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2011年12月7日 第52回中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会議事録

○日時

平成23年12月7日(水)9:00~9:38


○場所

厚生労働省専用18~20会議室(17階)


○出席者

印南一路部会長 石津寿惠委員 森田朗委員
白川修二委員 花井圭子委員 北村光一委員 伊藤文郎委員
嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
森清一委員 昌子久仁子委員 田村誠委員
<事務局>
外口保険局長 唐澤審議官 鈴木医療課長 迫井医療課企画官
屋敷保険医療企画調査室長 吉田薬剤管理官 鳥山歯科医療管理官 他

○議題

○ 再算定における為替変動への配慮について

○議事

○印南部会長
 ただいまより、第52回「保険医療材料専門部会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告します。本日は、全員御出席いただいております。
 なお、関原委員は、今月3日をもって1期目の任期を満了しております。関原委員は公益委員であり、公益委員の任命については、社会保険医療協議会法第3条の規定により、国会開会中は、厚生労働大臣の任命に先立ち、国会両議院の同意を得なければならないこととされております。
 現在、国会同意人事の手続き中であります。このため、本日は、関原委員におかれては、委員としてではなく、私人として傍聴していただくことを御報告いたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、前回の材料部会において専門委員より御意見のあった、再算定における為替変動の配慮について御議論いただきたいと思います。
 事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○医療課企画官
 医療課企画官でございます。お手元の材-1、材-2で御説明をさせていただきたいと思います。
 部会長から、今、御説明がございましたとおり、本日、御議論いただく内容は、急激な為替変動への対応についてでございます。
 材-1をごらんいただきたいと思います。
 前回の御議論を踏まえまして、事務局として用意をさせていただいた資料が材-1でございますが、内容的に大きく2つでございます。
 まず、前半の1ページ目に現行制度の基本的な考え方、特に外国価格参照のそもそもの制度上の位置づけと、それから為替に関する配慮の論点となる部分をまとめております。これは、事実関係です。
 おめくりいただきまして、次に、もし今回、何らかの対応をしていただくとするならば、こういうことが考えられるというのをまとめております。
 まず、前半の事実関係の御説明を簡単にさせていただきますと、1ページ目でございますが、今回議論になっておりますのは、再算定における外国価格参照でございます。
 まず、1.をごらんいただきたいのですが、既に収載されております医療材料、すなわち新規に医療材料を保険導入する際には、機能区分でございますので、原価計算方式かあるいは類似機能区分の比較方式ですけれども、既に収載されているものについては、これは薬価、材料共通でございますが、基本的に市場実勢価、これを調査して評価するというのが○1でございます。
 ところが、○2でございますが、これは材料固有の制度でございますが、市場価格を基本的には反映させつつも、外国の価格を参照いたしまして、一定程度の乖離がある場合には、既に上市されているものについても、一定の再算定を行って減額をすると、こういうことでございます。
 この考え方、あるいは制度に至った経緯等が2.でまとめてございます。
 この制度は、平成14年度に導入いたしております。当時から、現在もそうですけれども、内外価格差の問題提起がなされておりまして、それに対応する形で制度導入されておりますが、平成14年度導入以降、外国価格と比較いたしまして、その比較水準で、一定の倍率以上の乖離がある場合には、再算定を行うということでございます。
 比較水準については、平成14年度導入当時、2倍以上の乖離というものでございますが、そこを順次見直しいたしまして、現在、1.5倍ということで運用しております。
 それから、参照国は4か国でございます。この話とは別に、オーストラリアを追加するという話が進んでいるのは、御案内のとおりでございます。
