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2011年9月12日 医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ(第2回) 議事録

○日時

平成23年9月12日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(19階)


○議事

○臨床研修指導官(以下、指導官) 定刻となりましたので、医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループを開催いたします。本日は、先生方にはご多忙のところご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。なお、本日は今村委員から所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。
 今回は、臨床研修制度の導入が研修医のキャリア形成に及ぼした影響に関連しまして、財団法人聖路加国際病院院長の福井次矢先生、筑波大学附属病院附属水戸地域医療教育センター教授の徳田安春先生に参考人としてお越しいただいております。
 事務局に異動がありましたので、ご紹介させていただきます。医事課長の田原です。医師臨床研修推進室長の植木です。また、本日は文部科学省医学教育課から村田課長にお越しいただいております。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。堀田先生よろしくお願いいたします。
○堀田座長(以下、座長) 皆さんこんにちは。第2回の会合にご参集賜りまして、ありがとうございます。本日、暑い中でありますが、厚労省にしては珍しくこの部屋は冷房が効いているなと思ったところです。今日は参考人にもご参加いただいておりますので、よろしくお願いいたします。まず、資料の確認をお願いいたします。
○指導官 それでは資料の確認をいたします。まずヒアリング資料-1として、福井次矢先生提出資料「新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究」、ヒアリング資料-2として、徳田安春先生提出資料「医師臨床研修制度の評価」。委員提出資料-1として岡村吉隆委員提出資料「臨床研修修了者帰学状況」、委員提出資料-2として、岡部繁男委員提出資料「大学等の研究・教育機関における医学部出身基礎研究者・大学院学生の動向について」、同じく岡部繁男委員提出資料の参考として「日本解剖学会・日本生理学会による『基礎医学教育・研究』アンケート結果について」、最後に事務局提出資料となっております。不足資料等がありましたら、事務局までお申し付けください。
○座長 まず議題の1ですが、「研修プログラムの履修状況について」事務局より資料の説明をお願いします。
○清水主査(以下、主査) 資料の説明をさせていただきます。事務局提出資料をご覧ください。右上に資料1と記載のある2頁をご覧ください。こちらは「第1回WGでのご意見」となっております。
 1「研修プログラムの履修状況について」。地域医療研修の内容、また実態を調べていただきたい。統計データでは把握していない部分についての、研修医の個別の聞き取り調査が必要であり、また大学院教育と臨床研修との関係の議論も必要。さらに学問としての医学教育は臨床研修にとってマイナスではないといったご意見。修了者アンケートについては、平成21年度の制度見直し後の研修医の状況が反映されていない、などのご意見をいただきました。
 2「臨床研修病院の実施体制について」。資料にあるデータについては、受入実績、募集定員等制度の枠組みに関するものがほとんどであるが、未修了の研修医や中断者等に係る成果実績に関するデータ。また受入実績などは、基幹型病院で受け入れても、研修プログラムによって協力型病院で一定の研修期間を行うことから、必ずしも実態を示していないので、基幹型・協力型病院別に把握する必要がある。また、海外での臨床研修制度の実態を把握する手法を収集すべき。欧米では臨床研修制度の見直しを行っているところであり、それを参考にしてはいかがかといったようなご意見をいただきました。
 3「臨床研修制度導入が地域医療に与えた影響について」。帰学率については、全国医学部長病院長会議で取りまとめた資料をWGで発表してはどうかというご意見があり、こちらについては、本日全国医学部長病院長会議の資料を岡村委員から提出されることとなっております。
 4「その他」。研修医にも臨床研修病院にも負担が少なくなるようEPOCを改良することが必要。EPOCを活用していない40%の研修病院では、どのような評価の方法をとっているかなどの実態を把握する必要。各種データを公開して、多様な人に分析してもらうのがよいのではないか。国民目線の議論をすべき。臨床研修教育は、卒前・専門医とも一体で考えなくてはいけない、などのご意見をいただきました。
 その下の資料2-1と記載のある3頁をご覧ください。こちらは「新臨床研修制度下のローテート状況」を表しております。全国の臨床研修を修了する直前の研修医を対象に、3月に実施しているアンケート結果になります。すなわち平成22年3月に修了する医師を対象に、同年同月にアンケートによる調査を実施しています。回収率は概ね70%となっております。以降こちらのデータを引用する際には「修了者調査」と呼ばせていただきます。
 こちらの資料では、必修診療科とそれ以外の診療科についてのローテート状況を示しております。必修診療科については赤字で示しており、内科系は8ヶ月、外科系は3.2ヶ月、救急は1.7ヶ月となっております。その他3.26ヶ月という部分を拡大いたしますと、整形外科0.65ヶ月、放射線科0.62ヶ月と記載があり、これらの診療科で研修医は多くの期間ローテートしていることがわかります。
 右上に資料2-2と記載のある4頁をご覧ください。こちらは、マッチング協議会より提供いただいたデータになります。3科のみ必修、3科以外に必修科あり、産科・小児科プログラム、7診療科必修プログラム、それぞれのプログラムに何人の研修医がマッチしたかを割合で、かつ都道府県ごとに示しております。特に都道府県ごとに大きな傾向がある、といったようなことは見受けられません。
 資料2-3と記載のある5頁です。こちらは平成22年度厚生労働科学研究「初期臨床研修制度の評価のあり方に関する研究」の研究者より提供を受けたデータになります。以降、こちらを引用する際には、「桐野班データ」と呼ばせていただきます。こちらは、前回のワーキンググループで集計結果を提出させていただきましたが、新制度及び旧制度下で臨床研修を修了して数年経った医師を対象にアンケートを実施した結果になります。上段の部分が新制度、下段の部分が旧制度で研修を受けた医師の方々の回答結果となっております。新制度と旧制度で研修を受けた医師に、必修診療科別に臨床研修期間中に自身の受けた研修が「現在までに役に立ったか」、ということを比較して掲載しております。
 新制度では、各診療科については選択する割合が旧制度と比較して増加しており、制度導入で多くの診療科をローテートするようになったことが見受けられます。すなわち、内科では旧制度では56.0%が履修していたのに対して、新制度では100%が履修しています。各診療科に対する評価ですが、必修化された診療科のいずれについても、旧制度で研修した医師の評価と比較して、評価水準はそれほど大きく下がっていないのではないかと考えられます。
 右上に資料2-4とある6頁をご覧ください。こちらも同様に桐野班よりアンケート結果について提供を受けたものです。前回の神野委員からご指摘のありました内容についてお答えする形で、地域保健・医療研修についての各研修場所別での評価を記載しております。こちらは、新制度下で研修を受けた医師のみの回答を掲載させていただいております。平均点は全体で3.18点となっております。地域保健・医療研修については、「保健所に比べ診療所・病院で研修したほうが評価が高い傾向にある」のではないかとなっています。以上で説明を終わります。 
○座長 資料2までのところで、今日は資料が豊富ですので、区切ってその都度議論させていただきます。いままでのところで何かご質問あるいはコメントをいただけますでしょうか。
○神野委員 資料2-2ですが、これは「22年度研修医マッチング」ですので、モデルチェンジしてからのマッチング結果ですね。県ごとに特徴があるといえば特徴がありますけれども、逆に言えば、全く統制されていないといえば統制されていないといったような状況で、栃木県の専門医研修(3科目研修)が0%から、富山ですか、いちばん高いのは、90何パーセントまでが専門医研修を受けている。ここで意見としては、前回もお話しましたけれども、新臨床研修制度の目的として、広くいろいろな診療ができる医師を育てるという意味では、専門医研修90何パーセントという県はどういう体制なのかということを、もしわかれば教えていただきたい。何となくこの大学は強そうだなとか、そういうのはわからないでもないですが、このばらつきは異常だと認識すべきなのかなと思いました。
○座長 そのほかにご意見はありますか。確かにこれは初年度のデータです。導入して7科目必修から3科目必修になった初年度で、それは必ずしも変更しなければいけないという話ではないものですから、それぞれの研修病院での選択になったわけです。その結果がこれで、非常に対応がばらついているということは確かかなと思います。どうですか。何かご意見をいただけますか。
○岡村委員 和歌山医大の岡村です。いまの神野先生の質問に対して、どの程度答えになるかわからないのですが、おそらく和歌山医大附属病院がいちばん多い割合を占めていると思うのです。我々のところでは、今年もマッチングで全国のベストテンに入るぐらい、地方としては非常に健闘しているかと思っているのです。なぜ人気があるかと言ったら変なのですが、1つは自由度が高いという言い方で。神野先生は専門教育という言い方をされているのですが、逆に必修を少なくすることで自由度を高くしていることが、研修医の人気になっているのかもしれないという捉え方をしています。
○田中委員 これはたぶん解釈のことだと思うのですが、栃木県の場合は、要するに内科、救急、地域以外にも必修科を設けているというので、むしろ専門よりは幅広くやっているという意味ではないのですか。
○座長 そうですね。3科目以外にも必修を設けているという青色の部分赤は、制度が変わったことに対応しつつより幅広い研修方式をとっている病院であり、緑のところは従来の7科必修のままでこの年度はやっている病院が多いという意味ですよね。
○医師臨床研修推進室長(以下、室長) 先ほど1年目とおっしゃいましたが、2年目です。
○座長 2年目ですか、初年度ではなく。
