ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> がん対策推進協議会(がん対策推進協議会)> 第32回がん対策推進協議会議事録




2012年3月1日 第32回がん対策推進協議会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成24年3月1日(水)
16:00~18:00           


○場所

厚生労働省 12階 専用第15・16会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)




○議題

1 開  会
   
2 議  題
   がん対策推進基本計画(変更案)について

3 その他


○議事

出席委員:門田会長、天野会長代理、江口委員、嘉山委員、川越委員、北岡委員、田村委員、中川委員、中沢委員、野田委員、花井委員、原委員、保坂委員、本田委員、前川委員、前原委員、眞島委員、松月委員、松本委員

○鷲見がん対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第32回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局のがん対策推進室長の鷲見でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに委員の出欠状況でございますが、上田委員より事前に御欠席との連絡を受けております。また、中川委員より開催時間に遅れるとの連絡を受けております。
 協議会の委員定数20名に対しまして、本日は19名の委員の方に御出席いただくこととなりますので、議事運営に必要な定足数に達することを御報告申し上げます。
 なお、事務局には厚生労働省のほか、文部科学省より御出席をいただいております。
 それでは、以後の進行につきましては門田会長にお願いいたします。会長、よろしくお願いいたします。
○門田会長 門田です。皆様方、今回も多く集まっていただきましてありがとうございました。
 考えてみましたら、5月の終わりから約8か月の間に今日で13回の協議会を開いた。月2回ずつ開いてきまして、今日に至ったということでございます。
 本日も、いよいよ最終的な基本計画の変更案についての審議をしていただくわけですが、本日は、厚生労働大臣より「がん対策推進基本計画(変更案)」についての諮問がなされたということで、いよいよ正式に、我々がそのことについて答申をしなければならないというタイミングでございます。そういうことですので、是非御協力よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局の方から諮問の内容についての御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○鷲見がん対策推進室長 それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。
 厚生労働大臣より、がん対策推進協議会長にあてた諮問書でございます。諮問書の記載内容を読み上げます。
 「がん対策基本法(平成18年法律第98号)第9条第7項のがん対策推進基本計画の変更について、同条第8項において準用する同条第4項の規定に基づき、案を作成するにあたり貴会の意見を求めます。」と記載しております。
 また、参考資料にがん対策基本法第9条の抜粋を添付しておりますので、併せて御確認いただければと思います。
 また、参考資料1の基本法第9条第7項にあるとおり、政府は少なくとも5年ごとにがん対策推進基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならないと定められておりますので、諮問書の別添につきましても「がん対策推進基本計画(変更案)」ということになっております。
 この変更案は、2月1日の第31回がん対策推進協議会において、事務局より提出させていただきました「がん対策推進基本計画(素案)」及び当日の協議会での議論などを踏まえまして、事務局で作成したものであります。
 本日は、がん対策推進基本計画の変更案に対しまして、後ほど御意見をちょうだいしたいと考えております。
 説明は以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 本日の進行でございますけれども、今、事務局の方から御説明がありましたように、厚生労働大臣より諮問を受けた、「がん対策推進基本計画(変更案)」についての御意見をいただくということでございます。
 それに先立ちまして、資料の確認の方をお願いします。
○鷲見がん対策推進室長 以上をもちまして撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう御協力のほどよろしくお願いします。
(報道関係者 退室)
○鷲見がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料1「がん対策推進協議会委員名簿」
 資料2「がん対策推進基本計画(変更案)」
 参考資料1「がん対策基本法(抜粋)」
 参考資料2「平成24年度診療報酬改定 主にがんに係る改定内容概要」
 参考資料3「『もしも、がんが再発したら』出版と全国への見本版配布」
 委員の方々には、机上配付で見本版そのものをお付けしております。
 がん対策推進協議会患者関係委員提出資料「がん対策推進基本計画におけるたばこ対策の推進に関する要望書」
 田村委員、野田委員提出資料「『がん対策推進基本計画(素案)』における喫煙率の目標に関する声明」
 保坂委員提出資料「日本医師会『受動喫煙ゼロ宣言』~子どもたちを受動喫煙から守るために~」
 以上、資料の過不足等ございましたら事務局にお申し出ください。
○門田会長 よろしゅうございますか。問題がないようでしたら、本日の審議に入りたいと思います。
 それでは、事務局の方から資料2「がん対策推進基本計画(変更案)」についての御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○事務局(秋月) それでは、資料2の「がん対策推進基本計画(変更案)」について御説明させていただきます。今回は、主に2月1日にお示しした素案から変更のあった部分について御説明をさせていただきます。
 まず、3ページ目でございますが、「第2 重点的に取り組むべき課題」です。その1で「放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成」とありますが、前回、「手術」は「手術療法」にすべきではないかという御意見がございましたので、すべて手術療法という単語に置きかえております。
