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2011年11月29日 第1回 地域の就労支援の在り方に関する研究会

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成23年11月29日(火)10:00~


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第14会議室


○出席者

【委員】 松爲座長、小川委員、菊池委員、栗原委員、阿由葉代理、本田代理、長野委員、西村委員、土師委員、原委員、前川委員、望月委員


【事務局】 山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、鈴木障害者雇用専門官、秋場地域就労支援室長補佐、内藤地域就労支援室長補佐


○議題

1.研究会の開催について
2.障害者の就労支援策の現状等について
3.今後の研究会の進め方について
4.意見交換

○議事

○障害者雇用専門官
 それでは、時間も過ぎましたので、まだ電車の関係で遅れていらっしゃる委員がいらっしゃいますが、ただいまから、第1回「地域の就労支援の在り方に関する研究会」を開催いたします。参集者の皆さまにおかれましては、本日、ご多忙のところご参集いただき、ありがとうございます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、本研究会の開催に当たり、山田障害者雇用対策課長よりご挨拶申し上げます。
○障害者雇用対策課長
 障害者雇用対策課長をしております山田と申します。
 本日は、地域の就労支援の在り方に関する研究会を開催させていただくことになり、各委員にご参集をたまわり、感謝申し上げます。
 さて、11月25日に、平成23年の障害者雇用状況報告を発表しておりますが、障害者雇用者数は36.6万人ということで、過去最高を更新するとともに、ハローワークを通じた就職件数、これは平成22年度の数字ですが、これも5万件を超えるなど、障害者の雇用が着実に進展しているところであります。
 一方で、障害者の雇用率のほうが1.65%ということで、未だ法定雇用率には達しておらず、特に中小企業の取組が遅れているという特徴があります。また、福祉施設から一般雇用への移行についても、その取組を一層加速させる必要があって、また、中小企業に対する地域の就労支援機関による支援の強化、充実、それから地域における福祉施設や教育機関、労働関係機関が連携した支援体制の整備が求められているところであります。さらに、平成19年12月に障害者雇用施策推進本部で決定された「重点施策実施5か年計画」において、地域の就労支援機関について各種の施策目標を設定し、その達成に努めてきたところでありますが、平成24年度末にその計画の終期を迎えるところであります。本研究会においては、この重点施策実施5か年計画の進捗状況や、先ほど述べた課題も踏まえつつ、地域の就労支援機関のそれぞれの役割や連携の在り方などについて、今後、障害者の雇用・就労を一層促進する観点から、活発なご議論をいただき、来年夏頃を目処に一定の課題の整理、取りまとめを行っていただきたいと考えております。
 最後になりますが、本研究会における検討が、今後も一人でも多くの障害者が、その意欲と能力に応じて社会経済活動に参加できる、そういった社会の実現に繋がるものと考えておりまして、先生方のご意見、ご指導をいただきながら検討を進めていきたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 それでは、本日は第1回目ということですので、各参集者の皆さま方と、事務局のメンバーを紹介させていただきます。資料1の2頁目の研究会参集者名簿の順に従って、参集者の方々をご紹介したいと思います。
 まず、大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科教授の小川浩委員です。
○小川委員 
 小川でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、帝京平成大学健康メディカル学部作業療法学科教授の菊池恵美子委員です。
○菊池委員
 菊池でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、株式会社大協製作所代表取締役社長で、社団法人全国重度障害者雇用事業所協会会長の栗原敏郎委員です。
○栗原委員
 栗原でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、全国社会就労センター協議会会長の近藤正臣委員でございますが、本日ご欠席のため委員の代理として、全国社会就労センター協議会副会長の阿由葉寛さまにご出席いただいております。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、NPO法人全国就業支援ネットワーク代表理事の崎濱秀政委員が本日ご欠席のため、委員の代理として、NPO法人全国就業支援ネットワーク理事の本田隆光さまにご出席いただいております。
○本田氏(崎濱委員代理)
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、NPO法人ハートinハートなんぐん市場理事の長野敏宏委員です。
○長野委員
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、広島県発達障害者支援センター長の西村浩二委員です。
○西村委員
 西村でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、NPO法人障害者雇用部会理事長の土師修司委員です。
○土師委員
 土師です。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、東京都立青峰学園進路指導・生活指導担当主幹教諭の原智彦委員です。
○原委員
 原と申します。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、株式会社かんでんエルハート代表取締役の前川光三委員です。
○前川委員
 前川でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 続きまして、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授の松爲信雄委員ですが、ただいま電車が遅れている関係で遅れてまいります。続きまして、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部指導課長の望月春樹委員です。
○望月委員
 望月でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 次に、事務局のメンバーをご紹介いたします。山田障害者雇用対策課長です。田窪主任障害者雇用専門官です。
○主任障害者雇用専門官
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 秋場地域就労支援室長補佐です。
○地域就労支援室長補佐
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 内藤地域就労支援室長補佐です。
○地域就労支援室長補佐
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 私が、障害者雇用専門官をしています、鈴木と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 このほか、関係部局からオブザーバーとして参加しておりますが、本日は障害保健部障害福祉課の関口課長補佐にご出席いただいております。
○障害保健部障害福祉課課長補佐
 よろしくお願いします。
○障害者雇用専門官
 次に、本研究会の開催要綱について説明させていただきますが、その前に資料の確認をお願いします。議事次第にありますとおり、配付資料1~7と参考資料1~6までございます。大変申訳ありませんが一部資料の訂正がございます。参考資料4の「障害者福祉施設における就労支援の概要」の7頁ですが、「就労系の障害福祉事務所から一般就労への移行率の推移」というところで、平成21年のところの上から2段目に12.2%とありますが、正しくは12.1%でございます。修正がございまして、大変申し訳ございません。
 このほか、資料番号は特に付けておりませんが、平成23年障害者雇用状況の集計結果という記者発表資料も併せて机上で配付しております。資料のほう、全てお揃いでございましょうか。
 それでは、松爲委員が遅れていらっしゃいましたので、ご紹介させていただきます。神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授の松爲信雄委員です。
○松爲委員
 松爲でございます。すみません、遅れて申し訳ありませんでした。
○障害者雇用専門官
 それでは、資料1に基づきまして、本研究会の趣旨、主な検討事項を説明させていただきます。
 それでは、資料1をご参照ください。趣旨ですが、近年、障害者雇用者数、これは平成22年の数字になっておりますけれども、平成23年におきましては、先ほど山田課長からもお話がありましたとおり雇用者数36.6万人に達し、8年連続で過去最高を更新しております。また、ハローワークを通じた就職件数についても5万件を超えるということで、障害者の雇用は着実に進展しております。ただ、その一方で雇用率については1.65%と、未だ法定雇用率に届いておらず、特に中小企業の取組が遅れているところであり、中小企業に対する地域の就労支援機関による支援の強化、充実が求められております。また、福祉施設などから一般雇用への移行につきましても、今後ともその取組を一層加速させる必要があり、地域における福祉施設等や教育機関、労働関係機関が連携した支援体制の整備が求められています。さらに、平成19年に障害者施策推進本部で決定された、「重点施策実施5か年計画」におきましては、地域の就労支援機関について各種の施策目標を設定して、その達成に努めてきたところですが、平成24年度末に当該計画の終期を迎えるということで、これらの進捗状況や、また先ほど述べた上記の課題も踏まえつつ、地域の就労支援機関のそれぞれの役割や連携の在り方などについて、障害者の雇用・就労を一層促進する観点から検討を行うということが、本研究会の趣旨です。
