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2011年11月16日 第8回医療計画の見直し等に関する検討会
医政局指導課
○日時
平成23年11月16日(水)10:00~12:00
○場所
厚生労働省 専用第22会議室(18階)
○出席者
武藤座長 |
伊藤委員 神野委員 齋藤委員 佐藤委員 末永委員 鈴木委員(高杉参考人) |
中沢委員 長瀬委員 伏見委員 布施委員 山本委員 |
○議題
疾病又は事業ごとの医療体制構築に係る指針について
○議事
○石川室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第8回医療計画の見直し等に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様方には、本日大変お忙しい中、また遠方より御出席賜りましてまことにありがとうございます。
最初に、本日の出欠状況でございますけれども、尾形委員、吉田委員、鈴木委員が御欠席、本日は鈴木委員の代理で高杉参考人が御出席されています。
また、本日最後に、災害医療に関しまして、1点御報告させていただく予定でおりますけれども、夏の人事で担当室長が異動いたしましたので、初めに紹介をさせていただきます。救急周産期医療等対策室佐久間室長でございます。
○佐久間室長 佐久間でございます。よろしくお願いいたします。
○石川室長 それでは、資料の確認をお願いいたします。お手元、議事次第、構成員名簿、座席表、横置きの資料が1から3まで、最後に、参考資料といたしまして、災害医療等のあり方に関する検討会報告書、本日の資料は以上でございます。不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。それでは、頭撮りは以上とさせていただきますので、これからの写真等の撮影は御遠慮願います。以降の進行を、武藤座長にお願いいたします。
○武藤座長 おはようございます。それでは、第8回医療計画の見直しに関する検討会を始めさせていただきたいと思います。まず冒頭に、精神疾患の医療体制構築に係る指針ということで、精神・障害保健課の中谷補佐から御説明をお願いしたいと思います。
○中谷補佐 精神・障害保健課の中谷でございます。
資料1、精神疾患の医療体制構築に係る指針についてをごらんください。
まず、おめくりいただきまして、2ページ目でございます。前々回、第6回目の検討会で、精神疾患の医療体制に関して、有識者の方から御報告をいただき、また幾つか御意見をいただきました。その中で福祉や介護との連携が精神疾患では重要であるという御意見もいただきましたので、2ページのように、これは主に福祉の連携という視点でまとめた図ですが、今どういうようなものがあるかというのを一覧にまとめたものです。左から右に時間軸がございまして、グリーンのところにありますのが主に福祉サービス、ブルーの上の部分にありますのが精神科医療機関ということでございます。
このように福祉のサービスについては、真ん中の上ぐらいにケアマネジメント、相談支援事業所といったものがありまして、主に医療との関係で言いますと、地域移行支援というところが入院中の患者さんに対して、地域移行のためのサービスを提供するといったことなどが、主に連携としては考えられております。
また、時間軸右の方にいきまして、回復するといった段階では、右下の宿泊型自立訓練とか就労支援、それから、一番右側にありますが、復職支援(リワーク)といったようなもの、主にうつ病の方などがやっているものが多いのですが、そういった支援があるということで、こういったものと連携していく必要があると考えております。
3ページをごらんください。そうした精神疾患の特性なども踏まえまして、精神疾患の医療計画について、目指すべき方向というものを5点まとめさせていただきました。
まず1点目が、住み慣れた身近な地域で基本的な医療やサービス支援を受けられる体制。
2点目が、今、御説明したように、いろいろなサービスと協働することで、適切に保健・医療・介護・福祉・生活支援・就労支援などの総合的な支援を受けられる体制。
3点目、精神疾患は症状がわかりにくくて、また変化しやすいといったようなことから、なかなか医療につながるのも難しいといった特性がありますので、その点をアクセスしやすく、必要な医療を受けられる体制。
4点目については、当然、急性増悪などもありますし、必要なときには、入院医療を受けられる体制ということ。
5点目、これがよりわかりやすくといった視点ですが、提供できるサービスの内容や実績などの情報を、積極的に公開していくということを目指すということではどうかという案でございます。
4ページ目をごらんください。先ほどの全体のイメージ図の中で、ほかの4疾病と同様に、まず、病期ごとでとらえるとすると、精神疾患の場合どうなるかということですが、左から右に時間軸がある中で、一番左側、例えば、発症予防をするという部分と、また症状が出てから、より早く精神科医につなげるようなアクセスの部分というのが左側の囲みです。
また、医療につながった後が、真ん中の少し縦長になっておりますが、治療を受けて、さまざまなサービスと連携しながら回復をしていくステージ、それから右下の部分ですが、回復をしてから社会復帰にまで至るステージということで、大まかに、このようなステージにとらえてみてはどうかということで、それぞれの機能、目標、関係機関、求められる事項、評価指標をまとめたのが5ページになります。
こちらに、枠としては4つでまとめておりますが、5ページについては、まず、一番左側、発症予防の段階についてですが、こちらについては、関係機関としては、医療ではなくて、保健所や精神保健福祉センターなど、また、その関連機関としては、当然地域保健や産業保健といったものも入ってくるだろうということで考えていまして、求められる事項としては、メンタルヘルスの関係の普及啓発や地域保健、産業保健領域と、様々連携していくといったことなど、評価指標として考えられるものとしては、精神保健に関する相談件数や啓発活動、どのぐらい実施しているといったことなどでございます。
ちなみに、こちらの一覧表は、前回、有識者の方に御発表いただいた内容を、今回こういうステージに、事務局の方で当てはめてつくってみたものということで、こちらについて、また今日御意見をいただければと思っています。
次に、左から2番目のアクセスの部分、これは機能としては、症状が出て適切に精神科医に受診できるという機能で、目標としては受診できるまでの期間を短縮するといったこと、それから、様々な地域の精神保健医療サービスと連携していくといったことでありまして、関係機関としては、精神科医につながる前ですので、一般の医療機関や薬局といった医療機関、それと保健所、精神保健福祉センターというものを考えられまして、求められる事項としては、それらの機関が精神科医療機関と連携をしているということで、これはGP連携事業というような名前で、当課で、補助事業で推進させていただいているものがございまして、地域でそういう事業がある場合には、そういったものに参画をしていただくといったことなどが考えられるとしております。
続きまして、1つ右側の治療から回復といった部分、これは精神科医療につながるといった後に、適切な医療を受けていくということで、関係機関としては、精神科病院、精神病床を有する病院や精神科診療所、訪問看護ステーションなどが考えられておりまして、求められる事項としては、当然適切な医療ということですが、特にそのさまざまサービスと連携するという観点からは、求められる事項2つ目にありますように、医師、薬剤師、保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士等といった多職種チームによる支援体制というものはどうだろうかと思っております。
それから、更に、右側の社会復帰という段階ですが、これは回復をして、地域で生活をするところは、どれぐらいその方のニーズに応じて、社会復帰の程度が異なるわけですが、ただ、その地域生活をできるだけ長く継続できるように、適切に医療サービスが支援しながら、ほかのサービスと連携をしながら支えるというフェーズと考えておりまして、関係機関としては、先ほどの医療機関に加えて、障害福祉サービス事業所、相談支援事業所、介護サービス事業所などが加わるということで考えております。求められる事項としては、適切な医療を提供するということのほかに、再発予防という観点からも、緊急時の対応体制や連絡体制などを確保しているということなどを考えております。
続きまして、6ページをおめくりください。今の病期のフェーズで考えたときですが、それによらず、その状態像によっても、必要な医療というのが変わりますので、幾つか特徴的に考えるべきと思われる状態像を挙げております。
左側が、まず急性増悪の場合ということで、これは精神科の救急医療を提供する体制ということで、目標としては24時間365日精神科の救急医療を提供するということで、関係機関は、こちらにありますようなものですが、精神医療相談窓口というものや精神科の救急情報センターというものを、各県の精神科救急医療体制整備事業というものでやっておりますので、それも含めて書いております。求められる事項としては、救急患者の受け入れできる機能ですが、地域の精神科救急医療システムに参画をしていただくといったことなどを考えておりまして、評価指標としては、精神科については、精神科救急医療圏というものが150か所余りありますが、それごとに精神科救急医療機関などを整備しておりますので、その状況などを書いております。
次に、1つ右側の専門医療につきましては、こちらは目標のところに書いてありますが、精神科の中でも特に専門的な児童精神医療、依存症、てんかんなどといった専門的なものでありまして、こちらについては、少なくとも都道府県単位で確保ということではどうかと思っています。関係機関は、それぞれ各領域の専門医療機関等となりまして、例えば大学病院なども、そういったものに入ってくるだろうと思っております。求められる事項としては、それぞれの領域ごとに必要な医療ですが、特に専門医療ですので、3つ目の丸にありますが、他の都道府県の専門医療機関ともネットワークを持っていただくということが重要だろうと考えております。
続きまして、右側です。身体合併症なのですが、2つ分けさせていただいておりまして、左から3つ目の身体合併症(急性疾患)については、これは身体合併症で、かつ救急医療が必要な骨折ですとか、負傷といった急性疾患ですので、目標としては24時間365日、その身体合併症を有する精神科の救急患者に対応できるということでありまして、関係機関としては、精神科に限らず一般の救命救急センターや一般の救急医療機関と精神科病院などが関係すると考えております。求められる事項としては、そこに一般医療機関と精神科医療機関との連携ということがあります。特に急性期の場合は、1つ目の丸にありますように、身体と精神の両方について、適切に診断できる体制が求められると考えております。
1つ右側、身体合併症の中でも専門的な疾患ということで、例えば、がんですとか、透析が必要な疾患といったようなことでありまして、関係機関としては、精神科病院と専門医療機関、それぞれが診療協力をしていただきながら、受け入れできる体制をとっていただくということが求められる事項として考えております。
続きまして、7ページ、これは前回、有識者としておいでいただいた伊藤先生が、ほかの4疾病の医療体制のイメージも参考にしながら、この精神疾患の場合のイメージとしてつくっていただいている資料でして、縦軸が上に向かっていくほど重傷度が増す、横軸が右にいくほど時間が流れるということで、予防やアクセス、治療回復、右下に社会復帰、また、急性増悪の場合などの状態像というもの、今、御説明したものを当てはめていくとどうなるかというもので、参考に見ていただければと思います。
