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2011年7月6日 第4回「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会議事録

健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室

○日時

平成23年7月6日(水)10:00~12:00


○場所

金融庁 共用第903会議室(9階)


○議題

1.開会
2.議事
 (1)原爆体験者等健康意識調査について
 (2)その他
3.閉会

○議事

○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 おはようございます。すべての委員の先生がおそろいになりました。
 それでは、これ以降の進行は佐々木座長にお願いいたします。
○佐々木座長 おはようございます。定刻になりましたので、第4回「『原爆体験者等健康意識調査報告書』等に関する検討会」を開催させていただきます。
 初めに、本日の委員の出席状況について、事務局から御報告をいただきたいと思います。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 本日の出席状況でございますけれども、川上委員、金委員から欠席の御連絡をいただいております。
○佐々木座長 それでは、議事に入りたいと思います。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 済みません、カメラはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○佐々木座長 前回の検討会では、飛鳥井参考人に御出席いただき、これまでに出された御意見のうち、健康意識調査に関する部分を中心に議論を行いました。今回は、前回、議論が行われなかった、黒い雨の降雨位置について、また、健康意識調査に関して、現在、治療等を行っている病気に関する部分や、調査の結果や考察について議論を行いたいと思っております。
 事務局から、参考人の御紹介と、資料の確認をお願いいたします。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 それでは、本日の参考人の方を御紹介させていただきます。
 向かって左側から、東京都医学総合研究所副所長の飛鳥井望様でございます。
 広島市健康福祉局原爆被害対策部調査課長の漆原正浩様でございます。
 広島大学原爆放射線医科学研究所教授の大瀧慈様でございます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 資料1、参考人名簿。
 資料2、広島原爆被爆地域等におけるがんの死亡率、罹患率。
 資料3、国民生活基礎調査におけるK6の結果について。
 資料4、「原爆体験者等健康意識調査報告書」に関する主な意見。
 資料5、飛鳥井参考人提出資料。
 資料6、大瀧参考人提出資料でございます。
 資料に不備・不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 また、卓上に前回までの資料をつづった青いファイルを用意しておりますので、適宜、御参照いただければと思います。
 以上でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 それでは、まず、これまでに行った議論の中で、委員の皆様からいただいた、広島市周辺におけるがんの発生状況等についての御質問につきまして、事務局から資料が提出されておりますので、事務局から御説明をいただきたいと思います。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 お手元の資料2と資料3を説明させていただきます。
 これは、これまでの検討会の中で、伊豫先生からいただいた御指摘なんですけれども、広島市を中心に、実際にがんの多い地域があるのかどうか、そういう資料があるかという御照会をいただいておりましたので、それに対する資料として資料2を用意いたしました。
 それから、本日お越しになっておられませんけれども、川上委員から、広島市において実施いたしました調査の中ではK6を調査しておりますが、その比較が可能になるように、国民生活基礎調査のデータについて準備しておくよう指示をいただいておりましたので、それを準備したものでございます。
 それぞれ説明をさせていただきます。
 まず、資料2の広島原爆被爆地域等におけるがんの死亡率、罹患率でございますけれども、1枚おめくりいただきますと、全国のデータが出てまいります。60歳以上の年齢調整がん死亡率(人口10万対)でございます。
 広島県のデータが、人口10万対で724以上に対して、多い自治体では、大阪が880、そのほか、北海道、千葉、埼玉、神奈川、兵庫、福岡といったところががんの死亡率が高いというデータが出ております。広島は中間ぐらいという感じでしょうか。
 次のページは、広島県内で同様に、市町村ごとに60歳以上の年齢調整がん死亡率を比較したものでございます。こちらも人口10万対ということでございます。
 赤いところは江田島市、府中町、坂町といったところでしょうか。そのほか、広島市よりも数字が多いところ、データとして高めに出ているというところとしては、東広島市、熊野町、竹原市、三原市、大崎上島町といったところが高めに出ております。低いところでは、青い色で塗ってありますけれども、北広島町、三次市、世羅町、庄原市といったところでございます。
 続きまして、がん罹患率で、同様に広島県内の市町村を比較したものでございますけれども、広島市、東広島市、福山市といったところが低めのデータになっておりますが、これは恐らく、人口の若い集団がここら辺に居住されておられるのかなという感じがいたします。 そして、最後のページ、表が2つ載っておりますけれども、これは放射線影響研究所が行っております寿命調査のデータです。寿命調査は12万人調査でございますけれども、その中の広島のデータ、約8万件を用いまして、被爆した距離と被爆時年齢調整罹患率、あるいは被爆時年齢調整の死亡率といったものを分析しております。
 一番左が距離区分で、観察人・年は、その集団を毎年追っていくわけですけれども、その人数と追跡した年数をかけたものでございますが、それが2番目のカラムです。それから、平均被爆時年齢、爆心地からの平均距離、そして、年齢調整罹患率という形でデータを並べてございます。
 500m刻みで距離が遠くなってまいりまして、一番下の行は市内不在者という形になっております。1,500mよりも至近で被爆をされた方に関しては、若干高めの罹患率あるいは死亡率が出ているかと思います。距離を経ますと、だんだんと低めにはなるんですが数千m経たところで距離をもって比較するのは、なかなか困難な状況かなというデータが出ております。
 続きまして、資料3で、K6に関する資料でございます。
 K6というものは、表紙に書いてございますとおり、心の健康を崩しているかどうかを判断する指標で、「神経過敏に感じたか」というような精神保健に関する6つの質問について、「まったくない」0点から「いつも」4点の間の4段階に分けて回答いたしまして、点数を見るというものでございます。
 国民生活基礎調査としては、既に結果を公表しているところでございますが、実はK6の部分に関しましては公表の対象外になっておりまして、今回、特別に健康局の方から統計情報部に要請いたしまして、K6の得点に関する項目を集計したというものでございます。
 本日、川上委員はお越しになっておられませんけれども、こうしたデータは広島における調査結果とも比較可能なものでありますので、ここで御紹介をさせていただきまして、今後の検討に資していただければということで、提出をさせていただいております。
 以上、2つの資料の説明でございました。
○佐々木委員 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関して、御質問あるいは御意見がありましたら、お願いいたします。
 伊豫委員、お願いします。
○伊豫委員 今回、この委員会で報告されている結果としては、健康不安というものが重要な問題になっております。その健康不安について、少し簡単に述べさせていただきたいんです。
 人類が初めて経験した原爆で、しかも黒い雨という特殊な体験をされて、更に放射線被曝による人体への長期的な影響も未知な状況でした。このようなことから、健康への不安が大きくなることは必然であり、長期に持続する苦悩というのは想像にたえないものと思います。
 その一方で、この健康不安は、正しい情報、または事実によって軽減するものでもあります。したがいまして、この体験の後、今回の場合、健康という意味で言えば、実際に発がんなどのリスクが極めて高くなっているかどうかという事実が非常に重要であるということ。しかも、それが定期的に調査され、公表されているか、またはアクセスできるものであるかということがすごく大事だと思います。そのことによって、受け止め方を修正されますので、この不安というものが変化することになると思います。
 それで、今回の第1回のときにこちらの資料をお願いしました理由としては、やはり、この地域に住んでいらっしゃる方々が周囲に明らかにがんで亡くなられている方、または罹患している方が高いということであれば、その方々にとっての事実としての情報として入ってきて、健康不安を高めるというのは想像にまたないわけです。
 したがいまして、そのようなことでお願いし、今回の場合、特に高いという結果は得られていないということで、そこからどのように長期の不安を解消していくかということになるかと思います。
 このようなデータが、先ほど言いましたように、重要なことは、このような事実、情報を、被災された方、またはその地域の方が定期的に得ることができたかどうかが問題でありまして、少なくとも、今、お話を伺いました、このがんの死亡率、罹患率に関しましては、定期的に調査されているということでございます。したがって、これへのアクセスが可能かどうかということが、もし、すぐわかれば教えていただきたいと思います。
○佐々木座長 いかがでしょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 このデータにつきましては、がん登録のデータ、あるいは人口動態統計から算出が可能なものでございまして、公開・公表しております。
 一方で、放射線影響研究所の研究でございますけれども、こちらも被爆者のためにデータを、被爆者の皆様方から協力を得ながら集めているところで、情報を定期的に公表していくというのは、研究所の役割として、これまでも努めていただいていると考えております。