 2.主な検討事項につきましては、(1)重点施策実施5か年計画の進捗状況について。(2)地域の就労支援機関の今後の役割と連携の在り方について。(3)その他となっております。
 なお、この地域の就労支援の在り方に関する研究会とは別に、高齢・障害者雇用対策部におきましては、障害者雇用促進制度における障害者の範囲等を検討する研究会。また、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会、計3つの研究会を立ち上げまして、検討を開始することとしております。
 本研究会において、それらの研究とかかわる部分については、適宜情報提供させていただきながら進めさせていただきたいと思います。
 続きまして、研究会開催要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきます。座長の選任につきましては3.研究会の運営におきまして、座長は参集者の互選により選出するとされております。座長の選出につきまして、どなたかご推薦がありましたら、お願いいたします。
○菊池委員
 神奈川県立保健福祉大学の松爲委員にお願いしたいと思います。遅刻されたペナルティーということではありませんで、松爲委員は日本職業リハビリテーション学会の前会長でもありますし、この研究会の親会でもある労働政策審議会の分科会委員の委員でもあるということで、是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○障害者雇用専門官
 ただいま、菊池委員より松爲委員を座長にというご推薦がございましたが、皆さまいかがでしょうか。
(異議なし)
○障害者雇用専門官
 異論がございませんでしたので、本研究会の座長を松爲委員にお願い申し上げたいと思います。お手数ですが、座長席のほうにお移りいただければと思います。
 それでは松爲先生、これからの議事進行につきまして、よろしくお願いいたします。
○松爲座長
 遅れまして申し訳ありません。いま、事務局からお話がありましたとおり、この研究会というのは、ほかの2つの研究会と並行して進めていくことになると思っております。ですから、私は、ほかの委員会との関係のように、役割重大だと思います。いろいろなことで、皆さんとほかの委員と議論しながら進めていきたいと思いますので、一つよろしくお願いいたします。
 それでは、ご指名により議長になりましたので、まず最初に議事の公開についての申し合わせをしておきたいと思いますので、事務局のほうからご説明をお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 それでは、参考資料1「審議会等会合の公開に関する指針」をご参照ください。会議の公開につきましては、厚生労働省における「審議会等会合の公開に関する指針」におきまして、懇談会等行政運営上の会合は、マル1個人に関する情報を保護する必要がある。マル2特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれる。マル3公開することにより、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある。マル4公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがあるといった場合、これら4点の場合を除きまして、公開することとしております。また、特段の事情により会議又は議事録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示することとされております。本研究会につきましては、これに従い、今後、議事及び議事録は、原則公開という扱いとさせていただきたいと考えております。なお、各委員から、会を重ねていく中で、議題等によって非公開とすべきとのご意見があった場合のみ、会議及び議事録の公開についての取り扱いを判断することとしたいと考えております。また、配付資料についても、議事及び議事録と同様に、原則公開するものとし、取扱いに注意が必要な場合は、その旨を表示し、非公開の扱いとするものとさせていただきたいと思います。
○松爲座長
 この会議の公開方法につきまして、皆さん、何かご意見はございますか。よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○松爲座長
 では、そのように、この会議及び議事録につきましては公開ということで取りはからせていただきたいと思っております。
 それでは、第1回目の本日の議題に入っていきます。本日は、議事次第でまず2.「障害者の就労支援策の現状等について」及び3.「今後の研究会の進め方について」、そして4.「意見交換」という形で進められております。第1回目ですから、いろいろな資料をたくさん説明ということになりますが、しばらくは黙ってお伺いしておきましょうという感じかもしれません。では、事務局のほうから、2.の点につきまして、ご説明をよろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 議題2の就労支援策の現状等について、このご説明をする前に、机上のほうで「平成23年 障害者雇用状況の集計結果」という資料を配付させていただいております。これを先日の金曜日、11月25日に公表させていただいておりますので、簡単に結果等をご説明させていただければと思います。
 障害者雇用状況報告につきましては、毎年度56人以上規模の企業、または公的機関に対して、各年6月1日現在の障害者の雇用状況を報告するよう法律上求めているものです。それの平成23年6月1日現在の集計結果が、お配りしております資料です。
 集計結果の主なポイント等を、簡単にご説明させていただきます。まず、民間企業ですが、【集計結果の主なポイント】というところにありますとおり、雇用障害者数につきましては昨年は34万3,000人でしたが、平成23年につきましては36万6,199人ということで、過去最高を更新しております。実雇用率につきましては1.65%です。これらにつきましては、昨年と比較すると0.03ポイント減という形にはなっておりますが、その原因等については後ほどご説明いたします。
 また、公的機関につきましても、各雇用者数につきましては順調に増加しております。また、実雇用率につきましても、教育委員会を除きまして、概ね法定雇用率を達成しているという状況ではございますが、実雇用率自体につきましては、昨年と比較するとすべて落ちているという状況です。また、教育委員会につきましては1.77%と、昨年から0.1ポイント減となっており、法定雇用率は2.0%に届いていない状況にあります。
 実雇用率が下がっている原因につきましては、皆様ご案内のとおり、昨年7月に障害者雇用促進法の制度改正がございました。主な内容としましては、短時間労働者を雇用率の算定に入れたことと、また段階的に引き下げております除外率を縮小いたしました。障害者雇用率につきましては、労働者数を分母とした上で分子が雇用障害者数になりますが、この分母たる算定基礎の労働者数が、分子である雇用障害者数以上に増加したことが大きく影響しておりまして、こうした制度改正があったがために、本年と前年の数値を単純に比較することが適当でない状況となっております。
 皆様は具体的な制度改正の内容についてはご案内かとは思いますが、簡単にご説明いたします。発表資料の9頁からご参照いただければと思います。法定雇用率ですが、真ん中の枠にございますとおり障害者雇用率につきましては、労働者と失業者を分母として身体障害者及び知的障害者である常用労働者の数、また失業している身体障害者及び知的労働者の数を分子としております。
 実雇用率の算定におきましても、分母が企業における常用労働者数、分子が雇用障害者の数という形で設定しております。資料10頁にございますが、まず1つは障害者の多様な雇用機会を確保するという観点から、昨年7月、短時間労働者を雇用率の算定に算入することといたしました。その結果、分母として短時間労働者の数が入りました。また分子として障害者である短時間労働者の数、一部重度障害者とか精神障害者の方々につきましては、これまでも分子として障害者の雇用率に算定されておりましたが、今回新たに重度以外の身体障害者及び知的障害者の短時間労働者を分子として実雇用率を計算することになったということが、改正の1点目です。
 もう1点目は11頁にございますが、障害者雇用促進制度におきましては、実雇用率算定の各基礎となる労働者を算定する場合に、一定の業種、障害者の雇用がなかなか難しいと思われる事業を行う事業所については、一定の率に相当する労働者を控除する制度、いわゆる除外率制度を設けております。これは平成14年の法改正で段階的に廃止・縮小することとされておりますが、これを段階的に縮小するということで、昨年7月に短時間労働者の算定と合わせて除外率が10ポイントずつ引き下げられております。
 これらの結果、例えば民間企業で申しますと、雇用障害者数につきましては昨年と比べまして6.8%増加しております。その一方で算定基礎となる労働者につきまして、分母ですが、短時間労働者の算入や除外率の縮小で9.4%という形で、雇用障害者数以上に増加したことが、結果として実雇用率の低下につながったと考えております。また、ほかの機関についても同様です。
 具体的な結果内容については1頁からです。最初、(注)にもありますとおり、制度改正の影響がありましたため、本年と前年の数値を単純に比較することが、なかなか難しいという状況になっております。
 民間企業における雇用状況ですが、先ほど申し上げましたとおり、雇用障害者の数につきましては、過去最高となっております。また、その内訳ですが、身体障害者が28万4,000人、知的障害者が約6万9,000人、精神障害者が約1万3,000人ということで、概ね約78%が身体障害者、19%が知的障害者、約4%が精神障害者という内訳となっております。また、実雇用率につきましては1.65%ということでしたが、仮に改正前の制度、短時間労働者を入れず、また除外率を前年の制度に基づいて試算した場合、約1.75%という程度になると推計しております。昨年が1.68%でしたので、そういった意味でも障害者雇用は進んでいるといえます。また、法定雇用率達成企業の割合につきましては、こうした制度改正の影響もあり、昨年は47%でしたが、本年は45.3%です。
