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2011年12月26日 第30回がん対策推進協議会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成23年12月26日(月)
16:00~19:00           


○場所

厚生労働省 18階 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)




○議題

1 開  会
   藤田厚生労働大臣政務官あいさつ

2 報告事項
   がん対策指標について

3 議  題
   次期がん対策推進基本計画全体構成(案)及び骨子(案)について

4 その他

○議事

出席委員:門田会長、天野会長代理、上田委員、江口委員、嘉山委員、田村委員、中川委員、中沢委員、野田委員、花井委員、原委員、保坂委員、本田委員、前川委員、前原委員、眞島委員、松月委員、松本委員

○鷲見がん対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第30回がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局で健康局がん対策推進室長の鷲見でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、川越委員、北岡委員から、事前に御欠席との連絡を受けております。がん対策推進協議会の委員定数20名に対しまして、本日は18名の委員の方に御出席いただくことになりますので、議事運営に必要な定足数に達することを御報告申し上げます。
 なお、事務局には、厚生労働省のほか、文部科学省及び経済産業省より御出席いただいております。
 本日は、藤田政務官にも御出席いただいておりますので、初めに、政務官よりごあいさつさせていただきます。
 政務官、よろしくお願いいたします。
○藤田厚生労働大臣政務官 皆様、こんにちは。ごあいさつの機会が大変遅くなっておりまして申し訳ございません。政務官を務めております衆議院の藤田一枝でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、本当に年末のお忙しい中に、第30回がん対策推進協議会に御出席いただきまして誠にありがとうございました。また、今回のがん対策推進基本計画の見直しに当たりましては、委員の皆様方から大変熱心な、そして貴重な御意見を賜りましたことに心から御礼を申し上げます。
 皆様方、既に御案内のとおり、我が国のがん対策は、がん対策基本法に基づきまして平成19年6月にがん対策推進基本計画を策定いたしまして、10年間で年齢調整死亡率を20%減少させるといった全体目標を掲げ、予防、そして早期発見、医療、緩和ケア、相談支援などに総合的に取り組んでまいりました。
 しかし、がんの患者さんは、身体的な痛みのみならず不安などの心の痛みや、あるいは家族や周囲の人との関係や就労などの社会的な痛みを抱えておられるわけであります。このため次期基本計画では、委員の皆様からの御意見を踏まえ、がんになっても安心して暮らせる社会の構築を全体目標として掲げ、がん患者、そして、がんの経験者を社会全体で支えていくこととしたいと考えているところでございます。
 また、重点課題については、我が国で死亡率が上昇している女性のがんへの対策、就労に関する問題への対応、検診受診率の向上など、がんになっても安心して働き、暮らせるような社会づくりのために、働く世代へのがん対策の充実を新たに追加したいと考えております。
 更に、これまで対策の遅れていた小児がん、がんの教育、医薬品・医療機器の早期開発・承認、こうした問題を新たに加え、がん対策を長期的視点を持って総合的に進めてまいりたいと思っております。
 先週の土曜日でございますが、24日に閣議決定されました新年度予算案の中のがん対策予算は357億円、対前年度103.9%となっております。予算案の作成に当たっては、協議会からいただいた御意見を踏まえまして、小児がん対策といった新たに重点的に取り組むべき点についても盛り込んだところでございます。詳細につきましては、後ほど事務局の方から御説明申し上げます。
 本日は、厚生労働省よりお示ししたがん対策推進基本計画の骨子案について御議論をいただくことといたしております。是非、委員の皆様方の前向きで活発な御議論をいただきますようにお願い申し上げますとともに、がん対策の更なる拡充に向けて御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○鷲見がん対策推進室長 なお、藤田政務官は、公務の関係で途中で退席されますので、御了承ください。
 それでは、以後の進行につきましては、門田会長にお願いいたします。
 会長、よろしくお願いいたします。
○門田会長 門田でございます。
 本日は、非常に寒い中、多分、雪そのほかで問題のあった方もいらっしゃるかもわかりませんが、たくさん御出席いただきましてどうもありがとうございます。
 また、藤田政務官、御出席いただきどうもありがとうございました。
 本日の予定は、前回の協議会で集中審議を行いましたがん対策指標に関して、皆様方から御意見をいただき、それをとりまとめたものを御報告させていただくこと。その次に、前回御議論いただきました次期がん対策推進基本計画の全体構成案及び骨子案につきましてさらに御議論いただきます。なお、各委員より御意見をいただいております資料につきましては、発言のときに御利用していただいて御発言いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、次期がん対策推進基本計画の全体構成案及び骨子につきまして、もういよいよ最終ということで、本日で一応終結したいと考えております。それをもとに次回の協議会では、本来の目的でありますがん対策推進基本計画の本文の議論を行うという手順でございます。是非よろしくお願いしたいと思います。
 特に、今回も、見ていただいてわかりますように非常に盛りだくさんの内容となっておりますので、是非よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。
 それでは、事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。
○鷲見がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料1「がん対策推進協議会委員名簿」。
 資料2「がん対策指標に関する委員からの意見のまとめ」。
 資料3「がん対策全体を評価する指標の策定について」。
 資料4「次期がん対策推進基本計画の全体構成(案)及び骨子(案)に関する委員からの意見のまとめ(案)」。
 資料5「次期がん対策推進基本計画の全体構成(案)」。
 資料6「次期がん対策推進基本計画の骨子(案)」。
 参考資料としまして、「平成24年度厚生労働省がん対策予算案の概要」、そして、「天野委員提出資料」がございます。
 以上、資料の過不足等ございましたら、事務局にお申し出ください。
○門田会長 それでは、本日の議論に入りたいと思いますが、今回、政府三役の方に出席していただいたのは初めてでございますので、もしどうしても何か御発言しておきたいというようなことがあれば、ここで簡単に述べていただく時間をつくりたいと思いますが、何かございますか。よろしいですか。
 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。天野でございます。
 先ほど藤田政務官から、次期がん対策推進基本計画に向けて大変力強いお言葉をいただきまして、私も患者委員の一人としまして、特に、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」という言葉、また、小児がんの対策などについて推進いただけるとの力強いお言葉をいただいたこと、大変感謝申し上げます。ありがとうございました。
 私からは、本日、委員提出資料という形で参考資料をつけさせていただいておりますので、そちらにつきまして簡単に御説明させていただきたいと思います。
 「天野委員提出資料」としまして、「『ドラッグ・ラグの解消に向けた制度改正等を求める要望書』につきまして」ということでございます。
 先ほど政務官からも、医薬品・医療機器の早期開発・承認等へ向けた取組みをしていただけるというお言葉をいただいておりますが、これに関しまして、平成23年12月19日付で、がん患者団体有志一同の60団体により、この要望書を小宮山厚生労働大臣を含む厚生労働省の幹部の皆さん、また、各協議会の委員長の方々に提出させていただいておりますので、御紹介させていただきます。
 趣旨としましては、2007年にがん対策基本法が施行されるまでには、海外で標準的に用いられている治療薬を日本で承認してほしいと求める多くのがん患者の声があったことを受けまして、がん患者団体有志一同は、これまでも厚生労働省やその審議会などでドラッグ・ラグの解消、特に適用外薬のドラッグ・ラグの解消のために、是非お力添えをお願いしたいということを要望させてきていただいた次第でございます。
 ドラッグ・ラグと一言で申しますと、一般的には抗がん剤のドラッグ・ラグ、これは勿論非常に重要なことではございますが、特に、小児がんであるとか、また緩和ケアにおいても、このドラッグ・ラグの問題は深刻でございます。適用外薬であるために、例えば医療機関において、保険で切られてしまうことをおそれて十分な量の緩和ケアの必要な疼痛治療薬が使えないといったことが実際に生じておりまして、特に地方の医療機関では、保険で切られるというリスクがあることから、地方の患者さんは、十分な緩和ケアの量の薬を使っていただいていないという指摘も聞いておりまして、まさにこれが地方の痛みとでも言うべき状態があるということでございます。
 具体的には、適用外問題の解消のために4点お願いさせていただいておりますが、特に最初の2点でございます。1枚めくっていただきまして2ページ目でございますが、適用外薬を保険診療下で使いやすくするため、海外で一定のエビデンスに基づき標準治療とされている場合、または国内学会のガイドラインで規定されている場合などには、米国におけるコンペンディア制度にならい、透明性の高い審査機関に保険償還の判断をゆだねる制度改正、これは特に保険局などが関与してくるかと思いますが、是非これを御検討いただきたいと思っております。
 その中で、特に内外の知見を積み上げた結果、新たな有用性が明らかとなり、治療薬の再審査期間が終了しているような古いお薬でございますが、古いお薬という言い方は適切かどうかわかりませんが、例えば承認されてから10年以上たっているような薬ですと、新たにこれに対して一剤一剤、一適用ずつ保険適用について審査していくというのは膨大な労力を伴うということがありまして、医薬食品局や、また、現在医療上の必要性の高い未承認薬適用外薬検討会議で一つひとつ今、審査をしているところではありますが、先日、第2回要望が締め切られたところではございますが、適用外薬が圧倒的に多い状況がございます。未承認薬よりも、むしろ適用外薬のラグの問題が大きくなっていることを是非御認識いただきまして、これについて迅速に保険適用できるような制度改正を是非御検討いただきたいと思っておりまして、これについても、がん対策推進基本法計画で適用外薬のラグ解消に向けた何らかの記述をお願いしたいと考えております。
 私からは、以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 ここに添えております60団体からの要望ということでございます。
 そのほか何か。嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 今のことに補足させていただきます。がんセンターの嘉山ですが、ドラッグ・ラグが全部解消されたとしても、先生の場合は、政治の場合には予算が絶対についてまいりますので、がんセンターが計算したところ、一番少なくて400億円、もしも全部使ったとしても1,200億円ぐらいにしかならないんです。でも、それを使わないにしても、ほかの抗がん剤を使っていますので、多分、医療費として増えるのは、金額としてはそんなに多くないのではないかとがんセンターの方で昨年計算して、中医協には出しましたが、このことは、特に今、もう時間がたっているお薬を、医師の裁量のもとに55年通達で本当は使えるのですが、そこのところがなかなかうまくいっていないというところがございますので、そこは、政務官のお力で何とかしていただければと思っています。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 眞島委員。
○眞島委員 ありがとうございます。患者委員の眞島でございます。
 我が国は、国連WHOが提案するたばこ規制枠組み条約(FTCT)に署名しているのですけれども、実際にすべてのがんにおいて危険因子と言われますこのたばこに関しては、相変わらず目標値がなく、前の計画でも目標値が設定されていませんでした。データを見ますと、女性の喫煙率というのは横ばいですけれども、男性の方を見ますと、やはり38%と非常に高い水準でございます。我々が一生懸命ここで、がんで亡くなる患者さんを一人でもなくそう、あるいはがんで苦しむ患者さんを一人でもなくそうとがん対策推進計画を立ててはおりますけれども、個別目標の方では、まだたばこの喫煙率削減についての目標値も設定されておりません。
 やはり、例えば5か年で喫煙率を50%削減するといったような明確な目標を立て、それをがん対策推進計画に入れる、こういう意思を示すことが重要ではないかと考えておりまして、何らかの記述がこの新しい5か年計画の中に入ることを望んでおります。
 以上です。ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
 委員の皆さんから政務官に直接お話ししたいということで以上出てまいりましたが、そのほかいかがですか。中川委員どうぞ。
○中川委員 東大病院の中川でございますが、がんの患者さんの基本データを登録し、そして、将来のがんの対策に役立てるためのがん登録の制度、これが今回の見直しの骨子の一つになるわけですが、ここで、どうしても法制化、特に個人情報保護法という法律に対しての、法律上の担保というか、ここが是非行われるべきだと考えておりますので、是非御検討いただきたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかもあろうかと思うのですが、本日は盛りだくさんでございますので、政務官の方から何か。
○藤田厚生労働大臣政務官 ありがとうございます。本当に貴重な御指摘をいただきまして、それぞれしっかりと検討してまいらなければいけないと受けとめたところでございます。
 それで、実は今度、来年の4月1日からがん健康対策課というものを新設することになりました。そういう意味で、更に具体的な施策を前に進めることができると思っておりますので、頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
○門田会長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議論の方に入っていきたいと思います。
 まず初めに、報告事項として「がん対策指標について」というものが上がっておりますが、前回、この協議会の方で集中審議を行っていただきました。その後、委員の皆様からも意見をちょうだいしておりますが、その内容について事務局と私の方でまとめさせていただいておりますので、その内容を事務局より報告してもらいたいと思います。お願いします。
○事務局(松田) それでは、事務局から資料2「がん対策指標に関する委員からの意見のまとめ」について説明させていただきます。
 前回協議会で提出させていただいた資料から修正のあった部分を中心に御説明いたします。修正箇所は、赤字プラスアンダーラインという形でお示ししております。
 2ページ目の方をごらんください。この上から順に説明させていただきます。
 まず、全国的、経年的な指標については、国が体制を組んで取り組むべき。
 医療人の最終目標は患者の社会復帰であり、社会に復帰するための指標を入れてほしい。
 現行の基本計画では量的な充足が中心だったが、今回の見直し計画では質的な指標を期待する。
 医療システムの中で、ストラクチャー、プロセス、アウトカムに関する指標があり、これらの上にがん対策があるといった対策の進捗状況が一目でわかる資料が欲しい。
 今回の多くの提言の中で整備の充実、体制の充実、医療従事者の不足などが指摘され、それらの改善目標が提言されているが、これらの課題に対する人的及び資金的援助を明確に指標としてとらえる方策を検討すること。
 がん検診の有効性の観点として、従来の検診率に加え、医療機関未受診者のがん検診率、就業年齢時期における検診率を指標として加える。
 こういった御意見をいただいております。
 事務局からの説明は以上となります。
○門田会長 ありがとうございました。
 前回、また、その後出していただきましたものをまとめたものが以上でございますが、何か追加することがございますか。よろしゅうございますか。
 そういたしますと、こういう内容を含めて、今からの作業は、がん対策基本計画の方にこういう内容も含めて記載していくという形にさせていただくことにしたいと思います。
 ありがとうございました。
 どうぞ。
○嘉山委員 ちょっといいですか。小児がんに一番関係することなんですが、今の資料の3番目に「5大がんのみしか」というところがあって、希少がんも勿論大事だと思うのですが、私は、やはり子どもの一番の頻度が高いのは血液がんですので、その次は私の専門の神経がんなんです。ですから、この血液が入っていないということは、やはりいろいろな面で問題になっていますから、この5大がんプラス血液を言葉としてきちんと入れておかないと、小児がんの重点政策といっても、やはり疾病でも捕捉する必要があると思いますので、希少がんという前に、もう血液、要するにロイケミア、白血病ですね、そこをきちんとやるということを入れておいた方がいいのではないかというのが、がんセンターの実際の研究者兼医療人の声だったので、そこにちょっと血液病を何とか事務局にお願いして入れ込んでいただけたらと思います。
○門田会長 おっしゃるとおりだと思いますが、これは追加していただくということでよろしいですか。
○鷲見がん対策推進室長 先生、意見として承りましたので、盛り込むよう検討していきたいと思います。
○門田会長 それでは、もう一つ、資料3が事務局より出されておりますが、この件につきまして事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○鷲見がん対策推進室長 それでは、お手元の資料3に基づきまして御説明させていただきます。「がん対策全体を評価する枠組みと指標の策定について」という資料でございますが、現状としましては、先ほど委員の方々からも御意見をいただいておりますように、現行のがん対策推進基本計画において、全体目標とともに、分野別施策ごとに個別目標及び参考指標として設定されております。しかしながら、これらにつきまして、人材や設備などの充足度、こうした構造に関するものが多く、活動の内容であるとか、その活動による成果に関するものが少ないとされております。
 また、個別目標の達成及び参考指標の把握と各分野別施策における課題解決や全体目標である、今2つございますが、「がんによる死亡率の減少」、それから「QOL向上」といったものの関連が明確ではないという指摘もございます。
 したがいまして、今後の対応方針でございますが、今後、基本計画をお示しするに当たりまして、いずれにいたしましても指標であるとか目標というものを記載していくことになりますが、各分野別施策の骨子ごとに、各分野別施策における課題解決に向けた活動の内容やその活動による成果に関するものを含む適切な指標を設定し、がん対策の進捗を把握するとともに、定期的にがん対策推進協議会に報告を行うと。
