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2012年2月6日 第3回健診・保健指導の在り方に関する検討会 議事録
健康局総務課保健指導室・生活習慣病対策室
○日時
平成24年2月6日(月)15時~17時
○場所
中央合同庁舎5号館18階 厚生労働省 専用第22会議室
○議事
出席者
構成員
荒木田 美香子 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻看護学分野地域看護学領域教授
井伊 久美子 公益社団法人日本看護協会常任理事
大井田 隆 日本大学 医学部教授
門脇 孝 東京大学大学院 医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
迫 和子 社団法人日本栄養士会専務理事
佐藤 保 社団法人日本歯科医師会常任理事
島本 和明 札幌医科大学長
竹村 克二 医療法人寿慶会竹村クリニック院長
津下 一代 あいち健康の森健康科学総合センター長
永井 良三 東京大学大学院 医学系研究科教授
野口 緑 尼崎市環境市民局市民サービス室健康支援推進担当課長
林 謙治 国立保健医療科学院長
保坂 シゲリ 社団法人日本医師会常任理事
松岡 幸代 国立病院機構京都医療センター・臨床研究センター予防医学研究室研究員
三浦 宏子 国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野統括研究官
宮崎 美砂子 千葉大学大学院 看護学研究科地域看護学教育研究分野教授
宮澤 幸久 帝京大学 医療技術学部教授
宮地 元彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部長
山門 實 三井記念病院総合健診センター所長
厚生労働省
(健康局)
外山健康局長
野田生活習慣病対策室長
尾田保健指導室長
畑農保健指導室保健指導専門官
三田生活習慣病対策室長補佐
秋月がん対策推進室長補佐
(保険局)
鈴木医療費適正化対策推進室長
○永井座長 では、ただいまから第3回「健診・保健指導の在り方に関する検討会」を開催いた
します。
まず、事務局より出席者の確認をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 本日は、迫構成員、鳥羽構成員、吉池構成員、そして大江構成員から御欠
席の連絡をいただいております。また、保坂構成員からは遅れて御出席との御連絡をいただいて
おります。
また、本日は事務局に、保健局総務課医療費適正化対策推進室の鈴木室長も着席しております。
○永井座長 では、議事に入ります。
議題の1は「特定保健指導の対象とならない者への対応について」でございます。
前回御議論いただいた中で、現在の特定保健指導の対象となっていない方のうち、健診でリス
クが明らかになった方につきましては何らかの対応をすべきという御意見がございました。
本日は、まず、副座長であられます津下構成員から、議論の参考として、各学会のガイドライ
ンをベースにしまして、リスクに応じた対応方策についてまとめていただいたものを説明いただ
き、その後で事務局から議論に当たっての提案の御説明がございます。その後、議論に入りたい
と思います。
では、津下構成員からお願いいたします。
○津下構成員 よろしくお願いします。
資料1-1をごらんください。これは、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、
日本肥満学会等の学会ガイドラインと、そして、平成20年度に開始された特定健診・保健指導の
制度を勘案しまして、生活習慣病について健診でどのように把握できるかということを、マトリ
ックスにして整理をいたした資料でございます。
まず、その前提でございますけれども、「個別の検査結果の判定」というところですが、各学
会では、それぞれの疾病に対して基準値を設けて、その対応をガイドラインとして示しておりま
す。それを横串にして、程度、重症度に応じて整理をしたのがAゾーン、Bゾーン、Cゾーン、
Dゾーンと書かれたものでございます。
Aゾーンは、異常なしということで、2の表1、血圧の所をごらんいただきますと、収縮期
130mmHg未満、拡張期85mmHg未満は、異常なしというふうに判定されます。
Bゾーンは、境界型、予備群という範疇にありまして、特定健診では保健指導判定値と位置付
けられるものでございます。
血圧で言えば、収縮期130~139mmHg、拡張期85~89mmHg、ここに該当するものがBゾーンであ
りまして、糖尿病について言いますと、空腹時血糖100~125mg/dl、そして、ヘモグロビンA1c
が6.1%未満という範疇がここのBゾーンに該当するものと考えられます。
Cゾーンにつきましては、特定健診では受診勧奨判定値となっております。学会基準では疾病
として判定されます。例えば、高血圧症とか糖尿病とか脂質異常症というような疾患病名が付く
ところがCゾーン以上でありますけれども、比較的軽症であり、各学会ガイドラインも保健指導
を重点的に行うべきとしています。薬物治療よりも生活習慣改善指導をまず実施して、3~6か
月実施した上で、効果が乏しいと考えられるときに薬物治療に切り換えるという記述になってい
るところがCゾーンになっております。
血圧で言いますと、収縮期が140~159mmHg、そして拡張期が90~99mmHgということになろうか
と思います。
そして、Dゾーンにつきましては、医療管理下に置くことが必須という記述になっているもの
で、食事・運動療法も大切ではあるが、薬物治療を考慮する必要があると考えられる状態という
ことで、受診勧奨を積極的に行うべき対象者ということになろうかと思います。
血圧で言いますと、収縮期160mmHg、拡張期100mmHg以上、又は糖尿病で言えば空腹時血糖
126mg/dl以上のヘモグロビンA1c6.1%以上というものが該当する範囲であると整理をしており
ます。
言い換えますと、これまで特定健診ではCゾーンとDゾーンをひっくるめて受診勧奨となって
おりますけれども、各学会ガイドラインでは、その程度に応じた対応をするようにという示し方
がされております。
次のページをごらんください。脂質異常症については少し異なっている点がありまして、動脈
硬化学会では、冠動脈疾患をまだ発症していない段階での一次予防では、まず、生活習慣改善指
導を優先するという記述になっております。
脂質異常症につきましては、中性脂肪、トリグリセライドが150mg/dl以上を脂質異常症という
ふうに判定しますけれども、特定健診ではこれが保健指導判定値に該当しており、受診勧奨判定
値は300mg/dl以上になっているということで、若干、特定健診の基準と学会ガイドラインがずれ
ているところはありますが、2008年3月の時点で作成しました「メタボリックシンドロームリス
ク管理のための健診・保健指導ガイドライン」のところでは、門脇先生、島本先生、松澤先生の
お考えや各学会の御意見もいただいた上で、このように整理をさせていただきました。
次に、3の「保健指導、受診勧奨の考え方」でございます。これが先ほどの特定保健指導の対
象とならない対象者というのがどういうところにあるかというのをマトリックスでお示ししたも
のになります。
肥満というのは、腹囲やBMIで判断してのものですが、その上にリスクが幾つあるかという観
点、それから、肥満のない方ということで、まず、横軸に肥満の有無とリスクの重複状況を示し
ております。
そして、縦のラインは、先ほど申しました検査値の程度になっております。
肥満のある方でBゾーン以上の者については、特定保健指導の対象。リスク1個であれば動機
付け支援、2個以上であれば積極的支援という位置付けになっており、受診勧奨判定値以上のC
ゾーン、Dゾーンにおいては、特定保健指導を実施する、又は受診勧奨を実施するという整理が
「標準的な健診・保健指導プログラム」でなされております。
一番右の肥満のないところにつきましては、これは特定保健指導の対象とならないリスク保有
者ということになろうかと思いますが、この中でBゾーン、予備群に該当する方については、こ
の時点の記述では当該疾患についての情報提供を行うこと。そして、Cゾーン以上では生活習慣
改善指導を行い、改善の程度を見極めるために医療機関を受診すること。Dゾーンでは、確実な
受診勧奨を行い、医療管理を行うこととしております。
4をごらんいただきますと、ここの特に赤枠で囲った所につきましては、それぞれの学会ガイ
ドラインに示した管理を行うということを基本とするということです。
B・Cゾーンの場合には、生活習慣の改善というのがまず優先的に行わなければいけませんの
で、食生活の注意点に関する情報提供、減塩とか、糖分・脂肪分、又は飲酒等々の情報提供や運
動実践を進めた上で経過観察とし、一定期間後に臨床検査にてその効果を確認することを推奨し
ております。
非肥満の糖尿病や高血圧においても、このような食事や運動療法の有用性というのは確立して
いるため、そのような情報提供や機会の提供というのは必要であろうと考えております。
また、肥満のない方のDゾーン以上については、受診勧奨を積極的に行うべきである。ただ、
その場合も、まず、生活習慣改善を行うことや、定期的な検査をするということも含んでの受診
勧奨であるという位置付けで整理をさせていただいております。
これが2008年3月の「メタボリックシンドロームリスク管理のための健診・保健指導ガイドラ
イン」という冊子に基づく整理となっております。
以上です。
○永井座長 ありがとうございました。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 資料1-2でございますけれども、この資料の上段は、前回御説明した内
容と同じでございます。現在の「標準的な健診・保健指導プログラム」におきます特定保健指導
非対象者への対応に関する記載でございますが、
医療保険者の判断により特定保健指導の対象者以外の者に対しても、保健指導等を実施するこ
とができる。
市町村の一般衛生部門においては、医療機関を受診する必要があるけれども、医療機関を受診
していない者に対する対策、あるいは特定保健指導対象者以外の者に対する保健指導等を行うべ
きである。
受診勧奨に関しましても、健診機関の医師が直ちに医療機関を受診する必要があると判断して
いるにもかかわらず、受診していない場合は、治療の必要性を指導することが重要である。
受診勧奨判定値を超えた場合でも、軽度であれば、まず生活習慣病の改善を優先して行うこと
が一般的であり、各学会のガイドラインを踏まえ、医師の判断により、保健指導を優先して行い、
効果が認められなかった場合に、必要に応じて受診勧奨を行うことが望ましい。
これが現在のプログラムの記述でございます。
「今後の方針(案)」と書いております所のことを御説明させていただきます。
特定保健指導の非対象者への対応のあり方につきましては、市町村や各医療保険者における現
在の対応の実態や実施体制について実態の把握に努めつつ、今後引き続き検討する。
一方、当面の対応として、現在の標準プログラムの枠組みを前提として、各保険者や一般衛生
部門で特定保健指導の対象者以外の方への対応を行う場合の参考として、血糖、血圧、脂質につ
いてのリスクに応じた対応の指針となる内容を「標準的な健診・保健指導プログラム」に盛り込
む。
この場合に、具体的な保健指導等の手法などについて有識者の意見を踏まえて検討する。
以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
では、ただいまの御説明を踏まえまして、特定保健指導の対象とならない方への対応について
の御議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。島本委員。
○島本構成員 札幌医大の島本です。
制度発足前の検討会においては、高血圧についても、実はどういうふうに扱うかということで
問題になりまして、先ほど津下先生が言われましたとおり、保健指導につきましてはメタボ中心
にやるということが決まっておりましたので、高血圧については収縮期140~159mmHg、拡張期90
~99mmHgの軽症高血圧ですね。Ⅰ度の高血圧は、原則として保健指導でいい。受診勧奨は1年間
はしないと。情報提供でいくということで学会の方もまとめました。
ただ、それは、1つの理由として、4,000万人の患者さんのうち、ほぼⅠ度に当たる方が3分の
1いる。すごい数の患者さんがいますので、全員を糖尿と同じように空腹時血糖126mg/dl以上を
100mg/dl余に振り替えて、全員を受診勧奨にした場合には、医療費が非常に大きくなるだろうと
いうことが1つありました。
それと、ガイドラインで一応、3か月から6か月は生活習慣改善を指導しているということが
ありましたので、1年間は少なくとも情報でいく。ただし、今回見直しに当たっては、それを何
らかの形で保健指導に入れていただくということを前提にして、前回はそのようにさせていただ
きました。
前回の情報提供の中でも条件を付けておりまして、まず、高血圧という病気であることをしっ
かり認識していただくように情報提供をする。
それから、生活習慣の改善、特に運動と減塩を中心とした食事療法をしっかり伝えていただく
こと。
それから、次回の健診は必ず受けて、それでも高ければ受診勧奨すること。
それから、家庭で血圧をなるべく計測していただくようにして、家庭で血圧が収縮期135mmHg、