○佐々木座長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○伊豫委員 もう一つ、そうしますと、他の地域等々、差が大きくないという結果である、事実であるとすれば、それを入手していたかどうかということで、今、お伺いして、それが入手も可能であった、また、公表されていたということであるとしますと、今度は受け止め方とか、そこの状況、そういった特殊な受け止め方をせざるを得ない状況とか、そういったものが議論されるものかと推察するものでございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかに御発言はありますか。
 大瀧参考人、それから、飛鳥井参考人、どうぞ。
○大瀧参考人 固形がんの死亡率に関してなんですけれども、資料2の5ページに示されている放射線影響研究所のデータによる距離別の年齢調整死亡率とか罹患率が出されていますが、これでは距離依存性が、1,500m以内は明らかにあるけれども、あとは余り大きな違いはないという結果のように思えますが、ただ、更に細かく、爆心地から見て東側半分と西側半分で見た場合、かなり西側の方が死亡率が高そうであるということが、今、出ているんですよ。現在、論文として投稿中ですが、もう少し細かい見方を、特に黒い雨との関係とか、内部被曝との関係とかというものを議論するのであれば、その辺りのもう少し細かい見方が必要なのではないかと思っています。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 その資料は、お見せいただくことは可能でしょうか。
○大瀧参考人 可能です。
○佐々木座長 もし、できましたら、事務局の方にお届けいただいておけば、私たちも拝見することができるかと思います。よろしくお願いいたします。
○大瀧参考人 わかりました。
○佐々木座長 飛鳥井参考人、どうぞ。
○飛鳥井参考人 今、伊豫委員から御指摘の点は、まさにそのとおりでございまして、健康不安の問題は、これは常日ごろ言っていることなんですけれども、やはりリスクコミュニケーションが最も重要な対策であることは確かなんです。ですから、長崎のように、それでは、健康不安があるなら精神科に行きなさいというのでは解消されませんで、やはり健康情報をきちんと伝えるということが非常に重要なんです。
 ただ、そのときのデータの示し方で、例えば資料2の2ページ、60歳以上のがん死亡率が他府県と比べて変わらないというんですが、一方で、放射線影響研究所のコホートスタディは、明らかに被爆者直爆群は高いわけです。これは実証されております。だからこそ、今も放射線の影響というのは問題になっているわけでして、これは恐らく、ここには反映されていないというのは、これはなぜか、恐らく、まだ多くの被爆者の方が住んでおりまして、高齢の方も住んでおられますけれども、こういう都道府県別の調整がん死亡率で出てこないというのは、どういうふうに解釈をしたらいいのかということ。
 それと、黒い雨の問題は、距離別のものはやはり外部被曝ということになるんですが、やはり内部被曝への不安というのが実際はかなり多くて、雨が降って、浴びた、あるいはそこでまた水を飲んだといったようなことがあって、これもいろいろな御専門の方から、内部被曝の危険性については、縷々、いろんな説が出されておりますけれども、しかし、その不安を払拭できないところがありまして、そこら辺のところを、それでは、本当にどういうふうに、いわゆるリスクコミュニケーションとして伝えていけるのか、どういうふうに伝えるのが正しいのかどうかということがあるかと思うんです。
 それから、今はまさに福島で同じ問題が起きているんですが、それこそ、いろんな線量計を配ったりとか、いろんな科学的なデータとか、まさに広島でのデータに基づいたリスクコミュニケーションができているわけですが、この広島の被爆者のこと、あるいは黒い雨の体験者のこと、むしろ、そういうものが全くないところで噂だけが飛んでいて、実際に目の前で肉親の方とかそういう方が、戦後、がんで亡くなっていく方を目の前にして、そういうところから不安が出ておりますので、今でしたらリスクコミュニケーションはそうするのが正しいんですけれども、そういうものがないところで、ずっと、その不安が募ってきたという背景はあるかと思うんです。
 少しコメントさせていただきました。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 私も少し関連して伺おうと思っていたんですが、例えば広島市の人口の中で、被爆者が何万人ぐらいおられるのかということはわかっているんでしょうか。
○佐々木座長 漆原参考人、どうぞ。
○漆原参考人 これは資料2の4ページの人口10万対の、平成17年の国勢調査ということですので、平成17年ですと、多分、人口は110万人ちょっとでございます。それに対して、広島市内にお住まいの被爆者健康手帳をお持ちの方は、恐らく7万人強、8万人は少し切れているような状態だったと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 今のは、広島市の人口110万人のうちの約7万人の方が原爆手帳をお持ちであるということですね。
○漆原参考人 大体、そのぐらいの比率になると思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 外山局長、どうぞ。
○外山健康局長 今、飛鳥井参考人からお話がありましたけれども、がんの発生というのは、専門家に対して言うのは失礼ですが、多変量ですから、いろんな要因がありますから、客観的な事実として、この60歳以上の年齢調整死亡率はこうであったということであって、放射線のコホートとの関係について、どう解釈するのかというのは何とも言えない話だと思います。
○飛鳥井参考人 それは非常に大事なことで、伊豫委員が言いましたように、このデータをもってリスクコミュニケーションをするというのは少し不十分だと思うんです。実際に直爆者では、やはりがんの罹患率は上がっているといったデータがあるわけですので、それが恐らく、見ているものが違ってくるんだと思うんです。
○佐々木座長 外山局長、どうぞ。
○外山健康局長 まさに、そういうところを専門家に議論していただきたいのであって、私どもは議論のデータを俎上に上せたという話でございまして、また十分、御検討願いたいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 伊豫委員、どうぞ。
○伊豫委員 当然、私も直爆者の方々が多くの被害を受けていらっしゃるということは認識しているつもりですが、今回の場合、黒い雨ということに、ある意味、焦点化されておりますので、それと、事実関係として、放射線量のことが別で調査されておりますが、そういった直接的な影響と、もう一つは、今回の場合は、やはりかなり時間が経過して、その間、非常に大変だったと思うんですけれども、定期的な前向き調査によって、どの程度、黒い雨自身の発がん等に対する影響が出ているのかというのが調べられているかどうかということが重要だと思います。
 もう一つは、周辺に、がんで亡くなられたとか、そういった情報が一般の方々に入って、もし、健康不安になれば、より正確な情報にアクセスできるかどうかということが問題です。ですから、私が今回、これをお願いしたのは、一般的なファーストタッチといいますか、最初に得る、または見て感じる危険性という意味で、このがんの地域性というものをお伺いしたものでございます。ですから、最初の認知の部分と考えていただければよろしいかと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかに、御意見はございますか。
 米原委員、どうぞ。
○米原委員 今、大瀧先生から御紹介いただいた、西側と東側でがん発生率が違うということですけれども、これは、今、やられている外部被曝の線量評価で、線量当たりで見ても、そのような傾向にあるということになるんでしょうか。
○大瀧参考人 そうです。線量に関して調整した上でも、むしろ、その方がはっきりしますが、そういう結果が出ております。
○米原委員 それであれば、かなり重要なデータになると思いますので、御紹介いただければありがたいと思います。
○佐々木座長 ほかにはよろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、原爆体験者等健康意識調査に関する議論に移りたいと思います。
 資料4にありますように、これまでいただいた御意見のうち、前回議論を行った部分以外のもの、あるいは前回いただいた御意見のうち、引き続き議論が必要と思われるものについて、事前に質問事項として回答をお願いしてございます。今回は飛鳥井参考人から、主に精神的な影響に関する調査の解析結果、考察について御説明をいただき、更に大瀧参考人からは、身体症状に関する分析のうち、現在、治療等を行っている病気及び黒い雨の体験状況に関する分析のうち、黒い雨の降雨時間の地理分布について御説明をいただきます。
 まず、飛鳥井参考人から御説明いただきたいと思います。お願いいたします。
○飛鳥井参考人 前回の説明と一部かぶるところもあるんですが、全部読ませていただいて、あとはまたディスカッションというと、少し薄まってしまいますので、できれば一つひとつで御確認いただいて、そんな説明でいいのか、これでは、更にまた不十分なのかといったようなことで、少しコメントをいただければ、私の方も参考になるかと思いますので、お願いいたします。
○佐々木座長 今のは、資料4のことでしょうか。
○飛鳥井参考人 はい、これを今度、資料5で説明をさせていただきますが、よろしいでしょうか。
○佐々木座長 はい、どうぞ、お願いします。
○飛鳥井参考人 まず、質問事項、解析についてです。データの解析に当たって、得られたデータの精度の検証ということです。
 基本調査では、これまでもお話ししましたように、SF-8で、この精神健康に関するサマリーのMCS、それから、身体健康機能指標に関するPCSというものを用いております。それから、先ほど少し御紹介のありましたK6、心的外傷性ストレス症状を見るIES-R、この各尺度による測定値を被説明変数としまして、体験区分、基本属性、原爆体験等を説明変数とする重回帰分析を行いました。
 それで、この精度の問題なんですが、重回帰式の当てはまりのよさ、要するに、それが実際の因果関係を、この重回帰式がモデルとして、どの程度、表現できているかというのを、決定係数というもので見ます。これが0から1までの大きさで、1に近いほど、より当てはまりがいい、よい予測をしているモデルだということでございます。