 また、次の段落ですが、「がんに対する主な治療法には」と始まるところで、化学療法の後に「(この基本計画では薬物療法等を含むものとする。)」と書き加えてございます。これは化学療法といえども、最近はホルモン療法であるとか分子標的薬であるとか、そういったものもございますので、広い意味での化学療法ということでこうした記載を加えております。
 6ページ目でございますけれども、「第4 分野別施策と個別目標」のうち「1.がん医療」の「(1)放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とチーム医療の推進」の「(現状)」の1段落目、6ページ目の一番下の行です。膵臓がん、肝臓がん、肺がんについてですが、次のページへまいりまして5年相対生存率について、前回は「5~30%」という形だったんですけれども、それぞれの生存率、また、順番についても低いものから記載をしております。
 そして8ページ目の「(取り組むべき施策)」の「○チーム医療とがん医療全般に関すること」の4段落目になります。「より正確で」というところですけれども、診断に関する記載がやや不足していたということがございましたので、「より正確で質の高い画像診断や病理診断とともに治療方針を検討できるよう、放射線診断医や病理診断医等が参加するキャンサーボードを開催するなど、がんに対する的確な診断と治療を行う診療体制を整備する」という記載を加えております。
 11ページ目でございますが、上から4段落目「(取り組むべき施策)」の2つ目です。「大学に放射線療法、化学療法、手術療法」というくだりですけれども、文章の末尾が「検討する」でございましたが、「努める」という形に変更しております。
 また、12ページ目ですけれども、下から2段落目に「(取り組むべき施策)」がございます。「患者とその家族が抱える様々な苦痛に対する」という段落ですけれども、最後の3行です。「また、患者とその家族等の心情に対して十分に配慮した、診断結果や病状の適切な伝え方についても検討を行う」この文章を追加しております。
 そして13ページ目ですが、下から3段落目「医療従事者に対するがんと診断された時からの緩和ケア教育」の文章の末尾のところを「設置するよう検討する」から「努める」という形で変更しています。
 また、14ページ目の一番下の行になります。在宅死亡率について指標に加えるべきではないかという御意見があったんですけれども、ここでは現状の中で「例えば、がん患者の自宅での死亡割合は過去5年間大きな変化が見られていない」ということで、現状の方に触れさせていただいております。
 そして16ページ目です。ドラッグ・ラグに関する記載ですけれども、下から3段落目「具体的には」というくだりですが、2行目のところに「適応外薬についても多くの要望が提出され」ということで「多くの」を追加しております。
 また、次の段落「しかしながら」のところですが、下の2行の部分「ドラッグ・ラグの更なる」の「更なる」を追加しているということと、「拡大が懸念されており、一層の取組が求められている」という文章を追加しております。
 17ページです。上から2段落目「未承認薬・適応外薬の開発を促進するため」のところですが、下の2行「未承認薬のみならず適応外薬も含め、米国等の承認の状況を把握するための取組に着手する」を追加しております。
 それから、4段落目です。「なお」のところですけれども、上から3行目のところに、2月1日の時点では「様々な観点や課題があることから、慎重に従前からの議論を継続する」という記載だったんですけれども、そこを「観点や課題を踏まえつつ、従前からの議論を継続する」という記載にしています。
 また、「(個別目標)」のところですが、前回非常に文章が短かったという御指摘がございましたので、「医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けて、臨床研究中核病院(仮称)の整備、PMDAの充実、未承認薬・適応外薬の治験の推進、先進医療の迅速かつ適切な実施等の取組を一層強化し、患者を含めた国民の視点に立って、有効で安全な医薬品を迅速に提供するための取組を着実に実施することを目標とする」という記載にしております。
 続きまして、20ページでございます。真ん中の辺りですけれども、「2.がんに関する相談支援と情報提供」の「(個別目標)」の1~2行目にかけて「地方公共団体、学会、医療機関、患者団体等との連携の下」という文言を追加しています。また、一番下の行ですが、「早期に実現することを目標とする」ということで「早期に」という単語を加えております。
 そして22ページですが、「4.がんの予防」に関するところの一番下の段落です。前回、感染症という単語についてさまざまな御議論をいただいたんですけれども、ここは正しく記載をいたしまして、「また、ウイルスや細菌への感染は、男性では喫煙に次いで2番目、女性では最もがんの原因として寄与が高い因子とされている」ということで、「感染症」という単語を削除しております。
 また、子宮頸がんの発がんについて、23ページの上から3行目でございます。前回は「子宮頸がん予防ワクチン」となっていたんですけれども、子宮頸がん予防の後に「(HPV)」ヒトパピローマウイルスということを追加しております。
 そして23ページ目の「(取り組むべき施策)」の1つ目の上から4行目のところですが、「禁煙希望者に対する禁煙支援を図る」という文言を追加しております。
 また、下から3行目ですけれども、「また、家庭における受動喫煙の機会を低下されるに当たっては、妊産婦の喫煙をなくすことを含め、受動喫煙防止を推進するための普及啓発活動を進める」この文言を追加しております。
 「(取り組むべき施策)」の2つ目、「感染に起因するがんへの対策のうち、HPVについては、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの普及啓発、ワクチンの安定供給に努めるとともにワクチン接種の方法等のあり方について検討を行う」という文言を入れております。
 それから、その段落の真ん中辺りですけれども、「また、B型肝炎ウイルスワクチンの接種の方法等のあり方について検討を行う」と入れております。
 それから一番下ですが、「ヘリコバクター・ピロリについては、除菌の有用性について内外の知見をもとに検討する」という記載を加えております。
 24ページ目の「4.がんの予防」の「(個別目標)」ですが、上から2行目の成人喫煙率について、前回は「12.2%」としておりましたけれども、そこは小数点以下を切り捨てまして、「12%」としております。
 26ページ目でございます。「5.がんの早期発見」の「(個別目標)」ですけれども、前回お示ししたときは数値が入ってなかったんですが、3行目から読ませていただきます。
 がん検診の受信率については、5年以内に50%(胃、肺、大腸は当面40%)を達成することを目標とする。目標値については、中間評価を踏まえ必要な見直しを行う。また、健康増進法に基づくがん検診では、年齢制限の上限を設けず、ある一定年齢以上の者を対象としているが、受診率の算定に当たっては、海外諸国との比較等も踏まえ、40歳から69歳(子宮頸がんは20歳から69歳)までを対象とする。
