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2011年6月15日 第17回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年6月15日(水) 18:00~20:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

阿式構成員、石田構成員、岡崎構成員、河岸構成員、河崎構成員、栗林構成員、
長野構成員、西田構成員、野澤構成員、野村構成員、東構成員、広田構成員、
渕野構成員、松浦構成員、三上構成員、三根構成員
高橋参考人、萱間参考人

○議題

(1) 認知症への精神科医療について(外来・訪問)
(2) その他

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第17回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 念のため申し上げますが、本検討チームは公開のため、検討チームでの審議内容は、厚生労働省のホームページに議事録として掲載をされる予定でございますので、あらかじめ御了解いただきますよう、お願いを申し上げます。
 また、本日は、朝田構成員、柴田構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 なお、本日はヒアリングを実施する予定でございますので、あらかじめ御説明をしていただく先生を御紹介させていただければと思います。
 医療法人エスポアール出雲クリニック院長の高橋幸男様でございます。
 続きまして、聖路加看護大学精神看護学研究室教授の萱間真美様でございます。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきたいと思います。
 本日の議題は、認知症への精神科医療について(外来・訪問)ということでございます。認知症患者への診療医師の取り組みと、認知症患者への訪問看護ステーションの取り組みについてのヒアリングを実施したいと思っております。
 まずは、事務局から資料に基づきまして説明をさせていただきまして、その後、認知症患者さんへの診療所の取り組みを高橋先生に、続いて認知症患者への訪問看護ステーションの取り組みを萱間先生にそれぞれ御説明いただき、その後、意見交換の時間を設けたいと考えております。
 それではまず、資料に基づきまして事務局より説明をお願いいたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。
 お手元の「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム第2R」と書きました資料をご覧ください。
 認知症に関する外来や訪問について現状どうなっているかということを簡単にまとめさせていただいた資料です。
 まず、2番目のスライドですが、今、認知症の外来患者数については、患者調査によりますと、三十万人あまりで、この年次、約10年あまりでアルツハイマー病の患者さんが3分の2ぐらいになってかなり増えているという状況であります。
 3番目のスライドですが、この外来医療、まずは早期の診断が大事であるということを中間まとめでも御意見をまとめていただきました。
 厚生労働科学研究によりまして、認知症の専門外来を受診した患者さん275名の診断の内訳がこちらの3番目のスライドの図になります。
 大体、アルツハイマー型認知症が3分の1ぐらい。その次のレビー小体型認知症、その次に軽度認知障害、その次に血管性認知症と言われる、大体典型的な認知症のグループが全体のうちの3分の2ぐらいになっています。
 下の4ページですが、こちらは専門外来での診断の前に、紹介前のかかりつけのドクターだとか、その前のドクターではどういう診断だったかというのを左と右で比較しているものです。これは対象が204人の患者さんになるんですが、左側の前医での診断ということを見ますと、認知症というところが大体半分弱ぐらいで、アルツハイマー型認知症と診断されているものがその次に来ています。物忘れ、記憶障害、血管性認知症、軽度の認知障害という、主だった認知症のグループで見ると4分の3ぐらい認知症という診断になっていますが、右側の認知症の専門外来で更に詳しく診断をすると、アルツハイマー型が3分の1、先ほどの専門外来の分布とほぼ同じですが、3分の2ぐらいが主な認知症という形で、細かく診断していくと、認知症ではない治る病気の方もいるということで、診断が大事であるという結果でございます。
 5ページ目、実際にどれぐらい診断されているかということなんですが、認知症疾患医療センターのデータをまとめたものでございます。
 平成21年、センターの数で言うと、66か所のセンターの集計で、年間で1万2,336件の診断がされております。県別に棒グラフにしておりますが、数字は1施設当たりの数字でありまして、多いところは大体600件以上やっているところもありますし、少ないところもあります。ただ、数字が少ないところは、これは21年、指定されてからの期間が短いところは少なく出てしまいますので、一概にわかりませんが、大体年間200件ぐらいこの実績の報告からは診断している状況が見えます。
 次に、6ページですが、重度認知症患者デイ・ケア料という、医療機関で認知症患者さんを診る場合の点数としてこのような点数がありますので、御紹介させていただきます。
 これは診療報酬の点数で、一日につき1,040点ということで、対象が精神症状及び行動異常が著しい認知症患者(「認知症である老人の日常生活度判定基準」がランクMに該当するもの)となっておりまして、15ページのスライド、参考資料を2~3枚めくっていただきますと、「日常生活自立度」という判定基準がありまして、左に「ランク」というのがあって、1、2と続いていますが、一番下にMというところがあります。これがそのランクMというもので、どういう方かといいますと、著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とするという方になりますので、医療が必要な認知症の方が対象になるということであります。
 また戻っていただいて、6ページ目の重度認知症デイ・ケアのところですが、こちらは施設基準に適合している医療機関で行うことができまして、施設基準というのがそこの下に書いてありますように、「精神科医師が1人以上勤務している」「専従する作業療法士及び専従する看護師がそれぞれ1人以上勤務している」「専従する精神病棟に勤務した経験を有する看護師、専従する精神保健福祉士又は専従する臨床心理技術者がいずれか1人以上勤務している」。その他、デイ・ケアの施設の要件などがありまして、こちらを満たしている医療機関が届け出をすれば、この重度認知症デイ・ケアというのを実施できることになっております。
 7ページをご覧ください。
 この重度認知症患者デイ・ケアをどれぐらい利用されているかというデータになります。平成19年6月の1か月間の統計であります。延べ利用者数で11万1,401人ということです。施設の内訳を見ると、単科の精神科病院が5万人あまり、単科の精神科病院以外のところが2万人あまり、診療科目を「精神科」「神経科」としている診療所で3万7,000人あまりということになっています。
 実人員で見ますと、真ん中辺りの数字ですが、8,086人というデータになっています。こちらの利用者さんがどこに住んでいるかということの内訳で見ると、8,086人のうち7,330人の方が在宅、あとグループホームと障害者の社会復帰施設等のいる方が216人、あと高齢者の介護の施設等にいらっしゃる方が445人ということで、ほとんどが自宅、在宅にいる方がこのデイ・ケアを利用されているということが見て取れると思います。
 8ページは、平成16年からの4年間の状況を年次推移で整理しましたもので、大体横ばいで推移をしております。
 9ページ、今の居住地別に見たものも大体横ばいで推移をしているところです。
 10ページは、医療施設調査でありまして、精神科病院における訪問診療、医師が訪問して行う診療がどれぐらい実施されているかということで、実施件数、平成20年の医療施設調査がかなり増えていまして、今、1,507件というデータになっております。
 続きまして、11ページ、訪問看護事業所における認知症患者の利用者数ということで、訪問看護ステーションの事業所に対した調査で、認知症が主傷病である方をどのぐらい診ているかということですが、1事業所当たり平均値で6人を利用しているということでデータが出てきています。ある程度の割合の認知症の方を訪問看護で診られているということであります。
 更に12ページ、精神科の訪問看護の利用患者数でこちらを見ると、F0という疾患グループに入るもので、1,661人、1か月間の利用がある中でアルツハイマーが728、血管性認知症が326、それ以外のものが607ということで、このような状況であるということであります。
 13ページ以降は参考資料でありまして、17ページ以降に診療報酬の点数がどうなっているかというのを参考までにまとめさせていただいていますので、何かあったときに見ていただければと思います。
 説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 それでは続きまして、認知症患者への診療所の取り組みに続きまして、高橋先生の方からお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋参考人 失礼します。エスポアール出雲クリニックの高橋です。
 資料に基づいて、時間があまりありませんので、少しかいつまんでということもありますが、まず、島根県の状況を御説明いたしますと、皆さん御存じかもしれませんが、島根県は35年間高齢化率がナンバーワンで高齢化の一番高い県になります。去年からは100歳老人が人口比において日本で一番多くなりました。沖縄を抜いて長寿県にもなりました。
 そういった田舎なんですけれども、そういう点、全県の人口が71万しかありませんので、非常に身近なところにたくさんいるということで、割と全県的に見ても、皆さんがお考えよりははるかによく周りのことが見えているというところがあります。私がいるところの出雲圏域は人口17万人でありまして、この程度の地域が一番やりやすいんだろうなと私は思っています。
 医療機関としましては、外来・入院を持っているのが、大学病院が1つ、県立中央病院が1つ、県立の精神科単科病院が1つ、私立の精神科病院が1つあります。それで4施設あります。外来は、公立総合病院が1つとクリニックが7で8施設。これらは非常に身近に常に連携といいますか、いろいろな会でも出会っていますので、顔はちゃんとわかっていますし、どんな人かもわかっています。
 私の自己紹介はそれを見ていただくことにしまして、地元を含めていろいろ関わりを持っています。私のクリニックは20年前、1991年につくりまして、もともと私は精神科医ですので、統合失調症の地域医療をしたいということが私の願望でありましたが、先ほど申し上げましたように、高齢化県でありまして、目についたのが認知症の方でありました。介護してくたびれた家族というのが目につきまして、その当時、私も実は、認知症の人というのはあまりわからないとか、どうしようもないというようなどっちかというと否定的な見方をはっきり持っていた方だったんですけれども、御家族のために始めたデイケアでいろいろなことを教わることになります。それは結局、認知症の方の心というのを見るという立場をとります。
 パーソンセンタードケアなどと言われますけれども、その前からずっと私たちはそれをやっていまして、ですから、医療としてもやってきましたが、ケアとしてもやってきております。
 現在の外来の図は、右側にアルツハイマー型認知症と書いてありますが、これは全部です。アルツハイマー他全部を加えた認知症の方が211人います。大体、私が見ていますので、一月のうち211人を診ている。これは多いのか少ないのかわかりませんが、かなり診ている方だろうと思います。実際には、左にありますように、統合失調症の方は140人ですから、統合失調症の方より今は認知症の方が多くなっているというような実情があります。
 こういう形で、どういうことを出雲では診療所として行ってきたかといいますと、まず、一番最後の7番のところに行っていただきたいんですけれども、7)に地域ケア事業所との連携の状況というのがあります。実は、出雲というのはここ25年ぐらい精神科医療の方を中心に行政と一緒になって地域づくりをやってまいりました。形や制度も大事ですが、地域づくりをどうするかというのはとても大事だと思うんですけれども、地域づくりをやってまいりました。
 最初は、統合失調症の人たちが普通に生きていける、安心して生きていける社会はどうしたらいいかということでやってきたんですが、先ほど申し上げましたように、認知症の方が視野に入ってきまして、実は、その経過の中で認知症の方たちも一緒にやるとなってまいりました。ですから、そこの地域ケア事業所という、この図はあまり見つめないでほしいんですけれども、これは実は、出雲市がつくったものですが、行政と一緒になってやってきたという背景があります。
 ですから、行政と協働して、はっきり申し上げますと、出雲市と協働してずっと地域づくりをやってきた歴史がありまして、同じ目線でいつも同じふうにやっていますので、市が何かを計画するときには私たちにどうしたらいいのかと相談がありまして、すぐ日程が調整されていろいろな方が集まるという仕組みになっています。ですから、非常に事業所の方たちとはスムーズにいつも顔見知りになっているという背景があります。そういうことでありまして、私個人は嘱託を4つ持っていますけれども、精神科医が7人いて、みんなそれぞれ嘱託医として入っています。
 そういうような背景があって、少しあっち行ったりこっち行ったりして申し訳ありませんが、6番目になりましょうか、早期診断への取り組みという形としてお話したいと思うんです。
 結局、どうしたら皆さんが、認知症を抱えておられる方、あるいは認知症御自身の方が医療にかかってこられるかというようなことを見るときに、結局、認知症は何なんだということをお話する。これはできていないと私たちは思って、そこに交流塾というのを書きましたが、これはもう8年になります。後で説明いたしますが、重度認知症患者デイケアで得た認知症の方の心を中心にして、認知症とはどういう病なのか。いわゆる病気ではありません。病むということはどういうことなのか。認知症を病むとはどういう事態が起きているのかとか、そういったようなそこに書いてあることを4か月シリーズでやっていくことを8年間続けました。既に出雲市民の3,000人ぐらいは私たちと話し合ったということになりますけれども、100回目を先月迎えました。これは認知症サポーター養成も兼ねて今やっております。
 それも実は、これをやるのに出雲市、老人会、民生委員、社協、あるいは地元の地域の支援事業所とかが協力してくれて、この会はコミュニティセンターでやるので、その地域の事業所の方が協力してくれたりします。そんなことをしていて、敷居が低くなっているということがあるんだろうと思います。ですから、結構気楽に来られてそういうのを見ることにおいて、私どももそうですが、私どもの出雲市においては私の診療所だけではなくて、いろいろな診療所に患者さんがたくさん来ておられるようですが、皆さんそんなに苦労しているという話は聞きません。
 外来診療としては、認知症の立場に立った相談支援を行っているということになります。お手元に「CLINICIAN」というのをお渡ししておりますが、その中で付箋をつけたものは、このデイケアで得た私たちの考え方を、こういうことを日ごろの認知症の中でやっておりまして、それを相談窓口というところで、外来でやっています。
 専門医療機関との連携というのは、先ほど申し上げましたけれども、私自身も専門医療機関になるのかもしれませんが、大学と中央病院とが身近にありますので、そこの神経内科とか、精神科の先生方とは病診連携としてはいつも一緒にやっておりますし、診診連携も非常にスムーズに行っています。医師会と大学と県立中央病院がいつも定期的に、最低限、年2回会合を持ちまして常に密接にやっていますので、あまり連携が問題になるということは普通聞かない状態であります。これはいいことなのか悪いのか、この地域ではそれがはっきり言えるんだろうと思っています。
 そこに鑑別診断を必要とする事例は少ないと書きましたのは、島根県の調査もそうなんですが、鑑別に何か困ったことがあったのかということになると、ほとんど出てこない。いろいろ相談してやられているから出てこないんだろうと考えた方がいいと思うんですけれども、どこかにきちんとした診断機関を持たないと浮かび上がってこないかというと、そういうわけでもないということが言えるだろうと思うんです。
 早口で申し訳ありませんが、そんなことがありまして、そういうのが全体的なつながりというか、私たちの関わりであります。
 重度認知症デイケアの話が5番になりますが、重度認知症患者デイケアというところのお話をさせていただきますと、先ほど御説明がありましたように、重度といいますのは、BPSDが非常に激しい方たちであります。具体的にはどういう方たちかといいますと、もちろんBPSDが激しいんですけれども、介護保健施設で困ったという方たちが、例えば私どものところでは紹介されてきます。そういう方たちをお困りになったところで私たちが引き受けるといったような形をとっています。
 これは1993年に開設しましたからもう18年になります。先ほど申し上げましたように、このデイケアでいろいろなことを教わって、結局、その教わったといいますのは、パーソンセンタードケアということになりますが、当然のことですが、認知症の方を中心にというのは認知症の方がどんな思いでいるかということを本当はもっともっと知ってやるべきだということが私たちにありまして、常にお年寄りの言葉というのを大事にしてきて、それを治療関係、あるいはケアに生かしていると思っていただければよろしいと思います。
