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2011年12月9日 第1回 看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関する検討会

医政局看護課

○日時

日 時:平成23年12月9日(金)17:00~19:00


○場所

場 所:厚生労働省専用第18~20会議室(17階)


○出席者

小川忍委員 (日本看護協会常任理事)
奥島美夏委員 (天理大学国際学部地域文化学科准教授)
加納繁照委員 (日本医療法人協会副会長)
熊谷雅美委員 (済生会横浜市東部病院副委員長・看護部長)
讃井暢子委員 (日本経済団体連合会常務理事)
戸塚規子委員 (京都橘大学看護学部教授)
中山洋子委員 (福島県立医科大学看護学部教授)
花井圭子委員 (日本労働組合総連合会総合政策局長)
藤川謙二委員 (日本医師会常任理事)
山崎學委員 (日本精神科病院協会会長)
林正健二委員 (山梨県立大学看護学部教授)
渡辺俊介委員 (国際医療福祉大学大学院教授)

○議題

1)経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の看護師国家試験受験の現状について
2)関係団体からのヒアンリグについて
3)その他

○議事

○河原課長補佐
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 座長選出までの間、司会進行を務めさせていただきます厚生労働省医政局看護課の河原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は医政局長の大谷も出席させていただく予定でございますが、少々遅れますので御了承ください。
 まず、看護課長の岩澤より本検討会の委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
○岩澤看護課長
 こんばんは。看護課長の岩澤でございます。私から委員の先生方の紹介をさせていただきます。この検討会はさまざまな分野の先生方にお集まりをいただいておりますので、恐縮ですがお名前を紹介させていただいた際に一言ずつごあいさつをいただければ幸いです。
 「あいうえお」順で紹介いたします。
 本日欠席でいらっしゃいますが、九州大学大学院医学研究員医療経営管理学講座教授の尾形裕也委員です。
 次に日本看護協会常任理事の小川忍委員です。
○小川委員
 日本看護協会の小川でございます。どうぞよろしくお願いします。
 日本看護協会は国際看護師協会に加盟をしておりまして、インドネシアやフィリピンの看護協会と連携をとりながら、インドネシアやフィリピンのEPAに基づく受入れについてもいろいろと提案をさせていただいております。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 天理大学国際学部地域文化学科准教授の奥島美夏委員です。
○奥島委員
 4月より奈良に移りました奥島と申します。
 私は看護の専門ではないのですけれども、人類学からインドネシアのことを調査しておりまして、この何年かはインドネシアの方が看護、介護に就かれるので見に行ったり、いろいろ悩みの相談を受けたりということをしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 日本医療法人協会副会長の加納繁照委員です。
○加納委員
 加納でございます。
 日本医療法人協会の副会長をしておりますが、今回は山崎日精協会長とともに四病協の代表として、実際にEPAを受け入れている病院のメンバーとして参加したいと思っております。
 当院もEPAで2人のインドネシアからの方々を受入れしておりまして、1人は模擬テストでインドネシアからの中で3番というところまで行っていますので、来年ちょっと期待しているのですが、是非ともまた今日もまたいい議論になるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 本日欠席されておりますが、慶應義塾大学経済学部教授の木村福成委員がいらっしゃいます。
 済生会横浜市東部病院副委員長・看護部長の熊谷雅美委員です。
○熊谷委員
 熊谷です。よろしくお願いいたします。
 私は病院の看護管理者の立場で出席をさせていただいておりますが、当院にも2人インドネシアの方がいらっしゃいます。2期生になります。ですから、今度の2月が3回目の試験になるところです。一生懸命頑張っている状況もございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 日本経済団体連合会常務理事の讃井暢子委員です。
○讃井委員
 讃井でございます。よろしくお願いいたします。
 私は経団連で国際関係を担当しております。勿論、日本・インドネシア、あるいは日本・フィリピンとの経済関係、そしてEPAの推進ということもやっておりますし、また、経団連では規制改革の観点から、この看護師試験についての見直し等々もこれまで要望してきたところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 京都橘大学看護学部教授の戸塚規子委員です。
○戸塚委員
 戸塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私はただいま看護学部に属しておりますので、大学の立場ということだろうと思いますが、私の専門は看護管理学と国際看護学でございます。国際看護につきましては、20年ほど前から青年海外協力隊の看護師隊員の技術支援などをしておりまして、自分自身も国際協力の経験のあることから、インドネシア、フィリピンの看護については多少勉強させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 福島県立医科大学看護学部教授の中山洋子委員です。
○中山委員
 中山でございます。
 私は保助看の国家試験にはずっと関わらせていただき、昨年の看護師の国家試験における用語に関する検討会にも皆さん一緒にと検討させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 日本労働組合総連合会総合政策局長の花井圭子委員です。
○花井委員
 花井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は看護とか医療の専門家ではないのですが、労働組合として当然看護師さんたちの労働条件とともに、医療を受ける、あるいは看護を受ける立場から参加をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 日本医師会常任理事の藤川謙二委員です。
○藤川委員
 日本医師会の藤川です。
 私は日本医師会の医療関係職種担当で、保健師助産師看護師国家試験制度改善検討会にも参加させていただいております。
 やはり外国からの看護師さんを受け入れる場合に日本の医療現場が混乱しないようにコミュニケーション能力、それから、勿論看護のレベルは重要です。我々は世界医師会や西太平洋のCMAAOという医師会の連合会がありますけれども、そういうところでもこういう問題を議論しております。世界レベルで見た日本の医療のすばらしさ、レベルの高さというのは非常に高く評価されておりますので、レベルがまず落ちないようにすること、医療事故につながらないようにすること、それから、外交の友好関係でEPAとかそういうことに関して、やはり前向きには協力をしていくという立場で、両国の関係がwin‐winの関係になるようにしていかなくてはいけないということです。
 相手側の労働力を我が国の労働力不足、いわゆる医療のマンパワー不足に活用するということでは、外交関係もうまくいきませんので、やはり相手の国に将来的には返す。優秀な日本の医療の現場で学んだスタッフをインドネシア、フィリピン、将来はベトナム、インドに関しても戻すという、日本人としての人間愛にあふれた教育をして返すということは、ほかのヨーロッパやアメリカでは絶対にあり得ないことですので、そういうところは日本のよさをしっかり出せるように、我々日本医師会としての立ち位置を守っていきたいと思います。
 以上です。
○岩澤看護課長
 日本精神科病院協会会長の山崎學委員です。
○山崎委員
 日本精神科病院協会の山崎です。
 日本精神科病院協会は、民間病院を中心に約1,200の精神科病院の集合体です。日本の精神科病床の約9割の病床を民間病院が占めています。
 外国では反対に9割の病床が公的病床です。したがって、精神科病床に関しては民間9割という日本の精神科病床の状態が突出している状態になります。
 個人的には群馬県でサンピエール病院を経営しているわけですけれども、一般病床、精神病床を含めて今、520床でやっていますけれども、私のところでも初回からインドネシアから2名、それから、続いてフィリピンから2名。来年度も先日、マニラでマッチングというか面接にも行って2名採用する予定なんですけれども、なかなか病院側も一生懸命勉強させても学力がついていかないで、どうしようかと考えているので、この検討会を通じて少し勉強したいと思っていますので、よろしくお願いします。
○岩澤看護課長
 山梨県立大学看護学部教授の林正健二委員です。
○林正委員
 もともとは医師です。泌尿器科医として20年以上臨床経験をやりましたけれども、どういうわけか看護教育の方に入ってきたものです。
 看護師の国家試験の任期いっぱいの8年間、出題委員として検討しました。その点で中山先生と面識があります。
 一番私が気にしているのは、看護とはどういう仕事なのかということが、はっきり言いますと一般国民にもわかっていない。ですから、単に人数合わせをすればそれで済むのではないということをいかに皆さんに知っていただくか、そういう役割だろうと思っています。
 以上です。
○岩澤看護課長
 国際医療福祉大学大学院教授の渡辺俊介委員です。
○渡辺委員
 渡辺と申します。
 私は今は大学で教えている立場でありますが、2年前まで40年間新聞社におりまして、その大半で医療問題を取材してきました。
 ですから、この検討会ではメディアの立場というか、そういった40年間の体質は恐らく抜けないと思いますので、その立場から発言させていただくつもりであります。
 よろしくお願いします。
○岩澤看護課長
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 看護職員確保対策官の玉川でございます。
○玉川看護職員確保対策官
 玉川です。よろしくお願いいたします。
○岩澤看護課長
 看護課長補佐の河原でございます。
○河原課長補佐
 河原でございます。どうぞよろしくお願いします。
○岩澤看護課長
 次に本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。
 座長には看護教育、看護師国家試験に大変高い御見識をお持ちであり、昨年開催いたしました看護師国家試験における用語に関する有識者検討チームの座長をお務めいただきました中山委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩澤看護課長
 それでは、中山委員、座長をよろしくお願いいたします。
○中山座長
 それでは、座長の方を引き受けさせていただきます。昨年もそうでしたが、大変難しい問題なものですから、私自身もこの与えられた課題、検討会がどこに行き着くのか目途が立たないまま座長を引き受けさせていただくような状況です。
 ただ、皆さんとは本当に忌憚のない、いい討論をしまして、ここにどういう問題があるのか、どういう形で解決していけばいいのか、その辺を皆さんと十分に話し合っていければいいかと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ここから始めたいと思いますので、事務局の方に渡したいと思います。
○河原課長補佐
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、会議中の写真撮影、ビデオ撮影等は御遠慮ください。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○中山座長
