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2012年2月13日 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会ワーキンググループ(第4回)議事録

医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室

○日時

平成24年2月13日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議題

○基本的事項の骨子(案)について
○その他

○議事

○三浦座長 定刻になりましたので、ただいまから「第4回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会ワーキンググループ」を開催いたします。委員の皆様方には、ご多忙の折、お集まりいただき誠にありがとうございます。お礼申し上げます。まず、事務局より資料の確認をお願いします。
○歯科口腔保健推進室長 資料の確認の前に委員の出欠についてご報告させていただきます。本日は安井委員がご欠席というご連絡をいただいております。文部科学省が遅れてまいります。
 資料の確認をさせていただきます。配席図が1枚、裏側が委員名簿になっている議事次第が1枚、資料1として6頁ものの綴りが1つ、資料2として5頁の綴りのものが1つ、参考資料1として4頁綴りの資料が1部、参考資料2として27頁の資料となっております。資料とは別に、最後にご説明いたしますが、委員の先生方にご意見をいただくための意見用紙が1部です。以上です。
○三浦座長 どうもありがとうございました。既に先週の金曜日に委員の皆様方には骨子(案)、目標値(案)のファイルをお届したところですが、早速、議題(1)「基本的事項の骨子(案)について」前回のご議論を踏まえて、事務局が修正した骨子(案)についてご議論いただきます。事務局よりご説明お願いします。
○歯科口腔保健推進室長 時間もないので簡単に説明させていただきます。資料1をご覧ください。資料1については、前回皆様方の合意のもとに、第五のところに健康増進法の基本方針と同様の記述を設けたほうがよろしいということでしたので、いちばん最後の第五に少し文言を増やしております。前回、第五に書かれていた「8020」の文言については、第一の1.に含めております。
 「ケンシン」という文字ですが、「ケンシン」の「ケン」は木偏の「検」なのか、健康の「健」なのかということがありましたが、こちらのほうは法律の文言に合わせて、法律の文言としては木偏の「検」、法律の第6条に「定期的に歯科にかかる健診」、こちらは健康の健ですが、括弧書きとして「健康審査及び健康診断を含む」というふうに法律に書かれておりますので、健康の健も含むという意味もこちらでは念頭に置いて、表記上は木偏の「検」にさせていただくというふうに修正させていただいております。
 「歯科」とか「口腔」、あるいは「歯科口腔」という文言がありまして、こちらの定義はどうなっているのかというご質問もありましたので、こちらも法律の文言に合わせております。法律の中では「歯科口腔保健」というときにのみ「歯科」と「口腔」が付いておりますので、歯科口腔保健というときだけ「歯科口腔保健」という言葉を使って、それ以外には法律の文言に合わせて「歯科疾患」とか、研究では「口腔」という文言を使っていると修正させていただいております。
 細かくなりますが、目標や計画も前回の委員の皆様のご指摘を受けて、このように修正しております。大まかですが以上です。
○三浦座長 ありがとうございました。いまの事務局からのご説明も踏まえて議題(1)の骨子(案)について皆様方からご意見をいただきたいと思います。限られた時間ですので、大体時間配分の目安として、前文のところと第一の部分で10分程度ご議論していただき、第二の部分で25分程度、第三以降をご議論いただくのが大体15分程度という時間配分で、議事を進めていきたいと思いますのでご協力のほどよろしくお願いします。文言の調整等は、いま事務局からご説明があったとおりですが、可能な限り、前回いただいたご意見を反映させた案の修正がなされていると思います。前文の部分、第一「歯科口腔保健の推進のための基本的な方針」についてご意見をいただきたいと思います。お気づきの点がありましたら遠慮なく挙手をしていただきたいと思います。
○森崎委員 非常に細かいことですが、前文の第2段落の「この基本的事項は、高齢化の進展が進む中で将来を見据え」というところが、進展が進むという表現がもう少し滑らかな表現がないのかと思ったりしています。
○三浦座長 どうもありがとうございました。そのほか何かありますか。
○大内委員 3点お願いしたいと思います。前回お願いした関係者との相互連携は最後の6頁に充実していただいてそれでいいのですが、そういう趣旨を前文にも謳うために、前文の下から2行目の「関連施策及びその関係者との連携を図り」となっているのですが、「相互連携」という形で、いわゆる生活習慣病対策や介護予防にも歯科関係者も協力するし、それら関係者も歯科保健に対して協力してもらうというようなものを明示していただければというのが1点。すみません。8020の第一のところもいいのですよね。
○三浦座長 第一のところも結構です。
○大内委員 第一の1.のいちばん最後の黒ポツに「8020運動」を移していただいたのですが、この文章ですと、結局従来型の80歳で20本というのを引き続き推進する形になっているのですが、前回の議論ですと、生涯にわたる咀嚼・口腔機能の維持向上をという観点からということですので、取り組んできた「8020運動」は、生涯にわたる咀嚼口腔機能の維持向上の観点から引き続きではなく、「一層」とか「推進する」という文言に変えていただいたほうが、前回のご意見を踏まえているのかと思います。3番目は、第一の2.の歯科疾患の予防のところですが、「普及啓発を行うとともに」のあとに「健康を増進する一次予防に重点を置いた対策を推進する」ということになっているのが、一次予防は健康の増進が当たり前ですので、どちらかというと、ここに具体的な対策の中身ということで、「フッ化物応用の推進、生活習慣の改善に向けた歯科保健指導の実施など、効率的な一次予防に重点を置いた対策を推進する」という形で、いわゆる特に保健指導でも行動変容支援、生活習慣の改善に重点を置いていくということを、少し明示的に盛り込んでいただければいいのかなと思いました。以上3点です。
○三浦座長 いま、大内委員から3点意見が出されましたが、その件も含めて、いかがでしょうか。
○佐藤委員 まず、「8020運動」について前回の議論の中では、私もいま大内委員がご指摘のように、生涯にわたるという視点で主張させていただきましたので、そういうように直していただけると議論の方向性としては大変ありがたいと思っております。予防の件は、いまの検診の見直し検討会等の議論が同時に進んでいます。その中で、動機付け支援等については有効なほうの考え方が出ていますし、また一次予防については、例えば高血圧の部門等では、もう少し具体的な中身を示すようにという議論が進んでいます。したがって、今後の検診を含めた予防という位置付けからすると、より具体的な内容及び治療法を示していくのは、他の進め方とも整合性がとれているのではないかと思いますし、その中で、フッ素予防、動機付け支援を含めたそれらの検診のあり方検討会の方向性とここは、当然そろえていくことが必要だと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。そのほか何かありますか
○金澤委員 いま、第一の3.生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減の中で、前回もここの表現について気になってお話したのですが、黒ポツの3番目が口腔機能に影響を与える習癖等の除去等をというところが違和感があり、習癖等の除去等というのは改善という言葉のほうがいいと思いました。また、口腔機能獲得・向上させる観点から言うと、成人期・高齢期の口腔機能向上の訓練が歯科保健指導の中にだいぶ入ってきておりますので、習癖等の除去だけではなく、やはり口腔機能向上の訓練等の歯科保健指導等によりという文言を入れていただいたほうが、現場の実態に近いのかなと思っております。そのあとの第二でも歯科保健指導に関するところが従来型の内容になっていますので、また第二のところで意見をと思っています。
○三浦座長 ありがとうございました。いま、いくつかご意見が出てまいりましたが、そのほかありますか。
○神原委員 だいぶ、3回のワーキンググループの議論が集約されてきて、よくなってきたと思います。基本的な方針の2つの大きな目標は、地域格差の縮小と、もう1つ何でしたか。
○三浦座長 健康増進。
○神原委員 健康格差の縮小が例えば第一の1.のフレーズの下2つの両方に入っているのですが、健康格差の縮小のためにライフステージ別、あるいは地域特性も含めて格差がどこにあるかということを明確に示すべきだと。それに対して、どういう対応をするのかということを明確にすべきであろうと思います。先ほどからお話がありますように、8020が生涯にわたるということで、結果生涯にわたる、例えばう蝕予防や種々疾患や地域のいろいろな事業が、結果として80歳になったときに20本歯が残る方向で考えるべきで、地域格差の縮小のためにやっているわけではないと私は思うので、そのところは修正がいるのではないかと思います。2.の歯科疾患の予防では、先ほども話がありましたが、フッ化物の使用や生活習慣の改善、そういうものをエビデンスに基づく一次予防の推進にしないと、今後ともいろいろなものが施策として出てくるだろうと思います。あるいはエビデンスとして出てくるであろうから、エビデンスに基づく内容の予防を、個人あるいはプロフェッショナル・ケア、パブリック・ケアを通じてというような、全体を通じて取り組んでいく方向の中身がいいかなと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。そのほかご意見ありますか。
