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2011年12月27日 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会ワーキンググループ(第1回)議事録

医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室

○日時

平成23年12月27日(火)15:30~17:30


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議題

○基本的事項の方針、目標、計画について
○その他

○議事

○歯科口腔保健推進室長(小椋) それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会ワーキンググループを開催いたします。
 委員の皆様には、ご多忙のおり、お集まりいただきましてお礼を申し上げます。私は、歯科口腔保健推進室長の小椋でございます。
 まずはじめに、今回第1回のワーキンググループということですので、今回ご出席いただいております委員の先生方のご紹介をいたしたいと思います。昭和大学歯学部教授、井上美津子委員です。滋賀県衛生科学センター副所長、井下英二委員です。日本大学歯学部教授、植田耕一郎委員です。新潟大学大学院歯学総合研究科教授、大内章嗣委員です。日本歯科衛生医師会長、金澤紀子委員です。日本口腔衛生学会理事長、神原正樹委員です。日本歯科医師会常務理事、佐藤保委員です。新潟県立看護大学准教授、藤田尚委員です。富山地方鉄道健康保健組合保健事業推進担当、堀井しづこ委員です。国立保険医療科学院統括研究官、三浦宏子委員です。大阪大学歯学部附属病院長、森崎市治郎委員です。明海大学学長、安井利一委員です。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第、座席表、委員名簿、配付資料一覧、資料1、資料2、参考資料、神原委員提出資料、佐藤委員提出資料となっています。乱丁、落丁等ございましたら、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本ワーキンググループの座長を選出したいと思います。12月8日に開催されました、第1回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会におきまして、委員長氏名により委員長代理となられました三浦委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○歯科口腔保健推進室長 それでは、三浦委員にお願いしたいと思います。三浦委員につきましては、座長席に移動していただき、以後の議事についてよろしくお願いいたします。
○三浦座長 三浦でございます。ただいま、ワーキンググループの座長という大役を仰せつかりましたが、委員の皆様方のご協力を得て円滑な運営に努めてまいりたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
 それでは、お時間の関係もありますので、早速議事進行に入らさせていただきたいと思います。まず、最初に、厚生科学審議会地域保険健康増進栄養部会と、次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会の状況のご説明をしたいと思います。
 既に第1回目の会議の際にお話がありましたとおり、今回討議する内容というのは、次期国民健康づくり運動プランの内容と連携しなくてはいけないというところでございますので、どのような状況にあるのかというのについて最初にご説明を私からしたいと思います。
 資料1をご覧ください。この委員会のほう、部会のほうと、そして次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会の両方に私がかかわっているという観点で、私から10分程度のお時間をいただいて、ご説明をさせていただきたいと思います。
 1頁、実は次期国民健康づくり運動プランにつきましても、ただいま現在進行系で、いろいろと細かいところを詰めている最中です。来年の1月12日に骨子の中間取りまとめがなされるところですけれども、現在各委員から出されてきた論点等を整理した資料をもちまして、大体の現在の状況をお示ししたいと思います。少子高齢化が著しい我が国の現状を踏まえ、「10年後を見据えた目指す姿」を考えてプランを作っていきましょうというのが、次期国民健康運動プランの主要な論点の1つでした。その10年後を見据えた目指す姿について、意見がいくつか出てきていますけれども、それを集約したものが1頁目です。国民が共に支え合い、健康で豊に、幸せに暮らすには、何が必要か。そして、子どもたちが希望を持つ社会づくりや、虐待や不登校などの問題を解決する社会をどう作るのか。子育ての問題。そして、家庭と仕事のワークバランス、そこら辺の事柄についても、議論がなされてきています。そして、超高齢者社会を迎えますので、高齢者が生き甲斐を持って生きるためには、どのような社会設計をすべきであるかということも多方面のご意見をいただいているところでありまして、プランの性質上、やはり地域での健康づくりの観点も必要ではないかということと、個人、そして専門家、行政のそれぞれの役割をどう考えるのかについても現在議論を進めているところです。これらの議論を集約したものが、1月12日の骨子で出てくるかと考えています。
 基本的な方向性については、私どものワーキンググループの議論内容と非常に密接に関連してくるところかと思いますけれども、個人の生活習慣の改善以外の視点として、社会環境という概念が、非常に今回強くクローズアップされてきています。そういった視点において、どういったやり方があるのか、そして、健康寿命延伸のために必要な、ライフステージに応じた、健康づくりとは何か、環境づくりと密接に関係してきますけれども、健康格差の縮小という、非常に大きな問題について取り組むべきではないか。その課題はどういうことなのか。そして、健診等、来ない方に代表されるように、健康に関心のない人に対して、どのようにアプローチしていくのか。そして、高齢者の場合、治療中、介護中の方に、どのような健康づくりを提供していけばよいのか。ポピュレーションアプローチのスタンスから、国民にどのように健康に関しての情報をわかりやすく伝え、理解を広めていけばいいのかというような、基本的な方向性に関しての論点が出され、ただいま討議しているというところです。
 具体的な目標についても議論が進んでいまして、非常に多様な意見が出されておりますが、ここでは集約したものをお伝えしたいと思います。目標に対して、個人で達成すべきものと、社会環境に関する目標の両方があって、よいのではないか。これは、非常に今回重要な論点の1つでして、先ほど申し上げたように、今回の次期国民健康づくり運動プランでは、「健康日本21」ではどちらかというと個人の健康づくりにウエイトが置かれていたのですが、それに加えて、社会環境に関する目標設定をしたらよいのではないかという流れになりつつあります。
 地方自治体が健康増進を取り組むに当たって、どのようにアプローチしていくのか、また、既存のものをどのようにうまく活用していくのかということも、活動していく上では、非常に大きな論点の1つではないかと考えられます。
 目標設定に関しては、いままではどちらかというと、上位目標、下位目標の区分けなしに横に並んでいたような形ではあったのですが、それを整理整頓して、上位目標、下位目標というところで、構造を明らかにしたほうが、より効果的なプログラム設計ができるのではないかという意見が多数出されています。指標に関しての重複を排除して、全体のバランスを考えて整理が必要というのは、まさしく先ほど申し上げたた事柄と関連している部分です。プライオリティーをどのように付けるのか、全部横並びでもっていくと、総花的であり、それはそれで全部を網羅することにはなるのですけれども、実効性に関しては、ちょっと問題点が残るところでありますので、どの領域を重点化すべきかということも考えていかなければいけない論点の1つです。
 目標設定の作業を行うときに、意外と重要な視点かと思うのですけれども、アウトカムの評価の方法として、平均値を用いるのか、割合を用いるのかというところも整理して、考えていかなければならないという意見も出されています。例えば、野菜摂取350g以上という目安、平均値でいくのか、それを実際に摂取している人の割合でいくのか、同じことを聞いているのですけれども、アプローチの仕方はかなり変わってくるというところです。そして、プラスアルファーとして、先ほどいった環境面、そしてそれぞれの役割に応じて、どのような体制を取るべきかというところで、自治体の計画作定や、調査、連携について、この部分に関しても現在検討中ということで、簡単にいくつかポイントを絞ってお示しをしたいと思います。都道府県及び市町村における健康増進計画の作定に関する基本的な事項について、やはり先ほど申し上げたように、プライオリティーをある程度付けざるを得ないのではないかというところで、留意すべき点はどういうところがあるのか。そして、それを支えるエビデンスの提供、健康の増進に関する調査、研究に関して、どういう取組みが必要であるのか。実際に健康増進事業実施者間において、どのような連携が必要なのか。どのようにやると国民の皆様方に役に立つ健康づくりができるのかというところの視点でのアプローチが必要ではないかということです。あと、生活習慣、それ以外の事柄等々、連携の事項についても考えていかなければいけないというところです。
