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2012年2月29日 第7回地域保健対策検討会議事録

健康局総務課地域保健室

○日時

平成24年2月27日(月)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第12会議室(12F)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

構成員

大井田 隆 (日本大学医学部教授)
大場 エミ (横浜市南福祉保健センター長)
小澤 邦壽 (群馬県衛生環境研究所長)
曽根 智史 (国立保健医療科学院国際協力研究部長)
中 由美 (大阪府藤井寺保健所地域保健課主査)
秦 榮子 (愛媛県食生活改善推進連絡協議会会長)
林 謙治 (国立保健医療科学院長)
廣田 洋子 (北海道空知総合振興局技監(北海道岩見沢保健所長))
吉田 和仁 (愛知県尾張旭市健康福祉部健康課長)

参考人

和田 欣子 (三重県教育委員会事務局 生徒指導・健康教育室長)
櫻井 香 (三重県教育委員会事務局 生徒指導・健康教育室)
長澤 淳也 (株式会社タニタ ブランド統合室長)
本田 由香 (株式会社タニタ 開発部)

事務局

外山 千也 (健康局長)
木村 博承 (大臣官房参事官)
堀江 裕 (生活衛生課長)
政田 敏裕 (総務課地域保健室長)
尾田 進 (総務課保健指導室長)
岡田 就将 (総務課地域保健室室長補佐)

○議題

1 開会
2 議事
(1)住民ニーズの多様化・高度化に対応した地域資源との関わりについて
(3)その他

○議事

○木村大臣官房参事官 それでは、定刻より1~2分早いわけでございますけれども、皆様お揃いになられましたので、ただいまから「第8回地域保健対策検討会」を開催させていただきたいと思います。本日は構成員の皆様方におかれましては、御多忙の中、また、本日はあいにく大変天候の悪い中にも関わらずお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 まず、本日の構成員の出欠状況でございますけれども、岡構成員、岡部構成員、名越構成員、羽佐田構成員、松?構成員、山本構成員の6名の方々から御欠席との御報告を受けております。
また、本日は学校関係者や企業関係者の方々をお呼びいたしておりまして、学校関係者では、三重県教育委員会事務局生徒指導健康教育室長の和田欣子様、同じく学校安全・健康教育グループ指導主事の櫻井香様、また、企業関係者では、株式会社タニタ・ブランド統合室室長の長澤淳也様と同じく開発部の本田由佳様にそれぞれお越しいただいたおります。よろしくお願いいたします。
それでは、林座長、議事の進行のほど、よろしくお願い申し上げます。
○林座長 それでは、議事を進行させていただきたいと思います。
 まず、議事に入る前に事務局より資料の確認をお願いします。
○木村大臣官房参事官 承知いたしました。それでは、まず資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元に議事次第、地域保健対策検討会の名簿、座席表のほかに、
資料1 吉田構成員提出資料
資料2 和田参考人・櫻井参考人提出資料
資料3 長澤参考人・本田参考人提出資料
資料4 住民ニーズの多様化・高度化に対応した地域資源との関わりについて(論点案)参考資料1 廣田構成員提出資料
参考資料2 羽佐田構成員提出資料
参考資料3 特定建築物への立入検査等の実施状況について(生活衛生課)
という資料をお手元に示させていただいております。何か足らないものがございました。ら、事務局まで申しつけていただければと思いますけれども、いかがでございましょうか、よろしゅうございますでしょうか。
なお、今までの検討会の資料等につきましては、参考資料の綴り、ハード・ファイルに綴ってございますので、適宜参考にされていただければ幸いでございます。
 資料の確認につきましては以上でございます。
○林座長 どうもありがとうございます。
 本日は、「住民ニーズの多様化・高度化に対応した地域資源との関わり」について、こういうテーマで、地域の自立に基づいた地域保健対策を進めるために、住民のお互いの間の信頼関係やネットワークという意味のソーシャル・キャピタルに行政として、どういう形で関われるか、そういう観点から検討していただきたいと思っております。
たしか第3回のときも、ソーシャル・キャピタルの話が出て議論させていただいたわけでございますが、このときには、行政がやれなかった部分、行政の補完という意味でソーシャル・キャピタルを活用していこうと、そういう話かと思いましたが、そういう観点の一方、住民も学校との関わり、あるいは自分の職場との関わり、そういう意味での自分の身近に存在するソーシャル・キャピタルがあるわけでございますが、そういった行政からというよりか、住民からの関わり、ネットワークなり、そういった文化をどうやってつくっていくか、そこら辺が1つの大きなキーかと思いますが、そういう意味で、本日、学校と地域との連携、そういう観点から和田参考人と櫻井参考人にプレゼンテーションしていただきたいと思っております。
それから、企業と地域の連携、これも大事なことですから、長澤参考人と本田参考人にお越しいただいております。
皆さん、御存じのように、学校や地域でもそれぞれ学校保健、地域保健に勿論取り組んでいるわけでございますが、地域との連携という意味でも、そういう動きが徐々に日本でも広がっているわけでございます。そういう観点も含めて議論していただきたいと思っております。
まず、吉田構成員からお話いただきまして、それから、和田参考人、櫻井参考人、次いで長澤参考人、本田参考人の順番で話をお聞きしたいと思っております。
それでは、吉田構成員、よろしくお願いします。約20分程度で。
○吉田構成員 愛知県の尾張旭市健康課長の吉田と申します。今日は私ども尾張旭市の取り組みということから、「市民協働」というキーで実はやっております。
(PP)
 「市民『協働』をテーマとした地域保健活動」という題名にさせていただきましたが、内容としましては、本市はWHOが推奨する健康都市の理念に基づくまちづくり、それと私ども健康部門が主体となりまして、健康づくりを地域づくりに展開していこうと、そういうことです。こういったテーマで発表させていただきます。
たくさんの資料が手元にございまして、申し訳ございません。普通ですと40分、50分かかる資料を短時間で説明しますので、あとは資料のほうからいろいろ想像していただいてということで、かなり流すかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
(PP)
愛知県尾張旭市は名古屋市と瀬戸物の瀬戸の間にありまして、はっきり言ってベッドタウンです。面積も21.03㎢で、東西6?、本当に小さな、コンパクトな市でございます。そこに人口8万1,938人、現在の高齢者率は20.5%ということになっております。
(PP)
 まず「WHO健康都市 尾張旭市の健康都市づくり」ということから、こちらのほうは企画部秘書課健康都市推進室というところが中心になって活動しております。
(PP)
もともとが尾張旭市は名古屋市のベッドタウンということで、以前は何もしなくていい。こんなに寝泊まりしやすい、そして名古屋で働くという市で実はずっときたわけでございますが、そうした働き盛りの方々が、いよいよ現役世代を抜けて高齢化してくるとともに、自分たちの市を意識するようになりました。それで、このままではいけないというところで、市長が替わったところで、「健康づくりでまちづくり」ができないかというところが1つのポイントになりました。
健康課のほうとしましては、「ヘルスプロモーション」ということを進めていって、健康日本21計画の地方版、そういったものを推奨していかなければならないということで、そういったことも考えていく中で、市を挙げて、セールスポイントにもなる尾張旭市の特徴として「健康」を使おうということで、それも標榜だけではなく、本気に取り組むのだというところで、たまたまWHOが提唱している「健康都市」の理念に基づく「健康都市連合」というのが2004年につくられるというところで、尾張旭市はそれに加盟をしまして「健康都市連合」の考え方と健康でまちづくり、そしてヘルスプロモーション、そういったものでまちづくりをしようということでした。
(PP)
 先ほど言ったWHOが提唱している「健康都市」でございますが、都市に生活している人の身体、精神、社会、いろいろな健康水準を高めるためには、都市として考えて、ここですが、保健・医療とは無縁であった活動領域の人々にも健康の問題に関わってもらい、まちそのものを健康にしようという取り組みでございます。
簡単に言いますと、例えば緑が多い都市がいいのか、緑はなくもいい都市がいいのか。緑があるほうより健康的である。人が歩きやすい歩道があったほうがいいのか。別に歩道まで整備しなくてもいいだろうかといったとき、やはり歩きやすい歩道があったほうがいいということであります。更に突き詰めますと、就職ができる、差別がないといった大きな問題も取り組むことになるのですが、まず本市としてはその領域まではできませんから、できる範囲でといったことであります。
(PP)
 WHOの西太平洋地域に「健康都市連合(AFHC)」というのができまして、そこで加盟しております。
(PP)
平成16年に加盟の承認をいただきまして、そこから続けていまして、いろんな取り組みをしてまいりました。2年に一度、世界大会がございまして、そこでいろんな取り組みの発表をしてまいっております。16年は、最初は何もできなかったのですが、その後、取り組みまして、18年に2つの賞、20年2つの賞、22年2つの賞をいただいて取り組みのほうから表彰させていただいております。

