ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 精神科救急医療体制に関する検討会> 第1回精神科救急医療体制に関する検討会議事録




2011年5月26日 第1回精神科救急医療体制に関する検討会議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成23年5月26日(木)13:00~15:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

木下構成員、杉山構成員、千葉構成員、平田構成員、
三上構成員、三野構成員、吉邨構成員、渡構成員

○議題

(1) 精神科救急医療体制の整備状況について
(2) 意見交換

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、ちょっと定刻より早いですけれども、構成員の先生方お集まりでございますので、ただいまより第1回「精神科救急医療体制に関する検討会」を開催いたしたいと思います。
 構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙中のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、進行役を務めさせていただきます、精神・障害保健課長の福田と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に先立ちまして、木倉障害保健福祉部長より御挨拶を申し上げます。

○木倉障害保健福祉部長 障害保健福祉部の部長の木倉でございます。
 本日はお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 まず、この場をお借りして一言申し上げたいと思います。
 今回の大震災に際しましては、今日の構成員の皆様方にも大変な御支援、御協力を賜っております。本当に心より御礼申し上げます。まだまだ引き続き復旧、復興に向けての支援を必要とされておりますので、是非また今後とも引き続きの御支援をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 この検討会でございますけれども、昨年、障害者自立支援法とともに精神保健福祉法につきましても議員立法という形ではございましたが、一部改正がなされました。その中にも、新たな精神科の救急医療体制の充実ということが求められております。また、現実にも地域の格差という問題もあるという中で、大きな課題といたしましては、全般的な精神科の救急医療体制の今後の在り方、救急医療確保の中での自治体の役割、それから指定医の皆様方の役割というようなことについて更に御議論を深め、課題や御指摘をいただければと思っております。
 具体的な中身として、医療体制の在り方の中で、身体疾患を合併される患者の皆様の受け皿というものをどのように確保していくのか。あるいは電話相談の体制、空床確保の体制など、必要な機能というものをどう考えていくのか。更に自治体、それから指定医の皆様方の役割について具体的にどのように考えていくのか。いずれも大きな課題がございますけれども、御議論、御指摘いただければと思っております。
 非常に短い期間でタイトなスケジュールの中での御議論をお願いしております。現場での御経験、御指摘をいただきまして、是非、施策にも反映していきたいということでこのような設定をさせていただいた次第でございます。是非よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 それでは、本検討会構成員の皆様方の御紹介をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料1の1ページ目の裏側、2ページ目のところに構成員の皆様方の名簿がございますので、詳しくはそちらを御参照いただければと思いますが、五十音順に私の方から御紹介をさせていただきます。
 まず、岐阜県健康福祉部保健医療課の木下栄作さんでございます。
 財団法人復康会沼津中央病院、杉山直也さんでございます。
 医療法人財団青仁会青南病院、千葉潜さんでございます。
 静岡県立こころの医療センター、平田豊明さんでございます。
 横浜市立大学附属市民総合医療センター、平安良雄さんでございます。本日は急な公務が入りまして御欠席という御連絡をいただいております。
 社団法人日本医師会、三上裕司さんでございます。
 みのクリニック、三野進さんでございます。
 社会福祉法人済生会横浜市東部病院、吉邨善孝さんでございます。
 宮崎県福祉保健部精神保健福祉センター、渡路子さんでございます。
 なお、本検討会は、公開のため検討会での審議内容につきましては厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解をいただきますよう、お願いをいたします。
 それでは、早速ですが、議事の方に入らせていただきたいと思います。
 まずは、本検討会の開催につきまして、資料1「精神科救急医療体制に関する検討会の開催について」を事務局より説明いたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。
 早速ですが、お手元の資料1をご覧ください。「精神科救急医療体制に関する検討会の開催について」というものであります。
 冒頭、部長の説明にもございましたが、この検討会の目的としましては、精神科救急医療について、現状では措置入院の受け入れだけではなく、身体疾患を合併する精神疾患患者にも対応できる体制の確保が求められているところですが、各都道府県別の地域格差があったり、その整備は進んでいないというような状況であります。また、昨年、精神保健福祉法の一部改正により、精神科救急医療体制の整備を都道府県の努力義務といたしまして、来年4月から施行を予定しております。
 このため、この検討会において各都道府県において行うべき体制整備の具体的な方向性、内容について検討をしてまいりたいということであります。
 検討課題としては大きく3点、1点目は「精神科救急医療体制の今後の在り方について」、2点目は、「精神保健指定医の役割について」、3点目は、「自治体の役割について」ということであります。
 構成員については別紙のとおりで、必要に応じ有識者の方を参加させることができるということでやらせていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして、3ページ目。今後のスケジュールの案でございますが、本日、第1回目につきましては、「精神科救急医療体制の整備状況について」全体像と、平田先生の方からのヒアリング。
 第2回目、第3回目は、それぞれ救急医療の現状と課題について、医療機能という観点と公的機能という観点で、現状をお示しながら、また、ヒアリングを行いながら議論をさせていただきたいと思っております。
 7月以降、それらの議論を踏まえまして、論点整理、とりまとめの方をさせていただければということで考えております。
 説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、続きまして、精神科救急医療体制の整備状況につきまして、資料2「精神科救急医療体制に関する検討会」を事務局より御説明いたします。
 なお、説明の後に質疑の時間を設けたいと思います。
 それでは、事務局からお願いいたします。