 これが、全体の大きな枠組のところの大体の議論の集約した情報ですけれども、では、歯の健康はどのような形で考えていったらよいのかというところで、この次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会の委員として、私と、日本大学の尾崎先生が委員として選出されておりまして、この両名から提出した歯の健康にかかわる論点を整理したペーパーです。これが、3頁から最後の頁までです。実は、このペーパーは2回に分けて提出させていただきました。最初に提出した部分が、どちらかというと個人の健康づくりに関する部分です。具体的に申し上げますと、3頁から6頁までが主として個人の健康づくりに関して、ライフステージ別に考えて概念、エビテンスも含めた概要を示したものであります。追加の資料として出したものが、7頁以降です。7頁以降の資料に関しては、個人の健康づくりではなく、社会的な環境整備にかかわる面として健康格差に着目してデータを付けて、歯科の問題点を整理したものです。併せて、歯の健康というのは、他分野とのかかわり合が非常に大きいものですので、横断的な取組みについてまとめたものが、最後の項目として付けられているというような概要の資料です。
 3頁の最初に大きく図を明示しておりますけれども、個人の健康づくりのほとんどの概要については、この図の中である程度入れ込めたのではないかと考えています。大枠の方向性としては、いままでどちらかというと器質的障害のところで留まっていた歯の健康のあり方に機能面のアプローチを付け加えたというところで、口腔機能低下の軽減、う蝕予防と歯周病予防の体系的な推進に基づく歯の喪失の防止について、生涯にわたって健康な口腔機能を維持し、健やかな生活を過ごすというところに特に着目してプラン作りを考えたものだとご理解いただければいいのではと思います。具体的には、どのようなあり方が考えられるのかというところですけれども、現行で行っている、健康日本21で行っている資産を有効活用するという観点、そして歯科保健が抱えている特性を考え、今回もライフステージごとのアプローチを採用しているというところで、横軸にライフステージ、リスクの軽減、生活習慣の改善から歯科疾患の予防、最後に社会生活、身体機能低下の軽減に至る、3層構造で、最終的には健康寿命の延伸、生活の質の向上につなげるというような体系的な取組みをするということになっています。
 この図で大体のプランの方向性をお示ししているところですけれども、それ以外の部分の標記というものは、この図を作るに当たって必要であったエビデンスです。項目2、次期国民健康づくり運動における歯の健康の位置づけで、細かい記載がされてきていますけれども、ここに関しては具体的な統系データ等を記載しています。後で時間のあるときにご覧になっていただければ幸いです。
 3の大項目として、「ライフステージを踏まえた上でのアプローチの必要性」というところで、歯科と栄養の分野のライフステージを中心に考えなければいけないだろうというスタンスを取っている代表的な領域がありますけれども、何故ライフステージごとのアプローチが必要なのかというところで、その理由とその取組みを考えたエビデンスを記載したものが5頁から6頁にかけてというところです。こちらに関しても、先生方が既にご存じのエビデンスが書かれているというところで、細かい説明は割愛させていただきたいと思います。
 7頁、先ほど申し上げたように、いままでご説明した内容はどちらかと申しますと個人の健康づくりにかかわる内容でしたが、追加資料として新たに付け加えた7頁からの資料についてはいままでと見方を変えて、社会における健康格差と歯科疾患との関連性というところで国内外のエビデンスをお示ししたものです。既によく知られているところですけれども、う蝕有病状況は、全体としては改善方向に向かっておりますけれども、まだまだ大きな地域間の格差がございます。
 一例として、12歳の一人平均う歯数、これは平成22年度の学校保健統計調査からデータを出してきているものですけれども、最も低い本数を示したのが新潟県で、0.8歯、最も高いデータを示したものが、沖縄県で、2.6歯ということで、単純に比をわかりやすく取りますと、3倍強というところで、まだまだ細かく見ていきますと、う蝕の罹患状況においては、大きな地域格差があると言わざるを得ないというようなところです。
 いま、永久歯の状況をお示ししたところですけれども、市町村で3歳児のう蝕有病者率を調査したデータがあります。図2を見ていただきたいと思います。これが比較的わかりやすいのでこの図を用いさせていただいておりますけれども、疾病地図で、赤く示してあるところの色が強ければ強いほど高い有病状況を示しているというところで、地域差が明確に示されております。具体的には、北海道、東北エリア、四国、九州エリアにおいて、高値を示す市町村が相対的に多いというところで、永久歯と同様、乳歯の有病状況に関しても明確な地域差が認められるというところです。
 この地域差を改善する方法の1つとして、エビデンスが出されているのは、フッ化物応用に代表される地域歯科保健の推進です。地域ベースで健康格差を緩和するというような取組みが効果的であるというような報告が内外の論文で報告されているところです。したがって、環境面の質の向上を考え合わせますと、歯の健康においてもこのような地域格差について、何らかのアプローチをしていく必要があるのではないかというところで、いま議論が進められているところです。
 このような個人の健康、そして健康格差の視点も組み入れた次の歯の健康の目標設定の考え方の事例として、あくまでも事例ですけれども、私どものほうで作ったものを簡単に記したものが図3です。向かって左が個人の健康づくりにかかわるところで、先ほどお示しした図を一部改編をして作っています。そして、向かって右側が社会環境面からのアプローチの部分で、地域歯科保健対策の推進を行うことにより、う蝕有病状況の地域差の縮小、歯科の場合も歯科口腔保健に関するサービスへのアクセスの改善と公平性の確保というのは、非常に重要ですので、それをもって健康格差の縮小、社会環境の質の向上に寄与するというところです。歯科の場合は、ライフステージのアプローチというのが非常に重要なファクターですので、斜めの矢印でライフステージを示してあるという概念図とご理解していただければと思います。
 3番目の横断的な取組みに関しては、歯の健康は様々な領域に深くかかわってくるものですので、いままで報告されているエビデンスをまとめて、特に関連性の深いと思われる項目にある程度絞らせていただいていますけれども、栄養、糖尿病、喫煙との関連性について、エビデンスを付けてお示しをしています。それらの事柄を図表にまとめたものが図の4です。
 以上、資料を用いて厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会での議論と、そして次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会の議論の概要について、ご説明をいたしました。短い時間の駆け足の説明ですけれども、何かご質問等ございますでしょうか。特にないでしょうか。そうしましたら、また後で議論を進めていく上で何かございましたら、遠慮なく挙手等をお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題、議題1、基本的事項の方針、目標、計画について、これより時間の許す限り皆様方からご意見をいただきたいと思います。それではまず、事務局よりご説明をお願いいたします。
○歯科口腔保健推進室長 資料2を御覧ください。委員の皆様方からご提案いただきましたご意見を踏まえて、事務局で1つにまとめさせていただきました。まず、1頁から5頁までの説明をさせていただきます。
 1頁です。各委員の先生からご提案いただきました「10年後を見据えた目指す姿について」では、超高齢社会に向けたものとして、環境整備、地域連携体制、個人の健康づくりの3つの視点から委員の先生方の意見を分類させていただきました。
 3頁を御覧ください。これも委員の先生方からご提案いただきました「目的」についてです。これにつきましては、疾病の予防、口腔機能、環境整備の3つの観点から分類させていただいたものです。
 4頁です。同様に、「基本的な方向性について」、疾病予防、口腔機能、人材育成、環境整備の4つの観点からご意見を分類させていただきました。資料については以上でございます。
○三浦座長 非常に短い時間で資料を作っていただきまして、まずお礼申し上げます。これらの委員提出資料につきまして皆様方からのご意見をいただきたいと思います。佐藤委員、神原委員から委員提出資料をいただいていますが、特に説明の時間は設けておりませんので、必要に応じて挙手にてご発言をお願いしておきたいと思います。よろしくご協力のほどをお願い申し上げます。
○神原委員 では、先にしゃべらせていただきます。提出資料の「歯科口腔保健法を意味あるものにするために」という4枚綴りの資料は、いまの次期健康づくりの考え方をもう1歩進めて、前回の委員会で発言させてもらいましたが、口腔保健法をより意味あるものにするために、もう少し進んで目標作りをしたほうがいいのではないかという視点で書かせていただきました。まず最初は、「むし歯0社会」であります。「むし歯低減」という言葉でなく、むし歯をゼロにする、我々はその方向を向いて動くのであることをどこかに入れる、もうそういう時代に来ているのではないかという感じを持っています。そのための具体的な中身についてそこに書いています。