 今日は始めるに当たり資料を用意していただいておりますので、事務局の方からまず資料の確認と、御説明をお願いします。
○河原課長補佐
 それでは、まず、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第に続きまして、資料1、この検討会の開催要綱というタイトルの3枚物の資料でございます。
 資料2「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の受入れと看護師国家試験の概要について」という39ページまでの資料でございます。
 資料3「関係団体からのヒアリング(案)」というタイトルの1枚紙の資料でございます。
 最後に、参考資料と題した72ページまでの資料でございます。
 以上が資料の一式でございます。資料の漏れ等ございませんでしょうか。
 資料の確認は以上でございます。
○中山座長
 資料の方はございましたでしょうか。
 まず、議事に入ります前に、この検討会の開催要項とスケジュールについて、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○河原課長補佐
 まず、お手元の資料1に基づきまして御説明をさせていただきます。
 本検討会の開催要綱でございますけれども、まず、検討会の開催趣旨について御説明させていただきます。経済連携協定、いわゆるEPAに基づく外国人看護師候補者の受入れに関しては、平成20年度から開始しておりますけれども、看護師候補者の日本語能力の不足等に伴いまして、現場でのコミュニケーションの問題も見られるほか、看護師国家試験の合格者数が少数にとどまっているという状況にございます。
 一方で、こうした状況の中で、昨年6月に閣議決定をされました成長戦略というものがございますが、この「成長戦略工程表」において2011年度、すなわち平成23年度までに実施すべき事項として「看護師・介護福祉士試験の在り方の見直し(コミュニケーション能力、母国語・英語での試験実施等の検討を含む。)」ということが記載されているところでございます。
 こうしたこともありまして、昨年度においては「看護師国家試験における用語に関する有識者検討チーム」というものを設置いたしまして、8月にその検討チームのとりまとめを公表いたしました。
 直近の平成23年2月に実施した第100回の看護師国家試験においては、このとりまとめを受け、試験の質を担保した上で、日本語を母国語としない看護師候補者にとってもわかりやすい文章となるように問題を作成し、例えば一般用語のうち難解な漢字への振り仮名を付記するですとか、あるいは疾病名に英語を併記するといった対応を図ったところでございます。
 また、EPAに基づく外国人看護師候補者の国家試験の合格者というのは、平成22年2月の第99回看護師国家試験で初めて3名が合格をし、大きく報道もされましたけれども、今年の第100回看護師国家試験においては合格者16名と増加しているところでございます。
 他方、今年度に入りまして、この平成23年6月20日の「経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士候補者の受入れ等についての基本的な方針」、これは「人の移動に関する検討グループ」といいまして、政府の中で、経済連携協定に関わる人の移動に関する関係省庁の副大臣級が集まった会議がございました。この会議において決定をした、基本的な政府の方針がありますけれども、この中においても母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用等について、国家試験制度の趣旨や患者等への影響、実現可能性等も踏まえつつ、その適否について検討を行うとされておりまして、昨年の閣議決定である成長戦略工程表も踏まえ、既に昨年行った国家試験における用語に関する検討とは別に、母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否について検討を今般行うものでございます。
 構成員につきましては、看護課長から御紹介させていただいたとおりでございます。
 本検討会の検討課題につきましては、検討会の名称どおりでございますが、看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に絞るというものでございます。
 この検討会のスケジュールの予定でございますが、2枚おめくりをいただいて、この資料の最後のページをごらんください。「スケジュール(案)」と書いてございますけれども、まず、本日第1回、12月9日については経済連携協定に基づく外国人看護師候補者の看護師国家試験受験の現状についてということで、事務局から御説明をさせていただき、御議論をいただくということが1つです。
 それから、第2回において、関係団体からのヒアリングを考えておりますので、そのことについてお諮りをするということが本日の予定でございます。
 続きまして第2回、これは来週16日の金曜日を予定しておりますけれども、関係団体からのヒアリングを行って、それを踏まえた御議論をいただくとともに、年末年始を挟んで厚生労働省ホームページを通じて広く国民へも、この問題に関して意見募集をしたいと考えておりますので、その意見募集案についてお諮りをするということを考えております。
 ここで年内は1回閉じまして、国民への意見募集を年内に開始をして、約1か月間募集をさせていただき、第3回は来年2月を目途に開催をさせていただきまして、意見募集の結果のとりまとめを報告させていただくとともに、とりまとめ案の検討の議論を行っていただきたいと思っております。
 そして、3月に第4回として本検討会の検討結果をとりまとめしていただき、公表といったことを考えております。
 資料1に関する説明は以上でございます。
○中山座長
 ありがとうございました。
 開催のこととスケジュールのことにつきまして、何か御意見、御質問等はございます。12月は立て続けで今週、来週のという開催になりますが、よろしいですか。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員
 この問題に限って国民に意見を聞くというのは、こういう手法は今後もずっととられていくわけですか。意見が分かれた場合とか、毎回国民投票みたいに国民の意見を受けるというのは大変なことですね。この問題だけ意見募集する理由が何かあれば説明をしてください。
○玉川看護職員確保対策官
 お答えいたします。
 行政機関からの意見募集については、幾つかの部局においてこれまでも行われているところでございます。
 今回、この検討会において特に行います理由は、1つはこの検討会自体の検討にも資する材料ということで、なるべく多くの情報を持っていただきたい中で、実際に医療を受けられる患者の声についても、実際にサービスを行う方がどういう方であるかについての反応ということが重要ではないかということで、直接の声ということも踏まえた上で、この検討会の御検討に資することであればいいのではないかと思っております。
 厚生労働省でもさまざまな内容の検討会が開かれておりまして、専門的、技術的な中身を決めるべきものもありますし、実際に政省令などを決める段階においてパブリック・コメントという形で、政令や省令などの規則を定めるに当たって意見を聴くようなものもございます。
 今回のところは、そうした規則を定めるというものではございませんので、この段階のところでお聞きした方が検討がスムーズにいくかということで、考えております。
○中山座長
 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員
 字句の問題で、タイトルもそうなんだけれども、検討課題でも看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否を我々は検討するとなっていますね。言葉どおり受け止めると、この母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用が適当か否かを議論するということになりますね。実際は違うのではないかという気がするんだけれども、この会は併用の適否を検討するんですか。そうではないでしょう。
○玉川看護職員確保対策官
 お答えいたします。
 併用と申しますのは、母国語・英語での試験単独では不十分ではないかということで併用が入っているものでございます。後ほどこの用語の基となった成長戦略については御説明をさせていただきますけれども、看護師の国家試験を母国語・英語で実施をすべきでないかという議論があったときに、実際に対人サービスの中で、別に日本語のある程度のコミュニケーション能力も加えてみるということであれば、母国語・英語での看護師の国家試験が可能ではないかという御議論があったようです。それで併用というものが出ているものですが、適否については併用のところだけにかかってくるのではありませんで、母国語・英語での試験の実施とコミュニケーション能力試験を実施すること。これ自体の両方の適否ということです。日本語として大変こなれていない表現で申し訳ありません。
○渡辺委員
 途中で悪いけれども、こなれていないというか、正確に言うと、別に重箱の隅をつついているのではなくて、これだと誤解を招きますよ。
 今、おっしゃったような表現に変えないと、厚生労働省としては母国語・英語での試験の適否及びコミュニケーション能力の併用の適宜ということを目的としているわけですか。
○玉川看護職員確保対策官
 結果としてはそういうことになります。そうしたことをお聞きしたいということで表現を書いてしまいました。要綱の中で不十分な表現だったかと思いますけれども、そういう解釈で以降考えていただければと思います。
○中山座長
 確認ですが、今のですと2つということになりますが、1つは母国語・英語での試験が適当かどうかということと、母国語と英語にプラス、コミュニケーション能力の試験を合わせるということも良いかどうかということと、2つということになりますか。
 私は単独での母国語と英語だけの試験というのは考えていなかったんです。母国語と英語の国家試験を実施するには当然併せて日本語のコミュニケーション能力の試験も行うと思ったんですが、そうではないということになりますか。
 座長でありながら十分でないので、そこだけ確認しておきたいです。渡辺委員の発言でそこは明確にしておきたいと思います。
○玉川看護職員確保対策官
 組合せの問題といたしましては、一応両段階あるということでございます。
 ただ、コミュニケーション能力ということが言葉として出てきた念頭には、母国語・英語とのセットでこの問題を考えたらどうだ、という問題意識の下に出てきたものでありますけれども、段階といたしましては一応ツーステップあるということです。
○中山座長
 ありがとうございます。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員
 今の話だと、母国語と英語と両方を試験するということなのか、母国語か英語かどちらかの試験をやって、それプラスコミュニケーション能力なのかということを整理してくれないと、これは母国語と英語と両方やって、それにコミュニケーション能力という話ではないんでしょう。私はそういうふうに解釈して、母国語か英語かどちらかの試験プラスコミュニケーション能力というふうに解釈してます。
○玉川看護職員確保対策官
 多分、理解しているところはそんなに変わりないんだろうと思います。母国語・英語での試験の実施というものがありまして、それに加えてコミュニケーション能力を別の国家試験の英訳とか母国語訳でない形で別途見るというものを、別途試験を付加することによって、その能力をはかることが適当か否かということです。
○山崎委員
 ですから、そうではなくて、母国語か英語かどちらかを試験するんですか、それとも、両方しなければだめなんですかと聞いているんです。
○玉川看護職員確保対策官
 前段階の話でございますね。それにつきましては、母国語・英語での試験実施というのは、母国語または英語というのもありますし、母国語での受験は適当ではないが、英語での受験を認めるかというのもあり得ます。そして、この場合にはコミュニケーション能力が課されます。日本語で試験をする方はそれだけで試験結果を見るということでございます。
○中山座長