 定員は25名まで診られるんですが15名しか診ていません。これはもともとどんなことができるんだろうという思いがありました。医療としてどういうことができるんだろうという思いがありましたので、そこの下の方に書きましたが、集団精神療法的かかわりという形で、私たちは集団的かかわりを大事にしておりますが、その場合にどうしても最大限見積もっても15人ぐらいがいいところだろうということがあったものですから、それを徹底的にこだわってやりました。そんなんで成り立つかとよく言われますが、経済的なことから言ったら相当大変でありまして、勿論今でも大変であります。それはそういうふうにやっていこうということがあって、何ができるかという思いがあったものですからやったことなんですが、今でもこだわっております。15名をそこのスタッフでしておりますが、現在は登録者数は27名しかいません。
 今、申し上げましたが、心理劇の技法を援用した集団精神療法的かかわりを行っています。治療的にもケア的にもそれを行っています。
 次のデータは、私も慌ててやってしまったので少し数が違っていますが、これは「154」ではなくて「131」です。1か月以内で退所なさった方はデイケアの効果があった人ではないと思って外してしまったので、右側の図は131人の内訳であります。154人を全部入れても、その方たちを入れても、精神科に入院になった方は8例しかいません。これは大体、6%ぐらいだと思うんですが、これが多いのか少ないのかわかりません。ほとんどが重度のBPSDを持った方たちを一生懸命診たつもりでありますけれども、このぐらいの方が入院になったという経過研究があります。
 どんな効果があるんだろうというのは、比較、コントロールをとってやるというのはなかなか難しいんでありますけれども、GAFというのがあります。機能の全体的評定尺度でありますが、その精神機能の尺度でありますGAFというのがあって、それからもう一つ、NMスケール(N式老年者用精神状態尺度)というのがあるんですが、そのNMスケールを用いて、これは何も書いていなくて申し訳ありません。Nが29です。私どものデイケアの平成19年度から21年度の3年間に私どもに来られた方の半年間のフォローアップをしたものであります。半年間のフォローアップをしますと、統計処理をした結果、精神症状を含めた機能の全体的な評価をそのように有意差をもってよくなっておりますし、NMスケールも有意差をもってよくなっています。認知機能に関しては半年ぐらいでは変化していないとなってまいります。
 その次の資料は、私たちの日本精神神経科診療所協会(日精診)というのがありますが、呼びかけて日精診のうち13施設が協力してくれまして、13施設をトータルに見たものであります。Nはちょうど100です。そのNの同じように、これは19年度から20年度までの2年間です。2年間の今、言いました同じ条件で、各病院、各クリニックが同じことをしているわけではないということもありますし、あるいはコントロールをとっていないということで実に大ざっぱなところがありますけれども、しかし、半年間のフォローを見ると、同じようにGAFとNMスケールは有意差を持ってよくなっています。
 NM尺度の下位尺度があるんですけれども、その下位尺度に家事、関心、会話、記憶とか、見当識がありまして、それを個別に見ますと、見当識はあまり有意差がありませんが、その他家事、関心、会話とか、記憶も有意差がありますけれども、そういう生活上の活動性というのか、そういうのは上がってきているのであります。
 そんなことでありまして、実際に具体的な形として何とか会議というのができて、例えばいわゆる私たちのところで言うと、安心支援センターと言うんですが、高齢者安心センターは何と言いますかね。要するにセンターを中心にという形ではなくて、センターも一員という形で私たちは常に会を持ってやれると。それは一声掛かれば必ずなりますし、個別には私のところに来ておられる方が、いろいろな事業所の方がしょっちゅう来られますので、私たちが事業所とつながりで何か困っているということが普通ない。それはもう常日ごろからそういう発信を続けていることと、私たちが地域に出かけていろいろな会を一緒にするということで、すごく敷居が低くて、その相談を受けるといったこと。その辺がまた対応できるということで、相当その辺が私たちの地域では、これは精神科診療所が全てそうだという意味ではなくて、私たちのところではそれが可能であるというようなことであります。
 早口で申し訳ありませんが、とりあえずのプレゼンテーションとさせていただきます。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、認知症患者への訪問看護ステーションの取り組みにつきまして、萱間先生の方からお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○萱間参考人 萱間でございます。
 私は今日、6時半からだと思い込んでおりまして、最近、物忘れと思い込みがすごくひどくなってきて、認知症の方たちに親しみを覚えます。
 高橋先生のお話は以前に学会の教育講演で伺ったことがありまして、私自身、看護は急性期病棟と訪問ケアをやって、実践と研究と教育をやっておりますが、統合失調症モデルで育った世代の看護師ですので、高橋先生が認知症の方が妄想であるとか、幻視であるとか言われるような人が変わってしまったと思うのはコミュニケーションが変質したからだとおっしゃるのを聞いてすごく感動した覚えがあります。
 私は今日は、訪問看護ステーションの実践を中心にどのようなことが具体的になされているのかというケースのお話をさせていただければと思っております。
 皆様のお手元の資料の1枚目ですが、認知症ケアは老年看護学ですとか、在宅看護論ですとか、そういったところで扱われてまいりましたことで、最初のころはケアなきケアと言われていて、魔の3ロックとかということが言われていて、問題対処型になり、80年ぐらいから本人の可能性や環境アプローチ、ノーマライゼーション、最近では全人的ケアの時代へ、特殊なことではなく一般的なという進歩があるということが言われております。
 次をめくっていただきまして、この検討会の第11回の資料を拝見いたしまして、もし退院するとして、退院後に必要な支援はというのがありました。今日お話しますのは、1番目に必要な支援の中で上げられておりました小規模多機能型居宅介護、自宅を訪問して行われる支援、訪問診療、短期入所をして行われる支援、身体的リハビリテーションなどに及ぶお話になろうかと思います。
 次の資料ですが、これは一般のと言いますか、認知症や精神に限ったことではありません。療養病棟入院患者さんが現時点で退院予定がある場合に訪問看護が必要と答えた人の中でどういうことで必要なのかということを聞いております。これは62%が健康管理と言っておりまして、医療処置が26%となっております。この健康管理というのがどういうことなのかというのをお話してまいりたいと思っております。
 次の資料に行きまして、認知症の訪問看護をやっている一般の訪問看護ステーションについてです。このステーションは公営で、登録者数が201、本当に普通の規模の訪問看護ステーションです。この中で主傷病が認知症の方は28ということで、13.9%いらっしゃいますが、下を見ていただきますと、利用者の中で認知症の日常生活自立度で認知症に該当しないとされている方は77人にしかすぎませんので、136人の方が何らかの認知症の評価がされています。
 先ほど主傷病が認知症である人は訪問看護ステーションでは少ないのだというお話がございまして、精神疾患と同等程度というお話があったんですが、主傷病の方は本当に少ないと思います。このステーションは13.9%で多いと思います。
 ただ、副診断として認知症が何らかの形でついている方が非常に多く、主傷病が認知症になってしまうと何らかの形で施設でのケアを受けていらっしゃる方がとても増えると思っておりますので、身体疾患などで伺っている方の中で認知症の方はかなりの方がいらっしゃるというのが実態だと思います。
 事例をお話します。
 まず、写真を見ていただきたいと思いますが、お手元の資料の一番後ろについてございます写真です。これの上の方の非常に痛々しい傷の写真ですが、このケースのことをお話させていただきたいと思います。
 このケースは70歳代の男性で要介護5、認知症の日常生活自立度4です。技術職だったんですが、定年後大量飲酒をしまして、平成22年6月ごろから受診の拒否、歩行困難、骨折を2回して、受診を強く拒否しておりました。在宅で奥さんが1人で見ていらっしゃいましたけれども、23年2月からADLが急激に低下しまして、褥瘡を形成しました。
 更に地震の後、3月末ぐらいから手指を噛んで、この写真のように爪を剥がして、その傷が感染しました。妻が毎日皮膚科に通院に連れて行きまして処置を受けておりましたが、非常に負担が大きいということで、訪問看護ステーションに相談がありまして、週7回というのは、週5回に加えて、特別指示を2回受けて7回通っているという状況が3月末から始まりました。
 本人は、常にそわそわと落ちつかない。手を動かしていらっしゃいまして、作業せん妄のようなものがありまして、「ほら、あそこに誰かいるよ。その人は上着を着ていないんだよ」という幻視などもありまして、アルコール性ニューロパチーの疑いもあります。咬傷、褥瘡、大転子部は大分きれいになっているんですけれども、あります。この咬傷のために奥様はミトンを使用していらっしゃいまして、かなりきつく結んでしまうことがあるとか、手を結んでしまうことがあるとか、そういうこともおっしゃっていました。
 奥様はこの8か月で10キロ体重が減少したということをおっしゃっていまして、かなり負担の強い状態でした。
 この方は膀胱がんもありますが、治療を拒否していらっしゃるので、血尿に対する対症療法だけの内服で、ケアのときは穏やかに会話がナースとはできるということで、あとは家族への支援が大きかったです。
 次に御紹介しますのは、精神疾患を多く見ている、株式会社A訪問看護ステーションです。
 こちらの登録者数は250名ですが、このうち統合失調症の方が163名います。これは非常に精神の割合の多い、いわゆる精神特化型と言われるステーションで、更に認知症の診断を受けていらっしゃる方が12名いらっしゃいまして、統合失調症と認知症の合併診断は2人です。
 今回のケースは、強迫神経症と認知症と診断されている70歳代の女性で要介護2、生活自立度2aという方です。
 この方は、22年1月から訪問をしておりますが、20年7月から精神科に入院されたことがあります。これは任意入院で被害妄想、被害的な感じがありまして、大家さんから非常に迫害されているという感じがあって、休みたいということで入院され、ですが、元のアパートへの退院を希望されて、そして退院調整部署からステーションに再度訪問依頼があって今、訪問をしている方です。
 被害妄想、不審者が来る、大家さんが襲いに来るみたいな、そういう気持ちと、絶えず体を動かしていますし、「あっ、また5℃気温が上がった」といって、10秒置きぐらいに物を書いているんですけれども、でも、それは0.5℃少し上がったり下がったりする程度なんですが、そのように、不安感が非常に強いこと。記憶障害が進行していること。数字を数えたりなどというのが非常に難しくなっていましたが、訪問看護をするようになって、服薬援助、認知機能低下の予防、薬に一緒に日付を書いたりしています。それができるようになりました。外が怖い、大家さんが怖いという訴えに絶えず対応をしています。買い物の代行とか、家族間の関係調整、強迫症状への対処などをしています。
 この方のウィークリープランが次の資料になっておりまして、訪問看護は週1回しかしておりません。その後はデイケア、9時~16時まで。これは体を動かすというのを主にやっているんですが、この方の場合、すごく頑張るんですけれども、そのままにしていますと腰が痛くなって歩けなくなるぐらい運動をしてしまうので、むしろコントロール、声かけが必要なところがあります。火曜日は介護サービス、木曜日に訪問看護、日曜日はヘルパーさんと食事をつくるというような、毎日誰かが入って刺激をするというようなことで生活を組み立てているという方で、訪問看護はこの中で精神症状が強く出ますので、服薬や精神症状の管理、運動をやり過ぎていないかというような、そういったことを伺っています。
 最後のケースが療養通所介護事業所を利用しているケースです。
 この事業所では、指定居宅介護支援事業所、通所介護事業所、訪問介護事業所という指定をとっていまして、それ以外に自主事業でお泊りというのがありまして、デイケアの利用者が泊まる、通所の利用者が泊まることができるようになっています。地域住民の支援も非常に厚く得ていることが特徴です。
 先に写真を見ていただくといいと思います。一番後ろのページの傷の写真の下の写真で、宅老所と呼んでいらっしゃいますが、こちらの写真で、宮大工さんがつくった平屋の大きなところで、人が談笑している部分があって、後ろに男性がいますが、そこに通所さんの方もいらっしゃいまして、私が行ったときは誤嚥が起こりそうになってケアをしていたんですけれども、絶えず誰かの目で見ていて、ケアする人だけが見ているんじゃなくて、気配があって、台所や食堂などが配置されています。
 この方は、要介護は2aで生活自立度は4、80歳代男性です。認知症の訪問看護と書いてある事例です。
 日中は通所ケアを利用して、朝晩ヘルパーが訪問して、困ったとき、トラブル時に宿泊サービスを利用しています。グループホームはトラブルが多くて利用が困難だったということです。
 独居で、一晩に8回程度電話がありまして、「戦争に来ているんだけれども、このままここにいていいか」と言われるので、「朝になったらお迎えに行くので、それまで布団に入って寝ていてください」と言ったら「はい」と言って切られるので、対応が可能だということをおっしゃっていました。
 ヘルニアがあるために移動ははって行う状態で、夜中に車道に座り込んで凍えていたりなさるので、近所の方に戸締りがてら見守りを依頼して、危険があれば連れ帰るというようなケアをしていらっしゃいました。
 最近は電話もできなくなってきたんだというようなことでした。
 これらのケースを通しまして、認知症患者さんの生活の継続性が大事だということは勿論なんですけれども、誰が支えるかということを考えてみますと、初期中期ですと不安や怒り、問題行動などが起きたときには一時的にレスパイトをしたりとか、薬物による調整などが必要なときもあると思いますが、早期に生活の場に戻って継続性を確保することが大事で、このときに家族のケアをたくさん得ることになるわけですが、ただ家族だけでは先ほど申しましたように、10キロ体重が減ったというような状況になってしまいますので、かなりのサポートを得て、早く生活の場に戻って、なじみのところに戻るということが大事だと思います。
 末期になりますと、訪問看護で支えられますとはとても言えないような状況になるので、また話が違ってくるのではないかと思っています。ただ、それでも在宅を望む家族もいらっしゃいますので、その場合には手厚い支援が必要なのだと思います。
 次のページは、現在起こっている病棟や訪問ケアでの統合失調症モデルで教育を受けた世代が陥っている混乱のところについて少しだけお話をさせていただきたいと思います。
 認知症では長期記憶は保たれて、もともとの人格や社会的な地位があった方たちなので、一貫性を保つ援助が大切で、できるだけ環境を変えなくて、タッチングも多くして、サポーティブにということが要求されます。ただ、統合失調症の急性期の方は非常に混乱して人から入り込まれる、何かが盗まれる、奪われるという感情を持っておられるので、認知症の方を大切にしていると、例えば病室に入ってこられたとかというととても混乱されて、病棟の中で混乱が起きて、そしてどちらかが行動制限を受けるというような事態に陥っているように思います。
 その次の資料は在宅移行への課題ですけれども、入院が長期化しないこと。適切な環境と治療が得られること。そしてケア要員を自分のなじみの環境の一部と考えられるようになることが在宅移行の上ではとても必要なことだと考えます。
 その次のページに行っていただきまして、次のページで先ほど模式図でお示ししたように、認知症治療病棟ではなく急性期治療病棟に患者さんが入院当初入られるというようなことが多く起こっておりますと、そうすると統合失調症と認知症というケアの方向性がむしろ真逆と言ってもいいような状態の方が同じ空間で過ごしてトラブルが起きて、患者さんがただでさえ環境の変化で混乱されているのに更に混乱され、沈静化が遅れると拘束が増えて、そうすると様々な廃用性の身体の障害が出てきて、そして退院できなくなって、また病棟が変わると環境の変化で混乱して、そして入院が長期化して帰れなくなるというようなことが頻繁に起きているのが一般的な状況でも見られるようになったと感じております。
 地域生活を継続するためには早期の退院と多様なサービスが必須でありますが、家族の方のケアはその1つの資源ではあると思いますけれども、家族の方の負担というのは本当にこの3つのケースでも非常に高くありましたので、任意の参加であってということを明記しないといけないかなと思っています。
 最後にもう一度、認知症ケアの成熟の歴史の資料をお示ししましたのは、在宅や高齢者ケアといったところでは、かなり認知症の理解や教育が進んでいますが、精神科においては入院治療についても、あるいは外来治療においてもこれから先、まだまだ教育等が必要な時期にあるのではないかと思っておりまして、そのSTEP1とか、STEP2にあるといわれないよう、歩みを進めなければいけない時期なのではないかと強く思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまから説明、プレゼンテーションに対する御質問と意見交換という時間にさせていただきたいと思います。
 それぞれ早期に、相互に深く関係しているわけでございますけれども、一度に全部となると議論が錯綜するおそれもありますので、進め方といたしましては、順番にまず最初は早期の診断の関係について一通り御質問や御意見をいただき、次に重度認知症、デイケアの関係について、その後、訪問看護について御質問と御意見をいただく。一通りそういったところについて基本的なところが網羅されましたら、前回の認知症疾患や医療センターの関係のプレゼンテーションもございましたので、そういった点も含めまして、全体を通じての御意見、御質問をいただくというような形で進めさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それではまず、いわゆる早期の診断についての部分につきまして、事務局からの御説明、更にはプレゼンテーションに関しまして御質問、あるいは御意見がございましたらお願いをいたしたいと思います。
 よろしくお願いします。
 河岸構成員、お願いします。