○室長 そうです。2年目になります。それで、初年度と比較しますと、全国平均はいちばん左側なのですが、赤い「3科のみ必修」というのが、いま30数パーセントですが、初年度はもともと50%ぐらいございましたので、3科のみ必修のところが減って、3科以外の必修を設けている割合が増える傾向にあります。ですから、各都道府県ごとの特色というと、私どももちょっと把握が難しいかなと思ったのですが、全体の傾向としましては、3科のみ必修よりもより柔軟性の高い、それ以外の必修科もそれぞれの病院で必修科をしている自由度というか、それぞれの独自の判断が占めている割合が上がってきたのかなと考えています。
○座長 わかりました。何か追加はありますか。よろしいですか。この件に関しても、ほかにもご意見ありますでしょうか。
 ここで緑の部分は、要するに制度が変わる以前の7科目必修を導入しているところなのですが、愛知と沖縄はわりと高い。愛知に関してはおそらく、名古屋方式というローテート方式を前から歴史的にやっているものですから、認識としてはこれを変える必要はないというのが大方の病院の認識なのです。それでこうなっていると思いますが、沖縄はちょっとよくわかりません。そのほか、何かご意見ありますか。これは、どのように収束していくかは少し見ないとわからないところですね。どれがいいとは、まだいまのところ言い切れないと思います。何かご意見ございますか。
○岡留委員 いま結論めいたことはまだ言えないと思いますけれども、初期の臨床研修制度のいちばんのプリンシプルは何だったのかを、私たちはここでもう一度再考する必要があるのではないかと思います。自由度と先ほどおっしゃいましたが、自由度を高めて本当に臨床研修の基礎になるのかな。私たちは前線の病院にいて、いつも研修医の諸君を見てそう思うのです。これからのディスカッションになると思いますが。
○座長 この点はあとで、福井参考人からのデータも交えてまたそのところで議論したいと思いますが、よろしいでしょうか。ほかの論点はいかがですか、いままでのところで。
 地域研修のところで保健所の人気と言ったら悪いですが、評価があまりパッとしなかったのは、これはプログラム上の問題ですか、あるいは受入先の体制の問題ですかね。
○横田委員 保健所長をやっておりました。やはり受入先の問題ですね。教えるほうは医師が1人しかいませんし、ほかの職員も消極的になり、座学ばかりになってしまう傾向が大きいと思います。本来公衆衛生はとても大事だと思いますし、予防医学もたいせつだと思いますが、教えるほうの体制がついていけてないと思います。
○座長 そういう問題がたぶんあるでしょうね。地域研修以外のところの評価ですと、例えば内科だと新制度では100%みんな回っているけれども、旧制度では56%が内科を回ったのみです。ただ、内科をやっていない人が34%いたという時代と比べて、点数は新制度のほうが下目にはあるけれども、そんなに極端に必須化したことによって研修医自体の評価が下がったわけではないという、事務局の先ほどの説明はそうだったのですが、この点に関していかがでしょう。
○岡村委員 点数の絶対値の意味なのですが、1点というのは「全く役立たなかった」という評価ですよね。1点を付けている人はどれぐらいいるのかなと。ほとんどの人が2点以上付けているのではないかなという気がするのです。そうすると、1点から5点までだったら平均が3点になるのですが、1点がほとんどなくて、2点から5点だとすると、3.5になりますよね。そうすると、例えば産婦人科が旧制度と新制度で3.97と3.41と0.5違うわけです。精神科も。ですから、0.5違うというのは、結構な意味を持っているのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○座長 その中身は、点数の分布みたいなものは何かわかるところはありますか。
○主査 平成22年桐野班の研究報告書というのがあるのです。いまお手元にないので説明しづらいのですが、こちらのほうにこのように掲載のある全診療科と各点数と各パーセンテージの記載が見受けられます。こちらのほうをまた参考にしていただくと、わかるかとは思います。
○座長 産婦人科と精神科についてですか。
○主査 精神科につきましては、1点が8.6%、2点が13.5%、3点が26.4%、4点が37.9%、5点が10.2%、そして無回答が3.5%となっています。続きまして産婦人科につきましては、1点が5.5%、2点が11.7%、3点が25.6%、4点が39.2%、5点が14.5%となっており、いずれにしても4点を回答した方がいちばん多いとなっております。
○座長 この評価につきましては、産婦人科の場合は旧制度だと15.5%、精神科は10%の方が研修しているということですから、興味がものすごくあるから研修しているという点もありますよね。その点で満足度が少しは高くなるかなと思います。
○田中委員 逆に言えば15%というのは、たぶん100%の中で産婦人科医になった人が15%いたということで、それに近い数字で産婦人科医になっているという意味だろうと私は思うのです。そうすると、ストレート研修で産婦人科を2年間やったのを振り返ってみて、産婦人科医になった人が役に立った割合が3.97というのはずいぶん低いなと思うわけです。だから旧制度はちょっと問題があった、ということを表しているのではないかと思います。
○座長 いろいろな見方がありますね。ほかにはご意見はありますか。時間の関係もありますので、またあとでもう1回持ち出していただいても結構ですので、次の項目、資料3以降をお願いします。
○主査 それでは、事務局提出資料3について説明させていただきます。資料3とある7頁をご覧ください。こちらは、「臨床研修制度導入による総合的診療能力の変化」について表しております。こちらのデータは平成22年10月から11月に実施したアンケートで、医学部長、病院長、指導医、また卒後3-5年目の医師などを対象に実施しました。質問の内容は、「制度導入により、初期研修を修了した医師の総合的な診療能力は以前よりも高くなったと思いますか」という設問になっておりまして、それを各立場及び病院別にクロスさせております。結果はご覧のとおりであり、上段が大学病院、下段が臨床研修病院についての結果を表しております。こちらの結果を見ますと、臨床研修医の総合的診療能力の評価は、臨床研修病院では高くなったという評価が多いといったように見受けられます。以上です。
○座長 ありがとうございました。これまた極めて特徴的なデータになっていますが、何かご意見、ご質問をいただけますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、今日の参考人で来ていただきました福井先生から、臨床研修に関する調査研究のまとめをご紹介いただけますか。
○福井参考人 それでは、お手元のヒアリング資料-1をご覧いただきたいと思います。枚数は多いのですが、メッセージは非常に単純なことです。これは平成17年度から平成19年度にかけて、3カ年の厚生労働省の科学研究費をいただいて行った調査研究です。
 2頁目を見ていただきますと、この調査は、下の3つの黒ポツで書いてある、平成18年3月、平成19年3月、平成20年3月に調べたものですが、実は新しい制度になると、評価が絶対に問題になるとあらかじめ思っていたものですから、平成15年3月に急いで、厚生科学研究費をいただいて、旧制度下の2年次研修医が、2年次が終わる直前にどの程度、臨床能力を身に付けたかについて、自記式の自己評価ですが、調査を既に行っていましたので、それと比べる目的で、新制度下の1期生が2年を終わるところ、2期生が2年を終わるところ、3期生が2年を終わるところでの調査を行ったものです。それぞれ1,100人程度の回答をいただいております。大学病院と研修病院は、それぞれ4400~500人程度、700人程度からの回答をいただいております。
 調査票は3頁目にありますが、いろいろな属性についての質問と、基本的臨床知識、技術、態度に関する、99項目について4段階評価をしてもらっています。加えて、82の症状・病態に関する経験症例数、4医療記録の記載症例数についての評価もしてもらいました。
 4頁目にいきますと、例として、「基本的臨床知識、技術、態度の質問項目」については、このような項目が99項目あるわけです。「症例経験数の質問項目」については、不眠、浮腫から始まって82項目。医療記録を書いたかについては、死亡診断書、死体検案書などの4項目になっています。
 この研究費で調べたデータに基づいて、5頁にはこれらの論文も書きました。これからお話しいたしますのは、8番目に書いてある全てのデータをまとめた上で、日本医師会雑誌に書いたデータの紹介です。
 6頁目を見ていただきますと、「鼓膜を観察し、異常の有無を判断できる」という項目について、「確実にできる」「自信がある」「大体できる」と答えた人のパーセンテージを示したものです。平成14年というのは平成14年度の調査で調べたという意味ですので、平成15年3月の調査ということになります。全体では22%の研修医が2年次を終わったところで、「鼓膜を観察し、異常の有無を判断できる」と答えています。新しい制度になって、第1期生は平均して38%、第2期生も38%、第3期生は41%。ブラウンというか、赤いドットのラインで示したのが臨床研修病院の研修医。△を点線でつないだのが大学病院の研修医のデータです。
 ほとんどがこういうタイプグラフになっていて、旧制度下の研修医の数値がやや低く、第1期生から第3期生まで、ほぼプラトーで、全体に旧制度下の研修医よりも高い。そして研修病院の研修医と大学病院の研修医の差が、3期生のところに向かって縮まっていくという形になっています。
 7頁、心雑音についてはまさにこのような形です。8頁目が「直腸診で前立腺の異常を判断できる」、これもほとんど同じ形です。「うつ病の診断基準を述べることができる」というのが9頁です。これは大学病院と臨床研修病院であまり変わりがありません。
 グラム染色が10頁。11頁が「心電図検査を自ら実施し、不整脈の鑑別診断ができる」。12頁が「胸部単純X線でシルエットサインを判定できる」。13頁が「腰椎穿刺を実施できる」。14頁が「皮膚縫合法を実施できる」。15頁が「ショックの診断と治療ができる」。16頁が「糖尿病患者への健康教育ができる」。17頁が「地域の医療資源を活用し、入院患者の退院後も継続性のある医療を提供できるよう調整することができる」。18頁が「院内感染対策の基本を理解し、実施できる」。
