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2012年1月24日 第2回 国民健康保険の基盤の強化に関する国と地方の協議 議事録

保険局国民健康保険課

○日時

平成24年1月24日(火)11:00~11:45


○出席者

構成員

福田 富一 (栃木県知事)

構成員

岡崎 誠也 (高知市長)

構成員

齋藤 正寧 (井川町町長)

構成員

辻 泰弘 (厚生労働副大臣)

構成員

藤田 一枝 (厚生労働大臣政務官)

事務局

外口 崇 (保険局長)

事務局

唐澤 剛 (審議官)

事務局

木下 賢志 (保険局総務課長)

事務局

濱谷 浩樹 (保険局国民健康保険課長)

事務局

横幕 章人 (保険局高齢者医療課長)

事務局

村山 令二 (保険局調査課長)

事務局

梶 元伸 (総務省自治財政局調整課長補佐)

○議題

(1)市町村国保の構造的問題への対応
・低所得者対策等のあり方
・事業運営・財政運営の広域化
・財政支援のあり方 など
(2)その他

○議事

○木下総務課長 定刻となりましたので、ただいまから、「国民健康保険制度の財政基盤の強化に関する国と地方の協議」を開催いたします。
 本日は、大変お忙しい中、また、雪のため足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日、進行をさせていただきます、保険局総務課長の木下です。よろしくお願いいたします。
 まず、本日の御出席者の御紹介をさせていただきます。
 福田栃木県知事でございます。
 岡崎高知市長でございます。
 齋藤秋田県井川町長でございます。
 辻厚生労働副大臣でございます。
 なお、小宮山厚生労働大臣につきましては、国会の開会式の業務のため、欠席させていただきます。
 また、藤田政務官につきましては、遅れて出席させていただく予定でございますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 まず初めに、辻厚生労働副大臣よりごあいさつを申し上げます。
○辻厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。厚生労働副大臣の辻でございます。
 今、お話がございましたように、本日から国会が開会されました関係上、大臣が国会の方に行っておりますので失礼をいたしますけれども、御容赦いただきたいと存じます。
 本日は、御遠方から、また足元の悪い中、御参加をいただきまして、心より厚く御礼申し上げる次第でございます。
 既に皆様方には、国民の多いなるセーフティネットである国民健康保険制度の運営に、第一線で今日まで当たっていただいてきたところでございます。とりわけ昨年2月からは、構造問題に対応するために、これまで事務レベルのワーキンググループの会合10回、また、昨年10月には政務レベルの協議も行わせていただくなど、この問題についての検討を重ねさせていただいてきたところでございます。今日までの協議を踏まえまして、昨年末、子どものための手当等に関する4大臣合意におきまして、市町村国保の財政基盤強化策の恒久化、また、財政運営の都道府県単位化を推進するために必要な法案を本通常国会に提出する方針を、政府として示させていただいたところでございます。
 法案につきましては、1月6日に政府・与党で決定いたしました「社会保障・税一体改革素案」におきまして、この「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」の場で協議した上で提出することとされているところでございます。本日は、そのための協議の場でございまして、地方団体の皆様方から率直で忌憚のない御意見を賜りますよう、お願い申し上げたいと存じます。そのようなことで御協力のほどお願い申し上げます。ありがとうございます。
○木下総務課長 それでは、早速でありますけれども、国保の構造問題への対応について御議論いただくに当たりまして、これまでの社会保障・税の一体改革の状況、市町村国保の構造問題への対応案につきまして、御説明をいたします。
○濱谷国民健康保険課長 国保課長でございます。私から資料の説明をさせていただきます。
 まず、資料1「社会保障・税一体改革について」、これまでの経緯でございます。1枚おめくりいただきまして、「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」についてでございますが、今、副大臣から御紹介がありましたとおり、事務レベル10回、政務レベルを10月24日に開催し、基盤強化についての協議を重ねてまいりました。政務レベルについては、昨年10月に続いての2回目ということでございます。
 2ページでございます。この間、昨年の6月には、市町村国保の財政運営の都道府県単位化・財政基盤の強化、低所得者の保険料軽減の拡充等、2,200億円程度という案が示されました。
 また、3ページでございますけれども、昨年12月には、「子どものための手当等の取扱いについて」の中で、国民健康保険都道府県調整交付金の増額や財政基盤強化策の恒久化などについての合意がなされたわけでございます。