 続きまして企業規模別の状況ですが、1,000人以上規模の企業は1.84%と法定雇用率を上回っておりますが、500~1,000人規模の企業につきましては実雇用率平均と同等程度となりました。その一方で、企業規模が下がるに従って、実雇用率が下がっておりまして、56~100人規模の企業は1.36%となっております。また、法定雇用率達成企業の割合につきましても、1,000人以上の企業は49.8%となっている一方で、100人未満の企業につきましては43.1%となっております。
 産業別の状況ですが、2頁の1ポツ目で、法定雇用率を達成した業種としましては、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「医療・福祉業」などとなっております。また、「農,林,漁業」等が、民間企業の実雇用率1.65%を上回っております。
 また、法定雇用率未達成企業の状況ですが、法定雇用率未達成企業は4万1,211社で、このうち1人不足企業と呼ばれている企業が63.9%、また、障害者を1人も雇用していない企業の未達成企業に占める割合は61.3%となっており、法定雇用率未達成企業の多くが障害者を1人も雇用していないという状況にございます。
 また、特例子会社の状況ですが、認定を受けた企業につきましては319社、雇用障害者の数につきましては約1万6,500人、この内訳としましては、身体障害者が約8,200人、知的障害者が約7,600人、精神障害者が約670人となっており、構成比としましては身体障害者が約49.7%、知的障害者が46.2%、精神障害者は4.1%という形で、知的障害者の雇用の方が、全体の割合としては高い割合となっております。
 また、公的機関につきましては、国の機関は実雇用率が2.24%という形で、国の機関につきましては全て法定雇用率を達成しております。
 また、都道府県の機関につきましては実雇用率2.39%で、都道府県知事部局については全て達成しておりまして、知事部局以外は110機関中95機関が達成しております。
 また、市町村の機関につきましては実雇用率2.23%となっており、2,353機関中1,970機関が達成しております。
 都道府県等の教育委員会につきましては実雇用率が1.77%で、都道府県教育委員会につきましては47機関中14機関が達成しております。昨年が13機関達成しておりますので、1機関増えております。
 最後に独立行政法人等ですが、雇用率が2.08%となっており、国立大学法人等を除けば98法人中85法人、国立大学法人等につきましては90法人中59法人、地方独立行政法人等につきましては100法人中57法人が達成しております。障害者雇用状況報告につきましては、以上です。
 次に、議題に基づきまして資料2~6をご説明したいと思います。資料2「障害者の雇用の現状」です。3頁にございますが、民間企業の雇用状況、先ほど申し上げましたとおり実雇用率1.65%、法定雇用率達成企業は45.3%となっており、雇用者数は過去最高を更新しております。
 4頁は、障害者の雇用状況につきまして長期トレンドで出している資料です。
 5頁ですが、ハローワークにおける職業紹介の状況ですが、平成22年度は、就職件数・新規求職者数共に前年度から増加しております。特に、就職件数は5万件を超えて、過去最高を更新しております。
 6頁ですが、障害種別の職業紹介状況です。身体障害者につきましては、就職件数が2万4,000件、新規求職申込件数が平成22年度は6万4,000件となっており、申込件数はここ数年横ばいという状態が続いております。知的障害者につきましては、新規求職申込件数は年々増加しておりまして、昨年度、就職件数は約1万3,000件です。
 7頁、精神障害者の方ですが、新規求職申込件数につきましては、これも急激に増加しております。平成19年度におきまして申込件数は知的障害者よりも多くなり、平成22年度の就職件数については、知的障害者よりも多い就職件数となっております。また、その他障害、発達障害の方とか難病の方々につきましても、ここ数年、急激に増加しているという状況です。
 続きまして、資料3の障害者基本計画に基づく「重点施策5か年計画」の進ちょく状況です。重点施策5か年計画につきましては、障害者基本法第9条に基づきまして、政府として平成15年度から平成24年度までの10年間の障害者の福祉に関する施策の総合的、かつ計画的な推進を図るための基本的な計画を定めた障害者基本計画に基づき策定されたものです。この基本計画の前期に当たる平成15年度から平成19年度までを前期5年とし、平成20年度から平成24年度までの後期5年を計画期間としており、この重点施策5か年計画は、平成19年12月に推進本部で決定されました。
 平成20年度を始期とします重点施策5か年計画につきましては、啓発広報から生活支援、生活環境、教育、育成、雇用・就業など、8分野120の施策項目にならいまして、57の数値目標が定められております。本資料3につきましては、こういった8分野の中から雇用・就業分野のみを抜粋しまして、障害者雇用施策に係る施策については平成22年度まで、それ以外の施策につきましては平成21年度までの進ちょく状況をまとめたものです。
 このうち主なものの内容及び進ちょく状況について、ご説明いたします。3頁をご参照ください。資料としましては、左が重点施策5か年計画で、重点的に実施する施策及びその達成目標、右側が進ちょく状況となっております。公的機関における障害者雇用の一層の取組の促進を図るという形で、すべての公的機関で障害者雇用率の達成を目標としております。最新の実績については、先ほどご説明したとおりです。
 続いて、精神障害者、発達障害者等の雇用促進ということで、精神障害の特性に応じた支援の充実・強化を通じて、精神障害者の雇用機会の拡大を図るとしております。また発達障害者等につきまして、調査研究や支援のための技法開発を進め企業等の理解の促進等を図ることにより雇用の促進を図ることとしております。
 具体的な目標としましては、56人以上の規模の企業で雇用される精神障害者数を平成25年までに1.5万人とする。また、精神障害者ステップアップ雇用については、常用雇用移行率を平成24年度に60%とするという形で、右側に実績がございますが、精神障害者数につきましては、平成23年度で障害者雇用状況につきまして1.3万人、また、常用雇用、ステップアップ雇用奨励金の常用雇用移行率につきましては45.2%、また発達障害者に対する支援としましては、発達障害者雇用開発助成金の創設、また、障害者職業総合センターにおいて「発達障害者のワークシステム・サポートプログラム」を開発して、10か所の地域障害者職業センターで試行的に実施するなどを行っております。
 続いて4頁です。1つ目の○ですが、障害者の在宅就業の促進という形で、在宅就業団体の登録数を増やすという形で、平成24年度につきましては100団体を目標とし、現在、平成22年度で17団体となっております。
 中ほどですが、ハローワークを中心とした「チーム支援」の充実・強化を図るということで、ハローワークを中心に福祉・教育等関係機関と連携した「障害者就労支援チーム」による支援を行うこと等により、就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を展開し、ハローワークを通じた障害者の就職件数を平成20年度から平成24年度までの5年間で24万件という目標を立てております。
 この「チーム支援」につきましては、3年間で2万110人の就職実績があり、また就職件数につきましては、4万件から昨年5万3,000件と、3年間で14万3,000件弱の実績となっております。
 続いて、障害者職業センターにおける専門的支援の推進ということで、障害者職業総合センターにおきまして、発達障害者、精神障害者等に対する新たな支援技法の開発、また、地域障害者職業センターにおきまして、比較的軽度の障害者を含め、あらゆる障害者を対象とし、それぞれに必要な職業リハビリテーションサービスを提供することとした上で、就職等の困難性が高い障害者に対する専門的支援を重点化する。併せて、専門的な人材の育成、就労支援機関に対する助言・援助を積極的に行うこととしております。
 地域障害者職業センターにつきましては、支援対象者数、ジョブコーチによる定着率等の目標を掲げております。実績等については、右側に記載されているとおりです。年間約3万人弱の支援を実施しており、またジョブコーチによる定着率につきましては80%を超えている状況です。
 続きまして5頁です。障害者就業・生活支援センター、いわゆるナカポツセンターですが、これにつきまして全国展開と支援の充実という形で、障害者就業・生活支援センターにつきましては、すべての障害保健福祉圏域に設置することと、支援の体制の充実を図ることとしております。ナカポツセンターにつきましては、平成22年度現在で272か所、本年11月現在で311か所を設置しております。
 続きまして、ジョブコーチによる支援の推進ということで、ジョブコーチの養成を進めて、障害者の円滑な就職及び職場適応を推進することとしておりまして、目標としてジョブコーチ養成数を平成23年度までに5,000人、ジョブコーチ支援による定着率を80%とするということで、養成数につきましては平成22年度現在で約3,900人ということになっております。
 また、4つ目の○ですが、先ほどと同じ内容になりますが、雇用、福祉、教育等の関係機関が緊密な連携の下、個別の支援計画の策定や活用の推進を図るということで、厚生労働省としては「障害者就労支援基盤整備事業」、また、「地域障害者就労支援事業」、いわゆるチーム支援ですが、実施しております。この他、厚生労働省以外の各省におかれましても、それぞれ実施する施策と達成目標を定めて、現在進めているところです。
 続きまして資料4です。こうした重点施策5か年計画に基づきまして説明が重複するところもありますが、各就労支援機関における障害者の就労支援をまとめております。2頁「職業リハビリテーションの実施体制の概要」ということで、障害者一人ひとりの特性に配慮した職業指導、職業紹介等の職業リハビリテーションを、医療・保健福祉・教育等の関係機関の連携のもとに実施しております。
 主な就労支援機関等として、厚生労働省で所管している事業が中心ですが、ハローワーク、障害者職業センター、ナカポツセンター等が、それぞれの役割に応じて就職支援、または職場適応援助、または生活支援等の支援を実施しております。
 このうちハローワークにつきましては、3頁をご参照いただければと思いますが、雇用率達成指導の強化ということで、法定雇用率達成に向けて事業主に対する指導。また、障害者に対する職業紹介等の充実を関係機関と連携しつつ行っております。また、雇用率達成指導と結びつけた上で職業紹介の実施、求人開拓、各種助成金、定着指導等を実施しております。
