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2011年11月4日 第8回医療情報の提供のあり方等に関する検討会議事録

医政局総務課

○日時

平成23年11月4日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○議題

1.医療に関する広告規制について
2.前回の議論の整理(案)について
3.その他

○議事

○佐々木調整官 定刻になりましたので、ただいまより第8回「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、ご多用中、当検討会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、本日初めてご出席いただく構成員をご紹介させていただきます。前回ご欠席のため、お名前だけはこの場でご紹介申し上げましたが、辻本好子構成員に代わりまして、今回ご就任いただきましたNPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子構成員です。なお、本日の出欠状況ですが、全ての構成員の方々にご出席いただいています。また、本日の会議の前半には、昨年度行われました「医療の質の評価・公表等推進事業」の対象の3団体からのヒアリングを予定しています。最初に、参考人の方々をこの場でご紹介申し上げたいと思います。向かって上手から、独立行政法人国立病院機構機構本部総合研究センター診療情報分析部長の伏見清秀先生です。社団法人全日本病院協会常任理事の飯田修平先生です。社団法人日本病院会伊東佳恵先生、同じく堀川知香先生です。どうぞ、よろしくお願いします。
 次に、お手元の資料の確認をいたします。議事次第と座席表のほか、配付資料として、資料1「医療の成果に関する指標(アウトカム指標)及び過程に関する指標(プロセス指標)の取扱い」を取りまとめたもの。資料2「平成22年度医療の質の評価公表等推進事業結果」の報告書を束ねたもの。資料3「前回の議論の整理(案)」です。参考資料として「医療法における医療に関する広告規制についての基本的考え方」という、1枚のポンチ絵をご用意させていただいています。それから、本日のプレゼン資料として、飯田先生からハンドアウトの資料をいただいています。参考資料1は前回と同じですが、医療機能情報提供制度と医療広告規制等の比較を表で表したものです。参考資料2は、評価公表等推進事業を事務局でまとめたものです。参考資料3は、前回の検討会の中で消費者庁から美容医療に関する指摘事項として提示のあったものです。これは、前回宿題になりましたが、これについて法的にどのように整理をされているかを消費者庁と一緒にまとめましたので、今回配付させていただいています。それから、前回配付した参考資料集を、基本資料集としてお配りさせていただいています。資料としては以上です。
○長谷川座長 前回は、大変活発な議論をいただきまして、事務局でもそのまとめを今日は紹介していただけるということで、楽しみにしています。また、本日は全員出席ですので、日本の医療の今後にとって、また患者さんにとっても医療界にとっても重要な課題ですので、今回も活発な議論をお願い申し上げます。ただ、内容が濃いので、なるべく効率よくやっていきたいと思います。
 この検討会は、原則的には公開で、事務局で議事録をまとめて、それを先生方にお目通しいただいて、最後は厚労省のホームページで発表する手はずになっていますので、よろしくお願いします。それでは、議事に入ります。本日は、前回の議論の整理をあとのほうで行いますが、3団体からヒアリングを予定しています。この内容も、大変興味深いものですので、資料もお手元にお配りしていると思います。事務局から、資料の要点を簡単に説明してください。議題1、医療に関する広告規制についてお願いします。
○田中専門官 資料1をご覧ください。タイトルとしては、医療の成果に関する指標、これをアウトカム指標と呼んでいます。それと、過程に関する指標、プロセス指標の取扱いとしています。この資料の目的としては、現在これらの指標については広告可能となっていませんので、それらの公表に関する取扱いをどうするかといった議論のために作った資料です。
 1.(1)定義から説明いたします。アウトカム指標は、診療後の患者の状態などの「医療の結果・成果」を表す指標として定義しています。具体例としては、死亡率、回復率、患者満足度といったものが挙げられると思います。プロセス指標については、実際に行われた診療のプロセス、その適切さなどを表す指標として定義されています。具体例としては、早期リハビリテーション開始率が挙げられるかと思います。(2)は、先ほど説明しましたが、指標の数値自体はいまのところ広告可能事項としてはなっていませんで、治療結果の分析あるいは結果を外部に対して提供しているものについては、医療法上広告可能とされています。そのほかの死亡率や患者満足度については、指標の客観性が確保されたものから広告可能事項として追加することとなっていますが、いまのところ公表された際の悪影響を懸念されることなどから、手術件数や平均在院日数については広告可能ではあるのですが、それ以外のものについては広告可能となっていません。ちなみに、医療機能情報提供制度の対象項目にもなっていない状況です。
 2.「これまでの経緯」を少しまとめています。これも、少しかい摘んで説明します。(1)は平成14年、第四次医療法改正時の議論の中で「手術件数」、「分娩件数」、「患者数」等については広告可能とされたところですが、「死亡率」については継続検討となっています。(2)は、平成17年から19年の議論では、先ほど少し触れました治療結果分析の有無、あるいはその結果を提供しているかについては広告可能となりました。このときは、医療機能情報提供制度も導入されまして、その対象項目ともなっています。アウトカム指標等については、客観的な評価は可能であるとして、厚生労働大臣が定めたものから広告可能事項として追加をすることとなっていますが、現在のところそうした指標はない状況です。
 これらの結果を踏まえて、厚生労働科学研究においても、客観的な評価を可能とするような手法の研究開発を実施しています。予算事業は、平成22年度から開始していまして、今回ヒアリングを予定している事業ですが、協力病院の臨床データを収集・分析して、一定の臨床指標を評価・公表し、その問題点などを分析する事業を実施しています。
 これまでの研究などでは、臨床指標を計算する際のデータ収集の業務負担が問題だということで、それを軽減するための方策あるいは公表された際の悪影響を軽減するための公表方法、いわゆる「リスク調整」と呼んでいますが、こういったものの研究がなされています。その指標の数値自体を公表するのではなくて、こういう指標にはこういう意味があってということなどを併記したうえで公表するといったことの検討の必要性、あるいは指標の定義や質をきちんと表しているかといった妥当性の検証の必要性が、課題として指摘されているところです。
 (3)は、規制改革に関する動きとして、平成19年の流れをピックアップしています。規制改革会議より、「様々な医療機関を比較検討したうえで、自分に適した医療機関を選択することは、患者の権利」であるとして、アウトカム情報を公開すべきといった答申も出されています。(4)は、平成20年の第6回検討会で、病院団体におけるアウトカム指標あるいは海外の状況などについて、有識者からヒアリングを行ったところです。今回、参考人としてご出席いただいている飯田先生にもお越しいただいて、お話をお伺いしました。このときも、アウトカム指標の取扱いについては、引き続き検討することとされています。
 3.「現状等」ですが、(1)は先ほど説明したとおりです。(2)は、医療の質に関する評価・公表等推進事業です。昨年度の結果については、年度末時点の報告書を3団体よりいただいていまして、それを基に私どもで取りまとめて、医療部会に報告した資料が、参考資料2として付けていますので、参考にしていただければと思います。
 具体的にどういった指標を公表しているかが、7頁の別添1で、各病院団体がこの事業で対象とした指標を一覧表としてまとめています。概要としては、後ほどより詳しく結果の概要をご説明いただけると思います。事業の概要としては、これまで各年3病院団体が助成の対象となっていまして、患者満足度を含めてアウトカム指標とプロセス指標を10指標以上を対象として、各団体に選定いただいています。協力病院としては、25以上で、選定された指標については、その数値を公表していただくと。そのうち、最低5個については、各病院ごとに数値を公表いただくこととなっていまして、その際の問題点あるいは効果について分析いただくことになっています。
 最近の医療部会における意見を、5頁の(3)にまとめています。こういったアウトカム指標などの公表を推進してはどうかと。その標準化が重要になると。ただし、全ての分野でやってしまうと、そこは難しいので、分野を絞ってもいいのではないかといった意見が出されています。
 6頁は、「論点(案)」を挙げさせていただいています。冒頭ご説明申し上げたとおり、現在広告可能となっていないアウトカム指標あるいはプロセス指標について、昨年度の予算事業も開始されており、それ以外でも公表するような動きが広がっています。そういった現状を踏まえて、医療に関する広告規制の対象項目とすると、医療機関から自発的に公表することが可能となりますが、その広告可能事項にするか、あるいは情報提供制度の対象にすると、医療機関から都道府県への報告義務が課せられることになりますが、そういった違いがある中でアウトカム指標、あるいはプロセス指標の今後の取扱いをどのように考えるかといったところについて、今回ご議論いただきたいと思います。
 別添の説明は省略させていただきますが、別添2として先ほど少し触れました厚生労働科学研究事業の最近関連するものを3つ出しています。12頁からは、米国と英国におけるアウトカム指標の公表状況で、ごく簡単に公表されている指標などをピックアップしています。資料の説明は以上です。
○長谷川座長 ありがとうございました。事務局の説明を簡単になぞると、一般的に踏み込んだ情報提供、つまりプロセスよりもさらにアウトカム、医療の結果についての情報公開が求められていると。事実、私はこの委員会をやってまいりまして、初期に「数年後にはそれを公表する」ということをいろいろと議論したことを覚えています。そこで、事務局としては2つ、つまり「広告規制に関連してどうするかという課題」と「義務として医療機能情報提供制度の中でこれをどう取扱うか」という問題を持っています。我が検討会としては、それに対しての意見をお話することが求められているというのが、先ほどの趣旨かと存じます。それについて、まず何か質問はありませんか。なければ、その議論をする前に大変重要な情報として、実際にこのアウトカムを中心に調査・研究をされた3つの団体からのお話をお聞きする手はずになっています。是非、この情報収集や発表の問題点を念頭におきながらお聞きいただければと思います。といいますのも、患者さんや国民からは、こういった情報が必要だという声が強いと伺っている一方、実際にやるとなると大変な手間であって、しかも誤解されるような情報が書かれる可能性もあるということで、慎重論もあります。その辺を念頭におきながら、お話をお聞きいただいて、会としての意見をまとめてまいりたいと思っています。それでは、3団体から事業の結果をご報告いただきたいと思います。時間が限られていますので、国立病院機構から約10分間説明をお願いします。
