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2011年10月31日 第8回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年10月31日(月)
14:00~16:00


○場所

航空会館 5階 501+502会議室
住所:東京都港区新橋1-18-1


○出席者

出席委員(7名):五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、大平勝美、林昌洋、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、◎溝口秀昭

欠席委員(6名):五十音順、敬称略

小幡純子、小山信彌、鈴木邦彦、直江知樹、花井十伍、三村優美子

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、丈達 泰史(血液対策企画官)、伯野 春彦(血液対策課長補佐)、新村 浩幸(血液対策課需給専門官)

○議題

1 血漿由来製剤及び遺伝子組換え製剤のあり方について
2 各製剤の国内自給推進方策
3 輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のありかたについて
4 その他

○議事

○丈達血液対策企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第8回「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催したいと思います。
本検討会は公開で行うこととしておりますけれども、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。
本日御出席の委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日御欠席の委員についてでございますけれども、小幡委員、小山委員、鈴木委員、直江委員、花井委員、三村委員におかれましては、御都合により欠席されるとの御連絡をいただいております。
それから、本日、参考人といたしまして、日本赤十字社血液事業本部より3名の方に出席していただいておりますので、御紹介させていただきたいと思います。
経営会議委員、加藤恒生さんでございます。
副本部長の石井博之さんでございます。
財務課長の新畑泰仁さんでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、カメラ撮り等はここまでとさせていただきたいと思います。
以降の進行につきましては、溝口座長によろしくお願いいたします。
○溝口座長 それでは、第8回の検討会を始めさせていただきたいと思います。
本日は、3月に公表されました中間報告で今後検討が必要な課題とされておりました3つの課題について御議論いただければと思います。もう既にその3つの課題につきましてはこれまでも大分御議論いただいたのですが、それを更に深めていただければと思います。
その3つの議題は、議事の方に書かれております1番目が「血漿由来製剤及び遺伝子組換え製剤のあり方について」、2番目が「各製剤の国内自給推進方策」、3番目が「輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について」であります。
それでは、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。
○新村需給専門官 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の座席表とともにお配りいたしましたお手元の資料をごらんください。
1枚目に議事次第がございます。本日の議事と資料の一覧を記載しております。次に委員一覧がございます。
資料1、血液凝固第8因子製剤の供給量(遺伝子組換え型含む)と国内血漿由来製剤の割合
資料2、インヒビター製剤の供給量(遺伝子組換え型含む)の割合
資料3、血漿由来製剤及び遺伝子組換え製剤のあり方について
資料4、各製剤の国内自給推進方策
資料5、輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造について(論点整理)
資料6、諸外国との血液事業の比較(第6回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会資料)
資料7、公務員と民間との平均年収の比較について
資料8、輸血用血液製剤の諸外国との使用量(2008年度)の比較
資料9、日本赤十字社提出資料
以上が資料でございます。
○溝口座長 先生方で、何か欠落している資料がありましたらお申し出いただきたいと思います。
 ございませんようですので、早速議事に移らせていただきたいと思います。まず、議題1の「血漿由来製剤及び遺伝子組換え製剤のあり方について」でございます。事務局から資料の御説明をお願いしたいと思います。
○新村需給専門官 それでは、資料1でございますが、遺伝子組換え製剤と国内血漿由来製品の供給量と国内自給率の推移を示しております血液凝固第8因子製剤に関するグラフでございます。
 第8因子製剤につきましては、遺伝子組換え製剤を除けば、平成6年に国内自給率は100%を達成しているわけでございますが、その後、年々、遺伝子組換え製剤の供給量の増加に伴いまして、遺伝子組換え製剤を含めた自給率は下降してきております。平成22年度は、国内自給率は22.5%となっております。
この遺伝子組換え製剤が伸長している要因の一つとしまして、例えば規格の品ぞろえ。遺伝子組換え製剤でしたら2,000単位のものがございます。あるいは製剤の改良がありまして、使用の便宜性の向上ということが要因と考えられます。
 続きまして資料2でございますが、国内血漿由来製品が供給されておりません、遺伝子組換え製剤と海外血漿由来製品の供給量の推移を示しておりますインヒビター製剤に関するグラフでございます。遺伝子組換え製剤が平成22年度に供給量が増加しておりますのは、こちらも製品の改良がなされ、使用の便宜性が向上したことも考えられると思います。また、もともと患者数が少ないことから、多く使用される手術が多かったことも影響しているのではないかと思われます。
 続きまして資料3でございますが、現在、国内において供給されております輸入されている遺伝子組換え製剤は、血液凝固第8因子製剤、第9因子製剤、インヒビター製剤になります。遺伝子組換え製剤供給にともなう主なメリットとしまして挙げさせていただいておりますが、ヒト血漿由来製剤と異なりまして、感染症のリスクが低いとされております。それから原料血漿の需給状況を考える必要はないことが挙げられます。
また、デメリットとしまして、長期的な安全性に対する課題が挙げられるのではないかと思っております。
 資料1のグラフからも顕著なように、遺伝子組換え製剤の供給量が年々増えてきております。その増大することの影響としまして、ヒト血漿由来製剤の生産が困難になる。現状で遺伝子組換え製剤は輸入に頼っていることから、何らかの理由により海外製品が供給されなくなった際の危機管理に問題があります。これは平成13年に輸入が一時的に停止されまして、血液凝固第8因子製剤の安定供給に支障を来したことがございました。それから連産品として売り上げが低下することにより、他の製剤の価格アップにつながる可能性などが考えられます。
今後ますます遺伝子組換え製剤の供給が拡大していくことが予測される中、遺伝子組換え製剤とヒト血漿由来製剤の今後の方向性について、事務局として議論が必要であると考えております。
また、3ページには、(参考)としまして、遺伝子組換え製剤と血漿由来製品の価格の比較について添付いたしました。
 以上です。どうぞよろしくお願いします。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
今、事務局からの御説明がありましたように、今後、遺伝子組換え型の製剤の供給はどんどん拡大していくだろうということが予測されますが、そのときに、この遺伝子組換え型製剤とヒト血漿由来製剤の今後の方向性についてどうするかが問題だということであります。その点につきまして、先生方、もう既に大分御議論いただいたのですが、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 大分前、私が血液事業部会の座長をしていたころですが、国内生産の血漿分画製剤をある程度強制的に患者さんに使ってもらえないだろうかという御意見があったのですが、そのとき大平委員に御意見を伺ったら、それは一人ひとりのインフォームド・コンセントに従わざるを得ないのではないかという御意見でしたけれども、いかがでしょうか。
○大平委員 遺伝子組換え製剤が増加していって、そして血漿由来のものが減少していくというのはもうずっと予想されていたところなので、これについて先手先手の対策というのが全くとられないで、そのまま来てしまっていて、今度22年度は22%ぐらいのシェアになってしまうというところでは、これは第8因子製剤ですけれども、大変患者も憂慮しているというところがあります。
それはやはり、遺伝子組換え製剤のメリット、デメリットというところを1ページ目に挙げてありますけれども、感染性の問題は、そのとおり、未知の感染症の問題についてはリスクとしては残るところがあると思いますけれども、遺伝子組換え製剤の長期的な安全性に対する課題、デメリットの問題として、あと、高価格、価格が高いというのがあると思うのですね。そしてまた、そう大量にはつくれないという現状もあるのではないかということで、かなり大量につくられれば、多分価格も安くなるだろうなと思いますけれども、ここの製造の問題としてどういう問題点があるのかというのは危惧するところです。
