ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会> 第2回ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会議事概要




2011年9月26日 第2回 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会議事概要

○日時

平成23年9月26日(月)16:00~


○場所

厚生労働省 12階 専用第14会議室


○出席者

(委員)大山座長、菊池委員、清家委員、竹詰委員、中嶋委員、西端委員、矢野委員
(ヒアリング出席者)深澤社会保険労務士、出浦東京都年金委員会連合会理事、江原埼玉県社会保険委員会連合会会長、中江郵便局株式会社総務部長、相澤全国銀行協会業務部長、西村全国銀行
協会業務次長、橋口みずほ銀行個人業務部参事役
(日本年金機構)矢崎理事、喜入理事、伊原記録問題対策部長
(厚生労働省)今別府年金管理審議官、塚本事業企画課長、尾崎年金記録回復室長

○議事


—冒頭挨拶—
(大山座長)本日は、関係者ヒアリングということで、社会保険労務士、年金委員、郵便局、金融機関の関係者の方からねんきん定期便、ねんきんネット、年金通帳についてご意見を伺う。

[社会保険労務士]
—資料2(ヒアリング資料)について、深澤社会保険労務士より説明—

(中嶋委員)相談の現場において、ねんきん定期便をお持ちになる方とそうでない方で相談内容に相違があるか。

(深澤社会保険労務士)通常年金相談は人生を語るところから始まる、ねんきん定期便があると簡潔に済む。相談を受ける立場としてはありがたいもの。ねんきん定期便をお持ちになる方は年金に対する意識が高く、ねんきん定期便と対面相談をセットに行うことで、さらに理解が深まると実感している。

(菊池委員)世代間でのニーズに相違があるということか。

(深澤社会保険労務士)年金相談にお越しになる方は高齢者が多いことから、インターネットへの完全な移行は困難であると考える。

(菊池委員)インターネットという選択肢があることは構わないか。

(深澤社会保険労務士)もちろん、選択肢が増えることは良いと思う。

(西端委員)若い方の相談ニーズはどういったものがあるか。

(深澤社会保険労務士)例えば、「女性の年金」といった集まりでは、主婦の方から夫が死亡した場合の年金といった内容を中心に積極的な質問が行われ、年金を自分のものとしてとらえることになる。現在のねんきん定期便では3号という情報しか表示されないため情報不足であると感じる。

(竹詰委員)定期便の頻度は2~3年でよいということであったが理由は何か。例えば5年とするとその間に離婚して再婚など大きな変化が起こることもあると思うが、その点はどう考えるか。

(深澤社会保険労務士)同じ会社に勤務している人や主婦は、毎年同じものが送付されても殆ど見ないため、保険料時効を考え2年程度と申し上げた。うっかり忘れていた人には有効と思われる。現在の定期便の1年分の情報だけでは情報不足であり、退職や離婚など何かあった際にはきちんと確認したいので、全期間の記録を送ってほしいということ。
 主婦の3号については、夫の定期便の中に妻が3号であるという情報があればよいのではないかという意見もある。

(矢野委員)年金通帳を作ってしまうと、世代間扶養で運用されている年金制度が、個人の損得になって、制度の意義を勘違いしてしまうというのは重要な指摘で、すばらしい意見と思った。
 銀行では資産管理等を行っており、言ってみれば全て知っているわけであるが、営業的に使われることには疑問があるという点は、一般的な方が不安になるのではないかという指摘か、社会保険労務士としての意見か。

(深澤社会保険労務士)やはり、国の記録を営業的に使われることに疑問を感じるという社会保険労務士の意見である。

(菊池委員)世代間扶養に関する指摘は重要な点である。銀行は最悪破綻があり、年金は法律改正等の制度変更が想定されるが、年金記録を定期便で確認するのと、年金通帳で確認するのとでは、受け取る方にとって相違があると考えるか。

(深澤社会保険労務士)年金は人生そのものであり、誰一人として同じ記録ではないことから、年金通帳にすべてを集約するのは困難ではないか。定期便を保管するような対応がわかりやすいという意見が多くある。

(大山座長)年金通帳に期待することはあるか。それともねんきん定期便やねんきんネットで充足しているか。

(深澤社会保険労務士)通帳の様式が不明であるが、現在のところ定期便の情報で十分と考える。

[年金委員]
(出浦東京都年金委員会連合会理事)定期便は同封物が多く大変見づらい。特に若年者は年金支給がずっと先であるため、記録を確認する意欲がないのではないか。
 改善案としては、1.パンフレットを年代別に作成すること、2.説明過多であるため、内容を精査した上で一枚にまとめるなど簡素化できないか、3.定期便とねんきんネットのお知らせが混在しているため、きちんと分けてねんきんネットを目立たせるようにできないか。などが考えられる。
 送付頻度については、同じ会社に継続して勤務しているような者は3年程度、転職や昇給等の変動があった場合に随時送付するのが妥当ではないか。
 年金委員については、これまで法律改正等のPR等に積極的に活動してきたところ。ねんきんネットの周知についても、機構からの要請や研修に基づいて積極的に対応していきたい。具体的な周知方法としては、市町村の催しでのPRや、普及促進キャンペーンの中で提案を募集したり、キャッチフレーズの展開といったことが考えられる。
 金融機関の窓口活用については、まずは、費用をかけずに年金委員の活用や年金事務所の相談窓口の利用の展開を考えるべき。
 年金通帳については、社会保障と税に関わる共通番号が導入されれば必要ないのではないか。また経費が膨大と見込まれることから不要ではないか。また、個人保管なので盗難や紛失により情報がもれることが心配。もっと言うと、サラ金等での貸出し審査に提出を求められることなどの懸念もある。