 それで、すべての説明変数を投入したステップ3で、6ページ以下の別表に示してありますが、ステップ3というものを見ていただいて、この決定係数というものが、右側の欄の4番目に「R-squared」と書いてあります。R2ですが、これが決定係数です。それで、ステップ3でも0.13と、そんなには高くなってはおりません。ただ、PCSはそうなんですが、そのほかのMCS、K6、IES-Rについては、大体0.2以上です。次のページをおめくりいただいて、IES-Rで、ステップ3で0.35といったような数字でございます。
 それで、0から1の間ですので、余り大きくは見えないんですが、実際の社会調査ではいろいろな要因が入ってくるということが言われていますので、専門家によっていろいろ御意見はありますが、やはり0.2以上あれば精度としては十分である。ただし、p値が限りなく高度に有意差がついている、0に近いということであれば社会調査の精度としては十分ではないかといったようなことが言われております。したがって、PCS以外のものについては、データ解析結果の精度も十分なレベルにあると考えております。
 ただ、このPCSがどうしても落ちたのは、高齢者ということで、さまざまな身体的な要因を抱えておりますので、今回、いろいろ入れた要因だけでは説明がつかないといったような部分が多く入ってきたんだと思いますが、精神健康についてはそこそこ、きちんと精度が取れている、確保されたのではないかと考えております。
 2番目の、解析の除外対象の基準とその理由、結果に与えた影響、おめくりいただいて2ページ目ですが、基本調査の重回帰分析では、体験区分、被爆、あるいは黒い雨体験群ごとの比較を目的としていたために、体験区分を同定できない回答、どの群に入れていいかわからないというものがございました。それが全体の8%ぐらいありまして、資料編の6ページでは、それをその他として除外しております。
 ただ、そのうちの3割ぐらいは黒い雨を実際に体験していたと答えておられたんですが、どの群になるかはわからなかったということで、省いております。ただ、資料編には載っていませんが、ざっと、単純集計の回答傾向は見ておりますけれども、全体と大きな差はございませんので、特に省いた人が特定の傾向を持っていたとも考えにくいので、結果に大きな影響を与えたとは思われません。
 それから、重回帰分析では、前回でも少し御指摘はあったんですが、これはあくまでも各群比較をするということが解析の目的ですので、体験区分の基準のzeroを、基準値をzeroとしていますが、それは被爆者でも黒い雨体験者でもないですが、何らかの原爆体験を有している群としました。
 ここは前回、川上委員からも、果たして、その設定がよかったのかどうかといったような御指摘がありました。私どもとしては、こういう群を設定したことによって、より被曝と黒い雨体験以外の、例えば目撃体験とか喪失等の原爆体験については、より近似した群を基準として比較をしております。
 一方、原爆体験を全く有していない群と、今、言いました、何らかの原爆体験を有している群との比較では、資料編には提示しておりますが、資料編の24ページを見ていただくと、上の方に、今度は被体験というものが基準としてはzeroでございます。それで、対照群と書いてあるものが、全く何も経験していない群です。そうしますと、有意差には達していませんが、0.16と、若干、健康度が高いということがあります。
 同じく32ページでは、SF-8のMCSでステップ1を見てみますと、被体験群、基準zeroといった群では0ですが、対照群は同じく0.025と、プラスで若干、機能がよく、ただ、有意差には達しておりません。
 K6が、次の39ページの下の方になります。K6のトータルというところで、区分2というものを見ていただきますと、被体験を基準zeroとしますと、対照群は、今度は0.593と、悪くなっております。これは有意差に達しております。有意に健康度が低い。それで、IES-Rが48ページになります。
○佐々木座長 済みません、今のは資料の48ページですか。
○飛鳥井参考人 資料編の48ページです。
○佐々木座長 ちょっと待ってください。
 おわかりでしょうか。
○飛鳥井参考人 よろしいでしょうか。IES-Rが一番はっきり出ておりますが、48ページのIES-Rトータルという下のステップ1の一番上の区分2というところを見ていただいて。
 済みません、よろしいでしょうか。
○佐々木座長 おわかりいただけていますか。大丈夫ですか。
 少し、よくわからないですね。
○飛鳥井参考人 済みません、よろしいでしょうか。
 それでは、ゆっくり御説明させていただきます。
○佐々木座長 報告書の、ですから、このファイルの参考資料7の、今のお話は48ページです。
 よろしいでしょうか。
○飛鳥井参考人 資料編の方の48ページになります。
○佐々木座長 よろしいですね。
 お願いします。
○飛鳥井参考人 IES-Rトータルのステップ1の基本属性のみというところの欄ですが、一番上が体験区分で、上からずっと、直爆群、入市、救護看護、大雨、小雨と来まして、被体験群、アステリスク(*)が付いているものが基準とした群です。この被体験群という意味は、被爆者でもないし、黒い雨の体験もしていないけれども、何らかのその他の原爆体験をしている群ということです。これを基準zeroとしました。その下の対照群というのは、全く何も原爆体験がない方です。
 それで、見ますと、ここには有意な差がありまして、対照群の方が得点が低い、つまり、心的外傷性ストレス症状得点が低いということがわかりまして、結果、IES-Rと先ほどのK6では、何も原爆体験をしていないという方は、何らかの原爆体験があったという方よりも健康度が高いということがわかりました。
 したがって、今回では、要するにそういう何も体験していないという方は省いて、何らかの原爆体験はあるけれども、被爆者でもないし、黒い雨体験者でもないという方を基準としましたので、比較としてはより辛い検定になっております。前回、川上委員から、それらも全部合わせて、ここで言う被体験群と対照群、全部合わせた方がよろしいのではないかといったようなことで、勿論、それを足し合わせればすぐ検定はできますが、恐らく、この数値から予測されるのは、併せればもっとコントラストがよりつくといいますか、より甘い検定になるかと思います。
 したがって、私どもが目的としたのは、家族を失ったとか、あるいは生々しいところを目撃したということについては、できるだけ同じような集団にして、ただし、被爆者でもないし、黒い雨体験者でもないということを基準とした方が、より目的とするところの差が見えるのではないかと考えた次第であります。
 したがって、そのような形を基準としたんですけれども、それにもかかわらず、被爆群、黒い雨体験群は基準と比べて、すべての尺度において有意な健康不良を認めましたということでございます。
 これが解析の検討ですけれども、何か、ここで、もし御質問があれば、あるいはまた補足説明をしても結構です。
○佐々木座長 何か、特にございますか。
 柴田委員、お願いします。
○柴田委員 ありがとうございました。
 まず、解析の御説明の1のところで、p値が0に近いと言われているんですけれども、p値そのものは、サンプルサイズが大きくなってくれば幾らでも0に近づくわけで、p値そのもので余り議論されるのはいかがなものかと思っています。
 それから、決定係数が0.2というのが社会調査では受け入れられているというお話だったんですが、私たちが疫学をやっているときに、やはり0.2というのは非常に小さい。説明変数がかなりあるのに、やはり説明し切れていないという感じを抱くわけです。その辺について、先生はどういうふうにお考えですか。
○飛鳥井参考人 先ほど御説明しましたように、社会調査ですので、いろいろな要因が入ってくることは確かでございますので、この0.2という数値をどういうふうに見るか。いろいろ調べても、確かに実験的な研究からすれば、数値としては低いのは確かでございます。
 ただし、社会調査をやっている方からすると、いろいろやっても、なかなか上がってくるものではないので、0.2でp値がかなり小さければ、予測としては、精度としてはそこそこなのではないかといったような御意見もございますので、私はそういう方の意見から御説明をいたしましたけれども、これはほかの委員の方、いかがでしょうか。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 あと1つだけ付け加えさせていただきますけれども、疫学というのは決して、勿論、本当に介入試験というものをやるときはありますが、一般には観察試験ですから、先生がおっしゃる社会調査とそんなにレベルは変わらないと思います。対照のところにばらつきはある。
 ただ、できるだけ可能な変数、交絡因子とかいろんなものを取ってきて、ばらつきは少なくするということをやっているわけですけれども、やはり精神的なものというところが非常に大きいのではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
○飛鳥井参考人 これは疫学の先生方、ほかにも大家の先生方がおられますので、この結果をどう見るか、私どもも、荒記先生、大瀧先生に御意見を伺いたいところです。
○大瀧参考人 私自身は疫学の専門家ではないんですけれども、疾患のイデオロギーといいますか、病因論的な、原因調査としての疫学調査である場合、疾患の対象によりけりといいますか、そういうところはあるのではないでしょうか。
 例えば多因子疾患、遺伝子1つが何か異常な動きをしているために発現し得るような場合だと、もし、その遺伝子の情報がデータに取り入れられていたとすれば、非常に大きな決定係数が得られるであろうし、そうでなければ、非常に低いような決定係数しか得られないだろうし、それから、糖尿病のように多因子疾患といいますか、たくさんの要因があるような疾患に関しては、それをすべて説明するような説明変数を漏れなく集めるということは、まず不可能でしょうし、個人のライフスタイルとかプライバシーに関するようなところの情報まで求めなくてはいけないような状況も考えられますので、そういった場合には、決定係数はかなり低くなり得るのではないかと個人的には思っています。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 荒記委員、御発言はありますか。
○荒記委員 私は、全体の仮説で、黒い雨を体験した者は体験していない者と比較して、いろんな健康上の不安が多い。これは、私、言ってみれば、こういうデザインで、仮説で検討して、こういうポジティブな結果が出るのは当然のことだと思うんです。これは、人間のいろいろな物の考え方、心理的な反応、当然、黒い雨、これは放射線被曝と絡む話ですから、そういう不安を持っている人は、黒い雨を体験する率も多いでしょうし、これは因果関係は逆なんですが、逆に本当に体験した人は少し不安が出る。
