ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第107回労働政策審議会雇用均等分科会議事録




2011年11月28日 第107回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録

雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課

○日時

平成23年11月28日(月)10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

公益代表委員

林分科会長、権丈委員、佐藤委員、中窪委員、山川委員

労働者代表委員

小林委員、齊藤委員、關委員、冨高委員、中島委員

使用者代表委員

川﨑委員、瀬戸委員、中西委員、布山委員、渡辺委員

厚生労働省

髙井雇用均等・児童家庭局長、石井大臣官房審議官、伊藤総務課長、
吉本雇用均等政策課長、成田職業家庭両立課長、吉永短時間・在宅労働課長、大隈均衡待遇推進室長

○議題

1 パートタイム労働対策について
2 その他

○配布資料

配付資料:No.1 関係する審議会の状況
No.2 パートタイム労働者の現状(追加)(平成22年短時間労働者実態調査より)
No.3 待遇の決定に当たって考慮した事項の説明について(論点)
No.4 履行確保等について(論点)
参考資料:参考No.1 検討項目(案)
参考No.2 労働政策審議会雇用均等分科会委員名簿
参考No.3 労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会委員名簿

○議事

○林分科会長 ただいまから、第107回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は田島委員がご欠席です。また、今回、使用者側委員に交代があり、山本委員に代わり株式会社アテナ代表取締役社長の渡辺委員が雇用均等分科会委員となられました。
 なお、「雇用均等分科会」の下に「家内労働部会」が設けられていますので、山本委員は「家内労働部会」の委託者代表委員でもありましたので、今回の委員の交代に伴い、渡辺委員を「家内労働部会」委託者代表委員に指名いたしましたのでご報告します。渡辺委員、ご挨拶をお願いします。

○渡辺委員 ただいまご紹介にあずかりました、株式会社アテナの渡辺でございます。私どもは、いま皆様がお話合いになっているパートタイム労働者の方が数百人いる会社でして、いろいろな軽作業をしていただいている、パートタイム労働者の方がなくてはならない会社であります。
 そういう現場の実態を皆様のご議論の中にご報告しながら、お互いに良い状況を作っていけるように微力ながらお手伝いをしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

○林分科会長 ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。議題は「パートタイム労働対策について」です。まず資料No.1、関係する審議会の状況等について、事務局から説明をお願いします。

○大隈均衡待遇推進室長 資料No.1「関係する審議会の状況」をご説明させていただきます。関係する審議会につきましては10月14日の分科会においてもご報告しておりますので、それ以降の状況について主にご報告します。

 まず、「労働政策審議会・労働条件分科会」の状況です。直近の開催状況は9月以降、4回開催されており、9月には実態調査のご報告、10月24日には今後のパートタイム労働対策に関する研究会の報告などもなされております。そして、11月8日に論点が出され11月24日にその論点に基づいて議論がされています。今後につきましては、12月の取りまとめに向けて引き続き議論をしていくと承知しています。のちほど論点等につきましてはご説明します。
 もう1つの「社会保障審議会・短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」の状況です。最近の状況としましては、第4回から第7回の計4回、事業主団体及び労働組合等からヒアリングを行っています。11月17日にそういったヒアリングの内容に基づき、また論点などにも基づいた「短時間労働者への社会保険適用を巡る現状及び論点」について議論がなされています。こちらについても、12月の取りまとめに向けて、引き続き議論をしていくと承知しています。
 2頁、こちらは労働条件分科会に提出された資料です。「有期労働契約の在り方に関する論点(案)」ということで、11月8日の分科会の途中、分科会長の指示で事務局が用意したものとして出されました。
 論点については5点ほどございます。1つ目として、有期労働契約の締結への対応です。有期労働契約は、合理的な理由がない場合には締結できないような仕組みについてどう考えるか。2つ目として、有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応です。有期労働契約が長期にわたり反復更新された場合においては、期間の定めのない労働契約への円滑な転換が図られるような仕組みについて、どのように考えるか。3点目、不合理な「雇止め」への対応ということで、確立した判例ルールである「雇止め法理」は、有期労働契約の更新に関し広く労使で認識を共有すべきルールとして、その内容を制定法化し、明確化することについて、どのように考えるか。4つ目、「期間の定め」を理由とする不合理な処遇の解消です。有期契約労働者に対する処遇について、「期間の定め」のみを理由とする不合理な処遇(不利益取扱い)を禁止することについて、どのように考えるか。5つ目として、その他必要な手続的ルールの明確化ということで、労働契約の契約期間の設定及び変更については、労使の個別合意によるべきことを明確化するとともに、契約更新の判断基準を労働契約の内容として明確化するよう使用者に求めることについて、どのように考えるかという5点の論点に基づいて、現在議論がされているところです。
 簡単に議論の内容を申し上げますと、1については、労働者側から有期労働契約を締結できる合理的な理由について7つほどの理由が示されています。それについて、使用者側からは具体的な内容が質問され、労働者側は引き続き検討したいという状況でございます。
 2のについては、労働側からは入口規制のない出口規制のみ措置することとすると、上限の手前で雇止めが誘発されるのではないかという懸念が表明されており、1と2はセットで行うべきではないかというご意見が出ているところです。一方で、使用者側からは仮に1と2をセットでということであれば、まず1のほうを明らかにしてから2を議論すべきではないかという意見が出されています。
 3の不合理な「雇止め」への対応ですが、これはいわゆる判例法理とされている「雇止め法理」、一定の反復更新された有期労働契約の雇止めについては合理性が必要であるという判例ルールですが、これを制定法化することにつきまして、労働者側からは制定法化して周知されるということは非常に意義のあることだ、というご意見が出ております。使用者側からは3の論点を議論しておりますときに、2と3にかかる話ではございますが、これまで、有期労働契約の不合理、不適正な利用とは何かという議論がされていたところですが、使用者側としては労使双方の合意のもと、長期に反復更新してきた中で突然雇止めすることは不合理であろう。また、それが主たる生計者や若年層の場合には特に問題であろうという意見が出ています。そういうことも踏まえて、他社への正社員就職も含めた正社員化でありますとか、多様な正社員、無期化、そういうものも重要であるかもしれないという意見が出されています。
 4の待遇のところですが、これは11月24日の労働条件分科会で労使内で少しのやり取りがあって、次回に持ち越しになっております。労働者側からの意見としては、正社員との待遇格差を是正すべきであって、期間の定めを理由とする格差は禁止すべきであり、この論点については非常に重要でため、時間をかけて議論したいということです。
 他方で、使用者側の委員からは期間の定めの有無は、人事管理上、待遇決定を異なるものとする際の合理的な理由であるという意見が出されています。一言ずつということで、4の途中以降につきましては次回の労働条件分科会で議論されるという状況です。
 資料の3頁につきましては、これは労働条件分科会で有期労働契約の不合理・不適正な利用について例示で出されたものです。また、4頁から16頁までにつきましては「雇止め法理」について、裁判例の整理、主要な裁判例の抜粋となっております。 また17頁は、論点の4に関連資料として事務局から説明がありました。「期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消について」ということで、「期間の定めの有無にかかわらず均等に取り扱うべき処遇の種類として、何を想定するか」処遇の例として通勤手当、教育訓練、退職金、職務等に密接に関連する処遇というように分類してはどうかと事務局から説明がありました。
 18頁、今年度行われた「有期労働契約実態調査(事業所調査)」の結果の抜粋です。今後こういった資料をもとに議論が深められていくと承知しています。
 また、19頁から21頁までは有期労働契約に関する議論の中間的な整理の抜粋です。 22頁以降につきましては、先ほどご説明いたしました社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会でのヒアリング結果を取りまとめたものです。
 まず22頁、「適用拡大に対する基本的な考え方について」ということで事業主団体から、日制度の根本改革なくして適用拡大を議論することはあり得ない、一体改革のブランドデザインの中での位置づけを説明すべきであるというようなご意見や、被用者には社会保険を適用すべきという考え方は理解するけれども当業界には赤字企業が多い。また、短期就労の者が多いということで実態把握・事務手続が煩雑となって困難であるという意見が出されています。また、適用拡大には反対というご意見なども出ております。適用拡大には原則としては賛成する。ただし、関連企業の経営が厳しいということで重い保険料負担、さらに時間の短いパートタイム労働者が生まれると技能の蓄積に悪影響を及ぼすのではないかということで、原則としては賛成だけれども難しい問題があるというようなご意見も出ています。
  24頁以降は、労働組合の考え方です。適用拡大は重要な課題であるというご意見、あるいは、パートタイム労働者が希望していないのではないかと事業主団体からも意見が出ているところですが、そのような論点については制度が十分に理解されているかどうかという点を十分に考慮すべきであるという意見も出ております。
 また、組合側からも、必要な支援策を講じながら適用拡大を進めていくことが必要ではないかということが出ております。すべての労働者にセーフティネットの整備を行うことが必要であるというような意見も出ています。さらにすべての労働者に社会保険を適用すべきである、パートタイム労働者を適用除外する法的必然性はなく、広く適用拡大していくべきではないかというご意見が出ているところです。
 32頁、適用拡大のパートタイム労働者の働き方に対する影響というところで、パートタイム労働者はさらに就業調整をする可能性があるという事業主団体もあったところです。他方、この点に関しましては、同じ32頁の「労働組合」からは被用者全員に社会保険を適用していく過程でさらなる就業調整を行うことは是認されるのではないかというご意見もあったところです。
 33頁の(4)適用拡大の企業経営に対する影響というところですが、事業主団体からは、企業赤字、倒産に追い込みかねないなどのご意見もあったところであります。以上のようなさまざまなご意見が出ているところですが、特別部会のほうも年末の取りまとめに向けて、引き続き議論が進められていくと承知しています。簡単ですが、事務局からの資料説明は以上でございます。

