ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会))> 平成23年度第5回診療報酬調査専門組織DPC評価分科会議事録




2011年8月1日 平成23年度第5回診療報酬調査専門組織DPC評価分科会議事録

○日時

平成23年8月1日(月)15:00~16:31


○場所

全国町村議員会館 大会議室


○出席者

【委員】
小山信彌分科会長 吉田英機分科会長代理 相川直樹委員 池上直己委員
伊藤澄信委員 緒方裕光委員 金田道弘委員 熊本一朗委員
齊藤壽一委員 酒巻哲夫委員 嶋森好子委員 鈴木洋史委員
瀬戸泰之委員 難波貞夫委員 松田晋哉委員 三上裕司委員
美原委員 山口委員
【事務局】
迫井医療課企画官 他

○議題

1 平成23年7月6日DPC評価分科会 検討概要(検討事項と主な意見等)
2 高額薬剤等の取扱いに係る具体的な対応(案)について
3 医療機関群の設定について(4)

○議事

15:00開会

○小山分科会長
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから平成23年度第5回診療報酬調査専門組織・
DPC評価分科会を開催させていただきます。
 まず、委員の出席状況ですけれども、本日は全員が出席ですけれども、三上委員は遅れて参加
するとの連絡を受けておりますが、あと、美原委員はまだ到着していないようです。
 なお、本日は、会議終了後、皆さん御存じかと思うのですけれども、事務局が中医協のメンバ
ーとともに被災地を視察に行くことになっておりまして、少し早めの4時半ぐらいをめどにこの
会を終了できればと思っておりますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。
 それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。

○丸山入院医療包括評価指導官
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 最初に議事次第、めくっていただきまして先生方の座席表、めくっていただきまして委員の先
生方の一覧でございます。
 ここからが資料でございまして、D-1が前回の検討概要。
 D-2が「高額薬剤等の取扱いに係る具体的な対応(案)について」。
 D-3-1が「医療機関群の設定について(4)」。
 D-3-2とD-3-3が、それにまつわる追加集計結果としておつけしております。
 過不足等ありましたら、お申しつけください。
 以上でございます。

○小山分科会長
 資料について過不足ございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、まず、平成23年度7月6日DPC評価分科会検討概要についてを議題にしたいと思
います。事務局より御説明をお願いいたします。

○丸山入院医療包括評価指導官
 それでは、お手元にはD-1、平成23年7月6日の分科会の検討概要として取りまとめさせて
いただきましたので、ごらんいただければと存じます。
 まず、前回D-3として高額薬剤等の取扱いに係る対応について御議論いただきました。大き
く3つの論点がございましたが、丸1新規高額薬剤等への対応については、平均+1SDルール、
これが正規分布の場合に使える指標ですので、パーセンタイルを使用してはどうか。
 また、遺伝子検査などの高額な検査もありますので、これらについても議論すべきといった御
指摘をいただいております。
 丸2DPC設定の在り方への対応については、DPCの設定についていろいろ御議論いただきまし
たが、コストの均一性を出発点とした新たな見方をしてもよいのではないかといった御意見をい
ただきまして、それについてDPCを最初につくったときに樹形判断分析を実施しておりますので、
これをもう一回実施することでどうか。それについて、DPCの病名はICD-10に基づいて分類
させていただいておりますので、基本的には全く関係ない疾患をひとくくりにすることは考えに
くく、病名分類が基本になるのではないかと。もう一度これについて同じMDC(主要診断群)の
中であれば取りまとめることを検討してもよいのではないかという御意見をいただきました。
 最終的には、現行のDPCの設定方針を変えることなく検討は進めるということでまとめをさせ
ていただいております。
 丸3在院日数遷延への対応ですが、高額薬剤を短期間に使用するDPCについては、入院期間I
の点数を上げ、入院期間IIまでの点数を下げることで大部分解消できるのではないかという御意
見でした。
 抗がん剤などの高額薬剤については、いろいろ臨床現場の実態等々ございましたが、1回目の
投与についてのみ一入院当たりの包括評価とした方が階段状に評価するよりもよいのではないか
という御意見もいただきました。
 これらの対応については、今後、具体的な提案について事務局で検討することで、追って次の
D-2という形で取りまとめをさせていただいております。こらちは後ほど御紹介いたします。
 前回の後半の議論は医療機関群の設定についてということで御議論いただきました。3つ検討
機能として残っておりました。丸1医師研修機能、丸2小児医療提供機能、丸3他病院との連携
機能です。
 丸1医師研修機能については、さまざま御意見をいただいておりました。順に御紹介いたしま
す。
 1つ目は、研修機能で同等の病院であれば1つの医療機関群として評価していいのではないか
という御意見をいただきました。
 また、その中で医師密度と診療密度の変化は連続であって、係数評価が適切ではないかとの御
指摘もいただいたのですが、基礎係数については施設個別の調整を行わず、グルーピングによる
共通値を設定するというこれまでの議論を再確認させていただきました。
 教育関連につきましては、コストを一定程度認めるべきということは御理解いただけるとのご
指摘でしたが、出来高点数の高さと教育的な機能の意味合いが違うのではないか。医療機関の分
け方として出来高点数が高いことや検査が多いことで分けるのではなく、同じような疾患には同
じような標準的医療が行われるべきで、教育の部分は別な形で適正に評価すべきではないかとい
う御意見をいただきました。
 その中で、濃厚な診療をしている病院を評価すべきか、制度の中で効率的な治療を行い、同じ
結果が出る医療機関を評価すべきかという議論になっていて、調整係数の問題と同じことを繰り
返すのではないかという御懸念も御意見としていただいた次第です。
 これについては、3点見解をお示しいただきまして、次にまとめてあります。ケースミックス
インデックスと病床当たりの医師数は相関している。また、研修医とそうでない医師で医療材料
の使い方に差がある。外国の事例でオーストラリアでは研修医の数に応じた加算、また、初期研
修に当たっている看護師の数に応じた加算を導入していて、国際的にも研修機能の評価項目とな
っているという御見解もお示しいただきました。
 途中、事務局からは次にまとめているような御説明を再度させていただきました。具体的には、
医師密度と診療密度の関連性について、補正データはあくまで14桁DPC単位での補正でござい
ますので、すべての重症度について補正できているわけではないということ。また、同じような
パフォーマンスを示す医療機関であっても、大学病院本院のような人員配置とスリムな人員配置
で在院日数や診療行為の頻度が違うといった可能性がございます。
 また、医療機関群の議論の前提を再確認させていただきましたが、グルーピング後に各グルー
プの平均点で基礎係数を設定するということでございました。同程度の標準化・効率化を求める
ことになりますので、結果的に係数の高低は発生しますが、それを目的とした議論ではないとい
うこと。また、重症度が厳密に一致していないという前提に立ちますと、より重症な患者さんを
診るインセンティブがなくなってしまいますので、基礎係数については、一定の合理的な機能の
差があるのであれば、医療機関を分けてはいかがでしょうかという趣旨で提案させていただいて
いるということを御説明させていただきました。
 また、調整係数による個別調整を廃止いたしまして、グループごとの基礎係数を設定すれば、
個別施設ごとの非効率温存はより発生しづらくなるという御指摘もいただいております。
 御意見としては、臨床研修制度が始まりまして、地域病院の医師の引上げ等々が発生していま
すので、医師の派遣機能については考慮すべきではないかという御意見をいただいています。
 最後に、ここの議論の総括として、単に大学病院だから高いというのは適切ではないという御
指摘をいただいた一方で、同じ疾患の患者でも重症度や密度の違いや幅があるということを踏ま
えて、医療機関群の提案がなされたのではないかという指摘や、DPCの分類自体は患者を分類す
るための方法であって、その適用については別の議論といった御指摘をいただきました。
 丸2小児医療提供機能と丸3他病院との連携機能については、事務局の御提案させていただい
た方向で検討を進めるということで御了解をいただいたと理解しております。
 簡単ですが、D-1としては以上でございます。

○小山分科会長
 ありがとうございました。今回の検討会議ではかなり詳細におまとめいただきまして御報告い
ただきました。前回の検討概要について何か御意見ございますか。
 特になければ、これで確認されたということで本日の議論に入りたいと思います。
 それでは、最初の議題であります高額薬剤等の取扱いに係る具体的な対応(案)につきまして、
議題にしたいと思います。
 まずは、事務局から御説明をお願いいたします。