 4ページでございますけれども、「社会保障・税一体改革素案」、この1月6日の政府・与党の本部決定でございます。この中では市町村国保につきまして、「低所得者保険料軽減の拡充や保険者支援分の拡充等により、財政基盤を強化する。併せて、都道府県単位の共同事業について、事業対象をすべての医療費に拡大する」とされています。
 この内容につきましては、財政基盤の強化については、具体的内容について、この「国と地方の協議」において検討し、税制抜本改革とともに実施すること。4大臣合意の事項につきましても、「国と地方の協議」において協議した上で、必要な法案を平成24年通常国会に提出することとされたわけでございます。
 今回の協議につきましては、この2点について協議をさせていただきたいということで開催したということでございます。
 続きまして、資料2「市町村国保の構造問題への対応(案)」でございます。
 1枚おめくりいただきまして、市町村国保の構造的な問題への対応の枠組みでございます。市町村国保につきましては、年齢構成が高い、財政基盤が弱い、財政の安定性・市町村格差、こういった大きく3つの構造問題があると承知いたしております。こういった中で、今回の対応につきましては、財政基盤についての強化、財政の安定性・市町村格差に対応しようというものでございます。財政基盤の強化につきましては、暫定措置である財政基盤強化策について恒久化すること。それから、具体的に低所得者の保険料に対する財政支援を強化すること、こういった2点。
 財政の安定性・市町村格差につきましては、財政運営の都道府県単位化を推進すること、財政調整機能の強化を図る。こういった対応をしてはどうかというのが基本的な枠組みでございます。
 2ページでございます。こういった大きな枠組みの中で、今回、対応案としてお示しさせていただくのは、大きく3点ございます。
 まず1点目が、低所得者の保険料に対する財政支援の強化でございます。1つは、保険基盤安定制度の拡充(応益割保険料の軽減対策世帯の拡大)をするということでございます。これは税制抜本改革時に実施するということでございます。
 2つ目が保険者支援制度の拡充ということで、これは、低所得者の数に応じた保険者への財政支援ですけれども、これも暫定措置になっていますので、平成27年度から暫定措置を恒久化するということ。それから、税制抜本改革に合わせて、具体的な財政支援額を拡充していきたいということでございます。
 2点目が、財政運営の都道府県単位化の推進でございます。現在、高額医療費やレセプト1件当たり30万円以上の医療費について、都道府県単位で持ち合う共同事業を行っておりますけれども、これも暫定措置になっておりますので、平成27年度からこれを恒久化する。これに合わせまして、現在はレセプト1件当たり30万円以上の共同事業でございますけれども、この事業対象をすべての医療費に27年度から拡大するということでございます。
 3点目が、財政調整機能の強化でございます。1つ目が、都道府県の調整機能の強化、市町村国保財政の共同事業の拡大の円滑な推進等のため、都道府県調整交付金につきまして、現在の給付費等の7%から9%に引き上げるということでございます。また、調整交付金につきましては、財政調整機能をより明確化してはどうかということでございます。この2点につきましては、平成24年度から実施してはどうかということでございます。
 その他といたしまして、地方財政措置として、国保特別会計への一般会計からの繰入れについて、地方財政措置(財政安定化支援事業)がなされておりますが、この事業につきましては、こういった財政基盤の強化あるいは財政運営の都道府県単位化を踏まえ、税制抜本改革時に所要の見直しを行ってはどうかということでございます。
 以下、具体的な内容でございます。
 3ページでございます。まず、応益割保険料の軽減対象世帯の拡大につきましては、具体的な内容は2点でございます。
 1点目が、2割軽減の拡大でございます。現在、給与収入ベースで3人世帯で言いますと、約223万から軽減対象となっております2割軽減の基準額を引き上げ、モデルケースで言いますと、年収266万までを対象にしてはどうかということでございます。
 2点目が、5割軽減の拡大でございます。現在、5割軽減につきましては、二人(複数)以上の世帯のみが対象ですけれども、これを単身世帯(一人世帯)についても対象といたしますとともに、軽減対象となる所得基準額も引き上げてはどうかということでございます。これが低所得者に対する軽減対象の拡大という内容でございます。
 2点目が4ページ、保険者支援制度の拡充でございます。保険者支援制度につきましては、低所得者の数に応じて国・都道府県・市町村が財政支援をするという制度でございますけれども、これは、22年度から25年度まで暫定措置になっています。これを27年度から恒久化するというのが1点目でございます。
 2点目でございますけれども、対象者数に応じた保険者の財政支援について補助額の拡充を行うということでございます。
 具体的な内容は3点でございます。