○中谷課長補佐 それでは続きまして、資料2、パワーポイントの資料をご覧ください。
 まず、2番目のスライドですが、現在、精神科救急医療体制の都道府県別の整備状況といたしましては、こちらの一覧表にあります状況でありまして、各県内に精神科救急医療圏という医療圏を設けていただきまして、それを単位に精神科救急医療施設を整備していただいております。
 右下の合計欄を見ますと、精神科救急医療圏の域数としては、平成23年1月現在で147の圏域がありまして、精神科救急医療施設数としては、985施設。うち輪番をやっている輪番病院が967施設であります。うち常時対応しているところが16施設で、更に身体合併症対応施設というのが2施設、香川県と静岡県ということの全体像になっております。
 ただ、1医療圏当たりの人口を見ますと、一番大きなところですと、神奈川県が880万人だったり、少ないところを見ますと、島根県ですと10万人ぐらいであったり、かなり圏域に差があるような状況です。また、県の中で輪番施設も含めて病院数がかなり多い県もあれば、少ない、10施設もないところもあるということで、その地域の状況に応じてということでありますが、かなりいろいろな状況になっているということがあります。
 総括しますと、県の数でいいますと、常時対応と輪番型と両方を持っている県が14か所。常時対応のみというところが1か所。輪番のみというところが31か所で、おおむね輪番型で体制を組んでいるところが多いという状況であります。
 次のページの3番目のスライドをご覧ください。
 精神科救急入院料という、診療報酬の包括の入院料で一番要件の厳しい入院料になりますが、この精神科救急入院料の届出施設につきまして、これはまた平田先生の方から御紹介があるかと思いますが、全国地図にプロットしますと80施設、このような分布になっております。東京辺りはかなり数が多く見受けられますが、全国に必ずあるという状況でもないということであります。
 4番目のスライドは、このような状況でありますが、平成17年と平成21年で件数の比較を見ております。先ほど申し上げた精神科救急医療圏としては、145から147でほとんど変わりはありません。医療施設数としても約1,000施設ですが、精神科救急情報センターへの電話相談の件数というのは、約8万件~13万件近くにまで、1.5倍ぐらいに増えている状況であります。また、夜間・休日の受診件数としては3万件~4万件を超える程度であります。ただ、入院件数については、1万2,000件~1万5,000件あまりということで、かなり相談件数が増えてきているというように見受けられます。
 5番目のスライドをご覧ください。
 この電話相談の実績について2009(平成21)年度の実績について、これは平田先生におまとめいただいたものです。都道府県別に件数を見ると、合計12万件あまりのうち一番多いのが大阪府ということで、3万件以上、4分の1強あるということであります。多い順に見ていきますと、その次が東京都、和歌山県ということで、ここが1万件ほど。あとはずっと数はかなり少ないところもありますし、4つの県からは報告がないというような状況になっております。
 6番目のスライドを見ていただきますと、これは受診件数と入院件数のグラフでありまして、受診件数としては、全国4万2,000件のうち、一番多いのは愛知県で3,000件あまり。その次が岩手県で約3,000件。その次に大阪府で2,000件あまりであります。
このうち、濃い色、青いところが受診のうち入院した件数ということでありまして、これを受診したうち入院した割合、入院率ということで割合をとると、全国で36.5%ですが、このグラフにもありますように、割合が高いところが幾つかあるのと、県によってその割合には少し差がある状況が見てとれると思います。状況は確認しないとはっきりとはわかりませんが、例えばきちんと電話相談なり、情報センターでトリアージされて、受診しなくても翌日行っているような場合ですとか、受診して入院の必要性が高いものがきちんと受診につながっているというような背景によって差が出てきているのではないかというようにも見られます。
 続きまして、7番目のスライドですが、先ほどの入院件数1万5,000件について多い順に並べましたグラフがこちらになります。一番多いのが大阪府で1,600件、その次が東京都で1,200件あまり。順番に並べていきますとこのようになりまして、精神科のいわゆる三次救急と言われる緊急措置、措置、応急入院で見ますと、全国で3,600件あまりで、入院全体の中の23.6%、4分の1ぐらいが三次救急という状況であります。
 8番目のスライドは、参考まで、精神科病床数が県別にどうなっているかということを基準病床と既存病床の過不足率で順に並べたものであります。こちらは御参考までということでご覧ください。
 9番目以降を説明します。こちらの体制の整備を進めていくために厚生労働省では、精神科救急医療体制整備事業という予算事業を行ってまいりました。
 10番目のスライドですが、こちらの予算事業は幾つかのメニューがあります。まずは、精神科救急医療体制連絡調整委員会ということで、地域の関係機関にお集まりいただいて、連携・調整を図るということのメニュー。更にその中でまず、右側にあります、24時間電話医療相談窓口という窓口を設置、運営して、救急事案が発生したときに相談を適宜お受けして、必要なものは精神科救急情報センターにつなぐ。
 この精神科救急情報センターというのは、その相談のあった、またあるいは事案の連絡があったものについて、緊急性や重症度、あるいは合併症があるかどうかといった内容によって搬送先、行き先の医療機関について情報提供をするという役割のところでございます。こちらの情報センターが振分先としては、常時対応型の施設や、外来対応型の施設、身体合併症対応型の施設、あるいはある地域では輪番型で対応している施設の当番病院を紹介するというような体制で受けていくということで、24時間、365日対応できる体制の確保を目指して整備をしているというところであります。
 続きまして、11番目のスライドです。こちらの整備事業につきましては、メニューを逐次変更したり、追加をしたりしております。一番左側、平成20年度については、情報センターと救急医療施設と大きく2つありまして、救急医療施設の事業の中に病院群輪番施設というものと、常時対応施設と合併症対応施設、プラス外来対応施設というメニューでしたが、平成21年度には、こちらの合併症対応施設のところに身体合併症等後方搬送調整費ということで、合併症の治療が終わった後、精神疾患がある場合は精神科の病院、あるいは精神症状を治療してその後、身体の疾患を見るという場合は身体疾患が見られる医療施設に転院調整をするということに対する事業を追加しております。
 また、情報センターの方についても24時間の相談の場合に少しメニューを分けて整備するということにしておりました。
更に平成22年度につきましては、この身体合併症に係る部分について、もともとありました救急医療確保事業と整理をし直しまして、合併症救急医療確保事業というところで組み直しをしております。更にその合併症救急医療確保事業の中で地域搬送受入対応施設という2つ目の○のところですが、これを設けました。これは、各地域の搬送受入基準で必ず受け入れるという役割を担う医療施設への整備事業ということであります。平成23年度につきましては、平成22年度とほぼ同じ形のメニューということで継続をさせていただいておるところであります。
 12番目のスライドですが、それぞれの整備のイメージです。救急情報センターについては、各都道府県ごと24時間精神医療相談窓口も同じです。また、精神科救急医療確保事業は各圏域ごとに整備をするということでこのような体制で、輪番型が空床について見ると1床で、常時対応は2床確保するという条件で進めています。身体合併症救急医療確保事業の身体合併症対応施設については、2圏域に1か所ぐらいということで、通常の施設よりは少し少ない形で整備を進めております。
 13番目のスライドですが、こちらは、メニューごとの単価なり、空床確保経費というものの金額の一覧になります。
 14番目のスライドですが、こちらの救急医療体制整備事業については、平成23年度予算として18億円を確保しておりますが、真ん中の表にありますように、平成20年度からの予算の変遷がありますが、23年度は22年度に比べて約5億円ほど減額となっております。具体的には、実際の交付額が約15億円程度であったところ、不用額として、平成22年度は7.6億円の不用が出たということで、未実施分の箇所数の減少や人件費の単価の見直しなどにより減額の調整をさせていただいたというところであります。こちらが更に現場で救急医療確保に協力していただいている医療機関などには大変なことであったかと思うのですが、この不用額の要因としては、一番下の枠に書いてありますように、医療相談の未実施、あるいは情報センターの未設置、身体合併症施設の未整備など、県によって整備をしているところ、していないところがあるというような背景によるものということであります。
 15番目以降についてですが、実際、事業メニュー別に金額の変化がどのようであったかというのをまとめましたグラフであります。
 15番のスライドは、全額について見ると、20年~21年は大きく増えていますが、大体15億円ぐらいで、21、22年は推移していると。
 16番目のスライドですが、左上が調整委員会の事業費、あるいは右上、図3が相談事業センターの事業費、左下の図4が移送待機、右下の図5が移送発動経費ということで、これはY軸の費用のスケールが違うのですが、増えたり減ったりという変化がメニューごとにかなりばらつきがあるということです。
 また、17番目のスライドですが、同じように左上、図6、病院群輪番型というのは、これは全体で10億円近くありますが、22年までにかなり増えているところでありますが、右側の図7、常時対応型については横ばいか少し減っているというところ。あと、右下の身体合併症については数が少ないので、21、22年と増えているような形ですが、額として一番大きいのはこの輪番型の部分という形になっております。
 18番目のスライドですが、こちらがメニューごとに各県のトータルを積み上げたグラフになります。右側にそれぞれメニューごとに47都道府県のうち何県が実施しているかという一覧でありまして、多いものは輪番型は全て47ですが、少ないものですと、身体合併症が2か所、あるいは移送の関係が8か所といったように、半分以下、かなり少ないというような状況もございます。
 相談件数は、17年から比べるとかなり増えてきてはおりますが、実際にまだやっているところとして見ると、47分の19で半分も行っていないというような状況でありまして、かなりこのようなばらつきがあるということであります。
 19番目のスライドですが、そのような状況等も踏まえまして、法律の一部改正を昨年の国会で出させていただいていまして、「(マル6)地域における自立した生活のための支援の充実」の中で「精神科救急医療体制の整備等」という項目を入れさせていただいています。
 20番目のスライドですが、この中で具体的には、精神保健福祉法の中に、第19条の11としまして、「都道府県は、精神障害の救急医療が適切かつ効率的に提供されるように、夜間又は休日において精神障害の医療を必要とする精神障害者又は家族等からの相談に応じること、精神障害の救急医療を提供する医療施設相互間の連携を確保することその他の地域の実情に応じた体制の整備を図るよう努めるものとする」ということと、もう一つ「都道府県知事は、前項の体制の整備に当たっては、精神科病院その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者、当該施設の指定医その他の関係者に対し、必要な協力を求めることができる」という規定も盛り込ませていただきまして、この点に関しまして自治体の役割や精神保健指定医の役割ということをこの検討会で議論したいと考えております。
 21番目のスライドですが、先ほど御説明をしておりますが、この精神科救急医療の状況を見ていきますと、やはり一般の救急医療とは異なっているのが精神保健福祉法に基づく入院措置等の公的機能であるということ。しかしながら、近年は自殺未遂やBPSDという周辺症状を伴う認知症の患者さんが増えてきているといったような状況もありまして、身体疾患にも対応できる体制というのも求められているので、少し性質の違う2つの観点を区別して、それぞれ議論をさせていただきたいというふうに考えております。
 長くなりましたが、説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、これまでの事務局の説明につきまして、御質問のある方、お願いをいたしたいと思います。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 以前から事務局に申し上げて、御理解いただいておりますが、今回、事業仕分けの中で、精神科救急医療体制整備事業の予算が削減された件ですけれども、執行率の低い事業や、いわゆる不用額があったために減額されたということですが、このことと事業費の交付基準額を減額するということは別の問題であり、来年度につきましては、是非元へ戻していただくか、更に基準額を上げていただかなければ、前の状態でもなかなか事業が進まないということがありましたので、是非、精神科救急医療の体制整備を進めたいということであれば、この辺について十分御配慮いただきたい。敢えて議事録に残すために発言させていただきました。
 よろしくお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御質問ございますでしょうか。
 それでは、この後の平田先生のプレゼンテーションと、今、御説明いたしました事務局の内容は相互に関連すると思いますので、次に進めさせていただいた後で事務局の資料への質問も含めまして御意見、御質問をいただければと思います。
 それでは続きまして、平田構成員より、精神科救急医療体制の現状について御説明をいただければと思います。
 平田構成員、よろしくお願いいたします。