○丸山入院医療包括評価指導官
 お手元にはD-2の資料を御用意ください。前回の御議論を踏まえまして、事務局で具体的な
対応案について取りまとめさせていただきましたので、御提案・御紹介をさせていただきます。
 まず、1に書かせていただいているのは、前回御議論いただきました骨子をそのまま掲載させ
ていただいております。簡単に申し上げますと、基本的な考え方としては原則包括評価とする原
則は変更しないものの、新規高額薬剤等への対応に関する現行の取扱いについて改善すると。
 具体的に(2)の丸1新規高額薬剤等への対応ということで、平均+1SDルールの運用について
変更を行う。丸2DPC設定の在り方への対応ということで、DPCの統合・分離を検討する際の基
準もしくは目安を可能な限り明確化させていただく。丸3在院日数遷延への対応ということで、
診断群分類点数表の点数設定方法を工夫するといったことに対応できないか検討するという骨子
を前回御議論いただいた次第です。
 2からが具体的な今回の御提案の内容でございます。先ほどの骨子の丸1丸2丸3に沿って順
次御説明させていただきます。
 まずは(1)新規高額薬剤等への対応ということで、平均+1SDルールの見直しでございます。
現行では、これに該当した薬剤を使った患者さんをすべて出来高算定とさせていただいておりま
す。今までのヒアリングで費用償還が困難な事例や、処方控えの発生が指摘されたことを踏まえ
まして、この運用を試行的に見直して、一定期間後に再度評価をしてどうかというのが、これか
ら御提案するルールです。
 まず、1つ目の大きな変更は、判定基準を標準偏差からパーセンタイルへ変更するというもの
でございます。こらちは前回の御意見においても正規分布として近似することが必ずしも適切で
ないとされ、このような場合も多いことから、判定の基準を平均+1SDではなく、パーセンタイ
ルに変更させていただきたいと思っております。
 具体的には、仮に正規分布であったとするならば、平均+1SDというのが84.13パーセンタイ
ルに相当いたします。ここまで細かいのは現実的ではありませんので、具体的に84パーセンタイ
ルにしてはいかがでしょうかということでございます。
 実際に厚生労働省データで集計させていただきました。具体的には、がんの化学療法症例数上
位5DPCついて集計させていただいたのが下の表でございますが、御指摘のとおり、正規分布に
実際なっておりませんので、現行の平均+1SD、濃い緑で表示されておりますけれども、これを
パーセンタイルに換算させていただくと、現行大体90パーセンタイル前後で判定を行っていると
いう現状でございます。これを実際に分布にかかわらない形ということで84パーセンタイル、薄
く水色で網かけをしておりますが、これに変更させていただいてはどうかと。今までの考え方を
踏襲させていただくものでございますが、この設定により多くの事例については実効上基準緩和
となります。
 大きな変更の2点目は、比較対象区分の見直しと書いております。具体的には、点線囲いのと
ころをごらんいただきたいのですが、現行は適応症単位で該当するDPCを一括して集計させてい
ただいております。そこをどう変更するかということですが、具体的には2つ場合分けしており
ます。該当する個別DPCを一定の範囲で特定できる場合は、個別DPCごとに集計してはどうか。
該当する個別DPCが特定できない場合、または、非常に多数に及ぶ場合は、全包括対象DPCの
84パーセンタイルを基準として判定してはどうかという二つの場合です。
 補足を説明させていただきますと、4ページの表をごらんください。「変更のイメージ(丸1の
見直しも含めた場合)」と記載しておりますが、左側のとおり現行方式で新しい薬剤Xが出てきた
ときに、標準的な費用、該当するDPCがA、B、C、Dとあった場合に、これをひとくくりにし
て計算しております。同じく包括単位の薬剤費の平均+1SDもA、B、C、Dまとめて平均値と
1SDを計算して判定をさせていただいています。現行方式だと27万の方が勝ちますので、判定
としては包括評価ということをやっているわけでございます。
 これを右側の変更案でございますが、14桁DPCごとにそれぞれ判定してはどうかと。それぞ
れのA、B、C、DのDPCごとに一番右列でごらんいただくように、平均在院日数が異なります
ので、それに合わせた集計を行いまして、包括範囲の薬剤費とそれぞれの標準的費用を勘案して、
一部のDPCは包括評価、一部のDPCは出来高評価といった細かい判定をしていってはどうかと
いうのが趣旨でございます。
 3ページにお戻りいただきます。これにより特に平均在院日数の短いDPCで高額薬剤を使用す
る場合には、運用上はより鋭敏に評価できるのではないかと考えております。
 こういった個別DPCが特定できる、特定できないという場合を挙げさせていただいた趣旨は、
これから御説明させていただきます。
 1つは、類似薬効比較方式という薬価の算定方式がございますが、これは基本的に一日薬価を
等しくする形で薬価を設定するという方式でございます。その際には、当然、比較対象とする類
似薬というものが認定されておりますので、それに応じて対象とするDPCを変えてはどうかとい
うのが御提案です。具体的にはイメージをごらんください。今まではDPCの選択ルールにのっと
りまして、化学療法であれば化学療法ありという診断群分類、赤の表示と比較させていただいて
いるのですが、当然、既存高額薬の類似薬ですから高くて当たり前でございます。ですので、右
下の様に類似する既存高額薬によるDPCが設定されている場合は、そのDPCと比較させていた
だいてはどうか。更に申し上げると、仮に包括評価という判定になった場合であっても、この類
似薬のDPCの包括点数で算定していただくのが妥当ではないかというのが事務局からの御提案
です。
 もう一つは、こういった高額な薬剤によるDPCが設定されていない場合がございますので、そ
の場合は、今までどおり該当する化学療法ありなどのDPCをそれぞれ比較対象のDPCとして判
定対象とさせていただきたいと。
 該当するDPCが多数に及ばない場合というのはどういうことかといいますと、2)で書いてあ
るとおり、DPC番号の上6桁、傷病名を表しておりますが、これが4つ以内の場合ということで
考えてはいかがかと。これが余りに多い場合、判定させていただく分類が非常に多くなりますの
で、事務的な問題もあり、少ない場合に判定させていただくと。
 表の下に移ります。繰り返しになりますけれども、上記1)、2)以外、要はDPCが特定できな
い、もしくはDPCが非常に多数に及ぶ場合について、今までこういった事例はないのでございま
すが、取扱いが明確ではございませんので、判定及び運用について全包括対象DPCの84パーセ
ンタイルで判定させていただいてはいかがでしょうかというのがこの項最後の御提案です。
 平均+1SDルールの最後の3つ目でございます。これは前回のヒアリングでも出来高評価とな
った場合の病名やDPC番号を明示してほしいといった御指摘がございましたので、今までは薬剤
の一般名称、日本語適応症だけを提示しておりましたが、これに加えてICD-10のコード、対象
DPC番号(14桁)などを表示してはいかがでしょうかというものです。
 残り骨子で2つあったところでございます。(2)DPC設定の在り方への対応については、四角
囲いのような分離・統合の基準をつくってはどうかという御提案です。
 丸1次の条件をともに満たすものは分離してはどうかと。簡単に申しますと、認められている
標準レジメンであって、明らかに臨床上の効果が異なるもの、かつ、診療報酬上、医療資源投入
量が異なるもの。下のクロス表では「異なる」「異なる」というところですが、これは分離を検討
してはいかがでしょうかと。
 もう一つは、丸2次の条件のいずれかを満たすものについては、DPCの統合を検討してはどう
かと。下の表で言う残りの3マスでございますが、臨床上の効果が同等とされる、言い換えれば
医学的に選択の余地のあるレジメン、もしくは診療報酬上のデータから余り医療資源の投入量が
異ならないもの、これについては診断群分類の統合を検討してはどうかということです。医療資
源投入量と臨床上の効果がお互い同等であるものは統合することに御異論はないのではないかと
思いますが、補足いたしますと、※1、医療資源投入量が異なる場合については、同一のDPCに
することで医療機関の裁量によって効率的な診療がなされることが期待できますので、「可能な限
り統合を検討」と書いたのは、そういう趣旨でございます。余りに不合理であれば、そのまま分
類を統合しないということも考え得るということです。逆に、※2は、臨床上の効果が異なるも
のであって、医療機関の裁量でより臨床上の効果が高いものが選択されるわけですから、これも
統合を検討するといった目安を設定してはいかがでしょうかという御提案です。
 また、前回の御指摘の中に診断群分類設定数についての御議論もありましたので、他国の類似
制度における動向の参考に、我が国の適正なDPC数の在り方についても今後検討してはいかがで
しょうか。日本のDPC/PDPSと全く同一の制度はございませんので、諸外国の設定数は絶対基準
ではなく一定の参考指標になるのではないかという趣旨での御提案です。
 (3)在院日数遷延への対応については、これを回避するための点数設定方法を引き続き事務局で
検討させていただきたいという趣旨です。今回はまだまとめ切れておりませんので、その具体化
については今後引き続き検討してはどうかと書かせていただいております。
 最後(4)、骨子にはございませんが、今まで御指摘いただいているものを補足でつけ加えさせて
いただいております。丸1丸2については、次期改定に向けた算定ルールの検討作業の中で検討
してはどうかと。
 丸1御指摘のあった高額な検査等への対応でございます。具体的に、新たに保険収載される検
査は2パターンございます。1つは、改定時以外で体外診断薬が薬事承認を得たことにより保険
収載されるパターンと、もう一つは、改定時に新たな医療技術として保険適用されて入ってくる、
この2種類がございます。
 前者につきましては、次期診療報酬改定までの間、検体検査の代替性を考慮して、最も類似す
る技術料を準用して算定することを中医協総会でお認めいただいておりますので、既存の包括評
価の中で実施することについては、高額薬剤等で指摘されたような影響は余り大きくないのでは
ないかと。
 その一方で後者については、心臓カテーテル検査を初めとした生体検査も保険収載され、中に
は高額なものもあると考えられております。平成16年改定より診療報酬改定において新規に導入
された手術等については、次期診療報酬改定までの間、包括評価の対象外、入院基本料からすべ
て出来高算定とするといった対応をさせていただいておりますので、診療報酬改定時に収載され
る高額な検査についても、この運用の中で検討してはどうかというのが事務局の御提案でござい
ます。
 丸2特定入院期間と薬剤投与期間の関係についてということで、これはヒアリングで御指摘い
ただいた課題でございます。薬剤使用を前提としたDPCにおいて、当該薬剤を特定入院期間後に
投与したにもかかわらず、当該DPCを選択するといったレセプトを用いた事例を御紹介いただい
ていたと思います。これについては、DPC制度自体への算定ルールにもかかわりますので、次回
改定に向けたDPC選択ルールに係る検討において別途対応を検討してはどうかという御提案で
ございます。
 長くなりましたが、事務局からは以上でございます。

