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2011年12月7日 第4回臨床研究・治験活性化に関する検討会 議事録

医政局

○日時

平成23年12月7日(水)10:00~12:00


○場所

都道府県会館402会議室


○議題

(1)次期臨床研究・治験活性化計画骨子案について
(2)その他

○議事

○治験推進指導官 定刻となりましたので、「第4回臨床研究・治験活性化に関する検討会」を始めます。ご多忙中のところお集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、一木構成員、山本構成員、渡邉構成員の3名から、事前にご欠席の連絡を受けていますが、16名の構成員の方々にご出席いただいています。「開催要綱4.運営」に基づき、構成員の2分の1以上が出席していますので、本検討会が成立していることをご報告いたします。
 次に、配付資料について説明させていただきます。議事次第、座席表、資料1「次期臨床研究・治験活性化計画骨子案」資料2「第3回検討会までに構成員からいただいた意見」資料3「倫理審査の質の向上をどのように実現するか(田代構成員提供)」資料4「治験中核病院・拠点医療機関等協議会からの『ポスト5カ年計画に向けての提言』」。また、別綴じとなっています参考資料に、今回から新たに参考資料8~12として、第2回と第3回でご発表いただいた構成員と参考人の資料も加えていますので、随時ご参照ください。なお、傍聴者のお手元には参考資料の配付はありませんので、ご了承ください。以上です。資料の過不足等がありましたら、お知らせくださいますようお願いいたします。
 なお、参考資料は毎回使用する資料ですので、会議終了後は机上に置いたままでのご退席をお願いします。では、写真等の頭撮りは、ここまでとさせていただきます。ここからの進行は、矢崎座長にお願いいたします。
○矢崎座長 本日は師走に入り、大変ご多用のところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。それでは、早速議題に入りたいと思います。今日は、資料1にあります「次期臨床研究・治験活性化計画の骨子案」について、詰めの議論を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。具体的には、骨子案について、これからまとめの報告書を作成するということですので、その辺りを踏まえて先生方におかれましては、骨子案の内容で具体的な記載をしたほうがいいと、抽象的なものから具体的な表現にしたほうがいい、または不足しているところ、反対に不要と思われるところについて、いろいろ議論をいただければと思います。前回までいただいたご意見を踏まえて、事務局で手を加えたところを、最初に説明いただきたいと思います。
○治験推進指導官 資料1「次期臨床研究・治験活性化計画骨子案」をご覧ください。ポスト5カ年計画は、既にご存じのように3つの柱から検討を行っていますが、第3回検討会以降に少し項立てや表現を変えているところがあります。1.「9年間の活性化計画を踏まえたさらなる飛躍と自立」では、「(1)治験に関しては、実施医療機関及び治験依頼者の間で完全自立が可能な体制の構築について」を、「(1)治験中核病院・拠点医療機関及びその他の実施医療機関においては、継続的に自立していくことが可能な治験実施体制の構築について」としました。
 また、「(2)新たな治験活性化5カ年計画で残った課題の完全解決に向けた取組みについて」を、「(2)新たな治験活性化5カ年計画で残った課題の解決に向けた取組みについて」に表現を変えています。これは、いずれの場合も「完全自立」「完全解決」という表現がわかりにくいとのご指摘をいただいていましたので、趣旨は変えずに表現だけを変えるようにしました。
 また、2.イノベーション(革新的な技術・医薬品・医療機器の日本からの発信)のところでは、「(2)臨床研究・治験を実施するネットワークに参加する医療機関のあり方」の項目を削除して、「(1)臨床研究(及び治験)の実施体制の整備」に組み入れています。「(4)その他の項目の3.利益相反、資金提供等について等」で、利益相反のところを「2.質の高い臨床研究の実施促進と被験者保護のあり方について等」のところに含めて、項目の整理をしました。この点についても、何かご意見がありましたら、後ほど議論の中でお願いします。資料1の概略は以上です。
○矢崎座長 ただいま、少し手を加えた点を中心に説明いただきました。そこで、資料1に関連して資料4が提示されていますが、先日開催された治験中核病院と拠点医療機関等協議会において、ポスト5カ年計画に向けての提言が取りまとめられましたので、協議会の運営幹事会の座長を務められた楠岡先生から説明をお願いします。
○楠岡構成員 資料4をご覧ください。ポスト5カ年計画で、治験の中核病院と拠点医療機関が定められ、それぞれ10と30の医療機関がありました。それ以外に、文部科学省が実施しています橋渡し研究に加盟されている8医療機関、並びにこの拠点医療機関の協力医療機関として、国立病院機構から5医療機関が加わっています。全体で、約55の医療機関がこの協議会に参加しています。
 この5カ年計画を実施してきた中で、いろいろ積み残しの問題等に関して、先月来アンケート調査を行いました。そして、そこで出てまいりましたポスト5カ年計画に向けての提言を、11月30日に開催しました協議会において、取りまとめ、承認いただいたものを、本日ここに出させていただいている次第です。内容については、骨子案とかなり同じような構成になっていますので、詳細は少し省かせていただきます。この中で、現在の骨子案の中に入っていない部分で、この協議会から提出させていただいたものに関して、ポイントを絞って申し上げたいと思います。
 1.の「臨床研究・治験の推進のために必要な人材の養成等について」は、特に追加点はありませんでした。2.の「臨床研究・治験を実施する医療機関の機能について」では、ここで網かけになっていますが、ネットワークは、共同で臨床研究・治験を実施するのみならず、参加医療機関の情報共有及び教育の場としても活用するという点を追加させていただいています。また、そのあとのIT化に関しては、いちばん最後のポツのその他治験業務の電子化の検討に、SS-MIXという、いまスタンダードで使われている方式に関して、追加するような形になっています。
 3.の「国民への普及啓発及び被験者への対応について」は、最初の○の治験・臨床研究に対する国民への理解を深めるためにマスコミ等を利用した啓発活動を活発にするべき。また、小・中学校における学校教育の中に医療に関する教育も取り上げるべきという点を加えています。もう1点は、治験だけではなく臨床研究に関しても診療科にかかわらず一元的に患者対応ができる窓口を設置すべきという点を加えています。
 4.の「IRB/倫理審査委員会の機能等の強化及び質の向上について」は、○のところの2ポツ以下、IRB/倫理審査委員会の登録制度の検討、第三者による評価システムの構築、審査ガイドラインの作成、IRB/倫理審査委員会事務局への専任担当者の配置の4項目について、追加をさせていただいています。
 5.の「コストの適性化等について」は、2つ目の○の保険外併用療養費制度が十分に周知されておらず、検査費等の費用の負担者が曖昧になっているため、本制度の取り扱いの明確化及び適用範囲拡大について検討すべきという項目を出しています。
 6.の「その他」については、2つ目の○からインフラ整備等を含めた臨床研究に対する資金の安定供給が必要。今後実施される整備事業の成果を評価するために、開発の進まない医薬品・医療機器の臨床研究・治験の実施に関する実績や新たな治療法の開発実績等を踏まえた適切な評価指標を設定するべき。医師主導治験へのさらなる支援を行うべき。1つ飛びまして、厚生労働省・文部科学省が実施している整備事業の役割・機能を明確化した上で、医療機関を重複せずに選定すべきという項目を出させていただいています。以上です。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。それでは、この協議会の提言を十分視野に入れて、骨子案をまとめていきたいと思っています。事務局から、資料1の骨子案を順に説明いただきまして、ある程度切りのいいところで切って、その部分の議論をいただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。事務局から説明をお願いします。
○治験推進指導官 骨子案の中では、構成員の皆様からご意見をいただきたいところは、まだ疑問の形で残していたり、具体的に書ききれていない箇所は抽象的な表現になっていますが、次期計画の策定につながるような具体的なご意見を頂戴したいと思います。なお、時間の関係ですべてを読み上げることは難しくなりますので、ポイントを読ませていただきます。
 1頁をご覧ください。1.「9年間の活性化計画を踏まえたさらなる飛躍と自立」についてです。(1)のご意見は骨子案をご覧ください。(2)新たな治験活性化5カ年計画で残った課題の解決に向けた取組みについて、1.症例集積性の向上として、〈短期的に目指すこと〉。ここでは、2つ目の○ですが、ネットワークにおいてコアとなる病院(ネットワーク事務局となる病院)が機能強化を図り、リーダーシップを取るための院内外の体制はどうあるべきかについて、意見を頂戴できたらと思います。1頁の最後の○ですが、ネットワークを推進するために、産学官はそれぞれに今後何をしていくべきなのか。ここでは、例えとして、症例集積性や事務手続きの効率化・迅速化等に優れたネットワークの要件を定めた上で、当該要件を満たしている優良ネットワークについては厚生労働省のHPで公表する等、国としても積極的にアピールする。ネットワーク側は、これを企業にアピールして治験の獲得を目指す。企業はネットワークで症例組み入れに貢献した医師に対して、論文化の際には著者の1人として掲載する等、インセンティブ向上のための方策を検討すると挙げさせていただいています。
