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2011年4月25日 第1回水道水における放射性物質対策検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年4月25日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

出席委員

浅見委員、大原委員、欅田委員、朝長委員、古米委員、眞柄委員、桝本委員、森口委員

○議事

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、若干時間は早いですが、構成員の方が全員そろいましたので、ただいまから「第1回水道水における放射性物質対策検討会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところを御参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
 議事に先立ちまして、大塚厚生労働副大臣よりごあいさつを申し上げます。

○大塚厚生労働副大臣
 おはようございます。御紹介いただきました大塚でございますが、本日は大変御多忙の先生方にお集まりをいただきまして本当にどうもありがとうございます。
 当検討会は、厚生科学審議会生活環境水道部会の下に置かれます、水道水における放射性物質対策検討会ということで立ち上げさせていただきました。この検討会立ち上げの背景についてはもうあえて御説明を申し上げませんが、大変残念なことではありますが、我が国ではこれから長きにわたって放射性物質と向き合っていかなければならないという現実がございますので、国民の皆さんの安心・安全のために水道水に関して放射性物質にどのように対応していけばいいのかということに関しまして、先生方の御指導を賜りたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

○松田水道水質管理室室長補佐
 続きまして、外山健康局長よりごあいさつ申し上げます。

○外山健康局長
 おはようございます。健康局長の外山です。
 設置の趣旨につきましては今、副大臣が申し上げたとおりでありますけれども、私といたしましては今後の水道水の安全性確保に向けた放射物質対策への科学的な知見といいますか、そういうことをこの検討会に期待しておりまして、この放射性物質の特性であるとか降ってくるメカニズム、あるいは水道水に移行するメカニズムとか今後の見通し、それからどうやったら水道水中からこの放射性物質を軽減させることができるかといった、これから今、副大臣が申し上げたような長丁場になるわけでございますので、この検討会でそういったことに関する科学的知見をどうか御教示願いたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、事務局の方から配布資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料の議事次第の裏側に配布資料一覧が付いております。読み上げます。
 資料1が、「水道水における放射性物質対策検討開催要綱」。
 資料2-1が、「原子力発電所の事故を受けた水道水中の放射性物質への取組」。
 資料2-2が、「水道水中の放射性物質検査の結果について」。
 資料3-1が、「欅田先生提出資料」。
 資料3-2が、「大原先生提出資料」。
 資料3-3が、「古米先生提出資料」。
 資料4が、「放射性物質の水道水への影響メカニズムに関する論点」。
 資料5が、「今後のスケジュール」でございます。
 また、参考資料は1-1から4までワンセットで資料を付けております。
 以上、もし資料について不足等がございましたら事務局の方にお申付けいただければと思います。

○松本水道水質管理官
 本日でございますが、検討会の御参画を御承諾いただきました8名の皆様、全員に御出席いただいております。
 それでは、出席いただいた方々の御紹介をさせていただきます。事務局側の座席にいらっしゃいます方から、時計回りに御紹介させていただきます。
 まず、浅見先生でございます。
 大原先生でございます。
 欅田先生でございます。
 眞柄先生でございます。
 朝長先生でございます。
 古米先生でございます。
 桝本先生でございます。
 森口先生でございます。
 続きまして事務局側でございますが、先ほどごあいさついたしました外山局長でございます。
 失礼しました。大塚副大臣は事務局ではないという整理でございます。申し訳ございません。
 それから、水道課長の石飛でございます。
 水道計画指導室長の熊谷でございます。
 私、水道水質管理官をしております松本でございます。よろしくお願いいたします。
 それから、水道管理室室長補佐の松田でございます。
 では、続きまして、本検討会の座長を選出していただきたいと思います。構成員の互選とさせていただきたいのですが、どなたか御発言いただけますでしょうか。お願いします。

○古米構成員
 今回、水道行政、技術、あるいは水環境と幅広い関係がございますので、それに精通されておられます眞柄泰基先生にお願いしてはと考えております。

○松本水道水質管理官
 ただいま、眞柄先生を座長に推薦する旨の御発言がございましたが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)

○松本水道水質管理官
 それでは、御異議ないようですので、眞柄先生に本検討会の座長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○眞柄座長
 御指名でございますので、座長を務めさせていただきます。
 皆様方、御承知のこととは思いますが、今年の6月をめどにWHOが新しい水質ガイドラインの制定を目指して準備をしております。ほぼ原案は確定している段階でありますが、今回の福島の原発の事故以来、非公式ではございますが、ガイドラインのメンバーから、日本がこれから行うことは今後とも重要なことであるという意味で大変強い関心を持っております。今のガイドラインのドラフトでは具体的な方針、方策等は書かれておりませんで、基本的に今後どういうふうに対応すべきかということしか書いてございません。
 そういう意味では、この検討会でいろいろ議論されることは今後、日本の水道水のみならず世界の水道にとって重要な知見になると思いますので、是非構成員の先生方の御協力をいただいて、所期の目標を達したいと思いますので、よろしく御協力をいただきます。
 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。まず、最初に検討会の設置について御説明ください。お願いします。

○松本水道水質管理官
 それでは、資料1の「水道水における放射性物質対策検討会開催要綱」に基づきまして御説明させていただきます。
 まず、「趣旨」のところは読み上げさせていただきます。
「平成23年3月11日、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故発生後、周辺環境から放射能が検出されたことを受け、厚生労働省においては、関係地方公共団体に対して、地方自治法に基づく技術的助言として、水道水中の放射性物質のモニタリングの実施と、指標等を超過した場合の摂取制限及び広報の要請等を行ってきた。
 こうした中、モニタリング結果等を踏まえ、水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方や、水道水中の放射性物質の低減方策等の検討を行うことにより、中長期的な水道水の安全性確保に万全を期すことが必要である。
 このため、有識者の参加を求め、水道水中の放射性物質対策に係る今後の課題について検討するため、本検討会を開催する。」
 構成員については、先ほど御紹介させていただいたとおりでございます。
 「検討事項」でございます。
 (1)としまして「水道水への放射性物質の影響メカニズムの検証」、(2)として「水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方」、(3)といたしまして「水道水中の放射性物質の低減方策」、(4)といたしまして「モニタリング結果を踏まえた中長期的な取組」でございます。
 本検討会は、健康局長が開催いたします。
 検討会は、原則公開といたします。ただし、非公開とする場合にはその開催予定とともに非公開の理由を公開するということでございます。
 庶務については、水道課において行います。
 以上でございます。

○眞柄座長
 以上でございます。検討事項が4つあります。
 なお、この検討会は公開を原則とするということでございますが、この趣旨につきまして構成員の方々から御質問や御意見はございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、こういう要綱に従って検討会を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次は議題の2であります。議題の2は、「原子力発電所の事故を受けた水道水中の放射性物質への取組」についてということでございます。これにつきましては資料が準備されておりますので、事務局から説明ください。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、資料2-1、資料2-2、参考資料につきまして説明をしたいと思います。
 まず、資料2-1でございます。資料2-1につきましては、「原子力発電所災害を受けた水道水中の放射性物質に関する取組」ということで、まずスタートになったのは3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生をして、東京電力福島第一原子力発電所に係る原子力緊急事態宣言が発令されたということでございます。
 その後、3月19日、地方公共団体及び水道事業者等に対し、水道水中の放射性物質の濃度が飲食物摂取制限に関する指標を超過したときには飲用を控えるよう、広報が要請を行う。
 合わせて3月21日、水道水中の放射性ヨウ素濃度が100Bq/?を超過したときには、乳児による飲用を控えるよう広報が要請を行うということでございます。
 この点につきまして、別添1から別添3までで御説明をしたいと思います。
 まず、ページを開いていただきまして3ページでございます。別添1にどのような取組を行っているか、簡単にフローでまとめたものをお出ししております。まず左の方にございますとおり地方公共団体、関係自治体、水道事業体、あとは現地対策本部、文部科学省、こちらの方がモニタリングを行う。これに当たって、厚生労働省の方にその情報を集約しまして、厚生労働省がその結果を公表するということでございます。モニタリング結果からその指標等を超過する情報があれば、地方自治法に基づく助言として水道事業体に摂取制限及び広報の要請を実施しております。また、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害対策本部が摂取制限の要請を行うという仕組みがございますけれども、現時点で水道水に関して発動例はございません。
 次に、ページを開いていただきまして別添2、5ページでございます。これについては、3月19日の摂取制限に関する通知でございます。放射性ヨウ素300Bq/?、放射性セシウム200 Bq/?、この指標を超えるものは飲用を控えること。また、生活用水としての利用には問題がないこと。代替となる飲用水がない場合には飲用しても差し支えない旨、示しております。
 また、この通知の4.目、6ページでございますが、浄水処理には知見の数は少ないものの、活性炭処理による除去効果を示す知見も存在しており、粉末活性炭などの処理の実施を検討いただくよう取組をお願いしております。
 また、7ページにいきまして、参考1にこの放射性ヨウ素と放射性セシウムの指標値の根拠となる原子力安全委員会が定めた飲食物制限に関する指標値を紹介しております。
 次に、11ページにいきまして別添3でございます。これは3月19日の「乳児による水道水の摂取に係る対応について」ということで、ここで食品衛生法の暫定規制値により放射性ヨウ素が100Bq/?を超えるものは乳児用調整粉乳などに使用しないよう指導することとされている。そのことを受けて、放射性ヨウ素が水道水中のものが100Bq/?を超過する場合には乳児による水道水の摂取を控えるようお願いをしているということでございます。
 それでは、表紙の1ページ目に戻りまして、このような通知によって3月19日から厚生労働省ではモニタリング結果を公表しているということでございます。

