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2011年11月14日 第17回保健医療情報標準化会議議事録

政策統括官付社会保障担当参事官室

○日時

平成23年11月14日18:00~20:00


○場所

厚生労働省 専用第15、16会議室
(中央合同庁舎5号館 12階3号室 国会議事堂側)


○出席者

構成員

安藤裕構成員 上野智明構成員 大江和彦座長 大原信構成員
大道道大構成員 木村通男構成員 近藤克幸構成員 佐藤弥構成員
篠田英範構成員 武隈良治構成員 土屋文人構成員 冨山雅史構成員
中島直樹構成員 野々村辰彦構成員 山本隆一構成員 吉村仁構成員

事務局等

香取政策統括官(社会保障担当) 武田参事官(社会保障担当)

○議題

(1)番号制度導入に向けた省内検討体制の整備について(報告)
(2)厚生労働省標準規格について
(3)今後優先的に整備すべき標準規格について
(4)医薬品データマスターについて
(5)その他

○配布資料

資料1 番号制度導入に向けた省内検討体制の整備について(報告)
資料2 医療の情報化・標準化の推進のための省内体制
資料3 保健医療情報標準化会議開催要領
資料4 保健医療情報標準化会議構成員名簿(平成23年11月現在)
資料5 安藤構成員提出資料
資料6 新たに厚生労働省において保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について(提言案)
資料7 新たな情報通信技術戦略工程表関係資料
資料8 「病院における診療要約情報の体系的整理」の研究について
資料9 木村構成員提出資料
資料10 土屋構成員提出資料