拡張期85mmHgで、高血圧の領域になったら、その段階で病院に行っていただくこと。
これらを全部情報提供で伝えていただくという条件のもとで、前回は情報提供で学会としては
まとめたところです。
ですから、今回もしも何らかの形で情報提供にとどまるということになりますと、学会として
は大変困ることになります。何らかの形での特定保健指導に入っていただくか、そうでないとし
たら、収縮期140mmHg、拡張期90mmHg以上は、空腹時血糖の126mg/dl以上と同じように、これも
無条件に全員に受診勧奨してしっかり病院に行っていただく。高血圧学会にとっては、そのいず
れかしかないと思っております。
以上でございます。
○永井座長 それは、カテゴリーのCの所ですね。
○島本構成員 Cです。
○永井座長 Cの所が問題になると。
○島本構成員 それから、Cは実はちょっと複雑で、拡張期140~159mmHg、収縮期90~99mmHg
のうち、ただし、ほかのリスクがゼロの方です。全くほかにリスクがなくて、血圧が高いだけの
方はこのようにする。例えば、ほかのリスクがあったら、肥満があれば、血圧が高いというだけ
で動機付け支援に入ってしまいますけれども、ほかの脂質であれ、血糖であれ、リスクがある場
合には、これは中等リスクになりますから、これ全部が受診勧奨に既になっております。ですか
ら、リスクがほかにゼロで、血圧だけがⅠ度の軽症高血圧の場合には、前回は受診勧奨しないで
情報提供していたのですが、そこのところを今回十分に御議論いただきたい。これは、学会と、
前回も厚生労働省とも話し合って、それから、山門先生の人間ドック学会とも一緒に話し合って
決めたところでございます。
○永井座長 ありがとうございます。
山門委員、どうぞ。
○山門構成員 山門でございます。
島本構成員に確認でございますけれども、今の判定区分Cの対応でございますけれども、従来
の高血圧学会ガイドライン、すなわち、2004年は、6か月の生活習慣改善指導を行う。それでも
収縮期140mmHg、拡張期90mmHg以上の者は受診勧奨。2009年は3か月に短縮されています。それ
を今のお話ですと、1年猶予するということで理解してよろしいでしょうか。
○島本構成員 そのとおりです。3か月を実質は3~6か月というようにちょっと長めに解釈を
して、特定健診は1年に1回の実施ですので、途中でやらないわけなので支援しなければなりま
せん。ですから、その間1年間はやむを得ず情報提供を行う。これは、学会としては決して好ま
しいと思ってやっているわけではなく、今回、見直しを前提に置いて、そのようなことで前回は
納得して決めたと、そのように御理解いただきたいと思います。
○山門構成員 ありがとうございます。
○永井座長 どうぞ。
○保坂構成員 今のお話はとてもよくわかったような気がするんですが、すごく根本的なことで、
ものすごく強い疑問を感じたんですが、本来はこうだけれども、お金がかかるから、とりあえず
いいんじゃないかということでやったと。そうだとすると、厚生労働省が推進している健診とい
うのは一体何なのか、健診が科学的、医学的な要因ではなく、ほかの要因で縛られているように
何となく感じてしまって、根本的なことでものすごく大きな問題があると思うので、この際、そ
こを絶対に見直すべきだと、今、強く感じたところです。今までせっかくやってきたところを継
続しつつ、いい点を残しつつ、正しい方向にしていくというのが、穏当なやり方でしょうが、や
はり相当抜本的に、この際、見直すべきところは見直すという、方向に是非持っていっていただ
くように、特に座長には強く御指導いただきたいと思いますので、一言申し上げます。
○永井座長 島本委員。
○島本構成員 本来対処すべき方をということは勿論あるんですけれども、この軽症高血圧の方
が病院に行っても、薬を飲まない、あるいは軽い場合、まず病院に行かないですね。その場合、
こういった健診をして保健指導に入ってもらえれば、少なくとも高血圧が軽い場合には正常値に
なる可能性も高いだろうと。それから、途中でやめてしまうことも結構多くて、だから、受診勧
奨の徹底ができないのであれば、特定保健指導の制度に乗ってやっていくということは大きな意
義があるだろうということで、制度発足時の議論では、そのようにしているということです。
○保坂構成員 結局、そういう方も特定保健指導の対象に乗せられれば、私もいいと思いますけ
れども、おそらく財源の問題から今は対象となっていませんよね。ですから、本当はやらなけれ
ばいけないのに、すごく中途半端な状況になっている。受診勧奨といっても、別に薬を飲めとい
うことではなくて、本来は、健診を受けたときに、いわゆる動機付け支援のようなことをまず受
けて、その後、経過を追って、医療機関でその後の指導を受けるなり、あるいはこの特定保健指
導の仕組みの中に入れるなりということをきちんと位置付けるようにしないと、せっかく健診を
やっているのに対応が抜けてしまっているということを私は強く申し上げたいと思います。どち
らにすべきかという固定概念は持っていませんが、そのことを是非座長によろしくお願いします。
○永井座長 門脇委員。
○門脇構成員 私も今の保坂先生の御意見の趣旨に大賛成です。特定健診・保健指導は、あくま
でも本格的な生活習慣病になる前に予防することが目的です。しかしながら、生活習慣病を発症
したら、それは生活習慣指導も含めて医療の対象になるのではないかと思います。
そこで、私は前回のときに、空腹時血糖値126mg/dl以上、ヘモグロビンA1c6.1%以上のDの領
域、これは糖尿病ですので、保健指導の領域ではなくて医療の領域だということで、受診勧奨に
していただいたという経緯があります。この点は非常にありがたいと考えていますが、1つ問題
なのは、先ほどの津下委員の資料1-1の2ページ目、肥満なしの所でBゾーンというのがあり
ます。日本人は糖尿病になりやすい体質を持っていて、非肥満からも発症は約半分あります。し
たがって、肥満のある方だけを対象にしていると、糖尿病の予備軍であっても、肥満がないとい
うことで、情報提供の対応だけに終わってしまいます。そういう方は糖尿病を予防するような生
活習慣の保健指導の対象にすべきではないかと私自身は考えていますので、御議論いただければ
と思います。
もう一つ、今、Bゾーンという一括した扱いになっていますけれども、実はこれは、かなり広
い領域で、日本糖尿病学会の新しい診断基準が、一昨年の7月1日から施行されています。その
中では、空腹時血糖100~125mg/dlを110mg/dlで区切って、ヘモグロビンA1cは5.6%で区切っ
て、空腹時血糖110~125mg/dl、ヘモグロビンA1c5.6~6.0%は特に糖尿病の発症のリスクが高い
ので、特別に予防的な介入をすべきというふうに規定していますので、Bゾーン全体一括という
のがなかなか難しければ、肥満がなくても、Bゾーンの中でもハイリスク群に、特に予防的な介
入が必要ですね。肥満がなかったとしても、食事や運動の介入は有効であるということがわかっ
ていますので、そういった議論をしていただければと思います。
○永井座長 どうぞ。
○外山健康局長
先ほど、島本先生と保坂先生の発言の中で、財政上の理由で保健指導の対象範囲を狭めたとの
ご発言がありましたが、すべて政策というのはお金がかかるわけで、総合的にマンパワーなどを
考えた上で決めたことだと思います。この事業はお金がかかるからやめるというような判断だっ
たとは思いませんので、その辺は誤解のないようにお願いしたいと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。
○竹村構成員 先ほどからの意見に賛成なんですけれども、前回も言ったんですけれども、やは
りそういう保健指導を入れる場合に、実際の行政レベル、保険者レベルの指導になりますと、ど
うしても今、保健指導のリソースが少ないということもありまして、「することができる」とか、
「した方が望ましい」という位置づけでは、一番後回しになってしまって、まず、実情としてカ
ウントされるものから実施されてしまいます。是非ここらで議論されたものが、すべて保健指導
の対象としてカウントできるような形、表に出すというやり方ですけれども、形にしていただか
ないと、いくら良い指針が決まっても、やはり肥満を中心とした保健指導の中でこぼれ落ちてし
まうと思います。そこら辺も是非考えていただければと思います。
○永井座長 野口委員。
○野口構成員 現場の立場から少し考えてみますと、まさに先生方がおっしゃっておられたとお
り、尼崎市では、軽症の方も保健指導の網で拾って実施しているんですけれども、情報提供にな
る範囲の中で、軽症者の方と、非常に重症者の方が一緒にくくられてしまっているところで、ど
ちらをまず力点を入れて、必ずフォローしないといけないのかということになると、特定保健指
導プラス、肥満はなくても非常に重症な方は必ず医療につなげるというところにまず重きを置い
て保健指導をしていくということが重要であると思います。先ほど、厚生労働省の方からの今後
の方針の中の○の2つ目で、今後の健診・保健指導プログラムの中にいろいろな考え方を盛り込
むというふうにありましたので、この中で情報提供というものを一律に、現状の中では健診結果
を送っているだけにとどまってしまっているようなところもありますので、それは違うんだとい
うこと、それぞれの学会で効果があるとされていることについては少なくともやるという情報提
供であることを盛り込んでいただき、きちんと整理をされるということが現実的ではないかなと
思います。
○永井座長 山門委員。
○山門構成員 山門です。
肥満なしということについて、私見を述べさせていただきます。日本肥満学会ではBMI25以上
を肥満としていますが、一方、内臓脂肪型肥満という概念があって、それはご存じのとおり内臓
脂肪が100平方センチメートル以上です。そうしますと、BMIが25未満のいわゆる非肥満者であ
っても、内臓脂肪100平方センチメートル以上ある、これを私どもは隠れ肥満と申しております
けれども、その人たちはリスクが非常に高いです。したがって、BMI25未満の非肥満であっても、
腹囲が85cmあるいは90cm以上の受診者を保健指導の対象者とする現行のプログラムは是認すべ
きと考えます。非肥満者についての生活習慣の修正をどのぐらい加えるか、情報提供でいいのか、
あるいは特定保健指導に入るのかというようなことを一度考えていただければと思います。明ら
かにBMI25と腹囲85cm及び90cmとでは違うと思いますので、その点もご議論いただければと思
います。
以上です。
○永井座長 どうぞ。
○荒木田構成員 今までと比べまして、受診勧奨のところも保健指導をまず優先すべきというと
ころがクリアーになったということはありがたいなと思います。
ただ、表2の糖尿病に関しては、確かに先生がおっしゃるように、肥満がなくてBのレベルに
なってしまうと、情報提供だけにとどまってしまうというのは非常にリスキーだと思いまして、
これはやはり110mg/dl以上とかというところで、保健指導が一回はしっかり提供されるというふ
うにはしていただきたいと思います。
以上です。
○永井座長 野口委員。
○野口構成員 何度も済みません。今、特定保健指導の実施率も非常にそれぞれ苦戦していると
いう状況にある中で、本当は全員に保健指導できたら一番いいと思うんですが、情報提供という
のもプログラム上は保健指導と位置付けられているわけですよね。
○尾田保健指導室長 特定保健指導ではないですけれども、保健指導には該当します。
○野口構成員 特定保健指導ではないけれども、保健指導なんですよね。ですので、その情報提
供という保健指導を、どうあるべきなのかということをきちんと盛り込んで、例えば、通知だけ
ではなくて、集団指導で8人80分以上は特定保健指導だけれども、集団での学習の場をつくるで
あるとか、そういうようなことを具体的にこのプログラムの中にきちんと書くということが現実
的かなと思います。非常にたくさん保健指導の数が増えてしまうと、結局本当に大切にしないと
いけないところもできなくなってしまうというのが現場の実情ですので、その辺のところも勘案
していただきたいと思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。島本委員。
○島本構成員 先ほど荒木田先生が言われたこと、全くそのとおりで、実は高血圧は、Cですら
情報提供になっていたんですね。前回のときも、実は門脇先生とはBを、血圧高値と境界型の糖
尿については、できるだけ保健指導にいけるように今回から議論していきたい。ですから、血圧
のCについては、これはB以上ですので、これを情報提供にとどめるということは、極めてまず
いということを併せて御理解いただければと思います。
○永井座長 そのほか、いかがでしょうか。
○津下構成員 特定保健指導といいますと、医療保険者に義務付けてということがあります。広
い意味での保健指導という範疇で話をする中では、非肥満の方への保健指導はきちんとやるべき
だと私も感じておりますけれども、保険者に義務付けた特定保健指導の場合に、効果はどうなの
かということを考える必要があります。制度の設計のときには、保健指導でどれだけの効果性が
上げられるのかということをかなり問われたと思います。ですので、特定保健指導の中でやろう
と思うと、それに耐えうるだけのエビデンスがあるプログラムをどう入れていけるのかという観