○大塚厚生労働副大臣
 大変恐縮なのですが、今、事務方の方から19日のところを御説明させていただいていますが、その11日と19日の間に重要なイベントがございまして、3月17日に食品についての暫定規制を決定、公表させていただきました。その中に飲料水についても規制がありました関係で19日以降の動きになっておりますので、若干補足をさせていただきます。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、続きを御説明させていただきます。
 21日、25日、31日にモニタリング結果の情報提供の依頼を行っております。
 また、26日、27日には降雨後の取水量の抑制・停止など、対処可能な方策の検討を水道事業者に通知をしております。
 また、4月4日、水道水中の放射性物質に関する指標等を当分の間、現行の指標等を維持することや、モニタリング方針などを定め公表する。その点について、地方公共団体及び水道事業者等に通知をしております。
 これについては、25ページを開いていただければと思います。4月4日に記者発表した資料でございます。
 ここで26ページを開いていただければと思いますが、「水道水中の放射性物質に関する指標等の取扱いについて」ということでございますが、この同じ日に食品衛生法の暫定規制値に関して動きがございまして、放射性物質に関する緊急取りまとめ、これは食品安全委員会が取りまとめられたものです。また、原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部の見解、合わせて薬事食品衛生審議会食品衛生分科会が取りまとめた食品中の放射性物質に関する当面の所見を受けて、食品中の放射性物質に関する暫定規制値が当分の間、維持される方針となったということを受けまして、2.にもございますが、我が国で初めての原子力緊急事態が依然として収束していないことなどにかんがみ、当分の間、現行の指標等を維持するということで、この日に指標等を維持するとしたところでございます。
 また、別紙2の方にいきまして、「今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針について」ということでございます。これについてはかいつまんで御説明をいたしますが、ページを開いていただきますと28ページでございます。「基本的な考え方」ということでございます。
 最初にございますが、我が国で初めての原子力緊急事態が依然として収束しないことなどにかんがみ、今後水道水の検査を継続的、定期的に実施をしていくということがここで書いてあるということでございます。
 また、「モニタリングの方針」、3番目ということで「調査方針」ということでございますが、ここで対象地域を福島県及びその近隣の地域、宮城県、山形県、新潟県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県の水道について重点的にモニタリングを実施していくということを示しております。これらの地域の地方公共団体に地域内の市町村の水道水の定期的な検査を実施し、検査未実施地域の解消を目指していくということを記載しております。
 次のページにいきまして29ページですが、「対象項目」としては当面放射性ヨウ素、放射性セシウムを項目とする。
 また、検査の対象試料については蛇口水、または浄水場の水として水道事業ごとに設定することとしております。
 「検査頻度」につきましては、その地方公共団体の水道事業者の検査体制に応じて1週間に1回以上を目途に検査を実施し、指標等を超過、指標等に近い値が測定されている場合は原則毎日測定することとしております。
 また、降雨の影響を受ける間は検査頻度を高めることも記載をしております。
 また、30ページにいきまして、「厚生労働省が行う摂取制限及び広報の要請の目安」ということでございますが、原則として直近3日分の水道水の放射性物質の検査結果の平均値が指標等を上回った水道事業者に対し、摂取制限及び広報の要請を実施する。
 ただし、1回の検査結果でも指標等を著しく上回った場合には、当該水道事業者に摂取制限及び広報の要請を実施するということを示しております。
 また、次に5番目にいきまして「水道事業者が行う摂取制限の解除の目安」です。これについては、水道水の摂取制限を行っている水道事業者が水道水の摂取制限の解除を実施する際の目安として、直近3日分の水道水の放射性物質の検査結果の平均値が指標等を下回り、かつ検査結果が減少傾向にあるという場合とするということを示しているということでございます。
 「その他」としてこの3、4、5の内容については必要に応じて厚生労働省が地方公共団体に別途要請することがあるということを示しております。
 7番目として「今後の取組」ということでございますが、地方公共団体と調整を行って具体的なモニタリング実施体制を整備拡充していく。
 モニタリングマニュアルも作成をしていく。
 今後の水道水のモニタリング結果の集積に伴い、大気等の放射性物質検査結果、降雨、風向き等の気象状況、福島第一原子力発電所からの距離等の情報を踏まえ、水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方を更に検討するということをこちらの方に示しております。
 また、表紙の1枚目に戻りまして、4月11日にこの4月4日のモニタリング方針に関して地方公共団体向けのQ&Aというものを作成して、地方公共団体等に対して通知をしております。これは別添10に付けております。
 また、4月19日に第10回厚生科学審議会生活環境水道部会が、水道水における放射性物質対策に関する検討会の設置を了承いただいておるということでございます。
 これが一連の取組ということでございますが、合わせて資料2-2の方にいきまして、「水道水中の放射性物質検査の結果について」を御説明いたします。
 まず1.目にございますが、モニタリングは福島県の政府の現地対策本部、あとは文部科学省、地方公共団体、水道事業体が行っております。政府の現地対策本部が実施しているものについては、福島県内の水道事業を対象にして今年の3月16日から毎日水道水の測定を実施しております。検査結果は、厚労省が公表しております。
 また、2番目にいきまして、文部科学省も3月18日から各都道府県で毎日1地点の水道水の測定を実施しております。
 次に、地方公共団体及び水道事業者が実施しているものですが、これは福島県及びその近隣の地域を中心に消防団体及び水道事業者が管下の水道事業を対象に水道水の測定を実施している。その結果については、各々が公表しているということでございます。
 それで、事故発生以降、厚生労働省が乳児を含めて水道水の摂取制限及び広報の要請を実施した水道事業者等を4ページと5ページに示す表1に示しております。
 4ページの方が時系列で摂取制限要請を行っているもの、最初にあるのが乳児で、その下が一般ということでございます。一般については福島県の飯舘村に対して要請を3月21日から行って、4月1日に解除されているということでございます。また、乳児の摂取制限の要請に関して言えば、20水道事業ほどで実施をしてきたということでございます。現在も摂取制限が実施されているのは飯舘村の飯舘簡易水道事業1か所ということでございます。
 また、24ページにいきますと、こちらは福島県近隣の県の地図ということでございますが、「厚生労働省による水道水の摂取制限及び広報の要請の実施状況」ということで、摂取制限を実施した事業についてプロットしているというものでございます。
 次に、表紙に戻りまして3.で、「文部科学省による水道水中の放射性物質の検査結果」ということでございます。これについては、6ページの図の1と表の2の方に示しております。これは、放射性ヨウ素と放射性セシウムのデータを付けております。このデータにつきましては、全国の都道府県の中で放射性ヨウ素、セシウムが検出された13都県を対象にしております。
 このグラフを見ていただければと思いますが、放射性ヨウ素に関して言えば放射性物質濃度のピークは3月18日から29日にかけて、各都県、少し違う特徴がございますが、この時点でピークがある。その一方で、多くの地点で3月後半ごろから減少傾向に転じて、4月11日時点では微量濃度が検出されている状況です。これについては、4月24日でも変わらない状況であります。また、放射性セシウムに関して言えば放射性ヨウ素と比較して濃度はおおむね低いという特徴でございます。
 また、次に摂取制限が行われた水道事業者等における検査結果ということでございます。これについてはグラフを8ページ以降に付けております。図の2-1から2-4まで付けておるということでございます。図の2-1に関して言えば、放射性ヨウ素と空間線量の関係ということでございます。更に、降雨量についても棒グラフとしてそのデータをお付けして、この3者が関係を見られるようにお示しをしているところでございます。
 こちらを見ていただければと思いますが、福島県飯舘村では非常に高い放射線ヨウ素濃度が検出されたということでございますが、これが放射線の空間線量との傾向という部分で似ている部分がございます。これについては福島県伊達市、川俣町等でも同じように見られるかと思います。
 また、その一方で、茨城県などではどうも最初の降雨が多かったときに放射性ヨウ素の濃度が高いというような傾向が見られるということでございます。
 10ページ、11ページでは千葉県、東京都の情報についてもお出しをしているということでございます。
 なお、1回目の降雨では非常に高い濃度が検出されたということでございますが、その後の降雨では放射性ヨウ素の濃度は検出されていないということでございます。
 次に、12ページから15ページ目までは水道水中の放射線セシウムと空間線量の水位ということで、先ほどは放射性ヨウ素ということだったのですが、こちらは放射性セシウムということでございます。
 放射性セシウムについては、福島県下の一部市町村で水道水中に一時的な濃度の検出が見られるということでございますが、放射性ヨウ素と比較してその検出濃度というものは低いということが特徴として挙げられます。
 また、16ページ目以降ですが、16ページ目から19ページ目までが水道水中の放射性ヨウ素と降下量の推移ということでございます。放射性降下量が青い線で、放射線濃度がピンクの線ということでございます。これについては、特に茨城県や千葉県、東京都、こういったところで放射線降下量が上昇した後、降雨も相まって放射線ヨウ素の濃度が高くなっていくように見受けられます。
 また、次のページにいきまして、図2-4からは水道水中の放射性セシウムと降下量の推移ということでございます。放射性セシウムについては福島県の一部の都市で検出されているということでございますが、ヨウ素に比べてデータとしては低いということでございます。
 これらのデータについての緒元でございますが、25ページ目にグラフの作成用の緒元が付いております。空間線量と降下量と降雨量のデータ、これについては必ずしもその地点の情報があるということではありませんので、その降下量、空間線量、気象観測所については水道水の採水地点から最も近いと考えられる場所を選定しております。
 これが資料2-2までの説明でございますが、合わせて参考資料についても簡単に概要を説明したいと思います。
 まず参考資料1-1でございますが、これは原子力安全委員会が4月12日の時点で公表した「福島原子力発電所から大気中への放射性核種の放出総量の推定的な試算値」ということでございます。3枚目に、環境モニタリングデータや大気拡散計算から放出総量を逆推定したデータというものをお示ししているということでございます。
 また、次に参考資料1-2でございます。開いていただきますと、これは原子力安全保安院が公表した福島第一原発の想定放出量ということで、INES評価についてレベル7と暫定評価を行ったものでございます。
 2枚目に福島第一での想定放出量ということで、保安院の概算と安全委員会の発表値ということをお示ししております。
 次に参考資料2でございますが、これは原子力安全保安院等が公表した福島第一原子力発電所構内の空気放射線量結果ということでございます。3月15日に、正門付近で1万1,930μSv/時を示したものということでございます。
 次に参考資料3-1でございますが、これは文部科学省が公表した11都県の空間放射線量の図です。3月中の空間放射線量の推移を、この3-1の上の方の図に示しております。これが10都県の部分のデータです。
 また、4月から測定をしている福島市の空間放射線量の推移というものを2枚目に突けております。
 その後、2枚目以降に山形県など、各都県の環境放射能水準ということをお示しして、過去の平常値と範囲と比較できるようにお示しをしているということでございます。
 その後、4枚ほどめくっていただきまして、次に参考資料3-2ということで日本原子力研究開発機構が示した原子力研究開発機構のモニタリングポストにおける線量率の推移ということでございます。ここで、茨城県内にある地点という部分で線量というものが検出されている。3月15日にピークがございまして、その後、3月21日に上がっているというデータをお示ししております。
 参考資料4については、気象庁が発表した降水量、風向き、風速等のデータでございます。こちらも参考までにお付けをしております。
 事務局の方からの説明は以上でございます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、今、資料に基づいて3月11日の地震以来、今日までの経緯あるいは対応について説明がございましたが、これについて御質問や御意見があったらどうぞお出しください。

○石飛水道課長
 先ほど追加でお配りしました1枚紙でございますけれども、先ほど副大臣から御紹介いただきました食品関係の暫定規制値を定めたときの通知文書、裏表でございます。裏の方に放射性ヨウ素、セシウム等の摂取制限に係る指標値が定められているものを追加でお配りさせていただきましたので御紹介いたします。

○眞柄座長
 ありがとうございました。それでは、どうぞお出しください。特にございませんか。
 では、私から1つお伺いします。今、測定されているのは現に給水を行っている水道事業者が測定したデータですね。それで、災害、震災の後に復旧をして給水開始をした事業体については、必ず放射性物質について検査をして、その結果を見て給水開始の措置をとらせているのか。それは、それぞれの水道事業体の判断に任せて行っているのか。どちらですか。

○松本水道水質管理官
 現状を申しますと、基本的には福島県内におきましてはすべて現地の災害対策本部の方で計画的に福島県と相談しながら体制を組んでおりますので、今おっしゃったような体制は可能かと思います。
 ただ、それ以外の都県につきましては、もともと十分な放射性物質を測定する体制が確立していなかったということもございまして、現在はとにかくまず1回測定しよう。測定してみて、その結果、超えているようなことがあれば毎日きちんと測定して、その結果に基づいて措置を講じていただくというような体制で現在暫定的に動いているという状況でございます。

○外山健康局長
 再開に当たって測定を要件としないけれども、近隣10都県も含めて週に1回は必ずカバーするようにという形の体制整備を進めていて、あとは整っていないのは警戒区域以外の町村では20市町村だけ残っていまして、かなりのところをカバーするようになっております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。いろいろと御説明がありまして、必ずしも水だけではなくてほかの食品や土壌や空間線量も測定されていらっしゃいますから、そこのところが著しくほかの地域と異なる値であれば当然措置をとられるわけでしょうが、特に異常な値もないようでございますから、そういうことだというふうに理解をさせていただきます。ほかにいかがですか。
 では、大塚副大臣どうぞ。

○大塚厚生労働副大臣
 私からも補足させていただきます。
 今、御説明させていただいた資料2-1の28ページと29ページをごらんいただきますと、この資料は27ページからのモニタリング方針についての紙なのですが、28ページにモニタリングの調査の方針というところで、調査の対象の都県の名前が列挙されております。それから、29ページの(5)の「検査体制の確保」のところに地方公共団体による検査実施を要請するということが書いてございますので、本来、この対象の都県についてすべての水道事業体ないしは自治体に検査をしていただくつもりでありますので、今そういう方向に向けて協力を要請している。しかるべき時期に、やはりなかなか検査をしている自治体としていない自治体があるとすれば、その情報はしっかり開示をしなければならないというふうに思っておりますので今、調整をさせていただいております。