 また、既存の調査等では把握できない指標につきましては、必要性であるとか優先度、優先性を踏まえて開発を進めるということとさせていただきたいと考えております。
 1枚おめくりいただきまして、先ほど、その全体目標として大きな2つの目標につながっていないという指摘があると申し上げましたが、先ほど政務官の方からもお話しさせていただきましたように、もし「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」というものを全体目標に加えた場合、左側の個別施策につきまして、それぞれがんの教育・普及啓発であるとか、がん登録、こうした基盤整備的なものから個別施策であります小児がん、がんの予防、がんの早期発見といったようなものにつきまして、このちょうど右側につながるように、つまり死亡率につながるのは、例えば予防であるとか早期発見、そして医療である放射線療法、化学療法及び手術療法、こうしたものが右側の死亡率の減少につながると。
 また、相談支援であるとか情報提供、そして、リハビリテーション、そして、地域における医療・サービス提供体制の構築、こうしたものが、がんによる苦痛の軽減や療養生活の向上、QOLの向上につながっていく。
 更には、今回新しく個別施策として加えましたがん患者の就労を含む社会的な問題、こうした問題を個別施策として新たに加えることによって、全体目標であります「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」につながっていく。こうしたような全体構成を考えております。
 また、1枚おめくりいただきまして、全体目標と分野別施策との関係図ということでございますが、先ほど適切な指標を設定するということを申し上げましたが、どういった調査などからこうしたものが抜き出せるのかということを少し整理してみました。
 全体の目標としまして上の3つだといたしますと、真ん中にございます医療関連としましては、既存の医療施設調査であるとか患者調査、そしてレセプトの調査である社会医療診療行為別調査であるとかDPCの話、そして、がん室でやっております拠点病院の現況報告、そして、学会の先生方に行っていただいている臓器がん登録、こうしたようなものがまず医療関連としてはございますし、右側としましては、患者満足度としまして、受療行動調査であるとか、世論調査、国民生活基礎調査、そして、厚生労働科学研究などが、患者満足度などに関する調査としてございます。
 また、その基盤となるものとしましては、人口動態統計、そして地域がん登録や院内がん登録、こうしたものと連携させながら、適切な指標というものをつくりながらお示ししていくことができるのではないかと考えております。
 また、患者満足度等の中に「拠点病院患者満足度調査(仮)」というようなことを書いておりますが、質的な調査などにつきまして、こうしたものについて、例えばこうした新しい調査なども含めて検討するということが考えられるのではないかということでお示ししているところでございます。
 また、分野別施策としましては、今、記載されておりますもの、これと指標、目標、そして、それらが全体目標につながる、こうしたような形の中でがん対策推進基本計画というものを策定していきたいと考えております。
 以上でございます。
○門田会長 局長どうぞ。
○外山健康局長 今の室長の説明は、前回というか、指標についていろいろ御意見を伺って、ストラクチャーとか、プロセスとかいろいろ伺って、今までもこういう意見が多かったものですから、全体のものの流れとしてはこうなるのだという説明をしたのですけれども、今日、それからまた、年明けに向けて計画をつくる際にいろいろな制約もございます。というのは、このがん対策基本法におきましては、がん対策推進基本計画というのは、言わずもがななのですけれども、基本計画に定める施策ということで、施策を定めなければいけない。それから、原則として、当該施策の具体的な目標、それから、その達成の時期も定めなければいけない、こうなっておりまして、今日の議論の中の資料4、5、6はまだその水準に行っていないわけでございます。
 今、既存の調査で把握できない指標については、物の考え方としてはこういうふうに新たに指標をつくると説明しておりますけれども、そういう形に努めますが、閣議決定してやる計画に、今といいますか、ここで今までにないような指標を新たにつくって、すべて網羅的に説明し得るかというと、なかなかすべての分野は不可能に近いこともございますので、ちょっとくぎを刺すような形で恐縮でございますけれども、物の考え方としてはこうですけれども、全編にわたってこういう形ですべて説明がつくわけではございませんので、そこのところは本当に申し訳ないですけれども、ちょっと言わずもがななんですけれども、これで以下、今日の4、5、6の資料ですべて説明がつくようなイメージを与えますとちょっとまずいと思いまして、済みませんが御了解願いたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 考え方をこういうふうに整理していただいているということと、それから、その具体的な計画の中に、ここのすべてのものが網羅できるようなものを作成するということは、時間的に考えても難しい。ただし、基本的な考え方ということで皆さん御了承していただきたいということだと思いますが、どなたか御意見ございますでしょうか。本田委員どうぞ。
○本田委員 御説明ありがとうございました。指標について、すべてを閣議決定までに全部そろえることはできないというのは、現実問題からして仕方のないことかとは思いますけれども、ただし、なあなあになってしまってずるずるとするのではなくて、できるものは何なのか、開発しなければいけないものは何なのかというものをある程度示して、今日というわけではないですけれども、示していっていただきたいということと、例えばこのがんによる苦痛の軽減、QOLの向上なんかは、研究班をつくってずっとやっているわけですね。それが一体、この前も御発表があったけれども、無理なのか、できるのかというようなことも示していただきたいと思いましたし、その辺、ずるずるしないようにお願いしたいと思います。
○門田会長 眞島委員どうぞ。
○眞島委員 今回提出されました資料というのは、考え方という面では非常にわかりやすくていい資料ではないかと思います。「はかれないものは改善されない」というようなことも言われていますので、やはり何らかの数値的目標があって、それに向けて我々は努力するという仕組みが必要ではないかなと。すべての目標に使える指標があるというわけではないとは思いますけれども、不足しているものはこれからつくっていく、または計測していくということでいいのではないかと思いますけれども、その努力というものは絶対に必要だと感じております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 この件につきましては、この5年間の計画ですけれども、第一期5年間の間に、どちらかというと形式的なことは出てきても、クオリティーを表現するものの方がずっと、重要だ、必要だとディスカッションの中でやってきて、それをこういう形にまとめてもらって、これが、私個人の考えとすれば、最初の段階ですべてのものを網羅してクオリティーをこういう指標でというのも易しくはない。
 先ほど本田委員からありましたけれども、また別な班会議そのほかでもいろいろやられていることがあるというあたりを、徐々に整理して、5年間かけて整理していくということから、たちまち何ができて、何をどのあたりまでに検討するということも踏まえて、ある程度の内容を入れて、すべて漠然としてしまうのではなく、基本計画を何とかつくり上げていくということが、多分、皆さんの御意見かと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
 では、一応そういうことで、皆さんの意見がまとまったという形で、この件につきましても、これから計画をつくっていく上で検討していただいて、それにふさわしいものをつくっていただきたいということでこれは終えたいと思います。
 それでは、次の議題、「次期がん推進基本計画全体構成(案)及び骨子について」ということですが、前回御議論いただきました、いろいろな御意見をいただいております。それを今の段階でまとめておるものがこの資料4でございますけれども、この件について事務局から、これすべてといったら大変なことになりますので、簡潔に説明をお願いしたいと思います。
○事務局(松田) それでは、事務局より資料4について御説明いたします。先ほど会長からもお話がありましたように、本資料は、多数の貴重な御意見をいただきまして、全体が32ページという非常に大きな分量になっております。そのため、今日のこの場ですべての御意見を御紹介させていただくのはちょっと難しいということで、かなり省略した形で進めさせていただくことを御了承いただきたいと思います。
 そうしましたら、1ページから2ページ目のところですが、基本方針についてと全体目標についてを説明いたします。
 特に多かった御意見としては、1つ目が、精神的、身体的、社会的な苦痛を含めた「全人的なケア」が必要であるという御意見と、もう一つは、先ほども話がありました「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を全体目標に加えるべきであるといった御意見が多くございました。
 続きまして、2ページ目から5ページまで4ページ分ありますが、重点課題についてというところに移ります。
 こちらもさまざまな御意見をいただいておりますが、1つ目に、まず、各個別施策としてドラッグ・ラグであったり、がんの予防、就労、教育、こういったものを重点課題にすべきといった御意見があったほか、多かった意見として、「がんになっても安心して暮らせる社会」というものがもし全体目標で入るのであれば、重点課題の方にも、それに呼応した形で「現役世代または働き盛りの世代への支援」、こういった文言を入れるべきであるといった御意見がありました。
 続きまして、5ページ目に移ります。重点課題と全体目標の記載順ということで、こちらは何度か協議会で御意見をいただいておりますが、やはりこれは前回御意見と同様、重点課題を先にすべきという御意見と全体目標を先にすべきという御意見、それぞれこれは複数ございました。
 少し飛びまして、7ページ目から10ページ目、個別施策に入っていきますが、1の(1)放射線療法、化学療法及び手術療法のさらなる充実について御説明いたします。
 タイトルにもありますように、各放射線療法、化学療法、手術療法に関する御意見を多々いただいておりますが、それ以外としまして、1つは、セカンドオピニオンが不足しているという御意見、あとは、多職種でのチーム医療が必要であるという御意見、3つ目に、診療ガイドライン等の充実の必要性、こういった御意見がございました。
 続きまして、10ページ目に移らせていただきます。10ページ目は、1の(3)がんと診断された時からの緩和ケアの推進について御説明いたします。
 こちらにつきましては、先ほどの基本方針、全体目標についてというところで議論がありましたように、全人的なケアが必要であるという御意見が多数入っておりました。また、その他の御意見としましては、「緩和ケア」がなかなか浸透していないということをきっちりと認めた上で対策が必要であるということを記載すべきであるといった御意見であるとか、あと、多くの患者や国民が、緩和ケアについて、終末期で受けるもの、疼痛だけを対象にしているものと誤解しているといった課題に対する御意見であったり、それ以外に、質の高い緩和ケアの実現のために、研修の充実であったり、普及啓発の必要性であったり、教育面での対応を行うべきであるという、質の高い緩和ケアといったところに対する御意見が多くございました。
 続きまして、飛びまして14ページ目に移ります。1の(4)地域における医療・サービス提供体制の構築についてですが、こちらにつきましては、まず、タイトルのところで「地域」とか「地域連携」という文言を入れるべきという御意見をいただきまして、今回の事務局案でも「地域」という文言をつけ加えております。
 また、現状と課題につきましては、現状は、地域連携クリティカルパスが十分に整備、機能していない、地域連携の促進につながっていないといった御意見であるとか、医療の提供だけではない、介護であったり福祉サービスとの連携を進めるべきであるといった御意見をいただいております。
 17ページ目に移ります。1の(5)医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組についてですが、こちらにつきましては、1つは、先ほど天野委員のお話にもありましたように、未承認薬のラグの解消について引き続き進めるとともに、適用外薬のラグの解消についても抜本的な取り組みが必要といった御意見であるとか、希少疾病用の医療品・医療機器については、より重点的に開発支援を進めることが必要であるといった御意見をいただいております。
 19ページ目に移ります。2番、がんに関する相談支援及び情報提供について御説明します。
 この項目では、特に相談支援センターの質の向上について、人員確保であったり、地域のがん患者団体との連携協力などの取り組みが必要であること。あとは、ピアサポートの導入について、より踏み込んだ記載が必要であるといったような御意見をいただきました。
 22ページ目に移ります。がんの早期発見についてですが、主に受診者の負担や不安の軽減、あとは国民への普及啓発、手続の簡便化による受診率向上など、国民に対するアプローチについての意見が多くございました。
 23ページ目の6番、がん研究について御説明します。
 この項目では、がん研究について、がん患者の視点に立った推進のために国民に対して積極的に公開していく必要があるということ、あと、がん患者の参画を進める必要があるということ、更に、オールジャパンの体制で取り組む必要がある、こういった御意見をいただいております。
 続きまして、25ページ目になります。7番の小児がんについてです。
 小児がんは、まず、生活習慣とは関係ない幅広い年齢で発症する。更には、成人とは異なる多種多様ながん種から成るということをきちんと書くべきであるということや、あとは、長期フォローアップについての体制が不十分であるということで、これについての検討が必要である、こういった御意見をいただいております。
 28ページ目に移ります。8番、がんの教育・普及啓発についてですが、全体を通じて、成人に対するがん啓発と学童に対するがん教育、これは別に扱うべきであるということ、及び、特に普及啓発ということの記載が前回少なかったというところもありまして、これに対する記載や文言を加えていくべきであるという御意見をいただきました。
 最後、30ページ目に移りまして、がん患者の就労を含む社会的な問題についてですが、こちらにつきましては、がんやがん患者に対する偏見、誤解の存在も問題である、差別がないよう正しい知識の普及が必要であるということや、経済的な負担に関する記載、こちらが漏れているという御指摘がございまして、こちらについても追記をすべきであるといった御意見をいただきました。
 非常に駆け足となりましたが、説明は以上となります。
○門田会長 ありがとうございました。これは、皆さんからいただきました御意見をまとめさせていただいたものでございます。
 それで、引き続きまして、資料5、6の方に反映されて出てくるということでございますので、その5、6の方に参りたいと思います。これも事務局、お願いいたします。
○事務局(秋月) それでは、資料5と資料6について説明させていただきます。資料5が「次期がん対策推進基本計画の全体構成(案)」となっております。
 主に変わったところだけ御説明させていただきますと、構成は、第1、基本方針、第2、重点的に取り組むべき課題、そして、第3が全体目標、第4に分野別施策及びその成果や達成度を計るための個別目標としております。
 そして、追加したものとして、第2の重点的に取り組むべき課題のところへ、4番として「働く世代へのがん対策の充実」を追加しております。それから、第3の全体目標でございますが、2の(3)に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を追加しております。
 また、第4の1、がん医療の(1)に1、2、3とお示ししておりますが、これは、今の段階の骨子案では、「現状」「課題」、そして「目指すべき方向」となっているのですけれども、これを基本計画に書く際には、今の基本計画の構成にならいまして、「現状」それから「取り組むべき施策」、そして「個別目標」という構成にする予定としております。分野別施策については、(1)放射線療法、化学療法及び手術療法のところで、「チーム医療の推進」というものを追加しております。
 あとは、1枚おめくりいただきまして、これは大変申し訳ないのですが、(3)ですけれども、「地域における医療・サービス提供体制の構築」となっているのですが、こちらは、サービスにきちんと介護が含まれているということを明記すべきということがございまして、「医療・介護サービス提供体制の構築」ということで、「介護」という単語を、大変申し訳ございません、追加させていただきたいと思います。
 あとは特段、前回からの変更はないかと思います。
 これが、まず、資料5についての説明です。
 続きまして、資料6の方ですけれども、前回、長々と御説明させていただいたのですが、本日は、いただいた御意見、それから省内協議等も踏まえまして、赤字が主に変更があったところですので、その赤字のところを中心に説明させていただきます。
 1番のがん医療についての課題の2つ目のところですが、2行目から、治療による副作用・合併症などの身体的負担、不安などの精神的負担に対して、診療及び支援に必要なチーム医療が十分とは言えないということを追加しております。
 それから、2つ目には、セカンドオピニオンについては、まだ十分に周知されておらず、希望する患者が受けられていないことが懸念されるという課題を追加しています。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目ですが、2つ目のポツの4行目のところですけれども、チーム医療を推進するとともに、がん看護体制の強化を図っていくということも追加しております。
 それから、3ポツ目ですけれども、セカンドオピニオンについては、いつでも適切にということと、あと、普及啓発を推進するということを加えております。
 また、医療安全について記載がないという御指摘がございましたので、これについては、患者を守るため、様々な医療安全管理の取組が進められてきたところであるが、診療行為には一定の危険性が伴うことを踏まえ、医療従事者及び関係者が協力して、がん医療の質と安全の確保のための取組を一層推進するというところを追記しております。
 下の方へ参りまして、下から2番目のところですが、ガイドラインにつきましては、診療ガイドラインや解説の充実など、患者にとって分かりやすい情報提供のあり方を検討するということを追加しています。
 3ページ目ですけれども、下、3分の1ぐらいのところですが、手術療法の推進の2つ目ですけれども、手術成績の更なる向上のため、手術の標準化に向けた評価法の確立、教育システムの整備、それから、高度な先端技術を用いた手術や難治性希少がんなどに対しては、地域性に配慮した一定の集約化を検討するということを追加しています。
 4ページ目、がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成については、5ページ目に参りまして、5ページの一番上ですけれども、国、学会、医療機関等においては、引き続き地域のがん医療を担う医療従事者の育成に取り組む。また、医療機関においても、こうした教育プログラムへ医療従事者が参加しやすい環境を整備するよう努めるということを追加しています。