○林分科会長 関連を有する2つの審議会についてのご説明を受けましたが、委員の皆様から以上の説明に対してご意見、ご質問等がありましたらお願いします。

○中西委員 質問です。資料No.1の2頁の「有期労働契約の在り方に関する論点(案)」について、論点4の「『期間の定め』を理由とした不合理な処遇の解消」と、今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告のいうところの、「パートタイム労働者であることを理由とした合理的な理由のない不利益取扱いの禁止」は、どこがどのように違うのでしょうか。また、有期労働契約に関する議論の結論によっては、パートタイム労働者のその概念が影響を受けることになるのでしょうか。よろしくお願いします。

○林分科会長 事務局お願いします。

○大隈均衡待遇推進室長 まず、1点目の有期労働契約であることを理由とする不利益取扱いの禁止と、短時間であることを理由とする不利益取扱いの禁止につきましては、それぞれの切り口の違いで規制をしていく。そして、有期かつパートタイム労働者の場合には、それぞれの法制がかかっていくということかと理解しております。今後、労働条件分科会ご議論いただきますので、そういったものも踏まえた形で当分科会においても検討が必要かと思います。

 なお、パートタイム労働法の概念が変わるかということですが、パートタイム労働法では、正社員より少しでも労働時間の短い方をパートタイム労働者としております。有期のほうの議論は、特に時間にかかわらず、有期であるか無期であるかというところの議論をしておりますが、パートタイム労働法では労働時間が少しでも短ければパートタイム労働者ということで、有期、無期にかかわらず時間で見ており、それを前提とした議論をお願いしているところです。

○中西委員 どうもありがとうございます。

○川﨑委員 私からも少し質問をさせていただきたいと思います。今回のパートタイム労働法の検討に当たって、そのベースとなる、並行して検討が進んでいる有期労働の労働条件の在り方と、社会保障等の適用の拡大の情報を、こちらで紹介いただきまして、ありがとうございました。
 その中でもう少し詳しく聞いていきたいというところで、まず、2頁の「有期労働契約の在り方に関する論点」で案が提示されていますが、1で、有期労働契約は、合理的な理由がない場合には締結できない仕組みについて、どのように考えるかに関しては、具体的なものが7点提示されたというご紹介がありましたが、この7点をもう少し詳しくご紹介いただきたいことと、労働者側と使用者側はそれぞれ意見を述べているという紹介があって、いま再検討しようかという話になっていたかと思いますが、今後再検討していくに当たっての方向性が見えていれば、そういったところの情報も少しご紹介いただけないでしょうか。

○大隈均衡待遇推進室長 合理的な理由の7点ですが、まず1点目は一定の事業の完了に必要な期間を定める場合、2点目は満60歳以上の労働者を新規に雇用する場合、3点目は専門的な知識・技能を有する労働者との労働契約の場合、4点目は休業中の労働者の業務の補充の場合、5点目は業務の一時的な増大に対応する場合、6点目は業務の性質上、一時的な労働のために雇用する場合、7点目は以上に準ずる合理的な理由がある場合ということです。11月8日の分科会の中で労働側からこの7点が示され、使用者側からは具体的な事例についてどこに該当するのかというやり取りもありました。
 今後の具体的な方向性までは、分科会の場では出ていなかったと承知しております。

○川﨑委員 そのあとの項目も2、3、4、5とそれぞれ労使のコメントの紹介をいただいたと認識していますが、それぞれの項目も、いまのところは双方が意見を述べ合っている状況で、今後の方向性に関しては、まだ確たるものが決まっていない状況だと判断してもいいということでしょうか、それとも何か見えているものがあれば少しご紹介いただけませんか。

○大隈均衡待遇推進室長 いま川﨑委員が言われたとおり、まだ労使双方でさまざまな意見が出ているところで、分科会の中である論点についての方向性がという状況ではないと承知しております。

○林分科会長 そのほかにいかがですか。

○中窪委員 資料No.1の17~18頁で期間の定めを理由とする不合理な処遇について、通勤手当、教育訓練、退職金などが出ているのですが、若干気になったのが賞与が入っていないということです。パートタイム労働者については前回の資料などでも納得できないと考えているもののトップが賞与です。それがここに上がっていないというのは、有期では賞与はちょっと違う衡量があるという判断に基づいて取り上げられてないのか、向こうのことですが、何かわかりましたら教えていただきたいと思います。

○大隈均衡待遇推進室長 まだこの資料が出て、簡単に事務局が説明しただけですので、次回以降の分科会の中で議論があるのではないかと思います。

○布山委員 社会保障審議会の件で質問があります。10月13日から29日まで事業主、労働組合からヒアリングをされたということで、その内容の資料が出ています。ヒアリングがあって、その次の審議会で直接委員から意見のやり取りがあったのかどうかを伺いたいと思います。

○大隈均衡待遇推進室長 委員の中からもさまざまなご意見がありました。例えば、公益委員のご意見の中では、本人が望まないから適用しないという意見については、社会保険の議論では、そもそも本人が望む、望まないで適用する、しないというのを決めるのはいかがかというご意見。正社員やフルタイムの非正規労働者を多く使っている業種が、多くの事業主負担をしている一方で、パートタイム労働者を主体としている業種が負担をしていないという現状にあるのではないかというご意見。現在の制度で年末に就業調整をすることで起こっているコスト、例えば年末に正社員が残業などで対応するなどのコストをきちんと考慮しているのだろうかといったご意見、あるいは事業主負担の問題について、施行の時期の決め方、激変緩和措置を考えていく必要があるかどうかなどといったご意見、やり取りがあったかと承知しております。

○布山委員 そういうご意見が出たということで、方向性みたいなものは見えているのか、まだこれからの議論になっている状況なのかを伺いたいと思います。

○大隈均衡待遇推進室長 引き続きさまざまな論点が議論されていくのではないかと思っております。

○林分科会長 ほかにご質問、ご意見はありませんか。

○川﨑委員 2頁、3頁と関わるところだと思いますが、パートタイム労働者と比較する場合の条件として、たしか8条だと記憶していますが、まずは対象者の職務の内容が同一であること、人材活用の仕組みが同一であること、契約期間が無期又は反復契約によりほぼ無期と同じというところを3つ規定して、それによって処遇の差がないようにしていこうということがスタートだったと思います。そこと今回有期労働で述べている「期間の定めを理由とする」という部分がありますが、これは期間の定めだけのことを言っているのか、使用人側からの意見として期間の定めがあること自体は、当然それで出てくる職務の内容、責任の重さに波及的に違いがあったり、人材活用の仕組みそのものにも違いがあるというところも含まれると認識していますが、そこも含めて不合理であると考えるのか、その辺の議論はどのようなことがなされたのか紹介していただけませんか。