○伏見参考人 国立病院機構の伏見です。お手元の資料2-?-34辺りから、国立病院機構の今回の事業の報告書の中の効果の部分と、続いて問題点等について説明をさせていただきたいと思います。まず、今回の事業に関しての様々な効果として、各病院機構がどのように対応していたかです。実際、事業結果が公表されたあとには、各病院に対しては、様々な形でその結果を周知し、例えば院内での会議等で議論したり、あるいはメール等で情報徹底を図りました。この結果を各病院がきちんと理解して、さらにそれを基に医療の質の改善に取り組んでいくような流れをつくっていただいています。
 実際に出された指標の結果として、一部の指標では他病院に比べてかなり劣っているようなものも出たりしましたので、そういうものについてはパスの見直しや、組織内でそれに対する取組を始めたり、会議等で改善を求めたというような報告を受けています。団体全体としては、1年目の発表が終わったあとに、その結果がどのように反映されているかを調査する意味で、短期間ですが、今年度の前半のデータ等について集計を行い、仮集計という形で各病院にフィードバックして、改善がみられているか、あるいは改善がない場合には、今後の対応について検討していただくようにしています。
 ?-35は、協力病院における効果等です。?医療の質の向上の効果ですが、これは今年4月に、実質的には病院に周知されたのは5月に入ってからですので、時期があまり経っていません。現実的には、それが本当に質の向上に結び付いているかどうかの検証をする段階にまでは至っていないのが正直なところですので、もう少し時間をかけて、引き続き検討していただかなくてはならないと考えています。?職員の意識向上については、病院によって多少ばらつきはありますが、医療の質の向上に努めることが重要であるという認識、使命感を多くの職員が持つことにはつながったのではないかと思います。それなりに、結果については優劣、違いが出ましたので、特に他病院よりも劣るようなものが出た病院については、それぞれの指標内容を吟味して、それに対策を講じることの重要性を認識していただいたことが、もう1つの効果といえるのではないかと思います。
 ?外部の反応についてですが、先ほども言いましたが短期間ということで、現在のところ特に目立ったものはありません。今後は、各病院にそれぞれのホームページがありますので、そこで本結果を公開して情報提供も行いたいと聞いております。?その他の効果等は、参加病院の中には、指標上低い評価が得られたものがありました。それについては、実際の医療の質そのものの反映ではなくて、例えば調査上の問題あるいはデータの精度の問題もありましたので、そういうものを改善していくことも含めて検討を始めていると聞いています。
 ?-36からが、様々な問題点に関してまとめて書いてあります。(1)技術面について、データ収集段階です。国立病院機構では、DPCデータとレセプトデータを収集するシステムを、平成22年から整備していましたので、主にその集められたデータを使って指標を算出しました。データ整備のうえではかなりの負担がありましたが、実際に指標を出すうえでは、各病院に対する負担はあまりなかったと考えています。当然のことながら、満足度あるいは褥瘡等の一部の指標については、各病院に対する調査が必要でしたが、大部分の調査については、システムに集められたデータを使って行いましたので、各病院に対する負担が少なかったことがいえると思います。ただし、データの収集システムの整備については、それなりのコストと手間がかかっていますので、それも、ある意味課題といえると思います。
 データ分析については特にありませんが、リスク調整の方法について、例えば、標準化死亡比HSMRはよく使われている指標なのですが、DPCデータを用いて算出していますので、データに含まれていないものは当然評価できませんでしたので、一定の限界の範囲での評価になっています。どこまでリスク調整が行われているかという一定の限界の範囲をきちんと理解していただいた上での評価としなくてはならないと考えています。国立病院機構については、標準化死亡比も含めて、死亡率に関する評価に関しては、その病院名を出さずに公表をしています。リスク調整に限界があることと、死亡率などかなり影響力が大きいものを数値で出すことについては、影響の大きさを判断できないということで、今回は病院名を出さない形での公表としています。「急性脳梗塞患者における入院死亡率」および「PCI(経皮的冠動脈インターベンション)を施行した患者の入院死亡率」については、十分なリスク調整が行われていませんので、これについても病院名は公表しない形で発表しています。
 ?-37です。特に公表への問合せやその他のアナウンスについては、現時点では特にありません。その他について少し書いてありますが、外来指標等はレセプトデータの精度等から、なかなか困難であったのが正直なところです。それから、ここに記載されていませんが、指標の作成、公表にあたっていくつか問題点がありました。基本的に、DPCデータ等の既存データから臨床指標を算出していますので、例えばデータの入力の問題、病名の問題、それから実際に行われた診療行為がきちんとそこに登録されているかどうかの問題があります。いわゆる、算定漏れ等が逆に指標に影響を及ぼしてしまうことがあります。例えば、褥瘡対策の実施率については、基本的にDPCデータに入っている診療報酬の項目に基づいて計測しましたので、いわゆる算定漏れで実際に行われていても、それが記録されていない場合には、計測結果としては実施率が低いと出てしまいました。この部分については、指標の限界でもありますし、各病院の今後の対応が必要な問題ではないかと考えています。
 それから、DPCデータを用いて臨床評価指標を算出していますので、カルテに基づいてデータを作るような場合、非常に細かく、例えば患者さんの重症度等を評価することができますが、この方法では、データの制限からできませんので、その分例えば症例の条件を区切ったり、適用条件や除外基準をかなり細かく設定しました。その結果として、対象となる症例数が多少減ってしまった面もあります。そのために、今度は統計的な問題ですが、症例が少ない分、統計誤差が発生しやすくなってしまうというような問題点もありますので、1つの指標の限界となっているのではないかと思います。
 死亡率等の指標については、先ほど言いましたが、今回は病院名を公表していませんので、その見方については、きちんと一般市民に向けても理解を求めることが必要になってくるのではないかと思います。逆に、そのまま出してしまうことは、いろいろな形で誤解を招く危険性があるのではないかと考えています。先ほど申しましたが、公表にあたっては各病院の認識がかなり変わってきている状況になっていますので、そういう意味では効果としては非常に大きなものがあったのではないかと思います。以上、簡単ですが、報告とさせていただきます。
○長谷川座長 ぴったり10分でうまくまとめられていて、我々も理解しやすかったと思います。ご質問、ご議論は3団体の発表のあとに行いたいと思います。現時点で、どうしても確認しておきたい事実関係はありますか。指標自身はだいぶ進みましたが、結果を見るには少し時間が早いなと。ただ、やり方や意識の面では、かなり改善がみられたという報告ですし、方法論的にはデータ収集や分析方法について、いくつかの問題点があることを指摘いただきました。よろしいですか。それでは、全日本病院協会の飯田先生、よろしくお願いします。
○飯田参考人 報告します。概要に関しては、いまの独立行政法人国立病院機構とほとんど同じだと思っています。パワーポイントのレジュメを簡単にご説明します。107頁も報告書がありますので、とても概要がわかりにくいと思いましたので、医療機能評価機構のQIフォーラム、先週行った全日病学会で報告したものの要旨です。
 次の頁をご覧ください。上ですが、質評価に関する我々の病院団体としての取組が書いてあります。私は東京都病院協会と全日病の両方の役員をやっていますが、東京都病院協会でアウトカム評価事業を開始して、それを全国的に展開するために全日病でやっております。そのあとDPCができたので、DPC分析事業を遅れて開始し、数年前にDPCとアウトカム評価事業を一元管理できるようにしました。IQIP(International Quality Indicator Project)で国際的な指標に関してもやっていますが、今回はテーマではありませんので割愛します。
 4頁の上ですが、どういう疾患を選んだかというと、アウトカム評価事業で代表的な24疾患を選んでおります。
 6頁です。医療の質評価公表等推進事業の概要は皆さんご存じですので割愛します。指標としてはたくさんあるのですが、実現可能性と継続可能性、今後の全国展開をするにあたってあまり負担が多くなくできるものを選び、この事業が10指標以上ということですので、10指標を選びました。ほかにもたくさんできます。病院名で公表するのが患者満足度、病院推奨度、7頁ですが、平均在院日数、予定しない再入院率、肺炎に対する入院初日の抗生物質使用、そのほかの5指標は統計データ、病院名を出さない病院ごとの指標を出しております。下ですが、27病院に参加していただきました。いろいろ図表がありますが、これに関しては詳細は述べません。
 パワーポイントの1枚もの、A4横を添付しましたが、これに概要が書いてあります。この検討会の目的はあまり理解していなかったのですが、医療情報の提供のあり方ということです。医療情報の提供には2つありまして、病院及び病院団体から国民へ、病院から他病院へ、もう1つは国や保険者から病院へ、国・保険者から国民へと2つあると思いますが、病院団体から国民、あるいは病院から他病院へということに絞ってお話します。ただ、国から病院への情報開示に関しても、いまレセプト情報開示がありますが、これをもう少しやりやすくしていただきたいということを一言申し上げます。
 1の課題に関してはほとんど同じですが、DPCデータに基づく質評価の仕組みを作っておりましたので、それに関する負担はあまりありません。ただ、同じ指標を使って同じような評価をするということで、それぞれの病院ごとに違った仕組みを作っているところがありますので、付加的な指標に対してはどうするか、DPCで取れない指標、転倒転落や感染症といったものに対して、病院ごとに誰がいつ、どこで、どのように、どんな仕組みを作るかというのは様々です。全て情報システムを構築した所もあれば、手を使わなければいけない所もあります。これをやるために、まずアンケート調査をして、どういう実態か、どのようになっているか、また事業を始めるにあたって参考になる病院の事例を報告していただきました。人件費に関しては、この事業で少し出ましたので、各病院にいくばくかのお支払いをしました。
