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2011年10月20日 第17回社会保障審議会統計分科会議事録

大臣官房統計情報部企画課統計企画調整室

○日時

平成23年10月20日(木)10:30~11:58


○場所

経済産業省別館8階827号会議室


○出席者

委員

西郷分科会長
白波瀬分科会長代理
齋藤委員
津谷委員
小杉委員
佐藤委員
土屋委員
永瀬委員

事務局

伊澤統計情報部長
藤井企画課長
早川統計企画調整室長
中島審査解析室長
瀧村国際分類情報管理室長
小野人口動態・保健統計課長
西村社会統計課長
福元縦断調査室長
上田国民生活基礎調査室長

○議題

1.分科会長の選出及び分科会長代理の指名について
2.WHO-FIC年次会議(トロント)の報告について
3.第2回ICFシンポジウムの報告について
4.調査票情報の二次的利用の状況について
5.東日本大震災の対応状況について
6.その他

○議事

○事務局 (資料等を説明。)

○藤井企画課長 ただいま事務局の方から資料等の説明があったわけでございますけれども、私、今年7月に統計情報部の企画課長を拝命いたしました藤井でございます。最初の議題であります、会長の選出までの間、私の方で司会をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから第17回社会保障審議会統計分科会を開催させていただきたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
冒頭、審議に入ります前に、本分科会委員の新規任命及び再任について御報告させていただきたいと思います。当分科会の各委員におかれましては、今年の1月、8月、そして9月に、任期が満了となったわけでございます。後ほど各委員の皆様方からはご挨拶を賜りたいと考えているわけでございますが、現在、本分科会につきましては、11名の委員で構成させていただいており、そのうち5名、具体的には、廣松毅旧分科会長、岩田正美旧分科会長代理、今田幸子委員、大江和彦委員、柏女霊峰委員の5名が御退任されたわけでございまして、新たに白波瀬佐和子委員、それから本日御欠席の大久保一郎委員、小杉礼子委員、佐藤香委員、また同様に本日御欠席の樋田勉委員に御就任していただいております。なお、6名の委員の方、西郷浩委員、齋藤英彦委員、津谷典子委員、本日御欠席の石川広己委員、土屋了介委員、永瀬伸子委員におかれましては、改めて御就任いただいているわけでございます。
 本日、資料1の2枚目のところに委員名簿を掲載させていただいているわけでございますが、この委員名簿に従いまして、各委員の方々を御紹介したいと思いますので、各委員の皆様には、簡単に一言ずつご挨拶賜ればと思っております。
 石川委員、大久保委員におかれましては本日御欠席ということでございますので、小杉礼子委員の方から、一言賜ればと思います。よろしくお願いします。

○小杉委員 労働政策研究・研修機構、小杉と申します。私の専門は若い人の働き方、あるいは自立の過程というようなところで、ここにどれだけ貢献できるかはわからないのですけれども、若い人の話の中で、ちょっと関係があるかなと思うのは、最近、就職の関係でよく出てくるのは、「発達障害の疑いがある」という言葉なんです。就職状況が悪くなると、その言葉がよく使われるようになるという状況があります。統計分類なども非常に関心がありますので、勉強させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、西郷浩委員より一言いただければと。

○西郷委員 早稲田大学の西郷と申します。よろしくお願いいたします。専門は統計調査論であるとか、政府統計を専門としております。よろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 どうもありがとうございました。
 齋藤英彦委員、よろしくお願いします。

○齋藤委員 名古屋医療センターの齋藤です。私の専門は内科です。以上です。

○藤井企画課長 ありがとうございました。
 佐藤香委員、よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 東京大学社会科学研究所の佐藤香でございます。社会科学研究所はデータアーカイブというものを運営しておりまして、そのデータアーカイブを主に担当しております。公的なセンサスではなくて、企業あるいは研究者などが行う、大体サンプリング調査なのですけれども、この調査データを集めて、寄託いただいて、そして広く研究者に利用していただいております。そういった関係からお声が掛かったんだと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 ありがとうございました。
 白波瀬委員、よろしくお願いします。

○白波瀬委員 東京大学の白波瀬と申します。よろしくお願いいたします。専門は社会学で、特に階層論、少子高齢化について研究をしております。よろしくお願いします。

○藤井企画課長 ありがとうございました。
 土屋了介委員、お願いいたします。

○土屋委員 がん研究会の土屋でございます。もともとの専門は肺がんの外科医でありますけれども、10年ほど前から国立がんセンターの副院長、院長ということで、管理運営、あるいは経営の面から統計に興味を、あるいはまたここで論じられる統計を利用させていただいている立場であります。よろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 ありがとうございました。
 津谷典子委員、お願いいたします。

○津谷委員 慶應義塾大学経済学部の津谷でございます。専門は人口学、社会統計学でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 ありがとうございました。
 樋田勉委員は本日御欠席ということで、永瀬伸子委員、よろしくお願いいたします。

○永瀬委員 お茶の水女子大学の永瀬伸子と申します。専門は労働経済学と社会保障論でございまして、今は女性のキャリア形成とそれから家族形成ということをテーマにしております。ほかにも非正規労働ですとか、あるいは年金の問題ですとか、統計は大変関心を持って使わせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 どうもありがとうございました。
 事務局の方でもちょっと異動がございましたので御紹介させていただきたいと思います。
 統計情報部長の伊澤でございます。

○伊澤統計情報部長 伊澤です。よろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 冒頭申しましたように、本日の出席状況につきましては、11名の委員のうち、3名の委員が御欠席ということでございます。
ただ、出席委員は3分の1を超えておりますので、会議は成立しております。その旨御報告させていただきたいと思います。
 続きまして議題に入らせていただきたいと思います。
1つ目の議題が分科会長の選出についてでございます。
先ほど御案内させていただきましたとおり、前の分科会長でありました廣松委員が御退任されて、現在、分科会長が空席となっているわけでございます。
資料1の裏面にも書いてありますとおり、審議会令5条3項に、分科会の分科会長につきましては、委員の互選により選出するという形になっているところでございます。
本統計分科会におきましては、西郷委員、齋藤委員、白波瀬委員、津谷委員の4名の方が社会保障審議会委員でいらっしゃるわけでございまして、選出方法につきましては、この4名の委員の方からの互選ということになっているわけでございます。
委員の皆様方にお諮りしたいと存じますけれども、立候補及び御推薦はございますでしょうか。

