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2011年12月19日 保育所における食事の提供ガイドライン作成検討会(第2回) 議事録

○日時

平成23年12月19日(月) 18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省12階 専用第13会議室


○出席者

(委員:五十音順、敬称略)

倉掛委員、児玉委員、酒井委員、田角委員、田中委員、堤委員、師岡委員、渡辺委員

(オブザーバー)

芳賀 めぐみ (雇用均等・児童家庭局母子保健課栄養専門官)

(事務局)

橋本 泰宏  (雇用均等・児童家庭局保育課長)
丸山裕美子 (雇用均等・児童家庭局保育課保育指導専門官)
高橋 晋一 (雇用均等・児童家庭局保育課企画調整係)

○議事

第2回保育所における食事の提供ガイドライン作成検討会 議事録

日時:平成23年12月19日(月) 18:00~20:00

場所:厚生労働省 専用第13会議室

出席者:
 委員
  堤座長、倉掛委員、児玉委員、酒井委員、田角委員、田中委員、師岡委員、渡辺委員
 オブザーバー
  芳賀栄養専門官(母子保健課)
 事務局
  橋本保育課長、丸山保育指導専門官、高橋係員


議題:
  (1) アンケート調査の結果報告について
  (2) ガイドライン執筆分担・好事例集について


配付資料:
資料1  保育所における食事の提供ガイドライン作成に向けたアンケート調査
     結果について
資料2  保育所における食事の提供に関する全国調査
    (一般社団法人日本保育園保健協議会より)
資料3  保育所における食事の提供ガイドライン 具体的内容と執筆分担(案)

参考資料1 保育所の食事の提供ガイドライン作成に係る調査票
参考資料2 外部搬入をしている保育所における食事の提供のあり方に関する調査
参考資料3 保育所における食事の提供に関する全国調査
     (日本保育園保健協議会が実施したアンケート用紙)
参考資料4 保護者の食に関する調査 関係資料




議事:
○高橋係員
 定刻となりましたので、ただ今より「第2回保育所における食事の提供ガイドライン作成検討会」を開催いたします。議事に先立ちまして、保育課長の橋本よりご挨拶申し上げます。

○橋本保育課長
 本日は、年末の押し詰まりましたお忙しい時期に、また、このような遅い時間にもかかわらずお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 申し遅れましたけれども、私は7月末に保育課長を拝命しました橋本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本来であれば、もっと早い時期に、委員の先生方にご挨拶すべきところでございましたが、アンケートの実施などをやっておりましたら瞬く間に年末になってしまいました。2回目の開催がこのように遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
 保育所の食をめぐる、これまでのさまざまな経緯については、皆さま方ご承知のとおりでございます。本日、ご説明させていただきますアンケート調査は、現場の方々に大変なご協力をいただきました。おかげをもちまして今日ご報告させていただくことができるわけですけれども、外部委託あるいは外部搬入など、いろいろな形態が出てまいりましたけれども、それぞれを実施されている所、あるいはされていない所のお考え、それぞれの現場での課題といったものが、このアンケートの結果の中にいろいろな形で出てきていると思います。現場の方々のご協力によって、本当に貴重なデータができたと思っておりますので、こういったものを踏まえていただきまして、子どもたちの成長の糧となります食につきまして、我々が何を大切にしてやっていかなければいけないかを考える。そういったことをぜひガイドラインの中に整理していただきまして、現場にとって役に立つ中身のガイドラインをまとめていただければ大変ありがたいと考えております。お忙しい中を恐縮でございますけれども、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

<事務局より議題、資料の確認>

○高橋係員
 それではここからは堤座長に進行をお願いいたします。

○堤座長
 第1回検討会から少し時間が空いてしまいましたけれども、この間に各委員を訪問したり、ガイドラインの方向性やアンケートの内容などについて意見交換を行ってまいりました。そして、現在の食事の提供の状況を把握するために国としての調査を行い、また、第1回の検討会でご提案いただきました日本保育園保健協議会が保育所を対象としたアンケート調査を実施いたしました。
 まず、議題1として「アンケート調査の結果報告」について、お願いしたいと思います。

<事務局より資料1について説明>
 
○堤座長
 ご説明ありがとうございました。
 次に、児玉委員から、日本保育園保健協議会で行ったアンケート調査の結果についてご報告いただきたいと思います。

<児玉委員より資料2について説明>
 
○堤座長
 ありがとうございました。これらの二つの調査により、ガイドラインとして入れなければならない内容が見えてきたように思います。何点か挙げさせていただきます。
 まず、1点目としてはコストの削減と食事や食育の質の低下ということ。今、児玉委員のお話しいただいたことだと思います。2点目が、公立保育所においては現場の声が届いていないのではないかということ。3点目は、乳幼児の食事は小学生以上と同じ献立では難しいのではないか。そして、4点目が衛生管理の面での課題。そして5点目が、自由記述からの意見ですが、外部搬入だけではなくて大切にすべきことについて、保育所の食事の提供ということから振り返っていく必要があるのではないか。主だったところでは、以上のような5点が挙げられると思います。
 もう1点、食においては委員から、保護者の影響が大きいので保護者の現状を知りたいということが出ていましたけれども、今回は保護者へのアンケートの実施は時期的にも難しく、実施しておりません。そこで、保護者の意識を調査したものがありましたので、それを本日私から皆さまにご報告させていただいて、今後の検討に参考にできればと思いますが、よろしいでしょうか。

<堤座長より参考資料4について説明>

○堤座長
  今、いろいろ調査の報告を聞いていただきましたけれども、委員の皆さまとこれから意見交換しながら、ガイドラインに入れるべき内容について整理していきたいと思います。
ご意見のある委員はいらっしゃいますか。

