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2011年10月4日 第29回年金記録回復委員会議事要旨

○日時

平成23年10月4日(火)18:00~


○場所

厚生労働省 9階 省議室


○出席者

(委員)磯村委員長、稲毛委員、岩瀬委員、梅村委員、金田委員、斎藤委員、廣瀬委員、三木委員
(日本年金機構)薄井副理事長、矢崎理事、喜入理事、中野理事、吉野審議役ほか
(厚生労働省)辻厚生労働副大臣、今別府年金管理審議官ほか

○議事

(※議事録は資料ページにPDFファイルで掲載しています)

(1)年金問題の全体構図と本日の議題について

○ 年金局より資料1についての説明があり、了承された。

 

 

(2)厚生年金基金と国の記録の突合せについて

○ 年金局より資料2-1、2-2、2-4、2-5、日本年金機構より資料2-3、2-6について説明があり、委員から次の意見があった。

 

(磯村委員長)基金記録の問題はいろいろあるが、整理すると概ね資料2-1の3種類。そのうち本日は、「二重給付による過払い」又は「不支給」となっている事案について議論したいということである。

二重給付による過払い分の返還方法等については、資料2-4、2-5の形で日本年金機構が指示を受けて具体的な対応を行うこととなるが、これについては次回議論する。なお、紙台帳等とコンピュータ記録との突合せにより記録が判明しその結果年金額が減額となる場合は、どちらの記録が正しいか判らないのでご本人に申出がない限りそのままにするが、基金記録との突合せの場合は、どちらの記録が間違っているのか、「二重給付」であることがはっきりしているので返還してもらうという整理。この中で、本日は、資料2-4は本年5月の委員会で審議いただいており、資料2-5にある二重給付による過払いの取扱いを中心にご議論いただきたい。

 

■ この問題が記録問題の中で特徴的なのは、本人に責任が全くないということ。過払いで返還を求める事案は頻繁にあるが、その場合は届出漏れなど本人に原因が多々ある。今回の問題は、本人は届出をしないため国と事業所に任せきりとなるので、実務上本人に責任がない。裁定請求の時点でも気付かなかったものを誤りが判ったので返してもらうということ。過払いが判明した場合は過払いをそのまま放置するわけにはいかないので、返還を求めるのは当然のことである。受給者から相談があった場合、窓口である年金事務所が対応することになるが、対応の想定集の作成は検討しているのか。(廣瀬委員)

→ 機構から受給者に通知があれば、受給者の方々は機構に問い合わせをする可能性がある。課長通知で機構に対し、丁寧に説明するようにということを盛り込んでいる。(尾崎室長)

→ まずご本人にお詫びをすることが大事。返還してもらう場合には、なぜこういったことが起こったのか経過を丁寧に説明し、5年以内の分について返納を求める。その際の手順等については、年金事務所に対して統一的なものを示す予定である。(海老原部長)

■ 丁寧に説明するのは、ご本人が窓口を訪ねたときか。文書を出す際にその文書の中で経緯と責任の所在を示し丁寧に説明した上で、更に窓口を訪ねてきたときなのか。(岩瀬委員)

→ まず対象者へ手紙等で詳細を丁寧にお知らせし、その上でご本人に説明が必要であれば、伺って丁寧に説明する等の対応をしていきたい。(海老原部長)

■ 通知文書は事前に検討会等で見せてもらえるのか。(岩瀬委員)

→ これまで検討会等の場でもご議論いただいてきたところであり、今後もいただいたご意見を踏まえ、出来る限り丁寧な対応をしていきたい。通知文書は確認していただくこととしたい。(尾崎室長)

 

■ 既に第三者委員会での審議事案になっているものについてはどうするのか。(梅村委員)

→ 申し立てた年金事務所では第三者委員会で審議中かどうか分かるので、その場合は第三者委員会の判断を優先的に見ていく。(柳樂部長)

 

■ 過払い分の返還については全額なのか、一部なのか。(岩瀬委員)

→ 過払い分については全額返還となる。(尾崎室長)

■ 国が裁定し支給を行っているが、過払いにより返還していただく人達の生活を乱し迷惑を掛けることになるが、それについて国は何も責任を取らず、間違いがあったということで丁寧に説明すれば足りるという考えでこの通知を作ったのか。(岩瀬委員)

