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2011年12月19日 第3回化学物質による疾病に関する分科会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成23年12月19日(月)10:00~12:00



○場所

中央合同庁舎5号館 専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

参集者:五十音順、敬称略

圓藤吟史、高田礼子、松岡雅人、宮川宗之、柳澤裕之

厚生労働省:事務局

河合智則、神保裕臣、渡辺輝生、倉持清子、大根秀明、斉藤将

○議題

(1)労働基準法施行規則第35条別表第1の2第4号の1の物質等の検討について
(2)その他


○議事

議題

○斉藤職業病認定業務第二係長 ただいまより会議を始めます。はじめに本分科会は原則公開としておりますが、傍聴される方におかれましては別途配付しております留意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴いただくとともに、参集者の自由な意見交換を旨とする分科会の趣旨を損なうことのないよう、会議の開始前後を問わずご留意をお願いいたします。
 定刻となりましたので、これより「第3回労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては大変お忙しい中、年末の時期にお集まりいただきまして大変ありがとうございます。座長の圓藤先生に議事の進行をお願いしたいと思います。先生、よろしくお願いします。
○圓藤座長 ありがとうございます。まず、議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○斉藤職業病認定業務第二係長  資料の確認の前に、本分科会につきましては、安全衛生部の化学物質対策課から出席していただいておりますが、本日はご都合により欠席となっております。
 それでは、資料のご確認をお願いいたします。本日の資料は資料1「検討対象化学物質(28物質)に係る最終評価シート」、これが15頁までございます。
 資料2として「検討化学物質(18物質)に係る評価シート」が9頁までのものでございます。
 資料3「独立行政法人製品評価技術基盤機構の化学物質総合情報提供システムによる健康毒性情報」でございます。
 資料4「American Confernce of Governmental Industrial Hygienists(ACGIH)の許容濃度に関するドキュメント」でございます。
 資料5として「日本産業衛生学会の許容濃度理由提案書」です。資料6-1として「平成19年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書(抄)」、資料6-2として「平成21年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書(抄)」でございます。資料6-3は「化学物質リスク評価検討会報告書(抄)」です。
 最後に資料7、平成15年4月の「労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書(抄)」となっています。また、第1回目と第2回目の資料を机の上にご用意していますので、必要に応じてご覧いただけたらと思います。資料の不足等ございませんでしょうか。資料の確認は以上です。
○圓藤座長 最初に事務局から資料の説明をいただいたあと、議事を進めたいと思います。まず、資料1につきまして説明してください。
○斉藤職業病認定業務第二係長 資料1について説明します。前回、10月5日の分科会においては調査研究で症例報告があった48物質のうち、28物質についてご検討いただき、一定の方向性を得ることができました。その方向性を踏まえ、先生方に最終評価をいただき、それを取りまとめたものが資料1「検討対象物質(28物質)に係る最終評価シート」です。
 本日はこの資料1に基づきご検討いただき、告示に追加すべき、または現時点では告示に追加する必要がない、いずれかのご結論を出していただきたいと思っています。「告示に追加すべき」との結論に至りましたものは、告示に規定すべき症状・障害の範囲と内容を決めていただきたいと思っています。
 なお、2の「インジウム及びその化合物」、5の「クロルピリホス」、9の「オゾン」、11の「キャプタン」、18の「2,4-ジクロロフェノキシ酢酸」、22の「フェニルグリシジルエーテル」、25の「シアナミド」、26の「2-シアノアクリル酸エチル」、28の「ニトロメタン」の9物質については、一応の評価はいただいているところですが、担当された先生から「もう少し文献を追加して精査したほうがよい」とのご意見をいただいています。その点につきましてもご検討いただき、追加精査を行う場合には次回の分科会で最終結論を出していただきたいと思っています。以上、資料1についての説明でございます。
○圓藤座長 ありがとうございます。最初にまず、前回検討しました28物質について告示に追加すべき、または現時点では追加する必要はないとの結論を出すとともに、「告示に追加すべき」との結論に至ったものについては告示に規定すべき症状・障害の範囲の内容を定めたいと思っています。ただし、事務局から説明がありましたように、追加の文献を精査する必要がある物質につきましては本日は仮の結論とし、文献を精査した上で結論を出すということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、資料1に基づき個々の物質の検討に入りたいと思います。まず、担当された委員に評価結果を説明していただいたあと、議論したいと思います。
 1のアジ化ナトリウムにつきまして私から説明したいと思います。アジ化ナトリウムにつきましては文献に職業性ばく露があり、血圧低下、動悸、めまい、頭痛などの急性症状が出現する。アメリカでACGIHが決めておりますTLVを超えることがある作業で有症率が有意に増加していたという所見があります。急性症状として血圧低下、動悸、めまい、頭痛などの症状が出現する。かつ、汎用される物質であるということで、追加すべき物質の中に加えてはいかがかと私は考えています。
 告示上の表記としては、前眼部障害、気道障害、頭痛、めまい等の自覚症状、血圧降下等の循環器障害があろうかと思います。いかがでしょうか。「血圧低下等の循環器障害」となると、告示に規定する症状・障害の表現としては修正が必要でしょうか。それらを含め、ご検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。告示のほうでは、「循環器系の疾病等」の中に「不整脈、血圧降下等の循環障害」がありますので、不整脈は除いて、「血圧降下の循環障害」でいかがかと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 不整脈というのはこの物質では起こらないということでしょうか。
○圓藤座長 起こらないとは言えないのですが、起こった事実はそれほど明確でないということで、「不整脈」という言い方は除いておこうかと思っています。以前、血圧降下剤として使われたこともあるようなもので、あまり不整脈が起こっているような事実が見つかってこないので明記しないほうがいいのではないかと思っています。
 「等」というのは、血圧降下に付随する症状は見られますけれども、血圧降下だけでいいかもわかりません。「等」は要らないかなと思います。いずれにせよ急性の症状ですので、どこかで「急性である」ということを告示上の表記以外のところで明記しておく必要があろうかと思っています。それほど遅延して低下が続くということもなさそうですので、急性症状で考えていいと思っています。よろしいでしょうか。また、ご意見をいただけましたら戻って議論をしたいと思いますので、とりあえず現時点ではここまでにして、追加する方向で○にしておきたいと思います。続いてインジウム及びその化合物、よろしくお願いします。
○高田委員 インジウム及びその化合物ですが、最終評価としては追加すべきであるということで現時点ではまとめています。評価の理由としてはインジウムスズ酸化物(ITOと略)の製造作業において、インジウム化合物の吸入ばく露によると考えられる肺障害の症例が国内で複数例ありました。文献によりますと2010年3月までに7例報告されています。肺障害としては間質性肺炎、肺線維症及び肺気腫が報告されています。このことからインジウム及びその化合物について肺障害を追加することが妥当であると考えています。告示上の表記としては肺障害、具体的内容としては「吸入ばく露により、間質性肺炎(間質性変化および気腫性変化)を生じる」とさせていただいています。
 インジウム・スズ酸化物等の取扱い作業による健康障害防止に関する技術指針のインジウムによる肺障害についての所見として「間質性変化および気腫性変化」というような書き方をしていたものですから、そちらの書き方に合わせて書かせていただいています。
 もう1点、先生方にご議論いただきたい点として、国内では間質性肺炎、肺線維症、気腫性の変化というものでございますけれども、国外において肺胞蛋白症の症例報告が3例ございます。国内と国外の症例報告で状態が異なっているということが文献でも問題となっているということですが、国外発症の肺胞蛋白症3例がありますので、具体的内容に肺胞蛋白症を含めるのかという点、ご意見をいただければと思っています。
 文献は、上3件につきましては、中災防の報告書に書かれております文献となっております。いちばん下に書かれております文献がインジウム作業者の肺胞蛋白症の症例報告でございます。以上です。
○圓藤座長 ありがとうございます。ご意見をいただきたいと思います。「肺障害」という言い方をすれば肺胞蛋白症も含むわけですから問題ないかと思いますが、「肺障害」という言い方はかなり幅広い言い方ですのでもっと限定すべきかどうか。限定しますといまの肺胞蛋白症をどのように表現に盛り込むかという議論になろうかと思います。事務局、「肺障害」という言い方は広過ぎますか。それとも、もう少し絞るほうがいいのでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 これまでの告示において、「肺障害」という言葉は「気道・肺障害」という形になっています。これまでの並びでも「肺障害」という表現は使っていますのでよろしいと思います。ただ、逆にこれまでは「気道・肺障害」ということで、気道障害も肺障害と同列で使っておりました。インジウムの場合には気道障害はないということでいいのかというのがちょっと気になったところです。
○圓藤座長 気道はそれほど強くないのですよね。
○高田委員 喘息等の症状の報告というのはありませんので、今回、気道は除いて「肺障害」という形にいたしました。
○圓藤座長 とりあえず、肺障害という形で肺胞蛋白症については検討していただいて、告示上の表記以外のところ、説明のところで議論しておきたいと思います。「こういうこともあり得る」「こういうこともあった」ぐらいの明記でいいのではないか、告示上には挙げないということでいかがかと思います。
