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2011年11月18日 第9回チーム医療推進会議 議事録

医政局医事課

○日時

平成23年11月18日(金)


○場所

厚生労働省専用第23会議室(19階)


○議題

○チーム医療推進方策検討ワーキンググループの進捗状況について
○チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループの検討状況について
○その他

○議事

○永井座長 定刻になりましたので、「第9回チーム医療推進会議」を開催させていただきます。委員の皆様方には、ご多忙のところ、ご参集いただきましてありがとうございます。
 それでは、事務局から、委員の出席状況と資料の確認をお願いいたします。
○石井補佐(事務局) おはようございます。まず、委員の出欠状況について、ご報告させていただきます。本日は、北村委員からご欠席との連絡をいただいております。
 なお、議題1に関連いたしまして、北村委員の代理として、日本放射線技師会の副会長の井戸参考人にお越しいただいております。
 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。お手元の資料ですが、議事次第、座席表、開催要綱、それから資料1「診療放射線技師の業務範囲について」、資料2「看護師特定能力認証制度の骨子(案)」、資料3「第17回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 委員の主なご意見」、参考資料1として、第17回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ提示資料、参考資料2として、「特定看護師(仮称)問題について」ということで、藤川委員からご提出いただきました資料についてまとめてございます。それから、追加で机上には新たに1枚ものを「意見書」という形で置かせていただいております。資料の不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
 カメラの頭どりをしている方がいらっしゃいましたら都合で終了とさせていただきます。
 それでは、以降の進行につきまして、座長の永井先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 まず、議題1に挙げられております「チーム医療推進方策検討ワーキンググループの検討状況について」事務局よりご報告お願いします。
○石井補佐 資料1「診療放射線技師の業務範囲について」をご覧ください。本日ご報告させていただきますのは、診療放射線技師の業務範囲について、チーム医療推進方策検討ワーキンググループ等におきまして検討を行いました結果を踏まえて、事務局におきまして案を作成しましたので、ご検討いただければと考えております。
 初めにお開きいただいた表紙に2つの項目が書いてございます。1つ目としては「診療放射線技師が実施する検査に関連した業務の追加について」、2つ目として「放射線同位元素を用いた検査(RI検査)の追加について」、この2点について説明させていただきます。資料の右下の所に頁番号が振ってありますので、こちらの頁数で説明させていただきます。
 1頁目です。「チーム医療推進方策検討ワーキンググループ」におきまして、これは診療放射線技師の原口委員からご意見がございまして、診療放射線技師の業務の実態調査というものを行ったところ、現行の診療放射線技師の法律に書かれている業務と少し離れているようなグレーの業務を一定程度、診療放射線技師がやっているという実態のご報告をいただいております。それに対して、今年の5月に行われましたチーム医療推進方策検討ワーキンググループにおきまして、これについては、事務局からよく論点等を整理した上でご相談をしたいということで、お答えをさせていただいています。
 2頁目、「診療放射線技師について(概要)」です。現況につきましては、ご覧のとおりですが、いま現在、法律で規定されております業務には何があるかですが、主に2つございます。1つ目が上の○で、医師・歯科医師の指示を受けて、放射線を人体に対して照射するという行為が挙げられています。もう1つが、医師・歯科医師の指示を受けて、MRI等を用いた検査、これはMRI以外に超音波、眼底検査といったものを実施するということが業務に挙げられているわけです。
 実際には、この業務に付随した行為について診療放射線技師がやっている項目が数多く見られるということが、3頁以下の日本放射線技師会が実施した調査によって明らかになったというものです。調査の概要につきましては、こちらの表にあるとおりで、それぞれの医療機関において実施されている検査について、ご回答をいただいているものです。
 4頁目をご覧ください。4頁目は、この日本放射線技師会が調査した調査項目において、現在、診療放射線技師の業務として位置づけられているもの以外の、医行為に該当すると考えられる項目を抜き出したものです。
 まず1番目は「X線CT検査・MRI検査」。こちらは特に造影剤を用いた検査を行う場合に発生するものですが、1つ目として、留置針からの造影剤投与、これはすでに医師、看護師によって確保された静脈ルートに造影剤をつなぐという行為ですが、こちらが行われているということ。2つ目としては、その接続した造影剤につきまして、自動注入器というものが現在用いられておりますので、こちらのボタンを押して、造影剤を投与するといったような行為が行われている。3つ目として、造影検査が終了したあとですが、留置針の針を抜くという抜針と、抜いたあとの止血を行うというような行為が医行為に該当するのではないか。
 2番目は「下部消化管検査」です。こちらはいわゆる注腸のバリウムの検査というところで、肛門からカテーテルを入れて、そこから造影剤あるいは空気を注入いたしまして、レントゲン写真を撮るという検査ですが、こちらの検査におきましても、まず1つ目として、必要なネラトンチューブ等のカテーテルを挿入するという行為。2つ目としては、挿入したカテーテルからバリウム、ガストログラフィン等の造影剤ですとか、空気を注入するという行為です。それから、そのカテーテルを挿入する際に、挿入部の触診をするといったようなことが、医行為に該当するのではないかと書いています。
 3つ目は「上部消化管検査」についてです。こちらは通常、被検者の方にバリウムを直接ご自分で飲んでいただいてレントゲンを撮って検査をするといったものは、通常の診療放射線技師の検査の範囲に含まれるかと思いますが、ごく限られた施設ですが、鼻から造影のカテーテルを挿入して、そこから造影剤等を注入するというようなことを行っている所もあるということです。
 それから、いちばん最後に書きました「血管造影検査」です。こちらはあとで具体的な項目が出てまいりますが、医師が血管造影をする際に、必要な所まで医師が操作をしてカテーテルの留置を行う、そのカテーテルから造影剤を注入する際に、自動注入器の操作を技師が行うということが、この医行為の中に入ってくるというようなことです。
 5頁目以降は、実態調査のデータで、それぞれの項目において、どれだけの割合で放射線技師が実施しているかということを、病床規模別に見たものです。
 「X線CT検査」に関しましては、留置針からの造影剤投与については3割以上の医療機関、自動注入器からの造影剤投与におきましてはかなり高い割合で8割近くの医療機関で行われている。留置針の抜針、および止血につきましても、2、3割程度の医療機関では行われているという結果が明らかとなっています。
 6頁目の「MRI検査」につきましても、CTと同様の傾向が見られているというものです。 7頁目が「下部消化管検査」で、カテーテル挿入部の触診、確認でしょうが、こちらについては特に病床規模の小さい医療機関を中心に、一定程度実施されているという実態がわかったところです。
 その下の「上部消化管検査」につきましては、実施している施設が比較的限られているわけですが、造影カテーテルの挿入を行っている所がわずかながらも見られるという結果になっています。
 次の8頁目です。「血管造影検査」におきまして、診療放射線技師が自動注入器を使った造影剤の投与を行っている例がございまして、左側は心臓の血管の冠状動脈の造影、右側が左心室の造影ということでして、比較的侵襲度の低いところにおきましては、相当程度の割合で診療放射線技師が操作を行っているというような結果が得られたというわけです。
 このような実態調査の結果等も踏まえまして、9頁目以降が「業務範囲の見直しの考え方」というところで、チーム医療推進方策検討ワーキンググループ等でお諮りいたしまして、事務局で整理をさせていただいたものです。
 まず1.として「診療放射線技師が実施可能な業務の追加」です。日本放射線技師会が実施した実態調査の結果等を踏まえまして、関係法令を改正して、診療放射線技師が実施し得る検査、CT検査ですとか、下部消化管検査等の実施に伴って必要とされる一定の行為、こちらについては後ほど説明させていただきますが、これは以下「検査関連行為」と呼ばさせていただきますが、こちらにつきまして、診療放射線技師が「診療の補助」として実施することができることとしてはどうか、ということが1つ目の○です。
 2つ目の○については、医師の指示との関係について言及しているところですが、こちらの検査関連行為としては、人体に影響を及ぼしている程度が比較的高いということ、それから、従来の診療放射線技師の業務、これは各種検査の装置の操作とか、あるいは放射線を外部から照射するということですが、こちらと比較いたしますと業務の性質が若干異なるということを踏まえれば、診療放射線技師が、その実施の適否や実施方法に関する判断を行うということは難しいと考えられることから、医師・歯科医師の「具体的な指示」を受けて実施することが適当ではないかということで考えています。
 3つ目の○が、拡大する行為の具体的な内容ですが、ここでは、2つの行為類型を考えています。?「造影剤の血管内投与に関する業務」、?「下部消化管検査に関する業務」ということで考えています。上部消化管検査につきましては、調査結果においても実施している施設が限られているということ、それから上部消化管検査は、カテーテル挿入して実施するということになりますと、正確なカテーテルの挿入といったところでかなり技術的に難易度も高いということで、こちらについては追加の教育等を行う場合にあっても、かなり膨大なものになるであろうということから、検討の結果、今回は含めなくていいのではないかということで、この2つを考えています。
 ?「造影剤の血管内投与に関する業務」ですが、主に2つございまして、(?)投与に関する部分、(?)造影剤検査終了後の抜針と止血ということです。(?)ですが、CT検査、MRI検査等において医師又は看護師により確保された静脈路又は動脈路に造影剤を接続すること、および造影剤自動注入器の操作を行うことを考えています。(?)の、造影剤投与終了後の静脈路の抜針及び止血を行うことについては、CT、MRI等の造影検査を行った際の静脈路の抜針、止血を行うということで、動脈路につきましては、当然、医師が操作をするということですので含んでいないというものです。
 ?「下部消化管検査に関する業務」は2つあります。まず(?)は、下部消化管検査に際して、カテーテル挿入部(肛門)を確認の上、肛門よりカテーテルを挿入すること。こちらにつきましては、当然この検査は医師がオーダーするわけですが、医師が事前に肛門部の狭窄等がないか、触診等で確認を行うことが前提になろうかと思います。(?)は、肛門より挿入したカテーテルより、造影剤及び空気の注入を行うということを新たな業務として追加してはどうかというものです。
 続きまして、10頁をご覧ください。業務範囲の拡大に伴いまして、2.「教育内容の見直し」ということでまとめています。1つ目の○です。現在の診療放射線技師の基礎教育は、各種検査装置の操作等を適切に実施することができる能力を習得すること、あるいは放射線の照射に関することを念頭において行われておりまして、検査関連行為を安全かつ適切に行うために必要な教育内容、ここでは臨床解剖学、病態生理学、臨床薬理学等を書いていますが、一部すでに実施されている項目もありますが、今回追加する項目を実施するためには、さらに追加しなければいけない教育内容の項目もございますので、こういった項目等を盛り込む必要があると考えられます。
 それから2つ目ですが、関係法令・通知等で教育内容を規定していますので、こちらの改正を行いまして、検査関連行為を安全かつ適切に行うために必要な教育内容を、現行の教育内容に配慮しつつ追加するとともに、学校や養成所において整備すべき機械器具・標本・模型等を追加することとしてはどうかというものです。
 それから3.「その他」です。既に資格を取得されている方につきましては、医療現場において検査関連行為を実施する際には、医療機関や職能団体等が実施する教育・研修を受けるように促す必要があるのではないかと考えております。ここまでが1つ目の項目です。
 11頁からは2つ目の項目で、「放射性同位元素を用いた検査(RI検査)について」です。こちらにつきましては、今回、この診療放射線技師の業務範囲の整理をしている中で、ひとつ放射性同位元素を用いた検査につきまして、位置づけが明確にされていないという行為があったため、事務局のほうで整理をさせていただいたものです。
 まず「現状」です。RI検査について概要を簡単にご説明させていただきますが、放射性同位元素を投与して、身体から放出される微量な放射線を検出器で計測し、体内の薬剤分布を画像化、数値化して診断情報を得る検査です。シンチレーションカメラですとか、PET装置を用いて行われるわけです。放射性同位元素を投与したあとに、こちらの画像を撮影するという行為につきまして、現在は明確な法律上の位置づけがないということで、今回の問題意識を持ったというものです。
