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2011年8月2日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年8月2日(火)16:00~


○場所

厚生労働省 共用第6会議室


○出席者

出席委員(9名):五十音順 敬省略

 石郷岡   純、 桐 井 義 則、○鈴 木   勉、 関 野 祐 子、

 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、  花 尻 瑠 理、◎望 月 正 隆、

 和 田   清

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名):五十音順 敬省略

 妹 尾 栄 一、 鍋 島 俊 隆、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

 中井川    誠   (監視指導・麻薬対策課長)

 佐 藤 大 作 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻まで5分ほどございますが、今日御出席の委員の皆さまお揃いということですので、ただ今から薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は当部会の委員数12名のうち9名の委員の方々の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。本日は妹尾委員、鍋島委員、藤岡委員が御欠席となっております。開会に当たりまして、審議官の平山から一言御挨拶を申し上げます。
○審議官 大臣官房審議官の平山です。本日は御多用なところ御出席いただきまして、厚く御礼申し上げます。本日の会議開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。若者の間で乱用が懸念される違法ドラッグですが、商品の中には覚せい剤や大麻の成分に類似したものが含まれるなど麻薬や覚せい剤などの使用のきっかけとなる恐れがあるだけでなく、健康被害の発生が懸念されております。厚生労働省といたしましてはこうした問題に対処するために、違法ドラッグに含まれる成分について平成19年から薬事法に基づく指定薬物として指定し、規制を行ってきているところでありまして、現在59物質が指定されております。しかしながら、規制を逃れるために、新たな乱用物質が次々に生み出されておりまして、市場に投入されているという状況です。厚生労働省といたしましては今後、検討を行っている薬事法改正におきまして、この指定薬物に関する取締りの強化を図っていく予定です。また、次々に現れる乱用物質に対しては、迅速に指定薬物への指定手続きを行っていくことはもちろんですが、物質ごとの指定ではなく、大きな網をかけるような方法を検討しているところです。本日審議をお願いする九つの物質は国、都道府県等で買上調査の結果、新たに流通が認められ、乱用されていることが危惧されるものです。本日はこれらの物質について指定薬物としての可否、また指定薬物のより効果的な取締方法についても委員各位の忌憚のない御意見をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。私、監視指導・麻薬対策課長を7月29日付で拝命いたしました中井川です。よろしくお願いいたします。私の左隣が監視指導室長の佐藤です。事務局担当課長補佐の江野です。担当の稲田です。それから、本部会の公開・非公開の取扱いにつきましては総会におきます議論の結果、会議は非公開とされております。これは会議を公開することによりまして、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことによります。また、会議の議事録の公開につきましては、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、予め御了承いただきたいと存じます。それでは、座長の望月先生に以後の議事をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○望月部会長 議事の進行を務めさせていただきます。最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 お手元の資料の確認をお願いいたします。本日配付させていただいております資料ですが、資料1~3、参考資料が1~5まで、参考文献は1~11までを配付させていただいております。資料1は「指定検討物質一覧」です。資料2は「各物質の中枢神経系の作用等について」、資料3は「指定薬物の包括指定について」、参考資料1は「薬事法抜粋(指定薬物関係部分)」です。参考資料2はカラー刷りになっておりまして「指定薬物の規制」、参考資料3は「指定薬物一覧」ということで、構造式、指定時期等が一覧となっております。参考資料4は「指定検討物質検出情報一覧」、参考資料5は「医療等の用途(案)」です。参考文献につきましては事前配付のものが参考資料1~5までと参考資料7~9となっております。また、本日参考資料6、10、11を配布させていただいております。以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。資料がお手元にない場合にはお知らせ願います。よろしいですか。それでは、議事に入ります。本日の議題は、指定薬物の指定についてです。指定薬物の指定の際には、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととされておりまして、今回、九つの物質について諮問がされております。本日も審議いただく指定薬物の候補物質が多いので、一つひとつの物質の審議を効率よく行いたいと思います。それでは、本日の審議の物質について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 今回御審議をいただきたい物質につきましては、国及び都道府県で試買調査をして製品の分析を行った結果、検出された、国内で流通実態が認められている物質ということになります。資料1は本日審議いただく物質の名称、別名、さらには構造式が1~9まで、それぞれ記載をされております。
 続きまして、資料2につきまして、各物質について行われました国内外の各種動物実験や基礎研究のうち中枢神経系への影響を中心として取りまとめたものです。
