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2011年7月20日 第5回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年7月20日(水)
15:00~17:00


○場所

航空会館 5階 501+502会議室
(住所:東京都港区新橋 1-18-1)


○出席者

出席委員:(11名)五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、大平勝美、小山信彌、直江知樹、花井十伍、林昌洋、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、   ◎溝口秀昭、三村優美子

欠席委員:(2名)敬称略

小幡純子、鈴木邦彦

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、安田 尚之(血液対策企画官)、伯野 春彦(血液対策課長補佐)、新村 浩幸(血液対策課需給専門官)

○議題

1 輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について
2 血漿分画製剤の輸出について
3 その他

○議事

○血液対策企画官 それでは、今日出席の委員が、皆さんお集まりになりましたので、ただいまから第5回「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本検討会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日、御出席の委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 なお、本日、鈴木委員、小幡委員におかれましては、御都合により欠席するとの御連絡をいただいております。
 次に、事務局の異動でございます。4月5日付で難波江課長補佐の後任として伯野が、秋山需給専門官の後任として新村が着任いたしましたので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
 カメラ撮りにつきましては、ここまででお願いいたします。
 それでは、以後の進行につきましては、溝口座長、よろしくお願いします。
○溝口座長 では、この検討会の前半は、この前の中間報告で終わりましたけれども、その後の仕事は、これから約半年かけてやっていきたいと思います。
 この中間報告を3月に出した中で、今後検討する課題として残っていたものを今後議題を検討していきたいと思うんですが、本日は、お手元の議事次第にありますように、1番目の「輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について」。もう一つは「血漿分画製剤の輸出について」ということについて議論をいただくことにしたいと思っております。
 本日は、この議論の第1回目でございますので、まずは、自由討議と申しますか、そういうことで進めていきたいと思います。
 では、まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○需給専門官 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の座席表とともにお配りしましたお手元の資料をごらんください。
 1枚目に議事次第がございます。本日の議事と資料の一覧を記載しております。
 2枚目が、委員一覧でございます。
 次の資料1が「新血液事業推進検討委員会第一次報告」からの抜粋でございます。
 資料2-1「原料血漿価格設定に関する資料」でございます。
 資料2-2「血液製剤の薬価改定に関する通知等」でございます。
 資料3「平成23年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」についての資料でございます。
 資料4「原料血漿価格(日米)の推移」についての資料でございます。
 資料5「原料血漿確保実績」でございます。
 資料6「新鮮凍結血漿の供給状況」についての資料でございます。
 資料7「血液製剤の輸出に関して」の資料でございます。
 資料8「米国血液事業報告」でとございます。
 資料9「日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画事業の統合の検討開始に関する基本合意について」の資料でございます。
 資料は、以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。委員の先生方の中で、何か欠けているものがございましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
 特にございませんようですので、早速、議事に移らせていただきたいと思います。
 まず、議題の1が「輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造のあり方について」でありますが、事務局から資料の説明をお願いいたしたいと思います。
○需給専門官 それでは、本日、配付の資料1から資料6まで、まとめて説明をさせていただきます。
 過去に開催された検討会資料として配付したものもございますが、改めて全体を説明したいと思います。
 まず、資料1でございます。平成元年の新血液事業推進検討委員会の第一次報告において血液事業の安定運営のためには、血液事業の財政基盤の強化が必要であるとして、血液製剤の価格につきまして、適切な事業運営により、事業に必要な経費が賄えるようにしなければならない。その際、医療の実態に即した価格体系を検討する必要があると報告された資料でございます。
 資料2-1、2-2は、第2回検討会でもお示しした資料でございますが、これが議題1の前提となる資料でございます。
 まず、資料2-1でございますが、これは、平成2年3月7日付当時の厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長、日本血液製剤協会理事長の三者による民間企業への製造供給に関する委託に関する基本合意事項でございます。
 この中で、アンダーラインで示しておりますが、製造供給に関する原料価格は、L当たり1万円とすると明記されており、原料価格が初めて設定されたものになります。
 2ページ目ですが、こちらは平成2年3月7日に三者によって締結されました基本合意事項に加えられた合意事項になります。
 ページ下の方ですが、アンダーラインで示しておりますが、血液凝固第?因子を含む新鮮な凍結血漿はL当たり1万1,000円とする。上記(1)以外の分画用血漿はL当たり1万円とすると、原料価格の改正がされております。
 この1万円に設定された経緯でございますが、当時の外国での取引価格もほぼ同等であり、国内の事業者、製造販売業者も製造に協力いただける価格ということがあったようです。
 なお、現在は、需給計画は、血液法第25条第5項により、あらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聞くこととされ、この中に原料血漿価格も含まれているところでございます。
 ちなみに、平成23年度の原料血漿価格は、1万1,150円でございます。
 資料2-2でございます。こちらは、平成2年3月31日に当時の厚生省薬務局生物製剤課長から日本赤十字社事務局血液事業部長あてに発出された薬価改定に関する通知でございます。
 アンダーラインで示しておりますが、第1の「1 輸血用血液製剤について」に薬価改定の趣旨が述べられており、資料の一番後ろに、平成2年4月に行われた主要製剤の薬価改定一覧表を付けております。
 輸血用血液製剤につきましては、(1)従来は、個別製剤ごとの採血、製造、供給コストを積み上げて設定してきましたが、採血方式、製剤種別とも多様化する中で現実的ではなくなっていること。
 (2)製剤の供給に関して医療機関の要請と血液センターの経済的事情との間に矛盾が生じていること。
 (3)新血液事業推進検討委員会第一次報告で、適切な事業運営を行うための財政上の対策が求められていること。
 (4)将来の需要を見越し、安全性、有効性の高い高単位製剤を供給することにより事業に必要な経費を確保する必要があることの観点から、今後予測される供給本数により、血液事業全体の収支が相償うことを前提として総額を設定し、その上で、個別製剤の薬価が設定されたことにより、薬価が上がっております。
 分画製剤は、市場流通価格を基準に新薬価が設定されたので、逆に下がっております。
 このときの改定で、200mL由来の新鮮凍結血漿は4,900円、400mL由来の新鮮凍結血漿は9,800円となっております。
 その後の薬価改定、更には平成18年12月に安全対策上、これは白血球除去処理導入の必要性により、製造方法の変更等を行ったことにつきまして、200mL由来の新鮮凍結血漿が8,706円、400mL由来の新鮮凍結血漿は1万7,414円となり、現在に至っております。
 原料血漿の価格が1万1,150円、新鮮凍結血漿、いわゆるFFPと原料血漿は同様の工程でつくられ、提供先は異なりますが、その価格差は、仮に400mL由来の新鮮凍結血漿、これは内容量が236mLでございますが、それを1リットル当たりの価格に換算しますと、7万3,788円相当となりますので、6.6倍の価格差がございます。
 なお、血液事業部会におきまして、原料血漿と新鮮凍結血漿は、同じものであるにもかかわらず、FFPの方が何倍もの価格となっており、高いのではないかということが指摘されているところでございます。
 資料3です。血液法第25条第5項の規定により、血液事業部会で需給計画を御審議いただく際に提出させていただいております原料血漿の価格算定に係る資料でございます。
 原料血漿価格の考え方として、日本赤十字社では、輸血用血液の確保と原料血漿の確保が並行して行われており、その際に、人員等が兼用されております。そのため、明確に費用を切り分けることが困難であります。
 そのため、採血関連業務の中で、原料血漿の確保のために必要と考えられる費用を積算し、原料血漿の価格を計算しております。
 積み上げに用いております経費につきましては、日赤の直近2年間の決算の平均の数値を使用しております。この数字の積み上げの結果、血漿成分採血から確保できる原料血漿1リットル当たりの単価が4万3,271円となっており、全血採血、血小板成分採血から確保できる原料血漿1リットル当たりの単価と比較し、かなりコストがかかっていることになっております。
 資料4でございます。原料血漿価格の推移について、日米比較をしたものでございます。
 為替レートにより、金額のベースが変わります。米国の方は変動が大きいのに対し、日本の原料血漿価格の変動は小さいことがわかります。
 平成22年度は、米国の原料血漿価格は大きく下がり、日本の原料血漿価格より安くなっております。
 資料5でございます。過去3年分の原料血漿確保実績の月別の推移でございます。昨年度は、原料血漿確保目標量は、96万リットルでございましたので、月8万L以上確保できれば、目標量に達するわけですが、各月とも90%以上は確保できており、トータルとして確保目標量を達成することができたことになります。
 資料6でございます。血液製剤調査機構より提供がございました、新鮮凍結血漿FFPの供給状況についてお示ししたものでございます。
 図1からは、平成19年8月から保存前白血球除去をされた新鮮凍結血漿の供給が開始されたため、前月と比べると供給量が大きく増加しています。
 また、本年は、昨年の同時期と比較してみると、供給量が増えております。
 図2、図3からは、容量が変更となったことによりまして供給の本数は減っているにもかかわらず、供給量は増加しております。
 以上、現行の制度は、平成2年に設計され、若干の微修正の上、現在に至っているところです。
 以上の流れを踏まえると、議論すべき点として、主に3点かと考えます。
