ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 麻しん対策推進会議> 第6回麻しん対策推進会議議事録




2010年11月1日 第6回 麻しん対策推進会議 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成22年11月1日(月)15:31~17:34


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議事

○梅澤課長補佐 定刻を過ぎましたが、これより第6回麻しん対策推進会議を開会させていただきます。
 本日は、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、荊尾委員、金城委員、玉城委員の3名から御欠席の御連絡をいただいております。また、保坂委員から遅れるとの御連絡をいただいております。
 それでは、開会に当たりまして、外山健康局長よりあいさつ申し上げます。
○外山健康局長 健康局長の外山と申します。加藤座長を初め、委員の皆様には第6回目の開催に当たりまして、朝の大雨もあったかもしれませんけれども、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
 さて、御案内のように、麻しん対策につきましては、平成19年に策定されました麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、平成24年度までに国内から麻しんの排除を達成することを目標に、平成20年に麻しん対策推進会議を設置して、その対策を進めているところでございまして、本年度はその対策が開始されてから3年目の中間年に当たる年でございます。麻しん排除の達成に向けては、目標である予防接種率95%を達成する必要がございますが、併せて、我が国における麻しん患者の発生数が減少していることを踏まえまして、麻しんと類似の疾患と類似の疾病とを正確に見分けることが重要であることから、麻しんの検査診断体制の充実が必要であると考えております。
 また、本日は、麻しんの定期予防接種の対象者の見直しや、平成24年度までの2年間で今後どのような取り組みをすべきかにつきましても、皆様方の御意見を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。本会議におきましては、我が国の麻しん排除に向けまして、各委員の皆様から活発な御意見をいただきますことを期待いたしまして、あいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○梅澤課長補佐 それでは、以後の議事の進行につきましては、加藤座長にお願いしたいと存じます。加藤座長、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 それでは、ただいまより本日の議事を進めさせていただきます。
 まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○梅澤課長補佐 資料を確認させていただきます。
(配付資料確認)
 過不足等ございましたら、事務局までお願いしたいと思います。
○加藤座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
 この会議は、先ほど局長からお話がありましたような目的で開催されているところでございます。まず、本日は、事務局からの説明及び報告をまとめていただきまして、これらを踏まえて委員の皆様には現在の対策の進捗状況について確認いただき、その上で、御意見を伺うことといたします。活発な御議論をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初の議題でございます。麻しんの発生状況につきまして、麻しん対策技術支援チームより国立感染研究所感染症情報センターの島田先生から御説明をいただきます。
○島田先生 国立感染症研究所感染症情報センター第2室の島田と申します。麻しんの発生状況について御報告いたします。
 資料1の1ページ目、下ですが、今日の発表の内容は以下になっておりまして、主にこれまでの2008年以降の発生動向の推移ということでお話しいたします。
 2ページ目は、今のような全数報告以前の麻しんの週別定点報告数の推移です。このときは全国の3,000の小児科定点と、450の基幹定点から成人麻しんの報告が週1回あるという形でした。2001年に大きな山がありますが、このときは全国で約28万人の患者が発生したと推計されておりました。2004年以降は非常に低い報告数の推移だったんですけれども、2007年は皆さんの御記憶にも新しいように、若年成人を中心にまた流行が起こりました。
 このような日本国内での流行状況と、2005年にWHOの西大西洋地域の加盟国において決議された麻しん排除計画と協調するような形で、先ほど局長からもありましたように、厚生労働省としては2012年度までに麻しん排除を達成することを正式に国の目標とすることを発表し、麻しんに関する特定感染症予防指針の取りまとめを行いました。
 そのための施策の一つとして、麻しんは発生動向調査上は五類の定点報告疾患から五類の全数報告疾患となったわけです。現在のところ、病型として臨床診断例、検査診断例、修飾麻しん例ということで報告が上がってきます。
 週別麻しん報告数の推移です。これは全数報告に変更になった2008~2010年の40週、10月20日現在までの推移を表にしています。下が診断週、縦軸が報告数になります。見ていただくとおわかりになるように、2008~2010年は大幅な減少をしています。2008~2009年では年間の累積報告数が93%減少、2010年と2009年の比較では同時期と比較して40%の減少で、現在392例という報告数です。
 下は2009年と2010年の詳細な比較です。上の方は週別の報告数になっておりますが、大体週に10例以下の報告に収まっております。下のグラフは累積報告数を表していますが、青が2009年、赤が2010年の推移になります。40%減少と書いてありますが、去年の同時期と比較して40%減少ということになっております。
 次は、都道府県別の人口100万対の麻しん報告数をグラフにしております。WHOや西大西洋地域の事務局が定めている排除の定義には、人口100万人当たり1人未満の発生が一つに掲げられていますが、それが2009年のスケールでは横の赤い軸でお示ししてあります。2008年は全国で100万人当たり87の発生でしたが、2009年はそれが5.8までに減りました。
 下のスライドは2009年と2010年の比較です。2009年を見ますと、人口100万人当たり1人のラインを切っている自治体は4つありまして、秋田、石川、高知、熊本です。2010年はそれが17の道と県に増えております。
 次のグラフは、横軸が年齢で縦軸が報告数です。右肩にあるグラフが2008年の状況で、下のグラフが2009年の状況ですが、2008年は10代の患者さんが流行の中心でした。10~19歳までの患者さんで、全体の40%を占めている状況でした。
 2009年と2008年は発生状況については非常によく似たグラフになっております。
 下に今年の推移を示しておりますが、2008年と違って0~4歳の子どもたちで全体の40%を占めている状況です。特に1歳の報告数は全体の25%を占めている状況です。
 次に、1歳の中で目立つのが青で示している1回接種のある症例なんですけれども、人口の中で接種歴のある人の方が多くなると、臨床診断例はますます困難になると予想されます。接種率の向上と併せて遺伝子型の検討を含めた検査診断の重要性がますます増すと思われるところですが、接種歴のある1歳児の症例の検討を載せてみました。左側が検査診断例、右側が臨床診断例になっています。今の届出基準では、例えば、IgM抗体価の値やPCRが陰性になったら削除しなさいという基準はないので、PCRが陰性であっても下の赤い枠のように報告される症例もあります。下の計5例は、診断医や保健所の担当の方が御厚意で備考欄に記載していただいたものですけれども、PCR陰性のものが2例含まれている。3例ではIgMが弱陽性で、診断に苦慮するのではないかと思われる症例がありました。左側のPCR陰性例ですが、IgM陽性ということで抗体価の記載はありませんでしたが、検体の接種時期によってPCRよりもIgMで診断される症例もあるということです。右の症例ではIgMの実施はありませんが、同じようにPCR陰性でも臨床診断例の基準を満たすので臨床診断例として報告という症例も少なからずあります。
 次に、病型別の麻しん報告数・割合の推移を示しております。今年は2008年の状況と違いまして、約70%を超える症例で何らかの検査診断がなされています。検査診断例として報告された284例中87%は、IgM抗体価のみでの検査診断例となっています。
 臨床診断例を見ますと、例えば2008年は学校、同じ教室に感染源となった症例がいたとか疫学的リンクが書かれている症例の方が多かったんですが、今年の状況になりますと、112例中2例のみで感染源となった患者さんとの接触が判明しているという報告でした。残りの110例においては感染源不明という孤発例です。
 次に、ここで目を輸入例、感染地域が国外と報告された症例に移しますと、2008~2010年までにいわゆる輸入例というのは27例から18例、実数としてはそんなに変わりはないんですが、累積報告数に占める割合は増えております。今年の現40週までで約5%ということになっております。
 遺伝子型が判明して明らかに海外からの麻しんだということが診断できるわけですが、その遺伝子型が判明した症例は2010年では4例でなされています。これは昨年と比べると6%から22%への上昇ということで、海外で感染したと思われる症例について遺伝子型がわかる検査診断がよくなされてきているような状況です。
 今年の麻しん輸入例ですが、40週までの間に18例ありました。そのうちの5例で遺伝子型が判明しておりまして、フィリピンがD9、中国がH1、インドがD8で、それぞれの地域で流行している遺伝子型が報告されています。
 「*」がついているフィリピンの2症例について、もう少し詳しく紹介しますと、フィリピンからの2例のうち1例は、8歳児なんですが、この方は0歳児にフィリピンか日本かはわからないですが麻しんと臨床診断されていると。そのため接種をしなかったという症例でした。これは別々の御家族ですが、もう1例は、フィリピンより帰国の1歳児ですが、この方が帰ってきて日本で留守番していたお姉さんに感染させてしまって、フィリピンからのD9ということで、いわゆる輸入例から二次感染ということが検査でわかった事例もありました。
 次のスライドは、人口動態統計からの麻しんが死因となった死亡数の推移です。1991年ごろまでは毎年40例前後の死亡患者の発生がありました。90年代後半から2000年にかけては20例前後の死亡者が報告されています。幸い2007~2009年は非常に死亡患者が減っている状況にあり、しかも、死亡診断の記載で2009年の1例は、どうも麻しんが死因ではなかったということがわかっております。