 それからもう一点は、ここでは影響と書いてありますけれども、ほとんど遺伝子組換え製剤の製造は海外に頼っているところで、国内のリスクとしてはどうなのかというところがずっと議論としては残っていました。
 あと、最終的にはやはり医療者の方、それからまた患者の選択というところになるだろうと思いますけれども、今後、血漿由来のものを本当になくしてしまっていいのかどうかというところは、国としての方向性というのはやはりかなり重要な点だろうと思うのですね。議題としてずっとこのままシェアが下がり続けているままで、常に審議会ですとかこういう検討会で挙げられているのですけれども、これをどうするかというところは、国としての方向性がやはり示されないと、最終的には需要と供給の問題だけで終わってしまうのではないかというところが懸念されます。
 また、これは私の私見なので、よくわかりませんけれども、インヒビター製剤についても、フォン・ヴィルブランド因子の改めて有効性が、フォン・ヴィルブランド因子が含まれていることによってインヒビター製剤のよりよい効能が出てくるとか、まだまだいろいろ血漿由来の製剤のメリットというのは評価されるところがあるのではないかと思いますし、また、最終的には、国のリスク管理として、第8因子製剤、それから第9因子製剤も、遺伝子組換え製剤が大分伸びてきているところで、減ってしまった場合の、もし万一のときのリカバリーはどのようにするのかというところはきちっと対策を立てる必要があると私は思っています。
○溝口座長 ほとんど必要なことをおっしゃっていただいたわけですが、血液法ができたときの議論で、血漿分画製剤は特定生物由来製品ということで、かなり管理が厳しくなったわけですね。例えば患者さんにちゃんとインフォームド・コンセントをするようにとか、記録の保存を長期行うとか、それから副作用の報告をしなくてはいけない、また、遡及をきちっとやる。そのときに遺伝子組換え型をどうするかという議論が大分ありまして、これは、血漿由来ではないという意見もあったのですが、やはり同じ凝固因子であるということと、それから長期にわたって患者さんが使うということで、特定生物由来製品に入りましたね。
そういった意味では、感染性及び非感染性の副作用が起こったときには十分な監視が行われる製剤であると、あのときの法律でなったわけで、その点では両者のあつかいで大きな差はなくなっているわけです。しかし、患者さんが選ぶとなると、どうしても遺伝子組換え型の方にいく傾向があるというのは事実でございますね。だから、その辺が、こういう現状、血漿由来の凝固因子の供給が下がってきている原因ではないかと思われますが、ほかに何か御意見ございますか。
 これは非常に長い間、今、大平委員のおっしゃったように、私も、血液事業部会の部会長をしているときからの議論の中身でありますが、ある程度患者さんが選ぶという立場から言うと、今の段階では遺伝子組換え型の凝固因子製剤が選ばれて、それがだんだん拡大していくのはいたし方ないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 ただ問題は、今、大平委員も指摘されたように、かつて遺伝子組換え型の凝固因子製剤の供給が滞ったことがありますが、そういうときに、国内の献血由来の血漿分画製剤がその後増産して補ったといういきさつがありますので、全くゼロになってしまうのは困る。ある程度それを維持していくことが必要ではないかということが当時も議論されました。更に、国内の企業が遺伝子組換え型の製品をつくれないか、そういう方向も考慮する必要があるのではないかというようなことがこれまでも大分議論されてきたことですが、そのようなところで、この問題、大分議論されていますので、よろしゅうございますか。ほかに何か御意見ありますか、それに加えるようなこと、あるいはそうではないというような御意見。
 なければ、この問題はここで。どうぞ。
○大平委員 患者の立場から言いまして、成人の患者で、献血由来の国内血漿で、せっかくの献血制度というものを生かしていこうというところでは、かなりの社会貢献的と言ったらおかしいかもしれないですけれども、頑張って血漿由来の製剤を使っている成人患者というのも少なくないのですね。そうした努力というのもやはり、つくっていただいている日赤ですとか、ほかの関係している製薬メーカーの方たちにもわかっていただきたいなと思いまして。ですから、遺伝子組換え製剤は実際に伸びてはいますけれども、それを凌駕するというか、それと匹敵するような使いやすさですとか、そういうものに対しての、供給しても十分使えるというメリットを生かした製品をやはり献血の製剤としてつくっていただきたいというのはあります。
そうしませんと、これはほかの血液製剤にもかかわる問題だと思うのですけれども、長期的に私たちはずっと生涯こういった製剤を使っていく中で、献血で賄われている血液製剤が、献血してもなかなか製剤に使われてないのではないかということが献血者の方たちからいろいろと問題になると、それは大変私たちとしても悲しいことなので、是非そういった点も含めて、せっかく今後国内のメーカーもわりと統合的な動きの中でこういった血漿分画製剤を何とか生かしていこうという姿勢の中で、是非できれば頑張っていただきたいなと思っています。
○溝口座長 今おっしゃったように、企業としては、遺伝子組換え型に比べてすぐれた点を持つような血漿由来の製品をつくってほしいということと、もう一つは、国が何らかの施策で、この血漿分画由来の凝固因子製剤の製造の維持を工夫してほしいということ。つまり、ほうっておけばこの傾向は持続する可能性があるので、それをとめる施策を考えてほしいという御意見ではなかったかと思います。よろしゅうございますか。
 では、そういうことでこの1番目の議題を終わらせていただきまして、2番目の議題、「各製剤の国内自給推進方策」に移りたいと思うのですが、この場合は、アルブミンが一番我々のこの検討会の大きなテーマでありましたけれども、アルブミンの問題は、後で、コスト構造の中にも出てきますので、主にアルブミン以外の製剤の国内自給推進方策ということでよろしゅうございますか。
 では、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○新村需給専門官 それでは、議題2に関します資料4について御説明させていただきます。資料4でございますが、「各製剤の国内自給推進方策」について、議論していただく上で整理しております。
中間報告におきまして、血漿分画製剤の自給率の状況について、要因別に別添のとおり6つに分類されました。{2}、{3}は別の課題の議論のときに取り上げておりますので、今回は主に{4}から{6}に分類されております製剤について議論をお願いしたいと思います。
 {4}から{6}につきまして、国内事業者に、国内自給率が低いことの主な障壁と、その障壁を取り除く手段について確認してみましたところ、主な障壁としまして、{4}に分類されている製剤につきましては、国内献血由来で抗体価の高い原料血漿を確保することが困難。{5}に分類されております製剤につきましては、研究開発のための資金、技術力、設備投資が乏しい。また、国内市場規模が小さいこともあり投資回収が困難。
それぞれの製剤を必要とする患者数として、インヒビター製剤につきましては、血液製剤調査機構による平成22年度の血液凝固因子製剤必要量調査によりますと約210名、第13因子及び乾燥濃縮人C1-インアクチベータにつきましては、国内で唯一の供給メーカーでありますCSLベーリングさんの推定によりますと、それぞれ約6,000人、約200人とのことでございます。
 なお、インヒビター製剤につきましては、現在、国内メーカーでも臨床試験を実施中であり、現在、第3相試験届を申請したとのことを聞いております。
 {6}に分類されております製剤につきましては、現在、国内自給率は半分程度となっておりますが、剤型が異なる製剤(シート型)へのニーズがあるため、開発が必要とのことです。
 また、これらの障壁を取り除く手段としましては、{4}は国内献血由来で抗体価の高い原料血漿を確保するための方策が必要である。{5}につきましては、海外から技術導入やコスト面を補完する手段が必要である。{6}につきましても同様に、海外からの技術導入が必要とのことでございました。
 これら国内自給率が低い製剤につきまして、自給率推進のためのどのような方策が考えられるのか、議論が必要であると考えております。
 参考といたしまして、3ページに、{4}から{6}に分類されております製剤についての過去3年の供給量の推移を添付しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
これは自給率の極端に低い製剤が集められているところでありますが、この件に関しましても、抗HBs人免疫グロブリンにつきましてはもう既に大分御議論いただきましたし、この辺は簡単にいければと思うのですが、あとインヒビターの問題とか第13因子、ほとんど自給率0%であります。ただ、最後の組織接着材、これが自給率が45%と高いのですけれども、これはどういう状況でございますか。益子先生、外科系ですね、これを使っていらっしゃるのは。
○益子委員 だと思いますけれども、その理由はちょっと私は存じ上げません。
○溝口座長 使い勝手が違うのですか。ボルヒールとタココンブとかいうのがありました。
○益子委員 ボルヒールとかベリプラストPとか、そんなのですね。
○溝口座長 自給率が45%と高いので、あれっと思ったのですけれども、この2つは何か使い方が違うのですか。
○益子委員 全然違いますね。タココンブも組織に貼付する。ほかのボルヒールとかベリプラストPは吹き付けて。
