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2011年11月28日 第8回ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針に関する専門委員会 議事録
厚生労働省大臣官房厚生科学課
○日時
平成23年11月28日(月)
15:00~17:00
○場所
厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館 9階)
○出席者
(委員)
永井座長 |
鎌谷委員 栗山委員 高芝委員 玉起委員 知野委員 |
堤委員 徳永委員 藤原(靜)委員 前田委員 |
俣野委員 武藤委員 山縣委員 横野委員 |
(事務局)
文部科学省: 渡辺安全対策官 岩田室長補佐 |
厚生労働省: 矢島技術総括審議官 尾崎研究企画官 田中課長補佐 |
経済産業省: 長部課長補佐 金澤課長補佐 |
○議題
(1)ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の見直しの検討
(2)その他
○配布資料
資料1 | ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の見直しにあたっての検討事項(案) |
資料2 | 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の改正案について |
参考資料1 | 三省委員会委員名簿 |
参考資料2 | ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針 |
参考資料3 | 個人情報保護に関するガイドラインの共通化について |
○議事
○尾崎研究企画官(厚生労働省)
定刻になりましたので、ただいまから、文部科学省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の見直しに関する専門委員会(第8回)」、厚生労働省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針に関する専門委員会(第8回)」、経済産業省「個人遺伝情報保護小委員会(第19回)」を合同で開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中をお集まりいただき、御礼を申し上げます。本日は、小幡委員、辰井委員、福井委員、藤原(康)委員、増井委員からご欠席の連絡をいただいております。
まず、配付資料の確認をします。「議事次第」という所に1枚紙で、配付資料を記載したものがありますので、ご覧ください。まず、配付資料としては、資料1及び資料2があります。また、参考資料1、参考資料2、参考資料3があります。その他、委員の皆様の机の上には、委員資料1及び委員資料2という形でファイルを2冊用意しています。以上ですが、不備等があれば事務局までお知らせください。
よろしいですか。それでは永井先生、よろしくお願いします。
○永井座長
では議事に入ります。資料1の検討事項案につきましては、前回の当委員会において、方向性について概ねご了解をいただきました。前回の委員会でいただいたご意見を踏まえて、事務局とさらに検討を行いまして、一部修正を加えております。これまでご議論いただいた検討事項の見直しの方向性を踏まえて、事務局と相談した、資料2、指針の条文の改正案を作成しております。そこで、本日は資料2の指針の条文改正案を中心にご議論をお願いしたいと思います。資料1の検討事項の修正部分については資料2の議論の中で説明を行っていただきます。また、前回に引き続いて、委員の皆様にお願いですが、なるべくポイントを絞ったご発言をしていただきたいということで、ご協力をよろしくお願いします。また、より具体的な議論を行いたいと思いますので、ゲノム指針の改正案のどの部分をどのようにすればよいか、という提案を含めてご発言いただければと思います。
では、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の改正案について、事務局から項目ごとに説明をお願いします。
○尾崎研究企画官
それでは、資料2に基づいて説明します。まず最初に、第7の「用語の定義」、「前文」、第1の「基本的考え方」、この3つについて説明を申し上げます。
まず、資料2の1頁目をご覧ください。これにつきましては、いちばん左の所が「現行指針」の条文で、真ん中が「指針改正案」です。左側に「見直しに当たっての考え方」の概略を記載しています。また、資料2の左上の部分の括弧の所で、※(マーカー部分は参考のため再掲している条文)とありますが、例えば、51頁とかをご覧ください。真ん中辺り、「指針改正案」欄で、そこに記載した項目に対応した、現行指針に関係する項目については、少し灰色っぽいマーカーで現行指針の部分を持ってきています。
また1頁目に戻って、指針改正案の目次を見てください。今回の目次につきまして、現行指針と指針改正案の違いには、まず1頁目の、指針改正案、第4ということで、「倫理審査委員会」というのを項目立てしました。これまで現行指針では、第2の9という所に「倫理審査委員会の責務及び構成」という欄があったわけですが、他の指針の構成にあわせて、倫理審査委員会については独立させました。
2頁目を見てください。第6とあります。「個人情報の保護」という所です。個人情報の保護関係の項目について、研究者に対してとか、研究責任者に対してとか、現行指針でいろいろな所に書いてあったわけですが、それを1つにまとめたほうがよかろうということで、ここにまとめました。
続きまして、先ほど言いましたように、第7の「用語の定義」、「前文」、第1の「基本的考え方」の順で簡単に説明します。67頁の下の所に第7の「用語の定義」があります。ここの「用語の定義」について、これからご意見、ご検討をいただく前提となる項目ですので、簡単に説明しつつ、新しい項目も少しあるかと思いますので、説明するものです。67頁目で、指針改正案の所に(1)「試料・情報」とあります。左側を見ていただきますと、これまでは、「用語の定義」では「試料等」でしたが、ヒトゲノム解析研究については試料だけではなくて、情報も非常に重要だという議論もありましたので、今回、先生方には初めての話になりますが、この用語については「試料・情報」として整理してはどうかということで、このようにしたものです。また、この項目には、(1)の3行目に、試料・情報の中には、「遺伝情報その他の研究に用いられる情報」ということで、遺伝情報もここに含めると改正案ではなっているものであります。
続きまして、68頁をご覧ください。「用語の定義」で、(3)「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」です。これまでは、左側の所にあるように、「試料等を用いて明らかにしようとする研究」をいっていたのですが、それだけではなく、改正案では、3行目から4行目にあるように、「本研究に用いる試料・情報の提供又は分譲が行われる場合も含まれる」と、バンクの要件に係る見直しに伴い、試料・情報の収集、分譲についても研究に含めるとし、いろいろな措置も分譲機関にも求めるため、このような変更をしています。この事項につきましては、今日ご欠席の増井委員からは、「試料等」を「試料・情報」とかに変えるのは、長年やってきたことからすればどうだろうかという意見をいただいています。
続きまして、「前文」のほうに戻ります。2頁目に戻ってください。前文の記載については、2頁目から3頁目にかけてですが、3頁目の部分が変わった所です。これまでの現行指針においては、左側の下線部のとおり、いろいろな経緯が書いてあったわけですが、それを整理しました。また、委員会での議論でも出てきましたが、指針改正案を見ていただくと、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究が多様な形態があることに配慮して、この指針においては基本的な原則を示すこととし、研究者等が研究計画を立案し、倫理審査委員会がその適否について判断するに当たっては、この原則を踏まえつつ、個々の研究の内容等に応じて適切に判断することが求められる」というところで、臨床研究指針や疫学指針との整合性をとり、本指針の位置づけ、基本的な原則であることを明確にしました。
続きまして、3頁目、その後の、第1の「基本的考え方」に移ります。「基本的考え方」については、3、4、5頁目にありますが、基本的には変わっていません。ただ、5頁目の真ん中辺りにある(2)「本指針の適用範囲」という所で、本指針の適用については、「既に本指針の施行前に着手され、現在実施中のヒトゲノム・遺伝子解析研究に対しては本指針は適用しない。ただし、当該ヒトゲノム・遺伝子解析研究については、本指針施行後に、研究計画を変更する場合は、本指針が適用される」ということで行うとしているところです。いま現在、実施中の研究については現行指針が適用となることを意味しています。1つのまとまりとしては、説明は以上になります。
○永井座長
ありがとうございました。ただいまの説明に対して、ご質問、ご意見をどうぞ。
○藤原(静)委員
いくつか確認をさせてください。最初の「用語の定義」の所で、試料・情報に分けたのは、それが望ましいと私は思います。その上で、DNA等の「等」は蛋白質などを言っているのでしたか。DNA等の等は何なのか、教えていただきたいと思います。読み手にとって明確であればかまわないのですが、またここで等が出てくるので、念のためというのが1つ。
2つ目は、2頁、現行指針をかなり整理されたということで、わかりやすくなったと思います。ただ、その現行指針の中で、「ユネスコから始まって、いくつかの文書を踏まえ」と書いてあるのが落とされたわけですが、この中で、原理、原則として落とさないほうがいいものはないのかという確認です。大丈夫というのならこれで結構です。