 1点目が、現在は7割世帯、5割世帯の対象者数に応じて補助をしており、2割世帯は財政支援の対象になっていませんが、今回、2割軽減対象世帯についても財政支援の対象とするということでございます。また、先ほどのとおり、2割・5割の軽減対象世帯自体、拡大いたしますので、その拡大に応じて財政支援の対象世帯も拡大してはどうかということでございます。
 2点目が、補助率の引上げでございます。現在は7割・5割軽減世帯について、それぞれ保険料収納額の12%・6%という補助率ですけれども、これを7割・5割については15%・14%、また、新たに対象にする2割軽減対象世帯についても13%ということで、全体の財政支援の補助率を引き上げるということでございます。
 3点目は、若干技術的な面も入っておりますけれども、現在、財政支援額の算定基準につきましては、1人当たりの平均保険料の収納額に対して12%・6%を補助するということですけれども、これを算定額に改めるということでございます。3の「※」で書いていますが、収納額といいますのは、理論上取るべき保険料から法定軽減額を差し引き、更に未納額を差し引いた額が実際の収納額でございますけれども、これを、理論上取るべき保険料算定額に対して補助をするということで、補助対象をこれも拡大するという内容でございます。
 最後のページ、裏表紙に「参考」で財政影響がございます。こういった軽減対象世帯の拡大で約500億円、保険者支援制度の補助の拡充により1,700億円、合計、一体改革で示されている最大2,200億円の2,200億円を投入し、財政基盤を強化してはどうかという内容でございます。
 戻っていただきまして、5ページ、財政運営の都道府県単位化の推進でございます。これにつきましても、先ほど申し上げましたとおり、22年度から25年度までの暫定措置になっているものについて、27年度から恒久化するということ。また、共同事業の対象医療費について27年度からすべての医療費に拡大するということでございます。下にイメージ図がございます。現在はレセプト1件当たり30万円超で、医療費全体の約4割が共同事業の対象でございますけれども、これをすべての医療費に拡大するということでございます。
 6ページでございます。こういった共同事業によりまして、その効果でございますけれども、都道府県内の市町村国保の財政の安定化、すなわち毎年の医療費の変動による財政への影響の緩和が図られるということ。また、保険料の平準化。医療費の差によりまして、現在、県内で最大3倍程度の格差がございますけれども、こういった保険料について、違いの緩和が図られるということでございます。
 下のイメージ図ですけれども、平均的な医療費のA市、高い医療費のB市、低い医療費のC町と仮に3つあったといたしまして、現在、最大でも3倍、100ぐらいの格差があるわけでございます。こういった医療費につきまして、3つ合わせまして300の医療費について、その半分については頭割り、被保険者割で均等に負担していただく。残りの医療費につきまして、実績に応じて負担していただくことで調整することによりまして、保険料の格差を縮小していく効果もあるということでございます。
 ただ、こういった縮小を図っていきますと、特にC町にとっては負担が急に重くなるということもございますので、7ページでございますけれども、今回、都道府県調整交付金を2%増額するということでございます。これは平成24年度ベースで言いますと、1,500億円程度の額でございますけれども、調整交付金を増額することによりまして、市町村国保財政の共同事業の拡大の円滑な推進を図ってはどうかということでございます。
 具体的に申しますと、先ほど申し上げた、例えばC町のような持ち出しが大きくなる町村に対して、重点的に調整交付金を配分することにより円滑な推進を図ってはどうかということでございます。併せて、都道府県調整交付金の増額によりまして、都道府県の調整機能の強化も図ってはどうかということでございます。
 2つ目のマルは、財政調整機能の明確化でございます。現在、都道府県調整交付金については県の実情に応じて運用されていますけれども、実態といたしましては、定率で配分されているところが36県ということで、大半が定率、医療費に応じた配分になっております。今、都道府県調整交付金のガイドラインを国としてお示ししておりますが、これを見直して、「地域の実情に応じて」ということではございますけれども、財政調整機能を発揮することを原則としてはどうかということでございます。
 最後に8ページでございます。地方財政措置の見直しでございます。先ほど申し上げました市町村一般会計からの繰入れに対する地方財政措置は、現在、保険料負担能力や過剰病床、年齢構成差に応じて地方財政措置がされておりますけれども、財政基盤の強化、財政運営の都道府県単位化を踏まえまして、税制抜本改革時に所要の見直しを行ってはどうかということでございます。
 資料2については以上でございます。
 続きまして、資料3でございます。内容が重複しますので重複部分は省きますけれども、資料3につきましては、以上申し上げました構造改革への対応案のうち法律改正事項について抜き出したものでございます。これは、「国民健康保険法の一部を改正する法律案」ということで3点ございます。