 まとめと今後の課題です。2010年第40週は10月13日現在になりますけれども、累積報告数は2008年同時期と比較して96%減少しました。2009年の同時期と比較しても40%の減少です。また、2009年以降の好発年齢層は0~1歳になっております。
 地域での流行や学校での流行が認められなくなっており、報告例のほとんどが感染源不明の孤発例です。
 輸入例が相対的に増加しています。
 また、検査診断例が60%を超えるようになっておりますが、IgM抗体価のみで診断されている症例が今年は87%を占めています。弱陽性の場合の診断、また、陰性等も含めて診断に難渋する例が相対的に増えてきています。
 また、PCR検査で陰性であってもIgM抗体価が弱陽性であるというだけで検査診断例と報告されていたり、または、いずれの検査診断が陰性であっても臨床診断に合致するからということで、臨床診断例として報告されている例が少なくありません。
 このために今後、排除に向けては、正確な検査診断例が報告される仕組みが必要と思われます。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、2番目の議題でございます。平成21年度麻しん風しん予防接種の実施状況について、事務局からお願いいたします。
○梅澤課長補佐 それでは、資料2をお開きください。「平成21年度麻しん風しんの予防接種の実施状況について」でございます。
 まず、1枚目に結果の概要として書かせていだいております。これは麻しんだけを特記して書かせていただいております。第1期の接種及び第2期の接種それぞれ全国平均で第1期は93.6%、第2期は92.3%となってございます。
 また、平成20年度より導入されました第3期、中学校1年生でございますが、この接種については85.9%、第4期、高校3年生の接種は77.0%となってございます。
 また、各対象期において自治体ごとにある程度の接種率の高低差が見られるということで、表に「最高」「最低」と書いてございます。それぞれ第1期につきましては最高で96.7%、最低では87.2%。第2期については最高で97.1%、最低は87.8%。第3期は、最高で97.0%、最低で76.0%。第4期につきましては最高で91.7%、最低で58.6%というような状況でございます。
 また、平成20年度と比較いたしますと、ほぼ同率で推移していることがおわかりになろうかと思います。「全国」と書いてございます下に「平成20年度」「差し引き」といたしまして、それぞれ第1期についてはマイナス0.7%、第2期はプラス0.4%、第3期はプラス0.8%、第4期はマイナス0.4%という状況にございます。
 2ページでございますが、都道府県別の第1期~第4期までの接種率の表を入れさせていただいております。一番下に全国平均を記載させていただいております。
 3ページは、第1期の麻しん風しんの都道府県別の接種対象者数、接種者数、実際の接種者、麻しんワクチンの接種率、風しんワクチンの接種率という形です。これは都道府県を接種率の高い順から並べさせていただいております。富山県を最高に一番下が青森県という状況でございます。
 4ページは、第1期麻しんの接種率の平成20年度の比較でございます。これも接種率の高い順位から比較させていただいております。
 以降5ページが第2期でございます。7ページが第3期、9ページが第4期という形で資料を御用意させていただいております。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、3番目の議題でございます。平成21年度の都道府県における麻しん対策の取り組み状況に関しまして、御説明をお願いいたします。
○梅澤課長補佐 資料3「平成21年度都道府県における麻疹対策取り組み状況評価」でございます。これは、各自治体における麻しん対策の取り組み状況を調査いたしまして、現状を把握することによりまして、改善すべき点等を御検討いただくために行ったものでございます。
 各都道府県に対して今年6月の時点で予防接種に関する取り組み状況、または検査体制の状況を調査しております。以下、状況について御説明申し上げます。
 2ページをお開きください。まず1-?として掲載させていただいているのは「平成21年度、都道府県レベルの『麻しん対策の会議』、あるいは同会議に準ずる組織の会議を何回開催しましたか」という設問でございます。これは麻しんの指針に都道府県で会議を開催するということを位置付けさせていただいております。そういったことからこの調査をやらせていただきましたが、平均開催回数は1.0回。ピンクで書いてあるところが一番多い回数で3回、白が0回という状況になってございます。ピンクが1県、白が14県ございます。
 1-?は「都道府県として、麻しん対策が事業化されていますか」という設問でございます。基本的には麻しんの予防接種は市町村が行う事業でございますが、麻しん対策を推進する意味で都道府県として事業化されているかということを設問した問でございます。「はい」とお答えいただいたところが32都道府県ございます。一方、「いいえ」とお答えいただいたところが15県あるという状況でございます。
 2-?「都道府県内に所在する全ての市町村特別区で、接種対象者への個別通知を実施していますか」という設問でございます。これは麻しんの接種自体が予防接種法に基づきます努力義務規程がかかっており、勧奨を実施するという内容になってございます。そういったことから、接種を促進する意味で接種対象者への個別通知を実施するという自治体がございます。「はい」とお答えいただいたのは40都府県ございます。一方、「いいえ」とお答えいただいたのが7道県ございます。
 また、2-?、個別通知を実施していない自治体の名称として15自治体を具体的に掲載させていただいております。
 3-?「すべての市町村特別区の中で第1期から第4期までの定期接種対象者の接種費用は、全額公費からの支出(被接種者の費用負担はなし)とされていますか」という設問をさせていただいております。「はい」とお答えいただきましたのが42都府県、「いいえ」とお答えいただいたのが5道県でございます。冒頭御説明しませんでしたが、県内に1つでも「いいえ」とお答えいただいた市町村がある場合については、「いいえ」ということで白抜きにさせていただいております。ですから、「はい」とお答えいただいた42都府県につきましては、すべての市町村で全額公費から支出されているということでございます。これは前の設問も同様でございます。
 3-?「第1期から第4期までの定期接種対象者に費用負担がある自治体とその負担額」ということで、具体的に費用負担を求めている自治体名と、被接種者の負担額の内訳を書かせていただいております。第3期、第4期のみ一部徴収している事例、または、集団接種を自己都合で接種せずに後から個別で接種した場合について自己負担を徴収する事例等々が自治体において行われているというものでございます。
 4-?、第3期、中学校1年生でございますけれども「集団の場」を用いた接種を行った市区町村の割合でございます。これは、中学校1年生の対象者に対して集団接種を行った市町村はどれくらいあるかという設問でございます。1,755の市町村のうち456の市町村、約26.0%の市区町村が集団接種を実施しているという状況になってございます。
 4-?は、第4期、高校3年生で集団接種を行った市区町村の数と割合でございます。1,755の市区町村のうち、第4期の集団接種をやった市区町村が173、9.9%という状況でございます。
 5-?「全ての市区町村で接種率を速やかに把握できていますか」という接種率を把握できる体制整備について設問させていただいております。これは、すべての市町村でやっているということで「はい」とお答えいただいた都府県が39ございます。また、1つでもやれていない市町村があったところは8道県という状況でございます。
 5-?は、学校単位で接種率が把握できているかという設問でございます。「はい」とお答えいただいたのは20府県でございます。「いいえ」とお答えいただいたのが26都道府県という状況になってございます。1県は未記入でございました。
 6は「1例以上の麻しん確定症例が発生した場合、都道府県として迅速な対応をとっていますか」という設問でございます。これは46都道府県で「はい」とお答えいただいております。1県「いいえ」とお答えいただいた県がございます。
 7-?は「医療機関で採取された検体を、検査を実施する地方衛生研究所等に搬送する体制は構築されていますか」という設問でございます。42都道府県で「はい」というお答えをいただいております。また、4県で「いいえ」というお答え、1県で未記入でございました。
 7-?は「検査を実施する衛生研究所等では、迅速なRT-PCR法による診断が可能ですか」という設問でございます。44都道府県で「はい」というお答えをいただいております。また、2県で「いいえ」、1県で未記入という状況になってございます。
 7-?は「集団発生が確認されず、他の麻疹患者との接触歴が確認されない散発例に対して、地方衛生研究所等におけるRT-PCR法による検査診断を実施していますか」という設問でございます。これにつきましては、35都道府県で「はい」というお答えをいただいており、11県で「いいえ」、また、1県で未記入という状況になってございます。
 以上、麻しん対策における各都道府県の取り組み状況でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、4番目の議題でございます。厚生労働省及び文部科学省の取り組みにつきまして、事務局よりお願いいたします。まず、厚生労働省からお願いいたします。
○梅澤課長補佐 資料4-1「厚生労働省の取組について」をごらんいただきたいと思います。
 厚生労働省といたしましては、麻しんに関する特定感染症予防指針を策定いたしました。それ以降、予防接種法施行令の一部を改正し、第3期及び第4期の予防接種を追加し、また、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正させていただき、麻しんを全数把握対象疾病に位置付けております。
 また、ここに5つ記載しておりますが、各種ガイドラインも策定させていただいております。
 また、接種の促進に関する通知を毎年出させていただいております。(1)~(5)につきまして、これまでの麻しん対策会議においても御報告をさせていただきましたとおり、その状況、状況に合わせて通知を出させていただいているところでございます。
 また、(6)でございますが、7月9日付で夏休み期間を活用した接種の勧奨ということで、第3期、第4期の接種対象者の大部分の方が学生または生徒であるということで、夏休み休業が見込まれるといったことから、授業が実施されている時期と比べまして接種を受けやすくなるといった機会を利用して、いまだ接種を受けていない方が接種を完了できるようにということで、各市区町村に対しまして積極的な接種勧奨の実施をお願いしたいという勧奨の通知を出させていただいております。