○小山分科会長
 ありがとうございました。いよいよ具体的な高額薬剤の取扱いに対する具体的な対応が出てま
いりましたけれども、これに対する質疑・応答を行いたいと思います。委員の皆様からどうぞ。

○瀬戸委員
 質問ですけれども、2ページ目の参考1『がんの化学療法症例数上位5DPCにおける「平均+
1SD」の値』で、これを見ると肺と胃と大腸と婦人科系が入っていて、それぞれ入院期間も違う
のですけれども、平均値もかなりばらつきがありますよね。これは、それぞれどういった内容の
抗がん剤をやられているかという具体的なバックグラウンドはわかっているのでしょうか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 今回の集計でそこまでは見ておりません。ただ、例年の報告で、その中でどんな薬剤がされて
いるかといった集計はさせていただいております。

○瀬戸委員
 私は胃を専門にしているので、胃がちょっと安いかなと思って。本当はもうちょっと高いのか
なという気も、これは感じですけれども。要するに、それぞれ臓器ごとに標準レジメンがあって、
恐らくこういうものは値が違うのだと思うのですが、いろいろなレジメンが包含されているはず
なので、具体的に一番最も標準的なレジメンのどれが土台になっているかというようなことが知
らされると、より理解しやすいのではないかと思いました。

○小山分科会長
 その辺はどうですか。
 
○丸山入院医療包括評価指導官
 さまざまな標準的なレジメンについて分岐を分けるべきではないかという御指摘でしょうか。
そういうことでございましたら、後半の方で診断群分類の見直しの考え方、分離・統合の見直し
の考え方を提示させていただいていますので、その一連で対応させていただければ。

○瀬戸委員
 それでいいのですけれども、要するに、こういうデータを出すに当たって、例えば、最も信用
されている、汎用されているレジメンは何であるというのが示された方が、現場としては理解し
やすいのではないかということです。

○小山分科会長
 その傾向はありますか。結構さまざまあり過ぎてという話でしたけれども。

○丸山入院医療包括評価指導官
 御指摘のとおり、いろいろ化学療法のプロトコルの中身は集計させていただいているのですが、
直近でございますと平成21年度データで、平成22年6月30日の分科会で、御記憶の先生もいら
っしゃるかもしれませんが、分厚い冊子3冊の中に化学療法については提示させていただいてお
ります。

○瀬戸委員
 では、それを見ればわかるということですね。

○小山分科会長
 ほかにいかがでしょうか。三上委員どうぞ。

○三上委員
 今の参考資料ですけれども、これは平均値+1SDと書いてありますが、この平均値につきまし
ては、包括点数の中で一応評価されているであろうという点数で、1SDを超える、あるいは84
パーセンタイルを超えるところでは出来高にしないと不利が生じるだろうというお話だと思うの
ですが、平均値が包括点数で担保されているとすると、正規分布ということを前提にされていま
すので、-1SDのものも当然症例の中にはたくさんあるわけですから、その場合だけは有利にな
っている分についてはそのまま包括でいくこととして、不利になっている分については出来高に
して不利を解消するというのは、私はちょっと一方的ではないかと思います。ここは大体DPCの
関係者が多いので、そういう話の進め方になるのだと思いますが、その辺の考え方の公平さとい
うのはどうなのでしょうか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 -1SDへの対応方針ということであろうかと思いますが、これは診療報酬改定の間に使われた
薬剤をどんどん計算に入れていきますので、次の改定のときには必ず下がるということで良いの
ではないかと思います。

○三上委員
 ということは、+1SDの方も次の改定まで待っていれば次は上がるのだということですね。そ
ういう対応にするのは包括評価の常道ではないかと思うのですけれども、不利な分だけ途中で出
来高で解消するというのは、少しどうかなと思いますが。

○小山分科会長
 結局、正規分布というのは負のところが余りないという考え方ですよね。そういう理解かなと
思います。

○三上委員
 例えば、ここでは正規分布にするということで84パーセンタイルにするのだということを前提
にされているので、そこはまた矛盾があるのではないでしょうか。

○小山分科会長
 結局、抗がん剤を使用するグループですよね。使用しないグループはこの中に入っていません
ので、そんなにマイナスにはならないかなという感じはするのですが、いかがですか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 今回、高額薬剤ルールのそもそも出発点は、余りにかけ離れているものについて臨時的に対応
しようという発想で、それ以外のものについては基本的に改定ごとに点数が下がっていく、安い
ものを使っていればの話ですけれども、そういうものでございますので、基本的には分科会長ご
指摘の通りと思います。

○小山分科会長
 ほかにありますか。

○池上委員
 この議論は、包括にした場合には不利であるから出来高にするということが前提となっている
わけですから、新規高額薬剤を使うような病院は医療機関別係数あるいは調整係数、これは今後
解消されるかもしれませんけれども、そのいずれの係数も平均よりは高い可能性があるわけです。
したがいまして、出来高払いに仮に変わった場合には、実質的な収入が減るということになるの
ではないでしょうか。

○小山分科会長
 それはちょっとわからないですね。何しろ不合理なところをなくそうという思いで動いていま
すので、基本的にはマイナスのところが余りにも大きくて、十分な診療ができないという概念だ
ったと。もう一つは、調整係数をなくすのだという概念の中で、調整係数をなくすという意味の
中に今、先生がおっしゃったような飛び出たところを調整係数で調整していたのだけれども、そ
の調整係数がなくなってしまうので、そこはちゃんとしてあげないと、ちゃんとした診療ができ
ないというように動いていたと思います。

○瀬戸委員
 すみません、今の係数にこの議論を絡めると、基本的にはがんの診療というのは勿論大学病院
とかになって、地域連携でどんどんその後のフォローアップとか地域に戻そうという話をしてい
るので、特定機能病院だけが抗がん剤を使うわけではないです。だから、そういう意味では調整
係数に絡めてはいけないと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。

○池上委員
 今のは、理論的にはそうですけれども、実質的には違うと思います。今後の実績を見て評価す
る必要があると思います。どういう病院が出来高払いの対象となっているかということを把握し
た上で、それは実質的にやっている病院がどのような、少なくとも来年度改定において調整係数
は一部にせよ残るわけですし、また、医療機関別係数も残るわけですから、それとの絡みで考え
ないと、理論的にはこのとおりですけれども、実質的な話の配慮も必要ではないかと思います。

○小山分科会長
 検証していかなければならないということだと思います。ここで提案しているのは、基本的に
は1SD+という言い方が、この表で見るとおり約90%を超えるような形になっているので、少
し緩和する意味でパーセンテージで言った方がいいというのと、そのパーセントは84パーセンタ
イルを基準とするということですけれども、これについてはどうですか、こういう方向でよろし
いですか。ここの議論は、ここが一番大事なところかなと思います。1SDからパーセンタイルに
変える。簡単に言えば、100の症例が出たとすると、下から84番目までは現行でいくけれども、
84番を超えた高額のところは出来高に変えていくというような認識なのかなと思いますが、よろ
しいですか。
 では、後半の方はいかがですか。瀬戸先生がちょっと入られましたけれども、比較対象区分の
見直し、あるいはその後のことについて何か御意見ございますか。