○溝口座長 使い方が違うと一方だけにするというのは、ちょっと難しいですね。戻りまして、非常に極端に低い自給率の血漿分画製剤につきまして、何か御意見、御質問ございますか。
○大平委員 インヒビター製剤については、先ほど、国内メーカーでも第3相の試験が始まってというお話でしたけれども、凝固因子製剤、血友病の方で、インヒビターの方たちに増加傾向はあって、それがきちっと検査されていなかったためなのか、それとも、現在増加しているのかというところは、多分、研究班とかそういうところでの評価になるだろうと思いますけれども、実際、今、25%とか30%とかいうインヒビターの保有率というのですか、それに対しての治療というのが、免疫寛容療法ですとかいろいろ試みられていて、十分インヒビター製剤がそうしたインヒビター治療のために使われているかどうかというところは、必ずしも適切に使われてないのではないかというところもありますので、今後増えてくる可能性というのは需要として十分考えられると思うのですね。
それに対して、インヒビター製剤、価格としては大変高い製剤なので、実際に医療費としての圧迫ですとかそういうものに影響するというところは多分に考えられるので、できれば、日本国内の血漿由来のもので何かつくれることですとか、海外だけに頼らずにいい製剤をつくる方法というのを、国の方も、こうした希少製剤、少ない患者さんのための製剤については、いろいろな、ある程度援助の方法を考えないと、結局は海外に頼るということで終わってしまうのではないかと思いますので、そういった面での国の姿勢というのはどういうものなのか、ちょっとお聞きしたいなあと思います。
○溝口座長 いかがですか。国の方で、こういう非常にまれな疾患、つまり希少疾患といいますか、そういう場合の治療薬というのはなかなか企業としては製造しにくいところがあるという御意見ですけれども、その辺、国として何らかの方策を考えていらっしゃるか。
○丈達血液対策企画官 これはかなり前からの課題だと認識しております。一般論でいきますと、薬事法の中でオーファン薬品等の制度はございますので、いろいろ税制の優遇も含めて、少しでも開発にインセンティブが働くようなシステムはとっております。そうは言いながらも、この分野の製剤の開発、なかなか難しいというところがございますので、我々としても引き続き、どういうことができるのかというのはこれからも検討していきたいと考えております。
○溝口座長 ちょっと手順が前後したのですが、多分、一番使用量が多いと思われる特殊免疫グロブリンの抗HBsグロブリン製剤にもどらせて頂きますが、この製剤につきましては、前回、八橋先生の御発表があったり、また、そのときに、その方向でガイドラインを作成していこうという方向を皆様にお認めいただきましたし、また、他の特殊免疫グロブミン製剤も、それをモデルにして国内自給を高めていこうという方向等も認められた思いますので、そこは今回は議論しないでよろしいかと思います。今、議論になっているインヒビターであるとか、13因子とか、C1-インアクチベータの問題が2番目の課題の大きなテーマではないかと思うのです。今、企画官がおっしゃったように、オーファンだけでサポートできますか。
○丈達血液対策企画官 御指摘のとおり、なかなか難しい点があると思いますので、引き続きよく検討させていただきたいと思っております。
○溝口座長 ほかに何か御意見ございますか。
○牧野委員 先ほど話題になりました組織接着剤のことですが、フィブリン糊のことだと思います。剤型の問題でシート型へのニーズがあるということですので、それは開発の必要があるということは分かります。あとは、当院では、自己フィブリン糊、つまり、自己血からフィブリン糊を作成しまして、それを年間で1,000人程度の患者さんで2,000単位近くお出ししていますが、臨床の先生からは、その有用性は十分あると言われますし、当院では非常に積極的に以前から作成しています。
ただ、保険適応がないですので、サービスで作っているという状況です。輸血アンケート調査でみますと、この自己フィブリン糊は全国でも50施設ぐらいしか作成しておりません。と言うことで、この自己フィブリン糊が保険収載されれば、もっと多くの施設で使用されるようになり、その自己フィブリン糊作成と、それから国内血漿由来の組織接着剤の使用が進んでいけば、自給率は上昇し、海外の高価なものを使わなくてよいということにはなるのではないかと思いますので、自己フィブリン糊の保険の問題があると思います。
○溝口座長 私も含め皆さんの知識を少しレベルアップしたいのですが、かつて、ボルヒールとタココンブの差はないのだと理解して、大学にいたときの薬事審議会で、国内自給を高めようというので、海外のをやめようという話が出たことがあるのですが、益子先生の話だと、全然使い方が違うし使い勝手も違うというのでそう簡単にはいかないということです。ボルヒールが国内産ですか。
○牧野委員 国内ですね。
○溝口座長 国内で、これがどういう格好のものなのですか。製剤としては。
○牧野委員 今、私がお話ししましたのは自己フィブリン糊です。
○溝口座長 タココンブに近いものですか。
○牧野委員 いや、ボルヒールとかベリプラストPに近いもので、液状で使うと。
○溝口座長 タココンブはシート状の。
○牧野委員 はい。
○溝口座長 脳外科とかそういうところで使うとか、そのときの申請書類に書いてあった。
○益子委員 一番多いのは実質臓器損傷で使います。肝損傷、脾損傷、腎損傷で。
○溝口座長 それはボルヒールの方ですか。
○益子委員 いや、ボルヒールは血管再建したときなんかによく使いますけれども、損傷部は直接貼付して止血するという意味では、シート状になっていた方が非常に。
○溝口座長 一番問題は、タココンブのようなシート状の製品が抜けているということですね。日本で国産がない。
○益子委員 そうですね。
○溝口座長 何か考えありますか。いわゆる保険の問題も出ていましたけれども。事務局として。45%もあるから、かなりほかのものよりは見込みがありそうに思うのですが。
 先生の、いわゆるフィブリン糊はボルヒールとほとんど同じようなものですね。
○牧野委員 そうですね。自己のフィブリン糊ですので、市販のものというのはフィブリノゲンと第13因子が中心であると思いますけれども、自己フィブリン糊の場合はほかの凝固因子も非常に多く含まれているということが1つと、それから血小板由来のサイトカインとか接着因子とかそういうものも含まれていまして、自己のものですので、非常にその点、有用性高いのではないかと思います。
○溝口座長 わかりました。次は、インヒビターの問題ですが、今、大平委員からもお話が出ましたけれども、これは先ほど、第3相まで国内の企業がいっているということですので、それを待つということでようございますか。それではうまくないですか。
○大平委員 国内で承認されるまで大変時間がかかると思いますけれども、ただ、血漿を活用した形でつくられるというのは大変好ましいのではないかなあと思いますし、それから薬価がもしそういった点で低ければ需要の方も大きいのではないかと思います。
○溝口座長 そういうことを考えて開発していただければと思いますが、それはこの検討会の要望としては出せますけれども、決定することは不可能です。最後のごくまれな13因子だとか、これを全部国内でつくるかどうかということはいかがでしょうかね。13因子ってそんなに使われているのですか。
○益子委員 血液凝固第13因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔が適応ですが、使い方の制限が厳しいのですね。急性炎症、急性感染の消退した後で、血清総蛋白、血清アルブミン等に異常がなく、縫合不全、瘻孔が存続し、血液凝固第13因子が70%以下に低下していなければ使えません。従って、抗生物質やアルブミン製剤を使っているときには適応にならないというので、なかなか使いにくいです。
○溝口座長 先天性の13因子欠損症というのがあって、たしかすごく傷が治りにくい方がいたと言うけれども、そういう方はごくごくまれですから、そういう方のために新たに製造するのは難しいかもしれません。何人いるのですか。それもわからないのですか。その辺まで全部、私企業がつくるのは難しいかなと思われます。そうなると、国立かそれに準ずる機関が必要で、そこでやっていただくしかない。それに準ずるものが日本赤十字社でしょうか。いかがですか、大平委員。
○大平委員 先ほどからずっと黙っておられる日赤の方で、こうした問題について、本当に少ない人のための製剤についてはどのように、今後というか、今も研究されているのか、対応を考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいなと思います。
○日本赤十字社(石井) こういう少人数の患者さんでも、必要なものは、できたら国内のもので、国内の献血で国内で製造したいとは考えているところですが、いずれにしろ、技術的な課題もございますので、自社開発、あるいは技術導入についても、かなりのコスト面のところがございます。いずれにしろ、今回いろいろ統合の話も出てございますので、それなりの経営基盤をつくって、技術開発なり、あるいは海外導入なりで、対応を図っていければと考えているところです。
○溝口座長 以前の血液事業部会でも大平委員が、こういう希少疾患に対する医薬品は、日赤にお願いしたいとおっしゃったと記憶しています。記録が残っていると思うのですけれども。今すぐは、なかなか難しいところもあるけれども、今度、統合が予定されているということですので、そこでスケールメリットを生かして、更にまた外からの海外技術を導入したりしてこの問題を解決するように努力していただければと考えておりますが、いかがでしょうか。それしかないかなと思うのですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 大体大きな問題は抗HBsグロブリンとインヒビターですが、その辺は大体解決しそうです。更に珍しい13因子とかその問題は、今申し上げたようなことでお願いしたいということであります。また、国としても、やはり血液事業の一つでありますから、オーファンドラッグだけではなくて、それ以外の方策でいろいろ支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。
