ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録




2011年6月10日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録

医薬食品局食品安全部企画情報課

○日時

平成23年6月10日(金) 14:00~17:00


○場所

専用第22会議室(国会側)


○出席者

(委員)

阿 南    久 石 川 広 己 大 澤 真木子
大 前 和 幸 春 日 雅 人 岸    玲 子
栗 山 真理子 鈴 木    豊 寺 本 民 生
徳 留 信 寛 西 内    岳 西 島 正 弘
毛 利 資 郎 山 内 明 子 山 本 茂 貴
若 林 敬 二 渡 邉 治 雄 (敬称略)

(事務局)

梅田食品安全部長 篠田大臣官房審議官 木村大臣官房参事官
吉野企画情報課長 森口基準審査課長 加地監視安全課長
道野輸入食品安全対策室長

○議題

議 題 
(1)審議品目
  ○添加物として新規指定並びに使用基準及び成分規格の設定
    ・ピロール
    ・イソキノリン
  
  ○ポジティブリスト制度関係(動物用医薬品)
    ・モネパンテル(インポートトレランス(IT)に伴う残留基準の設定)

(2)報告品目
  ○ポジティブリスト制度関係
【農薬】
・メフェンピルジエチル(暫定基準の見直し)
・ピコリナフェン(暫定基準の見直し)
・アシフルオルフェン(暫定基準の見直し)
・ラクトフェン(暫定基準の見直し)
・フェンチオン(暫定基準の見直し+魚介類)
・ペンディメタリン(暫定基準の見直し+適用拡大)
・ジチアノン(暫定基準の見直し+適用拡大+インポートトレランス(IT)申請)

○ポジティブリスト制度関係
  【動物用医薬品】
・カラゾロール(暫定基準の見直し)
・レバミゾール(暫定基準の見直し)
・メベンダゾール(暫定基準の見直し)

(3)文書配布による報告品目等
○ポジティブリスト制度関係
 【農薬】
・チオベンカルブ(魚介類)
・エチプロール(適用拡大)
・イソプロチオラン(適用拡大)
・ヨウ化メチル(適用拡大)
・フルベンジアミド(適用拡大+インポートトレランス(IT)申請)
・イミダクロプリド(適用拡大+インポートトレランス(IT)申請)

  ○その他
   ・常温保存可能品に係る乳等省令の改正について
・平成23年度輸入食品監視指導計画について


? 報告事項 (別冊)

  ○魚介類中の放射性物質の暫定規制値について
○食品中の放射性物質のこれまでの検査の状況及び対応について
○飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌食中毒の発生状況及び対応について
○生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例について
○食品安全に係るリスクコミュニケーションについての厚生労働省の取組の概要
(平成22年度)
○食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について