点も必要なのかなと思います。
私は決してやる必要はないと言っているつもりではなくて、保健指導としてやらなければいけ
ないんですが、保険者さんに納得性のあるエビデンスをどう示していけるのかということも1つ
の課題として意識をしておかなければいけないかなと思っています。
○永井座長 どうぞ。
○宮崎構成員 Cゾーンの方々への保健指導の重要性というのは十分認識しております。ただ、
制度設計上どこに位置付けてこれをやったらいいのかということを考えますと、私はやはり特定
保健指導の中に新たに位置付けていただいた方が、しっかりやっていくという意味では意義があ
るのかなと思います。
これまでは、特に血圧のCの人たちというのは受診勧奨域ということになっていますが、多く
の方は受診しないわけですね。非常に宙ぶらりんになって放置されていた人たちというふうに思
います。ですので、そこら辺をきちんと方向づけをしていくという意味では、単なる情報提供と
いうより、むしろ新しい何か名称をそこに付加するなどして、制度上きっちりこういう人たちを
特定保健指導の中に取り込んでいくんだという、そういう打ち出し方が重要ではないかと思いま
す。
○永井座長 津下委員。
○津下構成員 先ほどの話とちょっと矛盾する話で申し訳ないんですけれども、確かにCゾーン
の収縮期140~159mmHg、それから、糖尿についても110mg/dl以上、その2点については、薬物治
療への移行率が高いゾーンでもあるということから考えると、保険者が保健指導をしっかり行う
ことによって、どれだけ服薬率が変化するのかということをしっかり検証できる対象者ではない
かと思いますので、医療保険者としても納得できるデータが出せるかなと思います。今、手元に
すぐあるかと言われると、この対象者だけを集めたデータで服薬率の変化というのがあるかどう
か、調べなければいけないとは思いますけれども、臨床経験でいきますと、この範囲というのは、
疾病予防効果は高い範囲なので、是非しっかりと保健指導する必要がある。
ただ、肥満をベースにした人とは違う保健指導になる可能性が高いので、保健指導プログラム
としては、医師だけではなくて保健師・管理栄養士が実施できるように、きちんとしたプログラ
ムをつくっていく必要があるかなと感じます。
○永井座長 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○宮地構成員 国立健康・栄養研究所の宮地と申します。
先ほどから議論になっておりますC領域、あるいは疾患の初期の段階の方々に保健指導をする
ときに、新しいプログラムを考えていかなければいけないという話でしたけれども、あるいはそ
れをやるかやらないかは、効果についてエビデンスがあるかどうかを検証しなければならないと
いう御議論でしたけれども、効果に対するエビデンスだけでなくて、こういう方々に食事や身体
活動の保健指導をやったときに、どんなリスクがあるのかということをある程度押さえて、枠組
みの中に入れるかどうかを議論する必要があると思います。
肥満者で、しかし、高血圧症でもない、糖尿病でもない、脂質異常症でもないという方は、患
者ではありませんから、運動を仮にやっても、それほど事故が起こるリスクがございません。実
際のところ、この3年間、特定健診・保健指導を進めてきて、重篤な死亡事故が起こったという
報告は、モデル事業をやっていたときには不幸にも1件ありましたけれども、制度が始まってか
らはございません。これは、ある程度この枠組みで保健指導を行なっても比較的安全であるとい
うことを、実際の3年間の取組で証明したと思います。新しいカテゴリーの人を保健素堂の枠に
入れていこうというときに、そういう人たちが保健指導を受けて事故が起こらないかという観点
をよく精査して、入れるか入れないかを検討する必要があるのではないかなと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
そのほか。保坂委員、どうぞ。
○保坂構成員 今の御意見も大変もっともだと思いますが、保健指導というのは非常に効果があ
るであろうということは、今、対象になっているCゾーンの方たちにも保健指導が大変有効であ
ろうと思われますよね。一方、そういうリスクのことも勘案しなければいけないので、個々の状
況に合わせた保健指導ということが当然必要になってきて、そうだとすると、理想でございます
けれども、普通に医療機関を受診して、個々の状態の把握をされている上で、個々に保健指導に
乗せていくという仕組みがあれば良いと思います。今、保健指導について非常に大きな仕組みが
できて、今までなかった新しい仕組みなので、それはこれから先活かしていくことが必要ですが、
現実に仕組みとしてできるかどうかは別にして、そういう方向を本来は目指すべきではないかと
私は思います。その仕組みのことも座長に是非よろしくお願いします。
○永井座長 よろしいでしょうか。津下委員、どうぞ。
○津下構成員 今の仕組みという点でいきますと、Cゾーンの方を保健指導したときに、6か月
後の評価が、今は血液検査等をやらないわけですけれども、6か月後の評価のときに、例えば血
糖が引っかかった方、Cゾーンの方は血糖、又は血圧の測定をして、その有効性の評価をきちん
と行うということを入れていただく必要があるのではないか。肥満の方は減量できれば効果があ
ったということをフィードバックできますけれども、肥満がない方は、何をもって6か月頑張り
ましたねということを評価するのかというのがなかなか難しいと思われますので、6か月後の評
価のときに、そういう該当項目について再検するというのが入ると、この方々への1つの仕組み
になるのではないかなと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。
○山門構成員 いわゆる特定保健指導というのは、動機付け支援と積極的支援であるという定義
でございますけれども、今の議論は、先ほど室長がお話しされましたように、保健指導に当たる
けれども特定保健指導ではないということになりますので、保健指導を行う場合に実際どうすべ
きかということをここでは示されなければいけないということでよろしいでしょうか。
○永井座長 どうですか。こういうリスクがある方は、本当は重大な事象を見ていかないといけ
ないわけですね。検査値だけではいけないわけですけれども、それをどう、起こっていない方に
動機付けするかというのはなかなか難しいところがありますが。
○山門構成員 保坂構成員がおっしゃったように、そうしますと、保健指導という位置付け、あ
るいは特定保健指導の一部と位置付けますと、やはりそれなりの対価、医療費が当然発生すると
思いますので、その点も十分考慮した上の判断になるかと思います。
○永井座長 今の点、いかがでしょうか。
○保坂構成員 Cのところのゾーンは、普通に医療機関にかかったときは、当然、この数値は指
導して継続して受診することを勧める数値だと思っていますが、そうですよね。
○島本構成員 そのとおりです。ただし、血圧に関しては、リスクの全くないⅠ度、軽症高血圧
の場合には、すぐ薬を使わないで、3か月生活習慣改善でいきましょうとなっているんですよ。
そうすると、患者さんは、薬が出ないと、次、病院に行かない人が結構出てきたりしますので。
○保坂構成員 そうではあるけれども、とにかくそうすることが学会の基準とかということでは
なくて、一般の臨床の現場ではそのようにしているものですよね。薬は使わないで生活習慣改善
指導をということで。そうだとすると、特定健診を受けたときに、そのレベルの人については、
そこのレベルまでもしていないように感じるんですけれども、そうですか。
○島本構成員 病院に行かなければ、当然そのレベルにいっていないと僕は思います。
○保坂構成員 というか、病院に行きなさいということは言わないことがあるわけですよね。そ
れから、保健指導の方でも指導はしていないわけですよね。そうすると、そこはスポッと抜けて
いるわけですよね。それはやはり是正する必要があるということは思います。糖尿病の方も多分
そうではないかと思います。だから、普通に医療にかかって検査をした場合に、あなたはもうち
ょっとこういうふうにして、また継続して、何か月後かに検査しましょうと言われているものが、
特定健診では何も言われないで、そのままスルーしてしまうというのは、やはり何とかしておか
ないといけないかなと思います。
○野口構成員 多分現場でやっていらっしゃる方がこの議事録を見たときに、「私たちはやって
いる」と言う人が出てくると思うので、一応言葉に残しておいた方がいいかなと思うんですが、
基本的に、先ほども申し上げましたように、情報提供というのは保健指導の一つの分野であると。
単に情報を、結果表を送るというのが本来ではないはずなんですね。ところが、医療保険者によ
っては、単に検査説明書を送るにとどまっている事例が散見されるということで、多分保坂先生
はそのように御心配をされているんだと思うんです。
本当は、健診の目的であるとか、それぞれの検査項目の意味であるとかということをきちんと
集まってもらって説明する、あるいは個別の説明でお伝えする中で、自分がⅠ度の高血圧である
ということは認識してもらわないといけないはずでありますし、それが健診結果の説明のはずな
んですね。それが情報提供ということであるかと思いますので、少なくともそういうことはやっ
てもらわないといけない、情報提供というのは本来そうあるべきなんだ、ということはこのプロ
グラムにきちんと書いていただいて、通知だけで済ますのは、全く異常のない人たちにはいいか
もしれないけれども、極めて狭いやり方であるということを、プログラムの中にきちんと明文化
するのがいいのではないかなと思います。
結局、程度によらず、情報提供を現行のプログラムでは1つの同じくくりで取り扱ってしまっ
ているんですね。ですので、いろいろな方法が行われているのではないかなと思いますが、きち
んとやっているところもありますので、そこは御理解いただきたいなと思います。
○門脇構成員 野口構成員のおっしゃったとおりで、尼崎市は本当に先進的な取組をやっている
ということでよく知られていて、非肥満でも糖尿病の発症リスクが高い群については、予防的な
生活習慣の指導をやっていただいている、この健診の中で非メタボでも糖尿病の予防に取り組ん
でいるという先進例です。しかし、多くのところでは、マンパワーの不足などから、非肥満では
血糖値が110mg/dlを超えていても、情報提供ということで、実際的な介入は余り行われていない
ところが多いというのが実情です。尼崎市でやっているような先進的な取り組みが多くの所でな
されるように、制度上の文言が書き加えられる必要があると私は思います。
○永井座長 津下委員、どうぞ。
○津下構成員 前回の資料の中に、厚生労働省から提供された「情報提供について」という部分
があるわけなんですけれども、その中に、標準的な健診・保健指導プログラムでは、情報提供と
はということで、全員に画一的な情報を提供するのではなく、健診結果や健診時の質問表から、
対象者個人に合わせた情報提供をするとか、データの持つ意味をわかるようにするとか、グラフ
で示すとか書かれています。
○尾田保健指導室長 今、先生が説明されているのは、前回の資料1の2ページ目でございます。
○津下構成員 第2回の2ページ目の所に、標準的な健診・保健指導プログラムでは、情報提供
の必要性や意義というものを十分に議論しまして、情報提供というのは、数字だけ渡せばいいの
ではなく、本人にわかるように、現在の体の状況や、今の状況を放置したらどうなるのかという
ことも含めてしっかりと情報提供するということが書き込まれておりますし、それから、社会資
源でどのような所で健康づくりのサポートを受けられるかということも含めて、幅広い情報提供
をすることというふうに書かれております。
ただ、保険者に示された手引き書では、そこまで細かい内容に記載されていないということで、
保険者の特定健診・保健指導のところでは、ひな型に出ている情報提供は、検査結果の数字を渡
すというような書きぶりになっておりますので、是非標準的な健診・保健指導プログラムに書か
れている内容を、保険者さんの情報提供というもののイメージを変えるというか、情報提供とい
うのは非常に重要なんだという、健診をするというのは、数字を出すことではなくて、本人にわ
かってもらうことが健診の役割なんだということを再度仕組みの中に入れ込んで、情報提供の在
り方というものを定義していただければいいのかなと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○永井座長 どうぞ。
○竹村構成員 意味はわかるんですけれども、実際問題の実施段階の、例えば国保でいきますと、
県レベルで全部の情報を統一しないとできないわけですよね。入力も含めて。そうすると、県レ
ベルで情報提供の結果のものができてくると、我々が見ていてもよくわからないような、対象者
が見たら、これはわからないだろうなという形での文面になってきてしまうことが多くて、これ
を市単位で交渉して話をしますと、県でつくっているので、申し訳ないけれどもこれで我慢して
くださいというような話になってしまいますので、ここに書いているとおりにきれいにできるか
というのはなかなか難しいところがあるので、実際の実施段階によると、もうちょっと細かく指
針を示していただけると、県の方も見直すと思います。実際に我々が交渉するのは市ですけれど