 課長、何かおっしゃることありますか。
 ボルヒールとタココンブは、私が、外科でないものでわからなかったのですが、今日よくわかりましたが、違う使い方だと、なかなか自給率上げるというのは難しいことなのですね。そっちのタココンブをつくれといっても、そう簡単でない。これも同じような問題でしょうかね。
○益子委員 つくられればいいのではないでしょうかね。
○溝口座長 先ほど申しましたように、他のインヒビターなんかと同じような考え方でしょうか。ある程度公的な性格を持った機関が、スケールメリットが改善した段階で、少し海外技術など他を入れて国内でも製造できるように努力すると、そういうことでようございますか。
 何かほかに御意見ございますか。
 この2番目までは大分議論したところでしたので早く終わらせたいのですが、最後の問題、これも大分議論はいたしましたが、この辺がやはり一番本検討会の大きな目的でございますので、ここにたっぷり時間をかけて、あと1時間15分ありますので、お願いしたいと思います。
 3番目の議題は「輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について」でありますが、この目的はやはり、血漿分画製剤、特にアルブミンの自給率を高める方策につながるということであります。この辺について、資料の説明をお願いいたします。
○新村需給専門官 それでは、議題3に関しまして、資料5から御説明させていただきます。資料5ですが、これまでの検討会で議論いただきました内容について事務局で整理いたしました。
1点目として、アルブミン製剤の国内自給、特に原料血漿価格につきまして、これまでの御意見としまして、アルブミン製剤の国内自給が低い要因は価格が高いこと、国際価格と比較することも考えるべきなどの御意見がございました。
このような意見を踏まえまして、原料血漿価格を政策的に引き下げることによりアルブミン製剤の価格を下げた場合に、アルブミン製剤の国内自給率が本当に向上するのか。為替レートの関係もあると思います。成分採血のコストをより効率的に実施することができないのかということが論点になろうかと思います。
 2点目として、新鮮凍結血漿の価格について。これまでの御意見としまして、新鮮凍結血漿は、原料血漿とは異なり、規格等に基づいて製造する必要があり、製品としての流通経費、販売促進経費や遡及調査経費が必要となることなどから、価格に違いがあることは理解ができる。しかしながら、新鮮凍結血漿の価格については、国内外での価格差が大き過ぎるのではないか、原料血漿との価格格差が大き過ぎるのではないかとの意見を踏まえまして、輸血用血液製剤の価格の配分は適正なのかということが論点になろうかと思います。
 3点目として、日本赤十字社の透明性についても議論がなされました。これまでの意見として、日本赤十字社の血液事業の運営については、米国・英国の血液事業の運営状況と比較して大きく無駄があるようには考えられませんが、透明性が確保されていない。日本赤十字社の集約化等によって効率化されたことによって、コスト削減された部分がどのように還元されるのか。
例えば価格に反映する等になりますが不透明であるなどの意見を踏まえまして、独占企業の製剤薬価について、市場価格が下がらず、結果として薬価が下がらないことについて、検討する場が必要ではないか。中期的な数値目標を掲げ、コスト削減の取り組みを見せていくことが必要ではないか、などが論点になろうかと思います。
 続きまして資料6でございますが、第6回検討会の資料になりますが、その際、益子委員の方から、人件費につきまして、米国と英国は法定福利費として事業主負担分が含まれているのかどうかという御質問がございました。
 この表を見ていただきますと、1人当たりの単価としまして、人件費を従業員数で割った1人当たりの単価ですが、米国が546万円、英国が552万円となっております。調査したところ、両国とも、法定福利費として事業主負担分が含まれていることが判明しました。
 それから資料7でございます。こちらも第6回の検討会の際に益子委員から御質問をいただいておりました公務員と民間との平均年収の比較でございます。後ほど日赤の方から日赤の人件費の御説明があると思いますが、こちらでは公務員と民間との平均年収について御説明させていただきます。
 公務員の平成19年の平均年収、これは調査会社の調べになりますが、あくまでも推計という形になりますが、国家公務員は663万円、地方公務員が729万円となっておりました。また、民間事業者の平均年収に関しましては、国税庁の民間給与実態統計調査結果から平成19年から4年分あげさせていただいておりますが、平成22年は412万円との結果が公表されております。いずれも、雇用主負担分は含まれておりません。
 続きまして資料8でございます。輸血用血液製剤の諸外国との2008年度の使用量の比較でございます。輸血用血液製剤の年間の使用量を総人口で除し、1人当たりの使用量を算出し、1,000人当たりの使用量として比較しております。
 日本の赤血球の使用量は、ほかの国と比較し少なく、新鮮凍結血漿はアメリカやイギリスが多く、日本はちょうど真ん中。血小板はどの国もほぼ同じであるということがわかりました。
事務局からの資料は以上になります。
○日本赤十字社(新畑) それでは、資料9以降については私の方から御説明を申し上げたいと思います。
 資料9「血液製剤価格の比較」をごらんいただきたいと思います。この資料は、白血球除去赤血球、新鮮凍結血漿、血小板製剤の価格を日本と海外4か国とを比較した一覧表でございます。この表の下に記載しておりますとおり、製品価格、いわゆる薬価の実績数字の出典はごらんのとおり4種類の文献を参考にしておりますが、文献の発行年度に一部差異もございます。更には為替レートの問題もございますので、そういう前提でごらんいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、この資料では、一番下の方に記載いたしておりますように、各国の血液製剤の価格は、2010年の為替レートの年間の平均値で記載いたしておりますので御了承いただきたいと思います。
 そして、この表の一番下に倍率という欄を設けて数字を表示させていただいておりますけれども、これは赤血球の価格をいわゆる新鮮凍結血漿の価格で除した数値を示しております。つまり、血漿価格に対する赤血球価格の比率、これをあらわしているわけでございます。
日本の場合は、ごらんのとおり、赤血球価格が、新鮮凍結血漿に対して0.94。つまり、日本は赤血球価格の方が日本は低い。逆に、外国では、ごらんのとおり、アメリカでは3.59、イギリスは3.72、フランス、ドイツはごらんのとおりの数字でございますが、いずれにしても、諸外国では赤血球の方が高いということを示している表でございます。
 それでは、次の資料をごらんいただきたいと思います。これは、今、御説明申し上げました数字を、一番下に為替レートの年を書いておりますけれども、2008年のこちらは年間の平均値、この為替レートに計算し直した価格でございます。御存じのように、2010年よりも2008年はかなり円安でございましたので、外国の円換算価格はかなり高目になっております。当然のことながら、一番下の(A)/(B)の倍率といいますか、比率は同じ数字になっております。
 それでは、次の資料をお願いいたします。これは先ほど厚生労働省の方から御説明のございました資料8の「輸血用血液製剤の諸外国との使用量の比較」、この数字をベースにいたしまして、ごらんのとおり、国別、そして製剤別にそれぞれ国民1,000人当たりの使用量を計算しまして、それにそれぞれの製剤のいわゆる単価を掛け、使用金額を算出した資料でございます。
先ほどの説明と若干重複いたしますけれども、赤血球製剤の欄をごらんいただきますと、先ほどの説明にもございましたように、1,000人当たりでは、日本では23.6、アメリカは46.1。単位はいずれもユニットでございます。
この表の一番下の合計欄に記載いたしておりますのが、国ごとの1,000人当たりの年間の使用金額でございます。私どものような血液製剤の供給側から言えば、ある意味、収入という表現になろうかと思いますけれども、これも数字は2010年の為替レートで計算いたしております。
 合計欄の?+?+?ところをごらんいただきますと、2010年の為替レートでは、アメリカが一番高くて、イギリスが一番低い。あとの3か国はおおむね100万円前後という状況を示した表でございます。
それでは、次の表をご覧いただきたいと思います。これも、今申し上げました数字を同じく2008年の為替レートで計算し直した一覧表でございます。先ほど申し上げましたように、2010年よりもかなり円安でございましたので、この2008年の為替レートでは、円換算価格では諸外国の方がかなり高くなっております。逆に、この年の為替レートでは日本が一番低いという状況をあらわしている表でございます。
 それでは次の表をごらんいただきたいと思います。これは新鮮凍結血漿と原料血漿の価格差を日本とフランスを比較した表でございます。右がまさにこの検討会で議論になっております、日本における新鮮凍結血漿、それから原料血漿それぞれ1L当たりの価格及びその価格差をお示ししております。現行では6.6倍の価格差があるという状況でございます。
