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2011年10月24日 第2回乳幼児身体発育調査企画・評価研究会(議事録)

雇用均等・児童家庭局母子保健課

○日時

平成23年10月24日(月) 13:30~15:30


○場所

厚生労働省専用第18・19会議室


○議題

1 平成22年乳幼児身体発育調査結果の概要について
2 身体発育曲線について
3 身長体重曲線について
4 その他

○議事

○芳賀栄養専門官
 定刻となりましたので、ただ今から「第2回乳幼児身体発育調査企画・評価研究会」を開催いたします。構成員の皆さまには、ご多忙のところをご出席いただきありがとうございます。
 開催に当たりまして、雇用均等・児童家庭局長の高井よりご挨拶申し上げます。

○高井雇用均等・児童家庭局長
 雇用均等・児童家庭局長の高井でございます。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。今回の「乳幼児身体発育調査企画・評価研究会」の開催に当たりまして、ご挨拶申し上げます。
 まず、構成員の皆さま、また本日参考人としておいでいただいております横谷先生には、日ごろより母子保健、児童福祉の推進にご理解・ご尽力を賜っておりますことを厚く御礼申し上げる次第でございます。
 昨年4月の本研究会でご議論いただきましたことを基にいたしまして、昨年9月に平成22年乳幼児身体発育調査を実施いたしました。本日は、その結果をご説明いたしまして構成員の皆さまにご確認いただきたいと思います。本報告書につきましては、確定した後、速やかに公表いたしまして、各自治体において今後の乳幼児の保健指導の指標として活用していただくことになります。また、来週の10月31日に開催を予定しております「母子健康手帳に関する検討会」にも報告する予定です。
 昨今、低出生体重児の増加でありますとか児童虐待、核家族の増加などを背景に、母子保健に対する期待がますます大きくなってきております。厚生労働省といたしましても、母子保健施策の充実に取り組んでまいる考えでございますので、引き続き、ご指導・ご協力をいただきますようお願い申し上げまして、簡単でございますけれどもご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○芳賀栄養専門官
 それでは、本日ご出席の構成員の先生方をご紹介させていただきます。
 昭和大学医学部小児科学教授の板橋家頭夫先生です。
 社団法人日本小児保健協会会長の衞藤隆先生です。
 国立保健医療科学院統括研究官、加藤則子先生です。
 東京都健康安全研究センター所長、住友眞佐美先生です。
 東邦大学医療センター大森病院の田中政信先生です。
 東邦大学医学部名誉教授、多田裕座長です。
 済生会横浜市東部病院顧問、月本一郎先生です。
 福岡市早良保健所長、南部由美子先生です。
 松田先生は少し遅れていらっしゃいます。
 国立保健医療科学院生涯健康研究部長の横山徹爾先生です。
 青森県立保健大学健康科学部教授、吉池信男先生です。
 また、本日は専門参考人として国立成育医療研究センター生体防御系内科部長の横谷進先生にご出席いただいております。
 なお、柳澤正義先生、児玉浩子先生からは、事前に欠席のご連絡をいただいております。
 続きまして、事務局も昨年以降異動がありましたので、あらためて紹介させていただきます。雇用均等・児童家庭局母子保健課、泉課長です。

○泉母子保健課長
 泉でございます。よろしくお願いいたします。

○芳賀栄養専門官
 堀内課長補佐です。

○堀内課長補佐
 よろしくお願いいたします。

○芳賀栄養専門官
 山本課長補佐です。

○山本課長補佐
 よろしくお願いいたします。

○芳賀栄養専門官
 申し遅れましたが、私は本年4月にまいりました栄養専門官の芳賀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 松田先生がおみえになりましたので、ご紹介させていただきます。東京女子医科大学医学部教授、松田義雄先生です。
 なお、田中先生、松田先生におかれましては、昨年4月の第1回研究会以降に構成員になられましたので、今回が初めてのご出席ということになります。
 それでは、この後の議事進行を多田座長にお任せいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○多田座長
 それでは、この議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。
 はじめに、資料の確認をお願いしたいと思います。事務局、よろしくお願いします。

○芳賀栄養専門官
 お手元にお配りしております資料の確認をお願いいたします。一番上に議事次第、座席図、次が資料1として「乳幼児身体発育調査企画・評価研究会」の開催要綱がございます。次に、資料2といたしまして「平成22年乳幼児身体発育調査結果報告書(案)」がございます。最後に、資料3といたしまして横山構成員の提出資料となっております。以上が配布資料でございますが、不足等はございませんか。よろしいでしょうか。

○多田座長
 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。ここの議題にございます「平成22年乳幼児身体発育調査結果の概要について」「身体発育曲線について」「身長体重曲線について」という三つの議題については、一連の議題になると思いますので、まとめて議論していただければと思います。
 まず、事務局から、調査の概要について説明をお願いいたします。

