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2011年9月28日 第7回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年9月28日(水)
18:00~20:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18F)


○出席者

出席委員:(11名)五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、大平勝美、小幡純子、鈴木邦彦、直江知樹、花井十伍、林昌洋、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、◎溝口秀昭

欠席委員:(2名)敬称略

小山信彌、三村優美子

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、丈達 泰史(血液対策企画官)、伯野 春彦(血液対策課長補佐)、新村 浩幸(血液対策課需給専門官)

○議題

1 国内自給化が困難な製剤の供給のあり方について
2 血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について
3 その他

○議事

○血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第7回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本検討会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 本日、御出席の委員の方々におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 なお、本日でございますが、小山委員、三村委員におかれましては、御都合により欠席されるとの連絡をいただいております。
 また、小幡委員は、所用により御到着が遅れるとの連絡をいただいているところでございます。鈴木委員におかれましても、少し遅れているようでございます。
 また、本日は参考人といたしまして、国立病院機構長崎医療センター臨床研究センターより、八橋弘治療研究部長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 カメラ撮りはここまででお願いいたします。
 それでは、以後の進行につきましては、溝口座長によりよろしくお願い申し上げます。
○溝口座長 大分今日は遅い開始になっておりますが、よろしくお願いいたします。
 本日は、3月に公表いたしました中間報告の中で、今後検討が必要な課題とした何点かがありますが、その1つに、国内自給化が困難な製剤の供給のあり方についてということと、血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方についてという2つの問題がありまして、このことについて御議論いただくことにしたいと思っております。
 それでは、事務局から資料の確認のほどよろしくお願いいたします。
○需給専門官 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料1でございますが、「抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集におけるB型肝炎ワクチン接種の有効性に係わる基礎的検討」と題する国立病院機構長崎医療センターの八橋弘先生からの研究報告の資料になります。最終ページは、13ページとなっております。
 それから、資料2でございますが、「特殊製剤の国内自給の向上について」事務局からの資料になります。最終ページは5ページとなっております。
 続きまして、資料3でございますが、「血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について」牧野委員からの調査報告の資料でございます。最終ページは22ページとなっております。
 また、別途お送りしておりますが、資料2の関連資料としまして、特殊製剤国内自給向上対策事業(案)のポンチ絵でございます。
 それから、資料3の関係資料でございますが、「輸血血漿分画製剤使用の前に」というパンフレットになります。
 資料の確認は、以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 委員の先生方で何が欠落している資料がございますでしょうか。
 ございませんようですので、早速、議事に移らせていただきたいと思います。
 まず、第1の議題でありますが、「国内自給化が困難な製剤の供給のあり方について」であります。中間報告では、抗HBs人免疫グロブリン等の特殊免疫グロブリンの国内自給化に向けた今後の取組について検討するとされております。今回、先ほどご紹介がありました国立病院機構長崎医療センター臨床研究センターの八橋先生がこの分野での研究班の班長をしていらっしゃいますので、本日お越しいただきました。そして、その研究成果を御報告願おうと思っておりますが、事務局の方から、八橋先生に研究報告していただくことになった背景、また、八橋先生からの資料の説明をお願いしたいと思います。
○需給専門官 今回、八橋先生から研究報告をいただくことになりました背景でございますが、中間報告の中で、今後検討が必要な課題としまして挙げられております「国内自給化が困難な製剤の供給のあり方について」は、抗HBs人免疫グロブリン等の特殊免疫グロブリンの国内自給化に向けた今後の取組について、引き続き検討とされているところでございます。特殊免疫グロブリン製剤の国内での製造に向けまして、国としてのガイドラインの策定が必要であるとする方向性が示されているところでございまして、厚生労働科学研究の八橋班におきまして、対象献血者の増加にあたっての効率的な運用を図るため、HBワクチン免疫プログラムのガイドラインの案を作成し、国としてのガイドライン策定にあたっての基盤作りを行う研究が行われていることから、当該研究について御報告をいただくことになりました。
 八橋先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○八橋先生 ただいま御紹介いただきました長崎医療センターの八橋と申します。よろしくお願いいたします。
 私の専門は肝臓内科です。今回、厚生労働省研究班のひとつとして、HBIGの国内自給に向けて検討をおこなうことを目的とした研究班を組織しました。私の本日のプレゼンの前半はB型肝炎全般のことをお話しして、後半に、この研究班の進捗状況、成果についてご紹介したいと思います。
(PP)
 肝炎ウイルスとは何か、事前に確認しておきたいと思います。肝炎ウイルスにはA型からE型までの5種類がございます。A、B、C、D、Eということで御理解いただけるかと思いますが、これらは肝臓の中で増殖し、肝細胞を壊すウイルスでございます。
 A型とE型というのはスライドの文字を水色で表記し、B、C、D型というのは赤色で表記していますが、これには意味があります。A型とE型は、経口感染、水とか食べ物を介して感染いたします。ただ、急性肝炎は起こしますが、慢性化することはございません。
 一方、B型、C型とD型は血液、体液を介して感染します。この中でもD型は、やや特殊なウイルスで日本では頻度が少ないことから、今日は割愛しますが、この3つのウイルスは、血液で感染する肝炎ウイルスは高率に慢性化いたします。慢性化する性質をもった肝炎ウイルスは、慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進展する可能性を持っています。ウイルスの種類と感染経路、その後の経過が異なることを、まず御理解いただきたいと思います。今回はB型肝炎についてさらに詳しく御紹介します。
(PP)
 大人の方が初めてB型肝炎ウイルスに感染しますと、ほぼ半数の方は風邪のような症状の後に黄疸の症状が出現します。具体的には、尿の色がコーヒーのように濃くなるといった急性肝炎症状を起こします。ただ、ほとんどの方は、およそ1か月程度の入院で治癒いたします。残り半数以上の方は、感染してもほとんど症状が出ない、不顕性感染として経過してやはり治癒します。症状がでてもでなくても、大人でB型肝炎ウイルスに感染した場合は、ほとんどの方が治癒して、治った状態になります。
(PP)
 一方、新生児、乳児で感染すると全く異なる経過となり、その多くがキャリアー化、慢性化いたします。この場合の主な感染経路とは、B型肝炎に感染しているお母さんから出産する時に新生児が感染する母子感染の経路で、その約90%がキャリアー化、慢性化します。この母子感染とは別に、このウイルスが付着した針を用いて予防接種等をおこなった場合にも感染が成立し、3歳以下の小児では高率にキャリアー化、慢性化いたします。現在、キャリアー化したB型肝炎感染者は日本に130万人、存在すると推定されていますが、その多くは、新生児、乳児期、3歳までに感染した例です。
 ただ、キャリアー化したB型肝炎感染者の9割の方はウイルスを持っていますが、ほとんど症状を起こすことなく、大体平均寿命まで生きられると考えられますが、残りの1割、10%の方が慢性肝炎に進行して、慢性肝炎の20~30%の方が肝硬変に進展して、肝硬変まで進展すると、年率2~4%、肝癌が発生するということがわかっています。
 日本ではC型肝炎の感染者が多く、発癌リスクも高いことから、日本の肝臓がんの頻度は、その70%はC型肝炎、10~15%はB型肝炎感染が原因と言われています。
(PP)
 ということで、B型肝炎は大人と子どもで感染して、その後の経過が大きく異なりますが、その一方で感染予防法も確立されています。その種類には2つあり、1つは今日話題としているHBIG、人免疫グロブリンです。これは、B型肝炎の中和抗体であるHBs抗体であり、献血を材料として血液から製剤化したものでございます。
 このHBIGというのは、後でお話ししますが、針刺し後とか、すぐに感染を防御する場合に用います。HBIGの感染防除の効果は、投与すると即座に効果を発揮しますが、長期には持続せず、およそ3か月間程度であることがわかっています。
 一方、B型肝炎ワクチンというのがあります。これは、B型肝炎ウイルスの表面のタンパクを遺伝子工学的に生産して製剤化したものでございます。ワクチンは、通常、初回、その1か月後に2回目を、6か月目に3回目を投与すると、大体90%近くの方で、HBs抗体が産生され感染防御の状態となります。
 ただ、ワクチンで作られたHBs抗体というのは、5年ほど経過すると、多くの方が陰性化します。しかし、仮に血液検査上抗体が陰性化しても、感染予防効果はリンパ球レベルで記憶され、15年以上持続するということが欧米では確認されています。
 また、仮に一度陰性化しても、1回の追加ワクチンで良好な反応が得られるということも確認されています。このことについては、後ほどに図でお示ししたいと思います。
(PP)
 一方、B型肝炎のワクチンで少し問題となっていますのは、世界中の92%以上の国々では、全国民に投与されています。ところが、先進国の中でも、日本とイギリス、オランダ、北欧の数か国だけが、全国民には打たれていないという状況があります。全国民に打つワクチンをユニバーサルワクチンと命名しているですが、例えばアメリカでは、B型肝炎のワクチンを打たないと小学校に入学させてくれません。これはやはり多民族国家として知恵というか、感染防御の考え方が徹底しています。
一方、日本では医療従事者とか警察官、消防士とかといったリスクのある方にのみB型肝炎のワクチンを打たれているわけですが、国民の多くは投与されていないという現実があります。
(PP)
 アメリカでは、今から20年前に全国民にワクチンを打つユニバーサルワクチンが始まりました。B型肝炎のワクチンを全国民に投与したアメリカでどういう変化が起きたのか調査されています。ユニバーサルワクチンの導入前後の変化として、急性肝炎の頻度、大人での発生率が大体8.5%から1.5%に低下したということが確認されています。
(PP)
 ということで、アメリカでは子どものときにワクチンを打ちますので、現在、アメリカの20歳までは6割近くの方が感染防御のHBs抗体を持っている状況ですが、60歳とか高齢の方はワクチンが打たれていないので、低いHBs抗体陽性率となっています。
(PP)