○議事

○事務局(前原) おそろいになりましたので、ただいまから第17回「保健医療情報標準化会議」を開催させていただきます。
 構成員の皆様方には、御多忙中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 申し遅れましたが、私、情報連携基盤推進室室長補佐の前原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに会議の開催に当たりまして、政策統括官の香取よりごあいさつ申し上げます。
○香取統括官 政策統括官の香取でございます。
 本日は、夜分大変遅い時間でございますけれども、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本会議、厚労省医政局から私ども政策統括官付社会保障担当参事官室に移管いたしまして、1回目の会議ということになります。一言ごあいさつ申し上げます。
 御案内のように、現在、社会保障・税の一体改革の一環ということで、社会保障・税に関わる番号制度の検討が進められております。本年6月に大綱が決定されておりますが、大綱では、本年秋以降に、可能な限り早期に番号法案及び関連法案の国会提出ということで、平成27年1月以降の番号の利活用というものが想定されております。
 番号につきましては、さまざまな関連分野において、分野を超えた情報化、あるいは情報連携を進めていくということになります。そのためには、標準的なメッセージ、あるいはネットワークセキュリティー等、規格の共通化がその前提となるということでございまして、技術面での課題について省内の統一を図っていくこと、そして、このスケジュールに併せて迅速な取組みを進める必要があるということで、今般、私ども政策統括官付社会保障担当参事官室におきまして省全体のさまざまな取組みを統括して、法制化、あるいは標準規格等の整備について、中心的に進めていくということになったところでございます。
 したがいまして、当会議もこういった政府全体の動き、社会保障分野における番号制度の導入、あるいはその活用ということを前提に検討をお願いするということになるわけでございます。
 また、医療安全の向上、あるいは医療提供体制の拡充等の見地から、医療機関内部での医師その他専門職間での情報の共有、地域の医療機関の連携のベースとしての情報連携、個々人が自らの医療情報を管理し、あるいは活用するといったような、さまざまな場面で個人の医療情報についての取扱いや医療の情報化の取組みということが議論されます。今回の医療の情報化の議論は、当然、こういった取組みの基盤となるわけでございます。
 こういったさまざまな状況を考慮いたしまして、今後必要となるさまざまな情報化、あるいは標準規格等々、その普及策等について、専門的な見地から御議論をお願いするということでございます。
 申し上げましたように、政府全体としてさまざまな動きがある中で、安全面も含めた医療分野の情報化の推進ということで御議論いただきたいということで、是非、専門的な見地からの積極的な御議論をお願いできればということでございます。
 以上、私からのごあいさつとさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○事務局(前原) 続きまして、構成員の交替がございましたので、御紹介させていただきます。
 稲垣構成員に代わりまして、日本歯科医師会常務理事冨山雅史構成員に御就任いただいております。
 また、本日は、病院における診療要約情報の体系的整理の研究について御説明いただくため、株式会社HCI代表取締役の豊田先生にもお越しいただいております。
 次に、事務局の紹介をさせていただきます。
 なお、構成員の皆様方にはあらかじめお知らせしておりますが、先ほど香取統括官からのごあいさつにありましたとおり、今年度より本会議の所管が医政局から政策統括官付社会保障担当参事官室に移管しております。
 まず、本日、業務の都合で遅れておりますが、政策統括官付社会保障担当参事官の武田でございます。
 情報連携基盤推進官の西村でございます。
 情報連携基盤推進室長の須田でございます。
 それから、本日付で情報連携基盤推進室にも併任となりました野口補佐でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日はオブザーバーといたしまして、内閣官房IT担当室、総務省情報通信政策局、経済産業省ヘルスケア産業課、医薬食品局安全対策課、医政局研究開発振興課医療技術情報推進室の方々にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の御確認をさせていただきます。
 一番上に議事次第がございます。その次に座席表がございます。
 その次から、
資料1 番号制度導入に向けた省内検討体制の整備について(報告)
資料2 医療の情報化・標準化の推進のための省内体制
資料3 保健医療情報標準化会議開催要領
資料4 保健医療情報標準化会議構成員名簿(平成23年11月現在)
資料5 安藤構成員提出資料
資料6 新たに厚生労働省において保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について(提言案)
資料7 新たな情報通信技術戦略工程表関係資料
資料8 「病院における診療要約情報の体系的整理」の研究について
資料9 木村構成員提出資料
資料10 土屋構成員提出資料
以上が本日お配りした資料でございます。
資料の未配付・不備等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。
また、本会議は公開となっておりますので、本日の資料及び議事録につきましては、これまでと同様、厚生労働省ホームページにて公開いたします。
それでは、以後の進行につきましては、大江座長の方によろしくお願いいたします。
○大江座長 夜遅い時間からの会議ですが、標準化の会議は自由に忌憚のない御意見をいろいろ述べていただいて、そこから今後の推進策を図るということが大事ですので、どうぞ御自由に闊達な御議論をいただきたいと思います。
 初めに、今年度第1回の会議ですので、前回までの概要、それから、今年度の検討事項などについて事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○事務局(野口) それでは、御説明申し上げます。前回までの概要と今年度のことについて併せて資料に沿って御説明させていただきます。
 まず、資料1、資料2につきましては、本会議の所管が医政局から政策統括官付社会保障担当参事官室に移管されたわけですが、その経緯も含めまして御報告をさせていただきます。
 次に、資料3及び資料4ですが、こちらはこの会議の開催要領と構成員名簿ですけれども、開催要領につきましては省内の検討体制の整備に基づきまして変更をさせていただいております。
資料4の構成員名簿につきましては、先ほど御紹介申し上げましたとおり、稲垣構成員から冨山構成員に変更させていただいております。
 続きまして、資料5と資料6について申し上げます。こちらは前回の会議のときに、いわゆる厚生労働省標準規格について御議論いただいておりますけれども、その際にHELICS協議会において標準化指針として、その時点で採択が既にされていた標準歯科病名マスターについて新たに厚生労働省標準規格とするということで御了解をいただいております。それから、同じく標準化指針として採択されている臨床検査マスターですが、その時点で申請書に知的所有権を有する日本臨床検査医学会について、それも明記するべきであろう。それをもって厚生労働省標準規格とするという形で御了承いただいた、これが前回の流れだったんですが、その後、この臨床検査マスターについても申請書がそのとおり更新されましたので、状況としては現在、この2つの規格が厚生労働省標準規格とされるのを待っているという状態です。
今年度についてですけれども、これまでに、その後、新たにHELICS協議会において標準化指針として採択されたものなどがございますので、そちらについて厚生労働省標準規格として認めるべきか、また引き続き御議論いただきたいと考えております。
更に、厚生労働省標準規格にするべきとお認めいただいた規格については、本会議よりその旨、御提言をいただきたいと考えておりますので、資料6がその提言案ですが、これについても後ほど御確認をお願いしたいと思っております。
 続きまして、資料7、資料8、資料9について御説明申し上げます。こちらは議題として、前回からの引き続きですが、今後優先的に整備すべき標準規格について御議論をお願いしたいと考えております。
状況としまして、特に内閣官房IT戦略本部において策定された、新たな情報通信技術戦略の「どこでもMY病院」構想におきまして、各種医療情報の標準フォーマットの整備等が求められております。その方針などは内閣官房の医療情報化に関するタスクフォースにおいて検討されていますが、そちらの状況も見据えつつ御議論をお願いしているところです。これにつきましては、このタスクフォースの方に携わっておられる中島構成員より、その状況について後ほど御説明をいただきたいと考えております。
それから、前回の会議において、「どこでもMY病院」構想の工程表にある本人提供用退院サマリーに関する議論が行われた際に、関連した厚生労働科学研究があるということが紹介されました。今回、その報告書を資料8として御提供いただきまして、研究に携わった株式会社HCIの豊田先生をお招きしておりますので、後ほど御説明をいただきたいと考えております。
資料9についてですけれども、前回の会議において、今後優先的に整備すべき標準規格について御議論いただいた上で、一度、各構成員の方々にお持ち帰り御検討いただいて御報告いただく、そういう形を取らせていただきましたが、木村構成員より、優先的に整備すべき規格について御提案をいただきましたので、後ほど御説明をいただき、御議論をお願いしたいと考えております。
 続きまして、資料10ですけれども、こちらは前回に引き続いて、医薬品データマスターに関しまして御議論をお願いしたいと考えております。厚生労働科学研究により、土屋構成員に医薬品データマスターのひな形を作成していただいておりまして、このマスターの今後の実利用に向けて、メンテナンスの主体や責任の所在等、その在り方についてが現在課題となっております。後ほど、土屋構成員より進捗状況等について御報告をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
○大江座長 それでは、今の御説明に対して、何か御意見・御質問がありましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
まずは「(1)番号制度導入に向けた省内検討体制の整備について」で、本会議の所管が医政局から政策統括官付社会保障担当参事官室に移管された経緯を含め、須田情報連携基盤推進室長から御報告をお願いいたします。
○須田情報連携基盤推進室長 座ったままで失礼いたします。お手元の資料1、資料2をごらんいただきたいと思います。
 資料1は、番号制度導入に向けた省内検討体制の整備等について説明したものでございます。先ほど政策統括官からもあいさつがありましたように、社会保障・税の一体改革の一環として、社会保障・税の番号制度の検討が内閣官房を中心に政府全体で進められているという状況にございます。今年6月に、この番号制度の法制化作業に当たっての基本的な方針につきまして大綱というものが決定されたところでございます。
