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2011年7月26日 第3回外国人高度人材に関するポイント制導入の際の基準等に関する検討会

職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課

○日時

平成23年7月26日(火) 10:30~12:30


○場所

東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館 中央労働委員会事務局6階 606会議室


○議題

(1)親の帯同について
(2)家事使用人の帯同ついて
(3)配偶者の就労について

○議事

(議題1:親の帯同について)
○親の帯同は諸外国でも原則認められている所はほとんどない。日本のように社会保障の進んだ国においては、その費用が莫大なものになる事が問題となる。

○基本的に親の帯同は認めるべきではない。国際的にも認められている国はほぼなく、社会保障の給付において国内での不公平感が高まり、国民が納得できるのか非常に難しい問題。

○仮にどうしても帯同を認めざるを得ない場合であっても、やむを得ない事由に限るという方針を取るべき。それに応じた本人あるいは親の必要要件というものを、厳しく定めるべきではないか。

○現状認められているケースがあるということだが、親を帯同している高度外国人材がどれだけいるのか。

○現行制度で認められたのは、例えばナノテク、バイテク、光科学、ライフサイエンスといった非常に先進的な研究をしている研究者の親について、特別に認めようということ。当初は、在留期間を5年に延長するという研究者本人についての優遇措置から始まった。その後、規制改革の流れの中で親の帯同の可否も検討され、制度としては平成19年3月から動き出している。ただ聞いている限り、親を帯同した実績はない。

○日本の社会保険制度は、保険の仕組みを用いる制度である点、本人の意思に関わらず適用されるという点を重視すべきではないか。

○日本の社会保険制度を今後も維持していくためには、少なくとも対象者がきちんと補足されていることが条件であると同時に、リスクが低いときには保険に加入しないで、リスクが高くなったら加入するという、いわゆる「逆選択」と言われる行動防止をきちんと担保しておかないと、社会保険制度は成り立たない。
今回は、医療や介護が必要な状態であることがわかって、日本国内に滞在するケースが想定され、逆選択という話にもつながってくる。医療・介護目的での入国は、社会保険制度の根幹を崩しかねないため、原則としては、親の帯同はできるだけ避けるべきではない
か。

○多額の公費負担が入りそこには若年世代の負担も含まれていることは、一つ留意すべき点。

○親の医療や介護の問題は、基本的には扶養義務の問題。親の帯同によって外国人の親子の間の扶養義務の問題を日本社会が、社会保障制度を通じて負担することにもなりかねない。この点について国民や国ないし地方公共団体から合意を得られるのかということを考えておく必要がある。よって、親の帯同を認めることについては、消極的な姿勢を取らざるを得ない。

○日本に外国人として来て、帰化した人が両親の面倒をみたいと思ったとき、本人の国籍は日本国民になるが、その人も両親を連れて来ることができないのか。

○帰化して日本人となり母国に親がいる場合、現行親を連れてくるための在留資格はない。個別に事情を見て、法務大臣の裁量で認定していくということ。実際にどのぐらい認められているか、どういう事情で認められたかはよくわからないが、基本的に正面から認める制度はない。

○これからどのように戦略的に高度人材の受入れを推進していくかを考えたときに、欧米諸国がしていないから日本もしないということではなく、日本がどういう国々と競合していくのかという視点が重要になってくると思う。

○シンガポールでは高所得者に限っては、長期滞在パスを受け入れるという条件が入っている。韓国の場合は公的ではないにしても、やむを得ない場合は入るという条件を付けている。日本がどういう国々と競合するかということを考えたときに、韓国とシンガポールというのは非常に視野に入ってきやすいのではないか。

○一番問題になるのは、社会保障制度の負担が非常に大きくなること。シンガポールのように比較的認めている所では、社会保障制度に組み込まれないようだ。社会保障に組み込まれないシンガポールであれば、比較的うまくいくのかもしれないが、日本の場合は年間の医療費等が平均で70万円、病気を抱えていれば何百万円にもなる。その辺の事情の違いを考慮すべき。