 一方、中国(China)ですけれども、もともとB型肝炎のキャリア率が、日本は1%、中国では5~10%と報告されており、中国はB型肝炎の高罹患国です。そのような中国においても、今から19年前から全国民に対するB型肝炎ワクチンが開始されています。現在、中国でのワクチン投与の普及率は93.4%、ほぼ全国民に打たれていると報告されています。B型肝炎ワクチンが投与されていることから、5歳の子どもで調べてみると大体50%の頻度で抗体が陽性で、中国の方は、年齢に関係なく全世代を通じて大体2人に1人は抗体を持っているという状況です。
(PP)
 このスライドは、アメリカと中国と日本の一般住民のHBs抗体陽性率を比較したものです。アメリカは約60%、中国では約40%の一方、我々の当院の看護学生665名でHBs抗体を持っているかということで調査いたしたところ、1.7%しか保有していないということがわかりました。この3ヶ国の比較から言えることは、ユニバーサルワクチネーションが行われている国はかなり高い一般住民のHBs抗体陽性率があるのに対して、日本ではその陽性率が極めて低いという状況を十分ご理解いただきたいと思います。
(PP)
 話が変わりますが、抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)は、主にどういう目的で、病院で使われているのかをご紹介します。今から25年前からですけれども、B型肝炎のお母さんから生まれてくる子どもにHBIGを打つことによって、B型肝炎感染の母児感染を防ぐということが広く行われています。HBIGは、そのために必要な製剤でございます。
 もう一つは、病院の中においても針刺し事故が時々発生します。事前にB型肝炎ワクチンを打っていない職員がB型肝炎で汚染された針刺し事故を起こした場合には、HBIGを直ちに投与する感染予防対策がとられます。このために用いられています。
 最近10年ほどで我が国においても肝臓移植が次第に普及してまいりました。それで、B型肝炎の患者さんの肝臓移植治療後、肝臓は新しくなりますが、血液の中にはB型肝炎のウイルスが存在することから、何も処置をおこなわないと新たな移植された肝臓で再びB型肝炎ウイルスが感染し増殖してきます。再感染、再増殖を防ぐ方法として、HBIGが移植治療を受けられた患者さんでは数年にわたって投与することが必要と言われています。大きく1)母児感染予防、2)病院の中の針刺し事故対策、3)B型肝炎の移植後の再感染防止 などにHBIGは必要な医薬品であることをご理解いただきたいと思います。
(PP)
 HBIGは、本来ならば、日本の献血者の中からHBs抗体の高い人を集めて製剤をつくるべきところですが、現在日本でそのような抗体価を持っている人は、献血者500万人中1,000人程度で、その割合は数千人に1人と極めて少ない頻度であることが確認されています。現在のHBIGの必要量を、日本人の献血からまかなう自給率というのは3%にも満たず、残りの97%以上は外国からの輸入血液によって製剤がつくられているのが我が国の現実です。
 また、日本では、B型肝炎のユニバーサルワクチンは実施されていないことから、現状のままでは献血者のHBs抗体陽性率が今後上昇するとは考えられず、単に物事を見ているだけでは、とてもHBIG製造血液の国内自給率は上昇できそうもないと考えられます。
(PP)
 そこで、1つのアイデアとしては、献血される方に、まず、事前にB型肝炎のワクチンを打っていただいて、HBs抗体が上がった状態で献血していただくのがいいのではないかと考えられます。ただ、一度も打ったことがない方に対して1回のワクチン投与では、期待されるような反応は得られないことから、過去にB型肝炎ワクチンを投与された方、既に一度HBs抗体を獲得したような方を対象にすれば、1回のワクチン投与でも十分にHBIGの原材料を製造するために必要なHBs抗体価が得られるのではないかということが考えられますが、こういうことは今まで日本で検討されたことはございません。通常、追加ワクチンは、HBs抗体が陰性化、低下したケースにおいて投与されていますが、ある程度抗体価を持っている方に対してワクチンを打ってどうなるのかということが確認されていないということで、今回、研究班を組織して検討した次第です。
(PP)
 これはB型肝炎のワクチンを打ったときの通常の反応性を示したものです、まず、1回のワクチンを打っても多くの例では抗体は陽性化いたしません。1か月後に2回目の追加ワクチンを打つことで60%の例で弱陽性化します。ただ、6か月目に3回目のワクチンを打つことで十分なHBs抗体価を獲得します。
 抗体の陽性・陰性というのは10mIUを基準にすると言われています。ただ、ワクチンで獲得した抗体は、数年たつと低下し、陰性化します。仮にHBs抗体が陰性化しても、リンパ球レベルでは十分抗原刺激が記憶されており、HBs抗体陰性例でも1回の追加ワクチン投与で極めて短期間に以前より高い価を示すことが、過去の事例では確認されています。今回のプロジェクトは、4回目のワクチンを打つということになります。
(PP)
 それで、倫理委員会で承認された研究計画書と書面での同意が得られた当院の職員、8割近くが看護師ですが、468名を対象に、追加のB型肝炎ワクチンを打つプロジェクトを始めました。看護師が多いということで、対象の93%は女性で、40歳以下の女性が多数を占めています。
(PP)
 468名でのワクチン投与前後のHBs抗体価を比較すると投与前は、38.9 mIUだったものが、投与して1か月目には12227.8mIUと、かなり高力価の抗体価が獲得できました。
 ただ、B型肝炎ワクチンによるHBs抗体価の評価は通常は算術平均ではなくて幾何平均で表記します。幾何平均でも投与前は1.96(Log mIU)ですね。1.96(Log mIU)というのは100 mIUに満たないところかと思うんですが、投与後、幾何平均では3.76(Log mIU)これは7,000 mIUぐらいになるかと思います。このように上昇するということを確認いたしました。
(PP)
 もう少し具体的にお話ししますと、もともとこの製剤をつくる上では、HBs抗体価として10000mIU以上の方が必要と言われています。投与前、468名中、10000mIUだった方はわずか2名、0.4%しか存在しませんでしたが、1回のワクチンを打つことで1か月目には164名に増えました。そういう意味では、1回のワクチン投与で10000mIU以上を示した方が82倍増えたという解釈もできます。
(PP)
 このスライドは、1回のワクチン投与でHBs抗体価分布がどのように変化したのかを示したものです。HBIG製剤をつくる上で必要な方が164名確保できたとも言えます。
(PP)
 どういう方がワクチンの反応性が良いのか、年齢と性別で検討してみました。ただ、男性が圧倒的に少なく、今回の検討では性差では差は見られませんでしたが、年齢が若い方は反応性がいいということがわかりました。1回のワクチンで10000mIUを達成した者は、20代の方は42%ですが、50歳以上の方は12.5%の頻度でした。もともとB型肝炎ワクチンの反応性は若い方で良いということがわかっていましたので、それを追試した結果です。
(PP)
 それと、追加ワクチンの前の抗体価が高い人は、10000mIUを超える頻度が高いことがわかりました。100mIU以上あれば、46.9%の方が10000mIUに達するということで、追加ワクチンを打つ前に100mIU以上あれば、大体2人に1人は10000mIUを達するということも今回、確認できました。
(PP)
 これは若干専門的になりますが、後でわかったわけですが、中にHBc抗体、自然にB型肝炎の抗体を獲得した方がおられました。HBc抗体陽性者、すなわち一度B型肝炎に罹患し自然治癒された方では、実はワクチンの反応性が余りよくないということがわかりました。これは、B型肝炎に一度感染しますと、肝臓の中にウイルスが潜んでいることが最近、明らかとなっています。このようなHBc抗体陽性者では、常時、B型肝炎ウイルスの抗原刺激を受けていると考えられ、よってワクチンの反応が不良なのではないかと考えられます。
(PP)
 まとめですけれども、一度B型肝炎のワクチンを打った方を対象に、1回のワクチンを打ちました。我々が必要としているのは、10000mIU以上の抗体価の高力価の方がどれぐらい増えるのかということを明らかにしたかったわけですが、投与前後で0.4%だったものが35%。2人から164人に上昇しました。
 今後、このプロジェクトを実行に移す場合、効率のことを考えますと、どういう人が10000mIUを達しやすいのか検討したところ、1)若年であること、できれば30歳、少なくとも40歳以下であるのが望ましいかと思いますし、2)投与前のHBs抗体価が100mIU以上であれば、2人に1人、10000mIUに達するということでございます。
(PP)
 ここまでが研究プロジェクトの結果です。その後、ワクチンを打った方には、個々に、ワクチン投与前後のHBs抗体価の測定結果を開示した上で、できれば献血に行っていただきたいというメッセージとともに結果をお返ししました。後で調査するということは、そのとき全く言っていなかったのですが、8か月たった時点で献血に行かれましたかということを抜き打ちでお聞きしたところ、386名で回答があり、うち36名、9.3%が実際に献血行動されたとのことです。献血率は、日本国民の約5%と聞いていますので、9.3%は、その値よりも高い値だったのではないかと思います。
(PP)
 これは平成23年度の研究計画ですが、今年は、昨年ワクチンを打った方に対してもう一度追加ワクチンを行うということを計画しています。
 それと、22年度は当院職員を対象に実施しましたが、大学病院においてもこういうことが可能か、久留米大学の病理教室の矢野教授にお願いして、現在、同様のことを実施しつつあります。
 ただ、今後、ワクチンプログラムとして日本に定着させる為に、日赤の石井さんを含む関係者の方々と協議しながら、ガイドラインを作成したいと考えています。
(PP)
 これは、日赤の石井さんの方の試算ですが、国内自給率100%とするためには大体何人ぐらいの方の協力を得ないといけないのか?ワクチンの必要量は?バンクのようなものを作成することが可能か?現在、検討を行っています。過去にワクチン投与歴がある方を対象とした場合、追加の1回のB型肝炎ワクチン投与で、3人中1人が10000mIUを達成することから計算しますと、大体5万人近くの協力者が必要ではないかということが試算されます。
(PP)
 これが最後のスライドです。今後の方針として、私は同様なことを数千人規模でおこなうことを考えています。私が所属する国立病院機構には全部で144の病院が存在し、その職員数は5万人です。国立病院機構は、全国いや世界でも有数の最大規模の病院チェーンです。私は、今まで国立病院機構30施設の先生方に参加いただき、肝疾患の多施設共同研究を10年近く実施してきました。既に私が長崎医療センター職員を対象におこなったことを自分の病院でも実施可能か、共同研究参加の意思を表明していただいた先生、施設数は国立病院機構内で16病院です。1病院300名に参加いただくとして16施設では合計4,800名となります。5,000名近くを対象として来年このことが実施できる見込みです。現在ある問題点を克服するためには、ワクチンを打って献血に行っていただくということを実行することが急務ではないかと考え、国立病院機構の研究班の中で実施したいと考えています。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの八橋先生の御発表につきまして、委員の先生方から何か御質問、御意見あれば、どうぞよろしくお願いいたします。どうぞ、益子先生。
○益子委員 益子です。すばらしい研究、ありがとうございました。
 3ページ目の世界地図があるんですが、そこで、ほとんどの国はユニバーサルワクチネーションしているという御報告だったんですが、その国々は全部自給しておられるということなんでしょうか。
○八橋先生 これらの国のHBIGの製造がどうなっているかということですね。それは私よりも、だれか関係の方に答えていただいた方がいいかと思いますが、いかがでしょうか。
○血液対策課長補佐 済みません、すべては存じ上げないですが、基本的に、例えばアメリカであっても、やはりハイタイターの人を囲んで、囲んでという言い方が正しいかどうかはあれですが、少しバンクのような形にして登録をしておいて、有償で採集するという形だと思います。適宜ハイタイターのものが落ちてきたタイミングでワクチンを接種していくという話は伺っております。
○益子委員 国によっての自給率というのは出ていないんですか。
○血液対策課長補佐 有償を含めた、献血ではなく、自給率ということですか。
○益子委員 そうです。