○井上委員 第一の1.の3番目のフレーズのところで、家庭、地域、職場、医療機関とあるのですが、乳幼児から学童期も含めての話なので、教育関連機関や教育機関も入れていただければと思いますので、お願いします。
○三浦座長 ご指摘ありがとうございました。抜けていましたね。学校保健に関わるところも結構入ってまいりますので、必要なところかと思いますので修正するようにしたいと思います。そのほかありますか。
○藤田委員 第一の5.の歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備のところで、「ライフステージごとの特性等に応じた多様な歯科口腔保健を推進するために、地方公共団体に歯科専門職を配置することが望ましい」と。確か「国及び」というのは入っていて、それが消されたように思うのですが、「国及び」という文言が入っていたほうがいいのかなという気がします。私の勘違いというか、受け取り方がおかしければご指摘いただきたいのですが、三浦先生がいらっしゃる国立保健医療科学院や国立長寿医療研究センターに歯科口腔保健部門がありますが、医科に比べるとどうしても歯科のパイが少ないものですから、いま独法化していますが、こういった国の医療研究機関といったところに是非、歯科の専門部門がきちんと置かれていくことが重要ではないかと思います。そういう観点から、国にきちんとした専門職の配置をいうことで、その辺をうまく放り込めないかなという気がします。
○三浦座長 ご意見ありがとうございました。いま、見え消しを確認したところ、確かに前回の資料では「国及び」が入っていたのですが、今回それが削除されたようなので、それを復活したらいいのではないかというご意見だったと思います。主語は非常に重要なところなので、この部分に関してはいかがですか。よろしいですか。そのほかご意見ありますか。効率よく皆様方に前文の部分と第一の部分についてご発言をいただいたので、引き続き、最も分量が厚い具体的な第二「歯科口腔保健を推進するための目標、計画に関する事項」についてご議論をいただきたいと思います。こちらのほうは長尺で数頁にわたりますが、最初に具体的な目標に至る前の評価の考え方の部分と、いちばん大きい目標について、「2.歯科口腔保健を推進するための目標」に関して先にご意見をいただきたいと思います。いかがですか。こちらも前回頂戴したご意見を入れて、文言の調整を図っています。特にないですか。前回もあまりこの部分はご意見がなかったので、そうしたら先にいきましょうか。
○神原委員 いま言われているのは3頁ですか。目標、計画のところですよね。
○三浦座長 2頁から3頁にかけてのところです。
○神原委員 この計画というのは、基本的に各ゼネレーションというか、世代別になっていても、ほぼ同じような中身がそこに出ているような感じがするのですけれども、この間も申し上げましたが、もう少しホームケアのこととプロフェッショナル・ケアとパブリック・ケアについて同じ、例えばフッ化物を応用するにしても、パブリックとプロフェッショナルとそれぞれ異なります。異なることをそこに載せないと、例えば、う蝕予防法フッ化物が乳幼児期、学齢期、成人期、高齢期の全部に入っていますよね。そういうところでもう少し工夫がいるのかなと思うのですよね。でないと、ゼネレーション別に分けた意味がないというか、もう少しそれぞれの特性を通じて、歯科疾患特性があるということを最初に書いておられたと思うのですが、その特性を踏まえた中身というように持っていくべきではないかと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。セルフ・ケア、プロフェッショナル・ケアについてはいただいたご意見を基にして、先ほどご意見いただいたところの第一の部分に既に、最初に頭の概念として謳っているのですが、それ以外にも具体的な計画、立案のところにも入れたほうがいいのではないかというご意見かと思います。かなり体裁を変えないといけなくなってしまいますので、作業的には大変になってくるところですが、いま、実は最初の1.の大目標のところまでお話を詰めていただきたいと思っていたところです。この部分に関してはこのままでよろしいですか。そうしたら、3頁に移っていただいて、いまご意見も全体的なところでいただいたところですが、(2)歯科疾患の予防における目標、計画でライフステージごとに並んでいる部分です。このあとに、口腔機能が入ってくるのですが、まず先に3頁についてご意見をいただきたいと思います。(2)歯科疾患の予防における目標、計画で修正を図ったほうがいいと思われる点、不足している部分等ご意見をいただきたいと思います。
○佐藤委員 成人期の問題ですが、まず産業保健の部分がスポッと抜けている感じがします。確かに基本的記載事項に関する検討を行っているわけですが、先ほどの神原先生のお話とも関連するかもしれませんが、成人期の3条から6条の部分の5条です。健康増進を実施するものに当たっては、産業保健のそれぞれの役割をより記載していく視点からして、産業保健の部分の書き出し、目標には書きづらいのかもしれませんが、計画の中には「その他」ではなく、「産業保健」の項目は入れていくべきではないかと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。成人期のところで産業保健が非常に重要なマターなので、是非1つ項目立てとして入れなければいけないものかと思います。そのほか修正点、先ほどの佐藤委員のご発言にあったように、抜けているところがあったら、是非ご指摘をいただきたいと思います。
○金澤委員 この歯科保健指導のところの中身の問題で、例えば「歯科疾患の予防」と「口腔機能の獲得・向上」の項目に分けて書かれているので、両方見ないと全体的なことがわからないのですが、例えば成人期の歯科保健指導の実施というときに「う蝕予防のための食生活」というような表現に少し違和感があります。ここはかなり歯周病の予防をマークしなければいけないところなので、書き方として食生活に結び付けて書くというのが難しいのかなと思って考えていたのですが、噛ミング30(カミングサンマル)とか、食育の視点からはライフステージ別に、ある程度ポイントが示されています。ですから、成人期の場合、肥満や生活習慣予防を考慮しよく噛んで食べることを、もっと強調しなければいけないのですが、その点は、今度口腔機能の方になるのかなと思ったり、項目分けで中身が分散してしまうところが気になります。やはりどこかで「咀嚼」をしっかり入れていただきたいと思います。高齢期の場合ですと、窒息や誤嚥の予防を考えた、食べ方といいますか、食育推進の歯科保健の立場だと食べ方ということで意見書が出たと思うのですが。「食べ方」、これは乳幼児期や学齢期につながっている問題なのですが、五感を育てるような食べ方といいますか、そういうことも考慮しておかないといけないのではないかと。歯科保健指導のところも、もう少し内容的に整理しておく必要があるのではないかと思うのですけれども。
○三浦座長 貴重なご意見ありがとうございました。歯科疾患の予防と口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減のところで、計画の「歯科保健指導実施」の中で同じ文言を使っているところですが、内容的にはかなり違うので、そのところの整理・整頓をもっとしなくてはいけないところかと思います。さっき大内委員からご発言もあったように、成人期においては生活習慣の改変を位置付けとして置かなければいけないのと、咀嚼の問題もここでしっかりと謳っておく必要があろうかと思います。窒息、誤嚥の防止等の食べ方について、植田委員、何かアイディアやこういう表現がいいのではないかとかありましたらお願いできればと思うのですけれども。
○植田委員 向井先生あたりが噛ミング30と言われていますけど、どうなのでしょう。あとは、具体的な文言は、ちょっと思い浮かびません。
○神原委員 金澤委員がおっしゃられたことと通じるのですけれども、例えば乳幼児期のところでは、基本的な生活習慣の獲得という文言にう蝕予防のため云々ということではなくて、基本的な生活習慣を獲得していくということにすべきではないかと。それと、成人期のところでは、全身の健康ということを視野に入れたときに、生活習慣病のライフスタイルに対する対応ということもそこで入れていく。それは、成人期、高齢期との、やはり全身の健康と口腔の健康とのかかわり、特にnon communicable diseaseのような考え方をここに入れていくということが大事だと思います。○三浦座長 ありがとうございます。井上委員、お願いします。
○井上委員 少し共通するのですが、やはり口腔機能の獲得・向上のところの、乳幼児期のところで、歯科保健指導の実施の最初の部分が直ぐ習癖の問題になる前に、やはりいま出てきたように、基本的な生活習慣の獲得と、咀嚼の育成を含めた食教育的な部分を入れていただければと考えます。カミングサンマルという表現まで出さなくていいと思うのですけれども。