○議事

○佐久間補佐 それでは、定刻となっておりますので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会」を開催いたします。本日は、御多忙のところ、御参集いただきまして大変厚く御礼申し上げます。
 それでは、本日の出欠状況について御報告申し上げます。本日は、安藤委員、伊藤委員、大野委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、石川委員におかれましては30分程度遅れるという御連絡を事前にいただいています。また、寺本委員と大澤委員は若干遅れていらっしゃるようでございます。
 分科会員総数20名のうち、現時点で14名の御出席をいただいてございまして、出席委員が過半数に達しておりまして、本日の分科会が成立いたしますことを御報告も申し上げます。
 それから、本日、食品安全部長でございますけれども、公務のため欠席という形になってございますので御了承いただければと思います。
 なお、人事異動がございまして、5月29日付で日下国際食品室長が異動となってございます。後任は私が併任という形になってございますので、御報告申し上げます。
 本日の議題につきましては、お手元の議事次第にございますように添加物関係でございますが、これが2品目、動物用の医薬品関係1品目について御審議をいただき、その後、何点か事務局からの御報告等がございますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、資料の方の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧下さい。
 まず議事次第の1枚紙がございます。
 その下に座席図の1枚紙がございます。
 それから、食品衛生分科会の目次と書いてあるこちら側の資料の方でございますが、1枚紙の目次、これが1ページから103ページまでございます資料でございます。
 それと、合わせて別冊があります。これはホチキス留めになっていますが、1ページから49ページまでございますものが1つです。
 それから、机上の方にドッチファイルがございます。食品衛生分科会の資料という厚い方のドッチファイルでございますけれども、こちらが参考資料の1から5までございます。
 それと、いつも置いております勉強会の資料のファイルが1つです。
 それから、机の上にまた1枚紙でございますけれども、報告品目一覧という農薬と動物用医薬品の両面刷りになっているものがございます。
 こちらはお手元にございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、以降の進行につきまして岸分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岸分科会長 それでは、議事次第に沿いまして審議品目の最初、添加物関係から進めてまいります。
 事務局から、最初に御説明をよろしくお願いいたします。
○事務局(高橋補佐) 本日は、「添加物として新規指定並びに使用基準及び成分規格の設定」に係る2品目につきまして御審議いただきたいと存じます。
 本日御審議いただく2品目でございますけれど、すべて国際汎用香料として指定の検討を行ってきたものでございます。
 それでは、1品目目を御説明させていただきます。資料の1ページを御覧下さい。ピロールでございます。先ほど申し上げましたように、国際汎用香料として指定の検討を行ってきたものでございます。
 「用途」は香料でございます。コーヒー、タマリンド、麦芽等の食品中に存在し、牛肉、鶏肉等の加熱調理により生成する成分でございます。
 「諸外国での状況」でございますが、欧米では焼菓子、肉製品、冷凍乳製品類等のさまざまな加工食品において香りの再現、風味の向上等の目的で添加されております。
 「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」でございますが、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないという結果をいただいております。
 次に「摂取量の推計」でございますが、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国における推定摂取量は一人一日当たりおよそ0.01~0.1μgの範囲になると推定されます。90~91日反復投与毒性試験における雌の無毒性量と比較いたしますと、安全マージンは20,000~200,000という数字が得られております。
 次に、「使用基準案」は着香の目的以外に使用してはならないといたしまして、「成分規格案」につきましては1枚めくっていただきまして2ページにお示しした内容とさせていただきたいと考えております。
 1ページに戻りまして「意見聴取の状況」でございますが、パブリックコメント及びWTO通報とも手続中でございます。
 続けて、2品目目を御説明させていただきます。5ページを御覧下さい。イソキノリンでございます。先ほど申し上げましたように、国際汎用香料として指定の検討を行ってきたものでございます。
 「用途」は香料でございます。
 かつおぶし、牛乳等の食品中に存在し、欧米では焼菓子、清涼飲料、冷凍乳製品類等、さまざまな加工食品において香りの再現、風味の向上等の目的で添加されております。
 「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」でございますが、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないという結果をいただいております。
 「摂取量の推計」でございますが、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国における推定摂取量は一人一日当たりおよそ0.01~0.05μgの範囲になると推定されております。90日反復投与毒性試験における無毒性量と比較いたしますと、安全マージンは3,000,000~15,000,000という数字が得られております。
 「使用基準案」でございますが、着香の目的以外に使用してはならないといたしまして、「成分規格案」は1枚めくっていただきまして6ページにお示しした内容とさせていただきたいと考えております。
 5ページに戻っていただきまして「意見聴取の状況」でございますが、同じくパブリックコメント及びWTO通報とも、手続中でございます。以上でございます。
○岸分科会長 それでは、議論に入ります前に、部会での審議の状況について部会長の若林先生から御説明いただきたいと思います。
○若林委員 説明します。添加物部会でピロール及びイソキノリンが香料としての用途で使用基準案、成分規格案が、問題ないかということが議論されましたけれども、今、事務局が説明しましたように特段の問題はなく承認されましたので御報告いたします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本件2剤につきまして委員の皆様からの御質問とか御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。もし格段の意見が特にないようでしたら、分科会としてこれで了承ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○岸分科会長 ありがとうございます。それでは、今後のWTO、パブリックコメントなどの諸手続、または対応に関しましては、部会長と御相談しながら私、分科会長に御一任いただくということでよろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○岸分科会長 ありがとうございました。また、この後の経過につきましては次回以降の本分科会で御報告をいたします。
 それでは、2番目の審議事項に移らせていただきます。「ポジティブリスト制度関係」で動物用医薬品ですが、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○事務局(浦上専門官) それでは、動物用医薬品モネパンテルの残留基準の設定について御説明をさせていただきます。
 分科会資料の9ページを御覧下さい。本剤の経緯といたしましては、インポートトレランス制度、海外で使用されている動物用医薬品につきまして基準設定の要請があったものでございます。
 本剤は羊に使用される寄生虫の駆除剤でございまして、我が国におきましては承認されておりません。
 それから、国際基準も設定されていない状況でございます。海外ではEU、それからニュージーランドにおきまして羊及び山羊に基準値が設定されているところでございます。
 「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」といたしまして、ADIとして0.001?/kg体重/日が設定されてございますけれども、この根拠といたしましてはマウスの混餌投与によります78週間の発がん性試験におけます最小毒性量、1mg/? 体重/日が採用されております。これに安全係数といたしまして、通常の種差、個体差の100にLOAELを今回用いているということから、追加の10の計1,000が適用されてございます。
 「基準値案」でございますけれども、別紙1の10ページを御覧下さい。
 まず規制対象物質でございますが、表の下の※5のところに記載しておりますように、モネパンテルスルホンとさせていただくということで御了承いただいておりますが、各組織の総残留に占める割合が高いとの理由からこちらを規制対象とすることとされてございます。また、基準値案といたしましては既定の使用における残留量を踏まえまして、こちらに記載の基準値の値とすること、それから本剤の対象は羊と申し上げましたけれども、比較的摂取量が少ないということで、このような場合には牛と豚を除くその他の陸棲哺乳類として基準値を設定することで差し支えないということにつきまして、部会で御了承いただいてございます。
 9ページにお戻りいただきまして、下の方になりますが、「暴露評価」でございます。TMDI/ADI比を掲載させていただいておりますけれども、一番高いのはこの場合、国民平均でございますが、こちらにおきまして6%ということで低く収まっているということでございます。
 「意見聴取の状況」は、今後パブリックコメントを実施する予定でございます。
 答申案は11ページ、別紙2のようにさせていただければと考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○岸分科会長 それでは、部会での審議の状況につきまして御説明を部会長からいただきたいと思うのですが、大野部会長が御欠席ですので、部会に出ておられた山内委員、部会の説明をお願いできますでしょうか。
○山内委員 それでは、大野部会長が御欠席ですので、代理として説明させていただきます。
 実は、2月10日にこのモネパンテルが審議されたんですけれども、私も都合で出席しておりません。申し訳ありません。ただ、部会の様子を伺いましたところ、報告書の記載について当日幾つか修正の御指摘がございまして、事務局の方で指摘に従って記述を修正していただいております。
 そのほか、規制対象物質につきまして、また暴露評価を含めまして特段問題なく審議されており、了承されているというふうに聞いておりますので御報告いたします。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。それでは、本件、モネパンテルに関しまして分科会の委員の皆様方の御意見、御質問等を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ、大前委員。
○大前委員 このモネパンテルスルホンというのはモネパンテルとどう違うのですか。
○岸分科会長 事務局、よろしいですか。
○事務局(浦上専門官) 参考資料の2を御覧いただければと思います。2の部会報告の4ページでございますが、こちらがモネパンテルスルホンでございまして、3ページの方にモネパンテル、それぞれ構造式を記載させていただいております。
○岸分科会長 大前委員、よろしいですか。
○大前委員 ということは、このモネパンテルスルホンというのはこのモネパンテルの代謝物ということですか。
○事務局(浦上専門官) そういうことでございます。
○大前委員 そうしますと、検出されるのはスルホンの形で検出されるわけですか。
○事務局(浦上専門官) そちらにつきましては5ページを御覧いただければと思いますが、残留の規制対象について少し記載をさせていただいております。そこにデータ自体は載せておりませんが、その結果をまとめておりまして、各組織の総残留に占める代謝物のモネパンテルスルホンの割合、筋肉は総残留の94%、脂肪、肝臓、腎臓ともに68%と高いということで、こちらを規制対象とすることが適切ではないかということで、部会の方では御了承いただいているということでございます。
○大前委員 そうしますと、EUなり、あるいはニュージーランドと同じ数字を持ってきていらっしゃるんですけれども、このEUとかニュージーランドの数字もモネパンテルスルホンとしての数字なんですか。
○事務局(浦上専門官) 今、御説明をした更に下になお書きのところで、EUとニュージーランドもモネパンテルスルホンが規制対象物質とされているということでございます。
○岸分科会長 メインの代謝物はこれ1つなんですか。5ページを読むと、それが確かに高いと書いてあるのでメインだろうと思うんですけれども、大前委員が心配されたのはどういうところなのでしょうか。
○大前委員 モネパンテルスルホンが代表的な代謝物で、それさえわかっていれば大丈夫だということでしたら、それはいいと思います。
○事務局(浦上専門官) ほかの代謝物につきましては、食品安全委員会の資料でございますが、参考資料の20ページにM2というのはモネパンテルスルホンでございまして、それ以外にも幾つか検出されているというようなことは記載がございます。
○岸分科会長 ほかに委員の皆様から御質問はございますか。
○山内委員 今の追加のところですけれども、同様に食品安全委員会の資料の太い数字の23ページのところに最終的な代謝物の表がありまして、真ん中の表9の羊のところを見ていただければ、さっき事務局がまとめられている数字がありましたけれども、M2モネパンテルスルホンが筋肉中には92.8というようなことで、同様に下の方も68%等の数字が出ていますので、これを基にまとめていただいたと理解しております。
○岸分科会長 ありがとうございました。ラットと羊が並んでいまして、羊の方の数字ですね。そのほか、本件につきまして何か御質疑ございますか。
 もし格段に御意見がないようでしたら、分科会長としてこれで了承ということにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○岸分科会長 それでは、今後のWTO、パブリックコメントなどの諸手続に関しまして、またその対応に関しましては部会長と御相談しながら、私、分科会長に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(委員 異議なし)
○岸分科会長 ありがとうございました。また、その後の経過につきまして次回以降、本分科会にて御報告をいたします。
 続きまして、報告品目に入らせていただきます。ポジティブリスト関係の農薬から7品目、よろしくお願いいたします。
○事務局(茂野補佐) ポジティブリスト制度関係といたしまして、農薬の7剤について報告させていただきます。
 机上に配布いたしております報告品目一覧を御覧下さい。メフェンピルジエチル、ピコリナフェン、アシフルオルフェン、ラクトフェンはポジティブリスト制度導入時の基準値の見直しを行うものでございます。
 メフェンピルジエチルにつきまして、御説明させていただきます。資料につきましては13ページにございます。参考資料につきましては、参考資料3の1ページにございます。
 メフェンピルジエチルにつきましては、除草剤の有害作用から作物を保護する薬害軽減剤でございます。
 国内登録はございません。
 国際基準も設定されておらず、米国において小麦、大麦、畜産物などに、オーストラリアにおいて穀類、畜産物に基準がございます。
 食品安全委員会でADI、許容一日摂取量を0.028mg/kg体重/日と設定いただきました。
 「基準値案」は14ページにございます。アメリカ、オーストラリアの作物残留試験データを基に、小麦、大麦等に基準値を設定する基準値案を農薬・動物用医薬品部会で御審議いただきました。
 なお、畜産物につきましては家畜代謝試験の結果、残留性が認められなかったため、基準値を設定いたしませんでした。
 また、今御覧いただいております別紙1の表でございますが、食品名の右側の基準値案の欄に基準値が記載されておりませんところがございます。このような場合は、基準値を設定していないことを意味してございます。この場合、食品衛生法第11条第3項の規定により定められました一律基準、0.01ppmが適用されることになります。この後、御説明する農薬・動物用薬品も同様の記載といたしております。
 「暴露評価」でございますが、一日当たりに摂取する農薬量、理論一日摂取量TMDIのADIに対する割合で一番高い幼小児において0.9%でございます。
 続きまして、ピコリナフェン以下3剤につきましては除草剤でございます。
 ピコリナフェンは資料の17ページにございます。参考資料では43ページにございます。
 ピコリナフェンは、国内登録はありません。
 国際基準も設定されておらず、カナダで小麦、大麦に、豪州では米、エンドウなどに基準値がございます。
 食安委で、ADIを0.007mg/kg体重/日と設定いただきました。
 「基準値案」は18ページにございます。カナダ、オーストラリアの作物残留試験データに基づき、小麦、大麦等に基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。
 「暴露評価」は、対ADI比で3.8%でございます。
 続きまして、アシフルオルフェンでございます。アシフルオルフェンは資料の21ページ、参考資料の87ページに記載がございます。
 アシフルオルフェンは、国内登録はございません。
 国際基準も設定されておらず、米国で米、落花生などに、カナダで大豆に、オーストラリアで落花生、畜産物などに基準がございます。
 食安委で、ADIを0.01mg/kg体重/日と設定いただきました。
