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2011年9月1日 第1回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 議事録

年金局年金課

○日時

平成23年9月1日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省
   19階「専用第23会議室」(国会側)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)部会長・部会長代理の選出について
(2)短時間労働者への社会保険適用に関する現状について
(3)今後の進め方について

○議事

○藤原年金局総務課長 おはようございます。御予定の委員の先生方は既にご着席いただいておりますので、ただいまより第1回の「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
年金局総務課長の藤原と申します。部会長を選出いただくまでの間、議事進行を務めさせていただきます。
 本日は細川厚生労働大臣に御出席いただく予定でございましたが、政務のためやむを得ず御欠席となりました。大臣は出席できないことを大変残念に思っており、委員の皆様に対して委員に御就任いただいたことの感謝の意を表するとともに、専門的見地から忌憚のない御議論をいただきたい旨お伝えするよう、指示を受けてございます。
 なお、大塚副大臣と岡本政務官につきましても政務のため御欠席の予定となっております。
 それでは、第1回の特別部会ということで、榮畑年金局長からごあいさつを申し上げます。
○榮畑年金局長 先程も総務課長の方から一言申しましたけれども、「社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」の開催に当たりまして一言ごあいさつさせていただきます。
 まず、今日お集まりの委員の先生方、御多忙の中、この特別部会の委員をお引き受けいただきましてありがとうございます。心から感謝するものであります。
 もう御案内のとおりでございますが、我が国の社会保険制度は今年がちょうど国民皆保険、皆年金達成から50年ということになります。ただ、同時に、社会経済の大きな変化に伴いまして多くの課題を生じてきていることも事実でございます。特に現行の社会保険制度におきまして、被用者でありながら被用者保険、被用者年金の適用を受けられない非正規労働者の方々が多くおられることにつきましては、これまでもさまざまな場で改善すべきとの御指摘を頂戴しているところでございます。
こうした中、もう御案内のとおりでございますが、今年の6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部におきまして社会保障・税一体改革成案が決定されたところでございます。これは社会保障の機能強化とそれを支える財政の健全化を同時に達成することを大目標に掲げているところでございますが、その中の重要な検討項目の1つとして、長年の懸案でございます短時間労働者に対します社会保険、健康保険、厚生年金の適用拡大が挙げられているところでございまして、この特別部会は適用拡大の具体的な在り方につきまして御審議を頂戴する専門の会でございます。
この成案におきましては、適用拡大につきまして来年以降速やかに法案を提出し、順次実施することとされているところでございまして、大変恐縮でございますが、この特別部会につきましても月2回程度の頻度で開催をお願いして、できれば年内のとりまとめを頂戴したいと思っているところでございます。大変御多忙の中とは存じますが、日頃様々なお立場で御活躍されておられます本委員の先生方にとりまとめに向けた精力的な御審議を頂戴したいと思っておりますし、また厚生労働省としましてもこの問題は大変重要なことだと考えておりますから、私ども事務局といたしましても、大臣以下、政務三役の御指示を頂戴しながら精一杯事務局として務めたいと思っております。精力的な御審議を頂戴することを心からお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。これからよろしくお願いいたします。
○藤原年金局総務課長 続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
五十音順に御紹介をさせていただきたいと思います。お手元に特別部会の委員の名簿を配付させていただいてございます。所属と役職はその名簿に掲載させていただいておりますので、お名前のみ御紹介をさせていただきます。
 岩村正彦委員でいらっしゃいます。
 遠藤久夫委員でいらっしゃいます。
小島茂委員でいらっしゃいます。
貝谷伸委員でいらっしゃいます。
加藤弘貴委員でいらっしゃいます。
齋藤正寧委員でいらっしゃいます。
佐藤博樹委員でいらっしゃいます。
霜鳥一彦委員でいらっしゃいます。
白波瀬佐和子委員でいらっしゃいます。
杉山慎一委員でいらっしゃいます。
瀬戸実委員でいらっしゃいます。
中島圭子委員でいらっしゃいます。
平田未緒委員でいらっしゃいます。
本日、岡崎委員、久保田委員、坪田委員、福田委員からは御欠席の御連絡をいただいております。
また、高岡委員からは遅れて御到着されるとの御連絡をいただいております。
御欠席の委員の代わりに御出席される方についてでございますが、久保田委員の代理として藤原参考人に御出席いただいております。
坪田委員の代理として佐藤参考人に御出席いただいております。
福田委員の代理として浜野参考人に御出席いただいております。
 以上、お三方の参考人としての御出席につきまして部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○藤原年金局総務課長 どうもありがとうございます。
 事務方からの出席者につきましてはお手元の座席図の方をご覧いただければと思いますので、紹介に代えさせていただきます。
 続きまして、お手元の資料の御確認をいただきたいと思います。
 まず、本日、資料1といたしまして「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会(第1回)説明資料」、資料2としまして「想定される主な論点」、資料3としまして「今後の進め方について(案)」、また参考資料といたしまして、参考資料1で「制度関係」、参考資料2で「短時間労働者の就業実態関係」、参考資料3で「社会保障審議会関係法令・規則」という資料をお手元の方に置かせていただいております。資料の不備等がございましたら御指摘をいただければすぐに対応させていただきますが、不備等はございませんでしょうか。
 それでは、議事の方に移らせていただきます。
 初めに、本部会の部会長の選出についてでございます。
先ほどの参考資料3をご覧いただきたいと思います。社会保障審議会関係法令・規則を抜粋した資料でございます。
1ページ以降に社会保障審議会令とございまして、3ページに第6条第3項で「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定されてございます。本部会には社会保障審議会の委員といたしまして遠藤委員、白波瀬委員、福田委員がいらっしゃいます。部会長はこの3名の委員の先生方の互選により選任することとなりますが、あらかじめ3名の先生方に御相談いただき、遠藤委員に部会長をお願いすることとなりました。これにより、互選により遠藤委員が部会長に選出されたということにさせていただきたく存じます。
それでは、これからの議事運営につきましては、遠藤部会長、よろしくお願い申し上げます。
○遠藤部会長 皆さん、おはようございます。部会長を仰せつかりました遠藤でございます。
申し上げるまでもなく、当特別部会の検討課題は社会保障制度の持続可能性を考えるときに非常に重要な意味を持っている訳でございます。委員の皆様方の御協力を得ながら、円滑な議事運営に努めていきたいと思いますので、御協力の程よろしくお願いいたします。
続きまして、部会長代理の指名をさせていただきたいと思います。
社会保障審議会令の第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されております。そこで部会長代理に佐藤委員をお願いしたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。佐藤委員もよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 それでは、部会長代理席の方へ移動をお願いいたします。
 部会長代理、一言よろしくお願いいたします。
○佐藤部会長代理 御指名ですので部会長代理を務めさせていただきたいと思います。佐藤博樹です。よろしくお願いいたします。
 非常に重要なテーマですが、難しい面も多々あるかと思います。遠藤部会長の下、皆さんとともに協力しながらこのテーマをきちんと実行できるようなものに仕上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
カメラ撮りはこの辺にしていただきたいと思いますので、御退出をお願いしたいと思います。
 それでは、議事に移らせていただきます。
 事務局から資料が提出されておりますが、この説明をお願いしたいと思います。
 事務局、お願いいたします。
○梶尾年金課長 おはようございます。年金課長の梶尾と申します。
 1回目でございますので、資料1、2、3、それと関係する参考資料を用意してございますけれども、これに沿いまして、若干お時間を頂戴いたしまして一通り御説明をしたいと思います。基本的には資料1に沿って御説明いたします。
 資料1の説明資料の最初の1、2ページですけれども、まず年金制度体系の基本的な仕組みの図を用意してございます。大きく分けて、自営業者を対象とします国民年金の第1号被保険者、民間サラリーマン、公務員を対象とします厚生年金、共済年金の第2号被保険者、ここにつきましては、給付は基礎年金と2階の年金の2階建てになっております。そして、一番左に第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者がございます。
 2ページで給付と負担の関係を見ていただきますと、第1号被保険者、20歳以上60歳未満の自営業、農業者、無業者等ですけれども、保険料は定額の保険料1万5,020円となっております。第2号被保険者については保険料は報酬額に比例ということで、標準報酬という報酬を設定した上で、それに保険料率を掛けて労使折半で負担する。第3号被保険者は自らの負担はなしで、配偶者の加入する制度が負担するということであります。
給付の方は、第1号被保険者は一定額の基礎年金。納付した期間に比例をします。第2号被保険者である被用者は、同じく期間比例で計算する基礎年金に、現役時代の報酬を基礎として算定する2階の厚生年金や共済年金が乗る。第3号被保険者も期間比例の基礎年金だけという給付であります。
次の3、4ページは医療保険制度の方でございますけれども、こちらではサラリーマンのグループが協会健保ですとか健保組合など大小1,600ほどのグループに分かれる。国保の方も市町村や同業者の組合があるということです。また、医療ですので、高齢者の方も被保険者であり続けるという点がございます。
保険料については、国民健康保険は市町村国保でいえば一人ひとりが被保険者となって保険料が算定され、健康保険や共済組合では被保険者や組合員が標準報酬に応じて保険者ごとの定率の保険料を納め、家族は自ら保険料を納めることはしませんけれども、医療保険の給付は受けられるということです。
医療保険の給付を受ける際の負担は、市町村国保、健保の被保険者本人、被扶養者とも本人負担3割で、7割の給付。なお、健保組合の一部には付加給付があって、自己負担割合が小さくなるとか、健保組合の被保険者本人のみの給付として出産手当金や傷病手当金があるということでございます。
