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2012年1月24日 第3回 障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成24年1月24日(火)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用21会議室


○出席者

【委員】 今野座長、阿部委員、海東委員、川崎委員、杉山委員、田川委員、田中伸明委員、田中正博委員、野中委員、丸物委員、八木原委員


【事務局】 山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、鈴木障害者雇用専門官、秋場地域就労支援室長補佐、西川障害者雇用対策課長補佐


○議題

1.関係者からのヒアリング
 ○社団法人日本てんかん協会 理事 福井 典子 氏
 ○一般社団法人日本発達障害ネットワーク 副理事長 氏田 照子 氏
 ○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会 代表理事 伊藤たてお 氏
 ○東京障害者職業センター 次長 児玉 順子 氏
 ○ハローワーク府中 所長 根岸 栄子 氏
2.その他

○議事

○今野座長
 ただいまから「第3回障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」を開催いたします。
 まだ八木原委員はお見えになっていないのですが、お見えになるはずです。あと杉山委員は30分ほど遅れるということです。今日の会議を始める前に、お願いしたいことがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、ご発言をされる場合には、次のようにしていただきたいと思います。1つは、発言される方は必ず挙手をしていただきたいと思います。その後、私が発言者を指名いたしますので、指名を受けた発言者の方は、氏名を名乗っていただきたいと思います。もう一度言いますと、挙手をする、私が指名する、その後に発言者は氏名を言うという段取りでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議題ですが、前回に引き続きまして、関係者からのヒアリングを行います。今日は、3団体と2つの就労支援機関から発表者にお越しいただいております。最初に紹介をさせていただきます。まず、社団法人日本てんかん協会理事の福井典子さんです。一般社団法人日本発達障害ネットワーク副理事長の氏田照子さんです。一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事の伊藤たておさんです。東京障害者職業センター次長の児玉順子さんです。最後は、ハローワーク府中所長の根岸栄子さんです。
 それでは議事に入ります。手元の議事次第に従っていきます。1つ目は、いま申しましたヒアリングです。今日は2つに分けていきたいと思います。前半は3つの障害者団体から発表をいただいて、まとめて質疑応答をする。それが終わってから、後半で就労支援機関から発表をいただいて、質疑議論をするという流れにしたいと思います。大変短かい時間ですが、各団体の方には、発表時間10分程度でお願いをしたいと思います。それでは議事次第の順番でいきたいと思います。最初に、日本てんかん協会の福井さんからお願いします。
○福井氏
 社団法人日本てんかん協会の常任理事をしております福井典子と申します。今日はこういう場を設定していただいて、大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 1頁に、私どもの今日の設問に対する答えが書いてございます。10分程度ということですが、トップバッターですのであまり時間を延長しては恐縮ですので、これになぞって発言をさせていただくということで、お許しいただきたいと思います。
 まず1番ですが、また改めて申し上げるまでもないのですが、現在、身体障害、知的障害、精神障害の手帳保持者が障害者雇用促進制度の障害者の対象となっております。私どもてんかん患者は、全国で100万人と推定されておりますけれども、てんかんはこの制度上では精神障害の枠内で取り扱われているわけでございます。ここにマル1マル2マル3と書きましたのは、私も実はいま、障害者制度改革推進会議の下に置かれている総合福祉部会の部員として、一昨年の4月からずっとその新法制定のために全力を挙げてきたところです。こういう設問でございますので、障害者自立支援法ではマル1マル2マル3と、こういうふうに指定されているということをここで改めて書きました。
 トップバッターですので、障害者はこういう発達障害を含む3障害で規定されていて、その他の心身の機能の障害、日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいうとか、今度は社会的障壁ということが言われましたので、そのことについても、ここでまた改めて申し上げたいと思います。上記定義における心身の機能の障害には、私どももそうですが、慢性疾患に伴う機能障害を含むものとするとされています。したがって、国内の障害者に係る福祉サービス等を行う法律、規則などにおいては、最低限この定義に準ずるべきであるということで、わかり切ったことですが、最初に申し上げておきます。
 ただし、本来は医療モデルによる障害や疾病の羅列、これは診断書等によるものですが、ではなく、個々人が社会生活において働く上で障壁となることがある場合のすべてに、国のサービスとして提供できる支援メニューが提供されるべきと考えております。
 なお、てんかんですが、発作発現の要因となる脳の疾患・疾病に起因する脳性まひなどの身体障害、同知的障害、度重なる発作による不全感等が原因となるうつ病などの精神障害、やはり原疾患等に起因する発達障害、高次脳機能障害、重篤な発作の原因となる難病など、すべての障害に関与しているので、障害の範囲拡大となれば、一定数の患者へのメリットが生じます。特に、2006年の精神障害者保健福祉手帳保持者が雇用率制度の適用になったことによって、ちょっと表現があれですが、それまでは門前払いになりがちだった当事者が、就職する事例が出てきたということです。1番の設問のお答えは以上です。
 2番ですが、障害者の範囲を就労の困難さに視点を置いて見直すことをどのように考えるかと。これはとても大切なことでございまして、後でまた時間がありましたら申し上げたいと思います。
 就労の困難さを考える場合、前述のように障害や疾病のカテゴリーだけからの議論では限界がございます。それぞれ個人によって、病態像、障害状態、生活環境などでその要因が異なり、就労の困難度も変わってくるわけです。さらに、障害のある人のみならず、事業所における障壁や無理解・誤解などについての対策も、今後喫緊の課題、問題であると思っております。また、「就労」にばかり視点が置かれることなく、雇用の継続と安定についての支援策も併せて検討する必要があると思っております。これから就労・雇用領域に限定せず、もっと福祉とか保健とか教育、医療の領域とのネットワークを活かした地域サポートの仕組みこそ、これから必要になると思っております。
 さらに、障害者職業総合センターでは研究チームが発足し、先駆的な研究がなされておりますが、この研究チームには当協会の副会長で、てんかんの専門医であります久保田英幹さんもメンバーの一員として参加しておりまして、私たちてんかん協会の理事会も、いろいろとご意見も申し上げているところです。チームにおいては、てんかんのある人の意向を反映してもらえると考えております。その検討結果をしっかりと踏まえて、実現をしていってほしいと思っております。
 急ぎますが、3番の設問です。雇用率制度における障害者の範囲についてです。最初に申し上げたとおり、原則的に最低限でも障害者基本法の定義に従うべきであると考えております。ただし、段階的な措置としては、まずは精神障害者(てんかんや発達障害を含む)を雇用率制度の対象範囲に含めるべきであります。身体、知的のみが義務で、精神障害者保健福祉手帳保持者はみなし雇用(身体、知的とみなす)というのは、全く不十分であると考えております。精神障害全体の義務化が必要です。
 また、これに際しましては、今回の障害者自立支援法改正で、発達障害、高次脳機能障害全体を精神障害の範疇に含めることになりまして、対象者が数100万人から1,000万人程度に増えることも考えられますので、法定雇用率、現行1.8%ですが、その引き上げも、当然併せて実施されるべきであると考えております。
 さらに、この制度の見直しに際しましては、既に雇用している人への不利益が生じたり、新たな雇用につながらないという実態が生じることのないように、配慮を欠かさないように留意するべきであります。つまり制度設計として、これまでの在り方を見直す必要性についても併せて検討が必要であります。
 4番のダブルカウントや特例子会社の扱いです。制度の否定はしないですけれども、改めて見直しが必要だと思っております。ダブルカウントについては、企業での負担感を公平にするために設けられたと聞いていますが、生活面の障害と職業面の障害の程度にずれが生じている例も少なくありません。さらに、短時間雇用は0.5ポイントなど、企業・当事者双方に納得しがたい状況もありますので、存廃を含めた議論が必要だと考えております。加えて、職業上の障害の重度判定の基準も、やはり医療モデルによるものだけでは、今後適性化、公平性などを欠くことになると思います。
 また、特例子会社につきましては、競争的雇用の場になじみにくい知的障害、精神障害者の雇用の場として、一定の役割を果たしています。そういった場面で働くてんかんのある人の存在も一定数あるので、必要と考えます。ただし、運営しやすい特定の障害者だけを雇用するケースが数多く見られるようにも感じられます。もっと、多くの障害のある人(特に精神障害やてんかんのある人など)が活躍できるように、専門職(精神保健福祉や医療領域)の配置など、環境改善や支援サービスを拡充するなどして、さまざまな実績が報告されるようになることを期待しております。