 それから、平成22年度改定のときに、既にこの為替の問題は議論がなされておりまして、そのときに整理をさせていただいたもの、私ども事務局としては、基本的には、この整理については、余り変更するべきではないと考えておりまして、再算定については、改定ごとということを踏まえまして、直近2年間の平均レートということになっております。
 2.の3つ目のポツですが、実際の運用といたしまして、材料価格、機能区分、700余ございますので、すべて再算定の検討対象というのは、余りにも非現実的でございますので、一定程度そういった外国価格との乖離が大きい、市場規模が大きい、こういったものを考慮いたしまして、改定ごとに一定の対象品目を絞っておりますが、平成24年度改定については、130区分を対象として計算することといたしております。
 実際にどのような形で行うかというのは、※印、1ページの下半分でございますが、これは、平成22度改定で実際に行った例でございますけれども、乖離の度合いに応じまして引下げを行っております。
 ただ、急激にこれを実施するということになりますと、例えば平成22年度改定の例でいけば、平成22年4月1日から、急激にその価格を切り下げるということになりますと、大きな混乱が生じますので、切り下げる場合におきましても、段階的に実施するというもので、これは、平成14年度当初からこういった形で段階的に導入しているという例でございます。
 ここまでは事実関係でございまして、おめくりいただきまして2ページ目でございますが、この後、専門委員の方から御説明があろうと思います。そういった実情あるいは実態を勘案いたしまして、仮に何らかの対応をするとしたならば、こういうことが考えられるという案が3.でございます。
 ここで申し上げておりますのは、材-2の為替レートの推移、このグラフを横目で見ていただきまして御検討いただきたいんですが、材-2は事実関係でございまして、為替レートはこういうふうな変動をしております。為替でございますから変動するのは当然なんでございますが、今回、こういったことを御議論いただく背景といたしまして、1年平均、2年平均のレートの変動を書いてございますが、特に、平成22年前後、円高が急速に進行している、逆にいいますと、外貨すべてが外貨安に振れていると、しかも進行度合いが急激であるということについてどう配慮するのかということでございます。
 この材-2のグラフの右側、これが実際再算定時に考慮いたします2年平均値ですが、これを見ていただきましても、一定の急速な進行がうかがえるということで、このことをどう考えるかというのが、まず、前提でございます。
 この上で、材-1の2ページ目に戻っていただきまして3.の(1)でございますが、基本的に再算定自体をやめるということではございません。これは、事務局といたしましては、引き続き内外価格差の問題もございますので、この外国価格参照制度は、基本的には堅持していただきたいと考えております。これが(1)でございます。
 しかしながら(2)で、一方で、先ほどから御説明しておりますような急激な変動というものを配慮するとするならば、例えばこういうことが考えられる、(2)でございますが、2つ要件があるのではないかと考えております。
 専ら為替の変動において、今回、こういった再算定の配慮が必要だというのは、すなわち、これは外国価格との参照ですから、外貨のベース、すなわち外国の市場において価格は基本的には一定程度落ち着いている、下落はしていない。
 ○2で、為替の影響があるということは、逆にいいますと、例えば前回の改定時のレートを用いますと、本来、この基準値である1.5を超えない。しかしながら、今回、逆にいいますと、変動があったために超えてしまったというものについては一定の配慮をし得るのかなと。
 この要件を説明させていただいているのは、同じ資料の材-1の3ページのポンチ絵でございます。
 このポンチ絵の横表をちょっと見ていただきたいんですが、いわんとするところは、黄緑の棒が外国の価格でのイメージです。前提といたしまして、外国の価格、外国市場においては、一定の価格の安定がある、下落していない。
 この場合、外国価格参照制度では、円換算で基準値を設定いたします。これが、赤い斜線及び赤いバーでございます。円高は進んでおりますので、事実上参照すべき値が変動いたします。
 このブルーのラインが日本国内における実勢価格でございますけれども、仮に日本の価格の実勢価格が変わらなかったとしても、上がっていなかったとしても、この基準値の1.5倍自体が下がっていきますので、1.5倍を平成22年度改定時のレートであれば引っかからなかったにもかかわらず、今回のレートの問題で引っかかったと、こういう可能性があるということでございます。
 逆にいいますと、こういった場合においては配慮する余地があるのかなと、こういうことでございます。