5頁の(2)の所は、現行の研究は現行の指針が適用されるというのはご説明のとおりですが、本指針の施行前で本指針を適用しないというと、これは一部改正だと思うので、たぶん改正部分が適用されないという意味ですね。それが明らかになるような書き方がいいかと思います。というか、ここの部分は本来、経過措置の部分ではないかと思います。本則に入れてありますが、改正したのだから。適用関係を示す経過措置の所で書いていいのかという気もします。あり得るかどうかわかりませんが、理屈の上では13年前からのものが走っていて、現行の指針のものが走っていて、今後のものが走るという関係なので、それがスッとわかるような書き方にしてあげたほうが、研究者の方々にはわかりやすいかと思います。以上、3点です。
○永井座長
事務局からはいかがですか。
○渡辺安全対策官(文部科学省)
まず、DNA等の「等」は何かというご指摘です。資料2の69頁をご覧ください。「ヒトゲノム・遺伝子解析研究は」とありまして、本指針の遺伝子の範囲については、その中で「DNA又はmRNAから作られた相補DNA塩基配列等」と書いてありますので、この「又は」以下のものが「等」に入っているものではないかと思います。
それから、前文に関しまして。ユネスコ世界宣言などから、一連のものを書いてある所について削除したことに関してです。これは、今後も改定などが加えられる際に、どんどん、これから次々と足していくよりは、個別の指針等は敢えて例示する必要はないのではないかと考えたからです。個別に詳細には見ていませんが、すべての所について、この指針が今回の改正について、それぞれの宣言などについて、まったく同じであるということではないかと思います。例えば、ヒトゲノム研究に関する基本原則に示されたところについて、その原則の考え方もありますが、それとは若干違ったような整理している部分もありますので、そういった点を含めて、個別に例示しなくてもよいのではないかということです。
それから、適用範囲についてはご指摘を踏まえ、5頁の(2)「本指針」というのは、これは今回の前文改正後の指針を指していますので、そこが明確になるような形にするとともに、この適用範囲に入れるのがいいか、経過措置的な所に入れていくのがいいか、法制的に検討していきたいと思います。以上でございます。
○藤原(静)委員
ありがとうございました。
○永井座長
その他、いかがですか。
○堤委員
いま、削除された指針等のことですけども。まずやはり、この指針そのものには、参考になる資料といいますか、指針とかガイドラインというのは一般に載りませんので、Q&Aとかで、こういうものもあったのだと示しておいていただくと、適宜更新していきながらそこに戻れる形をとっていただければよろしいかと思いました。
それとあと、基本方針の所の1と2の間ぐらいに、ヒトの多様性、もしくは、「ヒト及び遺伝情報の多様性に関する理解」とかいう、ゲノム解析をして、その多様性の研究もしていますので、ヒトそのものが多様な存在であることを加味して、「ヒトの多様性、遺伝情報の多様性に関する理解」をつけ加えていただいてはどうか、という提案です。以上、2点でございます。
○永井座長
いかがですか。事務局、何かご意見はありますか。
○渡辺安全対策官
先生の意見を踏まえて、まずは検討させていただきたいと思います。
○永井座長
他にいかがですか。よろしいですか。ご意見があれば、また後ほど言っていただくことにします。
では、次の項目、第2「研究者等の責務等について」、ご説明をお願いします。
○尾崎研究企画官
第2「研究者等の責務等」になります。資料2の7頁以降で、改定した改正案の改定しているところを中心に説明いたします。8頁の真ん中辺り(11)「すべての研究者等は、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理その他ヒトゲノム・遺伝子解析研究の実施に必要な知識についての講習、その他の必要な教育を受けなければならない」で、研究が多様化している状況を踏まえて、指針等の遵守により適切に実施することができるように研究者等への教育に関する要件の追加、という議論があったかと思いますので、それをここに追加させていただいたものです。このあと説明いたしますが、20頁ではこれを受ける形での研究期間の長に対する教育に関する話、46頁は倫理審査委員会の設置者が、倫理審査委員会の委員に対しての教育、研修関係についての項目を同様に追加させていただいています。また、9頁の真ん中辺りに(第6の17「安全管理措置」に移動)とありますが、第6として、個人情報の保護関係は1つの項目でまとめさせていただいたということを先ほど申しましたが、それに関することでこのような形で以後、移動させていただいているということになりますので、20頁まで個人情報保護に関して関係しているところはそのような項目になっています。そのほかで、研究を行う機関の長とか、いろいろなところに残しているものについて、特に手を入れずに残っているという状況のものです。
20頁は、先ほどの研究者のほうの関係を受ける形と説明しましたが、(8)「研究を行う機関の長は倫理に関する講習その他の必要な教育を受けることを確保するために必要な措置を講じなければならない」という項目をここに入れさせていただいています。
次に、5「研究責任者の責務」で、まず21頁の真ん中辺りの(3)「研究責任者は研究計画書を作成しなければならない」。この研究責任者については括弧書きで(試料・情報の収集・分譲を行う機関の研究責任者を除く)と。先ほど研究のほうの定義化のところで分譲関係についても研究に含めて整理をするという説明をしたかと思いますが、この部分については普通に研究していた人の項目と、それ以外の分譲を行う機関の責任者について、内容的に分けるほうがいいだろうということでこのようになっています。22頁(4)「試料・情報の収集・分譲を行う機関の研究責任者は」というところで、研究計画書を作成する関係の項目になっているものです。戻って21頁(3)研究計画書の作成について、項目の下のほうの下線部の、この研究計画書のほうに記載する内容として、「将来的に他のヒトゲノム・遺伝子解析研究に利用される可能性、他の研究を行う機関への試料・情報の提供並びに遺伝カウンセリングの考え方について明確に記載しなければならない」ということで、将来の研究を含む弾力的な運用の明確化のところで議論があった項目についてここに記載しています。22頁から23頁の(4)です。資料・情報の収集・分譲を行う機関が研究責任者の研究計画書の作成する関係の項目で、いわゆる分譲関係の機関ですが、ここでも研究計画書という名前で位置づけて作成しなければいけないということですが、その内容は一般的な研究とは少し異にしますので、23頁の4行目、「試料・情報の収集・分譲に係る研究計画書に記載すべき事項に関する細則」というものを記載しているもので、収集・分譲に係る事項の内容をここに整理させていただいています。
次に25頁の「海外との共同研究」について、特段ここを現行指針をいじっているわけではないのですが、いろいろな流れからここのところがいちばん座りがいいだろうということでここに置かせていただいたというものです。
あと26、27頁を経て、29頁の第3の「提供者に対する基本姿勢」の前まで、今回の説明とさせていただきます。以上です。
○永井座長
ありがとうございます。ご質問、ご意見をお願いいたします。
○堤委員
ここは重いところでいっぱいあるというか、是非教えていただきたいです。順番にいかせていただきます。「インフォームド・コンセント」というのが7頁の(3)に出てきますけれども、このあとの言葉の整理とも関わるのですが、「インフォームド・アセント」という概念を入れておく必要があるのではないかということです。要するに、未成年に対する対応で「アセント」という概念について随分議論がありましたので、代諾に進む前の段階で未成年の方に一応説明をして、「了解を得る」と言いますか、「わかりましたよね、という確認」をしながら進めるという概念を入れておく必要があるのではないかと思いました。それが1点。
あと12頁の(5)他施設との共同研究に関わる記載で、これはもともとあったのですが、以前武藤委員のほうから多施設共同のときに主たる研究機関での倫理審査で、ほかは迅速審査でいいのではないかというご意見があったのですが、ここにある(5)や、45頁の(5)細則の1というところで、いまの迅速審査のことについて対応できないか、というのがこの文書で読めるのではないかなと思いますけれども、そこをちょっと確認させていただきたいと思います。
○永井座長
いかがでしょうか。
○渡辺安全対策官
インフォームド・コンセントはあとの項目でまた出てまいりますが、代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける際についての細則などもわりとしっかり書かれておりますので、インフォームド・アセントという言葉はあまり耳慣れないのですが、そのような配慮は既に現行指針でもされているのではないかと思っております。
迅速審査の話について、たしか前回も若干説明させていただいたとおりですので、ご指摘いただいたような現行の規定を使えば、迅速審査という形で個々の機関で速やかに現行指針で対応ができるという仕組みになっています。
○堤委員
21頁の「研究計画書に記載すべき事項に関する細則」の、以前から気になっていたのですが、細則のいちばん上のポツ「提供者が疾病や薬剤反応性異常を有する場合にあっては」云々と書かれていますけれども、この薬剤反応性異常という言葉があと29頁と41頁と3回出てくるのですが、ことさらこれを特定してここに載せておく必要があるのかどうかについて、教えていただきたいと思います。
次の22頁のバンクのところと絡む、現行指針の下から4つ目のポツの「ヒト細胞遺伝子・組織バンクに試料を提供する場合にはバンク名、匿名化の方法等」を今回はこれは削って整理されるということですけれども、このバンクという言葉が1回も出てこなくなったような感じがしまして、ことさら強調するわけではないのですが、バンクという機能が現存している以上、バンクという言葉は何らかの形で残したほうがいいのではないかというのが2点目です。
あと、(4)の上に「起こり得る利害の衝突」というのは、用語としては「利益相反」そのものを言っておられるという理解でよろしいでしょうか。この3つを教えていただきたいと思います。
○永井座長
いかがでしょうか。
○渡辺安全対策官
