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2011年12月7日 第1回健診・保健指導の在り方に関する検討会 議事録

健康局総務課生活習慣病対策室,保健指導室

○日時

平成23年12月7日(水)17時~19時


○場所

中央合同庁舎5号館9階 厚生労働省 省議室


○議事

出席者
 構成員
  荒木田 美香子 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻看護学分野地域看護学領域教授
  井伊 久美子  公益社団法人日本看護協会常任理事
  大井田 隆   日本大学 医学部教授
  大江 和彦   東京大学大学院 医学系研究科医療情報経済学分野教授
  門脇 孝    東京大学大学院 医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
  迫 和子    社団法人日本栄養士会専務理事
  佐藤 保    社団法人日本歯科医師会常任理事
  島本 和明   札幌医科大学長
  竹村 克二   医療法人寿慶会竹村クリニック院長
  津下 一代   あいち健康の森健康科学総合センター長
  鳥羽 研二   国立長寿医療研究センター病院長
  永井 良三   東京大学大学院 医学系研究科教授
  野口 緑    尼崎市環境市民局市民サービス室健康支援推進担当課長
  林 謙治    国立保健医療科学院長
  保坂 シゲリ  社団法人日本医師会常任理事
  三浦 宏子   国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野統括研究官
  宮澤 幸久   帝京大学 医療技術学部教授
  宮地 元彦   独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部長
  山門 實    三井記念病院総合健診センター所長

 厚生労働省
 (健康局)
  外山健康局長
  野田生活習慣病対策室長
  尾田保健指導室長
  畑農保健指導室保健指導専門官
  三田生活習慣病対策室長補佐
 (保険局)
  鈴木医療費適正化対策推進室長



○尾田保健指導室長 ただいまから第1回「健診・保健指導の在り方に関する検討会」を開催い
たします。
 構成員の皆様には御多忙の折、お集まりいただき、御礼を申し上げます。健康局総務課保健指
導室長の尾田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、会の始めに、健康局長の外山千也よりごあいさつ申し上げます。
○外山健康局長 厚生労働省健康局長の外山でございます。
 平素より公衆衛生行政に多大なる御理解と御協力をいただきまして、誠にありがとうございま
す。
 本日は、お忙しい中を御参集いただき、ありがとうございました。第1回の「健診・保健指導
の在り方に関する検討会」の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 厚生労働省におきましては、壮年期死亡の減少、健康寿命及び生活の質の向上を実現すること
を目的といたしまして、平成12年度から21世紀におきます国民健康づくり運動、いわゆる健康
日本21について取り組んでまいりました。
 今年度10月に健康日本21評価作業チームによりまして最終評価のとりまとめを行い、これを
踏まえ、更に、平成21年度からの新たな10年間の健康づくり対策の在り方につきまして、先月
に国民健康づくり運動プラン策定専門委員会を設置いたしまして検討を開始したところでありま
す。急速な高齢化や社会的格差などがもたらす国民の健康への影響など、今後、取り組むべき健
康課題を踏まえながら検討を行い、来年の春ごろを目途といたしまして、基本方針をとりとまめ
る予定でございます。
 今回の「健診・保健指導の在り方検討会」におきましては、この次期国民健康づくり運動の検
討内容や方向性を踏まえつつ、生活習慣病予防に関する最新の知見や研究成果に基づきながら、
今後の健康診査及び保健指導の在り方について、御議論いただきたいと思っております。
 特に、平成20年度に開始されました特定健診・保健指導につきましては、制度導入後に一定の
知見が集積されてきておりますので、それらを踏まえまして、特定健診・保健指導の在り方につ
きまして、皆様から御忌憚のない御意見、御議論を頂戴いただければと考えております。
 最後になりましたけれども、今後とも本検討会並びに健康施策の推進に格別の御協力をいただ
きますようお願い申し上げ、私からのごあいさつとさせていただきます。
 本日はよろしくお願いいたします。
○尾田保健指導室長 続きまして、当検討会に御参集いただきました構成員の皆様の御紹介をい
たします。
 国際医療福祉大学大学院教授の荒木田美香子構成員は遅れるという御連絡をいただいておりま
す。
 社団法人日本看護協会常任理事の井伊久美子構成員です。
 日本大学医学部教授の大井田隆構成員です。
 東京大学大学院教授の大江和彦構成員も遅れるという御連絡をいただいております。
 東京大学医学部附属病院院長の門脇孝構成員です。
 社団法人日本栄養士会専務理事の迫和子構成員です。
 社団法人日本歯科医師会常任理事の佐藤保構成員です。
 札幌医科大学学長の島本和明構成員です。
 医療法人寿慶会竹村クリニック院長の竹村克二構成員です。
 あいち健康の森健康科学総合センター長の津下一代構成員です。
 国立長寿医療研究センター病院長の鳥羽研二構成員です。
 東京大学大学院教授の永井良三構成員です。
 尼崎市環境市民局市民サービス室健康支援推進担当課長の野口緑構成員です。
 国立保健医療科学院院長の林謙治構成員です。
 社団法人日本医師会常任理事の保坂シゲリ構成員です。
 国立保健医療科学院総括研究官の三浦宏子構成員です。
 帝京大学医療技術学部教授の宮澤幸久構成員です。
 独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部部長の宮地元彦構成員です。
 三井記念病院総合健診センター所長の山門實構成員です。
 到着されました荒木田美香子構成員です。
 なお、国立病院機構京都医療センター・臨床研究センター研究員の松岡幸代構成員、千葉大学
看護学部教授の宮崎美砂子構成員、青森県立保健大学健康科学部栄養学科教授の吉池信男構成員
の3名におかれましては、本日欠席との御連絡をいただいております。
 続きまして事務局の紹介をさせていただきます。
 健康局長の外山千也でございます。
 健康局総務課生活習慣病対策室長の野田でございます。
 同じく生活習慣病対策室室長補佐の三田でございます。
 健康局総務課保健指導室保健指導専門官の畑農でございます。
 本日このほか、保険局総務課医療費適正化対策推進室の鈴木室長に御出席いただいております。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。
 1ページ目、議事次第。
 おめくりいただいて2ページ目に配付資料一覧がございます。
 その下に座席図。
 資料1 健診・保健指導の在り方に関する検討会開催要綱・名簿
 資料2 今後の検討スケジュール(案)
 資料3 各種保健事業について
 資料4 「健康日本21」最終評価(概要)について
 資料5 次期国民健康づくり運動プラン策定について
 資料6 特定健康診査・特定保健指導の現行制度について
 資料7 健診・保健指導に関する研究・調査について
 資料8 保険者による健診・保健指導等に関する検討会について
 参考資料といたしまして「健康日本21」の最終評価及び健康増進事業実施者に対する健康診査
の実施等に関する指針
以上の資料をお付けしております。もし、不足落丁等ございましたら、事務局までお申し付けい
ただきますようお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、引き続き議事を進行させていただきます。議事の進行に当たりまして、まず座長の
御相談をさせていただきます。
 本検討会の座長につきましては、大変恐縮でございますが、事務局から推薦させていただきま
す。厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の部会長を務めていただいております、永井構成
員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○尾田保健指導室長 御承認いただき、ありがとうございます。
 それでは、永井構成員は座長席に御移動いただき、以後の議事についてお願いいたします。
(永井構成員、座長席へ移動)
○永井座長 ただいま座長に指名いただきました、東京大学の永井でございます。
 今、いろいろな方針が変わる時期でもございますので、皆様方の御協力をいただきまして、円
滑に議事を進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事を進めてまいりますが、まず副座長でございますが、副座長といたしまし
ては津下構成員を私の方から指名させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○永井座長 それでは、よろしくお願いいたします。
 では、まず議題1でございます。「健診・保健指導の在り方に関する検討の進め方について」、
事務局より御説明をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 初めに、この検討会の開催目的につきまして、開催要綱に沿って御説明さ
せていただきます。
 資料1「健診・保健指導の在り方に関する検討会 開催要項」、「1 目的」を読み上げさせ
ていただきます。
 すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、平成12年に「健康日
本21」を策定し、国民が主体的に取り組むことのできる健康づくり運動を推進してきたところ
である。この運動期間が平成24年度をもって終了することから、現在、健康日本21の評価結
果を踏まえて次期の国民健康づくり運動のプランの策定に向けた作業が進められているが、国
民を対象として実施されている健康診査等の内容等についても、次期国民健康づくり運動の目
標達成に資するため、必要な見直しの要否について検討を行う必要がある。
 また、生活習慣病予防の徹底を図る観点から、40歳以上の医療保険加入者等に対して実施し
ている特定健診・保健指導については、平成20年の開始以来定着してきているが、その効率的・
効果的実施を図るため、これまでの制度の運営状況や、制度創設後に蓄積された知見を踏まえ、
その実施内容や実施手法等について検討を行う必要がある。
 このような状況を踏まえ、今後の健診・保健指導の在り方について、厚生労働省健康局長の
下、有識者の参集を求め、所要の検討を行う。
以上が本検討会の目的でございます。
 2枚目に皆様構成員の名簿をお付けしております。
 資料2で「今後の検討スケジュール(案)」について御説明させていただきます。
 本日開催後、次回12月27日に開催させていただきたいと考えております。議題の案といたし
まして、「特定健診・保健指導の課題について」「次期国民健康づくり運動プランの検討状況に
ついて」を御報告し、御意見をいただきたいと思っております。
 年を替わりまして2回ほど開催させていただきたいと思っております。
 まず第3回では、次期国民健康づくり運動プラン等の骨子を踏まえた検討項目について御議論
いただければと思っています。また、特定健診についても引き続き御議論いただきたいと思って
おります。