○血液対策課長補佐 今、手元にはその数字はございませんが、WHOで少し把握しているかもしれません。
○益子委員 ありがとうございます。
○溝口座長 ほかにどなたか御質問ありますか。どうぞ、鈴木委員。
○鈴木委員 今の話ですと、有償ですよね。外国では。献血でこれをやっている国というのはあるわけですか。
○血液対策課長補佐 ごめんなさい、正確ではないんですが、オランダがそうですね。オランダがそういう取組みをやっています。
○溝口座長 ほかにどなたか。
 こういう研究をするとき、インフォームド・コンセントも十分とってなさっているんだと思うんですけれども、普通、医療の現場では、3回やって97%ぐらいが陽性になって、そして下がってきたとき、どれぐらい下がったとき、次のワクチンをやるかというと、10以下ですか。
○八橋先生 それは実は意見が別れていりまして、アメリカCDCのガイドラインのように、一度抗体を獲得すれば、最低15年間は防御能は記憶されているのでがあるので追加ワクチンが要らないという考えと、その一方で、やはり必要ではないかという意見があります。日本でもまだコンセンサスが得られていない。ただ、一度ワクチンを打っている方が感染して急性肝炎を起こしたという事例は基本的には報告されていません。現状は、ある病院では毎年HBs抗体を毎回測定し陰性化したら直ちに追加ワクチンを打つ施設と、当院のように追加ワクチンはおこなわない施設と分かれています。当院はこのプロジェクトを開始するまで追加ワクチンは投与しておらず、抗体が陰性化しても打っていないということです。
○溝口座長 一般に医療現場に、私のいたところでは、ハイリスクなポジションの医療従事者は定期的に測って、下がってきたら、10ぐらいになったら追加していたんですが、先生の場合、10ですと、10分の1の方しか上がって、10000以上いきませんですね。その辺がなかなか難しいのかなと思うんですけれども、いかがですか。
○八橋先生 今回の結果でも過去にワクチンを打ったことがある事例でも十数年たつと10mIU前後まで下がってきます。そういう方に追加ワクチンを投与した場合、今回の検討結果からは、少し反応性が悪いのだろうと予測します。ただ、今回のプロジェクトでは、1回のワクチン投与で多くの職員は、かなり高い抗体価を獲得することができました。本来の目的とは別ですが、追加ワクチン投与には、感染防御能をより強めるという意味もあり、医療従事者にとっても必ずしも負担なことだけではなく、プラスな面もあると考えています。
○溝口座長 井廻先生いかがですか、肝臓の専門家として。
○井廻委員 今、説明をしていただいたとおりだと思います。
 先ほどのタイターが落ちたときに云々というのは、八橋先生のおっしゃったように、下がってきても放っておいてもいいというCDCなんかのあれがあるので、うちではやっていないですね。
○溝口座長 そうなると、ある程度高いところでやるというのは、かなりボランティアとしての意識が高いし、デメリットも十分説明して、理解した方でないと参加できないということになりますね。
○八橋先生 採血を前後で行うということと、ワクチンを1回打つというところが負担となりますが、見方を変えれば、更に消えかかっている抗体を再獲得するというメリットもあります。また、HBIGの必要性を、医療従事者ですのでよく理解できます。小児科病棟で実際、子どもにHBIGを打ちますし、針刺し事故が起きたにもHBIGを投与し、投与されているわけです。移植後の例にもHBIGを投与しています。医療従事者なのでHBIGの必要性を十分理解しているのです。このプロジェクトの必要性を説明すると、当院では看護士の8割近くに賛同いただきました。決して強制しているわけではなくて、主旨を十分説明すれば、医療従事者であれば、多くの方に十分参加いただけるのではないかと思います。
○溝口座長 ほかに何か御質問。
○井廻委員 八橋先生、10以下の人なんかで、一旦ある程度上がった段階でもう一回追加をやった場合というのは、それはやられていない。
○八橋先生 それを今年、実施する予定です。
○井廻委員 なるほど。わかりました。
○溝口座長 ほかにどなたか。
 非常に大事な研究だと思いますが、ほかになければ、事務局から。どうぞ、大平委員。
○大平委員 以前にたしか産業医科大学の白幡先生の研究で、このプロジェクトをどうするのかということを検討会かどこかで提案されて、それで進めるということになったときに、今、先生のお話にあった医療従事者だけではなくて、例えば自衛隊の人ですとか、そういうリスクある場所で活躍されている方に協力をお願いしてみようかというような話もたしかあったというふうに記憶しているんです。そういう方々に今のプロジェクトを広げていくというのはありなんでしょうか。
○溝口座長 いかがでしょう。
○八橋先生 病院の中で、病院の職員が、採血とかワクチンを打つとかというのは病院の中で日常行われていることですので、今回のプロジェックトは比較的スムーズに実施できました。これが病院以外の、例えば消防士、警察官、自衛隊の方を対象にスムーズに実施できるのかについてですが、自衛隊には、自衛隊病院があるかと思いますので、そのシステムの中で実施は可能ではあるかと思いますが、病院職員の方が理解を示しやすく、抵抗が少ないのではないかと思いました。
○溝口座長 研究班としてはかなりこういう形でしかできないんでしょうけれども、更に広げることは、これが実際に行われるようになったときに、事業者がいろいろ工夫することでしょうか。どうでしょう。
 ほかに何か御質問ありますか。どうぞ。
○血液対策課長補佐 先生、ありがとうございました。
 私がちょっと気になっている点は、恐らくこの研究成果で相当フィージビリティはあるのかなというところがわかったんだと思いますが、先ほどちょっと申し上げたとおり、海外と日本との違いということでは、無償か有償かというところなんだと思います。日本では献血で無償で行うと。しかも、今回のこのプロジェクトですと、ワクチンを、恐らく多分検査をやって、ワクチンを打って、更に検査をやり、献血に行ってもらうと。相当献血者、協力していただく方にとっては負担がある面も多いというところがあるかと思いますが、どのぐらいの協力が無償で、献血で得られる可能性があるのかというのが、先生の研究で今もしやられていたら教えていただきたいという点と、あとは、何かインセンティブを、行動変容ではないですが、インセンティブを与える方法についても何か研究でやられていたら、教えていただければと思います。
○八橋先生 今回の調査では9.3%の方は実際に献血行動されたということです。この数字が高いのか低いのか、ちょっと微妙なところで、逆の見方をすれば、残りの9割方の方は行かなかったことになります。普段、献血されている人はどの頻度なのか、普段から全く献血されていない人が医療職の中でどの頻度なのか、もう少し調べるべきと今回、思いました。今回、献血行動調査については事前には知らせておらず、むしろ副次的に後でお聞きしたことから、これはバイアスのない数字であり、9.3%は一般の方よりは高いと解釈しました。
 それと、私の先入観かもしれませんが、看護士の方は献血に行くことが多いのではないかと思います。逆に、医者は、忙しいとか、いろいろあって、献血される方が少ないのではないか。私の周りの職員の行動をみていると、職員の採血、ワクチン投与、献血行動などは、看護士さんはそういうことに対する意識が高い職種であると個人的には考えています。
○溝口座長 添付文書を見ると、結構副作用がいろいろ書いてありますけれども、ユニバーサルワクチンをこれだけ大量の大勢の人にやった結果では、どの程度副作用について問題になっているんでしょうか。
○八橋先生 一番はアレルギー反応に注意すべきと言われています。ワクチンにはアジュバントとしていろいろな成分も入っていますので、アレルギーに対しては注意すべきです。ただ、今回、初めて打つ方ではなくて、一度、ワクチンを投与された方ですので、既に過去にワクチンアレルギーがあった方は除外するという話になります。
 それと、過去にですが、フランスで、多発性硬化症(MS:Multiple Sclerosis)とB型肝炎ワクチンの因果関係が問題となりました。B型肝炎ワクチン投与者でMSの発生頻度が高いのではないかと議論されたのですが、現在、完全に否定されています。ユニバーサルワクチンとして世界中で投与され、そのような状況で大きな副作用報告がないということ、また遺伝子組換え型のワクチンでもあり、その安全性は高く、アレルギー反応以外で、現在、問題になるものはないのではないかと考えています。
○溝口座長 ほかに何か御質問ありますか。どうぞ、前野委員。
○前野委員 全世界の中でユニバーサルワクチンとして日本では全く論議されていなかった、その要因やら背景というのはどういうことが考えられるんでしょうか。
○八橋先生 実は、日本は諸外国に比べて極めて早く母児感染予防に取り組み、最も早く感染防止に成功しています。25年以上前の話ですが、ハイリスク者に絞る検査をおこなった上で母児感染を予防できたというのは、効果的でもあり劇的でもありました。他の国ではB型肝炎感染者の罹患率が高く、中国は5%以上、日本では1%です。日本以外の国々では、経済的な理由から、HBIGを打たないで、ハイリスク者に絞る検査もおこなわず、ワクチンの投与を子ども全員に行ってきました。日本はHBIGを使って、リスクに応じて対象を絞るという非常にきめ細やかな方法で開始したのです。ですから、25年以上前の状況は、他の国よりも日本がむしろ進んでいたのです。ただ、その後の時代の変化、周辺の環境変化に対応せず改革をしてこなかったことから、今、日本ではB型肝炎感染対策が周辺の国に比して取り残されてきたような状況となっているのです。しかし、今B型肝炎感染のことが大きな社会問題となっています。今からでも遅くないので、ユニバーサルワクチネーションを日本の中で導入しようというのが別の研究班の方では検討されているところでございます。
○溝口座長 よろしいですか。
 特になければ、続いて事務局から資料の2の御説明を願えますか。
○需給専門官 それでは、資料2について御説明させていただきます。
 資料2ですが、ただいま研究報告について御発表いただきました八橋先生の研究を踏まえました特殊製剤の国内自給の向上のための国の今後の取組についてということで、この取組につきましては、来年度から実施すべく、現在、予算要求を行っておる事業でございます。
 特殊免疫グロブリンの中で、まずは現在、国内自給率が2%。供給量と自給率の推移のグラフについては、5ページの方に付けさせていただいております。この2%となっております抗HBsグロブリン製剤の自給率向上を目指した取組を考えております。
 この特殊免疫グロブリン製剤の国内自給推進のための方策については、平成19年度に開催されました血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会及び関係者からのヒアリングを中心に開催されましたワーキンググループにおいて議論されており、それぞれの報告書の抜粋で、重複内容もございますが、別添1及び別添2として添付させていただいております。
 別添1には、特殊免疫グロブリン製剤の国内での製造に向けて必要な量の原料血漿を献血者より確保するためには、下線が引いてあるところになりますが、献血者にワクチン等の接種を行うことが必須と考えられることから、免疫負荷をかけた献血者(ドナー)からの血漿を集める方策を検討する。具体的には、献血者にワクチン等を接種し、一定期間後に採血して抗体価の高い血漿を集め、それを原料に製造すると報告されております。
 また、同時に、国内製造に向けましては、献血者にワクチン等の接種を行うことの課題としまして、献血者への免疫プログラムの説明と同意の取得、免疫負荷をかける献血者の健康被害補償の仕組みの整備等が、また、抗体価の高い血漿を製剤化して供給することの課題としましては、1回の製造に集められる血漿量の確保、製造量に応じた製造品質管理等の幾つかの課題が挙げられております。
 別添2には、ワーキンググループの報告を受けまして、現状では国内で原料血漿を確保して製造することが困難であることから、国内製造に向けて基盤整備の研究の進捗状況を踏まえてと、3ページに掲げられている課題を検討した上で、国としてのガイドラインの策定等を進めていくことが必要であるとの一定の方向性が示されております。
 国内製造に向けて基盤整備の研究の進捗状況を見ますと、先ほど御説明いただきました八橋先生の研究班におかれまして、今年度、HBワクチン免疫プログラムのガイドラインが作成されるとのことでございます。