 それから、がんと診断された時からの緩和ケアの推進については、かなり変更したわけですが、現状について、まず、緩和ケアそのものについて、まだしっかり周知されていないというような御指摘もございましたので、まずは、WHOの定義を日本語に訳したものを載せております。この定義を見てわかりますように、下の2行ですけれども、緩和ケアというのは、精神的、社会的な苦痛を含めた全人的なケアが必要であり、その対象者は、患者のみならず、家族や遺族も含まれるということを追加いたしました。
 また、現状の4つ目には、医療用麻薬消費量について、まだ先進国と比べて少ない現状にあるということを書いています。
 それから、課題についてですが、1つ目の3行目から読みますと、がんと診断たれた時から、患者や家族が抱える様々な苦痛に対する迅速かつ適切な緩和ケアががん診療において十分に提供されていない。
 また、2つ目が、拠点病院においては緩和ケアチームなどが整備されているのですけれども、そこに格差が見られていると。
 それから、3つ目が、専門的な緩和ケアを担う医療従事者が不足している。
 そして、4つ目が、調査結果にもあるとおり、国民に対して緩和ケアの理解や周知が進んでいないということを追加しています。
 6ページ目ですが、目指すべき方向で、まず1つ目が、緩和ケアについて、その提供体制の整備、それから、人材育成、普及啓発、そして、研究、こうしたものを総合的に進めていく必要があると。そして、提供体制について見ると、1つ目の矢印が、診断時から痛みのスクリーニングを行うなど、がん診療に緩和ケアを組み入れる。
 2つ目が、院内の連携を図り、患者・家族の緩和ケアチームなどが提供する専門的緩和ケアへのアクセスを改善する。
 3つ目が、2行目、社会福祉士、臨床心理士等の心理職、こうした方の適正な配置を図り、緩和ケアチームや緩和ケア外来の機能を充実させる。
 そして、4つ目が、在宅緩和ケアを提供できる医療機関などと連携し、切れ目のない在宅医療の提供体制や急変した患者や医療ニーズの高い要介護者の受け入れ体制を整備する。
 そして、人材育成に関しましては、1つ目のところには、精神的・社会的な苦痛にも対応できるということを追加いたしております。
 2つ目ですけれども、同じく精神的な苦痛に対するということなんですが、心のケアを専門的に行う医療従事者の育成について取り組む。
 それから、3つ目は、研修の内容を更に充実させるとともに、研修指導者の教育技法などの向上を目指した研修を実施する。
 それから、下から2つ目ですけれども、がん性疼痛で苦しむ患者さんをなくすために、多様化する医療用麻薬の迅速かつ適正な使用を図るというところを追加しております。
 7ページ目、地域における医療・介護サービス提供体制の構築についてですが、1枚おめくりいただきまして、8ページですけれども、目指すべき方向の2つ目ですが、地域のがん診療に携わる医療従事者に対する教育とともに地域連携促進を図るということで修正をしております。
 そして、(5)の医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組ということで、10ページへ参りまして、目指すべき方向に2つ追加しております。1つは、「医療上の必要性の高い未承認薬・適用外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと判断されたにもかかわらず、長期間治験が見込まれない抗がん剤についても、医療保険制度における先進医療制度の運用を見直し、先進医療の迅速かつ適切な実施について取り組んでいくこととする。それから、希少がん、小児がんについては、専門的な指導・助言体制を有する医薬基盤研究所を活用するなど、より重点的な開発支援を進めるための具体的な対策を検討するというこの2つを追加しております。
 それから、(6)のその他ですが、希少がんについての記載に乏しいという御指摘がございましたので、現状と課題の一番最後ですけれども、希少がんについては、診療ガイドラインの整備が難しく、現状を示すデータや医療機関に関する情報も少ない。また、患者数が少なく有効な診断・治療法を開発し実用化することが難しいということを追加しております。
 11ページ目ですが、これに対する対応として、希少がんについても患者が安心して適切な医療を受けられるよう、希少がんに関する情報の集約・発信、相談体制、標準的治療の提供体制、研究開発等のあり方について、希少がんが数多く存在する小児がん対策の進捗等を踏まえながら今後検討するということを追加しております。
 それから、2番のがんに関する相談支援及び情報提供ですが、目指すべき方向の1つ目ですけれども、相談支援センターの人員確保、それから、院内・院外における広報、それから、相談支援センター間の情報共有や協力体制の構築、相談者からのフィードバック、こうした取り組みを実施するよう努めるということと、2つ目が、相談支援センターと院内診療科との連携を図り、特に精神的な苦痛を持つ患者・家族に対して専門家による診療を適切な時期に提供するよう努めるということを追加しています。
 12ページ目で、上から3つ目ですけれども、いろいろな情報が今はんらんしているという御指摘がございましたので、これに対する対応として、多くのがんに関する情報を中立的な立場で評価し、結果を広く周知する仕組みについて検討するということと、あとは、4つ目ですが、患者と医療や介護、福祉等の関係者の間に立ち、患者の訴えを聞き、患者・家族への情報の提供、セカンドオピニオンを受けるための支援、経済面におけるアドバイス等を幅広く専門的に行える者を、関係者が協力して育成するというところを追加しております。
 13ページ目ですが、がん登録に関しましては、地域がん登録と院内がん登録の効果的な連携に加え、将来的には、検診に関するデータや学会による臓器がん登録、こうしたものとも組み合わせることが必要だということを書いております。
 それから、目指すべき方向の5つ目ですけれども、効率的な予後調査体制を構築し、法制化の検討も含めてという形に修正しております。
 そして、4番のがんの予防に関しては、微修正はありましたが、余り大きな変化はございません。
 それから、15ページの5のがんの早期発見ですが、16ページに参りまして、目指すべき方向の3つ目ですけれども、制度管理について、制度管理の一環として、検診実施機関においては、受診者へわかりやすくがん検診を説明するなど、受診者の不安を軽減するよう努めるということを追加したのと、4つ目が、検診受診の手続きの簡便化や市町村が実施するがん検診以外の健診、そして、職域におけるがん検診、これと連携するということを追加しております。
 そして、次のページ、17ページ6番のがん研究ですが、課題のところの3つ目にレギュラトリーサイエンス研究、これは総合科学技術会議でも指摘されているところですけれども、そこを追加したというのがございます。
 あとは、省庁間の連携不足というようなところも課題として追加しております。
 そして、18ページ目ですが、目指すべき方向の上から2つ目ですけれども、2行目から、新たな標準的治療法の確立を目指した臨床試験を実施するほか、その基盤整備と研究施設内の薬事支援部門の強化を検討するということを記載しております。
 ちょっと飛びまして、18ページ目の下から2番目のところですが、がん予防法の確立に向けて、「大規模な公衆衛生研究や予防研究が効率的に実施される体制を整備し」というものを追加しております。
 19ページ目ですが、社会における、がん研究の上から3つ目、国は、関係省庁の連携や研究者間の連携を促進するような機能を持った体制を整備すると修正しております。
 また、6つ目ですけれども、倫理指針の改定については、「被験者保護に配慮した」という言葉を追加しております。
 7番の小児がんについてですが、20ページの目指すべき方向の2つ目ですが、療育のみならず「教育」というものも追加したということと、あとは「セカンドオピニオン」も追加しております。
 それから、4つ目ですけれども、小児がん経験者が安心して暮らせるよう、地域において患者・家族の不安や治療による合併症、二次がんなどに対応できる長期フォローアップの体制とともに、小児がん経験者の自立に向けた心理社会的な支援についても検討するということを追加しています。
 それから、5つ目ですが、3行目、診療実績などのデータベースを構築し、集約・発信していくことということで修正をしております。
 8番のがんの教育・普及啓発については、21ページ目の課題のところで、命の大切さというものを十分に教育できていないのではないかという御指摘がございましたので、それについて課題として取り上げております。
 それから、目指すべき方向ですが、2つ目ですけれども、家族についても心身のケアが必要であるということを追加しております。
 それから、命の大切さについて学ぶということも3つ目に追加しているのと、あと、「学習指導要領における位置づけを含め」、これを追加しております。
 4ポツ目ですが、子どもががんを身近に感じ、「がんに対する正しい知識を身につけ、がん患者に対しても正しい認識を持つよう、地域性を踏まえて」の後ですけれども、関係者を幾つか追加しておりまして、教育委員会をはじめとする教育関係者、そして、国、地方自治体等が協力して、対象者ごとに指導内容・方法を工夫した取り組みを進めていくということで修正をしています。
 22ページ目ですが、教育については、介護や福祉を担当する方についても、基礎的なところは身につけた方が望ましいということを記載しています。
 9番、がん患者の就労を含む社会的な問題ですが、目指すべき方向の2つ目ですが、就労に関しては、がん以外の患者さんへも配慮しつつということを追加しているのと、それから、職場におけるがんの正しい知識の普及、そして、事業者・がん患者・経験者に対する情報提供・相談支援体制の充実を進めるということを追加しています。
 それから、3つ目が、2行目ですけれども、医療機関においても、医療従事者の健康確保を図った上で、患者が働きながら治療を受けられるように配慮することが必要であることから、関係者との調整の下、プライバシー保護にも配慮しつつ、両立支援のための仕組みについて検討するということを追加しています。
 最後のページ、23ページですが、1つ目が、2行目、さらに、家族ががんになった場合でも働き続けられるような配慮に努めることが望ましいということと、職場や採用選考時において、がん患者・経験者が差別を受けることのないよう十分に留意する必要があるということ、そして、最後に、がん患者も含めた患者の長期的な経済負担の軽減策については、引き続き検討を進めるということを追加しております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 資料4、5、6でございますが、先ほど申しましたように、4は皆さんの御意見をまとめたものだということで、資料5、6の審議を深めたいと思います。
 それで、大体内容は6の方に入っていますが、全体構成として今上がっていますものをこういう並べ方をしておるということで、まず、この資料5のことについて、既に相当ディスカッションしたと思いますが、何か御意見ございましたらおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。松本委員どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。全体目標のことで1点申し上げたいと思います。
 全体目標の中の(2)の部分でございます。「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減」とあるのですけれども、この「苦痛」というのが、身体的な苦痛だけではなくて、あらゆる苦痛を含むということをこれまで骨子案の中でも検討してきましたので、是非この全体構成案、つまり、表に出るといいましょうか、大見出しになる部分にも「あらゆる苦痛の軽減」と入れていただきたいと思っております。
 それからもう一点、同じこの(2)の部分ですけれども、「療養生活の質の維持向上」となっておりますが、この「療養」というのは削除してもいいのではないかということを前回から私は申し上げております。と申しますのは、患者というのは、すべてが療養しているわけではなくて、治療と仕事を両立している人もいるというような点、また、家族の生活ということを含めますと「療養」という2文字をあえて外してもいいのではないかということを申し上げております。
 この骨子案を拝見しまして、これから書かれる本文についていろいろな細かな記述が入ってくる、そのあたりについての御配慮はいただいているということは十分承知しておりますけれども、この全体構成という見出しの部分に、これが協議会のがん対策への意思である、国のがん対策の意思であるということを明確に表すということが必要であるということを考えまして意見を申し上げました。
 ありがとうございます。
○門田会長 ありがとうございます。
 今のことに関してどなたか御意見ございますか。
 前回、相当全人的なケアとか云々ということで、この苦痛も幅広い苦痛を意味すると。それから、療養ということを入れるのか、あるいは生活だけでいいのか、この問題は多分、(3)の「安心して暮らせる社会」というところに内容がダブってくる可能性ということと、両方でどういうふうに考えるかということかと思いますが、どなたか御意見ございますか。眞島委員が最初、それから前川委員どうぞ。
○眞島委員 先ほど提出されました全体目標と分野別施策との関係図の中でQOLという言葉が出てまいりました。「QOLの向上」、これを直訳しますと「生活の質」となります。「生活の質と療養生活の質」、このような同じ意味の2つの言葉が同じ文章の中であるというのはどうかなということから、1つの提案ですけれども、QOL、生活の質に統一するということはいかがでしょうか。
 以上です。
○門田会長 「生活の質」という形に統一する表現という御意見。
 前川委員、ちょっとございましたね。どうぞ。
○前川委員 先ほどの(2)の苦痛の軽減のところと療養生活の質の維持のところなのですけれども、がんになったときには、手術とか放射線、抗がん剤、やはり療養している時期もあると思います。ですから、やはりここは「療養生活」をきちんと入れて、また、社会生活が送れるようになったときに、次の3番の「安心して暮らせる社会の構築」と、このままで私はいいのではないかと考えております。
○門田会長 ありがとうございました。
 松月委員どうぞ。
○松月委員 今の前川委員の意見と同じなのですが、そうすると、「生活」と切ってしまいますと、3番に新たに追加しました「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」という部分と非常に重なるニュアンスが出てくるので、私たち看護の領域では、「療養」と言いますと、勿論病気を持った生活と考えておりますので、必ずしもそれが治療中であるというだけでは認識しておりませんので、私はこの「療養生活」というのは、健康な生活ということではありません、健康で何も病気のない人の生活という意味ではないので、やはり「療養生活」という形があった方がわかりやすくていいかなと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかの方、何か御意見ございますか。局長。
○外山健康局長 かたい話ばかりで恐縮なのですけれども、がん対策基本法の第16条を見ますと、「がん患者の療養生活の質の維持向上」ということが書いてございまして、文脈としては、緩和との文脈の中で書いてあるわけでございますけれども、役所的には、「療養生活」というのは、法律に十分大きな柱立てとしてあるものですから、言葉としてはあった方が、我が方としてもありがたいのかなという気がいたします。
○門田会長 ありがとうございました。
 大体2つに分かれていますが、基本的には、がんと死亡という病気の話、2番目として、患者さんの苦痛であったり、療養生活であったり、それから、3番目として、その患者さんを含め家族全員が暮らす社会の問題ということで、1、2、3という並びからすれば、これも1つの、特に法律に基づいてやっているということになりますと、2番の文章というのは、まだそれが優先的に使われるべきかなという気もいたします。これから文章となっていきますが、いかがでしょうか、やはりこの1、2、3はこういう流れで進めるということでよろしいですか。
 皆さんうなずいておられるみたいなので、一応、本日はそういう形でまとめさせていただきたいと思います。
 そのほかの御意見ございますか。ほかのことをお願いします。この資料5について。資料5については、もうよろしゅうございますか。
 資料5の1ページの第4の1の(1)の1、2、3というのは、そのほかのものも1、2、3という形にまとまるということですね。
○事務局(松田) おっしゃるとおりです。
○門田会長 では、特にないようでしたら、この資料5については、こういう形で整理していくということに皆さん同意していただいたということにしたいと思います。
 それでは、その次に資料6。資料6は膨大ですので、飛び飛びになるのも困ります。前回ちょっとこのあたり、私の司会がまずくて誤解を招いたようなこともございましたが、今回は、資料6と資料5は本日はきちんとマッチしておりますから、資料6の11ページの2、がんに関する相談支援及び情報提供という前まで、がん医療の項目を最後まで行くということで最初に審議していただきたいと思います。ですから、1ページから10ページ、それから、11ページの上まで、この内容についての御意見をちょうだいしたいと思いますが、いかがでしょうか。保坂委員どうぞ。
○保坂委員 10ページの「医療上の必要性の高い」云々のところからの辺でございますけれども、今日、天野委員から提出があった資料とか嘉山委員の先ほどの御発言からお伺いしていると、適用外薬の問題が非常に大きいのではないかということと、それから、実は、本当は今の医療保険の制度上も使用してもいいことになっているはずでありますのに、実は査定されたりというようなことで実際に使用できていないという部分が非常に強いのではないかと私は感じておりまして、この辺について、この文章だけだと全然そういうことは読み取れないので、何らかの文章がつけ加えられないかどうかについて、現在、本来であれば認められる範囲であるのにもかかわらず、実際にその社会保険診療上、認められないような扱いを受けているという問題について、何らかの書き込みができないかどうかということをお聞きしたいと思います。
○門田会長 事務局。
○事務局(秋月) この適用外薬の問題については、省内でも関係局が非常に多いのですけれども、今、この骨子案に書いてある内容というのは、その関係部局を調整した上で、今こうした内容になっております。確かに、患者団体から適用外薬について、もう少し抜本的な改革であるとか、そういう御要望があるというのは勿論承知はしておりますけれども、現時点では、これが調整した結果となっております。
 今後ですけれども、更に、特に適用外薬について記載を加えられるかどうかというのは、また、これから調整をした上での話ということになりますので、ちょっと現時点では何ともお答えができないというのが現状でございます。
○門田会長 保坂委員。
○保坂委員 適用外薬とは言わないまでも、適正な量の使用をしていて査定をするという今の制度に対して、現状に対して、やはり何らかの、それは別に他部署と調整しなくても、法的に問題があることではないので本来できるのではないかと思うので、その辺を是非工夫して書き込んでいただきたいと思います。
 何か局長が困った顔をしていらっしゃいますけれどもね。
○門田会長 本田委員どうぞ。
○本田委員 同じ10ページの上から2つ目のポツのところですけれども、適用外薬のところなんですけれども、この文章ですと、「医療保険制度における先進医療の運用を見直し、先進医療の迅速かつ適切な実施に取り組む」というのは、これは、高度先進医療制度を使った合法的な混合診療の仕方で使うという意味合いで書いてあるという理解でよろしいですか。