次に5ページ以降でこの50年間の変化というようなことですけれども、就業構造の変化等の絵を用意してございます。
5ページですけれども、国民年金制度が発足した昭和30年代と比べまして、就業構造を見ますと第1次産業が大きく減少して、また、下のグラフで自営業者や家族従業者が減少する一方で、雇用者が増大している。
その雇用者の中でも、5ページでいえば、右側の臨時雇用が増えておりますし、6ページの推移の方で見ますと、雇用者の中でも非正規と言われる労働者の割合が増えてきているというようなことで、2010年ですと約34.3%、1,755万人が非正規になっているということでございます。
その結果、7ページを見ていただきますと、国民年金の加入者は農業を含めた自営業者を念頭に置いて制度が発足している訳ですけれども、表の中ほど、常用雇用、臨時・パートといういわゆる被用者に当たる方が、平成20年の調査では一番右端で合計すると39.4%、約4割近くを占めているというような状況になっている訳でございます。
この被用者、サラリーマンについては厚生年金、健康保険の対象と想定していながらなぜ国民年金等に入っているかということですけれども、1つ目は、5人未満の従業者しかいない零細の個人事業所については事務負担等に配慮して制度発足時から対象外にしているということと、もう一つ、8ページにありますけれども、大きな事業所についても、労働者の労働の実態に鑑みて事業所との常用的使用関係にあるかどうかを判断基準とすることで短時間労働者の適用をして、その労働者の労働時間や日数がその事業所で同種の業務に従事する通常の就労者と比べて4分の3以上であるかどうかを基準として示してきたことがございます。したがって、4分の3未満の時間の方については対象としないという整理がされてきたということです。
8ページの図の見方ですけれども、4分の3以上であれば一番左で健康保険、厚生年金の被保険者ですが、4分の3未満であれば被保険者にはならない。ただし、この未満の場合に、年金には第3号被保険者があり、健保には被扶養という区分がありまして、夫婦、配偶者関係によってはこれらに該当していれば、自らは国民年金や国民健康保険の保険料を納めるということではなくて、被扶養としての大きな制度の中で負担されるということで、そこには130万円という基準があるということであります。この基準も社会保険適用のラインとの関係での検討課題の1つになろうかと思っております。
9ページには4分の3という基準を定めた昭和55年の文書をお示ししています。
10ページは年金法、健康保険法の関係条文をお示ししています。この条文の解釈として9ページの文書が出ているという形になります。
11ページからですけれども、11ページは昨年暮れからの社会保障・税一体改革の大きな議論の流れの経過を示しておりまして、今年の2月から社会保障改革検討本部の下に集中検討会議が置かれて、さまざまなヒアリング等が行われ、6月に成案がまとめられたということであります。その中でこの短時間労働者の社会保険適用の問題も様々出ている訳です。この問題につきましては後程平成16年改正、19年の話も申し上げようと思っています。
また、12ページ以下に紹介しておりますけれども、平成21年6月の安心社会実現会議では、中程の「雇用を軸とした安心社会構築の第一歩を踏み出すために、別紙で整理した諸施策が取り組まなければならない」という中にこの課題が掲げられておりますし、14ページ、昨年12月に社会保障改革に関する有識者検討会がまとめた報告におきましても、下の方にありますけれども、「非正規労働者など、『社会保障制度の適用から外れる層』が増大」という問題は格差、貧困対策が必要であること、また、それが格差や貧困を拡大させている面もあるということをこの検討会報告では出しているところでございます。
本年2月から集中検討会議でのヒアリング、関係団体あるいは報道機関等からのヒアリングが行われまして、そこに関しては別冊の参考資料の方の7、8ページに関係団体や報道機関が提出した資料の中の抜粋を、参考資料1の9~12ページには会議の中で有識者の委員等から適用拡大を求める発言が出されたり、あるいは主に経済界の委員等からは適用拡大を行う際には一定の考慮が必要であって、慎重な議論が必要であるというような意見も出ているということを紹介させていただいております。
2月からの集中検討会議でこういった意見書が出され、また、そういった議論がなされていった。11ページに戻りますと、2月から各委員・団体からのヒアリング等があり、5月には厚生労働省としての案、たたき台の中に適用拡大も盛り込んだ訳ですけれども、中ほどの5月のところに、右側の吹き出しで「参考2」がありますが、「社会保障改革に関する『安心3本柱』」ということで、5月23日に総理から非正規労働者への社会保険適用拡大を検討するようにという指示が出されております。
それは具体的に申しますと16ページにそのものを付けております。集中検討会議第8回、5月23日にこの指示が出されまして、子育て支援強化や自己負担の合算上限と併せて2番で「非正規労働者への社会保険適用拡大」ということで、正規と変わらないのに非正規で社会保険適用から排除されている人が増加していて格差問題にも関係しているといったことから、中小企業の雇用等への影響にも配慮しつつ適用拡大を図ることの検討を進めよという指示が出ました。
これがどういう意味合いかということについては、国会の予算委員会での質問に応じて菅総理が答弁をしたものが17ページであります。下の数行でありますけれども、「社会保障制度が働き方にとって中立的なもの、つまり、一方が有利で一方が不利ということにならないために、同時に非正規労働者の生活の安定に大きく貢献するという効果も期待される、そういう形のものに変えていきたいというのが今回の改革の1つの大きなテーマ」ということで、こういった指示が出されているということです。
こういう経過を経て、6月30日に社会保障・税一体改革の成案がとりまとめられた訳
です。それの全体は参考資料の方に入れていますけれども、抜粋したものが18ページからになります。成案の抜粋をごらんいただきますと、冒頭の「基本的考え方」のところに、現行の社会保障制度の基本的な枠組みがつくられました1960年代以降今日までの社会経済情勢の変化のマル1として「非正規雇用の増加等の雇用基盤の変化」があって、セーフティーネットに生じたほころびや格差の拡大などに対応すること、セーフティーネットから抜け落ちた人を含め、すべての人が社会保障の受益者であることを実感できるようにしていくということが掲げられている。
そして、個別分野における具体的改革項目に関しましても、次の19ページの中程になりますけれども、5月23日の安心3本柱について着実な実行を図るということをまずうたって、適用拡大を実施するなどにより、セーフティーネット機能の強化を図ることを明示した上で、19ページの下の方から各分野ごとに書いてありますが、「医療・介護等」のa)の中に、また20ページ、「3 年金」の中にこのことを明記して、就労促進もありますけれども、「再掲」では貧困・格差対策の一環としてもこのテーマを位置づけているというような形になっております。
具体的な工程が21、22ページになりますけれども、工程表の関係部分を抜粋しております。
21ページ、「医療・介護等」についてのaのところに被用者保険適用拡大というようなことで、「例えば雇用保険並びにまで拡大すると、約400万人」と書いてございますけれども、この図につきましては工程としては2012年以降速やかに法案提出をし、順次実施ということが掲げられています。
22ページも年金の部分で、同じように1つ目で短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大ということで、2012年以降速やかに法案提出という工程を成案の中で示しているということになります。
次の23、24、25ページは集中検討会議で各項目についてまとめた資料の抜粋であります。
23ページは年金制度の改革に関してです。年金制度改革の目指すべき方向性ということで、この50年間の社会経済の変化ですとか、雇用・就労等への影響等に対応して働き方やライフコースの選択に影響を与えないような制度にしていこう、その他1、2、3と書いてございます。そういったことを目指していくには新しい年金制度の方向性があるわけですけれども、そういうことに変えるには一定の国民的な合意ですとか環境整備等の時間もかかるということで、こういった方向性は目指しつつ、当面現行の年金制度の改善を速やかに進めるというような課題で、別途さまざまな検討課題については別の年金部会の方での検討もございますが、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大につきましては、24、25ページに年金の分、医療保険の分の資料をそれぞれ付けております。両方で一体的な検討ということで、こちらの部会でこのテーマについて検討いただくということでございます。
24ページを見ていただきますと改革の具体策ということで、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大ということで、働き方に中立的な制度を目指すということ、かつ、現在国民年金に加入している非正規労働者の将来の年金権を確立するために、厚生年金適用事業所で使用される短時間労働者を厚生年金の適用対象とすることを検討する。その際、雇用保険の制度などを参考に検討するということをうたっておりまして、これを具体的にどう検討いただくかということでございます。
次の25ページは医療保険の方で同様のテーマ設定がされているということであります。
以上が、最近の社会保障改革の流れの中での経過を御説明しましたけれども、短時間労働者など非正規労働者の雇用の安定や処遇の改善に関しましては26ページに付けております。雇用、労働の分野でも今後のパートタイム労働対策に関する研究会での議論が昨年来進められてきているとともに、先般からは非正規雇用のビジョンに関する懇談会も発足しております。また、有期労働契約に関する議論も労政審の分科会で進められているということです。これらにつきましては、ここでは1ページに3つ見出しだけ付けておりますけれども、別冊参考資料の45~60ページぐらいにかけましてこの3つの検討会の検討状況等の資料をお付けしております。
こうした動きを踏まえながら、社会保険・社会保障制度の側においても現在の区分けの基準が社会の実態に合っているのかどうか、また区分けの基準があることによって社会保障の制度が企業や個人の行動に中立でない影響を与えていないか、本来は広く公平に負担いただくべきところを、負担回避を誘導してしまって不公平とかゆがみを生じさせているのではないかといったことを考えていかなければならないのではないかと考えております。
ここまでは最近の動きということで御説明しましたけれども、先ほど少し申し上げましたとおり、この問題に関してはこれまでも議論や検討の経緯がありますので、それを簡単に御紹介したいと思います。
27ページでありますけれども、平成16年の年金改正での経緯です。
平成16年の年金改正におきましては、平成14年1月から年金部会というところで議論が始まりまして、15年9月に年金部会で年金制度改正に関する意見がとりまとめられた訳ですけれども、その際、短時間労働者への適用拡大に関しては1つ目にありますような観点から行うべきということで、基準をどう定めるかについて所定労働時間が週20時間という意見のほかに、収入要件、例えば年間賃金60万円以上との併用というような意見もあった。あと、標準報酬の下限を下げるとか、あるいは被扶養配偶者の給付を行わないといったような意見も出ていたところでございます。
こういう年金部会の意見があって、11月には厚労省として案を整理したわけですけれども、その段階では20時間以上の労働者まで適用拡大をするということ、賃金の方は厚労省案には入れていない形になっておりまして、低い標準報酬区分もつくるとか、被扶養配偶者給付は行わないといった案をまとめたわけですけれども、ただこれは、16年2月に法案にする段階では与党との調整で、与党の中でもヒアリング等を行った結果、16年の改正ではこの短時間労働者への適用拡大は行わないことにし、ただし検討規定ということで下の箱に記載しておりますようなさまざまな点を検討して、施行後5年を目途として総合的に検討せよというような法律上の検討条項が置かれたというのが16年改正の経過でございます。
