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2011年9月27日 第22回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年9月27日(火) 18:00~20:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

石田構成員、岡崎構成員、河岸構成員、河崎構成員、栗林構成員、柴田構成員、
長野構成員、野村構成員、東構成員、広田構成員、渕野構成員、松浦構成員、
三上構成員

○議題

(1) とりまとめに向けた議論について

(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第22回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、議事に先立ちまして、津田厚生労働大臣政務官よりごあいさつを申し上げます。

○津田政務官 皆様、こんばんは。御紹介をいただきました全く新米の政務官でございまして、9月5日に拝命をいたしました。
 これまで、皆様はもう15回以上にわたり大変熱心に御議論をいただき、トータルでは22回と聞いておるわけでございますが、新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームということで、本当に御苦労をいただいておりますことに、まずもって心より感謝を申し上げたいと思います。
 この後、若干事務方が用意したメモでございますので、座らせてやらせていただきます。
 私がこの政務官を拝命した後、この検討会についてのお話をお聞きいたしました。認知症の方が安心して生活を行えるためには、精神科医療を含めた医療体制の強化、介護サービス基盤の充実とともに、医療介護の十分な連携が必要であると。まさしく地域包括ケアの体制をどのようにつくっていくかが課題であると感じておりますし、我が政権政党の考え方と全く同じであると考えているわけでございます。
 昨年12月の中間とりまとめで、入院を前提とせず、地域での生活を支えるための精神科医療とするという基本的な考え方をまとめていただいたわけでございます。前回の会合では、この基本的な考え方を反映するための目標値として、平成32年度までに精神科病院に入院した認知症患者のうち、50%以上が退院するまでの期間を2か月目とするという方針をまとめていただいたと聞いております。
 この実現のためには地域における介護サービス基盤の充実強化が何といっても必要であるわけでございます。厚生労働省内で精神医療・介護を担当する部局が障害保健福祉部と老健局になるわけでございますが、これがしっかり連携をして取組みを進めていくことが最も重要であると認識をいたしております。
 認知症の方は今後、高齢化が進行していく中で更に増加をしていくということが予想されるわけでございます。不肖、私の母親も今グループホームでお世話になっておりまして、事情はよくわかっておる一人であると思っております。介護サービスともあいまりまして、認知症の方を地域でどのように支えていくかというのは、我が国の社会にとって大変大きな課題でございます。
 本日は昨年9月から始まり1年間にわたるこの検討の最終回になると伺っておるわけでございまして、改めてこれまでの皆様の御議論の積み重ねに感謝を申し上げるとともに、今後の中長期的な在り方も見据えた方向を是非まとめていただきたいと、そのように思っております。
 これもまた不肖、私どものことでございますけれども、家内が特養のお手伝いをしております。晩御飯を食べさせるパートに行っているんですけれども、1時間以内に食べさせて完了させるということをしなければいけないのですか、簡単にはそういかないわけでございます。本当に食べたくない人は、すさまじい抵抗をする方に、無理やり食べ物を口に押し込むようなことを時々はやっているという話を聞いたときに、本当にこれはつらいことだなと。しかし、誰かがそういうことをやらないといけないのかと。それが本当に今のやり方なのか。いろいろと思うところはあるわけですけれども、現場は本当に大変な御苦労の場にあるということをつくづく私自身も身近に思っているわけでございまして、そういうことを皆様方に本当に御議論をしっかりいただいた上で、まとめていただくということの御苦労を心より感謝申し上げたいと思っております。本日は本当にありがとうございました。
 私はこの後、別の用事がございますので、ここで失礼させていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。

(津田政務官退室)

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、本検討チームは公開でございます。検討チームでの審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定でございますので、あらかじめ御了解くださいますようお願いいたします。
 本日は朝田構成員、阿式構成員、西田構成員、野澤構成員、三根構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題は先ほど政務官からもお話がありましたが、とりまとめに向けた議論についてということでございます。前回の検討チームにおける、これは9月5日にかなり文面も含めて御議論をいただいておりますが、御議論の中で御指摘をいただきました点、また御意見も踏まえまして、おまとめしましたとりまとめ(案)をお手元に用意をしてございますので、まず事務局から御説明をさせていただき、その後、意見交換の時間を取りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○中谷課長補佐 それでは、資料1「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム第2R:認知症と精神科医療とりまとめ(案)」という資料をご覧ください。こちらの資料は前回提出しました資料から、前回いただいた御意見を修正した部分に下線を引いた資料になっております。変更点について、かいつまんで御説明をいたします。
 6ページの一番上の部分になります。これは専門医療機関による早期診断という部分の記載事項ですが、行政の力が重要であるという御意見がありましたので、この一番上の部分の後段「地方自治体の協力の下に、事例検討会や各地域での情報交換会などの取組を通じて」という記載を追加させていただいております。
 7ページの「(マル2)認知症の経過や状態像に応じた診療と生活のアドバイス」の中で、BPSDの発症はそもそも予防することが大事であるという御意見が複数ございましたので、その部分の4行目の中ほどに「BPSDの発症予防にも役立つような適時適切な生活のアドバイス」という文言を追加させていただいております。
 その下の部分、地域包括ケアシステムというものが重要であり、その中で医療も連携していく体制が大事だという御意見がありましたので、地域包括ケアシステムの中で「その医療面での支援を通じて」という記載を追記させていただいております。
 8ページの一番下の部分です。前回の記載は「(マル6)精神科作業療法重度認知症デイ・ケアの提供」の部分の下に追記をしておったのですが、訪問サービスにつきましては、ここの(マル1)~(マル6)の全てでございますので、この全体を通しての最後に追記をするという形で、前述の(マル1)~(マル6)を踏まえてという記載に直してございます。
 また、併せて下線がございますが、「訪問診療、訪問看護、精神科作業療法、重度認知症デイ・ケア等の医療サービスの推進を検討すべきである」という形で整理をさせていただております。
 9ページの(マル2)の3行目、予防が重要という御意見を踏まえて、「BPSDを発症させないような対処法について適切なアドバイスを行いつつ」という記載を追加しております。
 (マル2)の下から3行目の部分、介護支援専門員の役割が重要であるといったこと、地域の相談機関も重要であるといった御意見がありましたので、下線のように介護支援専門員と介護に関する地域の相談機関を追記させていただいております。
 10ページの下の部分、これは特に御意見はなかったのですが、医療機関から医療機関へ医師が診療に行くことは訪問診療とは呼ばずに、制度的には対診という言い方をしますので、そのような文言に修正をして、11ページの(4)の上の部分に対診の説明書きを追加させていただいております。これは「医療機関に入院中の患者に対して、医師(主治医)が、診療上必要があると認める場合に、他の医療機関の医師に依頼して、保険診療を行うこと」を示す言葉となります。
 11ページの「(マル2)地域住民への啓発活動」の3行目に「BPSDを発生させないような対処法」を追加させていただいております。
14ページの部分に「3 認知症を考慮した目標値について」という項を新たに起こしております。前回は別のペーパーでお配りしておりましたが、その内容について、そのままここに入れた部分は下線なしで記載をさせていただいておりますので、下線をしました追加の記載の部分について御説明をさせていただきます。
 15ページの下の部分です。目標値の検討経緯の説明の中で、その医療介護のサービスの必要量も考慮する必要があるということの御意見などもございましたので、15ページの下4行目のところから、その経緯に関しての記述を追加しています。
 「認知症の有病率等に関する調査については、平成22年度にとりまとめられた中間報告を踏まえ、23年度より都市部などを調査対象として追加し、調査が継続されており、その結果を踏まえて医療・介護サービスの必要量も考慮する必要があるが、本検討チームでは、できるだけ今後の取組みを推進するために、これまでの議論の経過から精神科病院の入院機能に着目しつつ、認知症を考慮した目標値について意見をとりまとめた。
 なお、意見のとりまとめにあたっては、患者数の推計から必要となる医療・介護サービス等の整備目標や退院促進だけでなく予防の視点も考慮すべきであるとの意見があった」を追加させていただいております。
 17ページ、目標値設定の基本的な考え方とその間にある記述は前回提出した資料と同じですので省略しまして、17ページの下の部分「(5)目標値の実現に向けた取組」を追加しています。これは前回、目標値の案を示しましたときに、具体的にはその受け皿整備であるとか、どういうふうに取組んでいくかというのがセットであることが重要だという御意見がありましたので、それを踏まえて記述を追加しています。
 17ページの(5)の部分ですが「この目標値の実現のためには、第一に、認知症患者本人や家族に不安を与えることのないよう、退院後の地域における受け皿の整備に向けた取組を着実に進めること、第二に、今後、目標年度まで、取組を着実に進めていけるよう、各地域における取組の進み具合を定期的に把握していくことが必要である。
 具体的には、受け皿整備のための取組として、まず、平成23年度以降は、モデル事業などを通じて退院支援・地域連携クリティカルパスの開発・試行・普及を進め、第6期介護保険事業計画(平成27年度~)への反映方法(例えば、都道府県とも連携しながら、精神科病院から退院する認知症患者の数を把握する方法や必要なサービス量を見込む方法等)を検討し、第6期介護保険事業計画以降のサービス見込み量につなげていく。さらに、第6期介護保険事業計画以降の計画においては、地域の実情やニーズに応じた(マル1)医療サービス、(マル2)その他の地域での生活を支える様々なサービスの展開とあいまった介護サービス基盤整備の計画的実施を目指す。
また、進み具合の把握として、第3期障害福祉計画(平成24年度~)においては、都道府県における目標値のひとつとして、本検討チームでまとめた目標値を取り入れることとし、毎年、各地域での達成状況を把握することで、着実に、実現に向けた取り組みを促していくべきである」。
 この部分は前回目標の達成時期が平成32年度ということで、10年後というのは随分遠いので、きちんとその中間でも把握をしていく必要があるといった御意見がありましたので、この部分を記載させていただいております。
 その続きの2行は「障害保健福祉部と老健局とか連携しながら、整備を進めていくべきであることは言うまでもない」という御指摘を踏まえて記載をさせていただいております。
 18ページ「今後に向けて」の下から7行目、地域包括ケアシステムについて御意見がありましたので、ここに「認知症の方が地域で暮らしていくためには、様々なサービスが切れ目なく提供される『地域包括ケアシステム』の構築が必要である。そのためには、医療との連携強化は重要な柱の一つであり、精神科医療の果たす役割は大きい」という記述を追加させていただいています。
 その直後の部分にも「『地域包括ケアシステム』を実現する意味でも」といった記述を追記させていただいております。
 資料については以上になります。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまから事務局からの御説明に対して、御質問、御意見を伺いたいと思いますが、前回9月5日のときに文案としてはかなり書き込んだものをお示しをしておったと思います。それに対していろいろな御意見をいただきました。それを今回、基本的には反映をさせていただいたと。特に現行6か月くらいのところから2か月に短縮する部分については、いろいろと御意見があったところでありまして、本当にできるのかという話から、御家族の不安の話、着実に進める話、10年は長過ぎる。いろいろなお立場から御意見があつたかと思います。
 そういった点につきましては、意見の総意とすれば、一つは退院後の受け皿の整備を確実に進めていくという点をきちんとわかりやすく書き込んでほしいという点。目標年度まで着実にその取組みについてはフォローアップをして、その取組みを進めていく。そういった進行管理といった点についての御意見が強かったかと思います。そういった点につきましては、今、事務局から御説明をさせていただいたような形で、案の方に取り込ませていただいております。
 今までの議論も踏まえまして、ここから構成員の皆様方から御意見をいただきたいと思います。大体いつも全員に御発言をいただいているんですが、基本的に今日は全員の皆様方に御発言をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、御意見のある方、お願いしたいと思います。野村構成員、お願いいたします。

