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2011年10月27日 第6回非正規雇用のビジョンに関する懇談会議事概要

職業安定局派遣・有期労働対策部企画課

○日時

平成23年10月27日(木)
13:00~16:00


○場所

職業安定局第1会議室


○出席者

樋口座長 小杉委員 佐藤委員 柴田委員 諏訪委員 横溝委員


○議題

企業からのヒアリング

○議事

A社:飲食業
<会社側説明>
○従業員約28,000名のうち、非正規社員が9割。(非正規社員のうち約8割が女性)
○社内の人財発掘のため、グループ統一の基準を策定し、正社員登用制度を導入。
○正社員登用制度の導入にあたっては、雇用区分を以下のとおり整理
(1)正社員(ア:勤務地非限定(総合職)、イ:勤務地限定、ウ:店舗限定)
(2)専門契約社員(1年契約(年俸契約))
(3)一般契約社員(1年契約)
(4)パート・アルバイト(3ヶ月契約)
○登用試験は筆記と面接で現在年1回実施。
対象は59歳未満の一般契約社員であり、勤続2年以上、店舗責任者又は有資格者(栄養士等)であることが条件。
○登用人数は雇用区分整理時の2008年4月には約500人だったが、以降毎年20~40人程度で推移。合格率は10%~20%程度。
○効果は、離職率の低下と従業員のモチベーションの向上。
○課題は、(1)会社で登用したい人材とのミスマッチ(オペレーション技術等は高いが、試験に合格しない等)、(2)景気悪化の影響等による登用人数の絞込み、(3)登用希望者への教育制度の充実。

<組合側説明>
○契約社員は加入しているが、パート・アルバイトの社員は加入しておらず、組織率は20%程度。給食業界は1年ごとに入札で業者を決めるため、雇用主が変わりやすく、転勤を希望しないパート・アルバイト社員を加入させても守り切れない。

<主な質疑>
○登用制度と新卒採用との関係、バランスはどうなっているのか。登用されるのはどういう属性の人が多いのか。
→ 新卒は総合職採用と栄養士採用があり、栄養士職は4年制卒が「勤務地域限定」、2年制卒が「店舗限定」。総合職は様々な業務をローテーションで異動。登用は栄養士、調理師等の有資格者が多く、まずはその事業所で勤務。30代後半から50代が多い。(会社)
○正社員化した際、人件費の総額は膨らんだか。コストが上がっても生産性の向上等で収益としてはプラスの効果があったのか。
→ 契約社員の中には給与が高い人もおり、給与面での大きなコストアップはなかった。社会保険料や退職金の影響もそれほどない。収益効果については、数字では見えにくいが一定の効果があったと認識をしている。(会社)
○正社員への登用制度について組合側から見てどう考えているか。
→導入当初は500人登用されたためインパクトがあったが、その後登用される人数が絞られてしまった。モチベーション確保のため、毎年100名程度の登用があるとよい。また、20代前半の正社員を希望する者にも門戸を開いてほしい。すぐに正社員になりたい若者にとっては勤続2年の要件がネック。登用制度については組合としても交渉を行っている。(組合)

B社:ソフトウェア開発業 
<説明>  ※ 労働組合はないため、社員が同席して補足説明。
○社員数は約300名(役員、執行役員、派遣除く。)。ほぼ全てが正社員。
○2007年2月から、裁量労働を適用するワーク重視の人事制度と、所定労働時間ベースとしたライフ重視の人事制度(基本残業なし、短時間勤務も可能。)の2種類を設け、ライフステージの変化に応じて選択可能(年1回)とした。
○ライフ重視の人事制度の賃金は、ワーク重視の人事制度の月給からみなし残業代(40時間分)をひいて時給換算した額に、労働時間を掛けて算出。賞与はいずれの制度でも同じ計算式で算出。
○ライフ重視の人事制度を現在選択している社員は20名程度(累計でも30名程度)。
○導入の効果は、離職率の低下。
○課題としては、ライフ重視の人事制度について在宅勤務制度・テレワークの導入により労働時間を確認することがより困難になっている点、社員が自立していないと周囲との比較でライフ重視の人事制度を選択しづらい点などがある。