その大綱の概要が、1枚おめくりいただきまして別添ということで、カラーの横刷りのもので付いていると思いますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。
現在、社会保障・税をまたがる番号制度がないという現状におきまして、さまざまな課題が指摘されております。複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということが確認できない、そういう基盤がないということに伴いまして、例えば税の情報の活用に限界があるとか、正確な所得・資産の把握に基づくきめ細かな制度の導入が難しいのではないか、長期間にわたって個人を特定する必要がある制度の適正な運営が図られているのか、医療保険など関係機関同士の連携が非効率ではないか等々の課題が指摘されております。
こうした課題に対しまして、社会保障・税番号の導入によりまして、将来的にはより公平・公正な社会の実現を目指す、社会保障がよりきめ細やかかつ的確に行われる社会の実現を目指す、行政に過誤や無駄のない社会の実現を目指す等々の理念が掲げられております。
具体的な効果としましては、例えばIT化を通じ効率的かつ安全に情報連携を行える仕組みを国・地方で連携協力しながら整備し、国民生活を支える社会基盤を構築していくということを通じまして、所得等の情報の把握を社会保障・税の制度に活用していく。また、真に手を差し伸べる人に対してよりきめ細やかな社会保障の充実ができるのではないか。各種行政事務の効率化、制度の公正性などが図れるのではないか等々の効果が期待されているということでございます。
真ん中に「2.番号制度で何ができるのか」ということを例示として挙げられております。これは制度改正を伴って初めて実現できるものも含めて幅広に例示をされておりますけれども、先ほど申し上げましたように、よりきめ細やかな社会保障給付の実現というところから始まりまして、さまざまな行政事務の簡素化、あるいは医療・介護等のサービスの質の向上等々、さまざまな例示がなされているところでございます。
この番号制度に必要な基本的な仕組みとして、3番目ですけれども、3つの仕組みが挙げられております。初めに付番としまして、新たに国民一人ひとりに、唯一無二の番号を付番する。2番目として、複数の機関において管理している同一人の情報をひもづけして、ひも付けられた情報を活用する情報連携の仕組み。3番目に、その番号の持ち主であるということを正確に証明するための本人確認(公的認証)の仕組み。この3つの仕組みをこの番号制度の中で構築していくというような考え方が示されております。
こうした番号制度の構築に当たりましては、プライバシーについての懸念が指摘もされておりますので、そういった懸念に対して番号の目的外利用の制限とか法令上さまざまな法律の規制をするとともに、そういった法律の運用状況につきまして第三者機関を新たに設置して監視していくといった制度上の保護措置、更にシステム上も安全なセキュリティーに配慮した仕組みをつくっていくというようなことがうたわれております。
「5.今後のスケジュール」でございますけれども、平成23年秋以降可能な限り早期に番号法案及び関係法案を国会に提出していく。そして、平成26年6月に番号を交付していく。平成27年1月以降に社会保障分野、税分野のうち可能な範囲で番号の利用を開始していくというようなスケジュールが示されているところでございます。
裏面は、この番号制度の法整備をすべき事項を掲げたものでございます。
詳細な説明は割愛させていただきますが、その一番右下の箱に「○情報の機微性に応じた特段の措置」というような表現がございます。この番号制度におきましては、通則法として番号の法律をつくっていくということになるわけですけれども、医療分野等の特に機微性の高い医療情報等の取扱いにつきましては、個人情報保護法または通則法としての番号法の特別法として、特段の措置を定める法制を番号法と併せて整備をすべきであるというような考え方が示されております。
以上、大綱について説明をさせていただきましたが、資料1に戻っていただけますでしょうか。
そうした大綱を受けまして、番号制度のような分野を超えた情報化・情報連携を進めるというようなことが喫緊の課題となっている中におきまして、厚生労働省関係の行政分野の事業におきまして、標準的なメッセージ、ネットワークセキュリティー等の規格を共通につくっていくということが必要になっております。
そうした背景の中で、先ほど来、申し上げておりますように、厚生労働省内の統一を図りつつ迅速にこういった課題に取り組むために、社会保障担当参事官室におきまして省内全体を統括して、法制の整備と併せて標準規格等の策定等についても中心になって取り組むこととなったというのが経緯でございます。
資料2をごらんいただきたいと思います。
具体的に、政策統括官の情報連携基盤推進室におきまして、これまでも番号制度につきまして企画・立案・統括を行ってきているわけですけれども、これに加えまして、「機能」というところに書いておりますが、医療分野の情報化・標準化政策の企画・立案・統括を併せて担うというような整理をさせていただきました。
このことに伴いまして、その下の欄の「具体的業務」というところに、下線を引いて幾つかの検討会を例示させていただいておりますけれども、例えば本会議、保健医療情報標準化会議を含めまして、医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会、あるいは医療情報ネットワーク基盤検討会等につきましても、医政局と引き続き連携をしつつ、政策統括官におきまして、これらの会議の事務を所掌するということになったわけでございます。
今後、社会保障制度全体の改革の一環として、医療情報の標準化の在り方につきましても検討を深めていきたいと思っておりますので、是非、この会議におきましても活発な議論をお願い申し上げます。
以上でございます。
○大江座長 それでは、今の御説明に対して、御意見とか御質問がございましたらお願いします。
 よろしいですか。
 厚生労働省全体を統括して取り組んでいただくという御説明をいただいたので、この会議としては心強い限りといいますか、頼もしく今後の議論を進めていけるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 次の議題は、「(2)厚生労働省標準規格とすべき規格について」でありますが、先ほど事務局からの説明にもありましたように、現在、標準歯科病名マスター、臨床検査マスター、この2つの規格について、厚生労働省標準規格とするように以前に当会議から提言を行おうということになっておりました。更にその後、新たにHELICS標準化指針に採択された規格などもありますし、審査中のものもございますので、まずはその辺りについて安藤構成員より御説明をお願いいたします。
○安藤構成員 それでは、資料5について説明させていただきます。
 一番左の欄に「申請受付番号」というものがありまして、HSで始まる番号が付いておりますが、HS013及びHS014というものは、先ほどお話にありましたように、前回の保健医療情報標準化会議で検討されました。
 その後、HS016のJAHIS放射線データ交換規約及びHS017のHIS, RIS, PACS, モダリティ間予約、会計、照射録情報連携指針バージョン3.2、俗に我々はJJ1017指針と呼んでおりますが、これが現在審査中となっております。それについて資料をお持ちいたしましたので、説明させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、HS016ですが、JAHIS放射線データ交換規約というものですけれども、これについてはHELICS協議会の方で今年の9月29日にHELICS指針として採択されております。
これはどういうものかといいますと、放射線のオーダーをどういうふうにやりとりするか。一般に診察室等で放射線の検査のオーダーを入力して、それが放射線の情報システム、RISというふうに言われていますが、そちらの方へオーダー情報が行く。更に、実際に放射線の検査ですので、例えばCTの装置とか、MIRの装置とか、そういうようなものがオーダー情報を利用しまして実際の検査をする。それで、検査が始まると、今、検査をしましたというような情報を戻したり、あるいは検査が最終的に終了すると、検査が終了しましたというような情報を戻すということになります。
それ以外に、放射線の画像を管理している、PACSと呼びますが、そういう機器との情報伝達及びレポート、放射線の検査が行われますと、それの読影レポートというものをつくりますが、その読影レポートができたか、できないというような情報を探知します。そういう情報のやりとりをするというのが、このJAHIS放射線データ交換規約というものになります。それで、主に使っております規格がHL7V2.5だと思いますが、それに準拠してデータのやりとりをするということになっております。
 1枚めくっていただきますと、申請書の次に「HS016 医療情報標準化レポート」というものがありますが、これは指針として審査するときに申請書と対をなすもので、こういうデータ交換規約をどのように使うかという一種の説明書になります。これが現在、HELICSの方の指針として採択されております。
 それから、資料5の最初のページに戻っていただくとありますが、その後、審査中というものがHS017からHS020まで4つの標準規格が審査中となっておりますけれども、実はHS018からHS020までは、この3つのIHE統合プロファイル関連のものですが、これについては現在、日本IHE協会の方から申請取下げとなっておりまして、これも近くHELICS協議会の方で正式に取下げが認められるということになると思います。ですから、今、実際に審査しておりますのはHS017のHIS, RIS, PACS, モダリティ間予約、会計、照射録情報連携と呼ばれるJJ1017というものです。
 それについては、今日資料をお持ちしまして、医療情報標準化指針提案申請書、HS017というものがありますけれども、その後に、同じようにレポート、説明書が付いております。これは先ほどお話ししましたHS016のJAHIS放射線データ交換規約の中で使われますが、実際に放射線検査のオーダーを出す場合に、実際の検査項目をコード化する場合に、このJJ1017を使ってコード化をするということになってございます。
 それで、現在のHELICS協議会のステータスとしましては、指針のプロセスとしては、最初に指針が申請されますと、最初に審査委員会というものができます。審査委員会で審査した後、指針にふさわしいという判断がありますと、パブリック・コメントを行います。パブリック・コメントが終わった後、特に問題がなければ、HELICS協議会の理事でまず投票が行われます。それで、理事で全体の投票の3分の2以上の賛成が得られますと、今度はHELICS協議会全体、今、10団体が加盟しておりますが、その10団体で更にもう一度投票をして、それで採択されますと申請になるというステータスです。
現在、その第2段階のHELICS協議会の理事会で申請について審査中ということで、これは今週の18日に締め切られまして、それで3分の2以上の採択になりますと、次の段階としてHELICSの会員全体で審査されるということになります。順調に行きますと、多分、12月中にはHELICS指針になるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○大江座長 ありがとうございました。