次の28ページは先程申しました15年9月の年金部会の意見書の該当部分全体を付けておりますので、後程ご覧いただきたいと思います。
次の29ページからは、今度は平成19年に関係する法案を国会に提出した際の経緯です。これも前年18年7月に方向性ということで、パート労働者への社会保険の適用拡大を進めるということを閣議決定し、これをどう具体化していくかについては18年11月に当時の与党の年金制度改革協議会において、適用拡大は格差固定を避けるための再チャレンジ政策ということで重要だということで、実態を踏まえて具体的な方向づけを行う必要があるということで、(4)で「政府においては可及的速やかに各方面の意見の聴取と整理に努められたい」と与党の方から指示があり、これを受けて年金部会の下にパート労働者の厚生年金適用に関するワーキンググループを設け、関係団体のヒアリング等も行いながら案をとりまとめたのが18~19年にかけての流れでございます。
このワーキンググループのポイントは30ページのところに書いてありますけれども、ヒアリング等を経て議論を行いました結果、「労働の報酬により生計を営み、老後は稼得手段を失う可能性が高い被用者については、できる限り被用者年金制度の対象としていくべき。具体的には、労働時間等の面で正社員に近いパート労働者に労使折半で適用という現行制度と同様の考え方の下に、厚生年金の適用範囲を拡大すべき」というようなまとめになっております。
報告書の概要は次の31~35ページまでに付けております。報告書の全体は別冊の参考資料の64~88ページに付けてございます。今日は説明する時間がございませんけれども、是非御参照いただきたいと思います。
ちなみに参考資料1につきましては、88ページまで報告書自体を付けておりますけれども、89ページにワーキンググループをどのように開催してきたかということですが、18年暮れから19年3月までにかけまして、さまざまな関係の団体あるいは関係する労働組合等々あるいは専門家の方々等からのヒアリングをかなり行いまして、3月に報告書をとりまとめたというような経過でございます。
この参考資料を開いたついでに申しますと、91~98ページには、見ていただきますと、このときのヒアリングは2回お呼びしていますけれども、ヒアリング対象でもあって適用拡大に強く反対をされていた団体の当時の反対意見を18年12月のものと、96ページからは19年3月のものを参考として綴っているところでございますので、議論の際の参考にしていただければと思っております。
ワーキングループの考え方のところを先程30ページで申しましたけれども、最初の説明資料の方に戻りまして、ワーキンググループの報告書の内容につきましてどんなとりまとめになったかということを御紹介いたしますと、考え方は30ページ、31ページの下の方の箱にも同じことが書いてある訳ですが、そういうことが基本的な考え方ということです。
具体的な基準をどのようなものにしたかということで32ページから拾って読んでいきますと、まず労働時間等につきましては上から2つ目で「雇用保険の取扱いを考慮して、『週の所定労働時間が20時間以上』」ということ、(3)で賃金水準については「一定以上の賃金を得ている」ということ、そして33ページの中ほどに行きますと、(4)で、勤続期間では2か月というのが現在の健康保険、厚生年金の適用である訳ですけれども、「一定以上の勤務期間を要件として設定する」ということ、あと34ページを見ていただきますと、下の方で「一定規模未満の中小企業について、一定期間適用を猶予する措置を設ける」ということ、ただ適用猶予の期間は事前に明らかにしていることが望ましいというようなことが書いてありますけれども、そういうことだとか、34ページの下の方から2つ目では施行までに十分な期間が要るのではないかといった報告がなされているところであります。また、戻って33ページの「(5)その他の論点について」には、学生とか主婦とか年齢といった労働者の属性だとか、業種、事業主の属性によって適用をするしない、除外するというような考え方は市場にゆがみをもたらす恐れが強くて、基本的にはとるべきではないのではないかというような報告がまとめられているところです。
こういった報告書が3月にまとまったわけですけれども、4月に国会に提出された法案においては、36ページを見ていただきますと、この間一定の与党での調整を経て、4月に閣議決定をされて国会に提出された法案のポイントであります。週所定労働時間20時間以上というのはそうですけれども、賃金水準として報告書では「一定以上」と書いていますが、「9万8,000円以上」と定め、勤務期間については雇用保険と同様に1年以上と定められた。あとマル4で学生は適用対象外とするというのがこの法律案の段階では入りましたのと、マル5で中小零細事業主ということで、従業員が300人以下については一定期間猶予する。この一定期間の猶予は、もう一度法律を定めるまでは猶予されるというような形になったということであります。あと実施は、一番下にありますけれども、これは19年4月の提出法案ですが、諸準備ということで、ちょうど今日になりますが、23年9月1日の施行と当時の法案ではなっていたということでございます。
平成15年以来こういった議論の積み重ねがあって、年金部会の下でのワーキンググループの議論あるいはその後の与党における議論の調整を経まして、19年4月の段階ではこういった一定の基準は設定しますけれども、適用拡大は行うという方針は決定されていて、その後もさまざまな会議で適用拡大の指摘があって、この6月の一体改革の成案では改めて適用拡大という方針が打ち出されたというような経過を御説明いたしました。
37ページ以降はパート労働者の分布です。どういう業種に多くおられるか、どういう企業規模のところに多くおられるのか、また、年齢分布はどうなのかという資料。
また、40ページは、パート労働者の就業調整がよく指摘がありますけれども、それについてどういう現状であるかというような資料。
更に別冊の参考資料2には就業実態に関するもうちょっと詳しい資料も付けておりますけれども、一部の資料を用意しているところでございます。
こういった経緯のある課題につきまして説明資料に沿いまして御説明いたしましたけれども、今後御議論いただくに当たりまして、1枚紙で「想定される主な論点」という資料を御用意いたしました。1回目ではございますけれども、それを紹介いたしたいと思います。勿論これに限定されるという訳ではありませんので、御意見をどんどんいただければと思っております。
まず1つ目で、適用拡大する際に新たに適用対象となる者の範囲、ここが基本的なところになるわけですけれども、大前提としましては、これまでに適用されている方々と同様に、標準報酬を決めて保険料率を乗じて保険料を算定して、これを労使折半で負担をして、医療保険あるいは将来の年金の給付をそれまでに適用されている方々と同様に受けるという考え方を基本としております。その上で、まず時間の基準については、1つ目にありますけれども、19年の法案及び今回の成案では雇用保険と同じく週所定労働時間20時間というものを出しております。また、雇用保険では19年のときは1年だったんですけれども、今は31日以上の雇用見込みということになっていますが、今回の年金・健康保険の方でどうするかということがございます。
ちなみに雇用保険制度における短時間労働者の適用範囲の変遷は参考資料1の108ページ、一番最後の紙に「雇用保険における短時間労働者への適用範囲の変遷」を付けておりまして、先ほど昭和55年の健康保険・厚生年金の内かんで4分の3以上と申しましたけれども、昭和50年代は雇用保険の方も通常の労働者のおおむね4分の3以上というものが掲げられていて、時間もだんだんついてきておりますけれども、その後、週所定労働時間が44時間の下に22時間となり、20時間という形になった。そして雇用期間見込みの方も近年、平成21年以降更に短縮が進んで、6か月、今や31日となっているような経過でございます。
戻りまして、今回こういった適用の要件をどうするのかというのが基本的な論点になって、成案では、雇用保険制度と同じだったら400万人というようなことで、それを念頭に置いてはいる訳ですけれども、こういった時間とか期間の要件だけとするのかも大きな論点であろうと思っております。すなわち、なぜ今回この適用拡大が必要なのかというのをどう考えていくのかなんですけれども、考え方として、被用者としての年金制度の対象になるべき人が現在国民年金の対象ということで区分けされて、将来の給付も十分でない、格差問題にもつながってしまうということから、できるだけ社会保険の対象にして基礎年金だけではない年金を保障していこうと考えるとした場合の議論としてですが、生計の中心ではなくて、その家計においてはその収入は補助的な役割にとどまるような方について、その人固有の2階部分の年金があるようにしないといけないと考えるのかどうかというような話、また、学生については卒業して以降の30年40年で自らの年金を形づくっていくことになるのではないかとか、あるいは既に年金受給権を得ている60歳以上の方とか、こういったことをどういうふうに考えるかも論点としてあるだろうと。ただ、先程も紹介したとおり、19年の報告書では、学生、主婦、年齢といった労働者の属性によって区分するのは本来よくないということも考え方としてあるわけですので、そういった点も含めた御議論が要るんだろうと思っております。
次の2つ目は雇用への影響ということで、こういった適用基準を見直すことに伴って負担関係が変わってきますから、これによって企業が雇用自体を抑制するのではないか、あるいは、企業や労働者が適用にならないような形での労働時間の短縮という要求をしたり、給与の方にも影響してくることにどう配慮するのかといったことも論点になってくるんだろうと思います。
3つ目は、19年の法案では中小企業については一定期間適用を猶予したり、しかし特定の業種に対する特別な措置は講じはしなかったということなんですけれども、今回はどうするのか。また、負担に大きな変化が出る、あるいは事業所側の事務負担も一定程度あることになりますので、こういったことにどういった配慮を行って円滑に実施できるようにしていくか。そしてそれは社会保険の厚生年金や健康保険の中での負担等の調整にとどまらず、雇用政策、産業政策としてどういった支援、配慮が考えられるんだろうかというようなことも幅広い御検討をいただければと思っております。
その他ということで、適用基準を見直す場合に社会保険制度内の整合性等に関して整理をしておかなければならない論点を中心に記載しております。
多少細かくなりますけれども、1つは最初に標準報酬の下限を書いております。これにつきましては参考資料1の100ページをごらんいただきますと、厚生年金の保険料の料額表を付けてございます。標準報酬が9万8,000円~62万円までの30等級に分かれております。それぞれの報酬月額に応じた形で、どの区分に当たるかということを当てはめるわけですけれども、左から2段目、報酬月額が10万1,000円に満たない方はすべて標準報酬は9万8,000円であるということになります。途中はずっとそれぞれの束があって、報酬月額60万5,000円以上の人は62万円でやるということになります。これが保険料の算定の基本となり、そして将来の年金給付を算定するための基本に使われることになります。