(竹詰委員)ねんきん定期便の頻度を3年とした場合は、今と同様に分量が多くとも問題ないか。

(出浦東京都年金委員会連合会理事)そうであっても簡略化は必須であると考える。大量であると萎えてしまって見ない。

(矢野委員)年代別に送付物を分ける話があったが、具体的にはどういった年代区分を考えているか。

(出浦東京都年金委員会連合会理事)年金受給までが遠い20~40代と50代以降では興味を持たせる内容が異なるのではないか。

(清家委員)年金委員にどういった活躍を期待しているか。

(出浦東京都年金委員会連合会理事)可能性はたくさんある。社員への研修等の場において、年金委員がねんきんネットなどを周知する。事務職や労務職といった職種の違いを踏まえた周知方法などについても提案を行っていきたい。

(竹詰委員)ねんきん定期便とねんきんネットの案内を分けるという提案については、封筒でも「ねんきんネット」の案内が在中していることを明示しているが、どうしたら気づいてもらえるか。

(出浦東京都年金委員会連合会理事)郵送費用の問題もあると思うので、別に送るのは難しいかもしれないが、配色や活字等を見直すことや、紙を別にするなどで目立たせることができないか。

(西端委員)ねんきんネットを普及させるためのアイデアをお持ちでないか。

(出浦東京都年金委員会連合会理事)年金委員へ普及活動要請や協力団体(社会保険協会)と連携し利用促進キャンペーンで提案を募集し、採用者の表彰・照会をする。費用をかけてPRしてもメリットがないと利用しない。例えば、保養所や施設の利用券を配ることや、郵送コストが節減できる部分の一部を還元できないか。

(江原埼玉県社会保険委員会連合会会長)我々は健康保険委員も兼ねた活動をしているため、社会保険委員会と名乗っている。年金と医療は本来一体であるべきであり、協会けんぽのように給付のみ行う組織は本来の在り方でなく、いずれ統合されると考えている。
 定期便については、過去、裁定請求の請求主義を打破するために事前にお知らせするという埼玉方式を導入し、消えた年金問題への対応といった経緯を経て導入してきたものと理解。費用を考えると頻度は5年程度でよい。代わりに算定基礎届の提出時の確認、チェックをきちんと行い、会社が従業員に標準報酬を伝えることで十分。
 年金委員については、費用が掛からず活用できるが、事業所の規模に応じた配置人数の規定がないため、法律上明示すべきだ。
 金融機関については、月1回程度の相談会を開催しているところでは年金事務所が助かっている。無料であれば活用すべき。
 年金事務所は機構になって戦力低下し、事務センターでの処理が中心となっており、算定基礎届の提出時のチェックが甘くなることが懸念される。対面調査のプロを要請することと、年金委員との連携を図るべき。
 年金通帳は、そこまでしなくとも現状で十分。

(中嶋委員)ねんきん定期便が始まって、よくなったところはないか。

(江原埼玉県社会保険委員会連合会会長)1年分だけではメリットはない。給与明細で十分。

(竹詰委員)5年という頻度は、国勢調査のように統一的に全員に一斉に送るイメージか、それとも個人ごとに5年に一度、1/5ずつ送るイメージか。

(江原埼玉県社会保険委員会連合会会長)頻度というよりは、未納があるような人にどのようにPRしていくかということが重要。

[郵便局株式会社]
(中江郵便局株式会社総務部長)ねんきん定期便は見てもらうことが重要であり、わかりやすくすることが必要。当社も役所の時と比較して各種文書は相当簡素化されているが、分かり易くするためには、役所以外の人にも事前にチェックをしてもらう等の対応が必要。ねんきん定期便の電子化については、意向確認を行うだけでなく、きちんと見ていることを確認することが肝要。
 ねんきんネットについては、郵便局204局で試行実施中であり8月末までの半年間で142件の受付に留まっているが、制度周知が不足していることが一因と考えており、市町村広報誌への掲載といった周知を日本年金機構と協力して行っていきたい。郵便局としては、地域住民の利便の増進を図る観点から積極的に協力したい。
 金融機関での取扱いについては中立。
 年金通帳については、印字分量や費用対効果の観点からの検証が必要。ねんきん定期便とねんきんネットの併用でよいのではないかという感じを持っている。