○倉掛委員
 大変興味深い調査結果だったと思います。予想以上にはっきりと傾向がつかめて、現場で仕事をしている者としては、課題が明らかになったと思っています。調査結果からいろいろなことがわかったと思います。
 一つ、座長が先ほど五つにまとめられた項目の最初にコストのことをおっしゃったので、このことについて、私の今の感想といいますか、現場でよく話題になっている話を一つご紹介したいと思います。よく、自園で給食を作っていると1食当たり幾らだろうという話が出てきます。これが平均的かどうかはさておいて、食材のコストで考えると、給食1食当たりが200円とか300円くらいでできてくるわけです。そこで人件費と比べたときに、保育園などの規模に応じて調理員の数が決まっているわけですけれども、規模・人件費とかかったコストを単純に比較してしまうと、確かに自園方式ではなくて作る人を外部委託したり、外部搬入のような道を探ったりするのではないかという気がします。しかし、実際にこの調査でなるほどと思いながら、多様な取り組みが行われているわけで、それに対するコストをどのように考えておけばよいのか。この辺りは何か参考になる指標を明らかにすべきではないかと考えました。単純に食材のコストと雇っている調理員などの人件費を比べるだけでは、コストはおかしな話になっていくのではないかと思いましたので、まずその点を意見として申し上げたいと思いました。以上です。

○堤座長
 どうもありがとうございました。他にありませんか。

○師岡委員
 三つのアンケート調査結果を丁寧にご説明いただいて、大変よくわかりました。特に、私どもの委員会として執り行ったと言ってよいかと思いますが、最初にご報告があった保育所における食事の提供ガイドライン作成に向けたアンケート調査の結果を中心に感想を述べながら、ガイドラインに盛り込むべき点を、私なりに意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、この調査は本当に質問項目も多くなく大変シンプルで、なおかつ、それほど恣意的ではない形で調査を行った結果、先ほど倉掛委員がおっしゃったように非常に現状の実態を的確に反映したものであると思いました。どうしてもこの検討会の立ち上げのきっかけの中には、特区からより発展して認可保育所に対し、3歳以上で外部搬入を進めるに当たって、ガイドラインがやはり必要だといった経緯の中で誕生した部分もなきにしもあらずだと思います。しかし、第1回検討会の中でも、そうした視点だけではなく、食育ということが保育所保育指針にもしっかりと盛り込まれている中で、単に外部搬入ありきということではなく、幅広い視点から捉え直しをすべきということで、こうした調査が行われたわけです。その中で、改めて現状としても、もちろんまだまだ外部搬入という展開は本当にごくわずかだということがわかりました。しかし、それ以上に注目すべき点は、外部搬入に取り組んでいる園もあれば、まだまだ外部搬入に向いていない園も、導入の理由が今も少し話題になった、いわゆるコスト削減だということです。これは自治体も財政状況が厳しく、より民間の活力の導入ということの中で、この外部搬入が出てきているのだろうと思います。しかし、やはり最前線で子どもと接している保育園の方たちは、そうした財政的な、あるいは経済的な理由よりも、当たり前の話でしょうが保育の質、あるいは食事ということでいえば食事の質こそが守られるべきだと考えている。そういう意味で、食事というものが、これも当たり前の話だと思いますが、単に栄養のバランスが取れ、空腹を満たすだけのものが、どんな形であれ提供されればよいということではなくて、やはりしっかり子どもの健全育成に結び付いて初めて、意義もまた出てくるのだということ。そういった捉え方がさまざまな数字だけではなく、自由記述で示されている意見の中にも示されている。それは、言い換えれば食育というものの広がり、ないしは定着がなされていることだろうと思います。ですから、改めて食事の提供ガイドラインといいながらも、保育所の中で保育の一環として食育に取り組むことをベースにしながら、大切にすべきものをしっかりと、あるメッセージとして伝えていくこと、示していくことが求められるのではないかと思います。
 また、他のアンケート結果として非常に印象的だったのは、二つ目に児玉委員から報告された日本保育園保健協議会のアンケートです。日本保育園保健協議会のメンバーの方たちの回答ですから、より食事に関する保健的あるいは健康なり栄養なりという視点・意識の強い方たちの園が多いのだろうと推測しますけれども、そういった方たちから見ても、例えば5ページの「乳幼児期に身につけたい食習慣」として、優先順位の第一に「食事はみんなで楽しく食べる」という回答が出てきます。これは食育という取り組みがまだまだ広がっていないときでしたら、もしかすると躾や習慣形成、それは言い換えれば偏食指導も含めてのことになると思いますが、そうしたことが主になることもあったのかもしれません。しかし、楽しく食べることが最も大事なのだということを答えとして示されていることは、繰り返しになりますけれども、保育所における食育の推進がかなり浸透しつつあるということです。そういったことと逆行しない中で、この食事の提供のガイドラインもしっかりと示していくことが、こうした結果からも私たちがもう一度意識し直さなければいけないのではないかと感じました。
 そして、最後に堤座長からご提供いただいた保護者の食に関する調査ですが、確かに今回の保育所保育指針解説書でも「保育指導」という新しい言葉を使いながら、単に保育所が保護者の求めに応じてさまざまなサービスを提供するということだけではなくて、養育力の低下を踏まえながら、しっかりと気づいてもらうべきこと、あるいは意識してもらうことを、保育の専門家としてアプローチしていかなければいけない、ということが示されました。そういうことも求められている現状の中で、俗にいわれる食スキルの不足、あるいは今の若い世代に比較的多くみられる痩身傾向などが結果的に子どもの育ちの問題を見えにくくしていることもまた、堤座長の調査で浮かび上がったと思います。とすれば、やはり保育所における食事の提供の中で、保護者との連携、ないしは家庭への支援というよりも、先ほど言った「保育指導」という言葉をあえて使うとすれば、そうしたアプローチもとても大事にしなければいけない。まして保育所で子どもにかかわれる時間は長くても6年間なのですから、その先の子どもたちの健全育成を考えたときに、やはり親や家庭に気づいていただかなければいけないことがある。また、保育所と家庭とが二人三脚でアプローチしていかなければいけないことも、子どもの現状を考えたときに改めてたくさんある。こうした保護者との連携や家庭への支援の重要性がクローズアップされた調査結果だったとも思いますので、この点もしっかりとガイドラインの中で強調点として示していくことは、堤座長もおっしゃいましたが全く同感ですので、重ねて確認しておきたいポイントだと感じました。長くなりましたが、以上です。