 これら99項目についてのデータを全部をまとめた数値を、19頁に示してあります。99項目のうち、「バイタルサインを取ることができる」「静脈血採血が正しくできる」「診療上湧き上がってきた疑問点について、MEDLINEで文献検索ができる」「学会で症例報告ができる」「守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができる」という5項目を除いた9594項目についてはカイスクウェア検定で、統計学的には有意に、新制度下の第1期生の習得度が、旧制度下の研修医に比べて高くなっています。全体的には60%くらいから75%まで上がったということになります。そして、大学病院と研修病院との差がなくなってきているというのが、2つ目のメッセージだと思います。
 20頁が「経験症例数」について、ちょっとわかりにくい表で恐縮ですが、82の症状、病態、疾患の全てについて、経験症例数をブラケットで示していますので、「1~5例」とか、「11例~」という形になっています。新制度下の研修医は、右に寄っている数値になっています。妊娠分娩については全員が産婦人科をローテーションしていますので、妊娠分娩を経験していない研修医は、本当はゼロになるべきなのですが、どういうわけか数値上は1%になっていますが、旧制度では58%がゼロだったところが、1%になっています。
 21頁が「医療記録の記載件数」。これも右のほうに数値が寄ってきていて、ゼロというところがかなり少なくなりました。CPCはもっと症例数が増えるかと思ったのですが、「1、2例」というところにとどまっているという結果です。
 22頁と23頁は満足度を聞いているものです。旧制度下の研修医には満足度を聞いていませんので、新しい制度になって、1期生、2期生、3期生だけのデータです。制度全体についての満足度が22頁です。これも臨床研修病院と大学病院の差が、1期生はかなり大きかったのですが、3期生ではずいぶん少なくなっています。自分が受けた研修のプログラムについての満足度が23頁ですが、これは全体的に右肩上がりになっていて、やはり臨床研修病院と大学病院とでは差が少なくなってきています。
 以上をまとめた「結論」を24頁に記載しています。臨床能力について、この調査研究は自記式、自己評価ですので、真実がどこにあるかについては不確実性を伴ってはいますが、少なくとも同じ方法で調べて、変化がどうなっているかということは知ることができると思います。旧制度と比べますと、新しい制度になって、幅広い分野、幅広いテーマについての臨床能力は、著しく向上していると言っていいのではないかと思っています。そして、そのレベルは少なくとも3期生まで維持されているか、さらに向上している。そして、臨床研修病院と大学病院との差は、かなり小さくなってきている。満足度については3年間改善しているということで、望ましい方向に行っていたのではないかと思います。以上が私からのプレゼンテーションです。
○座長 ありがとうございました。豊富な内容を、大変簡潔にプレゼンしていただきました。個々の質問に入る前に、少しだけ確認をさせていただきたいのですが、このデータは、旧制度は平成15年3月に修了の人を対象にして取って、抽出の仕方は、調査を急いでやったという話でしたが、どのようにされたのですか。
○福井参考人 全て同じやり方で、研修病院、大学病院において、5人に1人を順番に選んでもらうようお願いしました。
○座長 それは平成15年のときも同じですか。
○福井参考人 まったく同じやり方です。
○座長 そうすると2,400人と1,100人という、この差は何ですか。
○福井参考人 非常に熱心な病院では、5人に1人以上の研修医にアンケートをお願いしてくれました。反対に、あまり協力的でないところは、5人に1人より少ない割合でお願いしたようです。そこのところのコントロールはしておりませんので、より熱心な研修病院、より熱心な研修医からのデータが、より多く集まっている可能性はあります。
○座長 わかりました。ということで平成15年には、もう既に新しい制度の導入を見据えて、先にプレデータを取ってあったというわけですね。
○福井参考人 はい。
○座長 大変貴重なデータですが、それが3年間継続されて、先ほどありましたような傾向がわかったということですね。では、ご質問やコメントをいただけますか。
○田中委員 コメントの前に質問があるのですが、福井先生によろしいですか。研修体制についての満足度と、研修プログラムについての満足度とあるのですが、例えば待遇などはどちらに入るのですか。
○福井参考人 体制のほうです。プログラムはどちらかというとローテーションだとか、実際に自分が受けている研修の内容についての質問をしたつもりです。
○田中委員 そうすると指導体制とかいうのも、研修プログラムの中に入るのでしょうか。
○福井参考人 指導体制は確かに先生がおっしゃるように、言葉が非常に曖昧で、私がこう思っていたというのと、回答者がどう思ったのか違いがあるかもしれません。おそらく研修プログラムに入っている人が多いのではないかと思います。自分が直接学ぶ、そういうローテーションプログラムだとか、研修の指導医だとか、そういうのはおそらくプログラムに入っていると思いますが、実際のところはよくわかりません。
○田中委員 ありがとうございました。要するにこの満足度の移行というのは、確かに同じシステムの中で年々改善されていったということで、貴重なデータだと思うのですが、ただ、旧制度と新制度というのは、たぶんまったく理念が違うので、例えば心雑音を聴取・記載できるというのは、眼科のストレート研修に入った人たちにとっては、ほとんどスキルアップする機会がなかったということなので、それをもって善し悪しというのは、比較の基準が違うように思います。
 ただ、もちろんそういったことを全部含めて、基本的な臨床能力を作るという意味で言えば、当然のことながらストレート研修は合わないし、新しい研修制度は、そういう意味では確かに目的を達したという見方はできるのではないかと思います。
○片岡委員 回答者は平成15年で、ストレート研修の方が多いと思いますが、2,474人のうち何科の研修を行った人が多かったのでしょうか。当時からローテート研修をされている方もいらっしゃると思いますが、そういう方は、制度が変わっても、あまり満足度・到達度等が変わらなかったのかもしれません。その辺りの層別化がもしなされていたら教えていただきたいと思います。この研究は平成22年度の制度改編後に、どうなったかということが非常に面白い点なのではないかと思うのですが、研究の継続という点について教えていただければと思います。
○福井参考人 最初のご質問ですが、これはデータとしてはありますが、手元には持っていません。ただ、当時はローテーション研修をしている研修医は5%くらいしかいいなかったはずです。ですから、旧制度ではほとんどがストレート研修です。内科系、外科系が多いことは多いのですが、30%も40%もいるというわけではなくて、いろいろな診療科にばらついていたように思います。申し訳ないですが、データはここに持ってきていません。
 それから、平成22年度のプログラム変更後、同様な調査研究を行うかどうかは、私としてはそうしたいと思っているのですが、いまのところ具体的な予定は立っていません。研修制度変更前のデータがあるというのは非常に貴重なことだと思っていますので、それと比べられるような形での調査研究は、私としては是非何らかの形でやりたいと思っています。
○座長 厚生科学研究補助金はこれで1回切れて、ということですね。
○福井参考人 はい、切れて2、3年経っています。
○座長 もう1回、やはりその後のフォローアップデータがほしいという気はしますね、確かに。また厚生労働省のほうで、いろいろ組んでいただければと思います。
○医師臨床研修専門官(以下、専門官) このワーキンググループでは、制度の評価に必要な調査をご提言いただくことも目的の一つとなっておりますので、具体的な調査のご提案を是非いただければと思います。この件についても検討していきたいと考えています。
○座長 ありがとうございます。心強い言葉をいただきました。また引き続き、せっかくのものですから、経時的にフォローアップできればと思います。ほかにいかがでしょうか。ご質問、コメントで結構です。
 もう1回確認しますと、旧制度の場合はストレート研修を専攻された人が多いので、いろいろな項目の達成度といいますか、それは自分が回った場合にのみ答えて、回らないところは答えないという形のデータになっているのですか。
○福井参考人 いえ、回った回らないにかかわらず、2年目の最後のところで、全ての項目について、「できる」「自信を持ってできる」「できない」ということについての回答をもらっていますので、ローテーションしていないところについても、関連する項目に答えてくれているはずです。したがって、この調査研究は、全体的な能力を見たものですので、狭い分野の深い知識・高度な技術について調べれば、差が出てくると思います。最初からずっと外科をやっている先生に、外科系のことだけを聞けば、それは現在の2年目の人と比べて、いい結果になる可能性はずっと高いと思います。
○座長 そういうことですね。要するにストレートでいけば、その科については非常に強くなるけれども、全般的な能力がどうかという視点で言うと、そういう人にも例えば「鼓膜を診れるか」という質問があるということですね。
○福井参考人 そうです。
○神野委員 福井先生が最後に、「この段階ではよかったのではないですか」というように過去形でおっしゃったのは意味深かなと思うのです。先ほどの平成21年度変更に伴う継続性の話で、やはりこのワーキンググループが評価するので、新しいモデルをきちんと評価する仕組みが必要になると思うのです。そういった意味では先ほどの予算の話と、それから前回も少し話に上がっていたEPOCですが、これでこういった研究というのは、私は詳しいことがわからなくて恐縮なのですが、データとしてはEPOCのデータがあるはずなのですが、こういう研究というのはできるものなのでしょうか。
○座長 この会が始まる前に、田中先生とそのことを打ち合わせていたのですが、田中先生からいまのことについてコメントいただけますか。
○田中委員 EPOCは厚生労働省の研修目標に項目が全部一致していますので、こういう福井先生の研究のように、「胸部単純X線でシルエットサインを判定できる」とか、1対1に対応したデータは取れないだろうと思います。
 そうでない部分については経時変化。前はもちろんありませんが、始まってからの経時変化は取れますが、まず平成21年度の新しいモデルの研修修了者はまだ出ていないので、1年目で比較してどうかくらいのことはできる可能性はありますが、1年目で悪いけれど後半盛り返す、などというデータ解釈が出てしまうと、比較がしにくいというのは1つあります。
 それから、もともと初年度でもかなりの達成率を、大学病院も一般研修して出していましたので、元が高いので、悪化していれば別ですが、年々改善しているというのは、データとしては出にくいかもしれません。ただ、もちろんデータとしてはストックされていますので、お出しすることは可能だと思います。
○座長 すみませんが先生に次回、その辺を少しまとめてご発表いただけますか。次回はちょうどそういうテーマになっていますので。