 これらを受けまして、1ページに戻りますが、国としてのガイドラインの策定を進めていくにあたり、1つ目として、医療関係者がワクチン接種を行い、抗体価が上昇している者が多く存在すると考えられるため、これらの層を対象に、高抗体価の保有者を見出す。
 2つ目としまして、この方法を全国的に実施するための基盤の整備。具体的には、協力医療機関のネットワークの構築ですとか、ワクチン接種者等情報のデータベース化となります。
 それから、3つ目としまして、HBワクチン免疫プログラムのガイドライン案の下、データベースに登録されたワクチン接種者について、HBワクチンプログラムを試行し、実運用に向けた検証を行った後、当ガイドライン案の改正等を行う。
 以上の取組を行うため、平成24年度の予算、こちらは日本赤十字社に対する補助事業になりますが、要求しております。
 それから、別途お配りしております「特殊製剤国内自給向上対策事業(案)」として、HBワクチン免疫プログラムのガイドライン案に基づく具体的な取組についてお示ししておりますが、まず、ワクチン接種プログラム事業の周知と医療機関への協力要請を行い、参加いただける医療機関の登録、この際、ハード面の整備として、協力医療機関ネットワークの構築、そして、同意をいただいた方へのワクチン接種、接種後の有効性、安全性評価、抗体価の確認等を行いまして、ドナー登録。この際、ハード面の整備として、ワクチン接種者等情報のデータベース化をし、献血、製剤の品質チェックを行い、製剤化という流れを考えております。
 この流れの中で、先のワーキンググループの中でも示されている課題が幾つかございますが、それらについても検討していく必要があるかと思っております。
 また、本事業の成果につきましては、ほかの特殊免疫グロブリン製剤の国内自給の向上のモデルになると考えているところでございます。
 以上、資料2の御説明でございました。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。どうぞ。
○花井委員 当時の議論では、たしかB型肝炎と抗破傷風は何とかなりそうだと。抗Dについては、かなりドナー側にもリスクもあるし、なかなか難しいんじゃないかという議論で、一応、Bと抗破傷風については何とか進めていくように検討していこうということだったと思うんです。抗Dに関しても、難しいだろうけれども、抗Dも自給をしなければいけないので、ある種検討していかなければいけないと、こういう話になったと思うんですね。だから、今日はBのことで御発表があったんですが、一応全体としては、抗Dなり抗破傷風もやはりやっていくと。
 それから、当時議論したところで、買血、さっき言った議論なんですけれども、だからといって買血、買うということは望ましくないけれども、例えば、ドイツでも似たようなプログラムがあったと思うんですけれども、例えば、交通費ぐらいは出していいとか、どこかで献血なんだけれども、インセンティブではないけれども、全くただで手弁当でワクチンを打ちに来てねとかいうことはないだろうし、それに対して何らかのワクチネーション自体には必要経費的なものは支払えるかなと。
 それか、もしくは、免疫を負荷を受けるということに対しては、料金ではないけれども、それは献血の範囲で何らか検討が可能なんじゃないかという論点が一つあったと思うんですね。これもちょっと一回調べて確認しなければいけないことかなと思っていまして、それを今後どうやっていくのかということですね。
 それから、あと、もう一つは、法的位置づけというのが議論になっていたんですね。3ページに書いてあるんですけれども、献血なんだけれども、負荷をかけることについて、これは同意しているんからいいんだという、研究範囲であれば、それはそれで研究としてやるんですが、日赤が事業としてそれをやるときに、そういうことをどういう整理でやるのか。これも当時は、ヨーロッパ法なんかには、ワクチネーションに関することが法律に結構明記されていたりしていたと思うんですけれども、そういった中で日本の法律にはそこまでは書いていなくて、じゃ、現行法上どういう整理で行うかということについて、もし進めていくのであれば、もちろん先行してBというのはよいと思うんですが、やはり当時の論点も並行して資料が出て、出していただけたらというふうには思います。
 以上です。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 何か事務局からありますか。
○血液対策課長補佐 過去の議論で論点となったところ、また課題のところは、今後進めていく上で整理をさせていただきたいと思います。
○溝口座長 オランダで献血でやっているということなので、是非それを詳しく調べて頂きたいと思います。今、花井委員からあったような、交通費、あるいは、どの程度のサポートをしているかどうかということをお調べいただきたいと思います。
 それから、もう一つは、献血者の健康被害に関する補償というのは、普通の献血者については補償制度がありますけれども、更に負荷を加える、今、花井委員が言われた、負荷を加えたり、その後のPPPの血漿の採取に関する健康被害に関する補償の問題は、これが入っていなかったような気がするんですが、経費としては考えを入れておく必要があるんじゃないでしょうか。
 八橋先生のお話では、ちょっと気にしたのは、添付文書にあった多発性硬化症なんですが、それは現在はリコンビナントになっているというので、これだけ大勢の人にやっていて、ないということで安心しました。しかし、健康被害の問題があったとすれば、きちんと補償する制度ができていないといけない。その辺も検討していただけるとありがたい。
 ほかに何かありますか。
○血液対策課長 先ほどのドイツの有償の話ですけれども、実は私もいろいろ調べておりまして、その中で25ユーロを上限として有償というか、交通費程度というようなことで、補償、コンペンセーションというか、そういう形で認められているというふうに伺っています。
 ただ、これ、EUの中では、EUのルールとしては、ノンペイドというのが原則だというふうになっていて、ノンペイドの中と補償との間でいろいろ議論が、EUの中でも、国の間というか、中でもあるというのを伺っております。
 知り得ている中ではそういうような状況でございます。またいろいろわかったことは整理してお知らせしたいと思います。
○溝口座長 ほかに何か御意見ありますか。直江委員。
○直江委員 ある程度の交通費とかは十分議論していいんじゃないかなと思います。というのは、今、治験でもある程度の交通費を出すということで、今、一般病院でもやっておりますので、それは理解しやすいところではないかなと思います。
 もう一つは、血液センターに採血に献血者として来られる方々のうち、かなりが何度も来られるリピーターの方だと思うんですけれども、その方々がもし、例えばこういうプログラムに協力してくれるのかどうかというような、いわゆるアンケートとか、意識の調査というのは、これまでされたことはありますか。それとも、そういうことはだれもやったことはない。どうでしょうか。
○溝口座長 少なくとも聞いた、私の経験ではないですね。だから、この一番上の事業の流れで、ワクチン接種プログラム事業の周知ということは、これからの課題じゃないのかな。どうですか。
○直江委員 そこら辺をどういうふうに考えるかということでしょうね。
○溝口座長 もう一つは、もうちょっと献血者の中にタイターの高い人が結構いるんじゃないか。1,000人しかいないというのは本当でしょうかね。その辺ももうちょっと十分調査して、そちらにPPPの来ている方に、そういう高い方がいれば、1万の方はなかなかいないかもしれないけれども、かなり意識は高い方たちが来ているわけで、それが一番簡単かと思うんですが。ただ、追加免疫をするかどうかはまた別の問題だと思います。
 ほかに何かございますか。小幡委員、法的にはいかがでしょうか。
○小幡委員 なかなか難しい話だなと思ってお聞きしたのですが、単なる献血ではなくて、ワクチンをするということを積極的にして、献血はその後ということですね。したがって、完全にそこの新たな負荷のところだけ取り出すと、献血という概念とちょっと違うところになって、先ほど、補償の問題が入るかという座長からお話がありましたが、ワクチンは別にまた考えないといけないですよね。多分、献血による事故ではないということで、別の仕組みが要るだろうと思いますし、それから、ちょっと伺いたいのは、ワクチンをするということ自身は、御本人のためには利益になるという理解でよろしいですか。医療従事者は基本的には定期的にやられるものですかね。
○溝口座長 その辺は、先ほど、ちょっと私も御質問したんですが、3回やってタイターが高くなった方は、海外では追加免疫していない。それから、日本では下がった場合、10以下の場合は追加免疫している施設もありますね。ただ、八橋先生の発表を拝見すると、その条件ではなかなかハイタイターの献血者は得られないということがあるようですが、八橋先生、いかがですか。
○八橋先生 そのあたりの議論ですね。追加ワクチンを投与することに対する医療従事者のメリットが何かということかと思います。実は、結論から言うと、意見が分かれています。追加ワクチンは必要だという意見と、必要でないという意見にわかれているのです。 ただ、個々の医療従事者の心理としては、一度獲得したものが消えた場合、追加ワクチンを打って抗体価を上昇させておいたほうが安心、打ってほしいという方が多いように思います。科学的議論とは離れますが。
○小幡委員 医療機関の医療従事者であれば、定期的に医療機関の方で検査して、必要であればワクチンを打つということは。
○八橋先生 打っている病院がありますが、打っていない病院もあるということです。
○小幡委員 ああ、そうですか。御本人の費用でなく、医療機関としてやっているというところもあると。
○八橋先生 基本は病院の負担です。個人の負担ではなく、病院としては、院内感染防御として必要なことなので、それは大体行われているかと思います。
○小幡委員 そうなると、まさに医療従事者に対しては別途の協力依頼をするということで、もし一般の方にこれを広げるとすれば、一般の方には、あるいは利益になるかもしれないという話が出てくるかどうかという問題はあるのかもしれませんが、ただ、現状はそこまではないということですね。全くない方にやると、なかなか出ないからという話ですね。
○八橋先生 全く投与されたことがない方が、高いHBs抗体価を獲得する為には、HBワクチン投与の回数として3回とか4回打たないといけない。時間もかかります。一般の方では即効性もないので、医療従事者を対象にするのが効率的にも良いと考えます。
○小幡委員 わかりました。
○井廻委員 先ほどの献血のリピーターを対象にするといったときに、HBs抗体陽性となると、多分、この人たちは自然感染者なので、HBc抗体も陽性ということになると、その段階でもうリピーターになり得ないというので、やはり八橋先生のおっしゃったように、医療関係者でワクチンを打って、そしてタイターが上がった人を採血というか、献血の対象にせざるを得ないのではないかと思います。
○溝口座長 でも、今、日赤で製造しているHBは、献血者からとった血液ですね。
○井廻委員 その人たちは、そのためだけに来てもらうわけですか。
○溝口座長 たまたまとった結果、高い方を使っているわけです。それはだめですか。
○井廻委員 それは、次、リピーターにはなり得ないですよね。もう一回来てくださいという格好になりますが。
○溝口座長 でも、それは頼むことは可能だと思う。大変、みんな献血される方は意識が高いから、例えば、HLA適合血小板なんかも、お願いすると、かなり積極的に来てくれます。
 ほかに。どうぞ。
○花井委員 ちょっとお聞きしたいんですけれども、C抗体、普通は自然感染だと、C抗体が陽性になって、抗体が陽性になって出るんですけれども、コア抗体の力価、これは陰性者と陽性者で分かれているんですけれども、力価によって違うと思うんですけれども、かなり力価が低い人でもそうなのかとかいうところがあって、献血者で自然感染の人でも、コア抗体の力価が低い人と高い人がいるわけだから、必ずしも自然感染した場合は、いわゆるワクチネーション効果が薄いというふうに、このデータからだけはまず言えないかなというのは。
○溝口座長 そこは八橋先生のところで。
○花井委員 それと、もう一つは、先ほどの小幡委員のお話ですが、当時の議論は、破傷風やBに関しては、一応ワクチンなんだから利益がある。問題はDで、抗Dはドナーは全くリスクしかないことだから、抗Dのワクチネーションというのは、かなりそういう意味では全く利益がないから、本当に善意の気持ちで協力してもらうということなので、そこはどういうふうに御理解いただくというのが問題だと。一応、ある種抗体が上がれば利益にはなるだろうという説明が全くできないのが抗Dだという議論だったように思います。