 もう1つ気になるのは物質名、「インジウム及びその化合物」、その定義のところなのですが、以前、厚生労働省の委員会ですか、通達ですか、そこで「インジウム及びその化合物のうち、ITOの製造、使用、回収等の過程で製造し、又は取り扱う、ITO、金属インジウム、水酸化インジウム、酸化インジウム及び塩化インジウム等(以下ITOと言う)であって、吸入性粉じんであるもの」とするというような定義をしていたと思います。それはいかがいたしましょうか。あえて限定する必要はなくて、「インジウム及びその化合物」と言っておけばよろしいでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 そちらのほうが広くとられますね。
○圓藤座長 前回出たとき、通達か何かでそこのところの定義が書かれていたもので。「インジウム及びその化合物」というところでそういう定義があったのです。それをどう扱うか、事務局との調整で宿題にさせていただきたいと思います。よろしいですか。
○高田委員 私のほうは文献上で拝見するだけですので、ITO以外には「インジウム化合物」という形でまとめて書かれている症例報告が多い状況です。限定ができない状況でしたので、そのまま「インジウム及びその化合物」という形で今回は表記させていただきました。
○渡辺職業病認定対策室長 通達を確認させていただきまして、うちで使う物質名と齟齬があるかどうかの点は確認したいと思います。
○圓藤座長 よろしくお願いします。続いて過酸化水素、松岡委員、お願いします。
○松岡委員 過酸化水素は追加すべき物質として○といたしました。3つの文献のいずれも通常労働の場で起こり得る症例と判断して、各文献にほぼ共通に現れた皮膚障害、前眼部障害、気道・肺障害を症状・障害としました。そのほか鼻閉、鼻出血、頭痛、胸部圧迫感などがありましたが、すべての文献での共通性がなかったため除外しました。また、文献1にありました「視力障害および続発性緑内障」は後遺症と判断し、症状・障害には含めていません。告示上の表記として皮膚障害、前眼部障害、気道・肺障害です。具体的内容として、付着部位に化学熱傷を生じるというものです。それから、眼粘膜の刺激症状、結膜および角膜障害を生じる、蒸気吸入により乾性咳嗽、咽頭および喉頭の刺激症状、喘息様呼吸困難、肺炎を生じるというものです。比較的よく使われる化学物質と考え、追加すべきと判断いたしました。以上です。
○圓藤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。緑内障は前眼部障害の続発症と考えてよろしいのでしょうか。
○松岡委員 前回いただきました「事務局の整理」という文書の中に「続発性の疾病は告示中には規定しないものである」と書いてありましたので、含むべきではないと判断いたしました。
○圓藤座長 表記の上で含めない、しかし補償の上では考えていただけると思いますので、表記の上では含めないということでいきたいと思います。よろしいでしょうか。
                  (了承)
○圓藤座長 続きましてグルタルアルデヒド、宮川委員、お願いします。
○宮川委員 グルタルアルデヒドは追加すべき物質として○を付けさせていただきました。実際は職業性ばく露、病院内で内視鏡洗浄に使われる場合が多いのですが、そのような労働者にアレルギー性接触皮膚炎、喘息等の発症が報告されています。呼吸器及び皮膚感作性物質として証拠があると思いますので、その点から追加を必要と考えています。また、急性ばく露による皮膚、眼、気道に対する影響としては、いただいた中災防の資料以外でもGHS政府分類で皮膚、眼とも区分1(腐食性)、標的臓器毒性単回ばく露区分3(気道刺激性)に分類されています。以上を総合的に判断して、ヒトの急性ばく露で皮膚、眼、呼吸器に対する刺激作用が生じるものと考えています。結果として感作性によるもの(皮膚及び呼吸器)、刺激性によるもの(呼吸器、皮膚)について追加が妥当と思います。記載としては皮膚障害、前眼部障害、気道障害、より詳細な表現としては「急性ばく露により皮膚、眼、呼吸器を刺激する。反復ばく露では感作性による皮膚炎、喘息を生じる」ということでございます。
 なお、「刺激する」という言葉は弱いものととらえがちですけれども、ひどくなれば相応の障害を生じるという意味での「刺激性」と考えていただきたいと思います。以上です。
○圓藤座長 いかがでしょうか。グルタルアルデヒドは医療関係でかなり問題になっていますので入れる方向でいいかと思います。よろしいでしょうか。
                  (了承)
○圓藤座長 続きましてクロルピリポス、高田委員、お願いいたします。
○高田委員 クロルピリホスですが、現時点では告示に追加する必要はないのではないかと考えて、×にしています。評価の理由ですが、今回1996年以降の文献調査をしておりますが、国外においてクロルピリホス含有殺虫剤の噴霧作業の際に、殺虫剤溶液に直接接触する経皮ばく露と、噴霧した殺虫剤の蒸気の吸入ばく露による運動障害優位の末梢神経障害の症例報告が1件ありますが、それ以外、クロルピリホスの職業性ばく露による中毒症例の報告が非常に少ないという状況です。
 前回宿題をいただきまして、ACGIHの古い文献をあたりましたところ、1件文献がありました。1993年の文献ですが、クロルピリホスにばく露した害虫駆除作業者において、感覚障害優位の末梢神経障害が発症したという報告です。いずれにしましても、前回の告示の際に既に症例報告がありましたが、追加されていないという現状、それからクロルピリホスの職業性ばく露、その後も中毒症例の十分な情報が蓄積されていないということで、現時点では追加せずに、もう少し文献調査等をするなりの継続検討が必要なのではないかと考えております。
 文献としては、一番右側にありますが、中災防の報告でありました1件と、下にありますのがACGIHにありましたヒトでの健康影響の中から確認をして、職業性ばく露であることが確認取れたもの1件を記載しております。症状としては、末梢神経障害として、感覚障害や運動神経障害を生じるということにしています。告示の有機りん化合物の症状と同じであるかということなのですが、職業性ばく露による症例の報告が少ないということで、ほかの有機りん化合物の中毒の症状と同一であるかということが、現時点で判断がついておりませんので、そこに含めて書けるかというと、まだわからない状況になっています。以上です。
○圓藤座長 いかがでしょうか。実は、クロルピリホスは「化学物質の室内濃度指針値」に入っていまして、職業性以外の一般家庭においての問題として指針値が設けられている物質であろうかと思いますので、少しその辺も見ながら、もう一度検討しておいたほうがいいのではないかと思っております。
○高田委員 はい。
○圓藤座長 だから今日の時点では○×にしないで、△にしておきたいという気がしているのですが、もうちょっと調べて、多面的に検討しておいたほうがいいのではないかという気がしております。
○高田委員 症状のまとめ方についてですが、経口ばく露の、いわゆる服薬している症例報告でしたら多数あるわけです。その際に出てくる症状と、経皮、吸入ばく露した場合の症状が同一であるかという問題がありまして、その辺はどのように判断すればよろしいでしょうか。
○圓藤座長 経口ばく露はこの際あまり考えないでいいかと思うのです。経皮ばく露の場合とか、経気道ばく露の場合は、特に考えておく必要あろうかと思います。それから農薬ですので、農業作業者でのばく露というのもあり得ると思いますので、もうちょっと保留して考えたほうがいいのではないかと思います。
○高田委員 職業性ばく露のものから拾って、まとめるという形をするということですね。
○圓藤座長 それと、一般生活環境で規制値が設けられた経緯も少し調べておき、次回に回したいと思うのですが、いかがでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 一般生活で、これが使われるということが想定されているということですか。
○圓藤座長 防虫剤のような意味で、畳の下に敷いておくとかということで使われていたので、居住環境として問題にされたことがあったように思うのですが、ではなかったですか。
○高田委員 いまたしか建築基準法では新しい住宅では使用しないような方向でなっていますが、以前はそういったことがございます。ACGIHの文献も、実際にクロルピリホスを使用した作業者の報告は少ないのですが、クロルピリホスを使用した住宅に居住している家族の中毒症状の記載のほうが多く、あとは職業性といいましても、作業環境中に使用された場合で、そこで作業をしている形のばく露です。クロルピリホスの直接使用作業者ではないわけですが、作業環境中で駆除剤として使用された場合の中毒というものがACGIHには入っております。
○渡辺職業病認定対策室長 いまの生活環境という意味では、事業場施設、建物にこれが使われていたということで起こり得るのかなというのが1つ考えられるのと、もう1つは通常であれば、先ほど座長おっしゃったように、農作業従事者がたぶんこの薬品を使うでしょうから、そこでばく露する可能性があるということかと。その2つぐらいかなと思います。作業環境というか、事業場施設にそれが使われていたかもしれないというものはちょっと、そこまで規定してしまうとかなり膨大な数の規定になってしまうので、特に農業作業従事者がこの物質を取り扱う際のばく露による疾病発症があるという場合に、載せるというのが適当ではないかと思いました。
○圓藤座長 ということで、いままで調べた結果では載せるべき積極的な理由はないということに高田委員がされていますが、もう少し次回までに調べて、次回結論を出すという形にさせていただきたいと思います。次、テトラメチルチウラムジスルフィドは柳澤先生、お願いします。
○柳澤委員 テトラメチルチウラムジスルフィドですが、これは追加すべきと判断いたしました。告示上の表記は皮膚障害ですが、具体的な内容としては、反復接触によって手部を中心とした全身性のアレルギー性接触性皮膚炎を起こします。用途としては農薬とかゴムの加硫促進剤です。特に、ゴムの加硫促進剤がいろいろ原因になっているようです。文献的にも国内の文献、国外の文献がありますので、これは追加すべきということで、ご報告させていただきたいと思います。
○圓藤座長 これは一応カーバメート系化合物ですか。
○柳澤委員 これは、告示上の化学物質の分類では「農薬」として分類しております。
○圓藤座長 告示の中で、一応カーバメート系化合物として「皮膚障害」というのがあって、その中に2、3の物質が例記されているのですが、場合によってはそこに加える形でいかがかと思うのですけれども。前回の第1回分科会の資料5、197頁が現在の告示の内容ですが、ここのジネブとマンネブというのが2つ入っておりまして、その中に追加するのかなと思ったのですが、事務局、検討していただけますか。入れるとしたらどこへどういう形で入れるのかを。
○渡辺職業病認定対策室長 はい。
○圓藤座長 入れるとしたら、そういう形になる可能性があると思いますが、ほかご意見ございませんか。
                (特に発言なし)