○平田構成員 平田でございます。
 それでは、20分ほど時間をいただきまして、「わが国における精神科救急医療体制の現状と展望」といった辺りを御説明いたします。お配りした資料に沿ってお話いたします。
 2枚目のスライドになります。「精神科救急医療の任務」、ミッションということを少しまとめてみます。ここは当たり前のことが多いですけれども、1番目に、精神疾患、あるいは精神障害に起因する不幸な事態、自殺であるとか、あるいは重大な他害行為を未然に防止する。あるいは小規模のうちに対処する。これが精神科救急医療の第一義的な任務と言うことができると思います。
 医療安全の観点からいいますと、例えば医療安全から見ますと、医療事故のレベルというのは、0~5まで6段階に分かれています。レベル5というのは死亡事故ということになりますけれども、レベル4が後遺症を残すような大きな障害。レベル3が治療行為を伴うダメージです。レベル2は治療行為までは伴わないけれども、検査等が必要になった場合です。レベル1は事故が起きたけれども、特に治療、検査等を必要としなかった。レベル0というのは未然のうちに防止できたと。0、1がインシデント。2以上をアクシデントというような呼び方をします。そういう観点からいきますと、レベル4以上のダメージを起こさないようにするのが精神科救急医療の第一義的な任務であると考えます。
 そのためには、マクロ救急。マクロ救急というのは、国の精神科救急事業のことです。これを充実させること。その中でも特に軽症のうちにアクセスできる体制をつくることが必要になってきます。
 2つ目のミッションは、重症の救急ケースに良質な医療を提供して、慢性化、あるいは長期在院化を防止する。これが大切な2つ目の任務です。そのためには、精神科救急・急性期治療病棟というものを更に規格を上げていくという必要があります。
 3番目に、これは在宅ケアということの文脈から出されてきた精神科救急の任務でありますけれども、在宅患者の地域生活の維持を支援するという任務があります。そのためには、ミクロ救急。これは病院、診療所等の医療機関の単位で自発的に行う救急診療のことですけれども、これを充実させること。あるいは電話相談、アウトリーチといった多彩なサービスの提供形態を拡充していくことが必要であると考えます。
 先ほどの中谷さんの御説明に従えば、1番目が公的機能ということになりますかね。2番目、3番目が医療的な機能という分け方もできるかもしれません。
 次の3枚目のスライドは、先ほどの中谷さんの説明に従えば、10枚目のスライドをもう少し簡略化したものです。救急事例が発生したというところから出発しますけれども、まずは電話相談窓口です。都道府県の場合は救急情報センターということになります。かかりつけの病院の当直の電話にかかる場合もあります。その後、ここで指示を受けて、かかりつけの病院があれば、右下の矢印です。ミクロ救急システムといいましたけれども、かかりつけの精神科の病院、あるいは診療所に臨時で受診する。これがミクロ救急です。これが不可能な場合。例えば夜間休日で診療所が閉まっているとか、病院にベッドがないとかという場合には、精神科救急医療施設。これはマクロ救急システムと呼ばれる精神科救急事業の当番病院、基幹病院等でありますけれども、ここに受診をする。救急搬送をどうするかという問題が1つ含まれてきます。それから、身体合併症がある場合は身体救急施設との連携が必要になってくる。最終的には、精神科の救急医療というのは、在宅ケアに移行して維持していくということが目標になります。こんなふうなミクロ救急、マクロ救急という概念を一応、頭に入れておいてください。
 それから、図2ですけれども、これは救急医療サービスの提供形態です。精神科救急医療といいますと、かつては入院医療とほとんど同義ですね。しかも、措置入院、緊急措置入院といった社会的に必要な公的機能としての救急サービスというものに重点があったわけですけれども、最近はそれだけではだめであると。そういう重症になる手前できちんと対応しなければ救急の役割が果たせないだろうということで、サービスの提供形態も多様化しております。
 まず、電話相談というものからスタートするのが通常でありますけれども、ここで救急受診が必要かどうかといった辺りを判断する。あるいは電話によるカウンセリングを行って、当面の危機を回避するといったような機能も求められてきます。先ほどの全国データを見ますと、電話相談が年間、大体、12万件ですかね。そのうち救急受診に至っているのが4万件、3分の1ぐらいです。そのうちの4割近くが入院するというような、それぞれの段階でトリアージがされるわけです。電話相談でトリアージがまず行われると。それで対応できない場合は救急外来につながるということになりますけれども、どういうふうに搬送するかというのも1つの大きな問題になります。
 ここで更に危機回避が行われて、自宅に帰れる場合を一次救急といいます。入院が必要な場合を二次、三次ということになります。入院形態によって緊急性の高い措置入院、緊急措置入院、あるいは応急入院といったものが三次救急で、任意入院と通常の医療保護入院が二次救急というような分け方をします。こういう電話相談、救急外来、入院治療というのが伝統的な救急サービスの提供形態でありましたけれども、最近特に指摘されているのが、アウトリーチサービスです。医療サービスを届ける。患者さんが来るのを待っているだけではなくて、こちらから必要な医療や福祉のサービスを届けるという発想がこれから必要になってくるであろうというふうに思われます。
 それから、図3と書いてあるスライドは、先ほどの全国データの、これは6枚目のスライドですかね。精神科救急事業実績というのが都道府県別に書いてありますけれども、このデータを基にしまして、横軸に人口1万人に対する年間の受診件数をとりました。人口が多いところはどうしたって受診件数が多くなりますので、人口比を横軸にとって、縦軸は入院率。受診に対する入院の比率というものをとって、各都道府県をプロットしますとご覧のようにきれいな負の相関が出てきます。しかも、双曲線に近いんです。双曲線というのは、縦軸掛ける横軸の積が一定というのが双曲線の定義ですから、縦軸掛ける横軸というのは何かというと、人口万対年間入院件数です。これが大体、1~2ぐらいのレンジに収まるんです。不思議なことに病床密度とあまり関係ないんです。これはある法則性があるような気がします。
 これを見ますと、右下の分はどういう救急事業であるかといいますと、比較的敷居が低いです。軽症の患者さんもどんどん来ていただくと。したがって、入院率が低いわけです。左上の方に行きますと、入院が必要な人に絞り込まれていくと。トリアージの基準が非常に厳しいといいますか、利用者にとっては非常に敷居が高いということになると思われます。
 右下の方は利用者にとってはありがたいんですけれども、医療を提供する側にとってはかなり加重になる場合も出てきます。例えば岩手県は盛岡地区に人口が集中しておりまして、岩手医科大学が非常によく頑張って、いろいろなケースを見ている。トリアージなしできますので、酔っ払いの相手から何から全部させられるというような苦情を聞いたことがあります。その他鳥取、石川、和歌山、高知、滋賀、秋田といったような比較的人口過疎の地域を抱えるところにこういうケースが多い。受診件数が多い。人口過疎地区というのは、ある意味では、医療機関の過疎地区でもあるわけですね。精神医療の過疎地区がやはりこのマクロ救急事業と私は呼びますけれども、この事業の利用率が高いということになります。
 逆に、今度、大都市部でも、東京などが典型ですけれども、日中は医療機関がたくさんオープンしていますけれども、夜間になりますと、特に23区内には精神科の病院がほとんどありません。クリニックはたくさんあるんですけれども、病院がありませんから、人口過疎地区と同じような精神医療過疎地区に変わってしまう。そのためにこの事業の利用件数が多くなってくるという可能性も高いです。こんなことが読み取れます。
 それから、精神科の三次救急の件数は非常にこれは寡占状況ですね。ある特定の都道府県に偏っています。緊急措置はご覧のように東京でもう半分近く。上位10の自治体をここに表示しましたけれども、上位の10番目で9割ぐらいをカバーしてしまうというのが緊急措置です。以下、措置入院、応急入院、それからそれらを合わせた三次救急を見ますと、やはり東京、大阪、神奈川といった大都市圏で過半数を占めてしまうという状況になります。
 緊急措置入院の適用基準というのがやはりローカルルールがかなりありまして、ある県では措置入院を行うに際して、まず、医療保護入院という形で患者さんを入院させて、その後、26条の2という管理者の通報を発動して、措置に持っていくと。これが標準型であるという地域もあるんですね。こういったローカルルールの問題をどうするか。応急入院の適用基準も大分違います。これは何とかしなければいけない問題です。
 それから、図5は、先ほどの中谷さんの説明の資料をもうちょっと新しくしたものです。先ほどの図は2010年8月でしたけれども、これは今年の2月末です。83施設です。色がついていないのでちょっとわかりづらいんですけれども、病院の名前の下にアンダーラインを引っ張ったところが合併症型です。これが現在、6施設ということです。これが身体合併症患者、あるいは心身複合救急と呼ぶべき人たちに対する治療の決め手になるような病院ということになります。6施設しかないという現状が見てとれると思います。
 それから、1か所も救急入院料病棟がない都道府県というのが全部で10か所。青森、岩手、新潟、富山、鳥取、島根、香川、それから南九州。宮崎はこの間できました。こういうところに施設の認可が得られないと。主たる要因は、やはり医者が足りないせいです。指定医が特に集まらないということが最大の要因です。こういうような事情にありますけれども、これらの救急入院料病棟というのが、我が国の精神科の救急・急性期治療を引っ張っているということです。
 この他に精神科急性期治療病棟という、救急入院料病棟よりもちょっと施設基準が緩いところが300か所ぐらいありますけれども、この2つを合わせた400近い病院、病床数にしますと1万7,000ぐらいですか。全体の病床のまだ3~4%ですけれども、そういう少ない病床で、全体の入院件数の4分の1をカバーしている。高回転で急性期治療を実施しているということになります。
 この急性期の治療に関しては、私は世界に誇っていい体制だろうと思っています。日本の精神科医療は本当に世界から見るとマイナスの評価ばかりですよね。薬が多い、病床が多い、在宅ケアが進まないということでたたかれっ放しですけれども、急性期に関しては、均質性とか、連続性ということに注目しますと、私は欧米よりも優れている面がたくさんあるのではないかというふうに考えています。それから、民間病院が非常によく頑張っている。民間病院でもちゃんとやれるような形の医療経済的な配慮がなされているということであります。
 そういったスーパー救急というふうに俗称しますけれども、こういった病院の医療の内容の平均像を図6に書いておきました。平均在院日数が37.4日です。1か月ちょっとで64%の人をダイレクトに在宅医療に帰している。重症の患者さんを短期間のうちに帰している。そのために個室、隔離室というものを整備し、スタッフを手厚く配置して、治療的なプログラムを充実しているという1つのモデルが描かれているわけです。
 アメニティとか、診療のスタッフの密度であるとか、あるいは医療費に関して医療観察法病棟がちょっと特別な存在で、このスーパー救急を超えるような規格になりましたけれども、これはやはり対象が全然違うということですね。ここをもう少し拡充する必要がある。
 図7は、主な診療指標です。スーパー救急に関する診療指標を見たものですけれども、平均在院日数がちょっとずつ延びたり縮んだりですけれども、上昇しているのが在宅移行率です。転院がほとんどなくなってきたと。ダイレクトに患者さんを帰すようになってきたと。転院率が一番下ですけれども、下がっています。それから、三次救急の比率がちょっと下がっていますけれども、これはソフト化してきたということになるかもしれません。医療的機能が充実してきたということになります。
 図8は、これはちょっとわかりづらいんですけれども、こういったスーパー救急病棟に入院している患者さんのプロフィール、治療成績というものを全部、全国共通のデータベースにしようという構想があります。これは医療のクオリティー、質を上げるためのクオリティーインディケーターというものをピックアップしまして、スーパー救急病棟で治療を受けた患者さんの全データを共通のデータベースに蓄積して、こういうものを根拠にして医療費の増額を要求するとか、あるいは制度的な手直しを要望していこうという企てです。
 次回辺りで恐らく、杉山構成員の方から詳しく説明があると思いますけれども、eCODOとPQRなどという聞いたことがない名前ですけれども、こういうデータベースが今できておりまして、施行されているのは、全国で今3か所ぐらいですか。国立の武蔵ですね。正式名称はちょっと忘れましたけれども、センター病院ですね。それから、杉山構成員の沼津中央病院。それから、私のところです。静岡県立こころの医療センターの3か所でこれを今、試行しておりまして、できたらば、このスーパー救急病棟認可病院の全てにこれを使っていただいて、センターサーバー化して、国立精研と日本精神科救急学会がこのデータを全部分析して、フィードバックすると。あるいは全国で比較をするといったような構想を立てておりまして、今年度の厚生労働科学研究の科研費の補助金をいただきまして、この事業を拡充しようというふうに企画しております。
 最後にまとめていきます。
 精神科救急医療の評価をどうするかという問題です。お金をつけるにしても、診療報酬を上げるにしても、客観的な評価の指標というのが必要になってきます。厚労省の救急事業をどう評価するか。それから、救急医療施設、個々の施設をどう評価するか。3番目が今言った急性期入院治療の治療成績、プロフィール、プロファイル等の評価をどうするか。この3つの軸から評価が必要になってきます。
 1番目の救急事業の評価は、structure評価、outcome評価と、これは病院評価のときによく使われる言葉ですけれども、これの両方がもう既に始まっております。
 更にもっと細かい評価項目をつくったのが13番目のスライドです。ちょっと飛びます。全部で二十何項目ありますかね。これに全部点数をつけるんです。46点満点の点数をつけて各都道府県ごとに成績表をつけたのが14番目のスライドです。36点の神奈川県がトップで、以下、静岡県、千葉県というふうに並んでおりまして、低いところもあると。これが救急事業の実態を正確に反映しているとは限りません。この点数をつけるのは、たしか自己評価ですよね。自己評価ですから、他者評価がちょっと欠けています。特に利用者から見た評価というのが抜けていますので、これも加えなければいけませんけれども、それでも救急事業の一端は示せているかなというふうに感じます。こういったものが必要になってきます。
 スライド11に戻りますけれども、2番目の救急医療施設の評価もeCODO構想の中に含まれております。3番目のことが先ほど説明したことです。
 図9が救急医療体制の構想です。歴史的に見ますと、上の方からスタートしているんですね。措置入院をまずどうやって体制を整備するかという辺りから政策化されてきた事業がだんだんすそ野が広がっていきまして、本来はやはりすそ野から上へ上がっていくものですね。電話相談できちんときめ細かな電話相談に対応すると。それで、危ないというか、緊急性が高い、あるいはこれから高くなるということ。感度を高くしなければいけないですね。感度を高くして早目に手当をする。これは自殺防止などに非常に役に立つということですね。あるいは事故防止に役に立つ。更に一次救急、二次救急、三次救急。その他にアウトリーチ、身体救急。これも後ほどの議論に入ってくると思いますけれども、こういった体制が必要になってくると思います。
 それから、今日、追加資料でお配りしたものに現在の救急事業の問題点をまとめました。ちょっとご覧ください。利用者から見た問題点と医療のサービスの提供者側から見た問題点両方があります。
 利用者から見ますと、まず、電話相談の機能が不十分ですね。あと、電話の番号が公開されていない自治体がほとんどですね。医療機関、消防、警察には公開されていますけれども、一般県民にはなかなか公表されていません。窓口が見えないです。それから、せっかく電話窓口に電話をかけても当番病院を教えてくれておしまいというようなところも結構あります。
 2つ目が搬送に苦労するということです。家族の搬送がほとんどなんです。
 それから、救急車による搬送を地域によっては認めないというところもあるんです。消防法にこんな規定はないんですけれども、ローカルルールをつくっている自治体があります。
警察による搬送というものは、これはやはり利用者、家族に対してトラウマを残しやすい。できるだけ避けるべきであるという意見が強いです。
 3番目は、地域格差です。地域格差、あるいは病院格差というのがすごく大きい。遠隔地の当番病院に運ばれる場合もあるんですけれども、着いた病院によって運、不運が分かれてしまうということがあるわけです。
 それから、身体合併症です。心身複合救急ケースというのは、身体救急も精神科救急も両方から敬遠されて宙に浮いてしまうということが、数は多くありませんけれども、1ケースでもこういうケースが起きると大問題になります。
 それから、総合病院がこの心身複合救急ケースの対応には最適な病院なんですけれども、御承知のとおり、病床も医者の数もどんどん減ってきておりまして、絶滅危惧種というふうに危惧されているということです。
 事業のサービス提供の方から見ますと、やはり電話相談のトリアージ機能が弱くて、不要不急の患者が紛れ込む。いわゆるコンビニ受診であるとか、あるいは押しかけ救急などという言い方をしますけれども、そういった人でスタッフがくたびれてしまう。
 それから、事業が始まると、個々の病院での地道な、自発的なミクロ救急というものが弱体化して心配である。
 それから、身体的問題です。これも利用者から見た問題と同じような問題を含んでいます。
 それから、やはり病院から見た最大の問題は、精神科救急、あるいは重症患者を見る精神科の勤務医がくたびれてどんどん辞めてしまう。開業医の方にどんどん流れていってしまうという問題があります。
 最後にこの救急医療体制を支える、あるいは全国的になかなか均てん化しない最大の理由は、やはり精神科救急医療施設に医者をなかなか確保しづらいということなんです。勿論看護スタッフの問題もありますけれども、医者がいないとどうしようもならない。確保するためにどうしたらいいかという方策を2つばかり提案しておきます。
 1つは、若手医師を救急病院に一定の数をプールしておくようなシステムをつくるということですね。そのために1つは、精神科救急専門医制度というものをつくりまして、キャリアアップとか、あるいはインセンティブを付与するというシステムをつくりたい。精神科救急学会は今、準備中です。
 それから、精神保健指定医と、精神神経学会専門医。ベーシックな精神科の学会の専門医の取得条件ですね。精神科救急病院での一定期間の勤務というものを義務づけていただきたいというのが提案です。
 2つ目が病診連携です。指定医を持ちながら開業されている先生がどんどん増えております。この先生たちに何とか救急事業に協力していただきたいということで、例えば、大都市では、医師会等が運営している夜休診に対してオンコール体制でも結構ですから、開業医の先生に協力していただけないだろうかということです。大都市の場合は何か月かに一遍ぐらいの当番で済むはずです。
 それから、救急病院の指定医当直業務というものをその病院のOBの開業の先生方中心に何とかバックアップしていただく。これもオンコールで構わないと思います。こういうことをしていただく。そのかわりといってはなんですけれども、開業の先生方に通院している患者さんのぐあいが悪くなったときには優先的に診療するとか、こういうことは公式には言えませんから、運用上の問題になりますけれども、優先して見る。あるいは開業のドクターが学会出張であるとか、あるいは急病で倒れてしまったというようなときに病院の方から医者が行くなり、患者さんを見るなりして、代診の機能を果たす。こういったギブアンドテイクの関係がつくれれば少し実現味が出てくるかなということであります。
 ちょっと時間オーバーしましたけれども、私のプレゼンテーションを終わります。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 現状、そして課題も含めまして、大変にわかりやすくまとめていただいたというふうに思います。
 それでは、これから質疑全般、そしてまた意見交換に入りたいと思います。
 ただいまの平田構成員の御説明につきまして、またこれまで事務局からの説明も含めまして、御説明に対し御質問、また御説明の内容に関連して御意見等、構成員の皆様方からの御発言をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○平田構成員 杉山先生、ちょっと補足説明していただけますか。eCODOのことと、それから機能評価ですね。

