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2012年2月15日 第1回医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会
医政局総務課医療安全推進室
○日時
平成24年2月15日(水)
○場所
省議室
○出席者
会議メンバー(五十音順)
鮎澤純子 (九州大学大学院医学研究院准教授) |
有賀徹 (昭和大学病院病院長) |
飯田修平 (練馬総合病院病院長) |
岩井宜子 (専修大学法科大学院教授) |
加藤良夫 (栄法律事務所弁護士) |
高杉敬久 (日本医師会常任理事) |
豊田郁子 (新葛飾病院セーフティーマネージャー) |
中澤堅次 (秋田労災病院第二内科部長) |
樋口範雄 (東京大学大学院法学政治学研究科教授) |
本田麻由美 (読売新聞社会保障部記者) |
松月みどり (日本看護協会常任理事) |
宮澤潤 (宮澤潤法律事務所弁護士) |
山口育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長) |
山口徹 (虎の門病院病院長) |
山本和彦 (一橋大学大学院法学研究科教授) |
参考人
原義人 (一般社団法人日本医療安全調査機構) |
オブザーバー
警察庁 |
法務省 |
文部科学省 |
消費者庁 |
一般社団法人日本医療安全調査機構 |
厚生労働省
藤田一枝 (厚生労働大臣政務官) |
大谷泰夫 (医政局長) |
池永敏康 (医政局総務課長) |
木村博承 (大臣官房総務課参事官(医療安全担当)) |
宮本哲也 (医政局総務課医療安全推進室長) |
田原克志 (医政局医事課長) |
○議題
(1)「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」開催の趣旨等について
(2)医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案等について
(3)ヒアリング
診療行為に関連した死亡の調査分析事業について
(4)今後の検討方針について
(5)その他
○配布資料
資料1 | 「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」開催要綱 |
資料2 | 医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案 |
資料3 | 医療に係る情報の提供、相談支援及び紛争の適正な解決の促進並びに医療事故等の再発防止のための医療法等の一部を改正する法律(仮称)案骨子試案(平成20年 民主党公表資料) |
資料4 | 「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案-第三次試案-」及び「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に寄せられた主な御意見 |
資料5 | 診療行為に関連した死亡の調査分析事業について(日本医療安全調査機構提出資料) |
資料6 | 今後の検討方針について(案) |
参考資料1 | 消費者基本計画(平成23年7月8日一部改定閣議決定)(抜粋) |
参考資料2 | 医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する第三次試案(概要) |
参考資料3 | 「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案-第三次試案-」及び「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」 |
に寄せられた主な御意見と現時点における厚生労働省の考え | |
参考資料4 | 医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会 |
参考資料5 | 医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会で今後検討が必要な論点 |
○議事
○宮本医療安全推進室長
それでは、構成員の皆様、おそろいでございますので、ただいまから第1回「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」を開催いたします。
本日は、御多用の中、当検討部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、私から当検討部会の構成員の皆様を御紹介いたします。一言ずつごあいさつをちょうだいいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
昭和大学病院、有賀徹病院長でございます。
○有賀構成員
有賀です。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
九州大学大学院医療経営・管理学講座、鮎澤純子准教授でございます。
○鮎澤構成員
鮎澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
専修大学法科大学院、岩井宜子教授でございます。
○岩井構成員
岩井でございます。刑法・刑事政策を研究しております。よろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
栄法律事務所、加藤良夫弁護士でございます。
○加藤構成員
加藤良夫です。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
順序不同で失礼いたしました。
練馬総合病院、飯田修平病院長でございます。
○飯田構成員
飯田です。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
日本医師会、高杉敬久常任理事でございます。
○高杉構成員
高杉です。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
新葛飾病院、豊田郁子セーフティマネージャーでございます。
○豊田構成員
豊田です。よろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
秋田労災病院、中澤堅次第二内科部長でございます。
○中澤構成員
秋田労災病院の中澤です。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
東京大学大学院法学政治学研究科、樋口範雄教授でございます。
○樋口構成員
樋口と申します。よろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
読売新聞東京本社編集局社会保障部、本田麻由美記者でございます。
○本田構成員
本田と申します。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
日本看護協会、松月みどり常任理事でございます。
○松月構成員
松月でございます。よろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
宮澤潤法律事務所、宮澤潤弁護士でございます。
○宮澤構成員
宮澤でございます。よろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML、山口育子理事長でございます。
○山口(育)構成員
山口でございます。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
国家公務員共済組合連合会虎の門病院、山口徹病院長でございます。
○山口(徹)構成員
山口でございます。よろしくお願いします。
○宮本医療安全推進室長
一橋大学大学院法学研究科、山本和彦教授でございます。
○山本構成員
山本でございます。よろしくお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
また、本日は御欠席との連絡を受けておりますけれども、東北大学病院、里見進病院長にも構成員をお引き受けいただいております。
また、オブザーバーといたしまして、消費者庁、法務省、警察庁、文部科学省、日本医療安全調査機構から御出席をいただいております。
続きまして、厚生労働省からの出席者を紹介いたします。
厚生労働大臣政務官の藤田でございます。
医政局長の大谷でございます。
医政局総務課長の池永でございます。
大臣官房参事官(医療安全担当)の木村でございます。
医事課長の田原でございます。
最後に、私、医政局総務課医療安全推進室長の宮本でございます。よろしくお願いいたします。
既に御案内しておりますように、当検討部会は公開で行い、議事録につきましても厚生労働省のホームページで公表することにいたしたいと考えておりますが、皆様よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○宮本医療安全推進室長
ありがとうございます。御了解をいただきましたので、当検討部会は公開で開催することといたします。
それでは、検討部会の開催に当たりまして、藤田政務官よりごあいさつ申し上げます。
○藤田政務官
おはようございます。政務官を務めております藤田一枝でございます。マイクが低いので座ったままで失礼いたします。
本日は、構成員の皆様方にはお忙しい中に当検討部会にお集まりをいただきまして、本当にありがとうございました。
既に皆様御承知のとおり、厚生労働省におきましては、昨年4月に閣議決定をされました規制・制度改革に関わる方針において、平成23年度に無過失補償制度の課題等を整理し検討を開始すること、また同年7月に閣議決定をされました消費者基本計画において、平成23年度中に医療分野における事故の原因究明及び再発防止の仕組みのあり方について必要な検討を開始することとされたことを踏まえまして、昨年8月から「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」を開催し、無過失補償制度や医療事故の調査の仕組みについて御検討をいただいているところでございます。
本日、開催いたします当検討部会は、昨年12月に開催いたしました第4回の検討会において、医療事故が発生した場合の原因究明やその再発防止の仕組み等については、別途検討する場を設けて集中的に行うべきとの御議論をいただきましたので、それを踏まえまして、無過失補償制度等の検討会の下に設けさせていただいたところでございます。
大変関心の高い案件でもございまして、今後、医療事故に関わる調査の仕組みや再発防止のための仕組みのあり方などについて御議論いただくこととしておりますので、構成員の皆様方には、是非大所高所の観点から格別のお力添えをいただきますように心からお願いを申し上げます。
また、本日は厚生労働省の補助事業であります診療行為に関連した死亡の調査分析事業の御説明と当検討部会の今後の検討方針などについて御議論をいただくこととなっておりますので、併せてよろしくお願いを申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
○宮本医療安全推進室長
ありがとうございました。冒頭のカメラ撮りはここで終了させていただきます。よろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○宮本医療安全推進室長
続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。まず座席表と議事次第。配付資料といたしまして。
資料1 「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」開催要領
資料2 医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案
資料3 医療に係る情報の提供、相談支援及び紛争の適正な解決の促進並びに医療事故等の再発防止のための医療法等の一部を改正する法律(仮称)案骨子試案(平成20年 民主党公表資料)
資料4 「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案-第三次試案-」及び「医療事故安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に寄せられた主な御意見
資料5 診療行為に関連した死亡の調査分析事業について(日本医療安全調査機構提出資料)
資料6 今後の検討方針について(案)
参考資料1 消費者基本計画(平成23年7月8日一部改正閣議決定)(抜粋)
参考資料2 医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する第三次試案(概要)