○大隈均衡待遇推進室長 この論点の4については、労使それぞれ一言ずつ発言をして終わり、次回に持ち越されたという状況です。細かい議論はまた引き続きと思います。

○林分科会長 そのほかご質問はありませんか。それでは、資料No.2~資料No.4について、事務局から説明をお願いします。

○大隈均衡待遇推進室長 それでは、資料No.2についてご説明します。前回、検討項目の総論としてパートタイム労働法の施行の効果について、ご説明しました。その中で一部資料にご質問等がありましたので、資料No.2を作成しました。
 資料No.2の2頁です。平成22年の調査ですが、「同じ内容の業務・責任の重さも同じ正社員がいる」と答えたパートタイム労働者が15.9%、「責任の重さは違うが、同じ業務の正社員がいる」と答えたパートタイム労働者が40%弱、合わせて約50%の方々に対して賃金についての納得度を聞いたものが左側です。「正社員より賃金水準は低いが納得している」が5割少し、「納得していない」が3割でした。
 3頁は「同じ内容の業務・責任の重さも同じ正社員がいる」というパートタイム労働者と、「責任の重さは違うが、業務は同じ正社員がいる」というパートタイム労働者それぞれについて納得性を聞いたのが右下の棒グラフです。
 そうしますと、も責任もどちらも同じ正社員がいると考えているパートタイム労働者については、「正社員より賃金水準が低く、納得していない」という割合のほうが「正社員より賃金水準は低いが、納得している」と答えている割合より高くなっています。
 逆に「責任は違うが、業務は同じ正社員がいる」というパートタイム労働者については、6割近い方が納得はしている、他方で2割ぐらいが納得はしていないということで、正社員と同じような責任を伴う業務を行っている、より基幹化されたパートタイム労働者であるほど、賃金の納得性が低くなっていることがわかります。
 4頁は、全体の5割以上の方が納得していて、3割弱の方が納得していない。それぞれがどういう属性を持ったパートタイム労働者なのかというご質問もありましたので、改めて出しておりますが、左から2つ目のブロックが納得している方々、右から2つ目のブロックが納得していない方々です。ここを比べますと、納得していない方々については、正社員として採用されなかったという理由でパートタイム労働者として働いている方が多いのではないかと点線を付けています。 左側の「納得している」という方は、都合のよい時間(日)に働きたい、勤務時間、日数が短いという理由でパートタイム労働を選択している方の割合が比較的高くなっているのではないか。この辺りも違いが見られるのではないかということで資料を出しました。
 資料の5頁も改めて出しており、同じ内容の業務・責任の重さも同じ正社員がいるいうパートタイム労働者は、「不満・不安がある」方が7割と不満・不安を持つ方が多い。不満・不安の内容についても賃金が安い、短時間労働者としては仕事がきついなど、さまざまなものについての不満・不安を多く持っていることが見て取れると思います。左下については、同じ内容の業務を行っている正社員はいないと答えているパートタイム労働者については5割少しの方が不満・不安があるということで、こういった方々に比べると、責任の重い、基幹化されたパートタイム労働者についての不満・不安は大きくなっています。今回は各論について資料を作成しておりますので、それについてもご説明します。
 資料No.3は待遇の決定に当たって考慮した事項の説明について、論点としては、事業主はその雇用するパートタイム労働者から求めがあったときは、待遇の決定に当たって考慮した事項についてパートタイム労働者に説明しなければならないことについて、どのように考えるべきかということです。
 現行第13条において、事業主は、その雇用するパートタイム労働者から求めがあったときには、待遇の決定をするに当たって考慮した事項について説明しなければならないことになっています。
法律14条に基づく指針の中で、この説明義務に関しては、事業主は、パートタイム労働者が、パートタイム労働法第13条に定める待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由として不利益な取扱いをしないようにするものとすると定めています。
 第13条の施行の状況は2頁です。既に何度かご説明しておりますが、過去2年間でパートタイム労働者から待遇に係る説明を求められたことがある事業所は22.3%、求められたことがない事業所は75.2%でした。また、説明を求められたことがある事業所においては98.5%とほとんどの事業所で説明をいただいています。
 3頁は、今後、賃金、教育訓練など待遇に関する不満・不安が生じた際の相談先ということで、事業主や職場の上司等、労働組合、行政機関、司法関係機関それぞれの選択肢について、相談するかどうかの調査です。事業主や職場の上司に「相談する」と答えた方が2割、「内容によっては相談する」と答えた方が4割、「相談しない」と答えた方が割です。
 「事業主や職場の上司等に相談しない」と答えた方に、相談をしない理由を聞いた結果が下の円グラフです。「相談しても聞いてもらえない」という回答が24.9%、「不利益な取扱いをされるのが怖い」という回答が17.2%、「周りに配慮して相談できない」が19.2%でした。こういった資料についても、またご議論いただければと思います。
 資料No.4「履行確保等について」「パートタイム労働法に基づく報告徴収や是正指導について、どのように考えるべきか。また、紛争解決援助及び調停について、どのように考えるべきか」
 現行第16条で、厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善を図るため必要があると認めるときは、短時間労働者を雇用する事業主に対して、まずは報告を求め法律に沿っていない場合には、助言・指導・勧告を行うことになっています。ちなみに厚生労働大臣の権限は、労働局長に委任されています。
 そして、第19条で、事業主は義務規定に関して、パートタイム労働者から苦情の申し出があった場合には、苦情処理機関等に対して、苦情の処理を委ねるなどの自主的な解決を図る努力義務が規定されています。
 第21条ですが、事業所内で紛争が解決しなかった場合等については、都道府県労働局長が紛争の当事者の双方又は一方から解決について援助を求められた場合には、簡易迅速な方法として助言・指導・勧告をすることができます。なお、事業主は、紛争解決援助を求めたことを理由として、パートタイム労働者に不利益な取扱いをしてはならないという規定もあります。
 2頁の労使間の紛争については、当事者の双方又は一方から申請があった場合には紛争調整委員会で調停を行わせることもできることになっています。また、この調停を求めたことを理由として不利益取扱いはしてはいけないという規定もあります。
 ちなみに3頁で報告徴収、助言、指導、勧告について、少し書いております。法第16条の報告の徴収ですが、助言・指導・勧告の前提としての事実の調査ということで、都道府県労働局の雇用均等室の職員等が事業所を訪問しています。そこで法違反があった場合には、まず助言をし、助言で是正されなかった場合は指導、指導によっても是正されないものについては勧告を行うということで、行政指導を中心にパートタイム労働法の履行を確保しています。
 いまの法制度を簡単にスキーム図にしたのが4頁のフローチャートです。企業内でパートタイム労働者と事業主との間で紛争が生じた場合には、まず事業所内での苦情の自主的解決の努力義務があり、それでも解決しない場合には、労働局の雇用均等室にご相談をいただくということで、パートタイム労働者、事業主の双方又は一方が求めた場合には、左側にある都道府県労働局長の助言・指導・勧告という手続、あるいは調停を選んでいただき、簡易に紛争を解決していく制度があります。ちなみに都道府県労働局長の助言・指導・勧告又は調停の対象になっているのは、労働条件に関する文書の交付(6条1項)、差別的取扱いの禁止(8条1項)、職務の遂行に必要な教育訓練の実施(10条1項)、福利厚生の利用の機会の付与(11条)、通常の労働者への転換推進措置(12条1項)、待遇の決定に当たって考慮した事項の説明(13条)ということで、義務規定のみを対象としています。
 また、むしろ行政指導としたほうがいいという判断がなされた場合にはスキーム図の真ん中の右側にあるように、厚生労働大臣あるいは労働局長による報告徴収又は助言・指導・勧告を行います。ちなみに、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法においては、事業主が報告徴収に応じない場合、あるいは虚偽の報告を行った場合には20万円以下の過料に処せられることになっています。また、勧告に従わない場合には、厚生労働大臣は、その旨を公表することができることになっていますが、パートタイム労働法では、特にそこまでの措置はいまはないところです。
 実際の施行状況です。5頁は相談件数の推移です。パートタイム労働法が改正されて平成20年度に施行されておりますので、その前後、公布された平成19年度、施行された平成20年度は法の施行に関して、さまざまな問合せがあったところです。また、平成22年度には6,000件を超える相談となっています。相談の内容は5頁、6頁に細かく掲げてありますが、パートタイム労働者からの相談については、6条の文書交付の関係、8条・9条の待遇の関係、12条の通常の労働者への転換の関係、13条の説明義務の関係なども多くなっています。事業主からは6条の文書交付、12条の通常の労働者への転換についての質問が多くなっています。
 7頁は、パートタイム労働法に基づく是正指導の状況です。報告徴収を実施した事業所、実際に訪問等をした事業所が緑の部分です。法違反ということで、まず助言をした件数が青になっており、助言でも是正されないときには黄色の部分の指導、指導しても是正されなかった場合に勧告ということで、例えば平成22年度の数字を見ますと、1万2,590の事業所を訪問して、2万6,091件の助言をし、従わなかった97件について指導をして、そのうちの2件に勧告をしています。
 是正指導の内容は、平成20年度、21年度、22年度とそれぞれ内容を細かく付けておりますが、8頁の下の円グラフ、直近の平成22年度をご覧いただきますと、いちばん多いのが12条に関するもの(転換措置に関するもの)、次いで6条に関するもの(労働条件の文書交付等)というところです。そして9条(均衡待遇)についても1,000件を超える是正指導を行っているところです。他方で8条(差別的取扱いの禁止)や11条(福利厚生施設)の関係は少なくなっていますが、3カ年度はこのような状況で指導してきています。
 9頁はですが、都道府県労働局長による紛争解決の援助は3年間で14件、調停については3年間で3件ということで少ない状況になっています。10頁は施行における課題ですが、1つ目の報告徴収の拒否理由ということで、報告徴収を拒否されることがあります。1年半で99件ほどありました。忙しい、法律上の義務ではない、さまざま行政の調査が多い、担当者が不明であるなどといった理由で報告徴収に応じていただけないという課題があります。2点目として、若干ですが、虚偽の報告もあります。パートタイム労働者がいないということでしたが、ほかの法律に基づいて報告徴収したときにパートタイム労働者がいたという事例とか、労働者に労働条件通知書を交付したことを口頭で確認したが、後にさらに事情聴取をしたところ、そういった状況ではなかったことが判明したという虚偽の報告もあります。
 11頁は、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法においては、虚偽報告に対する過料や是正指導に従わなかった場合の公表の規定があるということで参考で付けております。事務局からの資料の説明は以上です。