○溝口座長 抗Dに関しては、白幡先生が班長で、班会議を何年かやったんですけれども、全くいい方向の結果が出なかったんですね。結局抗D抗体というのは難しい。一つの流れとしては、他の方法で、これは前にもお話ししたんですが、フランスでリコンビナントが、遺伝子組換え型ができつつあって、治験が始まったという話がありますので、そちらを待った方がいいのではないか。日本できちんとできるのは、HBIGがまず走りで、次は破傷風じゃないかなという気がしています。
 そんなところで、ほかに何か御意見か御質問。
○八橋先生 先ほどの質問ですが、結局、献血に来られた方でHBs抗体の高い方の背景がどうなのか年齢,性がわかりますでしょうか?私が以前聞いた話では、若い女性が多いとお聞きしたので、それは職種として看護士なんじゃないかなと想像したのですが。
○井廻委員 なるほど。そうすると、いいわけですね。ワクチンをねらって。
○八橋先生 ただ、やはり20代の方が献血に行かれることが多いと思うのです。ただ、男性でとなるとHBc抗体陽性で自然に感染した方が多いかもしれない。現時点での献血者でのHBs抗体の高い方でのHBc抗体の状態とか、年齢、性差とか、できましたら職種まで聞くことができれば、実はそこをターゲットにすればよいのではないかと考えます。
○溝口座長 いろいろまだ問題はあるようですけれども、一番、今、八橋先生、これだけ苦労されていますし、これからも十分検討していただくと思いますが、その方向で事務局から御説明のあった特殊免疫グロブリンなるHBIGの国内自給率を高めていこうという国の取組について、更に進めていいかどうか、御意見は、大体出尽くしたとは思うんですけれども。
○花井委員 先生、さっきの遺伝子組換え、それを考えていたんですけれども、要するに、血液製剤の方が安上がりなんですよね。アルブミンなんかを考えても。もし、なかなか材料を集めるのが大変だったら、遺伝子組換えの方が早いのかなと思ったんです。Bもね。それはもう技術はできているわけだし。ただし、多分、アルブミン製剤のことを考えても、随分高くなることだと思うんですけれどもね。
○溝口座長 八橋先生、可能なことなんですか。
○八橋先生 遺伝子組み換え技術を用いてのHBIGの製造については、私も基礎研究の先生からコメントをいただいたことがあります。理論的には製造可能だそうです。ただ、コストとか現実の問題として、どうだろうということを言われていました。
○花井委員 やはりアルブミンを見ても、コストの問題が一番大きな問題なんじゃないかと思います。
○溝口座長 海外でもみんな人からとっていますものね。輸入して日本で使っているHBIGは全部血液由来ですね。
 どうぞ。
○鈴木委員 国内で自給した場合に、輸入した製剤との価格差がどうなるのかによって、使われるかどうかが決まりませんか。
○溝口座長 そうですね。それはいかがですか。
○血液対策課長補佐 それはおっしゃられるとおりだと思います。まさにアルブミンで起こっているようなことが起こらないかという御指摘だと思いますが、そのとおりだと思います。
○溝口座長 確かに、HBIGの日本での自給率が最初4%とどこか学会で聞いたことがある。聞いたときに、それは、今おっしゃったようなお金の問題で自給率が低いのかと思っていたら、供給する抗体、血漿が少ないからということを聞いて、大変驚いた覚えがありますが、次の問題は、今、鈴木委員のおっしゃったような問題が出てくるかもしれませんね。それはまた別の問題ではあるんですが、ここで余り議論をしても。
 ほかに何か御質問ありますか。どうぞ、小幡委員。
○小幡委員 特定のもののために負荷をかけることになるので、献血と言ってもちょっとカテゴリーが違うかもしれないので、御希望の方には交通費などは考えられるのではないかなという感じがします。
 ワクチンの方は、予防接種法とか、補償があるとすれば、そちらの枠組みになりますかね。
○血液対策課長補佐 予防接種法は、いわゆる定期予防接種という法律に定められた予防接種の対象者に限って健康被害が生じた場合の補償ですので、それとは別に、任意の予防接種であれば、医薬品医療機器総合機構法に基づく救済が、それが今回のケースで適用になるかどうかというところもよく調べた上で。
○小幡委員 そこはしっかり詰めていただいて。
○血液対策課長補佐 そうですね。
○溝口座長 皆様、いろいろな御意見が出ましたけれども、そういう流れでよろしゅうございますか。ガイドラインをつくっていく方向に進めるということでよろしいですね。リコンビナントという話もありましたけれども、なかなかすぐの話ではないです。
 大平委員。
○大平委員 前のワーキンググループとかそういうところでの報告を踏まえて、今、もう研究が進み始めているわけなんですけれども、たしかこの議論の背景に、国内自給の問題と、こうした特殊な製剤について、やはりリスク管理として大切なのではないかという背景もたしか議論されたというふうに記憶しているんですね。やはり国内自給の背景には、今日、ちょっと血液事業部会の運営委員会でも出ましたけれども、アルブミンの問題で1メーカー、海外のメーカーが問題があって、少し供給が滞るというようなお話が出されましたけれども、そういうのを国内メーカーですとかほかのメーカーから支援をいただき、そして、それを何とか乗り切ろうという話が出ていました。そういった面でも今後こういう特殊製剤についても国内である程度は自給をきちんとしていくことの大切さというのはあるのではないかなと思いますので、私個人としては、是非研究を進めていただきたいなと思います。
○溝口座長 八橋先生のお仕事でも、かなり見込みがありそうだということですし、危険に関しても先ほど確認しましたけれども、アレルギーは余り大きな問題はないということなんですが、片方で被害者救済制度はきちんとつくっていただくような方向、そういうようなことをいろいろ御意見が出ましたけれども、こういった御意見を十分に念頭に置きながら、こういった特殊製剤の国内自給向上のためのガイドラインを策定するための必要な取組を進めていただくようにしたいと思いますが、いかがでございますか。
○八橋先生 最後に少し補足したい点があります。私が医療従事者に、このプロジェックトの必要性を事前説明するときに、必ず過去の薬害のことをお話ししています。安全な血液製剤を確立させるために実施するのです。今もHBIGを我々の職員が子どもに投与しています。過去の薬害の悲劇を繰り返さないためにおこなおうとしてやるプロジェックトなのです。その意義を一番医療従事者が一番理解しやすいのではないか、そのことを伝えることが大事だと考えています。
○溝口座長 それはICの中身をきちんと検討していただくということも含めたガイドラインの策定をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか、そういうことで。
(「はい」と声あり)
○溝口座長 一応、では、第1番目の議題はそういうことで御了解願いたいと思います。
 次に、議題2の「血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について」に移りたいと思いますが、中間報告では、患者の選択権、知る権利を満たすためのインフォームド・コンセントのあり方について、医療現場での実効性のある運用が可能かどうかを見据えつつ検討とされています。まず、議論を行う上で、血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について、いろいろ調査結果を踏まえた資料について、牧野委員から御説明願いたいと思います。
○牧野委員 (PP)
 私のテーマは、血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について、輸血細胞治療学会のアンケート調査の結果、それから、独自で行いました、一般の方を対象に行ったアンケートの結果、そういうものを踏まえて提示していきたいと思います。
(PP)
 先ほどから話題になっていますけれども、血漿分画製剤の国内自給率を去年のデータから見てみますと、フィブリノゲン、トロンビン、アンチトロンビン?、プロテインC、ハプトグロビン、グロブリン製剤、このあたりはほぼ国内自給が達成されているんですけれども、第?因子、第?因子は、遺伝子組換えをもって対応していると。今回話題になりましたHBsの免疫グロブリンに関しましては2%というデータで、このあたりが今後のテーマであろうと思いますし、インヒビター製剤に関しましては、全く国内自給できておりませんので、これも今後の課題であろうということです。本日は、その中でもアルブミン製剤についての国内自給について提示していきたいと思います。
(PP)
 アルブミン製剤は、1985年ぐらい、このあたりでは全世界の3分の1のアルブミンを日本で使用していたと言われていまして、その後、使用基準、ガイドラインなどが出ていきまして、アルブミンの使用量というのは年々低下してきたわけです。
 しかしながら、2008年まではアルブミンの使用量というのは年々減少してきておりまして、国内のアルブミン製剤の使用率というものが多かったものですから、国内自給率というのは2007年度をピークに、62.8%まで上昇しておりますけれども、その後は低下に転じております。その1つは、アルブミンの使用量自体が少し増加してきたのもありますし、やはり海外のアルブミン製剤の使用が増えたというところが大きな理由だと思います。
(PP)
 この3年間の各アルブミン製剤、5%、20%、25%のアルブミン製剤の中におきます国内自給率を見てみますと、5%製剤はほとんど変わっていないのですが、20%製剤、25%製剤は、2008年、2009年、2010年で徐々に国内アルブミン製剤の占める割合が減少してきているというのがわかるかと思います。
 その理由は、大きく2つ。先ほどから出ていますけれども、内外価格差というものとDPCの導入が一因ではないかと言われております。その1つとしましてはアルブミンの価格差というものがあって、国産と海外産で比較しますと、1本当たり1,500円前後の価格差があるということは事実なのですが、実はこの価格差というのは以前から存在しているわけで、今に始まったことではないということが言えます。そうしますと、DPCの導入ということと価格差というものが重なっているだろうと想像されます。
(PP)
 アンケート調査で見てみますと、DPCの取得率というのを各医療機関の規模別で見ますと、500床以上の施設におきましては90%の取得率であるということで、病院の規模が大きくなるほどDPC取得率は高いということがわかります。
 アルブミンは、実際どういう施設で使われているかというと、まさに8割のアルブミンがDPC導入施設で使われておりまして、4.2倍の差があるということで、こちらのDPC導入施設での使われ方というものがアルブミンの使用状況に大きく反映してくるだろうということです。
(PP)
 DPCの導入ありとなしで比較しますと、施設の規模別で見ていますけれども、DPCの導入施設の方がアルブミンの自給率が低いというデータがわかるかと思います。
(PP)
 これは、DPCの導入施設の増加と国内自給率を示したものですけれども、平成20年から21年、22年にかけまして、DPC導入施設が急速に増加してくるところで国内自給率が下がってきているということがわかるかと思います。しかしながら、平成23年度はDPC導入施設も余り増加しておらず、大体頭打ちになってきているという現状があるかと思います。
(PP)
 国内自給の低下の要因としては、自給率が62.7%に上昇してきたものが、その後低下してきたと。それには価格差というものとDPC導入というものが一因として挙げられると。そのほかの要因としましては、使用量が若干増加に転じてきているということと、各施設のインフォームド・コンセントの不備、院内採用薬剤決定体制の問題というのもあるのではないかと言われています。倫理的理由と将来のリスク管理の側面から、献血による国内自給の方針が患者視点において重要であろうということが言われて、輸血説明同意書の作成というものが重要であろうと考えました。
(PP)
 血液法の基本方針の中でも、平成25年度をめどに国内自給の達成を目指すとされていまして、その中の一つとして、患者への情報提供というものが挙げられております。
(PP)
 血漿分画製剤のインフォームド・コンセントに関しましては、1997年に輸血実施時の同意書取得の義務付けというのが出ておりまして、通達がありまして、その翌年には血漿及び血漿分画製剤使用時もインフォームド・コンセントの義務付けというのがあり、2003年には改正薬事法の中で、同じようにインフォームド・コンセントの重要性というものが挙げられております。