 12頁をご覧ください。(2)「診療放射線技師法上の取扱い」です。先ほども申し上げましたように、診療放射線技師の業務範囲については、?放射線を人体の外から照射をするということと、?政令で定める3つの装置、MRI装置、超音波、眼底写真撮影装置を用いた検査を実施するということで定められておりますので、まず放射性同位元素を投与いたしまして、ガンマカメラ等を操作するという検査につきましては、法律上の位置づけはなされていないということになっています。ただ実際には、13頁の実態調査のデータを見ていただければ明らかのように、実際の検査の実施に当たっては、ほとんどの医療機関で診療放射線技師が実施しているのが現状となっているわけです。
 そこで最後の14頁目、「業務範囲の見直しの考え方(事務局案)」ですが、RI検査における放射性同位元素投与後の撮影について、実態としては、診療放射線技師が実施しているが、法的に業務として明確に位置づけられていないため、安全性・品質管理上の課題があるということです。「対応案」といたしましては、診療放射線技師の業務範囲の見直しを検討しているところですが、RI検査につきましても、診療放射線技師の業務範囲として位置づけてはどうか。具体的には、参考資料の16頁の点線で囲んだ所に、「政令で定めるものを用いた検査を行う」ということで項目がありますので、こちらに核医学関連の検査の装置について位置づけてはどうかと考えています。
 なお、参考資料の18頁に、現行の「診療放射線技師の教育内容」という所がございまして、こちらの教育内容の中には、専門分野の2つ目に核医学検査技術学として、既に含まれているということで、教育については、現行でも実施されているというものですので、RI検査については、業務として明確に位置づけてはどうかということです。少し長くなりましたが、事務局からの説明は以上です。
○永井座長 ありがとうございます。ただいまのご説明について、ご質問ご意見をお願いいたします。
 「具体的指示の範囲で」とありますけれども、より具体的にはどういうことが具体的指示なのか、あとで包括的指示との違いが問題になると思いますけれども、そこはいかがでしょうか。
○石井補佐 既に診療放射線技師の現行の業務の中で、放射線を照射する際には具体的な指示を受けるということで、資料1の参考の16頁の「業務上の制限」で、点線の囲みの下に「診療放射線技師は、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線を人体に対して照射してはならない」という項目がありまして、これと同程度の具体的性をもって、具体的には、例えば造影剤の投与においてどういった造影剤を使うのかとか、そういった内容について詳細に指示をいただくということになろうかと思います。
○永井座長 医師が全部その場にいなくてもいいと、ある程度わかる指示内容があれば現場に医師がいなくてもいいということでしょうか。
○石井補佐 必ずしも医師の現場での立合いを求めるというものではありません。
○永井座長 ご質問はいかがでしょうか。
○小川委員 11頁で、RI検査についてPET検査が入っているわけですが、14頁の追加機器の候補に、ガンマカメラとSPECT装置で、PETがないというのは何か意味があるのですか。
○石井補佐 これは参考までに載せまして、少し網羅的に各文言について専門の先生方にも現在ご意見を伺いながら検討しておりますので、漏れがないように規定をさせていただこうと考えております。
○小川委員 あともう1点、10頁の「教育内容の見直し」で、こういう侵襲的なものが入ってくれば、教育内容をもちろん追加しなければいけないのですが、これが法令に入ってきたときに、どういう関係法令・通知等の改正が必要なのか教えていただきたいのですが。
○石井補佐 資料1の18、19頁に教育に関する通知と省令が載っていまして、これ以外にも省令等、通知等の別表の中で、こういった器具を備えていなければいけないという内容は、ここでは省略しておりますけれども、こちらの18頁の別表第一はかなり大枠の単位の規定をした部分で、19頁の「指導要領について」という中で、教育目標とかこういったものを更に詳細に規定をしておりますので、こういった内容にさらにそういったものを織り込むとか、あるいは器具等、シミュレーター等必要なものがありましたら、そちらも養成機関において備えておかなければいけない機器として規定をさせていただくという形になろうかと思います。
○大久保委員 いまの説明から、業務として想定していない内容をこれまで行っていたので、安全のために法律改正が必要だと理解したのですが、法律改正が必要なのでしょうか。
○石井補佐 資料1の15、16頁をご覧いただくと、現行法の診療放射線技師の業務が法律でどのように規定されているかというと、15頁の第2条の定義の2項の、放射線を人体に対して照射する業務、それから16頁の画像診断装置を用いた検査の業務、この2つが規定されているわけでありまして、放射線を外部から照射をするという行為と、政令で定められた超音波とMRIと眼底検査装置を使って検査を行うという業務が定められておりますので、診療の補助的に造影剤を投与する行為を新たに追加をするということであれば、現在の法律に規定されているものの延長線上での解釈等でお示しをするのはなかなか難しいのではないかと考えております。
○藤川委員 9頁の「業務範囲の見直しの考え方」の、1番の3つ目の○の、拡大する業務の行為についてということで、その上の行に書いてありますが、具体的な医師の指示を受けて実施するのが適当ではないかと。もちろんそう思いますが、造影剤検査をするときのいちばんのポイントは、いわゆる静止画像とか写真ではなくて、やはりダイナミックに見られることですから、そこの現場に医師がいないことは普通あり得ないと思います。可能な限りそこで画像を見て診断能力を上げることが1つと、もう1つはそういう造影剤によるショックとかもありますので、それに対する態勢も取っておかなくてはいけませんので、その現場に医師がいないということはあり得ないと思いますので、原則、医師の具体的指示に基づいて、緊急事態が発生したときには安全管理ができることと、診断能力を上げるために造影剤を使うわけですから、その動態的な動きを見て診断する。もちろんそれを録画して、あとで見ることはできるのですが、カンファランスとか別の医師が見るときにはもちろん記憶させておかなくてはいけないのですが、そのときの画像というのは、そこに医師がいることは、処置をする上での二重のメリットがあると思うのです。医師がいれば当然、具体的指示になりますので、別に包括的指示でいいの悪いのという問題ではなくなるのではないでしょうか。
○永井座長 実態はどうなのですか。現場にそこまで医師が立ち合っているのかどうか、いままでの調査ではどのくらい医師がその撮影現場にいるのかということですが。
○井戸参考人 具体的に血管造影の場合は、当然、先生方がやられますのでいらっしゃいます。ただ、CTの場合は現在日本国内に1万台以上のCTが存在しておりまして、放射線科医の先生はごくわずかですので、本当に立ち合っていただけるかとなると、臨床の主治医の先生が立ち合うことになるかと思いますけれど、実際は臨床の主治医の先生はお忙しいので、ほとんどが約束のような、例えばタイミングも何秒後、何秒後という形のタイミングで指示を受けてやると。主治医の先生の指示は病態によってその都度変わってきます。そういうことで、実際にCTとMRの場合はそこに主治医の先生がお見えになる確率は、放射線科医が常勤の施設でも少ないというのが現状だと思います。
○堺委員 どこの病院かどうかわかりませんけれど、いま藤川委員がおっしゃったように、実態はほとんどの病院では、アレルギー反応が起こるのでそういう体制は整備しているので、そういう取決めがあると思うのです。これを認めることになれば、安全上の確保をするとか、入れていただいて、それに対する担保がないとなかなか難しいのかもしれません。
○有賀委員 一連の話の延長線ですが、これだけたくさんのMRやCTにしても造影剤を使っている。場合によっては下部消化管からもというようなことになっているという実態は、おそらく昭和26年のころの、つまり16頁の「医師又は歯科医師の具体的な指示を受けなければ」云々と、そういう意味での具体的な指示というよりも、むしろ最近の病院の言葉でいうとクリティカルパスとかクリニカルパスとか、予めのプロトコールというか、そういうものがある程度決まっていて、それに従って仕事が流れていく。ある日あるとき、先生が言うみたいに、ちょっとおかしいねというような話は、造影剤を入れたとき5分後、15分後とかのチェックもいろいろな病院ではこれもまたプロトコールで決まっていると思いますが、こうなったらすぐに医師を呼べというような場合、または医師を呼べというよりもっとスピートアップして蘇生の部隊を呼べと、コードブルーと言いますけれども、それをやるとか、そのような決めごとがある程度決まっているという形で行われているに違いないのです。
 具体的な指示というのと、いま座長が包括的な指示とおっしゃいましたけれども、具体的な指示の予めの形を決めた、そういう意味では包括的な指示と似たような形になっているというように見るのが私は自然ではないかと思います。
○永井座長 つまり医師の立合いを必要条件とするかどうかのところを、よく詰めておいたほうがいいだろうということです。
○藤川委員 そのことは私も現場は知っていますけれども、先生たちみたいに大きい病院で救急体制が万全にできている所と、できていない医療機関で検査をする場合に、CTはいっぱい入っており、大腸の造影も一杯やっているわけですから、そこに医療安全上、医師がそこに同席するのが望ましとか、ねばならないではなくても、それ以外は医療安全体制を完璧に準備しておくというような。それは国の立場としては、もし法律に書くのであれば、それは書いておかないと、いなくていいということでやったら事故が起こったということではいけませんので、その辺は包括的指示、具体的指示でポンッと切るのではなく、そこはどうしてもグレーゾーンが残るのです。例えばMRIやCTの条件を医師が具体的に出せるのかというと、意外と明細は出せません。ただ、実際はどういうところを画像として見たいのかは具体的指示を出すわけですから、そういうところは包括的指示と具体的指示というのは種類の違った意味で指示を出していきますので、そこは明快にクリアカットはできないと思います。
○永井座長 今度、あまり厳しくすると、いまおこなっていることができなくなりますね、そこをどう考えるか。現実を踏まえてそこは対応しないといけないと思いますけれども。
○山本信夫委員 大久保委員のおっしゃった、今回の法律の改正は、いままでできなかった機械を使えるようにしようという、操作できる機械を広げる目的と、9頁辺りの行為というのは、いま永井先生がおっしゃったようにガチガチにしてしまえばできなくなってしまうように、具体的にいまは外から放射線を当てるものしか使えない、しかし、中から出てくるものは拾えないからそこは使えるようにしましょうという法改正と、それに伴って発生する行為の範囲をどう決めるかというのは、法という意味で言えば、その位置づけはどのような位置づけになるのでしょうか。両方とも法に書くのですか。それともできる業務範囲としてこのくらいだというのを通知なりをなさるのですか。先ほど大久保委員は、法改正がいるのですかというご質問ですが、その答えがなかったので確認したいのですけれど。
○石井補佐 法改正については、こちらの資料では検査関連業務の形を取っておりますけれども、検査関連業務について、法律上に、診療放射線技師が医師の指示を受けて実施する診療の補助としてできるということで、法律上位置づけをしようと考えているものです。
 それから先ほど来、安全性についていろいろご指摘いただいておりますが、今回この診療放射線技師の業務として位置づける際に、単に資格法の改正で、あとはこの業務をすべて診療放射線技師によろしくという話ではなくて、当然、現在もCTの造影検査においては、診療放射線技師だけではなく、当然、医師の指示も出しますし、あるいは造影剤のルートを看護師が確保している場合であれば、実際に造影剤を投与する際に、投与する場面で静脈等の投与部分を看護師等が直視下で確認をされているようなケースもありますでしょうし、あるいは最近ではCT検査の場所そのものが救急部門と比較的隣接する所に作って、何かあったときにはすぐに応援が来れるような態勢にするですとか、あるいはそのルールを決めておくような形でやられていると認識しておりますので、当然、業務範囲の拡大ということに伴いまして、求められる安全性の確保についての実施体制に関する注意喚起等も、同時にすることができるのではないかというように考えております。
○島崎委員 いまの説明についてよくわからない点があるので質問します。端的にいうと、法律改正が必要なのでしょうか。つまり、診療放射線技師法に関し、資料の12頁にあるように、第24条の2が条文としてあるわけですね。そして、資料の14頁の対応案の2つ目の○に「政令で定めるものを用いた検査」としてあって、診療放射線技師法第20条の2と書いてあるけれど、これは第24条の2とは違う条文があるのでしょうか。この条文を受けて政令で定めれば別に法律改正は必要ないのではないように思うのですが、説明を補足していただければと思います。
○石井補佐 RI検査についてはそうですけれども、9頁のいちばん下の○の?と?の「造影剤の血管内投与に関する業務」と「下部消化管検査に関する業務」については法律の改正が必要だと考えております。
○永井座長 いまの段階はまず枠組みというか、おおよその考え方の議論ですので、具体的にどう書くかはかなり慎重な議論、検討が必要だと思います。あまり厳しく書いて、それが守られていないときに、今度は責任問題ということが起こってきます。ですから条文の書き方は是非よくご検討いただきたいと思います。そういうことで、この業務範囲の拡大について、概ねご了解いただいたということでよろしいでしょうか。