○眞柄座長
 ほかにございますか。
 では、森口さんどうぞ。

○森口構成員
 1点質問させていただきたいのですけれども、測定された水道水の測定の断面と申しますか、例えば資料2-1の29ページの今後の方針の中では、採水場所として蛇口の水、それから浄水場の水という表現がございます。浄水場の水といいましても取水側と送水側とそれぞれ断面が違いますし、ある種の時間遅れもあろうかと思いますが、今日お示しいただいた資料の中で水道水中の濃度として示されているものがどこで測られたものか、あるいは同一の事業体において一番上流側といいますか、水源に近い側と、それから蛇口と両方測られている、あるいはそういったところの時間的関係等に関する資料をお持ちかどうか。この辺りをお教えいただければと思います。

○松田水道水質管理室室長補佐
 資料2-2の方にいきまして、 本日お出ししているデータにつきましては水道水の摂取制限の要請を行っている事業体に関するデータということでございますが、こちらの方の水道水の採水地点というものを調べているということでございます。こちらの方を見ていただければ、浄水場で行っていたり、給水栓で行っていたりするということがそれぞれの事業体によって異なります。
 25ページの別表の「グラフ作成用諸元」のところですが、ここで水道水の採水地点について把握をしているということでございます。
 また、これ以外のデータにつきましても、例えば文部科学省につきましてはすべて給水栓における調査ということを把握しております。
 また、そのほかの水道事業体、水道水の摂水制限の要請を行っていない事業体においても、給水栓の方で行っているのか、浄水場の方で測定を行ったものかということについても情報を把握して、その点についても公表しているということでございます。

○眞柄座長
 ほかにございますか。
 それでは、古米先生どうぞ。

○古米構成員
 ちょうど今、別表が出たところで、空間線量は細かくデータがある一方で、降下量というのは限られたところしかない。そういう意味においては、データの見方として例えば今、資料の2-2の16ページのデータを見ると、福島県関連の場合には降下量は福島市を代表としてこの絵をつくっていただいている。そのときに、27日より以前のデータが、他の地区は17日くらいからデータがあるようですけれども、ここだけ抜けているのは何か事情があるのでしょうか。

○松田水道水質管理室室長補佐
 このデータにつきましては、文部科学省の方でデータを取っているということでございますが、機器の調整が不良という時期もあったと聞いておりますので、その関係でデータが欠損しているのではないかと推察いたします。

○眞柄座長
 私から、同じような質問かもしれないですが、1950年代に核兵器の実験が行われて、特に北半球では核分裂物質の影響があって、日本国内でも水道事業体が放射線量の測定をしていた時期があったわけですね。
 そういう意味で、現在水道を含めていわゆる公共の立場に立って放射線量が測定できる都道府県はすべてにあるのかどうか。特にこの10の県に関してすべてどれぐらいの密度で測定する能力があるかということについて、食品も含めてですが、厚労省でどの程度であるというふうに判断されていらっしゃるか、教えていただけますか。

○松本水道水質管理官
 その点については、現在の文部科学省による体制というものがまず基本としてございまして、定常的なモニタリングをやっていく。もともとそのモニタリング自体は空間線量ですとか空中の線量を測るための調査というふうに位置づけられて、ただ、基本的には各県で1台ずつ測定器を備えて、それでやっていく体制をとられていた。
 このため、18日から水道水についても測定するというような形で文部科学省の方で体制をとりまして、そこから水道水についても各県1か所は測定できるようになったというのがまず基本でございます。
 その後、福島県内につきましては現地対策本部におきまして測定可能な機関をかき集めまして、それで測定の対象を取っていった。ほかの県におきましては、それぞれの県で持っております文科省の機器で使えるように依頼してそれを使っているところ、あるいは民間の機関に依頼してそれを測定するというような状況の中で、これまで測定が続いているという状況でございます。
 また、先ほど副大臣からもお話がございましたけれども、今後その体制を整備していく中で、現在私どもの方で測定可能な機関について把握いたしまして、それについてなかなか地方公共団体の方で難しいというところについては随時紹介して測定をしていただくというような体制をとってきているという状況でございます。

○大塚厚生労働副大臣
 結論的に申し上げると、多分座長の問題意識からすると十分な今、検査インフラは整っていないという状況だというふうに御報告を申し上げます。
 というのは、3月11日までまさかこういうことが起きるとはだれも思っていなかったわけでありますので、以来、水道については今、説明もありましたが、食品についても利用可能な検査機関は一体幾らあるのかということは食品安全部の方で当然整理をしております。したがって、水道と食品と合わせて検査可能機関ないしは組織がどのくらいあって、どのくらいの検査インフラを持っているのかということは、これは一度整理をして、また先生方にお示しをさせていただきます。
 そういうことの体制の充実も含めて、これも予算対応の必要なことでございますので、今、関係省庁で鋭意補正予算に盛り込むことも含めてやっている最中であるということも付け加えさせていただきます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。ほかにございますか。よろしいですか。
 では、次の御説明にいきますが、もし何かありましたら戻って御質問もいただければと思います。それでは、その次が「水道水への放射性物質の影響メカニズム」ということでございます。これにつきましては、今日御参加をいただいております先生方から、それぞれの先生方の御専門の立場から御説明をいただきまして、その上でいろいろと検討を進めてまいりたいと思います。
 それでは、最初にまず欅田先生から、放射性物質あるいはそれの影響についてどういう形なのかということの御説明をいただきたいと思いますので、欅田先生ひとつよろしくお願いいたします。