 第4回に各計画等への検討内容の反映方針についてと中間的なとりまとめをいただければと考
えております。その後、24年度以降も、議題、課題に応じまして随時開催ということとさせてい
ただきたいと考えております。
 資料3、今回、皆様に御議論いただく検討課題の全容につきまして、簡単な資料でございます
が、御説明させていただきます。
 現在、健康増進法に基づきまして、健康増進事業として、歯周病疾患検診、骨粗鬆症検診等々
の健診あるいは健康教育、健康相談等を市町村で実施しております。
 また、平成20年からは、高齢者医療確保法等に基づきまして、特定健診・保健指導を40歳以
上の方に、これは医療保険者の義務として実施しております。
 この実施に当たりましては、労働安全衛生法で事業主の実施義務とされております定期健康診
断と連携して実施することとされております。
 こういった全体の健診につきましては、健康増進法の都道府県・市町村が策定いたします「健
康増進計画」あるいは「健診の実施等に関する指針」が総合調整をするということになっており
ます。このため、今回の議論の対象といたしましては、こういった「健康増進法」をベースとい
たしました、成人を対象とする健診について幅広く御議論の対象としていただければと考えてお
ります。
○野田生活習慣病対策室長 引き続きまして、「健康日本21」最終評価の概要と次期国民健康づ
くり運動プラン策定に向けた検討状況について御説明いたします。資料は4と5でございます。
よろしくお願いいたします。
 まず資料4でございますけれども、「健康日本21」最終評価についてでございます。これは御
配付申し上げております参考資料1の概要でございます。先ほど局長がごあいさつで申し上げま
したとおり、「健康日本21」につきまして、平成12年~24年の計画で行われたものでございま
すが、健康局におきまして、2のところにございますけれども、評価作業チームを設けまして、
平成22年度から最終評価を行った結果でございます。全体で9分野、80項目について評価を行っ
たものでございまして、その結果が3でございます。
 重複がございまして、全体で59項目の評価となっておりますが、評価区分A~Eで評価してご
ざいまして、その主なものがその下に書いております。
 Aは目標値に達したというものでございますが、メタボリックシンドロームの認知であります
とか、歯に関する指標、こういったものがAでございます。
 変わらないものについて、メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少ですとか、高脂
血症の減少といったものがございました。
 悪化しているものとしまして、糖尿病合併症の減少といったものがございます。
 Eとなっておりますのが、まだ平成20年から2か年のデータで評価をしましたものですから、
特定健康診査・特定保健指導の受診者数の向上というものについては評価困難といった評価にな
っております。
 その後の3~4ページを見ていただきますと、区分ごとの細かいデータをお付けしております。
説明は省かせていただきます。
 分野別の評価もしておりまして、これにつきましては先ほど申し上げました9つの各分野につ
いて評価がなされております。この括弧の中にございますように、栄養、身体活動等、生活習慣
に係るもの、糖尿病、循環器病、がん、疾病に係るもの、こういった主要項目ごとに評価をして
おります。
 お手数ですが、参考資料1の21ページをごらんいただきますと、先ほどの評価区分ごとの総括
でございますが、これは項目ごとの総括になっておりまして、例えば本文の23ページをごらんい
ただきますと、糖尿病についてどうであった、循環器病についてどうであったか、がんについて
どうであったかといったような分野ごとの評価の整理がなされております。
 次に、元の資料にお戻りいただきまして、2ページ「3 取組状況の評価」ということで、こ
れは各自治体ベースで評価しております。都道府県の取組み状況として充実したものとして、が
ん、たばこ、一方で悪かったものとして、アルコール、循環器病といったものがございました。
市町村で充実したと回答した割合が多かったのががん検診の受診者数の増加、特定健診・特定保
健指導の受診者数の向上。これは取組みに関する充実ということでございますが、こういった結
果でございました。
 「4 おわりに」ということで、次期国民健康づくり運動に向けていろんな視点を評価してお
りまして、これらについては1の丸1~?にございますような、将来を見据えた計画の策定、目標
に関するもの、そういったことが述べられています。また、次期運動の方向性として、社会経済
変化への対応、科学技術を踏まえたアプローチ、今後の新たな課題といったところで、新たに取
り組むべき問題、疾患、こういったものが書かれているところでございます。
 資料5でございますが、こういった評価を踏まえまして、地域保健健康増進栄養部会に10月14
日にこの内容について報告されておりまして、それに基づいて次期の国民健康づくり運動プラン
策定専門委員会が設置されたところでございます。これにつきましては2ページにあるような要
綱で検討を進めていくということになっております。
 検討事項としましては、新たなプランに盛り込むべき目的、理念、目標などの在り方等につい
て検討するということになっております。
 日程的には3ページにございますような形で、11月25日と12月7日は既に終了しております
けれども、基本的な方向、目標について。1月に中間とりまとめ、2月に素案、3月ぐらいをめ
どに最終案を詰めていくといった流れになっております。それに係る審議を行う地域保健健康増
進栄養部会の日程がその下に示されているとおりで、春ごろを目途に仕上げていくスケジュール
になっています。
 ちょっと長くなりまして恐縮です。以上でございます。
○尾田保健指導室長 続きまして、もう一つ資料がございます。資料6の方を私の方からまた説
明させていただきます。
 現行の特定健診・保健指導、標準的な健診・保健指導プログラムにつきまして、簡単に御説明
させていただきます。
 1ページ、特定健康診査につきまして、対象者は40~74歳の医療保険加入者でございます。健
診項目といたしましては、まず質問票で服薬歴、喫煙歴等を確認いたしまして、身体計測で身長、
体重、BMI、腹囲。理学的検査で身体診察。血圧測定、血液検査でそこに書かれております項目を
確認いたします。あと検尿でございます。これらに加えまして必要と認めた場合に心電図検査、
眼底検査、貧血検査、こういったものをやるということを定めております。
 2ページ、この健診の結果、対象者を階層化いたします。
 まず、腹囲を基準といたしまして、腹囲が男性85cm以上、女性ですと90cm以上、該当する方
につきましては、血糖、脂質、血圧、この3つのリスクのうち2つ以上該当する方あるいはこれ
らの1つに該当して喫煙歴のある方、こういった方につきましては、積極的支援という保健指導
の対象になります。また、腹囲が該当しない方でBMIが25以上ある方につきましては、リスクが
3つ該当する方、リスクが2つ該当して喫煙歴がある方、こういった方につきましては積極的支
援の対象になる。それ以外につきましては、動機づけ支援の対象になる。65歳以上の方につきま
しては、いずれの方も動機づけ支援の対象になるということになっております。
 3ページ、保健指導の内容といたしまして、1つ目、情報提供でございます。これは今、御説
明した階層化されて動機付け支援、積極的支援の対象となった方も含めまして、健診を受けた方
全員が対象になります。そういった方々に個々人に合わせた情報提供を行うということがマニュ
アルの方で定められております。
 4ページ、動機づけ支援といたしましては、まず面接による支援、個別支援あるいはグループ
支援を行いまして、6か月後にその結果を評価する。その面接におきましては、メタボリックシ
ンドロームや生活習慣病に関する知識を教授したり、生活習慣の振り返りあるいは生活習慣改善
の必要性の御説明と今後の行動計画の作成、そういった御支援をして6か月後に評価をするとい
うことでございます。
 5ページの積極的支援につきましては、初回の面接は今御説明した動機づけ支援とほぼ同様で
ございますが、その後、継続的に支援を行いまして、支援Aとしまして生活習慣の振り返りを行
い、行動計画の実施状況の確認と必要に応じた支援あるいは栄養・運動等の生活習慣の改善に必
要な実践の指導、こういったものを行いますし、また、支援Bといたしまして、賞賛、励ましに
よって継続を支援するというものでございます。
 これにつきまして、マニュアル上は合計180ポイント以上の支援を行うこととされておりまし
て、支援Aのタイプで160ポイント以上、支援Bの励ましタイプで20ポイント以上の合計180ポ
イント以上を実施することというのがマニュアルで定められております。その後、6か月後に結
果について評価するというのが積極的支援の内容でございます。
 6ページが、今、申し上げましたポイントの詳細な表が付けられておりますので、御参照くだ
さい。
 7ページは特定健診・保健指導ではございませんが、75歳以上の方につきましては、高齢者医
療法に基づきまして努力義務とされております。その中で広域連合で75歳以上の方の健診・保健
指導を実施する。健診項目といたしましては、75歳未満の健診項目のうち必須項目のみを実施し、
腹囲は医師の判断に基づき実施の可否を決めるということになっております。また、保健指導に
つきましては、健康相談等の機会を必要に応じて提供するということとされております。
 続きまして、特定健診・保健指導の実施状況につきまして、保険局から公表された資料につい
て簡単に御説明いたします。
 確報値といたしまして、平成21年度特定健診の実施率が41.3%、前年度比+2.4ポイントにな
っております。特定保健指導の実施率につきましては、対象者の割合が18.9%、指導終了率が
12.3%で、これが前年度比で4.6ポイント上昇となっております。
 内臓脂肪症候群該当者及び予備軍の割合につきましては、それぞれ14.4%、12.3%となってお
ります。
 9ページに保険者ごとの実施状況につきましてお付けしておりますので、御参照いただければ
と思っております。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見がございましたらお願いいたします。いかがで
しょうか。よろしいですか。
 どうぞ。
○佐藤構成員 資料3についてお伺いしたいのですが、健康増進法と高齢者医療確保法の関連に
ついて御説明いただいたのですが、実は今年8月に歯科口腔保健法が成立しておりますが、この
法律とこれらの各種保健事業との関連についてどういう位置づけになるのか御説明をいただけれ
ばと思います。
○尾田保健指導室長 歯科口腔保健法につきましては、同法で定める基本方針等については、健
康増進法に定める基本方針や計画と調和を図るという規定がございますので、それも含めまして
こういった健康増進法の傘の中で調整を図っていくという対象に入っていると認識しております。
 この絵には載せておりませんが、歯科口腔保健法に基づきます基本方針等の策定について、現
在まさに進行中と認識しておりますので、そちらもにらみながら今後御議論いただければと思っ
ております。
○永井座長 ほかにありますか。
 どうぞ。
○保坂構成員 今、法律のことが出ましたので確認ですけれども、高齢者医療確保法につきまし
ては、今後大幅に変わるか、あるいはなくなるということはないという考えで今回この会議を進
めていくという認識でよろしいでしょうか。
○尾田保健指導室長 その点につきましては、まず現行制度を前提として御議論いただければと