○有賀委員 もう枝葉末節ですけれど、いま藤川先生とニコニコと笑ったのは、16頁の第17条の「次に掲げる装置とする」の3の括弧の中に、「散瞳薬を投与した者の眼底を撮影するためのものを除く。」とあるのですが、これはもう取っ払っていいのではないですか。散瞳薬があろうがなかろうがそんなものは。昭和28年はそういうことが議論になったのかもしれませんけれど。
○永井座長 この点も含めて、今後更にご検討をいただければと思います。診療放射線技師の業務範囲の拡大について、概ね了解をいただいたということでよいでしょうか。
○山本信夫委員 昨日のニュースで、病院の中で注射剤を投与しなさいということで、たまたま投与したら亡くなってしまった例が載っていましたけれども、9頁の「造影剤を接続すること」と、その造影剤を混ぜる者は多分薬剤師なのかつまびらかではありませんが、そういった意味では、医師の方々が立ち会っているということの単純な指示だけでは容易ではないケースもありますので、やはり書くときには十分に慎重な書き方をお願いしたいと思います。
○永井座長 書き方の問題は今後更に検討するということで、考え方については診療放射線技師の業務範囲の拡大について、ご了解いただけますでしょうか。
                  (了承)
○永井座長 ありがとうございます。それでは、議題の2にまいります。「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループの検討状況について」、有賀座長からご報告をいただきます。よろしくお願いします。
○有賀座長 私たちからのものは資料2、資料3がポイントです。その参考資料などは事務局からご説明を追加していただきたいと思いますので、そのときによろしくお願いします。
 実は前回のワーキンググループにおいて、社会の仕組みとしての特定看護師のあり方をどのように位置づけていくか、議論の最終段階というわけではないのですが、認証の制度を社会の仕組みにしていこうということの骨子についての議論をさせていただいたところです。それが資料2「看護師特定能力認証制度骨子(案)」です。いま核になる資料が資料2と資料3と言いましたけれども、資料3が骨子について議論をした第17回目のときの委員の主な意見をまとめたものになります。
 「骨子(案)」について、私から少し説明いたします。医療現場における患者の高齢化、医療の高度化・複雑化、専門的な治療などがあって、なおかつ療養生活の質、これは生活に戻るようなことを含めた専門的なケアを安全かつ効果的に提供するために「チーム医療」が必要だと、これは歴史的にそのような現在に至っているという、チーム医療の歴史的必然性についてです。そのような「チーム医療」の推進に当たって、看護師の役割が重要であると、これも当たり前と言えば当たり前ですが、幅広い医行為(診療の補助)を含む看護業務を実施すること等が求められてきていると。しかし、診療補助についてはいわゆるグレーゾーンがあって、必ずしもどこまでがどうだというようなことについてのコンセンサスは、現場現場においてかなりばらつきがあるので、特定の医行為(以下「特定行為」という。)が診療の補助の範囲に含まれることを明確にするということと、その実施方法を看護師の能力に応じて定めることにより、医療安全を十分に確保しながら、看護業務をより広い範囲に展開していこうということで、保健師助産師看護師法を改正してもいいのではないかという議論です。そういうことの骨子ですので、骨組みということになりますから、中身についてはまた議論を深めていかなければいけないということで、第17回の議論があります。
 骨子の1として、1「特定行為」。「医師又は歯科医師の指示の下、臨床に係る実践的かつ高度な」、これは通常の看護師に比べるとより高度なという意味での理解力、思考力、判断力その他の能力をもって行わなければいけない、そのような行為を保助看法上に位置づけようと。デブリードマンとか、脱水の判断と補正とかをここに書いてあります。
 その次の2「特定行為の実施」として、以下のいずれかの場合において特定行為を実施することができると。1つは、厚生労働大臣から能力の認証を受けた看護師が、ワッペンを付けるとときどき言っていましたが、能力認証の範囲に応じた特定行為について、医師の指示を受けて実施する。
 もう1つは、そういう看護師がいてくださったと仮定して、業務の実施体制そのものが、そのような特定行為をやっても大丈夫だというような体制を組んで、具体的な指示を受けて実施する。これは具体的な指示を受けて実施するというのは、能力の範囲に応じた特定行為について、医師の指示を受けて実施する場合というのが、この前の1頁の下から2行目の包括的指示にありますので、先ほどからいろいろ出ている包括的な指示と具体的な指示。具体的な指示とは、個々に具体的かつ直接的な指示というように理解するのがいいと思いますけれども、文言としては医師の具体的な指示を受けて実施する場合、この2つがあるということです。
 3「厚生労働大臣の認証」は、(1)として、以下の要件を満たす看護師に対して交付する。看護師の免許を持っている、看護師としての実務経験が5年以上あること、指定を受けたカリキュラムを修了している、試験に合格している、こういう話です。いまのところまだ十分に煮詰まっていないのですが、*にある、カリキュラム及び試験の具体的な内容については、医学的な知識を学ぶための大学院修士課程相当(2年間)程度及び8カ月程度の2つの修業期間を勉強した人、これは日本看護協会などが認定看護師をつくるときに、この程度の月日を費やしていることになりますが、2つの修業期間のカリキュラムを念頭に置いていることになります。いまのところ、特定看護師の養成調査試行事業、つまり鶏になるための卵を孵すための勉強のプロセスに関する試行、トライヤルをやっていますので、そういうことも踏まえて引き続き検討をしていかなければいけないということです。
 認証の(2)は、特定能力の認証証、ワッペンの交付を受けた者は、その交付を受けた後も、必要な技能及び知識について研修を受けたり自分で勉強をして、資質の向上を図るように努めなければならない。これは一般的に当たり前と言えば当たり前、医師も看護師も国家試験を通ったその瞬間における水準を超えて日進月歩のことに対応しているようなことがあります。
 4「その他」。(1)試験事務を実施する第三者機関について、3の(1)?の試験の事務を実施する機関をどちらかに指定する、(2)一定の準備期間を設けたい、経過措置も設けなければいけないだろうということです。
 これらの基本的な骨子については、骨子そのものというか、骨組みそのものについては議論してきたことをそのまま制度として作り上げていくことに関しての議論ですので、そういう意味でのことを、直にこの骨子についてどこがいい悪いということはあまり議論にはなりませんでした。要は、議論してきたことの延長線上で、このようなことで制度として、社会の仕組みとしてもっていきたいというワーキンググループの業務でしたので。
 そういう意味では、それはそれとしていいだろうと。ただし、「資料3」にありますように、業務の範囲についてや必要な能力について、太字で書いてあるところでそれぞれ若干の意見がありますので、これは親会においても知っていていただいたほうがいいと思います。1つは主に医師会の先生方から出た、裁判になったような局面において、判例の中で、これらは医師の責任において、医師のみによって行われるべきであるというような絶対的な医行為という言葉があるそうで、相対的医行為である特定行為が明確に書かれること、つまり認証を受けた看護師がこのようなことができますよ、というような議論をするときに、それらが相対的な医行為以外はすべて絶対的医行為と解釈されて現場が混乱すると。つまり、いままでできたことができなくなるなどの話があるのではないかという意見です。これは現場現場においてさまざまな局面が展開するでしょうが、おそらく最初のときの危惧がいつもこのような形ですので、今回もそのような危惧が出たのかと思います。いままでの専門看護師、認定看護師と似たような意見なのかもしれません。
 現在、一般の医行為については施設によって看護師たちの実施する範囲の差が大きい、先ほどバラツキが大きいと言いましたが、そういう意味では、一般の医行為について先に示してしまったほうがやりやすいのではないかと。ここでは松竹梅という言葉を使ったかどうか私は忘れましたけれども、一般の医行為というのは、既に相当程度普通の看護師がもう病院の中でやっているので、それはもうできますよというようなことで、厚生労働省から何らかの通達でもって、いいのではないですかという仕切りをしてもいいのではないか。特定の医行為よりも、それほど難しくはないけれど、やはり病院の中でそれなりのトレーニングを積んで、それでもってこれだけの勉強をしたからやろうね、また、それをやるに当たっての全体としての安全体制などがあればやれるよね、というのが真ん中辺で、特定の医行為というのはかなり難しいだろうと、そういう概念で話が展開してきましたから、一般的な医行為というのは、どちらかというといま言ったいちばんやさしそうな部分について整理をして示すことがあれば、それはそれでいいのではないかと、同時進行で行けという議論であります。
 それから認証を受けた看護師がやる行為なので一般の看護師の業務ではないというようなことがあって、いままでやっていた看護師たちが「嫌だ」ということがあるかもしれないとか。認証を受けていない看護師ではなくて、受けた看護師にやってくれといって、いわば一般のドクターは嫌だ、小児科の先生が絶対出て来いと、ときどきありますが、それっぽいことがあるのではないかという意見もありました。
 特定行為の範囲は医療の発展などによって変化していくと、例えば気管内挿管は結構難しいと言っていますけれど、いま中が外から見えるような道具があるので、それを1回使えばもう誰でもできてしまうようなことがありますので、そういう意味では特定の医行為の範囲が広がる、または特定の医行為だったものがそうでなくなることがありますので、継続的に見直しをやっていかなければいけないだろうということが制度設計の中に入ってなくてはいけないという意見です。
 能力認証を受けた看護師に必要な能力について、先ほど「臨床に係る実践的かつ高度な理解力」云々という骨子の1の特定行為で説明しましたけれども、言葉の問題として、看護師たちはそういうことをやっていると、だから別の表現があってもいいのではないかと。これは場合によっては言葉として手練手管の世界なのかもしれません。
 それから認証を受けていない看護師たちの業務の実施については、先ほど松竹梅の話をしましたけれども、能力認証を受けていない看護師が特定行為を実施する際の業務実施体制についても規定をするという話がありますけれども、そこはバランスの問題があるだろうということになります。現在もそういう一定の安全管理体制の中で医療はどの部分においても展開していますので、ここならどうだ、あそこならどうだというような形での決めごとを縷々決めていくという話には多分ならないだろうという意見です。
 それから能力認証を受けていない看護師が特定行為を含めた業務を実施するに当たって、安全管理体制等の安全に関する取決めがあったほうがむしろ現場としてより守られるというようなことから、縷々決めることについて、やはり決めるほうの側にシフトするような意見も出たということです。ここら辺はやはり現場によってかなり景色が違ってくる可能性がありますので、あまり細かなことまで決められないのではないかと想像はします。
 「その他」ですが、現在、医療現場で活躍している専門看護師及び認定看護師が、能力認証を受けるための措置等、道筋があっていいのではないか。これはいま現在、専門看護師や認定看護師になっていて、少し一般の看護師たちよりもその分野において造詣が深いというような方たちに、その分野における診療の補助について踏み込んでもらいたいという現場での意見がありますので、それについての措置というか、プラスアルファーで何とかならないかということです。
 保助看法の改正により、看護師だけが行為の明確化と業務拡大を行うというような話で事務局から説明があったのですが、他職種についてもやはり同じようなことがあり得るわけです。つまりチーム医療という形で全体を議論する中で、私たちのワーキンググループは特に看護師についての話に焦点があったわけですので、それはそれで保助看法でいいといえばいいのでしょうが、これは法律のことなので私たち医療職はナースも含めてわかりませんが、むしろ医療法を改正して、他職種も含んだ安全管理体制などを規定するとともに行為を明確化するという方法論もあっていいのではないかという意見もありました。
 いちばんのポイントはこれかもしれません。他職種や国民に広く理解が得られるように、もう少し時間をかけて検討すべきではないかです。これは税と社会保障の一体改革というようなことで、事務局から少しタイムスケジュール的な話が、私たちワーキンググループから見れば降ってきたと、これは天孫降臨のように降りてきたと言ったほうがいいのでしょうか。議長としても、別に鈍行列車を運転していたわけではもちろんないのですが、準急行ぐらいで走っているときに特別快速になれというような心理的なプレッシャーというようなことは感じないわけではなかったので、十分に時間をかけて検討してもいいのではないかという議論があります。ただ、骨子ですので、骨子であればそれはそれとしてという意見もあります。ワーキンググループとしてはそのようなことだと思います。