 なお、参考資料5にあります「医療等の用途(案)」ですが、こちらは本部会の審議事項ではありませんが、本部会における審議の結果と併せまして、該当物質の正規用途として、パブリックコメントを行いたいと考えておりますので、参考までに配付をさせていただきました。これらの物質について指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるかどうかにつき御審議をいただきたいと思っております。
 本日審議をお願いいたします九つの物質につきまして、主として資料2に基づきまして説明をさせていただきます。審議品目が多いので、前回同様少しまとめて説明をさせていただきます。資料2-1~2-6まで六つの物質についてまとめて御説明いたします。資料2-1は、通称JWH-019で、これまでに各種指定をされております指定薬物の中でもJWHシリーズといわれるものの一つです。構造式を載せておりますが、構造類似物質、その下のものと比較をいただければ、これまでの物質と非常に似ていると御理解をいただけると思います。JWH-018につきまして、インドール環のNから伸びておりますのが、炭素5個分です。その隣にあるJWH-073ですが、こちらはインドール環のNから伸びているものが炭素が4個、今回御審議をいただきたいものが6個です。
 続きまして、中枢神経系への作用等です。過去の指定薬物部会でも参考資料として提示しておりますACMD、各種の試験研究結果に基づいてのデータとなりますが、CB1受容体に対する親和性についての報告があります。こちらの親和性、Ki値ですが、このJWH-019につきましては、Ki値9.8となっております。Δ9-THCのKi値が40.7ですので、単純に比較をさせていただきますと、JWH-019はCB1受容体に対して大麻の主要成分でありますΔ9-THCと比べて約4倍の親和性を有すると計算をされます。
 資料2-2です。こちらは通称JWH-203です。ベンゼン環の2位に塩素(クロル)が付いております。それから、インドール環のNの長さが炭素5個分となっております。構造類似物質といたしまして、JWH-250、これはすでに指定薬物として指定をしておりますが、こちらにつきましてはベンゼン環の2位の部分がメトキシになっており、インドール環のNから伸びている炭素の数は4個です。JWH-251は同じくベンゼン環の2位の部分がメチル基、それからインドール環の長さは5個で同じです。こちらにつきましてもCB1受容体の親和性に関する報告に基づきまして、Ki値が8.0、先ほどのものとほぼ同じような数値となっておりますが、こちらもΔ9-THCと比べまして約5倍の親和性を有すると計算されます。
 資料2-3はJWH-210です。ナフタレン環の4位にエチル基が付いております。さらにインドール環のN位の炭素鎖が5個分でして、構造類似物質JWH-081、こちらは指定薬物として指定されておりますが、こちらのナフタレン環の4位の位置にありますのがメトキシです。N位の炭素鎖の数は5個で同じです。さらに、JWH-122も指定薬物ですが、こちらはナフタレン環の4位の位置のものがメチルということで、このJWH-210についてはナフタレン環の4位の場所に付いている側鎖が違います。こちらについては国立医薬品食品衛生研究所の方でも分析をしていただいておりますが、非常に流通量が近年多くなってきている物質でして、こちらのCB1受容体への親和性に関するデータですが、Ki値0.46ということで、Δ9-THCと比べまして約90倍と非常に強い親和性を有すると報告がされております。
 資料2-4はAM694ということで、JWHとは違うシリーズになります。このAMというのは人の名前でして、文献の5にありますとおり、このMakriyannis Alexandros、こちらの方の頭文字AMを取って、番号を付しているものです。AMシリーズも相当数あり、そちらの694番です。構造式につきましては先ほどのものとやや似ていますが、ベンゼン環の2位にヨウ素(ヨード)が付いております。さらに、インドール環の炭素鎖の5個の先にフッ素が付いているというものです。JWH-018に比べますと、フッ素の部分が違うということと、ナフタレン環がベンゼン環、2位にヨードの付いたベンゼン環になっているものです。073につきましては先ほど申し上げたとおり、インドール環のNの炭素鎖が4個であるというようなものです。こちらの物質についてのCB1受容体への親和性に関する報告の結果ですが、こちらのKi値が非常に強くて、0.08となっておりまして、Δ9-THCと比べますと、512倍というような親和性を有するものとなっております。資料2-5とも関係しますが、AMシリーズについては知的所有権に関する文献になっておりまして、各種AMシリーズの合成法であるとか、この範囲が知的所有権の範囲に入るものとして、相当幅広くありまして、JWHシリーズに比べますと、例えばハロゲン修飾であるとか、そのような化学物質の修飾が相当になされております。文献の5も今後の指定薬物部会でも何度も登場するのではないかと思います。こちらもKi値が、非常に幅広く分析結果を載せておるものでして、相当Ki値の小さいものという、AMシリーズの中でKi値の小さなものというのがそこかしこにありますので、今後も流通が見られる可能性というのがあろうかと思っております。
 資料2-5は、こちらも同じくAMシリーズ、AM2201というものです。先ほどと同様にインドール環の5位、インドール環のNから伸びている炭素鎖が5個で、その先にフッ素が付いています。もう一方の手がナフタレン環です。JWH-018と違うのはフッ素が付いているだけというものです。こちらのCB1受容体の親和性に関するデータですが、Ki値1.0ということで、こちらも Δ9-THCと比べまして、41倍の親和性を有するというような物質です。
 資料2-6は、こちらは通称RCS-4というものです。また違うシリーズになります。こちらの構造式はベンゼン環の4位にメトキシが付いていて、インドール環の先の炭素鎖が5個というようなものです。先ほど申し上げたJWH-018であるとか、JWH-250との構造的な類似性というものも見られております。こちらにつきましては実は正式な海外データというものがこれまで存在しておりませんでした。□□□□□□□□□□□□□□□先生と相談をさせていただきまして、文献6でRCS-4に関する実験を行っていただいております。また、文献11で、□□□□□□□□□□□□□□□□□□動物実験をかなり広汎にやっていただいた結果というものを載せております。概要の中に反映できていなく、大変恐縮ですが、簡単に御説明を申し上げますと、このRCS-4のCB1受容体に対する親和性を明らかにするために、このRCS-4のトレーサーとレセプターの結合を阻害する濃度、IC50ということですけれども、こちらのデータをそれぞれ比較対照物質と一緒に試験をしていただいた結果というものが載せてあります。順にこのJWH-250、RCS-4とWIN-55212という3物質について、作用を抑制する濃度のデータを取っておりますが、ちょうどこのRCS-4がJWH-250とWIN-55212とのちょうど間に挟まるような形となっておりまして、相当CB1受容体に対する親和性というものを有していると言えるのではないかと思います。文献11ですが、合成カンナビノイドRCS-4の薬物依存性及び細胞毒性の評価ということで、この行動薬理学試験、それから報酬効果、さらには薬物弁別、細胞毒性ということで、非常に多様な試験を行っていただいております。行動薬理学的解析については、大麻と同様にカタレプシー様無動状態、こういったものがRCS-4で用量依存的に見られるというような結果が得られております。