も、やっている主体が県単位でやっていると、1つの自治体だけではなかなか対応できないとこ
ろがありますので、非常に難しいところがあります。これは現場での意見です。
○永井座長 どうでしょうか。事務局としましては、どこまで踏み込むか、もし事務局、御意見
がありましたら、お聞かせいただけますか。
○尾田保健指導室長 さまざまな御意見をいただきまして、私の方から御提案差し上げました方
向性について、基本的に御了承いただいた御意見もあれば、特定保健指導で取り組むべきという
強い意見も含めまして、さまざまな意見がございましたので、これは皆様も十分御認識いただい
ているコストの問題とも大きく関わってまいりますので、座長とも御相談しながら、次回に向け
ましてまた整理させていただければと思っております。
○永井座長 ということでよろしいでしょうか。確かにお金の問題ではないと言っても、当然そ
ういうことも関わってきますし、どこかで線を引かないといけないんでしょうが、次回、それを
私と事務局で相談させていただいて提案させていただくということにしたいと思います。
○井伊構成員 そのときに実態なんですけれども、非常に差があって、保険者によって熱心に情
報提供しているところと、そうはいかないところと、それから、表2のヘモグロビンA1cが5.2
~6.0%とか、空腹時血糖が100~120mg/dlと、こういう方々に対して、1回目のときも申し上げ
ましたが、特定保健指導ではなくて健康増進法による保健指導で別途取組をしている市町村もあ
ります。これまで、この法律の前には老人保健法がありまして、歴史的にそういう取組をしてき
たという経緯がありますので、どうするかというときに、特定保健指導の動機付け支援と積極的
支援以外の実施状況と申しますか、そういうことをもう少し資料提供いただいて、全体的に検討
ができるとよりよいのではないかと思います。
○永井座長 それは何か資料はありますか。保坂委員、どうぞ。
○保坂構成員 資料の問題だけではなくて、健診・保健指導というのが今、特定健診・特定保健
指導というのがあって、それ以外の生活習慣病対策のような、「健康日本21」に基づいた市町村
が実施する健診といいますか、健康増進に取り組むということも本来はあるわけですね。でも、
このことについては、全体として国としてこういうことをやっていきましょうというのが、ある
ような、ないようなという現状です。こういう課題が出たときに、保険者のやる特定保健指導だ
けで保健指導をやっていこうと思うと、保険者がお金は出せませんと言われれば、それで終わり
なわけで、そうではない仕組みということもひとつ視野に入れる方がいいという意味で、井伊構
成員の御意見は、大変すばらしいと思います。保険局ではない、健康局の検討会なので、そうい
うことも視野に入れて、いろいろと御検討いただけたらと思います。
○永井座長 島本委員。
○島本構成員 実は高血圧の方では、前回これをつくったときから、各市町村が実施している健
康増進事業において個別健康教育などを対応ができるということも書いてはあるんですけれども、
これは先ほど野口先生が言われたとおり、すごくよくやっている所と、今の特定健診に追われて
ほとんどできない所と、非常に温度差が大きいんですね。むしろ、こういうのがあることをわか
っていてもやれていない方が僕は圧倒的に多いと思っております。ですから、こういったのもや
れる、やれるだけではなく、もう一つ進めていただかないと、動かないのではないかなと思って
います。
○保坂構成員 そのとおりです。それをこういうのもありますよではなくて、例えば、情報提供
の先ほどの話でも、こういう情報提供をしましょうと言っても、結局現場は動かないわけで、そ
れをもうちょっと強制するのはなかなか難しいかもしれませんけれども、仕組みをつくって、こ
ういう形でやりましょうと。この部分は保険者のやる健診・保健指導ですけれども、この部分は
健康増進法によるものですよということを、セットで保険者や市町村に対して言っていく。もう
一つ、今の特定健診の受診率、特定保健指導の実施率が上がらない中で、被扶養者については市
町村に持っていこうという話も少し出ている中で、市町村の住民については市町村がやるという
形が出てきますので、全部そういうことを一緒にして、この際、よりよい健診、保健指導になる
ように、知恵を絞っていくことを皆さんと一緒にやりたいのでよろしくお願いします。
○永井座長 ありがとうございます。
時間の関係で、今の件につきましては次回提案させていただくということにしたいと思います。
では、議事の2にまいります。「高血圧者、喫煙者に対する特定保健指導」でございますが、
事務局から御説明をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 資料2でございますが、恐縮ですが、先に資料3の9ページをお開きいた
だけますでしょうか。
特定保健指導の対象となりました方の初回面接についての概要でございますが、医師、保健師
又は管理栄養士による面接による指導のもとに行動計画を策定するとあります。初回面接におき
ましては、特定健診の結果や対象者の生活習慣、行動変容の状況等を踏まえて、具体的な行動目
標、行動計画をとりまとめた支援計画を策定する。これが初回面接の概要です。
これにつきましては、健診結果が出た当日に初回面接を行って良いという場合についてQ&A
で整理しておりまして、最後の○ですが、四角が2つございまして、「所定の健診項目すべての
結果がそろい、かつ、医師がすべての項目の結果から総合的に判断できている場合」、かつ、「健
診機関の医師が保健指導対象者と判断した者全員に保健指導を実施する場合」、こういったもの
をQ&Aで示しております。これを前提として、資料2でございます。
まず、1枚目でございますが、前回もご議論ございましたが、喫煙、高血圧は、我が国におけ
る非感染性疾患・障害による成人死亡率の主要なリスク因子となっている。下に掲げております
のは、先日、プロス・メディスンに掲載されました論文を表にしたものでございまして、危険因
子ごとの推定死亡者数を出したところ、喫煙、高血圧が我が国における死亡者数のうちでナンバ
ーワン、ナンバーツーを占めているという表でございます。
2ページ目でございますが、他方、特定健診・保健指導では、特に保健指導の実施率が平成21
年度で12%と低迷しておりまして、この実施率を向上させるためには、健診から保健指導開始ま
での期間の短縮が望ましい。
そして、そこに掲げておりますのは、国民健康保険中央会のほうで行われました検討会報告の
報告書の中で、特定健診の実施日から保健指導の開始日までの期間を見たところ、保健指導に入
った方の割合が高いところ、奥の方から高い割合になっております。保健指導に入った割合が高
いところを見てみると、健診から保健指導まで、間を置かずに行っているところの割合が高い。
すなわち、早く始めれば始めるほど、保健指導に入ってこられる方が増えるということの表でご
ざいます。
3ページ目でございますが、以上より論点として掲げております。
高血圧、喫煙のリスクの有無は、特定健診の実施日に判明することから、その他の健診結果が
判明する前に特定保健指導の一環として高血圧、喫煙のリスクに着目した保健指導を実施するこ
とについてどう考えるか。
細目といたしまして、健診当日に判明しているリスクに着目して保健指導を行い、後日、その
他のすべての健診結果が判明した後に、改めて行動目標、行動計画を見直し、これら一連の対応
を初回面接と評価することについてどう考えるか。
これを前提とした上で、このように初回面接を分けて行う場合に、健診結果判明後に行う保健
指導は、対面によらない方法で行うことは可能なのか。可能ならば、その条件は何か。
以上でございます。
○永井座長 いかがでしょうか。2回の指導で、そのうち1回、検査結果がわかってからは電話
でもどうかという意見が出ているということでございますが、まず、こういうことは現実に2回
というのは可能なのかどうか、現場から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
では、野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 まず、我々のところでやっている保健指導で指標の改善率が高い状況の方を見ま
すと、健診結果を一つずつばらばらに御説明するのではなくて、トータルで、自分の体の中で何
が起こっているのか、複数のリスクの集積結果を踏まえてお話ししたときに、最も全身の血管内
皮細胞の障害のイメージがわいたり、代謝異常のイメージがわいたりということで、効果が上が
っているということがあります。
ですので、初回のうちに出たもの、血圧であるとか、喫煙であるとかということだけを切り分
けて保健指導するとなったときに、どこまで改善が見込めるのかというところは非常に心もとな
い。十分に健診データの読み解きをしない上で保健指導に臨むというのが、検査項目1つずつに
対するモグラたたき的な保健指導に終わりかねないので、効果としては非常に心もとないなとい
うのが1点。
もう一点、喫煙のことだけで介入をする入り口をつくってしまうと、我々が今やっている禁煙
指導というのは、血管を傷めない観点からもたばこのことを考えていただいて、禁煙率を上げて
いくということをやっているんですけれども、たばこのことから入られると、健診そのものに対
する抵抗感も高まるということもあります。ですので、トータルで体を理解していただいた上で
禁煙に持っていくというやり方をやっているので、そこだけ切り分けて初回にやってしまうとい
うことへの継続受診であるとか継続保健指導であるということに対して不安な感じはするなとい
うのが率直な意見です。
○永井座長 全部結果が出てからでよろしいだろうということですね。
○野口構成員 そうですね。
○永井座長 津下委員、どうぞ。
○津下構成員 その考えもそうかなとも思いますけれども、1つは、できるだけ早い期間にお会
いするというのも非常に重要で、健診の当日に、今、すぐ測ったデータや、問診を書いていただ
いているので、問診の確認をしたり、それから、例えば行動変容ステージも書いたものと面談で
とったものとは違っていたり、それから、過去の結果なども参考にして、例えば高血糖値とか脂
質異常について前にも指摘されていたというような方については、健診当日に少し話ができると
いうのは、信頼関係をつくることにプラスであればいいかなと思うんです。野口構成員が言われ
たように、最初からたばこのことを言われて嫌だというふうになってしまうと、ほかの糖尿病の
ことだとか脂質異常症の話を聞く耳も持たなくなってしまうような、これは保健指導のスキルに
関わってくることだろうと思います。初回に良好な人間関係がつくれて、まずは今、血圧と喫煙
の状況からこういうことがわかるんだけれども、結果が出たときにもう一回しっかり説明するか
ら、それで行動目標を修正しましょうとか、そういう話がきちんとできることや、初回面談した
人と電話をかけるなりして、、前回そういう話をしましたが・・・というような人間関係の上で
組み立てられるのであれば、それは1つのやり方かなという気はします。なので、全面反対とい
うわけではありません。
○永井座長 2回に分けて行うことは、マンパワー的にはどうなんですか。
○津下構成員 健診当日にどれだけ面談ができるかということによります。高血圧とたばこを吸
っている人については、ほかのリスクがどうであれ、すべて面談をしていくということになると、
どのぐらいのマンパワーが割けるのかという実施面での不安というのはあります。
○永井座長 荒木田委員。
○荒木田構成員 小規模事業所のことを考えると、小さな事業所で働いている労働者だと、健診
の時間をとるのがやっとというところであって、健診のデータが全部出そろってから保健指導を
するという形が、確かにそれは望ましいんだと思うんですけれども、再度時間を取るとか、再度
来なさいというのはかなり難しい状況にあります。
そう考えると、初回、健診当日に血圧が高い、この時点でとにかくこれを言っておくというこ
とは、すごく重要なことではないかなと思いますので、健診当日に判明しているリスクに着目し
て保健指導を行うということは、基本的には賛成です。
ただ、血圧と喫煙の保健指導を一緒にしていいかどうかということになるんですが、喫煙者に
関しては、希望する者という形もあるのかもしれませんけれども、健診当日が一番意識が高まっ
ているところでもあるので、そこを外さない方がいいということは思います。
また、健診が終わってから保健指導が始まるまでの間に、かなりの方は体重が増えるという状
況もあるので、健診当日に押えるべきところは押えておくということは必要だろうと思います。
○永井座長 山門委員。
○山門構成員 山門です。私どもは、人間ドック健診という立場で実施している者からの意見を
述べたいと思います。
人間ドックは御存じのように、当日の結果を当日に医師が直接説明し、それに応じて保健師、
看護師がそれぞれの保健指導のスケジュールをつくります。したがいまして、私どもの立場は、
初回面接、極めて重要だという認識であります。それで、先ほど言いましたように、ドック健診
のように、可能であれば、資料3の9ページのQ&Aの1項でありますけれども、このように健
診項目がすべて結果がそろっていた場合には、当日に面接をしてよろしいというふうにしていた
だきたい。これは現在でも行われております。それは、個別契約において契約をした場合におい
て、当日の初回面接が限られておりますが、それを更に普遍的に、集合契約においても、個別契