 看護師の業務範囲の明確化、拡大という点で異論はないと、十分に時間をかけて議論をされてきている。制度の大枠について、骨子については合意されているし、議論を前に進めないと、やはり現場においてこういう議論が勝手に起こったわけではなくて、現場から起こっているわけですから、その現場を鑑みれば、やはり要請についてはなるべく早くやろうと、遅すぎてはいけないという意見もあります。途中から列車を早く運転するようなことになったというのは、社会の動きによってそうなっているのだということになるのでしょうし、社会の動きの中に私たちの仕事もありますので、その辺のバランスについては、また親会の中での議論も待ちたいと思います。一応、私の心づもりとしては資料2、3を説明させていただいたところでありますが、参考資料1を使って、少し事務局からプラスアルファでよろしくお願いしたいと思います。
○永井座長 事務局からご説明をお願いします。
○島田看護サービス推進官 参考資料1をごく簡単に説明させていただきます。こちらは第17回看護業務検討ワーキンググループでもお示しした資料です。1頁ですが、「看護師が実施している医療処置の例」ということで、平成22年度の厚生科学研究で行った看護業務実態調査の結果から抽出したものを表にまとめております。同じ調査項目を用いて、日本医師会のほうでも調査された結果がワーキンググループ、そして推進会議のほうにも提示されましたので、そちらと併せてこの医療処置の例をお示しした資料です。
 2頁ですが、今回の制度、骨子では、特定行為についてを規定するというところで1番目にありましたが、その「特定行為について(基本的な考え方)のイメージ」をお示しした図です。
 3頁ですが、特定行為を実施する際に、能力認証の有無により業務の実施方法が異なることを、骨子として示しております。その能力認証を受けた看護師と能力認証を受けていない看護師が業務を実施する際のイメージを示したものが3頁です。
 4頁ですが、その行為の実施方法について、指示のあり方にも差があるというところでお示しておりますので、包括的指示についての例を示しているところです。4頁の上の囲みの所では、「(包括的)指示」が成立する要件についてをお示ししており、その下に包括的指示の例をお示ししているものです。
 5頁ですが、能力認証のない看護師が特定行為を実施する場合に、安全体制を組織に整えていただくことを骨子にお示ししておりますが、その際どういった内容を体制として整えていただくかということを例として、イメージとしてお示しした資料です。
 6頁ですが、能力認証を受けるために、一定の指定を受けたカリキュラムを修了していただくことを要件としておりますが、カリキュラムの内容をワーキンググループでも何回かお示ししておりますが、それをさらに具体的な内容までもイメージとしてお示しした資料となっております。
 7頁ですが、これも引き続きご議論いただく部分になりますが、2年間程度のカリキュラム、それから8カ月程度のカリキュラムを念頭に置いて、今後、議論を進めていただくということで、それぞれのイメージを例としてお示ししたものです。
 8頁ですが、能力認証を受けた看護師と、日本看護協会が制度を持っております専門看護師、認定看護師との差はどのようなものがあるかということが、ワーキンググループでもご質問がありましたので、それぞれの概要についてお示しした資料を8頁、9頁にお示ししております。
 10頁ですが、これまでも看護師の診療の補助の範囲、業務範囲について、厚生労働省の医政局長通知という形でお示ししてきているところですが、その通知をお示しする際の基本的な考え方と、これまでお出ししております通知の例をお示しした資料です。簡単ですが、以上です。
○永井座長 これからご意見をいただきますが、論戦に入る前に、ちょっと論点整理をしておいたほうがよろしいと思います。前回、島崎委員からも論点整理せよということでした。私なりにも考えてみたのですが、今日は国家資格の問題が出ていますが、いきなり国家資格の問題を論ずると、いろいろな問題が噴出してくると思います。実際この問題は、背景から今後の方策、将来予測まで含めて、いろいろな問題が入っていますので、どこが皆さんの共通認識があって、どこはまだ一致していないのかということを明確にする必要があるのではないかと思うのです。
 まず、背景、あるいは現状の認識として、現在、看護師が行っている行為の中に、医行為に近い、あるいは医行為そのもののグレーゾーンが存在しているというところは、よろしいですね。それは参考資料1のアンケートで見ても、確かにカテーテルの挿入とか動脈穿刺というのは、おそらく局長通知の範囲を超えているのではないかと思うのですが、そういうものがあることは事実です。しかしこれはいけないとか、やめるべきとかいうのではなくて、そうした実態があるというところはよいですね。この実態を厚生労働省はどのように考えているのですか。動脈穿刺などは、局長通知でそんなことは聞いたことがないという人もいると思うのですけれども。
○石井補佐 あくまでも調査で聞いた限りですので、具体的な状況等、個別の状況を見ていないと、類型的に判断するのは非常に難しいこととは考えております。ケース・バイ・ケースだと考えています。
○永井座長 ですが、やはりこれはある意味ではグレーゾーンということになると思います。だから、少なくともグレーゾーンはあるということです。また、いままでの議論の中でも、現状のことはなるべく混乱を起こしてほしくないという意見が大勢だったと思います。端的に、あまり局長通知でがちがちに現場が動く、あるいは「もうやめなさい」などという通知が出てはもっと困るというところだと思います。これもよろしいですね。何とかしようというところですね。それから、数字を見れば、そういう行為があるということと、必ずしも100%ではない、普及しているわけでもない、一部にそういうグレーゾーンがあるということがわかります。こういうのが背景にあって、何とかしようというところはよろしいですね。ここは共通認識として。
 問題は方策のところです。国家資格の話は別にして、もしグレーゾーンがあって、必ずしも普及はしていない、でも、あまり現場に混乱を起こさずに中止などということにならないようにしてほしいということであれば、何らかの教育とか研修は必要であるということになります。現場での教育を含めて、何かの教育は必要であると。ここもよろしいですね。いまのままはあまりよくないのではないかというところですね。ですから、教育・研修とか、誰が認証するかは別として、何か認証というか、試験ぐらいはしてもよいだろうということです。その辺は大体皆さん、認識としてよろしいですね。
 そこにまた戻ってしまうと、話がややこしくなりますから、そこまでは共通認識としておきます。今日の問題は、それを国家資格にするのか、あるいは一部の委員は、もうちょっと現場での教育でもよいのではないかという意見もおありだと思うのですが、国家資格かどうかという問題と、さらに具体的に言えば、教育をどうするのかとか、包括的指示というのは、いったいどういうものなのか、今日の説明でよいのかどうか、そういう近いところの方策をどうするかということと、将来予測として国家資格とすることのメリットとデメリットは、議論しないといけないですね。もう一方で、国家資格としないことのメリットとデメリット、こういうところがたぶん論点になると思います。大体そういうことでよろしいですか。今日は特に国家資格の問題がありますが、背景、教育の必要性、そういうことは一応、前提として、ご議論いただきたい。島崎先生、そんな整理でよろしいですか。
○島崎委員 結構です。非常にきれいな整理の仕方だと思います。
○永井座長 いよいよ論戦の火蓋を切ります。どうぞご自由に発言ください。
○半田委員 チーム医療をどう推進するかという中で、リハ職として我々はチーム医療ということで、1年生のときからずっと教育されております。その中で、いま障害になっているのは指示の問題で、具体的指示と包括的指示、資料2のいちばん下の括弧内を見てみると、包括的指示というのは、看護師にするものだけが包括的指示と明記されているのです。ここには文章で医師が看護師にするのが包括的指示だと書かれているわけです。そうすると、我々リハ職への指示というのは、ほとんどが具体性がないのです。
○永井座長 どの頁ですか。
○半田委員 資料2の1頁のいちばん下です。
○永井座長 これは看護師について、いま。
○半田委員 包括的指示で、ある程度具体的な中身を括弧の中で書かれているわけです。そうすると、看護師にするのだったら、「医師による看護師の」というのがあれば、それはそれでいいと思うのですが、包括的指示の解釈として看護師になっているわけですね。これはそのように解釈してよろしいのですか。包括的指示というのは、ドクターが看護師になすべきものであって、他の職種にはないのか。
○永井座長 そういうことはないのですね。これは看護師についてということですね。
○島田看護サービス推進官 この資料2の骨子は、まさに看護師の特定能力認証制度に関するものですので、あくまでもここで指示についての説明としては、医師が診療の補助を行う看護師に対する指示のあり様ということで、限定的にご説明を差し上げているものなので、特段、「医師が看護師に対して出すもののみを包括的指示という」という意味でお示ししているものではありません。
○永井座長 だから、「この場合には」と書いてありますから、そのように理解いただければと思います。
○半田委員 そうすると、この「看護師に」というのを取り除いたところが包括的指示の解釈と考えてよろしいですか。「医師が患者の病態の変化を予測し、その範囲内で実施すべき行為をプロトコールを用いる等により事前に指示すること」が包括的指示の定義というとちょっと大げさですが、考え方としては。
○永井座長 一般的な定義ということ。ここは特定の看護師について書いてありますが、一般的に包括的指示を定義すればという話ですね。それは事務局、よろしいですか。一般論として。
○石井補佐 そのとおりで結構だと思います。なお、理学療法士に関しては、「理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に理学療法を行うことを業とする者をいう」というように法律でも規定されておりますし、実際のリハビリのオーダーに当たっては、実施計画書等もあるでしょうけれども、そこも事前に予測される範囲の予想等も含まれておりますので、現場でも実際に包括的指示が活用されているのではないかと思いますが、それも含めてということでよろしいかと思います。
○藤川委員 お手元の資料を2つ出しておりますので、簡単に説明したいと思います。日本医師会としての特定看護師(仮称)の問題についての考え方ですが、チーム医療の推進は、国民がより安全で質の高い医療を受けられるよう、全ての医療関係職種が質の向上に取り組み、連携・協働していくことであると認識しております。しかし、現在、議論となっている特定看護師(仮称)問題は、「チーム医療の推進」とは名ばかりで、医師不足を補うために看護師に医師の代わりをさせたいという一部の医師と、「看護の自律、キャリアアップ」のために特定看護師(仮称)が必要であると主張する一部の看護師に端を発するものである。現在、医療現場では、医療安全を高めるために、医療機関全体で様々な取組みを行っているところであります。チーム医療をさらに進めることは重要であるが、業務範囲の拡大によって、医療安全が損なわれることがあっては本末転倒であります。そのことを十分肝に銘じて、慎重に議論をすべきであるという立場です。
 現在、「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」(平成22年度開始)及び「特定看護師(仮称)業務試行事業」(平成23年度開始)が行われております。これらの事業は、「特定行為」とは何かを大学院等がそれぞれ考え、自らが決めた内容を教育し、国として何ら担保することなく、現場で実践することを認めるというものであります。2年間教育を受けた者はまだ存在しておらず、進行中の事業であります。したがって、まず、この試行事業の結果について、きちんと検証を行い、その結果を踏まえて、必要かどうかをじっくり議論していくのが筋であろうと考えております。
 11月7日の看護業務検討ワーキンググループに、先ほどご報告がありましたが、「看護師特定能力認証制度骨子案」が示されたが、厚生労働省は十分な議論を経ないままに、保健師助産師看護師法の改正に向けて、12月の社会保障審議会医療部会に諮ろうとしております。関係者や国民の合意なきままに、社会保障・税一体改革ありきで法制化を急ぐことは許されない。特定看護師(仮称)の創設は、国民の生命にかかわる重大な問題であり、社会保障・税一体改革とは一線を画し、時間をかけて慎重に検討することを求める。
 あとは詳しい内容ですが、ポイントだけ説明しておきます。「特定看護師(仮称)制度の問題点」について。1、国民や患者が望む制度なのか。いわゆる医療現場から出てきたことであり、国民や患者がこの制度のことはまず全く理解していないということ。2、侵襲性の高い医行為及び難しい判断を伴う医行為は医師が行うべきである。3、「ミニ医師」ではなく、看護師にしかできない業務を究めるべきであろう。
 4、看護師が安全に実施可能な診療の補助行為の整理が大切であろう。平成14年の静脈注射、あの診療の補助等の通知等にあるように、いま現在やられている前原レポートと日本医師会のレポートのパーセンテージの問題は、現場による医師の裁量権によって、同じ行為であっても、この看護師にはできない、この看護師にはできるということを判断しているわけです。それから、そこの医療機関における必要度によって、パーセンテージも変わってくるわけです。どんな同じ医療行為であっても、この病院ではやっていないではないか。いや、必要がないからやっていないので、ゼロになっている場合もあります。しかし、必要な、いわゆるどの病院でもやるようなものは8割、9割に上がってくるわけです。なおかつ、その差がどうして出るかというと、やはり看護師の能力の差と医師の裁量権の差があるのです。当然、パーセンテージは異なってくると。そういうところの、いわゆる一般の看護師ができる範囲というものを、きちんと医療安全を担保した上で整理をする必要があるだろう。そのことはアンケートを取った実態調査だけで、その安全性を担保した議論はワーキングでもまだ具体的にされていないし、親会議にもまだ上がってきていないということです。