参考資料3 「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の有り方に関する試案-第三次試案-」及び「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に寄せられた主な御意見と現時点における厚生労働省の考え
参考資料4 医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会開催要項
参考資料5 医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会で今後検討が必要な論点
以上でございます。乱丁、落丁等ございましたらお知らせください。
続きまして、当検討部会の座長でございますけれども、当検討部会の親検討会である「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」の座長であります里見構成員に御就任いただくということでお知らせしておりましたけれども、里見構成員より、座長については多用につき辞退したいと申し出がございました。これを受けまして、当検討部会を主催しております藤田大臣政務官とも協議の上、当検討会の座長には山本構成員にお願いしたいと考えております。
皆様、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○宮本医療安全推進室長
ありがとうございます。構成員の皆様の御賛同を得ましたので、山本構成員には座長席に御移動をお願いいたします。
(山本構成員、座長席へ移動)
○宮本医療安全推進室長
以降の進行につきましては、山本座長にお願いしたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
○山本座長
それでは、一言ごあいさつをさせていただきます。
ただいま座長に御指名をいただきました、一橋大学の山本でございます。
私自身は法律学を専門といたしておりまして、それも民事訴訟法その他紛争解決についての法律を中心として研究してまいりました。この医療の分野につきましては、必ずしも十分な知見を持っておるものではありませんけれども、当検討部会にはさまざまな専門の先生方にお集まりをいただき、お立場あるいは御意見がさまざま異なるところがあるとは存じますけれども、私自身の役目としては皆様に活発な御意見、率直な御意見を述べていただき、また建設的な御意見をいただき、その中でできる限り共通の部分を見出していくということが役割かと存じております。
このような役目は不慣れでございますのでいろいろと不手際あろうかと存じますけれども、どうか御審議に御協力をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事の方に入らせていただきます。
まず議題(1)ということで、当検討部会の開催の趣旨等につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
承知いたしました。
それでは、本検討部会の開催要項について御説明申し上げさせていただきます。資料1をご覧いただきたいと思います。
本検討部会は、大臣政務官主催の検討部会でございまして、その開催趣旨は、当検討部会の親検討会である「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」において検討されます2つの検討課題のうちの1つでございます、医療事故の原因究明及び再発防止の仕組み等のあり方について幅広く集中的に検討していただくものでございます。
具体的な検討課題といたしましては、医療事故に係る調査の仕組みのあり方、再発防止のための仕組みのあり方などの課題につきまして議論をしていただくこととしております。
また、当検討部会の構成員の方々におきましては、裏のページをご覧いただければと思いますけれども、親の検討会から医療関係者や法律関係者また遺族代表の方々など10名の方に御参画いただくのに加えまして、新たに医療安全に造詣の深い学識経験者などの方々6名を追加し、総計16名の構成となってございます。
当検討部会の庶務につきましては、医政局総務課医療安全推進室で行いまして、先ほどの話にもございましたように議事は公開するという形にさせていただきたいと思います。
当検討部会の開催要項についての説明内容については以上でございます。
○山本座長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして御質問等があればお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。開催の趣旨についてはよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山本座長
ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、議題「(2)医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案等について」という点でございます。
これにつきましては、お手元の資料2~4までにつきまして、一括して事務局の方から御説明をいただき、その後、御質問等をいただきたいと思いますので、まず御説明をお願いいたします。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
本検討部会の検討目的でございます、医療事故の原因究明及び再発防止の仕組みのあり方を検討するに当たりましては、各関係団体の方々からも様々な形で御提言がなされているとは思いますが、まずは医療事故が頻発しました平成11年ごろからの社会情勢を受けて、私ども厚生労働省において検討がなされた、その当時の成案やそのときの御意見などが今後、御議論していただく際の参考になると思いますので、そのおりの資料をまずは御提供させていただきたいと思います。
資料2をご覧いただきたいと思います。
この「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」でごさいますけれども、平成19年4月に設置いたしました厚生労働省医政局長の私的懇談会である「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の成果として、平成20年4月に厚生労働省から「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方にする試案」(第三次試案)を公表いたしました。更にその2か月後の6月に大綱案を公表し、それぞれ当時の検討会において御議論いただいたものでございます。
本大綱案では、12ページ以降に別添として第三次試案も掲載されてございます。この大綱案と第三次試案との関係でございますけれども、第三次試案が法律ばかりではなくて、その下の施行規則なども含めた、言わば法令の全体像を示すというものであるのに対しまして、前段の方の大綱案は法律レベルの事項ばかり集めたものという性格になってございます。
本日は全体像をお示しするために、12ページ以降の部分を用いまして御説明申し上げさせていただきたいと思います。
13ページ「1 はじめに」の部分でございますけれども、制度設計において(1)のところにもありますように、医療の安全の確保は我が国の医療政策上の重要課題であって、(2)の方にもありますように、医療安全を向上させていくためには、医療事故による死亡が発生した場合に事故の原因を究明し、再発防止に役立てていく仕組みが必要との認識を前提にしたものとなってございます。
14ページ「2 医療安全調査委員会(仮称)について」でございます。
まず委員会の設置についてですが、この試案の考え方は、国の組織である医療安全調査委員会なるものを設けることを柱としてございまして、その目的は(6)のところに記載されていますように、死亡事故の原因究明・再発防止を行い、医療の安全を確保することを目的としたものです。
(7)のところにもありますように、この委員会は医療関係者の責任追及を目的としたものではないとしております。
(9)のところを見ていただければと思いますが、この委員会は中央に設置する委員会、また地方ブロック単位に設置する員会及びその地方委員会の下に事例ごとに置かれる調査チームより構成されるという形を想定したものとなっております。
15ページ、医療死亡事故の届出についてですが、(16)に記載しておりますように、医療機関からの医療死亡事故の届出を制度化するという形を取ってございまして、(17)のところにありますように、その際の届出義務の範囲につきましては、その次の16ページにあります図表に記載されているように、2点あり、1点目は誤った医療を行ったことが明らかであり、その行った医療に起因して患者が死亡した事案、または疑われるものも含む、そのような事案。
また2点目は、誤った医療を行ったことは明らかではないが、行った医療に起因して患者が死亡した事案を明確にして限定するというものでございます。
戻りまして15ページの(21)、届出範囲に該当するか否かの判断及びその届出は、死体を検案した医師ではなく、当該医療機関の管理者が行うという形になっているのが特徴でございます。
17ページ、遺族から地方委員会への調査依頼についてでございますけれども、届出範囲に該当しないと医療機関が判断した場合であっても、遺族が原因究明を求める場合には地方委員会に調査を大臣に依頼することができるという形になってございます。
18ページ、地方委員会による調査のところでございますけれども、(27)のところにも記載しておりますように、個別事例の調査については、原則として遺族の同意を得て解剖を行える事例について地方委員会の下に置かれる調査チームが行うこととし、既に遺体のない事例等につきましても、中央委員会が必要と認める場合には調査を行うという形になっております。
下から2つ目の4のところを見ていただければと思いますが、その際、地方委員会は調査チームを作成した調査報告書を審議の上、報告書としてとりまとめ、中央委員会及び所管大臣に提出する。
その下の5、地方委員会には医療機関への立入検査や診療録等の提出命令あるいは医療従事者等の関係者からの聞き取り調査を行う権限を付与するという形になってございます。
それでは、端折って恐縮でございますが、19ページの下側のところにあります院内事故調査と地方委員会との連携についてでございます。一番下の(33)、一定規模や機能を持った病院については、安全委員会の業務として地方委員会に届け出た事例に関する調査を行い、再発防止を講じることを位置づけるという形の記載となってございます。
20ページ、2つ目の(35)でございますが、安全委員会に事故調査委員会を設置するなどして、医療事故調査を行うこととし、(36)、地方委員会は調査チームによる解剖の結果について、できる限り速やかに当該医療機関及び遺族に情報提供し、院内調査を適切に行うための資料として活用できるようにするという形になってございます。
中央に位置する委員会による再発防止のための提言等につきましては、(38)、医療事故の再発防止の観点から、平成16年以後、財団法人日本医療機能評価機構が医療事故情報収集等事業を実施しているわけでございますけれども、この分析した情報を日本医療機能評価機構から中央に設置する委員会に情報提供を行うという形をとることを提言してございます。
21ページ、捜査機関への通知、(39)のところでございます。医療事故による死亡の中にも、故意や重大な過失を原因とするものであり刑事責任を問われるべき事例が含まれることは否定できない。したがって、医療機関に対して医療死亡事故の届出を義務づけ、届出があった場合には医師法21条の届出を不要とすることを踏まえて、地方委員会が届出を受けた事例の中にこのような事例を認めた場合については、捜査機関に適時適切に通知を行うこととするが、医療事故の特性にかんがみ、故意や重大な過失のある事例でその他悪質な事例に限定するという形となっています。
(40)、地方委員会から捜査機関に通知を行う事例については、1にあるような医療事故が起きた後に診療録等を改ざん、隠蔽するなどの場合や、2のような過失による医療事故を繰り返しているなどの場合、また3のように故意や重大な過失があった場合。そして、この判断においては、あくまで医療の専門家を中心とした地方委員会による医学的な判断であって、法的な評価を行うものではないという形のものについて限定されるという形になっております。
22ページ、このような医療安全調査委員会という公的な機関での調査での対応以外の部分についての記載として、遺族と医療機関との関係については、(41)のところにもありますように、医療事故の発生時には医療機関から患者・家族に事故の経緯や原因等について十分な説明がなされることが重要。