○圓藤座長 ないようでしたら、次にいきます。2-ブロモプロパン、これは無月経、精子形成機能障害、造血器障害というのが、韓国で大きな問題になった事例です。産業衛生学会の許容濃度も、職業性中毒例を基に決めておりますので、それに基づいての追加でいいのではないかと思っております。神経症状をどこまで加えるのかが宿題としてあろうかと思います。1-ブロモプロパンに関しては末梢神経障害が主になって、2-ブロモプロパンに関してはそれほど末梢神経障害は前面に出ているようには思えないので、私は告示の中からは抜いたのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 1-ブロモプロパン、こちらのほうは末梢神経障害ということで、特にACGIHのTLVなどは、1-ブロモプロパンを主に記載しております。産業衛生学会も、現在許容濃度等を設定する作業に入っているようですので、末梢神経障害ということで、いかがかと思いますが、よろしいでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 2-ブロモプロパンの症状・障害の表記ですが、造血器障害というのはこれまでもあったのですが、「無月経」「精子形成機能障害」というのは初めて出てくる言葉なので、一応この言葉でよろしいかということと、できればこれまでに使われていた告示の表現の中に含まれるものであれば、そのほうがいいのですが。それに含まれないと、新たに設定すべきものであるかどうかを一応ご検討いただければと思います。
○圓藤座長 現在の告示に規定する症状・障害の表現において、生殖毒性を表わすような言葉がないので、新たに設けざるを得ないのではないかと思います。ただ、新たに設ける上で、この言葉が妥当かどうかは別問題と思います。何か適切な言葉はございますか。その言葉遣い、宿題にしておきましょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 はい。
○圓藤座長 良い言葉が見つかれば変えるということで、仮の言葉として「無月経」「精子形成機能障害」にしておくと。告示に類似するものがないですよね。
○渡辺職業病認定対策室長 たぶんないだろうという気がしますので、これは新たに何か。
○圓藤座長 追加せざるを得ないだろうと思います。生殖器系の障害に関する言葉がなかったので。
○渡辺職業病認定対策室長 このまとめの表の「具体的内容」の欄の最後に、「神経障害が認められている」と書いておりますが、これは神経障害から派生するという理解になるのでしょうか。
○圓藤座長 ではなかったので、私はあえて「神経障害」を入れなかったのですけれども。いかがでしょうか、韓国での事例で、「生理の停止、頭痛、めまい、風邪様症状、腰痛、神経痛、末梢神経の麻痺、全身の紫斑などの症状が現われた」と。ここで「末梢神経の麻痺」というのがありますので、それをどう考えるのかが、そこも宿題にさせていただきましょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 これらの障害が末梢神経の障害から派生しているものだとすれば、「末梢神経障害」というので括ってもいいのかなと思うのですが、それとはちょっと違うと。直接生殖器に作用して起こるのだということであれば、やはり生殖器関係で新たに設けるのかなという感じなのですが。
○圓藤座長 いちばん最初に見つかったのは無月経ではないかと思うのです。前面に出ていたと思うのです。だから末梢神経障害も伴っていたと思いますが、少し。
○渡辺職業病認定対策室長 あまり生殖器のことはわからないのですが、末梢神経障害から派生して生じることもあり得るのかなというのが、ちょっと思ったものですから。わかりました。直接的に生殖器に影響を及ぼすのか、末梢神経障害の影響でこういう症状が出るのかという、そこのところによっても、また表記が違ってくるかなという感じがしましたけど。
○松岡委員 末梢神経障害を介してということは考えにくいと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 そうですか。
○圓藤座長 名古屋大の准教授の先生がご専門ですので、少し確認を取ってみます。末梢神経障害を加えたほうがいいかもわかりませんが、私は除いたつもりですが、もう一度確認させてください。
○斉藤職業病認定業務第二係長 造血器障害のところですが、これは韓国の事例の「全身の紫斑」というところ、これが具体的な症状・障害と考えてよろしいのでしょうか。
○圓藤座長 はい。よろしいでしょうか。1-ブロモプロパン、末梢神経障害、これはもうよろしいでしょうか。
                  (了承)
○圓藤座長 それでは続きまして、アセトニトリルに入らせてください。
○松岡委員 アセトニトリルは、前回の委員会では追加の方向ということだったのですが、事務局での整理のコメントを拝見すると、文献3が労働の場で起こった事故ですが、急性中毒のため慢性中毒に関する症例報告がない場合は、追加しない方向で検討してくださいということでした。
 そこで、症例3をもう1回検討しますと、通常労働の場ではない状況下での高濃度ばく露による急性中毒であり、発生する可能性もそう多くはないと考えられました。また、慢性中毒の症例報告もないと考えられます。
 現行告示の内容に関する事務局の整理の急性中毒の取扱いですが、事故による高濃度ばく露が原因となっている症例しか報告されていないものは対象としないことを意として作られたというコメントがありましたので、今回、アセトニトリルは追加すべき物質の中に加えないという結論にいたしました。
○圓藤座長 いかがでしょうか。第2回の資料3、アセトニトリルが8-2として入っており、そこで、Human experience consists mainly in case reports following accidental contact and serious outcomesという言い方があって、「事故的な接触ないし重篤なばく露があって」ということでまとめてあります。そういう意味で×ということです。
○松岡委員 今回、中災防の文献3が唯一症例報告だったのですが、その症例報告はこのようなアクシデンタルなものだったという解釈です。
○圓藤座長 いかがでしょうか。
○松岡委員 急性中毒を入れるべきかどうかということで、当初は入れるべきという判断だったのですが、事務局からいただいた「28物質に関する整理」を拝見すると、入れるべきでないと判断した次第です。
○圓藤座長 急性中毒であっても、通常よく使われていて、あり得る事故といいますか。そういう場合は考えてもいいのではないかということも、そういう意見もあろうかと思いますので、どういたしましょう。
○渡辺職業病認定対策室長 文献3ですが、ちょっと見た感じはそんな事故的なものではないようにも見えるのですが、どうなのでしょうか。通常の使用状態でということでしょうか。それとも、何か高濃度の物質がどこかから漏れたとか、そういうものなのでしょうか。
○松岡委員 これは清掃作業中に起きた事故なので、通常とは言い難いかもしれませんが、起こり得るケースかとは思います。
○渡辺職業病認定対策室長 これはアセトニトリルを洗浄剤として使用したのでしょうか、そのように見えるのです。
○松岡委員 アセトニトリルで洗浄するという作業で、そのときの防御が不完全だったために高濃度のばく露を受けたというケースです。
○渡辺職業病認定対策室長 それは通常でも起こりそうな気がするのですが、どうなのでしょうか。
○松岡委員 といいますのは、事務局の整理のコメントでは、「急性中毒に関するもののため、慢性中毒に関する症例がない場合は、追加しない方向で検討いただく」というコメントがあったので、今回再検討した次第です。当初、第2回のときには追加すべきという判断だったのですけれど。
○渡辺職業病認定対策室長 このアセトニトリルについての評価というのは、何かある。○圓藤座長 文献3は、大量ばく露をしているのですけれども、このアセトニトリルで洗浄する作業で付着したと。それから文献1を見ますと、1mLのアセトニトリルを手にこぼした例、わずか少量の。
○松岡委員 文献1は実際の症状としては明確ではありませんので、取り上げるべきレポートではないと思います。文献2のほうは自殺企図なので。
○圓藤座長 文献2は省いていいかと思いますが。
○宮川委員 事務局の、急性のものは基本的に取らないというのは、めったに起こらないような大量のばく露による事故等を前提としたものだと思います。有機溶剤に関して35条の表を見ますと、神経系に対する刺激症状、それぞれ急性と思われるものが結構入っております。労働の現場でもって、常態として結構起こり得るような急性の症状については、これまでもそれなりに含まれていたと考えてよろしいかと思うのです。そういう観点からこの文献3を見ますと、防御方法等が十分ではなく、吸入ばく露するというような事故は現場で起き得ると思いますし、それによる症例だと思いますので、何となく私としましては、このようなものは含められていてもよろしいのかなと。前回の議論の方向でというのが適当で、ほかの溶剤等々と比べると、あってもよいものかなという気もいたしますが、いかがでしょうか。
○松岡委員 よろしければもう一度検討させていただいて、追加する方向に戻していただくことで、よろしいでしょうか。
○圓藤座長 そういうふうなのをどう取り扱うかという議論で、今回は△にしておいて。
○渡辺職業病認定対策室長 通常の作業で使用して、考えられるミスだと思いますが、そういうものでばく露したと。それで症状が出たというものは、入れていいのだろうという気がします。だから事故的と言っておりますのは、いちばん端的なのは誤飲とか、これは本当になかなかあり得ないという話と、それから例えば、その物質をあるタンクか何かに保存していたのが何らかの理由で破裂して広がってしまったとか。通常の使用では考えられないようなものは事故的というか、そういうふうに整理をしたつもりなのです。その辺、もし誤解があるとすれば、そういう前提でいきたいと思います。
○圓藤座長 取扱いにつきましてもう少し、労働災害ですから安全な使用の仕方をしていたら起こらないわけでして、何らかのミスなり事故なりが発生して労働災害が起きているわけですから、あり得る事故に関しては告示にあってもいいかと思いますので、次回に回したいと思います。続きましてオゾン、宮川先生、お願いいたします。
○宮川委員 オゾンにつきましては○をつけさせていただきました。追加の方向でという意見です。若干1つ前のアセトニトリルと同様の議論が必要かもしれないと思っております。
 今回いただきました中災防の資料によりますと、そのうちの1つは漂白作業に用いたオゾンへのばく露による呼吸器症状が出現したというものです。比較的新しい報告ですが、それ以外に最近オゾンによる急性の症状が報告されているのがなかなか見つかりません。中災防の研究報告書に記載されたもの以外で探してみたのですが、溶接作業で発生するオゾンによる肺障害について、古い報告がございます。目、鼻腔、肺に対する刺激作用は、実際動物実験等からも存在することは明らかです。問題は、現状でもそういう事故が起き得るかどうかということです。