 5、看護職以外の医療関係職との関係について。多職種がそれぞれの専門性を持って業務に従事している医療現場において、医師ではなく特定看護師(仮称)が他の医療関係職種に指示を出すことに仮になれば、かえってチーム医療を損なうことになりかねない。特定看護師(仮称)の創設が、チーム医療の連携・協働に障害を与えることを危惧する。
 6、具体的指示と包括的指示。先ほど問題になりましたが、医師の指示の内容は、患者の容体、診療の補助の内容、指示を出す看護師の業務経験等に応じて、個々の医師の裁量権で決めるものである。これは患者さんの安全性の立場からです。「包括的指示」、「具体的指示」として明確に規定されるものではない。現場ではオーダーメードで、患者さんに合った、薬の量にしても、処置にしても、具体的指示でほとんどいっているというのが事実であります。先ほどプロトコールとか、いわゆるクリニカルパスのことを言われましたが、それはやはり医療レベルを第3次病院から第2次病院、第2次病院から有床診療所、クリニックに、患者さんが社会に下りてくるときに、可能な限り不安感を持たれないように、第3次医療でやっていることの継続の医療がきちんとできる、医療の質を担保するように、ああいうクリニカルパスなどを作っているのです。それは大まかな包括的指示ですが、実際は下りてきたからといって、そのとおりにできない場合があります。個々の患者の状態によって、改めてそこの医療機関の医師の裁量権によって、具体的指示をコメディカルに出しているというのが現状ですので、その辺は理解しておかなくてはいけないかと思います。
 7、「法制化による影響について」ということで書いておりますが、最後の所です。一般の看護師が安全に実施できる行為を整理する必要があるが、網羅的に規定することは不可能であり、結局グレーゾーンは存在し続ける。これはやはり医師の裁量権がどうしても必要になるということです。それは必ずしも否定されるべきことではない。安全性の担保は法律で規定すれば済む問題ではなく、現場の判断によるところがやはり大きいだろう。いままで医師、看護師、患者の信頼関係の中で、個別具体的に対応してきたことに机上の空論で現場に法律で枠をはめても、安全性の担保にはならない。「一般の医行為」と「特定行為」(それが必要かどうかも含めて)について、詳細に議論することなく、来年の通常国会で特定看護師(仮称)制度の大枠だけでも法制化をしようと性急に進めるのは、とにかく制度を創設すればいいという考えでしかない。さまざまな問題が懸念される制度であるにもかかわらず、「急がなければならない」のであれば、その理由は明らかに国民にすべきであろう。
 もう1枚のほうは、関係団体、コメディカルの方々とも議論をしましたが、やはり意見書としてまとめたほうがいいだろうということで、特定看護師(仮称)制度について、12月の社会保障審議会医療部会に諮ることは時期尚早であり、反対である。現在、「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」及び「特定看護師(仮称)業務試行事業」が行われており、これらの試行業務について、きちんと検証し、その結果を踏まえて、必要であるかどうかも含めて、じっくり議論していくべきである。チーム医療推進会議での十分な議論を経ず、医療関係者や国民の合意なきままに、法制化を急ぐことには問題があります。国民の生命にかかわる重大な問題であり、引き続き時間をかけて、チーム医療全体のあるべき姿について、慎重に検討していただくことを強く求めますと、座長の永井先生宛に、こういう構成員で出させていただきました。以上です。
○永井座長 ありがとうございました。ほかにご意見はありますでしょうか。
○山本信夫委員 いま意見書を出しました構成員の1人として、発言をさせていただきます。先ほど座長がまとめられた国家資格の問題と教育の問題は、私もあのまとめ方は極めてクリアであって、わかりやすいまとめ方だと思います。ただ、その中で多職種との連携とか、多職種にもそうしたことがあるという点について、まだまだ十分な議論がされていないということが私どもの疑問であります。先ほど有賀先生が、「ここは看護の話だからそうだよね」というのは、それはよく理解できますが、卵がどう育ったのか、鶏になると思ったら鷲になってしまったりするようなことがないことが望まれるわけで、卵をきちんと確認した上で前へ進めていきたいという思いがします。
 私もチーム医療を進める上では今回の議論は大賛成でありますし、そもそもこの議論のスタートが当初、医師と看護師という話をより幅を広げて、チームの中で多職種が連携をして補完し、安全な医療を提供しようというのが当初の目的でスタートし、それを具体的に進めていくのがこの委員会というように理解をしております。そういった意味で言えば、各職種で重なり合う部分がたくさんあるだろう。今日の前半の議論でありました、臨床放射線技師の方々の業務の範囲も、やはりいままで看護師がやられたのか、医師がやられたのか、具体的に法的に決まっていないけれども、行為としてあったということを整理し、進めていこうということですから、いささかそういう点からしますと、看護だけに特化した区分けといいましょうか、業務分担をして、そのことを法制化する、あるいは国家資格にするということは、同時に働く者としては極めて拙速な感じがして、なかなか容易に賛成はできない。
○永井座長 先生、それは順番で、いまはということですから、一緒に議論しないでいただきたい。
○山本信夫委員 それはよくわかります。ただ、出しました意見書はそういう形ですので、それに乗ってお話すれば、そういった意味で言えば、まさに多職種の議論をすることなしにいくのはいかがなものか。そうした意味では、重なる部分の例えば在宅でも病棟でも、輸液へセットしてほしいとか、あるいは現場で、場合によっては先ほどの放射線の注入もあるかもしれない。そうしたことが現に起こる可能性がありますし、薬剤師、あるいは他の職種も、そうしたことは可能でありますから、どの範囲ができるか。私どもは昨年の4月30日の通知を受けて、これまでやってはいけないと言われていたことが、かなり幅広に業務ができることになっていますので、そうしたことも踏まえて、病院も地域の薬剤師も、それぞれ自分たちの業務を改めて見直す必要がありましょうし、具体的なことを今後、病薬とも協議しながら出していきたい。ただ、何も議論できない、ただ看護だけが進んでしまうというのは、いささか拙速すぎるのではないかという気がいたしますので、その辺りのご検討もよろしくお願いしたいと思います。
○永井座長 先生のご意見は、基本的なことは別として、むしろ多職種も一緒に議論すれば、もっと賛成する部分も多いということなのですか。
○山本信夫委員 チーム医療というのは、お互いにチームを組むわけですから、そのチームを組む相手、医師と看護師だけで終わるというのではないという前提でスタートしたことが、いつの間にか医師と看護師だけの話になっていて、他の職種はどうするかということについては極めて疑問がありまして、そこは同時に議論すべきだろうと思います。
○永井座長 その点について、堺委員どうぞ。
○堺委員 確かにそういう議論はあるのですが、例えば病院の管理職として考えると、前から言っているように、チーム医療というのはもう既にどこの病院でもやられているわけです。ですから、別に看護が特別だとか、例えば薬剤が特別と、そんなことはないので、すべて病院が成り立って、患者さんに良い医療を提供するにはそういうことを考えているのです。いまの発言は、あたかもこれに左右されて、病院の管理者がそういうことを考えていないというご発言なので、そういうことはないと思うので。
○山本信夫委員 申し訳ございません。そこは訂正して、決してないのではなしに、先生のおやりになっているのはよく理解をしております。例えば参考資料1の最初の頁にある項目を見ても、薬を扱う者からしますと、何々の「選択・使用」というのは、まさに医師の範囲だという理解をします。例えば先ほど北村さんがおっしゃったように、包括的指示の話がありましたが、薬剤師のいただく指示は何かというと、処方をし投薬するという医師の医行為を、まさに処方せんの形で包括的にもらうわけですから、その中の行為を考えてみれば、先生がおっしゃったように誰も無視していると思っておりません。ただ、そういう中で仕事をするときに、他業種とのコラボする部分、オーバーラップする部分についての議論が要るのではないかと申し上げていますので、そこは娯解のないようにお願いします。
○永井座長 これは特定看護師が薬剤師に指示するのではないかというご懸念ですね。事務局から、そこをお答えください。
○島田看護サービス推進官 あくまでも今回、骨子でお示ししております特定行為の枠組みについては、いままでの保健師助産師看護師法で看護師の業務独占としております診療の補助の範囲ですので、そこの部分については医師の指示の下に行うということが大前提となっております。その上で、薬剤を使用する場合にも、当然のことながら医師の指示を受け、そして調剤された薬剤に関するものをどう取り扱うかというところで規定することが大前提となっております。
 もう1点、先ほどなぜ看護師だけなのかという発言がありましたが、今回、平成22年3月にまとめた「チーム医療の推進について」という、チーム医療の推進に関する検討会の報告を受けて、引き続いてこの議論の場が設けられているところと認識をしておりますが、その平成22年3月の報告を受けて、厚生労働省医政局長通知という形で、平成22年4月30日に「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」という通知を示させていただいております。その中で、薬剤師についても、薬剤師を積極的に活用することが可能な業務ということで、さまざまな業務について現行制度の下で薬剤師を積極的に活用することが望まれるといったことを、通知でお示ししております。
 さらには、リハビリテーション関係職種についても、例えば喀痰等の吸引についてを、これまでの理学療法や作業療法の延長上に位置づくものという形で、通知で発出して対応しているところです。そして、看護師については、特定看護師(仮称)という枠組みについて、さらに引き続き議論すべきというのが平成22年3月の報告で示されたところですので、引き続きこうした議論の場を設けていただいているところという流れとなっております。
○大久保委員 いかに安全に対応しながら、国民のニーズに応えていくかという視点で発言したいと思います。現在、看護職はいわゆるグレーゾーンの業務を行っておりますが、これは想定されていない業務を行っていると言えると思います。先ほどの放射線技師の業務範囲の話においても、法律の延長線上では理解することが難しいという説明がありましたが、これも一緒のような気がいたします。国民のニーズに応える、安全に応えるためには、法律で業務を明確にして、位置づけをして、そして安全を担保する、この仕組みを作っていくべきだと考えます。いかがでしょうか。
○島崎委員 言われたことについていえば、この検討会は、何もチーム医療が看護だけの問題だということで議論してきたのではありませんし、ほかの分野についても、技術進歩等々に応じて必要な見直しを行っていくというのが当然だろうと思います。今日の午前中の冒頭にあった診療放射線技師法上のRI検査というのは、まさにその1例だと思います。その上で申し上げると、例えば診療放射線技師でいえば、放射線の照射という業務上の行為の範囲が法律上ある程度決まっているわけです。同様に、薬剤師で言えば調剤のように、それぞれの職能や職種に応じて、その範囲は法律で決まっているのです。しかし、看護師に関していうと、そこは「診療の補助」ということになっていて、ほかの職種に比べて法律上の規定は曖昧なのです。そして、医療の現場では看護師がいろいろな行為を行っているわけですが、「診療の補助」の範囲について解釈通知を出するにしても、一般の看護師のレベルに合わせ低いレベルで決めてしまうと、それより高度なことはできなくなってしまう。逆にレベルの高い看護師に合わせ高度なこともOKにしてしまうと、一般の看護師が行うものとしては危くなる。また、その結果、必要な教育・研修は何かということがきちんと特定できないのではないか、そういう議論であったと思うのです。
○永井座長 そこまではよいのですか。それを国家資格で、法律でするというところはどうお考えですか。
○島崎委員 ですから、先ほどから議論になっている、ほかの職種と違うかどうかということに関していうと、看護の場合には「診療の補助」という、そういう漠然とした書き方にしかなっていないから、法律上非常に曖昧な要素が出てくるということを申し上げたいわけです。
○永井座長 法律で決めたほうがよろしいと。
○島崎委員 はい。結論は法律で決めるよりないと思います。
○藤川委員 看護師だけではなくて、すべてのコメディカルが診療の補助ですよ。医師が診断治療をするときに、コメディカルとチーム医療を組んでやるわけですから、それはすべて診療の補助としてPTがリハビリをするし、本来、医師がしたほうがいいのですよ。しかし、それを国家資格を作ってやっているわけだから、看護師は看護師としての診療の補助をやり、薬剤師は薬剤師としてやるわけですよ。だから、新たな国家資格を作る必要は、みんな特殊な技術を持って国家資格でやっている。そうしたら、例えば薬剤師がこういう薬だったら処方していいかということになってくると、医師の裁量権のところに入ってくると、また特定薬剤師、ここまではいいと。特定放射線技師、ここまではいい。そういうことをすべての業種に作ることはあり得ないことですよ。