そのためには、日常診療の中で医療従事者と患者・家族が十分な対話を重ねることが重要であり、そのための人材配置また育成も必要ではないかといったことが記載されてございます。
端折って恐縮でありますが、23ページ、行政処分のところでございます。システムエラーの改善に重点を置いたものとするということで、新たにシステムエラーの改善の観点から医療機関に対する処分を医療法に創設すること。
(49)のところでございますが、医療従事者の注意義務違反の程度のほか、医療機関の管理体制、医療体制、他の医療従事者における注意義務の程度などを踏まえて総合的に判断する形になってございます。これが医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案のおおよその骨子でございます。
それでは、その次に資料3を見ていただきたいと思います。これは平成20年に民主党で公表された資料でございます。
医療に係る情報の提供、相談支援及び紛争の適正な解決の促進及び医療事故等の再発防止のための医療法等の一部を改正する法律ということで、非常に長いタイトルの法律案で、通称、「医療の納得・安心促進法案」と言われているものでございます。この資料3はその骨子試案を示すものでございます。
まず、この形ですが、既存の医療法、薬事法、医師法といった関連法律をそれぞれ一部改正して所要の目的を図るということを目指したものとなってございます。
医療法の改正点でございますけれども、その第1、第2のところに記載してございますように、総則のところで医療従事者の責務として診療その他の医療の提供につき、患者からの求めに誠意を持って対応すること及び患者の理解と自己決定に基づいて医療を行うことを新たに追加する。
また、医療法の第2章の中での医療に関する情報の提供の部分に、診療録の開示及び改正といった、すなわち患者またはその遺族は当該患者の診療に係る診療記録について医療機関の管理者に対し、その開示を請求することができるようにするといったこと。医療機関の管理者は、開示請求があったときには、当該開示請求をした者に対し、以下の1のような治療効果と、明らかに悪影響を及ぼすような場合とか第三者の権利利益を害するおそれがあるといった場合を除いて、当該開示請求に係る診療録を開示しなればならないといったこと。
2のところでは、診療録に係る情報の提供に関する体制整備に関しましては、医療機関におけます診療に係る情報の適切な管理や提供などを行うために必要な体制の整備に努めなければならないといったこと。病院に医療対話仲介者、いわゆるメディエーターを設置して、医療従事者との対話の仲介やその他患者の理解、苦情の解決などの促進を図る事務を行うことを盛り込んでございます。
2ページ「4 医療の提供の過程において事故が発生した場合に係る情報の提供」でございますけれども、病院、診療所または助産所の管理者は、患者またはその遺族に対し、適切な方法により医療の提供の過程において人の生命または身体に被害が生じた事故が発生した場合に係る以下1~3までの情報を提供しなければならないという形になってございます。
第3の医療法第3章の医療の安全の確保のところに、医療機関における安全な医療の確保という観点から、具体的に医療機関が医療に係る事故の防止に係る具体的な指針の策定、また医療技術及び安全管理に関する研修の実施、その他当該医療機関において安全な医療を確保するために必要な処置を講じなければならないという形にするといったこと。
医療安全管理委員会の設置で、病院、有床診療所、また有床助産所の管理者は、当該医療機関に医療安全管理委員会を設置しなければならないといったこと。医療安全委員会は、事故を防止するための対策、重要な事故について調査し、その結果に基づいて当該医療機関の管理者に対し意見を述べるという形にすること。
一定の規模の病床を持つ病院の医療安全管理委員会は、医療の提供の過程において発生した人の生命や身体の被害に生じた事故として政令で定めるものが発生したときには、事故調査委員会を設けること。
3ページ、事故調査委員会は事故の原因、事故による過程、診療行為の内容について調査を行って、その結果に基づき調査報告書の案を作成する。その報告書に基づいて、患者または遺族に対して説明を行うといったこと。
真ん中より少し上の3の医療安全支援センターに関するものでございますけれども、これを都道府県に医療安全センターを設け、医療安全センターの責務としては、(2)にありますように、医療の安全に関する紛争の解決に関する情報の提供を行うとする形でございます。
(3)にもございますように、患者もしくは遺族または医療機関からの依頼を受けて、医療の提供の過程において発生した人の生命または身体の被害が生じた事故について、その原因を調査し、その結果を患者または遺族及び医療機関に報告するといったこと。依頼があった場合には、医療関係者その他の有識者をもって組織する調査チームを設け、これに依頼に係る調査を行わせるといったこと。できる限りその原因を特定するよう努めなければならないといったことが記載されてございます。
4ページ、事故等の分析についてでございますけれども、以下の(1)の1、2のように事案が発生したときには、一定期間内に事故などの分析事業を行う者であって、厚生労働大臣の指定を受けたものに提出しなければならないといったこと、事故等分析事業とは(3)にも記載してございますように、その事案に対する情報や資料の収集及び分析、科学的な調査研究、その結果の医療機関、大臣等への提供、再発防止への提言ということでございます。
5ページの医師法の改正のところまで飛ばさせていただきますけれども、診療に関する説明としては、医師が診療に際し患者に対し十分に理解が得られるような説明を行うといったこと。2のところにもありますように、説明等と異なる診療または適切な診療が行われた場合の患者等に対する説明は、できる限り速やかに当該診療を受けた患者または遺族に対し、適切な方法によりその事実及び当該診療の概要並びにそのような事態に至った経緯、患者が死亡した場合における当該死亡の原因その他診療等に関し、遺族に知らせるべき事項について説明しなければならないという記載になってございます。
診療中の患者が死亡した場合の説明につきましても、同様にできる限り説明しなければならない。
4のところにありますように、医師法の21条の規定の削除ということで、すなわち、死体等に異状がある場合、警察への届出義務については削除するという形になってございます。
5のところに死亡診断書などを交付する場合におきましては、この死亡診断書は診断中の患者が当該診療に係る傷病に関連して死亡したときに交付するという形で、また検案書についても、死亡した者が診療中の患者以外の者であった場合、または診療中の患者であった場合において、当該死亡の原因を特定することができるときに交付するという形になってございます。死産証書及び検案書についても同様の考え方でございます。
以上が民主党の平成20年に交付された資料の、いわゆる「医療の納得・安全促進法案」の概要でございます。
続きまして、資料4の説明に移らせていただきたいと思います。
これは先ほど御説明申し上げました「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を当時示したときの主な御意見を列挙させていただいてたものです。今後、御検討される際の参考になると思いまして、事務局の方で作成して本日お示しさせていただいております。
誠に恐縮でございますがページが打ってございませんので、左側の項目の数字などを使いまして説明の際の参考にさせていただきたいと思います。
まず左側の「2 医療安全調査委員会(仮称)について」の委員会の設置についての御意見としては、地方委員会は地方分権の観点から、国の組織ではなく都道府県に設置すべきといった御意見や、(8)の記述に対して、医療安全調査委員会を厚生労働省に設置すると、医療行政を所管する厚生労働省の問題点の追及ができなくなったり、調査と処分の権限が厚生労働省に集中したりするおそれがあることから、医療安全調査委員会は内閣府に設立するなど、厚生労働省外に設置すべきといった設置の場所についての御意見。
その下の地方委員会の調査チームは、医療関係者のみで構成すべきといった御意見。そのページの左側にある医療死亡事故の届出のところについての(9)に対する御意見として、医療法第21条について、診療行為に関連した死亡については届出の対象から除くべきといった御意見。また、医療事故等の届出の範囲を明確化すべきといった御意見。
地方委員会による調査のところですが、(27)の記述に対する御意見として、調査の対象には死亡・死産だけではなく、障害が残った場合等も含めるべき。あるいは遺族の承諾がなくても解剖することができるようにといった御意見。
ページをおめくりいただきまして、次の院内事故調査と地方委員会との連携のところでございますが、(32)(33)の記述に対する御意見として、まずは院内の事故調査委員会が調査する仕組みとすべきではないかといった御意見。
その下の(39)に対する御意見として、地方委員会から警察への通知に関する御意見について、まずは通知を行う仕組みは削除すべき。また、通知は故意による死亡などや医療事故等に係る事実を隠蔽する目的で関係物件を隠蔽するなどの場合にのみ行うべきであり、標準的な医療から著しく逸脱した場合、類似の医療事故、過失により繰り返し発生された場合については通知を行わないこととすべきといった御意見。
通知がなければ警察は捜査に着手しない仕組みとすべきといった御意見。
また、地方委員会から警察への通知を行うもののうち、標準的な医療から著しく逸脱した医療の定義はあいまいであり、明確にすべきといった御意見などがございました。
「3 医療安全調査委員会以外での対応(医療事故が発生した際のその他の諸手続き)について」の関連の中で、遺族と医療機関との関係についての御意見としては、地方委員会の報告書は、刑事裁判や民事裁判の証拠として利用されないこととすべきといった御意見とか、次のページをおめくりいただきまして、裁判外紛争解決手続(ADR)を整備すべきといった御意見をいただいているところでございます。今後の御検討の際の参考資料としていただければ幸いでございます。
事務局の説明としては以上でございます。
○山本座長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明についてでありますけれども、中身について恐らくいろいろ御意見がおありかと存じますが、この点は後の方の議題であります今後の検討方針についてどういうふうにやっていくかという問題と密接に関連すると思いますので、その中身についての御意見等については、できれば後でまとめて御議論していただくということにしたいと思いまして、この段階では今御説明いただいた資料あるいは御説明の内容等について御質問、この点はどうなのかというような点がございましたら、ここで確認をまずしておいていただければと思いますがいかがでしょうか。
まず、中澤構成員、どうぞ。
○中澤構成員
お尋ねしたいことは、今、第三次試案、民主党案等について2つの案が出されておりますが、これをどういう形で今後の検討に生かすのかというところを確認しておきたいです。例えば第三次試案でこれを基にやるのだということも選択肢としてはある話になりますので、どういうふうな形に持っていくかというところをまず確認していただきたいと思います。
○山本座長
事務局の方では何かコメントはありますか。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
その点につきましては、本日この資料等を御説明申し上げましたのは、冒頭にも申し上げましたけれども、各関係団体もいろいろと仕組み等のあり方について御検討され提言なども出されていることも承知しておりますが、まずは本日のところは当時の厚生労働省で検討されたもの、また民主党の方から出されたものは、平成20年辺りからスタートしている経緯もございますので、その辺りの資料を情報提供という形で提供させていただいたもので、これらを基にやるとかやらないとかというような考えの下に出させていただいているものではないということでございます。
○山本座長
よろしいでしょうか。
○中澤構成員
それで確認していただければと思います。
○山本座長
それでは、松月構成員、どうぞ。
○松月構成員
今、御説明いただいた資料の中では、死亡事故の届出に関しては制度化すると書かれていますが、その前提にあります重大な事故に関する届け出については、何ら触れられていないということでよろしいのでしょうか。
○山本座長
今のは、この大綱案がどういうふうに考えていたかということですか。
○松月構成員
大綱案の中にも医療法の中にも、届け出をするという記述がありますが、届け出の基準等については制度化の案はなく、そのことについては触れていないという解釈でよろしいのでしょうか。