この9万8,000円の根拠、なぜ9万8,000円に定めているかといいますと、106ページに資料を付けております。平成12年に9万8,000円という下限額を定めたときのものです。要は現在の最低賃金に当てはめたものですけれども、最低賃金×8時間×19日という月間日数でやりますと大体9万8,000円くらいというようなことで、こういう形で定めたものであります。現在でも正直これの4分の3の日数あるいは4分の3の時間であっても社会保険の対象となるという訳ですので、これより低い方で厚生年金や健康保険の対象になっている方がいる訳です。健康保険の方に関していえば、先ほどの99ページをご覧いただきますと、年金は一番下は9万8,000円にしている訳ですけれども、健康保険の方は5万8,000円、6万8,000円、7万8,000円、8万8,000円、それぞれ1万円おきに4つの等級が設けられていることになっております。これは年金については負担した保険料、言い換えればそのときの報酬を基に将来の年金を算定するということですから、それが小さくならないようにするという考え方ですとか、もう一つ、労使合わせた厚生年金の保険料が例えば5万8,000円×16%ですと大体1万円弱になるわけですけれども、これの負担で基礎年金に加えて厚生年金も受給できることになる訳ですので、そのことと、一方、国民年金に入ると1万5,000円の保険料で基礎年金だけだということとのバランスをどう考えるかということもあって、報酬の下限を健康保険と同じようには引き下げないできておりますが、今回基準の見直しに当たってこれをどうするか。16年の年金改正のときの年金部会意見書ではこれは下げるべきだと言われていました。だけれども、現状はこうなっているということです。今回、短時間への適用拡大によって下限見直しを行うとした場合に、今でも健康保険にもあるように月収7万、8万円なのに9万8,000円の標準報酬等級が適用されている方がいるわけですが、その方はどうするのか。9万8,000円のままにするのか、この際下がるのだから下げるようにするのか、短時間だけの特例にするのかといったことも一応論点としてはあるんだろうと思っております。
こことの関連にもなりますけれども、新たに適用対象となる短時間労働者に被扶養の配偶者がいた場合、現行制度のルールに従って年金でいえば第3号被保険者とするのかどうか。これは低い報酬に対応する厚生年金保険料、先程の例でいえば1万円弱のような保険料負担で、将来本人の基礎年金、本人の厚生年金に加えて配偶者の基礎年金も受給できるということになるわけですけれども、そういうことでいいのかどうか。これも15年の年金部会意見書は被扶養配偶者給付は行わないことにしてはどうかという意見を出されております。
論点の紙に戻りまして、今、そのことを2つ目で申しました。被扶養を第3号被保険者と取り扱うか。
3つ目は、国民年金の方、先程触れましたけれども、1万5,000円を払って基礎年金だけという方とのバランスをどう考えるかということなんですけれども、これはなぜそういうことが起きるかというと、つまり報酬が低い厚生年金被保険者の給付が有利に扱われているではないかということなんですが、それは厚生年金のグループの中での助け合いということで、厚生年金の中の報酬の高い人の保険料が回って賄われている訳ですので、別に国民年金グループからその分お金が回っている訳ではないので別に問題視する必要はないのではないかという考え方もある訳です。この点については先程の15年9月の年金部会では、詳しい方に付けていますけれども、両者の均衡を考えるべきという意見と、同等には考えられないのではないかという両論あったということを紹介させていただきます。
論点の4つ目は、適用基準を例えば20時間と見直しをして、月額10万円に満たない収入であっても社会保険の適用対象としていくということを考えた場合に、130万円の被扶養の認定基準の方を維持したとしますと、新しい20時間基準の下で社会保険に加入して自ら社会保険料を納める方の年収は130万円より大分低い額になる訳で、そういった自ら保険料を払う人の年収より高い年収130万に近いような方が、自らは保険料を負担しないで将来の年金給付を受けられたり、医療保険の給付を受けられることになるのはそのままでよいのだろうかという論点は当然出てくるだろうということで、論点として上げております。
この130万円の基準につきましては参考資料1の102ページをご覧いただきますと、130万円の基準がどう推移をしてきたかということになります。隣に税制の非課税限度額を付けておりますけれども、平成元年までは90万円とか100万円とか、税制の非課税基準と基本的には同じで被扶養配偶者の認定基準も定められていた訳ですが、平成4年、5年で被扶養認定の基準だけが引き上がって、現在は130万円と、基礎控除の見直しの関係で3万円税の方が変わっていますけれども、そういうことになって、そういう状況が20年近く続いているということです。この問題はそもそも年金に関しては第3号被保険者制度をどうしていくのかという問題とも密接に関係しまして、もう一つの年金部会の方での第3号被保険者制度の議論の際にも論点になるだろうと思っております。
また、医療保険については、従来から保険者機能が充実している被用者保険で被扶養者をカバーしていこうという考え方も別な考えとしてある訳でございまして、社会保険の適用基準との関係も深いので、ここでも論点として挙げています。ここで掲げております他の課題についての考え方と併せて、年金部会にも報告、医療保険の部会でも報告ですけれども、そういったことになりますので、全体の議論は整理されていくことになると思っております。
ちなみに参考資料2の方の就業実態の資料、余り触れておりませんけれども、一番最後の33ページに、先ほど本体の方の説明資料にも付けましたが、就業調整に関する資料を付けてございます。この図を見ますと、就業調整をしているという短時間労働者が20~25%いる。その理由としては、下の方で年収が一定額を超えると税金や社会保険料を自ら負担する必要があるということを上げているということです。中ほどに4分の3以上になると健保、厚年に加入しないといけないからというのも1割くらいおられる。ただ、上のグラフを見ていただきますと、調整をしていないというのが65.9%とか68.9%というようなことではありますけれども、左側の方に、能力とか機会がありながら自ら働く時間を調整させるような基準となっている面があることにも留意しながら、適用基準とのバランスを考えていく必要があるだろうと思います。
なお、この資料の下の方の就業調整をしている理由の右から3番目に「現在支給されている年金の減額率を抑える又減額を避けるため」ということが平成22年で9%ほどおられる。ここは、厚生年金を受けながら厚生年金の適用を受ける働き方をした場合に、60代前半は年金月額と月給を合計して28万円を超えますと、超過分の一部について年金額を減らされるという在職老齢年金という仕組みがある訳です。これを前提としているものですけれども、この点については先程説明しませんでしたが、今回の成案の中ではこれを見直しして、60代前半についても合計が46万円まで調整しないという案にしてはどうかということも併せて提案しています。これも別途年金部会での検討課題でありますけれども、そういった改正に仮になりますと、短時間労働者で年金と月給を合わせて46万円ということを意識することはそれほど必要なくなるのではなかろうかとは考えてございます。
論点の紙に戻りまして、そのほか均等・均衡待遇などの雇用関係施策との整合性の留意もありますし、厚生年金、健康保険の適用も現在の対象事業所、従業員への適用をどう円滑化させるか、また拡大後の対象者に対してどう適切に行っていくかも大事な論点ということを指摘してございます。
最後に、資料3は「今後の進め方(案)」ということで、冒頭に局長から申しましたように、成案においてはほかの改革項目と同様、来年以降法案提出して順次実施ということですので、年内の議論とりまとめをお願いしたいと思っておりまして、そのために月2回ペース、9月は今日を除いて2回の審議をお願いするということで、その途中では関係団体ですとか有識者からのヒアリングも2回程度挟んで、実情をいろいろ把握していただきながらさまざまな論点について委員間での御議論を行っていただいて、11月、12月までの6~7回の議論で一定のとりまとめをお願いできればと思っております。
長くなりましたけれども、以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 資料を御説明いただきましたけれども、年金と医療保険と労働政策に関係し合うようなお話でありますからなかなか難しい問題もあるかと思います。ただいまの御説明があった中で御質問、御意見あるいは今後の当部会の進め方についての御提案でも結構でございます。初回でございますので、フリーディスカッションにあと1時間少々を当てたいと思います。どなたでも結構でございますので御発言いただければと思います。
 小島委員、どうぞ。
○小島委員 小島です。では、口火を切るということで。
今、年金課長からこれまでの経緯について詳しく説明をいただきました。論点についても御説明がありました。私も前回の16年改正のときの年金部会のメンバーでありましたので、私が発言したパート等の適用拡大についても意見として出されています。
そういう意味では今回のこの特別部会の議論の進め方としましては、今までの議論の到達点を共有化して、そこからスタートすることが基本的には必要ではないかと思っております。短時間労働者に対する厚生年金適用拡大の是非からではなくて、今までの議論の到達点、廃案になりましたけれども被用者年金一元化法案の中で示されたところからまずスタートすることが必要ではないかと思っております。そして今回の一体改革の中で示されているのは、雇用保険と同じような基準ということで、更に拡大をするという内容です。そのため、現実的な対応としてどう進めるかという議論が必要ではないか。そういう意味では今日示された論点も踏まえて議論する必要があるのではないかと思っております。
その前提としての共通認識を持つ必要があると思います。年金制度についてはいろいろ問題があるのですけれども、私が日ごろから感じております問題を2つお話しします。
1つは、皆年金制度が確立して50年経つと冒頭のところで年金局長からお話がありましたが、その皆年金制度が今や危機的な状況にあるのではないかと思います。最大の問題は、第1号被保険者の保険料の納付率が60%を切っていること、しかも20歳代の保険料納付率は50%を切っているという現実があります。そのため、今の20歳代30歳代の人が将来無年金あるいは低年金になってしまう恐れがあります。まさに日本の誇るべき皆年金制度が維持できるかどうかという状況に来ているのではないかと思っております。
その最大の要因としては、第1号被保険者の中に短時間労働者あるいは中小零細事業所の労働者の比率が高まってきたということ。しかも、不安定雇用あるいは低賃金ということもあり、国民年金の保険料の月額1万5,000円が払えない人たちが増えているという現実を直視しなければならない。
もう一つは、年金制度全体の財政の在り方の問題であります。今日の説明資料の中でも、全体としての公的年金の保険料収入が32兆円で、基礎年金の国庫負担分が12兆円くらい、合わせて44兆円の収入で、支出の方が52兆円ということでありますので、その差の8兆円分は年金積立金の運用だけでは埋められないため、実質的に積立金を取り崩しているという現実があります。そういう意味では、保険料を負担する支え手をどう増やすかという観点も極めて重要だと思います。
また、第3号被保険者の保険料を誰が負担するかということも大きな課題だと思います。第3号被保険者の問題については年金部会で議論していただくということでありますが、第3号被保険者の負担を今は被用者年金の第2号被保険者が負担しているという仕組みです。第3号被保険者を減らすという意味では、短時間労働者の厚生年金の適用拡大を通じて第2号被保険者を増やしていくことで、年金全体の財政の支え手を増やしていくことも極めて重要なテーマだと思います。
そういう現状認識を十分踏まえた上で、今回の短時間労働者に対する適用拡大については議論を進めるべきと思います。これまでの到達点、まさに廃案になりましたけれども一元化法案に示された適用拡大の要件がありますけれども、更にどう適用拡大をしていくのか現実的な議論を行っていくかということが必要だと思います。そういうような方向での議論を是非お願いしたいというのがまず冒頭に私からの発言であります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