 がん検診の項目や方法については、国内外の知見を収集して検討し、科学的根拠のあるがん検診の実施を目標とする。
という記載にしております。
 この50%は、具体的には乳がんと子宮頸がんというものが対象になるわけですが、これについては平成22年の値ですけれども、乳がんが69歳で切ったときに39%、子宮頸がんが38%ということで徐々に伸びてはいるんですが、更に乳がん、子宮頸がんについては年齢調整死亡率が欧米諸国は減少しているのに対して、日本が上昇しているということもありまして50%と設定をしております。
 また、胃、肺、大腸は当面40%としている理由ですが、胃がんが現在32%、肺がんが25%、大腸がんは26%ということでやや伸び悩んでおります。こうしたがんについては、医療やほかの検診の中で、がん検診の検査項目が実施されているということもございますので、実現の可能性ということも踏まえて40%と設定しております。
 また、「海外諸国との比較等も踏まえ、40歳から69歳」ということで、69歳を上限としている理由ですが、前に海外諸国との比較等とありますが、具体的にはOECDヘルスデータということになりますが、そういった国際比較で69歳が上限になっているということを踏まえて、この受診率の算定に当たっては69歳までを対象としたいと考えております。
 それから「6.がんの研究」についてですけれども、28ページの一番下「(個別目標)」の上から3行目のところです。「企画立案の段階から基礎研究、臨床研究、公衆衛生学的研究、政策研究等のがん研究分野に対して関係省庁が連携して戦略的かつ一体的に推進するため、今後のあるべき方向性」ということで、「関係省庁が連携して」という文言を追加しております。
 少し飛びまして32ページでございます。真ん中辺りにある「(取り組むべき施策)」の2つ目のところですけれども、以前は「就労可能な」という単語で始まっていたんですが、「働くことが可能かつ働く意欲のある」という文言に修正をしております。
 33ページ、「9.がん患者の就労を含めた社会的な問題」の「(個別目標)」のところです。「がん患者・経験者の就労に関するニーズや課題を3年以内に明らかにした上で、国、地方公共団体、関係者等が協力して、がんやがん患者・経験者に対する理解を進め、がん患者・経験者とその家族等の仕事と治療の両立を支援することを通じて、抱えている不安の軽減を図り、がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目標とする。」という形に修正をしております。
 それから34ページでございますが、「4.がん患者を含めた国民等の努力」について、前回いろいろと御指摘をいただいたところなんですけれども、患者さんだけでなく医療従事者とのバランスも考え、記載を修正いたしました。
 1つ目に「がん医療は、がん患者やその家族と医療従事者とのより良い人間関係を基盤として成り立っていることを踏まえ、医療従事者のみならず、がん患者やその家族も医療従事者との信頼関係を構築するこができるよう努めること。」
 2つ目に「がん患者が適切な医療を受けるためには、セカンドオピニオンに関する情報の提示等を含むがんに関する十分な説明、相談支援と情報提供等が重要であるが、がん患者やその家族も病態や治療内容等について理解するよう努めること。」
 そして「がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策を実現するため、がん患者を含めた国民や患者団体も、国、地方公共団体、関係者等と協力し、がん対策を議論する場に参加し、がん医療やがん患者とその家族に対する支援を向上させるという自覚を持って活動するよう努めること。」
 最後に「治験を含む臨床試験を円滑に実行するためには、がん患者の協力が不可欠であり、理解を得るための普及啓発は重要であるが、がん患者を含めた国民も、がんに関する治験と臨床試験の意義を理解するよう努めること。」という記載に修正をしております。
 最後に35ページですが、「6.目標の達成状況の把握とがん対策を評価する指標の策定」について、上から3行目ですけれども、「分かりやすい指標の策定」のところで、「医療やサービスの質も含めた」ということで「質」という文言を追加しております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 御意見を頂戴する前に、本日はたばこに関して幾つかの提出資料が出ておりますので、まずそちらの方を先に御説明いただいて、それからただいまの変更案についての御意見を頂戴したいと思います。
 まず最初に、患者関係委員提出資料ということで、天野委員の方から御説明をお願いしたいと思います。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 このたび、厚生労働省がん対策推進協議会患者関係委員一同及びがん患者団体有志一同全56団体から「がん対策推進基本計画におけるたばこ対策の推進に関する要望書」というものを出させていただきましたので、賛同していただいている56団体の中の1団体の者として、私が読み上げさせていただきます。
 喫煙は言うまでもなく、さまざまな疾患や健康障害の原因をなっておりまして、受動喫煙自身もさまざまな病気の発症リスクを高めていることが明らかになっております。
 がんの死亡率の低下には、たばこ対策の推進は欠くことのできない施策の一つであり、いわゆる「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FCTC)では、たばこの需要を減少させるためのさまざまな施策が、日本を含む締約国に求められています。
 前回、国のがん対策推進基本計画を定めた際には、喫煙率の減少に関する目標設定を求める意見が、本協議会において全会一致で認められたにもかかわらず、わずかに「未成年者の喫煙率を3年以内に0%とすること」と記されたのみでありました。
 今回審議いただいている計画の中で、成人の喫煙率減少に関する目標設定を含め、包括的なたばこ対策の推進が必要と考えられます。我が国の喫煙率が先進国と比べて依然高い水準となっている中、国民の喫煙率の低減に向けて、たばこ規制枠組条約で締約国に求められている一連の措置が、今回のがん対策推進基本計画において反映されますよう、ここに要望するという趣旨でございます。
 私からは以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、次に田村委員、野田委員提出の資料について、田村委員の方からお願いいたします。
○田村委員 日本医学会、癌学会、癌治療学会、日本臨床腫瘍学会の4団体は、今回のがん対策推進基本計画に盛り込まれました喫煙率の目標値の設定について、全面的に推進していただきたいということで声明を出させていただきました。