○土屋委員 はい。

○藤井企画課長 土屋委員。

○土屋委員 私はこの分科会のみの委員でありますけれども、以前よりこの分科会で御活躍されていらした、お隣にいらっしゃる西郷委員ですね。大変、統計学や経済統計に造詣が深く、こちらでの御発言も的確でありますので、会長として適任ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○藤井企画課長 ただいま土屋委員から西郷委員を会長にお願いしたらどうかという御発言がございましたが、4名の委員の方々、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○藤井企画課長 「異議がない」という御意見を賜りましたので、西郷委員に本分科会の会長をお願いしたいと存じます。西郷委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは恐縮でございますが、西郷委員には分科会長席の方にお移りいただきまして、以後の進行につきましては、西郷委員の方からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○西郷分科会長 それでは互選ということですので、僭越ながら会長を務めさせていただきます。私、若輩であるというには、もう、とうが立ち過ぎているような感じなんですけれども、こういう席で座長等を務めるという経験はまだまだ余りございませんので、御迷惑をおかけすることがあるかとは思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 というわけで、あまり気のきいたあいさつというものもできませんので、早速仕事の話ということで始めさせていただきます。
 それで、まず最初なんですけれども、社会保障審議会第5条第5項に、要は分科会長の代理を指名するということが定められております。これは分科会長が自分で行うという形になっているわけなんですけれども、そういう決まりがあるなしにかかわらず、実質的にも、私が例えば体を急に悪くするとか、そういうこともございますので、代理をこの場で指名させていただきたいと思います。
それで、私の考えでは、白波瀬委員にお願いしたいと思うんですけれども、白波瀬委員、よろしいでしょうか。

○白波瀬委員 はい。よろしくお願いします。

○西郷分科会長 よろしくお願いします。どうもありがとうございます。では先生、ご挨拶を。

○白波瀬分科会長代理 白波瀬です。西郷委員以上に不慣れで、研究では若輩ですが、よろしくお願いします。代理の役が多分回ってこないということで、お引き受けいたしました。よろしくお願いいたします。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、本題の方に入りたいと思いますけれども、議事次第の方を見ていただきますと、議題として、2番目からその他を含めて6番目まで上がっております。今日は報告事項が中心ということですので、それほど長くかからずに終わるのではないかと思います。よろしくお願いします。
それでは最初の「WHO-FIC年次会議の報告について」ということで、事務局の方からよろしくお願いいたします。

○瀧村国際分類情報管理室長 国際分類情報管理室長、瀧村と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料2を御覧ください。まず「WHO-FICトロント会議報告」の表題のWHO-FICについてでございますが、WHO国際分類ファミリーの略でして、ICD(国際疾病分類) 、ICF(国際生活機能分類)など、WHOが作成いたしました国際分類を中心とした健康に関する情報を国際比較するための分類群をWHO-FICと称しております。そしてWHO-FICトロント会議と申しておりますのは、WHO-FICに関する事業を支援するWHO協力センターが構成しておりますネットワークがありまして、その年次会議が昨年、カナダのトロントで開催されたということでございます。WHO協力センターと申しますのは、WHOの各種事業を専門的、技術的に支援するために、WHOの各地域事務局が指定する機関です。開催期間は平成22年10月16日から22日でした。
 主な議題についてでございますが、(1)の「各種委員会報告」のところを御覧ください。●で3つ、死因分類改正グループ、疾病分類グループ、生活機能分類グループに関して御報告をしております。これらのグループにつきましては、それぞれ対応する形で、ICD(国際疾病分類)の改訂に対する、TAG(分野別検討部会)が昨年発足しております。したがいまして、1番で申しますと、死因分類改正グループと、その隣にありますmTAGと申しておりますICDの改訂に関するグループとが、どのように今後作業を進めていくかということが議論となっておりまして、それぞれに関して今後のことについて議論がありました。
 その他、一番下の生活機能分類グループ、これはICFに関して議論をするグループでございますが、ここではICFの一部改正の提案等につきまして議論が行われておりました。
 続きまして次のページを御覧ください。ページの真ん中辺りに分類改正改訂委員会の御報告がございます。こちらにつきましては、ICD国際疾病分類の一部改正について、主に議論を行う場となっております。この会議からはICF国際生活機能分類の一部改正についても議論の対象となっております。ICDに関しましては101の提案がありまして、このうち48提案が、この対面会議で議論をされております。なお、この対面会議の前にはWeb上での投票が行われておりまして、そこでの決定も含めますと、最終的に60提案が採用されております。ICFに関しましては生活機能分類グループから提案された15提案がすべて採用されております。
 かいつまんで申しまして、その隣のページの全体会議のところでございます。諮問委員会では主に、ICD-10からICD-11への改訂の状況に関する報告がございました。ICD改訂に関しましては20,487コンセプトが全体で登録されておりますが、そのうち14,381が変更なし、また、各分類に附属させる定義の入力ということも、各検討部会で求められているわけですけれども、それは10%しか入力を完了しておりませんで、目標とした進捗状況には至っていないという報告がありました。そのほか、SNOMED-CTと申しまして、世界的に利用されている医学用語集の管理機関でありますIHTSDOとWHOが昨年7月に合意に達したという報告がございました。
 資料につきましては以上でございます。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 今の御報告に関して、何か御質問等ございますか。よろしいですか。
 今は会議そのものについての御報告ということだったんですけれども、新しく来られた方もおられますので、日本と、この会議との関係と言うんでしょうか。例えば何か日本の方から、こういう分類を新たにつくってほしいとか、そういうような発言とか、そういう関わりというのがあるようでしたら、教えていただきたいんですけれども。