 恐らく多くの委員の方々はほぼ同様の御意見をお持ちではないかと思いますけれども、改めて小島委員からこのような御提案があったわけです。年金部会の方でずっと先行してきた議論でありますので、それなりの議論の蓄積があるということです。医療保険の方への適用という課題は今回初めての議論になりますけれども、年金の方の議論がそのまま適用できるような部分も多かろうということなので、そういった議論も踏まえながら今後議論を進めていくということではどうかというお話だと思います。
 他にございますでしょうか。ただいまの小島委員の意見に対する御意見でも構いませんし、何でも結構でございます。
 霜鳥委員、お願いいたします。
○霜鳥委員 年金の方のこれまでの議論がわからないので1つ確認なんですけれども、特に一元化法案を出したときの与党は確か自民党、公明党だと思うんですが、これが廃案になった経緯はどういうことなんでしょうか。
○梶尾年金課長 19年4月の与党は自公政権、前政権です。19年4月に法案を国会に出しましたが、出した後は、国会の側での様々な法案の中の順番等だと思いますが、結局審議入りをしないまま2年余り経って、衆議院解散に伴って廃案になったというような経過でございます。
○遠藤部会長 霜鳥委員、よろしいですか。
 他に御意見はございますか。
 貝谷委員、どうぞ。
○貝谷委員 私の方からはお願いが1つございます。
 先程来、年金の議論が大変重い課題だという御説明はそのとおりだと思いますが、私は全国健康保険協会、医療保険の保険者という立場で考えましても、やはりこの短時間労働者の方々がどういう適用をこれから受けていくのか、適用関係の変動が恐らく出てくる訳で、今後どういう適用になっていくのか、あるいはそれによって各保険者の保険財政にどの程度の影響が見込まれるのかということを、実務的な話で大変恐縮でございますけれども、是非そこを一度試算といいますか、シミュレーションしていただいて御提出をお願いしたいと思います。どういう前提を置くか。先程小島委員の方からは一元化法案の前提でというお話がございました。それに拘らず、少しバリエーションを持って複数の前提でも結構でございますので、我々が今後具体的に議論を進める上に当たって目安となるような試算を、できるだけ早い方がよろしいかと思いますが、是非御提出をお願いしたいと思います。
 もう一つ、これはテクニカルな質問なのかもしれませんが、先程被扶養者の認定基準で130万円の基準というお話がございました。この20年近く変わっていないということなんですが、先程の経過を見ますと、この基準自体は年金との関係もございますけれども、医療保険の関係でいきますと、保険者機能との関係で適用拡大が云々という御説明がありました。どういう理由かはわかりませんが、基本的には引き上げられてきた、そういう方向での拡大が図られてきた訳です。一方、先程のお話を伺いますと、主に年金との関係でいきますと、場合によっては逆に今度は引き下げを行うというような問題認識が事務局の方におありというふうにお聞きしたんですが、その辺が今後どういう問題認識になるのか。医療保険にとっても大変大きなテーマだと思いますので、是非そこは、130万円がどういう考え方なのか、医療保険にとってどういう意味合いがあるのかということを、過去の経緯なり、参考になるような資料を御提出いただければ大変ありがたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
医療保険への適用の議論は今回初めてでありますので、どうしても年金の議論がベースになってしまうということです。貝谷委員は、それに対しまして医療保険の場合は保険者の個々の財政という問題が出てまいりますので、これを議論していくときの個々の保険者における財政シミュレーションを出していただきたいと。これは御要望だった訳であります。
もう一つは、先ほどの話で130万円の扱いを年金と医療保険でどのように考えるのかということで、これは事務局のお考えをお聞きしたいという理解でよろしいですね。
そういうことで、もしそのことについて事務局で何か御回答ができるのであれば、今、お願いしたいと思います。では、事務局、お願いいたします。
○西辻保険課長 保険課長でございます。
2点、今、貝谷委員から御意見、御質問をいただいたかと思いますが、まず1点目の試算の関係でございます。これは次回以降、年金、医療保険いずれにつきましても試算をお示ししたい。その上で当然負担という観点から考えて、例えば事業主の負担がどうなる、移ってこられる加入者、被保険者それぞれの方の負担がどうなるということ、特に医療保険につきましては医療保険制度が分かれておりまして、保険者も沢山ございますので、少なくとも保険者の類型ごとにどういう影響が出てくるのかということも併せてお示しできるようにしたいと考えております。
 2点目の130万円の被扶養者の認定基準についての御質問でございますが、先ほど年金課長の方からの説明では、130万円の基準を考えるに当たっては、1つは年金の方では第3号被保険者の取扱いをどうするのかという問題とも関係があるということ、医療保険については過去の経緯としてそういった被扶養者の医療保障を被用者保険の方でできるだけカバーしていこうと。従来、医療保険制度はそれぞれ被保険者、被扶養者あるいは国民健康保険というところで給付率が違っていた時代もありますし、現在でも相対的に国民健康保険と比べて被用者保険、特に健康保険組合で付加給付が充実しているところもございますので、そういう考え方があったという事実関係の説明をさせていただいたと承知しております。
○遠藤部会長 貝谷委員、どうぞ。
○貝谷委員 今後の議論かと思いますが、第3号被保険者の扱いとの関係でいきますと、先程の御説明では130万円を少し下げるという方向での問題意識がおありだったように思うんです。今のお話ですと、確かに今、被用者保険間でそれほど大きな給付の格差はないんですが、ただやはり被用者保険の方と国保と比べますと、どちらを選ぶかと言われますと被用者保険の方が若干まだいろいろな面で御本人にとってはいいという点もありますので、そういうことからすると果たしてそれを下げていくのがいいのか、あるいはそこをどう考えていくのかというのは、医療保険の場合には少し違った考え方が出てくるような気がしますので、そこは今後の議論かと思いますが、そういった議論に参考になるような資料を御用意いただければ大変ありがたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 重要な課題だと思いますので今後議論すると思いますが、そのときに適切な資料の作成をお願いしたいと思います。
他にございますでしょうか。
白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 今回初めて参加させていただきますので若干初歩的な質問だとは思いますが、2点程あります。
 1点目は、そもそも何のための適用拡大なのかというところを、制度を変える場合には説明責任という意味からももう一度明らかにしていただいた方がよろしいのではないか、ということです。適用拡大することが貧困格差の拡大を防ぐとかセーフティーネットになるとご説明がありましたが、両者の関係はそれほど単純ではありません。そこでは、制度改革にあたっての複数の軸足の優先順位を明らかにすることも大切だと考えます。今回の制度改革の試みに財政問題が絡んでいることは理解できますが、適用拡大の対象となる肝心のご本人たちが今回の制度改革で本当に今までの苦しい状況がよくなるのか、安心が増えるのか、についてもう少し丁寧な説明が必要なのではないかと思います。
そういう意味で、被雇用者としての中立性という言葉を出されたんですけれども、これについても若干注意が必要で、適用拡大によって労働者内の格差が解消されて中立的になるとはいえません。そもそも、パートタイマーの低賃金問題をはじめ、労働者内に小さからぬ格差があることは事実です。
2点目としては、本件についてはいろいろな懸案が絡んでおりますので、議論としてどれだけ越境が可能であるのかということです。つまり低賃金問題というのは一つですが、企業にとっての負担ということになりますと、やはり法人税の問題も避けては通れないと思います。そこで、議論の越境の範囲としてどの程度許されるのかを、若干確認をさせていただきたいと思いました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 そもそもの目的は何かということで、従来年金制度の話をしているときには主に財政の話、それにもう一つは年金権、本人に対して将来年金が多くもらえるというようなことが1つの目的だったと理解いたしますけれども、もう一度再整理する必要がある。とりわけ医療保険にも拡大されますので、医療保険は財政的なという点では理屈はつく訳でありますが、本人給付分ということではどうなのか。更には企業の負担について、これは当然議論はされる訳でありますけれども、その辺のところがあるので、もう一度基本的な目的を明確にするという作業は避けられないのではないかという御提案だったと理解いたします。
 他に御意見はございますでしょうか。
 佐藤部会長代理、どうぞ。
○佐藤部会長代理 今、小島委員も白波瀬委員も言われたように、資料2の論点の前提の部分が一応共有されているということで論点が出てきていると思うのです。基本的には適用拡大するとすれば年金と医療保険を同じに適用するという前提があって、その中でどう制度設計していくかという論点が出てきているんだと思うんですが、前提のところは少し押さえておいた方がいいだろうというのは御指摘のとおりだと思います。ただ、我々としては社会保障・税一体改革成案がここでの議論の大枠であり、それを超えてはいけないという意味ではないのですが、一応整理はされている。今回の社会保障・税の改革の方向性を大枠としては前提としてそれを踏まえてやっていくという。これをまたゼロから必要性を議論するというのはなかなか難しいと思いますので、議論を広げてはいけないということではないと思うんですが、今回でいえば生き方とか働き方に中立的な制度にし、セーフティーネットに落ちてきた人を拾うというような方向性の中で出てきたということは踏まえておいた方がいいのではないかとは思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 申し訳ございません、途中でございますけれども、高岡委員がいらっしゃいましたので御報告をさせていただきます。先程お1人ずつ御紹介したものですから、今、いらしたことを皆さんに御紹介したということで、特段ご挨拶は結構でございます。
 それでは、中島委員、どうぞ。
○中島委員 中島です。
先程少し制度の中立性というキーワードも出てまいりましたので、幾つか意見を言いたいと思います。
 まず1つは、客観的な状況として、非正規労働者が4割にも近づいているという状況は、今、経済的に貧困であったり、自分の保険を持たない方たちが、将来低年金や貧困に直面をしていくということです。こうした状況は、社会の持続性とか、あるいは社会保険という日本の社会保障を支える大きな土台である制度の持続性にとってどうなんだろうかと。例えば、医療保険では健保組合があり、協会けんぽがあり、地域保険である国保がありますけれども、健康保険制度間の構造的な中立性が危ういという問題もあると思います。今、働いているにもかかわらず国保に入っている方が大変たくさんいて、地域保険に対するプレッシャーがものすごく強くなっている。国保では低所得者を含めた非正規労働者の方の医療を支え切れないような実態があると思います。雇用労働者と高齢者あるいは農業や自営業の方を含めて地域保険の実態についても是非資料を出していただいた方が、保険制度が抱えている問題のリアリティーが見えてくるのではないかと思います。