 2ページに戻っていただきまして、今のようなイメージで配慮するとしたならば、全体的にはどういった影響あるいは位置づけになるのかというのが、2ページのポンチ絵以下でございます。
 まず、先ほど申し上げましたように、機能区分数全体で732ございます。
 先ほど御説明しましたとおり、今回、再算定の対象、検証区分が130区分です。これは、粗々の試算ですが、現在、材料価格調査の速報値が出ておりますので、現在精査中ではございますが、この数字は、大きな変動はないものと思いますので、現在の比較水準の区分からいきますと、恐らく再算定の対象となり得るのが約40区分でございます。
 そのうち、上記(2)、先ほど御説明しましたように、これは、さすがに為替の影響があるのかなという条件に合致するものは、大体3分の1程度でございます。
 これらについて対応するとすれば、このような配慮してはどうかということでございます。
 さらに具体的な対応の考え方が、下半分の表にございます。上の矢印の手前の表は、前のページで見ていただきましたような、今まで実施しております考え方です。
 この表は、少しわかりにくいので、もう少し追加で御説明いたしますと、今、御説明したような配慮は、すなわち為替の影響でもしかしたら、本来ですと再算定の対象にならなかったかもしれないものでございます。
 逆にいいますと、この表の上の方の黒枠で囲ってございますところが対象になりますけれども、25%、20%下落する、すなわちそもそも乖離の度合いが大きいものは、そもそも内外価格差が大きいものでございますので、私ども事務局の考え方といたしましては、こういったものについては、逆に配慮する必要はないのではないか。そもそも外国価格の乖離が大きいから、そういう対象になっていると。
 しかし、黒枠で囲ってございます15~20%未満のものにつきましては、まさに微妙なラインであったわけですので、為替の変動の影響を受けた可能性があると。
 したがいまして、上記の(2)での条件を満たした場合には、例えば15%下落する場合、15%未満の場合、3%、9%、15%と書いてございますが、これについて引下げの度合いを一定程度緩和してはどうか。
 緩和の割合といたしましては、今後の材料価格調査の精査によって確定させていただきたいと思っておりますが、例えば、先ほど見ていただきました材-2のレートの変化度合いを勘案いたしますと、外貨の全体的な下落率は目の子でいいますと、大体0.8、80%くらいの外貨の低下になっておりますので、例えば引下げ率を0.2、すなわち20%程度緩和するということが考えられるということでございます。
 事務局からの御提案といいますか、論点整理といたしましては、以上でございます。
○印南部会長
 どうもありがとうございました。続きまして、関連する資料が専門委員より提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○田村専門委員
 前回、委員の先生方からいただきました御指摘は、大きく3つございました。
 1点目は、医療機器メーカーとして、これまでに日本国内でどのようなコスト削減努力をしてきているか、また、急激な円高がそのまま償還価格に反映された場合に、こういう通常の努力に加えて、どのようなコスト削減を計画中かを具体的に示すこと。
 2点目は、輸入原価と日本国内でかかるコストの割合をデータをもって示すこと。
 3点目は、医療機器メーカーの経営状況を表すこと。この3点でございました。それぞれ配付資料に沿って御説明させていただきます。
 まず、1枚目の資料でございますが、これは、AMDD及び医器工医療保険委員会が内部で実施した調査に基づき作成した資料です。
 コスト削減と申しましても、医療機器メーカーとしては、患者様の安全担保が絶対の使命でございます。その安全に支障を来さないように十分配慮しつつ、これまでもコスト削減を行ってきております。
 この資料では、従来の償還価格引下げ及び今回の為替変動に伴う再算定に備え、企業が既に実施している項目に加え、経営状況によっては実施しなければならない準備中の項目を含め、網羅的にお示しするものです。
 横軸の左の方に位置する項目は、医療機器メーカーに限らず、広く一般の企業で実施しているコスト削減努力です。
 通常の改定時においても、また、それ以外の場合にも普段から実施しているものです。
 そこから右に向かうに従って、今回の急激な円高が、そのまま改定後の償還価格に反映された場合を含め、経営的により踏み込んだ対応を行わなければならない場合の項目を示します。
 また、縦軸の下の方に位置する項目は、医療機器メーカーの企業内部でおおむね完結できる削減努力を示し、そこから上に向かうに従って、医療機器の提供体制に広く影響を及ぼす可能性が危惧される項目を示します。