○山本座長
それでは、これまでとしてどうだったかということです。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
現状の制度の話でございますか。それとも大綱案のことですか。
○松月構成員
大綱案です。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
大綱案につきましては、死亡した医療事故に着目した形になっており、一方、民主党案は、死亡事故以外の障害を受けたものも範囲に入ったような形となっております。二者はそのような違いがあろうかと思います。
○山本座長
よろしゅうございますか。
○松月構成員
はい。
○山本座長
ほかにありますか。
有賀構成員、どうぞ。
○有賀構成員
昭和大の有賀です。
今の最初の御質問とも関係するのですけれども、平成20年ころからの当時の資料をとりあえずものを考えていくための基本的なベースというか、考える糧として出していただいたということで理解していいのだと思うのです。そういう意味では今後の検討方針についても少し触れることかもしれませんが、実はそれ以後、平成21年に例えば日本救急医学会、平成23年に日本医師会、同じく平成23年に日本病院会という団体が、日本救急医学会とは比較的仲のよい日本脳神経外科学会などもこの仕組みについての基本的な考え方を出そうとしているということがあります。
ですから、そういう意味では、当時の資料を出してくださったのは、その当時の資料を持っておれるので出してくださったのだと思いますけれども、検討のプロセスにおいては、それらを踏まえていろんな団体がそれなりのことを仕組みとして発言されていますので、こういう場でそれらも一緒にもんでいくというか、別にそれをそのまましろという意味ではなくて、頭の体操としてはそういう意味では糧として使っていくことは非常にいいことだと思いますので、是非座長にもそのようなことを勘案していただきたいと思います。
○山本座長
ありがとうございました。
そのような資料をまた新たに追加して、ここに検討の材料として出していただくということですが、それは問題ないでしょうか。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
はい。私どもの方も、本日はまずこのような資料からということでさせていただきましたけれども、その後、関係団体の方から御提言されていることも承知しておりますので、それらの資料を出させていただくとともに、関係団体の方から御説明もいただくような機会も設けさせていただきたいと思ってございます。
○山本座長
どうぞ。
○飯田構成員
今、同じことを申し上げようと思いました。ちょっと補足いたしますと、各医療団体からも出ていますが、そのほかにこの親委員会でも発言していろいろヒアリングもしましたが、国内のほかの団体あるいは国外の医療団体はどういう事故調査のあり方になっているかということを、一部WHOもありますけれども、そこも併せてきちっと出していただかないといけないと思います。お願いいたします。
○山本座長
ありがとうございました。確かに親委員会とは構成員のメンバーが違いますので、親委員会等で議論されたところについてもこちらに還元していただければと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。また後の今後の進め方のところでまた戻っていただいて御質問等していただいても結構ですので、とりあえずは先に進ませていただきます。
次は議題「(3)ヒアリング」ということでございます。資料5に基づきまして「診療行為に関連した死亡の調査分析事業について」ということで、本日は一般社団法人日本医療安全調査機構の原中央事務局長においでをいただいておりますので、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○原参考人
日本医療安全調査機構の原と申します。よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日の内容ですけれども、そこに書いてありますように、まず、私どもの事業の背景と組織概要をお話しさせていただきます。次に、調査の実際に対して御紹介させていただきます。最後に、最近導入いたしました院内事故調査委員会に外部委員として機構が関与していく協働型の調査モデルを御紹介させていただきたいと思っております。
それでは、事業の背景と経緯ということでございます。
平成11年に、ここには示してございませんけれども、よく皆様も御存じのように大きな医療事故が続けて発生いたしました。それを契機に診療行為に関連した死亡の原因究明並びに再発防止の徹底を図り、医療の安全を一層向上させる必要性が強く認識されるようになりました。
そしてここにありますように、日本外科学会、日本内科学会、4学会、そして基本の19学会、日本学術会議等から、診療行為に関連した異状死の届出と死因究明の中立的専門機関設置の要望が出されております。
それを受けて、国は平成17年9月に、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業を開始いたしました。最初、運営主体は内科学会にございました。それが平成22年4月に一般社団法人である日本医療安全調査機構が設立され、事業を引き継いでおります。
次は日本外科学会の声明の一部でございますけれども、公的な中立的機関の設立とその速やかな立法化を要請しておりました。
次ですけれども、日本医学会加盟19学会の共同声明の一部でございます。同様に、医療関連死届出制度の確立と中立的専門機関の創設を要望しておりました。
現在の診療行為に関連した死亡の調査分析事業の目的でございます。診療行為に関連した死亡における原因の究明、2番目が再発防止策の立案・提言、医療関係者への還元による医療の質と安全性の向上、3番目に第三者の評価による医療の透明性の確保と患者・医療者相互の信頼の向上に寄与することでございます。
御遺族の中にはどうしても当該病院での解剖や死因究明に信頼がおけないと言われる方もございますので、第三者評価の実施により、御遺族の納得が得られるようになれば訴訟等も減る可能性もありますし、医療側にとっても大変大きなメリットであるだろうと思います。
次が組織概要でございます。右の図を見ていただきますと、大きな運営方針は理事会、社員総会で決定されます。運営の具体的問題点は運営委員会で討議されます。事務局は中央と9地域にあります。実際の事例の評価は地域評価委員会で行われております。
左側にお示ししますように、理事には学会、医師会、病院団体、運営委員会の代表が就いております。
事業費ですが、従来から全額厚労省の補助金で賄っており、平成22年度までは約1億8,000万円弱でしたが、平成23年度は1億2,000万円に減額され、効率化が余儀なくなされているところでございます。なお、平成24年度からは、各学会、医師会、病院団体等から金銭的な支援もいただく予定になっております。
次ですが、各地域事務局の状況です。全国9地域にございます。北海道は札幌だけではなく、全道的に活動しております。東京は茨城の事務局を兼務しております。福岡は佐賀県もカバーしております。
次、モデル事業の受付事例の状況でございます。2012年2月9日現在の数ですけれども、内科学会時代が合計105例、機構になりましてからが合計55例、全体で160例ということでございます。地域的には東京、大阪、愛知、北海道の順になっております。
次ですが、モデル事業の対象事例でございます。診療行為に関連した死亡について、死因究明と再発防止策を中立的な第三者機関において検討するのが適当と考えられる場合ということになっております。
次ですけれども、評価結果報告書のホームページ公表ということであります。これが私どものホームページでございますけれども、評価結果報告書の概要版は御遺族と医療機関の同意の上でこのホームページに掲載されております。現在112事例が掲載されております。
次からが事例調査の実際でございます。事業の流れを示した図があるところを見ていただきますと、右の模式図をご覧ください。?、?とありますところが医療機関と患者の御遺族との話し合いのところですけれども、ここで話し合いが行われまして、合意された場合、3に示しておりますように病院から調査依頼の申請が機構の方になされます。
?ですけれども、総合調整医が受付の可否を判断し、受託となりますと6解剖契約病院へ御遺体を搬送し、第三者の法医・病理医・臨床立会医、三者の下で解剖を行います。
医療機関と書いてあるところの左下にありますけれども、?医療機関は、院内調査委員会を開催し、調査結果報告書を機構の方に提出することが義務となっております。
次が?ですけれども、1~2か月で解剖結果報告書ができ上がりますので、その間に臨床経過などの事実関係の調査を行います。
?ですが、それらを基に評価委員会を開催し、臨床経過や死因の検討を行い、評価結果報告書を作成いたします。
?ですが、最後に医療機関と御遺族にお集まりいただいて説明会を開催し、終了となります。受付から説明会まで6か月というのが最初の目標でございましたけれども、平均で約10か月かかっているのが現状でございます。
?両者の許可の下に概要を公表しております。
以下、受付から説明会までもう少し詳しく説明させていただきます。
?申請の受付とあります。これは調整看護師さんです。いろんなことを調整する看護師こということで、私どもは調整看護師と呼んでおります。事業の詳細を知らないような医療機関に調整看護師が説明に行ったりする場合もございます。現在のところ、御遺族からの直接の依頼は受け付けておりません。それは当機構には強制的な調査権がございませんので、病院が調査を拒否された場合には調査が実際できないということがあるからでございます。
次にいきまして、これはホームページですけれども、申請書類はこのページからダウンロードとして使うことになっております。また、機構に関するQ&Aというところもありまして、そこにいろんなことが書かれております。
次ですけれども、解剖です。先ほどもお話しいたしましたように、解剖協力施設で解剖を行います。ですので、当該病院から御遺体をそこまで搬送することになります。解剖協力施設で法医と病理と臨床立会医、三者が一体となって解剖を行うというシステムでございます。解剖終了後、当日のうちに解剖医が肉眼所見を医療機関と御遺族に御説明しております。
その後、この解剖は主に病理ですけれども、組織診断を加え解剖結果報告書を作成して評価委員会に提出されます。
次ですけれども、地域の評価委員会でございます。メンバーがその右側に示してありますけれども、これが最低のメンバーということでありまして、関連する診療科の専門家2名、臨床立会医が1名、総合調整医が1名、解剖医2名、弁護士等1~2名、合計7~8名が最低の陣容でございます。事例の内容によって医療安全の専門家、看護師、薬剤師等の評価委員も選定され、約10名程度の委員会ということになります。
委員の選出の方法でございます。各学会が評価者を登録しておきます。上にありますように、平成22年度は2,995名の専門医が登録されておりました。2ですけれども、機構が事例ごとに依頼学会を決定いたします。
3として地域学会窓口が事例当事者と関連性が低いと思われる評価医を推薦いたします。関連性が低いというのは、大学の学閥等を考慮して関連性が低いということであります。
4推薦を受けまして、機構が専門医に評価委員の委嘱を行うということでございます。
次ですけれども、遺族の疑問に答えるためにということで、御遺族の疑問や要望に的確にお答えするために、調整看護師が御遺族と面談し、御意向をよく聴取して評価委員会に資料として提出しております。また、評価結果報告書には必ずその疑問点に対する回答を記載するということを心がけております。
次、説明会でございます。医療機関関係者と御遺族に集まっていただく説明会には、評価委員会の委員長、委員、総合調整医等が出席いたしまして、評価結果報告書及び解剖結果報告書の内容をなるべくわかりやすく御説明しております。いろんな御質問にもお答えするようにしております。
次ですけれども、この事業に対する御遺族の満足度の調査結果でございます。参加してよかったという方が54%、どちらかというと参加してよかったという方が25%、合計すると約80%の御遺族が満足しておられるという比較的良好な結果と考えております。
次ですけれども、医療機関の納得度に関する結果でございます。納得できたが56%、どちらかというと納得できたが39%、合計しますと95%が納得できたということでございまして、医療の質と安全の向上に貢献できているものと考えております。