○堤座長
 どうもありがとうございました。他の委員の先生方はいかがでしょうか。ご意見はありませんか。

○渡辺委員
 感じたことを、まずお話しします。一つは、自分が保育園を作るときに、家庭を補完する、保育に欠ける子どもに対する保育園の役割は何かと考えたことです。家庭的といえば、食事を作るところが見えたり、食べるところに人が集まってくるという話になったときに、匂いを感じたり、そこのところで食事ができていくプロセスを子どもたちが感じることがないと、保育園はますます家庭的ではなくなってくるという気がしています。そこを守ろうとしている園があるのは、とても大事だと思っています。また、委託か委託ではないかというときの一つの判断基準で私が感じたのは、結構保育園の生活は、食事が中心になっていて、さらにおやつがあったりという話になったときに、そこを柔軟に対応してくれるのか、しないのか。それから生活リズムが大事だという話になった時に、子どもが遊んでとても楽しかったとか、園外に行ったときに少し給食が遅くなるという話の中で、多分いろいろなことの中で、食事が中心になりながらも、子どもたちも生活リズムができてくるのですけれども、食事ばかりが中心になってしまい、何時何分から食事にしてください、何時には食器を返してくださいと、あまりそこのところが強調されてしまうと、子どもたちの生活の豊かさのようなものが出てこないことが気になります。
 かといって、ゆうゆうのもりで感じたのは、園で調理したものを食べることが、給食という言葉なのか、それとも食事という言葉なのかにも悩んだところがありました。与えられる食事というのが、どんどん味が統一されていく、フランチャイズとか、外部委託、外部搬入を導入していくと、いろいろなところで、子どもたちは同じ味の同じものを食べていくことになっていきます。それが時代の流れだとすると、だんだんファストフードのような話になってくる。本当はスローフードという運動があるように、流れとしてはもう少し手間暇かけたもので、子ども達がいろいろな味を感じられることが本当に保証できるのか。例えば桜の形に切った冷凍の人参と、生で切ったものとでは、子どもはやはり食べる量が違うという話を聞いたりすると、そういう細かい違いや味の感覚のようなものを誰がどこで育てるのか。今、親の方でも食への関心が失われているとしたら、どこがそれを担うのか。そのまま小学校の給食につなげていくのか。でも、例えば家族が崩壊していて朝食も一緒に食べなくなったとか、朝食を食べない家庭の子どもたちの学力が落ちているという結果がでているのであれば、そのことを克服するコストは非常に高いものになるのではないか。そのことを担当するのが厚生労働省なのか文部科学省なのかよくわかりませんけれども、今の「子ども・子育て新システム」でいえば、コストがかからなければよいという話になるかといえば、ならないだろうと思います。ましてや今、企業体が入ってくるというところで、保育園も幼稚園も子ども・子育て新システムの中では、もう保育園の中でも企業体が入っているのですけれども、大学のある先生が言っています。フランチャイズ制やホールディングカンパニー制にして、100園、200園という単位で、大きな企業体として保育園が経営されたら、必ず給食や教材などいろいろなところは、企業が全部そこのところでも利益を持っていってしまう可能性もあるという話があります。本来の保育とは乳幼児期に最もふさわしいものと保育所保育指針は言っているわけだし、本当に一人一人の子どもたちに応じようとすればするほど、「そばにいてあなたのことを大事にしているよ」という人たちが、食事に関しても、それから保育に関しても、そういう人たちがいて、そのことが大事だと親も思うから、子どもたちに愛情を注いで自分たちも食事を作ろうとか、作ることが大事だということにつながっていくのだと思います。そうだとすると、単純に外から給食を持ってきて揚げ物が多かったり、幼稚園の外部搬入もそうですけれども、下手をすると残すことが当たり前とか、嫌いだったら食べないというのが、例えばお弁当のような形で保証されてしまうとするなら、そこで本当に日本人の食生活はどうなるのか、誰がそこで責任を持つのかと考えていくと、それは私たちがもう少し考えていかないといけないと思います。単純に1食幾らの問題だけでなくて、やはり子どもが育っていく中で豊かな生活をどう保証するかは、もう少し丁寧に考えていく必要があります。認めてしまえば確かにどんどんそういうものが進んでいくかもしれませんけれども、そのことによる子育てのつけのようなものを後で取り戻そうとすると、そこにまた非常に行政の手間暇もかかるし、費用もかかるということを考えていった方が良いのではないかという思いを持って話を聞かせていただきました。