 〈中・長期的に目指すこと〉としては、効率的な疾患別ネットワークと地域ネットワークを構築するとともに、疾患レジストリー等を活用した十分な症例集積性を示すべき。これも、具体的な内容について、ご意見をいただきたいと思います。2.治験手続の効率化については、〈短期的に目指すこと〉のいちばん最後の○ですが、医療機関の治験実施の適格性に関する審査のあり方、特に、共同IRB等における医療機関の適格性(治験責任医師、治験分担医師、治験実施体制等の適格性)を適切に審査する手法等、共同IRB普及への具体的な方法や効率的な活用について検討すべきということを挙げています。また、〈中・長期的に目指すこと〉として、各医療機関は治験ネットワークの推進とともに共同IRBを積極的に活用すべきとあります。これは、既に5カ年計画でも取り組んでいますが、やはり課題として残っている項目ですので、治験ネットワークの推進を具体的にどうするかについても、ご意見を頂戴できたらと思っています。以上です。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。(1)と(2)の項目について説明をいただきました。特に(2)で、症例集積性の向上に実際に機能するネットワークを構築するためには、どのような工夫をすればいいかを、できれば具体的にご意見をいただきたいと思います。いまご報告いただいた資料4の協議会の提言内容を含めてコメントいただければ、大変ありがたいと思います。いかがでしょうか。
○楠岡構成員 ネットワークは、やはりいちばん重要な問題として残っていますし、ネットワークそのものについては、5カ年計画の前の3カ年計画から既に9年経っているわけですが、やはりなかなかうまくいっていないのが現状だと思います。しかし、日本で症例集積性を高めるためには、この9年間いろいろ議論はしてきたわけですが、やはりネットワークを活用する以外に、たぶんいい方法はないだろうということも、結論としてあるかと思います。その中で、1頁の下から2つ目の○にありますように、地域別ネットワークと疾患別ネットワークは、性格が違っていて、これをどのように具体的に構築していくか。それから、疾患別ネットワークに関しては、既に小児に関するネットワークができていますし、それ以外でも希少疾患、難病に関するネットワークができつつあるので、それが1つのモデルになるかと思います。
 地域のほうは、いままで地域ネットワークはいくつかあったのですが、なかなかうまくいっていませんでした。最近になって、少しずつ実際に動き出しているネットワークが出てきています。そこを見てみますと、ネットワークを構成している医療機関の間でお互いの顔が見えているのが非常に大事なところで、病病連携や病診連携という普通の診療でできているネットワークを、さらに治験や臨床研究にも生かしていくような仕組み。その中には、医療機関同士の信頼関係、患者さんと医療機関の信頼関係がないと、ネットワークとしてもなかなか機能しないというのも、だんだん見えてきています。そういうことを、もう少し具体化できるような方策を入れていけばいいのではないかというのが、1つです。
 それから、もう1つは疾患別でもなく地域別でもない、かなり広域なネットワークは、先端的な研究や薬、機器を扱う場合に、どうしても必要になってくると思います。これに関しては、中核病院が担う役割としてでき上がりつつあるネットワークを、その後も継続して実施していくのが、大事なことではないかと思っています。私の意見としては、そういうところです。
○矢崎座長 ありがとうございました。ネットワークと言っても、単にIT化だけでは実質的な治験推進には貢献しないので、お互いに顔が見える、あるいは信頼関係が大事だという大切なポイントを指摘されましたので、その点についても組み入れていきたいと思います。そのほか、いかがでしょうか。
○小林構成員 質問なのですが、患者にとっても利用しやすくという意味なのですが、これはときどき新聞などで一般市民に呼びかけているような広告を見るのですが、患者が自分からこの治験を受けてみたいなという呼びかけのことを言っているのでしょうか。普通我々が感じるのは、主治医からちょっと協力してくれないかというようなことから、我々はどうしても難病なので数も少ないので、そういう発想になるのですが。それは、そのような一般に呼びかけた結果という意味なのでしょうか。
○矢崎座長 これは私の理解では、日本医師会の治験センターやいろいろな大きなセンターがあって、その情報を横串にして、1つのポータルサイトを作って、いま実際に国立保健医療科学院でポータルサイトを作っています。それを、やはりもう少し一般の方がアクセスしやすいようにもっていかないと、いまは本当に患者さんあるいは国民の方がもっとアクセスして、実際の我が国における治験の状況を把握できるようなアクセスしやすいポータルサイトを、もう少ししっかり構築したほうがいいのではないかと理解しています。事務局、それでよろしいですか。 ○治験推進指導官 ありがとうございます。まさに座長がおっしゃったとおりで、被験者の方々に治験や臨床研究に参加していただくお入りいただくための環境の1つの手段としてネットワークがありますが、現状だと、どこでどのような治験がなされているかが、患者側にとってはわかりにくいというところがあります。どこの地域にどんなネットワークがあるのか、どの病院のどんな医師が研究を行っているのか、参加するためにはどこに相談すればいいのかがわかると被験者の方々もお入りいただきやすいのではないかと考えています。
○小林構成員 素人で申し訳ないのですが、治験に参加しやすいというのは、先ほど申し上げたように、我々患者側は何かしらの病気があったりして、自分の病気を研究したり、何か薬の開発をするということには、どこかに情報はないかなといろいろ探すわけです。そういうケースではなくて、一般の方は自分に病気があるなしは別にして、何かこういう治験をやっていないのだろうかと探すものなのですね。
○矢崎座長 この件は、次の人材育成と国民患者への普及・啓発のポイントにありますので、患者サイドあるいはメディアのサイドの本田委員に、あとでご意見をいただきたいと思います。それでは、そういう視点から次の項目について説明してください。
○治験推進指導官 2頁をご覧ください。3.医師等の人材育成と、4.国民・患者への普及・啓発です。かいつまんで読ませていただきます。3.医師等の人材育成については、3頁の〈中・長期的に目指すこと〉をご覧ください。最初の○で、医学教育の中で、臨床薬理学、医薬品・医療機器の開発や臨床統計・臨床倫理等、広く臨床研究を学べる機会を増やし、臨床研究の基礎となるべき教育をもっと充実させるとともに、臨床研修及びその他の実地臨床の場において経験できる機会を増やすべき。2つ目は、医学教育に限らず薬学・看護学等においても、広く臨床研究の科学性・倫理性を学べる機会を増やし、医療人として基本的な臨床研究の知識を持つことができる教育を行うべき。3つ目としては、国際社会において、日本が臨床研究・治験をリードしていけるような研究者を育成するために、日本医学会等において臨床研究の専門医・認定医制度を検討すべき。あるいは既存の国際的な認定制度(ACRP)等を積極的に活用すべき。関連学会に働きかけて、年次学術集会の開催時等に、臨床研究・治験に関する教育・研修等の実施を促したり、臨床研究・治験に関する情報を開業医に発信する等の機会を絶えず持てるような仕組みを作るべきなどを、主だったところで書かせていただいています。
 4.国民・患者への普及・啓発としては、〈短期的に目指すこと〉の2つ目を読ませていただきます。広く国民一般に対して臨床研究や治験の意義や必要性について情報発信することや、特定の患者に対して情報発信することについて、それぞれどのような方法・内容で行うべきか。(例えば、製薬企業と患者会との意見交換の場を設ける。患者会のホームページの活用やその領域の治験の情報を企業とも連携を図りながら行う。患者を対象としたフォーラムの活用。市民講座等の活用等。)を挙げさせていただきました。
 1つ飛ばしまして4つ目になります。子どもに対しても、発達段階を踏まえて、医薬品の開発の仕組みや意義について、教育や情報発信を行うべき。(具体的な方法について、検討すべき。)5つ目、薬について、学校教育や患者教育の中で、ベネフィットとリスクを適正に伝えていく教育を、発達段階やそれぞれの立場を踏まえて行うべき。6つ目、臨床研究、治験の情報公開については、国立保健医療科学院の臨床研究(試験)情報検索ポータルサイトで実施しているが、今後もさらに国民や関係者等が入手しやすい環境を充実するとともに、広く周知されるよう取り組むべき。(例えば、治験届の情報を一般に公開する等)を挙げています。また、中・長期に目指すこととしては、日本における臨床研究・治験の実施状況を明らかにし、治験届の情報等を一定のルールを定めて公開することを行うべきなどを、主立った意見として挙げさせていただいています。
○矢崎座長 先ほどの引き続きで、本田構成員からお願いできますか。
○本田構成員 先ほど小林構成員のご発言にもあったのですが、子どもなどはまた別の話になるかもしれませんが、疾患による違いはあるにしても、例えばがんの分野、特に私は乳がんを経験しているので、そうした患者団体の方々との情報交換をしている中で、最近は患者さん自ら治験を探している方も出ていて、質問などを受けることがあります。疾患による違いはあっても、治験や臨床試験をされている先生方による地域のネットワークというのも、最近は出てきているかもしれませんが、例えば乳がんの臨床試験に熱心な先生というのが各地にいらして、その先生方のネットワークみたいなものがあって、そうしたところに依頼とか参加する先生方がいたとしても、自分がかかっている先生がそのネットワークに入っているかどうかはわからないし、多くの先生方が必ずしもネットワークのことを知っているわけではないということも、現実には結構あるのです。患者さん自身も今後治療法がどうなるかわからない中で、そういうものがあったら情報を得たい、今すぐ入るか入らないかは別としても、そういうことを知りたいという人が最近増えているというのが実情です。いま国立保健医療科学院の治験の情報を得るサイトはあるけれども、一般の方々からはちょっと見づらい、わかりづらいという声もあります。連絡先はどうしたらいいかとか、先生に言えば、必ず連絡してくれるのかという不安の声なども聞いたことがあるので、そのような点は是非進めていっていただければと感じています。
○矢崎座長 アクセスしやすい、あるいは情報量についても、患者さん側が必要な情報が入っているか、どのような情報をポータルサイトに収載するかといったことも、やはり検討が必要ではないかと思います。その他何かあればお願いいたします。
○楠岡構成員 本田構成員からの今のご指摘の点は、かなり大きな問題です。国立保健医療科学院のポータルサイトには、治験の第1相などは知財の問題があって全部が載っているわけではないですが、確かに臨床研究は基本的に載っているのです。しかし、これは臨床研究の、いわば専門家向けのサイトであって、一般の方がそれを見て自分に適した治験を探そうと思っても、非常に困難な状況だと思います。あのサイトで自分にぴったり合う治験を探せるとしたら、相当力量のある方になると思います。