 最後、現行の障害者雇用促進施策についてどう考えるかですが、てんかんのある私どもは、発作の有無だけが就労や雇用継続に際して、過大視されがちなのですね。私たちも、いろいろと無理解をなくすためのさまざまな提起もしておりますが、しかし、てんかん発作があるということから生じるさまざまな状態や障害像を、発作への対処法(観察・記録)とともに社会(事業所)に正しく理解してもらうことが重要です。そのため、もっと国が社会啓発活動に民間と協力をしながら取り組む必要を感じております。私どもも、協会独自として、街頭に出たり、さまざまな啓発紙を作ったり、学習の機会を設けたり、全力を挙げているところでございます。
 また、社会参加に際しましては、移動支援、在宅支援(職業前訓練)、医療ネットワークとの連携など、障害者雇用促進だけに視点を限定しない、障害や病気のある人個人の生活全体をサポートする地域ネットワークの一員として、雇用支援も位置づけられる必要があると思っております。
 さらに、今日もいろいろと各方面の方がお見えになっているようで、ちょっと苦言を呈するようですけれども、障害者雇用の議論から少し逸脱するのですが、全国の協会会員からは、ハローワークの対応に対する厳しい意見、“何もしてくれない”とか、“てんかんのことをわかってくれない”などという苦情や意見が絶えません。そして、就労したてんかんのある人の多くが、自己努力による就職であるという実態もございます。これは制度のみならず、運用面の課題が大きいことを示しております。
 ハローワークのみならず、今日は各方面の方が来ていらっしゃいますが、市区町村の窓口に就労支援サービスを移行するなど、抜本的な改正も必要である。例えば、障害者自立支援法改正・障害者総合福祉法の制定と連動して、就労移行支援事業所に、職業紹介機能を持たせるなどの役割の拡大などです。
 10分超過しましたでしょうか。恐縮でございますが、てんかんは非常に複雑なのですが、私たちもできるだけ雇用については全力を挙げるように運動もしているところでございます。特に、私は東京都支部の一員として、ここ3、4年、東京都にてんかんのある人たちも雇用してほしいという要請をしているのですが、東京都の、例えば自治体の2.1%はクリアしているのだけれども、身体障害者のみ試験を受けさせてもらっていて、知的とか、それから私ども精神障害であるてんかんとかは、チャレンジ雇用というのが何年も続いております。つまり、就労の窓口にさえ立たせてもらえないということはどういうことかと思っております。何年か前に調査をいたしましたら、これは東京都のみならず、たしか2桁に達するぐらいの自治体でそうだということで驚いたわけでございます。言葉足らずでございましたけれども、また発言の機会があったら発言をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
○今野座長
 ありがとうございました。次は、日本発達障害ネットワークの氏田さん、お願いします。
○氏田氏
 おはようございます。日本発達障害ネットワークの氏田です。どうぞよろしくお願いいたします。今日は、発達障害の分野からもヒアリングにお招きいただきまして、ありがとうございます。私どもの資料は、資料1-マル2となります。資料に沿って意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず、1番の障害者雇用促進制度における障害者の範囲についてというところですが、この制度の障害者の範囲については、現行では私どもの「発達障害」については「その他障害者」というところの中で取り扱われています。昨年度改正されました障害者基本法の定義と同様に、身体障害、知的障害、そして精神障害(発達障害も含む)となっておりますが、というふうな形にしていただいて、発達障害についても明記し、本制度の対象として明確にしていただきたいと考えています。
 次に、2番についてです。就労の困難さというところなのですが、まさに発達障害の方たちは、その境界の部分が不明瞭であったり、就労の部分についての困難さがなかなか理解されないというところがありますので、就労の困難さに視点を置いて見直すことに、私たちは賛成です。
 次の3番の雇用義務の対象範囲が重要になると思いますが、発達障害の人の中には雇用率の対象となる人、ならない人がおりますので、職業的困難を抱える発達障害の人は少なくありません。どちらの場合においても、障害特性に配慮した支援を受けられればと思っています。
 現在職場において、障害特性に応じた合理的配慮を求めるためには、障害の開示が前提となっています。精神障害者保健福祉手帳を取得しなくとも、発達障害の診断があって、かつ発達障害に起因する職業的困難が明らかな者については、障害者雇用促進制度の下で必要な支援を受けられるようにしていただきたいと考えています。
 皆様ご存じのように、発達障害は社会性やコミュニケーション面などの障害の判定が難しいという障害特性を持っています。そのような特性のある発達障害のある人を支援の対象として判定していくためには、地域障害者職業センター等の公的機関において、職業的困難度を基準とした「障害」を判定する仕組みを開発していただくことが必要であると考えています。現在、日本も障害者権利条約の批准に向けて法整備をしていただいているところなのですが、障害者権利条約は「平等」という概念に重きを置いていると思います。私たちの国においても、この平等概念を拡大することは大変重要であり、障害者雇用においても、合理的配慮義務を企業側に求める必要があるのではないでしょうか。合理的配慮をしなければ差別になるというような条文の挿入ができないだろうかと、私たちは考えています。
 続きまして、雇用率制度における障害者の範囲についてです。雇用義務の対象範囲については、先ほどてんかん協会さんもおっしゃいましたが、「精神障害」「発達障害」についても対象とすべきであると考えています。
 それによって、発達障害のある人の中で、精神障害者保健福祉手帳を取得する者については、雇用義務の対象となります。ただし、いままでのように手帳の有無だけで、発達障害のある人の職業的困難を評価することは不十分であると考えています。社会性・コミュニケーション能力、それから注意や記憶に関する能力、作業の巧緻性など、発達障害の障害特性に焦点を当てて、独自に職業的障害を判定し、雇用率の対象に含める仕組みを開発してほしいと思っています。また、雇用義務の拡大に伴う法定雇用率の引き上げについても検討が必要であると、私たちの団体も考えています。
 発達障害の現れ方は本当に極めて多様です。また、仕事の種類や職場環境によっても大きく異なってきますので、職業的困難度の判定がすごく難しく、雇用が進まないという現状があります。障害者職業センターや相談支援事業所などの身近な機関に判定の専門家を配置し、就労支援独自の判定をする必要があると考えています。
 障害者雇用促進法の第一章総則、第二条を拝見したのですが、こちらのほうに、「身体障害、知的障害」、それからアンダーラインのある「精神障害者(発達障害を含む)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者で、障害が原因となって雇用の機会が奪われており、雇用上合理的配慮を必要とするもの」、ほかの条文と同じように「(別途厚生労働省令で定める)をいう」を条文に追加することを提案したいと思います。
 続きまして、4番のダブルカウントや特例子会社の取扱いについてです。ダブルカウントや特例子会社については、引き続き、いろいろな研究を進めていただければと思うのですけれども、知的障害の重い人をはじめ、さまざまな障害特性を持つ人が社会に出て働くことを可能とする制度であるというふうに評価しております。
 ダブルカウントにつきましては、積極的是正策として捉えていますけれども、現行では職業的重度判定の人をダブルでカウントするのみで、雇用に伴う事業主負担を軽減する策が十分とは思えないと感じています。例えば、重度の自閉症のある人が職場で安定して働くためには、専門性のある指導員の配置など、企業側の配慮ある雇用管理が不可欠であると思います。ダブルカウントによって重度の障害のある人の雇用機会を増やすだけでなく、職場で手厚いサポートを得て、安定して働くことができるように、重度障害者を雇用する企業をサポートする制度を充実してほしいと願っています。
 また特例子会社につきましては、いろいろなご意見もあると伺っておりますけれども、町の中でのグループホームの実践が地域の皆さんの障害者理解を深めてきたのと同様に特例子会社の取り組みは、企業における障害者雇用への理解を推進する機動力ともなっていると感じています。また、雇用率アップにも貢献していると評価しております。
 最後になります。その他見直すべきというところで、いくつかの意見を記載させていただいております。雇用労働ではない、さまざまな労働、つまり自己の労働能力で社会に参加して対価を得るということを可能にする社会的インフラの拡充促進が必要であると考えています。雇用か失業かではなく、離職してもほかの働き方ができる場を用意しておくことが、これからの社会に必要であり、重要であると思います。働く能力と意思のある人すべてに仕事の場を用意することを国の基本政策・義務として整備を進めてほしいと思います。
 知的障害、精神障害、発達障害については、就労継続のためには、就労支援・生活支援の両面からのフォローが大切であります。福祉と労働のきめ細かな連携が求められていると思っております。
 現在、地域障害者職業センターにおいて試行実施されております「発達障害者就労支援カリキュラム」を含めた、発達障害者に対する専門的支援について、是非すべての地域障害者職業センターにおいて常設として実施してほしいと思っております。また、一方で通常の雇用促進の仕組み、例えば一般の能力開発校などにおいても障害者を平等に受け入れていただき、そこでも合理的配慮をするなどの取組みこそが、真の共生社会であると思います。
 また、就労困難な状況にある発達障害のある人たち、現在いくつかの所でも取組みが開始されているのですが、仕事に対する具体的なイメージを持てていないことが多く、経験が不足しがちです。縮小しつつある労働市場を鑑みますと、段階的な就労体験の場、トレーニングの場と言ってもいいのでしょうか、中間労働市場、イギリスのほうで実践をされたと伺っておりますが、競争労働と福祉の中間での体験が必要であると考えています。体験を経た後には、一般就労に近い環境での従事は可能と思います。