左側がフランスでございますけれども、皆さん方も御存じのように、フランスというのは日本と非常によく似ておりまして、日本と同じく国内自給というのを目指しておられるそういう国でもございますので、フランスを例に挙げさせていただいております。
 フランスの場合は、日本と違いまして、原料血漿の分につきましては、全血由来と成分由来とでは価格が異なっております。ごらんのように、成分由来は、1L当たり1万2,804円、全血由来は、同じく1L当たり7,915円と、ごらんのような価格差になっております。成分は3.9、全血は6.3倍という価格差でございます。このレートも、2010年の為替レートで計算させていただいております。
 それでは、次の資料をお願いいたします。これは全く同じ表でございます。同じく為替レートの年を2008年のレートで計算し直しただけでございます。円安の関係で、フランスの換算価格は先ほどよりも高くはなっておりますけれども、当然、日本も含めて価格差の比率は同じでございます。
 それでは、次の表をごらんいただきたいと思います。これは、部門別の費用割合、そして費用の額の推移を示した表でございますけれども、上段の表は平成17年度から平成22年度までのいわゆる部門別の費用割合の推移をお示しいたしております。この棒グラフの左から3番目の緑色が検査部門でございます。その右の紫色が製造関連部門ということでございます。
 前々回にも少し触れさせていただきましたけれども、検査、あるいは製剤業務の集約によりまして徐々に費用割合が減少いたしておりますけれども、平成19年度から、供給本数がおおむね3~4%増加いたしておりましたので、この左から2番目の赤の部分の献血者の受け入れ部分である採血部門については、供給増に伴って献血者の受け入れ施設を拡充いたしました。その拡充を図ったことによりまして、この部分の費用割合が年々増加しているということをあらわしている表でございます。
 一方、下段の棒グラフは、同じく、今申し上げました部門別の費用の金額の推移をあらわしたものでございます。ごらんのように、年々費用の方は増加いたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、平成19年度以降、供給本数が年々増加いたしました。その需要増に応じまして、当然、採血本数を伸ばしております。この採血本数が伸びるということは、当然、検査本数が増加いたします。併せて製造本数も増加する。それに伴う材料費等の変動費の増加等により、ごらんのように、勿論、材料費だけの問題ではございませんけれども、そういうものを中心として、17年から22年度まで、部門別のこの費用の実額は、ごらんのような推移で増加しているということをあらわしている一覧表でございます。
 それでは、次の表をごらんいただきたいと思います。これは同じく部門別の人件費の割合、そして人件費の推移を示している表でございます。先ほどと同じように、上段の表は平成17年度から22年度までのいわゆる部門別の人件費割合、これの推移をお示ししております。
ごらんのように、先ほど御説明申し上げました部門別の費用割合と同じく、緑が検査、その右の紫が製造関連部門でございますけれども、集約に伴って、検査、あるいは製剤関係の人件費割合も減少いたしておりますけれども、平成19年度から、先ほども申し上げましたように、供給本数の増加によりまして、採血関連部門の人件費、これは献血者受け入れ施設を拡充することに伴いまして、看護師、あるいはそれに関連する業務に従事する職員を当然増員する必要がございます。そういうことに伴いまして、この赤色の採血関連部門の人件費割合が年々増加している状況でございます。
 一方、下段の棒グラフは、同じく部門別人件費の推移をお示ししております。例えば平成17年度、一番右に503という数字を記載させていただいておりますけれども、これは人件費が平成17年度は503億円だったということをお示ししているわけですが、その下にパーセンテージを記載させていただいております。これは平成17年度の全費用に占めるいわゆる人件費比率、これが35.8%であると、そのように御理解いただきたいと思います。これにつきましては、人件費を総費用で除した数字を記載させていただいていると御理解いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは次に、「職種別平均年収及び平均年齢」でございます。職種は、医師、薬剤師、看護師、事務職員以下ずうっとそれぞれの職種別に記載させていただいております。全体としては、先ほどの資料にもございましたけれども、平均年収としては、597万円。平均年齢としては、これは2011年の1月1日現在でございますけれども、45.3歳でございます。
この平均年収なり平均年齢と申しますのは、当然、日本赤十字社全体の数字ではなくて、下にコメントさせていただいておりますけれども、この日本赤十字社血液事業特別会計に属する職員、すなわち日本赤十字社で血液事業に従事する職員の平成22年度の決算数値より算出させていただいております。それが597万なり、平均年齢が45.3ということです。そしてあくまでも参考までに、一番上の医師、そしてまた非常勤職員である医師、そういう方々の年収を仮に除いた場合はどれくらいになるのかというのを示しているのがこのオレンジ色のところに記載いたしております560万円。これは参考程度にごらんいただければと思います。
 非常に雑駁な説明でおわかりいただきにくかったかと思いますけれども、私からの説明は以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
何か御質問、御意見ございますか。
 アメリカの赤十字社の血液事業と日本の赤十字社の血液事業を輸血用血液製剤の採取に関して比べると、規模もほとんど同じで、それにかかわる費用も同じぐらいだろう。ただ、違いがありまして、アメリカでは医師が検診してないのですね。ですから、この1,200万の給料が必要な非常勤職員の医師の費用が、これがほとんど0になるとすると、職員の給料は、米国赤十字と大きく違わないのではないかということが今度の報告でわかりましたけれども、益子先生、どうでしょうか。
○益子委員 データをたくさんお示しいただいてありがとうございます。それで、もう一点ちょっと教えていただきたいのですが、血液事業特別会計というところに役員の給与とかそういうのは入らないのでしょうか。
○日本赤十字社(新畑) 血液事業の特別会計で、いわゆる役員というのは理事1人だけでして、私どもの血液事業本部長お一人だけで、あとは皆、いわゆる職員でございます。そのように御理解いただければと思います。
○溝口座長 いわゆる採血のルームとかバスが診療所として医療法上決められておりますので、どうしても管理医師もいなくてはいけないし、医師が検診をして、そして献血者の安全と血液の安全を守るということが決められているので、どうしてもここにお金がかかってしまう。アメリカのカリフォルニアの米国赤十字を見てきましたら、全く医者がいなくて、看護師が問診をやっていて、そして、フレボトミストという特殊な職種があるのでしょうか、その方達が採血に従事していました。その点でちょっと人件費の違いが出てくるのかなという気がしました。
○益子委員 事務局にちょっと御質問ですが、資料6で、前回、私の質問に対して調べていただいて、米国、英国では法定福利費を含んだ値だと御説明を先ほどいただいたのですが、721万円というのは日本の価格ということで、人件費ということで、同じ対比するわけですね。そうすると、米国、英国と比べてこの値が若干高いのは、この理由はどのようにお考えでしょうか。
○溝口座長 それは、今お話しした非常勤職員の医師のせいかなと私はちょっと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○丈達血液対策企画官 例えばこの721万円という日赤の数字と米赤の546万円というところは、双方が事業主としての負担分を含んでいるということでございますので、どこまで影響しているかというのは精査できておりませんけれども、そもそも事業主が負担すべき内容が国によって異なるということもあると思いますので、一概に、ここをもって低い高いの議論をするの難しいと思っております。
○溝口座長 よろしいですか。
 ほかに何か御質問か御意見ございますか。
○大平委員 部門別の方の費用割合とか見させていただいて、献血の推進・献血者受入というところで、献血推進のための費用というのは、これはどこまで、日本赤十字社の方で毎年毎年いろいろな寄附の、例えば自治会ですとか、地方自治体で町内会とかいろいろなところで集めておられるそういった、社資みたいな感じで集められているところで、献血推進という項目で、全体の費用の割合として毎年日赤で使っているお金の問題としてそういうのが提示はされるのですけれども、そこの献血推進のお金とこことは違う形なのでしょうか。
○日本赤十字社(新畑) 血液事業に関わるそういう広報的な費用というのは、グラフの赤色の部分である採血のための費用の中には含まれておりません。そういう費用というのは、この表の左の献血の推進、あるいは献血者の受け入れのための費用、その中に含めさせていただいております。
○溝口座長 私から質問1ついいですか。
 人件費、あるいは製造コストの時間的な経緯を書いたグラフがありますけれども、人件費は、17年に比べて22年はむしろ減っているわけですね。13億減っているのかな。53億が40億になっている。これは緑がそうでしたっけ。
○日本赤十字社(新畑) 人件費の全体で見た場合は増えております。
○溝口座長 人件費はどこですか。
○日本赤十字社(新畑) グラフの右側の数値です。
○溝口座長 2億増えているわけですね。
○日本赤十字社(新畑) そうですね。
○溝口座長 ところが、採血部門の人件費は15億しか増えていないのに採血費用全体では、150億近く増えているのではないですか。