○欅田構成員
 それでは、欅田です。着席したまま発表させていただきます。
(PP)
まずは、放射性物質あるいは放射能についての概説を最初に行わせていただきます。
(PP)
 こちらにお示ししましたのは、今、問題になっています放射性ヨウ素、あるいはセシウム等の性状についてですけれども、代表的なものはヨウ素-131と言われるもので、よく言われるように半減期が8日間、それでβ線とかγ線を放出して崩壊していきます。
 現在、環境中で随分問題になっていますけれども、一方でこれは医療の面でも非常に多く使われているわけです。甲状腺がんの治療でありましたり、バセドー病の治療におきまして、これを内服して治療するということが行われています。そのときの量に関しましては今、問題になっているのとは随分けたが違っておりまして、3.7~7.4×GBqということですから109Bqとかというオーダーです。そういった量を内服して治療を行うということが行われております。そういった治療を行いました患者さんは長期フォローも行われていますけれども、そういった方々からの発がんというふうなものは今のところ疫学的にも観察されていないという状況にあります。
 セシウムに関しましても、セシウム-137というのが代表的なものとしてよく言われています。こちらに関しましてはカリウムなどと同じような動態を取りますので、もし内部被ばくを起こした場合には全身に分布していく。半減期は30年ということですけれども、これはセシウム-137がそのままおいて置いたら物理的に半減していくのが30年ということですが、体内に入った場合にはその元素固有の代謝ということが行われて入れ替わっていきます。それは生物学的半減期と言いますけれども、年齢層によって違いますが、若いほど早くて、成人であったら70日から90日ぐらい、幼少児であれば40日弱というふうな形で入れ替わっていくという状況にあります。
 その下にありますカリウム-40は自然放射線、天然の放射線核種として存在するわけですけれども、地球誕生以来の非常に長い109年というふうな半減期を持った核種でありまして、理科の実験室にありますKCl、塩化カリウムですね、そういったものの中にも一定比率ありますので今、表面汚染のサーベイに使っていますGMサーベイメーターを持ってきて塩化カリウム500gの試薬の前に置きますと、バックグラウンドの3倍とか4倍にすぐに上がっていきますよというふうな状況です。
 そういうことですから、当然、私たちの体の中にもカリウム-40というのは含まれておりまして、私ぐらいの体型であると通常4,000から6,000Bqぐらいのカリウム-40を体の中に持っているという状況にあります。
 ポロニウム-210というのもありますけれども、これはα線を出す核種ですので、放射線の種類によって影響の違い方がいろいろ問題になりますよということがよく言われていますが、α線を出すような核種の場合には体の中に入りますとそこで崩壊するエネルギーが全部近隣の細胞に与えられるということで特に問題になってくるわけですね。これに関するものとしてはリトビネンコ氏の暗殺事件とかということで耳にしたこともあると思うんですけれども、単位重量当たりの放射線を出す量が非常に強いものですから、そのようにテロのような形で悪用された事例もあります。
(PP)
こちらにそのほかの核種についていろいろ紹介していますけれども、核種とそれの質量数が書いてあります。この丸で示してあるのが現在問題になっている核分裂生成物ですけれども、この黄色で示してあるようなところというのは医療分野でよく使われています。Co-60とかI-131、この辺は放射性治療などでもよく使われています。Cs-137というのもがんの外部照射ですね。がん治療のときなどによく使われています。これらは、コントロールした中で使われている状況にあるわけです。
一方、この丸で示されているのは核分裂生成物ですけれども、U-235を燃料として核分裂しますと、これが核分裂しますから均等の重量の120ぐらいの元素ができるのかと思うとそうではなくて、確率的にこの90前後のところ、あるいは130前後のところ、こういったところの元素に分かれること、二峰性の分布を示すことが多いものですから、こういった元素の生成が非常に多くなってくるという形にあります。
(PP)
 なかなか難しいのが、放射性、放射能の単位を扱うときの話です。外部被ばくのときにはよくマスコミ報道でもされていますように、このμSv/時というふうな形で示されております。要は、これは車のスピードみたいなものですね。ですから何分、何時間そこに滞在したことによって何キロ進みましたと同じように、どの程度の線量を被ばくしました。何μSv被ばくしました。あるいは、サイトの近くであれば何mSv被ばくしましたということで、時間をかけると被ばく線量が出てきます。
 また、放射性物質の場合には表面汚染というふうな形で外部被ばくを引き起こしてくることがありますけれども、そういった場合には単位面積当たりにどれだけの放射能、ベクレルで示されますが、どれだけの放射能がついているのか。そうすると、その核種に応じて被ばく線量を換算する係数がありますので、1時間当たりどの程度の線量を被ばくしているのかということが算出される。
 また、今のように飲料とか食品の場合にも同じように単位重量、あるいは単位ボリューム当たりどの程度の放射性物質が入っているのかということで、核種に応じた係数を掛けることに被ばく線量が評価できる。
 I-131の場合には、甲状線に特異的に取り込まれますので、そういう臓器の線量という形で表現されますけれども、これに関しましてはα線、β線、γ線とかという線質を評価して等価という形で評価しますが、等価線量という形で表現していく。
 一方、がんの影響に関しましては全身の確率的影響というものを示すわけですけれども、こういう等価線量に臓器別の重み付けして実効線量という形で表現していく。これはいずれもシーベルトという形で表現していくものですから、若干ここら辺で数値がこんがらがってきて、甲状線のI-131の場合には甲状腺に対する規制値としては等価線量50mSvとかとなっていますけれども、実効線量でいきますと2mSvになるとか、そこら辺がこんがらがってくるところがありますが、御注意して見ていただいたらと思います。
 ですから、この実効線量というのは発がんリスクなどを評価するときの指標として使われているということです。
(PP)
 これはよく見られているもので、私たちは身の回りにいてもいろいろな放射線を浴びていますよということを示す、それと今の被ばく線量がどの程度なのかを示す材料として文科省の方でまとめられてよく見ているものですけれども、こちらに書いてあるのは普通の直線軸ではなくて対数です。10、100、1,000というふうな形で、対数で、ここではマイクロシーベルトのオーダーで示しております。
私たちは、先ほどカリウム-40の例を示しましたけれども、普通に生活していましても身近にいろいろな放射線を浴びています。例えば、ニューヨークを往復したときは200μSvになりますよと、これも度々今回の事故に合わせて報道されていますけれども、高度の高いところに行きますと宇宙線をも浴びる量が増えてくるものですから、地上に生活しているときでも高い放射線量になる。宇宙ステーションなどの場合にも、直接宇宙線を浴びるものですから問題になってくるということがあります。
一方、普通に生活していましたら、先ほどのカリウム-40等の食品摂取による内部被ばくであったりとか、通常の大地から被ばくする大地放射線の線量であったり、この部屋の中にもラドンガスがありますけれども、ラドンガスによるα線の内部被ばくですね。
 そういったものをトータルすると世界平均で2.4mSvぐらい、1年間に2,400μSvぐらい被ばくしているんですけれども、地域によっては非常に高いところがありまして、ブラジルであったり、インドのケララ地方であったり、中国であったりすると、年間に10から20mSv浴びるようなところがあります。こういったところに関しても日本が幅広く疫学調査を一緒に行っているんですけれども、そういったところでも発がんが増えたというようなことは報告されていないというのが現状であります。
一方、医療の実際の被ばく線量評価というのがこちらに比較で出されていますけれども、医療の場合には必ず正当化されているということで、そこで診察、治療ということのメリットが必ずありますので、直接こういった現状における線量と医療の線量を比較するのは余り望ましくないんですけれども、今はもう定着した状況なものですから簡単に紹介しますと、胸のレントゲンを撮りますと1回50μSvぐらいです。CTを撮りますと、部位にもよりますけれども、6から10mSv、6,000から1万μSvぐらい浴びますよというふうな状況にあります。
(PP)
 先ほど座長の方からも御指摘がありましたけれども、以前は大気圏内の核実験というのが非常に幅広く実施されておりました。そのときに、降下塵中の放射性物質の濃度がどうであったのかということをずっと経時的に気象研究所の方などで測定されてきて発表されています。これは縦軸はちょっと見にくいですけれどもmBq/?ということですから、これは104ということが、ここで10Bq/?、ここが105のところで100 Bq/?というふうな数値です。
 大気圏内核実験がずっと行われていたときには、この黒丸で示されているセシウムが100 Bqを超えるような数百Bq/?というふうな濃度をずっと示していた。それで、大気圏内核実験が中止されるとずっと下がってきていたんですけれども、ここで1本ピークがあるのはチェルノブイリの事故があったときで、チェルノブイリの事故は1986年4月26日に発生しましたけれども、ゴールデンウィーク中、数日たつと日本でも幅広く検出されていたという状況があります。
 その後は低下して一定のレベルを保っていましたけれども、先ほども述べましたように半減期が非常に長いものですから、二次的な発塵等による分がこういうふうな状態で非常に低いレベルですけれども、観察される状況にあったということでございます。
 現在どのようなレベルかということで、先ほどお示しいただいた資料の方で、降下塵の方の数値は余り出ていませんでしたけれども、例えば東京、新宿で測られているデータで見ますと、雨が降った3月21日の時点で1?当たり5,300Bqということで、当然、雨が降ったものですからそれまでに大気中に漂っていたものが降下してきて非常に高い濃度を示しましたけれども、その後は非常に減衰しておりまして、20から100Bqぐらいを推移している。雨が降ったりしてイベントがあったときは高目に出て20から100Bqぐらいを示しまして、それ以外のときは10Bqぐらいのところで推移しているということで、この当時よりもむしろ低いぐらいのレベルで今、推移しているというふうな状況にあります。
(PP)
 もう一度、先ほどの被ばく線量の感じを具体的に体現してもらうために、こちらに今度はミリシーベルトで出していますけれども、それとイメージするために重量単位ですね。1g、10g、100gというふうな形で示してあります。
 一般の公衆の被ばく線量限度、平常時におきましては年間1mSvと言われているんですけれども、そういったところで見ていきましょう。それに対して、環境放射線の被ばくは世界平均で2.4mSvぐらいあります。
 今回、この委員会での検討課題でありませんけれども、サイトで働いている労働者などに関しましては、年間、単年度で50mSv、5年平均で100mSv以内に抑えるようにしていきましょうということで労働安全衛生法・電離則などで規制されていたわけです。その当時も非常時は100mSvとしていたのを、今回の事故後、今のような非常時に対して250mSvとして管理していくという形で行われています。
 これらの数値はこちらに書いていますけれども、高い線量を浴びると当然のことながら体にいろいろな障害が出てきて、リンパ球の減少とか、皮膚の紅斑とかというのが出てきますけれども、これらは閾値を持つ影響なんですね。確定的影響と言われるものですけれども、それを確実に防いでいきましょう。更に、低い線量に関しましては発がん等の影響が広島、長崎などのデータを基にして確認されているんですけれども、それを直線的に外挿して評価してリスクをできるだけ低減しましょうということで求められている数値がこういった形で使われているということで、この重さの単位と比較するとイメージがしやすんじゃないかと思います。
例えば、0.1mSv基準になるようなところを1gとしておきますと100mSv、緊急時の被ばく線量であったり、今回の公衆の非常時における被ばく線量の上限としてICRPなどが出している数値が100mSvというふうな形ですけれども、それは1kgに相当しますよ。1kgものを体にぶつけられたりすると痛みを感じますね。ところが、更に10倍になって1Svとなってくると、これは血球の減少が起こってきたりしますし、重量にすると10kgぐらいの感覚で取れます。更に10倍になって10Svになると100kgのコンクリートの塊にぶつかるとさすがに人の方も致死になりますけれども、線量の関係でも10Svになってしまうと現在の科学ではなかなか救うことは困難ですよというふうなイメージでとらえていただいたらわかりやすいかと思います。
(PP)
 こういった関係で私たちは身近な放射線に接触しているわけですけれども、こちら左に示しているのが自然放射線による被ばく線量です。日本人の場合は右の医療被ばくに基づく線量が非常に多くて、平均して1年間に浴びる総線量が大体3.8mSv、これはちょっと古いので今は医療被ばくがもう少し大きい数値になっていると思うんですけれども、医療被ばくによるものが全体の3分の2ぐらいを占めている状況にあります。
(PP)
 緊急時の被ばく管理等に関しましてはICRPの方などで幅広く勧告等を出されているわけですけれども、今回のあの避難、あるいは屋内退避等に関しましては何らかのイベントがあった際に、予想される線量が50mSvを超えるような状況であれば避難しましょう。10mSvを超えるようであれば屋内退避しましょうというふうな形で見ていきますけれども、その後も緊急時がずっと続くような場合に関しては、年間20から100mSv以内に抑えられるような対策をとっていきましょう。事故が収束した場合には、年間1から20mSvの範囲で被ばくを出来るだけ抑えられるように対応をとっていきましょう。最終的には、計画的な被ばくとして年間1mSvの範囲で抑えられるように対応をとっていきましょうというような形で進められています。
(PP)
今回の事故の基になった「原子炉の構造」等について見ていきますと、こちらに示しますけれども、原子炉建屋の中にこういう原子炉格納容器ですね。コンクリート鋼鉄製の格納容器があって、その中に圧力容器があってというふうな形であります。
この圧力容器の中を拡大してこちらに示していますけれども、燃料棒が集合体として納められていて、その燃料棒それぞれにジルコニウムなどの金属で覆われたペレットが入っているというような状況にあります。
3月11日に地震があった際には、自動的にこちらの制御棒が挿入されましたので、核分裂は確実にそこでコントロールされて止まったわけですね。ところが、それまでの発電でこの燃料体の中には核分裂生成物が非常に大量にたまっておりましたので、それが崩壊していくときの崩壊熱がまだかなり発生するものですから、約1時間後の津波が押し寄せてきたときに非常冷却装置が全部止まってしまったということで、この発熱をクーリングするためのシステムが止まってしまって現在のイベントを引き起こしているという状況にあります。
(PP)
 核燃料の損傷等につきましては、原子力安全委員会の方からもこういうふうな形で出されていますけれども、先ほどの燃料集合体のところですね。こうやって制御棒が挿入されました。通常であれば、このブロックの上に積まれているのは燃料ペレットで、ここが水に浸かっているんですけれども、冷却装置が働かなくなってきて水が少なくなってむき出し状態になってくる。そうすると、これが非常に発熱していますけれども、そこに水と反応して水素が発生していく。それで、ここの金属ペレットを覆っている金属などが若干損傷を来していく。そうなってくると、この段階で希ガスであったりガス状のヨウ素であったりというものが放出されていく状況になっていく。
 更にそれの損傷が激しくなってくると、非常に高熱を発するものですからだんだん溶けていってペレットが溶解したような、溶融されたような状態になっていく。もっと燃料ペレットが溶融移動してそこに落ちていくような状況が引き起こされているんじゃないかと言われて、こういうふうな損傷が大きくなってくると今度はセシウムとか、そういったものも放出されてきますよという形で、だんだん観察していっても経時的にそういう放出量が変わっていっているという状況にある。
 燃料の損傷具合に関しましては、1号炉で70%ぐらい、2号炉で30%程度というふうな形で安全委員会の方からは報告されております。
(PP)
 これは今までの大きな原子炉の事故の比較ですけれども、この辺の放出量に関しましては先ほど松田室長補佐の方から報告されましたので割愛させていただきます。
(PP)
 INESの事故分類に関しましても先ほど報告されたとおりで、当初はレベル5でしたけれどもレベル7に上げられた。先ほどの放出量から勘案してレベル7に上げられたという状況にあります。
(PP)
SPEEDIを使った分布です。当初は同心円状に避難地域、あるいは屋内待避区域が設けられましたけれども、この後、大原先生の方から紹介されるような気象条件等によって降下量というのは変わってきますので、線量分布が随分変わってきました。こういったものに対してどう理解して対処していくかということが今、問題になっているというところです。
(PP)
実際にイベントがあってからの経時的な状況ですけれども、これは縦軸は対数で示されています。原発サイトにおきます線量率の変動を示しているわけですけれども、この時点で地震があって、約1時間後に緊急炉心冷却装置が止まってしまって今のイベントが引き起こされてしまった。その結果、先ほど示したような形で燃料ペレットなどの傷が出てきて、ガス状の部分がまず希ガスであったり、テルルであったり、放射性ヨウ素であったりというものが放出され始めました。
そういったことに対して自治体の避難ということがとられたわけですけれども、翌日の12日、夕方までに20km圏内の方々は避難しましたので、その時点までで住民の人が被ばくしている線量は1mSvに満たないというふうに算出されています。
その後、御存じのように1号炉、3号炉等の水素爆発をきっかけにして放出量がどんとピーク状に増えていっています。これは対数ですから非常に量が急に増えていったわけですけれども、更に2号炉、4号炉等のイベントが15日前後でありまして、この辺で一番放出量が高い時期があって、それが先ほどのSPEEDIのデータに示されたような分布に風向きに従って飛んでいった。
ところが、16日以降はこういうふうな形で比較的冷却等が行われるようになると、放出量の方は落ち着いてだんだん減衰していっている。
(PP)
そこを拡大してもうちょっと長いスパンで見てみますと、ここが16日ですけれども、16日以降は21日、22日の時点でまたちょっと4号炉とか、あの辺で問題が生じたときに放出量の増加がありましたけれども、それ以降はずっと直線的に減衰です。これは対数グラフで示していますので、直線的に減衰ということは指数関数的に減衰しているわけです。ですから、放出量はこういったイベントがあったときに大量な放出がありましたけれども、その後に関しては大気中の放出量は比較的コントロールされている状態が現在は続いています。
その結果、実際の線量率がどうかということで、これは福島市の空間線量率で示していますけれども、この大量放出があった15日に高い値を示しましたが、その後は経時的にずっと、これはちょっと数値が低いものですから直線軸で書いていますのでこういう弓なりになっていますけれども、やはり同様にこれは指数関数的に減衰しているということで、放出量がないということで空気中を漂っている放射性物質の量も減っていますし、この当時は放射性ヨウ素が問題でありましたので、それの半減期が8日であることが主体を占めていて、その減衰も含めてこのようにきれいに減衰してきているという状況にあるというふうに理解できると思います。
私の方からの紹介は以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。それでは、御質問や御意見は3人の先生方からお話を伺った後、まとめてお伺いしたいと思います。
 それでは、大原先生お願いいたします。