 それで、このデータを集めて、今回のように、いわゆる多変量解析で細かく分析して、ポジティブな結果を出した。しかも、決定係数は小さいというのはしようがないので、例数が多くなれば、当然、決定係数は小さくなるのですけれども、統計学的に有意だったという事実は絶対無視できない、非常に大事な結果だと思います。ですから、こういう意味で、このような結果が出たというのは、私としては何の抵抗もないし、普通のごく、こういうデザインで調査をやって解析した場合には、このような結果が出るんだろうと私自身は考えております。
 ただ、問題はその先でございまして、それでは、このような結果を補償ということに結び付ける場合の論理、理屈については、私は少し、まだはっきり言えない部分があるんですけれども、まだ、今回、この検討会は、そこまで行っていないんですね。今回の実際の事実、データを得て、それを解釈するという、これはほとんどしてこないんです。ですから、そのとおりではないかと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 飛鳥井参考人の御説明を続けていただいて、よろしいでしょうか。
○飛鳥井参考人 それでは、結果の方の項目に移らせていただきます。
 1の、設定した仮説に対して、得られた結果を簡潔に説明してくださいということですが、これは繰り返しになりますけれども、結果は被爆群、直爆、入市、救護看護の3群に分けました。それから、黒い雨体験群、指定地域群及び未指定地域群とコントロール群、先ほど基準zeroとした群を、基本属性要因、性、年齢、居住状況、要介護度、世帯収入等の要因による影響を調整した上で比較しましたところ、前2群は有意に精神健康が不良であった。これは3つの尺度、SF-8のMCS、K6、ISRとも同じ方向を示しております。有意に健康不良であった。
 更に、私、その要因、何がそれに寄与しているのかということに着目をしましたが、その健康不良に最も多く寄与していた要因は、例えば生々しいところを見たとか、光、熱を感じたとか、命を落とす危険、その他とか、それはそれなりに要因として寄与しているんですが、一番大きかったのは、放射線の影響による健康不安と、次に差別・偏見体験でありましたというのがメインの結果であります。
 2の、個別調査の解析表をお示しいただきたい。これは少し誤解があるのかもしれませんが、解析表としては、個別調査は分散分析をしておりまして、先ほどの資料編の105ページから109ページまで、これはKスケールという、MMPIで、その人の回答傾向を、自分のことをよく言ったり、悪く言ったりというのは、回答のバイアスを測定する尺度である。その尺度得点で調整をしました共分散分析なんですが、その結果の表をここに提示させていただいております。表の統計上のいろんな数値をここに出しております。それで、その結果でも、特に未指定地域群と比較対照群の間で、多くの尺度で有意な差がついているということでございます。これは後の考察のところでも、このことについてのコメントがございましたので、追加をさせていただきます。
 そういうことで、これのことが、個別調査の解析表というものが、また別の解析表のことなのか、よくわからなかったんですが、分散分析表を示してくれということですか。
○佐々木座長 今、資料4の質問の方の話なので。
○飛鳥井参考人 そうですね。3ページの結果の2ですね。個別調査の解析表をお示しいただきたいというのは、こんなことでよろしかったですか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 これは恐らく、資料編の内容のことで結構かと思います。
○飛鳥井参考人 これは、K尺度得点で調整したもの、してないもの、両方、お示しはできます。多分、結果は同じでありますので、統計上の細かいものは、ここに載せております。よろしいでしょうか。
 それから、3がPTSDと診断された症例の詳細、A項目の概要、PTSDの程度等を提示していただきたいということでございます。
 恐らく、この御質問の趣旨は、いわゆる被爆者の方であれば、PTSDの原因となるような、非常に凄惨な体験をしているというようなことで、当然、診断が付いていてもおかしくないだろう。しかし、例えば黒い雨指定地域、黒い雨未指定地域、場合によっては非体験の方までPTSDという診断が付いた方がございますので、そういう人たちは、本当にどんな体験をしているのか。爆心地から離れているのに、PTSDになるような条件があったのか、どうかといったようなことの御確認の質問だと思います。
 それで、実際、私どもは広島市の臨床心理士の人、80名以上の方をトレーニングして、CAPSという構造化診断面接をしておりますが、詳しくPTSDの症状を確認する前に、その人がどういう体験をしたのか、そのとき、どんな気持ちだったのかということを聞いております。全部、その記述が残っておりますので、今回、特に未指定地域、指定地域、非体験群の方だけを抜粋してまいりました。それが9ページ以下でございます。
 それで、その方たちがどんな体験をしているかなんですが、まず、これはそのときの状況として、指定地域、あるいは未指定地域であっても、市内から続々と被爆者の方が避難をしてきております。大変生々しい、凄惨な状況で、けがをされた方たちが避難しております。それで、今回の調査対象者の方は、当時、ティーンエージャーです。8歳以上から19歳ということで、つまり、今で言う小学生、中学生、高校生のときに、突然、衝撃的な爆風とキノコ雲を見て、その後、そういう負傷者が続々と来るというところを体験しているというのが共通でございます。
 それで9ページで、全部ですと長いですので、棒線部分だけを見ますと、例えば最初の方、未指定地域で、これは現在もfullのPTSDで、得点が54、大体、中等度ぐらいの得点ですが、例えば出来事では、お姉さんと一緒に、腹が割れて腸が出ている人を見たり、全身灰色の皮膚が垂れ下がっている人に水をかけてやったり、傷跡にウジ虫が寄生して、その後、その人が死んだのを見たりしたといったような凄惨な状況で、メモのところでは、自分もこれだけ被爆者が発生しているので、今後、後遺症が出てくるはずだといったような健康不安のことも少し触れております。
 2番目の方、この方も未指定地域ですが、現在も53点と、やはり中等度ですが、近所の原爆に遭った人が全身やけどしていたのを見て、数日後ウジがわいていたりして、とても見れぬ状態だった。臭いのだけはよく覚えている。食べるものがないので、市の方から野菜、米など、被爆したものを食べて成長した。小さい子どもの被害についてはよく覚えている。泣いて面倒を見らされたといったようなことで、これもやはり被爆者の目撃体験、あるいは健康不安のことに少し触れております。
 次の10ページですが、これは指定地域の方、いわゆる大雨地域の方です。それで、サマリーシート。サマリーシートというのは、面接者が大体、出来事をまとめて書く欄でございます。PTSDのA基準があったかどうかという判定をするために、ここでまとめておいてもらっています。市内の中学校に行った同級生はほとんど亡くなった。元気だった人が、急に髪の毛が抜けたと思うとすぐに亡くなる時期があり、そのときは自分もいつ死んでしまうかわからないと思う気持ちで不安だった。少し経って市内に行ったときは、骨がごろごろしていたということです。
 そういったようなことで、長くなりますので、そのほかの方も大体同じような、非常に凄惨な場面の目撃体験をしております。
 あとは、11ページです。これは非体験の方でも同じように、お兄さん、家族がそういう凄惨な場面に遭っているというところを書いておられました。
 そういうように、被爆者以外の方も、こういう形でPTSDの出来事基準に十分見合うような体験をされているということで、全例を確認しております。この出来事ではPTSDに見合わないのではないかというような方は、一人もおられませんでした。
 以上がPTSDの診断です。
 それから、結果のところではよろしいでしょうか。今のことについては、何かPTSDの出来事、その他、あるいは全体の結果について御質問があれば。
○佐々木座長 特に何かありますでしょうか。
 また後でまとめて御質問いただきますので、続けていただけますでしょうか。
○飛鳥井参考人 それでは、3ページの考察に移ります。
 まず、1のバイアスの除去についてですが、前回の検討会でも御説明をさせていただきましたが、まず基本調査、これは全数調査ですので、高い回答率を得ておりまして、サンプリングのバイアスは小さいと考えております。それで、63年前のことを振り返っておりますので、リコールバイアスの除去については、当時、幼少であった者の解析対象からは除外しました。8歳以上、少なくとも小学生に達していたという方、それから、個別調査では認知機能のスクリーニングもしておりまして、スクリーニングで問題のある方は除外をしております。
 それから、回答のバイアスについては、先ほど申しましたように、K尺度得点による調整も行っております。ただし、この検討会でも今後、また問題になるかと思いますが、現実に社会制度要求がなされているという中でこういう調査をするということは、当然、いろいろな形での回答バイアスがまじってくるのではないかということは想定されることでございまして、私もいろんな調査にかかったことがございますが、バイアスをすべて除去するというのは、勿論、不可能でございます。何らかのバイアスが入ってくると思います。
 したがって、調査設計に当たっては、単に群と群を比較するということだけではなくて、その得られた結果が、どの程度、妥当なものか、納得のいくものなのかということを検討するために、どのような要因がその差をもたらしているのかを明らかにするということを、むしろ眼目にいたしました。単に差がありましたということだけではなくて、なぜ、そういう差が起きたのかということです。そういうことで、少し結果の妥当性も検討できるのではないかと考えた次第であります。
 そこで、私どもが得た結果は、先ほど言いましたように、群間差に一番寄与していたのは、やはり健康不安、あるいは社会的な偏見だったということで、これについては黒い雨の体験者の方も、指定地域、未指定地域の方も黒い雨の体験をして、実際にそれを浴びている。その後、健康不安が続いているといったようなことがございましたので、それが大きな要因になっていたのではないかと考えた次第です。
 2の健康不安を来した原因ですけれども、この原因は、この原爆による放射線の健康影響の懸念にほかなりません。それで、健康影響を強く懸念していると回答した方の割合は、直爆群では約5割ですが、入市群、救護看護群、それから、黒い雨体験の指定地域群、未指定地域群でもそれぞれ約4割を占めておりまして、ただ、これに比べてコントロール群は14%にとどまっております。
 つまり、黒い雨を体験していない方でも、例えばそのときの野菜を食べたとか、水を飲んだとか、恐らく内部被曝の問題だと思うんですが、そういったような不安というのは一定程度の割合の方が訴えておられますけれども、やはり被爆群、黒い雨体験群と比べれば割合は少ないということが言えるかと思います。