 右のほうで参考文献を2つ挙げさせていただきました。これはACGIHの許容濃度に関するドキュメンテーションで、職業性の事故事例として載っている溶接作業によるものです。論文が1950年代のものと古いので、これは一応原著を確認した上で、この論文を根拠として採用するのであれば採用したいと思いますので、原著を確認する必要があると思います。
 中災防の報告書にありましたのは比較的新しいもので、溶接作業ではなく、漂白作業です。この辺を勘案しますと、追加する方向とすれば、前眼部障害、気道・肺障害ということで、ばく露により眼、呼吸器を刺激する。いずれも急性ばく露による呼吸器系への直接の作用ということで、とるべきものと思います。
 ただし、1ppm未満のような比較的低い濃度で呼吸器の機能に対する影響があるということが実験的にいろいろ調べられておりまして、許容濃度等の提案ではその辺りが問題になっているようです。告示に追加するものとしては、そういう低いところでの呼吸器の機能に対する影響というよりは、直接の刺激作用、気道・肺に対する影響、あるいは眼に対する影響ということで取りたいと思います。少しご議論をいただきたいと思いますが、高濃度でばく露した場合には作用があるのは明らかということを頭に置いて、一応私としては○をつけさせていただきました。
○圓藤座長 いかがでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 高濃度のばく露というのはどういう形態のばく露になるのでしょうか。通常の使用というのはたぶん低濃度なのでしょうか。
○宮川委員 いや、この1950年代の論文をはっきり見ないとわからないのですが、溶接でその状況によっては相当高濃度のオゾンが発生する可能性があるというのが1点。それからもう1つ、私の身近なところでオゾンの使用と言うと、実験用の動物舎をオゾンで消毒するという作業を聞いております。そのときにうっかり濃度がしっかりと下がっていない状況で、そこに労働者が入れば、ばく露する可能性が無きにしも非ずかなと思います。ただ、そのような新しい報告がございませんので、近年日本ではそのような事故の例が全然ないのだという状況が別にあるのであれば、その辺は考慮して、今回見送りという可能性もあるのかなと思います。いずれにせよ3つ論文を挙げさせていただいたのが、中災防からの1つは新しい漂白作業ですが、あとの2つのACGIHが挙げているのは1950年代の古い溶接作業ですので、現代の日本で可能性があるかどうかは少し検討が必要かなという気もいたしております。
○圓藤座長 オゾンはいろいろなところに汎用されていまして、大阪では水の処理のためにオゾンを曝気させまして処理して使っております。そんなところで、漏れないようにしているはずなのですが、もし漏れた場合、大量ばく露して事故につながるというのがあろうかと思います。障害を起こすとしたら、事故的なときに大量ばく露するということはあり得ると思います。
 若干気になるのは、平成15年のときの報告書に「感受性の高い人がいる」という言い方がされているのですが、必ずしもオゾンはそういう感作性のある物質と違いますので、そういう感覚ではないのではないかなと思っております。
○宮川委員 その点についてですが、1つはACGIHで許容濃度のところで盛んに議論されているのは、低い濃度のオゾンをばく露させて、高負荷、中負荷、低負荷でもって運動をさせて、呼吸機能にどういう影響があるかを見ています。その中で、もしかするとそういうデータの中に個人差があるということを考慮したものかと思います。それは許容濃度の決定の根拠となるような、比較的低いばく露状態での話かもしれないので、高濃度の場合には感受性とは関係なしに、動物実験でも肺が障害をされて、死亡に至るということは確実でございます。高濃度の場合と、低い濃度を少し分けて考える必要があるという気がしました。
○渡辺職業病認定対策室長 先ほどの話にも関連するのですが、例えば高濃度でタンクか何かに保管すると。それを通常使用するときは薄めて使うという場合に、その高濃度の状態で漏れてしまうというのと、それから薄めた状態でも障害が出ると。だけど、薄めた状態で使用するので防御措置を講じて、その防御措置をミスしたというのと、ちょっと我々は違うものと捉えているのです。先ほどの場合は、通常の使用状態で、それでもやはり危険性があるので一応防御をすると。その防御が確実でなかったというものと、それから通常は高濃度では使用することはない、薄めて使うものとして保管してあると。それが何らかの事故で高濃度の状態で漏れてしまうという事故とは、異質かなと思っておりまして。そちらのほうは本当になかなかあり得ない事故という整理になるのではないかという気がしているのですが。
○宮川委員 ただ高濃度、低濃度と申しましても、古いのでわからないのですが、ACGIHのドキュメントを見る限り、原著を確認してないのですが、その溶接の事故というのは9ppmとかで、2ppmぐらいより下になるとそういう影響がないというような記述がちょっとあります。先ほど言いました実際のヒトのボランティアを使って実験をして、呼吸機能に影響が有るか無いかというところは0.1ppmとか、0.2ppmというところが問題になっています。その濃度が100倍も違うというのではなく、せいぜい一桁程度の違いなので、作業の失敗により、あるいは防御措置の失敗により、問題になる濃度になることも考えられなくはないのかなという気もしています。
○渡辺職業病認定対策室長 そういう症例報告があるということであれば、たぶん問題なく載せるのだろうと思います。
○圓藤座長 高濃度のものは閉鎖系で人がばく露しないような形で発生させて、作業させていると。通常はそうしていると思うのですが、どこかで漏れますと、閉鎖系から漏れてばく露することというのは十二分にあろうかと思いますので、あっても良いのではないかと思いますが。
 あるとしたら前眼部障害、気道障害・肺障害という形での障害になろうかと思います。よろしいでしょうか。これも急性のものであろうかと思います。次はテレビン油、松岡先生、お願いいたします。
○松岡委員 テレビン油は追加すべき物質として○といたしました。労働の場での報告は、文献2になるのですが、陶器工場における塗装作業で使用した本物質へ皮膚接触した症例報告で、皮膚障害を症状・障害としています。文献3に報告された気道・肺障害は、通常の労働の場のケースレポートではなかったことから今回含めていません。告示上の表記として皮膚障害、具体的な内容として、反復接触により主に手などの接触部位に感作性接触皮膚炎を生じるといたしました。
○圓藤座長 ご議論いただきたいと思います。若干困るのは、単一物質ではないのですね。テレビン油は混合物です。純品ではないということなので、それの取扱いどうするか。後でガソリンというのがあろうかと思いますが、このガソリンも単一な物質ではないですね。この問題どうするかというのを少し。
○松岡委員 あとロジンというのも混合物質です。
○圓藤座長 ロジンも、この辺の整理をお願いしたいですが。
○斉藤職業病認定業務第二係長 単一物質ではない混合物につきましては、4号の1には単体である化学物質を規定することとしておりまして、それ以外の混合物を規定する必要がある場合には省令の第4号の2以下に、具体的には規定していただくことになっておりますので、そのような形でご検討いただきたいと思います。
○圓藤座長 とりあえずここでは○にしておいて、ただし書きとして、「単一物質でないので、表記の仕方については事務局が検討しておく」ということに、そちらのほうの枠になるのですね。
○斉藤職業病認定業務第二係長 第1回目の資料4の2頁目で、「化学物質等による次に掲げる疾病」ということで。いま4号の1の告示というのは、こちらの4号の1のところで規定、ご検討いただいているのですが、もし混合物で必要ございましたら2、いまの現行ですと2、3、4のような関係で規定していただいておりますので、今回の28物質のうちの。
○圓藤座長 皮膚障害だから3になるのかな。
○斉藤職業病認定業務第二係長 はい。ここの中で読めるのであれば、この2、3、4の中で規定していただくのですが、もし読めないのであれば、新たな省令として規定していただくと。
○圓藤座長 4の3に「すす、鉱物油、うるし、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患」というのがありますので、そこに織り込めるかどうかということですか。
○斉藤職業病認定業務第二係長 はい。
○圓藤座長 というところで議論いただければと思います。よろしいですか。
                  (了承)
○圓藤座長 次はキャプタン、高田先生、お願いいたします。
○高田委員 キャプタンですけれども、ここでの判断では追加する方向で考えていいのではないかということにしております。1996年以降の文献調査では、野菜、果物、果樹の栽培作業従事者で、皮膚炎の有症者を対象とした、農薬等のアレルゲンに対するパッチテストを実施した結果、キャプタンに対する感受性を示す作業者が認められたという疫学研究が国外で複数報告されております。このことから、キャプタンのばく露によるアレルギー性接触皮膚炎の発症に関する根拠はあると考えられます。
 しかし、事務局のほうから症例報告があるかどうかを精査するようにということでしたが、キャプタンの職業性ばく露によると考えられる接触皮膚炎の症例報告というのは、1995年以前に少数しかありません。右側の文献のいちばん下のものが、症例報告と考えられるものになります。それ以外ACGIHのほうにも当たりましたけれども、非常に古い時代の文献のもの、あるいはドイツ語のものがあり、入手できない状況になっております。キャプタンを加えるかどうかについては、日本国内での使用の状況を考えて、告示に追加するかどうか判断をしてはいかがかと考えております。告示上は皮膚障害ということで、具体的には反復接触により、感作性皮膚炎を生じるという形で書くのでよろしいのではないかと考えております。
○圓藤座長 いかがでしょうか。入れるとしたら、農薬の中の1つとして入れたらいいのですね。
○高田委員 そうです。
○圓藤座長 農薬その他の薬剤の有効成分の中に、キャプタンを加えてはいかがかということですがよろしいでしょうか。
(了承)
○斉藤職業病認定業務第二係長 高田先生のほうから、使用があればということでご意見をいただきました。事務局のほうで使用状況を確認したところ、農業においてキャプタンが殺菌剤として使用されております。これは2009年度のデータですけれども、209.6トンが生産されていますので、キャプタンは使用されているのではないかと考えております。
○圓藤座長 使用されているし、起こり得ると考えていいですね。入れる方向で検討したいと思います。続いて白金について宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 白金については、今回追加の必要はないものと判断し、×を付けさせていただきました。白金及び白金の水溶性塩と両方です。理由は、現在別表第1の2第4号の1に塩化白金酸及びその化合物が既に指定済みであり、皮膚障害、前眼部障害又は気道障害、これは感作性に基づくものということで指定されております。金属白金に対しては特段の問題はないと思いますし、水溶性塩という言い方ですけれども、ほとんどが塩化白金酸及びその化合物ということに該当すると思いますので、それを今回特段広げるための根拠は見つかっていないということで×を付けさせていただきました。