○芳賀栄養専門官
 それでは、お手元の資料2「乳幼児身体発育調査結果報告書(案)」に沿って説明させていただきます。はじめに、報告書案全体の構成に関してですが、表紙の後に目次1~4、1ページ以降がローマ数字1の「調査の概要」です。さらに、5ページ以降がローマ数字の2といたしまして「調査結果の概要」、こちらに載っております図表は後ろのローマ数字の3「図表」に載っておりますものから一部をピックアップしておりますので、表番号・図番号が違っておりますので、ご注意ください。21ページ以降が炉0間数字の3「図表」で、今回の集計結果として表1~表20-3まで。図に関しましては53ページ以降の図1~11-2となっております。さらに、ローマ数字の4「基礎集計」としまして65ページ以降に、今回の調査項目の一覧があります。これに関しましては、調査項目の中で、第1回でご意見をいただいた新規の調査項目等に関しては二重丸ということで、平成12年と比較して調査項目の一覧を作成しております。66ページ以降は、一般調査さらに病院調査における基礎集計結果となっております。最後に、71ページ以降の「別紙」でございますが、「計測器具及び計測方法」に関する資料となっております。結果の概要に関しまして、報告書案の1ページ以降を基にご報告させていただきます。
 まず、1「調査の目的」は、ここに書いてありますとおり「身体発育値及び発育曲線を明らかにして、乳幼児保健指導の改善に資すること」を目的に実施いたしました。
 2の「調査の対象及び客体」に関してでございますが、一般調査・病院調査それぞれ記載のとおりでございますが、後ほど後ろのページで客体数の一覧がありますので、そちらで説明させていただきます。
 3の「調査票」に関しましては、一般調査票と病院調査票の2種類をご検討いただきました結果を基に実施しております。こちらに関しては3ページと4ページに掲載しております。
 4の「調査の時期」ですが、平成22年9月1日から30日まで。一般調査に関しましては、保健所が定めた日、病院調査に関しましては9月1日から30日までの1か月間としました。
 5「調査の方法」に関しては、調査の企画は学識経験者の協力を得て厚生労働省雇用均等・児童家庭局が行いました。一般調査の実施に関しましては、原則として乳幼児の一斉健診の形式を採って実施する集団調査に基づいて行っております。病院調査に関しましては、記入作成等を病院において行っております。計測方法に関しましては、報告書の最後に別紙として掲載しておりますが、全項目に関しまして「乳幼児身体発育調査必携」に基づき実施しております。
 次に、6「調査の系統」についてです。ご覧いただいているとおりですが、一般調査に関しては厚生労働省から都道府県・保健所設置市・特別区さらに保健所で調査班を組織して被調査世帯へ。病院調査に関しましては都道府県を通して病院そして被調査乳児へということで行っております。
 次に、7の「結果の集計及び集計客体」についてです。結果の集計は厚生労働省で行いました。計測値に関して異常と考えられるものについては、個票に戻り再確認して異常値を除外しております。各種の統計表及び分布表の作成においては、計測値のパーセンタイル値及び平均値について、調査対象人数が限られていることによる偶然変動がみられたため、検討の結果分布の上下0.01%に当たるはずれ値を除いた上で、これらをLMS法により平滑化し、補正を行っております。なお、調査客体数、回収客体数、集計客体数に関しては、下の表とおりでございまして、一般調査票に関しては回収客体数が7,652人、病院調査票に関しましては、4,774人となっております。今回の一般調査の回収率は70.3%、前回の平成12年は81.4%でしたので、多少減少している状況です。
 次に、8「調査の企画・評価等」に関してですが、厚生労働省雇用均等・児童家庭局に「乳幼児身体発育調査企画・評価研究会」を設置するとともに、統計学的解析や結果の評価等については、平成23年度厚生労働科学研究費補助金「乳幼児身体発育調査の統計学的解析とその手法及び利活用に関する研究」の協力を得て行っております。
 それでは、5ページ以降のローマ数字の2「調査結果の概要」について、説明させていただきます。まず、1「一般調査及び病院調査による乳幼児身体発育調査値及び発育曲線について」でございます。(1)体重及び身長の身体発育値に関しまして、留意事項としてア、年・月・日齢階級の設定の仕方、今回特に体重に関しましては、これらに加え1~5日の数値が示されております。これは出産直後の体重減少を考慮したものです。なお、1か月ごと及び6か月ごとの月齢齢階級については、それぞれの月齢階級に含まれるものから算出された数値であることに留意が必要です。例えば次のページに表1がありますが、「1~2月未満」という表示は、生後1か月以上2か月未満のものの体位を示す数値となっております。
 次にイとして、パーセンタイル値に関する説明を記載しております。これらに関しましては、先ほどの調査概要にありましたとおり、LMS法により平滑化し、補正を行っております。内容としては、主な値ということで表1・表2で身長・体重の身体発育値の表を掲載しております。後ろの図表には、頭囲・胸囲等すべての計測項目の表を記載しております。
 次に7ページの(2)体重及び身長の身体発育曲線に関してです。図1・図2に関しましては、乳幼児身体発育値のうち、体重及び身長について3パーセンタイルから97パーセンタイル曲線で示したものになっております。
 次に、9ページで昭和35年以降、10年に1回行われてきた本調査の結果の比較ということで、体重・身長・胸囲及び頭囲の平均値の比較に関する記載です。これらに関しましては、表3~6を概要版に掲載し、さらに11ページに図5として過去3回分の10年に1回の調査の平均値の比較の図を掲載しております。これらから、今回は体重・身長及び胸囲に関しては前回と比べ男子、女子ともに全般にやや減少しておりました。頭囲に関しては前回と比べても、全般にほとんど差がみられない結果でありました。
 次に、12ページをご覧ください。3「一般調査による乳幼児の運動・言語機能について」です。表7に乳幼児の運動機能について、それが可能なものの割合を示してあります。これらの結果から、「首のすわり」に関しては、生後4~5か月未満の乳児の90%以上が可能。「ねがえり」に関しては、生後6~7か月未満の乳児の90%以上が可能。「ひとりすわり」に関しては、生後9~10か月未満の乳児の90%以上が可能。「はいはい」に関しては、生後9~10か月未満の乳児の90%以上が可能。「つかまり立ち」は、生後10~11か月未満の乳児の90%以上が可能。最後に、「ひとり歩き」に関しては、生後1年3~4か月未満の乳児の90%以上が可能であるという結果でした。なお、「注」といたしまして、それぞれの診断時の判断を、どのような定義にするかということについて、それぞれの項目に関しての調査必携の内容を抜粋しております。次の13ページに表8として乳幼児の言語機能についてお示ししております。生後1年6~7か月未満の乳幼児の90%以上が単語を話しています。「注」として、調査票の問いに関する情報を掲載しております。「単語を言う」は、何に当たるかという調査上のルールです。さらに、14ページに図6・7として乳幼児の各運動・言語機能を平成12年調査と比較した図を載せております。これらによれば、全般的にやや遅い傾向を示しておりました。なお「はいはい」については、平成12年から基準が変わっており、平成22年調査も同じ基準といたしました。
 次に、15ページの4「一般調査による乳幼児の栄養法について」です。(1)「出生年次別にみた乳幼児の栄養法について」は、表9で昭和55年以降の本調査における乳児の栄養法をお示ししてあります。平成22年においては、平成12年に比べ人工栄養の割合が減少しており、また、母乳栄養については、月齢が進んでもその割合が高くなっていました。平成2年の調査以降、母乳栄養は増加傾向にあります。
 次に、(2)「離乳の状況」ですが、表10にお示ししたとおり、生後5~6か月未満では、約5割の乳児が離乳を開始しておりました。前回調査に比べて、やや遅めの傾向にあります。また、生後1年3~4か月未満では、8割を超える幼児が離乳を完了しており、こちらも前回調査に比べて、やや遅めの傾向にありました。次の16ページの表11で、離乳食の回数をお示してあります。1回食で生後5~7か月未満、2回食で7~9か月未満、3回食では9か月以降で多くなっております。
 次に、5「病院調査における出生時体位について」、表12さらに表13でお示ししております。各測定項目ともに妊娠42週までは、妊娠期間が長くなるにつれて大きくなる傾向がみられました。17ページは「単胎・双胎別にみた出生時体位」であります。すべての計測項目において単胎が双胎を上回っていました。
 次に、6として「一般調査による妊娠中の喫煙・飲酒について」です。母親の喫煙に関しましては、表14以降にお示ししているとおり、前回の喫煙率10%と比較して5%に減少しておりました。また、年齢による傾向は、若年齢で喫煙率が高く15~19歳で14.3%と最も高くなっております。前回調査では、15~19歳の喫煙率が34.2%でありました。今回の調査においては、喫煙本数と出生時の体重・身長との間には、一貫した傾向がみられませんでした。次の18ページに「父親及び同居者の喫煙」と母親の喫煙状況に関して集計した表を掲載しております。同室の喫煙本数の増加とともに出生時の体重が低くなる傾向がみられました。
 次に、「妊娠中の飲酒」に関する調査結果です。妊娠中の、飲酒率は8.7%で、平成12年調査の18.1%に比べて減少しておりました。また、「年齢別の妊娠中の飲酒」に関して、次のページの表19にお示ししてありますが、飲酒率は年齢とともに増加傾向にあります。これは平成12年調査も同様の傾向でございました。
 次に、7の「一般調査による母親のBMIと出生時体重について」ということで、表20は母親のふだんのBMI別にみた性別、出生時体重についてお示ししています。BMIが低い群では出生時体重が若干低めの傾向がみられました。
 8の「出生時の体重別、出生数及び割合について」です。表21にお示ししている「出生時体重別の出生数及び構成割合について」ですが、低出生体重児(2,500g未満)の割合は、平成21年の人口動態統計の値は男子8.5%、女子10.8%、総数9.6%となっておりますが、これに比べ、やや高めでございました。
 最後に、20ページで9の「幼児の身長体重曲線について」です。図8及び図9は、調査結果を基に、肥満度判定のために作成した身長体重曲線でございます。これは、身長に対する体重の二次式「体重=a×身長2+b×身長+c」を求めたもので、その際、個々の児の体重の値と身長の値を用いて、二次式により算出された体重の値との差の二乗の総和が最も小さくなるような二次式の係数a、b、cを求めたものでございます。
 以上が、調査報告書の中の調査結果の概要(案)になります。報告書(案)には、身体発育曲線、身長体重曲線を記載しております。今ご覧いただいた図8、図9です。これらについては、乳幼児身体発育調査の統計学的解析や結果の評価を行う研究代表者である横山先生に行っていただいている「乳幼児身体発育調査の統計学的解析とその手法及び利活用に関する研究」において作成していただいていますので、研究代表者の横山先生から、説明をお願いいたします。