 そうすると、ちょっと私の意見というか、逆に患者委員の方々に聞いてみたいのですけれども、使えている人たちは、混合診療というか、要するにその分だけ自費を払うようになるということ、使えていなかった人たちは使えるようになるということで一長一短かなと思うんですけれども、そういうことでも進めていくという理解でいいのかどうかというのは、私にはわからないので、こう書き込まれるとそちらの方向になるということではないのかなと感じて微妙に疑問を感じたのですけれども、済みません、意見というか。
○門田会長 天野委員。
○天野会長代理 ありがとうございます。私も、実は今、本田委員の御指摘と同じことを感じておりまして、例えば、全く日本で承認されていない薬について、こういった高度医療評価制度を用いて慎重に使っていくという方向性というのは、それはあり得るかと思うのですが、適用外薬ということに関して言うと必ずしもなじまないのではないかと。
 例えば、あるがん種の患者さんは保険適用で、一般の医療機関で保険適用のもとで使えていると。ところが、別の適用のないがん種の患者さんが、この高度医療評価制度等のスキームに乗って、例えば混合診療という形で自費で支払いながら医療を受けなければならないというのは、これは、全く何もバイパスがない状態よりはましなのかもしれませんが、あくまでこれはバイパス的なものであると感じておりまして、これはこれで進めていただければと思いますが、これが本流であるかのように書かれてしまうと、それは非常に問題だと思っております。
 先ほど保坂委員からも御指摘があったとおり、例えば疼痛緩和薬においても、例えば6ミリグラム使わなければいけないところが、そもそも2ミリグラムしか使えなくて患者さんが十分痛みをとってもらえないとか、そういうことがある限り、例えば緩和ケアにおいても、緩和ケアの領域において、専門医療者の育成であるとか教育研修ということがうたわれていますが、それはそれで勿論重要なのですが、結局、使える武器というか薬が十分使えないということであれば、患者さんの痛みもとることはできないし患者さんを治すこともかなわないということをもう一度よく考えていただきたいと思っております。
 先ほど保坂委員や、また、今、本田委員からも御指摘があったとおり、この部分に関しては、是非、適用外薬の話にフォーカスを当てて何らかの書き込みをしていただきたいと。今後5年間ある話ですので、5年間全く適用外薬に対して無策なのかという話になってしまいますので、この前の未承認薬・適用外薬検討会議でも、290要望のうち、実に243要望が適用外薬の要望です。抗がん剤でも72要望のうち62要望が適用外薬です。ここを全く触れないというのは、やはりドラッグ・ラグの解消に大きな禍根を残すのではないかと感じております。
○門田会長 局長。
○外山健康局長 10ページで適用外薬に書いてあるのは、そこに書いたとおりなのですけれども、黒ポツの1ポツで、今日、後で、医薬局が来ておりますけれども、この適用外薬・未承認薬については、医療上の必要性の高い未承認薬・適用外薬検討会議ということで、ここのところで少し広げていこうということで、その運営の仕方ですね、まず、ここが1つのパッケージがあるわけですね。次に書いてあるのが、混合診療といいますか、先進医療の中で、少しそれも長期間治験が見込まれない抗がん剤についてもということで取り組んでいくという形が、ここに書いてあるわけです。
 もう一つ、天野委員たちが言っている要望の中には55年通知のことを言っているのですけれども、55年プラス2000何年か何かにもう一回通知が出ていると思いますけれども、これについては、保険局的に言いますと、実際そういうふうに運用されたとしても、保険の原則からすると、制度論としては例外的な運用ということになるので、現在のところは、今この3つのうち2つを書いておりまして、そこでは、適用外薬についても光を当てているつもなんですね。
 それで、医薬局も来ておりますので、ちょっと説明します。
○審査管理課 医薬食品局審査管理課でございます。
 まさに未承認薬・適用外薬の問題に関しましては、これまでも、勿論保険局の中医協も初め、我々薬事法改正、厚生科学審議会の薬事法の改正を検討する部会も今日がとりまとめで、今日6時から、それが最終の会議になるわけでございますけれども、まさにこういった未承認薬・適用外薬の問題についてもどういった書きぶりが可能か議論がされると思いいます。
 まず、未承認薬につきましては、現在、アクセス制度といったようなものを検討しようとしているところでございまして、一方で、適用外薬につきましては、薬事法の範囲内にとどまらないかなり多面的な方策が必要とは認識しております。
 医療上の必要性の高い未承認薬・適用外薬検討会議も、まさにこれもまたその第2回要望を9月30日に締め切ったところでございますけれども、これにつきましても290件、そのうち適用外薬が243件と、かなり多くのものが適用外薬という現状でございます。その中で、保険局側からは新薬創出加算制度の維持に、医薬食品局としては、医政局と連携して第2回要望についても、引き続き、対応していくということでございます。また、第2回では、なかなか企業の手もすぐには上がらないといったようなことも想定し、中医協で、嘉山委員をはじめ、先進医療の審査における外部機関の活用等、高度医療の手続きの効率化といったような取組みといったことも議論され、これから具体的中身を検討されていくといったところでございます。
 その中で、更に、例えば再審査期間の切れたようなものに関しまして、すべての適応外使用について、薬事承認申請を企業に求めなければならないかといったところにつきましても、今後、我々としては、関係各局とも連携して考えてまいりたいと思っております。
 以上です。
○門田会長 局長、よろしいですか。
 嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 このことは保険局の問題ではなく、PMDAの問題ではなくて、新たな問題ではないと思うのですけれども、これはもうまさに中医協マターなので、このことはずっとやってきたわけですね。
 ただ、一つだけ誤解をおそれずに言いますと、55年通知を、多分ですよ、当局は、イレッサの問題もあるように、この55年通知をオーバーに使われた場合には、過剰に使われた場合には、やはりその陰の部分も出てしまうのではないかと危険視をしているのではないかと思うんです。
 ただし、天野委員がおっしゃったこととか、あと、先ほど眞島委員も数値目標なんていうことをおっしゃいました。我々は、これは全部数値を出しているんです。どのくらいやれば、どのくらいだと出して中医協で言っているのですけれども、ただ、一番の現場での問題は、組合、要するに支払い側なんです。支払い側が、この55年通知で、医師がオートノミーで裁量権がありますから、要するに、もう承認されて、適用外薬で55年通知で使おうと思ったときに、やはり引っかかるようなことがあるんですね。それは、多分その地区、地区で、ちょっとこれは余りにも異常な使い方ではないかとか、そういうことがやはり現場であるんです。がんのプロだけが使っているわけではないので。
 したがって、ここでもし書き込むとすれば、これは局長も許可をいただけるのではないかと思いますが、「55年通知の適切な運用を推進する」ぐらいのことを書き込めば、別に矛盾はどこも、自己矛盾もないので、「55年通知の適切な運用を推進する」、これは局長、大丈夫だと思うんですが、いかがですか。これは全然問題ないですよ。適切な運用ですからね。
○外山健康局長 政務官がいなくなってしまったのですけれども。いや本当に、局があって省なしではいけないと思いますのであれですけれども、御意見は賜って、最終段階に向けて、またいろいろ調整したいと思います。
○嘉山委員 御意見を賜るのではなくて、なるべく我々の意見を取り入れなければこの委員会の意味がないので。どうですか、PMDAは。これはちょっと答えていただきたい。やはり普通に「55年通知の適切な運用を推進する」というのは、別に中医協でも普通に議論されていることですし、問題はないと。これは保険収載の問題ですからね。結局、お金を払うかどうかの問題ですから、これは入れても別に全然どこも困らないと思うんですが、いかがでしょうか。
○門田会長 いいですか。
○外山健康局長 まさに中医協にも関係することですね。にもではなくて、まさにということもございますので、まさに広範な調整が必要だと思います。ただ、我が方としては、結局、患者の立場になって主張する立場にありますから、そういう気持ちというか心構えではおりますけれどもね。
○門田会長 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。まさに患者の立場に立って主張していただけるということだったのですが、例えば今の嘉山委員の御指摘があったように、55年通知ということが出てきましたが、再審査期間が過ぎている薬剤ということで言えば、今回の第2回募集でも、例えばシスプラチンの適用拡大が上がってきています。シスプラチンは、御存じのとおり、80年代前半、83年に承認された薬で、もう何年たっているんだという話です。これの適用拡大を、また一適用一適用ずつ、例えば今、医薬食品局の方がいらっしゃっているのでお聞きしたいのですけれども、一適用一適用ずつやっていくのがうれしいというか、それでもいいのでしょうかということを是非お聞きしたいです。PMDAの方も、その適用外の一適用ずつを審査していて負担が過重だと聞いていますし、ワーキンググループも悲鳴を上げていると聞いているのですけれども、そのあたりをどのようにお考えなのか、是非お考えを聞かせていただければと思います。
○審査管理課 天野委員、貴重な御意見ありがとうございます。まさに未承認薬・適用外薬検討会議、今月の会議でもそのような御指摘がありまして、医薬食品局としても、保険局ともよくそこは調整して、今後どのように進めていくかというのは検討したいと申し上げております。
○門田会長 ここはこれ以上時間をかけても何かいい案が出てくるような気はいたしません。局長の言葉をかりて、患者委員のたくさんいらっしゃる協議会からのとりまとめということで、できるだけその努力をするということで、ひとまず努力していただくということで、ちょっとこの話題から離れて、ほかの件についても意見をちょうだいしたいと思います。
 野田委員どうぞ。
○野田委員 意見といっても、最終的にちょっとお願いなのですが、ここは個別目標としてこの、今、話題になっているところは、医薬品・医療機器の早期開発承認ということでこの部分が取り上げられているわけですが、かなり密接に研究の部分の臨床研究の部分とオーバーラップしている部分があります。当然そのオーバーラップは、課題なんかのところはオーバーラップで全然構いませんが、やはりこういうエリアに関しては、大事な打ち出すポイントが明確で正確でないといけないのだろうと思います。そうすると、目指すべき方向の中の我々がまとめてきた中と、課題の方には、私たちが出したものが随分そのままカット・アンド・ペーストで持っていかれているのですが、目指すべき方向の中で入ってきているのは、この2ポツです。この2ポツを読んでいただくと、ちょっと読むのに時間がかかるぐらい、もうありとあらゆるものが入っているんですね。つまり、一番最初に中核病院の整備、人材育成があって、研究者ネットワーク、そして基盤整備、そしてPMDAまで出てきてという、最終、この辺が一番の目的なのかなという感じもしますが、そういうふうにありとあらゆるものが入っていて、ちょっと目的が明確でないのですね。
 まだこちらは行っていないのですか。先ほど10ページのところで。9ページです。
○門田会長 はい、10ページまでですから。
○野田委員 そうですね。だから、後ろのがん研究のときに言ってもいいのですけれども、オーバーラップとして同じなのです。
 それで、がん研究の中でも、ここにかかわるトピックスをここに明確に示すということは非常にいいことだと思うのですけれども、これをもう少し明確化しないと、例えば言葉の使い方から、例えば「研究医」と書いてありますね。「引き続き研究医やCRC」と書いてある、研究医というのは何を意味するのかよくわからないしというのがありますので、ここをもうちょっと、この多節の文脈の中の、この後で、これが個別目標にその後できっと計画になるとトランスレートされていくわけでしょうけれども、この中からどういう目標が立っていくのかがちょっと研究と関係している部分ではわかりにくいので、もう少し絞り込むなり明確にするなりをやりとりをしながらもうちょっと、趣旨が変わるような大きいことではありませんが、これはそこがちょっと明確になっていないと思います。
 あと、後ろの方は、余り臨床研究あるいは臨床試験と大きく関係のあるところはありませんので、ここの文のところだけです。
○門田会長 事務局、今の件に対してコメントありますか。
○野田委員 それに対してどうお考えですかということです。
○事務局(秋月) がん研究に比べて何か矛盾しているというか、そういうことですか。
○野田委員 いや、ある程度オーバーラップがあっていいし、オーバーラップがあるところで重要なものを打ち出したいので、ここは我々もディスカッションしたところなのですけれども、重点がよく見えない並びになっていてという、つまりここでの文脈を読んでみるとわかりますが。それから、内容でちょっと不明瞭なところがあるので、そこの言葉の使い方なんかもやりとり、最後のブラッシュアップをもう少しやりませんかということです。内容そのものというよりは、そういうことです。
○事務局(秋月) 承知いたしました。
○門田会長 対応できるということですね。
○事務局(秋月) はい。
○門田会長 嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 そのほかで、5ページ目の緩和医療ですが、これは先ほど眞島委員から、数値目標を、完璧でなくても、ある程度の、見えないものであるので、緩和医療がどのくらいされているかなんていうのは、実はなかなか見えないんですね。ただし、ここに、現状の4ポツのところで麻薬消費量というのがありますので、ところが、現状がこうあって、目指すべき方向のところではそれが現れていないんですよ。したがって、ここで、例えば県民1人当たりの麻薬の使用量、あるいはがん患者1人当たりの麻薬の使用量は出せます。現実に数字があります、どこの県が一番か。これはもう完全に結論だけ言ってしまいますと、リーダーシップがある東北がんネットワークが、秋田県、2番が福島県、3番とそういうふうに数字が出ているんです。ですから、そういう数字目標を、先ほどおっしゃったように、完璧ではないかもしれませんけれども、一応のめどにというところを、現状にこれが入っているのであれば、目指すべき方向に入れていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○門田会長 いかがですか、よろしいですか。個別目標としてまとめるときには、ある程度そういうものを参考にして出てくるはずなんですね。
 松本委員どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。今、嘉山委員から緩和ケアのお薬の話が出ましたので、関連して緩和ケアのことで3点申し上げさせていただきます。
 1点は、今のお薬のことです。医療用麻薬については確かに記述があるのですけれども、患者の苦しみというのは、がん性疼痛だけではありませんで、勿論それはおわかりのとおりだと思いますけれども、例えば吐き気をとめるであるとか、腹水や胸水の苦しみといったものもありますので、こういった支持療法も含めて、がん患者のあらゆる身体的な苦痛に対するお薬の適正な使用ということを申し上げたいと思います。
 それから、先ほど保険査定の話もありましたけれども、オピオイドについての保険査定が地域によって非常に差があるということを聞いております。また、使用量について、今、東北の方は非常に多いというお話がありましたが、東高西低だと聞いております。例えば、私の住んでおります愛媛県での使用量というのは非常に低い。病院によっても格差があるということを聞いておりますので、こういったことがないような適正な使用が行われるようにということを申し上げたいと思います。
 それから、緩和ケアについてあと2点申し上げますけれども、1つは、家族ケアと遺族ケアについて明記していただきたい。患者家族のあらゆる苦痛をということで含めての表現はあるのですけれども、家族、遺族それぞれ別の痛みを負っておりますので、このケアについての明記をお願いしたいということ。
 そして、最後ですけれども、国費を投入して研修会が行われていて、それによってドクターの意識が変わったという成果も聞いてはおりますが、もう一歩進んで、私たち当事者の声を反映させた研修プログラムというものの再考を是非お願いしたい、このことを是非明記していただきたい。
 以上を申し上げます。ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
 前川委員どうぞ。
○前川委員 今、松本委員がおっしゃったように、緩和ケア研修会は、患者の目線というものも、これは是非入れていただきたいと思います。
 それと別に2点お願いします。
 がん診療にかかわる医師に対する緩和ケア研修会、5ページなのですけれども、「全国388の拠点病院に」というところですけれども、丸ポツ3ですね、がん診療にかかわる医師が全国で何人いるかというのが私はわからないです。それを把握されているかどうかと、あと、2万3,000人、これはがん診療に携わっている医師以外の人数も入っているのではないかと思いますので、そのあたり、もう少しここを何か工夫していただきたいと思います。
 もう一点は、その下のポツなのですけれども、依然として先進国に比べて麻薬使用量が少ない現状にあるとありますけれども、以前、「10分の1に満たない」とかそういう文章も見たことがあるんですけれども、今は「少ない」となっています。これは、やはり数値がないと、一般の私たち国民には、少ない、どのぐらいだろうと思いますので、やはり国民への啓発の意味も込めて、10分の1なのか何か、ちょっと数値を入れてほしいと思います。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 このあたりも、目標ということになれば、当然もう少し、少なくとも今、手に入る資料ということは変わってくる可能性はあるのですね。
○鷲見がん対策推進室長 そうですね。今の委員の御指摘に基づいて、もう一度洗ってみまして、どういった数字を記載するのが適切なのかということについてちょっと確認をした上で、修正すべきは修正させていただきたいと思います。
○門田会長 よろしくお願いします。
 そのほかいかがでしょうか。松月委員どうぞ。
○松月委員 ちょっと私がよくわからないところがあるかもしれないのでお教えいただきたいのですが、5ページの一番上のところに、がんの研修のところですけれども、がん医療にかかわる専門的な医療従事者の育成というところの目指すべき方向性の一番最後になるのですが、「国、学会、医療機関、関係団体、国立がん研究センター」と書かれているのですが、何か私のイメージでは、固有名詞が一つだけ入っているのがすごく違和感があるのですけれども、済みません。
 それと申しますのは、私は以前、大阪におりまして、ここのがんセンターの研修を受けたいと思って、スタッフを出したいと思って何度申し込んでも、もう断られるわ、落ちるわ、それで結局、やっと10回目ぐらいに病院長だけが行けたみたいな記憶がございまして、こういうふうに書き込むと全国どこでも受けられるようになるのか、その辺のところをちょっと、均てん化ということから考えると何かどうなのかなと思ったり、それから、やはり私のイメージでは、国立がん研究センターというのは先端の医療を行うところだと思っているので、研修というのは、ある意味、そこの成果物を出すところなので、それをここへ名前を書き上げるのが私にはいま一つ、現場の今までの感覚からするとよくわからないところがありますので、もしその辺がわかりましたら、お教えいただけたらありがたいと思います。
○門田会長 嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 5回、6回、7回、8回の誤解で、国立がん研究センターはミッションを国から、大臣から中期目標で与えられているので、反対に、これをしなければいけないんです。