(PP)
 これは22年の韓国で行われた世界大会であります。
(PP)
そのときも2つの賞をいただいた。ここでは、市民の皆さんとともに行ってきた健康都市づくり、それが評価されてきているということでございます。
(PP)
 そのコンセプトはどうかというと、3つの柱というのを立ち上げまして、「寝たきりにさせないまちづくり」、「住み続けたくなるまちづくり」、「外に出かけたくなるまちづくり」、この3つの相乗効果を高めていこうということです。この表現については行政らしくない表現だとは思うのですが、あえて市民にわかりやすく、かつ目指すのに何を目指すかわかりやすいということでそういった3本柱にしました。
(PP)
 どんな事業をしているのかというと、大きな柱としてはこのようにやっておりますが、特に特徴的なのは「外へ出かけたくなるまちづくり」ですと、AED 設置、市民活動支援事業、地域生活支援事業、そういったものになります。
「住み続けたくなるまちづくり」になりますと、災害情報システム運営事業、リサイクル広場運営事業、環境などの部分も含めてやるべきではないかということです。
「寝たきりにさせないまちづくり」というのは、筋力トレーニング事業とか保健分野が活躍する領域と位置づけられます。
(PP)
どういうことをやっているかというと、「元気まるいきいきネット」といって、「元気まる測定」というのを、後に説明しますが、そういったものの名前をかりまして、市民がとにかく元気いきいき暮らせるということで進めています。
(PP)
「まるごとウォーキングのまち」、市全体にウォーキングができるように整備していくとともに、ウォーキングを推奨していき、市民生活の中にウォーキングを溶け込まそうという施策です。
(PP)
「尾張旭市まるごとウォーキング」ということをいたしまして、ウォーキングコースを13コース。6分の1の面積を占める森林公園がございまして、県の施設ですが、その中にも6コースをつくって、休憩できるポイントを、公民館とかそういうところに置いて、血圧計を設置させて健康を意識するようにウォーキングをやっていっております。
(PP)
 ウォーキングマップ、これは当然皆さんに普及するには必要だろうということでつくったのですが、その中に、更に市民に、ここの風景がすごくいいですよとか、そういった皆さんの秘密の場所とかそういうのがありまして、そういうところを皆さんから募集しまして、それをマップに落として共有をするという方法をとっております。
(PP)
ホームページにウォーキングの情報を載せています。市自体がウォーキングの催しをするというのは余りないのですが、商工会とかいろんな団体がウォーキング大会を実施することが多いのですが、それをここでまとめて市民の方がいつでも参加しやすく情報提供できるようにという役割をとっております。
(PP)
 「温泉活用型休養・交流」ということですが、尾張旭市は長野県阿智村に温泉保養施設を持っておりまして、実はここの利用者が一時期は1年経っても予約がとれないくらいでしたが、最近の温泉ブームからずっと利用者が減り、一時期は経営をどうしようという話があったのですが、そこで再度、その辺を見直して、環境、温泉、そういったものはとてもいいので、これを市民にもう一度PRして、健康と併せて、これを活用しようという事業を立ち上げました。
(PP)
ここで健康都市推進室が「お出かけウォーキング」ということで、バスを借り切りまして、定員が40名なのですが、そちらのほうへバスに乗って行き、地元の方に案内していただいてウォーキングを行って、温泉も入って、地元の食材の食事をして帰ってくるということで、費用は2,500円ですが、これが大体定員1回40名なのですが、いつも300人ぐらいの方が申し込まれて、公開抽選をやって、年3回実施しております。
(PP)
「農と食による健康増進」、尾張旭市は実は専業農家がいませんので、農と食ということで、食育プログラムを更に推進できるようにバックアップしていこうということでやっています。
(PP)
 「親子料理教室 笑顔で楽しくクッキング!」、そういった教室、体にいいメニューの募集とかそういうのをしていまして、中に「市長賞」とか「教育長賞」というのをやりまして、それを最近では、是非うちの店に取り入れたいということで、地元のレストランがそこで表彰されたメニューをこの4月から提供するということが自然に起こってくるというふうになっているところがこの事業の展開の今のところいい方向へ進んでいると思っています。
(PP)
「エコ・ガーデンシティ」でございます。これは環境を意識して、環境と健康というのは非常に大きいということで、街にこういったボランティアで、市がつくった道路のスポットガーデンとか大きな花壇、これの管理・運営をお任せして環境のいい街にしようということでやっています。
(PP)
 23年度はどんな事業かというと、ここに書いてあるとおりですが、「歩っとチャレンジウォーキング」、要は登録していて(自主申告ですが)40?歩いた方については記念品を差し上げて達成感とともに更にウォーキングを親しんでいただくとか、「げんきカード」の配布で、市のやっている健康事業、こういったものに参加して点数制にして、40点超えると年に1回表彰するというようなことをやったりしております。
(PP)
 これは市営バスですが、公共交通機関が撤退してしまったものですから、市のほうで何らかの「あし」が必要ではないかということで、市営バス『あさぴ一号』というのを市で運営しております。指定管理方式というのをとってやっているのですが、これも健康都市の中で必要だろうということでやっていたところ、23年12月3日にインドで『第6回地域FSTフォーラムinアジア』ということで、持続的ないろんな取り組みの中で、WHOのほうからヘルスプロモーションとしてのバスの位置づけ、そういったものが発表するのにいいのではないかということで、そちらのほうで招請されまして発表してきたという経緯がございます。
(PP)
「健康まつり」というのが、どこの市・町もあるかと思うのですが、もともとは健康課を中心にした「健康まつり」、健康都市推進室が一緒に加わりまして、「健康フェスタ」という枠を大きくしまして、各種いろんな団体、市役所の各部、そういったところに呼びかけてそれぞれブースを出して毎年春に大きなまつりにしています。
ここで市役所の部署で特徴的なのは、財政課・都市計画課・安全安心課とか、一見まさに健康とは関係ないようなところが耐震についてのPRとか、そういうことを行うことによって町自体を健康にしようという取り組みで市役所の職員も動いているということでございます。
「あさぴースマイルウォーキング大会」、これは市でやる1つの大きなウォーキング大会をくっつけて一緒に連携してやっていく。それをやることによって、農協(JA)と観光協会、そういうものも一緒に加わってやっています。この中に勿論市民団体、市民ボランティアの方が入っていますので、「市民協働」と「横の連携」ということで、特徴的な健康まつりになったというところで1つ紹介させていただいております。
(PP)
 いろいろな情報発信、そういうことをやっております。
(PP)
 今のところは、自分たちの手の届く範囲と住民とでやっていたのですが、今、これから必要になるのは何かというと、事業者、学校、市民団体の更に市民団体が加わっていかないと健康都市としては弱いだろうということで、23年度から「ぐっと健康!人・まち・なかま事業」ということで、市民の更に事業者等を加えて拡大していこうということにしています。
(PP)
ここにあります「ぐっと健康!人・まち・なかま」の認定証、「なかま証」というのを条件に合う方の企業さんに差し上げて市民証を使っていただくということです。簡単なことでして、例えば毎日ラジオ体操をやっている、地域の清掃活動をやっている。朝、会社の周りを清掃している。それでもまちの健康になりますし、住民の方が体操していれば、本当に健康にいいということで、そういった取り組みをしているところについては申請していただいて、お互いに契約を結んで、そこから情報発信をしていこうと考えています。
これは健康都市の事業で、実はここのところでパイプができたところで、我々健康部門が、更に今後そこから入り込んできて、私たちが苦手としている職域の部分にここから入っていけないかということで23年度から取り組みを始めております。
(PP)
結果がどうなったのかということがよく問われるわけです。2004年から始めまして、健康都市になって何か成果はあるのかということで、なかなか成果を出すのは難しいわけでございますが、医療費は特に難しいです。そこで「健康寿命」という1つポイントを置きまして、要は自立期間、これが延びるということは健康であり、かつ人の幸せというのが少しでも長くできるのではないかというところで、そこへ着目しまして評価をしました。
(PP)
 そうしたところ、要介護認定率、これが16年度から始めまして、17年度から県、国と比べまして、要介護認定率が低いというところが出ております。高齢化率がまだ20%ちょっとですので、そういう影響もあるのかもしれませんが、グラフで見ましても、維持かつ増進できているのではないかというところがここにあらわれております。
(PP)
 更に「平均自立期間」というのを見まして、男性も女性も、これは県、全国よりも伸びているというところで、そういった効果があるのではないか。勿論、健康都市のほかに、健康課が直接いろいろ加わったり、また、いろんなところが加わってやってきた結果ということになります。そういったところは、先ほどの表彰された1つのポイントにもなっております。
(PP)
 まとめはちょっと長く書いてございますが、「健康都市」をキーワードとして、特に、健康、安全安心、教育・子育て、環境、都市基盤などを重点施策と位置づけて、人もまちも健康なまちづくりに取り組んでいこうとしております。
私が聞いたところによりますと、実はヘルスプロモーションで、こういう都市自体をやるというのも1つのヘルスプロモーションだということで、外国ではそういう位置づけがされているというのも聞いたことがあるのですが、その辺が明確にはなっていませんが、ダイナミックなヘルスプロモーションということで位置づけられるのではないかということであります。
(PP)
 続きまして、私どもの健康課の事業でございます。
尾張旭市の独自の事業紹介ということで、各市・町から問い合わせとかありまして、いろいろ今まで発表してきたりはしているのですが、特徴的な事業ということで紹介させていただきます。
(PP)
 健康度評価事業 元気まる測定」というのがございます。
 筋力トレーニング事業。
 健康づくり推進員。
 順番が、健康づくり推進員、筋力トレーニング事業を紹介させていただきます。
ここのところでは、市民協働というところに着目したところが私たちの特徴かと思っております。
(PP)
 まず「元気まる測定」でございますが、健康日本21を受けまして、生活習慣病の予防(一次予防)、それと健康増進ということで、平成13年10月から「元気まる測定」というのをつくりましてやっています。問診で、生活習慣を記入をしていただいて、センターに来ていただいた場合は、血圧・身長・体重等を測定してBMI、あるいは表を出したりしまして、更に基礎体力の測定をしまして、それをパソコンによって総合的なアドバイス結果を出しております。
(PP)
これがその結果表でございます。これに基づいて皆さんの生活習慣を一度見直していただいて、かつ増進していくということでつくっております。6項目ということになります。これはどちらかというと参加型になっているわけですが、ただ、1つ、これは随分前、13年度から始めていたわけですが、特定健診ができたときに、これは特定保健指導にはならないという、そういうことがありまして、さあ、どうするのかということがあったわけでございますが、本市が独自に進めてきて、これで行動変容は十分出せるのだというところで、このまま続けていくのと、特定健診の結果も含めて保健師の指導・アドバイスができるようにということで、今、それも含めての説明をしておりますが、特定健診イコールにならないという状況になっています。
(PP)
 13年度からの実績は以上のとおりでございます。
 ここで改善した結果が、維持・向上できた人が73.8%になっておりますが、下のカードのように、6項目について、青がベターですよ、内容よろしいですよ。黄色が注意、赤はいけませんというところで、これが1つでも改善された方というのが、一応そういう割合で出ております。
(PP)
「ネットDE元気まる」。実は今の測定を受けられる人は、どちらかというと、なかなか働いている方は受けにくいということで、女性ですと50歳以上、男性ですと65歳以上の方でないとなかなか測定に参加できないということですので、働き盛りということで、インターネットで、市のホームページからできる、インターネットの簡易版という「ネットDE元気まる」というのをつくっております。
(PP)
 この間、リニューアルしまして、こういった画面を開いていただいて、「元気まるスタート」というところ、隣は「こころの天気予報」ということで、これは心の健康のチェックになっております。
(PP)