○永井座長 その件は、前に検討会で議論して、ほかの職種はかなり明確に書いてあるのです。保助看法だけが非常に曖昧に書いてあるというところが問題の発端だということなのです。
○堺委員 藤川先生がよくおっしゃるのですが、例えばリハビリもすべて医師がやればいいというのは、そんなことはないと思うのです。これだけ進歩して多岐にわたっているところ、全くリハビリの素養のない医師がやるというのは不可能だと思うのです。
○藤川委員 もちろん整形外科医、あるいは勉強した医師がやる。
○堺委員 ちょっと質問なのですが、先生は冒頭に、「一部の医師」と「一部の看護師」と書いてあるのですが、私の理解ではこうではなかったのです。例えば私は脳外科の医者なのですが、いまはやっていないですが、そうすると医療、特に脳外科に対するニーズは日進月歩でものすごいわけですよね。整形外科もそうですよ。私のことしか言いませんけれども。そういう中で、例えば昭和20何年に決まったことでは対応できないことがあって、それも先生がおっしゃるように、専門家がすべて目を通せばいいということになると思うのですが、そんなことは現実に不可能なのです。ですから、医師でなくてもいい仕事をやっていただきたいというのは、特に外科系の先生もそうでしょうけれども、大方の思いだと思うのです。ここにきて、例えば一部の医師とか、これは具体的に何かあればあれなのですけれども。
○藤川委員 例えば整形外科で言うと、10年ぐらい経って、普通はギブスを巻いたりする、看護師さんが診療の補助として準備してくれますよね。巻くときに足を持ったりしますが、どんなに慣れた看護師であっても、決してギブスを巻かせることはしないですよ。例えば特定としたとしても、我々はもちろん反対すると思う。ということは、そこにやはりギブスを巻くことは門前の小僧で、できそうに見えるのだけれども、繃帯学1つとっても、我々医師が整形であれば上手にギブスのときに巻きますが、普通の内科の先生がギブスに繃帯を巻いても腓骨神経麻痺を起こしたりするわけです。だから、繃帯学というと、本来は医師もやりますが、看護師のほうが慣れていますから、実際は上手なのです。だから、それは診療の補助として看護師の大事な仕事だと思うのです。
○永井座長 具体的な内容は、これからもっと議論が必要だと思うのですが。
○堺委員 だからこそ、医師の指示があるわけなので、そういうことを思っていたら誰もやらせないですよね。ですから、先生は非常に心配なさっているのですが、例えば特定看護師ができたら何でもできてしまうかというと、そんなことはないと思うのです。それを指示する人の判断で、責任においてやるわけですから。
○藤川委員 我々が言っているのは、看護師の質の向上、教育は、特定の人にする必要はないということですよ。看護教育の中にいろいろなものを組み入れていくならば、一般の看護師の全体のレベルアップをすることのほうが、医療現場では医療安全は高まります。
○堺委員 それはまさに臨床研修と一緒なのです。全部底上げできるかというと、そんなことはないので、例えば研修医が来て、その研修医に中心静脈をやらせるかというと、その病院で取決めがあって、ある程度それをクリアしてできるとなれば、上の医師が判断するわけですから、先生がおっしゃる全部の医師が底上げでうまくいくというのは、それはちょっと難しいと思うのですね。
○藤川委員 医師の場合ではなくて、看護師でも、現場で1年目の看護師と5年目と10年目にすれば、別に特定とか何とか付けなくても、現場で経験を積んでくれば、当然医師であっても、5年経って専門医を受けますね。看護師であっても、5年経って勉強しない看護師がいるならば、きちんとこういう試験を受けなさいと。いま認定看護師とかやられていますね。そこの自分たちの看護の道の中でのグレードアップを、一般の看護師のレベルをどんどん上げていくことによって、経験も積むわけですから、新たに法で特定行為の特定の看護師、この人は認証の能力あり、この人は能力なしと。能力なしの看護師と能力ありの看護師という表現自体が、現場では結果的にあまり使われないと思いますよ。
○永井座長 藤川先生のご意見は、やはり教育は必要であると。
○藤川委員 もちろん。
○永井座長 ですが、あまり国家資格で縛らないでほしいという、やはりそこが論点になるのだということなのです。それは皆さん、いろいろな立場があると思いますので、ほかのドクターはどうですか。
○太田委員 私は在宅の現場からの発言になりますので、たぶんいままでの議論は認定すべき案も含めて、施設の中での議論のように受け止めています。といいますのは、同じ屋根の下に医師と看護師が一緒にいるという状況でないのが在宅なのです。これはデータでも出ていますが、介護保険3施設で見ている方々よりも、重症の方を在宅で見ているのです。そうしますと、在宅における医療の水準は非常に高いものが求められているのですが、誰が担っているかとなると、これは訪問看護師が担っていると言っても過言ではないのです。そうしますと、在宅医療における訪問看護師のグレーゾーンの中での医療行為については、前原レポートにも出ていますが、かなりのところまで踏み込んでやっているナースがいるというのが現実なのです。彼女たちの力によって、在宅療養者の命がつながれているというのも事実ですから、在宅における、特にとりわけロングタームケアに従事しているナースたちの能力を何らかの形で担保するということは、非常に重要なことだと私は感じるのです。
○永井座長 そこまではよいと思うのです。ですが、それを国家資格とするか、そのことによる弊害とメリットということ、あるいはしないことによる弊害とメリットが課題です。
○太田委員 在宅医療において、訪問看護師に関しては、国家資格が妥当だと私は感じています。
○永井座長 デメリットというのは。
○太田委員 結局、待ったなしの状況で、毎年毎年、高齢者が増えて、在宅療養者が増えるわけですね。それに対応していくためには、動き出してみないとデメリットが出てこないだろうという気がしますけれども。
○藤本委員 患者というか、医療を受ける側の立場から申し上げますが、医者の場合は医師という国家資格があって、その上にいまは認定医、専門医ということで、各学会の制度があります。それは患者から見て、わかりやすいのです。今回の看護師の場合、看護師という国家資格があり、またさらに特定看護師という国家資格ができたとして、そしてまた認定看護師、専門看護師という看護師もいると、わかりにくい。なおかつ特定看護師の場合には、専門看護師、認定看護師の場合に比べて、とりあえず全般的な看護に対して、1つの資格という形になっていますが、果たしてそれで実際に資格を受ける側の看護師が、「じゃあ、あなたはICUでも、老人保健施設、あるいは在宅でも、とにかくこの資格なのだからできるんですね」というようにされてしまうことに対して。
○永井座長 先生、ちょっと誤解があります。特定医行為というのを決めるのです。何を決めるかはまた次で、これについてできる人をするということですから、何でもという前提ではないのです。
○藤本委員 はい。その特定医行為の範囲が、診療の場面場面で違うと思うのですが、それも一括したものとして。
○永井座長 1つずつ、行為について決めるのです。どの場面でもできる行為について決めるのです。それはそれほどたくさんないと思います。それはおそらくこういうアンケート調査の中のものと考えていただいてよいと思います。
○藤本委員 そうすると、質問なのですが、例えば専門看護師のほうが熟知しているような場面も出てくるということですか。
○永井座長 行為については、教育を受けた方にはある程度、包括的指示でお任せし、受けていない場合には医師が付きっきりでそれをしていただくと、いまやっているような状況ですね。行為から考えないといけないと。
○藤本委員 わかりました。
○永井座長 もう1つの問題は、それを国家資格とするかどうかなのです。行為について決めても、別に各病院で研修をしてもよいのです。それでいくのか、国家資格で法律で裏付けるかということ、そこが論点だということです。
○大久保委員 参考資料のいちばん最後の頁、10頁です。「看護師の業務範囲の基本的な考え方」の所に、診療の補助行為で、「看護師等による静脈注射の実施について」が記載されております。通知や通達だけで行うことになりますと、この静脈注射ですら、安全性をどうするかということで現場が混乱して、どの病院もすべてが行うということには至っていないと思います。ですから、国として標準化して普及していく。そのためには、安全性を担保していくために、国の認証が必要だと思います。
○永井座長 もう1つの論点は、責任問題です。何か起こったときに、どのように責任が分担されるのか。指示した医師と手をくだした看護師と、そういう法的なこともよく考えながら、またご発言いただきたいと思います。
○野嶋委員 教育の立場からなのですが、私たち看護師というのは、看護しながら医行為をします。今回の論点としては、医行為にフォーカスを置かれて論議をされているところが、私たち教育者としてはとてもなじみがない考え方です。例えば能力の認証といったときに、特定の医行為の能力の認証ではなくて、それはケアとキュアと看護をしながらの看護業務ですので、常に看護と医行為を連れていく。だから、医行為の能力認証ではなくて、そういう面での能力認証は必要だと思っています。
○永井座長 そこはもう看護師として認証されているのです。問題は特定の医行為を限られた方にしていただくような法律を作るかどうかですから、看護師としては当然それは備えていないといけないということです。
○野嶋委員 私たちは高度な看護実践で、ケアとキュアとを統合して行うわけですから、医行為だけをフォーカスした形での。
○永井座長 前提として、看護師としてあるべき姿は全部教育しておいていただきたいのです。それは大前提です。
○野嶋委員 大前提としても。
○永井座長 それは看護師になっている方を対象とする。
○野嶋委員 看護師になって、なおかつアドバンスな教育をするということで。
○永井座長 それは新たな要素が加わってきたときに、そういう教育ももちろんしていただくのですが、問題はそれを国家資格とするかどうか、それについて。
○有賀委員 いま野嶋委員が言われた、特定の医行為の存在理由が看護学に根ざしていると。そのような観点でワーキンググループでは議論してきましたので、療養の世話だけこっちに置いて、医行為をこっちに置いて、こっちだけパタパタと議論したのではなくて、両方一緒に議論しながらやっていますので、おそらく認証のところには野嶋委員が言われるような、そのような看護師ということにきっとなるのではないかと想像します。
○野嶋委員 しかし、ディスカッションの中では、そういう形では分断されますよね。いつも常に分断されるから。
○有賀委員 だから、いつも分断ではなくて、分断された議論を統合するということに関して、ワーキンググループでは一生懸命やってきました。
○野嶋委員 なので、統合されたという形が前提でない限り、私たちはとても発想としては難しいです。
○永井座長 当然それは統合していただくのです。それは教育でちゃんとしていただきたい。そういうことを国家資格として、つまり国家の教育としてやっていくのかどうかを議論しているのです。今の点は大前提です。
○宮村委員 私は歯科医なのですが、歯科医というのは看護師に対しても指示は出せるという立場なのですが、私自身は卒業してから病院で看護師と一緒に歯科をやったことがあるのですが、正直申し上げて一般的に言うと看護師とのかかわりというのは、患者になったときぐらいしかないわけです。そういうことから言うと、今度のチーム医療会議に参画して、特定看護師等の看護師の業務拡大というのが、自分が初めから思っていたイメージからすれば、看護師の業務拡大がどう関係あるのだろうというのは最初は思いました。資料2にありますように、考えてみれば確かにチーム医療と言っても、医者師と看護師が大体主体的にならざるを得ないわけで、これはやはり関係があるのだなということはわかったわけです。その中で、私はある程度客観的に見れる精神状況があると思っていたのですが、まず資料2に、要するに安全かつ効率的に患者さんに提供するためのチーム医療というのがあります。効率的というのは私はもともと嫌いなので、効果的のほうがいいと思うのですが、それはそれとして、そういうチーム医療の中で看護師の役割は重要だというのがありまして、なるほどということがわかりました。
 ただ、1点申し上げたいのは、意見書が出ていますが、いまトライアルの仕事が2つ、現実にあるわけですので、それに沿った検証とか議論がされないうちに、あまり拙速というのはいけないかもしれないけれども、早急に何か決めてしまうというのは、やはり慎重にやるべきだとは1つ思います。
 もう1つは、参考資料の3頁にお人形さんのようなかわいいナースの絵があるのですが、ここで私の立場として、右側の看護師も実は特定行為ができると書いてあって、もちろん能力も持たなければいけない。左側もできるとなっていて、結局違うのは、包括指示をもらって、一応左側の特定の看護師は判断をしながら最後、報告するということになってくると。
○永井座長 もう1つは国家資格を持つ。
○宮村委員 そうなると、歯科医の私として見たときに、両方できるのだったらこれは業務の拡大を議論してきたのだなと思ったのですが、こうなってくると権限の拡大ではないのかという感じもちょっとすると思いました。永井先生のおっしゃる国家資格に関しては、何らかの資格がなければならないと思いますが、先ほども申し上げたように、大前提に看護師というのは国家資格を持っているわけだから、国家資格でない何か資格があれば、それがあればそれのほうがいいのかなと思います。
○永井座長 教育は必要である、それはよろしいのですね。まだご発言いただいていない山口委員、いかがでしょうか。