 2番目が、先ほどの説明にもありましたけれども、超高齢化社会への対応で、三浦座長の説明とは少し違うのですが、むし歯0に対応して、喪失歯予防を前面に出すこと。それは、基本的にはいままで進めて来られた8020運動を中心に考えていく必要があります。むし歯0に対応するものとしては、歯周疾患0という考え方があります。それは、むし歯0に続いて行うこと、対応することになってくると考えています。その後、口腔cancer0とか、あるいは機能面に関する目標設定も必要かなとは思います。ただ、1頁に書いてあるとおり、まだ研究が必要な分野が多数あるであろうと思います。例えば、歯周疾患についての診査基準がう蝕ほど確立されていないことがあります。あるいは、老化、特に超高齢化社会を考えますと、老化現象に対して歯科ではどう考えていくのか。いままでは、年がいくと歯がなくなっていくという考え方であったと思いますが、それをもう少しエビデンスのあるものとして研究を行うことも必要なのであろうと思います。
 それから、前回の委員会で議論がありました、連携です。他分野との連携をどう取っていくか、これももう少し研究が必要な分野であろうと思っています。具体的には、そこに書いてあるように、例えば口の健康と誤嚥性肺炎の問題や、糖尿病との関係など、そういうことが機能を含めて必要であり,また、企業のプロデュースする製品についても、次のステージにおいて必要な製品開発も必要であろうと思います。
 4番目は、いま10年後を目指して口がどんどん健康になっていったときに、社会保険制度も視野に入れておく必要があるのではないかと提案させていただきました。これはどのようにやっていくかという問題はあろうかと思いますが、特区を作って、いわゆる健康な人、歯がたくさん残っている人が多く歯科診療所に来て、それを維持するような保険制度への転換を図っていくべきではないかというようなことを、この中に記載できたらと思います。
 もう1つは、国際化の問題です。日本独自のものではなく、アジアあるいは世界を見据えた口腔保健のあり方です。今年9月に国連でNCDについてのサミットがありましたが、先週もWHOでNCDに関する提言を取りまとめる会議がありました。それに歯科がどの程度まで宣言の中に取り入れられることができるかという視点も、日本が持っている、健診を中心としたいろいろな社会保健制度を踏まえて、もう少しそのことを世界に対して発信していけるのではないかと思います。
 6番目は、障害者とか入所者、入院されている人に対するものです。この辺は歯科の中で少し抜けているポイントであろうかと思いまして、別に項目を挙げさせていただきました。
 そのほかに、これは要望ですけれども、歯科医師の保健所長の実現や、歯科衛生士業務の拡大も、是非要望として、あるいは考えるポイントとして、この委員会等でできるのであれば議論していただきたいと思います。以上です。
○三浦座長 いまご発言いただいた内容は、非常に高所大所から今後の歯科口腔保健をどのように考えていくのか、示唆に富むご発言だと思います。おそらく、この文書の中で出されたいくつかのものに関しましては、今回各委員にまとめていただきました「10年後を見据えた目指す姿」の中にも取り込めるものが多数あろうかと考えています。何かこの件についてご発言等、ほかにございますでしょうか。議論の中で神原委員のご発言にかかわる事柄が出てくる可能性が高いと思いますので、そのときにまた議題に上げたいと思います。
 では、時間に限りがありますので、実際に内容を詰めていきたいと思います。いま事務局からご説明があった「10年後を見据えた目指す姿について」、それを受けた「目的」、それを受ける形の「基本的な方向性」、これは基本的な事項を定める上でのコンセプトになるものですので、是非、委員の先生方から忌憚のないご意見を多数伺いたいと思います。いかがでしょうか。まず最初に、「10年後を見据えた目指す姿について」の1、2頁に記載されている内容をご参考の上、特にこの部分は必要ではないかというお考え等あるかと思いますので、遠慮なくご意見をお出しください。
○佐藤委員 今後の進め方ということで、私の意見も別出しされていますので、これと併せて、今後の10年も含めた話になります。まず、今回さまざまな議論をなす中で、1つは次期の国民健康づくり運動との整合性を取っていくのだということは既にご説明のとおりです。一方で、この委員会では、この法における基本的記載事項について皆さんで議論していくのだということが、専門委員会の中で出された意見だと理解しています。その上で、敢えて私から資料を出させていただいたのは、3条から6条での責務の部分を明確にしておきたかったことが趣旨です。特に、広くこの法が地域で活かされる、活かしていくためには何が必要なのかという視点を常に持っていていただきたいことを、今後の議論の方向としてお願いしたいと思っています。まずは、既に県の条例等ができているわけですが、今後ここでなされていく議論が本当に県民のレベルもしくは地域住民のレベルで活かされていくことが趣旨だろうと思っています。これが1枚目に記載しているものです。
 2頁以降に私から出させていただいたキーワードは、今後、資料2も含めた中で嵌め込んでいける内容だと理解していますので、それは逆に言うと、合わせて出していただいても十分よかったのかなと思います。要は、法文上にキーワードを持っていくのか、ライフステージ上で持っていくのかの切り分けだと理解していますので、その進め方については三浦座長にお任せしながら、それぞれのテーマについて進めていただきたいと思います。議論を先にする前に資料の説明をすればよかったのですが、遅くなって失礼しました。
○三浦座長 資料に関して非常に具体的で示唆に富むご発言だったと思います。今回、討議している内容が、真に国民の皆さん方に役に立つプランにすべき1つの肝要な点としまして、いま行われているものと整合性を取ることです。ベクトルが違うようなものを一度に、例えば、次期国民健康づくり運動プランや、ほかにいくつか実施・検討されている施策もありますので、ベクトルは合わせて、円滑に地域で活動できるようなものにしていかなければいけないというご発言だったと思います。それから、キーワードをそれぞれの条文ごとに抜き取っていただくという、非常に困難な作業にも着手していただきました。第7条から始まって、今回の基本的事項で定めなければいけないところを含めて第11条まで、ほぼ全部網羅した形になっています。したがいまして、提示の仕方は違うのですが、後で皆様方にまたご議論していただくライフステージ別のアプローチについてと、ほとんど裏表の関係にある図と考えていただければいいのではないかと思います。
○森崎委員 ちょっと専門用語に詳しくないのでよく分からないのです。こういう会議は初めてなのでお聞きします。まず最初に、「10年後を見据えた目指す姿について」に「国民」という言葉が出てくるのですけれども、先ほどのところでは「地域住民」という言葉も出たのですが、この先のグローバル化を考えたときに、こういう健康増進などが対象としている「国民」というのはどこまでを含むのかが分かりにくいので教えていただきたいと思います。その地域に住んでいる方を対象にしているのか。短期在住の旅行者のような人もおられるし、長期在住の人もおられると思うのですが、その辺り、健康づくりの対象はどこなのかです。
○三浦座長 主語が誰であるのかは、こういった事柄を討議するときにいつも非常に重要になってくるところです。その辺りについて、事務局から何か補足の説明はありますでしょうか。
○歯科口腔保健推進室長 国民につきましては、前回のご議論も踏まえて、すべての国民、すべての対象者を含んだということでよろしいのかなと認識しています。
○森崎委員 日本に住んでおられるすべての方ということですね。
○三浦座長 ここで討議する内容は、いま事務局の補足説明にあったように、すべての国民ということでいいかと思います。ただ、後ほど後半で少し触れるかと思いますが、都道府県の責務としてどこまでやるかというと、今度は主語がまた変わってくると考えられます。いま大枠を討議するので全部の国民ということでよろしいかと思います。
○神原委員 最初にちょっと確認しておきたいのです。このワーキンググループの会議は3回ありますね。具体的に3回をどのように進めようとされているのか、それを先に教えていただきたいと思います。この書類に従って進めていかれるのか。どういう考えでどのように進めようとされているのでしょうか。最終的にどのような形を考えておられるのか、座長にお聞きしたいと思います。
○三浦座長 では、事務局から補足してください。
○歯科口腔保健推進室長 事務局から回答させていただきます。ワーキンググループは3回予定しておりますが、その1回目と2回目では各委員からご提案いただきました資料についてご議論いただきたいと考えています。そして、各委員の意見を基に、事務局からそれを取りまとめたものをご提案させていただきまして、それをまた委員の先生方にご議論いただきたいと考えています。以上です。
○三浦座長 いま事務局から補足説明がありましたとおり、一応、委員の先生方から忌憚のないご意見を1回目と2回目で出していただきまして、それを集約したものをお示しして、やはり過不足があろうかと思いますので、討議の上、修正という形ですね。状況に応じて、場合によっては1回追加しなくてはいけないことも出てくるかもしれませんが、一応規定ではワーキングは3回です。ワーキングを経て2回目の専門委員会を開催して、最終案の取りまとめというタイムスケジュールで考えています。非常に広大な議題を討議する割には、私たちに与えられた時間は非常に少ないためなかなか厳しいのですが、是非ご協力の上、ご意見を出していただきたいと思います。