 法案の概要としては、(1)財政基盤強化策の恒久化、(2)財政運営の都道府県単位化の推進、(3)都道府県調整交付金の割合の引上げ、この3点が法律事項でございまして、(1)と(2)については平成27年4月1日から、(3)については平成24年4月1日からということで、全体としては、予算関連法案ということで今通常国会に提出させていただきたいということでございます。
 資料説明は以上でございますけれども、資料4は参考資料、最後に、資料番号を振っておりませんけれども、全国知事会から意見書をいただいております。
 説明は以上でございます。
○木下総務課長 それでは、意見交換に移らせていただきたいと思います。
 市町村国保の構造問題への対応案と、それを踏まえた国保法の改正案につきまして、御出席の皆様方に順次御発言をいただきたいと思います。それぞれ3分から5分ぐらいでお願いできればと思います。
 それでは、まず、福田栃木県知事から御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○福田栃木県知事 それでは、お時間をいただきまして申し上げます。また、2回目の協議を開催していただきまして、御礼を申し上げます。
 今、事務局からお話がありましたように、知事会としての意見書をお手元に配付させていただきましたので、参照願いたいと思います。
 国保につきましては、毎年1兆円増嵩する医療費に対する抜本的な対策が図られることを期待しておりましただけに、今般の一体改革素案が小粒な改革にとどまったことにつきましては非常に残念でありますが、知事会では、配付資料のとおり、今回の見直しに対する意見を取りまとめましたので、申入れをしたいと思います。
 初めに、この協議の位置づけでございます。副大臣からもごあいさつの中でいただきましたが、12月20日、「国と地方の協議の場」におきまして、子どもに対する手当に関連し提案された国保に関する事項につきましては、この協議を一切縛るものではないということが確認されています。
 しかしながら、同日の4大臣合意では、この協議でまさに協議中の国保の見直しの方向性自体が盛り込まれましたが、これは、この協議、ひいては地方を軽視するものと受け取られかねないと考えております。本日は、さきの確認に基づきまして、この協議を尊重し、地方の意見を最大限反映することを求めたいと思います。
(藤田厚生労働大臣政務官出席)
 今回の見直しについてでございますけれども、国保の財政は危機的な状況にあり、一刻も早く構造的な問題や莫大な法定外繰入れなどを解消し、持続可能な制度にするための改革が必要でございます。今回の見直しは、当面一定の効果は見込まれますが、現行制度の拡充にとどまり、内容や、2,200億円という公費投入額とも、満足できる水準ではなく、国保財政がどの程度改善されるのかも明らかにされておりません。
 また、国の定率負担の引下げと都道府県調整交付金の増額につきましては、子どものための手当に関連したやむを得ない措置でありまして、国の財政責任の低下を認めたものではないことは言うまでもございません。改めて国の財政責任を明確にし、安定財源の確保や国の定率負担の引上げによる公費負担の拡大など、引き続き国保の抜本的な改革を行っていくことを求めたいと思います。
 続きまして、財政基盤の強化であります。知事会では第1回協議で、財政基盤強化と都道府県単位化はセットではなく、基盤強化が先決であることを主張しました。今回の見直しでは両者の法案は別とされていますけれども、財政基盤の強化のないまま共同事業の拡大を図っても、安定した財政運営は望めませんことから、2,200億円では十分ではありませんが、最低限それは確実に確保して実現することを求めます。
 次は、都道府県による財政調整についてであります。保険財政共同安定化事業を全医療費に拡大することは、他の市町村の医療費のために保険料を上げざるを得ない市町村が発生するおそれがあることなど、国保財政に対する多大な影響が見込まれます。
 そのため、知事会では、調整の財源につきまして、公費負担割合50%の枠外で新たな財源を確保するよう求めてまいりましたけれども、果たして国定率負担から都道府県調整交付金へ2%移すことで十分なのか、今後の医療費の伸びに対応できるのか、早急に推計データを示すとともに、確実な財源措置を講じるよう何度も申し上げておりますけれども、お願いいたします。
 また、調整交付金によりまして都道府県が財政調整の機能を発揮するためには、保険者であります市町村の理解と協力が不可欠でございますので、ガイドラインの見直しなどにおきましては、国の責任によって、都道府県を中心に市町村が協調して円滑に調整が行われるような方策を示されるよう、お願いします。
 続きまして、後期高齢者医療制度についてでございます。「最終とりまとめ」は75歳以上を国保と被用者保険に戻し、別々の保険制度に加入させるという点で、知事会の目指すすべての医療保険制度の全国レベルでの一元化に向け大きな後退であります。また、実態は看板の掛け替えにすぎません。加入する制度により新たな不公平が発生する、そして、最も重要な財源論が欠如しているなど、現行制度の改悪と言わざるを得ません。