○福田精神・障害保健課長 杉山構成員、お願いします。

○杉山構成員 先ほどの平田先生の資料の後ろから4つ目ですか。「精神科救急医療の評価」というところにまとめてあります。そこに目標としまして、幾つかの研究事業を平成20年度まで実施しておりまして、そのうちの1つは、先ほどの自治体における最後の2枚のスライドですけれども、そちらで説明が終わっていますので、そこはちょっと省きますけれども、eCODOについてもう少し詳しく説明いたします。
 eCODOとちょっとわかりにくい略称になっていますけれども、各病院における治療成績であるとか、治療内容、そういったものを見比べることによって、私たち自身の医療の質を高めていこうという取組みであって、医療の質を高めるための一般的な方法として、臨床指標というアウトカムの数値化を共通に皆さんで比べることによって自意識を高めていこうという方法があるんですが、そこのまず共通項を持つという仕組みづくりがまだできていないということで、そちらの整備をしたということです。患者さんのプロフィールであるとか、どういう介入内容をしたとか、どういう治療をしてどんなふうにアウトカムが出たかということを入れていくものですから、その辺のセキュリティの問題を今、解決しまして、共通に最終的なアウトカムを比べるような体制に今、入っているということです。
 今日は資料がないんですが、次回、詳しい資料をもうちょっとお持ちして説明したいと思います。

○平田構成員 eCODOというのは、そもそもは行動制限の最小化を目指したデータベースなんですよね。隔離拘束をきちんと時間単位で記録していって、それをまとめて一覧表示をしたり、あるいは行動制限最小化委員会に提出する資料にする。そういう形で問題意識を高めて、行動制限を減らしていこうという意図でつくられたデータベースなんです。計測ダイエット法に近いですね。計量ダイエットというのですかね。記録をとることによって意識をして減らしていくというような考え方です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 私も、精神神経センターの取組みのものは実際に見させていただいたので、やはり具体的なデータみたいなものというか、データフォーマットが出てくるとよりわかりやすいと思いますので、またいずれかの機会のときに御報告をいただければというふうに思っております。
 その他御質問、御意見ございますでしょうか。
 初回ということもありますし、あと、切り口が非常に様々であると。先ほど事務局や平田構成員の御説明からもありましたように、総合病院精神科の観点から見るのか、それともいわゆるよりかかりやすいという観点から下からの積み上げの議論で見ていくのか、それぞれ観点が様々でありますけれども、そういう意味では、なかなか御意見が出にくいのかなという部分がございますが、構成員の先生方それぞれいろいろなバックグラウンドを抱えておられるわけでございますし、日ごろの活動の中で課題や御意見をお持ちかと思いますので、そういった観点からもし御意見、または御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。
 木下構成員、お願いします。

○木下構成員 平田構成員の資料の14ページにあります、自治体別の医療体制の機能評価、体制の評価をいただいているところですけれども、評価点数の高い地域において、在院日数が短くなったのか、在宅への移行率が高くなっているのか、そういった相関というのは見ることができるのでしょうか。

○平田構成員 そうですね。きちっとしたデータをとっていませんけれども、ざっと見たところ、在院日数がもともと低いところだと思います。短いところだと思います。やはり西高東低ですからね。機会があればデータを比較してみたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御質問、御意見ございますでしょうか。
 渡構成員、お願いします。