 1、コストの考え方の基本部分が設計されて20年を経過しますが、その考え方が今でも適正であるか。
 2、血液事業部会でも指摘されている新鮮凍結血漿と原料血漿の1物2価についての考えが、そもそも1物2価という点を含めて妥当か。
 3、新鮮凍結血漿と原料血漿について価格差が生じていることについて、今後、改善していく必要性があるか、この3点を考えております。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に、御質問、御意見はございますか。項目を分けてしたいと思いますが、まず、1番目のテーマとして挙げられた、現行の原料血漿と輸血用血液製剤の全体のコストの考えについて、何か御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
 どうぞ。
○花井委員 89年の新血検答申は、基本的にここに書いてあるように、積み上げという方式であって、新血検答申の今日の引用の最後の方に、その先に、例えば供給体制自体も論点にすると、ずっと議論してきたところだと思うんですけれども、現在の状況からすると、やはり輸血用血液製剤の価格というものは、単に積み上げという考え方だけではなかなか理解が得にくくなっていることは事実だと思いますし、そうした意味では、一般の医薬品に近い形の、ある種価格については国際的な輸血用血液製剤の価格というのを無視して、我が国だけが独自というわけにはいかないのではないか。輸血用血液のコストというのは、どこの国もそれなりに頑張って供給をやっていると思うので、やはり安定供給ということが非常に重要で、患者にとっては安定供給が途切れるというのは非常に問題ではありますけれども、そうならない範囲では、やはり国際的な視野である程度適正なコストというのが確定していないと、なかなか理解が得られない環境になってきているのではないか。
 ですから、ある程度新血検答申とはちょっとやはり考え方が変わらざるを得ないのかなという印象を持っております。
○溝口座長 ほかにどなたか御質問はございますか。資料についての確認なんですけれども、この新鮮凍結血漿の価格が200mL由来で8万7,000円で、400mL由来で1万7,000円ですけれども、成分5単位は幾らでしたか、資料の2-2の後ろです。新鮮凍結血漿、さっき成分のだけ抜けていたような気がして。
○需給専門官 成分の方が2万2,961円でございます。
○溝口座長 もう一つ確認なんですが、資料の3の裏にある1採血当たりの経費負担額というのがありますね。血漿成分で採血した場合に、1リットル当たりの費用が右の下の方に書いてありますが、4万3,287円と、これは原料血漿採るときの費用でそれよりも新鮮凍結血漿の方がむしろ安くなっているわけね、半分ぐらいの2万2,000円ということですね。
○需給専門官 はい、そうです。
○溝口座長 わかりました。どうもありがとうございました。ほかに何か御質問か、御意見はございますか。
 さっき花井委員からお話があった、いわゆる国際価格との比較ということが、今後、大事ではないかという御意見でしたけれども、それに関する資料は、何かあるんでしょうか。
○需給専門官 今回、御用意させていただいているのが、資料4の原料血漿価格の比較の推移だけでございまして、他の輸血用血液製剤の価格の比較については、今回は御用意しておりませんので、次回準備したいと思っています。
○溝口座長 では、次回までによろしくお願いします。輸血用血液製剤は日本赤十字社だけが製造・販売しているのですから、それに似た環境というと、米国赤十字が輸血用血液製剤は似た環境かなと思うので、米国赤十字の価格が資料としてほしい。あとは、全て国立でやっているイギリスのブラッドサービス、その辺のところ、海外のものをもう少し集めていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
○需給専門官 はい、承知しました。
○溝口座長 どうぞ。
○小山委員 資料2-2のところの一番後ろに価格が出ているんですけれども、平成2年4月1日の薬価が出ていますけれども、現在もこれは同じなんですか。現在の価格は、どこかに出ているんですか。
○需給専門官 現在の価格は異なっておりますが、資料には添付させていただいておりません。
○溝口座長 次回までに、きちんと現在のを出していただけたらと思います。
○需給専門官 承知しました。
○溝口座長 是非お願いします。
○小山委員 説明の中に、1物2価という表現があったんですけれども、それがこの中で読み取れないんですけれども、どことどこを比べて1物2価というような表現になったんでしょう。
○血液対策企画官 1物2価と言っていたのは、そういう指摘があると言っていますのは、ここの中での資料の中では読み取りづらいんですけれども、1つは、資料2-2で配付させていただいている新鮮凍結血漿の、これは現在の価格とは違うので、今、小山先生がおっしゃるとおり、ちょっと比較しづらいこともございますが、こちらの方の400mL、この新鮮凍結血漿の価格と、それと今日お配りさせていただいている資料3がありまして、資料3の後ろから2枚目のところで、原料血漿の標準価格というのがあるんですけれども、こちらの方が、1リットル当たり1万1,150円だというのがありまして、こちらの方は、それぞれ名前も違うんですけれども、ただ、供給するときの形態が似ているので、それで値段の価格差が生じているところが、同じ物、似たような物にあるにもかかわらず、値段が違うじゃないかというところが、それを1物2価という形で言わせていただいております。
 ちょっと今日は、それが価格としてこうですというところを出しておりませんので、ここは非常に申し訳ない形でございますが、次回までには、きちんと整理して、よりわかりやすいようにさせていただきたいと思っております。
○小山委員 では、現状で見ますと、恐らく2,000円ぐらいの差があるので、20%くらいの価格差があるというところを指摘されているわけですね。
○血液対策企画官 現状では、原料血漿と比較する形でいった場合に、資料3で出しています原料血漿は、1リットル当たり約1万1,150円で出していますが、現在、同じような形で1リットル当たりの新鮮凍結血漿の値段でやりますと、約7万2,000円程度になっております。ですから、そこのところの差が約6.6倍くらい開いているというところが指摘されているところでございます。
○小山委員 7万2,000円。
○血液対策企画官 7万2,000円というのは、ちょっと計算を出していないのでわかりづらいんですけれども、同じ原料血漿価格が、約1万1,150円で出していますけれども、それと同じような形で、今の新鮮凍結血漿の計算をさせていただくと、これが、約7万2,000円超だと思いますけれども、そこの差があるというところが指摘されているところでございます。
○溝口座長 現在の値段が書いていないので、議論が進められないと思います、是非お願いします。
 もう一回補足させていただきますと、新鮮凍結血漿の400mL由来というのは、大体1万7,000円とさっきおっしゃっていましたね。新鮮血400mLからFFP血漿は、240mL採れるので、この4倍が1リットル当たりの新鮮凍結血漿の値段になる。4倍というと、6万8,000円かな、さっきの原料血漿の1万円と比べると6.8倍ということですね。
○血液対策企画官 そうです。申し訳ないです。
○溝口座長 後で現在の価格を出していただけるとありがたいと思います。
 どうぞ。
○小山委員 もう一つ、1万円となった平成2年のときの根拠というのは、ここからこの会議はスタートすべきなのか、この前の根拠をもしあれば見たいですね。
○溝口座長 根拠は何かあるんですか。
○需給専門官 1万円の根拠ですか。
○小山委員 2-1の資料でもって、製造原価は1万円とするというふうに決定していますね。この決定の根拠は、どこから来ているのかというところが、もし、資料があるならば、それも見せていただきたい。
○需給専門官 資料はございません。
○溝口座長 さっきの説明では、海外の価格に合わせたのと、もう一つは、国内の事業者が納得する値段だったと、その2点をおっしゃったような気がしたけれども、どうですか。
○需給専門官 そのようにうかがっております。
○小山委員 それでは、見た目でもってこれを幾らにしようと決めただけなので、それではちょっと、もし、ここから話がスタートするんだとすると、すごく軟弱な基盤の中で話をしなければならないので、だとすると、一番の根本から話をする必要があるかなと。
○血液対策企画官 ちょっと説明が不十分で申し訳ございません。説明が少し足りなかったのは、資料2-1で配らせていただきました下線を引いています、製造・供給に関する原料価格は1万円とするというところは、実はこれが最初に出された数字、ここから始まっているんです。
 ですから、これを決めたのは、先ほど座長の方から御説明していただいた海外との比較、それと日本国内でちょうどそのときに民間事業者につくっていただくということがありましたから、そこのところでいった場合に、どこぐらいの線であれば受け入れられるだろうかと、その検討の上、この価格を定めております。
 ですから、その観点からいくと、これより以前の段階のところで、これを定める前のものが何かあるかと言われたときには、それはございません。ですから、この議論は、この平成2年の段階で初めて出てきたものでございます。で、ここからが出発点になりますので、ここからつくられてくる構成がどうかというところがポイントかと思っております。
○小山委員 今回のこの議論の最初のときに、内外価格差は、ここに原点があるという御指摘でしたね。ここが高いから国内のものは高くなるというような議論でしたので、ここの議論をしないと、本当に妥当なのかどうかということにならないんじゃないかと思うんですね。
○溝口座長 恐らく海外では積み上げた価格でしょう。日本は、何となくその辺がはっきりしないで海外に合わせたということですか、今までは。
○血液対策企画官 それを言われると、なかなかきついところがあるのですが、どこかで決めなければいけないという判断になったときに、当時の段階で、どこで決めるかというところの議論があって、そこで海外の価格を参照したというふうには聞いております。
 次回にまでに出す資料の中に、海外との価格比較がありますので、それと合わせながらも見た方がいいかもしれないと思っておりますので、そういうところで御理解をいただければと思います。
○溝口座長 当時は全くブラックボックスで議論して、結果だけ出されていたということですね。この検討会のようにみんなの前で、決まったものではなかったということですね。
○小山委員 海外価格差をもし参照にしているんだったら、現在の海外価格差をベースにすれば、もしかすると、日本国内の企業も太刀打ちできるのかもしれないという話ですね。
○溝口座長 ちょっとそこで関連して、資料3を皆さんに見ていただきたいんですが、裏の一採血当たりの経費負担額というものの計算式というか表があるんですけれども、私、この表は血液事業いろいろ関係したんですが、これは初めて見たのではないかと思います。一番右の血漿成分というのがございますね。これが、いわゆる原料血漿を採取する費用だと思うんですけれども、もしくはFFPも同じような格好で採るのかもしれませんが、これが1リットル当たり4万3,287円、これが先生のおっしゃる積み上げた値段かなと思うんです。そうすると、1万円で売るというのは、かなり厳しいかなと。
 海外は、同じような原料血漿を採漿センターで採って1万円で出してくるわけですから、この辺が、基本的にかなり問題があるかなと思うんですけれども、いかがでしょう。
 どうぞ。
○直江委員 私も、今の見方を説明してほしいんですが、この横長の先生御指摘の。
○溝口座長 何番ですか。
○直江委員 先生の資料と同じ、資料3の3ページ、横長になっていますね。これは、ちょっと見方が、私は質問が2つあるんですが、血漿成分のところをずっと見ますと、材料費、経費、人件費、それから管理云々で、一万九千何とかになっていますね。その下に、今度は4万3,000円になっているということなんですが、これはどうしてこの間に、2万円以上の差があるんでしょうか。これは、どんなふうにすると4万3,000円になるのかというのが、まず、第1点目の質問です。
