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2011年8月31日 第1回不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成23年8月31日(水)16:30~18:48


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(合同庁舎5号館12階)


○議題

1.開 会

2.議 事
 ・座長の選出
 ・不活化ポリオワクチンの円滑な導入について
 ・その他

3.閉 会

○議事

○飯野課長補佐 定刻となりましたので、ただ今から「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席をいただき誠にありがとうございます。
 私は、座長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきます、健康局結核感染症課の飯野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、本検討会の構成員の御紹介をさせていただきます。お手元に構成員名簿と座席表がございますので、五十音順に御紹介をさせていただきます。
 国立感染症研究所感染症情報センター長、岡部構成員でございます。
 株式会社風讃社たまひよコミュニケーションディレクター、蒲生構成員でございます。
 ポリオの会、小山構成員でございます。
 新潟大学医学部小児科教授、齋藤構成員でございます。
 川崎市健康福祉局医務監、坂元構成員でございます。
 国立感染症研究所ウイルス第2部室長、清水構成員でございます。
 川崎医科大学小児科教授、中野構成員でございます。
 大阪市立大学大学院医学研究科教授、廣田構成員でございます。
 社団法人日本医師会常任理事、保坂構成員でございます。
 社団法人日本小児科医会会長、保科構成員でございます。
 ポリオの会、丸橋構成員でございます。
 また、元感染症研究所長の宮村達男先生に御参考人として御出席いただいております。
 次に厚生労働省の事務局を紹介させていただきます。
 まず初めに健康局長の外山でございます。
 大臣官房審議官の篠田におかれましては、別の会議がありますので、途中からの出席となります。
 健康局結核感染症課長の正林でございます。
 医薬食品局血液対策課長の三宅でございます。
 健康局結核感染症課課長補佐の林でございます。
 同じく課長補佐の永井でございます。
 同じくワクチン対策専門官の喜多でございます。
 医薬食品局審査管理課審査調整官の目黒でございます。
 最後に、私、課長補佐の飯野でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、開催に当たり、外山健康局長よりごあいさつを申し上げます。
○外山健康局長 健康局長の外山と申します。
 構成員の皆様方には、本会議の構成員の就任を御快諾いただきまして、また第1回目の開催に当たりまして、御多用中にもかかわらず、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 日ごろよりポリオを含む感染症対策推進につきまして、御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 不活化ポリオワクチンにつきましては、早ければ来年度中にもジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチンが国内で導入される見通しとなっております。また、これと近い時期を目指しまして、単抗原不活化ポリオワクチンの開発も進められております。
 この会議は、そういった今後の承認あるいはその後の供給体制を見越しつつ、いろいろ検討するわけでございますけれども、このたびの構成員は予防接種の専門家であるとか、あるいは医療機関の方々、マスコミ、ポリオの会、市町村行政の方々といろんな分野の方から構成員になっていただいております。
 既に本日も生ワクの接種率が下がってきたという報道もあると思っておりまして、今後、生ワクチンから不活化ポリオワクチンに移行する際に、この問題というものは社会的に非常に関心も大きいと思いますし、いろんな御不安も出てくるのではないかということもありますので、そういった問題やさまざまな公衆衛生的な問題が出てくると思います。そういう課題に的確に対応しながら、どうやって円滑に移行を進めるのかという具体的な合意といいますか、そういったことをこの検討会で私は期待しております。
 更に結論も重要なんですけれども、こういった検討会で、先ほど来のさまざまなお立場の方々から忌憚のない御意見を、こういった平場といいますか、開けた場で、公の場で述べていただくこと自体が、我が国のこういった行政にとって非常に重要ではないかと思っておりますので、そういったことで、毎回、皆様の議論に期待しているところでございます。
 そういうことで、何とぞ御指導をよろしくお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○飯野課長補佐 カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力方よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○飯野課長補佐 それでは、本検討会の座長を選出いたします。
 事務局では、国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部構成員にお願いしたいと考えておりますが、構成員の皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○飯野課長補佐 岡部構成員、お引き受けいただけますでしょうか。
○岡部構成員 承知いたしました。
○飯野課長補佐 それでは、岡部構成員に座長をお願いいたします。
 岡部座長は座長席に御移動ください。
 また、ここからの会議の進行は、岡部座長にお願いいたします。
(岡部構成員、座長席へ移動)
○岡部座長 国立感染症研究所感染症情報センターの岡部と申します。どうぞよろしくお願いします。
 御指名ですので、お引き受けしましたけれども、なかなか大変な会で、まとめたりするのは難しいと思いつつありますが、今後のIPV導入に向けて非常に重要な検討会ではないかと思います。
 先ほど局長もおっしゃったように、この検討会の目的は、紆余曲折がありながらも、とにかく不活化ポリオというのが視点に入っており、実際にそれを導入するに当たっていくつかの課題をスムーズにしていくためにどうするかということを話し合っていかなければいけない、ということだろうと思います。少しでもスムーズにいって、なおかつ日本の子どもたちが少しでもポリオという病気から守られるようにということが目的ですが、その点はここにおられる方皆さん共通の思いがあると思いますが、そのためには理想もありますし、現実もあります。それらを視点に置いて議論ができればと思います。
 これからの話の中で出てくると思いますけれども、ポリオはなかなか厄介でして、実際には昨年タジキスタンでは多くの野生株によるポリオの発生があって、つい最近も中国でも野生ポリオが発生しています。一方では監視を緩められない中で、今回IPV導入の実際について議論を進めていくことになると思います。
 今日は第1回目の会議ですので、早急に結論ということではないと思います。まず現状についていろいろな分野の構成員の方々から御説明をいただき、あるいはお話をいただいた上で、最後に不活化ポリオの導入に向けていろいろな御意見、それを局長は平場でという言い方でおっしゃっていましたが、率直な意見をいただきながら、第2回、第3回につなげていきたいと思います。
 御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず事務局から資料の御説明をお願いします。
○飯野課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第がありまして、資料1「開催要網、構成員名簿」。
 資料2「不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に向けた取組について」。
 資料3「我が国のポリオ対策-ワクチンによる-(宮村参考人提出資料)」。
 資料4「ポリオ根絶に向けた世界の動き(清水構成員提出資料)」。
 資料5「ポリオの会(小山構成員、丸橋構成員提出資料)」。
 資料6「円滑な導入に当たって検討が必要な論点例」。
 その他にポリオの会より資料提供がありまして「ポリオの会ニュース」ほか6点の資料を配付させていただいております。
 不足がございましたら、事務局にお声をおかけください。
○岡部座長 ありがとうございました。
 それでは、早速始めたいと思いますもけれども、まず事務局から不活化ポリオワクチンの導入に向けたこれまでの取組みということで、御説明をお願いします。
○永井課長補佐 お手元の資料2をごらんください。「不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に向けた取組について」ということで、主にこれまでの経緯等について御説明を差し上げたいと思います。
 2ページ目でございますが「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会の設置」でございます。
 この検討会は、本年7月8日、予防接種部会において設置を承認されたものでございます。
 「目的」といたしましては、早ければ平成24年度中にもジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチンが国内で導入されます。また、これと近い時期を目指して、単抗原不活化ポリオワクチンの開発も進められているところでございます。
 今後、4種混合ワクチン及び単抗原ポリオワクチンの開発状況や承認後の供給体制等を見越しつつ、生ワクチンから不活化ワクチンに移行する際の公衆衛生上の課題や円滑に移行を進めるための具体的な方法について、専門家の方や接種現場の関係者等を交えて検討を行うということを目的としております。
 「主な検討内容」といたしましては、不活化ポリオワクチンへの迅速かつ円滑な移行に向けた対応や、不活化ポリオワクチンの導入時における公衆衛生上の課題について御議論いただくこととしております。
 「メンバー」といたしましては、ポリオ、予防接種に関する専門家や医療機関の方、市町村行政担当者、患者の立場の方、メディアの関係者に御参画いただいております。
 3ページ目につきましては、ポリオの疾患についての概要をお示ししているものでございます。
 「1.ポリオとは」でございますが、ポリオウイルスが経口的にヒトの体内に入りまして、その後に脊髄を中心とする中枢神経系に達し、これらを破壊することによって、ポリオとしての症状を生ずるものでございます。
 感染者の0.1~2%程度が発症しますが、多くは不顕性感染ということでございます。
 「2.我が国における流行状況等」でございます。
 我が国では昭和35年ごろに大流行いたしまして、最大で年間5,600人程度の患者が発生しましたけれども、ワクチン導入後激減し、昭和56年以降、野生株ポリオによるポリオ症例の報告はございません。
 一方、ポリオの生ワクチンに由来して、極めてまれではあるものの、ワクチン接種者や二次感染により周囲の者にワクチン関連麻痺が発生しているというものでございます。
 4ページ目につきましては「ポリオワクチンについて」お示ししております。
 このワクチンは、予防接種法上の一類疾病に位置づけられておりまして、経口の生ポリオワクチンを使用しております。
 定期接種の対象者は、生後3か月から90か月未満のお子さんで、標準的な接種期間としては、3か月から18か月未満ということでお示しをしております。
 接種の間隔は、6週間以上の間隔をあけて、2回接種することになっています。
 5ページ目でございますが「我が国のポリオワクチンの経緯等について」お示ししております。
 昭和34年にポリオの流行を受けまして、旧ソ連からソークワクチンを輸入したということがございます。
 昭和35年は急性灰白髄炎、これはポリオの別名でございますが、その緊急対策要綱を策定しております。
 昭和35年に予防接種法を改正いたしまして、ポリオを定期接種に位置づけました。
 同年、米国、旧ソ連等から生ワクチンを輸入しています。
 昭和39年に国産経口生ワクチンの製造を開始しております。
 平成に入りましてから、平成12年には公衆衛生審議会感染症部会ポリオ予防接種検討小委員会による提言がありまして、平成15年にはポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討会小委員会による提言がありました。