 冒頭から幾つか誤解を招くような表現になっているところを確認しましたが、ほかに最初に始めるに当たって疑問になるところはありますか。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員
 日本だけの独特のやり方というのは、普通はグローバルスタンダードに通用しませんから、例えばアメリカに行く場合に我々は英語を勉強していきますね。もし英語は無理だと、日本語で試験を受けて国家試験を通って、ある程度英会話ができたら向こうで通用するんですか。認められるんですか。
○玉川看護職員確保対策官
 現在のアメリカの制度は、そのようになっているとは承知しておりません。
○藤川委員
 ということは、ヨーロッパでもそういうことはないということですね。
○玉川看護職員確保対策官
 すべて網羅的に調べたわけではありませんので、これから、各国の主だったところについて確認を取ろうかと思っておりますけれども、今までのところはそうした情報は聞いておりません。
○中山座長
 それでは、また問題が出ましたら立ち止まることにしまして、議題の方に入ります。資料を説明していただき、確認した方がいいことが出れば戻っていただくという形で進めたいと思います。事務局で御用意していただいた資料2の説明をお願いいたします。
○玉川看護職員確保対策官
 それでは、資料2「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の受入れと看護師国家試験の概要について」を御説明させていただきます。
 初めに、「経済連携に基づく外国人看護師候補者の受入れ」についてでございます。資料の3ページ、経済連携協定とは、国や地域を限定して、関税等の貿易障壁を撤廃することにより、モノ・ヒト・カネ・サービスの移動を促進させようとするものでございまして、いわゆる自由貿易協定、FTAの要素に加えて、投資、人の移動、知的財産保護等の広範な分野を対象としているものでございます。
 4ページは、経済連携協定に基づく看護師候補者受入れの趣旨・目的等でございますが、現在、インドネシアとフィリピンとの間で行われている受入れは、経済活動の連携の観点から行われているものでございまして、これらの協定に基づき特例的な位置づけということでございます。看護分野の労働力不足対策という位置づけとなっているものではございません。
 ここで、参考資料の方を見ていただきたいのですけれども、看護職員の需要と供給の概況について関連する情報でございますので、御説明させていただきます。
 参考資料2、平成22年の看護師の就業者数が実人員ベースで99万4,639人となっております。この数字は21年に比べまして、3万9,812人の増加となっております。参考資料5ページが看護師でございまして、病院が最も多く71万1,987人、診療所が15万4,554人、訪問看護ステーションが2万7,218人という数字になっております。
 今の数字は、看護師の就業者数の実人員でございますが、これに保健師、助産師、准看護師を加えた看護職員の就業者数というのが4ページにございます。総計は147万421人でございまして、対前年で3万6,649人の増加となっているところでございます。
 これが現況の就業者数の数字でございますけれども、参考資料3に今後の見通しについて書いております。厚生労働省では、医療提供体制を踏まえた需給見通しというものをつくっております。この需給見通しに基づいて看護職員の確保に努めるという観点から、看護職員確保に資する基本的資料ということで、おおむね5年ごとにこの見通しというものを策定しているものでございます。
 直近のもので言いますと、昨年12月に平成23~27年までの5年間を期間とする「第七次看護職員需給見通し」というものを、本検討会の尾形委員を座長とする検討会において検討して、策定しております。その数の詳細につきましては、9ページに別表1で、第七次看護職員需給見通しとして書いているとおりでございますが、これは常勤換算ベースの数字でとりまとめています。近年、短時間勤務の看護職員が増加しているということもありまして、短時間や何かの職員についても実人員ではなくて、常勤で算定した場合に何人かという形で調べているものでございます。
 これによりますと、看護職員の需要の見通しといたしましては、平成23年の約140万4,000人から平成27年に150万900人ほどに増加するものと見込んでおりまして、この間、およそ6.9%の伸びとなっております。他方、看護職員の供給見通しでございますけれども、平成23年の約134万8,000人から平成27年には約148万6,000人に増加するという見込みで、この間、10.2%ほどの伸び率となっているところでございます。
 これらの数字でございますが、地域による偏在あるいは医療機関の規模等のよる偏在はございますけれども、全国的にこうした数字を眺めて見ますと、需要見通しと供給見通しの差といいますものは、平成23年の段階で96%、平成27年の段階で99%と、一定の幅の中に収まっているという見通しで立てられているところでございます。
 この供給見通し、需要見通しを達成していくためにはということで、看護職員の定着促進を始めとして、養成促進、再就業にわたる確保対策の推進ということが求められているところでございます。
 参考資料4には、平成23年度において、このための看護職員確保対策事業として、予算事業として計上しておりますので、御参考までにご覧いただければと思います。
 ここで、EPAの説明に戻らせていただきたいと思います。資料2の5ページ、看護師候補者の受入れの流れを図示しております。候補者の要件といたしましては、インドネシア、フィリピンのそれぞれの国で看護師の資格を持っていて、一定の実務経験のある方、この方が国際厚生事業団のあっせんによって、病院と雇用契約が締結された人。この場合に、受入れの流れに入ってくるということになります。
 本年度から、インドネシアでは6か月、フィリピンでは3か月の訪日前の日本語研修が行われております。この後、訪日がありまして、更に集合研修という形で6か月の日本語研修、更には看護導入研修が行われます。この後、各病院の方に行っていただきまして、病院の方で雇用契約に基づき、看護補助業務に従事していただく一方、看護の専門知識でございますとか日本語等を学習するなど、看護師の国家試験の受験に向けた準備を行っていただきます。
 在留の期間は、原則3年間まで認められているところでございまして、入国したその年度から受験が可能となりますので、病院で就労しながら原則として3回まで看護師国家試験の受験が認められることとなります。なお、原則3年と申しましたのは、参考資料13にございますが、インドネシアの第1陣、第2陣、フィリピンの第1陣につきましては、受入れ当初、本格的な学習支援を受けることができなかったという状況もございまして、一定の条件を満たす方については、1年間の延長というところが認められているところでございます。
 資料2の5ページの続きでございますけれども、看護師国家試験に合格いたしますと、看護師として就労できることになり、在留期間は上限なく更新可能となります。他方、病院での就労研修期間中に合格できず、在留期間の期限を迎えてしまった場合には、本国に帰国されることとなりますが、その場合でも国家試験の受験資格というものはございますので、短期滞在のビザを得て受験するということは可能でございます。
 6ページは、今月初め現在の看護師候補者受入れの実績をとりまとめたものでございます。表の一番下、これまで、インドネシアとフィリピンを合わせまして572名が入国され、うち現在も394名の方が病院で就労研修中ということでございます。合格者数は延べ19名ということになっているところでございます。
 続きまして、「我が国の看護師資格及び看護師国家試験」について御説明をします。8ページ、看護師とその業務は何か、法律上の規定をまとめたものでございます。保健師助産師看護師法では、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者、じょく婦に対する療養上の世話、診療の補助を行うことを業とする者、これが看護師とされているところであります。
 看護師でない者は、原則としてこれらの業を行ってはならず、その違反には懲役ないし罰金刑を科すことができるとされておりまして、いわゆる業務独占が認められる資格となっているところでございます。また、主治医の指示があれば、診療機械の使用など衛生上危害のある行為をするということが認められているところでございます。
 9ページでございますが、看護師が実施している業務の例を挙げております。この図は、新人看護職員の研修ガイドラインというものを基に作成しておりますけれども、非常に多様な業務が含まれているところでございます。食事援助あるいは排泄援助、こうしたものから始まりまして、傷の処置でございますとか症状の観察、与薬として各種の薬剤を与えたりあるいは注射を行ったり、更には、安楽な体位の保持でございますとか洗浄・消毒・殺菌などの業務が、看護師が実施している業務として含まれているところでございます。
 また、10ページでございますが、こちらでは看護師が実施している業務のうち、管理的な側面に関するものをまとめてございます。こちらも新人看護職員研修ガイドラインを基に作成したものでございますけれども、情報管理の中で、看護記録の目的を理解し、看護記録を作成するという項目が含まれております。
 11ページには、看護記録に関する医療法等の法令における位置づけというものをまとめているところでございます。
 12ページ、こちらでは、現行の看護師の国家試験とその受験資格についての説明を行っております。看護師の国家試験は、保健師助産師看護師法で看護師として必要な知識及び技能について行うこととされているところです。適切な医療・看護の実践と医療安全の確保のためには、国家試験の質を保証することが求められているものと考えられます。
 看護師国家試験の受験資格ですが、文部科学大臣の指定した大学を卒業した者。厚生労働大臣の指定した看護師養成所を卒業した者等に与えられることとなっております。ここで、外国の学校や養成所を卒業した者であっても、厚生労働大臣が我が国と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者には、受験資格が認められることとなっているところであります。
 この同等以上と認める資格の認定基準について、13ページでまとめてあります。学校養成所の修業年限や教育科目の履修時間が我が国とおおむね同等であること、その国の看護師免許または資格制度を取得していることなどに加え、日本の中学校及び高等学校を卒業していない者については、日本語能力試験N1の認定を受けていることが挙げられているところでございます。
 ここで言います、日本語能力試験でございますけれども、独立行政法人国際交流基金と財団法人日本国際教育支援協会によって実施されているものでございまして、参考資料5にそのガイドブック概要版の写しをつけております。
 認定の目安というものがガイドブックの3ページ目、参考資料全体の14ページにございまして、今、申し上げましたN1では、「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」ということが認定の目安とされているところでございます。
 資料2に戻りまして、14ページ、こうした受験資格認定基準を個別に満たして受験する者と、EPAに基づく看護師国家試験受験者の受験に至るまでの過程をまとめております。インドネシアにおきましては、4年制大学ないしは3年制の看護学校において看護教育を修めて、看護資格を得た者。フィリピンにおいては、4年制大学において看護教育を修めて、看護資格を得た者というものが看護師となれるということでございますが、こうした者がその後、マッチングいたしまして、先ほど言ったような研修の過程を経て、受験資格認定に至るということでございます。
 なお、現地における看護教育の実態につきましては、奥島委員や戸塚委員がお詳しいとお聞きしておりますので、例えば次回の検討会において御紹介いただければと考えております。
 15ページは、過去3年間の看護師の国家試験の結果をまとめております。全体では約5万人強が受験いたしておりまして、全体で見ますと9割近くの合格率となっているものでございます。