○三浦座長 学校教育の視点を踏み込んで、少し加味すべきというところで、少し調整しなくてはいけないところが出てくるかと思いますけれども、わかりました。そのほか、ご意見ございますでしょうか。
○森崎委員 学齢期のところで、目標のところに括弧書きで、歯牙障害件数の割合の減少があって、これは他の具体的な計画のところにも歯牙障害という言葉がいくつか出てくるのですけれども、ここが基本的には外傷のことを指している歯牙障害ということなのでしょうか。
○三浦座長 その点は、事務局で補足の説明をお願いできればと思います。
○歯科口腔保健推進室長 歯牙障害については、先生方にお配りしている参考資料1の4頁をご覧ください。こちらは独立行政法人日本スポーツ振興センターの資料です。これは、障害見舞金の給付状況の平成22年度のものを一覧にしているものです。こちらは、基本的に障害ということで、統計を取っておりまして、先ほどご指摘のあった歯牙障害件数とか、歯牙障害というのは、こういうものを指しているとお考えいただければと思います。
○森崎委員 その参考資料を見せていただいて、多分そういうことを指しているのだと思ったのですが、学齢期等で見られる歯牙障害としますと、やはりもう少し広い意味での形成障害も含めての歯牙障害というものが入ってくるのかなと。ですから、そこが、いわゆる後天的な外傷の歯牙障害等、それは参考資料にある文言はそういうことだと思うのですが、ここが少しわかりにくいと思ったのです。
○三浦座長 おっしゃるとおりかと思います。あと、ちょうどいま参考資料のところのご発言があったところですが、統計の取り方もあるのですけれども、全国データで105件というのが、ここで目標値として取り上げるところの是非というところも考えていかなければいけないのではと思うのです。ここは学校保健の部分なので、文科省さんから何か補足の発言などございますか。
○文部科学省 この数値は日本スポーツ振興センターのもので、国のものではありませんまた、この数値自体が届け出の数値です。届け出によって数値自体が変わっていく可能性が十分あることに配慮いただきたいです。
○三浦座長 ありがとうございました。目標値として用いるからには、ある程度ステイブルなデータソースが非常に重要なところですので、後ほど目標値のところで、またもう一遍ご議論を続けていきたいと思いますけれども、いまはこのような問題点があるというご指摘のところで留めておきたいと思います。
 それでは、いま疾患の予防についてはかなりご意見をいただきましたけれども、引き続き、4頁の部分、口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減における目標、計画に関しては、既に一部ご議論が始まっているところですけれども、そこと定期的な歯科検診、歯科医療を受けることが困難な者における目標、計画、そして環境の整備等に関するものというところで、修正、追加、あるいはご意見等ありましたら、お願いしたいと思います。
○大内委員 些細な点ですが、1つ前に戻っていただいてよろしいでしょうか。どちらかというと井上委員のご意見をいただきたいと思っていたのですが、(2)の?、乳幼児期の健全な歯・顎骨の成長・育成となっていて、顎骨というのが、その後の機能のほうで口腔・顎・顔面の成長発育等と書いているので、顎骨だけでいいのかというのがあったので、ここにご意見をいだだければと思います。また、4頁に関しては(4)の?障害者・要介護高齢者で、一応目標値は定期歯科検診の実施率の増加で、特別研究で一応これからデータを取ろうという話にはなっているのですが、計画のところで(上記厚労科研で対応可能か)というのは、これは実態というか、あらあら施設の概況を調べるだけですので、計画立案までの対応は不可能です。やはり、ここは、障害者・要介護者等の歯科口腔の状態に関する実態把握と、それに基づいた対策というようなことは、これからきちんとやっていく必要があると思っていますので、「ここは可能ではない」というコメントだけ話しておきたいと思います。
 もう1つは、(5)の計画の3番目の黒ポツに、歯科口腔保健法に基づく基本的事項の策定となっているのですが、これは正にいまやっている話なので、計画、目標の部分では中間評価などと書いているので、本当はここで述べるべきなのは、ちゃんとした評価、進捗状況の評価ということで、策定というのは、これを出したときには一応終わっていますので、そちらをメインにする方がいいのではと思いました。以上です。
○三浦座長 ありがとうございました。貴重なご意見だったと思います。特に、最後の基本的事項の策定は、本当にここで終わってしまうので、今後の進捗、モニタリングも含めての評価、いわゆる見える化をどうしていくかが今後問われるところなので、そのような形に変えて、あと、特別研究で対応可能かどうかというところですけれども、フォローいただいてありがとうございます。実は、前回も申し上げたところですけれども、障害者・要介護高齢者の部分に関して、定期的な歯科検診を行っているかどうかの基礎データがほとんどないような状況で、目標値設定のところでも非常に苦慮しているところです。ですから、今回、特別研究で対応するのも目標値設定のための調査を急いでやるところなので、大内委員のご指摘にあったとおりかと思います。
○井上委員 先ほどご意見いただいた(2)の?の乳幼児期の健全な歯・顎骨の成長というと、後半の口腔機能のほうでは関連しますけど、こちらの歯科疾患予防に関しては、やはり健全な歯、口腔の発育と、基本的な生活習慣の獲得ぐらいにしていただいたほうがよろしいのではと思いますので、意見を述べさせていただきました。
○三浦座長 ありがとうございます。代案も提示していただいて、先ほどご意見が出ていた基本的生活習慣の獲得の部分も含めての文言の修正ということでよろしいでしょうか。
○藤田委員 いまのところなのですが、歯科疾患というのをどこまで含めるのかということがあるかと思うのですが、確かに健全な歯・顎骨という表現が適切かどうかはわかりませんけれども、例えば健全な口腔機能の育成とか、そういう言い方にしていただいて、やはり歯科の疾患というのが、う蝕と歯周病というのがいちばん大きいわけですけれども、そのほかに、エナメル質減形成とか、いろいろ歯の形成不全というのは出てくるのですね。だから、そこのところで、やはり歯だけではなくて、顎の骨の成長、それから咀嚼筋、側頭筋とか、咬筋とか、内側翼突筋、外側翼突筋といったものが、やはり乳幼児期からきちんとした発育をしていかないと、これはよくないなと思っていますので、どこまで歯科疾患に含めるかにもよりますけれども、その辺のところをお考えいただければと思います。
○三浦座長 咀嚼筋のことまで含めるとなると、顎骨の骨を取って、顎にするというのはどうでしょうか。
○藤田委員 顎か、健全な口腔機能とか、そういう言い方でもいいかもしれません。
○三浦座長 井上委員、お願いします。
○井上委員 それは、(3)に入っているからというニュアンスで私のほうは分けてしまったのですけれども、当然そちらも不正咬合だけではなくて、健全発育というところでの形態と機能、両方重要ですので、そこは非常に強調していただきたいところだと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。ほかに何かありますか。
○井下委員 全体の中で、「かかりつけ歯科医」という言葉が消えてしまっているので、例えば(5)の環境整備の中にかかりつけ歯科医というのを入れるのか、それか、後の議論になるのですが、最後の第五のところの、知識の普及とありますが、そこにかかりつけ歯科医を入れるか、どこかにこれを入れることが必要なのではと。特に、障害者であったり、高齢者に関しては、かかりつけ歯科医の役割は非常に大きいので、それならば(4)に入れることも可能ですし、その辺は検討していただけたらと思います。
○三浦座長 ご指摘、どうもありがとうございます。
○植田委員 (3)の高齢期に入れるか、あるいは(4)の計画の中に入れるか、あるいはその他の項目でも結構なので、将来的な展望として現場からの声なのですが、是非とも歯科疾患名の中に口腔機能低下症という疾患名を入れるような努力をしてもらいたいと思います。これだけ口腔機能維持向上と言われていますので、では実際に低下というのはどういうものなのか、摂食機能障害という病名はあるのですけれども、あれはかなり疾患名の縛りがあって、それこそ口渇とか、味覚の低下、筋力の低下という特別な全身疾患名がなくても口腔機能低下というのは疑われますので、その辺りのアプローチができやすい環境を歯科の中に整えてもらいたいと思います。
 もう1点は、(5)の中の、環境整備の中に、他職種連携で、歯科医師から始まって、いろいろ職種が出ていて、等の中に入っているのかもしれませんけど、できれば言語聴覚士さんや理学療法士の療法士という項目も入れていただければと思います。以上です。
○三浦座長 植田先生、後ろのほうのコメントについて、これは必要ですね。口腔機能の向上のところに担い手で言語聴覚士が入っているので、これを入れないと非常に整合性が取れなくなるので、これは入れていただいて、あと、最初のほうのコメントでの口腔機能低下症なのですが、これは学会等で何か定義とかは検討されているなどはありますか。
○植田委員 まだ、案の段階なので、実際口腔機能低下症の診断はどうするのだという議論になったときには、これとこれとこれをすべきだという診断方法が、具体的に提案されているわけではないので、ただ案の段階としてということなので、今後の努力目標のようなところで、お願いできればと思っています。