○松月委員 研修を。
○嘉山委員 そうです。ですから、最先端医療だけであれば名古屋市立でもどこでもできることはあるのですけれども、こういう、かえって病院に特化して、研究とかそういうこと以外の情報の提供とかというのは、がんセンターの使命なんです。ですから、これはお国から、目標として大臣から言われているので、これはここに書いておく。例えば「国、学会、医療機関」にしても、かえってこういうふうにあいまいに書いてあるよりは、固有名詞があった方が、我々は責任感を持ってやりますので、これに合わせてきちんとセンターができていますので、これはあえて書かなければおかしくなってしまうんです。
○松月委員 では、私たちが受けられなかったのは。
○嘉山委員 それは、私がまだ行く前だと思いますので、今は大丈夫だと思います。
○外山健康局長 フォローしますと、前の計画のときは、がんセンターは国自身でしたけれども、がんセンターは、やはりそういう研修の機関として明記してあります。更に、今、嘉山先生がおっしゃった厚生労働大臣の中期目標以前の話として、独法の個別法律に、がんセンターの任務としてそういった人材育成が書いてありますので、これはもう、そういう文脈からして、量が十分かどうかは別な話ですけれども、特記されるべき立場にあると思います。
○門田会長 上田委員どうぞ。
○上田委員 今の国立がんセンターにそのミッションがあることはよくわかりますけれども、そうすると、いわゆる全国の拠点病院は、ミッションはないのですか。
○外山健康局長 あります。私が言っているのは、ミッションというか、位置づけが、がんセンターそのものの立法というか存在意義の中にもう明記されて、厚生労働大臣が定める中期目標に書いてあるというレベルの話だということでありまして、それは、地域の拠点病院にも、その事業としてミッションはあります。
○上田委員 いや、勿論この国立がんセンターが表面に出て何も悪くはないわけです。ただ、「国立がんセンターなどを中心としたがん拠点病院」にはそういうミッションがあるから、そういう言葉にすると、今、やはり地方でも完結型のそういう人材育成をしないといけないのに、今の御質問があったように、誤解を呼ぶようなことはないように。お互いが誤解か6階かし過ぎないようにするためにも、「国立がんセンターを中心としたがん拠点病院などでは、こういうことの教育センターとしての役目を果たすべきである」という文章の方が明快になると思います。例えば、大阪成人病センターとか、愛知がんセンターとか、そういうところでもきちんと人材を育成しないと、国立がんセンターだけでつくったのでは、そこは絶対潤わないのですよ。やはり今、我々がやらなくてはいけないのは、国民病となった患者さんのことにこたえようと思うと、四国がんセンターでも教育しないとだめなんですよ。いつまでたったっても四国には十分な教育者がいないで、松本委員がいつもここで不満を言っていてもしようがないわけですから、やはりせっかくこの言葉を落とすなら、そこまで広げて落としていただきたいというのが私の気持ちです。
○門田会長 局長。
○外山健康局長 それでいいんです。5ページに書いてあります、今、委員おっしゃった地域の拠点病院も医療機関の中に入っているわけでありますけれども、そういった御意見の方向性に合わせながら文章はいい形になっていくのだろうと思いますけれども、これは、この段階で先生方からいただいた意見なりを調整して入れた段階でこうなっているということでございます。いい方向にしたいと思います。
○門田会長 嘉山委員。
○嘉山委員 私も局長と全く同じ考えです。多分これは、「等」にそれが、心がこもっているのではないかと思いますが、文章化した方がいいのであれば文章化した方がいいと思います。
○門田会長 この件はよろしゅうございますか。
 そのほかいかがでしょうか。花井委員どうぞ。
○花井委員 私は、この11ページの、この項の最後になりますけれども、希少がんのことについて触れられているのですが、患者団体の立場から申し上げますと、本当に情報を欲しがっているのは、必要としているのは希少がんの方たちなんですね。いろいろな希少がんがございます。副鼻腔がんであるとか、神経細胞芽腫であるとか、それから耳下腺がんであるとか、少ないがんがあります。
 私たち患者さんをサポートする同じ立場の団体でもお手上げ、相談支援センターに電話しても情報が得られない。これは、前川委員から聞いたお話で、前川委員がおっしゃるとよかったと思ったのですが、例えば耳下腺がんの方が、情報がなくて、ここならいいだろうと思って電話した公的な機関で、それはここには情報がありませんから本を買って調べてくださいと言われたと、すごくつらい話があります。ですから、こうした希少がんの情報こそ集めて、集約をして、そして、患者さんに向けて発信してくださるのは、これは国しかないと思うんですね。
 そう思いまして見ておりましたら、「希少がんが数多く存在する小児がん対策の進捗等を踏まえながら今後検討する。」とありますけれども、ちょっとわかりかねるのが、なぜ希少がんの進捗を踏まえながら検討するということになったのかどうなのか、その経緯を教えていただけないでしょうか。
○門田会長 事務局。
○前川委員 ちょっとその前にいいですか。
○門田会長 その件でですか。
○前川委員 そうです。
○門田会長 では、前川委員、先に。
○前川委員 私の名前が出ましたので。先ほどの件はは、国のトップの情報センターにお電話したのですけれども、本を買って調べるようにと相談員の方がおっしゃいました。それは、患者であれば、もうそこでぐうっと落ち込んでどうしようもないと思うのですけれども、私はある方から頼まれてお電話したんですね。もう本当にすがるのはここだと思って電話しました。それで、そういう答え答えでした。
 後でお聞きしますと、それは相談員の研修中の方だったそうです。ですから、研修中の方だったら、上の人に尋ねるとかそういうことをして、本当に希少がんで困っている患者さんをどうにかして救いたいという気持ちを持って、今後も相談支援をしていただきたいと思っております。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
○嘉山委員 誠に申し訳ありません。どこの組織にも1人か2人はそういう人がいますので。99%はいい人だと思うんですが、そういう人にぶつかってしまったのだと思って、申し訳ありません。これからきちんと教育はします。
 ただ、これは、希少がんは、欧米でもそんなに組織立ってきちんとはやられていません。私が行ったときに調べたところ。MDアンダーソンでもサルコーマ外来をやっているぐらいで、本当に少ないがんのセンターというのはなかなかできない。勿論症例数が少ないから当然なのですけれども。
 ただ、それを今後、日本ではやはりやっていかなければいけないと思っていますので、去年からサルコーマ外来というのを、サルコーマというのは至るところにできるのですけれども、希少なんです、少ないがんなのですね。ですから、それをモデルにして全国の、先ほど上田委員におっしゃっていただいたような都道府県で、これは医師の連携なんです。つまり、1つの科だけではなくてサルコーマというのは診なければいけないがんなのですね。そういうものをモデルケースとして去年からつくりましたので、サルコーマに関しての情報はきちんと希少がんでもあります。
 ただ、国立がん研究センターでもそんなに症例があるわけでなく、例えば、子どもの目のレチノブラストーマは、日本では勿論がんセンターしかやっていないと言ってもいいぐらいですが、それでも年間100あるかないかなんです。そういう希少がんもありますので、そうなると欧米とも一緒にインターナショナルのネットワークで情報を出すしかなくなる、そういうこともこれから構築していきたいと思います。なかなか満点はできませんが、何かそういうことがあったら、私にダイレクトに電話していただければ結構ですから。
○門田会長 よろしくお願いします。
 事務局。
○鷲見がん対策推進室長 先ほどの花井委員からの御質問に対してお答えさせていただきます。
 今回、「小児がん対策の進捗等を踏まえながら」と記載しましたのは、今回の予算要求におきまして、小児がんというような形での拠点病院、今回、専門委員会などでも報告書を出していただき、非常に少ない小児がん患者さんに対してどういった形で医療を提供していくのか、その中で集約のお話であるとか、あとは、そもそも小児がんに対する治療薬が少ないであるとか、研究開発をどう進めていくのかとか、そうしたような議論がなされたと理解しております。
 こうしたことを踏まえまして、私ども、平成24年度予算要求して、閣議でも何とか予算も確保できたところでございますが、こうした形で先に進む、小児がんも希少がんの中の一つというか、希少がんが数多く存在する小児がんということでありますので、こうした取組みをうまくほかの希少がんに対しても適用できないかというような意味で記載させていただいたという趣旨であります。ですので、ちょっと表現については、今後、もしこうした表現が適切でないということであれば変更させていただくことは可能ですが、趣旨としましては、そういうような形で、今、これから進むであろう希少小児がんの経験を生かしてほかの希少がんにも何とか広げていくことが可能ではないか、そういう趣旨でございます。
○花井委員 趣旨はよく理解できました。表記をもう少しわかりやすくとお願いしたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、松本委員どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。地域における医療・介護サービス提供体制の構築について1点申し上げます。目指すべき方向のところにかかってくると思います。
 今回、重点的に取り組むべき課題に働く世代へのがん対策の充実をうたっていますが、40歳未満のがん患者さんについて、介護保険が適用されない、そのことによる不利益というのがさまざまに生じております。これは、介護保険の制度の話になってくるので、ここの部分でどういうふうに取り扱えるのかということが私にはちょっとわからない点もありますけれども、この目指すべき方向の最後のポツのところ、「患者の複雑な病態や多様なニーズ」というところにもしかしたら40歳未満ということが入ってくるのかもしれませんけれども、そういった方々が、つまり働く世代のがん患者へのケアというものが、サービスというものが抜け落ちないような何らかの特段の配慮を是非明記していただくようにお願い申し上げます。
 以上です。ありがとうございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 これはよろしいですか、事務局。
○鷲見がん対策推進室長 ちょっとまた、これは部局と相談させていただきたいと思います。
○門田会長 できましたらあと10分ぐらいでこの前半の部分を終わりたいと思いますが。
 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。先ほどの適用外薬に関連してということでもあるのですが、仮に適用外薬の問題に関して何らかの例えばエビデンスに基づいた判断であるとかそういったものを求められた際に、一つの重要な判断の指標になるのが国内の学会のつくっていただいているガイドラインになるかと思います。ガイドラインが以前は何か別立ての項目であったかと思うのですが、今回その項目が、診療ガイドラインというものが中に埋もれている形にはなっているのですが、そのガイドラインの作成というのが、標準的な治療の推進であるとか医療の均てん化において非常に重要な役割を果たしていると思いますので、ガイドラインの作成に対して、かねてから国からも補助とかが出ていたと理解しているのですが、今後もそれについて、診療ガイドラインの早期のアップデートに資するような施策を是非お願いしたいと思っておりますので、そのような項目をどこかこの前半のところで入れ込んでいただければと思っております。
○門田会長 前原委員どうぞ。
○前原委員 2ページ目の目指すべき方向性のがん医療全体の4つ目のポツのところで、私が前もって意見として申し上げたことはここに記載していただいており、安全ながん医療を提供するという姿勢に立ってこのような文章になっているとは思います。もう一つは、それを評価するということも是非入れておいてほしいと思います。この最後の「取組を一層推進する」ということにそれは含まれるのかもしれませんけれども、全国の指定された病院において医療安全に対する取組みは実際かなり異なっているように思います。それで現在、全国の病院は機能評価等を受けているわけでありますから、がんの指定の病院におきましても、「評価をする」というような文言を是非入れていただければと思います。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがですか。
 がん医療の範囲で大体皆さん御意見を出していただきましたか。よろしゅうございますか。
 それでは、いつものように10分間の休憩をとりたいと思います。そういうことで、向こうの入り口の時計で6時ちょうどにしましょうか。では、6時から再開したいと思います。よろしくお願いします。

(休 憩)

○門田会長 それでは、ただいまから再開したいと思いますが、休憩前までに11ページの2のところまで、がん医療について審議していただきました。これからは約1時間、2のところから最後までの御審議をお願いしたいと思います。
 是非、御発言をよろしくお願いいたします。保坂委員どうぞ。
○保坂委員 何点かあるのですけれども、簡単なことなので。
 1点目、18ページ、○将来のがん患者を生まないためのところで「がん予防法の確立に向けて」と書いてあるのですが、私は、がん予防法という法律をつくるのかとちょっと誤解してしまったような感じで、「がんの予防法」とされた方がいいかと思いました。
 それから、20ページですけれども、目指すべき方向の黒ポツ4つ目に「小児がん経験者の自立に向けた心理社会的な支援」という言葉が書いてありますが、私の頭では「心理社会的」ということが少し理解しにくいので、もうちょっと理解しやすい言葉にしていただけたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、22ページのところ、これは多分、事務局が御苦労されてこのような文章になったと思うのですが、一番下の黒ポツで、「がん患者が安心して働けるよう」云々のところで、恐らくこれは、土日とか夜等に患者さんが治療を受けられるようにしようということの心があるからこそ、「医療機関においても医療従事者の健康確保を図った上で」という言葉が入っているのだと思いますが、ちょっと全体として文章がわかりにくいので、遠慮がちに書いていらっしゃるのでしょうけれども、ちょっと文章を工夫していただけたらと思いました。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 わかりましたということでよろしいですか。
 そのほかいかがでしょうか。松本委員どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。9のがん患者の就労を含む社会的な問題の部分について1つ申し上げたいと思います。
 目指すべき方向の3つ目のポツのところで、「がん患者が安心して働けるよう、医療機関、産業医、人事労務管理者等との間で」と表現があるのですけれども、産業医がいたり労務の担当者の方がいるというのは、かなり大きな企業でなければ特に産業医というのはいないと思っています。例えば地方に多い中小企業、零細企業、あるいは個人事業主、愛媛県で言いますと、例えばミカン農家の方であるとか、養殖業をなさっている方であるとか、そういった方々をカバーしてくれるような機関というものがここには含まれていません。勿論「等」という中に入っていると言えばそうかもしれませんけれども、そういったことも考えますと、地域で活動している、例えば私どものような患者会あるいは社会労務士、そういったあらゆる資源を活用していかなければ、これは大企業、大きなところに勤めている方だけの特権になってしまいかねないかなと思っておりますので、あえて申し上げさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○門田会長 ありがとうございました。
 花井委員どうぞ。
○花井委員 私もこの就労のところですけれども、22ページから23ページにかけてですが、こういった就労支援ということは、がん対策の中で初めて入ってきたことなので、ある程度しようがないのかなと思って読んでおりましたけれども、全体として何か「事業者頑張れよ」みたいな、「事業者頑張ってね」みたいなニュアンスを感じるのは私だけでしょうか。
 今、本当に非正規雇用の方がどんどん増えているという不安定な働き方を強いられている状況にある方は多いと思うんですね。事業者、企業からの支援を受けられるのは、本当に大きなところだけなのだというようなことをいろいろな患者さんの話を伺っていても思うわけです。これをがん対策の基本計画の中に盛り込んでいくに当たって、国の責務と言ったらいいのか、国はどうしていくのかということをうたったような文言は出てこないのでしょうかということです。
 以上です。
○門田会長 この件については何か。
○外山健康局長 具体的にどういうふうな御意見で修文したらいいのか教えていただけるとありがたいです。
○花井委員 ですから、国はそういう就労支援、つまり企業の大きさとかそういうことにかかわらず、就労支援を必要とする人たちに、何か制度を設けるであるとか、こういう支援をしていくであるとか、そういった言葉ですね、そういった議論というのは今までなかったでしょうか。
○門田会長 余り国がどうこうというのはなかったような気がしますが、どうだったですかね。だけど、この法律には、何か国の責務というのがどこかに大きく書いてありますね。いろいろなところに。
○鷲見がん対策推進室長 この分野に限らずですが、この就労の分野についても、省内での部局、労働部局などと調整しながら書けるものをできるだけ書き込んだというのが、一応この骨子案になっておりますけれども、国として書けるものがあるのかという点について、また省内で議論させていただきたいと思います。
○花井委員 それとも我々がもっと意見を出していくべきなのでしょうか。
○鷲見がん対策推進室長 御意見として出していただくのは勿論構いません。ただ、実際この施策として、今この現時点でどこまで打ち出せるのか、先ほど花井委員がおっしゃったように、新しい視点だということもございまして、どういった形で記載できるのかという点については、省内でもう一度調整させていただければと思います。
○花井委員 わかりました。
○門田会長 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。ただいまの花井委員の御意見に関連してなのですが、23ページにあります1つ目のポツのところで、「さらに、職場や採用選考時において、がん患者・経験者が差別を受けることのないよう十分に留意する必要がある」という記述がございます。この「留意する」というのは、そもそもだれが留意するのかということがよくわからないということです。事業者なのか、それとも国が何らかの制度上の対応をするのかということですが、これは、ヒアリングでもいわゆる「合理的配慮」という言葉があったと思います。つまり、がん患者であるということのみを理由として、職場の就労であるとか就業において差別をされることがあってはならない、そのためには社会的な対応をすることが社会としての責務であるといったお話があったかと思いますが、そういったことを担保するためには、やはり国の制度上の対応というものが必要になってくるかと思っておりますので、この部分につきましては、何か具体的にここで書き込むというのは勿論難しいかもしれませんが、時間をかけてこれは検討していくという道筋をここで示すことが必要ではないかと感じました。
 以上です。
○門田会長 よろしゅうございますか。野田委員どうぞ。
○野田委員 それでは、まとめていただいた研究のところで2つだけちょっと申し上げます。