 さらには、報酬効果ということで、CPPでこのRCSの条件付けをいたしまして、有意な発現が確認されたというものです。したがいまして、RCS-4は精神依存形成能が認められるのではないかというデータとなっております。
 薬物弁別ですが、CP-55,940と般化が認められたということで、大麻等と同様の感覚効果を有するということ。さらには細胞毒性があると。細胞毒性自体は、指定薬物の指定と直接の関係はありませんが、やはり乱用をすることによって、健康影響といったものが見られる可能性が高いというような試験結果となっております。
 資料の説明につきましては以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました六つの物質について委員の先生方からコメントをいただきたいと思います。
○□□委員 参考情報としまして、□□□□□□□□独自にインターネットを通じて違法ドラッグ製品の買上調査を行った結果について、簡単に御説明させていただきたいと思います。今回、9薬物が指定薬物の候補として挙がっていますが、これらの薬物につきましては、延べ425製品、一つの製品中にいくつかの対象化合物が重複して存在しているものもありますので、個別の製品としては239製品から、私どもの調査の結果、検出されています。
 最初のJWH-019に関しましては64製品、次のJWH-203につきましては85製品、JWH-210につきましては108製品。また、AM694につきましては21製品、AM2201に関しましては77製品。さらに、RCS-4に関しましては18製品から、それぞれ、別々の製品として検出されています。また、これらの製品のほとんどは、乾燥した葉と言いますか、乾燥した植物の細片にいくつか複数の化合物がまぶしてあるような形態でして、中には、粉としていくつかの化合物が混じったような、また、単独の化合物として販売されているものもありました。RCS-4に関しましては、□□□□□□□□CB1受容体とのバインディングアッセイのデータ、また、精神・神経センターでもデータを出しています。そのほかに、つい最近ですが、東京都で出したデータが論文としてパブリッシュされています。それによると、ラット脳の膜画分のGTPγSとのバインディングアッセイを行った結果、RCS-4は、JWH-018、(一番最初に指定薬物になりました合成カンナビノイドですが)と比較して、EC50としては1/20程度、また E(max)Maximum Effect としては7割程度ですが、比較的強いin vitro 活性があるという報告がされています。以上です。
○望月部会長 ありがとうございます。ほかには何か御意見ございますでしょうか。
 資料2-1~資料2-5までは、構造の上からも、あるいは、Ki値からも問題なく指定していいかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
 では、資料2-6についてです。これはやや、資料2-5までとは違う点がございますが、これについて御意見ございますでしょうか。
○□□委員 確認ですが、先ほど、事務局の方からRCS-4の表のことを御説明されていましたが、JWHともう一つのものとの中間の値とおっしゃっていたような気がしましたが、中間という理解でいいですか。
○事務局 そうです。
○望月部会長 これらの物質については、いかがでしょう。これらについても、指定相当でいいかと思いますが。この6物質については、先生方のコメントを踏まえまして、指定相当にいたしたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、次の資料の説明をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。引き続きまして、資料2-7~資料2-9の三つの物質につきまして御説明させていただきます。
 資料2-7です。こちらは、通称「ナフィロン」という物質です。先ほどの合成カンナビノイドとカチノン、更にαピロリジンという物質など、いくつかの要素が重なっている物質です。構造類似物質は、ピロバレロンについては向精神薬として指定されています。片方の手がナフタレンの代りに4-メチルフェニルの形になっています。それから、MDPVにつきましては、3、4-ジオキシフェニルの構造とナフタレン環が違うだけの物質です。他の物質との構造的な深い類似もあります。それから、カチノンとの構造的な類似ですが、ナフタレンから伸びているC-C-Nの形が、いわゆるカチノンの基本形式、アンフェタミンと同じような構造となりますが、この基本構造を持っている物質で、恐らく両方の似たような効果があるのではないかと思われます。
 この物質については、東京都の健康安全研究センターによる各種各般の研究データがありますので、こちらでまとめさせていただいた資料を簡単に説明させていただきます。この物質の特徴を一言で申し上げますと、コカインに似ています。さらに、コカインよりも強い効果を持っているものです。いわゆるモノアミン神経伝達系への影響として、再取込阻害作用と遊離促進作用の双方のデータを、ナフィロン、覚せい剤、コカインそれぞれを比較したデータを資料として載せています。コカインと同様に、遊離促進作用はあまり見られないものですが、非常に再取込阻害作用が強いものです。覚せい剤につきましては両方の作用があることが表の中から読み取れると思います。また、これについてin vivo の試験もありまして、マウスの中枢神経系内モノアミン量の経時的変化としてそれぞれデータを取っています。これも一言で申し上げると、覚せい剤よりも若干弱いものですが、量を増やすとやはり同様に、モノアミンの神経細胞外レベルを増加させる効果が見られています。それから、ACMDによる報告として、こちらもまとめておりますが、再取込阻害作用のみに着目しますと、この2段目がナフィロンとなりますが、コカインに比べて10倍ほど強いというようなデータとなっています。向精神薬であるピロバレロンに比べますと、セロトニンの取込阻害があるという点で、さらに厄介な物質だという印象です。その代り、再取込阻害作用は強いのですが、遊離促進作用があまり見られないということで、恐らく、覚せい剤よりは若干弱い作用のものです。