 御存じのように、喫煙は心血管系や呼吸器系、がんの原因として取り上げられて久しいわけでありますけれども、特に、がんで死亡する患者さんは35万人いらっしゃいますが、その4分の1がたばこに関係しているということであります。そういった中で、たばこの喫煙率をできるだけ速やかに減少させて、たばこに関連したがんを減らすことは極めて重要だと考えております。
 現在の喫煙者ががんを発生するのは明日ではなくて、10年、20年、30年後でありまして、人口は減少期に入っておりますが、また、生産人口が減る中で後世に禍根を残さないためにも、是非この目標値を設定して、それに邁進していかなければならないと考えております。特に成人喫煙率の低下はとても重要なことでありますので、是非盛り込んで推進していただきたいと考えております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 引き続きまして、日本医師会の方から保坂委員に提出いただいております資料について、保坂委員の方から御説明をお願いします。
○保坂委員 私ども日本医師会では、昨日、平成24年2月29日「日本医師会『受動喫煙ゼロ宣言』~子どもたちを受動喫煙から守るために~」を決定し、公表いたしました。読ませていただきます。
 喫煙は、肺がんをはじめとするさまざまながんだけでなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、脳卒中や心筋梗塞など、多くの疾患の要因となります。
 他の先進諸国に比べ、喫煙率の高いわが国において、喫煙率の低下、受動喫煙の防止は、国民の健康を守るための喫緊の課題であると認識しています。
 日本医師会は喫煙による健康被害から国民を守ることを目的に、平成15年3月「禁煙推進に関する日本医師会宣言」(禁煙日医宣言)を公表いたしました。
 また、医師自らが範を示すことの重要性に鑑み、平成12年に「日本医師会員喫煙意識調査」を実施いたしました。以後調査名を「日本医師会員の喫煙とその関連要因に関する調査」とし、4年毎に継続的に実施し、医師に対する禁煙の啓発を行ってまいりました。そして、平成13年7月に日本医師会館の全館禁煙を、平成23年1月に敷地内全面禁煙を実施するとともに、平成20年9月に「禁煙に関する声明文」を発表しています。
 さらに、たばこの健康被害を減少させるための禁煙、受動喫煙防止のためのさまざまな提言を採択した世界医師会の「タバコとタバコ製品による健康被害に関するWMA声明」(1988年採択、2011年修正)、アジア大洋州医師会連合「アジア大洋州地域におけるたばこ規制に関するCMAAO宣言」(2011年採択)に、日本医師会は深く関わりこれを支持しました。
 一方、わが国は「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約(FCTC)」の締結国となっているにも関わらず、完全履行を果たせていないのが現状です。
 いま政府は、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務づけることで受動喫煙防止対策の強化を目指しています。このような施策が速やかに実行されることを願うものです。
 このような状況のなか、今般、厚生労働省が示した「がん対策推進基本計画」(素案)において、平成34(2022)年度までに禁煙希望者が禁煙することにより成人喫煙率を12.2%とする数値目標を明記したことについては、日本医師会として一定の評価をするものです。
 しかし、喫煙は喫煙者本人のみでなく、周囲の非喫煙者にも受動喫煙というかたちで害を及ぼすことから、日本医師会は、受動喫煙から非喫煙者を守るために、ここに「受動喫煙ゼロ宣言」を行い、以下の取り組みを進めていきます。
 1.妊婦や乳幼児の家庭内での受動喫煙の防止を推進します。
 2.学校保健の場を通じて、児童・生徒にたばこの有害性などについての健康教育を推進します。
 3.医師をはじめとしたすべての医療関係者の喫煙率ゼロを目指します。
 4.すべての医療機関の敷地内全面禁煙を推進します。
 5.公共的施設の敷地内全面禁煙を国や自治体に働きかけます。
 6.検診や日常診療の機会に禁煙教育の徹底を図ります。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 患者団体の皆さん並びに日本医師会、日本医学会、そのほかがんを扱う3学会からこういう形で、今までこの協議会がディスカッションしてきた内容を更に広い範囲でサポートしていただく、支持していただくということを、今、出していただきました。非常に力強く思いますし、是非このまま進むことを期待したいと思います。
 それでは、本日、厚生労働大臣より諮問をいただきました「がん対策推進基本計画(変更案)」について、委員の皆さんから御意見をちょうだいしたいと思います。
 考えてみますと、約1か月前、2月1日にここで3時間半を超える御質疑をいただき、出していただいたいろいろな御意見を検討していただいてこういう形で加筆していただいたと思っております。まだ意が通じていないこともあるかもしれませんが、今の段階でこういう案をつくっていただいておりますので、御意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 天野委員、どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 今回「医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組」、いわゆるドラッグ・ラグの解消に向けた取組みということに関しまして、新たに章を設けていただいております。
 今回17ページの中で、特に適応外薬の解消につきまして、以前からがん患者60団体からも要望書を出させていただきましたとおり、適応外薬の解消につきましては、がん患者団体が非常に強い気持ちを持って要望させていただいた項目でございます。
 今回の基本計画の中では、17ページの4段落目の中で適応外薬の解消に向けた取組みを書いていただきまして、前回よりも踏み込んだ記述にしていただいたと思っております。是非この取組みを実行していただきたいと思っております。
 また、これに加えて、基本計画はこれで実行していただくということでありますが、これに関連して、実際に最後の箇所で「現行制度の基本的な考え方や患者の安全性の確保といった様々な観点や課題を踏まえつつ、従前からの議論を継続する」と書いていただいています。
 この「従前からの議論を継続する」の箇所でございますが、例えばこの「従前からの議論を継続する」が何を指すかということについて、厚生労働省の医薬品等制度改正検討部会の中で、さまざまな検討をしていただいています。例えばアクセス制度の検討であるとか、また、適応外薬についてもさまざまな取組みが、最終とりまとめ案の中で出ている状況であると認識しております。