 それでは、今、御説明のあった規格について、厚生労働省標準規格とするかどうかの御意見、あるいは御説明に対して何か質問があればお願いいたしたいと思いますが、少し整理をしてからにしたいと思います。
 まず、前回のこの会議でも、HELICS指針に採択されれば厚生労働省標準規格としてよいだろうという御議論の方向をいただきました、このHS013、HS014の2つについて最初に御議論いただきたいと思います。
 この2つについては、厚生労働省標準規格とすることでよろしいでしょうか。あるいは、それをするに当たって何か御質問などがございましたらお願いします。
 よろしいですか。その後、特段、変更はございませんでしょうか。
(「はい」と声あり)
○大江座長 それでは、この2つについては厚生労働省標準規格とするということで、この会議では決定したいと思います。
 続いて、今回新たに採択されているHS016のJAHIS放射線データ交換規約、これも既にHELICS指針に採択されているわけですが、これについて御議論いただきたいと思いますけれども、何か御質問あるいは御意見はありますでしょうか。
 特段の問題はございませんでしょうか。
 よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○大江座長 それでは、このHS016についても厚生労働省標準規格とするということで、この会議では決定いたしたいと思います。
 続きまして、まだ審議中ですので、方向性だけの確認ということになりますが、一応、見込みとしては、順調に行けば、このHS017について、HELICS指針に採択されるであろうという先ほどの御説明でしたけれども、今後、この会議で厚生労働省標準規格とする方向について、今の段階で御意見があればお願いいたしたいと思いますが、何かございますでしょうか。
 木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 これは私が10年前に始めた話で、やっとここまで来たかと感慨深いものがございます。
 簡単に経緯を説明いたしますと、最初、これは画像診断の分野でコードをつくって、手技、つまり技術、手法。CT、MR、造影という機器等。もう一つの軸に部位、頭部とか腹部、骨盤部とか、そういうものを足したものであります。その後、治療の分野も是非同じ形式でやりたいという御意向が放射線技術学会さんから寄せられて、更に去年、核医学の分野も同じ文法でやりたいということで、これも専門の先生方の多大な御協力を得てできました。そういうことで、胸を張って放射線分野が3つそろったということで、ここまでまいりました。
 それで、実はこういうコードは外国にほとんどないので、これは日本でできたコードでありまして、強いて言えばLOINCのClinical LOINCぐらいですか。ですから、CPT-4もちょっと古いので、これは世界に先駆けてdouble axis、多軸でということであります。
 補足して御説明を申し上げました。
○大江座長 ありがとうございます。
 資料9の1枚目に少し説明資料を用意されていますけれども、特によろしいですか。
○木村構成員 重複ですね。ですから、結構です。
○大江座長 今、補足の説明をいただきましたけれども、いかがでしょうか。
 私から、座長から言うのもあれですが、この規格名称なんですけれども、既に採択されたものの名称を、私が以前の議論で、バージョン番号とかをあえて付けない方が、今後のマイナーバージョンアップのときに名称を変えずに済むので、いいのではないかというようなことがたしかありましたので、この会議としては、このバージョン番号を今後どのようにHELICSの方でお扱いになるか、少し議論をしていただいた方がいいのかもしれないですね。
 どうでしょうか。
○木村構成員 おっしゃるとおりでございます。
○大江座長 これは取ってしまってもいいのでしょうか。
○木村構成員 いいと思います。ここで3分野そろいましたからね。
○大江座長 連携指針でも大丈夫なんでしょうか。
○木村構成員 はい。
○大江座長 そうしますと、名称を最終的に審議いただくときに少し修正なり検討なりをいただいた方がいいかもしれないということを、この会議としては御意見申し上げておくということでよろしいですか。
○木村構成員 はい。
○大江座長 そのほか、何か御意見はございますか。
 ないようですので、それでは、HS017については審査中ですので、今後の状況を見るということで、今日は御意見を承ったということにとどめたいと思います。
 それでは、資料6をごらんいただきたいと思います。資料6は、ただいまの決定を想定して、この会議としての提言案が準備されておりますが、少し読ませていただきますと、
 保健医療情報標準化会議においては、保健医療情報分野における各種規格等の標準化や医療情報システムの相互運用性等への対応を検討しているところである。
今般、新たに厚生労働省において保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格(以下、「厚生労働省標準規格」という。)とすべき規格として、以下の規格について合意が得られたことから、厚生労働省に提言を行うものである。
● HS013 標準歯科病名マスター
● HS014 臨床検査マスター
それから、先ほどこれも決定いただきましたので、この紙には括弧が付いていますけれども、括弧を外していただいて、「HS016 JAHIS放射線データ交換規約」。以上3つをこの提言書に入れたいということでよろしいでしょうか。何か文言などでお気づきの点、修正すべき点があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○大江座長 それでは、この会議としては、この資料6の提言案を、括弧を外した形で決定いたしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、次の議題、「(3)今後優先的に整備すべき標準規格について」に入りたいと思います。
 内閣官房の新たな情報通信技術戦略における「どこでもMY病院」構想でも各種標準フォーマットの整備が求められているところでありますが、その最新の工程表が、先ほど簡単に触れられましたが、資料7であります。まず、中島構成員より、内閣官房の医療情報化に関するタスクフォースの状況の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○中島構成員 それでは、説明します。
 昨年の9月から、この医療情報化に関するタスクフォースというものが内閣官房の担当で開催されまして、昨年度は10回で、今年度は第1回目といいますか、全部では11回目が9月29日に開かれました。それで、内容としては、主にはその方向性を決めることであります。
 昨年度の流れから少し説明いたしますと、これはもし間違えているところ、補足とかがありましたら、今日は内閣官房の方が来られているのでよろしくお願いしたいんですが、最初にやるということに関しましては、この中では「どこでもMY病院」というプロジェクトがありますけれども、その中でお薬手帳。これは医療の方から見た調剤情報に当たるんですが、今、これを紙で流通しておりますお薬手帳の電子化という位置づけでこれを電子化していくということが1つ。それから、診療明細書。これも病院にとっては患者さんに渡すことが義務付けられていますので、ここのところを電子化していくということを最初に行うことになっております。
 これを受けまして、今日見えていますけれども、経済産業省が昨年度から「どこでもMY病院」及びシームレスな地域連携医療の実現というプロジェクト、公募プロジェクトですが、この中で、最初に、ここにおられます何人かの先生方も入った委員会で、この標準規格、今、既に存在している標準規格をいかにその中で入れていくかということを、つまり、その公募の条件の中に入れていくというような形でやっております。
その流れで、その後、公募に通ったプロジェクト、10のプロジェクトがありますけれども、そのプロジェクトが、特に「どこでもMY病院」構想の中では、このお薬手帳と診療明細書などについて、今、ちょうど今年度といいますか、実際には昨年度事業ですが、今、その延長といいますか、その中で進んでいるところであります。ここに関しましては、山本先生、大江先生、それから、この中では近藤先生もおられますけれども、その公募事業に関していろいろと指導していただいているところであります。
 その次にやろうというところが、この資料7を見ていただければわかるんですが、まず上の方にはそういう枠組みが描いていますけれども、先ほど申しましたお薬手帳、それから、診療明細書、それが左側の黄色のところに書いておりますが、その下にありますように、退院サマリー、あるいは健診情報とか検査データとか、そういうところもありますけれども、これを特に個人参加型の疾病管理サービスで提供するということで、糖尿病に特化しまして、今、糖尿病手帳というものがかなり流通しておりますが、そのイメージが少し入っていると思うんですけれども、「どこでもMY病院」の私の糖尿病記録ということで、その中でどういう情報を連携していけばいいのか、それはどういう標準規格を使うのかということを、今年度のタスクフォースの下にワーキンググループをつくって検討しているところであります。
 ただ、この退院サマリーに関しては、まだ十分、どういうふうに動くのかというのが具体化していませんで、私が会議の中でも、退院サマリーをタスクフォースの中でどんどんつくっていくのではなくて、特に厚労省規格のHS007などというものは、例えば患者さんに対する診療情報の提供で、サマリーに関しましては、先ほど木村先生から出ました資料9の中にもかなりでき上がったようなものがありますが、そういう、この厚労省の標準化の流れの中との整合性を取っていただきたいと申し上げたところであります。
 それから、次に標準化するべき候補というものは、今、お話ししましたけれども、この内閣官房の流れから言いますと、そういうふうなサマリー情報、あるいはレポート情報、それから、そういう疾患に特化した疾病管理型の、先ほど言いました、糖尿病の連携手帳といいますか、自己管理、あるいは連携に用いるような情報の項目、そういうものが挙げられると思います。
 もう一つ、流れの中で、特にシームレスな地域連携医療の流れの中で、これはそれぞれの地域の中で連携をするということは非常に大事なんですが、2次医療圏あるいは3次医療圏を超えて連携するということが非常に大事ということで、それから、今回のこの内閣官房の事業の中ではありませんけれども、地域医療再生基金で非常に広範に医療の情報化も進む可能性があるということを聞いておりますが、こことの整合性も取る。今回、このような流れの中でつくられている標準規格と整合性を取る必要がある。
そういうことで、昨年度のタスクフォースの報告書の中に、各地域に1つ、各県に1つ、医師会が入る、それから、そういうさまざまな自治体が入る、地域医療協議会をつくって、それで標準規格をきちんと担保した上で連携するということが進められるということが書かれています。ただ、これは残念なことに、まだ具体的に動いているように見えないので、是非、ここを動かさないといけないというふうには個人的に考えております。
 大体、私からは以上です。
○大江座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対して、御意見・御質問がございましたらお願いいたします。