思っております。今後につきましては、私どもも状況が不透明な部分がございますので、恐縮で
ございますが、まずは現行制度を前提として御議論いただければと思っております。
○永井座長 どうぞ。
○野口構成員 済みません。私が不勉強でわからないのだと思うのですが、この検討会と国民健
康づくり運動プラン策定専門委員会と厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会との関係とい
うか、ここでの議論がどのように生かされたり反映されたり、あるいは相互の情報交流があるの
かとか、その辺りはいかがでしょうか。
○尾田保健指導室長 厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会につきましては、先ほど御説
明を省略いたしましたが、今月21日に部会が開催されますので、私どもの方からこの検討会の設
置につきまして部会に御報告させていただきたいと思っております。今後の検討状況については
随時御説明することになると思っております。
 国民健康づくり運動プランの策定専門委員会につきましては、部会の議論に基づきまして、部
会の下に設置された委員会でございます。そうしたことから、いずれも関連を持って議論してい
くことになりますが、先ほどスケジュールでも申し上げましたが、皆様方の検討の中で健康づく
りプランの方で盛り込むべき点が出てまいりましたら、それを専門検討会あるいは部会の方にお
返しするという形も考えておりますので、そういう認識で御議論いただければと思っております。
○永井座長 よろしいでしょうか。もしほかに御意見がございませんでしたら、次の議題に進ま
せていただきます。「健診・保健指導の課題について」でございます。
 これまでの健診・保健指導の実施データに基づく研究・調査あるいは今後の健診・保健指導に
関する研究・調査の評価について、津下構成員から御説明をお願いしたいと思います。よろしく
お願いいたします。
○津下構成員 では、よろしくお願いします。資料7をごらんください。
 先ほどご紹介のありました次期国民健康づくり運動につきましては、幅広なエビデンスでもっ
てこれからの政策を議論されているところですけれども、健診・保健指導につきましては、日本
特有のシステムでもあるということから、まず特定健診・保健指導に関する研究調査について、
厚生労働科学研究でどのような研究がなされているかについてサーベイしましたので御報告した
いと思います。なお、この資料は国立保健医療科学院、今井先生の御協力の下、厚生労働科学研
究データベースから引用して用いているものでございますので、詳しくはそちらのデータベース
の報告書をごらんいただけると幸いかなと思っております。
 まとめ方としまして、直接に特定健診・特定保健指導に関する研究についてどんな研究がなさ
れているかということを厚生労働科学研究から拾いました。また、実施機関による調査として、
保険者、保健指導機関、自治体等で調査されているもので、短期間で入手可能であったものにつ
いて御紹介させていただきたいと思っております。
 また、今後の健診の在り方を考慮する上で、特定健診・保健指導に限らず、幅広に生活習慣病
対策、特に健診、介入、保健指導等に関わる単語を検索用語として用いまして、できるだけ丁寧
に拾ったつもりではありますけれども、落ちているものもあるかと思いますので、どうかご容赦
お願いいたします。
 1ページ、この特定健診・保健指導では、内臓脂肪型肥満に着目した早期介入・行動変容をお
こなうこと、アウトカム評価を行うというような制度になっておりまして、電子的な標準様式で
データ統合が容易になったため、多くの研究成果が出されております。
 4ページ、ここからが厚生労働科学研究の研究データベースからの抽出になります。これはデ
ータベースから生活習慣病、循環器、糖尿病または健診。これは健康診査の方から拾っておりま
して、検査の「検」ではない方を見ております。またがん検診については、今回は見ておりませ
んのでよろしくお願いいたします。
 メタボリックシンドロームに関する研究でございますが、腹囲基準、または内臓脂肪の定量と
いう関係で、番号1、2、3にありますように、門脇先生の御研究のように、腹囲の増加に伴っ
てリスクファクターが増加する等の研究が報告されております。
 次に、右側に研究番号4と振っておりますけれども、特定健診そのものについてですが、健診
受診率についての調査ということで、岡村先生の研究では未受診者の特性ということで、未受診
理由として、健康だから、治療中だから、時間の都合という3大要素があるということを示され、
受診率向上のための研究がなされております。
 5ページ、離島の農村地域における効果的な生活習慣病対策の運用ということで、受診率向上
策についての研究が磯先生によりなされております。
 次に、保健指導の方法につきましては、院長の永井先生が主任とされております研究では、未
治療者、未病段階から被保険者全体に介入する重要性とか、若年層から始めることが必要である
とか、情報提供群から悪化者が出るので保健指導の改善者を打ち消しているというような状況に
ついて報告されております。
 また、武見先生の報告では、特定保健指導積極的支援では、初期1か月の体重減少率がその後
の減量維持に効果があるというような報告がされております。
 8の口腔機能との関係では、早食いと肥満、メタボリックシンドロームの関係が指摘されてお
りまして、ゆっくりよくかむという生活習慣が受け入れやすい行動目標であるというような報告
があります。
 9、10、11につきましては、どのような方法で保健指導をするかということで、IT活用、テレ
ビ電話、印刷教材などの介入について研究がなされております。
 12~15は効果に関するものでありまして、今井先生の報告では、保健指導を受けた対象者は体
重が男性では1.46kg、女性では1.66kg減少ということで、そのほかの項目も有意に改善していた
という報告がされております。これは国保の対象者で実施されているものであります。
 13番は私の報告でありますけれども、これについては、勝手ながら図を付けさせていただきま
した。19、20、21ページに図を付けさせていただきましたけれども、積極的支援によって研究デ
ータの有意な改善を認めた、有所見率の改善を認めたということや、21ページではそれとともに
(一部の150名のデータで見ますと)、アディポネクチンやAngptl2などのアディポサイトカイ
ンの改善が見られたというような報告をしております。
 14、15につきましては、保健指導を受けた人と受けなかった人で1年後の検査データを比較し
ておりまして、保健指導を受けた人では受けなかった人よりも大きな改善が認められたという報
告がなされております。
 16番では、健診データとレセプトデータの突合分析で評価をすることが可能になったというよ
うな報告。
 17番、森先生の報告では、保健指導の第三者評価ということで、保健指導サービスの質の向上
を目的とする評価制度を導入するというような御報告がされております。
 18、19番につきましては、ポピュレーションアプローチについてです。ポピュレーションアプ
ローチをどのように行っていけば有効かというような報告や、19番につきましては、e‐ヘルス
ネット等につきまして、特定保健指導の導入以降、アクセス件数が著明に増加したということで、
社会の関心度が増したというようなことも御報告されております。
 特定健診につきましては、このほか22~23ページに国保中央会が全国の約30万人の健診デー
タで特定保健指導の効果を分析したものでございます。23ページに具体的な数字がありますが、
動機づけ支援は約9,000人、積極的支援は2,000人の終了者と未利用者でどれだけ翌年の健診デ
ータが異なっているかというような分析をされておりまして、いずれも保健指導を受けられた方
の方が成績はよかったというような御報告がされております。
 26~28ページは全国労働衛生団体連合会、全衛連という健診・保健指導機関の集合契約を行っ
ている機関がありますが、そこでの119の健診・保健指導機関がその成果をとりまとめたもので
ありまして、26ページにつきましては6か月後に腹囲や血圧がどのように変化しているのかとい
うものを性・年代別に示したものでございます。27ページは1年後の健診データと突合できた対
象者につきまして、積極的支援、動機づけ支援の各対象者の検査データがどのように動いている
かというものを示したものでございます。
 更に28ページは保健指導の第三者評価として、質のマネジメントができているかという評価に
対して、119の機関がどのように保健指導の質の向上に向けて取組みを行っているかというような
評価の結果を出しております。
 29~30ページは、愛知県における分析ですが、特定健診のデータを県単位で国保、健保、協会
健保のデータをとりまとめて、性、年代別に有所見率や服薬中の人の割合を示したものでありま
す。特定健診のデータを分析することによって、このような地域における健康状態の把握が可能
であるというような報告をしております。
 9ページ、特定健診・保健指導に限らず健診というキーワードでヒットした研究について御報
告させていただきます。
 研究番号の20~23番につきましては、CKDに関する研究でありまして、このCKD(慢性腎臓病)
が心血管のイベントの危険因子であること、早期の対策が必要であること等について報告がなさ
れております。
 10ページ、骨粗鬆症についての検診、眼の検診について。更にロコモティブシンドロームの問
診によるスクリーニング、不眠症に対するスクリーニング等々。睡眠ですけれども、睡眠時無呼
吸症候群のスクリーニングに関するもの、アルコールに関して健診のときに把握して対策を打つ
必要性に関する報告がされております。
 12ページからは大規模コホート研究等によってどのような疾病群に着目しなければいけないか
というような観点で検索したものを提示しております。
 30、31につきましては、日本データ等、大規模コホートにおきまして、喫煙、コレステロール
等々のリスクについて述べられております。
 32は辻先生の研究で、喫煙と脳血管障害等に関する関連が示されています。
 13ページにつきましては、糖尿病の介入という観点でまとめてありますけれども、糖尿病にお
いては、生活習慣介入が有効であるというような観点で3つの研究が報告されておりました。
 34につきましては、J-DOIT1、2、3ということで、戦略的な研究もなされておりまして、この
成果も順次報告されているところでございます。
 14ページ、女性の生活習慣病についての研究成果が報告されておりまして、女性ではやせの問
題があるとか、肥満は減ってきたけれども、やせが増加してきて、貧血が40代中心に改善傾向が
見られない等々の研究がなされております。
 今までの研究は平成22年度の報告書が掲載されていたものを対象にしましたけれども、もう少
しさかのぼりまして、19~21年につきましては、健診・保健指導または生活習慣介入に関する研
究だけをピックアップしています。また、22年度に報告があったものについては割愛しておりま
すので、そのような形で幾つか挙げさせていただいております。
 39番については、健診のエビデンス評価ということで、アメリカのUSPSTFのように、健診を受
けたらどのようにアウトカムが変化するかということをエビデンス・ベースドでどんな疾患を対
象とすべきかという研究がなされています。
 40番につきましては精度管理についての御研究がなされております。
 42~50番につきましては、生活習慣介入研究でありまして、2型糖尿病に関するもの、メタボ