 それから、3です。精神健康機能等の指標において、未指定地域群の結果が指定地域群より悪くなっている理由です。これは前回の検討会でも少し御意見が出たところかと記憶をしております。
 個別調査の結果では、未指定地域群はコントロール群と比較して有意に精神健康指標が悪かったんですが、指定地域群は未指定地域群、コントロール群のどちらとも有意な差はなく、数値上は未指定地域群とコントロール群との中間程度を示しておりました。これは前回御指摘のあった、未指定地域群とコントロール群、2群比較ですと、こういう結果は見えてこないんですが、指定地域との差がどうなのかということで、あえて3群比較をしたんです。それで、3群比較をして、2群間の検定をしておりますので、統計的な検定は十分できております。
 この原因ですが、指定地域群はサンプル数が少なかったということで、勿論、母数が少ないですし、協力してくれる方を選んでおりますので、全体のサンプル数が63と少なかったということも有意差が出にくかったことかと思います。ですから、サンプル数が多くなってくれば、恐らく指定地域とコントロール地域とでも有意な差は出てくるのではないかと思われます。
 それで、今回の調査の結果、明らかとなったことは、現在の精神健康不良に寄与する最も大きな要因は、放射線の影響による健康不安にほかならないことであるということで、これが基本調査の結果からもわかったことなんですが、それを考慮して、この個別調査の結果を見ますと、1つは、いろんな形のバイアスが入っているということも考えられますが、あと、もう一つ大きなことは、やはり制度的に指定地域は健康対策の制度が整えられている。未指定地域はそれが整えられていないということで、健康不安によるいろいろな精神健康機能への影響が指定地域の方が緩和されていて、制度的に整えられていない未指定地域の方が、その健康不安が十分緩和されていないといったようなことの違いも一因としてあるのではないかと考えております。
 それから、最後の提案、今回得られたデータや既存のデータを用いた他の解析法について提案があればお示しいただきたいということなんですが、今回の調査は、設計段階でも解析手法、基本調査は重回帰分析をする、個別調査は分散分析をするということと、測定尺度は少なくとも、それぞれ次元の違うものを3つ取り入れようということをあらかじめ検討決定した上で、質問紙の作成をしております。したがって、本データを用いたほかの解析法は、いろいろ想定はしておりません。最初に解析方法を決めてから質問紙をつくっております。
 それで、これも前回、いろいろな委員から御意見が出たところですが、社会調査という性格上、多くの交絡要因が入ってくるのは避けられないことでございますけれども、質問紙の重さとの兼ね合いで、しかし、それを可能な限り調整することを求められますが、できる限りで調整させていただきました。そういうことで、これをすべて調整して結果を出すということでは、他の解析法ではなかなか難しいのではないかと考えております。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、まず、荒記委員お願いします。
○荒記委員 確認なんですが、これは指定地域と未指定地域、別々に、それぞれの地域で、黒い雨体験者の有無の検討は工夫されたんですか。それと、それぞれの地域で黒い雨を体験したことが健康不安に結び付くというような結果が得られたかどうかです。
○飛鳥井参考人 つまり、体験区分ごとには分けて解析をするということですね。それはやってはおりません。
○荒記委員 それを是非やって、もしくは、それをやっていただいて、それぞれのどの地域でも黒い雨の影響があったということで、私は当然、それは予想しているんですが、私の仮説ではそう出るだろうと思うんです。
○飛鳥井参考人 私どもは、御指摘のように、それは予想して、つまり、体験区分ごとに分けて同じような解析をすることはできますので、同じ結果が出ると思っていますが、それは結果ではお示ししておりません。
○荒記委員 そのデータを得られれば、もっと結論を出しやすい。どうしてかといいますと、地域別に、指定地域、未指定地域というデータ案では、そこはいろんなコンファウンディング・ファクターの入り方が多過ぎてしまって、本当に被爆の影響かどうかが実際にわからない。人間の出入りもありますし、それから、ほかのいろんな影響が地域別に違いますから、どの地域でも黒い雨の影響があったということになれば、この得られた結論はより分析可能になるのではないかと思います。
 そうではないかもしれませんね。それは逆の結果があって、そうではないということになるかもしれません。
○飛鳥井参考人 最初の設計が、まず体験区分間、つまり、言いましたように、基本属性を調整した段階で群間に差があるかどうかを見て、更にそのほかの要因を投入していって、群間の差が消えるかどうか。それで、消えた段階で、どれが一番、大きな寄与をしているかということを出すということでしたものですから、各群全部投入して、1本で解析をしております。御指摘のように、個別の群ごとの同じ解析もできます。
○佐々木座長 ほかにどうでしょうか。
 伊豫委員、どうぞ。
○伊豫委員 少し確認なんですが、PTSDのような体験と、健康不安という、この2つが出てきていますけれども、そのPTSDというものは、そのときの恐怖体験ということで、健康不安というのは、その後、将来、どうなるかという心配であるという、この2つに分けてよろしいのでしょうか。当然、恐怖体験から引き続き心配が生じるということもございますね。
○飛鳥井参考人 そうです。次元としては別なものですが、御本人の記憶の中では結び付いているのではないかと思います。つまり、そういう急性障害で苦しむ人を見た。それで、亡くなる。あるいは親族が亡くなっていく等を見て、自分も同じように、例えばがんを発病するのではないかといったような、健康不安と原爆体験とは結び付いているものなんです。ばらばらにあるものではないんです。
 したがって、PTSDというものの場合は、直接の原因は、そのときの恐怖体験なんですが、そのほかのいろいろな要因が加わると治りにくくなるということがあります。つまり、体に何か病気があると、いや、もしかしたらがんかもしれない、あのとき浴びたから変なのかもしれないと思うと、そのときの被爆の光景がまた出てくるということで、結び付いて動くものですから、精神現象としての次元は違いますが、中でつながっているものだと思います。恐らく、そういうものが強い人ほど、PTSDに限らず、心的外傷性ストレス症状は治りにくいという結果だと思います。
 それで、基本調査の結果で、IES-Rという、これはPTSDの診断までは行かないんですが、PTSD関連の症状の重さを見ることができる尺度なんですけれども、これの尺度も、実は健康不安が最も効いていたんです。ただし、やはり死にそうだったとか、大けがをしたとか、あるいは急性障害で苦しんだとか、ほかの人が苦しむのを見たとか、家族を救えなかったとか、そういったような狭い意味での心的外傷体験が勿論効いているんですが、実はそれ以上に健康不安の方が効いていたということはありました。そういうことで結び付いているんだと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 伊豫委員、どうぞ。
○伊豫委員 そうしますと、次が心配ということになるわけですけれども、懸念というふうにも書いてございますが、それは、その方がある仮説を立てて、それが正しいかどうかということを経験する、または何らかのことによって実証されるということが重要になってくると思います。そうでないと、ずっと心配を持ち続けるということになります。
 別な言い方をしますと、例えば飛鳥井参考人がおっしゃられたように、ある身体疾患があった。そうすると、それはやはり放射線の影響ではないかと心配をされる。そうすると、医療機関を受診などをして、それが放射線の影響であるというふうに言われるのか、それとも、ないと言われるのか、またはその疾患そのものが治癒可能かどうかといったことによって、心配というものは変化する、修正されてくるものだと思います。
 そうしますと、最初にも申し上げましたけれども、ある程度のそういった健康被害が出るという事実が定期的に調べられ、公表されてきているかどうか。または、飛鳥井参考人がおっしゃった個人に当てはめますと、その個人の方々が、やはり明らかに、これは放射線の影響であるということで、更に不安が増強するような因子があったかどうかというのがポイントとしては重要だと思うんですが、なかなか難しいと思うんですけれども、実際に黒い雨を体験された方で、健康不安が大きい方と、ほとんど小さい方では、放射線関連の疾患を実際に発症されている方々で差はあるのでしょうか。そういったものはわかるんでしょうか。
○佐々木座長 これはどうしましょうか。
 飛鳥井参考人、何かございますでしょうか。
○飛鳥井参考人 不安などについては、そういう調査はされていますか。勿論、コホートはないですね。
○佐々木座長 これは、新たな質問として事務局で預かっていただくということにしたいと思います。
 土肥委員、お願いします。
○土肥委員 前回飛鳥井先生もおっしゃっておられますが、バイアスがかかっているということは否定できないと思います。私は荒記先生も言っておられますがこのような研究デザインで、このようなことを聞けば、こういう結果になるのは当たり前だという意見に賛成です。
 と申しますのは、実はここでは恐らく、あなた方は黒い雨の小雨が降ったのを見たでしょうということで、見ました。それは放射線ですと言えば不安が出るのは当たり前なので、バイアスは基本的にはぬぐい去ることができないという印象を受けたところであります。
 私どもは診察する中で被爆者と非被爆者を区別してはおりません。婦長と医事課というのは知っておりますが、本人も知っておるんですけれども、一般の医者とかは、この人は被爆者だからということで特別扱いするような偏見は持って見ておりません。その疾患を治療しているということで、先ほども言いましたように、コントロール群と未指定群と指定群というものがパラドックスになっていること自体が、私にはやはり別なファクターが入っているというように思えます。基本的に、非常に厳密に解析はおやりになっているわけなんですけれども、もとのデータのところで、またもう一回、疑義があるという気がいたしております。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 まだ、いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、少し待っていただけますか。今日は会場の都合などもありまして、また、私自身のこの後の会議などもございまして、時間を厳守したいと思っておりますので、飛鳥井参考人から簡潔に御発言をいただいて、次の大瀧参考人の話に移りたいと思います。