 今日御出席の方々は、この辺りは大体御存じということで、余り質問が出ないようですが、よろしいでしょうか。
 今後優先的に整備する標準規格という、この会議の議題に関して言いますと、そうしますと、この本人提供用退院サマリーの検討、それから、個人参加型疾病管理における診療手帳のようなもの辺りが優先的に検討されるべきものであるということですね。
○中島構成員 はい、そうです。あと、レポートのところもここには書かれています。
○大江座長 読影レポートですね。
○中島構成員 はい。
○大江座長 いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、今、話の出ました本人提供用退院サマリーに関連しては、前回の議論で触れられました厚生労働科学研究について報告書を資料8として本日用意いただきましたので、この病院における診療要約情報の体系的整理という研究について、当時のこの研究班の分担研究者をされました豊田先生から御説明をお願いいたします。10分ぐらいでお願いできますでしょうか。
○豊田先生 豊田でございます。それでは、この病院における診療要約情報の体系的整理について御説明させていただきたいと思います。
 これは、実はこの研究要旨にも書いてございますように、電子カルテ化が進み、そして、地域連携その他で電子カルテが他の医療機関あるいは本人、患者自身が見られるような状況がつくり出されたときに、電子カルテを全部見るというのはなかなか難しいという中から、やはりサマリーが重要であるということがいろいろ指摘されてきた。そうしたところ、日本において、サマリーというものについてのきちんとした規格あるいはガイドラインというようなものがほとんどできていないという中で、それを何とかできないだろうかということで、平成19年度からの3か年の厚生労働科学研究として研究したものであります。このもともとの資料8は、それの3年目の全体の報告書になっております。
 最初のページの「A.研究目的」のところにちょっと書いてございますけれども、実はこれを始めたところ、最初に問題になりましたのはサマリー、特に病院において一番多く言われているのは退院時サマリー、あるいは退院時要約で、これも医療機関によって全く違っているということがわかりまして、ここにも書いてございますように、大きく分けますと、院内用の退院時要約。これは主に400床以上の急性期の病院、大学病院でない病院では、患者さんが退院されたときに、今度外来に来たときに、外来の医師がこれを見て、どういう入院だったかというのがわかるようにするための退院時要約というものが専らつくられております。これに対して小規模の病院においては、大体主治医が同じということもありますので、退院時要約というものはあくまでも診療所や何かに出す院外用の退院時要約ということになります。
 これに対しまして、次の2ページに書いてありましたように、大学病院における退院時要約というものは、実は多くの大学病院におきまして、ここに書いていますように、専門医資格取得用の診療要約ということで退院時要約が使われているという状況がわかりました。
そういう意味で、最初はこの3つが一緒にできないという話もあったんですけれども、この中で最も一般的と考えられる院外用の退院時要約ということを中心に整理を行いました。
 整理につきましては、ここに大きく4つ書いてございますが、1つは、診療情報要約に含まれる項目がどういうものがあるかという調査。2番目には、具体的な記述です。この記述されている内容についての調査。3番目には、国際的な標準化の状況の調査。4番目は、米国で非常に診療情報要約が整理されてきていますので、それを基準にしたときの日本との比較という4つをやっております。
 また、診療情報要約につきましての定義についても、余り明確に書かれたもの等がないので、海外のものを参考にしまして、この研究では、2ページの下の方に書いてありますように、「患者の特定期間の状態を、他の医療者に簡潔に伝えるために、必要な患者情報をまとめたもの」というふうに定義しております。この特定期間という話と、他の医療者に簡潔に伝えるということが重要かと考えております。この研究では、診療情報要約は医師だけでなくいろんな方が書いている場合も多いんですけれども、医師の作成したものだけをとりあえず対象として研究しております。
 まず、「C.研究結果」の1番目ですが、項目でございますけれども、これは国内のいろんな病院、16施設の退院時要約の様式について調べましたところ、項目を、同義と考えられるものは1個としてみましても、全部で90個ございまして、大変多岐にわたっております。ただ、この中で、16施設のうち半数以上に共通に見られたものは22項目であるということで、いかに現在つくられている退院時要約というものが標準化されていないか、病院によっていろんな項目が書かれているということが明らかになっております。これにつきましては、3ページの上にちょっとまとめてございます。
 また、ここでは、項目の同義のものは一緒に扱っておりますけれども、名前についてはいろんな項目名が使われておりました。ちなみに、聖路加国際病院において診療情報要約が含まれる34種類のレポートがあったわけですが、これを調査した場合でも、同じ病院でも項目名に非常な相違があったことがわかりました。
 2番目に、要約の中の大きな部分というのは記述内容でございますけれども、医師が書く記述内容というものが一体整理できるのか、標準化できるのかということにつきまして、電子化されている千葉大学附属病院、佐賀大学附属病院、それから、聖路加国際病院の退院時要約、これは2006年と2007年の2年分について比較を試みました。
比較は大変難しいんですけれども、これはテキストの形態素解析を行いまして、その中で医療用辞書をつくって、医療的に意味のある医療用語がどれぐらい含まれているかということを抽出することをやってみました。医療用語につきましては、約32万語のユーザー辞書をつくった上で分析しました。
 結果としては、疾患ごとの傾向を調査するためにDPCのMDC分類によって16項目、2006年、2007年は16分類でしたので、16分類で分析した結果がお手元の資料8の最後のページに出ております。
これを見ていただくと、下の01から16までが主要診断群分類、いわゆる疾病の大きな分類でありますけれども、少なくとも聖路加国際病院と佐賀大学附属病院における平均の医療用語数というものが診断群ごとに見事に一致しているという状況が出てまいりました。これは御承知の方も多いかと思いますが、聖路加国際病院と佐賀大学附属病院というものは医師の入った監査委員会でサマリーを、監査をきちんとやっているところであります。
このことから、監査がきちんとやられている状況においては、ある程度、疾患ごとに、書かなければならないものというのは一致してくるのではないかということが推察できます。
 3番目に、国際的なサマリーの状況について調べましたけれども、特にこの中でアメリカにおけるCCR、これが4番目に書いてございますが、Continuity of Care Recordというものはアメリカの標準化団体であるASTMが規格化しております。これはアメリカの医学界を始め多くの学会と連携して、医療専門職、医療施設管理者、医療情報の専門家などが協力してつくられたもので、大変きれいにできております。
 これにつきましては、その後、HL7の方がCDAに基づいて電子的な規格をつくっておりまして、4ページ目の右下に書いてありますHL7 Implementation Guide : CDA Release 2 : Continuity of Care Document(CCD)がございます。これにつきましては、実は日本HL7協会の方で翻訳をいたしまして、まだ最終バージョンではないんですけれども、一応、ホームページの方に出しております。
 それでは、このCCRの各項目と日本の診療情報の要約を対応させることができないだろうか。まず、CCRの各項目について要約したものが、お手元の資料8の最後から3枚目が要約したCCRデータ項目セットであります。
 これに対して、先ほど日本の16施設で調べました各項目について連携を付けてみたものが次の表4という部分で、ここのHeaderとBodyという部分になっております。
 全体的にはなかなか一致しない。逆に、日本の場合にはそういうふうな体系的な整理が今まで行われていなかったために、この辺を少し整理していかなければ標準化は非常に難しいのではないかというふうな状況になってきております。
 そういう意味で、この3か年間の報告では、現状について整理することはできたと思いますけれども、この先、標準化をどういうふうにしていくかということが課題になっております。ただ、そういうガイドライン等をつくる可能性は十分あるだろうということで、現在、実は日本HL7協会の方でこれを引き継いで標準化の方向を進めております。
 以上で御説明を終わらせていただきます。
○大江座長 ありがとうございました。
 退院時サマリーに関しては、木村構成員からも資料9で御提案をいただいておりますので、中身についてはそちらの方の御説明もいただいた上で一緒に議論したいと思いますけれども、今の豊田先生の御説明に特化して、何か御質問がございましたらお願いします。
 木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 この最後の平均単語数、これは、数えた単語というのは何かコントロールされたキーワードですか。それとも、文字数、コントロールされた単語数ですね。
○豊田先生 医療的に意味のあるものということで、日本内科学会がまとめた単語集、あるいはもともと千葉大学で研究していたもの、それから、聖路加でやはりカルテを分類してきたものを整理いたしまして、これに約30万語の医療用語集をつくりまして、その医療用語集からの単語が幾つあるかというふうにいたしました。
○大江座長 よろしいでしょうか。
○木村構成員 はい。
○大江座長 ほかに御質問はございますか。
 それでは、優先的に整備すべき標準規格として木村構成員より資料9の御提案をいただいておりまして、この中にも退院時サマリーの御提案がございますので、まず、この御提案について御説明をお願いいたします。
○木村構成員 事前の調整が十分でなく、重複ばかりになってしまって申し訳ありません。
 まず、前半の話はJJ1017、要するに検査、治療等の項目コードです。これは先ほど御説明したとおりで、御理解いただけるようでうれしく思っております。これは本当に重複なので、それでいいですか。
 もう一つは、退院時サマリーのお話です。今、豊田先生からも御説明がありまして、非常に興味深い調査でありました。その前には中島先生からも、それがあるということで、世間の事業が進んでいるという御報告も受けました。それで、HL7協会の代表として、やはりこの部分を進めていく必要があるだろうなと前から思っておりました。
 そこで、先ほどの豊田先生の調査の内容及び、このCCRとの対応表、これは豊田先生の資料にも私の資料にも出ておりますが、これを見たときに、まず世の中に、この連携する場合の退院時サマリーの必要性は認識されている。一方、内容についての標準化が項目すらないという調査結果であります。
最近、こういうものを見て感じることは、1つ目は、このうち病院情報システムから自動、せめて半自動で取り込める情報はどれだろう。つまり、そうでない情報はやはり医者なりに、医療職に大きな手間をかけることになるので、当然ながら、それに対する何らかのインセンティブが必要になるだろうと思うわけです。