 国保について、世帯で複数の方が働いている場合はいいのですが、単身で非正規で働いている方で国保の場合は、年金の定額負担もあり、国保の保険料も含めて相対的に割高になると思います。こういう層の負担問題は放置できないと思っておりまして、シミュレーションデータを是非出していただき議論させてほしいと思います。現行制度は、ライフスタイルにとって決して中立的ではありませんので、そこも重要な観点になると思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 恐らく医療保険の方の議論をするときには当然保険者に関しての状況、あるいは先程出たシミュレーションも含めてそういうデータを出していただくことになると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。
 加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 加藤でございます。
今後の議論を進めるに当たっての1つのお願いなんですが、短時間労働者の労働実態がもう少し細かく捉える必要があるのではないかという気がいたしております。例えば時間の問題が議論になっておりますけれども、30~40時間、20~30時間、10~20時間というようなスケールでどういう構成になっているのが実態なのか、それぞれの労働時間の階層の中で第1号被保険者の方と第3号被保険者の方の割合がどうなっているのか、あるいはそれぞれの中での収入が幾ら位の水準が今、実態なのかというようなことを、議論を進めるに当たってデータを共有できるとありがたいかなと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
そういうできるだけ精度の高い、細かいところまでわかるデータがあれば有効である、有益であるというお話でありますけれども、一方でそういうデータがそもそもあるのかどうかという問題もありましょうし、その辺は事務局として何かお考えはございますか。労働統計というのはなかなか難しいような感じもする訳です。
○梶尾年金課長 今のような御要望につきましては、部会長からありましたようにどうしても制約があるのですけれども、どういった工夫ができるかも含めてできるだけ検討させていただきたいと思います。
○酒光参事官 申し上げたとおりだと思いますけれども、おっしゃられたものでぱっと聞いてとれるものもあるとは思いますが、全部がとれるわけでもないと思いますので、その辺はよく精査して調べていきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。労働政策担当の参事官の発言でございました。
 他にございますでしょうか。
 平田委員、どうぞ。
○平田委員 平田と申します。
私は新聞折り込みの求人広告を発行しているアイデムという会社におります。新聞折り込みは実際には中小企業さんがパートさんの募集をするのに非常に多く使われるということから、中小企業の方、パートで働く方と強い関係を持つ立場にあります。主婦パートの方ですけれども、今の130万円を上限にしてかなり就労調整をされている方もいらっしゃり、その辺りはいろいろな環境の方によるのですが、やはり何かの制度が働き方とか生き方をすごく制限させてしまうのはよくないのではないかなと思っています。
一方で、中小企業さんの方なのですけれども、やはりないそでは振れぬというような形で、パート労働法が改正された折も正社員と同じような働きをするパートさんについては処遇を同じにすることが義務化されたわけですが、そうしたくないがためにパートさんの働き方を正社員の指示を得ないと動けないように制限するというようなことが実際に行われたりしていました。
ですので、これは難しい問題ですけれども、どこに落ち着くにしても理念を持って制度設計をして、それが企業の方、働く方にちゃんと通じて、こういう下でみんなで国をよくしていきましょうというふうに、その理念がちゃんと伝わることが多分大切で、本当にみんなに平等ということは難しいのかもしれませんが、そんな議論に私が持っている情報をもって参加させていただければと思っております。
済みません、ちょっと意見でした。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 この議論の中で、もしお持ちの資料があった場合に、それは委員提出資料というのは可能ですね。一応部会長である私に判断させていただいて、適切であると判断した場合には委員提出資料も可能だと思います。それはほかの委員の方々もそうだと思いますので、もし何かデータがおありになるようなことがあれば御提出を考えていただいてよろしいかと思います。
他にございますでしょうか。
 霜鳥委員、どうぞ。
○霜鳥委員 今の資料の件なんですけれども、私どももこれについて問題意識を持っておりまして、実は佐藤先生を委員長にいたしまして私どもで研究会を開きまして、研究の報告書が出ております。それについては是非御了解の下に委員の方々に配付させていただきたいというのが1つでございます。
○遠藤部会長 先程と同様の対応でさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○霜鳥委員 その中で、私どもの推計だとこの対象者が477万人で、厚生省の方の400万人とちょっと差があるので、400万人の根拠みたいなもの、どういう出し方をしたのか教えていただきたいということが1つでございます。
 それから、この報告書にあって私どもが一番危惧しておりますのは、業態別に非常に影響が違います。特に小売とか外食産業に対する影響が非常に大きくなる。かつ今、高齢者の負担金によって人数割りで負担が来ますので、この政策変更によっては影響が出ます。先ほど貝谷委員の方からもシミュレーションの話がありましたけれども、私どももこの辺は非常に危惧しているところでございますので、是非やっていただけたらと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 400万人については今、御回答できますか。
 事務局、お願いいたします。
○梶尾年金課長 400万人は幾つかの統計を組み合わせて推計したもので、ちょっと何もなしで説明するのは大変ですので、次回以降で御説明したいと思います。
○遠藤部会長 正確な御回答をされたいので、もう少し時間を頂戴したいということです。よろしくお願いいたします。
他にございますでしょうか。
 杉山委員、どうぞ。
○杉山委員 パート労働者を多く支えるサービス・流通連合ということで、今、10万人ほどパート労働者が組合員として所属しております。
先程も平田委員からもパート労働者が何かによって働き方を制限されるのはよくないというような話がありましたが、1つ今回「想定される主な論点」という資料2の中で、1枚目の3つ目に「生計の中心ではなく家計において補助的な役割に留まるパート労働者」という記載がございますけれども、果たしてそうなのかという問題認識を持っております。現状、世帯当たりの所得金額は減少傾向にあります。そうした中でパート労働者の家計における役割は、補助的というよりは重要な役割を担っていると理解すべきだと思います。多くのパート労働者は、現状は家計を支える重要な役割を果たしているという認識をすべきではないかと考えております。
また、併せてパート労働者の職場における役割や責任の高まりについても十分な認識をしておくべきだと思います。今、4割を超える形でパート労働者が増えてきているような状況で、直近でも38.7%という数字が出されましたけれども、私たちJSDにおいても4割を超えている状況でございます。この数字が表すとおり、パート労働者は流通・サービス産業においては欠かすことのできない重要な戦力だと認識をしています。しかし、そのことは労働集約型産業である産業においてパート労働者が量的な労働力にとどまることなく、企業の生産性向上に大きく寄与していることをお伝えしたいと思います。
この間、企業は人件費抑制のためにいわゆる正規雇用社員から非正規へのシフトを図ってまいりました。これによってパート労働者の業務量は拡大しておりまして、その役割は高まっていることは言うまでもありません。しかし、その役割は、定型的な業務をこなすことにとどまらず、生活者といった視点での企画立案への参画であったり、業務改善の提案など、パート労働者の果たす役割は企業の収益向上に非常に大きく寄与してきていることも事実かと思います。今回の議論におきましてはパート労働者が生計、家計に果たす役割とともに、職場における役割も確実に変わってきていることも十分認識した上で議論していくことが必要だということでございます。意見でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 事務局、どうぞ。
○梶尾年金課長 ありがとうございました。
 今の御指摘に関して、この論点の3つ目は私どもの表現が誤解を招くといいますか、今、誤解されたのだなということがよくわかった訳ですけれども、パート労働者の中でかなり生計の中心を担っているような方が増えてきていて、そういった方が社会保険に入れずにいるというのが問題だということがそもそもの問題設定ですので、パート労働者は補助的な役割だという位置づけで考えている訳ではないのです。
その上で、ここで書こうと思ったのは、その下に学生とか60歳以上と書いてありますが、パート労働者の中にもその御家庭においては生計の中心ではなくて補助的な役割にとどまっているような人もいるだろう。そういった人も同じようにやるのか、そういった人は別に考えることがあり得るのかどうか。ただ、別に考えるといっても、どうやって線を引くのかは正直難しいところはあるのですけれども、そういった論点もあるのではないかということを書いたということで、パート労働者全体が補助的だというつもりで書いた文章ではないということだけを補足させていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
他に御意見、御質問はございますでしょうか。
 藤原参考人。
○藤原参考人 代理でございます、経団連の藤原と申します。
 大きく1点お願いと3点程細かい点について指摘をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、先ほどから何回も御議論が出ていますけれども、前回は年金を中心に議論が行われたんですが、今回医療保険もということになるとますます経済的な影響、特に先程健保連の方がおっしゃいましたように、特定の業種に大きな影響が出るということはあらかじめかなりわかってきておりますので、その方々の意見、特に医療保険に関する影響についてはまだ御議論されていない部分が結構あると思うので、しっかりと意見を聞いておく必要があると思っています。前回もこの業種の方々がかなり強い反対運動をされていまして、政治的にも動かれるということがあって、なかなか議論が進まないということでは、せっかくここまで議論が行われていることが前に進まないことにもなりますので、しっかりと意見を聞いておきたいなあと思います。
 あと3点ほど、細かい点にはなりますけれども指摘をさせていただきたいと思います。
今、短時間労働者への適用拡大ということで制度設計をしようと議論が始まっているわけですが、その議論をする際にも、やはり現在でもフルタイムで働いている、しかし適用除外になっている部分についてどう整理するのかということも併せて整理しておかないと、制度設計の説明責任が果たせないのではないかと思いますので、その点も御議論をしていただければと思います。
 2点目は、医療保険の方は適用拡大をするとなるとかなり複雑な事務が必要になってくるのではないかと予想されます。端的に示される例として1点申し上げますと、短時間労働でされていて複数の事業所にお勤めになっている方についてどう捕捉していくのか、どう負担していくのか、どこの保険に所属していただくのか、こういう問題がかなり複雑になってきます。こういう点を整理しておかないとなかなか実務に落とせないという問題がありますので、申し上げておきたいと思います。