○田中委員 はい。
○座長 EPOCの場合は指導医の評価があるという点が違いますよね。そこは福井先生のほうが自記式ですので、研修医の評価だけということになります。それも合わせてやれば、非常にいいかなと思います。ほかに何かご意見はありますか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、次に進みたいと思います。続きまして、今日参考人で来ていただきました徳田先生から、「医師臨床研修制度の評価」についての資料をご説明いただきます。
○徳田参考人 筑波大学の水戸地域医療教育センターからまいりました徳田です。私の研究は、こちらの会合にいらっしゃいます福井先生と大滝先生のご指導の下に行われました。そして、研究費に関しては厚生労働省の補助金をいただきました。
まず「医師臨床研修制度の評価」ということで、先ほど福井先生が発表されたクリニカルコンピテンシーが、新しい臨床研修制度によって改善されたということが示されている。そして、大学病院から一般研修病院に、研修医の研修先がかなりシフトしたというサーベイデータも出ていました。
 私の今回の研究を行うモチベーションとなった、バックグラウンドをまず説明したいと思います。日本医師会により研究アンケート調査が2008年4月に実施され、新制度の導入のコンプリケーションがいくつかあったということでした。そのため、新制度のきちんとした評価を、もう一度別の角度からやってもいいのではないかと思っていたところ、その次に「医師養成のためのグランドデザイン」が、全国医学部長病院長会議からの提言としてありました。臨床研修制度の主観的評価、満足度評価とは別の客観的評価が必要とされました。実際、最近のJAMAに掲載された論文でも、医師の自己評価は、なかなか最終的な評価としては問題があるのではないかという最近のSystematic Reviewもありましたもあります。
 そういったことから、客観的な臨床能力の評価が必要ではないかということになりました。ケアの質、いろいろなコンピテンシーのディメンジョンがあると思いますが、そういった評価を別の側面から行ったほうがいいのではないかというモチベーションで、「医学部教育、臨床研修制度、専門研修を縦断するカリキュラムの作成と医師養成の在り方に関する研究」という研究班を組織し、この研究を計画しました。 結果については、英文論文にしましてJournal of Emergency Medicineに掲載されました。「新臨床研修制度の救急医療ケアの質への影響」ということで、「新旧臨床研修制度」、Post Graduate Medical Education、略してPGMEとしましたが、修了医師間、新と旧ということで2つのグループに分けて、救急医療におけるケアの質および救急ケアへの意識を調査しました。
 デザインとしては断面的調査です。参加者は卒後4年目から9年目の医師を279名サンプリングして、そのうち208名から回答を得られました。75%がresponse rateです。3年前の研究でしたので、卒後4年目から6年目が新制度、7年目から9年目が旧制度の修了者、医師ということで比較しています。
 方法は、26場面のさまざまな急性病態、コモンディズィーズの急性疾患、主として内科系ですが、そういった病態に対する治療選択に関する質問票を作り、救急医療におけるケアの質の評価を行いました。「実際にどういう治療を行っていますか」という聞き方で選択肢を用意して、選択させています。「このような病態では、どういう治療を行っていますか」という質問です。そのスコアは26点満点になりますが、総スコアの平均値の差を2つのグループで求めまして、それを標準偏差で割った値をエフェクト・サイズとしています。もう1つの調査は意識調査です。さまざまな救急医療状況で、急性疾患における患者を治療する際には、どれくらいコンフィデンスがありますかという、これは自己報告です。
 結果のケアの質の平均スコアですが、旧制度出身の医師は平均点が12.8、新制度修了者が15.3。このスコアそのものは有意に差がありますが、問題はその差がどの程度意味があるのかということです。その差は2.5で、標準偏差との比を取って0.47ということで、Cohenという人のクライテリアを使ったのですが、0.47ということで中等度の差という、モデレートエフェクト・サイズということで、スコア差は中等度の意味があると解釈しました。
 個々の医師の背景、因子で調整した多変量モデルを作りまして、そのスコアを調整したあとの差を見ても、同じ結果になっています。エフェクト・サイズはやはり0.47です。コンフィデンスに関する4項目も、4項目をあとでお示ししますが、全て新制度が救急医療に関するコンフィデンスは増していました。
 
 結論としては、新制度の修了医師が旧制度の修了医師と比較して、救急医療という項目の中の、いくつかの基本的な疾患に対するマネージメントに関して調べましたところ、「より高い質のケアを提供し、より大きな自信を持っている」という結論を出しました。以上です。ありがとうございました。
○座長 それでは、質問なりご意見をいただきたいです。最初に279名の方は、どのエリアのどういう方ですか。
○徳田参考人 全国からランダムサンプリングという形で、Webベースでの質問の調査を行いました。アクセスできる全国の医師を対象としました。
○座長 先生も前におられたのですが、聖路加の関係の周辺でというわけではなくて、全国的にサンプリングしてあるということですか。
○徳田参考人 全国各地、北海道から九州までです。ただし、数は少ないですので、散らばっています。
○座長 ということですが、いかがでしょうか。福井先生はこの研究に参加しておられますが、両方の立場から何か。
○福井参考人 これは、徳田先生が聖路加に勤めているときの仕事です。
○座長 コメント、ご質問、その他いかがでしょうか。全般的にこれまでの評価ですと、やはり旧制度に比べると、基本的な診療能力に対して、新制度の研修医の方の自覚的なコンピテンスは高まっているということは言えそうですね。これを客観的にほかから見たときにどうかというのは、何かそれは今後作っていかなければいけないのかもしれませんが、何かご提案なりあればと思いますが、いかがですか。
○田中委員 3頁のTable1のTotal Scoresというのは、これも自信度のトータルスコアということなのですか。
○徳田参考人 Table1では、トータルスコアはクオリティ・オブ・ケアで、23項目の質問のトータルスコアです。Table3ではコンフィデンスを示しており、コンフィデンスに関してはスコアは出していません。
○田中委員 そうすると、トータルスコアというのは、いま座長がおっしゃったように、
少し客観性のあるデータとも言える。
○徳田参考人 そうですね。私自身は客観的指標の1つとみています。
○田中委員 要するに治療技術を反映していると考えていいわけですか。
○徳田参考人 例をお示しできなかったのですが、例えば「気管支喘息の発作で来られた患者さんには、どのような治療をまず行いますか」などの、シナリオを作ったのです。シナリオを作って、それに対して「実際どのような治療を行っていますか」と質問をしたのです。それは知識を問う問題ではなくて、実際どのようにやっているというビヘイビアをそのまま問題にしていますので、知識問題というよりは救急医療実態調査という形でやらせていただきました。
○座長 そういう意味では、一部客観的なものも書かれているということですね。いかがでしょうか。
○岡部委員 これは、英語の論文として出されたものなのでしょうか。
○徳田参考人 そうです。
○岡部委員 そうすると、設問なども英語になっているということですか。
○徳田参考人 いや、設問は全部日本語で作って、英語の論文にしたのです。
○岡部委員 同じ設問で、国際比較みたいなことをされるといいのではないかと思ったのですが。
○徳田参考人 そうですね。非常に貴重なご意見だと思います。レビューアからもこの質問内容は非常に基本的なことなので、、この内容でしたらいいのではないかということです。スタンダードケアの指標としてはよいと言われましたので、その結果だと使えるのではないかと思いました。ありがとうございます。
○専門官 いまの質問の関連ですが、岡部先生のご指摘に関連して、研修医といわれるような卒後1年目の先生たちを対象にした海外での同じような調査は、何かあるかどうか、もしご存じでしたら教えてください。
○徳田参考人 制度が変わった前後でどのように変化したという調査は見つけることができませんでした。ただ、卒後年数を経ていくうちに、ケアの質がどう変化するかという研究は結構なされていましたので、それを参考にして問題を作りました。実際そういう先行研究はたくさんありまして、例えば20年後、30年後、卒後年数が長くなるとケアの質に少し変化があるとか、そういう報告が米国などでは結構ありましたので、そういった中の問題を参考にして作りました。
○座長 研修医に対してあるいは指導医に対する客観的ないろいろな設問で、シナリオに対してどう対応するかということを問うことは、そのデータは客観性が一部あるということですね。新制度が導入されるときに国民的な課題として、医師の基本的な診療能力と態度が本当にいいのかというところで問題提起されて、制度が導入された経緯があります。それが何年か経ったというところで、国民的な視点から見たときに、いまの臨床研修制度で育ったドクターが、それなりのパフォーマンスとして受け入れられているのだろうか。そういうことは実は最終的には重要なことだと思うのですが、そういうものを調べるにはどういったやり方があるのかなということを思うのですが、何かご提案などないでしょうか。今後このワーキングとして、こういったことを調べたらどうだということの提案で結構です。
○片岡委員 まず、国民からの要請という意味で、徳田先生がお調べになった救急医療というのは、非常に要請が高いものだと思います。一方で、知識・技能以外の態度などといったところも重要かと思います。厚生労働省のデータで患者さんの満足度調査の結果を拝見しましたが、パラメーターとして、診療の時間、待ち時間のほかに、「医師の説明」という項目がありました。そのような患者さんとのコミュニケーションやプロフェッショナリズムは社会からの要請の1つであり、指標として良いものがあれば調べることができるのではないかと思います。
○座長 ほかにはいかがですか。岡留先生、何かありますか。
○岡留委員 いま座長がおっしゃいましたように、先日この意見を私も述べさせていただいたのです。やはりいちばん原点のところ、本当に初期の臨床研修制度の土台になった、改革、変えようといったところを捉えていかないと、ただ制度制度で、ただこれを変えたからこうこうと言っても、その根本のところがいつも変わらないようでは話にならないかなと。座長がおっしゃいましたようなところを捉えていかないと、その手法をこれから開発しないといけないのかなという感じはしているのです。