○大原構成員
 御紹介いただきました国立環境研究所の大原でございます。
(PP)
私は大気中の拡散を主に研究している者ですので、その立場から今回の放射性物質の大気中での挙動という視点で御報告させていただきたいと思います。
(PP)
 まず、放射性物質がどういったように環境中で挙動しているのかという概念図をお示しいたします。
 これは国立環境研究所が公開しておりますホームページから取ってきたものなんですけれども、事故があった原子力発電所から放射性物質が大気中に放射性物質が放出されますと、それが大気中の風等によって移流・拡散されて風下側に移送されます。その過程におきまして乾いた状態で、あるいは雨に取り込まれるような形で地表面に落ちます。いわゆる沈着と言われているものですけれども、その沈着されたものが更に水道水、あるいは野菜等に移行することによっていろいろな影響を及ぼしているということです。
 このときに大事なのは、世の中でよく空間線量の放射線量の値、データというものが公開されておりますけれども、それというのは複数のファクターの要因の放射性物質の影響を受けている。1つは大気中に漂っているもの、もう一つは地表面に落ちたもの、それの複合した影響を測っているということになりますので、そこはちょっと注意する必要があるだろうと思います。
 そういうことで、この一番右に書いてありますけれども、大気中の濃度を測るということが内部被ばくの評価をする上では大事だということになります。
(PP)
 その上で、放射性物質が大気中でどのような挙動をしているのかということですけれども、放出源から放射性物質が放出されて、それが大気中では3つのメカニズムで主に挙動する。
1つは、移流・拡散をするということです。
それから、もう一つは大気中で物理的、あるいは化学的な変化を起こす。すなわち、具体的には放射性崩壊によって半減していく。あるいは、ガスであったものが粒子化するというような変化を起こす。
3番目としましては、先ほど申し上げましたけれども、乾いた状態あるいは雨に取り込まれるような形で大気中から除去される。すなわち、地表面に負荷される。こういったようなプロセスになる。
更に、このような過程を受けた放射性物質が風下側で人、植物、水などに影響を与える。このようなメカニズムになっているというふうに考えることができます。
(PP)
そのときに、その大気中での移流・拡散を支配するファクターなんですけれども、結構これが複雑で幾つかの重要なパラメータがあります。
1つは、風向・風速です。風向・風速自体は総観的な気象、あるいは地形、地表面の状態、海面温度、高度等によって影響されています。
それから、2番目のファクターとしまして大気安定度、これは拡散に影響しますけれども、風速とか気温の鉛直分布が重要なパラメータになります。
それから3番目に放出高度、どの高さで放出されるのかということですね。これは移流・拡散に影響を与えるということで、放出高度自体はその放出物質の温度あるいは放出されたときの速度、これらによって決まるということになります。
(PP)
一方、その大気中にはどのように放射性物質が存在しているのか、放出されたのかということです。先ほど御報告が既にございましたけれども、大気中にあるものとしまして代表的なものはヨウ素131、これは主にはガスとして存在しているものが多い。ただ、粒子として存在しているものもありそうだ。
一方、放射性セシウムにつきましてはかなり多くのものが粒子として存在している。ガスとして存在しているものは少ない。こういったように、放射性核種によってガス、粒子比が異なる。これが後の沈着メカニズム等に影響するというような視点から重要な物性であるというふうに考えられます。
これ以外に希ガスとしてキセノン、あるいはクリプトン85などがあるというふうに考えられます。
(PP)
そのような放射性物質の影響の時間変化をとらえる上で、空間線量の変化を見るのが一番適切だろうと思います。これは先ほど資料が既に御説明ございましたけれども、原子力機構の各拠点のモニタリングポストで測定された線量率の推移を表しています。
顕著なピークは3つ見られます。1つは15日の午後、それから次は16日の午後、更には21日ですが、これらについてはそれぞれ原発方向からの放射性物質の大気中の移流によるもの、及び特に21日ですけれども、雨が降ってそれに取り込まれて地表面に落ちて、その地表面に落ちたものからの放射によって線量率が上がっていると考えることができます。
重要なのは、先ほど既に御報告がありましたけれども、最近確実に減衰してきているということです。ですから、少なくとも21日以降にすごく大きい放出というのはなくて、放射性崩壊及び物理的な過程によって減衰してきているということが言えるかと思います。
(PP)
その21日のときの事例をもう少しピックアップして示しているのがこの図です。「筑波での空間線量、雨量、風」の時間変化を示しております。空間線量は、高エネルギー研究所と産業技術総合研究所で測定された結果を示しております。細い棒グラフが雨量です。それから、上の方に矢印がいっぱい並んでいますけれども、これが風のベクトル、風の方向と強さを表しています。
21日にぽんと空間線量が上がっていますけれども、そのときに降水量が増加し、それから風向もよく見てみますとそれまでの南風から北寄りの風に変わっているというようなことから、これは推測になるわけですが、この21日でぽんと線量が上がっているのは降水の影響プラス原発方向からの流れ込みの影響を受けているのだろうと解釈することはできると思います。
(PP)
もう少し見てみます。大気中の流入による増加分と、それから地表面に落ちた沈着量による増加分、これが込みになったような形で空間線量というものは測定されていますので、それを切り分ける必要がそのメカニズムを理解する上では大事だろうということです。
これも同じく筑波での測定結果ですけれども、上の方が大気中の濃度の結果です。大気中の濃度のデータというのは非常に少なくて、我々が使えるものはこれぐらいしかないということなんですけれども、下の方は筑波での空間線量の変化を表しています。ちょっと見にくくて恐縮です。
左の方の下に灰色の図がございますけれども、これは鉛直スケールがその右のよりも2倍になっています。ちょっと御注意ください。これを下の方の図で見てみますと、空間線量は15日の午前、それから16日にピークがあります。それと共に、21日辺りに高くなっているということがわかります。
それで、21日について見ますと、上の方の大気中濃度もかなり上がっているということから、21日の濃度の上昇というのは大気中の濃度も上がり、かつ先ほど御説明しましたが、ちょうど雨が降っていますので、雨によって地表面に落ちた。そのダブルの影響を受けて上がっているんだろうというふうな解釈ができるということです。
それで、下の方の図ですが、このグラフから読み取れますのは、ベースとしては地表面に蓄積した物質からの放射があるだろう。それから、21日の少し前から上がってきておりますが、そのときに雨が降っていませんので、これはその大気中の流入及び乾性沈着による増加であろう。
一方、21日以降には雨は降ってきておりますので、そのときにはそれに加わるような形で降水による増加、当然、雨によって流出するというものもありますので、そのバランスを見ているということになりますけれども、そのような複合的な影響がここのイベントを支配していたのだろうと考えることができると思います。
(PP)
 一方、福島県ではどうかということですけれども、同じような変化を示しているということが言えると思います。
(PP)
 先ほど既に申し上げましたけれども、空間線量と降水量というのは非常に密接な関係にあって、よく言われていることですが、雨が降ると空間線量が上がるということです。
 福島県の事例でも、それがお示されています。ブルーが降水量、降雨量です。レッドが空間線量を表しておりますけれども、雨が降ると赤いところがぽんと高くなるという事例も見えますが、それと同時に雨が降っていなくても高くなっている事例もあるということがわかると思います。すなわち、雨が降っていないときには大気中を原発方向から流入してきた放射性物質の影響を受けて高くなっているんだろう。雨が降っているときには、雨の影響及び場合によっては大気中の濃度の影響を受けているんだろうというふうな解釈ができると思います。
(PP)
そのような放射性物質がどのぐらいの空間的なスケール、空間的な広がりを持っているのかということを示しているのがこの図です。
左側の方は、横軸が福島第一原発からの水平距離、縦軸が空間線量を表しています。日本全国のデータをプロットしたものです。4月19日の9時のデータということになりますけれども、これで見ていただくとわかりますように、大体福島原発から水平距離にして300kmぐらいのところまで影響が広がっているということが第一次近似的にはわかるというふうに思います。
右側の図がそれを水平分布で示したものですけれども、300?ぐらいの空間的なスケールを持っているということがわかると思います。
(PP)
このような現象をもう少し解析するために、私たちは今モデルを使って解析を始めています。大気シミュレーションモデルというものですけれども、モデルとしては気象のモデルとか化学輸送モデル、このようなモデルを使って水平分解能6?で計算しています。
下側で、左側の図がモデルの計算している領域です。右側の方が、福島県辺りで地形をどのように表現しているのかという標高の高さを色づけしたものです。
(PP)
モデルを走らせる場合に、条件をどう設定するのかということが重要になります。私たちはこういったような条件で今、計算しているということです。特に大事なのは放出条件なんですけれども、それにつきましては下の左の図で示しましたように、先ほど資料で既に御説明がありましたが、原子力安全委員会の4月12日の発表資料を元に読み取りましてこのような時間変化を与えています。ですから、ちょっといい加減さというのはあると思います。それとともに、モデルの不確実性というのは結構高くて、幾つかの重要な不確実なファクターがあります。
 1つは今、御説明したような放出条件、それから同時にモデルで再現される気流とか拡散の状態、それから気象のモデルですとどうしてもその降水の再現性というのがちょっと悪い傾向があるというようなこと。それから、放射性物質の沈着パラメータというのは乾性沈着、あるいは湿性沈着をするわけですけれども、そのモデル化がまだ不十分な点があるというようなことから、かなり不確実性を抱えたモデルであるということを御理解いただきたいと思います。
(PP)
また、よく話題になりますけれども、同じようなモデルでSPEEDIというモデルがあります。それとの違いを簡単に御説明しますと、SPEEDIというものは非常に狭い領域を扱ったモデルで25?×25?ですから、福島県の東部の一部を対象としているモデルである。
一方、私たちが使っているモデルはもう少し広域なスケール、100?から5,000?ぐらいのスケールで使われていることが多いモデルなんですけれども、それを今回、東日本に適用して放射性物質の動態をシミュレートしたということでございます。
(PP)
その結果ですけれども、左の方が3月11日から3月25日の放射性物質の濃度のアニメーションを示しています。これが3月15日で、時々、気流によっては関東地方の方にまでやってくるという。今は西の風ですので海側の方に逃げていっていますけれども、21日は先ほどのイベントのときですが、確かに南側の方にやってきていて、ここでは示しておりませんけれども、ちょうど雨が降って雨に取り込まれて空間線量を高くしたというふうに考えることができると思います。
これは繰り返していますので左は見ないことにしていただいて、右側の方が3月21日10時までの累積沈着量、当然シミュレーションの結果を示しています。これで見ていただくとわかりますように、原発を中心にしてこのぐらいの空間スケールで放射性物質が沈着しているということがシミュレートされているということでございます。
(PP)
今までの御報告をまとめますと、これまでにこんなことがわかってきたということです。一部推測も含んでおりますので、まだこれを確定するところには至っておりませんけれども、1つは関東地域では大きなイベントが3回ありました。15日、16日の午前中と21日で、そのうちの15日、16日は原発からの直接の流入によるもので、一部は乾性沈着によって蓄積していた。
その後、17日から20日というのは雨がなくて非常に風が弱かったので大気中の濃度もそれほど下がらず、かつ乾性沈着によってたまった状態になっていた。その後、3月21日に雨が降って、同時にこのときに北北東の風が吹いておりましたので、原発からの新たな流入もあったんだろうということで、地表に降下した放射性物質が雨とともに短期間に河川に流出して、3月22日から23日に水道水中の濃度ピークが現れたんだろうと解釈できるかと思います。
一方、福島県の方につきましては、現象としては関東とほぼ同様だと思いますが、事故発生後の約1週間、原発から流入してきていて、その一部は乾性沈着によって蓄積し、降雨時には湿性沈着していて、3月17日から24日の降雨後の水道水中の濃度ピークをもたらしたんだろう。
一方、3月24日以降は空間線量、降下量は単調減少していて、降雨時の変化も小さいということになっていて、大気中の放射性物質は事故後に比べて大幅に減少しているんだろうというふうに思います。
(PP)
 最後に、今後どのような取組みをすべきかという提案です。
 まず、第1に大事なのは原発の放出情報、それから周辺の空間線量モニタリング情報を収集して、様子を的確に探るということが大事です。
 その上で、万が一、原発からの大規模な放出があった場合にはデータ等をよく見ましてどこら辺りが危なそうなのかといったようなことを認識した上で、その地域については空間線量、降水、風の時間変化を注意深く監視するとともに、水道水のモニタリングを強化する必要があるだろうと考えています。
 更に、将来的にはモデルを使った短期予報システムの構築・適用なども考えられるだろうと思います。以上です。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、続いて古米先生お願いします。

