者(肝硬変・肝がん患者を含む)への対策と支援を更に進めるように求めております。措置1として、肝硬変及び肝がん患者に対する医療費助成を含む支援の在り方を研究することということで請願を出しております。
採択された請願というのは内閣に送付されて、内閣は国会に対してその処理を報告しなければならないということになっておりますので、この内閣処理経過が書いてございます。1として、肝硬変及び肝がん患者に対する支援については、肝炎対策の推進に関する基本的な指針において、国は肝炎から進行した肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方について検討する上での情報を収集するため、肝硬変及び肝がん患者に対する肝炎医療や生活実態等に関する現状を把握するための調査・研究を行うとしております。これは肝炎対策基本指針を決めた委員の方々は周知のことと思われますけれども、これを受けて、厚生労働科学研究班として、平成23年度から病態別の患者の実態把握のための調査・研究を行う研究班を立ち上げたところであるとあります。その研究によって得られる成果や肝炎対策基本法に基づき設置している肝炎対策推進協議会における議論等を踏まえ、肝硬変及び肝がん患者に対する支援の在り方について検討してまいりましたと書いてあるのですけれども、ここに書いてあります病態別の患者の実態把握のための調査を行う研究班というのは、八橋先生の研究班という位置づけでよろしいのでしょうか。
○林会長 八橋先生の研究班のタイトルは、そのタイトルになっていますけれども。
○天野委員 ということは、八橋班は、肝硬変及び肝がん患者に対する肝炎医療や生活実態を把握して、支援の在り方を検討する研究会ということでいいわけですね。
○林会長 タイトル名には「支援」は入っておりませんが、内容はそれに準じる内容ではないかと思います。私も内容を見ているわけではないですが。
○神ノ田肝炎対策推進室長 今お話のあったとおりのことを、しっかりとこの研究班の中で実施してまいりたいと思っております。
○天野委員 もう一つですけれども、八橋先生の研究班では患者さんに対してアンケートをとっているということなのですが、このアンケートの中間報告というのは、この協議会の場で御報告いただきたいと思いますが、いつごろ上がってくる予定でしょうか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 3年計画の初年度ということで、今年度は主に調査の企画という段階です。調査についてはまだ始めたばかりということですので、2年度以降、調査結果をとりまとめて分析してということで取り組んでいくものと思われます。いずれにしましても、成果が上がったものについては、この場にしっかりと御報告差し上げたいと思っております。
○林会長 ほかに御質問はよろしいでしょうか。
○木村委員 林会長と事務局に2~3あります。
まず、林会長にですけれども、B型肝炎の治療に関して、現在は核酸アナログ製剤のエンテカビルが主だと思われますが、今後、前剤のような耐性ウイルス等の出現の見込みはあるのかということと、インターフェロン治療についてC型の場合は型によって効果がある、ないというのがありますけれども、B型に関してはジェノタイプの型によって効果が期待できる、薄いというのがあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○林会長 最初の御質問ですけれども、エンテカビルのミューテーションも思ったほどは高くありませんが、起こす患者さんはおられます。そういうことで、それに対する対策としてテノホビルの臨床試験を現在やっています。だから、認可もかなり厚労省が努力していただいていますので、早く認可できると思います。そうしますと、変異が起こった例についてはテノホビルが使えるようになります。
○木村委員 テノホビルは切り替えということですか。
○林会長 切り替えです。いろいろな使い方がありますが、基本的には切り替えと考えます。
それから、インターフェロンについてはB型のジェノタイプで有効事象が違います。日本はジェノタイプA、B、Cと言いますけれども、ジェノタイプA、Bの方が有効性が高くて、ジェノタイプCが有効性が低い。それはわかっています。
○木村委員 それと、今までガイドラインでは35歳を境にというのがありましたけれども、先ほど35歳以上でも効果がある程度見られる場合もあるという発表がありましたが、今後ガイドラインを変更する予定はあるのですか。
○林会長 明日、熊田先生のところから発表があるかと思いますが。
○熊田委員 ガイドラインは、インターフェロンとエンテカビルは両方入っています。要するに、一番効果があるというのは、若い人はインターフェロンが一番効果がありますよと。35歳以上の人に関しては、エンテカビルの方が効果がありますよと書いていますので、どちらを使うかは専門医が状況を考えなければいけない。それだけで単純に決まるわけではないということです。明日公表します。
○林会長 ガイドラインというのは特定の患者に、この治療法だけとは書いておりません。複数の選択系がありますので、いろいろな状況を考えて主治医が使うことになります。
○木村委員 それはわかるのですけれども、実際、現場の方では35歳で頭ごなしにという現状もあるのです。35歳以上だからインターフェロンははなからやらないという現状があるのも聞いていますので、その辺何かできればと思います。