 何が必要かと言うと、結局、一般の方とポータルサイトをつなぐということです。これは人でないと機械的にはちょっと無理ですから、どこかに電話をするなり、メールを送るなりすれば、こういう治験がある、あるいは研究が進んでいるということを介して、疾患程度までは絞り込めるとは思います。ただ、各研究にはいろいろな基準があるので、その試験に必ず入れるという保証にはならないと思います。あるということ、存在することまではわかるのですが、あのポータルサイトではどこでやっているかがわからないので、研究事務局に問い合わせたりなどといった辺りの手間を掛けないと、なかなか到達できないのも事実です。そこに少し人的な資源を投入できるような体制、これは当然お金の絡んでくる話ですから、誰が負担するかという問題も出てくるにしても、それがないとポータルサイトがあるから情報を提供していると言うわけにはなかなかいかないのではないか。
 患者さん側から治験を探すというのは、本当にこの4、5年の間、特にこの2、3年の間で、特にがんに関しては急激に要求が高まってきているので、それに関して何か考えないと、せっかく治験に参加したいという意思があるにもかかわらず、その方に合う治験を見つけ切れずに、結果的に意思のある方を、みすみす治験から逃してしまうことになるので、何らかの手立ては必要だと思います。ただ、現在ある資源を使って行おうと思うと、別途また人的資源を少し投入しないと、希望に合うようなものを見つけるのが難しいのではないか。ほかにもいくつか方法はあると思うのですが、そこのところを次のステップとして1つ、特に患者さん向けのものとして重点化するかどうかを、決めないといけない段階ではないかと思います。
○塩村構成員 ご存じの方も多いと思うのですが、臨床試験あるいは治験のデータベースは企業から、あるいはアカデミアから見ても2つで、世界でもそうだと思いますが、日本の場合のその1つは、PMDAに出す治験届です。しかし、これには臨床研究は入らないのです。ただ、いまは臨床研究の登録制度があって、登録をしないと、あとで論文化できないことになっています。当社は、論文は英文でしか出さないという方針で、原則として治験は「Clinicaltrials.gov」に登録しております。Clinicaltrials.gov 及びNIHのホームページをご覧になるとわかるのですが、患者さんの立場で検索できるようになっています。例えば自分がどこに住んでいるとか、自分の病気が何であるかで検索をかけると、照会先(Contact Person)が書いてあり、近くの治験先を教えてくれるというシステムです。日本の登録もあるのですが限られているので、どうせ同じ手間を掛けるなら、世界で通用するように登録するという日本の研究者、企業も多いですから、NIHとお話をしていただき、あれをうまく活用して、日本人が日本語で検索できるようにされれば、それほどお金はかからないかもしれないと思います。非常によくできているサイトですので、ご覧になってみてください。患者さんでも少し英語がわかれば、割と簡単に検索できると思います。
○矢崎座長 やはり、我が国でもそのようなのを作ったほうがいいですね。
○塩村構成員 ただ、登録はアメリカのNIHにしてしまうものですから、あそこのデータをもらわないと。
○矢崎座長 NIHに許可をもらってデータをいただいて、日本でアクセスできるようなシステムを作っていただければ。
○塩村構成員 できると思います。
○矢崎座長 これはやはり行政と、それから近藤先生、PMDAで何かそのようなポータルサイト的な機能も備えていただければ大変ありがたいと思います。
○近藤構成員 初めてお聞きしたのですが、素晴らしいことだと思います。いま国立保健医療科学院が臨床研究については受付けをしているわけですから、国立保健医療科学院がもっとわかりやすくしていただくといいかなと。私どもはあくまでも治験ですので、もちろん、かなりサポートはできると思います。
○塩村構成員 以前も申しましたが、臨床研究もできれば、治験届と同じような届出制度にしていただければ、日本でやっている臨床研究も治験も網羅できるので、NIHのお世話にならなくてもできると思います。それはP-1だろうがP-2だろうが、治験でしたら、我々は全部治験届を出しますし、一般のアカデミアの方々は、臨床研究でも、PMDAが受け付けてくれれば、データベースとしては簡単に作れると思います。
○本田構成員 先ほどあったアメリカの検索サイトのことは、乳がんの患者さんなどでも知っている方がいらっしゃいました。自分の地域や病気を入れると、どのようなことが走っていて、どこに連絡すればいいのかぐらいまでは分かればいいのに、あのようなのがあればいいなという声はあります。
○矢崎座長 そうしますと、今あるポータルサイトをもう少しブラッシュアップしていただくように、行政的にもそのような仕組みを作っていただければ、患者さんの情報にも大いに役立つので、是非それをお願いしたいと思います。この骨子案にも、そのような点を強調して入れさせていただきたいと思います。その他何かあればお願いいたします。ないようですので、次のコストの適正化、以下よろしくお願いいたします。
○治験推進指導官 4頁の5.のコストの適正化では、〈短期的に目指すこと〉として、治験の支払い方法について、透明化を図るため、出来高払い方式を完全に浸透させるべきということを挙げております。〈中・長期的に目指すこと〉としては、日本における治験の適正なコストについて検討すべき、コストの削減につながるような効率的なモニタリング・監査のあり方について検討すべきというのを挙げております。また、6.のIT技術の更なる活用等については、協議会からもいろいろご意見をいただいているところですが、〈中・長期的に目指すこと〉として、リモートSDVが可能なIT基盤についてどう考えるか。(例えば、診療情報の標準化や個別症例情報の標準化、C-DISCの普及等)、また、HISとEDCとの連携について、どうしていくべきかということを挙げております。HISとEDCとの連携については、電子カルテと電子化された症例報告書との連携について、どうしていくべきか、これは少し疑問形にしておりますが、ご意見をいただければと考えております。
○矢崎座長 コスト適正化とIT技術の更なる活用ということですが、ご発言をお願いいたします。
○塩村構成員 出来高払い方式についてですが、まずは文部科学省と厚生労働省の傘下の病院は、これを徹底するように指示を出していただければと思います。「まずは隗より始めよ」という言葉がありますから、是非お願いしたいです。少なくとも1年前の私の記憶では、まだ残っている病院、つまり出来高払いにしていない病院があると思います。今日は文部科学省も来ておられるので、文科省と厚労省が影響力を持っている病院については、是非そうしていただきたいと思います。
 また、国際共同治験が大変増えておりますので、同じプロトコールでやっている国際共同治験で、アメリカと日本とヨーロッパでの実際の治験の費用はどれぐらいかかるかを一度知りたいのです。ちょっと面倒なことをお願いして恐縮ですが、なかなかそういうデータがないので、高い高いと言っていて、私も高いように思うのですが、本当にそうなのか。SMOの費用なども含めて、国際的な比較を見せていただければいいなと思います。以上の2点です。
○矢崎座長 費用の国際的な比較というのはいくつかのデータ、おそらくPMDAからも何かあったように思うのですが、いかがでしょうか。製薬業界からのデータなどは。
○川口構成員 これからのことですね。可能性はあると思うのです。従来なかなかできなかったのは、同じ治験を世界の中で比較対照できなかったからなのです。ただ、これだけ国際共同治験が進んできましたので、これからは調査の可能性はあるのではないかと思います。
○矢崎座長 国際的に見て、日本の治験の費用が高いというのは棒グラフなどに出ていますね。
○川口構成員 国際共同治験がこのぐらい進んできますと、コストはだんだん同じようになってきます。あそこは高くて、なぜ、こちらは安いのかなどといった話も出てきますので。
○塩村構成員 特に、公的な医療機関ですと、治験の費用が点数方式で計算されますので、ほとんどネゴの余地がなくて、Yes or Noというケースが多いと思います。例えば国立大学に行きますと、国立大学の方法で計算するから、これで応じるか、応じないかという話になることが一般的だと思うのです。そうすると、同じプロトコールでやっている国際共同治験で、日本の医療機関でやったものと、海外の医療機関でやったものとの費用を比較すると、本当のところ、一体高いのかどうかというのは。
○川口構成員 その前に、適正なコストとは一体何なのか、というところをもう少し議論したほうがいいのではないかと思うのです。実質的にどのような費用がかかっているかという調査をいろいろ行って、このぐらいが適正なところではないかという話はしているのですが、それが本当に適正かどうかというのは、何とも言いがたいのです。直接費、間接費も含めて、何が妥当なのかということは、もうちょっと議論を進めたほうがいいのではないかと思います。
○塩村構成員 医療費の比較というのは難しいです。何が適正かというのは非常に難しいのです。例えば、いま薬価を決めるときも、海外の薬価を大いに参考にしていると思うので、欧米先進諸国と比べて日本はどうなのかというのは一度見ておいたほうがいい、というのが個人的な意見です。
○矢崎座長 わかりました。その他何かあればお願いいたします。
○楠岡構成員 いまのコストの問題ですが、実は数年前に厚生労働科学研究費で治験のコストの検討をしたことがあります。これは国内の治験だけを検討したわけですが、結局、治験というのは人が関わる費用で、言うなれば、ほとんどの費用が人件費であるわけです。それぞれの作業に、どのような人がどれぐらいかかるかを全部積み上げていくと、結果的に人件費は、いま各医療機関がいただいているお金の大体50%ぐらいのところになりました。ただ、それは実働時間を積み上げているので、当然アイドリングタイムと言いますか、患者は毎日密に来るわけではないですし、準備などもある。それから研修やバックヤードの人も含めて考えると、国内で見る限り、人件費から見ると大体適正な値になっているのではないかと。また、利潤率をどれぐらいにするかというのは、各企業でいろいろな考え方があるので、そこは違うということで、費用としては見合っているだろうということです。
 問題の1つは、人件費が諸外国に比べ、どうしても高くついてしまうことで、特に今のような円高で計算すると、とんでもない差が出てきてしまうということです。もう1つは、先ほど言われていた点数表の問題です。あの点数表は、あくまでも治験がどれぐらい難しいかという難易度の評価であって、現在1点を6,000円でやっているわけですが、6,000円でやるか、5,000円でやるかは医療機関の考え方ですから、そこに競争原理を少し働かせてもいいのではないかという結論が出ておりますので、トータルのコストはだんだん改善していくのではないかと思います。