 また、(7)といたしまして、平成21年度予防接種の実施状況調査の結果に基づきます接種の勧奨ということで、先ほど資料2で御説明させていただきました、平成21年度予防接種の実施状況の調査結果を各自治体に通知させていただき、このような状況を踏まえて対策を早急に講じていただきたいという通知を出させていだたいているところでございます。
 また、6に記載しておりますが、麻しんの施設別発生状況に係る調査ということで、平成21年3月6日付、また、平成22年3月17日付で、各学校の類型別、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学、短期大学、高等専門学校、その他といった施設におけます発生状況についての調査を依頼させていただいたところでございます。
 5の(6)(7)、6の(2)につきまして、2ページ目以降に資料をつけさせていただいております。詳しい御説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 引き続きまして、文部科学省からお願いいたします。
○有賀専門官(文部科学省学校健康教育課) 文部科学省学校健康教育課の有賀と申します。
 資料4-2をごらんください。文部科学省の取り組みといたしましては、まず、1番目の学校における麻しん対策ガイドラインの策定ということで、こちらは厚生労働省と協力して連名のガイドラインを出しております。
 また、2番目、麻しん風しん定期予防接種勧奨リーフレットの作成・送付ということで、平成21年及び平成22年3月に実施しております。資料の2~5ページが平成22年3月に送付いたしましたリーフレットの写しになります。
 3番目、健康教育行政担当者連絡協議会における麻しん対策につきましては、都道府県及び政令指定都市の基本的に教育委員会の担当者を集めて、各種政策等について説明する会があるのですけれども、その中で時間をとりまして麻しん対策について説明及び接種の勧奨等の依頼をしていただくように説明させていただいております。
 資料の18ページが、健康教育行政担当者連絡協議会の開催要項となっておりまして、その次のページが今年度の実際の日程でございます。上に「はしか対策について」と設けてある時間がありますが、6月1日に実施しております。
 20ページからは連絡協議会で使用いたしました資料になっております。
 4番目、接種の促進に関する通知につきましては、基本的に厚生労働省から出された通知に連動する形で学校関係者に流しているものでございます。基本的には、夏休み前の時期、あとは入学前の時期に送っております。
 4の(8)はミスで(2)と同じものなので削除をお願いいたします。
 5番目の麻しんによる各学校の休校等の状況調査ですが、こちらは厚生労働省の取り組みの6番と同じもので、厚生労働省からの通知を受けて学校関係者にこちらからも依頼をしているということでございます。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきましたけれども、各委員からの御意見は後ほどいただくとして、御説明に対する質問がございましたらお伺いいたしますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、次に移らせていただきます。検討事項に進みます。まず、はしかのPCR検査の実施に関しまして、事務局よりお願いいたします。
○永井課長補佐 それでは、資料5に基づきまして御説明させていただきます。
 資料5は「麻しんの検査診断(PCR法等)の必要性について」ということで御用意させていただいております。
 麻しん患者の把握の現状でございますけれども、現在麻しんは感染症法上、五類感染症の全数把握対象疾病として位置付けております。現在は、検査を実施せずに臨床診断のみによって麻しんと診断された患者の届出もございますけれども、臨床診断例については届出後であっても可能な限り検査診断を実施し、その結果について最寄りの保健所に御報告いただくようにお願いしているところでございます。
 先ほど、資料1に基づきまして島田先生からの御説明もございましたように、この検査診断については、さまざまな専門家の先生から詳しい検査についての必要性を御指摘いただいているところでございます。このPCR検査法等の必要性については、平成21年に検査診断により報告された症例、これは報告症例全体の約6割でございますが、その大部分は民間の検査機関で実施されたIgM抗体検査の結果によるものでございました。しかし、麻しんのIgM抗体検査は麻しんの発症初期には陰性になることがございます。また、逆に、麻しん以外の発疹性ウイルス性疾患、例えば、伝染性紅斑や突発性発疹等がございますが、これらに罹患している場合にも陽性になることが知られております。このため、麻しんのIgM抗体検査が陽性であって、麻しん患者と診断された者の中には真の麻しん患者ではない症例が混在していると考えられます。
 資料5の3~9ページには、病原微生物検出情報に掲載された実例をお示ししております。これは麻しんのIgM抗体検査が陽性であった事例のうち、伝染性紅斑やデング熱、突発性発疹と考えられたものをお示ししております。このようにIgM抗体検査で必ずしも麻しん患者と診断できないという問題点がございます。
 一方、遺伝子検査(RT-PCR法)等による検査方法は、このような偽陽性の可能性が低く、特に麻しんの発症早期に検体を採取いたしますと診断率が高く、麻しんの患者を正確に把握するためには精度の高い遺伝子検査による検査方法を実施する必要があると考えられます。
 そこで、今後の対応方針といたしまして、これは事務局からの提案でございますけれども、現在の麻しんの届出数を考えますと、地方衛生研究所等で検査が可能だと考えられることから、麻しんの患者数を正確に把握するために今後、麻しん患者と診断された患者の検体を可能な限り確保し、地方衛生研究所において遺伝子検査を実施するように積極的に働きかけたいと考えております。
 また、資料の9~11ページには遺伝子解析による分子疫学的手法が重要であった主に輸入例の検討が御報告されておりますけれども、このような検査についても地方衛生研究所で詳しい検査をすることで初めて可能になるようなことですので、こういったような検査診断について進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 パンフレットがあると思いますので、多屋先生から。
○永井課長補佐 委員の先生方のお手元にはカラーのコピーで「麻しんと臨床診断したら、検査診断を!」というパンフレットがあるかと思います。これにつきましては、国立感染症研究所の多屋先生に多大な御尽力をいただいておりまして、今後、地方自治体を通じて積極的に周知してまいりたいと考えておりますので、このパンフレットについて何か多屋先生からコメントがございましたら、お願いできますでしょうか。
○多屋先生(国立感染症研究所感染症情報センター) 国立感染症研究所感染症情報センターの多屋と申します。今日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 お手元の資料は、若干小さめになっておりますが、実際はこれをもう少し大きくしてA3判のカラーで印刷をすることを予定しております。この会の当初に島田研究員から報告がありましたが、今年麻しんの患者さんは随分減少しておりまして、更に1歳児が最も多く、また、既にワクチンを受けた1歳児が最も多いという現状にあります。しかし、現在の検査診断等の、今、永井補佐からのお話にもありましたように、麻しんではない患者さんが麻しんと診断されている方が紛れ込んでいるのではないかという危惧がありますことから、このほど麻しんIgM抗体のみならず、麻しんウイルスを直接検出するという方法によって検査診断をしようということになりました。
 これは今年3月に全国の保健所にお送りしたものなんですが、さまざまな御意見をちょうだいいたしまして、今回、改訂版として全国の保健所から医療機関の先生方に実際にどのようにお届けいただくか、どのように検体をとっていただくかということと、なぜ今この検査が必要なのかということを具体的に詳しく紹介させていただいた資料としております。
 左側のパラグラフは麻しんIgM抗体が陽性でも麻しんではない場合がある。そして、先ほど島田研究員からもお話がありましたように、麻しんと診断されたためにワクチンを受けずにはしかにかかってしまった事例が紹介されましたが、そういうことになるとその後、予防接種を受けるかどうかは本人にとっても社会にとっても大きな不利益となりますので、それを何とか予防したいというのが一つ。
 そして、ウイルスの遺伝子検出をすることによって輸入例かどうかも判断できる。また、急性期に検体をとっていただきますと、そのときはたくさんウイルスが存在しておりますので、なるべく早く検体を地方衛生研究所に保健所を通じてお届けいただくことによって、より検査診断を確実にしたいという目的があります。
 真ん中のパラグラフは、実際に検査診断を実施する地方衛生研究所の先生方と国立感染症研究所はこのようなことをするという流れですが、まず、臨床診断したらすぐに、IgM抗体の結果を待たずに、なるべく早い時期の血液、尿、咽頭ぬぐい液の中から幾つか、これは自治体において異なると思いますが、保健所を通じて地方衛生研究所にお届けいただくというフローチャートを考えております。
 検査診断には4つの方法があって、PCR法、ウイルス分離、IgM抗体の特定、ペア血清でのIgG抗体の陽性あるいは有意上昇、この4つの方法がありますけれども、抗体価につきましては医療機関から健康保険を使って医療機関あるいは民間の検査機関でも抗体測定を実施していただき、一方、地方衛生研究所では感染症研究所で検体から直接ウイルスを検出するPCRあるいはウイルス分離を行うという流れになっております。
 では、実際にどうするかというのが右のパラグラフです。まず、臨床診断した時点が最もいいんですが、IgM抗体が陽性と確認された時点でなくても、すぐに保健所を通じて地方衛生研究所に3つの検体、咽頭ぬぐい液、血液、尿のうち複数、それは自治体によって異なりますがお届けいただきます。その採取の方法でかなりウイルスの検出効率が変わってきますので、適切な採取の方法をしていただくために次のパラグラフに記載してございます。
 実際のやり方は一番下にあるフローチャートに基づきまして、咽頭ぬぐい液あるいは尿、血液からPCR法あるいはウイルス分離等の方法でウイルスを直接検出しようという流れになっております。
 裏がQ&Aで、もう少し詳しく問い合わせたい場合の問い合わせ先、それから、依頼方法、これにかかる費用のことなどが書かれてあります。現在かかる費用につきましては、積極的疫学調査の一環として行われますので、感染症発生動向調査の費用が使えると厚生労働省からは説明をちょうだいしております。
 以上、簡単ですが、複数の方法によって検査診断を充実させ、麻しんではない方が麻しんと診断されてしまうことを防ぐとともに、輸入例などの診断も確実に行っていき、日本を排除の宣言ができるようにしていきたいというのが、このリーフレットを作成した目的です。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 麻しんのPCR検査の実施についてのお話でしたが、それに関しまして、御質問・御意見がございましたらどうぞ。