 資料2-8です。こちらは、4-フルオロメトカチノンで、前回御議論いただきました、3-フルオロメトカチノンとF(フルオロ、フッ素)の付いている位置が3と4の違いのある物質です。構造類似物質としまして、メトカチノンについては麻薬として規制されています。ベンゼン環の4の位置にフッ素が付いたものが今回御審議をお願いしたい物質です。こちらにつきましても、東京都の健康安全研究センターによるin vivo の試験がされていまして、覚せい剤等と同様の作用があるかどうかということで、マウスを用いた行動薬理試験をされています。また、行動観察中枢神経症状、自律神経症状につきまして、メタンフェタミンの投与で発現する症状と非常に類似していたという実験結果が得られています。in vitro の試験ですが、モノアミン神経伝達系への影響で、こちらも、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンについて、再取込阻害作用、さらには遊離促進作用についてデータを取っていまして、先ほどのナフィロンとは違い、遊離促進作用につきましても、覚せい剤に比べると若干弱いけれども、それぞれ覚せい剤と同様の作用が見られているものです。さらには、マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化のデータも、やはり同様の傾向を示しておりまして、覚せい剤に比較すると若干弱いけれども、同様の作用を示している物質です。
 最後になりますが、資料2-9です。こちらは、4-メチルエトカチノンという物質です。また先ほどと同じカチノン系になります。このカチノンについては、Nから伸びている炭素の数が2個ということでエトカチノンという名称、基本的な構造骨格を持つものです。メトカチノンについては、麻薬、さらには、4-メチルメトカチノン、炭素の数が1個のもの、メフェドロンとして問題となりました物質ですが、こういったものも既に指定薬物として指定されています。こちらの物質につきましては、特に、in vitroin vivo のデータがありませんでした。そこで、国立医薬品食品衛生研究所にお願いしまして、QSARによる生物活性予測試験というものをしていただいております。こちらについては、資料の文献10に、4-メチルエトカチノンの生物活性値の予測という試験データをいただいています。試験方法としては、ファーマコフォアフィンガープリント法、それから2D-QSAR法で、2種類の活性相関法を試していただいています。モデル構造に用いました構造類似化合物につきましては覚せい剤その他各種の物質で、それぞれ得られている活性値についてプロットし、今回の4-メチルエトカチノンが、同程度の活性があるという試験結果をいただいています。
 さらに、今回この物質を指定薬物として御審議いただきたいもう一つの理由ですが、先ほど申し上げた構造類似物質である4-メチルメトカチノン、この図の中で右側に載せてある、もう既に指定薬物として指定をしている物質ですが、この物質については、摂取をした方が死亡されたという報告が欧米で相次いであり、規制されたという経緯があります。構造活性があり、かつ非常に類似した物質に死亡例が多いということで、こちらの物質についても前広に規制をするべきではないかということで提案させていただいています。簡単に死亡事例について申し上げますと、2008年デンマーク、スウェーデンにおいて、これは確実にこれだとはっきりしている事例ばかりではありませんが、単体で血液中からメフェドロンが検出されたという事例が頻発した。スウェーデンにおいては18歳の女性、デンマークにおいて十代の死亡ということです。その後、米国において、ヘロインとの併用による死亡者が見られています。また、2010年10月に、英国における関連死の疑い例ということで、非常に数が多いですが、48例、検死結果でメフェドロンの分析結果が出たという死亡事例が報告されています。さらに、メフェドロンとほかの薬物との併用による死亡事例もいくつか見られています。以上です。御審議のほど、よろしくお願します。
○望月部会長 ありがとうございます。この3物質について、皆さんから御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 こちらの化合物につきましても、□□□□□□□□□□試買調査(インターネットを通じた買上調査)の結果を簡単に御説明させていただきたいと思います。まず、4-フルオロメトカチノンですが、こちらはすべて液体の製品で、10製品から検出されています。次のナフィロンにつきましては、4製品、こちらもすべて液体の製品から検出されています。最後の、4-メチルエトカチノンは37製品から検出されています。特に4-メチルエトカチノンにつきましては、今、御説明がありました4-メチルメトカチノン(メフェドロン)、その後に指定薬物になりました4-メトキシメトカチノン(これはメテドロンと呼ばれる化合物なのですが)等、死亡例が報告されている化合物が指定薬物になった前後にその代替品として市場に登場してきた化合物です。製品のほとんどは液体ですが、粉単独として販売しているものもありました。また、一部の製品につきましては、合成カンナビノイドと混合して売られているものもありまして、半数ぐらいの製品につきましては、これは指定薬物とは関係ないかもしれませんが、中枢興奮性のある局所麻酔剤リドカインやプロカイン、ベンゾカイン等とミックスして売られているケースが認められました。以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方から御意見ございますでしょうか。
○□□委員 そういう製品は、どういう用途として売られているのですか。
○□□委員 製品は、合成カンナビノイドにつきましては、ほとんどが乾燥した植物片にまぶしてありまして、インターネット上の情報を見ると、基本的には喫煙を前提として売られているのではないかと考えています。実際、中には、紙巻きたばこのように、たばこ型で売られているものもありますので、合成カンナビノイドに関しては喫煙を目的としているのではないかと思います。また、カチノン系の化合物につきましては、一部合成カンナビノイドと共に乾燥植物片に含まれているものもありますが、ほとんどが液体試料でして、液体に関しましては経口摂取、もしくは、プロカイン、リドカイン、ベンゾカイン等の局所麻酔剤等が含まれている製品もあることを考えると、もしかすると、外用的に、局所的に塗ることも考えているのではないかと推測しています。