 それから、第2点目は、1ページ戻っていただいて、今度は、縦長の積算する費用というところなんですが、これを見て不思議だなと思ったのは、人件費のところでございますけれども、例えば医師の検診、看護師の検診・採血に関わる費用が、血漿成分には積み上げてあるんですが、全血とか血小板のところが斜め線が引いてあるんですね。
 ということは、どうして全血の方に、ここは来ていないのかなというのがちょっとよくわからなかったんですが、その2点をお願いできますか。
○溝口座長 いかがですか。
○需給専門官 1点目につきましては、この横表ですが、一採血当たりの原料血漿確保量ということで、血漿成分1回当たり0.45リットル、この0.45リットルを確保するのにかかる価格というのが4万3,287円。
○血液対策企画官 逆です。こちら一採血当たりで1万9,479円かかりまして、これで0.45リットル採れますので、この表でいいますと、0.45で割って、1リットル当たりにしますので4万3,000円。
○溝口座長 もう一つの人件費に斜線が入っているのはどうですか。
○血液対策企画官 もう一つの方の御質問につきましては、実は、もともと原料血漿は、全血由来あるいは血小板由来の場合は、ここでこれを目的に採るというわけではありませんで、全血でつくるあるいは血小板でつくるときに出てくる副生物というんですか、そういう形でつくられるものでございますので、ですから、全血の方には、そういう人件費分は入ってはいるんですけれども、もともとそういうところで出てきた形、そういうことの中でつくられたものの副生物として出てきているものだという形で考え方としては整理されておりますので、人件費分の中には、全血と血小板のところに入っておりません。
 ただ、血漿成分として採るときには、人件費として、これだけのものとして採りますので、ですから、そこの中には人件費分が入っているという形になっております。
○小山委員 納得できませんね。気持ちはわかるんだけれども、それはだめですね。
○直江委員 この場合は、血漿だけ採るときのプラズマフェレースのときの根拠なんですか、それとも全血を採って、そこから血漿を採った場合のあれなんですか。つまり、2種類ありますね。血漿だけ採る場合と、輸血から、余った輸血といいますか、そこから血漿を採る場合と当然違うと思うんですけれども、それがどうなっているかということと、今の斜め線の説明がちょっとよくわからなかったんですが。
○溝口座長 現状は、米国赤十字は、余り原料血漿を採っていない。だから、全血から採った血漿というのは、ほとんど新鮮凍結血漿(FFP)になっているわけですね。ですから、例えばこの2単位の新鮮凍結血漿というのは、2単位の血液から採っている。米国はみんな2単位ですから、1単位というのはないので、FFP1というのはない、日本でも恐らく全血由来の血漿はほとんどFFPになっているんだと思うんです。成分献血の血漿割合がちょっとデータがないんでわかんないんですが。実際に原料血漿にはどれくらい血漿成分がいっているのか。また、全血由来のものがいっているのか、その辺がわからないとお金がよくわからない。
 海外の血漿分画製剤の製造会社は、原料血漿は成分採血だけで採取していますから、それで1万円でいけるわけです。ですから、日赤の成分採血の血漿が1L4万3,000円ということになると、これでは原料血漿を1万円で出すと大赤字で、その部をFFPとか血小板に乗せていかないとやっていけない血液事業になっている。
 どうぞ。
○大平委員 どこから切り込んでいったらよくわからないんですけれども、表を見てもよくわからなくて、これは血漿成分で必要とするものの、いろいろ手間とか、そういうのが入っているのか、それとも全血の方に乗せているものは、血漿成分には入っていないのか、そこも明確ではないんですね。
 例えば登録者への献血依頼経費とか、献血者処遇費、記念品代とかというのは、これは負担の区分として血漿成分採血のみとなっていたりするんですけれども、この見方はこれで良いのかというのが、よくわからない。
○溝口座長 この表は、赤十字社から提供されたものなんですか。
○血液対策企画官 この表は、もともと審議会で出している資料です。審議会で、最後に原料血漿価格を定めるときに、その年度によって価格が変わりますので、そのときにこういう計算で出しましたと出しているものです。確かに今日の議論を踏まえますと、見方が非常に見づらいなというのと、それからやり方のところが、コスト構造のところを議論に当たって、ここの資料がそのまま使えるかというのは、確かに先生方おっしゃるとおりだなと思いますので、次回までにもう少しそれぞれを見やすく整理させていただいて、その中で、先ほどいろんな先生方から御指摘を受けたところを、これはこういうふうに入っていますかというところを、そういうふうに出したいなと思いますけれども、それでいかがでしょうか。
○溝口座長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 それも大切で、あと、もし出していただけるんでしたら、逆に、積み上げ形式で全部来ているわけですけれども、これまでずっとそれを目をつぶっていたというか、ブラックボックスで素通りしていたというところも正直あるわけなんですけれども、これが一番コストがかからない方法を取った場合のシミュレーションとか、それから一番ぎりぎりに安全策とかいろいろなものを積み込んで、これ以上、一番完璧だなというようなところの最低限と一番上のランクというんですかね、幾つかのコストの提示というのは、計算してみるとできるんではないかと思います。
 普通だと、民間とかそういうところだと、それで出てくるかどうかはわかりませんけれども、一番安全策を最低限取ってもこのぐらいは必要だというところとか、その根拠を示すようなものが出てこないと、なかなか今後の議論を進めるのに難しい。ただこれの積み上げで現状としては理解してほしいという形で行きますと、なかなか説得力がないんではないかと思うんですね。
○溝口座長 日本のアルブミンの国内自給が低いという理由としては、やはり価格が高い、その大元に原料血漿が高いんではないかというのが1つありますね。
 もう一つは、製造コストの問題で、それは別の方法で、合併その他で解決しようということだったのです。しかし、最初の原料血漿のところが、この日本赤十字社の1L4万3,000円を見たときに、海外で1万円で出しているなら、こっちもそれに合うようにしなければいけない。そのために、違う点はどこかというと、医者と看護師の役割が違うんです。海外で医師、看護師はほとんど関与していない。看護師は問診に関係しているけれども、採血はしていない。医師はほとんどいない。そういうことは大きく違いますけれども、ほかのところは、そんなに価格差が出る可能性はないような気がするんですね。その辺が、もう少し、大平さんの言うように、調べてもらわなければわからないということですね。
 どうぞ。
○井廻委員 この表を見ていますと、NAT検査、血液型、その他の生化学検査、これらのコストはすべて血漿成分採血に転化してありますね。そうしたら、やはりこれだけ高くなるんじゃないでしょうか。本来は、当然、全血のときも血小板のときも当然それをやっているわけですけれども、これを見ると、本来は、分けなければいけないコストを全部血漿成分採血の方へ持ってきていますね。この計算はちょっとまずいんじゃないでしょうか。
○花井委員 今、言っていた2つの表なんですけれども、基本的に、これは血漿側から見た資料なんですね。それで、血漿側から見て、それで副産物の血漿をもらいますよという前提で、血漿側コストから見た資料なので、今回の議論は輸血用血液も議論するわけだから、今の負担、あたかも今おっしゃられたような話に見えるんですが、実は、これは血漿側から価格を決めるときの理屈をつくるための資料になっているので、そもそも資料がふさわしくないですね。だから、輸血用血液の積み上げと、それからいわゆるフェレーシスの部分と、FFPの部分と、いわゆるリカバードプラズマの方は、特にそんなにコストが違わないので、若干もしあるのであれば、そこをちょっと注で書いていただくと、ちゃんとした資料になると思うんですね。
 だから、これはあくまで血漿側から見た、三者合意の血漿側から見た説明資料になっているので、そもそも資料がふさわしくない。だから、ちゃんと全血の分も積み上げて、総覧してもらえば、一目瞭然になると思います。
○溝口座長 では、次回までにそれをお願いできますか。あと、もう一つ、我々余り経済の方の専門でないので、こういうのを見てもなかなかよくわからない、三村委員、どうぞ。
○三村委員 非常に感じましたのは、ある理屈でつくられている資料ですね。だから、その理屈が非常に明解であれば、確かにこういうふうに費用分担をしているんだろうなということはありますが、そもそもその理屈のところが明確でなければいけない。
 それから、先ほどの話からしますと、FFPといわゆる原料血漿の価格差というものをどう考えるかということに、ある一つの判断というか、ある一つの価値観というか、それも基本的に必要だろうと思います。
 ただ、確かに、今のお話のように、一旦全体としてどのぐらい、どういうふうに経費がかかっているのかということについては、やはり全体図を見せていただくということは必要だと思います。先ほどの入って、消えているところが一体どうなっているのかということでありますので、一応、配分の問題だろうと思います。
○溝口座長 原料血漿とFFPとの価格の問題、質の問題は、また後で議論させていただきますが、いわゆる、まず、最初のステップであるアルブミンを安くするための原料血漿を根本的にはもう少し安くならないかというところですけれども、それが、どうもかなり、それが結局4万かかってしまうんだと、全体にも影響してしまうんですね。ほかに上乗せしていかなければいけない。
 トータルの血液事業の予算が妥当かどうかというのは、また米国赤十字やイギリスのナショナル・ブラッド・サービスの収支を次に見させていただければわかりますけれども、それぞれの価格も教えていただきたいと思います。この4万3,000円のところは、これは人為的なものだということですか、三村先生。
○三村委員 人為的なものというふうには必ずしも思わないんですね。ここの積算している費用配分のある一つの根拠と論理があるんですね。その論理が見えないところがありますので、人為的にこれが高くなっている、いや、もともと相当コストがかかっているんではないかと、いろいろ推測できますが。実態がどういう作業なのは、私はわかりません。
○溝口座長 その辺は、やはり安全技術調査会が徹底的に安全に関してやっていることの検討をしていただくのと、それに先生のような経済の専門家が参加していただいて、その方法と経費が妥当であるかどうかということを、どうぞ。
○益子委員 私、この委員に加えていただいて、余り間もないものですから、ちょっとこの議論の背景を教えていただきたいんですが、先ほどお話があった1万円で原料血漿の据え置きというのが、平成2年ということですから、もう20年間続いていますね。それから、1物2価というのも20年続いているわけですね。
 そうすると、この間に、この委員会でもって、このコスト構造について議論がどのようになされてきたのか、そして、その議論の結果、今のままでいいんだねといって、この20年ここに来たのか、それとも、その間、この問題を全く議論していなかったのかというのを、まず、教えていただきたい。もし、全く議論していないで、ここへきて、このコスト構造のことが俎上に上ったとすれば、それは何ゆえに上ったのかということを、もう少し詳しく教えてほしいんですね。例えば外圧がかかってきたのか、あるいは国内が立ち行かなくなってきたのか、その辺を正直に教えていただきたいんですけれども。
○溝口座長 事務局、いかがですか。
○血液対策企画官 私の方から、お答えさせていただきます。この血液事業につきましては、今日は平成2年の報告書、平成元年の報告書から抜粋で出していますが、実は、それ以降もいろんな検討を行ってきておりますが、そのときにどういう事業体であればいいのかという議論は行ってきていますが、今回出していますようなコストの話は余り大きな議題でやってきてはいないところがございます。