 3点目は、これも忘れられがちなので敢えて申し上げるだけなのですけれども、厚生年金の保険適用になりますと、これに自動的に児童手当等拠出金という事業主負担が必ずついてまいります。つまり0.13%上乗せになりますので、その分も負担が増えるということについてはお忘れいただかないようにシミュレーション等では入れていただきたい。
 3点でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 医療保険については新たな議題という形でやることになりますが、年金の議論は今までやってきたことを整理して、それをまたベースに再度議論をするということは当然やる訳でありますけれども、医療保険については新たなデータ等も必要になってきますので、それは先程来、出ている話でありますので、その議論も時間をかけてしっかりやっていきたいと思っております。
他にございますでしょうか。
 佐藤参考人、どうぞ。
○佐藤参考人 日本商工会議所の坪田の代理で参りました佐藤と申します。
 2点申し上げたいと思います。
 1点目は、何人かの方がおっしゃられましたが、今後の議論に当たりましてデータあるいは試算を出していただきたいというお話でございます。先ほど業種のお話も出ましたけれども、年金、医療それぞれ財政被保険者の方あるいは事業主の負担、いろいろな観点があるかと思いますが、データを出していただくときに企業規模の観点も是非入れていただきたいと思います。本日の資料1の38ページだったかと思いますけれども、パートで働く方々の多くが中小企業で働いておられます。また、企業の側から見ると、人数規模の小さい企業で、働いている方全体の中のパートの方の割合が高くなっているというデータがございます。どういう条件を設定するかによりまして適用拡大による、企業あるいは賃金、雇用への影響も非常に大きく変わってくると思います。いろいろデータを出していただいて、それを拝見して慎重に議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 もう一点、念のため申し上げたいんですが、資料2の論点の一番上のところでございます。週の労働時間につきまして19年法案で雇用保険と同様の20時間、そのあと「一体改革『成案』でも同じ案」とごく簡潔に書かれているんですが、資料1の中にも一体改革成案の別表がそのまま入っていますけれども、一体改革成案のところでは「例えば雇用保険並びにまで適用拡大すると約400万人」という書き方になっているかと思います。これは、一体改革成案の中では、「雇用保険と同様の20時間」というのは、あくまで1つの例ということで書かれていると理解しております。確認の意味で申し上げました。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 今後の分析をする中で企業規模に配慮したような形のデータの提出をしてほしいという御要望と、あとは一体改革の中で書かれている内容についてこういう文言は適切ではないのではないかということでしたが、事務局、何かございますか。
 年金課長、どうぞ。
○梶尾年金課長 資料の方はまたどういったものができるか可能な範囲でと思います。
あと論点の書き方は、また事実に即して今後考えていきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
他に。
 高岡委員、お待たせいたしました。
○高岡委員 立教大学の高岡でございます。
 先程から何人かが指摘していますが、業種によってかなり影響の出方が違います。また、私は小売や流通・サービスを専門にしていますが、今回の社会保険の適用拡大の影響が流通・サービス分野で大きいということはパート労働者の業種別割合を見れば明らかなものの、さらに細かくみれば、企業規模で二つに大別でき、大手のチェーン企業と単独店に分けられるので影響の出方が異なります。さらに言えば、実はチェーン展開している企業の中にも、スーパーのように直営店のチェーンを組んでいるところは事業主としては1つになる訳です。ですから、会社が社会保険料の負担をするという金銭的な負担という形で表れてきます。一方で、チェーン組織には、例えばコンビニエンスストアのようなフランチャイズチェーン組織もございます。この場合は、店舗の経営主体は加盟店となるわけなので、事業主としては本社とは別です。つまり、大量の中小零細企業が店舗を構えている。そこに今回適用拡大ということになると、金銭的な負担もあると思うのですけれども、企業規模が小さいがゆえに手間といいますか、手続的な負担がものすごく大きくなってくると思います。ですから、この業種別割合だけを見て、流通・サービス業が一括りに一番影響を受けますねということだけではなく、チェーンの組織形態によって影響の出方が全然違ってくるという認識が必要だと思います。2回目以降、資料作成・配布ですとか、あるいはヒアリングをする場合にこの点に目配りをされて、そこは一くくりにしないで意見あるいは資料を出していただいた方が、より議論が建設的な方向に進むのではないかと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
重要な御指摘であります。ヒアリングなどをするときにはそういう配慮は多分できると思いますけれども、データをとるときに果たしてどこまでそれがあり得るかどうかというところはまた制約条件としてあるかと思いますが、できるだけ御配慮いただくという形で対応していただきたいと思います。
他にございますでしょうか。
 瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 瀬戸でございます。
 資料の17ページに菅前内閣総理大臣の答弁がございます。この最後の方に「雇用政策や産業政策ともリンクした政策のパッケージにより、中小企業にも配慮して」云々と答弁されておりますので、是非この中小企業への配慮という観点での御議論をお願いしたいと思っております。医療保険でいえば協会健保さんも財政状況等が逼迫し毎年のように保険料が上がっている、中小企業の事業主負担が年々増えているということがあります。リーマンショック以降、大手を中心に立ち直りかけてきたのですけれども、この震災もあって中小企業は非常に困窮しているわけでございますので、是非ともそういう視点も踏まえて御議論をしていただければと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
恐らくこれは皆さんも共通認識としてそういう考え方をお持ちであると思っておりますが、十分配慮した議論をしていく必要があると思います。
他にございますでしょうか。
 中島委員、どうぞ。
○中島委員 
 論点にも書いていただいているのですが、中小企業なり特定の業種に一定の影響が出るということは私どもも承知をしておりますが、とはいえ社会保険、労働保険は基本的には義務的経費だと思いますので、できないという議論ではなくて、どうすればできるのかという知恵出しが制度的に必要になると思います。例えば参考資料として、OECD各国や、EUなど各国でいろいろな工夫をしています。これは他の制度との関係も含めて工夫していると思いますが、私どもの知恵が更に働くような資料など、モデルになるような資料を御提示いただけるとありがたいと思います。 
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 勿論、中小企業への配慮ということは、そういうような知恵を出すことも含めた議論と理解しておりますので、是非そういうこともデータ等々があればお示しいただければと思います。
 小島委員、どうぞ。
○小島委員 中小企業等の事業主負担の在り方との関連でいえば、社会保険の適用拡大によって本人の負担がどうなるかということも1つあります。そうはいっても、短時間労働者がすべて第3号被保険者ではありませんし、第1号被保険者もいる。それから、医療保険でいえば、短時間労働者がすべて被扶養者扱いにはなっていない。そのことも含めて実態を踏まえた議論が必要だと思います。
 もう一つは、事業主負担というのは最終的にだれが負担しているのかということです。これはマクロ経済的な議論としていろいろあります。総人件費の中で賃金と社会保険料(福利厚生費内)で案分されている(賃金で調整される)という考えがあります。また、価格なりサービス料に転嫁されている、あるいは生産性向上
・経営効率化によって吸収されできるといった議論もあります。そういうことも踏まえて最終的に事業主負担は誰が負担しているのか、ということも議論をしていただければと思います。
○遠藤部会長 白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 済みません、やはり初回ということで議論についていけていないので、まず勉強することが多いのですけれども、繰り返しになりますが、1点はデータについて、2点目は今後の進め方も含めた意見です。短時間労働者といってもその中身は結構いろいろありまして、ここで短時間労働者の誰についての議論を進めていくのかということについて、全体像を共有することが重要だと考えます。例えば企業規模が5人未満のところはこの議論から外すと理解していますので、5人以上規模の企業に働く短時間労働者の中味がどういうものかわかると、議論を進めやすいのではないかと感じました。短時間労働者の属性分布について、大ざっぱでよいのでデータがありますと助かります。
 2点目については、この試みが三度目の正直ということではないですけれども、適用拡大を実現させたいという意気込みはわかりますが、やはり拡大まずありきで議論を進めるのは望ましいと思えません。今回の適用拡大は決して低賃金の人たちから更にお金を取ろうという弱い者いじめではなくて、いかに本人たちにとっても利益があるのか、という説明責任があると思うんです。ですから結論を前提にしないように議論を進めることが大切で、その方が、制度改革への国民の理解を得られやすいのではないでしょうか。現在、残念ながら社会保障に対する信頼が落ちていますので、制度改革にあたっての説明責任、そしてそこでの国民に対する強いメッセージを考えるべきだと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 前者の短時間労働者をどう定義するか、短時間労働者とはどういう人たちなのかということは、まさにここでどういうふうに定義しようかという議論をしているものだと私は理解している訳でありまして、ですから20時間でいいのか悪いのかという話ですね。ただし、もう20時間というのはある程度コンセンサスがあるんだという考え方もあるかもしれませんし、もう少し議論するべきだという考え方もあるかもしれません。そういう形だと思いますので、短時間労働者のデータをいうと、我々がどう定義するかということによってそれが変わってくるのかなという感じも若干するような印象を受けたんですけれども、むしろ白波瀬委員は違うイメージでございますか。
○白波瀬委員 短時間労働者の定義については申し上げておりません。短時間労働者を20時間で区切ることの妥当性については少し横に置いておいて、とりあえず20時間ということで短時間労働者を規定した場合に、彼/彼女らの年齢分布や配偶関係、規模別の配偶関係分布とか業種分布、20時間のなかでの労働時間分布、といった基本的なデータを提示していただくのはどうかと提案しました。定義自体の問題というよりも、全体像としての短時間労働者の中味の共有、がここでの目的です。
○遠藤部会長 了解いたしました。要するにそういう中身についてもう少しディテールをわかるような資料を提出してほしいということだと思いますので、可能な限りそのような準備をお願いしたいと思います。
それから、前提をどうするか、もう一度ここで議論するかということでありますけれども、これについては何かお考えはございますか。
 これまで年金の話でいくと、どちらかというと年金権の確保のようなものがかなり前面に出ていたのかなという理解であります。保険の場合は恐らく今後の議論になるかもしれませんが、これはどちらかというと財政的な要請が非常に強い。つまり国保の場合はそれなりの公費負担が非常に大きい訳でありますので、そういう議論があるのかなということだった訳です。ただし、一方で事業主あるいは勤労者に対する負担もある程度出てくるわけでありますので、その辺のバランスをどう考えていくのかということだったと思うのですが、何かございますか。