○櫻山委員 東京都福祉保健局の櫻山でございます。今、島田先生、永井先生、多屋先生から御説明いただきました。私もPCR検査の必要性については、本当にそのとおりだろうなと思うのですが、ここから先はやや言いにくいのですけれども、今日は江戸川保健所の佐藤委員や群馬県衛生研究所の小澤委員もお見えになっていますが、私は東京都で保健所や衛生研究所を所管する立場から、議論の中で御留意いただきたいことを申し上げたいと思います。
 感染症法に基づく麻しんの検査は、現在のところ医療機関における麻しんの診断を目的に行われるものというよりは、公衆衛生上の必要性があると保健所が判断した場合に積極的疫学調査の一環として行われております。今後、保健所の判断にかかわらず医療機関から届出があった場合に、PCR検査を行うという形にした場合、時間外の対応や検体採取及び保管の方法、検体容器の配付等について役割分担などをあらかじめ保健所と医療機関との間で調整を行っておく必要があると思います。ですから、ある程度そういう時間が必要だということ。
 それから、麻しん発生時に蔓延防止のために必要な防衛措置を行うことは保健所として当然のことでございますけれども、検査費用及び検体搬送に係る人的・経費的負担については、インフルエンザ、結核といろいろございますが、保健所業務全体の中で考慮する必要があるということがございます。
 それから、現在、麻しんの届出基準としては臨床診断やIgM抗体検査による診断を認めている一方で、医療機関に対して保健所に検体を提出すればPCR検査を行うというような周知を行いますと、例えば現在、たしか3歳未満の乳幼児に対しては小児科外来診療料ということで保健所が丸めた形でやっておりまして、保坂委員はまだお見えになっていませんが、診療所によっては余り検査を行わないような方向でやっているところもあるものですから、これを利用して、先ほど来お話がございましたように、麻しんの届出数は随分減っておりますが、検査の依頼が増えてしまうのかなということも危惧されますので、そういう点を御留意の上、この計画を進めていただければなということで、私が考えた留意点を申し上げました。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
○佐藤(恭)委員 保健所でございますが、保健所は地域の健康危機管理の拠点ということで、特に感染症についてはいろいろな場合に積極的疫学調査を実施しておるところです。麻しんにつきましても、私どものところでもそのつもりですし、多分全国の保健所で一生懸命やろうと思っていると思います。
 今、櫻山委員からお話がございましたように、やはり保健所だけでどうこうというわけにはいかないかなと。やはり医療機関と保健所、地方衛生研究所の3つのつながり、枠組みがきちんととれているということが必要ではないかと思っております。
 江戸川区は麻しんの患者さんも減っておりまして、今年4月に臨床診断例の報告がございました。その時、保健所から届け出医師に、検査の勧奨のお話を申し上げましたが、「患者さんは既に軽快しているのでこれ以上検査は必要ない」というお話で、検査はできませんでした。その後、東京都の健康安全研究センターで麻しんのウイルスの3種の検査を無料で実施するというお話がまとりまして、それは保健所から医師会を通じまして医療機関の先生方に情報提供しております。まだ、ケースとしてはないんですけれども、それで来ることも可能性としてかなりあるかなと思っております。
 それから、保健所はこういう連携でやっていく中では一生懸命やっていきたいと思っておりますが、できるだけ事業化あるいは枠組みをしていただければ、保健所も更にやりやすいのかなと考えております。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかに何か御意見ございますか。
○石井委員 全国高P連の石井でございます。すみません、私はこの問題は素人なので見当違いな質問だったら申し訳ないんですけれども、今後の対策方針で検体を可能な限り地方衛生研究所において遺伝子検査を実施すると案としてありますが、一方で、さっきの報告を見ますと、全国で4県そういった体制ができていなところがあるんですが、それはどういう理由でできていないかわかりませんけれども、こういった自治体をサポートというか支援するということは何かお考えなんでしょうか。
○加藤座長 事務局いかがでしょうか。
○永井課長補佐 どの程度まで体制が整備されていないのかということは今後、「いいえ」という自治体に個別にお問い合わせしていきたいと考えております。あとは、どうしてもマンパワーあるいはキャパシティーあるいは検査能力の問題から難しいということであれば、国立感染症研究所に適宜技術的な支援を求めていきたいと考えております。
○加藤座長 では、小澤委員どうぞ。
○小澤委員 どういうわけか群馬県が「いいえ」の方に入っていたのでびっくりしたんですが、そんなはずはないと思うんですが、恐らく何かの見当違いだと思います。都道府県の地方衛生研究所において麻しんのPCR検査ができないというのはちょっと考えられない状況ですので、これは恐らく回答がちょっと間違ったんだと思います。基本的な機能として、麻しんのPCR検査はすべてできると考えていただいていいと思います。47都道府県に関しては。
 あとは、地方衛生研究所は、搬入された検体に関してはすべてきちんと検査するということで多分異論はなかろうと私は考えております。
○加藤座長 ありがとうございました。
 御意見はほかにございますか。多屋先生どうぞ。
○多屋先生(国立感染症研究所感染症情報センター) 先ほど言い忘れたんですが、このリーフレットは確定版ではなくて、今から2週間程度の期間を持たせていただきまして、何か御意見がある場合は事務局にお届けいただき、それをもちまして最終版として印刷にかかりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤座長 では、そのようによろしくお願いいたします。何か御意見ございますか。
 それでは、今後は麻しんの検査診断を進めていくということでございますけれども、その際、国・自治体を通しまして保健所、医師会、地衛研等が綿密な連絡をとった上で対応していくということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、引き続きまして、海外に修学旅行に行く高校2年生に対する予防接種の実施に関しまして、事務局よりお願いいたします。
○梅澤課長補佐 資料6「海外へ修学旅行に行く高校2年生に対する予防接種の実施について(案)」をお開きいただきたいと思います。
 まず、これにつきましては、総務省に行政相談窓口というものが設置されております。その窓口に対して海外へ修学旅行のために高校2年生で予防接種を受ける場合も、無料で予防接種が受けられるようにしてほしいというような御要望がございました。これにつきまして、総務省が省内に設置しております行政苦情救済推進会議におきまして御検討をした結果、総務省の行政評価局長から麻しんの定期予防接種に係る対象者について見直すべきだというあっせんの通知が、厚生労働省健康局長あてに発出されているところでございます。
 具体的内容につきましては「麻しん定期予防接種に係る対象者の見直しについて(あっせん)の概要」に記載させていただいております。
 具体的に申し上げますと、まず、今回平成20年度からの5年間を麻しん排除対策期間として設定しており、平成24年度中の麻しんの排除を目指していると。しかしながら、追加対象者の平成20年度の接種率は目標を下回っている現状にあるということ。
 2つ目ですが、麻しんに対する免疫を持たない者が海外へ修学旅行に行く際は、事前に自主的に予防接種を受けることが望ましいのは当然であるとされながらも、定期の予防接種の費用が全額公費負担される市区町村に居住する高校2年生の場合は、あと数か月待てば接種が無料で受けられるといったことから、免疫を持たないにもかかわらず、予防接種を受けないまま海外への修学旅行に参加するのが多いという現実があるという御指摘でございます。
 3点目でございますが、麻しんの接種を達成した国は麻しんという病気のおそろしさを十分に認識し、自国の努力により麻しんの排除に成功したのであり、そのような国に日本人が麻しんを持ち込めば、日本国として国際的に大きな非難を浴びることは避けられない。このような状況の解消に向けて対策を講じることは喫緊の課題であるという御指摘がされております。
 最終的に、厚生労働省は麻しんの排除に係る国際的取り組み状況を踏まえ、我が国から海外へ修学旅行に行く高校生による麻しんの発症を厳に防止するため、これらの者に対する定期的な予防接種の柔軟な実施を可能とする方法について具体的に検討する必要があるというあっせんをいただいているところでございます。
 こういったことから、幾つかの論点を挙げさせていただいておりますが、海外へ修学旅行に行く高校2年生に対して、予防接種法に基づきます定期の予防接種の対象者として位置付けるべきかについて御議論をいただきたいと思っております。
 まず、1点目でございます。海外に修学旅行に行く高校生を定期の予防接種の対象とすべきかという論点を置かせていただいております。麻しんに関する特定感染症予防指針におきましては、麻しんの予防接種を1回しか受けていない者であって、修学等による集団生活をする環境下にある者に対し、2回の予防接種を受けさせる機会を設けることが必要だということがうたわれております。
 また一方で、国土交通省に協力を求めということで書いてありますが、下から2行目、また、文部科学省に協力を求め、学校での外国へ修学旅行をする際に、麻しんの疾病としての特性や麻しんの予防接種についての情報提供を行うよう依頼するものとするということが指針で掲げられています。
 一方、このあっせんの中で幾つか論点としていただいているものは、アメリカ、韓国、オーストラリア等では既に麻しんを排除していると。一方、日本では平成19年に流行するなど、いまだ排除ができていない。平成19年にはカナダで修学旅行生が発症し、多数が拘束される問題が発生しているということ。
 2つ目ですが、平成20年度は年間約17万人の高校生が修学旅行で海外に行っている。そのうち9割が高校2年生である。事前に学校等から予防接種を推奨されるが、未接種のまま出発している者もいると。接種費用の負担も原因の一つではなかろうかということを総務省から言われております。
 また、複数の市に聴取したところ、財政上の問題はあるが、高校2年生で海外へ修学旅行に行く者を定期の予防接種の対象とすることの必要性は認識していると。そのため法令の整備を求める声があったという、この3点が総務省からいただいているものでございます。
 したがいまして、ここで事務局から御提案させていただいております対応案は、海外に修学旅行に行く高校生を定期の予防接種の対象として位置付けるべきではないかという御提案がまず1点目でございます。
 続きまして、論点2として、対象者をどこまでの範囲とするかということでございます。接種対象者として海外へ修学旅行に行く高校生、学校教育の一環として海外に行く高校生、これは修学旅行及び研修等と書かせていただいておりますが、修学旅行以外に研修ということを目的に、例えば、学校が主催する語学研修やホームステイ、実習、姉妹校交流といったものがございます。それと、すべての高校2年生を対象とするというような3つのパターンが考えられるということでございます。