 情報システムがいちばん問題で、私たちはDPC分析事業をMedi-Target等を使ってやっておりますが、それにアウトカム評価事業を付加したものを開発しました。今回の事業のために、またそれを改変しなくてはいけないということで、かなりお金がかかりました。先ほどもお話がありましたが、DPCデータは診療報酬請求システムが基本ですので、質の評価に持っていくのは難しい部分があって、付加的なデータ収集をどう構築していくかが大きな問題です。いちばん大事なのは実現可能性・継続性です。今回の推進事業でもこれを日常業務として継続するのが難しいということで、いくつかの病院が今年度は辞退され、新しく募集して、今年も同じような数で何とか続けておりますが、単年度事業ではなく複数年度で事業としてやりたいと、強くお願いしたいと思います。今年も新しい団体が出ておりますが、来年以降続けるのはなかなか難しいだろうと思っています。
 患者選択に関しては、1年間では不明ですが、もともとこういう事業は患者選択はあまり期待しないほうがいいだろうと考えます。悪い事例としては、米国でもリスクの高い患者を避けるということが実際に起こっておりますし、ホームページ、その他を見ているのは、患者さんよりも医療関係者が多いということもあります。また、都病協・全日病アウトカム評価事業では経年的に参加病院のばらつきが減少して、効果としては質の向上につながっていきますが、本事業はまだ1年間なのでわかりません。
 指標の選択がいちばん難しくて、先ほど来、申し上げている継続性ですが、負担を軽くして、どうやって代表的な指標を選ぶかはかなり難しいと考えております。意義ある指標でも負担が大きいと、実証事業その他であれば、1年間であれば頑張りますが、これからずっとやるとなると難しいだろうと思っております。
 2の効果ですが、外部からの反響としては、今年の5月にニュースが流れたあとは、ホームページに報告を載せたら、とたんにゼロからアクセスが増え、全日病の全アクセス数の3ないし5%を占めております。2,250から約4,000、毎月アクセスがあります。患者からの問合せはありません。あるのは医療関係者、あるいは雑誌出版社、メディアからの引用の申込みが前からあります。
 職員の意識はかなり向上しており、質重視、データ重視、真の意味のチーム医療が向上しました。チーム医療が本当にうまくいかないとデータ収集ができません。
 質向上の取組としては、参加病院の質向上の機運、こういうデータ収集をする仕組み、それを報告して分析する仕組みを作ること自体、それだけでもかなり質が向上しているだろうと考えております。そのために、いま申し上げた組織横断的活動・チーム医療の実践がなくてはうまくいかないと考えております。本年度もかろうじてこの事業を継続できるのですが、これをもう少し簡単にできるようになれば、もっと増えるだろうと考えております。全日病のホームページ、あるいは全日病ニュース、講演会、学会シンポ等で広報・啓発をしており、今年度この報告書を出したあとですが、日本品質管理学会研究発表会でこの仕組みを報告し、日本医療マネジメント学会でも報告し、日本医療機能評価機構QIフォーラムでも報告しました。先週の全日病学会でもパネル討議をし、参加病院の実務者にどういう点に苦労したか、今後どうしたらいいかということを1時間半ディスカッションし、非常に前向きな議論が出ております。しかし、全会員病院にこれを広めていくのは至難のことで、先ほど義務化、必須という話もありましたが、それはまだまだ先の話だろうと考えております。
 また、私どもはMedi-Targetを使ったDPC分析事業を行っておりますが、新しい仕組みとしてすでに病院外来を一気通観したデータの分析ができる仕組みを作っており、レセプトオンライン請求が義務化されて全医療機関に展開された暁には、もう少し仕組みをうまく作っていただければ、そんなに負荷がなくできるだろうと思います。レセプト情報はあくまでもレセプト情報なのです。ただ、レセプト情報でもいまのレセプトの扱い方が難しいので、今度のレセプト情報開示でも全日病が手を挙げてやっておりますが、仕組み自体、データベース自体が診療報酬用にできており、質を評価する仕組みになっていないのです。それを質を評価する仕組みに戻すことは至難の技ですので、根幹からきちんとやっていただくように、是非お願いしたいと思っています。以上です。
○長谷川座長 ありがとうございました。全日病からも的確に問題点をご指摘いただきましたが、同じく現段階でどうしても聞いておきたいという事実関係のようなことのご質問はありませんか。全日病はいちばん長い歴史を持っていて、国際比較もやっておられて、体制も出来上がっているのでしょうが、それでも大変というご指摘がありました。ただ、前の歴史があるからでしょうか、随分反響があったみたいですね。
 それでは、3番目の団体、日病に移ります。よろしくお願いします。
○伊東参考人 お手元の資料の最終報告書に沿ってお話します。資料2の?-28頁をご覧ください。「平成22年度医療の質の評価公表等推進事業」について全体の話ですが、当団体では30施設の方にご協力をいただき、11指標、細かく言うと13指標について算出及び公表を行いました。各施設の数値、指標の考察等については報告書に記載しておりますので、本日は省略します。
 それでは、28頁の4「評価・公表等により得られた、協力病院における効果等」について、堀川よりご報告します。
○堀川参考人 4.「評価・公表等により得られた効果等」ですが、いくつかピックバックします。中間報告の時点で、当団体は値を公表、各施設にフィードアップしました。その段階で他施設の値を見ることができたので、施設のほうで自分たちの算出方法が間違っていたのではないか、手順が少し違ったのではないかということを見直すきっかけとなり、報告書にも値は掲載しておりますが、1施設の大和高田市立病院では抗菌薬の投与率が40%未満というところから、抗菌薬の投与のタイミング等を変更したりという施設内の改善を行っていただき、最終的には85%を超えるまでになっているという報告がありました。この施設では、そのまま継続して値を出しているということで、その後は90%を超える値になっているという報告もいただいております。
 また、日本病院会では事業は初ということだったので、指標を定期的に値を出していただくことを最初の課題として施設に促していたのですが、値を公表したことによって各施設が現状を把握するきっかけとなって、施設内での活動、委員会等で報告したり勉強会を行ったりという活動をするきっかけとなったという報告もいただいております。最初は初ということで、なかなかデータを集めることができない、提出が遅れてしまうという連絡があったのですが、施設内の協力を得ることができ、最終的には期日内に提出いただくようになりました。
 引き続き、報告書?の29頁、5.「評価・公表等に当たっての問題点・課題及びその解決策」について、伊東よりご報告します。
○伊東参考人 先年度の事業を通じて出た課題については、報告書に詳細を記載しておりますが、この内容を整理しますと、3つのポイントに分けられると思っています。1点目は、指標定義・分析手法についてそのものの妥当性に関するものです。2点目は、協力施設の作業の効率化、負荷に関してのことです。最後に、事務局、当団体においての作業の負荷・効率化について、この3点がポイントだと考えております。当団体では、平成23年度も継続してこの事業を開始しておりますが、この3つのポイントに留意をして改善を加えております。
 報告書の内容に沿って、その課題と現在どういった活動、対応をしているかをご報告します。準備段階ですが、指標作成までに初年度は多大な労力を要しました。準備期間が限られていたこともあり、一部DPCデータを使用する指標等については途中で再検討、変更を要するものもありました。これを受けて、本年度は当団体内でもこの事業の直属の委員会を新設し、その委員会内で再度指標内容、算出方法について詳細を議論しました。その結果、一部の指標について改善を加えております。
 2点目ですが、協力施設ごとに、活動の体制準備をしていただいている状況が異なったため、一部の施設においては、院内でこの事業の情報が共有されていない状況がありました。そのことを受けて、こちらからフォローやヒアリングをしたいことがあっても、実務者、担当されている部署がどこかがわからず、コミュニケーションを取るのに苦労したという点が問題としてありました。本年度は、各施設の方々にその施設内でリーダーとなる人、窓口となる人を設置していただくことで、日本病院会と施設の方との連絡の方法を一元化しました。また、こちらから連絡を差し上げる際に、いままではメーリングリストで一斉に連絡を差し上げていたのですが、そういった一方的な方法ではなくて、協力施設の方からもこちらの最新の情報、重要なお知らせをいつでも確認できるように、この事業の専門のホームページを作成しております。こちらはまだ作成中です。
 3点目ですが、指標の定義や算出方法に対する質問が昨年度は多数寄せられました。その対応をするのに、事務局の負担がとても大きかったことが課題として挙げられます。こちらについては、本年度は協力施設の方に説明をする際に前年度多かった質問、わかりにくかった点等を細かに説明してある資料を準備し、それを基に実務者を対象に説明会を行いました。それでもわからない点は、昨年同様メールでの問合せを受けて対応という形を取っておりますが、今年度からは、特に多い質問等に関しては、先ほど申し上げた事業専用のページで「よくある質問と回答」という例でいつでも確認できるように準備しております。
 30頁です。データ収集段階の問題点については、指標によっては施設内で他部署との連携を要するものがあって、期限までに提出できないという声も多く上がりました。これを受けて、本年度は提出期限を毎月10日までとお願いしていたものを、10日遅らせて20日までと変更しております。また、データの収集方法ですが、一部は郵送、一部はメールなど、こちらの案内が複雑だったということもありましたので、こちらも1枚の紙に整理をし、協力施設の方へ最初の段階で説明会の中で詳しく説明しました。収集も、施設によってはどうしても遅れてしまう方もいらっしゃるので、提出期限前のフォローを丁寧にしたり、提出状況を先ほど申し上げた事業専用のホームページで、施設ごとにここが提出できていないなどと確認できるように工夫をする予定です。