 私ども、なぜ、こういう話になってきたのか、前回、第1回から第4回のことを思い出していただきたいと思うんですが、もともとの発端はアルブミンの話だったんです。アルブミンの国内自給を高めるためにはどうしたらいいんだろうかという議論だったんですね。
 そして、そこのところからいったときに、アルブミンというのは、結局は原料血漿からつくられるんですけれども、その原料血漿をどういうふうに供給していくのがいいのかと、その根っこからいったときに、その原料血漿の提供というところは、結果的に献血を受けた方から、そして献血を受けた方が結局、献血をしていただいて、そこから血液をそれぞれまた事業化していくわけなんですけれども、その段階での値段というのが、結局、その原料血漿の価格があって、それ以降のところで初めて国内の自給率をどうできるかというところで、アルブミン問題をどうするかというところがあったと思うんですけれども、ただ、そのときに、その原料血漿の問題というのが、どうしても過去の段階、今ここで議論をしようと思った場合にどうしても、最初にこの議論があったのが、平成2年の段階の議論になってしまいまして、そのときに決めた、三村先生も言ったように、理屈として決めたところ、政策として決めたところがございまして、そこのところに立ち戻ってしまうところがございます。
 そして、その議論をどうしようかとなったときに、ほかの血液事業全体のところにも跳ね返ってくるような問題もあるんではないかというところもありましたので、前回、中間報告の中では、この特定のところだけを埋めるんではなくて、全体をもう一度検討した方がいいんじゃないかというところがあったのが、もともとのこの議論になってきた背景でございます。
○益子委員 わかりました。そうしますと、アルブミンの国内自給率が下がってきてしまったので、やはりそこは国際競争力が低下している、これを何とかしなければならないというのが発端だと理解してよろしいわけでしょうか。
○血液対策企画官 結構でございます。それで、益子先生がおっしゃった外圧とかという話は、今回の検討会の中では、一切ございません。むしろ国内的な問題としてどうすべきか、というところで、純粋なそういう議論から始まったと理解していただければと思います。
○益子委員 了解しました。
○溝口座長 どうぞ。
○血液対策課長 ちょっと補足をいたしますけれども、それに加えて血液事業部会の中で委員の中からFFPと原料血漿というのは、基本的に同じようなものではないかという御意見があって、しかし、その原料血漿と、FFPの価格が非常に、先ほどもありましたように、大きな開きがあるんではないかという問題の指摘もございます。それも含めて、今回、議論をいろいろ課題として。
○益子委員 でも、この20年間同じ問題があったわけですね、1物2価の問題は、ただ、今までは国内自給率が十分いっていたから問題にならなかったと、これが下がってきてしまったので急に問題として浮上したと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○血液対策課長 20年間というか、先ほども見ていただいたように、平成2年、3年のころは、それほど大きな差がなかったように思います。これは、またもう少し整理をすればと思いますけれども、この間、いろいろ診療報酬の改定とか、そういう流れの中で、もう一方で血液事業というのは、いろいろな安全とか、国内自給をそうやって進めていくということに関して、それなりにコストがかかるものでありますから、そういう形での対応というのは、この間になされてきたと理解しておりますけれども、ここに来て、先ほど企画官から話しましたような課題もあり、そういう課題に関して、もう一度課題を整理して、どう取り組んだらいいかということを検討したいということです。
 まだ、今日お出しした資料というのは、我々の方も手元にあるような資料で準備をさせていただいたものですから、まだ、十分な全体像が見えるようなものになっておりません。
 これをつくっていくには、また、いろいろ日赤に御協力をいただいたり、いろいろ必要があるかと思います。どこまでそういうようなものが準備できるかというのは、今後の取組みだと思いますけれども、今日は、そういう意味でいろいろフリーに先生方に、現在、我々の手元にあるものでちょっと見ていただいて、御議論をいただければということで、ちょっと準備をさせていただいたということです。ちょっと不十分なもので申し訳ありませんけれども、いろいろ御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
○溝口座長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 今、益子委員から、それまでは自給率は保たれていたのかというお話だったんですけれども、そもそも国内自給は、アルブミンですとか、そういうのはかなり低かったんですね。そういう面で、やはり海外との格差、価格格差とか、それからまた、自給への努力というのが足りなかったというところは、現実にあったんだろうと思います。
 血液新法で国内自給を達成するということで、アルブミンの方も献血血液で国内自給を達成するにはということで目指してきたわけですけれども、ここに来て、かなり自給の方でもアルブミンが少し高くなってきたところで、薬価の問題とか、そういうのがあって、国内のアルブミンの供給が少しずつ低くなっているというところで焦っているというところは現実にあったんだろうと思います。
 そういう面で、その根拠というのは、その基は、やはり原料血漿、民間の方でつくっていただくにしても、献血血液でつくっていただくに当たって、原料血漿がかなり高いんではないかということで指摘があって、その原料血漿の価格は何とか下げられないのかというのは、ずっと議論にはなっていましたけれども、積極的な解決策というのは、出ていなかったんだろうというふうに、私は考えています。
○溝口座長 小山委員、どうぞ。
○小山委員 資料3の3ページに戻りますけれども、上の方の大きな図は、結局、経費負担額からした計算で、1リットル当たり4万3,000円ということですけれども、その下にあるこの表というのは、これは結局、実際にかかった費用で計算すると、これになったというような理解でよろしいんですか。これは、どういうふうに理解したらよろしいんですか。
○溝口座長 どうぞ、事務局。
○血液対策企画官 この資料自身が、もともと国内の中での目標量というところをいかに達成するかというところでつくった資料なので、わかりづらいところかと思いますが、ここの小山先生に指摘していただいた?の数字は、95万リットルとあるんですけれども、この95万リットルを、これは平成23年度の確保量目標なんですけれども、ここのところで、全血200、400、血小板成分、血漿ということを、どれだけの量を確保できればいいかというところで割り振ったものでございまして、その割り振ったものに、上のそれぞれ1リットル当たりの価格を足した形で計算したものになっております。
 ですので、もともと原料血漿価格を定めるときの定め方のところも、こういうかかったところの中の経費で原料血漿の目標量というのをどうするかというところで割って、そこのところで初めて出てくるものでございますので、そこのところで割り振った形になっていると理解していただければと思います。
○小山委員 ということは、この3というのが、これだけのもの全体を集めるのに、実際というと言い方がおかしいか、理論上かかる費用と考えてよろしいんですか。
○血液対策企画官 今、ここに置いてある数字を前提とした場合にかかってくる全体の費用です。
○小山委員 これになると、突然4分の1の値段になるわけですね。でも、この数字は、一応、上の数字を参考にして計算を出しているわけですね。
○血液対策企画官 そうです。
○小山委員 なぜ、この数字になるんですかね。前提を見てしまうと、4分の1になって、一個一個だと4万円で、全体で見ると1万円になる、そこら辺はどういう数字で出てしまうんですかね。
○血液対策企画官 これは、全血200、全血400、血小板というところで合計1リットル当たりの単価が安うございます。それで、そこのところで目標としている確保量、確保見込みがどこからのものか、どれだけ付けるかというところで計算いたしますと、すべてが血漿でつくると、値段が高くなりますけれども、ほかのところを全血200、400、血小板のところの値段が、ここで計算しているところ安うございますので、それを足し合わせると、結局、安いところの方の金額で引きずられますから、全体的には安くなってしまうという形になります。
○溝口座長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 私の理解なんですけれども、そもそもコンテクストが違うんですね。いわゆる89年の資料の2-1の部分を見ていただいて、合意事項の真ん中の括弧辺りに、例えば各メーカーの献血製品相互に競争が生じないように協議するとまで書いてあるわけですよ。こういう三者合意自体が、これはもう異常な話で、下手をしたら不透明極まりないという話になっていて、これらが正当化される理由は、いわゆる75年以降国内自給を達成せよというWHO勧告等もあって、それから売血の問題があって、更に80年代についにエイズの問題があって、危険な売血を輸入しているのはどうかとなって、この89年がある。
 だから、基本的に75年からこのコンテクストは変わっていなくて、まさにここに競争するなという意味は、いわゆる国営に近い形のもののイメージでやっていた。だから、いわゆる供給を一元化するべきだということで、卸問屋を通さなくて一括だという議論とセットで進んできたんです。
 ところが、この一括の供給は、余りにも新しい団体をつくるということが無謀なので、そこだけは置き去りになって、それでここまで来たんです。
 では、今、何が変わったかというと、勿論、アルブミンの自給率が変わったというのは、現象としては、そうだけれども、要はDPCの中でそれは起こっているわけで、だから今までは海外との関係だけでやっていたのが、国内の医療環境の中で、血液だけがこのようないわゆる75年、89年のコンテクストでやることが妥当かどうかというのが、今の問いなんですね。
 だから、さっき三村委員が答えに窮したのは当然で、これらの価格差なんか別に何の問題もないんです。積み上げたものが、たとえ日赤が鉛筆なめようが、何しようが関係なくて、これはあくまで国内自給達成で、血液の安定供給のためには、これでいいんだという形になっている。
 その中で、日赤も適切なパフォーマンスを持つことができているかどうかという、消極的監視だったんです。経済原理に本当に行けば、これは消極的監視ではなくて、コストを積み上げて高くて商売にならなければ、そのコストを削るのは企業の役割のわけです。この積み上げだって、もっと努力すればコストは削れるわけで、そういう競争環境に本来はあるべきではないコンテクストなんだけれども、半分は競争環境という中途半端な形で来た。