 続いて4頁、地域障害者職業センターです。地域障害者職業センターにつきましては、ご案内のとおり安定所等地域の就労支援機関との密接な連携のもとで、専門的な職業リハビリテーションを提供する施設として、全国47都道府県に設置しております。主だった内容としては、資料にございますとおり職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援事業、精神障害者総合雇用支援、事業主に対する相談・援助、地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助等を実施しております。
 続きまして5頁です。「障害者就業・生活支援センター」ですが、障害者の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っております。平成14年当初、21センターでしたが、平成23年度では322センターの設置を予定しておりまして、平成23年11月現在、311センターが設置されて、就業及びそれに伴う日常生活上の支援を必要とする障害のある方に対して、相談や職場・家庭訪問等を実施しております。
 続きまして6頁です。職場適応援助者、いわゆるジョブコーチの支援です。障害者による職場適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣し、障害者に対する業務遂行力やコミュニケーション能力の向上支援、事業主や同僚などに対する職務や職場環境の改善の助言等を実施しております。ジョブコーチにつきましては、平成23年3月末現在で地域障害者職業センターのジョブコーチが306名、第1号ジョブコーチにつきましては744名、第2号ジョブコーチにつきましては92名が配置をされております。また、支援実績、これは地域障害者職業センターの実績ですが、支援対象者数が3,302名、定着率が87.6%という形となっております。
 各事業の実績ですが、ハローワークの実績につきましては、先ほどご説明しましたので割愛をさせていただきます。11頁、地域障害者職業センターについてですが、利用者数は年間約3万人、このうち知的障害者が最も多く、続いて精神障害者、その他の障害者、身体障害者の順番となっております。また、ジョブコーチ支援事業につきましては、知的障害者が半数を占め、続いて精神障害者、その他の障害者、身体障害者となっております。また5.事業主に対する相談・援助につきましては、年間約1万6,000事業所に対して実施しております。地域の関係機関に対する助言・援助につきましては約1万機関に対して行っております。
 12頁のナカポツセンターの実績です。平成14年度末36か所から平成22年度272か所に増えまして、支援対象者数につきましては、平成14年度から比べて1センター当たり88名から287名と、約3倍強に増えております。また、相談支援件数につきましても、1センター当たり1,852件から3,849件という形で2倍強に増加をしております。また、就職件数につきましても、平成22年度は約1万件、1センター当たり約40件、就職率56.5%という形となっております。
 13頁につきましては、平成23年度におけるジョブコーチ養成研修の概要です。資料に記載されております各機関が第1号ジョブコーチ、第2号ジョブコーチの研修を全国各地で行っております。
 続きまして、こうした関係機関がある中で、資料5「雇用、福祉、教育等の連携における就労支援の現状の取組と課題」について説明させていただきます。重点施策5か年計画のところでご説明いたしましたが、障害者就労に向けて、現在ハローワークにおいては「チーム支援」を実施しております。チーム支援と申しますのは、2頁のポンチ絵にございますが、福祉施設等の利用者をはじめ、就職を希望する障害者一人ひとりに対して、ハローワークと福祉施設、または特別支援学校等の職員、または市町村職員等がチームを結成して、就職から職場定着までの支援を実施しております。これは平成18年度からモデル事業として全国10か所で実施しまして、平成19年度に全国展開、平成20年度からは利用者を拡大して実施しております。
 その実績につきましては、3頁です。平成19年度は、約3,500名の支援対象者に対して約1,800件の就職件数、就職率約5割という形でしたが、平成22年度につきましては、約1万7,000名の方に対して実施し、約8,500名の方が就職して、就職率としては約51.3%という状況となっております。この内訳としては、知的障害者や精神障害者の利用割合が高い状況となっております。
 また、この他の事業として、4、5頁に障害者就労支援基盤整備事業の概要を付けております。この事業につきましては、福祉施設と企業をつなぐという形で、企業等で障害者の雇用に非常に理解のある方を「障害者就労アドバイザー」として登録し、セミナー、またはアドバイザーを福祉施設に派遣して、福祉施設における就労支援等についての課題とか、企業から見た問題意識等を伝えることなどにより、お互いの理解を深めていくという事業を実施しております。また、5頁にありますとおり、それを特別支援学校等に対しても実施しており、企業と支援学校との橋渡し的な事業を実施しております。
 続いて6頁です。医療機関との連携という観点で、精神障害者等のジョブガイダンス事業を実施しております。これは医療機関等を利用している精神障害者、発達障害者の方々を対象に、ハローワークの職員が医療機関等を訪問することで、就職活動に対する知識や方法についてガイダンスを行うことで、職業準備性や就職意欲を高め、就職に向けた取組を的確に行えるよう援助を行うこととしております。昨年度は、全国404か所の医療機関等で約1,800名の方にガイダンスを実施しております。こうした形で医療機関とも連携しつつ、就職支援を実施しているところです。
 こうした支援を行う中で現在どういった課題があるかということで、主に3点にまとめさせていただきました。7頁です。第1は「教育」から「雇用」へ、「福祉」から「雇用」への移行について、更なる拡大が必要ということです。昨年度、特別支援学校からは1万6,073人が卒業しておりますが、このうち65.5%の方が社会福祉施設のほうに移行しております。そして、就職される方は23.6%となっております。この部分をどう拡大していくか。または就労系障害福祉サービスにつきましては、一般就労への移行も順調に拡大はしておりますが、更なる拡大をどう進めていくか。その中でどう関係機関が連携し、支援をしていくか、ということが課題となっております。
 続いて8頁です。先ほども申し上げましたとおり、実雇用率につきましては、法定雇用率には未だ届いておりません。また、達成企業割合についても、全体で半数以下となっております。その中でも特に中小企業の取組がなかなか進んでいないというところで、中小企業に対する支援を地域の中でどう行っていくかが課題となっているかと考えます。
 9頁です。第3の課題として、重度知的障害者や急増する精神障害者の雇用が、求職者の数は増えておりますが、全体から比べれば就職になかなか結びついていない、また、発達障害者、高次脳機能障害など新たな障害特性に応じた雇用管理の研究・蓄積が必要であり、こうした方々に対する支援を地域の中でどうしていくかということが大きな課題となっております。
 最後、資料6です。先ほど申し上げました精神障害者とか、発達障害者、または難病の方々に対する支援策をまとめております。こちらは資料の内容をご参照いただければと思います。非常に長くなりましたが、以上です。
○松爲座長
 長い説明ではあるのですが、このあとの委員会の議論のいちばん基礎的な資料ということになりまして、丁寧なご説明をありがとうございました。委員の先生方、何かこの資料に関して、ご質問、ご意見等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
                 (特になし)
○松爲座長
 よろしいでしょうか。ないようでしたら、続いて議題3「今後の研究会の進め方について」、事務局から説明をお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 資料7「今後の研究会の進め方について(案)」です。今後の研究会の進め方については、本研究会については概ね月1回のペースで開催し、来年夏ごろには、方向性なりを取りまとめていただきたいと考えております。
 本日は第1回でございますが、第2回以降につきましては、各就労支援機関、企業などの関係者、障害者団体からのヒアリング等を、第2回から第4回まで行いまして、そうした議論を踏まえまして、第5回から第7回までは論点整理、第8回、第9回で取りまとめをお願いできればと考えております。
 関係者、関係機関等に対するヒアリングですが、資料の2頁をご確認ください。ヒアリング対象としては、1つは地域の就労支援機関、ハローワーク、障害者職業センター、ナカポツセンター、発達障害者支援センター、特別支援学校、福祉施設など、また企業、障害者団体等を考えております。
 就労支援機関に対するヒアリング項目としましては、他の就労支援機関との連携に当たっての課題、教育福祉から一般就労への課題、また、そのほか各就労支援機関に求める役割などを、これまでの経験等を踏まえまして、ご発表していただければと考えております。また、それを基に委員の皆様で質疑、意見交換などをしていただければと考えております。
 また企業におかれましては、就労支援、この場合、就労支援機関が行う雇用管理支援、職場定着支援、職業紹介などを含めての広い意味ですが、こうした支援を受けるに当たっての課題、各就労支援機関に対してどういった役割を求めているかなどをご発表いただきまして、同様にそれを基に質疑、意見交換などをしていただければと考えております。
 また、障害者団体につきましては、就労支援を受ける立場として感じている課題、各就労支援機関に求める役割などについて、ご発表していただき、同様に質疑、意見交換などをしていただければと考えております。こうしたヒアリングなどで出た課題、論点などを踏まえまして、次の論点整理につなげていければと考えております。以上です。
○松爲座長
 事務局からの主要な説明は終わりました。委員会としても、こういったことを踏まえて、どのような形でこのあとの議論を進めていくか、そして最後の取りまとめをどのような方向に持っていくか、いまこの会議場で皆さんの幅広いご意見を伺いたいと思います。基本的に研究会の方向性をどう持っていくか、何を議論すべきかということにもかかわってきますので、皆さん、どうぞご自由なご発言をよろしくお願いいたします。