次からが協働型についての御説明です。これまで行ってきた形を従来型と申しますが、その形は外部の第三者である当機構の評価委員会と病院の院内調査委員会が別々に調査分析を行ってまいりました。この協働型ではそれを一体として院内で行おうとするものでございます。現在、その普及に努力しているところでございまして、協働型の調査が始まっているのは現在5事例でございます。
次ですけれども、協働型をなぜ試すかということでございます。目的でございます。まず最初に、第1に事業を全国的に拡大した場合に、従来のモデル事業独自の調査解剖体制を組むことがマンパワー的には大変難しいという現状を考慮いたしまして、新しいモデルを試行し、制度化に向けた示唆を得たいということでございます。
第2には、医療安全の推進は、医療機関自らが適正な調査分析を行い、再発防止に努力することが基本でございますので、必要がある場合には第三者性を担保しつつ、院内で公正な調査分析が行われるよう、外部から支援することが重要だろうと考えているからでございます。
次でございますが、協働型に申請可能な医療機関の要件と書いてありますが、現時点では協働型の申請に5つの要件を設けて運用しております。
1は専従の医療安全管理者がいる。
2は重大事故に限らず、恒常的に施設内の医療行為に伴う有害事象やヒヤリハット事例の抽出、改善活動が不足なく迅速に行われ、かつ院外に報告をしている。
3通常のリスクマネジメント委員会、医療安全管理委員会が開催されるなど、それらを始めとする医療安全活動の実績がある。
4過去に外部委員が参加する公式な院内調査の実績がある。
5上記の活動が定期的に医療監視、医療機能評価機構等の外部機関により適正に評価されている。
こういう5つの条件を満たした医療機関でこれを試行しようということになっております。
この中の2、3、5は、病院機能評価の認定を得るということで代えるということにしております。したがいまして、1と4が残った条件ということになりますが、1の専従の医療安全管理者がいるということは、ほとんど大きな病院では診療報酬の関係で専従の医療安全管理者がおられますので、余り大きなポイントにはなりません。したがって、4の過去に外部委員が参加する公式な院内調査の実績があるかないかというところが一番のポイントになるということのようであります。しかし、最近は比較的大きな病院でこの実績があるところが増えておりますので、要件を満たす病院は多くなりつつあると考えております。
次ですけれども、従来型と協働型の比較をもう一回お示しさせていただきます。
1の申請要件でございますが、今、御説明したとおり、従来型には申請要件に制限はございませんでしたけれども、協働型では先ほどお示ししました5つの要件を一応設定しております。
2解剖ですけれども、従来型では解剖協力施設に搬送し、法医・病理医・臨床立会医が一体となって解剖を行います。協働型では依頼病院で依頼病院の病理医が解剖を行い、機構から解剖立会医が立ち会うという形になっております。解剖結果報告書も依頼病院の病理医が作成する。それを立会医が最終的に確認するということになっております。
3の評価委員会ですけれども、従来型は院内で第三者のみで行われますけれども、協働型では機構が委嘱した外部委員を含む院内協働評価委員会で評価いたします。委員長は外部委員が務めるようにしております。
4検証ですけれども、従来型では最終的な検証はございませんでしたけれども、協働型では報告書を中央審査委員会で検証するということになっております。
次の図では、従来型と協働型を模式図的にもう一回お示しいたしました。この協働型では、院内事故調査委員会が外部委員を入れ、協働調査委員会となりまして公正性、中立性が強化されているということがおわかりいただけると思います。
最後ですけれども、本当に繰り返しになりますけれども、当機構が目指しているものを再度お示しいたしました。診療行為に関連した死亡の調査分析の公正・中立的な専門機関であること。
次に、医療の透明性の確保並びに患者と医療者の相互信頼の向上に努めること。
再発防止策の策定・普及による医療の質と安全性の向上ということを目指して、今、活動しているところでございます。
以上でございます。
○山本座長
ありがとうございました。大変要を得たわかりやすい御説明をいただいたかと思います。ただいまの原事務局長の御説明につきまして、御質問等があればお願いしたいと思います。
どうぞ。
○山口(育)構成員
2つほど質問させてください。
まず受付事例数に地域差がかなりあるように思うのですけれども、それは病院への周知の違いなのか、単なるその地域の病院の設置数の違いなのか、その辺りの数の違いについて、機構の中で何か分析されていることがあれば教えていただきたいなというのが1つです。
もう一つは、大阪の評価委員会に関わらせていただいている関係で、調整看護師の役割がとても大きいように感じています。特に御遺族の納得というところに大きな役割を果たしてらっしゃると思いますけれども、その調整看護師の養成や研修制度の体制があるとしたら教えていただきたいと思います。
○原参考人
地域差についてでございますが、確かに周知の程度が地域によって違うという面もございますが、一番は病院の数だろうと思っております。きちんとした検討は十分にされておりません。
調整看護師のことですけれども、現在、毎年何回か東京に集まりまして研修会を持って、なるべく標準化するように、レベルを上げるようにと努力しております。
○山本座長
よろしゅうございますか。ほかに御質問等。
中澤構成員、どうぞ。
○中澤構成員
調整型の提案がされていましたが、報告書を前に見させていただいた関連の中では、院内調査の結果がすごく大きな情報を持っていたということを踏まえてのことでしょうか。私らの方で考えると、恐らく第三者機関がやるよりは院内がやった方がしっかりしたデータが出るのだろうなと思って、それに更に協働型というのを提案なさっているという理由は何かあるのか教えていただきたい。
○原参考人
それが1つです。何しろ最終的に医療安全が向上するというためには、それぞれの問題があった病院が努力するというのが一番だろうということで、その中に医療安全委員会をつくって、それをサポートするというのが1つです。
今まで従来型でやっておりました調査というのはかなり人手がかかる。実際、法医の数、病理医の数、そういうものを考えますと全国展開で少し広くこれを受け付けていこうとするときには、実際事業を展開するのは難しいだろうということで、解剖も当該病院でできるようにして、調査の委員会も中の委員会と一緒に合同してやるということで省力化と言ったらいけないのかもしれませんが、全体的にスリムにして事業を続けていきたいというような目的でありました。
○中澤構成員
そうすると、中央委員会が関与することによって院内調査の質が上がるとかという意味ではないのですね。
○原参考人
質が上がるかどうかはなかなか難しいかもしれませんが、中立性とか、第三者性は向上するだろうと考えております。
○中澤構成員
わかりました。
○山本座長
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○宮澤構成員
弁護士の宮澤でございます。
申請の受付についてお尋ねしたいのですけれども、現在のところ医療機関からの申請受付のみということになっている。それは医療機関の協力が得られない場合には立入検査等ができないからというのはわかるのですけれども、患者側から受け付けて医療機関に伝えて最終的には調査対象になっていくということがあってもいいのではないかと思うのですが、患者を受付の対象にしないということに関しては検討された上だと思うのですけれども、もう一回今のことを考えた上で、なお患者側からの申請というのは対象にしないのかどうなのか御意見をお伺いしたいと思います。
○原参考人
申し訳ありません。私の説明が非常にまずかったと思うのですが、患者側の御希望がある場合は、病院とよく話し合っていただいて、病院から申請していただく。先ほども調整看護師が写っていたスライドがありましたけれども、あそこに書いてありますように、患者さんから機構の方に御連絡をいただくことがあります。そうすると、機構がその病院にまたお願いする。一応形としては病院から申請していただくという形を取っておりますが、なるべく御家族の御希望に沿いたいと努力しております。
○山本座長
ほかにいかがですか。どうぞ。
○飯田構成員
マンパワーの話に関連するのですが、医療関係者すべてと書いてあるので、率直に言うと不可能だと思っているのです。協働型にしたにしても、すべてに対して病理なり何なり立会医を派遣するということは不可能に近く困難だろうと思いますが、具体的にそれが可能だと思っていらっしゃるのでしょうか。
○原参考人
この制度に関してはまたより精細に検討していただきたいと思いますけれども、やはり前段階である程度ふるいにかかった事例が上に上がってくる、こちらに依頼されると考えておりますので、すべてとは今は考えておりません。
○飯田構成員
では、ここに書いてある目的は違うのですね。最初に19学会の文章では、すべての診療関連死と書いてあるのは間違いですか。それによって枠組みが全然変わってくるので極めて重要だと思っています。この取組みは非常に意義があると思いますけれども、どういう事例を対象にするかをきちっと限定しない限りは実現不可能だと思います。
○原参考人
済みません、すべてというのはどこに。
○山本座長
この6ページの日本医学会加盟19学会の共同声明の下から3行目のことを指しておられる気がします。
○原参考人
これはあくまでもこの日本医学会加盟19学会が要望した内容でございまして、うちの機構がこれに沿って現在行っているというわけではないと思っております。
○飯田構成員
改めて質問いたしますが、機構の対象の基準はなんでしょうか。
○原参考人
先ほどそこに書きましたように、診療行為に関連した死亡について、死因究明と再発防止策を中立な第三者機関において検討するのが適当と考えられる場合ということでございます。
○飯田構成員
これだと何も言っていないのと同じです。適当とは何を基準にしているか教えてください。
○原参考人
それは事例ごとに非常に違うとは思いますけれども、明確に線を引くというのはなかなか難しいと思います。
○飯田構成員
それでは、現場の医療機関は対応できません。
○山本座長
事例ごとに個別に判断をされているということでしょうね。
○原参考人
はい。
○山本座長
ほかにいかがでしょうか。
有賀構成員、どうぞ。
○有賀構成員
昭和大の有賀ですが、協働型の話をお聞きすることができたので、多分私の聞いていることが幼稚なのかもしれませんが、教えてください。
協働型のスライドの番号で言うと27のところに、機構が委嘱した外部委員を含む院内の協働調査委員会で評価をすると、これは最終的な評価の文面をつくるに当たってはこのようなプロセスなのだと思うのですけれども、スライドの14番の調査の実際のところの最初の流れ図の中に、原先生が医療機関は4院内における調査の取組みというところで、院内における調査の内容を機構の方へフィードバックするというようなことをおっしゃったのです。もともと私たち多くの医療機関は、先生のおっしゃるように院内の調査をするということになってやっているわけですけれども、そのこととここの協働型で言われている外部委員を含む協働調査委員会との関係はいかがでしょうか。要は院内の調査の結果はそれはそれとして、協働型のときにはこの評価のものが第三者的な委員会の報告ということになるのですね。
要するに病院からすると、1発目があって、それでもって2発目があると、こういうふうなことで理解するのですか。
○原参考人
いいえ、これは最初から協働してやろうということでございます。
○有賀構成員
そうすると、医療機関、先ほど言った14ページの院内における調査の取組みについては、先生方に丸投げということですか。
○原参考人
丸投げではなくて、院内の委員も当然入ってもらって。
○有賀構成員
勿論、私が申し上げているのは。協働調査委員会というものがいずれ開かれるにしても、前段で病院の主体的な取組みとしての調査の委員会があって、その調査の委員会は、恐らく取組みをフィードバックするに当たり、とにかく自分たちとしての考え方をきちっとやらないといけない。次の指摘を受けた暁でのよりよい質を向上させようというときには、先生方からいただいた報告をかぶせて考えていくということがないと、自分で宿題やらないで宿題を教えてもらっているのではどうにもならないという感覚なのです。そこら辺の仕組みについて教えていただけますか。
○原参考人
その辺ですけれども、何しろ最初から院内事故調査委員会でやっていただくのに外から外部委員が入るというような外部委員が入った院内事故調査委員会は皆さんやられていますね。それをこの機構が支援していこうということですので、院内でやられたことをまたもう一回評価するとかそういうことではない。
○有賀構成員