 適応外薬につきましては、適応外薬を保険診療下で使いやすくするために、例えば海外で一定のエビデンスに基づき標準治療とされている場合、また、国内の学会等で規定されている場合などには、例えば海外のコンペンディア制度などに倣って、透明性の高い審査機関に保険償還の判断をゆだねていただく制度改正を行っていただくとか、その中で、特に治療薬の再審査期間が終了して後発品が販売されているような場合につきましては、その有用性や安全性が示されておることから、迅速に保険でできるような制度改正を行っていただくとか、こういった話が実際に従前の議論ということで既に出ている状態でございますので、是非この基本計画の文言を基に、厚生労働省内でこれを検討していただく場を設けていただきたいと思っております。例えば検討会のようなものでもあるかと思いますし、また、厚生労働省の中で保険については保険局、薬事については医薬食品局、研究については医政局であるとか健康局であるとか、そういった局を横断したような検討が必要な部分もあるかと思いますので、そういった検討の場をこの基本計画を基に、今後検討していただきたい、設置していただければと思っております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 事務局、何かありますか。
○鷲見がん対策推進室長 天野委員、ありがとうございました。
 私どもといたしましても、天野委員がおっしゃった「薬事法等制度改正についてのとりまとめ」ということで、1月24日に厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会で議論されているということで、そうした議論がこの適応外薬等につきましてはなされていると認識しております。そうした意味におきまして、この基本計画の中において「従前からの議論を継続する」というものの中には、そうした議論が引き続き行われると認識しております。
 また、今、天野委員がおっしゃいました検討会、保健局であるとか、医薬局であるとか、さまざまな局にまたがるような検討会の設置というお話がございましたが、この点につきましては私どもきちんと承りまして、関係部局の方に伝達していきたいと考えております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 ということで、今回の変更案についてはこのままでということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。
 そのほかに御意見はございますか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。
 私は、11~12ページにある緩和ケアの項目で、12ページの「(取り組むべき施策)」の中に入りました文言について申し述べたいと思います。
 診断時からの緩和ケアの推進ということが、より明確な個別目標になってきた。それには、この取り組むべき施策の5行目でございますけれども、「また、患者とその家族等の心情に対して十分に配慮した、診断結果や病状の適切な伝え方についても検討を行う」という文言を入れていただきました。
 日常的にといいますか、患者団体として聞き及んでいるのは、がんと診断される、もしくは再発と告げられるときに配慮に欠けたというか、ストレートな言葉で告げられる。それは正しいことを正しく伝えなければという医師の使命感かもしれないんですけれども、病気にかかって苦しんでいるところに、言葉で苦しむということが多々あるようでございます。また、医療者側もどのように伝えればいいのかと非常に模索しているというか、苦しんでいるということも聞き及んでおります。
 この文言を入れていただけたということは、よりよいインフォームドコンセントや医療者との信頼構築に向けました、新しい一歩を踏み出す後押しとなる文言ではないかと思っています。
 そして、「検討を行う」と結ばれていますけれども、是非患者や家族も配した検討会を立ち上げていただきまして、早急に議論を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上です。
○門田会長 お願いします。
○事務局(秋月) 花井委員、ありがとうございました。
 今、花井委員がおっしゃった言葉をきちんと受けとめまして、検討してまいりたいと思います。
○門田会長 そのほかにいかがでしょうか。
 原委員、どうぞ。
○原委員 先ほどの天野委員の御発言ともオーバーラップするんですが、我々は小児がん領域ということで、希少疾患用の医薬品の開発について、今回は随分踏み込んだ記載をいただいたことに非常に感謝申し上げております。
 実際、我々が使っているような薬剤は極めて古い薬剤が多くて、それをきちんとした制度のところへ合わせていくというのは、非常に困難な状況にあります。したがいまして、どうしても医師主導治験だとか、そういうことをやっていかないといけないんですが、以前から申し上げていますけれども、それを我々だけでやっていくのは時間的制約、更には経費的な制約があって非常な困難を伴っております。
 例えばPMDAの方で事前相談だとか対面助言を受けるにも一定の費用が必要ですし、しかもそこでかなりの毒性試験の実施などを求められますと、とても我々臨床医の手に負えるものではない。そういういろいろな問題があります。
 17ページの下から3つ目の段落ですが、希少疾病用医薬品云々について「独立行政法人医薬基盤研究所を活用するなど」というふうに、具体的に書き込んでいただいております。
 私たちがお願いをしたいのは、こういう希少疾患薬に対する、例えば前臨床の研究であるとか、なかなかお金にならない分野というのは前臨床の研究すら進まないので、治験にまでいかないという大きな問題があります。あるいは実際に治験を推進するに当たって独立行政法人、昔で言う外郭団体だと思うんですが、そういうところをできるだけ有効に活用していただいて、国の機関の方で薬の開発を進めるとか、希少疾患薬に関してはそういったスタンスもお願いをできればと思います。そこで、17ページの基盤研究所というのが非常に目についたわけで、こういったところを活用するということを是非御検討いただければと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 今回書き込んでおりますものを、更にそういう内容を含めた検討をということですね。ありがとうございました。
 眞島委員、どうぞ。
○眞島委員 ありがとうございます。2つございます。
 先ほど天野委員がお話されましたように、やはり適応外薬問題に関しては検討する場が必要ではないかと私も強く感じておりますので、今回のがん対策推進基本計画の中に盛り込むということではありませんけれども、この先、是非その実現に向けての取組みを御検討いただければということが一つございます。