○堤座長
 どうもありがとうございました。他の委員の先生方はいかがですか。

○田中委員
 三つのご報告ありがとうございました。今、委員からもお話がありましたように、私も外部搬入を取り入れた理由を見ながら、子どもの立場をどう考えていたのかということを非常に思います。やはりコストのことなどが先にきて「子どもはどうなのか」ということをもう少し考えなくてはいけないかと思います。日本保育園保健協議会の調査の中でも、一部の地域で外部搬入が多いという話がありましたが、これは特区申請になる以前から、学校給食センターからの配送という形の地域がありました。多分そういったところと、今回特区の申請で、外部搬入を導入したところと一緒の調査結果になっていますが、中身が少し違っていると思います。もう十何年前に外部搬入の園に伺ったことがありますが、まだ保育時間も短く、0歳児保育もなかったころに幼稚園と同じく保育所にも学校給食センターから給食の配送をスタートした経緯がありました。その後0歳児を預かるために0歳児用には別の調理室を造ったということでした。その辺と今回の特区で外部搬入を導入したところとは少し状況が違うと思います。 
ただ、この外部搬入を導入し0歳児を受け入れているところでは、保育士が手を加えていたりミキサーにかけていたりするというと、今、自園調理をしているところとの開きをとても感じ、子どもたちの食事がこれでよいのかと、今、委員がおっしゃったように感じているところです。ですから、この辺をどのようにフォローしながら園の子どもたちの成長を支援するかを考えていかなくてはいけないと思います。
また、保護者の食への意識が少し変わってきていることを興味深く聞かせていただいたのですが、とても気にする方と気にしない方の両極端に分かれていることは非常に感じています。また、保育園に入園している子どもだけでなく、地域の子育て支援も保育指針の中に明記されているところですので保育所に地域の方が園庭開放やいろいろな子育て支援事業でいらっしゃるときに、保育園の食事はとても良いサンプルになっています。地域の母親が離乳食をあげるのに、どれぐらいの量をあげたらよいのか、どれぐらいの固さとか、どうやって食べさせたらよいのかわからないときに、保育園でのメニューを紹介しながら子どもが実際に食べている様子を見てもらうとか、保育園の給食室から栄養士・調理師のアドバイス、また栄養士に相談し助言・指導をしてもらうといったことで、いろいろな相談機関に行くより保育所は本当に地域にありますので、地域の子育て中のママたちの食事に関する駆け込み寺としての保育所の役割も非常に大きいと思います。ですから、そこには給食室があって、そこで出される食事がお手本になるというところを、ぜひアピールの材料として入れていきたいと思っています。

○堤座長
 どうもありがとうございました。他の委員の先生方はいかがでしょうか。

○田角委員
 今まで報告されましたアンケート調査により非常にいろいろなことがわかり、有用なアンケートだと思います。その中で、今まで先生方が話されたことで十分だと思いますけれども、私が感じたこととして付け加えれば、保育所の中は非常にしっかり食事の提供ができているのではないかというのが正直な印象です。今後はそれをどのように保護者につなげるかを具体化することが非常に重要になると思います。先ほどの児玉委員の日本保育園保健協議会のアンケートでも、いろいろなところで親に対するアプローチがあり、9ページの10のところで「食に関する保護者の悩みや個別相談」など、保護者に対するアプローチがされているのはわかります。ではそれがうまくいっているのか。うまくいっていないとすると、それを保護者に反映されるためには具体的にどのような方法を取ればよいのか、自園で調理するにしろ、外部搬入するにしろ、保護者につなげていくことに対して、さらなるアプローチが必要と思いました。先ほど堤座長が話された保護者の食に対する調査の問題点にもつながっています。そのようなことがなされなければ、保育園が良い調理をしただけということになります。保育園での食事提供はベストでしたが保護者に対してはそれが伝わっていないということになります。もし今後似たようなアンケートの調査ができるとしたら、保育園に行っている子どもたちと、保育園に通園していない子どもや幼稚園で過ごしている子どもたちとの間に、どのような食に対する感覚の違いがあるのか調べると良いと思います。保育園に行っている子どもがベストだったら、保育園が、家庭以上のことをやっていることになるのかもしれません。
 それから、アンケート調査の評価として難しいと考えたのは、堤座長が出された最初のページにいろいろな「子どもの食事で困っていること」がありますが、この中で一番子どもにとって重要な「食欲がない」や「小食」という項目に関しては、率が低下しています。しかしながら、その他の心配事項は増えていることをどう考えるかということになります。食事は食べることが一番重要になりますから、「遊び食い」や「偏食」などは、ある意味では2番目3番目のことです。最重要項目が減っているのに対して、その他のことが増えていることをどう評価するか、重要なことだと思います。それは保護者の考え方の変化を反映するものと考えるからです。ともかく食べてくれればよいということから、もっと上手に食べてほしい、きれいに食べてほしい、スムーズに食べてほしいといったことに変化してきているのではないでしょうか。そして楽しく食べることやコミュニケーションを取りながら食べることなどの、もっと食事の基本的な部分が忘れられているように思われます。そう考えますと、子どもと親を一体に考えて、そこへどうやってアプローチするかを考えていくこと、すなわち『食育』ということになるかもしれません。そこで保育園の食事提供の良い部分を保護者に伝える具体的な方法を報告書に盛り込めれば、良いと思いました。以上です。