 だから、もし、本当にこれを進めるんであれば、カナダのように、輸血用は医薬品から外して、例えば全員無料にして、税金でやると決めてしまえば、一番きれいな、ところが、半分これは経済が生きているので、今回は、より経済的な原理が必要だという話になっているんではないですかということが、国内から言われ出している。今までは海外からの対抗で、日本はこれで行くんだというので通っていたから、今まで価格格差なんて問題なんかないんですよ。当然なわけですよ、最初から制度設計上、価格は、損とか得とかの問題ではなくて、言い値でやるということを決めたわけだからよかったんですが、それでも国内、委員会でも医療に携わる現場から文句が出て、更には医療費を決める方からもそういう圧力がかかってきて、国内でも、それだけでは説明がつかなくなってきたというのが、今回変わったことで、その段階でどっちを見るかと、だからコンテクストが違うので、この価格が本当の価格なんていう話は、ナンセンスな話で、ほかの国はちゃんと輸血用血液も供給しているし、それからフェレーシスで採っている原料血漿だってみんな商売でやって、それで十分行けているわけです。ただ、輸血用血液だけは、必ずしも各国商売とは限らないです。国内自給をやっているから、それで、血漿も含めて国内自給だというのが前提なんだけれども、多くの国は、もう血漿はいいかと、ちょっとあきらめぎみになっているわけですよ、分画の方は、輸血用はさすがに国内でやるけれども、日本はやはり血液法で、薬害エイズとか、ああいうことがあったので、血漿もちゃんと自給を目指しましょうというところで来ているので、ある程度国の関与というのは当然だと思うんですが、そこで、やはり75年、89年と来て、これでいいんだと決めたことを、やはり国内からも理解が得づらくなった中で、それを突っ張っていって、これはいいんだと、赤字もへったくれも関係ないというのは、いや、ちょっとそれではそろそろ通らないとするのかという分かれ目が、今の文脈なんですね。そこが大きな論点だと、私は理解しているんですけれども、最後にちょっと早退するので、しゃべり過ぎて済みません。
 ですので、そういう意味で言えば、医薬品としての血漿の価格が適正かどうかは、やはり医薬品として、ほかの国でも血漿というのは国内で自給してあるんだから、これが同じように提供されたら、当然国内の医療提供者も、それは国際価格と比較してばか高くなければ文句はないけれども、幾ら同じ積み上げたって、ほかの国ではちゃんと同じような方法でこの値段で行けるのに日本だけ高いというのは、多分説明がつかない状況になっている。だけれども、価格の二重化なんていうのは何の問題もないですよ。経済で考えても、最初の75年、89年コンテクストで考えても、経済コンテクストで考えたって、医薬品はMR活動もあれば、有効性とか医薬品というプロダクトなんだから、適正な価格は、日本のルールで言えば、薬価という、それもちょっと保護貿易的なんですが、薬価というので決めると。
 それで、原料は、これは単純に原料の販売なんだから、価格は適正に売れる範囲で売れればいいだけであって、二重価格なんていうのは、問題自体が存在しないんではないか。だから、どっちのコンテクストでも、価格が二重化していることには、何ら問題はないように思います。
○溝口座長 幾ら議論していても、ここで適切な場であるかどうかも問題にされます。血漿分画製剤も定額になれば一番簡単なんですけれどもね。やはり今のままで国内自給が価格の理由で下がってくるということであれば、価格も努力するように、その価格を定額にできないならば、今のいろんなところから国際価格に近いものにしていく努力をしなければいけない。その辺は、この次の会までに御議論いただきたいと思います。
 では、次に移らせていただいていいですか、この次までにいろんな資料がほしいとおっしゃっているからよろしくお願いします。どうぞ。
○血液対策企画官 今の花井委員の御指摘は、非常に重要なものだと思っております。
 今日の議論の中でも、いろいろ私ども指摘を受けておりますし、どういう形のものを出していきながら、どこに目指すのかというところが、今日の段階で、皆様方から今、こういう状態ですということで、いろいろと御意見をくださいという形で始めましたので、こういうふうになってしまいましたが、次回には、もう少し先生方の御意見を賜った結果として、どこに着地点を置いて、どこを目指していくかということをもう少し整理した上で議論を進めていただきたいと思いますので、その点、よろしく御理解いただければと思います。
○溝口座長 では、そういうことで、次回にまた議論することにして、次の問題、FFPと原料血漿の1物2価についてというのは、今回、国内自給の問題とは関係ないんですけれども、血液事業部会で、7倍も同じものがするのはおかしいという意見が強く出まして、かなり事務局はいじめられていたような議事録がありますが、それにつきまして、御意見を賜りたいんですが、いかがでしょうか。価格差がそんなにあっておかしいんじゃないかと、まあいいんじゃないかという意見、それよりもう少し近い方がいいんじゃないかというような意見があると思いますが、根拠、その他について、どうぞ。
○牧野委員 先ほども少し問題になりましたけれども、この原料血漿の中に占める全血採血からの血漿と成分採血からの血漿の割合がどれくらいあるかというのは、恐らくこれは第2回の検討会のときのデータだと思いますけれども、日本におきましては、血漿採血由来が45%で全血採血由来のリカバードプラズマというのが55%ぐらいあるというのがあります。
 それに対しまして、アメリカでは、90%近く、87~88%でしょうか、ソースプラズマ、つまり成分採血由来のプラズマによって原料血漿が獲得されていると。それで、わずか十数%が全血採血由来だという割合の違いがあります。
 これだけ違って、先ほどのデータでは、日本では成分採血由来の価格が1リッター4万3,000円という値がありますね。米国は、逆に90%近くが、この成分採血由来であるにもかかわらず、同じような価格になっているわけですから、やはり成分採血由来が、日本ではちょっと高過ぎるんではないかと考えます。FFPと原料血漿の価格が現在かなり違うのは、やはりFFP、つまり5単位製剤とかも含めて、そちらの方の価格がちょっと高過ぎるんではないのかというふうに、このデータからも思います。
 ですから、原料血漿が安くなればいいんじゃないかとは思うんですが、その議論の中で、やはりFFPとの格差があるのがおかしいという議論になってくるのかなと思いました。
○溝口座長 赤血球由来の原料血漿は55%あるんですか。
○牧野委員 以前のデータでは55%です。
○溝口座長 かなり今、FFPの需要が高まっているので、もっと少ないのではないでしょうか。
○牧野委員 2008年のデータです。
○溝口座長 今、その割合が変わっているんじゃないかと思うので、新しいデータを次回用意して下さいそれからさっきの議論になった原料血漿4万円というのは高過ぎるかもしれませんが、このようなに1万円よりかなり高いとすれば、いろいろ血液特別会計に大きく影響しますので、その辺が妥当かどうかという議論も必要ですね。
 それから、今後、日本も原料血漿は成分献血にシフトしていく方がいいかなと個人的には考えていたんですが、このような経費では、なかなかそっちには行かないんでしょうかね。その辺も日赤などの意見も聞いてほしいと思うんですけれども、現状をもう少し知りたいですね。
 もう一つ、FFPと原料血漿は同じものかという議論もあると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
 それについても、海外でFFPと原料血漿の間に値段の差があるのかどうか、その辺も米国赤十字とその他の米国の機関について、米国赤十字も原料血漿を少し売っているようですから、その辺のことも調べてください。
 現場にいた経験では、FFPは、原料血漿に比べて品質管理上の配慮がなされています。新鮮凍結血漿は液量がかなり規定されていますね。原料血漿は、体重から循環血液量を出して、その12%前後を採血しているわけです。そうすると、350mLから600mLまでの間で、献血者に合わせた献血をしてもらっているわけですが、FFPに関しては、採血血漿量は大体400ですね。それにあと、いろんな液を加えて480ぐらいと決まった量になっています。
 それから、白血球の数もかなり規定されて、FFPは決まった機械でしか採れないようになっていますが、原料血漿はどんな機械でも採れると、いろんな制約がFFPには加わっていますし、血液型も、原料血漿の場合は関係ないですね。FFPは、必ず型を調べて、それに合った供給をしているというような違いがあります。貯留保管は両方ともしているようですね。その辺が本当にPPPで必要かどうかというところがありますけれども、かなり質的には違うものであるという印象を現場にいたときは感じました。
 林先生、いかがですか。これほど値段が違っていいかどうか。
○林委員 もう既に相当議論が出ているところだと思うんですが、どの値段がどこに乗せてあるのかということが明確になってこないと、わからないということが根底にあると思います。
 もう一つ、前回までの議論でもあったように、連産品なのでグロブリンが必要で、それを自己免疫疾患に使っていてアルブミンが余っている国の血漿採取の構造と、日本のようにアルブミンが必要で血漿を採取している構造とでは、どうしても価格的な競争力というのは将来的にも厳しいような気がします。その辺が本当に日本の医療全体としてそれでいいのか、もう少し、自己免疫疾患へ適用拡大なり何なりが進んできて、日本ももう少し違う血漿由来の製品の使い方になるのかという論点もちょっと考えておいた方がいいように思います。
○溝口座長 ほかに何か御意見はありますか。海外の、米国赤十字の取扱いもちょっと調べていただければ、また参考になると思いますし、私の現場での経験では、FFPというのは、かなりきちんとした品質管理がされていて、原料血漿はそんなことはしていなかった、大きな違いがあると感じています。
 そういった意味では、値段が違うのはしようがないなとは思うんですけれども、問題はこれだけ差があっていいかどうか、その辺の問題は、さっき林委員がおっしゃったように、具体的な数字がわからないので、ちょっとどれぐらいが妥当であるかということも言いにくいという御意見がありましたけれども、そうではないかと思います。
 ほかに何か御意見はありますか。余りこれは我々の委員会の本来の目的ではないので、余り議論はしたくないんですけれども。
 では、3点目に移らせていただいて、FFPと原料血漿のバランス、これは価格のバランスですか。そうすると、これは同じことですね。
○需給専門官 はい、そうです。
○溝口座長 では、これもそういうことで、余り我々の目的とするところではないので、外圧はあったようですけれども、我々にはないので、ちょっとこれで終わりにさせていただきます。
 どうぞ。
○益子委員 このコスト構造の検討をする場合には、どうしても人件費の部分は避けて通れないと思うんですね。大変申し上げにくいんですが、事業仕分けのときにも、例えばJAXAの宇宙開発でお金がかかり過ぎるという話が出たときに、現場からの意見として、実は現場にはそれほど予算が来ていなくて、組織の人件費の部分で随分無駄使いをしているんだという話がありましたけれども、この血液事業の問題で、同じような問題がないのかどうかをきちんと評価する必要があると思います。
 表現は悪いかもしれませんが、天下りの方たちのところで多額の人件費を要しているとすれば、その部分も併せて解決しない限り、本質的な解決にはつながらないと思うんです。
 ですから、次回、必要経費に関するデータを出していただくときには、人件費の具体的な中身について詳細に報告して頂き、アメリカやヨーロッパの人件費と比較検討できるようにしていただきたいと思います。
○溝口座長 よろしくお願いします。益子委員が先ほど御質問になった点、私も血液事業部会に長く関係したんですが、お金のことというのは、ほとんど議論されていなかったんですね。この会が初めてではないかと思います。血漿分画製剤の製造体制に関する検討会というのは、前にあったんですが、それでもお金のことはほとんど議論されていなくて、まともにコストの問題を議論するのは、この会が初めてだと思うので、是非、その辺、今、益子委員のおっしゃった点も踏まえて、よろしくお願いします。
 それでは、今の3点を終わらせていただきまして、先生方のいろんな御意見をいただきましたので、次回にポイントを絞り込んだ上で、更に整理していきたいと思います。
 事務局におきましては、本日の意見を整理いただきまして、引き続き議論できるように準備いただきたいと思います。
 次に移ります。次は、本検討会では、事業者からヒアリングを通じまして、海外の事業者と国内の事業者を比較した場合、さまざまな違いがありまして、コスト構造にも大きく影響していると考えられたところでございます。今日、牧野委員が米国の血液事業施設を視察に行ってこられたということでございますので、その御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○牧野委員 報告させていただきます。資料8になります。参照してください。