○河岸構成員 事務局の御説明の中のスライド5番なんですが、この中で東京都がないというのはどのようなことが起きているのか。また、現在と今後はどのように見立てているのかというようなことをお聞きしたいと思います。

○中谷課長補佐 東京都についてはまだ指定をされているセンターがないのでこの中には含まれておりません。先ほど申しましたように、66か所でとった実績なので、現在では100か所あまりまで増えておりますが、そういうデータの関係上ないということです。
 今後、今、指定を増やしているところなので、いずれまた22年のデータもまとまりましたらそういったデータも出てくると。

○河岸構成員 ということは、もっともっと東京都は今、改革しているというか、そういうことでしょうか。

○中谷課長補佐 東京都のお話なのであれですが、都の中で検討して。

○本後課長補佐 東京都の認知症疾患医療センターの状況は、昨年度まで、認知症疾患医療センターの在り方をどうするかというのを東京都の中で検討会をつくって検討を進めていて、一応、二次医療圏に1つずつ地域型を置こうということで、東京都の検討会の方はまとまったということであります。それに従って、今、東京都の中で認知症疾患医療センターをどうするかということを検討して、我々の方にも今、相談が来ているという段階になっています。

○河岸構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 こちらの方は補助事業として指定されているところの、そこから来ているデータを整理したものということなので、このデータを集めた時点では指定されていなかったのでデータはここにはないと。ただ、東京都の方も今、御説明申し上げましたように、順次、対応を進めておられるという状況であるということでございます。
 その他御質問、御意見ございますでしょうか。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 厚生労働省の参考資料の21枚目のパワーポイントに「認知症の医療体制に関する論点」と書いてありますが、ここに「サポート医を介した地域の医療機関との連携や、介護事業者等との連携などが求められている」ということが書かれています。
 現在、認知症対策等総合支援事業が老健局で実施されていますが、その中に市町村認知症施策総合推進事業というものがございまして、その実施要綱の中にも認知症地域支援推進員の配置ということが書かれています。その中に医師、保健師、看護師、作業療法士や、精神保健福祉士等と書かれているのですが、認知症サポート医とは明確に書かれてはいません。ここに認知症サポート医が入ってもいいのではないかと考えます。さらに、ここでは、嘱託医として認知症サポート医等を配置することが望まれる旨、書かれていますが、評価については全く書かれていません。このような状況で、どのように推進されていくのでしょうか。これは10分の10の事業ですので、やるとなれば必ずできるものですけれども、ここについてのお考えを伺いたいと思います。
 また、高橋先生のスライドの中で、一番最後の認知症支援ネットワークとその上の支援強化対策のところにも認知症サポート医のことがあまり書かれていません。あるいは地域包括支援センターのことが書かれていないのですけれども、島根県では地域包括支援センターと高齢者安心支援センターとが、全く同じものなのでしょうか。あるいは、認知症サポート医が認知症専門医という形で置き換えられているのでしょうか。その辺のところも一緒にお聞きしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 それでは、老健局、よろしいですか。

○高橋老健局企画官 老健局企画官の高橋でございます。
 認知症地域支援総合事業について、今、調べさせていただきまして、後ほど御回答させていただきます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、高橋先生の方からお願いいたします。

○高橋参考人 サポート医は、島根県では今、7名しかいないんですが、島根県は全町村に1人ずつ今後、配置していこうということで、ですから、かかりつけ医の先生方とのつながりは勿論ですが、介護ケア事業所の人たちの指導をサポート医がするというようなことを打ち上げています。

○三上構成員 島根県では、それには予算とか何かがつくのでしょうか。

○高橋参考人 いや、そこまでは。

○三上構成員 わからないですか。

○高橋参考人 いや、ついていません。サポート医を養成するところは勿論つきますけれども。

○三上構成員 それと、地域包括支援センターと高齢者安心支援センターは同じようなイメージですか。

○高橋参考人 同じですね。

○福田精神・障害保健課長 その他御質問。
 河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 高橋先生に教えていただきたいんですが、先生の資料の2ページ目でしょうか。5番目の「重度認知症患者デイケアの状況、効果」というところがございますが、先ほど先生の御説明の中で、やはりこういう重度認知症デイケアにお越しになる方はBPSDが非常に激しい方であると。多くは介護保健施設で困ったケースが紹介をされてくると先生はおっしゃられたと思うんですが、それは介護保健施設等で入所なされている方たちが多いんでしょうか。あるいは在宅サービスを受けておられるような方たちの中でBPSDが出てきて困った方たちが先生のところへ御紹介されるのか、その辺りを教えていただきたいと思います。

○高橋参考人 今、申し上げたのは通所です。入所ではなくて、通所でどこかのデイサービスを利用されていたけれども、そこのデイサービスでは困難だという方々です。でもその方々がほとんどというわけではないですよ。もともとBPSDが激しい方は直接来られます。しかし、介護保健施設、通所系の施設でデイサービスがうまくいかないとかといった方たちが目立ちます。

○河崎構成員 そういたしますと、その下の131例の転帰のところのグラフですけれども、47例の方が介護施設へお戻りになったというのは、これは逆に介護施設へ入所なされたという形なんですね。

○高橋参考人 これは入所なんです。結局、結果的には入所になったということなんです。

○河崎構成員 在宅の12例の方たちは、再度また介護施設等のそういう在宅サービスを受けられているとか、そういうような形と理解をすればよろしいでしょうか。

○高橋参考人 そうです。

○河崎構成員 もう一点、教えていただきたいんですが、先生の今日のお話を伺っておりまして、実は前回も熊本の認知症疾患医療センターのお話を伺いました。そのときの印象と今日の先生のお話を聞いておりまして、やはりどれだけ地域の行政が非常にこういうことに積極的に関わっていくのかということがすごく大きなキーワードになっているような印象を受けたんです。
 今もこの検討チームでは地域連携とか、そういうこともいろいろと検討はしているわけですが、幾ら医療機関とか、あるいはそういうようなサービスの提供のところが頑張ろうと思っても、地元の行政がどれだけしっかりそれを理解して、かつ率先をしてそういう構築に力を注いでいただけるのかというのはすごく大きなパワーになるような気がするんですが、先生の今日のお話もそういうふうに理解をさせていただいてよろしいのでしょうか。