○瀧村国際分類情報管理室長 最初に申しましたように、これはWHOの国際分類に関する協力センターを中心としたネットワーク会議でありまして、日本はこの時点では、協力センターに申請中であり、協力センターと同等の立場で参加をしております。それぞれのグループに日本から代表が参加をしておりますけれども、特にURC分類改正改訂委員会におきましては、ICD専門委員会からの御意見に基づきまして、私が提案、投票させていただいております。
 具体的には、主な議論のところにあります心房細動と心房粗動ですが、現在、心房細動と心房粗動は同じコードに分類されておりますけれども、これを2つに分けて、それぞれを細分化するという提案を、日本の方からさせていただき、これが採用されております。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、2番目の議題は以上ということにいたしまして、3番目の「第2回ICFシンポジウムの報告について」ということで、また事務局の方から御報告をお願いします。

○瀧村国際分類情報管理室長 続きましては、資料3の方を御覧ください。「ICFシンポジウムの報告について」でございます。
 1番の「開催概要」ですが、開催日時は平成23年1月22日、虎ノ門のニッショーホールにおいて行いました。主催は厚生労働省、協賛は財団法人厚生統計協会(現厚生労働統計協会)でございます。参加者は154名でございました。
 2番の「シンポジウムの概要」でございますが、このシンポジウムを行うに至った経過でございます。社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会におきまして、ICFの普及について継続的な寄与をすべきという御意見をいただきました。昨年の1月に、その御意見に基づきまして、第1回のシンポジウムを開催しましたところ、参加者の方々から、引き続きこういった講演会を開催してほしいという御意見を多くいただきまして、第2回の開催の運びとなりました。今回は主に福祉医療関係施設、教育分野に従事されます約150名の方々の参加がありました。「ICFの基礎から活用まで」、それから「専門職の卒前・卒後教育におけるICFの活用」をテーマといたしまして、講演者による講演が行われました。前回同様、活発な質疑応答が行われておりまして、非常に有意義な機会となったと思っております。このシンポジウムを契機といたしまして、共通言語としてのICFの教育・普及が発展することを期待しております。
 お手元のパンフレットは、当日参加者にお配りしたパンフレットですので、詳しくはこちらの方を御覧ください。講演者等は、その資料3にありますとおりでございます。
 以上でございます。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、今の御報告に対しまして、何か御質問等ございますか。ございませんか。
私からばかり聞いていて恐縮なんですけれども、このICFというものは、統計や何かを作成するときに、必ずこういう分類に従わなきゃいけないというような強い基準なのか、それとも何か政策なり何なりを進めていくに当たって、参照のために使ってくださいというぐらいの、非常に緩い基準なのか、そもそもその基準の強さというのでしょうか。どの程度のものなのかということについて、ちょっと教えていただけるでしょうか。

○瀧村国際分類情報管理室長 WHOの国際分類の1つでありまして、加盟国には勧告をしておりますが、国内の整理で申しますと、統計基準にはなっておりません。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、今度は議題の4番目の方に移らせていただきますけれども、「調査票情報の二次的利用」。いわゆる二次的利用と略されていますけれども、厚生労働省の方でもそのような取り組みを始めておりますので、それに関して御報告いただきます。よろしくお願いいたします。