続きまして、8ページ、精神疾患につきまして、うつや認知症などについて、御指摘あったのですが、そもそもどの範囲を言うのかということも、ここで提起しておく必要がございますので、現在、精神保健福祉法でどう扱っているかというのが8ページの資料です。現在、精神保健福祉法では、左側の下の表にありますように、国際疾病分類(ICD-10)の中で、Fコードがつくものが「精神および行動の障害」となっておりまして、その一覧、F0~F99まで、項目を出しておりますが、こちらになります。F0には、アルツハイマーや欠陥性の認知症などが含まれておりますし、F2のところは、統合失調症などの統合失調症圏のもの、それから、F3気分障害には、うつ病などが含まれているというような状況になっています。
更に、右側の表ですが、制度的には、精神障害者保健福祉手帳という制度を持っておりますが、その中では、これに加えて、その表の上から4つ目にありますが、てんかんも対象にさせていただいております。これはICD-10では、G40になりまして、Gコードは神経系の疾患になるのですが、症状としては、精神的な症状なども含む患者さんがおられますので、こちら手帳制度には対象にさせていただいております。この同等の範囲で、医療計画の方も考えていきたいと思っております。
9ページをごらんください。そのように、精神疾患の範囲は、かなり広うございますが、医療計画を考えていく上では、前回も御指摘ありましたが、右下の外来患者の中で、特に増えているうつ病といったところや、左側、入院患者でも増えてきている認知症といったところは、特にわかりやすく、あるいはその特徴を踏まえた計画を作成してはどうかということで考えております。
10ページをごらんください。以上のことをまとめまして、論点としては、まず1つ目、精神疾患の医療計画の作成に当たっては、福祉・介護サービスなどの連携が重要でありますので、地域の実情を踏まえつつ、障害保健福祉圏域や老人福祉圏域等との連携を考慮して作成してはどうかということです。
この障害保健福祉圏域というのは、障害福祉計画で定めている圏域ですが、大きさとしては、ほぼ二次医療圏と同じ。老人福祉圏域も、こちらは介護保険事業計画の圏域ですが、こちらもほぼ二次医療圏と同じ範囲ということになっておりますので、そのぐらいの広さをイメージして、精神疾患の医療計画を考えていただいてはどうかという点。
それから、論点の2点目は、精神疾患の範囲についてですが、医療計画としては、精神疾患全体として、今、御提示したような病期と状態像に分けて作成したいと思いますが、特に、うつ病と認知症については、それぞれ我々も対策を講じている施策もありますので、そういったものも入れ込んで、作成をしていってはどうかと考えています。
11ページ以降は、その前半部分の地域移行に係る部分の検討状況、それから、28ページからが、後段のうつ病や認知症の施策の状況を参考資料として御提示しておりますが、かいつまんで御説明します。
20ページをごらんください。これは障害福祉計画について、医療計画と介護保険事業計画との関係を示した図でございます。障害福祉計画につきましては、3年ごとに作成しておりまして、来年、平成24年から第3期の障害福祉計画となります。また、左側、介護保険計画も、24年からは第5期の介護保険計画ということになっておりまして、こちらの絵になりますが、障害福祉計画の中では、真ん中の部分にありますが、着眼点として、精神障害者に関する目標を定めることになっておりまして、来年度からの第3期の計画では、1年未満入院者の平均退院率や、5年以上かつ65歳以上の入院者数の退院者の数の目標を定めまして、左下に矢印がありますが、そうした退院者数を受け止めるための地域移行支援などのサービスの見込み量を推計して、サービスの事業整備計画に反映していくということをしております。県は全体の中をまとめて、中身は市町村ごとに検討することになっています。点線から下の部分が市町村になっております。
現在、認知症については、この着眼点を検討中とさせていただいておりますが、特に受け皿としては、福祉というよりは介護の方で受け皿ということもありますので、左側の下、市町村の部分の介護保険計画ですが、この部分では、精神科病院から退院する認知症の患者数が把握できる場合には、介護保険計画の中の介護サービス、必要なサービス量の見込みの中に盛り込んでいただくような連携をしていくということであります。
また、上の部分ですが、以上のようなことから、受け皿の整備計画が進むわけですので、これにつながるような医療体制という観点で、医療計画で精神疾患の指針というものを検討してまいりたいと思っております。
あとは28ページ以降が、うつ病等の施策の状況ということになります。
29ページをごらんください。
これは、昨年の5月、厚生労働省として、自殺やうつ病の対策の方向性をまとめたものであります。幾つか柱がございますが、医療計画との関係では、柱の2番、左下の部分にありますゲートキーパー機能の充実と地域連携体制の構築ということで、特に、中に書いております2つ目のポチで、かかりつけ医師と精神科医の地域連携の強化ということで、この部分、GP連携を強化していきたいという点と、右下、柱の5番、精神保健医療改革の推進の中で、2つ目のポチ、自殺未遂者に対する医療体制の強化ということで、一般の救急医療現場に、自殺未遂者の方が運ばれたときに、その後のフォローをしっかりするというのが非常に重要ですので、そうした面での救急医療と精神科医療の連携ということを進めていきたいと考えております。
次の30ページが、うつ病に対する医療等の支援体制の強化ということで、予算事業で、左側の図が精神科医と一般のかかりつけ医の連携強化、それから、右側が精神医療関係者への研修ということで、こういった事業等を進めている状況でございまして、以上のような点で、うつ病と認知症についての計画というのも検討していきたいと考えております。説明は以上になります。
○武藤座長 中谷補佐、ありがとうございました。皆様方の御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。長瀬委員、どうぞ。
○長瀬委員 5疾病になりまして精神が取り上げられるということは、非常にありがたいことであります。特にこのような形で、しっかりと計画ができるのは良いことなのですが、このように計画を書いて頂いてもなかなかきちんと実行されることが少ないのではないかと思います。まずは、医療計画の最初にあります住民への情報提供推進策というものをしっかりやって頂きたいと思います。
先ほどの説明にもありますように、精神は医療だけではないのです。障害福祉の部分が相当大きいものですから、5疾病になったのですから、こちらも今までに増してしっかりやっていただきたいと思います。この間からの議論にありますように、地域によって相当差があります。各都道府県レベルに落とし込んだ時に、先ほどおっしゃっていた二次医療圏よりももっと落とし込み、市町村のレベルできめ細かくやって頂けるとありがたいと思います。
○武藤座長 これに関して、何か中谷補佐から御意見はありますか。
○中谷補佐 今の御指摘も踏まえて、もう少しこの内容を検討していきたいと思います。
○武藤座長 末永委員、どうぞ。
○末永委員 非常によくまとめられているとは思うのですが、これを実現させるためには、かなりの工夫が要るのではないか感じました。例えば、福祉・介護との連携の関わりが必要だということを冒頭に言われまして、まさにそのとおりだと思います。が、今まで精神科の患者さんたちに対して、例えば、地域移行支援とか、地域定着支援というふうなところで、特別、配慮されていなかったところに、これを持っていくとなれば、ケアマネジャー等も含めまして、それらをやっている人たちに対する精神科に関する、地域でどういうことまで見なくてはいけないかという教育がないと、なかなか実際的な対応ができないのではないかということを、ちょっと心配いたします。
それから、もう一つは、前回もありましたけれども、2ページの上の部分の外来医療・訪問看護のところから、地域に戻すときの訪問・外来デイケアとか、アウトリーチチームによる支援、この辺もちょっと詰めておかないと、まだ不十分ではないか。ちょっと時間がかかりそうな印象がします。
○武藤座長 神野委員、どうぞ。
○神野委員 前々回の精神疾患の検討会のときも申し上げましたけれども、今、皆さんがおっしゃったように、地域に戻すときの、ここの表で言うグループホームとか、ケアホームとか、宿泊型自立訓練とか、そういったいわゆる施設系といいますか、受け皿の整備目標というものも、つながってくる問題かと思います。
それから、もう一点、6ページです。状態像のところで、今の御説明で急性増悪の場合ということで、評価指標のところです。精神科救急医療圏をおつくりになっているというような御説明がありました。ちょっと私、不勉強なのでわからないのですが、前回、疾病ごとの医療圏というのがあってもいいという話を、ここで議論したと思いますが。これは既に精神科救急医療圏というのは、現在、存在していて機能しているのでしょうか。ちょっとそれだけ教えていただきたい。
○武藤座長 いかがですか。
○中谷補佐 都道府県ごとに定められることになっておりまして、救急医療圏ごとに救急医療を提供できるようにするということで、ただ、県によって定める範囲にばらつきはありますが、一応それごとの体制整備をさせていただいております。
○神野委員 ということは、精神科に関しては、二次医療圏とは別な医療圏がもう既に存在しているのですね。ほかの分野は、これからどうしようかと議論しているわけですけれども、そこは先行していたと、思ってよろしいわけですね。
○中谷補佐 はい。
○武藤座長 よろしいですか。中沢委員、どうぞ。
○中沢委員 すみません、今の話とも少し絡むのですけれども、4疾病が5疾病になって、精神疾患が入るということになったときに、どのような形で医療連携体制を構築していくかというのがありますが、1つその圏域をどういうふうに考えるかというのがあろうかと思います。精神科に関しましては、緊急医療を担う医療機関がかなり限られているというところもございまして、その点では、いわゆる二次医療圏、もしくは、それより細分化された二次救急の医療圏より随分広くなる、そういった中で、この連携体制を構築していくという形で考えるのと、この住み慣れた身近な地域で受けられる体制を考えると、特に福祉、介護等と連携したエリアで考えていくかというので、ちょっと計画をつくる側としては、すごく悩ましいところというのが現実だと思います。特に福祉に関しましては、障害福祉計画ですとか介護保険事業計画等で、3年ごとの見直しがされていて、それも医療計画とはちょっとずれて、医療計画は基本的に5年ですから、それで開始時期も24年から3年と25年から5年ということで、微妙に違うところで、医療計画の目標をどういうふうに置くか。そこら辺のところも、実際つくる側としては悩ましいところかと思います。
○武藤座長 医療圏に関して、何か御意見はございますか。
○中谷補佐 今の御指摘ごもっともだと思うのですが、例えば、急性増悪の救急を考える場合は、二次医療圏より広い。やはり、その地域の医療体制が、そもそも医療資源のある場所が限られているということであれば広くなりますし、例えば、専門医療の場合は、それを考えれば、圏単位ということでやっておりますので、ちょっとそこは医療の状態像に応じた圏域ということで考えていただければいいと思っておりますが、基本の病期で考えたときに、福祉サービスと当然連携をして支えるという意味では、少し狭い圏域で考えていただく必要があるのではないかということで、例示として、障害保健福祉圏域や老人福祉圏域というものを念頭に置いて考えてはどうかというのが、今日の御提案でございます。