○国際的な競争という観点は非常に大事。ポイント制度による優遇措置を講じて、高度外国人をより積極的に受け入れていこうというときに、高度人材の獲得をめぐる国際競争が激化している中で、わが国がいかに住むべき所、働くべき所として選択されるような魅力的な制度を作っていくかというのが、そもそもポイント制度の趣旨。

○国際的に認められていないからやめるということではなく、国際的に認められていないのであれば、日本がそれを導入すれば非常に魅力的な制度となり得るので、親の帯同を認めるべき。

○社会保障制度に対する過度の負荷がかかることについて、国民の理解が得られるかというのは、国民的な議論が必要。非常に裕福な人で、社会保障に負荷のかからない形での親の帯同、もしくは呼び寄せのやり方というのはあり得るのではないか。その辺は工夫をして、どうすれば社会保障制度への影響を最小限にとどめるか政府内で議論をしてもらえばいい。例えば、1年未満の在留期間を決定された者、いわゆる特定活動の医療ツーリズムビザで入国する人は、今の国民健康保険でも後期高齢者医療制度でも、被保険者資格はないので、在留期間の設定の仕方等の工夫はあるのではないか。すべて駄目ではなく、どういう形でやればうまく親の帯同が認められて、それが日本に来てほしい、または日本にとどまってほしい人に、魅力的な制度になるかという観点から議論してほしい。

(議題2:家事使用人の帯同について)
○少なくとも今認められている要件と同等の条件の下で認めるべき。具体例としてあったのが、「投資・経営」という在留資格で働いていた人を、日本のリーマン・ショックで撤退した金融機関からヘッドハンティングして、内資100%の金融機関がその人を自分の所に呼ぼうとした例。そうすると、在留資格が投資・経営から人文知識・国際業務に変わるので、家族同様に世界中を回っていた家事使用人を帰さなければいけない。それはできないということで、その金融機関に来てもらうことができずに、外資系の金融機関に取られてしまった。

○投資・経営で認められているような条件で、新しいポイント制度になるような複合的な在留資格の人にも、認めていく際に、いろいろな条件の検討事項で、現行の15万円という額が平成2年から見直されていないので、この額が適当かの指摘はあるが、これらの条件についてはポイント制度の議論とは別に行い、成案が得られれば新しくポイント制の対象となる人にも適用すれば良い。成案が得られないうちはポイント制の優遇措置としないという議論にはならない。

○家事使用人の処遇がどうあるべきかというのはまた別途検討すべき。2番目の40万円か、20万円か、15万円かというのはどれかに決める性格のものだが、その次の労働契約、年収、その他の重要検討事項を議論するのは非常に大変な作業、時間、能力、知見を要する。とりあえず現行の条件で認めていって成案が出来れば、それをまた新しいところにも適用していくのではないか。

○家事使用人側の要件と使用者側の要件というのが、かなり大きい。分野が投資・経営、法律会計だけではなく、事業所の長又はこれに準ずる地位にある者ということで、相当地位の高い所を想定している。ポイント制で認められた中でもごく限られた、言ってみれば収入も地位も高い人に限定すべきということでよいか。

○年収要件を設けることに反対ではないが、「事業所の長又はこれに準ずる地位」ということなので、必然的に年収の高い人である。

○ポイント制で認められた範囲の一部の人について、家事使用人を認めるという考えか。

○少なくとも投資・経営の外国人に劣後しないような優遇措置を与えるということ。

○ポイント制によって日本の成長に資する人材を、いかにインセンティブを持って迎え入れるかというために検討しているので、端からやらないというのは違う。

○家事使用人の労働者保護が担保されないといけない。今までは事業所の長とそれに準ずる地位、経営のいずれかという使用者側の要件が非常に狭められた中で、そんなにたくさんの方が家事使用人を連れてくるという前提ではなかったがために、家事使用人側の要件がシンプルだったと考えている。