○池上委員
 すみません、さっきのことにこだわりますけれども、84パーセンタイルより低い値だけが提示
されていますが90パーセンタイルという考え方もあって、その方が現状により近いような印象を
持ちますけれども、これは低い方だけを提示されていますが。

○小山分科会長
 低い方だけというのは。

○池上委員
 つまり、84パーセンタイルよりも少ない75パーセンタイル、50パーセンタイルという値があ
りますけれども、もう一つの考え方は90パーセンタイルという値を設けることも可能ではないで
しょうか。

○小山分科会長
 1SDがきついのではないかということで、1SDを置き換えたら90%前後で、これが厳しいと
いう意見が非常に出たので、1SDが統計学的な左右対称の分岐になったときに何パーセントにな
るかという数字は84.13で、ここの84を使ったということなのではないかと思いますけれども、
事務局それでいいですよね。ちょっと優しくしましょうということですよね。90%では厳し過ぎ
るという意見がいっぱいあったので。

○池上委員
 わかりました。ただ、私が前に御指摘した点と同じことで、本当に厳しいかどうかというのは
係数の当てはめ方によって実質的には変わるということなので申し上げた次第です。

○小山分科会長
 ありがとうございました。瀬戸先生、厳しいですよね。この前のヒアリングでも大変つらいと
いう言葉が出たので。
 この議論はいかがでしょうか。高額薬剤に対する基本的な考え方をD-2の資料でいろいろ御
説明いただきましたけれども、こういう方向で更に検討を進めていくということ、それから、今、
池上先生からお話がありましたけれども、やはりちゃんと検証しなければだめだと。勿論、検証
という形ではやっていかなければならないと思いますが、特に御意見はございますか。

○相川委員
 全体的にはよろしいと思います。せっかく瀬戸先生がいらっしゃるので教えてほしいのですけ
れども、2ページの参考1の表ですが、胃の悪性腫瘍のところだけが、ほかの悪性腫瘍に比べて
1SDの値と84パーセンタイルが大きく乖離していますね。これはかなりいろいろなことが行わ
れていると解釈できますか。

○瀬戸委員
 これは私の推測ですけれども、ほかのがんに比べると、ほかのがんは既に分子標的治療薬が入
ってきているので、当然額は大きくなるんですね。胃がんは御承知のように、ハーセプチンとい
う薬が今年3月に初めて認可されたので、それまでは分子標的薬が入っていなかったんですね。
あとはベースとなるのは経口なので、基本的には外来でやっている。時々、点滴しないといけな
い抗がん剤をやることがあって、そのときは入院したりする。あとは恐らく病院によっては経口
の抗がん剤だけでも入院するところがあったりして、恐らく点滴が入るか入らないかの違いで、
かなりばらつきが大きくなってしまうのではないかとは思いますけれども。価格としては、今言
ったように、ほかのがん種に比べると安くなるのは当然です。

○相川委員
 そうですね、薬としては。私は、いろいろな分野があるのかなと思って、かなりバリエーショ
ンがある。

○瀬戸委員
 胃がん学会が推奨しているレジメンには、そんなばらつきはないです。

○相川委員
 わかりました。ありがとうございました。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○松田委員
 今、後ろの方からコメントが入りまして、肺と大腸と卵巣、子宮は抗がん剤が、一番上は特定
されているのに対し、胃の悪性腫瘍とかノースペシフィックな抗がん剤が全部入っているので、
それでばらついてしまうということです。胃の悪性腫瘍はノースペシフィックで、肺と大腸と卵
巣は決まっているものなのでばらつかない。

○小山分科会長
 どうでしょうか、よろしいですか。
 では、一応、高額薬剤の取扱いについて係る具体的な対応は、このような方向性でこれから議
論を進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、今日のメーンテーマになりますけれども、医療機関群の設定についてを議題にし
たいと思います。まず、事務局から御説明をお願いいたします。