○福井参考人 この制度を変えるときに、何年間もいろいろな会合が開催されて、そこでできるだけ多くの医師が幅広い臨床能力を、身に付けるべきだという結論になりました。しかし、そのことをサポートする数量的データが、なかなか出てこないということが実は大問題です。アネクドータルな、例えば熱で来た患者さんについて、自分の専門は整形外科だから、自分の専門は消化器だから、最初から診られないというエピソードが、委員会ではいくつも挙げられました。せめて最初のところは気持良く、幅広い問題に対応できて、あるレベルからは専門医にちゃんと手渡しできるような、そういう医師をつくらないと駄目ではないかというあるべき論に基づいて委員のコンセンサスを得ていったというのが実情です。
 その頃、救急患者が断られたというエピソードが新聞報道でもいくつもあったものですから、全体的に診られる幅広い能力を持った医者をつくるべきだと、多くの委員が思うようになりました。先生がおっしゃったような客観的なデータがあるかと言われると、すごく難しい問題だと思います。当時も何をもって幅広い臨床能力を持った医師が、たくさんいる必要があるのかということについては、主観的なもので、社会全体の雰囲気が重要だったと思います。私もそのときの議論に携わった者として判断すべきか、非常に微妙かつ難しいコンセンサス形成プロセスだったと思います。
○座長 最終的には国民にアクセプトされるような形で、この制度で育ったドクターが日本の医療を支えるという具合になってくれるとうれしいですよね。そのときに、それこそいまの時代、例えばこの制度に対して年間100億円単位のお金が投入されていると思うのです。そういう意味で言うと、例えばこれが事業仕分けの対象になったときに、どのような説明したらいいかということを思うと、アウトカムがどのようになったかというものを客観的に示せないといけないのではないかとは思いますね。
○田中委員 プライマリーケアというのも確かに大事なのですが、片岡先生がおっしゃったように、救急に対してパッと対応できるということもあったと思うのです。救急について、徳田先生に教えていただきたいのですが、ICLSとかACLSの資格を取るときに、OSCEをやると思うのです。それはもちろん講習会を受けてからという前提があるので、講習会の効果もあるのでしょうけれども、OSCEのスコアは新臨床研修制度を終えた人とそうでない人とで、有意差があるのかどうかという検定などはあるのですか。
○徳田参考人 ただいまのご質問は、おそらく大滝先生のほうがご専門だと思います。私自身は、そのテーマについて国内で調べたデータは持っていませんが、アメリカではUSMLEという全国的な試験があり。卒前にステップ1が入って、ちょうど研修に入る前後にステップ2、そしてステップ3が行われます。その中にClinical Skill Assessment(CSA)というのが入っていて、実際に模擬患者さんを相手に診療パフォーマンスを評価しています。質問に対する回答からずれてはいるかもしれませんが、もし臨床研修の制度の評価ということでしたら、研修2年終わって修了証書を渡す時期に標準化された、OSCE型の評価を行うことが望ましいのではないでしょうか。す
○大滝委員 ACLS、ICLSについては、前後で比較したデータがあるのか存じませんし、私が受けたときにも自分が何点採ったかフィードバックがなかったと記憶しています。いまのお話のように、能力とか患者さんの満足度をどう評価するかを意識して、そしてまた、評価は必ずその人の学習行動を変えるので、研修医の学習行動を良い方向に変えていくような評価を導入しないといけないでしょう。韓国で国家試験にOSCEを導入した途端に、臨床実習の中で国家試験対策のいろいろな活動が増えてきて、それが問題になっているということも聞こえてきています。OSCEを導入する際にはそれが良い方向に研修を動かすようなOSCEにする必要があると思います。
 あとは、前回も少し話題として取り上げましたが、海外の様子などを聞くと、例えばイギリスは客観性というよりも妥当性、実際に大事なことをちゃんと評価することに重きを置いていて、いわゆるイギリスのGPのトレーニングですと、実際に患者さんを診療している場を短いビデオクリップに撮って、それを提出して評価してもらうといったことも行われているそうです。
 患者さんの満足度とか、非選択的にいろいろな患者さんを積極的に診るということを評価するのであれば、そういう診療をしたときに、患者さんや患者さんの家族に、この研修医はちゃんと診てくれたといった、短いコメントなりレポートをいただいて、それをポートフォリオというのかどうか私はよくわからないのですが、それを自分の研修の記録の一部としてファイルしていく。数字にするのは難しいかもしれませんが、態度とか研修に対する姿勢を評価するものとしては、患者さん、家族、あるいはコメディカルからのそういった評価を経時的に、最後にドーンとやるだけではなくて、途中でも入れていくのが、手間はかかると思うのですが、重要になると思っています。
○座長 大変重要な指摘をしていただいたと思います。
○福井参考人 もう1つの評価の仕方としては、旧制度のときからの指導医を対象に、その他の職種の指導者も含めて、前後で研修医、若い医師がどう変わったかについて早めにアンケートするというのが1つの方法かと思います。アネクドータルに、最近こういう研修医が多くなったという話は聞きますが、システマティックにそういうデータが集められていないように思います。
○座長 資料3の事務局が用意してくれたものに、総合診療能力の変化を大学病院と研修病院に分けてそれぞれ病院で、上の人がどう評価したかというのは出ています。これは厚生労働省が研修病院に対して行った調査ですね。それは一応出ていますが、旧制度に比べると高くなっていることは、このデータからは出ています。
 いろいろご意見をいただきましたが、次回以降、もう少し客観的な評価、あるいは国民目線から見たときにどう評価されるかといったこと、あるいはコメディカルの評価といったものを盛り込んだ形での調査を考えてまいりたいので、よろしくお願いいたします。
 2)になりますが、「研修医の進路や研修の場」について、今日は資料を出していただいております。まず、事務局からその説明をしていただけますか。
○主査 事務局提出資料の8頁、資料4-1です。こちらは臨床研修修了者調査のデータより引用したものとなっております。研修前に希望していた診療科と研修後に希望する診療科をお答えしていただいて、その結果を基に作成したものです。こちらの頁は必修診療科のみ記載しており、9頁では必修診療科以外について記載しております。この表ですと、例えば内科系を具体例として挙げると、研修前は34.9%が内科系を志望していました。研修修了後、31.9%となっております。
 なお、参考資料として医師・歯科医師・薬剤師調査、平成20年の三師調査を右に張り付けております。それによると、30代前半で内科系を主たる診療科として選択したのが32.5%、30代後半では34.5%、全医師の中の37.7%が内科系を主たる診療科と答えております。同様に、外科系、小児科、産婦人科、麻酔科、救急、精神科についても記載しております。なお、内科系、外科系、産婦人科の定義については、下段にあるとおりとなっております。
 9頁です。皮膚科、整形外科、眼科などの、その他の必修診療科以外のマイナー診療科についても、同様の調査をしております。こちらも、研修前では全体の2.4%が皮膚科を志望していたのですが、研修後ではそれが2.6%になっております。そして、参考として三師調査のデータも、併せて添付しております。研修前後で希望する診療科の変化はあるものの、ほかの世代の医師の診療科の状況も考慮する必要があるのではないかと考えております。
 10頁、資料4-1です。こちらは「臨床研修前後での将来希望する診療科の変化」を、必修診療科7科についてのみ男女別で記載しております。内科系を具体例として挙げますと、研修前は1,829人が志望していたのですが、研修後は1,674人。そして、そのそれぞれの男性、女性の内訳を記載しております。概ねすべての必修診療科では同じような傾向になっておりますが、外科系のみ研修前492人が研修後456人と低下しており、女性については研修前後で外科系を希望する女性が増えております。なお、こちらの調査は回収率70%となっております。
 11頁です。こちらも修了者調査を基に作成しております。こちらは「研修を行った病院別」に、研修後、各診療科に進む割合を記載したものとなっております。すなわち内科系については、大学病院で研修を受けた者の34.2%が内科系を希望して、臨床研修病院で研修を受けた者の29.5%が内科系を希望しております。こちらの表を見ると、臨床研修病院で臨床研修を受けた医師は、産婦人科、小児科、外科を希望する割合が高く、大学病院で臨床研修を受けた医師は、精神科、皮膚科、耳鼻咽喉科などを希望する割合が高いと考えられます。
 12頁です。こちらは先ほどの研修制度導入前後での将来希望する診療科の変化を、各診療科ごとに詳細に表したものとなっております。具体例として、12頁も「内科系」を説明します。研修開始前は1,829人が内科を志望していたのですが、それが研修修了後は1,674人と減少しております。研修前に内科を志望していたのが研修後に他科に移った人数は542人。その内訳は、多い順から外科系、麻酔科、放射線科となっております。また、その理由は、1「ほかの診療科のほうが魅力がある」、2「研修開始前が未定」、3「仕事内容が想像と違った」となります。真ん中にある赤と青の円グラフで囲まれた1,287人というのは、研修前後で診療科に変更がなかった人数となっております。
 右隣にある387人という数字は、研修前は小児科、外科、産婦人科などを志望していたのですが、研修修了後、内科に移ってきた人数となっております。その内訳は右に記載されております。理由は四角い枠の中に記載されておりますが、「学問的に興味がある」が最多で66.7%、次に「やりがいがある」「相性が合う」の順番となっております。
 参考として下にグラフを張り付けておりますが、こちらは平成20年、医師・歯科医師・薬剤師調査からの引用となっております。先ほども掲載のありました30代前半、30代後半、全医師のそれぞれの世代で内科系を選択する割合について表したものです。赤の棒グラフ、研修修了者は三師調査の結果ではなく、研修修了者調査の結果から引用しております。以降、外科系、小児科、産婦人科、麻酔科、救急、精神科と、必修診療科についてのみ分析させていただきました。