○井下委員 都道府県の立場から申しますと、この基本事項ができた後、我々都道府県はたぶん6月、7月ぐらいから、この基本事項をベースとして各都道府県の歯科保健の計画を策定することになります。たぶん、都道府県の歯科保健計画は市町村の実施内容もある程度網羅した形でやっていくことになります。ですから、国が示す基本的事項の考え方として、国がやるもの、例えば、歯科疾患の実態調査は国がやります。都道府県がやるもの、つまり、計画策定、データベースの作成、人材確保など、そういうことは都道府県がやることになると思います。例えば、高齢者の口腔機能の向上、子どもたちのむし歯の予防など、そういうものは市町村がやることになりますので、その辺の役割分担を意識した上で、それぞれのテーマについて考えていくことを是非お願いしたいと思います。
○三浦座長 先ほどの森崎委員の発言と一部重なるところがあろうかと思いますが、まさしく、主語が誰であるかを意識しながら、大枠ではありますが、論議も進めていっていただきたいと思います。また、コンセプトの議論ですけれども、案作りにおいてはここで発言したことを取り込んでいく形になりますので、是非、この文書の中でご意見を寄せていただいているかと思いますけれども、特にプライオリティとしてはこれが高いのではないかとか、そのように思われていることがありましたらご発言ください。いかがでしょうか。
○大内委員 ある程度各論に入っていくと思いますが、まずは、前回いただいた「10年後を目指して」ということで、各委員から出ているものを見ますと、非常に重要なご指摘をいただいていますので少し整理したいと思います。現状を踏まえた10年後の目標なのか、目指すべき最終的な目標とするのかはご議論いただく部分だと思います。この部分は歯科口腔保健法の大臣指針が目指すオーバーオールゴール、最終的な目標の部分だと思います。次期国民健康づくり運動がどういう形になっているのか分かりませんが、例えば現在の健康日本21ですと、最終的な目標として健康寿命の延伸と若年死亡の減少という形で出しています。だから、基本的な方向へ落とす部分と全体の冠にする部分とで、少しご議論いただく必要があるのかなと思っています。特に私が問題意識として持っているのは、8020をどうするのかです。委員からの意見の中で「80〇〇」と当て字になっている表現もありましたが、前回のご議論を見ると、確かに喪失歯の防止中心でいいのか、もう少し口腔機能の育成、維持・向上とか、あるいは、全身の健康や生活の質の維持・向上への貢献をもう少し前面に出すべきではないかという議論もあり、ここで、20数年推進してきた8020の旗を降ろすのかどうか。これは三浦座長が非常に悩んでいらっしゃる部分でもあると思います。健康日本21では、80歳で20歯以上ある人の割合が、現在の目標となっているわけです。その辺も踏まえながら、オーバーオールゴールとしてまず何を掲げるのか、その上で基本的方向性を整理していただければ話が進むのではないかなと思います。是非、8020との関連で皆さんからご意見をいただきたいと思います。
○三浦座長 いま全体の冠として何を掲げるべきか、その例として8020の事案を出されたと解釈していますが、暫くの間変わらない目標、あるいは時限付きで解決しなければいけないもの、さまざまあろうかと思います。また、8020をどこまでやっていくのかについて各委員においてさまざまなお考えを持っていらっしゃると思いますが、その辺で何かご意見等ございましたら、ご発言いただきたいと思います。
○金澤委員 いままでの8020が、どうしても、高齢になったときにたどり着く状態とイメージされると思うのです。けれども、健康日本21の目標値に対してのコメントからもわかるように、歯周疾患に関してはもう少し若年期、壮年期からの対策が必要ではないかとか、口腔機能についても、高齢者の機能の低下を軽減しようという視点だけではなく、もっと幼児期、学齢期から口腔機能を育成していくという視点につながっていかないと結果を減らすだけのことが目標になってしまうのではないかと懸念されるのです。8020をもっとライフステージに位置づけて、例えば20歳からの8020、30歳からの8020とか、8020に向かってどういうことが必要かを考えながら、8020へのプロセスのようなことがイメージされると、各場面で事業が活性化しやすいのではないかと思います。特に前回も話が出ましたように、成人期の問題が弱点になっているということですけれども、健康増進法では、健康増進実施事業者の中に保険者も入っているのですが、保険者との連携が見えず施策の共有が進んでいないように思います。すべての場面で共有できる目標があると、事業展開の具体的なイメージになるのではないか、もう少しライフステージをイメージした8020を深めていったほうがいいのではないかという気がします。
○井上委員 いまの金澤先生の話に続くのですけれども、私ども小児歯科では、「8020は小児期から」というキャッチフレーズを作っていたりいたします。結局、永久歯が生え揃うのも親知らず以外ですと思春期ですので、その時期からの口腔保健が達成されないと、本当に8020までつながらないというイメージです。それと、むし歯はいま確実に減ってまいりました。ただし、むし歯がゼロの口の中でうまく噛めなかったらしょうがないという、要するに食生活がうまくいかなかったらしょうがないということもありまして、そういう意味で口腔機能の育成の部分のウェイトが高まっています。結局、機能を維持する前に育成しないと維持の効果が出ない。ただ、いま子どもを取り巻く環境の中で、食べる機能の問題などが結構出ていますので、そういう部分の対応を含めた歯科口腔保健が非常に重要だと考えています。歯や口の健康に基づいて歯科保健行動が獲得された結果としてむし歯等が予防されたという、そういう結果論としての予防にいくと望ましいかなと考えています。以上です。
○安井委員 平成元年に8020が始まったときは、何でも食べられるというスローガンとしての8020だったと思うのです。けれども、健康日本21では、例えば80歳で20本以上自分の歯を保っている人の割合ということで、今度はそこに評価の基準として使われているわけです。そうすると、それが評価基準なのか目的なのか、実はそこが混沌としてしまっているところがあると思います。やはり目的は、8020は何でも食べられるという、この「10年後を見据えた目指す姿」にも出ていますが、80歳で食べたいものが食べられるというのは、8020の最初のスローガンの大元だったと思うのです。それに対する手段がカリエスの抑制やペリオの抑制や喪失歯の抑制というものが出てきて、それから評価になっていくと思うのです。それが、評価であるのか目的であるのか手段であるのかが明確でなくなっています。ここをきちっと整理していかないといけないのではないでしょうか。8020はスローガンとして、国民に浸透した非常にいいスローガンだと思いますので、ここまでやってきたものを簡単に捨てるのではなくて、その位置づけをきちっとすることが大事なのではないかと思います。
○三浦座長 8020は評価なのか目的なのか手段なのかというご発言がありましたけれども、実は健康日本21では、いろいろな領域でいろいろな数値目標を掲げました。そのときの反省点の1つとしまして、いわゆる疾病のアウトカムとしての改善項目もあるし、行動変容のものもある。要するにちょっと違った次元のものを一緒の横並びにしてしまったという反省点があります。まさしく、8020においても同じようなことが言えるのではないか。目指すべき姿としての8020なのか、それを実現可能性が非常に高いものとして具体的な目標とすべきなのか、あるいはキャンペーンとして使うという手段で用いるものなのか、その辺はしっかりと分けて考えていく必要はあろうかと思います。ほかにご意見ございますでしょうか。
○神原委員 安井委員と同じ考えです。要は、8020のその意味はいま安井委員がおっしゃったような中身であろうと思うのです。結果として80歳で20本歯が残っていくということで、それに伴う、いろいろな個人あるいはコミュニティにおける施策がトータルでその方向へ向かっているということであります。ところが現実的には、8020を達成するのにどうしたらいいのかについて、また、なぜ歯が口の中に残っているのかについての見解がまだ出ていないわけです。具体的に何をしたらいいのか。その辺のところは、もう少し研究をする事項としても挙がってくるのかなと思います。8020の実態調査というか、いまの歯の残り方から推計される予測としては、20年か25年後には達成するであろうということが出てきています。そうすると、「10年後を見据えた目指す姿」という中で8020をどう捉えるか。キャンペーンというか、いまの日本社会の中に浸透しているこのことに幕を下ろすことには私は反対です。それはそれで掲げておいて、その中身を、評価がどうかなど、それはそれで考えていくことになるのかなと思います。8020は総合的に、結果として80歳になったときに20本歯が残っているということが、トータルで見たときには国民のコンセンサスが得られることになるのかなと思います。ところが、目指す姿はこうなのですけれども、その後の方策や計画など具体的なプラニング、施策にいったときに、それとどう絡めるのかという項目が非常に難しい。8020をダイレクトに考えて目標にしてしまうとそういう問題が出てくる。だから、言葉として、1つのキャンペーンとしての意味合いでいいのではないかと私は思います。