まず21頁の、「研究計画書に記載すべき事項」の提供者を選ぶ方針について、この中で提供者が疾病や薬剤反応性異常を有する場合等にあっては、その告知方法などということがたしかに入っています。ここがどういった経緯で入ったか、詳細に存じてないのですが、制定の経緯を踏まえ上で積極的に削除する必要がもしあるということであれば、ご意見を踏まえて検討したいと思っております。
次に「バンク」という名称を残すべきではないかというご指摘ですが、いわゆるバンクという言葉について、さまざまな形態があり得るかと思っておりまして、人によってそのバンクといったときに捉えるイメージが非常に異なっているということを踏まえると、バンクということをしっかり決めて書くアプローチよりは、行為として試料や情報を収集してきてそれを分譲するという、その行為に注目し、「収集・分譲を行う機関」という定義にしてはどうかというところです。
○永井座長
よろしいですか、ほかにいかがでしょうか。
○前田委員
先ほど堤委員よりお話がありました、「インフォームド・コンセント」や「インフォームド・アセント」という表現についてでございますが、私も、「インフォームド・コンセント」という用語を用いるよりも、「インフォームド・アセント」という用語を用いたほうが、正確な表現になるのではないかと考えておりました。その理由は、通常は、判断能力(同意能力)のある者から得る同意を「インフォームド・コンセント」という用語で示していることにあります。このことから、私自身は、堤委員のご意見に同感しており、判断能力のない者を対象として記述する場合に、その者からインフォームド・コンセントを得る、という表現にすることには、やや違和感を覚えておりました。
○永井座長
よろしいでしょうか。その辺は言葉の使い方の問題ですが、よろしいでしょうか。
○渡辺安全対策官
「インフォームド・コンセント」については、かなりほかの指針でも定着している表現ですので、今回の指針の見直しに当たり、臨床研究指針、契約研究指針などとなるべく整合性を図るという観点で進めておりますので、新しい「インフォームド・アセント」ということを入れることによって、他指針との整合性などはどうかということが若干気になりますので、ちょっとそこは事務局で検討したいと思います。
○永井座長
そのほかいかがでしょうか。
○山縣委員
これも確認ですが、臨床研究の指針、契約研究の指針との、ここの領域の違いの大きなものは、もっぱら集計、単純な統計処理を行う等の研究であっても、そこの倫理委員会の迅速審査なりをとにかく受けるという、そういう括りになるという理解でよろしいのでしょうか。契約研究、臨床研究の場合にはそれは必要としないと判断した場合にはかけなくていいということになっているのですが。
○永井座長
いかがでしょうか。
○渡辺安全対策官
審査委員会にかけるかどうかということですか。
○山縣委員
倫理委員会にかけるかどうか。
○渡辺安全対策官
基本的にはヒトゲノム・遺伝子解析研究を行うということで、研究計画を立て、試料などを集めて、その解析を行うということであれば対象になるのではと考えています。ご指摘がどういったケースなのかちょっとわからないのですが、研究を行うということであれば本質的には対象になるものと思います。
○山縣委員
具体的には既に出てきたデータを統計解析をするという担当の共同研究者、委託する場合には委託という領域になると思うのですが、共同研究として、統計解析だけを行う研究機関もしくは研究者の場合に、そこの機関でも倫理審査委員会が必要というそういう読み方でいいのか、そういうことです。
○渡辺安全対策官
共同研究のスキームとして複数の機関で遺伝子解析の試料を集めてきて、それを解析していくということであれば、その全体の研究計画を立てていただいて、それぞれの実施するところで倫理審査委員会において研究計画の承認をいただくということが基本になるかと思っております。
○山縣委員
ありがとうございました。
○栗山委員
20頁の(8)の上から3行目、「その他必要な教育を受けることを確保するために」と書いてありますが、教育というのは受けるほうで、ここに「学習」を入れていただけないかなという提案です。学習とは自ら学ぶ機会をそういう場にいる人たちが求める場合もあるので、受けるだけではなくて、学ぶ機会も欲しいという、提供していただきたいということです。
2つ目ですが、先ほどから言っているインフォームド・アセントですが、一般の人間でもインフォームド・アセントという言葉はそれなりに浸透している、特に私のような小児のアレルギーが活動のメインであると、インフォームド・コンセントというのはなかなか小児に対しては難しいけれども、それでもやはり子どもであっても、こういう研究に参加するということを理解するなり、納得まではいかなくても、理解するなり、あるいは知るなりする機会を得ることは大事なことだと思うので、是非「インフォームド・アセント」という概念をこの中に入れていただきたいと思います。
3つ目は24頁の上のほうの細い字の、例えば現行指針の中で上から4行目のいちばん最後「ヒトゲノム・遺伝子解析研究が実施された試料等の数」という、何箇所かで「数」というのが抜けているのですが、なぜ「数」を抜くのでしょうか。
最後に、バンクという言葉について、おっしゃったように、バンクと言ったときにはいろいろな人がいろいろなイメージをもつものであるから、なおさらバンクの名称は必要ではないか、その名称を知ることによって、書いてある内容だけではなくて、そのバンクが組織されている構成とか利益相反の対象であるかどうかの、自ら検索するチャンスを得ることになるので、バンク名は大切で必要な情報ではないかと思います。以上です。
○永井座長
よろしいでしょうか、ほかにいかがでしょうか。
○堤委員
単純に言葉だけですけれども、先ほどヒトゲノム解析研究の「特色」という言葉が21頁の(3)に出ているのですが、「特色」というよりは「特性」とかと言ったほうがおさまりがいいかと感じました。日本医学会のガイドラインの議論をするときにもそういったような議論をしましたので、「特性」という言葉もひとつではないかと思いました。
あと25頁の海外との共同研究の、これは実際にいろいろおやりになられていると思うのですが、徳永先生とか鎌谷先生とか、実際にこの条文で大変なことになったとか、そういう事例があるのかどうか、是非ここでお聞かせいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○永井座長
徳永先生、いかがでしょうか。
○徳永委員
私たちはこの条文ももちろん見ておりますけれども、たしかQ&Aで一度基本的な考え方が出ております。相手側の研究機関での倫理審査委員会の承認を得ていること、遺伝情報及び個人情報の保護・管理が十分になされているということ、インフォームド・コンセント、これが基本的な三原則であると。そういった原則が日本の研究者側、それから相手国の共同研究先の側で確保されていればよいという考えをいちばん大事に考えます。いろいろなタイプの共同研究があるので、基本的にはその3つの原則を考えております。 ○鎌谷委員
海外との共同研究の場合は、もちろん先進国の場合は問題ないと思うのですが、アフリカとかいう場合も一応は向こう側がこれに沿ったような試料等を揃えることが多くて、もし揃わない場合はこちらから要望してそういう形を取っているので、それほど支障があるということはないと思います。
○武藤委員
21頁の(3)の下、「研究計画書に記載すべき事項に関する細則」の1つ目の、「提供者を選ぶ方針」で、先ほど堤委員から薬剤反応性異常ということをここで特別述べる必要があるかというご指摘がありましたが、私はこの(提供者が疾病や薬剤反応性異常を有する場合等にあっては、病名又はそれに相当する状態像の告知方法等)の意味がそもそもよくわかりづらいので、これはなくてもいいと思います。上に(合理的に選択していることがわかる具体的な方法)というので十分含まれるということと、あと病名を告知されてない方に関して患者さんが対象のときにやってはいけないということも、たしかほかで述べられていたと思いますので、これごと取っていいのではないかというのが1つです。
もう1点、先ほど栗山委員がおっしゃった24頁の上の年次報告に関して「数」を取ったのはなぜかということで、これは私も残しておいたほうがいいと思います。当初の承認した計画のモニタリングという観点から、この「数」については確認するということがわかっていたほうがよろしいのではと思います。以上です。
○永井座長
よろしいでしょうか。
○横野委員
21の(3)、これは表現の問題だと思いますが、現行指針でどういった経緯でこういう形の表現になったのかよくわからない部分もあるのですが、5行目辺りの「研究により予測される結果及びその開示の考え方」という部分で、「その開示の考え方」というのが何を指しているのかがわかりづらいと感じます。おそらくここは遺伝情報の開示と重なる内容を指しているのではないかと思うのですが、研究の結果と遺伝情報というのはイコールではありませんので、遺伝情報の開示を指していると考えていいのであれば「遺伝情報の開示の考え方」と書いたほうがこのあとの細則との整合性が取れて、すっきりするかと思います。あと、遺伝情報の開示の部分に関する変更点として、「研究責任者が遺伝情報の開示に関する方針を定める」ということが明記される予定ですので、その部分との対応という意味でも、遺伝情報の開示としてよいのであればそうしたほうがいいのではないかと思います。
○永井座長
事務局、いまの点よろしいですか。
○渡辺安全対策官
21頁の(3)の「その開示の考え方」ですが、ここを「個人情報の開示」と限定したほうがいいのか、個人情報も含まれるということだと「その開示」というほうがいいのか、ちょっと整理して考えてみたいと思います。
○永井座長
よろしいですか。
○前田委員
少し前の箇所になりますが、13頁の中段に示されております「外部の有識者による実地調査に関する細則」の、1「研究を行う機関の長は、インフォームド・コンセントの手続の実施状況及び個人情報の保護の状況等について、研究計画書に従って適正に実施されているか実地調査させるものとする」という文言につきまして、その現場の実態を、徳永先生など、ご存じの方がおられましたら、お教えいただければと思います。仮に実態が、先ほどの表記の内容と随分と乖離しているようでありましたら、現場の活動が、今後、表記どおりになるように、何らかの方法を講じる必要があるかもしれませんし、一方で、実際には、多くの場合、表記のような作業を行うことが難しいというような状況であるとしますと、例えば、全てのケースではなく全体の何%かのケースを取り出して調査をする、というようにするなど、現行の文章を現実的なものにしたほうが良いのではないかと考えております。