 むしろ、コストの中に何を計上すべきかということを、もう少し考えていかないといけない。治験に関しては、医療機関側の外部のコストよりも、むしろメーカー側の、依頼者側の内部のコストのほうが非常に高くついて、その理由が先ほどから出ている症例集積性の問題なのです。要するに、少数例をたくさんの医療機関でカバーすることによってかかる費用が、内部経費として高くついてしまっているというのが日本におけるコスト高の1つの要因ですので、やはり症例集積性を上げないと、なかなか改善しない問題であると思います。
○川口構成員 症例集積性の話や効率化の話などは、いずれも適正化作業班がレポートを書いているわけです。これをもう一度見直していくべきかなと思います。したがって、資料1の(2)新たな治験活性化5カ年計画で残った課題の解決に向けた取組みについての下の所に、これをしっかり書いてもらったほうがいいかなと思います。作業班のレポートの話は骨子案のいろいろなところに出てくるし、作業班のレポートには適正なコストのことも書いてあるので、そのような編成にしたらどうかなと思います。
○矢崎座長 事務局としては、骨子案についてはもう少し強調すべきところは強調するようにというお話を伺いました。それからIT技術の更なる活用ということで、先ほどあった患者さん側からアクセスしやすいポータルサイトを作ることと同時に、おそらくこれも症例集積性の向上という視点から大事なポイントではないかと思います。我が国におけるIT基盤をどう構築すべきかということについて、何か具体的なご意見をいただければ大変ありがたいと思います。我が国では診療情報の標準化などといった面で、欧米に比べて症例のレジストリーシステムも完備していませんし、この方面の整備がもう少しできると、臨床研究や治験が大きく進展するのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○中西構成員 IT化は、日本の治験が国際競争の中で十分闘うために、やはり避けられない問題だろうという気がしております。とりわけ、C-DISCなどは、いまWHOやFDAとの連携を図って、世界の統一したターミノロジーを作ろうという動きです。今ちょうど世界の標準モデルを作る時期に来ていますので、日本も今の流れに遅れないようにしておくことが重要ではないかと思っております。また、コスト等の関係で言いますと、リモートSDVの話も非常に重要だと思うのです。ただ、この話になると、各医療機関にどのようにそのシステムを導入するか、そのコストは誰が払うのかという話がどうしても出てしまうのです。しかし、長期的に見ると、必ずコストの削減につながると思いますので、それについては一定の手当が必要ではないかという気がしております。
○矢崎座長 ITの活用には非常に資金が要るので、財源をどのように確保するかというのは、各医療機関においても非常に大きな課題になっていると思います。それでは、IT基盤を整備すべきだということを、強く提言の中に入れていただくようにしたいと思います。次に、2.のイノベーションに進みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○治験推進指導官 5頁をご覧ください。2.「イノベーション(革新的技術・医薬品・医療機器の日本からの発進)」ということで、(1)臨床研究(及び治験)の実施体制の整備として、橋渡し研究支援拠点、早期・探索的臨床試験拠点、グローバル臨床研究拠点、臨床研究中核病院(仮称)等の整備及びそれら以外の実施医療機関のあり方についてということを挙げております。橋渡し研究支援拠点からグローバル臨床研究拠点までは既に取り組んでいる事業ですが、臨床研究中核病院は、これから予定している事業です。〈それぞれの事業の要約〉については、1.それぞれの施設の位置づけと求められる機能、設備のところに概略を書いております。
 次に、〈短期的に目指すこと〉をご覧いただくと、6頁には臨床研究の活性化を図るためのいろいろな事業がありますが、それぞれの役割を十分発揮できるよう体制を整えるべきというところで、具体的にはどのような体制がいいか。上から5つ目ですが、臨床研究の支援組織(ARO等)の必要性について検討を開始すべき、公的資金については効率的かつ有効的に活用すべき、臨床研究を実施する上で中核的な役割を担う医療機関と臨床研究に参加する医療機関それぞれについて、その機能・役割・育成のあり方について検討すべきではないか、治験のみならず、臨床研究でも活用できるよう、がん領域、小児疾患、難病等については積極的に疾患レジストリーの構築を検討すべきであるとなっております。そして、一般病院等が治験だけでなく臨床研究に参加しやすくなるための院内外の体制はどうあるべきかについてもご意見をいただきたいと考えております。
 また、〈中・長期的に目指すこと〉として、2つ目にあるように、臨床研究のグローバル化を念頭に置き、介入を伴う臨床研究は必要に応じてICH-GCPに準拠して実施するべき、臨床研究の効率的な運用に向けて共用データセンターを設置すべき、臨床研究の統合・調整組織の必要性について検討を開始すべき。(具体的には、J-COG、J-GOG、WJOG等はがん領域の研究組織ですが、既存の臨床研究組織との連携のあり方、がん領域以外の研究組織との連携のあり方についても検討する。さらに、臨床研究組織のFunding Agencyの役割とその機能についても検討すべき。)大規模臨床研究の実施と同様に、実際の臨床に即した評価を行える体制を整えるべき。ここも具体的にどうあるべきかについてご示唆をいただきたいと思います。
 また、2.必要な人材については、〈短期的に目指すこと〉として、臨床研究の企画・立案ができる臨床医の育成と配置を着実に実行していくべきというところを挙げております。
○矢崎座長 次は、いままでの治験から一歩進んで、イノベーションに関わる部分です。臨床研究の実施体制をどのように整備していくかというところに議論が移るわけですが、ただいまのところでご意見、ご質問があればお願いいたします。
○景山構成員 臨床研究に対しても、何らかの規制が必要というのはそのとおりだと思いますが、ここに記載してあるICH-GCPを適用するということについては、相当慎重でないといけないのではないかと思います。前々回の検討会でも申しましたように、現行の倫理指針は被験者保護については十分配慮されていると思うのですが、臨床試験の質、あるいはそこで得られたデータの信頼性の保証ということについては、ほとんど何も記載がなく、その部分が欠けているわけです。そこを何らかの形で補う必要はあると思うのです。
 ところが、ICH-GCP、とりわけGCPという言葉が出てくると、多くの医療機関で臨床研究をしている人は、おそらく萎縮してしまうのではないかと思うのです。ICH-GCPとJ-GCP、どこが違うのか。J-GCPではなくて、ICH-GCPを適用とする理由は何か。J-GCPの場合は、運用通知によって非常にこと細かく定められていますが、ICHの場合は、おそらくないのだろうと思いますので、その辺を慎重に検討する必要があると思います。それから海外の状況、とりわけEU-Directive(EU臨床試験指令)が発効されたことによって、英国という非常に臨床研究が盛んな国において、自主研究が極めて減ったということがあるわけです。我が国はもともと臨床研究があまり盛んでないという状況の下で、ICH-GCPをすぐ適用するとなると、臨床研究を活性化するのではなくて、かえって抑制してしまうのではないかという危惧があると思います。
○近藤構成員 現在、我が国がイノベーションを含めてやろうとしているところは、まさに創薬とか創医療機器を目指したところではないかと思うのです。つまり、創薬に結び付かないような臨床研究については、ICH-GCPに準じなくてもいいのかなと思います。いちばん大きな問題になるのは、これから創薬に行こうかなと思うような革新的なものをやっていくときに、基本的にICH-GCPに準じていないと、その先が発展できないということなのです。ですから、これはと思うような研究の場合は、初めからそういうところからスタートしていただきたいと思うのは、PMDAだけではなく、多くの国民に共通したことだと思いますが、すべてのものについて、ICH-GCPに準ずる必要はないと思います。ただ、志のあるものについては、それにしっかり準じてやっていただきたいと思っております。
○矢崎座長 私は内容というか、問題点がよくわからないのですが、どのようなところが。
○近藤構成員 いちばんの問題点は信頼性保証で、本当にそのとおりやっているかどうか、実施検証をされる可能性があるということです。倫理委員会でそのとおりやっていますというのではなくて、もう1回、第三者的に検証される、第三者的に評価される仕組みがバックにあるということだと思います。
○矢崎座長 わかりました。
○景山構成員 私の意見も、おそらく近藤先生とあまり変わっていないのだと思うのです。臨床試験を考える上で、それがefficacy trialなのか、effectiveness trialなのかを明確に区別しないと、やはり議論がおかしくなる。いま近藤先生が言われたようなefficacy trial、すなわち新しいシーズが見つかって、それをなるべく早く薬に結び付けようという場合には、そこで然るべき規制に基づいた試験が行われていないと、もう1回やり直しになりますので、全く無駄になってしまいます。そのような意味では、そのとおりだと思うのです。
 一方、市販された薬物を使った研究はたくさんあるわけで、市販されているからすべてが分かっているかと言うと、全くそういうことはないわけで、実臨床下での効果、すなわちeffectivenessの様子を見る研究に関しては、おそらくICH-GCPを適用すると、止まってしまうのではないかと思うのです。また、こういったpragmatic trialでは、そこまでの厳しい規制というのは必ずしも必要ないだろうと思います。ですから、何らかの形で信頼性を得るような倫理指針を改定することのほうが、そちらの分野ではより重要ではないかと思います。繰り返しになりますが、efficacyを見るexplanatory trialとeffectivenessを見るpragmatic trialは、分けて考えないといけないのではないかと思います。
○川口構成員 GCPという言葉を使うと、そうなってしまうと思うのです。医師主導治験は、当然GCPに対応しなければいけないわけです。臨床研究は、やはり品質管理、品質保証といった信頼性の問題だと思うので、そのような言葉を使って、書いてはいかがでしょうか。人に使うのですから、それは基本です。臨床研究に関しては、そうした表現形にしてもいいのではないかと思います。
○本田構成員 非常に専門的なことなので、素人の私などではきちんとしたことは言えないのですが、信頼性を保つこと、特に創薬に結び付くような部分について、もう1回治験をするとか、もう1回試験をやり直すみたいなことがずっと続くようでは、国民の信頼や患者さんの期待に反するし、これだけいろいろな拠点をつくっているのだから、大きな税金が投入されているわけです。国民の理解も得られなくなると思うので、そこのところはかなりしっかりやっていただきたいですし、できるだけ早く通るような形にしていただきたい。それが患者と国民との意見だと思います。