○武藤座長 そうですね。病期、状態像に応じて圏域が変わってくるということでしょうか。ほかにございますか。 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 意見、要望が2つと、質問が1つでございます。
まず、先ほど、末永委員御指摘のケアマネジメントの活用ですが、医療的ケアという点に関して、例えば、ケアマネジャーが老健局と一緒になって仕事をしながら、その充実を図った。これを1つとっても3年ぐらいかかっているわけです。ですから、新たにこのケアマネジャーを活用したということになってくると、かなり時間的にも、それから内容的にも厳しくなってくるということが当然想定されますので、その部分を十分配慮なさって、このケアマネジメントの進め方、だれがどう進めていくかということを十分御検討いただきたい。今そうでなくても、地域包括ケアシステムの中で、さまざまな役割がマネジメントに課されています。ですから、その辺の御配慮が是非必要かと思います。
2点目でございますが、14ページに、入院医療から地域生活中心にということで、また、その具体的な目標値については、退院率を最初に挙げておられる。こういう視点は、要するに、先に出すことを重要視なさってという視点ですが、実質的に言えば、受け皿の視点というのが、どう目標値に落とし込んでいくのかということが併せて重要であると思われますので、受け皿をどう設定し、それをどう目標化して、それに見合った退院の方向があるのだということを示していく。そうでなければ、これは、現実には、都道府県の計画の中に落とし込むときには、非常に困難さを伴ってくるのではないかと考えます。
それから、質問ですが、第6回の本検討会におきまして、伊藤先生をはじめ専門家の先生から幾つかのお話があった中で、私の方から、身体合併症につきまして、まさにその方の健康な生活を維持する、支援するという立場から言えば、様々な疾病との関連性ということが当然重要になってくるというふうに、ついては、当然歯科医療の場面では、精神疾患を有する方の治療の困難性がありますということをお話しさせていただきまして、それらについて御検討いただきたいという要望も出させていただきました。今回のイメージ案、計画の状態像に関して、そういうふうな、いわゆる身体合併症との関連について、もう少し丁寧な書き込みをしていただけないかということで、ちょっと質問させていただきたいと思います。第6回の質問を踏まえた質問でございます。
○武藤座長 よろしいですか。
○中谷補佐 御質問について、恐らく6ページの状態像別で見た場合の一番右側の専門的な疾患の中に、当然歯科の疾患も入ってくるだろうと考えていますので、もう少し関係機関なり、中身をわかりやすく挙げていきたいと思います。
○武藤座長 では、ほかにございませんか。 まず、山本委員からどうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。計画の方向性が医療だけではなしに、福祉と併せて進めていくということについては、私も賛成いたします。その4ページのイメージ像の中で、地域の中で予防・アクセスと、専らそこから福祉施設が対応するのだろうと思うのですが、こうした仕組みがあるのだというのを地域の方々に周知しませんと、やはりうまく利用できないので、是非お願いしたい。それから、参考の精神疾患の医療体制のイメージの中で、学校保健というのが一番下の方に入っているのですけれども、恐らくこれは学校医の先生方のことをお考えなのかもしれませんが、学校には、学校保健を担当する薬剤師もおりますので、いずれ計画を立てるときには、子どもたちに薬についての考え方とか、あるいは精神疾患の話が薬から話ができますので、そういった部分を御配慮いただければと思います。
その上で、戻りますけれども、5ページのところで、疾患別の病期によったイメージがあるのですけれども、治療~回復の時期のところで、アクセスと社会復帰の部分は施設としての薬局、あるいは専門職の薬剤師が入っておりますけれども、4ページの絵を見ると、治療~回復というのは、入院と外来両方を見ているようになっています。そうしますと、薬を考えてみると、ここは薬局も要るのではないかと考えますので御配慮いただきたいと思います。
その上で、リエゾンチームをつくって、一般治療との共通を考えていますが、どんな感じのリエゾンチームのイメージをお持ちなのかというのが1点質問です。
お願いでありますが、今後、うつ病と認知症については、詳細な計画が立てられるというふうに読み取れるので、特に認知症に関しては、BPSDを考えますと、薬原性のものが結構多うございます。そうした意味では、今後つくられていくクリティカルパスの中に、薬局なり薬剤師の位置づけと、外来での、いわゆる福祉だけではなしに、きちんと薬を服用して社会復帰をするという生活支援の中の一部でもありますので、そうした視点で、薬局あるいは薬剤師の役割を御検討いただければと思います。
○武藤座長 薬剤師の役割について、いかがですか。
○中谷補佐 今の御指摘、検討させていただきたいと思います。
御質問の6ページのリエゾンチームで、どのような職種を考えているかということですが、ここは精神科領域にある程度経験を有する精神科の医師や看護師、それと精神保健福祉士やOT、それと服薬という観点では、薬剤師の方も入ると考えております。
○武藤座長 では、布施委員どうぞ。
○布施委員 前々回の検討会で申し上げましたけれども、精神疾患と言いましても、うつ病、認知症、統合失調症というのは、それぞれ性格がやはり違うと思うのです。特に企業から見ますと、うつ病の患者が100万人を超えているという実情がある中で、精神疾患全体で計画をつくるのはいかがかという感じがいたします。
うつ病については指針の記載をよりわかりやすく工夫すると論点に示されていますけれども、もう少しこの部分を大きく取り上げて、企業、あるいは患者、あるいは住民にとって、もう少しわかりやすく示す必要があるのではないかと思うのです。精神疾患患者約300万人のうちの3分の1をうつ病が占め、急増している点を、もっと大きく取り上げていただきたいと思います。
○武藤座長 うつ病に関していかがでしょうか。
○中谷補佐 今日お示しできていないのですが、例えば、うつ病に関するこの病期のイメージについてとか、わかりやすいようなものをお示ししたいと思います。
○武藤座長 ほかに。 齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 論点に関しまして、2点示されているのですけれども、一点目の障害保健福祉の圏域等については、複数市町村で構成されていて広域であると伺っています。また、いわゆる老人福祉圏域との重なりがどうなるのかということもありますので、そこは各市町村等の中でしっかり検討して、わかりやすい、そして、なるべく計画しやすい圏域をきちんと設定する必要があるというふうに思っているところです。
それから、もう一点のうつ病と認知症については、特出しで、よりわかりやすくなるように工夫するということにつきましても、これはもう是非そのような形で進めていただきたいと思っていますので、賛同する次第です。
特に、うつ病の患者も、かなり増えてきているということと、それから本当に今、働く人たちがうつ病を発症して、長期の休暇をとることは社会問題化していると思いますので、ここは是非丁寧に記載をしていただきたいと思います。それから、認知症については介護との関連性が必須になってくるところです。特にグループホームに入っている方々の状態が悪くなると、すぐ精神科の病院に入院してしまい、退院できないという状況がありますので、やはり介護との連携については、どういう形がいいのかというのは、よく検討されるべきではないかと思っているところです。
それから、この病期による分類のイメージ案のところで言いますと、これは医療計画でございますけれども、やはり予防の観点は非常に大事で、なるべく心の健康を保っていくというサービスを、行政側もやらなければいけないのだろうと思います。それから、地域移行については、精神保健医療福祉の改革ビジョンの中でも、地域移行を進めるという方向性がすでに描かれておりますので、基本的にはこれを踏襲しながら、入院中から地域に出していく方策を重点的にやらないと、なかなか帰れないのではないかと思います。精神科のショートケア、それからデイケアといったような、円滑に地域にソフトランディングさせていく取り組みを各医療機関で行っていただきながら、どのぐらいやれているかといったことを、評価指標に入れていくような仕組みは、当然必要だと思います。
○武藤座長 ありがとうございます。ほかに。伏見委員、どうぞ。
○伏見委員 主に急性期一般病院のデータなどを分析させていただいておりますけれども、やはり抗うつ薬を飲んでいる患者さんなど、非常に多くなっておりますし、精神疾患の合併症が医療費とか、予後とか、在院日数に影響するということは、かなり学術的にも証明されてきております。その意味で、身体合併症のところに、このような記載が入っているのは非常に好ましいことと思います。ただ、現在のものは、わかりやすくなってはいないように思います。精神疾患の専門以外の方が見なくてはならない部分になってきますので、一般診療をやっている方にもわかりやすい見やすい形の計画というのをつくっていきたいと要望します。
○武藤座長 ほかにございますか。伊藤委員どうぞ。
○伊藤委員 一般病院の実態として、是非御理解いただきたいということとお願いなのですが、特に、認知症における一般病室での入院ということで、今回リエゾンチームをつくって、一般病床については協力をするということなのですが、実態的にそれができるかどうかということを考えますと、なかなかこれは難しいというふうに考えざるを得ない。特に、三次救急であれば、リエゾンチームはもうあるわけでありますけれども、一般病院の中で、その精神科をある程度専門的に診るチームをつくるということの困難さ、それから同時に、認知症を一般病院で診るとき、特に日々の一般診療における手と目の不足というところ、これは現実に大変大きな問題となっているわけであります。こういうところの実態を十分に御勘案いただいた上で、身体合併症を持つ精神疾患、特に認知症だとは思いますけれども、そこを集中的に、精神疾患を持った一般医療を下支えするような制度というものを十分に御検討いただかないと、一般医療の中で、そういうものをカバーしていくというのは大変難しいような気がしております。
○武藤座長 今の御意見に関して何かございますか。よろしいですか。ほかにございますか。高杉参考人、どうぞ。
○鈴木委員(高杉参考人) 鈴木の代理でございますから、私は今日初めてですから、活発な議論でびっくりしておるのですけれども、いわゆる精神疾患の患者さんを地域に出すときに、相当な苦労は、先生方御存じなのかと思うのですが、私は広島県でモデル事業をやって、その統括をやったのです。その経験からお話しますが、1人の患者さんを外に出すということは大変です。家族との葛藤、社会とのつながりの抹殺、その中で社会に復帰させていく訳です。逆戻りもありますし、それで、御家族はほとんど拒否なのです。だから、認知症とか、うつは全然違いますけれども、ほかの精神疾患の社会に復帰させる御苦労というのは、モデル事業でいろいろな報告は出ていると思うのですけれども、これに反映されているのか。全く部外者で勝手な発言をしますけれども、この中で、その辺がどうも何か視点が欠けているのかというような気がしているのですけれどもどうでしょうか。
○武藤座長 いかがですか。
○中谷補佐 まさに、そういった難しい点があるということも含めて、目指すべき方向として整理させていただいていますが、実際計画に落とし込んでいくときには、そういった点にも注意しながら一つひとつ、着実に進めていけるようなものにしていきたいと思っております。