 先ほど外国の看護師学校養成所を卒業した者に対する受験資格認定の仕組みについて説明いたしましたが、これらの者の中には、日本人で外国の看護大学を卒業した者等も含まれているものの、その合格率というものは「EPA以外の受験資格認定者」という欄を見ていただければわかりますように、おおむね8割を超えているような状況となっております。日本語能力N1というものが認定の基準の1つとなっているということでございますが、こうした高い合格率と結びついております。
 これに対しまして、EPAに基づく看護師の候補者の合格率というものは、入国3年目であったインドネシアの第1陣でも14.3%にとどまっているのが現状でございます。
 16ページには、看護師の国家試験の内容をまとめています。試験科目は人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援と社会保障制度、基礎看護学、成人看護学、老年看護学など、11科目が厚生労働省令で定められているところでございます。出題数は240題でございまして、客観式、多肢選択式で、全問マークシート方式で回答するということになっております。
 看護師の国家試験で用いられる用語につきましては、参考資料6に昨年、本検討会の中山座長や林正委員にも御参加いただきまして、「看護師国家試験における用語に関する有識者検討チームとりまとめ」というものがとりまとめられているところでございます。こちらでは、平易な日本語に置き換えても医療・看護現場及び看護教育現場に混乱を来さないと考えられる用語等への対応というものと、医学・看護専門用語への対応とに分けて対応策がまとめられております。
 具体的には、複合語の分解でございますとか、主語・述語・目的語の明示、句読点の付け方等の工夫、疾病名への英語の併記、外国人名への原語の併記等が挙げられているところでございます。
 このとりまとめの結果、資料2の17ページ以下にございますが、本年2月に行われました第100回の看護師国家試験から対応は図られているところでございます。具体的な例といたしましては、医学・看護専門用語以外の用語における難解な漢字、「絨毯」「配膳」「怪我」などにふりがなを振ったものや、18ページにございますように、「脳梗塞」「切迫性尿失禁」「呼吸窮迫症候群」等の疾病名への英語の併記等、更には、19ページにございますような、「MRSA」「SST」「PTCA」など、国際的に認定されている略語等の英語の併記、外国人名への原語の併記等が行われているところでございます。
 20~23ページまでは、実際に第100回看護師国家試験で出題された問題から、具体的な例を幾つか選んでいるところでございます。回答は多肢選択式のものでございます。21ページにございますように、写真などの視覚素材による問題も含まれているところであります。また、状況設定問題といいますものは、23ページのような出題形式の問題のことを言うものでございます。
 続きまして、経済連携協定に基づく外国人看護師候補者の受入れの実態について御説明いたします。25ページでありますが、看護師候補者が訪日するまでの流れでございます。候補者の受入れを適正に実施する観点から、あっせん機関を限定しておりまして、送り出しの関係当局の間で25ページの表にあるようなやりとりを積み重ねながら、受入れ施設と就労希望者のマッチングを行い、これによって、雇用契約が締結されることとなっているところであります。
 26~28ページは、候補者の受入れの要件を示したものであります。26ページは、受入れ施設の要件でありますけれども、看護師学校養成所の臨地実習受入れ病院と同等の体制が整備されている病院であること等が、受入れ施設の要件となっているところであります。
 27ページは、研修の要件であります。看護師国家試験の受験に配慮した看護研修計画の作成でありますとか、研修の責任者、支援者として、これらのものをおいてあること。更には、日本語の継続的な学習等の機会を設けること等が定められているところでございます。
 28ページでございますが、こちらでは雇用契約で日本人の看護助手と同等以上の報酬を内容とすること。更には、宿泊施設や帰国担保措置等の要件が定められているところでございます。
 29ページには、現在、受入れを行っているインドネシア、フィリピンではございませんで、ベトナムからの受入れの交渉について、その現状を御説明させていただきます。本年10月末の日越首脳会談におきまして、ベトナムからの看護師候補者の受入れに関して、首脳間での確認がなされまして、覚書の署名がなされています。覚書の内容でありますが、今後、二国間で詳細を定める枠組みに基づき、受入れを行うこと、来年の早い時期にベトナムで日本語研修の開始を目指すこと等が含まれております。
 インドネシア、フィリピンとの枠組みとの違いといたしましては、ベトナムについては、現地で然るべく日本語研修を受けることを前提とした上で、一定の日本語能力を有することを条件の1つとしていることが挙げられます。
 30ページ、看護師候補者の受入れ目的と来日理由についてでございます。昨年2月に、インドネシア人看護師候補者受入れ施設を対象に行った調査によりますと、候補者の受入れ目的としては、「将来の外国人看護師受入のテストケースとして」というものが最も多く、「国際貢献・国際交流のため」「職場の活性化のため」というものが続いております。
 また、看護師候補者の来日目的は、「日本の看護師国家資格を取得して、日本で働き続けるため」が最も多く、「看護知識及び技術の向上のため」「施設からもらったお給料を家族に仕送りするため」が続いております。
 31ページでございますけれども、看護師候補者の現状について、昨年度国際厚生事業団が各受入れ施設を巡回訪問した際の回答をまとめております。候補者が看護補助者として働いていることによって、サービスの質の変化があるかというものでございますが、「サービスの質は特にかわらない」というものが大方でございます。
 また、候補者のコミュニケーション能力については「日本人職員が平易な言葉でゆっくり話しをすれば、何とか実施できる」というものが看護師等からの指示(口頭)の理解度として示されているところでございます。
 32ページに移りまして、候補者の日本語学習の方法としては「施設職員による指導」が最も多く、これに加え「自己学習」でございますとか「日本語の専門家による個人指導」こうしたものが挙がっているところでございます。
 また、国家試験対策学習方法としてでございますが、「看護師等職員による指導」に加え、「自己学習」あるいは「OJTの中での看護師等職員による指導」こうしたものが掲げられているところでございます。
 なお、受入れ施設における看護師研修プログラムのイメージというものを、参考資料11に付けております。こちらで、4月から3月までのあくまでイメージでございますけれども、国家試験受験のための学習、日本語の継続学習、職場適用・生活習慣の習得としてどのようなものが含まれているかというイメージをまとめております。
 また、看護師候補者の1週間のスケジュールのイメージということで、参考資料12に表を付けております。例えば午前には病棟で看護補助の業務に携わり、午後には病院の学習室でe‐ラーニングをしたり、担当者と国試対策をするといったイメージがあります。これらは、例えば国家試験の直前期でありますとか、それとももう少し離れているところでありますとか、その辺によって随時組み換えをして行われることとなっておりますけれども、イメージとしてはこういう形で、働きながら勉強も続けているという状況でございます。
 資料2に戻りまして、33ページでございますが、看護師候補者のコミュニケーション能力に関わる問題事例として報告があったものを掲げておるところでございます。先ほども申しましたように、現在は、看護補助者として働いているところでございますけれども、実際に入浴の患者さんのお迎えを指示したところでございますが、「わかりました」と返事はするものの、実際には理解できない。「はい」と答えるけれども、聞き返すようなこともなく、頼んだ仕事が行われなかったということがありました。あるいは、一番下の患者さんに対する食事を名前の札が読めずに間違えて出してしまったということで、病院でございますので、病者食を出している中で、通常の食事を出していい方かどうかというところで、ヒヤリ・ハットのような事例があったという報告を聞いております。
 34ページ、効果的な就労・研修が可能と想定される日本語能力でございます。こちらは、本年9月に看護師候補者の受入れ施設に対して行った調査からまとめたものでございます。日本語能力試験のN2レベルが効果的な就労・研修には必要だと答えられたところが48%で最も多く、次いでN1が25.6%、N3が20.8%というところでございました。
 先ほど御説明いたしました日本語能力試験のガイドブックの中の目安というところで、N2につきましては「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使える日本語をある程度理解することができる」ということが認定の目安とされておりますし、N3というものは「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」ということが目安とされているところでございまして、読む・聞く能力について、それぞれ詳細が掲げられているところでございます。
 35ページでございますが、現在、行われております看護師候補者受入れの支援施策の概要をまとめております。訪日後、6か月の集合研修がございますが、この際に看護の導入研修というものが42時間行われております。この中の研修科目例としましては、在宅看護でございますとか老年看護、精神看護、こうしたものが教えられているところでございます。
 更に、受入れの施設での就労・研修中に対する支援施策といたしましては、国家試験の過去問題を翻訳したものを提供したり、受入れ施設の担当者会議を実施したりということが挙げられております。更には、学習支援そのもののメニューといたしましては、インターネットでオンデマンドの授業というものを配信して、随時候補者が見られる状況ということが確保されております。
 また、e‐ラーニングで過去問の反復学習ができるということで、こちらは37ページにイメージの画面を付けております。更に、集合研修を年4回、その際には模擬試験を年3回実施しておりましたり、学習の個別の相談・指導をスカイプ等を通じて行ったりしております。
 また、1病院当たり46万1,000円というものを学習指導経費の支援として行っております。それから、日本語学習経費の支援ということで、1人当たり11万7,000円を補助しているところでございまして、こうした支援を経て、国家試験受験ということに備えていただくということを考えております。
 平成23年度におきます経済連携協定に基づく外国人看護師の受入れ支援事業の予算に詳細については、参考資料10にお付けしております。総額で看護・介護合わせての金額でございますけれども、7億9,000万円ほどの予算額が確保されているところでございます。
 36ページは、現在、看護師候補者ないしは受入れ病院向けに、実際に提供されている教材の一覧でありまして、インドネシア語あるいは英語に訳したものを含め、提供しているところでございます。
 37ページについては、先ほど御説明いたしました。
 38ページが、成長戦略行程表の関係部分を抜粋したものでございます。先ほど検討会の趣旨について、非常に説明が不明確なところがあって大変申し訳ございませんでした。高度人材及び専門・技術分野の人材等というところに、看護師・介護福祉士試験の在り方の見直しというものが含まれておりまして、成長戦略工程表の書き方では、ここの中で括弧書きで「コミュニケーション能力、母国語・英語での試験実施等の検討を含む。」ということで、これが2011年度に実施すべき項目に掲げられているところでございます。
 また、この点につきましては、経済連携協定に基づく看護師・介護福祉士の候補者の受入れ等についての基本的な方針といいますものが、「人の移動に関する検討グループ」という副大臣級の会合において決定されております。その中でも母国語・英語の試験とコミュニケーション能力試験の併用等について検討すべきということが入っておりまして、その一方、これは看護師制度や国家試験制度の根本的な変更を惹起するものであることから、その適否について、当該制度の趣旨や患者への影響、実現可能性等も踏まえつつ検討を行うこととするとされているところでございます。
