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2011年11月16日 第6回「多様な形態による正社員」に関する研究会

職業安定局派遣・有期労働対策部企画課

○日時

平成23年11月16日(水)10:00~12:00


○場所

職業安定局第1会議室


○出席者

佐藤座長 島貫委員 武石委員 橋本委員 久本委員


○議題

(1)アンケート調査の結果について
(2)ヒアリング調査の結果について
(3)今後の進め方について
(4)その他

○議事

○佐藤座長 おはようございます。
 ただいまから「『多様な形態による正社員』に関する研究会」の第6回会合を開催させていただきます。
 本日は津田政務官に御出席いただいています。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、生田派遣・有期労働対策部長は国会の関係で今日は御欠席ということですので、御了解いただければと思います。
 早速本題に入りたいと思います。
本日の議題は3つあります。1つはアンケート調査の結果、2つ目はヒアリング調査の結果です。アンケート調査は企業調査と労働者調査があります。それと、そろそろとりまとめの時期にもなってまいりますので、今後の進め方、特に最終的な報告書をどうつくるかについて議論をするということが本日の議題です。
 議題の順番は異なりますけれども、今後の進め方について先に御説明して御議論いただければと思います。
 今後の最終的なとりまとめの姿を見ながらスケジュール、議論を考えていかないと、時間の制約もありますので、そういう意味で調査結果について議論する前に、まず最終的なとりまとめの方向、姿について御説明いただいて、それから、調査の結果について議論したいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○派遣・有期労働対策部企画課企画官 それでは、事務局の方からこのとりまとめに向けてということで、資料4の方で簡単に御説明をさせていただきます。
 まず、資料4の「1.好事例集について」というところでございます。
 こちらの方はいわゆる報告書的なものでございますが、本文、研究会での御議論のまとめたもの。
 内容としては2つ目に好事例について、特に好事例となる10~15社程度についてピックアップする形で考えております。具体的にはワーキングチーム、またこの議論の場で御議論いただければと思います。
 3番目にアンケート調査結果の概要、ポイント部分を付けるという形で、こちらを公表資料と考えております。
 好事例集とは別に、委託事業の成果物としてみずほ総研さんを中心に資料集を作成していただくということで、アンケート調査結果の詳細、ヒアリング事例詳細ということで原則すべてのヒアリング結果について収集していただくことを考えております。
 「2.今後の研究会スケジュール」でございますが、別紙をご覧ください。10月まではこれまでもう終了しておりますので割愛させていただきます。第6回、本日につきましては11月16日のところでございまして、アンケート調査の結果と、ヒアリング調査の結果について後ほど御報告、御議論いただくこととしております。
 会議としては、第7回につきましては12月中旬を予定しておりまして、こちらの方はアンケート調査結果、ヒアリング調査結果についてとりまとめをいただく。
 そして、第8~9回というところで、年明けに研究会における議論のまとめに入っていただくことを考えております。
 なお、2月に好事例集を活用して、東京、大阪の2労働局で事業主向けセミナーの実施を予定しているところでございます。
 3点目、今、申し上げた労働局における事業主セミナーの開催予定でございますが、東京局、大阪局ともに参集規模については100社程度を予定しております。
 内容につきましては、有識者による講演では委員の先生に講演をいただくということで考えております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○佐藤座長 もともとこのプロジェクトの最終のアウトプット、好事例集ですけれども、これは企業の方や組合の方に自社で、あるいは労使で多様な形態の正社員を導入するときの基本的考え方、背景にはなぜこういうものが必要なのかとか、導入する場合の留意点、やはり従業員に納得してもらえて公平な仕組みとしてつくっていくというような、そのときのいろいろな留意点が少し整理されていて、その中に例えば雇用区分の設計の仕方とか相互の転換の仕方とか、幾つか論点が出てくると思いますけれども、そのときに幾つか例も含めて書かれているのが?になると思います。
 それに加えてもう少し具体的に実際導入しているところの企業の事例が?を見ればわかるし、?で使っているアンケートも大体わかるようなものがイメージされているのかなと思います。
 大事なのは、これは年度に終えないといけないので、最後普及までが入っているということで、2月のセミナーまでに何か資料ができていなければいけないということです。
 ですから1の?は少しずれてもいいのですけれども、何もものがないとセミナーをやれませんし、来た企業の方に情報提供ができませんので、そういう意味では??はやや先行しながらというのが事務局の御提案です。
 ですから、多分???でそんなにめちゃくちゃ厚いものではなくて、多くの方に見ていただく、?を読めば大体基本的な考え方がわかるというような、全体の資料集の方に詳しく載っているというようなイメージです。
私はちょっと度忘れしたのだけれども、好事例集はたくさん刷るのでしたか。
○派遣・有期労働対策部企画課企画官 そうです。セミナー等で配布することを予定しております。
○佐藤座長 そういうようなことですけれども、いかがでしょうか。
 セミナーはメンバーの講演と企業の事例報告みたいなものもある、それはこれから詰めることになりますか。
○派遣・有期労働対策部企画課企画官 はい、具体的にはこれから検討したいと思います。
○佐藤座長 よろしいですか。勿論具体的に、特に本文のところが大事になると思いますけれども、どういうような論点というのはまたおいおい議論していくことになります。今日は大枠とスケジュールでよろしいですか。
 それでは、こういう形で進めさせていただきます。
今日は調査結果の概要について御議論していただくということですので、まず最初にアンケート調査結果について御議論していただきたいと思います。
今日は前回と続けてですけれども、御報告いただくのは好事例集の?に含めるような形、そういう意味では全体ではなくて?本文に関わるような論点のところを切り出した形で、まだ十分精査されていませんけれども、そこのイメージとして報告していただきます。
つまり?がまだできていないわけですけれども、企業、組合へ情報提供する、ただもう少しこういう情報があったらいいかなみたいなものは後でまた伺えればと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
○みずほ情報総研福田コンサルタント それでは、企業アンケートの調査結果の概要につきまして御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1のアンケートの概要です。
「実施概要」としましては、今年度の7月19日~8月10日まで、震災の被害のあった岩手、宮城、福島を除きます全国44都道府県に所在する正社員数300人以上の全企業1万1,170社を対象といたしました。有効回答者数は1,987社で、回収率は17.8%です。
 今回の調査では、企業ごとに集計したものに加えまして、雇用区分ごとに集計しているものがございます。1社につき最大3区分書いていただく欄があったのですけれども、その雇用区分を1ページの下のところ、「集計に用いるカテゴリーの定義」ということで、ここに定義を書いて分類をしております。
まず、一番最初に「いわゆる正社員」と呼んでおります一般的な正社員をここで定義しています。
「いわゆる正社員」に当てはまるのは、抽出条件(1)就業規則や労働契約で、仕事の範囲を限定していないし、実際も限定されていない。
(2)労働時間が、ほかの列、これはほかの雇用区分なのですが、ほかの雇用区分の労働時間と同じ、あるいはほかの雇用区分より長い。
(3)就業規則や労働契約で勤務地を限定していない。
(4)就業規則や労働契約で所定外労働を行うことがあるという旨を定めている。
この4つにすべて当てはまる雇用区分を「いわゆる正社員」の区分と定義をしております。まず、この「いわゆる正社員」の区分を一旦分けてしまって、残りのものをまた下の条件で定義をし直しています。
次に「多様な正社員」ということで、職種限定、労働時間限定A、労働時間限定B、勤務地限定という区分を設けております。
職種の限定は、就業規則や労働契約で仕事の範囲を限定していないけれども、実際は限定されているという区分と、就業規則や労働契約で限定しているという区分です。
労働時間Aは所定労働時間が他の区分に比べて短い、労働時間限定Bが労働時間は問わず、就業規則や労働契約で所定外労働を行うこともあると定めていない。
勤務地限定が、就業規則や労働契約で勤務地を転居を伴わない地域への異動に限定している、あるいは就業規則や労働契約で採用時の勤務地のみに限定しているという区分の条件を設けております。こちらはマルチアンサーになっておりますので、職種限定と労働時間限定Aに1つの区分で当てはまるというようなことも起こっております。
これらを全部とってしまって、「いわゆる正社員」にも「多様な正社員」にも当てはまらない残りのものを「その他限定正社員」と、幾つかの条件の設問に無回答である会社がありましたので「一部無回答」と定義をして、今後集計をしております。
