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2011年10月31日 第36回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成23年10月31日(月)15:00~17:00


○場所

経済産業省別館1014号会議室


○出席者

委員

大日向部会長 秋田委員 石津委員
大澤委員 奥山委員 小杉委員
榊原委員 佐藤委員 林委員
宮島委員 矢藤委員

事務局

高井雇用均等・児童家庭局長 伊藤総務課長 高橋家庭福祉課長
杉上育成環境課長 橋本保育課長 為石虐待防止対策室長
鹿沼子ども手当管理室長 北山幼保連携推進室長

○議題

最近の児童行政の動向について

○配布資料

資料1社会保障審議会児童部会委員名簿
資料2平成24年度雇用均等・児童家庭局概算要求の概要
資料3-1雇用均等・児童家庭局における震災への対応について
資料3-2平成23年度厚生労働省第二次補正予算の概要
資料3-3平成23年度第三次補正予算(案)の概要【雇用均等・児童家庭局】
資料4地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(地方分権第一括法)について
資料5「社会的養護の課題と将来像」に基づく施策の推進について
資料6平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法の概要
資料7社会保障・税一体改革成案(平成23年6月30日政府・与党社会保障改革検討本部決定)
資料8-1子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめについて(平成23年7月29日少子化社会対策会議決定)
資料8-2子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめの概要

○議事

○大日向部会長
 定刻となりました。ただ今より「第36回社会保障審議会児童部会」を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中をお集まりくださいましてありがとうございます。
 会議に先立ちまして、委員の異動について、事務局よりご報告をお願いします。

○伊藤総務課長
 雇用均等・児童家庭局総務課長の伊藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、退任された方でございますけれども、前田委員、山縣委員、吉田委員の各委員が本年8月20日をもって退任されております。
 次に、新たに児童部会委員に任命されました4名の委員の皆さまを紹介させていただきます。NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長の奥山千鶴子委員でございます。

○奥山委員
 よろしくお願いします。

○伊藤総務課長
 次に、日本女子大学人間社会学部教授の林浩康委員でございます。

○林委員
 よろしくお願いいたします。

○伊藤総務課長
 次に、日本社会事業大学専門職大学院准教授の宮島清委員でございます。

○宮島委員
 宮島です。よろしくお願いいたします。

○伊藤総務課長
 次に、愛知東邦大学人間学部教授の矢藤誠慈郎委員でございます。

○矢藤委員
 よろしくお願いします。

○伊藤総務課長
 次に、委員の出欠状況でございます。本日は才村委員、土堤内委員、松原委員、渡辺委員の4名が所用によりご欠席と伺っております。また、小杉委員におかれましては、遅れてのご出席と伺っております。

○大日向部会長
 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。前回は7月1日に児童部会を開催いたしましたが、そこで説明のあった事項のその後の状況の報告を含めまして、最近の予算要求や法令改正の状況について、事務局からご説明をお願いします。

○伊藤総務課長
 それでは、お手元の資料2~5を使用して説明させていただきます。資料の数が多いので、ご確認いただきまして不足等があれば事務局の方へお声を掛けていただければと思います。資料につきましては事前に送らせていただいておりますので、ポイントのみを説明させていただきます。
 まず、資料2でございます。最初に、平成24年度雇用均等・児童家庭局概算要求の概要につきまして、簡単に説明させていただきます。雇用均等・児童家庭局の要求の内容につきましては、大きく2本の柱から成り立っております。一つは、安心して子育てできる環境の整備など総合的な次世代育成支援対策の推進。もう一つは、安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことのできる環境整備ということでございますが、本日は一つ目を中心に説明させていただきます。
 ページをおめくりいただきまして、3ページをご覧いただきたいと思います。まず、「子どものための現金給付制度」でございます。後ほど、詳しく説明させていただきますけれども、子ども手当制度の見直しに伴いまして、平成24年度の要求額は、平成23年度の2兆77億円から1兆3,940億円と大きく減額されております。平成24年度以降の子ども手当を見直した後の子どものための現金給付制度につきましては、この8月に成立しました「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」の規定に基づきまして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として法制上の措置を講ずるとされております。このため、年末にかけて制度の内容について検討していくことになっておりますけれども、(注2)にありますように、概算要求の時点におきましては、新しい制度の費用負担のルールなどがまだ固まっておりませんので、平成23年度予算の負担ルール、すなわち子ども手当の一部として、児童手当法に基づく児童手当を支給し、児童手当分については、児童手当法の規定に基づいて国・地方・事業主が費用を負担するというルールを当てはめて国庫負担額を仮置きで要求しております。この財源構成等につきましては、予算編成過程で検討し、結論を得るとされております。
 その下の2「待機児童の解消などに向けた取組」でございます。(1)が待機児童解消策の推進など保育サービスの充実ということで、保育所等の受入児童数の拡大や延長保育、休日・夜間保育、病児・病後児保育の充実。それから、保育所の施設整備などを行う「安心こども基金」については平成23年度末で実施期限が切れるということで、この取扱いにつきましては今後検討することとしております。次の4ページをご覧いただきたいと思います。(2)の放課後児童対策の充実につきましては、箇所数を増加していくということです。それから、(3)の待機児童解消「先取り」プロジェクトの強化でございます。これは平成22年11月に官邸の待機児童ゼロ特命チームが取りまとめました待機児童解消「先取り」プロジェクトにつきまして、現在検討中の「子ども・子育て新システム」を踏まえ、対象事業を拡充していくというものでございます。現在は待機児童が10人以上いる市町村について補助を行っておりますが、これを待機児童のいる全ての自治体にまで拡大するとか、複数の保育ママが集まって保育を行うグループ型小規模保育事業での緊急時の安全対策を管理する人の配置に要する経費、あるいは職員の配置等の基準を満たす認可外保育施設の開設準備に要する経費等について、新たに財政支援を行うこととしております。また、地域の子育て当事者等が参加します「地方版子ども・子育て会議」の設置や小規模かつ多機能な保育事業の実施によりまして、保育サービスの供給が不足している地域にきめ細かく対応するためのモデル事業などを創設することとしております。(4)が電力需給対策に対応した休日保育、(5)が児童福祉施設等の事業復旧に係る再開準備経費。これらは東日本大震災関連の予算要求でございます。
 それから、3「児童虐待への対応、社会的養護の充実など」でございます。(1)が虐待を受けた子ども等への支援ということで、?が児童虐待防止対策の強化等でございます。本年5月に「民法等の一部を改正する法律」が成立しましたけれども、ここで親権制度の見直しが行われたことに伴いまして、保護者指導や児童相談所の法的対応の強化、例えば弁護士の相談費用の引上げ等でありますが、こういったことを行う。あるいは法人等が未成年後見人になることができるようになりましたので、この制度の普及促進を図るために、未成年後見人に対する報酬や未成年後見人が加入する損害賠償保険料などに対して新たに補助を行うという制度を創設することとしております。5ページの?「家庭的養護の推進」です。ここでは里親への委託やファミリーホーム、小規模グループケア、地域小規模児童養護施設などの箇所数の増加。それから、賃貸によるファミリーホームを促進するために建物賃借料を措置費に算定するといった措置を講じることとしておりますし、里親やファミリーホームヘの支援を行う里親支援担当職員を施設に配置するという要求を行っています。?は「被虐待児童等への支援の充実」でありますけれども、乳児院に配置する被虐待児等個別対応職員の配置を拡充する。児童養護施設等の第三者評価の受審とその結果の公表の義務化に伴う経費を措置費に算定する。一時保護所への看護師の配置、あるいは里親への一時保護委託費の充実、児童家庭支援センターの箇所数の増加、心理療法担当職員の常勤化の推進などを行いますとともに、児童養護施設等の人員配置の段階的な引上げについて検討していくこととしています。?「要保護児童の自立支援の充実」ですけれども、児童養護施設等を退所する児童の自立支援の充実を図るため、児童の就職や大学等進学時の自立生活支度費の充実、自立に役立つ資格取得に要する経費の支給や母子生活支援施設に入所している児童の進学時に要する経費の支給を行うこととしています。?は「児童虐待防止医療ネットワークの推進」であります。都道府県の中核的な小児救急病院等に虐待専門コーディネーターを配置しまして地域の医療機関への研修、助言等を行うこととしております。(2)が「配偶者からの暴力防止」、(3)が「子どもの心のケアの支援体制の構築」でございまして、これは震災関連でございます。
 次の6ページをご覧いただきたいと思います。4の「ひとり親家庭の総合的な自立支援の推進」でございます。(1)が「ひとり親家庭の就業・生活支援の推進」でありますが、養育費の確保や面会交流の支援、学習ボランティアによる児童の学習支援などの推進を図ることとしています。(2)「自立を促進するための経済的支援」、児童扶養手当につきましては、配偶者からの暴力被害者は、離婚していなくても裁判所の保護命令が発令される等の要件によって支給対象とすることとしています。(3)は母子寡婦福祉貸付金の被災に対応した積み増しでございます。
 それから、5「母子保健医療対策の推進」でありますが、(1)の不妊治療等への支援の「なお」のところですけれども、現在、市町村が行います妊婦健康診査につきましては、妊婦健康診査支援基金を使って行っておりますけれども、これもやはり平成23年度末で期限が切れますので、期限延長等について検討することとしております。
 7ページ以降は労働関係の施策でございますが、これにつきましては説明を省略させていただきます。
 次に、資料3-1をご覧いただきたいと思います。資料3-1は、東日本大震災への対応状況についての説明でございます。これも前回の7月の部会で説明させていただきました資料から変更があった部分だけを紹介させていただきたいと思います。
 まず、「子どもへの支援」でございますけれども、両親をなくした児童につきましては10月20日現在で240人ということであります。その下のひとり親となった児童につきましては10月20日現在で1,323人。それから四つ目の丸ですけれども、親族里親の制度について見直しを行いまして、親族里親であった扶養義務のないおじ・おばを養育里親として認定し、里親手当を支給できるように9月に児童福祉法施行規則を改正しております。9月29日現在で親族による里親の申請が112件(児童157人)、うち認定111件(児童155人)ということでございます。次の2ページの三つ目の丸でございますが、10月27日に厚生労働省の要請によりまして、恩賜財団母子愛育会の日本子ども家庭総合研究所が「東日本大震災中央子ども支援センター」を設置しますとともに、同センターの下に関係する職能団体・学会・専門職の養成校・民間団体等が支援方策について協議を行い、協働して支援活動を展開するための「東日本大震災中央子ども支援センター協議会」を設立されております。この内容につきましては、別紙として最後のページに付いております。「参考」という図でございます。左側に「東日本大震災中央子ども支援センター(本部)とあります。その下に「現地窓口」とありますが、岩手県・宮城県・福島県などに現地窓口が設置されまして、子どもに関する情報を収集する。それを踏まえまして、右側の各種団体が入っております「協議会」に相談しながら、協議会の協力を得て専門家を現地に派遣するといった専門家派遣の仕組みを構築するということでございます。
 また3ページに戻っていただきまして、「乳幼児・妊産婦への支援」でございます。二つ目の丸です。現在、各市町村で再開しつつある乳幼児健診等の母子保健事業を通じて、子どもの健康や発達の状況の確認及び心理的問題等の早期発見に努めているところでございます。
 4ページ、5ページは飛ばさせていただきまして、6ページの「東京電力福島第一原子力発電所事故関連」でございます。一番下の丸でございますけれども、8月26日に原子力災害対策本部が「除染に関する緊急実施基本方針」などを定めたことを踏まえまして、厚生労働省におきましても保育所等の園舎・園庭等の線量低減についての考え方を改めて示し、福島県内に通知しております。保育所等を除く児童福祉施設等についても同様に考え方を通知しております。
 7ページでございます。「夏期の電力需給対策に伴う対応について」でございます。休日保育等の対応の一つ目の丸ですけれども、夏期の電力需給対策に伴う企業の就業時間等の変更に対応するため、都道府県・市町村に対して休日保育等の利用者のニーズの把握や実施体制の確保をお願いしております。また、「安心こども基金」により、この休日保育等につきましては財政支援を行っているところでございます。そういった休日保育・延長保育あるいは放課後児童クラブ等の実施状況につきまして9月20日に公表しておりますけれども、休日保育につきましては全国で721か所で実施されていました。延長保育につきましては232か所、放課後児童クラブでは752か所でこの電力需給対策としての事業が実施されてきたということでございます。
 次に、資料3-2をご覧いただきたいと思います。これは7月25日に成立しました厚生労働省第二次補正予算の概要でございます。子どもの関係では、四角で囲っております2の「児童福祉施設等の園庭の放射線量低減策の実施」ということです。放射線量低減するために、福島県内外の保育所などの園庭のうち毎時1マイクロシーベルト以上の放射線量を観測したものについての表土除去処理事業に支援を行うこととしまして予算に計上したところでございます。
 それから、資料3-3は10月28日に国会に提出いたしました平成23年度第三次補正予算(案)の概要でございます。これはまだこれからの国会で審議される予定でございますけれども「東日本大震災に係る復興支援」につきましては、まず「子育てサービスの再構築」のための支援ということで「安心こども基金」を使って行うものですけれども、被災地におきまして保育所等が復興するに当たりまして、認定こども園・地域子育て支援拠点などを合築するといった複合化あるいは多機能化を進める場合には有利な条件で支援を行うというものでございます。
 それから、2「被災施設の災害復旧等」でございますけれども、第一次補正で予算を計上しておりましたけれども、この施設整備・設備整備等に対する補助金を追加して予算を確保するものでございます。
 3「被災者への支援」につきましては、ニーズが増加しております母子寡婦福祉貸付金を確保するために16億円を計上しているということでございます。以上が、東日本大震災の関係でございます。
 続きまして、資料4でございます。この資料4は、前回7月の児童部会におきまして紹介させていただきました「地方分権一括法」の関係で、その後の状況につきまして説明させていただきます。まず、1ページでございますけれども、「地方分権一括法」の流れについて簡単に見ておきますと、前回、「第1次分権一括法」について紹介させていただきました。この内容をおさらいしておきますと、四角の囲みの下にありますように、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を都道府県等の条例に委任するということであります。その際、?の「従うべき基準」、?の「参酌すべき基準」、それから?の「標準」、この三つに基準を分類しまして、それでもって都道府県の条例で基準を定めてもらうということでございます。この法律に基づきまして平成23年10月7日に児童福祉施設最低基準等の改正を行っております。また、9月2日に保育所の居室面積の特例に関する省令の制定などを行っています。これは後ほど、説明いたします。また、下の四角でございますが、第1次分権一括法に加えまして、第2次分権一括法が平成23年8月30日に公布されております。これは、地域主権戦略大綱という閣議決定を踏まえまして、自治体に対する義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大、基礎自治体への権限移譲等を行うものでございます。
 次の2ページは「第1次分権一括法関係の省令改正」の中身でございます。これは前回、紹介させていただきましたけれども、その後さらに検討を行いまして10月に公布いたしております。中身につきましては、この点線のところをご覧いただきたいと思いますが、省令の名称を「児童福祉施設最低基準」から改めまして「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」としております。また、従来の最低基準に規定されていた各基準を「従うべき基準」と「参酌すべき基準」に区分しております。その上で、都道府県等が条例で定める基準につきましては、今回は国の基準に代わって児童福祉施設が守らなければならないという意味で、都道府県が条例を定める基準を改めて「最低基準」と称するとしております。例としまして、そこに保育所の「従うべき基準」と「参酌すべき基準」としまして省令に規定したものを載せております。
 それから、その下のもう一つの丸でございますけれども、少し長いタイトルの省令でございますが、これにつきましては、四角の中ですが、保育所の居室面積基準につきましては、待機児童が解消されるまでの間の時限的な特例措置として、本来は「従うべき基準」でありますけれども、厚生労働大臣が指定する地域につきましては「従うべき基準」ではなくて「標準」とするという内容でございます。これは平成26年度までの時限措置とされております。この「指定する地域」につきましては、この省令に基づいた告示により?と?の二つを指定しております。?待機児童が特に深刻な地域、?保育所のための土地等の確保が困難である地域。具体的には次の3ページですが、待機児童数が100人以上の地域。それから、平均地価が三大都市圏の平均以上の地域ということでございます。具体的には35市区町村がこの対象になっているわけでございます。
 それから、4ページでございます。「第2次分権一括法の改正」についてでございますけれども、?の「義務付け・枠付けの見直し」につきましては、(a)の婦人保護施設の人員・設備・運営基準を都道府県の条例に委任しまして「従うべき基準」と「参酌すべき基準」に分けております。また、(b)のところでございますが児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、次世代育成支援対策推進法につきまして、策定した計画の公表等に関する自治体に対する義務付けを廃止または努力義務化するものでございます。?の「基礎自治体への権限移譲」につきましては、母子保健法による未熟児の訪問指導・養育医療の実施等に関する権限を都道府県等から市町村に移譲することといたしております。以上が、地方分権一括法の関係でございます。
 続きまして、社会的養護の関係につきましては家庭福祉課長よりご説明いたします。