 続きまして、データ分析段階についてですが、分析方法について事前の検討が不十分であったという点が上げられます。指標を作成するのと実際分析する段階になった時点で、チームの間で解釈が少しずれていたという問題がありました。こちらも先ほど申し上げた直属の委員会で、最初の段階で方向性を詳細まで摺合せをすることによって、今回分析の段階まで細かい内容の打合せを行いました。また、協力施設の方から提出をいただく際に、特に去年は提出の様式を指定していなかったので、いただいた数字を整理することに時間がかかりました。今回は、提出いただくフォーマットを統一して雛形をこちらで作成することで、その軽減を行うということです。
 最後に、リスク調整段階の話です。こちらはQuality indicatorの先行事例や文献内容から除外基準を設定・検討しておりましたが、一定の見解が得られていない指標も中には存在するため、こちらでも十分検討を重ねたのですが、全部の施設の方に納得いただける指標にするにはとても苦労したということです。これを受けて、本年度も再度内容、文献等を全て精査したのですが、その結果、リスク調整を行った上での指標の算出・比較は難しいという結論でした。現時点でできることは、それぞれの施設が同じ定義による指標を経時的に継続して算出し、改善に向けて取り組んでいくことがいちばん重要だと私たちは考えており、本年度も毎月同じ定義で、協力施設の方にデータを算出いただくことを第一にお願いしております。
 公表の方法ですが、昨年度、報告書は日本病院会ホームページ上ですでに報告をしております。こちらで特に問題はないと思っておりますので、本年度以降もホームページ上で結果を公表・発表していく予定でおります。以上をもちまして報告とします。
○長谷川座長 ありがとうございました。同様に、この時点で確認しておきたいことはありませんか。推進体制の問題点をずっと上げていただいたと思いますが、その辺りが課題であったということですね。
 それでは、3団体の方からこの事業についていろいろな側面から問題点や今後の展望についてお話いただきました。構成員の先生方にご質問、もしくはコメントをいただきたいと思います。なかなかこのように揃ってお話を聞くチャンスはないので、非常に貴重なチャンスかと思います。どなたかございませんか。
○加納構成員 口火を切る意味で、お話の中で一貫してデータを取ること自体の困難さの話がかなりあったかと思いますし、全日病のところで最後にまとめていただいたように、継続していくためには人件費等のコスト的なもの、それにかかる体制といったものの整備が必要だということになるかと思います。こういった流れの中で、前回は5つほど項目を出していきましたが、これはそういう形でのいろいろな実務面での問題をしっかりと考えながら、客観性をどうやって得るかを重視して考えていかなければいけないかなと、いまのお話を聞いて感じました。
○長谷川座長 ありがとうございました。確かに共通している課題は負担で、それをどう克服するかは大きな課題だと思います。
○鈴木構成員 今回取り組まれた団体、参加された病院の方々は、本当によく協力されてデータを出されたと思いますが、これは補助事業ということでしたので、ご意見の中にもありましたが、継続してやっていくことが必要だという意味から言うと、コストをどのようにされているのか、2年目以降も継続してやっているという団体もあって、その場合のコストはどのようにして負担しているのか。こういったものは、大きな組織、大きな病院のほうがコストも吸収しやすいから有利になる。中小病院でも参加されている医療機関もあるわけですが、そういった補助金がない中で、あるいは診療報酬が非常に低い中で、こういう質の向上を図るにもコストがかかるということが前提にならないと、こういったものを、ただ掛け声だけで各医療機関の負担において続けていくことには問題があると思いました。
○長谷川座長 ご質問ではなく、コメントですか。
○鈴木構成員 いいえ、継続している団体がどうやって費用を負担しておられるのか。
○長谷川座長 ご質問について3団体の方、お願いします。
○伏見参考人 国立病院機構では、先ほども少し言いましたが、自前でというか、自分たちで作った情報収集・分析システムがありますので、そこで行っておりますので、自分たちでコストを負担していると考えております。
○長谷川座長 一応確保されているということですね。
○飯田参考人 コストのことは非常に重要な話であって、全日病ではDPC分析事業をやっていますので、参加病院からかなりのお金をいただいて始めています。ただ、それはDPC請求をするために必要だということでやっていただいているのですが、アウトカム評価に関してはプラスアルファなので、これは人件費も何も出さずにお願いしています。
 それとは別に、先ほどもお話した国際化、IQIPに関しては年間100何十万かかるのですが、研究事業ということでお願いして、Press Ganey社とは契約して安くやっています。全日病が半分、病院が半分負担しており、かなりコストがかかっています。それに対して戻ってくるのは何かというと国際比較です。こういう仕組みをやっていくことが大事だと思っています。
 また、今回の推進事業に関しては事業費をいただいたのですが、それもシステムの改変にかなり費用がかかるので、とてもそれでは足りないのですが、各病院に人件費のいくばくかを差し上げてお願いしたということです。今年はゼロなので、何とか維持していますが、これをもっと数を増やしていくとなったら、とてもできないと思います。
○長谷川座長 病院もだいぶ負担しているので、病院にメリットがなければ、やっている意味がないわけですね。
○飯田参考人 ありません。
○伊東参考人 当団体についても、今回は参加団体の方を募る際に自己負担でお願いしたいということを前提とした上で協力いただけるかどうかをヒアリングし、そこで了承を得ているということです。なるべくデータの提出や連絡方法も通常のメール等といった普及しているものを使って、機密性の高い安全を確保する必要があるものについては、先ほど申し上げたホームページを作成するのはこちらが自前で行っております。
○長谷川座長 ご参加いただくという前提にしているので、隠れたコストみたいな、つまり病院で負担しておられることがあるということですね。
 先ほど飯田先生が言われたように、随分長い間この事業をやってこられたわけですね。したがって、その分にほんの少し上乗せするだけでは駄目なのですか。この事業と同じような事業をいままでやってこられたと思うのですが、これについてはかなりプラスアルファの部分があったということですか。
○飯田参考人 システムを改変するのにお金がかかるということです。また、DPC請求をやっている病院でも、我々の仕組みに入っていただくためにお金が必要なのです。ランニングコストが年間何十万も必要で、それを払っていただける病院であればいいのです。去年からDPC分析病院が170病院以上に増えて、その中から今度の参加病院をお願いしましたので、それに対する付加的なコストはありませんが、プラスアルファのアウトカム評価事業に対するコストは自分たちで持ってください。あとは病院団体が持ちますということです。だから、これから全参加病院に広めるには、かなり難しいハードルがあると思います。DPC病院であれば、しかもこの仕組みに入っていただければ、そんなに経済的な負荷はないということです。
○長谷川座長 似たようなことで、伏見先生も同じくDPCがあるとやりやすいと。しかし、すでにやっている所でも、これをやるとなると改変にコストがかかるということですね。
○飯田参考人 コストというのは、全日病としてのシステムの改変と、各病院もいままでと違った標準的なものに変えなくてはいけないので、手作業であれば人件費ですし、情報システムを改築すればお金がかかります。
○坂本構成員 病院側の経営が非営利であることを前提にした上での質問ですが、事業を始めるということはそれなりの経費、資源、人、物、金を投資していかざるを得ないと。いま、おそらく非常にコストと得られるメリットもあるということでこの事業に参加されていると思うのですが、この場合、もし新しい事業でコストがかかって大変だというのであれば、やめるという選択肢もあるのではないかと思うのです。
 もう1つは、そうではなくて、例えば得られた成果の中で院内の医療の質の評価、あるいは職員の意識が改善されて、諸々のQuality Controlが非常に高まるという効果があるのであれば、それは甘んじて受ける、ないしは積極的に投資すべきコストとして考えられるのではないかと思うのです。その辺りのコストとメリットのバランスを、ご感触でいいのですが、簡単にお聞かせいただければと思います。
○長谷川座長 メリットがあるということでしょうから、その辺りをどんなメリットかということも含めてお願いします。
○伏見参考人 国立病院機構の場合は、ある意味、良い医療を提供するという使命感を持って各病院が提供しておりますので、一法人の使命として、良い医療を提供するという使命の1つとして、今回の事業に参加したという認識だと思います。その意味ではコストメリットという考え方が非常に馴染まない、なかなか難しいのですが、確かに非常にコストはかかっているけれど、それを自分たちで吸収しながら医療を提供していこうという、これは病院全体に共通することだと思いますが、そういう認識で本事業を今年も継続していると言えるのではないかと思います。
○長谷川座長 メリットというよりもやるべきことだという認識でやっているということですか。
○飯田参考人 坂本構成員のおっしゃるとおりで、使命感だけではこれは続けられません。いくつかの病院はそれでできると思いますが、全日病は民間の病院が多くて、もちろん公立病院もたくさん入っていただいておりますが、私どもは公益法人ですから民間で、200床規模の病院でこれは結構きついです。短期で見ると、コストパフォーマンスで計るとかなり厳しいですが、長期で見ると、やらないと病院が生き残っていけないと考えております。たぶん参加していただいている170病院も、この事業の27病院も、27病院でも49床レベルの民間病院も入ってくれているのです。意識が高いとか低いとか、言葉は悪いですが、それが必要だとわかっている病院は入っていただけるのです。ただ、なかなかそういう認識は難しい。先ほど来申し上げているように、そういう仲間を増やそうと思って10年来やってきているわけですが、それでもこれしかできないということです。それはコストパフォーマンスを考えて、それだけやる仕組みを作るのは非常に大変です。私どもは品質管理をずっとやっていますので、私は医療の質向上委員会でずっと質向上・安全ということをやっていますが、何年もかけてやってきてやっとここまで来ているということです。
 もっと率直にお答えすれば、病院経営管理には非常に有用です。どうせDPCのデータを厚労省や支払基金に出すわけです。それだったら、自分たちでそのデータを分析して、自分たちのデータを持とうというのが病院団体の目的です。それを持ってちゃんと政策提言をしようと。それだけでは仲間は乗ってこないので、もちろんそれと一緒に、自分の病院の経営管理に非常に有用だというのは目に見えてわかってきますから、それでいくら儲かったかということは、同時にいろいろな仕組みをやっているからわかりません。そういう意味では、私はこれをやらなかったら生き残っていけないと思っていますし、参加病院にもそういうことを申し上げて仲間を増やしています。ただ、これを全会員病院に広めるのは大変なことだと思います。