 「※」で書かせていただいておりますが、中学生、高校1年生及び高校3年生に相当する年齢の方につきましては、平成20~23年度において、この5年間の経過措置による予防接種の対象となるということでございます。
 こういったことから、海外へ修学旅行に行く高校生の現状を平成20年度の状況を見ますと、海外に修学旅行に行く高校生は14万4,352人という実績が上がっております。また、修学旅行、研修に行く高校生といたしましては約3万人増えまして17万4,595人という実績になってございます。また、すべての高校2年生ですと約110万人という実態でございます。
 事務局から御提案させていただいております対応案につきましては、麻しんを海外に持ち出さないこと、また、日本に持ち込まないことを目的とすることから、海外へ修学旅行に行く高校2年生に加えまして、研修に行く高校2年生も対象とする。学校の教育の一環として海外に行く高校2年生すべてを対象としてはどうかという御提案でございます。
 また、第4期の接種に高校2年生全体を対象とするということは、周知等の関係からかえって接種率の低下を招くおそれがあるといったことから、接種の勧奨につきましては従前どおり高校3年生に対して勧奨を行うこととし、学校教育の一環として海外へ行くことを理由に接種を希望する方、高校2年生については、とりあえず接種を行えるようにしてはどうかというのが御提案でございます。
 論点3として、対象者を拡大した場合でも十分なワクチン供給量が確保できるかということでございます。?は平成21年度の定期接種の状況でございます。1期~4期までで約400万人の方が対象として接種を受けられているという実態でございます。
 一方、ワクチン供給の現状でございますが、生産量まだ予定でございますけれども、平成22年度におきまして約488万本、平成23年度におきましては約506万本の供給が予定されております。
 こういったことから、?海外へ修学旅行等に行く高校生等を追加した場合の接種対象者といたしまして、仮に修学旅行に行く高校生のみを追加した場合につきましては、約416万人余の対象者が出てくる。また、学校教育の一環として海外へ行く高校生全体を対象とした場合につきましては、419万1,108名が対象者になるという状況でございます。
 したがいまして、対応案と書かせていただいておりますが、海外へ修学旅行及び研修に行く高校2年生の数から換算させていただきますと、現在供給されているワクチン量で接種は十分に可能であるという状況でございます。
 以上でございます。
○加藤座長 ありがとうございました。
 それでは、海外へ修学旅行等に行きます高校2年生に対する予防接種の実施につきまして、事務局より論点1、論点2が挙げられてございまして、その対応案がおのおの出されておりますが、これに対して何か御意見・御質問ございますか。
○櫻山委員 東京都の櫻山でございます。ちょっと私、中座しなければなりませんので、意見だけ先に言わせていただきます。
 1つは、高校2年生で海外に行く方に対する接種は勧めるべきだと思うんですが、個別接種などの現状では、医療機関が対象者を把握する仕組みづくりが必要かと思います。そこを御検討いただきたいと。
 それから、論点2で対応案の2つ目ですが、第4期の接種で高校2年生全体を対象とすると幾つか問題点があるという御意見ですけれども、論点3に書いてあります定期接種の状況、第4期は余り東京なども接種率が高くないので強いことは言えないんですけれども、逆に低い接種率などの状況を考えますと、高校2年の希望者を全部対象にしても何とかギリギリ間に合うのかなという数かとも思いますので、むしろ、高校3年で接種しているのを高校2年に下げるということも御検討いただいた方がいいのかなという気がしたものですから、申し上げました。
○加藤座長 ありがとうございました。それは、高3をやめて高2にするという意味ですか。
○櫻山委員 そうですね。高校3年生は、東京などでは受験等でかなり忙しくて、それも接種率が伸びない原因じゃないかということも意見として上がってきておりますので、むしろ高校2年の方が接種率が上がるのではないかという、これもやってみないとわからないんですけれども。
○加藤座長 これはついこの間、13歳と18歳を決めるときに相当議論をした挙げ句、この年にしたわけですけれども、そういう御意見として承ります。
 今のに関連しても結構ですが、御意見ございますか。
○衞藤委員 趣旨としては賛成ですけれども、修学旅行等などははっきりしておりますが、こうこうこういう理由でホームステイをするというようなケースが来たとき、これは公費で受けられるということを医療機関における認定に負担がかからないような仕組みと、十分な情報伝達をしていただきたいと思います。趣旨としては賛成なんですけれども、その部分で混乱が起きないようにしていただきたいということをお願いしたいと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、委員の皆様におきましては、とりあえず学校教育の一環として海外に行く高校2年生については、予防接種法に基づいて実際に実施できることが必要であろうという御意見と思いますので、事務局におきましては予防接種法の施行令の改正を行わないと無料でできませんので、それを行うことを前提といたしまして、先ほど来出ております関係機関と十分調整を行った上で、予防接種法に基づく接種が行えるような対応をとっていただくということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○加藤座長 ありがとうございます。
○梅澤課長補佐 1点、今回、予防接種法に海外に修学旅行に行く高校2年生につきまして、政令を改正して位置付けるわけでございますけれども、政令で書かせていただくときに、海外に修学旅行に行く高校2年生というような定義付けをし、その上で接種を勧奨するというのは現行のいろいろな政令を確認をさせていただきましたが、海外に修学旅行に行くという定義付けをしてある政令がございませんで、政令上の位置付けが非常に難しいという現状がございます。この点につきましては、私どもの方で調整をさせていただこうと思いますが、政令上では高校2年生を対象とするということで規定させていただき、その上で、積極的な勧奨は行わずに、接種を希望される方々につきまして、今、医療機関に負担がかからないようにというお話、また、対象者を把握する仕組みをつくるべきだというお話をちょうだいいたしましたが、実際に接種していただくときに学校と関係機関、これは今後、文科省とも調整させていただかなければいけないと思いますが、学校とも連携をさせていただきながら、海外に修学旅行に行く方々が接種を希望される場合につきましては、予防接種法に基づきます公費で接種を受けられる仕組みとしたいと思っております。
 政令上では、高校2年生全体を対象とするような仕組みとする一方、積極的な勧奨はワクチン量からも行わず、御希望に応じて予防接種法に基づきます公費で接種を受けていただくような対応にしたいと。説明が不十分で申し訳ございませんが、そういう仕組みにしたいと考えております。
○加藤座長 ということは、政省令上は高校2年生でも高校3年生でもできますよということにするんですね。積極的に勧奨するのは3年生にするんだけれども、2年生に関しては今ディスカッションしたように、海外に研修または勉強に行く方に対しては積極的に勧奨するという、ちょっとややこしいですね。
○林課長補佐 おっしゃるとおりでございます。実現したいことの趣旨は先ほど御議論いただいたとおりですが、接種できる一番外縁は政令で定める必要がありますので、高校2・3年生を一旦政令で定めさせていただきますけれども、積極的勧奨というか周知の段階では高校3年生全員と学校等に御協力をいただいて、修学旅行、学校研修に行かれる高校2年生に積極的にお勧めすることで、実態上そういった方々に定期接種を受けていただけるような仕組みにしていきたいと考えております。
○加藤座長 ということですが、それに関してはどうですか。ちょっと話の筋道が違ってきたような気がするんですけれども。
○蒲生委員 お聞きしたいんですけれども、政令で高校2年生も接種できるということは、定期接種ということになるんですか。
○林課長補佐 はい、そのとおりです。
○蒲生委員 学校行事等ではなく、ただ単純に自分は高校2年生で、麻しんの接種をしたいという方はどうなるんですか。
○林課長補佐 基本的に、高校2年生誰でも接種してくださいという御案内はしないようにと考えておりますが、受けてしまった場合に、政令で定期接種になっていれば定期接種という扱いになってしまうと思います。そこは、きちんと整理したいと思います。ただ、そういう御案内はあえて行わないつもりでございますので、ほかの予防接種でもありますけれども、例えば、日本脳炎の予防接種は6か月から90か月まで接種できますよとなっていますが、接種の御案内は3歳の方にするという例がございますので、これにつきましても政令上は高校2・3年生相当となっておりますが、御案内を的確に行うことで接種の対象者を明確にしたいということと、仮に、それ以外の高2の方が接種されてしまった場合には、それは定期接種という扱いになるということは、政令上はそのとおりだと思います。
○加藤座長 福田委員どうぞ。
○福田委員 麻しんを海外に持ち出さないという趣旨に反しているのではないかと。要は、受けられるけれども希望者だけという行為は、麻しんを持ち出す可能性を余り減らしていないのではないかという危惧と、4期で受けずに高校2年で受けた者があいまいになると、今度4期の接種の把握に影響はしないでしょうか。
○林課長補佐 1点目に関しましては、学校等を通じて修学旅行に行かれる方は自ら受けていただくように、また学校等でもできるだけ御確認いただけるように連携をとっていきたいと思います。
 それから、後者に関しましては、把握の方法はいろいろあるかと思いますけれども、これはあと2年間の話でして、少しでこぼこが実際に起きてしまうかと思いますが、そこは2年分の4期の接種率をトータルで評価していくことになろうかと思います。
○福田委員 後でまとめようと思っているんですけれども、資料3のアンケート調査を見ていると、事業化もできていなかったり、結構把握できていないところがある中で、今言われたようなことが本当に把握できるのかどうか、ちょっと疑問に思うんですけれども、大丈夫でしょうか。
○林課長補佐 把握といいますと、4期の予防接種を何人が受けられたかということについては把握を毎年していくわけです。これをやるとどうしても、もともとであれば平成24年度に受けるであろう方が平成23年度に前倒しで受けられるということが起きますので、平成23年度単年の予防接種率が4期で少し上がり、平成24年度は下がるということが起きますので、そこはトータルに評価していく必要があると考えております。
○加藤座長 ほかにございますか。