 19頁、資料4-2です。こちらは「研修後に勤務する病院等の種別」について記載しております。こちらのデータも、研修修了者調査の結果より抜粋させていただいております。こちらの表は、研修病院または大学病院、それぞれで研修をした医師が、研修後にどのような病院で勤務するかを病院の種別ごとに表したものです。回収率は70%ですが、臨床研修病院で研修した医師については合計2,791人、大学病院以外の病院が62.7%、卒業大学病院が18.3%、卒業大学以外の大学病院が16.3%となっております。その下段には、研修後に勤務を希望する病院を選んだ理由の上位3項目を掲載しております。こちらの表からは、研修後に勤務する病院の種別は、研修を受けた病院と同じ種別であるといった傾向が窺えると思います。
 20頁は、先ほど説明のありました桐野班の研究代表者から提供を受けた結果となっております。こちらは新制度と旧制度を別に、「研修前後での勤務する病院の種別」についてのデータとなっております。こちらのデータは平成20年、医師・歯科医師・薬剤師調査から集計したものと聞いております。旧制度下では卒後1・2年目の医師の51.9%が大学病院で、卒後3・4年目の医師の46.3%が大学病院以外の病院で勤務しております。新制度下では、卒後1・2年目の医師の36.2%が大学病院で、63.3%が大学病院以外の病院で勤務しております。卒後3・4年目についても同様となっております。こちらの表からは、卒後概ね1・2年目の医師については、大学病院で従事する割合は減少して、卒後概ね3年目・4年目の医師については、大学病院で従事する割合は増加したという結果になっております。
 21頁、資料4-3も同様に、平成22年度の桐野班の研究者のアンケート結果より提供を受けたデータとなっております。こちらは新旧制度で研修を受けた医師に、現在、医局に入局しているかどうかを聞いたものです。なお、研修場所は大学病院または研修病院であったかどうかで分類して記載しております。結果としては、旧制度の医師のほうが研修病院にかかわらず入局率が高いとなっております。
 22頁のデータも、先ほどの桐野班のアンケート結果より提供を受けたデータとなっております。新旧制度別に「学位の取得状況」を表しております。学位の取得状況は、学位を現在持っている、また持っていなかったとしても、今後取得を目指している者の割合が全体にどのぐらい占めるかということを記載しております。すなわち、旧制度では62.6%が「学位を持っている」、または「取得を目指している」と答えているのに対して、新制度では42.0%となっており、旧制度の医師のほうがより多くの学位を取得している、または取得を目指しているということになっております。ですが、対象とした医師の卒業経過年数が異なっており、旧制度は平成13年から平成15年ですので、概ね卒業後8年目から10年目。新制度で、卒後主に概ね4年目から7年目となっております。以上です。
○座長 何かこの資料に特別質問がありますか。なければ、今日、臨床研修修了者の帰学状況について提出いただいている資料があります。まず、岡村委員からの提出資料について、ご説明をお願いします。
○岡村委員 研修医の進路について、全国医学部長病院長会議の資料を基に報告するようにということなのです。1頁ですが、全国の医科大学、あるいは医学部、全部で80あるうちで、卒業後の進路がある程度制限されている防衛医大・自治医大・産業医大を除く77の大学、全大学からの回答を得た資料で、平成22年、昨年3月に臨床研修を修了した人を対象にして、大学に戻っている人たちの進路の調査です。それに対して、大学以外の研修病院でどういう診療科に戻っているかということに関しては、厚生労働省の医事課から調査されたもので、これは個別に調査した研修医を対象にした調査で、回答率は69.9%ということになっています。
 今回は出す資料が少なかったのですが、今年1月に全国医学部長病院長会議から帰学者に関する実態調査報告が出ていて、31頁にわたる資料です。それをまとめて今日出そうかと思ったのですが、先週、照らし合わせたら、別の機会に出された資料と数字が若干違っていたのです。変なことになってはいけないので、今日それを出していません。はっきりしていることは、旧制度のときの帰学率、要するに3年目以降に大学に戻ってくる人は、旧制度では常に70%を超えていたのに、臨床研修制度が始まって一気に50%を切って、いちばん新しい昨年、平成22年に臨床研修を終えた人の帰学率は51.7%という数字、それだけは確かなのです。
 次頁で診療科別の割合です。これの見方ですが、各診療科、内科、外科、小児科、産婦人科とありますが、左側の黄色のほうが大学の医局に所属している人の割合です。右側の茶色いバーのほうは、大学以外の研修病院での割合です。これについても、大学の医局に属しているけれども、大学以外のところで研修を受けている人が含まれている数字になります。それは少ないとは思うのですが、そういう見方をしていただきたいということなのです。
 また、外科という場合も、どこまで含むかということなのですが、「消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科・乳腺外科・肛門外科」、従来、胸部外科とか消化器外科と言ったものが含まれているけれども、それ以外の脳外科、整形外科、マイナーと言われる泌尿器などは含まれていない。内科に関しては、「消化器内科・呼吸器内科・循環器内科」といったもの。ここでの見方は、総合診療科という扱いなのです。こういうところで調査するときに、総合診療科が内科に含まれている資料と含まれていない資料があるのですが、全国医学部長病院長会議ではこれが含まれているので、厚生労働省の資料もこの総合診療科は一応、内科に含むという扱いで資料を出しております。
 そういう観点で見ていただきたいのですが、内科、外科、小児科といった、従来からあった大きい科に関しては、大学病院ではそれらの割合がやや少なくて、研修病院のほうは多いということが言えます。
 それに対して、3頁ですが、2頁のものとスケールがだいぶ違いますが、例えば皮膚科、眼科、耳鼻科といったところは、研修病院に比べて大学病院のほうが大体3倍ぐらいの数である。いわゆるマイナー系といわれるところは大学の比率が多くて、内科、外科、小児科といったものが少ない。麻酔科、救急、精神科といったものに関しては、ほとんど差がないということが言えるかと思います。
 これだけなのですが、和歌山の状況はどういうことでしょうかということで出してくださいと言われたので、一応出したのです。4頁ですが、過去5年間、比較的、大学に行ってくれる割合が多くて、大体70%ぐらいをキープしております。そういう状況にあるのですが、診療科別に見ますと、5頁の内科系が平成19年、20年が20%を切っていたのに、最近は30%を超えているという、グラフのばらつきがすごく多いです。外科系などは、平成21年がガーンと落ちたり、救急などもゼロの年があったりします。6頁ですが、マイナーと言われる眼科、耳鼻科、泌尿器科などは、年によっては全然入らない年がある。
 これは診療科を選択するに当たって、大学の場合に、例えば教授が交代する時期にあって、様子見とかいったことも関係しているかもしれません。内科に関しては、この3年間で急に増えたのは、内科は県内の公的病院を支える力がないのではないかということを指摘されたので、内科系に7つある医局がかなり頑張って、競争力を働かせて学生の獲得に走っているという状況が反映されているということです。小さな大学で地方なものですから、ばらつきがあって、あまり参考にはならないかもしれません。以上です。
○座長 大変貴重なデータだと思います。大学は専門診療に進みたい人にとっては、やはり後期研修の場としては安定的な供給があるけれども、一般的な内科、外科になると、そこはまだ臨床研修病院でもカバーできるという感じですね。
○岡村委員 そうですね。
○座長 帰局率というのは、分母は何に対しての率を言っていますか。
○岡村委員 卒業生に対して、3年目に大学に残っている、他大学出身者も含めて大学にいる人数という割合です。
○座長 そうすると、研修に引き続き1回も外へ出なくて大学に残っている人も、帰局率には入るということですね。
○岡村委員 そうです。
○座長 わかりました。何かご質問等ありますでしょうか。先ほどの事務局からの提出データで、10頁ですか、こういう流れも含めて何かコメントがあればお願いします。
○神野委員 中くらいの臨床研修病院として、全く理解できるデータといいますか、マイナー科は指導医自体が少ない人数でやっておりますので、マイナー科志望者は大学へ行く傾がありますね。われわれ市中の臨床研修病院は臨床研修医を集めるときには、コモンディジーズ、あるいは家庭医療、総合医療で集めます。そういった意味では、まさにこのデータはそのとおりで、おそらく大規模臨床研修病院は別にして、中規模以下の臨床研修病院に関しては、端からマイナー科専門志向の方は、非常に来る可能性は少ないのかなと思います。ただ、内科志望だったのだけれども、先ほどのデータにありましたように、我々の病院を卒業時にマイナー科に行くという研修医は出てくるわけです。ただ、募集の段階でだいぶバイアスが掛かっているデータかなと思いました。
○岡村委員 先ほどの事務局から出された資料で、8頁の資料4-1ですが、診療科別に内科系、外科系と書いてある、研修前後での変化のものがありますよね。これが例えば内科系に関して、研修前に34.9%の人が希望していたのに、研修後は31.9%に減っているという見方になりますよね。参考に書いてある30代前半・後半全医師に関しては、全部違う、要するに世代が違いますよね。
 これの読み方なのですが、例えば内科系は世代が上になるに連れて、32.5、34.5、37.7と増えていくのですが、これはだんだん年をとっていくと内科に行く人が多いと評価するのか、それとも逆に例えば全医師と書いてあるのは、平均40代ぐらいと見た場合に、40代ぐらいの人たちは37.7%の人が内科を選んでいたのに、年々世代が若くなると、内科を選ぶ人が減っていると読むのか。
○座長 この三師会のデータは、研修を終わったときに何科を選んだかではなくて、現状何科をやっているかという意味ですよね。ですから、かつて外科をやっていた先生も、途中で開業したりしたら変わったりもする場合を含みますね。
○岡村委員 そういう意味があるのと、逆にそういう評価をすると、年をとるとだんだん内科に従事する人が増えていくという見方になりますから、逆に例えば内科に行く人がだんだん減っているから、こういう数字になっているととるか、どっちともとれるのです。
○座長 それは事務局のほうではどのように把握されていますか。年齢が高くなると内科の比率が多いのは、選ぶ科がそうなのか、どうなのですか。
○専門官 1つは、やはり先生がご指摘のとおり、長年、例えば外科などといった形で勤務されて診療されていた先生方が、開業されて内科も診られるというケースもあるかと思いますが、そういったこともこの37.7という全医師の内科の割合には入っているのだろうというのはあると思います。それの寄与する割合と、その世代の先生が内科を最初から専門にされていた割合の寄与する度合のバランスは、ちょっとここからは読み取るのは難しいのかなと思うのです。