○圓藤座長 いかがでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 それでは、×ということで変更なしということにいたします。シクロナイトについて、柳澤先生お願いいたします。
○柳澤委員 シクロナイトについては、前回の委員会で、もう少し文献を検索した上で判断することになりました。1980年まで文献を遡ってみましたが、中災防で検索した文献以外のものは見当たりませんでした。少なくとも文献1は職業性ばく露の文献です。告示の表記として、めまい、頭痛、嘔吐等の自覚症状、意識喪失を伴う痙攣がありますので、これは追加すべき化学物質と判断いたしました。
○圓藤座長 追加するとするならば、めまい、頭痛、嘔吐等の自覚症状、意識喪失を伴う痙攣。てんかん発作ですよね。
○柳澤委員 そうです。
○圓藤座長 それを表記としては「意識喪失を伴う痙攣」と。それでてんかんということを意味しているかと思いますが、よろしいでしょうか。検討の結果○のほうに持っていきたいということですが、ご意見はございますか。
(特に発言なし)
○圓藤座長 ないようでしたら次は過硫酸カリウムを高田先生お願いいたします。
○高田委員 過硫酸カリウムについては、追加する方向で判断しております。評価の理由は、1996年以降の文献検索では、国外において製紙工場及び水質試験室の作業者で、過硫酸カリウムの経皮ばく露により、アレルギー性接触皮膚炎を発症したという症例報告がなされています。また、髪の脱色剤の製造や取扱い作業の従事者で、過硫酸塩にばく露されることにより、皮膚炎や鼻炎を伴う喘息を発症し、過硫酸カリウムの気管支誘発試験に陽性だったという症例報告もあります。以上のことから過硫酸カリウムについては、皮膚障害、気道障害を追加することが妥当であると考えております。
 なお、過硫酸カリウム以外の過硫酸塩についても、今回は対象外ということですけれども、文献検索をしておりますと、同様な障害を引き起こす可能性が高いということがありますので、これについては引き続き情報収集して検討することが必要なのではないかと考えております。告示上は皮膚障害、気道障害ということで、具体的には反復接触により、感作性皮膚炎を生じるということと、反復ばく露により感作され、鼻炎、喘息を生じるという形でまとめております。
○圓藤座長 いかがでしょうか、追加する方向で皮膚障害、気道障害として加える。若干の問題は、過硫酸カリウム単独にするのか、他の過硫酸塩を検討するのかということですが、とりあえず過硫酸カリウムで○にしておいて、その他の塩についてはもう少し文献収集しないと判断がつかないのほうがよろしいですか。
○高田委員 そうですね、実際は分けられていなくて、過硫酸塩という形で書かれている文献があります。
○圓藤座長 作業上は、ナトリウムであろうが、カリウムであろうが同じと考えてよろしいですか。
○高田委員 そうです。あと出てまいりますのはアンモニウムが脱色剤等で入っているということで、それを省いてしまって大丈夫なのかということを少し懸念しています。過硫酸カリウムは問題ないかと思いますが、ほかの物をなぜ入れなかったかという議論にならないのかということを心配しています。
○圓藤座長 どういたしましょうか。いままでも何塩という形で出しているのもあれば、過硫酸カリウムというように「カリウム」と明記しているのもあろうかと思います。そこのところは事務局と詰めさせていただくということで、表記上のことだけを検討課題にしておきましょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 単体の物質名としては過硫酸カリウム。
○圓藤座長 単体では過硫酸カリウムです。
○渡辺職業病認定対策室長 過硫酸塩という形にすると、単体の物質とは言えなくなりますか。
○圓藤座長 言えないです。ただ、いままででもインジウム及びその化合物というように、単体の物をいくつかグループとして挙げていますので。
○渡辺職業病認定対策室長 何とかと何とかの化合物という形でまとまるのであれば、それも1つの方法だと思うのです。もし、これがそういう形だとするとどのようになるのでしょうか。
○圓藤座長 やはり、過硫酸塩になろうかと思います。
○高田委員 ACGIHのほうが過硫酸塩という形になっていて、その内訳にはアンモニウム、カリウム、ナトリウムとなっておりますので、この3つが対象になるということであれば書けるのではないかと思います。
○圓藤座長 その表記のところについては、次回回しにさせていただいて、追加する方向で議論したいと思います。続いてロジウム及びその化合物で、これは私が担当です。これについては皮膚障害と気道障害にしたいと思っております。メッキ作業者で、アレルギー性の接触皮膚炎や喘息が起こっているということ。それから産衛で皮膚感作性の第2群に指定している。特に皮膚障害についてははっきりしている、気道障害についても症例があろうかと思っておりますので、ロジウム及びその化合物として感作性のものとして挙げたいと思いますがよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次はガソリンです。ガソリンは単一化合物ではありませんので取扱いに困りますが、高田先生からお願いいたします。
○高田委員 ガソリンについては、現時点では追加しない方向に考えております。1996年以降の文献調査で報告された症例報告があります。ガソリンスタンドにおいて、ガソリンタンク内部の洗浄作業や、ガソリンタンクにつながる箱の修理作業時に高濃度のガソリン蒸気を吸入した急性中毒症例となっております。
 なお、産衛のほうの許容濃度の文献等を拝見しますと、国内で石油ベンジンによる多発性神経炎が報告されておりますけれども、1995年以前で、具体的には1975年、1980年といった古い文献となっております。そのような古い文献の症例報告しかないということと、ガソリンという扱いでは事故的な事例の報告しかないということで、現時点では追加する必要はないと判断しましたが、こちらについては事故的なものと扱うのか、通常労働の場で起こり得ると考えるのかということについてはご議論いただく必要があるかと思います。
○圓藤座長 ガソリンの成分は、時代によって変わっているのかもわかりませんが、いかがいたしましょう。単純な刺激症状とか、皮膚からの吸収がありますので、皮膚症状があってもいいかという気がいたします。末梢神経障害になってきますと、ヘキサンなどが含まれていたかどうかという問題がありますので、成分によって症状はかなり違うような物が入ってくると思います。
○高田委員 成分で毒性が異なるという形です。
○圓藤座長 毒性が異なる物を全部盛り込むわけにはいかないと思いますので、取扱いが難しいですね。
○宮川委員 事務局にお聞きしたいのですけれども、例えばガソリンで事故が起きたときに、調べれば、これは中にトルエンが入っていたとかというように成分がわかると思うのです。その場合には、それぞれの成分について、既にある表の指定に従って対応は可能と考えてよろしいのでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 そうです。現在そういう形でやっていると思います。既に、ガソリンに含まれるいろいろな物質の中で、今回の症状というのはこの物質によって起こったということであれば、それで対応していると思います。
○宮川委員 そういたしますと、急性の症状については、主な有機溶剤等のところで相当の部分がカバーされているのかという気もいたします。
○渡辺職業病認定対策室長 そうです。
○宮川委員 そうすると、ここでガソリンを入れなかったために大きく必要なところが漏れてくる、という懸念については、それで担保できているのかという気がいたします。
○高田委員 文献を拝見いたしますと、出てきている物としてはトルエン、キシエン、トリメチルベンゼンといったような物質になっております。
○圓藤座長 個々の成分についていくつか列挙されておりますので、それらを含む混合物として対応可能であれば、あえてガソリンとして告示にする必要は。
○渡辺職業病認定対策室長 これも混合物だと思いますので、もし告示というか別表の中に加えるとしても、4号の1の告示ではなくて、4号の2以下の個別の例示列挙、例示疾病になると思います。いままでに聞いたお話では、4号の1の告示されている単体物質の中で大体救済が可能ではないかという感じがしました。
○圓藤座長 そういうことで、×ということでよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次の、銀及びその水溶性化合物については私です。これは古典的な中毒で、皮膚、角膜、結膜の色素沈着が主で、視力低下はそれに引き続いて起こるようですが、果たして視力低下まで行くのだろうか、そこまで来るのだろうかということで疑問に考えております。前眼部障害というのを加えるかどうかです。日本産業衛生学会は、角膜、結膜の銀症を予防することを根拠に許容濃度を決めておりますが、いかがいたしましょうか。
 例えば1979年のジャーナル・オブ・オキュペイショナル・メディスンでは、硝酸銀と酸化銀にばく露した30人の作業者で、結膜、角膜に銀の沈着が明らかになった。その段階で夜間の視力の低下を訴えたということがあります。あってもいいのかなと思いますけれども、それほど強く出てくるようには思えないので、私は△にしてしまったのですが、先生方のご意見はいかがでしょうか。
○宮川委員 これも急性で、通常起こらないこととして除くべき物なのか、あるいは入れたほうがいい物なのかちょっと気になります。私が気になったのは、急性の、硝酸銀の溶液を浴びた場合、これは明らかに事故が起きる可能性はあるのかと思いますが、そうではなくて慢性で視力障害までいくのが症例多数ということはちょっと考えにくいのかという気がいたしました。
○圓藤座長 現時点では、入れるべき積極的な理由がないという形にいたしましょうか。そういうことで△のまま、あるいは次回積極的な理由があれば考えますが、そうでなければ外す方向で考えます。次に2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)について高田先生からお願いいたします。
○高田委員 2,4-Dは、現時点では×と付けておりますけれども、△か×かというところかと考えております。評価の理由は、1995年以前の古い文献で、この内訳は1980年以前で、英語以外の症例報告も結構ありますが、2,4-Dを含有する農薬散布作業において、農薬と直接接触する経皮ばく露と、吸入ばく露によって、軽度の消化管刺激症状、吐き気、嘔吐等に続いて、進行性の末梢神経障害、これは感覚障害及び運動障害ですが、それが生じることが報告されております。しかし、1996年以降の文献検索においては、職業性ばく露による症例報告は見当たらなかったため、中災防の報告書は致し方なく文献レビューの記載内容を入れたという状況でした。