○石井委員 実際に、高校2年生まで広げた場合に、通知は場所によって違うんですけれども、ほとんど市町村がやるようになるのではないかと思うんです。私実はPTAもやっていながら、千葉県南部にあります館山市役所の職員もやっていますけれども、今日は出がけに健康課に聞いてきたら、市内の高校3年生に通知を出しているわけですね。今度は2年生全部ということになると、2年生と3年生と全員に出して、なおかつ、希望者によってということだと、末端の自治体の業務が非常に煩雑になるのかなという心配があるんです。
 もう一つ、実際に業務をやる場合に、これはこの会議で今までも御議論があったかと思いますが、市町村自治体は中学校とはよく連携がとれるんですけれども、県立の高校となると連絡の窓口がなくて、中学の養護教諭とは連絡会があるけれども高校はないんですよねという話を聞いています。その辺の連携の少ないところが非常に気になるんですが、その辺はいかがでしょうか。
○林課長補佐 おっしゃる点は、よくこれから運用を周知していかないといけないと思っておりますが、市町村が自ら高2の方全員に勧奨を行うとか、あるいは修学旅行に行かれる方を自ら調べ上げて勧奨を行うという仕組みは想定しておらなくて、市町村は今までどおり高校3年生に積極的勧奨を行っていただくということは維持したいと思っております。その一方で、修学旅行に行かれる生徒さんは学校でわかるわけですので、例えば、学校からその方の在住する市町村に人数を言っていただくとか、親御さんから市町村に申し出ていただくとか、何らかの方法で接種を受けたい側、修学旅行に行かれる側の学校や生徒の方々にも御協力いただいて、この仕組みを運営する必要があると思っております。
○加藤座長 ほかにいかがですか。
○佐藤(秀)委員 質問なんですが、来年度その形をとったとして、再来年度もそれは継続することになるのでしょうか。その場合、平成20年の第3期の方は接種されていない方が15%いると思うんですけれども、もう一回その方たちだけにダブルチャンスが来ると思うんですが、そういう不公平感というのはないでしょうか。
○林課長補佐 この仕組みは、この時期になって御提案するのも何なんですけれども、平成23年度1年限りの仕組みになろうかと思います。平成24年度に高2の方は、中1のときに接種の機会があった方になりますので、その方を定期接種として行うことは今のところ考えてございません。
○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。
 政令を高2と高3相当に変えてしまうということですよね。そうすると、高2の方が来たときには本当は拒めないでしょう。そうすると、当初のもくろみと違ってしまうということになるんですけれども。
 それから、今、佐藤さんがお話しになったように、ちょっと重なってしまうので1年限りになってしまいますね。
 岡部先生、何か意見ないですか。
○岡部委員 しかし、高校生にきちんとやっておかないと、このごろ輸入麻しんが問題になっているので、逆に某国に行った場合には向こうで感染する可能性があるだろうということと、こちらから発症していって某国に持っていった場合に、そこで留め置きを食ったり、かなりのことがなされる可能性が、カナダの例をとってもあるので、最大の目的はそこを何とかしようということではないかと思うんです。
 あと、技術的なことが幾つか起きたので、矛盾点が出てくるけれども、それを考えて、もしこれをやらないとすると、結局外に出さないぞという姿勢が余りとれなくなるので、ある程度のところは現実的なことを考えなくてはいけないのではないかと思います。勿論、運用上、市町村に迷惑がかからないというのは、高校2年生に全部通知を出す必要はないというようなところは出たわけですし、生産上の問題はなさそうですけれども。それから、期限的にはどっちみち危険のあるやり方ですから、どこかでストップになるでしょうから、あとはサーベイランスのやり方で、高校3年相当年齢の接種率となると下がる可能性があるけれども、そこは説明を入れれば何とか低くてもこのぐらいは実質はいっているというカバーができるんじゃないかと思います。極めて現実的な意見なんですけれども。つまり、今のことはやった方がいいだろうという意味です。
○加藤座長 ほかにいかがですか。
○佐藤(恭)委員 来年度に限りということですけれども、接種率を増やす可能性がありますので、やった方がいいかとは思うんですが、ただ、手続といいますか、区としてもやっていく上で非常に煩雑になって、うまくいくのかなというのがあります。先ほどおっしゃられていましたけれども、高校というと地方自治体とはちょっと縁が薄いところがありますので、そこがうまくつながるのかどうかですよね。むしろ修学旅行なり海外へ勉強に行かれる方については、高校の関与を強くするような形で枠をつくると、一般の2年生の希望者も余り受けなくて済むということにもなるのではないかと思います。ざっと出してしまうと、多くの2年生が早く受けてもいいなら受けておこうかということになれば、ワクチンの量もちょっと奪い合いになるようなおそれもなきにしもあらずかなと思うんですが、その辺の事務的なところが非常に気になるところでございます。
○加藤座長 ほかに意見はないでしょうか。
○畑委員 予防接種をどんどん推進して麻疹をなくしてもらいたいという立場から申し上げますと、今一番感じているのは、全体の罹患率がぐっと下がって、世の中全体の関心度が下がって緊迫感がなくなっている状況にあるわけです。そういう中で、麻しんの排除というのは必要なんだというのは、こういう席のこういうメンバーの方にはわかりますけれども、一般の方々にはそれがどういう意味を持つのかという意味付けというか、予防接種をすることに対する動機付けがない。そういうときに、こういう具体的なテーマで修学旅行とか海外に行くときに麻しんを持ち出さないというある種のキャンペーンが打たれるというのは、排除に向けた予防接種の意義を世間に知らしめるのに非常にいい道具と言いますか、チャンスとして使えるのではないかと思います。
 私どもSSPE、麻しんの被害者としては、今の状態というのはこれだけ発症率が下がると社会的な緊迫感が下がって、皆さんが麻しんの予防接種に関心を持たなくなるのが一番気になりますので、是非、こういう具体的なテーマで予防接種のキャンペーンは進めていただきたいと思います。多少いろいろな難しい手続的な問題はあるかもしれませんが、そこは何とかして是非やっていただきたいという思いです。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。それでは、一応、御意見をお聞きしましたけれども、いずれにしても、このお話が出たのは高校2年で海外に研修・留学等で出かける方が多くて、そちらで麻しんになられる方も出る可能性があるので、その前に接種をしておきましょうということが大前提ですが、それを政省令の文言の中に加えるわけにはいかないと。しかし、前段階も必要であるところから、目的としては高校2年生に対して予防接種法に基づいて接種ができるような政令をつくっておかなければ、それはできませんということですので、先ほども申し上げましたが、予防接種法の施行令の改正を行って、高校2年生にも接種ができるような状況にしておくということですね。そのときに、従来どおり勧奨するのは高校3年生ですけれども、若干事務的に確かに手続上面倒になるかもしれないけれども、実際に2年生について勧奨するのは海外に研修または修学旅行に行く方ですよという取りまとめでよろしいでしょうか。こういう事務局案ですけれども、いかかですか。
 先ほど福田委員から少し接種率等の話も出ましたが、それは2年またげば何とか出るでしょう。2年続けて打つ人はいないのでということですね。あとは、そのような予防接種法に基づく接種が行えるように、厚生労働省としては対応をしていただきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、さまざまな御意見をいただきましたが、続きまして、その他の事項に移らせていただきます。まず、世界の麻しん排除に向けた動きに関しまして、感染研の竹田先生からお願いいたします。
○竹田委員 麻しん排除計画は、我が国だけの活動ではありません。WHOが中心となって世界中でこの活動を行い、世界的に麻しんの排除計画を行っております。
 ワクチンの接種を積極的に進めることによって、2000~2008年にかけて世界で67%麻しん患者が減少しております。
 更に、麻しんによる死亡率は2010年までに2000年と比較して90%減少させるという目標が掲げられていますが、南東アジアのインドを除きまして、ほとんどの国・地域でその目標が既に達成されております。
 日本が所属します西太平洋地域はオレンジで示していますけれども、その地域の状況です。緑で塗ってあるところは諸島各国です。排除が100万人人口当たり1例未満というのが排除の定義になっておりますが、それが緑の地域になります。ですので、多くの島国諸島、韓国で既に麻しんの排除が達成されております。
 更に、オーストラリアは黄色に塗られていますが、実質上2005年以降、排除と言っていいだろうという状況になっております。
 日本は、いろいろな技術的なこと、はしかの科学的な技術力等でこれらの世界排除計画の中の基幹的な役割を期待されておりますが、2008年の時点では残念ながらこの地域のはしか患者の97%以上が日本と中国からの患者であるということで、この時期非常に大きな批判を受けております。
 ですが、その後の活動で、日本も世界と並び非常にはしかのコントロールがよくなってきております。
 当時、日本と並んで批判を受けていた中国ですけれども、2009年1月から2010年5月にかけて検査も相当積極的に行っておりまして、457はしか疑いのアウトブレークがありましたが、これら全部についてきちん検査を行い、430が麻しんの流行であったと検査をしております。公的機関が協力し合って約7万7,000例のはしか疑いの散発例のうち、5万7,000例から血清を回収して、血清診断を国家として行っております。ウイルス分離も467株分離し、それらがどこに由来するものかを丁寧に検査しております。中国でも2例は外国の株であったということで、彼らもかなりナーバスに検査を進めております。
 2010年9月11~20日かけて、約1億人の小児を対象としたワクチン接種キャンペーンを行うなど、相当力を入れて活動しております。
 世界では排除を更に推し進めて根絶、すなわち地球上からはしかがもはやないという状況をつくるための目標を真剣に持って活動しております。日本が今後、世界の排除計画の中でもリーダーシップをとれるような活動ができるように是非進めていきたいと思っております。
 以上です。
○加藤座長 どうもありがとうございました。
 竹田先生から御説明をいただきましたが、世界の麻しん排除に向けた動きにつきまして、何か御意見がございましたら。特にございませんか。
 いずれにいたしましても、はしかの排除計画を日本で行うに当たりまして、3年目に入ったところでございますけれども、来年度以降、各関係者が麻しん対策を更に推進するための方策について、今後も御議論をいただきたいと思いますので、平成23年度以降の取り組みに関しまして、事務局からお願いいたします。