 ただし、この軸はあくまで目安でございまして、さまざまな項目が少しずつ右に行ったり、左に行ったりするものではございます。
 左下の黄色と緑色の箱、IとIIの箱は、医療機器メーカーに限らず、広く一般の企業で実施している通常のコスト削減努力であって、医療機器の提供体制の影響が比較的小さいと考えられるものです。
 人事組織関係の合理化の項目が並んでいます。
 例えば、黄色のボックスに例示されている外注化については、顧客対応、苦情対応、経理を中国へアウトソーシングしている会社があるとのことです。
 緑色の箱では、国内の生産拠点の生産ラインの一部を順次東南アジアのグループ工場に移転することによるコスト削減を既に幾つもの会社で実施しています。
 また、原材料や包装材料の統廃合、調達先の見直しを行っているとの報告もありました。
 ただし、これらはいずれも品質供給面で十分な検討が必要であるとともに、薬事的な手続きを必要とするため、一定の時間とリソースが必要となります。
 また、ラインの自動化などの工程改善は、設備投資を伴いますが、コスト削減に大きく寄与することから、取組みがなされています。
 真ん中、少し上方に位置します橙色の箱、IIIの箱には、場合によっては、個々の製品に影響が発生し得るようなコスト削減対策が記載されています。
 例えば緊急出荷対応などの停止、預託在庫数量の削減等のロジスティックスの合理化あるいは不採算品サイズの受注生産化などの生産の合理化、また、学術活動費の圧縮等が含まれます。
 これらに加えて、さらに強力なコスト削減を行う必要が発生した場合、右上に位置する赤色の箱、IVの内容に踏み込む必要が出てくることがあります。
 例えば、製品開発費用の削減、新製品パイプラインの見直し、日本ニーズに基づく製品開発の中止、不採算サイズの廃止等が行われる可能性も否定できません。
 これらの赤の箱にあるようなコスト削減方策が実施されますと、医療現場の皆さんの期待を裏切り、また、患者様に御迷惑をおかけするだけでなく、企業にとっても長期的展望を失う事態となりますので、何としても回避しなければならない領域です。
 しかしながら、急激な円高がそのまま償還価格に反映される状況を想定して、画期的な新製品導入に不可欠な臨床のスタッフを2けた単位で削減することを計画中の企業が、残念ながら既に存在しています。
 通常の改定による償還価格引下げでも、企業によって状況は異なりますが、2年ごとに3から7%くらいの価格引下げが起こります。この真ん中をとっておおむね5%くらいの価格引下げは、この左端の黄色の箱のコスト削減策で、これまで企業は何とか乗り切っています。
 5%の価格引下げを超えますと、縦軸の真ん中に位置する、横軸の真ん中に位置する橙色及び緑色のボックスに記載されている方策に踏み込むことになります。
 このレベルであれば、各社とも何とか医療現場や関係者の皆様方に御迷惑をかけないような形でコスト削減を継続的に進めていくことができています。
 さらに今回の為替変動に伴う再算定による償還価格引下げ、すなわち10%以下の価格引下げになりますと、右上の赤い箱にあるようなコスト削減策を取らざるを得ない企業が出てきます。新製品開発が滞り、また、医療現場に従来お届けしていた製品の供給を中止するなど、御不便をおかけするような大変憂うべき事態が懸念されます。
 次に資料の裏側にいっていただきまして、輸入原価と日本国内でかかるコストの割合です。
 お示ししました資料は、2009年にAMDDが三菱総研に委託して実施した調査によるもので、日本国内における医療機器のコスト構造です。
 左側が循環器関連の医療機器、右側が整形外科関連の製品のコスト構造を示したものです。
 医療機器の種類によってコスト構造は大きく異なりますので、これはあくまでも代表例としてお示ししておりますが、おおむね輸入原価に相当する臨床前の研究開発費及び製造費はいずれも40%未満です。
 また、参考までに医薬品のコスト構造を御紹介します。中医協の薬価専門部会で薬価算定の際の平均的なコストの内訳が示されていますが、その資料をここで示した方法と同様に製造原価あるいは輸入原価と日本国内でかかるコストに分けますと、製造原価、輸入原価の割合は、約34%でした。
 輸入原価が40%未満ですと、前回の部会でお示ししました輸入原価40%、国内コスト60%の例よりもいずれも輸入原価の割合は低く、為替の企業に対する負のネガティブな影響がより大きくなるといえます。
 3枚目の資料をごらんください。医療機器メーカーの経営状況です。厚生労働省が過去に実施していた医薬品・医療機器産業実態統計で、最新の2008年度の調査によれば、医療機器製造販売業の営業利益率は5.6%、当期純利益率は2.2%で、いずれも2006年度以降に低下する傾向にありました。