 以上のことから、2,4-Dについて、最近については職業性ばく露による中毒症例に関する十分な情報が蓄積されておりませんので、継続検討するのがよろしいのかと考えております。一次文献のほうはまだ当たれておりませんので、そちらを精査し、もう一度改めて判断をさせていただきたいと考えております。
○圓藤座長 いかがでしょうか、農薬としては有名な物でありますけれども、最近は中毒事例はそれほど報告されていない。積極的に入れるべき文献に乏しいということで、△ということであろうかと思います。文献があれば○ですが、どちらかといったら外す方向でというご意見ですがいかがでしょうか。
(特に発言なし)
○圓藤座長 それでは、現時点では△で、次回もなければ×ということにいたしましょう。次はすず及びその化合物について松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 すず及びその化合物は、追加すべきではないと今回は判断いたしました。すずに関しては無機と有機に分けて考える必要がありますが、無機すずに関してはじん肺としての取扱いのため追加は不要とした、というのが前回の議論です。一方、有機すずに関して前回の議論では追加すべきということでした。この症例3は、有機すずの中のトリメチルスズですが、追加すべきということでしたけれども、事務局で検討していただいた結果、トリメチルスズの症例報告は急性中毒に関するものであるので、遅発性の可能性がある場合には追加するというコメントをいただきました。それで検討いたしましたが、本症例は急性中毒であり、かつ高濃度ばく露であるということ。後遺症はあるが、遅発性の症状・障害もないと思われることから、追加しないという判断をしました。
 しかしながら、先ほどのアセトニトリルと非常に似ていて、このケース3も有機すずを貯蔵するタンクの清掃作業中にばく露を受けて神経症状が起きた症例なので、急性中毒でありますが、追加すべきかどうかをもう一度考える必要があるのかと考えています。ご議論をお願いいたします。
○圓藤座長 無機については、既に別表に載っているということですね。
○松岡委員 はい。
○圓藤座長 だから、それで新たにその別表を変える必要はないという結論でいいかと思います。有機については、急性が起こり得るということですが、それがどの程度の頻度で、どういう状況で起こり得るのかということがあろうかと思いますので、取扱状況等を調べた上でという形にして、本日は△にしておきましょうか。
○松岡委員 はい。
○圓藤座長 何かご意見はございますか。
○斉藤職業病認定業務第二係長 先ほどの松岡先生ご担当の、アセトニトリルとすずのところなのですが、告示に追加するかどうかのところで、通常労働の場での症例報告なのかというところがあります。次に症状・障害のところで急性症状の物の症例については、事務局の整理で急性症状のものしかない症例については、ほかに慢性的な症例報告がある場合には、急性の症状と慢性の症状を合わせて追加すべきということで精査していただきましたので、それでこの2つについてはそのような形で松岡先生にご依頼いたしました。急性中毒のものの症例ですので、慢性のものがほかにあるのであれば告示に追加すべきものと考えています。
○圓藤座長 調べましょうか。
○松岡委員 アセトニトリルもトリメチルスズも慢性ばく露ではなくて、急性ばく露による中毒症状が私の知る限りすべてかと思います。したがって、その急性中毒の取扱いをどのようにされるかということに尽きるかと思います。
○斉藤職業病認定業務第二係長 先生に調べていただいて、慢性的なものはないということでありましたら、これが急性ですと告示に追加しなくても、労働災害として認識し得るということなので、これまで告示に追加してきていないのだろうと理解できます。確かにトリメチルスズとアセトニトリルについては、症例報告として通常労働の場での症例報告として捉えたとしても、急性中毒の症例ですので、それについての症状・障害は規定しなくてもよいのではないかと考えておりますが、室長、それでよろしいでしょうか。
○松岡委員 事務局からいただいたコメントも、私はそのように理解いたしました。
○渡辺職業病認定対策室長 急性しかない。
○斉藤職業病認定業務第二係長 はい。
○松岡委員 急性ばく露で起き得る事故といいますか災害です。
○渡辺職業病認定対策室長 それは、いままで告示に加えていないということですね。
○斉藤職業病認定業務第二係長 そういうことで整理できているのではないかと考えております。
○渡辺職業病認定対策室長 そこは、そういうこれまでの告示の考え方がそういうものであるとすれば、それは踏襲するのだろうという気がいたします。
○河合補償課長 先生がおっしゃったのは、ほかの物質との、先ほどの話は整合性の問題ですよね。
○松岡委員 そうです。
○河合補償課長 前段のどれでしたかね。
○松岡委員 アセトニトリルです。
○河合補償課長 入れるのであればこれも入れるし。
○松岡委員 そうです。
○河合補償課長 そっちを外すのなら、これも外すのだということをおっしゃっているだけなので、それは私もそうだと思います。
○松岡委員 そうです。
○河合補償課長 だから、そっちを決めないといけないです。
○圓藤座長 症例を集めたりして検討しましょうか。次回回しにしましょうか。
○松岡委員 トリメチルスズというのは、教科書に載っているような有名な神経毒性物質なのですけれども、事故はそう多くないです。もう1点問題があるのは、トリエチルとか、トリフェニルスズという有機すずもあるので、今回の中災防報告書の中には挙がってきませんでしたけれども、そのような神経毒性物質をどうするのかということも懸念しているところです。
○圓藤座長 有名な神経毒性の物質ですが、現在は有機でブチルスズだけが入っています。
○松岡委員 そうです。
○圓藤座長 △にしておいて、次回回しにしましょうか。こういう物の取扱いというのは、事務局は事務局なりに考えていただきたいと思いますし、我々のほうは症例をもう少し集めて、どういう状況下で、どんな障害が起こるのかを調べるということで、無機に関しては×ということにいたします。続いて二亜硫酸ナトリウムについて、柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 二亜硫酸ナトリウムは、主に防腐剤などに使用されております。文献を見てみますと、中災防で3つの文献を挙げております。少なくとも文献2、文献3は職業性ばく露の文献です。私は、文献1も職業性ばく露として起こり得ると思っています。従って、これは追加すべきと考えます。告示上の表記としては、喘息が発症しますので気道障害、また手指に接触性皮膚炎がみられますので皮膚障害と表記いたしました。
○圓藤座長 いかがでしょうか。気道障害、皮膚障害で加えてはいかがかということですが、よろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 それでは○ということにいたします。次にロジンについて松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 ロジンは追加すべき物質であるといたしました。文献2も通常労働の場で起こり得る症例報告と判断して、各文献に共通的に現れた皮膚障害を症状・障害としました。また、気道・肺障害と、その他として挙げた鼻粘膜、鼻や喉の刺激症状、胸部絞扼感などは文献3のみの症状で共通ではないのですけれども、通常労働の場での報告であることから症状・障害に含めました。
 告示上の表記としては、皮膚障害、気道・肺障害です。具体的な症状としては、反復接触により、主に手、腕などの接触部位に感作性接触皮膚炎、掻痒性湿疹、紅斑などを生じる。咳、喘鳴、呼吸困難などを生じる。その他として、鼻粘膜、鼻や喉の刺激症状、胸部絞扼感などを生じることがあるとしました。これも混合物となります。
○圓藤座長 よろしいでしょうか、混合物ですので取扱いは事務局のほうで検討していただきたいと思います。次は、フェニルグリシジルエーテルについて宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 追加する方向で○という判断をさせていただきました。中災防の調査研究報告書の中には、当該物質に対するパッチテストでの陽性皮膚炎の報告が含まれていますが、当該化学物質へのばく露が必ずしも明確ではない報告のみのため、ほかの文献を少し見ました。
 厚生労働省リスク評価で作成された有害性評価書には、職業性ばく露による皮膚感作性について記載があります。GHS政府分類でも、皮膚感作性区分1とされております。これら中災防資料以外の文献を参考として総合評価いたしますと、感作性により皮膚障害を追記するのが適当と思います。
 なお、文献欄として参考までに資料を挙げさせていただきました。この物質についてはACGIHのドキュメンテーションでも、感作性ありということでACGIHでは感作性物質に挙げておりますので、そこで採用されている文献を是非精査したいと思います。そこを確認の上、皮膚障害として記載し、反復ばく露で感作性により皮膚炎を生じるということで追加をするべきものと考えます。
○圓藤座長 いかがでしょうか。追加する方向で○でよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次は酢酸について柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 酢酸に関する文献は、事故あるいは自殺目的ばかりです。従って、今回は追加しない方向を考えています。
○圓藤座長 酢酸は非常に臭いが強いですので、ある程度防げると思います。爆発事故で全身に浴びたような場合はあり得るのですが、あえて告示の中に入れなくても対応できるのではないかということですが、いかがでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 それでは、今回は×ということで入れないことにいたします。次の酸化カルシウムについて柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 酸化カルシウムも、文献的には事故起因性のものばかりでした。したがって、酢酸と同じように、今回は追加しないで見送るべきと判断いたしました。
○圓藤座長 私は、文献2の中で、海苔の缶に入っていた石灰乾燥剤を安全靴の中に入れておいて、そのままはいてしまったということはよくあり得るのではないかと。あれは結構怖いのですが、一般の方々はその怖さをご存じない方が多いのではないかと思いますので、あってもいいのかなという気がしておりますが、ご意見をお願いいたします。
 これは、3にアルカリが載っていますので、それと同じように入れるのかどうかというところですが、入れるかどうかについて事務局で検討していただけますか。とりあえず、今回は△にしておきたいと思いますがいかがでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次のシアナミドは私です。これは嫌酒薬として用いられていて、アルデヒドデヒドロゲナーゼの阻害作用があって、アルコール代謝を抑制して、アルデヒドが蓄積するということで、ACGIHは、眼や皮膚の刺激を減らす目的でTLV-TWAを設けております。私は、積極的に入れるとするならば、肥料等の使用時に、消化器症状、頭痛、アレルギー性接触皮膚炎などが発生することがあるので、皮膚障害ということになるのですが、それほど起こるように思えなかったので×ないし△にしておりますが、いかがでしょうか。×でよろしいですか。