 基準値案は、22ページにございます。
 米国の大豆、落花生、オーストラリアのインゲンの作物残留試験データに基づき、大豆、枝豆等に基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。
 「暴露評価」は、ADI比で3%でございます。
 続きまして、ラクトフェンでございます。資料は25ページ、参考資料では135ページでございます。
 ラクトフェンは、国内登録はありません。国際基準も設定されておらず、米国で大豆、落花生、綿実などに、EUにおいて柑橘類、アーモンドなどに基準がございます。
 食安委で、ADIを0.0079mg/kg体重/日と設定いただきました。
 「基準値案」は、26ページにございます。米国の大豆、落花生、綿実の作物残留試験データに基づきまして基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。
 「暴露評価」は、ADI比で0.3%でございます。
 続きまして、フェンチオンでございます。資料は29ページ、参考資料では169ページに記載がございます。
 フェンチオンは魚介類への基準値設定要請に基づく基準値の設定と、ポジティブリスト制度導入時の基準値の見直しを行うものです。本剤は殺虫剤です。
 国内では稲、ばれいしょなどに農薬登録がございます。
 国際基準が、柑橘類果実、オリーブ等に設定されており、EU、豪州に基準がございます。
 食品安全委員会で、ADIを0.0023mg/kg体重/日と設定いただきました。
 本剤につきましては、食品中の基準値設定におきまして残留の規制対象を変更いたしました。
 参考資料の176ページを御覧下さい。「7.基準値案」でございますけれども、今までは残留の規制対象をフェンチオンのみといたしておりましたが、今回はフェンチオン並びに代謝物B、C、D、E、Fといたしました。
 続きまして、参考資料の238ページに「作物残留試験成績」がございます。その作物残留試験成績を見ていただきますと、代謝物B、C、D、E及びFが多く検出されてございます。食品安全委員会では、食品健康影響評価においてフェンチオン並びに代謝物B、C、D、E及びFを暴露評価対象物質といたしております。また、コーデックス、EU、オーストラリアにおきましても同様に代謝物を含め、規制対象といたしております。
 資料があちこち飛んで申し訳ございませんが、資料に戻っていただきまして、資料の30ページの「基準値案」を御覧下さい。フェンチオンにつきましては、国際基準、国内及びオーストラリアの作物残留試験データ、魚介類の推定残留量を基に基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。丸印を記載している食品につきましては、現行の基準値をフェンチオン、親化合物のみで設定いたしておりましたが、今回代謝物も含んだ作物残留試験データに基づき、基準値を設定いたしました。
 「暴露評価」はEDI、推定一日摂取量の対ADI比で58.3%でございます。
 続きまして、ペンディメタリンについて御説明いたします。資料は33ページ、参考資料は249ページでございます。
 ペンディメタリンは、農薬取締法に基づくパセリ、カボチャへの適用拡大申請、魚介類への基準値要請に基づく基準値の設定と、ポジティブリスト制度導入時の基準値の見直しを行うものです。
 本剤は、除草剤です。国内でははくさい、ぶとう等に農薬登録がございます。
 国際基準は設定されておらず、米国でソルガム、アルファルファなどに、オーストラリアでごぼう、ほうれんそう、畜産物などに基準値がございます。
 食安委で、ADIを0.12mg/kg体重/日と設定いただきました。
 「基準値案」は、34から36ページにございます。国内及び米国の作物残留試験データ、魚介類の推定残留量を基に基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。
 「暴露評価」は、対ADI比で4.7%でございます。
 続きまして、ジチアノンでございます。資料は39ページ、参考資料は329ページに記載がございます。
 ジチアノンは、農薬取締法に基づくネクタリンの適用拡大申請、その他のなす科野菜への韓国と同様の基準値設定を求めるインポートトレランス申請に基づく基準値の設定と、ポジティブリスト制度導入時の基準値の見直しを行うものです。
 本剤は殺菌剤です。
 国内では柑橘、りんごなどに農薬登録がございます。
 国際基準がおうとう、ホップなどに、米国、EU、豪州、ニュージーランドにおいて仁果類などに基準値がございます。
 食安委で、ADIを0.01mg/kg体重/日と設定いただきました。
 「基準値案」は、40から41ページにございます。国内の作物残留試験データ、韓国のとうがらしの作物残留試験データなどを基に、基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。
 「暴露評価」は、EDI推定一日摂取量の対ADI比で59.6%でございます。
 御報告は、以上でございます。
○岸分科会長 ただいま7剤につきまして報告をいただきましたけれども、委員の先生方から何か御意見とか御質問はございますか。
 では、どうぞ。
○若林委員 フェンチオンの説明のときに代謝物が各種ありましたけれども、基準値案はそれの総計なのか、一部のものを足すのか。そこのところの説明がはっきりしませんでしたので、もう一度お願いできますか。
○事務局(茂野補佐) フェンチオンにつきましては、フェンチオン親化合物と代謝物のB、C、D、E及びFの総計で基準値を設定いたしました。
○若林委員 わかりました。どうもありがとうございました。
○岸分科会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
 では、どうぞ。
○寺本委員 今のフェンチオンなんですけれども、これはお米の国際基準が0.05で、基準の現行が0.05でこれは0.3になったわけですね。これは、今おっしゃったすべてを合わせるからという意味ですか。
○事務局(茂野補佐) フェンチオンにつきましては、現行が国際基準の0.05と同じになってございましたけれども、国内の作物残留試験データを参照してフェンチオンだけでなく代謝物も含めて作物残留試験データを取ったときに、作物残留試験による残留量が多くなっておりますので、それを参照として基準値を付けたために多くなってございます。
○岸分科会長 寺本委員、よろしゅうございますか。
○寺本委員 実際にそうだということで、安全性の面から言って増やすときというのは相当説明が必要になるんじゃないかという気がするんですけれども、それでよろしいのでしょうか。
○事務局(茂野補佐) 安全性の面につきましては暴露評価を行いまして、EDIの一番高い幼小児でも58.3%に収まっておりますので、特に問題ないと考えてございます。
○岸分科会長 寺本委員がおっしゃるようなことを私も考えていたのですけれども、やはり基準値が現行より緩くなるときはかなり一生懸命その理由を見た方がいいと思うのですが、事務局の方も非常に詳しく元のデータに基づいての御説明をしていただきましたが、寺本委員がおっしゃったように、この基準値現行より緩くなっているように見える、その理由が作物残留試験は代謝物A、B、C、D、E、F全部含めての値なので、現実に残留試験でこの程度であるということを踏まえてということなのでしょうか。
○事務局(茂野補佐) 全部含めてEDIで計算をいたしております。
○岸分科会長 全部含めてEDIで計算して、この範囲であるということですね。ほかに御意見はございますか。
 では、どうぞ、大前委員。
○大前委員 これはお願いなのですが、まとめた表があって食安委の健康食品影響評価結果が出ているんですけれども、慢性毒性とか発がん性試験の結果が基になって数字が書いてあるものに関しましては、遺伝毒性試験の結果もここに書いていただけませんか。
 これは全般的なお話のお願いで、この物質だけではございませんけれども。
○岸分科会長 報告事項につきまして、この基準になっている毒性試験のデータをもうちょっと詳しく入れてほしいということですね。次回以降、よろしいですか。
○事務局(茂野補佐) それでは、次回から遺伝毒性試験の結果について記載をさせていただきたいと思います。
○岸分科会長 そうしますと、ありがたいです。
○大前委員 それから、それに引き続いてよろしいですか。
 今の件でペンディメタリンなんですけれども、こちらの参考資料の310ページのところに遺伝毒性試験の結果がまとめてあるのですが、表32の5行上から復帰突然変異試験のことが記載してあります。復帰突然変異試験が4つありまして、陽性が2個と陰性が2個という結果になっております。
 それで、食安委の方は陽性が2個あったけれども、再現性がないと使用した代謝活性化系に依存しているものもあると考えたことから総合的に陰性と判断したという、よくわけのわからないことが書いてあるので、これは本当に陰性なのか。一般的に代謝活性化系というのはS9ミックスとかを使っているのではないかと思うのですが、それがそんなに違うものなんでしょうか。
○岸分科会長 大前委員の御質問に関しまして、委員の方でどなたか説明といいますか、知見等がございましたらいかがでしょうか。
 では、若林委員どうぞ。
○若林委員 一般的にサルモネラ試験は非常に感受性が高いです。サンプル量を多くしますと自然復帰コロニーよりも倍のぎりぎりぐらいに陽性に出るものは結構ありますけれども、ドーズレスポンスがなかったりするような場合には明らかにポジティブというように取っていないようなケースがあると思います。あくまでも一つの遺伝毒性の試験結果であって、総合的に判断をしていると私は解釈しております。
○大前委員 後半の方はおっしゃるとおりだと思いますけれども、この試験でポジティブに出ているのはむしろ濃度の範囲が広い。それで陽性という判断をしているので、多分ドーズレスポンスがあったんじゃないかと思うんです。
○若林委員 私は一般的なコメントをしました。実際には、細かいデータを見ておりませんので、その点についてはコメントできません。
○岸分科会長 大前委員がおっしゃるのは36ページと37ページ、大きなページですと310ページと311ページのところで陽性と出ている試験の処理濃度、投与量が幅が広いから、そこでドーズレスポンスがあったから陽性と、若林委員もおっしゃっているんですけれども、そういうふうに思われるということなんですね。さて、これはどうしましょうか。
○大前委員 先ほどおっしゃったように、この試験がたとえ仮に陽性だという判断をしても、ほかの試験が皆、陰性ですので、オーバーオールでは陰性と見ていいんじゃないかと思いますけれども、食品安全委員会の評価の仕方が少し大丈夫かなという意味で申し上げました。
○岸分科会長 そうですね。分科会でこういう意見がございましたので、これは報告事項ですから部会の方で御審議されるときに今の委員の意見を踏まえて、食品安全委員会のデータもそれぞれ2つ、安全をクリアするところがある方がいいと思いますので、そちらの方でよくよく見てほしいという希望かなというように、大前委員のおっしゃったことを私は代わりの言葉で申し上げておりますけれども、よろしいでしょうか。
 やはり表でまとまって私どもは見るものですから、生のペーパーそのものをこの場で見ているわけではないので、その辺は分科会でこういう意見があったということで、次の審議に反映させていただければありがたいかと思うんですけれども、よろしゅうございますか。
○事務局(茂野補佐) では、次の審議のときに反映させたいと思います。
○岸分科会長 よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、どうぞ。
○渡邉委員 ちょっと素人的な質問で申し訳ないんですけれども、今、出てきたもので安全係数に非常に幅がある。片や1万倍というものもあるし、片や一番低いのは先ほどのカラゾロールですか。これは安全係数5と書いてあるんですけれども、概念的に安全係数というのはどのくらいあれば許容範囲ということなのか。
 つまり、この5から1万倍まで非常にばらつきというか、これだけ大きいものはコミッタブルなのか。その辺の解釈はどうなのかをちょっと教えていただければと思います。
○岸分科会長 ただいまの御質問に対して、いかがですか。
○事務局(茂野補佐) 安全係数につきましては、通常個体差は10、種差が10ということで、100ということが基本で、最大無毒性量の100分の1ということでADIを設定してございますが、試験で最大無毒性量が得られなかった場合とか、試験で何かしら問題があった場合にはそれを何倍か掛けて安全係数を増やしてございます。
 また、少ないものにつきましてはヒトでの試験が実施されていて種差を考えなくていいとか、そういう理由に基づいて設定されているものでございます。
○渡邉委員 そうすると、カラゾロールの場合は安全係数が5というのは許容範囲というふうに考えてよろしいのでしょうか。この辺、プラスマイナス云々といった場合には非常に幅が狭いのではないかという気がしたのですが、いかがなのでしょうか。
○佐久間補佐 今の渡邉委員の御質問は、次の報告事項の動物用医薬品のことに関しますので、そちらの御説明と合わせて回答させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○岸分科会長 よろしゅうございますか。カラゾロールに関しまして、次のところでもう一度説明をさせていただきたいということで、委員がおっしゃったのはカラゾロールとその前の方とのかなりの違いをおっしゃっていますので。
 では、ほかにはいかがでしょうか。もしございませんようでしたら、次の動物用医薬品の3品目の中に入っていますのでお願いいたします。
○事務局(浦上専門官) それでは、動物用医薬品3品目の残留基準設定につきまして御報告をさせていただきます。
 資料につきましては、先ほどの農薬の説明に使わせていただいておりました横長の机上配布資料を裏返していただきますと、動物用医薬品の報告品目一覧がございます。それから、分科会資料の方は43ページからになりますので、合わせて御覧いただければと思います。これらの品目につきましては、本年2月10日と4月19日の農薬・動物用医薬品部会で審議をいただいたものでございまして、いずれにつきましてもポジティブリスト制度導入時に設定された暫定基準の見直しでございます。
 それでは、カラゾロールから御説明をさせていただきます。
 用途でございますが、ストレス抑制、分娩促進等ということで、牛や豚に使われるということでございます。
 国内の承認はございませんが、EUでの使用が認められておりまして、国際基準、それからEUにおきまして残留基準が設定されているという状況でございます。
 ADIでございますが、食品安全委員会の評価といたしまして0.0001mg/?体重/日というのが設定されてございます。
 そこで、先ほどの御質問の設定方法でございますが、こちらにつきましては参考資料4の16ページを御覧いただければと思います。こちらは食品安全委員会の評価結果でございますので、食品安全委員会で評価をされたものでございますが、こちらの要約の下から2つ目のパラグラフでございます。今回、安全係数が5と、先ほど渡邉委員から御指摘がございましたが、こちらに使われた試験がヒトのデータのNOAELを使ったということで、通常、個体差を考慮するということになるわけでございますけれども、この被験者が健常者ではなくてカラゾロールに対して感受性の高い慢性気管支炎、または喘息の患者であるということで、5でいいのではないかということで、この剤につきましては食品安全委員会で安全係数5が採用されているということでございます。
 また、資料の方に戻らせていただきますと、横長の方の資料でございますが、カラゾロールの幼小児におけるADI比、今回設定する基準値の場合の推定摂取量といたしまして最大、一番高い幼小児におきましてADI比23.2%ということでございます。
 それで、「基準値案」の詳細でございますが、分科会資料の44ページを御覧下さい。本剤につきましては、ポジティブリスト制度導入時に国際基準とEUの残留基準を参考に暫定基準を設定してございます。
 それが基準値の現行の網掛けの部分でございますが、今回の見直しに当たりましてEUの基準設定の根拠となる残留データが確認できなかったということでございますので、この部分につきましては基準値を削除する。すなわち、一律基準を適用するということで、部会の了承をいただいております。
 一方で、この場合でございますが、例えば牛の筋肉のところを御覧いただきますと、一律基準より低い0.005ppmという値が現行適用設定されてございます。今回、データがないことによって削除すると一律基準が適用されるということになるわけですけれども、あえて緩和をする理由はないのではないかということで、部会で御審議をいただいた結果、こういった緩和になるところについては基準値を変更しないことが適切であろうということで、この案で御了承いただいたというものでございます。
 残りの基準値現行のところで0.001というのが多数入ってございますが、この部分につきましてはポジティブリスト制度導入時に暫定基準を設定する際に、このときのルールとしまして設定する基準値が0.01未満の場合に、そのときの設定される基準値の一番低い値を設定するということで、0.001が一番低かったということで、すべての畜産食品に設定をしておりますけれども、今回の見直しにおきましてこのようなデータのない、根拠のない部分については削除をするということとさせていただいているものでございます。
 それでは、2つ目のレバミゾールについて御説明させていただきます。また横長の表につきましてまずは御説明をさせていただきます。
 用途でございますが、寄生虫の駆除剤でございまして、牛、豚、鶏等に使われてございます。
 こちらにつきましては国内でも承認されておりまして、また海外でも広く使用が認められているということで、国際基準も設定されてございますし、諸外国においても基準値が設定されてございます。
 ADIにつきましては、0.006mg/? 体重/日ということでございます。こちらの根拠としましては、イヌの経口の1年間慢性毒性試験の無毒性量、こちらに安全係数、200を適用しているということでございます。
 今回の基準値案に基づいて「暴露評価」をした場合、幼小児における対ADI比は26.1%ということでございます。
 基準値の詳細につきましては、分科会資料の48ページ、49ページを御覧いただければと思います。本剤は広く使用されておりますことから、御覧のようにいろいろな畜種に残留基準が設定されているという状況でございます。