そういうわけではなくて、例えば26ページに過去に外部委員が参加する公式な調査の実績云々とあるではないですか。これものっけの最初から外部委員に入ってもらおうということではなくて、やはり外部委員がいないと困るよねということがあっていよいよ入っていただくと。だから、つまり1回で終わらなくて2回目とか3回目とかで、外部委員も入っていただいたときに、これだったらあの人を呼べよという話があったりするのです。ですから、そういう意味で私は第三者的な人が入ってきてくださるのは非常にありがたいという場面があったと仮定したときも、まず第1ラウンドは自分たちできちっとやるということがある方が健康かなと思ったので、病院の病院長の立場でもありますので組織的な対応をどう考えるのかというところで質問させていただいた次第です。
○原参考人
わかりました。私どもが考えている形は先ほど申した形でございます。
○有賀構成員
そういうことも含めて発展途上でいいのですね。
○原参考人
はい。
○有賀構成員
もう一個ついでにいいですか。
医療機関の満足度の前のページの御遺族の方々の満足度のところなのですけれども、これは時々議論になるのですが、回収率が平成18~21年まで入れて39%ですね。これは6割方の方が答えておられない。これはひょっとすると6割方の方たちは答えるのも嫌だとお思いになっているのではないかというようなことを私たち業界筋では議論することがあるのです。変な言い方でごめんなさい。そこら辺は先生方の機構においてはどういうふうな議論だったのですか。
8割方OKというのは、これを見れば全くそのとおりなのですけれども、お答えになっていない6割の方たちはきっと不明なのかよくわかりませんが、そういうふうなことではないかなとしばしば言われるのですけれども、どうなのですか。
○原参考人
そこは本当のところは私もわかりませんけれども、来年度、もう一回きちんとした調査をしたいと考えているところです。
○有賀構成員
インターネットに全体の自分たちの症例がアップされることについては、もう勘弁してほしいという気持ちはよくわかるので、160分の100強というのはもう御遺族のメンタリティは私たち医療者は共有しますのでよくわかる。けれども、これに答えないというのはつらいものがあるのかなと思ったのでお聞きしました。
以上です。
○山本座長
ほかにいかがでしょうか。
高杉構成員、どうぞ。
○高杉構成員
日本医師会の高杉です。
私はこの機構の委員にもなっていますし、これまでのいきさつもある程度は知っているつもりなのですが、この過程の中で日本医師会の新しい提案をいたしまた。これはとりもなおさず患者さんにきちんと説明できるシステムをつくろうと、あるいは病院での院内事故調査委員会を場合によっては第三者を入れた公平性を保つものにしようということで提案します。あとなかなか処理できないというか解決が難しいところをこの機構にお願いしようというような思想で進めます。
これは今モデル事業ではごく少ないですけれども、これを全国に広げていくということも考えています。ただ、残念なことに国の支援が少なくて予算もカットされて、その中で学会、医師会あるいは病院団体がお金を出して厳しい状況でもとにかく制度ができるまでは頑張って患者さんたちの期待に応えようという思想でやっております。
したがって、その公平性、第三者性を保つため、院内ではなかなか信用できない場合には機構にお願いしようというようなことも考えて提案しております。
○山本座長
ありがとうございました。
それでは、中澤構成員、どうぞ。
○中澤構成員
先ほどの御説明では、事例を検討するときに病院の方から働きかけて入っていただくということをやっていた。そのときに事例の内容なのですけれども、例えば院内で患者さんとの話し合いをして納得いかなくて、これはどうしようもないので機構の方にお願いするというやり方をされているところは何%ぐらいあるのでしょうか。
○原参考人
現在それはわかりません。
○中澤構成員
要するにうまくいっている事例でお願いするということで入れているケースもあると考えていいのですか。
○原参考人
実際のところは、本当にうまくいっている例はここに来ないと思います。
○中澤構成員
では、多少コンフリクトがあって、それをそちらの方にお願いするということですね。
○原参考人
だろうと思います。
○中澤構成員
わかりました。
○山本座長
どうぞ。
○山口(徹)構成員
山口ですけれども、私は内科学会が主体になってやっておりましたときに中央事務局長をやっておりましたので、幾つかお話があったところに追加をさせていただきたいと思います。
この事業を始めるときから、院内の事故調査委員会は別途立ち上げて検討していただく、それでその報告をいただくというところが基本だったということです。先ほど有賀先生がおっしゃったように、院内の事故調査委員会に外部委員が入る場合は、必要に応じて来ていただくという形かと思いますが、これまでのモデル事業との中間的な形として、最初から外部委員が入る形で院内の事故調査委員会を開催していただくというのが今回の協働型の基本的な認識だと思うのです。
だから、院内の事故調査委員会の1つの形として、このモデル事業が関与していくという格好で院内の最終的な報告書としてこの協働型の調査委員会から報告書をまとめるということなので、それが病院としての最終的な報告書という形になることを一応目指しています。恐らく有賀先生のおっしゃったように、更にそれが進んで院内の体制が十分できれば、そこで患者さんに十分満足できるような報告書ができるのだろうと思いますが、今こう始まっているモデル事業としては、従来の全く外でやるという形から一歩踏み込んだ形をスタートしたということだと思われます。
先ほど満足度のお話がありましたけれども、我々もとてもそれは関心があるのです。一応公表につきましては、最初に内科学会で始めた当初は、概要を公表することについても、概要ができてからもう一度御遺族に公表してもいいですかと伺う形でした。しかし、次々と拒否をされました。そうすると、一応ちゃんと補助金をもらってやっている事業なので、その内容を公表しないというのはいかがなものかということで、以後は公表ということを条件にお引き受けするという格好になりました。そうするとそれはしようがないということになりましたが、この調査は任意で御回答いただいて結構ですという形でやっているのですが、なかなか全員に御回答いただくというのは難しかったのです。それが必ずしも非常に不満足だから回答しなかったかどうかというところはわからないところなのですが、回答いただけたのも半分くらいととどまっているのは結果としては残念なところなのです。しかし、それ以上押しかけてお返事を聞くというわけにもいきませんので、このような結果になっているということであります。
○山本座長
ありがとうございました。
まだ御質問等がおありかもしれませんが、とりあえず本日のところはこの程度にさせていただきたいと思います。大変有益な検討部会についてインプットをいただけたかと思います。原事務局長、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして本日の議題「(4)今後の検討方針について」というところであります。まず資料6に基づきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
承知いたしました。それでは、資料6をご覧いただきたいと思います。「今後の検討方針について(案)」という形で記載させていただいており。参考資料5も併せて見ていただければと思いますが、前回、親の検討会におきまして、今後検討が必要な論点という形で医療事故に係る調査の仕組み等についてと、診療行為に係る無過失補償の仕組みについてという2つのテーマにおいてそれぞれ論点を事務局から提示させていただきまして、「今後の検討の論点案」を御議論いただいたところでございます。
その結果、検討部会でそのうちの「医療事故に係る調査の仕組み等について」の論点部分を、本日の資料6の検討事項のところに記載させていただいておりますが、これについては更に「医療事故に係る調査の仕組みのあり方について」と、「再発防止のあり方について」という2つの柱の中でそれぞれ更に小項目の論点を記載し、御議論いただくという形で記載させていただいております。
なお、この「医療事故に係る調査の仕組みのあり方」につきましては、前回の親検討会でなかったものとして、「調査を行う目的について」という項目を事務局の方から追加させていただいた形になっているところでございます。
この「医療事故に係る調査の仕組みのあり方」、また「再発防止のあり方」、それぞれ多様な論点があり、これらの議論を一括してやっておりますと話が行きつ戻りつということにもなる可能性が高いものでございますから、事務局としましては検討方針にも記載させていただいておりますように、下記の検討事項について、医療事故に係る調査の仕組みのあり方から、更にはその中の調査を行う目的についての辺りから、すなわち、上から順に検討する項目を絞って御検討いただければと思います。
勿論、それらの検討項目は、完全に独立した事項ではないということも御承知しており、若干他の部分と混ざった御議論になるということは承知しておりますが、検討の方向性として上から順に検討していかせていただければということが事務局の提案でございます。
今後の検討方針についての説明は以上でございます。
○山本座長
ありがとうございました。ということで、論点相互に関連性があることは間違いのないところではありますけれども、議論をできるだけ前に進めていく工夫として、論点を少しずつ区切って進めていきたいということでございます。この点について御意見をいただければと思います。
どうぞ。
○加藤構成員
加藤良夫です。
木村参事官の方から資料1に基づいて冒頭この検討部会の開催要項についてお話がございました。検討課題として医療事故に係る調査の仕組みのあり方というのが1つ、再発防止のための仕組みのあり方、こういうふうに大きく課題が書かれていました。
確認なのですけれども、調査をするという仕組みの大前提は、医療事故に関する情報がある程度きちっと集約される、言わば医療事故の情報収集ということ。言い換えれば報告の仕組みというものが極めて大事だろうということは、大前提としてまず認識しておかなければいけないだろうと思っているのです。
その上がってくるもの、それがそもそも上がってこないということでは調査の仕組みという話にならないという論理的な関係があるからであります。そのことを前提に確認していただいた上でということになりますけれども、調査を行う目的ということについて言えば、多分ここに参加されている構成員全員既に一致していることだろうと思います。すなわちそれは安全な医療、質の向上、そういうものをつくっていくためには事故から学んでいく必要がある。事故が起きても社会的にきちっとそれを集めるところもなく、分析もされず、そして放置されているということでは到底医療の質の向上や安全につながっていく文化は育っていかないということが基本的な認識だろうと思うのです。
その意味で医療事故に関する情報というのは、これまでのさまざまな事例が示しているように、どうしても下の方に沈んで沈殿する傾向がある。それをいかに浮かび上がらせてきちっと収集し、分析調査していけるのかということであって、その目的は端的に医療の質の向上、安全のために事故から教訓を引き出して医療現場に生かすということに尽きていると思っております。もし御異論があればディスカッションしたいと思います。
○山本座長
今の加藤構成員の御意見は、この検討方針は今のような形で検討していくということについては御賛同いただいた上で、具体的に調査を行う目的についての御意見をお述べになられたということでしょうか。
○加藤構成員
はい。
○山本座長
ほかに、今の加藤構成員の御意見に関連してでもよろしいですし、松月構成員、どうぞ。
○松月構成員
看護協会の松月でございます。
今、加藤構成員の御発言の中にございましたように、私は、現場で長い間患者さんや御家族の方々とお話をしてまいりました。医療機関に対する不信感の前提にあるものは、この病院で本当に大丈夫なのか、この病院は本当に医療事故を隠さないできちんと調査や分析をしてくれるのかということなのではないかと思いました。根本的な問題は、そのような調査・分析の実施が日本の国全体で保障されていないということにあると思います。医療には限界や不確実性もございます。けれど、それをありのまま真摯に話してもなかなか納得いただけないというのも事実でございます。私は日本中の各医療機関が死亡事故だけではなく、重大と思われる事故を届け出て、調査・分析する体制作りを推進することが求められているのではないかなと思っております。現場で沢山の患者さん、御家族の方、様々な事例の対応をし、そのように実感しております。
○山本座長
ありがとうございました。
樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員