(了承)
○圓藤座長 次は2-シアノアクリル酸エチルについて、宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 この物質は、中災防から来ました資料では非常に不十分なので×もあり得ると思ったのですが、少し調べますとACGIHのドキュメンテーション等に記載があります。私としてはそこの記載があった中で、職業性のばく露によって生じる皮膚障害をもとに、追加すべきということで○を付けたのですが、ちょっとご検討いただきたいのは、肝心のACGIHのドキュメンテーションが最後の部分の結論で、証拠不十分なため、感作性物質にリストアップしていないという事実がありますので、△も視野に入れてご検討いただきたいと思います。
 なお、ACGIHでは同様に本物質の類似物質でありますシアノアクリル酸メチルのほうも感作性物質に入れておりませんが、シアノアクリル酸メチルについては、既に告示で対象物質として入っております。もし入れるとすると皮膚障害で、反復ばく露で感作性により皮膚炎を生じるというものになると思います。一旦○を付けたのですが、躊躇しているところです。論拠はACGIHの結論が、感作性に入れていないというところがあります。
○圓藤座長 いかがでしょうか、ACGIHも結論を出していないようですので、文献を調べ直すということで△にさせていただいて、本日は結論を出さずにおきたいと思います。次の二酸化塩素について、柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 二酸化塩素については、中災防で検索した文献は、非職業性の報告ばかりです。いろいろ文献を調べてみたのですが、職業性ばく露に関連した文献はありませんでした。したがって、この二酸化塩素については見送ったほうがよいと考えております。
○圓藤座長 毒性がありそうなものですけれども、文献が十分でないということで△にしておきましょうか。挙げるには、まだ十分な証拠がないということです。次のニトロメタンも、ACGIHが弱い麻酔作用と、気道刺激、肝障害の原因となるとしておりますけれども、それほど強くないようですので、まだ文献が不十分ではないかと思っておりますので、×ないし△にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 以上、資料1に関してのディスカッションは終わらせていただきます。資料2に移りまして、カーボンブラックについて松岡先生からお願いいたします。
○斉藤職業病認定業務第二係長 先に、事務局から資料2から資料5までをご説明させていただきます。資料2は、調査研究で症例報告があった48物質のうち、残りの18物質についても、ご担当の委員を決めさせていただいて総合評価をしていただきました。その総合評価を取りまとめたものが資料2です。この資料2に基づき、告示に追加すべきか否か。追加すべきでありましたら、評価シートに記載されている症状・障害の内容についてご検討いただきたいと思います。
 なお、資料の18物質については、各委員の仮の評価において、お1人の先生が追加すべきとされた物質か、全委員が現時点では追加する必要がない、又は評価保留とされた物質です。そのほか18物質について、ご検討の基礎資料としていただくために資料3、資料4、資料5を準備しております。
 資料6については、化学物質対策課において、中小企業等における化学物質等の管理に資するために、有害化学物質についてのリスク評価を行っておりますが、今回ご検討いただく18物質のうち、30番のニッケル及びその化合物、35番の2,4-ジニトロトルエン、42番の1,2-ジブロモエタンについては、この中でリスク評価が行われており、その結果が報告書として取りまとめられております。資料6-1がニッケル関係です。資料6-2が2,4-ジニトロトルエンの報告書です。資料6-3が1,2-ジブロモエタンに係る報告書です。資料については以上です。
○圓藤座長 それでは、最初に松岡先生にカーボンブラックをお願いいたします。
○松岡委員 結論としては、追加すべきではないということです。文献1と文献3はじん肺の症例報告なので、今回は規定に当たらないということです。文献2はオフィスワーカーで、レーザープリンターがある職場です。クローン病との関係を示唆するような論文でありますが、因果関係が明確ではないと考えられますので、これも今回は該当すべき疾病ではないと判断し、追加すべきではないという結論にいたしました。
○圓藤座長 1番の木炭工場と3番の木炭倉庫というのは、木炭による粉じんでじん肺が起こり得ると思うのですが、これはじん肺法の中で規定されていますよね。
○松岡委員 別表第1の2の第5号で規定されています。
○圓藤座長 そちらのほうにありますので、追加する修正をする必要はないと思います。2番のレーザープリンターはごく微量使っている所で、そんなに汚染するようなものではありませんので、じん肺のほうで規定されているので十分対応できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 そういうことで、×ということでよろしいかと思います。次のニッケル及びその化合物について、柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 これは、文献1がネックレスによるアレルギー性接触性皮膚炎です。文献2と文献3は、歯科治療用のニッケル含有歯科金属を用いたときの、口腔内のアレルギー様反応です。告示上の表記として、皮膚障害、口腔粘膜障害はありますが、3文献はすべて非職業性ばく露ですので、今回は追加しない方向を考えております。
○圓藤座長 ご意見をいただけますか。
○宮川委員 ニッケルについては、今回いただいた中災防の資料を見る限りは証拠不十分だと思うのですが、ニッケルによる感作性の皮膚炎は非常によく知られていて、普通は非職業性のものが多いために、職業性のものが隠れている可能性があるので、職業性はないとするのもちょっと困った結論になるような気がいたします。
 それから、厚労省のリスク評価事業の評価書の総合評価表のところに、ニッケルが皮膚感作性を有することはよく知られているが、ただその主要な原因はニッケル化合物への非職業性のばく露であるという記載もありますので、なかなか難しいところがあります。
 少なくとも、皮膚に関して職業性のばく露で起きないかというと、ACGIHの中で探しますと、職業性のばく露による皮膚炎等の文献が見つかりますので、単純な×ではなくて、継続して調査をしていただく必要があるのかという気がちょっとしております。発がんについては、精錬作業ということで対象になっています。
○圓藤座長 ニッケルによる接触皮膚炎というのは有名な物質でありますので、△にしておいて次回議論したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 続いて、モリブデン及びその化合物について宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 モリブデン及びその化合物について中災防の資料にあるのは、本物質に個有の情報ではなくて、いろいろな混合物ということですので、本物質について特段の判断ができないということで、これは追加する必要はないと判断いたしました。
○圓藤座長 モリブデンは、超硬合金の一部分ですかね、使われますよね。
○宮川委員 はい。
○圓藤座長 超硬合金の粉じんを飛散する場所の業務における気管支、肺疾患として規定されておりますので、それに含まれているのでそれに追加することはないということで取り扱わせていただいてよろしいですか。
(了承)
○圓藤座長 次の、イソシアン酸メチルについて宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 これも、先ほどから議論になっておりますような、通常の労働の場ではばく露が起きないと思われるような、ボパールでの爆発による事故が中災防の資料に載っておりました。そういう例外的なことを考えると、追加する必要はないのかなという気がいたします。
○圓藤座長 ボパールでの事故は大事故でありましたので有名でありますけれども、そういう事故はそう起こらないと思いますので×でよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次は私で、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートです。文献が混合ばく露で、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートによるものかどうかが明確に出てこないということで、単一物質による症例報告がないため、今回は追加しない方向で議論したいと思います。また新たな論文等が見つかりましたら、その時点で考えたいと思いますがよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 続いて、クロロジフルオロメタンについて高田先生からお願いいたします。
○高田委員 クロロジフルオロメタンについても、中災防の報告書に出ている3文献は、いずれも事故的ばく露の症例です。産衛の許容濃度を見ても、人における中毒事例としては、漁船の冷凍機用フロン22の噴出事故の死亡2例といったものが出ております。事故的なものが多いということですので、今回はあえて追加する必要はないのではないかと考えています。
○圓藤座長 よろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 続いて、2,4-ジニトロトルエンについて高田先生からお願いいたします。
○高田委員 2,4-ジニトロトルエンについては急性中毒症状として、頭痛、めまい、嘔気、嘔吐、チアノーゼ、貧血、白血球増加などについては、1995年以前の文献しかなく、今回は調査対象外であります。1996年以降最近のものについての文献はありません。
 発がんについては、肝臓、胆管、胆嚢がんの死亡リスクが増加した疫学研究については1995年以前の文献が報告されていますけれども、IARCの評価で、発がんの証拠として不十分であると判断されております。腎・尿路系がんについては、1996年以降に中災防の報告書にも載せましたとおり症例報告がありますけれども、因果関係を評価できる十分な情報が掲載されている文献が見当たらないということで、今回は告示に追加する必要はないのではないかということで判断しております。
○圓藤座長 発がん性については、また改めて議論したいと思いますので、発がん性以外の部分で本日は議論したいと思いますが、特に追加する積極的な理由はないということですので外したいと思います。続いて、4,4,-メチレンジアニリンについて柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 文献1は、プラスチック製のサンダルをはいた後に、激しい掻痒感が出現した報告です。文献2は汚染事故です。文献3は、アルコール飲料にメチレンジアニン粉末を添加して飲酒した意図的なばく露です。皮膚障害、消化器症状、肝障害など、いろいろな障害が出現します。今後、検討すべき化学物質として、このまま保留する方向を考えております。