 また、素案では、今通常国会に現行制度廃止に向けた見直しのための法案を提出するとされていますが、知事会は、「最終とりまとめ」の法制化とは切り離し、純粋に国保の基盤強化を議論するためにこの協議に参加したものでございます。これも、当時、細川厚生労働大臣の要請に基づくものでもありました。これまで高齢者に関する協議は一切行っていない中にありまして、廃止法案を提出することは断じて認められません。現行制度は既に定着しておりますので、必要な改善を加えながら安定的な運営に努めるべきであると思います。
 むすびになりますけれども、引き続き地方と十分協議するとともに、国民皆保険制度の堅持のため、国民にとっての医療保険制度はどうあるべきか、筋の通った、将来を見通した議論をお願いいたしまして、知事会の意見といたします。
 終わります。
○木下総務課長 ありがとうございました。
 続きまして、岡崎高知市長からお願いいたします。
○岡崎高知市長 高知市長の岡崎でございます。市長会を代表しまして、意見を申し上げさせていただきます。
 今回の改定案につきましては、市長会、また、国保中央会の会長という立場でもありますので、我々の意見を相当くんでいただき制度設計をしていただいておりますことに、感謝を申し上げるところです。先ほど知事からもお話がありましたが、国保財政は非常に厳しい状況にあるのは御承知のとおりです。平成24年度、各市町村でも、国保の保険料改定をせざるを得ないという厳しい状況の中で、3月議会に引き上げを提案する市町村も非常に多いという状況でもあります。
 また、我々は特に来年度、24年度当初は非常に心配しておりまして、全国的に各市町村ともに介護保険料が700円~1,000円アップという状況になります。パーセントに直しますと、16%から20%ぐらいの改定率になります。
 もう一点は、後期高齢者医療制度が、政府、それから、当時の長妻大臣の御指示もありまして、これまでの内部留保金を一回取り崩して保険料据え置きのためにに使っていますので、24年度から運用財源が足りないという状況の中で、計算をしますと、東京都などもそうですが、20%~25%アップの保険料引き上げにならざるを得ない。東京都なども現実にはそれだけ上げられないので、10%~15%程度に引き上げ率を抑えると聞いておりますが、例えば高知県におきましても、後期高齢者医療制度の保険料は約16%アップという状況になります。
 そうしますと、24年の6月から7月には各住民の方々に納付書が届くわけですが、介護保険料アップの納付書、後期高齢者医療制度の保険料のアップ、市町村によっては国保の保険料のアップ。3つの保険料アップの通知が6月から7月に重ねて届くことになりますので、市町村の窓口は相当大変なことになります。特に後期高齢者医療制度は、地方としても申し上げておかなければいけないと思いますが、国の御指示で内部留保金を全部吐き出したために、24年度から大幅に保険料を上げざるを得ないことになっております。まだ財政支援の制度がないわけですが、やはりそれも一つ大きな問題になっているということを指摘させていただきたいと思います。
 個々につきましては、国保の脆弱な財政基盤を強化するということで、2,200億円で万全とは我々も考えておりません。本来であれば3,000億円程度入れていただいたらよかったのですが、それぞれの財政状況もありますので、厚労省としても精いっぱいのところで2,200億円を明記していただきまして、その点は感謝しております。
 それから、低所得者の多い保険者に対しまして具体的に相当の額を入れていただけるということですので、国民の健康を担保している国保としても、今回の強化策は非常に大きな力になるということを感じているところです。
 ただ、御承知のとおり、これは税制抜本改革の法案とセットになる話でして、2015年からということですので、実は3年、間があいています。2012年、2013年、2014年、我々は市町村の国保を現場で預かっている立場から、現実的にこれから3年、国保がもつのかなというのが一番問題であります。
 抜本的な財政支援はやはり税制の抜本改革をまたざるを得ないのですが、この3年間に相当厳しい保険財政になると思います。その点は御承知していただき、また、3年の間に緊急的に対応していただかないといけない事態も生じかねないところもあると思いますので、その点はまた、こういう場で御協議をさせていただきたいと考えております。
 それと、非常に住民の所得が下がっていますので保険料も上げにくいという現状になっております。例えば最高限度額に行き着く所得の範囲は、これまで厚労省の方々とも協議をしておりましたが、何となくかみ合ってこなかった。具体的にワーキングチームの方で資料も出させていただきましたが、例えば厚労省の単純計算では、国保の保険料の最高限度額が行き着くのが820万円程度という算定をされていたと思います。我々は、中核市41市ありますが、全部データをとりまして一回弾き出してみました。中核市41市の平均で、上限額が行き着くのが一人世帯の場合で給与所得で617万円程度、二人世帯で559万円程度です。高知の場合は更に所得が低く、例えば一人世帯で523万円で上限額に行き着いてしまいます。二人世帯であれば498万円。500万円を切った段階で最高限度額に行き着いてしまう。