○堤座長
 どうもありがとうございました。酒井委員、いかがですか。

○酒井委員
 さまざまな調査の結果を丹念に説明していただき、ありがとうございました。保育所保育指針にも書かれているとおりですが、やはり今、食事の提供ということを考えても、保育マネジメントの一環として食事が提供されていくことの意義をもう一度再確認していく必要があると思いました。会議の持ち方も、自園の職員だけであったり、外部委託の職員または外部搬入の人々が職員会議に参加したりと、形態はさまざまですが、その園の保育方針なり保育過程の中で食事提供がなされていくわけですから、そういったことを考えていくと、やはり食事の意義というのは、まさに保育目標を達成していくためのもの、教材としての意義を、もう一度このガイドラインの中でも再整理していく必要があると思います。
 それを支えるためには、最低限、コストとの兼ね合いはあるにしても、調理員や栄養士を含めて職員の資質の向上が必要であり、研修の大切さなども踏まえながら施設長の役割などもきちんと明記していただく必要があると思います。そういうことができていなければ、どのような食事提供の形態であろうと、質の良い食事の提供はできないのではないかと感じます。
 もう一つは、最初の調査にも出てきましたが、どうしても給食というイメージは学校給食の色合いがとても強いのですが、学校給食は低学年と高学年では量的な違いはあるものの、形態的な違いはほとんどないわけです。一方、保育所は0歳の離乳食などは本当に一人一人の発達に応じた展開が十分にされていて、これは日本の中でももっとPRしてよい、学校給食以上に日本が誇るべきことであり、特に戦後ずっと築き上げてきた財産だと思います。そういうことを考えるならば、特に小学校の準備のように、小学校の給食が食べられるようにという4歳5歳のイメージではなく、0歳の本当に一歩一歩進んでいく子どもの発達に応じた食事の提供の大切さを出していく必要が特にあると感じます。そういったところでは、小学校の給食との違いをクローズアップしながら、ガイドラインに書き込んでいく必要があると思います。
 もう一つ、外部搬入との関連をかんがえても、ガイドラインの食の教育的意味にもつながるかと思いますので、食べ物が生産され、流通過程を経て園に持ち込まれ、子どもたちが食べるところまで、さらには、食べたものが廃棄され、土壌に返されるといった循環までを意識して、食事の提供の意義を明示していくことが必要だと思います。
今の子どもたちには、実際にそうした食物の流れが感じにくくなっていますし、保護者にとっても身近なものではなくなってきています。そういった循環の中で、子どもたちが食べ物は自然の恵みといったことを身近に感じながら、その取捨選択も含めて、保護者にとっても教材的な意義も含めて食事が提供されていることの意義を、きちんと書く必要があると思います。また、食の安全性の確保の観点から、現場では放射能の汚染のことなどについても、必死に取り組んでいることですから、是非、このガイドラインの中でモデルを示すことは難しいのかもしれませんが、ホームページなどのどこを引けばと良いかという資料は提示していくことが必要であろうと思います。今までの児童福祉施設でのガイドラインと、今回の保育所の食事提供ガイドラインの大きなところで、現場で一番新しく組み込んでほしいところは、多分その辺が大きいと思います。今回、外部搬入のことがずいぶん出てくるのですが、外部委託のことはなかなか調査結果からはクローズアップされにくかった部分もあると思います。どれぐらい外部搬入・外部委託のことに焦点を当てながらガイドラインを作成していくかという辺りが大変難しいところかと。理想論を言うのはとても簡単で、自園式の良さをPRすることはとても簡単ですが、その辺をどのように組込めばよいのか。Q&Aの各論に入っていくのかどうかわかりませんけれども、その辺の整理も必要だと思っております。以上です。ありがとうございました。


○堤座長
 どうもありがとうございました。児玉委員はいかがですか。

○児玉委員
 皆さま、大変貴重な意見だと思います。外部搬入のメリットとして、コスト削減が示されているこのアンケート調査結果も想像できたことだと思います。外部搬入をしたときのデメリットも、アンケートをする前から大体想像できていたことで、先ほど言いましたように、食育を推進することと全く矛盾することだと思います。学校は学校給食が昔からあって、それはよいと思いますが、それだけでは子どもに対しての食育は十分できない、保護者への食育ができないということで、詳しくは知りませんが、栄養教諭制度が設けられたのだと思います。食育を推進するために、そういう栄養を専門とする人たちが携わるようにしましょうと。そうしますと外部搬入してもよいのですが、やはり栄養士を保育所に配置しておくことは少なくとも外部搬入の最低条件になるのではないかと思います。一般社団法人日本保育園保健協議会のアンケートを、もう一度振り返りますが、資料2の6ページと7ページです。この辺りは、やはり食育が最初の保育だと思います。子どもの食事のあり方、それから、家庭との食事の関係、かなりそれをやっているという保育所が多いので、この辺りを外部搬入を入れるときにきちんとできるような体制を整えてやってくださいということがメッセージとして伝わるようにしていただければ、外部搬入をしても食育はしっかりと推進できますよということを示すことができるのではないかと思います。ですから、好事例を示されるということですので、外部搬入していて、かつ、食育もきちんとできている好事例をぜひ示していただければと思います。衛生面もそうです。保育士が刻んだり、温めたり、分けたりするのは、やはり、衛生面のことも非常に不安になりますので、そういう意味でも栄養士が必ず必要だと思っています。栄養士は必ずしも1保育所に1人ないしは1人以上である必要はなく、小さな保育所では、数保育所を栄養士が担当するやり方でも良いかもしれません。いずれにせよ、このような体制を整えるとはたしてコストの削減になるかどうか。もう一度検討する必要があると思います。

○堤座長
 他にございませんか。師岡委員お願いいたします。

○師岡委員
 もう一言だけ、述べさせてください。最初のアンケート調査の中で、特に外部搬入・外部委託を予定している理由とか、実施する理由の中に、「給食メニューが多様化する」「施設が老朽化している」といった回答が見られるわけですが、これも現状を理解する上で見逃してはいけない点だと感じました。というのは、確かに自園調理がより良いことは間違いないわけですが、だからといって、今のままでよいのかというと、残念ながら、そうではないところも現状としてある。つまり、形としてうわべ的に自園調理さえ守っていれば、食事の質一つをとっても十分かというと、これは多分公立が中心かもしれませんが、なかなか施設が老朽化していて十分な提供ができないという現実もあります。さらには、人の手当ても十分でない中で、なかなか多様なメニューや献立、あるいは発達に合った献立を考えても対応できないといった悩みも、こうした理由の中から垣間見られます。とすれば、ガイドラインの中ではやはり食事を提供する上での環境面、特に人的・物的の両面から大事にすべきこと明記する必要があると思います。スローガンのように自園調理さえ守っておけばということだけでは、非常にうわべだけのものになってしまうので、その辺を丁寧に論じ、提案していく箇所があっても然るべきだと思います。この点を各園ないしは各施設長向けという以上に、運営の一端を担う地方自治体も視野にしっかりと入れながら、ある程度のガイドになる部分を示していく必要も非常にあるのだろうと感じました。