 医療機器といっても、画像診断などの大型医療機器から、いわゆる医療材料を製造・販売しているところまでさまざまな企業が含まれており、このデータにはさまざまな解釈があり得ると思いますが、全体として見たときに、急激かつ大幅な価格引下げを容易に吸収できる経営的余裕がある水準ではないと考えられます。
 まとめさせていただきます。患者の安全確保及び質の高い製品を継続的に供給することは、医療機器業界の第一の使命であり、それに向けて企業は全力を挙げるべきと考えますが、そうした責任を確実に果たすためには、経営の安定性の確保が求められます。
 また、他の産業との比較において、相対的に研究開発にかかる費用が大きく、通常はある程度の利益がないと持続可能性が厳しい業界です。
 とりわけ、先の震災以降、サプライチェーンの強化が製品供給の安定に必須であるとの見方もあり、その強化にかかるコスト増とどのように折り合うか、難しい経営判断を迫られている例もあると聞きます。
 こうした状況にかんがみ、急激な為替変動が償還価格に与える負の影響をどのように緩和すべきか、また、し得るかについて改めて御検討いただきますと幸いです。
 以上です。
○印南部会長
 ありがとうございます。ただいまの事務局及び専門委員の説明について、御質問等ございますでしょうか。
 堀委員、どうぞ。
○堀委員
 1つ確認させていただきたいんですが、今回、2つの条件にあった場合は一定の配慮を行うこととしてはどうかと、この一定の配慮は、今、具体的に20%の緩和というのは出てきましたけれども、平成24年度改定の時点で、財政的にどのくらいの具体的な影響があるのか、もし、把握されていたら教えていただきたいと思います。
○印南部会長
 事務局、お願いします。
○医療課企画官
 医療課企画官でございます。全体的に大きな傾向としては、現在の速報値で推計いたしましたところによりますと、まず、区分としては、先ほどお示ししましたとおり、大体該当する区分が15程度ではなかろうかと考えております。
 その場合の影響額でございますが、これは、粗い推計ですけれども、全体の材料価格の今回の乖離率に伴う財政部分のうち、多く見積もっても1%前後ではなかろうかというふうに考えております。
 事務局から、以上でございます。
○印南部会長
 よろしいでしょうか。ほかに、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 業界全体の利益率を見ますと、低いとおっしゃいましたけれども、我々医療機関からの利益率から見ると決して低くはないと思われます。ある程度以上の利益がないと持続可能性がないとおっしゃいましたが、まさに医療機関も同じような状況にあるということだと思います。
 実際、コスト削減努力をされているということですが、ここに書いている中で、具体的に昌子専門委員のところは、この業界の分野の中では大企業だと思うんですが、どのようなことを実際に行っているのか、ちょっと教えていただけますか。
○印南部会長
 お願いします。
○昌子専門委員
 御質問ありがとうございます。各社へアンケート等を取りましたところ、資料に記載しましたように、海外への工場移転は、幾つかの会社で既に取り組まれています。
 また、工程改善を積極的に進めているということが多くのアンケートの回答として出てきています。
 さらには、研究開発において、開発コストの削減をもう既に検討をしている、あるいは開始しているとのアンケート結果が出てきております。
○印南部会長
 よろしいでしょうか。
○鈴木委員
 国産のものはそういうことなんでしょうけれども、外国製品の輸入価格の話ですから、それに関しては、輸入品を扱っているような業界というか、企業というか、そういうところはどういうことをされているのか、もう少し教えていただけますか。
○田村専門委員
 ここで挙げてあるようなことをさまざまやっておりますが、1つは、なるべく人員を増やさない、あるいは時によっては、採算性の低い事業分野については、人員を削減する。あるいは営業所を閉鎖していく、営業員は、自宅あるいは外で仕事をして、営業所を閉鎖するというようなことは、既に始めているところがございます。
 そのほか、先ほど申しましたように、どうしても突発的に苦しいときは、新製品として開発予定していた臨床試験を延期するとか、そのようなことで、その年のコストをかけないようにして将来に先送りするというようなことは、今までもやっておりますし、これからもしなければならない場合があるかもしれません。
○印南部会長
 よろしいですか。嘉山委員、お願いします。
○嘉山委員