 我々も具体的なデータを出してこなかったので、厚労省の方たちと論議をしていてもかみ合わなかったのですが、大体数字が出ましたし、ワーキングチームも出しております。それだけ厳しい状況にあるということなので、保険料も上げにくくなっていることを御承知していただいた上で、この3年間が非常に財政的に厳しいと思います。どういうふうにしのいでいくかということが大きな課題ですので、この点はまた別途に協議をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○木下総務課長 ありがとうございました。
 最後に、齋藤井川町長からお願いいたします。
○齋藤井川町町長 これまで国保の基盤強化について、いろいろな議論もいただいておりまして、十分とは言えませんけれども、一つの方向性が出た、こういうことについては感謝を申し上げたいと思います。
 ただ、振り返ってみると、非常に慌ただしかったという印象が極めて強いです。社会保障と税の一体改革の議論が始まりますと、成案に盛り込むべき事項への対応に追われ、成案が決定した後は、公費投入方法の検討、昨年末には子どものための手当に関する国と地方の協議において、定率の国庫負担から都道府県調整交付金に2%振り替えるということが突如出てきたという印象でありまして、こうしたことについて十分な議論ができたかというと、必ずしもそうではない。ですから、この後も、先ほど福田知事からもお話がありましたように、地方ともっと腰を据えた議論を続けてほしい、こういうことをまずお願い申し上げたいと思います。
 財政基盤の強化については、2,200億円程度投入されるという方向性が示されました。十分とは言えないにしても、大変ありがたいと思います。
 投入方法のメニューについては保険基盤安定制度と保険者支援制度の拡充という非常にシンプルな形となっております。最近の国保制度は非常に複雑になってわかりづらくなっており、やはりこういう形に収れんしていくべきだろうと思いますし、是非、そういう方向はきちんとこの後も守ってほしいと思います。
 ただ、こうしたことによって低所得者の保険料負担が実際どの程度になるのか、あるいは、被用者保険の保険料の負担率にどの程度近づくのか、今後はこうしたことを示しながら、財政がどの程度軽減されるのか将来推計も含めてシミュレーションを示していただかなければいけないと思います。
 また、既存の財政基盤強化策はこれまで4年間の時限措置とされておりましたが、恒久化されるようになりました。これは私どもがかねて主張してまいりましたことで、このことについても大変結構なことだという評価をしておきたいと思います。
 次に、都道府県単位化の問題であります。私どもは医療保険制度は一元化すべきと主張しておりますが、そのための第一歩ということで、いろいろな議論があるのは当然として、こういう方向で進むことは非常に大事なことだというふうに思います。
ただ、こうした中で都道府県調整交付金が2%増えることとなりました。同時に、以前以上に都道府県内の市町村で調整しようという方向性も示されました。これまで広域化等支援化方針でそういうことを議論して、まだしっかり結論が出ていない状況で、保険財政共同安定化事業の対象範囲を一気に1円以上に拡大するというのはちょっと唐突な感じがします。最終的にこのことは非常に大事なことだと思いますけれども、やはりいろいろ計算してみますと、受診機会の少ない保険者が拠出超過になります。ここが、この後問題として出てくるだろうと思います。大変だ、これはだめだ、こういう町村長も多分いるだろうという推測をいたしております。こうしたことをどう解決していくか。これは私どもの問題ではありますし、都道府県による県内調整は非常に難しい問題ですけれども、これはやはりきちんと行わなければいけない、こういうことが明確に示される必要があります。
 同時に、都道府県内の調整の方向性としてはガイドラインを出すということでありますけれども、政令で書けばいいではないかと、こういう方がいることも事実でありまして、このことを含めてどうするのかということは、今後も大きい議論の対象になろうというふうに思います。また、福田知事からも市町村あるいは都道府県と十分な議論をしなければいけないというお話もありましたが、まさにそのとおりであります。そういう点で、是非、国もそうした方向性を踏まえながら対応してもらいたいということを強く要望申し上げておきたいと思います。
 例えば、共同事業において拠出超過額が交付金の3%を超える場合には財政支援をするということが厚生労働省から都道府県に対して要請されておりますが、このことが実行されるかどうかというと必ずしも実行されておりません。また、この3%という数字そのものの数字がこれでいいのか。2%ではだめなのか、あるいは1%ではだめなのか。こういうこともきちんと押さえておくべきではないのか、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 今回の改革は、構造問題を解決する、持続可能な制度を構築する、こういうためのいわば第一歩でありまして、必ずしも先ほど申し上げましたように十分ではない。ですから、是非、この後もこうした問題に国からもなお一層の努力をいただいて、手厚い支援をしていただかないと国保は耐えきれません。特に岡崎市長からもお話がありましたけれども、所得レベルが非常に落ちております。そういう点で、今後の安定運営というのも非常に厳しい状況でありますので、是非そうしたことを御理解の上、今後とも、最終的な制度運営の責任は国ですので、国としても当然そうしたことにつきまして、なお一層力を注いでもらいたい。また、私どもも、都道府県も含めて、様々な調整を一生懸命やっていく、こういうことを申し上げまして、意見の表明を終わります。
