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2011年6月9日 第3回「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会議事録

健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室

○日時

平成23年6月9日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(19階)


○議題

1.開会
2.議事
 (1)原爆体験者等健康意識調査について
 (2)その他
3.閉会

○議事

○佐々木座長 おはようございます。1~2分早いんですが、ほぼ定刻になりましたので、第3回「『原爆体験者等健康意識調査報告書』等に関する検討会」を開催させていただきます。
 本日の委員の出席状況について、事務局から御報告をいただきたいと思います。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 本日の出席状況でございますけれども、伊豫委員から御欠席の連絡をいただいておりまして、他の先生には御出席をいただいている状況でございます。
○佐々木座長 委員の皆様方、お忙しい中ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。
 本日はこれまでに出た疑問点、意見のうち、健康意識調査に関する部分について、飛鳥井参考人から資料を御提出いただいておりますので、御説明をいただいた上で、更に議論をしたいと思っております。
 飛鳥井参考人と漆原参考人はたしか第1回のときにおいでいただいていたと思います。既におなじみだと思いますので、特に御紹介はいたしません。
 その前に事務局から資料の確認をしていただけますでしょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 座ったままで失礼いたします。
 お手元の資料を御確認いただきたいと思います。
 資料1といたしまして「『原爆体験者等健康意識調査報告書』に関する主な意見1」。
 資料2といたしまして「飛鳥井参考人提出資料」。
 資料3といたしまして「『原爆体験者等健康意識調査報告書』に関する主な意見2」。
 参考資料1といたしまして「飛鳥井参考人提出資料」。
 机上にはSF-8とSF-36に関する資料がございますけれども、著作権の関係で机上配付とさせていただいております。会議終了後、青いファイルの方にとじさせていただこうと思っておりますので、こちらの方は会議が終わった後は置いていっていただければと思います。適宜御参照いただければと思います。
 以上でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 資料について、特に過不足はございませんでしょうか。
 それでは、今回は原爆体験者等健康意識調査報告書のうち、主に健康意識調査の仮説や調査設計の部分について議論することとしております。資料1にありますように、これまでに出た意見のうち、仮説や調査設計に関する部分について、事前に質問事項として回答を依頼しておりますので、飛鳥井参考人からこれに沿って御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○飛鳥井参考人 それでは、早速御説明をさせていただきます。
 資料1に書いてありますようないろいろな御意見、御質問をいただきまして、それを資料2の方に落とさせていただきました。御質問の内容は質問事項として再掲しております。
 作業仮説の部分ですが、調査を行う前提として、特に誰に対して影響があったと仮定しているのか。黒い雨が降った地域の当時の住民全員なのか、黒い雨を浴びた人なのかということでございますが、本調査全体は黒い雨体験者ということだけではなくて、被爆者も含めて全部調査をしております。被爆者並びにいわゆる宇田の大雨地域、宇田の小雨及び周辺地域で黒い雨を体験した人でございまして、当時の住人全員ということではなくて、基本調査であなたは黒い雨を体験されましたかと確認をしております。被爆者及びこれらの体験者について健康影響があったかどうか。何らかの健康影響があったのではないかと仮定しております。
 2の質問事項は、健康に与える原因は何だと考えたのか。原爆の放射線によるのか、黒い雨を見たことなのか、原爆に関連する体験をしたことなのかということです。これはあらかじめこれではないかと狭くとらえるのではなくて、御説明をしましたように、いろいろなことが恐らく影響するであろうということで、調査では含めております。
 まずは基本属性要因です。当然ながら、性別、年齢、居住状況、要介護度、世帯収入というものが影響するだろうということです。質問票での限界はございますけれども、なるべく基本属性要因についても、項目として入れられるものは入れました。
 その上で、原爆体験。光景の目撃ですとか、命の危険あるいはけがをしたとか、やけどをしたとか、直後の急性障害と思われるような症状があったかどうか。あるいは目の前で家族を救えなかったとか、家族を亡くしたといったようなこと。戦後も放射線の影響と思われるもので家族を亡くしたかどうかといったような、原爆当時の体験あるいは戦後直後の体験の有無についても健康に影響を与えるだろうということを仮定して含めております。
 それから、放射線の影響による健康不安と言われるものです。
 それから、これは被爆者あるいは黒い雨関係者ですけれども、社会的偏見、ソーシャルスティグマと言われるような問題が実際にあったということがわかっております。現在、福島の原発の後もそれらが問題にされていますけれども、そういったような差別偏見体験の有無についても盛り込んでおります。
 それだけではなくて、他の戦争体験です。原爆以外に特に周辺地域では空襲を受けたり、機銃掃射を受けたりしておりますので、他の戦争体験による影響。
 また、戦争体験、原爆体験以外の心的外傷体験として、犯罪の被害ですとか、その他の災害、火事、交通事故といったような他の心的外傷体験の有無についても聞いております。
 そういうことで、これらの要因をすべて含めております。
 3ですが、調査結果を導き出すためにどのような影響に焦点を当てているのか。放射線被爆と関連する疾患が増えたのか、その他の何らかの疾患が増えたのか、健康に関する満足度が下がったのか、精神的な影響が出たのかということであります。
 直接今回の検討会は黒い雨体験者ということですので、黒い雨体験者に健康影響があったとすれば、その原因は何かを検証することを目的としております。具体的には調査時点における健康関連QOL指標として、精神健康機能及び身体健康機能、これは今日お配りしましたSF-8、SF-36を使っております。基本調査でSF-8、個別調査でSF-36を使っております。それから、不安抑うつ指標として、海外でよく使われておりますK6というものを使っております。また、心的外傷性ストレス症状については、国内で広く使われておりますIES-Rというものを基本調査では使いまして、個別調査ではCAPSという構造化診断面接を使っております。
 それが健康関連のQOL指標ですが、そのほかに放射線被爆と関連する疾患やその他の身体疾患の有病率の上昇が調査できればいいんですが、これは今の時点で調査するのは難しいということは御承知かと思います。実際に国内では放射線影響研究所がコホートスタディをしておりますが、ああいったようなきちんとしたデータであれば、例えばその後のがんなどの有病率が増えるかどうかといったようなエビデンスが出せますが、こういう横断的なサーベイでそれを出すというのは至難でございますので、どこら辺までできるのか、参考値程度で何かできるのかということで、本調査では現在治療を行っている病気の有無についても回答を求めました。
 前半の健康関連の指標は、特にメンタルヘルス関連のいろいろな指標については3つの尺度とも同じような傾向を示しているということは、前回も御説明したとおりでございまして、被爆者及び黒い雨体験者では明らかにメンタルヘルス上で不良な影響が認められるということは御説明したとおりでございます。
 後半の現在治療を行っている病気の有無についても、幾つかの疾患で黒い雨体験者においてもオッズ比の上昇が認められたものがありました。有意に上昇が認められた疾患もございますが、ただし、これは先ほども言いましたように、限界のある調査で、あくまでも横断調査でございますから、きちんとしたコホートスタディではございませんで、参考値ということになるかと思います。
 4いつの時点でその影響が出たのか、現在も続いているのか等について、把握する考え方はなかったのか。
 これも調査の限界でございまして、対象者がいずれも高齢者でございまして、いろいろなことをお聞きしたいんですが、調査の負担をできる限り少なくしたい。それから、できるだけ負担を少なくすることで有効回答率を上げたいというぎりぎりのバランスをどこでとるかということで考えております。
 また、振り返っていつごろかというのは、いわゆるリコールバイアスといいますか、本当に御本人が言っていることが正確なのかどうかということの担保が取りにくいということもございますので、これは現在どうかということで絞らせていただきました。勿論当時の体験については、当時のことで振り返っていただくんですが、その後のいろいろな影響がいつごろ出たのかといったようなことについては、設問には盛り込んでおりません。あくまでも現時点でどうかということでお聞きしております。
 また、使用した質問尺度についても、これもあくまでも調査時点、現在の状態を測定するものであります。ただし、例外的には個別調査でCAPSというPTSDの構造化診断面接を使っておりますが、これはむしろ被爆体験後のPTSDの有病率を出すことを目的に使いましたので、振り返って最もPTSD関連症状が出たのはいつごろか、大体は被爆体験間もない時期というのが多かったんですが、そのころを振り返って生涯有病率というものを出しております。CAPSという診断面接法はそういうことかで測定できるテストになっておりますので、それが例外的には振り返って聞いたものということになります。
 一応作業仮説の部分は終わりました。ここで一旦切った方がいいですか。
○佐々木座長 どういたしましょう。そのほかに何か用意していただいていますか。
○飛鳥井参考人 あとは、後半の調査設計についての御質問がありますが、まとめてやってよろしいですか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 いかがいたしましょうか。区切っていった方がいいか、それともまとめて説明していただいた方がよろしいですか。