○歯科保健課長 特に、学会等でもご議論があるという状況でしたら、うちの最後の報告は、できるだけ整理された段階がよいのではと思います。それから、口腔だけとした場合には、歯科医療だけでは済まないはずで、医療部分でどういう対応がされているのかという視点もやや出てくると思いますので、その辺もご配慮いただければと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。やはり、法律の中での基本的事項ですので、いろいろなところからのご意見をいただきながらという形になるので、今回、どこまで反映できるかというところです。あと、先ほどの井下委員のご発言があった「かかりつけ歯科医」のところは、やはり定期的な歯科検診、歯科医療を受けることが困難なところに入れ込むと整合性はいいのかという気がするのですが。
○佐藤委員 まさにかかりつけ歯科医は、もう既に厚生労働白書で、その位置付けが示されているので、少なくても障害者だけに対応したような位置付けには示されていません。したがって、それにふさわしい医師作りにあるというのが、本質的な問題で、抜け落ちた部分は本来あるところに持ってくると考えます。
 先ほどの口腔機能の低下等についての文言は、既に(3)?のところに口腔機能の低下という言葉が出ていて、低下症という言葉になると、また違う意味になりますが、機能の低下という視点は、今回ここの中でも議論されて、機能の位置付け、見方、今後、その機能を回復していくのだという視点は、重要な視点だと思いますので、機能の部分についてはやはり成人期における、特に4頁に記載の部分は、しっかり落とさず、低下という部分、これは病名ではなく、お話になっているというような趣旨だと私は理解していますので、しっかりと記載すべきだと思っています。
○三浦座長 ありがとうございました。佐藤委員、そうしましたらかかりつけ歯科医のものに関しては、(5)のところに置くのがよいのではないかというご意見ですね。
○佐藤委員 はい。
○三浦座長 既にしっかりとした位置付けもされているものなので、さらにここで社会的環境のところの整備において位置付けるべきというところでよろしいでしょうか。
 それでは、引き続きまして、皆様方のご協力のもと、ほぼタイムスケジュール通りに進んでいますので、5、6頁、第三から第五の項目について、ご意見をいただきたいと思います。特に、第五の項目は、前回いただいたご意見を基に、新規で追加したものですので、併せて文言等の修正、抜けがありましたらご指摘等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大内委員 まず、第三の都道府県及び市町村ということで追加していただいてありがとうございます。1.の「歯科口腔保健の健康計画」は、ここはまず表現の整理が必要なのではという点が1つ。それからもう1つは、お願いがありまして、やはり、市町村も計画策定という対象で明示していただいたのですが、やはり都道府県は、いま市町村の取組を支援していく点も重要な役割だと思っていますので、上の黒ポツのほうで「施策につき、それらの総合的な実施のための」と書いてあるのですが、ここに「市町村等との円滑な連携のもと」という形で、都道府県の役割として見えるような形で示していただければと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。歯科口腔保健の現状は、いま市町村がやっていますので、そういう視点が必要ではと思います。ありがとうございました。そのほかに、表現を足したほうがいいとか、表現を修正したほうがいいものも含めて、第三、第四、第五についてご意見をいただきたいと思います。
 第五の部分について、私から情報提供で、黒ポツの下から数えて2番目、医療保険者、医療機関、保健所、市町村保健センターの表記がありますけれども、この並び順は一応、健康増進法の基本方針に合わせた並び順ということで、それ以上でもそれ以下でもないということです。もし、ここで並び順を変えたほうがいいということがありましたら、ご意見をいただきたいと思います。あと、健康増進法の中には、児童相談所は入っていないのですけれども、歯科口腔保健法においては、障害者児童に対してのアプローチも非常に重要なところなので、児相を入れているというところです。補足の説明でした。
 これ以外に、何かご意見等ありますか。
○佐藤委員 第三については、先ほど大内委員のご指摘のとおりで、やはり市町村を入れたことはあって大変大きかったと思っています。その点は、感謝したいと思います。第四については、調査の実施、活用及び研究の推進ですが、ここの中でもいくつか議論が出ていると思うのですが、これらについては、やはり先ほどお話になっていた地域格差の問題、公衆衛生等の問題、勧誘する問題を含めて、研究については今後様々な方向性を含めて、ご検討いただきたいと思います。
○三浦座長 ありがとうございます。そのほか、いま調査及び研究のところでご発言がありましたけれどもいかがでしょうか。
○神原委員 そういう意味では、1回目の私の意見のところで、5頁の研究の推進の歯科口腔保健と医療保険との関係についてというのを入れていただいて、非常にありがたいと思いますし、10年後を見据えていることを考えますと、口の健康がどんどんよくなっていったときに、社会における歯科の体制をやはり視野に入れて研究し、取り組んでいくことが大事なのではないかと思います。
○三浦座長 ありがとうございます。そのほか、お気づきの点等ありますでしょうか。
○藤田委員 第三の2.のいちばん最後のところ、「基本的事項の策定に当たっては、大学等研究機関及び地域住民等と連携するよう努めるものとする」ということで、これは私も発言させていただいたので取り上げていただけたのではと思い、大変ありがたく思っています。ここのところの文言ですけれども、私もいまパッと見たので、それが適当かどうかわかりませんが、目標及び基本的事項の策定に当ってはということにして、そして大学等研究機関及び地域住民等と連携し、十分なエビデンスを得るよう努めるものとするとか、そういう文言のほうが、より適切ではという感じがします。
○三浦座長 ありがとうございました。かなり、ご意見をいただきました。よりよいものになりますし、非常に建設的なご意見を多数いただけたことを感謝申し上げます。それで、本日いただいたご意見も踏まえまして、また事務局のほうで、取りまとめていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○井上委員 先ほども申し上げたのと共通するのですけれども、第五のところの1.の2番目ですけれども、やはり家庭、職場、地域の中に学校も入れていただければと思いますので、ここはいかがでしょうか。
○三浦座長 そうですね。その上のところが学校教育。
○井上委員 学校教育に入っているのですけれど、場としての。
○三浦座長 そうですね。情報提供はというところに、学校教育と多様な径路を活用し、と書いてあるので、入れないと辻褄が合わないところもありますので、ここに学校という文言を入れたいと思います。
○神原委員 お聞きしたいのですけれども、2頁の第二の5年後に中間評価を行うと書いてありますよね。(2)のところで、各ライフステージ別の目標が出てきているとなったときに、それをどの項目で、何の指標で評価をするのかをお聞きしたいと思うのですね。例えば、乳幼児期のところでは、括弧して書いてある、う蝕のない者の割合の増加ということで評価をしようとされているのか、あと、学齢期、成人期、高齢期等、機能のところも括弧でいろいろなことが書いてありますけれども、それで評価をしようとされているのか、例えば具体的にはもう少しいろいろなことがあるのではないかと思います。指標としては、例えば、フッ素の応用状況が向上しているのか、増加しているのかということ等を踏まえて、それをここに記載するのかどうかについて、議論していただければと思うのですが。
○三浦座長 おそらく、議題(2)の目標値(案)のところと関連してくるところですけれども、具体的な目標値を測定する項目をここの骨子案に括弧書きで書く必要性があるかどうかについて、事務局から何か補足説明がありましたら、よろしくお願いします。
○歯科口腔保健推進室長 骨子(案)の中で、最終的に目指すものは、いまの段階では大臣告示を目指すということですので、その中にふさわしいかどうかはまず1点あるのではと思います。ただ、それと、「第2次健康日本21」の動向というものも関わってくると思いますし、健康日本21のそちらの第2次ということも、大臣告示を目指し、目標値などを記載していく方向性ですので、こちらも調和を保つという観点からは、一応、大臣告示の中に目標値も目指して記載していくということを念頭に置いて進んできているという現状です。
○三浦座長 ありがとうございました。最初の専門委員会の第1回目でもお話したように、次期国民健康作り運動プランと連携するところの制約もありますので、その点でこういう形になっているということではと思います。
○井下委員 第五のところで、知識の普及と連携の2つが出ているのですが、いわゆる歯科保健関係者の資質の向上というものが非常に大切になってくるのではと。第二の(5)に、研修の充実と出てくるのですが、もうちょっと強調して、例えば第五に3を起こして、いわゆる国の責務、都道府県の責務という形での研修をやるのだということと、それともう1つ、例えば歯科医師であったり、歯科衛生士が自ら資質の向上に努めるのだという文言、いわゆる社会からの制度と自らの努力を明記すべきではないかと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。修正の過程で少し配置をずらして、その辺の人材育成の必要性が薄れてしまったのですけれども、ヘルスプロモーションの見地から言っても、非常に重要なご指摘だったと思いますので、うまく対応できればと思います。その他、何かありますか。議題の(2)の目標値(案)に移ってよろしいでしょうか。