 それで、基準値の現行のところの白い部分は既に本基準として設定されている部分でございまして、今回の暫定基準の見直し、灰色の部分の見直しに当たりましては、諸外国からの残留データの提出がなかったということでございますので、国際基準が設定されていない。例えば48ページの一番下の乳とか、次のページの鶏の卵の基準値は削除するということとさせていただいております。
 そのほか、食品分類の整理をさせていただいてございまして、先ほどのモネパンテルのときと同様に、羊の筋肉というものが設定されてございますが、こういったものについてはその他の陸棲哺乳類として整理をするということ、それからあひる、七面鳥の基準値につきましてはその他の家禽として整理をさせていただく。また、牛の肝臓等、48ページの真ん中辺りですけれども、現行の基準値が0.10と設定しているところにつきましては、海外の基準値を参照する場合に10ppm未満の基準値を参照して残留基準を設定する場合には1けたで表記するということで、最近の農薬・動物用医薬品部会の方で御審議いただく際にそういったルールを設けてございますので、今回の見直しに当たりましても整理をすることで御了承いただいたというものでございます。
 では、3剤目のメベンダゾールについて御説明をいたします。また横長の表についてまずは御説明させていただきます。
 こちらも寄生虫の駆除剤でございます。
 こちらにつきましては、国内での使用は認められておりません。
 オーストラリアとEUで使用が認められてございまして、残留基準が設定されている。
 ADIにつきましては分科会資料の51ページにございますけれども、ラットの経口の催奇形性試験で、こちらはLOAELということで安全係数が1,000とされているところでございます。
 「基準値案」の詳細でございますが、52ページを御覧いただければと思います。本剤につきましては、制度導入時に基準の参考としてはEUとオーストラリアの基準値を参考にして設定してましたが、今回の基準の見直しに当たって残留データを提出いただけませんでしたことから削除をするということで、すべての食品につきまして一律基準を適用するということで部会の御了承をいただいております。
 なお、本剤につきましては組織中の主要成分が代謝物であったということが確認されてございます。一方で、動物によってその割合が異なるというデータもございましたので、51ページにお戻りいただければと思うのですけれども、答申案のところにメベンダゾール、親化合物と、それから2つの代謝物の和を規制対象とすることで御了承いただいてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○岸分科会長 ただいま3剤について御説明がありましたけれども、先ほど渡邉委員が質問された安全係数の5から1,000、確かにそれぞれの剤によって違うんですが、その理由が根拠になっている試験のスピーシーズ(species)といいますか、対象の種と毒性と勘案して、あとはLOAELか、NOAELかどうかということでこの値ということかと思いますが、よろしゅうございますか。
 では、どうぞ。
○栗山委員 安全係数が5になっている根拠の、先ほどの16ページの気管支炎または喘息患者へのということで、普通だったら10なのにこの値になっているということでちょっと教えていただきたいのですが、慢性気管支炎または喘息患者一般がこういうものに対して特に感受性が強いということなのか。それとも、個体というか、この方、あるいは何人を対象になさったのかわからないのですが、特にこういうものに対して感受性の強い患者さんに行ったのかによって全然違うと思うのですが、そこら辺はいかがでしょうか。
 私的な認識としては、これが気管支炎または喘息の患者に特に影響、感受性が強いというふうに理解していなかったものですから、確認をさせていただきたいと思います。
○事務局(浦上専門官) 食品安全委員会の評価書の31ページで、食品健康影響評価のEUの評価が出ているところが?の1の(1)というところにあるのですが、こちらの3パラグラフ目に「慢性気管支炎又は喘息の患者は、カラゾロールに対して高い感受性を持ち」という記載がございますので、この剤が特に喘息の患者さんとかに感受性が高い物質なのであろうというふうには思います。
○栗山委員 ありがとうございました。
○若林委員  多分これは薬効か何かの目的でやって、ヒトのデータが出ているので、そのデータを基にヒトへの安全係数を求めているように私は考えたんですけれども。実際に薬効試験として、どのくらいのドーズを与えたならば実際に副作用が出たり、または薬の効果が出たのかというデータはないんでしょうか。
○岸分科会長 ただいまの若林委員の御質問ですが、いかがですか。31ページのところを見ると、私もこのカラゾロールの専門などというわけでは全然ないんですけれども、「慢性気管支炎又は喘息の患者への0.1又は0.7mg/ヒトの投与により、肺活量と努力呼気肺活量の低下が認められた」ということで、若林先生、これは薬効というよりも、これですと何かアドバース・エフェクト(adverse effects)という感じですね。違いますか。
○若林委員 そうですね。
○岸分科会長 事務局の方がわかっているかもしれませんが。
○事務局(浦上専門官) この剤自体がヒトの承認があるかどうかという情報を今、持ち合わせておりませんけれども、試験結果を見るに、健常人を使った試験等もしておりますし、恐らくヒトの薬として開発はされたのではないかと思います。
 また、動物用医薬品の場合、一般的な話でございますけれども、ヒト用の医薬品として開発された後、動物用として使われるということもあると聞いてございますので、開発としてはヒト用として開発をしているときに別の効果が見つかって動物用医薬品として使われるといったこととか、ヒト用として使われていて動物用医薬品としても使うということはあろうかと思います。
 一般的に動物用医薬品の承認とか基準値設定だけを目的とするのであればヒトのデータまでは要求はされていないということになりますので、ヒト用としても何らかのトライはしていたのではないかと思います。
○岸分科会長 では、どうぞお願いします。
○毛利委員 個体差で10倍とおっしゃって、それから種差で10倍という原則を、この場合に守っていない理由というのは何かあるのでしょうか。
○事務局(浦上専門官) 食品安全委員会の方で設定されているときのお話ですので詳細までは承知しておりませんけれども、基本的に動物を使った場合に種差、個体差を10とすると思うのですが、今回ヒトということですのでそこは少し違うのかなと思いますのと、あとは動物試験も当然やられていると思いますが、ヒトの計算をした方がADIが低かったということもあるのではないかと思います。
 詳細は、お時間をいただければ確認して御報告させていただきたいと思います。
○毛利委員 この場合だけ特に感受性の高いヒトの試験成績を出してきて、個体差をもっと縮めている理由がやはりちょっとわかりにくいのですが。
○岸分科会長 何人かの先生が同じことを指摘されているので、ちょっと調べていただけますか。これはヒトを使っているからどうなんでしょうか。10は掛けなくてもいいんだけれども、10を5にしてしまっていることに関しての妥当性に皆が余りさっと頭に入るような形ではないのですが、こういう形で食品安全委員会はしばしば半分にするのでしょうか。
○大前委員 一般論として、個体差、個人差を考える場合に、通常の感受性が高い人から比較的感受性が強い人まで全部合わせて10というのが今の10という数字なんですね。今回の場合は、そのうち感受性の高い方だけの試験で数字を持ってきているので10より小さくていいということですので、私はここで5という数字は妥当だと思います。
○毛利委員 先生のおっしゃることは理解できるのですが、そうするとほかの薬品についても感受性の高い人のグループを持ってくれば常に個体差というのは縮小できると考えてよろしいのでしょうか。
○大前委員 そうですね。感受性が高い人は当然、数字として低い数字が出てきますよね。実験の結果として、普通の方々の数字よりも低い数字が出てきますね。感受性が高いということは、少ない量で反応するということですから。
 これは考え方ですけれども、感受性の高い方をターゲットにして数字を決めようというような考え方であれば、それは10でも20でもそのときの数字でいいと思うんですが、今ずっとやられているリスク評価というのは、感受性の高い人も低い人も全部含めて個体差として10を見るんだという考え方でずっとやってきていますので、それに今までのやり方でやるんだったら5で全然構わない。
 だから、おっしゃったように感受性が高いヒトをターゲットにしなくちゃいけないというふうに考えれば、感受性の高い人から出てきた数字を使って10でも20でも、それはその考え方ですので、今までやっているルールとはちょっと違ったルールにはなると思いますけれども、そういう考え方も当然あると思います。
 そのどちらを取るかというのはこの委員会か、あるいは厚生労働省かの方針ですね。
○毛利委員 その感受性の中に、もっと感受性の高いグループというものが存在するというようなことはあり得ないですか。
○大前委員 それはあり得ます。10というのはあくまでもデフォルトでありまして、もしそういう証拠があれば個体差を10ではなくて100とか、もっと大きな数字を取ればいいわけです。今まではデフォルトでやっているので10ということで、10掛ける10という数字になっていますけれども、これはあくまでもデフォルトなので、もし先生がおっしゃったように感受性が高い方と普通の方との間に100倍の差があるということがわかっていれば100にすればいいんです。
○毛利委員 わかりました。
○岸分科会長 もしも100倍の感受性の個体差があったときには、あるいは2倍しか個体差がないときには、必ずしもこの考え方でいいかどうかについては根本的に議論をする必要がありますね。
○大前委員 ただ、それは個別の問題だと思うんです。一般論としては今10で皆さんやっていますけれども、個別の問題で100倍差があれば100ということでも構わないし、物によっては2倍しかなかったら10取る必要はないわけで2でも構わない。それは個別の物質の問題だと思いますが、一般論としては10だけれども、物によっては100かもしれないし、物によっては2かもしれないということだと思います。
○岸分科会長 ヒトでやってしまっていますので、ほかに掛ける数字がないので5と出てしまうので、ちょっと皆さんが心配されるんだろうと思うのですけれども。
 栗山委員から手が挙がっていましたが、御意見はありますか。
○栗山委員 大丈夫です。
○岸分科会長 さて、これはどうまとめましょうか。
○毛利委員 もし食品安全委員会でそういう議論がされた形跡があるのでしたら、是非調べて御報告いただければと思います。
○岸分科会長 私も是非それを多くの委員がいろいろなというか、私はどの先生の御意見も妥当だと思いますが、それぞれの識見に基づいて御心配されていますので、食品安全委員会がどのようにされてきたか。この剤に限ってかもしれませんけれども、それで御質問された先生方はよろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○岸分科会長 では、よろしくお願いいたします。
 そのほか、ございますか。
○栗山委員 こういう聞き方をしていいのかどうかわからないのですが、その下にも高血圧とか狭心症とか、同じ31ページの下のパラグラフの一番上のところに書いてあるのですが、こういう感受性のある人がこれだけの疾患、喘息とかあれ以外にもあるのにこういうものが認可されることというのは妥当なのでしょうか。ここで聞くことかどうかわからないのですが、ちょっと教えてください。
 それで問題ない。だから5でそういう方々にも問題ないということでしょうか。
○岸分科会長 一応、事務局の方から厚生労働省としてのお考えがあればお願いします。
○事務局(浦上専門官) まずは、この剤につきましては使用を認める、認めないという議論ではございませんので、これは国内でも使われておりませんし、海外で使用されている食品が輸入される場合にどこまでのレベルを認めるかという議論になりますので、この食品安全委員会で設定されたADIが妥当で、そのADIの範囲に収まってこの部会でこの基準値が御了承いただけるのであれば、この基準値を設定しようという議論をいただいているところでございます。
○栗山委員 認可するか、しないかではないのはわかるんですが、これだけの疾患の人にそれなりのリスクがあるとわかっているものをそのまま入れるということにちょっと違和感があるのですが、大丈夫でしょうか。
○事務局(浦上専門官) 現状、得られているデータから設定されるADIが妥当であって、80%の範囲に収まっていれば、得られている知見からは問題ないということになろうかと思います。
○岸分科会長 栗山委員、よろしいですか。
○栗山委員 よろしいと私が言えないような感じがするのですが、私は母体というか、アレルギーなので、そうじゃなくてもたくさんのアレルギーにマイナスな物質というものが周りに散らばっているので、そうであることがわかっていながらここで納得というのは、私個人としてはしにくいです。
○岸分科会長 ここは今いろいろな専門家がいますので、専門家のお考えをお聞かせいただけるといいかもしれませんが、いかがでしょうか。アレルギーばかりではなくて、おそらくいろいろな感受性の個体差はジェネティック(genetic)にも、それからジェネティックに限らずありますが、たまたまこれは評価書にこのように書かれているので栗山委員が非常に心配されるんだとは思いますけれども、そのために幅、安全域を取っているんだと思うんです。ですから、調べればもっとほかの薬剤もいろいろなことがわかるはずなので、その結果が出るまで認められないということにもならないのではないかと思います。
 ただ、妥当な範囲にないと、これはやはり多くの人が影響を受けますので。
 あとは、喘息の患者さんたちもこの範囲であれば一応この方たちが非常に影響を受ける。それが先ほど若林先生が質問されたことだと思うんですけれども、一応かなり一般的な…。
 では、どうぞ。
○山内委員 この厚い資料の31ページから32ページ、特に32ページの3行目以降を読みますと、健常被験者の場合は100の安全域があり、またJECFAのところでは喘息の患者さんの感受性が非常に高いので、特に気をつけなければならないという観点からいろいろ調べられた。さらに、2段落目に、5の安全域が設定されていることから、ここでは食品安全委員会としては個体差について十分考慮されていると考え結論づけたと書いてあるので、感受性の高い方には厳しく考えなければならないという観点から試験をしたり、その結果からこれを導いたと私には読めます。そんな理解でどうかと思います。
○岸分科会長 そのように読めます。私もそのように読めます。
○栗山委員 ということで、特に反対はしません。私の知識の中では、単純に賛成していいものかどうかというのは判断しかねるというだけのことです。
○岸分科会長 ありがとうございました。私自身も含めていろいろなアレルギーがありますので、栗山委員の気持ちはわかりますけれども、一応この評価の上でそれを考慮した上で問題ないということであろうということなのですが、ただし、10倍を5倍にするとか、そういうことに関しては一度整理してこの分科会で資料をお出しいただけますようによろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 では、どうぞ。
○大前委員 ほかの物質ですけれども、レバミゾールですが、大きな方の資料の62ページには急性毒性試験の結果が載っておりまして、LD50がマウスで200とか、ラットで500を超えるような数字になっています。?/?でですね。
 66ページ、67ページのところに遺伝毒性の試験の結果が載っているのですが、66ページの表5のin vivoの試験のヒトリンパ球の染色体異常試験というものは用量が150mgで陽性になっています。これはin vivoの試験なので、多分ヒトに投与しているんだと思いますけれども、この150mgというものが全量なのか、150mgを1回投与したのか、あるいは150mg/?なのか、どちらなのかということですが、さっきの急性毒性のLD50を見ると、ヒトを使って150mg/?などという量を使うはずはないと思うんです。したがって、多分150mgを1回投与したんだろうと思います。
 そうしますと、表5の2段下に、「これらの結果からレバミゾールは、高用量域でヒトに対して染色体異常を誘発する可能性を否定できないが」とあるんですけれども、150mgというのは例えば体重50kgの人ですと3mg/?なんです。全然高用量ではない。
 したがって、この食品安全委員会が高用量だからヒト以外には起きなかったんだという結論はおかしいんじゃないかと思うんです。
 これで、ヒトリンパ球で陽性で、その前のページはin vitroですけれども、in vitroでもヒトリンパ球は陽性になっているんですね。250μg/mlで、この量も決して多い量ではない。そうしますと、ヒトに対する遺伝毒性はあるんじゃないかと思うんです。発がん性試験はマイナスだったということなので、安全係数を考える場合の2を掛けていますけれども、2では小さいんじゃないかという気がするのですが。
○岸分科会長 遺伝毒性ですので非常に重要な御指摘だと思いますけれども、この点について事務局の方で議論のトレース(跡)といいますか、それをお聞きすることができますか。
○事務局(浦上専門官) こちらの部会におきましては特にその点は御指摘ございませんでしたけれども、食品安全委員会の方に必要であれば確認をさせていただきたいと思います。
○岸分科会長 大前委員、よろしゅうございますか。
○大前委員 結構です。
○岸分科会長 それでは、確認をして御報告いただくようにお願いいたします。
 そのほか、いかがでしょうか。安全係数は非常に重要なことですので、それでは改めてお願いいたします。
 ちょうど1時間20分になりまして、後半は結構たくさんありますが、私も今どこで休憩を取るべきか考えているのですけれども、ここで10分くらい休憩を取って、その後、文書配布の報告と、今日はたくさん報告事項がありますので、そちらをさせていただくようにしてもよろしいですか。
 今から10分間、休憩いたします。結構蒸し暑くて皆さん一生懸命、風を送っていますし、ちょっとリフレッシュしてから10分後に再開いたします。