 平成16年に生ポリオワクチン二次感染対策事業を開始しております。
 平成17年には予防接種に関する検討会の中間報告書がまとめられております。
 平成19年にワクチン産業ビジョンが策定されまして、平成20年にはワクチン産業ビジョン推進委員会ワーキンググループ検討とりまとめがまとめられております。
 平成22年には、厚生労働政務官名から3種混合ワクチンとの混合不活化ポリオワクチンの開発を行う4社に対し、一層の開発の促進の努力をお願いする文書を発出いたしました。
 本年ですけれども、ワクチン産業ビジョン推進委員会混合ワクチン検討ワーキンググループの報告書がまとめられました。
 また、予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会の報告ですとか、予防接種部会において単独不活化ワクチン導入の方針が了承されたという経緯でございます。
 6ページ目は「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会での議論」でございます。
 3月11日にまとめられましたワクチン評価に関する小委員会の報告で、ポリオワクチンについて、OPVからIPVへ切り替えを行う際の具体的な運用について、検討する必要があるということをお示しいただいておりまして、5月26日の予防接種部会で、その方針の承認ということで、単抗原ワクチンの導入も併せて進めることを承認いただいております。
 7ページ目でございますけれども、これまでの我が国における不活化ポリオワクチンの開発の経緯をお示ししております。
 右上の四角でございますけれども、単抗原ワクチンの開発といたしまして、平成10年に第1相の臨床試験の実施がありまして、平成13年に製造承認申請がなされております。しかしながら、平成17年にGCP上の問題等によって承認申請の取り下げがなされたという経緯がございます。
 4種混合ワクチンの開発につきましては、平成14年から国内4社による開発の検討が開始されておりまして、厚生労働省から早期開発に向けた要請や助言を継続的に実施しております。
 本年末ごろより、順次、薬事承認申請がされる予定でございます。
 また、併せて単抗原ワクチンの開発については、平成23年5月27日にサノフィパスツール株式会社が開発を決定しておりまして、承認申請をなされた際には、できる限り迅速に薬事審査を実施することとしております。
 8ページ目は「今後予定している調査及び研究について」でございます。
 一番初めにお示ししているのは「個人輸入による不活化ワクチン接種の実態調査」でございます。医師等の個人輸入による不活化ワクチン接種が広がっておりますので、円滑導入の検討をその実態を踏まえ実施するために調査を行うこととしておりまして、これは既に小児科学会、小児科医会に御協力をいただいて実施しております。
 2番目でございますが「平成23年春シーズンのポリオ予防接種率調査」でございます。
 これは不活化ポリオワクチンの導入を前に、生ワクチンによる予防接種率の低下が指摘されているため、不活化ポリオワクチンの円滑な導入の検討をその実態を踏まえ実施するため調査を行うこととしておりまして、これは既に全国の市町村に調査の依頼をかけておりまして、とりまとめを行いたと考えております。
 3番目は「ポリオワクチンに関する臨床研究」でございますが、生ワクチン、4種混合ワクチン、単抗原不活化ポリオワクチンの互換性等について必要な情報を得るために臨床研究を実施することとしております。主な研究事項については、お示ししているとおりでございます。
 次のページからは参考資料でございまして、9ページ目から14ページ目まではこれまでの検討の抜粋をお示ししております。15ページは生ワクチンと不活化ワクチンの比較、16ページは健康被害の認定状況をお示ししております。
 以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 今までの経緯等々について御説明いただいたんですが、これまでのところで何か御質問あるいは御意見がありましたら、お願いします。
 中野先生、どうぞ。
○中野構成員 3ページでございますけれども、感染研のホームページからの引用の2つ目のポツの2行から3行なんですが「多くの場合、麻痺は完全に回復するが」という記載があるんですが、ポリオの場合、一旦起こった麻痺は回復しない場合の方が多いと思います。これは切り貼りでくっ付いてしまったのではないかと思うんですが、御確認いただいた方がいいのではないかと思います。
○永井課長補佐 ありがとうございます。
○岡部座長 情報センターのことですので、ちょっと説明ですけれども、ここで言わんとしているところは、多くの場合は一過性の麻痺で回復しているけれども、弛緩性の麻痺を残した場合がポリオとして最大の問題点である。そういう趣旨のことをここで書いてあります。
 齋藤構成員、どうぞ。
○齋藤構成員 7ページなんですけれども「単独(単抗原)ワクチンの開発」というところで、平成17年にGCP上の問題等により承認申請が取り下げられたということが書いてあるんですが、この具体的な内容とこの後どうなったのか御説明いただけますでしょうか。
○岡部座長 お願いします。
○目黒審査調整官 17年のGCP上の問題につきましては、不活化ポリオの有効性、安全性を確認する治験において、経口ポリオが接種されていた等々の問題があって、評価不能になったということで、GCP上の問題により取り下げられたという経緯でございます。
○齋藤構成員 評価不能というのは、効果に問題があるということですか。
○目黒審査調整官 不活化ポリオの有効性、安全性を評価する治験において、他のワクチン等を接種した方が紛れ込んで、評価ができない状況になったということでございます。
○岡部座長 GCP上に一致をしていないので、結局、評価の手前のところで引っかかって、取り下げたというのが実態だと思います。
 ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、続いて、宮村先生においでいただいているので、我が国のポリオ対策とポリオワクチン開発の経緯ということで、15分ほどで御説明をお願いいたします。その後、5分間ぐらいで少しディスカッションをしたいと思います。
 宮村先生は、ポリオの対策ということで、感染研におられたときに担当部長でやられていましたけれども、現在では日本ポリオ根絶等委員会という組織がありまして、そこの委員長をおやりです。
 どうぞよろしくお願いします。
○宮村参考人 それでは「我が国のポリオ対策-ワクチンによる-」ということで、不活化ワクチンの円滑な導入のための基礎的なこと、今までやってきた我が国のポリオ対策について、アウトラインを御説明したいと思います。
 2ページを開いていただきますと、ポリオという病気の最大の特徴が2つあります。1つは資料にも書きましたように、感染をしていた人のごく一部が重篤な麻痺を起して、そして、それが永続する。しかし、感染者のほとんどは軽度の風邪症状かあるいは全く症状を示さない、これがポリオの変わらぬ特徴であります。
 3ページは、WHOのGPMIというところからとってきたスライドですけれども、こういうふうに表現することができます。WHOでの世界ポリオ根絶計画というものは、こういうふうに頂点にあるただ1人の顕性の麻痺を起した人をピックアップして、その背後にはこれだけの感染者がいるということであります。
 ここにはグレーで書いてありますけれども、約10%から20%の人たちが一時的な軽い症状を起こして、あとは治ると言っておりますが、それは本当にデータがあるわけではありません。ポリオを本当に根絶するということは、この感染者をなくすことでありますから、一番重篤な症状を示す患者さんであると同時に、一連のサーベイの取っかかりであるにすぎないという大きなコントロールとサーベイランスの1つのジレンマをいつもポリオという疾患は抱えている。そういう問題があります。
 4ページを開いてください。これがもう一つのポリオの大きな特徴です。一番重篤なのは急性の麻痺を起こすわけですが、ポリオウイルスというのは、麻痺を起こす1つの原因にすぎないのであります。
 隣に書いてありますギランバレー症候群というのは、幾つかのバクテリアとかあるいは細菌感染、ウイルス感染、感染症でない非感染性のギランバレー症候群です。症候群というのは一連の症候の集まりでありますから、単一の病気ではないわけであります。
 同時にエンテロウイルスやエンテロウイルスの仲間の1つであるコクサッキーウイルスの一部では、ポリオと非常によく似たAcute flaccid paralysisを起こします。またはこういう感染症でなくとも、一連の炎症性、外傷性の疾患で非常に似たような一過性の麻痺、あるいは永続性の麻痺を起こすことがあります。こういう急性の弛緩性麻痺を示したものの中からポリオの患者さんを選んで、その背後にあるウイルスを確認していく、これがポリオを病気として研究するのも、サーベイランスをするのも難しいジレンマであります。
 私はいつも考えるんですけれども、病気の対策で一番大切なことは、国レベルでも、市町村レベルでも、個人のレベルでも、病気を正しく理解して、正しく恐れるということだと思います。
 1960年代、日本の感染史上最もパニックになりましたポリオの大流行が起こってきて、日本中、世界中がそれに対して走りながら対応していたときの生々しいことを少し思い返していただきたいと思います。そのときの当事者というのは、ほとんどいなくなっているわけであります。
 そのときも今も変わらないのは、6ページに書きましたけれども、ポリオ対策の根本というのは、ポリオはワクチンでしか予防できない。ワクチンが最大の武器であります。これはいつも変わらない。しかし、病気を守るのは一人ひとりであります。一人ひとりの患者さん、個人を病気から守ること、そして、そういう個人が集団の大勢を占めることによって、集団としてポリオの恐怖から免れる。ヒトでしか増えないし、ほかの動物でも増えないというポリオウイルスが持つもう一つ大きな特徴がコミュニティレベル、あるいはグローバルレベルでコントロール可能な1つの変わらぬファクターであります。
 7ページはよく出されるスライドでありますが、世界的に1950年前後、特に先進国でポリオの非常に重篤な流行が起こりました。日本では1960年に北海道の夕張辺りを発端といたしまして、大きな流行が起こりました。
 これが顕性のポリオの患者数の推移であります。ここに書いてあるんですけれども、1981年のポリオのケースから野生株のポリオウイルスがされて以降、野生株によるポリオウイルスはいないと言われております。
 8ページをごらんください。これは感染研、昔、予研と言っていたころからWHOに対して、日本のポリオ患者から分離されたポリオウイルスの解析をしたものであります。これは日本のレファレンスラボラトリーとしてWHOに報告をしていた、ポリオ患者さんからのポリオウイルスの分析をしたものであります。最近、得られているものは、すべてワクチン株が分離されているということであります。
 9ページを開いていただきますと、これはYAGAYA,et alというペーパーであります。多ケ谷先生というのは私の先生でありまして、予研と言っていたころの初代の腸内ウイルス部長であります。部長が自ら書いたペーパーであります。このペーパーは後で原典を構成員の方にはお示しいたします。
 要点は1962年から1968年、ポリオウイルスがいろんなところから分離された。患者さんからも分離されたし、ワクチンをやっているわけですから、ワクチンをやられた人の中から、健常者の中からもウイルスが分離されている。そのウイルスを調べました。これがどういうウイルスかということを調べました。
 今ですと、塩基配列を決めることによって、これがワクチン株であるか、野生株であるかということが簡単にわかるわけですけれども、当時、1960年代にRNAの塩基配列を決めることも不可能でありましたし、非常に複雑な血清中和反応のカイネティクスを調べるという方法で、これがワクチン株か、ワクチン株でないか、そういうテストをしたわけです。
 そうすると、ほとんどがワクチン株であって、一部ノンワクチンライクだということがわかりました。ノンワクチンライクというのは、決して強毒株ということではなくて、性質がちょっと違うけれども、ワクチン株であるということで、この先生のこのペーパーの結論は、1960年代で分離されるウイルスは、健常者からも、患者の中から分離されるウイルスもほとんどがワクチン株であって、野生株は既にほとんど存在しないと考えられるということであります。1961年、1962年と大量に輸入された非常に効果的な生ワクチンを投与されているということで、野生株を一掃したということが、このペーパーの言いたいところであります。
 10ページは、ポリオワクチンの開発について、世界レベルで1つお話をします。