○林会長 熊田先生のところのガイドラインでは、35歳以上でもインターフェロンは入っていますよね。それから、肝臓学会でも現在ガイドラインをつくる予定にしております。C型肝炎の1型の抗ウイルス療法については、1か月か2か月以内にガイドラインができまして、肝臓学会のホームページ上にアップロードいたします。その後、B型についてもつくる予定ですので、そのことについては肝臓学会としても対応をとろうと計画しております。
○木村委員 ありがとうございます。
あと、事務局にお願いですけれども、今回、資料が私のところに来たのが29日でしたが、私の場合、今朝出てくると10時に間に合わなかったので、昨日からこちらに来ていますが、そうなると資料を把握するまでの時間が全然ありません。これは最初のころにもお願いしたと思いますけれども、委員にはできるだけ早く資料を届けてほしいと思います。それをお願いしたいと思います。
それと、先ほど阿部委員からも予算の関係についてありましたが、昨年がギリギリの協議だったので、今年はもっと早く協議会の中で検討してもらいたいというのと、できれば集まったときに次回いつごろというぐらいは個人的には決めていただきたいなというのが要望です。その辺いかがでしょうか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 予算要望というお話もありましたので、概算要求前に時間を早めにということで調整させていただきたいと思います。
○林会長 時間が迫っておりますので、最後に、阿部委員から何か御意見があるそうですので、どうぞ。
○阿部委員 それでは、配布していただきました資料を簡単に御説
明したいと思います。
先ほど受検状況の実態調査の内容も配布されましたが、私はこれを見ていないので全く的外れな話になる部分もあるかと思いますが、私は、こちらの協議会の委員を務めているわけですけれども、10年ほど前から地元の町の肝炎対策の検討会にも参画しております。それを行政と医大の先生と開業医の先生と一緒にやってきていますし、同時に県の協議会にも参画してきております。そういう意味で、ここの協議会、国でどういう施策を打っていただけるのか、地元の課題を考えたときにひしひしと責任を感じるわけです。そういう中で感じたことを、肝炎ウイルス検査の例でお話ししたいと思います。
1ページの肝炎ウイルス検査の事業の変遷ですけれども、これは先ほどの報告にもありましたように、平成22年度なども更に減ってきているということで、特に市町村実施主体の健康増進事業がかなり減ってきているというのが現状でございます。
2ページ目、では、都道府県別に見た場合はどうかということで、幾らか拾ってみたのですが、40歳以上の人口の比率にしますと各都道府県で非常に差がございます。なかには1%以下というところもあって各地方で非常に差があります。数字的には私が手で拾ったので、きちんといかない面もあるかもしれませんけれども、都道府県により一様ではないということです。
それから、ウイルス検診の受診率が市町村別にどうなっているかということで、これは県の協議会の資料でつくったものですが、県平均でいいますと30%ぐらいですが、このとおり34市町村を比較しますと、全くばらついているわけです。市町村によって取組みが全然違っている。このなかで100%以上のところがあるというのは、就業している人としていない人の比率を計算して全部に当てはめておりますので、計算式からして100%以上が出ているということで御了解いただきたいと思います。
これから言えることは、受診率が都道府県、市町村によって非常に違っている。市町村実施の住民健診は、地元の保健師さんも随分頑張っていただいていますが、健診そのものになかなか来てもらえないというのが実態でございます。保健師さんなどがやはり人手不足というか事務的にも大変で、毎晩夜遅くまで仕事をしておられます。
そのような状況はあると思いますが、住民健診に来られた方に、ウイルス検診をやってくださいねという熱意が非常に高いところもあるし、余りそれを重視しないような方もいらっしゃるということで、コーディネーターを増やしていくことが必要かなと思います。
それから、健康増進事業が40~65歳未満の住民に対しての健康手帳の交付をすることになっていることもあり、千葉県さんなどですと30%ぐらいの市町村が60歳未満しかウイルス検診の対象にしていない。個別勧奨などもしていないというところもあるようです。60歳以上の方にC型肝炎などが多いですので、そういう意味ではミスマッチになっているなというところはございます。
肝炎ウイルス検診を実施していない市町村、全くしていないというのが、例えば青森県などですと4市町村。個別勧奨対象のみしかやっていないのが2町村となっていました。
それから、肝炎ウイルス検査が有料ですよというところも、例えば、岩手県でも半分近くでございます。その中でも個別勧奨を今年度はしなかったというのが5市町村ございます。
これも結構私は問題だと思うのですが、いわゆる肝炎対策をやるところと、ウイルス検診を集計するところは、県庁でも部署が違いまして、そちらの方が市町村から報告を上げてもらって、厚労省にただ上げているというのが仕事になっていて、担当者の方が2年ぐらいでどんどん変わってしまうわけです。そうしますと、これから勉強しますというのが、私が行ってお話しした印象です。