○高橋参考人 そうですね。ある日突然できたんじゃないんですね。長野先生のところじゃないですけれども、時間をかけて地域おこしをするというような形を行政の方とずっと一緒にやってきたということなんです。
 だから、かいつまんで言えば、二十数年前は例えば生活保護のケースワーカーだった方が一緒にやっていて、その方が今はもう出雲市の行政のトップに上がってきているわけです。ずっと一緒にやってきたわけですから、結局、何が大事かということをやってくる中で行政の人たちの目線も私たちと同じところにいるので、同じことを同じ考え方でやるというようなことになってきます。そういうことは間違いありません。

○河崎構成員 ありがとうございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他。
 東構成員、お願いします。

○東構成員 私も高橋先生に教えていただきたいんですが、今の河崎先生の御質問と一緒のところなんですが、5)の重度認知症患者デイケアの状況のところなんですけれども、認知症のレベルはMレベルということなんですが、この方たちのADLというのは大体どのようなレベルが多かったんでしょうか。

○高橋参考人 私のところにいらっしゃる方はほとんど、いわゆる徘徊とか、そういうことがあって、足腰丈夫な方で、今ではありませんが、当初はずっと車いすの方はお断りしていたんですね。そういう方ではない。つまり、車いすの方がどうのこうのというよりも、徘徊などの方がそのころは動き回って暴力を振るうとか、そういう方が中心だったので、車いすの方は当初はお断りするぐらいの状況が続いていました。でも、今はそういう方たちが穏やかになられて、どこかに行っていただくというわけにいかないところがあるんです。そういう方たちの中でも結局ずっと通所なさって、足腰が弱くなって、車いすになってこられた方たちにもう来ないでくれというのはなかなか言えないので、そういう方たちが一部残っておられることは確かです。

○東構成員 どちらかというと、ADL的には比較的、寝たきりというよりは動かれる方が多いということですか。

○高橋参考人 全くそうです。

○東構成員 ということになりますと、転帰のところが僕も非常に興味があったんですが、例えば入院身体科が43例ございますけれども、これは要するに合併症を起こしてということなんでしょうか。

○高橋参考人 そうです。合併症です。

○東構成員 例えば骨折、心不全とか、そういうことですね。

○高橋参考人 そうです。

○東構成員 それと、介護施設が47例。今、河崎先生もこれは入所ですかとお聞きになっておられましたけれども、入所だということなんですが、主に介護施設というのはどういうところが。グループホームとか本当にばらばらなんでしょうか。

○高橋参考人 そうですね。今になって多いのはグループホームなんですが、当初は特別養護老人ホームの中に入っていかれましたが最近はグループホームがかなり多いです。

○東構成員 もともとがMレベルの人なので、私どもは老人保健施設を運営しているものですから、時々、うちの施設などでもいらっしゃる方でMレベルで老健ではとても難しいなという方は精神病院とかに御紹介したりするんですけれども、もともとMレベルの方をこういうふうに重度認知症デイケアへやっていて、介護施設に入れる、例えば特養に入れるということは、Mレベルがかなり改善して、施設に入所できるようになったと理解してよろしいんでしょうか。

○高橋参考人 そうですね。

○東構成員 わかりました。ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 その他御質問、御意見。
 長野構成員、お願いします。

○長野構成員 貴重なお話ありがとうございました。
 先生、前回の熊本での池田先生の言葉の中にも啓発を熱心にやっているかどうかというのがとても大切なキーワードになる中で、私たちもずっと勉強をさせてもらいながら、やらせてもらいながら、やはり早くおいでいただいて、医療に取り込むことは全く目的ではないと思うんですけれども、早くおいでいただいて、早く周りの関わりとか、環境を調整してできるだけ穏やかに過ごしていくために早く関わらせていただくのはすごく大事な中で、啓発のやり方がとても重要だと思うんです。今のマスコミを使うとか、そういう啓発もとても大事だとは思うんですけれども、地域に出て、そこで直接対話をして、啓発をしていくことが遠いようで実はそれが一番近道だと感じていて、その交流塾をされ始めて、今、100回を超えた中で、交流塾の効用みたいなところと、更にそれをどんどんもっと他の地域でも展開するためには何かいい手はないかというようなアイデアがあったら是非教えていただきたいなということ。
 もう一つ、現状では、残念ながら私たちの力では認知症を治すことができないので、顔の見えるネットワークというのは絶対不可欠な要素になると思うんですけれども、言うはやすしで、本当にできているというのはなかなか難しいと思うんです。出雲がそれを積み上げてきたことというのはすごく大事なことだと思いますし、これも実践をしていて思うんですが、もうやるかやらないかだけで、やっていれば必ず顔の見れるネットワークというのはできてくるものなので、そこに関して出雲の歴史も含めて、現状と併せて、必要だと思われることを教えていただけたらと思うんですが。

○高橋参考人 最初の交流塾のことですが、僕は、先ほど申し上げたように、認知症になりゆくということは、大体パターンがあるんだと思うんです。まず、地域の人と家族との関係で。その始めのところが一番肝心だと思うんです。認知症になるかならないかというレベルから始まるので、なりゆけばなりゆくほど際立ってくることがあるんです。
 実は、私はそんなに複雑なことではないと考えていて、それはこの「CLINICIAN」を読んでいただくといいと思いますが、そういうふうに考えているんです。だから、早目に実はこういうふうにしていたら、意外に認知症を病んでも結構、生きていけるんだよということを僕は地域の方に伝えようと思って、伝えないと、私が認知症になったときに私の家族を含めて、私の周りの者は私に今のままだったらこのように私に対応するに違いないと。その結果、私は腹も立つだろうし、時には私は妄想を持つかもしれないと。私にはそれがわかるんですよ。だから、そういうことでは困るから、認知症になりゆくとはどういうことなのかということを、私たちの得たことを伝えようと思って伝えてきたんですが、最初は一通りやってもう終わりだろうと思ったんですが、行けども行けども、「えっ、そんなことですか」といって皆さんがおっしゃるわけです。やめられないんです。
 時間をとって申し訳ないですが、介護保健が始まって11年にもなって、すごくたくさんの報道がされて、認知症は社会的理解が高まったんですけれども、認知症という病は理解されたかもしれないけれども、マイナスイメージは変わっていない。なりたくない病であるし、なったら困るとみんな思っていて、やはり取り得る態度は10年前と全然変わらない。私の臨床感覚ではです。たくさん見ていて、来られる方でにこにこして豊かに暮らしましょうなどという方はおられない。みんなまじめであればあるほど、ある態度をとってしまうんですね。頑張ってほしいと。それは全然無理がないんだけれども、そこまで入らないと認知症の始まりに対する私たちの施策は届かないだろうと私は思っているんです。それを結局、やってもやっても結論が、終わりがないからもう結局これはエンドレスでやるしかない。もう100回も来たんだけれども、100回来たからって自慢でも何でもなくて、まだまだ続けていかなければいけないなと。一通りめぐったコミュニティセンターにまた行っても、それが何年か振りに行っても、そこに来た人は、「あっ、そうなんですか」というような調子なんです。私から見たらこれは不思議でならないんです。
 そういうことで、それをどう続けるかというのは、どう見るかということが、僕はまだ。これはちょっと飛躍するかもしれませんが、認知症のケア論がまだ標準化されていないんです。一般化していないんです。こんなに認知症のケア、ケアと言っているのに。十人十色だという言い方みたいになって、それぞれ違うとなってしまう。でも、本当にそうなのか。もっともっと根源的な、根本的な、基本的なありようが僕にはあるような気がして、それをみんなが理解したら随分違うんじゃないか。そういう理解の仕方を共有すれば、あちこちでもっともっと広がっていくんじゃないか。それが一番、本当の基本的な始まりだろうと私は思っています。
 答えになったかわかりませんが。
 そんなことをやるのに長い歴史の中でつき合っていた人たちがみんなよく理解してくれるので、あっちでやる、こっちでやるときにみんながすごくそこの地域の方を集めてくれるような役割を担ってくれる。夜やるんですけれども、結構30人、40人来られて、このごろはずっと満員です。それが広がってきて、口コミで広がって、市なども広報で出しますから、私のところが個人的にやっていることではあるんだけれども、周りの協力が物すごくあって、そこに来られる。来られる方たちが、さっき申し上げたような反応を示されると、私自身もやらなければならないという思いと、それを広げないことには認知症の対策というのは立ちにくいのではないか。
 また同じことを言っていますが。済みません、答えになっていませんが。

○長野構成員 全く同感で、私たちもずっと集会所めぐりをしながら、結局、1回行ったところに2回目に行くとまた新たな課題が見えて、永遠にやめられないと思っていて、やり続けなければいけないと思うんです。医療者も地域に出て、思いを聞いたりとか、地域の現状を本当につぶさに把握をしていかないと余計なことをしてしまったりとか、ピント外れなことをする。
 そのための仕組みが要ると思っていて、私たちは行政が機関型在介のときからずっと予算と人集めをしてくださって、そこに乗っかる形で十数年ずっと回り続けているという形で、先生のところのように逆に苦労せずにやらせてもらっているんですけれども、それでも地域は明らかに変わってくる実感をしていて、これは例えば啓発は5年で、ある程度は行き当たったなどということはあり得ないなと思いつつ、そこのやり続ける仕組みをもう少し一律にちゃんとしていかないとまずいかなというようなことを思っていて、そこをまた御意見が欲しいなと思っています。

○高橋参考人 僕はでも、期待はしているんです。私の身の回りは変わってほしいし、変えてやろうか、変えてやろうとは変な、ちょっとおこがましい言い方ですけれども、それは思っていて、そういうことがどの先になるかわかりませんが、やはりそれはそうしていかないといけないという思いがあるんです。そんなもんです。済みません。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、西田構成員、お願いします。

○西田構成員 お話ありがとうございました。
 啓発に関しては、統合失調症の未治療期間の短縮による予後の改善が各国で研究・報告されていますけれども、やはり地域における啓発をやめると3年後ぐらいで効果が消えるということが報告されていて、やはり啓発は継続をしなければいけないということが非常に重要なポイントなので、それは認知症でも重要なポイントだなと思って聞かせていただきました。
 私がお伺いしたいのは、先生のクリニックでのデイケアの治療のことです。先ほどお話で、25名まで最大受け入れて良いところを15名に絞っているというこで、最低人員配置基準よりもかなり多い人員配置でケアをされているということだと思うんですが、先生のお話にも、デイケアとか治療の中身というものが今かなりばらばらといいますか、あまり全国的に統一されていないという状況があるかと思いますけれども、万が一、もし先生のところで最低人員配置基準で25人受け入れていた場合に、逆にどういうことができるのか、どういうことが予想されるのかということを教えていただけるとありがたいですが。

○高橋参考人 それは難しい質問ですが、やったことないのであれですけれども、感覚的に言うと、凝集性が低下するというんですか、スタッフが間で黒子になって一緒にいて凝集性を保つようにしているんです。何もしないでうろうろされるというような方がずっと興味を持って、関心を持って、凝集性を持って、ほとんど一日ですから、そういうことを続けるためには相当な、御本人にとっても楽しい、うれしい、おもしろいというテーマが続かなければいけません。その折々に、「今、高橋さん、何か話してくれませんか」「高橋さんだったらどうされますか」「高橋さんは昔こんなことを経験なさっていましたね」とか、そういうふうに振っていくわけですね。そういうのは具体的にはとても申し上げられませんが、そういうふうにして一日、その方それぞれが、私たちの言葉で言うと、御本人が主役になっていただくというようなことをするんですけれども、そうして自分が豊かな時間を持つということがつながると、それはすばらしいことができることはもうわかっているんです。
 ただ、数が多くなると私たちのやり方は、それを同じようにするということはなかなか。もともと集団精神療法というやり方そのものがたくさんの人数を対象にしたものではないので、大人数になったら大丈夫かというと、今の私のやり方ではわかりません。だから、重度認知症患者デイケアは、私のところはそうやっていますけれども、そうでないやり方で十分やっている方もたくさんありますので、今日の話は私のやり方ということになります。

○西田構成員 25人ぐらいのかなり重い認知症の方々を現状の人員配置基準で見ていくことについての治療効果とか、ケアの効果という内容について先生の御判断といいますか、印象をお聞かせいただけるとありがたいのですが。