 目的ですけれども、今年の2月に第3回のこのあり方に関する検討会が行われたときに、国内外の血漿分画製剤の事業者からのヒアリングで、かなり血漿採取の方法とか、製造工程に大きな生産規模や体制の違いがあるということで、これが血漿分画製剤のコスト構造の問題に大きく影響しているんではないかと考え、アメリカの血液事業に関しまして実態調査を行ってきました。
 特に血漿採取センターでありますバイオライフ社のシステムについて報告したいと思います。
 次のページですけれども、日程は5月に行ってきました。5月9日に米国の赤十字血液センターを視察しまして、その後、バクスター社のロサンゼルス工場、それからバクスターのシカゴ本部、それで、最後の日にバイオライフの血漿採取センターを視察しました。
 米国における血液事業を見てみますと、大きく2つの組織、1つがアメリカ赤十字社のARCと、それからアメリカ血液センター協会のABC、この2つが大体90%を占めておりまして、無償献血による採血を行いまして、輸血用血液製剤を供給しているということです。
 我々が視察しましたのは、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のポモナというところにあります米国赤十字社を視察しました。
 アメリカ赤十字社の血液事業を見てみますと、全国に36か所の製造所がありまして、その傘下に採血所があると。この製造所を大体5か所をまとめて、Division、日本でいうブロックがありまして、米国全体を7つに分割しております。
 それで、検体検査は、米国全体で5か所に集約されておりまして、我々が行きました南カリフォルニアARCからはポートランドで検査を行っておりました。
 血漿分画製剤の製造は行っていないということです。それから、最近は不況もありまして、血液の使用が特に増加することもなく、この3年ぐらいはほとんど安定した供給状況だということでした。
 南カリフォルニアARC全体では、従業員が1,400人ぐらいで、年間赤血球40万単位を確保しており、周辺の150医療機関と契約しておりまして、血液製剤を供給しているということです。
 その献血者の確保に関しましては45%、およそ半分ぐらいが電話やメールによるリクルートで確保しているということです。
 施設の中を見ますと、電話やメールが設置してありますブースが非常に多くありまして、そこで職員が1日1万人程度のドナーの方に電話やメールをしまして、最終的に1,000人ぐらいの方に献血に来ていただくということで行われております。特に、広告は行っていなくて、ボランティアの方々の口コミで活動が行われています。
 あと、リクルート以外は、学校や協会でのボランティアの方からの採血で賄われています。
 輸血用血液製剤の価格の決定なのですが、日本では、ぽんとこの値段で行くというふうに決まるのですが、米国では、ARCとABC、それぞれ競合の組織ですけれども、競り合って市場動向が決まって価格が決定される。
 それから、米国内でも地域差というものがかなりまして、かなり価格というものは地域によって異なっているということです。
 それから、病院と契約をして、その段階での契約もありますので、非常に価格というのは一律に言えないところがあるということでした。
 ちなみにカリフォルニアのARCでのFFPの販売価格なのですが、250mL当たりで大体55ドルから65ドルですから、5,000円ぐらいでしょうか。日本は、FFP240で1万7,414円ですから、かなりの価格差があると思います。
 次にバグスター社を視察しまして、ロサンゼルス工場というのは、アルブミン製造に特化しているところでありまして、更に敷地内で新たにアルブミン製造工場が建設中でした。
 原料血漿は、アメリカ赤十字社とバイオライフから原料血漿を購入しているということです。
 次のページに、米国における血液事業を表したものがあります。真ん中辺りARCとABCがありまして、この2つで90%アメリカの輸血用血液製剤が供給されており、いずれも無償の献血によって集められています。
 血漿成分に関しましては、バクスター社に供給するのがARCのリカバードプラズマと、それからバイオライフ社、これは有償採血ですけれども、バイオライフ社からの原料血漿で製造しています。
 一方、CSLなどは、やはりCSLプラズマセンターというのがアメリカ全土に65か所ありまして、そこで採血をされたソースプラズマが原料血漿として存在し、それで血漿分画製剤を製造しているという構造になっております。
 それで、実際にバイオライフ社のことなのですが、バイオライフ社は有償の血漿採血センターでありまして、アメリカ全土に62か所、オーストリアに7か所施設があります。採漿施設は主に郊外に立地しておりまして、人口が5から10万くらいの都市です。なぜかといいますと、ウイルスマーカー陽性者の割合が、そういうところは、町の中と比べて低かろうということです。それから、近くに大学とか短大とかがあって学生がいるところ、それで人口が増加しつつあるところ、そういうところを調査しまして、この採漿センターを設置しているということです。
 我々が視察しましたバイオライフ社の採取センターですけれども、ウイスコンシン州のアップルトンにあります採取センターに行きました。
 このセンターは、ベッドが60ベッドぐらいありまして、従業員は季節によって違うのですけれども、25人から70人くらいだということです。1週間のドナーの数は、1,000人から2,000人で、新たにドナーとして来られる方は、1週間に50人程度はあるということです。
 このバイオライフ社のドナーとしての基準は18歳以上で、いろいろクライテリアがあるのですけれども、健康である、つまり病気を持っていないということと、体重が50kgあれば、ドナーとして一応OKだということです。
 次に手順なのですが、まず、バイオライフ社に新たに行きますと、問診、健康診断を受けます。それで必要事項を書きまして、それから採血をしていきます。このとき、顔の写真とか、指紋認証システムで指紋の登録を行います。
 1回目の採血の血漿は使用せずに、6か月以内に2回目の採血に来たときに問題なければ、適格ドナーとなって、その後、ドナーとしての採血を続けていくということになっています。
 来たときに、指紋認証を必ず行って、本人であることを確認しながら採血を行うということです。採血ごとにB型肝炎、C型肝炎とかHIV、PVBとかの抗体検査とかは行っているということでした。
 NAT検査は、512人分を一度に検査しているということです。採血の時間というものが曜日によって非常にまちまちなんですけれども、これはネットでこの時間を見まして、ネット上で予約をして、その時間に来るというシステムを取っておりました。
 大体1週間に2回採血が可能であるということですけれども、多くの人が大体月に4から5回、1週間に1回以上の採血を行っているということです。
 1回の採血時間は、およそ1時間10分程度、それで、採血の血漿量ですけれども、600から800?で、これは左側に採血をしている写真がありますけれども、下の方にぶら下がっているものが採血バッグです。このときのシステムとしましては、ボトルではなく、バッグで採取をしておりました。大体700?前後採っているということです。
 それで、有償採血であるということで、初回の謝礼は1回20ドルです。その月に同じ週で2回目以降来ますと、謝礼が30ドルから50ドルに上がっていくということです。更に月に例えば5回以上来ますと、つまり週2回以上来ますと、ボーナスポイントで10ドル、20ドルと増えていく、それから友達を紹介しますと、更に10ドル、20ドル増えていくということで、積み上げ式だという状況です。
 そして、そういうボーナスポイントが付くということを本人にメールでお知らせして、次に来ると、幾らボーナスが付きますよというお誘いのメールが行くのだということです。
 謝礼は、現金で渡すのではなくて、デビットカードというのが左側にありますけれども、そういうカードをつくりまして、そこに振り込まれるということです。こういうデビットカードをつくることは、ドナーの身分の安定性や信頼性を確保するということが目的のようです。
 それで、ドナーの職業の比較というのが次にありますけれども、アメリカにおきますドナーの内訳を見てみますと、黒く塗っている部分ですが、定職者が55.1%、それから学生が23.8%で、次が失業者になりますね。最近不況だということで、16.3%が失業者の方が来られていて、年齢は18歳から40歳、若い人が中心で、男性が大体6割、女性が4割ということです。それで、多くの方が、週2回採血に訪れているようだということです。
 ウイルスマーカーの検査なのですが、これで見ますと、黒く塗っている部分がバイオライフ社のデータなのですが、当然リピートドナーですから、陽性であれば排除されていきますので、バイオライフ社のHIV、HCV、HBVの陽性率というのは非常に低いということで、トータルで見ましても、このPPTAの方の陽性率と比較すると、10万人当たり、全部合わせますと、3.34人という状況であります。HIVは、10万人当たり0.12というデータであると自慢しておられました。
 それで、まとめですけれども、今回、アメリカの有償採漿センターでありますバイオライフ社を視察しました。これは、バクスター社の完全子会社でありまして、採ったものは、バクスター社に売っていくということで、ほかの資料を見てみますと、全バイオライフ社の採漿量は、300万リッターだということが言われています。
 かなり適格ドナーは頻回採血を行っているようです。それから、お金が非常に関係していまして、1回が20ドルとあるのですけれども、実際は、ほとんど頻回に行きますので、30ドルから50ドルということで、非常にお金をちらつかせているなという感じがしました。
 リピートドナーは、自分がもしウイルスが陽性になると、もう採血ができなくなりますので、注意をしているのもあるかと思うのですけれども、ウイルスマーカー陽性率が非常に低いなというところがあります。
 全体的には、非常にシステム化されておりまして、効率よく採血できていますし、それで1回当たり700?前後血漿を採りますので、非常に多くの血漿が採れているということでした。
 以上です。
○溝口座長 どうもありがとうございました。何か御質問、御意見はございますか。
 どうぞ。
○益子委員 7ページの上の方のドナー職業の比較のところで、アメリカの失職者というところが非常に多いので驚いたのですが、これはいわゆるホームレスのような方なのでしょうか。血液の提供で生計を立てているんでしょうか。
○牧野委員 我々が少なくとも見た感じは、ホームレスというふうな方はほとんどいらっしゃらないんですけれども、この年は、非常に失業率が高くて、失業者が多かったという表現をされております。そこのところは、詳しくは聞きづらいところがありまして、済みません。
○溝口座長 ほかに、何か御質問か御意見はございますか。バグスターに米国赤十字が血漿を売っているようですけれども、ABCはCSLに売っていますが、幾らぐらいとか、そういうことはお聞きになっていないですか。
○牧野委員 そこの具体的なものは、ちょっと。
○溝口座長 わかりました。1回の採漿量は多いですね。日本で先ほど0.45と書いてありましたから、普通、大体450mLくらいが平均でしょうね、日本では600がマックスなんですね、そこで幾ら体重が多くても頭打ちになって。
○牧野委員 あちらでは、体重辺りでもっと多くて800とかという状況です。
○溝口座長 それから、1回目は、使わないで、2回目以降の血漿から使用するのですね。
○牧野委員 同じ方が2回目、6か月以内に来られて、そのときの検査でも陰性、最初も当然陰性で、2回目以降で陰性の場合に2回目以降の血漿を使用していくということで、1回目は使わないと。
○溝口座長 日本では、大体20人をプールしてNATをやっていますけれども、向こうは512人。
○牧野委員 最終的に512ということでした。
○溝口座長 かなり、この採漿に関しては多い可能性がありますね。