「元気まるスタート」というところを押しますと、こういった画面で問診項目に答えてもらいます。
(PP)
最終的に結果が、栄養・食生活:良好、運動:要改善、休養:要注意という簡易的ですが、結果を出します。要改善、要注意のところを更にクリックしていただくと、相談先とか、そういうのがリンクされるようになっております。
(PP)
 続きまして、今度は市民協働事業の典型的なものでございますが、「健康づくり推進員」を尾張旭市は立ち上げました。16年度に要請して17年度から開始しております。
(PP)
 健康づくり推進員自らが、健康づくりの知識や技術を修得していただきまして、この推進員が地域の健康づくりのリーダーとなって、市と協働して市民の健康の維持、増進を図るということで、市民公募の無償のボランティアでございます。これはとにかく「参加」ではなく『参画』というところを非常に意識しまして、市の職員とやっています。
簡単な例で、よく皆さんに驚かれるのは、市の予算書を職員と健康づくり推進員と一緒に見ながら毎年の年間の計画を立てます。健康づくり推進員から出た言葉が、「自分の健康→家族の健康→地域の健康」を私たちは目指している。
(PP)
 実は『協働』と先ほど言っておりますが、地方自治体のまちづくりにおきまして、実は『協働』という言葉は当たり前のように現在あるものもございます。私は事務職でございますので、異動してきて、今、健康課におるわけでございますが、その中で『協働』という概念は不可欠でありまして、これは地方自治の分野では非常に重要とされています。まちづくり条例、自治基本条例においても「協働」というのは不可欠なものと位置づけられております。
行政単独または市民のみでは解決、また、しにくい地域の課題に対して、住民・市民、事業者を含めて協力して取り組む、参加・参画ということです。
責任と行動において市民・行政が相互対等である、パートナーシップです。
市民⇒、住民、事業者、企業、NPOが市民という位置づけになってやっております。
市民が相互に連携して主体的に「まちづくり」に加わっていくということです。それには行政主導型、住民主導型、相互推進型というのがございますが、この手法を使ってやっていこうということで、先ほど言った「健康によるまちづくり」ということで進めました。
(PP)
 市民から募集をしまして、現在30人の方でやっております。
(PP)
 健康づくり推進員は何をするかということで、一切、行政のほうから、こういうことをしてくださいということは言わずに、最初、1年間、自分たちでできることを一緒に考えまして出てきた答えが、この3本柱でございます。
1 筋力トレーニング。
健康課が筋力トレーニングを推進しようとしたときに、同時に我々も応援する。
2 ウォーキング。
これは私たちで是非ウォーキングの未経験者を主体に散歩からのウォーキングを普及推進します。
3 笑いと健康というのを市民に訴えています。
これは非常に行政が取り組みにくいところを、また、なじみにくいところを自らこういうところへ進めていくということで、これをいろいろやっていく中で、これが市民に評価されておりまして、ポジティブな心の健康増進になるのではないか。要はふだんから笑いということで、うつとか病気のほうに行かせないように、そちらのほうへ常に笑い等を観察していこうという展開が、これは1つの特徴的な動きができてくるのではないかと思っています。
(PP)
 筋力トレーニングでございますが、こちらの青いTシャツを着た方、これは健康づくり推進員です。こらちは職員でございますが、こういった市がやる筋力トレーニング教室に補助者として入っていただきます。この方たちが約5か月ぐらいで、卒業したら、後は健康づくり推進員の方が指導者となって自立をさせるまでいろいろ面倒見ていただいて、自主グループへ展開していきます。そうすると健康づくり推進員は次のところへまた応援に行くというふうなことになっています。
(PP)
 ウォーキングでございます。これは一切市の職員は加わらずに自分たちでほぼ毎月1回、下見をして、ウォーキングコースをつくって、自分たちでチラシを配って参加者を集めています。毎回40人~70人集めて、尾張旭市の各地区でウォーキングをやっております。
(PP)
これが笑いと健康です。素人の落語家さんを呼んでですが、こういった笑いが大切ですよとか、「日本笑い学会」の副会長さんでしたが、そういった大学の教授を呼んだりして、そういう講演会を健康づくり推進員がすべて準備から何からやっております。私たちはそばにいて、何かのアドバイスとかするぐらいです。こういったところになりますと、毎回300人いっぱいになってしまって帰った人もいるということです。最近はこういった笑いのほうでも、「福笑い音頭」とか、違うものを探してきて展開していますが、150人ぐらいは自分たちで集めてやっております。
(PP)
 こちらが健康づくり推進員です。市からはユニフォームを提供して、市の看板を差し上げて、かつ自分たちでできるだけ企画してやっていくというような姿勢で、お互いに協力しながらやっています。
(PP)
 これは20年にタイのバンコクから視察団(43名)によりまして、市民が実際こうやっていますということを説明するより、やってもらったほうがいいものですから、この場においてはすべてお任せして説明とか実践をしていただいております。毎年外国の方がよく見えまして、そういうことをやっていただいております。
(PP)
 これはマスコミが非常に注目して、行政が動くよりも市民が動くことがいかに話題性があって、かつ効果的なところも新聞でも評価していただいております。
(PP) 
続いて筋力トレーニング事業でございますが、これは尾張旭市が進めている筋力トレーニング、全く簡単な動作8項目で、誰でもできるものですが、これを進めているわけです。
(PP)
 これは体力の維持・増進、将来にわたって日常生活を送れるように(寝たきりにさせないまち)。
 地域で教室を行うことにより、閉じこもり予防を図ること(外に出かけたくなるまち)。
自主グループ化を働きかけ、地域で仲間をつくってトレーニングを継続していく(仲間づくり・地域づくり)です。〈住み続けたくなるまち〉へということになります。
(PP)
40歳以上ということで、介護予防でいくと65歳というラインが実は全自治体にあるかと思いますが、尾張旭市は65歳という一切そういう線はなく、健康づくりから筋力トレーニングということで、40歳という1つの線をとっています。必ずその中にスタッフ、専門職以外に健康づくり推進員のボランティアが入っております。
(PP)
 市が年2回教室をつくって、そこで集めて自主活動へ展開しておりますが、そのほかにも、老人クラブが自分たちでやりたいとか、地域の住民の仲間同士が自分たちでやりたいとか、健康づくりをやっていたグループがそういうのを取り入れてやっていきたいというところで、そういった要望があった場合、健康づくり推進員が出向き、健康課が出前講座という形で支援して自主化をして進めております。
(PP)
 当初、2グループだったのが現在35グループになっています。
(PP)
 市内の至るところ、集会所、公民館、そういうところで展開しております。
(PP)
このように、これは自主グループですが、健康づくり推進員によって、今、どちらかというと、こういうように陰に補助者ということで、自分たちで自主的にほとんどが運営しております。
(PP)
 これは年に1回「らくらく貯筋体操推進大会」、このときは300人ぐらい集まりました。実は本日は1年置きに研修会というのがありまして、250人集めて今現在やっております。
(PP)
 筋トレ参加者の声を聞きますと、「仲間が増え外へ出かけるのが楽しみになった」、「1人ではできないが、みんなだとできる」、「健康が維持できるよう日常生活で考えて行動したい」、こうなっております。
実は筋トレの効果は当然ございますが、注目するべき点は、今、言ったように仲間が増えるとか、そういうところです。
これはアンケート調査した結果、6か月未満の方ですけれども、効果が実感でき、日常生活に影響が出てきた。6か月から~2年:筋力が当然向上され、日常生活動作の向上を実感。2年以上の方で共通するのは、「筋力の向上」は当然「友達ができたことが何よりうれしい」ということが実は出ております。
 ?~?すべての5割以上の方に「楽しみができた」と実感しております。これは公衆衛生学会でも発表させていただいております。
(PP)
 特別な器具を使わない、簡単なもので、ここにありますテキスト、DVD、これについては、健康づくり推進員と職員が手づくりでやっております。
(PP)
 実は筋トレ事業は尾張旭市は特に思い入れが非常にありまして、ただ、筋力をアップする介護予防だけに特化せずに、筋トレの効果は当然介護予防にもつながっていくQOLの維持向上になるのですが、そこに生活習慣の向上ということで、先ほど元気まる測定を入れたり健康講座を導入しております。各保健部門のあらゆるスタッフ、事務職も加わって、これを連携して運営していきます。
何よりも大事なのは「市民協働」です。たった15人の職員ではとてもこれは面倒見れないですが、ほとんど健康づくり推進員が自らやっていただいている。
自治会・町内会・老人クラフなどが参加・協力・応援していただいて、実は地域で支えているところがどんどん増えてきているところで、これが、今、予想外の展開になっているということでございます。
(PP)
地域づくりにつながるために、?誰でも取り組める内容である。?喜びを実感できる。?楽しくできる 日常生活の楽しみとなる。?仲間ができる。?身近な地域で活動できる。?地域住民が元気になるということです。
(PP)
 今後でございますが、こういった健康づくりというのは専門家である保健師などが中心になりまして、研究・検討・検証・議論等を重ねて効果・安全などを明確にしたものでいろんな事業を立ち上げています。
 それらの理論に基づいて、健康づくりの主体である住民の参加と参画を共に継続できる形で提供や支援をしていこうというもので、全く簡単な言葉で言いますと、「健康づくりは良いこと 良いことは『楽しい』『楽しい』ことは継続」で、継続こそ効果になって、健康増進になるのではないかというところで、難しい問題と簡単な問題をつなげるというところが大事ではないかと思っております。
(PP)
 健康課は『ヘルスプロモーション』を推進。
 健康都市推進室は、「健康都市」を推進しています。
推進のキーは【市民協働】市民と行政、そして市民から市民へ今、動いているということです。
健康都市の土台を上げれば、ヘルスプロモーションも確実に向上するでしょう。ヘルスプロモーションを伸ばせば土台を引き上げるのではないかということで、今、健康都市推進室と運命共同体ということでやっております。
健康づくりから人づくり、仲間づくり、活力ある市民、地域づくり・まちづくりというふうに進んでいます。
健康課職員、健康都市推進員室の職員だけではこれまでの事業はできません。
市民の力があってこそ実現できて発展するものと思っております。
(PP)
 「市民から市民へ」ということで、この辺は行動変容になるのですが、市民協働の中から、更に人がどんどん力をつけていくということであります。
この伊藤さんでございますが、普通の人でして、どちらかというとメタボの体質でしたのですが、この方が友達も余りいなかったのですが、筋トレを始めて、健康づくりの魅力に引かれまして、健康づくり推進員になりまして、自らスマートな体になって、ウォーキングを本当に好きになりまして、健康づくりの楽しさ、魅力を伝えたいということで、特に「ウォーキング」に力を入れまして、ウォーキングのすばらしさを市民に広めて、愛好者を非常に増やしています。この方の目標は、1回のウォーキングを70人に集めるということで、自ら朝早く起きて、自分でつくったチラシをまいたりしておりまして、実はこれが市民と行政、これが市民から市民への展開の1つの例として、この方を挙げさせていただきました。
(PP)
 本市にいろんなところから視察に来ておりまして、これは20年度ですが、海外からも健康都市の関係もございますし、そういうのを聞いたところが、見たいと、海外からも来ていまして、23年度も台湾の高雄市からも来ております。
(PP)
「市民協働」ということで、毎年、アジア保健研修所というところが近隣の市にありまして、そこが本市の取り組みが非常に研修にいいということで視察研修に見えまして、こういった各アジアの国から12名来たうちの大体8名の方が、市民参加、『市民協働』をテーマにして今回見えておりました。
ということで、『市民協働』は、先進国と言われる日本だけのテーマでなく、そうでない国においても公衆衛生・保健衛生を運営するためには重要なテーマであることを私たち自身が逆に学ぶことができました。
(PP)
 「超高齢化(少子高齢化)でも活力あるまちは市民(地域住民)が健康であること!」、これは間違いないと思います。
 健康づくりで個人が健康になる⇒家族や身近な人たちが健康になる⇒健康の仲間ができる⇒地域が健康(元気・活性化)になる⇒『我がまち』が健康になる⇒元気なまち、活力のあるまち「21世紀の魅力あるまち」になるのではないかということで、それには事業者・企業も含めて市民と行政が力を合わせた市民協働ではないかと思います。