○横山構成員
 それでは、横山よりご説明させていただきます。配布資料の最後の資料3を見ながら、お願いします。当研究班では、調査結果の評価と曲線の作成を行ってまいりました。調査結果の評価等に関する中間報告につきましては、この資料3として提出させていただいておりますので、これに沿って説明させていただきます。
 まず、1番にありますように、ワーキンググループのメンバーとして、研究班及び研究協力者の先生方のご協力を得ながら、ワーキンググループにおいて検討を行ってまいりましたので、その結果について、簡単にご説明いたします。
 2番に「検討結果」とございます。まず、「調査結果の評価について」ですけれども、?「乳幼児の体重及び身長について」ですが、これについては、ただ今9~11ページの辺りで、ご説明がありましたように、調査客体となった乳幼児の年・月齢別の体重・身長は、平成12年の調査に比べて若干減少しております。その原因についてですけれども、今のところ不明ですが、日本の低出生体重児の割合が平成12年の全出生数の8.6%から平成22年は9.6%まで増えているという影響も考えられております。今回の調査では、10.7%でした。これについて詳しい解析については今後、研究班で検討したいと思います。それから、一般に母乳栄養児の成長は人工栄養児と比べて穏やかといわれておりますが、今回の調査客体では、母乳栄養児とその他の間で大きな差は認められておりません。
 ?ですが、これも先ほどご説明がありましたとおり、出生時の体重・身長は平成12年の調査と比べてわずかに減少しています。今回、出生時の体重及び身長が減少した理由は、母親のやせ等が考えられますけれども、これにつきましても今後、本研究班において各影響要因が寄与した大きさを明らかにするなどの詳細な解析を行っていこうと思います。今回の調査から出生時の体重への影響要因としましては、先ほど16ページからの図表で、個々の影響要因について単純な集計結果が載っておりますけれども、さらに、これらの相互関係を考慮して多変量解析、重回帰分析を行った結果ですと妊娠期間、胎児数、母親の喫煙、母親のやせ等が有意に関係している要因として示唆されております。
 ?の「乳幼児の運動機能・言語機能通過率について」は、12ページ以降の図表に出ておりましたが、今回は平成12年と比べてやや遅い傾向が認められております。昭和45年からの長期的変動経過を見ますと、変化の傾向は一環しておりません。また、調査年によってばらつきが見られますので、評価は困難であると考えます。「注」に書いてあります「はいはい」については、先ほど説明があったとおりです。
 それから、?「乳幼児の栄養法、離乳の評価について」ですが、15ページ以降にございました。今回は平成12年に比べて人工栄養の割合が減少し、母乳栄養の割合が増加しております。月齢が進んでも人工栄養の割合は増えず、むしろ、母乳栄養の割合が高いまま保たれていることから、母乳育児が推進されているものと推察されます。また、離乳の開始及び完了は平成12年に比べてやや遅めの傾向にあります。「授乳・離乳の支援ガイド」においては、離乳の開始について生後5、6か月ごろが適当とされており、離乳の完了については生後12か月から生後18か月とされていることから、今回の結果から特段の問題はないと考えられました。評価につきましては、簡単でございますがそのような感じになります。実際の曲線の作成は、分担研究者の加藤先生が行っておりますので、作成上の留意点等について、加藤先生より説明させていただきたいと思います。