○伊東参考人 あくまで私の受けた印象というか、感触なのですが、昨年度30施設の方に協力いただいた中で、今年度も参加いただいている方が20施設あるということで、確かにコスト面や人を揃える体制を整えなければならないことを理由に辞退された方もいらっしゃいますが、3分の2の方は昨年度の事業がとても有用であったと、意味があるものであったと感じていただいていると思っています。
 さらに、本年度はその20施設にプラスして、65施設の方が新たに手を挙げていただいております。その方々の施設に事前アンケートを行ったのですが、実際独自でそういったQIの活動を測定されている方は、65施設の中の半数です。独自でされている方もいらっしゃいますし、その半数はやっていないけれど、新たにやってみたいという2種類の意見を持った方が、新たに今回手を挙げていただいていますので、我々は福井先生を中心に継続的に、病院の質を見ていこうということに賛同していただいている方は多くいると思っております。
○長谷川座長 3団体に共通しているのは、病院経営には必要だという感じですね。
○近藤構成員 行政評価もしくは政策評価という形で、同じような仕事に関わってきた立場から、非常に興味深く聞いたというか、同じ苦労をしたという思いがあります。県でも10年ぐらい評価をやってきているのですが、1つは県民への説明責任ということでは義務づけになっているということがあります。もう1つ、職員の意識改革という意味で、それなりに成果は上がってきているのですが、いま伺ったようなコスト面、労力面、効果の検証が難しいといったところで、10年経っても本当にうまくいっていると言えないレベルかなというところです。
 そこで気になるのは、いまのコスト面と、特に職員の負担です。県の場合は職員から不満が出てきたということがあるのですが、長く継続してやることが重要であるし、またこれはモデル事業ですから、今後広めていくと思うのですが、広めるときに公平性、客観性を担保するとなると、制度化、統一フォーマットでまたお金がかかるという仕組みが想定されますが、その費用を誰が負担するのか。やったほうがいいというのはみんな分かっています。個人的な意見ですが、義務づけしてペナルティというのもありますが、どちらかといえばインセンティブを付けてそちらに向いたほうが、北風と太陽でいけば太陽のような政策を持っていったほうがいいのかなという気がします。
 また、設計上あまり欲張らずに、指標の選定も、県もそうですが、理想的なアウトカム指標を探すとなると調査費に数千万かかるではないかと、結局できないということで、アウトプット指標のほうが多いという実態がありますが、いずれにしても最終目標は、患者の医療機関の選択に資するような、もしくはそれを通じて医療の質が上がっていくということでしょうから、その辺を考慮して、いますでにやっているものをベースに、それぞれが少しずつ違うでしょうから、その辺をうまく摺り合わせる作業も必要かと思っております。
○長谷川座長 両評価とも、貴重なご意見をありがとうございました。
○加納構成員 ちょうど近藤先生がおっしゃったので、必要なのはコストの問題もそうなのですが、ソフトの共通化、例えば今後こういったものを出していいよというときに、その公平性と客観性を評価するためには、どういった形にしろソフトの共通化が必要だと思うのです。悲しいかな、日本の電子カルテシステムは互換性がないのが実態ですので、いま少しずつ改良はされつつあるのですが、今回こういった形でもし客観的なデータを出していいという話になると、それに関する共通的な数字が出せるようなソフトを是非とも、どこかが中心になってやっていただくとなると、厚労省かどこかで予算化してやっていただくか、何かしていただくことが必要になってくるのではないかと。それを自治体に落として自治体で表示するとか、いろいろなやり方が今後考えられると思うのですが、このまま放っておくと、いまでも3団体がやっている内容が共通化して出るかとなるとまたひと悶着あって、ソフト代がどうとか改良代がどうとかという話になってくると思うのです。そうすると、またコストという話につながると思うのです。もし広告で出すなら、いまの時点で何とか、何か簡単なシステムでDPCの数字が移行して出てくるような形が得られるようなデータにしていかなければいけないかなと思います。
○長谷川座長 フォーマットの標準化、ソフトの標準化には厚労省のリーダーシップを期待するというご意見だと思います。
○稲垣構成員 本件はもともと広告の議論ではありますが、広告以前の問題としてこういった形で医療の質の向上に取り組むことは非常に重要なことで、先ほど説明のあった事業に対して、私どもとしても非常に評価したいと考えております。
 ただ、医療の質の向上に向けてほかの事業と同様に、事業を実施する中でPDCAを回していく必要があると考えます。先ほどソフトの標準化の話がありましたが、日常業務の中でデータを取り込めるようにレセプトデータについても必要があれば改めるべきだと考えます。この事業を継続し、広く各病院に適用していくとなると相当負担感がありますので、日常業務の中でデータが取れるような方式を考える必要があると感じました。
○長谷川座長 ありがとうございます。ほかの産業界がやっているのだから、病院業界もやれると、経営システムの中に組み込めというご意見だと思います。
○山口構成員 患者の立場から、いまご発表を伺っていて感じた意見と、質問をしたいと思います。質の評価や公表することには、さまざまな目的があると思います。例えば、病院間の比較ということで質の向上につなげていくとか、そこから問題点の抽出をすることによって政策提言など、いろいろなご発言がありました。こういう公表の中の1つの大きな目的に、国民への公表ということがあると思いますが、先ほどのご発表の中で、ホームページを見ているのはほとんど医療機関で、患者からの反応がないと。こういうことが公表されていること自体、たぶんほとんどの国民は知らないのではないかと思いました。それぞれの団体の方において、患者や国民への広報活動や、こういうものを公表しているということを知らせる手段を、何か講じていらっしゃるかどうかを伺いたいと思います。
 また、いま公表されているデータを見ると、このままだと意味を理解したり正しく読み解くことのできる国民はまだまだで、意味もわからないと思うのですが、そういうことについて、いまコストの話が出ていて、より大変かもしれませんが、さらに工夫したり努力して国民にわかりやすく伝えていくという今後の工夫というか、何かご提案みたいなものを持っていらっしゃれば教えていただきたいと思います。
○長谷川座長 この情報は一般の方にはハードルが高いということで、工夫を3団体それぞれでお願いします。
○伏見参考人 国立病院機構としては、ホームページ等で案内をしているぐらいで、特に積極的に出していることにはならないと思います。今後いろいろな形での広報活動はしたいと思っています。
 データの読み方なり評価の仕方については、2つ考え方があると思うのですが、当然これを出していくことは重要だと思うのですが、非常に専門性の高いデータですので、ある意味患者さんが直接理解するのは難しいというのはご指摘のとおりだと思います。どちらかというと、医療機関なり専門家がきちんとそれを評価することと、医療機関自体がそういう評価をちゃんとやっているという、そのことを評価していただくほうが重要なのではないかと思いますので、結果だけに捉われてしまう評価は逆に危険があるのではないかという認識を持っております。
○長谷川座長 この情報を使うオーディエンスが、国民以外にもほかの医療機関であったり院内の職員であったり、そういうことがあるということですね。この結果、各病院でそれぞれ発表してもらうのですか。
○伏見参考人 各病院のホームページがある所は、そこに出している所もあると聞いております。
○飯田参考人 大体同じですが、わかっていただくのはなかなか難しいと思います。私個人では、いま「病院早わかり読本」を書いておりまして、今年4月に第4版を出しましたが、そこにも質が大事だと書きました。こういう事業をやっていることは書きましたが、結果に関しては書いておりません。そういう国民への啓発や広報は努力しております。また、いろいろな学会でも市民セミナーでもやっていますが、少なくとも今回の事業に関しては病院のホームページには掲載しておりません。
 先ほど申し上げたように、雑誌出版者その他から取材があって、そういうところでは引用のクレジットさえきちんとしてくれればOKということで、ほとんど了解しています。そういう意味では国民への広報活動は単発ですが、ずっと何年にもわたってやっておりますので、効果は上がっていると思います。
○長谷川座長 そういうビジネスセクターのノウハウも必要かもしれませんね。
○伊東参考人 当会も同様で、国民、患者への公表ということで何か工夫をしている段階までは現在いっておりません。内容も専門的なものが多いですし、先ほども申し上げたように、この事業の目的を経時的に、自院の中での問題点の抽出といった院内向けというか、そういった振返りのためのものという位置づけで行っておりますので、当会の雑誌やニュースなど医療関係のものに関してはこの事業の紹介はしておりますが、具体的に国民の方向けにアクションは取っておりません。
○長谷川座長 3団体とも、院内の職員を1つのオーディエンスとして認識されているということですね。
○山口構成員 いまのを伺って、そのまま出していただくだけで国民が理解するのは無理だと思いますので、それをきちんと解説してくださるような所を経て、国民向けに知らせていくことが大事なのかなと、いまご回答を伺って思いました。
○長谷川座長 同じことを言いますが、ビジネスセクターで間を仲介してもらうといいのでしょうけれど。
○森原構成員 アウトカム指標のことですが、広告としてできるとすると、いまご報告があったとおり、数字の算出基準等にそれぞれ違いが出る場合も出てくると思いますので、指標の標準化が必要なのではないかと思います。具体的に標準化についての検討が必要であるとは思いますが、標準化するにあたっては、患者にとって必要な情報を行政に報告するような視点が必要だと思います。また、病院が行政に報告すべき情報を、行政が一覧表で伝えるようなことも必要になってくるのではないかと思います。
○長谷川座長 標準化をちゃんとしない誤解を生むということですので、非常に重要ですが、いまこの場の議論では方法論的に大変だということでした。