 ほかに何か御質問、どうぞ。
○林委員 512は、私の記憶が正しければ、スリーディメンション法で行っているので、純粋に500人分に薄まってしまっているという意味ではなかったように思います。
○溝口座長 縦横たてで8人ずつでしたね。それで512ですね。ちょっとその辺、正確ではない。512人をその後どうするのか、事務局でお調べ下さい。ほかになければ、どうぞ。
○血液対策企画官 事務局から質問するのも申し訳ないんですけれども、3ページ目に300人の職員が1日約1万人に電話やメールをしてと、その1万人というのは、過去に献血された方なんですかね、それとも、手当たり次第にやっているんですかね。
○牧野委員 ドナープールからですから、過去に献血したことのある方だと思います。ですから、恐らくしょっちゅう電話されているのかなという感じはしました。
○溝口座長 そういうことで、ほかになければ、次に移らせていただきます。
 次は、議題の2で、血漿分画製剤の輸出についてでありますが、事務局からの資料の説明をお願いします。
○需給専門官 それでは、資料7、血液製剤の輸出に関しまして、説明をさせていただきます。
 本年3月とりまとめられました本検討会の中間報告におきましては、血液製剤の輸出ができないことが、国内事業者の事業効率に大きな影響を与えていると考えられ、倫理性や国際的公平性に問題が生じない形で血漿分画製剤の輸出を行うことができないか検討すべきであると提案がされています。
 この輸出に関しましては、まず、事実関係と、過去の経緯を整理することが必要と思われます。
 事実関係でございますが、血漿分画製剤を含めました血液製剤は、外為法の下部政令である輸出貿易管理令において、輸出ごとに経済産業大臣の輸出承認が必要な貨物として位置づけられております。
 つまり、政令上は、輸出に関して禁止規定が規定されているものではありません。血液製剤の輸出承認につきましては、詳細な手続が経済産業省で定められており、これが資料7の別添2に添付するものですが、この4、輸出の承認において、2に掲げる品目については、当分の間承認を停止するとして、ただし書きに掲げるもの以外は停止してございます。これが、現在における事実関係でございます。
 国産品においては、(1)に掲げる委託加工貿易契約によるもの以外は、(3)の自衛隊派遣時に、血液製剤を海外に持っていくことのみに限定されております。
 では、なぜ血液製剤の輸出承認を停止しているのかの過去の経緯でございますが、それが資料7、1の(2)の2番目の○にございます背景となります。
 昭和41年当時、ベトナム戦争のさなか、日本の売血による血漿が東南アジア方面に輸出されているとする疑惑が発生しました。
 当時は、血液製剤に輸出制限をかけていなかったことから、国民の血液が軍事上の目的で使用されることに対する倫理上の問題が国会で追及されました。
 その結果、厚生省と通産省で協議の結果、輸出貿易管理令において、採血及び供血あっせん業務取締法第2条に規定する血液製剤を通産大臣の承認事項とし、通知として、当分の間、承認を停止しました。
 その結果、輸出貿易管理令において、血液製剤の輸出に関しては、承認事項とし、先に説明したとおり、手続において当分の間は、承認を停止するとして、現在に至っているところでございます。
 さて、この議論を開始するに当たっては、そもそも国会においてどのようなやりとりがあったか、それが参考になります。それが別添1です。
 まず、昭和41年2月4日の参議院決算委員会の大臣答弁は、今後、この貴重な血液製剤が国内の血液が不足しておるにもかかわらず、海外に出るというようなことがあってはいけない。今後、さようなことができないように、制度的にも措置を講ずる必要を認めましてとあります。この後者が輸出貿易管理令において承認事項とすることにつながります。
 しかし、ここでは、血液製剤を国外に出すことについては、それ自体を問題としているものではなく、貴重な血液製剤が国内の血液が不足しておるにもかかわらず、海外に出ると、国内自給ができていないにもかかわらず、海外に出していくことを問題にしているところです。
 昭和41年3月2日の衆議院予算委員会の大臣答弁も同様な趣旨でございます。
 これを、今度は、血液法の観点から眺める必要があります。血液法では、基本理念を第3条に記載しております。ここで関わる点として、国内自給の確保とともに、献血により得られる血液を原料とする貴重なものとする倫理性のところが重要なポイントになるかと思います。
 以上の点を踏まえまして、この血漿分画製剤の輸出に関して議論が必要な点として、事務局としては、次の点を準備しております。
 つまり、血液製剤を輸出できるとする場合、なぜできるとするのか。血液製剤が輸出できるのは、どのようなときとするのか、もし、輸出ができるとした場合、適正性はどのように確保するのかの各点です。よろしくお願いいたします。
○溝口座長 どうもありがとうございました。3つの点、もう一回おっしゃっていただきたいんですが、最後のところです。
○需給専門官 1つ目、血液製剤を輸出できるとする場合、なぜできるとするのか。
 2つ目、血液製剤が輸出できるのは、どのようなときとするのか。
 3つ目、もし、輸出できるとした場合、適正性はどのように確保できるのかの3点です。
○溝口座長 何か御意見はございますでしょうか。御質問でもいいんですが、何でもおっしゃっていただければありがたいと思います。
 大平委員、どうぞ。
○大平委員 輸出できるとする場合、なぜできるとするかというところが、ちょっとよくわからないんですけれども、多分、今回のこういった提案の中には、凝固因子製剤の問題が多分に含まれているんだろうと思います。
 ただ、大切なのは、先ほど、米赤の問題ですとか、特に先ほどのバクスターの有償採血のところとか、そういう貴重な資料を見させていただいたんですが、やはり売血の問題というのは、日本では、献血制度が始まってから、かなりそこについては異論がずっとありました。そして、献血で日本は、献血者の理解、そして、また善意でもって日本の医療用血液はカバーしていこうという、そういう1つ大きな前提があって、それは貴重な人体の臓器の一部という、特に献血される方たちのコンセンサスとしてはあるんだろうと思いますね。そこの倫理性の問題というのを、やはり大切にこれまで法律にも明記したりして、これまで議論の中でも、輸出については触れないまま来ていたわけです。今回、輸出の問題が出てきたところは、背景としては、やはり今後の日本の血液事業を推進していくために、特に血液でつくられる製剤の問題として、技術の一つの保存ですとか、それから有益な血液製剤を余った場合に、どういうふうに対処していこうかと、それは多分、1つの血液製剤の製造の、特に血漿分画製剤の製造の流れとしては、連産品とかの問題があって、そこで、過剰なものが出てきてしまう場合の対処として、どういうふうにしていこうかというところもあるんだろうと思う、そこは、今回、3つの提示がありましたけれども、血液製剤が輸出できるのは、どのようなときとするかとか、そういった場合の何か例外的な問題として検討するのが当面は適切なんではないかと思うんです。
 その輸出の適切性とはどのように確保できるかというところで、その辺が議論の焦点になっていくのではないかと思うんですが、かなり献血者の理解も得られなければいけないし、また、日本赤十字社の考え方もあるでしょうし、それから全体として国民のコンセンサスみたいなものが問われるところだろうと思うんです。今後の血漿分画製剤の日本での国内自給あるいは製造をきちんと守っていくために、この問題というのは避けて通れないんではないかと思いますが、その妙案というのがなかなか出てこない。
○溝口座長 先ほどの議会での議論の中に、国内自給ができていないのに出すのはどうかという議論がありましたね。国内自給できない理由が足りないのではなくて、いわゆるシェアを国外の会社の製品に取られて売れないと、経済的な理由で売れないということで、実際には余っているというのが現状かどうかというのは問題だと思うんですが、その辺は、いかがなんですか。各会社に聞いてみないとわからないと思いますが。
 いかがですか。
○血液対策企画官 まず、事務局の方では、資料7を準備させていただきましたが、そこの中で、2.のポイントがちょっとわかりづらいところが、多分、おっしゃるとおりだと思います。
 ここのところは、私どもも、血液法の中で規定されていますとおり、血液製剤あるいはここでは血漿分画製剤でございますけれども、これを全く何もなく輸出するということはあり得ないだろうと思っております。それは、血液法の中で、献血が善意によって行われたものという倫理性のところの問題と、あと、やはり国内でも十分に自給できていないというところがある中で、それを野放図に輸出ということはないということも考えておりまして、最初のところが、輸出できるとする場合、なぜできるとするかというところ、そこの念頭にあったのは、法律との整合性をどう取っていくのかというところがありますので、そこのところの議論がきちんと整理されなければ、多分、ここの話というのは進まないのかなという気がしております。
 そう言いつつも、もう一つ、今、溝口先生のお話の中に少しあった話は、1つは、そもそも国内自給ができていない、そもそも達成していないというところもありますが、それとは別に、1つ先生方に御議論いただきたいと思っているのは、実際には、国内自給を達成する能力はあるんだけれども、実際的には価格の問題でありますとか、制度の問題によってそこのところは結果として、日本国内では、それがそこまですべてを国内で自給できるようになっていないという話は、若干そこは違うのかもしれないなというのもありまして、そういうところの問題と、この法律の問題をどう整合させるかというところは少し検討する必要があるのかなと考えているところでございます。
○溝口座長 一番国内自給ができないのに輸出なんて勿論考えられないわけですけれども、一番の問題は、日本における血漿の採取能力ですね、それからいって、十分な日本の国内自給は、本来できるんだけれども、それがほかの理由でできていないということであれば、余剰なものができてくる可能性があるわけで、それは、さっきの国会での議論は消えてくるわけですけれども、やはり過剰にならない限りは絶対にできませんね。国民の必要なものを補った上での輸出になると、その辺、現実がどうか、必要血漿量はどんどん減っていますね、その理由は何なんですか。
○血液対策企画官 ここの中での、供給しています原料血漿がどんどん減ってきているのは、それは結果として、日本国内の中でつくっても売れないというところがございます。ですから、先ほど来から議論がございますとおり、この血漿分画製剤の場合は、連産品構造になっておりますので、何か特定のところだけを目的としてつくるよりも、バランスよくどういうふうにつくっていくかということの議論が重要でございますが、そこの中でも、ある部分が売れなくなってくると、結果的に、そこのところ全体の中での原料の購入とか、原料の確保というところの中で、それが必要になってこないというところで、国内の原料血漿もだんだんと必要量が減ってきている可能性はございます。
○溝口座長 一応、仮定としては、輸出するだけの血漿分画製剤の余力があるという前提で議論をすると。そうすると、どういうときにやれるか、どういうことを対象にするかということで、血液法と相容れた形での輸出というのは、どういう場合が想定されるかということですね。国民のためということで、先ほど出た自衛隊が派遣されたときに必要な血漿分画製剤を輸出ですかね、輸出というか、持っていくのかわからないけれども、輸出するというのが1つありますね。それ以外の場合に、何かありますかね。
 どうぞ。
○前野委員 素朴な疑問ですが、確実に日本国内で使用が減っている。ましてや海外でのニーズがあるのでしょうか。おそらく単純なビジネスとして成立するかということではないところに議論の意義があるのだろうかと推測します。