○事務局 液体のものについては、鼻吸引もあり得ると思います。直接の小さなストロー等で入れるようなものが相当あるのではないかと思います。
○望月部会長 ほかには御意見ございますでしょうか。2物質について、資料2-7、資料2-8については、活性からも構造からも問題なく指定相当だと思います。資料2-9については、そのもの自身のデータがなく、この活性相関のデータと、類似物質で死亡例があったということであります。これについても、方向としては、これだけ構造を見ても、全く、類似というか、メチルがエチルになっているだけですし、いろいろな事故もあるということですし、構造活性相関も非常にきれいに乗っていることから、こういう方向で指定を付けたほうがいいような気がします。よろしいでしょうか。この3物質についても指定相当とさせていただきたいと思います。
 本日の審議をまとめますと、今回御審議いただきました物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 事務局から本件に係る今後の手続き、スケジュール等について説明願います。
○事務局 今後のスケジュール等につきまして御説明させていただきます。本件の結果につきましては、9月に開催を予定しております薬事分科会で報告させていただく予定です。また、本日の結果を受けまして、パブリックコメント、それからWTO通報です。こういった必要な手続きを行いまして、指定薬物を指定するための省令改正の手続きを進めたいと考えています。また、正規用途(医療等)、それから化学・工業用途につきましては、これまでの調査によりまして、参考資料5に記載していますが、特に、化学用途・医療用途として使用されているという実態は今までのところ聞いておりません。いずれにしても、パブリックコメントの結果を受けまして、可能な限り適正使用に支障を来さない形での指定として対応したいと考えています。
○望月部会長 ありがとうございます。2番目の審議事項は以上であります。
 続いて、議事の「3.その他 包括指定について」、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料3に基づきまして御説明いたします。指定薬物につきましては、実際には62物質ですが3物質が麻薬に移動していますので、これまで現時点で59物質が指定されています。本日も9物質を御審議いただきましたけれども、新たな乱用物質の流通が非常に見られます。近年では、合成カンナビノイドを含めまして、より複雑な構造を有します物質の流通が見られています。本件につきましては、特に現在、厚生科学審議会において検討されています薬事法改正についての議論でも、指定薬物について少し包括的な規制をできるような検討をすべきではないかという意見が提示されています。
 資料3を御覧ください。こちらは簡単に、これまでの概要を説明させていただいています。参考までに、平成19年4月1日から指定薬物制度がスタートしているわけですが、各年において指定してきました指定薬物の系統を表にしています。歴史的に、指定薬物、いわゆる合法ドラッグと称して販売される商品がだんだんと移り変わってきていることが見て取れると思います。当初、いわゆるラッシュと称する製品、亜硝酸系の製品が非常に問題となっていました。平成19年にラッシュの規制をかけたときの指定数は非常に多く。亜硝酸系、それからピペラジン系、さらにはトリプタミン系が多かったのですが、その後、指定に伴いまして流通がガクッと落ちて、こういった商品については新たなものはほとんど見られていません。平成19年~23年までずっと出てきているものがフェネチルアミン系やカチノン系化合物です。そのような構造と似たものが、絶えず出てきています。それから、先ほど御審議いただきましたが、合成カンナビノイド、これが平成21年、約2年前から非常な勢いで市場にどんどん出てきています。有名な製品としては「スパイス」というブランドネームで売られているものが非常に多く出てきています。同じ「スパイス」という製品であったとしても中身を変えて出してくるようなことが見られています。
 次のページです。「指定手続き・包括指定のメリット・デメリット」です。今までは、物質を試買し、分析し、出てきたものから順に指定しましたが、この指定手続きにつきましては、先生方に御審議を通じまして、特に中枢神経系への影響が疑われるかどうかという点を中心に御議論いただきまして、指定の判定をいただいてきています。包括指定についての考え方は、指定薬物を包括化して指定することにより、ほとんどの製品が海外からの製品ですので、日本に入って来る前に事前に指定をかけるようなやり方、こういったことができれば、国内流通を未然に防止し、ひいては、国民の健康被害の発生を予防することが可能になるのではないかということです。この指定の際には、もちろん、可能な限り、諸外国等における動物実験、各種のデータ等についての情報収集をするわけですが、そのような段階でも、限られた情報に基づいての蓋然性判断をすることによって、スピーディな規制ができると考えています。
 一方、そのデメリットとしては、指定の際に、ある程度の幅で規制をかけてしまうことになりますので、本来意図していない有用な物質が包括指定される物質の中に含まれていることになりますと、医療や工業用途等の開発や研究の妨げとなる可能性もあります。このようなことについては十分に留意して検討していく必要があると思っています。したがいまして、指定に当たりまして、特に包括化して規制される物質が指定薬物の本来の趣旨であります中枢神経系への興奮・抑制もしくは幻覚等の作用を有する蓋然性が高いのかどうか、さらには、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する恐れがあるものであるかについて、より慎重な判断をしていく必要があろうと考えています。
 それから、御参考までに、「3 国内外における包括指定の取組み」として少し整理させていただいています。包括指定という言葉について、新しく提案させていただいておりますが、実は前例がないわけではありません。これは麻薬及び向精神薬取締法の中で、麻薬・向精神薬についてはそれぞれ各物質ごとに特定の名称で指定しているわけですが、実はその麻薬には既に包括指定の前例があります。例示として示しているのが、例えば、コデイン、エチルモルヒネ、その他モルヒネのエーテルというような、これが一つの指定になります。従いまして、一つの指定の中に、既にコデインとエチルモルヒネの二つの物質が麻薬として指定されている形になっており、さらには、その他モルヒネのエーテル、もちろんエステルもありますが、という形での包括指定がされています。