 そのほかに、この3団体の成果、結果についてコメント、あるいはプラス、これをどうすべきかという案、全面的に公開すべきだと、あるいは診療報酬提供制度に乗せるべきだというご意見等、政策提言的な部分も含めて何かありましたらご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○稲垣構成員 広告という観点で、アウトカム指標が本当に患者の医療機関の選択に役立つような指標になり得るかどうかについては、例えば盲腸の平均在院日数がある病院では4日間、ある病院では5日間といったときに、それが素人から見ると、どう読んだらいいかわからないのです。短いほうが早く退院できていいということなのか、その辺りについて説明してくれる方が必要だと思います。通常、重病になったときにホームページ等ではなかなか選択し切れず、かかりつけ医に相談することもあります。健保連では総合診療医の必要性を訴えておりますが、そういった医療提供体制が整備されたうえで、情報を活用していくことが必要だと思います。
 まして死亡率などについては、それを見せられて、患者はどう判断していいか分からないと思います。したがって、あくまでもこういった情報は患者の立場から言えば補完的な情報であって、的確なアドバイスがないとこの情報は有効に活用されないのではないかと感じております。
○長谷川座長 人間型というか、とりわけ専門家の解説と併せて使うといいのではないかというご提言ですね。
○坂本構成員 先ほど山口構成員からお話があったように、最終的に医療の質の評価の事業の成果、結実は患者の利益になるべきものだと思うのですが、果たしてこういう形で医療の質を向上させるための質の評価をしているその結果、非常に難しい解釈が必要だと言われるようなデータそのものを国民あるいは患者が求めているのかなと、情報を公開する段階でもう1回考えなければいけないのではないかと思っております。
 これも比喩を使うと失礼かと思いますが、例えばあるホテルに泊まる場合に、泊まったお客さんと、レストランだけ使ったお客さん、あるいはそこで待合せをしただけのお客さんにとって、そのホテルの印象は全然違います。泊まった人は部屋がきれいだった、あるいはレストランに行ったらまずかったと。あのホテルは良いか、利用者があとで評価するときにはその一部分だけの情報を持って、つまりその利用者が満足したかどうかが、最大の医療機関の評価の指標になり得るのではないかと思います。そうすると、レストランでは毎日朝礼をやって士気を高めているとか、夜に必ず掃除をやってきれいにしているというのは、利用者にとってはさておいて、美味しいかまずいか、あるいは出てきた店員の態度が良いかどうか、そこが利用者にとってのホテルのアウトカム、最終の財やサービスの提供の質の評価につながると思うのです。
 そうすると、医療の質の評価をやった最終的なアウトプットは、かなり形を変えてわかりやすく、例えば患者満足度のインタビューがありますが、入院してよかったか、ほかの人に勧めるかだけではなくて、脳梗塞で入院した人とその家族が満足したかとか、患者満足度でもそのぐらい細分化してまとめていく。それが、おそらく国民や患者がいちばん求めている病院の評価のウエイトとして、大きいところではないかと考えております。そういうアウトプットの工夫を、今後是非議論していただきたいと思います。
○長谷川座長 ありがとうございました。坂本構成員は私が前から思っていることをズバッとおっしゃったのですが、要するに患者が求めている情報と、病院経営者が良い医療を提供しようとする、必要な情報は微妙に違うということです。患者はかなり細かい自分の病気で、当該医師あるいは医療機関の質を知りたいと。ところが、それは病院経営としてやるのは難しいということです。
○近藤構成員 ただいまの発言に関連して、先ほど行政評価の話をしましたが、やはり満足度調査をやっております。これはなかなか決め手がない中で、どこでもやらなければならないということで、そのときにも県政全般への満足度はいかがですかという聞き方ではなくて、施策ごとに聞いており、それをランキングしてどうなのだろうと。ただ、その評価が行政の場合は中身が広範囲にわたりすぎて、本当にわかっていらっしゃるのかがはっきりしません。
 ただ、いま坂本さんがおっしゃったように、新聞等でもどんな高度な手術をされているかとか、がんの手術後の生存率がどうだとか、最近いろいろ出るようになっていますが、たぶん知りたいのは、その患者さんががんであればがん、難病であれば難病で、どのぐらい件数があったり実績が上がっているのかを知りたくて、実際にはネットを使って書き込み等、先ほどホテルの話がありましたが、それらを参考にして判断されていると。重要なのは、判断材料は誤解を与えないように丁寧にすることは重要ですが、材料は多く提供して選択の幅を、最終選択は患者さんですが、その手助けをするのが重要だと思いますので、指標の選定を厳しくし過ぎてこれは誤解を招くかなと全部引っ込めてしまうと、黙って信頼してくれというだけの制度になってしまうので、そんなことを感じました。
○長谷川座長 行政評価のほうからコメントをいただきました。
○鈴木構成員 いまのお話を聞いていると、患者さんが求めているのはランキング本みたいな、そういう情報を渡せと言っているような気がしてくるのですが、それを国がやるというのは、医療制度からして日本は公的皆保険制度という非常に平等な医療制度でやっているわけですから、もしランキングが付いてあの先生は非常に良いと国が御墨付をするみたいなことになって、そこに患者さんが集中したら、その先生はどうされるでしょうか。アメリカだったら、私の治療費は10倍にしますと言って患者さんを選べるかもしれないけれど、日本の医療制度では選べないわけですから、そういう行き過ぎた情報公開の弊害を、日本の医療制度においては考えなければいけないのではないでしょうか。ですから、ランキング本がやるのは勝手かもしれないけれど、それを国が音頭を取ってそういうランキング本とも取られ兼ねないようなことまでやるのは、私は行き過ぎではないかと思います。とにかく既存のいろいろな情報、質の評価の制度があるわけです。日本医療機能評価機構もあるし、私の所ではそれをやって、さらにISO9001をやって、プライバシーマークをやって、それだけでもものすごい負担なのに、またそれに今度のもお金をかけてやるのかという感じなので、何か既存のものを活用してやれるような、あるいは日本医療機能評価機構、少なくともDPCならDPCといったものを活用してやれるようなものにしていかないと、しかも全部にやるというのだったらかなり限定した形で、客観的なものに絞っていかないと、国が音頭を取ってランキング本まがいの情報公開、ランキングづけをするみたいなことになったら、それは本末転倒だと思います。
○長谷川座長 鈴木構成員のご指摘は大変重要なポイントだと思うのです。ところが、この委員会は患者の医療機関の選択に資するような情報提供をしようということですので、いまおっしゃった間をどう取っていくかというのは、我が検討委員会としては課題です。
 時間迫ってきましたが、最後にどうしてもということがなければ、この課題については、問題点や方向性についてはいろいろな議論が出ましたが、直截に聞かれている医療に関する広告規制の問題や機能情報提供制度についてアウトカムをどうするかというご意見は、あまりいただかなかった気がするのです。事業としてはこういうご意見でいいのでしょうか。裁決するわけでもないでしょうし。
○佐々木調査官 ご意見をいろいろとありがとうございます。今日の時間の中では、まだ十分ご議論いただいていないという印象を持っておりまして、一旦今日いただいたご意見を事務方で整理して、次回以降の議論につなげていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○長谷川座長 それでは、こういった方向性で考えていただいた上でのコメントという前提で、どうするかはもう少し詰めていくと。
○佐々木調査官 もう少し必要かと思っております。
○長谷川座長 議題1について、一言最後に申し上げたいのは、結局このプロジェクト、とりわけ事業としては、自分たちの病院の医療の質をどう改善するかということがいちばん重要で、そうでなければ病院自身もこれをやろうというインセンティブもないと。それを走らせた上で、それをどのように外部に公開し、患者の選択に資していくか、そういうことをどうしていくかというプロセスなのかなと感じました。続けてこの問題は審議するということで、議題2に移りたいと思います。3団体の先生方、どうもありがとうございました。
○長谷川座長 それでは、議題2について、前回の議論の整理について、事務局から資料の説明をお願いします。
○田中専門官 資料3です。前回の議論の整理をしたもので、病院の情報のインターネットによる提供の部分と、広告規制のポジティブリストとネガティブリストの考え方、などをまとめています。時間の関係でかい摘んでご説明いたします。
 まず、インターネットによる情報提供の部分です。法律の建て付けのところをおさらいとして申し上げると、医療法上の広告可能なものを除いて、広告については「文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告してはならない」という規定になっております。その上でホームページについては、見にいった人に対する情報提供ということで、これまでは原則として「広告」として見なしていないという前提がございます。広告にするかどうかの要件としては3つありまして、?患者の受診等を誘引する意図がある(誘因性)と、?病院等の名前などが特定できる(特定性)、?一般の人が認知できる状態にあるかの(認知性)の3つに基づいて、判断してきたところです。
 今般きっかけとなっているのが、消費者庁からの要請で、美容医療サービスについて、何とか不適切な表示などに対応できないかということで、前回のご議論としては、ホームページを「広告」と見なすか否かについては、インターネットを通じた情報発信が極めて一般的な手法となっていて、入手手段としても様々なことがあるため、これまでと同様に「広告」と見なさないという整理は困難になりつつあるのではないかというご意見がありました。
 2頁の上です。他方で、いまの広告規制そのものをホームページに当てはめてしまうと、患者が知りたい情報がかなり制限されてしまうという問題点と、現在、多数のホームページが開設されている中で、これから規制するとなると技術的な困難が伴うというご指摘がありました。
 もう1つのご指摘で、下の○ですが、一般的な医療機関のホームページは必ずしも患者を対象とした情報ではなくて、医療機関の医療連携あるいはリクルート情報などを発信する性格を併せ持っているのではないかというものがありました。3頁の上の冒頭で、これらをまとめると、問題となっているのは、美容医療サービスといった自由診療の分野だということで、これを念頭に対応することが適当ではないかというご意見でした。対応案として、私どもから4つの案を示させていただいております。(案1)から(案4)で、厳しいものから順に並べております。(案1)は「ホームページを医療法上の「広告」と見なす。(案2)は広告の三要件、具体的には「誘因性」のところの考え方を整理できないかということです。患者を誘引することのみを目的とした「誘因性」が特に高いホームページについては、そこだけを「広告」と見なして、切り分けて対応できないかというものです。具体的に点線の中で、「誘因性」が特に高いものについて具体例を示していまして「キャンペーン中」として価格を強調するもの、「最高」「?1」など、優秀性に関する表現が多数掲載されているといったものが想定されるのではないかということで、例として示させていただいております。他方で、「誘因性」がどこから高くて、どこから低いかの切り分けが難しく、その辺について、事例を収集するなどの検討が必要ではないかという注意点がございます。