 資料2の説明については、以上でございます。
○中山座長
 ありがとうございました。最後のところで、最初の問題も位置づけられたので、少し明確になったのではないかと思います。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、御質問、御意見を出していただければと思います。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員
 資料として出てきてしまいましたので、例の第七次看護職員需給見通しの件なのですが、これは毎回議論されているのですが、平成23年度の96%という数字も怪しいかなと思うのですが、これで4年後に99%なんて、またこんなこと出していいのかなと、いつも思うのですが、これに基づいて今回も考えていけということなのでしょうか。今回も。
○中山座長
 この需給見通しの問題との兼ね合いですね。
○加納委員
 毎回、第六次でもそうだったのですけれども、現実と全然違った見通しがいつも出ているという議論があるかと思うのですが、わざわざまた今回もこれを出しているのは、何かあるのでしょうか。
○玉川看護職員確保対策官
 先ほど申しましたように、地域における偏在であるとか、医療機関の規模における偏在は、この需給見通しの検討会の中でも議論がありましたし、また実際にこの供給を増やすということについては、今後、非常に大きな努力が必要とされるところであります。したがいまして、非常に危惧を持たれるのはわかっておりますけれども、現在、政府の中でとりまとめた数字として、ある公式のものとしては、この需給見通しとなるますので、その数字についてはお示しした上で、これも踏まえた上で、また現下の状況も踏まえながら御議論いただければと思っております。
○中山座長
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員
 加納先生と同じなのですが、ここの第七次看護職員需給見通しというのがありますけれども、当然、第五次、第六次というのもあったわけですね。それと実際の需給がどうだったかという比較表を、次回の検討会に出していただきたい。
 あともう一つ、今度の社会保障と税の一体改革で、50万人ぐらい看護師が増える計画で計画自体がつくられていますね。果たしてあんなことがあり得るのかどうか。何か人数合わせでつくったとしか思えません。平均在院日数を短くしたり、病床の稼働率をよくすると、当然労働力を増やさなければいけないということで、数合わせが行われていますが、この看護師の需給見通しというのは、非常に大事な数字だと思うんですけれども、今、加納先生がおっしゃったように、実態と全然合ってないんですね。
 したがって、今度の社会保障と税の一体改革のところでも、結局予測、予測でやっていて、それをつくった人は多分10年後、15年後にはもう退官してしまっていて、いないからだれも責任を取らないんです。
 ですから、この問題は次の検討会のときに、過去の推計が合っていたのかどうかを教えていただきたいのが1点です。
 それともう一つ、私は管轄外でよくわからないんですけれども、看護師の国家試験というのは、見ると大体10%ぐらいの人が落ちていますね。この問題を240題出して、合格点というのはどういう基準で決めているのか教えていただきたいと思います。
○中山座長
 事務局、2つあったと思うのですが、需給見通しの方は、少し資料をつくってほしい。ここは先ほど説明がありましたように、需給見通しの検討会ではないので。ただ、資料は欲しいということですので、それをつくっていただくことは可能ですか。
○玉川看護職員確保対策官
 第七次の看護職員需給見通しの検討会の中でも、この点は議論になりまして、実は需要と供給の数字は、常に需要の方が上回っている状況でございます。実際にどうであったかということにつきましては、実質の就業者数の数字は出てきておりますので、おおむね供給の数については実際の供給されている数が後追いで出てまいります。
 ただ、実際その時点でどういう需要数があったのかということについては、なかなかその時点、その時点で把握することが難しいということで、これにつきましては、「今後より的確な需給見通しを策定していくためには、需給見通し期間に実際に生じた看護職員の需要数についても把握できるよう検討」を今後行っていくべきであるという御提言をいただいております。どういうふうにすれば、その把握ができるかという研究を進めていくこととしております。少なくとも供給につきましては数字がございますので、次回、関係資料としてお出しすることを考えております。
○中山座長
 ありがとうございました。
 国家試験の方については。
○岩澤看護課長
 看護師国家試験につきましては、医道審議会、保健師助産師看護師分科会で合格基準を決めていただいております。看護師国家試験は、必修問題50問とそれ以外の問題190問、それぞれに合格基準が決められて、両方とも合格基準に達している者を合格ということで出しているものです。
○山崎委員
 ですから、合格基準というのが具体的に何問正解だと合格なんですか。基準というのがよくわからない。普通の試験だって何点以上で合格、何点以下は不合格というのがあるわけですね。
○岩澤看護課長
 第100回、今年の2月に行われました国家試験の合格基準ですけれども、必修問題は50点中40点以上、そしてそれ以外の問題については250点中163点以上、両方この基準を満たした者が合格になっております。
○中山座長
 よろしいでしょうか。
○山崎委員
 はい。
○中山座長
 それでは、ほかに御意見ございますか、どうぞ。
○讃井委員
 質問ですけれども、今年の看護師の国家試験では、用語の難しいものについてルビを振るですとか、英語を併記するとか、いろいろな工夫が行われたということでございまして、その結果、合格者も若干増えたということで、これは喜ばしいことだとは思うのでございますけれども、この15ページの国家試験の結果というものを見てみますと、非常に合格率が上がったのはやはり第1陣の方ということでございまして、初めて試験を受けたり、2回目だったりした方は、余り合格率は高くないわけでございますから、今年行った工夫というのが、どれだけ効果があったかといいましょうか、試験を受けることについて容易にしたのかというところが、これだとちょっとわかりにくいと思うんです。
 後ろの方に具体的にルビを振ったり、英語を併記されたというところが例として出ていますけれども、こういう工夫を施した設問について、どのぐらい正答率が高くなったかとか、そういうデータはございますでしょうか。
○玉川看護職員確保対策官
 対照試験ができるようなものではありません。つまり、同じ問題を別の問い方で問うて合格率を見るようなことは、模試や何かであれば可能かもしれませんけれども、本番の試験につきましては、そういうことができません。
 それから、単純に表記の方法だけではなく、先ほど申しました学習支援でありますとか、更にはそもそも受け入れていただいている病院の献身的な学習指導、こうしたことによって随分そこは寄与も変わってまいりますので、要因分析をすることは難しいかと思います。
○中山座長
 どうぞ。
○山崎委員
 この15ページの資料で、合格している人、合格してない人とあるわけですけれども、合格してない人の標準偏差というかカーブが、合格点からどの辺のところにあるかというのはわからないのですか。
 限りなく合格に近い人が何人で、全然はしにも棒にもかからない人が何人いるか、カーブで多分わかると思うんですけれどもね。
○中山座長
 それは出せるものですか。
○玉川看護職員確保対策官
 今、手持ちにはございませんけれども、そうしたものが出せるかどうかも含めて、確認をしたいと思います。
○中山座長
 それは出せるデータなのかどうなのか、微妙なところもあるので、事務局で検討していただいて、できる範囲でしたら出していただくということで、よろしいでしょうか。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員
 もう一度確認ですが、昨年この看護師国家試験における用語に関する有識者検討チームで検討されたということなのですが、先ほど今回の検討会も表題ですら皆さん日本語で理解しがたいことで悶々としているわけで、今回、併用の適否を検討するだけではなくて、これに関する、通して上げるための、昨年もやられたかと思うのですが、その手段的なことの検討もこの会で議論してもいいのでしょうか。
○中山座長
 どうぞ。
○玉川看護職員確保対策官
 本検討会の検討課題というのは、資料1にお付けしましたように、看護師国家試験の在り方の見直しという成長戦略の項目を踏まえて、コミュニケーション能力、母国語・英語での試験というところに限って検討していただくということで、医政局長からお願いをしているものでございます。
 したがいまして、その検討をするためのさまざまな必要な情報ということで、周辺のところにお話が行くことはあるかと思いますけれども、このメンバーで結論を出す者ものとしては、その内容が適当なものではないかと思います。
 なお、EPAに基づきます看護師の候補者の受入れについては、従来より関係省庁と医療関係団体等によって、「国際医療・福祉専門家受入れ支援協議会」というものを開催しておりまして、その会議の中でさまざまな意見交換を重ねてきたところでございます。引き続き、こうした場を通じて、制度の改善等について議論をしていきたいと考えております。
○中山座長
 林正委員、その後、藤川委員、どうぞ。
○林正委員
 これは皆さんに理解してもらえるのかどうか、ちょっと疑問なので、9ページを見ていただけますか、看護師が実施している業務で看護技術と書いてあるんですね。看護師が実施しているのは、これ以外にもいっぱいあるわけです。しかも、これは新人研修のガイドラインから抜粋したものですから、本当に基本的なものです。これ以外にたくさんあるということを、まず知っておいてほしいわけです。
 その中で、非常に重要なのが、その次の10ページに書いてあります。情報管理のところに、看護記録の目的を理解し、看護記録を正確に作成するとあります。これを日本語でするのか、英語でするのか、ベトナム語でするのか、あるいはインドネシア語でするのか、前提条件としては共通の言葉は日本語しかないわけですね。これを英語でしなさいという意見が一部にあるかと聞きましたけれども、そうすれば現在100万人以上いる看護師さんに全部英語で記録を書く練習をさせる必要があります。ですから、はっきり言うと実現不可能なことです。
 この看護記録を正確に記録しないと、診療報酬の算定そのものに問題が生じます。各都道府県の監督官庁というのは、年に1回は病院に行って、これを査察しているわけです。きちんとした記録が書けていなければ、診療報酬を支払わなくてもいいわけですから、この記録というのは非常に重要です。
 コミュニケーションについて、話ができるだけと考えられる方が非常に多いのですけれども、原則は読み・書き・話すです。読む方は、なぜ必要かといいますと、病院の業務においては医師は指示を出します。口頭での指示は原則として禁止になっています。それは、きちんと読んで正確に理解して実行してもらわないと困るわけです。そのときに、英語で書けというのは、これも非常におかしな話です。
 ですから、この記録を正確に作成するとか、目的を理解するというのは、読み・書きが絶対にできるという大前提があるわけです。
 昨年度の看護師の国家試験で、EPAで来た人の合格率が悪いから問題を改善せよと言われて検討したときに、余りにも前提条件になっているから、もう日本語の読み・書きはできる、それを前提にした上で問題をつくってきたんだということを、初めて自分自身が知ったわけです。
 15ページを見てください。15ページには、全体のパーセンテージとともに、EPA以外の受験資格認定者というのがあります。80%、81.7%、88.4%と非常に高率です。この人たちが、なぜ国家試験をこういうふうに、ある程度合格できるかと言えば、その前の表である日本語能力検定試験のN1というものをクリアーしているからですね。そうすると、インドネシア、フィリピンから来た人が、なぜこんなに合格率が悪いかと言えば、上の表では日本語能力の検定試験のN1取得を免除しているからです。そうしますと、ここでこんなことを言っていいのかどうかわかりませんけれども、現場を全く知らない人が立案したということになります。そのつけを私たちに払わせるわけですね。