 地域生活支援の一環として就労支援があると考えれば、働く障害者の生活面の支援(グループホーム、余暇支援など)も欠かすことができない重要な点でありますが、就労している障害者に対する支援策が非常に希薄です。今後は、障害者就業・生活支援センターなど、地域の支援機能の強化を図り、フォローアップも含めて継続した支援をきちんと提供できるようにしていただけたらと考えます。
 以上のような提案は、実は福祉制度に関わる部分もありまして、労働の領域でできる制度・政策に限定されていない部分もあるのですが、そのような改善をもってしても、雇用率制度の対象にならず、また職業的困難を抱える発達障害のある人は少なくありません。
 若年不就労者の雇用対策と障害者雇用対策の狭間にある発達障害のある人が適切な支援を受けられるよう、発達障害の診断のみで受けることができる支援制度を充実していただきたい。また、現状の発達障害者雇用開発助成金など、発達障害独自の取組みを、引き続き積極的に行っていただくことが必要であり、重要であると考えております。
 JDDネットといたしましては、発達障害者のスペクトラムすべてが何らかの理解と支援を必要としておりますので、発達障害の診断を持つ者すべてを、雇用支援の範囲としていただきたいと考えております。その上で、障害者雇用率、従来手帳の有無で判断してきたものと思いますが、に関しては発達障害者の雇用に関する配慮の必要性は、障害者手帳や医師の診断書とは異なるものであると思いますので、雇用独自に判定基準を設けていただき、対象となる者、ならない者を判定する必要があるのではないかと考えているところです。どの程度のものを雇用率制度の対象者とするべきかということについては、別途提案をさせていただきたいと思います。
 また、新たな判定方法が確立されても、障害者雇用率の対象にならない程度の範囲の対象者向けには、発達障害者雇用開発助成金などのように、発達障害独自の取組みを引き続き積極的に行うよう、改正に際しては必要な文言を、もし可能でしたら法律に明記していただけたらいいなと思います。私たちも、雇用率制度の対象とすべきもの、そうでないもののイメージを明確にして、提案していったり、雇用率制度の対象にならない方たちについての必要な事業を提案していくことが、今後できればいいなと思っております。時間をちょっと超過してしまいました。ありがとうございました。
○今野座長
 最後に、日本難病・疾病団体協議会の伊藤さんからお願いします。
○伊藤氏
 日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。初めにお断りしておきますが、私どもの団体は1つの疾病ではなくて、現在、加盟団体は、たくさんの病気を含めて地域ごとに組織されている地域の難病連が39団体、病気別の団体が29団体で構成されています。
 さらに、事前にお話しなければいけないことの1つは、難病の定義がいま大きく変わろうとしていることです。昭和47年にできた難病対策の実施要綱に基づいて進められてきたのですが、難病というのはかなり幅広い定義でありまして、必ずしも疾患数が少ない希少性の疾患、あるいは非常に治癒が困難な難治性疾患だけにとどまらず、社会的な困難も含めて難病という呼び方を私どもはしています。なお、現在、厚生労働省の厚生科学審議会の難病対策委員会でも新しい難病対策を作るために、難病の定義について議論が行われているところです。そのことも踏まえて難病をご理解いただきたいと思います。
 また、難病にしろ、ここに「長期慢性疾患」と書いてありますが、長期に治療を必要とする疾患、この2つとも生涯にわたって、つまり死ぬまでの間ずっと治療を継続しなければならないという意味で、大きな社会的なハンディを持つものと思っています。また、従来はハローワーク等に相談に行きましても、「まずは病気を治してからおいで、それから就労活動だ」というようなことを言われていましたが、現在の社会においては、そうではなくて、病気を持ちながらも仕事もし、家庭生活、日常生活を送っていく、そういう社会が目標なのではないかと考えています。私どもの団体でも、就労という問題は元気な患者さんが仕事をしたいということだけではなくて、現在闘病中の患者さんにとっても究極の目標として就労という問題が目の前にぶら下がっているものと考えています。
 今後の促進の範囲です。私どもはそういう意味で、何々病だから難病であり、新たな雇用対策の中に入れる、というような考え方を取っておりません。あくまでも難病及び長期慢性疾患で日常生活や社会生活において困難を有し、障害者福祉制度の支援を必要とする者、あるいは社会的支援を必要とする者を対象にするべきだと考えています。以下、何点かについて、かいつまんで説明を申し上げます。
 私どもは、さまざまな患者さんの相談事業を行ったり就労支援を行っていますが、難病あるいは長期慢性疾患といっても、それぞれ疾患の特性によって症状や障害及び抱えている「困難」には大きな差異があるのです。同じではない。しかも、年齢・性別によっても大きな違いがありますし、先天性の疾患、老齢になってから発症する疾患、中年期で発症する疾患、青年期で発症する疾患と、さまざまな状況によって抱える困難も違うわけですから、一概に難病についての就労支援、雇用対策はこうあるべきだと定義するのは大変難しいと思います。また、「難病」という言葉からくる周囲の目、あるいはそういうことによる社会的なハンディも大きいことも問題かと思います。ここに何点か書いてありますのでお読みいただきたいと思います。
 真ん中ぐらいにあります「厚生労働省平成22年度障害者総合福祉推進事業 難病患者等の日常生活と福祉ニーズに関するアンケート調査」を行わせていただきました。その中でも就労の問題を取り上げています。資料1-マル3に調査の概要が載っています。就労問題についてもさまざまな状況がありますが、特にいちばん最後の3行の「離職に至った理由」です。つまり、途中で発病した方々の離職が大変多いのですが、理由の中でいちばん多いのは、とにかく、「労働時間が長く体調管理が大変だった」ということ。それから「職務内容がきつかった」「通勤が大変だった」。続いて、具体的な表現はなかなか難しいと思いますが、「いづらい雰囲気を感じた」という漠然とした理由ですが、その職場にいづらいと感じたものが14.5%もあるというところが、病気を持っている人を抱えた職場の雰囲気を表わしているのではないだろうかと考えています。
 次の頁です。雇用率については、特に難病だからといってほかの障害と区別する理由はないので、これもほかの障害者の範囲と同じように考えていただくべきではないかと思います。また、病気というのは誰でもがかかる可能性がある。特に本人に責任がある疾患でもありませんので、これを区別あるいは差別するべきではないと考えています。
 ダブルカウントについては、さまざまな見解があると思います。私どもはまだこの分野では経験が浅く、特にたくさんの事例を集めているわけではありませんので、雇用の促進につながあるかどうかは不明です。ただ、特例子会社という考え方については、ある意味で障害を持つ人を企業から隔離してしまいかねない、社会から隔離してしまいかねない問題もあるので、十分慎重に考えるべきだと思います。
 その他現行の障害者雇用促進制度については、私どももいろいろな調査もやり、私どものような小さな企業やNPO等で難病患者に来ていただいたり、雇用開発助成金等を使ってみたりしましたが、大変使いにくいと感じています。その理由の1つは、そこで示される雇用の形態が、一律の作業を行っているとか、単純な作業を行う、時間から時間まで働くというような、工場での労働を想定しているような気がしました。そうではなくて、さまざまな能力を活かした形態があるのですから、その形態に応じた支援がなければ今後大変難しいと思います。ですから、新たな支援体系を整備していくべきではないかと思っています。
 現在、難病に関する研究事業の中に、「希少性難治性疾患患者に対する医療の向上及び患者支援等のあり方に関する研究」という研究班ができていますので、そこの研究成果も積極的に取り入れて具体化することから私どもは始めてまいりたいと考えています。
 また、先ほども言いましたように、「難治性疾患患者雇用開発助成金」という制度を設けていただいていますが、正社員を視野に入れているために、実験的に試験的に雇用してみるという使い方がしにくくて、実際に助成金をいただきながら対応に苦慮している場面もありますので、実態に沿った制度にしていくために、私どもともいろいろとご協議いただければ幸いです。
 残りの時間を使って資料について説明をさせていただきます。資料1-マル3の私どものアンケート調査の中で、特に就労に関しての問題を書いています。かなり一般的なものも入っていますが、例えば12頁の「本人の収入」、あるいは13頁で「世帯の収入」を調査しています。これは、ほかの障害を持っている方々と同じかと思いますが、この収入は、国に言われているような平均年収から大きく下回っている。下回っていながら、14頁にありますように、「病気になったことでの経済面の変化」でも、医療費の増加、通院交通費の増加、それに加えて、収入の減少があって、二重に大きな困難に直面している。しかも、障害年金も受けにくいという状況がありますので、とりわけ、就労、働いて収入を得ることに対する期待、希望が大きい。そのことと体の症状とのギャップに悩んでいるのが現状だと思います。特に、15頁に載せています「現在困っている症状」では、病気本来の症状よりも、「痛み」を訴える方が非常に多い。なぜこのような痛みを訴えるかについてはまだわかっておりませんが、心身の影響によるのではないかというものもあります。
 それから、今後の就労支援にとって非常に大事なのは、16頁の「症状の変化の状況」です。同じ患者さんが必ずしも快方に向かっているわけでもなく、悪くなっていく一方でもなく、さまざまな形で変化がある。これが毎日ある人、日によって変化が大きい人、着実に進行している人、1日の内でも変化がある人、大きな周期で変化する人、さまざまにありますから、その疾病特性と本人の特性と仕事のマッチングが大事になってくると思います。また、病気だけではなくて、合併症、二次障害、副作用も大きな困難の原因になっていますので、これを配慮しなければならないだろうと思います。