→ 機構と連携してご本人への通知の中でしっかりご説明し、全額返還を求める。(尾崎室長)

■ 返還する金額についてはもう少し議論すべき。今後の審議の議題にしていただくようお願いする。(岩瀬委員)

→ 補足すると、全額といっても会計法で5年という時効があるので、「過去5年間分の全額」という意味である。(柳樂部長)

■ 単純な振込ミスとは違い、全額返還するよう求めるのはどうかと思うので、是非議論していただきたい。(岩瀬委員)

→ 国としては、最長で過去5年分の全額返還を求めざるをえない。その後具体的にどのような形で受給者に返還を求めていくのかということを、今後の検討会でご議論いただきたい。(尾崎室長)

■ 返還を求めても一切応じないという場合もあると思うので、きちんと基準を決めるべき(岩瀬委員)

 

(磯村委員長)平均的な基金の加入員期間はどのくらいか。

→ 平均加入期間の統計はとっていないが、二重給付による過払い分は年額で平均4千円くらい、最大で16万円くらいであった。基金の給付額は年額平均40万円くらいになる。(渡辺課長)

(磯村委員長)返還を求めても直ちに生活を圧迫するほどではない人が大部分だろうということか。

→ 平均値が全てではないが、平均でいうのであればその通りである。(渡辺課長)

(磯村委員長)本人に落ち度がないのに返還してもらうよう現場で対応してもらうことになるが、現場からはどのような声が挙がっているのか。

→ この取扱いの結論が出るまで保留のため、現場の声はまだ聞いていない。(柳樂部長)

(磯村委員長)次回までにどういった声が挙がるか聞いてみてはどうか。

→ ラフな形になると思うが現場にサウンドしてみたい。他にも過払いに伴う返還となる事例はあるので、現場でそれほどの違和感はないのではないか。返還の方法については次回ということだが、現場では一般的に受給者と分割返納等についてご相談しながら対応しているので、この事案についても同様の方法になっていくと思われる。(矢崎理事)

(磯村委員長)他にも過払いの事例があるとのことだが、どういった事例でどのような対応をしているのか整理をしてもらいたい。紙台帳とコンピュータ記録の突合せ作業においてもこのような事例がたくさん出てくると思うので、対応も含めて考え方を整理する意味で次回示していただきたい。

→ 次回示したい。過払いにより返還を求めるケースで、多いのはご本人の死亡後に年金が振り込まれご遺族に返還を求めるケースであり、全体の7~8割である。(中野理事)

 

(磯村委員長)11月の委員会までに2回ほど粗ごなしの検討会を行うが、資料2-5については同意してよろしいか。

→ (全員了承)

 

(磯村委員長)返還方法についてはもう少し議論することとする。

 

 

(3)包括的意見に基づく記録回復の実施に向けた作業スケジュール(案)について

○ 年金局より資料3について説明があり、了承された。

 

(磯村委員長)包括的意見に基づく記録回復基準については、日本年金機構のホームページに掲載されているので、ご意見をいただきたい。

 

 

(4)「電子申請(e-Gov)」・「電子媒体申請」と一括適用について

○ 日本年金機構より資料4について説明があり、委員から次の意見があった。

 

■ 現状、届出の50%は電子媒体・電子申請によるものだが、年金事務所で10人、事務センターでは数十人単位で内容審査等を行っている。電子媒体等による届出のワークフローにおいても工程数がかかるものがある。例えば住所に係る届出などは、元々正しい住所が記録されていたとしても、電子媒体により間違った住所が登録されているファイルを読みこむと、そのまま間違った住所が上書きされてしまう。現在、氏名・生年月日・住所・基礎年金番号で突合せし、これらの項目が全て一致しないと本人として認められないというのであれば、その瞬間、宙に浮いた記録が発生するということになるので、そういうことが発生しないように目で確認しなければならず、結局手間をかけなければならない状況である。どのように個人をアイデンティファイし運用をしていくのかという定義がはっきり決まっていないことが根本的な原因である。この点については、基礎年金番号と生年月日だけで本人確定し住所は入力しないというように、きちんとロジックを決めれば解決することである。現場は与えられたシステムをどのように運用してどのように事務処理誤りを発生させないかということに凝り固まっているので、きちんとサービス・システムの両面を作る側としてよく考えることが一番大事である。現状のワークフローを現場で押えた上で、「こういう決めをすればこういう作業はなくなる」ということを現場に確認すればよいだけである。(三木委員)