約という形をとれば、このような条件がそろえば、当日の面接を可能としていただくようにして
いただければと思います。
それから、禁煙のことでありますけれども、禁煙に関しましては、御存じのように、禁煙推進
学術ネットワークというのが16学会で構成されておりまして、既に昨年、公衆衛生学会を含めま
して、私ども人間ドック学会を含めまして、16学会で特定健康診査、特定保健指導における禁煙
の重要性ということを厚生労働大臣及び各局長等に発しておりますけれども、一番重要なのは、
禁煙が必要であるということを是非保健指導の中に組み込んで欲しい。
その際には、野口構成員がおっしゃいましたように、スキルの問題がありまして、私どもは、
最後に一言、あなたにとって大切なのは禁煙ですよと最後に言います。初めから言いますと、野
口構成員のように拒否されますので、そのようなスキルは、実施上の問題として専門の方に考え
ていただいて、禁煙指導というものを初回面接に組み込むということも是非お考えいただければ
と思います。
以上であります。
○永井座長 当日結果が出るということはあるんですか。
○山門構成員 ドック学会等は、すべての施設が当日結果が出ます。
○永井座長 ほかの施設はどうですか。
○山門構成員 施設によって違うと思います。
○野口構成員 一般は、健診機関でお願いしているところであれば、当日に出るということは難
しいですね。ですので、我々のところでは大体3週間後に保健指導を行うというスケジュールで
動いています。
○山門構成員 済みません。繰り返しになりますが、資料3の9ページにあるQ&Aの1項を満
たした場合ということが前提でございます。
○永井座長 もう一つ、初回、早めに面接して、2回目、結果が出てからは電話でもよろしいの
ではないかという事務局の提案が先ほどありましたけれども、これについてはいかがお考えでし
ょうか。保坂委員。
○保坂構成員 それは絶対反対です。それは、うまくいく場合も絶対ないとは言えませんけれど
も、それを基準にするというのは、保健指導のせっかくいい点が失われると思いますので、結果
が出たあとにきちんと対面で指導するということでないといけないと思います。
ところで、そうすると、最初に検査をした日に面接して、もう一回面接をするとなると、費用
的なことは何か決まりがあるんでしょうか。
○永井座長 事務局、いかがでしょうか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 保険局でございますけれども、今は、最初の面接が終わった
当初に何分の1かを払うということになっておりますので、もしここの1回目の面接が終わった
時点をどうとらえるかということを少し修正をしますと、それに応じて7割を払うのか、それと
ももっと低い割合にするのかというのを改めて設定する必要が生じます。
○保坂構成員 そうすると、今ある分を分けるという感じですか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 もし今の単価が、やることが変わらなければ、仮に同一の単
価であるとすれば、それをいつの時点まで終わったところをもってその費用を払うかということ
を整理しなければいけないということになります。そういう意味で、分けるという考え方もあり
ますし、2回目が終わったところで全部払うという考え方もあろうかと思います。
○保坂構成員 いつ払うかもですけれども、1回分を2回に分けているという考え方もあるわけ
ですね。そうすると、1回分しかもし払ってもらえないとすると、保健指導される方の側にすれ
ば、2回やるのに費用は同じということで、特に保健師の方とかがされるわけですけれども、そ
ういうふうなことでこの提案がされているのかどうなのかということを、提案された方にお聞き
したいのですが。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 現時点においては未定でございますので、そこは、やり方が
決まれば、それに応じて費用をどう払うかという議論に、次に移ると、そういう整理でございま
す。
○永井座長 どうぞ。
○宮地構成員 特定健診・保健指導のプログラムの中身を身体活動とか食事・栄養の面から考え
る立場で発言したいのですが、保健指導というのは、初回面接では個人面談だと20分、集団だと
80分と定められていますけれども、実はその時間だけでなくて、そこにいくまでに、その人の健
診結果、あるいは問診によって得られた身体活動や食事の実施状況などを踏まえて、相応に準備
して臨むものです。なので、実質相当な健診結果の読み込みと、生活習慣そのもののとらえを、
保健指導する保健師や管理栄養士や医師というのは準備をされて、その20分に、20分一本勝負と
いう言葉が5年前にたしか出てきたのを覚えておりますけれども、そこに全身全霊とまでは言い
ませんけれども、傾けて保健指導をやっていくという認識で、この特定保健指導制度が確立して
いるのかなと思います。
なので、初日、健診を受けた日にその準備ができて、本当に保健指導ができるということが担
保できるのであれば、当然それもよろしいと思いますが、健診結果がそろわないという段階でそ
れができるということは、まずあり得ないだろうと私は考えますので、ここはもう少し熟慮が必
要と考えます。
○永井座長 松岡委員、どうぞ。
○松岡構成員 現場で初回面接を行っている管理栄養士の立場から言わせてほしいんですけれど
も、初回面接においては、対象者の気持ちとか受けとめ方、危機感を感じているかとか、義務で
しているのかという主体的な取組に対するステージの把握が重要だと思うんですね。初回面接が
今の標準的なプログラムだと、20分の一本勝負の間に目標設定までいかなくてはいけない。それ
で、いろいろ検査値の説明とかそういうシステムについての説明だけに終わってしまって、そう
いう取組に対する危機感であるとか、そういうことの気持ちを聞き取るということが十分できて
いないというのも現状なんですね。ですから、健診を行ったとき、体重も測りますし、経年的に
見て体重が増えてまずいと思っているのか、ちょっと血圧が去年より高くて危機感を感じている
のかというのを、初回面接のあるデータだけでも十分面接はできて、目標を設定するというのは、
各個人のステージに合わせて、次回、個別で面接にするか、電話かというのは今後の課題なんで
すけれども、そういうプログラムの流れとか、問診票の見直しというのも、現場で働いている私
たちは必要ではないかなというのを感じております。
○永井座長 島本委員。
○島本構成員 山門先生が言われた、結果が出ている場合には勿論全然問題なくやれると思うん
ですね。結果が出ていないとき、実は、最終的な指導をできないはずなんです。というのは層別
ができていないんです。例えば、血圧が高くても、多分ここの発想にあるのは、肥満がない、ほ
かが何もリスクがなくて血圧が高い、たばこだけだったらやれるんですね。だけど、例えば糖尿
があるというだけでも、肥満がなくても、全然その次の保健指導が、血圧の管理もすっかり変わ
ってくるんです。ですから、1回目を主体にする、結果が出ていないときにするのは不可能だと
思います。その方のデータがそろったときに本格的にやるべきで、そこを電話でということが可
能かどうかというと、ちょっときついのではないかなとと思います。当日データがそろっている
と何でもできるんですが、そうでない中で、ここへウェイトを置いていくのは、要は、Cゾーン
の中に非常に多様なものがあるということが抜けていると思うんですね。肥満がなく、血圧、た
ばこのリスクしかない方はやれるんですけれども、ほかのリスクがわからないときには、最終的
な指導はできないと思います。
○永井座長 野口委員。
○野口構成員 加えて、今、何年も続けて健診を受けてくださっている方々がいらっしゃるので、
情報量が非常に多くなっていて、最初の1年であれば、血圧が高いということだけでもある程度
の問題意識、課題意識を持っていただけるのかもわかりませんけれども、継続的に健診データを
見ながら、体重はちょっと減ったけれども、血圧が高いままという情報しかない中で、じゃ、コ
レステロールはどうなのか、中性脂肪はどうなのか、その動きによって生活習慣、随分変わって
いるということも読み解いた上で介入していっていますので、私もトータルで、層別化も勿論そ
うですし、保健指導介入の深さを考えたときに、トータルで情報がないと組み立てができないと
いうことと、組み立てたことを伝えようと思うと、相当スキルがないと電話では厳しいというの
が現状です。
○永井座長 そうすると、当日、指導してもよいのでしょうけれども、まとめて結果が出たとこ
ろで指導した方がよいということでしょうか。
○野口構成員 そうです。山門先生のところのような、人間ドックであるとか、あるいは会社の
健診センターをお持ちであって、そこでトータルで健診結果が出ているようなところは可能では
ないかなと思います。
○永井座長 ということでいかがでしょうか。また次回まとめて御報告、御提案いたしたいと思
いますので、この件はそこまでにしたいと思います。
では、議題の3にまいります。「特定保健指導の課題について」です。
まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 資料3をごらんください。
1ページ目には、現在のポイント制の概要といいますか、その例が出されております。前回、
概要を御説明いたしましたが、特定保健指導の積極的支援の方につきましては、合計180ポイン
ト以上の支援を行うということになっております。
個々の支援についてポイントが課せられておりまして、そのうちでも支援Aのタイプ、積極的
関与のタイプと、支援Bの励ましタイプのものとでポイントを変えております。
積極的関与タイプのAの方法で160ポイント以上、支援Bの励ましタイプで20ポイント以上で、
合計180ポイント以上を3か月以上の継続的支援の間にポイントを達成するような、現在そのよ
うなプログラムになっております。
これにつきまして、さまざまな方々から御意見をいただいた概要が2ページ目にございます。
かいつまんで御説明いたしますが、肯定する意見といたしましては、2番目でございますが、
効果や成果を見るためには、客観的な指標としてポイントがあった方がよい等々の肯定する御意
見をいただきました。
他方で見直しに関する意見として、1つ目でございますが、健診データが改善しても、180ポイ
ントに達しなければ実績とならない。結果が重要なので、保健指導の実施方法は裁量に任せても
よいのではないか。
6番目でございますが、2年目以降の対象者はポイント制をなくし、別のプログラムを認める
などの変化を持たせるとよいのではないか。
8番目ですが、180ポイントに達していれば、支援A、Bの組み合わせは任意でよいのではない
か等々、見直しに関する意見もさまざまにいただきました。
3ページでございますが、考え方の案でございます。
まず、ポイント制の必要性につきましては、さまざまな御意見がある。
支援ポイントが増えれば改善効果が出ているという研究報告は出ているものの、制度を開始し
てからの数年のデータであり、エビデンスとしては不十分であるので、引き続き研究によりデー
タの蓄積を行い、その効果を検証していく。
ただし、積極的支援における支援A、支援Bについては、支援B20ポイント以上という必須を
外しまして、「支援Aを160ポイント以上、合計180ポイント以上」を新たな要件とすることで
どうか。
また、ポイント制については、現在も柔軟な対応が可能であることを明記し、事例集や研修を
通して周知を図る。
以上の考え方について御意見を伺えればと思っています。
そして、4ページ目以下でございますが、こちら、津下先生の研究班の方で保健指導のポイン
トに関する検討をされたものの現在の成果でございます。
4ページ目だけで御説明させていただきますが、まず、積極的支援の6か月後の体重減少率に
関しては、体重減少率を目的変数とした重回帰分析で、支援ポイントの数が有意なプラスの要因
となっている。
保健指導機関の分析では、ポイントの多い保健指導プログラムの方が体重減少幅が大きい。
また、継続的支援における支援回数が多いほど、体重減少者の割合、BMI、腹囲、血圧、中性脂
肪、ヘモグロビンA1cの改善がいずれも良好であったという結果が出ているという結果をいただ
いております。
あとの説明は省略させていただきます。
飛ばしまして、9ページ目でございます。
先ほど御説明しましたが、初回面接につきまして、1つ目の○ですが、現在、初回面接、医師、
保健師又は管理栄養士が面接による指導のもとに行動計画を策定するとされておりますが、策定
の日から6か月以上経過した後に行動計画の実施を評価するのもその行動計画を策定した者が行
うということにされております。この制度につきまして、次のページでございますが、さまざま
に御意見をいただいております。
1つ目ですが、人事異動や退職等により、初回面接を行った者が評価を行うことが困難な場合
が発生している。
3つ目ですが、初回面接で策定した行動計画に基づいて行動変容できたか等々、本人の認識が
重要であり、こういったことは個別に計画や実施状況を把握できるのであれば、同一者である必
要はない。
次ですが、対面で評価を行うのであれば、記録等での十分な情報共有のもと、振り返りができ
るので、同一者でなくても評価は可能。
最後ですが、支援者と指導者の信頼関係が重要であるので、対象者のモチベーションを考える