○山口委員 いろいろあると思うのですが、少なくとも堺委員が言われたように、いまは医療が医者だけの判断ですべて指示を出して、それは全部、医者がやればという話にないことは確かなので、医師でなくてもできる領域は何かという検討をし、やはりできるだけその領域を増やしていただきたい。それが医師の負担軽減にもつながる話でしょうし、医師がまた新しい領域のことに向かっていくのに、どうしても必要なことだろうと思っています。その特別な領域の医行為をできるという点については、もちろん院内でそれなりのトレーニングをした上でやれるということは、その道が残されていないとそれはとても困る話だと思います。しかし、どこかのところで集中的に教育をして、その結果が国家資格として担保されているということであれば、その分だけ院内における教育の労力は少なくすることができるわけですし、おそらくそこで担保された国家資格を持った人が、院内でのまた次の世代を育てるための良き教育指導者にも当然なっていくだろうと思います。その意味では、1つのこれだけのトレーニングを受けた成果が、ちゃんとした国家資格という格好で担保されるというのは、1つのこういう問題を整理する形としては、非常にすっきりした形になるのではないか。実際にこの特定医行為は、どの範囲のものはそうかということに関しては、これからさらに詰める必要はあると思います。やはり国家資格であるということは、おそらくこれからいろいろな医行為がどうだということの問題を整理するのに非常にすっきりした形で、医療現場では受け入れられるのではないかと思っています。
○山本隆司委員 先ほどから国家資格の問題が出ておりますが、参考資料のいちばん最初に出ているような行為について、看護師が安全に実施できるような仕組みをどのように作るのかという話で、そのために国家資格という形で、国が一定の法令上の根拠を置いた上で、教育の体制を作ることが必要なのか、それとも現場の医師の判断で十分なのかというように整理できるかと思うのです。
○永井座長 でも、その場合には、前提として教育はそれなりにするのです。ですが、最終判断は国ではなくて現場の医師ということですね、藤川先生。
○山本隆司委員 もちろん、国家資格と結びつく教育だけしても現場の医師の判断がなければ動きませんので、それは両方組み合わせるという話なのです。要するにどちらに軸足を置くか。どちらのほうにどれだけのウエイトを置くかという話ですよね。そうだとしますと、一定の侵襲度の高い行為を安全にやっていただく、あるいは患者さんに安心してそれを受けていただくためには、一定程度国が教育の体制を整備するべきであろうと。一般的な言い方になってしまいますが、法律を作ることになれば国会で議論することになりますし、下位の政省令、あるいは通知にしても、各役所がこういう懇談会を開いて、一般の人に見える形で、客観的にいろいろな意見を出し合って決めていくことになるわけですから、そういう意味での透明性、あるいはいろいろな情報を一般的に収集する、その上で制度を作るというメリットがあると思います。
 逆に言いますと、それだけの手間をかけるわけですから、例えばスピードに欠けるとか、あるいは個別個別の現場の事情まで細かく考慮できるかというと、そこは細かく考慮しきれない部分もあるということはデメリットなのです。現場に任せる部分は、絶対に残るだろうと思うのです。ただ、現場にすべて任せていいのか。一定の看護教育を受けているという前提なのでしょうけれども、例えばここに挙がっているような行為について、すべて現場の医師に判断をお願いすることになった場合には、医師の責任が非常に大きくなると思います。医師が判断を間違ったということになれば、医師が責任を問われることになるかと思います。
 例えば特定医行為について特定看護師の制度を設けて、その人に対して医師がこれをやってくれという場合には、逆に言いますと、それだけ国が制度化を行う責任を一定程度負うことになりますから、医師の現場での指示に関する責任は軽くなるということだと思います。先ほどの責任の話との関係で言えば、そういう関係になるのではないかということです。
○山本信夫委員 先ほど責任の所在というのがありましたが、国家資格を持ったもの同士の役割分担をどう整理するかという意味では、看護師も私どもとともに同じ、医師の方々もそうなので、先ほど堺先生がおっしゃったように無視しているわけではないぞと、それはよくわかります。それは同じ国家資格を持った中で役割があって、その分担をどうしようか。その境界なり役割を明確にしていこうという議論であれば、私どもはそれを国家資格にするかしないかは別問題として、いいと思うのです。
 同時に、我々がいただくのは、先ほど申しましたように処方せんのまさに医行為の代行をするようなものですから、そこには何が書いてあるかというと、極めて包括的な指示しかなくて、しかしながらもし何かが起これば、その責任は国家資格を持った者としてとらざるを得ない。そういった意味での役割分担を明確にするという意味では、調剤の範囲は何なのだと。例えば先生方が書かれた、これを飲ませろというだけであって、それ以上のことは何もない。あとは薬剤師の判断で仕事ができるという意味では、そこは明確に、曖昧ではありますが業務がある。そのことを例えば通知の中で示すのか、あるいはこういう範囲で決めるのかということを決めることが、かえって薬剤師の仕事をやりにくくする部分もあるかもしれません。しかし、明確に仕事ができるということがありますので、むしろ処方せんという、まさに究極の包括的指示というものの中で仕事をする際に、看護の方々、他の業種の方々と、もちろん医師ともそうですが、その境界面についてはもし国家資格を目指すのであれば、教育はもちろん大事ですし、問題点も理解はしておりますが、もう少し慎重な議論をした上で国家資格に向かうべきではないかと思います。
○半田委員 先ほど法的なというか、責任の問題の説明があったのですが、我々コメディカルがいちばんこだわっているのは、あの203項目のうちのいくつかなのです。看護師の判断で業務を依頼するという項目が、多数あるのです。包括的指示を受けて、看護師が判断して、我々がその判断の下に仕事をするとなったときに、依頼という言葉になっているのです。我々はいままで医師の指示で仕事をしていたから、これは命令と書かれているので、医師の責任になったのです。看護師が判断して、我々が依頼されて受けてその仕事をやったとすると、この責任はどこに行くのですか。
○永井座長 指示の問題は先ほども薬剤師でありました。
○田原医事課長 私のほうから、いまのご質問についてお答えしますと、まず203項目の調査の結果がありますが、あそこに書かれてあるのは、あくまでも医療現場の実態を把握したものですので、こういうものが行われているということです。ですから、特定行為を議論する場合には、それを参考にはいたしますが、そのままが特定行為になるというわけではありません。ですから、先ほど事務局のほうから説明いたしましたように、特定看護師の骨子がそのまま制度化された場合であっても、医師と医療関係職種の指示の関係は、これまでとは変わらない。ですから、特定看護師が医療関係職種に指示をさらに出すということは、少なくとも事務局はそういうことは全然考えておりませんので、それは明確に申し上げて議論していただければと思っております。
○小川委員 要するに特定行為を安全にできる仕組みを作って、そして一体どこに責任があるのかということに最終的には行くのだろうと思います。今日ご出席いただいている各種のチーム医療を担っているさまざまな職種の中で、医師もそうですし、歯科医師もそうですが、一旦、国家資格をいただいているわけです。2段階で国家資格をいただいている職種はないと。麻酔科標榜医だけです。ですから、座長がいちばん最初に非常によく整理をされていて、特定行為を国家資格とした場合のメリットとデメリット。それから、国家資格にしないで実施をしたときのメリットとデメリットをもう1回整理をしないと、この議論はこの先に進んで。
○永井座長 もちろん、いま議論しているのです。だから、先生のご意見を言っていただければよいのです。先生のご意見がいま必要なのです。
○藤川委員 いま3頁を見ていて、先ほどの絵の所ですが、6月ぐらいから変わってきて、最初は一般の看護師はできないということだったのです。特定の行為をするには特定の看護師しかできないという論陣できたのに、途中から一般の看護師も具体的指示でできるということになってくると、この特定行為は特定看護師の独占業務ではなくなってくるわけですね。
 もう1つは、各職種は職能団体として国家資格を持っていますので、それを卒後研修で高めていくという生涯研修を、どこもやっていると思います。それはやはり継続してやらなければいけないですね。例えば看護大学だったら、大学院みたいなので2年やるというのは、これは医学部でも大学院がありますし、専門医制度もありますから、各職能団体で責任を持ってプロフェッショナル、オートノミーで、フリーダムで、きちんと自分の所の技術や知識は更新していかなくてはいけないですね。それが医学部の場合、いま専門医制度を見直している問題が1つあります。しかし、これはたぶん良い方向で落ち着くだろうと我々日本医師会も期待をしているのですが、看護大学にしても、現存専門看護師はいますが、やはり大学院を出ただけでは現場ですぐ役に立つかというと、医療現場、医学をやっている専門の現場では、すぐには役に立たないと。大学院を出たからといっても、やはり卒後研修で心臓外科は救命センターや麻酔、そういうところで揉まれて5年ぐらい経ってくると、そろそろだいぶできるようになるということがありますので、やはり放射線技師であれ、PTであれ、OTであれ、その学会で責任を持って自分の所の能力のスキルアップをすることをやって、もしこういうことを書くならば、そういうことが望ましいというぐらいにガイドライン的にしておかないと、国家資格を作ってしまうと、またさまざまなものがガチガチになって、その法律を毎回変えていくなどということはとんでもない、資格の内容を変えていくということはあり得ないと思います。
○山本隆司委員 いまの点ですが、何を法律で定めるべきだとおっしゃったのでしょうか。その点をもう一度確認したいのですが、何かについて努めるべきであるという定めでいいのではないかとおっしゃったのですか。
○有賀委員 私が説明申し上げたのは、資料2の骨子の部分です。ですから、骨子として特定行為について保助看法上に位置づけるとか、特定行為の実施については、こういう認証を受けた人がやってほしいとか、先ほど藤川先生が少し事実を誤認していると思いますが、特定看護師の認証を受けていないナースに関しても、具体的かつ直接的な指示があれば、そのようなことについてやり得るということについては、私たちワーキンググループの中からも当初からそのとおりです。途中で方針が変わったわけではありませんので。
 続けますが、厚生労働大臣の認証とか、その他、準備期間を設けることについてのルールを法的に位置づけることについての骨子について、ワーキンググループの中で議論をしてここに上げたということです。
○山本隆司委員 続きですが、これは前回も申し上げたことであり、また骨子がこういう形で出ていることに現れていると思いますが、カリキュラムの内容であるとか、行為をどういうものにするかというのは、法律の中に細かく書くことにはならないと思います。それは政令ないしは告示等のレベルだと思いますので、これがそんなに迅速に変えられないという事態はあまり考えられないと思います。
○有賀委員 全体の骨格については、山本先生はおわかりだと思うのですけれども、大丈夫なのですよね。私もそういう意味では骨子というのは国の法律としてどういう位置づけだという話で、保助看法というところまでは、とりあえず理解できるのですけれども。
○山本隆司委員 そのことを確認しただけです。
○藤本委員 本当に素朴な国民の立場からすると、やはり国家資格としてなるものというのは、明確に患者のほうから見て、これはこの人にはできるもので、この資格を持っていない人にはできないものという理解の仕方をすると思うのです。そういう意味で、行為そのものは医者の指示が具体的であればどの看護師でもできるものなのに、包括的な指示で行為を実施できる人とできない人がいるというのは、患者からしてみるとよくわからないのです。だから、国家資格とした場合に、患者というか、一般の国民から見るとわかりにくいというデメリットはあるのではないかと。それが個別にトレーニングを受けて、看護協会なり、いろいろな然るべき団体が認定したものですというのだったら、まだ理解できるのですが。
○永井座長 ですから、最低限そこはするのです。それ以上にもっとレベルを高めて、国家資格とするかどうかというのがいまの議論なのです。
○藤本委員 そうすると、名称として看護師の上に、何か「特定」とかそういった名前が付いただけのものが国家資格というのが、私たちはちょっと理解できない。助産師さんとか、保健師さんというように、別の名称、別の職種と言うと変ですが、それだと理解しやすいのですが。
○永井座長 名前のことはまた別にして、そういうことを国家資格で認めるかどうかを議論しているのです。
○藤本委員 先ほどの繰り返しになりますが、医者の指示がどうだったか。それによって患者にしてもらうものについて変わりがないのであれば、その辺はすごく理解しにくい部分ではないかと。
○永井座長 ドクターの立会いがなくても、するかどうかですね。そういういろいろなグレーゾーンの行為について、国がそれを裏付けするか、現場の教育でやっていくか。もちろん看護協会とか、参加した認証施設が必要になってくると思いますが、そのレベルで行うのか、国の法律で決めた資格とするかという、それのメリットとデメリットを論じてくださいということなのです。
○藤本委員 それは国民にとってのメリット・デメリットということであれば、あまり変わらない。国家資格であっても、そうでなくても、患者が受ける利益としては変わらないと私は思います。
○永井座長 ちゃんと教育していれば。ただ、教育は必要ですよね。