○佐々木座長 どう思われますか。
○金委員 座長にお任せします。
○佐々木座長 それでは、先に御報告をいただいて、それから質問ということにいたしましょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 それでは、最初にまとめて説明をいただくようにお願いします。
○佐々木座長 全体を御説明いただいた上で、それぞれに御質問いただきたいと思います。
○飛鳥井参考人 それでは、次のページ、3枚目になりますけれども、調査設計です。仮説を証明するために、どのような調査をしようとしたのかという御質問です。
 1は基本調査と個別調査の関係ということですが、基本調査では各体験区分間、体験区分といいますのは、被爆者の中でも直接被爆群、いわゆる被爆者手帳を持っている方、1号です。それから、入市被爆者の方、救護・看護の被爆者の方、黒い雨、いわゆる大雨地域で黒い雨を体験された方、宇田の小雨地域で黒い雨を体験された方、比較対象群としまして、被爆者でもないし、黒い雨も体験されていないと答えられた方で、かつ何らかの原爆関連体験を有しておられると答えられた方、こういったような各体験区分間で調査時点での健康影響に差があるかどうかというものを検証しました。もしも体験区分間で差があったとすれば、どういったものがその差に寄与しているのかということで、むしろ寄与因子を検証することが目的でございます。
 基本調査で一定の知見を得ましたので、個別調査では基本調査で得られた結果を更に検証するために体験区分ごとに性と年齢をマッチングさせたサンプル集団間の比較を行っております。そういうことで、基本調査と個別調査の別々のものを検証しようということではなくて、同じもの、基本調査で得られた結果を個別調査で更に確認するという組み立てをいたしました。
 主たる検定変数はいろいろな尺度を使っておりますが、基本調査ではSF-8のメンタルヘルスサマリー、精神健康のQOLを測定するものです。個別調査では、やはりSF-36で精神健康のQOLを測定しております。そのほかに一般的な不安抑うつ指標ですとか、心的外傷性ストレス症状についても測定しておりますが、現在、健康管理ということであれば、精神健康のQOLというものを主たる検定変数と考えております。
 比較するための群の設定ですが、前回御説明いたしましたけれども、確かに悩ましいものがございました。対照群をどう設定するのかについて、方法論上の問題点についても御指摘をいただいたところでございますが、実際、実施してみて苦労したところでございます。最終的には非体験群として、被爆者健康手帳非所持者でかつ黒い雨体験がないと答えた方のうち、ただし、何らかの原爆体験やその影響を体験した者とさせていただきました。当初デザインをしたときには、過去の調査なども参考にさせていただいて、戦後広島に転入した方を対照群とする計画で、実際かなりの数のサンプルも集めたんですが、ふたを開けてみると、この方たち自身が実はいろんな体験をされている。いわゆる市内移動といいますか、同じ広島市内での移動をされた方が多かったのか、原爆により家族を失った方が4割とか、惨状を目撃した方が26%とかおりまして、群としての特性、どういう方たちなのかということがわかりませんでした。最初から対照群と思っていましたので、質問項目を軽くしておりますので、それがわかりにくいということで、これは解析対象から外しました。
 もう一つ、非体験群で全く原爆体験がないと答えた方もおられるので、その方たち自身もかなり回答に空欄が目立つということがございまして、最終的には非体験群、何らかの原爆体験やその影響を体験した方と限らせていただきました。その方たちになると、いわゆる各項目についての空欄、そこら辺の割合もほかの体験区分と遜色ないということがわかりました。
 それから、解析方法としても、一番厳しい検定になるだろう。つまり対照群とした非体験群の方はかなりの割合で御家族を失っております。惨状を目撃しております。被爆こそしていない、黒い雨こそ体験していないんですが、いろいろな原爆体験を有しております。そういうことで、逆にいえば被爆あるいは黒い雨体験以外の要因については、かなり近い体験をされている方なので、より厳密な検証に値するのではないかと私どもは考えております。そういう意味では、より差が出にくい形で検定をさせていただきました。
 サンプルサイズですが、基本調査は原爆投下前から現在まで広島市内並びに周辺圏域に居住し続けている方全員を対象としております。回答率を上げるためにいろいろな調査協力の依頼を広報でさせていただきまして、有効回答率も74%です。ほとんどが高齢者ということを考えれば、非常に高い割合で回答を得ております。前回の広島市で行いました調査では、これよりもっと低い、半数程度だったと思いますが、今回は高い回収率を得ることができました。
 個別調査は、未指定地域群、いわゆる宇田の小雨地域で黒い雨を体験したと回答された方です。その中で面接協力同意を得られた方はやはり数に限りがございました。この方が159例ということですので、この方たちは全員を含めまして、それから、大雨地域の方も全員を含めております。
 比較対照群はそれよりも数が多かったものですから、未指定地域群と性別、年齢層分布をマッチングさせて無作為に抽出をいたしました。
 サンプルの選択方法は、報告書の方には詳しく記載をしております。今日も別添で参考資料1として報告書の中から抜粋をさせていただいております。
 基本調査については、今、御説明をしましたように、広島市内及び周辺地域に原爆投下前から居住されている方全員に郵送で配布をしております。
 それから、解析を行いましたのは、サブサンプルの方なんですが、これは71歳以上の方といたしました。71歳以上というのは、原爆投下時点で8歳ということでございます。これは記憶の問題を考えまして、その当時、乳幼児だった方については、その後もいろいろと原爆体験の話を聞いてはおりますので、それなりに回答をいただけた方もおられるんですが、果たして御自分自身の体験の記憶としてどうだったかということの問題がございます。年齢が8歳以上ということであれば、はっきり御自分自身の体験としてあるだろうということで、71歳といたしました。
 個別調査は、上限を設けて82歳とさせていただきます。まず個別調査は冬場だったものですから、それぞれ調査会場は三十何か所設定いたしましたけれども、来ていただくことの手間と、やはり御高齢ということで、そろそろ認知機能上の問題もあるということで、そういった記憶の問題と調査に対する身体的な御負担を考えまして、71歳から82歳としております。したがって、原爆体験当時が8歳から19歳ということになります。
 あと、個別調査では、事前に対象者の認知機能を評価するために、長谷川式の簡易知能評価スケールから幾つかの質問を抜粋しまして、スクリーニングをかけております。新たに簡易スクリーニングの面接の尺度をつくりまして、合計15点満点のうち7点以下の方は認知機能に障害があると判断しまして、解析対象から除外しました。実際に面接を実施した891名の方のうち、22名の方がこれで引っかかりまして、その方のデータは含めておりません。
 ページをおめくりいただきまして、繰り返しになりますけれども、これは各体験区分の定義と解析対象者数、基本調査と個別調査についてそれぞれの人数を示したものでございます。
 被爆群については、直接被爆群、入市被爆群、救護・看護被爆群、それぞれ人数がございます。個別調査は被爆群の中からいろいろな要因で24セルに分けまして、ランダムサンプリングをしております。今回の説明会では直接は関係ありませんが、被爆群もそのように調査をしております。
 黒い雨関係群は、基本調査ではそれぞれ470、559、2,200というのが71歳以上ということで解析対象とした人数でございます。その後の個別調査では、指定地域群、未指定地域群については、調査に協力していただけると答えられた方で、実際直前にもう一回確認して調査可能だった方が63名、159名という数でございます。
 非体験群の方は、未指定地域群の方に合わせて、先ほども御説明しましたように性と年齢層部分をマッチングさせて、ランダムサンプリングをしております。
 これがサンプルの選択方法でございます。
 6の統計検定方法ですが、基本調査については重回帰分析です。先ほど申し上げましたようないろいろな質問項目を全部投入いたしまして、重回帰分析をしております。それによって、各区分間の差に寄与する因子を検証することを目的としました。
 個別調査は、3群間の分散分析を行っております。
 7起こり得るバイアスとその排除方法ですが、どのような調査研究でも必ずバイアスの問題がございますので、それをできるだけクリアーするためにどうするかということが問題になります。
 まず考えられるのは、調査対象者の方がより訴えの強い方に偏る、いわゆるサンプリングのバイアスです。より症状が強い方とか、より何らかの訴えが強い方がどうしても回答してくるけれども、それ以外の方については回答のモチベーションが下がってしまうといったようなサンプリングのバイアスがございます。
 これについてですが、まず基本調査は御説明しましたように、原爆体験者、被爆者、黒い雨体験者、それ以外の方もすべて含めて、原爆投下前から居住し続けていた方全員を調査対象としております。しかも、広報等で回答率の向上に努めまして、高い回答率を得ておりますので、ほぼこれは代表性のあるサンプルと考えていいのではないかと思います。
 それから、リコールバイアスです。何といいましても63年前の体験でございますので、その後も被爆に関する情報、特に広島では御自分の体験ではなくてもいろんなことを見聞きしておりますので、リコールバイアスというものがあるんですが、これも御説明いたしましたように、直接解析の対象といたしましたのは71歳以上として、いわゆる幼少期に被爆した方のデータというのは今回の解析では省いております。
 個別調査では、逆に高齢層の方、82歳以上の方で、少し認知機能の問題があったり、調査そのものに対する御負担に耐えられるかといったような問題がありまして、高齢者の方もサンプルから外しまして、71歳から82歳としております。更に個別調査では簡便なスクリーニングを行いまして、認知機能に問題のある方も対象から除外をしております。
 回答バイアスについては、国が長崎の調査で行った方法と同じ方法をとりまして、MMPIのK尺度得点というものを一緒に測定しまして、その結果での補正も行っております。ただ、補正したのと補正しなかったものでは、結果としては余り大きな差はございませんでした。