○徳永委員
私が関わっている委員会における年に1回の外部委員による実地調査では、多数のヒトゲノム解析研究が行われているため、すべての研究室を全部回っていくことは現実不可能ですので、書類は全部見ていただいて、私どもの場合は毎年変わりますけれど、2つの研究室をその年の代表として見ていただいています。実際に研究室に行って、実験室での管理状況とか、その他いろいろ見ていただいています。
○前田委員
この文言を読みますと、「インフォームド・コンセントの手続の実施状況・・・」となっておりますので、ある程度細かく手続き等について実地調査をする、というように読めるように思えますが、そうしたことをすることは、実際には、無理ということですね。
○徳永委員
これは研究機関によって現実には多分いろいろとスタイルが違うと思うのですが、私のところはいま申しましたように2つの研究室をその年の代表として選び、そこでは実際にどういうブロセスを経てゲノム解析が行われ、その解析結果はどういうスタンドアローンのコンピュータに入っていて、というようなことを実際に見ていただくという形を取っています。
○前田委員
ありがとうございます。
○永井座長
よろしいでしょうか。
それでは、先に進みたいと思います。「提供者に対する基本姿勢」について、ご説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官
第3の「提供者に対する基本姿勢」について説明します。資料は29頁からです。まず、29頁の7のインフォームドコンセントの(3)です。ここでは、研究責任者がインフォームド・コンセントを受けて、試料提供を受けなければいけないという内容のところです。その内容の下線部として、「将来的に他のヒトゲノム・遺伝子解析研究に利用される可能性及びその場合の手続等について、十分な説明を行った上で」というところで、この委員会でも議論された内容を反映させているものです。
31頁の「指針改正案」のいちばん上ですが、「インフォームド・コンセントの履行補助者に関する細則」です。ここの2番目について、履行補助者については「契約等において業務上知り得た秘密の漏えいを禁じられている者でなければならない」というところで、これまでの要件を見直す議論を踏まえた結果として、ここに記載しているところです。
32頁の(10)については、「インフォームド・コンセントの撤回があった場合の取扱い」というところで、現行指針を見ると、インフォームド・コンセントの撤回があった場合には、原則として当該提供者に係る試料等及び研究結果を匿名化して廃棄するということが書いてあるところです。ここの部分については、これまでの議論等を踏まえて、インフォームド・コンセントの撤回があった場合には、まず試料等というか、試料などの情報に関しては匿名化して廃棄するということです。また、試料等を廃棄しないことができる場合として、いままでと同様のアとイです。現行指針のウの、「研究結果が既に公表されている場合」は、自明であるので消しているところです。
現行指針に書いてあった研究結果をどうするかというところですが、ここでの案としては、33頁の真ん中辺りの「当該提供者に係る遺伝情報及びそれまでに得られた研究結果の取扱いに関する細則」に書いているものです。先ほどの上のア、イの要件のいずれも満たさない場合は、インフォームド・コンセントの撤回の時点までに、当該提供者に係る試料・情報から得られた遺伝情報を廃棄し、研究計画全体の中で、当該遺伝情報を利用して、それまでに得られた研究結果については廃棄しないことができるということにしているところです。また、その廃棄すべき試料・情報の範囲について判断することが困難な場合は機関の長に報告し、機関の長は廃棄すべき試料・情報の範囲については倫理審査委員会の意見を求め、その結果を踏まえて廃棄する範囲を決定するというところを成案として書いているところです。
別案として、そのあとに書いていますが、「インフォームド・コンセントの撤回時点までに当該試料・情報を解析して得られた情報をまず除く」と規定しており、試料・情報については匿名化して廃棄するとしているところです。
34頁ですが、文章全体で除いたところの試料解析して得られた情報の取扱いについては続く細則に書いてあり、「インフォームド・コンセントの撤回の時点までには、当該提供者に係る解析し得られた情報については連結不可能匿名化しなければいけない。ただし、当該提供者に係る試料・情報が第3の7の(10)イの要件を満たし廃棄しないこととする場合には、当該試料・情報を解析して得られた情報を連結不可能匿名化しないことができる」としているところです。
(11)ですが、試料・情報の提供を行う研究責任者の話として、「インフォームド・コンセントを受ける場合には文書を交付して説明しなければならない」となっていますが、説明文書の記載に関する細則をどうするかが35頁に書いています。ここの説明文書の記載に関するところについては、なるべく内容を整理して簡略化しましょうという議論に基づいて、35頁に書いてあるような内容としているところです。また、先ほどの研究計画で、特定されない将来のゲノム・遺伝子解析研究に利用される可能性があるときには、研究計画書に書くということがあったと思いますが、それを受けて説明文書にも、35頁の現行指針案の下のほうに書いてある2つのポツで、その旨を説明文書にも書いてくださいということを示しているものです。上のポツは、自らの機関の中での研究で、将来にわたってそうしたことが予想される場合。下のポツは、他に提供した先の機関がそういったことを行う可能性がある場合を書いたものです。
頁をめくって、説明文書に関する項目がつながっています。
37頁の下ですが、8として「遺伝情報の開示」については、この委員会において、現行指針と同じように開示を維持していくというところであったかと思いますが、それの内容が37頁から38頁に記載されています。ただし、今回の場合については、遺伝情報の開示については38頁の上から5行目の下線で、「当該情報研究を行う機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあり」ということで、「かつ開示しないことについて提供者がインフォームド・コンセントを受けている場合には」というところで、開示できないケースをこれまでのものにもう1つ追加しています。
また、38頁ですが、「遺伝情報の開示に関する細則」で、「研究責任者は、提供者が自らの遺伝情報の開示を希望する場合には研究を行う機関の長に報告しなければならない」という項目を追加しているところです。ここは遺伝情報の開示についての主体は、37頁の(1)の研究責任者ですが、そこに責任をもっている研究を行う機関の長がどう絡むかというところを具体的に記載しておくべきという議論があったかと思いますので、こういう文書を載せているところです。
「開示に関する細則」の2番目としては、今回新しく載せた、先ほど申しました「当該研究を行う機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれ」についての具体的事例で議論を整理したものについて、ここに載せているところです。
39頁の6ですが、「遺伝情報の開示の方法」で、書面以外の開示の方法について前回の会議でも議論になったかと思いますが、「書面の交付または開示の求めを行った者が同意した方法によることとする」という項目を載せているところです。その引き続きの39頁から40頁にかけては遺伝情報の開示の関係で議論されたインフォームド・コンセントを受ける際に、開示に関する方針を説明し、理解を得なければならないことを記載しているものです。
42頁の下の9「遺伝カウンセリング」に関しては、現行指針の項目について、基本的には変更はなくてよいだろうという結論でしたので、変更のない項目になっているものです。ただ、(3)はほかの項目との整合というか、関係項目を一部、こちらに移動してきています。第3の「提供者に対する基本姿勢」については以上です。
この第3については、事務局に今日お休みされている藤原康弘先生から意見が来ておりますので、簡単に説明したいと思います。32頁の(10)のインフォームド・コンセントの撤回があった場合の話で、先生からは「いわゆる廃棄が必要な遺伝情報には、既に試料・情報に付随していた情報のみとして、試料・情報を用いて研究者が独自の発想に基づき解析等を加えることで、新たに取得したものはこの研究結果の廃棄対象としないことではどうか」という提案が来ています。
36頁の真ん中下辺りで、ポツとしては指針改正案の上から3つ目に、「遺伝情報の開示に関する事項」の括弧書きで、(非開示にする場合は、その理由及び開示を希望しない場合は事後の開示が行われない可能性があることを含む)と、いま整理されています。ここの項目については、下線部で書いてある追加された項目は削除することが適当ではないかという意見が来ております。それは開示を希望しない人に対し、その後の開示が行われない可能性について説明するのは当然のことのように聞こえる文章であるということで、説明同意文書をできるだけ簡潔にわかりやすくするという趣旨から、ここは削除しても問題ないのではないか、という意見です。
続いて、38頁です。3点目のご意見としては、真ん中辺りに「遺伝子情報の開示に関する細則」があり、「研究を行う機関の長と研究責任者の役割を明確化」するという話が前回の委員会であったので、我々事務局のほうとして、1に書いてあるような内容を書いたわけです。ここについて、藤原委員からは「要らない、すべて削除」ということで、開示を前提とする研究もあり得るというところで、例えば被験者登録前に同意説明文書が開示の有無を選択される欄を設けているような研究においては、試料等の提供者が結果を知らせてくださいにチェックした場合は、そのたびに機関の長に報告するのは意味がないのではないかということです。また、もし書くならば、ここの部分は開示しないことについての提供者からのインフォームド・コンセントを受けているにもかかわらず、事後に提供者が自らの遺伝情報の開示を希望した場合こそ、研究を行う機関の長に報告しなければならないと考えます。研究機関の長に報告しなければいけない事項は、希望しているということではなくて、希望していなかったがその後希望したいと変わったというように、開示を事後に希望した場合ではないかと意見が来ているところです。以上です。