○鈴木委員(高杉参考人) 住みなれた町に住むということは、逆に身近なところに住むわけですから、例えば、下宿1つ借りるのも相当大変なことで、身元引受人とか、身請け人とか、あるいはしょっちゅう接触する人とか、その人が日中はどうするかというと、作業所にいったりするわけでしょうけれども、その辺のシステムづくりは、そう簡単な机上の空論ではなかなか進まない。むしろ認知症の人を扱う方が楽なのかもしれない。精神疾患は本当にいろいろ大変なものが控えているというふうに思います。
○武藤座長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございますか。長瀬委員、どうぞ。
○長瀬委員 まさに、そのとおりでありまして、私がこの会の最初に言いました精神疾患に対するイメージの問題がありますね。差別、偏見などが全世界でありますし、特に日本はそういった問題が大きいです。そのようなイメージを、しっかり払拭するような形で、まず地域の人たちに広めていかないといけないと思います。それが出来てこそ初めていろいろなことが出来ていくのだろうと思います。
認知症にしてもそうです。認知症の患者さんにしても、そのようなイメージがあると家族は拒否します。先ほど、どなたかが、グループホームから病院に行ってしまうと戻ってこないとおっしゃっていましたが、それは戻してくれないのです。引き受けてくれない。現実はこうなのです。こういう、現実がありますが、ようやく医療計画に精神が乗ったということで、これから明るいイメージに持っていって頂きたいと思っています。よろしくお願いします。
○武藤座長 よろしいでしょうか。では、ちょっと私の方から少し質問なのですけれども、今、認知症に関しては、認知症疾患医療センターですか。徐々に整備が進んでおりますが、現状どのような感じなのでしょうか。
○中谷補佐 認知症疾患医療センター、150か所を目標にしておりまして、今131か所まで増えてきております。今回の認知症の医療体制の指針の中でも、認知症疾患医療センターについて、きちんと書いていきたいと思っています。
○武藤座長 ありがとうございます。それでは、次の議題に移りたいと思います。次は、疾病または事業ごとの医療体制構築に係る指針の見直しについてということで、医師確保等地域医療対策室の田辺専門官から御説明をお願いしたいと思います。
○田辺専門官 それでは、資料2につきまして、御説明させていただきます。
2ページ目、医療計画制度についての趣旨でございます。丸3つ目でございますが、医療機能の分化・連携を推進することにより、急性期から回復期、在宅療養に至るまで、地域全体で切れ目なく、必要な医療が提供される地域完結型の医療を推進。丸4つ目、地域の実情に応じた数値目標を設定し、PDCAの政策循環を実施。こういったことが医療計画の趣旨となっております。
3ページ目でございます。本日論点提示いたしたいと思っておりますのは、赤で囲っております疾病または事業ごとの医療体制についてでございます。
4ページ目でございます。疾病または事業ごとの医療計画に関する課題としまして、現行の医療計画では、現状把握の指標、数値目標の設定状況、事業の達成状況に関する評価体制、公表方法等において、都道府県格差があり、PDCAサイクルが効果的に機能せず、地域において効率的な医療体制の確保を図る医療計画の本来の機能が有効に発揮されていないという点が指摘されております。
5ページ目でございますが、今回の医療計画の見直しの方向性といたしまして、下記の4つの論点につきまして、御議論いただきたいと思います。
○1「疾病または事業ごとの医療体制構築に係る指針」におけます「第3 構築の具体的な手順」の見直し。
○2「第3 構築の具体的な手順」の中、小項目になりますが「1.情報の収集」における指標の再整理。
○3「課題の抽出」「数値目標の設定」「施策・事業」の関連性の明確化。
○4医療計画の進捗状況の評価及び公表方法の明確化でございます。
1ページおめくりいただきまして、7ページ目でございます。
1つ目の論点でございます。構築の具体的な手順の見直しについてですが、この指針は3つの柱で構成されております。第1が疾病事業の現状、第2が医療機関とその連携、第3が構築の具体的な手順となっております。
丸2つ目でございますが、この第3の構築の具体的な手順、ここの部分では、都道府県が実際に医療計画を作成するときの手順になるのですけれども、この手順書自体が、PDCAサイクルが効果的に機能する構成になっていないということがございます。
そこで丸3つ目でございますが、この手順につきまして、課題の抽出、施策・事業の策定、公表の項目を追加する等の見直しを行う構成としてはいかがかというのが論点でございます。
8ページ目でございます。これは急性心筋梗塞を例として挙げておりますが、左側の薄い黄色で大きな柱が書かれております。第1が、急性心筋梗塞でございますと、その現状、第2が医療機関とその連携、第3が構築の具体的な手順となっております。この第1、第2は医学的な内容、急性心筋梗塞の疫学や医療、それから医療機関が担うべき医療機能、そういった内容でございまして、既に4疾病5事業に関しましては指針ができておりますので、その後、4年、5年を経過した中での変更点につきまして、時点修正を検討しております。そこで今回、論点として提示したいのは、この第3の構築の具体的な手順のところでございます。
9ページ目をごらんください。
左側、現行の指針として、4つ書いております。これは第3の構築の具体的な手順の部分を抜粋したものですが、1つ目が情報の収集、2つ目が圏域の設定、3つ目が連携の検討、そして4つ目が数値目標及び評価、こういった項目になっております。そこで、改定案としておりますのが、1情報の収集の部分、少しここは文言を変えておりますけれども現状の把握、同じ意味で、情報を収集して現状を把握する。
2つ目、圏域の設定です。これは現状を把握した上で圏域を考えていただく。
3つ目、その現状を把握した上で、連携も検討して計画へ記載する。ここまでは一緒でございます。
4つ目です。この現状を把握した中で、問題点として上がったものを、課題の抽出ということで、1つ項目として追加させていただきたい。
続きまして、数値目標及び評価というところがございますが、これは5番と7番に分けておりまして、その間に数値目標を決めた上で、施策・事業を計画して、実際に実行していただくといった項目を追加させていただきたいと考えております。
そして、8番目、最後に公表です。ここも柱として置くことで、より明確化したいと考えております。
10ページ目でございます。この改定案において、どのような形でPDCAが回るかというのを模式図として示したものでございます。
まず、情報を収集していただいて、現状を把握する。その中で、この指標を用いて現状把握をする。そこで、それぞれの都道府県あるいは医療圏で問題となっている課題を抽出していただく。その課題を抽出した上で、数値目標を設定していただく。このときは地域の実情に応じて目標を設定する。
その次、planとdoの部分ですけれども、その数値目標を達成するためには、何らかの施策・事業が必要になりますので、それを立案及び実施していただく部分、それから評価、checkの部分、そして最後actということで改善、これでPDCAサイクルという形になります。このPDCAサイクルをより効果的に回すためには、課題の抽出、施策の事業の項目、そして公表、こういったものが重要ではないかということが1点目の論点でございます。
続きまして11ページ、情報の収集におけます指標の再整理でございます。
12ページでございます。この情報の収集の部分ですが、(1)患者動向に関する情報として、需要側からの情報、(2)医療資源・連携に関する情報といたしまして、供給側の情報、こういった情報を集めましょうというもので、その2つから得られた情報をもとに(3)指標によって現状把握をしましょう。こういった構成になっております。
しかしながら、この医療計画そのものというのは、病期ごとの医療機能の課題を把握するということが重要でございますが、現行の「指標による現状把握」という項目を見ますと、この時点で、ストラクチャー・プロセス・アウトカム、こういった切り口で整理されておりまして、指針上は、病期ごとの課題を抽出しにくい構造になっているということがございます。そこで、病期や医療機能に沿って、まず分類した上に、ストラクチャー・プロセス・アウトカムの要素も加味して、別表という形、これは後にお示しいたしますが、そういう形にするのはどうかというのが論点でございます。
13ページが、現行の指針を抜粋したものでございまして、左側から、1.情報の収集が大きく3つのパーツに分かれていて、(1)患者動向、(2)医療資源、そして(3)指標ということになりますが、(3)指標のところをご覧いただきますと、項目としては、ストラクチャー・プロセス・アウトカム、こういった切り口で書かれておりまして、下段に載っております、病期、予防や救護、急性期、回復期、再発予防、こういった分類はされていないという問題点がございます。
14ページ、これは尾形先生の研究報告書から引用したものでございますが、ストラクチャー・プロセス・アウトカム指標について説明した図でございます。このストラクチャー・プロセス・アウトカムというのは、例えば、アウトカムといたしまして、死亡率ということを考えたときに、どうして死亡率が高いのかということを考えますと、それにはストラクチャーとしてのサービスを提供する病院の機能とか、あるいは人的な配置が足りないのではないか、あるいはそれを実際にやっているプロセスが足りないのではないかなど、このストラクチャー・プロセス・アウトカムというのは、相互に関連しておりますし、それぞれの階層が連携しているということで、この辺の関連性を把握する上では、非常にいい分類方法でございますが、これだけで分類してしまうと、少しわかりにくいところもございます。
ページ数がございませんが、15ページです。これは以前から用いている図でございまして、現状把握の指標を病期ごとに分類したもので、上段に予防、救護、急性期、回復期、再発予防、こういった軸が載っておりまして、下段に指標による現状把握がございます表のときは、こういう形で整理されておりましたが、通知の中では、SPOといったくくりになっていたということが問題点でございます。
そこで、今回は、健診受診率の後ろにPをつけて、これはプロセスであるということがわかるような形でお示ししております。
続きまして、情報の収集における指標の再整理として、必須指標、推奨指標を設定したらどうか。こういった指標の選定に関する論点でございます。
17ページでございます。都道府県が今後、医療計画を立てる上で、できるだけ多くの情報を持っていただく。それがまず、医療計画を考える上での第一条件となっておりますので、できるだけ情報を把握しやすいように、それぞれの指標の情報源も併せて提示したいと考えております。そのもとで、全都道府県で入手可能なものにつきましては、必ず把握すべき指標(必須指標)こういったものを決めるのはいかがか。また、必須とまではなかなかできないのですが、独自調査あるいはデータの解析等をすることで把握できる。また、その把握する必要性が高いものにつきましては推奨指標、こういったものを定めるのはどうかというのが論点でございます。
18ページでございます。必須指標、推奨指標、選定の考え方(案)としまして、ブルーで必須指標の例を挙げておりますが、○1統計情報などで公開されているデータ、こういったものは都道府県で入手できます。それから、○2都道府県が把握可能な機能を持った病院です。例えば、地域医療支援病院の数、こういったものは把握できます。それから、○3診療報酬の施設基準届出数、こういうものから得られる指標といったものは、必須として指定しても問題ないのではないかと考えております。