 「どのようなサービスを望んでいるか」については、いちばん多いのは「経済的支援」になっています。次に「社会福祉サービス」で、就労については中位ぐらいかと思います。これは、19頁にもありますように、「就職したいがあきらめている」の数、それから「就職したいと思わない」の数が大変多いことと大きな関わりがあるのではないか。特に、就労したいと思わないというのは、症状が重いということもありますが、さまざまな中で困難性を実感した方々の率直な感想かと思います。
 「直近での離職の理由」につきましては、先ほど申し上げたことに直結するのですが、「在職中に発症し、休職せずに離職」したというのが3分の1あります。また、「在職中に発症・休職し、職場復帰したが離職」したというのも14.6%とかなり多いのです。離職についての理由を具体的に調べていく必要もあると思います。
 「就職活動をする上での課題」につきましては、圧倒的に多いのは「体力的に不安がある」です。あるいは「倦怠感」など、さまざまな具体的に伝えにくい困難を抱えているために就職が困難である。しかし、この困難は配慮する理解がある、理解することで十分対応が可能ではないかと思われることでもあります。何か特別大きな仕掛けをしなければならないとか、職場で非常に大きな整備をしなければならないということではなくて、人的な要素がここに大きく関わっているという気がしています。
 なお、この参考資料の27頁からは、具体的就労関係活動に特に取り組んでいると思われる団体からの体験を取り寄せたものです。膠原病の団体。IBDというのは炎症性腸疾患の団体です。佐賀県の難病・支援ネットワークでの経験なども載せていますので、ご参考にしていただきたいと思います。また、私どもの加盟団体の一覧を36頁に載せています。我々の団体だけでもこれだけあるのですから、これを一律に「難病」として括るのは困難だと思います。
 最後になりますが、37頁は、滋賀県の難病相談・支援センターが行った就労支援について、平成18年度から22年度までの5年間の件数の変化をグラフとして提出してもらったものです。39頁にはその支援に当たった疾患名なども載っています。このようなことをしていますので、ご理解をいただきたいとともに、先般この難病対策委員会でも障害者雇用対策課から資料をいただきまして、さまざまな雇用の支援システムがある中で、私どもでも47都道府県に難病相談・支援センターを設置して、そこでも就労支援を行っていますので、是非ネットワークの中で明確に位置づけしていただけるようお願い申し上げます。以上です。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは、これから質問及び議論をしたいと思います。先ほど言いましたように、挙手をしていただきましたら私が指名しますので、お名前を言っていただくことにしたいと思います。
○川崎委員
 全国精神障害者家族会の川崎です。今日の発表は、私ども精神障害者の抱えている問題と本当に同じだという思いで聞いていました。その中で、それぞれお聞きしたいのです。まず、福井さん、ずっと医療を継続しながら日常生活をしなくてはいけないということで、就労問題だけではなく、いつも言っていますのは、やはり医療と福祉とネットワークづくりということです。まさにこれは3つの団体の方と同じですが、やはり個別支援がすごく必要ではないかと思います。福井さんが、医療と保健と福祉と雇用とのネットワークづくりが必要といわれる点について、具体的にどういうことをイメージしていらっしゃるのかをお聞きしたいのです。
 それから、氏田さん、中間施設とありましたが、それはいま日本で行われている社会的就労のようなものなのか、何かイメージが湧けばいいかなと思いました。実は私の娘も難病を抱えていますが、難病を認定されますと障害基礎年金が受けられるのですけれど、認定基準がものすごく高くて、うちは東京都なのですけれど、認定を受けるにはもう何もできないような状態でないと今回認定を受けられなかったということがあります。障害基礎年金を受けられない方が多いことも、就労を必要と考えていらっしゃることなのかなとも思いまして、その辺をお聞きしたいと思いました。以上です。
○今野座長
 それでは順番にお願いします。今日お話しいただいたスピーカーの方も同じように手を挙げてお名前を言ってください。
○福井氏
 川崎さんからご質問いただいた点の前に、私どもの資料の1頁の上から3番目に、「一方で、昨年改正された」とありますが、ここは誤植で、「障害者自立支援法」ではなく「障害者基本法」です。
 その1頁の下のほうにあります「就労・雇用領域に限定せず、もっと福祉、保健、教育、医療の領域とのネットワーク」とあるところについてのご質問です。私も実は、てんかんの当事者なのです。いま、てんかん協会の常任理事ですが、常務理事として8年間、全国の患者、当事者の相談に当たってきたのです。私どもてんかん協会は全国47都道府県に支部があるのが自慢なのですが、つまり、てんかんの持っている多様な状態に応じて、相談はもちろん医療、医療を受ける場所は少ないのですが、あらゆる生活の面において、ネットワークをできれば都道府県単位で。東京都などは広いですから、もっとたくさんの所とかですね。私は1991年からてんかん患者だったのですが、その頃、全国にてんかんの専門病院と同時にてんかんセンターを設けて欲しいと。てんかんの患者がそこに行けばいろいろな相談に乗るということで、厚労省の中にも、そのような、てんかんセンター、相談センターをどのように全国的に展開していくかという計画があったのです。ところが、その後、静岡のてんかんセンターも独法化されてしまう中で、なかなかそういう計画が、財政的な理由なのでしょうか、一連の社会保障の構造改革の中で押し流されてきてしまった。そうすると、私たち患者、当事者がやっている、自分の家を事務局にしているようなささやかなところで、協会に入ってきた会員を含めて、地域でも死ぬか生きるかで頑張っている当事者が、家族のために相談会を開いたり学習会を開いたりしている状況です。私が総合福祉部会などに参加して思いますのは、やはりそれぞれの障害別の、いちばん身近なところに、生活全体を支えてくれるセンターが何としても必要だということで、ここに書かせていただいたのです。
 ですから、従来から言うと少し後景に押しやられていますが、これをこういう情勢の中で引き戻して、幸い全国の都道府県に支部がありますので、そこを拠点に各自治体にしっかりと要求して、そこに行けば何でも相談ができるような所を是非作っていきたいと思って、書かせていただきました。よろしいでしょうか。
○氏田氏
 中間労働市場についてのご質問でした。私も実際の現場をまだ見学できていないので十分な説明が出来るかどうか心配ですが、いま、経済のグローバル化もあって国内の各就労セクターの人材養成の機能が損なわれていることもあって、それを何とか進めていかなければいけないということで、もともとは長期失業者の滞留があった英国で、ペイド・ワークを行いながら職業訓練を含む教育を受けることによって、通常の労働市場での職業を得ることを促す仕組みとして大変効果的だったそうですが、この取組みが始まったと伺っています。
 日本でもNPOやLLPなどが、OFF-JTとOJTとの体験や訓練を通しながら、教育機能がなくなっている中でも、ご本人たちに、彼らのwantsではなくneedsに対応しようとしています。そこから雇用労働に結び付く方もいらっしゃいます。5番にあるように、雇用労働ではないさまざまな労働、本当にいろいろな働き方で、教育を受けた中で自分の働き方を見付ける方が出てきています。もちろんそこから就職される方もいますけれども、八百屋さんをやったり、休耕の土地を耕す農業をしたり、お弁当屋さんを起業したりなど、発達障害の方たちの新しい働く場の創設というか、多様な働き方についていろいろな形でいま取り組みが進んでいると聞いています。企業の方もおいでだと思いますが、企業が雇用できる、企業が求める人材に障害のある人を近づけていくことは、障害を持っているが故にとても難しい面があるだろうと考えています。もちろん、能力を高めていくなどのこともあるのですが、そこをもう少し新しい視点で広げていくことができたら、働く場所がもっと増えていくのではないかと思っています。
○伊藤氏
 いまのご質問についてです。難病と障害基礎年金との直接の関連はないのです。難病といいましても、先ほど言いましたように、希少性疾患、難治性疾患、あるいは社会的な意味を含めての難病という概念があります。その中で、厚生労働省が疾病名を挙げて取り組んでいますのが、現在はっきりしているのは130疾患の「難治性疾患克服研究事業対象疾患」と、医療費助成を伴う130の中の56疾患があります。ただし56疾患も、軽い疾患の人も全部入るものもありますけれども、症状の軽い人を外しますので、56の病気の中のかなりの部分で軽度の患者さんを外した形での56疾患があります。この56疾患を「特定疾患」と呼んでいます。社会一般的には、どうもこの特定疾患を「難病」と呼んでいるきらいがあります。それは正確ではありません。
 障害基礎年金も、どちらかと言えば、難病よりも身体障害者福祉に近い基準を持っていまして、病気になって重い障害を持って、いくつかの基準、内部障害ですと病気を測る多くのさまざまな数値を持っていまして、それに合致するかしないかなのですね。病気になって一定程度経ってからということですから、病気が変動することを想定していないことと、病名で指定していないために非常に困難な病気であっても理解が足りていない。多くの国民がそうだと思いますが、患者は自分の病気が何の対策に入っているかはあまり知らないのですね。医療機関から、あなたの病気はこういう制度を使えますよと言っていただかないとわからないような仕組みですので、障害基礎年金については、患者さん側では多くの方が知識不十分です。
 我々の調査でも表われていますが、障害基礎年金を取れると思われる方でも取っていない人もいます。それは、疾病指定や症状固定など周知の問題を含めてさまざまな要因があると思います。ただ、疾病指定で行われている中で、例えば悪性新生物、いわゆるがんですね、それから血液、新たに入った肝炎なども障害基礎年金の対象になるのですが、これは非常に数値の制限が厳しくて、亡くなる寸前でないと年金の対象にならないのかというような数値です。そういう意味では、同じ障害基礎年金の中でも、障害を持ちながらも働くことができる人たちと、なぜそんなに差があるのかという大きな疑問があります。これは身体障害者手帳の取得とほぼ同じような理由になっています。病気を持っていることが制度的にも排除されがちな状況であること。