○高橋家庭福祉課長
 家庭福祉課長の高橋でございます。資料5につきまして、ご説明申し上げます。今年1月から社会的養護の当面の見直しということで、課題と将来像の検討会をやってまいりまして、6月末に取りまとめをいたしました。前回7月の当部会でその報告書の報告をさせていただきましたけれども、その後の状況について説明させていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、「社会的養護の課題と将来像に基づく当面の省令改正」ということで9月1日付で省令改正を一つ行っております。その項目は、一つは施設長の資格要件の最低基準への規定。それから、施設長研修の義務化ということですけれども、社会的養護の施設の全体の底上げを図っていきたいということから、一つは施設長の資格について今までは規定もなかったが、今回の親権等の改正でさまざまな役割が重くなるということで資格要件を最低基準に定める。それから、施設長の研修を義務化する。就任のときに1回、その後は2年に1回研修受けるということで、早速今年度は来年2月に実施予定でございますけれども、そのようなことを既に省令改正しております。
 次の3ページでございますけれども、2番目としまして「社会的養護の施設の第三者評価の義務化」でございます。社会福祉施設の一般の第三者評価は任意の制度でありまして、非常に受審、第三者評価の実施率が低いわけでありますが、社会的養護の施設では子どもが施設を選べない措置施設でありますので、これを今回義務付けようということであります。義務付けるに当たりましては、概ね3年に1回以上の義務付けということですが、第三者評価の基準の見直しを併せて行っております。それぞれの施設種別ごとの指針を作り、併せてガイドラインを見直すという作業を今年度いっぱいで行おうと思っておりまして、来年度に各自治体での第三者評価ガイドラインの見直しをしてもらいまして、実質的には来年度後半から実施するというスケジュールであります。
 次の4ページで、省令改正の3項目目は「親族里親の要件の見直し」でございます。これまで民法の扶養義務との関係で、3親等以内の親族による里親は親族里親といたしまして里親手当を支給せず、一般生活費と子どもの実費のみという支援となっていました。しかしながら、3親等以内の親族の中でも直系血族や兄弟姉妹と異なり、おじ・おばには家庭裁判所が扶養義務を課す場合を除き、扶養義務がないわけであります。そういう意味で、その場合には里親手当を出せる養育里親になれるようにしようという省令改正を行いました。
 4番目は「自立援助ホーム等の位置情報の提供」でございますが、これらは利用施設ということで申し込むために、場所ですとかその内容をホームページ等で公表することが今までの省令の規定にありましたけれども、今般、自立援助ホームに「子どもシェルター」のような虐待を受けた子どもの避難先のようなものを適用していく関係上、自由な位置情報の提供をしないことができる取扱いに改正いたしました。
 次の5ページでございますが、現在、施設運営指針及び里親等養育指針のワーキングを、このように六つ設置しておりまして、一番下にメンバー表があります。指針につきましては当部会の下の「社会的養護専門委員会」で最終的にまとめていく。また、ガイドラインにつきましては全国社会福祉協議会におかれています分科会で併せて議論していくというようなスケジュールになっております。以上です。

○大日向部会長
 ありがとうございました。最近の予算要求、法令改正の状況について事務局からご説明いただきました。ただ今のご説明につきまして、ご質問・ご意見がありましたら、お願いしたいと思います。大体16時ぐらいを目途にお願いできればと思います。
 石津委員、よろしくお願いいたします。

○石津委員
 まず、概算要求で妊婦健診についてですけれども、先日いただいた資料には項目があったのですが「検討します」となっていますが、来年度以降、国の補助はどうなるのかということを、検討ではなくて概算要求として具体的にされたのかどうかを含めてお尋ねしたい。
 それから、基準額と実際の委託料の差額が大変大きくて、市町村の負担が大変大きくなっているのですが、今後、恐らく基準額がまた下げられるのではないかと。私も予算編成をしていますので、編成していく側として、どのようにしていくかというのは大体読めるのですが、市町村の立場としてはそのように下げられるというのは、いったん始めると市町村はやめるわけにはいきませんので、このことがどうなっているかということをお尋ねしたいと思います。
 それから、震災の関係もお尋ねしてよろしいでしょうか。今、ホットスポットの問題がだいぶ取り沙汰されて、保育所等でも、私どもの市内も全部、学校も含めてホットスポット調査をすることにしまして、既に測定を始めているのですけれども、高線量の除染が必要となるような場所が出た場合に、特に厚生労働省の管轄の施設、保育所等で出た場合に、何らかの支援、あるいは基準等をお示しいただけるのか。それとも、市町村が全く独自にやるのか。あまり期待はしていないのですけれど。独自にやるしかないのではないかと思っていますが。それにしても、全く市町村の勝手でよいというわけにはいかないと思いますが。その辺について、お尋ねしたいと思います。

○大日向部会長
 一問一答ではなくて、幾つか関連したご質問をいただいてからで、よろしいでしょうか。
 他にありますか。では奥山委員、お願いいたします。

○奥山委員
 被災地の支援についてです。今はどこに住んでいても健診などが受けられるようになっているとは思いますが、その辺りは住民票がそこになくても大丈夫だということになっているとは思います。例えば、福島から山形へは1,000人以上の乳幼児が避難していると聞いています。そうなると、受け入れた自治体側が、被災地から来られた人も同じ支援サービスを受けられるということを、かなり積極的に広報しない限り、多分パソコンもない中で情報をキャッチするのは、かなり厳しくなっていると思いますので、どうなっているのかを質問させていただきたいと思います。