では、2ページにまいりまして、「回答企業の属性」を確認させていただきます。
主たる事業内容は、サービス業が40.6%と一番多くなっておりまして、次いで製造業、小売業の順に多くなっております。
(2)で事業所について載せておりますが、企業1社当たりの事業所数の平均は27.3か所で、本社から転居を伴う異動を必要とする事業所を持つ企業は全体の58.8%、6割弱になっています。
正社員数のところで、今回300人以上の企業を対象としておりますが、それはデータを取得した時点ですので、実際は299人以下というところも14.6%入っております。一番多いのは300~499人の39.3%です。
(4)のところで、先ほど御説明した各条件によるカテゴリーに当てはまる企業数、雇用区分数、従業員数を表にしております。全体で1,987社あって、最大で1社につき3区分書くことができますので、1社につき複数区分を書いているところもありまして、雇用区分数は全部で3,245。従業員数は概算になるのですけれども、157万6,996人を一応全体としております。
各区分に分けたのが以下のとおりで、各限定のみとしているのは、1区分の中に職種限定だけがある区分がのみとなっておりまして、マルチアンサーですので職種限定と何かほかに持っているという会社は右の吹き出しの中の職種限定ありには含まれるという形になっております。
3ページに載せておりますのは企業数ではなくて、雇用区分数の各カテゴリーに当てはまる数を便宜上モデルにして載せておりますので、御確認いただければと思います。
4ページからは集計結果の概要について載せております。
まず1つ目に、多様な正社員区分、何か限定がある働き方の雇用区分の導入の背景ということで、導入したい理由、導入した理由を聞いております。
現在雇用区分が1の企業と現在2以上持っている企業に分けてここでグラフにしているのですけれども、現在雇用区分が1の企業では今後設けたい理由で、今、2つ以上持っている企業では現在複数区分を設けている理由ということでお聞きしております。
現在雇用区分が1の企業では、ワーク・ライフ・バランス支援のため、優秀な人材を確保するため、従業員の定着を図るためとの回答が多く、その上位3位までの回答は雇用区分が2以上の企業でも変わらないのですけれども、ワーク・ライフ・バランス支援のためという回答が23.7%となっておりまして、今、雇用区分が1の企業よりも少なくなっています。
5ページにまいりまして、今度は正社員に複数の雇用区分を設けていない企業に、そのいない理由を聞いたものが図表2となります。
最も多い回答としましては、「正社員は、そもそも多様な働き方が可能であるから」というもので、ほかには「労務管理が複雑になるから」、その他2割を超える回答としては「非正社員を積極的に活用しているから」「全事業所が転居を伴わない範囲内に立地しているから」などがございました。
6ページにまいりまして、次は、働き方に限定のある多様な正社員区分の設定状況、制度の概要について載せております。
「(1)企業における雇用区分の設定状況と各雇用区分の従業員数」ですけれども、先ほども見ましたとおり、いわゆる正社員の雇用区分を導入している企業は1,379社、一番下の行になります。これが全体の69.4%で、この雇用区分の従業員数を概算で出して、全体の従業員数から見たところ、64.2%程度でした。
一方、多様な正社員の雇用区分を導入している企業は999社であり、この雇用区分の従業員割合は、概算ですけれども32.9%となります。今回多様な正社員というのは職種限定、労働時間限定、勤務地限定の3つを使っているのですが、それ以外に何か限定がありますかと尋ねた設問では、77.1%の企業がそれ以外にはないと回答していまして、それ以外にもあるとした企業が2割程度ございました。
次に7ページにまいりまして、「『多様な正社員』区分における性別従業員割合」を表したものが図表5-1と5-2です。
まず、いわゆる正社員と多様な正社員を比較してみたところ、どちらも「ほとんど男性である」「男性の方が多い」との回答が多く、特にいわゆる正社員の区分では約8割が「ほとんど男性である」「男性の方が多い」という回答でした。
限定のパターン別に見たものが5-2でございますが、職種限定ありの区分、労働時間限定Bの区分では「ほとんど男性である」「男性の方が多い」という回答が多いのですけれども、労働時間限定Aと勤務地限定の区分では「ほとんど女性である」「女性の方が多い」という回答の割合が高くなっておりました。
次にまいりまして、「『多様な正社員』区分の導入時期」を見たものが図表6-1、6-2です。
いわゆる正社員と多様な正社員の区分はどちらも2000年代にその区分を導入したという回答が最も多くなっています。
多様な正社員の区分について6-2で見てみますと、職種限定あり区分、労働時間限定Bの区分では1980年代以前が33.1%と割合が高くなっています。
労働時間限定Aと勤務地限定は2000年代に新たに導入されたという区分が多くなっています。
9ページにまいりまして、労働組合の有無別に多様な正社員の導入状況を見ております。こちらは正社員のみの労働組合、正社員と非正社員を組合員とした労働組合、労働組合がないという選択肢を3つ設けておりますけれども、さほど多様な正社員の区分の導入状況に差はないかなといった状況になっています。
9ページの下、「『多様な正社員』区分の運用実態」ですけれども、職種限定についてまとめているのが図表8です。全体の58.4%が制度でも実際も職種の限定がないと回答している割合ですが、残りの限定のところで、職種が限定されている雇用区分で、制度として職種限定が定められている雇用区分が21.2%、制度としては定められていないけれども実際には職種が限定されている区分が19.3%と同程度になっています。
次に10ページにまいりまして、「勤務地限定」です。
全体の雇用区分のうち、制度として勤務地限定が定められている雇用区分が15.6%ございます。また、図表9の白いところになりますが、制度として勤務地限定が定められていない80.9%のうち、実際のところは転居を伴わない地域への異動のみ、実際は異動がない、つまり実際は勤務地が限定されているという雇用区分が35.0%ございました。
11ページ「『多様な正社員』の処遇について」のところなのですけれども、まず賃金で、いわゆる正社員の区分の賃金を100としたときの多様な正社員区分の賃金が、多様な正社員区分全体で見ると一番左の棒になりますが、80~90未満との回答が最も多くなっています。限定のパターン別に見ますと、どの区分でも80~90未満との回答が最も多いのですけれども、勤務地限定ありという区分については90~100未満との回答も22.4%ありまして、ほかの区分に比べて多くなっています。
11ページの下のところ、「昇進・昇格」についてですけれども、現在の雇用区分から転換せずに現在の雇用区分のまま昇進できる管理的なポジションに上限があるかないかという御質問をしたところ、いわゆる正社員では「上限なし」という回答が7割を超えますが、多様な正社員の区分では「上限あり」と「上限なし」がほぼ同程度ありました。
今の質問で多様な正社員の中の内訳をもう少し詳しく見ましたところ、労働時間限定B、残業がないところですが、これでは「上限なし」が多くなっています。ほかのところは「上限あり」と「上限なし」が同じくらいか、「上限あり」が少し多いくらいです。
「教育訓練機会」について見たものがその下になりますけれども、教育訓練の主な方針について、いわゆる正社員では過半数が「長期的な視点から、計画的に幅広い能力を習得させる」とする一方、多様な正社員区分では「業務の必要に応じてその都度、能力を習得させる」が最も多くなっております。
また、多様な正社員では「長期的な視点から、計画的に特定の能力を習得させる」、上から3つ目の設問ですが、これも20.4%と多目になっています。
13ページで、今の質問を多様な正社員の内訳で詳しく見たものが図表12-2となりますので、御確認ください。
その下「事業所閉鎖時の人事上の取扱い」についてですけれども、もし事業所閉鎖、事業縮小、業務縮小などが起こったときに、人事上の取扱いを定めていますかという設問でして、いわゆる正社員では31.8%が、多様な正社員では33.5%が定めていると回答しており、余り差は見られないかと思います。
それの多様な正社員の内訳を聞いたものが図表13-2になりまして、これも労働時間限定Bが少し特徴的で、「定めていない」が71.5%となっております。
15ページにつきましては「多様な正社員区分の雇用管理方針」について定めています。
こちらはN数が雇用区分ではなくて企業数になっておりますが、給与水準、昇進・昇格、教育訓練、事業所閉鎖時の人事上の取扱いにつきまして、これらの限定を設けている企業と設けていない企業に分けています。
設けている企業については現在おたくの会社はどうされていますかという実態を聞いておりまして、設けていない企業はもし導入するとしたらという想定を書いていただいています。余り差が見られないのですけれども、少し見られるとすれば、現在設けている企業では時間当たりの給与水準で少し回答がばらつくかなというところがございました。
16ページにまいりまして、「4 雇用区分間の転換制度」です。こちらはいわゆる正社員から多様な正社員への転換と、多様な正社員からいわゆる正社員への転換の2つ分けておりまして、少し特殊な集計をしておりますのでサンプルサイズが小さくなっております。
まず、いわゆる正社員から多様な正社員についてですけれども、転換制度について尋ねたところ、「従業員本人の希望に基づいて転換できる制度がある」との回答が48.2%、「人事異動や企業側からの申し入れに基づいて転換できる制度がある」が3割超ありました。