 それからもう1点は、患者さんは自分が病気や障害になることを想定して普段の知識を得ているのではありませんから、最も知識を持っていると思われる医療がそれをサポートしなければ、国民の中にせっかくある制度も十分に使われないという、二重、三重のバリアがあると感じています。
○今野座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○阿部委員
 日身連の阿部です。伊藤さんにお聞きします。雇用義務の対象という範囲で、難病や慢性疾患で社会的支援を必要とするということだと、どのようにしてその範囲を考えていけばいいのでしょうか。新たな判定の基準を作るとか、その辺がもしありましたら教えていただきたいと思います。
○伊藤氏
 1つの理想としては、病気であると障害であるとを問わず、そのことを原因として福祉サービスの支援を必要とする人を対象とするべきだと思いますが、実際にその制度を運営するとなると、どういう基準を設けるかということになります。その場合は、なかなか難しい作業になるのだろうと思いますが、やはり1つは診断だろうと思います。診断書と主治医については、特に医療の関係の方々は福祉制度の運用について疎いところがありますから、福祉制度を運用して大きな経験を積んでいる福祉分野との連携、あるいは介護との連携によって、この方にはどういう支援が必要かを判断した上で、制度の利用に結び付けるのがいいと思います。
 私も患者の1人ですが、病名だけですと、札幌から東京まで出て来てこうしてお話をすることも全く普通にできる患者もいれば、全く動くこともできず、瞬きさえ困難だという患者もいますし、歩くことも困難だとか、食べるのも困難という方もいっぱいいるのです。同じ病名でもさまざまな違いがありますので、病名指定というのは新たな差別を作らないという意味では不適切だと思います。また、一定の病名だけを入れて一定の病名を外してもいいのだというのは、たくさんの患者さんを抱えている私どもの団体としては、こちらから言うべきことではありませんし、あくまでもそういう理想に向かって制度が設計されることを望みます。
○今野座長
 ほかに、いかがでしょうか。
○田中(正)委員
 全日本手をつなぐ育成会の田中です。いま3人の方に話を聞かせていただいて、少し質問したい気持ちと、質問としてはまとまらない部分があって、意見で終わってしまうかもしれません。基本的に障害の範囲を考えるときに受け皿として話題になっているのが、雇用の義務という仕組みの在り方と、それに伴って合理的配慮をどの程度かけていくかということです。いわゆる「3障害」と言われていたときには、なかなか障害として状況を受け止めるフックに留まることのなかった、てんかんや発達障害や難病の方たちのお話でしたので、経緯からすると、入り口で雇用につながるというよりも、勤めていて途中で具体的にその状態がわかるとか、もしくは途中で発病してしまうとかで、どちらかというと合理的配慮に重きを置いて、いま関わってきたことが途切れることがないようなというのも必要な状況なのかなと思います。
 その意味で今回、雇用義務を、そのような状態になったときにそこで留まるような仕掛けを求めたほうがいいのか、合理的な配慮を求める方向で雇用主の皆さんに求めていったらいいのか、感想のような感じでもいいので、お一人ずつ簡単に聞かせていただきたいと思います。
○福井氏
 てんかん協会の福井です。いまのご質問ですが、さまざまな事例があるのです。先ほど私が最後のほうで、東京都では2.1%の雇用率を達成していると言っても、精神障害者の雇用は試験もやっていないし、「実際にやっていないじゃないか」と3年間要求し続けているのです。
 ですから、基本的には労働であるという立場からの一元的な制度設計は欠かせないと思うので、雇用率の大幅アップとか、今日は申し上げなかったけれども、未達成企業のペナルティの強化とか、そのようなことをしっかりやっていくことと同時に、政府による賃金補填を行うようなこととを相まってやっていかないと、日本全体を覆っている貧困と格差、雇用率の低下の中で、障害者問題というのは後景に押しやられてしまうのです。そういう全国からの事例を山のように知っています。てんかんの発作を起こしたら直ちに「もう来なくていい」と言われたとか。私はそこに「何ですか」と言って、「じゃあ、職域を変えてください」とか、必死になってやってきました。一方、外資系の会社などで、すごく理解のあるところなど、てんかん協会にいらして、いろいろなビデオとか解説書などを求めていく良心的なところもたくさんあったし、さまざまな経験をしてきました。
 しかし、いま、事ここに来て、国連の権利条約を批准しようという時代ですから、やはりいまおっしゃるような合理的な配慮も必要だと思います。今日ここに、私たち3障害を呼んでいただいたことの中で、やはり働くということは人間の基本的なことなのです。重い方など、いろいろといらしても。全国に共同作業所のような所が存在するのはどう位置づけますか。私たち、てんかん患者もしっかりと自分の権利が保障されるように協会で活動していますけれども、せっかく就職しても、てんかんだと言えないという人も多くいるのです。いつ起こるかわからない発作の中で、言ってみれば、すごく不安定な、びくびくした状態の中で就労している人もいます。それがわかって解雇だと言われれば裁判に訴えて頑張る人もいます。私は、事ここに来て総合福祉法も制定する中では、ハンディキャップを持っている人の障害を理由にした解雇の拒否はやめるという全面的な展開が必要だと思って、今日もここに来ているわけです。よろしくお願いいたします。
○氏田氏
 JDDネットの氏田です。雇用率については今後も検討していただきたいと思っています。発達障害者の雇用に関する配慮が必要であることには変わりがなく、そういう意味では、雇用独自に判定基準を設けることがすごく大事だと思います。それがたぶん合理的配慮になるのだろうと思いますし、また、新たな判定方法が確立されても、やはり、その対象者になる、ならないとなったときに、いま実行していただいている発達障害者雇用開発助成金などのような形で支援していただくこと。また、発達障害は大変数が多いので、連続的であるという説明では制度改善の解決にはならないと思いますから、そういう意味での雇用率制度の対象者と、そうではない方、そうならない方についての必要な事業をもう少しきちんと出す。もちろん私たちも発達障害の分野から提案しなければいけないと思っているのですけれども、そういう形で働く場の確保をしていく、新しい働き方を求めていくこと。これらの両方が必要だと思います。
○伊藤氏
 難しい質問だと思います。まず1つは、日本の福祉の制度に難病を入れる、あるいはそういう長期慢性の疾患を入れることについては、従来の施策の延長や発展ではなくて、日本の福祉における画期的な転機になることだと思います。つまり、1人の患者を数値化して捉えて障害者と認定して、それを雇用義務の対象にしていくという手法から、ある程度数値化しにくいものも含めて人間を捉えて、福祉策の支援の対象にしていくのは、大きな転機になる可能性があると思います。そういう意味でも、私どもは難病とか長期慢性疾患を対象にするべきだということを訴えてまいりたいと思います。
 2番目は、難病にしろ、てんかんや発達障害にしろ、ほかの障害と区別する理由は全くないのです。なぜ区別されてきたかを考えつつ、今後それを差別する理由はないという方向に大きく舵を切っていただきたいということです。
 3番目です。合理的配慮の中身はよくわかりませんが、これは雇用する側にとっては、病気で欠勤しがちな人をなるべく内側に入れたくないという合理的な理由はあると思うのです。時間から見てもさまざまな能力から見ても、それはあるのだと思うのです。ただ、そのことに対して、私たちがどのように働くことができるか、あるいは働くことが大事なのか、働くことによって職場の雰囲気がどう人間的なものに転化していくものか、そのようなことを訴えていく合理的な、理論的な反論を用意していかなければならないのだろうと思います。それはこれからの課題だと考えています。少し抽象的ですけれども、よろしいでしょうか。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは、時間もだいぶきましたので前半はこの辺で終わりにさせていただきまして、後半の2つの就労機関からのヒアリングをさせていただきたいと思います。まずは東京障害者職業センターの児玉さんからお願いします。
○児玉氏
 東京障害者職業センターの児玉です。それでは、資料に沿いましてご説明をさせていただきたいと思います。
 1番目の障害者雇用促進制度における障害者の範囲ということです。障害者に係る各法律の障害者の範囲というのは、それぞれの法の目的によって異なっています。現行の障害者雇用促進法においては、身体障害、知的障害、精神障害のほかに、発達障害、難治性疾患患者、高次脳機能障害など、障害者手帳を持っていないけれども職業上の困難さがある人は、その他の障害というように位置づけられておりますが、明文化されていないといいますか、はっきりしていないといったようなわからなさというか、不明さがあるのかなとも思っています。制度や支援施策の適用範囲に差はありますが、法の対象範囲としては非常に幅広く捉えられているものだと思っております。
 私ども東京障害者職業センターでも、昨年度の利用状況を見ますと、約4分の1がその他の障害者の利用ということになっております。この比率は年々増加して、全国でも同じような傾向が見られているところです。雇用促進制度における障害者の範囲ということを考えれば、まずは、いちばん先に日本における障害の考え方に則るというところがあると思いますので、障害者基本法の定義に基づいて、その上で就職する上で困難だといったようなところを考えていくということが適切ではないかと思っております。
 2番目です。雇用促進制度における障害者の範囲を就労の困難さに視点を置いて見直すことについてどのように考えているかというご質問ですが、障害者の範囲については、いま1番で説明させていただいたとおりです。障害の程度ということで考えますと、障害者手帳の等級と実際の職務遂行能力に乖離があるケースがあるというような場合もありますので、就労の困難さに着目して認定するということには非常に効果があるだろうと考えます。