○林分科会長 資料No.2~資料No.4に関する事務局の説明について、委員の皆様からご質問、ご意見等がありましたらお願いします。

○中西委員 資料No.3について質問いたします。「待遇の決定に当たって考慮した事項の説明」の「今後、不満・不安が生じた際の相談先」のデータについて、不満・不安の中身・理由は、「本人の処遇」に関するものと限定して調査されているのでしょうか。それとも、その他職場・職業生活全般に関わることすべてに関する不満・不安を含んでいるのでしょうか。また、「事業主や職場の上司等に相談しない理由」として、「相談しても聞いてもらえない」、「不利益な取扱いをされるのが怖い」等を挙げているにも関わらず、第三者機関である「行政機関へ相談する」とした回答が、明らかに少ない状況となっています。この点については行政として、より積極的に取組みに努めていくべきだと思います。よろしくお願いします。

○大隈均衡待遇推進室長 まず、資料No.3の3頁の不満・不安です。これは待遇に関するもので、雇用が不安定、勤続が長いのに有期賃金が安い等の待遇についての不満・不安について調査をしたということです。

 2点目は委員ご指摘のとおり、今後待遇についての不満・不安が生じた場合に「行政機関に相談する」が0.8%、「内容によって相談する」が1割ということで、私どもとしても雇用均等室で相談を受け付けしているという周知は必要だろうと思っています。私どももさまざまな周知活動は、いまも一定程度やっておりますが、さらに努力していきたいと考えております。

○中西委員 どうもありがとうございます。

○佐藤委員 いまのに関連して、データの読み方だけの話で、いまの資料No.3の3頁は資料No.2の5頁の不満・不安がない人も、たぶん答えるようになっているのでしょうね。「今後」と聞いているので、無回答が多いのはいま不満のない人はあまり考えてもいないので、そういうことが多いかなということと、あとは労働組合がない所は「ない」というのがないから、付けようがないので無回答にしているのと、行政機関等の無回答が多いのは、たぶん知らないんだよね。だから6割も無回答というのは、外にそういう相談先があるというのを知らないということの表れ。いま不満・不安がないという人が答えていることと、それが無回答に落ちていたり、組合のところは組合がない、あっても自分は組合員ではない。社員だけが組合でということと、行政機関のほうはそういうことに加えて知らないというのが相当あるので、そういう意味では広報が大事かなということが読めるかな。ですから、これは前のほうで不満・不安があると答えた人だけを取ると、「ない」という人を除いてやっていくと違いが出てくるかもわかりません。私の理解が間違っていたらごめんなさい。

○大隈均衡待遇推進室長 その点については、不満・不安がある方に絞って、今後について聞いています。

○佐藤委員 わかりました。すみません。

○小林委員 いまの相談先の話に関連してですが、私はこの待遇の決定に関する事項の説明についてのご相談先が、どこか相談しても聞いてもらえないですとか、不利益な取扱いをされるのが怖いことに関して、もっと実効性を確保するために、現在パートタイム労働法に規定されている説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止を、法律で明確に規定する必要があると考えています。パートタイム労働者は、先ほどから資料の中でも5割から7割の方が不満や不安を感じていたり、正社員と同じ仕事でありながら、賃金水準が低いことに納得していない方も2割から3割に増えている状況を考えてみると、それにもかかわらず資料No.3の2頁にあるように、説明を求められたことがあるという事業主が22.3%しかないというのは、パートタイム労働者のほうで先ほどから出ているとおり、聞いてもらえないとか怖いとか、そういった溜め込んでしまう不安感があるから、どこにも聞けないと感じています。
 実例を出して恐縮ですが、聞いた事例では、2年ぐらいパートタイムで仕事をしてきて、会社の方針で契約の更新はもうしないと言われて、仕方ないから諦めてそれを受け入れた。ただ、そのあとで会社のほうで少し体制が整わないから、3カ月だけ更新してほしいと言われて、そのパートタイム労働者は女性ですが、自分は子どももいるし、3カ月でもいいから働けたらいいということで更新をしました。ところが、また事業主から、やはり1カ月で自主退社をしてほしいと。事業主も事業主ですが、そういった事例がありました。そこでパートタイマーの女性の方は、初めて労働組合にもう我慢できないというふうに相談をしてきました。その女性のパートタイム労働者も、やめるという選択肢をもって結果的にやめてしまったのですが、そこまで我慢して、やっと相談をして説明を求めたという事例なども実際に発生していることを考えると、パートタイム労働者は非常に弱い立場なので、聞きたくても聞けないということが現状であるのではないかと思っています。
 そこで、自分の処遇がどうやって決められたか、どうやって働いていったらいいのかと考えたときに、もっと怖がらずにというか、前向きに働いていくために企業に対して説明を求めていって、そのときに不利益な取扱いがないことは非常に重要なことであると思いますので、資料No.3にあるとおり13条の実効性を高めていくためには、説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止を法律までに格上げする必要があると感じています。以上です。

○林分科会長 この不利益取扱いのいちばん多いのが、更新をされないことに対する恐れだろうと思うので、ここについては有期労働契約の論議とも非常に関わってくると思いますが、この点についてほかにどなたか。この点でなくても結構ですが、ご意見はありますか。

○川﨑委員 質問になりますが、資料No.3の3頁の不安が生じた際の相談先ということでそれぞれ挙がっていまして、事業主や職場の上司等に相談をしないというところの理由の内訳は掲示されていますが、それ以外に司法関係に関して裁判になってくると多少ハードルは高いかなとは想定しますが、労働組合や行政機関に対しても相談しない。先ほど佐藤委員から、行政機関については知らないといったようなこともあるから無回答が多いというお話がありましたが、労働組合に対しても相談しないとか、行政機関に対しても相談しないという理由の内訳は、事業主のところの理由の内訳とだいぶ違いがあると認識したらいいでしょうか。そこも追加があったらご紹介してもらえませんか。

○大隈均衡待遇推進室長 事業主や職場の上司について、そこに限ってこういう設問を作っていて、ほかの選択肢について同じような設問を作っていませんので、大変恐縮ですが、データはこれまでということです。