業種別に見てみましたところ、金融・保険業では「従業員本人の希望に基づいて転換できる制度がある」が多くなっています。業種別に見ますとサンプル数がかなり小さくなりますので、注意して見ていただければと思います。
17ページにまいりまして、転換できる制度があると答えたところに過去3年間の転換実績を尋ねたものが表16-1になります。「転換実績がある」が69.2%、「転換実績はない」が27.9%です。
業種別に見ますと、小売業では8割近く、金融・保険業、サービス業でも7割近くが「転換実績がある」との回答でした。
18ページは、いわゆる正社員から多様な正社員への転換条件をマルチアンサーで聞いているものです。
これは大変申し訳ないのですけれども、直前に数字を差し替えた関係で、本文の数字とグラフの数字が一致していないのですが、グラフの数字の方が正しくなっています。申し訳ございませんでした。
こちらですと、多様な正社員への転換条件として最も多いのは「上司による推薦があること」34.8%、「仕事内容や職種の変更に応じられること」22.1%、「転換後に担当する仕事の範囲に必要なスキルがあること」21.1%、この辺りが多くなっています。
19ページにまいりまして、今度は多様な正社員からいわゆる正社員への転換制度実績についてです。
制度について尋ねたところ、「従業員本人の希望に基づいて転換できる制度がある」という回答が最も多くなっています。
限定の種類別に見たところ、職種限定ありでは「従業員本人の希望に基づいて転換できる制度がある」との回答が6割を超え、「いずれの制度もない」は15.5%程度になっています。
20ページにまいりまして、業種別に見ますと、金融・保険業では9割以上が転換があるとの回答でした。
また、転換実績について転換できる制度があると答えた企業に対して尋ねたところ、実績があるとの回答が66.9%となっています。
業種別に見たものが19-2なので、御確認いただければと思います。
21ページの下、「転換の条件」、多様な正社員からいわゆる正社員への転換条件として最も多いのは「上司による推薦があること」36.6%で、その他2割を超える回答としては「仕事内容や職種の変更に応じられること」「転換のための選考に合格すること」などが挙げられます。
22ページにまいりまして、今度は非正規の労働者から正社員への転換について聞いたのが次のものになります。まず、非正社員からいわゆる正社員への登用について、制度もしくは慣行があると回答した企業が全体の6割強になります。
非正社員からいわゆる正社員への登用制度、慣行について、現在多様な正社員区分がある企業と現在はない企業、どちらもいわゆる正社員はあるのですけれども、この別に見たものが下の図となります。現在多様な正社員区分がある企業では75.5%が、ない企業では73.4%が登用制度もしくは慣行があると回答しておりまして、多様な正社員区分の有無で余り差は見られません。
23ページ、多様な正社員区分を設けている企業に対して設けているメリットを聞いたものが図23になります。メリットで一番多いものは、「人材の確保」が最も多く、その他「多様な人材の活用」「人材の定着」「業務の効率化」などが挙げられます。
次に24ページにまいりまして、多様な正社員区分を設けるメリット、今の設問を業種別に聞いたものが表24になります。こちらも御確認いただければと思います。業種によって大きな回答の差はありませんけれども、ワーク・ライフ・バランスの支援という回答は金融・保険業に多くなっています。
最後に、今後多様な正社員区分を導入したいかどうかというところで尋ねた設問を、今、多様な正社員を設けている企業と設けていない企業に分けたものが図表25になります。今後多様な正社員区分を増やしたいかという設問に対しまして、多様な正社員が現在あるかどうかにかかわらず「新設する予定はない/現状を維持したい」との回答が最も多く、6割前後となっています。
最後に、御参考までにデータクリーニングの方針を付けております。企業アンケートの御説明は以上になります。
○佐藤座長 企業調査で特に好事例集に収めるアンケート調査結果、つまり労使に提供する、いろいろ議論するときに労使ともに関心がありそうな、実態がわかるということと、導入するときにほかの企業がどうなっているか知りたいというような情報を中心にまとめていただきました。
 御質問なり、あるいはもうちょっとこの辺はこういうデータがあればいいなということも両方結構ですので、御意見をいただければと思います。
○橋本委員 私が正確に理解できていないと思うのですが、8ページの一番上の(3)の導入時期のところで、いわゆる正社員区分、多様な正社員ともに2000年代が多いとあるのですが、いわゆる正社員は昔からあったように思うのですけれども、これだと2000年に登場したように思ってしまうのですが、どう理解すべきでしょうか。
○佐藤座長 これはもしかして会社の設立年という可能性があるかもわからないな。だからどういうふうにするのかなかなか難しい。いわゆる正社員の設立年と多様な正社員のクロス表の方がいいのかもわからないね。いわゆる正社員はあると考えれば。ただ、勿論もともと1社1事業所みたいにいわゆる正社員がいないというのもあり得る。企業の設立年別に見た方がいいかもわからないです。確かにこれを見るとちょっと違和感がありますね。御指摘のとおりだと思います。
○久本委員 これはちょっと危ない。つまり2000年代の企業はそんなに多いかという気がするのです。設立間もない企業ばかりなのかという。
○佐藤座長 逆に言えば、設立年別に見ると、多分そのころ設立したというのがわかるかもわからないね。
○久本委員 これは設立年は聞いていないですか。
○みずほ情報総研福田コンサルタント 設立年は尋ねていません。これは区分ごとに聞いておりまして、その区分がいわゆる正社員と定義されれば、もういわゆる正社員に入れているのですけれども、その区分を導入した時期が新しい区分も勿論たくさんあって、限定はされていないけれども何とかコースというものを設けた企業ではここに入っています。
○みずほ情報総研加藤次長 そういう意味では今のいわゆる正社員向けの人事制度を導入した年に丸を書いていらっしゃる企業が、ヒアリングに行くとどうもそういう感じがいたします。
○佐藤座長 そうすると、いわゆる正社員というか、正社員の一番若いところを基準にして年度を入れて、それと多様な正社員のクロス表をつくる方がいいかもわからないね。だから、いわゆる正社員というか、幾つかあった場合は一番早い年度を基準にする。それは会社ができたところかもわからないけれども、できたところと同じ時期に多様な正社員が入っているのか、少しずれているのかと見た方がいいかもわからない。
○久本委員 それと関連すると思うのですが、私も質問なのですけれども、6ページの図表3「雇用区分の設置状況」でいわゆる正社員が69.4%のところであるということは、あとの30%はどういうふうに理解するのか教えていただければ。
○佐藤座長 6ページの図表3ですね。
○久本委員 図表3です。いわゆる正社員というのがありますね。本文でもありますけれども、いわゆる正社員の雇用区分を導入している企業は69.4%であると書いてあるわけです。あとはどういう企業なのかというイメージなのですが、つまりほかの雇用区分、いわゆる正社員などということを意識していないという意味なのか、どういうことなのかよくわからないのです。
○みずほ情報総研加藤次長 余りこの69.4%は意識する必要はなくて、1ページに今回カテゴリーの定義を書いているのですけれども、要はそれの一番下に入ってくるような、その他限定正社員とか一部無回答とか、そういったものが除かれているのではないかと。ここで挙げているのは、全体に見て上のいわゆる正社員と多様な正社員の2つだけです。回答に丸をつけていない企業さんが結構あって、ですから69.4%という数字はちょっとミスリードなので取扱いに注意した方がいいと思います。
○久本委員 わかりました。ありがとうございます。
○佐藤座長 6ページのところの図表3なのですが、10年くらい前に連合総研でやったときも雇用区分はかなり多様化していたのだけれども、従業員数でいうと、やはり多様な正社員の方が少なかったのです。雇用区分は多様化してきていても、実際働いている人数でいうと、いわゆる正社員がそのころは結構多かったと思うのです。
 今回のもので見る限り、従業員数的にもかなり多様な正社員の方で働いている人が増えてきているなという印象。単純には比較できないですけれども、これで見ると、157万人という中でいうと、いわゆる正社員に入る人が64%で、何らかの限定つき、職種限定とか勤務地限定で働く人は30%ちょっとですから、確かにこんなには高くなかったような気がしていて、ちょっと覚えていないのですが、高くなったかなという気はします。
 ただ、それでも雇用区分数の分布から比べれば区分はたくさんあって、まだまだいわゆる正社員の人数が多いのは間違いない。
 ほかにはいかがでしょうか。
○武石委員 3ページでいわゆる正社員がいるのが1,602社ということは、残りの300何社。
○佐藤座長 1,602区分。
○武石委員 1,602区分ですけれども、1,602社ということですね。いわゆる正社員は1区分なので。
○みずほ情報総研福田コンサルタント 1社につき何区分もあるところも。
○武石委員 いわゆる正社員が何区分もあるところもあるのですか。
○みずほ情報総研福田コンサルタント あります。
○佐藤座長 あの定義に当てはまれば全部そうだ。
○武石委員 つまりいわゆる正社員がいない会社が何社かありますね。例えば後ろの方の処遇の在り方で、賃金とか昇進とか、要はいわゆる正社員がいない、多様な正社員しかいない会社があって、その会社が多様な正社員が昇進できますといっても、結局いわゆる正社員がないので昇進ができるわけですね。だからそういう多様な正社員のみの会社の状況といわゆる正社員がいる会社の状況は分けておかないとミスリードになるかなという気がしたのです。