○堤座長
 貴重なご意見の数々を、ありがとうございました。確認しておきたいことですが、先ほど放射性物質の話が出ましたが、その辺りはこのガイドラインにはどれぐらい盛り込むべきか。あるいは、まだいろいろ基準が動いている中でここで盛り込むのはとか。保育課ではいかがお考えになりますか。

○高橋係員
 そもそも今回のガイドラインでは、そういう放射性物質などを書くということで始まったものではなく、一つのきっかけは外部搬入ということだと思いますけれど、基準ということでいうと、厚生労働省として食品の基準を今まさに作成している途中ですので、「保育所における食事の提供ガイドライン」として、そういったことを書き入れるということは現在考えておりません。あくまで外部搬入等をした食事の提供をどうすべきかということを中心に書いていきたいと事務局としては考えております。

○酒井委員
 私が申し上げたのは、放射能に対する一つの基準を出してくれと言っているわけではなく、放射能のことだけではなく、農薬問題等、食の安全性という視点も本ガイドラインの中に示していく必要があるのではないかということでございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○堤座長
 他にご意見は、よろしいでしょうか。たくさんのご意見が出ましたが、議題2の原稿の執筆の分担と好事例集について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○丸山専門官
 先生方、ありがとうございました。それでは、資料3の「保育所における食事の提供ガイドライン 具体内容と執筆分担(案)」をご覧いただきながら、説明をさせていただきたいと思います。先生方からたくさんの貴重なご意見をいただきました。外部搬入をはじめ、いろいろな食事の提供のあり方について、それぞれの先生方からご報告いただいた内容から、いろいろな課題等、このガイドラインに盛り込むべき内容が見えてきたのではないかと思っております。何度も確認するようですが、いろいろな食事の提供の形態があり、そして、全国に2万以上の保育所がある中で、どのような形であっても、やはり今の子どもたちに対して、今の保護者に対してということもそうですが、何が大切なのか、どういったことを大切に食事の提供というものを保育所の中で行っていくのかということをこのガイドラインの中に盛り込む大きな目的としていきたいと思っています。
 ただ、アンケート等の状況から見えてきた中では、どういった食の提供をしていくのかというところにかかわっているのが公立ですと、やはり大きく行政の意図があったり、また、施設長はもちろんそうだと思いますが、そういったところと、あとは現場が大切にしている、私たちが大切にしたいという思いが共通になって、そして、食事の提供が進められていくことが大事だと思います。それが今回のガイドラインの中で示されるということが大切なことだと思っております。そういったことを踏まえて、第1回からいろいろなご意見を聞き、そして今回の調査結果や今日のご意見を聞きながら、今日いただいたご意見は一部加筆しなければいけないところもあると思いますが、具体的な内容として、こちらで大事なポイントを挙げさせていただいたのと、それに基づいて執筆分担を案として出させていただいたものです。
 この資料につきましては、夏に第1回が終わってから先生方を訪問したときに、第1回の資料をさらに少し詳しくしたものに加筆したものになっております。やはり最初に「子どもの食をめぐる現状」、今日堤座長からもご報告いただきましたが、子どもだけではなく、やはり保護者の食も含めて、そういった現状をきちんと押さえておくということと、保育所の食事の現状といったことを押さえる。そして、2番目に保育所として大切にするものを押さえる。そして、3番目は、保育所における食事の提供として具体的にどのようにしていったらよいのかということを書き、そして、4番目で結局は行政や施設長が食事としてどのようにして提供していくのかということを判断するために、今の2番、3番で書かれていた内容を、わかりやすく評価ができるようなチェックシートのようなものを作ってはいかがかと思っております。そして、5番目に好事例集ということで、ガイドラインの大枠としてはこういったものを考えております。
 そして、具体的な内容については、今、出された先生方のご意見、大事なところを内容としてここにも挙げさせていただいております。下線部については、今回の調査の中から出されたもので、以前、先生方を訪問したときに話をしたものに加筆している部分です。ですから、例えば食事の「コストの削減の効果と食育で失われているもの」と書きましたが、先ほどから先生方からお話が出ているように経済的な理由と、これからの子どもの成長、そして、生活の中が豊かになるために、こういった両方を考えていったときに、どのような形態にしていくべきなのかというところです。これは、現場の声が反映されていないという声もありました。ですから、こういった部分においては行政の働きかけも必要であろうというところです。
 そして、2番におきましては、以前から出ているいろいろな指針等から、あるべき子どもの姿や目標というものを改めて大事なものとして挙げるということです。
 3番においては、今日のご意見にもありました一人一人に合わせてとか、柔軟な対応をというところで、やはり丁寧な食事の提供ということ。そして、乳幼児の食事が小学生以上と同じ物ではなくて、やはり丁寧に、0歳から6歳まで幅の子どもたちにどういった食事を提供しているのかということが書かれることです。まず、これは「生きるための食」としての大事なもの。そして、?の教育的役割ということでは、やはり食を通じて子どもがいろいろ豊かな経験をしながら、その後の学びにつなげていくというところです。ここにおいては、保育環境面の重要性ですとか、先ほど田角委員もおっしゃいましたが、いろいろなことをやったことに対して評価して、さらに良くしていくような仕組みということを書いていくべきではないかと思っております。そして、?の保護者支援の役割というところは、やはりいろいろな支援をしていく、保護者支援をしていく、保護者とともにという視点から、保育所の役割を明確にしていく必要があると思っております。
 そして、裏面の「食事提供の留意事項」は、今日の何人かの先生方のご意見に出ていましたが、やはり外部搬入等は、子どもに合わせた食事の提供をするために搬入後に手を加えていくことなどは衛生的にも課題ではないかというところでは、従来の栄養面・衛生面に加えて、こういったことも注意事項として必要ではないかと思っております。そして、?の保育との連携においては栄養士や調理員等の食にかかわる職員も含めて、保育所の職員全体がこの食に対してどのようにかかわっていくのかということと、どのような体制づくりをしていくことが大切なのかということが書かれるとよいのではないかと思っております。
 そして、右側の執筆分担に先生方のお名前を入れさせていただきました。これでよろしければ、このような形で進めていきたいと思っております。
 そして、1点。2番と3番は非常に関連してきます。意義ということと、実際のあり方というところでは分担(案)で書かれた先生に対してはお互いに協力をしていただきながら、原稿を作成いただくようにお願いしたいと思っております。
 次に、5番目の「好事例集」についてですが、先ほど児玉委員からもお話がありました。このガイドラインの内容に沿って、現在、食事の提供をやっている所で「好事例」という形で3~5例ぐらい挙げたいと思っています。先生方にも推薦できる園等を今お願いしているところですが、先ほどお話しいただきましたが「今、良い点はこれだ」という他にも、それに向けて工夫をしている点なども考えながら事例を入れていきたいと、こちらでも思っております。以上です。