 そういったところで、簡単ですが、以上のような説明でございます。
○佐々木座長 どうもありがとうございました。
 ただいま御説明をいただきました全体を通じて、どの点でも結構でございますので、御質問あるいは御意見がありましたら、御発言をお願いいたします。
 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 柴田です。
 少し基本的なところをお伺いすることになるかと思うんですけれども、調査というのはある目的があって、そのために調査をする。特に行政が行う調査であれば、その調査結果に基づいて、要するにそれを行う前に行政としてこういう可能性があるのではないか、現実にどういう状態であるかを調べて調査をするというのが本筋だと私は理解しています。
 そうしたときに、今回の調査で既に直爆の人とか、つまり原爆被爆者手帳というか、そういうものを持っている人と持っていない人、そういう人を全部合わせて調査されているわけですけれども、そのときの行政的な目的というのはどういうことなんでしょうか。
○飛鳥井参考人 これは広島市の方からお答えいただいた方がよろしいですね。
○漆原参考人 広島市の原爆被害対策部調査課の漆原と申します。
 行政的な目的ということでございますけれども、これも厚生労働省さんに提出させていただきましたが、平成16年度に1万人を対象にアンケート調査をやったことがございます。原爆体験が何かしらの心身への健康影響がありそうだという結果が出ておりましたので、それをもう少し突っ込んできちんと解析をしたいということが1つです。
 あと、今回は飛鳥井先生を中心とする専門家の皆さんの御協力を得て、広島大学の神谷先生を座長とする研究会を立ち上げてこういった調査をしたわけですけれども、原爆体験が被爆者にどういう影響を与えるか。特に精神的なものも含めて、今まで解析が実際にされてこなかったことがございます。戦後六十数年経ったわけですけれども、そうした中で被爆者の皆さんにどういった心の傷があり、それがどういった影響を及ぼしてきたのか。
 あと、被爆者の皆さんというのは、そうした悲惨な体験を乗り越えて、核廃絶とか平和への気持ちを世界に発信されていらっしゃいますので、そうしたプロセスといいますか、そこら辺の解明ができるのか、できないのか。また、できるとしたら、どういった理由でそうした悲惨な体験を乗り越えてきたのか。そうしたことを解明できればいいということで、調査をさせていただいたというのが本来の調査目的でございました。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 そうであれば、原爆体験というのがどういう意味で使われているのかよくわからないんですけれども、少なくとも、今、原爆被爆者として行政的に認定されているというか、認められている人、それ以外に今回はまだ認定されていないんだけれども、その人たちも影響があるのではないかという話だと思うんです。なぜその2つのグループを混ぜて調査をされたのかというのが、私自身はよくわからない。
 広島の事情は存じ上げませんから何とも言えませんけれども、長崎では幾つか被爆者だけを対象にした心の問題などの調査がされているわけです。そういうものを広島市の方で今までされていなかったということであれば、それはどうしてかというのが1つあります。
 もう一つの黒い雨体験、つまり今回のメインの話というのは、黒い雨体験と言われている人たちに原爆被爆の影響があったのか、ないのかということをメインにすべきだと思います。そうであれば、調査対象は黒い雨を体験した人で、しかも、今のところ原爆手帳はもらっていない。それに対して、コントロールを適当に選んで、そして、2群間の比較をすべきではないか。
 いろんな変数を入れて分析されているわけですが、例えば区分の間で差があるんだという話は、ちらっと見ただけなので、詳細な分析をしないと何とも言えないですけれども、要するに直爆の人たちを含めて、全体としてその影響が出てきているという感じを受けるんです。だから、黒い雨を体験しているけれども、手帳をまだもらっていない。そういう人たちはどうなのかというような調査を本当はしておいた方がよかった。そうすれば、もっとその人たちの人数は稼げたかもしれないし、その辺がどうしてこういう調査になっているのかよくわからないんです。
○佐々木座長 飛鳥井参考人、どうぞ。
○飛鳥井参考人 今、御指摘いただいたような構造にしております。特に個別調査の方は3群比較をしておりますので、指定地域、未指定地域、未指定地域とマッチングさせた比較対象群を選んでおります。
○柴田委員 なぜ3群比較なんですか。要するに未指定地域、もう一つのコントロール、その2群間の比較だけでいいわけですね。つまり指定された人というのは、その人たちとどうして比べなければいけないのか。その人たちの間に差があるということで見ても、2群間で黒い雨を受けたけれども、まだ手帳をもらっていない人たちとコントロールとを比べるべきではないですか。
○飛鳥井参考人 3群間でも検定の結果は同じ結果が出ております。特に2群比較と3群比較の間で、どうしても2群比較でなければだめだといったようなことにはならないと思います。もう一回追加解析すれば2群比較にはできます。
○柴田委員 これは後の話になるかと思いますけれども、私自身は今回の得られたデータから2群比較をきちんとして、例えばSF-8などの分析ももっと丁寧にやったものを出されるべきではないかと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。荒記委員、お願いします。
○荒記委員 前回詳細な報告があったわけで、私は都合で出席できなかったので、細かいことは理解の間違えがあるかもしれないんですが、今回確認したいのは2点あります。
 1つは、今回の資料の冒頭の作業仮説で、黒い雨体験者の健康影響を検定したとあります。この場合の健康影響という意味が、今回の内容はほとんどが精神的な影響の項目であって、普通はいろんな環境因子の影響を調べると、まず身体影響です。それと精神影響が必要なんです。今回の内容を見させていただきますと、目的は精神影響を検討したということで、身体影響については一部被験者が病気の治療をやっているかどうかという項目がありますけれども、これは完全に身体影響を検討するという目的ではなかった。精神影響がメインだと理解する必要があるんですけれども、それはそうでいいのかどうかをお話いただきたい。これが1点です。
 2点目です。私が前に大学にいたときに、今回の飛鳥井先生の学位論文を審査するあれだったということを聞きまして、10年も20年も前も話で、こういう調査をされたということは敬意を表するんですが、確かに原爆問題というのは国の重大問題で、非常に大事な問題で、被爆から半世紀以上経っているわけです。その中でこのような問題を検討するというのはある面で必要だと思います。このようなことにチャレンジされたということは敬意を表します。
 ただ、研究の中身につきまして、第2点目の質問なり私なりのコメントなんですが、最初に確認しましたように、もしくは今回の疫学調査が精神影響を調べたんだとしますと、果たしてこのような研究が疫学研究として成り立つかどうか。目的を達成する、すなわち黒い雨の体験と精神影響との因果関係を検討するために、このような調査をすることが本当に可能かどうか。要するにちゃんとしたサイエンティフィックな結論を出させるかどうかについての研究者と研究者をメインに評価されておられるお二人の方々、川上委員と金委員にお尋ねしたいと思います。
 どういう意味かといいますと、被爆をして既に半世紀以上経っている。しかも、今回、調べた精神影響の項目は普段の日常生活のストレス等で出てくる症状なり所見なんです。今回の精神影響の結果、影響するための原因として、このような日常の生活経験の影響がほとんどであって、いってみれば、今回の研究のデザインではコンファウンディングファクターになっているんです。コンファウンディングファクターの影響が強過ぎる。今回の目的である被爆という原因を検討するのに、ほとんどがコンファウンディングファクターの影響に隠れてしまって、被爆の影響をちゃんと確認するための研究デザインとして無理がある。これはよく疫学の使い方、私も大学で講義したりしたときのことを思い出すんですが、このような疫学研究の医学上の強みと弱みの項目として、ごみの山の中で針を探すような疫学研究というのは注意しろという1つの原則があるんです。どうもそれに相当するように思えてしまうんです。
 先ほど言いましたように、日常生活の影響が強過ぎてしまって、どんなに解析をやったりしても、正確な結論、被爆の影響の結論が出せるかどうかが問題です。この点につきまして、調査者の飛鳥井先生と、委員の方でメインにこれを検討されている、今回いろんなものを出されたお二人の先生、それ以外の先生でも結構なんですが、どのようにお考えかということをお聞きしたい。これが2点目です。
 ただ、繰り返しますが、私はこのような研究は非常に大事だと思っています。研究者として是非やるべきだと思っております。
○佐々木座長 まず最初の点、精神影響の調査がメインであったのではないかということについては、飛鳥井参考人からお願いします。
○飛鳥井参考人 使った尺度は御指摘のとおりで、メインは精神健康に与える影響だと思います。ただし、SF-8で身体健康に関するQOLの測定をしております。
 もう一つは、いわゆる各疾患の受療の有無について聞いておりますが、これは先ほども言いましたように、非常に限界のあるデータでございます。今回の調査はあくまでも横断のサーベイですので、いずれにしてもきちんとしたコホートを使って、いわゆる身体健康にどういったような影響を与えるとか、そこまではとても手が届く調査ではございませんので、身体健康についてはあくまでも参考値です。ただし、ネガティブデータではございませんで、被爆者群、黒い雨体験群とも幾つかの疾患についてはオッズ比で差が出ております。そういうことでございます。
 後半の部分ですが、私どももそれは考えました。63年ですので、恐らくいろいろなことが影響している。その中から原爆体験が寄与するものをどうやって拾い出すかということでいろいろ議論もいたしました。