 次の頁です。(案3)は、ホームページについては引き続き「広告」とは見なさないが、自由診療の分野を中心としたガイドラインを厚生労働省主導で作成するというものです。こちらについて、具体例ですが、先ほどご説明したものの裏返しになりますが、点線の中に記載しています。これについても、事例の収集などの検討が必要かと考えております。この中で、最低限記載すべきような情報についても盛り込んでいく必要があると考えています。
 (案4)は、ホームページは「広告」とは見なさないけれども、他法例(景表法、不正競争防止法)の規制が円滑にできるような形で、虚偽、誇大な表示などの基準を定めていくというものです。
 5頁です。表としてメリット・デメリットの例ということで、全てを網羅しているわけではありませんが、考えられるものを示しております。
 資料3の次に付いている「参考」という1枚ペラの天秤が描いてある図が、ホームページの規制のあり方の参考になろうかということで絵を描いたもので、真ん中の医療機関のホームページの部分については、誘因性、特定性、認知性を見た場合に、認知性については×から○に変わってきつつあるのではないかという認識があって、誘因性については、前回のご議論ですと、患者向けの発信ではなく、リクルート情報あるいは医療連携のために出している情報もあるということで、○あるいは×というものがあるのではないかということで、その整理をさせていただいております。
 資料3に戻ります。次にポジティブリスト、ネガティブリストのところです。こちらについては前回の資料で、論点として示させていただいたものに沿ったものになっていますので、詳細は省略させていただきますが、ご議論としては、いまの規制のあり方を大きく見直すということではなくて、いまのポジティブリスト方式の下、「包括規定方式」というやり方をしているのですが、その下で広告可能事項を拡大してはどうか。これが対応案です。前回追加のご指摘があったところは、医療広告の自由化によって、不必要な競争を煽ることになってしまい、ひいては地域医療にも悪影響を与えるおそれがあるのではないかというご指摘もございました。
 最後に「医療に関する知識の普及・啓発」です。こちらについて、情報が氾濫する中で客観性に乏しい情報に惑わされることのないよう「情報の非対称性」を軽減する観点から、患者等に対する適切な医療に関する啓発及び知識の普及を促してはどうかといったところで、3.「その他」のところにまとめております。
 前回ご質問のあったものについて、参考資料3にまとめております。簡単にご説明します。PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に問合せがあるのはどのぐらいかというご質問がありました。問い合わせたところ、全体として年間約90万件前後ということです。美容医療に関するものについては、平成17年時点で400件、平成21年に750件程度ということで、国民生活センターとしては、数が増えてきているという認識の下、そういった相談が寄せられた際に対応に苦慮している事例であるということで、そういった背景の下、この報告書を取りまとめたということです。
 法的な整理です。関係する法律としては、消費者契約法あるいは景表法などがありまして、不適切な勧誘の下、契約させられているといった事例がある場合、例えば事業者から告げられた内容を事実であると誤認してしまった場合、あるいは帰りたいと言っているにもかかわらず帰らせないで契約させられたといった事例がある場合には、消費者契約法に基づき、消費者側が契約を取り消すことが可能といった形で、契約に関してはそういった法律があるということです。
 3頁で、同じく消費者契約法の関係です。キャンセル料が異常に高いといった事例も紹介されていますが、これについても、平均的な費用を超えるものについては、その部分については無効とすることが可能ということです。途中の(3)(4)の辺りが広告の話で、不当景品類及び不当表示防止法の規定で、他社よりも優良、有利であるといった、誤認を与えるような表示については、それについては差し止めが求められるといった規定もございます。説明は以上です。
○長谷川座長 事務局から3つの課題について、我が検討委員会での意見を集約するということを求められています。1つは、前回ご議論した病院情報等のインターネットに関する提供で、具体的には4つの提案がございました。2つ目がネガティブリストの考え方で、これも対応案のご提案がございました。3つ目がその他の課題です。
 まず、インターネット等に関する情報提供についてですが、先ほどからご議論がありましたように、誘因性、特定性、認知性の観点から、4つの提案をどう考えるかということで、うまくまとまっている図と、3頁から5頁の提案、とりわけ5頁のメリット・デメリットを見ながら、ご意見をいただきたいと思います。説明する必要もないかもしれませんが、(案1)は新しい、かなり踏み込んだ規制の考えで、(案4)は現状に非常に近いものです。先ほどご指摘のあったような課題を、少し明確にして、虚偽や誇大広告をやめさせていく方向です。(案2)、(案3)が、その中間的なアプローチで、(案2)は少し積極的に介入するようなことで、コストと手間、新しいシステムが必要です。(案3)は自主規制をベースにガイドラインを作るという考え方です。
 まず、インターネットによる情報提供についてのご意見をいただきたいのですが、お願いいたします。
○加納構成員 お聞きしたいのですが、(案2)も誘因性とか、こういった形である程度議論した上でも、(案3)と同じように法的な拘束力はないということで理解していいのでしょうか。誘因性のことを議論することによって法的な拘束力が出てくるわけですか。
○田中専門官 誘因性が特に高いようなホームページについては、医療法上の広告というふうに規制の網を掛けることを想定していますので、法的な拘束力が出てくるということです。
○鈴木構成員 先ほどの話にもありますが、国民の方からのいろいろなことをある程度知りたいという要望があることもわかるので、いまはホームページは広告ではないということで、ある程度自由な情報を発信できるという面もあるわけですが、前回出てきたような明らかな虚偽のようなものをそのままにしておくというのは、ホームページのあり方そのものが問われかねませんから、そこを規制していくのは必要だと思うのです。そういう意味では、資料3の事例を見て、消費者契約法、不当景品類及び不当表示防止法といったもので、問題があるようなものを基準にして、作成し、規制していくのが、私はいちばん現実的ではないかと思います。ですから、私は(案4)ということになります。
○長谷川座長 (案4)ですね。
○山口構成員 前回も美容医療についてのご意見がいろいろあったと伺っています。私たちも21年にわたって電話相談を受けてきまして、今月で5万件を超えたのですが、インターネット情報を非常に信用している方が増えているなと思います。インターネットに書いてあることであれば、これは正しい情報なのだと解釈して、行動されている方が増えている印象を持っています。
 その中で、確かに美容医療もそうなのですが、保険適用である一部のクリニック等で、例えばプラセンタ療法という胎盤から作るような注射、錠剤、カプセル、ドリンクといったものを勧めていたり、最近では「靴外来」というものを設けて、整形外科のクリニックの中で靴まで作るということをインターネットのホームページで出しているところが出てきています。あるいは私たちのところに寄せられる、ホームページでみたことと内容の違いということで言いますと、例えば免疫療法、歯科の矯正治療、インプラントなど、保険適用外でのトラブルが、実際の相談としても届いているところです。
 そういうご相談を受けている立場からしますと、インターネットのホームページというのは、いまや実質的には広告ではないかと思います。ただ、医療法上の広告とする必要があるかと言えば、問題になるのは組織としてのチェック機能が働かないような一部の医療機関であると考えると、それを全ての医療機関に当てはめてしまうことは混乱を招く。とすれば、(案1)までいくのは厳しくて、(案2)ぐらいになるのかなということを、実際に声を聞いている立場としては感じます。
○長谷川座長 そのほかにございますか。
○近藤構成員 私は(案2)と(案3)の中間ぐらいの感じで、提案ですが、前回の参考資料2に、平成22年、平成23年の社会保障審議会医療部会の意見が出ていました。その時点では、当初は「インターネット情報提供は広報だ」という言い方だったのですが、その時点ではだいぶ変わりまして、「病院のホームページについては、広告と考えるべきだが技術的に困難である」、代案として、「各都道府県の医療情報提供制度のホームページからリンクされているという保障とか、第三者認証といった工夫が必要でしょう」という提案がされています。そのあと規制改革、Life Innovation Working Groupからは、「インターネットがこれだけ普及している中で規制をしないのであれば、むしろ自由化したらどうか」という極論が出されたという経緯がございます。
 そういった中で、病院のホームページをどう取り扱っていこうか。結論から申しますと私の案ですが、例えばガイドラインを作って、それは既に日本医師会ほか努力されてやっていらっしゃると思うのですが、適合するホームページについて、医療機能情報提供制度における情報に位置付けてしまう、正式な広報です。そうすると、「広告」と見なす見なさないから開放されるのかなと。
 その上で、一部先ほどあった美容医療サービスといった分野も含めて、それ以外のところで、例えばネガティブリスト形式で何らかの規制ができないか。使い分けをすると、少し実効性が上がるのかなと。
 先ほど前回の質問事項の資料をいただいたのですが、私が聞きたかったのは、こういった法律の整理というよりは、実際にどのくらいブラックゾーンというか、アウトのところで実効性が上がっているのかなと。ですから、法的な措置命令、差止請求などありますが、年間どのくらいそれでストップさせているのか。たぶんあまり多くないのかなと。そうすると、前回ありましたが、実際はグレーゾーンで、引っ掛からないでそのままになっているところがあるとすると、そこに何らかの仕組み、これは都道府県の負担も出てくる、医療法上で扱えば、報告を命じて立入検査、中止是正命令といったこともあるので負担は出ますが、そこを入れないと、今回提案されたようなのは一部だということなので、ではその一部はどうしようかというところが見えてこないかなと思いまして、実際はどうかわかりませんが、考えてみました。