○大日向部会長
 ありがとうございます。他にありますか。この辺りで、一度切ってもよろしいでしょうか。それでは事務局から、よろしくお願いいたします。

○伊藤総務課長
 最初の石津委員からのご質問でございますけれども、妊婦健診につきましては、もともと補正予算で積んでおります基金でございますので、今回の概算要求では要求しておりません。今後、また補正の機会があるのではないかと考えております。それに向けまして、年末に向けまして、この取扱いについて検討していくこととしております。この基金で行っております事業は大変重要なものであると我々は認識しておりますので、そういう認識を踏まえまして検討したいと考えております。
 それから、基準額と委託料の差額につきましては、これはやはり国が決めているもの、中央の方で考えている基準額と現場における委託料の差額がどうしても出てきてしまうことがありますので、そこについては今後も十分念頭に置きながら、考えていきたいと思いますけれども、現時点で基準額を下げるなどの議論はしておりません。今後も委員のご指摘は十分踏まえまして、予算要求をさせていただきたいと考えております。
 それから、震災のことでございますけれども、ホットスポットがあるということでございます。まず、毎時1マイクロシーベルト以上の所につきましては財政支援を行うこととしております。それは児童福祉施設すべてについてでございまして、保育所、児童養護施設などすべての施設につきまして1マイクロシーベルト以上の所につきましては財政支援を行っているところでございます。これにつきましては、引き続き予算を確保して財政支援していきたいと思っておりますし、今回の第三次補正予算におきましても、民間の施設で設置者負担が生じる部分につきましては、何らかの手当ができないかということで現在、検討しているところでございます。
 それから、土壌汚染の費用につきましては、最終的には東電の補償の対象になると我々も聞いておりますので、補助の扱いにつきましては、当面は施設が困らないようにということになろうかと思いますが、最終的には土壌入れ替えの費用についてはすべて東電が負担することになると承知しております。
 それから、奥山委員からお話がありました健診の話で、住民票がなくても大丈夫かという話ですが、住民票がなくても市町村におきましては健診は受けられることになっておりますけれども、受け入れた自治体が積極的に広報をしない可能性があるというご指摘でございましたけれども、こういうことがあってはなりませんので、我々としてもしっかりと自治体に対して指導していきたいと思います。財政的な面につきましても、受け入れた自治体に対して、今も保障されていると承知しておりますけれども、受け入れた自治体が消極的にならないように、ご指摘を踏まえて、しっかりと指導していきたいと考えております。

○大日向部会長
 ただ今のお答えで、よろしいですか。ありがとうございました。他にいかがでしょうか。どうぞ、秋田委員。

○秋田委員
 まず、震災のことに関連してでございますけれども、手厚いご配慮を迅速にしていただけていることを大変ありがたく思います。今回ご説明いただきましたところで、最後に参考資料として「東日本大震災中央子ども支援センター」の設置ということを出していただいているのですけれども、まずは支援が大事だと思いますけれども、私たちの学術会議で内閣府に提言書等を出させていただいたところでも、外からの支援という発想だけではなく、今後の長期的な復興を考えると、地元の人たちが積極的に参画して自分たちでやっていくことの重要性が議論されております。この図を見ますと、派遣という形が極めて多いのですけれども、地元の中にたくさんの養成校等もございます。そういうところの中の人たちが参画できるような研修の体制等、いわゆる中央から派遣するというだけではないアイデアを今後は入れていただけるとありがたいのではないかと考えます。基本のアイデアはこれでよろしいと思いますけれど、できるだけ地元で長期的にケアの問題ができる専門家の養成を手厚くお願いしたい。この辺りはどういう議論になっているのかを伺えればと思っております。
 また、震災に関連しましては、当該地域の震災というだけではなく、もう一度全国的に防災という点から、保育所の避難経路等がどうなっているのか、現在の状況でよろしいのかということの見直しが必要ではないかという議論が保育学会でなされておりました。この辺り、何かご議論があれば伺いたいと思います。まずは、震災等に関してのことで、お伺いできればと思います。

○大日向部会長
 それではただ今の点について、まず、お答えいただきましょうか。

○為石虐待防止対策室長
 今度、「東日本大震災中央子ども支援センター」ができ、同時に厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の中に「東日本大震災の被災地子ども支援室」をつくりました。室長を併任しています為石でございます。この「東日本大震災中央子ども支援センター」のもともとの発想は、基本を後方支援としております。特に医療系の児童精神科医が非常に少ないということがありまして、この辺は外から支援を入れていかないと現状として対応できないということでございます。その人たちが直接子どもにかかわるだけではなくて、研修や相談という形で実際に子どもたちにかかわっている人たちをできるだけ支援していこうと考えております。また、それぞれの地域で状況が違いますので、そういった状況をしっかり窓口でつかまえて、それぞれの被災県で、それぞれ関係者が連携を取れるような形で、地域での活動を支援していくということを前提にして立ち上げております。
 防災に関しましては、各施設協を通じてお願いしなければいけないことだと思います。

○大日向部会長
 ありがとうございます。私も今の秋田委員のご指摘は大変重要だと思います。こちらから専門家を派遣するのは当座は非常に大事な点だと思いますが、現地にも非常にいろいろな活動をしていらっしゃる、あるいは、その潜在力をお持ちの人がいらっしゃると思います。とりわけ、子育てや子育て支援に関して、女性の力をもっと活用していただけないかということは内閣府の男女共同参画推進の会議でも声があったことですけれども、東北地方は女性の力を表に出すことに文化的な問題もあって比較的消極的な地域だと伺っております。どうか男女共同参画の視点からも、現地の女性やNPOなどの力もぜひ活用していただければと思います。

○為石虐待防止対策室長
 ぜひ、そうさせていただきたいと思います。特に、子どもたちに一番かかわってくれている人たちが、少し厚みのあるケアができる、受け止めてくれることが一番重要なことだと考えていますし、長期支援としても必要なことだと理解しております。

○大日向部会長
 ありがとうございます。それでは、奥山委員。それから、宮島委員の順でお願いいたします。

○奥山委員
 先ほどの話で、健診時だけではなくて、実は、例えば福島から避難された人たちは全国に散らばっているのですけれども、行った先の自治体で福島から来たことを申し出られないということがあります。それで、実は山形はかなりの人数が入っているので、要するに福島から来ている人に特化したような、例えば乳幼児の子育て支援をやっていかないと、地元のサロンや広場にも出て行けない可能性があります。雪が降ってくる季節が近づいていて、母子だけで避難している可能性が高いものですから、普通の親子以上に孤立してしまうわけです。雪が降って身動きがとれなくなることがあるので、健診だけではなくて、地域子育て支援拠点や幼稚園や保育園で、あらゆる手立てで受け入れていくことを積極的にしないと、被災県はよいのですがその周りの県などは、多くの補助金がいっているわけではなく、支援していくことについて、どうしても消極的にならざるを得ないところがあると思います。その辺りは、国が取り持ってあげないと、動かないところがあると思いますので、ぜひ、きめ細かい対応をお願いできればと思っております。よろしくお願いいたします。

○大日向部会長
 大事な点ですね。ありがとうございます。それでは、宮島委員、お願いいたします。

○宮島委員
 震災関連ではなくて、保護を要すること、支援を必要とする子どもたちのことで4点お聞きしたいと思います。児童養護施設や里親の最低基準が条例化されるということに既になったということですが、世の中の進む方向として、これは必要だと思っておりますが、良い面と悪い面があるだろうと思っています。社会的養護というのは、子どもたちのためのセーフティネットであって、生活保護とある面で似ているものです。子どもたちを守っていかなければならないものだと考えているものですから、最低基準を地方に委ねることによって、それが下がってしまうことがあってはならない。子どもたちに不利益が及んではならない。この辺について、非常に知恵をしぼっていただいて、基準を幾つかに分けて、ランク分けをするという工夫もしてくださっていると聞きましたが、これが下がらないような何らかの手立て。国がやるべきことと地方がやるべきことと両方があると思いますが、下がらないための何か工夫や手立てについて、お聞きしたいと思います。
 二つ目としては、下がらないための手立ての一つとして、児童養護施設等に第三者評価を義務付けることや施設長の要件をきちんとするということが挙げられていて、頼もしいと思いますが、第三者評価というものが機能する場合としない場合があって、評価者そのものが育っていないために、重箱の隅をつつくようなことがあって、本当の大事なことが取り扱われないことがあるということを感じています。評価者を育てることについて、何らかの考え方があるのかどうかをお聞きしたいと思います。
 三つ目としては、社会的養護のことですけれども、里親養育や小規模な養護を広めていかなければいけない。これは方向性として間違っていないと思いますが、ともすれば小さな集団でまとまって煮詰まって、虐待等も発生することがあります。これにきちんと手立てをしていかなければいけないと思います。そのためにも、実際に児童養護施設等に里親支援の担当を置く取組の要求をしているということですけれども、この辺もう少し補って、ご説明いただけたらと思います。
 最後ですけれども、預かる子どもだけではなくて、地域にはさまざまな困難を抱えた子どもたちがたくさんいるので、このことの支援を充実させなければいけない。現実化させなければならない。その中で、特に母子保健のことが大事だと思っています。今回、未熟児等の支援を数年後には都道府県から市町村に移すということですけれども、市町村の保健師も、かなりあっぷあっぷの状態で、乳児全戸訪問事業も実施率は上がっているけれども質が高くないという話も聞いています。ともすれば、ピンポンダッシュのように予約をしないで行って会えないで終わってしまう例もかなり聞いていますから、この辺の母子保健の訪問の内容の充実について、どのようなことを考えられているかを聞きたいと思います。この4点です。

○大日向部会長
 ありがとうございます。ただ今は養護施設に特化して、地域の自主性および自立性を高めるための改革についてのご質問をいただいたのですが、この点に関しては児童福祉施設全般、特に保育所に関しても、いろいろなご意見・ご質問があるかもしれません。先にそれをいただいてから、事務方にお答えいただくということでもよろしいでしょうか。それでは、先にお手が挙がったのが矢藤委員。それから、榊原委員の順で、お願いいたします。

○矢藤委員
 保育所の最低基準のことについて、地方自治体の研修などの調査もやったのですけれども、その担当者の理解や認識、どういう領域で仕事をされていたかによって、ずいぶん差があるように感じていますので、基準を下げないためにどうするかという取組と、地方の担当者になる人たちへの周知の仕方、何らかの研修のようなことを、どの辺りまでお考えなのかをお聞きできればと思います。

○榊原委員
 関連しまして、今の保育所の最低基準の条例化の点で、国の取組が決まったことを受けて、地方の自治体で今どういう状況になっているのか。わかっている範囲で結構ですので、教えていただければと思います。

○大日向部会長
 秋田委員、お願いいたします。

○秋田委員
 本日配布いただいた資料4、地方分権一括法の第1次分権一括法関係の省令で、平成26年度までの時限措置として、待機児童100人以上の所の居室面積基準について「標準」という形に緩められているわけです。けれども、何らかのこういう省令が制定された場合には、その制定がどのような影響を及ぼしているのかについて、きちんとしたモニタリングをしていただくことが必要で、面積がこのように基準を下回っていて、本当に子どもにとって、ふさわしいものであるのかを検討していただきたい。きちんとこれによって、どのような問題が起こるのか。それでも大丈夫なのか。きちんとした実証的なモニタリングがないと、私どもはこういう省令に対して大変不安を持っております。この辺りについて、どのようにお考えかというところを、政策として打った以上、それの評価をどのようになさるのかを伺いたいと思います。