 もっと幅広い概念であります「誘導体」という言葉も既に使われている前例があります。モルヒネ-N-オキシドにつきましても、五価窒素モルヒネ、さらにはそれらの誘導体という形で、非常に幅のある指定の仕方を、これは国内事例ですが、既に指定したものがあります。
 さらに、指定薬物の包括指定を検討する上でも参考になると思いますが、海外事例として整理させていただいています。アメリカ、イギリス、それぞれの制度についてですが、CSAというアメリカの規制薬物の法律があります。こちらについては、アナログ(analogue)という言葉ですが、ある規制薬物のアナログについてもスケジュールI、これはいわゆる麻薬ですが、これと同様に取り扱うという規定がされています。これは5ページに参考として付けています。アナログについてスケジュールIとして規制されるのだという規定がCSAの条項の中にあります。
 イギリスの事例ですが、Missuse of Drugs Act 1971についてです。こちらは、言葉としては違いますが、derivativesという言葉で包括的な取扱いをされています。例示としては、カンナビノールやトリプタミン、フェネチルアミン、ペチジン、こういったものについて、それぞれそのderivativesについては規制されるのだという各条項があります。参考2として5ページに、イギリスの法律の中で各物質がどのような規定で整理されているかについて、いくつかの例示を載せていますが、Cannabinol derivativesというような指定のされ方をして包括的な規制がされています。
 3ページに戻りまして、「包括指定の考え方(案)」でございます。新規指定の際の留意事項等を踏まえまして、英国における規制を少し前例とさせていただきながら、包括指定についての考え方を事務局で整理させていただいたものを説明させていただきます。4ページの一番上です。○の後ろの、麻薬・覚せい剤等の規制物質と一定程度の構造的類似性を有する物質群において、当該物質群中、既に規制されている物質以外の物質についても、既規制の物質と類似作用を有することが強く類推され、未規制物質を含めた一連の物質群について包括的に規制を行うことに一定程度の有用性・妥当性が見出せるものについて、包括指定を行いたいとするものです。一定程度の有用性・妥当性をメルクマールにしながら、規制を考えるべきかと考えております。規制されている物質が一般の方にイメージできるものでなければならないだろうということが、一つの条件としてあると思います。
 例示として載せておりますイギリスのMissuse of Drugs Actの一番最後に、1(a)で、Any compound ~と載せてあります。今資料をお配りさせていただきますが、構造式、基本的なカチノンの基本骨格に対して各種の修飾がなされたものも、これらについて麻薬として取り扱うというものです。ただ、これを文字面だけ読んだところで、一般の方が、どの物質がこの規制の中に入るのかを直ちに理解するのはなかなか困難ではないかというのが正直なところありまして、包括指定を検討する際には、どういった物質が規制されているかという、一般的な理解が必要なのではないかと基本的には思うところであります。その上で、包括される物質群が、既に規制されている麻薬や覚せい剤、そのようなものと同様の作用を有すると信ずるに足る一定程度のデータを基に包括指定を検討することが基本になるのではないかと思っています。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
○監視指導・麻薬対策課長 今回の資料の中に、いわゆる法律上の課題があるのかないのかについての資料も、時間の関係で御提示できませんでしたので、これから、有識者の方や関係省庁、法務省、それらの意見も私どもで論点を整理した上で、次回お示しして、御議論いただければと思っています。
○望月部会長 ありがとうございました。ただ今事務局から指定薬物の包括指定に関するメリット・デメリット、指定の考え方についての説明がありましたが、委員の先生方から御意見ありますか。
○□□委員 この包括指定自体は妥当な方向だと個人的には思うのですが、英国の事例に関して、ACMD、英国における審議会で□□□□□□□□□□□、包括的にするかどうかという審議が行われたときに、ランセットにちょうど1年前ぐらいに審議会の委員が辞任するということがありましたが、それはどういうことか、読んだだけで一方的な情報なのかどうなのか分からないので、そのようなサイエンティフィックなデータが不足していることも書かれてあったような気がしますが、辞任することは結構大きなことなので、我々が次回以降、審議する立場になったときに、そういうことが一体どういうふうに、辞任に至ったような大きなことになったのか知っておく必要があるかと思うので、もし御存じであれば教えていただきたいと思います。去年の4月の時点のときは、□□□□□□に関してのことが中心になって、サイエンティフィックなデータがないということでかなり大きなことになったのか。それ以降は、実際に、今年のCPDDでも□□□□□□のデータも出ていますし、報告もいくつか出ているようなので、それは解決したと考えていいのか、その辺のところを教えていただけたらと思います。
○望月部会長 事務局から情報ありますか。
○事務局 大変申し訳ありませんが、辞任に関する経緯は承知していませんので、もし次回、次々回、そういった情報も含めて、こちらで整理をしてお示しできたらと思います。
○望月部会長 ほかにどなたかご意見はありますか。
○□□委員 この包括指定は、ある意味効率化を図ることだと思うので、それ自体は非常にいいと思いますが、一方では過剰包括してしまうかもしれないことについてどう考えていくべきかという議論ですね。外すものは今度は個別にやるという意味ですか。