 最後でございます。申し訳ございません。今回欠席されておりますが、静岡県小山町の羽佐田課長さんの参考資料2でございますが、羽佐田課長さんは、「ソーシャル・キャピタルを活かしたポピュレーション・アプローチ」というふうにそこにも書かれております。私どもの尾張旭市は「市民協働による健康づくり」でありまして、ヘルスプロモーション推進、積極的なポピュレーション・アプローチ」というふうにやっております。
また、羽佐田課長さんと話をしますと、小山町としては「健康づくりはまちづくり」というテーマで、尾張旭市は「健康づくりでまちづくり」がテーマということで、これが偶然ですが一致しておりました。どちらの自治体も手法が異なるものの健康増進を共通の課題として地域住民、事業者、行政が一体となって、もしくは連携して取り組んでいくことが重要な課題として位置づけております。どちらかというと、明るい取り組み、ポジティブな取り組みが主体になりますが、このことによりソーシャル・キャピタルの情勢、特に都市部ではこういったものが必要ではないかと思っております。
そのことから、非感染症に限らず、いざというときの感染症対策、危機管理にもつながるのではないかと考えております。いざというときは健康意識の高い住民のネットワークを活用して予防の啓発などが可能。予防知識や取り組みを提供することで日頃の予防意識の向上を図ることができる。また、危機管理における市民協働は地域防災で、住民・町内会・自治会においての自主防災として、行政と活動している例が全国に確実に存在しております。
更に超高齢化社会を考えますと、医療制度、介護保険制度などの適正化、制度を守るためにも高い健康意識を持った住民の存在が重要ではないかと考えております。
結びですが、これまでの取り組みから、超高齢化社会において活力ある町は、市民・地域住民が健康であること。それには今後10年をどうするかが重要な課題であり、市町村としては避けて通ることができない課題かと思っております。
地方主権の時代と言われる今日ですが、実態は補助金行政の中、法令の範囲の中、国の方針に基づかなければならないという暗黙の了解の中で保健施策が進められております。そうした中で、住民主役・住民と行政との協働、保健事業を推進するにはしっかりとした国の方針に基づき、基礎自治体である市町村が明確なコンセプトを持ち、健康づくり=まちづくりという基本方針を組織的に確立することが必要ではないかと考えております。
大変長々と貴重な時間、申し訳ございませんでした。すごく急いで説明してしまったものですから誠に申し訳ございませんが、以上のことで事例発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○林座長 どうもありがとうございました。大変興味深く拝聴させていただきました。
一通りプレゼンテーション終わりましてから、また、質問等をいただきたいと思います。
続きまして、和田参考人と櫻井参考人、お願いしたいと思います。
○和田参考人 今日はこのような貴重な発表の機会いただきまして、どうもありがとうございます。三重県教育委員会として、学校においては学校保健ということで保健指導、保健教育、保健学習ということをやっておるわけですけれども、子どもたちの健康課題というのは非常にさまざまになってきております。その健康課題に対応していくには、学校だけではなかなか対応しきれないというような状況があります。
今回、発表させていただきますのは、文部科学省が実施をしております地域の専門家を学校に派遣をするという、その事業を通して学校と地域の保健部局、関係機関とどのように連携をしていくのか。学校がなかなか地域の保健機関と連携するということが難しいという、なかなかできていないというような状況の中で、どのように取り組んだのかという点について発表させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○櫻井参考人 三重県教育委員会事務局の櫻井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
(PP)
 今日は、文部科学省の委託を受けて実施をいたしました「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業」という事業を中心に教育委員会と保健部局、関係機関との連携について御報告をいたしたいと思います。
昨年、この報告は文部科学省のほうで発表させていただいておりまして、それを軸としてお話をさせていただきますので、実践内容が22年度の実践が入っておりますことをどうぞ御了承いただきたいと思います。
(PP)
まず、この事業は、子どもの具体的な健康課題に適切に対応するためには、学校や家庭を中心といたしまして、地域の関係機関との連携を強化した地域レベルの組織体制、これを構築することが不可欠であるというような考え方の下に進められております。具体的な健康課題をテーマに専門医等を学校に派遣いたしまして、児童生徒や保護者を対象とした健康相談や「特別活動」等における授業の実施、また、教職員の研修などを開催するということで、地域全体で取り組む子どもの健康を育む体制づくりを推進することを目的としており、まずは学校と地域の専門家、地域の専門機関がつながるための取り組みということを進めてまいりました。
事業はここにありますように、「協議会」の設置、学校への「専門医等の派遣」、「講習会」の開催を3つの柱としておりますので、まずは協議会から順に御説明したいと思います。
(PP)
事業の核というのが協議会でございます。三重県ではここに挙げさせていただきましたように、合計13人で構成をいたしました。協議会の中では、本県の健康課題について検討いたしまして、学校保健推進計画というものを策定して、その課題に応じた専門医の派遣計画というものをつくっていきました。
(PP)
 協議会の中で話し合われた3つの重点課題について御説明をします。
 課題の1つ目です。医師会の先生方とお話をする中で、精神科を受診して来る児童生徒が多くなってきているね、という言葉を以前よりいただいておりました。そこでメンタルヘルスというものを1つ目の課題といたしまして、精神科医を継続的に学校に派遣して、児童生徒及び教職員に対してメンタルヘルスに関する指導や助言を行っていただくということといたしました。
(PP)
 課題の2つ目です。本県における12歳の一人平均DMF指数、つまり永久歯の虫歯経験率というものですが、全国平均より高いという実情がございます。そこから「歯と口の健康づくり」を課題の?とすることとしました。
そこで、歯科医師会や歯科衛生士会、健康福祉部の健康づくり室と連携をいたしまして、学校歯科医が学校において指導する際に、更に歯科衛生士さんを学校に派遣して「歯と口の健康づくりに関する指導」を充実するということにしました。
(PP)
 課題の3つ目です。ここでは、性に関する指導を取り上げました。本県の「10代の人工妊娠中絶」ですが、平成14年度がピークになりまして、そこからはどんどんと減少してきております。まだまだ全国平均を上回っているというような状況があります。ですので、これは指導の対象としていこうということで、産婦人科医会と地域の助産師さんと連携をいたしまして、「性に関する指導」を充実しようということになりました。
(PP)
協議会では、これらの3つの重点課題に加えまして、各校の現状に応じて専門医を派遣ができるように、その他の項目を入れまして、派遣計画をつくりまして、平成22年度は合計60回県のほうから派遣をしております。
(PP)
 では、どのように連携をして専門医を派遣したのかということを御説明します。
まずメンタルヘルスについてですが、まず学校からこのように申し込みを受けます。これを受けて、県の教育委員会と県の医師会が連携をしまして、どういう資料で派遣が行えるのかということを協議します。ここで派遣ができるぞということがわかりましたら、学校のほうへ確定ということで決定を通知します。日程調整後、医師会から児童精神科医の先生を学校に派遣していただきまして指導・助言ということを行っていただくということです。
三重県の医師会では、右のほうに書かせていただきましたように、メンタルヘルスの部会というものを設置していただきまして、2人の児童精神科医さんを中心として積極的に学校における指導を行っていただいています。学校では特に気になる子どもたちについて、学校とか家庭の状況をお伝えしまして、具体的な方法を御助言いただいたり、例えばこの状態になってきたら、この子にも受診を進めましょうというような早い取り組みができるような指導をいただいております。
(PP)
 2つ目の課題になりました「歯と口の健康づくり」ですが、見ていただいたようにたくさんの関係機関とつながっております。まず、先ほどと同じように、学校から申し込みを受けますが、その後、今度は健康福祉部と連携して、どの事業で派遣できるかということを決め、また、学校に決定をします。教育委員会の事業で行う場合には教育委員会から、そして健康福祉部の事業で行う場合には健康福祉部から県の歯科医師会に派遣の要請を行います。県の歯科医師会はこれを受けまして、今度は県の歯科衛生士会のほうに派遣依頼を行っていただきます。そして、学校が希望する日程で何人が行けるかということを調整いただきまして、県の歯科医師会に所属している方、もしくは県の歯科衛生士会に所属している方をこのように、歯科衛生士さんを学校へ派遣をしていただくということを行っています。
 この事業に関しては、県の健康福祉部さんとか、県の歯科医師会さんが平成17年から県の各地域で学校や地域で支援ができるような方を人材育成をしていただいております。特に昨年(平成22年度)からは学校や園においてどんなふうに指導するかというようなことも研修プログラムに入れていただきましたので、このようにどんどんと学校でも支援が進んでいるということです。
更にこのような専門医派遣以外にも教育委員会と健康福祉部や医師会さんと連携をさせてもらいまして、例えば「かむかむクッキングコンクール」のような食育の観点から歯と口を考えるような取り組みも一緒に行わせていただいて、県民の皆さんから多くの参加をいただいたりということもしております。
(PP)
 重点課題の3つ目になります「性に関する指導」ですが、ここでも幾つかのところと連携しています。学校から申し込みを受けましたら、今度は産婦人科医さんを派遣するときには産婦人科医会、助産師さんを派遣する場合には健康福祉部さんと連携を行うということで調整をしてまいります。
 また、市町の保健部局、ここには保健師さんがおりますので、保健師さんからの指導も是非活用していただきたいということで、うちから御紹介するということもございます。
このような形で連携をさせていただいて派遣が決定できましたら、先ほどと同じように学校に通知、日程の調整をいただいて産婦人科医、助産師、保健師それぞれが学校のほうへ出向いて指導いただくということをしております。
三重県の産婦人科医会からは全面的に学校での教育の支援をいただいておりまして、特に3人のドクターを中心に、時には報償費がなかなか都合がつかないというようなこともあるのですが、報償費なしでいいよ、という言葉も言っていただきまして事業を行っていただいております。
また、健康福祉部さんには、「次世代の親育ち」というような事業で、高校生を中心に助産師さんによる指導などをしていただいておりますので、このあたりで連携を強化させていただいております。
(PP)
 これが専門医の派遣を行いました学校からの満足度調査です。見ていただきますように、「概ね満足」、「十分満足」というのがほとんどという結果になっていて、満足度の高さというのをわかっていただけると思います。
(PP)
 次は、講習会についてお話しします。地域との連携を目指した講習会というものもこの事業の中でやっております。協議会の中で検討した結果、平成22年度の講習会では、専門医の派遣のために検討した、先ほど挙げた3つの検討課題とは別に、地域と学校がよりつながって子どもたちを支援していける、そういうものをテーマとしたいということになりました。
(PP)
 講習会は学校関係者を対象者としまして、子どものこころのための診療センターが三重県にあるのですが、「あすなろ学園」というところから、園長先生、そして地域の支援担当室長にお話をいただきました。園長先生からは、子どもの心がどのように発達していくのかとか、校内とか校外の連携がどうして重要なのかということを、また、地域支援の担当室長からは、学校と地域の発達支援の担当課というのが今後どんなふうに連携していくのか、この体制づくりについて学ばせていただくという機会にいたしました。
(PP)
 この事業から、私たちが見えてきたことです。この事業では全体を通してさまざまな機関との連携体制の強化ができたと感じています。協議会の中では、健康福祉部や医師会の先生方、学校の現場がどのように健康課題をそれぞれとらえているのかというのを話し合うことができました。
そして、その課題に対して、それぞれどんな取り組みができるのか、それぞれのどんな効果的な支援ができるのかということを話し合いました。
また、「教育委員会」、「保健部局」、医師会等の「関係機関」、それぞれの思いを知るということで、どこを目指していくのかという方向性を知ることができたというふうに感じています。まず、大切なのはそれぞれの立場でそういうことを推進していくということがとても大事だということを確認いたしました。それに加えて、ほかの部局、関係機関の事業でやっていることに対して、その取り組みのために自分たちの組織が何ができるのかということを考えることで、それぞれの事業がより効果的な取り組みになるというようなことを実感した取り組みになりました。
(PP)