2つ目の推奨指標でございますが、○1分析を要するが、公的統計等から入手可能な指標、例えば、患者調査や医療施設調査などの個票解析で得られるデータ。○2独自調査は必要となりますが、医学的あるいは医療提供体制を検討する上で、把握する必要性が高いと考えられる指標、こういったものにつきましては、推奨指標という形で定めていくのはどうかというのが論点でございます。
19ページでございますが、今までの指標に関する論点を踏まえてまとめたものが、この表の案でございます。これは心筋梗塞を例に挙げておりますが、まず、横の方に進んでいきます黄色で示されている部分、こちらは病期で分けております。まず、予防、救護、急性期、回復期、再発予防の病期に分けたうえで、縦軸方向、緑色で示されているストラクチャー・プロセス・アウトカム、こういったマトリックス表にすることで、それぞれ病期における指標間の関連性ということも明確になりまして、また、空白部分というのはどういったことを考えたらいいのか、また、どういったことを把握すべきかということもわかってきますので、このような提示方法がわかりやすいのではないかということでございます。
また、この表の中のグレーで網かけしてある部分は、現行の指針に書かれている指標でございます。また、二重丸は、先ほど考え方(案)として示しました、必須指標として該当するもの。丸が推奨指標として該当するのではないかと考えられるものについて、例として表示しております。
続きまして、20ページをごらんください。3つ目の論点でございます。課題の抽出、数値目標の設定、施策事業の関連性の明確化についてという論点でございます。
21ページでございますが、まず、こういう形で、先ほど御説明いたしましたように、現状把握の指標をたくさん把握していただいて、それを分析していただいて、その上で都道府県、あるいは医療圏ごとに課題を抽出していただく。それで、抽出した課題のもとに、どこまで私たちは達成したいのかという、そういう数値目標を設定する。その数値目標、設定した数値に対して、それを達成するためには、それぞれの課題に応じた施策、事業を実施することが重要となりますので、医療計画に書いていく中では、それぞれの医療圏、あるいは都道府県における課題を書いていただいて、数値目標を書いて、それを達成するために実施すべき施策事業も併せて記載するということにしてはどうかというのが論点でございます。
22ページ、これは1つの考え方の例として挙げておりますが、現状把握、この例示の場合は、急性心筋梗塞の急性期~回復期の指標として、例えば、平均在院日数というアウトカム指標が平均より長かった、このアウトカム指標というのは、種々の要因が関与しておりますので、そういったものと関連するような指標、例えば、ストラクチャーであれば、心臓リハビリテーションが実施可能な医療圏数、あるいはプロセス指標としましては、クリティカルパスを導入しているかどうか、こういったこともいろいろ併せて、指標を眺めていただきまして、その中で優先度が高く、また施策を実際に実施可能なものという形で、そういったところまで課題を落としていっていただく。この場合といたしましては、課題としまして、例えば、全5医療圏あるうちの2医療圏しかクリティカルパスが導入されていないということでございましたら、まず5医療圏、全医療圏までクリティカルパスを導入したい、こういった数値目標を定める。それに当たって、3年間なら3年間で達成したい、こういった期間についても、そのときに設定する。それで、実際にそれを達成するための施策・事業を考えていく。こういった流れで、現状把握から施策・事業まで考えていくのがいいのではないかという形で、例としてお示ししております。
4点目の論点といたしまして、23ページから進捗状況の評価及び公表についてです。
24ページでございますが、目標の達成状況に関しましての評価、公表、これにつきましても、都道府県で格差がございます。計画全体の見直しというのは、5年に一度なのですが、施策・事業につきましては、もう少し細かく見ていく必要があると思いますので、そういった進捗状況の評価を行う上で、組織を明記していただく、あるいはその評価時期、それは施策・事業ごとに異なると思いますが、そういったものを事前に明記することとしてはどうか。
また、都道府県は、現状把握のための必須指標や推奨指標、それから数値目標、施策・事業、その進捗に関する評価結果につきまして、一定のフォーマットで公表することにしてはどうかというのが論点でございます。
25ページは、医療計画の評価といたしまして、5年以内に計画の評価をしているかと聞き取り調査をしましたところ、33の都道府県でしている。また、その評価結果を公表しているかという聞き取りにつきましては、24の都道府県で公表しているということで、現行の医療計画におきましては、公表している都道府県数は約半数となっております。
最後のページでございますが、これは、都道府県医療計画を評価・公表していく際のあくまでイメージ図ということでございますが、現状把握の指標といたしまして、必須指標、推奨指標、こういったものを事前に定めることで、一定のフォーマットにすることができる。その中で数字が出るものは全国の比較ができますし、その中で県レベルの数値あるいは医療圏レベルの数値、こういったことを見ていく中で、それぞれ都道府県あるいは医療圏の中で、どういった問題があるのかという課題をこの中から考えていただく。その中で、もう少し詳しく指標を見なければならなければならないなど、さらに独自の調査もしていただく中で、最終的に課題を挙げて、目標を定めて、現状値、それから数値目標、目標達成までの時期、それから、実施する施策・事業、こういったことを一覧として表示していく。
その後、1年後、2年後という形で、事業・施策の達成状況を確認していく。こういった形にすることで、関連性もわかりますし、また、患者や住民にもわかりやすい形で情報提供もできます。
また、フォーマットを統一することで、都道府県間の比較なども容易となり、目標設定や計画の見直しに有用になるのではないかと、そのように考えております。
以上でございます。
○武藤座長 ありがとうございます。大分この指標に関して整理されていると感じましたけれども、何か御意見はございますか。神野委員、どうぞ。
○神野委員 こういったことを最終的に公表するということは、非常にいいことだと思うし、その県民に、あるいは選挙で選ばれる知事さんに、うちの県はどういうふうになっているのだと言わないと、前にありましたように、各県によってばらつきが出てしまうというふうに思います。
ただ、この公表のイメージとして、私はアウトカムだけでいいのではないかというふうな気もするのです。例えば、クリティカルパス、連携パスを非常にたくさんやったとしても、患者さんがばたばた死んでしまえば、何にもならないわけでありまして、このストラクチャー・プロセスまで、いわゆるどうやったら東京大学に入れるかというような、傾向と対策的な、こういった微に入り細に入りまで規定されています。ここまで国が指示することはどうなのかと正直思ってしまうところがあります。各県にも優秀な方はたくさんいますから、そのいいアウトカムを出すために、どういった創意工夫をするかというところは、ある程度お任せしてもいいのではないか。ただ、やらなかった県に対しては、県民とか知事さんからしかられるような仕組み、公表するような仕組みというのをつくらないといけないのではないかというふうに思いました。
○武藤座長 ほかによろしいですか。伏見委員、どうぞ。
○伏見委員 今の御指摘、確かにそのとおり、アウトカムが非常に重要なのですけれども、アウトカムの効果が出るまでには、非常に時間がかかるという面もありますし、正しいことをやっていても、アウトカムに反映されるかどうかというのは、なかなかわからない問題があると思うのです。その意味では、今回出していただいたように、ストラクチャー・プロセスも含めて、できるだけ広い範囲で、情報を公開していくことが良いと思います。あるいは、公開をしないにしても、アウトカムを達成する前段階として、ストラクチャー・プロセスを当然改善していかなくてはならない。そういうミッションは当然あるわけです。ですから、途中経過は公開しないで都道府県に任せてやってもらうというのも、1つの考えだと思いますけれども、私は、ストラクチャー、プロセスも含めて公開していく方が、今の世の情報公開の流れとしては、正しい考え方なのではないかというふうに思っています。
○武藤座長 ほかによろしいですか。布施委員、どうぞ。
○布施委員 資料の7ページ以降の「第3構築の具体的な手順」の見直しや指標の再整理など、本当にかなり工夫をされ、大きな改善が見られる点を評価をしたいと思います。ただし、社会保障・税一体改革成案の中で、一般病床の機能の分化、強化と連携、在宅医療の充実、平均在院日数の減少というようなことが掲げられていますけれども、こういった政策とこの計画、目標等も含めて、合致させる必要があるのではないかというのが1点でございます。
2点目は、いろいろ異論はあると思いますけれども、特に平均在院日数の減少につきましては、機能分化もございますけれども、病床数の適正化も重要であると思っております。将来の需要を予測した中で、病床数の過剰な地域につきましては、病床の削減計画を策定するなど基準病床数に近づける努力を促すような指針も必要ではないかと考えております。
○武藤座長 末永委員、どうぞ。
○末永委員 ストラクチャー・プロセス・アウトカムまで求めることは、やはり今の時代、正しいことだと思っておりますが、19ページのここの白いところを、では、どういう指標で埋めるかというと、これがまたなかなか難しいなというふうに実は思っています。
もう一つは、先ほどちょっと話題に出ましたけれども、例えば、急性心筋梗塞で、心臓リハビリテーションが可能云々ということはいいのですが、本当に地域連携パスで、診療所の先生方にお任せすることが、アウトカムがいいことにつながるかどうか、実はちょっと疑問なところがありまして、その辺も含めて、こうしなくてはいけない、今の医療制度では、在宅にまで持っていくというのがシステムだから、その中でしようがないからやってくれというのだったらわかるのですけれども、アウトカムがいいからというふうには、なかなかなりにくいのではないかと思います。このことだけは、ちょっと前から疑問に思っていましたので、一言言わせていただきました。
○武藤座長 ほかにございますか。山本委員、どうぞ。
○山本委員 きめ細かに指針をつくるという改定案については、私も大賛成でありまして、例えば、10ページのところでPDCAサイクルを回すという指摘があるわけですけれども、それが現在の指標の把握をした上で、問題点を抽出して事業をしていこうということになると、個別具体的にという話ではなくて、全体として、もっとPDCAサイクルがうまく回るように改善しようとすると、当初の現状把握の部分が、今の視点ではなしに、やはりもう少し比べることも大事でしょうけれども、幅広な視点を持って、どんな需要があるのかということが調べられなくてはいけないという気がします。
併せて言えば、今、問題になっているSPOのところもそうですし、その前の12ページでは、医療資源をうまく使いましょうという視点でみると、今回、例に出されているのは、急性心筋梗塞ですから、薬は関わるのでしょうけれども、薬剤師が直接に関わる部分は少ないのかもしれませんが、今後、正確に現状を把握し、それぞれの医療計画が進むような方向を考えていただきたいと。
とりわけ、前の計画では、任意的記載事項というのがありました。ここで言えば、18ページの必須指標と、推奨指標というのがあって、推奨指標は、推奨だから適当にやっておけばいいというのではなしに、必須項目は、データとして必要だ。更に言えば、推奨する場合には、地域の状況に応じて、計画を立てる上で、この項目は是非推奨するというふうに、放っておいてもいいのだという意識にならないよう、都道府県に示すことをお願いしたいのが1点であります。