○永井課長補佐 論点の整理ということで、資料8の1枚紙を御用意させていただきました。まず、下の段でございますけれども、現状ですが、2012年までの残り2年で麻しん排除を達成する必要があります。ただ、先ほど資料に基づきまして予防接種率をお示ししているところでございますが、現状としては目標接種率の95%が国全体としてはまだ達成できていないと。一方、隣の韓国等では既に麻しん排除国とされています。
 また、先ほどお話をさせていただきましたけれども、修学旅行生が麻しん排除国に麻しんを持ち込むことで国際問題につながりかねないということから、総務省からのあっせんがございましたので、これは必要な改正手続等を今後進めてまいりたいと思います。
 そこで、予防接種率の向上ですとか、さまざまな施策につきまして、次回の麻しん対策推進会議におきまして、今年度は中間年に当たっておりますので、これまでの取り組みの評価と目標達成のために今後2年間で行うべきことの整理等を行いたいと考えております。
 そのために、本日構成員の先生方には検討事項ということで、上段にお示ししておりますが、平成24年までに麻しんを排除するという目標に向けて、今現在、各行政あるいは感染症研究所、自治体、さまざまな関係者が集まって取り組みを推進しているところでございますが、この目標を達成するために今後2年間どのような取り組みをすべきかを御議論いただきたいと思っております。
 論点として挙げさせていただいているのは3つでございまして、1番目が、麻しんワクチン接種率の向上。2番目が、サーベイランスの強化、麻しん患者発生時の対応について。3番目が、啓発の在り方についてということでございますので、これらについて忌憚のない御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤座長 ありがとうございました。
 平成23年度以降の取り組み、接種率をいかに上げようかということに対して、各委員からの積極的な御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福田委員 麻しんワクチン接種率の向上のところなんですけれども、やはりいろいろな環境は整いつつあるんですが、結局子どもを病院に連れていこうとすると、多分お母さんが主になるんですけれども、お母さん方が職場を休んで出られる環境という整備が必要ではないかと。企業というのは社会的な責任は随分理解しているんですが、公的な機関から要請がないとなかなか動きにくいということで、例えば、予防接種を受けにいく場合は特別有給休暇を付与するなどの配慮をいただきたいようなことが国から出れば、もう少し企業としても予防接種を受けやすい環境をつくっていただけるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○加藤座長 ありがとうございます。
 岡部委員どうぞ。
○岡部委員 それは、たしか国家公務員の方は組合がやっているのかどうか記憶がないんですけれども、予防接種に母親がついていくときには特例の休暇をとることが制度化されたと思うんですね。ちょっと調べていただければと思います。そういうことが国ではスタートしたんですよというのは企業に対するきっかけになるんじゃないでしょうか。何かそっとやったみたいで、もったいないなと思っているんですけれども、たしか動いていますよね。
○加藤座長 その辺のところ事務局で資料は持っていますか。ちょっと確認してください。
○梅澤課長補佐 はい、確認させていただこうと思います。
○岡部委員 それは、はしかに限らず、予防接種ということで。
○梅澤課長補佐 今回ははしかですけれども。
○岡部委員 例えば、国家公務員である母親に対する言い方は、別にはしかだけには限っていないと思います。
○梅澤課長補佐 これが徹底すれば、はしかに限らずあらゆる予防接種の向上につながるような気がします。
○岡部委員 情報センター側ですけれども、情報を知っていると思うので。
○ヤマシタ氏(感染症研究所感染症情報センター) 今年の4月だったと思いますが、看護休暇を子どもの予防接種ですとか健康診査に使えるという人事院規則の改正があったと思います。
○加藤座長 では、陰に隠れてしまっているんですね、きっと。
○岡部委員 ですから、私が申し上げたいのは、一応それは確認した上で、むしろ国は自分のところだけやっているわけではなくて、こういう方法がありますよということを周知徹底していただくと、かえってきっかけになるんじゃないかと思います。
○加藤座長 一つの御意見をいただきましたが、そのほかに普及啓発のための平成23年度以降、いかがでしょうか。
○小澤委員 病原体サーベイランスのことなんですが、やはり病原体サーベイランスのシステムをもう少しきちんと構築しないと、今後、病原体が集まりにくいという状況が悪化する可能性があると思います。麻しんの場合に、要するにIgMの検査診断をするのは保険で収載されているわけですから、医療機関としてはそちらに患者検体を出してしまえば、それで事足りるとされる可能性、今現状はそうなっているわけで、ほとんど患者の検体が衛生研究所にも集まらないという状況になっているわけです。そこで何らかのインセンティブが働かせられないかということを考えてもらうことが必要ではないかと思います。結局、今までの比較的簡単に検査診断で、あるいは臨床診断で麻しんと診断していたのが、ずっとそのまま保持されるとすれば、どういうインセンティブで医療機関から検体が衛生研究所に回ってくるかという、そこが非常に心許ないというか、そういうことがあると思います。先ほどの例を挙げても、検査はいいんだけれども、検体をとってそこまでは必要ないよと親が言ってしまえばそれまでという話になってしまいますので、そこはどういうふうに今後、病原体を検出するということに関してのシステムをつくるかということを今後考えないと、その流れを劇的に変えるのは非常に難しいのではないかと思います。
○加藤座長 それは、いわゆる医療機関が臨床的に麻しんと診断をつけたものに対して確定診断をするときに、PCRをかけると。それは衛研がやってくれますよと、そこまではいい。だけれども、その検体をとって、それを送るという作業をする上において、各医療機関にインセンティブがあるかどうか。したがって、協力していただきにくいのではないかという御意見ですね。これに関してはいかがでしょうか。ここに出ている各委員の方々は皆さん御理解がありますから、よくわかると思いますけれども、国じゅうでやるわけですので、そこまで面倒くさいからやらないという方が出てくる可能性があるという意味ですね。そういうことが出てきた場合については、いかがですか。何かいい案はございませんか。
 佐藤先生どうですか。
○佐藤(恭)委員 ちょっと私も何とかしてというのは、医療機関にいろいろ情報提供してお願いして、少しでもとっていただくということを今やっておりますけれども、何らかのインセンティブがつくられれば、それにこしたことはないと思います。
○加藤座長 岡部委員どうぞ。
○岡部委員 インセンティブとはむしろ逆になってしまうので、余り好ましくはないんですけれども、結局はしかが法律上の規定になっていないというところにかかってくると思うんです。今までのこの委員会あるいは感染症部会でも、はしかがある一定数より少なくなったならば、法律に基づいて全数届けにすべきであるという議論がされてきたと思うんです。勿論インセンティブがあった方がいいんですけれども、決まりとしてやらなければいけないんだと。なぜならば、これは世界的にやっていることであるということを、もうちょっと全面的に出していかないと、本当に数が少なくなってきたときの確認ができないと思います。それを見越して少し動いていないと、2012年からそれをやったのでは間に合わないのではないかと思うので、できればあらゆる機会で、これ1つだけというのはいつも難しいというのがありましたけれども、感染症法を考えるときには、そこを考えないと動かないんじゃないかと思います。
○加藤座長 事務局では、もしそういうことをやろうとしたら法令関係上で、そう簡単にできますか。
○中島室長 今の仕組みの中では、一類から五類に分類している五類に麻しんの届出が求められておりまして、そこでは特に患者さんの全数届出ということのみが規定されております。ただ、そこをある程度強いところで把握していくためには、もう少し高いレベルの類型に持っていくということが考えられるんですけれども、そうなると逆に、ある程度の強制力を持った措置になってまいりますので、そこのところはやはり法律の改正が必要になってくる枠組みになります。それをする必要がある時期というのは、この麻しんの排除の進展がすごく大きな部分になってくるんじゃないかと考えるところです。可能性としてそういった検討も従前から御指摘いただいておりますけれども、考える必要はあるところだと思います。
 それから、先ほどの病原体サーベイランスのお話で、小澤先生からもお話をいただいたところなんですが、インセンティブとはちょっと違うんですけれども、自治体の中で患者さんから検体をとって病原体を調べるという仕組み、病原体サーベイランスをどう回していこうかというところ、現行体制をもう少し強化して、それを自治体の中で位置付けていただけるような法令化というのでしょうか、法律改正というのはなしにしても、位置付ける必要があるんじゃないかというところは、新型インフルエンザ対策の中でPCR検査を相当回していただいた実績なども踏まえて、今、検討が行われているところです。特に法令には位置付けはないんですが、通知レベルで言いますと、今年もA型肝炎のサーベイランス、インフルエンザの集団発生の病原体サーベイランス、NDM-1等の病原体サーベイランス等、通知レベルではしてきているものがございます。まずは、そのようなできるところからしていって、それから、何とか法令で位置付けられるように病原体サーベイランスを持っていくのが自治体の人員・予算等の確保からも必要なのかなと考えているところでございます。
 以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。
 そのほかに平成23年度以降に向けて。
○岡部委員 最初の図で、島田さんが報告してくれた資料1の都道府県別というのが4ページにあるんですけれども、これを見ると、2010年において一応WHOが決めた排除の定義で、日本ではそこがまだあいまいなんですけれども、少なくともWHOが決めている人口100万人当たり1というのが一つのラインになっているわけです。そうすると、2009~2010年にかけて、幾つかの都道府県が既にこれをクリアしているというのは、もう少し大々的に言って、大変な思いをして自治体はやっていると思うんですけれども、みんなだめだ、だめだと言っていないで、やっているところがクリアしている、よくやった、よくやったというモチベーションを高める必要があるんじゃないかと思います。