○井下委員 基本的には、プロフェッショナルがやるいわゆるプロフェッショナル・ケアと、公的な機関で支えるパブリック・ケアと、それから、個人で健康をつくっていくいわゆるセルフ・ケアと、この3つ、その全体を支える社会的な環境整備の中で、10年後にどうなるのかを考えていけたらいいのかなと思うことが1点です。もう1つ、この全体の中でふと気が付いたのですけれども、環境整備、地域連携体制の3つの黒ポツの中に、3行目ですが「全てのライフステージにおいて、療育・福祉施設や高齢者施設でも行われ」という言葉があります。これは佐藤委員の提案にもありますが、障害者、障害児に関してはかなりいろいろなパブリック・ケアというかシステムはあるのですが、いろいろな種類の障害に対して歯科的ケアの可能な社会的な環境整備も含めて今後重視していくこともあって欲しいなと思います。特に10年後を見せるのであれば、ライフステージごとにでも議論にはなると思いますし、それは具体的な議論をしたらいいと思うのですけれども、全体の中では障害者への歯科的支援の社会環境整備も1つ考え方として抜けてしまっているかなと思いますので、是非そこも重視していただきたいと思います。
○安井委員 もう1つ、いま井下委員が、プロフェッショナル・ケアとかホーム・ケア、ヘルス・アドミニストレーションいわゆるパブリック・ケアですね、そういう区分けをされましたが同時に、やはり啓発があります。この法律の第6条、第7条からいくと、教育と適切な管理を軸として、2軸がきちっと並行して出ていないといけないと思います。管理ばかりでも駄目だし、教育だけでも駄目だ。そこは教育と管理がうまく一致するような方向を考えてもらいたいと思います。
○森崎委員 8020に関して、目標といいますかキャンペーンとしては非常に魅力的な名前だと思いますので、それ自体は残すというか、意味があると思うのです。ただ、80歳で20本、あるいは、子どものむし歯がゼロ、もちろんそれは理想的であるかもしれませんし、1つの目安にはなると思うのですけれども、いろいろなライフステージ、あるいはいろいろな心身あるいは社会の環境の状況で、それが達成できない、それに至らない場合もあり得ると思うのです。ですから、それが達成できないときにも、ある種の敗北的な感覚を生じないようにすること、そういうことを排除するという基本的な考え方が必要ではないかなと思います。それと、先ほど座長がお示しになった資料1の3頁の図もそうなのですが、基本的には歯の健康があって、歯の喪失を防止して口腔機能低下の軽減という流れになっています。それをすべて、歯があるかないかで口腔の機能あるいは生活の質の向上というところに持っていくことが本当にいいのかどうか。ですから、せっかくなので、歯の健康よりも、歯科的な健康あるいは口腔の健康としておくほうが、より広い範囲を含めて、物事を後で考えやすくなるのではないかなという気がするのです。具体的には歯の健康でいいと思うのですけれども。そのように感じています。
○三浦座長 歯の健康ではなく口腔の健康にすべきではないかということですが、これは健康増進法でこのように書かれてしまっているので、「歯の健康」から動かしようがないということでご理解いただきたいと思います。他分野の委員の方々にもご説明しなくてはいけないので簡略的にまとめているのですけれども、歯の喪失、口腔機能の事柄に関して、う蝕・ペリオだけがダイレクトに絡むわけではなく、もちろん総合的に歯・口の健康がかかわってくることは自明ですので、これを分かりやすくシェーマにしているとご理解いただきたいと思います。
○佐藤委員 歯の健康という記載はそのとおりなのですが、このワーキングは歯科口腔の保健の推進に関する専門委員会ですから、私たちは、歯の健康は実質的な中身としては歯科口腔の健康に関する議論をしていくという共通意識でよろしいのではないかと思います。ただ、文言はそういう縛りがある関係で、こういう記載を認めましょうという、そういうスタンスでよろしいように思っています。また、皆様よくご存じのとおり、8020という言葉はスローガンそのものだったわけです。なぜ20何年も保ったかというと、やはりそこにはそれぞれのライフステージに合わせた活動をしてきた過去の実績と、それから、そこにいろいろな効果や機能やさまざまなものを盛り込んできた。評判が悪いからすぐ降ろそうという旗だったのですが、それを、あれを盛り込みこれを盛り込みとやってきて20何年ですから、降ろすとなるとまた相当の腕力が要るような気がしないでもないことがあると思います。スローガンでこれが動き始めて、その中でライフステージごとのいろいろな対策を取りながら、機能をここに盛り込みながらやってきたという、過去の事実は事実としてこれは評価されるべきだろうと思います。視点としてあるのは、10年後に何を盛り込むのか、それを用語としてスローガンを変えることなのか、スローガンにどういうものを盛り込むのかの議論がまず先にあるのかなと思います。
○三浦座長 8020に関してはかなり議論が集約できてきたのではないかと思います。いままで培ってきた資産を手放すのは非常に惜しいということと、キャンペーン、スローガンとしての役割はまだ終えていないのではないかということ。ただ、その限界もあるので、そこをよく分かった上でさらに具体的に、10年後の超高齢社会に対応できるものを新しい観点として盛り込みたいということかと思います。そのときに非常に重要な観点として、ライフステージを考えた上で幼少期からの口腔機能の育成も含めたところを是非盛り込んでいくこと。プラスアルファーとして、誰が主語なのかということで、まさしく、障害者を入れたすべての国民に対してこの活動はあるのだということを明言すること。このようなところが、いままでのご意見のまとめと思われます。そのほか追加でございますか。
○金澤委員 先ほどの、「10年後を見据えた目指す姿」で、高齢になっても食べたいものがおいしく食べられるということがあります。とても大切な姿ですが、もう1つの軸としては、先ほどもお話が出たように、病気があっても、障害があっても、要介護状態であっても、やはりこういう目標が共有できることを目指すことが必要ではないかと思うのです。それは歯の本数に限らない、ある先生は「口腔弱者」という言葉を使っているのですけれども、そういう方たちをどう支援するか。先ほどから「特別な配慮が必要な」とか、神原先生からは「特別の口腔保健の支援」と出ていますが、そういったことも10年後の目指す姿として必要ではないかと思うのです。
○三浦座長 そうですね。超高齢社会を迎えて、すべての国民が何らかの機能低下を抱える可能性が高くなることも踏まえ、また、「口腔弱者」という言葉がいまありましたが、そこに対しての配慮も公慮して、共通の冠になるようなものを1つ掲げて、その上で細かいところへ、それぞれのライフステージ、対象者別に持っていく形で考えていくという方向性でよろしいでしょうか。
                  (異議なし)
○三浦座長 まだまだ議論は尽きないと思いますが、このままのペースでいきますとこの2頁だけですべての時間が終わってしまいますので、次に進みたいと思います。
○神原委員 先ほどの、「10年後を見据えた目指す姿について」でも、ちょっと抜けていることだと思うのですが、今回の基本的方針は歯科医療の医療体制を含むのかどうか、それを明らかにしておいて欲しいと思うのです。基本的に、例えばむし歯がゼロになったことが起こったときに、それはコミュニティ・デンテストリーだけで対応するのではなく、歯科医療としての体制というものを少し考えて視野に入れておく必要があります。やはり、そういうことを踏まえて対応しておかないと、コミュニティで進んで行って、口の中が健康状態の人がどんどん増えていったら、歯科医師として何をするのかという話が出てきます。あるいは、衛生士さんとしてどんな業務が出てくるのかについて、この委員会としてどう考えるのかをちょっとはっきりさせておいたほうがいいのではないかと思うわけです。でないと片手落ちではないかという感じがするのです。
○三浦座長 まさしく、分析、エビデンスに基づいて10年後の状態をしっかりと見据えることが非常に重要なことだと思います。それで事前にご意見もいただいたところではあるのです。いま、一応カテゴリー分けはしているのですが、各委員からそれぞれのご意見がバラバラに書かれていて分かりづらいところもあろうかと思います。今日、このペーパー以外のもっと踏み込んだご意見が出てきました。その部分をまた事務局で取りまとめて、具体的な文言として提示したいと考えています。ただ幸いなことに、いま数名の委員の方からご発言いただきましたが、ご発言の内容はそれほど変わりがなかったように思います。また後で時間があれば戻ってきたいと思いますが、これは座長の側の都合ですが、タイムスケジュール的に次に進まなければいけないので、まだご意見があろうかと思いますが、「10年後を見据えた目指す姿について」の議論は一応ここで締めさせていただきます。
 3頁に移っていただきます。神原委員がおっしゃるとおり、本来ですと目指す姿についてかっちりと固まってから、目的、基本的な方向性に持ってきたいのですが、諸般の事情で時間的な制約もあり、目的に議題を移したいと思います。目的に関しましては3つのカテゴリーに分けています。この区分けがいいかどうかというのはあろうかと思いますが、疾病予防、口腔機能、環境整備として括らせていただきました。相対的に、口腔機能に関してのご意見をいただいた方が多かった状況です。