 まず、18ページの上から2番目に赤い下線部が入っているのですけれども、これはちょっと意味がわかりにくくなってしまっていて、「創出するため、国際水準の」云々云々ということで、first-in-human試験、研究者主導臨床試験、そして、確立を目指した臨床試験を実施するほかと。「実施」というのは、これは1個でも実施になってしまえば実施はされているわけですから、これは、基本的に大事なポイントは、国際水準、つまり質が高いというものではなくて、国際水準のこういう試験や臨床試験を実施する、あるいはその実施を推進する、あるいは更に、もっと言えば、法制化してでもとにかく高い質のものを実施させるということなので、ちょっと修文でなかなかあれですが、少なくともこの国際水準のものがこの3つにかかるようにきっちりしていただきたいというのが1つ。
 それから、その後半の部分の「その基盤整備と研究施設内の……強化を検討する」となっていますが、これも文をいじっているうちにちょっと変わってしまっているので、「検討する」ではこれは話にならないので、やはりこれに関しては、それで特に問題なのは「その基盤整備」なんですね。これだと、基盤整備は何の基盤整備かというと、上の「臨床試験」としか書いていませんね。そうすると基盤整備だと、その実施の基盤整備だと、実施拠点もあれば、臨床試験ネットワークもあれば、いろいろなものが基盤整備になってしまいますので、そうすると次のポツの、より効率的な適応拡大試験のため、「臨床試験グループの基盤整備に対する」、これは、試験グループの基盤整備がここで出てきているのです。なので、上でもし書いていただけるならば、やはりこれを推進する拠点の基盤整備だと思うんです。薬事部門の強化も、そこが薬事部門が強くなるということだと思うんです。それを推進するにしていただきたいというのが、文脈としてはというか文意としては、それが1つ。
 それから、次のページ、19ページの社会における、がん研究推進全般に関する課題を解決するの上から3つ目のポツですけれども、一番最後に入れていただいて、最後に「国は、関係省庁の連携や……体制を整備する」と書いてありますが、1つちょっと問題だと思うのは、その前のところで、この機能を持った体制は何のためかというところで、2行目から、「平成26年度以降の国としてのがん研究推進のあるべき方向性と具体的な研究事項等を示す次期総合戦略を立てるため」になっていますが、これは、今までの省庁間のときに非常に多くて、何かを企画するときには一緒にやりますが、それからの推進のときの調整とか戦略的運営というものがなされないところが問題だというのが委員会での意識なので、要するに、戦略を立てて、その戦略的推進とか効率的な推進を統括するというとちょっと強い言葉ですが、もうちょっと弱くてもいいですけれども、そこまで、立てて、更にそれを有効に動かすというような言葉を入れていただきたいという、この2点です。
○門田会長 確かにそういうふうに読めますね。本当に立てるためで終わってしまという感じで。
 嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 野田先生と全く同じ考えです。ただ、ある制度というのは、それを運用する人によって全然変わってしまいますので、現時点で、私自身も文部科学省のいろいろな科研費をあれしても、その後で、きちんとその選定した委員会がフォローアップをするということをすれば、この文章でもかなりできるとは思いますが、委員の言ったことをもうちょっと強調した方がいいと。
 ただし、本当は研究者が、先生方がいろいろな委員会の委員をやっているわけですから、そういう方が自分で自覚して、欧米のように、自分の選定した研究費がどうやって使われているか、あるいはその成果がどうなのかということをもう一度胸に手を当てて日本の科学者が、学者が考える時期に来ているのだと私は思います。ただし、それはやはり文言にしておいた方がいいので、野田委員がおっしゃるように、そのことは文言にしていただきたいと。私は全く同じ意見です。
 ちょっと研究とは離れますが、子どものがんのところで、21ページの、これはちょっと偉大な常識と言ってもいいのですけれども、こういうことを書き込むのもいいのですが、最後のポツですが、「子どもががんを身近に感じ」というのは、健全な社会なのかなという感じがしているんです。勿論、子どもに「がんに対する正しい知識を身につけ、がん患者に対しても」、これは全然問題ないのですけれども、私が子どもだったときに、がんを身近に思わなければいけないのかなと非常に、それは健康ではないと思うんですね。やはり子どもは、本当はがんの予防をやって、先ほど眞島委員からあったたばこの問題も含めて、本当は、子どもはがんなんて感じないで健やかに成長していただきたいというのが私の常識なのですが、これは別にとっても、この文章は施策には関係ないと思うので、ちょっと僕はこれは不健全ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○門田会長 身近という意味が、何かこういうときよりも、もっと親しみを持って云々というような感じの身近になるのでしょうから、ちょっとこれは、なくても確かに通じますし、またほかの言葉があれば変えるということでよろしいですか。
 では、保坂委員どうぞ。
○保坂委員 今のところですけれども、「がん患者や経験者、その家族、がん医療の専門家、教育委員会をはじめとする教育関係者、国、地方自治体等が協力して、対象者ごとに」という文章が入っておりますけれども、まず、その教育委員会を初めとする教育関係者がこの子どものがんの教育に協力するということが、それも望ましいのでしょうけれども、ここに書くということで、文部科学省の方もいらしていますけれども、こういうふうに書いたということは、文部科学省として、教育委員会というのは文部科学省のいわゆる係ではあるけれども、それぞれ地方ごとに教育委員会は別々にあるわけですね。それをこのように書くということがちょっとどうなのかなということと、それから、「対象者ごとに指導内容・方法を工夫した取組を進めていく」というところまで、細かいところまで要求できるような段階では今はないのではないかと思いますので、ここのところはちょっと、先ほどの「身近に感じ」というところもですけれども、もう一回全体として文章を考えていただきたいと思います。
○門田会長 文部科学省の方、コメントはいいですね。
 中川委員どうぞ。
○中川委員 今の問題なのですが、嘉山委員がおっしゃったこの「身近に感じ」というのは、私もない方がいいと思います。実際、がん教育、それこそ松本委員や前川委員と一緒に中学校に行って実際の教育をしてみますと、やはり子どもたちに対する配慮というのは大変重要なんですね。例えば、がんの予防ということを言ったときに、例えばうちのお母さんががんになっている、それは予防していなかったからではないか、例えばですね、そういったリアクションが出てき得ますし、それから、とりわけ小児がんにおいては、これはもう予防という概念は余りないわけですね。その原因が特定できない。ですから、その辺は、もう少しこの文章の中で「身近に感じ」というような言葉をとるとともに、少し学童に対する配慮の文章があっていいのではないかと思います。
 もう一点、教育委員会は、実はこれ、学校でのがん教育を進める上で障害の一つというか、障害となり得る可能性としては、この教育委員会があります。これは、しかし、きっと文部科学省と少しすり合わせていただいた文章ですね。ですから、非常に現実的な問題点がここに書かれているので、この教育委員会の文言というのは入れていただきたいと私は思います。
 もう一点、学校教育に関しては、まず、20ページの8の項目立てで、ここで私が前回お願いしたように、教育と普及啓発を分けていただいているのはありがたいのですが、しかし、これは「がんの教育・普及啓発」ということですね。やはり学校でのがん教育ということを一つの言葉で言うと「がん教育」ではないかと。学校での、あるいは単にがん教育。
 最初のところで「がんの教育・普及啓発」、これはいいのですが、例えば、これは細かいことなのですが、21ページの課題の中で「普及啓発や教育について」と。例えば、この普及啓発やがん教育に、あるいは子どもに対するとか、この次のポツで「子どもに対するがんの教育」というのがあるのですが、この教育というのが学童に対するということを最初にメッセージした方が私はいいと思うので、例えば「普及啓発や子どもに対するがん教育」という文章に最初をしていただいた方がわかりやすいのではないかという気がいたします。
 結果的には「がん教育」という言葉が入りますので、是非その方向で、必要があれば、修文については私も少し案をお送りすることもできますし、この子どもに対する配慮とともに、少し御検討いただければと思います。
○門田会長 よろしゅうございますか。嘉山委員、それから前川委員、お願いします。
○嘉山委員 中川委員がおっしゃったことの一部なのですが、教育委員会は、御存じのように文部科学省と直結していませんので、各都道府県で指定していて、中川委員がおっしゃるように、一番のキーポイントになりますので、これは加えておいた方がいいと思います。
○門田会長 それでは、前川委員どうぞ。
○前川委員 今のところの21ページのがん教育のところですけれども、全体によく書いてあるのですけれども、子どもへのがん教育と、大人への普及啓発が全部一緒になっているので、何か読んでいて頭にすっきり入らないような気がします。ちょっとそのあたりを工夫していただければという気がします。
 もう一点、21ページの下からポツ2、「子どもの時から」のところで3行目に「学習指導要領における」という赤い文字がありますが、そこで、時期とか、いつからというのがわからなくて、ひょっとしたら5年後になってしまうのかという懸念を感じております。そこのところを御検討ください。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 前原委員どうぞ。
○前原委員 がん研究のところに戻りますけれども、よろしいでしょうか。
 18ページの一番上ドラッグ・ラグのところに「ドラッグ・ラグ及びデバイス・ラグ」と文言にしていただければと思います。
 そして、2つ目のポツで、これも私が申し上げたのですけれども、この基盤整備というところにその文言として入るのかもしれませんけれども、例えば全国規模のスタディを行うときに、各大学で倫理委員会にかけると、各大学で反応が全く違うと。理解度というかその委員会の考え方が違うということに遭遇いたします。そういう点から申しますと、倫理委員会等の整備というようなことも含めて基盤整備のところにちょっと加えていただけたらと思います。
 そして、もう一点は、21ページのがん教育の一番最後の「教育関係者、国、地方自治体等」のところに、今年の日本癌治療学会でも、がん教育をどうするかという取組みを企画いたしましたけれども、学術団体というような名称でも入れていただければと思いました。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
 野田委員どうぞ。
○野田委員 前原委員に質問なのですけれども、今まさに委員がおっしゃった倫理の、セントラルIRBなんかの問題ですけれども、その話が委員会で出たときに、薬事部門とは対照的な話が出て、薬事部門というのは、拠点が持つべきだろう、そうすると整備されるだろう。そこに人を入れるような感じなのですけれども、倫理や何かの方は、例えば倫理の人を、臨床研究拠点がみんな専門家を持つということが、先ほど前原委員が言ったことの解決につながるとはちょっとあれですね。むしろ、ちょっとわからないですが、一番最後の、前はここに入っていたのですけれども、19ページの社会における、がん研究推進全般の一番下のポツで、「被験者保護に配慮した倫理指針の改定を」ということで、本田委員の意見を入れてこんなところでいいのですけれども、つくったのですけれども、むしろその後ろの「円滑な運用に向けた取組」のところに今のような文言をもう少し加えるというのがいいのかなと思うのですけれどもね。
○前原委員 そう思います。
 私も、そういう点で考慮いただければと思いますけれども、現実、申請する側には知識と情報の習得が求められていますが、審査する側は、自分たちは十分勉強しているのだ、これ以上しなくていいのだという誤った認識を持っているような気がいたしますので、審査する側の教育ということも私は非常に重要な点ではないかと思っております。
○門田会長 眞島委員どうぞ。
○眞島委員 がん研究に関して1つあります。
 今回のがん研究に関してのこの文面ですけれども、野田委員、専門委員の先生方も含めて、がん患者の視点を取り入れていただいていると思います。先ほど戦略的な運営体制等の構築のお話がありましたけれども、できましたら、そういったシステムをつくるときに、がん患者さんの声が確実に反映されるような仕組みを構築すると、何かそういった文言をこの中に入れていただいて、これから向こう5年の間、このがん研究が進むときに、さまざまなプロジェクトが進行するかと思うのですけれども、そこに、今回の文章のようにがん患者さんの声が反映される、そういったようなことがギャランティーされるような仕組みづくりという点を入れていただいて、前向きに取り組んでいただければと思います。
○野田委員 よろしいですか。
 天野委員の意見の中にも明確にそれがあって、それは、前に寄せられている意見の中に。なので、がん室の方は、それを読まれていると思うので、今のところをどうお考えかをちょっと、どんな感触か。入れられそうですか。
○事務局(秋月) 明記はしていないですけれども、そういったものは、体制を整備する際に、その患者さんの意見を聞くというのは当然あるべき姿であると思っておりますので、基本計画自体にその文言を書き入れるかどうかというのはちょっとこちらで検討させていただきますが、趣旨としては、患者さんの意見も聞きつつ進めるというのは、当然のことだと思っています。
○門田会長 眞島委員どうぞ。
○眞島委員 その意見を聞くというやり方にもいろいろあるかと思うのですけれども、1つは、その体制の中にアドバイザリーボードみたいなものが例えばあるとしたら、そこの中に患者委員を入れるとか、何らかの形で患者さんの声が確実に反映されるというようなことをギャランティーするシステムというのですか、そういうものが構築できればと思います。
 文部科学省の方でも、次世代がん研究推進プロジェクトが進んでおりますけれども、やはり患者さんの声を反映させるためのシステムづくりというものも試行錯誤で今、進んでいるかと思うのですけれども、向こう5年ということを考えたら、何らかの形でそういったようなシステムづくりでありますとか、場の構築でありますとか、何かそういったような患者の声が反映されるシステムづくりが確実に検討されますというような文言を入れていただければと思っております。
 以上です。
○門田会長 局長、何か。
○外山健康局長 今のお話ではなくて、先ほどの就労の件でちょっと言っていいですか。
○門田会長 ちょっと待ってください。
 研究に関係してですか。はい。
○天野会長代理 ありがとうございます。今、野田委員からも御指摘いただいたり、私も意見の方で、それは、がん研究の例えば方向性を検討する場合に、がん患者の参画を是非明記していただきたいと。結局、がん研究を、勿論その細部のところとかはがん患者や一般の方がすべて理解できるということではありませんが、がん研究を広く社会に知っていただいた上で社会が応援していくという体制をつくっていくためには、少なくとも患者さんがこういった場に参加していない限り研究というものに対する応援団というものは形成されないと思いますので、これは、そういった方向性があるというのにとどまらず、是非文言としてここに入れていただきたいと思っております。
○門田会長 田村委員どうぞ。
○田村委員 がん研究のところで、19ページの先ほどから議論になっています黒ポツの3番目のところですけれども、その前後を見ていただいてもわかると思うのですが、現在、進捗している、行われている研究あるいはいろいろな発表があるわけですけれども、それを具体的に評価して、それで将来の方向性を決めていくといった視点からの、そういうことを俯瞰的に評価するような機構、そして、それから具体的な次期の総合戦略を立てるという意味で、そういう体制を整備するという中に、常設するそういう審査機関並びに研究の方向性を決めるような、決定するというか諮問するような機関を是非つくるべきではないかと思っています。
 これの前後を読んでいただきますと、評価という言葉がほとんど出てこなくて、先の、これからのこと、実際に現在行われていることをきちんと評価した上での次期の戦略、そういうところが抜けているのではないかと思っていますので、是非検討いただければと思います。
○門田会長 局長。
○外山健康局長 今の御意見は、例えば厚生科学審議会とどう違うのですか。
○野田委員 課題のところを読んでいただくとわかりますけれども、多省庁がいろいろな角度から研究となると、がん対策の基盤になるものですが、非常に広いものですし、視点も多彩になります。それを多省庁で支えているところが日本の一つの特徴で、問題はその多省庁で支える多彩な視点が焦点を結ばなければしようがないので、それをうまく運営するための機関が必要だということですので、その目で、例えば3次対がんの最初の連絡会議以降、省庁間のものはなかったと。厚生科学審議会がそういうものを出しても、厚生労働省の対がん事業に影響はあったけれどもと理解をしています。
 そのために、これは、そういう省庁間の連携、そして、全体を俯瞰するということで組織をということで、これが、もとの専門委員会で書いたそのものです。それを拾っていただけたということです。
○門田会長 局長。
○外山健康局長 例えば17ページの6のがん研究の現状のところのポツの4つ目に書いてありますけれども、私も在籍したことがありますけれども、内閣府の総合科学技術会議であるとか内閣官房の、このまま文章になるかどうかは別ですけれども、こういった我が国の役所というか行政の組織の中で、こういう調整的な役割を持った機関もあるのですけれども、それとは全く別に何かをつくるべきだということですか。
○野田委員 専門委員会が出したものはですけれども、どういう形でこういうものと関係をとるかは別として、例えば、アメリカのナショナルキャンサーアクトのその動かすボードのように、がん対策に対する研究はどうあるべきかというものがこの中から集まるような、あるいは、そこに患者さんが入るのかどうかわかりませんが、そういうものが必要であろうと。
 例えば、ちょっとあれですけれども、現在のサイエンスを中心とした総合科学技術会議や、今回の医療のイノベーションを考える、医療を中心と考えたイノベーション推進室というものだけでも、やはりそういう広く俯瞰し、企画し、評価しというのはちょっと難しかったのではないかと考えているというだけです。それで、あの委員会は出しました。なので、こういう状況、この2つ、現状の上から3番目と4番目のポツがあって、それで、課題の3番目、4番目のポツが出てきているということです。
○門田会長 嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 私はもともと文部省系統にいたので、こういうもののグラント、決定にも携わってきましたが、やはり今、局長がおっしゃったように、厚生科学審議会等々の機能を更に強化させる、それも先ほど野田、田村両委員がおっしゃったように、評価を含めた機能を強化させるということで、ここは文章化していった方がいいと思うんですね。でないと、総合科学技術会議との調整等々が全然また整合性がつかなくなる可能性があるので。ただ、ここで野田委員と田村委員の意見を入れるとすれば、やはり評価を加えた組織強化をするということでいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○門田会長 野田委員どうぞ。