それと、18ページで、データを集めるとき、独自データというのがありますが、例えば、調剤で言えば、98%のレセプトデータを国が持っていらっしゃるわけですから、そうしたものをうまく使って、疾病構造を解析するということもお考えいただければ、まさに患者調査と同様のことができるのではないか。そのことが、全体としてよいかどうかは議論が分かれますし、データの使い方には、かなり慎重なものが要るとは思いますが、そんなこともお考えいただければありがたいと思います。
それから、公表についてですが、やはり、私もアウトカムは必要だと思います。その一方で、前の検討会のときに、死亡率だったと思うのですけれども、大変重篤な患者が多く入院するナショナルセンターは亡くなる人が多い。それで質が悪いと言われても困るということがありました。やはりそのプロセスがどうであったか、確かに途中の経過については、何でもクリパスがあればいいという話ではないと思うのですけれども、なぜこういうアウトカムが出たのかという意味では、途中のプロセスがあれば、県民といいましょうか、地域の住民としては、理解ができるのではないかという気がいたします。
○武藤座長 ありがとうございました。中沢委員、どうですか。
○中沢委員 今回、こういう形で詳しく資料を示していただきまして、医療計画をつくる側としてもすごく参考になるところであります。特に、全国との比較ができるような指標というのは、やはり必要なのかと思いますので、現在、患者調査なり病院施設調査で、一般的に公表されているものだけでは、なかなか入手できないものもあろうかと思いますので、もう少し細かいデータを都道府県で比較できるような形で入手できれば、かなり比較できるという気はします。
ただ、例えば、年齢調整死亡率で1つ申し上げますと、がんの場合は、がんの年齢調整死亡率を20%減少しようというのが、いわゆるがん対策基本計画の中に位置づけているというところがあるのですが、心筋梗塞をどうするのか、脳卒中をどうするのか。そこら辺のところは、全国の数字がこれで、都道府県の数字はこれでというところまではあるのですけれども、国として、そこら辺のところを、今後どのような形で持っていくかという議論がどういう場でされるのかというところを、ちょっと確認したいと思っているのです。
○武藤座長 これに対していかがでしょうか。
○石川室長 国としての目標もそうですし、あとは県にどういったレベルまでの達成目標値を示すのかということを一律に示してはどうかというような御意見も、確かにいただいているのですが、一部、今おっしゃられたがんとか、あとは救急等での体制整備の目標とか、そういった一律のものを示しているものもございますが、確かに心筋梗塞で全体のものというのはないかもしれません。その点は、今後、検討させていただきたいと思います。
また、一律に目標を示すことについては、平均値を目指すのがいいのか、一番いい県を目指すのがいいのかといったようなこともございますので、現時点では、余り適切ではないと考えております。
○武藤座長 よろしいでしょうか。伏見委員、どうぞ。
○伏見委員 先ほどの中沢委員の患者調査、医療施設調査等のデータについてですけれども、統計情報部の研究で、このような調査データの個表データを取り込んで分析するツールを開発する研究をやらせていただいておりますので、都道府県の行政機関が、比較的簡単に使えるようなプログラムを配布できるようになると思います。
○武藤座長 ほかにございますか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 先ほどのがん基本計画との関連、いわゆる平均値を求めるというお話があったのですが、基本的にがんの基本計画があって、そこに示されているものが医療計画に大きく反映される、こういうことが非常に大事なことだと思います。国として、どう基本的に考えていくかということを示すものである。逆に平均値を示すことがいかがかというふうな御発言に対しまして言えば、むしろ4つの疾患に関して、基本的な計画を持つべきではないのかという考え方も当然あるかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○石川室長 それは、急性心筋梗塞についても基本計画を作るべきということでしょうか。
○佐藤委員 今のお話を伺っていますと、平均値を出すのはいかがかというふうな御発言をなさっていたように感じたものですから。
○石川室長 個別の県が、どの辺りに目標値を設定すればいいのかといったときに、例えば、国でがんのように、達成目標が示されているものは、そこを目指していただくということがあるかと思うのですが、それ以外の個々のものについて、目安を示すべきという御意見もいただいているのですが、一方で、その数値に関する平均値を一律に目指すことがいいのか、あるいは一番いい県の数値を目指すのがいいのかといったところは、なかなか一律には難しいのではないかと考えています。
○武藤座長 確かに、各都道府県のベンチマークができること自体でも、各都道府県それぞれのポジショニングがわかって、それによって、それぞれの目標を立てるということもあると思います。ほかにいかがでしょうか。 齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 今回示された具体的な手順の見直しにつきましては、基本的には大変よろしいのではないかと思います。特に課題の抽出、施策・事業の設定、それから公表、この辺りがかなり連動していくということを考えれば、大変意味があるというふうに思っています。今までの計画等を見ますと、現状と目標値がちょっと乖離しているようなところもありましたので、こういったかたちでしっかり課題抽出と、目標値の設定が関連づけられるようなことが明確になれば、大変よろしいのではないかと思います。
それから、公表につきましても、前回申し上げましたが、住民にきちんとわかっていただくということも含めまして、公表することには、大変意味があると思っているところです。
それで、もう一つ、計画の評価につきましては、評価を行う組織をきちんと明記することが、24ページに書かれてありますが、この評価を行う組織、括弧の中に、県の医療審議会等というのが書かれてあるのですけれども、これが各都道府県によって、かなり構成が違うように私は認識しています。とかく医療サービスの提供者サイドから、いろいろな評価を行っているところが多いように思うのですけれども、これからは、医療を受ける側の住民参画が重要ですので、そういう方々にも医療計画そのものの御理解をいただくため、それから自分が住んでいるところの医療提供体制が、どういう状況になっているのかということの情報提供の一環のためにも、この評価の組織につきまして、提供者サイドに偏らない構成で評価をしていくという視点が重要なのではないかと思います。
以上です。
○武藤座長 この意見に対していかがでしょうか。何かございますか。石川室長どうぞ。
○石川室長 公表に当たりましても、前回の見直しのときから、住民、患者の視点に立ってといったことが言われておりますので、今日いただいた御意見、またこれまでにいただいた御意見の中で、計画策定の際に、都道府県に留意していただく必要がある事項については、説明会ですとか、そういったときに、しっかり伝えていきたいと思っております。
○武藤座長 ほかによろしいでしょうか。
○鈴木委員(高杉参考人) 国の施策としては、都道府県の格差があるのは承知しているのですけれども、それを遅れている所を引っ張りあげていくのが大切だろうと考えます。この最後のページですか、公表されていない、計画はない、こういうところが一番問題なのではないでしょうか。だから、そこをきちんと引っ張りあげて、すぐれて走っているところは、皆さんも参考にしてもらってという仕組みが、プラン・ドゥ・チェックか何かになるのではないでしょうか。どうもそこのところの話が全然ないから気になりました。
○武藤座長 では、石川室長。
○石川室長 その点についても、前回の見直しのときのねらいの1つとして、各県に先進的な都道府県の取り組みも参考にしていただくという点がございましたので、こういうことを公表し、我々の方でも積極的にお知らせをすることで、よい県はよりよく、これから頑張っていただく県は、そういういい取り組みを参考にしていただければと思っています。
○武藤座長 すみません。では、ちょっと私の方から。伏見委員に、情報の収集に関して、特に患者動向の収集に関して、レセプト情報とか、あとDPC情報、各都道府県で利用の可能性といいますか、その現状はどのような感じになっているのですか。
○伏見委員 レセプトのNDBについては、今、審査が行われているところですので、その結果によっては、都道府県別の集計データなどを使えるようになる可能性はあるのではないかと思います。
あと、それからもう一つ、DPCデータにつきましては、つい先日、DPCの集計データが公表されていますので、それはDPCの研究班の方でも適宜集計値として公表していきます。個別病院の診療実績などのデータが入っていますので、各都道府県で利用していただけるのではないかと思います。
○武藤座長 そうしたデータを、各都道府県の地域医療計画作成担当者が利用できる現状ということでいいでしょうか。
○伏見委員 はい、そうなると思います。
○武藤座長 ほかにございますか。では、ないようでしたら、次の報告に移りたいと思います。
災害医療等のあり方に関する検討会の報告について、救急・周産期医療等対策室の佐久間室長から、よろしくお願いします。
○佐久間室長 そういたしましたら、資料3の方をごらんください。災害医療等のあり方に関する検討会の資料の概要でございます。
1ページを開けていただきまして、検討会でございますけれども、今回の東日本大震災で非常に甚大な被害がございました。その中でDMAT、ドクターヘリ等が、被災地において災害医療の活動をしてきたわけでございますが、その中で明らかになった課題がございます。その課題、問題点に関しまして、この検討会で、災害医療のあり方について検討を行ってきたものでございます。
検討内容についてですが、災害拠点病院のあり方、災害時の医療提供体制について、DMATの医療提供体制について、DMATのあり方、中長期の医療提供体制等でございます。
検討でございますが、7月から開始いたしまして4回開催し、10月に報告書をとりまとめたところでございます。
1枚めくっていただきまして、その具体的な内容についてですが、3ページをごらんください。
まず、災害拠点病院についてですけれども、こちらは震災を踏まえた課題・提案等といたしまして6点ほど挙げてございます。耐震化、ライフライン、備蓄・流通、ヘリポート、平時からの役割、基幹災害拠点病院についてです。
耐震化については、病院機能を維持する必要性があるということ、また耐震性の低い施設がある拠点病院が被害を受けました。
それから、ライフラインについては、連絡がとれなかったり、EMISという緊急時の救急災害医療システムでございますが、こちらの緊急時入力が徹底されなかったり、ライフラインの途絶が長くなって、燃料が不足したようなことがございます。
備蓄・流通についても、交通の遮断、ガソリンの不足で、食料、飲料水等が不足したというような事態がございました。
また、ヘリポートについては、敷地外のヘリコプター離着陸場からの搬送で時間がかかったようなこと。
平時からの役割として、DMATとか、医療チームを受け入れる体制の整備が必要ではないかというようなこと。
それから、基幹災害拠点病院においてですけれども、複数のDMATとか、救命救急センターが医療圏となるような、こういった診療の強化の必要性があるのではないかという課題がございます。
これらの課題に基づいて、今、申し上げた6項目について、真ん中に書いてあるピンク色のところが現状で、提言をいただいたのが、右側の今後の方針でございます。