○野村構成員 16ページをご覧ください。「(2)目標値設定の基本的考え方」の少し下の「したがって」というところです。「今後の精神科医療における認知症における目標値としては、精神科病院に入院する患者に対しては、精神科病院は入院医療として必要な医療を提供するという基本的考え方を明確にする目標であることが必要である」とありますけれども、この書き方ですと精神科病院に入院してくる人の数については、目標値も何もないものですから、例えばBPSDが非常に軽い方がたくさん入られて、その半分が数日間入院して退院したとしても、この目標値は、2か月で半分が退院するということは達成可能なんですね。
 それとともに、精神科の病院の認知症患者さんのベッド数に関しては、何も目標値がありませんから、例えば精神科の病院は35万床あるとして、認知症の方が5万2,000人入院していらっしゃいますが、その数がどんどん増えていったとしても、これは何ら目標値の対象になりません。私はそのことを防ぐために、今、申し上げたところについて、「したがって」のところを読んでいきますけれども「今後の精神科医療における認知症に関する目標値としては、精神科病院」まではいいんですが、「に入院する患者に対しては」という12文字を長くしまして、「精神科病院への認知症患者の入院数を減少させ」と書いていただけますと、私の不安がかなり軽減されますが、いかがでしょうか。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 関連する御意見を伺えればと思いますが、具体的な数の議論については一度事務局の方からも問題提起をさせていただいて、この部分は数で議論をするのは現状ではそのデータが不足していると。いろいろな将来推計についての見方があり得るので、そこのところはそうではなくて、退院率のところで整理をしましょうと。ただ、野村構成員がおっしゃられたような御懸念も確かにもっともな部分もありますので、前々回に御議論をさせていただいたときは、数をダイレクトにというのはなかなか難しい面があるけれどもというような御議論だったかと思います。
 関連する御意見をいただければと思いますが、河崎構成員、お願いいたします。

○河崎構成員 今の野村構成員の御意見に関してですが、少なくともこの16ページの「(2)目標値設定の基本的考え方」の(マル1)、(マル2)にしっかりと認知症患者さんへの精神科医療の関わると基本的な考え方として、入院を前提と考えるのではなくということ。これはずっとこのラウンドでの基本的な部分で、こういう書き方が継続して、皆さんが了解あるいは了承して議論が進んできていると思っております。
 不必要な入院は前提としないということの基本的前提があるわけでございますので、今、野村構成員がおっしゃられた表現の部分で、精神科病院への認知症患者さんの入院を減少させるという表現をここに書き込むことは、逆にいいますと、これから認知症の方がどれだけ増えてくるのか。あるいはそういう方たちの中でBPSD等でどのように精神科医療として入院医療が必要な人の数がどうなっていくのか。普通に考えると増えてくると考えることが妥当だとは思いますが、そういう部分も含めますと、ここに減少させるということを書き込むことはいかがなものかという気がいたします。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 前提として、まさにここは最初に今、野村構成員がおっしゃられた「地域で」というところを12月にまとめる案のときには掲げさせていただいたというところがあったかと思います。また、入院医療として必要な医療というところで、表現的には回りくどいのですが、基本的にはその時点で、要するに本当に入院の必要な人以外は入れないということがここに書かれている。
 8ページとか他のところでも、例えばアウトリーチの話とか訪問の話。そういったようなところで地域で支えるというようなところの推進を全体としては検討すべきであって、その中にあって現在6か月というように徐々に入院期間が延びてしまっている認知症の部分についてどのように、これも認知症の人というよりも、認知症でBPSDがあって入ってきた方だと理解していますけれども、そういった方々について、今後の目標をどういうふうにつくっていくのかというような御議論をさせていただいたのかなと思っています。
 進行役ですので、どちらかということではなくて、あくまでも今までの議論ということで、今後の皆様方の意見に参考に資するという意味で、参考として情報提供をさせていただきました。その他、関連する御意見はございますでしょうか。
 広田構成員、お願いいたします。

○広田構成員 減少させたいというふうに私は入れてもらいたい。私は日精協のアドバイザリーボードも担わせていただいていますけれど、日本精神科病院協会が変わらないと、日本の精神医療は変わらないよと言われて、私もそういう形で日本精神科病院協会と厚生労働省の場で対峙してきました。陰で言うのはきらいですから。
 そういう中で、何度も言っているような社会的入院を開放してもらって、精神病床を削減して、マンパワーをきちんと付けて、今は医者不足だと昨日も他の病院に聞いてきましたけれど、それでお金を上げていく。他よりも安いわけですから。そういう中で減少させていきたいという気持ちをここに盛り込まないと、いわゆる認知症以外の精神疾患患者と社会的入院が出てしまったら、認知症を埋めたいという気持ちがある人がいらっしゃるわけですよ。そこに危惧をしている患者は精神科の患者の中にも全国にたくさんいます。私はまだ認知症予備群で認知症ではないけれども、ここに関しては減少させたいということを入れたい。
 させたいということにはどうしたらいいかというと、PTSDと盛んに出てくることは何度聞いても私はよくわかりません。ここの6ページの消しているところですよ。「認知症についても、他の疾病と同様、予防が重要であるとの意見があった」ということをなぜ消したのかなと。
 今まで出てきた政務官の中では、本人がいらっしゃらなくなったけれど、一番元気だったと思います。津田さんはね。前に来た人は御本人にも言いましたけれど、下を向いたまま顔も上げられないでお帰りになった方がいたことを思えば、話の内容は事務局の話ですと言っていました。お元気であったけれども、ここでさっき立ち寄られて、私がお渡ししましたものをしっかり読ませていただきますというから、うつ予防大作戦のちらしをお渡しして、こういうことをやらないと国家が破綻しますと言いました。ここに来る前も1時間ばかり、この業種とは違う、ある肩書きのある方と意見交換をして、来年は全世界同時不況だろうなどとその人は話していましたけれど、税収が伸びないこの時代にやはり予防を入れないといけないということと、津田さんの奥さんはご飯を食べさせに行っていると言っていましたけれど、いつも言っているように、私はお話し相手ボラです。
 そうしますと、そこに来ている高齢者さんは盛んに言うんですよ。「ここに来ているのは認知症予防だ」と。私は「ここに来ている間は大丈夫よ、おいしいお食事を召し上がって楽しい会話をしていて、体操をして音楽をして、そういうことをやっていれば大丈夫よ、幸せな方々よ」と言うと、「本当に私たちは幸せだ」と言うんです。現にデイサービスとかいろいろなところで私が出会う高齢者さん自身が、こういう生活をする中で認知症予防だということを盛んにお話になっているわけだから、そういう意味で私はこれを残した方がいいということです。なぜここをわざわざ取ったのかということで、医療的に認知症予防ができないのではなくて、そういう生活の中です。
 今日いわゆる傍聴人のところには冊数が足りなくて出していないんですけれど、「ピアサポートの現場から」という精神障害者リハビリテーション学会というところに、私が原稿を書かせていただいているんですが、警察官が見ても、地域住民が見ても、家族が見ても、誰が見ても、いわゆる被害妄想100%のごみばあさんと言われている人を我が家に6か月泊めて、その方は6か月間精神科に入院してきたので、それをここで書いているんです。そこの精神科を出てきた背景は、彼女は「頭がおかしくなったと思って精神病院に入院した」、「でも、昼寝かされ、夜寝かされ、これでは足腰が立たなくなると思って出てきた」。「どこに行くのか」と言ったら、うちだったんです。
 なぜ彼女がうちでよかったかというと、その病院に入院していた医者に聞いたところ、「彼女にとって大事なのは環境ですよ」と言ったんです。それは私という人間の環境と、私のちょっとちらかった家という安心して暮らせていた環境と、ごみばあさんと呼ばれている人を地域の住民がはじめはいろいろ言っても、「社会にはいろいろな人がいるんだから、我が家の相談者ですから、皆さんよろしくお願いします」と私が言う。そういうふうな環境整備をした環境。交番で、相談員さんが「朝早く出歩いているけれども、何々さんが出かけた後に空き巣が入ったときに広田さんが寝ていたら強盗に変身しますから、危ないからあまり早く出歩かない方がいいですよ」と。そういう地域の見守り。そういういろいろな環境が整って、彼女は6か月間うちにいられたということです。そういうものがここには書き込めないかもしれないけれど、前にも言いましたが、神奈川県警は捜査ができないくらい認知症の高齢者が来て、困っている。もし家族が「認知症の人がいなくなった」と言えば、神奈川県警は10分間で一斉に配備します。
 ところが、認知症の人が保護されたら、どこの誰だかわからないから、この検討会として、洋服に郵便番号と名前を書き込むファッションを立ち上げたいくらいの思いぐらいです。長崎県対馬の2つの警察には一人も認知症が来ない。それは町の中の環境が全てそういう人を見守っているということです。ですから、私は是非この予防は残していただきたいということと、先ほどのところは、認知症のところで減少させたいと入れていただきたいということ。
 それから、18ページの下から5行目です。「医療との連携強化は重要な柱の一つであり、精神科医療の果たす役割は大きい」ということは一つしかない。役割が大きいのではなくて、「精神科医療も」としていただきたい。いろいろな医療が必要で、その中の一つとして重要と書いてあるから、それでいいでしょうけれど、「精神科医療も」にしていただきたい。
 とりあえず、今、感じているところはそこまでです。以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、6ページの予防の部分は、意見もあったという部分ですので、そういう意味ではもっと許容的にとらえてもいいのかなという部分があろうかと思います。そういう中で、敢えて削除している理由だけをまず御説明をさせていただきたいと思いますが、事務局、お願いします。