○事務局 実際には、規制される側の過剰規制にならないかどうかということを検討する上で、一方で例えば化学工業用途として使っている業者、医薬品の開発をされている方、そのような方が研究を進められなくなることが問題となりえます。今現在、医療用途としての使用の枠がありますので、その部分について、例えば包括指定をする際の条件として、研究用途は全面的に空けておくと。その中で、例えばデータが揃ってくれば包括指定の中から外すというような、ポジティブリスト、ネガティブリストの考え方からすると、ネガティブリストに近いものかもしれませんが、そういうデータがあるものについては、積極的に外していくやり方もあり得るかと思います。現時点での指定薬物は、一度指定をすると鑑識用や試験検査としてやる分については問題ありませんが、一般の企業が開発をしたいというようなところは個別に相談をいただいて、また外す手続きをやらない限りはそこは空きませんので、その部分のところを空けた上で、データさえあれば、正規用途として認めていくやり方もあり得るのかと思います。逆に言えば、違法ドラッグを流通させている人たちが試験研究用途として使うことは一般的に考えにくいので、その部分についての流通を止めつつ、研究用途の部分を空けていくようなやり方を少し検討したいと思います。
○□□委員 空けるというのはどういう意味ですか。空けるというのは、わりと手続上しやすい形にしておくという意味ですか。
○事務局 そうです。指定をする際に、物質の指定と正規用途を一緒に指定しますので、現時点では参考5で示したとおり、事前に今回の9物質についても、いろいろな業態にこの物質を使っていますかという形でヒアリングをしています。みなさん使っていないということなので、現時点ではまったく空けていません。いわゆる国の研究以外の用途で個別に指定したものはありませんので、仮にこのあと医薬品としての開発をしたいという話があれば、その部分をまた省令改正して、できるようにする手続きが必要になります。
○望月部会長 実質的に研究に用いるときには、問題にならない方法を捜すということですね。
○事務局 はい。
○□□委員 先ほどの参考資料5の2、3はどういうことですか。法の第69条第3項に規定する試験の用途。
○事務局 薬事法の中で規定をしている検査になりますので、例えば事業者が指定薬物を含有する違法ドラッグの疑いのものを持っているときに、厚生労働大臣が検査命令をかけることができる検査用途やそういったものであるならば輸入したり、販売したり、製造したりすることは可能であるという規定です。
○□□委員 そうですか。ありがとうございます。
○望月部会長 ほかにいかがですか。
○□□委員 包括規制に関しては、□□□□□□□□だけでも、既に世界的に流通している化合物を考慮すると、今後日本においても、おそらく流通するだろうと思われる化合物が、10、20で済まないぐらいの数がありますので、いずれそういう規制手法を導入しなければならないかもしれないと個人的には考えています。しかし、分析する立場の人間としては、例えば地方で分析する場合などにおいては、ある程度化合物が想定されていないと、例えば□□□□□□□□□□のような英国的な広い範囲指定で行うと、なかなか自分の出してきたデータがそれに相当するか、しないかの判断も非常に難しくなります。また□□□□□について言えば、シンプルなマススペクトルデータを有する化合物が多く、ライブラリー検索をしても、他の化合物が高いヒット率で出てきてしまうような化合物もあります。そのため、規制に相当すると考えられる化合物について、ある程度標準品やデータの整備を予めしておく必要があると考えます。範囲に関しては、予め、どういうものが想定されて、どこまでデータが必要なのかという御議論をしていただければと考えています。
○望月部会長 そういう標準品は、例えば国立衛研で合成して作ることは可能でしょうし、実際国立衛研の有機化学部もそれだけの力を持っているから安心しています。
○□□委員 包括指定は、個人的に前から私は何らかの可能なものがあれば、是非考える価値があるという意見を持っていましたが、そのときに一番重要なのは、皆さんも言われているように、研究用途で使える道筋をいかにうまく作るかというところだと思います。それに絡んで一つ、これは包括同意だけの問題ではなく、現に指定薬物に指定された薬物についてもそうですが、実際問題、研究用途に使うときに、その物質をどう手に入れるかという、現実問題があるわけです。だから、いわゆる指定薬物の供給体制という言い方が妥当かどうか分かりませんが、研究用途用に供給する手立ての道筋を考えていただければと思います。
○望月部会長 そのような御意見はありますか。
○事務局 正に痛し痒しのところがありまして、指定薬物として指定をすると、海外でいわゆる指定薬物的な標準品を取り扱っている事業者から輸入業者が輸入代行と申しますか、輸入をして、国内の研究をされたい先生方のところに物質を輸入代行する手続きをされるわけですが、指定薬物になると取扱いをやめたい、輸入が規制されている物質については、取扱いをやめたいということで、試薬の会社が手を下ろされてしまうようなデメリットがあります。我々もそのような事業者に対して規制をかけるつもりはもちろん毛頭ありませんので、いろいろなところで取引きを続けていただけるようにお願いをしているところです。
○望月部会長 今のところ、規制はしない、しないと言ったらおかしいのですが、輸入できるような体制を作って研究に活かしてほしいということになると思います。ほかにいかがですか。
○□□委員 有用な物質を規制してしまう恐れがあるということですが、有用となる可能性がなかなかイメージできませんが、実際にはどのように考えればよろしいですか。可能性はあるということなのか、実際に可能性の程度といいますか、現実性といいますか。この前話したように、私も包括規制は、むしろ後手後手に追っていくよりは、網をかけた形が望ましいと思いますが、今おっしゃいましたように、研究用途であれば、そこは間口を空けておいてということにまったく私も同感ですが、どのくらい現実的に有用になることがあるのか、可能性としてはゼロではないということなのか、実際にこういう規制がかかるような中から有用なものがこれまで国際的に見てあったという事例があるのか、その辺りのイメージができません。
○事務局 我々も具体的にこれという事例に遭遇したわけではありませんが、元々合成カンナビノイドそのものが、製薬企業が医薬品として開発したもののシーズの中から生まれてきた歴史的な背景もありますから、構造式を見て、これは先があるか、ないかという判断はさすがにできませんが、やはりいくらかの専門的な先生方からのコメントを踏まえて、これにはありそう、なさそうという多少の検討ができる可能性があると思います。ただ、企業が膨大に有しているライブラリーにあるので規制をかけないでほしいというのは、正直言うとなかなかバランスが非常に難しいと思います。企業で開発を検討しているということであれば、個別に相談にのってここは空けておきましょうということはこれまでも行っていますので、なるべく製薬企業や化学物質の企業とはよく情報交換をしながら、規制の在り方について検討したいと思います。
○望月部会長 これまで指定された薬物でそういう事例は実際に日本であったのですか。
○事務局 研究用途を空けてあるものはあります。