(午後3時20分休憩)
(午後3時30分再開)

○岸分科会長 それでは、そろそろ分科会を再開させていただきます。
 議題の「(3)文書配布による報告品目等」ということで、「ポジティブリスト制度関係」で農薬6剤と、そのほか、「常温保存可能品に係る乳等省令の改正について」、それから「平成23年度輸入食品監視指導計画について」ですが、まず農薬の方から御報告をお願いいたします。
○佐久間補佐 これは文書配布による報告ですので、委員の先生方に予めお配りしてございます。
○岸分科会長 失礼いたしました。事前に先生方のところに郵送で配布されていたはずです。この場で格別御意見がなければ了承と言いますか、承知したということで、この分科会の取決めでは議題が移ることになりますけれども、委員の皆様から意見や質問等ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがですか。
 では、どうぞ。
○栗山委員 前に戻ってしまうようで誠に申し訳ないのですが、1つお願いというか、可能であればというお願いです。
 先ほどの喘息とか、疾患名が付いたものについて、今までモルモットでのアレルギー試験で大丈夫でしたという御報告があったとき、ここの部会ではなかったと思うんですが、モルモットと言われても特にアレルギーに感受性の強いモルモットであればまた別ですが、そうでないときに単にモルモットは感受性が強いからというだけでは納得しかねますということを申し上げたことがあるんです。
 それで今度、疾患名が付いたのは私自身の受け持ったものでは2つ目なのでちょっとお願いなんですが、例えばメサコリン吸引という喘息が治ったかというか、一応、寛解したかどうかを調べるための吸入があるんですが、それなどは何十万倍とか、何十万分の1というので喘息の患者さんというのは反応するものなので、一般的なさっき山内委員のおっしゃってくださったような、そこまでこれの感受性を調べてのお話なのかどうかというのがちょっと私的には不安になるので、疾患名が付いた場合にはそちらの方の専門家の意見なり何なりを聞いてくださると大変にありがたいと思いました。
 お願いできるものかどうかわからないのですが、ここにいる私の立場というのはいわゆる一般の人なので、そういう特別に疾患が付いて感受性が云々といったときに判断するのに、気になりますという部分しか言えないので、疾患名が付いたときにはその疾患の専門家、基礎系の専門家の御意見を確認していただけたらありがたいと思いました。
○岸分科会長 ありがとうございます。事務局からもお考えをお聞きしたいと思うんですけれども、今回のようなすべてこの食品安全衛生に関するところは食品安全委員会の方で評価をしてきていますね。それからADIも決められる。
 ですから、栗山委員のまさに一般の方の立場というのは我々も含めて、最終的には一般人として食事をとりますので非常に重要な点だと思うんですが、恐らく食安委の中で今おっしゃられたようなある感受性の高い疾病群があるときには、そういう専門の方を委員に入れて審議はしていませんか。かなりそのような配慮はしているように思うんですけれども、どうなんでしょうか。
 そこで入っていないと、結局のところここの最後の段階で。
○栗山委員 この場で私がこういうことを言うのが適切かどうかというのもすごく迷うところでありますし、では疾患ごとでいろいろなものがあるとか、あるいは病名は付いていなくても特別な感受性のある方々のことを優先的に考えてばかりいたらこういうものは扱えなくなるかもしれない。今の制度が成り立たないのではないかという不安も感じつつ、ちょっと手を挙げさせていただきました。
○岸分科会長 大変重要な御指摘だと思うんですが、厚労省として今の栗山委員の御意見に対して、私は一委員として今、申し上げただけですので、まとめをする前に事務局、厚労省の方からの御説明と言いますか、御意見をちょうだいしてもよろしいですか。
○森口課長 今回のカラゾロールについて、食品安全委員会で親委員会の下の専門調査会でどういうメンバーでやったか、今ちょっと手元に情報がないので、それは確認させていただいて栗山先生の方にはお伝えさせていただきます。
 一般にその安全性をきちんとリスク評価を向こうではしておりますので、特に動物薬であれば人間に対しても同じように作用はあるんでしょうから、ターゲットの受容体に対してそれなりにそういう評価はされているんだろうと今は思っておりますけれども、確認していませんので、それは確認して御報告させていただきます。
○岸分科会長 是非よろしくお願いいたします。
○毛利委員 今の栗山委員のお話は大事なことで、食品安全委員会には確かに専門家が入ってきちんと審議、議論して結論を導いていると思いますが、ここの委員会は食品安全委員会とは独立した委員会ですので、ここの中での疑問というのは食品安全委員会が認めているからいいのではないかというようなことにはならない方がいいんだろうと思います。
○岸分科会長 私も、全くそのように思います。メンバーに入っていないと困るので、是非入れてほしいという栗山委員の意見も伝えていただきたいと思いますし、食品安全委員会は食品安全委員会の立場で、こちらの審議会は、より評価だけではなくてどうこういう食品安全に関わる薬剤、剤をどのように扱うかということですので、やはり最終的にはこちらはこちらでの考えをきちんと出していくべきだと思います。先生がおっしゃったとおりだと思います。
○森口課長 先生が今、言われたとおり、こちらでも毒性のデータを確認するのは重要なことですので、農薬・動物用医薬品部会の中に毒性担当の委員が1人おりまして、その先生に必ずこの剤についての毒性データは初回の評価と比べてどうですかというのは部会の中では確認しております。
 ただ、部会に臨床の用途の先生を呼んで聞いたということはまだないものですから、そこまでは今はしていないということです。
○岸分科会長 特に報告事項として出てくる場合に、この場所でまたいろいろな意見が出るものですから、かなり部会の審議が大事ですよね。食品安全委員会にも専門家が入っていると思いますけれども、この審議会の中の部会はここの分科会の人の意見がどうだったかということはそのまま入れて議論ができると思いますので、食品安全委員会の構成等を聞くとともに、部会の審議のときに今の栗山委員始め、諸先生方の御意見がより活きる形でお願いできますでしょうか。
 特に、分科会と部会の位置付けというのを少し整理した後、部会がほぼ最終になっていることも多く、私ども報告事項として聞くことも多いものですから、是非、分科会ではなくて部会の段階で必要に応じてということですけれども、少し補強していただいて出していただけると安心かなと思いますが、先生、よろしゅうございますか。
 では、課長の方からどうぞ。
○森口課長 農薬部会の部会長と今後の部会の進め方はまた御相談してやっていきたいというふうに思っております。
○岸分科会長 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、これで(3)の事前「文書配布による報告品目等」を終わりまして、大きな2番の報告事項、別冊の方に移らせていただきたいと思います。
 それでは、事務局の方から説明をお願いいたします。
○事務局(横田補佐) それでは、別冊の1ページ目の「魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて」の説明をさせていただきます。
 「魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて」という通知についてでございますけれども、食品衛生法の規定に基づく食品中の放射性物質に関する暫定規制値の取扱いにつきましては、平成23年3月17日に出されました食品安全部長通知、「放射能汚染された食品の取り扱いについて」をもって通知をさせていただいたところでございます。本件に関しましては4月4日に開催させていただきまして本分科会において出されました当面の所見といたしまして、魚介類を除いた暫定規制値ではございましたが、その暫定規制値につきましては緊急にやむを得ないものであり、当分の間、維持すべき旨の御意見をいただいているところでございます。
 その中で魚介類が除かれていたというのは、海水中に放出された放射性物質につきましては拡散し相当薄まること、放射性ヨウ素の半減期は8日と非常に短く、食品になるまでに相当低減しているものと考えられるということで、魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値は設定されていなかったところでございます。
 しかしながら、ちょうど前回の分科会で当面の所見をいただいた午後でございますけれども、魚介類中の放射性ヨウ素を相当程度検出した事例が報告されたことから、その翌日、4月5日でございますが、この通知をもって魚介類中の放射性ヨウ素については当分の間、飲料水及び牛乳、乳製品以外の食品として暫定規制値が設定されている野菜類中の放射性ヨウ素と同一の暫定規制値である2,000Bq/kgを準用し、これを超過する場合には食品衛生法第6条第2号に該当するものとして、食用に供しない取扱いとする旨の通知を発出させていただいたところでございます。
 その追加させていただいた部分は、2ページ目の表にあります放射性ヨウ素の一番下、「魚介類」という言葉を追加して、その暫定規制値を2,000にするというものでございますけれども、この取扱いにつきましては本分科会において設置を御了解いただきました放射性物質対策部会において、3ページ目に示しております所見をいただいたところでございます。
 3ページ目を御覧下さい。前半部分は先ほど御説明させていただきました経緯について書かれておりますけれども、下から1つ目のパラグラフ、ちょうど下から5行目でございますが、当部会、いわゆる放射性物質対策部会としましては厚生労働省が講じた4月5日の通知でございますが、魚介類中の放射性ヨウ素に対する食品衛生法上の暫定規制値の設定値については緊急的措置としてやむを得ないものである。また、現状においては当該暫定規制値を維持すべきものと考えるといった当面の所見をいただいております。
 また、今後の規制値の検討に向けまして、次のページにいきますけれども、国民の安全及び安心感を高めるために、検査・モニタリング体制の充実が必要と考える。また、国民とのリスクコミュニケーションの内容及び機会の充実等に努めることを求めるといった当面の所見をいただいたところでございます。
 5ページ目、6ページ目は、放射性物質対策部会の設置に関する設置要綱を参考までに付けさせていただいております。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして、委員の皆様の方から御意見、御質問ございますでしょうか。どうぞ。
○石川委員 この参考のところの表の質問をしたいんですけれども、放射性ヨウ素のところは一番下に魚介類というふうに書いてありまして、セシウムの場合には、肉・卵・魚というふうに書いて、その下も全部そうなんですが、この場合の表現なんですけれども、どういうふうに区別したらよろしいんでしょうか。
○事務局(横田補佐) 魚介類と魚は同じものと取り扱っております。肉・卵等につきましては、先ほど少し魚についても触れましたけれども、半減期が非常に短いということで、人の口、手元にくるまでに非常に時間がたっているということで設定がされていないというものでございます。
○石川委員 すみません。国語の問題になるのかもしれないんですけれども、後で出ますが、リスクコミュニケーションというのは国民にもきちんと明確に伝わらなければいけないので、魚介類というのがどこまでの範囲、例えばイカ、タコ、貝ですね、貝殻ですね。それを含むものなのか、あるいはエビだとかそういうものですね。それから、下の魚というのがどの辺までを含むのかということはきちんと明確にしなければいけないので、これがもし同じだというのであったら同じに書かないとだめだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○岸分科会長 いかがですか。
○事務局(横田補佐) 若干、私の誤解があったようで、魚は魚で、いわゆる魚以外の貝とかタコとかエビについてはその他に入るということでございます。すみません。先生のおっしゃるとおりもう少し詳しく書くべきなのかもしれませんけれども、あくまでも暫定ですので、今後ちゃんとした規制値を設定するに向けてきちんとした形に直していきたいと思います。
○石川委員 私が言いたいのは、要するに国民がきちんとわかるものが必要だということを言っているので、その他の中に含まれるというのはそういう解釈があるんだったらきちんとそれも説明しておかないとだめだと思うんです。
 だから、同じものであるということであれば、この魚介類というのはどういうもので、魚その他というのはどういうものでというふうなことをきちんと言わないと、ヨウ素のところだけ魚介類、あとは魚その他、これはどういうふうに違うんですかという疑問が必ず出てくると思うんです。そういう疑問はとにかく疑いになりますので、そこら辺をちゃんとした方がいいと思います。
○事務局(横田補佐) ありがとうございます。今後、気をつけたいと思います。
○岸分科会長 よろしくお願いいたします。ほかの委員の先生方から何かございますか。
 ありがとうございます。それでは、次に移らせていただきます。「食品中の放射性物質のこれまでの検査の状況及び対応について」の御報告をお願いいたします。
○事務局(大原専門官) それでは、「食品中の放射性物質のこれまでの検査の状況及び対応について」を説明させていただきます。
 資料といたしましては、別冊の7ページからになります。基本的には、前回の分科会以降の動きを中心に御説明申し上げたいと思います。
 4月4日に、原子力災害対策本部から検査計画、出荷制限等の品目、そしてその区域の設定解除の考え方というのが示されているところでございまして、それについて各自治体あてにお示ししたものがこちらの事務連絡でございます。
 また、このほかに検査体制といたしまして、厚生労働省の方から各自治体に対しまして、その検査機器を有しない都道府県等に対して、その近隣で検査機器を有する機関を紹介する仕組みを構築した旨も合わせて連絡をしているというものでございます。内容につきまして、簡単に説明申し上げたいと思います。
 内容は若干重複する部分がございますので、11ページの方にちょっと飛ばさせていただきまして、もともと原子力災害対策本部が出したペーパーに基づきまして説明させていただきます。
 食品中の放射性物質のモニタリングにつきましては、もともと「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」という平成14年3月に厚生労働省において示させていただいたもので、基本的な考え方を示していたところでございます。
 それで、4月4日にそれまでの2週間の検査結果を基にしまして、それの追加要件ということで示されているところでございます。
具体的には、「対象自治体」といたしまして、当時、出荷制限、摂取制限等、総理指示の対象であった福島県、茨城県、栃木県、群馬県とその隣接自治体並びに暫定規制値を超えた食品を生産している自治体でありました東京都の計11都県が対象となっております。
 中身でございますが、3月からの検査結果が整理された上で、具体的には12ページになりますが、路地物のホウレンソウですとか乳など、こうした重点的にチェックすべき品目、あるいは13ページになりますが、生産状況を勘案した主要農作物といった形で、対象とすべき品目などは記載されているものでございます。
 また、「検査の頻度」でございますが4番になりまして、週1回程度ということですが、暫定規制値を超える、または近い放射性物質が検出された場合には、頻度について国が指示することもあるとされております。
 また「検査の地域」でございますが、農業生産等の実態ですとか産地の表示の実態状況も踏まえまして、各自治体がその県域を適切な区域に分けまして、その区域内で複数市町村で採取して実施することとなっております。
 具体的に、これを基に各自治体におきまして作物の栽培状況も踏まえて検査計画の方が策定されまして今、各自治体において計画的に検査が実施されているというところでございます。そして、この検査計画につきましては各都県で策定したものを取りまとめまして公表させていただいていますとともに、検査の実施範囲を市町村単位でわかりやすくマップに示して公表をさせていただいているところでございます。