○ILOが条約を出したことは、無視できない。そこで問題事例なども議論された。この検討会で、労働問題のその他事項が議論できるとは思っていないし、するべきでもないと思うが、こちらの議論がきちんと並行してされないと、家事使用人側の要件だけ広げて、この細かい議論は後でというわけにはいかない。ILO・現行要件双方の議論がない限り、現行以上に要件の幅を広げることは無理である。

○この問題はそれ程簡単ではなく、家事使用人は今の日本の労働法では、全く保護の対象になっていない。家政婦さん以外、日本の文化として家事使用人というのが、一般的にはあまり根づいていない中で、国際的に優遇して迎える高度人材の家事使用人に対して、日本が責任を持てないというのは、国際的に非難を受けることになる。帯同する人も、おそらく日本人でない方を帯同する。これは国際問題にもなりかねないので、法的な整備・検討は、絶対に必要。

○日本では不可視な存在ではあるが、日本人世帯にも家事使用人はかなり浸透しているし、訴訟も起きている。日本人の雇用主相手ではないが、日本にいる外国人の家事労働者の訴訟があった。
かなり虐待もある。中東のフィリピン大使館、インドネシア大使館のシェルターに行って聴取調査をすると、尋常ではない虐待が頻繁に行われていている。すでに日本で虐待が起こっているということも視野に入れて対応していかなければいけない。

○「雇用主の変更を認めない」という条件が含まれていた。「雇用主の変更を認めない」という条件を入れると、余計に働く側の立場が弱くなる。どんなに奴隷的な状況で虐待を受けていても、仲介料を払うために、膨大な借金を背負って日本に限らず、いろいろな国に来ていることが多い。その借金を返すためには、どんな虐待を受けても我慢して雇用主の所にいなければならないという状況が、世界各国のほとんどすべての場所にいる外国人家事労働者の状況。契約違反の場合は雇用主を変更できるということであれば、虐待の進行を防げるのではないか。

○「家事使用人」という言葉は、できれば国際法に倣って「家事労働者」として欲しい。一応使用人だが、働いている方なので敬意を込めて、「家事労働者」という用語でお願いしたい。

○契約終了の場合に、本国へ帰る費用を雇用主に負担させるようにすれば、仮にトラブルが起きたときに帰国費用がないから日本で我慢しなければいけないということも解消される。

○現行の要件から、家事使用人を雇用する高度人材は社長クラス。その社長が所属する事業所が労基法を守っているか、労使問題が出ていないかを見る必要がある。数字的な裏づけができるかわからないが、「家事使用人を連れて来なければ嫌だ」と言う人の事業所で、労基法が守られていないことが散見される。従業員の処遇に対しても問題のあるような事業所の経営者等が、家事使用人を問題なく処遇できるのか疑問。

○雇用主変更を認めないのはまずいとの話だが、ここでの議論はあくまでも帯同するということ。帯同を許せということは、長年働いてもらっていた家事使用人を日本に行くに当たっても一緒に連れて行きたいということ。そういう場合に帯同として入れるのであれば、雇用主変更という話にはならない。逆に、誰でもいいから家事使用人を雇いたい場合は、今日本にいる外国人でも日本人でもいいとなり、労働市場に影響する。雇用主変更を認めないというのは、そういう意味で必要。

○事実として、例えばアメリカの訴訟のケース等では、大使館の方々が異動になるけれども、ローカルでいままで自分の所で働いてくれていた家事労働者には家族がいて離れたくないと言うので、それでは別の人を連れて来るという形だった。現在そういう状況も起こっているため、雇用主が違反したときのみは、何らかの形で雇用主変更が可能になると、家事労働者は借金を抱えていることもあるため、その問題が緩和されるのではないか。

○そのような問題があることは確かだが、そもそもの前提として、他国の例を見ると、本国で1年ぐらい一緒に住んでいた、働いていたという条件がある。雇用主変更の場合はその条件がない場合でも雇ってよいことになる。