 繰り返しますが、回答者は高齢者ということで、調査票が重くなればなるほど回答率は下がっていきますし、負担が増えますので、ぎりぎりのバランスをどこまでとるかということです。そこで、基本属性要因として要介護度ですとか、居住状況ですとか、現在の社会経済的なもの、教育歴なども測定していますが、社会経済状況を見るには、ずばり世帯収入をお伺いするのが一番いいだろう。それによって、どれか1つといえばというところで選びました。そうしたら、すべての要因がきれいに影響を与えておりました。それは荒記先生の御指摘のとおりで、そういったものがいかに大きな影響を与えているかということがわかりまして、やはり収入が多い人ほど健康度は高いです。それから、要介護度が高い人は精神健康も悪い。当然予測されるようなものでして、それをすべて調整しております。
 それから、尺度については、アウトカムの尺度が1つですと何とも言えませんので、違う次元のもの、同じメンタルヘルスですけれども、違う次元のものを3つ測定いたしました。1つは健康QOLの尺度、もう一つはよく精神科関連の疫学調査で使われておりますし、日本でも最近使われておりますが、K6という海外でよく使われているもの、それから、これは直接心的外傷体験による影響を測定するIES-Rというもの、それぞれ3つ次元の違うものを測定しておりまして、3つとも結果が一致するのか、違ってくるのかということですが、結果としては3つとも同じ方向の結果が出ております。
 話は戻りますけれども、原爆体験だけではなくて、そのほかの戦争体験ですとか、もろもろの心的外傷体験は日常生活でもございますので、そういったものも後で調整ができるようにしてあります。
 質問の量とのバランスなんですが、その中で先ほど御指摘のありましたコンファウンディングファクターとなりそうなものについては、盛り込める限り盛り込んで、それらをすべて調整した上で、果たして原爆体験関連がどの程度寄与しているのかということで検証いたしました。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ちょっと伺っておきたいんですけれども、K6とIES-Rはこういうものだ、こういう指標なんだということを素人にわかるように御説明いただくことはできますでしょうか。
○飛鳥井参考人 わかりました。報告書の3ページに載っております。
 IES-Rというのは、国際的にもよく使われております。アメリカで開発されたものですが、PTSD関連症状を評価するときのものです。DSMというアメリカのPTSDの診断基準にあるような項目を使いまして、22項目の自記式の質問紙でございます。段階別に全くないからかなりあるといったような形で重篤度を聞いたものでございまして、日本語版は私どもで信頼性と妥当性を検証しておりますので、国内のトラウマ関連、PTSD関連の研究では広く津々浦々で使われているものでございます。これも直接心的外傷後ストレス障害の症状を測定します。ただし、これは診断目的ではございませんので、あくまでもトラウマ関連の症状の程度を評価するものでございます。
 K6というのは、米国のKesslerらの6項目の自記式質問紙で、米国を中心に広く精神科関連の疫学調査で使われております。項目そのものは抑うつ症状ですとか、不安障害というものを聞く尺度でございます。別に10項目からなるK10というものがございますが、テストとしての性能の遜色ございませんので、項目数の少ないK6を選びました。これも日本語版は既に尺度特性を検証されております。
 そういうことで、両方とも海外及び日本で十分に使用実績があるということと、勿論尺度としての信頼性と妥当性は日本語版でも検証されているものを選んでおります。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 先ほどおっしゃったのはQOLとK6とIES-Rの結果の方向性が違うと、信頼性が薄れるけれども、方向性が一致していれば信頼性が高くなると考えてよろしいんですか。
○飛鳥井参考人 信頼性といいますか、より納得いくような結論ということです。尺度間でばらばらですと、尺度の問題なのか、何を測定したのかがずれているということがございます。3つとも同じ方向の結論だったということです。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 それでは、特に2番目の問題については、川上委員、金委員から何か御発言ありますでしょうか。
○川上委員 先によろしいですか。
○佐々木座長 それでは、川上委員からお願いします。
○川上委員 荒記先生から御指摘のありました交絡要因については、確かに飛鳥井先生が幾つか基本的な要因は調整されていると思うんですが、これ以外に荒記先生がおっしゃるようにK6辺りのごく普通の日常生活の気分の測定になりますと、影響するものは、生活習慣レベルとかあるいは人間関係、原爆体験以外のライフイベントもあり得るので、それらについては完全に調整ができていないという点は問題が残るという印象はあります。この辺りはどの辺まで正しいデータを出せば、どういうふうに次へ続けるかという、ちょっと判断が難しいところだという印象です。
 例えば運動習慣なども随分精神健康に影響を与えますし、社会的支援、お友達がどのぐらいいるかとか、家のことがどう保たれているかということも関係あると思いますし、ライフイベント、原爆体験以外の出来事、離婚とか引っ越しなどがどのぐらい起きているかということも交絡になっている可能性はないことはないと思います。
 後で申し上げるべきかもしれませんが、交絡要因もあるかと思うんですが、一番私が気になっているのは、グループの選び方であります。第1回のときにも少し申し上げましたけれども、現時点ではグループの選び方が御本人の申告される黒い雨体験というもので、御本人のセルフレポート、自己申告でグループを分けていて、その中で精神的な影響を比較していらっしゃるので、そこはいろんなバイアスが入りやすい部分だと思います。もう少し客観的な区分でどうかというカテゴリーの区分け、あるいは先ほど飛鳥井先生がおっしゃったように、体験がなかった群では欠損値が多かった。多分一生懸命答えるモチベーションが回答者の方になかったということで、そういう方のデータを組み入れて比較群、対照群を増やすことで、安定した結果が見られるのかどうかについては明らかになるのではないかと思っています。
 必要なら、もう少し具体的なこういう解析をされたらどうかという御提案もしたいと思いますが、現時点ではこんなところです。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 飛鳥井参考人は、今の川上委員の御発言に対して何か御発言ありますでしょうか。
○飛鳥井参考人 前回も御指摘いただいたとおりで、確かに被爆者あるいは大雨地域については公的な被爆者手帳ですとか健康診断受診者証といった客観的なものはございますが、そのほかの人については、客観的に云々ということが得られるものがなくて、最終的には黒い雨を体験したということです。
 ただし、そのときに住んでいた居住地については、全部調べ直しておりますので、確かにその地域にその人がいた、そこで体験したんだということまでは検証しております。それ以上の群分け、特に黒い雨体験云々についての群分けについては、そのときに申告していただいたもので使うしかなかったということです。個別調査のときには、更にもうちょっと体験内容についても詳しく聞いております。
 それから、いわゆる非体験者で多少回答率、欠損率が多くても何も体験していないと答えた方もデータとして加えるべきではないかといったような御指摘を前回受けまして、これはデータがございますので、そのまま足し合わせればいい状況です。ただ、結果として、私が予想するところでは、より差がつくだろう。よりいろいろな原爆関連体験をしている方をあえて対照群として選んでおりますので、より厳しい検定になっていると私どもは理解をしております。したがって、全く体験がない方はそれなりに数値としても低くなっておりますので、これは影響調査のときにその方たちも1群としてデータを見ておりますが、むしろ今回選んだ比較対照群よりも健康度は高いですので、その方たちを加えれば、より差は開くと思います。したがって、結論としては、恐らく変わらないと思っております。
○川上委員 データを見るまでわからないというのが私たちの鉄則ですので、拝見はしたいと思います。
○飛鳥井参考人 資料編でも加えてあります。
○川上委員 もう一つ、最終的にどういう形の結論が出るか私もわかりませんけれども、黒い雨を体験された方に何かするというのではなくて、この地域で住んでいらっしゃった方に健康問題が多いことをおっしゃりたいのではないかと思うので、黒い雨体験の御自身の自己申告ではなくても、地域を指定して、その地域にそのときにいた方に多いとか、地域だったら客観的な情報になると思いますので、そういう分析をされたらどうかと思っています。
○飛鳥井参考人 これは市の方から答えていただいた方がいいかもしれませんが、黒い雨が実際にどこに降ったのかということもわかっていない。いろんな説がございまして、前回大瀧参考人からそれについての調査がございましたけれども、宇田雨域、増田雨域、今回大滝雨域が出ましたけれども、それすらはっきりしたものがございませんので、それをもう一回確かめるということも調査の目的の1つでございました。それもあいまいなところがあるということです。
 これは市の方からお願いします。
○佐々木座長 広島市の方からお願いします。
○漆原参考人 ただいまの御指摘につきまして、当時の状況からいいますと、例えば昭和20年8月6日に実際に住んでいる地域は被爆地域の外なんだけれども、そこから広島市内に入られて、当時建物疎開というものがございましたので、動員等で入られて直爆に遭われた方、あるいは直爆に遭われた御家族を探しに入市をされた方、あるいは帰られて救護・看護をされている方、その外のエリアにおいても様々な被爆をされている方が実際にいらっしゃいます。したがいまして、その地域という形になりましても、直爆の方もいらっしゃれば、入市の方もいらっしゃれば、救護・看護で被爆された方もいらっしゃるという状況でございますので、地域が1つの特性を持つということでは、多い、少ないは当然ございますけれども、若干違うという気がしております。
 それと、柴田先生からございましたが、黒い雨とそれ以外の方で2元的に本来調査をすべきではなかったのかという御指摘がございましたけれども、私どもの方で今回は被爆者の方も含めて精神的な影響、原爆体験が身心にどういった影響を与えているのかというのがメインの調査でございます。ただ、得られた結論の中で、最終的に未指定地域の黒い雨体験者がほかの群に比べて身心影響が大きいという結論が得られたものでございます。しかも、今回の議論とはちょっと違いますけれども、大瀧先生の解析によって、現行の指定区域よりもかなり広い地域で雨が降っているという結論も得られましたので、厚生労働省さんに被爆地域を拡大していただきたいという要望を出させていただいたわけでございます。それを検証しましょうということで、この検討会が開かれておるわけでございますけれども、最初から黒い雨の被爆地域を拡大するという行政目的を持ってやった調査では基本的にはございません。もう少し科学的にやりたいというのが当然我々もございますので、そうしたところは私どもの方の説明が足りないところがあったかと思います。