○佐藤座長 それは例えばどこがいいのかな。
○武石委員 15ページとか。昇進に上限があるとか。
○佐藤座長 ここは多様な正社員のみしかいないところは落とした方がいいということね。
○武石委員 落とした方がいいのでしょうね。
○佐藤座長 比較の対象がいないのだものね。どのくらいあるんだろう。
○武石委員 ただ、少なくともこの1,900何社と1,602の差以上はあるわけですね。400~500社くらいは。
○佐藤座長 そうね、比較対象がないところは落とした方がいいかもしれない。どうですか。
 2ページのところに企業数の分布がありますね。1,987社で、今、武石先生が言われたように、いわゆる正社員は1,379社だから、そこの差の部分ね。これがそうかな。これは企業数で見ているから、そうすると610社くらいは、例えば1社1事業所か何かでそういうものがあるかもしれないということかな。いわゆる正社員がいないんだね。この定義でいうと、確かに久本さんが言われたように、もともと中小企業は大企業と比べれば正社員は限定型だというところのロジックだね。そこはどうするかという議論はあるな。勤務地が限定されてしまっているというのでいいのではないかと。これはこの定義でいうといわゆる正社員の方に入っていないんだよ。どうするかだな。
○武石委員 1社1事業所は勤務地限定に入らないのですね。制度で転勤があるとかいうと入るのでしたか。
○佐藤座長 規定されているか、あるいは実態としてないというふうだから、勤務地限定の方に入ってしまうのです。
○武石委員 1社1事業所は勤務地限定に入る。
○みずほ情報総研福田コンサルタント 今の段階は、1事業所などにかかわらず。
○武石委員 入っているのですね。
○佐藤座長 いわゆる正社員がいない企業が例えば1社1事業所にすごく固まっていればそれはそれとして集計すればいいので、それは1つのタイプではあるわけだね。もともと企業が限定しているわけではなく事業型上そうなってしまっているというのと、複数あって限定するのはやはり違うから、そこは見てみましょう。
 そういう会社ももう少し大きくなって事業所ができたりすると変わっていくことはあり得るわけね。それは就業規則で初めから限定しているというより実態としてというところにつけている可能性が高いと思うので、就業規則は多分やっていなくて、実態がそうなっているというふうに多分落ちているのではないかと思うのです。
○久本委員 事業所数は聞いているわけですから、そのところで切り出してみたら。
○佐藤座長 いわゆる正社員がないところがもしかしたら勤務地限定の部分が非常に大きくて、それも就業規則で定めたやつではなくて実態として落ちていれば、それは非常にわかりやすいと思うのです。そこは精査しましょう。
○みずほ情報総研福田コンサルタント はい。
○佐藤座長 当初考えていたのは、22ページのところで、1つの今回のテーマは正社員の方が多様化すると非正規から転換しやすくなるのではないかというような議論があったのですが、実態とすると余り変わらないということで、これをどう考えるか。
あと従業員調査の方でいうと、転換希望は非常に高くなるのです。そうところもあるので、それは考えなければいけないなと思っています。例えば非正規の方でフルタイムで近くで働いていて、残業がないということであれば割合転換しやすいとか、転勤がなければ転換希望が高くなるとか、そういうふうなつもりでいたのですけれども、そこは想定の仮説とは違う。それはそれで実態としてどう考えるかです。これは非正規はいるかどうかは聞いていたのですか。
○みずほ情報総研福田コンサルタント はい。
○佐藤座長 もしかすると活用の程度を聞いていたね。戦力化しているかしていないか。聞いていなかったか。どう活用しているかが大事かもしれない。
○みずほ情報総研福田コンサルタント 同じような仕事を行っている非正社員のパーセンテージは。
○佐藤座長 それ別に見るかもわからない。かなり非正規の方を積極的に活用しているところは転換を進めるという形が出るかもわからないので、ちょっと見ていただいてもいいかもしれない。
○みずほ情報総研福田コンサルタント はい。
○佐藤座長 この中には非正規が非常に少ない会社も入ってしまっているので。
ほかにはいかがですか。
○久本委員 もう一点いいですか。
 11ページの図表11-1なのですが、「転換せずに昇進できる管理的ポジションの上限の有無」でいわゆる正社員で「上限あり」が24.3%をどういうふうに読むかです。いわゆる正社員も多分管理職と一般職みたいなもので何か違うのだということではないかと思うのですけれども、その辺が多様な正社員で「上限なし」もあって、だからそこをどう解釈するか結構難しいなと思ったのです。
○佐藤座長 だから例えば昇進の上限で分けているような雇用区分があったりする、つまり職種限定はしていない、勤務地も限定していない、残業も、だけれどもキャリアで分ける、上限で分けているというのも入ってくるので、もともとそういうものが入っていると考えた方が、いわゆる旧来型の総合職・一般職みたいなものもいわゆる正社員の方に入ってしまうんだよ。だから、いわゆる正社員の上限あり型はもしかしたら昔流の総合職、一般職の一般職かもしれない。
○久本委員 つまり管理職は別のあれだというふうに、あれにもかかわらずそういうふうに意識して答えている可能性はあります。だからその区分ができない、やはり無理ですか、ちょっと難しいですかね。そういうのが気になったところです。
○佐藤座長 つまり管理職が別の雇用区分だからと考えているということですか。
○久本委員 考えてしまって答えている可能性もあって、いわゆるコース別人事管理とは違う可能性があって、その辺が分けられればいいけれどと思ったのですが、ちょっと無理ですか。
○佐藤座長 一応調査の上では管理職でつながっている管理職区分は1つだとは言っているのだけれども、ただそこはあれですね。
○久本委員 言っているのですけれども、入っているような気が何かする。わからない、全部一般職と言う勇気がないなということなのです。
○佐藤座長 確かにいわゆる正社員でこういうものが出てくる、先ほどの話もそうだけれども、ちょっと説明しないと誤解を招く可能性がある。ここでは先ほどの3つの定義、もう一つあり得るかもわからないのは、これを入れて昇進の上限がないというのをいわゆる正社員という定義の仕方もあり得るかもわからない。ただ、実際上でいうと、そうはなっていないので、だからそれは論点として考えて。
○久本委員 分析しにくいというか。
○佐藤座長 よくわかります。
 ほかにはいかがですか。
○島貫委員 リクエストなのですけれども、先ほど佐藤先生から非正規から正規に転換するところで多様な正社員があるところとないところで余り差がないというお話があったのですが、先ほどの昇進の部分であるとか賃金のところであるとか、比較的どういう限定型の正社員かによって何かバラエティーがあるような気がして、それでいうと、先ほどの転換の部分と今回の分析の冒頭にあるような活用の背景というか、ニーズのところを限定のタイプごとにもう一段階細かく見ていただきたいです。
○佐藤座長 多様な人材を確保したいとか、そんなあれだと転換が進むとか、例えばそんな話ね。
○みずほ情報総研福田コンサルタント こちらのグラフですね。
○島貫委員 あとは例えばワーク・ライフ・バランスであれば労働時間限定ということになるとか、どういうニーズで職種限定とか勤務地限定があるのか、その違いがあるのかないのかという部分を見ていただければと思います。
○佐藤座長 1つは、武石先生が言われたように、最初にいわゆる正社員のところがいない、これは今回の定義では別におかしくはないのだけれども、そこのところが何でそれが出てきているかということですね。もしいるとすると、これは後のほかのいわゆる正社員と比較してというところのデータはやはり精査しないと誤解を招く可能性があるので見ようというのが1つです。
 もう一つそれに関わって、いわゆる正社員に昇進の上限がある、これも多分今回の定義ではきちんと理解すればわかるのだけれども、これは見ておいた方がいいかなと思います。
 あと、今、島貫さんが言ったようなことも見ていくことにしたい。
 橋本委員が言われた導入年のところも多分いわゆる正社員の定義の仕方の影響が、だからここもそこを精査するともうちょっときれいに出てくる可能性はあります。
 なかなか難しい。いわゆる正社員というのは研究会の出発点でもどこにも何の定義もないのだけれども、確かに世の中としては何かあるわけで、そこを一応今回は比較的理解しやすい限定のないといいますか、採用するときに仕事を限定するわけではないし、勤務地を限定するわけではないし、労働時間も所定はあるのだけれどもできれば残業してください、多分1つの正社員の企業が期待する働き方を定義しているみたいな。
それから、そこをもう少し柔軟化していこうということで、多様な正社員を設定して分析しているということですけれども、それでも正社員は昇進がどんどんできるのではないのと思っている人もいたりする。
 よろしいですか。もうちょっとその辺を精査していただいて、初めての調査なのでなかなか難しい点がありますけれども、よろしくお願いします。
 続きまして、今度は働いている人たちの調査について御説明いただければと思います。
○みずほ情報総研加藤次長 御説明申し上げます。資料2の方をごらんください。
 「実施概要」は先ほどの企業調査とほぼ同じです。有効回答が約1万、紙調査で6,000とウェブ調査で3,000強となっています。
それから、「集計に用いるカテゴリ」ですが、これも企業調査とほぼ合わせております。ただ、一部違いますのは、表の一番下にございます非正社員、これを基幹的非正社員、担当する仕事が正社員とほぼ同じ方と、そうでない非正社員という2つに分けまして、適宜ここも併せて比較した方がいいものについてはコメントをしていくというやり方をとっております。