○矢崎座長 その点をしっかり踏まえて、提言をまとめていかないといけないですね。
○楠岡構成員 これから臨床試験を行うとなると、いまのような信頼性保証という問題は必ず付いて回ってくるので、実施できるところ、あるいはそれをサポートできるところというのは、かなり限られてくると思います。たぶん、それが今出てきている臨床研究中核病院などの役割になってくるかと思います。そのときに研究のアイディア、要は実際の計画まで、試験にまで持っていくのはプロの技術がかなり要るので、そこはAROのような支援組織が担当する。最初のアイディアの部分というのは、常に中核病院や基盤的な病院にいる先生に必ずしも浮かぶわけではなくて、むしろ医療の現場からニーズとして出てくるようなもの、こういうものがあるとか、あるいは、あればいいというものがあると思いますので、そうした現場のアイディアをうまく汲み上げて、それをAROなどの連合体にプロポーズすると、ARO側で審査をして、有望そうであれば、自分の所で引き受けましょうみたいな、そういったマッチングのようなものも考える必要があります。限られた医療機関だけでどうしようかと考えていても、なかなかいいアイディアは浮かんでこないのではないか。
 いままではそのような形での臨床試験の提案と、それを実施する、支援するところを分業化するということが、日本ではあまりなされていなかったと思います。アメリカの場合はアイディアを持って医療機関を移っていくというのは非常にたやすいのですが、日本ではなかなか難しいことなので、そのような仕組みを作る必要があるのではないかと思います。事例はちょっと違いますが、いま経産省が行っている事業で、医療現場でのニーズ的なものを全国から集めて、それを企業側へ提示し、興味を持った企業とマッチングを取り、実用化するという事業が進んでいます。それの研究版のようなものがあってもいいのではないかと思います。
○矢崎座長 大変貴重なアイディアをいただきまして、ありがとうございます。確かに、中核病院などで現在シーズを持っている所を集中的にサポートするという考え方については、中核病院を指定して整備すれば終わりではなくて、シーズをもっと幅広く拾い上げて研究に移すサポート体制が重要だということです。これは研発課にそのような視点から考えていただければありがたいと思います。
○楠岡構成員 いま申し上げたのは、新規のシーズの問題だけではなくて、例えば手術技術の評価や既存薬の組合わせといったことになってくると、シーズとは別の、どちらかと言うとアイディア商法的なところもあるので、そうしたところを汲み上げるシステムが必要ではないかということです。
○矢崎座長 その他、何かあればお願いいたします。
○川口構成員 教えていただきたいのですが、臨床研究中核病院(仮称)とありますが、イメージしにくいです。最近は中核病院拠点医療機関というのがありますから、それとの混同とか、早期・探索的臨床試験拠点という言葉もあります。ここは一体どのようなつながりなのかということと、いつも気になっているのは、別途、文部科学省で橋渡し研究が行われているということですが、それとのつなぎの部分とか、関連性などといったところも意識しているのでしょうか。臨床研究が盛んになるということは非常に大切だと思うのですが、ちょっとイメージしにくいと思います。
○治験推進指導官 それでは、5頁にお戻りください。それぞれの事業について少し確認して振り返ってみますと、まず橋渡し研究支援拠点では、大学等に存在する医・薬・理・工学等のシーズを、臨床へ橋渡しするための支援機関を公募し、整理する。という事業になります。この際、既存の大学等の教育研究組織・知的財産本部等と連携し、組織・人材を活用して、支援拠点の形成を促進するというところですので、ここは基礎から始まって臨床に出る前のところを中心に支援をしていることになります。
○ライフサイエンス課長 まさに、いまお話があったとおりで、メインはアカデミアのシーズを臨床に橋渡しするところに力点があります。5年間やってまいりまして、医師主導治験届け2件という目標もおおむね達成できるようになってまいりましたが、文科省ですので臨床に重きを置くよりは臨床につなぐところに重きを置きますが、治験が始まってお金がなくなって止まることになってはなりませんので、拠点の支援という形での一部臨床の支援も含んではいますが、メインはアカデミアのシーズになります。したがって、シーズをどれだけ見つけてそれを育成していくかというところに力点を置いています。
○治験推進室長 よろしいですか。厚生労働省から臨床研究中核病院等について、少し追加をさせていただきます。これまでの治験中核病院拠点医療機関というのは臨床研究も含まれますが、主に企業治験を受託して実施できるような体制を整備していくのが、主眼であったと理解しています。今後については、企業主導の治験だけではなくて、難病や希少疾病の医薬品等、企業が主導で治験を行っていくことが困難なようなものも含めて、これまでの主導企業治験に加えて、医師主導の治験や自主的な臨床研究を病院自らが企画立案をして実施していけるような体制を整えていきたい。そういう考え方でもって、早期・探索的臨床試験拠点も同じような考え方ですが、今後の整備事業としては自主的な臨床研究、医師主導治験を重点に、そのような研究を実施できる体制を整備することを主眼に実施していきたいと考えています。
○矢崎座長 ここにある臨床研究中核病院というところでは、いまのお話では医師主導、自主的な臨床研究の拠点というお話ですが、先ほどの国際水準の遵守がここの臨床研究中核病院まで厳しくいくかどうかを景山先生が懸念を述べられて、創薬に結び付くようなものは早期・探索的臨床試験拠点になるのですかね。もう少し一般的な前の段階の臨床研究という、この内容が探索的臨床試験拠点とほぼ同じような記載になっていますが、そういう非常に厳しい基準を信頼性保証というものまで求められるかどうかが、現実問題として難しいところがあるのを景山先生からご指摘いただいたと思います。
○小原構成員 先ほど本田構成員からもご意見がありましたが、患者さんに参加していただく以上は、きちんと国際的に通用するレベルで日本は目指してやっているぐらいの研究でないと、それこそ被験者保護のこととも関連して難しいかなと思いますので、臨床研究の中核というところをモデルという役割を担う以上は、ここのレベルではICH-CPと書いたほうがむしろいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田代構成員 私も基本的に同じ考えです。すべての医療機関に行うわけではなくて、ここにはかなりの税金を投じて体制を整えるわけですから、そういった機関においてそういうことが全くできないというのであれば、求める水準が最初から少し低すぎるのではないかと思います。日本の病院や研究機関すべてに適用するわけではないと思いますし、とりわけ早期・探索的臨床試験に入るようなものについては、最初からそれなりの水準で考えて頂きたい。本田構成員もおっしゃっていましたが、trialの繰り返しというのは倫理的にも非常に良くないことだと思っています。被験者のアビューズに近いとも言えるかもしれません。こうした繰り返しを無くすという観点からも、最初からある程度の水準を求めることはあっていいと思います。
○楠岡構成員 先ほどから信頼性保証が非常にポイントになっていると思いますが、信頼性保証という点においては、必ずしも研究全体の主体者が全部自分でする必要はなくて、そのためにCROのような、それを引き受ける企業体等もある。コアの部分は内部でしかできない業務で、例えば信頼性保証のためのモニタリングとか監査というような業務は、CROに委託することで、全部自分が持つ必要は必ずしもない。ただ、そのときに問題になるのは、その費用をどうするかということで、研究費の中にCROとかに委託する部分も十分ペイできるような研究費構成ができていれば、ICH-GCPが適応されたから、うちではできないからやめるという話にはならないと思います。そこは自分の所でできればやればいいですし、無理であれば外部へ委託する。現に、いまの医師主導治験においても、かなりの部分はCROとかに委託することで、実際進めているところがあるので、そういう意味では分業化というか、そういうところと連携する必要があるかと思う。ただ、今日は一木構成員がいらっしゃらないのでが、CROは企業ですからどうしても高く付くところがあるので、もう少し安くということで、いまのAROという考え方も出てきているかと思いますが、そこは考え方の問題かと思います。
○中西構成員 各構成員の先生方のご意見はそのとおりだと思いますが、整理して話を進めないといけないと思うことは、新薬開発あるいは現在の医薬品の適応拡大は、あくまでもJ-GCPの中でやらざるを得ない状況がある。それから、いま臨床の現場で既に保険収載されている薬の医療の最適化、最も良いコンビネーションあるいは最も良い投与方法を生み出すための研究者主導の臨床試験をそれと同じことにしますと、臨床試験そのものができなくなると思います。いま楠岡構成員からお話もありましたように、CROに委託するとなると研究費が10倍以上になります。その研究費は国が出せるかというと、そういうこともありません。安全性に加えてデータの信頼性をきちんと担保すべき試験と、安全性はきちんとしておくけれども、データの信頼性についてはガチガチの高い水準とはしないというやり方のものもあってもいいと思います。
 実際に、日本の臨床試験のデータの質が非常に悪いかというと、私自身はがんの臨床試験に関わっていますが、海外のICH-GCPの準拠で行われたものと比較しても、ほとんど信頼性については差がないと認識しています。例えばアジアのほかの国々がICH-GCPでやって、いまの私たちの基準でやっているものを見ても、データの質そのものはほとんど差がない。これをとにかくICH-GCPありきという言葉で、言葉が先に走ってしまいますと、実際に患者さんに提供すべき良い医療開発ができなくなる可能性もありますので、そこを是非住み分けというか表現を分けて、このものについては何が何でもGCPでやるべきだろうし、一方で別のものについてはもう少し柔らかい表現で、少なくともデータの質の担保をするための努力を入れるぐらいにしていただいたほうが、日本の研究そのものにとっては、そちらのほうがいいのではないかという気がします。
 trialの繰り返しという言葉が何度か出ましたが、いますべての介入研究臨床試験は届出制度の中でやられていますし、実際に普通に臨床試験をきちんとやっているグループ等は、いまどこでどんな試験が行われているかとか、そのデータがどうであったかを必ず見た上で臨床試験のアイデアを考えておきますので、これは決してICH-GCPとかGCPの範疇の中でのことではないと思います。実際に、それはいまほとんどないと認識しています。