 このご意見以外に、目的について特にこれが重要であるということがありましたら、ご発言いただきたいと思います。それから、特に優先順位が高いと考えられるものにつきましても是非ご発言いただきたいと思います。
○神原委員 先ほどの、「10年後を見据えた目指す姿について」でも、ちょっと抜けていることだと思うのですが、今回の基本的方針は歯科医療の医療体制を含むのかどうか、それを明らかにしておいて欲しいと思うのです。基本的に、例えばむし歯がゼロになったことが起こったときに、それはコミュニティ・デンテストリーだけで対応するのが、歯科医療としての体制というものを少し考えて視野に入れておくのか。やはり、そういうことを踏まえて対応しておかないと、コミュニティで進んで行って、口の中が健康状態の人がどんどん増えていったら、歯科医師として何をするのかという話が出てこないか。あるいは、衛生士さんとしてどんな業務が出てくるのかについて、この委員会としてどう考えるのかをちょっとはっきりさせておいたほうがいいのではないかと思うわけです。でないと片手落ちではないかという感じがするのです。
○三浦座長 非常に重要なご指摘だと思います。医療とのかかわりについて、もともとの法律の枠の中でこのワーキンググループが設定されているので、法律上の制約があろうかと思います。その辺りを事務局から補足説明をお願いできますか。
○歯科口腔保健推進室長 歯科医療につきましては含む所もあるでしょうし、含まない所もあるというのが私の認識です。特に障害者や要介護高齢者を見ますと、法律の条文では歯科保健だけではなく、歯科医療も含むという記載がされております。その他の所では、特に「医療」という文言を明確には取り上げておりませんが、そこで医療まで含むか含まないかということに関しては、また先生方のご議論で決めていただくことかなと考えているところです。
○三浦座長 そのような現状ですので、いまの補足説明も含めてご議論いただければと思います。目的について、いかがでしょうか。
○安井委員 目的と手段は、よく間違ってつくられるところがあります。疾病予防に関しては、それによって口腔機能が維持できるための疾病予防が目的なのか、手段として次の「基本的な方向性について」に入れるべきものなのか。ここで挙げている目的というのは何を目的としているのか、方向性だけは示してもらいたいと思うのです。疾病そのものをコントロールするということは、何か別に目的があって、その手段ととれるわけです。ヘルスプロモーションの理念は絶対にそうだと思うのです。やはり自己実現という目標があって、そこに対してコミュニティーであれ個人であれ、いろいろな手段がつくられていく。そのような健康づくりの概念から考えると目的と手段の明確化が必要と思います。ここに書いてあることが、こういう方向性でいいというのであれば、この方向で考えたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○三浦座長 いまの安井委員のご発言を受けて、何かご意見はありませんか。いまご発言のあったところというのは、まさしく非常に重要で、何をもってアウトカムとするかというところです。先ほどご説明した次期国民健康づくり運動プランにおける最終的な目標というのは、歯の健康を上げることによって健康寿命の延伸、生活の質の向上に寄与するというところで、それに至るまでの階層立てをしたということです。したがって、これに似たような考え方をするのであれば、本来、段階的な階層分けをしなくてはいけないところもあろうかとは思います。ほかにご意見はいかがでしょうか。具体的なアウトカムのところでの結び付きを考えて、整理整頓したらいいのではないかという安井委員のご発言だったのですけれども、それ以外にこういったところを注意したほうがいいのではないかとか、留意して目的設定を行ったほうがいいのではないかというところはありますか。
○安井委員 三浦委員の次期プランの策定のほうですが、基本的には健康寿命の延伸、生活の質の向上にファイナルアウトカムがあると思うのです。そして、その手段として社会生活、身体機能低下の軽減があり、それ以下が述べられてきていると思うのです。このまま行きますとその部分と目的、ファイナルアウトカムが一致しなくなる可能性があります。そこはやはり整合性を取ったほうがよろしいのではないかというのが私の意見です。
○三浦座長 次期国民健康づくりのほうは、あくまでも地域の健康づくりに視点を置いています。先ほど医療も含めての事柄も考える可能性があるというご発言があったので、今回の専門委員会はもうちょっと枠が広がるのですけれども、最初に私が申し上げたように、ベクトルがあまりに違うとそこは大変問題なので、完璧に一致するまではいかなくても、向かっている方向性は一緒にしておいたほうがいいのかなと考えます。あと何かありますか。
○神原委員 この法律自体の第1条が、歯科疾患の予防等における口腔の健康の保持・増進が目的になっているわけです。今回やろうとしているのは、基本的事項を作ろうとしているわけですよね。私はその目的と一緒でもいいと思うのです。ただ、項目としてはそれを達成するために、どういうことがあるかということです。例えば、この間の委員会に出ていたような連携とか国際化とかですね。「連携」というような言葉をその中へ入れていくことが必要ではないか。ですから目的にこの法律の第1条に書いてあることと同じことを挙げる必要はないと思います。そのために具体的に、もう少し詳細な所に下りてきているわけですから、そこに連携、国際化、あるいはライフステージということが入ってくるのかなと思います。
○三浦座長 いま神原委員から、キーワードが3つ出ました。「連携」というのは一部入っておりますけれども、もっと連携を強調すべきではないか、そして文言としてこのペーパーの中から抜けている「国際化」という事柄についても、しっかりと謳うべきではないか、先ほど来討議している「ライフステージ」という文言を、やはり反映させて入れ込むべきではないかというところです。
○井上委員 疾病予防がかなり前面には出ていますけれども、疾病予防が目的になるというよりは、疾病予防に役立つためのというか、貢献するための歯科保健行動の獲得という表現のほうが、私は適切ではないかと思うのです。歯科保健行動の獲得によって疾病予防がなされるというような、それが国民の健康に寄与する、全身、口腔というところに行けばと考えます。
○三浦座長 まだまだ議論はあろうかと思いますが、時間に限りがあります。大枠のところは皆様方から、本日のうちに全部ご意見を伺いたいと考えておりますので、3番目の「基本的な方向性について」ということで、引き続きご意見をいただきたいと思います。より細かい内容になってきますので、各委員の皆様方から挙げられた内容についても、非常に多岐にわたる内容です。こちらも一応事務局のほうで4つのカテゴリーに分けてもらっていますが、相対的に環境整備にかかわるものが多く出されていたという現状です。ここに関しても各先生方から寄せられたものを取りまとめてお示ししただけなので、プライオリティーづけとか、抜けてしまっているキーワードなどもあろうかと思います。是非ご指摘いただきたいと思います。
○井下委員 3つ目の○で「人材育成」というのがあります。これはかなり優先度の高いものだと考えています。例えば、いままでの県行政での歯科保健というのは、母子なら母子、学校なら学校、高齢なら高齢というように縦割りに行われていたのですが、それを今度は総合的にして、生涯にわたった歯科保健をやっていこうとすると、例えば行政の部局の中で、歯科専門職が健康づくりに所属していたとしても、学校との調整もしなければいけない、母子との調整もしなければいけない、高齢との調整もしなければいけないということで、いわゆる総合的なコーディネーターの能力が求められるようになってきます。そうなってくると、そこにはかなり資質の高いコーディネーターが必要になってきます。こういうことから考えると、ここの人材の確保、資質の向上というのは離せないというように考えます。
○三浦座長 第1回の専門委員会でも林先生から、やはり人材育成の必要性というご発言のあったところです。まさしく歯科口腔保健の体制づくりというのは人がやるものですので、人材の資質の向上というのは、やはり基盤となるものではないかと考えます。ほかに特にこの分野が重要とか、こういったまとめ方、取組み方があるのではないかとか、ご意見がありましたら遠慮なくご発言していただければと思います。
○神原委員 いちばん大事なのは、データベース作りだと思います。データベースをしっかり全体で持っていることが大事で、それが全く出ていおりません。データベースに基づいていろいろな計画などが立てられるわけですから、データベースをどう作るかということも、是非この中に入れておく必要があるのではないか。これは全く国の責任であろうと思います。
○三浦座長 実際に目標値等を立てて、後で評価するというところで、やはりデータベースに基づくアプローチというのは必須の項目になってきますので、何らかの形でのデータベース作りは必要かと考えますので、キーワードの1つとして、データベースを追加するということでいかがでしょうか。
○神原委員 それと研究。
○三浦座長 データベースの前提になるのは、当然研究。
○神原委員 いや、データベースとは全く別です。いわゆる口腔保健を確立するために、まだまだ足りていない研究を、厚生労働省が主導で国の責任として進めていくことが必要ではないかと思います。
○三浦座長 基本的事項を定める上でのベースになる条文でも、研究というものが出てきています。