めくっていただくと、それぞれの従業員数ということになっていますが、今回定義をした多様な正社員に該当するような方が約3割、その中では勤務地限定が一番多いとなっております。
3ページ以降が「回答者の属性」でございます。
最初に男女別ということで、いわゆる正社員は男性が多いけれども、多様はほぼ半々という状況です。
限定の種類別に見たものがその次でございまして、労働時間限定A、これはいわゆる短時間です、Bは残業がないということですけれども、短時間になると圧倒的に女性が多くなっているということです。
続きまして、年齢別はどうかということです。いわゆる正社員、多様な正社員、非正社員でそんなに大きい差はありませんけれども、非正社員が比較的中高年の方も多いというような感じでございます。
限定の種類別ですと、特に短時間という方は30代が多い。もしかしたら子育て時代とかそういうものがあるかもしれません。
続きまして5ページ、学歴分布ということです。今、大学卒がいわゆる正社員、多様な正社員で多いですが、非正社員の方ですと少しばらけるという状況でございます。
その下が限定の種類別に見たものです。これも短時間A、労働時間限定Aというところで若干微妙な差はあります。
6ページにまいりまして、主たる家計の維持者がその人本人か、それともほかの人なのかということを聞いております。いわゆる正社員から非正社員になるにつれてその人本人であるという比率が落ちていくという傾向が見えております。
下のグラフでごらんいただくと、やはり短時間であればそれは小さくなる、ごく当たり前の結果が出ております。
7ページは年収を聞いたものでございます。いわゆる正社員では400~600万円というところが最も多い。多様な正社員、非正社員では200~400万円が最も多くなっていますけれども、多様な正社員のところでは比較的給料の高い方もいるということです。
その下にあるのは限定の種類別、短時間がやはり少ないというのは当然の結果かなと思います。
○佐藤座長 ここは残業をやる時間が短いから時間短縮が低くなるのは当然。
○みずほ情報総研加藤次長 後ほど時間単価で聞いている質問もございますので、こちらはあくまで年収の参考値ということでございます。
 8ページが「勤務先業種」ということで、多様な正社員では製造業のほか、サービス業なども多いことがわかります。これはごらんいただければと思います。
 9ページが「従事している仕事の種類」ということでございます。すべてにおいて事務職が最も多くなっておりますけれども、非正社員ではサービス職が多いというような特徴で、多様な正社員では技術職も結構いるというのがわかります。
 10ページにまいりまして、従業員数区分が出ております。いわゆる正社員は企業規模にかかわらず満遍なく分布しておりますけれども、多様な正社員、非正社員では300~500人未満が他の区分より多くなっているということで、もしかしたら制度的にというよりは実態的に多様な正社員になっていたりということもあるのかなと思われます。
 11ページは労働組合への加入状況でございます。これはいわゆる正社員と多様な正社員で差はありますけれども、そんなに大きな差ではなく、やはり非正社員のところとの差が大きくなっております。
 ここまでがいわゆる属性を分析したところでございまして、ここから先がいろいろ仮説、当初持っていたものを論点に合わせて分析していったものになっております。
 まず12ページ、「『多様な形態による正社員』としての働き方について」ということで、「(1)いわゆる正社員との処遇の差」がどうなっているか。給与、昇進・昇格、教育訓練というところで聞いております。
まず、給与についてですけれども、これは職種限定があるという方は自分の方が給料が低いとする者の割合が、わずかですけれどもほかの区分に比べて高くなっているということがあります。労働時間限定、これはAにしろBにしろ「『いわゆる正社員』と同じ」とする方が一番多くなっています。ちなみにこの労働時間限定A、短時間の方は先ほど申し上げたとおり、時間当たりの賃金で聞いておりますので、そのまま比較してごらんいただいて構わないかと思います。
 続きまして、昇進・昇格の上限の問題でございます。職種限定ありの方はやはり自分の方が上限が低いと回答する割合が、微妙ですけれどもほかの区分よりも多くなっている。逆に労働時間限定B、これは残業がないだけであとは同じという方ですけれども、この方々はほかのいわゆる正社員と同じというのが半数を超えている状況でございます。
 その下が、今度は教育訓練の機会の差があるかどうかということで、これは質問の設計上、勤務地の限定があるという方にだけ聞いております。これは「遠方への転勤がありうる正社員と同じ」という回答が、「わからない」を除くと一番多いということになっております。本人の自覚ですけれども、勤務地限定だけで教育訓練の機会の差は余り感じられていないということです。
 14ページから先は実際に今、多様な形態による正社員として働いている、働いていないにかかわらず、多様な正社員として働く場合に許容できる処遇水準を雇用区分別に分析している。例えば14ページの表でいけば、今、正社員の方がもし勤務地限定の正社員として働く場合に賃金の差はどれくらいまでなら許容できるかというのを聞いていますし、それから、下の方の非正社員の方、基幹的とその他に分けておりますが、この方々がもしそういう多様な正社員として働く場合だったらどれくらいなら許容できるかを聞いています。
この後の関連するグラフすべてそうなのですけれども、やはり多様な正社員とその下の基幹的非正社員でかなりの段差が出てきております。基本的には基幹的非正社員、その他非正社員で正社員と同じでなければ許容できないという比率は、今、実際に正社員や多様な正社員になっている人に比べてやや低くなっていて、1割2割低くても許容できるという回答が多くなっている傾向がございます。
14ページにあるのが時間当たり給与水準の勤務地限定として働く場合、15ページが時間当たり給与水準で、今度は職種限定として働く場合、これもやはり多様と基幹的のところで差が出ています。
15ページの下が時間当たりの賃金水準について、今度は労働時間限定正社員として働く場合。ほぼ同じような傾向が見えております。全体にいわゆる正社員に比べて現在多様な正社員でいらっしゃる方の方が、正社員と同様の水準を求めているという傾向も見てとれます。
16ページが昇進・昇格についてどれくらいの差が許容できるか。これも多様な正社員と基幹的非正社員のところで差があるというのは同じでございます。イの1)、上の方のグラフは勤務地限定正社員として働く場合、昇進・昇格についてはどうですかということです。
下の方が職種限定正社員として働く場合どうか。上のグラフと似ているような感じはいたしますが、あえて言えば下のグラフの職種限定で働く場合の方がいわゆる正社員と同じを求める比率がやや低い、許容範囲が広いというのでしょうか、そういう傾向が見てとれます。
これは次のページにございます労働時間限定正社員として働く場合も職種限定正社員と同じで、許容できる差が余り厳しくないというか、許容範囲が広い傾向が見られます。
18ページは教育訓練の機会についてはどうでしょうかと。これは勤務地限定正社員として働く場合についてしか聞いておりませんけれども、今までのグラフと比べて明らかに違うのは、正社員と同様の水準を求める比率がものすごく多くなっているということです。ですから、教育訓練の機会は働く方にとってかなり重要な要素ということが見てとれます。
19ページ、雇用保障の程度としてはどうですかと。勤務地限定正社員として働く場合にどれくらいの雇用保障を求めますか。これもかなりいわゆる正社員と同様の水準を求めるのが多くなっています。
今度は職種限定正社員として働く場合の雇用保障の程度の希望はどうかと。同じような傾向ですが、上よりもいわゆる正社員と同じという比率が、少しですが下がっているという傾向は見てとれます。
20ページ、今度は今の働き方、今後の働き方について聞いた質問が続きます。
まず最初は、今の働き方を選択した理由ということですが、最も多いのはいわゆる正社員、多様な正社員では「雇用が安定しているから」ということになっております。一部多様な正社員で「遠方への転勤の心配がないから」が26.3%あるのが目立つところです。
 21ページは限定の種類別で今の働き方を選んだ理由を聞いておりますが、これも当然の結果ですが、下の方で飛び出ているグラフ、これは労働時間の限定ありA、いわゆる短時間の多様な正社員の方ですけれども、これは「仕事と育児や介護との両立ができるから」が最も多くなっております。
 22ページは今の働き方のメリットデメリットを聞いているということです。いわゆる正社員、多様な正社員という方々についてはやはり雇用の安定を最大のメリットと感じていらっしゃる。ここが非正社員の方との差異になっております。その他の非正社員ではやはり労働時間の短さ、「労働日数・労働時間が短いこと」が最も多くなっております。
今度は多様な正社員の限定の種類別にメリットを聞いたのが23ページになっております。労働時間限定Aでは仕事と育児や介護との両立となっておりますが、それ以外ではやはり雇用の安定が上げられております。
24ページからは今の働き方のデメリットの方を上げておりますが、いわゆる正社員を除くすべてで「給与が低いこと」とする者の割合が最も高くなっております。ただ、いわゆる正社員では遠方への転勤の心配を上げる方も相応にいらっしゃることは注目すべきかなと思います。
多様な正社員の限定の種類別に見たものが25ページでございますけれども、これは限定の種類別には余り大きな特徴は出ていなかった。あえて言えば転勤の心配があるとかいうところが労働時間限定Bでちょっと多くなっている程度。