 委員会の初っ端で委員長のご指名を受けながら、こういうことを言うのも何ですが、少なくともここにいらっしゃる先生方は、ある意味では地域のいろいろなネットワークのベテランの先生方です。そのベテランの先生方に集まっていただいて、地域のこういったネットワークの作り方を議論するというのは、どういったところに、このあとの焦点を絞っていけばよろしいのか。ネットワークを作られてきた先生方のご意見を特にお伺いしたいのです。「何をいまさらネットワーク作りなのですか」といった疑問があったときに、どうすればこの委員会というのは、それを踏まえた上で何を持っていけばいいのか、どういう方向へ持っていけばいいのかというところにつきまして、先生方のご意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
○小川委員
 まず研究会の進め方の資料7について質問させていただきます。第2回、第3回はヒアリングマル1、ヒアリングマル2になっていますが、マル1のほうが非常に関係機関、これは仮の押えだと思うのですが、ヒアリング団体が多く、ここで挙がっているので6、件数ではないかもしれませんが、マル2のほうは2ということで、6施設からヒアリングすると、1か所が20分弱ぐらいの時間配分になって、非常に忙しいかなと思います。その辺の配分について教えていただきたいと思います。それから、福祉施設と就労支援機関の内訳というか、どのような施設を考えられているのでしょうか。
 ここから先は要望ですが、地域の就労支援を考えるときに、就労移行支援事業が欠かせない要素になっていると思いますので、就労移行支援事業を是非含めていただきたいということと、ジョブコーチも非常に重要だと思いますので、第1号ジョブコーチというのを、できれば1つ独立して取り上げていただきたいと思います。もし、そこで時間的に難しいのであれば、第1号ジョブコーチを配置している就労移行支援事業に、就労移行支援事業の問題とジョブコーチの問題について、1つの施設でも少し時間を長めに取って、ヒアリングをしていただきたいというのが要望です。
○松爲座長
 ほかの先生方はどうでしょうか。
○西村委員
 先ほどの質問に絡むようなことかもしれませんが、関係する機関の地域であったり、活動している大きさによって、実際の役割、活動の内容という部分についても違っていたり、ネットワークの組み方によって違ってくる部分があるのだろうと思うのですが、どういった地域、レベルを想定して、このヒアリングを考えていかれるのかもご意見をいただければと思います。
○松爲座長
 ほかに、これに関連していかがでしょうか。
○長野委員
 就労系のことをきちんと勉強できていなくて、素人発言になるかもしれないのですが、私たちが活動しているところは企業ありきではないので、働く場があることを前提にした施策ばかりだと思うのです。実際のところは働く場がないところが、日本の縮図だと思っていまして、全体の経済動向から含めて議論をしないと、失業率も含めて、中小企業のところは絶対に伸びないと思うのです。
 今回、日本の全体の雇用状況が資料にこれから出てこないかということと、さらにその先端をいく全国各地の疲弊しきった田舎にも、障害を持った方は逆にたくさんいらっしゃるだろうと思っていまして、ネットワークということで絞り込みすぎると、先ほど地域の大きさということもあったと思うのですが、都市モデルにすぎない、広げすぎるとまた焦点がボケると思うのですが、そういう視点も、1つほしいかなと思います。
 もう1つは、私は精神科医なのですが、精神障害の定義の問題です。別の検討会で議論されているのだと思いますが、あまり詰めるのもまだ時期尚早かなという印象ももちろんありますが、数でいくと患者調査という、医療機関にかかっている数で出てきて、実際に雇用に算定されていくのは手帳ということです。障害開示の問題が精神障害者の雇用率にはものすごく影響していて、障害開示に関してのアプローチがここからもされていかないと、実際は雇用の支援策で技術的なことだけの議論では、到底先に進まないと思っていまして、スキームそのものを一部変えていかなければいけないこともあるのかなという印象を受けておりますので、それが散漫になってということであれば、また課題がありますし、研究会の在り方としてある程度の見解をもって進めていただけるとありがたいと思います。
○松爲座長
 進め方ですが、第2回目の絞り方ですが、ちょっときついかなという気がいたします。本来的な研究会の目的というのは地域ネットワークの作り方ですから、ネットワークを主に支えているのは、この第2回目のヒアリングのこの各機関なのです。ですから、ここのところに関しては丁寧にヒアリングをしたほうがいいかなと思うのです。
 もう1つは、西村委員、長野委員からあった話ですと、実はネットワークは大都会を含めて、支援センターがある所はあるのです。むしろ支援センターのないような所、ネットワークがあまりできていない所をどうやってこのあと作っていくかというほうが、議論としては大事なような気がいたします。
 そのことが長野委員の前半のほうの発言とどうつながるかわかりませんが、既存の大都会などのナカポツセンターとか、そういった職業センターなどがあることはいいのですが、全国的に言いますと、ナカポツセンターそのものが保健福祉圏域にまだ仕上がっていないところがあります。そうしたところをどうやって作り上げていくのか。それが逆にいうと、ネットワークを作ってこられたベテランの先生方のヒアリングの課題として提示していただければ、もっとプロダクティブな話になるかなという気がします。
 この中で長野委員がおっしゃるような、過疎地とは言いませんが、そういった、ない所までどうやって考えていくかというところにまで触れていければ、この委員会の方向性としては非常にプロダクティブな気がいたします。これは私の個人的な見解ですが、ほかの先生方はどうでしょうか。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 大都会はすでにネットワークがある、確かにそうなのですが、大都会の大きすぎるところは障害保健福祉圏域があまりにも広すぎて、そういうところに関しては逆にきちんと必要な数を置くことも必要になってくることもあると思います。
○松爲座長
 ほかにどうでしょうか。栗原委員、企業側から見てといった場合にはどうでしょうか。
○栗原委員
 いまお話を伺っていまして、私もどこに絞っていいのか苦慮しているのですが、都会と地方では考え方が違うと思うのです。地方では、重多の企業も、就労支援A型、B型の作業所をかなり作られてきていると。ところが、都会ではほとんどそういうものは作られない、もちろん最賃の関係もあるとは思いますが。ですけれども、都会ではナカポツセンターだといろいろな支援をするところがたくさんあるので、地方と都会でも、地域差によってやり方がどんどん違ってきていると思うのです。それをどうやって結び付けていくかですね。
○松爲座長
 土師委員、どうでしょうか。
○土師委員
 遡りますが、自立支援法のいちばん良かったのは何かというと、福祉の制度でありながら、教育と労働が一緒になって論議してきたということだと思うのです。現在、その辺は福祉中心にやっておられている、そこにすごく懸念を持っているわけです。
 この会を進めるに当たって、雇用するのは企業なのです。最終的に雇用が進まなければ、いくら集まって何をやっても意味がないわけです。そういう意味で、もっと企業側を巻き込んで、企業はどう考えているのだ、何を求めているのかということをなしに、勝手に第三者がやることはおかしいのではないかと思うのです。
 逆に、この会とすれば、もっと企業をうまく活用していく。例えばジョブコーチにしてもそうなのですが、体験実習、企業を使った体験というのがないと、即就労は無理なわけです。そういう意味では、実習そのものも企業にプラスになるような方向に持っていくとか、いずれにしても、これから論議になると思いますが、べき論で進めるのではなくて、雇用する側をどう巻き込むかを考える。
 特に企業側のつらいところは、雇用促進法があって、1.8%を雇わなければいけないという法律ありきなのです。いまの状況を見て、私は、企業が障害者雇用をして良かったという環境をどうつくるかに、焦点を当てた進め方を是非お願いしたいと思うのです。
○松爲座長
 関係機関のネットワークも、企業を支えるという視点から、ある種まとめていただけると、もっといいかもしれません。そういうことも1つ議論になりますね。前川委員、同じ企業としてはどうですか。
○前川委員
 一民間企業の立場から言いますと、私どもも事業を開始して17年になるのです。そうしますと、単に働いているだけ、商品を届けているだけでは、お客様も満足しないし、実は社員も満足しないのです。働き方の質を上げていかないといけないのです。
 それはどうやっていけばいいのかというと、安定的にいい人材を採っていきたいと考えております。これまでどうやってきたのかというと、その都度のタイミングで、支援学校であるとか、採用試験をやってきたのですが、それでは少し不満なのです。
 私どもの会社は大阪にあるので、そのローカルエリアで、いま言われる支援機関と提携したいと。私どもの事情も知っていただきたいし、逆にその支援機関も、例えばエルハート、それは企業と言ってもいいでしょうけれども、それはこういう考え方をしているのだということで、小さな輪ですが、マッチングを広げていきたいというのが、私自身の課題なのです。その都度、その都度の採用をやっているのでは、ずっと安定した人材の確保というのはできないのです。それがどう広がっていくかというのは、まだ知恵はないのですが、少なくとも私どもの会社を中心にして、支援機関の複数のところから、それぞれの考え方を共有した上で、継続して人を採っていきたいと考えていますので、そうした人を育てていっていただきたいなと考えております。
 もう1つ、冒頭におっしゃられましたが、ここに来られている先生方はネットワーク作りのプロだということです。確かに、素晴らしいネットワークを作られているところはあるのですが、そうではないところ、数多くの支援機関がある中でうまくいっていないところもたくさんあるように身近でも見受けるのです。その違いとは何なのだろうなと。多くの支援機関が、それぞれ少しずつレベルを上げていくというか、よりよいネットワーク作りとか、実力を上げていっていただくと、もちろん当社もそうですし、ほかの民間企業もいい人材が採れていくと。どこに問題があるのか私もまだわかりませんが、そうしたことの差を見ながら解明していくことができればなと思います。