○日本赤十字社(新畑) 採血部門の人件費として見た場合は、15億の増加となります。
○溝口座長 その前のページで、採血費用の年次推移をみた表がありますが、平成17年が約500億かかっていたのが平成22年には650億になっています。その間に、人件費は15億円しか増えていないのに採血費用が150億も増えているということは、器具、その他がかなり大幅にかかっているということではないかと思うのですが、採血の費用を下げることによって原料血漿の費用を下げることが可能ではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
○日本赤十字社(新畑) 1本当たりの器具費用、あるいは1本当たりの材料費が上がったわけではなくて、先ほど申し上げましたように、供給量が伸びたことによって採血本数そのもののいわゆるグロスが増えたわけですね。そのことに伴って、ここに属する費用全体がこれだけの伸びを結果的に示したと言うことです。
○溝口座長 そういう一つひとつの計算を示していただかないとエビデンスがはっきりしないのですが、例えばこの期間に初流血除去と白除が入りましたね。成分採血による血漿採取は海外の企業も行っているわけです。それが海外は1L1万円で行っているわけですが、日本は、この前の計算では4万3,000円。大分高いのです。それで、海外の企業が原料血漿を採取する時に成分採血で採取しますが、その時、初流血除去を行ってない。当然。その後に強力な不活化除去をやりますから、初流血除去だけでなく、白除ですらやってないかもしれませんが、その辺が1つ問題あるのではないか。
 もう一つは、赤血球にも初流血除去をやっていますね。あれは、海外では、米国赤十字も、イギリスのNBSもやってない。いわゆる初流血除去というのは皮膚からの細菌混入を防ぐためで、それは常温で保存する血小板の細菌感染を防ぐために行っているのに、赤血球は4℃で保存しますからその危険はほとんどないわけで、4℃で増えるエルシニアがありますけれども、エルシニアも白血球除去になってから、米国、海外ではなくなっているのですね。そういうことを考えると、初流血除去、その他の安全対策をもう一回見直さないと、この150億の増加はちょっと大き過ぎるのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○日本赤十字社(加藤) 確かに、採血のための費用ですか、この中にはやはりバッグ代の増加というのは入っております。それで、とりわけ初流血除去のお話が出ましたけれども、ただ、これは基本的には部会の中の安全技術調査会の方で議論していただくという話になるかと思いますけれども、日赤という立場で申し上げますと、確かに、原料血漿で置くいわゆる血漿は不活化されております。一方で、FFP、新鮮凍結血漿に出す血漿というのは不活化はされません。そういうことで、最初から、採血のときから、これは原料にいくのですよ、これはFFPで出すのですよ、新鮮凍結血漿で輸血用のもので出すのですよという区分けができていないのですはないかと思います。
○溝口座長 それはやっていると思いますよ。FFPはかなりバリデーションをきちっとやって、白血球の数であるとか、採血量もきちっと決めていますし、片方の原料血漿の方は、量は全く考慮しませんし、白血球の混入も、成分献血の際に器械で自動的に除く程度しか考慮してない。そこはもう一回、安全技術調査会などで、調査検討するのはいかがでしょうか。方法が適正であるかどうか、費用対効果を含めて検討していただく必要があるのではないか。この150億の増加はちょっと大き過ぎると思います。
○日本赤十字社(加藤) それについては再度調べてみますが、赤血球、いわゆる全血製剤で採血します。それについては、全血から製造される段階でFFPとするのか原料血漿とするかの区分は最初から少なくともしているわけではございません。
○溝口座長 その全血でとるのも、FFPは凍結しますから、その後の感染の危険はないわけで、初流血除去要らないかもしれない。赤血球も、皮膚由来の細菌は、4℃保存ではほとんど増殖しない。それで、あるとすれば、専門の話をしてもしようがないですが、普通、エルシニアが4℃でも増えるのですが、それは一応白除で海外はクリアーしているということを言っていました。その辺、安全技術調査会その他で検討してほしいと思います。この150億はちょっと大き過ぎるので、検討し直す必要があるのではないかという気がします。
○日本赤十字社(加藤) それと赤血球、いわゆる全血採血も、日本は初流血除去やっておりますけれども、外国ではアメリカとかヨーロッパでも初流血除去をやっていると私ども一応認識はしておるのです。
○溝口座長 いや、米赤はやっていないと思います。お調べ下さい。だから、ここで議論してもなんですので、安全技術調査会で検討していただければと思います。やはりそれが原料血漿の値段を高く設定する原因になっているとすれば、いわゆるFFPで原料血漿の値段をカバーしたり、PCでカバーしていることがあるのではないかと三村委員が言っていましたけれども、そういうことをしなくても済むような採取方法をちょっと検討する必要があるのではないかという気がしますが、その辺をもうちょっと安全技術調査会で検討していただきたいと思います。
それからもう一つ、赤血球の使用量は日本が少ないのですね。おまけに安くなっている。ところが、FFPの使用量は余り変わらないけれども、高くなっている。赤血球がなぜ使用量が少ないのでしょうか。事務局、何かお考えがありますか。
○伯野血液対策課長補佐 申し訳ございません。はっきりはわからないのですが、1つは、体格の問題で1人当たりの使用量の差異というのは出るかと思っておりますが、恐らく、先生おっしゃられているのは血液製剤使用の適応に差異があるのではないかということだと思いますが、その辺は牧野委員だとか林委員の方がお詳しいのではないかと。
○牧野委員 日本は、本当にヨーロッパの諸国と比較しても、圧倒的に1,000人当たりの赤血球使用量は少ないというのは以前から出ているデータでありまして、例えば外科の先生の腕がよくて出血しないのだとか、それからガイドラインとかが以前から出ていて、日本人は非常にそれを守って、ギリギリまで輸血をしないのだとかいう意見があるのですが、やはりBMI、つまり、体格による差というのも1つあって、同じ手術をするにしても、出血の量が違うのだと。日本人は比較的やせている方が多いので出血の量が少ないのではないかとかいう意見があるのですが、まだこれというのが余りわかってないのですね。ここ3年ぐらいは増加しているのですが、その前の10年ぐらいはほとんど赤血球の使用量が変わってないものですから、なかなかこれという理由がちょっとなく過ぎていると思います。
○溝口座長 この議論は、原料血漿をもっと安くできないかというところに集中するわけですが、それを無理に安くするとほかのものが上がってくるわけですが、FFPとかPC、その差が大きいことが問題になっていますけれども、赤血球の価格が海外より大分低いですね。その辺をもうちょっと上げることによって、今のこの議題の一番ポイントですが、FFPの値段を下げ、原料血漿を下げ、赤血球は上げるというような考えは、事務局、いかがでしょうか。海外の状況、トータルとしては血液事業の予算は大きく海外のそれとは違わないのですが、中身の分配、費用の分配がどうも大分海外のそれと違うというのが今回のこのデータを見た感じなのです。
○三宅血液対策課長 海外と比べると確かに、今回、日赤の皆さんからお示しいただいたように、このようなデータになっております。ただ、本当にその配分が、海外のが正しいのか、日本のが違っているのかというのは、そこはまた恐らくいろいろ議論のあるところだろうと思います。
いずれにしても、血液事業全体、こういった赤血球とFFPと血小板と原料血漿と、それによって支えられているというのが事実だと思いますし、また、その配分がどうだというのは、これまた関係のいろんな部局とも議論が必要でしょうし、この辺はなかなかすぐにどうだということは結論は難しいのかなと。
○溝口座長 是非検討していただきたい。というのは、血液事業部会でFFPが原料血漿の7倍であるということが問題になった。この検討会の議題ではないのですけれども、その辺を今日のデータを見て感じたので、是非再検討していただきたい。それから、赤血球の値段が特に安いし、それから使用量が少ないのに、それでFFPの使用量、アルブミンの使用量を割るという妥当性もちょっと再検討していただきたい。
○日本赤十字社(新畑) それから、先ほど採血関連部門の費用が、17年度から22年度までで大体150億ほど上がっていると。これはあくまでもざっくりしたグロスの数字ですので、先生のおっしゃることは当然あれですが、ただ、この中には、採血をするために直接の器具費であるとかその辺の費用だけではなくて、いわゆる献血ルームの賃借料でございますとかそういう費用もこの採血関連部門の中に入れさせていただいていると。そこだけはそのように御理解をよろしくお願いいたしたいと思います。
○溝口座長 献血の状況は非常に厳しくなっているので、そういうアメニティを高めるという目的の投資は必要だと思いますけれども、もうちょっと詳しく検討していただいて、安全技術調査会で、今の採血方法が妥当であるかどうかを検討していただきたいと思います。
 ほかに何かございますか。
○大平委員 先ほども、部門別費用の推移のところで、輸血用血液の製剤や分画製剤製造のための費用のところで、これはどんどん下がってはいるのですね。その反面、供給の費用というのが増えているのですね。その供給の費用というのが、製造の方の費用がかなり下がっている中で、供給がもう少し合理的に費用削減とかそういう方向で向かっているのかどうかというところはちょっと興味深いのです。