○藤本委員 そうです。それはもちろんそうですが、それは国が担保しなければいけないものとは思っておりません。
○小川委員 もう1点、例えば資料2の「背景及び目的」で、特定の医行為を明確にして、保助看法の中に入れ込むということと、それから国家資格にするということは、全く違う論点ではないかと私は思うのですけれども。
○永井座長 そこはどうですか。
○有賀委員 私たちのワーキンググループの中では、麻酔科の標榜医の話が具体的に出ました。麻酔という行為については、藤川先生も私も、外科系の人たちは基本的に麻酔という行為をすることはできる。トレーニングも受けている。だけど、この病院には麻酔科がありますよという形で、病院として外に向かって科目がありますといって標榜するときには、麻酔科の標榜医という資格を持っていないといけません。それは厚生労働大臣が認証するというかどうかわかりませんが、そのような形で位置づけられた人が病院に行けると。だから、私がもし藤川病院に勤めたとしても、私は麻酔をかけることはできますが、麻酔科の科長という形にはたぶんならないと思うのです。そのような議論があったので、何かができる、できないということが非常に重要な話として教育の対象となっていますが、呼吸管理をしている患者がいたとして、今日の夕方までに人工呼吸器から離脱することができるだろうという話が、その患者について判断ができたとすると、あらかじめ決められた手はずに沿って、血液のガス分析の結果を判断したり、患者のレシピエーターからの離脱のための呼吸の状態を判断したり、そういうことを一連のプロセスとしてやっていくことに関して、認証しましょうという話になります。ですから、おそらくワッペンを付けたナースがICUに行っていたとすると、患者のご家族として来たとしますと、「あっ、この人はそういうような教育をされていて、主治医が手術場に入っている間にも、うまくやってくれるのだな」ということで、認識するのではないかと想像しますが、具体的になってみないとわかりませんが、そのようなワーキンググループの議論でした。ですから、国家資格という形と、厚生労働大臣の認証という話は、保健師だとか、医師だとか、そのような国家資格ということで議論していいのかどうか、ちょっと私もよくわからないのです。ナースの資格を持った人が、いま言ったみたいに麻酔科の標榜医のように、ちょっぴりプラスアルファとしての価値を持っているという形で認証するのだ、という感じで理解しています。そういう理解ですよね。
○永井座長 小川委員のご質問は、むしろ山本委員にお答えいただいたほうがいいかもしれません。小川先生は、保助看法にこういう行為があって、努力規定が何か書かれたということと国家資格は別ではないかということですが、そこはどうなのですか。法律的にそれを書くと、国家資格でちゃんとやらないといけないのか、やらなくてもよいのか。
○山本隆司委員 ここで言われている特定医行為の制度を作った場合に、国家資格の制度を作らなくてもよいかということですか。ただ、特定医行為を一定の看護師だけができるという仕組みにするとなると、その要件は何か書かないといけないわけですよね。その要件の書き方として、例えば学校の教育を受けた者とか、いろいろ書き方はあると思います。ただ、何も書かないわけにはいかないだろうと。
○永井座長 資格について。
○山本隆司委員 資格について、どういう人ができるということは、やはり書かないといけない。ただ、どういう人という部分について、いろいろな決め方があるということではないかと思いますが。
○玉川看護職員確保対策官 事務局から、制度を保健師助産師看護師法に位置づける考え方の整理について、若干説明させていただきます。資料2の「背景及び目的」の最後の段落ですが、今回の「特定の医行為」、これは「診療の補助の範囲に含まれるということを明確にするとともに」ということですが、診療の補助は保健師助産師看護師法に規定があるもので、ここのレベルの法律の規制といいますか、運用について規定するというものです。
また、国家資格という言葉が何度か、ここの場でも議論に出ておりますが、国家資格法などというものによって、「国家資格というのは何か」と法律上の定義があるわけではありません。国家資格はどういうものかという法的な定義はないのですが、ここで申しているのは看護師の能力に応じて定めるということで、能力の認証をする制度。それが資格かというと、国が法定で位置づけているという意味では国家的な制度という位置づけだろうと思いますが、これは看護師であることをベースにして、その中での能力を認証するという制度でしているものです。看護師とは別の新たな資格という制度ではないという意味で、このようなご提案となっているというものです。
○山本信夫委員 先ほど太田先生から在宅のお話が出ていたと思うのですが、確かに在宅の現場では看護師の方々が大変頑張っていらっしゃいます。我々も先生方とご一緒に仕事をさせていただいていて、看護の方とオーバーラップする部分がきっとあると思うのです。先ほどおっしゃったように、いま事務方からは資格かどうかという問題がありましたが、もし資格ということになると、確かに安心はするだろうと。ただ、現場にいる看護師はそのための時間をとられますので、デメリットとしては業務が止まってしまうことがあります。そういった意味も含めて、先ほど推進官がおっしゃったように、それぞれの専門職にご配慮されたご発言でありますが、そうしたことがいまの議論の中にどこにも見えてこないところが、我々としては国家資格にするか、しないかという議論の中で、大変不安を持つのです。TPPと同じように、何かお化けのようなものがあって、何なのだろうということになってしまうと、確かに資格を決めるということは一定のメリットがありますが、ただやみくもにわからずにというのは、いささかちょっと不安があるなと。なので、もっと議論をすべきだろうし、教育も必要だろうし、よくわかりますけれども、少し拙速なのではないかという気がします。
○藤川委員 先ほどの太田先生の訪問看護師の肩書きですが、訪問看護師は、もういま現在でもやはり訪問看護をできる専門の看護師というような認識が、在宅医療においてはだいぶ広がっていると思うのです。我々医療界においても、往診するとき一緒に付いてくる、診療の補助として来る看護師と違って、医師が週に1回往診をしたときに、きちんと訪問看護師とカンファレンスを、ケアマネージャーとか、さまざまなPT、薬剤師とやって、あとの処置は訪問看護師が訪問看護の行為をしに来ると。これは私は屋根があろうがなかろうが、実際はあくまでも具体的なきちんとした医師の指示の下で、プロトコールも作られてやられていると思うのです。いま有賀先生が言われた認証するというのは、あえて国が認証しなくても、現場において、10年目ぐらいの看護師であれば、この程度できるというのは、有賀先生が見た場合と私が見た場合では、医療機関が変わると違う場合があるのです。それはどうしてかと言うと、バックグラウンドのサポートする医師の体制が違いますから、できると言っても、藤川病院でやった場合には、できない場合もあるのです。それをサポートできない場合があるのです。
 だから、チーム医療というのは、あくまでもそこの有賀先生のチームでは、このぐらいできる認証のレッテルを貼ってやらせて、安全にできるのですが、その人が今度、虎の門に行った。虎の門に行ったら、有賀先生みたいにやさしい先生ではなかったと。「お前、特定看護師で来たなら認証されているんだから、有賀先生のレッテルあるからやれよ」と言ったら、「おいおいおい、こんなに手が要るのか、サポートが要るのか」となると、そこに国家となると、救急救命士が良い例ですが、先生はメディカルコントロールで医師が出せば医師の責任というけれども、医師の指示が間違っていなくて事故が起こったとなると、救急救命士は国の責任になるのです。救急救命士は医師の責任ではないですよ。医師は法律に基づいて、きちんと正確な指示を出した。しかし、現場には医師はいませんから、その現場で救急救命士がミスったといったときは、きちんとした国家の責任になる。しかし、普通の医療現場では、看護師が特定看護師であれ、一般の看護師であれ、事故が起こったときは直接指示であれ、包括的指示であれ、やはり医師の責任なのです。看護師は責任をとれないのです。国もとれないのです。ちょっと救命士などの位置づけとまた違うと。そうなると、特定行為ごとに特定の看護師を、種類をいっぱい作るのか。それはまずできないわけですから、そこは認証するなら病院ごとの、そこの病院、そこの科の、在宅であれば在宅の太田先生が認証する看護師であれば、ある程度のところまで行う。その代わり責任は太田先生ですよということにならないと、国家資格にして認証したけれども、事故が起こったときには国がとれるかといったら、とれないと医事課長が村田課長のときに言われましたよね。包括的指示を出した医師と、雇った管理者の責任ということです。
○太田委員 責任が医師にあるということに関しては、私は全然問題はないのですが、能力を認証することを厚生労働大臣が行うかどうかということですよね。麻酔科標榜医は、私は実は標榜医を持っていますが、別に持っていて不便はないです。国家資格に屋を架す懸念があるかどうかという議論では、私は医者ですが、麻酔科標榜医を持っていて何にも不便を感じていないので、能力認証を厚生労働大臣が行うことに関して疑問はない。そして、いちばん大事なことは、医師とナースが同じ屋根の下で働いていないという、例えば特別養護老人ホームとか、あるいはグループホームとか、そういう所のナースにはやはり能力を認定してやるべきだというのが私の考え方です。
○島崎委員 医師の指示が必要だということは大前提だし、さらに言えば個別の対応のところで、いろいろな具体的な場面に応じて解釈がいろいろ出てくることについて私は否定したわけではありません。その上で申し上げれば、例えばある団体が認証するのと国が認証することの違いは、ある団体が何かの資格あるいは能力を認証するとしても、その団体は「診療の補助」の解釈権を持っているわけではありませんから、「診療の補助」の該当性は不明確なままです。今回の国の認証のスキームは、単にあるレベルを認証したわけではなくて、「診療の補助」行為に関し特定の行為とそれ以外を分けることによって、なおかつ、それについての指示の態様を分けることによって、明確な線を引いているわけです。要するに、看護師がここまではやっていいかどうかということが政省令あるいは告示まで含めて法的にしっかり担保されるということが肝要であり、また、それが明確になるから教育のターゲットも決まってくる、そこのところが重要だと思うのです。ですから、藤本さんのご意見に関していえば、確かに見かけ上はそう変わりがないように見えるかもしれませんが、その本質においては違っているのだということは強調されて然るべきだと思います。
○大久保委員 看護師が行っている業務については、やはりきちんと業務について責任をとるべきだと思います。業務を明確にすること、そして責任をきちんと明確にすることについては、やはり国家認証のほうが適切ではないかと考えます。この特定の医行為について、看護界は一丸となって国民のニーズに応えようという姿勢でおりますので、もう時間はないと考えますから、前向きな議論をよろしくお願いしたいと思います。
○野嶋委員 教育が大事であると言われたとおり、私たち看護教育の中では、看護をしながらの特定行為であるという前提です。それなのに、いつもその話をすると、特定の医行為だというように話がなるのです。能力認証は、ここでは高い臨床実践能力を有する看護師となっておりますので、能力認証では医行為だけではなくて、高い臨床実践能力を有するというところで見ていただきたいと思いますし、医師のように専門ごとに能力認証がされているわけですから、本当にその専門分野ということも是非考えていただきたい。それはお願いしたいと思っております。教育は大事です。是非よろしくお願いしたいと思います。
○永井座長 時間になりましたので、この件は引き続き議論したいと思います。事務局から、連絡事項をお願いします。
○田原医事課長 本日さまざまなご議論をいただきました。本日ご議論いただきました内容については、看護師特定能力認証制度の骨子案、それから診療放射線技師の業務範囲のほうは概ねご了解いただいておりますが、この推進会議での検討状況を含めて、12月上旬に社会保障審議会医療部会が開催されますので、ここで報告をして、またご議論いただこうと思っております。以上です。
○藤川委員 報告をするというのは、ここではもう決まったと、全会一致で決まったという報告をするのですか。どういう報告をするか、内容を教えてください。
○田原医事課長 そういうわけではありませんで、骨子案をこういうものを提出して、さまざまなご議論があったと。こういう意見があった。特に特定看護師を厚生労働大臣の認証にするのかどうかということについて、概ね賛成の話と、反対のご意見があったと。そういうことも含めて。
○藤川委員 それを継続的に、ここで3月まで議論をしていくのではないですか。
○田原医事課長 この検討状況を報告するということですので、ここで例えばそういうことで意見がまとまったとか、これで検討が終わったとか、そういうことではなくて、こういう検討がまだ引き続き行われているということを報告いたします。
○永井座長 次回の予定はいつでしょうか。
○田原医事課長 医療部会で報告をした内容を念頭に置きますが、必要がありましたら12月にこの会議を開催して、また議論をしていただきたいと思っております。
○永井座長 是非そのときまでに、各委員の先生方は法制化のメリット・デメリット、すること・しないことのメリット・デメリットをお考えいただければと思います。今日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
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