○多田座長
 では、加藤先生、お願いします。

○加藤構成員
 作成上の留意点ですけれども、作成の具体的なことに関しては、2ページの結果の集計及び集計客体、報告書(案)の2ページをご覧になってください。
 まず、計測値のパーセンタイル値等は対象人員が限られているので、偶然変動が起こります。ですから、5ページに示されております年・月・日齢階級別区分によって集計いたしますと、これがギザギザとした曲線になります。基準値としては用いにくいので、平滑化を行います。平滑化を行う方法は、国際的に一般に使われておりますLMS法というものでございまして、文献に示したとおりです。体重や胸囲などには歪みを生じますので、それを考慮した平滑化が必要となります。歪みに関する係数L、ばらつきの幅に関する係数S、中央値に関するM、こういった係数を算出し、それを平滑化し組み合わせることによって、平滑化された身体発育基準曲線を得ました。なお、身長に関しましては、男女ともに2歳前後で約1.35cmの段差がございます。これは2歳よりも前は寝かせて測り、2歳より後は立たせて測った、その体位の差によるものでございます。

○多田座長
 ありがとうございました。

○横山構成員
 続きまして、資料3に戻っていただきまして、2ページの(2)曲線の活用につきましては、研究協力者で本日の専門参考人の横谷先生から、説明させていただきます。

○横谷参考人
 それでは、横谷から説明させていただきます。(2)には、ポツが四つ付いていますが、上から順番に説明させていただきます。一番上に書いてありますのは、10年ごとに調査を行って更新してきたという事実です。2番目に書いてあることは、今回作成された体格の曲線を、今度の母子健康手帳に使用することは適切であるという結論について、その説明をしました。現況を述べたもので保護者に一番安心を与えやすい、現状にフィットすることが、第一の理由あります。3番目と4番目は、ただし書きでありまして、3番目に書きました「ただし」というのは、曲線で示した範囲は標準値あるいは正常値といったものではなくて、現在の基準がこうなっている。現状値がこうであるということで、これに沿っていることが健康であることの指標とは、今のところ必ずしもいえないということの注意が必要であるという点です。最後のポツを書いたのは、例えば、肥満といったことは特に重要ですけれども、年代ごとに肥満の傾向が異なってくる中で、それをどのように評価するかということが大事で、10年ごとに肥満の基準となるデータを修正しますと、年代による肥満の傾向がつかめなくなります。従って、基準になる年を定めて、その年との差でもって肥満の傾向がどうなったかを検討される必要があるという立場から、ここに書いてありますように、日本小児内分泌学会と日本成長学会では2000年のデータを用いて、それを基に検討するということを推奨しております。この乳幼児についても、そういった方法で検討していくことが、今後の課題であると思います。以上です。

○横山構成員
 ありがとうございました。それでは、最後に(3)の「今後の検討課題」につきましてですが、本研究班において、以下の検討課題について、今年度中に検討を行いたいと考えております。?が「保健指導マニュアルの作成等」ですけれども、乳幼児期の身体発育については、保護者の関心が高いことから、保護者の不安や疑問に対して適切に保健指導等を行うことが必要とされている。本研究班において、今後、身体発育曲線、幼児の身長体重曲線を保健指導等に用いる際の留意事項等に関するマニュアルの作成等を検討する必要がございます。
 それから、?「乳幼児期及び就学期以降の体格標準値について」です。これについては、疾患の診断基準等にも用いられていることから、今後、小児期の体格標準値との考え方の整理を行っていく必要がございます。これについては、本年度中に検討したいと思います。以上です。

○多田座長
 ありがとうございました。それでは、ただ今ご報告いただきましたので、この内容について報告書の確認を参考にしながら、この報告書の内容を検討していきたいと思います。
 最初に、ただ今いただきました資料2の「調査の概要」というところが1~5ページにあります。これについて、構成員の先生方から何かご質問やコメントがあれば、いただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。これは後ほど、お気付きの点があれば戻っていただくことにします。
 「調査結果の概要について」ということで、細かくいろいろ報告いただきましたけれども、これが報告書となりますので、何か先生方からコメント、または何か修正点その他疑問があったら、お出しいただきたいと思います。どなたか、ご質問はありますでしょうか。お願いします。

○吉池構成員
 目次の並びのことですが、目次1をご覧いただきますと、5の「病院調査による出生時体位について」が3、4の後にきていて、先ほど説明を受けたときに多少違和感を感じたので、もう少し前の、例えば2の後にある方がよいのではないかと思いました。以上です。