○日本赤十字社(新畑) 確かに、検査のこの割合の減少と製造の、特に部門別費用であれば、19年度、20年度、21年度、22年度、かなり割合が減少してきております。御存じのように、製剤の集約につきましては、検査の集約よりも1~2年おくれて開始したわけですが、検査の集約は全国10か所で、すでに終わっております。ただ、製剤の方は、23年度現在で16で、25年度には13にまで集約する予定ですが、まだ集約過程なのですね。ですから、検査よりも製剤の減少率の割合が非常に高くなっているという状況でございます。
それから、先ほど言われました供給につきましては、若干、確かに伸びております。これは府県によっては供給を、医療機関に対して直接職員がお持ちするのではなくて、委託をしているところとかそういうセンターもございます。そういうところを徐々に職員が自らお持ちするという体制に変わってきたことによって、この部分が若干増えていることも一つの原因でございます。
では今後はどうなのかということですが、できるだけ限られた時間内に医療機関にお届けするためには、やはり今の供給出張所の数では足りないのではないかと、今、検討しているところなのですね。ですから、来年度以降ぐらいから、全国的に20ぐらいの供給のための出張所をつくっていくと。そして、できるだけ医療機関に迅速に血液をお持ちすると。そういうことも、今、検討いたしておりますので、この部分の費用については、今後、ここ数年、5年スパンぐらいで逆に伸びていくだろうと予測しております。
○溝口座長 よろしいですか。
○大平委員 伸びていかざるを得ないのかどうかというところはありますけれども、できればやはりそういうのをうまく集約化させていって、そして供給の費用、コストというのを下げていくとか、全体として、いろいろ部門別のところで費用対効果みたいなところをうまくしていかないと、結局は伸びるばかりで、それが全部薬価にはね返ってくる形になってしまうのはやはり努力が足りないのではないかなと思います。
○日本赤十字社(加藤) ありがとうございます。確かに、私ども、一生懸命努力はしておって、そして、検査、製剤というのは、海外から見ても、どこの国も、そういう製剤費用、また検査費用ということで非常にかかっておりますから、これは世界的に見て集約の方向にいっていると思います。私どもも、安定供給、そしてまた効率性という観点からそういうことは進めているということですが、一方、供給体制というのは、医療機関から考えると、早い時間に持ってきていただきたいというのが非常にありますし、広域体制を考える中でも、いわゆる血液センターの仕事として、採血する部分、それと供給という部分についてはやはり充実化を図っていく必要があるだろうということで、私どもも、供給時間を全国的にできるだけ、例えば1時間以内で行くとかそういうことで迅速な供給というのはやっていきたいと思っております。供給出張所の数はどうしていくかというのはまだ検討段階ではございますが、充実化は図っていきたいと思っています。
○溝口座長 前々回の検討会で石川参考人がおっしゃっていましたが、血液センターが七十幾つあるというのをそのとき初めて知ったのですが、県によってはセンターを1つにして、あとは出張所にしているのですが、今の供給の問題にも絡みますけれども、血液法の建前から言うと、各地方自治体の協力を得るということが大事なことになっているので、一つの血液センターが各都道府県にあることは理解できるのですが、七十幾つあることは、あのとき理解ができなくて御質問したのですが、出張所に変えていくわけですか。
○日本赤十字社(加藤) 過去、一番多いときは77か所ということで、徐々にそれを、都道府県に1つ、本センターを置いて、そこで都道府県の事業の一元化ということにして、そして、ほかのところは附属センターと言ったり出張所と言ったり、いろいろやってきたのが今までです。
今後、私ども、広域体制というのを考えておりますので、やはり都道府県に一つの血液センターを置いていくということ。そして、ほかのところは、事業所という名前にするか、規模によって出張所という形にするのか、その辺り、今、内部で検討しているというところです。
○溝口座長 血液センターと言うと、埼玉に前3つあったのですが、それぞれ所長がいて、かなり独立してやっていたのですが、今はすでに1か所に集約し、あとはみんな出張所で、所長は1人しかいないということになっています。その辺も十分、今後、県を越えた広域の問題ありますけれども、県の中の集約の問題も大きいと思いますので、よろしくお願いしたい。
ほかに何か御質問か御意見ありますか。
○益子委員 もともとこの議論は、血漿分画製剤の国内自給を高めるにはどうするかということが議論のスタートだったと思うのですが、その中で、原料血漿がやはり日本は高いというのがあって、そこを何とか安くできないかと。そうすれば、海外との競争力、十分保てると思うのですね。
今、座長おっしゃったように、赤血球の価格が低いのだから、原料血漿を少し安くして、その分、赤血球に乗せたらどうだと。これは一つのアイデアとしては当然あると思うのですが、私はそれは最後の手段だと思うのですね。その前にやっていただかなければならないのは、日本赤十字社が、この費用が本当に妥当かどうかということをもう一回きちっと検証していただく必要があると思うのですね。
座長が先ほどおっしゃったように、採血のための費用が150億円、この5年間で増えているのが果たして妥当なのか。それから調査研究のためのお金が20億円増えていますね。これが妥当なのか。あるいは、その他の費用として25億円、この5年間で増えているのですね。ですから、これが本当に妥当なのか、これはスリム化して、これ以上できない値なのかということをやはり赤十字社の内部できちっと検証していただいて、自助努力できるところは下げていただく。そういう努力があって初めて、厚生労働省として原料血漿の値段を、では、赤血球に少し回そうかというような判断になるだろうと思うので、そのステップ抜きにはそこはいかないのではないでしょうか。
○溝口座長 そのとおりですね。原料血漿の価格は、海外と日本と並べて、同じ1万円になっているのですが、その決定過程が不透明で、三者合意というので決まっているようでありますので、積み上げたものではないのですね。だから、積み上げ方式で、海外は特にほかのものを高くしなくても1万円でできるし、また、多くは成分献血で採取したもので1万円なので。日本は、成分献血の分、あれが積み上げた値段かどうかわかりませんが、4万3,000円になっていたということはちょっと驚いたのですが、採血価格が増えた理由がそこにあるのではないか。安全性を担保しつつ、効率を高める方法はないかどうかということを検討していただきたい。今、先生のおっしゃったとおりです。
そうすると、1万円でなくて8,000円にすれば、アルブミンも2,000円下がって、海外と太刀打ちできる。ただ、定額にするという条件がありますね。どんどん下がっていったらみんなつくらなくなってしまいますから。その辺も、事務局としていかがでしょうか。ヒアリングの過程でも大分そういう意見が会社からも出ていましたし、委員の議論の過程でも出ていましたけれども、ある程度下げて定額にする。
○丈達血液対策企画官 最終的に価格をどうするかというところにつきましては、厚生労働省の中では保険局の方が担当しているものですから、ここで私どもがこうしますという方向性を今すぐに申し上げることはできないのですけれども、今、御指摘いただいたことも含めて、どうあるべきかというのは議論を更にしていかなければいけないだろうと思っておりますので、関係する部局ともよく相談をしながら、今後できることを努力してやっていきたいと考えております。
○溝口座長 今までも3回くらい、大体この辺に集中して議論してまいりましたので、この辺でいいでしょうか。ほかに何か御意見ありますか。
どうぞ、前野委員。
○前野委員 話ちょっと戻りますが、質問を日赤にしたいと思います。日赤では、血液センターの検査、製剤機能の集約化が、行われているようですけれども、こちらから尋ねるたびに、3~4年後にはという形をとっていて、どうも当初の予定よりも随分おくれているようです。集約化がおくれている原因は、さまざまあると思います。どういう部分に原因があるのか、集約化することによる確かなコストのメリットと、それはどれぐらい図られるか、例えば九州ブロックでは前に比べてこうなったという数字があるのであればお示しいただけないかなと思います。
○日本赤十字社(加藤) 集約について、おくれているという御意見ですけれども、私ども、決しておくれているという認識ではございません。実際のところ、検査は10か所ということで一応集約を、当初の目的は達成しておりますし、そして、製剤業務の集約というのは、私ども、当初、25年度末までには13か所程度にしますよということで考えていましたので、それは決しておくれているということではございません。多分に、来年、24年度スタート切るところは、16か所か、それに近い形にはいくと思っております。
○前野委員 製剤機能の集約化というのは、13か所というのが最終の着地点なのですか。
○日本赤十字社(加藤) 先程の3ヶ所というのは失礼いたしました。全国で11か所程度にしますということです。
○前野委員 その11か所はどれぐらいまでに。
○日本赤十字社(加藤) 25年度末位までにはそれに近い数にしたいと思っています。
○前野委員 当初、7ブロックで分けていくという形が最終なのかなと思うのですが、そうではないのですか。
○日本赤十字社(加藤) いや、血小板のように期限の短い製剤もございますし、そこまでの集約は私どもできないと思っています。また、危機管理上の問題からもやはりそこまでは集約できないと思っていまして、当初から11か所程度ということでずっと進めてきております。
○前野委員 危機管理といっても、アメリカ、イギリスと比較してもちょっと日本で多いのではないかという感じはするのですけれども、集約のあり方というのは更に検討してもよろしいのではないかという気はするのですが。