耐震化については、これは診療機能を有する施設を耐震化すべきではないか。特に括弧書きでございますけれども、病院機能を維持するための施設についても耐震化が望ましいとされています。
それから、ライフラインについてですが、こちらは通信の関係で、衛星電話を保有して、衛星回線インターネットに接続できるように環境を整備し、広域災害緊急情報システム等の入力体制を整備していく。また、これは自家発電についてですが、通常の6割程度の発電容量を備えた発電機を保有し、3日程度の燃料を備蓄するのが望ましいとされています。それと、水の問題もございまして、受水槽、井戸設備の整備、優先的な給水の協定等により、水を確保する必要があるということでございます。
備蓄・流通に関しても、食料、飲料水、医薬品については、3日分程度の備蓄。また、地域の関係団体・業者との協定の締結をして体制整備するということでございます。
平時からの役割といたしましても、先ほど、課題にございましたとおり、DMATを保有して、DMATの医療チームを受け入れる体制を整備すること、救命救急センター又は2次医療機関を要件とすること。また、定期的な訓練を地域の2次医療機関とともに行うというようなことがございます。
基幹災害拠点病院については、病院機能を維持するための施設を耐震化すること、また病院敷地内のヘリポートを整備すること、複数のDMATの保有、救命センターを要件とする。
こういうようなことが提言として挙げられてございます。
1ページめくっていただきまして、こちらはDMATでございます。
災害派遣の医療チームでございますけれども、こちらは、それぞれ活動における課題でございますが、活動内容等について、こちらも7項目について課題がございます。
活動内容については、こちらは今回、津波の被害が大きかったということもございまして、外傷等の想定されたものと違う慢性期の対応が必要であったということ。
活動時間についても、48時間以上の活動がございまして、物資が不足しました。
通信機器についてですが、こちらは先ほどの災害拠点と似ているのですが、通信が困難であったとか、EMISへの入力を行うための接続が難しかったチームがあった。
指揮調整機能・ロジスティックについてですけれども、こちらも多数のDMATが入ったことによりまして、DMAT事務局とか、都道府県調整本部における業務量が非常に多くなったということ。また、被災地内の医療ニーズの把握が難しかった。
それから、広域医療搬送についてですけれども、こちらも計画が策定されていなかったということがございまして、調整に時間を要した。
空路参集したDMATについては、DMATの生活資材等の携行が難しかったということ。
また、ドクターヘリについても、事務局からドクターヘリ出動要請が行われて出動したという状況がございました。
今後の方針でございますが、活動内容については、慢性疾患へも臨機応変に対応ということでございます。
それから、活動時間についてですが、これはおおむね48時間活動できる体制をとなっていましたが、災害の規模に応じまして、2次隊、3次隊の派遣を考慮するということ。ただし、チームの活動時間は、48時間を原則としてございます。
通信機器についてですけれども、こちらは衛星携帯を含めた複数の通信手段の保有をして、インターネットに接続してEMISに入力できる環境を整備するということ。
また、指揮調整機能についてですけれども、こちらは大規模災害時に、DMAT事務局とか、都道府県の調整本部にDMAT保有機関が、この統括DMAT登録者とか、サポート要員を積極的に派遣すること。
また、ロジスティックの関係ですけれども、こちらも統括DMAT登録者を支援するようなロジスティックの担当者とか、後方支援をできる担当者のチームを養成してございます。
それと、広域搬送についてですけれども、こちらも防災計画と併せまして、広域搬送を想定した計画を策定する。
また、空路参集DMATについては、こちらもDMATに必要な物資の提供とか、移動手段の確保を行う体制を都道府県が整備することが望ましいということ。
ドクターヘリについては、また、これは関係省庁との調整を、今後、方向性を検討する中で行っていくということです。
1枚めくっていただきまして、5ページ目をごらんください。
こちらは、中長期における医療提供体制・その他ということで、こちらも4項目ございます。都道府県、保健所管轄・市町村単位、計画・訓練、一般医療機関についてです。課題の一般医療機関の黒丸のところに誤字がございます。「期間」を施設の「機関」の方にお直しください。
それで、都道府県の方でございますけれども、これは各県で医療チームとの調整を行う組織の立ち上げに時間がかかったということで、受け入れ体制が難しかったということがございます。
また、保健所・市町村単位ですけれども、こちらも地域における病院とか、避難所への医療チームの派遣、こちらを調整するような体制が十分ではなかった。
計画・訓練についても、慢性期疾患の受け入れの医療機関の調整が難しかったということです。
一般医療機関等についてですが、こちらも災害時の対応というだけではなくて、その後、継続して対応ができるような状況、継続・計画的な長期的な対応に関する体制の整備がなされていなかった。人工呼吸器等の医療機器を使用している患者さんについては、それぞれの対応が必要であったということです。
こちらの方の今後の方針についてですけれども、右側で都道府県ですけれども、これは災害時の医療チーム等の派遣につきまして、災害対策本部内の組織、仮称で書いてございますけれども、こういったものの設置に関する計画を事前に策定していくということ。また、こちらの派遣調整本部において、コーディネートが十分に発揮されるような体制を行うこと。また、災害拠点病院以外の医療機関に、災害救急情報システムの加入を促進することが望ましいとしてございます。
保健所・市町村単位のところですが、2ポツ目の方で、これは災害時に、保健所・市町村の行政担当者と、地域の医師会、災害拠点病院の関係者、医療チーム等が定期的に交換できるような場、地域災害医療対策会議等を設ける計画を事前に策定すること。また、この会議において、コーディネート機能が十分に発揮されるような体制を整備していくことということで、いただいてございます。
計画・訓練についても、これは、1ポツ目は従来どおりですが、2ポツ目のところ、都道府県及び災害拠点病院は、関係機関と連携しまして、災害時における計画とともに定期的に訓練を実施するということです。
それと、一般医療機関についても、これは、先ほど申し上げたように、業務継続計画を作成すること。また、県が人工呼吸器の使用をしている患者さんについては、医療機関が計画を策定しているかどうかの確認を行うことが望ましいと、このような提言になってございます。
今、申し上げた内容について、6ページ目に、シェーマがございましたので、こちらの方は説明を割愛をさせていただきたいと思います。
10月にまとめられた報告書の概要について御報告いたしました。
以上です。
○武藤座長 ありがとうございます。何か御意見はございますか。末永委員、どうぞ。
○末永委員 よくまとめられていると思いますが、この中で、例えば、災害支援病院にはDMATチームを複数以上置くというふうになってはいるのですが、この教育機関は定数がありまして、なかなか手挙げしても、受け入れられていないという状況がありますので、こういうところもちょっと改善していく必要があるのではないかということを思います。
それから、もう一つは、保健所がいろいろ被災のあったところ、連絡がとれないところに出向いてというようなことがありますが、ちょっと保健所の機能としては、それは難しいのではないかと思いまして、私自身は、それぞれの都道府県の中でネットワークをつくるということを、それも難しいかもしれませんけれども、被災に遭っていないところは、その近くのところの情報を集めるようにして、それをどこかに集約するとか、そういうことも必要ではないかというふうに考えております。
○武藤座長 ほかによろしいですか。まず、伊藤委員からどうぞ。
○伊藤委員 まず、今回の被災ということに関しましては、想定外という大変大きな被災であったことが大きな問題であったわけでありますけれども、その中で、特に入院施設を持つ各医療機関の連絡網の途絶、これが大きな被害を生んだ1つの要因だというふうに思います。特に、災害拠点病院等は、まずは初動のところで、たくさんのDMATチームが入ったわけでありますけれども、どうしても手の回らなかったところ、それから物資、医薬品が届かなくて、これも大変に苦労したところがあるというような実態を踏まえますと、今、末永委員からも御提案がありました各県ごとのネットワーク、あるいは各災害拠点病院個別で、地域に分けたネットワーク、例えば、東北地方であれば、東北とほかの地域とのネットワーク、これを個別に組むようなシステムがあってもいいのではないか。そうしますと、初動が非常に早く手が付けられるという意味では、有効なのだろうというふうに思います。
それから、あと一般病院の話で恐縮なのですが、実は、一般病院も大変大きな被害を受けた中で、まさに手が回らなかった。救援がなかなか届かなかったということも、大変大きな問題になっておりまして、これに関しましても、DMATチームの役割、それから災害拠点病院の役割として、その周辺の状況をいかに早く把握していくかということを、1つの大きな課題としていくような仕組みづくりが必要ではないかというふうに考えたところです。これに関しましても、先ほどお話ししましたように、何しろ連絡がつかない、情報がいかないということで、大変に大きな問題があったわけですから、一般病院においても、何らかの通信の手段、これを法的に義務付けるというと、大変厄介な話になりますからあれですが、何らかの方法を講じるという仕組みづくりが必要ではないかというふうに考えております。
以上です。
○武藤座長 神野委員。
○神野委員 災害拠点病院とか、あるいは救急救命センターというのは、どうしても自治体病院とか、公的病院が非常に多く認定されるという傾向にあります。そうではない病院だとしましても、2.5次救急的あるいは2.6次か2.7次的なものもございます。がんの場合に、がん診療連携拠点病院と同じように、よく最近、各都道府県で、同等な機能を有する病院というような認定をしています。勿論予算的なものは違うと思うのですけれども、この災害医療においても、機能の持っているところは十分に使うべきだと思います。ここにある要件をすべて満たさないとしても、例えば、1件だけ落ちているかもしれないけれども、ある程度機能がある病院を、準災害拠点病院というかいうような形で、あらかじめ心持ちをしていただくというような認定を地域医療計画ですれば、大きな災害のときに、全体にある資源をもっと有効に使えるのではないか。それに対して、今、伊藤先生がおっしゃったような、情報システムに強制加入しろとか、衛星インターネットを付けろというようなことも、そういう称号を与えることで、そういったものを持つモチベーションが高まるのではないかというふうに思います。
○武藤座長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 私はこの災害医療の検討会に参加させていただきまして、大友座長の元で、委員皆さん非常に熱心な御議論をされておりました。また、こういうような資料のとりまとめにつきまして、事務局に大変感謝しておりますし、各委員と一緒にこれをつくってこられたということには、本当に委員の皆さんに敬意を表したいというふうに思っております。
先ほど来の話の中で、やはり新たな視点として、DMATがどうだったか、今回の課題は記載のとおりなのですが、1つは、超急性期と中長期をどうつないでいくかというふうな課題もあります。是非、各委員の今の御意見につきましては、都道府県がこれを策定するに当たって、いわゆる訓練、もしくは計画というふうな部分に生かされればと思います。今まで、例えば、連携の訓練であるとか、通信網がつながらなかった際の訓練という部分は、想定されていなかったというふうに思いますので、やはり今後これにどう対応していくかということが、訓練として重要になってくるのではないかと思います。