■ 電子媒体等による申請は、進んだやり方であるが故の危険性もある。例えば基礎年金番号の末尾1桁だけ間違っていた場合、紙媒体による届出であれば内容に矛盾があったとしても年金事務所の窓口において確認し指摘できるが、電子媒体等による届出の場合は確認できない。そのような危ない点・注意点を列挙してもらいたい。(廣瀬委員)

→ 届出内容をチェックすることに労力を削がれているという事は認識している。そのようなプロセス上の問題点をなくすための方策を講じる観点から、業務のプロセスを見直したいと考えている。一方で、お客様の利便性という観点からも、ベンダーの意見を聞きながら見直していきたい。

廣瀬委員のご指摘については、具体的事例を確認しご説明する。(吉野審議役)

 

■ 届書作成プログラムのバージョンアップをしたときに、ある程度の規模の社労士事務所であれば便利になったという声を聞くが、小規模の事務所ではシステムの変更が負担になり、電子媒体申請から離れてしまうことがあった。バージョンアップした際に無条件でダウンロードできるようにしていただきたい。また、その際にはどこがどのように変わり便利になったのかわかるように、丁寧に示して欲しい。(梅村委員)

→ 機構が用意しているプログラムはダウンロードできるようにし、丁寧に周知する。(吉野審議役)

 

■ 事業所の規模・体制に差があるので、提出方法をどの方法に集約していくかは難しい課題であるが、一方で、正しい届出をしていただくためのIT化という部分に踏み込めていないので、今後踏み込んでいただきたい。紙媒体による届出にも良い側面があるが、文字の抜けや読めない等の問題もある。ホームページ上に届出の様式としてPDF版、ワード版、エクセル版があるが、枠がずれる等使いづらい。ハローワークでは、質問に答える形で入力していくことで届書が作成できるシステムが導入されているので、紙媒体でも正しい届書を作成できる工夫ということも今後の検討課題に入れていただきたい。

また、機構の届書作成プログラムと連動させ、例えば資格取得届で人数が少ない場合は紙で出力されると便利だと思うので検討していただきたい。(稲毛委員)

(磯村委員長)「ペーパーレス」という言葉を入れると解りやすいと思うので、是非入れていただきたい。

 

 

(5)その他のご報告事項

○ 日本年金機構より資料5及び資料6、年金局より資料7について説明があり、委員から次の意見があった。

 

【「ねんきんネット」の2次リリースについて】

■ ねんきん定期便含めて、レター類を年間どれだけ送りどれだけコストがかかっているのか、比較対象の項目として考えるべき。レター送付で300~400億円程度掛かっていると思うが、ねんきんネットによりどのくらいコスト削減の効果があるのか。(三木委員)

→ 定期便で年間7千万人、他に受給者に対して3千9百万人に通知を送っているが、これらを電子的な形でお送りするサービスを提供していきたいと考えており、来年度から可能にしたい。現在、ねんきんネットや定期便等のあり方について検討会が開かれており、郵送の場合と電子的な通知、選択的にするのかどうか等の検討がなされているところであり、その結果を踏まえて対応したい。

現在、レター送付に掛かる経費はだいぶ節約してきている。事業仕分けの指摘もあり、今年度は90億円の予算となっている。来年度はハガキ化により更に経費の削減を図ることとしているが、それでも巨額な費用が掛かることには変わりはないので、ご自身の記録を知ってもらうことの必要性とコストの問題を出来るだけ両立させる努力をしていきたい。(伊原部長)

 

■ カラー資料が提出されているところに意気込みを感じる。これを元にマスコミの方々が記事を作成すると思うので、デモの機会を用意してもらいたい。年金見込額試算の誤差についての代表的な要注意点の説明資料を用意していただき、手厚く対応してもらいたい。(稲毛委員)