○早川統計企画調整室長 続きまして、統計企画調整室長の早川でございます。資料4-1をお開きいただきたいと思います。二次的利用につきましては、ここの資料に掲げてございますように、1つはオーダーメード集計というものでございます。もう1つが匿名データの作成・提供という、2つに分かれているところでございます。
 こちらの方を御説明申し上げますと、1つ、オーダーメード集計というのがございます。これは既存の統計調査で得られた調査票情報を活用いたしまして、普通は報告書がそれでつくられるわけですけれども、それに漏れているものにつきまして、ただし、統計実施機関があらかじめ提示する分類項目を組み合わせた新しい集計を、申出者から委託を受けて、その結果を提供するというものになってございます。これは統計法の34条に根拠がございまして、統計情報部のこれまでのオーダーメード集計に関する取り組みといたしましては、ここに掲げたように、昨年の2月からオーダーメード集計の受付を開始しております。具体的に賃金構造基本統計調査、人口動態統計調査、毎月勤労統計調査、あと、医療施設(静態)調査と患者調査といったものがオーダーメード集計を受け付けるような形になっております。今後の予定といたしまして、来年2月から平成20年の賃金構造基本統計調査のオーダーメード集計を受け付ける予定としておるところでございます。
 それからもう一つ、統計法35条、36条に基づく匿名データの作成・提供というものがございます。この匿名データとは一体何かというものなんですけれども、調査実施機関が、統計調査から得られた調査票情報につきまして、調査客体が特定されないように加工することで、元々住所や氏名といった、具体的な個人情報は当然取り除かれているわけですけれども、個々のデータの特徴から、誰だか間接的にわかることがないように、さまざまな工夫をするということが匿名措置というものになっております。こういった加工したデータを匿名データとして、利用申し出があった方に対して提供するというものになってございます。
 この匿名データを用いますと、いろいろな統計表の作成が、利用者の方で十分にできるということで、統計的研究を深めることができるであろうと期待されているというところでございます。根拠法は35条に掲げておりますけれども、35条が作成できるという書きぶりになっておりまして、36条は、提供することができるといった書きぶりで、条文上は、作成と提供が別々の情報になってございます。
 匿名データにつきましては、基幹統計のものについては、統計委員会に諮らなければならないことが法律上定められておりまして、統計委員会での御審議も経た上で、今年の9月から平成16年の国民生活基礎調査の匿名データの提供が開始されているということでございます。
 こういった二次的利用の状況について、概念的なものが、後ろのページについてございます。下半分のところにマルとかバツが付いているところがございますけれども、新しい統計法のもとでは、学術研究や高等教育に関しては、二次的利用の提供の拡大ということが図られたということで、今、御説明いたしましたオーダーメード集計とか、匿名データの提供が行われるようになったというのが、新しい話でございます。
 この二次的利用の作成・提供に関するポイントということで、特に匿名データに関しての議論になるんですけれども、マルバツ表の右側に、てんびんの絵が出ておりますけれども、データの有用性の観点と、秘匿性の観点というものが、相反する概念としてございます。元々の調査票情報そのものを提供するということが、有用性にとって一番高いということになるんですけれども、そういった場合には、住所や氏名というような直接的に個人を特定するデータは入っていないにしても、あらかじめ何か用意された名簿データみたいなものと突き合わせることによって、どこの誰だかが、間接的に推理されてしまうということがあると、実際には匿名化していないというような問題になりますので、そういったことが起きないように秘匿化するということが求められると。これは何かといいますと、この下の方に書いてありますけれども、誰がどういう答えをしたのかがわからないという信頼のもとに統計調査が行われているにもかかわらず、あなたがこういう答えをしましたねということがいつの間にか筒抜けになっているということは、統計調査に関する国民の信頼を失うことになり、回収率の低下が起こるのではないか、最終的には根拠に基づく政策の推進に影響が生じるであろうということで、この辺に関しては、まだ匿名データの提供というのは開始されたばかりということで、各省庁の取り組みについても、かなり慎重な形で今、行われているということでございます。
 具体的に厚生労働省でオーダーメード集計や匿名データの提供というのが、どういった形で申し込めるようになっているかを御紹介したものが、次の資料4-2でございます。これは見てのとおりの形で、これは厚生労働省のホームページから入って、順次クリックしていただきますと、このページにたどりつくようになっております。まず最初が、委託による統計の作成等ということで、オーダーメード集計についてということで、最初にどういったものでしょうかというものが、絵で説明されておりまして、その後、利用相談に当たってということで、いきなり申し込まれても、慣れていない申請書を書かれるのには、いろいろあるでしょうということで、まずお問い合わせ窓口に御相談くださいという形になっております。
 「オーダーメード集計の利用要件」というものがありまして、これは誰でもできるものではないというのが多少目立つような形になっております。1つが学術研究の発展に資するものと。もう1つが、高等教育の発展に資するものということで、いずれにおきましても、[2]に書いてありますけれども、統計成果物を用いて行った学術研究の成果が公表されること。もう1つの方も、統計成果物を用いて行った教育内容が公表されることということが利用の条件になっているということでございます。例として、次のような方が該当するということで、大学、シンクタンク、あとは学術研究を行っている研究者などというようなものが、通常、利用者として該当する人たちであるということになっております。
 具体的な調査については、次のページを御覧いただきますと、オーダーメードの対象となる調査ということで、調査名と受付機関、問い合わせ窓口といったものが表になって出ております。上からいきますと、人口動態調査、医療施設調査、患者調査、毎月勤労統計調査、次のページに行きますと賃金構造基本統計調査というようなものになっております。
 ここでちょっと注意していただきたいのが、いずれの調査におきましても、受付時期というものがございまして、大体24年の2月末までという形で、受付時期が一応切られております。そこが留意点ということでございます。
 それから一般的な留意事項としまして、その次に○で書いてありますけれども、オーダーメード集計に使用する調査票情報は統計調査対象者の回答に基づくものでありますので、必ずしも項目間に整合性が取れていないものがあるといったような留意事項が書かれております。
 あとはこのオーダーメード集計に関しましては、実は有料で対応しているということになります。ここに手数料は幾らぐらいかかりますかというQ&Aがありますけれども、最低5,900円からの料金ということになっておりまして、高いというか、安いというか、その辺は御判断いただければというような形になっております。
 以上がオーダーメード集計に関しましてのホームページ上の情報でございます。
 続きまして、資料4-3、匿名データの提供ということで、こちらの方も、ホームページに出ているものを資料として付けさせていただいております。現在、利用可能な匿名データというのは、先ほども申し上げましたように、平成16年の国民生活基礎調査のものでございまして、データセットといたしましては、データAというもの。これは世帯票と健康票を接続したもの。あとはデータBということで、世帯票、健康票、所得票、貯蓄票をくっつけたものという、2種類になっております。
 利用の要件につきましても、基本的には匿名データとそれほど大きく変わりませんけれども、学術研究目的または高等教育目的ということで、いずれにいたしましても、学術研究の成果や教育内容が公表されるということが利用の要件になっているということでございます。
 こちらの方につきましては、先ほども申し上げましたように、匿名データというのは調査票の生データ全てを提供するわけではございませんで、一定の秘匿措置ということで、表章の階級区分を少し狭めるとか、あと特定の、余り出現頻度が高くないであろう世帯、例えば三つ子がいるとか、四つ子がいるとか、極端に年齢の離れた夫婦とか、逆に年齢差が極めて少ない親子とか、そういった珍しいようなものについては、データから落としておりますので、必ずしも元のデータとそっくり同じ結果が出るものではないというのが、特徴になっております。この辺につきましては、統計委員会の議論の中でも、主要な結果表について、元のデータと大きくずれていないのかということは検証しておりますので、通常の利用に当たっては、それほど大きな支障はないものとなっております。
 絵の方には利用手続きの概要というような形で、具体的にどういった手続きをすればデータの借り出しができるのかということが出ております。こちらにつきましても、事前に窓口の方までお問い合わせ願えれば、スムーズな対応ができるということで、まずは窓口に連絡いただければということでございます。
 こちらにつきましても、手数料がかかるということで、5)のところにも出ておりますけれども、1件当たりとファイル数に応じた料金と、あとは提供するメディアの実費というような形で料金が設定されているということでございます。こちらの方は9月の頭からの提供となっております。
 次のページには提供窓口という形で出ております。7番に提供の窓口が出ておりますので、利用したいとお考えの方は、こういったところから利用していただければというふうに考えております。
 もう一枚めくっていただきまして、これは政府全体での、オーダーメード集計と匿名データに関するパンフレットのコピーになっております。利用対象者、条件とかにつきましては、先ほど申し上げたのと全く同じになっておりまして、この後ろ側を見ていただきますと、今、政府全体として、いわゆる二次的利用ができるものの一覧というものが出ております。わかりにくいですけれども、これは「オ」というのがオーダーメード集計で、「匿」というのが匿名データということで、例えば統計センターの方で言いますと、住宅土地統計調査についてはオーダーメード集計も匿名データでの対応もしているといったような形になっております。全体的に見ますとオーダーメード集計の方が多くて、まだ匿名データについては、提供がなかなか進んできていないという状況になっています。
 現在、統計委員会の方で、匿名データの作成について諮問されているものが1つありまして、労働力調査が匿名データの作成ということで、今、統計委員会の方で審議されているというような状況になっているところでございます。
 資料4につきましては以上でございます。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは今の御報告に対して御質問等ありましたら、委員の方は皆さん、パワーユーザー及び民間統計の専門家ということで、議論し出すと何時間あっても足りないかなという感じもするんですけれども、是非御発言いただければと思います。