と同一者である方が望ましい。
これにつきまして、考え方ですが、特定保健指導の初回面接者と評価者は同一であることが望
ましいものの、初回面接から継続支援及び評価までを同一機関で実施する場合など、保健指導実
施者間で情報共有を十分に行える環境がある場合には、初回面接を行った方以外の方が評価を行
ってもよいこととするとしてはどうかということでございます。
以上について御議論いただければと思っております。
○永井座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。津下委員。
○津下構成員 ポイント制について、研究班で分析しましたけれども、やはり行動変容に至るま
では継続的に働きかけるということが非常に重要で、1回だけの情報提供ではなかなか確実な効
果につながらない、一定量の継続支援ができる仕組みが有効であるということが確認できたかと
思います。
一方、行動変容につながる継続的なサポートが特定保健指導以外の機会で与えられる場合、例
えば、会社ぐるみで健康に対するキャンペーンを常にやっているとか、テレビコマーシャルじゃ
ないですけれども、繰り返し情報提供がなされる、又は食堂の環境が整えられているというとこ
ろでは、必ずしもポイントによらないという結果もありまして、単にポイントを180やればいい
という考え方は違うと思いますけれども、継続的に対象者を支援する仕組みが非常に重要である
と思っています。
ですので、180ポイント、ただ、ある一定の目標を立てないと、なかなか制度として保健指導の
実施の有無というような算定ができないということがありますので、現時点ではある程度そうい
う仕組みが必要ではないかと感じているというのが、研究の成果をまとめた結果から言えること
かなと思っています。
ちょうど6ページにありますように、例えば、4%減量者というのは、4%以上体重を減少し
た群で血糖や脂質等の血圧の有意な改善が見られるということで、1つの目安量としてとってい
ますけれども、勿論180ポイント未満の方でも効果があるし、それ以上の方でも効果がないとい
う状況もありますが、ポイントとの効果、制度の関係というのは見られるということを押えた上
で御検討いただければと感じております。
以上です。
○永井座長 荒木田委員。
○荒木田構成員 保健指導のポイントに関しては、ポイント数が多いから成果が出てくるという
のは、年齢調整のこととかも関連するので、いろいろ今後も検討が必要というところでは、津下
構成員の意見と同じでございます。
あと、やはり保健指導の質を担保するということから考えると、ある程度のポイント制は必要
だということは思います。ですので、特定保健指導のポイント制については、支援Bの必須を外
すというところでは納得です。
ただ、あと、ちょっと事務局に質問したい。4つ目の○の「現在も柔軟な対応が可能であるこ
とを明記するとともに」というところが、もうちょっと詳しく教えていただきたいのが質問です。
もう一つ、先ほどの初回面接に関しては、同一者の方が望ましいけれども、同一者でなくても
いいというのは、現実的なところかなと思いますので、賛成をいたします。
○永井座長 宮崎委員、どうぞ。
○宮崎構成員 まず、ポイント制として新たな要件として示された中に、支援のBが外れている
という理解でよろしいでしょうか。支援のBは、つまり、今後余り重視しなくていいということ
なんでしょうか。
と申しますのは、私は支援のBというのはすごく大事ではないかと思っています。比較的年齢
の若い方ですと、具体的にどのような方法でやったらいいかというような支援Aを主体とする方
法でいけるんですけれども、ある程度年齢の高い方、しかも、男性の方などは、やはり励まして
いく。うまくいかないときには、でも、頑張っていますよねというような共感を示していく。そ
して、うまくいったときには、共に喜ぶというような伴走者としての保健指導の励ましというの
が、支援のAを支えるという意味で重要な意味合いを持ってございますので、むしろ支援のBと
いうのをポイントから外すというのは、私はちょっと疑問に感じます。
それから、評価の点なんですけれども、ここで評価といっても、私は、評価の性質というのが、
目標に対してどこまで到達したのかという点と、評価することによって保健指導のプロセスで至
らなかった点を見直し、次の教訓を得るという、評価には2つのポイントがあったように思いま
す。
ですので、到達点がどこまで達成しているのかというのは、同じ所属機関にある者であれば、
当然客観的に見ることができますけれども、保健指導のプロセスが果たしてうまくいったのか。
うまくいかないのであれば、どこがまずかったのかというのは、本当言いますと、その保健指導
を担当した者がきっちりと見直すということが重要でして、そういう意味で、評価というのは標
準的な保健指導プログラムの特に個人指導を考えたときには、そのような趣旨で考えていたよう
に思いますので、原則というのと、それが現実どこまで可能かという線はありますけれども、評
価の趣旨というのは踏み外さないようにした方が私はいいかなと考えます。
○永井座長 ありがとうございます。
ほかに。井伊委員。
○井伊構成員 ポイント制については、最低限というものは必要だと思いますので、支援Aを160
ポイント以上、合計180ポイント以上という御提案に賛成ですが、私は、平成20年に特定健診・
保健指導がスタートして3年間たちまして、3年間継続支援をしている例を本会事業として集め
ております。そういたしますと、3年間で全部で17回関わった例が20~30ほど出てくるんです
けれども、そのうち、特定保健指導で関わっているのは5回。ですので、それ以外は、先ほども
健康増進法による保健指導のことを申し上げましたが、ポピュレーションアプローチとか、その
他の関わり方、働きかけでしっかりとコントロールできるような例があります。ですので、この
ポイントに、ポピュレーションアプローチとか、それ以外の関わりについても、何らかの評価が
できるような仕組みを1つ入れていただきたいと思います。そういう検討も必要だろうと思いま
す。
それから、初回面接についてですけれども、私も先ほど宮崎構成員がおっしゃったことに賛成
です。
それで、この書きぶりなんですけれども、特定保健指導の初回面接と評価者は同一であるとい
うことが望ましいというよりも、これが原則であるとか、あるいは同一であるべきであるという
ことをまず明確にしていただきたいと思います。たまたま人事異動したからできないんですよと
いうことで、すっかりこの原則を入れ替える必要はないのではないかと思います。
それで、その次に、初回面接から継続支援及び評価まで云々ということで、情報共有を十分に
行える環境がある。これは、いわば同一者が初回面接で評価を行うことに相当する場合というこ
とだと思いますので、初回面接者と評価者は同一であるべきだという表現にしていただきたいと
思います。
それで、現在、こういう環境にある事業所がどのくらいあるのかというのはちょっとわからな
いのですけれども、少なくとも次回の健診の受診を促すとか、実施者が自分の計画した保健指導
に関する評価、フィードバックを得るとか、何よりも保健指導をやりっぱなしにしないというこ
とが保健指導の質の担保であると思いますので、望ましいというよりかは、同一であるべきであ
るということで、少し修正をしていただきたいと思います。
○永井座長 今の点、事務局はいかがでしょうか。
○尾田保健指導室長 いただいた御意見、御質問にまとめてお答えさせていただきますが、まず、
柔軟な対応という点については、やや語弊があるかもしれませんが、今のポイント制の枠が厳し
いという御意見も現場の方からいただいておりますが、他方で、枠は枠として、柔軟な対応をし
ている保険者もあると聞いておりまして、そういったことについて、研修や事例集等で好事例を
御提示しながら、より杓子定規にやらないやり方もあるんだということをお示ししたいという趣
旨で、柔軟な対応ということで申し上げたので、総合的な意味で使わせていただいたので、ちょ
っと語弊があったかもしれません。
あと、支援Bは無くすのかという点につきましては、支援Bそのものを無くすわけではなく、
180ポイントの達成において、支援Bで20ポイント以上達成しなければ、支援Aだけではだめと
いう現行制度になっておりますが、そこのところを支援Aだけでも達成してよいことといたしま
して、引き続き、支援Bという励ましのポイントについては継続してこのプログラムに載せ、そ
ういったことを組み込んでいただくやり方については、引き続き続けていただければと考えてお
ります。
また、評価について、目標の到達ということと、次への振り返りという2点あるという御指摘
については、全くそのとおりでございまして、また、井伊委員から御指摘ございました、原則は
同一であるべきであるということを立てて、同一であるのと同様な環境という立て方にすべきで
あるという意見につきましても、それは検討させていただきたいと思っておりまして、また、評
価のフィードバックという点について、私どもの提案の方に視点が欠けておりましたので、そこ
は補いつつ整理したいと思っております。
○永井座長 津下委員、どうぞ。
○津下構成員 今、初回と最終評価者が個人だけで見ていくのか、チームで見た場合に、保健指
導の記録をきちんと標準化して作っておいて、評価についても、勿論関わった当事者が関わるこ
とは重要ですけれども、個人のものとしてだけのフィードバックではなくて、組織としてのフィ
ードバックが非常に重要だろうと思います。同じ人が評価することを前提として、本人だけが分
かる記録や、本人だけが分かる評価ではなく、組織としての評価という考え方も必要で、それが
資質向上だとか仕組みの改善にもつながると思います。評価の見える化を進める方向でご検討い
ただくと、更によい仕組みになるのではないかなと思います。
○永井座長 三浦委員、どうぞ。
○三浦構成員 今の津下構成員の御発言、強く賛同するところでございます。しっかりとした共
通書式に基づいた情報共有化を図るというのは、成果を客観的な視点で見るのに非常に有効だと
考えますので、あくまでも前提条件はそういったことができた上でということでございますけれ
ども、そのような体制がとれるのであるという条件でしたら、初回面接者と最終の評価者が異な
っても、チームとしての対応で十分バックアップできるのではないかと考えます。
以上でございます。
○永井座長 野口委員。
○野口構成員 すみません、一応意見を述べさせていただきますが、ポイント制については、い
ろいろな議論があるかと思いますが、医療保険者の立場からすると、委託契約をするときに、や
はり一定の尺度がないと困るという観点から、一定ポイント制というのはあった方が、価格を均
一にし、委託するときには非常にしやすいので、必要ではないかということがあります。
180ポイントをクリアーしようと思うと、国保の場合でありますと、Eメールというのはあり得
ないので、2回ぐらいは会わないといけなくなるんです。電話といっても大体いないので、いら
っしゃっていただいたり、家庭訪問したりということで、2回会わないといけなくなりますので、
2回出会うと、相当改善率が高くなるということもありますので、一定の180ポイントというの
は、尺度というか、指標としては非常に理に適っているのではないかと思います。先ほどの支援
Bにつきましては、今回、新しい方針に、私も非常にその考え方がいいなと思いますけれども、
支援Bのために1回とらないといけないという状況が発生しているとすれば、本末転倒であると
思います。現場の中では、180ポイントをクリアーしないといけないという意識に非常にみんなが
とらわれてしまって、そもそも健診データ、リスクを改善していくんだとか、肥満を改善してい
くんだという意識ではなく、ポイントを稼がないといけないというところに意識がいってしまっ
ているところに現状として非常に問題があるので、今後の課題として、国に報告する仕組みの中
に、データの改善状況ですね、最終的に内蔵脂肪症候群の改善率は問われるんだと思いますが、
例えば、保健指導介入した中で特定保健指導の該当者がどれだけ減ったかとか、減ったというこ
とはリスクの数が減っているということですから、そういうようなことも併せて報告を求めると
か、ポイントだけに意識を奪われないような仕組みもを御検討いただければなと思います。
○永井座長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○松岡構成員 私たちもこういう保健指導をしているときに、ポイント制の180ポイントという
ところにとらわれ過ぎて、電話指導では何度もかけてしまうと、かなり断られて、もうかけてこ
ないでということで、次の受診率の低下につながるということを、私もたくさんの方にインタビ
ューしたんですけれども、すごく皆さん訴えられるんですね。伴走者として電話してほしい方も
おられるんですけれども、そこは柔軟性をもって自分で選択するという形で、国保の場合も、先
ほど野口構成員がおっしゃったように、2回面接を行うというところで、やはり忙しい自営業の
方なんかは電話を拒否される。その中でも支援Bがあるのでしなくてはいけないという枠にはま
り過ぎて、かなり困っておられる指導者も多いので、その辺のところの柔軟性を持つということ
は、是非今後検討していただきたいと思います。
○宮地構成員 ポイント制、現場で指導されている先生方の直感として、ポイントは多ければ多