 また、4月4日の分科会においてきめ細やかな規制というところもございまして、国が行う出荷制限、摂取制限の品目ですとか区域の設定条件というものが原対本部より示されております。
 具体的には13ページのところでございますが、暫定規制値を超えた品目の生産地域の広がりを踏まえて制限が行われる。そして当時、県域単位での制限でございましたけれども、この4月4日の考え方をもちまして、市町村による管理が可能な場合、県内をブロックに分割することもできることとなっております。
 14ページに移りますが、また、ここでは出荷制限・摂取制限の解除要件も示されてございます。こちらも同様に県単位というところもそうなのですが、県内を複数の区域に分割して地域単位での解除というものも可能となっております。
 「解除の要件」でございますが、複数市町村で1週間ごとに検査して、3回連続暫定規制値以下とするというような解除要件が示されているところでございます。細かいところにつきましては、その後に野菜ですとか乳の解除の要件とかが示されております。
 18ページに移りまして、冒頭、申し上げました各自治体の検査体制というところに対しまして、国で一定の協力ができないかというところで各食品衛生検査施設ですとか、そういうところで機器、キャパシティがないような場合に対しまして、国の方の機関ですとか、大学ですとか、そういったところを紹介する仕組みを構築しております。
 具体的に、これは4月4日の時点のものなんですけれども、19ページが検査を実施することが可能である機関ということで、行政機関としまして4か所示しております。この後、行政機関としまして国立医薬品食品衛生研究所の方でも御努力いただきまして協力いただいているところでございます。
 「登録検査機関」につきましても徐々に増えてきておりまして、こちらについてはホームページ上でアップデートしているというところであります。
 次に20ページでございますが、こうした計画に基づきまして各県が検査を実施しておりまして、その結果につきましては毎日取りまとめの上、プレスで公表させていただいているところでございます。
具体的に、これが6月8日の夜の時点でございますが、各自治体で産地別に分けまして検査を行った結果とその暫定規制値、超過件数、超過品目をまとめたものでございます。総数としましては4,720件の検査が行われまして、そのうち337件の規制値の超過がございます。また、これは昨日の時点でございますが、最新のアップデートをした数字ですと件数が4,853件で、規制値超過件数は347件となっております。
 次に、21ページでございます。暫定規制値を超えたものにつきまして、地域的な広がりが認められる場合につきましては、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、原子力災害対策本部から出荷制限等がなされるというものでございます。
 こちらにつきましては、6月8日現在の出荷制限・摂取制限の状況をまとめたものでございます。ちょっと複雑になっておりますが、上段につきましては福島県に関する出荷制限・摂取制限をまとめたものでございます。4月4日の分科会以降に出荷制限がかかったような品目につきましては原木しいたけですとか、たけのこですとかくさそてつ、ウメ、イカナゴの稚魚、ヤマメ等がございまして、こうした福島県等、他県での検出状況を見まして、ほかの県に対しても検査の強化等は随時依頼をしているところでございます。
 また、下の方にございますが、そのほかの県ですと茨城県、栃木県、千葉県、神奈川県におきまして、お茶におきまして出荷制限がかけられているという状況でございます。
 細かい出荷制限・摂取制限等のかかった日と解除されたものというのが22ページ、23ページ、24ページという形になっております。こちらは細かくなっておりますが、基本的には先ほど申し上げた21ページの内容の細かいバージョンだとお考えいただければと思います。
 特筆すべきといいますか、コメントしておくべきところとしましては、23ページでございますが、4月4日当時、原乳と野菜、そういったものに対して茨城県、栃木県、群馬県、千葉県におきまして一定の制限がかかっておりましたが、そちらについては既に解除されているという状況でございます。
 説明については以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。ただいまの報告に関しまして、委員の皆様の意見、質問等をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山内委員 先ほどの暫定規制値のことと合わせて、意見を2点申し上げたいと思います。
 1点は、お茶に代表される乾燥させてつくる加工食品についての規制値の問題です。現在、多くの検査を積み重ねていることと、食品安全委員会のワーキング・グループで評価も進んでいると思いますので、その評価結果等も検討しながら、規制値を暫定ではなく正式に検討する必要があると思います。この再検討のスケジュールができるのでしたら、いつごろにできあがるかがわかるといいですし、再検討の際には、検査からわかった実態と合わせて、お茶なら、完成品と生茶の数値をどう考えるのかについて、是非、放射性物質対策部会で検討を早急にお願いしたいと思います。
 今後は、乾ししいたけや干した魚、切り干し大根等の商品も出てきます。生の原料段階ではクリアしていても乾燥した段階で規制値超えになってしまい、お店に並べることができないというようなものも出てくると思います。ですから、こういった食品の場合はどこの段階で規制値を設定するのが適切かを整理する必要があると思います。 この問題は、原子力対策本部の中で検討を進めているとのことは理解しますが、食品については、厚生労働省が、そして農産物生産については農林水産省が、長年積み重ねてこられた経験とデータ、知見を生かし、専門的に積極的に、原子力対策の中で発言し、国民の健康を守る、食品の安全を守る立場から、規制値をつくることに貢献していただきたいと思います。基準の設定の考え方や、消費者の不安にこたえる説明のあり方などで、お願いしたいと考えます。
 私は生協に勤めておりますが、実際に生協の配達をしている職員に対して、、「現在の規制値はなぜ暫定なのか」「暫定なら厳しい規制ではないのではないか」という質問が寄せられています。そう言った問いに答えられるよう、私どもとして、「なぜ暫定規制値なのか」「どういう考え方で設定されているのか」をわかりやすく説明する資料をつくって職員に配ったりしております。
 私ども自身でもこういった努力をいたしますが、放射線汚染については、先ほどの魚介類の表現1つ取っても専門的なことが多くて、消費者にはわからないことだらけです。したがって、よりわかりやすい方法で説明に努力いただきたいと思います。BSE発生時等、食品の安全に関して今まで、リスクコミュニケーションということでさまざまな規模や形で学習会・意見交換会を実施してこられましたので、是非、工夫を凝らした説明会の実施等につきましても、農水省や食品安全委員会、原子力安全委員会と協力していただき、消費者が素直に不安が語れるような、そういうリスクコミュニケーションの場を是非設定していただきたいと思います。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。大変重要な御指摘を2点されましたけれども、厚生労働省、事務局の方からお答えをお願いいたします。
○森口課長 それでは、私の方から基準のことについて申し上げます。
 今回の暫定規制値ですけれども、食品衛生法の規制をする場合には、施策ごとに法律で食品安全委員会の評価を受けなければならない。ただ、今回、原子力発電所から放射能漏れが起こって、それを受けているいとまがない。そういう場合には、管理機関である厚生労働省の方でつくった後、事後評価をお願いするということでも差し支えないというふうに食品安全基本法でなっていることから、一応通知した上で、3月17日に暫定規制値を決めた後、3月20日に評価依頼をお願いしています。その評価結果を受けて、正式な規制値にしていくということになろうかと思います。
 スケジュール感ですが、今、山内先生が言われましたけれども、食品安全委員会の方では当面7月中には何らかの健康影響評価を出したいということで作業をしていただいているようでございますが、確約されたものではない状況で、7月中には何か出てくるのではないかなと私どもは期待して待っています。
 しかし、ただ待つだけではなくて、今回原子力安全委員会の飲食物摂取に関する指標値、これは原子力防災の計画の中にも入っていますので、これを参考に準用させていただいておりますけれども、どういう規制の在り方がいいのか、食品区分、それから先生が今おっしゃいましたような乾燥食品、加工食品ですね。どういう段階でどういうふうに規制したらいいのか。そういったことについて、まず基本的に、これは評価結果を得る前からそういう考え方の議論はできるということで、放射性物質対策部会の下にその規制の在り方を検討するワーキングをつくることを、この前の5月13日の部会で決定していただきまして、その検討を今月もう始める予定にしているところでございます。
 規制の見直しについてはそんなスケジュール感で、なるべく早く本規制にしていきたい。ただ、原発がまだいまだに収束していない中で、どういうタイミングでやるかというところも1つはあるかと思っております。以上です。
○岸分科会長 どうぞ。
○石川委員 今の暫定という文言についてなんですけれども、私は状況としましては、日本がこういう状況になって、いろいろなデータを先進国のところにきちんと出しているという立場にあると思います。 私は、そういう点ではこれから更に厳しくなる、厳しい数値を出すとかということも含めて、ある面では調査段階研究段階というふうなことでは暫定という文言はむしろいいんじゃないかと思っております。
 この間、4月4日の会議のときにもかなり指摘されたことだと思うんですけれども、十分なモニタリングだとか、検査だとか、そういうものを十分するということが国民の安心にとって一番大事なことだと思うんです。それをもって、そこから導き出される暫定基準値、これは刻々と変わっていく可能性もありますので……。
 刻々ではないですね。そんなリアルタイムではないとは思うんですけれども、ある程度変わる可能性があるという点では、こういう名前の付け方でやむを得ないんじゃないかと思います。
 それから、お茶の話がありましたけれども、この調査の検査計画の原子力災害対策本部の発出されている文章を見ますと、やはり対象自治体がこういうふうに設定されている。総理の指示対象自治体及び隣接自治体というふうな感じでありますけれども、放射線の空気中の汚染というのはもっと広範囲であることが今の茶葉のお話でわかるわけですから、国民が家庭によっては毎日飲んでいるお茶が、静岡のお茶はどうなのかということはかなり心配をされているということもありますから、私は対象自治体をきちんと変えるということは必要だと思います。
 それから、原子力災害対策本部のこの検査計画の中では、今後汚染水で流入している海水の問題について、13ページのたった「一定の海域の水産物」ということの文言しかなく、やはり4月5日の午後に海産物からも出てきたような後追いの報告になるのではなく、ここも積極的にこの標準に入れて、海産物関係も検査計画を提出するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○鈴木委員 私も今の御意見に大変賛同しているわけですけれども、特に今、目立ったところでは茶葉ですが、基準値は超えているんだけれども、マスコミ等では、しかし飲んでも安全だというように報道され、結局どのような対応をすればいいのかよくわからないというのが一般消費者の受け止め方です。基準値は超えているんだけれども、報道では安全ですという言い方というのは、何をもって安全としているのかという基準値そのものに対する信頼感がなくなるというふうに思っていますので、そういった意味では茶葉を含めて乾燥物は乾燥物で暫定でもいいからはっきりとした、それに合った形での安全レベルの基準値というのはやはり定めておくべきではないかと思います。
○岸分科会長 3人の委員の先生方がそれぞれ大事な点を言われまして、部会の下にワーキングをつくって、かなり乾燥葉と生の葉とか、相当なところまで議論を厚生労働省としてされて何かを出されるという方向性なんでしょうか。
○森口課長 お茶のことを議論するために始めているわけではなくて、正式な基準にするときに、例えば今は5つの食品カテゴリーになっていますけれども、それでいいのかから含めて検討していく必要があろうかと思います。そういった、本当に全体の規制の在り方の検討を開始しているということでございます。
 ただ、その中にこの前の部会の中でも、その時点ではお茶の問題はまだ出ていませんでしたからあれでしたけれども、例えばワカメとか海苔とかといったものという発言もございましたので、そういったことも含めて考えていく必要があるかと思っております。
○事務局(大原専門官) 石川委員から幾つか御指摘いただいたことにつきまして、回答させていただきます。
 まず、対象自治体の見直しにつきましてですけれども、我々も4月4日のペーパーにこだわらず、実際に暫定規制値を超えるものが出るようなことがあれば、当然そこは範囲を広げておりまして、神奈川県ですとか静岡県のお茶からの検出事例を踏まえまして、今そこの11自治体に加えまして、神奈川、山梨、静岡、昨日は愛知まで広げさせていただいているというところでございます。
 また、環境中のモニタリングのデータというのも非常に重要だと思っておりまして、魚の話になってしまうのですが、実は3月22日の時点で東電の検査で、海水中の放射性物質濃度が上がっているという情報がございましたので、その時点で周辺の自治体に対しましては魚の検査の方の実施を求めていたということで、こういったものが見つかってきたというところでございます。
○岸分科会長 御質問された石川先生、御追加がありますか。よろしいでしょうか。
○石川委員 そうしたら、どこを見たら今後の検査、方向性ということについて確認できるのかよくわからないんですけれども、間違いなく水産物に関してはこれからかなり強化されるという御発言でよろしいですか。
○事務局(大原専門官) これに限らず、水産庁と文部科学省が海域モニタリングにつきましては強化する方針を5月の頭に示しておりまして、かなり広めな調査を今、行っておりまして、そこで出た結果も厚生労働省の方でいただきまして公表させていただいているところでございますので、今、充実が図られていると御理解いただければと思います。
○岸分科会長 ほかの視点からの御発言はございますか。
 では、どうぞ。
○若林委員 いろいろな試料の放射能活性の検査件数が非常に増えていると思いますけれども、サンプルの実際の活性を測定する方法の精度ですとか再現性というようなものに関しては問題ないですか。
 例えば、規制値を少し超えているようなものもありますし、大幅に超えているようなものもあります。再現性ですとか、または検査結果を評価する体制については、どのようになっていますでしょうか。
○事務局(大原専門官) 検査方法でございますが、私どもの方で平成14年3月に作成させていただいております放射能測定マニュアルというものに従って実施していただいているところでございますが、そのマニュアルの中身につきましては厚生労働科学研究の中で実際に検討を行ったというところもございますし、実際にそのマニュアルをつくるに当たっては科学技術庁のマニュアルが基となっておりまして、かなり昔からしっかり検討されてつくられているものだと承知しております。
○岸分科会長 若林委員、よろしゅうございますか。
○若林委員 そのデータの解釈の評価する体制というのもしておりますでしょうか。
○事務局(大原専門官) データの取扱いということだと理解しましたが、実際に旧科学技術庁マニュアルにおきましては、例えば今回ゲルマニウム半導体の測定もそうなんですけれども、ヨウ化ナトリウム検出器でやった場合の数値と実際のベクレル数との関係ですとか、そういったところにつきましてもデータの処理をしっかり検討された上で作成されているというところであります。