○飛鳥井参考人 それでは、10秒ぐらいで。
 御指摘のとおりで、いろんなバイアスが入っていると思います。ただ、このバイアスですべて、これが原因だろうというものは多分ないんだろうと思います。
 したがって、制度要求の問題も、それから、制度の差による健康対策上の違いとか、いろんなものが入っているとは思うんです。ただ、私どもの結果はその一因を構成しているというのが結論です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、大瀧参考人から、身体症状に関する分析のうち、現在、治療等を行っている病気について御説明をいただき、委員の方からの御質問・御発言を挟んで、黒い雨の降雨時間の地理分布について御説明をいただきたいと思っております。大瀧参考人、よろしくお願いいたします。
○漆原参考人 済みません、1番目の調査項目として選んだ疾病の御説明でございます。これは当初の設計段階の話になりますので、広島市の方から御説明させていただきたいと存じます。
○佐々木座長 よろしくお願いします。
○漆原参考人 この調査の目的は、原爆体験による心身への健康影響を解明する、実態解明に近づこうということでございます。それで、精神健康面だけでなくて、身体健康面での影響についても調べられるだけ調べてみましょうということで入れたものでございます。
 それで、飛鳥井先生の方からも御説明がこれまでもございましたように、PCS-8という指標を使って、身体的健康状態を測定するとともに、この調査項目によって大まかな疾病の罹患傾向をとらえようとしたものでございます。
 基本調査の調査項目として選んだ疾病群につきましては、これは厚生労働省様の方で平成13年、長崎で調査されていらっしゃいますけれども、その調査の項目、あるいは平成17年の原子爆弾被爆者実態調査の項目を参考にした上で設定させていただいたものです。
 中心となる疾病群につきましては、被爆者援護法上の健康管理手当や第一種健康診断受診者証から被爆者健康手帳への切替えの対象となっている疾病群を想定しております。
 それと、2の方でございますけれども、健康管理手当の対象が11疾病ということで、疾病群に分かれております。これらにつきましては、がんや造血機能の病気などがございますので、原爆放射線との関連性が考えられる疾病群でございますから、次のことが予想されたということです。
 まず1つ目ですけれども、被爆群と黒い雨体験群では、現在、病院で診断や検査や治療を受けていると回答する方の割合が、以下、これを有病率と申し上げますが、比較対照群に比べて有意に、恐らく複数の疾病群で高いだろうということを予想いたしました。それと、比較対照群との有病率の差は、直接被爆群において、これは顕著に出るだろう。この2点でございます。
○佐々木座長 よろしいですか。
 それでは、続けて大瀧参考人からお願いいたします。
○大瀧参考人 続けさせていただきます。
 解析の方法ですけれども、得られたデータの精度の検証法とその結果ということで、方法としては、ロジスティック回帰分析を用いました。これは目的変数が1の場合、プラスか、マイナスかというような、今の場合ですと、有病状態にあるか、そうでないかということですけれども、そういった目的変数値が0または1の場合の重回帰分析としてよく使われている手法であります。
 そのモデルの適合度の評価としては、AICという統計基準量を用いました。それから、推定された回帰係数に関する漸近最良不偏推定値に基づくp値を算出し、有意性を評価しました。
 それから、除外例はありません。
 方法としては、そのようなものであります。
 結果まで説明しましょうか。
○佐々木座長 続けていただけますか。
○大瀧参考人 それでは、結果を簡単に要約させて説明させていただきます。
 疾患別にロジスティック回帰分析を適用しまして、オッズ比を指標として、群間、被爆状況との関連性を検討しました。
 その結果、造血機能の病気、次の4ページの脳の病気、内分泌腺の病気、それから、目の病気。この目の病気は、白内障が主なものだと思われます。それから、骨の病気、胃腸の病気、心の病気、それらの疾患に関して、指定地域及び未指定地域、ともに比較対照群よりも有病率が有意に高かったというような結果が得られております。その他の疾患に関しては、特に有意差は検出されなかったという状況でありました。
 それから、考察ですけれども、解析をするに当たって十分なサンプルが得られたかどうかということですが、今回の解析というのは3万7,000人を対象にした調査ということで、調査の規模としてはかなり大きな方だということでありまして、一定の傾向は得られているのではないかと思われます。
 ただし、白血病とか部位別の固型がんなどの中には比較的病悩期間の短いものがありますので、そういったものについては断面調査で有病状況のリスクを評価するというのは非常に難しいということがあります。そういった一部の疾患に関しては、サンプル数が十分ではないとも考えられます。
 それから、これは反省すべき状況ではあるんですけれども、喫煙習慣とか飲酒習慣などの生活様式の情報が調査に含まれていれば、より正確な解析が可能であったのではないかと思われます。今回は残念ながら、そういうものがなかったということです。
 いわゆる交絡要因の影響に関する調整についてですけれども、男女込みの解析を行った場合に、性別を唯一の交絡要因として調整を行ったにすぎません。
 得られた結果から一定の傾向が導き出されたかどうかということに関しては、複数の、先ほど申しましたような、疾病群において被爆群及び黒い雨体験群の有病率が比較対照群と比較して有意に高いということがわかりました。
 それから、これは今回の直接の目的ではないですが、やはり直接被爆群における有病率が最も高い状況が多くの疾患において得られました。また、各疾病群において、指定地域群と未指定地域群では、基本的に有病率に有意な差は検出できなかったということです。
 それと、71歳以上と71歳未満で分けた理由はどういう理由かということと、その結果、どんなことがわかったかということについてですが、被爆当時の71歳以上で分けた理由としては、被爆当時の記憶の確からしさが異なるものと考えられたということです。被爆当時の年齢から言えば、71歳というのは7歳前後だと思いますけれども、また、77歳未満の場合、放射線感受性というものがそれ以上の年齢に比べてやはり高い可能性があるのではないかということも、記憶の確からしさと別の意味で分ける理由として挙げております。
 その結果から申しますと、記憶の確からしさの違いについては、これらの分析結果からはよくわかりませんでした。それから、被爆時年齢の違いによるものなのか、また、71歳以上と71歳未満という調査時年齢の違いによるものか、わからないですけれども、両群間の有病危険度と被爆状況との間の傾向の違いのあるものが幾つかありました。
 それから、ほかの考えられる解析法として、特に思い付くようなものはありません。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ここで一旦、切らせていただいて、御質問や御意見がありましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 記憶の確からしさ云々という話は、要するに被爆区分といいますか、黒い雨を体験したかどうかということについて、少し情報といいますか、本人の記憶があいまいかもしれないという意味ですか。
○大瀧参考人 それも含まれていると思います。
○柴田委員 ほかは何ですか。病気自体は年を取ってから起こしているわけですから、別に0歳であろうと、それは40歳とかで起こすわけですから、記憶の確からしさというのは関係ないということですね。
○大瀧参考人 ここには特に挙げていなかったのですが、急性症状があったかどうかというようなものがありましたので、その辺りは本人の記憶というものもかなり入ってくるのではないかと思われたわけです。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 では、その急性症状の有無を今回の解析の中に情報として入れられているわけですか。
○大瀧参考人 いいえ、今回、発表している内容の中には入っていません。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 ということは、余り必要なかったのではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○佐々木座長 ほかに何か御発言はありますでしょうか。
 もし、ないようでしたら、引き続きまして、黒い雨の降雨時間の地理分布について、大瀧参考人から御説明をいただきたいと思います。資料6の10ページからになります。
 それでは、まず、漆原参考人からお願いします。
○漆原参考人 調査設計の項目につきまして、2点、広島市の方から御回答いたします。
 まず、降雨域の推定を行うのに最も適切と考えられたデータの収集方法と解析方法はどのようなものかということでございます。資料の13ページの方に別紙を付けておりますので、そちらの方をごらんいただければと存じます。
 これは柴田先生だったと思うんですけれども、御指摘がありましたとおりでございまして、理想的な調査ということであれば、昭和20年8月6日に広島市とその周辺にいた者全員を把握して、調査内容として、全対象者の8月6日の行動記録、時間ごと、その時間にどこにおられたか、周囲の状況はどうだったかというふうなことを全部調べまして、黒い雨をそこで体験されたかどうか、それを解析すれば、その時刻の、その地域の黒い雨の体験率が出てまいります。これは分母と分子がはっきり出てまいりますので、その中で判定をしていくということは可能であろうと思います。
 ただ、これにつきましては、かなり現実としては難しいということで、中段の四角の方に囲ってありますけれども、まず、広島市とその周辺にいた者全員を把握できるわけではないというのが1点ございます。
 あと、今回、抽出調査をしておりますので、その抽出対象者でそれができないかということになろうかと思いますが、被爆後63年を経過した時点での調査でございます。それで、調査対象者が高齢化しているという中で、8月6日の当日の行動を思い起こしていただくということが、要はその日の一日の、朝起きたときから寝るまでの間、大体、何時ぐらいから何時ぐらいの間、どこにいて、その間、どういうことが起きて、そのとき、雨が降っていたかどうかというようなことを思い出していただくことが本当にできるのか。恐らく、多くの方は難しいであろうというふうなことを考えておりました。