○佐藤委員 データは読み方だけで、上で説明を求めたことがないということが75%ですが、その背景に、3頁の「相談しない」中の理由の「不利益な扱い」があるとかと直接結び付けるのは読めないなということで、例えば社員についても「賃金に不満はありますか」というと「不満はあります」と言いますよね。結構多いです。パートタイム労働者と、それほど変わらない。これをいちいち、なぜ低いのかとか説明を求めるかというと、また別の話ですので、直接説明を求めることがないということの背景に、説明を求めることと不利益取扱いへの恐れを結び付けられない。実際に下のデータを見ると、6割ぐらいの人は事業主や職場の上司に相談すると言っていますから、これは結構高い数字で、労使コミュニケーション調査の中で社員で不満があるという人について、どのぐらい相談しますかと聞いていますが、それと比べても結構高い数字。もちろん、相談しないという人を減らす努力をしなければいけないと思いますが、6割ちょっとが相談するというのは決して低い数字ではないので、相談できないような状況があるから説明を求めたことがないと解釈するのは、やや読み方としてはどうかな。読み方だけです。

○布山委員 意見の前に戸惑っている件があるので、特に労側に伺いたいことがあります。冒頭に審議会の状況ということで、労働条件分科会の審議状況についてご報告をいただいたのですが、その中でどのようなことを想定して議論すればいいのかに非常に戸惑っています。
 例えば、労働条件分科会で資料No.1-2にあったように、有期労働契約の在り方に関する論点案各項目について、いま議論されていると聞いています。その論点案には、1「有期労働契約の締結への対応」という項目があります。私ども使用者側は、これまでどおりの形で有期契約があって然るべきということで、労働条件分科会の中で、その旨の主張をしていますが、一方、労働者側委員におかれては無期契約が原則であるため、合理的な理由がない場合には有期労働契約を締結できないような仕組みを入れるべしとのご主張をされていると伺っています。そうなると、分科会は違えども、根幹に関わる有期労働という部分について、各労働者側委員の中でさほどずれがあるとも思えませんので、この分科会で労働者側委員が議論の対象として想定する短時間労働者、この法律では無期、有期に関わらず短時間労働者ということなので、そのうち無期契約の短時間労働者ということについて議論するということなのでしょうか。
 先ほど労側委員から契約更新についての事例をお伺いしましたが、これは有期契約の話ですので、どういうことなのかなということで戸惑っています。無期契約の短時間労働者ということになると、まず私どもがイメージするのは育児・介護によって一時的に短時間勤務をしている方々がいまして、そういう方はこのパートタイム労働法の中では通常の労働者であるので、議論の対象にはならないと思っています。そこで質問ですが、労働者側の考える無期契約の短時間労働者は、どのような方々で、どの程度いらして、どのような問題があるのでこの議論をしたいのかということをお伺いできればと思います。

○中島委員 委員として出ているわけではないので正確には把握していませんが、無期契約の短時間労働者というのはあまり想定していません。

○布山委員 基本的に、私どももパートタイム労働者の大半は有期契約の方々だと思っているので、この議論をする場合には前提がほとんど有期契約の方ということだと思いますが、ほかの有期労働契約の在り方そのものを考える審議会の中で、そういう議論をしている中で、いまこの段階でどんななことを想定して議論するかがなかなか難しいかなと思っています。これは、何回もここで発言をしているとおり、社会保障の在り方や有期契約の在り方が変わることによって、労働者の就労行動も変わる可能性がありますし、特に有期労働契約に何らかの規制がかかってくれば、いまの各企業の人事労務管理も変わってくる可能性があります。そういう不透明な中で、いまどんな議論をするかが非常に難しいなということで伺ったのですが、そうすると、どういうことを想定して議論するのかが戸惑いとしてはあるところです。

○齊藤委員 いまの布山委員の発言に関してですが、有期と無期ということでは、実際的にはパートタイム労働者は有期契約の方が多いと思いますが、それを想定して議論をしているわけではなくて、正社員と非正規で考えている。非正規のパートタイム労働者は、正社員に比べて待遇が弱いというか、著しく劣っていることが現状であるということです。ですから、それをできれば正社員と比例して、正社員のように上げていくために、このパートタイム労働法ができたのだと思います。当時は私はいないので佐藤先生のほうが詳しいのではないかと思いますが、有期か無期かというのではない。実際的に短時間正社員というのはパートタイム労働法が適用されますか。通常の労働者になりますよね。短時間正社員は通常の労働者とされています。それはなぜかというと、正社員と同じような待遇で守られているということだと思いますが、そういった観点でパートタイム労働者と言われて時間給で働いていたり、いろいろな待遇が正社員に比べて劣っている人たちを同じにしていこうということで作られて議論しているのではないかと思っているのですが、いかがでしょうか。

○布山委員 まず確認ですが、短時間正社員はパートタイム労働法の対象ではないのですか。

○大隈均衡待遇推進室長 いまは、正規型の労働者ということで整理をしています。

○布山委員 通常の労働者の定義は、どういう形になっているのですか。「週の労働時間が」ということで、労働時間から切ると短時間正社員が通常の労働者ということは納得がいかないのですが。

○大隈均衡待遇推進室長 短時間正社員は退職金や賞与も時間比例で払われている制度ということで推進しており、短時間正社員については正規型の労働者ということで整理をしています。

○布山委員 そうすると、もともとの定義が、はっきりしなくなるような気がします。

 それで労働者側委員のご意見に関してですが、このパートタイム労働法は有期、無期に関わらず、短時間労働者の法律だということはわかっています。だから、短時間労働者についての議論をするのですが、そのときに正社員か非正規かというところで、非正規は無期の短時間労働者も入ると見えるのですが、もともと無期の方がイコール正規だという認識はないものですから、そういう定義で議論するのかなというのが1つ疑問として思ったところです。ましてや、短時間正社員が通常の労働者であるならば、無期の短時間労働者というのはそちらのカテゴリーに入るのではないかという気がしますが、それをきちんと整理していただいて、議論をさせていただければと思います。

○林分科会長 整理は、いまできますか。

○吉永短時間・在宅労働課長 パートタイム労働法は短時間労働者を対象としているという形で、もう1つは通常の労働者かどうかという形で概念を整理しています。次回、もう少しマトリクスをお出しして整理をしますが、パートタイム労働者が正規型の通常の労働者になっていくに当たって、典型的な正社員、正規型の労働者という形であればフルタイムになるかと思いますが、実際にパートタイム労働者が通常の労働者に転換していくに当たってどこまで行くかを考え、短時間正社員も通常の労働者の範疇に入れていくという形で指導している状況です。完全なフルタイムの通常の労働者だけを対象とすることが、逆に言うと短時間正社員についてはフルタイムにするような形で指導するのかという考え方からすると、それは現実的に適当ではないだろうということです。具体的には、次回にでも資料をお示ししてご説明したいと思いますが、実際に有期か無期かということから、通常の労働者かどうかということはアプリオリに決まっているものではないだろうと思っています。
 ただ、布山委員のご指摘のとおり、無期契約の方で通常の正社員型の方と正社員型でない方がいることの考え方をどういう形で整理していくのかは、現実には無期契約で正社員でない方はそれほど多くないだろうという中で、概念的には難しいのではないかなという気がします。いずれにしても、パートタイム労働法は無期か有期かという考え方ではなく、正規型か正規型でないのかで考え方を整理していますので、そういう中でパートタイム労働法は労働時間の短い方について、いかに正規型の処遇に近づけていくのか。また、有期労働契約の議論については、有期契約の方が無期契約化するという期間の議論が中心になっていると思っていますので、そういう意味で有期労働契約の在り方についての議論とパートタイム労働対策についての議論というものは、一定程度整理がつくのではないかと思っています。もとより、対象がかなりかぶっている部分があるのはご指摘のとおりですので、その中でどういう形で整理をしていくのかが重要だろうと思っています。

○布山委員 次回、整理をしていただくということですが、正規か非正規かという言い方になると、また正規、非正規とは何なのかという話になるのではないかなと思っています。それで私が言いたかったのは、もし有期労働契約の方を網羅したパートタイム労働法の見直しについて議論をするのであれば、有期労働契約の在り方の方向性がある程度見えていない中で、どんな議論をするのかなということを冒頭からずっと申し上げています。以上です。

○小林委員 私の事例の出し方が紛らわしくて、有期、無期の話になってしまいましたが、私が申し上げたかったのはパートタイム労働者の中で、自分の処遇とか契約を含め曖昧な部分がありますから、そこの部分で聞きたいときもギリギリまで溜め込んで、辞めるという選択を持つぐらいまで行かないと聞けないといった観点で、事例として受け取っていただければいいかと思います。すみません。