 それから、先ほど小児がん、希少がんに関してドラッグ・ラグの問題が深刻だという御指摘がございましたけれども、実は私どもで非常に深刻だと思いますのは、ヨーロッパなどのデータを見ますと、例えば希少がんに関しては186種類の希少がんがあり、罹患者数は全体でがんの患者が250万と言われていますけれども、そのうちの22%の罹患している患者さんは、実は希少がんなんだといったデータがあるわけです。特に希少がんはデータを集めるのが非常に難しいと思うので大変ですけれども、やはりそういったがん登録のデータを必要としていると思います。
 今回がん登録に関しましては、すべての症例に関しての登録を早期に実現すると、非常に心強い文言が書かれておりますので、是非それを患者サイドからもお願いしたいと思います。早期に実現していただければと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 本田委員、どうぞ。
○本田委員 ありがとうございます。
 今回の基本計画案の中身については、私たち委員の意見を大変幅広に盛り込んでいただいて感謝申し上げたいと思います。それぞれを挙げると切りがないんですけれども、前回私が申し上げたことで言いますと、今回新しい柱になった現役世代の問題に関して、例えば就労とかで、そういう問題のニーズを明らかにするとか、個別目標にも具体的な文言を
盛り込んでいただいたこととか、全体の最後のページに質を含めた分かりやすい指標の検討を行うと書いていただいたことについて、今後の取組みに是非期待していきたいと思いますし、これを実行していけるようにお願いしたいと思います。
 もう一つだけ申し上げたいのは、患者委員の皆さんがおっしゃっていますけれども、ドラッグ・ラグの問題は、このがん対策基本法ができるきっかけになったような問題でした。その問題が徐々に進んできてはいると思うんですけれども、適応外の問題に関しては「従前からの議論を継続する」と書いていただいているわけですから、是非何らかの形で検討していくという今後のことを期待していきたいと思います。このように書いていただいたことは大変ありがたいと思っています。ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。3点ありますので、それぞれ手短に申し上げたいと思います。
 1点は、前回の協議会のときに議論になりました子宮頸がんへの対策について、きちんとした記載をしていただきましたことに感謝を申し上げます。ありがとうございました。
 次は、「地域の医療・介護サービス提供体制の構築」の部分です。14ページの「(現状)」の一番下の段落のところに「在宅医療・介護サービスについては、がん患者の間でもそのニーズが高まっている」と表記をしていただきました。この「がん患者の間でも」という表現については、どこに住んでいようとも、また、若くても、お年を召していても、すべてのがん患者がという意味が込められていると認識をしております。
 私、この場でたびたび申し上げてまいりましたけれども、介護保険の規定ではない患者さん方にどういうふうに手を差し伸べていくのかということについて、そもそもどういうことに困っているのか、どういう支援が必要なのかということを、これから私どもは患者関係委員として都道府県の実情などを考えていく機会もありますので、そういった中で考えていきたいと思っております。地域での知恵であるとか工夫であるとか、そういったものを生かした支援がないのかということも考えていきたいと思いますし、今後そういったことを、国でも何らかの形で御検討いただく機会がいただければ幸いだと思っております。
 最後に、確認をさせていただきたいことがあります。「9.がん患者の就労を含めた社会的な問題」の32ページの「(取り組むべき施策)」の2つ目の段落です。
 「働くことが可能かつ働く意欲のあるがん患者が働けるよう」という段落ですけれども、最後の部分に「試行的取組を実施する」という表現がありますけれども、この試行的取組について、何か具体的なお考えがおありでしたらお聞かせいただければと思っております。
○門田会長 事務局、お願いします。
○事務局(秋月) 今、松本委員からの御指摘のあった部分についてですが、具体的には平成24年度の事業で、これは健康局ではなく労働部局の事業にはなるんですけれども、治療と就労の両立がなかなか難しい一つの要因として、医療機関、企業、労働者等の関係者間の連携不足があるということで、それを補うために社労士あるいはメディカルソーシャルワーカーなどから成るコーディネーターを実際に配置して、治療方針や労務管理上の留意事項を整理して、関係者間での情報の共有あるいは進捗状況の管理を行う。まだ詳細については決まっていないんですが、こうしたモデル事業を実際に行っていく方向で進めると聞いております。
○松本委員 ありがとうございます。
 連携して取り組んでいただけるようにということと、私ども患者家族の意見も取り入れていただきますように期待したいと思います。
ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかに御意見はございますか。天野委員、どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。
 35ページの「目標の達成状況の把握とがん対策を評価する指標の策定」についてでございます。これについては、1段落目で「がん対策の評価に資する、医療やサービスの質も含めた分かりやすい指標の策定について必要な検討を行い、施策の進捗管理と必要な見直しを行う」と書いていただきました。ありがとうございます。
 指標についてということでございますが、今までの議論でも出てきましたけれども、がん対策推進協議会で、今までの5年間の中で毎年委員から指標についての質問が出て、毎年研究中であるということが出てきています。例えば重点項目とされている緩和ケア一つをとっても、どれだけの患者さんががんの痛みを適切に取られているのか、いわゆる除痛率ということについても、まだ必ずしも明らかになってない。勿論、除痛率というのは算出するのが非常に難しいとは聞いておりますが、そういった指標が次期の見直しの際には明らかになっているようにしていただきたいと思います。
 私個人のことを申し上げますと、私は造血幹細胞移植という強い治療を受けまして、その後再発、再々発を経験しております。5年生存率が20%以下で極めて低いということを言われまして、今、私はたまたま生きているわけでございますが、死というものを考えた場合、自分が死に行く過程というものを考えた場合、死という中で身体的・精神的・社会的なさまざまな苦痛があり得ると思うんですが、その中で特に身体的な苦痛を適切に取り除いてもらえないということが、一番の苦痛ではないかと私個人は思っております。