 回答になるかどうかわかりませんけれども、そういった当時の状況もありますので、この地域は黒い雨の体験者しかいない地域、そうした地域は基本的にはないということでございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 話題が拡大しつつありますけれども、先ほど荒記委員が質問された中の第2の点に関連して、金委員から御発言があればお願いします。
○金委員 私どもも長崎で同様の調査をいたしまして、どれほどこういうものは大変かということは身を持って知っております。飛鳥井先生、本当に御苦労様でしたと申し上げたいと思います。
 こういう調査の難しさというのは重々承知しておりまして、私どもの長崎の調査のときには、調査の方法論を英語に訳してパブリックヘルスの専門家3名の方に送りまして、事前にいろんな意見を伺っております。それから、事後の報告のときも、これは名前を言っても大丈夫だと思いますけれども、WHOの副部長だったアツセン・ジャバレンスキー教授にも見てもらいまして、コメントをいただきました。
 私どもが一番工夫したのは、先ほど川上先生がおっしゃったさまざまなコンファウンディングファクターは、実は私どもはすべて測定をしておりまして、結果的に業務で差がなかったんですが、そもそも差が出ないようなサンプリングをできるだけしたいということを考えておりました。というのは、私たちは統計的な調整を余り信頼しておりませんので、できるだけそういうことをしなくて済むようなサンプリングをしたい。ある一定地域に居住している方で、私たちがやったのは被爆体験をしたかどうか。原爆の爆裂を見たかどうかということですけれども、見た方と5年経ってから移住してきて、全くそういうものを見ていない方、実は周辺地域におられた方がいましたので、少し見ていた方もいたんですけれども、そういう方を比べたということであります。5年以降の移住者に限ったのは、5年以内にしてしまうと、先ほど飛鳥井参考人からも出たように、被爆地域から周辺に逃れてきた方が含まれるだろう。それから、戦地での過酷な体験をした方が含まれるだろうということがありましたので、5年以降に絞った結果、実際そういう方はおられたんですけれども、今回の広島市の報告ほどは高率ではなかった。10%ぐらいです。そういう方は除外しましたけれども、残った方でも十分統計検定に耐えられることができました。
 サンプリングにつきましても、当該地域を地域割りいたしまして、性、年齢を含めて30ぐらいのグループにして、各グループから均等に対象者とコントロール群を出してきたということです。何を期待したかといいますと、地域における生活ストレスとかライフイベントを、恐らく同じであろうということが期待できるようなサンプリングをしたということであります。結果的には、生活習慣とかライフイベントを話せる相談相手の数云々すべてにおいて全く群の差はなかった。1つだけあったのは、近親者に被爆者がいるかということだけは対象グループに多かったと思います。ですので、多変量解析の部分も比較的変数を減らすことができたと思います。
 私たちの方と今回の広島の調査と違うのは、地域指定によってグループを分けたということでありまして、光、風、熱の体験を聞いているわけですけれども、当然当時そこにいた方でも、たまたま屋内にいて全く体験していないという人も実はいるわけなんです。それを全部個別に見るのは不可能であって、確かに黒い雨を一人ひとり全部確認するのは不可能だということで、事情は全く同じだと思うんです。ただ、数を増やすことによって、個別の違いはあったとしても、その地域にそのときにいた人においては、何からの精神影響があったということから、これは被爆体験以外にないということを導き出そうとしたわけであります。そういうことで、これも完全とは言えないんですけれども、何とか解析をいたしまして、余談ですけれども、今ある英語雑誌で模式が出版されると思います。
 そういうことを踏まえまして、私から飛鳥井先生に教えていただきたいんですが、比較対照群の特性で、先ほど飛鳥井先生からさまざまな要因を抱えた人が多くて、例えば原爆によって家族を失った方々が4割ということがありました。グループとして、対照群としてはなかなか使いにくいという御説明がありまして、そのお話は基本調査の2,200名に関するお話ということでしょうか。
○飛鳥井参考人 転入群です。転入群も昭和25年から昭和27年ですから、5年以上間隔をあけて転入した方というんですが、実際は恐らく市内移動の方だと思います。どうしてもわかるのは移動ですので、そういったような原爆関連体験をした方が多かったという結論です。それは長崎よりも恐らくかなり高率になっていると思います。
○金委員 長崎はかなりラッキーだったと思います。地域の特性があったと思います。
 そうすると、先生がお配りになった黒い雨関係群の6非体験群というのは、この方たちが居住していた地域というのは、宇田地域とはちょっと違う地域なんでしょうか。
○飛鳥井参考人 宇田地域です。
○金委員 わかりました。
○飛鳥井参考人 体験場所は、宇田大雨地域以外の宇田小雨及び周辺地域としております。
○金委員 もう一つお尋ねしたいのは、個別調査、面接調査は大変だったと思いますが、被爆群の方たちを500人ぐらい面接しておられますが、被爆群の個別調査データは今回の解析には最初からお使いになるつもりはなかったということでしょうか。
 個別調査で被爆群、1・2・3の方を合計で500人ぐらい面接されています。他方で、4・5・6群は、4の方が63人とちょっと少ない感じがするんですが、1・2・3の方は最初から個別調査の結果は解析には使わないという御予定だったんですか。
○飛鳥井参考人 報告書には盛り込んであります。
○金委員 今回一番主要な解析結果としては、黒い雨の影響による健康被害ということだと思うんですけれども、その解析に1・2・3は最初から使う予定はなかったんですか。
○飛鳥井参考人 その辺の解析については、先ほど柴田委員からも御指摘がありましたけれども、直接黒い雨の関係で3群設定をして比較をしております。それには分散分析の結果として、被爆群は入れておりません。サンプリングの方法が違うものですから、直接は比べておりません。だから、これも参考値です。
○金委員 もう一つだけですけれども、3群比較か2群比較かという議論になりますが、3群比較の場合、4の63名というのはちょっと少ないような感じを受けるんですけれども、この辺はいかがなものでしょうか。
○飛鳥井参考人 これは致し方がないんです。入れられる方は全部入れております。もともとの母数そのものも少ないということがございます。基本調査を見ていただいてもわかりますように、けた数が全然違うものですから、しようがないと思っております。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 今の議論を踏まえて、荒記委員から何か御発言はありますか。
○荒記委員 この調査、研究上の正当性は、文章の形で残していただくといいと思います。当然議事録は残されるでしょうけれども、それを先生の方でまとめて、ポイントを書いておいていただきたいと思います。研究の正当性です。特に精神影響との因果関係を調査する上で、このように半世紀以上にわたった経験の後で、研究の主体者としての正当性、研究の正当性をお願いしたいと思います。
 もう一つ、統計処理をいろいろやって、統計学的な論理的な正しさがあると思います。細かいところまでは見せていただいていないんですけれども、例えば調査項目全体としての精神健康機能が有意に黒い雨群に高かったとか、あるいは心的外傷後ストレス症候群指標が高かった、そこの結果まではいいんです。それは確かにそうだったんでしょうけれども、問題は結果の解釈です。このような精神的影響の結果は、基本的に被爆とは関係なく、今回の黒い雨被爆者自体が既に精神的に持っていた感じ方であったかもしれないんです。だから、被爆とは関係なく、当然構造的に出てくるようなものでなかったかと思います。この辺のお考えを後で文章の形で残していただきたいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 飛鳥井参考人、今の件で何か御発言ありますか。
○飛鳥井参考人 全般の正当性というのは、どういうことを書けばよろしいんですか。私は理解が不足しております。
○荒記委員 これは要するに人間を対象にした調査、社会学的あるいは疫学調査、統計学を使った調査はほかの生物的な研究と違う配慮が必要なので、人間、特に社会を対象とした研究というのは結論を間違える可能性が非常に強いわけです。正確な実験デザインを組んでできないわけです。ですから、この分野では、必ず自分のやった研究が一般的に考えられているサイエンティフィックな弱点を踏まえた上で、だけれども、自分のやった研究は論理的に正しいんだという根拠を出していただきたいと思います。
○飛鳥井参考人 報告書でもお示しましたように、あるいはこの議論でも出ましたけれども、対象者も高齢化しておりますし、何といっても63年前のことでございますので、いろいろな限界は御指摘のとおりです。それも重々承知の上で、いろんな限界があるだろうということを含めて、その中でもどういうふうに調査をすれば何が得られるかということでデザインをさせていただきました。
 いろいろな要因も含めて解析をして、今日お示ししたようなことについては、言えるのではないかという一定の結論を得たということで、御指摘のとおりで、当然報告書にはいろいろな限界についても盛り込んでおります。
○荒記委員 限界をあれするのではなくて、限界を考えた上での一般的な弱点を考えて、この研究で正しかった、そういう限界を全部克服して、コントロールして、正しい結論を出したんだという具体的な根拠です。それが必要です。
 例えば原著論文等を書くにも、これが絶対に必要なんです。ディスカッションでそれをやらないと、ピュアレビューのある国際的なジャーナルでは採用されないわけです。ですから、そういう意味での正当性です。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ただいまの御指摘については、次回以降までにどういう対応をするか御相談させていただこうかと思います。