○堤座長
 どうもありがとうございました。先生方、他にご意見はございますでしょうか。

○児玉委員
 チェックシートは、どれぐらいのチェック項目をイメージされていますか。

○丸山専門官
 それほどたくさんのチェック項目があっても非常にわかりにくくなってしまうので、10項目ぐらいでと思っていますが、先生方の原稿等を見ながら、こちらで一応案を作りながら、ポイントはあるのですけれども、その辺りは先生方とご相談させていただきながら作っていきたいと思っております。資料3の2番と3番の部分を読むと、それが解説になって、それができているのかどうかということがチェックできるようなものをイメージしています。

○堤座長
 ありがとうございました。他に先生方、何か質問等、ここで聞いておきたいことなどは大丈夫でしょうか。

○師岡委員
 今のチェックシートについてですが、チェックシートというと、結局やったかやっていないか、できているかできていないかということになるわけです。もちろん、評価として示す項目があれば、そうしたシート的なものを活用いただかなければいけないですから、なるべく簡素なものが良いとは思いますけれども、今言ったように、単にやったか、やっていないかということだけでは本当に形式的に終わってしまう可能性も多々あると思います。先ほどから、いろいろな方から指摘がございますけれども、やはり食の提供を「食育」という視点から考えていったときに、これはこうやったら完璧、また十分ですよということはおそらくなくて、ずっと実践して、そのことを捉え、振り返り、そしてまたより良い計画につなげていくというエンドレスの営みが大事なのだと思います。だとすれば、ここで示すものも、できたか、できないのかというよりも、改善すべき点と、一方で自分の園の成果として、ある意味では自信を持って取り組んでいくべきもの、あるいは守っていくべきものの両面がしっかりと確かめられるものがやはりよろしいのではないかと思います。また、そういうものが示されれば、それが園内の研修なり、あるいは職員の資質の向上にもまた生かされるのではないかと思います。ですから、ある程度の尺度と言ってしまってはよくないのかもしれませんが、いわゆる度数、それが3段階か5段階になるのかはわかりませんけれども、そういったものを、例えば充実度と改善度のような視点から示してみる。また、どこまで今、園が至っているのか、それを短期的な視点で確認していった方がよいものもあれば、もう少し中長期的に少しずつ変えていった方がよいものも当然あるでしょうから、1回やっておしまいとか、チェックが全部付けばおしまいということではなく、本当の意味で現場で活用していけるような、食事の提供の改善につながっていくような評価の中身あるいは方法を一緒に模索していけるとよいと思います。いかがでしょうか。

○丸山専門官
 夏に先生方の所を回っていたときに、最初にこの評価ということを提案したときにも、先生方からそのようなご意見をいただいております。やったか、やっていないかということですと、やはり行政もこれはできているなという形で、保育のことがわからずに表面だけで、やっている、やっていないという評価のものではなくて、やはり、外部搬入だけではなくて、自分たちの園を振り返るためにも使っていただきたいと思っておりますので、師岡委員がおっしゃるような形にしていきたいと思っております。ありがとうございます。

○堤座長
 どうもありがとうございました。私もその点が気になっておりまして、やはり、ここさえ押さえておけば、外部搬入に移行してもよいのではないかと、そちらに使われるのは困ると思いますので、今、師岡委員や丸山専門官がおっしゃったように、それを踏まえて、また見直しにつながっていくPDCAサイクルを回すプラン・ドゥ・チェック・アクションの考え方もどこかに入るとわかりやすくなるのではないかと思いますので、ぜひその辺の記述も入れていただくことをお願いしたいと思います。