○中窪委員 何が短時間労働者かというのは確かに法律上は非常に難しくて、次回しっかり説明していただくのを私も聞いて勉強したいと思います。考えてみれば、この法律自体が非常にわかりにくいというか、定義規定が2条で「短時間労働者」とは、とあるだけで、その中の括弧の中で「通常の労働者」というのが書いてあって、8条では「職務内容同一短時間労働者」とか、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とか、いろいろな概念がたくさん出てくる。それを通達などで体系的に解釈されているのだと思いますが、法律自体、定義規定をもう少し充実することを考えるべきではないかといま思いましたので、意見として申し上げておきます。

○瀬戸委員 難しい話だと思いますが、無期契約の短時間労働者は、どういった方を想定されているかというか、私どもで思うのは育児・介護の理由により短時間勤務をされている方しか頭に浮かばないのですが、そのほかに無期契約で短時間労働者というのはどのような方を想定されるか、もし想定されているものがあれば教えていただきたいと思います。

○吉永短時間・在宅労働課長 無期契約の正規型でない短時間労働者、まさにパートタイム労働法の対象となる方々についてですが、1つは従来、基本的に有期契約を更新し続けるうちに更新手続を取らなくなって、実質的に無期になり、もう完全にそういう手続を取らないようなケースというものは、実態としてあるだろうと思っています。ただ、無期契約のパートタイム労働者の処遇が正社員とどう違うのかというのは、その事業所によってかなり違ってくると思います。例えば、そういう方だけ退職金がないとか、正規の方には退職金はあるけれども、無期契約のパートタイム労働者には退職金がないようなケースというのは時としてあると思います。それを正社員と言うかどうかというのは、その企業の呼称になりますので難しい部分があるかと思っています。ただ、私どもの法律の体系としては、正社員型の方と職務と責任と契約期間は同じになりますので、同じであれば同じような賃金決定の仕方をしていただきたい。賃金決定の仕方が仮に職務も責任も人材活用の仕組みも同じで、違っていることがあれば、それを同じようにしてくださいと、法律上指導する形になるかと思っています。

○山川委員 いまの確認あるいは繰り返し的なことになってしまうかもしれませんが、解釈通達では、「いわゆる正規型の労働者とは社会通念に従い、当該労働者の雇用形態、賃金体系等(例えば、労働契約の期間に定めがなく、長期雇用を前提とした待遇を受けるものであるか、賃金の主たる部分の支給形態、賞与、退職金、定期的な昇給又は昇格の有無)を総合的に勘案して判断する者であること。」とあります。「いわゆる」ということなので、あまり厳格な基準ではないのですが、一応「いわゆる正規型」というのを想定している。そうすると、先ほどお話にありましたように、短時間正社員と短時間無期契約労働者は異なるということは、この法律では想定されている。その短時間正社員の取扱いが、正社員転換と規定によって違うのではないかという気がしますが、短時間正社員の取扱いはまた次回にご説明があるかと思いますが、一応分けられる。私の記憶では平成10年代の調査によると、たしか当時はわりと短時間無期労働契約が、特に中小企業を中心に多かったような記憶があって、その後パートタイム労働法の改正等によって、短時間の有期労働契約がかなり大部分になったという経緯があったと把握しています。以上です。

○林分科会長 ありがとうございました。そのほかにご質問、ご意見はありますか。

○渡辺委員 資料No.2の質問です。資料No.2の3頁で、同じ仕事を行っている正社員の有無について、業務と責任の関係でお答えになっていらっしゃる調査がありますが、この調査対象者はその責任の重さというのを何か実質的な数字や事実で、どういう行為を責任とご認識してお答えになっているのでしょうか。責任があるか、ないか、あるいは同等かどうかという判断は、どのようになさっている調査なのかをお聞きしたいと思います。

○瀬戸委員 いまの質問と関連することですが、この調査自体の調査方法というか、パートタイム労働者の方に直接ということではなくて、事業主を通して調査票を渡して回答していただいたかどうかが1つと、いま渡辺委員から質問がありましたように、この業務、責任、特に責任の重さをどういうふうに判断されているか。例えば私がパートタイム労働者で質問票をもらったときに、こうやって質問項目があって、「それは、正社員の方と同じことをやっているから、責任も同じなんだ」と、そのぐらいしか判断のしようがないのではないかと思います。要するに、責任の重さというのが事業主の考えるパートタイム労働者に担っていただく責任と、パートタイム労働者本人の責任の認識の違いがあるのではないかということを確認したかったのです。

○大隈均衡待遇推進室長 この調査票は事業主を通して、その事業所のパートタイム労働者に配付をしていただいています。責任ですが、調査票上は、「責任の程度というのは、業務に伴い行使するものとして付与されている権限の範囲程度」としており、さらに具体例を付けています。例えば小売の場合であれば在庫管理責任とか部下の指導、課せられる売上目標といったようなものの相違を1つの判断基準にしてくださいと。そのほかには、繁忙時や急な欠勤者が出た場合の対応。月末になると、急な残業が課せられるかどうかといったような具体的な事例を挙げています。
 パートタイム労働法で職務というのは、業務とそれに伴う責任と法律上は定義していて、責任については、授権されている権限の範囲、部下が何人いるか、決裁権限がどのくらいか、業務の成果について求められる役割、トラブル時や緊急時にどういった対応を求められるか、その求められる対応の程度、ノルマ等の成果への期待の程度。こういうものを責任と考え8条を判断するときの1つ目の要件ですので、わかりやすい形で調査票の中でお示しをしています。
 ただし、前回もご質問がありましたが、もちろんそれはパートタイム労働者がそういう受け止めをしているかどうかということでの調査ですので、事業所の雇用管理で同じとしているものもあるかもしれませんし、あるいはあくまでパートタイム労働者が正社員と比較をしながらご回答いただいたというのが、この調査になっています。

○渡辺委員 そういうことであれば、いまおっしゃったようなことを十二分に認識してご回答いただけるパートタイム労働者のイメージというのがあまり湧かないのですが、せめて我々が議論するものの責任の所在というか、責任の実際の事実項目というのは何なのかをご理解いただいた上で、責任の重さが違うとか同じという判断をパートタイム労働者がなさっているのかということを議論の場で分かるように、調査結果だけでなく調査票についてもご提示いただけたらいいのではないかなと思います。
 もう1つも意見です。5頁の「パートタイム労働者の現状」の「現在の仕事や会社に対する不満・不安の有無」について、この調査の仕方の批判になってしまうかもしれませんが、「不満・不安がある」という項目と同列に、「雇用が不安定」とか「勤続が長いのに有期契約である」とか「賃金が安い」という具体的な項目を回答欄に出すのは調査としてはどうなのか。つまり、不満があるか、ないかということの数字が高く出るような調査方法ではないかなと感じるので、改善をしたほうがいいのではないかというのが意見です。併せて、人間誰しも不満・不安はあるわけです。パートタイム労働法も含めて、雇用というのは働く側と、働いていただく側の労使両方で作っていくものだと思うので、使用者側の問題点や意見についても、アンケートを取っていただいて、その両方を見ながら法律を作っていくべきだと思います。以上です。

○大隈均衡待遇推進室長 資料については、工夫できるところは今後したいと思います。資料No.2の5頁については、「不満・不安がある」の内訳です。それから、法律の施行状況については、使用者側へのアンケートも踏まえて前回お出しをしています。今回はその中の一部、宿題として残ったところを取り出していますので、今後もその施行の状況をするときには、事業主の皆様に対する調査と両方を並べて、ご議論いただければと思います。

○佐藤委員 先ほどの通常の労働者のところは整理していただけるということですが、通常の労働者は無期契約で、ただ正社員型は無期だけではないという構成になっているところで、現状は労働法をいろいろ見てみると、法律に書かれているのは有期契約か無期契約かということと、時間の長短と派遣のように使用者が誰かという3つしかないわけです。ところが、パートタイム労働法はその中で正規型というのが出てきているので、これをどう位置づけるかは整理する必要があるかなということです。
 もう1つは、正規型は「社会通念に従い」ということで、変わってくるということなのです。パートタイム労働法において均衡なり均等を考えるときには、特定の賃金制度を求めるものではないと、ずっと言ってきたわけです。ところが、これを見ると特定の雇用管理、定期昇給があるとか賞与があるといった処遇の在り方を正規型は求めています。その辺の整理もしなければならない。極端な言い方をすれば、正社員に賞与がなくてパートタイム労働者に賞与がない。これは均等です。決して悪いと言っていなかったわけです。正社員にも退職金がないと、パートタイム労働者にもありません。だから、正社員にも通勤手当はありません。賃金制度も、禁止規定に入る場合は両方職務給にしてもいいし、職能給にしてもいいというふうに、特定の処遇制度を求めるものではないという説明をずっとしてきた。ところが正社員型に転換しなければ駄目となってくると、その構成をどう考えるか。この正規型が、特定の処遇の在り方を求めるものになると、その辺の説明との整合性を少し考えていかなければいけないかなと思います。