○若林委員 わかりました。どうもありがとうございました。
○岸分科会長 ありがとうございました。本当に国民、皆の関心が高いところですので、特に厚生労働省のこの食品安全部におかれまして種々、安全、安心のデータを是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、放射性物質の話はここまでにいたしまして、3番目が「飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌食中毒の発生状況及び対応について」の御報告をお願いいたします。
○事務局(松岡補佐) 引き続きまして、監視安全課から報告させていただきます。
 別冊の方の25ページでございます。「飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌食中毒の発生について」でございます。
 これはテレビでも報道がありますように、「焼肉酒家えびす」チェーン店で、金沢市に本社のあるお店でございまして、北陸地方の3県と神奈川県にお店を有しているところで起きた食中毒ということでございます。
 資料にございますように、4月27日以降に食中毒がまず富山県で発生した後に、引き続き福井県等3県2市、これは食品衛生上の分類でございますので、富山県と富山市は別に書いておりますけれども、3県2市から発生報告があった食中毒の事件ということでございまして、今の最新のデータでは累計で有症者数は169名でございます。
 重症者につきましては現状の数を載せておりますが、一番多いときは5月の2日から3日にかけてでございますけれども、入院者が40名近く、数えたところ、正確さはちょっとあれでございますけれども、38名、重症者は28名まで至ったということでございます。この表の下にございますように、5月6日以降、新たな発症者はいないということでございます。
 表の中では富山県でございますけれども、20のうちの2店舗が食中毒を起こしているということで139名ということでございます。以下、富山市、石川県、福井県、横浜市、それぞれ1店舗が該当しているということでございます。
 まずは4月26日に発端でございますけれども、富山の高岡市にある保健所の方に医療機関から通報があったのが最初でございまして、翌日富山県は食中毒として認定をしております。同じ日に福井県からも、まず患者があったという探知がありましたので、それを受けて厚生労働省の方は福井県、富山県を除くチェーン店を有している自治体に対して患者はいないかということで呼び掛けをして、今回のように広がりを探知することができたということでございます。
 次に、26ページでございます。ここは、主な対応とか今の調査状況について記しておりますけれども、報道では先行していろいろなことが書かれておりますが、今のところ各自治体と感染研の方の疫学チームにも入っていただきまして原因究明をやっていただいている途中でございます。
 そういうことで、まだまとまった報告はないということでございますけれども、5月24日に富山県が中間取りまとめを出しておりまして、それはプレスに発表しております。各自治体の発表を基に、ここに書いてある内容を中心に現状について報告させていただきます。
 栃波店での食中毒でございますけれども、当初ここには書いていませんが、腸管出血性のO157が検出されて、それを原因物質として疑い、焼肉のカルビ、ロース、ユッケが共通食であるということで発表しております。その後、原因究明の調査なりを進めていたということでございます。富山県の中間報告によりますと、それ以外にも残品でO8、患者等からはO157も検出されているという状況でございます。
 関係自治体等については、そのほか福井の渕店、富山市、横浜の上白根店、最後は石川県の小松店についても食中毒の発生ということで、それぞれ細かい字になりますが、各自治体で営業停止処分から、場合によっては営業禁止までの処分をかけているという現状でございます。
 お店の方では、4月27日よりユッケについては販売の自粛をしているということでございまして、29日からは全店舗の営業を止めたということでございます。
 厚生労働省の取組みでございますけれども、情報の集約と感染研の疫学専門家を現地に派遣する等の原因究明の支援を行っているということでございます。
 次のページからでございますけれども、再発防止の観点から各自治体に、生食用を取り扱う営業施設に対する緊急監視を行うよう、5月5日に通知を発出しておりまして、5月中に取りまとめて報告するようにということでございますけれども、今その結果については取りまとめている最中でございます。
 引き続いて、5月10日についてはお店において適正な生食用の肉が加工されているかどうかを提示する。あとは、今回も一部、ユッケ用の肉で東京のお店とこの飲食店の間で若干うやむやになったということもあるということで、営業者間での取引の際に加工を行っているかどうかということを文書で確認するようにということを自治体に通知しているということでございます。
 今のところ、調査は進んでいるということでございますけれども、ユッケ用の肉以外にも店の衛生状態とか、それ以外にほかの食材についても疫学的な調査を実施しているところでございます。今後、警察とも連携をしながら原因究明に当たっていきたいと考えているところでございます。
 監視安全課からは以上でございますけれども、1つ御報告をさせていただきます。今後の対応といたしまして、厚生労働省としましては食品衛生法に基づく生食用食肉の規格基準を制定することとしておりまして、本年10月の施行を目標に必要な手続きを進めることとしております。
 規格基準の制定に当たりましては、食品安全委員会の評価及び本分科会の下部機関である乳肉水産部会等での審議をいただいた後に、また本分科会での審議をお願いしていただくこととなりますので、その際にはよろしくお願いいたします。
 以上、報告を終わらせていただきます。
○岸分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、委員の皆様から意見あるいは質問などはございますでしょうか。どうぞ。
○阿南委員 少し厚労省の方から、富山県が非常に多くて、この焼肉店の事業者はちょっといかがわしいなと私には思えるのですけれども、事業者に対する日常的なチェックについては決まっているはずなのです。そういうチェック状況について、富山県の場合はどこに問題があったのかとか、調査に行かなかったとか、ちゃんと指導をしてこなかったとかということはどうですか。
○事務局(松岡補佐) 富山県の方は、自治体の方で食品衛生法に基づいて監視指導を行うため立入調査を行うことになっていますけれども、問題となった1店舗の方につきましては、お店の営業時間中に行ったところ、お店が開いていないということもあって実際に監視指導が行われていないという実態がございました。
 そこで、文書を発出して注意喚起のようなことをやっているんですけれども、実際に店に立ち入ってやることはここ3年間ぐらいやっていなかったという事実がございます。
○岸分科会長 阿南委員、どうぞ。
○阿南委員 富山県がそのような状態だったら、それはこんな事件が起きますよね。だから、各自治体のそういう検査だとか、指導だとかというところはちゃんと厚労省の方ではっきりと把握をして、本当に行っているのかどうかというところを厳しくチェックしたらいいと思うのですけれども、いかがですか。
○事務局(松岡補佐) 実際に今回は緊急監視で飲食店や食肉販売業等に入ったんですけれども、各自治体がやることについては今後とも生食用の食肉を扱うリスクの高いお店ということもありますので、そこはきちんと立ち入るようにということで指導したいと考えております。
○岸分科会長 先ほど、規格基準の設定を含めてその方向でやっているということでしたけれども、基準を設定されたらやはりあとはそれがちゃんと各都道府県レベルで守られているかというところまでやはり目配りがないと非常に致死性が高い事故ですよね。ですから、再発防止ということが非常に重要ではないかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 阿南委員、どうぞ。
○阿南委員 是非お願いします。
 それと、厚生労働省が飲食店に対して、店内に掲示するようにとかやっているのですけれども、是非、焼肉の事業者たちに、消費者に対して、食べるときはこうしなさいとか、こうしてくださいと声掛けしてもらいたいと思います。要するに、生肉やレバーをつかんだはしで焼いた肉を食べたりしているわけです。そういうチェーン店の供給者責任というところがすごくおろそかになっていると思います。
 そこも含めて、お店での消費者に対する注意喚起、リスクがあるということをはっきりと伝えるという指導を是非お願いしたいと思います。
○岸分科会長 いかがでしょうか。
○事務局(松岡補佐) 今までも実証はしていないんですけれども、今後は夏期の一斉の監視とか、年末一斉の監視等いろいろございますので、そういう中で改めていろいろ注意喚起を行うように自治体に対して通知は出していくことにしたいと考えております。
○阿南委員 私は焼肉屋さんでそのようなものを見たことがないですから、食べ方ですとかについてもちゃんとやってもらわないと。
○加地課長 おっしゃるように、焼肉の協会の組織率がまだ7%ぐらいで、これは驚いたんですが、焼肉店として2万件から2万5,000件ぐらいあるんじゃないかと思います。そのうちで、焼肉協会に属するところが1,400店舗ぐらいしかないというふうに聞いています。
 それで、フードサービス協会とか、いわゆるファミリーレストラン系のところは、一昨年もその前もいろいろとやはり結着肉であるとか、あるいはサイコロステーキ等でO157の散発事例があって、店のところに掲示をするとか、肉はよく中心部まで焼けとか、そういうオペレーションを従業員が提供するときにも、よく焼いてくださいよ。それから、おはしは必ず取りばしと実際に食べるものとは変えてくださいよというような指導をやるということで動いているんですけれども、いかんせん焼肉店の方ではかなり新規の参入者が多いということで、余り今まで食品を扱っていたことのない業者の方々が入ってきているというようなことも言われております。
 そういう意味では今後、先ほど言いましたように、自治体を通じてこういうリスクの高い食品を提供する場合の、お客さんへの情報提供、そういったものについてももう少し強化をしていくことが必要だと思って、そちらの方向で考えていきたいと思っています。
○岸分科会長 どうぞ。
○西島委員 フグなどの場合にはそういう扱いをする人は許可が要りますけれども、生肉などについてはそういう方向での検討というのが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○加地課長 フグの場合は魚種で、これはいい、悪いということと、それから内臓ならば内臓、これは食べていいかどうかというのをはっきり図鑑的に示すことができるんですが、生肉提供というものについてはやはり目に見えない状態で、そしてまた厨房の中でちゃんとしたトリミングをしているのか、あるいはその殺菌工程をちゃんとやっているのかというようなことを考えてみますと、必ずしも免許制と言いますか、あるいはそういう何か資格制度を取ることがいいのかどうか。
 あるいは、今、基準審査課の方で考えていらっしゃるとは思うんですけれども、だれがやってももう少し安全性を見込んだ処理ができるように何らかの加工と言いますか、加熱あるいは殺菌工程を間に入れていく。つまり、人によってばらつきがあるようなものよりも、もっと安定性の高い加工方法と言いますか、そういったものを導入した方がいいのかなというような議論もあります。
 勿論、魚介類につきましてはお寿司屋さんでありますとか、あそこはもう生食を出しているわけですね。それで、刺身で出す、あるいはにぎりで出すものがちょっと古くなればヅケにして出す。それから、焼いたり煮たりというようなことをして、常にこれはフグも含めて寿司職人、あるいはフグの調理師という人たちのノウハウがあって、ちゃんとそれも誇りを持って伝統的に親方から受け継いでいるというところがあると思うんですが、焼肉の場合は非常に歴史が浅いというのと、新規に入ってきている方が多い。それから、勿論アルバイトが中心で、食品衛生責任者が1店舗に1人いるのではなくて何店舗かを兼ねているとか、そういうようなことも実態としてわかってきていますので、まずはそちらの方のことをきっちりとやらせて、その上で本当に何かそういう資格制度が必要であれば、またそれも考えていくというように思っております。
○岸分科会長 どうぞ。
○石川委員 平成10年9月11日発出の衛生局長の文書ですと、「消費者、関係事業者に対して指導方をお願いしてきたところである」というのが第1のフレーズに書いてありまして、最後の2行のところにも、「これに基づき消費者、関係事業者への周知・指導について遺憾のないよう」というふうな文章で、それが13年のときに改正されたというふうなお話なんですけれども、その次の別添の文書の「生食用食肉の衛生基準」等を見ますと、やはり消費者も合わせていろいろ注意しなさい。一部はやはり加工業者あるいは飲食店での調理者、そういった者に対しての問題だと思いますけれども、私はこの細菌性の食中毒や、ノロもそうだと思うんですが、消費者に向けてのリスクコミュニケーションというのはすごく大事だと思うんです。
 昨年、私はこの委員になりたてのときに、鶏肉中のカンピロバクターという文言について、ちょっとおかしいんじゃないかというお話をしましたけれども、どういうふうなことでその細菌だとか、そういったものが食肉を食べるということについてコンタミネーションを起こしてくるのかということについては、きちんとやはり消費者に提示しないと私はだめだと思うんです。
 O157のときも十分、火を加えたものでも起こっている事例がたくさんあるんです。それは、例えば私は千葉県なんですけれども、船橋でやっていた牛丸ごと野外バーベキューというのでO157は出たわけです。これは、確かに火は十分通っていて子どもたちも食べている。ですけれども、それを扱うお皿だとか、そのほかの食器、あるいは要するに十分、熱を加えたものを食べていてもそれではなくて、その周りからうつってくるとか、いろいろなことを考えなければいけなくて、実際に消費者というのはそういう形で食中毒になっているという事実があるわけです。
 本日も私は午前中に外来をやっていまして、大人で細菌性食中毒の方がいました。幸い、家族、子どもはなっていないんですけれども、恐らく飲み屋さんで食べたものだとか、何とかと本人は言っているんですが、単独でなっているんです。それは単独でなるんですけれども、やはり生ものというのはこのところ怖いから食べていないと、かなり本人は注意しているんですけれども、どこかでそういうふうになるわけですね。
 一般消費者向けには、きちんとしたリスクコミュニケーションでわかりやすくやってもらうということはすごく大事だと私は思っているんですけれども、そういう点でこれからやっていただきたいと思いますし、ドイツでも起こっていますから、本当にこれは子どもたちは亡くなってしまいますので、是非、一般向けにも厚労省の方からきちんと発出していただきたいと思います。以上です。
○岸分科会長 どうぞ。
○佐久間補佐 生肉の食中毒も含めて、一般的な食中毒対策について消費者の方々に対し、これは勿論、ホームページですとか、関連するポスターですとか、そういったものを通じてお知らせをしてきております。また、政府広報等を通じまして一般の方々に伝わるように対応を取ってきてございます。
 先生の御指摘のように、非常に重要な課題だというふうに認識してございますので、引き続きこういったような対応を充実させていきたいと思っております。
 あとは、ヨーロッパと言いますか、ドイツのO104の関係につきましては、例えば検疫所におきまして海外に渡航する方々に対して注意喚起するような形でお知らせをしてございますので、合わせて一般の国民の方々にこういった重要性についてお知らせできるような対応を取らせていただきたいと思っております。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。本当にくれぐれも、今日の委員の皆様方の意見を取り入れまして対応をよろしくお願いいたします。