 1949年にEndersが、試験管の中で培養細胞ができるということを言った。これが本当のウイルス学におけるブレークスルーであります。そして、彼らは直ちにポリオウイルスを増やすことができるということを示したわけであります。ウイルス学が近代サイエンス、例えば今までマウスとか猿の脳に接種して、植え継いでいたという感染下を定量的に調べることができるという科学の場、定量的な科学になったということを意味します。
 同時に今まで動物で言われていた1型、2型、3型があるとか、中和反応が試験管の中で再現できるとか、非常に意味のあることがわかりまして、ポリオの研究も一気に進展いたしました。
 その中で一番大きなものは、大量に均一のウイルスができる、クローニングができるということであります。これを利用しまして、多くの人がワクチンをつくろうとすぐ考えたわけであります。そのときには生ワクチンをつくろう、あるいは不活化ワクチンをつくろうというのがほぼ並行して行われました。
 ここに書きましたのは、Korowskilという偉い先生ですけれども、KorowskilとかCox、Salkという人が不活化ワクチンの開発をしました。先に成功しましたのがSalkワクチンであります。生ワクチンがいいか、不活化ワクチンがいいかというのは、学者の間でそれぞれ一長一短があるわけですが、非常に激しい論争があったわけであります。
 その中で1955年、Cutter事件というのが起こりました。これはポリオのワクチン史上のみならず、ワクチンを考えるときに非常に大きな出来事であります。アメリカのお母さんたち、周囲の人たちがとても冷静だったと思うんですけれども、これは不完全なホルマリンの不活化によって、凝集塊の中で残っていた感染性の強毒なウイルスが不活化されなかったために、副作用なんてものではない、実際のポリオを防ぐためのワクチンの中に、ポリオを感染させてしまったという罪悪的なことでありますから、これはとんでもないことであります。しかし、これに対して世の中の人は、不活化ワクチンが悪いとはしなくて、この事件をきっかけにワクチンの品質管理といいますか、そういうものを国家的にしなければならない、この事件が1つのきっかけになりまして、よりいい不活化ワクチンをつくり出そうとしました。
 例えばアメリカのFDAの前身があったわけですけれども、国家でワクチンをコントロールするというシステムは、この事件が大きなきっかけになっています。それで、アメリカは不活化ワクチンに膨大なエネルギーを費やしまして、一足先に不活化ワクチンが敷衍化していったわけであります。
 一方、その後、ちょっと遅れまして、Sabinを含め、そのころから生ワクチンの開発が進行していました。生ワクチンの方の問題点も開発の当初から指摘されていました。1つは、生ワクチンでありますから、非常に強固な免疫を付与することが個人にもできるし、その周囲にもできます。
 11ページをめくってください。生ワクチンはKorowskil、Cox、Sabinらがそれぞれの原株を弱毒化していってつくり上げたものであります。スタートの原株というのはほとんど変わりないわけですけれども、特にSabinはこれを何代も細胞培養でパスし、意図を持って弱毒化し、クローニングし、それを増やし、パスをし、またクローニングしということで、Sabin株の場合はSabinオリジナルという自分の種のウイルスをつくりました。
 1958年に、アメリカで幾つかの生ワクチンの広報がありましたので、国のNIHで特別委員会を開いて、これからどういうワクチンを国としてサポートしていくかというディスカッションをして、Sabinワクチンが認められたわけであります。
 同時に生ワクチンは膨大な野外人体実験がなされたわけであります。ここに書きましたように、Korowskil、Cox、Sabinはそれぞれやったわけであります。特にSabinは、出身でありますソ連で膨大な実験がなされました。この1つの理由は、既にアメリカでは多くの人が不活化ワクチンをしていたので、こういう大きな数をアメリカで実験をすることが不可能であったという理由もありますし、ソ連はソ連で、当時、自らこういうことで世界を先導しようという大きなモチベーションがあったはずであります。
 13ページを見ていただきますと、Sabinワクチンが生ワクチンとしてよかった理由は、今、述べましたように、非常に優れた効果的な局所免疫、液性免疫の両方を誘導する理想的なワクチンであると同時に、圧倒的に多い野外実験の数で安全性と有効性が承認されました。しかし、これは今でいうきちんとした二重のコホートが成立していた実験ではなくて、ただやみくもに大勢の人にやってポリオの発生がなかった。私は今にして、このときに本当にワクチンがあれしているケースというのがなかったのかと思いますが、そういう記載はないのであります。そういう意味では、安全性試験として、本当になされていたかということは勉強不足であります。
 もう一つ、Sabin先生は、ワクチン株のウイルスストレインというのは絶えず変化するものだという大前提の下に、シードロット、種ウイルスというものの管理をきちっとやっていて、これがまた生ワクチンの安全な品質管理を徹底させる。そして、今でいうGMP査察のようなことでありますが、Sabin先生自身が彼の種ウイルス、Sabinオリジナルというウイルスを持って、これでワクチンをつくることを許可するということを含めて、マニュファクチュアの査察を行って、ある意味免許を与えていた。そういう今のグローバルな、安全でかつ品質が一定したワクチンを徹底させるという発想ができました。
 しかし、肝心のアメリカでSabinワクチンが認可されたのは、1961年のことであります。それは日本にソビエト製あるいはカナダ製の1,300万人分が導入された時期よりも後、同じ年ですけれども、むしろ後のことであります。そういう背景があります。
 14ページの「日本のポリオ対策経緯」というところをごらんください。ここに記載いたしましたけれども、これは先ほど事務局から話があったことで、1952年からポリオウイルスの大流行がありまして、日本の対応というのはこんな感じでやっていました。
 出だしは国立予防衛生研究所、感染研の前ですけれども、そこでソークワクチンの試験製造をやりまして、国内メーカーと一緒になりまして、ソークワクチンの国内量産に着手をしていた時期がありました。
 1960年の大流行のころ、生ポリオワクチンの集団試験接種をやったり、あるいは弱毒生ポリオワクチンの研究協議会を発足させまして、大規模な免疫の方法、例えば3つの1型、2型、3型をどういう形でワクチンに取り込んでいくかということについても基礎データがなかったので、1系から2系を順々にやったり、一気にやったり、そういう実験をやっている最中であったわけです。
 その途中、6月のことですけれども、厚生省がこの流行に対応するために緊急の生ワクチンの導入を決定し、その2週間後ぐらいには九州で大流行して、直ちにそのワクチンを使ったわけであります。
 そして、その年、翌年、更にありまして、最終的には日本の13歳未満の全子どもたちにソビエト製とカナダ製の生ワクチンを投与した。そして、流行を食い止めたということがあります。
 15ページのスライドに書きますが、経口の生ポリオワクチンと不活化ワクチンの比較です。これは清水先生が総合臨床にかかれた総説のところのペーパーを借りてまいりましたけれども、ここに細かいことが書いてありますが、一番の違いは生ポリオワクチンというのが経口で非常に簡単に投与できて、そして、腸管免疫と血中中和抗体の両方を誘導できるから、感染自体も防御できるということであります。もう一つの不活化ワクチンのポリオの方は、本当に安全なポリオワクチンで、免疫誘導能からすれば、経口ポリオワクチンの方が圧倒的にいい。それぞれの特徴がありますけれども、赤い字で書いたところが、それぞれの一番の特徴であると思います。
 こういうことを考えて、ポリオコントロールというときには、本当にワクチンが要らないという時点が来るまでは、ポリオワクチンはやめることができないわけであります。根絶計画といって、日本のレベルでは根絶したと言ってもいいかもしれませんが、私の話の後に清水構成員から世界の現状について言いますけれども、今、世界では4か国になっていて、依然として世界では野生株が存在しています。野生株が存在している限り、ちょっとスポットがある限り、野生株の導入を食い止めることは不可能であります。
 ここに4つの例が書いてあります。一番最後、先週です。
 17ページをお開きください。中国のCDCがホームページで世界中に出しております。中国語で書いてありますけれども、2011年8月25日、中国CDCは新疆ウイグル地区から送られてきた4株の1型ポリオウイルスを分離して調べたところ、野生株であるということを確定いたしました。
 2011年8月26日には、WHOの西太平洋地区のチームところのウイルスの由来を調べたところ、これは昨年パキスタンで流行していた野生株と99%の塩基配列上のホモロジーがありましたので、WHOはこれは輸入例であると決定をいたしました。
 これは非常に注目すべきことであります。中国は1999年にもこういうことがあったんですけれども、そのときと違って、間髪を入れずWHOと協力をしてウイルスを解析し、その由来をやり、これからWHOの指示の下に免疫をしたり、エピデミオロジーが進むと思います。
 最後の私の結論でありますけれども、ポリオの対策の根本、現時点で私が言いたいことは、その時点でベストのワクチンの接種を受けて、個々が免疫状態を保つ。それに対して私たちは最大のサポートをする。
 そして、その集積として、社会として免疫を保つ。それが最終的にはポリオの根絶、野生株を絶つということになり、ある一定期間ポリオフリーであるということが確認できるならば、もはやワクチンをやめることができる。しかし、そのときまでにどんなワクチンであれ、新しく生まれているそれぞれの個体がポリオに対しての免疫を保ち続けなければならないということを強調して、私の話を終わりたいと思います。
○岡部座長 宮村先生、どうもありがとうございました。
 時間が押してきているので、清水先生の話と重なったりする部分もあろうかと思いますので、ご質問は清水先生のお話を伺ってからにしたいと思います。
 清水構成員から、今度は「ポリオ根絶に向けた世界の動き」というところで御説明いただきます。清水室長は感染研のウイルス2部で、実際、日本中でポリオの疑いの患者があると、彼のところで最終確認をしたり、またWHOの西太平洋地域でのポリオのラボとして機能して、またアジア中のポリオ研究者を育てているという役割と機能を持っているところの室長でいらっしゃいます。
 清水先生、お願いします。
○清水構成員 それでは、このまま続けさせていただきます。
 今、紹介いただきました国立感染症研究所ウイルス2部の清水と申します。
 今も御説明いただきましたけれども、私どもはWHOのポリオ実験室ネットワーク、これは世界中のネットワークですけれども、その中で国内外のポリオウイルスの病原体サーベイランスを担当しております。
 本日はポリオ根絶に向けた世界的動向として、世界ポリオ根絶計画の現状について話をさせていただきます。
 2ページをお願いいたします。
 WHOが世界ポリオ根絶計画を開始した1988年ですけれども、その年に世界中で35万人以上のポリオ患者が発生したと言われています。
 WHOは当初ポリオ根絶の目標、ターゲットイヤーとして2000年を目標としていたんですけれども、ここで見ていただけるように、非常に順調に世界の症例数は減少して、2000年の段階では、残念ながら根絶はできなかったんですけれども、世界中で1,000人以下のポリオ確定症例数に減少しています。日本を含むWHO西太平洋地域においては、2000年にこの地域固有の野生株ポリオウイルスの伝播がない状態、いわゆるポリオフリーを達成しています。
 しかし、この後10年ぐらい、今に至るまで、特に流行地を中心にして、さまざまな困難な状況があって、少なくとも症例数で見る限り、世界全体のポリオ症例数というのは増減を繰り返していて、多くの人的あるいは財政的に努力にもかかわらず、いまだ世界ポリオ根絶がいつ達成できるというめどは、残念ながら立っていません。
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 これは世界ポリオ根絶計画の基本的な戦略として、お示ししてあります。
 非常に簡単に書いてありますけれども、徹底したワクチン接種によりポリオ患者の発生を防ぐと同時に、ワクチン接種によってウイルスの伝播効率を低下させて、最終的にはウイルス伝播を終息させることになります。
 それから、流行状況の把握及び実際に伝播しているウイルスの解析のためには、ポリオサーベイランスの世界的な基準である急性弛緩性麻痺、AFPのサーベイランスとAFPの患者、麻痺の患者に由来する臨床検体からウイルスを分離、同定することによる確定診断、この2つがワクチン接種以外にも重要です。
 今、お示ししていますポリオの発生状況というのは、このような世界的な基準によるサーベイランスにより、リアルタイムで把握されており、さまざまな指標により検証されたデータに基づいています。そのため、途上国の一部等の状況によって多少不十分な点があるとしても、全体的には非常に信頼性の高いサーベイランスデータであると考えられています。