○大日向部会長
 よろしいでしょうか。それでは、お答えをお願いいたします。

○伊藤総務課長
 最初に、奥山委員から、例えば山形などにもたくさんの避難者がいて、その人々に対する対応はどうなっているのかというご質問がありました。実は、第一次補正予算で「安心こども基金」の積み増しを行っておりまして、そこで被災3県以外のところでも、避難して来られた子育て家庭のための相談事業などができるようになっておりまして、実際に幾つかの県では既に開始しております。そういうことについて周知しまして、こちらの方からもアドバイスしていきたいと考えております。

○高橋家庭福祉課長
 最低基準の条例化の件につきましてでございます。良い面と悪い面があるという指摘をいただきました。そういう意味で、悪い面が出ないように最低基準の面積基準や人員基準、その数字の一番大事なところ、それから、子どもの権利にかかわるようなところは「従うべき基準」ということで、それ以上であればよいのですが、必ずそのとおりにしなければいけないものを今回仕分けしまして、地方自治体に今の最低基準が条例準則になるわけですけれども、どの条とどの条がどうしても従うべき基準で、どれとどれが参酌基準ですと色分けしたり、わかりやすい条例をつくる際のものも提供しましてご検討いただくということをしております。
 それから、第三者評価につきましてでございました。第三者評価につきましては、まさにおっしゃるように、評価者を育てることが大事であります。まずは、現行の評価基準が、どうしても評価しやすい部分に偏っているのではないか。施設の養育の質や、評価しにくいところの評価項目が少ないという議論がありまして、そこは評価基準の見直しをする。その上で、評価者の育成ということでは評価者研修をやらなければいけないですし、すべてのジャンルの施設の評価ができるかというと、難しいと思います。ある程度、その分野に詳しい調査者のようなものを育成するという取組を議論したいと思っております。
 それから、里親養育あるいは小規模化につきまして、小さい集団で煮詰まって虐待が生じやすい。特に、里親などでも家庭の中のことでありますので、はじめは非常に意欲に燃えてやられるのですけれども、育てづらい子どもであったりすると、事故が起きたりという不幸な事件もございます。そういう意味で、今年の課題と将来像では、児童養護施設と乳児院に里親担当の職員を置く。これを各施設に全部置きますと700人くらいの体制になります。児童相談所が206か所でありますので、かなりの数の専任の体制ができます。施設の人ですと、あまり人事異動もありませんから、その地域に長くいるということで継続的にフォローできる体制になるのではないか。新規に委託したら一定以上の回数、例えば当面は毎月行くなど、そういう基準をつくって、何か事が起きてから家庭訪問するのではなくて、まずは継続的に訪問するような仕組みなどを、今検討しているところであります。
 それから、若干話は離れますけれども、母子保健のところの訪問事業など、そこのところの体制ということで何か策はあるかということがございました。実際に聞くところでは、全戸訪問事業やその後のハイリスクを抜き出していく養育支援の訪問事業などでも、市町村の委託先が専門性が高い所と、そうでない所もあるという意味で、地域の資源である、例えば乳児院や養護施設が市町村から受託してもよいのです。例えば、児童家庭支援センターなども自治体から受託して、ハイリスクの訪問事業をやってもよいのです。そのような地域にいる専門家の資源を今後どのように使っていくのかということも、一つの課題として検討してまいりたいと思っています。

○橋本保育課長
 保育課長でございます。保育所の最低基準についても、いろいろとご心配いただいているところでございまして、私どものところにも、そういったご心配の声はいろいろなところから聞こえております。おっしゃるとおり、今般の制度の見直しが最終的に子どもたちの不利益になることがないように気を付けなければならないというのは、私どもも全く同感で、いろいろとご意見をいただいた点につきましても、十分踏まえてまいりたいと思っております。
 それで、最低基準の省令の改正をいたしまして先般、公布したわけでございますが、これにつきまして、先週末10月28日に今般の省令の改正内容につきまして、各都道府県あるいは中核市・政令市に対しまして、こういった形で整理がなされましたと細かくお示しする通知をいたしましたので、これを受けまして、これから各都道府県あるいは政令市・中核市におきまして、具体的には来年4月から施行されますので、これに向けた条例化等の作業が始まるものと思います。既にそれぞれの自治体におきまして準備は始められていると思いますが、現時点で私どもの方で、どこの自治体がどこまで進んでいるという状況の把握まではしておりません。ただ、これから先、来年の4月からの施行に向けて、どのように事務が進捗しているかということにつきましては、これからも一定期間経ったところで把握させていただき、その段階でいろいろと中身が不明な点について、これから先いろいろ問い合わせも自治体からいただくことになると思いますので、そういった点については、まとめて整理してお示しするとか、いろいろな形で、研修といえるかどうかわかりませんが、自治体で実施に遺漏のないような形で、私どもとしての必要な協力をさせていただきたいと思っております。
 また、その中で具体的にどういう状況になっているかというのは、まさに子どもたちの不利益にならないような形での施行状況になっているかどうかというところについては、そういった問題意識を持ちながら、私どもとしてもウォッチしていきたいと思います。

○榊原委員
 ありがとうございます。最後に保育課長がお答えくださった点で、ぜひウォッチの方を、よろしくお願いします。
 その関連ですけれども、地方分権や地域主権の流れの中で、自治体に委ねられる権限を委ねていくというのが時の流れであることは等しく皆理解していると思いますが、最近の自治体と国の協議を聞いていて、特に子どもの分野について、権限と財源をよこせという議論はあるのに、それと同時に持つべき説明責任、調査、追跡など、その後のフォローの責任をどれくらい自治体が負う覚悟があるのかということが伝わってこないために、見守っている者としては大変不安になることがあります。特に保育所の最低基準について、今回関係する自治体をたくさん持っていらっしゃる東京都に話を伺いました。これまでも認証保育所で、より狭い面積で運営してきて大丈夫だったからと説明をいただいたので、では、過去にあった重大事故が、認証と認可園と認可外の保育園では、どういう状況ですかとたずねましたところ、そういった数字は出せないとおっしゃるのです。そういう数字は一括して丸めた数字で、国には報告してあるということなので、厚生労働省で、東京都の事故の状況はどうですかと伺っても、国は都道府県に聞いてくださいとおっしゃるのみということで、あれだけの巨大な自治体ですら、自分たちが責任を持って、これから保育のこういった基準を決めていくというのであれば、権限と財源だけではなくて説明責任を。例えば、重大事故の結果がどうであったのかという調査と説明も、ある種義務付けられるくらいの関係にあってよいのではないかと思っています。
 ですから、国からも委ねるものは委ねる。ただし、その分の責任も負うようにという形でパッケージで出していただければと期待しています。

○大日向部会長
 ただ今のご意見について、いかがでしょうか。

○橋本保育課長
 権限を持つところには、その説明の責任が伴うのは、ある意味では行政の世界で当然のことだと思いますが、これから先、それぞれの自治体におきまして、条例制定ですので、それぞれの自治体における議会にかけることにもなってまいりますので、まさに地方自治の仕組みの中での、そういった説明責任も果たさなければならない場面が必然的に出てくると思っております。私どもとしては、そういったところにも期待しておりますし、また、そういったところに、しっかりと対応していただきたいと、私どもからも促していきたいと思います。

○大日向部会長
 この点についてでしょうか、矢藤委員、お願いいたします。

○矢藤委員
 今のことと別のことですが、よろしいですか。

○大日向部会長
 今のことに関して、ほかにご意見があればと思いますが。秋田委員のお手があがっていますので、矢藤委員、恐縮ですが、少しお待ちください。

○秋田委員
 私も先ほどの榊原委員と同じように、モニタリングというか義務として国と、それから今度は各自治体の引き受けるべきことを明確にご説明いただいて、しかも、これは時限措置であるということを、あらためて確認していただきたいと思っています。児童福祉の理念というのは、すべての自治体において等しく子どもの福祉が守られることが必要でございますので、今回私どもは「参酌すべき基準」と書かれているところが、本当に子どもの生存権にかかわらないところが参酌されているのかということに関しましても大変不安に思っているところがございます。ですから、きめ細かく義務付けというかモニタリングしていただきたいと思っております。以上です。

○大日向部会長
 ありがとうございます。子どもの「今」というのは、その子どもにとっては、今しかないものです。たとえ時限であろうとも、ぜひとも厳しい基準で評価基準を設けて国もウォッチングしていただきたいと思います。参酌基準に関して、文面では「地方自治体が十分参酌した結果」とか「合理的な理由がある場合」と書いてありますが、いずれも恣意的にとればいくらでもとれることはないのか、子どもの最善の利益に反しないように、どうか国としても毅然とした対応を取っていただければと、皆さまのご意見はそこにあると思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、矢藤委員、お待たせしました。

○矢藤委員
 施設長の資格要件と第三者評価で、保育所に関してどこまで進んでいるのかということを確認したいと思っています。保育所も利用施設とはいえ、特に地方では選択肢が限られている地域が少なくない中で、第三者評価はシステムとしては整ってきていると思いますが、実際には受審がそれほど進んでいない現状があると思います。また、施設長の資格要件に関して長年議論されたり、私も調査研究もしましたが、このことも手付かずのような状況で、特に保育所のような小さな組織体がより施設を高めるような運営をしていくために、施設長の資格要件なども保育所に関しても議論が必要だと思っています。その辺りは今、どういった議論の状況になっているかということを教えていただければと思います。

○大日向部会長
 そろそろ次の議題に移る関係もありまして、このコーナーはただ今の矢藤委員のご質問にお答えいただいたところで、そろそろと思いますが、
 林委員もお手があがりましたね。それでは、どうぞお願いします。

○林委員
 親族里親要件の見直しのことです。これは多分、東北の震災への対応ということが非常に大きくて、手当支給のために直系血族でないおじ・おばを養育里親に包括するということだったと思います。里親委託率を増加させていくという方向性の中で、親族里親の委託率を高めていくという方向性も非常に重要ではないかと感じております。それは恐らく、おば・おじが養育里親に含められたことで、当事者を二分してしまうような側面があると思います。つまり遠くの親族よりも近くの知人・友人というものが受け皿になる場合もあるかと思います。そういう中で、親族里親の要件が、今ですと行方不明や死亡などに限定されているのですが、その要件を緩和する、あるいは民法上の扶養義務ということでいえば、果たして虐待を受けた子どものケアをすることまで民法上でいう扶養義務の範囲内に想定すべきなのかという辺りも、法律学者によってもかなり意見が異なるところです。そういうことを含めまして、むしろ、親族里親の委託率を増加させるために養育里親に出すのではなくて、親族里親の拡大を目的とした要件緩和という方向性を考えていただけないかということが、一部の当事者を含めてかなり声が出ています。ご配慮いただけたらと思います。以上です。