(PP)
 インフォームド・コンセントのポイントとしましては、必要性やリスクなりをしっかり説明してもらうわけですけれども、そのほかに原料血液の採血国と献血・非献血別の説明を追加するようにというのが1つのポイントだろうと思います。
(PP)
 この内容というのは、改正薬事法の中に書いてありまして、使用における説明と理解ということで、この血液製剤を使用する際にはリスクとベネフィットについて説明をし、同意を得るようにと。そして、その記録は20年間保存するというのがありますけれども、この製薬会社、企業の方には、ラベルに採血国、献血・非献血の区別というものを明記するように義務付けられております。そういう意味からも、インフォームド・コンセントでこの内容を知らせ、それから、患者さんに選択していただくべきだろうというふうに考えています。
(PP)
 現状はどうかということを調べるために、輸血学会ではアンケート調査を行いました。
(PP)
 その結果を見てみますと、インフォームド・コンセントを実施するときに、実施していますかどうかということに関しまして、輸血用血液製剤では「常に行っている」というのが97%で、「ほぼ行っている」を合わせますと100%になります。しかしながら、血漿分画製剤におきましては、「常に行っている」というのは89%で、若干差があるということがわかります。
(PP)
 血漿分画製剤の説明・同意書がありますかという質問に関しましては、各病院の規模別に見ていますけれども、単独の同意書、つまり、血漿分画製剤の同意書が、説明書がありますというふうに答える施設が半分以上ありまして、輸血同意書に含まれていますというのが残りでした。
(PP)
 投与時の情報提供なんですが、血漿分画製剤を投与するときに、採血国に関する情報を提供していますかということに対しまして、「常に行っています」というふうに答えました施設は16.89%と20%を切っておりまして、献血・非献血の別に関しましても18.94%と、20%弱の施設しか常に行っている施設がないということがわかりました。
(PP)
 輸血同意書に採血国、献血・非献血の別の情報が含まれていますかという質問に対しましては、同意書に含まれていますと答えていただいた施設は13.38%と16.45%ということで、やはりこちらの方も20%弱の施設しか輸血説明・同意書にこういう情報が入っていないことがわかりました。
(PP)
 これは病院の規模別に見ましてもほとんど変わりはなくて、小規模だろうが、大規模だろうが、ほぼ同じ頻度でしか情報が含まれていないという結果でした。
(PP)
 県別に見ますと、これも結構差がありまして、こういう情報が輸血説明書に全くないという都道府県が15都道府県ありました。
(PP)
 アルブミン製剤の国内自給もかなり差がありまして、高いところはほぼ100%近く、低いところはほぼゼロに近いという、都道府県別で非常に差が認められました。
(PP)
 採血国のインフォームド・コンセントを行った施設と行っていない施設で、アルブミンの自給率がどうかというのを見ましたところ、採血に関するインフォームド・コンセントをしている施設の方が自給率が高いという、これは小規模、中規模、大規模、いずれの施設におきましても、インフォームド・コンセントをやった施設の方が高い。逆に言いますと、国産のアルブミンがある施設がインフォームド・コンセントをしているのではないかということで、この差が出てきているのではないかと思いました。
(PP)
 アンケートに答えてくださった施設の方に、WHOの国内自給のWHO勧告、それから、血液法基本方針、改正薬事法の内容についてご存じですかという質問に対しては、「よく知っている」、「何となく知っている」というものが大体9割ぐらいありまして、国内自給についての情報というものはわかっているんだけれども、なかなか国内自給にそれが結び付いていないというところがあります。
(PP)
 虎の門病院では2006年に自己血を採血に来られた方にアンケートをしてみました。アルブミン製剤の採血国を知りたいですかという質問に対しては、95.6%の方が「知りたい」と答えますし、最終的に、アルブミンは国内製剤と海外製剤、どちらを使いたいですかという質問に対しては、「国内製剤を使いたい」というのが87%あると。このデータをもとに、虎の門病院では全アルブミン製剤を国産製剤に変えました。その後、使用量も安定してきまして、輸血管理料が取得できたという状況です。
(PP)
 では、一般の方はどうかということで、昨年アンケートを行ってみました。7,803名の方でウェブ上で行いました。8月21日が献血の日ということで、この前後で行いました。男女比はこういう状況です。あと、献血した人が62.7%、結構多く占めて、こういうのに興味がある人が中心に答えていらっしゃいます。
 これで見ますと、10代、20代は献血率が低いというのがわかります。
 あと、献血の後だと思いますけれども、本人もしくは家族が輸血歴のある方、ない方で、このアンケートの回答を分けて集計しました。
(PP)
 まず、患者さんに知識がどれぐらいわかっているかということで聞いてみましたけれども、血液製剤には輸血用血液製剤と血漿分画製剤の2つがあることを知っていますかということに関しては、「よく知っている」と「大体知っている」ということを合わせますと半分ぐらい。
(PP)
 それから、輸血用血液製剤、100%が国内献血由来であることを知っていますかということに関しましては、57.5%が「知っている」と。
(PP)
 それから、血漿分画製剤には輸入製剤が含まれていることを知っていますかということに関しましては、38.8%ということで、余り知られていないなというイメージです。
(PP)
 それから、原料血漿の確保方法には献血と非献血があることを知っていますかということに関しましては、50%の方が大体知っているということでした。
(PP)
 それで、国内においては、血液製剤の原料確保の方法は献血のみであることを知っていますかということに関しましては、65.6%の方が「知っている」ということでした。
(PP)
 これはちょっと難しいですね。血液法では、国内で使用される血液製剤は100%国産製剤を用いる方針であることを知っていますかということに関しましては46.1%の方が「知っている」と答えております。
(PP)
 それで、献血のあり・なし、家族もしくは自分が輸血歴がある・なしで分けまして、血漿分画製剤の原料と血液の採血国を知りたいですかということに関しまして質問したところ、「強く知りたい」、「まあまあ思う」ということを合わせますと85.7%。これは献血があり・なしでも余り差がありませんし、輸血あり・なしでも余り差がなく、全体で84.6%の方が知りたいという回答でした。
(PP)
 献血・非献血の区別に関しましても同じように、余り大きな差はないのですが、大体8割前後の方が、献血・非献血別を知りたいという回答でした。
(PP)
 最終的に血液製剤の国産、輸入、どちらを希望しますか。自分が投与されるとすれば、どちらを希望されますかという最後の質問だったのですが、それに関しましては、献血ありの93%の方が「国産を希望する」という回答でした。そういうことで、トータルしますと92%の方が「強く思う」もしくは「どちらかというと国産製剤を希望する」というふうに回答されました。
(PP)
 国産を希望した方の希望理由としましては、「国内製品は安心できる」という理由で国産製剤を希望しますというふうに答えていらっしゃいました。
(PP)
 ということで、一般の方はそういうことで国産製剤を希望されるんですが、病院の中を見てみますと、患者さんに国産とか献血・非献血というインフォームド・コンセントをしっかり行わないと、当然あるものが入ってくるわけで、しっかり患者さんに説明をしますと、患者さんは国産を希望する方が多いということがわかりますと、輸血療法委員会でそういう内容を検討され、院内での採用薬剤を決めるところでの意見が求められますし、そうしますと、やはり国産製剤が入ることになり、患者さんの希望の製剤が入る形になるのではないかと思うわけです。
(PP)
 これもアンケートの結果ですが、実際、アルブミン製剤を採用決定している部門としましては、病院の規模別に変わりますが、多くが薬剤部門、薬剤委員会で決まっているわけで、輸血部門というのはほんの少しです。ですから、そういう意味でも、輸血部もしくは輸血療法委員会、そういうところでの意見が反映されるといいとは思うんですが、現実はちょっと差があるなということ。
(PP)
 それから、各アルブミン製剤を、どの製剤を置いていますかということに関しましては、5%製剤は「国産のみ」置いている施設は34.9%で、「海外産のみ」置いていると答えました施設が59.7%と半分以上を占めていると。「両方」置いていますという施設は非常に少なくて、10%以下だということがわかるかと思います。
(PP)
 詳しく見てみますと、製剤と病院の規模別で見ますと、国産のみを置いている施設というものは、通常は各施設で1剤しか置けないところが多いと思いますので、そういう意味でどちらか一方のみというところが多いわけですけれども、両者を置いているというところは非常に少ないと。大規模になると若干それは増えるんですけれども、どの規模もどの製剤も両方置いている施設は非常に少なく、海外のみというところがまだまだ多いというのが現状です。
 そういうことで、こういうデータを踏まえて、昨年から我々は輸血用血液製剤及び血漿分画製剤投与時の効果的なインフォームド・コンセントの実施に関する研究というのを始めました。なかなかゆっくり患者さんに、あなたは国産がいいですか、海外産がいいですか、献血がいいですか、非献血がいいですかという説明を一つひとつ行っている時間もない。そういう場面が非常に多かろうと思いますが、これもアンケートの結果ですけれども、診療科別の等張アルブミン製剤使用を見てみますと、心臓血管外科、消化器外科、救急科、そういうところが等張アルブミン製剤をよく使用している診療科であって、非常に緊急の状態が多いわけですから、ゆっくり説明している時間がないと。それから、高張アルブミンも消化器外科が多いわけですけれども、なかなか十分時間がとれないのではないかと思いました。
(PP)
 我々の研究班としては、患者さんにそのパンフレットを、輸血説明書として渡すと、患者さんは非常に理解しやすく、そして輸血に関する副作用を含めて、すべてがある程度含まれていると。わからないところは主治医に尋ねるという形をとろうと思いまして、こういうものをつくりました。イラストをつけて、必要な項目は書いております。血漿分画製剤の目的、リスク、ここにちょっと字が小さいんですけれども、国産、献血・非献血の別というものを含めまして、それから、副作用、健康被害救済制度の項目を入れております。それを読んでいただきまして、わからないところを後で質問を受けるということを計画しております。
(PP)
 これはよく出すスライドですけれども、国民は国産製剤を希望しているんだということ、先ほどから出ています過去の悲劇を繰り返さないということ、危機管理ということ、血液法の中でうたっているということ、こういう理由から、インフォームド・コンセントというのをしっかり行っていく必要があるだろうなと思いました。
(PP)
 まとめですけれども、文書でとる方向を徹底していく必要があるだろうと。それから、採血国や献血・非献血の情報を、輸血説明書に含めていく必要があるだろうということ。しかしながら、現状としてはまだまだ十分でないので、全国で使えるような輸血説明書というものがあれば、そういうものを用いて、そして、血漿分画製剤でも同意をとるということをある程度、通常の輸血用血液製剤と同じように、100%近くとるような、何か形がとれたらなというふうに思います。
(PP)
 そして、輸血療法の実施に関する指針と、そういう中で、インフォームド・コンセントのところに採血国や献血・非献血の別というものを患者さんに説明するようにというものを指針の中に盛り込んでいくといいだろうなというふうにも思いますし、それから、院内で採用するところに輸血部、輸血責任医師とか輸血療法委員会の意見が入るようにできたらいいというふうに思っております。我々の研究班としては、輸血説明書、血漿分画製剤だけの説明書も作成中ですけれども、そういうのを用いて国内自給に貢献できたらなというふうに思っております。
 以上です。
○溝口座長 どうもありがとうございました。大変詳しく御調査いただきまして、ありがとうございます。