○渡構成員 今の木下構成員からの御質問にもあるんですけれども、今、平田先生の機能評価で下から7番目の宮崎県でございます。
 まず、精神科救急システムの地域格差という点についてお話しさせていただこうと思います。というのは、私のいます宮崎県を中心として、九州、西の方は整備がかなり進んでいないといっていいと思っています。
 その1つの原因として、私も県の精神科救急の連絡協議会などにも参加するわけなんですけれども、インセンティブがなかなか働かないというところが1つございます。
 というのは、1つは、民間病院の先生方に地域医療を担っていただいているわけなんですけれども、民間病院の機能として、長期入院であるとか、認知症の患者さんを多く受け入れていただいている点であるとか、高齢者の方が宮崎県に至っては、病床の中の55%ぐらいが65歳以上です。そういった機能を中心とした医療機関がほとんどでございますので、更にここに精神科救急をやってくれと県が言っても、なかなかそこまで手が回らないよというのが現場の先生方の御意見です。宮崎県としても民間の医療機関の先生に非常にお世話になっているという意識がありますので、じゃあ、やってくれというのがなかなか言えないというのが現状であります。
 ただ、それでいいのかというと、決してそうではなくて、その結果、何が宮崎県で起こっているかというと、2つ問題が上げられるかなと思います。
 1つは、保健単位、地域に出た保健所などの話を聞きますと、対応に苦慮するケースが非常に多いと。昨年度、保健所の保健師さんが対応に苦慮したケースを当たっていくと、入院が必要だろうと判断されるような救急のケースでも、同日、その当日発生して、当日内に医療機関に結び付かなかった。精神科の医療機関に結び付かなかったというケースが6件ぐらい出ています。結局、その方たちは翌日になって精神科の医療機関に入院したなどということがあります。システムが整備されていないと、そういうアクセスの問題が起こっている。特に宮崎県は自殺率も高いのでそういった問題が起こっているということが1点。
 もう一つは、基幹病院への負担が非常に増えています。宮崎県は県立宮崎病院が合併症型の救急の機関を持っているわけなんですけれども、本来、三次救急、もしくは合併症を見るべき基幹病院が非常に軽症なケースまで見ていて、ほとんど民間の医療機関に見てもらえないので、すぐにダイレクトに基幹病院に入ってくるというような負担が起こっている。その2つが問題かなと思っています。
 なので、ばらつきということを考えるときに、いかに民間病院の先生方が参画していただけるようなインセンティブを与えるかという仕組みを考えなくてはいけないなというふうに考えております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御意見、御質問ございますでしょうか。

○三上構成員 平田先生の最後の追加資料の中で、当直をしていただく精神保健指定医の確保が非常に難しいのではないかとの御指摘と、利用者から見て病院への搬送に苦労があるとの御指摘がありました。また、なかなか見つからないこともあるとのことでした。特に輪番制をとっているところなどでは、いろいろ地域によって格差があるのではないかという気はいたしておりますが、最初の資料の3枚目のパワーポイントに構成要素が書いてあります。身体救急施設と精神科救急医療施設と後方転送について書いてあるのですが、これは身体疾患と精神疾患の合併に関する救急対応の問題ですが、身体救急と精神障害、それから精神科救急と身体合併症という、この両方のものに最終的にどのように対応するかが重要であります。後方をどこに送るのかということになりますと、亜急性の身体疾患と精神障害、あるいは精神科救急での状態が落ち着いた精神障害と身体合併症への対応を想定した形の後方病院が必要ではないかと考えます。
 それによって、いわゆる救急を担う病院の在院日数が短くなって、救急の体制が整うのではないかと考えられますので、この後方転送を受け持つ精神科病院の性格をどのように位置づけるのかについて、まず、考える必要があるのではないかと思います。
 それと、基本的に、例えば、特定機能病院のように精神科病床は少なくても、身体救急と精神科救急の両方が短期間でも受けられるのであれば、例えば、1日か2日後に日勤帯に精神科の病院その他の病院に転送することが、精神科救急の体制の中でできれば、搬送に苦慮することがなくなって、必ず受け取っていただける、対応ができるようになるのではないかと思うのですけれども、その辺について平田先生にお考えを伺いたいと思います。

○平田構成員 身体救急と精神科救急の連携といいますか、実際はまだ橋が架かっていないに等しい状況にありますけれども、これをどうするか。この点は、恐らく次回、杉山構成員の方からもっと詳しくデータを示して、プレゼンテーションがあると思いますけれども、私が今思いついた範囲だけでお答えしておきます。
 心身複合救急ケースについては、様々なレベル、様々な問題を抱えていますので、十把一からげに論ずるわけにいかない面があるんですけれども、身体的な疾患が重症の場合は、例えば意識障害があるとか、寝たきりに近いといった場合には、三次救命救急センターでも問題なく診てくれる場合が多いんですよね。ところが、身体的な症状が回復してきて、動けるようになったけれども、精神症状が強いというときに困ってしまうことが多いですね。
 こういうときに精神科の救急へ依頼しようとすると、やはり身体的な問題が残っているうちは不安があるからなかなかとれませんというふうにして、処遇が宙に浮いてしまう。こういう問題を解決するには、総合病院精神科で、精神病床で身体的な合併疾患にも対応する。精神科救急の合併症型の病院は全国にまだ6つしかないんですけれども、その他にもまだ予備軍といいますか、実力を持っている病院が幾つかあります。国府台病院であるとか、静岡の聖隷三方原病院とか、身体合併症、合併症型に名乗りを上げていなくても実力がある病院はまだ幾つかありますけれども、それでも全国的にまだ非常に弱いです。
 それから、総合病院の精神科の危機的な状況というのは、また後で吉邨先生に補完していただければいいと思いますけれども、総合病院から見ますと、精神科は医療経済的、経営的には非常にお荷物なわけです。スーパー救急というふうに精神科では呼んでいますけれども、一般科から見ればちゃんちゃらおかしいというレベルなわけです。医療費が3万4,000円で、精神科は1万1,000円ぐらいしか入院医療費が給付されませんから、それから見れば3倍ぐらいの医療費を取っているわけですけれども、総合病院にいるとおわかりだと思いますけれども、一般科の急性型の入院医療費というのは1日5万円~6万円ですよね。そういうレベルから見ると、まだまだスーパー救急といいながらも、規格が低い現状にありますので、精神科がなかなか生き残れない。
 それから、そもそも身体合併症を精神科病床で行うべきではないというふうに断言する精神科医もいます。千葉大学の伊豫先生などはしょっちゅうそういうことを言っております。精神科で診るべきではないと。一般科のベッドでちゃんと治療をして、精神科がコンサルテーションすればいいんだというふうなことを言う人がいます。中途半端なことをやるべきではないと。
 そういったことで、非常に様々な意見があるんですけれども、日本の現状は、同じ1つの病院の中で精神科も身体科も対応できるのが理想だけれども、そうはいかない場合は、杉山先生が言う、縦列型というのですけれども、並列型、縦列型という言い方をします。同時に同じ病院で身体にも、精神にも対応できるモデルが並列モデル。身体的な疾患を先に行って、その後、精神科でできる治療をフォーアップすると。これが縦列モデルという言い方です。縦列モデルが圧倒的に多いんですね。圧倒的に多いんだけれども、きちんと体系化されていない。システム化されていない。身体科から自殺企図との患者をピックアップして精神科へ送った場合は紹介料が診療報酬で加算されますけれども、逆の場合はないですね。精神科には診療報酬が入ってこないという現状もあって、縦列モデルもなかなかうまく機能しないのが現状です。
 お答えになっているかどうかわかりませんけれども、非常に行き詰まりの、手詰まりな状況にあるのは事実だと思います。個々のケースもばらばらに対応していると。ここをちゃんとやらないと精神科はいつまでたっても医療の仲間入りをさせてもらえないなと私は思っています。
 杉山委員、ちょっと補足してください。吉邨先生もよろしかったら補足してください。

○杉山構成員 先ほどから名前が何度も出て、資料を準備してくればよかったと思うんですけれども、やはり複合ケースに関しては、両方一遍に、精神科も身体も両方診られるという体制が理想ではあります。そういった医療資源も何年か前の研究でちょっと調査をしまして、総合病院精神医学会とも御意見を伺ったのですが、医療資源としては非常に限られてしまって、かなり厳しい状態と。それに頼る現状というのはなくて、先ほどの縦列モデルといった、こちらでまず診て、専門の先生にお渡ししていくという縦列の形で、まず、優先的な問題を解決した後に次の優先度の低い問題に移していくという、順次、問題を解決していく縦列モデルでないと実際のケースはさばいていけないというか、対応していけないわけですね。
 では、連携を強化しなさい、強化しなさいと口で皆さんおっしゃるんですが、その連携というのは、口で言うのは簡単ですけれども、プレゼンテーションをして、理解していただいて、患者さんを受け取っていただいてというやりとりなので、とても大変なことではあります。連携を強化しなさいとお題目としてはよくあると思いますけれども、その辺について非常に困難な仕事であるということはまず御理解いただきたいということがあります。
 それから、総合病院のことは吉邨先生がおっしゃると思いますが、そういった、やはり複合ケースなので、普段の、一般的に片方の問題だけのケースに比べると、相当なスキルと知識とエネルギーというものがかかってきます。そういったものに対しての医療の複雑性というものがあって、そういった難しい医療をしているということに対しての評価といいますか、先ほどインセンティブの話も出ているんですけれども、そういった促進材料が何かないと、なかなかそういうものに取り組んでいこうという機運といいますか、そういったものも何かお考えいただければということで、総合病院の苦労に限っては、吉邨先生にまたお話いただけると思いますけれども、そんなような印象を持っています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 それでは、吉邨先生の方から補足、追加発言をお願いしたいと思います。