 これも、この会議が始まった辺りに、たとえ国として全体で宣言できなくても、各自治体によってできたところは、どこどこは排除できているラインに入っている、ただし、それを維持していただきたいという意味でのアナウンスをやった方がいいんじゃないかという話があったと思うんですが、是非それはやっていただいたらいいんじゃないかと思いますが。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○石井委員 ワクチンの接種率の向上と啓発部分はセットになっていると思うんですね。先ほど福田委員もおっしゃられたように、我々保護者も意識を上げないと、なかなか接種率は向上しないのかなと思います。そういう意味で、まだまだ保護者の中には、はしか程度というか、はしかは大変な病気だということを知らない方も多数いるので、その意識を上げることからやらなければいけないかなと思っています。そうした広報については、私どもPTAも是非連携させてもらって一緒にやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○加藤座長 ありがとうございました。
 岡部委員どうぞ。
○岡部委員 私は、昨日までWHOのマニラのポリオ根絶監視委員会に出てきて、この10年間ポリオはゼロであると。でも、日本は1980年からゼロになっていて、スタートしたときにはもう既に日本の場合はゼロだったんですね。それは決して、住民の人々がポリオをゼロにしようと言ったわけではなくて、ポリティカルウィルとしてポリオを少なくしていくということと、それを続けていくということが掛け声だけではなくて、余り前面に出なくても、例えば、これはすっと二類感染症に入っているとか、全面的にポリオは定期的ワクチンをやらないとだめですよというようなことがきちんと決まっていたということがあると思うんです。はしかは髄分動いているけれども、随分アナウンスも言っているんですが、段階的に見て少なくなってきたときに、さっきの法律体系に入れていくとか、できることをやっていくということをもうちょっと外に向かって大きく言って、余り期待してはいけないと言うとあれですけれども、住民の方々が100%やろう、やろうとは絶対に言わないと思いますから、旗を振る側がしっかりゼロを目標にしていく必要があると思います。
○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。
 局長どうぞ。
○外山健康局長 今の法律の話は、彼が今話しましたけれども、はしかは五類だけれども省令で全数にしてあるという話ですが、全数報告を担保するのは省令だろうが、法律だろうが関係ないんですが、そうではなくて、そもそもの分類が違っているというか、好ましくないという趣旨ですか。
○岡部委員 いえ、そういう趣旨ではないです。極めて現実的にそういうことができるようになればいいだろうと思うので、例えば、今すぐに一類感染症に入れましょうという提言をしているわけではないです。
○加藤座長 蒲生委員どうぞ。
○蒲生委員 非常に具体的な広報の提案なんですけれども、一般的な企業で何かを売ろうとしたときに一番効果があるのはテレビCMです。それは大変なお金がかかるということがあります。
 あと一つ、今日の御報告を伺っていて、第4期がどうしても接種率が上がらず、第4期に関しては一番いい県と一番悪い県の差が大きいということが気になりました。また、厚労省、文科省の方で、夏休みの期間に是非接種をという広報をしていらっしゃるので、夏休み、高校3年生はほとんどの方が夏期講習に通われますので、予備校ですとか熟ですとか、高校3年生を対象にした夏期講習、冬期講習、春期講習をやっているようなところへもポスターの提示をお願いするなどのことも効果があるかなと思いました。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。
○衞藤委員 サーベイランスの強化に関してなんですが、PCR法で検査診断をつけるという部分に関して、一般の診療所のレベルでも検査をするところが多くなってきていますが、検体の回収と結果のフィードバックの点に関して御留意いただきたい。検体を回収したけれども結果の報告がかなり後になっているということでは、臨床現場ではやりにくいところございますので、その点も御留意いただきたいと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○蒲生委員 あと1点、検査診断についてなんですけれども、今日の御報告の中で1歳児の麻しんの罹患率が非常に高くて、しかも、中身を見るとその3分の2は1回接種している方となっています。これがそのまま説明なしに出ていくと、1歳児を持っているお母さんからしてみれば、打っても打たなくても同じなんじゃないかという誤解を招きかねないので、今の状態では本当は麻しんではなかったかもしれない例も含まれていることもきちんと広報するべきだと思うことと、その辺をきっちりするためにも、是非、検査診断については推奨していただきたいなと思いました。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○畑委員 ここに実は今日持ってきたのですが、2月の横浜市議会の議事録です。新聞記事にもなって問題になりましたけれども、発症したのに報告が上がらなかった、その調査データ1年分が報告されていないということが問題になった議事録です。今日は東京都だけで、神奈川県、横浜市の方がおられないので勝手なことを言うんですけれども、末端では国でこういう動きをやっていることすら伝わっていないところがあるわけです。施設によっては。横浜の場合は、保健所ではなくて福祉健康センターという仕組みになっていますけれども、そういうところで伝わっていなかったりして、データが上がっていないという事例があって、これをある議員が指摘して問題視したということが3月ごろにあったわけです。この実態を見ると、全体では確かに接種率も上がってきていますが、このデータでも一部ばらつきが非常に大きいところもありますが、末端の施設とかはまだまだ周知されていないところがあるんじゃないかと思います。全部が全部にしっかり伝わっている県とか自治体もあると思いますけれども、まだまだ抜けているところがたくさんあるんじゃないかと。横浜の事例はたまたまの事例ではなくて、やはり氷山の一角ではないかという気がします。
 お願いしたいのは、もっと細かな末端のところまで排除に向けた動きをしているんだと。単に予防接種運動といいますか、麻しんにかかりにくくするために予防接種を受けましょうという話ではないんだと。国家的な取り組みとして排除に向けた動きがあるんだということを、もっと周知を徹底させる必要があると思います。それがまだまだ伝わっていないということが、この横浜の事例を見ても感じました。そういう活動を是非、お願いしたいと思います。
○加藤座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 私から1つだけ、お答えになられるかどうかわかりませんが、資料2と資料3、資料2には現実が書かれているわけですね。例えば、各地方とか都道府県の実際の接種率が順番までつけて書かれています。資料3は、各都道府県が努力している様を示しているわけです。努力している様子と接種率と何かリンクしているか、していないかという分析はしてありますか。そうでないと、ただ資料出しだけになってしまうので、努力しているところは接種率が高いとか低いとか、または集団がやっているところは高いとか低いとか、またはこういう会議をやっているところの方が接種率が高いとか低いとか、そういう分析は。
○林課長補佐 資料を御用意する段階でおっしゃるようなことができるかどうか、こちらでも詰めを行った経緯がございますけれども、47都道府県、しかも市町村のデータを集合させたようなものを「はい」「いいえ」で答えていますので、さまざまな交絡因子等が絡むために、このデータだけから今おっしゃたような分析をしてものを言うのは、なかなか難しいのかなということで、今日はそういう資料をお出しするには至りませんでしたけれども、努力している様と結果をリンクさせて、お示ししていく、評価していくということが重要だということは、私どもも認識しておりますので、できるかどうかわかりませんが、例えば、もっと数が多いデータがあればできるのではないかとか、どういったことができるのか、今後の検討の中で何ができるか考えていきたいと思っております。
○加藤座長 すごい調査をされていると思って感心したものですから、少しリンクしないともったいないかなという気がします。
 岡部委員どうぞ。
○岡部委員 今の点はちょっと情報センターから補足して説明できると思いますが、いいですか。
○ヤマモト氏(国立感染症研究所感染症情報センター) 国立感染症研究所感染症情報センターのヤマモトと申します。
 今回、都道府県の取り組みと接種率の集計などを通して、いろいろ都道府県別に接種率の状況を取り組み別に見てみたんですけれども、どうしても予防接種の実施主体が市町村特別区になっているということで、市町村の取り組みが都道府県の中に反映されてしまっている現在の集計では、なかなかそれが難しいということがありまして、今後、市町村特別区の接種率の状況を細かく見ていけば、そいうったことが可能であろうと考えています。
 あと一点加えますと、例えば、具体的な例を挙げますと、実際に自治体を回って調査した経験から申しますと、接種率が高い山形県などでは、非常にバランスのとれた取り組みがなされているのは事実です。あと、茨城県で接種率が高い第3期は集団でやっている結果だと思われます。しかしながら、沖縄県のように行政と衛生研究所が非常にバランスのとれた取り組みを実施していても、接種率が伸び悩んでいるというところがあるのも事実です。そういったことは情報としては共有しております。
○加藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 本日の会議におきまして、委員の皆様にたくさん御意見をいただきました。いろいろな課題も浮かび上がったと考えております。また、これまでの会議におきまして、都道府県や学校、医療機関等の関係者の方々からいろいろな取り組み状況の課題をいただいてございます。したがいまして、今後2年間において麻しん対策を更に推進することによりまして、平成24年度までに麻しんの排除が達成できますように、次回の会議におきまして今後の取り組みの方策等を取りまとめていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○加藤座長 ありがとうございます。
 それでは、事務局において課題の整理について、よろしくお願いいたしたいと存じます。
 最後に、事務局から何かございましたら、どうぞ。
○梅澤課長補佐 次回の会議でございますが、今、座長から御指示いただきましたことを踏まえまして、平成23年度以降の取り組みについてまとめさせていただきたいと思っております。次回の期日につきましては、平成23年2月ぐらいを目途といたしております。詳細につきましては、また後日、御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 どうもありがとうございました。これをもちまして第6回麻しん対策推進会議を終了させていただきます。


(紹介先)
厚生労働省健康局結核感染症課
TEL:03-5253-1111(内線2383)
担当 予防接種係


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 麻しん対策推進会議> 第6回麻しん対策推進会議議事録

ページの先頭へ戻る