総務課長、どうぞ。
○吉田保険局総務課長 保険局の総務課長でございます。
 まさにこれまで御議論いただき、あるいは白波瀬委員からの御指摘にありますように、今回検討いただく際にどこに価値基準を置くかという根源的な御指摘かと思います。今、部会長におっしゃっていただきましたように、あるいはその前に部会長代理が御発言いただきましたように、全体としては私どもは今回この検討会を皆様方にお願いするに当たりましては成案で1つ示された考え方をということでございますが、全体の時間配分の中で、白波瀬委員がおっしゃるように、まずなぜかという説明責任を果たすための御議論もいただくことは私どもとしてお願いしたいと思います。
敢えて手を挙げさせていただきましたのは、今後ここの議論の中で詰めていただく部分かと思いますが、部会長がおっしゃっておられる医療の分野について、財政として適用問題を考えるというのも議論の中では出てこようかと思いますけれども、もう一つやはりフェアネスといいましょうか、公正、被用者保険と地域保険という形で分離をしております我が国の医療保険制度についてはいろいろ長い経緯がありますが、それぞれある中で一定の雇用の在り方が変化した中でどこまでを被用者保険としてとらえるべきか。勿論、個々に財政影響があったり、思いがあったりしようかと思いますが、そこのフェア、公正さというものも私ども制度をお預かりしている立場からは念頭にある。それをまたどう評価するか、あるいはもっとそれにつけ加える部分があるかということについて御議論を賜れればと思いまして、一言発言をさせていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 私も失礼なことを言いました。確かに公平さというのは当然の話だと思っておりましたので、保険者間のいろいろなバランスの問題がございますので、公平さは当然あるわけでございます。それは大前提になるのかなと思います。
 岩村委員、どうぞ。
○岩村委員 このパートの問題については、実は昨年の4月に内閣官房の国家戦略室の年金検討会議というところに呼ばれて話をしたのですが、そのときに大向こう受けをねらったリスクの大きい大改革ではなくて、足元の懸案事項をまず片付けていくべきでしょうということを申し上げて、そのうちの1つとして、長年の懸案事項であるパートの適用拡大もそのときには申し上げましたので、そういう意味で今回この特別部会が立ち上がって、年金、医療の両面について短時間労働者への適用の問題を検討することになったことについては、私自身は非常にいいことだと思っております。
 2、3だけコメントしますと、先ほど白波瀬委員がおっしゃった適用拡大になるパート労働者のイメージをどうとらえるかというのは確かにおっしゃるとおり重要な問題なのですが、他方で法律家の立場からすると、適用するかしないかという基準はできるだけ単純にしないと非常に事務が複雑になり、紛争の元になるということを考える必要があります。そうなると、端的に時間で区切って考えるという程度のことしか考えようがないのかなと思っております。ただ、それによってどういう人たちが影響を受けるかということは勿論考えた上で議論すべきだとは思います。その意味での白波瀬委員の先ほどのコメントについては賛成できると思います。
 それから、中小企業についての配慮も確かにわかるのですが、問題はそういう配慮をどういう理由でやるのかということであり、先ほど保険局総務課長が指摘されたように、要するにフェアでなければいけないし、かつ中小企業の配慮をうまくやらないと、それはそれで例えば労働市場の攪乱要因になったりということがあるものですから、どういう理由でどういう措置をするのかはやはりきちんと考える必要があるのかなと思います。
 あともう一つは、やはり先程貝谷委員などが御指摘になりましたように、医療保険の問題も今回議論するので、先程来、他の方も御指摘されましたが、そこはまだ議論がそれほど深まっていないところがあり、ひょっとすると案外気がついていない問題がある可能性もあるのかなという気がいたします。そういう点で、例えば被扶養者の問題とか何かのところが全体として整合性がとれるような形を考えておかないと、思わぬ穴が空いていたりということがあるかもしれないので、そこはよく御検討を、事務方でも検証をお願いしたい。
 それから、第3号被保険者の問題は年金部会の方ということになると、密接に関連する問題が2つの部会に跨って議論されることになりますし、ひょっとすると医療保険の被扶養者の問題は医療保険部会でも議論されるかもしれないので、そういう審議会をまたがるような形で議論がされると時として思わぬことが起きるので、その辺は事務局におかれては相互の審議会関係の連絡その他について十分に御配慮をしていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 非常に重要な御指摘をありがとうございます。
 確かに最後の審議会を跨いだ議論ということなのですが、当特別部会と年金部会と医療保険部会はこのテーマに関してどういう位置づけなのか、もし今、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。 
年金課長、どうぞ。
○梶尾年金課長 先週年金部会の1回目を開催しました。そのときにはパートの適用拡大の問題については別の部会を設けます、その検討状況は年金部会にも報告をし、また全体的な議論もしていただくということを申し上げて、そのときには年金部会の委員からこの特別部会の議論の様子を逐次教えてくださいというような話がありましたので、資料の提供ですとかいうことをしていくつもりでございます。年金部会では先週1回目をやりまして、今後テーマを決めてやっていきますけれども、その際には、第3号被保険者制度をどうするかというテーマもその会の中にあると思いますので、そのときにはこちらでの検討状況を報告し、また、第3号被保険者制度の議論の状況をこちらでも御報告するようなことをしながら、スケジュールは年金部会も年内とりまとめという形でずっと議論していきますので、並行してできるだけ密接な形で、情報を共有できるような形で議論を進めていけるようにしていきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 医療保険部会はどんなふうに考えておられますか。
○西辻保険課長 医療保険部会の方につきましても、医療保険部会でいろいろな議論を検討する中で適用拡大の議論につきましてはこの特別部会の方でという整理になっております。
年金と医療が違いますのは、やはり第3号被保険者の問題ですと、後々の給付をどうするのかというのが非常に大きな課題であるのに比べまして、医療保険の場合はどちらかというと被扶養者の方をどの制度でカバーするのかというのが、論点としては決して小さくはないと思うんですけれども、やはりプライオリティーとして若干低いのかなと。むしろこちらの方の特別部会で議論をいただいた結果を適宜医療保険部会の方に説明をし、必要があれば医療保険部会でもまた御議論いただくという流れでよろしいのではないかと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 そういう役割分担だということであります。
 佐藤部会長代理、どうぞ。
○佐藤部会長代理 2つ事務局に。
1つは、今回の年金だけではなくて医療保険の方も併せて議論し、多分当然短時間労働者についても適用拡大すれば同じ基準でということになると思うんですが、ただ同じ基準でやった後、年金と医療保険では出てくる課題も違うので、多分幾つか医療の方で議論していかなければいけないと思うんです。ただ、そのとき我々はどこまでこちらで議論し、医療保険も同じように適用を規定してくださいというのか、あるいはこういう論点を踏まえてくださいという、制度設計はそちらでやっていくことになると思うんですけれども、両方連携しながらということも当然ある訳ですが、我々として医療保険も適用拡大して、これは少なくとも踏まえてくださいというくらいまでこちらで議論するのか、議論の行き方だと思うのですけれども、年金に比べて医療保険の方は今回初めて取り上げると思いますので、岩村委員が言われるように、まだまだ我々はわからないところがあると思います。詰め方、最後の出方のところの濃淡がかなり違うと思うんです。そのとき幾つか論点をこちらで言わなければいけないと思うのですけれども、その辺をだんだん整理していただければというのが1つ目です。
 2つ目は、論点のところの適用拡大した場合、パート雇用や中小とか業種ごとの事業主の影響とか、あるいは働いている人への影響ということで、それぞれ大変だということしか書かれていないのですけれども、白波瀬委員も言われましたが、やはり大きな流れとしてなぜ適用拡大をするのか、また事業主にとっても労働者にとってもプラスの面がたくさんある訳です。中長期的だけではなくて短期的に見ても。そのことを一応こちらできちんと押さえながらしないと、これだけ出てきても問題があることをやるのですかということになるのも困るので、例えば事業主であればパートタイマーの能力開発がしやすくなると思いますし、今よりも長い時間働いてくれる人が増えますし、パートにすれば、いろいろな研究を見ればやはり賃金が改善する可能性が非常に高い。そういうことを併せて押さえながら、中長期的にはプラスが非常に大きくて、社会的にもいろいろな生き方、ライフスタイルの選択の可能性を広げるということを踏まえながら、ただ短期的にはいろいろ問題があれば、それを緩和していくかという議論をしないと、問題があることであればやらなくてもいいという、先ほど反対運動というお話もありましたので、一応その辺は事務局としても議論するときにそういうものも整理していただけるとありがたいなというお願いです。
 2点です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 2つとも非常に重要な御指摘であります。特に医療保険についての適用拡大はほとんど今回が初めてだと考えてよろしいかと思いますので、それこそ医療保険部会とのある種の連携を保ちながら少し整理をしていきたいと思っております。実は、私は医療保険部会の部会長もやっておりますので、どういうふうにするかなと考えていたんですけれども、重要な課題であるということはよく理解しております。
 もう時間もございませんが、どなたか御意見はございますか。
 よろしゅうございますか。
それでは、今日は第1回ということですので、これまで行われてきた経緯の説明、実態の説明及び論点について事務局から御報告いただいて、皆さんから御意見をいただいたわけですけれども、今後の議論の中で非常に重要な課題、誰もがちょっと疑問に思っているようなことなどがクリアーになったかと思いますので、次回もまた同じようなフリーディスカッションを中心に議論していきたいと考えております。本日、委員から御提案のありました御要望の中で対応可能なものにつきましては事務局から提出していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の特別部会はこの辺りにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 事務局、どうぞ。
○梶尾年金課長 本日はどうもありがとうございました。
 次回は9月21日水曜日の16時からを予定しております。詳細は追って御連絡をさせていただきます。
○遠藤部会長 そういうことですので、よろしくお願いいたします。
 本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局年金課
企画法令第2係

電話番号: 03-5253-1111(内線3336)

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