そうしますと、医事情報といいますか、患者基本情報とかそういう部分、そして、入退院の時期とか、診療科とか、ドクターの名前とか、こういうところまでは結構行くんですけれども、やはり診療の内容、ボディーの部分に関しては、検査結果、処方系はいい。それで、病歴の診断名の部分は、例えば主病名と書いてあるんですけれども、主病名がちゃんと書いてある診療録は日本にはめったになくて、病名は20個ぐらい書いてあるという状況ですね。ということは、DPCは別ですが、主病名を1つ選ぶということすらドクターに手間をかける話になるんです。
 ということで、一方でDPC病院においてはそちらの方で手間をかけて入れている。例えばKコードで治療だ、手術だという話が入っていたりしています。ですから、今のニーズの盛り上がりを考えたときに1つ考えるべきは、勿論、どの内容は半自動で病院情報システムから取ってこられる。それで、どの内容はやはり医者にしっかり書いてもらわないといけないかという点です。
 次に考えることは、例えば「どこでもMY病院」とかそういうユースケースにおいて、こういうふうに構造化された、ある意味標準化されたものをもらったときに、どのように、どれだけのものが検索対象としてデータベースに取り込まれるだろうかということなんです。
私が昔にやって、既にあれになっております紹介状のときにこだわったのは、やはりこれで疾患の患者基本が起こせるかというぐらい、しっかりとデータタイプをかっちりと書いておかないと、また人出がかかって、取り込むときに手間がかかってしまうということを思いますと、そうするとおのずと、この項目のうち、こことここはしっかりとデータタイプを決めて書こう。それは機械が取り込むから、そして、それを検索対象にするから、あるいは連携している診療施設で検査結果だ、治療歴などを時系列で並べるからという部分と、ある意味、ドクターのフリーテキストといいますか、レトリックといいますか、そういう部分による必要がまだある。
それの内容の分析に対しては、大江先生を始め先生方が御研究のオントロジーの研究等の成果を待っていたのでは今のニーズには応えられないでしょうし、それぞれのユースケースごとに、どういう情報はしっかりと連携して、人手がなく取り込めるということを考える必要があるだろうということを最近は考えております。
 といいますのも、このサマリーの分野の内容の完全な構造化というのは、ストラクチャード・レポートというものが10年ぐらい前にありまして、これの一番高級なモードというのは、例えば所見1の形状は結節で、そして、その辺縁はどうというのが完全にコントロールボキャブラリーで書けるようになっているんですが、これはこれのメタとか、それに癒着してとか、そういう話を書いていますと物すごいリンクになって、レポートを書くのが5倍から10倍ぐらい時間がかかるというので使われなかったという、夢のレポートというこの分野の経験がありました。
そうしますと、いよいよ周辺の事業が何を求めているかをしっかりと考えて、すなわち、ここで分析された中で挙げられた項目のうち、マシンリーダブルなもの、そして、特にやはりこれは要るものをユースケースごとにまとめて標準化し、更に細かくスタディをなさりたい研究グループ、あるいはこの疾患の連携のときには、例えば、今、糖尿病学会さんがお決めになろうとしているもの、病診連携のためのコアセット、BMCとこれとこれも、10個ぐらいでいいとおっしゃっておられる、ああいうものをそれの上に取り込んで、それはきっちりとデータタイプをかちっと決めてグラフにできるという感じで急いで進める必要があるかなというふうに思っていますし、HL7協会でもそういう方向で検討を急ごうと思っております。
 ちょっと技術的に突っ走った話で済みませんでした。
○大江座長 そうしますと、先ほど豊田先生から厚生労働科学研究費の研究班の御報告をいただいて、今、木村構成員の方からこの開発状況という資料で御説明をいただきましたが、これは別々ではなくて、連続した一つの活動であるということでよろしいですね。
○木村構成員 はい、そうです。
○大江座長 そうしますと、このHL7協会で、今、この規格の開発をなさっているということでしょうか。
○木村構成員 はい。
○豊田先生 ここにも書いてありますけれども、HL7協会の中にHL7CDA作業グループというものがございまして、そこの中のワーキンググループでやっております。
なおかつ、木村先生の資料の【開発状況】の下の方に書いてありますように、今までワーキンググループは4までありましたけれども、今はワーキンググループ5ということで、臨床の先生方や診療情報管理学会の先生方の協力を得てやることを、今、進めております。
○木村構成員 今、おっしゃった【開発状況】の第5パラグラフの部分の「ITを前提とした」という部分がポイントで、検索対象とするものはデータタイプをかちっと定めてデータベースで取り込めるようにするという意味であります。
 といいますのも、CCRなどは余りそこをしっかり考えていなくて、やはり退院時サマリーというものは、いろいろと調査された内容も含めて、これがあって、これがあって、これがあるんだろうという紙ベースの発想で入っているものが多いんです。そこはやはり、きっちりとITでデータベース間の連携ができるというところと、まだまだ、それは無理そうでない部分というものをはっきりさせて、しっかりと連携できるところはちゃんとデータベースで取り込めるようにしてめり張りをつけよう、そういう意図がここには書かれております。
○大江座長 ありがとうございました。
 それでは、お二人の御説明について併せて御議論をお願いしたいと思いますが、まず御質問とか御意見とか、お気づきの点がありましたらお願いします。
 山本構成員、どうぞ。
○山本構成員 この厚生労働科研の主任研究者だったんですけれども、この研究に関しては分担にお任せしっ放しで、これからHL7協会で規格をまとめていただけるということは大変結構だと思うんですが、木村先生がおっしゃるように、データベース連携でやることは、そこの部分を重点的に標準化するというのは賛成なんですけれども、そもそも退院時サマリーの果たすべき役割みたいなところで、例えばCCRのサポートとかファンクショナルステータスというものが、この豊田先生のレポートにも、木村先生のグループも同じだと思いますけれども、これはいろんなところに線が引っ張ってあるんですが、恐らくこの線は私はうそだと思うんです。こんなことが普通のカルテ、退院時要約に書かれているのは余り見たことがない。例えば介護との連携とか在宅医療との連携などの場合、担当者が多分、最も気にするのは、このファンクショナルステータスとかサポートのところなんですよ。これがこういう線が引かれた状態でスタンダードになってしまうと、ちょっと具合が悪い。
そもそも、今の日本の退院時要約にこういうことは余り書かれていないという前提でこれをつくっていただかないと、本来のCCRの意味がちょっと変わってくるというふうな気がするんですよ。在宅とか介護でケアをする人には、病気がどうとかというよりも、やはりADLがすごく大事なわけですよ。それで、病気の話はお医者さんに聞けばいいという、いわゆる病病連携とか病診連携ではない連携というものもこれから先、多分大きなテーマになるので、そこのところは是非注意をして進めていただければと個人的には思います。
○大江座長 どうぞ。
○木村構成員 この線は、ある意味、この内容はこの辺にぱらぱらと入っているねという線ですから、これを手繰ればそれが捕まるというのは、やはり自然言語処理とオントロジーの研究がなければできないもので、ここを見ろ、例えばファンクショナルなステータスというものを見ろというのであれば、そういう病院はそういうものが退院時サマリーに印刷して書いてあって、そこにチェックを入れるというふうになっていますね。ですから、病院はそれを非常に気を使う。
 ですから、ある意味、書き方にまで入り込まないと取り込めないですから、そういうことをしっかり、まずは糖尿病学会さんの話をしますけれども、ここにこだわるというのであれば、ここはみんなで同じ形で書いてくれるようにITの画面でリードしないといけない。そういう発想でいかないと、使い物になる連携データは取れないなというふうには理解しております。
○大江座長 それでは、豊田先生どうぞ。
○豊田先生 私、この表については十分説明していなかったんですけれども、これはあくまでもCCRの項目に対して、あえて日本の退院時サマリーの中で描かれているところがあればどこにあるかということで、特に薄い線で描かれているところは、逆に言いますと、そういうサマリーもないわけではないけれども、ほとんどの場合はないものを薄い線で描いております。要するに、それをしないと線が何もなくなってしまうので、我々の研究の中で出しただけで、標準化をやるときにこれをやるという話とは全く別で、それは山本先生御指摘のように、実際に標準化するときはもう少し具体的に、しかも必要なものに絞ってやる必要があるというふうに考えております。
 そういうことで、内科学会や診療情報管理学会とも連携を取りながら、項目を可能な限り絞り込んでいくことが必要ではないかと考えております。
○大江座長 山本構成員、よろしいですか。
○山本構成員 結構です。
 ただ、医療ばかり見ているとこういう考えになるんだと思いますけれども、実際に地域で見守るとか介護との連携を考えると、例えばADLなどは完全に1本にはまとまっていないにせよ、一定の標準は出てきていると思うんですよ。そういうものもやはり考慮しておいて、これから医療だけで終わる時代では多分ないと思いますので、その辺も視野に入れて検討していただけるといいかなと思います。
○大江座長 それでは、その辺り、また今後の議論の中で検討いただけたらと思います。
 大道構成員、どうぞ。
○大道構成員 今、ここにあるサマリーというものは医師の書かれたサマリーのことについての議論だと思うんですけれども、実際の病院では多くは、ほかには看護サマリーとかMSWのサマリー、あるいはPT・OTの退院後の訓練スケジュールの予定、自宅でこうやってくださいとか、いろんな情報が付加されてきますので、恐らくそういうものを統合していくと、山本先生が言われたような、医療から、急性期から、あるいは慢性期から在宅へつながるような情報の連関ができるのではないかなと思います。
○大江座長 ありがとうございます。
 ちょっと中島構成員に再確認ですが、先ほど御説明いただいた資料7では本人提供用ということがわざわざ書かれていますけれども、これはつまり、患者さん自身に渡すサマリーの標準フォーマットを急ぐという意味で、医療機関同士の、医療者同士が直接それをもらって、次の医療機関の電子カルテとかに取り込んだりするフォーマットではないという意味なんでしょうか。そこをちょっと確認しておいた方がいいかと思います。
○中島構成員 これは先ほどの資料7の工程表に基づいた話なんですが、「どこでもMY病院」、これは患者さんが自分で管理するというコンセプトのもとに、つまりは患者さんに渡すデータを整理しているわけです。そういう意味で、ここには本人提供用の退院時サマリーが入って、あるいはそういうレポートなどもそうなんですが、そういうものが入っていると思います。
 それ以上具体的な話は、まだタスクフォースでも、これは「どこでもMY病院」の2次のプロジェクトでやる。1次は、最初にありましたお薬手帳と、それから、診療明細書でやって、次がそのサマリーを患者さんに渡すというところを進めていくという、内閣官房のプロジェクトの中で進んでいる話であります。