 1つは、三師調査はかなり昔からやっておりますので、昔に年度ごとの例えば何年目の医師が何科をというデータがあるかどうか、ちょっと確認しないとわかりませんが、昔のデータで卒業したての先生が何科を選ばれていた、といったものと比較することは可能かと思います。これは診療に従事すると答えられた先生が、何科に主に従事しているかというデータですので、それ以上のことはここからはちょっと難しいかなと思います。
○座長 30歳代前半は、わりと選択科として比較可能かもしれませんが、全医師になってしまうと、70歳代の先生もこの中に入ってくるという話にはなってしまう。
○横田委員 診療科の希望を変えておられる、その理由は、お聞きになっているのですか。男女別にみたバックグラウンド、その辺りの考察はされていますでしょうか。
○専門官 診療科を変えた理由は、12頁からあります。他科へ移行した理由と、内科を選んだ人は内科を選んだ理由と、それぞれについての理由を聞いております。
○横田委員 もう少し突っ込んで、例えば収入であるとか、仕事がきついとか、そういったことはいかがですか。
○専門官 仕事がきついというのも選択肢の中にはありまして、例えば資料13頁に外科系から他科に移行した210人の方の理由の2番目として、「体力的にきつい」というのを53名の方が選んでおります。「精神的にきつい」というのもありまして、選択肢の中にはそういったものを含んでおります。ただ、ベスト3しかここには載せていないものですから。
○横田委員 あと男女の別はいかがですか。
○専門官 男女の別もありまして、資料の10頁に男女の別で載っております。大体男女の傾向は似てはいるのですが、1つは例えば外科系で実は女性が増えていたり、よくよく見ると面白い結果もありますが、こちらに男女の内訳はあります。ご参考にしていただければと思います。
○横田委員 なぜこんなことを聞くかというと、後前卒後、前期研修、後期研修とずっと研修は続くのですが、職場の環境とか、将来の環境の問題点とか、今回の調査がそういうことをとらえて、変えていくための材料になればいいなと思っております。病院の各科の職場環境とか、改善できるファクターがもしわかれば、特定の科や地域へ医師を定着させることができると思います。もしそういうことがわかれば、非常に面白いなと思っています。
○主査 第1回ワーキングの際に、委員の皆様方にお配りした、平成22年臨床研修修了者調査の問12で、変えた項目については1番から26番まであります。例えば結婚や出産、恋人、家族の希望、訴訟リスク、体力、研修施設が充実しないなど、さまざまな項目を盛り込んでおります。こちらのほうで、ある程度今後の政策につながっていくような回答が得られているのではないかと思います。男女別の変えた理由については、現時点ではまだ集計しておりません。
○座長 何か追加がありますか。
○専門官 先ほどの横田先生からいただいたご指摘で、職場の環境で変えたほうがいいものがあればということで、1つは先ほどの臨床研修修了者アンケート調査の中に、子育てをしながら勤務を続けるとしたら、どんな条件、例えばフレックスタイム制度、短時間勤務制度が必要だなどといった選択肢を設けて聞いているものもありますので、こちらも併せてご参考にしていただければと思います。
○横田委員 わかりました。
○座長 ありがとうございました。だいぶ時間も経過してまいりましたので、今日はもう1つ、大学の研究・教育機関における医学部出身の基礎研究者や大学研究院生がどのような動向にあるか、これも1つの大きな問題です。本日は、岡部委員から資料を提出していただいておりますので、ご説明をお願いします。
○岡部委員 お手元に資料が2つありますが、主に見ていただきたいのはA4横に組んであるものです。これはパワーポイントの打出しです。1頁、これは当たり前のことですが、「大学医学部・医科大学に求められるもの」が3つあって、教育と研究とその展開。展開というのは社会、産業界、国際貢献といった貢献の部分があります。2番目の研究が教育においても展開においても非常に重要な基礎となるファクターで、その中には疾病のメカニズムを調べていくような研究もあれば、さらにもうちょっと基礎的なヒトを中心とする生命科学の研究もあります。これまでこの3つの教育、研究、展開において、医学部出身で、実際に臨床を行わないような形で仕事をしている方、基礎研究者と大きく括ってしまいますが、こういう人たちが中心的な役割を果たしてきました。
 ところが、現在は臨床志向、ある意味、専門志向も含まれると思いますが、そういう医学部卒業生が圧倒的多数となっていて、このような医学部出身の基礎研究者、MD研究者の不足が顕在化している可能性がある。これは客観的なデータを集めないと、本当にそうかどうかはわからないということになります。以下、客観的なデータと思われるものをいくつかお示しして、皆様にどの程度それが危機的なのかということを理解いただきたい。
 まず、パート1は「東京大学、大阪大学、京都大学、名古屋大学の医学部学生が卒後にどの程度基礎医学研究者となっているか」。これは4大学にそれぞれ依頼して、卒業者名簿を丹念に調べていただいて、実数として、いま現在どの程度の方が基礎系に進んでおられるかを調べました。いずれの大学も、その4つのグラフを見ていただくと、傾向は似ていて、昭和60年代ぐらいまでは、数は大学によって異なりますが、10名前後の学生が基礎系の研究室に進んでいるという状況はありました。しかし、これが平成に入りますと、どの大学でも右肩下がりに下がっていて、初期臨床研修が必修化された時期というのが、右肩下がりの3分の1辺りに対応する。それ以降を見ると、どの大学でも進学者が5名いた、全部合わせて10名程度になるかならないかという状況になっています。
 7頁ですが、このデータを見てわかるのは、長期的な減少傾向がある。臨床研修の必修化が別にそれで止めを刺したということは言えないのですが、2000年以降では実数として10名程度しか基礎医学系に進んでいないことは事実です。
 次に8頁、2番目のデータですが、全国で見たときに大学の基礎医学系教員に占める医学部出身者の数はどのように推移しているかということを、以下の3つのグラフでお示しします。9頁のグラフは、社会医学系・病理・法医学系を除いた場合の基礎医学系教員におけるMD、医学系、医学部出身者の割合です。これは国立の大学医学部、医科系大学の集計データになります。教授の数が90%から70%台に変化していますが、いちばん大きいのは助教のパーセントで、これが50%台から30%以下に減りつつあると。
 次頁は逆のMDではない方の割合です。当然ですが、これは全く逆のパターンになっていて、助教の方の割合は現在では70%以上になっています。教授の方も増えているということです。
 最後のグラフは、病理・法医・社会医学系に関するものです。病理や法医は当然、医師免許を持っているということが、ある程度それぞれの科でポストを得るための条件になっている部分がありますので、ほかの基礎系の教室に比べると、助教レベルでの数の比率の変化は大きくありません。しかし、教授レベルではnon-MDの方もかなり増えているという傾向があります。
 2番目のまとめとしては12頁ですが、90年代では50%程度あった助手・助教に占める医学部出身者の割合が、現在は30%以下であると。このような傾向は、現在の助手・助教の世代が教授へと昇進する10~15年後には、さらに加速されるであろうということが考えられます。
 続いて、3番目の項目ですが、現在、大学院に在籍する学生に占めるMDの割合も変化しているのかということで、次の3つのグラフです。14頁の初めのグラフですが、大学院の部局化が1996年ごろにあって、その前後を比較して大学院生の全体の数は医学部で増えているわけですが、その中のMDの数は絶対数として減少傾向にあることがわかります。これは基礎系です。
 15頁ですが、臨床系の大学院の入学者に関しては、自大学出身MD、他大学出身MDを加えると減ってはおらず、むしろ増えつつあるかなという傾向にあります。特に他大学からの医学部出身者が増えている傾向にあるということです。
 次は16頁、比率ですが、基礎系では臨床系に比べて、大学院進学者の中で医学部出身の方が減少傾向にあって、70%台だったものが30%以下になっているということがわかります。
 17頁ですが、大学院大学化に伴って、基礎系大学院に在籍する学生のトータルの数は増えていますが、実際にMDの割合は減りつつある。30%以下になっている。
 最後に、18頁の「まとめ」ですが、1、2、3はいままで申し上げたところをまとめたものです。4大学の学部の卒業生に関しても、医学系教員に占めるMDの割合にしても、基礎系大学院の学生にしても、それぞれ医学部卒業生の割合は減少している。この傾向がこのまま続きますと、たぶん10~15年後に教員の中に占める医学部卒の方の割合は30%以下、30年後には10%以下になるということも考えられます。これが基礎医学教育は医学部卒の方は必要ないと割り切ってしまうという1つの考え方ですが、もしそうではなくて、やはり医学部を卒業した人が基礎系に関して医学部の学生を教えると。それが必要だと考えるのであれば、いますぐ迅速に何らかの判断をして、策を講じる必要がある。それをやらなければ、これは将来的な累積の数になりますので、将来的に大きな障害をもたらす可能性が高いと考えられます。
 どういう対策をすればいいのかということなのですが、今後、研究者の数を増やすためには、いままでは卒前の教育に関して、ここ5、6年程度いろいろな取組みがされてきましたが、今後は卒後の教育システムに関しても同様の試み、特に初期臨床研修制度に関連したような取組みを行っていく必要があると考えられます。
 プリントにはありませんが、実際に何人ぐらいつくればいいのかという試算があります。国立大学の医学部の基礎教員は総数が3,000人で、公立・私立を加えるとおそらく6,000人の教員がいます。各教員の平均活動期間が30年として、基礎教員の50%程度を医学部出身の方で埋めると考えると、毎年100名、基礎研究者を育成する必要があります。卒業のときに100名養成したとしても、半分ぐらいの方はおそらくその後のキャリアで臨床にも移られていくと思いますので、安全に見ると200名程度の方を特別コースで育成する必要があると。  例えばこの200名の方に初期研修、大学院の一環したプログラムを6年程度の期間を考えて作ってあげると。この方たちは、臨床研修は6年間のどのタイムスパンでやってもいいようにして、ただ6年で出たときには、きちんとした論文を書いて、大学院としての修了資格を得るという形のプログラムをもし作ることができれば、非常に有効なのではないかと考えられます。こういう方に大学院在学期間中に、月額20万~30万円ぐらいの援助をするとしますと、これは実際には年間当たり20億~30億円のお金がかかるわけです。予算的には大規模な措置になるのですが、そのぐらいのことをしないと、現在の非常に危機的な基礎系の医学部出身教員数の減少は改善できないのではないかと、個人的には思っています。以上です。