○高橋参考人 それはもうはっきり言って、豊かだと思います。第一、スタッフが辞めないです。スタッフも自らが日々ずっとやっていて、物すごくスタッフが明るくなるんです。本当に個々のスタッフが。個々のスタッフが変わっていくということは、つまりスタッフも日々、認知症の方と一緒に暮らしていて、自分の中がすごく洗われていくというような部分が間違いなくあるんです。
 そういうのなので、私から見ると、ただ認知症の方が落ちついていかれたとか、よくなったということだけではなくて、全体的にそういう在り方というのは豊かに展開するとはっきり思っています。はっきり言って、これは諸外国にもないと思います。私もデンマークやスウェーデンに何度も行きましたけれども、あまりそんなことをしてないんじゃないでしょうか。これは極端な話かもしれませんが。こういう形ではあまり関わりがないんじゃないでしょうか。ちょっと言い過ぎかもしれませんが。

○西田構成員 これは経営的に採算が取れるということなんでしょうか。

○高橋参考人 いえ、だめです。重度認知症デイケアというのは、点数で言って申し訳ないですけれども、前の前の改定のときに1,308点だったんです。それが1,000点ちょっとになってしまったんです。その理屈は、厚労省のパブリックコメントで、理由が、こんなことは介護保健でもできるから重度認知症患者デイケアは要らないと出てきたから、そんなことは出雲の地で私のところより上のことをやっている介護保健施設はどこあるかと、ちょっと不遜な言い方ですけれども、だって、みんなそんなこと、それはありませんねという話なのに要らないと言われて、私は日精診の認知症等高齢化対策委員の代表でもあるんですが、そういうようなことで、あまり困ったことだといって主張しました。結局1,300点が1,000点になったことでだめになったんです。でも、1,300点のときはぎりぎりでも成り立ったんです。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 話の方がだんだんと啓発、早期の関わり、早期診断の方から重度認知症デイケアの方も含まれてまいりましたので、重度認知症デイケアの部分も含めまして、御質問、御意見を改めてお願いをしたいと思います。
 それでは、栗林構成員、お願いします。

○栗林構成員 せっかく議長がそう言っているんですけれども、ちょっと前の方の話に戻してしまって申し訳ないんですが、事務局の説明にありました、9ページですとか、その他にも出てくるんですけれども、自分が介護保健施設に勤めておきながらこういうことを聞くのは大変勉強不足だなと思うんです。自分が介護保健施設の中にあって、外部のデイケアサービスを利用するというイメージがなかなかわいてこないんですけれども、ここには「介護保健における施設サービス、高齢対象グループホームを指す」という言葉がございますね。自分がその介護保健施設に所属しているということから、もし自分の読み間違いでしたら大変申し訳ないんですけれども、確かにこういうサービスを利用できるようなことは書いてあるんですが、イメージとしてなかなかわいてこないものですから、この辺について教えてほしいなというようなこと。
 あと、啓発というところで、さっき三上構成員さんもおっしゃったんですけれども、地域包括支援センターの話題をなされました。秋田県の場合を見ていますと、認知症の疾患センター、支援センターがまだ設置されていないということから、このセンターとの関係を超えるというわけではないんですけれども、このセンターがない限りにおいては何も事が進まないのかということではなくて、市町村単位にあるこの包括支援センターの機能をもうちょっと配置をどうにかするとかということから見ていくと、市町村においてそのセンターの設置されない県であっても認知症に対する対応がもうちょっと違ってくるのかなというようなことを思ったんです。センターの設置されない県もまだあるわけですね。ですから、そういう県に対して支援というか、包括支援センターの機能を見直すことによって何か出てくるのではないのかなということを思って、さっきのことに関連しながら、どういった市町村の総合施策があるのかなというようなところを関連してお聞きしたいなと思ったところでした。
 済みません、ごちゃごちゃしていて申し訳ないなと思っていますが。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、介護の方との関係で。

○中谷課長補佐 こちらのデータでお示ししているものについてなんですが、診療報酬の算定ルール上では、医療機関ではない認知症対応グループホームや介護の施設系のサービスを受けている方でも一定の条件をクリアすれば算定はできるとルール上はなっておりますが、ただ、おっしゃるようにあまり一般的にはないと思います。また、これは6月、1か月間の統計なので、施設に途中から入った方の統計がどうなっているのか定かではないので、一般的にはこの統計が示しているように、在宅にいる方が重度認知症デイケアの対象という考え方でいいと思います。

○福田精神・障害保健課長 あと、後段の方の認知症疾患医療センターがない県における地域包括の活用等々というようなことについて何かお考えが事務局としてあればということなんですが、いかがでしょうか。

○中谷課長補佐 前回の事務局資料でいいますと、21番、22番の論点に示させていただいたように、まさにこの場で議論をしていただきたいという。

○福田精神・障害保健課長 長野構成員、お願いします。

○長野構成員 関連して。後の話題かなと思っていたんですけれども、その話題になったので。
 本当に大事なことだと思うんです。愛媛も実は、お恥ずかしいながら1個もない県であります。
 認知症疾患医療センターがCTであったり、MRIであったり、だんだん基準、ハードルが高くなって、急性期型のような基準が高いところがとっていけるとなってきていると思うんですが、そうすると高齢化率の高い田舎では設置ができないんです。7対1急性期看護と全く同じで、我々の町でも松山市で7対1をとるために、田舎の看護師さんがみんな転勤して、そこに急性期医療があって、田舎の人は行けないということがどんどん起きてきているんですけれども、認知症疾患医療センターでそもそもそれが起きてしまう可能性は十分あって、我々の町、全然根拠はないですが、実数として1,000人以上の認知症の方が2万4,000人の町でいらっしゃって、認知症疾患センターがもしできたとしても、今の要件だと車で1時間離れるところにしかできない。
 そうなってきたのでは、全くもって絵に描いた餅というか、高齢化率の高い田舎で使えない制度となってくるんだろうと思うんです。
 私たちも、今、認知症疾患医療センターが是非欲しいかというと、包括と一緒にやる中でカバーするしかないと思っているので、あまり欲しくてしようがないとは実際は思わずにやるしかないんですけれども、認知症疾患医療センターを今のまま、補助制度という枠組みという中で目標数が150という、全然私たちのような田舎からは程遠いところで整備をされていっても、実際のところは、田舎の高齢化率が50~60%というところの支える仕組みには寄与されていかない。
 ただ、いろいろな方向、方策があって、その地域の実情であるチョイスの1つとしてできたという意味合いではとらえられると思うんですが、例えば診療報酬で評価をして、もっと広げられるようにするとか何か考えないと、本当に高齢化率の高いところでは、これはできないと思ったりするんです。
 包括の方も実際本当にぎりぎりの予算でやっているところは、2万人、3万人で2~3人の職員しかいないというのが現状だろうと思うし、私たちのところは町が直営で10人、2万4,000人の町で十何人職員がいるので、相当動けるんですけれども、それも特殊な事例になってしまうと思うので、何かはやはり力を入れて充実できないと、地域では身動きがとれない。
 2万4,000人の町ですから、必ず千数百人いらっしゃるという実感を持っていますので、そこはもっと広げていかないと、この膨大な数の方々に対してあまりに支援が届かないというのが、これからの現状なのかなと思って、検討が必要だろうと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、石田構成員お願いします。

○石田構成員 高橋先生のお話、非常に自治体からすると、期待も大きい反面、耳の痛い話でもあったなと思うわけでありますけれども、出雲市との連携が非常にとれているいい例だろうと私は感じました。
 そこで、2つほど御質問したいと思うのですが、まず、地域の行政が積極的に関わることが、認知症患者が中重度になっても地域で暮らしていけるということを実際に行われているという非常にいい例だと思いますけれども、行政の中で具体的にはケアに対してどういう役割が果たせるのかということについて御指摘があれば是非教えていただきたいということ、これが1点です。
 私の問題意識は、ケアの中に行政としてどういった立ち位置で役割を果たしていけるかということ、主に市町村の立場としてお聞きしたいというのが1つです。
 2つ目に、今日は萱間の先生からもお話に出てきましたが、高橋先生の方からも、地域での理解であるとか、自宅で暮らすこと、あるいは長く暮らすこと、こういったことが重要だというお話をいただきまして、私も本当に地域で介護保険を中心に施設整備などをやっている立場からすると、そういったことのゴールを目指して、地域力を高めなければならないと思ったわけですけれども、出雲以外の他の地域で先生の行われている仕組みが広がるためには、施策として何が必要だと思われますかという点についてお聞きしたいと思います。
 私ども言わば市町村とすると、制度でものをつくって考えて、例えば稲城市の中でも実現できるだろうかとか、あるいは事情について地域の資源で問題を解決できるかという観点でどうしてもとらえるんですけれども、行政の職員の、例えば頑張りとか熱意がもし必要だと、これがないとできないということであれば、そういったものをどうやって地域の中につくり出して、醸し出して、継続させるかということが非常に課題なのだろうと思っていますので、そういったものが広く広がるためには、先生はどんなふうにやられたらいいのかなというお考えがあったら、是非教えていただきたいと思います。

○高橋参考人 私から見ると、一緒にやってきたせいもあるのかもしれませんが、私どもの行政の方が普通に言うケアのレベルは考え方としては明らかに高いです。現場の人よりもある意味では高いと、私には思えるんです。すごく勉強していて、こう在るべきだと。
 私は介護保険の運営協議会に勿論入っているわけですけれども、事例をめぐったりすると、そういう施設がどのようなケアをやっているかということにすごくいい意味で、こうあらなくてはいけないのに、どうしてこんなことが起こるのかという言い方があるわけです。それはどういうことかと言ったら、そんなケアはおかしいではないかというのを行政が言うわけですよ。
 その話を聞いていたときに、私はそうですねと思うんだけれども、でも、それが普通の会話で当たり前に出てくるので、私は出雲市との行政、介護保険関係、認知症ケアを含めてですが、持っておられる感覚が非常に高いというか、それが当たり前だと思っているからですけれども、よく他の行政を聞くと意識がないとか、先ほどおっしゃったように、一生懸命こちらがやっても行政が全然反応しないとか、話を聞くと、結構あるのではないかと思うんです。
 でも、そこの行政の人たちの話を私が実際に聞いたわけではないんです。ただ、話を聞くと、そういうことが結構多そうなんですが、出雲市にいる限りは、下手なことを言ったら行政の方から指摘がくるかもしれない。そのぐらい、こう在るべきだということについては、行政の方がすごく勉強していると私には思えます。

○福田精神・障害保健課長 三根構成員、お願いします。

○三根構成員 高橋参考人がお聞きになったことのないことの話をしたいと思います。
 先生は非常に幸せな地域でお仕事をされていると思うんですが、むしろ普通はひょっとしたら逆なのかもしれないと感じます。
 例えば私が地域でいろいろ連携、かかりつけ医、サポート医の研修、あるいはそういった連携等で話に行きますと、皆さんやはりお忙しいわけでして、ですから、夜の会議で皆さんの目の前にある事例に非常に困っておられたり、こういったときにどうすればいいかという知識欲、そういったもので一生懸命、そういった会に来られるわけですけれども、皆さんが懇親会等で言われるのは、やれ、やれと言われるけれども、行政の職員来ていなしな、口だけでなと。やれと言われても、やりたいんだけれどもなという、そこら辺の行政の力は非常に大きいと思いますし、本当に1つ何か引っ張っていただけるものがあれば、あるいはいろいろな連携という中で、介護保険と医療保険と御家族との連携と言われるので、もう一つ、地域の行政もそこへ入っていただいて、1つの輪の中でやっていくことが非常に大きいのではないか。その証拠として、それができているところとできていないところの差がある。
 認知症疾患医療センターにおいても、やはり都道府県の認識の高いところは率先してやっているし、そうではないところはそうではない。これもまたそういう認識の差であろうと思います。
 例えば医療センターの福岡の状況を話しますと、私は毎年、今年はどうしますかと聞きに行っていたんですが、去年もおととしも医療センターを設置する基準の選定をすると、2年選定をするという状況が続きました。
 どうやって選ぶのかなと思っていましたら、今年は県医師会に丸投げ。県医師会が推薦してくださいという状況でして、いろいろな観点で選定しにくいということがあるかもしれませんけれども、いろいろなところで都道府県、あるいは自治体の中の行政の方の力をもう少しお借りして、我々を助けていただきたいという気がいたします。
 中央官庁の皆さん方よりも、失礼ですけれども、恐らく時間は多分あると思いますので、よろしくお願いしたいと切に思うわけです。
 以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 連携地域、行政の話が出てまいりましたので、先ほど三上構成員から老健の事業の御質問がございましたので、老健局からお答えいただければと思います。