 それでは、議題(2)に移ってご議論いただきたいと思います。事務局より、ご説明をお願いします。
○歯科口腔保健推進室長 それでは、資料2をご覧ください。こちらは、目標値(案)となっています。まず1頁目、いままでご議論いただいた骨子(案)の中に記載されていた(1)の口腔の健康の保持・増進と歯科口腔保健に関する健康格差の縮小の実現という大きな目標があります。その下にライフステージごとに(2)歯科疾患の予防、(3)生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減、(4)定期的な歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に関する、先ほどの骨子(案)に記載されていた例えば乳幼児期でしたら、う蝕のない者の割合の増加というような目標値の括弧書きで書かれていたものを、こちらに一応記載しています。(5)歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備ということで、こちらにも目標の指標を記載しています。
 2頁以降が(2)と(3)~(5)までの具体的な目標値について記載しています。具体的な指標と目標値とデータソースという形で、目標値については今年度の厚生労働科学研究費の特別研究である、三浦座長に主任研究者を努めていただいている、「歯科口腔保健の推進に関する総合的な研究」という研究班の中でご議論いただいて、出していただいた数字です。数字のところに【P】と書かれているものがありますが、例えばいちばん上のライフステージの乳幼児期、3歳児でのう蝕のない者の割合の増加というような、事前の協議の中で最終的な結論に至らなかったというものについて【P】と記載しています。こちらが(5)までありまして、5頁まであります。説明としては以上です。
○三浦座長 ご説明ありがとうございました。いまちょっと言及がありました目標値の設定につきまして、特別研究班において案としてお出ししている出し方は、過去のデータから回帰分析を行って、推計値は平成35年、2023年の段階での推計を行ったものをベースにしています。ですから、推計に、さらにどのように持っていくかについて、今日是非ご意見をいただきたいところです。チャレンジングに持っていくのか、それとも、実現可能性を重要視して持っていくのか。そのようなところにもご意見をいただきたいと思います。あるいは、あえて実現可能性は薄くても理想値を掲げるというやり方もあろうかと思います。
 最初の資料につきましては、ばらばらに骨子(案)の中に書いてあったものが、一覧の見取図で、ライフステージごと、段階ごとでまとめられているので、よりイメージがつかみやすい形になっていると思います。大目標である「口腔の健康の保持・増進」、「歯科口腔保健に関する健康格差の縮小」、歯科の場合、これらを1つの尺度で測定することがなかなか難しいので、この具体的な大目標に関しては、いまのところ指標は置かないような案とご理解いただきたいと思います。
 まず最初に、資料にあります目標一覧から確認も含めて再度ご意見をいただきたいと思います。この部分に関しましては、先ほど文科省さんからご発言があり、障害件数の割合の減少は目標値としてどうだろうかというご意見をいただきました。それ以外について、何か気になっているとか、追加・修正等が必要なものがある場合はご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○神原委員 う蝕のない者の割合の増加という表現で私は賛成です。特に、(3)の「生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減」の指標がよくわかりません。例えば、「口腔機能の獲得」が(不正咬合等が認められる者の割合の減少)とありますが、これがイコールなのか。あるいは、「口腔機能の回復・向上及び低下の軽減」が(咀嚼に支障がある者の割合の減少)と、これはどういうことを言っているのかよくわからない。咀嚼に支障があるというのは、疾患があったり欠損があったりなどをすべて含んでいるのか。何を意味しているのかがちょっとよくわからないので、この指標を提示されたところで何かわかっていることがあれば教えていただきたい。
 先ほど、大きな目標のところで、「口腔の健康の保持・増進」と「健康格差の縮小」という目標があって指標がないということでした。これら2つを将来的に目指すのですよね。そこで指標がなければ、この下でやっていることが活きてこないのではないかという感じがするのです。例えば、健康格差の縮小のようなものは、いま日本社会の中全体で大きな目標になっている。それが歯科の中でどのようにコントリビュートできるかを、やはりもう少し考えるべきではないかと思います。いま目標値が設定できなくても、やはり考えていくべきではないかと思うのです。あるいは、例えば、学齢期のところの指標の中にフッ素洗口をやっている学校の割合の増加とか、そのようなことを具体的に入れるとか、パブリックの目標をもう少し入れたらどうかという感じがするのです。ほかのところでも、例えば、乳幼児期で、母親教室あるいは3歳児健診の受診のパーセントを入れるとか、そういう、個人の口の目標とともにパブリックの目標を設けていく。これはいままでなかった視点だと思うのですが、そのようなことを少し考えていただきたいと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。神原委員、もし大目標で指標を挙げるとすると、案を出していただけると大変助かるのです。というのは、データソースがないと現状からどのように改善していったか、まさしくいま、エビデンスに基づく施策作りが求められております関係上、お願いしたいところです。これは次期国民健康づくり運動プランでも非常に悩ましいところだったので、何かアイディアがあればお願いします。
○神原委員 いちばん最初のこの委員会のときに、都道府県別の12歳児の結果が出ていましたね。3歳児のう蝕のマップも出ていたと思うのです。あのようなものを使って、歯科においてはこの辺での指標の修正を、この範囲内に抑えるという表現でもいいと思うのです。例えば、12歳児で1本を超えるものが都道府県でこれぐらいあるものを、これぐらいまで減らすとかですね、そのような表現でもできるのではないかと。
○三浦座長 ありがとうございます。実は、事務局案では、社会環境のところにそれを入れているのです。
○佐藤委員 健康増進栄養部会でも、やはりこの格差の問題の議論はあります。いろいろな格差があるわけで、地域格差だけとするのか、格差を何にするのかという議論があるのです。地域格差だけでいいのかという話もある中で、また、この委員会がポスト「健康日本21」との整合性を取りながらという中で、この部分を目標として出せないことは、逆に言いますと、栄養部会でも格差そのものをどう考えるかの議論はまだ続いていると理解しています。この部分は、格差そのものの考え方について議論を継続していくべきで、格差そのものの見方がある程度決まっていく中で議論されていくものだと私は考えています。
○三浦座長 ありがとうございました。それから、咀嚼に支障がある者の割合の減少について、表現については少し考えなければいけないかもしれませんが、これは国民健康・栄養調査で、主観的ではありますが「何でもよく噛める」という人の割合を取った調査から逆算したものです。それから、不正咬合等が認められる者の割合については、事務局から補足の説明をしていただけると助かります。よろしくお願いします。
○歯科口腔保健推進室長 全体的な目標と指標につきましては、基本的に現状で国のデータがあるものを念頭に置いて作っています。それと、先ほど疑問のあった歯牙障害件数の割合の減少などを省いていただきますと、基本的に全部が国のデータになります。そこについて皆様方のご了解が得られれば、かなり全体的な整合性が得られるのではないかと考えています。
 3番目の不正咬合等が認められる者の割合の減少については、これだけでは、生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減については、これだけでは表わせる言葉ではないことは、事務局としても当然そう考えていますが、現段階で国のデータとしてあるものを前提として考えたところ、このぐらいしかないのかなというのが、データを出していただいた研究班の中でのいまの段階でのご意見の収束だと考えています。
○三浦座長 研究班の立場から申し上げます。データに基づく目標値設定というところで、次期国民健康づくりでもそうだったのですが、やはりナショナル・データでないと目標設定をしづらいのが現状です。そうなりますと、使うデータソースは、歯科疾患実態調査と国民健康・栄養調査の2種、それから学校保健に関しては毎年しっかりとした調査が上がってきています学校保健統計調査、そのようなものにある程度集約されてしまうことがあります。この辺が座長としてもなかなか悩ましいところです。こういう指標があるといいと思うものもありますが、データがあるかどうかが非常に大きな制約のところにかかってきます。必ずそれがステイブルに中間評価、そして最終評価に活用できるナショナルサーベイ・データであることが望ましいということで、その制約の中で可能な限り趣旨に合ったものをピックアップしてきたのです。何かいいアイディアがありましたら、宜しくお願いします。