○林分科会長 佐藤委員のご意見を踏まえて、少し整理をするということでよろしいですか。

○吉永短時間・在宅労働課長 正規型の整理は非常に難しいというのは常々ご指摘いただいているとおりですが、現行法での整理について、次回資料をお示しして、ご議論いただければと考えています。

○川﨑委員 少しテーマが変わりますが、資料No.4の7頁の上の棒グラフで、報告徴収の実施事業所数と助言件数、指導件数を経年でお示しいただいています。平成20年の改正パートタイム労働法が施行されてから件数が増えてきているといったところですが、平成20年を超えたときから報告徴収の実施の事業所数よりも、助言の件数のほうが多くなっています。それ以前を見てみると、事業所数のほうが助言の件数を超えているとなっていますが、これは改正パートタイム労働法が施行されてからは、1つの事業所に対して複数の件数を助言しているために、こういった件数の差の棒グラフになっているのでしょうか。読み方をご紹介いただけないでしょうか。

○大隈均衡待遇推進室長 平成19年に法律が改正されまして、それ以前は努力義務が中心の法律でしたので、助言なりをしない事業所も数多くあったということですが、平成19年に改正された現行法は、措置義務なども増えていますので、そういったこともありまして1つの事業主で6条違反と12条違反があれば2件と数えており助言の件数が伸びてきています。法違反なしという事業所もこの中にはもちろんありますが、事業所によっては複数指導しているところがあります。また平成20年度以降、専門家を均等室に配置して、その人数の拡充などもしてまいりましたので、事業主に対する報告徴収や指導の件数にも、力を入れてやらせていただいていることも数字に現れているかと思います。以上です。

○川﨑委員 ありがとうございます。そうすると、10頁で報告徴収を拒否している所が99件。1年半ということですから、1年にならしてみると60件から70件程度の拒否の事業所があったと判断をして、全体で1万2,000件から1万4,000件ぐらいの事業所のうち、60~70件ぐらいが拒否をしている。拒否をして良いわけはないので、拒否をする事業所をゼロに近づけていく努力が必要なわけですが、割合としては1%を下回るごくわずかの事業所ということで、そういう意味では改正法が施行されて、こういったところに関しての助言、勧告自体は効果を発揮しているというか、その助言は一定の効果はあったとみなしていいという判断でよろしいですか。

○大隈均衡待遇推進室長 おっしゃるとおり、1年半の99件が多いのか少ないのかという議論はあるかと思いますが、当然行政指導する立場としては、より多くの事業所に伺って、そのパート法の施行の状況を見せていただければと、それは行政機関の勤めと思っていますので、ここの数はなるべく減らしていきたいと思っていますし、ほかの均等法や育児・介護休業法と若干措置が違っている部分もありますので、もしかしたらそこの違いでなかなか訪問できないということであれば、そのあたりは少し検討してもいいのかと思っています。他方で、いま1万3,000前後の事業所を訪問して、助言などもさせていただいて、年度を越えることはあってもきちんとすべて是正していただいていますので、施行の効果は一定出ているものと考えています。

○中窪委員 その効果が出ているということは大変結構ですが、同じ資料の4頁に紛争解決援助制度等の概要がありますが、1つは紛争解決の援助と調停です。他方で、労働局長で助言、指導ということです。私は昔、紛争調整委員会を千葉県でやっていたことがありますが、実際には労働局のほうで助言、指導をしたほうが効果があるのではないかという気がしています。そのときに、下に書いてある均等法、育介法では、それについて過料とか名前の公表とかがあるのに、パートタイム労働法だけがないというのが若干気になっているのですが、そうなる理由というのはあるのでしょうか。

○大隈均衡待遇推進室長 いま、均等法、育介法と比べて、パートタイム労働法が過料とか公表の規定がないことについてのお尋ねかと思いますが、もともとパートタイム労働法が努力義務が中心の法律であったという経緯などもあって、これまでのところは特に過料や公表までを必要としなかったということと理解しています。ただ、現在の施行状況を見ると課題が出てきているのではないかなと受け止めています。

○中窪委員 一応、差別禁止規定も前回に入ったわけですが、前の法が残っている感じなのか。

○大隈均衡待遇推進室長 前回の改正のときには、そこまでは必要ないという判断があったのかと考えています。

○中窪委員 関連してすみません。私の意見になってしまいます。これはパートタイム労働法だけではなくて都道府県労働局雇用均等室の問題ですが、私は社会人を相手に授業をしていて、労働基準監督署やハローワークはすぐにイメージを持ってもらえますが、都道府県労働局に雇用均等室があって、そこで均等法や育介法、セクハラの相談をやっていると言っても、「どこですか」という感じで知られていないというのが実感です。字面から見ても大変地味なので、何か愛称で「eオフィス」とか、もう少し目立つような工夫ができないのかなというのが常々思っています。
 それから、労働基準監督署やハローワークはいろいろな地方都市にもありますが、都道府県労働局均等室は1カ所しかないということで、そこが1つネックになっている可能性があるので、例えばハローワークに行って、そこでコンピュータ画面を使ってSkypeで雇用均等室の方と相談できるとか、そういう取組みはできないのだろうかと思っています。もしやっていたらすみませんが、そういうことも工夫の余地もあるのではないかと意見として申し上げます。

○山川委員 若干関連して、一部質問もありますが、資料No.4の条文の履行確保等についての論点で、第19条では「苦情処理期間(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情処理をするための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めるものとする。」と書いてあります。1つめの質問は、事業主代表と労働者代表による苦情処理機関が例示として努力義務で挙げられていますが、その設置率はどのくらいか。先ほどのアンケートでも、この選択肢よりは使用者としての機関みたいなことが主として出ていましたが、この条文上挙げられている例がどのぐらい設置されているかという点。2つめは、いまの中窪委員のお話と関係しますが、第19条の解釈通達によると、「苦情処理期間等事業所内における苦情の自主的解決のための仕組みについては、短時間労働者に対し周知を図ることが望まれるものであること。」と書いてありますが、このあたりのデータはあるかどうか。つまり、事業所内の苦情処理機関ないし仕組みについての周知の度合は、何かデータがあるのでしょうか。したがって、データについての質問が2点です。

○大隈均衡待遇推進室長 報告書がもしお手元にありましたら、報告書の図表34をご覧下さい。

○山川委員 何の報告書ですか。

○大隈均衡待遇推進室長 「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」の報告書です。図表の34をご覧いただければと思います。右下の図で「短時間労働者から処遇に対する苦情の申し出を受けた場合の自主的解決努力の有無」ということで、「解決に努めている」が92.4%。そのうち、いちばん多いのが「人事担当者などが窓口になって解決に努めている」というのが8割。「苦情処理制度を設け、解決に努めている」というのが18%。「左記以外の方法で、解決に努めている」が17.2%ということで、ここはその条文にあるような労使の代表から成る制度という設問は取っていないので、大変恐縮ですが、いまあるデータはこのあたりということです。

○山川委員 周知のデータはないということですか。

○大隈均衡待遇推進室長 はい。

○齊藤委員 パートタイム労働法の実効性の確保について、先ほど過料や事業所名の公表等がパートタイム労働法には入っていないのは努力義務規定が多いからという説明がありました。そうであれば努力義務規定も紛争援助解決制度の対象とすることで、パートタイム労働法の実効性が確保されるのではないか、さらに「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」の報告書でも、利用実績が少ない要因としては義務規定にかかる紛争のみを対象としているということを指摘していますので、法律の実効性を確保するためには制度の対象を努力義務規定も拡大する必要があるのではないかと思っています。こちらについても今後検討していくべきだと考えていますが、いかがでしょうか。