 最後になりました。この事業を通して強く感じたのは、まず、学校と地域の専門家との連携で、こういうものが強くつながっていくためには、私たち県のレベルで教育委員会、保健部局、関係機関がつながらなければいけないというようなことでした。私たちはより一層連携を強めていくということで取り組みが進むというふうに感じています。
これからも子どもたちの健康を守るために、保健部局と教育機関が共に進めるように、是非御支援をいただけたらと感じています。
どうもありがとうございました。
○林座長 どうもありがとうございました。学校保健という立場からのプレゼンテーションでございました。
続きまして、長澤参考人と本田参考人にお願いいたしたいと思います。どうぞよろしく。
○長澤参考人 皆さんはじめまして、株式タニタ、ブランド統合室の長澤と申します。同じく、開発部の本田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日はこのような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 早速、資料に沿ってお話しさせていただきますが、時間が限られておりますものですから駆け足となりますが、私のほうで大枠の概要を話させていただきまして、本田のほうで、実際に地域健康のほうに携わっていますので、そこの詳細を少し話させていただきます。(PP)
 弊社株式会社タニタは板橋区に本社がございまして、これに書いてあるとおり、特に健康づくり及び健康づくりの習慣化のところにターゲットを当てまして、体脂肪計や血圧計、歩数計等計測機器をこのようにハード機器を製造しているとともに、特定保健指導の受託指導サービス、それからフィットネスクラブ等々の保健サービス等、ハード機器とサービス両面を提供している企業でございます。
(PP)
本日は細かい資料で大変恐縮ですが、「健康づくり活動」ということで、一番上のほうが、弊社の社員向けの健康づくりはどのようなことをやっているかということと、地域向けにCSRを含めた形でどんな活動をしているかというところを御説明したいと思います。
まず、2つに共通している考え方なのですが、右下にございますように、「からだ・肥満・痩せのメカニズム理解」をベースにしています。それから、2番目に「自分に合った正しい健康生活の習慣化」、この2つを軸にしましてさまざまなプログラムを実行しているというような状況でございます。
まず、社員向けということなのですが、5つございまして、先ほど吉田様のほうからもあったように、弊社は毎朝同じ時間帯に全社員、工場も含めてラジオ体操を元気よくやりましょうということで一人残らず行っています。
2番目に、健康診断なのですが、これは年に1回の健康診断ですが、当然40歳以上に関しましては、特定健診も含めますが、40歳以下に関しても年1回の健康診断の際に、弊社の機器を利用し3つの取り組みによるフィルタリングをかけております。
1つ目は、体組成チェックということで、これに関しましては業務用向けの、こういう形になるのですが、右・左、腕、部位ごとに筋肉量、脂肪量がわかるような機器なのですが、これではかっていただいてフィルタリングをかけ、メタボ予防予備軍早期発見ということで取り組んでおります。特に40歳以下、20代、30代の問題のある社員に関しましては、重点的にマンツーマンで保健指導を行っているというような状況です。
2つ目に、弊社の尿糖計というのがございまして、これは食事前と食後の2時間後に2回尿糖をはかりまして、これも同じようなフィルタリングにしまして、糖尿病の予備軍を早期発見という形で取り組んでおります。
3つ目に、これまではテスト期間でしたが、本年度より実施ということで、残業が非常に多い社員、それから質問票の分析によって1次フィルタリングをかけまして弊社の睡眠計を使い約2週間睡眠状況を測定して分析します。これに関しましても、精神疾患等の早期発見に対しフィルタリングをかけます。その後に個別指導を行い、場合によっては医療機関にかかっていただくというようなステップを踏んで行っております。
(3)が「健康プログラム(独自)の実施」ということなのですが、これは私が今日持っているのですけれども、歩数計です。通信機能付の歩数計なのですが、これを全社員が持っていまして毎日測定しております。今日は残念ながら雪なので、余り歩けてません。また体組成計のほうが社屋のリフレッシュルームに置いてございまして、これは週に1回必ずはかることが義務づけられています。またこれら機器は通信付ということもございまして、そのデータがネットワークを通じましてPC(サーバ)上に時系列のデータが残ります。これは勿論本人が確認できるとともに、こちらの弊社内の保健指導スタッフが一緒に見て、きめ細かい指導を行うとともに、さぼってないかというようなチェックもするというような状況です。
それから、モチベーションを上げるために、社内の中で、10グループほどランダムにグループ分けがされていまして、幾つかの歩数イベント等が実行されていて、モチベーションアップというような仕組みも取り入れられています。
(4)が「メンタルサポートシステム」ということで、これは悩みが社内の人間ですとなかなか言いづらいということもございまして、ここだけは外部の業者さんに委託して行っております。
(5)が「社員食堂による食事・食育サポート」ということで、これはどちらかというと話題が先行してしまっているようですが、タニタ社員食堂ということで、これに関しましてはまず福利厚生という位置づけで手軽に健康食をが社員が食べられるということも勿論ございますが、どちらかというと、食育というか、食に関する知識を上げるほうに向けられているという状況がございます。ちなみに社員食堂に関しては、1食当たり大体500Kcalです。塩分に関しましては3g以内にしましょう。それと御飯に関しましては100gと、よそるときに計測して御飯をいただくのですが、100gですと160Kcalです。それから、食べる際にはタイマーが置いてありまして、極力よくかんでいただいて20分以上かけて食べましょう。そういうふうな仕組みを聞きながら御飯を食べているというような形になります。
そういう効果もございまして、特に若手の男性社員というのは、今までは余り関心がなかったのですが、例えばコンビニエンスストアに行きますと、メロンパンを見ると裏側を必ず見て、500Kcalかと。500Kcalということは、今、これを全部食べてしまうと、ほかに夕飯食べられなくなるなと。ちょっと半分にしておきましょうか、そういうような意識づけが非常にできているという効果がございます。これに関しましては、今年度より丸の内というか、対外的にも全国的にも展開していくというようなスケジュールでおります。
それから、「地域対象」ということで、これは大きく3つございまして、1つ目は、健康プログラムを自治体様、もしくは企業様等々の健康教室の際に期間限定で、これを使いながらサービス提供を行っているというような形の取り組みが1つです。
2つ目が、各計測機器を使いまして、計測会、これは医療機関様と連携している形ですとか、地域のほうに計測機器を持って測定会とか、そういう試みを行っています。中には弊社は板橋区に所属しますので、約18年間毎年行っていますが、弊社の本社敷地内で大々的に「健康ふれあいまつり」、この辺は板橋区さんのほうと協力いただきながら、また、住民の商店街様と連携しながら長く続けている計測会もございます。
それから、3番目に各地の健康セミナー実施という形ですが、幾つかの取り組みがあるのですが、現在は特に児童、妊婦に対する健康教室に軸足を置きまして、訴求活動を行っております。
実際に携わっている担当が本田でございますので、少し詳細をお話しさせていただきます。
○本田参考人 タニタ開発部の本田でございます。よろしくお願いいたします。
(PP)
 私たちが行っている地域活動事例を御紹介させていただきます。人生にはこういったオレンジ色で示している部分のライフステージがございます。私たちタニタの強みといたしましては、ライフサイクル、ライフステージに応じた商品を揃えていることです。更に健康の知識があるということで、あるターゲットに絞って地域活動、健康普及活動を行っております。
現在私たちは胎児期、幼少期、思春期、壮年期にむけて、特に女性と子どもをターゲットしてCSR活動を行っております。
その理由といたしましては、現在、日本では低出生体重児が増加しています。その背景といたしましては、若年者の痩せの増加ということが挙げられておりまして、現在、日本では20~30代女子の4人に1人は痩せであるということで、その痩せの弊害を女性に伝える。更に子どもたちにもダイエットの危険性を知らせるということ。女性と子どもにむけた活動ビジョンといたしましては、「女性と子どもの健康力をあげて日本を元気にする!」。
活動ミッションは、「自分のカラダのことを知り、健康をみんなのものへ」。
そして活動バリューとしましては、「女性と子どもから伝わる健康」ということで、女性が健康の知識をしっかり持てば、御主人ですとか彼氏とかに伝わることもありますし、子どもからお母さん、お父さんに伝わることもあると考えております。
主な内容としましては、妊婦さん向けには胎児期:成人病胎児期発症説ということで、妊娠中の栄養状態が子どもの健康状態を決めるというような仮説がございますので、そのあたりをしっかりお伝えしまして、妊娠中にしっかり栄養をとることをセミナー等で行っております。また、大学病院等の研究サポートもさせていただいています。
それから、子どもたちに関しては、思春期に向けて、思春期やせ・ダイエットの危険性の啓蒙、「思春期ダイエット実態調査」を学校様、PTA様と連携して行っております。実際は板橋区内で2校、都内ではある区の教育委員会と連携して現在プロジェクトを進めさせていただいています。
また、20~30代女子に向けては、企業様、自治体様に向けて、「女性のカラダと健康」ということで、妊娠前の栄養状態が結婚後、また、子どもの栄養状態、健康に関わるということを女性に向けてさせていただいています。
こういった取り組みは、月1回とかで小さい取り組みなのですけれども、こういったこつこつとした活動が将来的な低出生体重児の減少、骨粗鬆症予防、生活習慣病予防につながると考えて実施させていただいています。
(PP)
実際の活動例なのですけれども、こういったPDCAサイクルが回るようにプログラムを考えて行わせていただいています。
まず、自分の体を知るということがとても大事ですので、骨密度計か体組成計というものを使って自分の体、体脂肪がどのぐらいか、筋肉がどのぐらいかということを子どもたち、女性に知っていただくことを行います。その後に実際、適正体重、適正体脂肪がどのくらいか。女性においては大体正常な月経が来るには20%以上の体脂肪率が必要と言われておりますので20%以上、BMIに関しては18.5以上を目指しましょうということをお話しさせていただいていますし、子どもたちに関しても、小学生でダイエットをしている子がすごく増えていまして、こちらのほうにグラフを載せさせていただいていますけれども、健康教育を行う前はダイエットが男児で12.5、女子で23%ありましたけれども、健康教育を行った後というのは、このようにダイエット実施率が非常に低下しておりますので、こういったことを継続的に行っていけるように企業としても取り組みを行っております。
(PP)
実際の例につきましては、子ども用の地域活動用のこういった用紙をつくらせていただいたり、事業で使うようなマークシートなのですけれども、現状を知って目標を立てるPDCAを回すということを、子どもの時期からできるような工夫をしながら取り組ませていただいております。
○長澤参考人 発表は以上になります。御清聴どうもありがとうございました。
○林座長 ありがとうございました。
 これで一通り参考人からのプレゼンテーションをしていただいたわけでございますけれども、まず、事務局のほうから、本日の論点案について説明をお願いいたします。
○木村大臣官房参事官 承知いたしました。それでは、お手元の資料4をお開きいただきたいと思います。ただいま吉田構成員のほうから、市民と行政が力を合わせて協働によるまちづくりについてのお話。また、和田・櫻井参考人の方々から、学校保健と保健部局との連携の状況、あり方についてのお話、また、長澤・本田参考人のほうから、企業における企業内、また企業外でのそれぞれの健康づくりを通じた社会への貢献といったお話を、今、伺ったところでございますけれども、その中で出てきます、地域資源、特にソーシャル・キャピタルという資源と、住民ニーズの多様化、高度化に対応したものとの関わりがどうあるべきかということを今回の論点として、事務局から出させていただきました。
 この検討の前提といたしましては、住民のライフサイクルの多様化、昨今の通信技術等をはじめとした科学技術の進展などにより、地域住民の保健に対するニーズが非常に多様化、また高度化してきているという状況でございます。
 そして、また、昨今の生活習慣病対策の観点などからも、食事や運動等の住民の生活習慣の改善・維持が重要な課題となってきているわけでございますけれども、これにつきましては、個人による取り組みを進めるだけではなくて、地域あるいは学校や職場といった日常の生活を通じたさまざまな場を通じて今後さらに推進していく必要があるだろうという認識でございます。
 このような状況にあっては、地域のソーシャル・キャピタルとの関わりというものが今後ますます重要性を帯びてくるのではないか。また、ソーシャル・キャピタルというものの活用とか醸成といったものを通じて、健康づくり、まちづくりといったものに発展させた事例も報告されている状況でございますので、事務局からは論点案とし、保健所・市町村保健センター等はソーシャル・キャピタルの「場」、すなわち中ほどに記してございますように、自治会、老人クラブ、あるいは趣味などを通じたサークルなどといった幅広い住民の生活の場である地域コミュニティ。