○佐藤委員 調査・研究の重要性は当然だと思います。12歳児の件は先ほど出ましたけれども、いまの2歳児が12歳児になった10年後の辺りに、こういう数字を使えると予測が可能になるだろうと思います。しかし12歳児が22歳になる10年後を示すというのは、どういうことを示すのかとなってくると、その辺りの数値というのは、たぶん出てこないのだろうという気がします。さらに言えば、6年に一度でいいのかというところもあります。「歯科疾患実態調査」がナショナルデータであるのであれば、やはりこれが今後、基本的な構成として5年に一度図っていくのか、10年に一度図っていくのかという見直しの時期のことも、もし基本的な中身として考えるのであれば、当然調査の時期というものが併せて出てくる課題ではないかと思います。
○三浦座長 非常に重要なご指摘だと思います。実は、我が国には「歯科疾患実態調査」という素晴らしい調査があるのですけれども、いかんせん6年に一遍です。今ちょうど準備をしている次期国民健康づくりでも、実調のデータが使えないというところが非常に歯がゆいところです。いま佐藤委員からご指摘があったとおり、これがうまく有機的に活用できたら、さらに地域住民の皆様方にとって、実りのある歯科保健活動ができるのではないかとも思うところです。身近なところでそういった取組みというのは、非常に重要ではないかと思います。
○大内委員 たぶん最終形のイメージが共有できていないので、各委員のご発言がいろいろなレベルに分散してしまっていて、取りまとめがつかないなと思って聞いていました。今回はとりあえず皆さんが本当に重要だと思われるような内容を、もう既に出していただいていますし、それにまた補足していっていただく。その上で、基本的方向というのは、その後に出てくる各検診や普及啓発、あるいはライフステージ毎の対策について、共通的な部分として取り出されてくると思います。そうした都道府県・市町村、あるいは健康増進事業実施者、歯科医療業務従事者に関して、共通してあてはまる部分を基本的な方向として掲げるということで、最後は事務局のほうに整理していただくという形でよろしいのではないかと思います。
 私から1点、個別事項として今回述べておきたいのは、先ほどから12歳児のDMFTが非常に減少傾向にあるということになっていますが、その後、軽症化はしているものの、12歳以降のう蝕経験歯数というのは、なかなか伸びが落ちてきておりません。ですから12歳児以降のう蝕予防をどうするか、あるいは成人期以降の歯周疾患対策へどうつなげていくかという部分を、きちんと大きな課題として捉えていくのは、非常に重要なことだと思っております。
○三浦座長 中間まとめもしていただき、座長の任を非常に軽くしていただいたご発言で助かりました。いま大内委員からご指摘がありましたように、学校保健統計の中で、12歳のDMFTだけは付いているのですが、ほかのエイジが出ないというのが非常に悩ましいところです。「歯科疾患実態調査」の場合、客体数の問題がありますし、6年に1回しかやらないので、実際に使える12歳以降のところですぐにデータソースがないというのが、いま非常に苦しいところです。そこの部分はデータベース作りにもかかわってくるところかと思いますけれども、データの収集をすべき体制を整えるということが、今後の歯科保健の向上のために重要ではないかと思います。
 あと、前半部でご発言いただいたように、非常に多様なご意見をいただいております。いただいたご意見は事務局でまとめて、もうちょっと集約した形でお示ししたほうがより建設的で、しかも戦略的なご意見が出るのではないかと考えますので、ここで1回、ここの部分の議論に関しては、事務局預りにさせていただくということでよろしいでしょうか。
○金澤委員 12歳児以降のう蝕予防、成人期以降の歯周病予防ということが出てきたのですが、実際に高齢者の歯の保有数が増えていくことにともなって、確実に歯周ポケットを有する人の割合が高くなっているという状況もあります。やはり成人、高齢者の歯周病予防と関連して、口腔環境を良好な状態で維持するというような視点も加えていかなければいけないのではないかと思います。
○三浦座長 すべての国民を対象にするというところですし、高齢者に対してのアプローチで、健康な高齢者も非常に増えていらっしゃるということもありますし、口腔内清掃がうまくいっていない高齢者も多数いらっしゃるということで、ペリオの問題は非常に重要な問題かと考えます。大体ご意見はいただけたのではないかと思いますので、ここで一旦、目指す姿、目的、基本的な方向性についてという3つの議論を終えます。内容については事務局と相談の上、取りまとめたいと思います。よろしくお願いいたします。
 あとは残った時間を有効活用して、次にライフステージ別の重点事項を考えていきたいと思います。12月8日に開催された第1回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において、事務局側がご提案した骨子案は、条文ごとに作成されておりましたけれども、前回いただいた議論と法律の基本理念において、年代別に適切なアプローチをするという文言が書かれていることを踏まえ、ライフステージごとに各委員の皆様方からご意見を募る形といたしました。資料もあります。詳細は事務局より説明します。
○歯科口腔保健推進室長 資料2の6頁をご覧ください。こちらも先生方にご提案いただいたご意見を基に、事務局でまとめた資料です。上のインデックスを見ていただきますと、「LS等」と書かれております。こちらは「ライフステージ等」ということで記載しております。各委員からのご提案については方針、目標、計画、目標を作るに至ったエビデンスと参考という形でまとめております。
 6頁が「ライフステージ等」ということで、委員の先生方からいただいた意見を基に乳児期、8頁が幼児・学齢期、9頁が幼児期、10頁が学齢期(小中高の児童・生徒)、10頁の下の段が学童期となっております。11頁下段から12頁も学齢期ですが、先ほどの学童期とは異なり、高校生ということで「学齢期」という文言を付けております。13頁が成人期、17頁からは高齢期という形になっております。あと、ライフステージとは変わってきますが、19頁からはその対象を限定して要介護者、21頁が法律の条文にもありますように障害者、24頁が妊産婦というカテゴリーに分けております。最後に26頁からが体制・環境づくりというライフステージ、あるいは対象者、体制・環境づくりという分け方で分けております。まずライフステージについては、各委員の先生方からいろいろな分け方のご提案をいただきましたので、できればライフステージの分け方について、各委員からのご発言をいただけたらと考えております。
○三浦座長 では、お手元の資料をご参照下さい。ライフステージを踏まえたアプローチというのは、いままでの議論の中でも歯科口腔保健においては非常に重要であるというのは、異論のないところかと思うのですが、では具体的にどのようにステージ分けをしたらいいか。これは各委員から出された意見を並列に置いているだけの資料ですので、全体を俯瞰してステージの分け方について、こういう区分けがいいのではないかというご意見をいただきたいと思います。特に子どもの部分は分け方が非常にいろいろありますので、ここのステージの区分はやはり方向性として決めておかないと大変まずいのです。是非ご意見をいただきたいと思います。
○安井委員 「学童期」という言葉があるのですけれども、「学齢児童」の略称で「学童」と呼びます。したがって「学童期」と言いますと、対象は小学生ということになります。そういう調子でいくと、学齢期というのは幼稚園から一応高等学校まで含まれますので、そういう分けのほうがよろしいかと思います。
○三浦座長 そうですね。学齢期となると、非常に幅が広く捉えられるので、ある程度包括的に施策の方向性を考えるときには、非常にいい区分ではないかと思われます。いまのご提案は、小児の部分を学齢期という括りを用いて、学童・生徒と定義が違うものを一括して考えたらどうだろうかというご発言でしたと考えます。
○井上委員 確かに区分けとしてはそちらでよろしいと思うのです。ただ、内容が幅広くなり過ぎます。例えば幼稚園ぐらいから高校生ぐらいまでというと、幼児からのいわゆる学童期と、思春期ぐらいのお子さんまでが入ってしまうので、結構目標的なものが変わってくる可能性もあります。私どもは「学齢期」という表現をよく使うのですけれども、そうするとその学齢期の中で、多少小学生向きのものと、中高生向きのものというのが分かれてくるのではないかと思いますので、ご参考までに申し上げました。
○三浦座長 学齢期だとちょっと広すぎるということですね。学齢期で括るのだったら、そこでサブタイトルで、さらに対象を絞り込んだほうがいいのではないかということかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
○森崎委員 学童期、学齢期もそうですけれども、社会としてより育てていく、保護すべき対象という年齢としての歯科口腔保健という捉え方は、どこかでしておく必要があるのではないでしょうか。ここでは超高齢社会で、高齢者の増加ということが非常に大きな問題になっていますけれども、一方ではやはり少子化ということがあります。それは国の存亡続にかかわる大きな問題です。