○永井座長
ご説明について、ご質問・ご意見をお願いいたします。
○栗山委員
37頁の上から8行目の現行指針で「研究資金の調達方法」が、指針改正案のほうでは抜けていますが、利益相反などの考え方、それから資金の調達先によっては協力する・しないの判断の基準となり得ますので、これは入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。
○永井座長
いまの点、いかがでしょうか。
○渡辺安全対策官
基本的に細則など、説明文書の記載に関する細則としてはわかりやすくということで簡単にしたところですが、そういった重要だというご指摘があれば残す方向で検討したいと思います。
○武藤委員
何点かありますが、1つ目は30頁の(4)の下にある「インフォームド・コンセントを受ける際の配慮事項に関する細則」です。これは現行の指針などの経緯をよく理解していないのですが、受ける際の配慮事項というのは、たぶんほかにもいろいろとあって、実際に実践されていると思うのですが、「提供者の情報に必要以上に接することの防止」というのが、なぜここだけ取り上げられているのか。実際にはプライバシーが保てる空間であるとか、相手の体調を配慮するとか、いろいろな配慮がなされていると思いますが、ちょっとこの点が疑問なので、もし事務局が経緯をご存じであればお教えいただきたいと思います。
続きまして、その頁の(6)にインフォームド・コンセントに必要な業務を研究責任者が自ら実施できない場合は、同じ試料・情報の提供が行われる機関の研究者等にも行わせることができるということがあります。こちらは、要するに代行させるということだと思うのですが、(7)の履行補助者に対しては研修の義務があるのですが、(6)の代行させる者に研修の義務を課さなくてよいのかというのがかねてから疑問です。この二者の取扱いの差が、何となく(6)のほうが緩い感じがして、こちらには研修の義務を課してもよいのではないかと思っている次第です。
36頁に説明文書の記載に関する細則が、続けて前の頁からありますが、改正案の1つ目のポツに「予測される研究結果及び提供者等に対して予測される危険や不利益」のあとに、(社会的な差別等社会生活上の不利益も含む)とありますが、この例示はいまでも必要でしょうか。この例示があるために、非常にさまざまな差別の表記をしているコンセントフォームをたくさん見てきていますが、それは本邦に遺伝情報に基づく差別を禁ずる法律がないために、ここできちんと書いておけというご趣旨なのか、その辺り事務局のお考えをお聞かせいただければと思います。
それから、この項目の中から、匿名化の方法についての部分が、現行指針と比べるとそっくり消えているような気がするのです。それは(匿名化の具体的方法を含む)という、36頁の下から2番目のポツの括弧の中に全部集約されたと理解してよろしいかどうかということです。
最後になりますが、37頁の遺伝カウンセリングの利用に関する情報で、遺伝カウンセリングの費用ということも、1つ入れていただければありがたいと思います。以上です。
○永井座長
いまの点、いくつかありましたが、いかがでしょうか。
○渡辺安全対策官
まず、30頁の(4)の「インフォームド・コンセントを受ける際の配慮事項に関する細則」については、(4)で「また、試料・情報の提供を受ける際には提供者に不安を覚えさせることがないよう配慮しなければならない」という、このおそらく「不安を覚えさせることがないよう」ということの1つの具体的なこととして、「提供者の情報に必要以上に接することの防止」という例示が入ったのではないかと考えています。
その下の(6)の代行者などに対する研修が必要ではないかということですが、今回の見直しにより、研究者等に対する教育・研修などの規定が入りましたので、代行者についても研究者等に入ってくるので、そういった研修は入ってくるということになると思います。
36頁の「予測される研究結果及び提供者等に対して予測される危険や不利益」の中の(社会的な差別等社会生活上の不利益も含む)については、そもそもゲノム指針として、こういった差別などで不利益が生じないようにということを配慮して入っているのではないかと思います。
37頁のカウンセリングの費用については、必要かどうかはこの場でご検討いただければと思っています。以上です。
○永井座長
武藤委員、よろしいですか。
○武藤委員
いまの不利益の差別のところは、あまりよく理解できませんでしたが、わかりました。教育・研修の所はそれで読ませるということで理解しました。1点、藤原委員がおっしゃったことで、追加というか、違う意見なのですが、36頁の「遺伝情報の開示に関する事項」で、今回下線で「開示を希望しない場合は事後の開示が行われない可能性があることも含む」というのは、これは私はあってもよいのかと思います。理由は、文書の保管期限等があって、実際に当初のご希望の可否にかかわらずできなくなる事態があり得ますので、私はこれはそのような趣旨からあってもよいのかと思います。以上です。
○永井座長
ほかによろしいでしょうか。
○俣野委員
33頁のインフォームド・コンセントの撤回があった場合の対応について、念のため確認なのですが、公表された結果のエビデンスを事後に求められた場合に、この案で対応できるようになっているのかということを確認させていただきたいというのが1つです。それとちょっと逆の方向の関連なのですが、撤回した提供者がその後に開示を求めた場合の対応はどのようになっているのか、併せて確認させていただきたいと思います。
○渡辺安全対策官
32頁から33頁にかけて、インフォームド・コンセントの撤回の関係です。これは研究結果が公表された場合にどうなるかというご指摘ですが、まず32頁から33頁に書き込まれている(10)の案によると、細則にありますように、当該提供者に係る試料・情報から得られた遺伝情報は廃棄しなければならないということになりますので、例えばAさん、Bさん、Cさんがいて、Aさんからインフォームド・コンセントの撤回があったという場合で、ア及びイの要件を満たさない場合については、Aさんに係る試料・情報から得られた遺伝情報は廃棄していただくということになります。ただ、研究計画全体の中で、ほかの方のサンプル等と併せて、出た結果について廃棄しないということの案です。そういった案で、研究上、支障が生じるかどうかというところについては、この場でご意見をいただけたらと思います。
それから、もし撤回があったあとに開示請求があった場合どうなるかということですが、いま示している案によると、当該提供者に係る試料・情報から得られた遺伝情報は廃棄ということになりますので、その時点でもう廃棄されるということになりますので、以降に遺伝情報の開示の請求があっても、それは開示はできないということになると思います。
○俣野委員
そうしますと、最初に質問した内容のところが問題になるかと思うのです。つまり、公表した結果のエビデンスを求められた際に、根拠となるエビデンスがなくなることが生じる可能性があるというように考えていいですか。
○永井座長
ということになりますね。
○山縣委員
これについては、前回も少しあったと思うのですが、解析する時点で連結不可能匿名化のデータセットを作っておいて、それについては後のメタアナリシスだとか、いま先生が言われた研修に使えるようにしておくというのは、コホート研究の場合などでも基本的なやり方だと思います。ただ、大本の試料をもう一度測定するということは、そのときには不可能になりますので、そういう意味では出来上がったテキストのデータセットに関しての解析の検証はできるけれども、この現状ではもう一度、遺伝子解析をやり直してそこに付けることはできないという構造になるかと思います。
○堤委員
35頁のポツが2つ並んでおり、「将来のヒトゲノム・遺伝子解析研究に利用される可能性がある場合にはその旨」というところで終わっているのですが、そのあとでそういう場面が出たときには倫理審査委員会に申請するのだというところまで説明してもらったほうが、試料提供するほうはしやすいのかと思います。そういう文言を入れていただければいちばんいいかと思いますし、Q&Aなどですぐわかるようにしておいていただくと良いと考えます。また、研究に関して新しい場面が出てきた場合には、倫理審査委員会という、関所を通ってから進むのですということが明確になったほうがよろしいかと思いました。
33頁からですが、別案というのが2つ目に書かれています。別案の最後のほうは、わりと行き過ぎかなと思います。申しておりますのは、34頁の(11)の上の書きぶりです。「当該試料・情報を解析して得られた情報を連結不可能匿名化しないことができる」とか、何かちょっと広がりすぎているかなという印象があります。どちらかをとるとすれば、前半の33頁の細則のほうを採用していただいたほうが、おさまりがよろしいのかと考えました。
先ほど薬剤応答性に関する云々というのもありまして、それが41頁のいちばん下などにも出てまいりますので、見直していただけるようであれば、先ほどの文言の取扱いと合わせて、一緒に修正していただければと思いました。以上です。
○高芝委員
32頁から33頁、34頁にかけての(10)ですが、私は基本的には現在、別案ではなくて、原案として出ている(10)の方が妥当ではないかと思っています。インフォームド・コンセントを撤回した、その方の気持、考えからすれば、やはり遺伝情報は廃棄をしていただくというのが原則になって然るべきではないかと思います。ただ、その場合でもア又はイに当たる場合は廃棄しなくてもいい道が残されていますので、もし研究成果との関係で必要があれば、アなりイを活用していただくことで対応いただければと思っています。