26ページからは今の働き方の満足度を聞いております。いわゆる正社員、多様な正社員ではやや満足も含めますと、満足している人が半数を超えるという状況です。
限定の種類別に見るとどうかというのが下のグラフになります。若干ですが職種限定の方の満足度がちょっと低くて、労働時間限定A、短時間の方の満足度がちょっと高いという差は見られます。
27ページ、今度は多様な形態による正社員への転換希望を聞いております。これは今、いわゆる正社員の方にも聞いておりますし、非正社員、基幹的な方、その他の方にも聞いております。そして、これを読み取るとき注意が必要なのは、先ほど処遇の許容水準を答えていただきましたけれども、あくまでその許容水準で働くとしたらということですから、回答者各々でその許容水準は違います。あくまで自分が思っている主観的な許容水準で働くとしたらという限定つきでごらんいただければと思います。いずれにしても転換希望が、今、転換したいですかということで5割を超えている。いわゆる正社員の方でも5割を超えているということです。近い将来はどうですかということになると更に増える。すべての雇用区分で5割を超えるという状況になっています。先ほどの限定条件を注意しながら読まなければいけないのですが、事実としてはそうなります。勤務地限定についてはです。
これが次の職種限定のへの転換希望ということになりますと、少し比率が落ちてまいります。ただ、基幹的非正社員でここは希望が一番多くなるというところが特徴になります。これは近い将来は現在と変わらない。先ほどの勤務地限定は近い将来になると増える傾向がありましたけれども、職種限定は現在と近い将来が余り変わらない。
労働時間限定になりますと、これもまた上の図表30と図表31を比べていただくと、いわゆる正社員のところで近い将来は増えているというような傾向がございます。
そういうことでいろいろな方面から聞いているので解釈が難しいところがございますが、従業員アンケート調査の結果の概要でございました。
○佐藤座長 1つは一番最後の点ですけれども、勿論それぞれの勤務地限定なり職種限定なり労働時間限定になった場合の処遇については、希望が実現できるとすればという限定つきですが、いわゆる正社員の人も割合限定型の希望が結構あるなということと、もう一つは、特に非正社員の中でも基幹的な方、正社員と同じような仕事についている方はそういうものに転換したいという希望が結構強いということが1つです。
許容できる処遇については、今のいわゆる正社員の人と多様な正社員の人と利害の対立があって、いわゆる正社員の人からすると、相対的ですけれども転勤などもあるから少し限定型の人は低くてもいいのではないかと。多様な正社員の人はいわゆる正社員と同じように、これは多分組合の中などでも結構出てくるところで、両方見なければいけないというところが1つ。これは労使ともの課題かなと。ただ、ニーズは多いわけですから、そこをどう調整するかというところも1つテーマかなというのがわかるかと思います。
あと、今の働き方を選択したところでいうと、例えば20ページなどを見ると、いわゆる正社員の人はやはり雇用の安定もあるけれどももう一つ、自分の可能性、いろいろな仕事を経験できるとか、それを考えている。他方で転勤もあるしというアンビバレントなところで、多様な正社員を選ぶと、雇用の安定は高いのだけれどもいろいろな仕事の経験は狭くなる、これはしようがないかなと思っているところが多少あるかなと。この辺も特に昇進の上限などをどうするかというのは結構あるかなと思います。
私の感想を先に述べさせていただいたのですが、いかがでしょうか。
特に非正規のところを分けていただいたので、多分非正規だけれども基幹的な方は転換する場合でも今の仕事で業務限定とか勤務地限定に移りたいというのは結構出てきているかなと思います。今よりもやはり雇用保障が上がるということで希望していると。いかがでしょうか。
○久本委員 今の最後の話で、やはり説明でもあったのですが、どれくらい許容するかというのと希望のクロスがどうしても欲しいです。ある意味では差はなしで希望する正社員というのは余りリアルな感じがしない。ただ、1割くらいならいいというのがどれくらいいるかとか、そういうものは欲しい。特に正社員に関して欲しいような気もしました。
○佐藤座長 両方の立場の考え方を。いわゆる正社員が限定型に移る場合に。
○久本委員 希望するのは多いのだけれども、1割くらい下がってもいいよという人たちがどれくらいいるかとか。
 あと私がわからないのは、23ページ、例えば労働時間限定B、この人たちのイメージが非常につかみにくいのです。男性が結構多いわけだったと思うのですけれども、どういう人なのかがよくわからないというのが正直なところなのです。
○佐藤座長 一応このあれでいえば、一般的には就業規則等で残業を命じることがあると書いてあるわけです。実際あるかどうかは別ですよ。でも、ここはその規定がないのです。だから基本的には実態としても残業をさせられないわけです。就業規則上ないから。勿論就業規則で残業を命じることがあると書いてあっても残業がない場合はあるわけですよ。でも、日本の企業は一般的にはそれが非常に多いのですけれども、今回はそれがない。ただ、2つあって、非常に整備していない会社も入っている可能性もあります。三六協定を結んでいないみたいとかも一部入っている可能性は否定できない。ただ、初めから残業がそんなになくてというところもあると思うのですけれども、そこは難しいところですね。
○久本委員 ここは非常に気になります。
○佐藤座長 ただ、結構多いんだよ、Bは。
○久本委員 整理されていない可能性が高いんだけどね。
○佐藤座長 そうだね、そこのところだけですね。ただ、確かに残業がいつも多いところもあるけれども、ないところもあるから、そこはちょっとわからないです。
○津田政務官 これはヒアリングで何かわかりませんか。限定Bがどういう職種というか、どういうタイプの。
○派遣・有期労働対策部企画課長 管理職が結構入っていますね。残業させることもあると定められていないというのは、私も実は残業しないということになっている人間なのですけれども、実際どうかというのは別で。
○佐藤座長 管理職の雇用区分を書いているとあり得ますね。ただ、そんなに多くはないのではないか。管理職はつながっているのは別の雇用区分には。ただ、これは社員の回答ね。
○派遣・有期労働対策部企画課長 7-2という表のところに4分の1くらい管理職が入っている。
○佐藤座長 では、そこはちょっと精査しましょう。そこはちょっと考えなかった。個人調査は確かにその問題がありますね。だからそこは管理職は除いた方がいいか。企業の方は一応つながっているところは入れてしまっているのです。こちらは管理職も答えているから。
○久本委員 そうするとすべて管理職の人たちは全部の雇用区分について除かないと。
○佐藤座長 除いた方がいいかもしれないね。
どこでしたか。
○派遣・有期労働対策部企画課長 9ページの図表7-2です。
○佐藤座長 では、管理職は落とすか。今回の個人の方は落とした方がいいかもしれないね。管理職は管理職として分析は勿論テーマとしてあり得るんだけれども、ただちょっと違いますね。今回はもう少し管理職になる前の人たちをもともと分析する予定だったので、落としましょう。大事な点を御指摘いただいてありがとうございました。ちょっと企業調査に引きずられて考えていたので済みません。ただ、逆に多様な正社員にも管理職はいるというのはおもしろいね。
○久本委員 いますよ。勤務地限定も結構いるし、職種限定も結構いる。
○佐藤座長 だからそれは上限がないというところですね。そこら辺をどうするかな。ちょっと検討させていただきます。
○久本委員 管理職でも上限がないわけではなくて、管理職の中のあるところまでという上限があるということですね。
○佐藤座長 ただ、先ほどの残業という解が当てはまらないのを雇用区分としてではなくて、自分で答えてしまっているから、そこが企業調査との分析がずれてしまうから、そういう意味では落とさないとちょっとまずいかもしれないです。
○久本委員 それから、就業規則をちゃんと読んでいるか、理解しているか。わかっていない可能性は十分あるので、そこが難しいところです。
○佐藤座長 わかりました。これは個人調査なのでそこは精査します。
○久本委員 あと、前も言ったと思うのですけれども、紙調査とウェブ調査のいわゆるばらつき、違いです。恐らくこれを最初に見た人はまずそこに関心があると思うので、それに対するコメントとかそういうことが要ると思うのです。あらゆるところでほとんど差がないと見てよかったですか、どうでしたか。ちょっと覚えていないのですが。
最初に恐らくそれを言われると思うのです。調査が違うではないか、交ぜてどうなるのだというのは必ず言われるわけで、よろしくお願いします。
○佐藤座長 ただ、そこはある程度タイプごとに分析しているのでそれほどの影響はないかなと思っているのです。類型ごとに見ていますね。
○久本委員 でも、恐らくそういう質問は必ず出ると思います。
○佐藤座長 いかがでしょうか。
 1つは非常に大事な点で、個人調査の方はある特定の雇用区分でも上に管理職が入っている人たちがいるので、その人たちが入ってきてしまっているので、そこは攪乱要因になるので、多分除いた方がいいだろうなと。
 2番目は、許容できる処遇差と希望の関係を少し見ていくというのが、特にいわゆる正社員と多様な正社員、その利害調整ですね。両方合意できるぐらいのところとはどんな感じかというのを少し見るのもすごく大事かなと思います。大きい点はそのくらいですか。
 先ほどの管理職を除くともうちょっとくっきり出てくる可能性がありますね。やはりちょっとそこは違うだろうから。