○大日向部会長
 では、矢藤委員と林委員のご質問・ご意見についてお答えいただけますでしょうか。

○橋本保育課長
 保育所の第三者評価のこと、施設長の資格要件についてお話をいただきました。第三者評価が仕組みとして整備はされましたけれども、実態としてまだ進んでいないということについては、おっしゃるとおりだと思います。また、施設長について今は運営費の中で施設長を置いている場合と置いていない場合の一定の差を設けておりますけれども、置いていないという所が相当数あるのも事実でございます。資格要件そのものにつきまして、どのように考えていくかという議論が現時点でそれほど進んでいる状況ではございません。ただ、保育所で働く人の資格のあり方につきまして、また、後でご説明いたします「子ども・子育て新システム」の関係の中で、資格要件そのものについてどのようなことをしなければならないかという議論も出てまいりますので、いろいろな要素を総合的に見ながら今後、私どもとしても考えていきたいと思っております。

○高橋家庭福祉課長
 親族里親につきまして、ご意見をいただきました。親族里親の要件拡大につきましては、今年の4月に議論しまして、6月の省令改正で一部拡大しております。これまでは死亡や行方不明、収監されたとか非常に限定的な感じでありましたのを、病気の場合などで親族が引き受けなければ施設措置を余儀なくされるような場合に適用できるということで、4月の里親委託ガイドラインや実施要綱改正。その後、それを省令で6月の改正で反映するなど一部拡大、適用しております。これは都道府県によりまして非常に適用の姿勢に差がありまして、積極的にやっている自治体と親族里親は基本的にやらないという自治体があります。親族が養育するのが当然ということで、それに現金を出すような親族里親はやらないというような県もあります。そういう意味で、積極的に使うようなことでのガイドラインの改正などを行ったところでありまして、ご指摘のように親族里親を積極的に活用している国もあるということでありますので、そこの活用もしてまいりたいと思っております。

○大日向部会長
 よろしいですか。

○林委員
 恐らく、おば・おじが養育里親に含まれることで、当事者というものを、親族特有の里親である大変さというものを二分してしまうような側面があると思います。要するに親族特有の支援のあり方というものを考える上で、親族里親というところにおば・おじを含めている意味というのが非常に大きいのではないかと思います。

○高橋家庭福祉課長
 そこのところは、そういう意味で養育親族がやる養育里親、少し概念がややこしいのですけれども、親族が養育里親をやる場合の留意事項ということで、そこが通常の養育里親では溶け込みきれないような、そういう意味では最初にご指摘があったように、里親手当を出すための便法だろうと言われれば、確かにそういう側面もあるのですけれども、一方で親族里親を適用しにくい自治体にとっては逆に養育里親という形できちんと養育里親研修をした上であれば適用しやすいという声もありまして、プラス・マイナス両面ある中で活用になるような使い方、運用をしてまいりたいと思います。

○大日向部会長
 それでは、この辺りでよろしいですか。どうぞ、榊原委員。

○榊原委員
 今の社会的養護の大きな方向性について、半世紀ぶりの大事な制度改革ですので、ぜひ着実に進めていただきたいと期待しております。家庭的養護を拡充していく中で里親を増やしていくという取組は日本では遅れていた領域なので、ぜひ普及していってほしいと思いますけれども、恐らくこれはお願いの域に入っている話ですが、里親をもっと増やしていくためには、例えば、育児休暇や看護休暇のような一般施策の中に子育てをする人の一類型として里親も入れていく。欧米の特に里親制度が普及した国々では子どもを委託された時点を新しい子どもが生まれた時とみなして、育児休暇など、さまざまな子ども関係の手当の支給が現物も現金もあると聞いていますので、日本でも里親を増やしていくときにはそういった支援を当然やっていくべきだろうと思います。会社に「里子が来たから」と言ってもなかなか休みがもらいにくい、周りにも理解してもらいにくいという話を聞きますので、社会的に里親の位置付けをはっきりさせるためにもいろいろな施策に里親のための子育て支援を入れていくということも、今後ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、最後に「東日本大震災中央子ども支援センター」ができていたのは大変良いと思いますが、これは、厚生労働省関係の子ども施策をカバーするだけではなくて、広く被災地の子ども、特に未就学の子どもをカバーするような、例えば幼稚園に通っている子どもは除外されているということにならないように、未就学の子どもを中心に、子ども全体を広くカバーするような検討をやっていただきたいと思います。被災地に取材に行って思うのは、就学以上の子どもは教育委員会のネットワークで網羅されていますが、未就学の子どもは寸断されていて児童福祉の子どもと幼稚園教育の子ども、それからどこにも属していない子どもがいて、子ども全体を把握している機関がないということがあったので、ぜひ子どもを広くカバーしていただきたいということが希望です。

○為石虐待防止対策室長
 この協議会には文部科学省にもオブザーバーとして入っていただいていますし、文部科学省関係の団体にもご参画いただいています。対象としてはスクール・カウンセラーの方たちも、難しい子どもが出てきていて、対応に困っているということも聞いておりますので、ぜひ一緒にやっていきたいと考えております。

○大日向部会長
 ありがとうございました。それでは、次のコーナーに移らせていただきます。最近の制度改革の動きでございます。まず、事務局からご説明をお願いいたします。