○丸山入院医療包括評価指導官
 それでは、お手元にD-3-1の資料を御用意ください。資料集の方は説明の最中に適宜御案
内させていただきたいと思います。
 前回7月6日の御議論の結果を踏まえさせていただきまして、引き続き以下の2つの視点から
検討を進めさせていただきたいと思います。
 丸1病床当たりの医師密度に着目した医療機関群と書かせていただいております。といいます
のも、これまでの議論から医師密度の高い医療機関の機能に着目した医療機関群の設定、前回ま
で医師研修機能と称させていただいておりましたが、この分析の中で実際に診療密度(包括範囲
出来高点数)と医師密度が関係しているということを示させていただきました。
 一方で、これらに基づく医療機関群の設定に当たっては、単に医師密度が高いという実態だけ
ではなくて、これらの医療機関が果たしている機能や役割についても整理した上で設定する必要
があるという御指摘をいただいたところです。
 このような観点から、これまで検討してきた医師研修機能とともに高い医師密度が求められる
診療機能として、例えば、前回御説明させていただいた同一DPCの患者について、より重症の患
者診療が、より医師密度の高い施設において実施されていることなど、医師密度と患者重症度等
の関係について分析評価を行うこととさせていただきたい。
 その上で、これらの結果を踏まえて、医師研修機能や重症患者診療機能の実態を勘案した医師
密度の高い医療機関群の設定の在り方について検討させていただくと。
 もう一つ、前回引き続きとなったのが、他病棟との連携機能のうち、丸2亜急性期病床・療養
病棟との連携機能です。これらについては、一連の入院医療の取扱いも含めて、引き続き分析・
検討を進めさせていただきたいと。これが前回の議事を踏まえさせていただきまして、今回、追
加集計させていただいている内容です。
 「2.医師密度と患者重症度等についての検討」ということで、お手元にはD-3-2の追加
集計結果も御用意ください。D-3-2に沿って御説明いたします。
 3つの追加集計をさせていただきました。丸1診療密度、一日当たり包括範囲出来高点数のこ
とを申し上げますが、これと診療報酬算定区分の相関係数を計算させていただきました。1枚め
くってごらんください。下に1ページとあります。これは、一日当たり包括範囲出来高点数と、
順に複雑性指数、効率性指数、カバー率等々との相関係数を計算させていただきました。施設数
は1,357で、いずれも強さの大小こそあれ、有意な相関を見せております。その中でも相関係数
が高い、要は正の相関が強いものとしては、中段にあります検査・病理、画像診断、注射といっ
た診療報酬項目と相関係数が高いという実態が示されております。
 2ページ目からは、外保連試案(第7版)手術難易度と医師密度の関係を調べさせていただき
ました。具体的には手術難易度がA、B、C、D、Eと外保連で指定していただいていまして、
また、同じく技術度指数が指定されておりますので、それらを基に加重計算をして手術件数を補
正させていただいた値を、縦にとってあるとおり外保連手術指数という形で計算させていただい
ております。
 まず2~3ページ目は、医師密度区分と相関をとってみたところ、医師密度区分が上がれば上
がるほど外保連手術指数は上がるといった傾向が見られております。これは左側が免許取得5年
目まで、右側が全医師数でございますが、傾向に差はございません。
 4ページ目は、外保連手術指数というものを一定程度区切ってみました。500単位で区切らせ
ていただいて、それと診療密度、一日当たりの平均点数を縦軸にとって傾向を見させていただき
ましたが、外保連手術指数が高い施設ほど診療密度の点数が上がるといった傾向が見られており
ます。
 ご説明しそびれましたが、上が大学本院を含めた集計、下が本院を除いた集計、いずれも同じ
傾向を示していることが見てとれると存じます。
 5ページ目からは、同一DPC、同一14桁の診断群分類の患者に係る重症度の違いということ
を前回御指摘いただいていましたので、そこを解析してみたものです。4つ事例を御用意してお
ります。i)のDPCは、クモ膜下出血、破裂脳動脈瘤の傷病名に対して、具体的に手術としては
脳動脈瘤の流入血管クリッピング術など、開頭術を行っている診断群分類です。そこで「手術・
処置等2あり」となっていますが、具体的には中心静脈、人工呼吸もしくは人工腎臓いずれかの
処置をされている方が、この診断群分類に入ってきます。
 そこで、実際に中心静脈と人工呼吸、人工腎臓を重症度指標として区分分けしてみたものが5
ページの表です。実際に、人工呼吸と中心静脈を併用されている方がやや診療密度が高いと、同
じ診断群分類にしてもそういう傾向が見てとれると思います。
 6~7ページは、それを医師密度と掛け合わせていただいた表になっております。下の表から
まずごらんいただきたいのですが、先ほども御提示させていただいた3区分の医師密度区分ごと
の症例構成の割合になっております。一番上のやや薄いベージュ色になっているのが人工呼吸と
中心静脈を併用している症例の割合でございます。やや点数が高かったのでございますが、こち
らは全医師で見ても免許取得5年目までで見ても、医師密度区分が上がるにつれ症例の構成割合
が上がってきています。
 次に上の表をごらんいただきたいのですが、これを診療密度でそのまま見てみると、やはり点
数としては上がってきているという傾向が読み取れるのではないかと思います。
 同様のことをほかの診断群分類、残り3つでやらせていただきました。8ページ目は、同じク
モ膜下出血で、同じように中心静脈、人工呼吸等で分けておりますが、ここでやっている手術は、
穿頭脳室ドレナージ等の手術をやっている診断群分類に限らせていただきました。そうすると、
中心静脈のみやっていらっしゃる方が、やや診療密度が低い傾向にございます。
 9~10ページが医師密度区分とのクロスでございまして、今回は中心静脈は少し低いというこ
とですので、一番下の濃い青の症例構成で見ていただきたいのですが、こちらは症例構成が医師
密度の増加とともに低くなっていって、診療単価が逆に上がっていくという大きな傾向が見てと
れるのではないかと思います。
 11ページは、今までの様な診断群分類がすべてであれば診断群分類を分ければいいのではない
かという御指摘もあろうかと思いますが、実際これがすべてではないというということをお示し
するために用意しました。実際に、ここは脳血管内手術をやっている診断群分類で、具体的には
インターベンションを行っている症例が集まってくるDPCです。ここですと、中心静脈、人工呼
吸にかかわらず、余り診療密度が変わらないという結果が見てとれるのではないかと思います。
 最後、症例数の多いDPCでは同じ傾向が見てとれるかということで、1つ持って来させていた
だいたのが14ページ、肺炎の診断群分類でございます。ここは肺炎に分類されますが、手術もし
ないし、「手術・処置等2なし」と書いてありますが、人工呼吸等々も使わず、かつ、副傷病・合
併症を持っていらっしゃらない方が属している診断群分類です。下に書いてあるとおり7万7,000
症例近く、多数の方が属するDPCです。この診断群分類で、さすがに血液ガス分析をされるよう
な方は、その中でも重症ではないかと考えられることから、その有無で解析させていただいたの
ですが、やや診療密度が高い傾向が見てとれると。
 15~16ページ、血液ガス分析ありが上の方でございますが、医師密度区分が増えるごとに症例
構成割合が増えていって、診療密度が上がっていくという傾向が5年目でも全医師数、16ページ
でも見てとれるということになっております。
 本体資料の2ページにお戻りください。(2)集計結果の概要ですが、いろいろ集計させていただ
きましたが、総括させていただくと、診療密度と診療報酬算定区分、いずれも正の相関を示して
おりますが、中でも検査・病理、画像診断、注射との相関が高うございました。
 丸2外保連を例に実際に集計させていただきましたが、医師密度が高い施設ほど外保連手術指
数が高い。また、外保連手術指数が高い施設ほど診療密度(一日当たり包括範囲出来高点数)が
高いという結果が出ております。
 丸3対象患者と診療内容に応じて、幾つかのDPCで検証させていただきました。ただ、同じ包
括点数を算定しているDPCであっても、診療密度の高い症例が医師密度の高い施設により集中し
ている、多く診療されているといった傾向が、すべてではございませんが、幾つかのDPCで見て
とれるというのが本日の集計結果の概要でございます。
 それでは、これらの追加集計を含めたこれまでの分析結果に関する検討ということで、(3)にま
とめさせていただきました。
 今回の集計結果から、診療密度の増減に最も影響を与えている項目は、相関係数の結果から検
査・病理、画像診断、注射であって、これらの実施の有無、多寡については医師配置により強く
影響されることから、前回にまでに示された診療密度と医師密度との間に一定の関係があること
と合致しているのではないかと考えております。
 そして、外保連を例に集計させていただきましたが、外保連手術指数に基づく実施手術の難易
度、診療密度、医師密度との間に強い相関関係があることもごらんいただきました。そして、同
一DPCの患者についても、患者の重症度、診療密度、医師密度の間に一定の関係性があるという
ことから、難易度の高い医療技術の実施や、重症度の高い患者の診療と医師密度の間に一定の傾
向があるのではないかと考えております。
 今回の分析結果と前回までの検討を合わせますと、診療密度の高い医療機関と医師密度の間に
は一定の相関があると。その背景要因としては、こういった医療機関が担っている医師に対する
研修、高度な医療技術の実施、重症患者に対する診療といった要素が関係しているのではないか
と考える次第です。
 こういった考え方から、事務局としては(4)具体的な医療機関群の設定に関する検討として、次
のような御提案をさせていただきます。これまでの検討を踏まえまして、一定の機能や実績の要
件を満たす一定以上の医師密度・診療密度の医療機関について、独立した医療機関群として設定
することを検討してはどうかと。具体的に、たたき台のイメージとして提示させていただいてお
ります。
 丸1医師密度・診療密度の要件を大学病院本院80施設を参考に設定してはどうかと。
 丸2これだけではなくて、一定の機能や実績の要件を設けてはどうかと。「以下のいずれかを満
たす医療機関」と書かせていただいておりますが、先ほど申し上げたとおり、一定以上の医師研
修の実施がある。一定以上の高度な医療技術の実施がある。一定以上の重症患者に対する診療の
実施がある。要は、医師密度・診療密度だけではなくて、こういった機能の実施の要件を満たす
ものを別途、医療機関群として設定してはいかがでしょうかと。いずれも具体的な要件は今後検
討だと思っております。
 そして、大学病院本院の医療機関群と、こういった過程で検討する大学病院以外の医療機関群
との関係についても今後整理して、最終的に別々の医療機関群とするか、両者合わせた医療機関
群とするか、併せて検討してはいかがでしょうかと。
 ここまでが医師密度と重症度に関する検討の御提言でございます。
 続いて説明させていただきます。前回、もう一つ残っていた他病棟との連係機能、こちらはD
-3-3をお手元に御用意ください。こちらの集計は3点でございます。まず、亜急性期病床に
特化して診療傾向を見させていただきました。
 1ページ目は何を見ているかと申しますと、亜急性期病床を併設している医療機関で、亜急性
期病床に入院後何日目に転床されているかをDPCデータで集計させていただきました。症例数の
多い5つのDPCを選んで順に集計させていただくと、ヒストグラムのような結果になりました。
横軸が入院後の日数で、縦軸が転床した症例数となっております。赤い線の横にIと書いてあり
ますが、ここが入院期間Iの日数を指し示しております。実際に解析させていただいた結果、5
つのDPCいずれも入院期間Iを過ぎた直後に転床する症例のピークが来ていることがごらんいた
だけるのではないかと思います。
 非常に細かく書いているのでございますが、実はいずれのDPCも入院期間I~IIに、DPCの包
括点数が下がるところ、実は亜急性期病床の2,050点を切るところで転床しているのではないか
と推測されるというのが、このデータでございます。
 この5つのDPCに属する症例につきまして、次の3群に分けて入院後の経過日数別に診療密度
を分析してみました。具体的には、亜急性期病床を併設している医療機関で亜急性期病床に転床
された症例をA群、亜急性期病床を使わず退院された症例をB群、参考として亜急性期病床を持
っていない医療機関での症例をC群として、診療密度を分析させていただいたのが以下の5つの
グラフです。ざっとごらんいただいただけでもおわかりいただけると思いますが、A群、B群、
C群いずれも差がないということが見てとれると思います。いずれの3群間でも診療密度に明ら
かな差を認めないという結果がごらんいただけると思います。
 5ページは、療養病棟について、先ほどの亜急性期のヒストグラムと同じ解析をさせていただ
きました。要は、入院後の日数と転棟の時期に関係性があるかということを見るグラフでござい
ます。今回は入院期間I、II、IIIとともに表示をさせていただきましたが、入院期間と転棟時期
の関係というのは見られておりませんというのが療養病棟に関する結果です。
 6ページは、参考までに包括範囲の相違についてつけさせていただいております。
 本体資料の4ページ目にお戻りください。(2)これらの追加集計結果を踏まえた検討としては、
亜急性期病床については、転床時期、要は亜急性期の入院医療管理料の算定時期が多数の事例で、
一定の傾向を持って、要はDPC/PDPSの点数と、亜急性期の包括点数との比較で報酬算定上有
利となる時期に転床しているのではないかということが考えられます。
 一方、亜急性期病床の転床の有無にかかわらず、または亜急性期病床あるなしにかかわらず、
観察される診療密度は大きな相違がなく、亜急性期病床とDPC対象病床との間で、特段患者像が
異なるものではないと考えられます。
 このように患者像に大きな相違がないにもかかわらず、主として診療報酬算定上のメリットに
より転床が実施されている事態が発生しているのではないかと考えられます。適切な病床の機能
分化の推進という観点から、何らかの対応が必要ではないかと考えております。
 以上のことから、亜急性期病床の併設の有無を医療機関群として検討するのではなくて、今後
DPC/PDPS算定ルールの見直しの中で検討する必要があるのではないかと考えております。
 同じく療養病棟の連携については、前回7月6日のデータを含めた検討において明らかな傾向
を認めておりません。今回のヒストグラムでも明らかな傾向を認めておりません。ですので、こ
ちらについても医療機関群の検討から除外してもいいのではないかというのが事務局の御提案で
ございます。
 本日の御議論の内容を4にまとめさせていただいております。
 (1)DPC/PDPS調整係数の置き換え伴う基礎係数で設定する医療機関群については、丸1大
学病院本院群、丸2大学病院本院以外の医師密度の高い病院群、この名称については別途検討さ
せていただきたいと思います。丸3それ以外の3つの医療機関群とする方向で検討してはいかが
でしょうか。この場合、最終的に丸1丸2を別とするか、同一のものとするかは今後、これも含
めて検討対象とさせていただいてはどうか。
 そして、これらの医療機関群に関する要件を後で具体化すると記載させていただきましたが、
この具体化作業については中医協に報告して、御了解を得た上で着手させていただいてはどうか。
 (3)他病棟との連携については、医療機関群としては設定を行わず、DPC/PDPS算定ルール
の検討作業の中で検討してはいかがでしょうかと。
 以上が、事務局からの御提案でございます。
 