私もこの検部討会に参加させていただいて光栄だと思っておりますが、今後の検討方針についてこういう事故、つまり何か医療事故があった場合にそれをどうやって調査していくか、目的としてどういう形で再発防止を図っていくかということで、一つひとつ項目を挙げて丁寧に精査していくというやり方を取るのであればそれはそれでと思っておりますが、2点だけその中で時間が限られているのでできることとできないことがあるとは思いますので、できる範囲で結構です。
1つは、私自身は前の大綱案の検討会にもたまたま出させてもらっていて、今、原さんが御説明された日本医療安全調査機構の方の運営委員会の座長も務めさせてもらっているものですから、そういう一種のバイアスはあるという前提でお聞き願いたいと思いますが、あの大綱案ができて、一旦、我々は期待したわけです。第三者機関を1つどんなに小さくてもいいからつくったらいいではないかという話だったわけですけれども、ぽしゃってしまった。しかし、こうやって復活の兆しがあって本当にありがたいことだと思っていて、そのときと例えば今日の会議で、勿論メンバーも違っていますけれども、オブザーバーに例えば消費者庁の方々もいらっしゃる。勝手にここの表で見ただけなので私はわからないのですが、たまたま昨日の報道によれば、消費者庁では事故調の委員会というのをつくるというので、今年中にも何か法案を出すという報道になっている。それが仮に正しいとして、先ほど飯田先生がおっしゃいましたけれども、消費者事故だってそれを全部扱うような事故調などは実現不可能に決まっているのだけれども、一体どういう形でどういうものをつくろうとしているのだろうかと。
消費者事故と一般に言われているものと医療事故はやはり違う面も随分あるのです。だから、医療事故は消費者事故調というものとまたちょっと違ったものをつくった方がいいというような議論をここでやったらいいのではないかというのが1つなので、消費者事故調の話も私だけしか知らないのかもしれませんが、聞かせていただけないだろうか。オブザーバーとしてせっかく参加してくださっているならばそれもお願いしたいというのが1つ。
2つ目は、そこでモデル事業というのを今でもやっているのですが、あれは5年ぐらいでやってやはり法制化という話がなかなか難しくて、しかし、その後、どっこい死んでないというか、私も本当にその意味では感動しているのです。
1つは、加藤良夫さんが何度も繰り返しここでもおっしゃったように、大綱案のところに書いてあるのですけれども、つまり遺族の願いというのは、そういう医療事故に当たってしまうわけです。不運としかいいようがないのですけれども、不運ではやはり済まないだろうと。真相を明らかにしてほしいという願いと、同様の事態、同じようなことは繰り返してもらいたくない、再発防止という願いと、医者の願いは全く一緒です。医療者だってとにかく事故を起こしたいと思って医療をやっている人はいないので、そうすると、それが一緒になってとにかくこれは何とかしようよという形のものをやってきているのですけれども、モデル事業の時代と今の医療安全調査機構では幾つかの違いがあるのです。
1つは、あのときだって医療界は相当に支援をしてまとまってやってくださったのだと思うのですが、今はとにかく機構というのを立ち上げて、既に19学会で一応予定よれば医師会から病院会から参加して、とにかく医療界全体として何とかしないといけない。1つ駆け込み寺としての第三者機関をつくっておかないと、有賀さんが言うように院内調査委員会が立ち上がってそこでちゃんとやってくださいよという遺族と病院との関係ができていればそれはそれでいいのです。しかし、そうではない場合がある。そうでない場合について、まさに全体の安全の仕組みとして1つは小さく生んで大きく育てるというようなことでもいいから、とにかく第三者機関というのを1つつくっておくと、患者にとっても医療者にとってもそれはいいのではないだろうかという話で、今後は看護協会とか薬剤師会の人や何かに、学会も19学会どころではなくてもっとたくさんの学会に社員になっていただいて、検証作業というのをやろうとしているのです。
そのころと違ったもう一つ大きなものは、厚生労働省の関係では医療機能評価機構というのもあって、そこの方も運営委員会にも出てきていらっしゃいますし、それだって医療安全のための機構ですから。一番大きいのは患者の代表の方も今度は入っていただいてもう既にやっているのですけれども、そういうところで工夫しているのです。
そこで最後のところへ戻るのですけれども、その数は小さいかもしれないけれども、私が見聞している限りは、それに関係しているいろんな地域の実際の事故調査に当たっている、先ほど原さんが説明した評価委員の方などは本当に手弁当でというか、とにかく少ない時間を何とか捻出してみんなで集まって、真剣にこの事故はどうして起こったのかというのを議論しているのです。
あれを例えばここで、この真ん中でシミュレーションで30分ぐらい調査委員会の模様を仮名で具体例を基にしたようなものを1回やらせてみてくださらぬだろうか。それをいろんな人がこんなことをやって真面目に医療者たちがやっているのだということを、こういう機関だったらどこかに1つぐらいはあってもいいねということを見せていただけるような機会が、先ほどの原さんの御報告は非常に簡潔にしてあれなのですけれども、やはりこういうのがいろいろ流れていますよという話だけなので、現場の雰囲気を伝えるようなものをこの場でうまくやれるかどうかわからないのですけれども、やっていただけたら傍聴の方などもいらっしゃるわけだから、特にメディアの方がそういうのは非公開でやっているわけですから、シミュレーションとしてそういうのを30分だけでもやっていただけると、こういう真面目な議論が行われていて、しかもそういう議論の中でも医療事故はなかなかわからないのだなと、解剖してもわからない、しかし、そういう人たちが集まって結局まだ今の医学ではわからないのだなということが出てくれば、遺族はそれなりにはやるだけのものはやってもらったということで納得もするというのも先ほどのデータには出てきているはずなのです。みんな遺族に有利なデータが出てきたからよかった、納得したという話ではなくなっているので、そういうことも入れていただければ助かるという、ありがたいと思っているということです。
○山本座長
ありがとうございました。
済みません、2点の御提案というか御意見。消費者庁の方から御説明をいただきたいということと、そういう具体的な例に基づくシミュレーションというかプレゼンテーションというか、そういうような機会があったらいいのではないかという御提案だったかと思います。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
ただいま2点の御提案あったことについてでございますけれども、まず1点目の消費者庁の件でございますが、実は親検討会の最後、すなわち第4回目の検討会が12月22日に開催されたところですが、そこでまさに消費者庁の方からお越しいただきまして、今回の事故調についての現状と今後の方針について御説明いただいたところでございます。本日はオブザーバーとして来ておられますので、また改めてこれについては御報告させていただきたいと思います。
2点目のより具体的なシミュレーションなどのようなものでございますが、これにつきましても事務局で改めてどの程度できるか今はわかりませんけれども、なるべく前向きに検討させていただきたいと思います。
○山本座長
御報告をいただければと思います。
それでは、飯田構成員、どうぞ。
○飯田構成員
まずこの検討部会ができたことに感謝申し上げます。私はいつも事故分析、再発防止と有責、無責あるいは過失、無過失補償に関しては別の枠組みにしなければならないということで申し上げましたので非常にありがたいと思っています。
今、加藤構成員、樋口構成員からお話があったのとほとんど同じ意見です。ただ、目的は同じなのですが、議論しているうちに中身が変わっていってしまうことを危惧します。この検討部会だけではないのですが、勿論、患者・家族の納得・安心も大事なのですが、私たち医療従事者の納得・安心はかなり置いていかれているのが問題になっています。勿論、医療事故を起こすこと自体が医療従事者の責任あるいは過失があると思うのですけれども、そうではないものがかなりあるという事実があります。したがって、先ほど来、お話があったように情報収集、きちんとした情報を出すためには安心してデータを出せる状況にしていただきたい。これをどういうふうに扱うかということ自体がかなり大きな要因になりますので、そこもきちんと御議論いただきたいと思います。
そして、私たちも安心して納得していればいい医療ができますから、結果として患者さんにはいい医療が提供できます。ただ、事故を起こした後もきちっとした分析ができればそれが再発防止につながりますので、是非お願いしたいと思います。趣旨は全く賛成です。
○山本座長
ありがとうございました。
それでは、豊田構成員、どうぞ。
○豊田構成員
樋口委員の方から具体的なシミュレーションのようなものということで御提案があって、私はそもそもそういうことを検討会のような場で行うのは不可能だと思っていたのですが、発言していただいて是非お願いしたいと思いました。
実際に私は、産科医療補償制度の原因分析委員会に参加していて、そういう場に参加しなければ医療者側の思いを理解できなかったのではないかと思う点がすごくあります。産科医の先生方と助産師の方と弁護士の方と有識者の方々で構成されていて原因分析を行っていくのですが、どのように話し合っていくのかが患者側には全く見えない世界ですけれども、決して甘い方向に議論するということではないですし、御自分の勤務しているところの状況しかわからないということは先生方もあると思うのです。産科の場合、いろんな大きさの分娩機関があって、そういう中でこんな現状なんだということを先生方も知ることになり、私たちも知ることになり、その中で分析していくと、やはり互いの事情を知っていくという意味では、これはやらないより絶対やった方がいいということに皆さんが気づかれると思いますので、是非何かそういうことが私たちにわかるような形で伝えていただける場面があるといいのではないかと思いました。
そもそもすべてをやるのなどは無理だという議論が出てしまえば本当にそれで終わってしまいますが、小さくても1つずつやっていくことが大切で、多分モデル事業もそうして少しずつ積み上げてきたと思います。それでもこんな数では全然足りないのではないかという話はたしかにそのとおりかもしれませんが、そういう考えを持つのではなくて、一つひとつ積み重ねていくことによってわかることはあると思いますので、是非そういったところを見ていただければ、医療者の皆さんも患者も方向性が一緒だということがわかりやすくなると思いますので、是非何かそういう場面をつくっていただけたらと思います。
○山本座長
ありがとうございました。ほかに。
それでは、山口構成員、先にお願いします。
○山口(育)構成員
この調査の目的のところですけれども、私たち22年間電話相談を日常の活動の柱にしてきまして、これまで5万件を超える電話相談を患者さん、家族から受けてまいりました。その中に「納得いかない結果になった」という御相談があって、今回の内容とも関係するのかなと思います。なぜ納得できないのかというと、「十分な説明が受けられなかった」、あるいは「説明を受けたけれども、それについて理解ができない」、あるいは「結果に納得できない」。そういった場合に、中立的な意見を求められる場がないのが現状だと思います。
そうすると、今どういうふうにして第三者の専門家の意見を聞く方法があるかというと、弁護士さんを介して、その弁護士さんのつてやつながりがあるところの協力医の意見を聞くことになります。そうすると、その協力医が匿名であったりとか、あるいは単独の意見しか聞けないというのが現状です。中にはエビデンスなどが確立できていなくて、本当だったらドクターによって意見が違う場合もあっても、その1つしか聞けないということで、結局は納得に至らないということも多くあると感じています。
今回、中立的な第三者の意見ということで、私は是非複数の専門家の意見を求められる場が必要ではないかと思っています。そういったときに、どうしても現状では専門家によって意見が異なる場合が結構あるのということや、グレーゾーン——結果的に原因究明ということが目的にありますけれども、究明できないこともあるのだということを私たち患者側も知っていくことが、これから冷静な医療を築いていく上ではとても必要なことではないかなと思っています。だとしたら、目的の中にそういう国民の冷静な医療の参画というようなことも1つあるのかなと思いました。
その次の議論になるのかもしれないのですけれども、医療事故という言葉自体も定義が非常に広くて、今回の議論のときに有害事象全部を対象にするのか、死亡した内容に限定するのか、それとも、これもこれから皆さんと議論していく内容なのかについても最後に確認させていただきたいと思います。
○山本座長