 一方で、調査全体でのバイアスの除外を図るため、できる限り有効回答数を確保するということがございます。したがって、回答に困難が伴うような質問がございますと、有効回答数が大きく減ってしまうというふうなことも考えられましたので、今回の調査では、まず対象として全員というのは難しゅうございますので、原爆投下前から現在の広島市とその周辺に居住し続けていることが住民基本台帳等で確認できた方全員に対して、実は調査票の方をお送りさせていただきました。
 ただ、広島市は昭和20年代、25年ぐらいがピークになるんですけれども、原爆で壊滅をいたしましたので、実は区画整理事業を大々的にやっておりました。その当時、広島市内から周辺部の五日市町とか、周辺の市町村に転居された方がかなりいらっしゃいます。その住民基本台帳上の記録はどうなっているかといいますと、広島市から転居されて、例えば五日市町であれば、五日市町に転入されたというふうな記録になっております。その後、広島市の方に昭和50年代になりまして合併をしておりますので、あるいは昭和40年代の後半ぐらいから周辺町を広島市は合併をいたしました。それで、昭和54年に政令指定都市になっております。
 そうした事情がございますので、今回、住民基本台帳で、昭和25年から27年に転入された方も一応、これを本来の比較対照群にしようとして発送したんですけれども、現実には広島市内から転出をされて、そこに住まわれた方が思ったよりも非常に多くて、実は原爆の体験のおありのある方は、その転入部の方にかなりあったということで、今回、比較対照群にならなかったというような事情もございます。
 調査内容でございますが、その場面場面、その時刻時刻での記憶は確かに難しいけれども、まず黒い雨を体験したかどうかというのは、多分、覚えていらっしゃるだろう。黒い雨を体験した場所も、場合によっては覚えていらっしゃる方が多いであろう。それと、時間も大体、何時ぐらいから何時ぐらい、当時の方は、腕時計を持っておられる方は少ないと思われますが、大体の感覚の時間で、この時間帯ぐらいは降ったねというのは、多分、そういった記憶のある方もいらっしゃるだろう、多いであろうということで、この3つのことに絞って実はお聞きをしております。
 それで、解析としては大瀧先生の方から後ほどあろうかと思いますけれども、黒い雨を体験した場所と、降り始めからやむまでの時間から降雨時間の地理分布を求めて、降雨地域を推定するという方法を取らせていただいたということです。
 最初の理想的な調査は非常にわかるんですけれども、現実にはなかなか難しいということを御理解いただければと存じます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 引き続き、大瀧参考人から御説明をお願いいたします。
○大瀧参考人 それでは、解析の方法から説明させていただきます。
 先ほど漆原さんから説明があったようなデータに基づいて、降雨時間データに対して位置座標、これは緯度と経度ですけれども、それを説明変数とする局所線形回帰モデルとリッジ回帰分析法というものを組み合わせたノンパラメトリック平滑化法を適用しました。
 黒い雨の降雨時間については、黒い雨の体験者にとっても降りやんだ時刻が降り始めの時刻と一致する場合、時間の単位を分単位ではなくて何時という、例えば9時とか、10時とか、11時とか、そういった単位でしか情報が得られていないために、降り始めの時刻と降りやんだ時刻が一致するということも生じておりますが、降雨時間の長さが0時間と書くよりかは、結果的に0時間となるということは心理的に避けたいということが働いたのかもしれません。結果的には、降り始める時刻プラス1時間が降りやんだ時刻になっているケースがかなりあるものと想像されました。
 そういった意味では、かなりバイアスが入っているデータを対象にせざるを得なかったわけですけれども、データの信頼性についてですが、降雨時間の点だけを除けばほぼ精度の高いものが得られているのではなかろうかと思われます。昔の思い出し法による、記憶に基づくというようなこともありますので、中には信頼性の低いデータも混入しているものと思われます。
 それから、バイアスの除去ですけれども、被爆当時に幼年者であった、非常に年齢が若かった者については、記憶の不確からしさによるデータのバイアスというものも考えられますので、年齢が71歳未満の者を解析対象から除外しました。
 それから、地区単位にデータを集約したときに、位置情報を説明変数とするために、どうしても位置が特定できる建物、役場とか学校、そういったものにデータを集約せざるを得なかったんですけれども、そのために、有効データが地区単位で10個未満のものについては、地区単位で解析の対象から除外しました。
 降雨時間が0時間となったものについて、その頻度がかなり多いはずなんですけれども、というのは、どうしてかといいますと、30分未満のものは時間を単位とすれば0になるはずですが、1時間以上の場合に比べてかなりそれが少なくなっていたということで、局所線形回帰モデルを適用する際に、リッジ推定法という手法を適用する際に、規定値を0というふうに設定しました。それによって、少しは降雨時間のインフレーションといいますか、0時間がかなり少ないということに関するバイアスの調整をしたつもりであります。
 それから、降雨域の推定誤差についてですけれども、今回得られる降雨時間の誤差分布、これは条件つきのものですが、地区単位での揺らぎと考えてもらってもいいですが、その分布は正規分布からはかなりほど遠いものでありまして、といいますのは、どうしても離散的な要素が入ってきます。0とか、1とか、2とか、そういったものでありますので、母集団の分布を特定するということが非常に難しかったということです。それで、降雨域の誤差の推定をすることは、今回はできませんでした。今回の解析では、降雨時間が0以上となる範囲を点推定したものなので、その境界線に関する区間推定も行うことができておりません。したがって、誤差の大きさがどの程度あるのかということについては、このデータからは恐らく評価できないんだろうと思います。
 なお、降雨域を降雨時間が0以上の領域としたことについては、本来の降雨域の定義としては、降雨量が1mm以上あった区域というふうに定義すればよかったのでしょうけれども、そういった定義が適用できるようなデータではなかったということです。これについては、今後もそういったデータを取れる可能性はないのではないかと思われます。
 今回の解析法は、現在適用可能な解析の中で、最良のものであるというふうに考えております。
 以上です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、御意見を伺いたいと思います。
 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 ありがとうございました。
 少しわからないところがありますので、教えてください。
 まず、解析方法について説明されている、これは資料編で出されている、先生が書かれた119ページから先です。
 よろしいですか。
○大瀧参考人 はい。
○柴田委員 ここで、まず降雨時間の定数変換値と書かれているんですけれども、これは私自身、聞き慣れない言葉なので、どういう意味か、教えていただけますでしょうか。
○大瀧参考人 これは降雨時間の変換値で、定数というのは不要でした。済みません。
○柴田委員 計算は、線形変換なんですか。
○大瀧参考人 いろいろやっているんですけれども、この場合は線形変換でいいと思います。
○柴田委員 要するに、もとのデータではなくて、変換された値を使われた理由は何ですか。
○大瀧参考人 いろいろ試してみたんですけれども、その分布がよくわからなかったということがありまして、その中で最もよさそうなものを探したということです。
○柴田委員 次に、そのモデルなんですが、これはpというものが、多分、黒い雨が降ったと言われている人の、グループにしたときの地点と思っていいですか。
○大瀧参考人 そうです。
○柴田委員 そうすると、それ以外のX、Yという座標で表されるような地点の人が、その場所で降る降雨時間というものが、そこのような局所線形と言われているもので書かれているんですけれども、近傍自体は別に狭いという概念はないと思うので、そうすると、この?、Y座標を持っている地点は、いろんな場所の近傍にも入っている可能性はありますね。
○大瀧参考人 結果的には、そんなに広くはないんですけれども、これも最適化してあります。
○柴田委員 その最適化というのは、どういうふうにするんですか。要するに、場所は3か所、4か所とか、こうあったときに、そのpという場所からはこれ、p’だったらまた別でしょう。
○大瀧参考人 はい、別です。
○柴田委員 そうすると、降雨時間というのは違ってくるはずですね。
○大瀧参考人 はい、違っています。
○柴田委員 その辺は、どういうふうにされるんですか。同じ場所なんだけれども、降雨時間は違っているということですが。
○大瀧参考人 そのpの周りでの降雨時間の長さというのは、線形に近いものというふうに考えたわけです。それで、その近傍の大きさはクロスバリデーションという方法で最適化しております。
○柴田委員 具体的に聞かせていただきたいんですけれども、ある地点X、Yがある。その地点というのは、要するに黒い雨が降ったと答えた人といいますか、その集まりがある場所の近傍として定義されているわけですから、そうすると、それはいろんな場所の近傍にもなっていますね。
○大瀧参考人 そうです。
○柴田委員 そうすると、その値というのは、パラメータが違ってくるわけですか。
○大瀧参考人 そうです。
○柴田委員 そうすると、pとp’という場所を考えたときに、p’という場所はpの近傍にもあり得るわけですね。
○大瀧参考人 そうです。
○柴田委員 そのときは、どんなふうになるんですか。
○大瀧参考人 pとp’が近ければ、係数の値はかなり近くなる傾向はあると思います。
○柴田委員 遠ければどうでしょうか。
○大瀧参考人 遠ければ、ほとんど関係ない、むしろ全然違ったものになってもおかしくないです。
○柴田委員 もう一つ、解析の段階で降雨時間を考えていて、つまり、降り始めの時刻といいますか、その条項を捨象している理由は何ですか。
○大瀧参考人 降り始めの時刻を捨象ですか。
○柴田委員 つまり、ある場所では9時とか10時とかから降りました。そして、そこから1時間、2時間。だけれども、別の場所は、例えば11時から降った。それで、また2時間としたら、それは時間としては同じですね。
○大瀧参考人 時間の長さが同じであれば、同じです。
○柴田委員 でも、降り始めの時刻は違うでしょう。
○大瀧参考人 そうですね。
○柴田委員 それで、降り始めの時刻を考慮されなかった理由というのは何ですか。
○大瀧参考人 それはあくまでも、時間はともかく、降ったと言われている領域が、大体、どういうふうに地理的に分布しているのかを見るためには、降り始めの時刻というものは、その解析においては本質的ではないのではないかということです。