○松爲座長
 そういう方向で議論をある程度持っていければ、かなり面白いかもしれません。教育側からすると、いろいろなネットワークがありそうな形なのですが、原委員いかがでしょうか。
○原委員
 教育のほうは、いまお話の関係機関の支援を随分受けてきていますので、チーム支援のお話もありましたが、ここ10年ほどですごく変わってきていると思っています。学校間の連絡調整も随分と各地域で行われるようになりました。
 障害保健福祉圏域の話もありましたが、県の特別支援学校は、その圏域の中で声を掛けていただいて、関係機関とのノウハウの共有が随分進んできているのだろうと思っています。学校の場合に個別の教育支援計画を在学中に作っていくのですが、大切なところは、そこが本人、保護者の願い、希望の部分だと思うのです。将来または成人期に働きたいという意欲や生活設計の情報が適切に入っていくことだろうと思うのです。
 そのときに、先ほど人材育成の話もありましたが、教員の力量を高めていくこともそうなのですが、地域の関係機関の方に来ていただいて、市民講師、外部講師のような形で、保護者に情報提供してもらったり、または小学部段階からちょっとした就業体験を、意欲や自信につながるような、よい就業体験を積んでいくことが大切なのだろうと思うのです。
 働きたい、社会の役に立ちたいという芽となるようなものを作っていくのが役割だとは思うのですが、現実にはまだまだ課題があって、先ほど数字も出ておりましたが、地域の実情もあるかもしれませんし、学校の抱える課題だろうと思っています。こうした課題に、もし触れられたらとは思っております。
○松爲座長
 いまお話の例えば小学校、中学校から、本当は実習などをやったほうが効果が高いのははっきりしていますよね。そうすると、原委員がおっしゃるように、学校で企業と実習できるような体制をどうやって作るかという、そういった制度システムを考えなければいけないかもしれないですよね。望月委員、どうですか。これはもう支援する側ですから。
○望月委員
 私どもは全国で障害者職業センターを展開しておりますので、各地域の状況の違いはよく承知しております。今回のテーマの中にも役割分担というようなものがございますが、実際に地域の状況如何によっては、例えばこの機関はこういうことをすべきという範囲では納まらないことが多いのではなかろうかと思っていまして、どうやって役割分担を議論するのかなということが、1つ頭の中にあります。
 もう1つ関連してですが、支援をする機関が非常に多い所、少ない所というのが、ばらばらしているということなのですが、そういったことでありますと、今後は就業支援の仲間たちを増やしていく手法、それはいろいろな技術的な面もございますでしょうし、あるいはそういった組織を作っていくということもあると思いますが、そういう地域の就業支援の仲間を増やしていく方策、これらについても議論をしていただく必要があるのではなかろうかと思っております。
○松爲座長
 本田さんはどうでしょうか。
○本田氏(崎濱委員代理)
 就労支援を進めていくに当たっていちばん危惧されるのが、どんどん就職件数が上がっていて、定着支援をしていったときに、必要なものは何かというと、その人の生活なり、地域でどうやって生きていくか、ということを支えるシステムを作っていかないと、企業がどんどん就職を受け入れて、大変なときに支えて、就労支援のシステムだけで支えていくのではなくて、その人が安心して地域で生きるために、企業は手放してもいいということもあるし、そこら辺の在り方を就労支援の在り方の中で、逆に福祉サイドで、どういうシステムとしてなくてはいけないかということをもう少し議論できたら、ただ単に就労支援が進みますよね、ではなくて、それをさらに支えていくシステムとして、どういうものを用意していかなければならないかということはきちんと整理していただいたほうが、労働側と厚生側の整理もしていかなくてはいけない事態になってきているのかなと思っています。
○松爲座長
 そういった意味では阿由葉さん、どうですか。就労支援センターと福祉と繋がるほうですよね。
○阿由葉氏(近藤委員代理) 
 そうですね。
○松爲座長
 どういう視点からこの委員会を進めていけばいいのだろうかということについて、ご意見としてどうですか。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 私のところでも就業・生活支援センターを運営していますが、例えばジョブコーチがいたらいいと思うのです。一般就労に出す場ですが、そこには置くのが難しいという現状があり、そういった繋りがきちんとできていったらよいと思います。就労移行支援事業も運営していますが、その中にはジョブコーチがおり、就業・生活支援センターとのネットワークを上手に組んで仕事を進めるというところでうまくいっています。就労移行支援事業にいるよりもむしろ地域の就業・生活支援センターにジョブコーチがいたほうが、もっと役に立って仕事ができるのだろうなという思いは、普段からすごく思います。
○松爲座長
 やろうと思ったら制度としてすぐに変えていかれる話かもしれないと思うのですが、難しいですかね。菊池さん、どうですか。いままで審議会の委員をされて、全般的にこういったことを踏まえた上で、委員会としてどういう方向へ議論を持っていけばいいとお考えでしょうか。
○菊池委員
 気になっていることが2つあります。例えば精神科病院の中のデイケアの中にも、かなりの方たちが、最初からある意味諦めてというと言い方が変ですが、あまり就労にチャレンジしないで、一生涯デイケアを活用してという方がいらっしゃいます。そういうことでは、特に精神科関係でいえば、医療機関との連携をもっとやることで、就労支援の連携ということではかなりの成果が出てくるのではないかと思うのです。
 それから、あとは発達障害系のことです。これはいままでの資料の中では出てきませんでしたが、例えば一般大学などの中に、かなり発達障害系の学生がいるということで、その方たちがニート、フリーターになってしまってということになる現状があると思いますが、少子高齢化の時代の中で、その他の障害の方たちも、地域支援ということの中で連携、教育機関との連携、それも特別支援学校ではなくて、ちょっと広がりすぎるかもしれませんが、一般の教育機関との連携も視野に入れていけたらいいなと思っております。
○松爲座長
 全体のネットワークの問題と、特に精神発達というこれから先、大きな課題を抱えている特定の障害の問題もありますよね。それをどこまで含めて議論できるかどうか。これは限られた時間の中で、どう考えていくかを方向を考えなければいけないかもしれません。ほかにどうでしょうか。
○長野委員
 ピント外れかもしれません。私たちが障害者雇用をつくるときに、障害をもった方も当たり前に働ける場所をつくるためには、既存の雇用企業があって、障害をもった方が働かないという構造になっているところに、障害をもった方に働いていただこうとするのに、こういう努力がたくさん要ると思うのですが、世の中の雇用というのは、既存のものがどんどんなくなって新しいものを立ち上げる、立ち上がっていたり、逆に立ち上がらずにあがいていたりするのですが、新しく雇用そのものが生まれるところに、そもそも働けるような構造をつくっていくことがとても大切で、いまの世の中はどんどん変わっているので、新しい雇用というのはどんどんできていると思うのです。
 私自身が失敗したなと思うのは、介護保険が入ったときに雇用がたくさん生まれたのに、そこにきちんと働ける仕組みを初めに作れなかったということは、とても後悔をしているところなのです。いまでいうと、立ち上げようと思っても、なかなか働き手がうまく確保できない、新しい公共、新しいエネルギーの話、6次産業化の話であったり、経産省の事業であったり、農水省の事業であったり、総務省の地域おこしの事業であったり、実はこれからの日本に、ソーシャルビジネスを含めて、とても必要とされているのに、実はそこはあまり伸びなくて、伸び悩んでいて、どこもどうやっていいかわからないということがたくさんあって、そこに当たり前にいろいろな人が働ける仕組みを作っていくほうが、とても手っ取り早いというか、大事な位置になってくるという、そういう視点というのは障害をもった方でないとわからない視点というのがたくさんあって、その中に組み込んでいくということは、実質的にはとても大事かなと思って取り組んでいっているのですが、そういうことまで議論できる研究会かどうかわからないので、いちばん初めにと思いまして。
○松爲座長
 最初ですから、幅広く議論しましょう。ただ、全体の議論の方向として、確かに地域の就労支援の在り方ですから、ベースはネットワークをどう作っていくかということと、ネットワークのない所にどう作っていくかということで、既存のネットワークをもう少しどう作り上げていくかということはありますから、その先のネットワークの話の中で、企業を巻き込むかということと、新しい仕事をつくっていく中でのネットワークという、そういった議論の展開になるかもしれませんよね。ですから、第一優先順位というのは少しきついかもしれませんが、やがてはそういった格好で議論の広がりを持っていけば、結構面白い世界になるかなという気もいたしますね。ほかにどうでしょうか。
○西村委員
 ネットワークというところの話が出ているのですが、私は地元でよく言っているのが、ネットワークをしないで済むなら、しないほうがいいという話をしているのです。というのも、ある機関とある機関とある機関という関係で、障害のある方を雇用に進めるというときに、何を大事にするかというときに、働き続けられるように障害のある方のことを、どう企業に伝えるかとか、雇用して支え続ける企業の方の立場を考えると、どう事前に情報提供するかというところで、実績重視というところで動かれる機関があって、大事な情報を全然伝えずに、働き続けて何か月かして企業の方が困って、どういうことなのだという話からわかるようなケースというのがまだまだあって、何を大事にするかというところがブレた関係者がいると、うまくいかないことが多いのです。
 そうであれば、ネットワークというのは効果的に進めることは大事だと思うのですが、いろいろな絵柄であるような、バラ色のネットワーク図というものが、本当の良いネットワークの在り方ではないのではないかなと思っていまして、そこの在り方も含めたところは押さえておかないと、何もかも組めばいいという話ではないのかなという気がしています。
○松爲座長