○中山座長
 林正委員、それでよろしいですか。昨年大変苦労し、日本語の改善ができるもの、わかりにくい日本語の部分もあったので取り組みました。前の国家試験を見ていただいたらわかるのですが、主語というのをかなり日本語の場合は省いていたんです。それは外国人にとっては、主語、述語が明確でない文は、非常にわかりにくい、誤解を招くということで、改善しました。その辺の改善までが、昨年の検討会での努力だったと思うんですが、また新たな視点で今回この問題を取り組めということですので、検討していただいているのですが。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員
 保健師助産師看護師分科会で議論して、受け入れやすいように最終的に看護師の日本の国家試験のレベルを下げるのかというのが大命題だったことと思います。医療安全を担保するためには、国試のレベルを上げることはあっても下げることはないだろうということで、あのときに合意しましたね。
 いわゆる単語については英語を記載するというのは、これは日本人の看護師さんたちの勉強にもなるから、それはいいんではないですかということでした。看護師の教科書には英語が載ってないことが多いですね。日本語だけしか載ってないのが多いんです。原語の英語を付けるというのは、国家試験でも日本の看護学生さんたちにも勉強になる。また、医療現場で看護記録を書く場合に、勿論日本語で書くわけですが、最近は電子カルテにもなっています。1人の患者さんに1つのカルテで、みんなが書くような時代です。そうなると医師が書いたことも読まなければいけない、PTが書いたことも読まなければいけない、そこには当然英語が混じったり、ドイツ語が混じったりするんです。英語の読み・書きの能力に関しては日本人の看護師さんにも関係してくるんです。そういう点では、私は必要だと思います。
 ただ、やはりここは日本ですから、外務省も参加する国際医療福祉専門家受入支援協議会のときにも、どういう目的で東南アジア系の看護師さんを受入れるのか。経済協力というだけではなくて、あくまでも優秀なインドネシアの看護師さん、優秀なフィリピンの看護師さん、ベトナム、インドにしても、そういう方々が日本に来て、更にレベルアップしていただいて、日本のすばらしい国民皆保険制度に守られた、世界トップレベルの医療システムや看護業務を東南アジアに、いわゆる人材的に提供していく。これがやはり日本の今の東南アジアでの立ち位置だと思うんです。これは非常に国際貢献できることですから、そういうスタンスでやるということを、ある程度押さえておかないといけません。数多く、50人、100人国家資格を取らせて、国内で働かせることだけを目的にすると、この問題はとん挫すると思います。だから、あくまでも優秀な人材を育て自国に数年後に帰国させるということを前提にしないといけないと思います。
 では東南アジア系だけではなくてヨーロッパ、アメリカも含めて、本当に国家試験をやっている国はどの程度あるのかといったら、半分ぐらいしかないんです。あとはみんな登録制度です。看護学校を卒業したら自動的に免許が取れる。卒業試験だけだと当然レベルは下がるんです。
 フィリピンの場合には、英語でかつ国家試験がありますけれども、インドネシア、ベトナムとかはないんです。そうなると当然、日本語もしゃべれないだけではなくて、看護のレベルも低いと思います。そうなると、一部優秀な人がいるかもしれないけれども、そういう方々をもし受け入れて、どうしても1割以下の合格しかないということであれば、日本には三層構造がありますから、自国の看護師として免許を持っているようであれば准看護師の試験を受けさせて、准看護師として働きながら日本語を学び、医療現場で看護業務をやりながら、次年度に再度挑戦させる方法も検討する必要があります。
 アメリカでは国家試験はいつでも受けられるんです。日本のように1年に1回ではないんです。いつでも受けられる。落ちたら3か月後からまた受けられます。受験のチャンスがいっぱいあるわけです。そういうことを日本国民は知らないと思うんです。
 だから、そういういい意味で米国の制度を取り入れて、1年間待って、また受けるんではなくて、例えば3か月ないし6ヶ月後にまた受けさせるというような、新たなシステムを考えてもいいのではないか。1年間待つと忘れるんです。国家試験を受けた人は覚えていると思いますけれども、昔は春と秋にあったんです。半年間頑張ると試験が受けられるけれども、1年間、今まで覚えた知識は大体忘れるんです。新たにどんどん覚えるけれども、昔のものは忘れてしまう。
 日本語を学ばせるにしても、医療現場で仕事をしながら学ぶ。それから、日本の医療文化も学ぶ。現場では雇っている医療機関もマンパワーとして活躍していただける。そして、医師会の養成学校が同じスタイルを取っていますけれども、准看護師の免許を取った人が次の看護師養成校に行くわけです。専門課程として2年課程に行くわけです。5年間かかりますけれども、その期間、医療機関ではすばらしいマンパワーで働いてくれる。夜勤もしてくれますし、勉強もしっかりやってくれる。日本の准看護師制度の補強に、そういう方々に入っていただいて、一緒に切磋琢磨して正看の免許も取るように頑張るわけです。一石二鳥ではないかと思っておりますので、看護協会は反対されるかもしれませんかけれども、現に約40万人の准看護師がいること。それから、現に約50万人の免許を取りながら働いてない看護師さんが現存するということも、今の日本が抱えている大きな問題です。そのことも議論の中に入れたら受入れもしやすくなると思います。
○中山座長
 小川委員、お願いします。
○小川委員
 受入れ支援協議会の中でも、准看の話が出ると、その後、私が必ず発言をするという、毎回の恒例になっているのですけれども、今日の議論は准看の話ではなくて、母国語、英語、そしてコミュニケーション能力試験の併用についてということですので、そこをきちっと議論しないといけないと思います。
 私も断片的な情報しかないのですけれども、例えばEUやASEANでは、相互承認をしている国がどういうことをやっているのか。例えばイギリスでは主として、フィリピンからもありますけれども、スペインの方から受入れている。しかも、短期的に。長期的な看護職員の確保対策という意味ではなくて、短期的な課題として受入れている。しかも、ちゃんと英語の能力をきちっと審査しているということが言われています。
 また、ASEANなども中国語圏の方は、中国語が話せないと実際に働けません。断片的な情報しかないので、もしそういった資料があれば、また次回にでもそういう資料をいただけないかと思っています。
 一番大事なのは患者さんの安全です。そのことを基本にしておいていただきたい。また、私ども国際的な看護師協会の仲間として、インドネシア、フィリピンの方々に来ていただいていますので、是非これはわかっていただきたいのは、外国人看護師の方々を医療事故の加害者にさせない。これは私ども日本人ですら6割の看護職の方が医療事故の不安を抱えながら働いていて、その医療事故の不安を感じている方の約半数ぐらいが、そのことが原因で離職を考えたことがあると、日本看護協会の調査でもわかっています。そういう医療事故の不安を抱えながら働く現場の方の気持ちを知っていただきたいと思います。
 以上です。
○中山座長
 ありがとうございました。
 このことについては、後で熊谷委員、戸塚委員、看護管理の立場からあると思います。
○花井委員
 私、先ほど患者の立場と言ったのですけれども、33ページまで行ってよろしいですか。やはりここに出てくる内容を見ると、本当に大丈夫なのかという不安があります。
 ここに出ているのは、食事のこととかが書いてあるのですが、これが例えば薬とか、医療機器とか、点滴とか、そういうところになったときに、薬を読み違える、読めないとか、人に対して文書で申し送り事項をしたときに、そのことがきちんと伝わるのか。あるいは病状を患者が訴えたときに、本当にそこを理解できるのかというのは、非常に医療を受ける側としては不安な立場になるなと思っていますので、その辺、こういうことに対して具体的にどんな対応を受け入れている病院としてはしているのかということを教えていただければと思います。
 それから、もう一つは、確かに准看の話ではないということを前提に意見だけ言わせていただきたいと思うのですが、私たちはやはり一本化すべきだと思っておりますし、業務独占の職種に准というのがあるのがどうなのかというのは、ずっと思っています。というのは、医師の中には准医師というのがないわけですから、もっと厳しい縛りがかかっているかと思うのですが、そういう意味で言うと、看護師の制度というのは一本化すべきだということを主張しているということだけ付け加えておきたいと思います。
 以上です。
○中山座長
 ありがとうございました。
 それでは、林正委員、どうぞ。
○林正委員
 藤川委員がちょっと不適切な言葉を使われましたので、是正していただきたいと思います。准看護師と看護師というのがありますけれども、正看護師というのは名称もありませんし、制度もありません。だから、准看、正看というのは言葉遣いとして間違えていますから、是非注意してください。
 もう一つですけれども、小川委員から話があったのですけれども、医療安全というのは、これは非常に今、看護教育あるいは医学生の教育でも問題になっていることです。1999年に、横浜市立大学で患者を間違えて手術するという事件がありました。それから、東京都立の病院で、消毒薬を静脈注射するという事件もありました。以来、医療安全ということに関しては、医師と看護師はさんざんマスコミから叩きに叩かれました。それにこりていますから、「あつものにこりて」というわけではないですけれども、医療安全については、どこの病院でも本当に手間暇をかけてやっているわけです。
 そのときは、確認なんです。何で確認するか。やはり言葉なんです。声だけではなしに記録で確認するということです。ですから、正確な日本語が読み・書きできるということは、これは看護師の国家試験を考える上で、どうしても除外することができないと思います。
 それを抜きにして、例えば知識の量をはかることはできると思います。しかし、それは実務には直結しません。ですから、国家試験というのが国民に対して医療の質を保証する。今の言葉で言うと担保する性格を持つ以上、これはかなり厳重に取り扱う必要があると思います。
 タイの方で水害が起これば、そこの工場で働いている人を日本に何千人か連れてきて物をつくる。物づくりだったら、それができると思いますけれども、看護師とか介護福祉士というのを、ほかの国からいきなり連れて来て、現地で働いていただくということは、まず無理なわけです。
 ですから、モノ・ヒト・カネの移動を自由にするというのは、経済的な観点から考えればいいと思いますけれども、少なくとも聖域とは言いませんが、対人関係職であるものについては、かなり扱いは別にする必要があると思います。
 一部の人は、需給のことにこれを引っかけるんですけれども、例えばエネルギーと食料とケアを自給自足しない国はどうかという議論が既に始まっていますね。しかし、そこまで見据えた上で、とりあえず国益を守るためにはどうすればいいかという議論は、是非政府関係者あるいは政党の方にはしていただきたいと思います。
○中山座長
 ありがとうございました。
 どうぞ。
○山崎委員
 今の件についてですが、私が医者になったころは、高看、正看、准看と言っていたんです。正看という言葉は今も残っているんです。正看というのは、准看をやっていて10年以上か何か勤務していると、一定の1週間ぐらいの講習会をやって看護師の資格を取らせていました。それが昭和52年ぐらいまで最後になったのかな。だから、まだ正看護師という呼称というのは残っているんです。
○中山座長
 これは、私も余りコメントするつもりはありませんが、多分法律の用語として正看はないけれども通称としては残っているという整理でよろしいですか。
○山崎委員
 現場ではね。
○中山座長
 それでは、渡辺委員、熊谷委員、戸塚委員の順でお願いします。どうぞ。
○渡辺委員
 まず質問1点と意見を言わせていただきます。
 まず質問は、先ほどあった第100回の試験から一部英語併記、つまりこれが去年の8月にそういった委員か検討会のあれで。一方で、成長戦略は去年の6月ですね。要するに成長戦略を受けて英語併記、つまり、より理解されやすい、やさしくとは言わないけれども、理解されやすい試験にしたということなのか、逆に言うと成長戦略で書いているというのは、それでもまだ不十分と言っているから我々の検討会をつくったのか、そこがわからないので質問いたします。後でお答えいただきます。