次に移らせていただきます。「生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例についての提言」ということで、説明をお願いいたします。
○山本委員 これに関しましては、食中毒部会と乳肉水産食品部会の部会長の方から簡単に御説明させていただきまして、その後、補足がありましたら事務局からお願いしたいと思います。
 また生食用の話になりますけれども、このところ病因物質が不明であるというような、食中毒とは言いませんね。有症事例という形であがってきております。合同部会を平成23年4月25日に開催いたしまして、それぞれこれまでの調査データですとか試験結果等を基にして議論をいたしました。その結果を基にして、今回の提言をまとめたということです。
 資料は35ページを御覧下さい。発生状況は、全国的に報告がぱらぱらとあがっているという状況で、ここ数年、食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を呈し、軽症なんですけれども、そういう有症事例が報告されている。これについては、既知の原因物質等が不明でなかなか原因がわからないということで報告されておりました。
 そこで、平成21年から23年にかけまして厚生労働省が全国調査を行ったところ、その中で原因食品として可能性の高いものということで、1つはヒラメ、それからもう一方で馬刺しというものが浮かんでまいりました。これらにつきまして調査を進めていきまして、国立医薬品食品衛生研究所と国立感染症研究所等で原因物質の調査、それから予防対策等について検討を加えてまいりました。
 まずヒラメの方でございますけれども、ヒラメ中のさまざまな原因物質を調査いたしましたが、なかなか当たってきませんでしたが、ゲノムを網羅的に解析するという方法がございまして、それを使ったところ、クドア属粘液胞子虫のKudoa septempunctataというものに有意に引っかかってきたということでございます。
 これまでクドア属という粘液胞子虫はヒトに病原性があるという報告はなかったんですけれども、今回このKudoa septempunctataという種類が原因ではないかということが強く疑われたわけです。この粘液胞子虫の毒性をマウスのin vivoでの試験とか、スンクスと言って嘔吐する動物がいるわけですけれども、これに飲ませるというような試験とか、それから腸管上皮細胞系というin vitroの試験を行いまして、毒性があるということがわかりました。クドア属全体ではなくて、やはりseptempunctataのこの種がヒトにどうも毒性があるのではないかということでございます。
 これの失活条件というものをいろいろ検討いたしましたが、冷凍で-15℃から-20℃で4時間以上保管することで失活する。それ以外は加熱で勿論、死ぬんですけれども、冷蔵状態で一部失活するけれども、残るものもあったというような結果が得られております。
 もう一方、馬刺しにつきましてはさまざまなものを検査していった中で、やはり寄生虫ですが、これは住肉胞子中の一種でありますSarcocystis fayeriの感染が認められたということです。このシストにつきまして、ウサギを使った腸管ループ試験を行って下痢原性があるということがわかっています。
 これにつきましても、馬肉を冷凍することによって失活させることができるということがわかったということでございます。勿論、加熱によってもこれは失活いたします。
 当面、対策を取るということでございますが、まずヒラメについても馬肉についても先ほど申しましたような冷凍というものが一応の失活の条件としてはあるということですが、今後さらなる検討を加えることが必要であろうと考えております。
 なかなかヒラメを一度冷凍してしまいますと、刺身としての価値がなくなるということもございまして、対策としては今後もう少しいい条件がないのかというようなことも検討する必要があるのではないかということでございます。
 ただ、これまでの流通量等を考えた場合、ヒラメにつきましてもさほど大きな割合でそれが起こっているということは考えにくいということはあります。ですから、リスクとしての大きさというのは頻度もさほど大きくないが、ないし程度としても下痢を起こす程度というような状況ではあるということは認識しております。
 以上のことで今後検討が必要なんですけれども、当面の対策ということでまとめさせていただいて、部会からの提言ということにさせていただきたいと思います。
 事務局の方から何か追加がございましたらお願いいたします。
○事務局(松岡補佐) それでは、事務局から追加で御説明させていただきます。
 今、山本部会長の方から御報告がありますけれども、一部追加させていただきますと、40ページの今後の課題のところに書いておりますけれども、下から2行目でございますが、事例数としてはまだとらえられていない事例がある可能性があること、かつ発症のメカニズム等にも不明な点が残されているという課題が与えられておりまして、これらにつきましては今、厚生労働科学研究がまだ続いておりますので、国衛研を中心とした研究でございますけれども、そこに地方衛研の方も入っておりますので、今後とも研究は続けていくということを考えているところでございます。
 ただ、特にこのヒラメの有症事例については夏場から10月に続いて非常に事例数が多いということで、ここまで提言いただいた以上はその自治体に対して何か示さないといけないということもありますので、今回、本分科会にも御報告しましたので、来週以降、自治体に対して通知等で出していきたいというふうに考えているところでございます。
 一部、ヒラメ等につきましては、先ほど言いましたように冷蔵のことについてはまた研究が必要ということなので、それについても早急に研究を進めていくということにしております。養殖時の対策については、我々だけではできないこともあり得ますので、それは農水省と連携しながら農水省がまた研究を進めていくということでございますので、両省で情報共有をしながら今後とも対策を取っていきたいと考えているところでございます。
○岸分科会長 山本部会長と事務局の方からの御説明がありました。ありがとうございました。
 委員の皆様、何か御質問、御意見がございましたらどうぞ。
○西島委員 クドアは凍らせたりすれば失活するということですけれども、これはそうするとこの胞子が生きていることが大事で、もう既に何か毒が出てそれを食べるということではないんですか。
○山本委員 これまでの知見からいくと、生きているということが必要条件になっているようです。
○西島委員 ということは食べた後、原虫が我々の体の中で増殖するということが必要。○山本委員 増殖は必要はないというか、増殖はしません。クドア自体は、ヒトの中で増えるということは報告されておりません。
○栗山委員 病状が嘔吐と下痢とあるのですが、それが何日間続くとか、何回も重ねてあるとか、そういうことでしょうか。
○山本委員 そこまで繰り返しというわけでもなく、割と軽い嘔吐と下痢で一過性に過ごすという状況です。
○事務局(松岡補佐) 一過性ということで、今まで報告を受けているものは潜伏が4時間から8時間で、症状が起きまして下痢、もしくは嘔吐ですけれども、翌日にはその方は治っているという事例がすべてでございます。予後不良というか、翌日まで症状が残ったような方はいないということでございます。
○栗山委員 イメージとしては、それはお医者さんにかかって出ている件数というのは少ないですが、結構、蔓延しているものかもしれないというふうに考えた方がいいということですね。
 次の日まで下痢や嘔吐をすればお医者さんに行きますけれども、1回、2回、その日のうちだったら表に出ないものはすごくあると思うんです。それは蔓延しているというか、今後これが例えば注意喚起をしたときにすごく数になる可能性とかというのはあり得るんですか。
 これを聞いてどうするんだというところですが、重ければそれはそれできちんと、多分、私たち一般人は当たっちゃったかなとか、変なもの食べたかなと思うだけで過ぎてしまうレベルの症状ということですよね。
○石川委員 要するに、こういう軽いものというふうに言いますけれども、子どもたちではこれでしばしば大変被害甚大にこのぐらいの短時間でも起こると思うんです。
 ただ、これは私もいろいろな実験結果などをお聞きしたところ、腸管毒性でかなり一過性で、それは排出されてしまえばもう終わりということもありますので、大人にはそんなに被害は多くないと思うんです。
 ただ、やはりこの季節ですから脱水症状も大事ですので、脱水症状も同時に起こるとなると結構重大なので、今回この会議にかけて皆さんに明らかにできるのであれば、子どもたちにはやはりヒラメの一定のものについてはちゃんと注意しなければいけないということは言うべきだと思っております。
○岸分科会長 ありがとうございました。我々がちょっと見逃すかもしれない胞子虫ですか、Sarcocystis fayeriの感染ということでいろいろ御検討いただいているようですが、ここでせっかく提言ということで出されましたので、一層、消費者、業者さんなどに普及啓発をよろしくお願いしたいと思います。
 次にもう一つ、「食品安全に係るリスクコミュニケーションについての厚生労働省の取組の概要」を報告いただくことになっていますので、お願いします。
○事務局(森川補佐) それでは、「食品安全に係るリスクコミュニケーションについての厚生労働省の取組の概要」について御説明いたします。
 平成22年度は、意見交換会等ということで計18回開催いたしました。(1)の「意見交換会型」が14回、(2)の「現地視察型」が3回、それから(3)の「ワークショップ型」が1回ということで、自治体や他省庁と共催で開催したものもあります。
 次に、2番の「情報の発信」ということで(1)「ホームページによる情報発信」、(2)「パンフレット、動画の作成・配付」、(3)「政府広報を通じた普及啓発」、(4)「母子健康手帳を通じた普及啓発」などを行いました。
資料の別冊46ページですが、3番の「意見募集(いわゆるパブリックコメント)の実施」もしております。
 続いて47ページですが、4「関係府省との連携」、5「関係団体の会合における講演や意見交換」というものも実施しております。
 6「その他」になりますが、(1)「リスクコミュニケーション担当者の研修」ということで、都道府県等の食品衛生監視員等を対象とした研修、(2)「食育」関係で食育推進大会への参加、(3)の子どもを対象とした「子ども霞が関見学デー」へのイベント、(4)「食品安全モニター」を対象とした食品安全モニター会議への出席等を行いました。
 平成23年度についてですが、資料の別冊48ページにあるとおり方針といたしましては1「意見交換会の開催等」、引き続き2「情報の発信」に努めていくこと、3「意見募集等の実施」、4番の関係各省、自治体関係、団体等との連携に努めていきたいと思います。以上です。
○岸分科会長 ありがとうございました。この御報告に御意見、御質問がございましたらどうぞ。
○石川委員 先ほど生食のところでも出たんですけれども、いろいろと厚労省の方でも努力はされていると思いますが、ホームページの閲覧回数というのを見ますと、これは1年間の数ですね。そうしますと、例えば分野別施策というところで145万回とありますけれども、これは私などITをやっている人間からすると全然多いとは言えないんです。合わせてこれだけですから。
 例えば、携帯サイトの子育て応援団というのが広島県を中心にやっていますけれども、あれは月120万件なんです。要するに、開くのがですね。それで、ほとんどの人が会員になってがんがん開いて見ていたりしていますので、やはり私はホームページを見にくる方というのはそんなに多くないんだと思うんです。
 ただ、若い方たち、若いお父さんお母さんに見ていただきたいということもありますので、やはりその辺を工夫して皆が見ていただいてこのリスクコミュニケーションをちゃんとしていただくということは1つ大事だと思います。
 それから、次の46ページのところにパンフレットで小学校の高学年用で「正しく知ろう」。これはすごくいいことだと思うんです。やはり日本の国民というか、日本の国を将来的に支えてくれる子どもたちが食中毒や感染症に対してきちんとした知識を持つということは国の強さになりますので、ここら辺を文科省とタッグを組んでやっていただきたい。関係省庁の中に文科省が入っていないので、そこのところを是非、厚労省からも文科省の学校保健の方に出向していただいているわけですから、是非その辺のところも注目してやっていただきたいと思います。
○岸分科会長 事務局の方、よろしゅうございます。先生、いい御意見をありがとうございました。
 それでは、最後に「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について」の御報告をお願いいたします。
○事務局(横田補佐) それでは、「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について」の御説明をさせていただきます。別冊の最後のページ、49ページを御覧下さい。
 3月8日、添加物7品目、農薬15品目、飼料添加物1品目、動物用医薬品7品目、計30品目が審議、もしくは報告の対象品目として挙げられております。
 その中でパブリックコメント、WTO通報させていただいているところでございますけれども、パブリックコメントにつきましては11件、WTO通報につきましてはコメントが2件ございました。
 この中で特に御説明させていただきたいものとしましては、農薬の下から5つ目、ミクロブタニルがございます。備考のところを御覧いただくと、「基準値(案)について再度部会に諮る予定」となっているところでございますけれども、外国からの意見、いわゆるWTO通報に対するコメントで、とうもろこし、その他の穀類、大豆というものがその基準値がなくなって一律基準、いわゆる0.01ppmという基準になったところでございますが、厳し過ぎるとの御意見をいただきました。
 その後、大豆に関しましてはもう少し基準を上げる根拠となる作物残留試験のデータが出てきましたので、大豆に関してのみ基準値を上げる。いわゆる緩くする方向で現在、次回の部会に諮る予定で手続きを進めているところでございます。
 続きまして、動物用医薬品の一番上でございますが、パブリックコメントはまだ実施しておらず、WTO通報だけはコメントなしということになっておりますけれども、クロルスロンというものでございます。これに関しましては、試験法をつくらなければいけないということで現在試験法の検討を進めておりまして、その試験法が終わり次第、パブリックコメントをし、その後、手続きを進めていきたいと考えております。
その他、飼料添加物や動物用医薬品等においてパブリックコメント対象外、WTO通報の対象外というものがありますけれども、これらに関しましては暫定基準の見直し、もしくは使用基準の変更等に伴って基準値に変更がなかったということで、パブリックコメント及びWTO通報が実施されなかったということでございます。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に委員の皆様から御質問等ございますか。
 一応ないようですので、引き続きよろしくお願いいたします。
 これで報告事項まですべて終わりましたが、事務局から何か伝達等ございますでしょうか。
○佐久間補佐 次回の分科会でございますけれども、開催日時及び議題等につきましては、また後日、確定次第お知らせ申し上げますのでよろしくお願いいたします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ちょうどたっぷり時間どおりかかってしまいまして、本当に長時間にわたりまして慎重で、かつ種々、重要な御議論をしていただきましてありがとうございました。
 これにて、閉会させていただきます。ありがとうございます。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部企画情報課総務係

TEL: 03-5253-1111(2449)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録

ページの先頭へ戻る