○小山分科会長
 ありがとうございます。少し長かったのですけれども、医療機関群の設定について今までの議
論を踏まえてまとめたものを説明していただきました。これに対する質疑・応答をいたしたいと
思います。御質問あるいは御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。齋藤先生どうぞ。

○齋藤委員
 ちょっと一般的なことですが、いろいろな集団の分類というのは、その視点によっていかのよ
うな分類も可能なわけですね。今日お示しいただいたのはDPC対象病院の分類の一つの在り方で
すが、そのように分類することが日本の医療政策決定の上で、どういうメリットをもたらすのか
ということがはっきりしないと、もっと違った分類の仕方だってあるのではないかとか、医師密
度であるとか何とかと言われれば、確かにそういう分類は成立しているのですよ。だけれども、
それだからその分類を何に、どうフィードバックしていくのかということまで、ある程度の展望
が持てないと。それは基礎係数の値なのかもしれないですが、基礎係数にどういうプロセスを経
てつないでいくのかということがわからないと、こういう分類ができたから、それでめでたし、
めでたしという気持ちにはなりにくいのですが、どうでしょうか。例えば、病気の分類をいろい
ろな方法で分類する仕方がありますが、そのように分類することよって治療法が変わってくると
か、予後の見通しが変わるとか、いろいろなことがあるわけですよね。だから、この分類がもた
らすメリットをもう少し具体的に述べてもらえますか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 医療機関群の議論の前提は、グルーピング後に各医療機関群の平均点で基礎係数を設定すると
いうところにありましたので、結果的に年数を経るごとに、同程度の効率化・標準化を求め、最
終的には収れんして参ります。DPCのみによる分類では重症度が厳密には一致していない、とい
うデータも示させていただいておりますので、同じ基礎点数にしてしまえば重症の患者を診るイ
ンセンティブがなくなってしまうわけでございます。ですので、一定の合理的な機能の差、今回
は医師密度を軸に評価しようとして提示させていただいていますが、こういった機能の差がある
のであれば、医療機関を分けさせていただかないと、そういったインセンティブが消えてしまう
というものでございます。

○小山分科会長
 池上委員お願いします。

○池上委員
 医療機関群というとグルーピングをするわけですね。今は医療機関群の中でA、B、Cという
分け方をするのではなく、その医療機関群に入るか入らないかということが課題になっていると
私は解釈しまして、そうなりますと、資料D-3-2「医療機関群の設定について(4)」の2~3
ページの図をごらんいただければと思います。「外保連試案(第7版)手術難易度及び医師密度の
関係」を見ますと、医師密度につれて階段状に外保連手術指数との関係が見えますので、これは
むしろ順次、外保連手術指数が高まると、医師密度区分に併せて高まると見るのが妥当な見方で
はないかと思います。
 これに対して医療機関群という分け方にすると、どこで区切るかは今後議論がありますが、医
師密度区分をどこで区切っても、次の群との間に明確な差があるわけではなく、階段状になって
おりますので、階段状になっているものをどのようにしてグルーピングされる予定なのでしょう
か。

○小山分科会長
 どこで線を引くかということですね。

○池上委員
 そうです。群というのは、イエスかノーかで区切るのですけれども、これは階段状に連続的に
外保連手術指数との関連が見られる中で、どこで区切ってもこれからは説明しにくいと思います。

○丸山入院医療包括評価指導官
 具体的な医師密度をどこで区切るかというのは、3ページにも記載させていただいたとおり、
具体的には今後検討、まさに御指摘のとおりなのだと思っております。

○池上委員
 私は、どこで区切っても2群に区切るような妥当な根拠は、このグラフからは読み取れないと
いうことを申し上げて、今後何を検討するべきかというのは、どこに線を引くかを検討すること
自体が問題であるということを指摘したまでです。

○小山分科会長
 三上委員どうぞ。

○三上委員
 今日は、診療密度と手術難易度、同一DPCの重症度と医師密度の関係を示していただいたので
すけれども、この中で唯一説得力があるのは、手術難易度と医師密度の問題はそうだろうなと思
いますが、それ以外の問題についてはどうかと。特に、診療密度が高いところを係数で評価する
ためのグルーピングをするのだということについては、果たしてそれがいいのかどうかというこ
とが一つ問題だと思いますし、また、同一DPCにおける重症度の違いと診療密度の関係について
は4つほどDPCを例に出しておられるのですけれども、それも明らかな差があるわけでもないの
に、それを差があるのだと、係数をこちらの方に高くつけないとだめかもしれないというような
誘導的な議論というのはどうなのかと思うのです。手術難易度については当然、医師密度の高い
ところで難しい手術がされているだろうと。それは当然DPC自体が違うわけですから、それはそ
れで評価されているのではないかとは思いますが。

○小山分科会長
 いかがでしょうか。今の三上委員の御意見、あるいは池上委員の御意見等々ありましたけれど
も、皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。そんなことはないのではないかという意見も聞
きたいですね。

○嶋森委員
 群を分けるのは医療資源が限られていて、より合理的にお金を払えるところに払い、そうでな
いところには払わないで良いようにするために、社会的資源とか、病院の役割の関係で切って群
分けをすることが必要で、それを決めるのがここの仕事ではないかと思います。統計的に連続性
のあるものを切るということが重要で、切るための議論を今していると私は理解しています。
 それから、やはり患者さんの重症度というか、手のかかる人をきちんと診ていくことに一定の
評価が必要で、そのためにどこを評価すれば良いかを考えて医師の数を見たわけですから、ほか
の視点があれば、それを幾つか今後検討していけば良いのではないかと思います。一つは医師の
密度、重症患者を診ているという視点も評価していいと私は考えます。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。

○池上委員
 今の御意見は、まさに看護師の7対1と同じ議論だと思います。それを妥当と見るなら、これ
も妥当だと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。御意見をよろしくお願いいたします。いろ
いろな考え方があると思いますが、これはとても大事な議論だと思いますので。

○瀬戸委員
 すみません、今の件からちょっと離れるのですけれども、医師密度ですが、医師免許取得後5
年というのと医師全体で集計されていますが、5年の区切りというのはどういう意味があるので
しょうか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 これは前回の医師研修機能の検討の中で、研修機能として評価指標とするのに5年以内、要は
専門医を取れる程度ぐらいでいかがでしょうかという御議論だったと理解しています。

○瀬戸委員
 これは感覚的には今の初期研修と3年目、4年目、5年目というのは全く違うものであって、
1年目、2年目というのは保険医でもないわけですよね。

○小山分科会長
 いえ、保険医です。

○瀬戸委員
 保険医ではあるけれども、それが終わらないと。だから、我々からすると1年目と2年目は基
本的には本当の初期研修医です。3年目以降は、我々としても医師という感覚を持つのですけれ
ども、なので、個人的には初期研修医というのを本当に医師密度の中に入れていいかという疑問。
そうすると、東大が一番得をするのだろうけれども、医師密度の中に初期研修医を入れていいか、
入れるべきかというのは非常に個人的には疑問を感じます。