 ただし、就労の困難さというのは、就労する側の障害のある方の障害状況であるとか、障害特性、その方がどのような働き方を望んでいるかというようなニーズ、受け入れる企業側の障害者雇用の考え方であるとか障害についての理解、雇用管理のノウハウの程度ですとか、障害者・企業、それぞれを支援するような体制によって異なる、そういったさまざまなものが絡み合っている、極めて個別性の高いものだと思っています。
 さらには、社会情勢であるとか経済情勢によってその困難さというのは変化していくものでしょうし、また、就労する時点での困難さと就労を継続していくときの困難さといったようなものがあるのではないかと考えています。このため、就労の困難さの基準設定というのは、非常に難しい課題ではあるだろうとは考えています。これを研究していくということはあるにしても、一方でもう少し大きな括りとして、例えば、なかなか雇用が進んでいかないような障害種別を就労の困難さに視点を置いて、特別な支援が必要というグループに分けるといったような考え方もあるのではないかと、1つには思うところです。
 この場合にも、すべてですが、障害のある方の就労を考えるときには、やはりその方の特性、必要となる支援について明らかにしていくことは欠かせないことになってきますし、何よりも現場で思うこととしましては、就労の困難さであるとか、それによって必要となる支援についてというのは、誰かが認定するというものではなくて、ご本人とのやりとりの中で合意形成されていくものではないかと考えています。このプロセスが非常に大切であって、非常に時間を必要とするものだと感じているところです。
 3番目、雇用率制度における障害者の範囲、雇用義務の対象範囲ですが、1人でも多くの障害のある方が就職するためには、最終的にはあらゆるすべての障害のある方が雇用義務の範囲となることが目標になるのではないかと考えます。ただ、最終的なゴールを達成するためには多くの面で、ここに書かせていただいたような、企業だけではなく、広く社会一般への啓発であるとか理解の促進、あるいは、新しく見直す雇用義務の範囲に応じた適切な障害者雇用率の設定であるとか、現在の納付金制度、助成制度の見直し、言われております合理的配慮というものに関する共通理解であるとか、就労支援体制の強化、人材育成といったようないろいろな整備が必要となってくると思います。こうしたことを考えますと、最終的なゴールを達成するためには相当程度の移行期間であるとか、あるいはまた柔軟に、弾力的に施策を運営していくことが必要となっていくということで、段階的に準備を進めていくことが望ましいと考えます。
 現在、実雇用率に算定されて雇用義務の範囲には含まれていない精神障害についてですが、平成16年の研究会で雇用支援施策の充実を進める中で、企業の理解と雇用管理ノウハウの普及を図って雇用義務制度の対象とする必要があるといったような報告がなされています。この間、それに基づいて人的・経済的な雇用支援施策がだいぶ整備され、企業へのセミナー等も数多く開催され、周知啓発が図られてきたところだと思います。当初は、知的障害と精神障害の区別がつかないままに、算定になるということで雇用していた企業もあったということも聞いております。そういったことを考えると、社会的な理解もだいぶ得られてきているのではないかと思いますが、一方で、精神障害の方は、就職件数は増えたけれども離職が多いと言われています。継続雇用、安定のためのさらなる支援であるとか、理解が得られているといっても、またそれ以上の引き続きの理解促進といったようなことが必要だと感じているところです。
 4番目です。雇用率制度におけるダブルカウントですとか、特例子会社の取扱いをどう考えるかというご質問です。雇用率制度については、これまで日本における障害者雇用を着実に進めてきた制度であって、今後もこれを軸として展開していくことで雇用が進んでいくのではないかと考えています。
 ダブルカウント制度につきましてはメリット、デメリットが言われていますが、現行の算定方法だけでなく、例えばということですが、これまでの間に障害特性の知見が深まって、またその就労支援技法もだいぶ確立してきていて、企業側にも多くの雇用事例であるとか、雇用管理ノウハウが蓄積されている障害種類については通常の算定方法としていく。一方で、なかなか雇用が進まない、これから雇用に関してみんなで考えていかなければいけないといったような障害の種類については、ある程度の重さを少し加えて算定するといったような、そういった方法もあるのかなとは考えております。
 特例子会社については、重度障害者や知的障害者の雇用をやはり着実に進めてきた制度というように考えております。多くの助成制度を活用しながら雇用の仕組みを構築してきたところだと思いますが、それらの制度をさらに改善して、きめ細かな支援体制の下で、一般の事業所ではなかなかできないような先駆的な障害者雇用に取り組んでいただいて、それをまた民間の一般の企業に還元していただくといったような、そういったこともできるのではないかと考えています。雇用率ということで考えれば、一般的な雇用率に上乗せをしたような雇用率を設定するということも1つの方法ではないかと思います。例えばということで書かせていただきましたが、いずれにしましても、ダブルカウントであるとか、特例子会社の制度の見直しにつきましては、科学的な根拠を得るための調査であるとか、研究開発をしていくことが必要であると考えております。
 最後、その他というところです。私ども東京センターのほうにも、障害者雇用に取り組みたいという企業からのご相談がハローワークからのご紹介によって、あるいは直接、数多く寄せられています。その中で、障害者雇用に関する考え方は企業によってさまざまだと思いますが、なかなか進まないという企業もあれば、いろいろなチャレンジをされてもうまく結びつかないといったような企業があります。こういった取組姿勢といいますか、実態といいますか、そういったところを少し反映していくような施策があればいいなと、普段感じているところです。
 例えば職場実習を受け入れているとか、あるいは福祉施設に作業を提供している、あるいは福祉施設の製品を発注しているとか、20時間未満であれば、仕事が用意できて雇用しているなど、雇用に向けて前向きに取り組んでいるけれどもなかなか雇用率を達成できていない、そういう場合には、そういう企業の姿勢を反映するようなことは考えられないのだろうかということを書かせていただいております。障害者雇用を進めていくためには、障害者、企業、支援者が一体となって取り組むことが何よりも必要ですので、引き続き、やはり支援体制、人材の育成といったようなところを整備することが非常に重要だと考えております。以上です。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは、最後にハローワーク府中の根岸さん、お願いします。
○根岸氏
 ハローワーク府中の根岸と申します。ハローワークでは障害者の雇用対策としては、今日は就労支援機関ということでお呼びいただいておりますが、職業紹介のほかに、もう1本大きな柱で企業指導、雇用率達成指導というのをやっております。それで企業に関わる観点から、今回、事業所さんからのヒアリングがないということもあるので、現場の職員、スタッフたちが日ごろ感じている感触なども交えてご説明したいと思います。
 まず1番目の障害者雇用促進制度における障害者の範囲についてですが、職業センターさんと大体同じような考え方です。現行の障害者雇用促進法、制定した当時は身体障害者雇用促進法でしたが、その後、対象障害者の範囲がどんどん増えて、いま、身体障害者、知的障害者、精神障害者については定義もしっかりあります。また、定義がないその他の場合についても、「障害者」の範囲に含まれるかどうかなのですが、ここにあるように「身体障害、知的障害または精神障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」ということで、ハローワークの窓口では、職業相談・指導、職業リハビリテーションという観点からは、幅広い障害者の範囲をいま対象にしています。
 ですから、手帳の有無にかかわらず、全国のハローワーク、大きさによって専門の障害者の職業相談を担当する窓口があるかどうかは規模によって違いますが、相談する窓口が必ず設けられております。そこでは、手帳のある、ないに限らず、本人の障害特性や就労の可否についてきめ細かな相談を実施して、必要に応じた支援施策の中から選定し、それから、コーディネーターとしての役割も持っておりますので、地域の就労支援機関あるいは職業センターさん、就業・支援センターさん、いろいろな支援機関と連携して支援を行っておりますので、広い意味でカバーしていると考えると、現行の範囲でいいのかなと思っています。ただし、今日の皆さんのご意見を考えると、明文化されていないというところでのハンディキャップをとても感じられているので、それはやはり考えていく必要があるのかなと感じました。
 実際、先ほどの資料などを見ていても難病用の求人がないとか、あるいは先ほどてんかん協会の福井さんのほうからも、経緯はわかりませんが、ハローワークでてんかんに関する理解がないので配慮に欠けた対応をすることがあるようにお伺いしました。一昔前まで、私も実際こういうことをよく耳にもしました。というのは、てんかんの方とか難病の方、当時は精神障害者の方もですが、ご自分自身がやはりクローズ、職員に対してもやはりオープンにしないでお見えになります。それは、そもそもハンディキャップを負っているという意識があって、それを言うと会社が面接してくれないというところから、ご本人たちがやむなく告知せずに、職員にも告知せずにということで。実際、何かトラブルがあって、例えば倒れてしまったとか。病気が進行して何かあったら、ハローワークは知っていたのではないかということで、逆にハローワークもかなり責められる場面などがあったのです。
 ただし、私は、いま現場におりますが、手帳の有無にかかわらず、専門援助の窓口にかなり自分からお見えになる、あるいは就労支援機関、かなりインフラが整いましたので、支援機関がご紹介でお連れになる方が本当に増えておりますので、実際に就職者も増えてきていると思っています。