○津谷委員 ここでお尋ね、恐らく余りおっしゃりたくなかったのかもしれません。でも何件ぐらい、オーダーメード集計の申請がございましたんでしょうか。それから国民生活基礎調査、これは9月に匿名データが利用可能になったばかりということで、まだ時間は経っていないんですけれども、利用申請、どれくらいありましたか、ちょっと具体的に件数をお教えください。

○中島審査解析室長 審査解析室の中島でございます。利用件数ですけれども、オーダーメードについては、まだ実績ございません。それから匿名についても、まだ実績がないという状況でございます。

○津谷委員 すみません、ちょっと確認。匿名データの方はゼロ、出たばっかりということなんですが、オーダーメードはこれ。

○中島審査解析室長 21年度からやっております。

○津谷委員 そうですね。まだゼロですか。

○中島審査解析室長 まだゼロでございます。

○津谷委員 国民生活基礎調査だけじゃなくて、全ての、この人口動態調査、患者調査、医療施設調査、全部含めてゼロですか。

○中島審査解析室長 全部含めて。国民生活基礎調査はオーダーはやっておりません。

○津谷委員 やっていない。すみません。ただ、全てですか。

○中島審査解析室長 はい。

○津谷委員 すみません、しつこくて。

○伊澤統計情報部長 ちょっと補足いたしますと、そういうことなものですから、我々としては、せっかく21年の新しい統計法ができたときに、行政のための統計ではなくて、国民の財産としての統計ということで、二次的利用を促進していこうということで始めたものでございますので、是非ともこういう形で提供しているからには、皆さん方に使っていただきたいということで考えておりますので、例えばオーダーメード集計についても、まだ、22年2月からやっておりますけれども、実績がないということでございますので、その辺の原因などもちょっと今、検討したりしております。なるべく利用していただこうということで考えておりますけれども、もう一つはPRも足りないのかなと思っておりまして、皆さん方にも、こういったものがあるということで御理解いただき、広めていただけたらと思いますし、また、もっと利用しやすいものに改善できないかということは考えていきたいというふうに思っております。

○西郷分科会長 ほかに質問はございませんか。

○津谷委員 すみません、いいですか。匿名データ化したときにも、私ちょっと関わったものですから、大変時間をかけて、オーダーメード集計なんかにつきましても、ゼロということについて、確かに、広報が恐らく不足しているのかなと。政府統計ということで、ちょっと敷居が高いということもあるのかなと。いろいろ考えるわけですけれども、これはそれほどたくさん利用を促進することはないかもしれませんけれども、例えば大学院生なんかを対象にしたときに、使い勝手をよくしてやるということと、先ほどちょっとコストの問題が出ていましたけれども、もちろんユーロスタットなんかは大変お金が高いですし、データのセキュリティーをきちんとするというので、とてつもない厚い応募申請用紙が来るわけですが、ただ、一方で、アメリカなんかも、誰でもダウンロードできてしまうということもあるわけでして、その両極端の間を取っているにしても、特に院生、若手研究者の人を対象にしたときに、利用料金というんですか、恐らく自分で、自費で出しているということを考えると、例えば学位論文、修士論文のために利用するなんていうときには、ほぼ無料で出してあげるとか、そういうふうな対応を心がけて、学会なんかを通じて、それを広く広報されるということも1つの手段、方法かなというふうに考えます。

○中島審査解析室長 PRですけれども、現在、各種学会等へ参加し、広報を行って、また同時に意見交換などを通じてニーズとかを把握しておりまして、それ以外にもホームページでも当然周知しております。それから先ほどお話がありましたけれども、少し内容も充実しなければいけないかなということで、例えばこの11月から、オーダーメードのクロスがありますね、次元数ですか。これを今まで3次元としていた調査を5次元にするとか、いろいろ改善は図っていきたいと思っております。ただ、利用料金は、これは政令で決まっておりますもので、ただ、総務省の方でも統計データの二次的利用促進に関する研究会というのを開催しておりまして、有識者の先生を交えた研究会がございます。この中で、二次的利用についていろいろ検討していきたいということで、今年度からでしたか、2年間ぐらいをめどに、法改正も含めて検討するということになっておりますので、そちらの方の検討状況も見てまいりたいと思っております。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 ほかにございますか。よろしくお願いします。

○土屋委員 二次的利用の一番意欲をかき立てるのは営利目的だろうと思うんですが、ここがないのでなかなか要求がないのかなという思いがあるんですが、オーダーメードの利用要件の該当者ですね。これは大学等学術研究、これはすぐわかるんですが、次にシンクタンク等ですね。この定義というのはどういうことになっているんでしょうか。

○中島審査解析室長 学術研究目的であれば、名前にかかわらず申請できますので、特にシンクタンクという名が付いていなくても、学術目的であれば利用できます。

○土屋委員 民間のいわゆる研究所と称するような財団とか、そういうものでよろしいと。

○中島審査解析室長 そういうところも可能になっております。

○土屋委員 かなり財団と称しても、企業と密接な関係にあるようなところがありますね。論文は仕上げるけれども、更に二次的目的が営利に結び付くようなという。その辺は大変、見極めが難しいとは思うんです。その辺がある程度あると、利用の意欲というのはかなり出るかなという気がするのですが。