○古米構成員
 それでは、御紹介いただきました東京大学の古米の方から、大気から落ちた後どう流出していくのかという観点でお話をさせていただきたいと思います。
(PP)
ここに示しておりますようにノンポイントという言葉を使わせていただいたのは、要は発生源自身が指を指して指定することができなくて、分散した形で存在している現象がある。それに対して、要は地表面、川の中、あるいは地下水の中でどう汚染物質が動いているのかというような観点で説明させていただきたいと思います。
(PP)
まず、ノンポイント汚染源と言いますと地表面はいろいろございますので、山に降ったり、市街地に降ったり、あるいは農地にも降るというように、いろいろな形でその沈降物というものがトラップされている。今回の場合には、水道水への放射性物質の影響を考える上では、要は放射性物質がどう分散した形で汚染しているのかという状況をまず把握して、それがどう出ていくのかということになろうかと思います。
先ほど大原先生の方からお話があったように、その汚染物質自体は雨と共に落ちてトラップされるものと、晴天時であっても徐々に沈下していくという湿性沈着と乾性沈着、この2つをしっかりと押さえながら汚染源ととらえていく。そして、更には沈着したものが雨によって流出する場合と、土壌の中でトラップされてじわじわと出てくるという2つのプロセスも考える必要があろうかというようにとらえることができます。
(PP)
そこで実際上、重要なのは今回データがあるように、雨が降ったときに急激に水道水の濃度が上がったということですので、全体の雨の流れについておさらいをさせていただきたいと思います。
最初に、降水が地表面に到達する過程。同時に、降ったとしても蒸発する過程。降ったものが流出する3の過程。降ったものが地下に浸透する過程が4番目。そして、一たん浸透したものが再び川に入ってくるという流水をするとか、そういった川にまた戻ってくるプロセス。当然、川に入ったものが流下する過程。大きく分けて6つのプロセスをそれぞれ理解しておくということが今回の対象になろうかと思います。
こういった6つのプロセスの中で、要は放射性物質をとらえたときに何がポイントになるかということを下の方にまとめさせていただきました。まず、雨によってどれだけ負荷がきたのかということをしっかりと把握すると同時に、水が蒸発散してどれだけ水の流れやすさが変わってきているのかという2番目のプロセス。
同時に、雨が降ったときにどう表面流出していって、川に入って素早く到達するのかということと、一たん地下に入ってじわじわどう出てくるのかというプロセス。
同時に、河川の流下過程で取水点までにどう変化するのかという1から6のプロセスで、それぞれ放射性物質がどう動くのかということを整理しておかないと、最終的に水道原水の水質の予測ができないだろうというように考えられます。
(PP)
 一番、私自身ポイントになるのは、要は基がどうなっているかがしっかりわからないと、最終的にどのぐらいの濃度レベルなのかわからない。先ほど申し上げたように、要は湿性沈着と乾性沈着、この場合は大気降下物と降雨負荷というように書かせていただきましたけれども、それが一定の地表面の状態に落ちているわけではなくて、森林にも落ちておりますし、農地にも落ちていますし、市街地にも落ちているわけです。そういったものは同じように出てきませんので、落ちたものの量と共にそれがどう出てくるのかというようなことをモデル化して、あるいは予測していくということが非常に重要になろうかと思います。
(PP)
そのときに、降雨の負荷をどうとらえるのか。先ほど大原先生の方から既に大気のモデルがあって、湿性沈着の話もございましたけれども、放射性物質ではありませんが、一般的に大気の濃度から雨水に移っていって、雨が降れば降るほどその濃度は下がっていくというような傾向がございます。
同時に、大気の濃度というのは晴天が長く続いた場合にはどんどん上がるんですけれども、今回の場合には放射性物質がどれだけ発生しているのかという大気の濃度プラス雨の降り方、あるいはどれぐらい雨が降り続けたのかということを合わせて降雨負荷をとらえる必要があろうかと考えております。
 それが一旦到達すると表面流出する、あるいは地下にどれだけ浸透していくのかというように2つに割り振ることによって、その放射性物質の量というものをそれぞれの地表面、あるいは土地利用ごとにとらえるということになろうかと思います。
(PP)
 放射性物質専用のモデルがあるわけではございませんけれども、ここに示しましたように各地域の特性、あるいは地表面の特性を分布状態を把握した形で、流域単位で水の流れを予測するモデルができております。水文モデルもできておりますし、その水の流れに応じてどうやって汚染物質が移動して動いていくのか、流下していくのかというように、物質あるいは水質を予測するモデルが統合された形で存在しております。
 その場合には、ここの絵にありますように河川がどんな形状で流れているのか、あるいは土地利用がどうなっているのか、あるいは地表面の勾配がどうなっているかという標高の状態。更には、浸透する場合には土壌がどのような性質を持っているのかといった地質の状態をその対象とする流域においてしっかりと把握するということになります。
 その基本的な情報の中で、雨が降ったときにどう水が移動したり、放射性物質がどう移送されたり変化するのかといったモデル化をする必要があるということになります。
(PP)
したがって、ここに示しましたように、これは今回の場合、私が今研究を進めております印旛沼の例ですけれども、流域がどうなっていて河川がどうなっているかという状態、あるいは標高のデータ、表層の地質がどうなっているのか、あるいは地表面が森林なのか、市街地なのか、農地なのかといった土地利用の情報。更には、雨が降ったときに大量の流出が起こることがわかっておりますので、その計算をするために雨の情報がどこに位置していて、その情報をどうこのモデルに組み込むのかという意味においては雨量観測点の情報が必要になる。
 これはあくまでも基本的な情報ですけれども、今回の場合にはその大気にどういった放射性物質があって雨によってどう落ちてきたのか。あるいは、それまでにこの地表面に乾性沈着が行われたのかといったものを与えない限り、最終的な計算結果は出てこないということになります。
(PP)
 実際上、式が出ておりますけれども、雨が降ったときにどう流出していくのかといったときには、まず標高データがしっかりあり、なおかつ川がどう流れているのか。それに向かって地表面に堆積したものがどう流出して川に入り、下流の水道水源の取水口まで到達するのかといったモデル化が必要になりますし、一たん地下に入ったものが再び川に入ってくるという湧水のプロセス、すなわち地下水の流れも合わせて評価することが、長い目で見たときに放射性物質がどう変わってくるのかを考えることが重要と思います。
 今回、実測のデータから判断すると、比較的放射性物質、ヨウ素の場合には最初に流れ去ってしまって土壌に長く沈着している。それで、再び地下水によって出てくるというよりは、少なくとも半減期が8日ということと、その吸着能力が高くないということになりますので、現象としては最初の出方というところが非常に重要になろうかと思います。
(PP)
同時に、地下水の流れのモデルもできておりますので、あとは地下水の中でどう変化するのかというような式も導入することによって計算することができます。
(PP)
ここで大事な点というのは、赤字で書かせていただきましたけれども、最終的に対象としている放射性物質がどのような半減期を持っているのか、あるいは土壌にどれだけ吸着するのかといった吸着、あるいは脱着する、言い換えれば土壌にどれぐらい吸着しやすいのかといった定数を入れることによって、その地下水の流れでどう出てくるのかということを表現できるというふうに考えております。
(PP)
最後に、この重要なポイントです。地下水より私自身は地表面をどう流れていくのかということをとらえることが非常に重要だと思いますけれども、これも式で書かせていただきましたが、要は緩やかな雨であったとしても流出が起こらない限り出ていきませんので、ある限界の流量、ここではQcと書かせていただきましたが、ある一定以上の流出量があったときに汚染物質は流れていくというようにとらえる必要があります。
 例えば、実際上あったとしても、1mmぐらいの雨が降ったとしたら感覚的にその物質の流出というのは起きない。それが5mm、10mmになってくれば当然のことながら水の流れが生じて、地表面にたまったものが流出して到達するというように雨の降り方、あるいは雨の強度ということが大きく関わるということです。
 もう一つは、そこにたまっている、ここではSと表現させていただきましたけれども、どれだけ堆積しているのか。これはまさに、大気の方のモデルでどれだけ大気から降下したのかということと、雨によってどれだけ地表面に到達したのかという2つの大気と地表面のクロスメディアの関係をしっかりと関係づけていただいてSを与えていく。要は、どれだけ堆積していたのか。それに対して、雨が降ったときにどう出ていくのか、流出していくのかというように考えます。
(PP)
ここでは、式でお示しするとなかなかわかりにくいので、具体的にイメージの絵をつくっております。
一番上には、雨が3パターン書いてあります。2番目の図は、表面をどれだけ流出していくかという流出する予想量です。そして、3番目は表面にどれだけ堆積していたものが出ていったのか。これを見ていただくとわかるように、降雨負荷というのは雨が降ることによって供給される部分と、同時に地表面にたまっていたものが流れと共に流出していくという2つの組合せによって表現できるだろうというように考えられます。
 そして、一番下の図は、その地表面にどれだけ物が残っているのかという量になります。したがって、どんどん降下している間に、ΔSで表現される形で増えていったものが雨が降ることによって流出して減少する。再び供給されれば増えていくということになりますが、今回の場合には放射線の方が連続的に供給されておりませんので、このΔSというのは増えていかなくて、かえって減少するという形で整理することができるかと思います。
 こういうように、どれだけ堆積しているものがどのような雨によって出てくるのかといったことを最終的には評価をすることによって、水道水源の取水口でどれぐらいの放射性物質が出てくるのかといった予測ができようかと思います。
(PP)
これは参考にお示ししますけれども、先ほどのように非常に精緻に地表面の分布を丁寧に押さえながら解析するという方法も可能ですが、一方で土地利用に応じた形で簡素化した形で面源負荷量、すなわちノンポイントの負荷量を解析するモデルがございますので、そのどちらを使うかというのは、与えられる情報がどれぐらい正しい情報が与えられるかによって解析方法は2種類考えられると考えております。
(PP)
これが最後のスライドです。これは放射線用の図でございませんけれども、幾つかポイントがございます。繰り返しになりますけれども、こういったモデルによって放射性物質の最終的な取水点における濃度を予測したいということになりますと、まず流域の状況を把握しておくということ。もう一つは、今回の場合には医療関係から出てくる放射線量も少ないので点源というものは余り考えなくていい。それで、一番右に書いてある降雨特徴というものをしっかり把握する。
ここで1つ考えられるのは、アメダスのデータというのは50?単位で大体そろっております。その雨を使うのか、あるいはレーダー雨量のデータでその表現、いわゆる分布状態を把握する。言い換えると、大原先生のモデルが6キロメッシュであれば、6キロメッシュ程度の降雨の分布を与えて解析する方が効率的な解析になる。言い換えると、与える側のデータの精度に応じて降雨のデータを与える必要があるというのが1点です。
しかしながら、レーダー雨量というのは必ずしも現場の正しい雨量を出しているかどうかという観点を確認する必要がありますけれども、1つ可能性があります。実際上はこういったモデルはでき上がっておりますけれども、放射性物質で検証はされておりませんので、今回のいろいろなところで観測されたデータがモデルによって表現できるかというようにモデル解析をし、右側の過去の水質データというのは取水点での放射性物質の濃度のデータを表現できるかという整合性を取ります。
このプロセスが、左側に書いてあるようにキャリブレーションということになります。したがって、いろいろなパターンの状況、土地利用の状態でこれが検証、検定できれば将来予測もできるということですので、モニタリングのデータをどれだけこのモデルによって検証するかどうかというところが非常に重要になろうかと思います。
したがって、これができますと、今後例えば週に1回取ればいいのか、あるいは雨が降ったときにはどれぐらいの頻度でモニタリングをすることが重要なのかというように、モニタリングに対する情報提供もできますし、その取ったモニタリングデータが再びモデルの向上につながるという形で、こういった流出のモデルを有効に使ってその水道水源の取水点における放射性物質の動向というものをしっかりと表現して予測していくということがとても重要になろうかと思います。
 要は、降雨のところをどうとらえるのかということと、大気と地表面の関係の沈下量をどう表現していくのかと同時に、このモデルによってどこまでキャリブレーションして将来予測につなげていくのかという4つぐらいの重要なポイントがあろうかと思います。
 以上で、私からの説明を終わらせていただきます。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 それでは、3人の先生方からお話を伺いました。その結果と、それから資料4に「放射性物質の水道水への影響メカニズムに関する論点」というものがありまして、5つの事柄が論点として挙げられておりますので、この論点と関係づけながら先生方からの御説明に対して御質問や御意見をいただきたいと思います。
 時間は12時までということになっておりますので、その辺のところも時計を見ながら御質問をいただきたいと思います。お願いします。
 それでは、浅見さんどうぞ。