○大江座長 私がそういう質問をいたしましたのは、まず優先的に標準化を、整備すべき標準規格ということから考えると、そうしますと、まずは患者さんに渡して、患者さんが運んでいただけるような標準フォーマットをまずつくって、その後、医療機関同士の連携に必要な、もう少しリッチで構造化されたものをつくればよいという意味なのかどうかをちょっと確認しようと思ったんですけれども、そういう順序を踏んだ方がよいということでしょうか。
○中島構成員 この工程表ではそうです。これは実は、タスクフォースの中では、この構想というものは最初からできておりましたので、この順序に従ってやるにはどうすればいいかということを話し合っているんです。ですから、私の口からその順番の方がいいということをタスクフォースの結論として出したというわけではなくて、この工程表に準じてやるということで考えると、この順番になるということになります。
○大江座長 わかりました。
 ほかに、今の御議論も含めて何かございますか。
 木村構成員、どうぞ。
○木村構成員 今のは退院時サマリーの議論ですか。
○大江座長 はい、まず退院時サマリーのことについてです。
○木村構成員 それでは、私はまだ、ちょっと続きがあるのでね。
○大江座長 退院時サマリー以外の整備すべき標準について御発言があるということですね。
○木村構成員 はい、そういうことです。
○大江座長 それでは、後ほどお伺いしたいと思います。
 退院時サマリーについては、いかがでしょうか。ほかに御質問とかはございますか。
 私が余り質問をしてはいけないんですけれども、幾つか今後、標準フォーマットを整備していくに当たって留意していただく方がいいのかなと、今、お聞きしていて思ったことは、1つは、この標準フォーマットで受け取った側が、すぐにこういうふうに受け取った側のコンピュータシステムに、データベースに格納することを前提につくるのか、それとも、ヘッダー部分以外は、構造化はされているけれども、人間が読むということをまず前提にするのかでかなり構造化の厳しさが違うと思うんですが、その辺りが少し使われ方を想定して決めた方がよいのかなという印象を今日の議論を聞いていると思ったというのが1点です。
 もう一点は、このアメリカのCCRは、Continuity of Careという言葉からもわかるように、必ずしも入院中期間の退院時サマリーという意味ではなくて、例えば1年間、2年間、外来にずっと通院していた人が引越しするので、転院するので、これまでこんな状況で、こんな診療をしていた外来患者さんですよということを記述する、そういう診療要約にも恐らく使われていると思うんです。そう考えますと、今回、標準フォーマットを日本の中で決めていくに当たって、将来は当然、外来診療のサマリーもつくることになるでしょうから、やはり両者が整合性が取れるような形で今から考えておいた方がいいような気がしまして、そうすると、余りに最初から入院期間中の退院時サマリーということを意識し過ぎない方がいいのかなという印象を持ちましたので、ちょっと発言させていただきました。
 もし、何かございましたらお願いいたします。
 どうぞ。
○豊田先生 大江先生御指摘のように、CCRはまさにそういう、ある一定期間の、スナップショットということを言っていますけれども、その期間のものを表しているだけで、それは入院とか何かを規定しているわけでは全くありません。例えば私どもも、今日は一応、退院時サマリーということに絞っていますけれども、研究の中では退院時というものはその中の一つにすぎないという形でとらえておりますので、そういう方向で考えていきたいと思います。
 それで、大江先生が最初に指摘されたことは大変難しい課題だと思いますけれども、基本的には項目と、それから、記述された内容について、幾ら構造的に持っていくとしても、それをデータベース化してどうこうという話は非常に難しいと思います。この辺はまさに、今度、大江先生の方の研究の範囲になるのかもしれませんけれども、ただ、ある程度構造化されたものにはしていきたいということで、またいろんな先生方と連携を取りながら進めていきたいと思っております。
○大江座長 ほかに、退院時サマリーについて何か御発言はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、先ほど木村構成員の方から、それ以外にも優先的に整備すべきものということで御発言なさりたいということですので、お願いいたします。
○木村構成員 情報提供と私見なんですけれども、先ほどの資料5をごらんください。
今、安藤先生から、HS018、HS019、HS020のIHE系の3つなんですが、取下げという話があったんですけれども、一方で私がISOのTC20の医療情報のワーキンググループ2、つまりメッセージ・アンド・コミュニケーションの部分の日本の代表をさせていただいているんですが、先月のシカゴでの会議で、今ではIHEのプロファイルは全部テクニカルレポートの扱いでいって、ということは、例えば防疫等においてもWTOのTBT協定に抵触しないんですけれども、ヨーロッパとカナダがそろそろIHEをインターナショナル・スタンダードにしたいという話が出てきています。といいますのも、カナダはInfowayで、あるいはヨーロッパはepSOSでといって、結構、地域連携の仕組みを官費でやっているわけです。そのときに、やはり国はどうしてもISOのインターナショナル・スタンダードでやりたいという意向があるんだと思います。
 それで、日本でも地域医療再生とか、今後そういう地域間連携のプロジェクトがあるとすると、この3つの中で、XDSは、まだ日本とぴったりくるかどうかという議論がちょっとあるかなと思います。それでもとは思いますけれども、HS020のATNA/CTは、CT、つまり時計は、実はマイクロソフトといいますか、Windowsのデファクトがありますし、ATの部分、監査証跡の部分は、これもJAHISさんがJAHIS規格を余り違わない形でつくっておられるということもあって、これはいいだろうと思うんですが、真ん中のPIX/PDQ、施設間の患者IDの参照及び問い合わせという部分は早目に整備しておいた方がよいかなという気がしています。
 先ほどの話、インターナショナル・スタンダードになるのをとめられるかどうかといいますと、多分こういう話はヨーロッパが動いたときに、アメリカ、日本、韓国で対抗的によく組んでやるんですけれども、韓国などもEUとFTAがあるせいか、IHE準拠製品のサムスン製品が売れるのもいいなみたいな顔をするんですよ。そういうことで、今、この部分を日本では各社の独自スタンダードが使われている状況でして、余りその状況は今後の貿易問題としてもちょっとまずいかなという気がしておりますので、私見としては、この取り下げたというIHEの、特に真ん中のHS019に関してはちょっと急いだ方がいいかなと、説明の仕方、ユースケースなど、もうちょっとしっかりした方がいいかなと、IHE協会の副会長として考えております。
○大江座長 ありがとうございました。
 それでは、またHELICSの方でも御検討いただけることと思います。
 今の御発言に関して、何か補足なり御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 本人提供用退院サマリーのことなんですが、先ほどタスクフォースでのお話をされておりましたけれども、厚生労働標準になっておりますHS007、これは規格の内容を見ますと、本規格はHL7CDR2により継続して診療を行うために、その患者の必要な診療情報を要約記述し、患者に提供する目的で規定されたものとあるんです。これとの整合性についてがよくわからないんです。どちらも患者さんに対して診療の要約を記述したものと書いてあるので、使い分けといいますか、そこはどう考えたらよろしいんですか。
○大江座長 これは、どなたかおわかりになりますか。あるいは持ち帰っていただいて解説するということでもよろしいですか。
○木村構成員 いや、説明しましょう。
○大江座長 それでは、簡単にお願いいたします。
○木村構成員 基本的に、このHS007はHS008とほとんど同じドキュメントの内容です。といいますのは、別紙様式9でしたか、いわゆる診療情報提供書をひな形にしたものなんです。ですので、例えば内容の現症の部分とかは、中身は構造化されていません。データタイプもフリーテキストで終わりです。
ですから、ヘッダー情報としてきっちりと患者さんの名前とか生年月日とかで、この部分は診断名とか、この部分は現在の処方とか、そういうふうな、例の診療情報提供書、紹介状の形式をCDAにしたものであって、更に当然ながら、その上にユースケースで、この部分はきっちり連携したいというのであれば、更にその上に決めて、この中身は単に文章だけではなくて、検査結果はここにかっちりとこれでというふうにされるのがいいと思いますし、そういうものが出てくれば、当然、このHS007のスコープをあれして、更に細かい、疾病別の連携がある場合にはそれによるというふうになるべきでしょうと思います。
○大江座長 ちょっとお待ちください。
 中島構成員、今の御説明でよろしいですか。
○中島構成員 わかりました。
 それで、やはり使う側からは少しわかりにくいのかなと思います。実際のものを見れば、規格を見れば、でき上がったものを見ればね。
○大江座長 規格の名称だけを見ると、少しわかりにくいということですね。
○中島構成員 そうですね。
○大江座長 豊田先生、どうぞ。
○豊田先生 今の規格をつくった側の人間として御説明しますと、御承知のように、一般の診療情報提供書は、退院時サマリーをそれに添付して提供することが行われることが多いわけで、それによって点数も変わってくるわけです。それに対応するために、このHS007、HS008は、退院時サマリーの中身については添付ができるだけで、中身は全然構造化していないということで、ただ、診療情報提供書が退院時サマリーを添付することができなければならないということでそういう意味合いを書いております。ですから、当然、今度、退院時サマリーが新しい標準になった場合には、そこの部分が若干変更を加えることになるかと思います。
○大江座長 よろしいでしょうか。
○中島構成員 はい。
 もう一つだけよろしいですか。違うことなんですが、最初にタスクフォースのことを申し上げましたけれども、そのタスクフォースの中で、「どこでもMY病院」に対しては、今年度事業でお薬手帳、診療明細書、それから、資料7の一番下を見ると、バイタル・体重・血圧・食事・運動などについては、2010年度から2011年度にかけてですが、この標準化を、「健康情報活用のためのデータ交換規格策定等」と書いているんです。
私、タスクフォースの中身と、それから、シームレスの方の議論は知っているんですが、これは「どこでもMY病院」でやっていく作業なので、これが今のところ、「どこでもMY病院」プロジェクトの方でやられていると思うんです。これは状況としては進んでいるということでよろしいんですか。これは山本先生と大江先生が御存じだろうと思うんです。
○大江座長 山本構成員、何か御発言いただく情報があればですが、ここに書かれているこの標準が、今、どういう状況にあるかというのは、それでは、今日の会議では少し準備が不足していると思いますので、改めてまた準備をして、必要な情報提供をするなり、あるいは次回でまた取り上げるということにさせていただきたいと思います。
 何か補足があれば、どうぞ。