もう1点、38頁の遺伝情報の開示に関する細則の関係で、1.を新たに追加していただくということで、これは是非この形でお願いをしたいと思っています。これは前にもお話させていただいたのですが、もともと開示をするか否かを決めるのは、例えば個人情報保護法ですと、個人情報取扱事業者であって、その組織の中で担当している、ある特定の方ではない。やはり組織自体が開示するか、しないかを決める当時者になるべきだという考え方です。その意味では、研究をする機関の長が、本来的にはその機関の責任者として開示するか、しないかということを決める責任者であるべきだと考えています。ただ、この指針の中では、研究機関の長が研究責任者に長としての責務を委任をしているという構成になるわけですので、研究責任者が最終決定権を持つというよりは、委任された権限を行使をしているという位置付けになりますので、委任元である研究機関の長に報告することで、機関としての開示に対する責務が果たされる仕組みとしていただきたいと思っています。以上です。
○前田委員
31頁の上から3分の1の所に示されております、履行補助者の要件に関してでございます。2行目に、「履行補助者は契約等において、業務上知り得た秘密の漏えいを禁じられている者でなければならない」と記述されており、その中に「契約等」という言葉が示されております。現在は「契約等」となっておりますが、これを「法令または契約」というように、明確に記載するとよいのではないかと思います。
いま法令と申しましたが、これは医師等を対象とする刑法134条であり、また看護師等を対象とする保健師助産師看護師法でございます。念の為、1点、事務局の方か法律分野の委員の方に、確認させていただきたく思いますが、保健師助産師看護師法等に守秘義務の規定があり、そこでは「業務上知り得た秘密」というように、「業務上知り得た」という文言がございます。この「業務上」という文言の対象についてでございますが、診療とか臨床研究はその対象として含まれるもののゲノム研究についてはその対象として含むことを想定されていない、あるいは対象として含まれないというような考え方はありませんでしょうか。仮にゲノム研究が対象として含まれないということになりますと、先ほど示しました「法令または契約」ではなく、すべて契約に基づくということになりはしないかと思いましたことから、念の為、確認させていただきました。
○高芝委員
「業務上」という用語は、いろいろな法律の中に出てきます。この業務上というのは、「同種の行為を反復・継続して行うこと」という定義になっています。ですから、例えば営利性がある、なしということは問わないことになっており、同種の行為を反復・継続していれば業務上ということになりますので、この研究も入ってこようかと思います。
○武藤委員
先ほどの高芝委員のご指摘のところをちょっと教えて いただきたいのですが、38頁の開示の細則の1つ目です。これが例えば薬との関係を見るような、基本的には開示を前提とした研究の場合などもこれから増えてくると思うのですが、そういう場合はもともと原則が開示で、インフォームド・コンセントの段階で、その方が開示を基本的には希望する場合が多いということを想定して、しないときはチェックをしてくださいというフォームを使う場合があるのですが、これはどのタイミングで報告を求めているものと考えたらよろしいでしょうか。
○高芝委員
私がこの文案を作ったのではないのであれなのですが、この文書を読んで想定されるのは、開示をするか、しないかの決定をしたときということだろうと思います。ないしは、「希望する場合には」と書いてあるのですが、開示決定した、ないしは非開示決定をしたということの報告だろうと理解したのですが、事務局の方、違いますでしょうか。
○渡辺安全対策官
研究機関の長の権限と研究責任者の権限の整理ですので、やはり最終決定前というのが基本的ではないかと思います。
○鎌谷委員
開示をしないと研究結果がなっている場合、開示してほしいといったときに報告するのはまだわかるのですが、開示するという研究計画で開示を希望した場合、いちいち報告することは、現実的になかなか難しいのではないかと思うのです。そのたびに例えば何百人もいる、外来に来られたたびに、開示になっているから開示を希望すると、そのたびにいちいち報告するというのは非常に難しいのではないかと思うのですが。
○堤委員
機関の長が研究計画そのものを承認していれば、そもそも開示する研究計画に沿って、その計画が機関の長に承認されていれば、そんな難しいことを考えなくていいのではないかと思うのですが、それでは駄目なのでしょうか。
○鎌谷委員
ここを読むと、機関の長が承認した研究計画で書いておいても、提供者が開示というと、やはりそのたびに報告しなければいけないように読めるのです。だから、私は最初の藤原委員が言われていることに賛成で、開示しない原則のときに開示してほしいときに報告するというのが現実的ではないかと思うのですけれども。いま堤委員が言われたように、研究計画に開示すると書いてある場合はいちいち報告しなくていいということが、この文面から常識的に読めれば、それはそれでいいと思いますけれども。
○永井座長
その辺、いまの事務局のお考えはいかがですか。
○渡辺安全対策官
基本的にはこの原案で考えているのですが、藤原委員や鎌谷委員のご意見を踏まえて、そういった必要があるということであれば、修正を考えたいと思いますが、いかがでしょうか。
○知野委員
やはり私はこのままでいいと思います。この間も申し上げましたが、きちんと行われているかどうかということをやっていくためには、基本的には報告しなければならないということがあっても構わないと思います。それが煩わしいという場合には、もうちょっと報告の仕方を工夫するとか、そういうことで対応はできないものなのでしょうか。
○高芝委員
この点は今の意見と私も同意見で、開示を希望している、ないし途中から希望し始めたということで分けるのではなくて、およそもともと開示するか、しないかの権限は機関そのものにある、ないしはその機関の長にある。それを委任をしている関係ですから、どういう結論になったか、ないしはプロセスも含めて、機関の長としてそれを把握しておくと、すべてについて把握をしておくべきだと考えています。
ここは、38頁の上にもありますが、開示するか、しないか、38頁の1行目で原則開示になっています。但し書ということで、非開示の要件もあります。ここの当てはめ、運用が正確にといいますか、正しくというのでしょうか、あるべき姿で行われているかどうかを一次的には委任を受けている研究責任者が判断するわけですが、やはりその最終責任は委任元である機関の長が負う事柄になるものですから、例えばそれで訴訟を受けることになるなどといった場合には、機関の長として受けることになりますので、機関の長は開示に関わる事柄は把握をしておくべき立場だと思っています。
○武藤委員
ご趣旨はわかりましたが、ここにこのように入っていると、いままでの研究の現状の運用とはだいぶ違う解釈がなされるような気がします。だから、これは開示する前に報告をしておかないといけないということになるのですよね。現実的には、先ほど堤委員がおっしゃったように、研究計画の審査の際に研究機関の長は見ていて、これは開示する研究だ、しない研究だと理解していることになっているのですが、実際には年次報告の中にその項目を入れることは可能だと思うのです。開示する前に機関の長に報告をするというスキームを入れるのは、病院での研究の現状等を考えると、あまり現実的とは思えませんが、いかがでしょうか。
○鎌谷委員
このまま読むと「開示する場合には」だから、いま武藤委員の言うように、開示すると決めている研究計画に書いてある人に対して開示してくれと、それは言うわけですが、そのたびに機関の長に報告して、それから開示するというのはちょっと現実的ではないので、「開示を希望した場合には」ということであれば、ある程度まとまったときに何人開示したということはできると思うのです。現実に外来に来られたときに、研究計画に開示すると書いてある人に開示してほしいと言われたときに、研究機関の長にそれはいいかと報告して、それから開示するというのは、ちょっと現実的ではないですね。
○高芝委員
先ほど武藤委員の方から質問があって、私は、開示したか、非開示にしたか、理由も含めてそれを報告すると思っていたのですが、事務局の方ではそうではなくて、その前に機関の長に報告して、機関の長と打合せしてというか、意思統一をして決めるというお話がありました。どういうスキームにするか、それは決め事で、確かに事前に機関の長と研究責任者が打合せをして決めた方が、より合理的な結論になりますので、私もそれができればいいと思うのです。ただ、この指針のスキームは機関の長が研究責任者に権限を委任している。研究責任者の責務でやってくださいというスキームになっているので、一次的な判断はやはり研究責任者が行うのかと私は捉えました。ただ、その結果を研究機関の長が知らないというのはおかしいので、どういう判断をしたかということと、その判断の理由を機関の長と情報を共有するといいますか、報告をしておくということが必要だろうし、また研究機関の長がその結果は妥当でないと判断したときには、特に非開示のところで但し書の判断がやはり違うのではないかと思ったときには、是正するチャンスも設けるべきではないかという考え方に基づいて、先ほどはお話させていただきました。以上です。
○永井座長
事務局でコメントはありますか。
○渡辺安全対策官
この細則の1については高芝先生のご意見を踏まえて考慮させていただいたものですが、先生のご趣旨が事後ということでもよいのではないかということであれば、このあらかじめというところまで求めなくてもいいのかと思います。既に開示をするという前提の研究については、そういった事後の形でまとめて報告するといった形で、運用できるのではないかと思っています。
○永井座長
まだご意見があれば、またメモでお寄せいただく形で先へ進みたいと思います。第4「倫理審査委員会」、第5「試料・情報の取扱い等」ですが、説明をお願いします。
○尾崎研究企画官
44頁の第4「倫理審査委員会」の説明に移ります。倫理審査委員会については、細則1の「倫理審査委員会の構成に関する細則」にかかれる部分です。これまでの現行指針、左側に関連の項目で、「外部委員を半数置くことが望ましい」とか、「外部委員の半数以上は人文・社会科学の有識者である」必要があるとされていたことについては、委員会の議論等を踏まえて、臨床指針や疫学指針との整合性の観点、これまで研究実績等が蓄積されたことに伴い、その点を考慮して細則1の2つ目のポツにあるように、「外部委員が複数名置かれる必要がある」という項目に集約した記載としています。