○多田座長
 いかがですか。その他に、ございますか。
 全体でなければ、順番にご質問いただこうと思います。一般調査及び病院調査における乳幼児身体発育調査値及び発育についてということで、最初にパーセンタイル値をご説明いただきましたが、これについては、特にございませんでしょうか。横山先生からいただいた研究の中間報告も含めて、議論いただければと思います。
 結果が7ページ8ページ辺りの図表になっていると思いますけれども、これについては、多少の減少が認められたということでございますが、その他に何かございませんでしょうか。
 それでは、次に9ページのところに、昭和35年以来、10年ごとの調査の比較が出ております。これについては、よろしいですか。この図表の中では、平成12年から伸びが少し少なくなっているということで、先ほど横山先生からもコメントをいただきました。これをまとめていただいたのが11ページですが、身長及び体重では少し変わったという結果でございました。
 次に、3「一般調査による乳幼児の運動・言語機能について」ということで、まとめていただいておりまして、90%が達成している時期を書いていただいております。通過率と、図表8に言語機能の通過率をお示しいただき、それから、14ページの図6図7で、これが平成12年と比較すると少し遅くなっているのではないかという調査結果を表示してくださっています。この辺で、どなたかご質問、あるいは今までのご経験から、コメントがありましたら、いただければと思います。

○吉池構成員
 1点、確認ですが、(5)「つかまり立ち」ですが、生後10~11か月で90%以上と記載されておりまして、表7を見ると生後10~11か月が89.6%。次の生後11~12か月が91.6%になっているので、90%を超えるという意味では生後11~12か月だと思います。

○芳賀栄養専門官
 すみません。修正いたします。

○多田座長
 90%以上というところで、以上になっていないというご指摘ですね。他にございますか。
 それでは、4番目にいきたいと思います。「一般調査による乳幼児の栄養法について」ということで、昭和55年と平成2年と平成12年及び今回の平成22年調査における栄養法を説明していただいております。これで母乳栄養が比較的多くなったということもありますけれども、人工栄養が非常に減っているということで、混合栄養と母乳栄養の割合が、特に母乳栄養の割合が極めて高くなっていることと、従来は年長といいますか、月齢が進むと下がっていた母乳率が維持されているということで、先ほど母乳が推奨されているのではないかという横山先生のコメントがあったのは、このことだろうと思います。
 それから、「離乳の状況」というところでは、前回に比べてやや遅めの傾向になったということで、表10、11には、調査結果が示されております。以上の4項目について、どなたかコメントをお願いします。

○板橋構成員
 以前の報告書を見たときに単に母乳栄養とだけ書いてあり、母乳栄養の定義がなく、報告書を読む側がわかりにくいと思います。できれば、定義があると理解しやすいですし、この結果を見たときに、誤った見方をしなくて済むのではないかと思います。例えば、少なくとも母乳栄養は、もちろん思い出し法でありますけれども、母乳以外に何かを与えているのかいないのか。その辺りが、曖昧なのであれば、その旨を明示した方が、現状を正確に表しているのではないかと思います。

○多田座長
 ありがとうございます。横山先生、加藤先生、その辺はこの集計表の中といいますか、この調査票の中から、どのようにいえるかを教えていただけますか。

○加藤構成員
 母乳栄養・人工栄養・混合栄養に関する判定です。お手元の資料の報告書(案)3ページの栄養法、真ん中より少し上に栄養法という項目がございまして、各月齢で母乳・人工乳、それぞれ与えていたという記憶があれば、その月齢の番号を丸で囲んでいただきます。ですから、母乳栄養というのは母乳のみに丸の付いた場合で、混合というのは母乳と人工の両方に丸が付いた場合、人工栄養というのは人工のみに丸が付いた場合というように集計しています。

○多田座長
 板橋先生、その辺にコメントをつけるとすると、どのようにお考えになりますか。

○板橋構成員
 思い出し法で、「母乳以外のものは与えていない状態を母乳栄養と定義する」と一言だけ書いておけば、それで理解できると思います。今の加藤先生のご説明はそのような意味ですよね。

○多田座長
 人工栄養を与えている方には印が付いていない。これは従来の集計も、調査票は同じ集計の仕方ですね。

○加藤構成員
 従来と同様でございます。

○多田座長
 わかりました。先生がおっしゃるように両方与えていれば混合だし、人工栄養を与えていなければ母乳の方に入っているということですね。その辺がコメントがつけられれば、良いですね。他にございませんでしょうか。4番は、そのようなことで離乳食に関しても。

○吉池構成員
 中身のことではありませんが、表9、表10は百分率という表現がありますが、これは割合でよいのではないでしょうか。また、表10の表頭のところで、百分率と書いてありますが、最初の1行は削除でよいのではないですか。他も割合パーセントという表現をしているようです。以上です。

○多田座長
 百分率ではなくて割合、開始前と離乳中と離乳完了の割合を示しているという意味ですね。ありがとうございました。他にございますか。よろしいですか。
 それでは、「病院調査における出生時体重について」というのが16ページの5番にございます。妊娠期間別に見た出生時の体重ということで、この調査の妊娠期間とそれの平均体重及び標準偏差を単純に分けて書いていただいているのが、表12だと思います。それから、次のページの17ページには、この病院調査における出生時の体重・身長・胸囲及び頭囲の平均値ということで書いてくださっています。これに関しては、いかがでしょうか。双胎はかなり小さいという感じになっているようでございます。

○松田構成員
 表現の問題ですけれども、16ページの、例えば「妊娠期間別にみた出生時体位」は大きくなる傾向と書かれています。その次の(2)の単胎・双胎別だったら、単胎が双胎を上回っているとあります。傾向の持つ意味が、統計学的な傾向なのか。そこは明らかにした方がよろしいのではないでしょうか。我々臨床医学では、有意差が0.05未満であれば有意として、0.05~0.1であれば、傾向があるとよく使います。「傾向がある」と書かれているので、これをどのように理解したらよいのか。統計の処理をされた上での評価であれば、そこが一般的に理解されるでしょうか。

○多田座長
 これは、後でも「傾向」というのは、幾つか出てまいりますので、その辺は横山先生、加藤先生、どのように使い分けるかを、ご説明いただけますか。

○横山構成員
 この表は、個々の要因についての分析結果で、これについて検定等はしているのですが、それに加えて多変量解析、重回帰分析をやっております。それで、先ほどのワーキンググループの中間報告、資料3の2ページの上から2行目で、出生時の体重への影響要因として、妊娠期間、胎児数、母親の喫煙、母親のやせ等が示唆されたと書いてありますが、これはすべて統計学的に有意なものをここに記述しています。これに基づいて、この報告書に何と表現するかは、有意とかそういう言葉が一般の人にわかるかどうかということも勘案しつつ、その表現を工夫する必要があるのではないかと考えます。