○山本構成員 一言だけ言いますと、それなりの進捗があると思うんですけれども、内閣官房の考えとしては、こういう標準化の話は「どこでもMY病院」の中には入っているが、シームレスな地域医療連携でも当然使われるものとして、そうでないと、この2枚めくったシームレスな地域医療連携のところにほとんど標準化の話がないというのは極めて異様な感じがしますので、恐らく一体として進めていくというふうに私は個人的には聞いていますし、理解はしているんですけれども、それはそれでよろしいんですか。
○大江座長 これは、そのよろしいんですかというのに対してだれが答えればいいのかがよくわからないんですけれども、どなたかお答えになれますか。
 どうぞ。
○事務局 事務局からですけれども、アンドではなくてオアだというふうに理解をしておりますから、政府戦略にいずれかが使われるのであれば御議論いただくものかと存じております。
 ただ、厚生労働省のタスクになっておるのか、それとも、内閣官房さんがお決めになるのかというところについてはきっちりと線引きをいただきたいことで、どういうふうに使われるのかのユースケースの具体的な御提示があれば、ここでも議論には上せやすいんですが、ただアレルギーの情報を決めてくれというだけではなかなかに議論はしにくいことだけは申し上げておきたいと思います。
○大江座長 そういうことのようですので、どの省庁なりが担当するかは、この会議で議論すべきことではありませんので、状況だけ把握をいただいて、また事務局の方で必要な整理をしていただきたいと思います。
 先ほどの本人提供用退院サマリーの標準フォーマットの整備というのは、この工程表では2013年度の半ばぐらいまで枠のような矢印が描かれていますが、先ほどのHL7のワーキンググループでの議論は、今の予定ではおおよそいつごろに、まず原案といいますか、ドラフトといいますか、そういったものが出てくる見込みで作業をされているか、もしわかれば、木村構成員か、あるいは豊田先生から教えていただけますか。
○豊田先生 既に遅れておるんですけれども、現時点では2012年度、来年の6月ごろを目途に試案を出したいというふうには思っております。
○大江座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、次の議題の「(4)医薬品データマスターについて」に入りたいと思います。
 まず、土屋構成員から、その後の進捗状況について、御報告をお願いいたします。
○土屋構成員 一昨年といいますか、作成をいたしましたデータシート、まだデータマスターと言えるものではございません。添付文書情報から情報をどのようにデータ化するかということが1つでございまして、そこの目的には、診療を行う際に必要な医薬品情報が必要な形で出ること、あるいはチェックがかかるか等ということが大きな目的であります。
 実は、今年に入りまして、東京地裁レベルではありますが、判決が1つ出ました。結果としては確定判決になっておりますけれども、5倍の注射薬が処方されたにもかかわらずチェックがかからなかったということで、そのことについての訴訟の中でマスターのことが少し述べられております。そこは本来、こういうことをコンピュータでそういうチェックをかけることの是非については、設定の仕方によっては極めて有効なやり方であろうというのが判決文の中に書かれておりまして、なおかつ、実際は薬剤師3名と医師1人が過失を問われたわけでありますが、コンピュータがたとえチェックができなかったとしても疑義照会をすべきであったということをもって薬剤師の過失を認定したという形の判決でございます。
 そういったように、マスターが実際の裁判におきましては、コンピュータでかかると思っていたから、それがかからなかったというので、そもそも疑義照会が生じなかったというような闘い方をしたようでございまして、それに対しては、マスターがどうあれ、少なくともそういうマスターでどういうことがチェックがかかるかを知っていなかったことが過失の対象になるみたいな、そういうような判決がございました。
このことも、やはり基本的には全国的に共通のマスターというものがあれば、こういったことを避けていくことができるという意味でもあると思いますので、やはりこの件というものは進めていかなくてはいけない、あるいはこれを早急にしなくてはいけないということではございますが、何せ、私も前から申し上げておりますけれども、添付文書というものは文書で規定されているものでございまして、データというものが付いているわけではない。したがって、そこの解釈にさまざまなことが、幅が生じるために、ここの会議で実際、そういうマスター類をつくっている企業その他から話を聞いたときに、責任は持てないということがあったというのが過去のここの会議での話であったわけでございます。
 ですから、実際、最終的に、ここに出ておりますのはテンプレートとして、少なくとも添付文書のことをテンプレート化するとこういうことになるのかなというようなことでもともとつくったものを出しておりまして、ただ、最終的にはこの項目というものがこれでいいのかどうか、あるいは今度、このデータをもとに、これをマスター化するにはどうしたらいいかという2つの段階がございまして、そういったことを、先ほど申し上げましたように、早急に進めていくしかないのかなというところでございます。
 何でもかんでも、ここの会議でも、あれもチェックしたらいい、これもチェックしたらいいという御意見等はいろいろございましたが、やはり本来、処方時のチェックとしてかかるべきことをきちんとチェックするということにフォーカスを当てた形で開発する必要があるのではないかという気がいたしますので、その点について更に御意見等をいただければと思います。
○大江座長 ありがとうございました。
 今の御説明に対して、御質問があればお願いいたします。
 これは、こういうデータマスターがあれば、恐らく処方オーダーシステムでも決められたチェックをして警告を出すということ自体を標準化できるというような意味合いがあるものだと思いますけれども、篠田構成員、是非、こういうシステム側から見て何か御発言はありますか。よろしいですか。
○篠田構成員 JAHISとしても、医薬品コードを使うという全件マスターがあればというような議論は盛んにしておりますけれども、その候補としてHOTコードがあるわけですが、なかなか、今、ベンダーの中では使いにくいといいますか、タイミングよく更新されているかというところに対して非常に不安感を持っていて、なかなか使われていないという状況です。
 それで、ここの場でも議論しましたけれども、今、土屋先生からも言われましたが、そのコードづけしたこと自体に対してだれが責任を取らなければいけないかということに対して、どこかで決めないとなかなか進まないのかということと、それから、メンテナンスをどうやってやっていくかということを決めていかないとなかなか進まない問題ではないかなと思っております。
○大江座長 いかがでしょうか。
 これは、実はこの会議では随分議論を重ねてきて、土屋先生からの資料は、今回はほぼ、これは現時点での最終御提案ということで今日提示をいただきましたのですが、いかがでしょうか。何かお気づきの点とか、あるいは今後の進め方、そういったことに関して御意見はございますでしょうか。
 これは、土屋構成員の方の検討会あるいは研究班での、これで一区切りということでしょうか。それとも、まだこの作業が進められて、次のステップのものが出てくるのでしょうか。
○土屋構成員 一応、単年度の研究でございましたので、これ自体はとりあえずはここで終わっておりますが、ただ、早急にそこら辺、ワーキンググループをつくるとか、そういうような形で進めるというのは一つの方法かなというようには思っております。
 一応、2年前の時点の全データについて、データそのものはございますので、その後、勿論、変更等はありますけれども、細かなところの変更は、ある意味では、ある程度は無視できるところがありますので、処方に直接与える影響ということから、そういう点で見ていけば、その後のものをフォローするとしても、それほどすごい量ではないものですから、基本的なところが検討されておりますので、こういった形でやる、あるいは今後、こういうものを、以前申し上げましたように、もし製薬企業の責任においてやるのが、これは私見として私はそれでいいのではないかと思っております。
しかし、そういうものを、実際データをつくるときにどうなるかということは、一度そういうことを試してみるといいますか、こういうシートがどうつくるか、あるいはそこで、同一成分のものであっても揺らぎが出てきたときに、それはどこが調整するのかというようなこともやはり決めておかないと、まず基本的に揺らぎが余り生じないような形のテンプレートをつくるということと、でも、揺らぎは生じるだろうから、それをどう調整するかという話がやはり、そうすると、データとしてはまずできるとなると、今度は一方で、これをマスター化という観点から見たときに、どのようなデータをどう処理していくのかということが1つ出てくるかなというように思います。
○大江座長 そうしますと、この仕様に基づいて、いかに今後は具体的にデータマスターをつくっていくステップを進めるかということですね。
 これは、今日冒頭で事務局の方からも、いよいよこの厚生労働省全体を統括して取り組んでいただくというような御説明もありましたので、そういったことも含めて、今、話題になりましたようなメンテナンス主体の在り方、それから、全体的に継続して整備していく体制をどうしたらいいかという問題は長期的に考えないといけない問題でもありますので、事務局の方でちょっと整理をしてもらって、議論を継続していきたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○大江座長 もし、今後の議論を進めるに当たって、こういうふうにしたらどうかというような御提案がありましたら、事務局の方に御提案いただけたらと思います。
 それでは、用意された議題は以上ですが、皆様から何か追加で御発言、あるいは今後のこの会議のテーマで御意見とかがございましたらお願いいたしたいと思いますが、何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、今後のスケジュールなどについて、最後に事務局の方から御説明をお願いいたします。
○事務局(前原) スケジュールについて御説明させていただきます。
 次回の開催につきましては、一応、来年の2月か3月に開催を予定しております。詳細につきましては、後日連絡を差し上げたいと思っております。
 それから、この会議でもかなりご議論がございましたけれども、今まで医療分野に特化したものを標準化するということでございましたが、今後、社会保障分野も含めた情報連携に必要な標準化、そういったものについても議論していっていただきたいと考えております。このことについては、別途、皆様方に御相談させていただいて、これからの運営のやり方を相談したいと思います。
 以上です。
○大江座長 そういうことのようですが、何か御質問はございますか。
 よろしいですか。
 それでは、本日は夜遅くまで熱心な御議論をいただきまして、ありがとうございました。


(了)
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政策統括官付社会保障担当参事官室
情報企画係長 野口(内線7703)
主査       鈴木(内線7703)

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