○中谷課長補佐 今回ここの部分を削除しましたのは、認知症そのものではなくて、認知症によって例えば徘徊が起こったり、大声を出したりという症状。それがBPSDですけれども、そのBPSDを予防するということを入れさせていただいたので、例えばアルツハイマー病自体、高血圧のように運動をしたり食事をしたりということで予防できる病気では、今のところはその病態自体がきちんと解明されていないので、予防と書いても実際に何をすればいいかがないので、そういう意味ではBPSDの予防と書いたことをもって、こちらの方は削除ということにさせていただきました。

○広田構成員 だってBPSDは現に認知症になった人でしょう。つまり私が言っているのは、認知症予防だから、今、現にその病気が解明されていないからこそ、予防も一緒にやった方がいいと思います。これは一般国民の思いです。解明できていないから予防は要らないのではなくて、予防だからといろいろな高齢者が集まって食事をしたり、歌を歌ったり、私も話し相手ボラに行っているわけだから、私は予防を敢えて削除する必要はない。誰も損をしません。国家が破綻するか1,000兆の国及び地方自治体の赤字の中で、本人も幸せ、家族も幸せ、医療機関だって別に認知症がそんなに来なくたって、国家も地方自治体も。そういう意味で、私は敢えて外す必要はないと。是非入れていただきたい。
 いわゆる2001年9月27日現在の話では、予防を入れるのは時期尚早と言うかもしれないけれども、来年9月27日になったら、入れておけばよかったという話になると思いますから、是非入れていただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 結局、認知症になった方の進行を遅らせるということはある程度、方法論とかも確立している。いわゆる周辺症状といいましょうか、そういう部分についても、まだ標準化が十分でないという議論はありますけれども、そういう対応が可能であるということで、そこのところは逆に敢えて入れ込ませていただいているわけですが、ここでの専門家へのヒアリングのときに、病気そのものはまだちょっとという話であったんです。それについて、今、広田さんの方は書いておいて損はないという話なので、そこら辺は関連してどんな感じでしょうか。議事録との関係で、要するにあまり科学的でないことも書きにくいところがあって、幾ら意見というものであっても、そういった議論を経た上での報告書なので、どういう表現が一番いいのかなということで、広田さんのお考えもある程度入れるということで、確かにちょっとすれ違っているんですけれども、BPSDとかの部分で予防の部分をかなり外見としては取り入れたという形ですが、このような書き方では、まだ不十分というのが広田さんの御意見ということですね。

○広田構成員 専門家とよくおっしゃるんですけれど、私も町の専門家で、交番や警察を回っていますと、いろいろな認知症の方にお会いするわけです。明らかに現在の単身暮しの中で話し相手もいなくても、スーパーでものが買える状態の人がいっぱいいるから、ここの間、新しい部長が出てくる前にさんざん話しているんです。あとでお話ししますけれど、そういうことを考えると、科学的ではないと言ったって、精神科の病気は科学はどこにあるのかと聞きたいです。胃潰瘍は科学だったけれど、そういうところだけ科学を使わないで、私は入れた方がこの国もこの国民もいいと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 今、広田さんの方で、一連のこともこれは議事録に残りますから、そういう意味合いも含めて御意見があったわけです。そういう中で、今の趣旨を踏まえて、ある程度の趣旨を忖度する形で入れる方向で考えた場合に、それはまずいのではないかという御意見がございましたら、教えていただければと思います。

○河崎構成員 入れるとまずいという意味の発言ではないんですが、16ページの上から4行ほどございますが、これは今回新たに付け加わったところでございますね。そこの一番最後の行になるんでしょうか。予防の視点も考慮すべきであるとの意見があったというのが、ここに新たに付け加わっているんですが、私はこの文章の流れからして、広田さんの意見がここに生かされたのかなと見ていましたが、いかがでしょうか。

○広田構成員 これは国民からずれているんです。

○河崎構成員 ここに入っているのでどうですか。

○広田構成員 どうですかではなくて、何でここを切ったかなんです。私は国民に一番わかりやすい委員とよく言われていますけれど、ここに入れた方がいい。「本検討チームの直接の検討テーマではないが、認知症についても」の方がインパクトがあります。ここに付け足すのはやめてもらいたいと思います。これは国民のニーズですから。

○福田精神・障害保健課長 長野構成員、お願いいたします。

○長野構成員 予防に関して、私も迷うところではあるんですけれども、実際に今、地域でずっと啓発活動をしていて、一番関心が高いのは何と言っても予防。どうやったらならないんですかということだと思います。その中でお伝えしているのは、基本的に、なっても怖くないものですよということを精一杯お伝えするとともに、逆に脳血管性認知症とか、その辺りは予防はエビデンスが十分あるだろうと思います。脳卒中予防は健康であることそのものが認知症の予防につながる。まだ一部ですけれども、そういう意味ではエビデンスがアルツハイマーにしても何にしても、リスクファクターは研究が出ているけれども、まだはっきりしたものがないとは言え、一部は出始めているので、例えば予防が重要になるとの意見があったとか、将来を見越して入れる分には損はないというのは、どうかわかりませんが、あってもおかしくはないのかなという気がします。
 ただ、それとして政策としてどんどん打っていくには、今の要するに健康づくりのところのものを推進していくということと、認知症の研究を進めるということだろうと思うので、今すぐこうしたら予防できるというのが出せなくても、あってもいいのかなと。国民としては多分本当に最大の関心事だと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 御意見が幾つか出ましたけれども、サポートの意見もございましたので、広田構成員の趣旨も踏まえながら、細かい文案は別途調整させていただきますけれども、含める形で、敢えて削除しないという形ですね。
 ただ、河崎構成員からお話があったように、16ページの部分をもう少し広めにとらえた形で予防というものを書かせていただいたという事務局の方としての意思はあったわけですが、あくまでも広田さんの御意見はできるだけ尊重しようということでの努力はしているんですが、届かなかったということですね。そこのところは、後々の文章そのものはまた調整をさせていただければと思います。
 18ページで「精神医療の果たす役割は」という話があって、そこはもう少しいろいろな専門的な支援の中のいずれも重要だから、敢えて「は」ではなくて、みんな一緒に頑張りましょうというような形の表現の方がよりいいのではないかという御意見があったようでございますけれども、ここら辺の表現はいかがでしょうか。
 渕野構成員、お願いいたします。

○渕野構成員 今の3つの部分の話ですけれども、6ページの予防にまた戻りますが、広田構成員のこの予防のところは、私は別に外す必要はないかなと思います。もう少し認知症そのものの医学的解明がまだできていない段階ですので、文言として予防ということを入れて、BPSD等の細かいところの具体的な予防ということを入れればよろしいのかなと。そうすると16ページの上の方は、予防、予防になってしまうので、広田さんもわからなかったような「予防の視点」のところはもう要らないのかなと思っております。
 16ページの先ほど来、入院に関する減少させる、させたいという話ですけれども、今までのいわゆる認知症と精神科医療の検討会のとりまとめを忘れられては困るのですが、ずっと話をしてきて、入院の必要性というものも理解していただいて、今回その50%退院目標2か月という文言がはっきりと出てきて、これは我々精神科病院にとっては厳しいというよりも受け皿。いつも私が言うのは、その地域に出したいんだけれども、出せない。入院も無理やりさせているわけではなくて、それなりの症状があって、きちんと入院適用があるからさせているんで、それが終わった時点で当然帰っていただきたい。これはもう基本的な考えは変わりません。当然「入院する患者さんに対しては」というこの文言は別におかしくはないし、我々精神科医はそういうつもりでやっているので、ただ増えていくとか、そういうものではないということも御理解していただきたいと思います。
 18ページの文言の「の」ですけれども、「精神科医療も」言いますと、この委員会は認知症と精神科医療ですので、「精神科医療の」でいいのかなと私は思っております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、東構成員、お願いいたします。