リックシンドロームに関するものが多く挙げられております。メタボリックシンドロームに関す
る介入が47番まで挙げられておりまして、48番、中村先生の報告書は禁煙に関する介入の研究で
あります。
 鳥羽先生の転倒に関する予防効果。高齢者の腰痛及び脊柱変形等々に関する運動介入というよ
うな介入研究について報告されています。
 51、52につきましては、大規模コホートの19年、20年度のものを掲載させていただいており
ます。
 以上のように、31ページにまとめを述べさせていただいておりますけれども、多くの研究が特
に特定健診・保健指導制度についてなされておりまして、メタボリックシンドロームの保健指導
の効果につきましては、6か月後、1年後の研究報告はありますけれども、まだ縦断的な評価は
行われていない状況にありますので、今後更に検討が必要だと考えております。また、動機づけ
支援については評価が不十分であるというような感想を持っております。
 コホート研究については、かなりいろいろなリスクがわかってきましたけれども、介入研究と
いう点で見ると、どういう介入をすればアウトカムが改善するかということについてはそれほど
多く報告されているわけではないと感じております。
 更に先ほど自治体、保険者のデータもお示ししましたが、このようなデータを分析することに
よって、性、年代、対象集団別に対策を行うということが可能になってきますので、健診・保健
指導の質の向上並びにポピュレーションアプローチと連携した健康づくりが必要であると考えて
おります。
 以上、研究の成果のまとめについて御報告させていただきました。
○永井座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○門脇構成員 今の資料の4ページ目。
○永井座長 議論は後で、もう一つ説明いただいて、併せてお願いしようと思ったのです。
○門脇構成員 議論というより訂正です。
○永井座長 どこですか。
○門脇構成員 4ページの私が代表の研究ですけれども、2行目、平均リスクファクター数が1
を超えるウエスト周囲径のカテゴリーは、男性では85~90cm、女性では100cm以上からとありま
すが、これは新規に開始した研究の予備検討結果にすぎません。今ももう一度電子ファイルを確
認しましたけれども、本研究班の先行研究の最終解析結果をまとめた平成21年度の総合研究報告
書では男性では80~85cm、女性では90~95cmからとなっています。
 ですから、平均リスクファクター数が1を超えるウエスト周囲径のカテゴリーは、男性では80
~85cm、女性では90~95cmということが現時点での私ども研究班の見解です。これは大事な点で
すので、資料の訂正をお願いします。
○永井座長 ありがとうございます。
 続いて保険局で開催されています「保険者による健診・保健指導等に関する検討会の議論」に
ついて、御紹介をお願いいたします。
○鈴木保険局総務課医療費適正化対策推進室長 保険局の医療費適正化対策推進室長でございま
す。お手元の資料8「保険者による健診・保健指導等に関する検討について」の資料をお願いし
ます。
 保険局におきましては、目的も後ろの方に書いてございますけれども、医療保険者におきます
特定健診・保健指導の提供方法などの今後の在り方について検討を行うということで、下に構成
員の方19名ほどお名前がございますけれども、こういう方々に集まっていただきましてこの検討
会を行っているということでございます。
 2ページ、23年4月に第1回を開催いたしまして、今日まで5回開催して、今後も開催してい
くようなところにございます。
 本日は3ページから主な論点、議論を御報告したいと思っております。挙げました論点につき
ましては、健診・保健指導の標準的なプログラムとの関係が深いものということで、私どもの方
で議論を抽出させていただいて報告するものでございます。
 大きく本日4点ほど報告いたします。
 1点目につきましては「腹囲の基準について」ということで、現在、男性85cm、女性90cmとな
っております腹囲基準につきまして、その妥当性あるいは非肥満の方のリスク保有者に対する対
策とか、そういったことが論点になってございます。
 2つ目の○で「特定保健指導のポイント制について」、先ほど説明がございましたけれども、
これが柔軟できめ細かな支援を妨げているのではないかというような観点から、丸1にありますけ
れども、現場の創意工夫を発揮できる方法がないか、丸2特に、直営と委託で異なるポイントを設
定することはどうかとか、こういったことについて御意見をいただいております。
 3つ目といたしまして、特定健診の受診日に保健指導の初回面接を行った方がよいということ
で、こちらにつきましては、そこに書いてございますように、初回の面接者と6か月後の評価者
が同一の人でならなければならないと、今はそういうふうにしておりますけれども、それの見直
しを行う方向について了承を得たところでございます。
 4つ目は、HbA1cの表記見直しということで、HbA1cの表記を現在JDSという検査値の表記の方
法から国際標準値であるNGSPの値に変更するということにつきまして、関係者間で御協議いただ
きまして、24年度におきましては、特定健診・保健指導の関係は旧来どおりの値を使う。JDSと
いうことと表記の方法が国際標準値とおおむね0.4ほど違ってくるわけでございますけれども、
保健指導の世界では24年度につきましてはJDSという旧来の値で報告などを行っていただくとい
うことでございます。
 併せまして、25年度以降の対応につきましては、今後関係者間で協議ということで、臨床の導
入状況などを踏まえまして保険者においても対応していくということになってございます。
 最初の3つにつきまして、もう少し詳しく次のページから御説明申し上げます。
 4ページ、このページは現行の腹囲基準の解説ですけれども、御承知のとおり、現行の腹囲基
準につきましては、8学会のガイドラインで内臓脂肪面積が100cm2以上、これに対応する腹囲と
して男性が85cm、女性が90cmという基準値が設定されてございます。
 5ページの方は、これにつきまして私どもの方で5回目の保険者の検討会の方に提示させてい
ただいた資料ですけれども、腹囲基準の基準値自体について、その枠にありますけれども、肥満
学会の参考人の方から、女性の腹囲基準について内臓脂肪面積のカットオフ値として77cmが妥当
ではないかという説明がありまして、その後、肥満学会さんの9月に行われた学会におきまして
は、すぐにそういう見直しをするということではなくて、将来に向けた検証を行っていくことに
なったということを御報告いたしまして、腹囲基準についてどうかという御議論をいただきまし
た。
 もう一つ、議論の論点になりましたのは、非肥満の方、腹囲基準に該当しない方のリスクを持
っている方についてどう対応していくか、こういうことも論点になってございます。
 6~7ページが腹囲基準に関しまして保険者による検討会での主な意見を記述したものでござ
います。代表的なものだけ御紹介しますと、1つ目、6ページの1番で、腹囲を階層化基準にし
ていること自体についてということで、例えば2つ目の○にありますけれども、腹囲基準は要ら
ないという話もあるので、健康局の問題として専門家が科学的に検討する場をつくって、腹囲基
準をどうすべきか議論する必要があるといった御意見とか、1つ飛ばしていただきまして、内臓
脂肪を保健指導の入り口としてとらえることが妥当であることの医学的根拠が出てきているとか、
次の○は保険者の義務としての特定健診としては腹囲基準を堅持すべきとか、また1つ飛ばして
いただきまして、女性の腹囲基準、90cmというのは、今、現行は90cmですけれども、絶対リスク
数が1つに相当する腹囲が90cmで、内臓脂肪のない人のリスクの3倍となる相対リスクが80~
85cmになる。これをどちらで進めていくかは政策的な判断という御指摘もございました。
 7ページの方は非肥満のリスク保有者への対応あるいは保健指導の具体的内容についてという
ことでございますけれども、全体的にはそういう方々への保健指導介入が必要であるということ
は御意見ございましたけれども、非肥満者の保健指導についてはかなり幅があって、今の時点で
は一律にこういうふうなものでやればいいというものが定まっている状況にはないという御指摘
でございました。
 8ページからは2つ目の話題で、特定保健指導のポイント制についてということで、この8~
9ページは私どもの方で4回目の検討会に出させていただいた資料です。現行の仕組みとして、
先ほど説明がありましたように、3つ目の○で、積極的支援につきましては、合計180ポイント
以上の支援ということで、支援Aを160ポイント以上、支援Bを20ポイント以上ときちんと決め
ているということなのですけれども、それについて次の論点という箱にありますけれども、1つ
目の○で、このポイントがきちっと定められているということが支援者の状況に応じた柔軟でき
め細かな支援の妨げになっているのではないか、こういった御意見がある一方で、次の○にあり
ますけれども、やはり実施率を勘案するなどにかんがみると、何らかの客観的な基準が必要では
ないかといった意見もあったところでございます。
 9ページにありますけれども、事務局の提案としては、1つ目が評価方法についてという枠の
中で、検査値が改善したことについて保健指導の実績として評価することが考えられないかとか、
下の方の枠ですけれども、円滑な実施に向けてということで、客観性をある程度担保することが
可能な範囲内において現場の裁量の範囲を広げることはどうかということで、具体的には4つほ
ど○がありますけれども、例えば2つ目で、直営と委託でポイント数を変えてみることはどうか
とか、4つ目のところで2年目以降のプログラムというのを別途考えるのはどうかとか、そうい
ったことを事務局の方から提案させていただきました。
 10ページで、こちらの方に関しましていただいた意見、ポイント制に関しましては、例えばそ
この枠の中の2つ目の○ですけれども、ポイント制は記録の負担などが重いし、また現場での専
門職の力量発揮を妨げているとか、次の○でポイント制は投入量を明らかにするために導入され
た仕組みでありますので、直営と委託で同じ投入量が必要かどうかとか、ポイントを切り下げて
いいのかどうかということについては、エビデンスに基づいて判断すべきとか、次に○が2つあ
りますけれども、フォローアップが大事とか、そういった御意見があったところでございます。
 11ページは3つ目の話題で、健診受診日に初回面接をやってしまうということでありますけれ
ども、制度の現状と3つほど○がありますけれども、3つ目の○にありますように、特定保健指
導の実施状況について適切な評価を行う観点から、現行の仕組みでは初回面接と6か月後の行動
計画の実績評価、これを同一の人が行うということにしております。
 一方、次の特定保健指導の実施状況を見ますと、やはり先ほど率の報告もございましたが、実
施率向上に向けた取組みが必要という中で、私どもの方でまとめました2つ目の○、適正化計画
の中間評価というところでは、健診から初回面接までの期間の短縮ということが実施率向上に有
効といった取組みとして掲げております。
 また、次の○に、現状といたしましては、健診から初回面接までの期間といたしましては2~
4か月というのが実情でございます。
 12ページ、こういった実情の中でどうしたらいいかということを御議論いただきました結果、
下の点線の枠にございますように、丸1として、十分な情報共有が図られることを前提に初回面接
と6か月後評価の実施者を同一人物としなくてもよいということにする。あるいは丸2のところで
すが、面接の後に階層化処理をした場合でも、特定保健指導の初回面接とすることができる。こ