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 最近のポリオ症例の世界的分布を示します。ちょっと見にくくて申し訳ありません。
 上の方の世界地図が最近1年間、下がここ半年のポリオ症例です。赤いドットが1型野生株、青いドットが3型野生株、1つのドットが1つの症例を示しています。
 アジアでは、パキスタン及びアフガニスタンがいまだにポリオの流行地、伝播地域で、依然として、主に1型野生株伝播が継続しています。
 アフリカの多くの国々では、もともとポリオ常在国でありますナイジェリアを含めて、1型あるいは3型野生株の継続的あるいは散発的な伝播が報告されていて、最近、チャド、コンゴ民主共和国、コートジボアール等では、大規模なポリオ流行が残念ながらまだ発生しています。
 去年の同時期と比べると、今年はちょうど半分ぐらいの確定症例数なので、去年と比べるとよくなっている部分はありますけれども、まだこのように流行が継続しているということです。
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 ただ、昨年から今年にかけて、野生株ポリオの常在国として長年問題視されてきたインド、特にインドの北部のウッタルプラデシ、ビハールというところでポリオがなかなかなくならない、根絶できないということで、非常に苦労したんですけれども、ここは去年の後半から今年にかけて、非常に大きな進捗が認められています。
 ここに示しましたように、特に昨年の後半からインドの野生株ポリオ症例数は大幅に減少して、2011年に入ってからのポリオ症例は、ここに1月13日発症と書いてありますけれども、その1例のみの報告となっています。この情報は、ポリオ根絶計画に関わっている関係者にとっては非常に大きな励みで、少し大げさに言うと、1つの光明が見えてきたという気がしているところです。
 ナイジェリアでも、昨年、その前に比べると、非常に大幅な症例数の減少が認められました。ナイジェリアに関しては、ほかのアフリカの国も含めてですけれども、2011年になっても、まだ1型、3型、両方の野生株伝播が継続しているというのが懸念材料です。
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 もう一つ、昨年から今年にかけて、ポリオ根絶の進展を示す1つのデータとして、特にアジアにおける3型野生株ポリオウイルス伝播の減少が挙げられます。野生株の2型は10年以上前になくなって、1と3しかないんですけれども、3型の症例数がここに書いてあります。アフリカでは、依然、3型野生株伝播が継続していますが、アジアでは、特に今年になってから3型確定症例というのは、パキスタンの1例のみになっています。
 例えば3型野生株伝播がアジア、パキスタン、アフガニスタンで終息すると、ターゲットが1型だけになりますので、1型だけになると、単価、モノバレントの1型の経口、OPVを使って対策が立てられるということで、ワクチン戦略上は非常に有利になる。何とか3型の伝播が終息すると、アジアにおいては非常にやりやすくなるのではないかと言われています。
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 今、根絶の進展した面を申しましたけれども、残念ながら、その一方で、野生株ポリオ常在国以外の地域において、ポリオ流行が昨年から今年にかけても依然発生しています。予防接種活動やサーベイランスが困難なチャドやコンゴ民主共和国では、ナイジェリアから入ったウイルス等が長期間伝播していて、去年、今年にかけて、西アフリカの諸国でも新たな流行が発生しています。
 最初にお話がありましたように、昨年、非常に大きな問題となったのは、ポリオフリーをずっと継続していたヨーロッパ地域に属するタジキスタンという国でも大規模なポリオ流行が発生したことです。
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 ここにタジキスタンと周辺国の地図を示していますけれども、タジキスタンでは2010年の春ごろから、塩基配列解析の結果、インドに由来すると考えられまして、1型野生株が伝播して入り込んで大流行を起こして、最終的には患者の報告数だけで450名以上に及ぶ大流行となっています。
 タジキスタンのポリオ流行というのは、国が小さくて、それほど人口も多くないということで、主に単価、1型のOPVを用いた追加接種活動、ワクチン接種キャンペーン等により、夏ごろには終息に向かいましたけれども、流行時期に周辺国へも野生株症例が広がっています。
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 タジキスタンのポリオ流行に由来する症例として、ロシアでは14症例、トルクメニスタン3症例、カザフスタン1症例が報告されていて、ここに地図が書いてあります。そのうち数例では、ただ飛び火するだけではなくて、野生株ウイルスが局地的に伝播したのではないかと考えられる事例が明らかになっています。
 このような昨年のタジキスタンのポリオの再流行事例というのは、ポリオフリー、ポリオ流行がない状態を一定期間維持してきた地域でも、感受性集団が増えることによって、非常に大きなポリオ流行あるいは周辺国への野生株ポリオの伝播が発生してしまうというリスクがあることを示しています。
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 もう一つ、これは野生株ではありませんけれども、ポリオ根絶最終段階におけるポリオ流行の別のリスク要因として非常に重要視されているものです。これはOPVを使っている弱毒ワクチン株に、もともと由来するポリオウイルスというのが長期間その地域で伝播して、アレナウイルスは変異を起こしやすいので、伝播している間にもともとのワクチンウイルスが遺伝子変異により、病原性を再獲得することによって強毒化して、ワクチン由来ウイルスによってポリオ流行を起こしてしまう。そういう流行事例が10年ほど前から世界各地で報告されるようになっています。
 ここに示しましたように、この10年、世界のいろんな地域でワクチン由来ウイルスによるポリオ流行が報告されていて、特に長期間大きな流行として、今、問題視されているのはナイジェリア北部です。ナイジェリア北部というのは、先ほどまだ野生株の流行が残っていると申しましたし、1型、3型ともにまだ伝播が継続していますけれども、それだけではなくて、ほとんど同じ地域に2型ワクチン由来ポリオウイルスというのが5年以上伝播を継続している。今年に入っても症例が報告されています。
 ワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行は、その地域の不完全なワクチン接種によって発生しやすくなると考えられています。そのため、野生株の流行と同様に、追加再接種キャンペーン等、ワクチン接種によって、感受性集団、感受性者を減らすことによって、基本的には流行の制御が可能だということが今までの事例からわかっています。
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 日本を含むWHO西太平洋地域においても、野生株ポリオウイルス伝播の終息後、ワクチン由来株による小規模なポリオ流行事例が幾つか報告されています。フィリピンと中国貴州省、カンボジアと書いてありますけれども、大規模な流行には至っていません。検出、報告が早くなされて、それによって迅速に適切な対策、ワクチンキャンペーン等がとられたからだと考えられています。
 それとは別に、ポリオ流行国から野生株ポリオ患者あるいは感染者が渡航するという事例がシンガポールとオーストラリアで報告されています。いずれも患者さんからのポリオ分離はあったんですけれども、野生株が広範に伝播するということは幸い起きていません。
 先ほどもお話があったかと思いますけれども、この資料を作成してから報告がありましたので、この資料には反映していませんが、10年以上、野生株によるポリオ症例がない状態を国全体として維持してきた中国の新疆ウイグル自治区というところで、7月に4例の野生株ポリオ症例、パキスタンに由来する1型ポリオウイルスであると考えられる症例の発生が報告されています。
 このように野生株ポリオフリーを10年以上維持してきている西太平洋地域ではありますけれども、当然インドやアジアの流行地よりはリスクは低いとはいえ、野生株あるいはワクチン由来ポリオウイルスによるポリオ流行のリスクというのは、この地域でも依然存在しているということだと思います。
 12ページをお願いいたします。
 ポリオ根絶がこれからどうなるかという予想は非常に難しいんですけれども、ここにお示ししましたのは、直近のWHO Strategic Plan 2010-2011という資料に示された、世界ポリオ根絶計画がどれぐらい進捗しているかというのを項目に分けて指標をつくって、それらの各指標について、WHOではなくて、独立した世界ポリオ根絶独立評価委員会という組織が、今、目標をどれだけ達成しているかどうかということを行っております。ここにMISSEDとかAT RISKという書き方をしていますけれども、達成度の評価を行ったもののサマリーです。
 インド、ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタン、常在国4か国のうち、2か月で2011年末までに伝播を終息させる。2011年というのは今年ですから、今年末までに伝播を終息させ、残り2か国の流行国でも来年中に野生株伝播を止めるという、Strategic Planの指標の達成というのは、今の段階では非常に難しいと言わざるを得ません。特にインドにおける顕著な進捗、インドはこのままうまく進むと今年中に野生株伝播が終息するという報告がなされる。順調に進めば、それをこれから確認していく作業になるので、流行国のうち1か国は前向きには進んでいますが、WHOの目標がこのまま達成できるか、2012年に流行国で伝播がなくなって、2013年までに世界のポリオゼロを証明していくという過程が始められるかどうかは非常に難しいですけれども、前向きには進んでいるものと考えています。
 13ページをお願いいたします。
 ポリオ流行をコントロールして、ポリオ根絶につなげるための予防接種の基本方針、世界的な考え方として、WHOが示しているポリオ根絶達成前におけるポリオワクチンと予防接種に関するposition paper、方針書の用紙を示します。
 このposition paper、方針というのは、どちらかというと、ポリオウイルスの伝播効率を下げるという観点から、ハイリスク地域におけるポリオワクチンの使い方に力点が置かれているということは御理解ください。
 地域におけるポリオウイルス伝播のリスク及びその地域でポリオが伝播するリスクがどれだけあるか、ほかの流行地からポリオが輸入されてくるリスクがどれだけあるかを評価して、それに基づいて推測されるポリオワクチンがここに示されています。
 ウイルスが伝播するリスク、輸入の可能性が高い、いわゆるハイリスク地域は、この図では上の方になりますけれども、ハイリスク地域では、出生時を含めOPVのみによって予防接種をするということが推測されています。
 この基準を当てはめて考えると、当たり前ですけれども、日本はウイルス伝播のリスクは低い地域と考えられて、また先ほど申しましたように、ウイルス輸入の可能性も当然ありますけれども、流行地、周辺国等に比べると、さほど高くない地域、国と判断されます。そのため、この図でいうと日本は左下の方のリスクの低い地域、国に該当するので、IPV、OPVの組み合わせ、あるいはIPVのみによる予防接種スケジュールを左右することが可能である地域に該当いたします。
 最後になりますけれども、14ページで、簡単ではありますけれども、まとめさせていただきます。
 世界的ポリオ根絶計画に一定の進捗は認められてはおりますが、ポリオウイルス伝播のリスクは、野生株とワクチン由来株どちらもですけれども、世界中のどの地域においてもいまだに存在しております。
 そのため、ワクチン接種率が低い集団が出現する、増えるという状況があれば、ポリオ流行のリスクグループとなる可能性が世界中どこでもあります。ワクチン接種者や御家族の理解に当然基づいた上で、OPVあるいはIPV、必ずどちらかのポリオワクチン接種を受けていただけるような予防接種政策が重要となります。また、サーベイランスやモニタリングによって、ハイリスク集団が存在しない、あるいは野生株やワクチン由来株の伝播がないということをきちんと確認していけるようなシステムも重要です。
 日本で再びポリオ流行が発生するような状況をつくることは、絶対にあってはならないという大前提を共通認識とした上で、速やかなIPVを進める必要があると考えます。