今の最後の山口構成員の意見はいかがでしょうか。
関連することですか。どうぞ。
○有賀構成員
今の御質問に関連して、結局分析的に書きますと資料6の検討事項が並ぶわけで、逐条的にやっていかないという考え方はあり得るとは思うのですが、どなたかもおっしゃっていたように、これは全部独立事象ではありませんね。先ほどの医療安全調査機構のお話の中にも出てきたように、全体の話を聞くと範囲は何なのかということが具体的になるわけです。ですから、私は先ほど始まって間もなくのときに発言しましたように、こういうふうな仕組みについて提案している各種の団体の方たちに、それらの方たちが具体的にやっていますので、だから、具体的にやっている内容から見るとそうか、対象はこうなんだということがある程度わかるわけです。
今回の医療安全調査機構についてはまだ今後の問題がどうもありそうだということもわかったのですけれども、それにしても剖検ということでいけば解剖事例だということがわかるわけです。比較的抽象的にこういうふうなものというよりは、むしろ具体的にこのようなことについて取り組んでいろいろと言っておられるような方たちに来ていただいてお話しを聞くと、それが対象なんだということにもなり得ると思うのです。ですから、私はむしろ仕組みについて提案している人たちに、今のようなことも含めて発言していただく。それを集積すると、この場所での意見のそれなりのコンセンサスに至るのではないかなと思う次第です。
○山本座長
先ほどの山口構成員の質問についてはいかがですか。
○木村大臣官房参事官(医療安全担当)
まさに今、有賀構成員からのお話のことと同様のことを御回答させていただこうかと思っていたわけでございます。次回以降、関係団体等の方々にはいろいろな御提言があることは承知していますから、その方々をお呼びしてお話を伺う。その中で、目的あるいは対象範囲をどこまでにしたらいいかというようなことも併せてお伺いしていく、そのような方針のもとでまずは議論のための情報提供をさせていただいたと思っております。
○山本座長
よろしいでしょうか。
では、宮澤構成員、どうぞ。
○宮澤構成員
本会の目的というのが医療の質の向上と医療の安全を目指していく。これは大変にそのとおりであって、私も大賛成です。そのための事実関係がどうであるうかということを正確にくみ取る必要がある。そのときにどうしても問題にならざるを得ないというのは、刑事司法との関連性の問題ではないかと思っています。
先ほど飯田構成員の方からも医療者の安心・安全というのはどうなのかということなのですけれども、項目の中で確かに捜査機関との関係についてということがあるのですが、最終的にそれがどこに向かっていくのか。最終的に刑事司法、刑務所に行きなさいとかそういうところまで行ってしまうのかということを考えるときに、どうしてもそれとの関連を抜きにしてこの医療の安全というものを達することはなかなか難しいのではないか。
例えば民事法ですと、失火責任法などというのがありまして、故意と重過失だけが損害賠償の対象になる。普通民法ですと、過失があれば損害賠償の対象になるのですけれども、失火に関しては故意と重過失だけが損害賠償の対象になるというような法律があるということを考えると、医療の場合においても、例えば故意と重過失は刑事司法に行ってこれは仕方がないということはあるとしても、軽過失に関して処罰の対象にするというよりも、むしろ損害賠償なり補償ということをきちんとした上でその事実の内容がどうであったのかということを正確にくみ取るために刑事司法の免責ということがあってもいいのではないかということも含めて、そういうことも検討の対象、今後のあり方、正確に事実関係を吸収するということを考える上では、そういうことも対象になったらいいのではないかと考えております。これは私の意見です。
○山本座長
御意見伺いました。
山口委員、どうぞ。
○山口(徹)委員
今のお話に関連しますけれども、この医療安全調査機構がやっています事業も、医師法21条で届け出た事例については対象になっていません。したがって、最初の総合調整医が受けるときに一番気を遣っている点は、医師法21条に相当する事例かどうかで振り分けているところであります。医師法21条に沿って警察に届けられた事例については、この機構での検討の対象に入っていません。
その意味で言いますと、今、医師法21条で届けられて司法解剖に回されますと、解剖の結果も病院は知ることができません。したがって、本当にちゃんとした検討をして医療安全に最も役立たせなければいけない事例については、実はそれを検討する材料、すなわち解剖結果すら入手できないことが現状にあるわけです。従って、この21条の問題も含めて検討しないと、調査の範囲が非常に偏ったものになるでしょうし、医療安全という面から言うと、そこが一番医療安全の大きな重要なパートだと思いますので、どこかでこの問題も含めて検討していただきたいと思います。
○山本座長
鮎澤構成員、どうぞ。
○鮎澤構成員
実は私も樋口構成員と同様、私的懇談会と位置づけられている3年前の検討会のメンバーです。改めて3年経ったところでこうしたことが検討されることになったことは本当にうれしく思っていますし、御一緒させていただくことをありがたく思っています。
この3年の間にそれでもいろいろなことが進んできました。その大きなことの1つが、医療現場の院内の事故調査のあり方だと思っています。モデル事業等も通してさまざまな検討のあり方、調査のあり方にそれなりの雛形ができ上がる、標準化が進んでくる、そんな中で、3年前とは違うレベルでいろいろな調査ができるようになってきたし、医療現場の人たちは誠実に事故を調査し、患者さん、御家族、御遺族に向き合おうとしておられる。大きな進歩があったのではないかと思っています。
ただ、その中で今も御議論あったように、誠実に向き合うとする中で医療従事者は大変不安な思いもしているのです。21条の問題もしかり、例えば事故が起きる、さあ調査と言った瞬間、もしかしたらこれは将来証拠の隠滅と言われるのだろうかというような思いすら心をよぎったりすることになります。
これから大きな社会制度の中で議論されていくことになるでしょうけれども、その手前のところで現場の事故調査、院内の事故調査がきちっとしたものでなければならない、このことは恐らくどなたも異論がないことだと思います。その現場の事故調査に当たる医療従事者、その他の皆さんが不安なく調査に当たれるように、今皆さんが心に抱えているさまざまな不安を一つひとつ丁寧に吸い上げて解決していっていただくことはとても大事なことになると思っているので、是非その辺りを吸い上げていただくことを全体を通してお願いしていきたいと思います。
○山本座長
ありがとうございました。
どうぞ。
○本田構成員
読売の本田といいます。
この検討部会は初めての参加なのですけれども、私自身は乳がんの患者で、実は手術を受けた際に一度術後すぐ3か月後に局所再発をしたということで手術に不信を持ったことがあって、そういう経験から実は医療というのはとても不確かで、わからないこともとても多いのだということを、私は記者という立場でしたので主治医とは違う、また第三者の全く違う自分が信頼している取材を通して知った先生にいろいろ説明を受けてすごく納得できた。それでまた主治医への信頼感も勿論ずっと保っているということがあるのですけれども、そういう意味では何かあったときに当事者同士でちゃんと話し合える、理解し合えるという状況であれば全然いいのですけれども、何かちょっと不信を持ってしまったりとか、何かのときに何かできるという第三者機関があるということはとても重要だと思うので、この議論をちゃんと進めて、何かの形できちんと国民に提示していくということが必要だと思っています。
その際にいろんな議論、皆さんの御意見は一つひとつもっともだと思っていたのですけれども、この目的というところで皆さんおっしゃっていたことに加えて、私は山口構成員がおっしゃったような国民の冷静な医療への見方ということを促進するということもとても大事だと思いますし、あと1つは、国民の患者・家族、勿論、医療者もですけれども、また患者・家族になる可能性のある国民も理解ができるというか、そういうことも視点として入れていってほしいなというのも感じています。
そういう意味でも、なかなか難しいのかもしれませんけれども、樋口構成員がおっしゃったような、医療者が真摯に向き合っているのだということを具体的に示すというのも、そういう取組みがあってもいいのかなと思ったのでお願いしたいと思いました。
○山本座長
ありがとうございました。
中澤構成員、どうぞ。
○中澤構成員
今の国民の見方ということに関連してなのですけれども、今、まだ都会ではわからないのですけれども、地方ではかなり高齢化は進んでいまして、高齢化が進んだ場合に、非常に患者さんは死に近い状況で医療が行われています。ですから、そういった意味で死ということについての国民の認識がまだ一定のところまで行っていないところもあるので、これは時間がかかるかもしれませんけれども、非常に重要なことなので、それが今の冷静な見方の促進というところの中でも取り上げられていただければ非常にいいことではないかと思います。
○山本座長
ありがとうございました。
私の不手際で既に時間を超過しておりますけれども、かなりの程度、中身の御議論に既に入っていただいて、とりわけこの調査の目的あるいはこのような第三者機関の意義といったような点について、何人かの構成員の方々から御意見の表明をいただいたと思います。
また、医師法21条との関係についても幾つか御意見がございました。これにつきましては、恐らくこの検討事項、最初の丸の最後の辺りにある捜査機関との関係についてといったようなところで当然御議論の重要な対象にしていただくべき事柄かと思いますけれども、全体としましては、このような形で一応相互に関連性はあるという、有賀構成員から独立の事象ではないというお話がありました。それはそのとおりだと思われますけれども、ただ、一応はこのような形で区分をして、それぞれについて議論していく。有賀構成員から御提案がありましたように、いろんな意見を述べておられる方あるいはいろんな資料等、先ほど消費者庁というお話もありましたが、そういういろんな情報をインプットしていきながら、それぞれの項目についてとりあえず議論をしていって前に進めていってみるというような感じで、そういう意味ではざくっとしたというか、緩やかなものではありますが、こういう形で区分をして議論を進めていくということ自体については、よろしゅうございましょうか。今のような趣旨でということです。
○有賀構成員
だから、結局そういう意味では、行ったり来たりすることを自由にするということがないと膠着してしまうということです。
○山本座長
勿論、それは当然そういう前提であろうかと思います。一応の区分ということかと思いますけれども、そのようなことでよろしゅうございましょうか。
○山本座長
それでは、一応そのような形で次回以降進めさせていただくということで、そういたしますと、次回は、当面最初の方にあるのは調査を行う目的あるいは対象範囲と、今日もかなり御議論を既にいただいたところでありますけれども、更にこの辺り、ここが一番恐らくキーとなるところだと思いますので、その辺りから御意見をいただければと思います。
それに当たりましては、是非この場で今日のように活発に御議論いただくということは勿論大変ありがたいわけですけれども、もし事前に御意見をまとめていただくことが可能であれば事前に出していただいて、それを踏まえて議論をすれば更に有益なというか、議論を深めることは可能だと思いますので、できれば次回はそういうことですので、こういう事故調査を行う目的あるいは意義といったようなもの、既に今御意見をいただいた構成員の方も多くおられますけれども、もし事前にまとめていただければ、それを提出していただければ大変ありがたいということをお願いしたいと思います。
それでは、時間を超過しましたが、本日の議題はこれまでということにしたいと思いますが、最後に事務局の方からお願いいたします。
○宮本医療安全推進室長
今後の開催でございますけれども、構成員の皆様には既に半年分ぐらいの日程をお伺いしておりますので、これに基づきまして日程を決めましてまた御連絡差し上げたいと思います。
また、今、座長から御案内いただきました目的ですとか意義などに関します御意見についてですけれども、一旦ということでございますけれども、2月24日までにいただければ私どもの都合としては非常にありがたいということでございますが、それにとらわれることなくまた御意見いただければ結構でございます。
○山本座長
どうか御協力のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会をしたいと思います。長時間にわたる御議論、誠にありがとうございました。
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