○井上委員 「健やか親子21」でもそうだったと思いますが、やはり初期には設定できなかったデータを中間評価までの間にデータをしっかり取ることによって、中間評価の段階で新たな目標設定をやり直して、そして最終的なデータに活かすという手もあると思うのです。ですから、「口腔機能の獲得」では、3歳ぐらいで食べ方に問題があるお子さんだとか、学童期の咀嚼・言語に問題性のあるお子さんの把握などを実際に指定して対応することは重要だと思いますが、確かに全国データとして集まっているかというと非常に難しいと思います。ですから、積極的にそういう調査・研究を推進する中で、中間値までの設定の中で新しい値に持っていくという手もあると考えますが、いかがでしょうか。
○佐藤委員 高校生の歯牙外傷についてちょっと出ていましたが、スポーツ基本法が成立する中で、学校におけるスポーツの外傷という視点が抜けることはちょっと考えられないと思います。今回、日本スポーツ振興センターのデータがナショナル・データではないことは理解できますが、学校におけるスポーツでの歯牙発生数を含めた障害という捉え方では、そのようなデータはないのかお伺いしたいところです。
○三浦座長 文科省から何か補足がありましたらお願いいたします。
○文部科学省 学校でのスポーツ障害に関するデータについては、国で調べておりません。
○三浦座長 佐藤委員のご発言にあった、学校におけるスポーツ障害のリスク面について、それ自体を全部抜かすというわけではなく、目標値の中で設定することに適しているかどうかになろうかと思います。もちろん、そういう視点は重要なので、計画の中には入ってくるかとは考えています。目標値の場合は、先ほども申し上げたように数値の縛りがあって、全国で105件、都道府県で数値を追えるかということもあります。
○井下委員 目標値のほとんどに疾患の減少が出ていますが、減少させるには何をしなければいけないのか、いわゆる手立てについての目標は要らないのかと思います。先ほど、神原委員が提案されたように、例えば学齢期の中でフッ化物洗口の学校を増加させるとか、何割以上にするとか、そのような目標は数字としては評価できるので、是非このようなものは入れていただきたいと思います。
○歯科保健課長 その辺のところは確かに、以前の「健康日本21」のときには相当幅広に方法までも入れたのですけれども、いま、「健康日本21」でもそこまで細かい設定にしないという話を聞いています。それから、先ほども公衆的なパブリック・ケアと個人のケアの区分ができないかという観点がありましたが、実は以前、「健康日本21」を作ったときも、結構こと細かなところは相当賛否が出たと聞いています。これも作るときにはパブリック・コメントのような形で意見を取ることは聞いています。
○佐藤委員 井下委員の意見に賛成です。この「ポスト健康日本21」がいままでの10分野、9分野を5つの基本的な方向性にまとめて、80いくつのものを50いくつに減らしていく、それは皆さん既に了解のとおりです。その中に、10年後のあるべき姿というものが基本的にあって、そのために何をすべきかが項目として出されていると理解しています。ですから、当然、項目数、分野数が減って、それぞれ50いくつに減らされているとは言え、基本的な方向に沿った中身に詰めていくと理解しています。決して、事細かにしてかえってなくなった「ポスト健康日本21」だとは理解していません。基本的な方向性が明確に出されていると理解しているので、今後どうあったら、これがより進むかという視点の記載は、できるものはやっていくべきだと思います。
○三浦座長 いままで、「疾患の予防」、「口腔機能の獲得・向上及び低下の軽減」についてご意見をいただいていると思います。それ以外の「定期的な歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する目標」、また、今回新しい取組である「社会環境の整備に関しての目標」につきましても、ご意見をいただきたいと思います。先ほどご発言がありました、歯科における健康格差に関しましては、ここの部分に比較的多く位置付けています。この部分の位置付けでよいかも含めましてご議論いただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 推計をした側からの投げ掛けです。「3歳児でう蝕のない者の割合の増加」について、現状値が77.1で、これはほとんど推計したものに近い値を出して、95%という非常に高い率で設定しているのですが、これでよいかどうかです。上昇が頭打ちになる可能性もあるので、場合によっては90%の設定とすることもありかなと思ったのです。一応、より高みを目指すとして、高めの値にしています。その辺につきましてもご意見をいただきたいと思います。特に【P】と書いてあるものがペンディングなので、ここを中心にご意見をいただければ当方としては大変助かります。
 委員の皆様方が案をまとめていらっしゃる間に、この背景要因をご説明します。定期的な歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する目標値設定が非常に苦心したところです。先ほど申し上げたように、現状がよくわからないので、一応、暫定参考値のような形で置いています。これはこの専門委員会の親委員会の委員長の林先生にもご相談したのですけれども、「ヘルシー・ピープル2000」においても最初にデータが揃わなかったものは暫定参考値として置いて、後で全国値が出てから差し替えたこともあるので、どうしても揃わないものは、あまり望ましいことではないがそのような方法もあるということです。ここに関しては本当にデータがなかったので、そのような形でデータを記載しています。大規模調査としては栃木県の平成23年の調査が公表されていますので、それを使って暫定的な目標値をお示しています。この部分に関していかがでございましょうか。
○井上委員 いま挙がりました、3歳児のう蝕の減少についてです。やはり、当初非常に急激な減少を示していますが、ここ数年は少し緩くなっています。それから考えますと、95%というのは理想値ではあるけれど、ちょっと10年後でも難しいかなと思います。要するに、高みを望むのか、それとも、ある程度実現可能とするのか。最終的な評価で達成した、しないがかなり問題になってくると思いますので、そうするとやはり、ラインとしては90%ぐらいではないかという感じもいたしますので、ご検討いただきたいと思います。
○三浦座長 いまご発言があったとおり、90%設定にしますとかなり実現可能性が高まってくると思います。
○佐藤委員 推計に基づいて出した数字と理解して、井上委員の最近の動向も理解できますが、やはり目標値というのは低めに設定して実現可能性をというよりは、こうあるべき姿としての目標値というほうが本来的ではないかと思います。かつて「健康日本21」が12歳児の目標設定の際にも、そのような推計値よりも低い数値を用いた経緯があったと理解しています。
○三浦座長 それでは、佐藤委員は95%のままで。
○佐藤委員 よろしいと思います。
○三浦座長 わかりました。95%のままでよろしいでしょうか。
○井下委員 滋賀県のデータを持ってきているのです。滋賀県は例えば平成11年が有病率が38.9%、平成21年が23.7%で、10年間で大体15%落ちています。それを考えると、ちょっといま寝気味なのは確かなので、90%にするとあと13%なのでたぶんいけるかなと思います。95%はちょっと苦しいかなという数字ですね。
○三浦座長 どうもありがとうございます。実体験に基づくご発言でした。研究班も全く同じような感触で、90%だとかなりの確率で達成できるかなとは思っています。が、ここから先は目標値の考え方になろうかと思います。実現可能性も踏まえたファクターを大きく取るのか、そうではなく、やはり理想に向かっていかなければいけないので、理想的なところに近づけるべきなのかでスタンスが変わってきます。これはこの目標だけではなく全部に共通することですが、どういたしましょうか。
○佐藤委員 井下委員、大変だと思いますが。だからこそ都道府県の条例が必要であり、それぞれに見合った計画が必要であるとここにも記載されているわけです。地域ごとにそれぞれに合った計画を出していくのだと。国が出す計画はそれを踏まえた上で考えて、なおかつ都道府県の実情に関しては、条例を設定している都道府県の割合の増加という点に活用していただきたいということになりますので、推計値で95という数値が出てきているのであれば、やはりそれで持っていくべきではないか、そういう視点が大事ではないかと思っています。
○三浦座長 これからこの基本的事項に基づいていろいろな所で歯科口腔保健の推進が図られる、そういった伸び代も含めると、ある程度チャレンジングな値のほうが目標値としては相応しいのではないかとのご意見が多かったと思います。よろしいですか。それでは、実現可能性もある程度考慮しながら、やはり理想に近づけるような目標値設定を全体的に採用するというところで、お話を持っていきたいと思います。