 2番目です。障害者雇用促進制度における障害者の範囲を就労の困難さに視点を置いて見直すことについてどう思いますかということです。雇用率というか、障害者の判定がそのまま就労の困難さだけになってしまうと、それは難しいだろうという声が現場ではとても多かったのです。というのは、いまの手帳にはやはり一定の基準があって、福祉サービスもその基準で受けているので、やはりこれは機能していて、見直すというよりは、就労の困難さの視点も欠かせませんので、これは加えていくというような観点が必要なのかなと思います。
 先ほど職業センターの児玉さんからも就労がなかなか進まない障害があるというお話がありましたが、そういうところに困難度が高いというのは入口ですね。ただ、例えば精神障害者、発達障害者も含めてですが、就職してからフォローが必要な障害者というのは、いま多くおりますので、そこも考えていかなくてはならないと、そこの基準はどこの誰がどうやって決めていくんだろうというのは、やっぱり難しい問題だなと現場では受け止めました。
 それから就労の困難さです。ここのいちばん上のほうに書いてありますように、障害特性や職種、ご本人たちが希望する職種、個々人の困難性はさまざまなのです。また事業所の、例えば規模、理解度、それから、特例子会社のような受入れ体勢の整っている理解のある企業など、環境もさまざまなのです。同じ人がどういう会社に行くかで困難度が変わってしまうのではないかという難しさも感じています。これが大体、現場で関わっている者の総意というか、そういう声が多かったです。そのため手帳を基準にしながらも、そういう就労の困難さの観点を加えていくというのが必要かなと思いました。
 3つ目です。雇用率制度における障害者の範囲です。ここの記入については、いま、カウントはしているけれども義務化となっていない精神障害に特化してここに書いております。精神障害については、全国のハローワークにおける、ハローワークに求職登録する新規求職者に占める精神障害者の割合が激増しておりまして、平成18年度は18%程度だったものが、平成22年度は約30%に増加しておりますし、結果的に就職者数も知的障害者を上回ると。府中安定所の就職数でみると、身体障害者、知的障害者、精神障害者と就職者数が均等ではありますが増えてきております。企業における理解度も高まってきているので、就労する支援側からすれば、もう義務は確実でしょうとの意見が現場では多数を占めているところです。
 ただ、これは、黙っていて障害者の雇用が進んだわけではなくて、先ほど申し上げました雇用率達成指導というのがとても大きい。特に、東京のハローワークでは、東京は本社機構が集積しているので、限られたマンパワーで効果的な企業指導を上げる必要があり、指導効率と全国への雇用の影響を考えると、大企業の指導から始まっていったわけです。それで指導も厳しく、そして支援も態勢も手取り足取りしていった中で、上がってきたというところです。行政指導の基準も実はものすごく厳しくなっております。皆さんはなかなかそれはわからないかと思いますが、企業負担、法定雇用率を達成するまでの縛りは特に厳しくなって、平成18年ぐらいからさらにまた厳しくなってきておりまして、今年度、また厳しくなりました。
 ただ、今回、このテーマで考えることになってしみじみ思ったのですが、施策が大企業向きではないかと、ほとんどが。そして私たちが、例えばセミナーで開いたり。八木原さんなどに何回も講師として来ていただきました、精神障害者を知ってもらうというセミナー、あるいは雇用のノウハウというものを好事例として紹介するセミナー。大企業さんは、参加率は高いのですが、中小企業、小さい企業の皆さんは、なかなかそういう場にも出てこられない。という中で進めていくということ。それから、納付金の納付対象に、つい最近までなっていなかったということもありまして、中小企業から納付金を徴収すると、かなり厳しい経済状況の中で障害者雇用を進めなければいけない。かといってマンパワーもないし余裕もないということで、現実的には、中小企業に何かもっとフォローすることをしていかないと。この精神障害の雇用についても障害者雇用についても、中小企業についてはまだ十分に浸透しているとは言いきれないのではないかと、達成割合から見ても思っています。
 次の説明をしますと、ハローワークではトータルサポーターの配置。これは、精神障害者の専門家が本当に個々の企業さんや就労支援機関など、いろいろなところに行って支援しているわけですが、そういう専門家の配置が始まりましたし、助成金制度を使ったり、それから、チーム支援がいちばん障害者雇用を支えていると思っておりますが、社会資源がそれぞれの役割によって支援を、連携というのは支援をつなぐ話だと思いますので、チーム支援で地域的にも進めている。生活支援のほうも充実してきているので精神障害者の雇用も進んでいると思っていますが、精神障害者の雇用は本当に就職がスタートというところで雇用管理面での配慮を要するので、企業の中でもマンパワーの拡充が必要でしょうし、支える支援者側もマンパワーの支援が必要でしょうし、それから、まだまだ支援機関が出来て間もないということもありますので、支援の力に格差がありますので専門家をつくっていかなくてはいけない。それは支える側も企業内も同じということ、ハローワークも同じですけれども。そういう整備を並行して進めていかなくてはいけないのだろうと。
 ですので、雇用義務に精神障害者が入っていくことに全く異論はないのですが、特にいま、この厳しい状況ですね。最賃が上がりまして、東京は837円です。これはかなり痛手だそうです。それから高齢者の継続雇用。昨日も新聞に企業負担が大きいと出ておりました。それからパートタイマー等の年金加入。それから、雇用率達成指導でいえば、今回は母数。短時間労働者も計算の母数に入る。それから、除外率といって、障害者が就職しにくい職種が多いだろうという業種に除外率、常用労働者から差し引いて計算していいというものがあるのですが、それをいまだんだん縮小に向けているのですが、ちょうど10%ポイントマイナスして。時期が重なりました。
 というところで肝心の雇用する側も、いまはかなり厳しいので、義務化にするということは法定雇用率の算式に入るわけですが、法定雇用率が確実に上がりますので。いまがいいのかどうかということは、時期については熟考しないと、肝心の企業さんがつぶれてしまっては雇用が進まないのではないかと思っています。
 それから4つ目のダブルカウントについてですが、企業にとってはインセンティブがあると思います。その企業指導と併せてかなり機能していると思っています。同じ重度障害でも実はなかなか就職が進まない障害の方がいます。例えば、視覚障害者で全盲の方であったり、車椅子の方であったり、人工透析の方であったり。精神障害者の方もまだまだそうかもしれません。そういうことで、新たなインセンティブについて少しここに提案したのは、例えば定着した場合、正社員になった場合、実はほとんどが障害者枠採用ですが、正社員になった場合に何かプラスポイントみたいなものがあったらどうなのかと。あと、20時間未満の精神障害者のカウントなどについても、最初の1年か2年か3年かわかりませんがカウントしてあげるとか。そのような形のカウントアップとか、そういうものも考えてもいいのかなと思いました。
 それから特例子会社ですが、ここに書いてあるように、雇用する側、働く側、双方にとって大変有効な制度ではありますが、これまた大企業向きだとは思います。グループ算定と合わせて障害者雇用にとても寄与しております。これは引き続き必要な制度だと思っております。
 ただし、特例子会社をつくったときは、企業全体がその問題意識というのがとても高いのですが、子会社経営が安定してくると、我がグループの障害者雇用は特例子会社でやっている、うちはちょっと関係ないみたいな意識もないとは言えないので、ここは、新たな特例子会社の在り方みたいなものを定義づけることは検討していったほうがいいと思います。例えば社員教育。グループ企業、本社新入社員は必ずそこで研修を行うとか。それから先ほどの手帳のないようなハンディキャップを負った人たちは、何人か特例子会社で雇用してノウハウを蓄積するとか。それから、働く企業さんにとっては力があって、例えば昇任とか昇級がなかなかできないのであれば、グループ企業にステップアップする場というような形での検討も必要ではないかと思いました。
 最後、その他の雇用施策・制度です。雇用の安定を図るためには、定着支援、生活支援を併せたチーム支援が重要だと思っておりますので、ハローワークはもとより、さまざまな支援機関のこれからもますますの体制強化が必要だと思っております。そこには、先ほどちょっとお話していますが、支援機関のマンパワー、質を上げていく、地域格差を埋めていくというようなところが必要なのかなと。あと、ジョブコーチなども、支援体制を充実していくことが必要だと思います。ジョブコーチで言えば、手話通訳ができるジョブコーチさんがもっと増えるといいなと思っています。
 ここに提案を入れたのですが。いま企業の中で、人事が各営業部隊とか、ほかの部署に命令をしてもなかなか行き届かない、現場の理由とか現場の状況が強い、営業部隊が動かないというようなところを企業さんから聞きます。例えば営業部署を動かすために入札制度とか、あるいは「くるみんマーク」とか、ISOとはちょっと違うかもしれませんが障害者雇用を達成しているマークみたいなものがあって、それがバックアップするというか、人事のほうではない、直接の雇用のところではないですが、全体の理解を深め、制度化していくには、そういう方法も考える時代になってきたのかなというところです。
 あと、最後に書きましたが、先ほど説明したような大企業と中小企業の経済的負担のバランス、あるいは経済的に限りませんが、支援・負担のバランスの検討をしながら施策を見直していっていただければいいなと思います。
○今野座長
 ありがとうございました。それでは皆さん、ご意見、ご質問をお願いします。
○田中(伸)委員
 日本盲人会連合の田中です。根岸さんに少しお伺いしたいのです。今後、この場の議論で障害の定義の範囲が広がっていくと、多くの方がハローワークの窓口を訪れることになるのかなと思うのです。その場合、さまざまな特性を持っている障害の方がおられますので、ハローワークだけで対応できるのかなというところが少しあります。そういう観点で、現状、ハローワークとほかの、例えば発達障害なり難病なりの団体の方とのネットワークみたいなものを作っておられるのかどうかという辺りを少し伺いたいのですが。よろしくお願いします。