○座長 大変厳しい認識を示していただきました。ここ数年始まったわけではなくて、これはもう10数年来のテーマですよね。その間に、例えば大学院の部局化もありましたし、MD、PhDコースを導入した大学があったりしていますが、総数としてはなかなか全体の傾向を食い止めていないということですかね。
○岡部委員 学年当たりの数が1名、2名ということになってしまいますので、なかなか数が多く揃わないのです。どうしても卒業した時点ではまだ迷っている方が、卒後もそういうリサーチマインドを維持し続けるような仕組みがないと、難しいのではないかと思います。
○座長 この点に関してはどうですか。岡部先生もおっしゃっていましたが、新臨床研修制度だからこうなったというわけでもなくて、全体のサイエンスの流れの中にあるということです。海外などの、例えば先進的にやっている米国などでは、基礎医学に進むMDというのはどのように育成していますか。
○岡部委員 アメリカの場合には、Medical Student Training Program(MSTP)というものがNIHのグラントで走っています。それで、数百人の学生が大学院教育プラス臨床のトレーニングを加えて、予算的な措置の下にこのコースに参加して研究者になっています。それから、フィンランドなども、卒後の大学院のコースの中で臨床の研修の部分を含めたような形で、かなりフレキシブルなプログラムがあって、例えば6年から8年の間に臨床研修もやって、かつ研究活動もして、研究活動に関してそれなりの論文が出ていれば、それでMD、PhDの資格が取れるといったような方策を立てています。ですから、各国でそれぞれきちんと考えて、医学部出身の研究者を育成するということには力を入れているという認識です。
○座長 いずれにしても、研修医が毎年8,000人出る中で、どのぐらいが最低限基礎系大学院に進むべきか。先ほど100人ぐらい確保しないと、50%の教員を保てないという話でしたね。そのようにいきなりなるかどうかは別にしても、ある意味では全員が選択するわけではないものだから、基礎系を選択する人に対してインセンティブが働くようなやり方はないのかという話ですよね。
○岡部委員 はい。
○座長 研修のプログラムとして、何かそういうことを、先ほど少しおっしゃいましたが、例えば必修科目以外のオプションのところで、そういうプログラムを設定するとか、そういったことも有効でしょうか。
○岡部委員 いま卒前のカリキュラムに関しては、各大学でかなり力を入れて、そういうものを作っているのですね。そういうプログラムで、卒前にせっかく種を蒔かれた学生が、2年間の臨床研修の間は全く断絶してしまうというのが現在の問題点ですので、そこを何とか2年間つないでいただいて、次の大学院教育なり、臨床の研究のプログラムに入っていけるような筋道を付けるということができれば、かなり改善されるのではないかと思います。
○座長 この点に関しては、先生方のご意見はいかがですか。
○神野委員 皆さん同じことを思っていらっしゃるのだと思うのですが、いまグラントの話があったのですが、おそらくこれは厚生労働省だけではなくて、文部科学省もいらっしゃいますが、あるいは科学技術省、あるいは経済産業省というところでお金を出さないと、これは臨床研修云々よりも先に待遇の問題ですよね。そうすると、これは厚生労働省だけの話ではないのではないかという気がするのですけれども。日本の産業というか、特許とか、それがいずれ日本の国益につながるという考えがあってもいいのではないかと思います。
○座長 文部科学省から一言お願いします。
○文部科学省医学教育課長 確かにこの問題は、1つは基礎医学の研究者の確保にに表れてきます。ただ、一方で先ほど岡部先生からもお話があった、必ずしも医学系だけではなくて、ある意味では自然科学系の博士課程に入る研究者志向の方が少なくなっているということがあります。実際にかなり減っていますので、そういう意味ではいまお話があった、学生の方にどういうインセンティブを付けて勉強していただくか。それは1つはグラントの問題とか、経済的な支援とか、研究費の問題とか、さらに言えば将来的にポストというか、研究者が研究的に自立してやっていけるだけのポストが確保できるかどうかとか、そういう総合的なところで考えていかないと、根本的なところはなかなかうまくいかないと思います。
 優秀な学生が研究者を目指してくれないということでいいのだろうかというのは、そういう意味では科学技術、あるいは学術の分野の大きな課題になっているということです。
 もう1つは、医学部でいろいろな工夫をされて、研究者マインドを持つ学生を育てようという取り組みです。せっかくそういう芽があるので、何とか臨床研修の間でもそういうことを維持できるような工夫がということも大事な点だろうと思います。そこは経済的支援の問題、大きな問題と、具体的な制度の工夫の問題と、両方考えていく必要があるのだろうと思っております。
○福井参考人 先ほどのアメリカの状況ですが、アメリカも研究者養成に心を砕いていて、例えばデューク大学は、4年間のうちの1年間を完全にリサーチにしています。
○座長 それは、学生の4年間のメディカルスクールのうちの1年ですか。
○福井参考人 はい。でも、残りの3年がタイトになっていて大変だという話は聞きます。一方では、クリーブランドクリニックに2004年にできたメディカルスクールは、定員40名で、そこのプログラムは5年で、1年間を完全にリサーチにとって、フィジシャン・インベスティゲイターを養成するというので特徴を出しています。
 外国はそうですが、日本は私の考えですが、やはり基礎研究も臨床医養成も、中途半端で、どちらもかなり大きく変えないと、世界のトップにはなれないと思っています。基礎研究については基礎研究者を養成する大学をセレクトして、エリートコースをつくる。待遇も良くしないと、駄目だと思います。
 一方では、臨床医の養成もその方向に特化した大学があってもいいのではないかと思います。全部の大学が基礎も臨床も、というのは中途半端に終わるのではないかと思います。
○田中委員 最初から完全に臨床志向の人もいますが、例えば医科歯科大学の基礎の教授は、岡部先生はご存じですが、半分ぐらいは元臨床医だったりするので、途中から進路変更していた人たちもいたと思うのです。いま診療に従事しようとする人は臨床研修を終えなければいけないという決まりがあるために、岡部先生が言われたように2年間完全に切れてしまう。その間、細々と昔はやっていたようなリサーチが完全に切れてしまうので、戻ってくる人たちは少なくなる可能性はあると思うのです。ですから、長いスパンの中で2年分をやるというような、そういうフレキシブルなものを持たないと、結局、臨床研修の理念も達成されないし、リサーチもほとんどできないみたいな中途半端な2年間になってしまうのではないかと思うのです。
 私が言うのも何ですが、サイエンスはMDをやる意味があると思うのです。アメリカは国策として、それをやっているのです。だから、ちょっと岡部先生が言われたNIHの補助金というのは、アメリカの永住権のある人にしか与えられないのです。だから、それは国の税金を使ってやるのだから、国に還元されなければいけないということでやっているので、そういったことも包括的に考えるべきだと。
○片岡委員 岡山大学では、3年前から臨床研修と研究を両立できるコースを作っております。先ほど岡部先生がおっしゃったように、研究マインドを持った学生が始めた研究が、医学部卒業と同時に途切れるという例がやはりありました。研究マインドと臨床研修の両立という希望に沿ったコースの、希望者はかなり増えてきております。勿論、臨床研修との両立というのは、簡単ではありません。しかし、研修をしながら、何とか時間をやり繰りして、努力しようというモチベーションが高い人が増えてきているという印象は持っています。まだ新しいコースですので、今後の経過が重要ですし、工夫も必要だと思います。
○座長 もう実際に研修医になった方もいらっしゃるのですか。研修医の中にも、そのコースを取った方がいる。
○片岡委員 そうですね。もう卒業した方が3人います。
○座長 3人とも、いま研修中ですか。
○片岡委員 いま卒後3年目なので、修了した人がいます。
○座長 もう研修が終わって終わった方は、研修期間中もそれは継続されていた。
○片岡委員 1名は研究を継続して現在基礎研究に従事しています。他2名は講義や、カンファレンスに出て少しずつ継続というところです。
○座長 そうすると、研修病院の研修ではなくて、大学での研修をやったわけですね。
○片岡委員 その3名についてはそうです。いまの2年目、1年目の当院のプログラムの研修医に関しては、大学病院と臨床研修病院のミックスしたプログラムを取る人が多くなっており、そのような場合の両立のあり方は今後の課題です。
○座長 1つの試みとしては非常に重要ですよね。全員がそれをやる必要はないけれども、ある程度マインドを持った人は、ちゃんとそれを継続して選択できるプログラムがあってもいいかなと、そういうことですね。いかがでしょうか。
○横田委員 ちょっと次元が低い話かもしれませんが、京都府でも大学院生を増やしていこうということで、去年の4月から地域医療、ほぼ3年以上勤めた人が大学院に行くときに、入学金と授業料は全部府が出すという制度を始めまして、既に18名その制度を利用しています。大体1,200万円ぐらい予算を執行しているのですが、大学院にインセンティブを持って来ていただくというような形にしています。
○座長 それは地域医療に限ってですか。
○横田委員 そうです。地域医療に限ってです。3年間以上の場合、4年間の授業料と入学金が只になるというシステムです。
○座長 研修とはちょっと違いますけれども。ほかに何かご意見はありますか。時間もまいりましたので、今日のところはこの辺で意見交換を打ち切らせていただいて、次回以降、また問題を整理して、皆さんにご討議いただきたいと思います。事務局のほうから、最後にご案内をお願いします。
○指導官 今後の日程ですが、次回は11月を予定しております。あらかじめ各先生方には日程を調整させていただいていますが、改めて正式にご連絡させていただきたいと思います。以上です。
○座長 本日はどうもありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。


(了)
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