いほど効果が上がるということは、恐らく誤りのない事実ではないかと思うのですが、もう一つ
検討しなければいけないのは、ポイント多い指導を、対象者は受けたいのかという観点です。要
するに、300ポイントと180ポイントだと、保健指導を受ける側からすれば、180の方が最後まで
いける確率は多分高い。極論を言えば、初回面接だけであれば、終了する確率は圧倒的に高いと
思うんですけれども、こういう効果を見るときに、点数が多いプログラムを受けた人と少ないプ
ログラムを受けた人の終了者だけ集めれば、ポイントが多かった人の方がより体重は大きく減っ
たという結果も重要ですけれども、多いポイントのプログラムの誘いを受けて何割の人が終了で
きたのかという、いわゆる終了率を勘案してこういった数字を検討したいなと思うんですけれど
も、そこら辺のデータというのは、津下先生、ないんでしょうか。
○津下構成員 初回面接のとき、又は保険者からこういう仕組みがあるということをきちんと伝
えていただいた場合には、300ポイントだから脱落率が高いとか、そういう話ではないと思うんで
すね。やはりこの制度についてどれだけ本気になって本人が取り組んでいただけるか、その仕掛
けがあれば、この機会にやっていきたいという思いを引き出してやっていけば、必ずしも多いか
ら悪いということではないと思います。
ただ、中途半端な気持ちで始めてしまったり、動機付けが不十分な状態で、やらされ感で入っ
てこられる、又は保健指導者もとにかく180ポイント取らないと1件にならないんだよねという
ふうに考えて、それにとらわれてしまうと、よい関係にならないということがありますので、最
初の仕組みの説明等が非常に重要ではないかと思います。
○宮地構成員 今のことですけれども、確かにそういうことはあると思うんですけれども、180
ポイントの保健指導を受けなければならないので、実際、保健指導の実施率が14%とか12%に低
迷しているという問題はないでしょうか。
○津下構成員 実は特定保健指導が始まる前の検討で、120ポイント程度でも効果が出ているプロ
グラムもあったわけでして、180ポイントないから効果がないとか、そういう話ではないんですけ
れども。それから、地域と職域の違い、一律で地域も職域も180ポイントと言っていいのかとか、
それから、例えば、180ポイントなくても効果が出た人は、保健指導実施者としてカウントしても
いいのではないかとか、いろいろな可能性があると思います。ナショナルデータベース等できち
んと保健指導効果のポイントと効果の検証をした上で、いろいろな環境で分類して分析をする必
要があるのではないかと思います。
○永井座長 門脇委員、どうぞ。
○門脇構成員 今の議論、すごく大事だと思います。180ポイントというのはプロセス指標で、真
に大事なのはアウトカム指標だと思うんですね。我々もさまざまな生活習慣指導の経験があり、
ここにいらっしゃる方全員同意していただけると思うんですけれども、1回お話しして割り合い
にすぐにできる人と、何回か継続して初めてできる人と、人によって違うことは明らかで、180
ポイントにいかなくても、指導してきちんとアウトカムが良くなれば、無理に180ポイント重ね
る必要はなく、非常に無駄な感じがします。したがって、個々の患者さんの御希望やアウトカム
なども勘案して、もう少し全体としては柔軟で効率的な形で、最初の5年間はプロセス指標でよ
かったと思うんですけれども、そろそろプロセス指標に加えてアウトカム指標も取り入れた形で
効率的にした方がいいと思います。
○永井座長 野口委員、どうぞ。
○野口構成員 せっかくその話が出たので、是非ともアウトカム指標というのも求めるような形
にというのを今後希望したいところなんですけれども、事務局に怒られるかもしれませんけれど
も、尼崎市のデータでいきますと、まさに今、先生がおっしゃったとおりでして、完了率と実施
率という2つ問われるんですが、最終、180ポイント終わって、6か月評価まで終わった方々と、
途中で終わったけれども、ポイントは足りていないけれども、翌年健診を受けていただいたとい
う方と、改善状況は非常に似通っているんですね。ですので、180ポイントというのは、先ほど申
し上げたように、委託契約上、枠組みとしては必要であるとか、一定の目安として必要であると
かということは重要だと思いますが、今後、これから向こう5年間のことを考えるに当たっては、
どういう仕組みが必要か是非とも御検討いただければと思います。
○永井座長 山門委員、最後にお願いします。
○山門構成員 ポイント制ではないんですが、よろしいでしょうか。
○永井座長 はい。
○山門構成員 2点あります。10ページの初回面接についてでありますけれども、これは、今日、
保険局も御出席でございますけれども、保険局の検討会の議論の中では、客観的評価があって、
誰でもが評価できるということであれば、同一者じゃなくてよいというのが保険局での検討会の
議論の結論ではないかと理解しております。
それから、もう一つは、私どもが行いますときには、必ず3年間の経年的な成績をもとに、経
年受診者に対しては、前年度、一昨年度、少なくとも3年間の成績をもとに生活習慣の面接指導
を行います。したがいまして、1ページのポイント制ではなくて、経年受診者に対する特定保健
指導の仕組みというものも構築していただければと思います。津下構成員は御多忙と思いますけ
れども、是非そのような観点から、経年受診者の保健指導の在り方ということをおまとめいただ
ければと思います。よろしくお願いします。
○永井座長 まだ御議論、御意見あろうかと思いますが、事務局はこれも次回整理でよろしいで
すか。○尾田保健指導室長 いただいた御意見を保険局とも相談しまして整理させていただけれ
ばと思っております。
○永井座長 では、宮澤委員。
○宮澤構成員 現在お話しになっているのは特定保健指導の課題についてなんですけれども、こ
の中で臨床検査の立場から一言御意見を申し上げたいと思います。
今、実際に行なっている臨床検査の項目につきましては、特定健診が始まるときに、項目の内
容につきましていろいろ議論があったことは、私の前任の渡邊先生からも聞いているところでご
ざいますけれども、私が今回、この検討会に出るに当たりまして、腎臓学会の方からたくさんの
御意見をちょうだいいたしました。
その中で、血液検査で血清クレアチニン検査を是非検査項目の中に入れてほしいという意見が
ございました。確かに、今、腎臓学会はCKDに対しましてキャンペーンを行っているところでご
ざいますし、実際に透析患者が増えているという実態もあります。透析を行うと莫大な医療費が
かかってくるわけでございますので、確かにCKDに対しまして、クレアチニンを測るということ
の意義は非常に大きいものだと思っております。
ただ、私は検査の立場から申し上げているわけでございますけれども、今、尿たんぱくを調べ
るということで尿検査が行われているわけでございますけれども、尿の検査を行うということは、
非常に検体数も増えますし、例えば、尿をハルンコップに取って、試験管に入れて、それをまた
運んで別の検査試料として測定するという手間暇もかかるわけです。
そして、その中で、クレアチニンと尿たんぱくの検査についての議論を、私も腎臓学会の先生
とさせていただいた中で、本来は両方やる方が確かに臨床的、医学的な意味が高いのは当然でご
ざいますけれども、健診で尿のたんぱくを調べる意義はどうなんだろうかといったときに、CKD
発症の段階において、血清クレアチニンが上がってくる前に、尿中のアルブミン、微量アルブミ
ン等が増えてくるんだという意見でございました。
では、どういう方でたんぱく尿が問題なんだろうかといったときには、極端なことを言えば、
例えば、一方ではネフローゼとか、そういった疾患もあるわけでございますけれども、特定健診
におきましては、高血圧を持っている方、そして糖尿病の方が大多数だと思うんですね。そうし
ますと、そういった対象となる方を拾い上げる意味におきましては、高血圧は血圧を測っており
ますし、糖尿病に関しましては、血糖値やヘモグロビンA1cが測られておりますので、私として
は、尿の検査の手間暇からみても限られた財源も考慮すると、CKD拾い上げという意味においても
尿たんぱく・尿糖検査は必ずしも特定健診において測定する必然性に乏しく、クレアチニン検査
のみでよろしいのではないかと思っております。
○永井座長 健診項目の見直しは、今、どこで議論されているのでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 まだ議題にしておりませんので、これは今後ということになります。
この検討会は、1つは、特定健診の観点があるわけですけれども、もう一つは、今後の次期国
民健康づくり運動の基本的方向性を踏まえた2つの視点がありまして、その点から健診項目の検
討についての必要性というのは、れまでも御意見が出てきていますので、これを事務局としてど
う取り扱うかについて検討しまして、今後の検討会で検討したいと思います。
○永井座長 腎障害の診断ということになりますね。
○佐藤構成員 今の室長のお答えに関連してなんですが、いわゆる健診項目の検討については、
今のお話で了解しましたが、問診票についてのスケジュール感については何か進んでいる状況が
ありましたら教えていただきたい。
○永井座長 問診票についてですか。
○尾田保健指導室長 問診票につきましても、御意見はその都度いただければ、検討の対象にし
ていきたいと思っておりますので、この検討会の中で御意見をいただいて、必要なら御議論して
いただきたいと思っております。
○永井座長 では、最後にお願いします。
○保坂構成員 今、健診項目については、それを取り扱うかどうか、事務局の方でこれから検討
して、これを議題に上げるかどうかを決めるというふうに私の耳には聞こえたんですけれども、
私は当然健診項目について検討するのはこの会でやるんだというふうに思っていまして、今まで
もそのように発言してきておりますので、歯科のことについても、眼科等についても、多分お話
をするということで伺っていたんですが、今の御回答はちょっとずれていたので、もう一度御回
答をお願いします。
○野田生活習慣病対策室長 言葉足らずで恐縮でございます。何を取り扱う、どういう項目を取
り扱うかという意味でありまして、健診項目について検討しないという前提は置いておりません。
○永井座長 では、引き続きその点は議論することにしまして、議題の4にまいります。「次期
国民健康づくり運動プラン骨子(案)について」、議題5の「平成22年国民健康・栄養調査結果
について」について、続けて御説明をお願いいたします。
○野田生活習慣病対策室長 資料は4と5でございます。
まず、資料4でございますが、これは、前回にも御説明をしております、次期国民健康づくり
運動に係る検討の状況の報告ということになります。
「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」改正案ということで、1月23
日に地域保健健康増進栄養部会の方で第2次の「健康日本21」ということで骨子案を示したとこ
ろでございます。
前文の方は、高齢化の進展や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣、社会環境の改善を通じて、
国民が共に支え合いながら希望や生きがいを持ち、ライフステージに応じて、健やかで心豊かに
生活できる活力ある社会を実現する。こういうことになっておりまして、第一から第七まで、法
定の項目について事項がございますけれども、本日、時間が限られていますので、概略を御説明
するということで、資料4の一番後ろにA4横の概念図がございますので、これでまず御説明い
たします。
資料の8ページでございますけれども、現行の「健康日本21」について、左側の方を見ていた
だきますと、青字で書かれた課題がございます。非正規雇用の増加、家族形態や地域の変化等に
おいて、健康における地域格差縮小の実現が重要になっていく。
2番目にいきますと、高齢化社会の中で重症化を予防する観点、社会生活機能を維持する観点
が重要。
一番下にいきまして、生活に追われて健康が守れない方や、健康に関心が持てない方も含めた
対策が必要。こういった課題が評価並びに現状の社会状況を踏まえて出てまいりました。
次期につきましては、基本的な方向といたしまして、ここにございます赤字で書いてあります
5つの柱立てをしましてプランを進めていくということでございまして、次のページをごらんい
ただきますと、9ページに基本的な方向に対応させた目標ということで書かれた資料になってい
まして、右側でございますけれども、5つの基本的な方向に対応させる形での54項目の目標項目、
これは現行、局長通知でございますが、大臣告示に格上げをして設定をしたいということでござ
いまして、前のページにございました柱立て、健康寿命の延伸と健康格差の縮小に関する目標。
2番目といたしまして、生活習慣病の発症予防と重症化予防。特に、近年、4疾病、そこにご
ざいます、がん、循環器疾患、糖尿病、COPDについては、NCDとして国連やWHOで特に重要なも
のとして取り組まれているといった状況もございますが、これを予防する観点。
3番目といたしまして、こころ、次世代、高齢者の健康ということで、社会生活を営むために
必要な機能の維持・向上をするという目標。
4番目に、社会環境整備ということで、健康を支え、守るという目標。
5番目には、NCDの共通リスクであります6つの重要な危険因子の項目について設定をする。