○小山分科会長
 実はこの経緯は、最初は医師臨床研修医を受けているか受けていないかで分けようとしたんで
す。最初のスタートはそこで、それよりも研修ということを考えたら、今、事務局から説明があ
ったように、専門医を持っているか持っていないところの5年ぐらいで切るのが妥当ではないか
と。まさに1年生、2年生は違うのではないかという御議論なので、この密度を上げているのは
実は1年生、2年生よりも、その上の3~5年生の専門医を取るところの方がそこに対しては貢
献しているだろうと。そうすると、この人たちを育てているところを評価してあげた方がいいの
ではないかということで、前々回に5年までを一応研修機能として評価しようと決まったんです
よ。

○瀬戸委員
 全く同感ですけれども、ただ実際は、1年目、2年目と3~5年目は全く異質です。1年目、
2年目は今の制度上は、まあいいですけれども、それは個人的な感想ですから。

○小山分科会長
 ありがとうございます。

○相川委員
 今の議論に関係するのですが、前は臨床研修病院というのを1つのグループにしてはいかがか
ということで進んでいたのですが、私もいろいろ意見を申し上げまして、今回3つのグループ分
けには臨床研修病院という特定化できるグループ化をしないような形での3つのグループの提案
が出てきたことは、非常に前進だったと思っています。確かに、臨床研修病院は、適切な臨床研
修が実施できるという観点から幾つかの外形基準、例えば、お産の数とか、救急患者の数あるい
は指導医の体制が整備されているかとか、宿舎が整備されているかとか、そのようなことを踏ま
えて手挙げをした施設を認定していると。これが認定されれば、はっきりとその病院は臨床研修
病院であるということで、グループ化には白黒がつくわけですね。
 ところが、臨床研修病院では高度な医療をしているのではないかというようなお考えがあった
かと思いますけれども、これは今の瀬戸委員の発言とも非常に似ているのですが、必ずしもその
ように考えてもらっては困ると思っています。私は、臨床研修制度の部会長をついこの間までし
ていました。制度設計にもかかわってまいりました。本来、臨床研修というのは、私がここであ
えて言うことでもないのですけれども、プライマリーケアを中心とした研修を大学卒業後に医師
免許を取った医師たちに研修させるというのが本来の考えですから、本来、臨床研修病院に来て
いる最初の2年間の医師というのは、高度な医療をしたり、難しい手術をしたりということでは
なくて、日常のプライマリーケアを研修するために来ているわけです。
 そういう観点からすれば、臨床研修病院という名前で高度な医療をしている、あるいは非常に
医療資源を費やしているだろうというのは、実際にはそのようなデータは出てくるかもしれませ
んけれども、考え方の上では間違っていて、もし、このようなことが行われるとすると、世間一
般が臨床研修というのは高度な医療を研修させているのではないかという、本来の臨床研修制度
の趣旨をはき違えて理解されてしまうことがあるので、是非、御注意いただきたいと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございました。部会長として大変重い御意見だと思います。
 いかがでしょうか。

○伊藤委員
 資料D-3-2の1ページの診療密度を見る限りは、DPC算定病床当たりの医師数では5年目
までの相関係数0.48が一番高いので、これから言うと、5年目までの医師数で包括範囲出来高点
数を見るのが一番評価をしやすいのかなと思います。リニアに見えるのですけれども、どうして
もグループ化することを前提にするのであれば、これで見ると5年目まで0.15、多分全指数でい
うと0.3というところだけ上がっているように見えるのです。これは0.15とか0.3で切ると、た
かだか160病院とか大変少ないので、特定機能病院だけとか、特定機能病院に準じるぐらいの病
院しか入ってこないのかなと全体のイメージとしては思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。その辺のところを先ほど池上委員の話で、どこで線を引くかというの
は、これからもうちょっと議論が必要だと思いますが、方策としてというように御理解いただけ
ればと思います。
 酒巻委員どうぞ。

○酒巻委員
 こうして医師密度という形でどこかで分類することになりますと、免許取得後5年目というの
が逆に1つのキーワードになってしまって、5年目までの医師の獲得合戦という変な方向になり
かねないということも念頭に入れた上での分類が必要になるのではないか。若いお医者さんは宝
物だというのは勿論のことですけれども、うまく育てることの方がむしろ大事なのであって、こ
れが分類の狭間の中に入って、行ったり来たりするということのないような設計を必要とすると
思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。中身を見る必要があるということですよね。
 山口委員、お願いします。

○山口委員
 資料D-3-2の先ほどから問題になっています2~3ページのきれいな図ですが、よくよく
見ると、上の方は本院を含めて集計して、下は本院を除いてということなので、そうすると、非
常によく似たグラフが2つありますけれども、これは厳密に考えると本院の特徴はどこにも多分
出ていないですよね。ですから、大学病院本院だけでグラフを書いたらどうかというものと本院
外を比較しないと、すごく誤解があるのではないかと思うので。私がもしかしたら勘違いしてい
るのかもしれませんが。

○小山分科会長
 ただ、ここの議論は、大学病院本院は異質であるということが結論づけられていますので、大
学病院本院が違うか違わないかということを示すグラフではないと理解していいのではないかと
思いますけれども、事務局いかがでしょうか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 御指摘のとおりです。

○小山分科会長
 大学病院がちょっと違うというのは、ほかのいろいろな数値のデータから、松田委員が出され
たいろいろなデータから、ここは違うのでここは別格にしましょうという議論で、これにほかの
病院を近づける、あるいはここから離すという議論の中でこのような形が出たと理解しています
が、いかがでしょうか。

○山口委員
 わかりました。そうすると、大学病院本院を横軸のどの辺に重点を置いて見るかというと、ど
の辺になりますか。一番右ぐらいしかないということでしょうか。

○丸山入院医療包括評価指導官
 厳密な集計はしていませんが、右側に方に主に集中しております。

○小山分科会長
 三上委員どうぞ。

○三上委員
 大学病院だけが別だというのはよくわかります。

○小山分科会長
 もっと優しく言ってくださいと。

○三上委員
 それはそれとして、前回話題になりましたけれども、美原委員からも出たのですが、診療密度
の高さを本当に評価すべきなのか、どのように評価すべきなのかということについては、前回結
論が出なかったのですが、これを係数に反映させてはどうかと、分類分けの基準にしようかとい
うことですが、いわゆる若い先生方は必要以上に検査をしたりとか、いろいろな処置をしたりす
ることがあると思うのですけれども、そういう密度の高さは本当に評価すべきなのかどうか、本
当に効率的に適正な量だけの診療密度を評価すべきなのではないかと思うのですけれども、その
辺はここでは統一的な考え方というのはないのですか。

○小山分科会長
 先生の御指摘のとおり、非常に大切な問題だと思うのですけれども、資料D-3-1の3ペー
ジを見ていただきますと、「具体的な要件のイメージ」で、密度だけではないというのは丸2の一
定以上の機能や実績ということで、一定以上の医師研修の実施、あるいは一定以上の高度な医療
技術の実施、あるいは一定以上の重症患者に対する診療の実施という項目を事務局が挙げたのは、
先生御指摘部分への回答なのかなと思うのですが。

○三上委員
 これも先ほど相川先生がおっしゃったように、研修の問題については評価がまた分かれる、プ
ライマリーなのだという話と、高度な医療技術というのは難易度の問題で評価されていくのだろ
うと思いますし、重症患者というのは4つほどのDPCで何とか傾向があるのではないかという話
ですが、これも論理の飛躍があり過ぎるような気がしますので、これはお答えになっているとは
私は思っておりません。

○小山分科会長
 ありがとうございます。
 熊本委員どうぞ。

○熊本委員
 資料D-3-1の5ページにまとめていただいているところで確認ですが、基礎係数で丸1大
学病院本院群と丸2大学病院本院以外の医師密度の高い病院群と丸3前記以外、丸1と丸2が一
緒になる可能性もあるという書き方だと思うのですけれども、この部分は多分、医師の研修機能
を見ようと。必ずしも診療密度といったことだけではなくて、先ほど御議論がありましたように、
医師の研修機能からずっと来て、それを見たいということで、例えば、診療密度、例えば、外保
連の難易度を見ていったらそうなったということもかかってきているかと思います。ただ、その
ほかにも今までがん診療とかいろいろな分け方がありましたが、その中で、例えば、小児医療と
かケアミックスはどんどん外れていったわけです。違う方策で見た方がいいと。必ずしもグルー
ピングで対応するものではないという形になりました。
 これから先のことをちょっと心配したわけですけれども、がん診療とか地域医療支援とか幾つ
か前に候補がありましたが、そういったものとも外れていくと、これがかなり大きな重みになる
可能性も出てくるかと思います。その中で、先ほど申し上げましたように、診療密度でなくて医
師の研修機能で見た、もしくは外保連の難易度と相関しているけれども、外保連の難易度はそれ
ぞれに診療報酬でも評価されていますから、そういうものと組み合わせたら、医師の研修機能と
して十分であるという根拠の図かと先ほどの表は思ったのですけれども、そういった意味で質問
としては、資料D-3-1の5ページのまとめに3つのことが示されていますが、今後更にほか
の群に関しても十分にいろいろな資料を基に検討を続けるのかどうか、結構これが重たいものに
なるのかなという懸念を持ったものですから、あえて質問させていただきました。