ういう見直しを行う方向について了承を得たというところでございます。
 最後、13ページのHbA1cにつきましては、冒頭説明したとおりのことを了承いただいた前文を
記載させていただいております。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いいたします。
 保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 ただいま保険局の総務課医療費適正化推進室から御報告がございましたけれども、
保険者による健診・保健指導等に関する検討会の御報告として、非常に一部の御報告だったと私
は感じました。
 何をこちらの会議に保険局の方の検討会で検討されたことといいますか、そこで話されたこと
のうちのどういう部分を取り出してこちらで報告すべきかということについては、もし報告され
るのであればすべてを出すべきであると思いますが、その一部が出されていると感じましたけれ
ども、そのことをまず最初に申し上げておきたいと思います。
 もし全く局が違うところの検討会のことを御報告されるのであれば、すべて御報告していただ
かないと公正を欠くのではないかと感じましたので、私は保険局の方のメンバーにもなっており
ますけれども、そのことを1つ申し上げておきます。ですから、これは構成員の皆さんにも、保
険局の検討会で検討した一部が報告されたと御理解いただけたらと思ってございます。
○永井座長 事務局、いかがですか。もう少し大事な点が残されているのか。
 どうぞ。
○鈴木保険局総務課医療費適正化対策推進室長 おっしゃるとおりで、私どもの方で標準的なプ
ログラムに関連が深いものを私どもの判断で抽出させていただいて報告したものでございますの
で、全体像ということはもっと別途であるということで、先生御指摘のとおりでございます。
○永井座長 どうぞ。
○保坂構成員 それで、その件はこれでよいのですけれども、そもそも本日から行います健診・
保健指導の在り方に関する検討会におきましては、勿論、もともと今やっている特定健診・特定
保健指導について、今日の議題のところにもありますが、その課題についてお話をするというこ
とと理解しておりますが、まず基本的な問題として、今、国民の多くに対して行っている検診と
いうのが、メタボリックシンドロームだけを対象にした検診を行っているわけであると感じてい
るのですけれども、それだけを標的にしているということの意味について、どなたか事務局の方
でもこの構成員の方でも教えてくださればとてもありがたいということが1つ。
 腹囲を最初に基準にして階層化ということをされているものの最初の基準を腹囲に置いている
わけですけれども、腹囲を基準にしてやるということが日本以外の国でやられているところがあ
るのかどうかということについてもどなたか教えていただけたらと思うのですが、よろしくお願
いします。
○外山健康局長 冒頭、事務局の方から説明がありましたけれども、資料3を見ていただきます
と、特定健康診査・特定保健指導と書いてありますが、これは高齢者医療確保法等に基づく概念
で、我が方は右の緑に書いてありますけれども、健康増進法に基づく大臣告示を定める。それが
ミラーイメージというか、同じような概念を規定しているがゆえに、逆に行政的には高齢者医療
確保法等における特定健康診査・特定保健指導における医学的といいますか、そういった基準づ
くりというものが迫られていたために、健康増進法という大きな傘、それは国民全体の健診・保
健指導をつかさどる部分であったとしても、当面の制度的な対応をする範囲をそこにしたという
ことでございまして、概念的にはまさに本来我が国における国民の健診はどうあるべきか、保健
指導はどうあるべきという大議論があった上で、その一部分の適用として、その対象者に対して
制度を適用するとか、全体をするとか、そういうことでございます。
 ただ、時間とタイミングとの関係もいろいろあるものですから、今、恐らく事務局がこの資料
3というのは、まさに御質問もありましたけれども、健康増進法におけるもの、労働安全衛生法
まで視野に入れながらということの説明をしたと思いますが、したがって、先生御懸念のように、
本来ならばそういうところから議論することだろうと思っております。我が方といたしましては、
そういうことを否定するのではなくて、そういった立ち位置というか、スタンスをとりながらも
当面差し迫っているテーマもあるものですから、そういったところに視点を掲げて議論をしてい
ただきたい。健康増進法としての立場でたまたま高齢者医療確保法等に基づく特定健康診査・特
定保健指導について議論する、そういうスタンスです。
 そういった議論の過程の中でといいますか、今、いろいろな課題をおっしゃいましたけれども、
そういったことを深く議論していただいてありがたいと思っていますが、一方で、繰り返しにな
りますけれども、当面の行政需要ということも視野に入れてもらうとありがたいと思っています。
○永井座長 腹囲の問題はよろしいですか。
 では、津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 済みません。資料6の3ページと資料7の33ページを開けていただけますでしょ
うか。
 特定保健指導だけが健診・保健指導というわけではなくて、従来の老人保健指導の健診におい
ても、労働安全衛生法についても、健診の後の事後指導というのが重要だと思いますが、それに
ついては今回の制度においても、情報提供の内容ということで、健診結果について情報を提供す
るとか、本人の健診の見方または重要度の高い情報を的確に提供する、または身近で活用できる
社会資源情報等も掲載するということが明記されております。健診はすべての人に受けていただ
いて、それぞれに合った情報を提供するというのが健診のまず大前提だという認識です。
 33ページをご覧ください。健診はすべての人に有用であってほしいという考え方でありますけ
れども、平成17年に生活習慣病健診・保健指導の在り方の検討会がありましたが、保健指導で効
果が明らかに出る範囲はどこだというような議論の中で、医療介入は既になされているけれども、
生活習慣介入で効果が出せる範囲はどこなのだということが議論されました。内臓脂肪が多い人
に介入するということの意義が当時からそういう研究があったものですから、この後でくるっと
○を付けた範囲に特定保健指導を、つまり重点的に保健指導を導入するというような観点です。
現実には、特定保健指導だけに集中してしまって、全体として情報提供が不十分な状況にあると
いうことは問題かなとは思っております。特定保健指導はこの範囲なのですけれども、健診はす
べての人にとって有用なものであらねばならならいと、そのような議論がこの制度導入の前にも
なされていたと思っております。
○保坂構成員 全然論点がずれていて、腹囲というものを基準にしてこういったことをすること
がどこか日本以外のところで行われていることがあるかどうか教えいただきたいという質問を私
はしたわけです。
 ですから、これが日本固有のものであれば、それについてこれがいいのかどうかということの
議論はもう一回最初からする必要がありますけれども、外国でもやっていて、そこでいろんなこ
ういうデータが出ているということをもし教えていただければ、私としてはとても参考になると
思ってお聞きしたいのですが、どなたか御存じでしょうか。
○永井座長 これはヨーロッパもたしか最初は腹囲を前提としていたのが変わったのだと思いま
すけれども、門脇構成員、どうぞ。
○門脇構成員 もともとアメリカでは腹囲は、メタボリックシンドロームを診断する上での5項
目の1つとして扱ってきました。日本と、永井座長が言われたようにヨーロッパでは腹囲をまず
上位において、それを必須項目としてその中で他のリスクファクターを重積するものをメタボリ
ックシンドロームとして扱ってきました。
 ただ、ヨーロッパで一昨年、態度を変えて、アメリカと同じような形で腹囲を必須項目とはせ
ずに、幾つかの項目の1つとして扱って、今、日本が腹囲を必須項目とするという点で欧米とは
違うと思います。日本肥満学会あるいはこのメタボリックシンドロームの基準をつくった8学会
としては、大勢の意見は、やはり日本の内臓脂肪の研究の成果の上でこういう腹囲をまず必須項
目とするということが出されて、むしろこれは世界に先駆けて先進的な取組みではないかと学会
では今おおむね評価をしているということかと思いますけれども、保坂構成員の述べられたこと
も含めて、この検討会の検討課題とすればいいのではないかと思います。
○永井座長 そうですね。これは私も厚労科研でさせていただいたのですが、ある保健団体で、
腹囲を基準として肥満者と非肥満者について調べています。確かに肥満者はBMIが高まるにつれ
てリスクの因子の数が増えます。ところが、同じリスクの数であれば非肥満者の方が心血管イベ
ントは多いのです。ですから、非肥満者のハイリスクの人たちをどうするのかというのは議論が
必要かなと思います。
 どうぞ。
○保坂構成員 今の永井先生のお話から言うと、メタボリックシンドロームという点では、例え
ば糖尿病とかそういうことについては、当然肥満の方がそういうリスクが高いと思うのですけれ
ども、すべての健康全体について言えば、今のようなお話もあったように。
○永井座長 イベントという視点になるのです。
○保坂構成員 そういったことすべてを考えて、もっとほかのこともやっていながらこれをやっ
ているのであれば理解できるのですけれども、そうではなくて、健診としてはこれしかやってい
ないという中でそういった偏ったことになっているのではないかということを非常に危惧してお
りますし、今、やせということが非常に問題になっていて、これから先、肥満も問題ですけれど
も、やせのこと、もっとその肥満のことを問題にするあまり、若い女性のやせ、若い男性にもそ
れが波及していると思うのですが、それが非常に問題であるということを皆さんここで認識して
いただければと思います。
○永井座長 山門構成員、どうぞ。
○山門構成員 山門です。
 ちょっと整理させていただきますと、尾田室長からお話がありましたように、この検討会では
現行制度に基づいて検討を行うということを大原則にしてよろしいのではないかと思います。
 本特定健診・特定保健指導が行った根本的な発想は、今、TPPで問題になっています国民皆保険
制度を維持するということが原則論にあります。そのためには医療費をいかに削減するかという
のが原則であって、その際に最も効果的なアプローチがどうかというと、肥満を減らすというこ
とが最もいいであろうということが基本的な発想であると思います。そういう基本的な発想にお
いては、この特定健診・特定保健指導は積極的に推進すべきだという立場にあります。
 永井先生がおっしゃったように、非肥満者、その他のやせということに関しては、やはり介入
すべきであります。リスクの保有者、それは当然であります。しかしながら、それを特定保健指
導として国費を持って行うべき保健指導とするか、その他の保健指導とするかということはまた
大きく分けて考えなければいけないということで、元に戻りますけれども、現行の制度において
いかにしていくべきかを基本的には考えるべきであって、この制度をどうすべきかということは
また別の議論であっていいのだろうと思います。以上です。
○永井座長 ただ、そのときに肥満を前提とするか、リスクのひとつとするかというのは、この
制度の枠組みの中でも考えないといけないことだろうと思います。
○山門構成員 そうです。それは永井座長が言われましたように、やはり非肥満者等のリスク保
有者は当然介入しなければいけないので、それに対してはどうあるべきかというのは次の議論だ