○矢崎座長 ありがとうございます。先ほどの基準はしっかり守ってほしいというときに、施設によっては信頼性保証が困難なときは全部自分でやらなくて、CROなり第三者に委託できるようなシステムにするということが提案されましたが、いまお話のように費用が随分かかることもあって、是非、研発課の研究費を、あるいは文科省のライフサイエンス課も含めてサポートしていただかないと、現実とは難しい。それから、少し基準を甘くしたという印象を捉えられると誤解されますので、信頼性を得られませんので、そういうことではなくてお話にありましたefficacy-trialとeffective-trialというのをきちんと分けて、そこで整理してどうするか。そこを曖昧にすると、我が国は甘い基準でやっているのではないかという信頼性を損なうことになるので、誤解を招かないように、是非この点をきちんと対応していただくということではないかと思います。そこまで、この骨子案に触れられるかどうかはわかりませんが、少し工夫したいと思いますので、よろしくお願いします。
 (2)の臨床研究における倫理性および質の向上については、いまのお話とも絡みますので次に移りたいと思います。よろしくお願いします。
○治験推進指導官 7頁をご覧ください。(2)臨床研究における倫理性および質の向上について。1.平成25年度を目処に改正が予定されている「臨床研究に関する倫理指針」との関係についてです。〈短期的に目指すこと〉として、現行の「臨床研究に関する倫理指針」の改正にあわせて、その他の指針との関係を整理すべき。〈中・長期的に目指すこと〉として、被験者保護のみでなく、臨床研究の質に関しても規定するよう検討すべきではないかということを挙げています。以上です。
○矢崎座長 いかがでしょうか。この件は、次の質の高い臨床研究の実施促進と被験者保護のあり方にも関わりますので、次に説明していただきます。よろしくお願いします。
○治験推進指導官 2.質の高い臨床研究の実施促進と被験者保護のあり方について等をご覧ください。〈短期的に目指すこと〉として、2つ目をご覧ください。中央IRB/中央倫理審査委員会は「治験手続の効率化」の面だけでなく、質と安全性の担保からももっと有効活用すべきであり、そこでの審査のあり方についても検討すべき。(科学性、倫理性の審査。専門領域毎の審査。各医療機関の医師や医療機関特有の状況の評価等)。利益相反の管理のあり方について検討すべきと挙げています。〈中・長期的に目指すこと〉として、IND制度のような臨床研究の届出制度についても、被験者保護を含めて検討すべきではないか。(その際にはどこに届出すべきかについても検討を行う。)併せて、公開についても検討を行うべき。1つ飛ばして、IRBの質を保証するシステムの検討を行うべき。(例えば、国が一定の基準を満たしているものを適切な倫理審査を行える委員会と認めて審査の質を保障するとともに、継続的な質の向上を図る。)質の高い研究を実施するために、研究者、被験者、産業界等それぞれのインセンティブについて検討すべき。被験者保護のあり方について、法制化の可否を含めて検討を開始すべき。ゲノム医学に関連するガイドライン等の整備について検討すべき。介入研究における被験者への補償のあり方について考えるべきを挙げています。以上です。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。この2つの項目で、倫理審査委員会の関連が深いところです。本日は資料3として田代委員からご提案がありますので、田代委員からよろしくお願いします。
○田代構成員 お時間を取っていただいてありがとうございます。資料3に、短い両面の紙1枚を載せました。この項目に関しては、かなり大きな規制の話から具体的な話までいろいろあると思いますが、私のほうから本当に絞り切った形で、わりとすぐに手が着けられるのではないかということについて、少し提案をさせていただきます。
 「1 問題の所在」についてですが、皆さんご承知のこととは思いますが、臨床研究に関しては、とりわけ倫理審査委員会に関して、全体として施設間の格差が大きく、患者・被験者が安心して研究に参加できる環境が整っているとは言えないのではないか、と感じています。全国的に被験者保護制度が標準化されていらず、施設間で審査の質に大きな差がある。現実問題として、「1)標準化」の3つ目のポツで、「実際、科学的・倫理的に大きな問題がある研究計画や、倫理指針を全く遵守していない研究計画が承認されている可能性がある」と書きましたが、日々こういったものが、他施設で承認された研究として自施設に出てくるという現状があります。この問題をどうクリアしていくかというときに、1つには、現在のままで問題をクリアするのは、非常に難しいということがあるかと思います。
 「2)人材の確保」ですが、これも治験のときから問題になっていることですが、日本では施設ごとに倫理審査委員会を設置しているため、しかも治験と治験以外に分けたうえで、さらにゲノム等のいろいろな委員会を作っていますので、全国的に膨大な数の倫理審査委員会が存在しています。全数は把握されていませんが、下に少し概算したものを載せておきました。それによりますと、おおよそ全国で2,500~3,000ぐらいの委員会があり、諸外国に比べても5倍から10倍ぐらいの数になっています。この点から、すべての委員会の審査の質を一律に向上させるのは、ほとんど不可能な状態にあることがわかります。この点で、現在の設置形態を考慮すると、そもそも倫理審査委員会に入っていてほしいと思うような専門家をすべて設置することが難しくなっています。
 例えば、医薬品を使った臨床試験であれば、当然臨床薬理学や生物統計の専門家が必要だと思いますし、法律や倫理の専門家あるいは被験者の立場からいろいろなことを述べられるような方というのを、2,500~3,000の中にすべて確保するのはほぼ不可能であろうと思われます。ですので、大まかな方針としては倫理審査委員会の集約化を進めると同時に、質を向上させるという2つのことを早急に手を着けたほうがいいのではないかと。付記は「研究の質の向上」と審査の質の向上の関係について少し述べているのと、法制化や指針間の調整についてはそれなりの検討会というか、そういったものを作って考えたほうがよいのではないかということを書いています。
 2頁に行きます。ここから少し具体的な話ですが、2つのことを考えています。「2 課題解決の方向性と具体的な提案」のところの最初ですが、課題解決の方向性として、2つの方向があると思います。1)は、これも先ほど来話が出ていますが、数が多いということもありますので、地域単位で人材・資金を集約化していくという、わりとボトムアップ的な方向性があると思います。審査能力のある倫理審査委員会、いまでも当然いくつかの大学や研究機関ではこういったものがありますから、ここへ委託を推進してもらうということで、最終的には各地域に責任を持って倫理審査を行える委員会というものが、ある程度集約化された形で残るという未来像を明確に描いていただく。つまり、欧州型へシフトしていただく方向が1つかと思います。
 2)では、トップダウンでやるべきこととして、どのようなメカニズムを導入するかというのは議論があると思いますが、まずは国による最低限の審査の質保証メカニズムは導入したほうがいいと考えています。倫理審査委員会の登録制度や監査の実施など、国として審査の質を保証するための何らかのメカニズムを導入するという提案です。
以下、具体的な提案に移りたいと思います。「1)地域単位での倫理審査委員会の集約に向けたモデル事業の実施」ですが、既に治験では中央IRBや共同IRBといった形で動いていますので、それを一つのモデルにしながら、ただ倫理審査委員会のほうがより難しいところがあると思いますので、ある種のモデル事業のような形でやっていただければと思います。1)の最後のところにも書いてありますが、将来的には例えば、倫理審査委員会が各施設の研究者から審査料を取るといったような形で、経済的にも自立的に運営していくことを目指すというのもありえるかと思います。
 次に「2)倫理審査委員会の質保証のための取り組み」ですが、ここではあくまでも最小限のことということで、登録と実地調査を考えています。現在稼働している「臨床研究倫理審査委員会報告システム」ができたことは、非常に大きい意義のあることだと思っていますが、残念ながら現在これはまだ事後報告です。ご覧になった方はわかると思いますが、施設長が委員長を兼ねているとか、外部委員が入っていないとか、いろいろな委員会が公開されていますので、これを事前登録システムに切り替えていただき、厚生労働省が最低限の項目の確認を行ったものをここに登録する。例えば、本当に簡単な基本的な構成とか手順書・記録の公開など、現在でも倫理指針で定められている最低限の項目をチェックしていただいて登録する。これも何度か議論には出ていますが、1つのモデルとしては米国のOHRPがやっているような、FederalWide Assuranceに少し要素を加えたようなものを想定しています。
 そのうえで、厚生労働省の研究費による臨床研究に関しては、こうした登録倫理審査委員会、または既に介入のある臨床研究に関しては、治験審査委員会で一緒に審査している施設もかなりありますので、そちらでも構わないと思いますが、こういったところで審査していただくということで、最低限の実効性を担保していただく。加えて、登録されている委員会あるいは臨床試験ごとに、本当に少なくてもいいと思っていますが年間10件程度、これもOHRPがやっていることですが、実地調査をしていただいて、必要に応じて助言・勧告等を行うといったあたりが、いまある程度、現実的にできるのではないかと考えています。付記にありますが、当然、登録の要件や実地調査のあり方については、さらに検討したほうがいいと思っています。これが、もし最低限のミニマムリクアイアメントだとしますと、さらに世界的には皆さんご存じのとおり、より踏み込んだ質保証、いわゆる認証と言われるようなaccreditationあるいはrecognitionとも呼ばれますが、これを日本の場合、臨床研究中核病院といった機関には課すのか、課さないのかといったところも含めて、少し世界的な動向を考えつつ、同時に検討していくといいのではないかなと考えています。以上です。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。具体的な大変貴重なご提案をいただきまして、確かに倫理審査委員会は、ともかくそこを設ければいいというような考えがいままで趨勢だったので、実質を伴った先ほどのICH-GCPの基準のお話にありましたが、もう少し実地調査も含めた倫理委員会を設置すべきだという田代先生からのご提案ですが、この臨床研究の倫理と質の向上、あるいは被験者保護のあり方について、ご意見はいかがですか。