○小山分科会長
 私の今の考え方とすると、今お話になったように、がんとか小児というのは恐らく4疾病5事
業にかかわるのもそうですけれども、それは機能評価係数IIの中で評価されていますので、恐ら
く次の議論になると思います。この評価の仕方も全部均一ではないのではないかという意見がこ
の前から出ておりますので、丸1はここを重点的に、丸2はここを重点的にというのがあります
ので、恐らくそこで分かれていくのではないかと思います。

○熊本委員
 そうすると、やはり医師の研修機能というのがかなり大きなポイントになってくるということ
ですか。
 
○小山分科会長
 基本的には、丸2の分け方は医師の研修機能を評価したらどうだろうかというところから始ま
っていますので、そうならざるを得ないと思いますけれども、事務局よろしいでしょうか。

○迫井医療課企画官
 一通りいろいろな御指摘をいただいております。まず、今の御質問からしますと、大事な部分
で5ページにまとめさせていただいていますが、これは当初検討のきっかけとしては、医師密度、
研修機能に着目して始めてまいりましたが、いみじくも分科会長がおっしゃったように、三上委
員あるいは前回の美原委員の御指摘も踏まえて、単に医師を配置しているということを評価する
のはおかしい。要因や原因の前提を整理すべきだということで、我々としては真摯に受け止めた
つもりです。それで、たった3つのDPCでという御指摘も勿論あるのですが、逆に言いますと、
すべてのDPCで重症度がすべて反映されているのであれば別の方策で本来対応すべきであって、
今回の議論はあくまで調整係数のような個別調整をやめて、基礎係数をグルーピングでやってい
くという方向にせざるを得ないのではないかという、平成22年改定前後1年間の取り組みを経た
一つの認識として始まったということです。ですから、伊藤委員と池上委員がかなり強く御指摘
の、線形の比例関係になっているので係数で評価すべきではないか、という問題提起がある中で
あえてこういう御提案をさせいただいているのは、もともとの出発点が機能評価係数により議論
をして、いろいろな指数、いろいろな係数を重ねて議論していただいたのだけれども、どれも帯
に短かしたすきに長しで、結局、係数化するのはなかなか難しいと。それで、最終的な調整法は
こうしましょうという話になっているというのが出発点だということを確認させていただきたい
と思っているのです。
 その上で、具体的な事務局としての現時点での御提案は、資料の3ページの医師配置を評価す
るとしての前提条件です。研修機能の一つには、議論の出発として始まったということですが、
最終的な事務局の御提案は、研修機能の一翼を担う大事な医師密度の要件、ファクターですが、
これは相川委員御指摘のように、それだけで評価すべきではない、あるいはそれがすべて逆に高
度な医療とか研究と重なっているととられては困るというのは、全くもってそのとおりだと我々
も認識していますので、一定の要件の医師研修か、高度な技術か、あるいは重症度等幾つかのフ
ァクターを満たす実態を伴った上での一定以上の医師密度ということで線を引いたらどうかとい
うことです。逆に言いますと、こういう要件を課す以上、線形で評価するのは適切ではないとい
う認識で、最終的にこういう御提案をさせていただいたということでございます。

○小山分科会長
 ありがとうございます。どちらかというと大規模の病院の話ですけれども、金田委員いかがで
しょうか。ここについて何か御意見ございますか。

○金田委員
 御指名いただきまして、ありがとうございます。重症患者を診る機能を評価するというのはよ
くわかります。相川委員もおられますけれども、重症救急のことが7月23日の全国紙に載ってお
りましたが、重症救急のたらい回しが4年連続して1万人を超えたと。最多は、東京都の60歳の
男性で41回拒否されたと。こう考えれば、重症救急の受入れ率というのも非常に重要な意味があ
りますし、幾ら病院があっても拒否すればその患者にとっては、病院がないことと一緒ですね。
個人的な例で申し訳ないのですが、昨日私は当直していまして朝出てきたのですが、5台救急が
来ましたけれども全部受け入れました。そういう大病院がない地域で、受け皿がないところで頑
張っているところを何らかの形で適正な評価をしないと破綻するのではないか、ということを申
し上げたいと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。まさに機能評価係数IIというのはすごく大事な議論になっていくと思
います。
 美原委員はいかがですか。

○美原委員
 すごく難しいなと思っています。何となく今、話が医師の数、密度ということでいってしまう
と、地方では医師の確保は、大学病院、公的病院でも難しい状況であって、医師の数がまず前面
にあってというと、なかなか厳しいものがあるなとは思います。ただ、たくさんお医者さんがい
るということは、それだけ人件費も上がるということで、やむを得ないのかなと頭の片方で思っ
ている自分がいるわけです。
 もう一つ、では、3ページの具体的なイメージの問題ですが、先ほどから話になっている教育
の問題、これはすごく重要だろうと前回もお話ししました。ただ、それが診療報酬点数に重なっ
てくるということでは、なかなか自分自身が了解できないものがどこかにあります。研修機能と
いうのは非常に大切であって、研修機能にコストがかかることも十分認識していて、それは何か
別の形できちんとしないと何かおかしいかなという気持ちはどこかで持っています。
 それから、高度な技術とか重症患者に関しては、高度というのは本当に特殊なもので、それは
大学病院なり特殊なセンターがなさっているものであって、それは全く別の高度であって、重症
と高度はまた違うと思います。重症患者は一般の病院でも十分に診ることがあるし、それなりの
高度というか、保険で裁定されているような高度な技術というのは一般の病院でも十分にやれて
いるところはやれているし、それは必ずしも医師密度とは関係なく行われているのではないかと
思いました。
 以上まとめるとどういうことかというと、やはり大前提として医師密度ということが最初に来
ると、なかなか地域差というものを考えたときに厳しいものがあるかもれしないということが一
つ。あとは繰り返しになりますので、以上です。

○小山分科会長
 ありがとうございます。
 難波委員、いかがでしょうか。

○難波委員
 医師密度が医療の質が高いという証拠があれば、それはそれで意味があるかと思いますが、地
方の病院で医師不足の中でも質の高い治療をやっているところがあるのではないか。そういうも
のも何か拾い上げる方法がないかとは思いますが、いかがでしょうか。

○小山分科会長
 そうですね。その辺のところは、とりあえず最初の限定が研修医制度から入っていったもので
すから、それが中心の話題になりますけれども、それに関してはまさに?の議論が非常に重要に
なってくると思いますので、そこでいろいろな御意見を伺いたいと思います。
 緒方委員どうですか、今回話を聞かれて。

○緒方委員
 1つは、グルーピングを前提にしているのですが、グルーピングするときに線を引きにくいと
ころにも引かなければいけないのですね。そのときに、本来A群であるべきものがB群に混ざっ
ていたり、本来B群に混ざっているものがA群に入っていたりという多少の重なりはしようがな
いと思います。それがなるべく少なくなるように要件のイメージをもう少し考えていくというの
が、一つの方策だと思います。つまり、見えるもので今議論しているのは、ある程度数字で見て
いるわけですけれども、その数字で分けたときになるべく本質的な分け方に近づくように工夫し
ていくという議論が必要かなと思っております。

○小山分科会長
 ありがとうございます。
 最後に、鈴木委員いかがですか。

○鈴木委員
 特にございません。今、先生方に御議論いただいた分け方は、どういうコンセプトに従って、
どういう形で分けていくかということが一番大事かなと私も思いますので、また御議論を進めて
いただければと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。
 大体予定の時間になりましたので、議論は以上にしたいと思いますけれども、一応方向性とす
ると、今日のD-3-1の資料で各委員からいろいろな御意見をいただきましたが、まだまだ足
りないというところもあると思いますが、方向性としてはこのような分け方の中でとりあえず基
礎係数を考えていくということでよろしいかと思います。
 これで閉じたいと思いますけれども、まだ何かありますか。ありがとうございます。
 それでは、事務局からお願いいたします。

○丸山入院医療包括評価指導官
 次回の予定は未定でございますので、決まり次第御連絡をさせていただきたいと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございました。それでは、平成23年度第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分
科会を終了させていただきます。どうもありがとうございました

16:31閉会                                       


(了)
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