あるいは、また児童生徒の活動の場であるとともに、保護者や地域住民との交流の場でもございます学校。
また、労働者の健康管理を担うとともに、地域社会への社会的責任を果たすこともやっている企業。
こういったような種々の場と積極的に連携を図っていきながら、住民主体の取り組みを推進する必要があるのではないか。また、積極的に既存のソーシャル・キャピタルが自分たちの地域のどこにあるのかを発掘といいましょうか、探す努力をしながら、また、新たなソーシャル・キャピタルを醸成していくということも今後重要ではないかという論点の提起でございます。
それから、また、ソーシャル・キャピタルに立脚した活動につきましては、多様化する住民ニーズに合致したものであるだけではなくて、地域の絆の強化ももたらしているということで、そういった方向の中で「健康なまちづくり」という課題への対応策にもつながっていくのではないか。
そして、ここには書いてはございませんけれども、こういったソーシャル・キャピタルとの関わりにおいて、行政側の組織、体制といったものはどのようにあるべきか。今までの状態で対応していけるのか。あるいは新たな行政側の組織・体制といったもので対応していくべきなのかといったことにも議論をつなげていただければと思います。
2ページでは、そのような流れを大きくポンチ絵でイメージとして書かせておりますけれども、真ん中に血縁があり、その外側に自治会、老人クラブといった、また商店街といった、このような「地縁」といったものがある。更にその外側には学校ですとか、いわゆる「志縁」、すなわちNPO、ボランティアなど、一定の志を持ったつながりというようなもの。
そして、その横にある企業(職場)。自分たちの職員に対して、また社会的責任(CSR)としての対応をされている企業。こういうところに行政もこれからは積極的に連携を図っていく必要があると思われますが、その関わり方とともに、行政側の体制もどうあったらいいのか。このところを中心に御議論いただければということで、本日、資料4の論点案を事務局から提示させていただいた次第です。
事務局からの説明は以上でございます。
○林座長 ありがとうございます。
それでは、議論に入りたいと思いますが、先ほどのプレゼンテーション、及び今の論点案の提示、双方含めて何か御意見、あるいは御質問ございませんでしょうか。
○大井田構成員 事務局の資料4の「住民ニーズの多様化・高度化に対応した地域資源との関わりについて」の論点案の一番上の「○」ですけれども、「保健所・市町村保健センター等は」になっていますけれども、市町村保健センターは場の提供であって、市町村保健担当課ではないかと思うのですけれども、それは些細なことなのですけれども、市町村保健センターができた昭和53年のときに、「住民参加型健康づくり」と多分言ったと思うのですね。新たなる新しい提案ではないような気がするのです。ずっと言ってきてことではないかと。昭和53年よりもっと前から言っていることではないかと思うのですけれども、しかしながら、今は、ほかの検討会でもやっていますけれども、災害弱者への手を差し伸べること。それと住民組織の問題、保健所等の問題、こういったことも重要な論点ではないかと今風に考えるなら思いますけれども、それはいかがでございましょうか。
○木村大臣官房参事官 まず1点目についてでございます。市町村保健センターという文言を使っているのは、基礎自治体における行政側のといった意味合いで使わせていただいた表現でございまして、行政側が、今までソーシャル・キャピタルに対しては、行政の少しお手伝いというような形で関わってきたと認識してございますが、より主体的に活動している市民活動や地域コミュニティの動きに行政としてどのように関わっていけるのか。また、その際、行政が今までの組織・体制のままでそういうところに関わっていけるかどうかといった点について、今回議論の対象にさせていただきたいと思い、このような表現とさせていただきました。
また、2点目の、災害弱者のような、切り口もございます。ございますけれども、一般論として、そういうようなものも含めたボランティア団体等との関わり方を御議論いただきたいと思い、このような形とさせていただいている次第でございます。
○外山健康局長 ちょっと私がフォローしますけれども、市町村保健センターができた頃というのは、行政の執行機関とは別に営造物としての場を強調していたわけでありますけれども、その後、地方分権が進んで、市町村保健センター自身のところと行政機関との一体化というか、市町村の行政部分と一体的に運用しているところがあって、当初、観念的に言っていた営造物というか、ハコモノという概念だけでなくて、もう少し進んだ姿というか、出てきたので、あえて市町村保健センター等と言っているのだと思います。
それから、言葉はソーシャル・キャピタルとなっておりますけれども、事務局が先ほど言ったのは、今後、昔と同じ切り口かもしれないけれども、現時点のいろんな地域の資源がだんだん少なくなってきて、日本がだんだん縮んでくる社会の中で、いろんなボランティア活動等もあるわけですけれども、それらをどういうふうに、具体的には、縦割りでいろんな、推進員というのがありますけれども、そういうものではなくて、もうちょっと、例えばですけれども、民生委員に対応した保健推進員みたいな形のものを提唱するとか、そのほかいろいろあるかもしれませんけれども、もうちょっとそういうことを、政策として何か形をどういうふうにつくっていったらいいのか、国が推進すべき形として、そういった意識を持っているということでございます。
○林座長 よろしいですか。大場構成員。
○大場構成員 確かに健康づくりとかソーシャル・キャピタルといいますのは、私は保健師なので、保健師のことを申し上げますと、以前から保健師の専門性として行われてきた歴史があるかと思います。ただ、昨今大きく変わってきていますのは、保健分野だけでこのソーシャル・キャピタルというのは難しい時代に入ってきているということで、ここに書いてございますように、自治会とか老人クラブとか子供会、趣味の活動、このあたりとやはり手を組んでいくことは非常に重要になってきていると思います。
そのためには、例えば市町村とか行政組織の中には、生涯学習部門や自治会・町内会組織だとか、そういったところと手を組んで保健部門が手を組んで行っていくことが重要かと思います。
1つの例を御紹介しますと、横浜市の場合は各区役所の総務部門に地域支援担当課長という事務職が配置されておりまして、その担当者が保健とか福祉とか、総務部門をつなぐような形で、まだ十分に機能しているとは言えない状況ですけれども、そんな動きがあるというのを1つ御紹介をしたいと思います。
それともう一つ、地域支援という意味では、非常に今、各自治体が地域福祉計画というのを策定して推進をして、この中でまちづくり、地域づくりというのを推進している状況がございます。横浜の場合は、これに地域福祉保健計画という位置づけで保健も入って行っている形でまちづくりを進めているので、そういう意味では地域福祉計画と保健をドッキングさせたようなまちづくり計画みたいなものを提唱していただくと非常にやりいいのではないかと思います。
以上です。
○林座長 どうぞ、尾形構成員。
○尾形構成員 今日は市の行政、教育委員会、企業という三者の方々のプレゼンテーションをお聞きしたわけですが、それぞれ大変立派な取り組みを通じて成果を上げられていると思います。
 御発表いただいた方々にお伺いしたいのは、後の資料4の論点とも関わるのですが、今日の主要なテーマというのは多分保健所、市町村保健センターも含めてなのでしょうが、地域資源、ソーシャル・キャピタルとの関係、あるいは関わりをどう考えるかということだろうと思うので、その観点から御発表いただいた方々に、それぞれの大変有意義な取り組みにおいて、保健所あるいは市町村保健センターがどのような関わりを持っているのか、あるいはいないのか。そういう現状と今後併せて保健所、市町村保健センターにどういう役割が期待されるのかについて御意見を伺えればと思います。
○吉田構成員 吉田ですが、今の取り組みの中で、実はこうやって、私あちこちで発表もさせていただいているのですが、その中で一番理解が難しいなと思っているのは保健所なのですね。市町村が、今、私の市が頑張っております。それに対して保健所さん、何していただけますかといったときには回答が出てこないと思います。何もしなくても進んでいくのもあるかなと思いますけれども、ただ、市町村側としましても、羽佐田構成員とも議論したのですが、保健所が本来役割を持っている能力というのはあるはずでして、それはいろんな情報を集約して分析をして評価をするというのが、1つ離れた第三者的にそういう評価をしていただきますと、自分たちの行動が客観的に見れるのではないかと思います。
実はこういう取り組みをしていまして、いかにもすごい勢いでやっているように思いますが、これは全く手探りでやっているのが現状です。その手探りでやるということは、自分たちは先進的な取り組みなのかどうかというのはもうわからなくなってきて、周りから 言われて、ああ、そうなんだと気づいて、その間は何かというと結構不安があるのですね。今、自分たちが進んでいるのはこれでいいのだろうか。というのは、申し訳ないですが、保健事業に対して成果が見えてくるのは5年過ぎないとなかなか成果が見れないのではないか。そういったところを客観的に分析とか、そういうのをしていただけるところがあると非常にたのもしいのではないかと思っております。
もう一つ、実は公衆衛生において、ごめんなさい、私は事務職ですが、なかなか住民が今まで入ってくるという場面がなかったのではないかと思います。なぜならば、公衆衛生というのは結構専門の方、お医者さんをはじめ、そういう方が中心になって動いている、これはわかっています。これは大事なことなのですが、住民でもできる。住民ができるという視点が今までちょっと少なかったのではないのかというところで、思い切って、住民に任せてみようという市民協働ということで、尾張旭市が取り組んだというのは過程にございます。
以上です。
○尾形構成員 済みません、ちょっと追加的に。今、吉田構成員の御発言なのですが、WHOの健康都市に参加されようした経緯というのは、これはどこかから情報提供があったのか、あるいは保健所からそういう話があったのか、そういうことではないのですか。
○吉田構成員 これは市長が替わったときに若手の職員から、何かアイディアとか、そういうのはないかという中で、たまたま研修会で市川市さんの職員と知り合って、市川がそういう立ち上げの中に入ってくるという情報を偶然つかんで、それを受けて、どういうものかと大急ぎで調べたところ、「健康」というものでまちづくりへつながるのではないかという市長のコンセプトと一致したというところがきっかけです。
○林座長 ちょっとお待ちください。三重の方、済みません、いかがでしょう。保健所とか、市町村保健センター等々の関わりで何か積極的な役割を見いだせたかどうか、そういう質問かと思うのですけれども。
○櫻井参考人 失礼します。発表させていただいた事業の中で関わりを持たせていただいたのは、特に専門医の派遣というところでは、保健所の保健師さんの派遣というのを御紹介させていただくような形をつくりました。これはもともと保健師さん方というのは、子どもたちの小さい頃は積極的に関わっていただくのですけれども、学校に上がりますとぐっと距離が離れてしまうというようなところがありますので、是非そこにも関わっていただきたいというようなところで、今回ですと、高等学校などでも来ていただいて支援をしていただいたりということもさせていただいています。
また、保健センターとか保健福祉事務所のほうとの関わりとしては、学校では感染症とか、そういうものの御助言をいただくということは日頃から進めているということが1つと、それから今日は国立感染症研究所の岡部先生見えてないのですけれども、そちらのほうでつくっていただいています感染症のシステムのほうをつくって、それをシステム化していくことで、学校と地域の保健所がぐっと近づくようなシステム化というのを三重県でも、今、進めているというようなことがあります。事業としては専門医を派遣をするときに保健所をつないだということぐらいかなという形にはなっています。
○林座長 ありがとうございます。
 タニタ株式会社のほうは何か、保健所と言わないまでも、役所との関わりでいかがですか。
○櫻井参考人 失礼します。発表させていただいた事業の中で関わりを持たせていただいたのは、特に専門医の派遣というところでは、保健所の保健師さんの派遣というのを御紹介させていただくような形をつくりました。これはもともと保健師さんは、子どもたちの小さい頃は積極的に関わっていただくのですけれども、学校に上がりますとぐっと距離が離れてしまうというようなところがありますので、是非そこにも関わっていただきたいというようなところで、今回ですと、高等学校などでも来ていただいて支援をしていただいたりということもさせていただいています。
また、保健センターとか保健福祉事務所のほうとの関わりとしては、学校では感染症とか、そういうものの御助言をいただくということは日頃から進めているということが1つと、それから今日は国立感染症研究所の岡部先生見えてないのですけれども、そちらのほうでつくっていただいています感染症のシステムを使って、それをシステム化していくことで、学校と地域の保健所がぐっと近づくようなシステム化というのを三重県でも、今、進めているというようなことがあります。事業としては専門医を派遣をするときに保健所をつないだということぐらいかなという形にはなっています。
○林座長 ありがとうございます。
 タニタ株式会社のほうは何か、保健所と言わないまでも、役所との関わりでいかがですか。