また、44頁の細則2「倫理審査委員会の運営に関する細則」です。これは研究を行う機関の長は倫理審査委員会の委員になることはできないというところについては、誤解などが生じているという議論がありましたので、ここで明確化したところです。
46頁の(7)です。ここは先述しておりますが、設置者について「倫理審査委員会の教育及び研修に努めなければならない」としており、これは先ほど説明したとおりで、本指針においても臨床研究指針にあわせてこの項目を載せるというものです。
46頁の第5「試料・情報の取扱い等」です。これについては、現行指針は、A群、B群、C群など、実施の施行前に提供され、かつ保存された試料等の利用の可否について、同意の時期を踏まえて倫理委員会の承認を得た上で研究を行う機関の長が決定するとなっています。これは委員会の議論を踏まえて、49頁の下から2行目の「他の研究を行う機関への試料・情報の提供等」以降50頁にかけての、内容で整理しているところです。
また、51頁は、「個人情報に該当しない情報の取扱い」ということで、匿名化された情報に関する細則、匿名化された遺伝情報の取扱いに関する細則で、これまで現行指針で適切な措置を講じるとされたことについて、の内容の具体化が示されていなかったので、そこについてはここに書いてある内容とすることにしているところです。(2)は、研究を行う機関の長が個人情報に該当しない情報の取扱いの全部または一部を委託する場合についての項目と、その一端とすべき事項については52頁に書いています。
53頁は、試料・情報等の利用に関することです。それについては議論を踏まえて、14「研究を行う機関の既存試料・情報の利用」に、まとめているところです。
55頁ですが、「外部機関の既存試料・情報の利用」で、研究を行う機関が提供を受けた既存試料者をどうするかについては(1)で、56頁の既存試料等の提供を行う機関者が他の機関で用いるために提供する場合、いわゆるバンクについては(2)に議論を踏まえてまとめているものです。以上です。
○永井座長
たくさんの説明でしたが、いかがでしょうか。
○知野委員
46頁の(7)「倫理審査委員会委員の教育及び研修に努めなければならない」、これはどういうことをイメージされているのですか。
○渡辺安全対策官
この委員会の中でも倫理審査委員会の委員について、教育や研修の機会を作ることが重要ではないかというご指摘をいただきましたので、設置者がそういった倫理審査委員会の委員に対して、教育・研修の機会を作ることが重要になってくるのではないかと思います。
○知野委員
というのは、もちろん右のほうに「多様化している状況等」という説明があって、教育・研修はそれ自体を否定するものではないのですが、現行指針と比べて外部委員の数を半数以上から複数名と、これは例えば2人でもオーケーということになるのだと思うのですが、外部委員の数が減る中で、委員会を設置した側の説明と、教育・研修であるとすると、何か説得になってしまうだけになるのではないかという疑問を1つ持つのですが。
○渡辺安全対策官
それは具体的に倫理審査委員会の委員に対して、教育や研修を義務付けるというイメージでしょうか。
○知野委員
現行の場合には半数以上ということで、外部の目がかなり入ることになっています。価値観が違ったり、ものの考え方が違ったりする人たちの意見が入ると思うのですが、今度は複数名だから、最低2人であればいいと読めますので、委員全体の数が多く、外部の人が非常に少数となる場合に、こういう働きかけが果たして正当なものだけで済むのか、あるいは事実上の内部の委員会になってしまうのではないかという懸念です。
○永井座長
この点はいかがでしょうか。
○栗山委員
私は最初のほうでも申し上げましたように、人数をほかの委員会に合わせることの問題のほうが大きいのではないかと思っております。だから、最低2人いればいいという状況は適切ではないと考えます。と同時に、(7)の「教育及び研修」という、この「教育」という言葉に違和感を感じています。試料の提供というか、求めに応じて試料の提供やいろいろな状況にアクセスする情報提供をする機会を提供する体制が必要だと。ポンと投げ出されるのではなくて、委員になった人が求める情報を提供できる体制を作ってほしいということが、たぶん前回から言っているところかと思っています。
○永井座長
外部委員の人数の件について、いかがでしょうか。
○栗山委員
これに関しては、いま知野委員は、この数を前提にした感じでおっしゃったのですが、私としてはこの数を最低2人いればいいというようにはしてほしくないと思っています。ただ、これは前からずっとこの委員会で申し上げていることで、それに対してほかの委員の方がご賛同いただけないのであれば、この現状はしょうがないのかなとは思いますが、ほかの皆様、いかがでしょうか。
○永井座長
現実に半数まで行っていないという状況もあったのですね。ほかのガイドラインに揃えようということで、複数名ということが出てきたと思いますが、武藤委員どうぞ。
○武藤委員
知野委員のご危惧は、この書きぶりでここの研修となると、そう読まれるのは非常によくわかる気がします。冒頭に堤委員がおっしゃってくださったことを私も言及して、迅速審査のことを言及してくださったのはちょっと意味が違っていまして、臨床指針と疫学指針では審査委員会を設置していても、ほかに委託できるという余地があるのです。ですので、外部委員を確保することが非常に難しいところとか、設置できないところも含めて、より外部性の高い委員会に、特に他施設共同研究などは審査の委託ができますので、そちらでより施設の利害から離れたところで審査をしてもらうという余地がある。今回ゲノム指針ではそれを入れていただけないということなので、各施設の個々の審査体制に依存しないといけないということがあるのです。したがって、もともとIRBという制度はそういうすごく矛盾を抱えた制度で、これを維持している以上、外部性が高いほうが私はいいと思いますので、栗山委員のご意見には実は賛成なのですが、できていないところが非常に多いというのも事実です。そちらに合わせる選択を今回するのか、あるいはより質の高い審査ができる所に委託ができるというのを入れていただくかということを、私は何となく迫りたいという気持でいます。
○鎌谷委員
いま栗山委員の言われたことなのですが、倫理審査委員会の委員の教育は、必ずしも外部委員に対してだけではなくて、内部の委員も最近のヒトゲノム・遺伝子解析研究の進歩によって、内容が理解できない人が非常に多いのだと思うのです。だから、むしろそういう人にも内容を理解してもらうという意味で、私はこの教育と研修ということが入っているのだと思うのです。だから、必ずしも外部で一般の人だけではなくて、内部である程度、医学とか生命科学の専門家であっても、最近のそういう計画はなかなか難しくて、理解しないことが多いということも含んでいると私は思いますけれども。
○武藤委員
1点、この教育と研修の努力義務になっていますが、本当は私は義務がいいと思います。それ自体は必要で、というのは、いま鎌谷委員のおっしゃったゲノム研究の最新の状況とか医学の背景ということだけでなく、本指針では非常に難しい判断がすべて倫理審査委員会でやれということになっていますので、その判断の仕方を学ぶという研修が本当はすごく重要だと思っています。
○堤委員
ちょっと天邪鬼のような言い方になるかもわかりませんが、やはり我が国においては遺伝情報が特別だという流れがあまりにも強すぎたと(遺伝情報例外主義)。それを少しそうではないのではないですかという意味から言えば、もしかしたらほかの臨床研究とか疫学などの構成と合わせるのも1つの手かなと、そんな考え方もできるのではないかなどと思ったのです。結論はなくて申し訳ないのですが。
○栗山委員
いま堤委員のおっしゃったことはよくわかるのですが、であるがゆえに外部の芽を削っていくことに対してのコンセンサスというか、それが逃げにならないという社会の芽はまだできていないのかとは思っています。特殊ということではなくて、まだ必要な。削らないことが大事かなと思っています。
○永井座長
徳永委員、何かご意見はありますか。
○徳永委員
私が関わっている機関では、それほど外部委員の確保に困っていないという経験なものですから、状況がどのぐらい難しいのかよくわかっておりません。外部委員を確保するのがいろいろなところで難しいということはお伺いするのですが、個人的な考えとしては、なるべく外部委員が半数に近い形であったほうがいいとは思うのです。ですから、少なくとも複数プラスアルファというか、なるべく多いほうがいいのではないかと、そういうニュアンスが出るほうがいいと曖昧で申し訳ないですけれども。2人いればもう十分ということにはならないような読み方ができるものがいいようには思います。なるべく外部の委員の意見も反映する、そういう趣旨が現されるような文言がいいと思っています。
○永井座長
事務局、その辺の書き方についていかがですか。
○渡辺安全対策官
もしそのような趣旨が必要だということなのであれば、原案で「外部委員を半数以上置くことが望ましいが」ということになっていますので、戻すかどうかということですが、これまでの議論の経緯なども踏まえてご判断いただければと思いますが。
○永井座長
これについては、次回以降も議論するということで進めたいと思います。次の「個人情報の保護」「見直し」に関する件について、第6及び第8の項目について、ご説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官