と思います。それはもう賛同いたします。
○永井座長 門脇構成員、どうぞ。
○門脇構成員 永井座長も言われましたように、実際にイベントを起こすのは糖尿病であり、ま
た血圧であり、脂質異常で、腹囲が直接イベントを起こすわけではないわけです。ただ、糖尿病
や血圧や脂質がなぜ1人の患者に重積してくるか。その場合に、内臓脂肪を基にした肥満に伴う
ものと、そうではなくて例えば遺伝的なものもありますから、そういった体質的なものによって
リスクファクターは重積する場合もあって、それはおのずから介入の仕方が違うと思うのです。
このような肥満、内臓脂肪を減らすことによって改善する部分がこれまで特定健診・保健指導で、
これは堅持すべきだと思うのですけれども、それ以外のものについても何らかの手当てをすべき
だということは議論としては正しいのではないかと思います。
○永井座長 竹村構成員、どうぞ。
○竹村構成員 実際に現場としてやっている者として見ますと、確かにすべて成果を上げている
というのはわかりましたけれども、実際に基本健康診査をしていた時期の受診率が相模原市で
42%あったのですが、特定健診になってから今22年度のデータで20%になっています。
 一番若い人が受けなければいけないのですけれども、40歳代の受診率が10%を切っております。
肥満に目が向いている分 受診率が落ちたというのが我々の実感でして、先ほどの保坂先生の指
摘もそれを含めてのことだと思うのですけれども、実際に受けてくれないと何もならないので、
そこの辺をもう少し魅力的にすることが必要です。メタボ検診をやることはいいですけれども、
全部そちらに持っていってしまうと、制度的に少し偏りが出てきてしまうのかなという印象を持
っております。
○永井座長 私たちもなぜ非肥満の人がイベントを起こすのかまだ十分な解析をしていませんけ
れども、1つは降圧薬などの内服率が悪いのです。肥満していないということで安心してしまう
のかどうかわかりませんけれども、その辺がどうなのだろうかということを是非これから考えて
いきたいと思います。
 島本構成員、どうぞ。
○島本構成員 今、保坂先生が言われているようなことは、現場では結構声としては上がっては
おります。ただ、まず特定保健指導ということで、今、何を指導するかということではメタボと
いいますか、腹部肥満から介入しているというのは1つの手段としてはあっていいと思います。
 ただし、そのためだけに、つまりメタボをセレクションするだけの特定健診ということがちょ
っと行き過ぎているところがあるのではないか。すなわち基本健康診査であって、そこから指導
に行くのはメタボでいいと思うのですけれども、そこのところはもう少し項目も含めて今回でき
れば、広げてもらうような意味では検討はしていただきたい。
 指導につきましても、決して腹部肥満だけではないのです。今、永井先生が言われたとおりで、
例えば血圧が高ければ脳卒中にも直結いたしますから、そうすると、太っていなくても食塩をた
くさんとっている方は当然生活習慣病になってしまいます。そこのところもメタボといいますか、
腹部肥満ベースに介入しやすいところからやっていくという基本は構わないと思うのですけれど
も、それに対してもう少しリスクのない軽症の高血圧とか正常高値血圧も腹部肥満がなくてもほ
かのリスク、糖尿と脂肪を持っているとか、そういう人に対してもやっていくようなことをサブ
でも構いませんから、そういった検討もできればしていただきいと考えてはおります。
○井伊構成員 今の議論は本当にもっともだと思いまして、現場からいたしましても、これは市
町村保健師の立場ですが、この特定健診・特定保健指導に投入する業務量ということを少し試算
いたしますと、人口が17万で保健師が20余名いるところで、このプログラムどおりにきっちり
やると4万時間ぐらいの時間、仕事量が出てきます。そういうことからして、非常に限られたと
ころにどのくらい投入するのかというのが市町村保健活動全体からするとどのようにあるのが効
果的で効率的なのかという議論が改めてなされるとよりよいのかなと思ったりいたしますので、
そうした投入量ということからも効果性を見るという観点を加えていただければありがたいかな
と思いました。
 資料8についての質問なのですけれども、相当保健指導のポイント制ですとか、どのように初
回面接をやるかというようなことが具体的に検討はなされているのですけれども、例えば12ペー
ジに保険者による検討会における議論の結果ということで丸1丸2とありますが、これは保険者によ
る健診・保健指導等に関する検討会で出た結果をもってこのようにするという決定になると受け
止めなくてはいけないのでしょうか。それとも、こうしたこともまたこの検討会で改めて検討さ
れるのか、それを確認させていただきたいと思いました。
○永井座長 事務局、いかがですか。
○尾田保健指導室長 保険局の検討会では、保険者の皆様にお集まりいただいて、保険者のお立
場から議論していただいている。今回、皆様には健診・保健指導の有識者という観点から、健診
全体について御議論いただいている。そうした中で、この論点も含めまして、保険局での議論も
尊重しながら、改めて標準プログラムを担当している健康局の検討会として御議論いただく必要
があると思っておりますので、これが決定ということではありませんが、保険局での議論も尊重
し、横ににらみながら改めて御議論いただきたいと思っております。
○永井座長 大井田構成員、どうぞ。
○大井田構成員 公衆衛生学会の理事長をやっているものですから代表してお話しさせていただ
きます。
 まず厚労省のお医者さんたちも私たちも親戚同士なので、公衆衛生学会に入っていただいてい
るのですが、厚労省がこのメタボ検診をやったときに、意見を言いましたのが私たちでして、親
戚だからよけい言いたくなるのでしょう。趣旨は医師会の保坂先生と全く同じです。
 要するに、BMIと腹囲は相関しています。そして、循環器疾患の疫学をやっている人たちが振り
返ってずっと調べてみたら、一番亡くなっているのは引っかからない人たちですよね。要するに
高血圧でやせている人ですね。死亡率に関しては意味があるのかという疑問を持ったわけです。
私たちは親戚ですから多少遠慮もありますので、それはそれでいいと。しかし、いくつかの点を
意見書として出しました。
 平成19年に局長のところに持ってきたのですけれども、やはりやせている人の高血圧対策、医
療費対策ならばこれは本当に意味があるのかと。老人健診のときは医療費が減ったのではなくて
増えたわけですからね。そういうことも考えなければいけないのではないかと思います。
○永井座長 荒木田構成員、鳥羽構成員、野口構成員。
 まず荒木田構成員、どうぞ。
○荒木田構成員 ありがとうございます。
 今までの資料等を提示していただきまして、私もときどき保健指導とかに携わってはおります
が、やはり保健指導をすることによって、保健指導がすごく今回の制度で注目されたということ
と、保健指導の成果は確実にあったということは認めるべきだろうなと思っております。
 ただ、その陰の中でといいますか、生活習慣病とか特定健診がメタボリックシンドロームだけ
に集約されたということのデメリット、その弊害もあるかなとは思っております。肥満対策とい
うのは非常に重要なことですので、是非その観点で進めたいのですが、あと昔の基本健診という、
それも捨てたものではないというのと同じ意見なのですが、更に今回の健診だとかでもう少し広
く視野を出して、生活習慣病のとらえ方をすることはできるのではないかとは思いました。
 というのは、例えばロコモティブシンドロームもそうでしょうし、女性の尿漏れ対策と生活習
慣病というようなものの関連だとかというのもそうだと思います。もう一つ、今回、40歳代から
スタートしたということで、若い方々の30代から結構データが変わっていくのですが、若い方が
結構切り捨てられてしまっている市だとかというところもあるというのが問題だなと思っており
ます。ですから、30代への健診、30代への保健指導というのをどうしていくのかということも考
えていかなければいけないと思います。
 私、産業保健とかもやっておりますが、今回、大きな事業所ではもとより保健指導とかの制度
は整っていたので、特に特定保健指導というような名前を使わなくても保健指導は充実していた
のですが、中小の企業の労働者では、資料3の図では労働安全衛生法と高齢者医療確保法をはか
って保健指導を進めるというような御説明だと思いますが、健診項目のすり合わせはされたけれ
ども、中小企業において余り保健指導は進まなかった、あるいは特定保健指導は特定保健指導で
しょうというような形で、ちょっと違うものとして置いていかれたというところはありまして、
今回保健指導が重要なポイントである30代だとか、中小企業の方々に提供されていないというの
が1つ問題だと思っております。
 あと、最近気にはなっているのですが、津下先生がいろいろ調べてくださった中にも出てこな
かったのですが、海外の文献だとかを見ると、肥満あるいはメタボリックシンドロームとうつの
関係はかなりエビデンスが出ているように思います。そう考えると、この生活習慣病健診という
のを切り口にして、今、大きな問題になっているメンタルヘルスというところにも、いわゆる保
健指導だとか健康づくりという観点からも切り込めるのではないかなと思ったときに、今後の展
開をもう少しメタボだけではなくて拡散させる必要はないのですが、私たち保健指導をする側が
もっと広い視野を持つべきなのかなとは思っております。
 以上です。
○永井座長 鳥羽構成員、どうぞ。
○鳥羽構成員 年齢のことを言わないとここへ来た意味がないので。
 恐らく健診の項目にしても、本来は年代によって意味が変わってきて、こちらの項目は若い人
でより有用だけれども、70歳くらいにくればもう少し別の項目が有用であるということが論点と
してはあるのでしょうし、75歳以上で努力義務になっている人でも、今後680万人くらい10年間
で増えてくる人たちの特定健康診断をしなくていいかという議論もこの中で是非していただきた
いと思います。
 その中で出てきているのは、生活習慣病が将来臓器障害だけではなくて、例えば激増している
認知症に関しても糖尿病とか高血圧、またメタボリックシンドロームにしても悪いという因子が
ありますし、歯周病とかさまざまな眼科疾患とか、先ほど言ったうつとか、すべての慢性期の病
気ととらえられる前の病態が将来の臓器障害だけではなくて、QOLを阻害するようなものに関して
意味のあるものに関してあれば広く議論した上で、あとは費用対効果を見て、若いときからはか
るべき項目が現状の特定健診のやり方でいいかについて、将来の臓器障害だけではなくて認知機
能とか寝たきりとか、そういうものにならないような項目についても是非御議論いただきたいと
おもいます。
○永井座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 現場の立場も含めて発言させていただきます。今回の特定健診・保健指導の一番
大きなねらいは、壮年期死亡を減らしていくということと、若い世代で予防可能な障害を減らし
ていくということにあるかと思いますので、そこに対して最も効率的な働きかけ、先ほど荒木田
先生、井伊先生がおっしゃったように、限られた時間の中でどこに集中投下、保健指導のマンパ
ワーを入れていくのかというときの効率性を考えたときに、メタボリックシンドロームといいま
すか、肥満といいますか、そこのところを1つ切り口にすることで、生活習慣を改善しやすい。
対象者の方が目標を立てやすいという意味では非常に効率的に改善を図ることができるのではな
いかというのは現場の中でも実感しています。