○高橋老健局企画官 先ほどは済みませんでした。
 市町村認知症の施策総合推進事業でございますけれども、まず、この事業の目的ですが、医療、介護、生活支援を行うサービスが有機的に連携したネットワークを形成して、効果的な支援を行うとなっております。
 先ほど認知症疾患医療センターがない地域もあるということでしたけれども、そういう地域も含めて、市町村において医療機関ですとか介護サービスをつなぐコーディネーター、そういう調整者としての役割を担う認知症の地域支援推進員を推進しまして、この推進員を中心として、医療と介護の連携の強化ですとか、認知症疾患医療センターがなくても地域における支援体制の構築を図っていくということが事業の目的となっております。
 先ほど三根構成員から、行政があまり入っていないということでございましたけれども、この事業は市町村が実施主体で、こういう地域で総合施策推進事業をやっていただきたいと考えております。
 三上構成員の御質問の認知症地域支援推進員の資格でございますけれども、ここにつきましては、サポート医とは書いてございませんが、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する医師という書き方をさせていただいております。
 それから、更に嘱託医の配置ということでございまして、ここにつきましては、認知症サポート医等の医師を地域包括支援センター、あるいは市町村、本庁など適切な場所に配置することが望まれる。嘱託も可能でございます。
 この嘱託医の活動の例としまして、地域支援推進員等からの相談に対する医療的見地からの助言、認知症の人を専門医療機関につなぐための関係機関との調整、地域において認知症の人への支援を行う関係者の会議への出席、助言をやっていただきたいということでございます。
 具体的に事業内容におきましても、そういうネットワークの機能ということでございまして、取組み例として挙げておりますのは、地元医師会や認知症サポート医等とのネットワークを形成していただきたい。この事業の中でそういう取組みもやっていただきたいということでございます。
 それから、多職種が参加する認知症の人の支援のための研修会、事例検討会の開催ということも取組み例として掲げさせておりまして、地域、行政も入り、医療も入り、地域の介護資源も活用したネットワークをこの事業でやっていただきたいと考えております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、だんだん時間も限られてきましたので、訪問看護の部分も含めまして、全体を通して御質問、御意見をいただければと思います。
 野澤構成員、お願いします。

○野澤構成員 貴重なお話、ありがとうございました。
 高橋先生の資料の中で4ページですけれども、ネットワークの図があって、一番右下の方に、「適切な相談対応」「権利擁護」、出雲後見センターのところです。
 もし御存じであれば、この業務の中身とか社協や市との関係、あるいはこのネットワークにおける役割みたいなことを少し、お話伺えればと思います。

○高橋参考人 これは先ほど申し上げました、いろいろな精神障害から始まったネットワークの中に弁護士さんもずっと一緒におられて、その弁護士さんが中心になって、2000年にこの成年後見センターができたんです。
 ですから、最初から私たちも入って、精神科医療関係者も行政も全部入って、今までやってきています。結構日本の中でも先にやった方だと思いますが、第三者後見を勿論引き受けております。それから、今で言う市民後見みたいな後見人を、私たちは最初から後見人が限られていますから、後見人を要請すると。私たちの基準において、3度講習を受けたら後見人になっていただく。
 日ごろからちゃんとした権利擁護の意識があるといった方を推薦していただいて、その方に3度講習を受けていただいて、そうすると、私たちの会の中の後見人になれるということで、今、百何十人か、忘れましたが、かなりたくさん。一番数が多いのは、行政書士の方です。それで、弁護士さん、社会福祉士さん、司法書士さん、これは昔からの3士の方ですけれども。数が多いのは、行政書士さんです。その他いろいろな方が入っておられまして、今で言う市民後見の養成のようなことをしているということです。
 勿論、日々毎月必ず事例を検討しますし、自分が困った場面をそこで検討することにして、みんなで共有するというふうにしています。

○野澤構成員 費用などはどうするんですか。

○高橋参考人 費用は、原則的に御本人からいただきますが、市が応援したりしますし、出雲市は条例といいますか、あれでつくっていて、少し応援してくれます。

○野澤構成員 センターの運営費用をということですか。

○高橋参考人 ええ、助成という形で。
 それから、社会福祉協議会がどうしているということで、社協は社協で第三者後見を、島根県の出雲の場合はちゃんとやっていて、社会福祉協議会の方も私たちの成年後見センターの仲間として常日ごろ来ていて、第三者後見を社協として受けているのを、私たちがまた別に社協の相談役として、この方を社協でやっていただこうかどうか検討することをまた別の機会でやったりしますけれども、社協は社協で第三者後見を引き受けてやっています。

○野澤構成員 ありがとうございます。
 成年後見というのは、財産管理がとかく重く見られていますけれども、身上監護の面が極めて重要で、どこで誰と住むかとか、どういう福祉サービスを受けるかというのは、本人に代わって後見人が決めるんです。
 本来、家族とは利害が相反する場面はかなりあるわけで、つまり、後見人次第で病院の中にずっと入れておくんだという判断をするか、あるいはその地域でいろいろな資源を利用しながら、地域でずっと暮らせるようにするかというのは、かなり後見人によって違ってきてしまうんです。
 毎年、毎年、今は大体2~3万人の後見人が新規で受任していますけれども、なり手がまずないというのが、どこも悩みなんです。2015年の認知症の方が250万人になると言いますけれども、このほとんどは多分都会の人だと思うんです。都会の人というのは独居だったり、高齢者だけの世帯だったりして、しかも、コミュニティがあまりなかったりするので、ますます後見人の役割が重要になっていくだろうと思っています。
 たしか厚労省の老健局が今年度の事業で、後見人の養成に関してやっているんですね。もしお話を伺えればと思います。

○福田精神・障害保健課長 よろしくお願いします。

○高橋老健局企画官 事業そのもの直接ではないんですけれども、介護保険法等の改正の中で今日、実は国会で成立したんですが、その中で市民後見人の育成を今後、市町村に努力義務ではありますけれども、課しまして、市町村で後見人の養成機関、研修機関をまず指定していただきまして、そこに普通の市民の方が研修を受けて、後見人のリストをつくりまして、市町村ごとにそのリストを作成した上で、家裁にそのリストを提示して推薦していただいて、その中から市民後見なりを選ぶということで、後見制度を発展させていきたいと考えております。

○野澤構成員 東京大学などは後見人養成講座をかなり活発にやっていたんですけども、家裁がほとんど受託させないんです。それはバックアップ機関がないと、幾ら養成をしても家裁は認めないんです。
 だから、出雲市のセンターのように地元の行政や医療機関、法律家がある程度バックアップ機関をつくってやるということが、私はとても重要なことだと思います。
 今回のこの話題とは少しずれるんですけれども、今、日本でいろいろな借金がいっぱいありますが、個人の金融資産は1,400兆とかあります。その7割ぐらいは高齢者です。れから、こういう人たちの権利をしっかり守るものをつくっていかないと大変なことになるだろうと、物すごく危機感を持っています。
 そのことを是非含めて、こういった面からもきちんとした整備を進めていっていただきたいなと思っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 岡崎構成員、お願いします。

○岡崎構成員 萱間先生のお話なんですけれども、認知症ケアの継続性と認知症ケアと統合失調症の相違を踏まえて指摘されたことは、非常に重要だとお聞きいたしました。どうもありがとうございました。
 8ページに書いておられますけれども、現在、認知症ケアの不十分さから出る側面もあると思うんですが、BPSDが強い場合に、精神科救急との症例として、あるいは急性期医療病棟への入院という形で結果的に不幸な状態、ここに先生が書いておられますけれども、環境が急変した混乱とか同じように拘束がなされて、身体症状が悪化したなどというのを残念ながら私も見ております。
 システムがちゃんとしていないからだと感じて、内部的な努力はしているんですが、社会におけるシステムをどういったふうに改善をしていって、こういったケースが生じないようにして、かつ適切な認知症ケアが継続的になされていくかということを真剣に考えないといけないなと思っています。
 先生は、このあとで地域生活を継続するためには、よい多様なサービス利用が必須で書いておられて、家族ケアのことも含めておりますが、先生のお立場からどういったことが望まれるか。既にこの間、議論されたことの中にも書いてあるとは思いますけれども、お聞かせいただければと思います。

○萱間参考人 ありがとうございます。
 まず、1次予防的な入院の前のことで申し上げたいと思うんですが、そのことについては、先ほどからお話に出ていますような、啓発に関することがすごく重要かと思います。
 一時的に強い症状が出られたとしても、かなりの部分で通所介護や訪問看護などで関わって、環境がきちんと保つことができれば収まるというのがあまり知られていないところもあるかと思いますので、薬で何とかできると思って、それで入院させて、それが適切にできなかったときの経過は申し上げるまでもないと思うんですけれども、そういったことの啓発活動も1つかと思います。
 もう一つ、岡崎先生が御指摘になった急性期治療病棟への入院は、私も大きな問題だといろいろなところで聞きました。環境が1回変わって、統合失調症の方がたくさんいらっしゃる環境へ行って、もう一回変わって認知症病棟へ行くというのは、今の在宅ケアへの移行を更に困難にさせてしまう要因となっていると思います。
 ただ、点数が急性期治療病棟と認知症治療病棟への入院において異なっているという実態があって、そのような実態も招いているという点もあるのかと思います。認知症治療病棟で適切な環境を保つことが大事だというのは、医療関係者のコンセンサスだと思いますので、それにインセンティブがある形になるとよろしいのではないかと考えております。
 あとは、1回そういう周辺症状が強くなってしまったら、もう二度と直らないんだということはなくて、本当に適切な環境調整で変化されて、高橋先生のお話ではたびたび出てくるような改善が見られて、スタッフもそれにやりがいを感じて、私たちはスタッフが絶望してしまう状況になっているということも今、問題だと思っておりますので、在宅でも支えることができる部分があって、病棟でも改善していかれるところを支えられるという実感が大事なのではないかと思っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他にございますか。
 では、野村構成員、お願いします。

○野村構成員 私たち家族会でわかっていることは、親が引きこもり統合失調症の患者さんを抱えて暮らしている世帯が結構ありますけれども、最近、親が認知症にかかって入院してしまったりしている。お母さんが、お父さんが認知症になって、息子さんが統合失調症で両方みなければいけない。お父さんも大変なんだけれども、息子さんからは暴力を振るわれて、非常に難しいケースがあります。
 そのときに、お二人の先生にお伺いしたいんですけれども、これから認知症の方をケアしていくときに、家族全体の平安な生活をどのように守っていったらいいかということに関して考え方といいますか、地域での連携の在り方とかもしお考えになっていらっしゃることがありましたら、教えていただきたいと思います。

○高橋参考人 統合失調症の人が親御さんが認知症になったという事例は、私も今、抱えていますけれども、やはり彼もお父さんもですが、非常に身近にいろいろな人がそこへ行きますので、私たちとしてはそれを放っておかないというか、それは1つの普段やっていることの、そんなに仰々しいことではないんですけれども、いろいろなスタッフが訪問看護であったり行っていますので、そんなに今、目立って大変だと私は思わないんです。
 お二人とも私がみていますから、どういうふうに認知症と付き合っていくかという話を統合失調症の人であってもちゃんとわかってくれて「こんなふうにすればいいんですね、先生」と聞いてくるのに「そうだ、そうだ」と言って、お父さん御本人を目の前にしてやっておりますけれども、特殊かどうかわかりませんが、そこはそんなに大変だと私は思っていません。意外にずっと付き合っていたら、周りがどう付き合っていくか、関わっていくかという、そこだろうと思います。

○野村構成員 ありがとうございます。

○萱間参考人 まず、高橋先生がおっしゃいましたように、誰かが普段から御家庭の御様子を伺える関係性にあるということで、御家族の方が御自分で訴えられない状況もあると思うんです。御自分では気付いていらっしゃらなくて。そのときに、大変きつそうだということがわかる人がいるというのがまず大切なことだと思います。
 それから、現在、世帯として家族を支えるという制度になかなかなっていませんで、事例単位で見ているので、例えば介護保険の方にはケアマネがいて、御家族の方はもしかしたら認知症の存在が認められていないかもしれなくて、他のことでというと、全然ケアマネと医療保険の訪問看護がばらばらに入っていたりしますと、すごく家族の問題でバランスが変わってきているという視点が少ない。
 そこは、私たち訪問看護でもずっと問題でして、御家族の方へのケアの評価がなかなか難しくなっているというのがあるので、世帯として認知症を抱えた方と統合失調症を抱えた方がいらっしゃるとすると、それを見るときに、バックアップできるような制度があれば、よりそういう芽が育つだろうとは思っているんですが、今、ケアマネの方と自立支援医療提供の境目もうまくいっていないし、事例が違うとなおさら同じ家族でもばらばらになっているというのが大きな問題だと思います。