○東構成員 少し意見を述べさせていただきます。私も認知症の予防に関しては、大変重要なものだと思っております。ただ、今回の私たちの検討チームの一番大きなミッションと言いますのは、多くの精神科病棟に入院されている認知症の方をどのように社会に復帰させるかというのが一番のミッションだと思っております。
 先ほど渕野さんもおっしゃいましたが、この2か月という目標ができました。私は精神科医ではありませんが、これは大変厳しい目標なのだろうなというふうには思います。ただ、私はこの報告書の原案を見ていまして、2か月にするのはいいのですが、病院側はこの2か月で縛られて、どんどん退院を促進する。しかし、御家族の方、それを受け入れる在宅の方が果たして本当にこのような報告書の文書でうまくいくのだろうかと非常に不安がございます。
 ここを見ますと受け皿のところで、17ページにクリティカルパスとか書いてありますが、例えば(マル2)に「地域での生活を支える様々なサービスの展開とあいまった介護サービス基盤整備の計画的実施」、失礼ですが非常にお役所的な表現で、具体的なものが全く見えてこない。
 18ページの下の方に「認知症の方が地域で暮らしていくためには、様々なサービスが切れ目なく提供される『地域包括ケアシステム』の構築が必要である」、これも大変立派な文言でございます。ただ、この地域包括ケアシステムのという非常にきれいな言葉に逃げ過ぎているのではないか。ここを見ても、私には具体的なものが全く見えてこない。
 私はこの委員会で何度か発言をしてきました。その発言の趣旨は13ページの上6行目の中に「小規模多機能型居宅介護事業所の『泊まり』や『訪問』を活用した退院支援、老健施設の在宅復帰支援機能の活用、在宅と入所を交互に繰り返していく支援形態、緊急時のレスパイト的なショートステイの活用」、ここら辺が具体的と言えば、受け皿としては一番具体的な表現なのですが、ここも文章的には「紹介された」と。
 その下にも「在宅復帰支援を行う老健施設の支援相談員が、入院事務を継続的に支援していく」というのはすばらしいことだと思いますが、「重要性も指摘された」、非常に人ごと的な表現のように思えるんです。本来はここが認知症の方を在宅介護する御家族にとっては、非常に重要な点だと思われるにもかかわらず、「紹介された」とか「指摘された」という文章でさらっと済まされて、具体的な目標の後の先ほど申しました受け皿の17ページ、18ページのところには、一切そういう具体的なものがない。
 私はここにいらっしゃる委員の方々にお聞きしたいです。実際にこのような非常に総論的な受け皿の表現でいいのでしょうか。もう少し具体的な文言がなくてもいいのでしょうか。そこを私は皆さんにお聞きしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 ここのところは過去も何回か議論になっているところでありまして、どこまでこの検討会の部分で受け皿の部分のところまで、どこまで書き込むかということはあったかと思います。そういう中で冒頭の政務官のごあいさつでもあったように、そちらの方はまさに受け皿担当部局と連携をしてという中で、具体的なメニューの中身については議論の中で重要性が指摘されたものを掲げ、その方向性については東構成員がおっしゃられたように、抽象的な形にはなっていますが、進めるんだということで整理をしているわけでございまして、確かに御懸念はそのとおりかと思います。
 ただ、今までの議論として、ぎりぎり書ける範囲として、今ここまで来ているところなのかなと思いますが、まだそれでも不十分という御意見があったということは肝に銘じておきたいと思います。関連する御意見でも結構ですけれども、今、河岸構成員の方からお手が上がりましたので、お願いいたします。

○河岸構成員 今の御意見に私も全くの同感で、具体的なところのイメージがつかないと、家族としてもすごく感じます。これだけのことが実施されたら物すごいのだろうなというのはあるんですけれども、例えば統合失調症の患者さんが地域で7万2,000人暮らせるようにということでずっと動いていますが、それは何で7万2,000人かという根拠を知ることもなかなか浸透できなかったし、現在もまだまだ困難な動きをしていると思います。
 今度は医療と介護で、医療側としては何となくすんなりいくかと思いますが、そこを介護につなげるというところに、十分にその家族が納得いく動きがつくれるのかなというのが、私の中で不安になりました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 もう少し利用者側から見てもわかりやすく、具体性を持った形で努力をしてほしいという御意見であったかと思います。
 その他に御意見はございますでしょうか。三上構成員、どうぞ。

○三上構成員 介護へのつなぎということに関しまして、現在、介護給付費分科会において、介護についての新しいサービス類型について検討されています。特に小規模多機能型居宅介護については、医療ニーズの高い人たちに対して、訪問介護事業者と小規模多機能型居宅介護を組み合わせた複合型事業所によるサービスを提供することが可能となります。現在、小規模多機能型居宅介護では医療を提供できないことになっているわけですが、今回の新しいサービス類型の中では、そこで医療も提供できます。また、看護職員は2.5人以上ということが想定されておりますので、そういったところの整備目標をはっきり書き込んではどうでしょうか。新しいサービス類型をここに書き込むことによって、かなりイメージができるのではないかという気がいたします。
 実際には、今までにも目標値は現状投影シナリオにどの程度プラスするかということで、小規模多機能型居宅介護についても32万人分程度プラスするとか、グループホームについても現状投影よりも10万人分余分につくるということも書き込まれているのですが、実際にはそれでも恐らく難しいと考えられ、もう少し医療ニーズの高い人たちを見れるような形のサービス類型が必要だと考えます。それには今回、老健局から出された複合型事業所についてここの中に少し書き込んでおくことにより、イメージができるのではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
膨らませるという部分に当たっての御助言だったかと思います。
 では、岡崎構成員、お願いいたします。

○岡崎構成員 今、三上構成員がおっしゃったことは、非常にいいと思います。読んでいて、退院の目標だけしか目標数値がないというのは本当に寂しい感じでして、介護を基盤として医療の可能性を広げるためには、老健とかグループホームあるいは小規模多機能とか、そういう居住ができる介護保険施設を拡充しないと、見通しは開けないと感じるのも当然でありまして、これらを是非数値目標まで上げられるかどうかは別としまして、そこの充実がなければ本当に認知症と精神科医療というテーマ自身に沿った見通しが描けないことをはっきりさせるべきだと私は思います。ですから、河岸構成員がおっしゃったことや東構成員がおっしゃったことは賛成でありまして、是非それをできるのだったら、やっていだきたいと思います。
 もう一つは、先ほど野村構成員が減少するということを目標にすべきだとおっしゃいましたけれども、そのくらいの気持ちでやらないと、これを悪用すれば、認知症の方の入院も際限なく膨らむこともあり得るわけでありますので、具体的な歯止めをしておく必要があるのではないかと思うんです。
 前回申し上げたのですが、BPSDという記載だけではすごく広過ぎて、レビー小体病などはBPSDがありましても、幻覚が主ですが、入院の必要はない場合が多いんです。アルツハイマー病の方でもそうですけれども、そうは書いていないですが、BPSDがあるから入院の対象であると誤解をされないことが大事で、他害行為とか自傷とか拒食がある、拒薬はあってもいいと思いますが、入院の基準をはっきりしておくことが、不要な入院の歯止めになるのではないかと思います。その辺りは是非書き込んでいただければと思います。
 では、不要な入院を減らすのに、入院の基準をもっと厳密にしておくということ以外に何があるかといいますと、さっきのような介護あるいは保健医療施設の充実によって、目標に掲げた入院を前提とするのではなく、地域での生活が継続できるようにする。その一環として、精神科医療も位置づけるということを具体化するには、入院率は現状では病院によってばらつきがあると思いますが、各施設における入院率の減少を目標にすることもどこかに記載をしていただけるといいかと思います。
 今の施設で調査すると、かなりばらつきがあると思いますけれども、私は最初のころにお話をしたと思いますが、京都府立の洛南病院は都市部の精神科の病院で、認知症に関して積極的に取り組んでおられるところですが、初診も充分な時間をかけてやっておられて、15%弱の入院率で来ているとのことです。地域での生活を継続することを主にした治療を行っておられますので、入院期間も非常に短くて3か月未満だと思いますけれども、やっておられると聞いております。
 ですから、現状はばらつきがありますが、全体として入院率をあまり高くしないでやっていくということを一方で目標にしながら、もう一つは地域の生活施設や支援組織の充実を図っていくということの両方やっていくことが必要ではないか。そうしないと、我が国の認知症の医療保健福祉資源が効率的に配分できないのではないかと思います。そういった文言を入れていただければと思っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 文章とかここの議論を共有している方について言えば、まさに共有されているんだけれども、第三者が読んだときにその趣旨がわかるような形の表現を工夫するという御意見が基本であって、更に具体的なブレークダウンとして幾つかあったと思いますが、ガイドラインの話とかいわゆる臨床指標的なもの。私が言っていいのかあれですが、ここは精神科全体が他と比べて発展途上かなという部分があって、ここはこういう議論を離れても、本来はもう少し議論をしていかなくてはいけない。まだそのコンセンサスとかも含めて、どこまでできているのかという問題があるのかなとは思います。
 ただ、今、岡崎構成員がおっしゃられた、要するに変に曲がって解釈されないように、きちんと特に目標値の部分は全体の趣旨がちゃんとわかるように、変なふうに拡大解釈をされないような表現をきちんと、もう少しきめ細かく工夫していただく必要があるということであったかと思います。おっしゃるとおりかと思いますけれども、具体的に何をどこまでというところは難しい不分も幾つかあるかと思いますが、そのように受け止めさせていだきました。
 東構成員、お願いいたします。

○東構成員 私の先ほどの御意見に対して、河岸構成員、岡崎構成員、三上構成員からも一応賛同の意見をいただいたと私は理解しております。三上先生がおっしゃった複合型というような具体的なものを入れるということも大変具体性があって、それこそ、これを読まれる現場の方が見ても安心感を持たれると思いますので、入れるべきだと思いますし、老人保健施設を運営する者として、ここにも書いてあるような老人保健施設機能の強化というような一文も具体的に是非入れていただきたい。そうすることで、残念ながら全国の老人保健施設は今3,300あるわけです。そこを機能強化することで、随分この2か月というものの受け皿になり得ると思いますし、老人保健施設がそのように生まれ変わらなければいけない時期に来ていると私は思っています。そこを促進させるためにも、具体的にここに老人保健施設機能の強化という文章を、複合施設とともに入れていただきたいとお願いをする次第です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 いろいろなお立場の方がこの報告書を見られるということもあるので、その内容も含めて、よりわかりやすく膨らみのある形で、そこら辺のところはどこまで書けるかというのはありますけれども、御意見を踏まえて、可能な調整はしていきたいと考えております。
 石田構成員、お願いいたします。