○家事使用人を使うことは、高度人材にとって必要なことなので、適正な保護をしつつ受け入れるというのが、基本姿勢としてあるべき。

○賃金の問題については、今示されている額面を見ると、日本で受けている標準的な処遇と違う感じを受けるかもしれないが、購買力平価の問題があり、現地での給料の評価は変わってくる。また、家事労働者の場合は家も食物も全部まかなわれ、休日の生活費だけを自分が支出するというもの。日本で別に暮らしていて家事労働をしている人とは違う。

(議題3:配偶者の就労について)
○永住者であれば就労は認められる。また配偶者が就労資格を取れば何の問題もない。その2つ以外の場合において、どうするかが議論になる。今認められているのは、資格外活動許可を得て週28時間まで就労すること。

○優遇措置を広げるに当たって、高度人材の配偶者だからという理由では合理的な説明ではない。

○配偶者が働くのであれば、配偶者が独自の資格を取ればいい。

○現行の専門的・技術的分野と認められている人たちの在留資格要件は、大卒もしくは10 年の業務経験、国際業務であれば翻訳や通訳、語学の指導などで3年という部分について、非常に開かれた制度だ。

○現実的に全ての高度人材の配偶者に大卒もしくは10年以上の業務経験があるのではなく、例えば就労等の社会参加意欲の高い人が配偶者としていて、その外国人本人をヘッドハンティングして日本に来てもらおうと思うが、配偶者が日本では就労が認められないために、ヘッドハンティングがキャンセルされて、日本に来てもらえなかったという事例がある。

○永住が許可されれば活動に制限がなくなるが、上記の場合などは入国を検討する時点で来なくなったので、そういう人たちも救済できるような制度にしてほしい。

○どんな仕事でも認めるという訳ではなく、一定の条件を付して認めるという方法、例えば就労分野については、現行の専門的・技術的分野の業務にする、もしくは同等報酬要件を課すことによって、単純労働の分野や低賃金労働の分野に従事するという懸念を払拭する要件の設定はあり得る。

○配偶者に専門的な能力はあるが、申請しても承認までに時間がかかると不都合だ。1つの方法としては範囲を広げるというやり方もあるだろうが、ポイント制で優遇した人にとっては、配偶者の審査プロセスを少し早めるというやり方もある。技術的に可能か。

○技術的に可能かは実務の話なので、法務省の入管局、特に地方入管局でどうやるかという話。本来配偶者の就労は、就労資格を取ってもらうのが前提にあった上で、ポイント制の対象者は本人が働けるのと同時に、配偶者の就労資格も取れるように、手続上優先処理をすることも考えると聞いている。

○審査を早めてもらえることがわかっていれば、勤務先がなくても配偶者ビザで来て、勤務先を見つければ弊害は比較的少ないのではないか。包括的なビザで来る必要はなく、配偶者ビザで来て優先的な審査をしてもらえることを知っていれば、人材確保のマイナスにもならないのではないか。一定の条件を満たす分野である、専門的・技術的労働に限る、報酬も下回らないということであれば、基本的にそれらを満たす人は今のシステムでも、就労ビザが取れる人ということ。

○就労可能な在留資格の取得手続の簡素・迅速化は本人、配偶者に対しやってもらいたい。加えて、ポイント制の対象となる高度人材の配偶者については、現行の基準省令で定める大卒や10年の経験要件の緩和をして欲しい。単純労働分野に低廉な労働者が入ってくるという弊害をなくすために、例えば専門的・技術的業務に限定する、もしくは同等報酬要件を課すという一定の条件の下で、要件緩和をしてほしい。

○ポイント制によって、高いポイントを得た人の配偶者は、現在と違う在留資格になるのか。

○現行と同じ特定活動の条件の中で、いろいろな条件を付けて認めていくということではないか。

○配偶者か否かで新たな基準を作るのは、法制度上、無理がある。配偶関係がなくなったときにどうするのか、働けなくなるのか等を考慮する必要がある。

○手続きを迅速化、簡素化すれば、問題のかなりの程度は解決できるのではないか。


(了)

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