○酒井委員
 ありがとうございました。今、チェックシートのことが出ましたけれども、確かに先生方がおっしゃったとおりだと思います。チェックシートの項目そのものは、あくまでも国で一つの例として出すべきものであって、やはりチェック項目も全て園の中で、自己研鑚の中で皆さまがたたき上げられたものを保育目標に従って組み立てていくことが前提だと思いますので、やはりその辺の詳細な説明が必要ではないかと思いました。
 それから、この中で特に食事を通じた教育的な役割ということがよく出てくるのですけれども、どうしても教育といったところには、当然裏には保育所保育指針の言葉でいえば、養護というのは当然あるかと思います。何となくぱっと見ると養護の部分がとても手薄になって見えるので、特に食事のことにつきましては生命の保持と共に、情緒の安定の部分が大切です。長時間保育の中で、朝食も、夕食も提供する保育所もあることを考えると、環境的に十分な温かさというものも提供しながら、食事の温かさとともに人とのかかわりを十分に出していく必要があると思いますので、養護という視点についても十分に記載していく必要があると思います。

○堤座長
 どうもありがとうございました。それでは、今日のご意見なども踏まえて、それぞれご担当の部分のご執筆についてお願いしたいと思います。
 事務局から、今後の予定などについて、お願いいたします。

○高橋係員
 今後の予定ですが、先ほども申し上げましたけれども、原稿依頼と執筆要領については近日中に皆さまにお送りしたいと思います。原稿についてですが、大変短期間で恐縮ですが、1月末を目途にご提出いただきたいと思っています。その後、いただいたご意見を修正等を行った後に、今年度中には完成を目指していきたいと思っております。
 また、「好事例集」については、掲載する保育所等の推薦がございましたら、12月中ぐらいまでにご推薦いただければ、事務局で原稿は執筆したいと思っておりますので、ご協力いただければと思います。以上です。

○渡辺委員
 自分の所で考えるのですけれど、保護者支援だけではないのかもしれないですけれど、アンケート結果で例えば外部搬入や外部委託の方がよかったというアンケートがあって、私は外部搬入や外部委託で例えば保護者支援を上手にやっている所はあまり聞いたことがなかったりします。自園調理をやっているという話で書くのか、それとも外部搬入・外部委託も意識しながら、こういうところを配慮すれば等を入れていくのかというところはどうでしょう。外部委託でうまくいっているからよいという中で、少し問題だとかいろいろなこともあったりするところの事例のようなものも、もしわかるならわかった方がよいと思いますけれど、多分私が以前聞いた話で、自園でやっている保育所の方たちから話を聞くことはあるとしても、外部委託とか、特に外部搬入といったときに、保護者支援の役割ができるかといったら、難しいという話は書けるかもしれませんけれど、留意事項にはならないのではないかと思ったりはしているので、その辺は触れなくてもよいというなら、触れない形になると思います。

○丸山専門官
 特に、外部搬入や外部委託に限ってというのではなくて、全体的に食事の提供に対して保護者支援の役割ということです。ですから、こういったことが望ましいというか、こういったことが支援や指導、連携とか、いろいろな形があると思いますが、そういった中で書いていただければと思います。

○堤座長
 他には、よろしいでしょうか。

○倉掛委員
 意見のところで言い忘れたことが幾つかあったので、最後に内容の方向性として確認したいと思います。保育所の中で「食を営む」ということが指針にも明確にこういうことだと一つあるわけで、それを実践していくときに例えば本当にわかりやすい話ではないかと私は思いますが、師岡委員が先ほどおっしゃった「食を楽しむ」、「食事を楽しみ合う」という表現になっていますね。また、食材に対してまた調理をする人に対する感謝という言葉も出ています。栄養士に限らず、看護師やその他の保育にかかわる営みを支えていく人々が、地域の中で子育ての拠点として保育所の中に非常に集積されているわけです。ですから、子ども・子育て新システムを考えるときも、私が少し残念だと個人的に思っていることは、「すべての子どもに対する健全育成を社会でやっていこう」というのが本来のねらいだったはずですが、私の感じでは、子育て支援がごっそり抜けているような気がします。そこに、保育所やこれからの総合施設の役割が大きく今後の子どもの育ち、あるいは親子関係、家族のあり方を視野に入れた福祉を、子どもを中心とした最もふさわしい生活の場として福祉を推進するときに、コストの計算はできないけれども、そこにしっかりと社会的資源を集積させようと、その食の拠点としての調理室がなくてもできる方法論をわざわざ作ってどのような意味があるのかという気がします。ですから、積極的にコストが問題のところは何がどう問題なのか、今回のアンケートで多分公立が中心でメニューが多様化できないから、栄養士が一人で全部作っているから多様化できないというのが多分ほとんどではないかと思います。ですから、できれば今日のデータもその辺まで踏み込んで紹介していただければ問題はもっと明らかになったのではないかと思います。
 世界的に見ても、保育の質はプロセスの質になりつつあるわけで、子どもたちの経験の質がほとんど保育の質だと私は思いますけれども、そのときに乳幼児期に子ども一人一人がどのような経験をすべきなのか、五感全てを体験できる営みというのは見る、聞く、触る、臭う、味わうという全部を一遍にできるのは、食しかないわけです。その味わうとか、それを共に楽しむという営みをもう一回きちんと国全体で取り戻しましょうよという、多分そういうことが新指針が目指しているメッセージで、その流れに則して今回のガイドラインを作るとしたら、当然このようなことを今後目指していかなければいけない。ですから、実態がそうだということに基づいてそれでよいという議論ではなく、今後これだけ課題がいろいろ出てきている中で、新しい施設の担う役割、特に食を進めていく役割としてこういうことが必要なのだということを力強く提案してほしいと思います。少し、付け加えたいと思いました。

○堤座長
 ご意見、ありがとうございました。それでは、皆さまで連携をとりながらガイドラインの完成を目指したいと思います。本日はどうもありがとうございました。


<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課
保育指導専門官 丸山(内線7919)
企画調整係     高橋(内線7920)

代表電話: 03(5253)1111
夜間直通: 03(3595)2542

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