 本来的にネットワークと言っていますが、正確に言いますと、ネットワークがミクロネットワークとマクロネットワークと明確に区別すべきだと思っているのです。ミクロネットワークは、例えば当事者Aを支えていくBさん、Cさん、個人のつながりの問題ではないですか。でもマクロネットワークだと、Bさん、Cさんの所属している組織間のネットワークの問題です。いま西村先生がおっしゃるような話というのは、むしろミクロネットワークで、きちんと本人のニーズに応えた形で、個人的にどう対応していくかですね、そこのところを丁寧に考えておかないと、単なるマクロネットワークで長が集まって打々やっても、実質的には意味がないと。そこのところは、ネットワークといったときに押さえておいたほうがいいかもしれないですね。ほかはどうでしょうか。第1回ですから議論は幅広くやりましょう。
○小川委員
 この議論がネットワークということに議論が集約してしまうことに懸念を持っています。ネットワーク論については、前回の「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」、参考資料6ですが、大枠のネットワークの大切さ、それぞれがどのような役割をもってどう連携すべきかについての大枠のことはここで語られていて、その方向性というのは、いまもそれほど変わっていないと思うのです。この研究会をして、またこういう議論が繰り返されることはもったいないかなと思いますので、この方向性を5年間進めてくる中で、それぞれ、例えばナカポツセンターはもういっぱいいっぱいになっているし、就労移行支援事業もいい移行支援事業と、そうでない移行支援事業とに二分化しているし、第1号ジョブコーチもそうですし、それぞれの機関が抱えている問題をきちんとヒアリングして取っていくということと、前に進めるための具体的な施策、事業の問題、例えば企業から先ほど出た、実習というのはどのようにやったらいいのか、第1号ジョブコーチをどのようにナカポツセンターにとか、そういう具体的な話で一歩進めていかないと、各エリアでネットワークの在り方というのは、エリアによって全然違うというのはわかっているので、ヒアリングや議論の焦点をできるだけ具体的な方向に持っていっていただきたいなと願っています。
○松爲座長
 そのとおりです。私のほうも、前の委員会のときにも小川委員も含めて、私も委員で議論をしていましたから、正直言いまして、何をいまさらというところはあります。
 ただ、一つひとつを細かく見ていくと、いま小川委員がご指摘されたような問題点があるのです。そのことが、影響があるかどうかは知りませんが、後期5か年計画で、このあと2か年で数値達成しなければならない部分というのはたくさんあります。そこのところに、うまくつなげていくような、そういった議論になっていけばかなりいい線で、この研究会の方向性というか、落とし所というのは出てくるような気がいたします。
 いま後期5か年計画で、あと2年間で数値目標、達成しているところと達成していないところの項目というのは、結構差があります。本当は、達成していない原因はどこにあるのか、いま言った地域のネットワーク、支援のいろいろな機関が何を問題として欠けているのか、そういうことを含めて議論していければ、テーマとしての、重点施策5か年計画の推進状況等についての主な検討事項とつながることも考えられます。ほかにどうでしょうか。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 ネットワークの話になってしまうかもしれないのですが、障害保健福祉圏域の在り方です。先ほどは大都市の問題、地方の問題という話がありましたが、大都市のあるべき圏域の大きさの一方、北海道などでは1つの就業・生活支援センターで1泊2日しないと支援に行けないという問題があります。地域性を含めた圏域をきちんと、これは単なる人数の問題だけではないのかもしれませんが、設定することが必要ではないでしょうか。そういった課題をどう解決していくべきなのかという議論は、是非進めていただけたらありがたいと思います。
○松爲座長
 ほかにどうでしょうか。
○栗原委員
 企業の立場からお話をさせていただきますと、ここで就労ということで、それをメインでやっているわけですが、変な言い方をすると、押し込むだけでいいのかなと。それで、例えばリタイアしたときの受け皿も考えていただかないと、企業でも二の足を踏むこともあるのではないか。それが全然ばらばらのものではなくて、増やしていくのなら対のものではないかなと思うのです。
○松爲座長
 そうですね。オオヤマ先生のときからそういう話は結構していましたよね。キャリアアップでソフトランディングさせるかどうかという。それもある意味では、企業に就労支援を進めているときの生涯賃金を考えると、出口というか受け皿のソフトランディングを考えていくということも、促進のための要因として考えなければいけないかもしれないですね。そういったものに触れていけるかどうかですね。
○長野委員
 そのドロップアウトの問題ですが、私は雇う側でもあるのですが、とても難しいと思っています。先ほど働く質の話があったのですが、働くことは決してゴールではなくて、普通の生活のスタートラインであって、普通の生活というのは普通に働いて、給料を取って、家庭を持ってと、それが普通かどうかは別として、スタートラインであるので、ドロップアウトの問題をきちんとやっていかなければいけないということです。
 もう1つは、そのドロップアウトという視点でいくと、とても気になっているのは企業のメンタルヘルス、産業医の絡みのメンタルヘルス、うつであったり、いろいろなものでドロップアウトしている人がたくさんいて、そことこことの整合性というのはどうなっているのかというのが全然見えなくて、日常的に関わっていると、そういうところはすべてつながっていると思うのです。そこの視点も要るのかなという気がしています。
○土師委員
 確かに就労はすごく大事だと思うのですが、もう1つ大事なのは、せっかく苦労して就労した人がより長く働き続けるために、どうあるべきかです。そういう意味で1つ申し上げておきたいのは、企業は障害者雇用に対しては素人なのです。教育や福祉は専門家がいますが、企業はいないわけです。それをポッと委ねておいて、あとは勝手にしろというのは、あまりにも冷たすぎる。
 そういう意味では、雇用継続をするために企業にいかにノウハウを付けるか。例えば経営者や直接指導者の研修だとか、確かにジョブコーチだとかいろいろありますけれども、その辺のところをもっと充実していく必要があると思います。また、障害者も教育や福祉の支援の場から離れてしまい、福祉制度の変更等の情報も届いていない実態があります。
 私どもは「就労支援は企業支援だ」という言い方で、この間やってきましたので、まさしく雇用する企業をいかに強くするかということが、大事だと思います。
 もう1つは、初期的なトラブルというのはほとんどなくなっていると思うのです。起こってくるのは、3年、5年経ってから特に社会生活面で、いろいろなトラブルに巻き込まれる。それは働いている障害者に対して社会が放りっぱなしにしているからだと思うのです。
 キャッチセールスや遊び等のいろいろな誘惑に引っ掛かるのです。そういう意味では、働いている障害者を再教育する、社外教育するということもどこかで検討していただきたい。毎年たくさんの障害者が新たに就職をしますが、それがどのくらい定着するかということのほうがもっと大事だと思います。離職した障害をもっている方というのは、メンタル的にすごくダメージを負うのです。せっかく希望を持って働いていたのが辞めるようになったということ、とはいっても施設に戻りたくないとか、そういう部分があると思うのです。是非就労させるということと同時に、継続的にどう就労を支援するかということについてもです。企業は全く障害者に対しては素人なのです。たぶん栗原さんのところもそうだと思うのですが、自ら努力して、長い間雇用されていると思うのですが、それが特別ではなくて、すべての企業にそういうようなことができ得ればと。もっと言うと、安心して雇用できる環境を作っていただければ、企業はもっとたくさん雇用することになると思います。是非そこも論議の視点として入れていただきたいと思います。
○松爲座長
 企業を支える福祉的機関、そこをどうやってもっと丁寧に作っていくかがすごく問題のような気がします。養護学校だったら企業と実習などつながるのですが、福祉関係機関というのは、本当に企業と直接つながっているのはあまり見ないですよね。中間に入って、移行支援事業、ナカポツセンター辺りが間に入っている。もっと福祉のほうが企業を支えていくといった視点があっていいかなという感じも少しします。
○本田氏(崎濱委員代理)
 土師さんからお話がありましたように、企業は一人の人材として雇って、それでやっていけばいいと私は思っているのです。その周辺をどうするかというのは、危機的なものはどうサポートするか、リタイアしたあとのことは企業が心配することでないようなシステムをどう作るかということだと思うのです。そのために、どういうふうに地域でどのような連携があるかということも含めて、そのために制度設計もただ単に就職に向けての制度設計ではなくて、リタイアしたあとも、継続就労しているときも、どういう福祉的サイドのバックアップが必要かということを、ナカポツセンターだけでなくて、その地域に全体としてどのようなものがあればいいかということを議論しておかないと、たくさん就職したあとに、就職したけれど、まあいいや、もういいやという企業になっては困ってしまうということです。
 1つお伺いしたいのは、障害者団体に対するヒアリングですが、どのような視点でのヒアリングかわからないので、説明いただきたいのです。たった1回だけで、当事者の声をどう聞いていけるかがわからないので、その辺について事務局から説明いただければと思います。
○松爲座長
 事務局としては、当事者団体に関してのヒアリングはどのようなイメージを持っていますか。
○障害者雇用対策課長
 その話以外も含めてですが、スケジュールのところで第2回、第3回については、第2回で括弧にあるものを全部やろうというつもりはなくて、第2回と第3回に割り振るということです。それぞれプレゼンテーションしていただく方のご都合もあろうと思いますし、これは全体を俯瞰していただくということで、委員の先生からもヒアリングすることも考えておりますので、第2回でぎゅうぎゅう詰めにやるつもりはありません。
 そのほか、いろいろご意見をいただいたものについては、誰に対してヒアリングをするのかということを考える上で、参考にさせていただきたいと思います。特に、具体の話に引き付けてということは我々もそのとおりだと思っていますので、そういう形でさせていただきたいと思います。