○石田構成員 受け皿づくりが重要だという意見が非常にあって、私もそうだろうと強く思っています。今回の報告書を踏まえて、市町村を中心とした具体的な受け皿づくりに展開が進むというふうにいかなければいけないと思っていて、そのために意見を述べたいと思います。
 まず具体的な市町村の中で、精神病院から退院する認知症患者についての実数は、実際にはなかなか把握できないというのが実情であります。これは皆さんも御案内のとおりだと思います。広域行政たる都道府県から市町村へ退院する入院患者の数などの情報提供の仕組みをこの際、確実につくることが必要であって、これが市町村の事業計画に確実に反映させる具体的な方向になるのかなと思います。
 広域的に支援するという観点がどうしても市町村としては必要だろうと思いますので、都道府県の介護保険事業支援計画の中に何らかの形で、こういった点について位置づけをすることもこれからは必要になるのかなと思います。
 また、6期の27年~29年の市町村介護保険事業計画における在宅サービスの見込みに当たっては、具体的には基本指針であったり、あるいは参酌標準への反映というものを行うことによって、かなり確実具体的に受け皿づくりの整備が進むのかなと思うわけであります。全般として受け皿づくりということについての具体的な施策については、この後、今後具体的に進められると期待をしております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 自治体行政に携わっておられるお立場からの貴重な御意見をいただけたと思います。
 栗林構成員、お願いいたします。

○栗林構成員 包括ケアという言葉を使われているんですけれども、この包括的な意味合いの中には、認知症ですから最も大事な部分は御本人の意見が反映されるところを守るようなシステムということで、成年後見みたいな文をひとつ入れ込んでほしいなというようなことを思っておりました。これがまさに地域包括ケアという中に入っていくような部分でないのかなと思っています。
 市民後見あるいは成年後見を入れ込んでいただきまして、あとは自分が特養に身を置いているわけですけれども、今うらやましいなと思ったのは、東構成員がおっしゃられた老健の機能を最大限に発揮してもらうという部分は、本当にうらやましい。ただ、私どもの特養だけかもしれませんけれども、特養というと、どうしても囲い込みのようなイメージでもって、入所完結という意味合いが強くなるのかなと。こういう点からいきますと、この包括ケアという意味合いのところに住まいという点を多少強烈に入れてもらって、住まいと市民後見、成年後見というような部分を出してもらえると、この地域包括ケアシステムという言葉がより生きてくるのではないかということを思っておりました。それが意見です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他に御意見はございますでしょうか。柴田構成員、お願いいたします。

○柴田構成員 今、栗林委員がおっしゃいましたように、13ページの中に、暮らしという部分が欠けているかなと思っています。今後、高齢者の住宅、特にサービス付きと変わってくることもありますので、そこの住まいもきちんと加えるということと、介護現場でやっている中でどんなにサービスが多くなっても、そこで働く人たちの質が最終的には問われるわけです。これをここの中に入れられるかどうかは別としても、どうしても意見としては話をしておきたいなと思いましたので、その介護の質といいますか、そこのところは是非可能であれば、入れていただきたいと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他、御意見はございますでしょうか。三上構成員、お願いいたします。

○三上構成員 地域包括ケアシステムについてですが、7ページに「認知症の経過や状態像に応じた診療と生活のアドバイス」ということで、「地域包括ケアシステムの中で、その医療面での支援を通じて」と書いてありますし、12ページの「(マル1)医療・介護双方の理解の向上」の中では、認知症疾患医療センター、地域包括支援センター、介護サービス事業者、介護支援専門員、かかりつけ医、認知症サポート医など、様々な要素が書き込まれていますけれども、地域包括ケアについて考えますと、社会保障改革に関する集中検討会議で提出された図があるわけですが、この中の包括的マネジメントという中には、地域包括支援センターとケアマネジャーともう一つは在宅医療連携拠点機能ということで、かかりつけ医等が位置づけられていて、それを基本的にはコーディネートする役がいるということです。ここでは様々な要素が書かれておりますが、誰もコーディネートしないと動きませんので、イメージとしては地域の医師会等がこういったところに入って、コーディネートの役をすること、医療機関や介護施設との連携をすることが必要だと考えます。
 そうでないと、地域包括支援センターも居宅介護支援事業所にも医師はいませんし、医療のことをわかった人たちがコーディネートするということで、是非この部分に地域医師会がそういった役を果たすことが望まれるというような文言を付け加えていただくとありがたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他に御意見はございますでしょうか。松浦構成員、お願いいたします。

○松浦構成員 受け手の方の介護現場の方から考えますと、介護の質はまだばらつきがあると思っています。介護保険の方でもかなり人材育成の方には力を入れておりますが、介護人材の入れ替わりが激しいという現実もございまして、なかなかケアの質を担保するまでの域には達していないのが現状だと思います。ですので、医療と介護の連携をスムーズに行くためにも、その辺のところには是非介護の方にも力を注いでいただけるようになるといいと考えます。
 長年、認知症介護に関わってきている者としての意見ですが、やはり認知症は病気でございますので、医療的な観点できちんと見て、介護と連携をしていくというのは不可欠でございまして、介護現場で非常に追い詰められてしまったときに、先生方の背中を押してくれる言葉があったり、そういうことが非常に現場のモチベーションを高めていると日々経験しております。経験則の中だけの介護ですと、どうしても煮詰まってしまうんです。私は今回の連携、入院に至るまでの様々な条件なども出てきていますので、これは非常にいい結果が見えてきているなと思います。
 先ほどの精神病床の入院の数を減らすというような意見もありましたが、私はこれからは若年性認知症の人の数も非常に増えていくと思いますので、あまり数にこだわらずに、きちんと入院の条件が今回は示されておりますので、その内容に沿って入院が当然されるでしょうから、あまりその入口のところで数を縛る必要はないのではないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他に御意見はございますでしょうか。長野構成員、お願いいたします。

○長野構成員 議論をしても議論をしても湧いてくるなという印象で、いっぱい浮かんできて困っているんですけれども、1つ細かなところから行くと、対診の問題をきちんと書いてくださっているんですが、この前の診療報酬改定で本当に動きにくくなっていますので、今度の診療報酬改定でこの対診がうまくいかないと、総合病院だけでしか連携が取れないということで、私たちが言っている対診も実際はほとんど補償ができないので、医師会の関係の先生方と相談をして、アドバイスをして、その先生の責任で処方をしてもらうとか、そんなことにならざるを得ないものがかなり出てきているので、ここは是非活性化できるような施策を具体的に更にしていっていただきたいなというところがあります。
 気づいていなかったんですけれども、16ページですが、何回か前の検討会と繰り返しの発言になるんですが、認知症治療病棟に入院した患者さんの目標値です。そこは不必要な入院はさせないということもコンセンサスを得ていると思いますし、その上で短期に入院していただくことは明示されているんですけれども、精神科医療の世界でやはり世間で合って、いろいろな方が危惧をしているのは、実際にまた一般病棟、急性期病棟に処遇をされている方々の問題は、避けて通れないだろうと思います。
 今回は早く退院をしていただくということを書きながら、その入院の中身に関しては議論が全く及ばなかったのだろうと思うんです。精神科の入院の認知症の方の問題としては、環境の問題、マンパワーの問題、精神保健福祉法上で合法的に身体拘束隔離がきちんと行われると言う問題であり、利点なのかどうかわかりませんが、そういう状況が精神科の認知症の方の入院でかなりネックになっているものだろうと思います。
 今後その精神科のごく一定数、やむを得ず必要な方がいらっしゃることは、まだ地域が本当に整わない限り、認知症がもっと解明されない限りないかもしれないんですけれども、その精神科医療の入院の質に関して、引き続き議論をしていくということは、どこか1行明示をしておかないと、今の受け入れている物すごくしっかりやられている先生方も勿論いらっしゃるけれども、そうではない、本当に隔離、拘束が中心の認知症の受入れとなっている精神科病院があるのも事実だろうと思いますので、その入院の質に関して引き続き議論が必要だと、改善が必要だということに関しては、一言入れられないかなと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 大変重要な御指摘だったかと思います。
 その他にございますでしょうか。広田構成員、お願いいたします。