○伊藤総務課長
 それでは、資料6~8-2を使って説明させていただきます。資料6は「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法の概要」でございます。子ども手当に関する最近の動きを簡単に紹介いたします。子ども手当に関しましては、先の通常国会におきまして、いわゆる「つなぎ法」が成立しまして、本年9月まで中学生まで所得制限なしで一律月額1万3,000円が支給されることになったことはご承知のとおりです。8月初めに3党協議が行われまして、本年度後半における子ども手当の支給について、合意がなされております。8月末に「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」が成立いたしております。資料6がこの特別措置法の概要でございます。「趣旨」のところをご覧いただきたいと思います。平成24年度からの恒久的な子どものための金銭の給付の制度に円滑に移行できるよう、平成23年度における子ども手当の支給等について必要な事項を定めるということでございまして、平成24年度からの恒久的な制度に移行するまでのつなぎ的な特別措置法であるということでございます。
 概要でございますけれども、(1)の支給額・支給期間につきましては、平成23年度の前半の手当額は中学生まで一律月額1万3,000円でございましたが、後半につきましては3歳未満が月額1万5,000円、3歳以上小学校修了前の第1子、第2子については月額1万円、第3子以降は月額1万5,000円、中学生は月額1万円となっております。(2)「費用負担」につきましては、従来の児童手当分を児童手当法の規定に基づき、国、地方、事業主が費用を負担し、それ以外の費用については、全額を国庫が負担ということになっております。(3)の「その他」に盛り込まれた事項でございますけれども、?支給対象になる子どもは国内に居住していなければならないということでございます。?児童養護施設に入所している子ども等についても、施設の設置者等に支給する形で手当を支給する。?未成年後見人や父母の指定者、父母が国外にいる場合に国内にいる方を指定するということでございますけれども、その父母指定者に対しても、父母と同様の要件で手当を支給する。?監護・生計同一要件を満たす者が複数いる場合は、子どもと同居している者に対して支給する。例えば離婚協議中で別居されている場合は、子どもと同居している方に支給をするということでございます。それから、?保育料を手当から直接徴収できるようにする。学校給食費等につきましても、本人同意により手当から納付することができる仕組みとする。これは、地方団体からのご要望があって、入れた規定でございます。それから、(4)の「検討規定」でございます。?政府は、平成24年度以降の恒久的な子どものための金銭の給付の制度について、この法律に規定する子ども手当の手当額等を基に、これは(1)の支給額のところに書いてある額を基にということでございます。児童手当法に所要の改正を行うことを基本として、法制上の措置を講ずるものとする。その際、地方自治法に規定する全国的連合組織の代表者、これは「地方六団体」のことでございます。その他の関係者と十分に協議を行い、これらの者の理解を得るよう努めるものとするとされております。?法制上の措置を講ずるに当たっては、所得制限について、その基準について検討を加えた上で、平成24年6月分以降の給付から適用することとし、併せて当該制限を受ける者に対する税制上又は財政上の措置等について検討を加え、所要の措置を講ずるものとするとしております。この所得制限につきましては、次のページで説明いたします。
 2ページをご覧いただきたいと思います。2ページと3ページは民主党、自由民主党、公明党の3党間で8月4日に合意がなされた文書でございます。この文書に基づきまして、今回の特別措置法が制定されたわけでございます。1の「実施時期」のところで、手当のあり方の見直しは、平成23年10月から実施すると書いてある後ろの括弧でございますが、所得制限の導入は被災地の状況を見定め平成24年6月分から実施するとされております。子ども手当につきましては、所得制限を入れないということでしたが、3党の協議の結果、来年の6月分から所得制限が導入されることになっております。3の(2)で、所得制限世帯における所得税及び住民税の扶養控除(所得控除)の廃止による減収、つまり、子ども手当が創設される一方、所得税、住民税の年少扶養控除が廃止されておりますので、その結果として、所得制限世帯で子ども手当がもらえなくなりますと、年少扶養控除の廃止による減収も重なりますので、所得が高い世帯では減収になってしまうということがあります。こういう方々に対しまして、必要な税制上、財政上の措置を検討し、平成24年度から所要の措置を講ずるものとするということで3党で合意がなされております。4は「所得制限」です。所得制限の基準を年収960万円程度とするということでございます。具体的な基準につきましては、年末までに3党間で協議をされるということで承知をしております。5の「税制改正」です。所得制限世帯も含めた扶養控除のあり方について、平成24年度税制改正までに総合的に検討するというのは、所得税及び住民税の年少扶養控除が廃止されましたけれども、廃止された年少扶養控除につきまして、もう一度来年の税制改正までに検討するということが3党間で合意されているわけでございます。
 3ページは「半年間の特別措置法案の骨子」ということでございまして、3党の合意に基づいて特別措置法が制定されました。来年度以降の恒久的な子どもに対する手当の制度のあり方につきましては、3党間の協議を踏まえて検討されることになるわけでございますが、年内に成案を得て、来年の通常国会に法案を提出する必要があると考えております。
 次に、資料7の「社会保障・税一体改革成案」でございます。これは、平成23年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部で決定されまして、閣議に報告された文書でございます。「はじめに」の1行目です。社会保障と税の一体改革については、これまで政府・与党社会保障改革検討本部が設置されまして、有識者検討会が開かれ、あるいは集中検討会議が開催されることで議論が進められてきたわけでございますが、この成案に基づきまして、さらに検討を進めて、具体化を図ることとされております。
 この社会保障・税一体改革成案の中で児童の関係でございますけれども、3ページをご覧いただきたいと思います。3ページの一番下に「改革の優先順位」というところがございます。4ページの?~?につきまして、優先的に取り組むと書いてあります。?が子ども・子育て支援、若者雇用対策について、まず優先的に取り組むとされております。4ページの一番下でございます。「個別分野における主な改革項目」で子ども・子育ての分野では5ページの一番上に、子ども・子育て新システムの制度実施等に伴い、地域の実情に応じた保育等の量的拡充や幼保一体化などの機能強化を図る。一つ目のポツで、待機児童の解消、質の高い学校教育・保育の実現、放課後児童クラブの拡充、社会的養護の充実。二つ目のポツで、保育等への多様な事業主体の参入促進、既存施設の有効活用、実施体制の一元化といったことが記載されています。
 それから、8ページでございます。?で「社会保障費用の推計」がなされておりまして、1の「機能強化にかかる費用」としまして、社会保障改革全体を通じて、2015年度において、公費2.7兆円程度と見込まれるとされております。各分野ごとの追加公費は子ども・子育てについては、0.7兆円程度、税制抜本改革以外の財源も含めて1兆円超程度の措置を今後検討するとされております。0.7兆円程度につきましては税制の抜本改革で生み出された財源を使う。それ以外にも3,000億円超の何らかの財源を見つけて子ども・子育てに充てるということが書かれているわけでございます。
 9ページでございます。9ページの?で「社会保障・税一体改革の基本的姿」の1の(1)の二つ目の段落でございます。消費税収については、このうち国分が現在予算総則上高齢者三経費に充当されているが、今後は、高齢者三経費を基本としつつ、「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用」に充当する分野を拡充すると書かれています。
 それから、最後に付いております別紙2「社会保障改革の具体策、工程及び費用試算」です。この表は社会保障改革全体の工程表で、「子ども・子育て」の分を抜粋したものでございます。左から、A「充実」、B「重点化・効率化」、C「工程」、D「所要額(公費)2015年」、E「所要額(公費)2025年」と書いてあります。A「充実」とB「重点化・効率化」に、子ども・子育て新システムの制度実施等に伴う地域の実情に応じた保育等の量的拡充、幼保一体化などの機能強化を進めるということになっておりまして、A「充実」には0~2歳児保育の量的拡充・体制強化等、質の高い学校教育・保育の実現(幼保一体化の実現)、総合的な子育て支援(家庭や地域における養育の支援)の充実、放課後児童クラブの拡充、社会的養護の充実などが記載されております。一方でB「重点化・効率化」ですが、保育等への多様な事業主体の参入促進、それから幼稚園などの既存施設の有効活用や、小規模保育、家庭的保育などの多様な保育の促進、国及び地方における実施体制の一元化(「子ども家庭省」の創設等)と書かれています。C「工程」でございますけれども、この新システムにつきましては、また別の資料で説明しますけれども、早期にとりまとめまして、税制抜本改革法案とともに、来年の通常国会に法案を提出する方向で検討が今進められているところでございます。
 新システムとの関係でございますけれども、資料8-1をご覧いただきたいと思います。資料8-1と資料8-2は新システムの関係でございます。資料8-1は「子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめについて」という文書でございます。平成23年7月29日に少子化社会対策会議で決定されたものでございます。
 まず、この新システムの検討体制につきまして、資料8-2をご覧いただきたいと思います。6ページ、7ページにございます。6ページに「子ども・子育て新システム検討会議体制図」とございます。「少子化社会対策会議」という全閣僚で構成される会議がございまして、その下に「子ども・子育て新システム検討会議」というのがあります。これは共同議長が国家戦略担当大臣、内閣府特命担当大臣および関係省庁の大臣から成る会議でございます。その下にさらに各省の政務官から成る「作業グループ」がございまして、さらにその下に、有識者や関係団体の方々が入って議論していただいております三つのワーキングチームが置かれております。「基本制度ワーキングチーム」「幼保一体化ワーキングチーム」「こども指針(仮称)ワーキングチーム」。こういった体制でもってこの新システムが検討されてきているということでございます。
 また資料8-1に戻っていただきますが、1ページの下に「今後」とございますが、7月には中間とりまとめがなされましたが、費用負担の在り方などの残された検討課題がまだございますので、先ほどのワーキングチームにおいて検討を進め、地方公共団体をはじめとする関係者と丁寧に協議を行い、理解を得た上で、成案をとりまとめて、恒久財源を得た上で早期に本格実施するということでございます。
 この中間とりまとめの中身につきましては、また申し訳ございませんが、資料8-2をご覧いただきたいと思います。資料8-2は「子ども・子育て新システム」の概要を記載した資料でございます。「基本的考え方」としましては、子どもと子育て家庭を応援する社会の実現に向けての制度構築ということで、子どもと子育て家庭を社会全体で支援していくということが基本的な理念ということでございます。
 2ページ目は「子ども・子育て新システムの具体的な内容(ポイント)」でございます。一つ目の柱といたしましては、「すべての子どもへの良質な成長環境を保障し、子ども・子育て家庭を社会全体で支援」することです。具体的には、まず、すべての子ども・子育て家庭への支援ということで、子どものための現金給付、これは現在の子ども手当のことですが、来年度以降は新たな手当制度になるというものでございます。それから、地域子育て支援などです。次に、幼保一体化で給付システムを一体化するとともに、施設も総合施設などという形で一体化していくということであります。
 二つ目の柱は「新たな一元的システムの構築」ということで、具体的には、市町村が新システムの実施主体になって、地域のニーズを調査して、そのニーズに基づき計画を策定し、給付・事業を責任を持って実施していくということでございます。それから、社会全体での費用負担を行う。三つ目は、政府の推進体制・財源を一元化する。これまでは制度ごとにバラバラでありました政府の推進体制・財源について縦割りを排除して一元化するということでございます。それから、「子ども・子育て会議(仮称)」の設置」です。これは、子育て支援当事者が子育て支援の政策プロセス等に参画・関与できる仕組みを国レベルで「子ども・子育て会議(仮称)」を設置する。あるいは、自治体レベルでもこういう子育て支援当事者が政策決定に関与する仕組みを検討するとされております。
 3ページ目は「給付設計の全体像」でございます。左上の赤い枠で囲まれたところに「子どものための現金給付」とあります。これは現在の子ども手当のことでございますけれども、この制度の在り方につきましては、3党協議の結果を踏まえて、年末までに検討されることになっております。それから、その下の青い四角で囲んだところですが、地域子育て支援事業(仮称)として、地域子育て支援拠点事業、一時預かり、乳児家庭全戸訪問事業等でございますけれども、これらにつきましては市町村が実施する事業として法制化することとしています。また、妊婦健診につきましても、市町村が実施する事業と位置付けられ、市町村が作る計画に位置付けられることになろうかと思います。それから右側の「出産・育児に係る休業に伴う給付(仮称)」につきましては、将来の検討課題とされております。その下の青い四角で囲まれた部分に「こども園給付(仮称)、地域型保育給付(仮称)」と書いてあります。これらにつきましては、個人に対する給付という形で構成されておりまして、こども園給付(仮称)につきましては、総合施設(仮称)、幼稚園、保育所、それ以外の客観的な基準を満たした施設をこども園(仮称)と総称し、これを指定しまして、これらの施設の利用者に対して、給付を行うような仕組みを導入しようということでございます。またその下の「地域型保育給付(仮称)」につきましては、小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育などでありますけれども、これらの利用者に対しても、個々に給付を行うような仕組みを構築することとされております。一方、その下の延長保育事業、病児・病後児保育事業につきましては、妊婦健診などと同じように市町村が実施する事業として現在検討されております。放課後児童クラブにつきましても同じ位置付けでございます。
 4ページ目は、「幼保一体化の具体的な仕組み」でございます。左側の四角でございます。まず、給付システムの一体化を図るということでございます。具体的にはそこに少し小さな字で書いてありますように、市町村は、地域における学校教育・保育の需要をはじめ、子ども・子育てに係る需要の見込み及び見込量の確保のための方策等を内容とする市町村新システム事業計画(仮称)を策定するとされています。その下のポツですが、その計画に基づきまして、客観的基準を満たした施設及び多様な保育事業を自治体が指定しまして、それへの財政措置を行うということで、多様な事業主体の保育事業への参入を促進しつつ、質の確保された保育の量的拡大を図ることとされております。その下の「給付の一体化及び強化」でございますが、給付に関しましては、学校教育と保育を通じまして、個々の利用者に対して給付を行う「こども園給付(仮称)」を創設するとしています。これまで文部科学省と厚生労働省に分かれて縦割りで行われてきました学校教育・保育に関する財政措置が「こども園給付(仮称)」という形で学校教育・保育を通じて給付されることにより二重行政が解消されることになるとしております。最後の丸でございますが、保育所・幼稚園につきましては、一体化を進めるとされていまして、具体的には、学校教育・保育及び家庭における養育支援を一体的に提供する総合施設(仮称)を創設するとされているところでございます。
 5ページ目は、「新システムの実施に向けた考え方」でございます。潜在ニーズを含む保育等の量的拡充は、最優先で実施すべき喫緊の課題であるということでございます。このため、税制抜本改革に合わせて、最優先としてこの新システムを導入しようということになっているわけでございます。二つ目の丸にありますように、職員配置の充実など必要な事項につきましては、制度の実施のため、財源を確保しながら、実施していくということでございます。先ほど申し上げましたように追加所要額として1兆円超が必要とされているわけでございます。新システムにつきましては、今後年末までに「基本制度ワーキングチーム」などの場におきまして、税制改革法案と併せて来年の通常国会に関連法案を提出できるように検討がなされることになっております。地方団体、経済団体、幼保の団体などと今後調整を行って、成案を取りまとめることになっているわけですけれども、その際に、この1兆円超の財源をどのように確保していくのかということが一つの大きなポイントになると考えております。
 簡単すぎてわかりにくい説明だったかもしれませんけれども、まず私から説明させていただきましたので、後はご質問をいただければと考えております。

○大日向部会長
 ありがとうございました。ただ今のご説明につきまして、委員の皆さまからご意見・ご質問をどうぞよろしくお願いいたします。石津委員、お願いいたします。

○石津委員
 こども園に関してお伺いしたいことがたくさんありますが、時間もありますので限定して申し上げますと、例えば今、私どもでは老朽化した公立の保育所を順次建て替えをしておりまして、今年度は1棟造ってしまって、来年度の設計の予算を盛り込んだのも今は止めて国の動向を見て考えることにしているのですけれども、ぜひ議論の内容というか、方向性を伺いたいところです。先ほどの工程表では、通常国会に成案を出されるということでよろしいのでしょうか。そうすると、その前にどのようになっていきそうなのかということを出していただかないと、よくわからないまま、今は市の審議会なども開いて議論していただいているのですけれども、出せる情報もないですし、保護者からは早く建て替えてほしいという話もあります。今度は幼稚園も入ってきて、幼稚園協会からは建てないでほしいという要望が出てきています。
 幼稚園の問題でいうと、県が認証を持っていて、今度はこれで市町村が子ども教育の対象になる、計画の対象になると言われてもこれはなかなか。自分で権限を持っていたり、お金の出しどころであったりすれば、やり取りの中でいろいろとできるのですけれども、結局、県が認証して実務は市町村がやりなさいと言っても、これはなかなか言うことを聞いてくれないというか、難しいところがありますので、一番危惧しているのは、幼稚園がそのまま残っているということです。果たしてこれがうまくいくのかどうかというところを、ぜひお伺いしたいところです。
 それからもう一つ、3歳未満児、0~2歳児を公立がやるということですけれども、それは結局0~2歳児で切って、3歳になったらどこかに行ってくださいとはいかないので、実態には0~2歳児をやれば、ずっと預かってもらうというのが保護者のニーズも含めて、あるいは施設設置者としてもそうせざるを得ないと思います。そうすると、定員を多く抱えることになって、幼稚園や民間保育園の経営を圧迫するということも言われたりしました。実態として、そういうところについてどのようにお考えになっているのかということと、その議論をぜひ見えるようにお話はされているのだろうと思いますけれども、どこを見てもそのような資料もありませんし、それから実態として幼稚園は預かりをやっていますから、保育所と一緒になっているわけです。保育料だけ高いですから、お金が払えないから保育所に行かないわけです。今度は保育所でも教育をやるとなれば、その差別化というか、どう違うのかということも含めて、非常に憂慮というか、戸惑っているというか、そのような状況にありますので、ぜひその辺の説明や方向性を逐次出していただければありがたいということです。