 ただいまの牧野委員の調査、あるいは御発表に対して、御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ、鈴木委員。
○鈴木委員 私、よくわからないんですけれども、今のお話とかを聞くと、なるべく国産を使わせたいということのようですが、一方では輸入製剤がもう出回っているわけですね。実際に使われているわけですね。しかも、輸入製剤が危険であるとは言っていないわけですね。製剤の安全性に優劣を付けるものではないと言いつつも、国産か国産でないか、献血か献血でないかを問うというのは矛盾しているような気がするんです。国産は100%安全で、輸入品は100%安全ではないというんだったらば意味があると思うんですけれども、果たしてそういうことを前提にしているのか。そうじゃなかったから、そういうことを聞くこと自体が余り意味がないんじゃないかなと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
○溝口座長 花井委員か大平委員、いかがですか。
○大平委員 私からお答えするのは僣越なんですけれども、1つは、日本は献血制度というのがあって、世界に誇るそういう制度がずっと維持されていて、輸血用血液はすべて献血血液からつくられているという背景と、それから、献血者がそれを無償の献血として支えているという国だということが1つあって、それは、かなり日本人の倫理観ですとか、それからまた、助け合いの運動、そういうような形で支えられていて、医療全体も私たちはそういう助け合いの中で、仕組みの中でつくられているんではないかなというふうに私は考えるんですね。
 私たち、私もそうなんですが、薬害エイズ問題が起きたときには、日本の献血血液で当時の私たちの治療製剤というのはつくられていなかった。それの問題点というのは大変大きくて、当時、日本はエイズの感染というのがフリーだったわけですけれども、それが献血血液で第?因子製剤がきちんとつくられる、また、緊急的にもつくられる可能性があったとしたら、もしかして私たちの仲間のどのくらいの割合かはわかりませんけれども、救われたのではないかという背景もありまして、なるべく日本人の献血血液で是非血液製剤は自給してほしい。それは世界的なコンセンサスでもあったわけなので、そこを安全性の問題についての議論というよりかは、そういう日本の社会制度をつくっていく、そういう助け合いの精神ですとか、献血血液の善意の献血という問題についての出発点というのが、そういう日本人、日本特有の考え方にあって、それを尊重して、今、献血者がせっかく献血してくださっている血液を有効に使おうではないかという方向で私たちは考えております。
○血液対策課長 今、大平委員が言っていただいた点があるかと思いますが、それから、法律的な意味から申し上げると、日本における血液法においては、国内自給を原則としてやっていこうと。それが法律になっておりますし、また、その大本としては、WHOの勧告でも、各国、国内自給に基づいてやりましょうというのがWHOの勧告としてまとめられております。
 もう一つ、背景としてあることは、大平委員に言っていただいたように、日本はきちんとした献血制度、無償での血液に基づいていろいろな血液製剤がつくられているという背景がございますけれども、もう一方で、日本に入っている、輸入されている製剤においては、献血に基づかない有償での血液に基づいてつくられている部分があるというところがございます。そういったようなことも含めまして、やはり基本的には国内自給で。
 それから、もう一点は、一時期、血液製剤が海外から入ってきていたものがいろいろ問題があって、海外のメーカーが引き上げるというようなことも以前あったことがございます。そういうようなことも含めて、安定供給をしていくという上からも国内自給を目指すということが重要と考えて取り組んでいるところでございます。
○溝口座長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 考え方としてはわからないではないですけれども、現在、私が聞きたかったのは、今、使われている輸入製剤が危険であるのかということなんです。その点について聞きたいんですけれども。現在、リスクがあるということを認識されているわけですか。
○血液対策課長 製剤として認められているという面では、危険というところではないんですけれども、もう一方で、未知のいろいろな感染症というような意味合いから言えば、国内自給をできる限り満たすということが、リスクを回避するという意味はあろうかと思います。
○鈴木委員 未知の感染症なんて日本だってあるかもしれないしので、そんなこと言えないし、今、危険であるんだったら、輸入を認めていること自体に責任が伴うことでしょうし、危険がないということで輸入を認めているんだったら、それは、国内製品と差がないということを認めているということになりませんか。
○血液対策課長 現在の安全性という意味では、きちんと勿論、輸入されているものについてもちゃんと見た上での輸入が認められている。それは事実だと思います。
○溝口座長 直江委員。
○直江委員 国として自給率を高めましょうという、そのために議論をやっているのがちょっと違和感があるのは、患者さんにそれを選ばせるという、そこの図式がちょっと違和感を感じるんですけれども、というのは、インフォームド・コンセントというのは、僕らは毎日現場でやっているわけですけれども、それは多くの場合は、医療に伴うベネフィットとリスク、そのことをお伝えする。それから、エビデンスというものをお伝えするということが多くの場合なんですけれども、輸血のときの原産国のことのインフォームド・コンセントに関しては、僕は2つの違和感があるんですね。
 1つは、要するに、選択の余地がほとんどないんですね。先ほど先生が示されたように、2剤、国内製と国外と両方入っている病院というのはほとんどないんですね。じゃ、国内でお願いしますと言っても、実際問題はないという現実の問題が1つ。
 それから、2つ目は、今、議論が出たように、だからといってリスクが高いわけではないと。効果も同等であるということを前提にお話をすると、非常に難しい話。好みと言っては何ですけれども、どういうふうにそれを考えるかということになってきて、医療現場としては、この辺をどういうふうに患者さんにお伝えして、その患者さんの意向を反映するのかと。多くの現場は、特に5%なんかは外科系ですね。先ほどおっしゃったように、緊急だとか救急の場で、そんなことができるのか。とてもできないですよ。だったら、病院として5%が安くなって、5%を買ってくれれば自然に使うので、できるだけそういうことを現場のICに押し付けるのはやめてほしいというのが、僕は現場の医師の声ではないかなという気がしますけれども。
○溝口座長 話は違いますけれども、ICは、輸血用血液製剤はかなりきちんととっていますね、我々。長期使う人は月1回やっているけれども、それに対する保険のサポートもあるんですが、血漿分画製剤はそういう保険、ICに関するサポートはあるんですか。
○血液対策課長 アルブミンとか、ございます。輸血管理料の対象になってございます。
○溝口座長 しかし、益子先生は以前、忙しい現場でとてもICなんてできないということをおっしゃっていましたけれども、経済的なサポートもないということはないでしょうかね。
○益子委員 ICをとらないという意味じゃなくて、後付けでいただいているということでございます。全くとらないという話ではないです。患者さんの御家族が来るのに間に合わない、これは輸血せざるを得ない、血漿分画製剤を使わざるを得ないという状況で使っているということでございます。
○溝口座長 鈴木委員の御質問は当然なんですが、ただ、血液法で国内自給を目指した、平成15年に法律ができたんです。そのきっかけは、やはり海外から輸入された第?製剤で大勢のエイズの患者さんが出たということがきっかけで法律ができまして、そこで、国内でつくったものではそういうことがなかった。かなりプライベートにつくられたものがあったんですが、そういうことがあってあの法律の中に国内自給という言葉が入ったわけです。
 それから更に、WHOの倫理的な面で国内で必要な血液は、国内で供給するという精神が入って、その法律もそのまま続いているわけですが、先生のおっしゃるように、いわゆる血漿分画製剤は、輸血用血液製剤と違って、強力な不活化・除去がウイルスなど細菌に対して行われているので、そういう安全性、感染性の安全性に関しては差がないんじゃないか。これはもっともだと。ただ、それによって除去されないBSEであるとか、その他の未知のものが感染性の危険は残っているわけです。
 それから更に、非感染性の副作用。例えば、ガンマグロブリンで最近問題になった、海外ので血液凝固が起こるとかいうようなものがありまして、先ほど運営委員会でアルブミンの何か問題もあったんですか。そういった安全性の問題があることが海外のものにあるわけです。国内のものは、そういう場合の追跡調査が簡単にできますが、海外の場合はなかなか難しいということがありました。
 それから、先ほど安定供給の問題でも、第?因子の製剤、リコンビナントが海外から供給が止まったことがある。急遽日本で血漿分画由来の第?因子を大増産したことがある。そういった安定供給と安全性という面で、やはり国内自給をしていこうという考えがあります。それから、もう一つ、安全に関しては、未知のものが起こったときのフォローの問題ですね。立ち入って調査する、そういうことは国内の方が容易ではないか、そういう考えがあります。いかがですか。
○鈴木委員 そういう話は考え方としてはわかるんですけれども、でも、そうすると、重要なものは全部国産にしないといけないという感じになってきて、非常にコストが割高になっても国産を使うべきだというような考え方というのは、ある意味では、今、医療費が非常に高くなって問題だと言われていて、DPCだって、結局そういうことで抑制の一環として日本では導入されているわけですし、そういうものを医療機関の経営努力というものとまた違った論理でそういうものを使うということ、しかも、リスクがあるというか、外国では使っているわけですね。それで、昔は事故があったかもしれないけれども、今はないわけでしょう。そういう国から輸入していけばいいわけですから。その辺は幾らでもコントロールできるんじゃないかなと思うんですけれども、何となく患者さんに誘導するような感じですよね。国産にしますか、非国産にしますか。献血にしますか、非献血にしますか。明らかに誘導だと思うんです。それは国産の献血を使いなさいという。そういうインフォームド・コンセントの仕方というのは、私はちょっと違和感を感じますね。
○溝口座長 確かにそのとおりだと思うんですけれども、もう一つは、アルブミン自身の有用性に関する説明が十分行われていないのではないかという気がしているわけです。人口当たりのアルブミンの使用量が日本は多過ぎるんですね。ですから、ICを、ガンマグロブリンの大量療法、第?因子の使用も当然きちんとやっています。アルブミンの高張液は、ネフローゼや肝硬変のような疾患に対して行っていますので、かなりきちんとICをやっています。しかし、等張のアルブミンが自給率が20%と低いというのは、この会で初めて知ったんですけれども、それが有用性に関してICが十分とられているかどうか。特にデキストランなどその他の代替品との有用性に関してとられているかどうか。もう一つは、コクランペーパーとか、あるいはSAFE studyのようなリスクがあるという報告に関するインフォームド・コンセントがとられているかどうか、その点はいかがでしょうか、益子委員。
○益子委員 それよりも、座長、私、国産を使わなければならない、自給率を上げるというのは全く同感ですし、インフォームド・コンセントについても全く異論はありませんね。WHOの勧告もよく理解しているつもりですし、日本でHIVの問題があってから、海外の血液に対するアレルギーは非常に強いというのもまた理解できます。
 しかし、私、先ほど鈴木先生おっしゃったように、今、現在、科学的なエビデンスでもって海外の製剤が日本より劣っているというエビデンスはないというわけですね。だから厚生労働省は日本の国民のために血液製剤を入れているわけですね。その中で、何か日本のものだけが絶対安全だというようなニュアンスで今の御説明をされているわけですね。これはものすごい危うさを私は感じます。
 3月11日に何が起こったかというと、日本じゅうで絶対に安全だ、世界一安全だと言われた原発があんなことになってしまって、日本の安全な野菜は世界で売れない。魚も売れない。お茶だって売れないという状況が発生しているわけです。ですから、絶対安全なんていうことはないわけで、そうなったときに、万が一日本の血液製剤で何か問題が起きたときにはどうするのかということも我々考えておかなければならないと思うんですね。