 基本健診も結構捨てたものではないのではないかという御意見がありましたけれども、老人保
健法のときの目的が、早期発見・早期治療という、早く悪い人を見つけて送るのだというところ
で一定成果を上げてきたことは確かだと思います。今回の特定健診では、受診率が低いという先
生の御意見でしたが、我々のところでも必死で受診率を上げるということをやったことで、潜在
的にいらっしゃった重症者がまだまだ拾えているのです。血圧が200を超えている方というのが
まだまだいらっしゃいますし、HbA1cが16とか17とかという方もまだ見つかります。
 そういう意味では、今回健診の受診率を求めていくということを1つ主眼に置いているという
ことは非常に大きな意味があるということも事実でして、老人保健法の(削除→ときの目的がま
だ)所期の目的が達成できていない部分については引き続きやっていきながら、新たな特定健診・
保健指導の目的をやっていくという、それぞれの医療保険者、自治体の状況によってこれまで法
が求めていたところが達成できていないところはやはりやっていかないといけないでしょうけれ
ども。基本健診も捨てたものではないというのは、健診のしくみ全体ではなく健診項目(削除→と
いう意味では捨てたものではないという意味ではその辺のところ)を(→削除含めて)おっしゃっ
ているのかなと思います。
 津下先生が出してくださった資料7の1ページにあります、これまでの健診・保健指導とこれ
からの健診・保健指導のところの対比が一番よくわかるかなと思うのですが、結果の出せる保健
指導はどこなのかといったときに、リスクの集積も含めて肥満を切り口にするということが非常
に効率的であるし、保健指導をアウトカム評価していくという新たな考え方というのは現場にと
っては非常に厳しいですけれども、効率性を求めるいいやり方だなと思っています。
 以上です。
○永井座長 では、津下構成員、林構成員、どうぞ。
○津下構成員 鳥羽先生がおっしゃったこととも関係するかもしれませんけれども、特定健診・
保健指導の壮年期死亡を減らすということを目的にしたわけですが、何を減らしたいかという健
康課題が、性とか年代によって異なります。このことは「健康日本21」の最終評価でもはっきり
出てきたわけですけれども、問題とされていたのは男性の早期死亡者が女性よりも非常に多かっ
たとか、循環器も男性の方が10年ぐらい早く発症しているとか、さまざまなデータから、まずは
男性の壮年期の死亡を減らしたいと。だからそのために何を介入したらいいかという観点で、逆
算的にここにアプローチをかけようというような考え方だったと思います。
 ではこれを壮年期を過ぎた高齢者にこのまま当てはめてもいいのかとか、女性に対してはどう
なのかというふうにもう少し細かく見ていくと、改善すべき点があります。制度導入のときには
まず一番予防しなければならない壮年期死亡をどうやって減らすかというところに着目をして、
こういう制度ができた、要は結果を出すための制度としてできたわけですけれども、性、年代別
の健康課題を考えて、例えば高齢者の健診の在り方はもう少し違うやり方を考えた方がいいので
はないかとか、そういう議論をセグメント別にしっかりと議論してやっていくことが必要ではな
いかと思っています。
 その際に「健康日本21」の最終評価で出てきた、性、年代別の健康課題の分析結果等は非常に
役に立つと思いますので、そういうデータを眺めながら、私たちは何を減らしたくてやっている
のだということを明確にした議論をしていった方がよいと思います。総花的にやって結果が出な
いとなっても、それは投入ももったいないと思いますので、この年代では何が課題で何を減らし
たいのだ、だから何をするのだというような筋道を一つひとつきちっとした方がいいのかなと思
っています。
○永井座長 そうすると、データが必要ですね。どこを重点化するかということですね。
 林構成員、どうぞ。
○林構成員 まず細かい話から始めたいと思うのですが、1つは女性の腹囲の話も出ましたけれ
ども、私は若いときに実は産婦人科をやっていたものですから気になるのですが、女性の腹囲と
いうのは一体骨盤の大きさをはかっているのか、それとも腹囲をはかっているのか、ちょっと疑
問があるところがありまして、それを自覚している方も健診に携わっている人もいらっしゃるか
もしれないのですが、多分日本全国的に見てそこら辺があいまいにされているのではないかとい
う気がするので、女性の腹囲のはかり方について、骨盤をはかっているのかどうなのかというこ
とを含めて検討したような論文というのは私自身はよく知らないのですけれども、あるのでしょ
うかということが1つ。
 2番目に、先ほどから出ております健診率の話は極めて重要だと思いますし、ただ、健診率を
上げるために一体何をすればいいかというのが大きな問題で、よく聞く声は、がん検診と一緒に
やったらどうかと。先ほどのデータを見ましても30%とか20%の健診率で、うちのスタッフなど
も30万人の健診の結果を分析して保健指導を受けた方が体重が減るとかというようなデータを
出していますけれども、私は若干バイアスがかかって迎合しているのではないかという気がしな
いわけではない。
 というのは、研究者はすぐポジティブデータを出したがるという傾向がありまして、それは否
めないのですけれども、ひょっとして健康意識の高い人が健診に来ているという側面がありはし
ないか。そこは学術的にやはり冷静に今一度検討しなければならないということを感じます。そ
れが2点目です。
 3点目は、もう少しマクロな話なのですが、日本はこういう健診をやり始めると本当に真面目
に一生懸命やって、世界でも一、二を争うような努力をするわけなのですが、ただ、冷静に考え
ますと、果たして健診だけで生活習慣、保健指導だけで生活習慣を変えられるのかどうか。そこ
ら辺はいまいちよくわからないというところがありまして、実際、今年の8月か9月の初めか忘
れましたが、国連総会でも生活習慣病をグローバルイシューとしてとらえているわけです。なぜ
国連総会であってWHOではないのだということを考えますと、やはりそれは生活習慣というもの
は健康のヘルスセクターだけ取り組めば何か効果を上げるということではなくして、交通産業と
か食品産業とか、いろんなセクターが絡んで初めて効果が出るという意識が強いためであると思
うのですが、そうしますと、それはポピュレーションアプローチの話にも関わっていくのです。
 ただ、先ほど井伊構成員の方からも話が出ましたように、保健師が結局1日働いている時間が
決まっているわけです。それにどの程度エネルギーを注ぐかということがこの健診をどれだけ綿
密にやるかという、そちらの方が効果的なのか、あるいはポピュレーションアプローチにもっと
力を入れた方が効果的なのか、そこら辺の努力のエネルギー配分を考えながら進めていかないと
多分難しいかなという気がしますし、実は1か月前、マニラでも総会で生活習慣病の話がありま
した。そのときに南太平洋の厚労大臣がおっしゃるには、うちはほとんど輸入食品ばかり食べて
いる。ですから、それしか食べようがないからみんなこうなってしまうのだと、こんな太ってし
まうのだということを考えまして、日本だっていろんなそういった側面があるわけで、そこら辺
を考えると果たしてどれだけエネルギーをこの健診に注ぎ、どれだけポピュレーションアプロー
チに注ぎ、そのバランスの上で保健師たちの働き方、栄養士さんたちの働き方を考えていくのが
1つのオーソドックスな道ではないかと思います。
○永井座長 それを考える上でのデータは入手可能なのでしょうか。
○林構成員 例えばそれを考える上で、今、ヨーロッパのWHOのコペンハーゲンのヨーロッパ支
局、かなり健診そのものからスイッチして、ヘルスインパクトアセスメントと称して、いろんな
ヘルスセクターが旗を振りながら、各産業におたくの産業がやっていることは生活習慣病に一体
どのぐらい影響を与えているのか、悪い影響を与えているのか、それぞれやってくださいという
ことで、いわゆるコーポレートソーシャルレスポンシビリティを課してやらせている文献が山の
ように出ております。
○永井座長 日本でもデータはありますか。
○林構成員 日本はないです。日本はそもそもそういう視点がないのです。
○永井座長 確かにメタボリックシンドロームという学術的概念を検証するというわけではない
のですね。学術を踏まえる必要はありますけれども、眼前の問題をどう解決するかということで
すから、それも限られたリソースをどううまく使うかということですね。そこはよく共通認識を
持っていただいてと思います。
 どうぞ。
○迫構成員 ありがとうございます。
 健診・保健指導の方に少し触れさせていただこうと思うのですが、メタボリックシンドローム
という言葉そのものが平成20年以前から猛烈な勢いで国民の間に流布して、認知度が非常に高ま
った。これは特定健診・保健指導の制度の1つの大きな成果だと思っております。
 私ども管理栄養士が面接をしている中でも、初回面接に入る前にもう既に取り組んでいる人た
ちが出てきている。そういう人たちはもう既に行動変容を起こしている。そういう状態の中で実
際に指導を行っていくという状況が見えてきているわけでございます。
 この辺のところというのは、先ほど申し上げましたように意識が高まったことによる大きな成
果である。その一方で、今日出していただきました津下先生の資料の後ろの方にも、健診を受け
られて受診勧奨を受けても未治療の方々が相当数いらっしゃる。脂質異常症であるとか、糖尿病
の中にかなりそういう方がいらっしゃる。そうすると、今後の健診または保健指導の在り方の中
で、受診勧奨・未治療者に対する支援をどういうふうにしていくのか。これは特に重症化防止と
いう意味では問題点として大きなものがあるのではないかと思われます。
 さらに、私どもの個別の栄養相談の中でやはり服薬者、そして先ほどからお話に出ていますや
せの方に対する指導、ここのところをどうするのか、階層化の中で外れてしまっている人たちの
指導をどうするかもこれも大きな課題になってきております。
 最後にもう一点、保坂先生の方から先ほどお話があったのですが、若い層のやせの問題ですが、
若い男性の肥満の問題と若い女性のやせの問題と、若年層は相反する課題を持っているかと思い
ます。特に若い女性のやせの問題というのは基本的な生活習慣がきちっとつくられていない可能
性が非常に高く、次の世代に確実に影響していくものでありますので、母子対策という以前に健
診の1つの項目、また保健指導の項目として位置づけていく必要があるのではないかと思ってお
ります。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございます。
 山門構成員、どうぞ。
○山門構成員 わたし自身も整理したいので御質問させていただきますけれども、今まで議論が
あったことは保険局の検討会でかなり進んでおります。現在の健診・保健指導の問題点。保坂先
生が初めにおっしゃいましたけれども、保険局でも同じ議論が行われておりますので、今、御質
問があったことはかなり進んでおります。その点については、その保険局での検討会の結果をこ
ちらに持ち上げるというような形で再度検討すればよろしいと思っております。
 一番ここで私としてやってほしいのは、島本構成員がおっしゃいましたように、特定健診はこ
のプログラムに基づいて行われております。健診項目も定まっています。それをどうすべきかと
いうのを、この特定健診の項目でいいのか、あるいは旧来の老人保健法に基づく基本住民健康診
査のような広い健診項目にしたらいいのかというようなことを是非ここの検討会では御討議いた
だければと思っております。それが本検討会における極めて重要な検討事項だと思います。
 以上です。
○永井座長 例えばクレアチニンを入れるかとかですね。