 第3回で企業、第4回で障害者団体ということですが、これはある意味、雇用する側の企業と働く側の障害者のそれぞれの立場で、どういった形の就労支援体制がいいのかということについてお聞きするということで、ユーザー側の視点で話を聞くということなのですが、第4回までは詳細には詰めておりませんので、ここは検討の上で第2回以降でお話ができるかなと思っています。
 いろいろご意見が出ましたので、我々の基本的なスタンス、事務局としての考え方について、少し申し述べさせていただきたいと思います。今回、この地域の就労支援の在り方に関する研究会は、第3研究会として位置づけておりまして、第1研究会である障害者の範囲の研究会、第2研究会である差別禁止・合理的配慮の研究会というのは、ある意味議論するものの枠組みははっきりしていて、それについて○×を付けていくということなので、意見の対立はあっても、ある意味議論は発散しないものだと思います。そういう意味で第3研究会、この研究会については、いろいろ振れる部分が大きいと思います。
 先行する研究会がある中で、我々がこの研究会をすることにしたのは、1つには第1研究会、第2研究会で問題になってくるであろう、障害者のフロンティア部分である重度知的障害者、精神障害者の方々の雇用を進める上では、どう考えても企業に全部任せるという話にはならないということで、就労支援の在り方ということはくっついてきます。ただ、正直なところ、第1研究会や合理的配慮を議論する第2研究会で全部やろうというのは、まず無理なので、これは切り離して、第3研究会で集中的に議論するということにしております。
 それと、先行する福祉と教育の研究会、資料で付けてありますものから4、5年の年月が流れていますが、我々としてはこの5年間、非常に障害者雇用が大きく伸びて、おそらく第2次世界大戦後、最大の障害者の雇用の伸びを示していることについては、あまり一般の人には、認識が薄い話なのですが、これはある意味で偉大な結果だと思います。それは雇う側の企業の努力もありますし、障害者自身が働くことに対して非常に積極的になっている、それをつなぐ就労支援機関が、それにマッチした形で動いたという成果がここに表れていると思います。
 ただ、そこはいま縷々ご指摘があったように、実態としていろいろときしみが生じている部分は多々あります。いま並行して内閣府で、障害者制度改革推進会議というのが動いていて、その中でも就労を専門に議論するチームはあるのですが、正直なところ、これは制度論を中心に議論したということもあって、あまり実態論の話に触れられていないという憾みがあります。そのため、我々としては、実態に照らしてちゃんとやっている、むしろ伸ばしていくべきものについては評価して、問題のある点についてはどう改善していったらいいのかということについて、整理をする必要があろうということです。
 具体的に申し上げますと、先ほど都市部と地方部では、就労支援の在り方も違うだろうという議論が1つありますが、もう1つ経済力が似たようなところなのに、なぜか就労支援に格段の差が起きているようなところがあったりします。例えば特別支援学校の就職率を県別に見ても、経済力の高い東京が、経済力があまりないようなところに比べて就職率が高いというのはおかしくはないのですが、同じような経済力でありながら、なぜかパフォーマンスにすごく差が出ているようなところもあって、そういったデータは今日はお出しはしていませんが、追い追いそういった実態も明らかにしつつ、実態を踏まえた方向性を見出したいと思っています。
 最終的な結論がどのような形になるのかは、これからの議論次第ですが、私自身は巷間、障害者雇用の話、障害者福祉の話をするにつけ、よくされるヨーロッパなどをモデルにしろという議論というのは、必ずしも正しいとは思っていません。まさにいま日本のいろいろなところで芽吹いている好事例を拡大させていく、それを移転させていくことこそ重要だと思います。ある種知的障害者、精神障害者で、本当に就労がうまく実現できている国というのは、実は、欧米広しと言えども、それほどありません。一方、日本は、元々企業の雇用管理は国際的に見てもきめ細かく、障害者を囲む同僚の人たちというのもチームで仕事をするという意味では、雇用が難しいとされている知的障害者や精神障害者の方の雇用には、日本社会は向いていると思います。
 ただ、そうは言っても、例えばナカポツセンターのように、1センター当たりの登録者が激増している中で、果たしてナカポツセンターはどういう方向を向いていったらいいのかという課題を摘出していただく形で、この5年をある意味で総括するような形で、議論をしていただければと思っています。
 あとは、この研究会自体、地域の就労支援の在り方ということで、特に雇用よりもう少し幅広に議論をしようとは思って、そういうタイトルになっていますが、安定した働く場という意味では、雇用が一番いいのは事実としてあって、企業で働くということについて念頭に置いていただきたいと思います。ただ、それをすべて企業に任せるには、これから拡大していくためには、知的障害者の方、精神障害者の方のように、これまであまり雇用が進んでいなかった人たちを支えるためには、全部企業に任せるという話には当然ならず、企業をバックアップする体制をどうやって作っていくかということ抜きに、企業に頑張れという話でもなかろうと思っています。その雇用というのは、長野先生が言われたような、新しく生まれる雇用も含めてという話ではありますが。
○松爲座長
 全体の議論に関して、かなり広がりで、第1回目ですから、可能性のことで議論しましたが、課長のほうである種の方向性、枠組みを決めていただいたということでよろしいかと思います。皆さん、進め方に関して、あるいは課長のご意見に関して、コメントがありましたら、どうでしょうか。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 先ほどの話の中で、企業で働くことが一番だというのはわかります。その中で、すべて雇用だけではないといった話がありましたが、そこの部分はちょっと説明いただきたいと思います。
○障害者雇用対策課長
 我々は障害者雇用対策課と銘打っていることもあり、雇用の話が中心にならざるを得ないかなと思うのですが、そこの外縁部というのは、どちらかというと結果として広がってくる話かなと思っています。全く新しいカテゴリーの働き方を概念的に持ってくるというよりは、実践の場で、純粋に雇用するという形以外も含めてということがあれば、それは当然議論の射程に入ってくるとは思います。しかし、概念的にこういうのはありだろうという話だと、議論が空中戦になってしまうところもあります。第1研究会、第2研究会は制度論的な話が中心にならざるを得ないのですが、第3研究会というのは現実を踏まえた議論にしたいと思います。実態として、本当にそれぞれの委員の方々が現場で活動されていてどう思うかということを起点にして話がしたいということであり、今回の資料でもあまりヨーロッパがどうしたという話を出していないというのは、そういうところには捕われたくはないという思いからです。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 就労継続支援A型事業というのは、どちらで見られているのでしょうか。
○障害者雇用対策課長
 雇用の場ということです。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 A型は雇用の場ということでよろしいですね。
○松爲座長
 時間がきましたので、この辺りで第1回目の研究会を終わりたいと思います。事務局から次回の日程等についてよろしくお願いいたします。
○地域就労支援室長補佐
 日程調整の前に、ジョブコーチの関係で2点訂正がございます。資料3の4頁の下ですが、右下の欄で、ジョブコーチの支援終了後の定着率の平成22年度の数字が、82.0%になっていますが、87.6%の間違いですので、ご修正お願いいたします。
 あと、先ほどご発言の中で、「ナカポツセンターにジョブコーチを置けない」といったお話がありましたが、正確に申し上げますと、ナカポツセンターの委託費内ではジョブコーチの人件費は出せないということで、国の委託費と、ジョブコーチ助成金は重複してもらえません。ナカポツセンターを運営している法人は平成22年度は272法人ございましたが、そのうち164法人で第1号ジョブコーチの認定法人になっていただいております。ジョブコーチの配置場所はナカポツセンターであったり、就労移行支援事業所であったり、それぞれなのですが、そういった形でナカポツセンターの法人でも、法人内のジョブコーチをご活用いただいているということで補足させていただきます。
○障害者雇用専門官
 次回以降の日程等です。先ほどヒアリングについていろいろとご質問、ご説明がありましたが、今回各委員、関係機関と、いろいろ専門の方がいらっしゃいますので、その方々とご相談しつつ、関係機関のヒアリング等を行っていきたいと思います。
 次回以降につきましては、毎月1回程度のペースで開催することとし、次回は現在日程調整中です。いま確認しておりますので、一両日中にはご連絡できると思いますが、12月中の開催を予定しております。決まり次第ご連絡いたします。それ以降の日程につきましても、ご都合等をお伺いしているところですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、先ほど3つの研究会を開催しているということをご説明いたしましたが、別の研究会の場で、障害者雇用を行う企業や地域の就労支援機関などへ現場視察を行ってはどうかというご提案がございました。これについては3つの研究会の全委員に参加希望を伺い、出席できる、または希望する方は任意でご出席いただくというような形で調整を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○松爲座長
 次回からヒアリングが入りますので、ヒアリングの項目は先ほど事務局でご指摘されたものを踏まえて、今回の議論の中で、こういうこと、こういうことというのがありますので、そこら辺りを1つでも2つでも、ヒアリングの発表者の方に触れていただくようにしていただければ、かなり議論がいい方向にいくと思いますので、よろしくご指摘を事務局からお願いいたします。
 それでは第1回目の地域の就労支援の在り方に関する研究会を終わります。長い間どうもお疲れさまでした。


(了)

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