そういう意味で、体制も考えていかないと、なかなかうまくいかないのかなと感じております。
それから、これは岩手県の協議会に出された資料ですが、例えば、C型肝炎の受診率についてどのくらいあるだろうということで、前から出していただいておりますが、今回新たな資料を出していただいたのですが、例えば、40~74歳の受診率で言えば44.2%の方が受診しているということです。3年ぐらい前の報告でも32%ということで岩手は高かったのですが、更に高くなっております。
ウイルス検診の受診率で言えば、これも岩手県だけで恐縮ですが、B型肝炎については60歳以上で66.48%、C型肝炎でいうと53%ということで思ったより高い、これは実際に集計している内容を見ますと、住民健診、人間ドック、職域健診、あと保健所などからは個人名を特定しないで数字には入れている。このデータは全部個人をID化していますので、タブっている数字は全然ないと言い切っているのです。
平成14~18年度がかなりウイルス検診をやった時期なのですけれども、各時期を北海道、東北と比較してみたのですが、岩手はウイルス検診率が決して高いわけではなく、平均より低いぐらいなのです。それでもこの数字だということですから、もっとそういうシステムを利用するなりして、ウイルス検診の実態を把握する必要があると思います。聞き取り調査だとどうしても忘れているという人も結構いらっしゃって、実際に前の御報告もいただきましたけれども、20%とか26%という数字が出てきますけれども、実際は受けているという人も多いのではないかと感じております。
そういうことで、今度は対策室のランクも高くなって非常に力も強くなると思うので、是非、現場を見ていただいて施策に結びつけていただきたいなと思います。
○外山健康局長 どうもありがとうございました。要するに、老人保健事業から健康増進事業になって減っている、保健所でやる特定感染症検査事業をカバーしていないという話なのですけれども、特定感染症検査事業というのはとにかくどうぞという話ですけれども、老健のところは本来ならば受けていない人をメーンに対象として、ただ、健康増進事業になっても今回は5歳刻みでとにかく掘り起こそうということで重点的にやっているわけです。
阿部さんの資料の中でも結構、受診率が高いのではないかという話の中で、医療機関が抜けているわけです。我が方の努力に足りないのもあるかもしれないけれども、もしかしたら案外受けていらっしゃるのではないかと。今回の肝炎の基本指針の中でも、必ず1回は受けましょうというのがスローガンになっていますので、それで今回、今年度事業ということで資料8に肝炎検査受検状況実態把握事業ということで、大がかりに網羅的に調査しようということになっていまして、この結果を速やかに分析いたしまして、実態はどうなのかというのは結構高い水準かもしれませんし、仮に受けていない方々が多くいらっしゃれば、どういう原因なのか突き詰めてきちんとやりたいと思っております。おっしゃっていることもよくわかりますし、我が方も問題意識を持っております。もっと緻密に、本当にどうなのかということをはっきりさせたいと思っております。そこでリーダーシップが足りないのであれば一生懸命やりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○天野委員 申し訳ありません、時間がかなり過ぎているのですけれども、その他の項目ということで、肝機能障害にかかわる障害認定の状況について伺いたいのですが、昨年の2月の第5回協議会で、平成22年4~9月までの半年間の認定状況について御報告いただきましたけれども、その後の認定状況のデータがありましたら、御報告いただきたいと思います。
その中で、1級については肝移植を受けられた方と、チャイルド・ピュー分類で分けられている方と、その内訳がわかればそちらも教えていただきたいと思います。そして、いただいたデータを前回と同じように文書としてまとめて御報告くださるとありかだいと思います。
○林会長 わかりますか。
○神ノ田肝炎対策推進室長 担当部署から聞いておりますのは、この調査については、福祉行政報告例という統計調査の中で把握しているということでございまして、平成22年度末現在の結果については3月中にとりまとめて、厚生労働省のホームページに公表するということでございますので、現時点ではまだ公表されておりませんけれども、近々、障害保健福祉部の方から公表されるものと伺っております。
○天野委員 できましたら、それが発表されましたら、メールにURLを張りつけて委員に知らせてくださるとうれしいのですけれども。
○神ノ田肝炎対策推進室長 情報提供させていただきます。なお、チャイルド・ピューまではこの福祉行政報告例ではとっていないということです。そこまで細かなデータはとれないということのようです。
○林会長 では、少し時間がオーバーしましたが、それ以外に御意見ございますか。なければ、本日はこれで会を終わらせていただきたいと思います。
私は今日、風邪でこういう声で本当に失礼いたしました。
それでは、本日は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
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