○木下総務課長 ありがとうございました。
 御出席の方々からの意見一巡ということで、さまざまな御意見、御提言をいただきましたので、厚労省側から、まず副大臣からコメントをお願いできませんでしょうか。
○辻厚生労働副大臣 お三方からの御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。まず、「国と地方の協議の場」の位置づけについての御指摘もいただいたところでございます。至らざる部分がありましたことをおわび申し上げつつ、とりわけ、非常に慌ただしかったという御指摘もいただいたわけであります。私どももそういった中で対応せざるを得なかったところもございましたけれども、いろいろと足らざる部分があったことは申し上げつつ、今後とも地方の皆さん方と、この大事な国保の問題、それ以外の問題もございますけれども、しっかりと協議を重ねて連携をとらせていただく中で、改善の方途を見つけていきたい、このように思っていることをまず申し上げおきたいと思っております。
 それから、国保の財政状況の厳しい現状についての御説明もいただいたところでございます。今般の私どもの措置につきましては、不十分ではあるけれども、一歩前進と言っていただいたというふうに受けとめさせていただいております。それを確実に手当せよという御指摘でもございましたけれども、当然のことながら、その確保に向けて取り組んでいきたいと思っているところでございます。3,000億ぐらいあればよかったというふうな御指摘もいただきましたけれども、その思いも受けとめさせていただいてこれからも取り組んでいきたい、このように思っております。
 恒久化についても、結構な措置だったと言っていただきましたけれども、そういったことで進めさせていただきたい、このように思っているところでございます。
 なお、それぞれの方から、国保の財政の将来像を示すべし、推計やシミュレーションを示すべしというふうなことにつながる御指摘であったかと思います。その問題につきましても、一つの大きなポイントとして、将来の全体像をどうしていくのか、それに向けて財政の見通しはどうなるか、そういったこともしっかりと大きな課題として受けとめさせていただいて、これから協議もさせていただく中でいろいろと検討していきたい、このように思っているところでございます。
 御指摘の中で、後期高齢者医療制度をはじめとする高齢者医療制度の見直しについての御言及もありました。今般の私どもの法案ということで具体的になるわけですけれども、その法案は、あくまでも現行制度の枠組みを前提として市町村国保の財政基盤強化等を図るというものでございまして、将来の都道府県を保険者とすることを前提としたものではないものでございます。今後、高齢者医療制度の改革については、与党のスタンスもある中でございまして、いろいろ課題も山積しておりますけれども、皆様方の御意見をしっかり踏まえさせていただいて、協議を重ねる中で対応していきたい、このように考えているところでございます。
 まずは私の方からは、そういったことで申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○木下総務課長 ありがとうございます。
 それでは、意見交換の残された時間、更に追加で御発言をいただければと思います。どなたからでも結構でございますので、何かございましたら御発言をお願いいたします。
○岡崎高知市長 2点ほどあります。国の定率の34%のうち2%、都道府県の方へ調整交付金として振り替えられたということですので、各市町村からは、各都道府県が各市町村に配分する場合、どういう計算方式や考え方で配分されていくかという透明度は、全体として各都道府県の方でも高めていただくことをお願いしておきたいと思います。
 例えば高知県の場合は34市町村あって、34市町村にいろいろな算定手法で配られているわけですが、それが一定、透明性がある形で市町村から問い合わせがあった場合には、算定の根拠を出していただきたいという要望をしておきたいと思います。また、それは知事会の方でもよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから、先ほど齋藤さんからも少し出ました、3%を超える部分です。なぜ3%なのかというのは我々もよく聞いていないのですが、例えば少し考え方を申し上げますと、具体的にわかりやすく言いますと、資料4の14ページに概念図のようなものが示されています。3%を超える部分ということなのですが、もう一つ、関連する資料として22ページと合わせて見ないとわからないのですが、これまででしたら、30万円以上ということなので、例えば22ページには数字が入っております。3兆8,900億円の部分が対象になっていたのですが、ここが、22ページの表を見るとわかりやすいように、5兆8,800億円、約6兆円近い部分にまで広がりますので、10年のままの3%でいいのかどうかというのはちょっと疑問もあるわけです。それと、なぜ3%ともともと決めているかということも、経過は聞いていない。対象医療費が倍額に6兆円近くにまで広がっているので、本当に3%でいいのかどうかというのはさらに吟味していく必要があるので、これはまだまだ課題があるのかなと思います。