○野田委員 田村委員の意見と僕の意見はちょっと違うんです。田村委員は戻されて「新たな組織は」になっているのだけれども、その新たな組織は、先ほど局長が言われたように、今までの組織とのすみ分けや何かのところがすぐ問題になるので、それでここは、その習慣的ですけれども、結論として「機能を持った体制を整備する」ということになっているので、そうすると、これから、今、嘉山委員がおっしゃったような既存の組織の強化も含めてすべて包含している形になるので、それでいかせていただくのがいいのかなという感じです。
○門田会長 嘉山委員どうぞ。
○嘉山委員 全くそのとおりだと思います。今までの人々の、つまりこういうことをやってきた人々の意識改革をしない限り、僕が見ていると、組織を変えても意味がないんですね。今までの組織だって、人がかわれば変わっていくわけで。ですから、その内容を、今までやっているシステム運用の内容を、野田委員が言うようにきちんと書き込めばいいのではないかと思います。
 評価は必要ですよ。評価をきちんとして、お金を配るのを決めろということです。あと、横との連絡をきちんとつけなさいと。文部科学省なら文部科学省のお金と、厚生労働省のお金と経済産業省のお金というのは、全然ばらばらに配られていますよということだと思うので、そこの機能を強化しろということでいいと思います。
○門田会長 田村委員どうぞ。
○田村委員 私は、もう少し下のレベルの話をしたつもりなのですけれども、上の方はそういう形である程度して機能を充実させるということでもう少し行けるのかもしれませんけれども、例えば厚生科研などの審査をしていますと、いろいろな施策的なテーマでいろいろなところから申請があるわけです。そういった中で、同じようなテーマがたくさんいろいろなところから出てきていて、その間の調整が全く進んでいない。しかも、てんでんばらばらにやっていて、後で結果が出ても、必ずしもそれが融合的に、効率的内容になっていないというようなことがありますので、そういったところをきちんと評価するというか、そういったところを調整できるような機関がやはり必要ではないかというのが、私の意見です。
○門田会長 どうぞ。
○嘉山委員 そのことに関しては、先ほど局長がおっしゃっていただいたのですが、大臣からの国立がん研究センターの使命の中期目標の一つになっておりますので、従来そんなに密接ではなかったのではないかと思います。したがって、今後はもっと更に密接にそういうことをやって、政策立案もしなければいけないので、やっていきたいと思います。我々が当事者意識を持てば、そういうことではないかと思っています。
○門田会長 この研究について、今、お三方のいろいろなディスカッションがありましたけれども、何らかの形で、今は全体の課題としてずっと同じことを言われてきているものが、もう一つ一歩前に進まないところについて、何かを書き加えるということだと思うんです。いろいろなことを書き出せば切りがないのですけれども、その省庁云々という話、これは昔からずっと同じことを繰り返しているので、気持ちとすれば、そのあたりがどうにかならんかと皆さん思っているのだけれども、こういうことになると、書き込むのはそれなりの難しさがあるところも理解できているので、そこのところは、問題がわかっているので、では、今の段階で、どのあたりまで、どういうふうに書き込めるかというのはどうですか、検討できますか。するしかないと思うのですけれどもね。
○鷲見がん対策推進室長 先生方に御議論いただいた内容について、問題点なども含めて私どもも理解しているつもりであります。また、今、御意見をいただきましたので、どこまで書き込めるのかということについてちょっと調整して、各府省とも調整しながら提示していきたいと思います。
○外山健康局長 ちょっとそれに関連していいですか。
 先ほど就労のことで、国はどういう責務を負っているのかということや、きちんとした制度をつくらんのかという御指摘に何も答えなかったのですけれども、御案内のように、今回新しくというか、「働く世代のがん対策の充実」という重点課題と、それから、全体目標の中で「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」というものが出てきて、今、就労のことがクローズアップされているのですけれども、実は、がん対策基本法には、就労の「就」の字も出てきていないです。ただ、どういう概念かと私なりの理解は、国は国の責務として、がん対策基本法の理念にのっとって総合的な施策をやらなければいけない。この理念の中に何があるかというと、がんの克服というものがありまして、がんの克服の中には、がんになっても、当たり前ですけれども、安心して暮らせる社会というのは非常に重要なことだろうということで、第2フェースというか、次の5年に入った段階で皆さんの御意見の中にそういうことが出ているというのはすばらしいことで、そういったことで、がん対策基本法であったとしても拡大解釈してこれはやらなければいけないと思っているわけです。私は大臣でも何でもないのですけれども、思っている。
 ただ、その中で、逆にまた新しい分野なるがゆえに、今回の基本計画の中で直ちに制度論として、制度として、例えばがんの患者さんは社会の中でこれだけ雇用しなければいけないとか、先ほど正規、非正規の問題が出てきましたけれども、そういう観点から、このがんの雇用を論ずるとか、そういうところまで具体的な制度論として踏み込むのは、正直言って、今は難しいのではないかと思っています。
 甘えたようなことを言うかもしれませんけれども、私としては、次の5年間の間に、新しい分野でもありますし、では、5年間の間にどういう現状があって、どういうところに困っているかということも含めて、では、いついつまでに、どういう実態を把握するとか、そういうことをまず直視した計画だけできればいいと言っては失礼ですけれども、そういう段取りがまだできていないのではないかと思っています。
 ただ、今、手を打てるようなことにつきまして、いただいた意見については、打てるだけ打つというところだと思っています。したがって、結論から言うと、就労に着目した制度を何かつくる気はあるのかというところまでは、ちょっとはっきりそうだとは言えないということでございます。
○花井委員 ありがとうございました。済みません、私への回答だと思いますので。そういうお言葉をいただいただけで次へつながっていくと思いますし、今後の議論を活性化させることになると思います。御丁寧にありがとうございました。
○門田会長 中川委員どうぞ。
○中川委員 今の局長の言われたことにも関連するのですが、重点課題の中で、働く世代へのがん対策の充実、これは非常に思い切った評価できる項目だと思うんですね。これは既に申し上げたかもしれませんが、働く現場での環境が、やはり働く世代のがんを増やす傾向にあります。これは、女性の社会進出によって、若い世代の女性が、会社でがん検診を受けなければいけない。54歳までは、常に女性は男性を上回るわけですね。30歳代だと3倍です。
 もう一つ、定年延長の問題があって、55、60、65歳となってくれば、特に、男が55歳で女性を抜いて、そこから一気に増えてくるわけですね。ですから、これまで退職されていた、住民検診を受けていたような方が、今度はやはり会社での職域検診として検診を受ける機会が増えてくる。そういう意味では、この就労環境の変化によって、職域検診の重要性が非常に高まっていると言えるはずなんです。ただ、その割には、この検診のところ、あるいは、わずかに書いてありますが啓発のところで、職域あるいは職場の責務というか、そこにもうちょっと触れた方が、この就労という問題がより浮かび上がるのではないかと思います。
 それから、ちょっと細かい点ですが、14ページのちょうど真ん中ぐらいの「その他生活習慣については、果物摂取が低下している」と。これは、野菜は低下していないのでしょうか。果物だけここに上げているのが何となく、そこはちょっとまた精査していただいて。
 もう一つですが、先ほど前原委員がおっしゃった18ページの研究の中でのドラッグ・ラグとデバイス・ラグを併記していただく、それもお願いしたいと思います。
○門田会長 ありがとうございます。
 前原委員、それから松本委員、お願いします。
○前原委員 就労のところで文言を1点。23ページの丸ポツの一番上で、「がん患者・経験者が差別を受ける」、この「差別」という言葉を変えていただいて、「不利益をこうむる」とかということにしていただければと私は思いました。
○門田会長 よろしいですか。事務局、よろしいですか。
○鷲見がん対策推進室長 大丈夫です。
○事務局(秋月) 不利益というのは、差別のみならずという意味ですか。
○前原委員 差別という言葉の持ついろいろな意味合いがありますので、そういうことを社会は対応するものなのか。結果的に、その方が持つ、本来ならば利益ではないものというようなニュアンスが、私は適切ではないかと思ったのですけれどもね。
○鷲見がん対策推進室長 ちょっとどういった言葉が適切か、前原委員の趣旨としては、「差別」という言葉が、こういった文言として使うにはちょっととげとげしいということもあるので、その適切な言葉については検討させてください。
○門田会長 松本委員どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。がんの予防に関して1点申し上げたいと思います。喫煙率について申し上げたいと思います。
 冒頭で眞島委員から、喫煙率についての数値目標についての発言がありました。このがんの予防の現状のところ、13ページですけれども、「喫煙(受動喫煙を含む)が肺がんをはじめとする種々のがんの原因となっていることは、科学的根拠を持って示されている」と書かれておりますので、是非これに対応した目指すべき方向への書き込みというものをお願いしたいと思っております。
 私を含めまして、がん患者の願いというのは、私たちのような思いをする人を一人でも減らしたいということを思っております。その私たちのような思いをする人を増やすであろうという科学的根拠が出ている喫煙への対策というのは、是非この基本計画の中で強く次の計画では書いていただきたいと思っております。
 現在ほかの会議でもこの点については協議がなされていると聞いておりますので、そういったところに出てくる議論についても留意をして、是非書き込みをしていただきたいと強く要望いたします。
○門田会長 ありがとうございます。
 これは冒頭に政務官にもお願いしたところですが、前から、この協議会は最初から、喫煙率を半減とか、はっきりとした数値を出していたところではあるわけですが、いろいろな事情からなかなか書き込めなかったと。しかし、時代も大分変わってきているのも事実ですので、事務局、いろいろなところの問題点があるとは思いますが、協議会の皆さんの意見は、非常にそこを強く要望が出ているということで御検討いただきたいと思います。よろしいですか。
○鷲見がん対策推進室長 生活習慣病対策室長からちょっと一言申し上げたいということですので。
○門田会長 どうぞ、お願いします。
○生活習慣病対策室長 先ほど野菜の摂取に関しまして御質問がございました。健康日本21の方で、この2000年から国民健康づくり運動をやって、この10月に評価をしておりまして、果物の摂取につきましては悪化しているという評価がございます。それから、野菜の摂取に関しましては、変わらないということから、今、こちらの資料ではそのような記述になっているところでございまして、これは国民健康栄養調査による評価でございます。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。そういう根拠に基づくということのようですが。
 前川委員どうぞ。
○前川委員 非常にシンプルなことなのですけれども、11ページ、目指すべき方向のところで丸ポツ1、黒い文字のところをずっと読むと何か意味がわからないので、私の提案ですけれども、「患者・家族の悩みや不安を汲み上げるために」、その後、黒文字を消して「相談支援センター」の方につなげていただければわかりやすいのではないかと思います。
 以上です。
○門田会長 ありがとうございました。事務局の方で見てください。
 そのほかいかがでしょうか。では、花井委員どうぞ。
○花井委員 先ほど前川委員のおっしゃったことを私も思ったのですけれども、課題のところを見ると、目指すべき方向が、ああ、こういうふうに課題を受けてなったのだなということはわかるのですけれども、これですと、「より多くの人が相談支援センターを活用し、相談支援センターの質を向上させるため」、何か相談支援センターの質を向上させるためにより多くの人に利用してもらおうというふうに受け取られかねないというか、私たちは、患者関係委員としてこの表記に少し抵抗がございました。その後に、人員確保であるとか、院内・院外における広報であるとか、こういうことをやっていただいて、結果として質の向上につながっていくということがわかるといいのですけれども、前川委員の御指摘のように、ちょっとこの書きぶりのところを見直していただけたらと思うことが1点。
 それと、次のページに行きまして、12ページでございますけれども、1ポツ目で、「がん患者の不安や悩みを軽減するためには、がんを経験した者もがん患者に対する相談支援に参加することが必要であることから」と、ここで必要性が認められているわけです。これは前にも申し上げたかもしれませんし、意見でも申し上げました。その後に、「研修を充実させるなど」という文言が入ってきますけれども、これが何の研修で、だれが研修を受けるのか、何の研修かということがよくわからないのですね。その下の5ポツ目には、「国立がん研究センターにおいては、相談員に対する研修の充実や」と対象者が明確になっているわけです。これは、前後を読んだら、ああ、こういうことだなとわかるのかもしれませんけれども、こういうところにうたわれるものとしては、やはり文章が回りくどくなるかもしれないですが、「がん患者の相談支援に携わる治療体験者」であるとか、もうピア・サポートという言葉も出てきていますので「ピア・サポーターの研修」と明確に表記をしていただけるとありがたいと思います。
 それから、その1ポツ目の「ピア・サポートをさらに拡大するよう努める」とあります。前は「望ましい」ということで、望ましいでは努力目標にもならないのではないかということで意見を申し上げた結果、この「努める」と少し表記を変えていただいたというか強いものにしていただいた。けれども、前にも申し上げてくどいかもしれませんが、こういう必要性が認められて、がんの治療体験者も相談支援に当たっていくんだということを前提として国の予算もついて、そして、質が担保できるような標準研修プログラムというものが策定できているわけで、これが地域の医療機関などに受け入れられて、実行されていかないと、このピア・サポートのプログラムは何だったのかということになるわけです。ですから、ここは、「努める」としてはいただきましたが、やはり「拡大する」と力強く言い切っていただかないと、まだピア・サポートの何であるかということがあまねく自治体や医療機関に周知されているわけでもありませんので、自治体が、医療機関が、地域のステークホルダーがこういうことをやっていくんだという、そういう意識を高めるためにも、是非「努める」ではなく「拡大する」としていただきたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。実際どこまで、どういう口調で書けるのかはあると思いますが。
 この件に関してですか。嘉山委員。
○嘉山委員 花井委員にはちょっと申し訳ないのですが、まだ、日本の相談員はそこまで熟していない。というのは、反対に言うと、相談員の目線という言葉をあえて使わせていただきますが。
○花井委員 先生のおっしゃる相談員というのは、ピア・サポーターのことですか。
○嘉山委員 そうではなくて、いわゆる普通の病院にいる患者さんの悩みや不安をくみ上げる相談員ですが、患者さんの御家族あるいは患者さんが、どういう悩みを持っているのかを全部まだわかっていないのが私は現実だと思います。ですから、あえてたくさん使っていただいて、そこにどういう悩みを患者さんが持っていらっしゃるのかをまずくみ上げるというのは、そういう意味なんです。
 がんセンターでも、去年から4人チームで、つまり医師だけでなくて、精神科の医師、あと看護師、ソーシャルワーカーといういわゆる4部門を用意しましたが、それだけでは質問に答えられないような相談もあるんですね。ですから、今、それをまとめて、こういうような要件が必要ですよとがんセンターで相談員の教育をやっと始めたところなので、それを全国、すべての日本のいろいろな問題を抱えた患者さんの質問をここで、エビデンスですから、これはもうはっきり、残念なのですけれども、まだそこまでしか来ていないので。そういう意味でこれが書かれているということをちょっとくみ置いていただければと思うんです。
 それから、ピア・サポーターに関しては、「推進する」でいいと思うのですけれども、相談員に関しては、まだまだ、患者さんはいろいろな悩みを持っているので、多分花井委員が想像できないような、ほかの御家族とか患者さんの悩みもあるかもしれませんので、そういう意味で満点で答えるというのはなかなか無理なので、そういう意味でこういう書きぶりになっています。御理解願いたいと思います。
○花井委員 ありがとうございました。委員のおっしゃることもよくわかります。ただ、もう少し抵抗のない書きぶりにほんの少し変えていただけたらと思います。ありがとうございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 関連で、保坂委員どうぞ。
○保坂委員 12ページの今、問題になったところの3つ下、4つ目の黒ポツですけれども、「患者と医療や介護、福祉等の関係者の間に立ち、患者の訴えを聞き、患者・家族への」云々というところがございますが、これは今、多分嘉山委員が言われた、そこまで相談員は育っていないということを補うような人を育成するということだと思うのですけれども、これは事務局にお聞きしたいのですけれども、今の相談員とは別にこういう人を育てるということでございますか、それとも、今の相談員をこのように育てていこうということでしょうか。
○事務局(秋月) 協議会の委員の方からも御意見をいただいているのですけれども、まだ、患者さんと医療従事者の間で、この医療が複雑になってオプションも増える中で、きちんと患者さん側の意思というか気持ちをくみ上げることがなかなか難しいと。それで、医療従事者と患者さんの間に、まだギャップが生じているのではないかと。こういうものを解消するためには、その間に立つような人たちを今後育成する必要があるのではないかというような御意見を踏まえて、相談員に更に専門的な知識を持っていただくということもあるでしょうし、新しく相談員とはまた別な枠組みもあるのかもしれませんが、そこは、勿論国としてもそういう取組みがあれば支援をしなければいけないと思いますけれども、「関係者が協力して」となっておりますので、そこは、関係学会とかも含めて、一緒に育成を進められればと考えております。
○門田会長 どうぞ。
○保坂委員 こういう書き方をしたら、国がやはりイニシアティブをとって、勿論関係者は協力するわけですけれども、国がイニシアティブをとって、こういうまた新たな職種というかそういうものをつくるつもりかなと私たちは思うのですけれども、それがないとすれば、こう書いてもらっては困ると私は思うのですが、皆様はいかがでしょうか。
○門田会長 いかがですか。
○嘉山委員 先行してやっているところから言えば、すべてを持った新たな相談員という意味ではないと思います。それは無理です。例えばソーシャルワーカー的な質問を、医療のこともわかって、看護のこともわかって、心のこともわかって、それを1人の人間にやれと言っても無理だと思いますので、例えば医師が相談員になったときには、やはり治療する医師だけではなくて、心もちょっとわかる医師、そういう教育ですね。例えば、ソーシャルワーカーでも、がんに関する社会制度とか経済的な問題がわかることをきちんと研修するというのが眼目だと思います。1人の人で全部やるという新しい職種をつくるということは、意味もないし、不可能だと思います。