 前回、委員の方々からは、人は必ず亡くなるものだ、当然ここにいらっしゃる皆さんもいずれは必ず亡くなる、そのことを考えた場合、日本のがん医療や治療成績は国際的に見ても非常に優秀であるという御指摘がありました。それは本当にそのとおりだと私も思っているんですが、しかし、人はだれもがいつかは必ず亡くなるという過程を通るということであれば、その苦痛を和らげるということが、現在生きている人間が死に行く人々に対して最低限求められている務めであるということを、もう一度認識しなければいけないと思います。
 今、私はたまたま除痛率の話を挙げさせていただきましたが、こういった指標が不明なままであれば、次回の中間評価でもどれだけの対策が進んでいるのかということが必ずしも明確でありませんので、是非次回の見直しまでに適切な指標の策定を行っていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。天野委員なればこその御意見だと思います。
 事務局、どうぞ。
○鷲見がん対策推進室長 天野委員、ありがとうございます。
 これまでも協議会であるとか専門委員会におきまして、さまざまな厚生労働科学研究などの成果等につきまして報告させていただいたところでございます。この中でも発表がございましたが、医療の質の評価というものはなかなか一筋縄でいかないということも事実であります。一方で、私どもは3年を目途に中間評価を行って、必要に応じて施策に反映するということも記載しておりますので、こうしたわかりやすい指標の策定に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。よろしいですか。
 これはおっしゃられるとおり何度もディスカッションをして、なかなか難しいという言葉では言っています。しなければならないこともわかっていますし、難しいということもわかっています。今度は次期5か年の間の3年までには、何らかの形で確実に出していくということを、ここに記載させてもらっているということだと思います。今後我々もそれに向かって努力しなければならないのではないかと思います。
 ひとまず今回の表現はこれでよろしゅうございますか。ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。前川委員、どうぞ。
○前川委員 5月から13回、そして、今まで中間報告のころから、何度も何度も協議会で皆さんと御議論してきました。それぞれの立場によって、患者の立場、医療者の立場、有識者の方の立場、いろいろな方の御意見をもとに、協議会の委員みんなでつくり上げた基本計画だと思います。ありがとうございましたではなくて、私たちみんなが意見を出し合ってきた基本計画ですので、今後5年間これがうまく稼動するように、官民一体といいますか、行政、医療者、患者などみんなが力を合わせて実現することを願っております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。皆さん、大体御意見を出していただいたということでよろしゅうございますか。
 今、おっしゃっていただきましたけれども、本当に月々2回ずつ皆さんに集まっていただいて、いろいろな方面から非常に幅広く、途中では広過ぎるのではないかということをおっしゃられたかもわかりませんが、こういう形でまとめていただいたということで、今、皆さんの御意見を聞いていてもそれなりに評価していただいていると思いますし、更に我々が自身を含めて努力しなければならないという方向性も、御意見としてちょうだいしたということでございます。
 ということで、もしよければ、特に御意見がなければ、今回、厚生労働大臣から諮問された答申案について、我々とすればこの変更案の内容で承認する形の答申をするということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○門田会長 では、皆さん賛同していただいたと判断させていただきます。
 ありがとうございました。本日のこの件につきましては、ひとまずここで休憩に入らせていただいて、ここに厚生労働大臣の席も設けてございますので、ここで御出馬を願って直接この答申をお渡ししたいと思います。
 しばらく休憩をとらせていただきたいと思いますが、今、国会の最中で大臣がここに来ていただけるのは、5時20分ごろということでございますので、申し訳ございませんが、ここで25分ぐらいの休憩をとらせていただきたいと思います。ちょっと一段落していただいて、お待ちいただきたいと思います。
 それでは、しばらく休憩に入ります。ありがとうございました。
(休  憩)
○鷲見がん対策推進室長 それでは、協議会を再開いたします。門田会長、よろしくお願いします。
○門田会長 ただいま、大臣に到着していただきました。このたび、がん対策基本法第9条第7項のがん対策推進基本計画の変更というタイミングでございますが、平成22年10月から、この改正案について検討を始めましたけれども、今日まで19回の審議を経てまいりました。そして、先ほどの協議会で皆様方に、大臣からいただきました諮問につきましてディスカッションしていただいて、今回原案のまま承認していただいたということでございますので、私が会長として大臣に答申をお返ししたいと思います。
(答申 手交)
○門田会長 それでは、厚生労働大臣よりごあいさつをちょうだいしたいと思います。
 それでは、小宮山大臣、お願いいたします。
○小宮山厚生労働大臣 厚生労働大臣の小宮山洋子でございます。
 予算委員会の関係でお待ちをいただいて申し訳ございませんでした。ただいま答申をいただきましたことについて、あいさつをさせていただきたいと思います。
 今、会長からもお話がございましたように、今回のがん対策推進基本計画の変更に当たりまして、一昨年の10月からがん対策推進協議会が計19回開催をされ、特に昨年の8月からは月2回というペースで議論を重ねていただきました。また、専門的な知見が必要な分野である小児がん、緩和ケア、がん研究については協議会の下に専門委員会が設置され、それぞれ7回ずつ集中的な議論が行われたと伺っています。門田会長を初め、委員の皆様方には本当に御尽力をいただきましたことに、心から御礼を申し上げます。
 これまでの日本のがん対策は、平成19年6月に策定されました、がん対策推進基本計画に基づいて、がんの予防、早期発見、診断、治療などの観点から総合的に取り組んできました。しかし、がん患者は身体的な痛みだけではなくて、不安などの心の痛みですとか仕事を失うこと、また、経済的な負担などの社会的な痛みといった多様な痛みに直面されていることが、これまでの協議会の議論で明らかになっています。そして、患者だけでなく、がんを経験された方や家族の方もこうして痛みと向かい合ってらっしゃいます。こうした現状を踏まえまして、全体目標に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を新たに追加いたしました。