 実際に、善意の献血が輸出ビジネスに使われるというのは、国民の感情としては、いかがなものかと思います。もし国民への説明なしに行われれば、きっと批判を浴びる問題だと思われます。一方、善意の献血が有効に使われず、廃棄されている事実もあると聞いております。そのような現実を直視せずに、表面的な建前論で済ますのではなく、海外で使われることとして、どのようなケースがあるのか。それは国民にとってどのようなメリット、デメリットが考えられるか。それには国際貢献できることもあるのではないかとも考えられます。具体的な例を広く提示していただいた上で、今後の血液製剤のあり方の延長戦で議論していく必要があると思います。
○溝口座長 ODA的なものを考えるという話、直江委員、どうぞ。
○直江委員 今の意見とよく似ているんですけれども、例えば既に現実として、相当量の血漿分画製剤は輸入しているわけですね。輸入している中で、単純に考えると、やはり必要なものは輸入するんだけれども、こちらがもし余っていれば、そういう輸出はしないんだというのは、やはり納得はできないという考え方もあると思うんですね。
それから、安定供給という意味では、足りないときは買う、余ったときは売るというネットワークという考え方もあると思うんですが、ただ、先ほど来、議論があるように、善意で献血でいただいた血液の一部を、だからといってビジネスというふうに乗せるのはいかがなものかという、そこの気持ちの問題だと思うので、ただ、こういうふうに、例えば日本では需要が余りないんだけれども、できてしまうと、だから、現在は捨てているんだけれども、ここの部分を売れば、会社も安定供給はできる、経営もよくなるというような具体的な話をもう少しわかりやすくしてもらえれば、納得もいくのかなと、議論も前に進められるのかなと、私も思います。
○溝口座長 血液法としては、どうしても倫理性がかなり問題なので、会社に任せて物を売るというものではないように思います。血液事業は国がやっている事業ですから、本来、国が買い取って、それを売って、それを血液事業の予算の一部に充当するとか、そういうことなら国民は納得するかもしれませんね。製造者が勝手に自分たちの利益のために売ってしまうというのでは、ちょっと法律の趣旨とは反するような気がしますが、今、言ったようなのはちょっとまどろっこしいかもしれないけれども、少し間接的に国が絡んで透明性、公正性を保つことが必要かなと感じますけれども、いかがでしょうか。
○直江委員 血漿が、結局、どういうふうに使われて、どのくらい廃棄されたのかとか、その中で、いろんな連産品ができる中で、ここの部分は無駄になっていますというような資料があるのか、ないのかということで納得の度合いが違うんだろうと、そういうことですね。
○溝口座長 小山委員、どうぞ。
○小山委員 恐らく、この議論というのは、ヒアリングのときに、1つの業者の方が、余るということでもって、輸出という手段があったらというような言い方でしたね。だけれども、あの言い方は決して物すごく輸出がしたいというようには聞こえなかったんですね。議論するのはいいんですけれども、どこの会社も、いや、うちなんて輸出する気は全然ないという話の中で議論してもしようがないので、本当に輸出するだけの余力が、日本のメーカーにあるのかどうか、確認をしてみないと、机上の空論になるだけで、この前のヒアリングの中からの印象では、決してそんなに輸出することを望んでいるような雰囲気には聞こえなかったんですけれども、余ったらどうするの、いや、輸出できればいいですねというぐらいの議論だったと思うんですね。そこら辺のところをちょっと確認していただいた方がいいのかなと思います。そうじゃないと、幾らいい議論をしていても、全く意味のないことになってしまうと思います。
○溝口座長 結局、さっき事務局がおっしゃった血漿分画製剤のアルブミンなんかが売れないということで、血漿のストックが重荷になっているということも聞きますね。
○小山委員 日本で売れないものが海外で売れるはずがないですね、高いんだから、どう考えたって無理ですね。
○溝口座長 基本的には、価格の問題があるでしょうし、価格も国が先ほど、前野委員がおっしゃったみたいに、ODAみたいに全く価格なしで提供していくということもあるかもしれませんね。
 事務局としては、いかがですか。
○血液対策企画官 私は、前回、ヒアリングを行ったときの議論は確かに覚えてはいるんですけれども、そのときに各社前提となっていた議論というのが、そもそも血漿分画製剤と言われているものは輸出できないんだと、だから、輸出できない範囲の中でどうできるかというところの中での最適配分として、どういうふうに行うかというところで今までやってきたと思っているんです。
 ただ、そうした場合に、ある程度、そこの中での解決策というか、ある程度こういうことができるというところを前提とした場合には、多分そこで出てくる解も若干違ってくるのかなという気がしています。
 それで、先ほど先生方からいただいています、例えば小山先生のおっしゃった、実際にこういう余力はあるのかとか、実際に、直江先生が言っていた、日本国内でどれだけ無駄になっているのかとか、まさにこういうデータ、漠然としながら確かにそういうものは承知はしていますが、きちんとした数値とした形で準備したことはないので、この議論にするに当たっては前提になるものだと思いますので、少し整理をして、こちらの方で、また、どういうことがあり得るのかということで、議論を続けていけるような形にはしていきたいと思います。
○溝口座長 三村委員、どうですか。
○三村委員 恐らく、今、おっしゃった議論は非常に大事で、ただ、非常に情報とデータがなさ過ぎるというところがあります。
 後で、資料の9のところに日本赤十字社、田辺製薬のこれからの統合という話の中に、現状、日本の国内に一応ニーズはあるんですが、市場が小さ過ぎて生産できない、そういったような言葉も中には入っている。
 実際、分画製剤の連産品構造というのが少しずつ見えてきたのは、そんなに昔ではないんですね。ですから、それからいたしますと、日本国内で、連産品構造をきちんと構築することが基盤としては大事。
 その中で、日本市場では需要が少ない製品をある程度輸出もできるというようなことをすると、血液事業全体の健全化になるということを説明できるのならば、私は献血される方の合意とか御理解は、恐らく得られると思います。
 ただ、余りにもデータが少なくときちんと説明というものがなさ過ぎるので、話が非常に混乱しやすいと思います。連産品構造とか、市場構造とか、日本の中には余りニーズはないんだけれども、でも、つくった方がいい、しかしながら、日本だけを前提にすると、やはりどうしてもコストが高いとか、そういったものがあるのか、ないのかといったことをはっきりしていく方がいいんじゃないでしょうか。
○溝口座長 では、そういうことで、よろしゅうございますか。いずれにしても、法律の建前から言えば、すべてのことが透明性、公正性が保たれるということが大事だと思います。
 それから、できれば、血液法の建前からいうと、それの関係した厚生労働省がかなり深く関与していただくことが大事ではないかという気がいたします。
 それでは、いろんな御意見をいただきましたので、事務局に整理していただきまして、次回、引き続き議題として審議することにしたいと思います。
 最後に、議題の3、その他でございますが、先月、日本赤十字社及び田辺三菱製薬株式会社、それぞれから血漿分画事業の統合の検討開始に関する基本合意についてというプレス発表が、6月17日にありましたので、事務局から御報告をお願いしたいと思います。
○需給専門官 それでは、資料9でございますが、6月17日に日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社から、日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画事業の統合の検討開始に関する基本合意についてということでプレスリリースがございましたので、その内容につきまして、事務局から御報告させていただきたいと思います。
 統合の趣旨及び目的です。血液法の基本理念の1つとして、血液製剤の国内自給の確保と安定供給が定められておりますが、血漿分画製剤の国内自給は達成されておりません。
 その主な理由としましては、国内各メーカーの生産規模が全世界を市場とする海外競合メーカーに比べて小さく、製造コストを含め、事業の効率化にも限界があることが考えられます。
 このような状況下、日本赤十字社と田辺三菱製薬株式会社は、日本国内における血漿分画事業の安定的継続という国民の負託に応えるためには、血漿分画事業の統合が大きな選択肢であることで一致し、その可能性を模索してきました。
 また、本年3月の薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会で審議、了承されました血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会中間報告における提言内容も、これまでの両社の協議の方向性と整合するものであり、新法人の設立に向けた具体的な検討を開始することで基本合意に達したところです。
 新法人設立は、スケールメリットを生かした経営によって、生産段階及び供給段階でのコストを低減し、血液製剤の国内自給達成を目指すというもの。
 統合後は、献血者の善意に基づき、無償で得られた血液を原料とした血液製剤の国内自給の達成という公益性の高い目標のために取り組む。
 営利を目的としない法人とし、大規模アルコール分画工場の新設を行い、効率的な生産体制によって、国内製造における中核的な役割を担うということも目指すとするものです。
 設立は、平成24年4月1日予定です。
 経営統合を円滑かつ速やかに実現していくために、統合推進委員会を発足させ、年内に整理を進めたという発表でございました。
○溝口座長 どうもありがとうございました。何か御意見でも御質問でもありますか。
 どうぞ。
○大平委員 もし、こうした新法人が目指されて、そして確立していくということになりますと、やはり先ほどずっと議論にありました原料血漿の売り渡し価格というか、原料血漿の価格が今のような高い価格でここに売り渡されているようでしたら、結局、余りにも製造効率、コストとしても、メリットが得られないんではないかなと思います。そこの問題と、やはり大変関連してくるところだと思いますので、最初の前提となる輸血用血液の構造と、それから新鮮凍結血漿というか、原料血漿の売り渡し価格のきちんとしたコスト構造を決めていかないと、やはりせっかくの国内自給を目指した血漿分画製剤の会社としても成り立っていかないんではないかなという心配がちょっとありますので、その辺、やはり重要な点かなと思いました。
○溝口座長 ありがとうございます。この委員会の一番の関心事は、血漿分画製剤のアルブミンが特に高いということがありまして、その原因の一つとして、今、おっしゃったような原料血漿の問題がある。それは、次回までにいろいろ資料をいただくことにします。
 また、製造コストの問題は、先ほどこの会社の合併ということで解決するかどうかという問題もありますね。例えば日本赤十字社の冊子を見ると、血漿分画製剤の供給収入は100億となっていますが、製造に関わる人は、ネットで見たら200人くらいで、1人当たり5,000万ということで、それがほかの会社に比べてどうかという問題がありますので、やはりくっつけば、スケールメリットが出るかどうかというのは、大きな問題だと思いますので、その辺も今度、一緒になった2つの会社でよく検討していただきたいと思っております。
 本日の議事は、以上でございますが、ほかに何かございますか。
 時間もまいりましたので、本日の議事はここまでにしたいと思います。
 議題1、議題2につきましては、各委員からの御意見を事務局で整理していただき、次回、検討会に向け、準備をお願いしたいと思います。
 次回の日程等につきましては、後日、事務局から連絡していただくようにいたします。
 本日は、多忙のところ、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111内線(2905、2917)

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