 引き続きまして、12歳児に関してです。大体同じかと思いますが、背景要因として、12歳児でのう蝕のない者の割合の増加に関しましては、客体数が多い学校保健統計調査が毎年きれいに出てくるので過去10年にわたって追いかけることが可能なのですが、過去10年にするとすごい勢いで下がってくる形になってしまいます。ただ、この3年間では以前のものに比べると減少傾向が鈍ってきているので、この部分に関しましては直近の3年間で推計を出して、そこで目標値設定をしているとご理解いただきたいと思います。都道府県によっては、75ならばすぐに達成できてしまうところもあろうかというような状況です。
 そのほか、座長としていちばん悩ましいのは、20代の歯肉に炎症所見を有する者の割合をどうするかというところです。母子もしっかりしたシステムがなされている。高校生までも学校歯科検診があるので、ここもかっちりとしたフォローがなされている。20代、30代というのは空白地域であります。ただ、生涯にわたっての歯科の健康を考える上で、やはり20代、30代へのアプローチは何らかの形で打っておきたいので、「20歳代における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少」としたところです。歯肉炎の定量的な評価値というのは実はありそうで意外とないのが現状です。CPIがあるにはあるのですが、歯石があるとコード2に入っていますので、純然たる炎症のみでコード1だけを使うとアンダーエスティメイトになってしまったりのジレンマがありますので、主観的なもので国民健康・栄養調査が使えるかというところです。20代に関しては別集計が要るため、いま値が見えない状態になっているのですが、このような方向性でいいかどうか、ここは是非ご専門の先生方にご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。これが解決すると、私の負担は著しく軽減されてQOLが上がるのです。
○井下委員 歯科疾患実態調査は使いものにならないのですか。
○三浦座長 歯科疾患実態調査は、もちろん有効な調査であり、実際に使わせてもらっています。歯科疾患実態調査ではポケットプロービングをしますので、4?以上のポケットがあるものを歯周疾患と定義して、そこで成人期と高齢期においては算出させていただいています。問題は歯肉炎なのです。歯肉病変ですのでCPIで所見があるものをそのまま使うと非常に高率になってしまって、70%ぐらいにもなってしまうのです。それでよければそういたしますが、歯肉に所見がなくても歯石沈着するケースも、特に若い年代は多数ありますので、そこでどうしたらいいのだろうかというところです。
○歯科保健課長 確かに歯科疾患実態調査は、えいや、でありまして、歯石沈着のことを言えばきりがありません。そもそもの考えは、えいや、で「歯肉炎等があるもの」ぐらいの考え方で、何かしら歯肉に所見がある方という、以前の実態調査の捉え方を反映させていただいた経緯があります。以前も6分割のところで歯石のところだけに○を付けていた時期もありますが、いまの形態には、やむなし、ということでさせていただいている状況です。歯科医学的に見ても整合性はあるものの、通常であれば実態調査での高度1以上というのは、歯肉に何らかの所見がある者という捉え方ではないかという気がします。確かに高率ではありますが、歯科疾患実態調査を元から見る限りは、歯肉に所見のある方というのは非常に高率という見方を周りもしているのではないかと思います。
○三浦座長 いま補足の説明がありました。コード2に入ってしまうと非常にハイ・パーセンテージになるのですけれども、リスクを含めての評価と考えれば、コード1以上の所見を付けたものを国の値として用いていいのではないかということだったと思います。いかがでございましょうか。○佐藤委員 (2)「歯科口腔疾患の予防」の予防ですが、結局、これは1次から3次まで含んでいるという概念で考えている。例えば座長がおっしゃった「4?」などは「明らかに機能障害を起こしているにもかかわらず」という予防のところに入っている。予防の概念に1次から3次まで全部入っているのであれば、いまの疾病の考え方から言って、1で切ることは全く問題ないと思いますし、2で切った場合でも「歯石沈着を含む等」にしてしまえば、それも構わない。どちらが国民にとって重要な予防の具体的な指標になり得るかがポイントになるのではないかと思っています。そういう意味では、例えば歯ブラシ指導程度で済む1を含むのか、スケーリング以上が必要である2を含むのかでは、明らかに予防のレベルが違ってくることを踏まえた議論になるべきだと思います。1なら1なりにその後の対策が必要だし、2なら2なりにその後の対策が必要になると思います。
○三浦座長 ご意見、どうもありがとうございます。まさしく佐藤委員の意見のとおりで、評価をしてそれをどのように施策に反映していくかも踏まえての項目設定となろうかと思います。コード1だけで切ってしまうと、はっきり申しましてアンダーエスティメイトになる状況です。どうしてもプロービングのときに出血する傾向だけしか見ませんので、若干アンダーエスティメイト、実際より過少に出てくる可能性がある。コード2になると歯石の沈着までサポートしますので、どちらかと言うとオーバーエスティメイトにいくようなところです。どちらを取るかになろうかと思うのでご意見をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
○井下委員 基本的には、この対象の人にはいわゆるブラッシング指導をきちんとしてあげたいという意味合いからすると、1でやってしまおうと、私はそう思います。
○三浦座長 そうですね。いま、セルフ・ケアで持っていくことを考えれば、コード1で評価してあげるのがいいのではないかということでしたが、いかがでございましょうか。
○神原委員 口腔疾患の予防で目標を作ることは、ある意味、20代では難しいのではないかという感じがするのです。基本的に20代の方が、いま非常に健康になってきている。そういうことから言うと、疾患で目標作りをするのではなく、例えば、2回歯を磨いている人の割合を増加するとか、行動に基づく目標をここへ入れることも1つの手ではないかと思います。先ほどから20代では歯科疾患で何が問題なのかをずっと考えていたのですけれども、あまり浮かんでこないのです。2・4・6・8という年齢で20代を出そうとされている意図はわかるのですけれども、逆に言うと、なくてもいいのではないかという感じもするのです。
 2番目の「学齢期」の、中学・高校生で歯肉炎のない者の割合の増加が減っているのは、これはどういうことなのですか。
○歯科口腔保健推進室長 こちらは、3歳児のところやう蝕のところと文言を合わせた関係で、引っくり返っています。ここは、「中学生・高校生で歯肉炎のある者の割合の減少」とするのが正しいのです。あるいは、「中学生・高校生で歯肉炎のない者の割合の増加」で、100-26で74%から85%と、このどちらかになります。
○三浦座長 逆転してしまっていて非常にまずかったので、ご指摘いただいてありがとうございました。いまご発言にあったように、20代は状況がそれほど重篤ではないので、20代の目標設定をあえて置かなくてもいいのではないかというご意見も出されました。その件も踏まえてここで意見の集約を図りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○堀井委員 私は職域でいろいろなデータを使いながら指導しています。歯科検診を21年実施しているのですが、歯磨きの回数・時間を、例えば1分以下の方には、「もうちょっと、2分ほど磨けるように努力してみたらどうですか」、2分磨いている方には、「3分以上の割合が半数以上になったのですよ。頑張ってみられませんか」等、磨く時間や回数を増やす、寝る前に必ず磨く、そのような指導のほうが比較的効果があるように思います。最近は歯の健康と全身の健康の関連性がすごく言われるようになりました。これは、医科と歯科を結び付ける良いチャンスだと思います。具体的な疾患・疾病名を挙げて、影響度等を大まかな数字で表示してあれば、素人でも指導がやりやすいと思うのです。
○三浦座長 ありがとうございました。そのほかにありますか。
○金澤委員 いまのことと関連するのです。いまの20歳とか若い人たちは口の中のことに関心が高いのです。虫歯とか歯周病というよりは、きれいな口にしたいとか、口臭をなくしたいとか、そういう清潔志向が非常に高いのです。先ほどもお話があったように、保健活動をするときに、虫歯があるとか歯周病があるという指摘よりも、自分の口の中をいかに清潔に保つかとか、全身との関係とか、そのような指導をしていくと関心を持つ。そのことから考えますと、やはり20歳代をきちんと把握しておくのはとても大事なことではないかと思います。以前の「健康日本21」のときには、定期的に歯科医院に歯石除去を受けに行った人を何%にしましょうとか、そのようなことが目標に出ていました。達成状況は記憶にないのですけれども、やはり、セルフ・ケアの能力を高めると同時に、40歳、50歳代に向けて、定期的に歯科医院できちんと検診を受けたり、歯石除去を受けましょうとか、自分の口の状態に合った歯磨き指導を受けましょうとか、そういう行動目標のようなことが、あったほうがわかりやすいのではないかと思います。
○井上委員 法律の第8条に定期的に歯科検診を受けること等の勧奨は全体に言われている、障害者だけではないですね。そうしますと、各ライフステージにおける実状のようなものとして、検診について、1~3歳は実施されていますけれども、それ以外の例えば2歳とか4、5歳が実施されているか。学童期は大体実施されていると思いますが、成人検診とか、特に妊産婦の歯科検診はどうか。せっかく「妊産婦を含む」という表現が入っていることを考えますと、そういう検診が実施されているかどうか、実施の状況などを、やはり目標値に設定する必要があるのではないかと思います。これはいかがでしょうか。