○吉邨構成員 補足でちょっと発言させていただきます。
 総合病院の病床数は減少しているというのは皆さん、周知の事実だと思っています。なかなか大変な状況にあるというふうに感じております。精神科救急の合併症入院料算定施設というのも、渡先生のところもそうですけれども、6施設。平成20年4月に診療報酬改定があってからもまだまだ6施設しかありません。それをとっているところの実情としても、これを目指してとっているというよりは、合併症ユニットというところで病床数を何とかカウントして、かなり無理して稼働しているというのがほとんどの医療機関だと思います。また私の属する東部病院は、最低限の20%、10床のカウントで賄えていますけれども、病院によってはこれが40%の病院というところもあります。高ければ高くなるほど身体疾患を受け入れる合併症院等の割合が増えれば負担が増えるわけです。
 先ほど、平田先生の方からお話もありましたけれども、身体疾患と精神疾患両方持っているということは、二重の疾患、二重の合併なんだというふうに考えています。そういう意味でいうと、身体疾患として一般病棟で診る。精神疾患として精神科病棟で診る以上に、本来であればかなりマンパワーは必要になってきますし、介護度、看護度も両方ともアップする。先ほどもスキルと言いましたけれども、アップしていく必要があると思います。今、看護基準10対1でやっていますが、到底、賄い切れないというふうに考えています。 
 一般病棟は7対1が通常、今、救急がほとんどですし、救急病棟ですともっと高い看護度で動いているんだと思います。
そういう中においては、本来であれば、精神科救急合併症入院料を算定するような病棟においては、もっと高い看護基準を設定していただいて、それを網羅するような診療報酬上の配慮をしていただくのが本来であれば必要かなと思っています。
 何回か精神科救急の合併症型というような言葉が出ていますけれども、運用している我々からしてみると、合併症型というのも、そこしか高いのがとれるところがないので、そこに背伸びをして何とかやっている。そのためには、医師の方もそうですし、一番は看護師だと思います。看護師のマンパワー不足、負担度は本当に計り知れないものがあって、そこにかなりしわ寄せが行っている。かなり背伸びをして動いているというのが今の一般病院の精神科病棟の実態ではないかと思っています。
 以上、発言させていただきました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 渡構成員、お願いします。

○渡構成員 少し私の方からも補足で追加させていただきたいんですが、今、吉邨先生から看護配置はとても10対1では足りないと。合併症であるとか、急性期を見る場合は10対1ではとても無理だというお話がありましたが、実際、私もそれを感じておりまして、看護必要度を使って、うちの県立宮崎病院の合併症を持っている患者さんを少し出していくと、4対1相当ぐらいのレベルの患者さんを見ているという数字が出ております。
 もう一つのデータとしては、今、3,400点ぐらいをいただいているわけですけれども、当然、県立病院では赤字、うちの病棟だけでは赤字を出しております。これを収支とんとんに持っていくことを考えても、あと1,000点もしくは1,500点ぐらいプラスしないと赤字は埋まらないというような状況です。なので、精神科救急合併症入院料ととったとしても、まだまだ対応が追いついていないというのが現状かと思います。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、千葉構成員、お願いします。

○千葉構成員 今、民間の普通の精神科病棟においてはもっと悲惨な点数しかついていないということを少し申し上げたいと思います。
 身体合併症加算という点数が加算でついているわけですけれども、1疾病について7日間ということで、それ以上は加算がつかない。この7日間はなぜ7日間なのかというと、いわゆる普通の一般科の病床、病院に転科するまでの間、すぐにベットの調整等ができなくて、精神科で診ている場合ということについて決まっているわけですね。
 つまり、一般の単科精神科病院においては、そういう「身体合併症を診るということについてはあたわず」というふうにお考えなのか、そういうような診療機能を持つことを最初から考えておられないのかわかりませんが、実際には、大体もう50%ぐらいの比率に65歳以上の比率が上がってきているわけですから、様々な生活習慣病等を含めましても必要があったり、認知症等の患者さんたちも大分増えてきている中で、合併症を見るということは非常に需要が高くなってきています。
 よって、様々そういうような、他科の先生方に入っていただいて、精神科だけではなく、診療を行っているにもかかわらず、そこのところの対価は全くついていないということで、そういったようなことからすれば、精神科病院に入院している患者さんたちは、まともな一般の治療を受けるような形をいただいていないと。ある意味それは「差別」だというふうに言ってもいいのかなというふうに思っています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、三野構成員、お願いします。

○三野構成員 私は、御指名を受けました、精神科の開業指定医でございます。恐らく開業医はここに1人しかおりませんので、その指定医の立場ということと、それから、四国香川県高松から参りましたので、地方の精神科救急の立場ということで、少し補足といいますか、説明をさせていただきます。
 平田先生が御提案になった補足の追加の資料の一番最後の「開業指定医の救急事業への参加促進」ということで、精神科開業指定医が一次救急に参加してはどうかという御提案がございます。
 それから、中谷課長補佐がスライドで御提示された一番最後の措置入院等の公的、いわゆる本来の精神科救急と、それから身体合併症等を入れた医療機能としての精神科救急を別々にすべきだという、この2つの御提案に対して、私の経験でもう少し検討していただきたいなということがありますので、報告をさせていただきます。
 まず、大都市における一次救急に精神科開業医が参加すべきだということなんですが、私のところは大都市ではなくて、中核市で、人口40万人ぐらいの高松市ですけれども、医師会で一次救急の診療所を11時までやっております。そこに精神科が来るかというと、私、精神科医として高松市の医師会の理事もやっておりますので、待機はしておりません。電話でいつでも来たらどうぞということで、ずっと待機しておりますけれども、この何年か1度も来ません。勿論、精神疾患の方で風邪を引いた、インフルエンザになった、そういう方は勿論おいでになりますけれども、精神科医として要請があるわけではない。
 問題は、これは香川県でも精神疾患救急は大変なことになっているわけですけれども、恐らく県立中央病院とか、赤十字病院とか、あるいは医科大は精神科がございますけれども、精神科のない総合病院に二次救急としてリストカットの方や、あるいは昨年の検討会で問題になりましたけれども、オーバードーズの方が運び込まれた。それは恐らく、一次救急には行かないだろうと思います。
 問題は、そこが先ほどからずっとありますけれども、公的病院として総合病院が、香川県人口60万人の東香川・高松医療圏でも1つも、今、1つ辛うじてありますけれども、精神科医のあるところがなくなるといったら、総合病院精神科がなくなってしまうということで、そういう患者さんは全て精神科のない総合病院の救急に搬送されるわけです。
 勿論これが定義であるとすれば、身体合併症を伴った精神疾患か、精神障害かということになるんでしょうけれども、果たしてそうかというと、確かにリストカットがあって、あるいは自殺企図等があってという、身体的にはかなり重い場合もありますけれども、精神疾患としては軽いといいますか、そう重症がない場合。あるいは精神障害とも言えない場合がある。もしあるとすれば、精神科診療所に、例えば1年前に通っているとか、半年前に通っているという、それだけで精神疾患患者としていいかという問題がある。
 ところが、かなり精神症状としては激しいものですから、精神科医のいない公的な、あるいは総合病院の救急の医者が受けられるかというと、これは受けられない。あっちに回ってくれと言われても、身体合併症を伴っているわけですから、精神科病院では受け入れることができないということがございます。
 もう一つは、中谷先生の最初の御報告にもありますけれども、救急に関して医療圏が違うんですね。例えば香川県での2つの医療圏と地域医師会がかかわっている一次救急の医療圏は5つございます。全く分けておりまして、別のところで動いておりますので、いざ救急で呼ばれるときには、リストカットした方は普通の一次救急として呼ばれる。一次救急、二次救急として呼ばれていった場合にどこをどう回していいかというと、ほとんど交錯しない形で、精神科のかかりつけ医がいればそのかかりつけ医を通じて精神科の輪番病院の方に救急入院ということは可能になるし、その体制はうまくいっているわけですけれども、そうではない患者さんについてどうしていくかというところが、医療圏の問題と、それからかかりつけ医がいないということで抜け落ちているわけです。そこのところをどう精神科救急の医療の中で結び付けていくかということが問題になろうかと思います。
 恐らく情報センターの課題というのはそういうところにあって、そういう意味では、むしろ開業指定医といいますか、精神科の診療所の開業医の役割から言えば、情報センターに情報をきちっと入れる。それから適切なところに入院をお願いするなり、あるいは執務するなりということの義務といいますか、義務とは言わないでも、努力といいますか、そういうところを少し、法律で織り込まなくても、各地域で努力していかないとなかなかうまくいかないのではないかなというふうに思っています。
 恐らく、あまりここではっきり言葉になって出てきておりませんけれども、リストカットや、要するに、本来の精神疾患ではない、幅広い意味での精神疾患患者をどうやっていくかという問題が今も問題になっているだろうと思います。
 それは恐らく、今後、医療法の改定とか、そういうところでいろいろ地域医療計画を立てる中でも、そういう患者さんをどこにどう持っていくかということは大きな問題なのではないかなというふうに思っております。
 以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 今のリストカットの問題は、自殺対策の中でも大きな問題になっております。一般救急、身体救急にリストカットの方が行かれて、そこに精神科医が関わらずにすぐに退院をされたために、再度、自殺企図するということが頻回にあります。リストカットの方についてはハイリスクであるため、一般救急に精神科医がきちんと関わりを持つことが重要であると言われております。これについては周知をすることで解決できるのではないかと思います。
 それともう一つ、平田先生のパワーポイントの5番目の資料で出されておりますが、東京等の大都市についての受診回数、入院率の話ですが、日中は医療としてはかなり充足しているわけですが、夜間については過疎であるということをおっしゃいました。これは、精神科救急だけでなく、一般救急においても、東京においていろいろ問題になっているように、夜間の救急医療の過疎ということは非常に問題だと思います。
 また、精神科救急の問題につきましては、集約化することによって、緊急入院された患者を翌日日勤帯に転送することで解決できるのではないかと思います。身体救急の場合には翌日に動かせるかどうかで生命の危険を伴う可能性が非常に高いということですが、精神科救急の場合には、翌日、あるいは翌々日に転院させることが可能であれば、集約化をして、常時や夜間も必ず緊急入院できる体制を各地域で整えるということが可能ではないかと考えます。これは精神科救急のシステムをつくる上で非常に大事ではないかと考えますけれども、先生方の御意見を伺いたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 平田構成員、お願いします。