○日本赤十字社(加藤) 言われますように、これが絶対的な最終形ということではございませんから、やはり状況を見ながら、安定供給というのは非常に重要ですから、それが可能かどうかということも十分勘案しながら、事業は当然動いていくものですから、そういう中でいろいろ検討は重ねていきたいと思っておりますが、当面はやはり11か所程度ということで進めてきて、決しておくれているということではないと思います。
それと、今、費用がどうなのかということですが、まだ完全にはつかめているところではないですけれども、検査費用としては、一般的な検査としては大体2割程度は落ちているのかなとは考えております。
○前野委員 一般の改革プランというのは、最終点があって、それは何年までにしますというのを示した上で、それで進めていくのが通常だと思います。状況を見ながらというのは、今までの日赤のあり方かなあという感じはいたしましてね。民間ですとそういうことはまずないので、まず着地点、いつまでに何か所やると。それがおくれているということで見直しというのを図られるべきであって、それが、今の御回答だと、いつまでに確実にやっていくのか疑問を持たざるを得ない点があるのですが。
○日本赤十字社(加藤) 海外においても、この集約というのは一度に大きくばさっと少なくするということではなく、徐々に徐々にやはり、一回集約して、これは生ものを扱っていますから、生ものという言い方はなんですが、期限の短い製剤を扱っているものですから、安定供給ということは十分念頭に置いて、それがある程度やって、可能かどうか、そういうのをきちっと、とりわけ私ども、日赤1ヶ所で今やっているものですから、きちっとその辺りは担保しながら進めていく必要があると思っています。
○前野委員 それはわかるのです。わかるのですけれども、沖縄は別にしても、7ブロックの形での検査と製剤機能というのは単純に7つでいいのではないかと思うのですけれども、それを1つ示した上で、それまでの道のりとしてどうしていくかというのが必要です。最終着地点は示さないで、11か所程度云々と言うのは、どうも一般の納得を得にくいのではないかという感じがするのですが。
○日本赤十字社(加藤) 集約をすると、そこまで集約するのかいと、それでできるのかいという意見も一方であります。そういう中で、私ども、安定供給に責任を持たなくてはだめなものですから、その辺りは十分担保しながら進めていきたいと考えておりますの御理解をいただきたいと思います。
○溝口座長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 海外との血液事業の比較というところで、日本赤十字社が一元的に供給しているという、これは大変責任が重いことで、最終責任は国が持つわけですけれども、でも、ほとんど日本の血液を日赤が全部責任を持って供給するという形になっているわけですので、今の前野委員からの発言に対して、もうちょっと適切に、そして誠意ある対応をやはりすべきだと思うのですね。
これまで日赤は常に、いろいろな計画性として長期の青写真とかそういうのは提示してこなかったということはずっといろいろな審議会でこれまでも指摘してきたわけですけれども、そういった面で、これだけ責任を託されている日本赤十字社が、その事業計画としてやはり目標を定めて、それが毎年どのような形で着実に成果を結んでいるかということをきちっと示さなければならないと思うのですね。それは国民に対しての開示のやはり責任だと思うのです。
 そこが不透明だとかそういうところが今までずっと指摘されてきたわけなので、これは方向性と、そして、どのぐらい還元ができているのかということとか、そういう進捗状況をやはりこういった検討会ですとか審議会できちっと示して、そして全国の人たちに血液事業の透明性をきちっと公開する。それがなければ、これだけ一元的に担っている責任を果たしてないのではないかなというのは私自身も感じています。
 ですから、そこを思いますと、先ほどのいろいろな各部門での問題について、今日の論点になっていますけれども、一つひとつその努力がなされているのかどうか、そしてまたそれが実を結んでいるのかどうかというところは、今日、本当はお聞きしたかったところで、開示していただきたかったなと思います。
 ですから、今日、資料としては出てきましたけれども、ただ、それがどのように、昨年に比べてかなり成果を上げているのか、成果が上がっていないのか、その辺はやはり的確に皆さんの判断できるような資料として本当は出していただきたかったなあと思いました。
○溝口座長 よろしくお願いします。到達目標を決めて、その時期までに目標を達成してほしい。ただ、血液事業が日赤に協力を依頼してやっている建前上、日赤の支部長というのは県知事が多いのですね。そういうことのつながり、拘束があるのと、それから血液事業自身が地方自治体の協力を得るということで、なかなか都道府県の枠を超えてやりにくいのを、今、努力されているのではないかなあと思っています。それからまた病院側も、遠くにセンターがあって、おれのところには時間かかるぞという文句も来ているといううわさも聞きますので、その辺を十分クリアーしながら目標をきちっと達成していただきたい。それから、いろいろな情報を公開していっていただきたいと思います。
 それから、原料血漿の値段を下げる、いろいろな方法がありますが、もう一つ、自給率が下がっている原因として、国内でのアルブミンの使用量が特に多過ぎて、それが海外の血液、特に、アルブミンの供給を依頼しなければ安定供給はできないということがあります。この前、益子先生が、国内製品の安全もちゃんと検討した方がいいよということをおっしゃっていましたけれども、やはり血漿分画製剤は特定生物由来製品で、記録の保存、副作用報告、遡及などをきちっとやる必要があるのですが、国内外の製剤に関係なく、きちっとそれを継続的に続けていく必要があるのではないかと思います。
それは、適正使用調査会でやるのですか。どこでやるのが妥当かちょっとはっきりしませんが、そこで検討した結果を、添付文書であるとか、あるいは使用指針、あるいは、先ほど牧野委員がおっしゃったインフォームド・コンセントに反映させて、十分適正使用をしていく。それによって、使用量をもう少し減らすことが可能になるのではないかと思います。アルブミンの使用が人口当たりでも多いことは明らかでありますので、その辺をもう少し改善する努力が必要ではないか。益子先生のおっしゃった安全の問題はそういうところでやってもらおうかなと思います。それは国内外問わずですね。そういうことでよろしいですか。
FFPの価格についても、さっき言ったことで、大体議論は出尽くしたでしょうか。ほかに何かどうしてもおっしゃりたいことがあれば。
最後に「その他」というのがありますが、第6回の検討会において、輸出の議論の際に前野委員から質問いただいておりました、献血で得られた血液の流れについて、日赤から御説明願いたいと思います。
○日本赤十字社(石井) 血液の行方ということで、全体の流れの概要を簡単に御説明させていただきます。
 資料9の最後の10ページ目でございますが、厚生労働省発行の血液事業報告22年度版の資料を使わせていただきました。左から、献血の申し込み、あるいは採血、それから検査、製造を通して、一番右で輸血用製剤の供給数が明示されております。
 実際に血液製剤として使用できない献血の状況というのは、一番右下の方のカラムの表に示しております。トータルで19万余りという実本数になります。その主な使用できない項目としては、やはり検査不適格。左から、下の2番目の表、梅毒とかHBV、HCVとかあります。これは延べの数字でございますが、これらを中心に、あるいは製品化のときの不適なもの、あるいは一部、期限切れという形で、トータルで19万余り。採血は実際に530万余りでございますので、約3.6%のものがいわゆる製剤としてものにならなかったという流れをこちらの方で示させていただきました。
 以上でございます。
○溝口座長 前野委員、何か御質問、御意見ございますか。
○前野委員 ありがとうございます。この傾向というのは変わらないのでしょうか。
○日本赤十字社(石井) そうですね。傾向としては年々このところこのような形、期限切れは年々落ちておりますが、もともとトータルの数値的にはそう大きくないもので、変化はございません。
○溝口座長 よろしゅうございますか。
 予定した議題はここまでですが、何かほかに発言を希望される方がいらしたら、どうぞお願いします。
林委員、何かございますか。
 牧野委員、ああいうことでようございますか。
○牧野委員 そうですね。先ほど言われたように、アルブミンの適用というか、添付文書には5%製剤と25%製剤で、適用は全く一緒なのですね。この辺りがやはり1つ問題かなと思います。製剤ごとの適用疾患のエビデンスを明らかにしていく必要があり、それがアルブミン製剤の使用量の削減に繋がり、それは国内自給に影響するのではないかと考えますので、検討していこうと思っています。
○溝口座長 よろしくお願いします。ほかに。
 井廻委員、特にございませんか。
 それでは、本日の議事は以上でございますが、今回で、各議題、テーマにしていたことは一通り議論していただいたと思いますので、事務局としては、次回までにこれまでの議論をまとめて整理をお願いできればと思っております。また日程等につきましては、後日、事務局から連絡をしていただくようにしたいと思います。
 本日は、どうも御多忙のところありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111内線(2905、2917)

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