○飛鳥井参考人 求められても、お示ししましたような結果を逆にどう評価していただくかは、むしろ先生方に評価していただきたい。この結果ではだめだ、これはそれなりに見るべきものがあるのかというのは、むしろそのための検討会ということになるかと思います。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 資料3に用意しておりますけれども、次回以降の検討の中で、研究の解釈に関する意見もありますので、そういったところでまた荒記先生のお考えを反映させていただいて、次回以降の議論に使うようにしたいと思います。
○佐々木座長 ほかにございますか。土肥委員、お願いします。
○土肥委員 大変苦労しておられる中で精密な解析をしておられて、御苦労されたと思うんですが、今、荒記先生の言われたことで、私の中ではかなりクリアーになってきました。と申しますのは、飛鳥井先生のお話の中で、黒い雨体験者に健康影響があったとすれば、その原因は何かを検証することが目的である。しかし、放射線被爆と関連する疾患やその他の身体疾患の有病率上昇有無の正確な評価は、実際上困難である。つまりそれが放射線の影響であるかどうかを実証することはほとんどできないというお話でございました。結局アンケート調査でやられた話だから、基のデータというのが、勿論それは重々わかっているということだと思いますが、かなり不確かなものに基づいて、しかし、精密な検討をしておられるので、そこのところの自己撞着があるのではないかと思います。
 その中で、例えば直接被爆者、入市被爆者、3号、指定地域、未指定地域ということで分けておられて、IES-RにしてもK6にしても、被爆の状況が激烈であればあるほどスコアが高いというものが、指定地域では一番低くなっていて、未指定地域で直接被爆に近いような値が出ているということが、私の頭の中でどういうことなのか理解しにくいところであります。そういうことを見ますと、調査及び調査を受ける側、する側も含めて、そういう意味での何かのバイアスが入っているのではないかという疑いがあるわけです。恐らくそれは調査の限界と言われるかもしれませんけれども、次回で結構なんですが、やはりそういうことに対する考察を明らかにしていただきたいと思います。我々が生物学的な話をするときにはそれなりの説明が必要です。この評価が今回必要であると思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかに御発言ありますか。米原委員、お願いします。
○米原委員 今の土肥委員の話に関連するんですけれども、結局黒い雨が降った地域があって、そこで何らかの影響が出たということがこの調査によって検証されたということであったとしても、今、広島市が要望を出されているのは、放射線の影響があるかどうかということですので、そのところまではこれは示していない。非指定地域で黒い雨が降ったということまではこの結果から証明できるんですが、チェルノブイリでもありますように、精神的影響というのは直接放射線被ばくから影響が出たかどうかということは、証明されていないということになります。
 ということは、黒い雨が降った地域において、有意な被ばくがあるか、ないかということが今後有意な線量があったのかどうか。黒い雨が降っただけで、放射能が含まれているかどうか、黒い雨だけに含まれていたかどうかというのはまだ検証されていない状況があります。透明の雨のところにたくさん含まれていたかもしれないということもありますし、有意な被ばくがあったということが証明されない限り、非指定地域でそういうものが降ったのかどうかということが今後必要になるのではないかと思います。
 いずれにしても、この結果で非指定地域、ある地域に黒い雨が降ったということが検証できるのかどうかという点をもう一度お聞きしたいと思います。
○佐々木座長 飛鳥井参考人から御発言ございますか。
○飛鳥参考人 未指定地域に黒い雨が降ったかどうかというのは、むしろ同じ研究班の大瀧先生がやられております。これも聞き取りの範囲ですけれども、やっております。報告書の21ページ以降に聞き取り調査の範囲から解析をしておられます。この調査の結果では、宇田雨域よりも更に広範な増田雨域の方に近かったのではないかといったような結論が出ております。したがって、未指定地域と言われるものについても、黒い雨が降ったのではないかといったような結論を出しております。
○佐々木座長 よろしいですか。
 ほかに御発言ございますか。柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 結果の表示のところなんですけれども、例えばSF-8のPCS、かなり長い解析結果が示されています。それから、報告書の9ページにもありますけれども、比較対照群をみんな0にしてしまっているんですが、例えば性別で男女といったときに一方を0にして、片一方は1にするとか、ノミナルなものはそれで構わないと思うんですけれども、こういう計量値について、基の値を示さないでそれを0にして、差だけ示すというのはよくわからない。つまり比較対照群でもどのぐらいのスコアがあったのかというのは、大事なデータではないかと思うんですけれども、どうしてそういうふうにされたのか御説明いただけますか。
○飛鳥井参考人 もともとの原爆体験あるいは黒い雨体験の有無だけではなくて、少ないながらも要介護度などをいろいろなファクターを入れております。それらによってもかなりばらつきがございますので、それを一本化してわかりやすく示すためにこのようにさせていただきました。要するに基本調査では重回帰分析をしておりますので、そういう項目をすべて入れて、差も有意差も見るということをしております。したがって、それで一定の傾向が得られたものですから、それを個別調査の方では群間比較という形でしております。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 重回帰分析のところで、すべての変数について特定のグループの係数は0である。係数ではなくて、その値を0にするということがよくわからない。つまり男女であれば、一般にやるのは男1、女0とか、逆もありますけれども、そういうものはいいですが、こういったスコアとか、計量値のときは計量値そのものを普通は使っていると思います。そうであれば、そのときの値を見せれば、その差が幾らということはすぐに出てくると思います。だから、言ってみれば、回帰係数がよくわからないんです。
 例えば9ページに表1があります。これは恐らく重回帰のところに入れているんでしょうから、回帰係数が本来は出てくる。最終的に説明変数のところを比較対照群というのは0にしたときに、幾らになるかという形で示されているんですけれども、もともとの回帰分析の結果はあれですね。
○佐々木座長 柴田先生、今、御指摘のことは、調査報告書の9ページの表1でございますね。
○柴田委員 はい。
○佐々木座長 よろしいですか。
○飛鳥井参考人 資料編の方では、コンスタントも示させていただいております。要するに差分だけを報告書の方では盛り込んでおります。資料編の方では、数値としては計算していただけるかと思います。つまりいろんなファクターがございますので、それを全部組み合わせて示すのは、報告書そのものが煩雑になるものですから、それをすべて調整した最後の結果だけ、差分だけを示していただきましたけれども、資料編の方では個々のことについてのケースも全部書いておりますので、それを足し合わせていただければと思います。
○佐々木座長 資料編ではどの辺にありますか。
○柴田委員 それも全部0にセットしているんです。スコアの方は違いますが。この話はいいです。
 もう一つだけ、非常に素朴な質問なんですけれども、被爆体験をして60年ぐらい経って、その時点でのSF-8にしろ、SF-36にしろ、最近1か月という話を聞かれているわけです。そうすると、60年間という間にそれぞれの人がすごくいろいろな体験をしてこられたと思うんですけれども、すべてのことは別として、主要な体験とかそういったことについて、例えば個別調査でもお尋ねにならなかったんでしょうか。
○飛鳥井参考人 先ほどもちょっと御説明させていただきましたけれども、対象者は高齢者ということと、最初の第1回目の基本調査はもう少し質を軽くしようかということもあったんですが、軽くすると、結果が出ても、御指摘のようにいろいろなファクターが入ってきておりますので、それだけでは何とも言えないということがございました。これぐらいまでならぎりぎり御回答いただけるのではないかということで、基本属性等々を入れました。勿論いろいろなファクターがございます。戦後63年経っておりますので、それでも調べた範囲のファクターはすべて結果に影響しておりました。それで代表されるものについては、調整をさせていただきました。
 個別調査については、そこからランダムサンプルにして、また教育歴等については聞いておりますが、ただし、個別調査も高齢の方に冬の中来ていただいて、一定の時間、限界として1時間、1時間半ぐらいで、その中で構造化面接もしておりますので、これも限界があるものですから、限られたものしか調査はしておりません。
 確かにこの調査を依頼されたときに、そういったようなものをどれだけ調整できるかということで、検討会でも随分苦労したんですが、被調査者の方の負担とバランスをとって、お示ししたようなことについては調整をさせていただいたということでございます。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 先ほどからコホート調査ではないので、いわゆる断面調査だから、例えば身体状況について調べることはできないとおっしゃっていたんですけれども、断面調査でもここでは病歴は聞かれていませんね。今、治療中かどうか。そうすると、過去にその病歴があっても、治療していなければ、その人たちは治療中ではないから、いいえとなると思います。
 もう一つは、疾病の分類のところで、先ほどオッズ比で有意なものがありますとおっしゃったんですけれども、確かにありました。例えばそれは糖尿病と甲状腺疾患。要するに放射線被爆の影響と考えたときに、メジャーな疾患があるわけです。そういったものについて、もう少し詳しく聞かれた方がよかったのではないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○飛鳥井参考人 メジャーな疾患、例えばがんですとか白内障については、限界のある調査なんですが、直爆群でオッズ比が有意に上がっております。