○中島審査解析室長 営利目的となると認められませんけれども、目的はあくまで学術研究だということであれば、民間でも可能ということになっています。

○佐藤委員 利用要件のところに教育目的で申請できるということなんですが、教育内容が公表されることというのが書いてあるんですが、これはどういうことを。授業の。

○中島審査解析室長 例えば大学ですと、どんな講義の名称、それからあと、その中でどう使ったというのがあれば構いません。

○西郷分科会長 研究成果なんかですと、ちょっとわかりやすいんですけれども、教育の内容を公表しなければいけないということが義務づけられると、一体どこまで何をやればいいのかなというのが、なかなか難しいという御質問だと思うんですけれども。

○中島審査解析室長 細かいところまでは必要ございませんで、大学の教育のいわゆるシラバスというようなものが申請書にあれば、それから利用結果報告書にあれば認められます。

○西郷分科会長 お願いします。

○齋藤委員 今のに関連してなんですけれども、オーダーメード集計の対象となる調査というのは、例えば平成20年の場合は、23年の8月から24年の2月末日とか、受付時期が限られていますね。これを越してしまうと、平成20年度のものをオーダーメード集計をお願いすることはできないという、そういう仕組みなんですか。毎年変わっていくわけですか。

○中島審査解析室長 いえ、これは事実上、また年度が変われば提供されていきます。例えば24年2月までとなっておりましても、また24年の4月以降、開始される。

○齋藤委員 その対象年次ですが、ずっと例えば平成5年のものを対象にしてとか、そういうことも可能なんですか。

○中島審査解析室長 過去のものですか、平成5年。過去については今のところ提供しておりませんので、今後、拡大していくことになれば、どちらかといえば最新の方へ、新しい方へ向けて拡大していくと。過去のものについては、特に強い要望があれば、また検討いたしますけれども、原則として、拡大は最近の方に向かって行うという予定になっております。

○白波瀬分科会長代理 ありがとうございます。2点ほどあります。1点目はオーダーメードについてです。このパンフレットの後ろに、厚生労働省だけではなくて、他の省庁でのオーダーメード利用がありますが、オーダーメード利用が低いのは厚生労働省だけの問題ではなく、他省庁も同様に低いということが考えられます。つまり、厚生労働省でのオーダーメード利用が進んでいない状況に対する対策を考える前に、オーダーメードというサービスそのものについて検討が必要ではないかということを、申し上げたいと思います。もしかしたら、オーダーメードを提供しているところすべてで利用率が低いということは十分考えられますので。どうも現状を見る限り、オーダーメードというデータ利用が使い勝手が悪いという印象があります。しかしながら、事務方としてはいつくるかわからないオーダーメード利用申請に常時備えておかなければならない、という状況があります。ここで、事務方を含むコストパフォーマンスも考慮してみると、オーダーメードというデータ提供サービスの在り方について、厚生労働省の統計という枠を超えた、もう少し大きなところで考えなくてはいけないかもしれないという気がいたしました。
オーダーメードの利用者として、学術の分野が中心的に念頭に置かれているということですが、オーダーメードを申請するには頭の中でクロス表をまず考えて、周到に準備して申請する、という過程を踏まなくてはなりませんので、データそのものを熟知している必要があります。ですから、行政の個票データ利用の普及という観点からすると、オーダーメードというよりも、ミクロデータに直接触れて分析するという方法の方が望ましいといえるかもしれません。大学院生でミクロデータに興味があると、オーダーメードを申請するというよりも匿名データ申請に流れる可能性も十分あります。つまり、データ利用の顧客というか対象者を想定して、どこの部分に一番ニーズが高いのかを検討し、データ利用にあたっての申請方法について逆方向から考えてもいいかなという感じはいたしました。
 2点目なんですけれども、匿名データ化する場合の加工の仕方というか、これは何かマニュアルというようなものがあるのでしょうか。これが2点目の質問です。

○中島審査解析室長 それではまず1点目ですけれども、総務省で統計法施行状況報告というのが出ておりまして、これで昨年、平成22年度中、全省庁合わせて、オーダーメード集計の利用実績は12件でございました。その前の年は4件ですから、増えているといえば増えています。ただ、匿名の方は、昨年は総務省の4調査のみが対象でしたが、こちらは22年度中、38件の実績がありますので、全省庁というか、匿名は総務省だけですが、やはりオーダーメードというのは、集計表が今、本体の集計表でも非常に充実しておりますね、各調査。ですから、それ以上のものを求めるというのは、なかなか少ないということも考えられます。やはりオーダーメードというのは、それほど全省庁的に量は伸びていないということでございます。
 ただ、匿名データは先ほど御説明いたしましたように、本体調査の値とはちょっとずれた値が出てくるところもある。ところがオーダーメードの方は本体調査データを集計いたします。ですから、それなりの利用価値はあるかなということでございます。ただ、いろいろ問題もありますので、先ほど申し上げましたように、総務省の研究会で、オーダーメードについてもいろいろ利用条件とかについて検討するという見込みになっております。
 2点目は、マニュアルですか。これはマニュアルというのは、実は先行するのが総務省だけだったので、総務省の考え方を示したようなもの、あるいはその実績というのですか、どうやってやっている、そういうのはありますけれども、公的に、これに従いなさいというようなものはない。公的なものはないのですけれども、一応、総務省の考え方を示したものはございます。ただ、抽出方法も違えば、利用対象も違うような調査に、そっくりそのまま使うわけにいきませんので、やはり調査ごとに、その中から取捨選択するとか、新たな方法を考えるとかやっていかなければいけないというのが実情でございます。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 永瀬先生、よろしくお願いします。