 また、一番下に書いてありますけれども、本日の資料では示しませんでしたけれども、幸い世界的なポリオ根絶計画が達成されたということになりますと、その後、どういうポリオワクチンを必要とするかということに関しては、考えておく必要があると考えます。例えば備蓄ワクチンの必要性等については、国内でどういうポリオワクチンを持っておく必要があるのかということ、それから、国内外の状況も踏まえた上での検討が必要になると思います。
 以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 時間が少し押しておりますけれども、基本的なところでもありますので、2~3つ御質問あるいは御意見があったら、よろしくお願いいたします。
 廣田構成員、どうぞ。
○廣田構成員 質問させていただきます。
 OPVの接種を受けて、接種を受けた人から排出されるウイルスに感染した、いわゆるコンタクトポリオのときについても、やはり不顕性感染者というのは考慮すべきなのか。どういうふうに考えられているのか教えてください。
○岡部座長 これはどちらにお尋ねしましょうか。
○廣田構成員 お二人にお願いします。
○岡部座長 宮村先生、よろしいですか。
○宮村構成員 私のスライドの3番目に書いたようなことは、昔から言われていることで、コンタクトのケースでこれがそのまま適用されているエビデンスは、母数が少ないのでないと思います。
○岡部座長 清水先生、追加でありますか。
○清水構成員 OPVに関しては、接種者の便等から近しい接触者に伝播するということはワクチンの性質としてあり得る。ただ、それでもほとんどの場合は何も起こらずに、発症せずに推移するというのがほとんどですけれども、接種者がVAPPを起こす頻度より低い頻度で、接触者がVAPPを起こすことも、OPV固有の性質としてあろうということです。
○岡部座長 坂元先生、どうぞ。
○坂元構成員 輸入症例があった国でのポリオワクチンの接種率が、もしおわかりになれば教えていただきたいと思います。
○清水構成員 今、世界の状況をお話しましたけれども、いろんな国に輸入があります。例えばアフリカの国の中で、ナイジェリアから周辺国への輸入というのは非常に頻繁に起こっているんですけれども、御存じのように、ナイジェリアの周辺国の中で、今、継続しているコンゴ民主共和国などはもともと接種率が高くなくて、定期予防接種率も非常に低いですし、キャンペーン等の接種率も低い。そういうところに頻繁に伝播が起こっている。
 逆に日本を含む西太平洋地域では、今、お話したように、中国の新疆の話がありましたけれども、ほかの国で起きていないというのは、基本的にどこの国でもいろんなワクチンを使っていますが、接種率が高く維持されているところに関しては、余り輸入例、少なくとも大きな流行というのはない。
 タジキスタンはやはり接種率が低かった。その周辺国には伝播しましたけれども、ロシアで大きな流行になっていないというのは、ロシアの方では接種率がある程度維持されているんだと考えております。
○岡部座長 ほかに1人、2人ご質問ありますか。齋藤先生、どうぞ。
○齋藤構成員 宮村先生に質問なんですけれども、先ほど15ページのところで、ポリオワクチンと不活化ワクチンの比較をしていただいて、特にポリオワクチンにおいては、腸管免疫と中和抗体の誘導がより高いことが得られる。免疫学的にはこちらの方が優れているワクチンだというお話があったんですけれども、実際にワクチンを接種した集団において、例えばポリオフリーのところで輸入症例がきたときに、不活化ワクチンを接種しているにもかかわらず感染が起こったとか、実際の現場におけるワクチンの臨床的な効果においての差というのは何かデータがあるんでしょうか。お願いします。
○宮村参考人 不活化ワクチンが徹底しているところでの流行例というのは、報告されていません。
○岡部座長 ただ、米国が不活化ワクチンでポリオ対策をスタートさせたが、OPVに切り替えようと考えた大きい理由は、IPVを受けたグループの中からポリオが発生したというデータからであったと思います。
○宮村参考人 1960年ごろですか。
○岡部座長 清水先生、追加でどうぞ。
○清水構成員 私の方で話した最後から2枚目の資料、WHOが出しているposition paperで、リスクの高いところで罰則法等も含めてのOPVと言っているのは、やはり伝播を抑える効果というのはOPVの方がある。ですので、流行国とかハイリスクの国では、依然OPVが推奨されるということで、それが低いところでは、逆にIPVのスケジュールも考慮できるという言い方をしていると理解しています。
○岡部座長 ありがとうございました。
 まだ御質問があろうかと思いますけれども、後に総合ディスカッションもありますし、少し時間が押してきたので、次に進めたいと思います。
 次はポリオの会を代表して、小山構成員、丸橋構成員からお話をいただきたいと思います。
 ポリオの会とはどういうものかというのは、資料の中で『ポリオの会ニュース』といった一連の資料がありますので、ごらんください。その中の代表である小山構成員、丸橋構成員にお話を伺いたいと思います。
 最初に小山構成員、お願いいたします。
○小山構成員 ポリオの会の小山と申します。
 本日はこのような機会を与えてくださいまして、ありがとうございました。
 本日この場に出席できなかったポリオの回復者、PPS、ポストポリオ患者、生ワクチンによる非接種ポリオ発生者とその家族の思いをお伝えさせていただきたいと存じます。
 私自身は野生株によるポリオ回復者で、PPSを発症しております。
 私どもポリオの会は、かつてポリオに罹患して、今もポリオに向き合い、ポリオ後症候群に苦しんでいる患者会で、現在の会員は全国に530人おりまして、日本にはほかに7つポリオ患者会があります。
 先生方の前でこう言うのも失礼なんですが、日本全体でのポリオ患者とポリオ回復者数ははっきりしていないような感じがいたします。
 平成22年度の障害者白書を拝見しますと、平成18年現在で脊髄性小児麻痺による18歳以上の身体障害者数は4万3,000人です。前回の調査では5万5,000人で、1万2,000人減っておりますが、障害者手帳の記入方法が変わりまして、個人情報保護法で疾患名が削除されたためにあいまいになっていると思われます。私どもの推測では、手帳の取得をしていない人も結構おりますので、日本でのポリオ回復者数は10万人ぐらいになるのではないかと思います。
 そして、18歳未満の脊髄性小児麻痺による障害者手帳取得者は300人となっております。
 この場で先生方に対してあれなんですけれども、この下に「ポリオについて本当にご存知でしょうか?」と書かせていただきました。鉄の肺が開発されるまで、致死率の非常に高い恐ろしい病で、四肢、体幹、呼吸筋などに麻痺を生じまして、21世紀の現在も有効な治療法がなくて、対処療法とリハビリテーションしかございません。麻痺をした四肢を支配する神経は回復いたしませんので、一生障害と向き合って生きることになります。
 障害者白書を拝見しますと、50年前の大流行の後でポリオは根絶されたと思われております。先ほどの宮村先生のお話にございましたように、野生株ポリオは根絶されました。しかし、今、その根絶に力のあった生ワクチン、OPVによる麻痺性ポリオの発症で苦しんでいる人が毎年出ております。
 1981年以降、日本で野生株のポリオは発生しておりません。つまりこの30年間、ポリオと診断された人々はすべて生ワクチン由来と言える。先ほど宮村先生がおっしゃってくださいましたけれども、生ワクチン由来です。
 障害者白書で、平成18年でのポリオによる18歳未満の身体障害児数は、先ほど申し上げましたが300人です。この子どもたちは、すべてOPV由来のポリオのはずです。そうしますと、年に16人から17人がポリオによって障害を負って、障害者手帳を取得しております。これはポリオワクチンによる被害と認定されている数とは大きく乖離しているのではないでしょうか。現実の被害者はもっと多いと存じております。
 この10年間ですが、2002年に予防接種小委員会で岡部先生始め初めてお目にかからせていただいて、発言させていただきました。資料5-2がそのときに私が発言させていただいた内容です。不活化ワクチン切り替えのお願いを申し上げました。そのときとポリオをめぐる状況は全く変わっておりません。ポリオ患者にとっては、悪化したとさえ思えます。今回も変わらないお願いを、10年経っても同じお願いをしなければいけないということには大変悔しさを覚えております。
 この10年間で、日本ではポリオという疾患は一層忘れられました。急性期のポリオを診断し、ごらんになった経験のあるお医者様は、日本で一体どのぐらいおいででしょうか。50代以上の患者でさえ、小児麻痺という言葉に引きずられて、脳性麻痺とポリオが混同される例が依然としてあります。依然として、両方が間違えられております。今日は傍聴席にもポリオ回復者が何人も来ております。それから、私は野生株、丸橋はワクチン被害のポリオでございます。姿を見て、ポリオを知っていただきたいと思います。
 そして、今、不顕性、不全型、いろいろおっしゃっていただきましたが、もしOPVの二次感染で麻痺性ポリオを発症したとしても、ポリオときちんと診断していただけるでしょうか。本当に医療の現場でポリオとわかっていただけますでしょうか。
 資料5-3に親の気持ちがございます。先生にポリオではないですかと聞いても、そんな話は聞いたことがない。生ワクでポリオなんて聞いたことがない、見たことがないと言われて診断がつかず、1年以上もそのままになって治療が遅れた子どももいます。資料5-3でございます。もう一つ、会場で配付させていただきました資料でも、この子の親は治療の状況とか体を語っております。
 ワクチンでポリオになりまして、補償があると言われましても、麻痺した体が治るわけではないのです。その子と家族の運命を変えてしまいます。そして、補償を受けるための申請ができて、認定される子どもは運がよいと言われています。実際に保健所である子どもがウイルス検査ができる間に便を持参して検便ができ、ポリオウイルス以外のウイルスが見つからなかったから、あなたは速やかに認定された。あなたは運がいいと言われましたし。その子は会場入り口配付資料にも出ておりますが、現在、両足に装具を付け、上肢にも麻痺があります。今、4歳で、2歳のときには歩けたんですが、今は車いすになっております。障害が重度化しております。
 また、一方で、高熱の後で手や足が数日麻痺して回復しました。先ほどの不全型、不顕性ポリオです。そういう例はほとんどそのまま問題なしとされて放置されています。これは軽度のポリオを発症していたのではないでしょうか。これがどのぐらい実際にいるのか大変気になっております。その子たちが将来ポリオ後症候群を起こす可能性があります。アメリカの調べでは、不顕性麻痺でポストポリオ、ポリオ後症候群を発症しております。ですが、そのときにポリオを発症したという記録、カルテは残りません。そして、またポリオをやったという診断も不可能だと思います。その場合、障害年金の申請の手だても閉ざされます。
 そして、不顕性ポリオ、不全型ポリオどころではなくて、これは私自身も言われたんですが、ポリオは足だけだろう、上肢なんてあるのかとか、尖足でないからあなたはポリオではないとか、はっきり言ってこれは現在の医療現場の状況です。
 それから、先天性障害とされていた子どももおります。その子は小学校入学時にポリオとわかりました。どうもおかしいと思っていたんですが、その子の住んでいる県では検査ができず、東京に出てきて調べたらポリオであった。ただし、もう年齢がいってしまって、ワクチン被害の認定はできません。親御さんは私に電話をしてきて、先天性の障害児として産んでしまって済まないと思っていたので、かえって救われましたという言葉を言っておりました。
 資料5-4でございますが、これは逆に生ワク接種後に上肢の動きが悪い、高熱を発した後はいはいをしなくなったので、これはひょっとしてポリオではないかと心配して受診したところ、どうもポリオであろうということで、MRIから何からいろんな検査をして、親はほぼ1か月ずっと胸のつぶれる思いをした例でございます。ですが、これは結果として骨折でした。1歳の子どもの細い骨の骨折がわからなかったということだったんですが、これも生ワクを接種していたために、ポリオだと疑われたからきちんとした診断がつかなかった。生ワクチンを接種しなければ、もっと早く診断もついたろうにと痛切に悔やんでおります。その間の親の苦悩は、本当に大変なものでした。
 現在、生ワク接種後の熱発に際して、便のウイルス検査は自費なんです。公費できちんと対応していただきたいと思います。現に医師に検便なんて無駄だ、費用がかかるからやめておけと言われて、断られたという例もあります。その方の場合には、自分で無理やり保健所に持って行って無事でした。生ワク接種を続けている間は、せめて熱が出たら必ず公費で便検査、便の検査が必要だ、早急に便の検査をするようにという通知を現場できちんとしていただきたいと思います。