○秦構成員 先ほどは行政とかプロの専門の立場の方からそれぞれ栄養、運動、休養、その上に笑顔を取り入れた健康づくりということで積極的に御指導していただいて感謝しております。
 私たち食生活改善推進協議会は、先ほど御発表いただきました志援という、この社会的なグループに属すると思うのですが、地域で生活する住民のために食育、あるいは生活習慣病予防。その上に、今、一番取り組まないといけない、このようなマイバック運動ですが、環境とかというものにも取り入れるという目標の下に、健康づくり、ボランティア活動を全国組織で実践いたしております。地域のニーズに対応しながら、お隣さんからお向さんへどう絆を結んでいくかということを中心に活動しておりますので、私たちは平成23年度は「生活習慣病ワースト25ステップアップ事業」というのを具体的に開催いたしました。これは保健所や保健センターを中心に、市政だよりとか、あるいはCATVを大いに使って広く募集をして生活習慣病予備軍の方を募集して、高血圧、糖尿病などをより具体的に自立して、自分から予防しようというような教室を持ちました。参加された方は「大変よかった。」具体的にこういうふうに指導していただいて、自分から健康づくりをしないといけないと大好評を受けております。
その結果、どうなったかというのが大切であると思います。6か月、1年ごとに経過的にアンケートをすることにしております。行政と食生活改善推進員は全国組織で地域に育っておりますので、これは健康づくりボランティア活動をするという要請をされておりますので、今後は縦割りは十分にできていると思いますので、横の連携をいかに綿密に御指導していただいて、連携づくりをしていくかということを特にお願いをしたいと思います。これからは「志縁」づくりが最も大切であると思います。
私たちは幼稚園や小学校、それから高校などへ出向いて行って出前講座をしておりますが、健康づくりの中で、親子料理、父と子の料理教室とか、大学に入る前の高校生などは一人で外食ばかりをするような立場になってはいけないということで一人ひとりに健康づくりの大切さを認識していただくために活動をしております。今後とも連携づくりというか、今まで育っているボランティアをどのように活かしていくかということに力を入れていただきたいと思っております。
○林座長 ありがとうございました。廣田構成員。
○廣田構成員 地域の組織による健康づくりに保健所と市が積極的に関わっている例として、私のほうで資料を皆さんにお配りしておりますが、少しお話ししたいと思います。島根県の松江保健所の例なのですけれども、3ページのところを開いていただきますと、安来市というのがありまして、健康推進会議というのが核になって健康なまちづくりをしています。ここの中には真ん中の四角に入っておりますように、今、秦構成員からお話ありましたような食生活改善推進協議会も入っておりますし、保健所や市なども入っておりますが、各地区、24か所の地区の健康推進会議が一番の核になっているということで、その地区ごとに計画を立て、健康づくりを実践をし評価しているということでございます。
これを養成してきたのは、主に市が実施してきたということでございますが、保健所の役割としましては、5ページのところにまとめましたが、直接、地区の組織に対する支援というよりは、安来市でさまざまな形で支援をしてきたり、特別対策事業や糖尿病管理協議会の設立を呼びかけるなどを通じて支援をしてきた。また、島根県の場合は、以前の検討会でも紹介ありましたように、保健環境科学研究所とか大学が事業の評価とか人材育成に非常に力を入れているということで、県、保健所、市が一体となってソーシャル・キャピタルを養成してきたという経過がございます。
 最後のページに参考で、先ほど大井田構成員からお話のあった災害時の弱者対策に地区の組織を活用している例を紹介します。災害時要援護者支援プランというのを各市町村でつくらなければいけないのですけれども、これはとても行政だけではつくれるものではございません。個々の高齢者とか障害者一人ひとりの、災害があったときにどういうふうに避難するかというプランをつくらなければいけないので、行政だけではできないということで、北海道のある市の例です。内陸部の市で余り災害がなく、津波の心配もないし、地震もめったに起きないというところで、保健所が管内の市町村に呼びかけまして対策を進めるようにというお話をしたところ、地域見守りということを付加して、高齢者、障害のある方の見守りの支援をしていこうということで町内会ですとか、民生児童委員の方の協力を得て、もともとは行政のほうでリストアップしたものをもとにして、個々の人の支援プランをつくっていくということをしたということを伺いました。
ただ、なかなか町内会の人だけでできないので、社会福祉協議会に委託して一緒につくったということです。そういうプランをつくることで、今まで近所の人もこの人どうなんだろうと非常に心配していてもなかなか入っていけないのが、これは市としてやっていることだということで、情報が共有できるようになったということを言っていましたので、そこで協働ということもあるのだと思うのですね。行政だけではできないし、地区組織だけでは難しいということを一緒にやっていくということなのではないかということで紹介させていただきました。
○林座長 ありがとうございます。生活衛生課長。
○堀江生活衛生課長 本日の尾張旭市の吉田課長の話を援用しながら、今まで何もしなくてもよかった市が、「住み続けたくなるまち」に変えていこうというコンセプトは非常にすばらしいと思ったのですけれども、そういう参加するかしないかというのはいろいろの働きかけをしながら続けていかれているのだと思いますし、また、行政でやりきれる部分とやりきれないから、もっと民間の方も育てて、指導員になっていただいて、更にその輪を広げていこうということなのだと思います。
対象者というのは、健康の自立度といいますか、健康意識が高い人とそれほどでもない人があって、筋トレだとか、お笑い講座だとか、ウォーキングというので、だったら出てみようという、今まで入って来れなかったような人が参加していただくことによって、放っておくと健康意識が低いような人も健康に対する自立度が高くなっていくと、こういうことでしょうし、逆に(株)タニタ様の話を聞いて、私なんかも興奮するわけですけれども、そういうふうに、自分の意識が高い人は別に市役所の行事に出て行かなくても案外大丈夫かもしれないという中で、残されたところが、余り意識は高くないけれども、なかなかお笑い講座をつくっても出て来ないような方、そこがやはり孤立してしまいかねない、それがいわば住み続けたい意識というものの裏腹になるのかなというような気がしております。吉田課長さんにお伺いしたいのは、今、孤立しているかもしれないような範囲が狭まってきているだろうかという実感が到達度みたいな感じなのですけれども、高まってきているのでしょうかということで、先ほどいろいろと試行錯誤されているようにも言われましたので、なかなか難しいかと思うのですけれども、そうは言いながら、これだけやっていただいているというのは相当に全国の中で先へ行っているのだと思うので、どんなふうに感じていただいているのか、ちょっとお聞きしたいと思いました。
○吉田構成員 まず「住み続けたい」と、今、お言葉いただいたものですから、今日の朝の朝刊に、尾張旭市が「住み続けたい」、82%ということで、第5次総合計画、ということで新聞にどーんと載ったのですね。ということで「住み続けたい」という住民の意識が非常にが高くなってくれたという1つの新聞で、アンケートの結果で発表になったということなのですが、あと、済みません、本題の関心のない人、これは実はどこの自治体も永遠の課題ではないかと思うのですが、ただ、尾張旭市はそこのところをどうするかというのは、やはり楽しい事業、楽しい事業で人を集めるのではなくて、楽しい事業で人が集まって仲間ができる。仲間ができると、それが継続して拡大していく。拡大が継続される。それによって、興味のなかった人も引っ張り込むと、そういう理念で進めております。ただ、それが数字では出てきません、先ほどの筋トレの例で1つ挙げますと、一人その中で、元社長さんをやっている方で、私の友達はこの近所にいっぱいいる。みんな偉い方ですから、テレビ見て寝てばかりいたという方が筋トレで夢中になっていたら、これでそういう人たちを、仲間をつくろうといって、男の筋トレというのを十何人でつくったのですね。それで、そういう人たちを集めて拡大している。
そういうふうに一人ひとりがとにかく呼びかけていきましょうというのを我々は常に事業の中に呼びかけて仲間をつくっていこうということで、何よりも大事なのは、理解していただいて、拡大して、それが継続すると、それをどういうふうにするかというのでやっていまして、ただ、ズバリ、どれだけがなったかと言われますと、はっきり言って、それはつかんでおりませんが、健康意識が高まったというアンケート調査で、21計画の中間見直しでやったのですが、市全体でやられていますので、市民の意識がどれだけ変わったかということで、大体この5年間で「健康の意識が高まりましたか」という質問に対して「以前よりも」という方が25%ぐらい。「健康意識が高まりまた」という人が六十何%で、全部で85%ぐらいが健康意識を持つようになったというアンケート結果を1つとることができました。そういうもので、私たちは1つの指針にしていこうかなと思っております。以上です。
○外山健康局長 先ほどの私の言い方、追加させてもらいたいのですけれども、先ほどの論点のところで大井田さんに言われたところで言い忘れたことは、確かに切り口はソーシャル・キャピタルですから昔から一緒なのですけれども、前はどちらかというと、厚生省としての保健と医療と福祉みたいな、協働という言葉を使ってきていましたけれども、前からも言われているのですが、より明確に視点として広げたいのは、以前以上に企業との制度的な連携というか、政策的にどういうふうな形でオールジャパンに広がりを具体的に持たせようとすることができるのか。
それから、学校との連携も前から言われていることであるのですけれども、それも単に言葉だけの連携にするのではなくて、もうちょっと制度論としてやる。企業との連携につきましては、厚生労働省になって職域と労働関係、地域職域連絡協議会というのをつくって、いろんな公式文書にも載って動き出しておるのですけれども、いろんな分野でがん対策推進協議会のほうでも働きながらがんの治療する問題であるとか、肝炎のほうでも、職域との連携で治療しやすい環境であるとか、いろんなところで、より昔以上に企業の貢献もありますけれども、活動で出てきているので、そこのところをできれば、具体的に大臣告示の中で制度論的に論ずることができればというような思いを持っていまして、恐らく切り口としては昔から一緒の切り口なのですけれども、到達する幅といいますか、範囲といいますか、そういうところをもう少しより具体的に視野に入れながら議論していただきたい。
その中で、尾張旭市のような、アプローチからの企業との協働というのは非常に参考になっていると、こんな状況でございます。
○林座長 ありがとうございます。確かに企業を巻き込んだ健康づくり、これは今、世界の大きな流れになってきておりますので、その力をかりるということは今後ますます必要になってくるかと思いますが、ただ、私のほうは、吉田構成員のほうに質問がありますけれども、伝統的には役所のほうは、どちらかというと、いわばリスクを軽減させるような活動が大きな役割だったわけですね。食中毒を起こさせないとか、インフルエンザが流行しないようにしようとか、そういったようなリスク軽減的なアプローチが恐らく強かったのですが、吉田構成員の発表されているような活動は、どちらかというと、ヘルスプロモーションのほうですから、楽しい活動を入れながら、みんなでワイワイ・ガヤガヤやって盛り上げていこうという、そういうアプローチかと思うのですけれども、恐らく双方の保健所からのやり方と、今のヘルスプロモーション、両方必要あって、それが相まって1つの総合体みたいなものができればソーシャル・キャピタルだとして大いに活用できるような気がするのですけれども、それで質問というのは、例えば役所が、にこにこ講座とか、そういった楽しいようなイベントをやるということについて、例えば周りの部署とか、市民から、そういうのは役所の仕事ですかなんていうようなことをいうような話は出てきませんか。