○広田構成員 今ここでずっとお話ししている話は老健局の介護保険の福祉の話を聞いているようで、老健局は覚悟をしておいていただきたいということですね。これはここでペーパーだけで私たちが気持ちよくなって、河岸さんとか柴田さんとか松浦さんにお会いすると、本当に精神の世界の女性と違っていて質を上げようとか、先日、横浜市南区役所に電話をして、いわゆる認知症の家族の会があるということで、厚労省の検討会の委員として見学させてくださいと言ったら、プライバシーがあるから来られては困ると言うんです。そこの中でのお話はプライバシーだけれども、認知症は現に歩き回っているわけですからプライバシーも何もなくて、地域住民のみんなが逆に認知しなければいけないわけですか。でも、ごちゃごちゃ言うから、「私は行くわよ」と言って、行ったら、「広田さんお待ちしていました」となって、みなさん本当に素敵な御家族で、河岸さんお一人でなくて、私は感動したんです。精神障害者の家族とこんなに違うのという。「妻のにおいは気になりませんでした」という御主人に会って、「絶対に在宅から施設に入れさせたくないんです。でも、私の生活は何とか自分を保っています」という素敵な人にも会って、「素敵でした」と思わずこの辛口の私が言ったんです。
 そういう中で、渕野先生も素敵な方なんだけれど、精神科医療の果たす役割「は」にこだわり過ぎるんです。精神医療の話ですよと言っても、これだけ老健局の福祉の話をしているわけだから、ここで「も」にしておけばいいと思います。このこだわりが「日精協は」と陰で言われるんです。私はそういう意味も含めて、「も」がいい。日精協のためにも「も」がいい。国民のためにもいい。厚生労働省の事務局も日精協に屈したかと思われるから、そのためにも「も」がいいと思うんです。
 本当に認知症の家族の方が是非将来、精神障害者の家族会みたいに、愚痴と運動的にならないで、あのまま南区の素敵な人たちが続いてくださればいいなということと、私はお話し相手ボラに行ったときに、親しい人が私の前に座って食事をしながら、「広田さんもここに来る方がいいよ」と言ったんです。私は「ありがとう」と言って、将来精神障害者の施設を使わずに介護保険に行こうと思いました。職員も高齢者さんも明るいですからね。
 そうしましたら、そこにいた高齢者さんが言っていました。「だめよ、この人は若いから資格がないから」。そういう形で、何でもかんでも「若いから」と言ってくれたり楽しいんですけれど、是非これからも楽しい高齢者の世界をキープして、日本がどうなろうと、何もかも税金で賄うのではなくて、家族もやれることはやって、私たちは私たちの生き方をして、自助、地域住民の支え合いというものがあって公の制度だと思いますから、高橋企画官、覚悟をもって一言、皆さんの期待に応えて、老健局は逃げないよということでお願いします。

○高橋老健局企画官 ありがとうございます。
 本当に受け皿が整備できるのかどうか、御意見をいただきましたけれども、今回この報告書の中でも第6期の介護保険事業計画でニーズ量を把握するときには、今は精神科病院に入っていらっしゃるような人についても、その退院数の見込みも含めて、介護サービスの基盤整備の量を見込んで、そのニーズ量を踏まえた上で計画的に整備を実施していくということをはっきり書いてあります。そういう意味では、決して逃げているということではございませんで、老健局としてはしっかり受け皿をつくっていきたいと思っております。

○福田精神・障害保健課長 方向性として出ているもの。それから、今、議論中であって参考になりそうなもの。そういうことも含めて今日の御意見で、どこまで書けるかというところをここだけで全部決められるものでもございませんけれども、かなり前向きにとらえていただいていると私どもも期待しているということで、文章の書き方についてはいずれにしても一度内部で調整をして、更にまたもう一度皆さんに見てもらうという形でのプロセスを経ますので、そういうことで今日のところは引き続き御意見を更にいただければありがたいと思います。
 野村構成員、その後に松浦構成員、お願いいたします。

○野村構成員 先ほど長野先生から入院医療の質について、隔離、拘束をなるべくしないようにとありますが、精神医療審査会とのつながりで入院患者さんの権利について、どのように保障していくのかという辺りは、何も触れなくていいのかなという気がいたしましたので、手を挙げました。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 大変重要な御指摘だと思います。実際にこの検討チームの中でも幾つかチームが分かれておりますので、そういう中で長野構成員の御指摘でございますとか、野村構成員の御指摘といった点も含めて、適切に対応していくということを考えております。
 松浦構成員、お願いいたします。

○松浦構成員 認知症疾患治療病棟での質のことですが、クリティカルパスの中に治療のプロセスが明らかになるような方法も1つだと思うんです。入院して退院に至るまでの治療計画が書かれるわけですから、そこの中に実際に具体的にどのようなケア。または拘束も含めて、そういう内容が行われたということが明記されますと、必然的に質の評価もできますし、受け手側としても、どのようなプロセスの中で症状が軽快してきたのかということもよりわかりますので、このクリティカルパスの中身を調整するといいのかなと思いました。
 もう一点、9ページのBPSDを発生させないような対処法についてと書いてあるんですけれども、BPSDというのは認知症を患った人が示す行動や心理症状なので、それを私は最初から封じ込めてしまうということよりも、起きてくる生活障害とか認知症の人が示す症状を受け止めながら、それに対応していく。対処ではなくて、対応していくというニュアンスの方がいいように思ったんです。認知症はタイプによっても認知症の人それぞれ人柄とかその人の今までの生き様とかの影響もあって、BPSDの出方は非常に幅広いんです。
ですから、最初からそれを発生させないということは、現実的に難しいことなのかなとも思いました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 いかに生活の中で生活ができるような形での対応をどうつくっていくかという御趣旨だと思いますので、ここら辺は専門の方の話し合いつつも、今の趣旨もとらえた形で表現もう少し工夫をできたらいいのかと思います。
 岡崎構成員、どうぞ。

○岡崎構成員 これは後で文言が挿入されたので、確かに唐突な感じがします。9ページと11ページの2か所に「BPSDを発生させないような対処」とあると思います。この文章だけ読むと、よくわからないと思いますので、BPSDがどういうものかの簡単な解説と、BPSDが認知症を患った方が置かれた物理的あるいは心理的な環境に反応して生ずる、こういった症状というふうに性格を理解して、従って、全てではないけれども、その方の置かれた物理的あるいは心理的な環境を適切なものにしていければ、それが発生しないでも済むということもあるんだということをはっきりさせて、どういった環境がよいかを明記できれば非常にいいなと思います。
 先ほど長野構成員から言われた、入院医療の質の問題もそれと関連があって、なぜ精神科の病院に入院させることは、あまりよろしくないのではないかと考えるかというと、認知症の方にとっての環境は通常の精神科の治療環境とは違ったものが必要で、認知症の方への接し方も含めて、認知症の方にでないままで、入院医療をやるといけないということも言われているわけだと思いますので、入院医療の質の問題は十分に議論はしておりませんけれども、今後の課題あるいは研究上の課題でもあるんですが、重要な問題だということを是非1行でもいいから書いていただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 河崎構成員、お願いいたします。

○河崎構成員 広田さんからまたこだわり過ぎだと言われるかもしれませんが、16ページの目標値設定の基本的考え方の文章ですが、これは何度読んでも(マル1)と(マル2)の内容が今回のラウンドでの基本的な考え方としての一番の骨子のところだろうと思います。ですので、やはりここの部分は先ほど課長が、我々構成員はいろいろな意見を共有しているとおっしゃっていただきましたが、この部分をしっかりと共有すれば、必要な精神科医療を提供するということに尽きるんだろうと思います。ですので、あまり認知症の方に対する精神科病院への入院医療の是か非かということを議論する場ではないと。勿論、必要なときに必要な医療を提供するという意味では、入院医療が悪であるというようなことは問題ではないかと思います。
 もう一点、実は4ページの「1 基本的な考え方」の上の段のところで、今回、認知症疾患の医療センターの機能と役割を踏まえた整備目標という表現がございますが、あまり今回のラウンドで認知症疾患、医療センターの整備目標については、あまり議論がなかったのではないか。確かに本文には6ページの中段辺りの「150ヵ所では不十分であるとの意見」云々、確かにこの議論はありましたが、国の目標値としての150か所をどの辺りまで整備目標として設定するのかというところまでの議論はあまりなされなかったと記憶をしています
 ですので、7ページの括弧書きの中の一番下の「認知症の医療体制に関する厚生労働科学研究」がここに一応引用はされているんですが、この数値が整備目標だと取られてしまうおそれはないのかなと少し心配するんですが、この辺りは事務局のまとめの方としては、いかがでございましょうか。150か所が国の整備目標でございますけれども、これを例えば300か所くらいに増やそうという議論もあまりなされなかったですし、この辺りの整理の仕方をどう理解すればいいのかなと思っております。

○中谷課長補佐 その点ですが、確かに具体的な数字ということではあまり議論がなかったんですが、6ページの上から5行目「認知症疾患医療センターについては」とありますが、その次の行で「身近なところに認知症の専門の経験を有する医師等を配置する認知症疾患医療センターが必要であり」というニュアンスからすると、150か所では身近なところに全て整備するのは難しいだろうということで、もう少し増やすべきだろうという意見として、この本文の中に書かせていただいているということでございます。

○河崎構成員 そうしますと、この参考のところに書いているのは、一つの研究結果として、こういうことも報告がなされているという意味合いのことでよろしいですか。

○中谷課長補佐 はい。

○河崎構成員 わかりました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 他に御意見、御質問はございますか。渕野構成員、お願いいたします。

○渕野構成員 BPSDのところで、11ページと何ページかにありました「発生させない」という文言のことですが、やはり「させない」という否定的なことではなくて、いわゆるBPSDへの対処法というやわらかい言い方にしていただくだけでもわかるかと思いますので、少し優しい言い方に変えていただければと思います。
 10ページの身体合併症ですけれども、我々は認知症治療病棟において50%の退院ということで、2か月という数字が出てきますと、非常に認知症の治療病棟は急性期の考え方でやっていくようになるかと思います。そうしますと、先ほどの入院の質のところがありましたが、当然、我々は急性期的な対応をしていくのであれば、退院に向けたクリティカルパスはきちんと整えるはずです。我々は今そういうことをやっておりますので、どういう治療をやって、どういうふうに経過を追っているかは、御家族の人と非常にきめ細かくやっていく。そして、退院に向けて支援をしていく。
 それでいつも私は受け皿ということを言うんですけれども、先ほど来、介護の方でも受け皿の数値の目標値が出てきてくれると、非常に我々は助かるわけでして、それがあれば我々も早く退院の方向に向けて進めるなと。クリティカルパスも出せるなというふうに思っております。
 この10ページのいわゆる身体合併のことですが、当然、退院ができない方も発生はするはずです。身体合併の重い方は絶対にいらっしゃるわけで、何が何でも全部出すんだということではなくて、入院医療、いわゆる身体的な問題も含め、必要な方は当然継続した治療が起こってくる。ここで私がいつも思うのは、総合病院精神科と精神科病院の役割があるんですが、これは認知症疾患医療センターができたときに基幹型というのができて、総合病院に身体を見ていただいて、民間はBPSDという形の区分けをしたように私は感じているんですけれども、この必要性はあまりないということは今回わかったと思います。いわゆる一般の内科の病院、外科の病院でかなりこれを補ってもらっていて、骨折等、肺炎等、いろいろなものを診ていただいて、そして、また帰していただくという、必ず我々が引き受けるという条件付きでいつも出していますけれども、必ず受け取ってくれるし、帰してくれる。
 ですから、その総合病院でなければいけない理由は、どこにも見出せないんです。この文言はセンターの話からの延長線上にあるんだと思うんですけれども、確かに河崎先生が言うように、認知症疾患センターそのものの議論が今回なかった。150がいいのかという問題ですけれども、150というのは、いわゆる人口30万当たり65歳以上の人口が今、3,000万人でしょう。そうしますと、ちょうど150。
 けれども、これが10年後、20年後に増えていきますと、400か所、500か所必要になってくる。本当につくる意思があるのかということまで考えて、医療というのも我々はやっていかないと、その辺をもう少し疑問に思いながら、これを読みました。この総合病院精神科と精神科病院の役割という言葉に多少引っかかりがずっとあるんですけれども、この辺はどうなんでしょうかということを質問したいです。