○松田構成員
 そうなってきますと、例えば、その次の「母親の喫煙」も、今度は一貫した傾向がみられないと書いてあるし、今度は、父親及び同居者の喫煙だったら、低くなる傾向となっていますので、その傾向がある項目とない項目が、そのように区別されているのかというところが、わかりにくいのではないか。単胎と双胎、表13を見ていただきますと、例えば、男児で見てもらうと、単胎が平均3010gで双胎が2390gであれば、明らかに違うということがいえます。それと同じような感じで、「傾向」というのをどのような感じで使われているのか、ということを明らかにされた方がよろしいのではないかと思います。

○多田座長
 それは、いかがですか。

○加藤構成員
 この場合に使われています「傾向」という言葉の意味は、例えば、妊娠期間別の体重が、妊娠期間が大きくなると、それの順番で出生体重が大きくなるという順序が一致しているという意味での「傾向」という言葉が使われております。しかし、適切でないということであれば、表現の工夫が必要かもしれません。

○多田座長
 原則として、先ほどの双胎のように、きちんと差が出ている部分については、この文章はご検討いただいているということを前提にしている、ただ、今のように必ずしも週数によっては、有意差を検討しても意味がないと思いますので、そういうものは「傾向」という表現をしていただいたという横山先生、加藤先生のお答えということでよろしいでしょうか。松田先生、そういう意味で、ここで有意差があって何%というと、一般の方も見られる報告書として適当かどうかということにもなります。

○松田構成員
 例えば、たばこが悪いというメッセージを与えるということを前提にしますと、表17は父親・同居者の喫煙本数が増えれば、吸わない人に比べて、だんだん体重が減っています。男児のところを見てもらうとそうなっています。それが、統計学的に間違いないのかというところが、この表現で「低くなる傾向がある」としたときに理解できるのかというのが、私の質問です。

○多田座長
 他の先生方は、いかがですか。私はその意味では、差がきちんと出ているようなものについてはコメントを書いていただいて、あまり差がないといいますか、あまりはっきりしなかったものは、「一定の傾向がなかった」という形で、「傾向がみられなかった」という表現を使ってくださっていると思いますが、それでよろしいでしょうか。
 そういうことで、先ほど先生がおっしゃったように、明らかに上から順番に、標準に流れのようなものは差があるので傾向があったと言っています。

○板橋構成員
 基本的に個々の、例えば何週と何週に差があるのではなくて、トレンドPとして把握できるものは傾向があるというように言えば、それでよいと思います。その表現で大きな間違いはないので。ただ、果たして41週と42週の体重に差があるかといえば、n数は非常に違うわけですから、これを個々に比べることに意味はあまりないと思います。全体の流れとして有意に差があるという表現はできるわけで、そういうものは「傾向がある」という表現でよいのではないかと思ったので、少しコメントさせていただきました。
 ただ、一つ、資料3の重回帰分析では母親の喫煙は関連項目として上げられていて、この報告書の中では「一定の傾向がみられない」という表現があります。その辺りは報告書と横山先生の解析などが齟齬がないようにしておく必要があるのではないかと思いました。

○多田座長
 横山先生、何かコメントありますか。

○横山構成員
 資料3にもありますように、重回帰分析では母親の喫煙は有意となっています。こちらでは喫煙本数という形で分析しています。こちらの報告書の38ページの表で、妊娠中の喫煙本数と児の性別、出生時の体重の平均、標準偏差が出ています。この表を見ると、当初はあまり傾向がはっきりしなかったということから、こういう表現になったのだと思いますけれども、その重回帰分析をやってみますと、これは有意に喫煙本数が多いほど出生時に体重が低いという結果になっていましたので、その表現は少し変えた方がよいと思います。

○多田座長
 そうすると、大変大事なところですので、17ページの表現については少し考えていただいて、差が出るものであるのならば、細かい数字は載せていませんので、コメントとして書いていただくということで、よろしいですか。事務局で、そのようにまとめていただければと思います。

○月本構成員
 今の喫煙のことですけれども、この横山先生のご報告で、同居者の喫煙ということは明らかに有意差があるようですね。そういうことを含めて、母親、家族みんなの喫煙が悪いということをプロパガンダとして使うには、そのような表現にならないでしょうか。これは多変量解析では同居者はもちろん「など」の中に入っているのでしょうか。同居者の喫煙は要因ではなかったのでしょうか。

○横山構成員
 今回の分析では、ステップワイズ法で有意なものを選択していくのですけれども、当初その中には入れたと思いますが、母親の喫煙と父親の喫煙はかなり相関が強いので、母親は選ばれたけれども父親は残らなかったということですので、恐らく母親の喫煙でなく父親の喫煙という形で分析すれば、そちらも有意にはなるかと思いますが、ここで示した結果は母親だけが選ばれたということです。

○多田座長
 今の月本先生のご指摘の点は、今後も横山先生が研究を進めてくださるということがありましたので、その中でさらに細かい数字や統計を詰めていただく。この「傾向がみられなかった」という部分は表現を直し、父親はここに傾向がみられているわけですので、そのままにしておくということで、月本先生、よろしいですか。全部の解析が進むとさらに意味のあることが出てくるかもしれないのですけれど、現時点で言えることをはっきりと言うということにしておいたらと思いますけれども、よろしいですか。

○吉池構成員
 喫煙のことで、先ほどトレンドが見えにくいというのは、喫煙の本数の区切りの部分ので、分布が読みにくいところもあるかと思いますので、もう一度この区切りも含めてご検討されると、きれいに出るのかもしれませんので、できるだけすっきりとした結果で示されるように、一工夫お願いしたいと思います。