○小林構成員 以前にも申し上げましたが、被験者の保護ということから今回の人材の中には是非、医師を含めて担当者、被験者に対する方たちへの教育を具体的に入れていただくべきではないかなと思っています。例えば、いまお話に出ましたが、私はある施設のES細胞の倫理委員会の委員を6年やっていますが、そこで文科省からいろいろな指針が来たりして、それを話し合います。そこでは、ES細胞ですから凍結受精卵を提供していただきますが、その際に提供者に対して細かい説明を要求されます。こういう順番でこう話しなさいとか、ここのところでは一呼吸入れて説明しなさいというように、非常にこと細かに指示が書かれています。そこまでやれとは言いませんが、被験者と研究者側の信頼関係や顔の見える研究ということを考えていったときに、被験者が安心して納得してできるためには、被験者と直接やりとりする医師等へのそういう教育というものの仕組みを、しっかり作っていただきたいなと希望します。
○矢崎座長 ありがとうございます。
○近藤構成員 小林先生のお言葉に加えて、ひとこと言わせていただきます。PMDAで医師に2年か3年ぐらい来ていただいて、お仕事をしていただくわけですが、その中に審査の仕事があります。1つは有効性のしっかりした調査と、もう1つは安全性の確認というのをやります。一般的に医療の分野では有効性を追いかけることが非常に多いですが、薬事の世界でいちばん重要なところは、安全性をかなりしっかり追求していくわけです。そういう中で信頼性保証というのを見ていくわけです。したがいまして、医師にうちへ来ていただいて、そういうお仕事をしていただくときに、信頼性保証部に併任を掛けています。例えば、カルテとか臨床データが出てくるわけですが、本当にそのとおり出ているかどうかを見るお仕事もしていただくわけで、改めてこういう治験や臨床研究をサポートする人たちが、そういうことをしっかり身をもって体験していただくことが、1つの教育なのかなと思うところです。それについては、そういう経験を積んだ方がそのまま、ただ戻って普通の人になるのではなくて、このご提案の中に臨床研究の専門医とか認定医制度を検討すべきということが3頁に書いてありますが、そういうところも含めて、是非ご検討いただきたいなと思うところです。
○矢崎座長 ありがとうございました。治験は、患者さんの信頼を得ることがいちばん大事で、実際に患者さんに接するドクターの教育というのを、もう少ししっかりやらないといけないというご指摘でもあるかと思います。
○中西構成員 私はこの提言には原則的に大賛成です。きちんとした地域の倫理委員会を作ることが同時にコストの削減にもつながります。ですから、これは一石二鳥だと思います。いわゆる倫理委員会の質の話が出ていましたが、実際に私自身もいくつかの倫理委員会の委員になったときに痛感していたことが、ほとんどが文言の修正にばかりに時間が費やされていて、重箱の隅ばかりをつついている。ひたすらそれが続いているで、参加してうんざりします。これは何が問題かというと、本当に倫理的に何が本質かという議論がないがしろにされている点です。そのために必要なものが、倫理審査をどのポイントにフォーカスを置いて審査をすべきかということを抽出し、支援する人材が必要という気がします。アメリカあたりのIRBは、まずそこを専門の人が目を通して、文言の修正等々は既に終わっていて、本当に重要なポイントだけが抽出されていて、それについて各委員が審査される。そうすると審査そのものが生きてくると思いますし、本質的な議論があることで安全性、倫理性も担保できると思っています。したがって、是非この中に倫理審査を支援する人材のところが入ることがあれば、ありがたいなと思っています。以上です。
○矢崎座長 ありがとうございます。
○田代構成員 いまの中西先生のご提案は非常にそのとおりだと思っています。ほかのところでも前回少し述べましたが、IRBの事務局の担当者は専門家です。つまり、アメリカで言えば倫理審査委員会の集合体のような組織があって、そこが認定IRBプロフェッショナルといった資格を出しているわけです。まさに彼らがきちんとそういったスクリーニングをして、文言の修正というのはいまおっしゃったように事務局の仕事であって、倫理審査委員会の仕事ではないにもかかわらず、日本の場合、そこが極めて弱いまま出てきてしまっているので、倫理審査委員会で事務局のすることをやっただけで終わっている状況がある。これは本当に問題があるところなので、そういった人材をどう育成していくのかを含めて、実際に、日本には医学部の倫理委員会の集合体はありますが、それ以外には全くない状況で、諸外国にはそれぞれの国に倫理委員会のノウハウを持ち合って、そういったスキルアップを図る団体もありますので、その辺を含めて是非考えていければと考えています。
○ライフサイエンス課長 先ほど小林構成員からES細胞のお話がありました。臨床研究とは少し異なる倫理審査ではありますが、私は担当で室長をやっていたことがあります。ちょうど5年前ぐらいですが、倫理審査は議事録を全部出していただく二重審査という形でしたので、実質審査の内容を全部見ていましたが、ご指摘のように非常に枝葉末節の議論に多くの時間を割いている。残念ながら、倫理審査委員の先生方が指針を熟知していない。そして審査に当たって、指針と対応した形で審査をすることが十分にこなしきれていない。かつ、論点が整理されていない。これは、まさに事務局で問題点を整理することができていない状況にありました。当時、数が少なかったこともあって、全部の機関の事務局、倫理審査委員の先生方とお話しましたが、いちばん大事なのは、大学の責任者、機関の長が、その事務局も含めた体制を取ることが自分の本来の業務であることを認識されていないことに問題があったのではないかと、いま思っています。こういったところでどうするか。もちろん集約していくことも大事ですし、そういう意味では分担して、どこか地域の中核、地域の倫理審査でやっていただくことは大事ですが、それを誰がやるのかということを考えておかなければいけないことと、予算で措置することも可能ですが、これはあくまでも支援にしないと、審査を丸投げして、うまくいかないのは規制のせいだという短絡的な議論になりかねないということで、責任関係と支援をセットで議論いただいたほうがいいのではないかと思っています。
○楠岡構成員 いまのご議論は、全くそのとおりだと思います。いままでの議論の中でIRBの事務局が非常に弱いというか、ただ単に必要な書類のコピーで終わってしまっているような事務局の体制になっていますが、これは事前のチェックをしっかりしていただく。ただ、やりすぎるといまご指摘のように、要するに事務局に丸投げしてしまって、倫理委員会が形骸化してしまうという逆の問題も起こりますので、どこまでがどちらの責任なのかをしっかり明確にしたガイドラインがあるというのはおかしいですが、そこをはっきりさせていかなければいけないかと思います。
 もう1つは、先ほど田代構成員からのご指摘のように、共同IRBに集約化していくのが効率としても非常にいいし質も高まると思いますが、その分、ますます事務局業務が増えていくわけです。各医療機関ごとで少しずつ違うものを集約化しても、戻すときにはその違いを踏まえた上で戻していかないといけないということで、事務局の機能も多岐化すると同時に業務量も増えるので、その方向でいく場合も、ただ単に集約化しなさいというだけではなくて、事務局の機能もしっかり踏まえた上で、それに見合った体制を整備していかないと、結局事務局が機能しなくて結果的に不成功に終わることになりかねないと思います。ここはしっかり記載していくべきではないかと。
 もう1つは、日本の場合はどうしても変な言い方ですがメンツみたいなのがあって、ほかの機関での審査を受け入れることに、とても抵抗を示す方がおられたりします。1つのやり方として、ドイツの場合は1カ所でやるのではなくて、例えば、がんはこの大学でやる、循環器はこちらの大学でやるというような専門化して分業化するような形も取っているみたいですので、そういうもののほうが、かえって日本では受け入れられやすいかもしれない。最終的に、お互いが合同すれば、最後は1つの地域のエシックス・コミティーみたいなものになっていくかと思いますが、そのプロセスも少し考えてやっていかないと、いきなり上からこうやれといっても、なかなかまとまらないというのも、日本の事情としてあり得ると思いますので、そこも考慮が必要かと思います。
○本田構成員 IRBの問題に関して、皆さんのご意見に私も賛成で勉強にもなりますが、1つだけ。そういう問題を一部の関係者の問題ではなくて、国民的な問題として位置づけていって、それぞれの責任の明確化もしていくという意味で書いてありますが、被験者保護のあり方についての法制化を含めて本当に検討をしないと、これだけ臨床試験や治験を進めると言っているのに、被験者保護法すらないというのは、メディアはよくそう書きがちですが、そういう検討もしっかりしていただきたいと考えています。
○矢崎座長 ありがとうございます。そのほか、いかがですか。
○楠岡構成員 被験者保護のところで、私も意見表明のときに書きましたが、いまはIRBの質の保証が中心になっていますが、本当を言うと研究責任者の質の保証も大事というか、いまはそれの専門医ができています。単に資格を取るだけではなくて、日々やっておられることの評価も必要で、そういうところをどうやって担保していくか。別に規制強化するわけではないですが、あまりに間違ったことをされる方には、臨床研究をしてはいけないという規制も必要になってくるのではないかというところはあるかと思います。
○田代構成員 1点追加をよろしいですか。いまの楠岡先生のお話で、そういうやり方がいいかどうかは全く別問題として、今日お話した中でアメリカのAAHRPPという施設の被験者保護体制の質保証のシステムで見ているのは3つで、1つ目は施設の被験者保護、施設について審査をする、2つ目はIRBについて審査する、3つ目は研究者について審査をする。3つを全部見た上でAAHRPPでは施設の認証を出しているわけです。だから当然質保証のメカニズムの中に、研究者の資質も入れるかどうかは1つの論点として、あり得る話だと思います。
○矢崎座長 そのほかはよろしいですか。ご意見を伺えば伺うほど、臨床研究に対する環境整備、体制整備が我が国では十分整っていないのではないかということが指摘されたと思います。おそらく、この骨子案を出せば終わりということではなくて、今後これを実際に我が国の臨床研究を推進するに当たって、質の担保あるいは倫理性の担保というのは、今後大きな課題になると思いますので、また改めて議論を進めるとともに、我が国でそういう体制を是非整えてほしいというのが、この検討会のメインの意見ではないかと思いますので、行政のほうもよろしくお願いします。