○中谷課長補佐 御指摘の10ページ目の(マル1)の部分かと思いますが、確かに身体疾患を合併する場合の主に急性期の身体疾患を受ける場合の受け皿として、総合病院精神科という形で、それを踏まえて基幹型の認知症疾患医療センター整備事業という体系になっているので、先生の御指摘どおり、そういう状況からこういう形で記載させていただいたということで考えておりますが、確かに十分に救急あるいは身体疾患を診られる医療機関と連携をしておればということはあると思いますが、現状の運営事業がそうなっているということで書かせていただいているので、少し御意見を踏まえて考えたいと思います。

○渕野構成員 要はこういうふうに書くと、認知症疾患医療センターを感じるわけですけれども、地域では救急病院さんなどがしっかり診ていただいたりしておりますので、これを無理に書く必要はなくて、そういうことを一般科の先生が診てくれるところであれば、私はいいと思います。敢えてこう書かれると、総合病院の精神科でないといけないとか、リエゾンとかがあるんですけれども、そこまで言う必要はないようにも思いますが、意見ということです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 このところは結局、より一般的な身体合併の部分とより専門性の高いものとの、どこでどう診るみたいなところを書いた文脈の中で、総合病院の精神科の方にはいろいろな科がそろっているはずだからということがあるんですが、実際はそうではないところもあるので、そこも含めて、よりわかりやすい形での調整をしたいと思っています。
 その他、御意見はございますでしょうか。東構成員、お願いいたします。

○東構成員 大変しつこいようですが、17ページの2か月という文言がマスコミの方等々にも大きな影響を与えて、本当に退院を無理やりさせられる、行くところがないというような状況が生まれないかなというのを大変危惧しております。そこで先ほど御発言がありました高橋老健局企画官、行政の代表として構成員でいらっしゃる石田さん、勿論お二人ともおわかりとは思いますが、ついつい第6期介護保険事業計画、地方行政のそういう計画を見ていますと、例えば特養を幾つつくるとか、そういう議論にはならないだろうと期待はしておりますが、17ページの下から4行目「精神科病院から退院する認知症患者の数を把握する方法」、これは先ほど石田さんがおっしゃったことと一致すると思いますけれども、「必要なサービス量」と書いてあるんです。私は必要なサービスの量ではなくて、これは質だと思うんです。家では見れない、特養には入れない、何とかしろ。では、特養を増やすのか。こういう議論になるんですけれども、これはサービスの量ではなくて、サービスの質を議論すべき時代に来ているのであって、ハコモノをいっぱいつくったってしようがないわけで、いかに在宅で認知症の方だけではないんですけれども、要介護状態の方が生活していくためには、どのようなサービスの質が必要なのかをきちんと老健局の方は特に議論をして、こういう介護保険事業計画を立てていただくことを私の方から希望したいと思います。

○福田精神・障害保健課長 貴重な御意見をありがとうございました。
 その他にございますでしょうか。1時間半を少し過ぎておりますけれども、2~3の意見がまだはっきりしない部分があります
まず1つは18ページのところで、「は」か「も」かという話です。「は」というと、この部分のところは地域への精神科の貢献みたいな分脈になっていますので、精神科もちゃんと地域でやってくださいねということを敢えて強調したという意味に取れますし、勿論そのチームのパートナーとしては皆一緒ということで、「も」と。どちらもそれぞれ解釈のしようはあるなと思うわけですけれども、「は」とか「も」は宙ぶらりにしておくと後が大変なものですから、可能ならばもう少し御意見をいただいた上で、引き取らせていただければと思いますが、もう少しございますでしょうか。
 柴田構成員、どうぞ。

○柴田構成員 この地域包括ケアが言っていることというのは、医療連携、介護連携ではなくて、様々な地域も含めた全体がどう支え合っていくかということだと思います。非常に抽象的だと先ほど意見が出ましたけれども、様々なサービスが切れ目なく提供されるという表現は非常に抽象的ではありますが、ここは連携をしながら、その一人ひとりにとって必要な時間帯、必要な状況にサービスを入れ込んでいくということですので、やはり私はチームということで、おっしゃってくださったような「も」の方が、地域の方、一般の方々がわかりやすいのかなと思いました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 精神科医療もチームの一員として、仲間として期待されている機能をきちんと果たしてほしいという意味では、「も」の方がふさわしいという御意見でございますが、その他にございますでしょうか。
 そろそろ御意見としては出尽くしていると思いますので、もう一点ほどあると思いますが、そこのところだけ調整をさせていただいて、後は事務局で引き取らせていただければと思います。
 では、「は」という気持ちも尊重しながら、「も」というところで、全体はまさに、もともとこの出発点は渕野構成員が最初におっしゃられたように、精神科医療の果たすことをちゃんと果たしてくれという、それは何なのかということを明確にするということで、そういう意味では「は」なんです。
 ただ、この議論をしていく中では、やはり地域の中でみんながやっていくと。そこでそれぞれ持っている能力を発揮していただくことが期待されている部分ということで、「は」でありながら「も」というところで、最後にもう一回調整しますけれども、これ以上はこの場ではお互いにありますでしょうから、大体御意見としては承ったということで最後にもう一回、事務局で調整をさせていただければと思います。
 もう一点、ここもなかなか難しいところかと思いますが、関係者で御意見、気持ちは一緒だけれども、あとは表現をどうするか。16ページの「(2)目標値設定の基本的考え方」のところでございます。これも行政の文章としては、ある意味では非常に精査をして、いろいろと書き込むと逆に誤解を招く部分もあるので、そこのところでこういう表現になっていますが、一方ではこれを普通の人が見たときに、本当にその趣旨までわかるのかというところでの御意見があったかと思います。
 どちらもある意味ではそのとおりという部分があるので、私ども事務局だけでは全部引き取って書き切れないので、もう少しここに関連して御意見をいただいて、そこを踏まえて事務局の方でまとめの文章の案をつくらせていただいて、皆さんに別途お諮りをするという形で進めさせていただければと思いますので、ここの件に関連して御意見はございますでしょうか。出尽くしたと言えば、ほとんどの方がおっしゃっているのであれですが、入念的にもしございましたら、お願いで切ればと思います。
 河崎構成員、お願いいたします。

○河崎構成員 私はここの文章は、今、課長が普通の人と表現をなされましたが、一般の方が読んで、精神科医療は認知症の患者さんに対して入院を前提と考えるのではなくて、必要なときに必要な精神科医療を提供して、速やかに退院を促進するということをそのままはっきり書いている文章かなと思います。
 ですので、この文章から何か誤解が生じるとか、あるいは先ほどから何人かの構成員の方が発言なされていたような内容がここから生じてくるというようなことは、私はないなと思っております。何度も同じ意見を言っております。

○福田精神・障害保健課長 その他に御意見はございますでしょうか。
 野村構成員、お願いいたします。

○野村構成員 日本全国の皆様が、医療も福祉も含めて、この文章のとおりにお考えいただければ、全く問題はございません。しかし、現実にはなかなかはかどらない、地域でのサービスもできるのが遅いでしょうし、医療改革もそれほど急速には進まないでしょうから、うっかりすると認知症の方が増えていく方の勢いだけが断トツに勢いが激しくて、それに対応できない状況の中で、あれよあれよという間に入院の方が増えてしまって、質も担保されないままで大変な事態にならないかなという心配をしておりまして、もっと真剣に地域の受け皿を整えなければいけないということを考えていただきたいがために、あまり入院に頼らないでくださいねということを厳しく言いたいという気持ちから、先ほどの発言をいたしました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 そうすると、質の話と受け皿の議論をもう少し書き込めと、膨らませよという話がございましたので、そこの部分との見合いの中で変な解釈が起きないように、安心して素直に読めるような内容に再度修文をするということで、ここの目標の部分のところの大前提は、基本的にはあまり大きく変更はしないという御意見だったかと思います。
 その他にございますでしょうか。広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 その後に来るのかわからないんですけれど、野村さんが「減少する」とか言ったことを「させたい」と入れてほしいと言ったのは、認知症以外の精神科の社会的入院は、私は国の隔離収容制度だとずっと思ってきたんですけれど、マスコミがライシャワー事件をあおって、いつの時代もマスコミは、危険なものは収容しろという論調ですね。それで日本社会が生んだ社会的入院と最近言い出しているんです。
 そういうふうに考えたときに、昨日も公立病院の院長と話していましたが、公立民間を問わず家族が引き取らない。昔も今もある一面では。そういうことを考えたときに、高橋さんに言ったって、あなただっていつまで老健局の人かどうかわからないから、厚労省のキャリアもうつになる時代ですから、そういうことを考えると、野村さんが言ったとおり、私もお金を付けて何かをつくるというだけではなくて、その後で岡田さんに言いますよと言ったのは、いろいろな交番や警察や町を歩いていると、認知症の人が本当に多くて、警察官が困ってしまって、私が一緒に付いていってみると、家のかぎが開けられなくなってしまって、「家の中に犬がいて、人がいる」ということになって、これは孤独という名の認知症だと思うんです。
 そういったときに、ただ単に厚生労働省老健局や精神・障害保健課ではなくて、いわゆる国土交通省を巻き込むくらいの勢いでやらないと。少子高齢化の中の高齢者が増えていって、老老介護がもたない。「家族が見れないという状態のときに、若い人がお巡りさんとか救急救命士とか消防士とか健康な人が高齢者と一緒に住めば何とかなるのよ」と言ったら、お巡りさんが「あの人は家が近過ぎる」と言ったんですけれど、そのくらいの抜本的な、いわゆる社会的な改革をしないと、ただ単に受け皿をつくり続けるというだけでもだめなんですね。
 受け皿だけではなくて、社会整備ですね。豊かな地域社会、地域の愛とか家族の愛。そういうことも含めてやらないと、第二の精神疾患の本体の社会的入院と同じような、今、私が素敵な認知症の家族ねと言っている人が持ち堪えられない時代が来てしまう。そういうことも含めて、松浦さんは尊敬はしているけれども、若年性も増えるからと言ったときに、どうやったら増やさないんだということも含めて考えていって、減少させたいという思いを入れたいということです。