 あと意見ですが、結論を先に言うと、私も国家試験を母国語や英語でやるべきではないと考えます。やはり今もお話があったけれども、他の製造業云々は別として、やはり医療職というものについて、きちんとした国家試験といったものは同じもので、同等でやるべきであって、国民の気持ちからすると、それはちょっと母国語でやったから同じ日本で特別扱いといったことは、ちょっと世間の常識としては非常になじみにくいのかなと思っておりますので、やはり日本語の今の国家試験。
 ただ、先ほど質問で申し上げたように、より英語で併記するとか、そういったものをどこまで緩和するのかといった問題はあるのかなという気はいたしますけれども、そこでちょっと質問したわけです。
 とりあえず、以上です。
○中山座長
 すぐに答えますか。どうぞ。
○玉川看護職員確保対策官
 御質問のあった件でありますけれども、出題の中での用語の在り方についても、私どもも今までの試験の中で、EPAの候補者について日本語表記の難しいところでというのは、若干問題を抱えていたこともございまして、出題までの期間等も考え、昨年度対応できるものについてはまとめてしたものでございます。
 一方、母国語・英語での試験の実施となりますと、これは非常にこの検討会で何度か積み重ねなければならないように、それ自体独立して検討すべき問題と考えておりましたことから、構成員も含めて別のステージで検討するものと考えておりました。準備が遅くなったので、この時期になってしまいましたけれども、そういう形で2段階に分けて検討を進めるという整理をしたものでございます。まずは着手できるところからやって、その次の課題として、もう少し大きな問題ということで、別に検討するというプロセスにいたしました。
○渡辺委員
 そういう意味ではなくて、この成長戦略、つまり内閣府と言ってもいいけれども、内閣府の方としては、英語併記ではまだ不十分だから、合格率をもっと高めるために母国語・英語でやりなさいよと、そういうことも検討しないよという趣旨のことを言っているのか。その辺のニュアンスがちょっとわかりにくいからお尋ねしているわけです。
○玉川看護職員確保対策官
 そうした抜本的なことまで含めて検討を広げるべきであるというのが、この成長戦略自体の位置づけということであります。
○中山座長
 昨年は抜本的な検討までいってないということで、またここで抜本的にやれということですか。その理解でいいですか。
○玉川看護職員確保対策官
 2011年度には、そこまで検討のステージを広げるべきであるということです。
○中山座長
 それでは、熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員
 私は実際に2人のインドネシアの方がおります。そういう立場で、病院の管理者の立場でお話しさせていただくと、先ほどから出ているように、やはり日本の中で看護の仕事をする場合に、日本語の能力というのはとても重要だと思っています。
 というのは、看護において患者さんに看護する場合、やはり看護師が患者さんから情報を得て来なければならない。それから、患者さんにお伝えしなければいけないといったときに、やはり日本語は非常に重要なことだと思っています。安全の確保、それから、患者さんの問題を発見するということにおいては、この語学力は大変重要なものだと思っています。
 例えば英語しかしゃべれないアメリカ人が私の病院に来たときに、やはりすごく不安がって、だれが英語しゃべれる人いませんかと英語を話せる者を探されます。それと同じことだと思っています。
 あとは、医師の指示を受けるという大事な仕事があります。勿論、英語で書かれている医師もいますが、今はカルテは患者さんと共有しようと、開示が前提ですので、だれが見てもわかるカルテの書き方が大変重要です。
 そういう視点からも、やはり日本語が理解できる、話せるというのは、大変重要な要素だと考えています。
 もう一つは、インドネシアの私どもの2人からすると、大変日本語は厳しい、難しい。それを母国語にしても、英語にしても、なかなかわからないのが患者さんの主訴と言います。例えばめまいがするときに、くらくらするとか、ふわふわするとか、その程度を示す、その国特有の表現がある。それは彼女たちが、やはりそこは難しいとよく言いますので、そういう視点からも日本語の能力というのは極めて重要だと感じております。
○中山座長
 ありがとうございました。
 戸塚委員、どうぞ。
○戸塚委員
 まさに今、熊谷委員がおっしゃってくだすった開示のことについて、今まで出ておりませんでしたので、ちょっと申し上げたいと思います。情報の開示ということで、今、患者さんがカルテをごらんになる機会が大変増えております。そういう中で、看護記録をお読みになるということは、患者さんとの信頼関係を深める。あるいは逆に言えば損なう、深めると同時に損なうことにもなりかねないわけです。お読みになって、そうだったのかといって安心なすって、信頼が深まることもあれば、そこの書き方のことから信頼が損なわれることも出てくるわけですので、日本語を書き、それから、今、熊谷委員がおっしゃったようなことができるということは、国家試験を受ける看護師としてその後、仕事をしていくことが前提になるわけですから、日本語を十分に理解した上で国家試験が通るということが前提になるのではないかと思います もう一つお尋ねしたいのですが、12ページのところに国家試験の受験資格で、一番最後に赤い字で書いてあるところでございますけれども、この看護師候補生の方たちの、この辺りはどんなふうに認めておられるのかというのが、よくわからないのですが、教えていただければと思います。
○玉川看護職員確保対策官
 インドネシアとフィリピンの方につきましては、そもそもフィリピン、インドネシアの看護教育プログラムがどういうふうになっているかということを、あらかじめ政府を通じて情報収集いたしました。その中で、コアとなるカリキュラムがどのようなものがあって、どれぐらい授業が行われているかということを、あらかじめお聞きしております。それを踏まえ、候補者については包括的な認定という形で、実際にこうした日本語研修とか看護導入研修をすることを前提に、通常の個別認定とは別途認定を行っているところでございます。
○戸塚委員
 ということは、レジスタードナースだけが来ていると理解すればよろしいでしょう。いろいろな制度がございまして、ハイスクールレベルのSKPという看護資格の方もかなりおられるわけですが、日本と同じような大学卒とか、そういう方たちが来ていると理解すればよろしいでしょうか。
○玉川看護職員確保対策官
 先ほど資料の説明のときにも申し上げましたが、フィリピンについては4年制大学の卒業者ということになっております。インドネシアにつきましては、4年制の大学卒業者と3年制の卒業者というのが候補者として認められているところでございます。
○戸塚委員
 ハイスクールを出てから3年という意味ですね。
○玉川看護職員確保対策官
 そうです。
○戸塚委員
 ありがとうございました。
○中山座長
 ありがとうございました。
 藤川委員、ちょっと待っていただいて、奥島委員、何か御発言ありますでしょうか。
○奥島委員
 直接、今の話とは関係ないかもしれないんですけれども、今までの合格率の話で、幾つか出た質問についてなのですが、私の方で知っている限りは、第三陣までのインドネシア人というのは、今おっしゃったように圧倒的に3年の専門学校を出て来たインドネシア人が中心に日本に送られていまして、英語がよくできる人が来てくれれば、もうちょっといいかもしれませんが、英語ができる人はインドネシア政府はアメリカやオーストラリアに送っていますので、日本には余り来ないんです。
 日本に来た中で、学士号、看護大学を出ていらっしゃる方が大体1割前後毎年いるのですけれども、だから仮に、トータルでインドネシア人が400人ですと、大体40~50人が学士号を持っているということになります。
 その学士号を持っている人たちが、私の知る限り、16人受かった中の大体半分ぐらいなんです。ということは、全体では14%ぐらいしか受かっていませんが、学士だけについて見れば、大体2割強受かっていることになりますので、ゼロから始めて3年で学士が2割以上受かったというのは決して悪くない率だと思っています。ただし、これは単純計算なので、できれば厚生労働省側からもう少しきちっとしたデータを出していただきたいと、実は今、思っていたところです。
 インドネシア政府側の送り出しの問題も、こちらから少し言っていかなければいけないかなと思っています。つまり、3年の職業教育課程をディプロマというんですが、ディプロマの人たちは受験勉強をほとんど経験してないんです。ですから、受験勉強についていけるような人材を送ってくれないと、日本ではなかなか難しいんですと言っていく必要があると思っております。
○中山座長
 ありがとうございました。
 藤川委員、お待たせしました。どうぞ。
○藤川委員
 今、詳しい情報提供がありましたけれども、フィリピンやインドネシアの看護制度の実情を厚労省がそういう情報を情報公開してないんです。我々委員にも情報公開していませんし、外務省との話し合いのときもほとんどが現場の状況を知らない人たちが、厚生労働省や、外務省が出す情報をうのみにしているわけです。正確な情報が全て出ていませんから、こういう国家試験を受ける外国人の場合は、こういう条件があるという情報もなかなか出してなかった。だから、みんなが本当の情報を知らないままに議論しているものだから、議論が混乱するわけです。
 きちっと外国人に対する規則があるならば、まず前提としてこれをクリアーしないといけませんので、法治国家ですから、まず法律を守りなさいということを、政治的に圧力をかけてくるような団体に対しては、厚労省としても毅然とした態度であるべきなんです。
 しかし、それなのに、どういうわけが腰砕けのようなことを言い始めて、挙句の果て、今日見ていたら、突然このヒヤリ・ハットの、大文字で、物すごく危険なことをやっているように言うけれども、日本語で会話している看護師さんでもすごい量のヒヤリ・ハットが医療機能評価も上がっているわけです。日本語がしゃべれてないからこういうことが起こっているように厚労省が書いているのは、私は意図的だと思います。これはおかしいですね。
 ならば、今、特定看護師(仮称)の議論で我々が言っているのは、医療安全を保つために危険な行為は医師がすべきであるということを言うのに、理想的な教育をすれば安全だと厚労省は言っているわけです。医師は医師法に基づいて、危険な行為をやるのは医師であることは当然です。危険な医行為はしてはいけませんよということが保助看法で書いてあるのを、保助看法を変えてまでやろうと、しれいるわけです。医療安全をおかしていこうということに、全くこの話とは相いれない。こちらはこれだけ厳しくして、医療安全のために入れるべきではないと言いながら、片方では理想の教育をすれば、医師と対等なことができるなら、医師国家試験を受けたらいいではないですかと主張しています。何で受けないんですかと、女性医師がこれだけ4割も5割も増えてきているのに、何で受けないんですかといったときに、そこまで私たちは優秀ではないですからと言われるわけです。命を預かる以上は、看護師としての道、医師としての道をきちんと法律で明記している以上は、法治国家の行政としては法律に従って、粛々とさばいていけばいいだけの話で、どんなに政治的な圧力が加わっても、国民の医療安全を保つということが厚労省の責務であり、医療現場の責務ですから、そこはぶれたらいけないと思います。
○中山座長
 医療安全の問題が出てきましたけれども、讃井委員、何か御発言ありますか。
○讃井委員
 結局、振り出しに戻ってしまうような気がするんですけれども、もし私どものマンデートが、母国語・英語による試験を入れるのか、入れないのか。もし仮に入れるのであれば、コミュニケーションをチェックするのも併せてやるのか、やらないのかということだけですと、非常に極端な結論になるのではないかという気がするんです。