 今、ワクチン接種時の注意では、子どもの発症というのはほとんどわきに置かれて、おむつをかえるときによく手を洗ってください、親の二次感染の注意しかされていません。そうしますと、私どもの患者会に、言わばあなたたちのように病気になりたくないから、どのように防いだらいいかというお問い合わせがあります。手を洗うというのは、どの程度なのか、どの程度ウイルスが残るのか。消毒はどうしたらいいのか、どうしたら防げるかというお問い合わせが随分きております。親が大変神経質になって、精神が病んでいるような感じさえあります。これもきちんとした医療現場での指導があれば、解決する問題ではないかと思います。保健所での二次感染を防ぐために手をよく洗ってくださいという御指導、手を洗えば防げる病気だったらワクチンなんか不要ではないか、ちょっと笑い話のように思っております。
 それから、接種時に体調がたまたま悪くて、未接種だったのをそのまま忘れてしまって大人になっていたという例がございまして、昨年5月、お子さんからの二次感染で父親が麻痺をしております。入院して、ただし、被害認定申請はこれからです。今はそれどころではない。奥様も1歳の子どもを抱え、若い夫は入院して会社に務められない。今後の生活はどうしたらいいか。極めて厳しい状況にいます。認定申請をするゆとりすらないのが患者と家族の状況です。是非ともワクチンによるポリオ発症者に迅速な被害認定と補償、それから、一度発症して麻痺になってしまった人たちに有効で継続的なきちんとした支援体制をお願いいたしたいと思います。
 不活化ポリオワクチンの接種の現状について、私どもにいろいろ問い合わせがきますが、多く保護者が自己責任、無認可で有料でもいいから不活化ポリオワクチンを望んでいます。ですが、接種病院が少ないので接種できない。早急に緊急輸入していただかないと、接種率の低下になります。江戸川区は70%ということで、これはとんでもないことだと思っております。
 昨年2月の神戸の発症に至るまで、私どもがずっと我慢しておりましたのは、このように生ワクでポリオになるから危ないんですというと、親がパニックを起こして、接種控えになって、再度ポリオが流行するのではないかと非常に恐れて自制してまいりました。でも、これは緊急事態でやっていただきたいと思います。せめて望めば有料でも接種できるように、国内流通を特例で認可していただきたいと思っております。海外ばかりではなく、国内での感染と流行が懸念されています。海外ばかりでなく、国内での二次感染が懸念されております。今ある不活化接種病院は、不活化ワクチンの希望者が余りに多くて、ワクチンの接種が抽選なんです。運次第でワクチンが打てるなんて、そんなばかなことはないと思うんです。
 それから、多くの接種病院は予約の受付をすると、1つの電話がチケットぴあ状態、何度かけてもつながらない。業務に支障が出るような状況であります。11月にはロタウイルスが認可されるようですし、インフルエンザも今年は積極的に接種を勧めると伺っていますので、同時接種を避ける傾向もあって、ワクチンを受けるのは大変だと親御さんは非常に悩んでおりますし、もしもポリオにだれかなってしまったらと懸念しております。
 ポリオ後症候群が発症いたします。野生株で麻痺性ポリオを発症して生き延びてきた私どもが、十数年から数十年後に向き合います。
 この10年の間に、ポリオ後症候群、ポストポリオ症候群、この疾患についての理解が深まりました。本当にありがたいと思っております。障害年金の対象疾患にもなりました。これまではポリオは老けやすいんだとか、そういう感じでした。しかし、ポストポリオ症候群もポリオと同様に有効な治療法は全くありません。適切なリハビリテーションの継続によって、残った機能、現状をできるだけ維持するのが最大の治療法であり、最大の希望です。PPSの発症というのは、必死に生きてきたポリオ回復者にとって、本当に地の底に突き落とされるような絶望的な思いにさせます。
 今、PPSを発症している患者は、私を含め団塊の世代またはそれ以上で、野生株の患者で人数も多く、情報交換をして医療に働きかけたりして、お互いに励ますことで病と向き合っております。
 今年5月に東京でポリオになった男の子がいます。今から50年後、この子がPPSを発症したときに、ポリオについて知識のある、PPSについて知識のあるお医者様はどこで見つけたらいいでしょうか。いらっしゃいますでしょうか。その子は適切な診断や医療を受けられますでしょうか。周りに仲間のいない孤独な中で、突然急激な症状に向き合う彼らのことを思っております。OPVで麻痺性ポリオを発症した子ども、二次感染で発症した親など、麻痺を発症した人たちの医療をきちんと一生補償してください。彼らにこれ以上過酷な人生を味わわせないでいただきたい。OPVを接種し続けるということは、どういうことかを見つめてほしいのです。
 資料5-4に付けました論文は、生ワクチン被害認定番号1けた台、初期に認定された生ワク被害者のものです。彼はこの論文で、世界での不活化ポリオワクチンの接種状況地図やOPVとIPVの価格比較などを述べています。OPVを接種する限り、必ず発生する麻痺性ポリオ被害者への補償、医療費、家族や本人が就業や社会生活を制限されることなどのマイナス、IPVの緊急輸入や完全切り替えによって増える費用を完全に凌駕しています。そして、その人たちは麻痺を起こさず歩けるんです。どんな感じ、歩くことはどういうことか知りたいと言っている人もいます。
 ワクチンによる麻痺性ポリオの発症で、さまざまな困難を乗り越えて生きてきた筆者がPPSに直面しています。PPSに直面したことを終わりの方で語っておりますが、彼は口腔外科医だったんですが、足だと思っていたのが手にもPPSが出まして、臨床が続けられなくなって、勤務を辞めざるを得なくなりました。ワクチン被害者の親のつらさは大変深刻であるが、それでもワクチンでポリオになった本人のつらさは親にもわからない、本当につらいものだと本人は語っております。
 不活化ワクチン切り替えがかなった後のお願いとして、何度も申しますが、OPVでポリオになった人々への医療体制をきちんと確保してください。野生株根絶後にポリオと診断されている患者、その人々への被害の認定、補償、医療体制の確保を是非お願いします。
 最後になりましたが、ポリオになった私たちは、皆自分が最後のポリオの患者でありたかったと思っています。OPVでポリオになった子どもに自分の人生の厳しさを重ね、親のなげきに改めて自分の親の苦しみを重ねて思っております。
 私たち既に麻痺性ポリオを発症した者にとっては、不活化ポリオワクチンへの切り替えがかなっても、自分のポリオ、麻痺が治るわけではありません。今、幼い子どもたち、麻痺を発症してしまったワクチンポリオの子どもたちも一生歩けるわけではありません。しかし、だからこそ、一刻も早いIPVへの切り替えをお願いいたします。自分たちと同じつらい思いをする人が、これ以上1人もでませんように、これまで厳しい苦しい思いをしているからこそ、お願い申し上げます。
 この場でこういうことを話させていただいて、ありがとうございました。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続いて、丸橋構成員、お願いいたします。恐れ入りますが、時間にある程度区切りがあるので、よろしくお願いします。
○丸橋構成員 ポリオの会から、本日は患者代表ということで、私自身ワクチン由来によるポリオ患者であるということで、この場に参加させていただいております。このような検討会に参加させていただいて、ありがとうございます。
 まず簡単に私の生い立ちから話させていただきます。
 私は昭和40年、1965年の9月に生まれておりまして、翌年4月、生後7か月のときにポリオの生ワクを投与しております。2週間後、母親のおっぱいを飲んでいるときに、噴き出すようにはき出して、その後、高熱が出て、ぐったりとしたそうです。それで都立の共済立川病院というところに緊急入院をしまして、そのときにすぐに便の検査をして、ワクチンと同型のウイルスが検出されたということで、そのまま隔離病棟に2か月間の入院をしたそうです。退院してからも、母親は私を背負ってバスに乗って、病院に毎日通ってリハビリを受けて、回復を祈ったと聞いております。
 その後、東京都の小児療育病院に通院するようになり、足には補装具を付けて歩く練習をして、松葉づえをついて歩けるようにまで回復したと聞いております。
 その当時の小児療育病院のカルテが実は残っておりまして、先生が書かれたコメントの中に、生後8か月のときに発熱、3日間続き、解熱をしたときに左下肢に麻痺が残っていた。引きつけはなかった。現在はつかまり立ち、つたい歩きが数歩できるのみで、体の移動はひざをついて張っている状態。知能には異常はない。発熱が起きる16日前にポリオの生ワクチンを飲んだということが記載されていました。
 私はそういう状況の中で、長い間この病気と付き合ってきたんですけれども、何か病気になって病院にかかって、お医者さんに会うたびに、足はどうしたんですかと聞かれました。ワクチンによってポリオになりましたというと、とにかく驚かれるということを子ども心に覚えております。いろんなお医者さんに行っても、ポリオにワクチンでなるはずがないんだとか、そういうことを平気で言われてきました。ポリオは終わったものという認識のお医者さんがたくさんいらっしゃったんだと思います。つい最近でも、そんな方に出会うことがありまして、ポリオの被害は10万人に1人ぐらい出るとても珍しいものだから、あなたは気の毒だったねと目の前で言われました。何も言い返すことはしませんでした。そういうことは、本当につい数年前まで当たり前できておりました。
 しかし、あるとき、自分の体に大きな変化が起きて、それで気づくことがありました。40歳を過ぎたころから、脚長差がありますので、腰痛がとにかくひどくなり、筋力の低下というものが出てきたんです。右足が利き足なんですけれども、自宅で不注意によって転倒してしまい、利き足である右足の腓骨を骨折してしまいました。私が右足を骨折してしまうということは、生活がほぼできない、車いすに乗る状態になってしまいまして、かなり不自由な思いをしました。
 1年後には、ある日、突然、雷で頭を打たれたような激痛とともに全身がとにかく痛く、こわばる状態で動けなくなりました。いろいろな病院をあちこち回りましたが、原因がわからない。
 そんな中、私は何か情報がないだろうかということで、インターネットで患者の会、ポリオの会を知りまして、先ほどお話いただいた小山代表と出会うことができました。そこで、私は初めてポリオという恐い病気のこと、私が受けたことがPPSであったということを知りました。
 小山さんがつけ加えて、実はワクチンによってポリオになる方は今でもいらっしゃるんですということを、とても悔しい表情で私に話してくれたんです。
 更につけ加えて、実はそういうことをしているのは日本だけで、ほかの先進国ではもう不活化という安全なワクチンが使われているんですということも教えてくれました。単純に私は何でそれを日本は使わないんですかと聞きました。その答えを小山さんから聞いたときに、私は驚きました。私はその単純な思いがあって、今、この場に参加させていただいているんだと思います。
 私には3人子どもがいます。長男は結婚しています。子どももいます。ポリオの会の中には、私の長男と同じ年齢の患者さん、また孫と同じ年齢の患者さんがいらっしゃいます。
 先日、不活化ワクチンを求める署名3万5,000通を提出に行きました。そのときに撮った写真を持ってきましたけれども、この子たちは、私にとって息子であり、孫なんです。この子たちを前にして私が思ったことは、何でもっと早く自分の体のことに気づいて、こういう活動に参加できなかったのかという悔しい思いでいっぱいでした。この子たちがこの後ポリオという病気、PPSという病気を迎えて、どれだけ苦しい思いをするかということを私自身が一番よくわかっております。
 私の母親が、私がPPSになって苦しんでいるときに、涙を流しながら、ごめんねと謝るんです。親も一生闘います。親は一生自分の子どもをポリオにしてしまったという責任を背負って生きていくんです。
 ここに母親が書いてくれた私の小さいころのアルバムがあるんです。それを御紹介したいと思います。
 私が入院をしたのは5月6日、その前日は5月5日、私の初節句の日です。そのときにかぶとの前で記念写真を撮り、生まれて初めてのお節句です。楽しい1日でした。その翌日に思いがけぬ運命が待っていることも知らずに、今になって思えば、このとき顔が少し元気がないようにも思えますと母親がコメントを入れております。
 その後、入院している写真があるんですけれども、私の表情はとてもにこやかです。2か月間の入院をさせました。その間、悲しい思いもしましたが、看護婦さんたちがよくしてくれて、病院では人気者でした。達也自身の記憶には残らないことですが、父親、母親にとっては一生忘れることのできない悲しい時期でしたと記載されています。