○野村構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 広田構成員、お願いします。

○広田構成員 何かすごく堅くて暗い話で、今の日本の世相を反映しているようで、認知症の方がおられたらよけい悪化するのではないかというぐらいの空気が流れているんです。厚生労働省自体が節電して、私、このパスを落としましたけれど、受付の方が今日来ることを知っていて、取っておいてくださいましたが、暗い中でいつ拾われたかわからないんです。
 それで、全然視点が違います。私は13年前に、精神科救急のニーズが酔っぱらった人を保護する、警察の中の保護室にあるということを知って、13年間、噂の神奈川県警と交番の警察回りをしています。
 そうしますと、本当にたくさんの認知症らしい人にお会いしますが、私はパスですけれど、先日も運転免許証を落としたということで、ある警察においでになっていました。そうしましたら、お巡りさんがそれは「交番にある」と言っているのに、他の交番の話をずっとしているんです。
 それで、話が伝わらないから私が出ていって、「あなたは何なの」と言ったら、「認知症にかかっている」と御本人が言っていました。そうしたら、お巡りさんがすぐ引いて、紙に、「この警察に平日の昼間8時半から来てください」と書いていました。説明したんです。
 それを受けて、私は聞いたんです。「認知症はどうやったらよくなるの」と、認知症だという方に聞いたら、「結婚すればよくなる」ということです。男性でした。私はこう言ったんです。「では、相手を探しましょうよ」と。
 私はそのときに思ったんですよ。何とか認知症疾患医療センターよりもむしろ出会い系サイトだと。本当に、高齢者の。その方がお金もかからないし、幸せになると思って、すぐ探しましょう、手伝おうかなと思ったぐらいです。神奈川県警のお巡りさんも単身が多いから手伝うと言ってあるんですけれど、忙しくてできません。
 そしたら、その方が何と言ったと思いますか。私に「電話番号を教えて」と言いました、反応して。私は、「彼がいるからだめなんだけれどもね」、「気を付けて帰りましょうね」と入口まで送って行って、「あなたのおうちは○○だから、向こう側からタクシーに乗ってください」と言ったら、「はい」と帰ったんです。これが1例です。
 もう一つは、やはり他の警察にいたら、「家の中に人がいて、犬がいる」と。お巡りさんが聞いていて、わけがわからなくて首をかしげているから、私が「荷物を警察に預けます」、携帯だけ持って、「家はどこですか」と言うと、「すぐそばです」と言うから、この携帯を持って、御本人に「警察の電話番号をここに入れて」と見せて、「行って何かあったら、ここに私が電話を入れるから安心してください」と。まず、人間は安心することが大事です。
 そして、「はい」と言って、一緒に行ったんです。そうしましたら、外から見ると、大きなおうちの2階が全部開いているんです、冬に。今年の冬ですけれど。それで、手が震えていて、2つあるんだけれど、かぎが開かないんです。
 私がかぎを受け取って開けたんです。それで、家に入って、どこに人がいるのかと聞いたら、奥ということです。奥に人がいないから、「いませんよ」と見て帰ってきて、背中をさすって、「安心してください」と言った。
 「犬はどこですか」と聞いたら、「この下だ」と言うから、カーテンみたいなものを開けたら、犬の敷き皮ですよ。「犬ではなくて犬の敷き皮よ」、「死んだ犬ですよ」と言ったんです。
 私はよく警察とか交番を回っています。是非これは国土交通省を巻き込んだ住宅施策です。野澤さんも社説で書いていただきたいんですけれど、私は「高齢者のところにお巡りさんが住んだ方がいい」と言った。「下宿人で」。
 何が起こっているかというと、都会で増えるというのは、孤立という名の病気ですよ。孤立という名の病気がいっぱいはやっていて、時間がないから今日は言いませんが、「自分の家が怖い」と言って、漫画喫茶に高齢者が泊っている時代ですよ。
 だから、そういうところに住宅施策として、お巡りさんは「近過ぎるから嫌です」と言いましたけれど、若者、いろんな人、他人が一緒に暮らすことによって、孤立を防ぎ、栄養のバランスに欠ける若者が高齢者と一緒に暮らすことによって、疑似家族的な体験もできると思います。
 そういうことで、全然視点は違うけれど、それと点数が高いとか安いとか、先ほどから盛んに言っていますが、私がこういう国及び地方自治体の委員会に来てから、すごく単純で明るくて人のことを信じやすい人がすごく疑い深くなったんです。今、書いている原稿なども、国及び地方自治体の委員会に出ていると、本当に専門家のハローワークのようで、いわゆるコンシューマのためには委員会にはなっていないという書きぶりで締めたんです。
 そういう意味で考えないと、精神科医療全体の底上げです。いつも言っている社会的入院を解放して、病床を削減してマンパワーを付けて、安い精神科医療をあげることには賛成だけれど、個々のことを高いか安いかということはわかりませんが、思いというのは誰が判定するのかと。
 私は介護保険が導入された時点で、精神疾患者が将来介護保険施設になじむのかということで、ずっと関心を持っていました。去年の4月からボランティアで行っています。お話し相手ボラです。
 そうしますと、去年3か月病気したら、すごくよかったんです。病気後のアフター病気後の方が高齢者様に人気があるんです。私が最近行くと、こういう感じで待っていますよ。「明るい人が来た」と言われています。作業所に行くのと同じ感じで。そういう人がすごくよくなるような感じがするんです。明るくて。本当にそのうち、その施設から来ないでくれと言われる気がするぐらい人気があるんですよ。
 そういうところで、誰が重度と判定して、重度だった人が、広田和子さんではなくてもいいけれど、野澤さんでも福田さんでも誰でもいいんですが、行ったら軽くなったりするけれど、どうなるんですかという、その2点だけ質問です。
 重度を誰がどう判定し、軽くなったときはどうなるんですかという2点の質問で、あとはもう少しリラックスして、厚生労働省もせめて廊下は明かりをつけてほしい、痴漢騒ぎでも起きたらそれこそ不名誉なことだということで、よろしくお願いします。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 御質問はどなたにですか。

○広田構成員 要するに、今、聞いていたらわかりますように、私は素人だから、国民の一員として来ているから、誰か適当な人が答えてください。我こそは思う方が。

○福田精神・障害保健課長 わかりました。ありがとうございます。
 では、せっかくですから、高橋先生からお答えいただけますか。

○高橋参考人 今、広田さんがおっしゃった意味の重度でしたら、相対的なもので、私から見たら重度でない人が重度になることもあります。答えになっていますか。

○広田構成員 誰が判定していますか、日本語で答えてください。どういう役割の人ですか、ドクターとか。ドクターだったらどこのドクターなのか。

○高橋参考人 どこのドクター。

○広田構成員 例えばドクターならですよ。ドクターでなければ誰が。だって、判定しないと、重度だか軽度だかわからないではないですか。
 つまり、この1万400円が妥当かどうかはともかく、それを判定するのは誰ですかということです。

○高橋参考人 ドクターも判定する場合もありますけれども、まじめに答えてはいけないのか。ドクターも判定する場合もありますが、ドクターでない人も重度だと思ってしまう場合もしばしばあると思います。

○広田構成員 そうすると、私も精神医療の被害者ですけれど、私の主治医が私を診ていたことによって私が不運だったんですが、こちら側の医者だったら違うという見立て違いが出るではないですか。
 その場合に、成年後見というそこの部分はすごく権利だと、いろんなことをやってくださるんだけれど、一番大事な根幹に関わる重度な判定が割れたときには、誰がどうやるんですかということを伺いたんです。これは国民の関心事です。

○福田精神・障害保健課長 介護の方の基準という観点もありますけれども、もしくは老健局の方で何かコメントはありますか。

○高橋老健局企画官 それは診療報酬。

○福田精神・障害保健課長 いろいろあるということなんですけれども、基本的にはどの制度に乗っかるかということで、判定のシステム、制度があって、それに直接主体的に関わる方も決まっておりますので、またそこのところは、そういった議論をする際にもう少しさせていただければと思います。
 では、渕野構成員、どうぞ。

○渕野構成員 渕野です。
 高橋先生に1つ質問と、それから、私なりに重度の認知症デイケアとセンターのことについて意見を述べさせていただきたいと思います。
 高橋先生に質問は、重度の認知症デイケアの多分患者さんが中断したり、いろいろあると思うんですが、平均的な通院期間はどのぐらいなんでしょうか。

○高橋参考人 出してはいないんですけれども、かなり通院期間は長いと思います。だから、いいのか悪いのかわかりませんが、やはりBPSDが激しい方も勿論いらっしゃるんですけれども、収まったから終わりとはなかなかできなくて、結局その方がそれこそ何かの事情で退所なさる。つまり、お亡くなりになるとか、本当に家族の都合で施設入所が現実化するとかといった形で、結局結末がきますので、そこまではお付き合いするとしています。
 ですから、それがどれだけだったとか計算はしていないんですけれども、長い人は十数年にもなる、開所してから十数年ずっと。言葉はないんですけれども、明らかに雰囲気はわかって、そこに座っておられる。ずっとそこに穏やかに座っておられる。言葉はもうないんですけれども、雰囲気は間違いなく察しておられると私たちには感じられるという方もおられる。その方もこの前亡くなりましたけれども、十数年でしたね。
 そうすると、平均したら随分長くなるんではないかと思ったりするんですが。

○渕野構成員 その患者さんにとっては、大変幸せなことだと思うんです。要は、入口、いわゆる診断をつけて、それからポンと介護だけでやりなさいとか言う医者もいるわけですけれども、そこに精神科医がずっと関わって、早期からターミナルまでみれるということは、とても患者さんとっても幸せだし、家族も幸せだと解釈を私はしているんですが。
 重度認知症デイケアは、私は前から絶対必要だということは言い続けてきまして、一時確かに介護保険で必要ではないのではないかと。介護保険の通所リハビリという、いわゆるデイケアですけれども、あれと何ら差がないのではないかといつも言われていました。
 それで、結局先ほどの重度の問題もあるんですけれども、認知症の高齢者の日常生活自立度のランクMという判定なんですが、もともとは平成5年ぐらいに老健局が多分出した、これは介護の指標です。介護の指標の中に当然平成18年でしたか、認知症の重度デイケアがなくなりかかったときがあって、そのときに無理やりMか何かがぽんと入ってきたと記憶しております。
 だから、この1~4までとMは全然違うわけです。Mを見ると、いわゆる精神の症状とか問題行動がばあっと書いてあって、当然介護のMという感覚で見ると、認知症の症状そのものではない、一致しない。
 先ほど栗林構成員も言われましたけれども、重度認知症デイケアはどういう人が通うかという話なんですが、グループホームも通えるわけです。それから、有料老人ホームを通えるわけです。いわゆる居住施設と付くものは、医療のデイケアを受けることができるわけです。老健とか特養は施設ですから、当然受けることができないという、そういう私の認識です。また後で、もし何かありましたら。
 そういうことで私は解釈しておりますので、是非この重度認知症デイケアはコストの話をして悪いですけれども、大変先生は厳しい中でやられているという、本当にすばらしいことをやっていらっしゃるので、もっと点数は付けてほしいなと、私も思っている1人です。
 それから、認知症疾患医療センターに関してですけれども、当然これは平成元年にできて、平成17年までありましたが、いったんはなくなったんです。なくなったけれども、やはりそれまでのセンターが果たしてきた役割は地域にとって、私は大変有益だったし、認知症の患者さん、家族にとって大変よかったから、また再開したと信じております。
 センターがその当時150個あったわけですよ。そして、今回150を目標にしているんだけれども、果たしてその150が適正かどうかというのは私にもわかりませんし、ない県もあるが、やはり行政の問題だと思うし、行政が認知症に対してきちんと介護保険でサービスをやり、医療もきちんと受けるシステムが整っていれば、私は必要でないのかもしれないと思っています。
 だから、今後、センターの数とか適正の問題があるでしょうけれども、これから、もう一つ業務として足してほしいのは、若年層認知症の人たちはこのセンターでないとなかなか難しいのではないかということと、それから、早くその地域に帰したいということであれば、認知症疾患医療センターは、家族とか地域包括支援センターからずっと上がってくる一方通行ではなくて、逆に病院から今度はセンターを通して、地域に帰すということを役割として担わせてはいかがかなとも感じております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他にございますか。
 河崎構成員、その後に、長野構成員、お願いします。