○平田構成員 今の三上先生の御意見ですけれども、東京都はもう既に翌日転送のシステムはもともとやっています。そういう体制にしてあります。4つの都立病院が一晩で各4床、一晩16床の保護室、隔離室を用意して、夕方5時からスタートなんです。5時からスタートした途端に電話がじゃんじゃん鳴って、大体、12時ごろには16床が全部埋まってしまうというのが現状のようです。翌日が平日であれば、身体合併症のないことを確認して、いわゆる三多摩地区の民間の後方病院に転院と、自動転送というシステムです。こうしないと恐らく、16床が維持できないというのが東京都の現状なんです。
 都心部、人口密集地に精神科の病院がなくて、もとの東京の郊外に精神科の病院がどんどんできていったという、そういう事情、歴史的な背景のためにそんなふうになっていると思うんですけれども、それは診断の場と治療の場を分離して、苦肉の策で救急ベッドを維持しているというやり方なんですけれども、これは臨床的に見ますと、やはり連続性が途切れてしまいますし、転送先の病院でもまだ急性期の症状が治まっていないわけですから、そこでの治療、看護が必ずしも手厚いとは限らないわけですから、臨床的にはそういう問題を含んでいるというふうに考えますので、できれば精神科の急性期、大体、2か月平均ですよね。スーパー救急の平均在院数が40日~50日ぐらいですから、そのぐらいの期間は同じところでクオリティーケアを提供できるようなシステムに持っていっていただきたいなと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 先ほどの三上構成員の御質問に関連してございますでしょうか。
 吉邨先生のところも、神奈川県とか横浜も一旦置いて、少し過ぎて転院させるというようなシステムを聞いたことがあるんですけれども、何か御感想がございましたらお願いします。

○吉邨構成員 神奈川県の場合は、基幹病院として夜間動いていて、それを合わせて27床だったと思います。そのうち空床を確保して、動いてはいます。各病院のやり方によって異なりますが、1週間~2週間ぐらい様子を見て後方への転送というシステムになっています。
 ただ、平田先生の地域介入システムの救急医療体制の機能評価でスライドの14番に上がっていて、神奈川県は高い方になっていますが、当事者として見ると、十分動いているのかなという印象です。特にハード救急、ソフト救急と分けますが、緊急措置、措置入院に関してはかなりシステマティックに動いているとは思うんですが、家族からの受診要望であるとか、身体合併症があるとなおさらですが、救急隊からの受診要請等に関しては、十分に機能していないというのが実態だと思います。均一化という面でどの辺を均一化させるかということにもなってくるとは思うんですが、今後、精神科救急の水準を上げるということも考えると、かなりハードルが高いのかなというふうに思っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 流れとすると、身体合併の話が最初に入ってきて、そして今、ハード救急にどう対応していくかというようなところで、東京、神奈川の事例とかで課題も合わせて御説明いただいたかなと思うわけですけれども、平田先生の一番最初の方のスライドにもありますけれども、任務として、今、吉邨先生のお話にもありましたけれども、当事者のところを考えていくと、マクロ救急、軽症のうちにアクセスできる体制というようなところの重要性も指摘されているところでございます。
 残りの時間、あと30分ぐらいでございますけれども、こういった軽症のうちにアクセスできる体制というような観点についての御意見も含めまして、引き続き、御質問、御意見をいただければありがたいというふうに思います。
 いかがでしょう。
 千葉構成員、お願いします。

○千葉構成員 即入院等の治療措置が発動しなければならない状態ということは、最初の電話相談の件数から見れば、およそ15%ぐらいになるんですか。そう多いものではなくて、多くの場合は、電話での相談で済み、また、外来に来ていただいての診療で済んでいくということがあるわけですが、この中には、自分の病院の患者さんを自分で診ているとデータも入るんです。当番病院がですね。そうしますと、当番ではない日に自分の病院に、自分に来た場合には、この救急のカウントに入っていないという問題がデータの中にあることは頭の中に入れておいていただきたいと。
 輪番をしている場合には、365日、本来であればその病院は通院している患者さん等に対しての責任義務を持っているわけですから、夜だろうと何だろうと、来れば電話の相談も病棟に直接つながろうと何であろうと、あるいはこの間まで入院していた人であれば、その病棟の看護師さんがいるかといって電話が来ることもままあるわけで、これが救急の当番日だとカウントになり、当番日でないとカウントになっていないということも考えますと、病院における電話相談の数はこんなもんじゃないと思ってはいます。
 また、本来はそういうふうに自院の患者さんたちを各病院がきちんと昼の間にちゃんとしたケアをしていれば、夜に入院になったりとか、緊急的な介入をしなければならないような事態というのは、もう少し少なくなるのではないのだろうかと。通院管理をしている状態の中でもう少しそういう外来機能としての対応が十分なされる、あるいは医療アウトリーチとしてのこれから先にそういうようなことがしっかりとされていけば、少なくとも自院の現在、通院中、加療中の患者さんたちにとっては、そうそう、急な対応が必要になるものとも思いません。やはり初診であったり、あるいは治療中断をしていたりといったような方々でも、やはり今度は「保健の方のアウトリーチ」がきちんとされていれば、日中の間に未然にいろいろと済むものもあるのではないかと思うんです。
 そういうことから考えると、救急体制に来る方を全く全部受けるんだということの、勿論そういう大切な整備も必要ですけれども、その前段階として軽い人を軽いうちに診る。つまり、夜間、休日の薄いところでのものが発生しないようにちゃんとした対応をどのようにしていけるかということも、大きな救急医療体制のバックボーンとしてはあるんじゃないのかなというふうに思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 ただいまの千葉先生のは特に平田構成員からコメントをいただければと思います。

○平田構成員 データについて補足説明をしなければいけないと思うんですけれども、この厚労省のデータの電話相談件数、あるいは救急受診件数、これはいわゆるマクロ救急のデータだけなんですよね。ですから、病院が自発的に行っているミクロ救急の件数はほとんど入っていません。それから、都道府県によって自分の当番病院のときに自分のところの通院患者が受診したものをカウントする場合と、その場合を除外する都道府県もあるんです。東京、神奈川などは自分の病院の通院患者を全部除外してあります。千葉もほとんど除外です。静岡は全く抜きにして、差なく、受診した件数は全部含めています。
 そういうことですから、この公式に表れた数字の水面下に、実はミクロ救急の実際の数というのがすごく隠れているんです。どのぐらい隠れているかを千葉県の例で御紹介しますと、ある年のある1か月を前方視的に調査したことがあるんですよ。夜間・休日、このデータに上がってこない救急の診療件数がどれぐらいあるかというのを調べましたら、表向きの数字の6倍ぐらいあるんです。
 ですから、例えば全国で1年間に4万2,000件の受診がありますけれども、これの6倍ぐらいの人がミクロ救急で受診している可能性が高いというふうに考えてください。ただし、軽症ケースがほとんどで、二次、三次というふうに救急度が上がっていくに従ってマクロ救急の関与度が大きくなるというふうな実態がありました。これは健全なデータではないかと私は思っているんですよね。何でもかんでもこの事業に頼るというのはまずいわけでありまして、やはり日ごろの治療関係の枠内で対応できればそれにこしたことはありません。そのことをまずお答えしておきます。
 そういうミクロ救急は、保険診療で賄われているわけですね。時間外の加算であるとかですね。こちらの事業の方は補助金事業、マクロは補助金事業、ミクロは診療報酬で賄われるという関係にあるわけで、医療的なレベルを上げていくためには診療報酬の方でインセンティブを上げていくというふうにしないといけないと私は思っているんです。急性期治療などはそのとおりだと思います。
 次期24年度に果たして診療報酬改定があるかどうか微妙な時期ですけれども、あることを前提にしまして、精神科救急学会では幾つか救急関連の診療報酬のアップを要望しているところです。
 主なものは2つありまして、1つは、スーパー救急の診療費をもっと上げてもらいたいと。ただし、期間をもっと短くしてもいいですから、最初の2週間だけ5万円くださいと。後はどんどん低減していっていいですよと。それでトータルの額はそんなに今と変わらないようにしてもらいたいということ。
 もう一つは、身体合併症型の現在、6か所のようやく芽生え始めた合併症対応のベッドをもう少し保護し盛り立てていく必要があるものですから、少なくとも、精神科から身体合併症目的で転院した場合、今、算定外なんですよね。身体科から移ってきた場合は算定内なのに、精神科から移ってくると算定外と、これは明らかな差別ですよね。これを何とかしてもらいたいと。それだけでも随分、経営的に楽になりますから、そんなことを考えております。
 それと、精神科救急ケースの特異性と一般性というのが両方あります。精神科救急も一般救急も全く変わらない部分の方が大きいです。自分から辛いから見てほしい、危ないから見てほしい、眠れないから早く対応してほしいというふうに自発的に申し出る人はたくさんおります。早目に手当をすれば治まる人がいます。ただ、特殊性としては、最初に出てきたように、非自発医療というものが法律に認められている。これはどこの国でもみんな認められています。年とともに厳密化されていますけれども、非自発医療が認められていると。
 それからもう一つは、これは身体科の先生にそういうことを言ったら怒られるかもしれませんけれども、精神科の救急ケースのセンシティビティーといいますか、あるいは壊れやすさといいますか、変動しやすさ、揺らぎやすさといいますか、そういうところに特徴がありまして、今日、朝、昼間、診た患者さんが夜、急変してしまったとか、それから一言の介入で全然、予後が違ってくるというふうな変動性が非常に大きいというところが精神科の患者さんの1つの特徴かなと、特に急性期の患者さんの特徴かなというふうに私は思います。そこのところがなかなか救急体制だとくみにくい1つの原因かなというふうに考えています。
 勿論、精神科特例に象徴されるような精神科医療の歴史的に差別されてきたというふうな事情も勿論ありますし、その上に我々自身があぐらをかいてきた面も実際はあるんですけれども、それをできるだけ一般化医療に近づける努力というのが今、我々が一番求められていることかなというふうに思います。そういう文脈で精神科救急も少し論じていただければなと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 今、センシティビティーが高いという話がありましたけれども、千葉構成員がおっしゃられた、いわゆる日中の時間帯できちっとやっておくこと、それも大事ではないかということについては平田構成員の方から追加的にコメントございますでしょうか。