○山門構成員 そうです。
○永井座長 三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 今までの議論を伺っていて強く感じたところなのですけれども、確かに項目をど
うするかという問題は非常に多いところで、それが多分年代のライフステージのところで非常に
大きく関わってくるかと思います。30代の方々が確かに実際に切り捨てられているような感覚を
持ってらっしゃる方というのは多く聞くところでもございますし、あと若い年代から連続した対
応をしなければいけないというのはNCDの対応においては重要で、子どものときに低栄養であっ
たものが逆に中年期になってからメタボリックシンドロームになりやすいというふうな研究知見
等の積み上げもありますので、実はそれが顕在化してくる年代の前からのアプローチというのは
非常に重要なところかとも思うところであります。
 データに基づかなければいけないので、そこら辺のデータがどれぐらい補足できるかというと
ころが非常に悩ましいところではあるのですが、可能な限りそういったすべての国民が健康にな
るためにこういう制度があるとも考えますので、そういったような対応が求められるかなと考え
ているところでございます。
 以上でございます。
○永井座長 事務局にお伺いしたいのですが、これから少しヒアリングもされる予定ですか。そ
うした研究データを持っておられる方からお話を伺うというのも重要だと思いますが、いかがで
しょうか。
○尾田保健指導室長 今後の進め方につきましては、そういったことも含めましてまた事務局の
方で整理して座長と御相談しながら進めていきたいと思っております。そういうことも可能性と
しては排除しておりません。
○永井座長 ほかに御意見はありますか。
 どうぞ。
○竹村構成員 今後の進め方という意味で是非お願いしたいのは、魅力ある特定健診にしていた
だきたい。そのための努力をしていただきたいということです。
 先ほど受診率が下がったという話をしましたけれども、それからがん検診の話も出ましたけれ
ども、死亡率を減らすためにがん検診は非常に大切だと思うのです。相模原市では基本健康診査
の受診率の40%を目標にがん検診の受診率を積み上げていったという実績があります。大体大腸
がんでいいますと4倍近く受診率を上げているのですけれども、皮肉なことに今度の21年度の結
果では、がん検診の方が特定健診の方が多くなってしまっているのです。ですから、母体になる
目標がもうなくなってしまったので、これ以上どうやって健診率、それでもまだ二十数%ですが、
上げていけばいいかという方向性を失っているので、やはり特定健診の受診率がぐっと上がるよ
うな形というものを是非模索していっていただかないと、ほかの健診も成り立たないということ
になりますので、そこら辺も是非議論していっていただきたいと思います。
○永井座長 井伊構成員、どうぞ。
○井伊構成員 保健指導についてはかなり保険者による健診・保健指導に関する検討会で議論さ
れたということは御報告がありましたのでわかりましたが、これで保健指導に関して大方の議論
が終わったということではないと思います。
 もともと標準的な健診・保健指導プログラムにおいては、これを行うに当たってポピュレーシ
ョンアプローチをどうするかということが重要であるということも書き込まれて、実際に現場で
は先ほど申しましたように、この特定健診・保健指導だけで4万時間使って、それは保健師20分
を投入するという時間数になるのですけれども、実際には今、私の手元に特定健診・保健指導が
スタートして2年7か月のプロセスのある事例があるのですが、個々の人、一人ひとりを見ると、
やはり介護があったり、自分の仕事の転換があったり、最初は保健指導などを拒否していたり、
そのプロセスの中でコントロールよく生活習慣を改善して持ってくるということをどこでやって
いるかというと、資料3でいきますと、健康増進法の中の健康教育とか健康相談で相当現場では
取り組まざるを得ない状況もあるということを是非申し上げたいと思います。
 そういう意味で、特定保健指導に言われているポイント制とかパターンで示されていることに
ついては一定の議論があったかと思いますけれども、保健指導の全体像からすると、やはり幅広
い議論が必要だと思いますので、是非それについても取り上げていただきたいと思います。
○永井座長 鳥羽構成員、どうぞ。
○鳥羽構成員 項目が限られているということ、余り増やせない。すなわち、項目を増やせば増
やすほど多くの生活習慣病をカバーできるけれども、それだけ保健指導とか、いわゆるハイリス
ク者に対することが非常に困難になっていきます。ただ、先ほど私が発言しましたように、歯周
病にしろ、要するにメタボリックシンドロームというものが出てからロコモティブシンドローム
がそれに対抗するような形で出てきて、メタボリックシンドロームの概念の出たのは、いろいろ
なほかの学会にもすごくいい影響を与えて、啓発活動として効果があったと思うのです。すなわ
ちそこでいろいろな学会でコンテンツというものが充実してきているので、ポピュレーションア
プローチの手段としては相当できてきますので、項目を増やすかどうかというのはお金のかかる
項目ではなくて、いわゆる問診の中での項目を、いかにそれをいろいろな生活習慣病のものを含
めて聞いて、その指導についてはポピュレーションアプローチの中で充実していくのか、あるい
はハイリスクの人をどうやっていいコンテンツの教育指導をつくってやっていくのかという議論
の指導の方に一部は議論が移って、もし最低限このくらいしかハイリスクの人はできないという
ことであれば、本当に絞られた現行プラスαの項目選定になるでしょうし、そんなにたくさん増
やしても十分指導できないということになると、10%ぐらいしか完璧に最後まで指導できないと
いう現状では、やはり項目をそういたずらに増やすのは無駄だと考えています。
○永井座長 保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 皆様がお話しされたことの中から、やはりまず保健指導というのをこういうシス
テマティックにやることになったという意味では、特定健診・特定保健指導というのは非常に意
味があったと私も思っておりますし、啓発効果、メタボリックシンドロームということを国民の
間に広く自覚させて、ほかの健康についても感じさせるようになったというのは強いものがあり
ましたし、もう一つは、保険者が保険局の方で一生懸命やってくださったので、保険者がこの健
診の取り組むということも新しい取組みであって、それも大変よかったと思いますが、そのよか
ったところを残しつつ、不足のところを補っていくためには、全部保険者にやらせるということ
ではなくて、これから国としてどのようにしていくかということが多分必要になってくるのでは
ないかと思います。
 がん検診といわゆる普通の健診というのは、当然がんも生活習慣病であるという考え方が一般
的になってきているように思いますので、健康局長の方でがんと生活習慣病を一緒に扱うような
行政の制度もつくられるというお話もお伺いしておりますので、今日は多分もう時間がなくなる
と思うので、まとめのようにもう一回、局長の方からそういった国としてのこの健診やがん対策
等についての方針というか、そういうことをお聞かせ願えればと思います。
○外山健康局長 こうやって非感染症疾患は国際的にも重要になってきているということなので、
実は今、健康局というのはがん対策推進室というのが総務課の下にありまして、生活習慣病対策
室、保健指導室、地域保健対策室というのが幾つか分散しております。これを来年度、4月にな
るかいつになるか人事異動のときとまだ確定しておりませんけれども、新しくがん健康対策課(仮
称)という形で1つの課に束ねてやっていきたいと思っていまして、そのために今からもう既に
仮想ですけれども、今、分かれている室が一緒になってさまざまな対策を関連付けてやっており
まして、この検討会での御指摘もいろいろ関係するところがありますので、いただいた知見、御
見識については、そういった形で行政的に収れんして政策に反映させたいと思っておりますので、
よろしくお願いいたします。
○永井座長 よろしいでしょうか。
 では、そろそろ終わりますので手短に。
○野口構成員 今後の議論がそこまで入っていっていいのかどうかわからないのですが、健診受
診率を求めるという議論はこれから進んでいくのだと思うのですが、我々が見ていて一番課題に
なる人というのは、健診に来ない人も勿論そうなのですが、健診中断者の中で重症例が非常に多
く出てきているのです。健診リピート率でありますとか、健診中断者の状況であるとか、そうい
うようなこともみんなが関心を持てるような仕組みを何らかの形で入れていくということは重要
ではないかと思うことと、それぞれの医療保険者や自治体の現場の中で、何をもって評価したら
いいのか、自分たちの活動、特定保健指導をやったことを改善率等のどの指標をもって評価した
らいいのかというようなことも一定を示してあげていかないと、マンパワーが非常にかかる中で
ある程度プライオリティーを付けてやっていかないといけないその道筋が立っていかないと思い
ますので、そんなことも是非とも。
○永井座長 大井田構成員、どうぞ。
○大井田構成員 メタボ検診というのは確かにおっしゃるとおり、本当に国民に一次予防として
効果は抜群だったと思います。国民の3分の1は何か考えているわけですから、無作為抽出して
国民の85%がメタボを知っていて、そのうち3分の1が何らかの対策をとっているということは
偉大なことだと思います。本当に厚労省はよくやったと思います。だけれども、巨艦・巨砲主義
は日露戦争で終わって、次のことを考えなければいけないのと同じようにやらなければいけない
と、私はもう一回これはゼロクリアーにした方がいいなと思いますが、行政のお立場とするなら
ば、そんなに簡単にはいかないと思いますので、やはりこれはモデファイ、修飾しつつやってい
くしかない。ちょっとずつ変えていくしかないと思いますので、現実問題、厚労省の立場とすれ
ばドラスティックなことはできないと思います。
 ならばどう修正しつつ、ちょっとずつ変えながら日本の電気製品はちょっとずつ変えながら最
高のものをつくっていったのと同じようなことをしていかなければいけないのではないかと思っ
ております。私はどちらかというとメタボ検診の役割は終わったと思いますけれども、実際はそ
うはいかないということを申し上げたいと思います。多分、医師の先生と同じだと思います。
○永井座長 どうもありがとうございました。次回までに今日出てきました論点を整理していた
だいて、またそのほかにも御発言が足りなかったところはメール等で事務局にお寄せいただけれ
ばと思います。
 それでは、事務局から今後の予定について御案内をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 資料のスケジュールの方でもお示しいたしましたが、次回は12月27日、
10~12時で予定しておりますので、構成員の皆様方におかれましては、年末のお忙しい時期でご
ざいますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 それでは、これで終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局総務課
・生活習慣病対策室
  室長補佐 三田(内線2348)
・保健指導室
  保健指導専門官 畑農(内線2398)
(代表電話)03-5253-1111

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