○□□委員 イギリスのこの資料にある、Any compound のあとにある Bupropion という薬は抗うつ薬ですよね。ドーパミンとノルアドの取込阻害薬なのですが、こういうものは網をかけると引っかかるでしょうが、実質は。
○事務局 この場合は外してあります。
○□□委員 外し方を、まったく外すという意味なのか、研究用、医療用に限ってはオーケーという限定付の形になるのかで、いろいろ意味合いが違ってくると思います。例えば、所持している人が何の目的なのかなかなか分からないわけですから、結局、グレーゾーンの問題がたくさん出てくる気がするので、合理的な基準を作っておかないと難しいのかなという気がします。
○望月部会長 合理的な基準を作るのは難しいですね。余りたくさん広げると、それこそどこか職を変えないといけないことになるかもしれませんし、非常に難しいと思います。今日の審議の内容を見ても、アルキルの長さを1個増やしたり、ハロゲンを1個入れたりということですね。そういうものをずっとここで1個1個審議していてもなかなか追い着いていけないから、やはりこういうものが必要だというのは皆さん賛成だと思います。薬事法の改正審議は、非常にすごい勢いで動いています。そこまでと思っているのですが、今ここで、こちらの指定薬物部会の動きは、その動きには乗れないですね。今年の12月には、すべて審議を終えて、来年の法改正につなげようと、今の我々の議論はそこまでのスピードに追いつくのですか。
○事務局 薬事法の検討の中で御議論させていただいているのは、指定薬物の取締りを現時点では、都道府県の薬事監視員がやっていますが、それについて、扱っている事業者がややアウトローの人たちにシフトしてきていることがありますので、麻薬取締官や麻薬取締員が捜査に着手できるような改正を薬事法の中で検討させていただいています。包括指定については、法改正が必要なものではありませんので、こちらの部会で御検討を今後お願いしたいと考えています。
○望月部会長 薬事法を改正しなくてもできるということですか。ほかにどなたか御意見ありますか。これまでの皆さんの意見をまとめますと、包括指定は、非常に方向としてはよい方向ですが、その中で十分に考えなくてはいけないことが結構あるということ。法律的にどうかは私どもにはなかなか分からないので、その点については事務局でもきっちりと有識者の方に伺っていただきたいということかと思いますが、方向としては是非認めていきたいと思います。そのようにしないと、今までの事例についてもとても追いつかないと思います。本当に有機化学の面から見れば、造作ないところで、一つが規制されると、次のものがパッと出てくるというようなことですから、是非指定していただきたいと思います。ただいまの包括指定の検討を進める方向をお認めいただけるかどうかということはいかがですか。
 この部会としては、その方向を認めて、さらに深い検討をしていただきたいということに致したいと思います。
○事務局 ありがとうございます。
○監視指導室長 深い検討をする際に、また部会長と個々に御相談させていただきながら、法律的な専門家を含めた意見調整等もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○望月部会長 分かりました。どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、事務局から御説明ください。
○事務局 ただいまお配りした通知について簡単に御説明させていただきます。前回の部会で審議いただいた9物質の指定の手続きについて簡単に御説明申し上げると、省令改正をした際に周知期間を30日置くことになります。30日後に実際の規制がスタートする手続きになっています。実は、問題として挙がっているのは、30日間に合法ハーブ屋が最後の大決算セールをやるということで、現在残っている在庫をとにかく売りさばく。これについては我々非常に問題であると考えています。その販売についてどうにかしたいということで、4月の指定の際に通知を出させていただいています。9物質を分析した結果、どういう商品から、どういう製品から出たかというものについて□□先生からデータをいただいて、商品名をリストアップさせていただいています。これらについては、指定をした瞬間から、指定薬物としての規制ではないのですが、薬事法上の医薬品として見なしますと。指定が始まるまでの間、この製品については無承認無許可医薬品として扱いますので、輸入、販売について規制をかけます。それを税関と都道府県にお願いした通知です。これによって、30日間の周知期間の間に、決算セールを行わせないような取組みをさせていただいています。今回も同じような取組みをしたいと考えています。御参考までに説明させていただきました。
○望月部会長 これまでもこのような取組みをされていたのですか。
○事務局 前回が初めてです。
○望月部会長 ただいまの説明に何か御意見ありますか。
○□□委員 かなり効果はあったのですか。
○事務局 実際には、販売をしているところに対して立入りをしないといけないこともありますので、都道府県には、是非ともきちんとした指導・監視をお願いしたいと思います。実際にこれで何か指導したというところまではまだ見えてきていません。
○望月部会長 国の麻薬の検査をする人と都道府県で麻薬の検査をする人は資格が大きく違いますか。例えば、国の方は身を守るためにみな拳銃等を持っているけれども、都道府県の方は持っていないけれど、命がけの仕事をしていただいているような気がするのですが。
○事務局 実は県にも麻薬取締員の資格がありまして、麻薬取締官と同じ拳銃、小銃の所持もできます。ただ、実際に踏み込んでというところまでは、県では余りされていないというのが現実です。
○望月部会長 ほかに何か御意見ありますか。こういうことをやっているということを御理解いただいたことにします。本日はこのほか何かありますか。
○事務局 以上です。次回の指定薬物部会の開催は、年明けに第2回の指定薬物部会の開催をさせていただければと思います。日程については、また別途調整をさせていただきますので、よろしくお願いします。また、本部会の資料を回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、平成23年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会を閉会します。


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 江野(内線2779)

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