→ プレスリリースはデモンストレーション込みでやりたいと考えている。若干の誤差はシステム的にどうしても発生しまうので、誤解のないように対応していきたい。(伊原部長)

 

■ 過去の見込額試算と現時点の見込額試算をしたところ減額したという事例があったが、見込額試算をする際に条件を明らかにしないと説明に苦慮する。また、高齢任意加入し65歳以降にならないと受給権が発生しないような場合もあるので、見込額試算が出来ない場合の説明を加えていただきたい。(梅村委員)

→ ねんきん定期便にも物価スライドにより年金額が変わる場合がある等の細かな説明を記載しているが、それでも現場で誤解が生じる場合があるので、ねんきんネットに関しても、ホームページ等で解りやすい説明をしていきたい。また、試算できない場合があることについてもきちんと表示したい。(伊原部長)

 

■ 若年の方のねんきん定期便だが、少ない見込額を乗せることにより誤解を生じるだけで、却って納付意欲を失わせるのではないか。可能であれば、60歳まで加入した場合の額を表示するなど工夫する余地はないか。出来ないのであれば、若い方へはねんきん定期便を送付せず、ねんきんネットの利用を勧めた方がよいのではないか。(三木委員)

→ 省令により見込額を表示しないわけにはいかないが、ねんきんネットで見込額試算が出来るようになったので、この冬からお送りするねんきん定期便には、ねんきんネットでは60歳まで加入した場合の見込額を試算できるので是非ご利用いただきたい旨のPRをしたいと考えている。(伊原部長)

 

■ 今年の春からアクセスキーによるねんきんネットへのアクセスが可能になっているが、アクセスキーの利用状況はどうか。(稲毛委員)

→ この間、約34万3千人の方へIDを発行しており、毎週1万5千人程度が新規登録をしているが、この内の大多数の方がアクセスキーを利用している。(伊原部長)

 

■ ITを巡る環境は急速に変化している。これからは、PCだけでなく携帯電話とタブレット型端末の3つの対応が揃わないといけないので、その辺も考えながら進めていただきたい。(斎藤委員)

→ 携帯電話によりIDは取得できるが、ねんきんネットの記録を表示することができないので、その点については課題であると考えている。また、ホームページの携帯版については機構内部で議論をしているところであり、タブレット型端末からは閲覧できる。(伊原部長)

 

 

(6)その他

○ 次回開催は11月8日(木)とのお知らせがあり、次回までに粗ごなしの検討会を1、2回ほど行いたいとの提案があった。

 

(辻副大臣より挨拶)

出張のため遅参して申し訳ない。9月3日、野田新内閣が発足し、小宮山大臣の下で牧副大臣、藤田政務官、津田政務官ともども、皆様のご指導を賜りながら厚生労働行政の推進に当たらせていただくことになったところである。とりわけ年金・医療・介護・子育て支援等の厚生分野を藤田政務官と共に担当となり、今後とも引き続きご指導賜りたい。

一昨年以来、今回で29回目の委員会とお聞きしているが、国民からの信頼を損ねる部分があった年金の記録回復を通じての信頼回復、また、より良い年金の国民への行政サービスの推進に向け、ご指導ご鞭撻いただいていることに心より感謝を申し上げる。

現在3千7百万人の方々が年金による所得があり、その内の6割の方が年金所得だけで生活しているという現状であり、年金は生活の中で大きな機能を果たしているので、年金制度・年金行政は、国民の信頼に値する公正で安心できる制度・行政でなくてはならない。常日頃「厚生」の「生」たる所以は、「生活」・「人生」・「衛生」・「生命」の「生」を厚くすることが厚生労働行政だと考えている。年金を通じて「生活・人生を厚くする」ことが大きな使命だと思っており、使命感を持って皆様にご指導を賜りながら年金制度・年金行政の推進に当たっていきたい。

年金の制度論も並行して検討しているところであるが、公正で安心でき信頼に値する行政の推進に向け、更なるお力添えを賜るようお願い申し上げる。

 

 

以上


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 本間(3653)
佐々木(3658)
代表電話: 03(5253)1111
直通電話: 03(3595)2806

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