 もともとの目的が、成長戦略の工程表で書かれているということは、勿論国家試験のレベルを下げるということは認めないけれども、語学の面などで、試験のときに困難を抱えているEPAでいらしている候補者の方々が、きちんと能力をはかってもらうためにはどうするべきかということについて、それを考えましょうということではなかったのかと思うのですが、そうしますと、先ほどもお話がいろいろ出てきているように、いろいろ工夫を積み重ねて、その中で出てくる結論というのもあるのではないかと思うんです。
 ですから、そこはもう一切触れずに、母国語か英語かと、そのことだけをここで議論するということになりますと、なかなか私も難しいなというのが、これはもう感想のようで申し訳ないのですけれども、そういう印象を持った次第でございます。
○中山座長
 熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員
 今おっしゃること、すごくよくわかります。例えば私は臨床の立場で言うと、その方たちが看護師国家試験を受けて受かった後、就業を前提にされているので、私もやはり非常にそこはナーバスになります。
 もし、先ほど藤川先生がおっしゃったように、お勉強だけして、日本ですごく高い医療の勉強だけをして、向こうへお帰りになって就業するというのが前提であれば、私は母国語でも英語でも、その勉強の成果をはかるための国家試験というのであれば、私は一向に、何の問題もなく受けていただきたいと思っています。
 ただ、前提が就業となると、やはりこれは看護の能力を担保するだけの国家試験では、大変厳しいと思います。語学力がまだよくわからない人を雇う私としては、例えば今、日本の医療は大変厳しいんです。厳しくて、診療報酬もそんなに高くない中で、看護師が夜勤だって、そんなに豊かな人数を手配はできません。その人を夜勤に入れれば、やはりだれかが一緒にやっていかなければ、医師の指示の確認、患者の意思の確認をしなければいけない。その雇用の前提があるとなると、やはり非常に話は複雑になると思います。これは、どう読んでも国家試験を通った後に働けますという制度ですから、その辺りを考えると自分の答えとしては、先ほど申し上げているようなことになります。
○中山座長
 ありがとうございました。
 ちょうどいい時間になりましたが、発言がまだ足りなくて、1つ、2つしたいという方がございましたら受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。
 林正委員、どうぞ。
○林正委員
 非常にいい資料をそろえていただいたのですけれども、15ページをお開きいただけますか。ここにEPA以外の受験資格認定者と、その合格率が出ているわけです。数からすると、本当に微々たるものですね。21年で35名、22年で82名、23年で95名です。しかし、3年間で3倍近く増えているわけです。しかも、合格率が非常にいいわけです。
 恐らく私の予想では、これは漢字のわかる人たちだろうと思います。ですから、中国とか台湾とか韓国とか、そういうところの人ですと、これぐらい勉強すれば合格率があるわけです。にもかかわらず、インドネシアとフィリピンが低いというのは、やはりそういうバックグラウンドが全然違うのではないかという気がします。
 ですから、ベトナムとの協定に当たって、日本語の研修というものを入れられたのは、これはかなりの成果も期待できるのではないかという感想は抱きます。
○中山座長
 今の林正先生が言われた人たちというのは、必ずしも外国人とも限ってないのではないですか。全部外国人ですか。
○玉川看護職員確保対策官
 先ほど言いましたように、日本の方で海外の看護の学校を出られた方も含まれています。
○中山座長
 そうですね。例えばアメリカで看護教育を受けられた方は、帰ってきてからこの国家試験を受けなければいけない、その人たちが入っているので、かなり合格率が上がっているということがあるのではないかと私は思っていました。もしこれが出せれば、先ほど言った中国や韓国の方は、かなり受かりやすいということが見えるのかもしれません。
 どうぞ。
○藤川委員
 先ほど奥島委員が言われたように、インドネシアはイスラム系なんです。だから、やはり中東関係に行くんですよ。まず言葉と、宗教もそうですし、だから、インドネシアの看護師さんたちが、アメリカに行くのもあるでしょうけれども、ヨーロッパにも行く、中東にも行く、やはりそこの看護師さんたちが海外のどこに行っているのか。今回日本に来るインドネシアの看護師さんたちは、どのレベルなのかということは、やはり厚労省がきちっと調べて情報公開してくれなければいけません。
 もう一つ、フィリピンの場合はアメリカに行く方が当然多いわけですから、ほとんどがアメリカに行って、米国希望の看護師と対等のレベルで日本に来るのか、それともワンランク下の看護師が来るのかというのも、情報公開をきちんとしてもらわないと、やはり受ける側としてはどうしてかということになるわけです。必ずフィリピンにもインドネシアにも優秀な看護師さんがいるはずです。そういった方が来るならば、日本語だってマスターできます。語学力もあるはずです。しかし、それができないとなると、ワンランク、ツーランク下が来れば、特に日本語を、イスラム語からはマスターしにくいですよ。全然違いますから。受験者の方々のバックグラウンドを正しく情報公開してもらわないと判断しようがない。
○中山座長
 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員
 私自身思っているのは、今回はたまたま両国間におけるEPA交渉で看護師ということになっていますが、今度のTPPも考えたり、あるいはASEANプラス3でもいいのですが、人の交流というときに医師の問題が必ず出てくるわけです。そうすると、看護の場合だけでかくかくしかじかということを我々は命題として与えられているのだけれども、看護の場合かくかくしかじかという場合、当然同じ医療職である医師の交流、資格という問題も併せて考えないといけないということを、次回以降できれば議論したいと思います。
○中山座長
 ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員
 もう一点なのですが、我々は実際には受け入れているわけなんです。もう既に3年も。先ほど業務分担の内容も見ていただいたとおりなんですけれども、やはりかなり病院自身が頑張って教育をしているんです。負担をかけて。金銭的な面でも3年間の金額を合わせる大きな額になります、我々の会員病院がたくさんの看護師受験候補者を受け入れてやっていることが無になるようなことだけは、是非ともしていただきたくないし、進歩的な話にしていただきたいと。否定するのではなくて、何かできる方法があれば、是非とも考えていただきたい。
 我々の場合は、かなりそういった面で期待して、この会にも出て来たところがあるので、そこはやはりしっかりと考えていただきたいと思います。
○中山座長
 わかりました。今日は流れとしては、少し右往左往しましたが、メリットもあるのではないか、あるいはどういうサポートをすれば定着できるのかということの問題も、議論した方がいいのではないかということで、その側面も議論していきたいと思います。
 小川委員、どうぞ。
○小川委員
 1つだけ資料があればなんですけれども、先ほどの15ページの全体の中に、ベトナムとか中国の方が日本の大学とか専門学校に通って、その方が合格されて働いている方もいらっしゃるんだと思いますが、その方々の合格率のようなものはわからないんでしょうか。もしわかればでいいんですけれども。
○中山座長
 厚労省の方で、もしわかれば、お願いします。要するに日本国籍でない方で、国家試験に受かっている方が、どのぐらいいるかという問題ですね。
 奥島委員、どうぞ。
○奥島委員
 多分、次回、厚生労働省の方から出していただくデータの方が正確だと思いますが、私の知っている例では、大阪とか幾つかのところが中国に奨学金を出して、日本語の勉強をさせて、それで日本に連れて来て准看を取らせるということで、去年か今年か忘れましたが、32人連れて来て、30人受かったと聞いています。何人かはわかりませんが、看護師国家試験にもそのうち一部の人たちは一発で合格していると伺っております。
○中山座長
 ありがとうございます。
 次週の第2回のヒアリングのことも含めて、事務局から今後のことについて話していただき皆さんから出ました資料も、どこまでつくれるのかわかりませんが用意していただき、来週の検討会では少し踏み込んでいきたいと思います。事務局の方から説明をお願いします。
○河原課長補佐
 それでは、資料3について御説明させていただきます。「関係団体からのヒアリング(案)」でございます。まず趣旨としては、第2回の検討会において、EPAに基づく外国人看護師候補者の支援を行っている団体等から意見を聴取し、今後の検討の参考とするものでございます。
 お呼びしたいと考えている団体は2つ、日本インドネシア協会とガルーダ・サポーターズという団体でございます。
 日本インドネシア協会につきましては、日本、インドネシア間の国交の親善、通商及び経済協力の増進並びに文化の交流に寄与することを目的とした事業を行っている財団法人でありまして、これまでにこのEPAに基づくインドネシア人看護師候補者受入れに関して、試験制度改善の要望を出していただいたこともある団体でございます。
 もう一つ、ガルーダ・サポーターズにつきましては、市民ボランティア団体と聞いておりますけれども、やはりEPAに基づきインドネシアから来られる看護師、あるいは介護福祉士候補者が、よりよい生活を送れる環境を整備するとともに、日本とアジアの医療、介護の質を向上させ、もって人々の福祉を増進するため、候補者等への支援など、必要な活動に取り組むことを目的として活動されている団体でございます。
 こちらにつきましても、やはりこのEPA看護師候補者に関連して、看護師国家試験制度の改善要望をこれまで何度か出していただいているところでございます。
 この意見聴取内容については、この検討会の検討課題であります、国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に絞って御意見をいただくということで、1団体につき15分間程度の時間をいただいて、それを踏まえてまた御議論をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○中山座長
 ありがとうございました。
 加納委員が、懸念された点は、来週の議論で深まってくるのではないかと思います。
 ありがとうございました。今日の締めは、大谷医政局長さんにしていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○大谷医政局長
 医政局長の大谷でございます。お忙しいところ、どうもありがとうございます。ちょっと所用で遅参しましたことを、心からお詫び申し上げます。
 いつも我々の医療行政について、大変御協力を賜っておりますことを、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 今回のテーマ、外国人の看護師の候補者について、どういう試験制度がいいかということでありますけれども、既に議論が佳境に入っておりますので、いまさらこういうことを言うのもなんですけれども、医療だけではなくて経済交流とか、国民意識の相当深遠な部分にまで議論が及ぶものかと思いますけれども、幅広い立場から御議論賜りまして、御意見をちょうだいしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
○中山座長
 どうもありがとうございました。
 今日の議論はこの辺で終わりにしたいと思います。事務局の方から、連絡等よろしくお願いいたします。
○河原課長補佐
 ありがとうございました。
 それでは、次回の第2回検討会でございますが、来週16日の金曜日の午前10時から、先ほど申し上げたようにヒアリング等を開催する予定でございます。
 会場は、本日と同じ会議室を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○中山座長
 それでは、今日はどうもありがとうございました。皆さんの活発な意見が出されましたので、これを更に来週は深めていきたいと思います。お忙しいとは思いますが、どうぞ来週もよろしくお願いいたします。


(了)

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