○吉田構成員 今の質問ですが、確かに保健の専門の学者さんなどは必ずそこのところは指摘されます。ただ、住民からどうですかというのは逆でして、今までより市役所が身近になったと。その間に市民を入れたものですから、なお、市役所と住民が非常に身近になったということで、健康施策も身近になったということで、健康意識が非常に高まっていると私たちは解釈をしております。特定保健指導でも、特定保健指導教室とすると、これは非常に役所的で、役所としては都合いい言葉ですが、健診結果正常教室とか、そういう別な名称にして、特定保健指導者とそうではないて希望される方と一緒に事業展開をしていくとか、そういった工夫をやったりしています。ということで、私たちはむしろ距離を縮めようというところで、今、盛んにやっています。
○林座長 ありがとうございました。そのほか、曽根構成員どうぞ。
○曽根構成員 ソーシャル・キャピタルについて保健活動でも重点的に再検討していこうといった流れだと思うのですが、今回、吉田構成員のお話を聞いたり、それぞれのお話を聞くと、地域の信頼関係というのがかなり重要なファクターになっていて、それを行政と市民の間、組織同士の間で再構築していく仕組みをどうつくろうか、そういったところに1つのバックグラウンド的なキーポイントがあるのだなと思いました。例えば行政の縦割り志向はそれを阻害する要因なのかなと思っています。こういうことを全国的に進めていくためには、今回、吉田構成員、三重県さんもタニタさんもたいへんよくできているところだと思うのですけれども、そういうところばかりではないので、そうではない自治体や保健所も同様の取り組みができるような一定の仕組みづくりが恐らく大切になってくるので、そういうところをもう少し考えていかなければならないと考えています。
ただ、それには今回の御発表の中で、組織の工夫があるかと思うのですが、吉田構成員に最後にお聞きしたいのですけれども、今回、市役所の秘書室が1つの核になって、保健部局と連携したということで、やはりそういう体制のほうが、行政としての市全体を巻き込むにはやりやすいとお感じになっているのでしょうか。
○吉田構成員 本当にそれは縦割り、役所の欠点である縦割りを横へつなぐのには非常に都合がいいです。ただ、これが完璧ではありません。ただ、少しそれが拡大していっていることで、その効果が出てきますし、例えば都市計画とかそういう部門も、今は都市計画のまちづくりでも、市民をターゲットに置いてまちづくりをしなければ、設計としては成り立たないものですから、そういう点で健康という物差しを使っての市民ということで実際利用しているところもあります。
○林座長 いかがでしょうか。同じ保健所の立場として中構成員のほう、何か御意見ございませんか。
○中構成員 いずれもすばらしい活動をされている発表を聞かせていただき、ありがとうございます。近隣の市町村等を見ていて、ヘルスプロモーションの理念はどこの市町村も持っていて、住民参加というものは意識して健康づくり活動を取り組んでいくと思うのですけれども、すごく進められるか、進められないかというところでは、マンパワーであるとか、法的根拠がないので大変やりづらいというような声をよく聞きます。先ほど曽根構成員から言われた全国的に全部底上げしていくためには、自治体のやり方に任せるだけではなくて、一定こういうことをしていきましょうというような最低レベル、ここまではしていきましょうというようなところで、国なりが示すことが、結局は引き上げることになるのかなと。積極的にどんどん推進できるところはどんどん進んでいくのですけれども、置き去りにされる市町村は置き去りのままということで、先ほど吉田構成員から、保健所が一番理解がなかったという御発言いただいて、大変耳に痛かったのですけれども、熱心に先進的にやられていくところでは、今、まだ保健所としては、すごくそこに力を入れるのではなくて、そうでない市町村との底上げというところに多分何かしらの働きかけはしているかと。私たちの保健所などでは、市町村で差があれば、まだできていないところに対して働きかけをしているつもりですので、そういうところで保健所もそれなりに、全体の底上げには努力、尽力をしているつもりです。
○林座長 ありがとうございます。小澤構成員のほうにお伺いしたいのですけれども、日頃、感染症とか、食中毒のことを取り扱っている地衛研として、余りソーシャル・キャピタルというのはひょっとしたら意識余りされていないのではないかという気もしなくはないのですけれども、そういう感染症等の観点から、今までの議論をお聞きになって、何か御意見ございませんでしょうか。
○小澤構成員 おっしゃるとおり、地方衛生研究所は全くこういう分野と関わりがなくて、ソーシャル・キャピタル、私、この検討会に出て初めて知った言葉なのですが、今、お話を聞いていて、ちょっと思ったことは、地衛研とは関係ないのですが、私、もともとがんを対象としていた外科医をずっと長くやっていたものですから、是非、健康づくり、健康意識を高めるということの中にがん検診の検診率を上げるという、そういう活動を取り入れていただきたい。がんは予防はできないのですけれども、例えば胃がんや大腸がん、前立腺がんとか、子宮頸がんというのは、がん検診をきちんと受けていれば、それによる死はかなり避けられるという疾患ですから、しかも一番死因としては多いわけですから、そういうがんの検診を受ける、早期発見をするということ。
それから、もう一つは、これは難しいかもしれませんけれども、ターミナルケアに関する国民の意識をもう少し高めるような、病院任せではなくて、お医者さん任せでないようなターミナルケアに対する住民の意識を喚起するような、そういう活動、なかなか難しいですけれども、そういうのを少し加えていただけると大変ありがたいなと思います。
○林座長 似たような問題意識は私もありました。がん検診ではないのですけれども、特定健診で、健診率が全国的に見ると非常に低いわけですね。そういう中で、メタボ検診に関する議論の中で検診率のことは余り強く出てこないのですね。そういうことを提案したことがあるのですけれども、それは検診業者から、あるいは検診を担当している部署から、そんな検診率低いということを自分たちに言われてもどうしようもないことだというような発言があったのですけれども、それこそ逆にこの地域保健の検討部会のほうで、健診率どうやって上げる何かいい方法があるのかということをある程度方法論として示すことができれば非常にいいのかなというような気がします。
尾形構成員、何か。
○尾形構成員 資料4の論点案について、2点コメントしたいのですけれども、1つは、お示しいただいた論点案は基本的にこれで結構だと思うのですが、先ほど質問した保健所あるいは市町村保健センターの果たすべき役割というところがやや具体性に欠けて突っ込みが足りないという印象があります。例えば2ページの図を見ると、行政といろんな地域資源、あるいはソーシャル・キャピタルでもいいのですが、「積極的な連携」と書いてあるのですけれども、一体何をするのか。何が期待されているのかということが必ずしも明らかでないように思います。
この点については、先ほどの発表者の方のお答えの中にもある程度ヒントが出ているのかなと思いますね。例えば客観的な評価を示してほしいとか、情報提供だとか、専門職の派遣といったような幾つかアイディアを出していただいていますし、それと併せて、例えば保健所の有する機能、健康課題に対する役割に関する研究報告書というのを見ると、これの129ページ、「保健所の役割として期待するもの」というアンケートがあるのですが、この答えているのは市町村の答えですね。それに加えて、例えば121ページに協力・連携体制の関係機関、団体等というのがあって、これが恐らく今日のソーシャル・キャピタルに変わってくるところ。それにあと企業を加えていただければいいのではないかと思いますが、こういったところの意見を聞くべきではないか。一体、保健所とか、市町村保健センターにどういう役割を期待しているのかというところについてもう少し明らかにする必要があるのではないかと思います。それが1点です。
それから、2点目は、論点案でソーシャル・キャピタルの「場」の例ということで掲げられているのですが、先ほどお話が出ていた企業というのは非常に大事な視点だと思うのですが、それと併せて、今、お話が出ていた特定健診とか特定保健指導ということを考えると、企業と重なってきますと、やはり保険者というのをきちんと位置づけたほうがいいのではないかというふうに思います。企業という職場の衛生という観点とは少し観点が違う、保険者という観点があると思いますので、そこは入れるべきではないかと思います。以上であります。
○林座長 ありがとうございます。時間も近づいてまいりましたけれども、議事のその他として、事務局何かございませんでしょうか。
○堀江生活衛生課長 生活衛生課長でございます。参考資料3について簡単に御紹介させていただきたいと存じます。
前回、1月27日の地域保健対策検討会で対物保健についてのところで、今日もございましたように、生活衛生同業組合のようなソーシャル・キャピタルなども活用しながら衛生水準を確保するのだということがありつつ、しかし、必要な衛生規制というのはきちんとやっていかなければいけないという中で、保健所などの立入検査などのばらつきというのが相当大きいのだということを旅館業法からクリーニング業法、理容師・美容師法などの例をとりながら各都道府県、保健所設置市別にデータを紹介させていただきました。
本日、参考資料3、前回は紹介できなかったところで、建築物衛生法の立入検査の状況について整理しましたので、これにつきましても簡単に御説明して、大体様子は同じようなことなわけでございまして、実は特定建築物につきましては、「立入検査」と「報告徴収」と分けて統計がとれるものですので、分けた形も用意しました。1ページのを見ていただきますと、大体ビルというところには各保健所、年間1か所当たり0.42回立入検査、あるいは報告徴収を行っているということでございまして、私も何となく1回ぐらい行っているのかなみたいな感じを持っていたわけですが、それが2年に一遍弱という感じなわけでございますが、そうは言うものの、年に1回以上行っているようなところもあり,つつ、このずっと右のほうへ行きますと、ほとんど立入検査も報告徴収もできていないような自治体もあるというようなことです。これは直ちにどう評価するというものでもなくて、むしろ自治体そのものに、胸に手当てて考えてほしい部分もあって、自分のところはこういうやり方で、これを補完しているのですというところもあるのかもしれません。ただ、そういうようなことが言えているかなというふうに思ってございます。
先ほど申し上げましたように、2ページですけれども、報告徴収と立入検査と分けてとれていまして、報告徴収を中心にしているところは比較的少なくて、次の3ページのところにございますように、立入検査を中心に実施しているということで、その組み合わせを4ページのところにつくってみていまして、立入検査を重点的に行っている自治体、報告徴収として書類を出してもらって、それで必要なところに行く自治体、そして、ミックスされた報告徴収と立入検査のバランスとってやっている自治体、こういうものがあるのですということでございます。
この辺は、特定建築物の関係だけとらえて言うのではなくて、また前回の対物保健全体としての整理の中でいかに平準化といいますか、少しレベルアップさせていったらいいかというような議論につながるのかというふうに考えております。趣旨としては前回の続きでございますので、以上でございます。
○林座長 ありがとうございます。時間が来ましたのでそろそろ終了いたしたいと思いますが、事務局のほう、お願いします。
○木村大臣官房参事官 2点、今後のスケジュールについてお話しさせていただきたいと思います。次回のまず検討会でございますけれども、3月16日(金曜日)の13時から15時を予定しておりますので、日程の確保、何卒ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
そして、また、本検討会が一昨年の夏から地域保健をめぐる諸課題につきまして全般的に御検討いただいてきたところでございますけれども、今月のテーマの検討につきましては、この辺で一応打ち切りにさせていただきまして、今後は報告書の取りまとめの方向で御議論を賜れればと考えてございます。したがいまして、次回の検討会におきましては、報告書の骨子(案)的なものをお示しさせていただき、それをもとに大所高所から、また、抜けている個別事案がありましたら、その中で御議論をいただければと考えていますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○林座長 ありがとうございました。いよいよ次回は本丸に迫ることになるわけでございますので、積極的な参加をお願いいたします。
ありがとうございました。


(了)

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