○圓藤座長 あるとしたら接触皮膚炎ですね。
○柳澤委員 そうです。
○圓藤座長 だから、接触皮膚炎について、職業性にあり得るかどうかもう少し文献調査が必要であろうということで△にしておきましょうか。
(了承)
○圓藤座長 次に、メチルエチルケトンパーオキサイトについて松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 メチルエチルケトンパーオキサイトは、自殺目的又は誤飲の文献だけです。通常の労働の場で発生する可能性は極めて低いので、追加しない方向を考えております。
○圓藤座長 自殺とか誤飲ですので、症例が異なるということで×でよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次の、エチレングリコールについて宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 こちらも自殺目的の意図的な摂取等の文献ばかりでしたので、追加の必要はないと思います。
○圓藤座長 それでは、×でよろしいですか。
(了承)
○圓藤座長 次の、バリウム及びその水溶性化合物について松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 自殺企図又は誤飲によるものなので、今回は加えるべきではないと判断いたしました。
○圓藤座長 ×でよろしいですか。
(了承)
○圓藤座長 続いて、プロピルアルコールについて松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 これも自殺企図又はアルコール中毒の患者さんが内服する化学物質なので、今回は加えるべきではないと判断いたしました。
○圓藤座長 はい。次のエタノールは私です。非職業性で、少し接触皮膚炎の方がおられるということですが、軽微ですし、もともとアルコールはお酒等にたくさん含まれていて、日常生活で接するものでありますので、あえて職業性で議論する必要はないかと思いますので、×にいたしました。次に1,2ジブロモエタンについて宮川先生からお願いいたします。
○宮川委員 1,2ジブロモエタンですけれども、中災防の資料は、職業性災害としては不適切なものだったのですが、こちらも国のリスク評価書が出ております。そこでは、人への影響として職業性の事故の例が載っております。この資料に書きましたように、タンクの清掃作業で残っていた物にばく露することにより、ここにあるような急性中毒が生じております。このようなものは職業性ばく露なのですが、タンクの清掃というのをどう取るかは先ほどもいくつか物質が出ましたけれども、比較的よくそういうことがあるのか、めったにないことで、例外的な急性中毒として追加する必要はないのかについて考えたいと思います。特に事務局の判断によると思うのです。一応×を付けましたけれども、気持としては△で、こういう場合の取扱いについて事務局に考えていただきたいということです。
 急性と慢性と両方という話がありましたけれども、先ほどもちょっと申しましたように、有機溶剤等では、急性による中枢神経系の麻酔とか、刺激作用も一応記載されておりますので、その辺の線引きがなかなか難しいのかなと。塗料として使われているものは採用するとか、タンクの清掃ぐらいしか起きないものは、そのときのみの対応で採用しないという方法もあると思いますので、こちらは事務局に検討していただきたいと思います。
○圓藤座長 これは、酸素欠乏とかの他の要因で起こっているわけではないのですね。
○宮川委員 この物質によるものです。
○圓藤座長 この物質によるものであるということですが、問題は濃度がどの程度であるのかということとの関係があろうかと思いますので、事務局並びに宮川先生にも少し調べていただくほうがいいのではないかと思います。とりあえず、本日は△にさせてもらって、取扱いを次回に回したいと思います。次の、銅及びその化合物について柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 中災防の報告書の中の文献1は、歯科治療用の金属として用いた症例報告です。文献2は整形外科的な治療のために使用した症例報告です。文献3は自殺目的です。銅及びその化合物については、平成15年にも1度検討されていて、今回も明らかな職業性ばく露の報告がないので、追加しない方向を考えております。
○圓藤座長 ここに挙がっている症例は、職業性でばく露する量に比べてべら棒に多い量であろうかと思いますので、関係ないのかと思います。
○斉藤職業病認定業務第二係長 いま柳澤先生からお話がありましたように、銅については平成15年に検討しておりまして、それは資料7として用意しております。資料7の4頁に、銅又はその化合物による疾病ということで出ておりますので、こちらを読み上げてみます。「第194号勧告において、『銅又はその化合物による疾病』が入っているのは、予防のため統計を取るためと考えられる。ILOにおいて第194号勧告が最新の補償のための職業病一覧表として採択されたのであれば、当該物質の疾病を入れなければならないが、近年の医学文献を精査した限りにおいて注目に値するものはなかった。また、過去10年間の医学文献等のうち、症例対象研究においてパーキンソン病と慢性腎不全で銅ばく露のオッズ比が高いとの報告があったが、各々一遍にすぎないこと、さらに症例対象研究においては、因果関係についての情報に限界があることから、新たな健康影響の知見とは言えないため、現時点において、新たに検討する必要はないというのが、平成15年のときの検討結果です。
○圓藤座長 資料7がありますが、1つ目のGorellらのはマンガンばく露で10.6となっていますので、マンガンによる影響はどれだけ除外して銅の影響を見ているかというところがあろうかと思いますので、必ずしもポジティブな論文とは思えないです。慢性腎不全に関しては銅の影響が書いてありますが、ばく露量の情報はないということで、少しデータ不足であろうかと思います。×でよろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 次のブタンは私です。文献1は症例報告で急性中毒で、事故です。文献2は労働以外の症例で、文献3は労働以外の症例で、特に追加するほどのことは見つからなかったので×にしておりますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 続いて、ヒドロキノンについて高田先生からお願いいたします。
○高田委員 ヒドロキノンですが、皮膚障害として接触性皮膚炎、あとは色素異常(脱失)が見られておりますが、皮膚障害は1995年以前の文献のため、今回の調査対象外ですけれども、こちらの扱いをどうするかということはお考えいただいたほうがよろしいかと思います。中災防の報告書では、急性白血病の症例があったのですが、今回は発がんのほうは議論しないということになっております。症例報告はありますが、因果関係を評価できる十分な情報が掲載されている文献は見当たらない状況になっております。
○圓藤座長 あるとしたら接触皮膚炎ですが、どの程度の頻度で接触皮膚炎が起こるのかということがあろうかと思います。
○高田委員 ACGIHのほうで、感作性がある扱いになっております。
○圓藤座長 有にしていますか。
○高田委員 はい。確かに古い文献で、1995年以前では報告があります。
○圓藤座長 △にしておいて、接触皮膚炎についてあり得るのかどうかということですね。
○高田委員 あとは、皮膚の色素脱失とか、白斑についてもあります。
○圓藤座長 それでは、皮膚症状について起こり得るかどうか、もう少し検討したいと思いますので、本日は△にしておきます。次の、リンデンについて松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 文献1は非職業性のばく露で、文献2はばく露の形態が不明です。文献3は、リンデン農薬使用による非ホジキンリンパ腫のリスクの増加です。そもそも、リンデンは化審法第一種特定化学物質で、現在は製造中止なので、使われる可能性はないということから、今回は追加すべきではないという判断をいたしました。
○圓藤座長 リンデンというのは、γ-BHCですから、1970年代に禁止になっているのではないかと思いますので使用されていない。そういうことで×にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(了承)
○圓藤座長 少し宿題が残りましたけれども、追加の18物質を終わらせていただきます。次の28物質については、○△×等がありますので、次回に△のところのポジティブな意見が出ましたら○にいたしますけれども、ポジティブな意見がなければ今回は外す方向で×にしておきたいと思います。その方向で次回に議論したいと思います。18物質については、一部の物質について△があったかと思いますが、それについては次回までに文献を調べて、追加できるかどうか考えて、追加する十分な証拠がなければ×にしていきたいと思います。それらについて、次回までに検討したいと思います。
 次回の分科会までの進め方ですが、28物質のうち結論を出せなかった物質については、次回までに文献等を精査して結論を出したいと思います。残りの18物質についても、最終の評価を次回に行いたいと思います。また宿題になりますが、△になった部分について評価シートに記載の上、来年1月末を目処に提出していただきたいと思います。○△×についてある程度まとめていただいて、それを我々のほうにいただいて、担当の先生だけではなくて、みんなで探す作業をして、それで1月末に事務局のほうにお返しするということでいいのですね。
○渡辺職業病認定対策室長 本日の議論のまとめみたいなもので、本日宿題になった事項をまとめさせていただいて、先生方にお送りいたします。
○圓藤座長 事務局は事務局のほうでご検討いただくのもあろうかと思いますので、それで1月末を目処に集計し、そして次回検討したいと思います。それから、次回の分科会では、ILOの職業病一覧表に追加された3物質について、また平成15年の検討時点では追加する必要はないとされた3物質、計6物質についても検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかに先生方から何もないようでしたら、本日の検討会はこれで終了したいと思います。次回の日程等を事務局からお願いいたします。
○斉藤職業病認定業務第二係長 次回の日程ですが、来年の2月中旬を目処に別途調整させていただきたいと思います。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。本日は、お忙しい中を大変ありがとうございました。


(了)

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