○武藤座長 高杉参考人どうぞ。
○鈴木委員(高杉参考人) いろいろなところで網羅されているのですけれども、これは警察のことかもしれませんけれども、医療者は検死というのが1つ大きな仕事として残っているので、どこか片隅には入れておかなければいけません。
それから、我々が実際にやったもので、広域テレビ会議、これは各県の医師会長と結んで、何が必要かということをやったのですけれども、これは結構役に立ちました。動かないで物が用意できますから、これは衛星のことも書かれていますけれども、もうちょっとわかりやすく書かれたらいいと思います。
それから、日本は島国でありますから、今回、使えない港は多かったのですけれども、やはり病院船は要るだろう。この記載が全然ない。これは病院機能を運びますし運搬もできますから大切と思います。
○武藤座長 どうぞ。
○一戸補佐 すみません。室長の佐久間の方が国会用務で抜けましたので、指導課の課長補佐一戸でございます。こちらから回答させていただきます。
いろいろ御意見がありましたので、1つずつ回答させていただきたいと思いますけれども、DMATの教育につきましては、毎年大体300チーム程度養成することはできますし、今回、報告書の中を見ていただくと、もう少し細かく書いているのですけれども、いきなりDMATを持っていないことで、要件から外れないように、猶予期間を設けて検証していただくといったようなこともしております。
それから、伊藤委員等の意見もそうですけれども、情報の収集とか、そういう話につきましては、保健所だけではなくて、あらゆる機関が情報をとってくる。それを都道府県の災害対策本部を中心に、その情報の共有化を図っていくという形を考えております。
災害拠点病院は、自らの病院の機能だけが残っていればいいということではなくて、やはり地域の一般病院を支えていくのだという役割も、報告書の中では明記させていただいております。
災害拠点病院の要件ですけれども、災害拠点病院自身が、今までの要件が緩かったのではないかという指摘がありますので、まずは今回の震災の課題を踏まえて、要件をある程度厳しくさせていただいた上で、今後、都道府県の中で、災害拠点病院の数とか、そういったものを考えていただくということは考えています。
病院船につきましては、今、この検討会では議題にはなっておりませんで、日医の石井先生の方から御意見はあったのですけれども、今後、内閣府を中心に議論することというふうになっておりますので、報告書の中では、病院船については記載しないというような形になっています。
以上です。
○武藤座長 ありがとうございます。ほかに。長瀬委員、どうぞ。
○長瀬委員 これは、心の問題は別なところでやるのですか。
○武藤座長 いかがですか。
○一戸補佐 今回の検討会は、医療体制の大枠の議論をしておりまして、個別の議論については、それぞれのところでやっていただくという形にしております。
○武藤座長 中沢委員、どうぞ。
○中沢委員 どうもありがとうございます。この検討会の報告書を受けて、今後、例えば、通知改正、予算化の対応とか、そこら辺のところのスケジュールをわかる範囲でお願いしたいと思います。
○一戸補佐 災害拠点病院の要件は、平成8年の医政局の前身であります健康政策局長の通知になっておりますけれども、それは早ければ、年明けにも、この要件の見直しの通知を出したい。
それから、今回も御説明させていただいているように、4疾病5事業の中の1つとして、医療計画に入っておりますので、医療計画の指針の見直しについても、今回の報告書を踏まえて、これを反映させていきたいというふうに考えております。
○武藤座長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 先ほど、伊藤委員から医薬品がなかったというお話がございました。ここの資料中にも、災害時、飲料水と食料と医薬品をきちんと確保しろという記載がございます。報告書の中では、平時から卸しと関係団体と行政ということになっていますけれども、今回の震災を考えると、単純に卸し業者と地方自治体という形で十分なのかと思います。私は東京に住んでいるのですが、隣に公園があって、そこに大きな貯水槽や、倉庫があり、薬が入っているのですが、かぎを持った方は、地方から出てくる区の職員でありますので、発災時に全く意味がない。もし、整備するとすれば、救急ルートも含めて、搬送も含めた仕組みをつくっていかないと、物はあるけれども動かないという状況になってしまいますので、その点にも御配慮いただきたい。
もう一点は、DMATについては、なかなか薬剤師が参加することが難しいと思うのですが、一方で慢性期のことを考えていますと、これだけ後発品等が入ってきますと、派遣される医療チームの中で、だれが判断をするのか。今までのようなチームではなくて、明確に、医師、看護師、薬剤師という形でないと、薬がうまく、効果的に使えないということもありますので、報告書の中では、大枠的に書いてありますけれども、具体的な派遣先のチームの中にも、きちんとした薬を扱える者を入れるというようなことも、指針として示していただければと思います。
○武藤座長 どうぞ。
○一戸補佐 今、山本委員から御指摘あったのは、災害の検討会に出席されていた薬剤師会から出られていた、生出委員からも同様の指摘があったのですけれども、報告書の概要の4ページに、DMATの新しい形として、医療だけではなくて、その後方支援を含めた、全体を見渡す、その中段にありますけれども、専門で行うロジスティックチームというのを新たに養成していきたい。そういった中で、そういった薬剤師の方とか、必要な医療、医者、看護師以外の方々も入っていただいて、ロジを進めていくということで、今後進めていくという形にさせていただいております。
○武藤座長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ちょっとお話をし忘れたので、追加で発言させていただきますが、被災地で機能を残存した民間病院というのは、要するに、非常に重要な医療の拠点になるということは御存じのとおりでありますが、今回の災害で、私も非常に早い時期から入っていたのですが、実は、民間の医療機関に対する給水も含めたライフラインの支援、そういうものがなかなか、言葉は間違っているかもしれませんが、公的なもの、公立のものよりは遅れて、あるいはなかなかそれが届かないという実態が幾つかあったというふうに聞いております。これに対して、何らかの災害が起こった場合の医療機関全般に対して、市町村のお話であろうと思いますが、それを優先的に何とか手当してもらえるような制度というものをつくることはできますか。
○一戸補佐 御指摘の点は、検討会でも同様な御指摘がありました。この災害の検討会の中に市町村の健康福祉部長さんもいらっしゃいまして、特に水の供給について、いろいろ議論があったわけですけれども、やはり市町村の給水体制も限界があるという状況があって、災害拠点病院とか、そういう拠点となるようなところを優先的にやらざるを得ない状況もあったということを御理解いただいた上で、そういった形で必要なものはやっていくということ。我々としては、災害拠点病院が生き残っていれば、そこに患者さんをまず集めて、トリアージしていくといったようなイメージでいますので、その辺、病院の機能と市町村の給水とか、そういった機能の兼ね合いで、患者さんに一番形のいい医療が提供できるような体制を平時から考えていただくということを、この報告書では書いているということです。
○武藤座長 私の方から、ちょっとお聞きしたいのですけれども、今回の東北3県にわたる非常に広範囲な災害だったのですが、この検討会の中では、各都道府県単位の災害医療計画の立案だけでは、今後の広域災害を見越したときになかなか難しいのではないか、そうした御議論というのはありませんでしたか。
○一戸補佐 要するに、都道府県の間の協定だけでは対応できないような大きな災害でどうするのかといったような御指摘もあるのですけれども、そこは防災基本計画で、災害対策基本法を担っている内閣府防災担当が、これから大きな見直しとか、そういったものをやっていくはずです。ただ、その根っこになる都道府県自身がどういう医療体制にするのかということを中心に、この検討会では検討させていただいたということです。
○武藤座長 ほかに。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 私どもに聞こえてくることは、やはり在宅で人工呼吸器を使っている方々の電気の問題があります。病院の中にいる場合は、自家発電等々を使えるのですが、在宅で医療機器を使って暮らしているという方々には、なかなか手が届かない。それから、訪問看護ステーションも、震災時には自分たちも被災に遭いながら、何とか患者さんを守ったというような経緯がありました。資料3の5ページ目、報告書概要の一番最後に、都道府県は、人工呼吸器等の医療機器を使用しているような方々については、医療機関が搬送先等々をちゃんと計画しているか確認を行うことと書かれているのですけれども、ここでは恐らく在宅でこうした機器を使っている方々も含めて規定しているというように読んでいるところです。ですから、こういった計画が立てられているということについて、在宅で人工呼吸器を使っている方々を懸命に看ているステーション、小さな事業所にも、情報等々が届くような御配慮をお願いしたいと思います。それと、人工呼吸器も長年使っておりますと劣化しておりますし、今、新しいものだとバッテリーがかなり長時間持つものがございますので、いずれはそういうものに変えていくような政策といいますか、助成事業も必要になるのではないかと思いました。
○武藤座長 ありがとうございます。
それでは、そろそろ時間も迫っておりますので、この辺りで締めたいと思います。
今日は御議論ありがとうございます。特に精神に関しては、今回、初めて作成指針に盛り込むということですので、御議論があった中でも、医療圏については、病期や病態に応じて、柔軟に設定すべきということ、あと関係の諸計画、例えば、障害福祉計画、介護保険計画との関係についても、やはり配慮すべきという御意見。それから、うつ病、認知症に関しては、これは強調して記載すべきというようなお話がございました。
あと指針の見直しに関しては、これは私も大変よく整理されていると思いました。特に病期ごとに整理されて、必須指標、推奨指標といったような、そうした階層を設けて設定されているということも大変いいと思います。
できましたら、やはり全国の各都道府県との比較可能な、そうした形でフォーマットのある程度の標準化が必要ではないかと思います。
それから、各都道府県における評価の組織のあり方、これも十分患者視点を取り入れた評価のあり方ということを検討すべきだと思いました。
それから、最後の災害に関しては、検討会で御議論されたことを基に、これを医療計画の作成審議の方に、具体的には落とし込んでいく、そうした作業が必要ではないかと思いました。
それでは、次回以降の日程に関して、御説明いただけますか。
○石川室長 それでは、本日は大変長時間にわたる御議論ありがとうございました。
次回の開催につきましては、12月7日(水)16時から予定しております。場所につきましては、後日御案内させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○武藤座長 それでは、これで医療計画の見直しに関する検討会について、終わらせていただきたいと思います。どうも御協力ありがとうございました。
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