○浅見構成員
 先生方、御発表どうもありがとうございました。
 一番ショッキングだったのは、やはり離れたところでもヨウ素の高い濃度の検出があったということで、3月の22、23日辺りは結構首都圏でも高くなったところもあるかと思うんですけれども、今後の放出の傾向というのがやはり重要ということが大原先生と欅田先生の御発表でありました。
 今後は近傍のところも注視しなければいけないとは思うんですが、今までのようなことがもう一度起こるのかどうかというような観点で、その基のところが一番単純にはヨウ素の濃度というのは中でかなり半減してしまっていて、次に起こるとするとセシウムの方が主体になると思っていいかどうかという辺りを教えていただきたいんですけれども。

○欅田構成員
 それは私が答えられる範囲ではないので、保安院が回答することだと思うんですけれども、もし不幸にして次また水素爆発が起こるようなイベントがあれば、やはり必ずそのときもヨウ素は十分に出てくる。絶対量としてとんでもない量がまだあるわけですので、半減期が8日だからと言って次に爆発したときに放出しないレベルまで減衰しているということはあり得ませんので、当然それは考えていかなければいけないことだと思います。

○眞柄座長
 同じようなことかもしれませんが、WHOのガイドラインでは一応10Bqとなっていて、その10Bqというのは先ほど欅田先生からも御紹介があった1mSv/年というのを前提にしているわけですね。それは原発事故もない、それから大気圏の核兵器の実験もない。このときにあって、いわば全球的に見てそれぐらいのことは達成可能だろうという前提で10というので国際的に動いているわけですね。
 そういうのと、今回福島のようなイベントがあったときに幾らの数値を見るのか。例えば、100Bqという数字を見るとすると、測定する方でも、それから管理をする方でもどれぐらいの精度というか、検出限界、あるいは先ほどからお話があるシミュレーションのことを考えると、シミュレーションの精度をどれぐらいにするかということによって随分変わってくるわけですね。そのレベルというのは、どのレベルを我々が管理をする場の精度というか、数値のリジットというか、単位とするか。
 そういう視点について、大原さんでも欅田先生でも、あるいは古米先生でもいいんですが、3人の先生から御意見、あるいはお考えを聞かせていただければ、場合によっては朝長先生にもお話いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○欅田構成員
 途中でスライドの9のところでICRPの考え方などについてお示ししましたけれども、最終的にはそのリスクをどこまで受け入れられるのか。それに基づいてどういう対応をとっていったらいいのか。また、住民の取る行動によってそれぞれに被ばく線量というのは非常に異なってきますので、そのために私たちの方でどういう情報をきちんと公表していくのかということで被ばく線量は随分変わってくるわけです。
 そういった中で、今のように実際まだ放出が続いているような状況におきましては、避難の基準としては50mSvということですけれども、年間の被ばく線量としては最大で100mSv、低い方のレンジで言えば20mSvまでの範囲内にコントロールできるようにしていきましょうというふうな数値がICRPの方のパブリケーションの103とか111の中で出ているわけです。これは、要はそこに生活することによるリスクをどこまで受け入れられるかというところから出ているわけですね。
 現在も避難勧告が出されて避難された方々は、やはり避難することによる次のリスクというのが発生しているわけですね。生活が非常に成り立たなくなっているとか、また感染症のリスクが発生してくるとか、そういったリスクも多々発生しているわけで、そこのバランスを考えてどこまでが受け入れられるかということが非常に大きな問題になってくるわけです。そういった中で、そこに相当する数値がどの程度であるかということで、逆算していって出されている基準が何Bq/?と、それぞれの放射性物質について決められていっている。
 そうなってくると、そこで最終的に出されている濃度に関しましてはかなり安全につくられていますので、最初に浄水場から出たときには一回観察したことでもう水道給水を制限しましょうというようなお話がありましたけれども、やはりそこは生活のバランスということ、あるいはリスクを受け入れるバランスということも考えて、今は3日間の平均で越えないようにというような形での考え方とかが提示されていますが、あのような形でバランスをもって管理していくというのが非常に妥当性のあるところだと私の方では思います。

○眞柄座長
 朝長先生、ここら辺りで何かございますか。

○朝長構成員
 なかなか難しい問題で、日常生活でどの程度、人体に水道水が摂取されるかというところのファクターがまだ全然論じられていないと言いますか、飲水するという場合と、お料理に使う場合とか、いろいろなものがあって、かなり個人差も、あるいは家庭によって違うだろうと思うんですね。
 そういうところで一概に言えない部分が多々あって、それが通常の生活のところでの推定と避難所での推定とか、かなりファクターがたくさん出ているということで、一概に言えない部分を相当多く含んでいると考えています。
 だから、ICRPの基準というのはあるんですけれども、実際に運用していく上でそういうファクターをどこまで大まかに把握していけるかということが今後出てくるんじゃないかと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。

○桝本構成員
 放射線管理学会をやっておりますけれども、放射性物質の測定ですね、非常に感度がいい検出をやっております。そのために通常の、例えばこういう飲料水を1?、2?をくんできて測るという私どもが通常これまで行ってきている定量検出法でいけば0.数Bqというものは十分に検出できるという状況になっています。ですから、リミットがどうなるにしろ、十分値として出せるというものになっていると思っております。
 また、現在、不幸にして関東地区においてもバックグラウンドが上がっておりますので、例えば私どもの研究室で今、現在自信を持って出せる感度となりますと、公式には2Bq/?ぐらいをきちんと出せるというふうには断って出しております。
 そういったところで、リミットからすれば随分、下の値の測定は担保できるということをまずお断りしておきたいと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。ほかの先生、いかがですか。
 古米先生に私はお伺いしたいんですけれども、今回のイベントでの積算の降雨量というのはいいところ40mmぐらいですよね。もっと降雨量が多くてサーフェスエロージョン、土砂の表面流出が起きるようなイベントでの流出のモデルと、数mm、10mm程度、20mm程度の降雨量で表面の土砂流出が起きないようなときのケースと、やはりモデルは違うんじゃないだろうかと思うんですが、その辺についてはいかがですか。

○古米構成員
 きっとその放射性物質がその表面にどの程度たまっているのかということと、どこまで深いところまで移行して蓄積しているのかというところがもし重要であるならば、当然弱い雨と表面が流亡するような形の流出のパターンで2つ分けなければいけない。
 ある意味、水文の世界では土砂の流亡のモデルもありますので、それを組み込むということの可能性はありますけれども、私の感覚で申し上げると、やはり文科省の方でしっかりと土壌の方の測定をされるというお話もありますので、その情報を踏まえながらそういった水道水側としてどこまで精緻なモデルをつくっていくのかということを考える必要が1つあろうかと思います。
 もう一点は、土砂を多く含む形で流出した場合には、言い換えると水道事業者側も高濃度の濁水を取水するかしないかという別の判断がありますので、それはそれとして新しい対応の仕方としてそういった濁質のモデルをつくるという必要性があるならば、それを合わせて解析するということは、逆の目的でつくっておくことは非常に意味があるかと思います。

○眞柄座長
 森口先生、何かモデルも含めてお考えがあればお願いします。

○森口構成員
 今の議論に関連して、モニタリングの時間的な分解能と空間的な分解能について1点ずつ申し上げたいと思います。
 大原委員が御説明になったことは、3月末まで私は国立環境研究所におりましたので一緒にいろいろ議論しながら見ておりましたし、リアルタイムで特に茨城県内に10分単位で空間線量を測り、かつリアルタイムで公開しているネットワークがございますので、雨の降っているときに実際にそのデータを見ておりました。
 1つは、新たに降雨によってその線量が増えるんじゃないかということ。それからもう一つは、その降雨によってむしろ線量が減る可能性があるんじゃないかということを見ておりました。それは今の議論にありましたとおり、流出していくということであれば空間線量が減る可能性があるというふうに見ておりましたが、顕著なそういった傾向は見られませんでした。
 ただ、それは比較的、雨の降り方がそれほど豪雨のようなものがなかったということで、仮に今後そういうことがあれば空間線量に現れるはずだと思いますので、時間分解能は非常に精緻なもの、その連続観測しているようなところでそういったものを見ていくことによってある程度現象は把握できるのではないかと思います。
 空間分解能ということで1点気になっておりますのが、福島県内においては空間線量のモニタリングをかなり精緻にとらえるようになっておりますけれども、基本的には人が住んでいるところ、あるいは農作物をつくっているようなところ、こういったところについてはそのデータが取られえつつあると思うのですが、水源ということを考えますと必ずしも人も住んでいない、農作物もつくっていない。そういう意味で、空間線量のモニタリングも必ずしも十分には行われていないようなところもあるのではないかと思います。
 これは、実際に大原委員が行っているようなシミュレーションで、今後季節も変わってまいりますので、原子力発電所から流される行き先というのも変わってくる可能性がある。ですから、万が一、今後また大きな放出が起きた場合にどういうところでデータを取っておく必要があるのかということについて、少しこれまでとらえていないところも含めてそういうモニタリングが必要ないかどうかということは検討しておく必要があるのではないかと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 では、最後に桝本先生お願いします。

○桝本構成員
 申し訳ないんですけれども、メカニズムを考える上で私ども一番関心があるのは、関東地区において21日に高くなった。その時点において、大原先生などのおまとめの中でどの事象が21日にきたのかというのが明確にはわかっていない。要するに、空気中に福島に滞留していたものがたまたま風できたんだろうというお話なのですが、本当にそういうメカニズムになるのかどうかです。
 それからもう一つは、乾性沈着という言葉を幾つか使われましたけれども、それは実際に再浮遊をするようなものも言っているのか、言っていないのかがよくわからなかったので、どういうことを乾性沈着というふうに言っておられるのかを明確に教えていただければと思っております。

○眞柄座長
 では、大原委員どうぞ。

○大原構成員
 今、2点御質問がありましたのでお答えしたいと思います。
 まず2番目の御質問なのですが、乾性沈着というのは今、私たちは再浮遊は考慮していません。乾性沈着と言っているのは乾いた状態で乱流拡散、あるいは分子拡散によって大気中の物質が鉛直方向に輸送される。それによって地表面に沈着する。それを乾性沈着というふうに言っておりまして、少なくとも大気汚染の分野では一般的に認められているプロセス、あるいはモデル化されている事象だということです。
 それからもう一つ、最初の方の21日の事象ですけれども、まだ十分に解析が進んでいるわけではありません。ただ、大まかな見方としましては、先ほどもプレゼンテーションのときに御説明したように、21日には北東系の風が吹いておりまして、少なくともモデルの結果で見てみましても、原発の方から大気中を放射性物質が輸送されているプロセスというのがシミュレートされているし、実際の測定結果でもそうなっていた。
それからもう一つは、雨が降って、それとほぼ同期するような形で放射線量が上がった。これも事実だと思いますので、そういったようなことからするとどちらがどれだけウエートを占めて連携しているのかという定量的な解析まではまだできておりませんが、定性的にはその2つのファクターで効いていたのだろうと思います。
それから一つ、先ほどリスク管理というお話が出ましたけれども、私はそのシミュレーションモデルをやっている立場から言うと、やはりモデルの不確実性というのは非常に高いので、そのリスク管理は基本的にはモニタリングのデータにすべきだろう。それで、シミュレーションモデルでできることは多分、対策評価の検討あるいは将来予測等には使える。
なので、そういった立場から役割分担を明確にして、当然モニタリングのデータはモデルにも活かせるし、モデルの結果はモニタリングの方にも活かせるという相関関係にあるわけですけれども、お互いにその役割を明確にしつつ、これから取組みを進めていく必要があるだろうと考えております。