○河崎構成員 先ほど萱間先生がおっしゃられておりました認知症治療病棟の問題、これは非常に先生の方からいい御指摘をいただいたと思っております。
 精神科医療の中で、認知症の方に入院という形で関わりを持つ際には、やはり認知症の治療病棟という専門性の高いところでしっかりと行っていくということが今後の精神科の入院医療の中では重要になるんだろうし、その際の、また広田さんに叱られるのかもしれませんけれども、診療報酬上の評価をしっかりとそこに勝ち取っていくということが、すごく私は大事ではないかなと思っています。
 萱間先生に1つだけ教えていただきたいんですが、先生の方で訪問看護ステーションでの認知症の方への関わりのお話を今日、伺ったわけですが、先生のこれまでのいろいろな御研究の中でも、特に統合失調症の方たちに対しては訪問看護ステーション的な関わりを行うことで、例えば入院日数が有意に短くなるとか、そういうエビデンスをお出しになっておられると思っているんですけれども、一つひとつの訪問看護ステーションが例えば認知症に特化したような訪問看護ステーションとして、運営していく方がいいのか。あるいは精神疾患にしましても、統合失調症的な部分に特化していった方がいいのか。
 どういうタイプの精神障害者の方に対しても対応できるというのが一番理想だとは思うんですが、なかなかマンパワーの問題とか、いろいろな部分で難しいところもあろうと思うんですけれども、その辺、先生のお考えを教えていただければと思います。

○萱間参考人 ありがとうございます。
 先生御指摘になりました病院での認知症治療病棟の専門的な治療は、回復の上でも重要かと思いますが、在宅への移行を支援する上でも、非常に専門的な知識が必要なので、大切なことだと思っています。
 ステーションに関してなんですけれども、特化した方がいいかどうかということに関しては、私は他のステーションに関しても思うのですが、やはりゼネラルにステーションが活用できることが望ましいと思っております。
 それはなぜかと言いますと、今回精神科病院からの認知症患者さんへの訪問についてもいろいろと検討しようと思ったんですが、精神科病院に入られた、特に自治体病院などを最初対象にしたものですから、かなり重度になって施設から来られて、また施設に戻る方が多くて、在宅でこの期間にお話を伺ってお会いすることができなかったので、今回ステーションを主にお話をしたんですけども、病院の圏域外にいらっしゃる認知症の方が訪問を受けられるというのは、やはりステーションの活用が重要だと思っていまして、それは勿論精神科の専門の先生のコンサルがあってのことと思っておりますが、ただ、圏域外があるところは、本当に都道府県でたくさんあると思うんです。精神科病院の訪問のですね。
 それから、身体管理ということになりますと、訪問看護ステーションはもともと老人訪問看護ステーションですので、非常に蓄積を持っておられますし、ゼネラルなその地域の先生方とのパイプも非常に持っておりますので、体がみれて、しかも認知症がみれる、精神疾患も勿論みてほしいわけなんですけれども、それが望んでいることだと考えております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 予定された8時になりましたので、あとお二方ぐらいということで、長野構成員と河岸構成員、阿式構成員、それぞれ手短にお願いしたいと思います。それで締めたいと思います。

○長野構成員 済みません、本当は1時間ぐらいほしいんですけれども、認知症の精神科訪問看護、精神科病院から十数年、介護保険に入る前からずっとやってきて、とても有用なものだと思っています。
 萱間先生にお話いただいたスライドの中で、継続性を誰が支えるかという視点が一番大事だと思っていて、とにかく前提として、認知症の方は地域に私たちだけでは絶対支えられないぐらいたくさんの方がいらっしゃるということがあって、誰がこの継続性を支えるかという選択肢。御本人から見た選択肢がとにかく多様に要るということだと思うんです。
 勿論、一番望ましいのはコミュニティの人だと思うんです。地域の方が継続性をずっと支え続けられたら、それが一番いい。それの次は家族かもしれないし、だんだん生活に近いヘルパーさんだったり、ケアマネさんになったり、いろいろ選択肢があると思うんですけれども、そういう中で精神科訪問看護という、先ほど言われたゼネラルに見える視点で看護診断的なところも含めて問題を整理しながら、発症から亡くなるまで添い続けることが必要な方もとてもたくさんいらっしゃる。それが地域づくりにつながることも実感をしてきているんです。
 そういう継続性を支えるというところに選択肢がとにかくたくさん要る。先ほどの重度認知症の話もそうなんですけれども、あちらでできるからこちらが要らないなど言っている場合では絶対なくて、とにかく御本人にとって選べるチョイスがたくさんないと、これから更に高齢化がどんどん進む中で、絶対にうまくいかない。だから、これがあるから、これに乗せておこうという施策ではなくて、継続性も含めていろいろな選択肢がとれるように、とにかく今、しておかないと、地域では全く生活が成り立たないということが1つがあります。
 その中で精神科医療もごく一部継続性をずっと担わせてもらうのに、始めの診断から亡くなるまでの方を随分たくさん付き合わせていただいていますが、精神科医療も役に立つのかなと思っています。
 少し診療報酬の話になりますが、気になっているのが、痴呆患者在宅療養指導料が平成18年改定でなくなった後の、精神科医療機関が外来で認知症の方を支えていくための仕組みが今、実は混沌としている。
 聞いていると、精神医療を基本的に算定できるから、これがなくなったという話も聞かないわけではないんですけれども、条文の中にはやはりメインの精神疾患があって、それに伴う認知症という書き方をされていて、私自身も平成18年改正があった後、1年以上ずっと認知症の方、再診療のみでやった時期があります。1年以上どころではなかったと思いますし、今も私たちの関連のところでも、そうやっているところもあるんです。
 認知症の方に関して精神科医療が必要な場合は、単病名でもいろいろ不安があったりとか助言が要ったりとか診断的な軽度認知障害(MCI)の方が継続的にずっと診断的に関わりながらしなくてはいけない方も勿論いらっしゃいますので、そういう方に対しての精神療法のことに関して、もう少し明解に見解が出てこないかなと思います。
 多分全国の医療機関が認知症はとれないと思っている方とか、逆に認知症の方に副病名だったり主病名が付いて、しているところとか非常に多様にあるんだろうと思います。
 再診料だけではさすがに厳しいだろうと思っていて、継続を支える1つの選択肢としての見解を出していただけると。22年に出ているんですけれども、やはり対象精神疾患に伴いあるという書き方をされていますので、解釈によっては精神療法を全く請求していないところも随分あるのではないかなと思ったりいたします。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 問題提起ということで理解をさせていただいて、この場での回答は控えさせていただきたいと思いますが、河岸構成員、お願いします。

○河岸構成員 萱間先生ですけれども、3ページの一番最初の事例ですね。アルコール性認知症で、非常に重度の厳しい状況の方なんですが、この方は治療を拒否するというところで、家族も8か月で10kg体重が減少したということで、その家族と本人というところで、かなり訪問看護していると間に入ってしまって、調整がかなり困難になると思うんですが、特に週に7回となる本当に濃厚な関わりになるんですけれども、そこら辺で訪問看護としてのスタンスですね。どのように本人を重きに置くのか、家族をというところでは、どのような考えかお聞かせ願いたいと思います。

○萱間参考人 すごく難しい御家族だと思いました。行きましたら、この家は臭くありませんかと言われまして、臭くないし、とてもきれいにしていらっしゃるし、びっくりしましたと言いましたら、親族の者が来て、指からの浸出液が臭いと言って、この家はもう臭いと言われたと奥さんは泣かれまして、ずっと飲酒の面倒を見てこられた奥様で、そして今、介護をまたしていらっしゃる方で、つい乱暴な手つきになられたりとか、声かけが乱暴になられたりという場面もあって、看護師はそれを見て問題意識も持っているわけなんですけれども、それは決して批判しないということと。それから、看護師がいる間の穏やかな会話を3人で楽しむということですとか、それは当然の姿勢だと思いますけれども。
 問題点を掘り起こせば、この人は限りなくあって、多分在宅が、果たして本当に一番いい方法なのかということはあると思いますが、御本人は人生は面白いもんだね。こうやっているのが楽しいんだとおっしゃって、それが時によって違うのかもしれないんですけれども、それで奥様もそれを生きがいにしていらっしゃって、こういう場面では支えるしかないのではないかと思ったわけですが、御家族への関係性の配慮、それから、でもやはり問題点があって、何か脆弱なところが今後出てきたときには違う対応が必要かもしれないという考えは持ちつつも支えるということだったと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、最後、阿式構成員、お願いします。

○阿式構成員 済みません。高橋先生に、先生も早期の診断の初期の対応がすごく大事だと言われているんですけれども、初期の認知症の診断をしたときから、やはり支援というのは始まっていくと思うんですけれども、今の精神科の外来では、認知症だけでは何もできませんし、精神科訪問看護は認知症だけではできないんですけれども、一番初期に診断はしてくれたけれども、では家でみてあげてくださいということだけを言われたんでは、家族はどうしていいかわからないということをよく聞くんです。
 ですから、先生のところで、すぐに重度、デイケアというわけにもいかないでしょうし、それまでのずっと継続で、本人とか御家族を、誰かが、どのようにして支えておられるのかということを1点聞きたいと思います。
 萱間先生には、7ページの適切な治療病棟の治療環境について、私も治療病棟にいたので、本当に何もない治療病棟の中で、本当にこれがいいのかということはずっと思って来たんですけれども、先生はどういう環境がいいと思っておられるのか聞かせていただけるとありがたいと思います。

○高橋参考人 それは本当に一番大事なことで、むしろそういう方が来られると、私はこれからこうなると思うという話で、私にとっては予想ができるんです。御本人が御主人だとすれば、御主人が認知症になって連れて来られるわけですね。お二人が相談して来られたとしてもですけれども、多分これからは御夫婦の会話はこうなっていくでしょうと。そのうちに奥さんは御主人に認知症になってほしくないと思うと、恐らくこんなふうな対応をなさっていきますよと。御本人が望まなくても、そういうふうに陥っていくと、恐らく御本人はこんなふうな気分になっていかれると思いますよと。これは私が勝手につくったんではなくて、それが多くの認知症の方の言葉をつないだ結果、そういうことがわかったから言っているんですけれども。
 そうすると、今のお二人の関係だとこういうふうになるかもしれないということまで、私は踏み込んで言ってしまうんです。そうすると、ああ、そういうことなのかと、そこで聞いてくださるので、とりあえず申し上げておくけれども、今日はまだこれから薬を飲むかどうかわからないし、しばらく経ったらまたいらっしゃっても構いませんと言ってお返しするんですが、その1回目に来られてどうするかといったら、私は相談料はいただきますが。ノイローゼを付けても何にしても。

○阿式構成員 病名を付ければいただけますが。

○高橋参考人 だって相談ですから、きちんと今後のことをどうするかということを含めてですね。その代わり、認知症です、簡単に認知症ではないですで終わりということは絶対にしませんので、むしろこれからこの方たちがどうなっていくかと思うことを想像しながらお話すると、大体皆さんすごく興味を持ってお聞きになる。それが大体なっていく過程なんです。皆さんに共通する。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。
 それでは、治療環境について、萱間先生、お願いします。

○萱間参考人 環境のことについてですが、一番後ろのページの写真の宅老所のところを見ていただきますと、ここは海辺の地域でしたけれども、風が吹きわたっていまして、そこにいるのが自宅の延長で、自宅から道を通ってここにつながっているようなところで、勿論これが一番望まれる姿で、海に落ちたりしないんですかと聞いたら、ここの人たちは絶対に落ちませんとおっしゃっていましたけれども、それが理想の姿だと思います。ただ、病院においては、やはり環境をこんなふうにするというのはなかなか難しくて、私が問題だと思っているのは、統合失調症の方と御一緒にケアすることの難しさなんですが、でも認知症の方の環境ということを考えると、やはりその方自身の継続性をできるだけ保つ人のケアが一番だと。つくりについては、やはり理想はいろいろありますが、例えばできるだけいいにおいがした方がいいと思うし、広い方がいいと思いますが、なかなか難しいところもありますが、やはり人が、この人は継続性を持った人だというケアができるのが最適な環境だと思うのですが、その最低限のところが今の状況では守られておらず、帰っていく人なんだ、家とつながった空間が、対象者の中にいらっしゃったんですが、身体科の入院をすごく拒否されていたんですが、その病院が自分のなじみの延長に入られて、それですごく落ち着かれたという方もいらっしゃったんですが、長期がよいとは思わないんですが、その人が安心できる空間が延長されるけれども、でもそれは自宅に続くという考えのケア環境を大切と考えます。

○阿式構成員 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 熱心な御議論、ありがとうございました。
 では、最後になりますけれども、事務局の方から次回の日程等につきまして、お願いいたします。

○本後課長補佐 ありがとうございました。次回の日程につきましては、6月28日の火曜日、16時30分~18時30分、普段よりも早い開始になります。
 場所は、厚生労働省17階の専用第21会議室を予定しております。
 事前に事務局からメールにて調整をさせていただいていますが、結果の御連絡をせずに今になってしまいまして、申し訳ありませんでした。
 議題は、本日に引き続きまして、精神科医療の関係ということで、入院についてを予定しております。
 また、本日も大変お暑い中御迷惑をおかけしましたけれども、厚生労働省ではスーパークールビズ、まだスーパーになっている人はいませんけれども、励行しておりますので、皆様も是非軽装でおいでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。以上をもちまして、閉会いたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

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