 資料編の114ページ以下に現在の受療に関するオッズ比を出しておりますが、115ページががんなどの年齢調整のオッズ比です。確かにカテゴリー1というのは直爆群でございますが、有意に上がっております。カテゴリー2が入市被爆群です。カテゴリー3が救護・看護群で、カテゴリー4が宇田の大雨、カテゴリー5が宇田の小雨地域、これは比較対照群と比べたオッズ比を出しております。直爆群であれば挙がってくるだろうといったものについては、この調査でも有意に差が出ております。結果については信頼性があるのでないか。限界のある方法ですが、信頼性があるのではないかと考えております。
 ただ、そのほかのもの、そこに示したような貧血ですとか脳出血、脳梗塞、糖尿病などについては、黒い雨体験群についても挙がってきている。この原因については、すぐには立証できませんが、そのほかの疾患については、身心健康上の影響も出ているといったことが、限られた範囲ですが、データとしては出ていると言えるかと思います。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 例えばがんでいえば、カテゴリー5というのは、このデータでは有意性は示していないですね。
○飛鳥井参考人 そのほかのカテゴリー3でも確かに出てはいないんです。
○柴田委員 要するに5カテゴリーというか、複数のカテゴリーを見ていっているので、群間比較の場合とちょっと違うわけです。その辺で先ほどの最初にお話した2群比較の方がよかったのではないかと申し上げたわけです。
 もう一つ、糖尿病と甲状腺を一緒にするというのは、放射線の影響、被爆の影響という話になれば、私自身は疑問符がつきます。病気はそんなにいっぱい選ぶ必要はないわけで、メジャーなものがあって、その他でも構わないと思います。だから、もともとの目的がやはりはっきりしなかったのではないか。要するに、今回調査した人たちの健康状態が全般的にどうなのかという感じにしか受け取れないんです。そうではなくて、こういうものが情報の制約はあるにしても、できるだけ、今、言った黒い雨で被爆した人について、こういった面で健康の影響もあるとか、そういうことを見ていくような工夫が要ったのではないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○飛鳥井参考人 疾患内容の種別は、先行研究で使っているものをそのまま使用しました。新たに組み直すというよりも、先行研究で使ったものを使いました。特にピンポイントでこの疾患に限るということではなくて、全般的な健康影響を見るということで、網羅的に各疾患について有無を問うているものです。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 ということは、やはり目的そのものが漠然としていたと理解して構いませんか。
○飛鳥井参考人 特にこの疾患との因果関連を見るというよりも、広く健康影響を見るということが目的でございます。また、基本調査ですので、そこら辺のところは間口を絞らずに広く質問をしているということです。
 それと、これまで行われているような被爆者あるいは関連の方を対象とした調査と項目も合わせてあるということです。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 これまでの結果とどう違っているかということが目的だったのか、それともこの地域の人、つまり黒い雨を経験した人も含めて、原爆放射線の影響を見るというのがもともとベースにあるのではないんですか。対象の選び方からしても、単に一般住民、今、広島市に住んでいる人たちの健康状態を見るという話ではないと思います。そうであれば、病名にしても、ある程度影響があるんだと言われているものをきちんと入れておいて、そうではない、例えば糖尿病と甲状腺を入れて、それで有意になっていますと言われても、その中身が全然わからないので、判断のしようがないと思います。
○飛鳥井参考人 それはある意味では御指摘のとおりで、個々の疾患と被爆あるいは黒い雨との関係が云々ということの医学的な因果関連までをどうこうするものではないと思います。健康影響あるいはもうちょっと広げて精神的なストレス、つまり被爆したこと、あるいは黒い雨を体験したことで、調査の中では健康不安という言葉も使わせていただきましたけれども、そういったようなものが一定の身体的な影響を与える可能性も考えて、広く調査をしております。
○佐々木座長 よろしいでしょうか。
 ほかに何か御指摘の点はありますか。川上委員、どうぞ。
○川上委員 先に進む前に、私の理解が間違っていたので確認だけさせていただきたいんですけれども、今回の調査の目的は、宇田小雨及び周辺地域の黒い雨体験者個人、個人レベルの黒い雨の体験が精神的に健康を及ぼすかどうかという研究と理解してよろしいですか。
○飛鳥井参考人 一番最初のところにもありましたように、調査そのものの目的は黒い雨ということに限らず、63年経って被爆者及びもうちょっと広げてフォールアウト、そういったようなもの、原爆体験そのものがどういった影響を与えるかということについて大規模な調査をしようということであります。その中の一部を切り取ったのが、黒い雨の影響ということになります。
○川上委員 今回出された報告書は、黒い雨にフォーカスを当てたものに基本デザインがなっていますので、それが一番の目的だったと思います。黒い雨を体験した地域ではなくて、個人の健康影響の御説明が先ほどありましたが、それでよろしいんですか。
○飛鳥井参考人 黒い雨を体験したという方、その地域に住んでいたということではなくて、先ほど説明がありましたように、かなりいろいろ地域も動いておりますので、その地域で住んでいた方というと、黒い雨を体験したかどうかもわかりませんので、黒い雨を体験したという方を体験群としてあります。
○川上委員 被爆の体験が精神的健康影響ということで、悲惨な体験のお話もされていたんですが、黒い雨を体験したというのは何のマーカーなんですか。それは放射線ファクターなのか、悲惨な体験のマーカーなんですか。それとも黒い雨が降ったという体験自体の影響を立証作用としているんですか。そこが私自身は混乱してしまっています。
○飛鳥井参考人 それぞれの方がいろいろな体験をしております。当然光景も見ておりますし、急性障害で亡くなられる方もいますし、家族も失っておりますし、瓦れきの山も見ておりますけれども、そういうものを全部入れてあります。ただ、黒い雨体験をした人は悲惨な体験ということで、文字通り黒い雨を体験したかどうか。
 長崎と違うところは、黒い雨ということは、一定の放射線の影響を自分が受けたのではないか。やはり健康不安の問題があるかと思うんですが、それに一番強く関連しているんだと思います。
○川上委員 黒い雨を体験したことで、放射線被爆があるのではないかという不安ががんになっているという意味ですね。
○飛鳥井参考人 そうです。
○川上委員 わかりました。そういう点で、もう一度研究データを見直さなければいけませんが、黒い雨の体験自体がセルフレポートに頼っている点は、研究としては少し気になるところではありますので、何か代替の方法があるかどうか検討できればと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 金委員、どうぞ。
○金委員 技術的なことでお伺いします。個別調査の解析方法が分散分析、3群比較となっていますけれども、今、統計の資料のところを見ていますが、この分散分析は回帰分析と違いまして、変数の調整をどういうふうにしたか、ここから見えにくいんですけれども、交絡要因の調整というのはどういうふうにされているんでしょうか。
 例えばSF-36にせよ、K6にせよ、その値だけを3群で比較されているのか。比較のときに、交絡要因で性別とか生活習慣などをどういう形で調整されたのか。私は統計が専門ではないものですから、よくわからないので教えていただければと思います。
○飛鳥井参考人 今、言った基本属性については、群間で差がないということをあらかじめ検証しております。
 比較対照群を選ぶときには、特に未指定地域群と性と年齢をマッチングさせてサンプリングしております。
 そのほかについては、その後でいろいろな要因について比較をしておりまして、群間で差がないということを検討しております。
○金委員 どうもありがとうございました。
○佐々木座長 ほかにございますか。柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 そのサンプリングのところでちょっとお伺いしたいんですけれども、比較対象群の選び方として、未指定地域群の159人に性と年齢でマッチングさせたということですか。
○飛鳥井参考人 比較対照群です。
○柴田委員 ということは、先に未指定地域群の人に参加してくれるかどうかを尋ねられて、つまりこういうサンプリングというのは、選んでも来てくれない可能性がありますね。
○飛鳥井参考人 勿論そうです。
○柴田委員 だから、未指定地域群の人たちというのは、疫学でいうケースととらえていれば、来てもらえる159人に声をかけて、この人たちが参加してくれる。その上で非体験群、比較対照群の2,200人からランダムに、今おっしゃった性、年齢をマッチさせた、選ばれていったわけですか。
○飛鳥井参考人 そうではなくて、被爆群、黒い雨関係群も一斉にお願いしておりまして、非体験群についてもお願いをして、その後でマッチングをさせております。指定地域、未指定地域を選んでからお願いしたというわけではなくて、一緒にお願いして、後でデータ上でマッチングをさせているということです。
○柴田委員 そうすると、非体験群は何人ぐらいが個別調査に応じると回答されたんですか。
○飛鳥井参考人 データは勿論ありますが、今すぐに見つからないものですから、済みません。
○佐々木座長 ほかにございますか。金委員、どうぞ。
○金委員 先ほどの質問です。それから、今、統計解析の部分の報告書のページを見ておりましたけれども、個別調査の方々のさまざまな生活習慣その他に群の差がないということは、有意差検定の部分がないものですから、もしあれでしたら、有意差検定していなかったということを、例えば喫煙とかにあれしていただく。ただ、喫煙本数につきましては、15ページを見ますと、未指定地域群の方は比較対象群より本数が多いようにも見えますので、この辺は有意差がなかったということであれば、それは別途お示しいただければと思います。
 もう一つ、先ほど身体健康の問題が出ました。21ページをながめていました。
○佐々木座長 それは資料編ですか。
○金委員 資料編です。手元資料の参考資料7の資料編です。