○根岸氏
 いまのご質問ですが、ハローワークの窓口では、地域ネットワークはかなり緊密な連携が取れるようになってきております。ただ、私はいま東京のハローワークにおりますが、もしかしたら地域格差、管轄下の守備範囲の広さとか、その辺りでもまだ地域格差はあるかもしれません。東京は、東京都さんが各区に知的障害者等の就労支援機関を早く作ったりして、わりと隙間のないようなものがまず整備されて、個別の団体の支援機関などがだんだん出てきたりしたところに、あと、「障害者就業・生活支援センター」というところがあって、支援のほうはかなり広がってきた。
 ただ、いまあった盲人の方とか特別な難病の方とかを支援しているとか、支援がまだきちんとできていない障害もあるのは確かです。どちらかというと、知的障害者、精神障害者を中心に、そこは発達障害者も含めてですが、支援、ネットワークはできてきているという形です。
○川崎委員
 精神障害者家族会の川崎です。いま根岸さんのほうから、東日本の震災によっていろいろなことを言いづらいのではないかというお話があったのですが、企業側とかにですね。しかし、私は今回、東日本の内閣府の調査として岩手に入ってきまして、まさに雇用は全く駄目になっておりまして、一般の雇用も駄目な中で障害者雇用というのが全く破滅状態になっております。せっかくここまでいろいろと雇用が高まっている中で、東日本の震災があったからといって障害者雇用がここで見失われては、もうこれはいけないことだと思っております。是非とも、新たな思いでこの被災地から新たな障害者雇用というような、被災地対策費用も何らか出ていると思いますので、消極的というよりも少し積極的な応援をハローワークやこちらの職業センターなどで行っていただきたいというお願いでございます。よろしくお願いします。
○田川委員
 大阪精神障害者就労支援ネットワークの田川です。職業センターの児玉さんにお伺いしたいのです。職業センターはジョブコーチの元締みたいな形でやっておられますが、精神障害者の場合は特にですが、仕事が続かないわけです。職業生活の継続の問題がとても大きい。職業生活の継続を企業さんだけに任せてしまうのではなくて、やはり外からの支援も要ると思うのです。そのときに今のジョブコーチの制度だと、とても動きが悪い。急に変化があったときに飛んでいけないという問題があると思うのですが、この辺についてご意見をいただきたいなと。
○児玉氏
 ご質問の、ジョブコーチが急に動けないといったところなのですが、私どもがジョブコーチ支援をしている中で、なるべく職業センター以外の関係機関の方にも一緒に動いていただくというような方向で行っております。ジョブコーチのフォローアップができる期間というのが限りがあるわけではないのですが、少し手薄になってくるといったときに、逆に最初から一緒に動いていただいた方にもフォローアップをしていただけるといったような、そういった体制で取組みをしているといったところが1つあります。
○野中委員
 是非とも発言したいのですが、障害は固定したものではないということです。おそらく障害者がいちばん困っていらっしゃるのは、キャリア・ディベロップメントができないことだと思います。働く機会を失っているので、働く能力を伸ばすことができないのがいちばん大変なのであって、いまの能力だけで判断されるのがおかしいということです。
 逆に今度は、私も年をとってきてだんだん能力が落ちる、そのように障害者も能力が落ちるときがくるわけです。そのときに企業側としても、どう対処できるんだという仕組みがないと困ります。そういう意味では、途中、途中で評価ができるということと、仕事の現場での支援態勢という条件はとても重要です。このときにジョブコーチだけではなくて、ピアのサポーターというのを導入することによって、多くの障害者の雇用がまたそこで促進するのではないかと思います。
○今野座長
 まだご質問、ご意見があると思いますが、次の議題にまいりますので、この辺で切らせていただきます。2番目に「その他」ということで事務局から資料を用意していただいていますので、説明をお願いします。
○地域就労支援室長補佐
 障害者雇用対策課の秋場でございます。資料2をご覧ください。前回ご議論いただきました「障害者の雇用に関する事業所アンケート」について、委員の皆様のご協力で完成しまして、その完成版を付けております。前回の委員会のときから変更した点だけ簡単にご説明させていただきます。
 まず文言修正を細かくしておりますが、その中でも例えば、3頁ですが、田川委員からご意見をいただきました「病院」ではなく「医療機関」としたところなど、文言修正を行っております。
 また大きく変えたところで、6頁と7頁にありますが、問7のところで、精神障害者の今後の方針について聞いている中で、いま雇用を考えていないというところに対して、では、どういった支援があれば雇用しますかというところを、更問で聞いたほうがいいのではないか、ということで八木原委員、川崎委員からご意見をいただきました。こちらは(2)としまして「精神障害者の雇用を促進するためには、どのような支援が必要だと思いますか」ということで、いろいろな助成制度であったり、支援機関とか、企業の理解促進とか、そういった項目を追加しております。
 併せて問8のほうで、助成金などが使いにくいといったお話もありましたので、「現在の支援制度の中で、改善した方が良い点等がありましたら、ご記入下さい」ということで、問8の(2)として追加しております。
 また最後の、10頁になるのですが、問12です。こちらで今後の発達障害者や難病の方の雇用の方針についてお伺いしているところで、精神障害者の雇用の方針と同じく、(2)で「発達障害や難治性疾患患者の雇用を促進するためには、どのような支援が必要だと思いますか」ということで同じような項目を追加しております。
 なお、調査ですが、申し訳ないのですが、郵送の手続に手間取っておりましてまだ発送ができていないのですが、頑張って今週中に発送の予定です。2月中に回収し、集計し、3月の研究会でのご報告を目指したいと思っております。以上でございます。
○今野座長
 以上の点について、何かご質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは調査、頑張ってください。
○地域就労支援室長補佐
 ありがとうございます。
○今野座長
 今日はこれで終わりですが、次回からは論点を少し整理して、それに基づいて議論をしていきたいと思います。あと、まだ5分ぐらいありますから、その論点整理に当たって、やっぱりこういうことが必要なんだということについてご発言をしたいということがありましたら、今日していただくと。時間が足りなければ、あとから事務局にメール等でお知らせいただいても結構ですが、とりあえずこの場でこういうことは言っておきたいということがありましたらお聞きしておきたいかなと思いますので、お願いします。
○伊藤氏
 すみません、委員外ですが、質問だけさせてもらいたいと思います。問11の(1)の疾病数が具体的に書いてあるのですが。別に、簡略にするにはこれで構わないのですが、私たちも「これ、知ってたのか」と言われると困りますので、一言だけお願いします。この10の疾患だけをこうやって具体的に書いて、あとを「その他」にしたという理由を具体的に教えてください。
○地域就労支援室長補佐
 問11の(1)の10疾患につきましては、とりあえず特定疾患患者の医療証の患者数の多い順でトップ10を書いております。いくつ書こうか非常に迷ったところなのですが、上からトップ10で選んで書いてあります。以上です。
○今野座長
 それでは、論点整理に向かって意見があるぞという方、どうぞ。
○田川委員
 議論には随分出ていると思うのですが、特に精神障害者の雇用の問題で、職業生活の継続をいかにするか、その制度的な保障をどうしていくのかというのを是非大きな論点の中に入れていただければと思います。
○今野座長
 ほかにいかがでしょうか。
○野中委員
 就労というのは、就労だけで個別では動いていませんので、やはり生活というのがその前提にあるということ、生活支援の状況が必要なのです。さらに、そういう制度を作っても、それを利用しようとしないというか、普及啓発というのがいちばん基本にないといけないので、特に精神障害、慢性疾患もそうですが、国民が十分知らされていないというところに問題があるので、そういう障害に関する普及啓発をどのようにするかということが同時に必要だと思います。
○今野座長
 ほかにいかがでしょうか。それでは、お帰りになってまたゆっくり考えていただいて、ありましたら、先ほど言いましたように、事務局に事前にメール等で連絡していただければ結構です。そういうことを踏まえて論点整理をして、それに基づいて今後議論していきたいと思います。
 ヒアリングについての質疑応答を少し切ってしまったのですが、切る必要もなかったのですが。でも、終わりですから、終わりにしたいと思います。本日はこの辺で終了したいと思います。次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○地域就労支援室長補佐
 次回は第4回になりますが、来月2月20日の3時から5時です。午後の開催になりますので、よろしくお願いいたします。場所はまだ決まっていませんので、決まり次第、ご連絡いたします。また、第5回以降の開催日の調整はまだですが、近日中に日程調整のご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 なお、第1回研究会のときに杉山委員からご提案いただきました現場視察の関係ですが、来月2月2日に行います。3研究会合同の視察を予定しておりまして、委員の皆様には別途ご連絡させていただいておりますが、こちらのほうもよろしくお願いいたします。以上です。
○今野座長
 それでは終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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