 親が我が子を守るために命をかけるのは、当たり前のことだと私は思います。生ワクチンが危険だという情報だけが、今、ひとり歩きしているのは、私たちにも責任があるかもしれませんが、そのような状況は緊急事態だと思いませんか。この検討会は、被害をこれ以上出したくないという私たちの思いに賛同して、開催していただいたものだと信じております。
 最後になりますが、小山さんからもお話があったように、世の中には生ワクチンでポリオになっても認定されていないで、苦しんでいる方もたくさんいらっしゃいます。国はこのワクチンの健康被害に対して、早急に対応していただきたいと思います。
 詳しい資料等はお手元に用意させていただいて、ポリオの会のメンバーの人たちが一生懸命やってくれています。ポリオの会の人たちは、皆さん、専門家よりよほどこのことを勉強していらっしゃいます。是非前向きな検討で、1日も早い切り替えを私としては願いたいと思います。よろしくお願いします。
○岡部座長 どうもありがとうございました。資料は皆さんのところにいっていると思いますので、あとの分をお読みになっていただければと思います。
 ただいまの小山構成員、丸橋構成員のお二人の状況のお話、現状のお話に、何か御意見、御質問がありましたら、お願いします。
 保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 今の小山構成員と丸橋構成員のお話の中で、認定されていない人がたくさんいるというのは、確かに手続等でなかなかやられていないということだと思うんですけれども、小山構成員や丸橋構成員は、国はどうしたらいいということを何かお考えでしょうか。
○小山構成員 例えばウイルスが2つ出てしまったとき、ポリオウイルスとコクサッキーが出てしまった場合、これはコクサッキーのせいだとして却下された例もあります。
 それから、何度も医師が申請書を出したのに、なぜこの子が却下されたのかわからないという例が10代の子どもさんであって、九州の方にいらっしゃいます。
 そのような例を幾つも聞いておりますのと、東京にも却下されて、なぜかわからないと言っている20歳の青年もおります。
 そのほかに、例えば障害者白書の障害者手帳取得300人、そのうち認定されたのは何人だろうか。10分の1以下だろうと思います。残りの人たちは、結果としてポリオという障害者手帳を持ちながら、そのまま何もなしで生きているということです。
○保坂構成員 ありがとうございました。その件は不活化ポリオの導入とはまた別な課題として、今、健康局長もお聞きになっていたので、取り組んでくださるであろうと思いますし、取り組む必要があるとは思います。ただ、かなり時間のかかることかもしれません。
 予防接種行政については、長いこと、さまざまな問題があったということは私たちも認識しています。政権交代があった後に多少は変わってきている。ただ、なかなか難しいところがあるということを御理解いただいて、是非厚生労働省に対して、皆様方、御協力いただいて、そういう方がたくさんいらっしゃるのであれば、そういうような方向にいっていただきたいというのは、私の意見でございます。ありがとうございました。
○岡部座長 ほかに御意見あるいは御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。
 参考人あるいは今日おいでいただいた構成員からのお話は伺いましたので、次に事務局から不活化ポリオワクチンを導入するときに、どういうことが問題になるかという論点についての説明をまずお願いします。
 林補佐、どうぞ。
○林課長補佐 資料6をごらんください。
 今後、不活化ワクチンを円滑に導入していくためにはさまざまな論点がございますが、今日は次回以降の議論につなぐためにも、どういった論点を話していくかということも含めて、この後のディスカッションで少し御検討いただけたらと思います。
 時間がないので、すべては読み上げませんが、不活化ポリオワクチン導入までの間の生ポリオワクチンの取扱い。具体的な切り替えの方法・スケジュールの中でも、どういった対象者に接種をしていくのか。そして、一部のワクチンを既に接種した方への対応をどうするのか。ワクチンが混じることに関する対応をどうするか。接種体制の構築・周知をどう進めていくか。事務としては、こういったことを例として挙げさせていただいております。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございました。
 1つの例として挙げていただいたわけですけれども、本日はこの後、最初にお話したように、今日何か論点をまとめていくとか、何か結論を出すということではありませんので、構成員あるいは参考人の方も含めて、こういったことが必要ではないあるいは課題ではないかとか、そういうことについて自由に御意見をいただければと思います。最初にきっかけをとるのは難しいかもしれませんが、どなたかないでしょうか。
 齋藤先生、どうぞ。
○齋藤構成員 この議論を始めに当たって、ポリオワクチンの接種回数をどうするか、そこのところは非常に重要だと考えております。通常、海外でありますと、IPVは4回の接種、OPVに関しては3回ないしは4回の接種ですけれども、国内においては2回接種であります。やはり新しいワクチンを導入するに当たりまして、世界的標準、すなわちグローバルスタンダードを考えて、このところの回数をどこの回数にもっていくか、まずそこのところをしっかりと定義する、それが非常に重要なのではないかと思います。
 以上です。
○岡部座長 清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 今、齋藤先生にお話いただいたところですが、世界を見ると、ほとんどの先進国はそうではないんですけれども、IPV、OPVの併用というスケジュールを採用している国がある。今、日本はOPV2回で、今後IPVが導入されて、先生がおっしゃったように多くの先進国で使われている4回、プラスαのDPT、IPVあるいは5個、6個のワクチン接種のスケジュールに変えていくかというのは、もう一回、併用ではなくて、完全にIPVに変えるのかというところも確認をして、その後でどういうスケジュールになるかという話になるのかと考えています。
○岡部座長 保科先生、どうぞ。
○保科構成員 これは日本小児科医会の意見とは別に、私個人の話として話させていただきますけれども、現在、私の勤めている東京都内では、OPVを受けている人は半分以下です。23区内では1つです。今度9月にあって、どのぐらい受けるか。受けた人からの感染をどうするのか。ここら辺もやはり考えておかなければいけない。
 それから、恐らく厚労省、国としては認識していないでしょうけれども、2年前の秋はインフルエンザの形で、みんなが集まってポリオのワクチンをやるのはやめたはずです。国としてはやめていないけれども、地域ではやめた。23区内で止まっていました。しかし、だれも出なかったんです。発症者がいなかった。問題なく次の春まで待っていたわけです。そこら辺を考えて、今のOPVをどうするのか。
 齋藤先生の言うように、回数も問題でしょうけれども、現在、直面する秋の生ワクチンをどうするのか。来年の春の問題、本当に不活化にもっていけるのかどうか。それだけの供給量が達成できるのかどうか。ここら辺は実際に患者に接種していて、今度の生ワクチンを受けていいでしょうかとみんな聞かれるわけです。だめとも言えないし、いいとも言えない。ここら辺も早急に結論を出さなければいけないだろうと思っております。
 現場で私たちがほかの予防注射をしながら、肺炎球菌などをやりながら、次に聞かれるのはポリオです。現在、無料券が配付されておりますので、日程も決まっております。予約しましたけれども、受けていいですか、私も何とも答えようがなくて困っているんですが、ここら辺は岡部先生いかがですか。
○岡部座長 私が意見を言っていいんですか。
○保科構成員 座長としてではなくて、個人的な意見としてお願いします。
○岡部座長 ではあくまで個人のお話として。私は孫がいるんですけれども、孫にはOPVを飲ませて良いと言ってあります。それは現状において使えるワクチンであるということと、私は十数年前から早くIPVにすべきであるという意見は言っていましたけれども、現状で多くの人が受けるためには、きちんとライセンス化されたものが必要だろうというのが、現時点の私の意見だからです。
 もう一つ、腸管免疫をつけるという意味では、やはりOPVの方がはるかにいいということですので、長期的な意味を考えれば、今のうちにOPVを受けておいてもいいのではないかということも言っておりますけれども、これはあくまでプライベートな話です。
 保科先生、1点だけ済みません。2年前にOPVを止めた地域があるとおっしゃっていたんですけれども、それはどこですか。
○保科構成員 港区などは会場に集めるのをやめてしまったから、受けられなかったんです。
○岡部座長 それは新型インフルのために、会場がとれなくてということですね。
○保科構成員 インフルエンザのためにやめてしまったんです。
○岡部座長 わかりました。一時的にそこの場所をやめたということですね。
○保科構成員 国としてやめたのではなくて、地域がということです。
○岡部座長 わかりました。
○保科構成員 それから、先生がおっしゃった個人的な意見は私も賛成ですけれども、IPVになっても、本当はOPVを1回はやっておいた方がいいのではないかと思います。腸管にしっかり免疫をつけておくという意味では、やっておいた方がいい。ただ、そこから先がどうなるか。ワクチンで発症する人、IPVをやって発症する人はいなくなるけれども、腸管から出たものがほかに移る可能性が絶対にないとは言えない。そこら辺の処置をどうするかを考えていかなければいけないだろうと思っております。
 以上です。
○岡部座長 坂元構成員、どうぞ。続いて、蒲生構成員お願いいたします。
○坂元構成員 今、大体どこの自治体でもOPVの接種率の前期の集計が終わって、通年に比べて1割から2割落ちているという事実が1つあるということです。なぜ接種率が落ちているかというのは、まだ調査していないので、わかりませんが、実際に開業されている小児科の先生に聞くと、接種控えがあるのではないかという意見も聞かれます。仮に自治体によっては20%以下の低減、接種率が落ちているという積み重ねが起きた場合、もしIPVが導入されたときに、すでにDPTを済ませた群が増えることが予測されることから、単抗原の需要がどれくらいあって、それに対してどれぐらい供給できるのかということをしっかり把握しておかないと困ると思います。さらに接種制限が仮に90か月という場合、受けられない群の子どもが出てきてしまうという危険性があるので、自治体側としては、その辺の供給量を十分把握していただきたいというお願いでございます。
○岡部座長 ありがとうございます。1つの課題だろうと思いますので、ノートをお願いします。
 蒲生構成員、どうぞ。
○蒲生構成員 私は『たまごクラブ』『ひよこクラブ』という、今、日本で一番売れている妊婦さん向けとお母様向けの雑誌をつくっているところに所属しているので、実際にお母様方のお声や動向を非常によく見ているんですけれども、この1年ほど、個人輸入で不活化ワクチンを入れていらっしゃるお医者様のところで、ポリオを接種する方が、数字はとっておりませんが、肌で感じる限り、確実に増えています。
 私どものところにも、生ワクでいいのか、不活化にした方がいいのかという御質問をいただくんですが、それに対して、私たちはお答えすることができないんです。現状として、現場ではどんどん個人輸入の不活化の接種が始まってしまっているという言い方をしていいかどうかわからないんですが、実際にそのワクチンを正しく理解して、例えば齋藤先生がおっしゃったような回数のこととか、1回は生ワクを飲んでいたりとか、いろいろなケースがあると思うんですが、今、お母様の中には、ポリオの生ワクは恐い、不活化にした方がいいという、そこだけがひとり歩きしているような部分がございます。
 早ければ平成24年度中、早ければといってもあと1年半もある。今、春と秋の集団接種がありますので、その間に3回の集団の接種がある。そのときに受ける、受けない、その間に不活化を自分で打ってしまうみたいなところをどうするのか。
 国として正しい情報を皆さんに提供していただきたい。勿論その情報提供の一端を担っているのが私どもなので、どのようにお伝えしていったらいいのか、編集現場でも非常に困っているという状況と、現在の実際のお母さんたちの動向というものも厚生労働省として是非把握されて、混在している状況をどうやって整理しながら、国として不活化を入れていくかというところも検討していただきたいと思っております。
○岡部座長 ありがとうございました。
 時間がぎりぎりなんですけれども、もしよろしければ、5分か10分ぐらいだけ延ばさせていただいて、まだ発言のない方からご意見をいただければと思います。