○福田精神・障害保健課長 わかりました。趣旨として、非常に気持ちのこもった中身だったかと思います。
 では、先に岡崎構成員、その後、渕野構成員、お願いいたします。

○岡崎構成員 先ほどの繰り返しでもあるんですけれども、目標値に退院だけの目標では片手落ちかと思います。退院の目標が掲げられることは結構なことですが、医療の効率というか、適切な資源の配分ということも考えて検討すべきだと思いますので、認知症の方の適切な医療を施すという点からも、入院医療を行う場合に対象を厳密に考える。先ほどBPSDに関して申し上げましたけれども、BPSDだけで考えるのではなくて、他害の問題とか自傷とか、そういった基準をきちんと踏まえて入院を考えるべきだということ。
 したがって、そういったことと、先ほど来出ている生活の支援の諸施設の充実によって、入院率の減少を目指すとか、そういったことは議論は不十分でしたけれども、それも目標とするということを短くてもいいから入れていただければと思っています。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 渕野構成員、お願いいたします。

○渕野構成員 今、発言がありましたけれども、私はそこまでは必要ないと感じております。16ページですけれども、「入院する患者さんに対しては」という文言は、一般の人が見れば、入院が必要な人に対してはとスムーズに受け取ってくれるだろうし、入院しない人もいっぱいいるんだなということもわかっていただけるということを考えれば、この文言は一番適していると思います。
 逆に、ただ減少だということになりますと、幾らなんだとか、どのくらいなんだとか、いろいろなことを考えていかなければいけなくなりますので、今回の段階ではこの文言で私はよろしいかと思っております。
 しつこいようで悪いのですが、18ページの「も」とか「は」ですけれども、いっそのこと、医療との連携強化は重要な柱の一つであるということで締めくくっていただいた方が、精神科医療の果たす役割とか精神科医療も果たす役割ということで議論されるぐらいであれば、医療との連携強化は重要な柱の一つであるということですっきりするのではないかと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 長野構成員、お願いいたします。

○長野構成員 大話ですけれども、前回も発言したのでしつこいですが、広田さんが言った社会全体のというところがとても大切だと思っていて、今回は厚労省の障害福祉部と老健局がと書き切ってくださったのはとてもありがたいなと思っているんですが、今後に向けての最後の一文がパラダイムシフトが必要だと思っていて、認知症の方を地域で見守っていけると。今までの病気とか疾病を福祉と医療と地域で見守ろうという発想では、国民の全体の5%が認知症の方になろうかというときに、医療福祉では絶対に支え切れないだろうと思っていて、それが目の前に来ている。
 認知症の方は、例えば統合失調症の方だと24時間べったり付いていなければいけない方はごくごくわずかだと思うのですが、認知症の方は随分の方がずっと付きっきりで介護が何らかの形で必要となってきます。そうすると、私たちの町で30%を超えてくると、何が起きているかというと、それに家族がもう働けなくなってくるので、例えば5%の方に家族が2人ずつ付いて、15%の方が経済的にも動けない状況になってくるんです。
 この検討会からそんなことが提言できるかどうかは分からないんですけれども、軽い間は経済活動も含めた担い手となっていただかないと無理だろうと思いますし、恐らく省庁で言うと、農水省も総務省も経産省も国土交通省も、全て国家的な課題として早く取り組み始めないと、例えば世界のヨーロッパにしても北欧にしてもどこにしても、そこを真似ていたのでは、日本はどこの国よりも認知症の方がはるかにたくさんいらっしゃるわけなので、医療とか福祉の論調ではどうしても間に合うような気がしないんです。
 認知症の方と生きていくというか、そういう国づくりみたいなところで、認知症の方はこういうことだから、みんなで理解して見守っていきましょうという考え方だけでは支え切れなくなって、すぐにパンクをしてしまう心配をしていて、最後に国民的課題で全体で取り組んでいかなければいけないんだというところが1行書き込めないかと。書いたからどうだということではないかもしれないんですが、とてもそういう危惧をしています。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
柴田構成員、お願いいたします。

○柴田構成員 今、長野委員がおっしゃった中から比べると、非常に小さなところかもしれませんけれども、先ほど、質とか受け皿ということを16ページを基にしながら話が出ましたが、現状を介護事業所さんは、いわゆる国が言う3対1レベルというのがまだ非常に強く残っているように思うんです。認知症の持つ方々を支えていくためには、3対1では絶対やり切れない。だから、みんな限界に来てしまうわけです。
 そこのところは国の方でもお金がない状況で、どうするかというのはありますけれども、地域の中で支えるのであれば、地域の様々な社会資源を活用しながらも、介護の中ではもう少し柔軟な人材を事業所の中に入れながらやれる体制づくりをしていかないと、職員がもたなくなってくるというのはあると思います。そこのところを今後、この障害保健福祉部と老健局のところでどう入れ込んでいくのかも是非、小さな柱で結構ですけれども、柱に入れていただけるといいなと。それが介護職員も含めて、家族本人の安心にもつながってくるのかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 三上構成員、お願いいたします。

○三上構成員 確かに医療や介護だけで認知症の方を見ていくというのは難しいと思いますけれども、地域包括ケアシステムはいわゆるコミュニティ区を分けて、在宅限界を上げていくことが基本になっていますので、地域包括ケアシステムを実現することで、全体のことは包含されるのだろうと考えます。
 もう一つ、目標値の設定についてですが、今までのお話を聞いていますと、認知症に対する精神科医療そのものがだめだと言っておられるわけではなくて、いわゆる安易に入院が継続することに対して危惧されているということですから、目標設定については、退院ができて在宅に行ける、地域で見れるような地域での介護やコミュニティの整備目標を立てることが大事であり、精神病床を幾ら減らすと言っても、問題の解決にはならないのではないでしょうか。基本的には、受け皿の方の整備目標こそが大事なのではないかと、今の議論を聞いていて感じました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他に御意見はございますでしょうか。残り時間が大体5分くらいでありまして、受け皿と退院目標の話はずっと議論としては繰り返されてきていて、受け皿を促進する意味でも医療はどこまでやって、そこから先は受け皿の方に委ねるべき。そういった整備を促進するという意味でも、目標というものはあるべきということでの御議論であったかと思います。その意味では、裏腹の部分はあるわけですけれども、目標はきちんと設定をした上で、それに向かっての進捗状況の管理も含めて、御意見があり、文章の中にも取り込ませていただいておりますので、そういった中での報告の内容になっていると思います。
 目標設定の部分については、まだ若干、表現上ということなので、考え方の上では基本的にはほぼ一緒になっているのかなと思っています。ただ、入念的な部分とか十分に議論をできていない部分。それから、世の中においてコンセンサスができているのかいないのかというような部分のところにも、ある意味では御提言、御意見があったわけでありますので、そういった点については、また御意見をいただいた方ともう少し意見交換をさせていただいて、最終的な文案を整理をした上で、今日、構成員の皆様方全員にその案をお送りして、御了解をいただいた上で最終案という形で進めたいと思っております。
 文章の方も平仄等をもう少し見ていかないといけないので、変更をしていった場合の全体のバランスなども含めて、また事務局の方で今日いただいた御意見を踏まえて整理をしたものを各構成員の皆様方にフィードバックさせていただきますので、会として持つのはこの部分については今回が最終回ということでございますけれども、そういう形で事務局の方にお任せいただいた上でやり取りをさせていただいて、公表するという形で段どりとしては進めたいと思っております。
 広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 三上委員とは社保審のときから対峙しているんですけれども、確かに日本社会のひずみで生まれた社会的入院だけれども、病床ができてしまったから患者がそこにとどまっている事実もあるということを多くの精神病院の経営者が言っている事実はありますから、そこのところの歯止めはかけたいと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、報告書のまとめの段どりにつきましては、私の方で今、御説明を申し上げたような形で進めさせていただければと思いますが、差し支えないでしょうか。
(「はい」と声あり)

○福田精神・障害保健課長 では、そのような形で進めさせていただければと思います。
 本日も構成員の皆様方、大変お忙しい中を長時間にわたり、また熱心な御意見をいただきまして、ありがとうございます。これだけ率直な意見交換ができたというものを次に生かしていかないといけないと思っておりますので、ここにとどまることなく、また引き続き御支援、御指導をいただければと思っております。
 構成員の皆様方には御多忙中のところを昨年9月から15回にわたり有意義な検討をいただき、誠にありがとうございました。
 以上をもって閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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