○加納構成員 近藤先生案がいいのかどうかもありますが、先ほどご質問させていただいた(案2)が、法的な拘束力が出てくるという懸念性があるならば、私は問題なのは自由診療で、先ほどからセンターなどいろいろ出ているところは、ほとんど自由診療の分ですので、自由診療に対するガイドラインをしっかり出すという方向が、まず第一ではないかと思うのです。
 また、インターネット等のホームページも、これだけ議論している中で、まだ十分に熟されていない時期で、変に法的な拘束を掛けるのはどうかなという感じがしますので、まずはガイドライン的な形で整理すべきなのではないかと思います。近藤先生案に近いものがいいのかもしれませんし、そこは議論すべきかなと思っているのですが、できたら(案3)を土台に考えるべきではないかと思っております。
○長谷川座長 そのほかにいかがでしょうか。
○坂本構成員 私も加納構成員とほぼ同じで、(案3)がいちばん現実には近いだろうと思います。ただ、この中で気になるのは、「医療機関のホームページに記載してはならない」という部分で、ホームページというのは紙に印刷された広告とは違って、目に見えないタグを中に埋め込んで、それを検索エンジンに引っ掛けるという手法を使いますので、例えばGoogleやYahooで何か病気の名前と「効く」とかを入れて引っ張ると、必ずしもそのワードが入ったホームページが上位にくるわけではなくて、そういうものを巧妙に埋め込んだ、例えば「患者の独り言」というように、本当の患者とはとても思えないブログ風のウェブサイトが出てきて、その中に「あそこに行ったらこのようなことがあった」、「友だちも読んだらこんなにいいことがあった」という形で、医療機関でないホームページが、事実上そういう宣伝をするようなこともあって、それに引っ掛かってくるのですが、見た目はそのワードは記載されていなかったりするのです。ですので、そういう検索エンジンに対する対策も含めて、ガイドラインをきちんと考えなければいけないと1つ思っています。
 それからもう1つは、かつてDog yearと言われて、いまはInternet Year、1年一昔となっていますので、ガイドラインは相当な速度で改定していかないと、悪いサイト、怪しいサイトというのは、こういったウェブの技術の最先端、High Endの技術が埋め込まれていますので、そうすると医療の領域でいうと、がん、リウマチ、アレルギーの3つが、それぞれカモにされてしまう病気なのですが、特にそういう周辺の自由診療系の医療機関などです。うんと網を掛けて監視するという領域をあらかじめ定めてしまうというような手も一つかと思うのですが、そうしないと、全体に網を被せると、どんどん表現あるいは重要な情報にも網を掛けられてしまうかなと思いますので、その懸念だけは申し上げたいと思います。
○長谷川座長 新しい手法を含めたガイドラインを考えたらどうかということでのご提案ですね。ほかにいかがでしょうか。
○森原構成員 広告等を認める部分に関しては、広告に対して抑制的な姿勢を保ちつつ、ポジティブリストをさらに充実していくという方向性が、現時点では妥当ではないかと思います。
 現時点では広告規制を緩和することにより、国民のメリットが高まるとは必ずしも考えられないので、自己決定をしっかりとできる患者は、現時点での情報量でも医療機関の選択は可能ですし、藁をも掴もうとする患者や自由診療のリスクに無自覚な国民にとっては、質の低い情報に出会って、不利益を被ることもあると思います。
 ホームページの位置付けについてですが、基本的に(案3)に賛成です。(案2)を採用しない理由というのは、規制側の体制整備に説明されておりますが、悪質なものは「広告」と見なして、たとえ見せしめ的な規制になろうとも、「広告」と見なし、取締りが可能な余地を残しておく必要があるのではないかと思います。
○長谷川座長 課題2も併せてご意見をいただきました。ほかにいかがですか。
○鈴木構成員 (案3)という意見が多いようですが、日本医師会はむしろガイドラインを作ったりしたほうなのですが、そういうものがどんどん古くなってしまうという現実もあるし、自由診療を行って、この間いろいろな事例が出てきた美容医療という分野というのは、大体日本医師会に入っていらっしゃらないところが多いのではないかと思います。日本医師会が作ったガイドラインでは、少なくとも効果がない可能性がありますし、法的なものでもう少し抑制を図るということで、それが駄目ならだんだんと厳しくせざるを得ないということだと思うのですが、最初から厳しくするよりも、私は医療の自由な部分を大事にしたいという気持があるので、少しずつやっていったらいいのではないかなという気がしております。
○稲垣構成員 前回のときに、ホームページは広告ではないという整理は難しいという話をしたのですが、一方で、医療機関は一般企業と同様に広報という観点でホームページを活用し、医療機関同士でも、いろいろと情報を交換されているということですので、一律に広告とは決め付けずに、(案3)に賛成します。やはり何らかのチェックは必要ですが、あまりコストをかけるのも大変なので、ガイドラインをベースにした自主規制、自主管理を基本に進めていくべきかと考えます。
○大道構成員 よくわからないのですが、(案3)ということはホームページのガイドラインは厚生労働省が作って、各団体がそれに準じて各会員を指導し、このようにホームページにしてくださいと。それを守らないところは厚生労働省が取り締まるということでいいのでしょうか。
○佐々木調整官 (案3)ですが、基本的に法規制ではありませんので、法的な拘束力はありません。ガイドラインのとおりにやってくれない医療機関に対して、行政的な指導と思っています。
○大道構成員 それは実効性はどうでしょうか。
○佐々木調整官 実効性については、それでも言うことを聞かないところは出てくる可能性はありますので、メリット・デメリットにも整理させていただいていますように、実効性が低いおそれはあると考えております。
○大道構成員 そういう場合には、(案4)のように、例えば不当競争防止法等を使うということでいいのでしょうか。
○佐々木調整官 (案4)は、既に規制としてはあって、それの実効性を高める努力を厚生労働省としてもそこを支援させていただくという形になりますので、(案4)をとりながらも、一方で(案2)のように、さらに1段高い法的な拘束力をもった規制を掛けていくというのも、1つの選択としてはあろうかなと考えております。
○大道構成員 ということは、ベースには非常に悪質なものはどんどん告発をしていき、一方でガイドラインを作るということで、(案2)、(案3)、(案4)も、そう大きな違いはないような気がするのですが、いかがでしょうか。
○佐々木調整官 実質的なところはそうかもしれませんが、(案2)というのはターゲットは絞るにせよ、法的規制を医療法の観点からも掛けていくという点で、少し現行の枠組みから1歩進んだ規制になるのではないかと考えております。
○長谷川座長 大道構成員のお話からすれば、(案3)、(案4)というのは、同時平行でやることも可能ですよね、矛盾することではないですよね。
○佐々木調整官 そこは可能だと思っています。
○長谷川座長 実効性の担保の問題としては、従来の法を強化していくということがご提案かと思うのですが。時間がきましたが、一応一とおりのご意見はお聞きいたしました。全体的な印象としては、(案2.5)、(案3.5)という意見がございましたが、(案3)というご意見が多かったかなと思っております。あるいは合わせ技で、(案3)と(案4)という話もあろうかなと思っております。この検討委員会として現時点でホームページを「広告」と見なすというのは、少し時期尚早なのかなというご意見が多かったという印象を持っております。事務局としては、そういう取りまとめでよろしいでしょうか。
○佐々木調整官 ありがとうございます。ホームページの情報を「広告」と見なすか見なさないか、むしろ広告でないと言いきることは難しい情勢の中で、規制のあり方としては、(案3)をベースにしながら(案4)を平行してやるか、さらになかなか実効性が保てないということであれば、いよいよ(案2)かなという感じで、ご議論いただいたかなと思っております。あと、一方で(案1)は直ちにはあり得ないのかなというご議論ではなかったかなと思っております。
 いただいたご意見を少し集約した格好で、次回以降に提示させていただきたいと思っております。
○長谷川座長 前回も今回も、ホームページは実質的には広告の機能を果たしているけれども、法的な観点からいうとメリットとデメリットは微妙であって、現時点では、まだ少し時期尚早かなというようなご意見だったように思っております。第2の対応案について、これでよろしいでしょうかというご意見の聞き方をするのですが、よろしくない、もう少し書いたほうがいい、足したほうがいい、引いたほうがいいというご意見があれば、どうぞ。
○鈴木構成員 大体こういうことが、前回の議論を踏まえたコンセンサスではないかという気がいたします。
○長谷川座長 そうですね。いかがでしょうか。特に追加のご議論、長期的にはこの辺はとか。私も前回の議論はこのような感じだったと理解しておりますが、よろしいでしょうか。事務局、そういうことでございます。その他、議題3について、何か積極的なご意見は事務局からありますか。
○佐々木調整官 議題3です。次回の日程についてです。次回は12月を予定しております。詳細については、追ってご連絡を申し上げます。次回は残りの検討項目についてご議論いただくとともに、これまでのご意見を少し取りまとめた格好で、中間的なものを提示させていただきたいと思っております。また、本検討会の検討状況については、いま同時平行で審議が行われている医療部会で制度改正についてのご議論が行われていますが、そちらにも事務局からご報告申し上げる予定です。以上です。
○長谷川座長 こういった意見の最終的な報告というのは、春に向けてやっていくという感じなのでしょうか。
○佐々木調整官 そうです。年度末に向けて取りまとめをさせていただきたいと思っております。
○長谷川座長 今日の最後のご提案等については、かなり意見は集約されたものの、前半部分の指標についてはまだいろいろとご意見がありますし、その辺のことをこれから次の検討委員会等でやっていくと考えていいのでしょうか。
○佐々木調整官 はい。
○長谷川座長 今回も大変活発なご意見をいただきありがとうございました。しかも、前回の積み残しの課題についても大体の意見の集約をみたのかなと思っております。事務局で今日の議論を取りまとめるとなっていますので、次回はそれをベースに、またさらにご議論いただきたいと思っております。今日はどうもありがとうございました。


(了)
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