○橋本保育課長
 まず、スケジュール的なことからお話を申し上げますと、7月末にこの少子化社会対策会議で中間取りまとめが行われた後、先般10月18日から基本制度ワーキングでの議論が再開されました。それで11月にまた開きまして、12月に現在予定されているもので2回程度の開催を予定しており、年内に最終的な取りまとめを行うというのが基本的なスケジュール感です。12月にさらに開催が必要であればその状況に応じてということになりますけれども、年内の取りまとめを目指します。それを受けまして、年明けの通常国会に関連する法案を提出したいということです。
 従いまして、今、石津委員からお話がありました全体像がどうなるのかという点につきましては最終的には提出する法案の中身をということになってまいりますけれども、その前の最終取りまとめの段階で、ある程度全体像というのは今の中間取りまとめよりも、より踏み込んだ形でお示しできるのではないかと思っております。
 特に公立についてのお話がございました。ご承知のとおり、公立について既に運営費あるいは施設整備費等につきまして一般財源化されている状況もあります。これをこの新システムの中でどう取り扱うかということは全体の財政構造との関係で一つの大きな論点です。今、年末に向けて残る論点につきまして議論していく中で、公立の施設の取扱いということも詰めた議論をしなければいけないだろうと思っておりますが、少なくとも現在は保育所全体の施設から見ましても、半数近くが公立の施設ですし、公立の施設抜きにこの新システムが成り立つとも思えませんので、そういった現実を踏まえながら、またこれから議論がされなければならないだろうと思っております。
 公立の役割の一つとしまして、先ほど石津委員が3歳未満を公立がやるというような形でおっしゃったのですけれども、公立と私立の役割について年齢的な切り方がされているわけではありません。3歳未満の保育所ということにつきましては、現在の保育所は、基本的には保育と学校教育を一体的に提供する施設として「総合施設」という施設類型に移行していくということが一定の経過期間を置きながら想定されているわけです。ただ、学校教育という位置付けを与えられるものが3歳以上に限定されておりますので、現実に3歳未満の子どもだけを預かっている保育所もあるという現実を踏まえたときに、そういった施設につきましては総合施設への移行ということではなく、保育所という制度の中で引き続き一つのこども園としての役割を果たしていく。こういったことが念頭に置かれているわけですので、3歳未満に対する対応は、公立・私立を通じて今後も低年齢児に対する保育事業がだんだん増大することが予想されますので、そこについては適切な対応をしなければいけないと思います。
 それから、幼稚園との関係ですけれども、今、保育所につきましては都道府県、それから政令市、中核市で認可の仕事が行われ、また、一部の自治体におきましては県からそれぞれの市等に個別に委任されているケースもあろうかと思います。おっしゃる通り、幼稚園につきましては今、基本的に認可の仕事が都道府県で行われておりますので、では今後新しくこの制度の中で導入されるこども園としての指定は誰がやるのか、あるいは総合施設としての認可は誰がやるのかということが、今の幼保の制度が違いますので、一つの論点になっております。先般10月18日にワーキングを再開したときの議論のテーマの一つがそれです。認可権者、指定権者につきましては、全体として都道府県に統一するという案もありますし、すべてを市町村にするという案もありましたし、大都市特例を設けて基本は県としながらも政令市、中核市については大都市に委任するという案もありました。まだ結論が出ていないわけですけれども、今後そういった点につきましても最終的な取りまとめに向けて議論を詰めていただくことになろうかと思っております。とりあえず、ざっとお答えしましたが、以上です。

○石津委員
 一つだけ。幼稚園の保育料については、そうすると従来どおり同じ保育料をそれぞれの幼稚園が取る形になるのですか。保育所の場合は所得に応じて変えていますよね。要するに、こども園になったり、総合施設になったりした場合に、先ほど給付の話がありましたけれども、その辺についてどのようにするのかを教えていただければ。

○橋本保育課長
 今の利用者負担のいただき方が保育所と幼稚園で違うのはご承知のとおりです。これについても次回に議論する基本制度ワーキングチームにおきまして利用者負担も重要な論点の一つだろうと思っております。現在、取りまとめられております中間取りまとめの中では、一定の利用者負担をお願いする、低所得の方々の利用が排除されないよう配慮するような書き方はしておりますけれども、これを具体的にどういった形にしていくかというところを整理しなければいけないと思います。また、先般行われました具体的な資料の中身につきましては既に内閣府のホームページにも出ていると聞いておりますので、そういったところもまたご参照いただければと思います。

○大日向部会長
 どうぞ。

○宮島委員
 3点、お聞きしたいと思います。拡大する保育ニーズに応じるために、多様な事業者が参加するのは必要な方向ですけれども、多様な事業者が参加することによって質が落ちてしまうことがあってはならない。これについてはきちんと書いてあるのですが、もう一つの視点として、やはりコストのかかる子どもたちがはじかれないようにということがどうしても必要だろうと。そのことがあまり語られなかったのではないかと。この辺がこの議論の中でどうあるのか、ないのか。ないのならばぜひ言っていただきたい。すべての子どもたちと言った場合には、これは多いということでなく、「すべて」というのは1人も漏れることがない。特に漏れてはいけない困難を抱えた子どもたちが漏れてはならない。障害を持った子ども、あるいはネグレクトを受けているような子どもたちが保育という重要な支えから漏れてはならないと考えているのですけれども、この辺がきちんと議論されているのか、されていないのか。されていないのであれば、ぜひ議論していただきたいと思います。
 2点目ですけれども、地域の子育て支援事業を社会的養護と連携して実施するのは、必要な方向で本当にありがたいと思っております。地域で暮らす子どもたちを、一方を子育て支援の対象として、一方を社会的養護の対象として分断するのはいかがなものか。すべての子どもたちがきちんと地域で手当てされなければならないと思います。ただ、これは意外と難しいことだと思っています。特に市町村にいろいろな困難を抱えた子どもたちのことがわかる方がいない。虐待死などを見てみますと、早い、機動力があるというよりも、見立て違い、アセスメント違いで亡くなっている子どもたちがいかに多いのか。やはりきちんと社会的養護を子育て支援と連続したものとして地域で根付かせるためには、やはり必要とするものがあるのではないか。この辺についての議論があるか、ないか。私としてはアセスメント能力も持った人たちが地域には必要だということを強く言っていただきたいと思っています。
 最後に、わからないので教えてほしいことですが、子ども・子育て会議というものができる。当事者の参加、市民の参加、さまざまな団体の参加はぜひとも必要だと思いますが、例えばこのような既存の審議会等と、子ども・子育て会議はどのようなところで違うのか、あるいはこのような代表をどのようなルートで参加を求める仕組みが考えられているのか。そこがよくわからないものですから教えていただきたいと思います。

○大日向部会長
 それでは、事務局からお願いいたします。

○橋本保育課長
 受け入れという面でいろいろな困難が伴う子どもたちをどう考えていくのかというのは大変重要な点です。この子ども・子育て新システムの議論の一つのポイントだろうと思っております。今お配りしている資料8-1の27ページをお開きいただきたいと思います。「社会的養護・障害児に対する支援」というページがあります。保育を必要とする子どもについて、どのような書き方がされているかというのは、二つ目の丸をご覧ください。「市町村は、要保護児童、障害児等を含め、地域における学校教育・保育の需要の見込み及び見込量確保のための方策を市町村新システム事業計画(仮称)に明記する」、それから「市町村による利用者調整により、確実な利用を支援する仕組みを検討する」、「虐待予防の観点から保育の利用が必要と判断される場合など、契約による利用が著しく困難と判断した場合において、市町村が措置による入所・利用を行うこととし、その仕組みを検討する」と。具体的にどうするかというところはまだまだ踏み込みが足りないと思いますが、いろいろな形で市町村による利用調整、あるいは場合によっては入所措置といった手段も含めて活用するという書き方がされているわけです。
 さらに、いろいろな専門性等をご懸念されるご意見がありましたが、現にそういった点のさまざまなノウハウを持っているのが都道府県ですので、このページの一番上の丸にありますが、都道府県は社会的養護、障害等のニーズに対応する専門性が高い施策を引き続き担うということで、市町村と都道府県、具体的には児童相談所を中核する社会的養護のシステムがありますので、それとの間の連携という形でさらに具体的な対応を検討する。今のところ、この中間取りまとめの中では、このような書き方がされておりますので、さらに宮島委員がご懸念されたような点につきましては具体的な仕組みとして検討を深めたいと思っております。

○伊藤総務課長
 「子ども・子育て会議」と既存の審議会との関係ですけれども、子ども・子育て会議につきましては、ただ今の資料8-1の28ページをご覧いただきたいと思います。28ページの下に「子ども・子育て会議(仮称)」とありますけれども、子ども・子育て支援の給付・事業を、子ども・子育て当事者のニーズに即したものとするため、また、地方公共団体、労使代表を含む負担者、子育て当事者、NPO等の子育て支援当事者等が子育て支援の政策プロセス等に参画・関与できる仕組みとすると書いてあります。そういうことで、国に子ども・子育て会議を設置するとされているわけですけれども、具体的に何をするかは下の※印です。国の基本指針、その他重要方針の審議や施策のあり方についての審議ということで、これだけだと既存の審議会と何が違うのかということがあろうかと思いますけれども、このように子育て支援当事者にしっかりとこの会議に参加してもらって、基本的な方針や細かい制度の運用について議論していただくということです。その際には、学校教育や保育などにかかわる分野がありますから、例えばこの児童部会は厚生労働省の児童福祉の分野だけに限ったものですけれども、もう少し広く新システム全体について、ここで議論していただくということになろうかと思います。例えばこの児童部会には地方団体の方はおられますけれども、労使代表を含む負担者や子育て当事者の方は入っておりませんから、そういう方々にもしっかりと入ってもらって、まさに関係者として議論していただくことになろうかと思います。具体的な会議のあり方についてはまだ検討途中で、その際に社会保障審議会児童部会やその他の子どもの関係の審議会との関係が議論されることになろうかと思いますけれども、年末までに検討した上で、既存の審議会との関係については整理したいと考えております。

○宮島委員
 ありがとうございました。本当にきちんと検討されているのだと感じました。
 1点だけ、意見というか申し上げたいことですが、先ほど市町村の専門性が十分でない懸念があることや、これを何とかしなければいけないということはきちんと意識されていることは分かりました。また、これを補うために、児童相談所などを都道府県が今後もバックアップしていくという考え方でやって行くことも分かりました。私も児童相談所、都道府県のバックアップは今後も必要だと思いますが、一方で児童相談所があるからよいというような構造がやはり市区町村にあるのではないかと思います。例えば市区町村に難しいケースがあっても、連絡すれば後は動いてもらえるというような姿勢がある場合もある。やはり児童相談所のバックアップは今後も必要ですけれども、市町村自体がきちんとしていっていただく、あるいは民間団体でそういった役割を担うような存在が育っていく。例えば児童養護施設等にいる人材も、単に入所している子どもたちのことだけではなく、地域のソーシャルワークを担えるようにしていくという方向性が必要だと思いますので、その辺もぜひ考えていただければと思います。