 少なくなるにしても、いかにその子どもたちを健康に育て、社会で守っていくかという視点からいきますと、もし、う蝕が12歳で1歯以下となったとしても、それは平均であって、実際には非常に二極化現象が生じている。保健の面で二極化していっているところで社会のセーフティーネットとしては、全体の平均のレベルが上がるということも重要ですが、一方では非常に不幸な、劣悪な環境の子どもたちをいかに公的にサポートするか、支援するかという視点が非常に大事だと思うのです。
 そういう意味では子どもだけではなくて、もちろん親も含めた生活環境のサポートが必要だと思います。赤ちゃんからもう少し大きくなる、要するに自立するまでの間に、歯科口腔保健としてかかわれるサポートという視点で、う蝕があるないということだけではなくて、生活の質を担保するような形での口腔歯科保健の視点というものを、共通のものとしてどこかに入れておく必要があるかと思います。
○三浦座長 ライフステージの区分けについて、ほかにご意見はありますか。学齢期の手前の部分はどうしましょうか。
○大内委員 確かに対象や年代によって、かなり特徴的な状態というのはあると思うのです。また、これはある意味、役所にいた人間の性なのかもしれませんけれども、結局、母子保健法、学校保健安全法、それ以降という形で法体系が分かれていますので、あまり細かく区分してしまうよりは、大きく乳幼児、学齢期というような括りにする。もし、その中で特徴的な目標や政策レベルのものがあれば、その中で表現していけば十分だと思います。あまり細かく切ってしまうと逆に、そこで実務にかかわられる方たちも一応法律の枠組みの中で動いていますので、大きく乳幼児期、学齢期、成人と。ご意見をいただきたいのは、成人・高齢期を分けるのか一緒にするのかというところです。基本的にいまの枠組みとしては、法律上は労働安全と後期高齢者、40歳以降という形で少しかぶって、そこに介護が絡んできて非常に複雑なことになっていますので、そこは工夫が要るのかなと思っています。
○三浦座長 実際にどの場でサービスを提供するのかといったことを踏まえると、すでに走っている法律との整合性というのは、実際に避けて通れないところかと思います。学齢期の括りで、その手前の部分は乳幼児期でいいのではないかというご提案があったかと思います。そして次のところにつなげていただくような議題の案として、成人・高齢期をどうするかというご意見をいただきました。子どもの部分は、とりあえず乳幼児と学齢期に分けて置くというところでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○三浦座長 ありがとうございます。そして、また細かく見ていったときに、これだと都合が悪いという場合は、そこで考えるということで対応していきたいと思います。
 引き続き、いま大内委員からご発言のあった成人期と高齢期の問題についてです。高齢者の場合は健康な高齢者と要介護高齢者とでは、また大きくアプローチが違ってくるという非常に複雑なところがあります。ここら辺の区分についてご意見をいただきたいと思います。一応たたき台を作るために事務局からご案内したものに関しては、高齢者に関しては高齢期と要介護者ということで分けて、ご意見を募っているわけです。ここら辺の分け方についても是非、皆様方のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○井下委員 とりあえず分けずに議論をした後で、座りのいい方向に事務局のほうで分けて、やはりゴチャゴチャにしたほうがよければ高齢期も括ってしまったらいいし、座りが悪ければ成人とで分ければいい。労働安全のほうも、こちらで独立させたほうがよければ、労働安全で区分けをしたらいいと思います。ですから、とりあえずは議論をした上でのほうがいいのかなと思います。目的・目標を決めて議論した上で、座りがいい分け方を事務局にお任せするということでいかがでしょうか。
○三浦座長 実際に具体的なところが提示されないと、次のところでしっくりとした区分けがなかなかできない可能性が高いので、案の取りまとめは事務局でやって、後で適宜修正をかけていったらいいのではないかというご発言がありました。そのような形でよろしいでしょうか。とりあえず仮置きで置いておいて、後で適宜修正をかけるというのは、先ほどの学齢期の事柄とちょっと似ているところもあろうかと思いますけれども、そのような方向性でよろしいでしょうか。それともある程度、ライフステージのところだけは枠を決めておいたほうがいいということでしょうか。ご意見をいただければと思います。特にないですか。
                 (意見なし)
○三浦座長 では、いただいたご意見を基に、事務局で案を作らせていただいて、適宜修正をかけていき、細かいところはまたそのときにご相談するという形で考えていきたいと思います。ステージ分けについては以上です。
 細かい内容についても、本来ですとここで十分に議論していただきたいところですが、時間があと10分弱しかありません。詳細についてここで踏み込んでご発言いただいても、尻切れトンボになろうかと思います。そこに関しては次回、第2回のワーキンググループで、事務局提示案も含めてご議論していただきたいと思います。
 一部のご発言の中で、こういうようにしていったらいいのではないかという示唆をいただきましたけれども、全体を通して次回の2回目の議論に向けて、その他のご意見として何かありますか。こういった所を是非考慮してほしいとか、こういったものに関して議題とすべきであるとか、そのようなことがありましたら、ご意見をいただきたいと思います。
○森崎委員 資料作りは大変だと思うのですけれども、私どもも月曜日にメールをいただいて、金曜日には提出ということだったので、エビデンスなり参考資料をどの程度真面目にできるかと悩んだのです。これは何らかの基準があって、後ほどこのようなものを出してほしいということがあるのでしょうか。
○三浦座長 事務局のほうはいかがでしょうか。
○歯科口腔保健推進室長 残った項目によってはあり得るかもしれませんし、現段階でも、こういうエビデンスがあるというものがあれば教えていただければ、次回の資料に掲載したいと考えております。エビデンスとか参考になる資料とか、いろいろあろうかと思いますので、前回の金曜日までに書き切れなかったものがありましたら、事務局のほうに適宜教えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○三浦座長 非常に年末のお忙しいときに、短時間で資料を作成いただいたので申し訳ないのですけれども、適宜追加等をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ほかに何かありますか。
○安井委員 学齢期に関しては文部科学省から、「生きる力をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」ということで、学校種別に目標も全部出ています。同じ国から出ていく中で整合性が取れないということになりますと、問題も出てくるかと思いますので、学齢期については文部科学省の参考資料も是非見ていただいて、それと合わせるような形を取っていただければと思います。
三浦座長 情報提供、ありがとうございます。資料に関しては取り揃えて、参考資料として次回に用意したいと思いますので、よろしくお願いします。
○堀井委員 私も健康教育をしており、厚生労働省の「健康日本21」及び「千葉県健康千葉21」より作成した「各ライフステージの特徴と健康課題」というのを参考に、健康教育をしているわけです。一人ひとり健康教育をしている中で、被保険者に言うべきこと、被保険者が家族に言うべきこと、高齢者に言ってあげることを区別しながら、健康問題にはこういうものがありますよということ、家族の健康についてはこの表を見て、どこに該当するかを見て家族で気を付けてねと言っています。そういうステージの表を使っております。この表も参考にしていただき、整合性をとれる様な形をとっていただければと思います。よろしくお願いします。
○井上委員 食育のほうでも「食育白書」の23年版が出ています。その中で「噛むことと、味わって食べること」など、食べ方への関心度と、いろいろな関連のものなども出ていますので、そういうものとの整合性もやはり図っていくべきかと思います。
○三浦座長 整合性を図っていくべき案件が、いくつかご提示がありましたので、各委員におかれましては、適宜資料を提出するところでご協力いただくことがあるかと思います。よろしくお願いいたします。
 そろそろ時間もまいりました。この辺りで本日の議論を終了したいと思います。続いての議論、実は後半の部分はまだ踏み込んだ議論ができておりませんので、次回に続きをやりたいと思います。本日議論させていただいた目指すべき姿、目的、基本的方針等々に関しては、事務局で資料等を取りまとめて、次回のワーキンググループで何らかの形でお示しできるのではないかと思います。第2回、第3回のワーキンググループにおいて、今回やった議論を踏まえて、内容をどんどん詰めていきたいと思います。またお願いすることもあろうかと思いますが、なるべく時間的余裕を持ってお願いするようにしたいと思います。よろしくご協力のほど、お願いいたします。最後に事務局から何かありますか。
○歯科口腔保健推進室長 次回の専門委員会は、来年1月16日の火曜日、10時から予定しております。是非よろしくお願いいたします。場所については、追って後日連絡したいと考えております。
○三浦座長 では、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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