 前から私は、機械の販売に関して、日本とアメリカでは全然状況が違うので、日本の方がどうしても、要するに人手がかかるというのは、よく理解できます。
 なぜかというと、アメリカの場合には、例えば100人の脳外科医がいても、2人くらいしか手術しないくらい、非常に集中するんですね。ですから、ハイボリュームホスピタルといって、例えば私らが絶対に彼らに勝てないのは症例数なんです。すごい症例数を彼らは集めてしまうんですね。ですから、病院の数も非常に少ないということで、日本の場合にはフリーアクセスが一番の、医療の質としては世界で1位、それを保っているのはフリーアクセスなので、そういう意味では手間がかかるということはよくわかりますので、この為替の変動で非常に苦しいということはよくわかります。ただ、よくここまでお出しになったと思いますけれども、当期純利益率等々ですね。
 これは、前回の診療報酬改定で大学がかなりよくなったとはいっても、例えば私が、今、休職中の山形大学の附属病院の去年のあれは99%ですから、マイナス1%なんですね。そういうところから考えると、大きな病院も大体1%、2%くらいしか純利益率がないんですね。それから比べると、まだ余裕があるかなという感じがするんですね。
 ちょっとお願いなんですけれども、もしも、今回、これを認めた場合に、経営努力をするときに、どこは残して、どこは経営努力しようとお考えなのか、なぜかというと、日本の病院は非常に職員が少ないんですよ。アメリカと比べれば、看護師でいえば8分の1しかいないし、事務に至っても、MDアンダーソンと国立がん研究センター、うちとでは事務職員は100倍違いますからね。
 そういう意味で、日本の材料の卸にしても製造にしても、欧米と比べて非常にアフターケアがいいんですね。それだけは認めているんですけれども、この中でどこを、今回、企画官がいったようなことになれば、削減をしないで残してもらえるのか、つまり、そういうことは残してもらえるのであれば、会社の利益ではなくて、医療安全につながるので、私はいいと思うんですが、どこを残しますか。
 例えばこの橙色のところの学術活動費の大幅圧縮とか、あと、医師へのトレーニング、例えばロボティックサージェリーを我々は、アメリカに行ってトレーニングしないと使えないですね。ああいうものの費用も、もし削ってしまうとなると、もう完全に日本の病院自体に職員がいないので、とんでもないことになるんではないかと思っているので、そこら辺は残していただけるんですかね。
○印南部会長
 専門委員、どうぞ。
○田村専門委員
 最終的には、個々の企業の判断になりますので、一個一個についてここで明言することはできませんが、この真ん中の橙色と、右上の赤で申しますと、まずは、右上の赤の部分はなるべく避けたいというふうには考えております。製品がお届けできなくなるものとか、あるいは一部の既に供給しているものを撤退するというのは避けたいと思っています。これが、一番の優先順位だと思っています。
 もちろん、橙色のところも、先生方をサポートさせていただいて、そういうふうに御評価いただいているものをやめるということも極力避けたいと思いますが、事務局から提案が出ているものについても、まだ、削減幅など、今一つ見えていないところもございますので、ちょっとわかりませんが、なるべく橙色のところにも踏み込まない、左下の黄色のところあるいは緑色の皆様方に御迷惑をかけない範囲でやりたいと考えております。
○嘉山委員
 もし、それをちゃんと担保していただけるのなら、私は、これを認めてもいいんではないかと思いますけれども。
○印南部会長
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
 普通、内外格差というのは、経営努力で吸収するというふうに考えられると思うんですが、今回が非常に異例の状況だという場合に、この対応というのは、これからずっと先まで考えた対応なのか、それとも、例えば次の次の改定までの限定的な、時限的な、暫定的な対応なのか、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○印南部会長
 企画官、お願いします。
○医療課企画官
 医療課企画官でございます。私ども今回、事務局で整理して御提案させていただいている内容につきましては、事務局といたしましては、これは今回限りという認識でおります。
 もう少し具体的に申し上げますと、先ほど御説明したときにお示しをしました為替の変動の具合、このような急激な変化が今後頻回に起これば話は別でしょうけれども、かなり急激だということに認識をして措置をしております。