○大日向部会長
 ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。奥山委員。

○奥山委員
 今、「子ども・子育て会議」の件が出ましたので、こちらの最初に配られた概算要求のところにも、待機児童解消「先取り」プロジェクトの中で、地方版子ども・子育て会議の設置が入っております。新システムの基本制度ワーキングの委員でもあります池田市の市長も既にこの地方版子ども・子育て会議の設置を始めたという話をされていたのですが、この辺りは今、宮島委員からも指摘があったとおり、まだ中身がどういうことなのかということまでは詰めきれていない、先行してトライしてみるということだと思いますが、実際に市町村には自治体育成の行動計画策定の推進協議会が設置されていると思います。ただ、最初は点検・評価もということでしたが、やはり後期の方になってきますと、承認する機関になってくるということになって年に2回、協議会が設置されていない市町村もある中で、今ある推進協議会と「地方版子ども・子育て会議」の関係を自治体としてはどう整理していくのかが課題になっていくかと思いますが、ここの待機児童解消「先取り」プロジェクトで言っているところの設置については、自由設置ということなのか、その辺りのことをお聞かせ願えればと思います。

○伊藤総務課長
 待機児童解消「先取り」プロジェクトで、来年度の予算要求で考えておりますのは、モデル事業としてです。基本的にこういうものでなければならないというような厳しいものを考えているわけではありません。まだ、どのような形で補助していくのかということについてはまだ詰めきれていない部分もありますけれども、基本的には自治体の創意工夫でそういった子育て当事者に参加していただけるような会議を何らかの形で作っていただければと考えております。

○奥山委員
 そうだとすれば、やはりかなり先行したモデル実施を、皆さまこれをモデルにして、取り組むわけですから、よい形で進められるようなバックアップをぜひお願いできればと思います。

○大日向部会長
 他に、いかがでしょうか。どうぞ。

○矢藤委員
 子ども・子育て新システムの中間取りまとめの23ページのところに仮称として保育教諭のことが出ていますけれども、新システムにおける保育の質の担保において職員の在り方は大変重要だと考えておりますし、そのことは処遇の向上やキャリアアップのことなどを検討事項として挙げてくださっているので、これから検討されていくのだと思います。その23ページの三つ目の丸に、「なお、職員の資格については」というところで「保育士資格制度の見直しの検討状況等を踏まえた上で」となっていますけれども、保育士養成課程検討会が中間取りまとめを出した後、1年半ぐらい検討が停止している状態です。私はそれに関しては、子ども・子育て新システムの検討状況を踏まえて保育士養成課程も検討されるのかと思っていたのですけれども、こういった書き方をされているということで、多分こちらを検討しないと、セットでないと進めていかれない話だと思いますが、その辺りは今どのような進捗状況になっているのかをお聞きできればと思います。

○橋本保育課長
 おっしゃるように、まさに保育士の制度についての見直し議論と、この総合施設における職員の資格のあり方の議論が「鶏と卵」のような関係になっておりまして、ここのところについて、おっしゃるように今議論が止まった状態になっておりますが、一定程度この中間取りまとめにあるような新システムについての考え方は整理できたところで、また議論を始めていただかなければいけないと思っております。

○大日向部会長
 他に、よろしいでしょうか。

○佐藤委員
 大変基本的な質問ですが、予定だと来年の通常国会にこれが提案されるということですけれども、仮に法律が通ったとしたら実施はいつからのご予定なのかということ。
 それから、いわゆる幼保一元化、一体化に関しては、前回駄目でしたよね。いろいろな立場で、いろいろな思惑で最終的にぐしゃぐしゃになりはしないかという懸念があるわけですけれども、実際に実施までの段取り、あるいは工程をどのように考えておられるのか、もう一度、国会の先のことまで、どの予定なのかを教えていただければ。

○橋本保育課長
 資料8-1の1枚目のところをご覧いただきたいと思います。この一番下のパラグラフのところにありますが、来年の通常国会に法案を提出し、本格的に実施をする時期がいつになるかというのは、下から6行目ぐらいのところで「恒久財源を得て早期に本格実施」という書き方がされております。恒久的財源を得る時期としましては、社会保障・税一体改革の成案の中では2010年代の半ばというような書き方がされておりますが、新システムを本格的に実施する、つまり、こども園給付を始める時期はこの社会保障・税一体化改革により恒久財源が得られる時期からと私どもは認識しております。
 その後に括弧書きがありますけれども、「それまでの間は、法案成立後、平成25年度を目途に、子ども・子育て会議(仮称)や国の基本指針など可能なものから段階的に実施」とあります。つまり、恒久財源による、まとまった財源というものがなければ直ちにこの子ども・子育て会議が設置できないというものでもありませんので、この会議を設置し、国の基本指針などを議論いただくという、ある意味準備段階的な施行につきましては、平成25年度を目途に開始するというような位置付けがされていると私は理解しております。

○大日向部会長
 皆さまから貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。時間も残り少なくなってまいりました。最後に私からこの「子ども・子育て新システム」について、少しご説明と事務局にお願いしたいことがあります。
 新システムのワーキングチームには、秋田委員も奥山委員も入っていらっしゃいます。私も加えていただいておりますが、この「子ども・子育て新システム」は、いわば1990年の1.57ショック以来、国を挙げて超党派で取り組んできた少子化対策、子育て支援のある意味で集大成といえるものではないかという思いで私は加わっております。この新システムの主な目的は、すべての子ども、特に就学前のすべての子どもの発達環境を保障しようということと、親の生活支援の二つを大きな柱としております。この点は「子どもと家族を応援する日本」重点戦略のときから、国の今後の大きな方策として、視点が定まっていることでもありましたが、それをさらに推進する方向で取りまとめていただいたものではないかと思っております。中でも、幼保一体化に関しましては、もちろん待機児童対策ということも大きな目的ですが、それと同時にといいますか、それ以上に就学前のすべての子どもの発達環境をより良いものとすることに重点が置かれています。今までは親が働いているか、働いていないかによって幼稚園と保育園に分かれ、所管も財源も指針もバラバラだったところを一元化することを目指しています。すべての子どもに、ここには養護が必要な子どもも、あるいは虐待等で十分な発達保障が得られない子どもも1人も残すことなく、学校教育と保育が一体となった良質な発達環境を保障しようという思いで、この幼保一体化の議論が進められております。
 ただ、先ほどの石津委員のご不安やご心配も本当にもっともなことで、新システムの議論の中身が十分伝わっていないということが一番大きな問題だと思います。これまでの議論、中間取りまとめで、ある程度決まったこと、あるいは今後残された課題で今まさに議論されていることが色々とあるわけです。もっとも、今年の夏前ぐらいからはワーキングが開催されますと、即日か翌日に内閣府のホームページで動画で、資料提供も行われています。ただ、2時間の動画を全部見てください、資料を全部読み込んでくださいというのはなかなか難しいことと思います。わかりにくい、伝わっていないというお声がある一方で、残念なことにネガティブ・キャンペーンも張られていまして、新システムに対する不安、心配が高まっていることも事実だと思います。どうか事務局におかれましてはわかりやすく、ここまでは到達した、しかし、今ここはまさに議論されているところであって、現場の方々あるいは市町村の方々にこのような点は一緒に考えていただきたい、より良いものを一緒に作り上げていきたいというような積極的な情報提供をお願いしたいと思います。これは厚生労働省だけに申し上げてもとは思いますが、内閣府と文部科学省も一緒になって、ぜひとも進めていただきたいと思います。それが来年度、法案を国会に出したときにスムーズに通し、そして現場の方々に不安なく、この新システムを一緒にやっていこうという思いになっていただくうえで非常に大切な点だと思います。今日皆さまからいただきました新システムに対するご質問・ご意見は本当にもっともなところだと思って私も伺っておりましたので、ぜひともその点は事務局にといいますか政府一体となって進めていただくことをお願いしたいと思います。

○石津委員
 一言だけ。今のお話で、結局「一元化」と言っていたのが「一体化」となった時点で、もう駄目なのではないかと現場では思っているわけです。
 ですから、そこが不安として先ほども申し上げた幼稚園がそのまま残ってしまって、形は同じように見えるけれども、実質はそれぞれ分かれてやるのではないかという見方をしているところがあって。そこがやはりもともとの。
 では、なぜ「一元化」ではなくて「一体化」になったのかというところで。そこがあるのです。

○大日向部会長
 そうですね。確かに中間取りまとめの段階では、新システムの制度案要綱が掲げている理念とは必ずしも一致していない点があることは否めません。ただし、目指すベクトルとしては同じ方向を見ていると思います。
 たぶん今、石津委員が言われるように、施設類型がなぜ三つ残ったのか。総合施設と0~2歳児の保育園と幼稚園が残ったのか。それは本当にそのとおりだと思います。類型が残ったことによって、それぞれ指針も残っているということになりますが、たぶん保育園の方は一定期間を置いて総合施設の方に移行して、0~2歳児専門の保育所だけが残ります。0~2歳児専門の保育所に関しては3~5歳児の保育所にいかにスムーズに移行させるかということと同時に、0~2歳児だけの保育所も養護と教育が一体となった保育をやっていることを、何らかの形で法的に保障することも大事だろうと思います。
 幼稚園に関しては、やはり地方の幼稚園は既に預かり保育もしてくださっていますが、それは児童福祉法対象外の無認可でやっていらっしゃる所がほとんどではないでしょうか。そうしますと、やはりそこに法的な根拠をきちんと付けた上で、総合施設に移行していただくことを財政的に誘導するということも盛り込んでいる。
 その上で、それでも幼稚園で残るという所がおありになっても、これは長い歴史がございますので、それまで急速に、拙速に進めることはいかがなものかということで、中間取りまとめの段階では、制度案要綱が掲げている一体化とは必ずしもならなかったわけです。が、制度案要綱の理念に沿って目指すべきものとしては、今、石津委員が言われた方向に進めていくことが必要ではないかと思います。
 しかしながら、それではなぜ途中の段階で、中間取りまとめをしたのかと言われるかもしれませんが、社会保障・税一体改革に合わせて恒久財源を取るということが本当に大事だと考えられたからだと理解しております。まずは制度案要綱の理念に即して、ファーストステップを踏み出し、順次、現場と相談しながら、最善の方向を目指して進めていくことになるのではないかと思いますので、駄目になるなどと、そんな悲観的なことをおっしゃらずに。

○石津委員
 そうではないのです。結局、財源の問題で確保できないから、無理ではないかと。

○大日向部会長
 確保できないのではないですよね。してくださるのですよね。確保するために、努力をしていただいているのですよね。

○伊藤総務課長
 事務局がお答えするような話ではないとは思いますけれど、抜本改革に向けて今、政府与党の方で議論が始まっておりますので、ぜひ、それに期待していきたいと我々も考えております。

○大日向部会長
 ぜひ、希望をもって議論を見守っていただき、また参画していただければと思います。本日は本当に盛りだくさんの議題に対して貴重なご意見をさまざまいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、最後に今後のスケジュール等について、何か事務局からございますか。

○伊藤総務課長
 現時点では、まだ次回の日程は決まっておりませんけれども、本日いろいろなご質問・ご意見が出ましたので、適宜、開催させていただきまして、またご意見を伺う場をつくりたいと考えております。具体的には、またご連絡させていただきます。

○大日向部会長
 わかりました。それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局総務課

企画法令係: 03(5253)1111 (内線7877)

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