(中嶋委員)郵便局でのサービス実施にあたり大変だった点は何か。

(中江郵便局株式会社総務部長)社員研修や照会対応に人手がかかっており、今後、局数を拡大する場合も一定程度の業務負荷があると認識している。

(矢野委員)ゆうちょ銀行の場合、通帳に記帳しない場合には明細が郵送されるのか。また、性や年代別で記帳している人と、記帳していない人の割合のデータはあるか。

(中江郵便局株式会社総務部長)一定期間記帳しないと自宅に明細が郵送される。年代別記帳率のデータはあるかもしれないが、今は持ち合わせていない。

(菊池委員)ねんきん定期便の電子化について、意向確認しても何年に一度は郵送で送った方がよいという趣旨は何か。

(中江郵便局株式会社総務部長)ねんきん定期便でもねんきんネットでも、ご本人が内容を確認して、納得しているということを担保することが重要。これがクリアされていれば、ねんきん定期便でなくともねんきんネットでもよいかもしれない。

(大山座長)郵便局窓口の利用件数が僅少であるが、利用促進の対応、課題をどう認識しているか。

(中江郵便局株式会社総務部長)局数が204と少ないことから利便性がよくないこと、周知の不足が原因と考えている。

(伊原記録問題対策部長)本年秋にニーズ調査を実施する。大都市部と郡部で調査し、どの地域にニーズがあるのか、どのような形でPRするのがよいのか等を把握し、今後の在り方について郵便局側と検討したい。

[全国銀行協会]
—資料2(金融機関窓口での「ねんきんネット」の記録交付および年金通帳への記帳に関する銀行界の考え方)について、相澤全国銀行協会業務部長より説明—

(大山座長)全国銀行協会でまとめてもらった資料における主張はよく分かる。

(竹詰委員)情報漏洩や目的外利用について、厳格なファイヤウォールが必要とのことであったが、郵便局で実施することは問題ないと考えるか。

(相澤全国銀行協会業務部長)郵便局での扱いについてはコメントを差し控える。

(中嶋委員)土日に銀行で年金相談会が開催されているが、個人情報の取り扱いはどうなっているか。

(橋口みずほ銀行参事役)各行によって対応は違うと思うが、個人情報の取得を目的とするというよりは、事前周知を行った上で、本部から専門の職員を派遣して相談会を開催し、制度や手続きについてお客様へご説明することが一般的と思われる。

(矢野委員)ファイヤウォールがないとした場合のメリットは。

(相澤全国銀行協会業務部長)どこまで許容されるかによるが、仮に自由に行って良いということであれば、各行で効果があると判断すれば行うことになり、銀行間での競争原理が働くことが想定される。

(西端委員)ねんきん定期便やねんきんネットについての意見があればお願いします。

(相澤全国銀行協会業務部長)個人的な感想であるが、ねんきん定期便は、進んで見るものでなく、読んでもよくわからない。以前、相続の際に理解できずに年金事務所に電話したがつながらなかった。また、高齢者はインターネットの利用のハードルが高いという事を前提にしているが、テレビでより簡単にインターネットを使えるようになってきているなど時代は変わっていくのではないか。

(矢野委員)通帳の記帳率といった調査データがあるか。性、年代で差があるか。

(橋口みずほ銀行参事役)データがあるか確認していないが、若年者の記帳率は低いのではないかと思う。

(大山座長)最近は、記帳できないATMが導入されていると聞くが、どの程度の割合か。

(橋口みずほ銀行参事役)割合は認識していない。記帳ニーズは一定程度あると思われるが、例えば、コンビニ等で各銀行が共同で使用するATMでは各銀行の通帳の仕様が異なるため記帳できない。

(竹詰委員)ネットバンキングによる振込手数料の割引サービスについては、銀行側はどのような考え方で行っているのか。

(橋口みずほ銀行参事役)窓口に比べてネットバンキングの振込手数料が安いのは、インターネットでお振込いただくことで節約されるコストの一部を顧客に還元させていただいているからである。

(中嶋委員)電子メールでの顧客への通知について、読まない方への対応はどうしているか。

(橋口みずほ銀行参事役)電子メールでの通知はプロモーションやメールマガジンといったものが主で、必ず伝えなければならないお知らせをメールでお送りして、メールが開封されたかを管理して対応することは行っていないと思う。

[全体を通しての感想]
(大山座長)ねんきん定期便の電子化については、見たかどうかを如何に確認するかといった点が重要で、メールの送付だけでは足りないのではないか。
ねんきんネットの普及については、単純な協力要請では不十分で何らかのインセンティブが必要なのではないか。

(竹詰委員)ねんきん定期便とねんきんネットのお知らせを分けるということについて、封筒の表と裏に書いてあっても見てもらえないということであればどうすればよいのか。
また、費用がかかるCMをうっても費用対効果のうえでどうかと思った。
ねんきん定期便については、正しく伝えることと、見ていただくために情報量は少ない方がよいという対立する課題を如何に解決するか非常に難しい。知恵を出していきたい。

—次回日程—
(尾崎年金記録回復室長)
次回は公聴会を予定しているが、発言者等の登録が少ないため、マスコミ・委員の皆様においても周知をお願いしたい。

以上


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 今野(3619)
鶴岡(3606)
電話代表: 03(5253)1111
直通: 03(3595)2806

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会> 第2回ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会議事概要

ページの先頭へ戻る