 よろしいですか。最終的な報告書をまとめるのに、かなり大事な情報提供はできるかなと思うのですけれども、もう少し精査が必要な部分もあるので、お手数ですが追加的によろしくお願いいたします。
 もう一つ、やはり実態を見ないと、なかなかアンケートだとわかりませんので、前回お話ししましたように、既存資料だけでなく、アンケートの中で幾つか類型がわかりますので、アンケートに回答した企業も含めて、つまり好事例ですから比較的いろいろ努力をしながらバランスをとって導入しているような企業を中心に調べていただいています。勿論行ってみたらそうではなかったということもあると思いますけれども、これは最終的に精査することになるかと思いますが、ヒアリングの結果について御説明いただければと思います。
○みずほ情報総研加藤次長 こちらについてはまだすべて終わっていないので状況報告的になりますけれども、今、アポがとれているのも含めて20以上行っておりまして、ほぼ目標数近く行っております。今、佐藤先生から出たように、行ってみてというのもその中には入っておりますが、そういうものを除いても必要な好事例の数は確保できる状況にはございます。
全体の印象で申し上げると、行ってみると比較的勤務地限定と職種限定がセットになっているケースが非常に多くて、純粋な勤務地限定だけというのは事例の中では余り多くなかったのと、もう一つは、総合職・一般職を一旦統合しました、統合した結果、余りうまくない点が出てきたので、もう一度本人の希望でキャリアをある程度限定するようなコースをつくりましたというのが意外に多くございました。言ってみれば、そういう人事制度変更要因で発生してきたような多様な正社員が一部見られたということでございます。
お手元に配ってあるところに幾つか、今、既に文章としてまとめられたものを並べております。一個一個説明していくと時間もないので、仮にこんな感じでまとめていますということで、最初の1つ2つを御説明したいと思います。
1番目は、限定区分1つと書いてあったのに、行ってみたら実は限定区分が2つあったという例でございます。
2番目の企業も同じで、これももう一つインプリケーションなのですが、企業として自覚はしていないのだけれども、実はそれは多様な正社員だというのがあるということもございました。
例えば1の企業でいえば、限定区分?と書いてありますが、かつて総合職・一般職の統合を図ったのだけれども、どうも統合した制度がうまくいかないので、再度職種と地域を限定した勤務区分を入れましたというお話がありました。その話を聞いているときに、実は販売社員は今まで1年契約だったのを最近期間の定めのない契約に変えたんですよという話が出てきまして、それは多様な正社員、職種限定の正社員そのものではないですかということがありました。
この1番の例でいくと、?番は本社で職種別に採用されるのだけれども、?番は地域別に販売員として採用されるということで、同じ地域限定、職種限定ではあるのですけれども、?番は販売に特化しているというところで変わっていまして、処遇の考え方も?番だけは退職金制度がないというところに違いがあります。もしかしたら退職金制度がないので多様な正社員に含めないのではないかと企業が判断されたのかなとも思っております。
行ったいろいろな会社で多様な正社員がトラブルになっているとか問題になっているということはなくて、逆に今までのうまくいっていなかった制度をうまく再構築する中でつくってきたので比較的うまくいっているという話が多かったと思います。ですので、今後の方針としても変更を考えているという例は余りありませんでした。この1番の企業もそうではなかったということでございます。
2番の企業さんも、アンケート調査の中では限定区分?の方を意識して、これは従来何となく運用していたものを総合職とエリア職に分けたという制度なのですが、話を聞いていくうちに、最近地域で採用している現業職の1年契約をやめて、期間の定めのない契約にしたんですよという話が出てきまして、それはやはり職種限定で現業限定の多様な正社員ではないかということです。これについてもやはり退職金が?番の雇用区分にはないということで、退職金がないということをもっていわゆる正社員に入れてはいけないのではないかと企業は思い込んでいる可能性があるかなと思います。
処遇自体を見ていくと、年収300万円台を?の方々は取っていて、地域によっては本当に主たる生計維持者になっているというケースもあるということです。そういうことで、これも基本的に会社としては制度をよくしたということで。
○佐藤座長 ?番は時間給の正社員ね。
○みずほ情報総研加藤次長 そういうことです。
○佐藤座長 雇用保障という面ではプラスになっているわけだね。
○みずほ情報総研加藤次長 そういうようなことが出てきました。
 一個一個説明していくと長くなるのですけれども、全体の傾向として、今、お話ししたように、勤務地限定と職種限定が一体というのが非常に多いのと、退職金は多様な正社員の場合、余り重視されていないケースもあるというのがあります。
○佐藤座長 全部はあれだけれども、幾つかポイントのところだけ、どうですか。ほかのところも何か気がついたものは御紹介いただいても結構です。
○みずほ情報総研加藤次長 3番は、実は今はそういう雇用区分は採用していないと。雇用区分という聞き方をして、採用区分としなかったので、逃げ道としてつくったような移行措置的な雇用区分も入ってしまっていて、3番はそうでした。これは地域会社が合併して新しい会社をつくったときに、地域会社で採用された人は転勤したくないという人がいる、その人たちの逃げ道をつくったと。緊急避難の間は「処遇の考え方」にありますけれども、文句なく賃金は85%になるということを決めているということです。
 4番の会社は、これも総合職・一般職をやめて、もっとワイドに活躍してもらいたいということで制度を入れたのだけれども、それでもどうしてもワイドに活躍するのは余り好きではないという方々が選択する道。この会社さんは採用自体はワイドに活躍したい人に今は限定しているんですとおっしゃっていました。この場合、基本給が10%低く設定されるし、係長以上にはなれないというような例になっております。
 次の5番の中部のやつは、やはり介護のために転勤できない人の逃げ道として入れているということです。処遇としては7%減額ということです。ここら辺をずっと見ていくと相場観が何となく見えてくるかもしれません。
 次の6番は、これはどちらかというと総合職・一般職に近いようなものを新たに入れたようなものなのかなと。勤務地限定ということで、ただ勤務地限定正社員の中に総合職型とスタッフ職型というところで更に分化している。
○佐藤座長 昇進の上限を撤廃したり、仕事の範囲を広げるというのは結構出てきたね。コース別がうまくいかないので。
○みずほ情報総研加藤次長 4ページの7番、これは中部の勤務地限定です。本拠地を登録する、ホームタウンという。転居を伴う異動をしない、仕事もある程度限定されているという働き方です。これは入社時に選択することになっています。これは5%の削減です。地元志向に対応というのが1つあるようです。
 次の事例が、今回事例が非常に少なかった時間限定というタイプで、どういうことをやっているのだろうかと。その法人企業さんには専門的業務をやる人たちと専門的知識が要らないような仕事と2つあって、専門的知識が要らないような仕事の場合は時間も短くていいのではないか、その方が業務効率が上がるのではないかということで、週30時間勤務正社員というのを。
処遇の考え方でおもしろかったのは、給料が賃金表1号2号3号とあって、3号で終わり。つまり昇給は3年しかしない。10年勤めようと20年勤めようと、それは習熟がそこまで必要とされないからという割り切りをしています。
○佐藤座長 でも、退職金はあるんだ。
○みずほ情報総研加藤次長 退職金はございます。
ここで一番インプリケーションがあったのは、そうはいっても、これは北海道・東北なもので、30時間働く正社員で退職金もありとなると、非常に条件がいいので優秀な人が集まってくる。優秀な人が集まってきて、実際に今まで転換をさせたこともあるのですけれども、転換を目的に入ってくる人たちが増えてくる。そうすると本来の目的であった業務の効率化のために習熟の必要のない業務で効率的に回していこうという趣旨がちょっと違ってきてしまうということで、趣旨を貫くために最近あえて転換を認めないように変えたということがおもしろい。
○佐藤座長 判断が分かれるところだな。難しいところだな。実態はよくわかる。
○みずほ情報総研加藤次長 事例の9番目にあるのが、これは職種と勤務地を限定して、かなりハイエンドな業務というか、その業界自体の業務が高度化したので、弁護士さんではないですけれども、それぐらいのレベルの専門家をすぐに雇う必要がある。そうすると、いわゆる総合職の給与水準では合わない、もともと回転が速いということもあって、そういう受け皿として、退職金がない、給料が相対で決められるような制度をつくりました。
○佐藤座長 でも、有期ではなくて無期なんだな。
○みずほ情報総研加藤次長 無期です。
 せっかくそれをつくったので、それ以外に1年契約の契約社員という人たちもいるのですけれども、その受け皿としても使っていますということでした。これはいわゆる正社員と比べて給料が高いケースが多いということでした。そういう方々が上位の職階になると、管理職をやって、いわゆる正社員を部下に持って働くということもある。そこのところがおもしろいところです。
 今、まとまっているのはこれなのですが、まだ企業さんにきちんとした御了解を得ていないので、御了解を得た上でもう少し詳しい情報を。
○佐藤座長 その後ろのまとめ方についての御説明、こんな感じになりますというのを伺わなくていいですか。
○みずほ情報総研加藤次長 一応制度の概要と処遇内容と運用。
○佐藤座長 最終的には6~7ページのようにまとめようということですね。