 清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 今、いろいろお話があったように、OPVの接種率が地域によって下がっている可能性がある。それから、個人輸入でIPVを接種している人が増えている可能性がある。
 この資料に出していただいたように、OPVの接種率はある程度把握できますけれども、個人輸入によるIPVの接種率というのはわからないので、これから調査していくということです。
 先ほど申しましたように、もしOPVもIPVも受けていない、例えばIPVは数が足りない、やっているクリニックも少ないので受けられない。OPVは恐いということで、両方受けられない人の人数が万が一増えていると、非常にリスクが大きいと思っているんですけれども、もし調査の後にハイリスクの人がいるということがわかったら、どのような対応がとれるのか。もしお考えがあればいただきたいと思います。
○岡部座長 これは今の時点で答えが出てきますか。
○林課長補佐 先ほど御紹介いただいたように、資料2の8ページで不活化ワクチンの接種状況、OPVの接種状況、両方から引き算をすれば、どれぐらいの方が接種できていないということが出てくるだろうということで、調査は予定をしております。
 その方々にどういう情報提供をするか、あるいは現在の対応、坂元構成員のおっしゃるような将来の対応を含めて対応があると思いますけれども、今後、私どもも皆様方と一緒に検討していきたいと思っております。
○岡部座長 調査計画があるということは、今の段階では御承知ください。
 中野構成員、どうぞ。
○中野構成員 まずIPVに関しまして、私は承認されたIPVが一刻も早く世に出ることが一番大事だと思っています。それは皆さんと御意見が一緒だと思っています。そのためにこの会をしっかりやっているんだと思います。
 もう一点、OPVの接種は積極的勧奨に入っていますから、現状では積極的勧奨に入っていると思います。もう秋は近いんですけれども、先ほど何人かの構成員から意見が出ましたが、そのまま継続するのか、違う形にするのかというのは非常に気になるところで、そこがはっきりしないので、私も現場で何人も接種をしていますけれども、確かに気になります。でも、それをこの短期間で変えられるのかどうかは非常に不安であります。
 もう一点、蒲生構成員がおっしゃったことと関係するんですが、承認したIPVが一刻も早くほしいというのは、OPVよりIPVの方が安全かもしれないということで来られるお母さん方の中には、IPVのことを十分に理解していらっしゃらない方がいらっしゃると思います。承認されていない製剤は、いろんなことが起こったときに、打たれた方も、打ったお医者さんも両方が不幸になります。そういった意味で、きちんとしたIPVを承認していただきたい。
 先ほど小山構成員から医者がVAPPのことを知らないとありまして、医師の何人かは知らない者も多い。それは私たち医師の集団は反省すべきことだと思っています。でも、今、IPVを希望されている方も、IPVを使うということはどういうことなのかというのをどれだけ御存じなのか。そこは国で定められた薬を使うのか、そうでない薬を使うのかは、しっかり考えるべきだと思います。
 最後に齋藤構成員が最初に言われたスケジュールはすごく大事だと思います。こういう状況だから、いろんな方がIPVを使うようになるわけで、過去の私の経験だと、治験スケジュール以外の使用法がすごくしにくいです。恐らく、今、DPT、IPVもいろんな治験が進んでいて、そのとおりの接種スケジュールになると、私たちは接種の現場でその方に合わせた接種というのができにくくなります。それを今後検討していかなければならないのではないかと思っています。
 長くなって済みません。
○岡部座長 ありがとうございます。
 すべての接種スケジュールを網羅すると物すごい数になるので、全部の検証はできないと思います。そうなったときに、ある程度エビデンスも大切ですけれども、科学的な推測に基づいてやるといったような考えも今後は必要ではないかという気がしています。治験のオープンと研究的なプランを組み合わせて、この会の中ではある程度のスケジュール的なものを出していくことも、導入に当たって必要なことでないかとも思います。
 あと、お一人ぐらいにします。保坂構成員、どうぞ。
○保坂構成員 今のスケジュールのことは、この先、IPVが導入されていくときに決めていくというのは必要なことでありますが、中野構成員がおっしゃったように、今すぐどうするかということを私たちは決めなくてはいけなくて、先ほど保科構成員もおっしゃったように、マスコミの方もいらしていると思うんですけれども、マスコミの方が不十分な形で情報を流していると私たちは思っています。そういう部分があるので、お母さんたちの不安がどんどん高まって、OPVをやっていなくて、だけれども、IPVは実際にはできないか、あるいはIPVを選ぶこともしていない方がどんどん増えている。そのことは、前から厚生労働省に私どもも申し上げています。
 9月に始まるのに、明日から9月です。今日話をしていて、まずのその点をどうするかということを話していただきたかった。今日はその点について多少は話すのかと思っていたのですが、余り話が出ていない。あと何分かというところで発言させていただいて申し訳ないんですが、その点について、結論は出ないと思いますけれども、今日、何らかのことをある程度言っていただかないと、蒲生構成員もおっしゃいましたが、お母さんたち、現場の医師に対して、私たちはどうやっていっていいのか。方針が立たないんです。
 今、OPVをやめてしまえば、野生株が入ってきたときに抵抗できなくて、野生株が出てしまうかもしれないというリスクがあるとおっしゃっていますけれども、保科構成員がおっしゃったように、OPVの集団接種を1回抜かしても大丈夫だったのではないか。1年になぜ2回なのかという意味も私たちはよくわかっていないので、岡部座長、是非この秋のOPVをどうするのかということについて、多少は何かお話をいただきたいと思います。
○岡部座長 時間は残っていないんですけれども、要は定期接種をどうするかということについて、多くの方が現場で困っている状況の中で、国として方針をどういうふうにしておくか。つまり定期接種継続なのか、あるいは代替の方法があるのかということについては、今、瞬間でなければ、数日にこれは答えを出してほしいということですね。それが保坂構成員からの意見だと思いますし、蒲生構成員あるいは中野構成員のお言葉の中にもすべてそれが含まれていて、結局、現場で秋のシーズンのポリオをどうするんだ。これについては幾つかエビデンス、理由もあるでしょうけれども、それを含めたアナウンスはしていただきたいというのが検討会の中の希望ですが、そういうことについてはどうですか。
 事務局からどうぞ。
○外山健康局長 今、御意見を承りましたけれども、この検討会を設置した目的というのは、冒頭ごあいさつしましたように、4種混合ワクチンが近い将来に導入される。単抗原ワクチンも進められてくるということなので、そういうことを念頭に置いたときに、円滑にそういうことへ移行するための方策を、今日、検討会を立ち上げて決めてもらいたいということであって、この秋の施策について、ここで提言をもらうということは考えておりませんでした。
 ただ、今、どうかというと、それについても緊急の御提言をいただくのであれば、専門家のグループでありますから、いただきたいと思いますけれども、国の考え方としては、予防接種法上いろんなことからちゃんと考えられて、今の生ワクチンを制度的に推奨しているわけでありますから、これはこれでやっていただきたいというのが私どもの政策上の今の立場です。
 緊急輸入という話もありますし、よく国会で聞かれます。医薬局からも人が来ておりますけれども、薬事法上、承認されていない薬を国の制度の中に位置づけて、国のやり方としてやっていくのか。かつては超法規的にやったこともあると思いますけれども、今すぐどうだと言われて、それは答えられないというか、そういう選択肢は現在ないのではないか。ただ、この検討会がこの秋に向けて緊急提言を行うというのであれば、それはそれで座長の差配を受けながら、また検討したいと思っております。そんな状況でございます。
○岡部座長 基本的には予防接種法として動いている現在の勧奨接種については変更が、ということでよろしいですね。
○外山健康局長 現段階では、少なくとも、今の予防接種法の制度を変えるとは思っておりません。
○岡部座長 保坂構成員、そういうことでよろしいですか。
○保坂構成員 厚生労働省の立場はとてもよくわかりますし、皆様が一生懸命やってくださっているのはわかるんですけれども、現実にOPVの接種をやったときに、接種をしている人としていない人の割合が多分相当接近するのではないかと思っていまして、特に集団で生活をしているお子さんたちをどうするかということを現場は非常に心配していますので、その辺について、何か厚生労働省としてできることがないかということを早急に検討していただきたいと思います。
 少なくとも、今すぐ秋のものをやめるということは、お立場上といいますか、仕組み上できないと思いますので、それを求めるつもりはありません。それを求めるようにこの検討会としてやってくださいと座長にお願いするつもりもございませんが、何もしないで手をこまねいているということは、私たちとしてもとても困る。私たちも何かできることがないか考えますけれども、国として、こういう方策をとりましょうというような提案があればとてもありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
○外山健康局長 事務局の担当の者が説明しましたけれども、資料2の8ページに書いてあるような個人輸入による不活化ワクチン接種の実態調査も既に行っておりますけれども、しりをたたいて、早目に結論を出したいと思います。
 それから、多くの方々からの御発言にもありましたけれども、接種率が大分低いということをおっしゃっていますが、それにつきましても、集計を早めて、全国的にあるいは地域的にどういう状況になっているのか出して、この検討会にすぐに出したいと思います。手をこまねいているのではなくて、感覚的ではなくて、まずは数字をちゃんと積み上げたいと思っています。
 先ほど議論になりましたけれども、治験、臨床研究のところは、今日は詳しく御説明しておりませんが、また詳しく説明しながら、そういう感覚でいらっしゃるのであればというか、私どもも別にだらだらやろうとは思っていませんので、次回は比較的早くやらせていただきたいと思っています。調整させていただきます。
○岡部座長 治験はいろいろ協力されるところもあるので、そこも含めて、できるだけ早急に取り組むということです。
 最後に坂元構成員、お願いします。
○坂元構成員 予防接種は法的には自治体事務でございます。今回、少なくとも川崎市では接種率が落ちているだけでなく、隣の横浜市でも同様なようですので、我々としては、OPVが法的に定められた接種であり、自治体業務である以上、接種を受けなくていいですというわけにはいかないのです。やはり積極的勧奨をしていかざるを得ないというのが自治体の責務であるとの認識であります。もう秋の接種が迫っていますので、我々としては、現在、接種率が低いので是非是非受けてくださいという、広報を積極的に行うのが自治体の責務と考えております。
 以上です。
○岡部座長 ありがとうございます。
 最後に私の意見ですが、受ける、受けないかという問い合わせに対しては、どちらも受けないというチョイスが一番危ない、ということを強調させていただきたい、と思います。先ほど一時ポリオワクチンをやめたから大丈夫だというご意見もありましたけれども、いつ入ってくるかわからないということも含めて、ポリオは個人の病気で考える場合と、全体の病気で考える場合と両方を考えていかなければいけないという意味で、ポリオのワクチンを受けないというのは現在最悪のチョイスだろうと思います。国としては決まっていることとしては、予防接種法に基づいた予防接種はやっていくというのが、この秋の方針だろうと本日聞きました。ただし、それに対して、いろいろな方法とか研究の部分、これは10月の次の会議のときにはある程度数字的なものも発表して、事務局側からも御意見をいただきたいと思います。
 それでは、少し時間が過ぎましたけれども、今日は一応これで終了とさせていただきたいと思います。
 次回の開催等について、事務局から案内をお願いします。
○飯野課長補佐 次回の開催につきましては、改めて日程を調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○岡部座長 それでは、どうもありがとうございました。


(了)
<健康局結核感染症課>

担当・内線 予防接種係(2383,2078)

(電話・代表): 03-5253-1111

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