○大塚厚生労働副大臣
 どうもありがとうございました。ちょっとお時間もということですが、先生方の御議論を行政行動にどう活かさせていただくかというのがアウトカムでございますので、2、3、感想と質問を何点かさせていただきたいと思います。
 感想としては、先ほど大原先生と桝本先生の間でやり取りがあった21日の件は、私もずっと拝聴していて、雨が降ったから高くなったというのは素人的に考えるとかなり高空にあったものが雨で下の方に下りてきたというぐらいは想像できるんですけれども、何となく全部地表までいって土壌の濃度が高くなるのはわかるんですが、大気中の濃度が高くなるというのはどうしてかなというのは、素人として聞いていても今後解明しなければならない課題だなと思いました。
 それから、再浮遊率の話が出ましたけれども、例えば今回文科省が学校についての規制を設けた、あの考え方には再浮遊率はたしか考慮されていると思いますので、やはりそういうことについての整合性はつけなければならない。政府内でやはり統一的な対応をとらなくてはならないなと思いました。
 その上で、3先生にそれぞれ1点ずつ質問と、最後に座長にちょっと御指導いただきたいと思います。
 欅田先生については、欅田先生の6ページのグラフでこの点をプロットした、要は10の何乗かというグラフですね。私も素人なりにこの1か月半、いろいろな方からいろいろなことを聞かせていただくと、やはり放射性物質濃度の影響というのは、例えば同じけた数の中で幾ら数字が上がったかということではなくて、このように10の何乗かという単位で推移している形で見るべきであって、例えば私どもの方で用意しました参考資料1-1をずっとめくっていくと7ページに、まさしくマイクロシーベルトで0から2,000、4,000、6,000と、こういうふうに上がるグラフがございます。後ろの方もちょっと見えた方がいいと思うんですが。
 だから、質問の1点目は、こういうふうに10の何乗という形で表示しないグラフは、やや視覚的に過大なインパクトを見る人に与え過ぎるのかどうかということをお伺いしたいということです。
 それから大原先生には、大原先生の資料の5ページに、主な大気中の放射性物質として放射性セシウムとか放射性ヨウ素がどのぐらいあるかというのを書いていただきました。これはこれもまた素人的で恐縮なんですが、たしか欅田先生の方の資料であったかと思うんですが、核分裂反応によって生じるというところに丸が付いていたものばかりなので、主な大気中の放射性物質としてここにこういうものがあるというのは、過去の原水爆の実験等によって放出されたものが今も大気中に残っているという理解でいいのかということを是非お伺いさせてください。これが、大原先生への御質問です。
 それから、古米先生への御質問は、先ほど大原先生が最後にモデルとモニタリングは分けて考えるべきだとおっしゃっていただいて、私も非常にそこは行政的にも気をつけなくてはいけない。また、マスコミの皆さんにも気をつけていただかなければいけない点だと思っておりまして、SPEEDIなども予測でして、事実と予測をまるで同じように報道でコメントしているようなことを聞くと、私もちょっとどきっとしていたんです。
 しかし、さりながらモデルで予測ができれば、それはそれで大変すばらしいことだと思いますので、古米先生にはその取水源の動向について風向きとか大気中のデータがあれば、モデルでその取水源への影響を予測するというのを、例えば関東広域に予測するためのモデルプログラムをつくるのに大体どのぐらいのマンパワーが必要なのかということを教えていただきたいと思います。
 あとは、それらを総合して最後に座長ほか皆さんに御指導いただきたいのは、これから台風のシーズンがやってくるわけでございまして、台風のシーズンに向けて再浮遊とか、あるいは再浮遊するとそれが滞留しながら日本全国を駆けめぐっていくわけでありまして、これについては我々はどのような考え方でこれから準備すればいいのかということを御指導いただきたいと思います。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 御質問は次回に先生方から回答していただく方がいいのかなと思ったんですが、今とりあえずお答えしていただけることがあれば、大原先生からお願いします。

○大原構成員
 私に対する御質問で、私の資料の5ページですね。これにつきましては、下に注として書いてございますように、ここに掲載している濃度というのは福島第一原発で測定されたモニタリングの結果そのものでございます。基本的には結構濃度が高い、非常に濃度が高いということもありますので、過去の放出の影響ということではなくて、この第一原発から出された放射性物質を見ているものだろうというふうに解釈しております。

○欅田構成員
 最初の質問の件ですけれども、対数で示した方がいいかということです。スライドの6番、あるいは今回の事象でありますスライドの15番、16番で示したようなことに関しまして、やはり対数で示した方がそれぞれのイベントを把握するのにも非常にわかりやすいし、その後の経過がはっきりと判断できるわけで、その程度の変動のあるものをやはりちゃんと評価していって次の行動に活かせるように示していただいた方がよろしいかと思います。

○古米構成員
 水道取水源において将来どうなるのかという予測をするということは、モデル上は可能だと思いますが、きっと予測値自体は大気側からどれだけ供給されたかというところがすべてのクリティカルと言うんですか、限界になりますので、それでもって何かを判断するというよりは、事前にいろいろなシナリオを考えたときに、どう水道事業者側が対応すればいいかという形のモデルを提供するということが一番現実的かと思います。先ほど申し上げたように、モニタリングはどうあるべきなのかというようなことを考えるとか、どういったときには高くなる可能性があるので相対的にはそこでは取水をしないというようなものに使う。
 それから、最後の御質問で、関東全体とか東日本全体でモデル化するということになりますと、先ほど私が申し上げたようなモデルをつくるということは非常に労力とマンパワーを必要としますし、きっとお金もかかろうかと思います。
 一方で、少し可能性があると思われるのは、現在国土交通省の方でcommonMPという共通の流出のモデルだとか、あるいは水文モデルのプラットフォームを立ち上げております。言い換えると、そこに共有できる形の水文モデルと水質モデルをもし立ち上げたとすれば、それぞれの水道事業体の流域の取水地点に関する流域データを国の方から提供することによって、少なくとも簡易的なモデルによってその動向を共通のツールで、ばらばらではなくて同じツールで評価するという可能性は感じますが、それを全体として取り仕切っていくということは考えない限り、結局こちらの事業体はこれでやる、こちらの事業体はこうなるということはきっと東日本全体でやるときは混乱しますので、統一性を持った形でやることが水道取水の水質予測に関してはとても重要になると思います。

○眞柄座長
 最後に、森口さんどうぞ。

○森口構成員
 申し訳ございません。1点だけ、副大臣の御発言の中でちょっと気になったことがございました。
 3月21日の降雨の後で、なぜその大気中の線量が高くなるのかという御発言があったかと思うんですけれども、空間線量と大気中線量は必ずしも区別をされずに報道されているようなケースがあるように感じております。確かに空間線量は高くなったわけですが、大気中線量が高くなったということでは必ずしもないのではないか。したがって、その地面に落ちたものが空間線量として寄与している可能性が高いのではないかと思います。
 当然、桝本委員がおっしゃったように再浮遊の可能性もありますので、こういったところは慎重に見なければいけないかと思いますけれども、報道においてはしばしば空間線量が大気中線量という名の下に報道されているようなことがございますので、この辺りは是非、政府全体として国民への情報伝達で気をつけていただければありがたいと思っております。

○眞柄座長
 ありがとうございました。
 ほぼ予定した時間になりましたけれども、モデルのことで言えば地球温暖化のモデルというのは全球レベルで世界の科学者が一生懸命やっているわけですね。それでもかなりの幅がある予測結果になっているわけでして、そういう意味では日本の国内だけの予測、シミュレーションでもかなり難しい問題を抱えているだろうと思います。
 それから、IPCCのモデルを考えても、3月15日に福島で出たものは多分、今ごろまた戻ってきているはずですね。そうすると、多分モニタリングのデータが一回、回ってきたのがそろそろシグナルとして出てきているはずです。ということになると、全部地表に落ちたんじゃなくて、地表に落ちたのはほんの一部であって、かなりの部分は太平洋なり、あるいはアメリカなり、ヨーロッパに落ちて、現にアメリカのワシントン州ではそこそこ検出されたデータが出てきているというようなこともあります。
 ですから、最初にも申し上げたように、我々の仕事はどれぐらいのリスクで対応していくのか。例えば、水道水の中の発がん物質であれば、一生涯10-5でがんになる、ならないということを前提に化学物質の管理をしているわけですね。ですから、そのレベルでやるのか。あるいは、福島の場合のエピソードというのは工程表であっても多分1年ないし2年である程度まで収束するとすれば、2、3年の間でそのリスクが化学物質と同じように生涯で発生しないような、その辺のところをターゲットを決めてやろうじゃないかというようなこともやはりここの中で議論しておくべきことだろうと思いますので、是非、次回以降、資料4の論点にありますようなことを中心に先生方と議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に今後のスケジュールについて事務局から説明してください。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは資料5ですが、今後のスケジュールについて説明をいたします。
 まず、第1回の検討会において「水道水への放射性物質の影響メカニズム」を議論いただいたところですが、次回の会議は5月下旬に開催をいたしまして、引き続きこの影響メカニズムについて討議をいただく。また、合わせて「水道水中の放射性物質の低減方策」、または「水道水モニタリング結果の評価及び今後の取組」について審議をお願いしたいということでございます。
 また、第3回は6月中下旬ということでございますが、合わせて「水道水モニタリング結果の評価及び今後の取組」、「摂取制限の要請や解除に関する考え方」について審議していただきたいと思います。
 その結果について、第1回から第3回の審議結果について厚生科学審議会生活環境水道部会へ報告することでどうかということでございます。
 また、第4回目以降ということでございますが、原発事故の収束状況、またはモニタリング結果の評価といったものを踏まえて、その取組みについて審議をしていただく。また、随時、生活環境水道部会に報告するということではいかがかと考えております。
 このほか、原発事故の状況、モニタリング結果の状況に応じて開催時期や検討内容を変更することもあり得るということをこちらの方にお示ししております。以上でございます。

○眞柄座長
 事務局から今、説明があったようなことで進めてまいりたいと思います。特に次回はまだ日にちが決まっておりませんが、次回はここに掲げられている事柄を中心に議論を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは、最後に事務局からお願いします。

○松本水道水質管理官
 長時間の御審議ありがとうございました。
 本日の議事録に関しましては、皆様に御確認をいただいた上、公開することとさせていただきます。
 また、次回の検討会は座長からございましたように、日程を調整させていただきまして、追って御連絡させていただきたいと思います。
 最後に、閉会に当たりまして、大塚副大臣の方からごあいさつを申し上げます。

○大塚厚生労働副大臣
 本当にどうも今日はありがとうございました。引き続き、いろいろと御指導いただきたいと思っております。
 この放射性物質に対する対応については、国民の皆さんは行政的なアクションだけに従っていただくのはなかなか御不安な面もあるかもしれませんので、行政的なアクションの裏づけとして科学的なリコメンデーションをしていただく公的な組織が、今後いろいろな分野で必要になってくると思いますので、水道については先生方が私たちにとっては大変重要な御示唆をいただくボードでございますので、是非、厳しく御教示、御指導いただければと思います。
 どうもありがとうございました。

○眞柄座長
 それでは、今日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課水道水質管理室

代表: 03(5253)1111
内線: 4033 ・ 4034

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