 また、がん患者やがんを経験された方の就労の問題、検診受診率の向上、これまで対策の遅れていた小児がんにも取り組むため、重点課題には働く世代や小児へのがん対策の充実を新たに追加しました。
 更に、平成19年の基本計画にはなかった、喫煙率や受動喫煙の数値目標も新たに盛り込みました。
 こうした変更を踏まえまして、厚生労働省としては関係省庁とも協力をして、がん対策基本法の理念を守りながら、総合的・計画的にがん対策を進めていきたいと考えています。
 なお、平成24年の厚生労働省のがん対策予算は357億円、対前年度比103.9%となっています。予算の作成に当たりましては協議会からいただいた御意見を踏まえまして、基本計画の修正を見据えて、小児がん対策といった新たな重点項目も取り組むべき点ということで、予算に盛り込ませていただきました。
 皆様の思いを受けましたこの答申を厚生労働省案とし、5~6月ごろを目途に閣議決定まで進めていきたいと考えています。
 今後とも委員の皆様方からの御意見を伺いながら、がん対策を更に拡充させていきたいと考えていますので、今後とも御協力をいただきますように心からお願いを申し上げまして、私からの御礼のあいさつとさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
○門田会長 小宮山大臣、ありがとうございました。是非、閣議決定までよろしくお願いしたいと思います。
○鷲見がん対策推進室長 では、以上をもちまして撮影を終了していただいて、カメラを収めていただきますよう御協力のほどよろしくお願いいたします。
 小宮山大臣は公務のため、ここで退席させていただきたいと思います。
(小宮山大臣 退室)
○門田会長 それでは、先ほどお話しておりましたように、本日の協議会はこれですべて終了ということになりました。
 次回の協議会でございますけれども、皆様方に日程調整をさせていただいて予定日を決めさせていただいておりますが、いろいろな情勢が動いておりますので、改めまして事務局の方から日取りについてお知らせをさせていただくことにさせていただきたいと思います。
 それから、嘉山先生のものは事務局の方から紹介するんですか。
○鷲見がん対策推進室長 参考資料3としまして、今回見本版が机上にお配りされておりますが、その件につきまして嘉山委員より御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○嘉山委員 日本が世界で一番がんに罹患する率が高くなっておりますので、日本が世界に先駆けてがんに伴ういろいろな問題を解決していかなければならないということで、従来はなかったんですけれども、今度『もしも、がんが再発したら』という本を出版することにいたしました。
 この本の内容はサイエンス、つまりセカンドオピニオン等々ではなくて、再発したときの患者さんあるいは御家族の心の不安の除去、すなわち共感を得ようということです。あなた一人ではないです、孤立しているわけではありませんよということで、国立がん研究センターには100人のがん患者さんのパネリストがいらっしゃいまして、その中から8名を選ばせていただきました。時間的な余裕あるいは職業についているついていないとか、そういうことがありまして8人の患者さんの言葉をずっと書かせていただきました。
 今、これをちょっと見ていただきたいと思うんですが、ほとんど自分が普段考えている、再発したときに考えたこと、あるいは問題になったことの心の吐露が出ていると思います。
 先ほど花井委員の方からもございましたように、患者さんに医師が、再発だよ、もう治療手だてがないとか、そういう機械的な言葉を投げかける若い医師もいる可能性がありますので、この本に「患者必携」書いてあるんですけれども、患者必携プラス医療人の必携ということで、今度表紙は直させていただきます。
 現時点で8万部を刷って、がん患者さんの会ですとかがん拠点病院等々に配布をするつもりでおります。ただ、予算の関係もありますので、国立がん研究センターのホームページにPDFで掲げますので、そこからこれを印刷されても結構ですし、事実750円で買うこともできますので、次のステップへということで、半分の患者さん、初期のがんは治りますので、そうすると2回目あるいは新たながんが出ることもありますので、この本を活用していただければと思います。よろしくお願いします。
○鷲見がん対策推進室長 ありがとうございました。
 会長からお話がございましたように、次回の開催につきましては各委員の予定等を考慮し、会長と御相談させていただきます。開催日時が決まりましたら各委員にお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。
○門田会長 中川委員の方からどうぞ。
○中川委員 よけいな言葉かもしれませんが、今、この本を拝見しまして、物すごくいいですね。私は一般の方向けに幾つか本を書いた経験があるんですが、こういう本はなかなかつくれないですよ。国立がん研究センターの中からこういう本が出てきたということに関して、非常に感銘を受けました。印象をお話しました。
○鷲見がん対策推進室長 途中で申し訳ありません。
 また、本日御説明はしませんでしたが、参考資料2としまして平成24年度診療報酬改定のうち、主にがんに係る改定内容につきまして概要を抜粋いたしましたので、後ほどごらんいただければと思います。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の協議会はこれで終わりたいと思うのですが、最後に一言だけ御礼を申し上げさせていただきたいと思います。
 私が会長をお引き受けさせていただいたのが5月25日で、5月の終わりでございまして、正直言って、そのときから今日の日を迎えるのを非常に心配しておりました。ですけれども、できるだけ皆さんの御意見を反映するということで、先ほども申しましたけれども、月2回ずつ、しかも3時間、場合によっては4時間半ほどやりましたか、ということもございましたけれども、無事今日が迎えられたことを非常にうれしく思っておりますし、皆さんの御協力に本当に感謝いたします。
 先ほどの前川さんの御意見もございましたけれども、これからが我々の勝負だと思いますし、一旦ここは計画を手渡すということで終わりましたが、これから本質的なディスカッションを是非やらせていただきたいと思っておりますので、今後とも御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○鷲見がん対策推進室長 それでは、以上をもちまして協議会は終了となります。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局総務課がん対策推進室

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> がん対策推進協議会(がん対策推進協議会)> 第32回がん対策推進協議会議事録

ページの先頭へ戻る