<主な質疑>
○格付けが同じままワーク重視とライフ重視の人事制度を行き来できるとすると、ライフ重視を選択する者が増え、会社として、生産性が下がり問題ではないか。
→ 短時間勤務となってアウトプットの量は減っているが、自身の能力はむしろ少しあがっている。時間分の給与をもらえるから生産性を落としてよいとは考えていない。(社員)
→ 制度が悪用された場合には、ベースの評価を下げる。(会社)
○ライフ重視を社員が選択した場合、要員管理や仕事の与え方はどう対応しているのか。
→その点は課題。現在は現場のマネージャーや社員同士で調整をしている。社員がライフ重視を宣言していることでマネジメントをしやくすなっている面はある。テレワークの活用により、働く場所の制限をなくせばもっとワークライフバランスを実現できる。(会社・社員)
○今後、企業規模が拡大した場合、社員の間で納得性を持たせることが難しくなる場面が出てくるのではないか。
→その点は課題。大企業の人事制度は年功重視など長期雇用を目指した制度となっているため、それらを参考にしつつ対応していきたい。(会社)

C社:流通・販売業
<会社側説明>
○社員約5,000人、嘱託員、契約社員及びパート社員が約5,000人。契約社員、パート社員のほとんどが女性。
○平成17年に有期雇用社員の人事制度について主に以下の見直しを実施。
・「販売職種」と「スタッフ・サービス職種」の2種類に区分し、それぞれにおいて、働き方の特性を踏まえ、フルタイム勤務と短時間勤務双方の雇用管理区分を設定
・フルタイム勤務から社員への優先採用制度、短時間勤務からフルタイム勤務への優先採用制度を導入。
○賃金については「雇用」「時間」「職務」に関する労働条件を考慮した「均衡待遇」を目指し、「生活者」としての福祉条件(育休等)については「均等待遇」を目指した。
○フルタイム勤務から社員への優先採用制度の実績は5年間で37名。年間10名弱くらいの採用計画をたてている。

<組合側説明>
○従業員は嘱託職員を除き全て組織化されており、組織率は約9割(パート社員は1995年に組織化)。
○有期雇用の従業員を組織化することによる組合側のメリットとしては、(1)組織力・交渉力の向上、(2)現場の声、女性の声の把握、(3)職場の公正なルールづくりへの寄与、(4)共済会などでのスケールメリット、(5)組合の社会的地位の向上があげられる。
○労働者側のメリットとしては、(1)労働条件、職場環境の改善、(2)解雇、安易な雇止めの防止、(3)既存の組合員との一体感、コミュケーションの活性化があげられる。
○経営側のメリットとしては、(1)労使関係の安定に寄与、(2)より多くの労働者の意識の把握、(3)経営者側の方針のより多くの労働者への伝達、(4)定着率の向上、(5)個別紛争の未然防止があげられる。

<主な質疑>
○優先採用制度に応募するためのプロセスは。応募している人の属性は。
→毎年の人事考課において優先採用の希望を確認、希望者で評定や勤続年数の要件を満たした者が対象となる。条件を満たす人でも正社員となると基本的には職場が変わるため、希望しない人もいる。年齢としては30代から50代の人が多い。(会社)
○業界として人件費の固定化回避要望が強いのではないかと思うが、有期雇用社員の雇止めはあまりされていないということだと、どこで調整をしているのか。
→定年による自然減で対応。残業を削ったり、アルバイトや派遣を抑えたりもしているが、有期雇用社員の雇用継続にはあまり影響はない。(会社)
○優先採用制度について組合としてどう考えているか。
→実際の優先採用人数は少なく期待感との差がある。厳しい業績を考えると仕方ない面があるが、モチベーションをどう上げていくか悩ましい。(組合)
○均衡待遇を目指しているとのことだが、正規と非正規の処遇の差は縮小しているのか。
→パート社員の時給の伸びはかなり大きく、契約社員に近づいている。(組合)
○組合の方針として登用人数を増やすとか、非正規雇用の率を下げるといった要求はしているのか。
→非正規雇用の率を下げるといった要求はしていない。組合としても総人件費を見る中で生産性を高める必要性を認識しており、有期雇用社員を更に戦力化していくことが重要と考えている。登用人数については、有期雇用社員のモチベーションの向上にもつながるため、制度の趣旨に則った確実な運営がなされるよう、運営実態について確認している。(組合)


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