○多田座長
 ただ今、吉池先生からご指摘いただきましたが、これは確かに差がきちんとなるような本数のところで切るとか、あるいはどういう表現を使うかだと思いますけれども、この表は事実ですので、この表の事実はこのとおりで、あとの解析と矛盾しないように表現しておくということで進めていったらと思いますが、よろしいですか。
 それでは、先に進みたいと思います。7番でよいのでしょうか。19ページの「BMIと出生時体重について」ということで、ここに書いてあります。これに関しても、細かい分析をするとまたいろいろと出てくるのかもしれませんが、この辺の表現でよろしいですか。これも先ほどのような解析をすると、あるいは細かいものが影響してくるということがあるのかもしれません。

○松田構成員
 しつこくて、すみません。今度はここも「若干」という表現が出てきますので、「若干」というのは何を意味しているのかということになってくると如何でしょう。

○多田座長
 確かに、「若干」はない方がよいですね。

○松田構成員
 それで、先ほどから私もこだわって、どういう目的のために「傾向」などを使い分けておられるのかというところで、このBMIが低い群すなわち18.5未満では、男児で2,980グラムというのは、明らかに25以上の3,110グラムすなわちデルタが130ですか、これが完全に違うのだというところを、それを「若干低め」という表現でよいのかということです。

○芳賀栄養専門官
 こちらの値については、明らかな有意差が出ていますので、これまでのご意見も踏まえ、研究班の先生方にご協力いただいて、表現を統一するようにいたします。

○多田座長
 そういう見直しは、これから事務局にお願いするということにしたいと思います。
 それでは9番目の「幼児の身長体重曲線について」ということで、20ページにありますが、これについてはいかがですか。この身長体重曲線については、表8と9に書いていますが。

○山本保健課長補佐
 事務局からの質問で恐縮です。今の「幼児の身長体重曲線」の部分で、調査結果を基に肥満度判定のために作成した身長体重曲線であると表現されているのですが、幼児の場合には肥満度以外にもやせについても評価しているということもありますし、先ほど研究班で横谷参考人からご発表いただいた内容を踏まえると、違う表現の方がよいのではないかと思いますが、先生方のご意見はいかがでしょうか。

○横谷参考人
 今の肥満度についていいますと、肥満度という表現でやせの度合いも表現しているのです。ただ、やせの度合いを表現するのに肥満度といっているので、言葉に混乱があるのですけれど、同じ手法を使っているという一つ、説明はあるので、この文章は正しくないわけではないのです。ですから、やせ及び肥満を評価するために、肥満度を指標としているという意味合いがこの文章に入れば、より明確かもしれません。

○多田座長
 一般の方にわかるという点では、その方がわかりやすいかもしれないですね。肥満度といっても、確かに山本保健課長補佐が言われたように太っている方だけしか表現してないということになると思います。よろしければ、そういう表現に変えさせていただきたいと思います。

○吉池構成員
 結果がここに示されているわけですが、作成方法として、先ほど2ページの7で集計方法について記載がありました。この表現方法で十分かどうかということについて伺いたいと思います。

○加藤構成員
 ご説明します。身長体重曲線に関しましては、他の成長曲線とは作成法が異なりまして、身長と体重の組のすべてを使って、二次式で回帰します。その得られました二次式の値に対して、例えば0.85を掛ければマイナス15%の値が出るというような異なる計算法を使っています。

○吉池構成員
 論文ではないので長々とは書けないと思いますが、ある程度の記載は必要ではないかと思います。また、これが、どの年齢に適用できるのかということについて明示された方がよいのではないかと思いました。

○加藤構成員
 1~6歳までの間はほとんど年齢には影響がなく、身長別の体重の標準値が設定できるという研究が既にあり、従いまして、1~6歳までを全体としてこのグラフで判定していただこうという趣旨です。

○多田座長
 よろしいですか。それでは、吉池先生がおっしゃるところで、この最初の説明の表現を少し考えていただいて、わかりやすく書いていただければと思います。いただいた時間がだんだんなくなってきましたので、一応今、9番まで逐次お願いしましたので、これについて全体として何かコメントやご意見があれば。いかがですか。

○月本構成員
 たばこについて、全体の資料2の報告書の、母親の喫煙のところで、38ページの表16-3を加えた方がよいのではないでしょうか。母親の喫煙による体重が出ていますので必要ではないかと思います。

○多田座長
 はっきりとわかりやすく、母親も書いた方がよいということですね。まだ、それを入れる可能性がありますか。大丈夫ですか。それでしたら、そのコメントを入れていただけますか。他によろしいですか。

○衞藤構成員
 19ページの8番「出生時の体重別、出生数及び割合について」のところで、表21だけ体重がグラムで表現されて、他はキログラムですけれど、それはなぜかといいますか、それでよいのかどうか。というのは、どこにもその説明がなく、体重がここではグラムで表示されていて、他は全部MKS単位系できているように思いますけれども、どうなのかと思ったものですから。

○芳賀栄養専門官
 人口動態統計の表に合わせて作成しました。

○多田座長
 よろしいですか。

○衞藤構成員
 わかりました。

○多田座長
 それでは最後に、この乳幼児の身体発育曲線、それから幼児の今、検討していただきました身長体重曲線について、先ほどコメントがありました基準値、現状値として、母子健康手帳に使用するということでいかがですか。今、ご検討いただいた修正を踏まえて、この報告書に基づいて、今後これを母子健康手帳に掲載していただくということでよろしければ、そうさせていただきたいと思います。よろしいですか。
 最後に、ただ今、意見をいただきましたので、これを事務局で反映して、横山先生にもお願いしなければいけないのかもしれませんけれど、基準値として使用するようにしていきたいと思います。そういう修正は今後、事務局にお願いすることにいたしまして、この基準値と現状値を母子健康手帳に使用するということが、この研究会の結論であった旨を10月31日の先ほど?井雇用均等・児童家庭局長からもお話がありました「母子健康手帳に関する検討会」に報告したいと思いますが、各先生からご了承いただけましたら幸いですが、よろしいですか。