○吉永短時間・在宅労働課長 実効性をどう確保していくのかという形で、他法に比べて若干サンクションが弱いところはあるのだろうと思っています。また、調停制度等が用意されていますが、義務規定に限られているところのあたりをどう考えていくのかという問題はあります。育児・介護休業法や男女雇用機会均等法とは若干法制上の性格が違うところもありますが、行政の遂行に当たってこういう規定があれば、もう少し強力な指導等ができるのではないかということがあろうかと思っています。
 努力義務規定についてどういう形で指導していくのかは、非常に難しい部分があります。例えば、調停についてもどういう形で調停案を変えていくのかということはあります。いずれにしても、労働者あるいは使用者の合意があって初めて調停制ができるものですので、そのあたりの工夫をして実際に紛争の解決が円滑に進むような枠組ができればと考えている次第です。

○布山委員 いまの件については、均等法では男女の性別による差別の禁止、育介法では育児休業を取ることが労働者の権利(形成権)になっている中でどうするか。パートタイム労働法に関しては、パートタイム労働者の方の労務管理の一環で、通常の労働者との均等・均衡の確保という法律の趣旨が若干違う中で、紛争解決援助の在り方をどう考えるかも必要なのかなということだけ、今日は意見を申し述べたいと思います。

○林分科会長 そのほかに、ご意見、ご質問等はありますか。

○小林委員 同じく実効性の確保の件ですが、パートタイムも労働者ですから、いま布山委員からご意見がありましたが、均等法、育介法と同じように、資料No.4の4頁のフローチャートにあるように、実効性を確保するためには同じように制裁措置というか、そういったものを入れていく必要があると考えています。というのは、同じ資料の10頁に99件が報告徴収の拒否をしているという報告がありましたが、この99件が多いか少ないかというのは立場によって考え方が違ってくるところであって、繁忙のためとか法律上の義務でないというのが若干でもあるのであれば、働く側としてはここはきちんとしていかないといけないと思いますので、実効性のために育介法や均等法と同じような扱いをしていきたいと思っています。以上です。

○中西委員 いまのご意見に関連してではありますが、資料No.4の10頁の「施行における課題」について、「報告徴収の拒否」の件数が1年半で99件あったということですが、先ほどもご意見の中にあったかもしれませんが、これは、報告徴収実施事業所全体のうちの、どの程度を占めるものなのでしょうか。重複した質問になりますが、再度、確認させてください。

○吉永短時間・在宅労働課長 先ほど、川﨑委員からご指摘いただいた中にもありましたが、平成22年度で年間1万2,000事業所について、報告徴収を実施している状況です。そのうち、報告徴収の拒否理由という形で理由をお示しいただいたものについて99件です。拒否自体は、もう少し件数が多いのですが、理由がわかっているものが99件です。1年半で99件なので、年間約60件から70件ですので、1万2,000件のうちの70件程度の数字にはなるかと思います。それが、拒否の理由がわかっているものです。

○中西委員 ご回答ありがとうございます。よく確認できました。意見として申し上げますが、過料や企業名の公表など、これ以上罰則規制を強化する必要性については、よくわからないと感じています。
○林分科会長 そのほかに、ご意見等はありますか。

○齊藤委員 1つ戻ります。資料No.3の待遇の決定に当たって考慮した事項の説明についてです。先ほど小林委員からも実効性を高めるために、指針を法律に格上げする必要があるのではないかという意見がありました。それに関して、待遇の決定に当たって考慮した事項のパートタイム労働者への説明は、パートタイム労働者からの求めを前提としないで一律に事業主に義務づけることを検討すべきではないかと思っています。渡辺委員からもありましたように、パートタイム労働者本人が責任が同じだと思っていても企業のほうでは、同じと考えていないということもありますが、そういった本人が思っているだけというのも、実際には説明を求めていないからわからないということです。企業から説明をしていくことによって、お互いに同じような考え方、そして自分が思っていることと企業が思っていることが違うということも認識する必要があると思います。
 私どもの調査では、例えば年次有給休暇について、実際には制度があるにもかかわらず、調査対象のパートタイム労働者の半分ぐらいが自分の事業所には制度がないと思っている。そのようなこともありますので、制度をきちんと知らしめることも重要になってくると思います。これは説明を求める、求めないにかかわらず、事業主側からきちんと説明をしていくべきだと考えています。特にそれをすることによって、企業が何のデメリットがあるというわけではないと思いますし、それを説明するために企業がどういうことをしていくかということも、きちんと勘案することができると思いますので、そういったことについて検討していくのもいいのではないかと思います。

○渡辺委員 企業が、そういう説明責任を果たしていくべきだというのは賛成しますが、パートタイム労働者の方も行政から発される情報をキャッチして勉強していただかないと、お互いに良くはならないと思います。企業の説明責任に罰則規定が付加されるならば企業はやらざるを得ないと思いますが、実際に説明してもわからないという方もいらっしゃるわけです。そういう場合はどうするのですかということになりますので、それは労使ともにそういう知識ベースを上げていかなければいけないと考えます。

○川﨑委員 私も、渡辺委員に賛成というところで意見を述べますが、パートタイム労働法の中で雇入れの際には労働条件を文書等で明示することが既に決められていて、それもほぼ履行されているといった中では、齊藤委員がご指摘になった年休等については、ここで一定の確認ができていると考えていいのではないかと思っています。そういう意味では中間のところで、履行確保に関して件数が多いか少ないかといったところは確認をさせていただきましたが、今回あった1年間で60件から70件程度の部分が拒否をしたことに関しては、ゼロに向けていくのが望ましいといった部分はあるというところですが、今回の法律の中での実効性についてはかなりの部分が担保されていて、さらに今回法律の改正等を伴った変更というのは、特段の必要性は認めないのではないかと考えています。意見として述べさせていただきました。

○齊藤委員 川﨑委員からの、採用のときにきちんと説明する義務があるということはわかっています。ただ、パートタイム労働者はわりと更新を繰り返していきますので、採用のときには3カ月なり6カ月なりの契約期間であった場合、年次有給休暇というのは対象外です。ですので、そこで果たして説明がされたかどうか。更新を続けていって6カ月が過ぎて更新のときに、単なる更新しますよという説明だけなのか、それとも改めて1から説明されているのかはいま把握できないと思いますが、実際にどのようにやっているかを教えていただければありがたいです。そういうことを踏まえると、更新の度にきちんと説明していただいているのでしたらそういうことは起こらないと思いますが、採用のときだけで説明したのか。更新の時期は、「更新します。前と同じですよ」という説明の仕方ですと、法律をきちんとわかっている方々がどのくらいいるのかを考えれば、最低限説明はすべきではないのかなと考えます。

○佐藤委員 労働条件明示については、契約更新のときは当然また明示しなければいけないので、それはやっていただかなければいけないと思いますが、そのことと第13条の説明を求めることとはかなり違って、これは、なぜ自分に賞与はないのかと言われたときに説明するということで、これにはいろいろな質問があり、事前に全部説明するのはまず不可能だと思うので、もし義務にするとすれば、労働条件明示において、賞与がない場合は書かなければならないなど限定的にし、分けて議論しないと。質問が出てくるだろうことを想定して全部説明しろというのは、なかなか難しいかなと。ただ、ご指摘のように雇入れのときだけではなくて、当然更新のときも明示することをきちんと担保するような仕組みや、労働条件の明示の中身をもう少し広げるといった議論はもちろんあり得るとは思いますが、一応現状はそういう枠組になっているかなと思います。

○中島委員 労働条件明示と説明の問題の整理は難しいと思いますが、多くのパートタイム労働者の方が当事者性という意味において立場が弱いのです。ですから、なかなか聞きたくても聞けないという現状があると思いますので、事業主と雇われるパートタイム労働者の当事者性の問題として、説明はしていただく必要があるのだろうなと思います。特に責任のところはわからないのは当然で、その内容を説明しておくことが必要になると思います。その説明の有無を不利益取扱いしないということも含めて、規定をしておく必要があるのではないかと思っています。

○布山委員 いまの意見に関連して、どなたかからもご指摘があったとおり、資料No.3の3頁にあるように事業主、職場に6割以上の方がまずは相談をしていただくというのは、かなり大きい数字かなと思っています。その中で、相談しない理由で、いまご指摘があったように不利益取扱いの部分があるのであれば、むしろ労働組合、行政機関を含めてきちんと相談できるような体制を整えることも、1つ方法としてあるのではないかと思っています。

○林分科会長 そのほかに、ご意見はありますか。ご意見がないようでしたら、本日の審議会はこれで終了したいと思います。最後に、本日の署名委員は労働者代表は小林委員、使用者代表は瀬戸委員にお願いいたします。
 皆様お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第107回労働政策審議会雇用均等分科会議事録

ページの先頭へ戻る