それから、下にございますが、新規の項目としては、ロコモティブシンドロームですとか、先
ほどと重複しますが、COPDについての項目を立てている。また、健康格差の縮小、社会環境の整
備という観点からも目標を立てたいと考えているところございまして、その前のページにA3の
大きい表がございますが、一番上を見ていただきますと、全体目標としまして、健康寿命の延伸
と健康格差の縮小。7ページでございます。
それから、一番左が基本的方向になっておりまして、おのおのの柱立てに応じて、今、御説明
いたしましたようなNCDの予防、社会生活に必要な機能の維持・向上。
あとは、健康を支え、守るための社会環境の整備ということでは、社会のきずなの向上といっ
た観点からの指標を設けたいと考えております。
それから、右側が生活習慣の改善・社会環境の改善ということでございまして、共通リスクで
ございますので、欄は全部にかかるようになっておりますが、主に下の方に書いてございますけ
れども、例えば、休養のところであれば、週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少ですとか、
喫煙のところであれば、受動喫煙の関係ですとか、栄養のところ、ちょっと前後しますが、栄養
成分の表示を行う食品数の増加ですとか、そういった社会環境的な要因も、個人の行動変容にダ
イレクトに係る目標以外に設けて指標としたいという考えで現在検討が進んでいるところでござ
います。
次に、資料5でございますが、「平成22年国民健康・栄養調査」の概要でございまして、1月
31日に発表された内容でございます。
これも非常に分量がありますので、概略を御説明いたしますが、今回は、循環器疾患に関する
状況というのが一番トップにございます。資料5の扉のところにございまして、これは10年前に
循環器疾患調査として実施いたしましたものを国民健康・栄養調査の中で健康増進法ができて、
中に取り込んで実施をしたということでございます。
3ページ目をごらんいただきますと、脳卒中は増加している。一方で、心筋梗塞、狭心症は変
わらない。
4ページ目でございますが、血圧については、有病者の割合は男性が増加しているが、女性は
変わらない。ほかは変わらないということでございます。
5ページ目でございますが、これは、高血圧と言われたことがある方の状況ということでござ
います。
6ページが高血糖でございまして、糖尿病が強く疑われる方の割合は、男女とも増加している
ということでございます。
7ページが糖尿病と言われたことがある方の状況ということで、これは今回、医療機関や健診
でとなっていますので、特定健診の影響があるかもしれないんですが、男女とも増加していると
いう状況になっております。
8ページ目でございますが、血清総コレステロールについては男女とも増加。脂質異常が疑わ
れる方の割合は、女性が増加しているという結果でございました。
9ページについては、コレステロールについて同様の結果でございます。
11ページが、家庭血圧測定でございまして、これは、高齢者では特にそうですけれども、血圧
測定をされる方が60歳以上で見ますと6割を超えるような状況であるということでございます。
12ページが体重測定でございますけれども、これは、全体を見ていただきますと、男性のやせ
を除けば、8割ぐらいの方は皆さん体重を測定されているという状況でございます。
14ページからが基本項目なんですが、これについてはすべてを御説明いたしませんが、14ペー
ジは肥満でございまして、肥満者の割合は基本的には変わらないという結果でございます。ここ
からは1年前でやっております。
一番下をごらんいただきますと、男性については、肥満者、長期的に見ますとだんだん増えて
きていると。女性については漸減しているということでございますが、やせの方を、女性ですが、
20歳代でプロットしますと、若干上昇傾向にあるのではないかというグラフになっております。
それから、ずっと飛びまして24ページでございます。これが喫煙でございまして、男性が32.2、
女性が8.4ということで、総数で19.5という成人の喫煙率になっております。
それから、25ページの一番下のグラフを見ていただきますと、喫煙している方のうち、たばこ
をやめたいと思われる方、それは総数で37.6%であるということでございます。
26ページは受動喫煙ですが、過去に比べてその割合は減少してきているということでございま
す。
31ページ、32ページをごらんいただきたいんですが、今回、その他といたしまして「所得と生
活習慣に関する状況」というのを調べておりまして、この表を見ていただきますと、特に体型、
食生活、運動、たばこについては、世帯所得600万以上の方々とそれ未満と比べますと、差があ
ったということでございます。
それから、33ページでございますが、これは都道府県別の生活習慣の状況ということで、これ
は所得の調査とは関係ございませんが、地域差があるかということで、5年分のデータを集めま
して、年齢調整もいたした上で比較したものでございまして、33ページの表9にございますよう
に、肥満、野菜摂取量、食塩摂取量、歩数、喫煙、飲酒習慣等で差が見られていると。
データが十分ないものですから、47都道府県の上位群と下位群、具体的には12県と11県の平
均を比較するという形で比較しておりまして、例えば、歩数であれば1,000歩ぐらいの差がござ
いますし、喫煙率であれば8~9%の差があると、こういったようなデータでございます。
以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に御質問ありますか。林委員。
○林構成員 これは「第2次健康日本21」という位置付けであると思うんですけれども、そうす
ると、厚労省の中にこの委員会も含めてたくさん委員会があるわけですけれども、これが一番親
元といいますか、国の健康づくりの憲法みたいな位置付けで考えてよろしいんでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 健康づくりということで関連すると、いろいろな検討母体があると
思います。私どもはあくまで健康増進法ということでの健康づくりということでこれをやってお
ります。なおかつ、単に健康局の分野だけではなくて、他部局にも御意見をお伺いしながらやっ
ているということでは、全体的に健康というものをどういうふうに考えるかという位置付けでの
1つの基本となるものであると考えております。
○林構成員 ありがとうございます。
この質問をどうしてさせていただいたかといいますと、この中にNCDだの、いろいろなことが
書いてあります。そして、社会のきずなをどう構築するかというのも1つのセクションになって
いるわけです。多分こういう健康づくりの話というのは、皆さん御承知のように、何も健康の問
題というのは健康の運動だけで自己完結できる話ではないということですね。例えば、健康格差
の縮小にしろ、いろいろなそういったことを考えたときに、例えば、経済環境がどうなのかとか、
あるいは、そのほかのインフラの問題もあるだろうし、私の知っている1つの例ですと、ミネソ
タ州にあるミネソタマイルストーンというのがありまして、5つの分野に分かれておって、健康
の指標のほかに、環境指標、経済指標、それこそ民主主義の指標、投票率がどのぐらいかとか、
要するに、健康格差を縮めていく上で、健康のことだけ論じても、それはなかなか難しいと。こ
れが「第2次健康日本21」という大きな位置付けであれば、特定健診は健診のことだけでも結構
ですけれども、この大きな位置付けであれは、もっと全体的な、それをわたるような指標という
のも同時に立てていかないと、それこそ厚労省だけではなくて、他省庁の協力も必要であろうし、
また、地域で実施していくときでも、ほかの部局と連携していかなければならない話であるので、
そこら辺、どうお考えなのか。
○永井座長 いかがでしょうか。
○野田生活習慣病対策室長 今回、社会環境整備という言い方で、ある意味、社会対策的な要素
を少し強めた形で健康づくりを実施したいという考えでございまして、諸外国でも健康に与える
社会的な決定因子というか、そういったものを重視した形の健康づくりといったことで近年は取
り組まれている状況がございますので、先ほどの国民健康・栄養調査などでもあらわれておりま
したように、ある意味広い観点からやっていかなければいけませんし、単に厚生労働省だけで健
康づくりをしていくということにはある意味限界がございますので、そういった意味で、省庁間、
地域との連携といったこと、また、地域内での一致した取組といった観点を、今回、基本的な方
針を示す中で、少し具体化していきたいと考えております。
以上です。
○林構成員 ただ、社会環境に関する指標がここにほとんど載っていないということが気になっ
たわけで、それを横にらみにしながら、健康指標と併せて鳥瞰的に見ていく必要があるのではな
いかという私の意見です。
○野田生活習慣病対策室長 少し先ほど説明は申し上げたつもりではおりましたけれども、まだ
各省ともいろいろな調整を行っているところであるわけでございますが、社会のきずなの向上な
どでも、地域のつながりの強化ですとか、健康格差対策に取り組む観点からの自治体の増加です
とか、そういったことを指標として挙げておりますことや、それから、例えば、身体活動や運動
というところを7ページで見ていますが、ごらんいただきますと、歩道や公園などの運動しやす
い環境づくりに取り組む自治体の数とか、そういった少し広めの指標を考えているところでござ
います。
ただ、これについてはいろいろとまだ先生が言ったような視点で足りないといったこともある
かもしれませんので、よく御議論はいただきたいと思っております。
○永井座長 では、簡単にお願いします。
○大井田構成員 壮年期死亡の減少というのはなぜ除いたんですか。
○野田生活習慣病対策室長 もともと「健康日本21」といいますか、目指すところは40歳から
75歳ということで、全体としてはそこでやって、中心はそこにあるわけですね。したがって、そ
こは今回あえて書き込まなくても、自明のこととして健康寿命の延伸、健康格差の縮小という言
葉の中に、全体の目標としては含まれていると。この健康づくり自体がそういったものを目指し
ているということだと解釈して、今回はあえて壮年期の死亡の減少と生活の質の向上というのは
前回あったんですけれども、一応、健康寿命の延伸と健康格差の縮小ということに集約させてい
ただいということでございます。子どもから高齢者まですべての国民が共に支え合いながら希望
や生きがいを持ってライフステージに応じて心ゆたかに生活できる、活力ある社会を実現すると
いうことを目標にしているということでございます。
○大井田構成員 載せておいてもいいのではないかと思うんですけれども。
○野田生活習慣病対策室長 そういう御意見もございますが、現状ではこういった形で検討して
いただいています。
○永井座長 まだいろいろ御意見はおありかと思いますが、これは報告事項ということになって
おりますので、次に進めさせていただきます。
議題の6で「ヘモグロビンA1cの国際基準への対応について」事務局から説明をお願いいたし
ます。
○野田生活習慣病対策室長 これも前回の続きの御報告になります。
前回、このA1cの対応につきましては、関係者間で御議論、調整が続いているということで、
既に保険局の方で議論が開始されたものについて、健康局の視点も入れて御説明をしたところで
ございますけれども、NGSPの併記についてどのようにしていくかということでございまして、資
料の6でございますが、内容としては、保険者が特定健診等の実施を委託する場合の取扱い。(2)
ですが、労働安全衛生法に基づく健診を事業主が行って、その健診を特定健診に代える場合の取
扱い。(3)の人間ドック健診等の特定健診以外の健診について、保険者がその結果を特定健診
に代える目的で行う場合の取扱い。いずれにいたしましても、JDSとNGSPが両方存在するという
中で、特定健診についてはJDS値を基準に情報の移動を行うということで、こういった内容をも
って、3にございます周知先に対して、健康局と保険局名で事務連絡を発出したいという案でご
ざいます。
以下は、関係学会等の資料で、経緯や内容を意義や普及、対応といったことで詳細な情報が書
かれたものを付けさせていただきました。
以上です。
○永井座長 よろしいでしょうか。門脇先生、特によろしいですか。もしよろしければ、この件
については事務局の方向ということで御了解いただきたいと思います。
大変申し訳ございません。大分時間が過ぎてしまいました。一応本日の議論はここまでといた
しまして、また次回、更に議論を重ねたいと思います。
事務局から連絡事項をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 次回の日程につきましては、2月中に開催したいと考えておりますので、
改めて構成員の皆様には御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○永井座長 どうもありがとうございました。
これで終了いたします。
<照会先>
厚生労働省健康局総務課
・生活習慣病対策室
室長補佐 三田(内線2348)
・保健指導室
保健指導専門官 畑農(内線2398)
(代表電話)03-5253-1111
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