○泉母子保健課長
 最初の方で、吉池先生からご意見があった報告書の章立てで、一般調査の乳幼児の栄養法のところと病院調査による出生時の体位のところの順番に違和感があるというお話がありました。それは、章を入れ替えた方がよいというご提案だと思いましたけれども、そういう趣旨ですね。そこも含めて検討させていただいて、多田座長と調整したいと思います。

○多田座長
 よろしければそのように対応をお願いしたいと思います。それでは、あと何か問題がありましたら、私か事務局にコメントいただければ、間に合う範囲で修正していただきたいと思います。
 それでは、議事については以上ですけれども、いただいた時間も過ぎてしまったようですが、何か他にコメントがありますでしょうか。

○月本構成員
 一つ、よろしいですか。身体発育が少し小さくなるというのは予想していたのですけれど、この運動発達と言語機能が少し遅れているというのは、どのように解釈したらよいでしょうか。バリアンスや年度によって違うと書いてありますけれども、そのようにとってよいのでしょうか。

○多田座長
 各先生からコメントがあれば。

○板橋構成員
 平成12年度と比べると、遅れている印象があるのですけれども、他の過去の年度を見ると今と変わらなかったりしますので、現状では遅れているという評価はすべきではないと思いますし、そのような評価は非常に危険なことではないかと思います。明確に遅れているという確証は得られていないのではないかと私は判断しています。

○月本構成員
 近ごろ乳児健診をしていると逆に進んでいるような気もして、あまり遅れているという印象を受けないのですけれど、データでは遅れていると。

○板橋構成員
 印象として私も実は、恐らく母乳栄養児が軽いので、どちらかというと母乳栄養の赤ん坊が意外と進んでいるような印象は持っています。ただ、全体としていえば、明確な傾向はこの調査票からは伺えないという結論ではないかと思います。

○多田座長
 他にありますか。これは10年に1回の調査ですし、今後もぜひこれを続けていただいて、日本人の子どもたちの傾向を見ていただくのが非常に大事だと思います。今後もお願いしないといけないのですが、ただ今のようなことを含めて、これは何でもない、たまたまの集計だったのかも知れませんが、今後の大事な指標を表しているのかもしれないので、この10年に1回の調査というのは、私は非常に大切なことだと思います。従って、今後、横山先生の研究班あるいは厚生労働省で、ぜひ分析を続けていただいて、同時にいかにこれを指導に生かすかということのマニュアルを作って、母子保健課あるいは横山先生の研究班で、ぜひこれを生かすような方法を考えていただきたいと思います。
 ただ、今、ご質問にありましたように、私たちは素朴に疑問を感じておりますので、それをきちんとしたデータとして、分析頂くとともに、今後の課題についてもご検討いただければ幸いだと思います。そういうことで、結論としてよろしいですか。

○田中構成員
 今、話を伺っていますと、例えば月本先生がたばこの話をいろいろとされました。これはデータを解析するのに、吸わない、あとは1本とか何本とかという細かいデータを、当然統計の取り方で何本吸ったかということを書くので、それに出ていますが、産婦人科の立場からすると、子どもの発育が悪い、その前に胎児の発育が悪い。こればたばこを吸っていれば、当然それは理論的にもそうなるのです。ですから、極端にいえば、吸うか吸わないか。データは取っていただいてよいのですが、やはりたばこを1日何本かでも吸えば、これだけ悪いのだということを、恐らく国としても言いたいでしょうから、そういう出し方を。これは小手先のことかもしれませんが、そのはっきりとしたデータといいますか、コメントは出した方がよいのではないかという気が私はするのです。細かく分けるのではなく。
 それから、妊娠週数による体重は、当然ですが、問題なのは37週以降でも小さいというのは問題ですけれども、では、36、5、4週で、体重が重いからよいかというと、これもまた問題が出てくると思いますから、その辺のところの10年に1回ですから、項目はそう変えることはできないでしょうけれども、データの出し方によって、時代を反映するような、できればこういう方向に持っていきたいという方向性があれば、そちらに都合のよいようなデータというと少し語弊がありますが、出し方によっていろいろと社会に対するメッセージも変わってくると思います。ですから、そういうこともデータとして私は保存しておいた方がよいのではないかと思います。初めての会合でしたので、印象でコメントさせていただきました。以上です。

○多田座長
 ありがとうございました。本調査の結果を活用したり、あるいは市町村の保健指導に生かしていただくには、その辺のことも含めて考えていくべきであると思います。出た事実をきちんと保健指導に生かしていくように、今後検討していただければありがたいと思います。
 

○吉池構成員
 最後の基礎集計のところもよろしいですか。70ページで、母親の身長、体重、BMIなどがあるのですが、例えばBMIが20週未満、20~25、25~30と、かなりざっくりとした分布しか出ていません。基礎データとして母親の体格は大事だと思いますので、もう少し細かい分布と平均値、標準偏差も基礎データとして残しておいていただけるとありがたいと思います。以上です。

○多田座長
 基礎データの調査項目として残すのは、そのとおりと思いますが、今回、報告書に載せられるのは、集計に間に合う範囲で載せていただくということでお願いしたいと思います。よろしいですか。
 それでは、事務局に戻しますので、一応この研究会の討論は終わりということで、あとは事務局でお願いします。

○泉母子保健課長
 大変広範にわたるご議論をいただき、ありがとうございました。また、横山先生の研究班で、今後さらに詳細な検討をしていただくということで、その結果も含めてこの調査の結果をきちんと世の中に出していくということにしたいと思っています。10年ごとの調査ですが、今回の調査では、いわゆる母子保健の特に健診の事業は、ほとんど市町村の事業になっていることから、この調査は県でやっていただくということがあって、どうしても現場で多少の混乱が起きるということも実はありました。また、このサイクルで行けば、次は10年後ということになりますが、そのときに、どのような目的でどのような調査を行うべきかということは、今回のことも踏まえてきちんと課題を整理して、検討していく必要があるだろうと今、考えています。
 それでは、今日のご議論の結果をまとめて報告書として出していきますけれども、今回のこの研究会をこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局母子保健課
栄養専門官 芳賀(内7934)
(代表)03(5253)1111

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