○みずほ情報総研加藤次長 ただ、実際にやってみますと、例えば7ページで給与体系、昇進・昇格という順番で書いていますけれども、ものによっては昇進・昇格の制度を語らないと給与体系の説明がうまくつながらないとかいうこともございますので、ここら辺はびちっと一緒にするというよりは、話の理解が得やすいように大きな章立ては守りつつ、少し入れ替えるのもありとさせていただいていいかどうかというところです。
○佐藤座長 いかがですか、一応こういう6、7ページにあるような企業がわかりやすくということなので、これは最終的な資料集の方に入るのではなくて、事例の方に入れるという意味で見開きくらいでポイントだけというような趣旨だと思いますが、そうしたときには一応大枠は決めておいて、その企業の特性に合った説明でいいような気がしますが、いかがですか。
○久本委員 そうだと思いますけれども、やはりそれぞれ状況が違うので、余り無理に合わせるとかえってわからなくなります。まさしく多様な形があるので、原則の章立てというか、項目はあれですけれども、中はかなり理解しやすいようにという観点からやった方が私もいいと思います。
○佐藤座長 いかがでしょうか。
これは難しい。行ってみたらかなりアンケートと違うというと、アンケートはどうかというふうになってしまわないように気をつけましょう。すべてそういうものなので、いろいろな調査すべてやはり企業が答える側の理解の中で答えていますので、それはしようがないかなと思います。誤差の範囲というくらいで。
多様な正社員の従来型の1つのタイプは、いわゆる均等法ができたときの総合職・一般職という分け方の限界で、やはり異動の範囲に組み直しているのが大きいです。その中で昇進の上限も少し高くしたり、女性だけではなくて男性なども入ってくるような形が1つのタイプだと思います。あと、先ほどみたいに合併してというのがあるね。もともと地元採用だった人が統合して異動があるようになったとき、やはり自分たちはそういうつもりではなかったというのも1つのパターンだね。
○久本委員 その点についていうと、例えばそれでなぜ廃止するのかというのがちょっと気になって、あっていいのではないかと思ったのです。その辺の思いみたいなものがどうかなというのが1つ。
近畿の2つについては同行させていただいて非常に面白かったのですが、これ以外のところもありますけれども、採用は一緒に採用して、採用した中で後で分けるという。新卒採用も。だからそういうふうに最初から採用区分が違うのかと思ったら、必ずしもそうでもないというのがある意味では発見だったというか。
○佐藤座長 今回は別に採用から分けなければいけないので、両方あり得るという形になった。だから本当は私も入り口で分けるよりも入ってから選択がある方がいいかなという気がします。ただ、それも設計の仕方でどちらがいいとは言えないので、多分報告書の書き方としては両方のやり方があって、こういう場合は入り口で分ける部分もあってもいい、その代わり今度入った後の転換が必要になってくる。
 あと、有期の人を無期にするのは、これも紹介してもいいかもわからないですね。それの形で多様な、これはもともと転換を進めるという趣旨もあったので、有期だった人を無期化して、処遇は多少違うにしても、雇用の保障という点では高くなるというのは紹介しておいた方がいいかなと私は思います。
○久本委員 それと先ほど言われたように、定年退職金とは必ずしも関係ないという、例えば60歳なら60歳、65歳なら65歳まで働けるのであれば、年金につながるのであればある意味では退職金など要らない。これは私の昔からの持論なのですが、つまり定年退職金を積まないといけないからというふうな議論が結構あって、そういう議論を打破することは可能ではないかという気がしました。
○佐藤座長 そこは選択で、こういうやり方もあるよと。やめちゃった方がいいよとは書けないから。本人の納得の問題だから、それよりも長く安心して働けるというのができればいいということもあり得るな。
 意外に短時間正社員とか有期の人を無期化といったときに、こういう形であればいわゆる正社員にできるというのは結構大事だと思うのです。いわゆる正社員にみんなすぐしなければいけないというとハードルが高いので、ここは非常にいい例かもしれないです。
○武石委員 採用から分けるかどうかということは、その後の育成、教育訓練と関連があるのかどうかなのですけれども、その辺は、この処遇のところは昇進と賃金のことがメインで、教育訓練のところが余りなかったのですが、育成関係はどうなのでしょう。もしそこがかなり違っているのであれば、やはり採用は同じにした方がいいということも言えるのかなと思います。
○みずほ情報総研加藤次長 イメージ的に区別しているというか、合理性のない区別をしているようなところはどこにもなかったと思います。先ほど申し上げた多様な正社員ですごく専門的な知識を持っている人が管理職になるケースもあるといった事例、この場合は管理職になったときは、総合職とかいわゆるそういう正社員と同じに管理職研修を一緒に受けると言っていましたので、そこは必要性に応じてきちんと対応されているようでした。
○武石委員 職種限定以外は、やはり職種限定も育成などは一緒にやっていくのかなという感じがするのです。
○佐藤座長 職種限定は当然その職種という部分があると思うのですけれども、多分問題は勤務地限定をしたときに昇進の上限を設けるか設けないかというのが次で、設けなければ教育訓練は、勿論異動によるOJTはないわけですけれども、そこは昇進の上限の方が効いてくる可能性がありますね。当初から管理職もあるよという前提で、今の仕事だけではなく先を見た育成をするかしないかは昇進の上限の設定で決まってくる。アンケートの方でもわかると思います。
今回、入り口でコースごとに採用するかどうか聞かなかったね、区分ごとに。前の調査は聞いた。多分初めはあったんだけれども、設問を削るので落としてしまったのかね。そこはあれだけれども、インタビューでは聞いていただいた方がいいですね。初めからなのか、途中からなのかとか。
○武石委員 あともう一つ、賃金の減額の書き方で、例えば職能給のうちのとか、給与全体ではなくてそのうちの部分的なものがあると思うので、トータルとしてはどれくらいなのかというのがもしわかればそれもあった方がいいのかなという気がしました。
○佐藤座長 だから、例えば全体で職能給比率が9割で1割減ということがわかれば掛け算すればできる、そういう話でしょう。
○武石委員 職能給の半分なのか9割なのかによって随分違うと思います。
○佐藤座長 ざくっとしたところでいいと思うのですが、確かに職能給の9割ですといったとき、職能給のウェートは相当幅が多くなってしまうから、企業も出しにくいかもわからない。ざくっとしたものはあった方がいいかもわからない。
 事例の方を伺うとだんだんイメージがわいてくると思うので、多分幾つかのパターンがあるし、企業からすれば導入の理由もいろいろな背景があると思います。
○久本委員 質問をよろしいですか。事例6などがそうなのですけれども、これは男女比がどうかがちょっと気になるのですが、伺っておられますか。例えば地域限定の総合職型、スタッフ職型で、つまり総合職型はやはり男性がかなり多いけれども、スタッフ型はほとんど女性だとか、その辺はわかりますでしょうか。
○みずほ情報総研加藤次長 基本的にこれは調査に御回答いただいた企業のやつなので、その情報でわかりますし、追加で聞くこともできます。最終的なまとめのときにはそういった観点、男女比もわかるように。
○佐藤座長 ただ、書いてありますけれども、企業が余り特定できるとまずいので、企業規模とか業種とか地域はブロックをやや大き目にやるということだけは御了解いただければ。
○久本委員 それは当然そうです。
○佐藤座長 いかがですか。これは導入の理由とか限定のパターンが多少バリエーションがとれればいいけれど、時間限定は余りないのね。あと非正規の人が正社員になったやつとか、ある程度テーマごとにとれればいいが、ただ相手のこともあるので、できるだけ努力はしていただくということでやるしかないかなと思います。
先ほどの非正規からの転換とか、例えばいわゆるコース別で一般職女性ばかりみたいではなくて、そこをもう少し組み直してキャリアが上に上がっていくような、そういうものは私はいい事例だと思うし、最終的な好事例集をつくるときの事例の取り上げ方でまた議論したいと思います。大体よろしいですか。
そうすると今日の議論を踏まえて、多分かなりのところ、80点まで行ったので、アンケートの方はもう少し精査していただき、事例の方は幾つか追加的に事例をチェックしていただくときに聞くのでいいと思うのですけれども、追加情報はそういう形でいいかと思いますが、調査を進めていただければと思います。それを踏まえて1の好事例集に載せるアンケート部分とヒアリングの事例部分を確定していく形にさせていただければと思います。大体そんな進め方でよろしいでしょうか。
 では、事務局から今後の進め方について御説明いただければと思います。
○派遣・有期労働対策部企画課企画官 それでは、事務局からお知らせいたします。
 委員の皆様方に日程を確認させていただきましたところ、次回の研究会につきましては12月14日水曜日の朝10時から、場所も本日と同じ安定局第1会議室ということで予定しております。その際にアンケート調査結果、またヒアリング調査結果についてとりまとめをさせていただくという方向で考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐藤座長 よろしいですか。
 では、どうもありがとうございました。
政務官も御出席いただいてどうもありがとうございました。


(了)

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