 繰り返しますが、喫煙本数については、どうも差があるのではないかと思います。
 それから、身体疾患に関しては、21ページに書いてありますけれども、ざっくり見ますと、未指定地域、つまり今回一番の対象としている方々と治療中の身体疾患にはどうも差がないと見えます。これは多分先生方にとって有利な所見ではないかと思います。というのは、黒い雨を浴びたと思っている人はいろんなことを訴える傾向が強いのではないかと思ってしまうわけですが、当然身体疾患について訴えが多くなるはずなのに、そこに余り差がないというのは、正直に答えているという気がします。
 ここでちょっとわからないのは、4の指定地域群、既に指定された地域群、身体疾患の効果を一番左側に書いてありますが、63です。
○飛鳥井参考人 金先生、何ページですか。
○金委員 21ページです。
○佐々木座長 資料編の21ページの表でございます。
○金委員 9、12と書いてある表です。資料編の21ページです。
○飛鳥井参考人 わかりました。済みません。
○金委員 一番左側の計、合計のところだけ見ているんですけれども、そうすると、5の未指定地域群、比較対照群を見ると、上の段でいうと、疾患数の合計が159と161です。この2群に余り差がないんです。ということは、黒い雨を受けたと感じている人、そうでないと言っている人の間で、身体疾患に関して訴える傾向が余り変わらないだろうととれるので、そうすると、殊さらに訴えが強い人ではないと解釈できます。これは先生方の主張にとって有利ではないかと思います。
 1つわからないのは、4の指定地域群の方の身体疾患の合計が63となっていて、未指定地域群よりも随分低いんです。もし放射線被爆による健康影響ということであれば、当然指定地域群はだれの目から見ても明らかに被爆しているわけですから、ここはもっと疾患が多くなっていいはずだと思います。
○飛鳥井参考人 それは総数です。人数です。
○金委員 これは人数なんですか。
○飛鳥井参考人 指定地域が少ないものですから、こういうことになります。
○金委員 これは疾患の数ではないんですね。治療する疾患があると答えた人の割合を出していただいて、どれぐらいの方が身体疾患を持っているのかという数字をお示しいただいて、そこに差があるかないかというのが回答の信頼性に対する指標になるのではないかと思います。それをお示しいただければと思います。
 言いたいことは、訴える傾向が非常に強ければ、自分は体の具合がこんなに悪いんだと多分言うと思うんです。その傾向に余り差がないのであれば、回答には信頼性が置けるという間接的なデータになるのではないかと思います。ですので、通院、入院経験があると答えた方のパーセンテージ、割合を示していただければと思います。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 下段に書いてあるのがパーセンテージです。
○金委員 なしの方を見ればいいんですね。ごめんなさい。これを見ればいいんですね。わかりました。
○柴田委員 比較群に対して、少しは高いということです。
○金委員 書いてあるのは実数ですね。下がパーセンテージですね。わかりました。ごめんなさい。表を見間違えておりまして、申し訳ありませんでした。
 そうすると、未指定地域群は比較対照群に比べて身体的なストレスを訴えるのがちょっと高いということになるんですか。
○飛鳥井参考人 大瀧参考人がオッズ比を出したのが113ページ以降のデータになっております。これは被爆群も含めまして、カテゴリーに分けてオッズ比を出しております。
○佐々木座長 よろしいでしょうか。土肥委員、どうぞ。
○土肥委員 今、金先生のおっしゃる未指定地域と指定地域の差だと、入院、通院がない人の割合が未指定地域で高いんですが、それ以前のIES-R とかK6では未指定地域の方がより病気に近いようなデータになっているんです。ここではパラドックスが出ているわけです。
○飛鳥井参考人 御指摘のような結果なんですが、その解釈をどう見るかという問題がございますので、要するに指定地域については一定の施策がとられているということもあります。健康管理に関して一定の施策がとられている。未指定地域については、そういったような施策がとられていないといったようなことがあります。健康政策の制度上の違いがもたらしているのかどうかというところの解釈になるかと思います。両方の可能性があるかと思います。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 先ほどどうして病歴を聞かれなかったのかという御質問をしたんですけれども、現在の状況を調べていると、おかしな結果というか、資料編の115ページのがんの年齢調整オッズ比を男女別々に見ていくと、男ではカテゴリー1と2だけが有意になっている。女ではカテゴリー1だけが有意になんです。だけれども、がんというのは放射線被爆の影響の一番のもので、要するに今は治療していませんという答え方をしているのではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○飛鳥井参考人 そのとおりでございます。回答の正確性を見るという意味で、さかのぼってよりも、調査時点でのものを拾っております。それでも言えるかどうかというところだと思います。
○佐々木座長 柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 でも、がんのようなものを経験した人にとっては、ある意味で忘れがたいものではないかと思います。60年前の黒い雨の記憶があるぐらいであれば、自分ががんにかかったどうか、そういうことはきちんと記憶していると思うので、主要なものについては病歴を取っておく必要があったと思います。
 例えば放影研で郵便調査みたいなものをやったときに、やはり病歴調査をやるんですけれども、一般には自己申告のものは信頼性が低いと言われていましたが、病歴の答えと実際の診断とを突き合わせると、結構高い相関をしていたという経験を持っています。記憶の薄れていくものもありますけれども、がんのようなものはきちんと取られておくべきだったのではないかと思います。
○佐々木座長 いろいろと御意見がありました。まだ議論が尽きないところでございますが、そろそろ予定の時間に近づいておりますので、今日の議論はこの辺りで終わらせたいと思います。
 飛鳥井参考人、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局からこれまで出た御意見のうち、本日飛鳥井参考人から御説明いただいていない部分についてまとめた資料が提出されております。事務局から簡単に御説明をいただけますでしょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 先ほど紹介いたしました資料3でございます。
 今後の議論に向けて、本日、一部触れられた事項もございますけれども、健康影響に関する調査について、解析、結果、考察等に関するこれまでいただいた意見をまとめたものがございます。
 それから、資料3の2ページ目でございますけれども、本日はお越しいただいておりませんが、第2回の検討会のときに大瀧参考人から発表していただいたことに対して、検討会で出た意見をまとめているものがございます。
 本日は時間がございませんので、ディスカッションは難しいかと思いますけれども、この後、改めまして、委員の方々からの意見を集約いたしまして、また調査をされた方にお示しいたしまして、中身について御回答いただこうと考えております。
○佐々木座長 事務局でまとめた意見2というもの、今、細かくは御説明いただきませんでしたが、見ていただいて、修正とか追加などがあれば、事務局へ御連絡するということでもよろしいですか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 こちらからも御連絡いたしますけれども、お気づきの点がありましたら、事務局までお伝えいただければと思います。
○佐々木座長 今すぐ、この場で是非言っておきたいということがあれば、委員の方から御発言いただきたいと思います。
 時間を十分にとれませんでしたので、後ほど見ていただいて、追加の御意見あるいは書かれていることへの修正がありましたら、事務局に御連絡をいただいて、それを踏まえて次回以降の検討会の計画を立てたいと思います。
 今日はこれでいただいたんですけれども、事務局の方から意見をいただくような御連絡をしていただけるということでしたね。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 そのようにさせていただきます。
○佐々木座長 それでは、そういうことにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 本日またこれからいただきます御意見を踏まえまして、修正をした上、次回以降、広島市などに回答いただけるようなお願いをしたいと思っております。先ほども申し上げましたけれども、追加の御意見などがありましたら、事務局まで御連絡をいただきたいと思います。
 本日、委員の皆様及び参考人の方から貴重な御意見をたくさんいただきました。私が伺っておりまして、幾つかございますが、中でも広島市からは黒い雨が降ったと思われる地域に着目した要望が出ているのですが、今回の調査は、地域というよりは黒い雨の体験に着目して行われていたように思われます。
 また、今回の調査は、放射線が身体に与える影響よりは、黒い雨を体験したことが精神面に与えた影響が主体になっているように思われます。
 また、当初の調査設計から、途中で一部変更がなされていたということが本日のお話の中で出てきていたのではないかと思いますが、そのほか多くの議論がなされました。
 大変ありがとうございました。
 議論がなかなか尽きないところでございますけれども、時間がまいりましたので、本日はここで第3回目の検討会を終わらせていただきたいと思います。
 最後になりますが、事務局から連絡事項などはありますでしょうか。
○名越原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 次回以降の日程につきましては、改めまして調整をさせていだたきまして、セットさせていただきたいと思います。この点につきましても、よろしくお願いいたします。
○佐々木座長 それでは、本日の検討会はこれで終了させていただきます。長時間にわたってありがとうございました。


(了)
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