○保坂委員 そうだとすると、これだと何か1人でオールマイティーにできる人を育成すると読めるので、ちょっと書きぶりを変えていただいて、今、嘉山委員がおっしゃったようなニュアンスにしていただけたらと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 この件については、事務局、内容はわかりますね。どうぞ。
○前原委員 実は、このベースになっているのが、日本癌治療学会でがん医療コーディネーターという職種を認定しようというようなことで進めております。すなわち、ここに書いているような業務を癌治療学会として認定して、いろいろな専門職の仲立ちになるような方をということで今、進めておりますので、文言としてこのような形でお願いしたというようなことであります。
○門田会長 そうすると、いろいろなサポーターというのか支援をする人たちが、相談員も含めて、いろいろな複雑なものが、少しずつ違うものができるということは、嘉山委員もおっしゃっておられたように、非常に複雑ですね。今あるものが確実に動き出して、そして、更に足りないからこうするという、何か順番を踏んでいかないとなかなか難しいですね。ですから、癌治療学会としてそういうことをやっていただいているというのは、新しい試みとして、これが将来的にどうなるかということで、今の段階で、そうすると、基本計画の中に云々というところは少し早いのかなというような気もしますね。
 そういうことで、大体皆さんそんなふうなお考えかと思いますが、事務局、それでよろしいですか。
○事務局(秋月) いただいた意見を踏まえてちょっと修正案を考えます。
○門田会長 本田委員。もうそろそろ時間になっていますが。
○本田委員 がん予防の14ページあたりの課題のところになるのかと思うのですけれども、「職場における受動喫煙の状況については、『全面禁煙』」云々というところがありますけれども、これは職場に入ると言えば入るのかもしれませんけれども、いろいろな通知等で、官公庁とか医療施設とか、公共の場での全面禁煙が望ましいといういろいろな通知とかも出ているので、それの現状みたいなことを、官公庁では、全面禁煙となっている割合はそんなには多くないとかという報告もあるようですし、そういうものも一応、不特定多数の人がいっぱい行くところですので、それを一言、いわゆる職場だけではなくて、そういうことも入れておいた方がいいのではないかと思って、それをお願いしたいと思います。
 あと、済みません、すごく単純なことなのですけれども、これは、一般の人も当然、成文になるときは勿論そうだとは思うのですけれども、あえて言わせていただくと、一般の人には、first- in-humanとかレギュラトリーサイエンスとか、何のこっちゃということがいっぱいあるので、それはきちんと用語解説みたいなものをつけていただけるのですねという確認です。
○門田会長 ありがとうございます。どうするか、とにかく国民にわかってもらわなければいけないというのは間違いないことですね。では、工夫していただくということで。
○鷲見がん対策推進室長 工夫いたします。
○門田会長 中沢委員どうぞ。
○中沢委員 22ページのがん患者の就労を含む社会的な問題というところで、現状の3つ目に相談支援センターの現状が書いてございます。課題の2つ目には拠点病院の相談支援センターについて、いろいろ懸念されていると書いてあるのですけれども、この現状、課題を受けた目指すべき方向がちょっと明らかになっていないというところがあります。目指すべき方向の1つ目が、2行目に「不安や悩みなどを支援し」と、多分日本語になっていないところがあろうかと思いますので、ここら辺の書きぶり等を整理していただきたいと思っていますけれども、お願いします。
○門田会長 ありがとうございました。
 天野委員どうぞ。
○天野会長代理 ありがとうございます。今のところに関連して、先ほど局長から、今後5年間ではまず現状把握が重要ということで、そもそもこういった就労という項目を入れていただいたことに大変感謝申し上げているところなのですが、今の中沢委員の指摘があった箇所でもあるように、既にもう就労に関する相談が多いというのは出ていますし、参考人で来ていただいた高橋参考人につきましても、厚生労働班研究でそういったデータが出ている状態でして、恐らく現状の把握というのはある程度できつつあると私自身は感じておりますので、次の5年間では、その支援のあり方について検討するということ、そこを書き込んでいただきたいと。現状を把握することを検討するのではなく、支援のあり方を検討するとか、制度のあり方を検討するとしていただいてもいいのですが、そういった書きぶりにしていただかないと、恐らくいつまでも現状把握のまま足踏みしてしまってネクストステップにつながらないのではないかと思いましたので、書きぶりを是非御検討いただければと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
 要望、細かい点、ミスプリのような点、いろいろ出てきましたけれども、基本的には、これをもとに基本計画を書き込む、これは最終的には厚生労働省の仕事ということになるのかもわかりませんが、一応、今日いろいろな形で出していただいて、確かに問題点が幾つか出てきておりますし、また、修文しなければならないところが出てきておりますので、一旦これは、今日の御意見をいただいて、この骨子としてひとまずまとめるのですね。骨子は。
○外山健康局長 復習しますと、がん対策基本計画を政府で閣議決定する前に、厚生労働大臣が案をつくらなければいけない。その段階はまだ案なのですね。法律上は、案を閣議に出すと。その案をつくる前に、がん対策推進協議会の意見を聞く。と同時に、関係行政機関の長の意見、長と協議しなければいけない。ですから、今日は文部科学省、経済産業省も来ていますけれども、主に関係行政機関、就労もあればいろいろな問題もありますので協議しなければいけない。そこの協議を経て案をつくるということになります。したがって、今、骨子となっていますけれども、それで、なおかつ厚生労働大臣ががん対策協議会の意見を聞くとなっていますから、年明けの段階で、諮問、答申という形になるのか、あるいは事実上、意見を聞くという形になるのか、まだはっきりしておりませんけれども、法律にのっとって、厚生労働大臣の方から、厚生労働省の方から、こんな計画ではいかがかといった形でこの協議会に意見を聞くというステップが入ろうかと思っています。
 ただ、心配しておりますのは、心配というか、失礼な言い方ですけれども、この骨子が、まずは現状と課題があって、施策の方向性という形になっていますけれども、先ほど来申し上げていますように、法律が求めております計画というのは、具体的な施策を定めるということと、それから目標を定める、それから達成の時期も定めるという形になっておりますので、これからまた会長と事前の御相談もあると思いますけれども、そういった体裁に、よりもう少し絞り込まなければいけない、あるところは、またもうちょっと具体的に書かなければいけないということになりますので、今日いただいたこの骨子を踏まえつつ、先ほど申し上げたような形の体系に、年明けにできれば出したいと思っています。
 ただ、それが余りにも皆様の御趣旨といいますか、理念というかお考えと、言ったことが書いていないではないかという形になって却下されるのをおそれております。ですから、その辺、直ちにそういう形の諮問の形にするのか、あるいはもうちょっとステップを踏むのかは、今後、会長とよく相談して進めていきたいと思っております。
○門田会長 ありがとうございました。局長が心配していることは非常によくわかりましたが、基本的には、今ディスカッションしていた内容が、計画の骨子か、少なくとも協議会での方向性をまとめたものという位置づけになって、これが最終的な厚生労働大臣が策定する基本計画とは別なものであるというのは、これはやむを得ない、立場上、違うことは皆さんわかっていると思いますので、これから先、書いていただいて、関係省庁とのディスカッションそのほかをやっていただいて、ある程度の形のものが出てきたときに、もう一回我々の前に示していただく。そして、そのことについていろいろと説明を聞かせていただくということが、多分、次回の協議会の内容になりますね。今のところ2月1日に予定していると思いますけれども、その日のメーンテーマはそうなってくる。
 ですから、私が申し上げているのは、事務的なこととして、今、幾つかの意見が出ましたことは、一応骨子案としてのものを、今、意見が出てきたものはそういう形で整理したものを残していただけるのですかという質問をしたのですね。
○外山健康局長 もしそういうステップを踏んだ方がいいならそうしますけれども、要は、眼目は、計画をつくることと、その計画に対して、また新たにきちんと意見を聞くというステップが入るものですから、できれば、次回、厚生労働省の素案という形になるか、ある程度の案になるかわかりませんけれども、そういった形の段階で、今までいただいた意見を踏まえた形の案を出したいと思っています。
 それも踏まえて、ただ、事前に会長とよく相談しますので、それはもうちょっと、今の段階で骨子案として協議会の意見を確定してからの方がいいということであれば、そういうステップを踏みたいと思いますけれども、少しその辺は詰めさせてもらいたいと思います。
○門田会長 わかりました。一緒に相談させていただきたいと思いますが、委員の皆さんには、今いろいろディスカッションしていた内容がどうなるのかなと思っていらっしゃるのかなと思ったので、一応この形のものに幾つかの意見が出てきたものを何らかの形で追加なり、修正なりするものが一応形の上であるのかなと。メーンは、もう日にちに非常に追いかけられていますので、基本計画を書き込むということの方がはるかに大事ですし、その内容についての皆さんの御意見ももらうということになろうかと思いますので、方向性はわかっているのですが。
 野田委員どうぞ。
○野田委員 まずは、骨子案は公開を予定していないのですね。これを直して公開と、今は予定していなかったから、こういう話になっていますね。それで、今までやってきたときのように、時間がないときに、まず、これがあって、これをたたき台で、今日話したことをきっちり残すと。こういうものに対してこういう意見があったというものを残すということの作業をまずやっていただいて、それはやらないと絶対だめだと思うんです。そうでないと、それなしに計画にいきなり書き始めるというのは、ちょっとやはり今日の意味合いが受けとめられていない感じがするのですけれども、まずそれをやっていただいてということではどうなのでしょうか。
○門田会長 いや、私はまずそれをやっていただくというか、どういう順番になろうと、一番大切なのは、基本計画を書き出さなければいかんということはよくわかります。今ディスカッションしたものも事実ありますので、何らかの記録がぴちっと残るのかなと思ったのでちょっと確認させていただいたということなのです。それを終わってからこれをしてくださいとか、どのタイミングでどうこうというよりも、並行して話は進むのでしょうから。
○外山健康局長 二重人格のようなことを言いますけれども、ですから、これは会長が協議会の運営でお定めになることですから、それはそれで事務局としてそういう調整はするのだろうと思います。私の方としては、事務局というのではなくて、厚生労働省として、大眼目としてのステップを申し上げたので、それはまた、協議会の運営そのものは、会長の御指示できちんととりまとめの場として。
○門田会長 わかりました。2つの仕事を同時にしていただいているからこういうことになろうかと思いますが。
 今のポイントをわかっていただいたと思いますので、少なくとも協議会とすれば、しゃべりっ放しで終わりというのはどうかなと思ったので確認をとりました。それで、その方向で、協議会の事務局にはそういう形でお願いすべきかと思います。作業としてもう一つ大きな仕事があることも事実ですので、それは並行してやっていただくということで、それはちょっと一任させていただくということにしていただきたいと思います。
 それでは、先ほど申しましたけれども、次回は、その基本計画案をつくっていただいたものを、2月1日の段階で皆さんの前で説明していただくという作業をしたいと思います。
 それでは、事務局の方で、参考資料が出ておりますが、そちらの説明をしていただけますか。
○鷲見がん対策推進室長 それでは、本日、冒頭、藤田政務官からもあいさつの中でお話しさせていただきましたが、平成24年度の予算案が24日に閣議決定されましたので、厚生労働省のがん対策予算案につきまして概要を説明させていただきたいと思います。
 お手元の参考資料の一番上の1枚紙を使って説明させていただきたいと思います。
 全体といたしましては、平成23年度の当初予算額が343億円だったものに対しまして、24年度予算は357億円、14億円増ということで閣議決定なされたものでございます。
 1番から順番に申し上げますと、1番が放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の育成ということで、主にがん診療連携拠点病院の機能強化ということで29億円。
 そして、治療の初期段階からの緩和ケアの実施ということで5億円。この中には、新規に在宅緩和ケア地域連携事業ということで要求したものも新たに通っております。
 がん登録の推進とがん医療に関する相談支援及び情報提供体制の整備ということで、新たに院内がん登録の推進及び地域がん登録の促進、こちらは0.6億円という形を含めましてトータルで10億円となっております。
 また、がん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促進ということで、この中には、いわゆるがんクーポンですね、クーポン券の話ががん検診推進事業、これが主に含まれておりますけれども、こちらにつきましても確保できましたので104.9億円ということで、トータル125億円として予算ができております。
 また、がんに関する研究の推進ということで、トータルで102億円。うち、新たに難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究経費ということで、分子標的薬を初めとする抗がん剤の関係で16億円確保しております。また、新たにがん臨床試験基盤整備事業ということで、CRCなどのコーディネーター、臨床試験のコーディネーターを置くというような形の事業で新たに1.5億円、トータルで102億円となっております。
 また、すべての事業について新しくなっております小児がん対策につきましては、小児がん拠点病院機能強化事業ということで2.5億円、それから、緩和ケアということで0.3億円、そして、小児がんの拠点病院整備費ということで1億円、それから、小児がん病院のあり方調査事業ということで、どういった形で小児がんの医療提供体制が適切なのかということを調査する事業として0.2億円ということで、トータル4億円として予算ができております。
 また、独立行政法人国立がん研究センターに対するものとして82億円。
 こういったようなものが主なものでございますが、トータルとして357億円ということで確保して、何とか増額ということで確保できたと考えております。
 以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
 それでは、先ほど御案内いたしましたけれども、次回は2月1日ということで、それまでに基本計画案を、これは、ここの事務局ではなくて厚生労働省サイドとしてつくっていただくということになって、それを説明していただくということにすることになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○嘉山委員 この、がん対策予算案を見ますと、どこの省庁でもそうなのですけれども、今年は文部科学省も厚生労働省も含めて全部10%運営費が減らされているんです。これをごらんになればおわかりのように。それで、今日、秋月さんが説明された資料5の次期がん対策推進基本計画の第5のところは、これは、会長、今後どういうふうにつくっていくのでしょうか。やはりこれだけの皆さんの知恵が出たがん対策の基本ができても、そこに今日出てきたようなこういう財政状態ではなかなかできないのですが、この第5のところの5番のところに「必要な財政措置の実施及び」、今日は4の9番までやっているわけですね。この5は、今後どういうふうにこの会として議論されるのかをちょっと教えていただきたい。でないと、財政の担保がなければ何もできませんので、その辺はどういうふうにお考えなのでしょうか。
○外山健康局長 ですから、次回、できれば素案をお出しする中で、これも含めて書きまして、皆さんの御意見を承りたいと思っています。
○門田会長 そういうことでございますが。
○上田委員 今の点は本当に大事なことで、5番を避けて話をずっとしていたのではないかと思わないでもないぐらい、今まで回を重ねていたのに、この5番に関して、素案を出すのだったら、その素案を出すための原案を我々にも一回ぐらいは土壌に上げてほしいと思って。私は、ですから、今回の指標のところの最初の資料2の2ページの下から2つ目のところにちょっと盛り込ませてもらっておいたのです。わざと頭出しとしてですね。やはり話しあわなくて、この大々的な提案書が実行されるかどうかということのある程度の裏付けがないものをつくっても、本当は意味がないのではないかということで頭出しをしていたものですから。是非その辺のことを一度きちんと提示していただいて、我々とも一度は議論させていただきたいと。要は、これだけ網羅的にいろいろなことを議論したけれども、この5年間の初期の2年はどうし、どこに我々は課題の中心をおくべきか。先ほど局長は、計画をきちんとつくるところまでが仕事だとおっしゃったと。そうしたら、その計画をつくって2年後、5年後の目標値にどうやって近づけるかというためには、5番の話がなければならない、避けて通れない課題だと思いますから、是非次回には、そこを含めた素案を出していただきたいということを私の方からもお願いしたいと思います。
○門田会長 これは最初から、この平成24年度の予算案を早い時期に概算要求枠として出さなければならない。しかし、一方では基本計画がないということで、皆さんと一緒にディスカッションはしてきたと思うんですね。これは非常に難しいパズルを解く、解けないパズルを解けと言われているようなことになるわけで、今、詰まって、ある程度の5年間の計画としての方向性が見えてきているけれども、今あるのは24年度の予算だけ。これからあとどういうふうにやっていくかということは我々に課された大きなテーマであるわけですから、基本的にはある程度の考え方に基づいてこの計画の中にどう組み込んでいくかということをやっていくべきだと思います。今おっしゃっていただいた意見はごもっともな御意見をいただいたと思うのですけれども、それは十分考慮していただいて、次回、ある程度わかるようにしていただくということで仕方がないのかなと私は思っておりましたが、それでよろしいですか。
○外山健康局長 がん対策基本計画を閣議決定で政府が定めるわけでありますけれども、法律で、「政府は、がん対策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない」と書いてありますから、内閣が閣議で連帯して責任を負ってやるわけですので、そこに書いてあることは、必ず手形を落とさなければいけない。そういった意味で、私どもとしては、次回出す計画というものは、当然、その第5が含まれたものだと認識しておるわけです。
 ですから、逆なことを言いますと、私の立場としては、やはり絵にかいたもちにしないように、できる限り簡潔な、わかりやすい、それで実効性のある計画にするために今の、失礼ですけれども、資料6でいろいろなことが書いてありますけれども、できれば、それをもう少し、先ほど申し上げましたような柱立ての形
にして御提案したいと思っています。
○門田会長 そういうことでよろしゅうございますか。
 それでは、20分超過になりましたが、これで本日の第30回の協議会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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