○永瀬委員 利用状況の説明、大変ありがとうございました。私、今年の9月ぐらいに国際学会に出たときに、国勢調査のオーダーメード集計を用いた国際結婚の分析の研究を伺い大変おもしろい知見だと思いました。ただ、オーダーメード集計で、それなりのおもしろさを出すためには、統計を非常によく知っているということと、かつ、うまくその統計の特性を生かして使えることがないと、なかなかうまくいかないところがございます。そういう意味では、匿名データの方に希望が多かったということであれば、世帯ベース、個人ベースの統計、たとえば賃金構造基本統計調査は、ここの委員会の審議対象ではないのかもしれませんけれども、例えばそういう統計のさらなる匿名化というのが1つ、研究の発展に重要なのかなと思いました。感想でございます。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 ほかにございますか。恐らく私の個人の印象ですけれども、提供する側は非常に努力なさっていて、先ほどお話ありましたけれども、調査ごとに調査の設計が違うので、秘匿の仕方や何かも、その都度研究してやらなきゃいけない。それは今までになかった仕事なので、ほとんどエクストラワークという形で御対応いただいている形になると思います。勿論、提供する側にいろいろ注文を出すということも大切なんですが、我々大学の教員の方で、むしろ提供する側が困るぐらいの需要がばっと出てくるというのは、多分こういうことを始めたときのイメージはそんな感じだったのではなかったかと思うんですが、どうもそうじゃないというのは、教えている側にも相当の責任があるんじゃないかというふうに、私自身は感じておりますので、是非この機会に、どうしたら学生がこういうことに興味を持って、先生お金くださいとか、研究費どんどん取ってきてくださいというような形になるのがいいんじゃないかと、個人的には思っているという次第です。
 どうもありがとうございました。まだまだいろいろ御質問等があるかもしれませんけれども、ほかに議題がまだございますので、5番目の東日本大震災の対応状況についてということで、御報告いただきたいと思います。

○早川統計企画調整室長 続きまして資料5をお開きください。こちらで「厚生労働省における東日本大震災の対応状況」ということで、1枚付けてございます。
 ここに掲げておりますのは、特に基幹統計調査における震災の対応状況をとりまとめてございます。数的に言いますと、○の2つ目にありますけれども、大震災に対して特別な措置を講じたものということで、大きな被害を受けた地域を対象地域から除外するというものが3調査、それから調査の対象、項目の限定などを行ったものが2調査、それから集計、推計の方法や公表時期などを変更したものが2調査、その他、参考値の公表などを行ったものが1調査というふうになっております。
 具体的に各統計調査について、どういう状況かと申しますと、この表に入ります。まず人口動態統計でございますけれども、こちらの方は、基本的には戸籍の届出に基づいた集計という形になっておりまして、事務的に届け出が遅れるといったようなものが発生しているということでございまして、速報と月報では、まず各月の速報集計までに集計できなかった調査票の枚数は含まないということになっております。収集できなかったもの、集めることができなかった調査票については、これは基本的には遅れて届いてきますので、収集できた時点の月分の速報通知に含めて公表しております。大体、人口動態統計は毎年9月ごろに確定数というものを出しておりますけれども、そういった形の中では、届け出が届いた月別ではなくて、事象が発生した月別の集計を行うという予定にしているということでございます。
 続きまして、医療施設調査でございます。動態調査は常時行っておりますけれども、この集計は従来の方法で行っております。ただ、これも届け出に基づくものになっておりますので、実際の数値と異なる可能性がありますということで、集計・公表の取り扱いについて、そういった状況にあるということを発表しているということでございます。
 あと3年に1度の静態調査というのをちょうど今年実施する年になっておりまして、この静態調査におきましては、宮城県における一部地域の病院及び診療所、ここについては調査項目を限定して実施することにしております。それから福島県の病院については、調査項目を限定するとともに、県が電話で聞き取りを行って記入する方法に変更して実施しております。福島県の診療所については、調査の対象から除外ということで、福島県へ連絡しているということでございます。
 それから患者調査につきましても、これも3年に1度の調査なんですが、今年が調査の年になっておりまして、まさに今月が調査月になっているわけですけれども、宮城県の一部地域と福島県の全域については、調査を行わないということで対応しております。
 それから国民生活基礎調査につきましては、これは6月、7月が調査の実施月だったわけですけれども、被災3県であります岩手県、宮城県、福島県については調査を実施しないということで連絡しております。
 めくっていただきまして、あと薬事工業生産動態統計調査というものもありますけれども、こちらの方は被災による調査票の提出困難という対象事業者、非常に少数で1けたであったということで、非常に影響は軽微ということでございまして、通常どおりの集計・公表をしているということでございます。事業所調査の悉皆調査になっておりまして、大体対象が4,000事業所ぐらいありまして、そのうちの数件ということですので、ほとんど数値には影響ないというふうに判断されているということでございます。
 それから毎月勤労統計調査につきましては、これは調査員を使って実施している部分につきましては、岩手県、宮城県、福島県については、3~4月、宮城県におきましては5月分についても調査員における調査は中止しているということでございます。
 あと、東京電力福島第一原発の周辺は、今、一般の人は立ち入りができず、郵便物も届かないような状況になっていますので、ここは調査を中止しております。毎月勤労統計調査につきましては、震災に係る特別な集計というものを出しておりまして、ここに書いてありますが、東日本とそれ以外というふうに書いてありますけれども、具体的には東京電力と東北電力の管内と、それ以外というような形の2区分で地域別の集計をして、毎月、今、公表を続けている状況でございます。
 それから賃金構造基本統計調査につきましては、可能な限り調査を実施するということで、従来どおりの集計・公表の状況になっております。具体的に、例えば調査しようとした事業所が、地震や津波の影響で、事業所自身が消えてなくなっているという場合には、通常、事業が廃止されているところに当たってしまったというのと同じような扱いで、代替の事業所に当て直すというような対応ということで、平常どおりの対応という範囲内でやっているということでございます。
 震災の取り組み状況については、以上でございます。