○平田構成員 全く異存ありません。在宅ケアに移行した患者さんを支えるのが精神科救急の任務の1つでもありますから、それは夜間に出てきた問題に対応するのも必要ですけれども、予防的に日中のうちからサポートを手厚くできるような体制をとっておくと。これは一番大事なことだと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 では、杉山構成員、お願いします。

○杉山構成員 先ほど軽症化のうちに未然に防ぐというポイントについて補足なんですけれども、中谷先生の11番目のスライドの整備事業の変遷というところであるんですけれども、一番上のピンクの精神科救急情報センターが平成22年度から24時間精神医療相談窓口というものが追加されています。こちらは、多分、電話の相談を受けて、軽症のケースが非常に困っても、電話だけで落ち着いていただけるようなケースが多々あるわけですけれども、そういったケースに対応していただけることでかなりそこで落ち着いていただけるという、かなり重要な役割、カウンセリング機能とよくおっしゃいますけれども、トリアージの機能の他にカウンセリング機能を持っているということで、非常に大事なシステムの中の1つの要素なんですが、実は、この24時間相談窓口というのが各都道府県等でどれほど実施されているかというのがちょっとよくわからない状況になっています。
 例えば私の病院では、平成10年から10年以上基幹病院をしていますけれども、精神保健福祉士の資格の方が当直をしています。それによって電話を受けて、多くの患者さんがそこで安心してという。それでちょっと難しければ当直医が対応して、必要であれば受診をして、必要であれば入院をしてという体制をとるんですが、そういった何層にも分かれた、重症度に応じた適切な介入というのが整っているということが非常に重要だと思っていて、その中で24時間という窓口というのは、もう少し整備状況を確認してもよろしいのではないかと。
 要綱を読むと、私たちの病院の体制はその機能とほぼ一致するわけなんですが、事業としてなかなか認定されにくいということもあって、皆さんが自発的に病院でやっている電話の相談とかが要綱上の定義に該当していても、事業の中になかなか組み込まれないというか、そういうことがあります。
 それは、その下の方の黄色の合併症事業もそうなんですが、せっかくこうやって事業要綱の実施要綱の中に盛り込んでいただいているんですが、なかなか黄色の合併症などはまだ全国で2施設しかないわけですよね。ですから、形はつくられているんですが、なかなか現場に実現しにくいということが、この黄色だけではなくて、24時間窓口の方もちょっとあるような印象を持っていますので、その辺を少し重視して、整備を強化していくということもひとつ未然に防いでという意味では重要なのかなというふうに思われますので、一言発言させていただきました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御意見。
 三野構成員、お願いいたします。

○三野構成員 杉山先生と同じ意見なんですが、ここの中谷先生がお出しになった事業の変遷の中で特に大事なのは、救急情報センターと24時間の医療相談窓口。これが充実されればかなり地方でもいろいろな意味で救急事業整備、輪番病院も有効に動くだろうと思いますけれども、この不要な形になっているといいますか、非常に少ないのがなぜなのか私にもちょっとよくわからないので、また是非教えていただきたいと思います。
 特にこの24時間医療窓口がドクター1人、ベースサブリ1人、あるいはナース1人というのではなくて、このドクター1人というのが制約される条件になっているんでしょうか。なぜこれがすぐに普及しないのかとても疑問に思います。今年度始まったばかりだからということでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 そういった点につきましては、次回まとめてまた整理をさせていただいた上で御説明をさせていただければというふうに思います。
 その他御質問、御意見ございますでしょうか。
 先ほど、いわゆるミクロ救急の状況の話がございましたけれども、渡構成員のところ、県立宮崎病院で身体合併も含めて何でもやれるようになったという中で、大変負担感が増えているというお話でございましたけれども、そういった一般の精神科の医療機関のところでのミクロ救急の取組み状況というような観点から少し追加での御発言がございましたら、お願いできればと思います。

○渡構成員 先ほども少しお話しさせていただきましたが、基幹病院としての県立宮崎病院は合併症の機能、救急の機能、あとは児童の機能まで付加されているというところで、県内のほぼどんな重症ケースでも対応できるような形になっているわけなんです。なので、非常に絵としてはきれいなのですが、一方でシステムの方が進まないために、先ほど言ったように、軽症のケースがかなり来ています。ほとんどのケースが日中はクリニックにかかっているんだけれども、薬を出してくださいというようなケースでかかっていると。
 そのときに結局、システムが稼働していないので、一般の民間の先生方のところでもどうしても断られてしまうと。断られてしまうし、あとは、情報センターも電話番号がオープンになっていないものですから、一般の方もアクセスができないという状況になっていて、県内の病院の機能が非常に二極化してきている印象があります。非常に高度に機能を付加すれば、そこに非常に負担がいってしまって、負担がいけばいくほど他の医療機関は県立病院に行ってくれよというようなスタンスにどんどんなっていく。そういう二極化の問題をどうするかというようなことが本県では非常に課題になっております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他。
 今後、次回から少しずつテーマごと、論点ごとに情報の整理をした上で議論を深めさせていただければと思っておりますが、今日のところは日ごろ思っていらっしゃることや課題と思っていらっしゃることを含めて幅広に御意見をいただければと思っておりますので、お願いできればと思いますが。
 千葉構成員、お願いします。

○千葉構成員 現場で精神科の輪番なり何なりの救急をやっていていつも話題になるのは、普通の消防の救急隊の隊員及び場合によっては警察の警察署員の方の教育が十分にないということです。
 多くの場合は、かかりつけだからおなかが痛くなろうと、頭が痛くなろうと全部精神科にまず連絡をしてよこすといったようなことがよく見られたり、この間は、ちょっと知的障害のある方でしたけれども、少し暴れて大騒ぎをして、お酒を少し飲んでということで、この方はそれまでも何回か警察に保護されたりしていたんですけれども、警察の方としては非常にやさしく対応していただいて、都度、出動して、あまりお酒がひどいときには少し連れていって、何時間かさめるまで保護をして、それでまた帰しているということをしていただいたんですが、たまたまそのときは、いつもはお父さんが警察に電話をするところ、お母さんが救急隊に電話をしてしまったと。それで救急隊が出動してきて、救急隊は1度出動すると、どこかに、病院に収容しなければならないということで、一生懸命、病院を探されるわけです。
 それでかかりつけだからといって精神科に。でも、お酒を飲んでいるのでは何もできないし、さめてからという話になりますし、そのときちょうど少しおなかが痛いということも言っているということだったもんですから、では、まず体の方へと。
 救急隊としては、体の方を診てもらいにということですが、体の救急の方でも、そんなにお酒を飲んでいるだけの状態でしたら大したことはないということで、診察が十分できないと。
 最終的にはどこも見てくれないので三次救急までいってしまったということで、三次救急の方で事務窓口が警察に電話をして、それで警察が来て引き取っていただいたというような経緯がありました。
 地域の精神科救急の会議でもその問題が大分紛糾をいたしまして、最終的にはどんな患者さんでも、まず身体的な症状があれば、まずそちらで見てもらうということをしたんですけれども、最初に行った救急隊の方が一言、おうちの方から状況を確かめると、これまでも何度もあって、2週間前にも同じようにして警察に保護されているんですね。
 そこの場合に、警察、あるいは保健所等と連絡をとって、しかるべきトリアージをされなかったのは何だろうということや、それからどんな場合でも、精神科のかかりつけであったら、こう言ったらあれですが、けがをしていても精神科に連れてくるのかというような形があるようでございまして、そういった意味で、ちょっと救急隊の方ともう少し精神科の救急についてというところは、一定の内容をすり合わせしたりとか、ちゃんとした手順をきちんと周知したりといったようなことも必要なのかなというふうに思っています。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 その他御意見ございますでしょうか。

○杉山構成員 今の救急隊のトリアージに関しては、次回の合併症のプレホスピタルの振り分けをどうするかという手順書みたいなもの、作成の試みがありますので、そのときにまた御紹介しますので、御議論いただきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 その他御意見ございますでしょうか。
 事務局に対する御質問でも結構です。答えられないものは次回の資料の方で出したいと思っておりますので、この際、御意見、御質問をいただければと思います。
 三上構成員、お願いします。

○三上構成員 最初に申し上げました精神科救急医療体制整備事業費の交付基準額について、事務局としてどのようにされるかだけは発言いただいて議事録に残しましょう。

○福田精神・障害保健課長 では、事務局、お願いします。

○中谷課長補佐 検討会で御議論いただいて、お知恵をいただいて我々としても頑張りたいと思っています。

○福田精神・障害保健課長 三上構成員、よろしいでしょうか。
 その他御質問、御意見ございましたらお願いしたいと思います。
 木下構成員、お願いします。

○木下構成員 整備事業に関連してですが、身体合併対応事業の、相談事業や情報センター事業、輪番事業は関連が強く、1つの形で県としても対応しやすいが、身体合併症まで含めた形をこの整備事業の1つの中で予算等々を確保される形のままだと、結局、身体合併の部分の未整備が理由になって全体が評価されているということもあり、もし可能であれば別の形にしていただくとありがたいというのが1点。
 それと、別にしたときの当県の問題かもしれないですが、この精神科救急の事業の中にある身体合併事業ということで、他の事業との連携なりが若干やりにくい部分もありますので、そこがもしここの精神の中の身体だけですよというよりも、先ほど身体合併と救急の関係というお話もあったように、他の事業ともうまく使いやすい形にしていただけるとありがたいと思っております。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。
 現場の自治体の方からの運用のしやすさ、または課題というようなこともこれから引き続きいろいろと教えていただければと思っております。
 その他御質問、御意見ございますでしょうか。
 それでは、大体、初回の御意見、また御質問というものは出尽くしたということで、次回以降また引き続き御議論をお願いいたしたいと思います。
 では、次回の検討会の日程等につきまして事務局からお願いします。

○中谷課長補佐 次回の日程につきましては、6月17日金曜日、午後5時から場所は本日と同じくこちらの会議室を予定しております。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 本日は大変お忙しい中、御議論いただきましてありがとうございました。これをもちまして第1回の検討会を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課精神医療係

電話: 03-5253-1111(3058)

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