 もう少し具体的に申し上げますと、これは最終的な対応をお示しをする際、すなわち次回以降の部会で、次回改定の対応の骨子の中にある程度明示させていただきたいと思っておりますが、例えば外貨は幾つかございますけれども、今回のような形で、すべての外貨に対して円高が進んでいるということからしますと、例えば個別の通貨について10%程度、すべてにおいて円高になっていると。
 それから、例えば全体で、今回のケースですと、我々のおおざっぱな試算ですと、20%程度、先ほど申し上げましたとおり、外貨全体の平均が安くなっておりますので、個別に一定の基準、例えば今回でいいますと10%程度、かつ全体で15%程度外貨が安くなっているということであれば、これはかなり急激だということでございますので、そういったクライテリアを満たすという前提で、今回対応します。
 こういったことが、そう頻回に起こるとは認識しておりませんので、事実上、今回限りの措置というのが、私どもの提案の趣旨でございます。
 事務局から、以上でございます。
○印南部会長
 よろしいでしょうか。
○鈴木委員
 今回に限った緊急避難的な措置ということであれば、一定の同意はしたいと思います。
○印南部会長
 ほかに、北村委員、お願いします。
○北村委員
 私も、今、鈴木先生と同じ質問をさせていただこうかと思っていました。急激な円高で、各業界みんな厳しい中で、医療機器業界も厳しい状況は、今の御説明でよくわかりましたけれども、患者負担や医療財政を考えると、やはり内外価格差を是正するという大方針は変えられません。ですから、今回の対応は、急激な為替変動による例外的な措置ということで、私たちも対処したいと思います。
 以上です。
○印南部会長
 ありがとうございました。ほかに、白川委員、お願いします。
○白川委員
 今、北村委員が申し上げたとおり、暫定措置といいますか、緊急避難といいますか、原理原則は堅持するという方針で、緊急避難的に特例措置という御提案でございまして、財政的な影響も全体の1%程度ということの御回答がありましたので、今回、やむを得ないと思っております。
 逆に1%程度の財政規模ということは、業界として多分不満足というか、今回の急激な為替変動をカバーする額としては、かなり小規模な額というふうに私は思いますけれども、ただ、そういう配慮をするという姿勢だけは、ぜひとも御理解をいただきたいと、その上で、今回の特例措置については、限定で賛成をさせていただきたいという意見を申し述べたいと思います。
 以上でございます。
○印南部会長
 ありがとうございました。伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員
 私もこの材料の内外価格差というのは、大変な問題だと思っておりますが、この急激な変動について、激変緩和ということで今回の措置については賛同を示したいと思っております。
 しかし、もう一つ大きな観点から見ますと、先ほど嘉山先生がおっしゃられましたけれども、国立病院の先般の医療経済実態調査でも、材料費の高騰というのが非常に大きな足かせになっておりまして、人件費をかなり、50%以下に抑え込んでいるにもかかわらず、材料費が10%もかかり大変医業収益を圧迫している。
 また、一方で、国家的に4疾病5事業、こうした重点項目を挙げて、今、国家を挙げて取り組んでいるわけでありますので、こうした特に特定の重点項目の機能については、今、1.5倍という価格差の中で、均一的に、いわゆる縛りを設けておりますけれども、さらに進んで1.2、1.3もしくは1.25とか、いろんな議論はあるかもしれませんが、ぜひ重点的に業界を挙げて取り組んでいただきたいという具合に思っておりまして、特にこの重点項目については、いわゆる業界を挙げて、こうした医療業界に協力をしていただけるということをぜひお示しをいただけると、非常にありがたい。これは、要望でございますが、併せて意見として述べさせていただきます。
 以上です。
○印南部会長
 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 おおむね為替変動について配慮することについては異論はなかったと思います。ですので、事務局から示された案に基づき、為替変動への配慮を行いたいと思います。
 次回の日程について、事務局から何かありますでしょうか。
○医療課企画官
 今月中にもう一度お願いしたいと思っております。時期等につきましては、また、改めてお知らせしたいと思います。
○印南部会長
 それでは、本日の保険医療材料専門部会は、これにて閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線3276)

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