○西郷分科会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問等ございますか。よろしいですか。

○土屋委員 これは医政局に伺うべき問題かもしれませんけれども、医療施設調査と患者調査で、宮城県の一部と福島県の一部はやむを得ないと思うんですが、福島県は全域で患者調査とか、静態を行わないというのは、地域保健医療計画の策定に障害を及ぼさないのかどうかということをちょっと心配するんですが、いかがでしょう。

○早川統計企画調整室長 福島県の状況ですけれども、医療施設調査については、少なくとも病院の数とか病床数については、これは県が電話で聞き取りと書いてありますけれども、必要最低限の情報は何とか死守しようというふうに取り組んでおります。患者調査なんですけれども、これは今、福島県は特に地震だけの影響ではなくて、原発の影響もあって、平時でない状況が続いているということで、そういった状況をあえて調査したとしても、その後の利用に耐え得るかという考え方から、患者調査の方については今回見送るという形を取っております。

○西郷分科会長 よろしいですか。今のお答え。ほかに何かございますか。厚生労働省は世帯の調査と事業所の調査と両方抱えているということで、対応もすごく大変だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、その他で何件かあると伺っておりますので、事務局の方からよろしくお願いいたします。

○早川統計企画調整室長 あと参考資料について簡単に御説明をしたいと思います。参考資料1、横の方になっておりますけれども、厚生労働省所管の基幹統計と基幹統計調査の一覧ということで、これは厚生統計に限ったものとして一覧を付けさせていただいております。当分科会は社会保障審議会の下の分科会になっておりますので、厚生統計分野を対象にするということで、こういった資料にさせていただいております。基幹統計及び基幹統計調査というふうに使い分けているんですけれども、今の統計法では、基幹統計というものが独立してありまして、その基幹統計を作成するために行う調査というのを基幹統計調査というふうに、2段構えになっております。厚生労働省の基幹統計はほとんど調査を伴っているんですけれども、この表を見ていただきますと、人口動態調査の下に「生命表(加工統計)」というふうにございまして、こちらの方は昨年、当分科会にもお諮りしましたけれども、この生命表の加工統計部分が独立して、基幹統計という形になっております。残りのものにつきましては、基幹統計でもあり、基幹統計調査でもあるという形になっております。
 もう一枚めくっていただきまして、参考資料2でございます。統計委員会の方で作成されております公的統計の整備に関する基本的な計画、俗称基本計画と言っているものがございまして、これは平成21年3月の閣議決定事項でございますけれども、この中の別表の中に、新たに基幹統計として整備する統計というのがございまして、この中で厚生労働省分としては、生命表と社会保障給付費と2つ掲げられております。実施時期が書かれておりまして、生命表におきましては平成22年度までに整備するということで、22年度中に基幹統計になったということでございます。
 もう一つ、社会保障給付費というものがありまして、これが基幹統計として整備される予定になっておりまして、今、事務的に進めているということでございます。参考のために社会保障給付費とはどんなものかということで、席に横紙で、ちょっと小さいですけれども、平成20年度の社会保障給付費ということで、国立社会保障・人口問題研究所がとりまとめました報告書のコピーを付けさせていただいております。ざっと見ていただきますと、小さい字で恐縮ですけれども、めくっていただきますと、2枚目ぐらいにページ数で言うと2というのがありまして、基本的に社会保障の給付費がどのくらいあるかということをとりまとめているということです。平成20年度の社会保障給付費の総額は94兆848億円であるということで、100兆に迫る勢いになっているというようなことが、これを見るとわかるということで、元のデータにつきましては、社会保障をやっている国なり、健康保険組合とか、そういったところの決算データを束ねているというようなものでございまして、1つの特徴として、こういった給付費だけではなくて、もうちょっとめくっていただきますと、22ページぐらいになりますと、社会保障の費用といったようなものが、誰がどういう負担をしているのかというようなものも、一覧できるようになっているという形で整理されているものが、この報告書の特徴になっております。
 あと、この社会保障につきましては、国際的な基準というのがILO基準とOECD基準と2つあって、それにのっとったものとして、後ろの方にも、基本的にはこれはILO基準でつくられていますけれども、後ろの方に参考で、OECD基準で見ると今度どうなるということで、国際比較もできるような便利なものという形になっておりまして、これを閣議決定では基幹統計にするということになっておりまして、今、取り組んでいる状況になっているということを御紹介したいと思います。
 その他の事項としましては、以上でございます。

○西郷分科会長 ありがとうございます。
 今のその他の中での御報告、社会保障給付費等について、何か御質問はございますか。
 どうぞ。

○永瀬委員 ありがとうございます。この参考資料2に「社会保障給付費に関する研究会を発足させ」とありますが、私はこれに実は参加させていただいておりますので、基幹統計化を今、進めようとしているんだということは存じておりまして、これからますます社会保障は大きくなっていきますので、社会保障給付費がしっかりと集計できていることは大変重要だと思っております。また国際比較もできるように、今度、基準をSOCXに合わせるのかどうかといったような点もあると思いますけれども、なるべく粛々と、是非進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○西郷分科会長 どうもありがとうございます。
 ほかにございますか。
 なければ議事は全部終わったということで、バトンの方は事務局の方にお返しするということでよろしいですか。

○永瀬委員 いつごろから進みそうなんですか。予定としては何年ごろ、今年中というふうになっているということですね。

○早川統計企画調整室長 ちょっと今のところ、具体的にどういったスケジュールになるかというところまでは、申し上げられるような状況にはなっていないということでございます。粛々と進めてという形で。

○永瀬委員 できるだけ早急によろしくお願いいたします。

○西郷分科会長 それでは、事務局にバトンの方をお返しいたしますので、よろしくお願いいたします。

○藤井企画課長 本日は長時間にわたり御審議いただきましてありがとうございました。次回の開催につきましては、先ほど永瀬委員の方から御質問等のあった話もございますが、いずれにいたしましても次回の開催につきましては、別途日程調整をさせていただき、改めて御案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして、本日の分科会は終了させていただきます。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)
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