 今、焼き肉屋さんは、以前はBSEがあったから、日本の国産の牛肉ですと言ってみんな書いてありますけれども、今、国産の牛肉が一番危険だから、みんなオージービーフと言っているんですね。そういうふうに、やはり代替手段というものを確保していく。これが危なくなったら代わりのものがあるということを常に危機管理の面で考える必要があると私は思っていまして、ですから、安全性で問題ないのであれば、あえて一つに無理やり持っていくというのはおかしいと思いますし、なぜ国産の自給率が下がったかと言えば、結局、価格の問題なんですね。それで、DPCが導入されて、病院は死活問題ですから、安くていい製剤を使うようになるというわけですね。だから、それは日本のメーカーが自助努力をして価格を下げれば、問題は一遍に解決して、自給率は上がっていくんです。これを国が操作することによって、国内メーカーの力を削いでいるというふうに私は思います。
○溝口座長 その辺は、前回、その前の議論を大分やりましたが、まだ十分でないと思いますので、もう一回できればやりたいと思っております。そこが一番大きなポイントであるという気はします。
 どうぞ。
○大平委員 インフォームド・コンセントの話はいろいろと今出ましたけれども、ただ、医療というのは、医療機関だけですべてがおさまる話ではないんだろうと思うんですね。それはやはり最終的には患者のどういうメリットがあるかとか、そういうのを考えて、本来は患者のためにどういうふうな医療をしていくかということを考える土台が必要なのではないか。そのために、いろいろなリスクの問題ですとか、また、使っている製剤についてとか、治療法について、患者にきちんと情報を伝える。それを患者が最終的に決定していくというプロセスが、今、時代としてはきちんととられている医療だというふうに私は確信していたわけなんですけれども、そういった前提の中で、血液製剤について、献血の血液製剤、非献血の血液製剤とか、そういうものについても、一般の人たちは、誘導かどうかはわかりませんけれども、ここで出ているデータのように、やはり知りたいわけですね。知って、そしてその選択は、日本のものを使いたいとか、そういうことは純粋な一般の庶民、国民の感覚だろうと思うんです。そのために、それで、あえて言えば、献血制度というのもきちんと日本ではそれが根づいていて、それが守られているというところがあるんだろうと思うんですね。やはりそこの医療というのが、実際には医療現場の決定というのは、かなりお医者さんたちが決定していくというところがあると思いますけれども、ただ、それは最終的に問題があったとき、そしてまた、不利益があったときには患者が被る問題であって、それをきちんと、その問題について、背景とかそういうのは、ある程度医療者として説明するということが大事な話だろうと思いますので、それを割愛してしまうということ自体は、私はやはり患者無視の医療につながるのではないかというふうに考えます。
○溝口座長 花井委員。
○花井委員 インフォームド・コンセントの議論で、もともとインフォームド・コンセントというのは、どんな医薬品を使うにも全部お医者さんは当然しているわけだから、あえて血液だからしていないということはないわけだから、建前を言えばね。説明はしているでしょうと。だけど、血液法のときにも特に血液製剤について、インフォームド・コンセントというのを努力義務で盛り込んだのは、1つは血液製剤の特殊性という部分があったので、特殊性の中には、別にそこで国内自給とかを説明するという趣旨ではなかったと思うんですね。主に一般の医薬品ほどの等質性はなく、いわゆる生物由来であって、非常に一般の医薬品と違う特性があるんだから、そのリスクについて説明しましょうという趣旨なので、インフォームド・コンセントの中身である程度国内自給を推進するというのはちょっと筋が違うと。
 先ほど、福島で3.11という話があったけれども、それ以前に既にイギリスのCJDで、イギリスの国内血漿がリスクがあるというときに、イギリスは国内のを使わずに、危ないからと国内を全部やめて、アメリカから輸入をしているんですね。だから、結局、国内だから安全なんていうことはないのは明らかなんですね。インフォームド・コンセントという意味で言えば、国内製剤と海外の製剤の安全性は違うんですかと。既知の病原体に関しては全く同じでありますと。安全性は変わりません。有効性も変わりませんと。未知の場合はどうかというと、未知の場合は、日本は輸血用血液は献血システムでやっているので、当時は、今では当たり前ですが、いわゆる遡及調査ですね。ルック・バックとトレース・バックというシステムは当然なかったわけですけれども、今はそういうシステムがあって、どのドナーか、パックからわかるわけですね。そうすると、病原体が何か、何らかの新しい疾患がアウトブレークしたときには、その地域のこの人の血液がここに入っているとか、そういうことはすべてわかるという意味においては、未知の感染症に対しては、対応する意味では国内産の方がちょっと優位であると。その程度であるわけですね。
 その話と国内自給の話はちょっと違う話で、さっき、主には倫理的というのが1つあると思うんですけれども、それがモノポリーになれば、全く国内品しかないようになれば、これはやはりリスクが高まるので、じゃ、国内自給、何でもやらすのかというと、矛盾するようなんですが、国内の力は相対的には低いわけですね。はっきり言えば。国内の製剤というものを献血は絶対やらなければいけないと。輸血用血液は全く要りませんと。人工血液ができましたとなれば、また話は別なんですが、輸血用血液に関しては、献血システムを日本は日本として維持しなければいけないことがあって、輸血用血液の確保と一体化しているところがあるというところで、倫理的問題としても臓器に準じたものじゃないかと。医薬品と違うということで、じゃ、WHOもヨーロッパもある程度は国内自給ということを支持して、日本はそうしましょうと決めただけの話で、あとは、その持っていき方は、各医療機関に御協力をお願いするということと、それから、患者が決めるということは、勿論原則かもしれませんが、ここで言うときの説明というのは、ある種の透明性なんですね。DPCでもいいんですよ。国内でもいいんだけれども、DPCだから、あそこは輸入製剤を安く使っているねとか、国内で使っているねとか、そういうことまでわかればもっといいと思うんですけれども、ある種のDPCというのは、コストダウンの努力をするとも言えるし、コストダウンし過ぎて質まで下がっていないのかという問題も当然ユーザーからすればあるわけですね。そうすると、同じようなDPCで同じような規模の病院でも、この病院の方がよかったとか、あっちの病院がよかったというので患者は選んでいくんですが、その基本になるのは情報公開であって、例えば、手術が何件あったとか、あと、血液製剤は国産かとか、そういうことも含めて、なるべく情報は多く出すということはあると思うんです。その中である種血液製剤がどこのを使っているとかいうことや、もしくはそういうことに関する、ちょうどパンフレットにあるようなことを理解していくということだと思うんですね。それをこれらをインフォームド・コンセントの中身にして、医療行為の中で全部これをやりましょうというのは、ちょっと筋が違う話というのはおっしゃるとおりで、インフォームド・コンセントの段階で、僕らのような慢性疾患の場合なんかはゆったりとできるから、俺はこれがいいとか、患者はうるさいことを言うわけですね。これじゃなきゃ嫌だとか。使い慣れているこれじゃなきゃ。そういうことはお付き合いいただいて、医師と患者間でやっているわけですけれども、慢性疾患であればね。しかし、ICUとかそういうところではそういうのはあり得ないわけで、だから、当然インフォームド・コンセントの中で、国内、国産、買血か献血かみたいなことを説明しなきゃいけないんだという話にすると、さっき言ったような懸念は僕も感じるわけで、情報提供して、みんなで、日本が選んだ決断ですね、献血でいくんだというところをどうやって理解していくかというところを整理した方がいいと思うんですね。
○溝口座長 もう8時。予定した時間になってしまいました。
○花井委員 是非そこを議論を整理した方がいいと思う。
○溝口座長 そうですね。
○花井委員 ICと言っているから、ちょっとそれは。
○溝口座長 ICでやるべきことは、献血か非献血かの問題よりは、むしろアルブミンの有用性、いわゆる有効性と副作用の問題をきちんと伝えて、今の使用量が日本は多過ぎる。そういうところ辺をもう少し検討してもらうような方向にICを持っていくといいんじゃないかという気がします。
 どうぞ。
○小幡委員 筋が違うというかどうかですが、確かに選択の情報をきちんと与えるということがインフォームド・コンセントでは、一番大事なので、その中に血液のもとが何であるかというのは当然入ってきてしかるべきだと思うのです。ですから、日本は先ほどの資料3の21ページにありますように、医学的、倫理的、社会的、法的とございますが、要するに血液法があるので、血液法を改正するかとか、安全性はほかに考えて、そもそも、国内自給という方針をやめるという話であれば別ですけれども、とりあえず今は血液法がつくられて、その枠内で動いているわけですね。その中で、今、アンケートにありましたように、きちんとした情報を与えられれば、国内血、献血を選ぶという方が多いということであれば、インフォームド・コンセントを使うという言い方をすると、筋とかいう問題があるかもしれませんが、むしろ、きちんとした情報を与えたら選択される。ですから、一番まずいのは価格差というのはおっしゃるとおりだと私も思いますけれども、それがなければもっとスムーズにいくと思います。ただ、筋が違うというほどのことではなくて、血液法の中で、本来、国民にきちんとした情報を与えて選んでいただくということは大変大切なことではないかと思います。
○溝口座長 ほかに。ちょっと時間も過ぎつつあるし、電気も消えそうでは。前野委員どうぞ。
○前野委員 まず、この前もお話ししたと思うんですけれども、血液製剤を他の製剤と一緒にすることにはとても違和感がある。やはり花井委員が言われたように、血液製剤に関しては、臓器の扱いのようなものであるべきだと思いますし。
 実際に、安全性云々ではなくて、国内の血液自給を守るという血液法、また、WHOの勧告をどう実行に移していくかという問題だと考えます。しかし、実際には、今、日本においてその原則の実行が十分行われていないわけであって、それをどういうふうにより実現に向けて近づけていくかということだと思います。
 そこで内外価格差、またDPCの問題、それをどうクリアしたらいいのかという具体策を出すべきではないでしょうか。それを個々の病院等で、また患者に選択を預けるというのはいかがなものか。実際、日本の大前提として、血液法としては、国内自給を推進するというのがうたわれているわけであって、それをより高めていくような方向性をどういうふうにしたら進められるかというところに話を持っていくべきではないかと思います。
○溝口座長 ありがとうございました。
 いろいろ御意見をいただきましたけれども、うまくまとめられませんが、ある程度倫理的な問題、血液法の問題などからある程度国内自給という方向は、コンセンサスを得られたと思うんですが、片方だけにする危険ということも益子委員からも言われましたし、今のところ、どうも片方だけしか入れていないところが多いようなので、その辺もかなり問題は逆に益子委員の指摘された問題ではないかという気がします。その辺を十分に説明して、患者さんに納得のできる医療を行うというのが今の新しい医療ではないかと思いますので、これにサインしろだけではいけないような気がします。
 そのようないろいろな意見を今後事務局でまとめていただいて、また次回の議論にしたいと思いますし、それから、一番大きな問題は、原料血漿を安くして、アルブミンの費用を下げるという問題が残っているんですが、それは、ここでさらに議論しても、最後まとめて提案をしたいとは思うんですが、事務局で少し今までの議論をまとめていただいて、次の回のときの方向を出していただければというふうに思っております。そんなところでよろしゅうございますか。
 どうも今日はありがとうございました。以上でこの会を終わらせていただきます。
 次回の予定につきましては、事務局からまた御連絡いただくことになります。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111内線(2905、2917)

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