○柴田委員 ということは、先生は一度に、あの最終的につくられた場所にほぼ同じ時刻に降っているんだというふうに想定されているわけでしょうか。
○大瀧参考人 いや、そういうことではないです。要するに、時刻はともあれ、降った時刻にはかかわらず、その地点を固定するごとに、結果的にどのくらいの期間の長さ、降雨があったかということを解析したわけです。
○柴田委員 まだよくわからないんですけれども、それでは、黒い雨が降るメカニズムについては、どういうふうに考えられているんでしょうか。
○大瀧参考人 原爆の爆発直後の強い上昇気流に伴って、ちょうど夕立の大規模のようなものだと思いますけれども、積乱雲が発生して、それから雨が降った。その後、火災による上昇気流も加わって、普通の夕立に比べればかなり長い時間かかって降雨があったと考えています。
○柴田委員 それは、いわゆる物理の人たちの一般的な考えと理解してよろしいんですか。
○大瀧参考人 先ほど私が申し上げた見解とほぼ同じだと思います。
○柴田委員 それでは、その積乱雲は、やはり動いていくような感じを持っているんですけれども、そうではないということですか。
○大瀧参考人 いや、実際に動いていっております。
○柴田委員 それで、動いているということは、降雨開始時刻がいろいろ違うわけでしょう。
○大瀧参考人 そうです。
○漆原参考人 先生、報告書の21ページをごらんいただければと思うんです。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 少し時間が押しておりますので、柴田委員、最後ぐらいでよろしゅうございますか。
○柴田委員 それでは、1つだけ、要するに回答した人の降雨時刻がどんなふうに移っていっているかというのを見れば、その回答の精度といいますか、その辺が少しはつかめるのではないかと思って御質問したんです。
○大瀧参考人 そういった見方の解析も行っております。報告書にも、その一部を出させていただいております。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 伊豫委員、どうぞ。
○伊豫委員 先ほど、私が質問、コメントさせていただいたものとも関係するので、これは確認で教えていただきたいんですが、この健康影響に関する調査で、実際に、この黒い雨などとの関係から放射線の被曝による疾患が出たかどうかというのは非常に重要なので確認したいんですが、こちらの報告書の方の114ページに、貧血など造血機能の病気のというものがあります。付表の1-2で、71歳未満で、未指定地域群で一番高くなっているんですが、これはどのように御説明されるのかということや、また、これ全体が放射能との関係で一貫性が取れるものなのかどうかを教えていただきたいんです。
○大瀧参考人 率直なところ、わかりません。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 まだ御質問があろうかと思いますけれども、そろそろ、先ほど申し上げたような事情もありまして、最後の御議論に入りたいと思っております。
 飛鳥井参考人、大瀧参考人、漆原参考人、どうもありがとうございました。本日、いろいろと御説明を伺い、この調査の内容についても大変よくわかってきたかと思います。バイアスについても、いろいろ御苦労をなされておられるということもわかりましたが、なかなか除去するのが難しいということも理解いたしました。
 また、身体的な疾病症状と放射線との関係、あるいは黒い雨の降雨域に関しましても、いろいろ不確かなところがある中で、特に記憶によることでありますので、なかなか明確にならない部分があるということも理解したかと思っております。
 それで、これまで4回にわたって原爆体験者等健康意識調査などについて、さまざまな方に御参加いただきまして、議論をしてまいったところでございます。提出された報告書については、おおむね全体像を把握することができたのではないかと思っております。
 一応、これで参考人に御出席いただいての議論は一区切りをしてはいかがかと思っているのでございますが、また、さらなる分析についての御提案も幾つかございました。皆様からここで、今後の進め方について御意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 伊豫委員、どうぞ。
○伊豫委員 繰り返し申し上げていますが、健康不安と健康影響というものは、相互作用が非常に強いものでございます。それで、今回の御報告では膨大な資料がございます。更に掘り下げて、ワーキンググループ等をつくっていただいて、その辺も踏まえた御検討をいただければと思います。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 ほかにはございますでしょうか。
 漆原参考人から何かありますか。
○漆原参考人 今は進め方についての議論でございますか。
○佐々木座長 そうです。
○漆原参考人 済みません、それでは、私の方から申し上げることはございません。
○佐々木座長 今、ワーキンググループをつくって、更にテーマごとにもう少し掘り下げる必要があるのではないかという伊豫委員からの御意見が出ましたけれども、事務局に伺いますが、そういうワーキンググループをつくって検討するということは可能でしょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 その点につきましては、検討させていただければと思っております。これまでいただいた資料と、委員の先生方からの御意見等を踏まえまして、対応させていただければと思います。
○佐々木座長 テーマとグループのメンバーというようなことが問題になろうかと思いますので、私も事務局ともよく相談して、ワーキンググループを設置する方針で検討したいと思いますが、局長から何かございますか。
○外山健康局長 今後、ワーキンググループで検討していただく際に、今、いろいろ御説明があったのは、黒い雨を体験していない人よりも体験した方がいろいろ主観的に、健康状態が悪いというデータがわかった。あるいはそうでない、少し矛盾するものもあったということですけれども、今、我が方が行政で問題にしようとしているのは、黒い雨が降った特定の地域の方が健康状態が悪いといった場合に、その地域を拡大するかどうかということが問題になるという論点なんですが、今後、ワーキンググループの方でそういった分野まで検討していただければ、もう少しわかりがいいのかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○佐々木座長 ありがとうございました。そういったことも含めて検討させていただきたいと思います。
 漆原参考人、何か御発言はありますか。
○漆原参考人 まず、平成17年度末の広島市の人口と被爆者健康手帳の所持者数についてです。110万人と7万人というふうに申し上げましたけれども、平成17年度末、広島市の人口は115万4,169人でございます。それに対して、手帳の所持者が8万509人でございます。ただし、このうち2,000人ぐらいが、たしか在外の被爆者でございますので、広島市内にお住まいの被爆者はもう少し下がると思います。この115万人と8万人の比は、おおむね7%でございます。
 それと、進め方のお話もございましたけれども、少し僭越ではございますが、これで今日の会議が終わりますので、最初に委員、事務局の厚生労働省様におかれましては、福島第一原子力発電所の事故対応に従事もされながら、時間を割いて検討会を開催していただいておりますことに、まず心から感謝を申し上げる次第でございます。
 さて、今回、広島市で実施し、とりまとめた、この調査報告書でございますけれども、これまで複数の委員の方から御指摘もございましたとおり、原爆放射線と身体的疾患についての医学的な検証を目指したものではございませんし、第一種健康診断特例区域やその周辺地域において、原爆がもたらした放射性物質や、その線量の検証を目指したものでもございません。過去に起きた物事の真実を明らかにしようとする場合は、物的証拠となる物理的な事象と、人的証拠である証言が重要であるということは言うまでもございません。このうち、66年前の物理的な事象を明らかにするということは、科学の発達した現代においてもなかなか困難であるというふうなことは理解しております。
 未指定地域の住民の原爆放射線と身体的疾患につきましては、住民が被爆者援護の対象となっていない。したがって、研究の対象とはなってまいりませんでした。したがって、医学的な評価はまずないのではないかと考えております。また、原爆がもたらした放射性物質につきましては、1950年代の大気中の核実験のフォールアウトの影響によりまして、見出すことすらなかなか難しいという現状もございます。こうしたことにつきましては、土肥先生、米原先生始め、皆様、大変よく御存じのとおりでございます。
 このような状況の中で、原爆被害の実相を人的側面から、証言に科学的な分析を加えて明らかにできないかということで取り組んだ調査が、この原爆体験者等健康意識調査でございます。今後、ワーキンググループを設けられるということで、更に御議論を深められていくに当たりまして、こうした観点からも御審議いただきますよう、切にお願いを申し上げる次第でございます。
 また、未指定地域の住民は被爆者同様、高齢化が着実に進展しております。皆様、大変お忙しい方ばかりで本当に恐縮でございますけれども、できるだけ早く結論をお出しいただきますよう、お願いを申し上げます。
 申し訳ございませんでした。ありがとうございました。
○佐々木座長 どうもありがとうございました。
 それでは、次回はワーキンググループの設置と検討内容について議論をすることとしたいと思います。事務局では、委員の先生方と相談しながら準備をお願いいたします。
 時間もまいりましたので、本日は、この辺で終了させていただきたいと思います。
 事務局から何か補足の御発言はあるでしょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 次回の日程につきましては、まだ決まっておりません。改めて調整をさせていただきます。
 それから、ワーキンググループの設置につきましては、御助言いただきながら進めてまいりたいと思いますので、御協力方、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○佐々木座長 それでは、これで本日の会合を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。


(了)
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