 以上です。
○木下総務課長 済みません。実は国会の開会式が12時からでございますので、辻厚生労働副大臣は50分には出なければいけません。途中で退席するかもしれませんが、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
○濱谷国民健康保険課長 御指摘の、対象医療費が倍以上になりますので3%がいいかどうか、先ほど井川町長からの話もありましたけれども、その3%のパーセンテージの在り方を含めてガイドラインの見直しを、今後、「国と地方の協議の場」でまた御議論をいただきたいと思っております。
○木下総務課長 福田知事、お願いいたします。
○福田栃木県知事 今、財政調整の透明度を高めるというお話がありましたけれども、今日の資料2の7ページに、財政調整機能の明確化ということで、「ガイドラインを見直して、地域の実情に応じて、財政調整機能を発揮することを原則とする」ということで見直しがあるわけですので、それらを受けて各都道府県は市町村と協議をしながら、今のような御指摘に十分応えられるように取り組んでいくことになるだろうと思います。
 それから、年少扶養控除の廃止に伴って地方税収が伸びるということから、今回のこの制度の改正にもつながっているわけですけれども、都道府県によっては、見合う住民税増収につながらない可能性がある。栃木などはつながらないだろうと、今、試案を出しているところです。試算をしてみますと、将来的には、都道府県調整交付金の増額分の財源の確保がなされない可能性も高いのではないかと思っています。ゆえに、9%にかかる需要をしっかりと積み上げて、地方交付税等による地方財政措置を求めていくことになるのではないかと思っています。
 知事会といたしましては、先ほど申し上げましたように、2%の増額で十分なのか。また、それらを検証していく作業の中で、医療費の伸びに対する負担の増嵩にどう対応できるのかということを、国のデータを是非示してほしいということを再三申し上げておりますので、改めてお願いを申し上げたいと思います。また、国民皆保険制度の堅持のために、国民にとって医療保険制度はどうあるべきかということの筋の通った議論、あるいは、将来を見通した意見交換を是非していきたいと思いますので、引き続きこのような場を設けていただきますよう、辻副大臣には改めてお願い申し上げます。
○木下総務課長 そのほか、ございますでしょうか。
 それでは、ただいまの意見交換、さまざまな御提案等、私どもとしてしっかり受けとめさせていただきまして、本日御提案いたしました市町村国保の構造問題への対応につきましては、説明いたしました案と、それに伴います「国民健康保険法等の一部を改正する法律案」の内容に沿って、進めていくこととさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○木下総務課長 ありがとうございました。
 それでは最後に、遅れて御出席いただいておりますが、藤田政務官から御発言をお願いいたします。
○藤田厚生労働大臣政務官 政務官の藤田でございます。今日は通常国会の召集日と重なってしまいまして、遅れましたこと、おわびを申し上げます。
 本日は、さまざまな観点から貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。大変慌ただしかった、もっと腰を据えた議論をという御指摘もいただきまして、その点はしっかりと受けとめさせていただいた上で、本日こうして市町村国保の基盤強化のために、地方団体の皆様がそれぞれのお立場を超えて、この構造問題の対応案について御了承いただきましたことに、心から御礼を申し上げたいと思います。今後、対応案に沿って、市町村国保の財政基盤の強化と財政運営の都道府県単位化を推進できるように、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
 そしてまた、この基盤強化のためには税制抜本改革が不可欠でございます。社会保障と税の一体改革、今国会でも最大の課題でございますけれども、この重要性について、私どもも国民の皆様の御理解が得られるよう最大限努力をしてまいりますので、地方団体の皆様にも是非とも御協力をお願い申し上げたいと思います。
 本日は、お忙しい中、本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
○木下総務課長 ありがとうございました。
 それでは、本日の会はこれまでとさせていただきます。
 本日は大変御多忙の中、本当にありがとうございました。


(了)
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