 最後の「その他」の項目で議論を進めたいと思います。
○治験推進指導官 8頁をご覧ください。(3)その他 1.小児・難病・希少疾患等への取組みについて。〈短期的に目指すこと〉として、小児・難病・希少疾患等、治験が進みにくい分野の臨床研究のあり方について検討すべき。ここは具体的案が出せなかったのですが、(具体的には何をどのように検討すべきか。)2.医療機器・先端医療への取組みについて。〈短期的に目指すこと〉として、医療機器の臨床研究・治験を実施する体制や医療機関を整備すべき。(具体的な要件を検討すべき。特に植え込み型医療機器の臨床研究・治験を実施する体制や医療機関をどう整備すべきか。)〈中・長期的に目指すこと〉として、医療機器の不具合による被験者への補償のあり方、特に植え込み型医療機器の補償のあり方については今後検討すべき。医療機器の評価方法の見直しを行うべき。(有効性と安全性の面だけでなく、機器の性能、使い勝手、利便性も評価していく必要があるのではないか。)
 3.資金提供等について。〈短期的に目指すこと〉としては、臨床研究における支援財団の育成についても検討すべき。大規模臨床研究を企画・立案、実施できるだけの公的研究費のあり方について検討すべき。最後になりますが、限られた資源を有効活用していくために、Funding Agencyを一本化して無駄をなるだけ少なくしたり、重点的な所に配分ができるような仕組みについて検討すべきを挙げています。4.制度について。〈中・長期的に目指すこと〉として、保険診療と臨床研究の整合性が図れるように、特に市販薬を使用した割り付けを行う臨床研究の実施可能性について検討すべき。(過去の事例を集めて「Q&A」を出すこと等を検討すべき。)植え込み型医療機器の臨床研究を実施する場合の医療保険上の取扱いについて検討すべき。生活保護受給者の治験参加への問題について検討すべき。(特に治験に入った後に生活保護法の適応となった被験者の取り扱いについてどのようにするのがよいのか。)
 3.復興に向けた取組み。(1)大規模災害が発生した際の迅速な対応について。1.被験者の安全確保や、2.データの信頼性確保等については、前回の検討会でも楠岡構成員に少しご説明していただきましたが、大規模災害が発生したときの迅速な対応については、12月中旬頃に各医療機関を含めて、大規模にアンケート調査を行うと聞いています。以上になります。
○矢崎座長 どうもありがとうございました。最後のアンケート調査というのは、まとめて来年度の検討会でご発表いただけますか。
○楠岡構成員 間に合わせるようにいたします。
○矢崎座長 いかがでしょうか。患者さんが少なくて治験が進みにくい分野の臨床研究のあり方も、ここで事務局は、具体的には何をどのように検討すべきかというのを、ご意見いただきたいということがあります。あとは医療機器の問題が、まだ我が国ではなかなか治験が進まないところがありますので、これについて何かご意見はありますか。
○塩村構成員 治験が進みにくいことについての原因ですが、案外と被験者を募集するということではないですね。それは、1つは専門医の間の連絡が非常に良くて、案外と見つかります。被験者は協力的な方が多いです。それから、患者さんの間の連絡も良くて、こういう治験が始まったというのはわりと広まるので、存外と苦労しない。つい最近も非常に珍しい病気の治験をやりましたが、予定したよりも早くエンロールが終わりました。ですから、そういうことではないと思います。
難しいのは、プロトコールが初めてのものですので、参考とするべきプロトコールがない。だから、プロトコールを作るのは難しい。それから難病ですから、そもそも有効性が出にくい。ほんの少ししか効かないとか、取れる症例数が少ないとかですから、検出のパワーが低いので、ダブルブラインドも存外と患者さんは受けてくださるので、できますが、検出パワーが低いから5%と言われても、なかなか有意差が出ませんよという問題があります。
 これはビジネスの問題で、今日の先生方にはそぐわないかもしれませんが、有り体に言えばあまり儲からないということです。それと、当社もそうですが、こういうことをやる会社というのは弱体な会社が多くて、財政基盤が弱いというのもあります。
話が違いますが、薬価が最後の最後に決まるものですから、全部が終わって認可を取りました、でも、会社としては認可を取ったものを出さないわけにはいかないですね。そうすると、薬価交渉で非常に弱いのです。値切られたら値切られっぱなしになってしまうことも、こういうものの開発をためらう要因であります。ですから、薬価交渉で本当は値切ってほしくないというのはあります。
 もう1つは、早期・探索的臨床試験の拠点で、非常に良い制度をお作りになって感激ですが、シーズが1つしかないケースが結構あります。これは製薬会社の常識ですが、シーズというのは基本的にはどんどんつぶれていくということなので、シーズを複数持たないと予算は付けたはいいけれども、実際には使えないということになると思います。シーズをたくさん持つ方法は、1つはネットワークです。他の施設で持っているシーズを活用することが大事だと思います。おそらくPMDAの近藤先生はよくご存じだと思いますが、大体第1相に入ったものの多くは第1相でつぶれますから、シーズを多様化するというのは非常に大事なポイントだと思います。以上です。
○矢崎座長 ありがとうございました。
○赤堀構成員 希少疾病用のところですが、医療機器に関しては前もお話したとおり、米国ではHUDというシステムがあって、これが導入されている。これは安全性を評価して、それで行ける。ある程度、お金も取れるというところがあるので、こういったシステムを検討していただくことと、機器に関しては無償ではなく有償ということも若干念頭に置いていただかないと、結構厳しい部分はあるのかなと感じています。
 機器に特有したところで言いますと、先ほど来セントラルIRBの話などが出ていますが、機器の専門家というのは必ず各施設にいらっしゃることは少ないと思いますので、こういったところを共同のIRB等で審議をしていくほうがスムーズに行くのではないかと考えています。
 被験者保護のところもここに書いてあります植め込みに関して、これは治験のみならず臨床研究も当然することになってきますので、この辺は今後どうやっていくのかということは全体的に議論していかないとまずいだろうと考えています。以上です。
○塩村構成員 申し忘れました。公的な費用の補助について、日本バイオテク協議会から11月24日に厚生労働省に対して、是非強めてほしいという要望書を出していますので、一言付け加えさせていただきます。
○中川構成員 前回もあったと思いますが、9頁の3.に「復興に向けた取組み」という項目がありますよね。特に(2)の「中・長期的な日本経済の復興の手段として、臨床研究及び治験の積極的な活用について」と、この3.自体が非常に違和感があります。取って付けたような感じで何も書いていない。復興に向けた取組みで、これは何を守るのですか。治験を守るのですか。臨床研究を守るのですか。ものすごく冷たい書き方で項目だけ書いて。これは3.全体を削除してください。
○矢崎座長 いかがですか。
○治験推進指導官 この「復興に向けた取組み」というのは、確かに復興というテーマが突然出ているような感じがしますが、事務局としては検討会を今年度に立ち上げて、今回3月11日に起こった大災害を1つのきっかけにして、これまで日本では大規模災害が発生したときに、被験者を保護するような過去の例が全くない。治験で提供されている治験薬をもって命をつないでいる患者さんが、大規模災害があったあとにどのように企業や医療機関が、その患者さんの安全性を守っているのかであるとか、それまで集められたデータもいよいよ承認申請をするとなった段階で、その取扱いがどうなるのか。承認申請にもかけられないのか。それでは、せっかくご参加いただいた患者さんの意思を無駄にすることにもなり得ます。逆に、災害が起因し発生した有害事象の取扱い。本来の薬の有効性とか安全性の評価のところで、それ以外のバイアスが入らないのかということは過去に調査されたことがありません。復興に向けた取組みというテーマに違和感があるのであれば、事務局で検討させていただきますが、(1)の大規模災害が発生したときの迅速な対応のあり方についてということをポスト5カ年で一度しっかり検討をして、今後もし大規模災害が起こったときには、教訓として生かし、1つの参考資料にすべきではないかと考えています。
○中川構成員 いま言われたのは、平時のときに考えることです。まだ3月11日から日も経っていなくて、被災地ではがれきは横によけただけですよ。そういうときに、この取って付けたような書きぶりは、被災地に非常に失礼です。今の説明は、平時のときからやることです。いまの時点で、この年の年末にこういうものを出すということは本当に失礼です。考えてください。
○治験推進指導官 データの蓄積としては必要ではないかと思う部分はありますが、中川構成員のご指摘は事務局で考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○矢崎座長 確かに臨床研究の進め方で合意の取組みというのは違和感がありますので、これはもう少し内容を考えてまとめてください。どうもありがとうございました。
 今日は本当に活発な意見、まとめることに大変素晴らしい貴重なご意見をいただきまして、厚く感謝申し上げます。今日で本年度内の検討会はこれで終わりですが、事務局から今後の予定についてお話ください。
○治験推進指導官 本日はどうもありがとうございました。次回の検討会には、本日いただきました意見を基に、少しずつ形にしていきたいと思っております。また、矢崎座長からもお話がありましたが、今後の会議の予定についてご説明します。何かとご多忙な時期を迎えられる構成員の先生方には、何とぞ日程確保のほうをよろしくお願いします。第5回の検討会は平成24年1月26日(木)10時から12時の予定、第6回の検討会は平成24年2月29日(水)10時から12時の予定、第7回の検討会は平成24年3月23日(金)10時から12時と組ませていただいておりますので、ご協力のほう、どうぞよろしくお願いいたします。
○矢崎座長 お忙しい中、何回もお呼び立てして申し訳ありませんが、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の第4回の検討会をこれで終了します。どうもありがとうございました。
(了)


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室
TEL 03-5253-1111
治験推進指導官 森下 内線4165

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