第6の「個人情報の保護」に関するところについて説明をいたします。56頁からになります。57頁の「安全管理措置」の中ほどに、「安全管理措置に関する細則」に下線部が引かれております。この下線部が引かれている内容については、右側の「見直しに当たっての考え方」の欄をみていただきますと、「個人情報の保護に関するガイドラインの共通化に対応した見直しである」と書いています。この項目については、※にありますが、「個人情報保護関係省庁連絡会議申合せ」が平成20年7月にされており、内閣府が示した考え方に沿って、各事業分野のガイドライン、個人情報保護に関係するようなガイドラインの共通化を図っていきましょうということで、今回この我々の見直しの中でも、その項目について反映させていくというところでの項目です。この個人情報の保護に関するガイドラインの共通化に関連したものについては、参考資料の3に、その概要及び具体的な内容を載せております。その参考資料3の2~3頁で、標準的なガイドラインの反映、今回の我々の指針改正案を反映した項目を一覧表にまとめてあります。この項目については、基本的には共通化に対応ということなので、このようになるものであるとご承知いただければという内容です。
資料2に戻って、57頁から先に進めていきます。59頁の18「個人情報の取扱い」についてです。この項目については、下線が引かれていますが、「委託を受けた者が遵守すべき事項について、契約等により担保するとともに」が追加になっているものです。その項目について委員会で検討が行われた項目を文章にそのまま起こしたものが、その下の「委託する場合に契約により担保すべき事項に関する細則」です。「委託業務の内容に応じて追加できる」ということを前提にしつつ、一般的事項、5項目を載せているものです。この内容は、委員会でも議論がされた項目と承知しており、3番目の「委託を受けた者以外への試料・情報の提供の禁止」も項目に載せるということで、一連の合意がされているところです。この項目について、本日ご欠席の藤原委員から、「もし委託を受けた者以外への試料・情報の提供の禁止というところが、再委託の禁止ということであるならば反対をしたいのですが」という意見が来ているところです。基本的には、再委託の禁止の項目と承知しておりますが、ご紹介させていただくものです。
第6の内容、60頁、61頁、62頁で、基本的には第6として項目を新たに起こしたというものであり、現行指針の項目をここに集めてきたということだけであり、内容的には変わりはありません。63頁の19「個人情報の開示等」です。「個人情報の開示等」については委員会で議論がされている項目で、遺伝情報の開示とも関連している項目ではありますが、(1)にあるように、まずは開示の方法について、ここの中でも「書面の交付又は開示の求めを行った者が同意した方法により」を追加しているものです。また、「全部または一部を開示しないことができる条件」は、イとして「研究を行う機関の研究業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」を、個人情報の開示に係る規定に基づいて追加しているものです。
第6の「個人情報の開示」については、67頁の用語の定義の前までとなります。
最後になりますが、74頁です。第8「見直し」の項目です。「見直し」については、これも先ほどご紹介した個人情報の保護に関するガイドラインの共通化に対応して、この項目の記載を変えているところです。そのまま読み上げますと、「この指針は社会情勢の変化、ヒトゲノム・遺伝子解析研究の進展等、諸状況の変化を踏まえ、必要に応じ、または施行5年を目途として、その全般に関して検討を加えた上で見直しを行うものとする」ということで、ガイドラインの共通化に対応したところとして、この下線部を入れることとしているものです。以上です。
○永井座長
ご質問等ありますか。
○堤委員
ちょっと戻って申し訳ないのですが、14と15で、最初のほうでも出ていたバンクの件についての議論ができなかったのです。それから、委員として増井委員も小幡委員も今日は来られていないので、次回是非そこのところは最初に議論していただけたらと思います。それがお願いで1つです。
63頁の「個人情報の開示」と8の「遺伝情報の開示」の両方の関係なのですが、個人情報保護法の開示に関しては、費用がかかるときには費用が請求できるというように、手数料の徴収方法等が66頁のエに書かれております。8の「遺伝情報の開示」についても、費用を請求してよろしいのでしょうか。逆に、特定の先生が1週間もかけて説明することはたぶんないと思うのですが、そんなことが起き得るとしたら、それはとんでもない費用がかかるということになると思います。19と8の関係が、費用の徴収については片方には書いてあって片方にないというのはどう整理されるのか、ちょっと教えていただけたらと思います。
○永井座長
事務局、いかがでしょうか。
○渡辺安全対策官
ご指摘のように66頁の(10)で「開示を求められたときは手数料を徴収することができる」ということについて、これは個人情報の開示の関係で出ているわけですが、実際に開示を求められたときには研究責任者の責務として遺伝情報の開示を行うということですが、行為としては遺伝情報であれ、それが個人情報である場合については同じということになりますので、そこまで明記する必要はないのではないかと思っておりますが、66頁の規定などを参考にしていただいて、そういったルールを作っていただければいいのではないかと思っています。
○栗山委員
いまので教えていただきたいのですが、協力者が開示を求めたときには、その対価を協力者が払うということでしょうか。
○堤委員
そういうことです。それが個人情報保護法に基づいた開示への対応です。
○栗山委員
それはインフォームド・コンセントの中に書くということでしょうか。
○堤委員
やはりそれは書いたほうがいいと思います。
○栗山委員
いままでも書いてあったのですか。
○堤委員
書いてあったのですか。
○栗山委員
いや、あったんですかと、見たことがないなと。不勉強で、そんな大した数をあれしているわけではないのですが、いままでもそういうことに関しては、どこかに書いてあったのでしょうか。
○堤委員
たぶん書いていなかったと思います。
○栗山委員
よくわからないのですが、提供するときも、それから提供したあとも、一切、当事者には何のフィードバックもないし、例えば研究成果のそこから得た利益も返らないと書いてありつつ、インフォームド・コンセントの中にも開示を希望したときには有料と、手数料を払うなどということを書いてあることもなく、そこにだけ対価を支払うというのが何となく。
○永井座長
時代が変わっていて、これから何万頁のデータが出てくるのですね。そういうデータをどうしようかという議論が前にあったと思うのですが、事務局からお願いします。
○栗山委員
それもわかっているのですが、いままで書いていないということ。
○渡辺安全対策官
資料の36頁の細則の下から5つ目のポツですが、「個人情報の開示に関する事項」で、「開示に当たって手数料が発生する場合は、その旨を含む」ということで、先ほどの規定と連動している仕組みになっております。
○永井座長
よろしいですか。
○栗山委員
はい、これからは書かれるということで理解いたしました。
○永井座長
ほかにいかがでしょうか。あとは全体を通じて、どこでも結構ですのでご議論があればお願いいたします。
○堤委員
最初にご紹介いただいた用語の定義で、「試料・情報」でいくのかどうかというのは、どんな感じでしょうか。
○永井座長
いかがでしょうか。堤委員としては「試料等」でいいかということですか。
○堤委員
といいますか、今日は増井委員が来られていないので、趣旨がちょっと、私もそこまで理解が及ばないのですけれども。
○渡辺安全対策官
補足説明させていただきますと、今回「試料・情報」という形で、定義の中に遺伝情報を入れた上で、言葉の使い方を変えたわけです。この趣旨としては、これまでもいろいろ議論してまいりましたように、今後、試料、すなわち、いわゆる血液や体細胞などマテリアル試料と、遺伝情報をほかの機関に渡して、それを連結可能匿名化で使用させると。そういったことなどを整理していくということが、今回の改正です。そうしますと、やはり他の機関に遺伝情報を提供するということを考えたときに、いままで「試料等」と書いてあったのですが、そこを明確に遺伝情報が入ることを整理したほうが、全体を通じてわかりやすいのではないかということで、このような改正をしたらどうかという提案です。
○尾崎研究企画官
いま堤先生のほうからお話があったのですが、増井委員のほうから今日の朝、試料と情報についてご意見をいただきました。それをご紹介だけさせていただくと、10年近く試料等でやってきたので、わざわざ全部を書き替えるのはどうだろうかと。もし書き替えるなら、情報についていろいろなところを考えて区分けをして、こういう情報があるとか、ゲノム情報と同等に扱うべき医療情報などといったところで、情報を区分けするなりしたほうがわかりいいのではないかという話がありました。メールなので、やり取りはできていませんが、一応そういうご意見というか、メールで送られてきているということです。
○堤委員
いまのお話ですと、遺伝情報の中にも機密性が高いものというか、そういうのがあったり、連結不可能匿名化にして、あとでデータベースで共有化したりするという重みづけをしましょうというご趣旨だと理解したのです。そんな区別をしたほうがいいということであれば、ちょっとこれももしよろしければ次回お聞きいただいたらどうかと思いました。
○永井座長
そのほか論点について、いかがでしょうか。またお気付きの点は、メモ、メール等でお寄せいただくことで、事務局、よろしいですか。もう少し問題点を整理して、さらに議論を深めるということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。今日もたくさんのご意見をいただきましたので、これを踏まえて、ゲノム指針の改正案の修正をさらに事務局にお願いして、引き続き改正案の検討を行いたいと考えております。事務局より、連絡事項等をお願いいたします。
○尾崎研究企画官
次回の日程については、日程を調整した上で、改めてご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、先生方におかれましては、紙ファイルの参考資料集についてはそのまま机上に残していただき、お持ち帰りにならないようにお願いいたします。以上です。
○永井座長
それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
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