○三浦座長 ありがとうございます。データがあるかについて、事務局はその辺りを把握していますか。
○歯科口腔保健推進室長 データについては5頁に、ライフステージごとではありませんが、井上委員からご指摘がありましたように、学齢期まではある程度検診は受けています。これも踏まえて、20歳以上、過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加について、その結果を目標値にしてはいかがかと考えています。ライフステージごとではなく、社会的な環境の整備として記載させていただいています。
○三浦座長 妊産婦歯科検診の実施状況などはデータがないのですね。ここが先ほど言った非常に悩ましいところで、データがないとなかなか起こせないところです。
○井下委員 それは、歯科保健課から各都道府県に照会をかけて、例えば妊産婦歯科検診をしている市町村の数はいくつですかと聞いてもらえれば、各都道府県はそれについてはお答えして「うちではこれだけやっています」と言えると思うので、その評価はできると思います。
○三浦座長 ありがとうございました。この件は事務局と詰めたいと思います。それ以外のところで何かございますか。先ほどの、20代については、次世代に向けてのアプローチもあるので何らかの形で目標値設定をあがいてみたいと思いますので、こちらも事務局と相談させていただきたいと思います。そのほかにご意見はございますでしょうか。全体を通してのご意見でも構いません。いま議論していた目標値案プラスアルファ、先ほど一応議論は終了していますが、骨子(案)について、ここを言い忘れたというようなことがありましたら、この段階でご意見をいただけますと作業する時間も稼げますので、よろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。では、いただいたご意見を基に、事務局に取りまとめていただきたいと思います。
 次に、議題(3)「その他」について、全体を通じてとダブりますけれども何かご意見ございますでしょうか。
○井下委員 また目標値についてです。これまでの議論の中で、連携が非常に大切だと言われていたので、例えば歯科保健の協議会等を設置している都道府県の割合など、を是非入れていただけるといいのかなと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。データの収集も含めて対応したいと思います。そのほかに何かご指摘ありますか。
○神原委員 前回も言いましたが、やはり、いちばん最後の法律の口腔保健支援センターにしても、この設置状況なども1つの指標になるであろうと思います。パブリックの視点がどうも少ないように思うのです。ホーム・ケアと言うか、個人のスキルにかかわるようなことが多過ぎて、どうもいままでと同じような印象が否めない。ですから、いま新しい地方の条例もでき、パブリックの動きに対する目標値設定のようなものも要るのではないかと思います。プロフェッショナル・ケアのところで、地域で歯科医療を担っている歯科医師がこういう法律にどう関われるのかという視点も、ちょっと欠けているように思うのです。それをどこかに盛り込めるところがあれば、考えてみたいと思うのです。先ほど出ていた協議会であるとか、それぞれのネットワークの問題が地方でどううまくいけるのか。いままでのエビデンス・ベースド・デンティストリーからコミュニティ・オリエンテッド・デンティストリーにうまく移行する時期にきているのではないかという感じがしますので、そのような方向での中身をこの中へうまく入れられたらと思います。
○三浦座長 ご意見ありがとうございます。具体的な指標としてはどのようなものが考えられますでしょうか。井下委員から歯科口腔保健関係の協議会の設置割合という指標のご提案があったところですが、いま先生がおっしゃられたようなことを計るような、見える化するような具体的な項目のアイディアがあったら。是非ご提示していただくと助かります。
○神原委員 各都道府県で、例えば8020推進運動のような中で協議会が立ち上がっていて、その中のネットワーク作りがされています。それは井下先生がよくご存知だと思いますが、そういう組織作りができているかどうかも、環境整備と言うか、そういうものと絡むのだと思うのです。あるいは、この間も言いましたが、学校保健委員会がうまく機能しているかどうかというようなこととかですね。例えば、学校歯科医が学校検診を法律で定められている以外のところでいろいろと活動している、それがいまは表に出てこないですよね。そういうことも集計して見てみるとか、社会との絡みの中でいま実際歯科の中で起こっているようなことがもう少し表に出てくるような指標を出すことも必要ではないかと思います。各都道府県の歯科医師会がいろいろなことをされていますね。それも表に出していく。それぞれの地域特性を踏まえたいろいろな取組があろうと思うのです。それらも取り入れていくこともあるかなと思います。
○三浦座長 そうですね。ただ、目標値はどうしても量的な評価のものになってしまう。その辺のところで、なるべく取り込みたいと思いますけれども、若干制約もあろうかというところをご理解いただきたいと思います。
○佐藤委員 歯科医師会は当然、先ほどのようなデータは既に持っていて何年も集積しているので、井下委員が先ほどお話になったように、厚労省が調べれば本当にすぐ出てくるデータです。そのデータをデータとして認めるかどうかという議論になるのではないかと思います。実際に調べられない数字ではないし、比較的簡単にわかるデータだと、経験上そういう感覚を持っています。
○三浦座長 協議会の件ですね。
○佐藤委員 協議会と、それから、いくつかの点がありましたが、それらのご指摘をなさっている点は、かなりの部分について、歯科医師会はその都道府県の状況については、すぐ把握できるし、毎年やっているという状況がありますので、それはそれほど難しいことではない。ただ、そのデータを厚労省の調べたデータとして、公表するしないという部分も含めて、先生がおっしゃっているレベルのデータなのかの点で、取り上げるかどうかの判断ではないのかなと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。そのほか、何かご意見ございますか。
○大内委員 目標設定の厚労科研班にも入っている立場から、少し言い訳ではないですが、皆さんにご理解いただきたいのです。文章にありますけれども、取りあえず今回の目標はアウトカムだということは読んでいただいていると思います。確かに、今回は疾患がメインになっています。それはこういう短時間で、当初の「健康日本21」のときは実質的に2年以上かけていたものを、それを3か月足らずでやろうという話になっていますので、かなりそこは制約がある。健康日本21のときも、知識レベルとか行動レベルとか疾患量、環境やいろいろな施策といったものも目標とするという考え方がありました。いま例示で出していただく内容の重要性はわかりますが、では本当に施策、環境レベルに関して「協議会の設置」だけでいいのか、しかもそれは都道府県だけでいいのか、そういうことも十分議論しなくてはいけないのだと思います。時間的にそういう議論や情報収集が十分できない中で、いまこのような形になっているのです。事務局と相談にはなると思うのですが、そのようないろいろな制約があった上でいまこのような形になっているので、またご意見をいただきながら少し検討していくことはご了承いただきたいと思います。
○三浦座長 どうもありがとうございました。そろそろ時間もまいりましたので、この辺りで本日の議論を終了させていただきたいと思います。
 次回は、第2回専門委員会になります。本日ご議論いただいた骨子(案)及び目標値について専門委員会の委員の皆様にもご意見をいただきまして、本日の議論も踏まえた上で事務局に取りまとめていただきたいと思っています。よろしいでしょうか。事務局から何かありますか。
○歯科口腔保健推進室長 先ほど資料確認で触れましたとおり、先生方の机の上にご意見用紙を配付させていただいています。本日いただいたご意見も含めていただいても構いませんし、一応そこは議事録で残っていますので、それ以外のご意見等がメインになろうかとは思いますが、本日ご発言いたただいた以外のご意見等がございましたらご記入いただきたいと思います。また、本紙以外でも、先生方にメールで配信いたしますので、返信につきましては、ファックスやメールなどでも受け付けたいと思います。ご意見は2月22日(木)までに事務局にお願いいたします。
 ワーキンググループは今回までの4回で終了となりまして、次回は第2回の歯科口腔保健の推進に関する専門委員会です。現段階は骨子ですけれども、先生方からいただいた意見を基にこちらに少し肉付けをしまして素案の形としまして、次回の第2回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会に諮りたいと考えています。次回は平成24年3月19日(月)17時からです。場所につきましては追って連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。以上です。
○三浦座長 では、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。


(了)

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